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吉川末次郎君 平林さんから
お話がありましたが、お述べになりました三つの條項につきましては、私は全く賛成することができません。全く私は事実の誤りと、そうして間違つたお
考えに立
つていらつしやるということを指摘せざるを得ないのであります。先ず第一に
理事会の権限についてお述べになりまして、
理事会というものが
議事の
運営について絶対的な何か権限を持
つておるものであるかのようにお
考えにな
つておるということは、非常な誤りであるということを申さなければならんと思うのであります。これはほかの
委員会等においても、
理事会というものは
委員会の
議事をば専ら円滑に
運営して行くということのために各派から
代表者が出まして、そうして
打合せをいたすための機関であります。もとよりそのように
委員会の
議事があらかじめそういう相談を通じまして円滑に行われるということは好ましいのであります。そのためにこそ
理事会があるのでありまするが、併しなから
委員会が本来のいろいろな権限を持
つている
ところの本格的な、実体的な機関であるということは申すまでもないのでありまして、
理事会がいろいろと話合いました結果、大体において皆の人の
意見が一致いたしまして、まあ表決しなくとも満場一致でそのように決定するという運びになりましたときには、それは大体においてそれを本にいたしまして、そのまま
委員会におやりなりましても、
委員長がそのように
運営なさいましても、これは異存のない
ところに……結果する
ところにな
つて来ると思うのであります。
ところが
委員会と
理事会との
関係は、平林さんがお
考えにな
つているような、何か上層の
一つの機関であ
つて、その決定したことには
委員会は常に服従して行く
ところの
関係にあるというようなお
考えは、本来
理事会の
性質というものについての十分の御認識がないのではないかと思います。私も
委員会の
委員長をほかの
委員会でしたこともあります。絶えず
理事会で、ほかの
理事をしておつたこともあります。これは
皆さんも御経験にな
つておることだろうと思いますが、そういうような殆んど異存のないような、満場一致のような議決を経てこそ、平林さんのおつしやるようなことができるだろうと思うのであります。併しながらたとえ
理事会におきまして、満場一致の実質上議決が得られて、そのような形において
議事を
運営して行こうというような場合におきましても、
委員長からこれを
報告いたしまして、そうして更に
委員会の賛意を求めなければなりません。それは先ほど申しましたように
委員会がすべてのことを決定するのでありますから。併しながらずつと以前におきまして、どういう日程をおきめに
なつたか知りませんが、併しながらその日程を
運営して行く
ところの途中におきまして、今、私が先に指摘いたしましたような、
政府当局が極めて不誠実な
態度をし、不誠実な
態度において不十分なる
ところの
答弁をいたしておりまして、
一般質問の目的を十分に達成するような結果を来たしておらないという
ところの新らしい事実が起
つて来たのでありますから、その起
つて参りました
ところの事実を考慮の中に入れまして、そうして
理事会及び
委員会というものが今後における
ところの
議事の
運営について
考えて行くということは、
委員会の組織、本来の権限からいたしまして、これは当然のことでなければならないと思うのであります。先ず第一点といたしまして、平林さんが
理事会の権限について極めて固定的な、上層機関的な、或いは
一つの断定的な権限を
委員会に対して持
つておるかのようなお
考えで臨んでおられるということは、間違いであるということを申さなければならんと思うのであります。又この昼の間において開かれました
ところの
理事会におきまして、私は曾祢
理事が所用がありましたので、代理といたしまして
出席いたしてお
つたのでありますが、いろいろな
議論が出ました。兼岩君の
プレスコードの
問題等も出ました。それは先に
委員長から
お話のあつた
通りであります。又私が昨日来申しております
ところの、この
委員会における
ところの
言論というものが不穏当であるかのような
お話がありました。私もその席上におきまして、自分の申上げたことは本日も昨日も自分が少しも不穏当であつたとは
考えておらん。中には又個人攻撃的なことを言うのはよくないじやないかというような
お話もありました。そういうような印象を与えた言辞が私にあつたならば、私はこれはお詫び申さなければなりませんが、併しながら私が
草葉さんに対しましても、
吉田さんに対しましても、或いは
西村さんに対しましても、決して個人的な憎悪な観念を持つたり、又個人攻撃を私人的にいたすような感情は少しも持
つておりません。
草葉さんも、
吉田さんも、
西村さんに対しても、個人的に十分な敬意を持
つております。併しながら昨日も今日もそれらの人の名を挙げて多少申上げましたようなことは、この條約に関連いたしまして、日本の政治について、日本のこの重大なる
外交について、それらの私が名を挙げました
ところの個人の
考え方や行動というものが、私の見解を以ていたしまするならば、日本の政治を毒し、日本の
外交を誤まる
ところのものをその中に包蔵しているということを私は主として申上げておるのでありまして、そういう
意味合で私はこの昼の
理事会にも申上げたのであります。又
理事会の昼のその話の
一つといたしましては、その不穏当であるという
ところの言辞といたしまして、昨日
西村條約
局長に、私があの
吉田さんが
サンフランシスコでしました
ところの演説というものが、アメリカの
政府の意思によ
つてその草案がいろいろと直されたものをや
つておるということを、いい悪いということよりもその事実を私は挙げて、そうしてそれに対する
ところの
答弁を求めたのでありまするが、結局の
ところそれは肯定される
ところの結果にな
つたのであります。たまたまその
答弁の中で、一官僚として極めて不穏当な越権的な言辞といたしまして、
国家のためにそういうことを国会において言われるということを悲しむということを申しましたが、何が悲しいのである。私は、そのときにも話に
なつたことでありますが、然らばこのアチソンの演説に日本の
政府が何か筆を入れたかという私は野次を飛ばしたのでありますが、これ又不穏当だと言われたのでありますが、私は別に不穏当だとは感じておりません。私は断じて
速記録から抹殺したり、みずから取消したりする必要はないと
考えておりますから、そういう
意味の
お話を申上げたのであります。そのようなことがいろいろございまして、ともかくも平林さんの見解と違
つておる。この
理事会の議というものは、昼の
理事会におきましては、私の
意見に賛成する
ところの数名の
理事がございまして、これは表決をいたしましても、そんなことをすべきものではありません。
理事会といたしましても、これは相半ばするほどの
意見の相違があ
つたのであります。そういうような
理事会の
意見がまとまらないときには、これは
委員会の議に附しまして、更に討論をいたしまするということは、
委員会と
理事会との
関係におきまして当然になすべきことでありまして、そういうことを全く無視したような、みずから
委員会の権限を縮小するような言辞を平林さんが仰せになるということは、
法律的にも、形式的にも誤りであるばかりでなく、又私はそういう政治的
考え方それ
自身も、断固として
反対せざるを得ないということを申上げておきたいと思うのであります。
それから第二番目に、
吉田さんその他
政府当局は慇懃を極めて、そうして極めて慎重に
答弁をしておられるという
ところの
お話であります。それは与党である
ところの平林さんに対しては極めて慇懃丁重に
お答えにな
つておるというような感じをお持ちになるかも知れませんが、私
たちはそうは
考えることができないのであります。慎重に
総理大臣及び
外務大臣として、国際的影響を
考えて御
答弁にならなければならん立場にいらつしやるということは、私
たちも十分それに同情し同感いたすのでありまするから、慎重におやりになることこそ私
たちは
総理大臣、
外務大臣として望ましいことであると思いまするが、私が、私ばかりではありません。ほかの
委員のかたも多数でありますが、
外務大臣みずからその
意見を述べよということを
要求いたしておりますときに、わざと顎でしやく
つて、そうして
草葉外務次官をして
答弁さしたり、或いは
西村條約
局長をして
答弁さしていらつしや
つて、そこに列席しておらないのならよろしうございますが、列席しておりながら、
外務大臣がこの
国家の重大事に対して
国民を
代表する
ところの国
会議員に対してみずから
答弁しないというがごとき
態度は、私は断じて許すことはできないと思うのであります。而もその
外務次官がそうしたことについての権威を客観的に認められておる
ところの人ならばよろしい。私は決して人身攻撃はいたしませんが、これは万目の見る
ところ(
笑声)そうした権威を持
つておられるかたとは認められていないのであります。平林さんは認めていらつしやるかも知れないけれ
ども。(
笑声)而もその政務
次官が述べられる
ところの
答弁は、何を言
つていられるか、それはさつぱりわからないのです。つかみどころのないことを答えておられる。そういうようなことではいけない。
外務大臣は欠席し、
外務次官はそんな無権威なことしか言わないときには、当然に……それに代
つて越権の行為に出て官僚が政治家的な
答弁をいたしまするようなことは、私は日本の国の政治のために断固として排撃すべき、これこそ
国家のために悲しむべきことであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)、そういう
意味におきまして、私は平林さんのおつしやることには
反対いたします。それから又我々が事をわざと構えて
議事を紛糾させるためにや
つておるかのような言辞をお弄しに
なつたことは、誠に悲しむべきことであると思うのであります。この
政府の意向と多少違つたような立場からいろいろ
質問戦を展開していらつしやる
ところの
かたがたも、いずれも憂国の至誠においては決して平林さんや
吉田さんに劣る
わけでは皆ないと私は
考えております。殊に私個人のことを申上げては失礼でございまするが、私
たちは講和條約に賛成したいのです。そのためにこそ、我々はここにいられる
ところの
岡田君、金子君
たちのような多年の同志と分裂しておる。袂を分
つて決裂して、涙を呑んでまでこの講和條約には賛成すべきものであるという
ところの
態度を天下に声明いたしておるのであります。このような誠意を以てこの講和條約を批准すべきものであるということを
考えている
ところの我々の誠意に鑑みまするならば、今のような無礼なる
ところの、不謹慎な
ところの言をなされるということにつきましては、深く人間として御反省が願いたいと思うのであります。自由党の諸君全体、
政府当局にも、我々の誠意に鑑みて、人間的にももつと誠意ある
態度を以て臨んでもらいたいということを申したいのであります。我々は少しもこの
議事を遷延するというようなそんな
考えで以てや
つておるものではないということを申上げて、平林さんのおつしやることは三つとも皆間違いであるということを申上げて、私はこの際断固として国会の権威のために、かくのごとき不謹慎な、かくのごとく不誠実なる
ところの
態度、
答弁を通じて示しておる
ところの
政府当局者の反省を促すと共に、国会の権威において、早急にそうしたこの次の
議事に移るというようなことをば私は避けるべきである、
政府の誠意を見て初めて我々の
議事を進めるべきであるという
ところの
考えを更に固執するものであるということを申上げます。