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1951-11-13 第12回国会 参議院 文部委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十三日(火曜日)    午前十時三十分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            高田なほ子君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            荒木正三郎君            大野 幸一君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            高橋 道男君            矢嶋 三義君   政府委員    内閣官房長官 剱木 亨弘君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    地方自治庁政務    次官      小野  哲君    文部大臣官房会    計課長     寺中 作雄君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教職員給与改訂に関する件)   ―――――――――――――
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。
  3. 若木勝藏

    若木勝藏君 地方財政関係は来ておりますか、委員会に。
  4. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 荻田局長が今お見えになつております。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは地方財政委員会のほうにお聞きしたいと思います。地方財政委員長のほうから国会並びに政府のほうに意見書が出ておりますが、政府に出した意見書はいつのことですか。
  6. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは予算を決定いたします前でございますから、大分前の日附になつております。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 日附はわかりませんか。
  8. 荻田保

    政府委員荻田保君) ちよつと今わかりません。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 国会のほうには十月の二十二日に出しているのですね、それよりも先になりますか。
  10. 荻田保

    政府委員荻田保君) 前に出しております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 国会のほうに意見書を出してあるのですが、この場合における教職員給与に関する算出の基準は何によりましたか。
  12. 荻田保

    政府委員荻田保君) 意見書の備考に付いておりますように、地方公務員を適正な給与に直して切替えるものとしての所要経費でございます。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 そのことは何によつて定めましたか。
  14. 荻田保

    政府委員荻田保君) 別に何によつてということではありませんが、政府とも打合せまして適正な給与に切替えるという前提の下に計上しております。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうするというと、この地方財政委員会では平衡交付金総額決定いたしまして、これを交付するのですが、その見積りを作るときに地方財政委員会自体としていろいろな手続があるだろうと思うのですが、それはどういう手続をやるわけですか。
  16. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方団体の実情及び各省のいろいろな経費に関しまする施策等調査いたしまして、そうして地方財政需要計算いたします。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうするとその場合には地方団体公共団体の分、それから各省の分、こういう資料を集めて地方財政委員会としての決定案を作るわけですね。
  18. 荻田保

    政府委員荻田保君) さようでございます。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうするとこの意見書に付いておるところの二十六年度修正地方財政計画表、このうしろのほうの註にあるのですが、註の項目にこういうことがある、「道府県一般職員にあつては四百六十二円、教育職員にあつては三百七十五円、市町村一般職員にあつては五百七十六円だけ有利に支給されているとされているので」、こういう文句があるわけですね、もう一遍読みますよ、「有利に支給されているとされているので」、これは一体どこでこういうふうに言つているというふうに地財委では考えておるのか。
  20. 荻田保

    政府委員荻田保君) 給与の問題につきましては、大蔵省文部省自治庁できめた数字を使つております。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 交付金決定額見積りをやる場合には、地財委としては自主的な立場に立つてそういういろいろな調査をやらずに、文部省であるとか、或いは大蔵省であるとかそういうふうなものの資料によつてのみ決定するわけですか。
  22. 荻田保

    政府委員荻田保君) 項目によりますが、そういうちやんとした主管官庁のあるものにつきましては主管官庁で出しました数字を用いております。
  23. 若木勝藏

    若木勝藏君 数字を使つてやるわけなんですね。
  24. 荻田保

    政府委員荻田保君) 使つております。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると財政委員会自体がやらないわけですね、そこを私は聞きたいのですよ。
  26. 荻田保

    政府委員荻田保君) 政府の出しましたのを受取つてそのまま出しております。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうするとこれは地方財政委員会立場から考えて見て平衡交付金を見積る場合におけるところの財政委員会の重要な事務を他のほうへ委ねておるということになりませんか。
  28. 荻田保

    政府委員荻田保君) 事務そのもの範囲は、これは地方財政委員会だけできめるのではなく、例えば六三制の建築費補助金とどれだけ出すかということは文部省できめる、それを受取つて我々は一応平衡交付金総額を出すのであります。あらゆるものにつきまして地方財政委員会計算するというものではございません。
  29. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこに非常に私は地方財政委員会というふうなものの自主性というか、権限というか、これが非常にあいまいなものに感ずるわけなんですが、我々から考えるというと、地方財政委員会がこの重要な平衡交付金総額決定するのでありますからしてそういうふうな、文部省であるとか或いは大蔵省であるとか、こういうふうなものは或いは参考になるかも知れませんけれども、自体において十分調査し、自分資料によつて自主的に決定するのが本当ではありませんか、その点伺いたいと思います。
  30. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申しましたように、はつきりと政府でこれこれについてはこれだけのことをするときめたものにつきましては、これは地方財政委員会としてはとやかく申す筋合いのものではないと考えております。
  31. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁では地方財政委員会権限そのものを放棄しているように私は聞える。これは極めて重要なことになるかと思うのですね、平衡交付金総額決定するのですから自分資料によつて自分調査によつて自分事務によつて決定すべきじやないか、そういうことをやらないために常に地方財政委員会から提出するところの勧告なり意見というふうなものが、極めて権威のないものになつておる、そうお考えになりませんか。
  32. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方財政委員会権限としましにはそれでよいと考えます。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の答弁ちよつと私はわからないのですがね、地方財政委員会権限としてはそれでいいというのは……、権限範囲ちよつと伺いたいと思います。
  34. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方財政に関しましての、平衡交付金の問題でありますと、総額を見積るのが権限でありますから、その中身につきましては、どの仕事をするとか、あの仕事をするとか、ああいうことはあの程度にするというようなことは、各省でおきめになるので、例えばBCGの注射というものを強制するがいいか悪いかということは、強制でやるということがきまりましたら、どれだけのものをやるかという政府見積りに基いてこの金を計上しておくのでありまして、その注射強制がいいか、悪いかということまで地方財政委員会としては判断する、或いはもつと金をかけるがいいか悪いかということを判断するのはむしろこれは行き過ぎであると考えております。
  35. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると極めて権威のないものになるのだが、そうするとこういうふうに解釈してようございますか、地方財政委員会権限所掌事務というふうなものは、そんなふうにして文部省なり或いは大蔵省で以て、こういう資料によつてこれだけの給与をしなければならんというものがきまつた、それを国が分担するか、或いは地方分担するか、それだけをきめるのが地方財政委員会である、こういうふうに考え差支へありませんか。
  36. 荻田保

    政府委員荻田保君) はつきりそのように国できめたものにつきましては、それを受取りまして、そのまま地方財政需要と見るべきと考えております。
  37. 若木勝藏

    若木勝藏君 私の聞いているのはそれを聞いているのではない。地方財政委員会所掌事務は、すつかりきまつたものを、ごつちは国の分担である、こつちは地方分担であるということだけをきめて平衡交付金決定するのか、それだけの権限かということを聞いておるのです。
  38. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今申しましたように、国できめたものにつきましては、それを受取つてやるべきだと考えております。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 どうも僕の質問に対するはつきりした答弁でないのだが、まあそれ以上追及しませんけれども、極めてそれでは権威のないものだ、こういうことを私は確認して一応質問を打切ります。
  40. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は閣議決定に関連をしまして若干質問をいたします。この閣議決定では国家公務員給与と、それから地方公務員給与の不均衡調整する、こういうことが主眼になつているように思うのです。この質問は、私は剱木副長官小野政務次官にお答え願いたいのであります。  先ず第一番に地方公務員給与の問題については、地方公務員法の第二十四条に規定されております。その第三項に、「職員給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体職員並びに民間事業従事者給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」、即ち地方公務員給与は国との関係国家公務員との関係からもきめなければなりませんが、その地方民間事業従事者給与とも関係を見てきめなければならない、或いはその地方生計費をも勘案してきめなければならない、こういう規定になつております。これは私はその地方特殊性というものを十分考慮して給与はきめなければならない、こういう趣旨になつていると思うのです。従つてこの法律から行きますと、全国幾らになりますか、一万有余の市町村がございますが、それらの市町村給与を一律にしなければならんということは、法の建前から言つてないと思うのです。それぞれ差異があつて然るべき性質のものである、かよう考えるわけでありまするが、この点について政府のほうではどういうふうにお考えになつているか、先ずお聞きしたいです。
  41. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からお答えをいたします。只今お話になりました地方公務員法第二十四条の趣旨は、只今指摘なつように、国及び他の地方公共団体職員との均衡も図らなければならないし、或いは生計費とか或いは民間事業従事者給与その他の事情も考慮するというふうなことになつておることは今お話しになつた通りであると私も思います。従いまして、この点について地方公共団体がその特殊な事情、或いは財政状況等からいたしまして必ずしもすべてが同じであるということは実際問題としてはいけないのではないかと、かように私も思います。ただこの地方公務員法第二十四条の意図するところは、結局均衡のとれた給与ということが必要である、こういうことをここに述べておるものと解釈をしておるわけであります。
  42. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 最後に均衡のとれた給与ということをきめておるという意味ちよつと私にはわかりにくいのですが、その均衡というのは、その地方財政均衡のとれたという意味ですか。どういうことでしようか。
  43. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私が申しましたのは、法律をその通りに解釈いたしまして、例えば国の公務員との間にもやはり均衡がとれたことがよろしいと、こういうふうに解釈しております。
  44. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど政務次官も御指摘なつように、国との均衡ということも、私は一つ条件があると思うのです。併しそれのみではない。それのみであれば地方特殊性というものは全然考慮されないわけですから、地方特殊性もこの中には考慮しなければならないというふうになつておると思うのです。従つてそれは国との均衡ということは一つの先ず条件であると思うのです。併しそれだけで地方公務員給与というものはすべてが決定されるものでない、こういうふうに私は考えておるのです。その点を政府のほうでもお考えになつているのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  45. 小野哲

    政府委員小野哲君) 勿論地方公務員給与は、この法律なり、即ち地方公務員法なりによりまして、地方公共団体が自主的に決定すべきものであるということは、これは申すまでもないことであります。さよう意味合いにおいてこの法律に掲げてありますような諸条件を考慮してきめられなければならない。従つて所によりましては、給与条例を作つておるというふうな所も見受けられるゆえんはここにあるのだ、こういうふうに考えております。
  46. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあ実際の面から考えて見ましても、府県によつては大した差異はないのですけれども、給与について多少のでこぼこがあるわけです。例えば東京とそれから他の府県とを比べて見ましても、正確な数字はわかりませんが、教職員関係で見ましても、大体千円くらいの相違があります。これはその相違があるということが私は法の精神から言つて当然であると思います。全国市町村がいずれも同一給与でなければならないということは却つて不合理であつて、この法にもきめられておるように、やはりその府県財政状態、或いは生活状態、或いは民間関係給与の実態と、こういうものから考慮されて乗る場合に当然そういう差異は起つて来ると思うのです。或いは五百円の差異がある所もあるでしよう。或いは中には国家公務員よりも低い、そういう所も起つておるのが現状であると思うのです。これは決して悪いことでもなければ、私は当然の結果であると思うのです。まあそこに非常な開きが起つて来るというような場合には別な問題でありまするけれども、この国家公務員との大体の均衡をとるということも、大体の均衡をとるのであつて、そこに三十円の相違があつてはいけないとか、二百円の相違があつてはいけないとか、そういうようなものではないというふうに考えておるのでありますが、その点について重ねて政府考えをお尋ねしたいと思います。
  47. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今お話になりましようたに、当該地方公共団体財政力なり、言い換えれば住民の負担力なり、或いは又民間事業従事者給与その他の事情というものを考慮いたしまして、それぞれの地方公共団体給与決定するわけでありますが、その場合において必ずしも例えば四十六の都道府県が全部同じであるということは、これは実際問題としてはあり得ることが少いであろうということは私も考え得るわけであります。ただ問題は公務員という立場におきまして、国家公務員地方公務員が同じく一般奉仕者としての公務員であるという建前においての給与というものをどう考えているかということは、やはり公務員給与そのものとして検討を加え、又我々が考える場合の対象としてちつとも差支えないのではないか、只今荒木さんが言われましたように、個々の地方公共団体における職員給与が決して同一ではない、又同一でない所もあるということは、実際問題として是認し得ることであろうと思いますけれども、一面公務員としての立場における給与がどうあるべきであるかということは、同時に考えて行かけなればならない問題ではないかと、かように思つておる次第であります。
  48. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私にははつきりとわからないのですが、一応府県によつて多少の差異があるということは止むを得ない、或いは当然のことかも知れない、こういうふうにもおつしやつておるし、又一方では公務員全体として同じ基準でなければならない、こういうふうな趣旨のこともおつしやつてつて、その点どうもはつきりしないわけなんです。まあそれはともかくといたしまして、仮に国家公務員地方公務員給与の不均衡調整する、こういうふうにいたしましても、それではそうするのにはどういう措置によつてそういうことができるか、そのことをお伺いしたいのです。
  49. 小野哲

    政府委員小野哲君) 今回問題になつております地方公務員給与改訂につきましては、結局只今お話のありました重点は財源措置であろうと思います。どういう措置によるかということは結局如何なる方法によつて財源措置を講ずるかということに私は尽きる、かように思うのであります。従つて政府としては、今回の国家公務員給与改訂に相並びまして地方公務員給与改訂についても、何らかの財源措置は講ずる必要がある、かよう考え方で目下手続を進めておるよう次度であります。
  50. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その点は私もそういうふうに感じておりまして不均衡調整するというためには、平衡交付金によつて財源措置をどのようにするかということによつてのみ行われるんではないかと思うのです。そういたしますと、東京とか大阪よう平衡交付金をもらつていない、平衡交付金財源措置を受けておらない府県についての不均衡はどのようにしておやりになるお考えでしようか。
  51. 小野哲

    政府委員小野哲君) 平衡交付金の算定につきましては、先ほど荻田事務局長から話がありましたので私から更に附加えて申上げるまでもなかろうと思います。地方公共団体のそれぞれの財政運営、或いは財政内容等を検討いたしまして或る地方公共団体に対しましては、財政収入財政需要どの関係から申しまして、平衡交付金交付しないでよい所もあるわけであります。言い換えればそれだけ財政上の負担能力がある、かよう考えてよいかと思います。これに反して財政収入財政需要とを比較いたしまして、その差額については平衡交付金を考慮しなければならないというものもあることは、これ又御承知の通りであります。各地方公共団体はさよう意味合いにおきまして、財政力の点について必ずしも均等でないということは申上げて差支えないのであります。それでこそ平衡交付金制度の運用が行われておるゆえんでございますが、地方公務員給与に関しましても、国家公務員との間において不均衡な点がある、かよう政府としては考えておりますので、これが調整を図る意味合いにおきまして、国家公務員給与ベース改訂と相並んで何らかの財源措置をいたしたいというのが、今回の平衡交付金の中に織込まれたゆえんでありまして、従つて平衡交付金交付を受けなくても、仮に給与改訂がなし得るといたします地方公共団体におきましては、自主的に恐らく決定するであろう、かよう考えております。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、私の尋ねておるのは、国家公務員地方公務員給与の不均衡調整することであります。どうしてそれを調整するかと、こういうことになれば、平衡交付金において財源措置をするわけです。即ちそれだけ切下げてですね、例えば地方公務員であれば、三百七十五円とか四百六十二円とか五百七十六円とかというふうに切下げて財政措置をする、その財源拘束されて地方給与を切下げざるを得ない結果になるわけです。ところがこういう財源拘束されていない東京都とか大阪府、こういうような所は不均衡調整する措置の講じようがないと私は思うのですが、それをどうして不均衡調整ようとしておられるのか、その点を聞いておるわけなんです。
  53. 小野哲

    政府委員小野哲君) 政府としましては、特に給与決定に対してこれを調整するとか何とかいうことはいたしたくないと考えておりますが、恐らく当該地方公共団体におきましては、地方公務員法第二十四条の趣旨によりまして、適正な給与改訂考えているであろう、かよう考えております。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どうも質問の答えとしては当を得ていない。(「それは重要な点だぞ」と呼ぶ者あり)とれは平衡交付金を受けている地方はこれによつて確かに私は拘束される、それだけしかの財源措置がなされていないから……。これは先ほど小野政務次官がおつしやつたように、どうして不均衡調整するか、どういう方法があるのかという質問に対しては、政府財源措置をしてやる、その財源措置において低く見積つてやるのだ、こういうふうな説明があつたので、私はその通りだと言つた。ところがそういう平衡交付金を受けておらない所は財源的に拘束されないことになるわけです。従つて平衡交付金の給付を受けておらない東京都とか大阪府、こういうものは何らの拘束を受けることがないわけです。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう所では、政府考えているような不均衡調整というのはどうしてやるか、こういうことを尋ねておるわけなんです。
  55. 荻田保

    政府委員荻田保君) 政務次官のおつしやいますように、強制趣旨ではありませんので、政府はこのように期待しておるということを徹底いたしまして地方団体もこれに協力してもらうということを考えておりますので、それ以上に強制的にどうするこうするということは、今申上げるのは早いかと思います。いわんや言葉が悪いのですが、懲罰的な意味においてどうするこうするということを……各地方団体政府に協力してやつてもらうという期待を持つておるにもかかわらず、この際申上げるのは如何かと思うのであります。併したつてお問いになりますれば、これは単に平衡交付金計算でこうなつているのじやなく、地方財政の全体の計算においてなつておる。その全体の中には起債の問題も含んでおります。東京とか大阪とかは起債がなければ財政運営をして行くことができないのですから、そういう問題にも発展すると思いますが、只今も申上げましたように、各地方団体はそれによつてつてくれるということを期待している段階におきましてそういうことを申上げるのはまだ早いと思つております。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の尋ねているのはそういう意味ではないわけなのです。これは別に政府が不均衡調整しろと、こう言わなくても貧弱な地方財政しか持つておらない地方においては、平衡交付金において千五百円見ていないのですから、千円とか或いは千百円しか見ていないのですから、上げようとしても私は上げられない、非常な拘束を受ける、大体これは政府のほうで上げろと言つたつて上げられないと思う。ところが東京とか大阪ような、平衡交付金をもらつておらない所はそういう面からの拘束はない。只今起債で抑えるのだと、それは起債を減額して、それによつて地方公務員給与を抑えることができるかどうか、これは私は非常な問題だと思うのです。そうじやなしに、平衡交付金をもらつていない東京とか大阪という所は、平衡交付金関係がないのだから財源措置のほうから言えば、直接関係がないのだからそれはできないじやないか、こう言つているのです。
  57. 荻田保

    政府委員荻田保君) できるかできないかという意味はどういう趣旨かちよつとわからないのでありますが、我我としましては、飽くまで平衡交付金も、地方税も、起債も皆入れまして、財源計算が適正に、職員の俸給を切替えた額だけ増俸するということによつて成り立つのでありますから、これは全体として考えたい。単に平衡交付金交付されるかされないかには全然関係のない問題であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 更に私は不均衡調整する、政府がそういう意思を以て地方公共団体に働きかける場合は、この閣議決定以上の決定をしなければできないと私は思う。私が今問題にしているのは、冒頭で言つたように、閣議決定については私は質問をしている。従つて現在の二十六年十一月なんかに閣議決定された内容から言えば、これは平衡交付金給与を受けている地方においてはかなりの拘束力を持つている。併し受けていない所は、この閣議決定だけでは拘束力を精神的には受けるかも知れない、併し実質的な拘束力は持たないじやないか、こう言つてるわけです。それに対して荻田局長は、なお何らかの起債を減額する措置考えていると、これは私は局長の言としては穏かでない発言だと思う。この点については小野政務次官答弁を私は要求します。局長が若し給与の切替えを、東京とか大阪等政府考えてる通りやらなければ起債を減額するということも考えている、こういう話があつたのですが、これは小野政務次官政府立場から答弁してもらいたい。これが考えられているのかどうか。私は非常に行き過ぎた発言であると思つております。
  59. 小野哲

    政府委員小野哲君) 荻田局長の答えましたのを聞いておつたのでありますが、別に起債を減額するということをはつきり申上げたかどうか、実は記憶がありません。(「その通り」「耳が悪い」と呼ぶ者あり)ただ問題は、勿論平衡交付金によりまして、政府財源措置をいたしたいという意図の下に、閣議決定が行なわれたということは事実であります。と同時に地方財政、言い換えれば、地方財政運営の基礎となるものは、単に平衡交付金ばかりでなく、或いは一般財源として税収がございますし、或いは又起債等もございますために、当該地方公共団体における財政運営の基礎は、総合的に考えられなければならないわけであるということを荻田君が申したと私は記憶いたすわけでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  60. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 皆さんに御相談いたします。速記の都合上、農林と内閣の連合委員会のほうに十分ばかり速記を貸さないと向うが成立しないのですが、ちよつと十分ばかりですから、その間休憩したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは休憩いたします。    午前十一時三分休憩    ―――――・―――――    午前十一時三十一分開会
  62. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは休憩前に引続き本委員会を再開いたします。
  63. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは私先の質問に続いて次にお伺いしたいのは、国家公務員とそれから地方公務員の不均衡調整する、こういうことですが、これは必然的に地方公務員間の不均衡をも調整すると、こういうことにもなると思うんです。現在私は正確な資料はありませんけれども、地方公務員間におきましてもかなりの不均衡があるということは、これは明白であると思うのです。それを調整することが可能か、不可能かという問題なんですが、私は、現に不均衡ができておる。これはやはり地方公務員法二十四条の規定に基けば当然出て来るものだと考えておるのです。全く同一だということであればああいう規定も要りませんし、又不必要であるわけなんです。いろいろの事情によつて均衡というものが若干出て来るのはむしろ当然の結果であるというふうに考えておるわけなんです。それを今回は地方公務員間の不均衡をも調整ようということですが、かようなことが実際上できるのかどうか。私はこのことについて思い出すんです。大蔵大臣は地方財政は逼迫しておると知事は言うけれども、そうは思わないと、こう言つておられる。或る地方公共団体ではかなり余裕があるじやないか、或地方団体では非常に逼迫している、併し平均ならしてしまえば、そう金が要らないではないか、こう大蔵大臣がお話になつた。それじや余裕のある所から余裕のない所へ金を廻してバランスをとつたらいいじやないか。それができなかつた。政府においてもすることができなかつた。と同様に私は地方公務員間の不均衡というものを全然なくしてしまうというようなことは実際上できがたい問題であると考えているんですが、政務次官はどのようにお考えになつておりますか。
  64. 小野哲

    政府委員小野哲君) 実際問題として、甲の県と乙の県との間に絶対同一であるということが言えない場合があるであろうということも私は想像いたします。別にこれに対して私から反対意見を申述べるわけではありません。ただ問題は今回取上げておりますのは、国家公務員地方公務員との給与の間の不均衡調整を図りたい、こういう趣旨でありまして、地方公務員、言い換えれば地方公共団体相互間の給与の問題については、これは追々と地方公務員制度、言い換えれば自治制度が整備されるにつれまして、又地方職員相互間の協力と申しますか、さよう関係から申しましても、おのずからこれは調整されて行くべきものであつて、今回政府地方公共団体相互間の給与均衡を図るという態度には出ておらないわけでありまして、この点は地方公共団体自体の問題として、又地方公務員法第二十四条の問題として、将来我々は地方公共団体相互間の給与につきましても均衡が保たれて行くべきごとを期待を持つておるような次第であります。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつと私辻褄が合わないように思うんですが、政府地方公務員間の不均衡調整するよう考えは持つていないと、こういうお話ですね。
  66. 小野哲

    政府委員小野哲君) 調整する考えは持つておらないと言うよりも、これは地方公務員法自体の規定にございますよう趣旨から考えまして、地方公共団体職員給与等を考慮してお互いにきめて行くというような、いわば自主的な立場において調整されるべき問題である、政府として今この際にこれを強制するというふうな考えは持つておらない、こういう意味であります。
  67. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとこの閣議決定と私は矛盾して来ると思います。閣議決定は、国家公務員地方公務員との不均衡調整すると、こういうことです。ということは、どういうことかと言うと、地方公務員間の不均衡調整するという意味にほかならない。同じものなんです。そうすれば一方は不均衡調整をこの際やろうとは考えていない、地方自治体の考えに任しておくと、こう言いながら、一方では閣議決定において国家公務員地方公務員との不均衡調整する、こういうことになれば、私は矛盾すると思うのですが、どうですか。
  68. 小野哲

    政府委員小野哲君) これは先ほど申しましたように、地方公務員給与法律に基いて地方公共団体が自主的に決定すべきものであるということは、これは一つの大きな前提であります。今回の国家公務員地方公務員との間の不均衡調整を図るということが閣議決定の主たる問題でありまして、従つてこの派生的な結果として、地方公務員相互間の給与調整が図られるとうようなことになるかも知れません。併し我々が取上げておる問題は、国家公務員地方公務員給与の不均衡調整するという問題を取上げておる、こういうことをお答えをいたしたいと思います。
  69. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次に、それでは現在地方公務員間に不均衡が起つておる、その主たる理由はどこにあるかとお考えでしようか。かなりの不均衡が現在地方公務員間にはあるわけなんであります。そういう不均衡ができて来た主たる理由はどこにあるかということをお考えになつておるでしようか。
  70. 小野哲

    政府委員小野哲君) 御承知のよう地方公共団体は町村を含めまして一万数百に及んでおりますので、一々個個の団体についてどういう点に不均衡の原因があるかということを詳細にお話を申上げる的確なる資料を私は持ち合せておりません。ただ従来から、或いは伝統的に、或いは慣行の上で、そういうふうな積み重なつた結果において、地方公共団体の間で事実上必ずしも同一給与になつておらないということは考えられると思つております。
  71. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは私は十分わからないんですが、私はやはり不均衡が起つている主たる理由ですね、細かい理由を言つているのじやない。主たる理由はやはり地方公共団体財政の状態にあるんじやないか、こういうふうに見ておるんですが、政府のほうではどうでしようか。
  72. 小野哲

    政府委員小野哲君) 勿論問題は財政の問題がクローズ・アップされて来るであろうと思います。
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 このことは地方給与の実態を見れば明瞭になると思うのです。財政状態が比較的いい所はやはり給与の面に若干その金を廻して行く。ところが財政状態の悪い所では給与のことについても無関心でない、関心はあつてもこれに措置することができない。こういうふうな事情によつて私は不均衡ができて来ているのじやないか、こういうふうに考えているわけなんです。そこでお尋ねをしたいことは、今度不均衡調整するというのですが、不均衡という言葉の意味は、全体から見れば地方公務員のほうが高いという政府調査なんですが、併し個個に見れば必ずしもそうでないと思うのです。かなり高い所もあるけれども、国家公務員と大して変りがないという所もあるだろう。中には国家公務員よりもその水準は低いという場合もあると思うのです。その意味で不均衡という言葉が使われておるのじやないかと私は解釈しておるわけなんですが、そこで国家公務員よりも水準が低いというような所は、私は結局その財政状態が悪いからそういうふうになつて来ているのだと、こういうふうに考えているわけなんです。ところがその不均衡を今度調整する場合に、そういう水準の悪い所に対しては、何らか特別な財源措置をしない限り恐らく不可能ではないかと思うのです。で、この場合高いほうを切り下げるということは、これは私はできると思うのです、財源措置がしてないのだから。ところが低いほうを水準まで引上げてやるという場合は、恐らくあの平衡交付金の中において特別な措置考えてやらなければできないではないか、こういうふうに考えるのですが、どういうふうにお考えですか。
  74. 小野哲

    政府委員小野哲君) 地方公共団体がその財政力において必ずしも均等でないという事実は私も認めております。従いまして政府としては、平衡交付金制度を設けまして、その間の調整をいたしまして、できるだけ我が国の地方公共団体がその財政力において可能の限度において不均等の状態をなくして参りたい、こういうのが狙いでありまして、従つて過去長時日に亘つて地方財政平衡交付金の増額について努力をして参つたのもその点にあるわけでございまして、この点は十分に御了察が願えるのではないかと思つております。従いまして、問題は、給与に関する法制等が整備されました場合においては、地方財政委員会におきましても平衡交付金の配分の問題があるわけであります。さような場合において、当該地方公共団体財政需要がどういうふうになつておるか、或いは税収その他の関係から見まして、財政収入がどういうふうになつているかということ、言い換えればその地方公共団体財政力を勘案してその間の差額に比例して或いは按分して平衡交付金を配分するということになるわけでありますので、従つて非常に財政力が弱いという所につきましては、適正な資料に基いて配分を行なつて行く、ただ財源措置として政府考えておりますのが、一般的に申しまして均衡を図る、不均衡があるからこれを調整しなければならない、この趣旨の下に計上されておる、これが閣議決定の主な狙いとなつておるわけであります。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、私はこの点は明瞭にして頂きたいと思うのです。高いほうを抑えるという場合は、これは比較的たやすいと思うのです。併し低いほうを上げるということは、これは財源がなければできないわけなんです。現に低い所は今まで財源が窮乏しておつたから上げられなかつたのだと思います。今回の場合も不均衡調整すると言つたつて平衡交付金は額はきまつているわけなんです。これを増加すれば別ですよ。併し政府の案であれば、もう百億というふうにきまつているわけなんです。この中でそういう困つている所をどう救つてやるか。救つてやらなければ私はできないことだと思うのです。そこの点をお尋ねしているわけなんです。そういう所に、水準に達しない所は水準に達し得るまでやはり何か考慮されるのかどうか、こういう点です。
  76. 小野哲

    政府委員小野哲君) 平衡交付金制度の本質から申しまして、客観的な条件に応じて、基礎としてこれを配分されるということになつておりますので、従つて給与が少いからそれを上げるために紐付的な平衡交付金の配分を決定するわけではございません。ただ問題は財政需要額を算定する場合にどの程度一体織り込まれておるかというふうな点につきましては、勿論、いわゆる測定単位に基きましてこれを計算し、又単位費用等積算いたしまして、平衡交付金の額を一応計算するわけであります。これは併し算定の方法でありますが、平衡交付金として交付いたします場合においては、これが運営は総括的に当該地方公共団体の責任において行われなければならないわけであります。従つて地方財政委員会において配分いたします場合においては、公正妥当な数字に基いて配分をいたすわけでありまして、個々の団体が給与が特に少いから、その引上げのためにこれだけの平衡交付金をやるのだということは、恐らくさような使途を制限し、或いは条件を附するというようなやり方では平衡交付金の本質に反すると私は思うのであります。従つて先ほど荻田君も触れておつたようでありりすが、地方財政を総合的に見まして、又政府としては今回の給与改訂に必要最小限度の財源措置としては、この程度のものを平衡交付金として織り込んで行くことが妥当である。その算定の基礎としては国家公務員地方公務員との不均衡調整するということを前提として、平衡交付金を算定する場合において、平衡交付金の額をきめる場合において、さような基礎の上に立つて計算をしておるということを閣議でも明らかにいたしておるのでありまして、この点につきましては、政府といたしましては、地方公共団体が十分この趣旨を汲んでくれるものと考えておりまするし、又これが徹底につきましては措置もいたさなければなるまい、かよう考えておる次第であります。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今おつしやつたことには異議がないわけなんです。併しそうすると私は非常に矛盾して来るような感じを強く受けるわけであります。と申しますのは、低い場合には平衡交付金の性質から言つて紐付じやないのだから、これにどうこうというよう措置は全然考えられないし、平衡交付金の性質から言つてもそういうことは考えられるべき性質のものでない、こういうお話なんです。ところが給与が高い場合はこれは何とかほかのほうで抑えるようなことも考えられる、こういうお話なんですね。そうすると私は地方公務員はこれは非常に気の毒だと思うのです。不均衡調整するということは、その実は、高いものを抑えて低いものをそのままにしておこう、こういう結論に実際上の問題としてなるのじやないか、こういうふうに感ずるのです。ですから私は今の答弁から推し測れば、不均衡調整するというようなことを閣議決定してそうしてこれを地方に押付けるという言葉が悪ければ地方拘束するというよう決定をすること自体が少し行過ぎじやないか、こういうふうにまあ結論して考えるわけなんです。まあこの問題について不当か不当でないかということを私は言つているわけじやないわけなんですが、平衡交付金の性質から言つて財源措置としてはこれこれのものがしてある。これは私は当然然るべきだと思うのです。併しそのことから更に給与の切替えに当つては不均衡調整し、それを徹底さすのだ、こういう閣議決定になると、実際問題としては高い所を抑えて低い所はそのまま見過す、こういうふうな結果になる虞れが十分あると私は感ずるのです。そういう意味においてこの閣議決定は余り出来のいいものでないと、こういうふうに感ずるわけなんです。そこで私はこの際閣議決定内容について多少お伺いしたいと思うのですが、これは財源措置としては、こういうふうにしてあるんだという趣旨のものか、或いは財源措置がどうしてあるのだから、その財源措置従つて給与の不均衡調整しろ、こういうふうに地方に指示しているものか、その意味を私は十分受取るのに迷うわけなんです。で、ここには来たるべき地方公務員給与改訂については左に掲げる措置をすると、措置をするというのは、まあ次に書いてあるよう措置をすると、そうして給与の不均衡調整を期待し、というような言葉が書いてある。期待するにとどまつておるようです。それから更に一番最後に、徹底せしめると、こういうふうに書いてあつてですね、どうもその点が財源措置として、こういう基準積算基礎はこういうふうになつているのだと、こういうこうを示す文書か、或いは給与の切替えに当つて均衡調整してもらいたいと、こういう切替えの措置を要請しておるものか、どうも十分にとれない。従つて閣議決定のそういうどこに趣旨があるのか御説明を願いたいと思います。
  78. 小野哲

    政府委員小野哲君) 閣議決定の御批判につきましては、荒木さんの御判断に任せなければならんと思います。が、この趣旨につきましては私から御説明をいたしたいと思います。今回の地方公務員給与改訂につきましては、政府といたしましては現在の地方公務員給与が、国家公務員給与と不均衡であるから、その調整を期待してこれを前提として財源措置をしておるということを先ず申上げたいのであります。従つてこの閣議決定地方公務員給与改訂に伴う国の財源措置趣旨を明らかにしておることは勿論でありまして、ただこの閣議決定そのものにおいて、地方公共団体給与の実施面の詳細に立つて別に触れておりませんし、直接指示を与えるわけでございませんが、政府としては地方公共団体が十分にこの趣旨を汲み取つてもらつて、そして考慮するであろうということは期待をいたしておるわけであります。と同時に、期待をいたしておりまするがために、地方公共団体にこういう趣旨であるということを伝える、言い換えれば徹底するということは当然してよい事柄であろう、何ら不当ではないと、かよう考えております。
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は不当であるというふうに言つているのじやないのですから……。そこで一番最後に書いてある右の趣旨地方公共団体に徹底せしめるというのですが、この文書を流すことが地方公共団体に徹底せしめる意味なのか、或いはこの趣旨を徹底せしめるために更に具体的な措置をとるという意味ですか、どつちなんですか。
  80. 小野哲

    政府委員小野哲君) 先ほど荒木さんから不当という言葉をお使いにならないのに私が申上げたことはやや行き過ぎでありますので、これは訂正いたしておきます。ただこの趣旨地方公共団体に徹底させるということは適当であろうと思う、こういうふうに私は考えております。従いまして徹底する方法といたしましてはいろいろございましよう。これは給与に関する法律の制定等がございました場合におきましては、或いは何と申しますか、これを指示して行、指示する通牒を出すというふうなことも徹底の方法であろうと考えております。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあそれで閣議決定の大体内容、輪廓というものが大分明らかになつたのでありますが、そうなると、この閣議決定趣旨というのは不均衡調整するというところにあると思うのです。その趣旨を徹底さすということになれば、私はかなり地方公共団体拘束して、実際上はやはり切下げて給与調整を行うという結果になるという虞れを私は非常に深く感じたわけであります。そこで、ここで文部省が我々にいろいろ回答をしておる事柄に関連して若干お尋ねしたい。文部省は当委員会においてこういうふうに言つておるわけなんです。昨日辻田局長が、教員は現在定員には二万名不足しておる、ところが財源措置としてはこの定員が見てある、従つてその余裕二万人分の余裕財源を以てベース切替えをするに当つて別に切下げなくても実際上はできると考えていると、こういう答弁なんです。私はかようなことができるとはちよつと考えられないのです。というのは、平衡交付金というのは、今も政務次官がお話になつように、紐付きであれば私はできると思う。こういうことは紐付きであればできると思う。紐付きでなくて平衡交付金として地方公共団体に流される。而も財源措置としては三百七十五円、四百六十二円と少い額できめてあるという場合に、その定員の余剰分があるから余剰分を給与に切替えをするというようなことは、平衡交付金の性質から実際上できがたいというふうな感じを持つております。それについて小野政務次官の御見解をお聞きしたいと思います。
  82. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からここで文部省の見解をとやかく申上げることは差控えたいと思います。文部省としてはさような見解によつて然るべきものであるというふうに判断をされておるものではないかと思います。従つて私どもとしては、財源措置としてこの閣議決定に基く所要の措置を講じて参ることが適当であると考えておりますので、従つてここでまあ荒木さんからお話になりましたような何と申しますか、操作と申しますか、そういうものができるかどうかということは、具体的に実は申上げるだけの私自身としてはまとまつた考えを持つておりません。ただ地方財政平衡交付金から申しますと、財政需要額にどう現われて来るかということによつて財政収入額との比較に基いた差額によつて計算をして行かなければならないわけでありますので、従つてこの法律上の根拠に基く配分はいたして行かなければならないと思つております。各県で水準が非常に低いというふうな給与の状態にある所につきましては、地方公務員、特に教育公務員諸君の現状に鑑みまして、当該地方公共団体においてもできるだけ給与水準を引上げるように努力するであろうということは、私も考えられることでございます。併し要は当該地方公共団体の、政府による財源措置と、一般のいわゆる地方公共団体における財政の実情と睨み合せまして、如何にこれを決定するかは地方公共団体の自主的な判断に待たなければならない点であろう、かように思つておる次第であります。
  83. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうしますとまあ政務次官の見解であれば、地方の自主的な決定判断に待たなければならない、こういう考え、そうすると文部省考えではですね、できる、こういうまあ考えを持つておる。かなり私は矛盾いたしておるように思うのですが、その点どうでしようか。
  84. 小野哲

    政府委員小野哲君) この点につきましては矛盾しておるか、しないかは荒木さんの御判断に待たなければならない点でありまして、私としては文部省はさよう考え方を持つておるということを承わつておる程度でございまして、この財源措置が、即ち平衡交付金に関する財源措置の問題といたしましては、私が先ほど来お話をしておるよう考え方でやるべきものである、この点をお答えするにとどめたいと思います。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 実は実際問題としては、この点が非常に重要なんです。それでですね、端的に私は伺つておきたいと思うのですが、文部省考えをですね、自治庁においても是認しておられるのかどうか、全く我々の関知するところじやないと、こういうふうにお考えになつておるのかですね、その点一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  86. 小野哲

    政府委員小野哲君) この問題はそれぞれの所管行政官庁の立場において考えらるべきものでありまして、文部省教育行政の担当者といたしまして、さよう考えておるものと私は思うのであります。従つて自治庁がどうの、文部省がどうのというわけでなしに、文部省なり地方自治庁なりの意見によりまして、地方財政委員会としては只今申しましたよう閣議決定の下に、配分を実施する責務があるわけでありますために、従つて文部省考え方が適当であるかどうかということは、その考え方についての批判は私は避けたいと思います。
  87. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあ重要な点で少し明瞭を欠くのですね、問題が今後に残されるに過ぎない、かように思うのですが、この問題についてはまあ(「その点閣議でどうきまつたか聞いてみたら」と呼ぶ者あり)この点にとどめておきます。  次にですね、国家公務員地方公務員との給与に不均衡があるということはですね、大蔵省調査によつてなされたものであるか、或いは他の調査によつてなされたものであるかですね、その根拠ですね、その根拠をお話願いたいと思います。
  88. 小野哲

    政府委員小野哲君) 政府といたしましてはそれぞれの機関がございますが、何と申しましても大蔵省給与当局の調査というものにつきまして、そこに基礎を求めるということは当然であろうと思います。尤もこの点につきまして文部当局なり地方自治庁当局の間で、いろいろと相談はしおるものと私は心得ておりますが、大蔵省当局の基礎資料というものに計算の基礎を求めたというふうに私は理解しております。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでですね、私はこれは実際問題としてなかなか把握しにくい問題であるというふうに考えておるわけなんです。まあ一つの例を挙げますと、国家公務員についてもですよ、国家公務員地方公務員給与にどれだけの開きがあるかということは、国家公務員それ自体についても私は明白でないと思うのです。で、国家公務員給与の実際についても法律で定められた通り給与引上げをやつておらない。これは事実なんです。それ以上に、私どんな言葉を使うのか知りませんが、闇昇給と言うのか、そういう実態があるわけなんです。このことを御存じであるか、どうでしようか。
  90. 小野哲

    政府委員小野哲君) どうも私からそういう点について答えるのは不適当であると考えております。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは誰に答えてもらうのがいいのかよくわからないのですが、とにかく国家公務員についてもですね、理論的な給与はわかつております。併し実際の給与というのはそれと又別個なんだというふうに私は聞いております。従つてどれだけ不均衡があるかということは、これは容易に正確には把握しにくい問題であると私は考えているのですが、この点については閣議決定が、不均衡調整するという決定がなされた場合に、問題にならなかつたかどうかお伺いしたいと思いますが。
  92. 小野哲

    政府委員小野哲君) 閣議決定内容につきましては、私出ておりませんのでよくわかりませんが、これは別の方面からお聞き取りを願いたいと思います。要は今回の閣議決定が、大蔵省給与当局が調べました結果に基いて、何と申しますか一般的に地方公務員国家公務員給与の間の不均衡があるということに相成りまして、これを基礎として計算をいたしておる、こういうわけでございます。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは私は地方自治庁関係についてお尋ねいたしますが、都道府県公務員については四百六十二円高いと、こういうことになつておる。それから市町村職員公務員については五百七十六円高いと、こういうことになつておる。これは地方自治庁でも認められた数字であるかどうか、お伺いしたいと思います。これは直接あなたのほうに関係があると思うのですが。
  94. 小野哲

    政府委員小野哲君) 政府といたしましては、閣議決定をいたしておりますので、勿論大蔵省文部省地方自治庁もこれを認めたわけであります。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると地方自治庁がこれを認められたのは、みずからの調査資料に基いてか、或いは全く大蔵省調査のみを認めたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  96. 小野哲

    政府委員小野哲君) 大蔵省調査資料に基きまして大蔵、文部、地方自治庁がよく検討を加えまして、これを基礎として計算されて、差支えないと、かようなつたその結果が閣議決定と相成つたわけであります。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあこの数字については、私ども実際に組合の関係からですね、十分なものでないということを聞いておるわけなんで、併しここで反証を挙げる私自身が材料を持つておるわなでも何でもない。これは当然大蔵省がどういう調査をしてどういう結果になつているかということを尋ねなければならんので、自治庁としてはこれを認められた以上はですね、この数字については大蔵省調査を信頼するに足る資料というものを検討された結果だと思うのですがね。その検討された結果、この数字というものを認められておるだろうと思うのです。併し私はこれを今反駁するだけの資料を持つておりませんから、これはまあこれ以上ないわけです。併しこのことについては将来ともこの数字については自治庁としても責任を持つて行かれるものであろうと思うのです。実際の切替えに当つても、これだけのものが高くないという結果が来れば、当然平衡交付金において考慮されるというようなことが起つて来ると思うのですが、その点はそう考えておつてよろしいのですか。
  98. 小野哲

    政府委員小野哲君) 今回の財源措置の基礎となりました数字が絶対不動のものであるとは考えておりません。従いまして将来訂正いたさなきやならん場合においては訂正いたすべきものであろうと考えております。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではまあ最後に希望を申上げておきたいと思うのです。この問題はやはり現在のように生活の苦しいときに当つては、非常に給与を受けるものにとつては重大な問題であると思うのです。現に地方公務員である県庁職員、或いは市町村職員、或いは地方公務員である教職員のかたがたから、連日のように我々に対して何とかこの問題を解決してもらいたい、こういう陳情を受けておるわけなんです。その心情は私も十分わかるわけなんであります。そこでやはりこの給与の切替えに当つては、地方拘束するよう措置を中央がしないように、そういう立場に立つて善処してもらう、むしろできるだけ生活の改善を図つて行くことについて地方財政の許す範囲において政府もこれに協力する、精神的なる協力と申しますか、そういう立場に立つてつて行かなければ、私はこの問題は相当な波瀾を起すのじやないかというふうに考えております。従つてそういう点について十分な善処をお願いしまして、質問を一応私はこれでやめます。
  100. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間がないようですから、私は一ことだけ政務次官に承わりたいと思うのですが、先ずこの問題で、先ほどからデータの問題も出ましたが、答弁もございましたので私追及いたしませんが、この四百六十二とか或いは特に五百七十六とか三百七十五というデータというものを自治庁で認められたということについては追及いたしませんが、納得できない点がございます。更に全国の知事会議がこれに反論しておりますが、この反論に果して自治庁は自信を以て応じ得るかどうかという点も伺いたいところでございますが、そういう点も私はあると思うのです。データそのものが問題でございますが、更にそのデータに基いて政府財源措置をすることは私はこれは自由だと思うのです。併しその財源措置をして、その財源措置をした範囲内において、地方公共団体自主性を持つて自由にやらすべきであるにかかわらず、こういう通牒を出すということは、さつきの応答からもわかるようにやはり使途を拘束するのではないか、使途を拘束するということは、平衡交付金のほうにおいても紐付きということになつて、やはりそこに遺憾な点があるのではないか、更に地方公務員給与は県又は市町村の条例できめるということになつておるのに、或いは期待し或いは徹底せしめるということにおいて、やはり統制するという形が出ているのじやないか、こういう点について先ほどから応答も重ねられましたから、私もお伺いしたいところでありますけれども、もうこれ以上お伺いいたしませんが、私は今申述べました点から、財源措置をこうしたことは自由でございます。従つてそれはその財源措置政府の方針通り地方がやつてくれるであろうという期待である、更にそれを徹底せしめるために、今後給与法の法律ができたならば、更に通牒を出すかも知れません、この点は私は納得できないのですが、そこでただ一点お伺いいたしたい点は、自治庁としてはデータの問題もございますし、或いは地方公務員、或いは国家公務員に準じてやるという教育公務員特例法の精神もあることでありますれば、この通牒は財源措置をかくしたのだということだけを示したものであつて、どういう形において給与切替えをするかはこれは全く拘束するものでなくて、地方公共団体の全く自由であるという意味の解説と申しますか、そういう通牒を改めて出すのが最も至当ではないかと私は考えるのですが、そういう御努力が願えるかどうか、その一点について承わりたいと思います。
  101. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今いろいろと御意見を拝聽いたしまして、我々も給与の問題につきましてはできるだけ慎重な取扱をいたしたいという心組を持つております。ただこの閣議決定内容を通知いたしましたのは、これ又重ねて申上げるまでもないと思いますが、かよう閣議があつて、不均衡調整を期待しておるということをできるだけ早く地方公共団体に通知をすることが適当であろうというのでいたしておるわけでありまして、この閣議決定そのものにつきましては、実施に当つてこういうふうにしろ、ああいうふうにしろということは勿論触れておりませんことも御了承が願えるかと思います。ただ問題は地方財政運営という立場から申しまして、将来或いは近く給与に関する法律が改正されますような暁におきましては、やはりかような点について給与に関する法律が改正されたと同時に、地方公務員給与改訂につきましては、この閣議決定趣旨に基きまして不均衡調整政府としては期待をしておるのであるというふうな点につきまして、更に何らかの形式によりまして地方公共団体に知らしてやるということはこれは必要であろう、かよう考えておるわけであります。これは単に政府強制するとか何とかいう意味でなしに、地方公共団体が、自分の団体の財政を如何に運営して行くかということにつきまして、政府考え方はこういうところにあるからということを通知することは、当然やらなければならない私どもの務めではないか、かように思いますので、この点につきましては将来この趣旨をできるだけ地方公共団体に理解をしてもらうよう措置は講じたいと考えております。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうなれば、もうちよつとお聞きしたいのですが、そういう平衡交付金を流して、そういう通牒を繰返してやることになれば、これは給与に関する限り平衡交付金に紐を付けたことになりはしませんか。
  103. 小野哲

    政府委員小野哲君) これは各地方公共団体一つ一つに対しましてこの財源措置はこういうことに充てろ、こういう意味の通牒ではないのでありまして政府財源措置をしましたのが、只今申上げましたような不均衡調整を期待しております点と、それからそれに伴いまして給与改訂に関する法律が制定されました場合においては、どういうふうな趣旨を以て制定されたものであるというふうな点を知らせるというわけでありまして一つ一つ平衡交付金交付額につきまして紐を付けると、こういう意味ではないわけであります。
  104. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 地方公務員給与をどの程度にするかということは、平衡交付金とも睨み合わして地方公共団体の全く自由ですから、政府のほうでそういう方針で財源措置をしたならばそれだけでいいじやございませんか。どうしてかくかくにしろという通牒をこの問題に関する限りそういう追討ちをかけるわけですか。どうもそこは私理解できないのですが、繰返してお伺いします。
  105. 小野哲

    政府委員小野哲君) まあいろいろお受取りになるお気持があるであろうと思いますが、追討ちをかけるとかいう意味じやなしに、これは地方財政運営の点から申しまして、地方財政委員会においてはこういうふうな考え方で行われるべきものである、行われるべきものであると申しますか、閣議決定趣旨もそこにあるし、又給与に関する法律もこういう点に趣旨があるのだ、同時に閣議決定におきましては、できるだけ地方公共団体に徹底するようにということに相成つておりまするので、この趣旨に基きまして、措置を講ずるということは私は差支えないものであると同時に、これは紐を付けるということにはならない、かよう考えております。
  106. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それだけの政府並びに自治庁が自信を以てやられるならば、これは先ほど申上げました四百六十二円、五百七十六円というデータにつきましては、相当私は責任があると考える。而もこの文書にはそういうものはないけれども、ちやんとこれは知事会議あたりにも流しておる数字でございますし、地方公共団体では、この数字を全く至上のものとして受取るわけでございますから、よほどその点は私は慎重にやつて頂かなくちやならない、こういうよう考えるわけです。これは答弁要りません。
  107. 高田なほ子

    高田なほ子君 簡単ですが一つ腑に落ちませんのでお尋ねいたします。先ほど荒木さんの御質問によつて大体明確になつたと思うのでありますが、要はこの「不均衡調整を期待し」ということの解釈にかかつて来ておるわけでありますが、高い所は一応切つて行く、低い所は水準に達するまでに調整する、こういうことでありますが、これを裏を返しますと、地方公務員給与の不均衡を是正すると共に、それは国家公務員給与基準との均衡を図る、こういうことになる。簡単に言うと給与の最低線を絶対に抑えて行くということにとれるわけであります。これは裏返した解釈でありますが、「不均衡調整を期待し」ということは、端的にそれを裏返して解釈すると、給与の最低線を絶対に抑えて行く、こういうふうにとれるわけであります。これは私といたしましては非常に政府の御方針と矛盾をするよう考えられるのでありますけれども、これは今度一般職の職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の提出理由の中に「最近における生計費民間の賃金等の事情にかんがみ、昭和二十六年八月二十日付人院事の国会及び内閣に対する勧告を原則的に尊重して、」云々、こういうことがあるわけであります。つまり最低線に抑えて行くという考え方と、現在のいろいろの生活状態から考えて、人事院の勧告の原則を尊重して行くということについて非常に私は矛盾があると考える。而も先ほどの御答弁の中には、飽くまでも地方自主性を尊重しなければならない、こういう極めて弾力的な御言葉があつたと思うのであります。この三つの関連における矛盾というものについて非常に私はその解釈に苦しむものであります。御答弁下さるようにお願いいたします。
  108. 小野哲

    政府委員小野哲君) 先ほど荒木さんからも、まだ国家公務員給与の水準にまで達しておらないよう地方についての御質問がございましたために、又お話があつたわけでございますが、勿論当該地方公共団体の、殊に職員給与国家公務員の水準にまでも達しておらないというふうな所があつたといたしました場合において、今回のいわゆる政府のとりました財源措置及び当該地方公共団体財政の現況、言い換えれば総合的に考えましたその地方公共団体財政の実情というふうな点から考えまして、どの程度一体国家公務員一の給与基準に達するよう地方公共団体がいたしますかどうかということは、こういう点につきましては、地方公共団体が自主的に考えて行くべき問題であろう、こういうふうな答弁を私は申上げたように思うのであります。只今お話になりましたような点につきましても、同様やはり地方公共団体財政の現況と考え合せまして、総合的にその地方公共団体職員給与の問題につきましては考えらるべきものであろう、かように私は考えておるわけであります。ただ問題はどの程度の一体国家公務員給与基準との間に不均衡があるかという問題は、それは個々の地方公共団体によりまして必ずしも一概には言えないだろうと思います。要はその地方公共団体が果してこの不均衡をどの程度に調整し得るかという程度の問題にもなつて来るのではないか、財政の現況から考えまして一足飛びにやれるかどうか、或いはそういうふうな点について可能性があるかどうか、こういう点につきましては、勿論その地方公共団体において十分に検討を加えるものであろうと私は考えております。従つて私はここで一概に画一的にお話を申上げるということは如何なものであろうか、かよう考えておる次第でございます。
  109. 高田なほ子

    高田なほ子君 只今の御答弁によりますと、国家公務員給与と、それと地方公務員給与との均衡というものを、少くともその基準を維持するよう方法地方公共団体自主性によつてつて行くべきであると政府考えておる。併し又あとの御答弁によると、それ以上になることも又地方公共団体自主性によつて妨げるものではないというような御答弁に私は聞かれたのであります。私の解釈のこれは間違いでしようか、それ以上になることをも妨げるものではないというふうに私はとられたのであります。
  110. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私が申上げましたのは、地方公務員給与は、御承知のように、法律によりまして地方公共団体が自主的に決定すべきものであるということが原則でございます。それを敷衍して只今国家公務員給与基準との関係のことにつきまして論及をいたしたわけであります。併しながら今回の閣議における趣旨は、地方公務員国家公務員との間の不均衡調整を期待しておるというわけでありまして、而もその基礎となるべき数字は、国家公務員に対して地方公務員は現在上廻つておる、一般の観察によりまして、又調査によりまして上廻つておるという数字を基礎として計算されておるということに相成つておりますので、従つてこの点を御了承願つて、高くしても差支えないんだと、こういうふうに私は申上げておるわけではございません。
  111. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではこの通牒は最低水準を仰えて行くという通牒に解釈してよろしいかどうか。
  112. 小野哲

    政府委員小野哲君) 国家公務員給与基準と、地方公務員給与との不均衡調整をして行くということでございますから、できるだけ公務員給与制度というものを、或いは給与そのものを合理的にして行くことが必要である、かよう考え方でございます。
  113. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変にくどくなりますが、その合理的という言葉が私は問題だと思うのですが、今度の一般職の給与に関する法律の改正案の提出理由の中に、合理的だということを、「人事院の国会及び内閣に対する勧告を原則的に尊重して、」と、こういうような提出理由であるとするならば、それが私は最も現在においては合理的な基準ではないか。この合理的な基準に行くために地方自主性が尊重されるというようなことは当然であるにかかわらず、単なる文字の上で不均衡調整というような言葉でちよつと濁らして、低い水準に抑えて行くというよう内容を持つ通牒を出されるということは、政府の折角考えていらつしやる親心をみずからこの通牒によつて踏みにじつて行かれるよう考えられるので、これは政府の真意のあるところをむしろ歪曲されて行くというようなことさえも考えられる。私はこの通牒を出すことに対しては、非常に政府のために惜しむものであります。そういうふうにはお考えになられないでしようか。
  114. 小野哲

    政府委員小野哲君) この通牒を出します心組は、私ども地方公共団体の行政、財政を担当いたしております者といたしまして、政府給与体系の考え方というものは、できるだけ早く地方公共団体に示すことが、むしろ適当ではないか、かよう考えておりますので、この通牒そのものが閣議決定内容を示しているにとどまつておりまして、何ら閣議決定内容を歪めており、又歪めようとするような意図は毫も持つておらないわけであります。
  115. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後にちよつと老婆心までに申上げたいと思うのですが、こういう通牒の内容というものは、すでに各都道府県の理事者側にとつては、数学的に明確に抑えておられるようであります。東京あたりでは御承知のよう平衡交付金によらない教員の給与というものが支給され、而もそれは人事院の勧告によつて極めて現在の都財政の中においては合理的な給与というものが組立てられて来つつあつたのでありますが、こういうものが出る含みが政府のほうではつきりなつて参りましてからの都側の態度というものは、極めて強硬になつて来ておるようであります。東京の生活指数からいえば、人事院の勧告案を取れば、約二十五日分の東京における勤労者の最低の生活が維持される。併し現行法では、これはたつた十七日分の生活費きりないわけであります。こういうような十七日分の生活を保つだけのものつきりない現行給与というものが、こういう通牒によつて抑えられて行くというようなことになれば、これは非常にこの地方公務員の生活というものが誠に私は苦しくなつて来ると思うのです。政府のお考えは、飽くまでも生活水準を維持して行かなければならない、こういう基本的な態度は、法案の提出理由の中にも私は示されていることだと思う。従つて政府の真実の意図を具体的に実現させるためには、やはりこの生活実態というものを十分に考慮せられまして、それを政府の企図される生活水準維持に少くともマイナスをするというような、而もこの地方の自治を拘束するような、或いは教育委員会法に示された教員の給与に対する法律案を無視し、或いは地方自治法の中に書かれておる教員の給与地方公務員給与というものを蹂躪するような、言葉はきついのですが、そういう通牒は、これはもう少し十分お考えになつてお出しにならなければならない。又政府趣旨が十分、親心が十分汲み取れるようなものを更にお出しになるように私は特にここで希望いたしまして、飽くまでも、現在の生活水準よりも下廻るまうな方向には絶対に、一片の通牒によつて行かないという方向に行つてもらいたい、これも非常に希望して私は質問を終ります。
  116. 若木勝藏

    若木勝藏君 自治庁に伺いたいのは、この閣議決定の際においてこれは地方財政委員会意見書を斟酌したかどうか、この点について……。
  117. 小野哲

    政府委員小野哲君) 意見書を斟酌したかどうかの問題でございますが、政府といたしましては今回の補正予算において、平衡交付金百億の増額を決定いたしましたわけであります。目下参議院において御審議を願つておりますが、地方財政委員会としては、地方公共団体財政の現況から申しまして、更に百億平衡交付金の増額が必要であるということの意見書国会に対して提出されたわけであります。政府といたしましては、百億の平衡交付金の増額に当りまして、その範囲において閣議決定いたしましたような方針の下に、財源措置をいたした、かように御了承願いたいのであります。
  118. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは更に伺いたいと思うのでありますが、先ほど来問題になつているところの通牒ですね、閣議決定の通牒、これは先ほどの御答弁で、閣議においては地方公務員のほうが国家公務員よりも給与が高いということを確認して、そうしてきめたととろの閣議決定なんであります。そこで不均衡調整を期待するということは、明らかにこれは地方公務員の高い線を、国家公務員の線に均衡させる、こういうことを期待しているということになるのでありまして、こうなりますというと、私はいわゆる地方財政平衡交付金法の第三条に、これは抵触するのじやないか、こういうふうに考えるのであります。第三条は御承知の通り、「国は交付金交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」、こういうふうに明確に示されておるのであります。そうしてこの平衡交付金法の中には、基準財政需要額の算定方法が、第十一条から第十四条に亘つて規定されておるのであります。即ち測定単位はどうするか、それから測定単位の数値はどういうふうにするか、そういうこともすべてきめられてある。だからしてこういう通牒を以てこの第三条乃至第十四条のこの規定はいわゆる動かし得ないものと私は考える。若しこの通牒が、一たび非常な勢いを以て地方自治を拘束するということになれば、ここに非常な地方におけるところの波乱が生じて来るのであります。勿論これは地方公務員法の第二十四条にも抵触して参ります。この点を自治庁としては一応考えられたかどうか。この点を伺いたいと思うのであります。
  119. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今の御意見につきましては、地方公務員法地方財政平衡交付金法の趣旨は、十分に私ども了承をいたしておりますので、それに違背するようなやり方はいたしておりません。同時にこの閣議決定内容を通牒いたしましたことは、先ほど来たびたび申上げたわけであらまして、この点につきましても加えて御答弁をする必要はなかろうかと存じます。要は、地方公務員給与の問題につきましては、地方自治庁においても折角いろいろと研究を加え、且つ又地方公務員法を制定いたしました趣旨も、やはり将来における地方公務員制度を確立いたして参りたいという考え方から出しておるような次第で、只今指摘になりましたようにこの閣議決定を通牒すること自体が、直ちに地方財政平衡交付金法に違背するようなことになるとは、毛頭考えておらないわけであります。
  120. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは財源措置という好を以て現わしてありますけれども、これを押して行けば当然これが条件を付けることになる。(「意見相違」と呼ぶ者あり)これはどう考えてもこうなる。これは地方において必ず問題になつて来るだろうと思う。その点を私は非常に心配するのであります。そこで先ほどからいろいろ答弁がありましたけれども、その通牒が発せられて、そのままにしておけば解決はしません、この問題は……。そこでこれに対してこれを緩和するよう一つの、更に誤りのない、こういう意味であるから、財源措置についてのこういう期待であるから、拘束するものではないというふうな意味の説明を附した通牒を更に発するところの意思があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  121. 小野哲

    政府委員小野哲君) 公務員給与改訂に関する法律がきまりました暁におきましては、先ほども高田さんからもお話がございましたが、これにつきましては、地方に対して何らかの通知をいたしたいと考えておりますが、只今お話のありましたように、この通牒自体、言い換えれば閣議決定内容について、更にこれに対して附加えたり、どうこうするというよう考えは持つておりません。
  122. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこが私の先ほどから伺つて非常に不安に思い、或いは物足らなく思つておつた点なのでありますが、それではこのままに放置されるということになつて、非常な事態が起こることは政府自身も、これは責任において考えられなければならん、こういうふうに思うのですが、政府は如何なる事態が起つても十分その点は覚悟の上であるかどうかということを伺いたい。
  123. 小野哲

    政府委員小野哲君) いろいろと御意見があり、又御質問がございますが、政府におきましては月下給与に関する法律案の御審議中でもあるし、確定的にこういうふうな通牒を出すとか、どうするとかいうことを今ここで申上げることは如何かと思うのでありまして、給与に関する法律決定いたしました暁において、適当な方法によりまして、その趣旨なり内容につきまして地方公共団体に対して知らせるよう方法は講じたい、かような心組を持つておる次第であります。
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連して最後に一点更にお伺いいたします。先ほど次官が国家公務員地方公務員の差額の四百六十二円、五百七十六円、三百七十五円という、このデータに問題もありますが、この数字を基本にして財源措置をした、そうしてその均衡を図るという趣旨をここに徹底せしめたのであつて、それについて私並びに若木委員から、平衡交付金の紐付になつて平衡交付金法に抵触しはしないかという質問に対して次官は、地方財政の運用の参考に示すので、差支えない、こういう御答弁があつたわです。これを私百歩譲つてそれを認めますが、然らば国家公務員地方公務員の差額を三百七十五円と踏んで、このたびのベース上げに要するところの関係費、百七十億を要するという、この地財委、並びに自治庁、大蔵、文部の認めた百七十億円を要するという趣旨地方に流して徹底させて頂けるものと私は考えるのですが、その用意があるかどうか承わりたい。
  125. 小野哲

    政府委員小野哲君) 地方財政を担当しております地方財政委員会におきましては、地方財政運営上必要なことは逐次地方公共団体に示すことになつております。従つて必要な場合におきましては、適当な方法によつて通知をいたしたいと、かよう考えております。
  126. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 んと認められた数字です。そうしてさつきから次官が主張されておる教員の場合にも三百七十五円の差額を認めて算出された数字です。従つてこの通牒と並んで、こういうふうにして給与の切替えをやれば百七十億という金額が必要であるというように我々は認めておるのだということを私は徹底さすべきである。そうでないというと先ほどからの次官の意見というものは非常に矛盾して来ると思うのでございます。その百七十億という数字は、地方財政運営の参考のために流すということを、ここではつきりと私は次官から御答弁を頂きたい。でないと先ほどの次官の発言に対して私は譲ることができない。如何でございますか。
  127. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 地方財政委員会におきましては、いろいろ地方財源措置につきましては、日常考究もいたしておりまするし、又政府において、かよう地方公務員給与改訂について、財源措置をしたというふうなことも通知することになつておりますので、地方財政委員会と十分相談をいたしまして、適切な措置をとりたいと考えております。
  128. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時四十六分散会