運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-02 第12回国会 参議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)    午後一時三十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            高田なほ子君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            荒木正三郎君            高橋 道男君            山本 勇造君            駒井 藤平君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君   説明員    文部省初等中等   教育局庶務課長  内藤誉三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教職員の給與ペース改訂に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。文部大臣に対する一般質問を続行いたします。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 昨日までいろいろな問題につきましてお伺いしまして、あと大蔵省並びに地財委話合つて、その結果で又お聞きするということになつておると思いますので、当面の問題につきましては、この問題は私は一応保留にしておきまして、ここでお伺いしておきたいことでございますが、それはこの前の教員別表でございますね、これについては文部省は作業を続けて人事院と交渉されておると思うのでありますが、やはりこれについて三本の案で行くと、こういうようなことはこれはどうなつたんでありますか。大臣はこういうことにつきまして、やはり教員待遇についてはいろいろな学校種別とか、そういうものを原則的にはこれは認めない。それで行きたいと、こういうようなお話がしばしばあられたと思うのでありますが、この点につきましても、だんだん問題が決定する段階になつておると思いまするので、こういう経過並びにこれに対する大臣のお考えをお聞きしたい。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は元来極く原理的に言えばこれは一本でいいのだ、小学校から大学まで……。併し何と言いますか、講座給とか、そういう職務内容から差別が出て来るというのはこれは当然じやないかと思います。そういうのが理想的じやないかと思いますが、併し現に二本建になつておりますから、そのままにしておいて、ただ職務内容からそこにいろいろな差別が出て来るのは当然のことだと思います。そういう考えを以て、そういう線で以てこれまでいろいろ交渉をいたしております。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 そういうふうに文部省意向はつきり統一されてどこまでもされるというようなお考えでおられるわけですね。つまり二本建というのは大学と、一方はまあ小学校から高等学校までの線を一本と考えるわけですから、大学は一本と考える、こういう線でどこまでもはつきり貫かれるとお考えになつていらつしやるわけですね。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ええ。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 こういう点、何だかその後の情勢、我々のこれは風聞かも知れませんが、聞いたところによりますと、人事院でも無論淺井人事院総裁にこの前我々が面会しましたときに、そういう意向はこれは非公式でありますが表明されておるのであります。でありますから文部省でもそういう意向はつきりされれば、そういう線でやはり大多数の、大多数というのは殆んど全部の教員がそれを希望しておるのでありますから、そういう意見を貫いて頂きたいるこういうふうに考えるわけであります。何か併しそれに対してやはり高等学校を一応切離して三本建でやつて行かなければならない、そちいうような意見もこれはあるように聞いておるのでありますが、こういうことについては飽くまでも今御答弁の通わ、大臣は貫いて二本建で行く、こういう点は確認してようございますか。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今おつしやる通りに、それに対してはいろいろな論がございますが、併し私は今申したように原理的に言うならば一本で行つていいと考えておるくらいでありますから、今二本のものを三本に改めるという考えはございません。ただ職務内容によつてそういういろいろな操作がそこに出て来るのは、これは当然のことと考えております。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変引続きで恐縮でございますけれども、昨日大臣は一応一般公務員より教員の場合は三百七十五円実質的に困るけれども財源措置がされるので実質的にこれは下らない。これは内藤さんからも三万人の定員が余分にあるし、特に昇給分は二・五だけ組んであるから決してそういう心配は要らないのだ、こういうふうにお答えになられたと思うのであります。そこでただ私が大変執拗にお伺いすることは、そういうことは本当にこれは一時的に糊塗できる問題であつて、来年度になればこの三百七十五円低いという基準線というものがはつきわここに浮び出て来て、来年度の教員ベースアツプというものが実質的に獲得されないということを非常に心配されるわけであります。こういうことを、これは大臣曽つてから人事院の勧告は当然なことである、それよりも又教員は優遇しなければならないのだと、こういうふうに主張しておられるのですけれども、どうも来年度からの教員給與といろものについては、非常に私は大臣の日頃からのお考えと食い違つた線が出て来るのではないか、これを非常に私は心配しておるわけであります。これはどういうふうに一体なつておるのか、それを聞きたいわけであります。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は高田さんとちよつとこういう点で、その高田さんの御意見でわからんところがあるのです。私は今三百七十五円高いというのは、国家教育公務員に対して言つておることであつて地方一般公務員教育公務員との間の関係じやないと思うのです。そこがもう昨日もたびたび私は申したけれども高田さんと私と……。私がそういうことに暗いから、或いは間違つておるかも知れませんが、私は国家教育公務員地方教育公務員との間にそういう差別ができて来ておる、こう了解しておるのです。その差別をことでならしてしまつて行くというのは原理的には正しいけれども…。同じことを幾度も申して、済みませんが、お尋ねになることも同じだから、お答えも同じになることをお許しを願いたい。原理的にはそれは正しいけれども、併し三百七十五円高いというのは事実なんです。成り立つておる事実なんだからして、それを尊重して、それが減らないように財源処理をすることに事務当局が非常に盡力をして、そうしてそれはできておる。事務当局がやつておるのだから御了承頂きたい、こういう考え方であります。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 減らないように努力しておるということは、結局文部大臣はこの三百七十五円差引いた算定基礎というものは妥当でないということをお認めになつた上で、そういう操作を私はされておると了承して、この点非常に敬意を払うわけなんです。それで来年度はそれじやどういうことになつて行くのさ。この点一応この問題はここで以て今年度は処置できても、来年度になつたらどうなつて行くんだろうという問題があるのです。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その点につきましては、つまり二十七年度でございますね、それは昇給財源が見込んでありますから、それで以て又処理できると考えております。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 その処理できる場合の問題なんですが、とにかく大臣は今までいろいろと御苦心の末に、表面上三百七十五円という数字を出さざるを得なかつたけれども、それはどうも大変妥当でないから、財源措置をして実質的にその三百七十五円という穴を埋めて行こうということは、その三百七十五円を差引くのは妥当でないという考えの下にされたのであろうと思いますから、来年度も又そういう基本的な考えの上に立たれて措置をされるのであろうか、どうであろうかというお尋ねなんです。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) やはり同じに処理しようと、而もそれも昇給財源というものは見込んであるから、それができる考えである。こういうことでございます。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点ちよつと疑問の点でありますが、これは主として内藤さんのほうにお答えを願えるかと思うのでありますが、行政整理の問題ですが、昨日私の質問に対して、私の質問内容はここで操近して申上げる必要はないと思うのですが、実質的には教員首切りはないようにするし、又ないであろう。私が一番ここで心配するのは、数字的にはこれは出血がないようになるかも知れないけれども、昨日申上げたように、各地方々々でそれぞれ教員の定数というものが違つている。そこへ持つて来て一律に二・五というような数字が出て来た場合に、或る県では現在でも教員が足りない、或る県では非常に教員の数が多い、こういう調整をどうするかという問題に対して、現在のクラスを基準にして、そして実際に教員首切りは行わないのだ、そして若し不都合な場合が起つたときには、適当な描置を講ずるという御答弁であつたのです。その適当な措置というのは、どういう措置をどういう場合にとつて行かれるのかということなんです。それを伺いたいのであります。
  16. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今高田さんの御質問に対しまして、昨日お答えいたしましたが、私の答弁が少し足らなかつた点があると思いますので、もう一度補足して、御説明申上げたいと思います。私どもが現在考えております教員の理論的な算定方法は、五十人について一・五或いは一・八とかいうような、そういう機械的な操作をいたしませんで、各学校規模によつて学級数というものを算定いたしまして、それを積み上げたのが全国学級総数になるのであります。その学級総数基礎にして教員数算定したわけであります。そこでこの算定方式をとりますと、大体現在小中込めまして、現在の定員より二・五%程度の下廻つた数字になるわけであります。併し現員よりは若干上廻つた程度数字になつているのであります。そこでこれをどういうふうに調整するかという次の段階でございます。現在の平衡交付金制度におきましては、非常に困難であると思うのであります。そこで昨日大臣からお話がございましたような新らしい方法国庫負担制度考えておりますので、その国庫負担制度は私どもは是非実現させたいと努力しておりますので、その場合の配分についてはまだ何ら決定いたしておりませんが、事務当局考え方といたしましては、これは全国一律に配分するということは考えられないのであります。と申しますのけ、勤務地手当とか、或いは寒冷地手当僻陣地手当、そういうような手当も見なければなりませんし、そのほかに教員の学歴、勤続年数による職員構成のことも考えなければならん。更に或る程度府県教育費の実績も考慮しなければならないかと思うのであります。その場合にできるだけそういうような幾つかの補正計数をかけて、急激に混乱の起きないようにいたしたい、同時に各府県最低教育規模が実施できるような措置を講じながら、併せて実情をも加味したような配分方式をいたしたいと考えているのであります。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変筋通つた答弁であります。併し実際にこういうことになつたらどうしますか。例えば福島県では教員が百人余うた。お隣りの岩手県のほうは、ああいう分教場のような所が非常に多いでしよう。実際には足りなくなつた、こういうような場合に、これは実情だと思うのでありまして、そういうような実情に即して、こういう問題をどういうふうに一体処理して行かれるのか。お隣りの県では余つちやつた、お隣りの県では足りなくなつもやつたというような場合に、お隣りの県の教員が交流できるということは私は考えられないのです。又させることも不可能じやないか。その場合にどういうふうにして行くかという、これは非常に事務的な質問ですが、これは一番に下部末端の重大な問題だと思うのであります。もう少しそこのところを説明して頂きたいと思います。
  18. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 歯を壊しておりまして非常にお聞き取りにくいと思いますが、この点従来の国庫負担制度の場合にも同じことでございましたが、今度の場合におきましても、私ども配分の場合に一律に考えないで、例えば標準の單位の費用も、大体七割程度を一律に出す。そのほかに先ほど申上げましたように、勤務地手当関係とか、或いは僻陣地手当関係とか、石炭手当等補正計数をかけて行く、それから、職員構成補正計数一割程度を見る。成るべく実情を加味しながら、最後に府県の実際の予算を見まして、教育の熱心な所が不利にならないような或る程度操作をしなければならんと考えておるのであります。ですからこれを、只今のような平衡交付金制度でも全国一律になつておりますから、今現在教育に熱心な所ではその費用よりは上廻つて出しておるわけであります。併し如何なる操作をいたしましても、どうしてもそういう教育費のでこぼこというものはあり得るのです。ですけれども、私ども国庫負担制度が実現いたしますならば、成るべく府県実情を加味しながら、而も最低教育費が確保できるような措置考えたい。この場合に高田さんの御質問のように、各県に定額で配分するものではございませんで、各県の教育費予算を見ながら配分するわけでございますから、勿論その中には一定の方式がございますけれども、できるだけ予算の面で縛られますので、例えば神奈川県のように非常に教員数は少ないけれども俸給の高い所もあるし、鳥取県のように教員数が非常に多くて、現在一・五を遥かに上廻つておるのに單価の低い所もある。ですからこの問題は詮じ詰めますと、各県の教育費の問題に落着くと思いますから、各県の教育費を見まして、教育支障のないような操作あと配分する場合に考慮ができる、こういうふうに申上げておるのであります。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではもう一点お伺いするのですが、教員昇給の問題は、これは大きな問題でないように思われるのですが、これは教育者教育意欲を盛上げるということについては、やはり現実的に大きな問題じやないかと思うのであります。そこで今度の場合に、実際にこの三百七十五円というものを引いてしまつたものを算定基準にしており、それを埋めるための操作として昇給分一・五という数字が出ておるわけです。そうすると、昇給の分がそこでなくなつちやうように思うのです。教員昇給ができなくなつてしまう。これはどういうふうなんですか、できますか。
  20. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 従来は昇給費予算というものは、今まで見ていない、これは教員新陳代謝がございますので、一般の官吏の場合でも昇給財源というものをそういうことに見ないで、新陳代謝によつて操作するというのが原則でございましたが、今回に限りまして、これを年間五%の昇給をするという想定をしまして、年間財源といたしましては、その半分の二・五%を見たわけであります。それですから大体これで操作が付く、来年度の場合にも、本年度を基礎にいたしましても、二・五%の昇給財源を見込んでおりますから、何とか操作できる、かように考えておるのですが、ただここで一つ高田さんにちよつと申上げて置きたいことは、御了解願いたいと思いますのは、国が勿論できるだけ地方單価を認めて、その上に操作したいという私どもは気持を持つておりますが、国家財政というものはやはり限度がございまして、地方が幾らでも出したものをそのまま認めるというわけには参りかねると思うのです。やはりそこに合理的な基準というものを予算單価としては認めざるを得ない、これはこの前の国庫負担がございましたときにも、六千三百円ベースで、小学校国庫負担單価は御承知通り五千五百六十九円であつたが、実際支払つておるのは五千八百何がしが払われまして、二二百円の開きがあつた、国がどこまで見るかということは、できるだけ地方の実態を尊重しながら私どもはそれに近付けたいのですが、やはりこれは国立学校教員との比較もございますので、無制限に地方が出されたものを認めて行くということは国家財政としては許しませんと思う。ですからその兼合になりますので、できるだけ私ども地方教員が不利にならないような財源措置を今日までして来たわけですが、やはり若干国がする以上は、国が地方單価をそのまま鵜呑みにするということは、これは大蔵省としても見てくれないし、我々としてもそれは正当な要求ではなかろうと思う、ですから、できるだけ近付けて合理的な單価をきめることに努力して、地方教員の不利にならないように、私ども最善努力を払つていることを御了承頂きたいと思うのです。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 最善努力を払われていることは十分にわかるのですが、簡單に私は答えて頂きたいのです。二万人の定員の増と、特に組んだ二・五%の昇給というこのロスを実質的に教員給與を獲得するために使つてしまう場合に、昇給ということは極めて私は困難な問題になつて来ると思う。勿論中央地方財政関連性ということは認めるのですが、昨日も御質問申上げたように、この中央と、地方との財源調整というものは完全に行われておらないわけです。行われておらない。そういう矢先に全部昇給定員増ロスを三百七十五円差引いた穴埋めに使つた場合には、私は隻質的に昇給ということはできないように考える、できるかできないかという問題なんです。
  22. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この点は四月十日の現給を基礎にいたしましたので、十月に切替えた以後の財源といたしましては、その昇給分としまして一%の昇給財源を見込んでおりますから、私はできる、かように考えております。
  23. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のに関連しまして……。今高田委員から昇給の問題が出ておられたのでありますが、私もそれを考えておつたのです。昨日の私の質問に対して、とにかく今度の給與改訂定員とは何ら関係がない、こういうことを私も確認したのでありますが、そういたしますと、今度の給與アツプに絡んで来て、今後における、来年の三月までの新採用というふうなことは従来通りのようにやり、一・五、一・八の線でやられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  24. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 新採用につきましては、これはやつて頂いて一向差支えないわけでございます。それは三月までの問題であつて、この教員整理の問題は、財源としては二十七年度の財源になりましようから、できるわけでございます。ところが実際問題として、各府県給與の面で相当苦しくなつておりますので、相当空定員を抱えておるというのが実情でございまして、なかなか採用は困難かとも思うのですが、理論的には採用できることは一向差支えないことになつております。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 その理論的な方面はわかりましたけれども、それが今度のベースアツプに絡んでなかなか困難になるというのではなしに、実際において不可能である、こういう結論にならないか、この点をお伺いしたい。
  26. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 不可能になるということはあり得ないと思うので、現在でも二万人程度欠員が四月十日にございました。それは何とかそれで賄つて行ける、今後も教育支障のない程度欠員は補充しなければならんと思う。ですから欠員補充を一切やめるということはあり得ないと思います。それは程度の問題でございまして、財源と見合つてやることになる、少くとも四月十日の現員現員、現給でよくする、その点できるだけの財源は確保してありますので、そういうことは、教育支障のあるような欠員補充差控えということは私はして頂きたくないし、又そうなつてはならないと思つております。
  27. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点よくわかりましたが、今度の平衡交付金から考えまして、その点は支障ありませんですか、その点を……。
  28. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) このたびの百億の平衡交付金をきめましたときの算定といたしましては支障ないつもりでございます。
  29. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に……。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 今度の予算、三百七十五円の問題が起つておるのでありますが、それは国家公務員教員と、地方公務員の差額で、それを地方公務員のほうに足並を揃えるということなんでありますが、これは地方公務員のほうは御承知のように非常に数が何倍くらいか多い。この際文部省としては、これはちよつと念のためお伺いしておきたいのでありますが、逆に国家公務員教員給與のほうで引上げるというようなことの考え方が妥当ではなかつたかと思うのでありますが、こういう考慮をされたのでありますか。どうしたつてこれは上からも教員は、やはりほかの一般国家公務員と、公務員としての教員は足並みを揃えなくちやならないという線で、そういう限度を承認してこの対策に当られたか。それともやはり現在の大学先生たち生活内容を見ますと、しばしばここでも繰返しましたように、これらの生活はひどいことになつている。この前も例を挙げましたけれども、フランスの大学教授の例を引きますというと、大体日本の一年分が向うの一ヵ月くらいになる、こういうようなひどい、ものすごい差が出て来るのです。こういう点も考えて私は逆に少数である大学教員のそうした特殊性というものがあると思うので、それを公務員の中で特に認めさせる努力をすることによつて、こういう問題は実は私は起らなかつたのではないか、こういうふうな感を深くするのであります。こういう点で考慮をなされましたかどうか、このたびの補正予算にこういう問題が起つたことによつてとられた当局の態度というものを……。
  31. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この点につきまして文部省といたしましては、人事院のほうに、先ほど大臣からお話別表の場合は、初任給の引上等で相当教員待遇改善の案を出したのですが、これは御承知通り教員給與一般公務員の場合と同様に人事院が設定することになつておりますので、未だに人事院の承認を得られないわけであります。そういうわけで、只今のところ補正予算には間に合わなかつた、この点は非常に遺憾でありますが、そういう計画であります。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、将来そういうことに努力されるという意向はつきり大臣はお持ちなんですか。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは私はもう当然のことと思つております。一体低いほうへならわせるということは勿論望ましいことでなくして、高いほうへならわせるということは当然これは努力しなくちやいかんと思つております。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、この問題について昨日から高田君が非常にまあ熱心にやつているのでありますが、そういうことに対して飽くまでも一つ既得権を守ると文部大臣が答えられたその線の理論的な根拠一つの新たな根拠が私は附加えられた、こういうふうに考えられまして、やはり現在の……いや現在だつて承知のように何遍も大臣繰返しているように低いのであります。従つてとにかく既得権でここまで来たところをバツクしないように、一つあらゆる機会を利用してやられる、やつて頂きたい。問題のあり方は、單に文部省だけの問題ではないということを考えておりますから、この点については、我々今から闘うことを考えております。この点は確信を持つているからお願いしたい。
  35. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは大臣が急がれますので、事務当局が残りまして、大臣は退席して頂きます。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  36. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは速記を始めて。  荻田局長が見えましたから、御質問のかたはお願いします。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 只今お勧め申したんでありますが、どうもまだ晝飯も実は食べておられない。こういうことをお聞きしまして、我々としましては大いに人権を尊重してやつて頂きたいと思うのでありますが、非常に熱意の余りでありますか、まあ飯くらいいいと、こういう意気込みでありますから、(笑声)それではお言葉に甘えまして、二、三点御質問申上げたいと、かように思つております。第一に伺いたいのは、これは今まで地財委から正式な説明も聞かないのでありますが、今度のベースアツプによりまして、特に教員給のほうにおいてどれだけの財政需要が増加するか。それに対してどういうような財源によつてこれを補填するか。更に今度の考えておられる案は、これは無論政府案を元にしてやられておるんだと思うのでありますが、そういう概要について先に簡單に説明を伺いたい。こういうふうに思います。
  38. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今度補正予算に出ております平衡交付金の増額の問題に関連いたしまして、当委員会といたしましては、これでは金額が足りませんので、意見書を追加して出しておりますので漸次それについて御説明いたします。その場合に我々としましては、地方公務員につきましても今度のベースアツプを行うという前提の下に数字を入れております。この点は政府案も同じでございます。併しこの千五百円の今回のベースアツプに際しまして、現在地方公務員について、これは教育公務員もその他一般公務員も全部含めまして、適正な国家公務員基準に則つた適正な給與に是正した上で行う。従いまして高過ぎるものはこれを一応下げて、そうして切替えを行う。こういう数字を出しております。で、そのようにいたしましても、政府案の百億の平衡交付金の増額と百億の起債の増額ではなお足りませず、平衡交付金を更に百億、起債を更に五十億というものの増加を必要とするという意見を出しております。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 大体の地方公務員に対しての資料のようなものは地財委としての資料があるんだろうと思いますが、その中での教員給はどういうふうに見ておられるか。これは一々詳しい説明を申されれば時間の関係からまあ無理なんですから、これは資料として後ほど御説明を頂きたい、こう思うのです。仔細にもつと検討する必要がありますから……。大体の今度の地財委としての勧告の必要、こういう点で大体平衡交付金百億が足らない。それから起債で五十億足らない。これも今度の補正予算で充当すべきだ。こういうふうにまあ見られておる。そこで大蔵省と非常に見解の相違が出て来ておるわけですね。そういう点について考えるのですが、それは無論今度の千五百円べース・アツプということは予定されて考えておるわけですね。それは一応それとしまして、只今お話のありましたように適正に今まで高かつたものをここでバランスをとつて、高かつたものを引下げてそれに合せてやる、こういう点のお話が今出たのでありますが、この点から申上げましよう。この点はこれはどうなんですか、国家公務員と比べて地方公務員一般が幾分高い。全体の公務員にそういうものを及ぼす。こういうことで教職員にもそういうような引下げをやると、こういうわけですか。それはどうなんですか。
  40. 荻田保

    政府委員荻田保君) 全体に地方公務員が高いと言いますので、これを引下げるものとして予算を立てておるわけであります。これが高いか、高くないかということにつきましては、正確な調査は大蔵省のほうでされたそのものを使つておりますので、先ほど御要求のありましたような詳細な資料は大蔵省のほうに御要求願いたいと思います。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 財地委としては、そういうものを独自に調査されないで大蔵省に立向つて、資料だけはそつちに書かしたのですか。そうしますと、何か教員の場合はこれは七万人に対してこれをピツク・アツプして調べた、そういうようなもうで以て資料を作つておる、こういう事情を聞いておるのでありますが、こういうものは地財委として認められておるのですか。
  42. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは我々地方財政委員会の職責の問題でありまするが、飽くまできまりましたこの財政需要をどう地財委でやつて行くかということが我々の職責で、どういう仕事、事業等をどれだけすればよいとか、悪いとかいうことは我々の職責ではなく、きまりましたものを分けてやるわけであります。従いまして給與につきましても、政府のほうでこれだけでいいんだということであれば、これを織込んだ財政需要を我々は算定しております。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 非常に奇怪な話を伺うわけでありますが、それなら地財委が勧告を出して百億円増すとか、起債を五十億円増すということが必要になつて来る。それは地財委としての一つの調査なり意見があつて、それに基いて大蔵省と折衝して初めてそれができるのであります。その根拠は何だと言つたら、今のような財政需要の各府県別の明細なものがなければ、それができないはずだ。今のような話になつて来ますと、そういうような勧告はできないはずだから、非常に私は自己矛盾だと思います。そうじやくて、わざわざ地財委というものを作つて要求しておるのは、やはり地方財政というものの確立という面において独自の資料を持ち、それに対してやはり国家財政との関連において財政需要に非常に欠陷が起れば、それに対して誤まりを正す。そういう一つの役割がある。地方財政委員会が独自の権限を持つて作られた理由はそこにあると思うのですが、都合のいいときはこれは大蔵省の資料で以てやつて行くのだ。この点は甚だ矛盾のように聞えるのですが、その点はどうなんですか。
  44. 荻田保

    政府委員荻田保君) これはもう何につきましても同じでありまして、例えば公共事業費の補助金はどれだけ出すかということは、これは建設省なり、安本なり、政府できまる。それを受けて地方がどれだけ足らないかということを計算して地方債の増額或いは交付金の枠をきめる。地方公務員についてこれが高過ぎるということを政府できめられ、従つて今後のベースアツプにこれでいいということになりますれば、その計算をとりまして、そうして我々の財政の枠をきめるわけです。而もそれでもなお百五十億足らないという結論書出しております。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 だから結局私の聞いておるのは、資料の問題にちよつと入つたわけでありますけれども、資料は地財委としての独自のものを持たれるのでありますか。大蔵省の資料をそのまま承認するということがあつたら、私は今言つたような問題は起きないと思います。なぜならば、大蔵省説明するいろいろな点でむしろ今度は地方の收入は、歳入のほうが多いのだから賄うことが十分できるのだ。それでまあ折衝の結果百億というようなことで行つたのでありますが、一応これを折れて認めて、併しこれに対して今のような要求というものが出て来たのは、今言つたような地財委の見解というものがあつて初めてそれは可能だ、この点はどうなんですか。これはさきざきの参考までに聞いておかなければならないと思いますが、そうでないと、大蔵省の資料で都合のいいところはそういうことで行つてしまう。そういうことならば今の、例えば教員というものの問題なんかについても、大蔵省の見解というものと地財委の見解が非常におかしいことになるのです。資料はできるのですか。その点はどうなんですか。もう一度確認したい。
  46. 荻田保

    政府委員荻田保君) 我々は大蔵省から受取つている資料がございますが、我々のほうのを出せばいいのなら、そちらのほうから出します。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 その資料の問題は確認いたしておきます。そうすると、そういう要求、今のお話の中に、要求を容れてやると、こういうことを原則のように言われましたね。今いろいろの要求があると、これについてはどうなんですか。文部省がこういう主管官庁として、これに対して三百七十五円引下げてから一応べース・アツプの何を合せる、こういうことについては考えていない当委員会では大臣がしばしばそれをここで言明された。こういう要求に対しては地財委はどうする、こういう要求が現実に出ているけれども……。大臣意見は表明されたと思いますが、そういうものについては地財委はどういうふうに措置するか。
  48. 荻田保

    政府委員荻田保君) この地方公務員給與が高いという問題につきまして、教育職員について三百七十五円高いということは、これは大蔵省文部省と打合せられた数字で、而もそれは閣議決定を得た予算基礎なつたものだということをはつきり政府から聞いて、それによつて我々は措置しております。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 だから我々は文部大臣に出席を求めているのですが、いないのですか……。だから突合わせなければわからない。大臣はいないのですか。
  50. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 大臣は今見えませんから、庶務課長から……。大臣には又あとで日を変えて……。
  51. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今荻田局長から、教員については三百七十五円高いということを文部省も承認し、地財委も承認した、こういうような御発言がありましたが、この点については我々文部省側の態度を表明いたしておきたいと思います。三百七十五円、これは四月十日現在において比較したのでありまして、そこでこれは大蔵省財源操作からいたしますと、それから二・五%を上げて、それを基礎にしたわけであります。そこでこの場合に地方府県吏員については四百六十円高い、市町村の吏員につきましては五百数十円高いという大蔵省側の見解であつたのであります。そこでこの場合いつまで議論してもこの議論は盡きませんので、市町村及び府県の吏員の單価地財委が認めるならば、文部省としてもこの單価を承認せざるを得ないだろうというような條件付になつておりまして、この点は大蔵当局の白石主計官がよく御存知だろうと思うのであります。だから飽くまで問題は財源の問題でありまして実際の給與の問題と私は違うと了解いたしているのであります。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほどの荻田局長の話ですね、適正なべースに切下げて、それから今度べース・アツプをする、そういう勧告をする考えであるというお話があつたのですが、この点は非常に重要な問題だと思います。私も官房副長官に会つて、そうして閣議決定の内容を詳細に聞いたわけなんであります。ところが閣議決定では財源措置はしたけれども給與の切替えの問題については何らの決定をしておらない。私どもは正式にそういう回答をとつている。地財委が、給與の切替えに当つて適正な価格に引き下げて、その上で切替えなければならんという勧告を出すところの権能があるかどうか、その点先ず伺いたいと思います。地財委にそういうものがあるかどうか。
  53. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申上げましたように、私が聞いておりますのは、閣議ではつきりとその点はきまつているということであります。従いまして、それを受けまして地方財政が健全になりますように勧告する権限は当然あると考えております。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは非常に食い違いがあると思うのです。だからここにやはり官房長官に来てもらつて、閣議決定の内容というような問題になつて来るわけですから、それを明らかにする必要があると思います。私が先ほど申したように、官房副長官に聞いたのですが、官房副長官はそれについては書類を調査して愼重に我々のほうに回答されているわけであります。それは閣議では財源措置としてはそういうことを認めている。併しこれは財源措置であつて給與をどういうふうに切替えるかということは政府の關與することのできないことだから、そういうことの決定はあり得るはずがない、こういうふうに言つているわけです。今度平衝交付金が若干増額される、その増額された金の配分は当然私は地財委がやるべきだと思うのであります。併しその配分に当つて地方公務員給與をこうとうしなければならないという勧告をすることは、これは地財委の越権だと思う。それから又そういうことは閣議でも何ら決定されていない。若しそういう点で根本に食い違いがあるのなら、私はやはり官房長官なり、官房副長官の出席を求めて明らかにしなければ、これは問題が解決しないと思います。それでこのことについて、私は文部省の見解を聞いておきたいと思います。
  55. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは財源計算の基礎でありまして、三百七十五円というのは、先ほど申しましたように四月十日を基礎にしておりますから、十月一日にはそれが二・五%昇給するという推定で操作をいたしているのであります。ですからこの場合、教員の場合につきましては、定員はまるまる見ておりますので、定員が二万人ほどの欠員がございますので、そこで四月十日の現員、現給で或る程度の横滑りは財源的に可能であると考えておりまして、この問題について、給與について地方にいろいろと指示するということは私は少し賛成しかねているのであります。と申しますのは、国がどれだけ財源を見るかということは国の御自由であります。併し地方がそれをどう使うかということは、これは平衡交付金にも明らかなように、地方自治であつて、それに対しては何らの拘束もできない。況んや教育費の場合でもそれが他に流用されても差支えないようになつておりますので、これは飽くまでも平衡交付金配分算定基礎だと了解いたしておりますので、地方の自治を侵害するような措置文部省としては差控えたいという希望を持つているのであります。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこれは地方自治と関係のある重要な問題であるけれども、今度まあ地財委を通じて、地方財政需要の見地から、かなりの平衡交付金の増額を要求しておられます。これに対して政府が政府の立場に立つてこれを相当まあ削減して、現在の国会には僅かに百億の平衡交付金の増額、起債百億、これは地財委が要求しておる金額には遥かに満たないのです。これは国会においてどのように審議されるにしても、政府の提案通りに決定されるとすれば、地方の要求しておる金額にも及ばないのだから、その場合に地財委がこの平衡交付金の増額は、この費用にこれだけ使え、この費用にはこれだけ使えというようなことは言い得ないと思う。例えば給與ベースの引上げに対しては、これはこれだけ使え、これはこれだけに切下げてこう使えと、そういうふうなことは平衡交付金の性質上言い得ないと思うのです。これは重大なことだと思うのです。これはもう一遍一つ明確にしてもらいたい。そういう配分内容使途について一々勧告するかどうか。これは重大問題ですよ、そういうことは事実上できるのかどうか。
  57. 荻田保

    政府委員荻田保君) 平衡交付金の使途につきましては、法律でもちやんと示してあります通り、これについて紐付きをしたり、條件付けをすることはできません。併し一般財源運用の方針として勧告することはできます。而も御承知のように我々は平衡交付金が足りないから増額してもらいたいということを政府に要望する場合、すでに地方には濫費があつた、その濫費の一番大きな例には給與が高過ぎるということが言われることは御承知通りだと思います。私も地方給與が高過ぎるために地方の経費が足りないということでは、我々の要求も我々の報告もそのために基礎を置くということになりませんから、この点につきましては是正すべきものは是正する、足りないものは足りないで飽くまで要求する、こういう態度に出ます。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 非常に変なお話ですが、給與が高いか低いかはこれは国会できめる問題ですよ。我々のほうできめるわけです。きめたことについては財源措置があるわけなんです。その財源措置による配分地財委がするわけであつて配分内容についてまで一々指図することができるのかどうか又実際上さようなことはできないと思う。というのは、その地財委が要求した金額そのままが承認された場合、それはその要求の内容になつておるものがあるわけなんですから、それはこの費用にはこれ、この費用にはこれと大体目安が付きます。併しそれでも平衡交付金においては、これは各費目別に紐付きがないわけですから、全体として配分される、これを使う場合に知事は拘束を受けないわけなんです。それが平衡交付金の建前なんです。それを給與だけについて給與を濫費だと、かように考えることは私は甚だ怪しからんと思うのです。(「全くだ」と呼ぶ者あり)我々がそれは決定するわけです。そんなことはあなたがたがきめるのじやなしに我々がきめる、それを濫費なんという言葉は私は面白くないと思う。地財委としてはその増額になつ平衡交付金配分すればいいのであつて、この内容を紐付けすると、こういうことはよろしくないと言つておるのです。そういう権限はないはずだと私は言つておるわけです。
  59. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申上げましたように、平衡交付金配分額において使途を指示しようということは全然ございません。ただ今までの給與が高いと言いますのは、これは大蔵省なり文部省の調査でありまするが、高いと言いますのは、今までの国会においておきめになつ公務員給與に関する法律の基準に比べて高いというのがございますから、これはまあ是正して然るべきだという考えでございます。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それはまあ是正して然るべきかどうかということはまだ問題があると思うのですよ。国家地方公務員給與を直接きめていないわけです。地方がこの基準に従うというわけであつて基準に従うということは多少の幅があるわけです。現に地方公務員にしても全国一律でないことは明白ですよ。それは地方によつて多少の凸凹がある、中には国家公務員より低いところもあるわけです。それは基準に従うのであつて、直接国家において地方公務員給與というものは制定していないわけです。ただその大体の基準に従う。こういう程度しか決定していないわけであつて、それをはつきりとですよ、何円高いから何円切下げて、そうして今度のベースアツプを行え、こういうことは法律の精神と背くし、そういうことはなす必要は全然ないと私ども思うのです。
  61. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申上げます通り、政府がきめまして国会に提出する予算がそのように是正することを前提にした予算でございますから、我々としてはそれを受取りまして、そのような法律案によつて地方財政運営をやつてもらいたいということを勧告するわけであります。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題はやはり根本は閣議決定の内容に私は関しておると思うのです。従つて当面の閣議決定の内容説明し得る責任者の出席をやはり要求して明らかにしておく必要がある。そうしないと地財委のような考えを以て阻止されたということになると、僕は非常に問題が起ると思う。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 閣議決定というのはどういうようにして確かめるのですか。公文書か何か確認したのですか。或いは耳に挾んだ程度ですか。
  64. 荻田保

    政府委員荻田保君) 予算がきまりましたときに提出されておりました附属文書の数字では引下げるものとしての計算が出ております。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も言つておる通り、閣議決定は財源措置としての金額を決定しているのであつてですよ、それ以上に給與の切替えに当つては、こういうふうに給與切替えに当つての決定をしておらないというわけです。その点が問題があるわけです。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 附属文書があるのですか、ないのですか。それを出してもらいたい、公開して下さい。
  67. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) あとで官房長官に来てもらつてから伺います。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 地財委でわかれば説明して下さい。そういうあいまいなことじや困ります。御提出願います。
  69. 荻田保

    政府委員荻田保君) 我々は岡野大臣を通じて来ておりますが、これを決定する、これはもう今度の平衡交付金を決定するのにつきましては相当長い間要した、その間にたびたび閣議で話があつた、その途中におきましても、地方公務員が高過ぎる、こういうふうに財源が足りないのだという意見が出て、それはその通りだ下げるんだという是正すべき意見はたびたび出ておるということは聞いております。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 聞いた程度なつた、ちやんと附属書にあるといつたものが、それで確認されたと言つたら聞いた程度なつたのだがら、その問題は岡野さんに出てもらつて出す、又今言つた閣議決定の責任者の官房長官に出てもらう、なお天野文部大臣がいたはずでありますから、こういうことは確かめればいい、この問題は先にこういう措置委員長からとつてもらうということにしまして大体やはり今言つた、これじやまあ事務的にこうやるんだということは、都合のいいところは事務的とか、そういうことで追込みますが、そうでないととろは非常に自分たちの意図で以てやられておると思う。こういうところは例えばこれに対してなぜこういうような何が起つておるかということも、あなたたちもさつきの発言の中にも、これは地方公務員の俸給は高い、こういうこともまあ言つておるのです。  併しこいつはあとで現在の法律のあれの基準によつて高い、こういう答弁は訂正されたのですがね、併し地方公務員の俸給が高いかどうかというような問題については、これは十分に地財委としても、若し財政的な立場を全般的に検討するなら、これはやはり検討する必要があると思う、そういうものは検討しておりますか。例えばこれは尤も人事院の問題になるのでありますが、地財委地方財政の問題として扱うときにこれは十分にやはり検討する必要があるとすれば、これはやらなくちやならんと思うのですが、そういう点は一般の例えば民間の給與とか、そういうものについて検討しておりますか。それから次に伺いたいのは、例えば教員一つ特殊性或いは年齢とか、学歴とか、そういうものから来るところの差、こういうものについては十分に検討されておるのでありますか。その上に一般地方公務員は高いのだと、こういうふうに見ておられるのか、この点念のために伺つておきたいのです。
  71. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほどから申上げますように、高いか安いかということは国家公務員についてきめたところによる基準、これと比べての問題でありまして、その基準そのものが一般民間職員に比べて高いとか、安いとかいうことは考えておりません。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 その問題は一応議論してもしようがない、あなたと議論する気持はない、そこで今のあれを出したのですが、そういうはつきりした三百七十五円切落さなければならん。そこでちやんと合せるのだということを出したのでありますか。それからまだ出さないのか、出さないとすれば、今後出す意図があるのかどうか、この点地財委意見を聞きたい。
  73. 荻田保

    政府委員荻田保君) まだ予算もきまつておりませんし、国家公務員給與の切替え予算もきまつておりませんから、まだ出しておりません。それがきまりましてから出したいと思います。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 十分出す権能があるかどうかということは荒木さんも言われた問題であります。それから今の問題が明確になるということをしつかり真剣に調べて、その上で処置をする。どうも地財委は飽くまでも、そういう方針を突つ張るというふうに言われているので一つの問題になつているわけです。この点はそういう程度で、もう少し我々は、無論今後この問題についてタツチしますけれども、正確にやつてもらいたい、これは大体一つの枠内の操作なんでありますが、どうなんですか。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 財源措置の問題について確かめておきたいと思うのですが、文部省説明を聞いていると、三百七十五円は高いだろう、併し財源措置としては四月の実績と言いますか、実際の給與から今日までの値上りを見込んで二・五%をその上に見込んである。だから実際は百五十円の開きがある、それだけの財源措置はしてある。こういう話なんですが、地財委のかたはこれは承知しているのであるかどうか聞いておきます。
  76. 荻田保

    政府委員荻田保君) 調査いたしましたときの数字が三百七十五円でございますから、勿論切替えのときには、切替え直前の昇給も織込んだ姿で適正なる給與、これを考えておりますから、この数字は必ずしもこのままこの十月に適用するという考えではございません。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その数字はどういう考えですか、財源措置できまつているのですか。
  78. 荻田保

    政府委員荻田保君) 財源措置としては、そのまま適正に切替えたところが見てあるはずです。
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 数字はどのくらいですか。
  80. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今調べております。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その数字を出して頂きたい、その数字がわからないから……。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 先ほどから検討すると、第一点の問題はそういう当面した問題として、先に行つて先ず附属文書を、これははつきり確認するということが必要でありますから、必要によつては文書を出してもらいたい、それから関係者の今までの発言、決定、そういうものを明らかにするように委員長努力してもらいたいと思います。これは事務局長でありますから、政治的の質問ができないので、ただ私は第二に伺たいのは、あなたが昨日衆議院で発言されたというこの問題について申上げたい、これは事務局長の飽くまでも意見だと思うのであります。現在文部省考えている教育費国庫負担と言いますか、この平衡交付金のやりかた、こういうものについて新聞報道しか見ていないのでありますけれども、どうも現在の態勢じや適当だ、こういうことを挙げておられる、これは当人がいるんでありますから、これに対する意見を改めて伺いたい、どういうことを考えておられるか、昨日発言されたそれと関連して伺いたい。
  83. 荻田保

    政府委員荻田保君) 文部省考えられていると伝えられておりますこの義務教育費平衡交付金、こういう考えにつきましては、地方財政委員会は私だけじやなくて、委員会としても反対だということにきまつております。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 反対の根拠を聞きたい。
  85. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは地方財政全般の運営上、義務教育費だけを別個の調整交付金の制度にすることは適当でないというのが大きな理由でございます。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 もう少し細かに言えないですか、適当じやないだけじやわからない。
  87. 荻田保

    政府委員荻田保君) 財政調整は、全体を通じての財政調整になりますと、団体が別個の団体ならいざ知らず、一つの団体の財政でありますから、政府の財政需要、歳入と睨み合せて調整するのが当然だと思うのであります。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 これはシヤウプ勧告の態勢に即応する一つの方向でありますが、併しこれはコンクリートなものじやない。やはり今後の動向の中で考えられる。あなたたちの事務局の立場としては一応そういうふうな方向に決定しておるから、その範囲内で物を考えるということでは、こういうことが或いは成立するかも知れませんが、問題は今の教育の実態というようなものについて、あなたは本当に見ておられるだろうか、そこからやはり文部省地方教育財政に対して、もつとやはり実質的な立場をとられなければならんということで、こういう案が出されておる。こういう文部省の主張があるわけであります。こういうものについてはあなたはどう考えておられるか、この点を伺いたいと思います。
  89. 荻田保

    政府委員荻田保君) 我々は地方行政全体、地方財政を見てものを考えておりますので、ひとり教育費だけではなく、建設事業、社会事業或いは衛生事業その他万般の事業についての地方財政のバランスというものは十分でない、こう考えております。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 地方財政の中で教育予算は、これは半分ぐらい占めておる、大体五〇%近く占める。これは非常に重要な問題であります。そこに持つて来て私はなぜこういう要求が起つたかということに対して、事務局がどういう検討をしておるかという問題でありますが、つまり現在平衡交付金が、これは一昨年からですか、昨年からですか、こういうような方向をとられることによつて、どうしても地方財政が非常に窮迫しておる現状では、そのしわが弱い教育部面のようなところに押し寄せられて来る。そうして教育財政というものを確立することが非常に困難になつて来た。どうしてもこれは守らなければ本当の教育というものは守り切れない、こういう立場から、新たにそういうような要求が出て来ておるわけです。文部省のほうからそういう制度について、これは提案されておるのです。これについては我々は無論意見があります。いろいろな点で、例えばこういう中途なものでいいかどうか、もつと今の国民が考えておる、要望せられておる全額国庫負担ということが考えられて、その大割と四割のものは国庫と地方財政で賄うというやり方は、果して地方財政の現実から考えて、教育を守り切れるかという問題について我々意見があります。或いは内藤案と言われるこういう案で行かれますと、これだけの財政規模において、果して現在教育が守り切れるかどうか、そこに一つの、教員あたりにそのしわが寄せられて、或る県では首を切らなければならんというので、こういう点については十分やはり検討する必要がある、こう私は考えておるのです。つまり方向としては今地方財政が、シヤウプ勧告以来味噌もくそも一緒に押込むことによつて教育のほうにしわ寄せされておる。こういう形では何とか教育を守らなければならないから、こういう方法考える。その方向については、一応その精神については我々はやはりプラスの方向で行つているのだ。こういうふうに見ておるのであります。こういう現実について、あなたは事務的に数字を挙げてどうだということを言われるかも知れませんけれども、若しそうでないとすれば、教育の現実がどうかとか、日本の教育の現状はどうだということは、こういうことを検討すれば重要になつて来る。こういう地方財政のバランスも講じなければならん。これはシヤウプ勧告が一応そういう建前になつたから、或いは地方に破綻が起つて来ておる。それに対してあなた自身が検討した、その過程というものをことで述べて頂きたい。そうでなければそういうような、何というか、私としては財政的な見地からやはり止むを得ないということは、大蔵省の蒸返しなんです。そういうふうな答弁では私は納得することはできない。少し考えて下さい。
  91. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申上げましたように、地方財政一般に困つております。従つて各種の施設、各種の事業は十分に行つておりません。この点教育も同じでありまして、特に教育がほかに比べて惡いという考えを持つておりません。特に教育の問題だけを取上げて財政を強化するということよりも、むしろ地方財政全体の力を強化する、この方向に力を注ぎたいと考えております。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 私が言つておるのは、そういう形では平衡交付金制度というものでは教育財政は守られない、この点からこういうものが出て来たのだから、これに対して具体的に言つてもらいたい。それからもう一つお尋ねしますが、地方財政が非常に困つている原因は教育財政にあるのだ、教育財政が非常に大きな部分を占めておるので、この問題がもつと別な方法で解決されれば、地方財政全体に対してもこれは私はむしろよい影響を與えて来ると思う。無論それによつて平衡交付金が大幅に切られるというような事態が起れば別でありますけれども、もう少し地方財政を確立するという線においてそういう努力がなされて、国家から国庫支出がもつと教育財政に対して大幅になされる。而も現在の平衡交付金制度というものが、そんなに大きな影響を受けない方向に持つて行く、こういうようなことが同時になされて行けば、非常に困難もあるかも知れないけれども、そういうことを要求しておるのだから、そういうことを国民が要求しておるのだから、そういうような方向に従つて行けば、これは地方財政の救済にもなる、そういう点をあなたはどういうふうに考えておるのですか。どうなんですかそこは……。
  93. 荻田保

    政府委員荻田保君) 私は先ほどから申しておりますように、飽くまでも地方財政全体として考えて行くべき問題であつて、仮にその教育だけを取上げて、こちらを、総額をそのままにしておいて、教育だけを興上げて別にプラスするというようなことは、結局ほかがそれだけしわ寄せになるのであるから、そういう恰好において問題を解決するのは適当でないと考えております。
  94. 岩間正男

    岩間正男君 こちらで提案しているのに、問題を出しているのに答えられない。ちやんとシヤウプ勧告できめられた、その支出がその線でなされるかも知れないが、そういうことで、事務局の答弁をそれはやつて行かにやならないような立場にある意見かも知れないけれども、これは一応そういう点については考えられますけれども、もつと私は具体的問題として出しているのです。日本の教育の現状はどうか、それからもう教育財政というものを確立することによつて地方財政はむしろ私はこれは非常に問題を解決する方向に行くのじやないか、こういう点を私は出しているのですけれども、あなたのほうの答えは同じなんです。これはどうも答えにならないわけです。これは事務局としては止むを得ないから、もうこれ以上答えられないという何もありますけれども、どうなんですか、その点については……。日本の教育の現状からそういう問題が出ておる、下からの要求が起つておる。そんなことは地財委の事務局がどう考えようと、日本国民はそれに対して下からいろいろな要求が起きて来ておるのです。その要求に従つて来ておる、こういうものについては十分に検討しないと……、こういうものはこうなつておるのだというふうに官僚的な答弁で事態を押切られますか、どうなんですか、今日こういうような意見を……、こういう意見はこれは何ですか。全体のこれは地財委の統合された意見として受取つていいのですか、事務局長意見なんですか、それでいいのですか。
  95. 荻田保

    政府委員荻田保君) その問題は地方財政委員会で審議した結果、そうなつております。それから先ほどから申上げておりますように、困つておるのは教育だけではありませんから、ほかからの問題と、戰災復興も災害復興も、その他厚生事業等一般につきまして、いろいろ困つておりまするから、総合して考えることでございます。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 関連して……。仮にこれは我々がよく言つたのだけれども教育財政が確立されて平衡交付金から外される、平衡交付金は幾分減るかも知れませんけれども、併しそれほどこれは減らない努力をして行けば、今の地方財政は半分くらい、もう非常に負担を軽減するということになるのです。そうなればそれによつて非常に地方財政は助かる部面があると思うのでありますが、こういう具体的な問題をお伺いしておりますが、こういう点についてあなたは考えたことがありますか。あなたのはいつも同じことを言つておるわけなんだ。全体は、そんなことはわかり切つている。我々は当然地方財政の枠内で教育もやる、建築部面もやる、ほかのものはみんなやる、厚生もやると、そういうことはそんなことはわかり切つておる。そういうことを言つておらないのだ、現実の問題として……。現実にこういう事態が起つておるのだから、だからそれを要求しておるのだ。そういう要求について一体どうだと、具体的に私は問題を出しているのでありますが、そういうことについてはどういうふうにあなたは考えられておるか。
  97. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは同じことを申上げる……、初めからきまつていることでありますから、同じことを申上げるより仕方がないのでありますから、地方財政の総枠を同じにして、その中から教育に余計持つて行けば、ほかのほうが困るのでありまするから、地方財政の解決には全然ならん、仮にプラスすることができるならば、それは地方財政をそのままにしてをいて、地方財政の総額にそのプラス財源をプラスすればそれで解決する、こういうふうに申上げたのであります。
  98. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は岩間君が質問しておる問題と同じ問題についで、教育費的のことについて更にお尋ねして置きたいのであります。それは私過般の知事会議において、義務教育は全額国庫負担にしたと、こういう決議があつたということを聞いておりますが、荻田局長はこれを知つておられるかどうかお尋ねしたい。
  99. 荻田保

    政府委員荻田保君) それは知つております。
  100. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは各府県の知事が義務教育費国庫負担にすべきであるという、こういう決定をした理由ですね。これをどういうふうに考えておられるか、それをお伺いしたい。
  101. 荻田保

    政府委員荻田保君) 恐らく平衡交付金の増額を希望しても十分できなかつたので、それでもう義務教育の分は国で直接やつてくれ、こういう意向であつた……。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 あなたもしばしば先ほどから繰返しておつしやるように、地方財政はかなり苦しい、地方財政は非常に苦しいという状態にある。で、知事としても地方財政の大きな部分は教育費にある、従つて教育費を何とか国のほうで負担してもらうことができれば地方財政全般に非常によい影響が與えられる。非常によい結果を得ると、そういうような観点から知事会議がこの義務教育費国庫負担にしてもらいたい。こういうふうな決定に至つたものと私は考えておるわけですが、そこでそういうふうに考えると知事会議の決定は平衡交付金め中で教育費を賄つて行くということは、現実において地方財政を非常に苦しめるのだ、従つてそれを別個に扱つてもらいたい、こういう意思表示ととつていいと、こういうことについてあなたは承知しながら、あなただけではない、地方財政委員会がそういうことを知りながら、平衡交付金の中に入れて置くほうが地方財政全般にいいのだという考えは、知事会議の決定と私は明らかに反対だということになるのですね、あなたは知事会議の決定を反対だと、こういう意思を表明せられたととつていいですか。
  103. 荻田保

    政府委員荻田保君) その点は明瞭に反対でございます。知事会議意見、知事は恐らく平易な言葉で言えば切羽詰つて投げ出し的な気持であろうと、とてもやれないので、教育はこれで投出したんだと……。我々はそういうことをなまることはいかない。飽くまで国と地方を通じて、国に引取つて十分できれば国だけでやるが、必要な財源だけを地方に渡したらいいのであるから、国、地方を通じて財政のバランスをとれば、この問題は解決すると思います。
  104. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 地財委の事務をやつておられるかたが、知事会議の決定は投出しであると、こういうことは私は穏当じやないと思う。少くとも全国の知事の会議において義務教育費国庫負担にしてもらいたいという決定は、決議は投出しのために行なつた決定と、こういうことをとの会場で申されることは私は適当ではないと思う。どういうふうに考えられますか。
  105. 荻田保

    政府委員荻田保君) 知事が投出したとは言わない。私がそのような気持だろうということをざつくばらんに申上げたのです。(「言語道断だ」と呼ぶ者あり)
  106. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 投出して知事会議がそういう決定を選んだろうということは、知事会議というものを何と言いますかね、非常に曲つてつているのじやないかと私は思う。もつときつい言葉で言えば冒涜しておるということになる。あなたはそう思わないですか。(「取消せ」と呼ぶ者あり)
  107. 荻田保

    政府委員荻田保君) それは知事が非常に財政的に困つて、その平衡交付金の増額を国に要望しても聞いてもらえない、非常に普通の考えと違つてグルーミーな気持、そのときの気持を付度してそう申したのです。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 随分いろいろな付度の仕方もあるものですね。(笑声)私は恐れ入つておりますが、そのことは別といたしましても、知事会議でこういう決定をいたしたと、こういうことはやはり地方財政において教育費の占める割合が非常に高いと、そういうことから地方財政全体として非常に苦しい立場に追込まれておる。これはよくわかると思う。そこでそれを打開する現実の問題として国庫負担を要求したんだろうと思う。併しそれは全額国庫負担が実現しないにしても、ここで国家において、中央教育費の半分なり、三分の二なりはつきりと負担する。こういうことになれば私は地方財政全般に非常によい影響を與えると思うのです。又運転しやすいと思う。これは今の地方財政の困窮しておる実情からみて私は容易にわかる問題だと思うのです。又これは教育の面からいつても、教育の振興にもなる。決してこのことによつて地方財政をどうこうする、こういう結果にはならない。私はそういうふうに考えるのですがね、そういう点についてはどういう御所見ですか。
  109. 荻田保

    政府委員荻田保君) 飽くまで地方の義務教育地方にやらせるという以上は一般並に扱うべきだと思います。それが非常に惡いのでしたら、これは思い切つて全国の公立中学校にするとか、或いは特別の団体を作るとか、そういう解決方法一つ考えとして、私は必らずしも賛成しませんが、そういう解決方法はあると思いますが、今のようにして置いたほうが……、別個の地方財政調整交付金を作るということは飽くまで賛成できません。
  110. 岩間正男

    岩間正男君 あなたは日本の教育改革についての根本原理について研究されておりましようか。日本の教育改革についてはずすことのできない一つの原則がある。これはお聞きでしよう。御存じですか。(笑声)これをあなたは知らないのですか。
  111. 荻田保

    政府委員荻田保君) よく存じません。おつしやる意味はよくわかりますが……。
  112. 岩間正男

    岩間正男君 知らないからそういうことになる。教育の機会均等ということをよく覚えておいて下さい。教育の機会均等を守れますか、今の形で…。あなたは日本の教育改革の根本原理を知らないので、そういうばかげたことを言つておるわけです。我々はシヤウプ勧告以後、まるで別の問題に直面しておる。日本の教育改革で根本的にそういうものが無視されておることについても、六三制というものはそもそも作られたときのそういう性質に戻らなければならん、そういう点からいつてあなたの説はどうなります。これは地方に全部任せる。そうして現に平衡交付金制度で以て十分に教育予算というものはとれない、しわがいつでもここに寄せられるというような恰好で、この前のべース・アツプさえも完全にできていない。財源のしわが赤字にちやんと出ておるでしよう。今度の地方財政予算はそういう形になつているでしよう。こういう形になつていて、そこに地方的に非常に大きなむらが出ておる。こういうときに教育の機会均等ということを守れますか、こういう意見からあなたはさつきから繰返されておるが、それでこの点が成立つと思いますか、この点伺いたい。
  113. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほどから申しておりますように、現在の地方財政は十分でないのです。それは教育財政も同じであります。従いましてこれを解決する方法考えておるのであります。それは現在のままでも解決する気になりさえすればできるというとこを申上げておるのです。特別の方法考えてやる必要はないということを申しておるりであります。
  114. 岩間正男

    岩間正男君 もうこれは繰返したつて同じだから、私は別にもう質問しようと思わない。それはそういう考えで馬車馬みたいに、自分できめたものをどこまでもそれでやつている。もう少し、見たらいい。さつきから話されている都道府県の知事の結論もあります。全額国庫負担の、大幅国庫負担の要求については、実は二千万通も国民の意思として出されている。あなた知つていますか。
  115. 荻田保

    政府委員荻田保君) 国会に出ていることは知りません。
  116. 岩間正男

    岩間正男君 知りませんか、(笑声)こういうような、都合の惡いことは成るたけ知らないようにしている。頬被りしている、馬車馬みたいに自分の考えだけ進めている。すでに今言つたようなシヤウプ勧告による平衡交付金制度地方財政というものは破綻している。破綻の上にあなた自身がいるのでしよう。現に晝飯も食わないでここに座つているということは、破綻の例を示しておる。どうだ。(笑声)こういうことをやつておいてなお且つそれに固執するなどということは間違つておる。これは地財委事務局長のやる仕事でない、こういうことについてここでくどく繰返す必要はないが、ただ一つ聞いておきたい。今のような実情において十分検討される、そういう一つの心構えを持つておられるかどうか。この一点をお聞きして私は質問を打切る。
  117. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方財政が現在困つておりますことはよく知つております。従いましてこれを打開するように努力しておるのでございます。仮に現在の制度を改めなければできないものなら、これは改めて然るできだと思うのです。併し変えないでも運用さえうまくできるものであつたら、それは運用の面で考えたらいいと思つております。
  118. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題だけでない、教育の根本原理とか、知事さんの結論二千万通の請願書、そういうことについて挙げたが、できたらもつと……。これによつて日本に起つている教育の破壊の実情というものをよく検討されて把握される必要があるかどうかということを……。
  119. 荻田保

    政府委員荻田保君) そういう事実もよく検討の中に入れたいと考えております。
  120. 岩間正男

    岩間正男君 それは一ヵ月後に又聞いてみますよ、よろしうございますか。(笑声)
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私荻田局長のいろいろな話を聞いておると、どうも役所の仕事は繩張争いのような感じを非常に深く受けるのです、というのは、義務教育費平衡交付金から外して、そして特別な措置をする、そういうことによつて別に地方財政を混乱に陷れるとか、そういうことよりも、むしろ地方財政に非常にやりやすいような明るい方法を與えるものだと思うのです。それをそういうことをすれば困る、困るというのだが、それじやどういうふうに困るかということについては、先ほどの質疑においても明らかにされておらない。そうなると、これは役人の繩張争いを我々聞いておるようなもので非常に失望落胆せざるを得ない、特に知事会議などの決定は私は或る程度は民意の反映である、こういうふうにとつておるわけなんです。国家の事務に当つているものがこれを、この決定を投げやりだと考えたり、この決定は私は反対だと頭から正面切つてつてみたわすることは、どうも私どもには納得しがたい点があるわけです。そこで最後に私は聞いておきたいと思うのですが。教育費一般平衡交付金から切り外して地方自治の財政運営においてどういう惡影響があるか、それを具体的に一つ挙げてもらいたい。
  122. 荻田保

    政府委員荻田保君) 財政は各種の経費、各種の歳入を一緒にしまして総合的に経理しておるのでありまして、この費目が縦割になりますと、これこそ繩張的になりまして、地方財政の運営に欠けるところがあり、延いては地方自治の円満な発達を阻害すると考えております。
  123. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これで前に逆戻りをしたような結果になりますが、(笑声)私の言うのはあらゆる品目を縦割にする、こういう意見じやないのです。現在地方財政で負担している教育費の受持つ分野というのは非常に大きい、私は正確な数字は知りませんが、三〇%乃至四〇%或いは府県によつては五〇%近い教育費の負担をしておると思うのであります。非常に負担してる部分が多い、而も一方では吉田総理もしばしば本会議で言つておられるように、政府は補助してやるのだ、特に義務教育には力を入れるのだ、この言つておられる。ところが現状は教育費が他の費目にとつて圧縮される、或いは強い言葉で言えば多少犠牲になつている事実があるわけなんです。いわゆる地方財政事情を見て教育費算定したその算定基準だけでも使つていないところがあるわなけんです。そのために非常に困つている県も相当あるわけであります。こういう実情からいい、又教育費全体を確保するという点からいつて私は現内閣においてもやはり教育尊重の立場から、特に義務教育を振興するというような立場から、これを別個に扱うということは必らずしも地方自治全体の運営を妨げるとは思わない、これを一つ一つ教育、衛生、土木と、こういうふうに縦割をしろというのじやない、教育の問題にもう少し確実な財源を確保する、こういうことがどうして地方自治の運営を阻害するか、そういう点についてはあなたの説明でよくわからない。更に一つどういう点で困るか、それを一つ
  124. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほどから申上げておりますように、まだこの問題は具体的に突詰めた話はしてない、従いましてそういう段階におきまして意見を述べろとおつしやいますから、その程度申述べたのであります。具体的にどうのこうのということを今申上げる段階にはないのです。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは私は反対せられる理由がよくわからないのです。地方自治の運営といつても、義務教育については別個に教育委員会すら設けられているのです。このことは御存じだろうと思う。教育の運営についてはいわゆる地方の知事がやるんじやなしに、義務教育については教育委員会という別個の機関さえ設けられているわけなんです。従つて義務教育費をその国庫支弁の内容を明らかにし、他の地方自治団体の受持つ割合を明らかにして、そうして教育委員会は教育行政をやるに便利なようにすることが地方自治を阻害するということはどうしてもわからない。若し阻害するなら教育委員会は止めることです。知事の下に一元的にやるなら……。そうではなしに教育委員会も現に法できめられて設けられているわけなんです。そういう実情において、教育費を確保するということが地方自治の運営を阻害するというようなことはどうしてもわからないのです。
  126. 荻田保

    政府委員荻田保君) まあこの委員会はひとり教育だけじやありません。公安委員会等も別になつておりますが、いずれにいたしましても、地方団体の予算一つの会計の中へ入つております。ただそれについて多少独立性があるということでございまして、やはり今のまま置く以上は総合して財政考えたほうが適当だと考えております。
  127. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 公安委員会とそれから教育委員会とを同じように見るかどうか、私は今の制度からいつても問題があると思うのです。特に教育の問題は自治団体の責任者が任命するような制度になつていない、一般国民の選挙になつているということは、時の政治的な力によつて教育が左右されないということは最も強く教育の面において主張されたその結果だと思う。従つて全く同一にこれを論ずることはできない。それは勿論財政的な決定は地方議会がするのですけれども、その運営は国民の選挙によつて行われた教育委員会がやるのである。そこに相当性格も違うところがあると考えるのであります。それは別といたしまして、私は具体的な問題についてまだ考えていない、こういうことならば、現在そういうことは反対だという意思表示をせられることは少しあとのほうにしたがいいのじやないかと思う。
  128. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今の段階において答弁を求められましたので、お答えしたのであります。
  129. 岩間正男

    岩間正男君 一応質問は打切つたのだが、お聞きしたい。追加がある。半額国庫負担のときと現状で、どつちがうまく行つていると思いますか、こういうことについて研究されたかどうか。
  130. 荻田保

    政府委員荻田保君) 半額負担のときよりは今のほうが制度としてはいいと思います。併し地方財政全体の苦しみというのは、今のほうが強いと思いますから、そういう波紋を当然教育は感じて来ると思います。
  131. 岩間正男

    岩間正男君 いいというのは、その根拠はどういうところがいいのです。これについてうまくないから、いろいろなこれに対する全額国庫負担というような要求が出て来ているのだと思う。あなたたちはどういうふうに見られるか。
  132. 荻田保

    政府委員荻田保君) 半額負担のときは御承知のように国のほうで定員定額というようなことを言いまして、非常にやかましく制限しておつた。それから半分は国庫負担で参りますと、あとの半分については別に国で補助するというようなこともなかつた。今後はそういうことかないのでありますから、制度的にはこのほうがいい。
  133. 岩間正男

    岩間正男君 定員定額というのは何もそれが必然的に半額負担と結び付かなければならないというようなものではない。あなたの話は、ここでお気の毒ながら随分、これはそういうところを研究されてないということが明らかになつたわけです。もう少し研究してもらいたい。それからもう一つ。これによつてどうですか、我々文部大臣を呼び出してことでやるわけだが、最後になると私の権限を超えてもう地財委のほうに移つてしまう。何ともならない、こういうことがしばしば答弁されている。そうして権限の上からいうと、法制的な建前からそうなる。こういう点について、これは実際は教育の運営上予算を実際確立する場合に非常な困難にぶつかつている。これは事実です。こういう事実をあなたは認められますか、どうですか。
  134. 荻田保

    政府委員荻田保君) ちよつと御質問の趣旨がわからないのですが。
  135. 岩間正男

    岩間正男君 これは文部省で今までやつていたのだ、そこに地財委とかいうものが出て来まして、そこのところを通さないと仕事ができない、実に煩頑なのです。最後の責任を文部大臣が持ち切れないで、或る場合には我々の追及が急だというと、その暗箱の中に逃げ込んで、実は問題は地財委に行つたので、何ともなりません、こういう言い逃れの方面に使つているところもあるかも知れませんけれども、事実それだけではなく、そういうところがある。そういうものをあなたは認めておられるかどうか。
  136. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは私今ちよつとよく存じませんが、たしか教育について地方分権というようなことが強くとられたので、文部大臣そのものの権限が相当最近弱くなつた。地方に指示命令するというようなことはなくなつた、その結果じやないかと考えております。
  137. 岩間正男

    岩間正男君 そうじやない、そうじやないので、これは平衡交付金という建前によつて地方財政がそこで埋められるということによつて文部省は一遍そこを通さなければならない、もう一つ余計そこに関所ができた、そういうようなことで非常に面倒になつている。そういうことについてあなたの立場では認められないだろうと思う。認めると言えば大変ですから、認めるとは言えないだろう。併しこれは実態です。そのためにこそ、こういうような今回の教育財政を確立するというような、もつと直接的なものに教育国家財政を結ぶというような要求が出て来たわけだ。いずれたくさん問題が我々によつて提起されるかと思うのでありますが、これについて十分検討してから、こういう説は発表してもらいたい。これは非常に今言つたような研究の足らない不完全な説の中でこういうものを発表されて、そうしてそれが動かせない。事務局長がさざえの殻の中に入つたような答弁をされるに至つてはあきれ返らざるを得ない。もう少し愼重であつて欲しいし、大体不謹愼だと思う、こういうことを発表されるのは……。我々は結論としてはつきり申上げる。とういう考えに対してはやはり先に行つていろいろな恐らく承服しがたいものがあるし、又説明を求め、出席を求めて具体的に聞かしてもらいたい。十分に準備してもらいたい。
  138. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御質問がなければ、次回は月曜日に文部大臣、岡野国務大臣、官房長官、地財委委員長の出席を求めて質問を続行いたします。今日はこれで散会いたします。    午後三時十九分散会