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1951-11-02 第12回国会 参議院 農林委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 十一月二日委員中川幸平君辞任につき 、その補欠として、瀧井治三郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員            白波瀬米吉君            北村 一男君            瀧井治三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            飯島連次郎君            加賀  操君            松浦 定義君   政府委員    大蔵省主税局調    査課長     亀徳 正之君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   参考人    全国指導農業協    同組合連合会農    政部長     千石 虎二君    林業協会常務理    事       楠  孝平君    澱粉糖協会常務    理事      齊藤 文三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農林関係税制に関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日は農林関係税制に関する件でございますが、農林関係税制改正に関して、関係方面から当委員会宛に種々の陳情が参つておりますので、陳情者から説明を聞きまして、続いてこれについての政府当局の方針を承わつて、その後質疑に入つて頂くことにいたします。それでは最初に、全国指導農業協同組合連合会農政部長千石虎二君から御発言を願います。
  3. 千石虎二

    参考人千石虎二君) 御紹介を頂きました全指連千石でございます。お手許に税制改正に関する意見というので、全指運名前が入つたのと、それからもう一つ何にも名前が入つておりませんのと、二つお配りしてあると存じますが、名前の入つておりますほうには、地方税その他の関係、いろいろ全般的に書いてございますが、今日は名前の入つておりませんほうによりまして御説明申上げ、お願いをいたしたいと思うわけであります。  先ず税法上の改正点といたしまして所得税でございますが、第一番は農漁民に対する勤労控除制度を立法化して頂きたい。そして一五%の勤労控除一つつて頂きたいというのが一つ主張点でございます。で農民勤労控除につきましては、昨年度の第二次のシヤウプ勧告におきましても、取上げられたのでございますが、未だ実現を見ておらないのでありまして、政府では基礎控除を五万円に引上げるということによつて、これに代えようとされておるわけでありますが、我々はこれに対しては非常に不満でございまして、その理由といたしましては、言うまでもなく農業が非常に零細である、農業そのもの食糧増産等で重要なものであるということは、もう繰返して申上げる必要はないと思うのであります。ところがその農業経営が御承知のように非常に零細でございまして、実際収入というものはこれはいわば勤労所得であるということが言い得ると思うわけでございます。昭和二十四年の暦年におきまして、これは経済安定本部国民所得の推計によりましても、勤労者は十四万九千円の一人当り所得を得ておるわけでありますが、農業者は僅かに十万二百二十四円の収入であります。中小商業者が十八万九千円というわけでありまして、一人当り収入から申しましても、勤労者よりも低額の所得であるわけであります。そういう状況でありますので、当然これは勤労控除をなされるべきであるというように考える次第であります。で、政府は五万円の勤労控除を、基礎控除を予定されておりますけれども、農民生活につきましても、だんだんと困難になつて参るような状況でありまして、税の原則からいたしまして、最低生活を保証するということが建前であろうと考えるわけでありまして、そういう点から言いましても、この際勤労控除制度を確立して頂きたいというのが我々の第一の主張でございます。  第二番目には課税所得算出方法におきまして、諸控除を引いた後に最後雑損控除を差引く方法を採用して頂きたいということであります。と申しますのは、現在では雑損控除を先に引きまして、以下医療であるとか、扶養控除とか、不具者控除基礎控除等の順序で控除がなされるわけでありますが、農家におきましては御承知のように災害等がありまして相当多くの雑損控除をされる場合があるわけでございます。又雑損控除につきましては、これは明年に繰越されるということになつておるわけでありますが、現在のように雑損控除を先に引いてしまいますというと、結局医療控除扶養控除不具者控除等に差引かれない場合が出て参りますし……又これらの諸控除については繰越は認められず本年度で切捨てられてしまう、来年度には廻されないという結果になるわけでございます。医療控除扶養控除不具者控除を先にやりまして、雑損控除をあとで引くという方法をとつて頂きますならば、実際の農家で引かれるべきものが当然引かれる。又例えば本年の災害等で非常に打撃が大きかつた場合には、今年引かれなかつたものは来年に廻つて引いてもらえるわけであります。災害控除におきましては、それだけの損害がありますれば当然これは本年引かれなければ来年度にも影響いたしますから、繰越さるべきものであろうと考えます。そういう意味におきまして雑損控除最後に引くという方法をとつて頂きたいということでございます。  それから三番目の青色申告に対する特典を拡張し、且つ同簿記を徹底的に簡素化して頂きたいということでございますが、シヤウプ勧告によりまして青色申告制度実施されたのでありまして、農業協同組合といたしましてはこれの普及運動に協力して参つておるわけでございますが、なかなかいろいろ面倒でございまして、思うようにと申しますか、多くは普及が困難になるわけであります。これを普及しようといたしますならば、当然それに対してそれだけのいわば得があるということにならなければ、なかなか普及は困難であるわけであります。そういう意味におきまして所得計算に関する現金主義記帳費控除青色申告控除等の恩典を設けるようにすると共に、この帳簿様式につきましてももつと簡素化してやつてもらいたいというのでございます。  以上の三点がこれが所得税に関する我々の主張点でございます。  次に法人税でございますが、農業協同組合に対する法人税税率現行三五%でありますが、これを軽減してもらいたいというのが我々の主張でございます。現在政府は今度法人税引上げるにつきましては、農業協同組合現行のままにして置くというようなお考えのようでありますが、我々といたしましてはこれは現在よりももつと軽減して頂きたい。申上げるまでもなく農業協同組合農民の、又農業生産を高めるための協同組織としてやつております役割なり、任務につきましては、もう申上げる必要はないと思うわけでありますが、そういう意味政府におかれましても、又国会の御趣意によりまして、農業協同組合再建整備法が出されまして、国はそれに対して財政的な援助をされておるというような状況であるわけであります。そういう状況でありますし、又農業協同組合の本来の性格から申しまして、その組織そのもの利益目的とするものではございませんで、利益があればそれは組合員個々に返すというのが農業協同組合性格であるわけでございます。従いまして原則的に考えましても、農業協同組合課税するということはこれは二重課税になるということが、農業協同組合としては年来の理論的な主張でもあるわけでありまして、そういう意味から申しまして、この法人税率現行よりも軽減してもらいたい。歴史的に見ましても、従来戦争前におきましては特別法人税として特別の扱いを受けておつたわけであります。そういうふうな経過に鑑みましてもそういうふうにお取計らいを願うようにお願いするわけであります。  それから農業協同組合法による組合又は連合会でありまして、各事業年度の初日において農業協同組合法第五十一条第一項の規定によりまして、当該事業年度の直前の事業年度の末日までに積立てた準備金の額が出資総額の四分の一の額に達しない出資組合及び連合会に対しましては法人税を免除して頂きたいということであります。これは一口に申しますならば、農業協同組合出資金出資総額の四分の一に達するまでは積立てなくちやならんという規定があるわけでございますが、それに達しますまでは、組合経営を堅固にならしむるという意味におきまして、又再建整備法を現在施行して助成措置をとつておられるというような状況でありますので、そういうふうな経営の安定を得るまでは、一つそういうふうな法人税を免除して頂きたいというように考えるわけです。現在地方税法によりましては、農協に対しては前述の基準によつて準備金出資金の四分の一に達しない組合は非課税の旨が定めてあるわけであります。この地方税と同じように法人税にもこういう措置をとつて頂きたいということでございます。  それから相続税のほうはここに書いておりますが、これは説明は省略いたします。  なおこのうしろのほうに、勤労控除を設けた場合には、農民はどれほど軽減されるかというようないろんな数字を挙げておりまするが、これは一つ参考に御覧を頂きたいと思うわけでございます。なお水飴物品税の問題がございますが、これは澱粉等協会のほうからお見えになつておりますから、我々のほうから申上げることは省くことにいたします。  以上が我々の所得税並びに法人税に対しまするところの主張でございまして、何分十分御検討を頂きまして実現を見ますようにお願いする次第でございます。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは引続いて林業協会楠孝平君の御発言を願います。
  5. 楠孝平

    参考人楠孝平君) 林業税制の問題についてお話申上げます。  西欧民主主義勢力共産主義勢力との対立から世界的軍拡風潮に支配されて、各国がひとしく増税に向いつつあるときに、ひとり日本のみ四百億であるとか或いは八百億であるとかという減税が企図されておりますが、若しそれが可能であるとすれば、それは誠に我々としてもこれを喜ぶものであります。併しながら我が国民所得が四兆五千億にして人口一人当り一カ年僅か五万三千円の収入で辛うじて生活を維持している程度に過辛ない、この中には糸へんであるとか金へんといつたような我が世の春を謳歌しているものがあるわけでありますが、そういうもののあることを考えて見れば、一般国民収入及び生活というものは、更に惨憺たるものではないかということが考えられます。従つて国民生活状態から考えて見ても、日本減税を行なうのは当然と考えられるわけでありますが、ただこの減税に当つては、第一に負担力に応じた公平なる税の賦課をなすということ、更に不合理な税制をこれを是正するということに留意する必要があるのではないかと思います。特に山林のように山間僻遠の地にあつて収入が極めて乏しく、而も植えてから伐採まで五十年、六十年という長期に亘つて非常な労力を要する原始産業として林業に対して、現在のような苛酷な税を賦課するということは、多分に公共性を持ち、且つ森林法の円滑なる実施を必要とする山森保護という見地から考えても絶対に避ける必要があるのではないかと考えられるのであります。こういつた前提に基いて以下山林税制に関して林業団体として種々なる角度かち今日まで検討した改正に関する意見や希望を御説明申上げ、国会並びに政府当局の御考慮を煩わしたいと思うのです。  現在の税制においては、林業の分野に関してはその実情を把握せずに賦課された面があるし、林業経営の存在を否定するような重税の面もあるし、或いは又運営上極めて複雑困難なる結果を招くような不適正な点もあります。このように林業経営特異性、特に長期に亘る原始産業なることが認識され、資本蓄積を容易ならしめるような特別の措置がとらない限り、その発展は期しがたいというように考えられるのであります。そこで第一に我が国の山林は戦時中戦後を通じて過伐が繰返され、近き将来においてその資源は枯渇せんとする状況にあるという点、更に第二点として林業投資収益率も極めて低く、且つその期間も長期に亘る。然るに現下の経済事情はかかる長期資本の投入を許さない。こういつた立場から山林所得税であるとか、或いは山林評価の問題、相続税の問題、富裕税の問題、更に地方税としての固定資産税であるとか、或いは木材引取税その他の問題について申上げたいと思います。  山林所得税については、林業年産過程において再造林費の確保ということは、絶対不可欠の要素であります。山林所得変動所得と見て五カ年間に亘り均分する計算は、この方法は余りにも複雑で妥当を欠いておるようでありますが、更に五カ年均分制は少くともこれを十五年なり二十年程度に延長しなければ、現実伐採頻度に即応しないという憾みがあるのであります。又一面にはこういつた考えから伐期分の伐期倍というような考え方によつて、その山林所得税を建直すべしというような主張さえある状態であります。そういつた前提に基いて、この山林所得税については、先ず第一に山林所得を他の所得と分別して課税するという昭和十七年前でしたか、そういつた従来の制度を復活せられたいということが第一点であります。次に山林所得税は総収入からその七割を控除した額とせられたい。つまり必要経費控除した残りのものに対して課税するということを考えられたい。  更に第三点として必要経費とはその年に支出した造林費撫育費管理費、又その管理費の中には公租公課を含めたものでありますが、それをその年度収入から差引いた額として処理するというように考えられたい。更に森林保護のための法人組織への変更に際しては、譲渡所得税の免除というような措置を講じられたい。これが山林所得税に対する我々の要望であります。  次に山林評価の問題でありますが、売買事例の乏しい山林立木であるとか、土地の時価の推定は甚だ困難な仕事でありましようが、申告納税主義を採用する現行税法の下におきましては、結果としてどうしても不公正な課税に陥るという危険が多いのであります。政府が推定した基準価格は、次の点から不合理が指摘されるのでありますが、幼齢林分評価によつて算定しておる現状においては、現実には立木時価売買価値が乏しいから遥かに費用価を下廻つているのが実情であります。森林法関係で更に今後伐採制限を強度に受けるという実情にあるので、立木評価には特段の考慮が必要であります。壮齢林評価グラーゼル方式評価することは一応妥当と考えられますが、過熟林木はその評価においても同様とするということは、その方式の趣旨を誤まることになりますので、これは適当でないと考えるのであります。  次に林地評価の問題ですが、これは林木以上にその客観性を欠く点がありますので、賃貸価格基準としたことは是認されるのであるが、基準倍数を九百倍としたり、或いは三千九百倍としたり、千二百倍としたりするというように当局考え方が非常に区々であります。一体どこを狙つているのか、我々としてはそれに承服することができないのであります。  こういつたいろいろな点を考えまして、この山林評価については先ず第一に十五年生以下の幼齢林評価は、その林分の伐期収入基礎とした前価を以て評価する、且つその利率は一〇%とせられたい。それから次に伐期を過ぎた林分評価処分価格から必要経費控除した価格を評定して決定されたい。次に壯齢林評価は主伐収入見込価額と前の十五年生以下の幼齢林について評価したその算出価格とを基準にしてグラーゼル方式によつて算定せられたい。次に奥地未利用林木評価は特に過大評価に陥り、これが搬出には非常に経費がかかるわけでありますが、そういつたものをとかく過大に評価する嫌いがありますので、この点を特に考慮して頂きたい。更に林地評価賃貸価格の九百倍を基準として、最高未墾地買収により政府が取得する価格を超えないようにせられたい。これは未墾地買収では現在千二百八十倍ですか、その見当でありますが、又畑では千四十倍、田では千二百何倍というような実情でありますので、せめてその畑と同じくらいの千倍なり、或いは千四十倍、そういつた程度にして頂きたい。  それから次は相続税の問題ですが、前にも述べましたように数十年の長期に亘る生産過程要する林業において現在の相続税は致命的な重税となつております。特に相続税と同時に所得税であるとか、再評価税を合計して四カ月以内に納める、こういうようなことになるでありますが、これは山林実情から見て到底堪えられないのであります。相続税納付の結果、山林分割を招来するので、そういつた税法は絶対に避けねばならないのであります。それは山林経営上特に適正規模経営を理想とするからであります。山林の換金が非常にむずかしい実情、又特に大量の処分が至難である、こういつた点から考えて、改正森林法の企図するような森林経営実施であるとか、或いは営林監督の強化、こういつた政策考えて、この改正に関しては次のように是正して頂きたいと思います。  先ず第一に森林分割の原因となる障害除去のための基礎控除額引上げて、累進税率を緩和し、施業計画による伐期の到達するまで最高三十年の延納を認めてもらいたい。その延納の場合には利子を日歩一銭にしてもらいたい。  次に物納物件の選択を納税者にさせると同時に、その物件評価額を修正することなしに受理する。それから山林の相次相続期限を二十年に、これは前の二十年と又違うわけですが、これは一度相続があつて、更に続いて又相続が起つたような場合に、その期限を二十年間に延ばしてもらいたい。それから更にその相次相続の場合の譲渡所得延納を認めてもらいたい。法人に現物出資した場合の譲渡所得は免除してもらいたいと同時に、申告納税時期を一カ年に延長してもらいたいと、まあこういつた点が相続税に関する要望であります。  次は富裕税の問題ですが、これは一般方面でも言われておりますように、不動産重課に陥りやすい点がありますので、これはまあ廃止して頂きたいということを簡単に申上げて置きます。  次は地方税の問題ですが、第一に固定資産税の問題で、林地課税標準額を前の山林評価の場合にもありましたように、課税標準額賃貸価格の九百倍を超えないようにしてもらいたい。又造林事業の促進を図るために、十五年生未満造林地に対しては、この固定資産税を免除してもらいたい。それは十五年生未満森林については経費のみを要して収入が期待されないからであります。次は木材引取税の問題、或いは移出税の問題、水利地益税、こういつたものは原則として廃止して頂きたいのでありますが……ただ地方実情によつて必ずしも廃止できない場合も考えられるのでありますが……特に木材引取税が廃止困難な場合には、課税標準頼り算出並びにその納税義務者が不明瞭であるために起きている紛争を解決するに足る特別な措置を図つてもらいたい。そのために本税創設理由を尊重して山林に還元するよう、この税が山林のためになるように、その目的をはつきりして課してもらいたい。具体的には県税とすることが至当ではないかと思います。次に特別徴収義務者制度を廃止してもらいたい。更に課税標準額算出基礎立木価額伐採賃金とを合計した、つまり山元土場価格とはつきり限定して頂きたい。  以上山林税制についての見解を申上げました。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは次に澱粉糖協会齊藤文三君に御発言を願います。
  7. 齊藤文三

    参考人齊藤文三君) 私澱粉糖協会齊藤でございます。水飴葡萄糖物品税のことについてでございますが、水飴葡萄糖物品税か悪税であるということを先ず最初に申上げたいのでございます。どういうわけで悪税かと申しますと、先ず第一に農業政策の面からこれを見たとき、或いは又、完全徴収が困難であるという点、第三番目には、外貨が節約できるという点、第四番目に国内資源で賄える甘味給源需要減退を来たすような、そうして又食料品課税するようなものは悪税である。まあその四点について申上げたいと思うのです。  先す最初農業政策の面からこれを申上げますと、現在日本で生産されます甘藷馬鈴薯の総生産量の大体半分というものは農家自家消費になるものでございます。その残つた半分が市販されるわけでありますが、その市販される大体六〇%、まあ北海道の馬鈴薯で申しますと、大体八〇%から八五%というものは、澱粉になる。内地の甘藷について申上げますと、大体四〇%から四五%ぐらいは澱粉になるというふうに市販されるものの過半数というものは澱粉加工されるものでございます。そうしてそのできました澱粉の大体八〇%というものは、水飴葡萄糖に生産される。そういうふうな面から見まして農家経済というものと製飴業というものは、非常に密接な関係がある。従つて製飴業発展如何ということはいも作農家発展と大いに大きな関連があるわけでございまして、水飴需要を促進するということは、取りもなおさず農家経済というものとの密接な繋りがあるという関係からしましてまあ農業政策的な面からこれを取上げて頂きたいというふうに考えるのでございます。  次に澱粉糖需要関係製飴業との関係でございますが、澱粉は先ほど申上げましたように八〇%を製飴業に従来需要されておるわけでございますが、澱粉需要関係につきましては、従来政府或いは民間等におきましてもいろいろと検討をされておるのでございますけれども、水飴葡萄糖以外に現在のところ大きな需要を持つことは少くとも現状では望まれないということを申上げられると思うのでございます。従つて政府が今までとられて来たいも政策とか、或いは農業政策というものは、少くともいもに関しましては、農家いもを作り、そのいもの何パーセントが澱粉になるという御計画だけでございまして、その澱粉の第二次加工品であるところの水飴葡萄糖というものの需要発展という面につきましては、従来何らの方策がなされておらなかつたことをまあ申上げたいのでございます。併しながら水飴葡萄糖需要発展なくして、先ほど申上げましたようにいも作農家発展考えられないのでございまして、やはり第二次加工或いは第三次加工品という面まで、政府当局におかれましても十分にお考えをお願いしたい。その第一は資金の融資面であるとか、或いは又このほかのまあいろいろな隘路の打開という面についても、いろいろとあるわけでございます。  それからその次には菓子というものについて申上げたいと思います。菓子と申しますと、何かこう贅沢品というような観念が一般にまあ従来の慣習として多かつたりでございまするけれども、菓子という、甘味というものが家庭生活に如何に必要なものであるかという点につきましては、私どもこの戦争中或いは戦後に如何に甘味を各家庭で欲したかという点から見てはつきりするわけでございますけれども、安本で本年調査されました全国的な菓子需要というものは、一日に大体三億円、これは都市では一カ月一世帯五百円、農村では一世帯三百円という割合で消費されておるということでございまするが、それでは水飴葡萄糖というものは、一年間にどのくらい生産され、或いはどのくらいどういう方面に消費されておるかという点を申上げますと、昭和二十五年度におきましては、水飴葡萄糖は大体十八万トン、その十八万トンの中で一五%というものが、葡萄糖が生産されておつたのでございます。その十五%の需要はどうかと申しますと、一番の消費は合成酒の原料として使用されておるのでございます。それから繊維製品の染色用であるとか、或いは皮のなめしであるとか、まあそういつたような雑工業に使われておるのでございますが、飴のほうは全体の生産量の八五%、これがまあ飴でございますが、その七〇%くらいは飴菓子に使われておるのでございます。残つた三〇%がジヤムであるとか、或いはそのほかの医薬品であるとか、又数量的には徴量でありまするけれども、絵具であるとか或いは漆、そういつたようなものにも若干使われておるのでございまするが、その七〇%の水飴の最大消費はキヤラメルでございます。キヤラメルにつきましては、大体現在一カ月に二億万サツクでございますか、そのくらいの消費が現在あるわけでございまするが、そのように水飴というものは極めて大衆的な菓子原料であるということが申されるのでございます。そういうような子供さんが主として消費されるような飴菓子物品税をかけるということ自体、どうかということが先ず申上げたいのでございます。  それからその次には外貨の節約という問題について申上げたいのでございまするが、大体戦前、昭和九年当時でございますが、砂糖は年間大体百万トン程度の消費があつたのでございます。当時は人口六千七百万くらいでございましたが、その当時から見ますと人口が八千三百万でございますが、二割五分かそこら殖えておりますので、昭和九年当時の人口の殖えた割合から申しますと、砂糖はなお余計に増配されてもよろしいというようなふうに一応考えられるのでございまするけれども、経済状態がそこまで行つていないという点から見ましても、まあそれだけの需要というものは先ず考えられない。昨年度におきましては大体四十万トンの砂糖が入り、今年は大体四十五万トンかまあ五十万トンくらい入るようでございます。併しながら、この四十五万トンの外貨というものは大体一億ドルくらいになります。日本へ輸入される外貨の総額大体十八億ドルというふうに伺つておりますが、その点から見ましても、五%から六%に当る。これを甘味である水飴葡萄糖で或る程度賄うことができるのでございまするから、それによつて賄いますとすれば、外貨の節約という点にも相当寄与することができると、これはまあ従つて農家の繁栄にもなるわけでございますし一挙両得であるというふうに私どもは考えるのでございます。勿論砂糖を輸入してはいかんというふうに私は申上げるのでございませんで、甘味というものは民生安定上如何に必要なものであるかということは、最初に申上げましたように戦中戦後の状況から考えましても言えるのでございまするが、併しながら砂糖は純消費物資であるという点から見まして、砂糖がどのくらい輸入されましても、日本の産業復興に果してどれだけの役に立つかということから考えましても、私どもは外貨の節約をしなければならないという現状から考えましても、特にこの点は申上げたいと思うのでございます。  それから完全徴収の困難性という点について申上げたいと思います。
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 簡潔にお願いします。
  9. 齊藤文三

    参考人齊藤文三君) 物品税があるためにこれはまあ昭和十四年頃に初めてかかつたわけでございまするが、戦後におきまして、特に水飴を作る業者が非常に殖えたのでございます。戦前におきましては大体八十工場くらいで生産能力は十五万トンくらい、そうして生産された水飴葡萄糖というものはやはり十四万トン程度でございましたが、現在では大体五千軒、製造能力にしまして六十万トンくらいの能力になつておるのでございます。これはどうしてそんなに殖えたかと申しますと、水飴物品税があつたためで、而も高率な物品税があつたという点から、これを脱税することに魅力を感じ、業者が殖えたということが言い得るのでございます。ということは、物品税があるためにこれに……。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御発言途中ですが、予定もありますから、簡潔に一つ願います。
  11. 齊藤文三

    参考人齊藤文三君) そういう面から見まして、非常に多いという点から、従つて脱税が非常に行われるという面があるわけでございます。  最後にそれでは申上げたいのでございまするが、水飴葡萄糖物品税と他の物品との比較でございますが、現在の物品との比較でございますが、現在の繊維品等には如何なる高級品でも物品税というものはかけてない。然るに子供さんの食べるキヤラメルというようなものに物品税がかかるという点、或いは又バターであるとか、チーズであるとか、ハムであるとかソーセージであるとか、そういうものにも或いは又お茶であるとか、そういうものにも物品税がかかつておらないで、水飴にかかつておると、そういう点から見まして……以上少し長くなりましたけれども、水飴物品税の不合理性ということを申上げまして、一つ速かに全廃をして頂くようにお願いを申上げたいのでございます。大変失礼いたしました。
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) なおこのほかお手許にお配りしました印刷物にありますように、木材引取税の存置に関する陳情山林課税全廃の陳情等がありますが、御本人がお見えになりませんので、文書によつて御了承願いたいと思います。  それでは只今の参考人の皆さんの御発言に基いて、政府側からは大蔵省主税局の調査課長の亀徳さんがお見えになつておりますので、今のお三かたの御発言について、どういうようにお考えになつておるか、一応説明を承わりたいと思います。
  13. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) それでは皆さんからお述べ頂きました御意見に対して、順序を追いまして簡単にこちらで考えております点を申上げまして、なお御必要に応じまして更に深く突つこんで御答弁申上げたいと考えます。  第一点は、所得税に関連いたしまして、農漁民に対して一五%の勤労控除制度を設けよという御意見でございますが、これはシヤウプが再度来朝されましたときも取上げられ、我々としても一応検討済の問題でございます。その際に問題となりました点は、普通の一般勤労所得者に対する勤労控除をどうするかという問題が第一。それから第二に、農漁民勤労控除を認めた場合に、その他の中小企業者、特に大工、左官、或は主として勤労を主とした営業所得者に対して更に勤労控除を拡張するかどうか、こういう二点が問題になつて来るのであります。飜りましてこの所得税課税状況を見ますときに、大よそまあ三つのグループに分けて考えられるのではないかとこう考えられる。第一のグループは、大体勤労所得者のグループ、次にはここに挙げられております農漁民のグループ、それから第三が営業者のグループ、そして一番課税が的確に行われておりますのが勤労所得者、それから次に的確に行われておるのが大体、漁民の場合はいささか問題がございますが、農漁民でございます。それから第三に、一番徹底を、これは欠いておるのではないかと思われるのが営業所得者のグループ、まあこういう恰好になつております。従いまして今農漁民に対する勤労控除引上げるという問題が当然問題になりました場合には、当然勤労所得者の控除をこれを一五%にしたら何%上げれば釣合いがとれるかという問題が当然出て来るのであります。で、今回の税制改正によりまして、恐らく来年度基礎控除五万円、扶養控除は三人まで二万円という線が確保されておるのでありますが、今回の改正が最もやはり有利なのは、厳密に所得税法の適用を受けておるものが最も有利な状況になるというのが今回の税制改正の狙いでありまして、むしろ営業については改正になつても更に所得を徹底して把握して、むしろ勤労者農漁民のかたがたに対する所得の権衡がとれるように更に課税を充実して行く、行かなければならないのではないかという問題すらあるのであります。従いまして我々の考え方は、現行勤労所得者の控除引上げの問題もありますが、これは現在の基礎控除扶養控除の思い切つた引上げによつてともかく救い得る。従つて農漁民のかたの勤労控除の御要望も、一つ我慢願いたいと、こういう考え方でおります。  なお試みに農民のかたの所得税納税者が大体暦年どういう工合になつておるかという数字を御参考までに申上げますと、昭和二十三年には三百七十三万九千人、これは最も新らしい最終課税の実績であります。誤謬訂正その他を済ましたあとの数字でございますが、二十三年が三百七十三万九千人、それから二十四年が三百二十万五千人、二十五年の軽減措置によりまして非常に納税者が減りまして百八十四万四千人、二十六年は、これは米価の引上げその他によりまして、現行法でありますれば二百七万一千人となる予定のところが、今回の所得税法の臨時特例に関する法律によりまして百五十三万二千人になる予定でございます。このように非常に納税者のかたがたも半分以下に減る状況でありまして、この数字によつても端的に今回の所得税改正によつて最もやはり負担軽減の恩典を與えられる一つのグループに属するかたがたであるということが言えるのではないか。現在の財政需要その他を考えますときに、一応勤労所得者の勤労控除もそのまま据置き、それから農業に対する勤労控除の新設という問題も御勘弁願うということで、さして無理な結果にならないと、こう考えるのであります。それから第二点の雑損控除を差引く場合に一応医療費、扶養控除不具者控除、その他を差引いたあとで雑損控除をしてもらいたいいとう御意見でありますが、これは雑損控除については繰越があるから、むしろこれをあとにしてくれと、こういう御議論でございますが、我々から言わせればむしろ話は逆であつて雑損控除については繰越その他が認められるから先ず先に引くという考え方に立つておるわけであります。と申しますのは、若しも医療控除控、扶養控除その他について繰越が認められるという建前になつておりますれば、それは問題ないのでありますが、雑損控除だけが繰越を認められる、而も雑損控除については青色申告をしない者についても認めておるわけであります。従いましてむしろ雑損控除をして、そのあとに医療費、扶養控除不具者控除をするという御議論の前提には雑損控除を先にやつて、あと医療費その他も繰越して引いてもらいたいという御議論が裏にあると思いますが、医療費、扶養、不具者控除原則として繰越いたさない建前にいたしております。従いまして今おつしやつたような御意見を採用しますと、雑損控除をした人には事実上基礎控除医療控除が繰越されるという結論になりますので、それでは面白くないのではないか、私としては繰越ができる雑損控除からやはり先ず引いて行くという建前をとつております。それから第三番目の青色申告に対する特典を拡張して、且つ青色申告の簿記を徹底的に簡素化するという御意見でありますが、この点につきましては我々といたしましても、十分考慮しなければならない問題だと考えております。ただどういつた簿記の様式にすればよいかという点は非常にむずかしい問題でありまして、現行法におきましても簿記の様式を法定しておきませんで、記載事項だけを一応法定しておりまして、簿記の様式まで詳しく法定してはおらないのでありますが、まあ実際の指導面で或いは多少複雑なことを要求しておるのではないかと見られる向もありますので、この点については十分検討をしたいと思つております。  次に農業協同組合に対する法人税の問題でございますが、まあ現行法人税……公益法人、或いは宗教法人といつたものにつきましても、その営利事業については課税するという建前をとつておりますので、これらの考え方と歩調を合わす意味合いにおきましても、一応農業協同組合に対しても課税するという建前はそのまま続行して行きたいと考えておるのであります。ただシヤウプの改正によりまして、こういつた特別法人一般法人と同様に、昨年三五%の税率課税するということにいたしたのでありますが、やはり特殊な特別法人に対する課税については、何らかの考慮を払わなければいけないのではないかという趣旨によりまして、今回法人税率を一律に四二%に上げるに際しましては、こういつた公益法人並びに農業協同組合に対する税率現行の三五%に据置くということになつておるのであります。五の問題は四と同じ考え方でお考え置きを願います。次に相続税の問題でございます。特にこの点について問題になりますのは、農家のかたの相続の場合に、長子のかたが原則としてやはり相続されて、農地その他が分割されないように、又分割されないために長子が一人で相続される場合には、現行相続税は非常に高いものになる。従つて相続税の面から農地の分割の傾向が助長されるのではないかという御主張があり、恐らくその問題とも関連しているものと考えるのでありますが、相続税の問題は、飽くまでも、我々としましては、民法の原則の下にやはり課税しておりますので、民法の原則現行のままであります現在、相続の場合は、民法の原則が一応働くということを前提として、相続税を課せざるを得ないという立場にあるわけであります。ただ現行相続税が非常に相当税率の点において、基礎控除額の点において相当なお考慮の余地があるのではないかということで、むしろ相続税全般の問題として、基礎控除の問題、税率の引下げの問題について目下検討いたしております。  次に、林業関係の問題についての御意見について御答弁申上げます。林業税制についてはなかなか問題が複雑でありまして、我々もいろいろこの問題については頭を突つこんで研究いたしたのであります。殊に山林課税につきましては、御存じのように、先般ホール氏が来朝されまして、林業税制に関する勧告を残して行つておるのであります。我々もこの勧告を研究いたしておるのでありますが、ここで述べられておるの(イ)(ロ)の点もこれに似た点が勧告の中に現われておるのであります。(イ)の八割という考え方基礎には、再造林費控除する、それがなかなか算定しがたいから、便宜八割の控除率を以て考慮してもらいたいという御意見であろうかと思うのであります。ただ再造林費を引くという点から我々も少し検討して見たのでありますが、実際の実例に基いて検討いたしますと、現在の課税方式は甚だ複雑ではありますが、取得価額の算定につきまして、再評価関係を働かせまして、財産税のときの調査価格に一定倍数を乗じだものを以て取得価額とみなして、それを差引きました関係上、財産税の申告の非常に少かつたかた、こういつた特殊の場合を除きましては、所得税の負担はさほど高いものでもないのではないか。むしろ森林についての問題は、富裕税乃至相続税にあるのではないかというふうな印象を我々としては受けておるのであります。ただホール氏の勧告の線に従つて、再造林費現実に引くという考え方計算しますれば、むしろ現行課税方式によつて計算いたしましたほうが所得が出ないで済むというような結論になるようであります。ただ勿論、ここに出ておりますような八割というような数字には決してならないのでありまして、恐らく八割の根拠付けられる資料の提出は御無理ではないかというふうに考えるのであります。むしろ問題は、やはり森林法その他が出まして、森林の保護育成という面から我々としても何らかの考慮を払わなければならないということは考えておるのでありまして、むしろこういつた八割の控除ということでなしに、別個に譲渡所得山林所得等一括して、いわばこういつた不規則所得課税方式を再検討して、その不規則所得課税方式をどうするかという問題の一環としてこの問題を取上げて検討して見たい、こう考えております。所得税の(ロ)の森林を持つておられるかたが法人組織になられた場合の譲渡所得課税の免除の問題でありますが、この点は、これは現在法人並みになりました場合には、必ずこれは譲渡所得課税の対象になりますので、特に森林だけを除外するということは現在の税法の建前上困難ではないか。むしろ先ほどの譲渡所得課税そのものの方式に若干今問題がありますので、その問題の解決によつて或る程度この(ロ)の問題も解決されるのではないか、こういうふうにも考えられるのであります。ただ、これに関連して、先ほどおつしやいましたように、変動所得としての平均課税をする方式が非常に複雑でありまして、これが納税者のかたにも非常に御迷惑をおかけしておるという事情も我々としてもよくわかつておりますので、この点は、変動所得の平均課税をした場合と同じような負担の軽減を図り、同時に変動所得の平均課税という複雑な方式によらないでも済むようなことに改めたい、目下その点を研究中であります。それから相続税の問題につきましては、これは先ほど申上げましたように、相続税全般の問題として考慮いたして行きたい、特に延納を認められました場合の利子をどうするか、こういつた問題は山林だけということではなしに、相続財産のうちに金に換えることのなかなかできないもの、換価困難な資産が相続財産のうちに相当部分を占めておるような場合、こういつた場合についての相続税延納が認められました場合に、その利子税、現在の日歩四銭を何らか軽減する必要もありやしないかという点は研究いたしております。それから期限を二十年に延長するという問題でありますが、この点は現在相続税が非常に重いということに関連しての問題でありまして、この相続税の負担の軽減という措置が或る程度図られますならば、あえて二十年でなくして現行或いは若干それを引き延ばすという程度でいいのじやないかと考えるのであります。  それから森林評価の問題であります。この評価について一番問題になりますのは、結局富裕税課税標準としてこの評価の問題が非常にまあやかましい問題になつておるのであります。まあ私もこの問題にちよつと首を突つこみまして、さる山林経営者のところを拝見さして頂いたのでありますが、このかたの場合は、評価をぎりぎり一ぱいにやられておりますので、所得税はかからなくて富裕税が十五、六万円でございましたか、毎年かかつて行くというような状況のところも見せて頂いたのであります。富裕税評価につきましては、これは第四の、これは廃止することという御意見が出ておるのでありますが、富裕税の廃止ということもいわば一つの研究問題となつておりますので、これが若しも廃止することになるとするならば、この森林評価の問題の大半は少くとも国税に関しては解消すると思うのであります。併しなお現在富裕税は残つておりまするので、依然として問題は残された形でおるわけでありますが、我々としましては、幼齢林評価の問題或いは奥地林の評価の問題については、或る程度考慮の余地はあるのではないか、又標準伐期を過ぎました樹木に対してそのままグラーゼル方式を適用して行くということは、確かに穏当を欠くと思いますので、その点は早急に改めたいと考えております。  それから水飴の問題でございますが、いろいろ縷々お話になりましたように、まあ水飴課税につきましては非常に問題が多いということは我々も十分了承しておるのであります。現在の物品税が果して奢侈品課税に徹底しておるかどうかという点は確かに問題の存するところでありまして、例えば当然必需品として免税していいような紙等が現在課税になつておるのでありまして、これはいわば財政物品とでも申しましようか、相当な税額もありますので、思い切つた低い税率ならばさほど弊害もないのではないかという建前から現在課税しておるのでありまして、水飴も百斤五百円で、従価税に直しますと八%程度になるのでありますが、最も低いところで課税いたしておりますので、現在これを直ちに廃止するかどうかという点はちよつと今ここで申上げかねるのであります。なお物品税につきましては、御存じのように、最近むしろ直接税よりも間接税の引上げによつて財政を賄うべきではないかという議論も非常にやかましくなつておる時代でございまして、むしろ方向は間接税の増徴こそ考えられる、その軽減はいわば若干ストツプされたような恰好ではないかというような状況でもありますので、いろいろ問題もあろうことはわかるのでありますが、今直ちにこれを廃止するかどうかという点は問題があろうかと思います。なお水飴によります本年度の税収は一応十四億程度としております。
  14. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 引続いて質疑に入るわけでありますが、その間ちよつと時間を頂いて麦類の統制撤廃に関する件で、各県の精麦協同組合の代表のかたがたが片柳さんの御紹介で陳情に参つておりますので、短時間その陳情を聞くことにいたしたいと思います。速記をとめて。    〔速記中止〕
  15. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて……。  それでは先ほどの参考人のかたがたの御発言について、大蔵省の主税局から、それぞれ意見の開陳があつたわけですが、この機会に委員各位から質疑がございましたら御開陳をお願いいたします。ちよつと申上げますが、大蔵省のほか、更に林野庁、それから農政局協同組合課、官房調査課等からも、それぞれ担当官が御出席になつております。
  16. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 調査課長にお尋ね申上げますが、農業に関する課税の問題で一五%の控除をされる、こういうことに対して、いろいろ他の勤労者の話もありましたが、対象人員がどんどん減つて来るから、これで大体引下げたことになるだろう、こういうお考えですか、その点を……。
  17. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) お答え申上げます。納税人員が減つたからいいだろうという簡単な議論で申上げたのではありませんで、いわばこれが一つの傍証と申しますか、一つの相当軽減されている例示として申上げただけであります。少しこの問題を詳しく申上げますと、一体所得税での勤労控除はどういう性格を持つておるものだろうかということが一つ問題になるわけです。で、いろいろな議論があるのでありますが、一つの議論の中には、勤労所得者というものは、所得がまるまる掴まれてしまう、まあ私自身もその一人でありますが、所得二十万円として、二十万円はまるまるこれは掴まれてしまう。ところが事業をやつておられるかたについては、いろいろな必要経費といいますか、いろいろ引かれる、生活費は別でありますが、まあ勤労者にしても、或いは服なり靴なり、そういつたものが或る程度必要経費的なものもあるわけでありますが、そういつたものは一切引かれないで、まるまる所得の対象になるということは少しおかしいではないか、併し必要経費は幾らかということも算定もつかないし、事実その所得がまるまる課税になるということも実にきついということで、昔から勤労控除というような制度が認められておるわけです。では、問題は勤労控除の内容が必要経費的な要素だけに限られておるかどうか、そこでシヤウプの勧告の中には、一種の減価償却に類するようなものだというような意見もあるわけであります。そういつた議論から言えば、およそまあ所得を生む種類をいろいろ考えて見ました場合に純粋な勤労だけによりて所得を生んでいる、或いは資産だけから所得を生んでいる、それから資産と勤労とが結び付いて所得を生んでいるものと、大別してこういう三つに分かれると思います。従つて資産だけから所得を生んでいるものについては何にも見る必要がない。では勤労者、少くとも資産と勤労と結び付いているもの、而も資産の要素が少くて、勤労の部面が非常に多いもの、例えば農民のかたとか漁民のかた、或いは大工、左官とか、それから中小企業者の中で非常に、殆んど労力を以て働いておられるというようなかたについて、勤労控除基礎は或いは拡張すべきではないかということは、一応理論的に確かに成立ち得ると、こう考えるのであります。従つてここの一五%ということは、これはちよつと少しひど過ぎるので、これは率直に言つてちよつとひど過ぎると申上げていいと思いますが、或いは五%なり一〇%程度或いは引上げということを或る程度考えられる、併しその場合には少くともさつき言つた勤労者には必要経費的なものが一切認められておらないという要素も加味しなければいかんのじやないか、農民のかたは確かにきつい。併し土地なり、ともかく資産があつて、その人が亡くなつても、或いは妻がその農地で、働くなりして所得を生むということがある。ところが勤労所得者については、親父が死んでしまえばもうあとは資産は何にもないというようなところに、どうしてもその間にやはり資産と勤労と結び付いて所得を持つているものと、勤労だけから所得を期待しているものと、そこに何らかの差があつて然るべきだ、そこにどのくらいの差をつけたらいいだろうということになるわけでありまして、そうすれば少くとも、まあ現行の建前をとりますれば、農民のかたに五%の勤労控除を認めるとするならば、勤労者勤労控除は二〇%に引上げる、或いは農民のかたも勤労控除を一〇%に引上げるならば、勤労所得者のあれは二五%に昔の制度に返えるということでないとやはり課税の釣合いがとれないのではなかろうか。若し農漁民のかたたちに勤労控除を認めるならば、例えば大工、左官といつたような主として勤労を主体として働いておられるかたについては少くとも同じような勤労控除を理論的に我我としては認めて行かざるを得ない。そういつた場合に、では中小企業者の中でどの分野のものについてはどれだけの勤労控除を認めて、それから五十万円以上の営業所得者については勤労控除を認めないというような、どつかで線を切らなければならない、非常に不自然な姿をとらなきやいかん。而もこういうように勤労控除制度を拡張しました場合の減税額というものが実は夥しい額に上るわけです。従つてそういつた摩擦を起すよりも、むしろ基礎控除引上げ或いは扶養控除引上げということによつたほうがそういつた摩擦も起きずに、而もおしなべて平等に負担の軽減を図り得る。而も特にいい点は、確実に所得を掴まれて課税しているものほど減税がはつきりと適用になる、例えば給与取りについては今回の改正によつてきつちり源泉徴収税額ははつきりそれだけ減つて来るのであります。これは農民のかたも主として供出、まあ来年これは統制撤廃という問題になりますと、これは又おのずから別個の問題が又派生して参りますが、一応現在の段階でありますれば供出という、割とはつきりしたものがありまして抑えられるために勤労所得者ほどではないにしても相当的確にその所得が把握されておる。従つてそういうかたについては基礎控除扶養控除引上げというものが的確にその人の減税になつて来る。そういつた点も十分考えましたときには、現在の基礎控除扶養控除引上げをこの財政の困難なときにここまで引上げるならば勤労控除引上げはむしろ差控えるべきではないかという考え方に立つております。
  18. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 大分話をこまごまとされたのでありますが、一体農漁民、それから大工だとか左官だとか、こういうのも、成るほど農家所得の算定には勤労控除考えが非常に面倒である。そこで一般勤労者即ち船料を取つておる者、これは今あなたのお話になるように死ねば別でありますが、死ねば恩典もありましようが、農漁民とか左官とか大工とかいうものが不幸にして病気で倒れる、或いは死にますとそれきりなんです。一般の普通勤労者と言うておりまする給料をもらつておりまする者は決して一カ月や二カ月病気で寝ても何にもそれは急に支障がないわけです。そこで公平ということは非常に面倒なことで、公平にするということはできない。不公平にでも結構だが、その業について控除することは何も不思議でない。幾ら財政負担が重かろうが軽かろうがそんなことは別の問題で、すべきことは面倒でもやつてその業に適するようにすることが我々の義務であり、そうすることが又当然で、一体税というものは納税義務者が喜んで納税するようにして取ることが納税の建前である。今のように強盗のように取ることはこれは税の建前でありません。都合はどうか知りませんが、田舎では徴税官吏が来ると強盗だと言つておる。それは人殺しをしない強盗の取り方で、それは決して納税の取り方ではないのであります。そこが非常に面倒なことでありますが、面倒でも我々はやつてそれを取ることにするのが我々の義務である。わきへ片付けて置くことはいかんと思いますが、十分御研究をいたしてもらいたいと思います。  それから次は青色申告の問題でありすが、農家のかたにこういう面倒なことを言つても、やる農家もありますが、大部分それは最近に相当の知識を得たいい青年のいる家であつて、普通ならやれません。そこで農家が、現在日本農家が現在の青色申告の様式を満足に全部が申告するようなことになりますと大変結構でありますが、そうなりますと日本農家はもう駄目なんで、この青色申告ができるようになりますとかなり百姓は衰えてしまつて、労意欲がなくなるということでありますから、私はそこまで日本の農村を事務的に引張つて行きたくはないと思うんです。そこで問題はもう少し簡単明瞭に収支のバランスがわかればいいという程度にせんとこれはいかんと思いますから、それもお考えになるということでありますから十分お考えつて置きたいと思います。最後の問題は相続税のことでありますが、財産々々とよくおつしやられますが、これほど妙な財産はありません。日本が講和をして日本の自立ができる、それから先国が思うようになるということでありますが、そういう考えでいろいろな戦争後の統制時代の何を拘束するような法律はなくそうとしてはおりますが、併しながら農家の土地ほど甚だ迷惑で、所有権があるとは言いながら担保権もなければ売買も勝手にできないことは、簡単に言いますと無価値なんです。ただ所得は気候と手伝をして物を取つているに過ぎないのであつて、どうにもならんものを相続税の対象にして税を取るということは土地に関しては考えが間違つているのだ。これが外されまして自由に売買ができ債権担保になりますとこれも成立ちますが、そうでないのにこれを課税をして相続税を取るということはこんな矛盾な話はありませんからその点は一体どう考えているか、お聞きしたいと思う。
  19. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 相続税の問題は評価の問題とからみまして非常に困難な問題をはらんでいるのでありますが、ただ現在我々考えております、これは具体的内容を申上げる勿論段階ではありませんけれども、現在の程度基礎控除額なり、税率なりを終戦直後、何と申しますか、例の集中排除法とか、ああいつた一連の法律が出たと同じ考え方が一部まあ富の集中はよくないのだ、そういつた面をあらゆる面から防止するというような思想が実は相続税の中にも若干入つているんではないかというような勿論感じも若干ありますので、実際相続税が的確に評価され、課税されるとしますと、特にそれを一人のかたが相続されるというようなことになりますとまあ相当な負担になるわけであります。ただ御承知のように分割してそれぞれ相続される場合にはまあ相当軽減されることになつておりますが、まあ現在の相続税そのものが少し無理ではないか、その面の解決によりましてまあ殆どおつしやいました問題は解消するのではないか、まあ中流以下一般農家のかたにそうひどい相続税の問題が起るということはまずないのではないか、こういうふうに考えております。
  20. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつとお待ち下さい。今の点は農業関係でなしに相続税一般についてのことですか。
  21. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) さようでございます。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 分割をしますと課税がずつと少くなるということになつております。ところが現在の農業の建前からは分割できないことになつております。それで二回農業者相続についての法律が出ましたが、真向うからぶちこわして、そうしてそれは葬り去られております。ということは、それは愚にもつかんことを言うものだから葬り去られておりますが、現在の状態分割相続は恐らく不可能で成立たぬことだと考えておりますが、一刻も早くこれを文句ないようにするのには自由な土地の売買、或いは担保に入れるようにして置きますとこれでは文句の言いようがないのでありまして、それで国できめております民法の命ずるものによつて行けばそれで済むと思いますが、農業に対しては民法の命じております一般相続とは異なつてつて、やがてその時期が来ますると、又我々がいろいろ言うことがあると思いまするが、一刻も早く、このままでは、相続をする時分に現在のような分割をしては農業は成立ちませんから、分割しないで相続をいたします。それを今のように無価値なものに価値ありと称して課税することはとんでもないことである。家とか、農具、馬というものは売れば売れます。売れますからこれは相当の価値を認めるのも当然でありますが、土地に対しては無価値として見ることが当然であると思いまするから、その点も課長さんにきつい質問をしてもいかんと思いまするから、そういうふうにお考えになつて頂くようにお願いいたします。  次は森林のほうでありますが、どうも森林に面倒な考えをして実はこの法律は、法律家に解釈してもらわなければわからんような法律を作ることが誤りでありまして、誰が見てもわかる法律を作ることが国民に適応する法律でありまするからいいのでありまするが、そうでなくいろいろなこれに対する議論があるが馬鹿な話で、そういうことは今後何とか我々はやめるようにしたいと考えておりまするが、現在の段階では仕方がありません。それでああいう面倒くさい森林法をしないで、植林というものは素人はできないのであります。そこでこの日本のような林木の非常に窮迫いたしておりまする国では、私は伐採時期まで無税、伐採をしたときに、そのときの価格によつて税を課するというくらいな襟度を示しませんと、今のような状態では大よそ植林というものは発展をしない。そこでうんと資産家でないところの金持が非常にいい考えをする人で、山くらい大事なものはないと、日本の財産の中で山が一番財産としてはいいのであると考えまして、そこでそういう観点で利息というものを考えないで、犠牲的に財産というものに熱中をしてやる分にはこれはいいのでありまするが、それにいたしましても、収入のちつともない者に、ただ金を注ぎ込むだけで収入のない者に税金をかけるということはいけない。そこで間引のために除伐をする、これはそれに収入をかけるならよいと思いますが、伐採時期までは税金をかけないで、伐採したときに税金をかけるというほうが簡単なので、何もむずかしいことを考える必要がなくて一番よいと考えるが、どう考えるか。もう一つ伺いますが、昨日の夕べ帰つて見ましたら、私は実は北海道でありますが、網走管内から電報が参つております。農業会の個々の組合員に出荷の調査をされて困る、これは非常な悪影響を及ぼすから、即時返事をしてくれという強硬な電報が来ている。それは所得税法六十三条の権限を以てやるということを言つているそうでありまして、そんな馬鹿なことはない。とんでもない間違いで、そんな役人がいては大変だと思つておりますが、どう考えておりますか、お聞きしたいと思う。はつきりしておらんとすぐ電報を打たなくてはならないので……。
  23. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 先ほどの森林の問題でございますが、伐採するまで税金を取るなとおつしやる意味富裕税相続税に関連する問題だと思います。勿論所得税は必ず所得が生じなければ課税をいたしません。富裕税の問題は先ほど申上げましたように、これは今後どうなるか、若しも廃するなら問題はなくなります。現在の段階においては相続税と同じような問題になると思います。ただおつしやいますように評価の問題について、例えば幼齢林とか奥地杯について評価の点について或る程度考えなければいかんという点はありますけれども、伐るまでは勿論所得は生じないのでありますが、いずれ伐るときには相当の所得が生ずるということは、伐らない現在においても一つ価値を持つておるわけです。やはり相続税なり富裕税とかいうものの課税標準は、いわば財産価価というものを課税標準にいたしておるわけでありまして、価値が全くないものであればこれは課税するのは無理でありましよう。ともかく財産価値のある以上、これを課税して行くということは止むを得ないので、伐るまで課税しないというのがいささか当たるけれども、併しこの評価についてやはり考えなければならぬ点があると思うという点は先ほど申上げた通りであります。第二番目は税務署がどういうことを……。
  24. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 協同組合が出荷をやるのです、作つたものを……。それを組合員別に誰がなんぼ出しているかという調べなんです。非常に困つておりまして、向うも困つたようだが……徴税官言うのには所得税法第六十三条によつてつているというのが答弁なんで、そんな馬鹿な役人がおつては困ると思うのですね……。
  25. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 具体的なところがよくわかりませんのでなんですが、税務署としてはやはり課税は的確な資料に基いて……。我々としては昔のように出たとこ勝負、大体見当をつけて決定して行くというような方向はもう原則的にとらない。できるだけ実際の資料なり現実所得がどれだけあつたかということをできるだけ合理的に的確に掴んで課税をしろ、こういう方針で進んでおりますので、恐らく農家所得の実際の把握についてはやはりどれだけ供出されるかというような数字を的確に掴んで課税をするということで、或いはその数字を聞いたのではないかと、こう考えるのでありまして、各地におきましては大体供出の割当数量というものは大体わかつておりますし、又その数字は各地とも好意的に十分対立的な関係でなしに、円満に数字もお見せ頂きますし、適正な課税やをつて頂いておりますというのが各地の状況で、むしろそれで円満に大体行つているかと、こう考えておりますが。
  26. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 統制をされておりますうちは今までより以上に楽にできたのでありますが、今度御承知のように米、麦が大体外されようとしております。そこで殊に北海道は雑穀、馬鈴薯が非常に多いのでありまして、それで組合に出すと全部数量がわかる。税務署が来て調べられるともう一目瞭然だから、成るたけ出さない。そこでそうなると非常に困るのでありますので、そういう法律があれば別ですが、そういう法律はありませんし、農業協同組合自体の調査なら結構であります。当然税の対象で調べることは幾ら調べても結構であります。それが目的組合員の出荷状況を調べて、そうして所得税をかけようというのだから、ここに文句がある、これは田舎でわからん者はそれに騙されて、成るほど所得税法の六十三条ということでそういう権限があるのだと思つておる。これは六法全書を見ればすぐわかるが、これを見ないでやつておると思いますが、そういうことによつてそういう調査をされることは困ります。これは貯金でもそういうことがあつて、そうしてこの前、通牒が出ております、十月何日でしたか……、そういうわけで協同組合の事柄を調べるのは、これは収支のバランスを見て課税しようと思えば、幾らでも調べるのは結構だが、それを種にして、組合員の集荷状況を調べて、それを課税基礎にしようという考えは以てのほかで、そういうことをすることもできないし、しようとすることは間違いである。そうしなくても、田舎では甲と乙との家がありますが、隣の家が安ければ、焼餅のようにあいつは安いというわけで、大体収穫がわかつておりますから、そんなに逃げる途はない、馬喰と同じことで、課税方法が、税務署で何ぼと割当てて来るわけでありまして、それはいかんということを言つても、それを農家に割当てて、青色申告も何もあつたものじやない、それが現状である。札幌の国税局から割当をして来る、そうするとその割当が妥当であるか、妥当でないかということに落ちつくのであつて、そうすると妥当な割当であつたものはそれでよろしい、そうして交渉してそれは少い、あれは多いとやつておるうちに、ちやんと折合いが付いて手打ちをやつてしまう。そういうことをやつておるのですが、これはそういうことはあり得るのか、あなたのほうで……、これはいろいろ議論があるのですが、それをお聞きしたい。
  27. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 税金を何かの分担金のように割当てて、そうして頭割りできめるというようなことは絶対にありません。又むしろそういつた、そういう傾向を排除して、もつと合理的な資料その他で課税するということに我々としては全力を挙げておるのであります。そのためにはやはり我我としても資料を得なければならんし、必要なこともお聞きしなければならんし、又いろいろな組合に出荷された状況もお聞きする場合があると思います。勿論できるだけ所得税法の何条にこういうことがあるから、いざとなればそれで行くのだというようなことではなしに、やはり円満に納税者のかたも、我我も、非常に所得を掴むのに苦労しておるのですから、協力して頂くという態勢こそ望ましいと思うのです。私もここで申上げたくない。それで本当に開き直れば、先ほどおつしやる六十三条という規定がございます。読み上げても結構ですが、それよりも私はやはりそういうことではなしに、もつと協力し、それで我々も少しでも減税して行く、こういつた、財政事情が苦しい中にも少しでも減税して行くということは、お互いがやはり苦しい税金であれば、これは少しでも隠したいという気持になる。そこでできるだけその減税をして、みんな気持よく申告して頂いて、而も十分税額が確保されて行くという方向に向つて我々としては努力しておるのです。ですからまあ出先のあれで、殊に税務官としても熱心の余り行過ぎもありましよう。これは私も認めます。併しどうか納税者のかたにおかれても、税務署が来ればもう所得を隠せばいい、もう隠すに限るというようなあれではなしに、やはり協力して頂く態勢、それが私今の日本にとつて一番必要なのじやないか。又我々としてはそこにあらゆる情熱をかけて仕事をして行かなければいかん、こう確信しております。
  28. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今までは大体協同組合の査定に殆んど任すのが普通です。そうすると一番円満に行つておる。あなたは割当をせんとおつしやるが、ちやんと実例がある。札幌の国税局長がお辞儀をした、衆議院の河口代議士がそれを掴んでどうだと言われて、どうにもならなくてお辞儀をした、そういうことが今でもある。目標額を示して、目標額をずつとやらないといかんからやる、それを結局無理するから、そういう割当になる。雑穀の割当は強制割当ではないが、これは目標を立てやつておることは事実なんで、そこで問題は前に私が言つたように、喜んで納めるようにすることが、納税の建前であつて、強盗的にやることはよくないと考えております。併しそうやつておることは事実で、税を安くして払わんようにしようという気持は、絶対に持つておりません。もう認識いたしておりますから……。併しながら今自由になつておりますから、それを若しやるとすれば、協同組合に出荷をして、組合員と組合との最後の決済をし、円満に仕事をしようと思うのができなくなる。そこでそれはそういうことをしなくても、組合にはすつかりわかつておりますから、無理のないような適当なところで手打ちして、納税する者は全部納めております。そういうところから、結局逃げるだろうという、お考えでそういうことをやつておるようですが、これはいかんと思うのですが、あなたのお考えを聞くと、六十三条によつてやれるという見解を持つておるようですが、私はやれないというのですから、若しやれるというなら、お聞きしたい。やれるというお考えですから……。僕は六十三条でやれんという見解を時つておる。組合のことならやれますよ。
  29. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 納税者のかたのところへ行つて調べたというわけでございますか。
  30. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 協同組合に出荷をします。その出荷をしたあとあとまで調べておる。農家のことではありません。農家なら当然のことです。そうでなしに協同組合に出荷をする……。
  31. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 協同組合にその資料を出せというわけですか。その資料をよこせというわけですか。
  32. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 よこすもよこさないもない。
  33. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 協同組合の資料を持つてつた、それはいかんというわけですか。
  34. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そうです。申上げますが、六十三条は税の対象になるものか、対象になると認められるなら、結構です。何もそうじやありません。
  35. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 私はもうこの法律のことで余りごたごた申上げたくないのですが、六十三条の第三号に、「第一号に掲げる者」というのは納税義務者、「第一号に掲げる者に金銭」……その前に六十三条の前段を申上げて置きます。「収税官吏は、所得税に関する調査について必要があるときは、左に掲げる者に質問し又はその者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。」こういう規定であります。    〔委員長退席、理事山崎恒君委員長席に着く〕 それで第一号は、納税義務者についてできる、これはもう当然であります。第三号に「第一号に掲げる者に」と申しておりますのは、納税義務者であります。納税義務者に「金銭若しくは物品の給付をなす義務があつたと認められる者」これは納税義務者のほうにいろいろな物品を給付する場合ですね、「若しくは当該義務があると認められる者又は第一号に掲げる者から金銭若しくは物品」、例えば今のは物品の場合です。「物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者、即ち今おつしやる協同組合について、所得税に関する調査について必要があるときは、帳簿書類その他の物品を検査することができる、こういう規定があります。
  36. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この規定はわかつております。何らそれに該当しておりません。ただ斡旋をするだけであります。組合員は組合に品物を出して売つてもらいたいというので、相場が来たら売つて上げるだけです。給付も何もありません。給付の義務がなければそのまま消滅するわけです。買取つて、そうして売つたというなら、これ又多少はでもないことはないと思います。それをどうしてそういうことをしなければならんかということです。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この帳簿は暫くお預けを願いまして若干あとに質問したい人もありますから、よく一つ大蔵当局でもできればこの委員会が終るまでに御返答を頂きたいと思います。  引続いて、岡村委員から劈頭原子爆弾が出ましたので、私は赤とんぼの偵察を以てみずから任ずるものでありますが、爆撃のあとで赤とんぼでよたよたしておつたのではちよつとピントが狂うかも知れませんが、私は時間に制約がありますので、農林委員会の皆さんは五分ほど時間をお許し願いたいと思います。岡村委員からお尋ねのあつたことについては、私は一切触れませんが、ただ一点青色申告の問題と、相続税の件についてお話がございましたが、    〔理事山崎恒君退席、委員長着席〕 私も農村の出でありますので、我々田舎では強盗とは申しませんが、ひとしく鬼と申しております。亀徳さんは恐らく鬼の問屋さんだろうと私は思つておるのでありますが、併し極めて品のいい問屋さんのようにお見受けしますので、一つにこにこしながらお答えを願いたいと思います。私も決して怒りませんから……。相続税青色申告の問題については、できるだけ速かに結論を得て何とか要望に応えたいという先ほどのお答えでありましたが、いつそれをおやりになりますか。見通しとその時期をお尋ねします。
  38. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 的確には申上げられませんが、一応通常国会を目途として研究をいたしております。
  39. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは通常国会の成るべく早い機会にできればその経過を農林委員会に御報告を願いたいと思います。特にこの臨時国会中においても、一、二回私は御督促を申上げるかも知れません。それをお願いいたします。
  40. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 臨時国会中にとおつしやいますと……。
  41. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 いや、その督励は臨時国会中でもする用意がございますから、さよう一つ承知を願います。
  42. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 臨時国会中には勿論成案はちよつとむずかしいと思います。
  43. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは少し偵察個所を変えまして、次は農業に関する法人税について、これは極めて漠としたお尋ねでありますが、私も税金のことはさつぱり、通じませんので、一、二お伺いをいたします。それは第一の国税額の総額中における法人税額は如何ほどになつておりますか、比率なり、総額の絶対額を一つお聞かせを願います。
  44. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 今回の補正予算では総額で五千六百八億九百万円の税収を見込んでおりますが、その中で法人税は千四百九十四億五百万円となつております。パーセンテージは今すぐ出させますから……。
  45. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは第二、法人税の総額中において、今回の改正によつて税率引上げに該当する税額と、据置に該当する各税額は如何ほどでしようか。
  46. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 法人税引上げは、二十七年度の一月一日以後に終了する事業年度分から適用になりますので、本年度収入関係いたしますものは、昭和二十七年の一月に終了する事業年度分だけであります。従いまして、その分の税収約三億四、五千万円見当と考えております。と申しますのは、大体一月中に終ります事業年度の分は非常に少のうございまして、大半の大きい法人は、九月と三月が決算でございますから、非常に少いので、問題は二十七年度の予算のときにこの法人税額の引上げという結果が大きく出て来ると考えております。
  47. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると今まだお答え頂いていない据置に該当する税額はどのくらいですか。
  48. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 実はその点まだ算定しておりませんので、大変その点お答え申上げかねますが、非常に少額であろうと考えております。
  49. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 推算でも結構ですが……。
  50. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 推算と申しますのは、御質問はそのこういつた特別法人の挙げる税額が二十六年度で幾らかと、こういう御質問になるわけですか。据置でございますからちつとも変らないわけですが……。
  51. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは大体の胸算用ができましたので、そういうことであるとすれば、千四百九十四億という法人税額のうちに占むるつまり私の聞かんと欲する最後のものは極めて少額にしか該当しないという見当が付きましたので、そういうことであるとすれば、先ほどの参考人のかたがたから申出のありました農協の法人税に関しては、あえて農協と限定をいたしませんから、宗教法人なり、公益法人等々も道連れを願つて、これは是非廃止をして頂くこと、廃止をすることによつて、国の総税額に及ぼす影響が極めて軽微であろうということが考えられますので、是非これは私は先ほどの要望が極めて至当であろうと考えますので、法人税の廃止に関する意見を更に私は強調申上げたいとこう考えております。これに対するさつきの計数的の根拠をお示し願えれば仕合せだと考えております。
  52. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) おつしやいますように、これの持つております税額は非常に微々たるものでありまして、財政上の問題というよりは、むしろ税制の上での理論的な問題、課税すべきかどうかという点からの判断でございます。差当つては今までは全部ほかの営利法人と同じ税率でかけておつた、そこにまあ差別をシヤウプ勧告によつて廃したのでありますけれども、それが無理だということで、三五%と四二%の区別を置いた、こういう程度でいわば一つ考慮したわけでありますが、なおその上にこれを免税とするかどうかという問題はもう少し研究させて頂きたい。ちよつと困難性があるのじやないかと思いますが、なお今後の研究問題として考えたいと思います。
  53. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 七%の親心を示して頂いたということは、私も実に見上げた仏心だと考えます。(笑声)これは早速帰りまして私どもの関係する百姓には本山の鬼は決して赤い鬼でもなければ角はないということをはつきり申上げる資料を得ましたので……。(笑声)なお併せて遠からず法人税は必ず零になる、三五%が零になるであろうということを、これは岡村さんの戦法ではございませんが、私は生きた口を以でお伝えしたい、こう考えます。どうか一つその時期の年内に参りますようにお願いをいたしまして私の質問を終ります。
  54. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) まあ零になるとまで申上げたわけではありませんが、研究はいたします。
  55. 山崎恒

    ○山崎恒君 時間もありませんので簡単に一、二、御質問を申上げます。先ほど岡村さんから質問されました農漁民に対する勤労控除でありますが、大蔵当局では、基礎控除額を五万円ぐらいに引上げたのに、これを変えたいというような御意見であつたのでありますが、同時に一般勤労者農漁民との、勤労経済というような問題に触れられたようでありますが、ここでこういう点を考えているかどうか。農家勤労所得は税の対象となるのは戸主でありますが、日本農業経営はよく御承知のように家族労働である。四人乃至五人の家族が、而も労働基準法を適用されないところの勤労で、而も農繁期には十八時間も家族が働いている。普通十二時間乃至十三時間は普通の農家は働いている。それによつて生計を立てているという実情は、これはもう申上げるまでもなくよく御承知でありますが、他の勤労者は一人の勤労者が何人かの家族を抱えている。そこで最後年度末で行くと、これらのバランスはどうかというと、どちらもまあ変りはない。かように思われるのです。農家現状から行きましても殆んど余剰がない。又勤労者現状から行つて年度末に行つたら余剰はできない。その日の食つたりきりだというような実情にある。こう思いますと、事実農家の個々の経営というものは、その四人乃至五人の家族が長時間に亘る労働によつて生計を立てている。こういう実情であるという点が非常に変つているのじやないか、こう思われるのですが、そういう点から行きまして、恐らく第二次にシヤウプの勧告がそういう点から相当見方がされているのじやないかというような点を考えられるのです。そういう観点から推しまして今後の日本の食糧事情から行きまして、統制問題は別といたしましても、何といたしましても不足しているところの食糧を増産しなければならん。それにはやはり農家でも個々の勤労というものを一層増大しなければいけないというよう点から行けば、当然この農漁民勤労控除というものを一応取上げることが一つの奨励にもなるのじやないかという点があるので、大蔵省においてはそういう点を考慮しての一つ勤労者控除という点を考えたらどうかと、こう思われますが、その点を一つ如何ですか、質問いたします。
  56. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) お答え申上げます。いわゆる専従者控除の問題だろうと思いますが、必ずしも十分とは勿論言えないのでありますが、昨年か一昨年の改正でありましたか、扶養控除の対象内容を変えまして、前は十八歳末満六十歳以上、こういう年齢によつて扶養控除を認めるということになつておりましたのをやめまして、およそ二万円以下の所得しかないものはこれを扶養控除できるということに変えましたのは、専ら適用の恩典のありますのは農家でありまして、農家のかたで、十八歳以上六十歳以下の間で今までそうした扶養控除で認め得られなかつたかたにすべて扶養控除が認められる。而もその数が非常に多いとそういつたかたがたにできるだけ恩典が与えられるということで、少くとも扶養控除引上げをやつておるということは同時にそのことをも考えておるわけであります。おつしやるようになおそれでも不十分だと、こういう議論、それから又先ほどおつしやつたように、農家勤労度というものが非常に高い。これについて特別に考慮を払わなければならんではないか。これはシヤウプ博士のおつしやつておる通りであります。これは先ほどの説明を繰返すことになるわけでありますが、当然そのことも考慮しなければならんと理論的には考えられるわけでありますが、併し基礎控除扶養控除引上げを或る程度思い切つてやるならば、農家のかたも実際働いておわれて扶養家族になつておるかたがたの数は多いのであります。課税の実績の上からいつて農業所得者のかたの扶養親族が一番多いのであります。最もそこに今回の減税の効果も厚く及ぶし、差当つて勤労控除を全面的に及ぼすということになると、これは数百億の減税になりますので、そこまでは及び得ないということであります。
  57. 山崎恒

    ○山崎恒君 その説明はよくわかるのですが、農家現状は全く税金に汲々としておるというような現状から考えると、政府の親心の点によつて相当緩和されて来る点もよくわかるのですが、それを何とかもう少し軽減する方法について、もう一段と一つ踏込んで大蔵省に研究してもらう必要があるではないかと、こう思いますが、それは時間がありませんので要望だけにして置きます。  次に水飴物品税の問題でありますが、これは先ほど澱粉糖協会から縷々御意見を申されましたが、現在農業政策面から見ますときに、日本澱粉の現在の生産高が七千万貫もある。まあ七千万貫と推定すると、この七千万貫の澱粉は主として北海道の馬鈴薯、内地の甘藷澱粉であると思いますが、この額の約六五%四千五百万貫は水飴にされておると、こういう現状であります。その水飴の用途は多々ありまするが、主として菓子工業原料が多いと思われるのですが、これは先ほど説明されたように現在におきましては乳幼児用とか或いはキヤラメル等に主にされるものでありまして、他に水飴と同じようなものが税金をかけられていないというような点から行きますというと、先ほどの御説明では十四億の水飴の税金である、最も取りやすいという観点から止むを得ずこれに水飴葡萄糖物品税を取つておるような工合に今聞いたのでありますが、これは現状から行きますというと戦後逐次物品税が外されておるというような現状で、単に取りやすい税金であるから、而も税額が十四億に上るというような額であるから課しておるというようなことは税制の不合理であろうとかように思われるので、十四億と申しますと大きいのでありますが、他に財源もないわけではないだろう、例えば今回政府では業務用の砂糖を統制を解除したわけであります。而もその業務用の砂糖の解除は先般の第一回の入札から行きましても相当の収益を挙げておる。こういうような点から見ましても、恐らく年間四十万トン或いは四十五万トンの砂糖の入荷のうち、業務用の砂糖の占めるところの部面は相当大きいのでありますが、この利益だけでも五十億になんなんとする数字を見るということを推定されておるのでありますので、すでにこうした同様のバターとか、チーズとか、そうした農業生産加工品としてのものからは税金が取られていないということから見ますれば、税の均衡を得る点から見ましても、これは今日撤廃すべきだと思う、かように思われるのであります。重ねてこの点は要望いたしたいと思います。又他に何かの財源がそうした方面から見出せるであろう。かように思いますので、反対材料はこれはすでに先ほど申しましたので、細かく申上げませんが、この点を一つ要望いたして置きます。
  58. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 関連して水飴葡萄糖物品税の問題でありますが、先ほど陳情者のかたからいろいろの理由が説かれておりましたが、私は水飴とか葡萄糖課税は食糧事情と言いまするか、砂糖の事情が非常に変つたという情勢変化を余り見ないで、要するに砂糖がふんだんに入つて来ておつた戦前と同じ考え水飴とか葡萄糖を見ておる、こういう惰性的な考え方が多いのじやないか。そこで私はいろいろ理由が先ほど述べられましたけれども、むしろこの際どうせ砂糖は外貨の関係等からそうふんだんには、これは入つて来ませんし、又入れるべきではないと思うのですが、そうなつて来ると甘藷は非常に国内でできるわけでありまするから、この甘藷或いは馬鈴薯澱粉葡萄糖というものをできるだけ砂糖の代用としてこれを積極的に増産なりをするという一つの目標をこの際私ははつきりすべきではないか。こういう観点から大蔵省当局でもこの問題を是非見て頂きたいと思います。これは私の最近聞いたことでありまするが、アメリカ等では御存じのような、相当砂糖が足らん国でありまするが、糖業法を設けて外国から入つて来る砂糖をできるだけ輸入を防いで国内で砂糖或いは砂糖に代るべき糖分を増産をする。こういう方向で行つておるのでありまして、特に最近私の聞きました情報ではアメリカの例のC・P・Rあたりでは非常に優秀な葡萄糖を作つておりまして、これを大体普通の砂糖に一割から一割五分ぐらいは混入いたしまして、これを一般の市民が使つておる。これは栄養的にも勿論普通の砂糖よりもこのほうが優秀でありまするし、甘味のほうはちよつと人間の舌ざわりでは砂糖ほど甘くないのだと、大体甘度としては七割五分程度しかないのじやないかと思いますが、併し理論的には非常に優秀なものであるので、そういうことになつて来ると国内で相当これはもう甘藷等の増産の可能性はあるわけであります。そういう点から砂糖の輸入をできるだけ防いで、国内で砂糖に代るべき糖分を作るという意味でそういう保護という色彩がはつきりして来れば私はこの問題を大蔵省でも再検討されていいじやないだろうか。これは特に農林省でもそういう意図を私は持つてもらいたいと思うのでありますが、トン当り百数十ドルの外貨を払つて買うというのに比すれば十数億貫の甘藷からできる澱粉を糖化して砂糖に代えるという行き方をこの際はつきりしていいのじやないかと、そういう保護的な色彩をはつきり政府で認識をされれば私は十数億のものが減りましてもこれはいいのじやないかという気がするのであります。そういう点につきましても或いは私の意見としてお聞取りを願つていいわけでありますが、どうも惰性的に、昔の飴をなめさせるというような惰性的な、第二次的な食品だというような考え方が多いのじやないだろうかという感じがしてならないのであります。どうかそういう点につきましてお聞取りを願つて、若し御意見がありましたならば一つ伺いたいと思います。
  59. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 先ほど私十四億という数字を申上げたために何か取りやすいし、税額も多いからこの水飴に食いついて、而も昔の伝統を墨守して取つておると、こういう印象をお与えしたようでありますが、私の申上げるのは決してそういう意味ではないのであります。先ほど片柳委員がおつしやいましたように、今後できるだけ外貨を節約するという意味で砂糖の代替食糧として水飴等を相当思い切つてこれを砂糖に代る食品としてもつと活用して行くという考え方も誠に妥当なお考えであると私も考えるのであります。ただ私どもで今考えておりますのは、この水飴葡萄糖について全然考慮の余地がない問題だと、こう簡単に跳飛ばしておるわけではないのでありまして、ただ最近ずつ物品税の軽減措置を続けましたものですから如何にもこの水飴が残つて目障りになるという感じは確かにあると思うのであります。ただ一方もう少しこの税体系全般から見ました場合に、現在の間接税も相当酒なども十分に税金を取つておりますので、間接税を更にこの上どれだけ増徴し得るかということは一つの問題でありますが、ただ今後の方向として相当直接税の負担が重くなつております、まあできれば間接税の増徴によつて少しでも直接税の負担を重くないように、間接税のほうから応援してもらうんだ、いわば総体的な意味で間接税に今後やはり重く課税して行かなければいけないのではないかという、いわば税の考え方の上での大きな転換があるわけであります。まあそういつた転換途上に現在ありますものでありますから、よほど強い理由と甚だしく権衡を失しているという特別な理由がない限り、物品税課税品目中から落すという問題は非常に困難ではないだろうかということを申上げたわけであります。それで私今責任を以て水飴課税をどうこうするということはちよつと申上げることはできないのでありまして、いろいろいおつしやいました御議論は十分我々としても検討いたします。検討いたしますが、ただ先ほど申上げたように、間接税重課に向つて今後方向が転換されるという現在の段階において、物品税課税品目中から落すということは、よほどの理由とあれがないと困難だという現状を一応お訴えして、私のほうからも又再考をお願いしたい。なお我々のほうでも検討したいとは考えております。
  60. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それから最後林業関係税制の問題でありますが、全体の体系についてはいろいろ研究中のようでありますが、この場合にもう一つ当然考慮すべき問題としましては、森林法の施行で相当の施業の制約なりが当然出て来るわけであります。例えば先ほど林業協会のかたからも御説明がありましたが、例えば林地評価にいたしましても、森林法の施行前のようなフリーな状況ではないのであつて、その林地の上に育成する林木の種類も相当な制限を受ける、或いは伐採した場合にはあとに造林したかというような義務もくつつくというようなことで、林地評価方法についても森林法の施行前と後とでは大分変つて来るのではないか。ですから全体の体系をお考えになることは勿論でありますが、こういう一つの大きな制約なりが加わつて来ておるということも、これはやはりお考え願いたいということを希望して置きます。
  61. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 森林法の施行によりまして伐採制限が行われました事情は、私どもも十分承知しております。若しも富裕税が存置されるというようなことにでもなりますれば、当然評価の問題、その他で十分考慮しなければいかんという点は十分考えております。特に最近小さい問題でありますが、伐採制限に伴いまして、林業組合から資金の融通を受けられる措置が最近設けられたようでございますが、そういつた場合の抵当権設定の場合の登録税などにつきましても、現在千分の六・五となつておりますものを千分の一程度に引下げる。これは今度恐らくそういう特別措置法をいずれこの臨時国会中に提案することとなると思うのでありますが、これは一つの小さい問題でありますが、今度の森林法の施行に伴う伐採制限に関連するいろいろな問題について、でき得る限り税制の面から考慮し得る限りは考慮して行きたいと、こう考えておるわけであります。
  62. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 先ほどの御注文の御回答を一つお願いしたいと思います。
  63. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) 少し問題が或いはここにぴつたり当てはまつておらないので、ちよつと問題があるようでありますから、若しも間違つた答弁をしまして、それに基いて電報なりされて間違われるといけませんから、なお慎重に一つ研究しましてお答えいたします。なおこれはたまたまこういうことで問題が起きたようでありますが、税務署員の或いは態度も悪かつたかとも思うのでありますが、我々としても正確なる資料に基いて所得を掴むということが結局課税の公平に資するという気持から発しておるので、税務署員は鬼たということを頻りに言われるのでありますが、決して鬼ではありません。やはり税務署員も、私も第一線で昨年まで福岡で直税部長をやつておりましたが、徹夜で働いております。中に汚職その他をしておる非常にけしからん者もおりますが、併し税務署員とてもこれは人間であります。非常に執心に働いておる署員がおるということを一つ十分御認識願いたいと思います。
  64. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私は悪口の受売をやつておるので、十分よく知つております。税務署員が実に勤勉であり、非常に努力をしておることは、認めております。併しながら中に悪い者もあることも認めております。そこで悪い者があるためにいろいろなことを言われておりますが、今の問題は一つも疑義がないと思うのですが、即答できないのが不思議なんです。納税義務者又は納税義務者と認める者、何もそれに関係ない者ですから、そこでそれさえ考えれば一つも疑義は起きんと思う。六十三条に何と書いてあつても、納税義務者又は納税義務者と認める者に対しては検査も必要だし、書類を見ること、帳簿も結構だが、何らそれに関係がないのです。だからこれだけでもはつきりしておるので、まあこれはどうも役人の癖で、そのとき参つてもなかなか言わん、いろいろと因縁をつけてあとから言うのが通常であろうが、そこで今の問題はあとから調べて委員会にお出し願つても結構です、何日もしないうちに。
  65. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) ちよつと心配しますのは、組合で一応買取つてそれから東京その他に送るという場合もありましようし、ちよつと一概に言えない点もありはしないか、恐らくそういつた点についてほかでも問題を起している例もあろうかと思いますから、その点も十分一つ研究して……。
  66. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 組合の事業に関してならちつとも文句はございません。なんぼ帳簿をお調べになつても。間違われてはいかん。組合の帳簿を調べるのでなくて、組合員個々の出したものを調べるということに疑義があるのですから、組合を調べるのは当然のことなんです。勿論疑義があれば当然今までもやつておりますから、そういうことはいいのです。そうでなしに組合員のものを調べるから疑義が起きて来ておるだけの話なんです。お間違えにならんように。組合のことを言うのじやないのですよ。組合法人税その他のために調べを受けるのは、当然お調べになるのは結構です。なんぼ組合を調べても疑義も何もありません。ところがそうでなしに、よこつぺらでやつておるので非常に面白くないことなんだから、そういうことのないように。できないことじやないか。ただそれがよくないからお聞きするのです。
  67. 亀徳正之

    政府委員(亀徳正之君) ちよつと問題を若しも私間違うといけませんから、岡村さんに直接に詳しく事情をお聞きしまして、責任ある御回答をするということにしたいと思います。
  68. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 大分時間も経過しましたので、本日はこの程度にして、他日随時この問題について検討いたしたいと思いますが、ただ先ほど亀徳調査課長の発言中に、今後の税体系が場合によると間接税にウエイトが多くなるという可能性があるやの御発言がありましたが、この問題は当農林委員会よりも、むしろ予算委員会、又は大蔵委員会で論議すべきものだと思いますが、課税品目の対象如何によつては、非常に大衆課税的な性格になる危険性を間接税にウエイトを置く場合には持つということになると思いますので、その点は単に農林関係税法のみならず、税制全般の問題で一つ考慮をお願いしたいと思うのであります。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時三十一分散会