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1951-11-01 第12回国会 参議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月一日(木曜日)    午後一時四十五分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            山崎  恒君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            北村 一男君            江田 三郎君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            松浦 定義君   委員外議員            瀧井治三郎君   政府委員    林野庁長官   横川 信夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    日本国有鉄道営    業局貨物課長補    佐       岩岡 明藏君   参考人    全国販売農業協    同組合連合会運    輸部      神戸 兵衞君    日本杭木協会專    務理事     七瀬 善七君    日本木材協会專    務理事     吉田 好彰君    日本畜産協会副    会長      田口 教一君    日本醤油協会理    事       小宮  昌君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農林関係鉄道貨物運賃に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  ちよつと申上げますが、当委員会平沼委員に代つて今度再び北村さんが委員になられましたので御紹介申上げます。
  3. 北村一男

    北村一男君 どうぞよろしく。(拍手)
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本日の日程は、御承知通り農村関係物資鉄道貨物運賃に関する件であります。  今回鉄道貨物運賃か可なり大幅に値上げされることになりましたことと関連して、農林関係物資鉄道貨物運賃改正或いは特別扱い等について当委員会宛て陳情が参つておりますので、今日はこれらの陳情趣旨について陳情者から説明伺つて、そのあと政府当局からも意見を聞き、引続いて皆さまから御質疑を煩わしたいと思うわけであります。その後問題の所在を明らかにした後に当委員会としての態度を決定いたしたいと思います。  それでは最初に参考人として全国販売農業協同組合連合会運輸部神戸さんから御発言を願います。
  5. 神戸兵衞

    参考人神戸兵衞君) 私全国販売農業協同組合連合会運輸部神戸兵衞と申すものであります。生産農民の連合体として要望並びに意見を申上げます。  独立採算制に立つている国鉄朝鮮動乱によつてつたところの鉄、石炭等基礎資材の高騰に基く経営費増大を、專ら旅客貨物運賃値上げのみに転嫁してこれの当面の解決を図ろうとしているのでありますが、かような方法は日本経済を再びインフレ悪循環に押し進めるものと考えられますので、直接この問題に関係を持つている我々農業関係者は、当局のこのような処置に対して極めて遺憾の意を表明せざるを得ないのであります。従いまして以下申述べます理由に基いて、今後これに引続いて基本的な又総合的な対策を樹立されることを強く要望するものでございます。  先ず第一に、運賃値上が如何に農業に対して大きな負担となるかという点を申述べて、御当局の一段の御留意をお願いいたしたいのであります。農林中央金庫の調査に基いて朝鮮動乱以降最近までの一カ年の物価の動向を見ますると、生産財及び一般消費財物価上昇傾向に比較して、農林畜産物の騰貴は極めて低く、著しい経済の不均衡があるのであります。即ち二十五年の六月を一〇〇とする物価指数において、生産材は一六六、消費材は一三五となつており、更にこの消費財のうちから農林畜産物を抜き出してみますと、僅かに一一八・一となつているのに過ぎないのであります。従つて以上のような経済事情に跛行がありますところへ、今回の運賃値上げが各貨物について一律に行われることになることは全く私ども了解に苦しむところであります。のみならず今回の運賃値上げ三〇%は農林畜産物物価指数を上廻わること実に一一・九となるわけでありまして、この運賃値上げ影響農業部面において最も大きいものであると言えるのであります。実際蔬菜類のごときにおきましては、朝鮮動乱以来今日まで最高最低価格の開きが極めて大きく、そのために物価の反落時においては、運賃さえも賄えないという事例がありましたことは、私ども事業をやつておる上から明らかになつておるところでございます。麦類について申しましても、しばしば伝えられる統制解除の声に怯えまして、政府買上価格を下廻つて一部の農家か手離しておるという現状を見ましても、如何に農家経済基盤というものか脆弱であるかということを如実に物語つているのでございます。    〔委員長退席理事西山龜七君委員長席に着く〕  第二に申上げたいことは、こうした実情の下で今回の運賃値上げに相当する負担分がどこへ行くか。一体誰がしよわねばならないかという問題でございます。流通部面においてはこの運賃値上げによる追加負担をこの流通部面での合理化によつて吸収できるかというに、流通機構現状を見ますると、一見産地価格消費者価格との間に非常な幅があるようでございますが、合理化はなかなかなし得ない実情にありますので、自然生産者か或いは消費者負担に転嫁せざるを得ないという結論にならざるを得ないのであります。その場合に農林畜産物においては経済基礎が、基盤が脆弱であるために農業生産者はこの負担を転嫁されるということは必至になるのでございます。御承知のように我が国農業生産実態過少農経営をその特質としておりまして、いわゆる農業労賃を度外視した中で農林畜産物生産が行われておるのでありますから、いわゆる近代的な意味での合理化余地は殆んどないというのが実情でございます。又これがために昨今政府による農産物の価格支持、或いはその他財政負担による農業保護助成策か論議されておるのもこの間の事情を裏書しておるものと我々は思うのでございます。  そこで第三には、こうした合理化余地に乏しい農業生産実態に加えまして、更に運賃値上による負担農業生産者の上に転嫁されましたならば、勢いの赴くところは結局只今申上げましたような農業に対する保護助成という形の国家財政による支出の増大を招来いたしまして、この面から廻り廻つてインフレ悪循環となりはしないか、これがインフレの巨濤となりはしないかということを非常に憂慮するのでございます。私ども講和後における我が国経済自立のため極力このインフレ化の危險を避けねばならないというふうに承知しておりますだけに、今回の運賃値上げはその及ぼす影響の容易ならざるを痛感するのでございまして、この点からも御当局の御一考を切にお煩わししたいと思うのでございます。  第四には、今回の運賃値上げの結果冒頭に申上げました通り、従来とも不均衡のあつた物価の動きに対して、農業部門においては更に農家の消費する生産資材及び生活資材価格が勢い上昇いたしまして、農業生産者にとつては買うものは高く、売るものは安いという、いわゆる鋏状価格差の拡大を現わして、農家経済を一層困窮に陷れ、又そのために農業生産者生産意欲を喪失せしめる結果となつて農業生産者に重大な影響を来しはしないかということを憂うるものでございます。又一般的の事項として申述べたいことは、国鉄運賃と他の輸送機関との運賃値上げ比率についてであります。昭和二十一年三月を基準として国鉄は実に五十倍という最高率になつておりますので、延いては他のトラツク、汽船、汽帆船、こういつたものに対する運賃値上げの誘因となることは必至であろうということであります。従つてかかる運賃値上げの結果は最近における世界的物価の中だるみの影響を受けつつあります我が国産業に甚大なる負担を加え、たとえ独立産業において運賃値上げの一部を吸収し得るということがありましても、三〇%はなかなか到底困難であり、更に以上申述べたような農業は勿論その他の産業においても殆んどこれが吸収の可能性は極く稀薄とならざるを得ないと思うのであります。結局生産物価格運賃値上げ部分に相当する経費を加算せざるを得ないという事態に立ち至ることになつて、結局運賃値上げ挺子にして日本経済全般亘つて惡性インフレを招来し、講和後に要請されておる経済自立、再建の基礎を危うくするものと断ぜざるを得ないのであります。そこで従来貨物運賃などについては、農林畜産物及び農業生産資材について等級上の引下げ実施されており、又政策的な割引等特別措置実施されておりました経過に鑑みまして、今回の値上げに引続いて如上の、今まで申上げました諸措置を一層強化せられるように切望、要望せざるを得ないのであります。  以上申上げました意見並びに要望に基きまして特に左の三点を早急に実施して頂きたいと思うのでございます。  先ず第一に、農業関係貨物政策割引制強化、こういう点でございます。農業生産関係貨物は、国鉄取扱い貨物のうち数量において一六・八%、運賃において一五・四%を占め、鉄道運賃合計百億を超えております。三〇%値上げによる三十億の運賃負担は、結局生産者農民の肩にかかるということになるのでございます。従来とも農業関係物資生活必需物資として、又準生活必需物資として等級引下げをされており、農林畜水産政策による割引もあり、下級等級を採用されて来ましたが、その後自由経済の進展によりまして、他の物資に比較して運賃負担均衡が破壞されて来ておる現状でありますので、更に一層の割引制強化要望するものでございます。例えば木炭について、現在五百五十一キロ以上一割引実施されておりますが、これに対しては三百一キロ以上一割引にするとか、又北海道向け藁工品は、現在七百五十一キロ以上無蓋車について一割引ということになつておりますが、これは以前にありましたように、有蓋車無蓋車共に七百五十一キロ以上を二割引とするといつたようにやつて頂きたいのでございます。  第二に、農業関係貨物等等級引下げて、これを是正して頂くということでございます。昭和二十五年の四月に貨物等等級改正のときには、今、一でも申上げた政策を無視しまして、木炭その他の貨物については、むしろ等級改正によつて運賃が引上げされるという現状にあります。これは短い期間の間にやつたことでございまして、多種多岐に亘る品目改正当時の一時的な価格運賃負担力、それから流通取引関係といつたものを基礎実施されたのでありまして、この農業関係貨物は、他の貨物運賃引下げの犠牲となつたものか多いので、農業関係貨物としては、従来の原等級引下げて是正して頂きたいのでございます。例えば、木炭は現在十級でありますが、これを元のように十一級に下げ、藁工品は現在八級でありますが、これを九級にする、生野菜は現在十級でありますが、十一級にするということでございます。  第三には、農業関係貨物減トン制復活という点でございます。農業関係貨物には、薪炭とか藁工品とかいつたような嵩高品がございまして、戰前は積載重量基礎にしまして、各品目ごと減トン制が採用されておりましたが、その後等級改正によつて等級の中に減トン割引意味を含めまして、減トン制という制度は廃止されましたが、その割引の率は減トン制実施されておつた当時よりも低率であつて、而もそのために鉄道輸送の前後に附帶して行われる通運事業料金、これは現在貨車標記トン数によつて計算されておりまするために、空トン作業量を支払わなければならんという恰好になつております。これを合せて考慮しまするとき、基本等級による減トン制復活要望したいのでございます。例えば、藁工品について申上げますと、十五トン車については四トン、十トン車については三トン、これは昭和十七年当時実施されておつた減トンでありますが、このように元へ戻しての減トン制実施をお願いいたしたいのでございます。以上
  6. 西山龜七

    理事西山龜七君) それでは次に日本杭木脇会專務理事七瀬善七君。
  7. 七瀬善七

    参考人七瀬善七君) 御指名にあずかりました七瀬でございます。私は坑木について申上げますので、その前に甚だこれは御迷惑かも知れませんけれども木材全般につきまして日本木材協会吉田專務お話をお聞き取り願つたほうが順序がいいじやないかと思いますが、如何でございましようか。
  8. 西山龜七

    理事西山龜七君) 木材全般について。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 西山龜七

    理事西山龜七君) それでは日本木材協会專務理事吉田好彰君。
  10. 吉田好彰

    参考人吉田好彰君) 只今指名にあずかりました日本木材協会吉田でございます。この運賃改訂の問題につきまして、木材界と申しますよりも、むしろ林業に繋がりました林産界意見としての御説明をいたしましてよろしく御採択願いたいのでございます。実は国鉄運賃は、すでに今日から実施されております。それでこの問題につきまして、前回値上げ以来非常な木材については問題になつております。いろいろ陳情もいたしましたり、又今回も請願といたしまして、衆参両院に提出したわけでございまするが、今回の値上げにつきまして、国鉄におきましても、或る程度の御了解を得たものと私は信ずるのでありまするが、その現われといたしまして、本日から実施運賃につきまして、一部私たち最低限度要望いたしましたことが或る程度お認め願つた、その点は国鉄といたしましても、林業界意見というものは正しいものであるということをお認めになつたことと信ずるのであります。併しながら、私たちは現在国鉄の行われましたいわゆる軽減と申しますか、その程度におきましては、完全な日本林業というものは成立し得ない。その観点の下におきまして、従来の私たちの主張というものは全然変つていない。従いまして、請願に申述べました至急に根本的な木材、或いは林産物、そういうものにつきましての根本的な等級改正をやつて頂きたい。これが本日のお願いでございます。従いまして、理由その他につきましては、ここに陳情いたしましたこの理由そのものは全然変つていないのであります。その理由簡單に申述べたいと思います。一体木材につきましては運賃が非常に重大な部門を占めて、それは国鉄の御調査によりましても、二十六年度の比率、それから今度の改正案によりましてみましても、素材につきましては一一%になつておるという数字国鉄調査として出ております。この比率がどういう基準によつてなされたかということにつきましては、論議もございまするが、国鉄全部が全貨物につきましてお調べになりました比率というものが石炭石砂利硫化鉱、そういうものに次ぎまして木材が非常な高率にある。而も私たちから言わしめれば、それらの以上述べました三品目というものは天然生産物を、いわゆる取つているもの、然るに木材につきましては御承知のように本年非常な衆参両院におきまして御審議願いまして、ようやつと通りました森林法、あの趣旨から申しましても是非再生産をしなくちやならん、これは木材の公益的の使命というものを負わされておる、木材と申しまするより林業の重大な問題でございます。従つてそれに支障を及ぼす、苟くも多少なりとも支障を及ぼすということについては、私たちはどうしても反対せざるを得ない。私たち結論といたしまして、現在あらゆる産業において貨物運賃値上げというものは消化されるべきではないか。産業部面において消化されるべきものがあるということは言われておりまするが、この問題につきましては私たちは到底消化し得ない、これを数字的に申しますならば、大体現在東京市場を中心といたしまして素材については一三・五四、製材につきまして七・六六こういう数字が出ておるのでございます。従いましてこれを三割上げました場合に、どういうふうになるか、それを申上げますと、三割上げました場合において、東京まで運んで参りまする場合に、石あたり四十五円の値上げになるという私たちのほうにおいては計算が出ております。而も木材販売利潤というものは現在のところ石あたり百五十円しかございません。この利潤と申しましても、いわゆる発駅価格運賃を足しまして引取賃を出す。それと販売価格の差益でございます。従つて百五十円のうちにおいて営業費を賄い、或いは税金も払つて行く、そのうち四十五円が貨物運賃の値上りによつて取られるということを想像いたしますと、これは到底消化し得ないということははつきりおわかりになると思う。その消化し得ない利益というものはどこへ行くか、そうなりますと、これは必然的に立木価格に行かざるを得ない。現在林野庁におきまして御調査になつておりまするが、立木価格につきましては立木石当り四百八十円という価格が出ております。そこに而もその価格というものは現在再造林をなし得ない価格であるということは余りにも判然としております。それはいわゆる造林に対して半額の国庫補助をされておる私有財産の造成に対してこれだけの補助を与えられるということはそこに重大な意味かあると思う。而もそれに食い込まざるを得ないという運賃値上げに対しましては私たちはどうしても反対せざるを得ない。従いまして前回の査定におきまして、自由党も国鉄に対しまして等級改正当りまして二等級引下げろという申入れをなされたのであります。私はその要求を是非ともやつて頂きたい。そのために根本的な等級改正というものを早くやつて頂きたい。すでに運賃が三割値上げされまた現在におきましてこれ以外の手はない。私をして言わしめるならば、現在一千億に上るといわれている風水害の国家的損害というもの、国鉄値上げによる立木価格に喰い込むことを阻止することによりまして幾分たりともこれを少なくするということができるとしますれば、これはこの一千億の金利にも劣らん問題だと、いわゆる木材運賃負担の少いという点と林業国家的使命、そういうものを十分御検討下さいまして、決して私たちは我田引水的なことを申上げているつもりではないのであります。十分御審議下さるよう御願いいたします。
  11. 西山龜七

    理事西山龜七君) それでは杭木協会七瀬君にお願いいたします。
  12. 七瀬善七

    参考人七瀬善七君) 一般木材に関しましては、只今吉田さんよりお話ありました通りでございます。私どもこの木材の一下部組織といたしまして、この坑木問題につきましても従来しばしば陳情をいたしている次第でございます。多少坑木は特に違つた点がございますのでその点を申上げます。今度の国鉄運賃の一部改正につきまして法案が出たのでございますが、私どもは昨年の四月にこの等級改正がございまして、それはその当時の等級審議会にかけられまして、甚だしき不均衡のものを差当り是正するということでありましたが、その答申の一部にこういうことがございます。それは現在の状態において等級は非常に不均衡な点がある。これを早急に是正すべきである、こういうことが国鉄当局に要求されているのでございます。附帶條件として出ているのでございます。にもかかわらずすでに今日一年有半になりまして一向お手をおつけになつていらつしやらない。それは国鉄の先達つて頂きました資料によりますと数万の品物を、これを現在の不安定な経済状態において改正するということは非常に困難である。だから今度は差当り千変一律に貨物は三割を値上げをするのだ、こういうのが、これは昨日の参議院の本会議において通過してしまつた次第でございます。私はこの等級の、誰か見ても非常に不均衡のものがあれば大体私は国鉄で御承知だと思うのでございます。これはいつでも直ちに改正されて、つまりはつきりしたほうから着々進められるほうがいいのじやないか、こう考える次第でございます。申すまでもなく、貨物運賃等級というものは貨物価格、それからその物資の需給いずれかの負担能力、それと物と形、物の形と申しますと貨車で申しますと、それぞれの積載量でございますが、これが基本的な標準でございまして、これに勿論国民生活上必要なものを特に安く、或いはその国の産業政策を多少加味するということは当然でございます。それは勿論考慮されねばならない。そういう点から申しますと、先ほど申しました通り必ずしも等級改正がそう困難なものじやないと、こう私は考えております。それで木材については先ほどお話通りでございますが、私は坑木がどういう位置になつているか、ほかの問題につきましてはいろいろ資料を拜見しまして、この重要貨物価格に占める運賃割合というものを頂いておるのですが、これは非常に凸凹はございます。先ほどお話のございました通り硫化鉱石炭石砂利、こういうものはこれは特別でございますが、その次に坑木というものか出て来る、これをちよつとお話申上げておきたいと思うのでございます。  坑木等級は先ずどういうことになつているか、昨年四月に、今までは相当割引なんかで優遇して頂いておつたにかかわらず、昨年の四月にはそれが全部除けられまして、ほかの物資については申しません。この木材乃至林産だけの問題について申上げますと、それが下級製材とそれから製材に供する原木と同じように七級になつている次第でございます。そこで坑木特殊性についてちよつと申上げさして頂きたいのでありますが、これは坑木というのは、御承知通り鉱山炭鉱に使いまして、坑道保持、採鉱並びに坑内の労務者の人命保安上重要な資材となつております。特に炭鉱におきましては年間使用高おおむね一千万石、だんだん減りまして、鉄柱、カツペ等において代用して、これの有効利用をしなければならないというので、坑木利用はだんだん減つておりますが、由来炭鉱資材の大宗といわれております。その長さは十五尺から短かいのは二尺五寸くらいであります。末口は八寸以下五寸までありますが、その長さのうちで何を一番使うかと申しますと、長さ五尺から八尺、末口一寸五分から五寸、こういう非常に短尺小径木が占めておるのでありまして、そうして年間所要量一千万不のうちで約七割、大体七百万石程度鉄道輸送に依存しておるものでございます。生産地かだんだん炭鉱と離れまして、今全国平均輸送距離は二百六十キロ、まだ近いところもございましようが、そういうふうに延びております。短尺小径木でありまして、且つ価格において比較にならないほど原木製材より安いことは、これは皆さま承知通りでございます。昨年一月運賃値上げ、次いで先ほど申しました四月の等級改正の前後数次に亘りまして私ども下級製村又は原木より一級若しくは二級引下げを懇請して参つております。北村先生はいらつしやいませんが、日本林業会を中核とする林業団体懇談会におきましても、この事情は十分お認め下さいまして、又は今日においては林業議員のかたより国会に対して陳情書が出ておる、こういう次第でございます。  これは過般頂いた資料でありますが、運輸省鉄道運賃改正資料というものによりまして、主要貨物価格に占める運賃割合の表を拜見いたしますと、今年四月製材貨車一トン当り価格九千円、その割合六・二%、原木同じく価格四千七百二十五円であり、その運賃割合が八・四%でございまして、坑木というのは特掲してありませんが、或いはこの原木のうちに含まれておるかも知れないと思いますが、そうでないかも知れません。  そこで坑木をこの製材原木に比較して見たいと思います。先ず貨車積載量原木製材に比してどうであるかということが先決問題であると思いまするけれども、この点は一応拔きにいたしまして、原木と同じく一トン当り三・五石と、こういたします。これは簡單に御説明申上げるほうがいいと思いましてそういたしましするが、やはり同じく今年四月坑木貨車一トン当り価格が二千三百五十三円であります。運賃の占める割合は、一七・八%となつております。つまり原木の二倍強、製材の実に三倍という高率になつております。これに先ほど申しました積載量の相違を加えなければならないと思いますが、同じ国鉄資料の中でも、原木一トン三・三石、坑木二・六石、即ち格差二割一分になります。原木一トン三・三石、坑木は二・九石、即ち格差一割二分、こういうふうな二つの資料を拜見しておるのであります。仮に先ず一割と安目に見積りまして計算しますと、坑木価格に占める運賃割合は、実に二〇%になつておるのでございます。かような高率の運賃は、先ほど来申しました石灰石、砂利硫化鉱のほか、余り見当らないのでございます。  以上申述べました理由に基いて、坑木価格に占める運賃割合下級製材、又は原木と同じようにということは無理でございますから、成るべくそれに近くやろうと思つて計算いたしましたところが、計算上は最下級の十一級といたしましても、なお且つ二割四分割引をして頂かねば八・幾らとか、六・幾らにならないのであります。理窟はさておきまして、今日のところは林野庁でお認めになります、又林業団体林業関係の議員諸先生におかれましてお認めになつて、そうして協調して、同情して頂いておる。こういう一割引下げというのは、これはもう絶対にお願いしなければならないと信ずるのでございます。林野庁国鉄に対する御要求、それから林業団体の御要求、それから又林業関係議員の要望、これの表現はいろいろでございます。それは坑木のごとき価格低廉にして小径木、こういう形の不整なものは原木よりも一級下ぐべきである。こう言うものもありますれば、又坑木、パルプのごとく、ただ單に形の惡いものは一級下ぐべし、こういうふうにあるのでございますが、私はパルプのことは申上げたくありませんけれども価格或いはこの運賃値上りの吸収力という点において、ちよつと坑木と同率に置かれるのに少し私は了解しがたい点かあるのであります。  それでこの運賃基準として最後に申しました産業政策という点でございます。これはあえて現在石炭産業の多事多端ということに私は喙を入れたくないのでございます。新森林法の施行によりまして坑木の大部分が各都道府県知事の許可を得なければ伐採できない、こういう御時世になつております。これは坑木というものは先ほど来申しました通りに非常に小径木であるのである。これは若木でございまして、これが八四%。この手続をしなければ坑木は出ないのでございます。こういう点から見まして、本年度もあとは一四半期程度しか残つておりませんが、来年二十七年度も果して坑木がその先ありまするか。これは林野庁当局も非常に御同情になりまして、炭鉱の出炭目標四千五百万トン乃至四千七百万トン、これは差支えないように、法の運用によつて支障なからしめる、こういうまあ非常に有難い御趣旨伺つておるのでございますけれども、こういう状態で果してこれができるかどうか、非常に私は疑わしく思つております。  こういう点から見ましても現在の坑木のこの運賃負担、これは鉄道御当局に言わせると、それは別の問題だとおつしやるかも知れませんけれども、併し先ほど来の国民生活の問題、食糧とか或いは肥料とか、いろいろございますが、そういうものを、ほかの普通の品物と同じレべルに置いていいかどうかということとこれは同じじやないかと思います。いわゆる国の産業政策、こういう面も特にお考え願いまして、何とぞ原木よりも一級若しくは二級お引下げ願いたいということを皆様にお願い申上げまして、私の説明を終ります。
  13. 西山龜七

    理事西山龜七君) それでは次に日本畜産協会の副会長田口教一君。
  14. 田口教一

    参考人(田口教一君) 私は、日本畜産協会の田口教一でございます。  この度の貨物運賃引上につきまして、本年の夏頃からおよそさような空気があるということがわかつておりましたので、我々畜産関係者は常に連絡をとりまして、この問題を如何にすべきかということについていろいろ研究をいたしたのであります。お話申上げるまでもなく畜産の重要性が最近各方面において再認識をされ、又畜産物国民生活上必須なものであるということが常識になつておるときにおいて、家畜及び畜産物貨車運賃の引上げというものは、全面的に畜産界としては不賛成であるという意思を表明をいたしたのであります。  その理由については、先般農協連の神戸さんから縷々お話がありましたのでありますが、家畜及び畜産物運賃引上げに対する考えは、先ほどもお話通りでありますが、さようなときに我々は国鉄のかたがたとも数回懇談をいたしたのでありまするが、我々はそのことに反対であるということと、それからいま一つは、現在の等級に非常に不合理なものかあるのを、これを一律に三割上げるということは、これは運賃を惡プールする。国鉄独立採算制という建前からこれを惡プールするものであるからして、若しそういうことをおやりになるとすれば、結果は惡プールになる虞があるから、これはやつてもらつちや困るという意思表をいたしたのであります。それに伴つて、現在の等級に非常に惠まれた物資と惠まれざる物資とがあるのでありまして、まあ家畜及び畜産物のごときものは、惠まれざる物資の一つであります、でありまするから、運賃値上げは反対であるが、先ず運賃値上げをやる前に、等級改正をやつて頂きたいということを要望をいたしたのであります。ありまするか、それが実現をされずに今回の運賃改正ということに決定をいたしたのでありますが、我々は等級改正ということについて、更に御考慮を頂いて、是非これを合理的な等級にして頂きたいということを要望するものであります。現在の家畜及び畜産物に対する等級のきめ方の原則については、今お話がありましたが、贅沢品というような気持が多分にあつてきめられておるのであります。私のほうから、運輸省、国鉄、当委員会等に出しました陳情書にも書いてありますように、煉粉乳というのは四級になつておりまするが、私たちの希望といたしましては、四級へ現在入つておるものは石油であるとか或いは銅であるとかというようなものでありまして、煉粉乳のごときは全く乳幼兒及び病人への主食に匹敵するものでありまするので、これを六級に引下げて頂きたい。六級へ入つておるものは現在果物で申しますると、りんご、みかんといつたような大衆の果物であり、それから又鮮魚で申しますとたいであるとかえびであるとかいつたような割合高級なものがこの六級になつております。煉粉乳もさような特殊性を持つておりまするので、これをそこまで下げて頂きたいという希望を申述べております。  それからバターは現行は二級になつておりまするが、二級というものは、これはまあ非常な贅沢品と申しますが、高価な物ということで、ここへ入つておると思いまするが、粉食が相当普及した現在において、バターはもう二級に入るべきものでは当然ない。むしろこれは大衆食糧の一つであるというふうに考えまして、これを五級にやつて頂きたい。五級というのは、今申上げました果物で申しますれば、大衆果物のりんご、みかん竝み、或は鮮魚で申しまするならばたい、えび、かに等に匹敵する等級でありまするが、バターのごときものは当然この等級でいいんじやないかということを考えております。それからチーズが現在バターと同じように二級でありまするが、チーズはまだバターほど大衆食糧品になつておりませんので、その生産量からいつても、バターの七分の一、六分の一程度でありまするので、これは三級にして頂きたいということ。  それから鶏卵でありまするが、鶏卵は五級であります。五級は先ほど申上げましたように、現在入つておりますものは、食べ物で申しますると、りんご、みかん、それからセメントであるとか鋼材であるとかいうものが五級に入つておりまするが、これは鶏卵は牛乳竝みにして頂きたいというので、四級ということをお願いいたしておるわけであります。  それから肉類でありまするが、肉類はこれは現在三級でありまするが、現在三級に入つておりますものは、生きた魚のごときものは三級に入つておりまするけれども、鮮魚はもうずつと下になつておりまするので、これは鮮魚竝みにして頂きたい。まあ六級へ入つておりまするまぐろでありまするが、先ず肉はまぐろ竝みにして頂きたいという主張でございます。  それから容器に入れない家畜、つまり牛だとか馬だとか或は豚、緬羊のごときものは四級でございまするけれども、これは現在家禽が七級でございまするので、七級に下げて頂きたい、むしろ牛馬のごときものは、これは農業経営の面から申しますれば、農具に匹敵する部面もあります。現在農具は十級でありまするけれども、まあ農具竝みというわけにも行きませんので、鶏竝みにこれを下げて頂きたいという主張をいたしておるのであります。  それからその次にお願いをいたしておりまするのは、配合飼料でありまするが、配合飼料は九級になつておりまするか、米糠は現在十一級であります。でありまするから、配合飼料は是非米糠並みにして頂きたい。それからふすま、俵に入れないふすまは九級でありまするか、これを俵に入れたものが十一級になつておりまするので、その俵に入れたものも入れないものも、同様に十一級にして頂きたいということをお願いしております。  それから貝殻でありまするが、貝殼は現在海藻とか或いは海綿類と一緒に同じように取扱われて六級に入つておりまするが、これはやはり貝殼というのは御承知のように畜産関係としては餌に使うものでありまするので、これを十一級にして頂きたい。さようなお願いを参衆両院の農林委員会並びに国鉄、運輸省等にも出しておるのであります。  今申上げましたように、現在の等級は非常にジグザグがあつて、不合理な点があります。特に畜産関係においては、贅沢品といつたような関係で、そういう勧念で上におかれておる感が、相当はつきり現われておるようでありまするが、現在における畜産物というものは、決して贅沢品ではなくして、国民栄養上並びに国民生活上必需品でありますので、是非さような等級へお引下げを願いたいということを懇請しておるわけでありますので、どうぞ事情を十分お汲取りを頂いて、速かにこの等級改正をやつて頂きたいということをお願いをするものであります。どうどよろしくお願い申上げます。
  15. 西山龜七

    理事西山龜七君) 次に日本醤油協会の理事小宮昌君。
  16. 小宮昌

    参考人(小宮昌君) 醤油協会の小宮でございます。よろしくお願いします。醤油の貨物運賃につきまして、貴重な時間を拜惜して一言お願いを申上げたいと存じます。  陳情を申上げます要旨は、過般来各方面へ御提出いたしました陳情書と、それから本日申上げます要旨を先ほどブリントでお配りを申上げておきましたので、簡單に本日お願いいたします要旨につきまして、御説明をさせて頂きたいと存じます。  先般の国鉄運賃の大巾の引上げに関しましては、醤油業界といたしまて、これに反対である旨の陳情を申上げておきましたのでございますが、その点につきましては、国会におきましていろいろの角度から御討議の結果、運賃改正法案が可決になりましたので又止むを得ないと存ずるのでございます。併しながらこの際重ねてお願いをいたしたいと思いますのは、貨物運賃等級或いは割引賃率の適用等に関しまして、合理的でないものがございますように存じますので、その点につきましては、できるだけ早い機会に御改正をいたされますようにお願い申上げたいと存ずるのでございます。この点、醤油に関しましては、取りあえず次の諸項目についてお願いをいたしとうございます。  その一つは、醤油の中味の運賃或いは醤油の製品運賃、これの等級引下げでございます。それからその二は醤油用のリンクされました古樽と古壜の運賃等級引下げでございます。それからその三は回収されました古壜の割引運賃、古樽と同様に五割引を適用して頂きます。こういう三つのことにつきまして、取りあえず御関係の皆様の御配慮を得たいと存じておる次第でございます。  御承知のように醤油は非常に価格の安い生活必需品でございますので、消費者実情を申上げましても、一升につきまして僅かに五円程度の値段の開きがございましても、そちらのほうを買うと、こういうような実情でございますので、非常に運賃の点から見ましても負担能力が少いのであります。それが特に最近運賃負担能力が低下をいたしておりますように私どもは考えておりますのでありまするが、それに御参考になりますことといたしまして第一に統制以前の自由経済時代……統制中は御承知のように府県別に醤油の配給統制をいたしましたが、そのときの運賃は、現在の自由経済時代の運賃とは比較ができませんのですが、それ以前の昭和十三、四年時代の醤油の運賃を考えて見ますと、醤油の価格の中に占めます運賃が大体三%程度でございます。これは製品の鉄道運賃だけを取出しましたのでございまして、醤油の原価の中には大体四五%の原料費が入つております。その原料費にやはり全部運賃がかかつておりますのですがそういう運賃を考慮に入れませんで、製品を輸送する運賃だけを考えましても、昭和十三、四年当時、醤油の生産者販売価格に対して三%程度の鉄道運賃でございましたのですが、それは統制が解除いたされました極く最近の運賃比率が、約三・三%、これは比較的大醤油会社の実例を以ちまして申上げました数字でございますので、もつと能率の惡い輸送をしております中小の醤油業者を、全般的に統計をとりますと、この比率がもう少し高くなるのではないかと考えておるのであります。  又第二に、昭和十三、四年の時の国民の生計費の中で、醤油に支払いました家庭の出費か、大体二%強でございます。それが、最近の平均の生計費の中に占めます醤油の比率が約一%程度で、非常に減少しております。これは醤油というものが前から非常に価格が安いものでございましたのですが、最近は特にいろいろな点におきまして経費の負担能力が減少しておるというふうにもこの点から考えられるように存ずるのでございます。これは醤油の使用量が減つたために起つたのではないかというような懸念もございますですが、最近は醤油の使用量も若干減りましたのですが、経済安定本部でお作りになりました最近の資料等によりましても、昭和十三年に七升程度使つておりますものが、最近では約六升程度の使用量になつておる、一人一カ年の消費量でございます。従いまして消費量の減退が、家計費に占める割合を減らしたのでございませんで、なるべく安い醤油を消費者が苦心して買い漁つておるという実情が、この点からも言えると思うのであります。現在醤油は製品になりました場合に、七等級貨物賃率が適用されておりますのですが、関係のございます食品を例にとりますと、味噌などが八等級になつております。それからお酢がやはり八等級になつております。これは味噌、醤油と並び称されて生活必需品といわれております。特に最近では味噌をお使いになりません御家庭でも醤油だけは必ず一日にお使いになる、又味噌の消費量と醤油の消費量と比べますと、醤油よりも味噌のほうがずつと消費量が少くなつておるというようなことから見ましても、少くとも味噌と同じ程度等級引下げをお願いいたしたい、かように考えておるのでございます。従いましてそういう点から考えて、以上述べましたようないろいろな点につきましていずれ資料を以て関係の方面にもお願いをいたしたいと存じますが、皆様におかせられましても十分御配慮頂きまして、特別の御明鑑を以て御採択をお願いするようにお願いいたしたいと考えます。
  17. 西山龜七

    理事西山龜七君) 続きましてこれから陳情につきまして政府当局から当局の方針及び意見を承わりたいと思います。
  18. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 只今農林物資関係の業界の皆様の非常に御詳細なお話がございました。  実は、今般の鉄道運賃改正につきましては、昨日参議院の御承認を得まして本会議を通過いたしまして、本日より実施いたしておるわけでございます。ここに至ります間につきまして国鉄当局からは八月末に貨物も旅客も共に三割五分という申請をして参つたわけでございます。それにつきまして運輸省といたしましては、法律の定めるところによりまして運輸審議会にこれを諮問いたしました。運輸審議会におきましては、九月十二日から四日間に亘りまして公聽会を開催いたしました。これは單なる聽問会ではなく、新聞紙上に公告を、成規の手続をいたしまして、御希望のあるかたを全部意見を開陳の機会を持つて頂いたわけでございます。そこでまあいろいろの御意見の陳述もございました。又一方運賃値上が国民及び経済に及ぼす影響は幾らかでも少いほうがよろしいのでございます。この点につきましては私どももできるだけ何とか少い率にとどめたい。併しなから一方国鉄の財政を破綻に瀕せしめまして、結局輸送力にひびを入らせては、これ又何にもならないし、又旅客輸送等につきましても旅客の安全を害する、或いは非常にサービスの悪い輸送をするというようなことになつても又何にもならないのでございます。その間の勘案を見極めてできるだけ低位におさめたい、経費の内容等についても十分検討をいたした次第でございます。  この公聽会の際におきましてもいろいろ各方面の代表のかたがたがお見えになりまして、実に熱心な御意見の開陳があつたのであります。総じて申上げますれば、大体特殊の例外を除きましては、或る程度運賃の値上は止むを得ないが、成るべくこの率を少くして欲しいと、そういうふうに検討しろ、或いは経営の合理化をやれ、その他の方法で少くしろというのが大多数の御意見であつたと思うのであります。勿論そういう趣旨に則つてどもも検討いたしたわけでございます。各種業界のかたがたの御意見はそういう基本的なラインにおいては、全然お変りないのでありまするが、ただやはり御自分の御関係する品目につきましては、特にその品目だけは値上は困る、或いは値上するにしても、他の一般値上率よりも低位にしろというような御意見がすべてであつたのであります。そういう御意見も十分拜聽いたしましてその基礎もよく調査いたしたのでございますが、且つ又これと並行いたしまして国鉄当局におきましては特に農林水産物資、或いは商工物資等につきましては、関係官庁のかたがた、或いは業界代表のかたがたと膝を交えた御懇談を申上げ、勿諭運賃値上の止むを得ない点はこれは御了承願うとして、果してこれがいろいろの面において本当に国家的な産業に大きな影響を及ぼすかどうかというような点も膝を交えて御懇談する機会を相当持つたわけでございまして、而もこの農林関係につきましては、林野庁とも御懇談申上げました。林野庁のほうは、勿論林業関係のかたがたのお意向を代表せられておりまするので、必ずしもそれは完全に一致するということはないと思いまするが、併しこの際の値上としてこの程度は止むを得ないという御了解には達して頂いたのでございます。  一方国鉄当局におきましてもそれに対しましては、関係の向のいろいろ御陳情その他を検討いたしまして、全般的な影響を及ぼさない範囲におきましてできるだけの御要望に副い得る措置は講じたわけでございます。例えば林業方面からお話のございました上級木材に対する品目を、現在ひのき類、かし類、けやき類となつておるものを木曾ひのきと、かしと、けやきに限定しろというような御要望に対しましては、これは非常に現場の取扱上、ひのきを木曾ひのきに限定するということは非常に困難が伴うのでございまして、かような異例な品目の限定を未だ曾つてしたことはないのでございまするが、併しながらいろいろ御事情を承わつて何とかこれの御要望に副いたいというようなことにいたしまして、特にかような誠に異例な品目の設定をいたしたのでございます。現場における取扱の困難は非常なものがあると思うのでございますが、然るにもかかわらず、そういう御要望も考慮いたしておりまするし、又坑木につきましても、現在の割引距離を更に短縮いたしまして、七百五十キロ以上を四百一キロ以上に短縮して割引率を適用するようにいたしたというような点もあるのでございまして、これは一応三割フラットの値上げで予算を組んでおりまする国鉄当局から見ますれば、やはり相当の犠牲でございまするが、併しながらこれも林野庁もその全部の御要求に対しまして、すべてを御要望通り応じないで我慢して頂くという考え方に立ちますれば、やはり一種の歩み寄りと申しますか、国鉄当局におきましても、多少できるだけ運賃収入の減少も止むを得ないが、そういう御要望に副うというような措置を講じたのであります。只今いろいろお話かだんだんございましたが、こういう点について皆さんのほうから一言も御言及がなかつたということにつきましては、私ども誠に残念に思う次第でございます。  こういうふうにいろいろと御折衝申上げまして、成るほど鉄道運賃値上そのものは原則として止むを得ない。併しながらこれだけのことを聞けということは、全部に勿諭十分な御満足を得なかつたことは止むを得ないと思うのであります。相当いろいろと御懇談申上げて、力の及ぶ範囲の御考慮は申上げたのでございます。併しながら勿諭只今お話のございましたように皆さま業者の関係、業界の皆さまにとつて見れば御不満のあることは止むを得ないのでございまして、運賃は安ければ安いほどに越したことはないのでございまするから、もとより当然のことと思うのでありますが、お話のございました趣旨の殆んど大半が、と申しますか、殆んどすべてが等級改正を考慮しろというように拜聽いたしましたが、この点について御説明を申上げたいと思うのであります。  等級につきましては、これは一昨年の昭和二十四年の第六臨時国会でございましたか、貨物運賃の値上をお願いいたしました際に、等級改正について強い御要望かあつたのでございます。そこで等級改正をするようにというような附帶的な御意向が非常に強く、運輸省といたしましても、国鉄当局といたしましても、これを了承いたしまして、値上法案を通過さして頂きましたことは皆さんのおつしやつた通りでございまして、ところがその際にもいろいろ申上げたのでありまするが、等級改正と申しましても、これは非常に広汎な大きな仕事であつて、戰争後の経済状態の変化と、それから異常なインフレーシヨンというものがございましたので、なかなか等級改正という大事業はできないのだということを申上げたのでありまするが、従つてやれば一年なり、二年の月日をかけなければできない。そういう点については実はGHQのサゼツシヨンもございまして、つとにその基礎資料を集めて準備に着手し始めるというふうに申上げたのでありまするが、併しながら当時の等級改正の御要望は、特に例のドツジ均衡政策とでも、財政政策とでも申しますか、ドツジ予算の関係上、非常に経済界がデフレ傾向と申しますか、になつて参りまして、特段の産業方面におきましては非常にやりにくくなつてつた時代でございまするので、何とか運賃値上を堪えられない部分に対しての検討をするようにというような御要望が強かつたようであります。そこで等級改正については一面四月という目標を置きまして、かたがたその間には暫定的な割引を一応実施いたしまして、四月を目途に等級審議会というものを国鉄内に設置いたしました。これには国会議員のかたがたからも代表をたくさん出して頂きまして、或いは関係官庁、或いは学識経験者、或いは関係業界の代表のかたがたのお集まりを願いまして、石川一郎氏を会長といたして審議いたしたのでございます。でその結論はやはり本格的な等級改正というものは、これは大変な大仕事である。これはかすに時日を以てしなければならん。差当つて均衡と認められるものだけを是正するという措置に出ようということで、いろいろ御研究になつた結果が昨年の四月一日に実施いたしました等級改正なのでございます。これによりまして取りあえず著しき不均衡は一応是正されたものと考えている次第でございまするが、なお併しながら根本的な等級改正についてはこれに引続いて研究するように、各種の資料を集めているのでございます。何分にも凡百の品目でございますので、相当資料の収集に手間がかかる上に、なお一番困りましたことは、図らずも二十五年の六月から朝鮮事変が勃発いたしまして、やや安定するかに見えた日本経済が果してどういう方向に向つて行くかわからないというような状況で、物価の値上りなども品目によつて非常にバランスを失して参りました。そういう点から一時、その推移を見て参りたいと、かような気持も動いたことも、これも事実でございます。それを只今では怠慢であるというようなお叱りの向きもあつたようでありますが、併しながら私ども考えまするに、やはり基本的な等級改正いたしますのは、これは容易な仕事ではないのでございます。多少経済情勢の推移を見究めるというようなことも必ずしも不当なことではないのではないかと思うのでございます。併しながら今日の貨物等級がこれは戰前のものが原形でございまするから、従いまして我我か考えておりましたのは、決して十全な完璧なものとは勿諭思つておりません。又如何に立派なものを作りましても、これは生きて動いておる経済事象に対応いたしまして、皆様の全部の御満足を得るものができるとも思えないのであります。それにいたしましてもなお検討、改正余地あり、特に等級数或いは等級間の開き等につきましても、或いは品目の分類の方法等につきましても、そういう基本的なことから検討して改正を要すべき点が多々にあるように私も存じておりますが、そういう点は決して研究をおろそかにしておるわけではございません。今直ちにこの御要望に副い得ないというわけでございます。  だだその次に一つ御了承を願いたいと思いますることは、この等級を御覽になります上におきましていろいろ誤解もあるかと思うのであります。それは一つはこの貨物運賃は、これは御承知のように実費主義と負担力主義とまあ極端に申せば二つの考え方があるわけであります。で現在我が国の使つておりまする方法は、貨物運賃制度は実費主義と負担力主義とを適当に調整しておるわけでございまして、先ほどいろいろのお話がありましたように、価格に占める運賃割合だけをとつて御議論なさるのも如何かと思うのであります。そういうことになりますれば、お手許に差上げた表を以て御覽になりましてもわかりまするように、トン当り数百万円に上るものもあれば、僅かにトン当り二、三百円というような価格の品物もあるのでございます。それに対して一律の定率のものが運賃であるというようなことに相成ると、これは鉄道輸送の原価そのものと全然隔離した一種の物品税とでも申しますか、というような恰好に相成つてしまうのでありまして、これは甚しい極端な考え方ではなかろうかと思うのであります。で、やはり鉄道運賃というものは、運送原価というものを中心にいたしまして、或る程度の中でございます。例えば一級にいたしましても、五級の倍とか三倍という程度しかこれはもらえないのが常識じやないかと思います。如何にダイヤモンドが高いと申しましても、ダイヤモンド一トン当り数千万円の運賃をとるというわけには参りかねるのでございます。やはりそこにおのずからの負担力によつて調整いたします限度があるのでございまするから、従つてそういう意味で以てお考えを願わなければならんということと、いま一つは、これは等級は凡百の物資を或る一定の数にまとめるのでございまして、只今のところは十一等級でございまするが、仮に幾ら多くいたしましても、国有鉄道の前例を以ていたしましても、二十等級以上多いことはなかつたと思うのであります。二十等級にいたしましても、とにかくたくさんの物資をそれだけの等級に区別するのでありますから、同じ等級の中にもそれは肩を並べては少しおかしいと思うものもあります。勿諭例えば五級ならば五級の品物の一等上の最上位に位するものと、最下級に位するものとの差は、五級の最下級に位するものと六級の最上位に位するものとの差よりも遥かに高いものも確かにあると思います。併しそれを以て不合理と仰せられて頂いたのでは、これは等級に区切りをつけるわけに行かなくなつて参るのであります。そういう点は或る程度、それをまとめます上において、どうしても一から十まで、きちんとどこを見ても不合理ではないというふうには行きかねると思うのでありまして、その点も御了承願つておかなくちやならんかと思います。  それからもう一つ御了承願わなくちやならんのは、現在の等級は、容積というものを等級の中に組入れているわけでございます。先ほどお話のございましたうちに御了承のかたもあると思うのでありまするが、やはりこれは、先ほど減トン扱いと申されたのでありまするが、減トン扱いと申しますのは、結局例えば十五トンの貨車にいたしましても、容積の関係で十五トン積めない、十トンしか積めない、或いは十二トンしか積めないというものに対して、今の運賃制度で申しますると、十五トン分一車使えば、この運賃を頂くわけでありますが、それに対して十二トンでよろしい、十三トンでよろしいという制度が減トン扱いでございます。昔は先ず重量で等級を一応検討いたしておりましたので、その容積の調整を減トン扱いによつてつたのでございまするが、従つて軽い物は、例えばトン当りの非常に容積が大きい物、これは十五トン貨車を使うようになつても、十トンしか積めないというものに対しましては、十トン分なり十二トン分なりの運賃でよろしい、こういうことにいたしておりました。ところが戰争中いろいろ事務の簡素化、或いは職員の能率の低下というようなこともございまして、この等級改正いたしまして、容積関係のものをトン毎に落してしまつたので、従いまして例えば五級のもので非常に容積が大きなものは、結局十五トン貨車を使つても、たくさん積めませんから、六級なり十級なりにする。その代り運賃の計算は全部十五トンでするというようなやり方に改めたのであります。この容積関係の換算が加わつておりますので、なお等級を御比較になる際に、いろいろ不合理と思われるような点も多々感ぜられるのでありまするが、卒然としてこれを御覽になればそうでございまするが、どういうわけでそういうところでランキングしたのかということを十分御検討願いますると、多少御了解願えるのじやないか。  それにいたしましても、勿論先ほども申上げましたような、幅のあるところへ押付けるのでございまするから、右と左と見方によつては、それは不合理だとお感じになる点もなきにしもあらずと思います。この点につきましては等級審議会等において、詳細な資料を出しまして御説明いたしましたように、もともと等級としては五等級に分けたのでございまして、それに対して、それ以下の六等級以下は五等級のバリエーシヨンなんでございます。いわゆる負担力の関係においては五等級に分類している。それ以下はいろいろ社会政策産業政策、或いは国鉄の商業政策である場合もあり得るのでございまするが、そういう各種の政策的な意味を加味した等級が六等級以下でございます。農林物産の品物につきましては、もう見ればおわかりになる通り、非常にその点の考慮を払つているはずでございまして、相当この政策的な等級のほうへランキングしている分が多いのでございまして、従つて初めから等級内のところを差等をつけて、もつと低くしろという御要求は、誠に国鉄として当然そうあるべきかと思うのであります。すでに等級の全般におきまして、そうついうスタンド・ポイントに立つて設定しているのであります。それを又更に下げろというお言葉でございますが、直ちには応じかねる点も多々あつたのかと思うのでございます。併しながら先ほども申上げましたように、等級改正につきましては十分検討もしなければなりませんし、各界……、農林関係のみならず水産業界、或いは鉱山業界、その他各方面からいろいろ御要求がございまするので、これは飽くまで、先ほども申上げましたように、根本的な改正を行うように十分注意はいたしております。幸いに経済状態も余り大変動がないような見通しもついて参るようでございますが、至急国鉄当局を督励いたしまして、十分なできるだけ多くの方法の割合で、御満足を得る等級改正ができますように督励いたして参りたいと存ずる次第でございます。その際に当りましては、本日頂きましたような資料、或いは御意見、十分に斟酌さして頂きたいと考える次第でございます。
  19. 西山龜七

    理事西山龜七君) 次に国有鉄道の営業局貨物課長補佐岩岡君に、何か御説明あればお願いしたいと思います。
  20. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) 御指名によりまして、少しくお話申上げたいと思いますが、大体只今課長からお話して頂きましたことで盡きるわけでございますが、然らば鉄道ではいろいろの社会の要望から等級改正をやつてくれといつているのに、そのまま放つて置くのかということについて一言お話申上げたいと思いますが、昨年四月に一部の等級改正をやりまして、その際先ほどどなたかからもお話がございましたように、これは暫定的な改正である、将来に亘つた根本的な改正はよく研究した結果更にやるべきであるというようなお話がございましたので、我々といたしましては昨年以来いろいろの資料を集めているわけでございます。何せ非常に厖大な品種を扱つているものでございますからして、資料もなかなかそう集まらない、早急に全部まとめることは困難でありまして、一つの例で、先ほどいろいろ問題がありましたが、木材だけについてもあれほどの議論がございますので、数万種に亘る貨物をあのように議論をしておりましたならば、それは大変な資料が必要になつて来るのであります。併しまあ我々としてはできるだけ正確な資料を集めなくちやならんということで、昨年十一月に貨物実態調査をやりまして、数万種に上る貨物を、而もその名柄別に調査いたしまして資料をまとめたわけでございますが、併しそのあとから又価格の面、いろいろ変動がございまして、その資料そのままを使つて考えるというわけにも参らなくなつたのでありますが、更に補足的な調査もしなくちやならん、かように思つております。  それからもう一つは、これは、今申上げましたのは、我々が内部的に準備をしていることでございますが、外部的にいろいろ御了解願わなくちやならん点が多々ございます。これを鉄道が、鉄道だけが勝手にきめるということはいかんことでございまして、その点あなたがた荷主様から幾分なりとも御了解を得なくちやならん。併し等級そのものを、決定された数字だけを見ますと、いろいろ俺のところの等級は非常に高い、もつと引下げべきだという御議論も出るでしようし、又あすこの貨物は非常に等級が安くなつている、こういういろいろな御議論が出て来るわけでございまして、次に貨物運賃というものは比較的複雑な構成になつておりまするので、そういう点を御了解願わなくちやならんし、現在の等級というものはどういうふうにできているのか、でたらめに我々としては作つているわけじやございませんので、そういうふうないろいろの基本的な御了解を願つて、更に具体的な御検討を願うという意味合におきまして、昨年以来毎月一回か二回、各産業界のかたがた、ここにおいでになります全販連関係、畜産関係のかたがた、そういうかたがたにお集まり願いまして、目下検討しておるわけでございます。併しまあ等級は、なかなか結論が出ないのではないかと思つておりますが、たゆまざる努力を続けて行きたいとかよう考えておる次第であります。
  21. 西山龜七

    理事西山龜七君) それでは引続いて政府当局及び陳情のかたに対しまして、各委員からの御質疑をお願いいたしたいと思います。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 国鉄にお伺いいたしたいと思うのですが、いろいろ荷物の地位といいますか、価値を認めて、それぞれ等級をきめているようですが、これを見ますと、非常にどうも不合理な品種がたくさんあると思うのです。例えて申しますと、木材の中で、枕木とパルプと同じ等級です。まだたくさんありますが、たくさん申上げても仕方がないから……、五級で合板というようなものもあるかと思うと、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉も入つておる。これは何してやつたかわからないということを言わなくちやならんと思うが、非常に多数の品種がよくまあこまごまと幾つも並べてありまして、全部直すことは不可能なことでありましようから、そこまでは望まんのであります。パルプ原料は、今問題のインフレになりつつあるのでありますが、我々はパルプ原料、製紙原料というものは、とことんまで叩かなければ駄目だという意見を持つております。木材を高くすることは、インフレを非常に煽る原動力だ。原木を高く買つたつて、そうして製品を高く売れば、それで製造家のバランスはとれるということになるかも知れませんが、実に不届きでこれは税金面で、とことんまで叩くのはいいかとも考えますが、その原料を枕木と同じように認めるということ、そういうこと自体が現在のパルプの売行き、パルプの受益、パルプの価値、こういうものから言えば飛んでもないことだ。業者はそういうことは当り前で何でもかんでも安ければいいというのでしようが、これは非常に業者が横着で、国としてそのままに置くことができない状態にあります。そんなものですからパルプの原料というものはよく注意をして、そうしてとことんまで税金をかけるべきだ、僕はこう考えますが、澱粉もどうして澱粉をここに置いたかということをお聞きしたいと思う。
  23. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 先ほども縷縷申上げたのでございますが、貨物等級につきましては、これは輸送実費を基礎といたしまして、負担力はこれを或る程度負担力によつて差をつけているのでございます。でパルプ原料及び坑木といたしましても、品質軽重等からさほど多くの差異を従来は認めておりませんでした。そのまま同一の等級にしておるのでございますが、これはお話のように、最近のパルプ材の高騰というものは十分承知いたしておりませんが、やはり私どもといたしましては、価格が上つたからすぐ等級を上げるというような筋合いには参りかねるかと思うのです。或る程度の一遍きめました運賃簡單に変えるわけにはいかん、最近の経済情勢から出て参つたこれは一時的な現象か、恒久的な現象か、私どもにはよくわかりませんが、併しそういう点もよく検討いたしまして、恒久的な現象であつて、而もこの運賃負担力の観点から、もつと等級を上げて然るべきところに置くのは当然だという結論が出ますれば、これはそういう措置をすることは当然だと思うのです。ただ生きております経済事情に直ちに貨物等級を即応させて上げ下げするということには参りかねるのでございます。
  24. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私の考えるところの原則をはじめに申上げればよかつたのですが、抽象的に言つたのでありますが、国鉄の採算は二十五年はおかげ様で相当よいと、こういうので喜んで見ておつたところ、今年はなかなかそういうわけには行きませんので、いろいろな資材の値上りで非常な赤字を心配しておる実情であります。そこで運賃値上げは、これは止むを得ないのであります。独立採算から申しますると、当然そうあるべきだと思いますけれども運賃は客車の運賃をうんと上げる。貨物運賃を成るたけ下げるというのでなければいかんと思います。それは何故かと申しますると、物資、即ち品物を、あらゆる品物を全部とは申しませんが、生存いたしておりまする国民はあらゆる部面で品物を使わんという人はないと思います。赤ちやんでも老人でも、当然国民全体が品物を使う建前にあるべきが本当だと思います。客車は殆んど三年に一回、或いは五年に一回、一生に一度も乗つたことがないというかたもあるかと思います。そういうことで必要なものに応じて、必要な場所に使うので、客車の運賃なんかはうんと上げてもよいと思うのです。それを上級の人が反対だと言うからやめてしまうのです。上級の人の運賃はうんと上げてよい。鉄道に行つて意見を述べる人は相当の地位があるから上らない。そうでなしに、国民全体から言いますと、客車の運賃を上げて、貨車運賃を下げるべきだという考えをすることが国民全体に対する義務であり、そうなくてはならんと思います。それをそうでなくて、客車の運賃を上げ過ぎたとか何とかいうことをごたごた上級の人が言うから、鉄道もそれに引張られてそういうことになつておると思いますが、私はそういう建前で客車の運賃はその採算がとれるまで上げる。貨物運賃は最低に下げるということでなければ国民全体の幸福ではないということを考えております。そこでこの運賃にいたしましても、遊び歩くのもあれば……。そんなものばかりではありません。日本現状は、今後の講和後の日本は、今までのような甘い国民の考えでは事実できんと断言しても憚らない。極端な議論を申上げますが、鉄道もそのつもりで、余り鉄道の安いサービスはやめて、料金はうんと取つてうんとサービスするというような行き方にしたほうが一番現在の日本実情と合うと実は考えておりますが、その点どうか聞きたいと思う。
  25. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 旅客運賃を上げて貨物運賃は成るべく安く抑えるべきだ、こういう御議論だと存ずるのでありますが、実はこの諸外国の鉄道の例を見ますと、大体貨物運賃のほうで儲けております。旅客運賃のほうはむしろ損をしておるというような国が多いのでございます。併しながら我が国の国有鉄道は全然逆でございまして、従来におきましても貨物運賃は原価と全体総合いたしましてすれすれ、いわば極端に申せば通常経費だけを賄つておる。旅客運賃のほうはこれは常に原価よりも高くて、そうして例えば借金の利子であるとか、或いは工事財源となります減価償却費、或いは取換費というようなものであるとか、予備費であるとかいうような、いわゆる経営費以外の費用は全部旅客運賃のほうへかぶせておるというようなのが大体今までの実情でございます。で実は終戰後それも非常にアンバランスになりまして、貨物運賃は一昨年の暮に御承認願うまでは逆に運べば運ぶほど赤になるというような状態になつておりました。私はこの国鉄が公共企業になりまして、独立採算制になりました以上、運べば運ぶほど赤になるというような運賃は、やはりこれは考えなければならぬのではないか、併しそれを原価を補う最小限度に抑えたほうがよいのではないか、需要は旅客運賃のほうにかぶせる負担すべきはずだというふうに考えておりまするが、今回の値上げを御承認願いました直前におきまして計算いたしますると、大体旅客のほうは収入を一〇〇といたしますると原価か一二二ぐらい、それから貨物のほうは収入を一〇〇といたしますると原価か一四〇幾つかになつておる。ですからこのままで参りますと旅客二割値上げ貨物四割値上げというようなことになるのじやないかと思うのであります。なぜそうなるかと申しますと、御承知のように旅客のほうは甚だ申訳けないのでありますが、結局輸送か殖えて参りますと混んで参る。混んでいるのを、混雑を御辛抱願つて、而も運賃は下げないでおる、ところが貨物のほうはほぼ容積なり重量できまつておりますので、詰め込みということができない。十五トンのものかあればやはり一車を余計に使わなければならないということになりますので、運輸量が増加いたしますと、自然貨物のほうの実費が殖えて参るのであります。そういう情勢でございますので、今度の運賃値上げ国鉄も三割五分でどうだというので出て参つたのであります。今お話趣旨、これは趣旨に全く十二分の御満足を得るかどうかわかりませんが、とにかくそういう考え方に立つておるのであります。それを運輸審議会で検討いたしました結果、まあ多少旅客のほうを低目に抑えましたが、やはりそれでも計算の結果は先ほど申上げましたような状態にほぼなるのでございますので、御趣旨に幾分副つておるかどうかわかりかねますが、そういう気持でいることは御了承願いたいと思います。
  26. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 間違いがあるからもう一遍申上げて置きたいと思いますが、旅客の運賃を上げよと申しましても通勤列車、即ち東京都にいたしますると相当な広範囲に国鉄が電車を動かして通勤の便を図り、或いはその他にもそういうものがあります。そういうものは成るたけ下げるだけ下げて行かなければならない。そういうような考えで主張いたしておりまするから何もかも一緒にして何もかも上げるという意見は持つておりません。ただ現在、私は北海道ですからよくわかりますが、二等車の混むこと実に夥しい。こんなことはなかつた。これは結局運賃が安いから大したことがないというので、儲けが多いものですから金があるからどんどん乘るというのに違いないと思う。ところが乘つてもらわなければ鉄道の収入はないと思いますが、これは採算上相当上げても必ず乘ります。そういう御心配なしに鉄道は採算をとらなければ困りますから、私は決して採算のとれないように何もかも度外視せよとは申上げませんが、採算をとるだけ上げなければなりませんが、それには旅客運賃を上げて貨物運賃を下げてもらいたいという議論を持つておりますし、そう申上げておるのでありますから、その点誤解のないようにして頂きたいと思います。
  27. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 只今お話で大変よくわかりまして、御趣旨に副うようにいたしたいと思うのであります。一応御承知でもございましようが御了承願つて置きたいのは、これは上級旅客の数は殆んど現在では全体の旅客の五%ぐらいでございまして、運賃収入を加味いたしましても、七%ぐらいしかならないのでございます。これを倍上げても実は国鉄財政の上から申しまして影響はないのでございます。併し御趣旨は御尤もでございます。殊に二等が混んで参りましたのは例の特別二等車と申す設備がございまして、これを御利用になるかたが非常に殖えた。それの間接的な影響で普通の二等車も殖えて参つたというような点もあるかと思います。特別二等車につきましては、実は今まで運賃法上、多少制度的の疑義がございましたので、指定料金という恰好で百円だけしか頂戴しなかつたので非常に安い。これは今度の法案の改正で、條文に改正をして頂きまして、そういう使用料金をはつきり取れるように根拠を作つて頂きましたので、今度はそれをキロ程に応じまして二百円、三百円、四百円というふうに取ることにいたしておりますので、幾らかでも只今の御趣旨に副うのじやないかと思います。
  28. 山崎恒

    ○山崎恒君 今回の運賃改正当りましては、国鉄の採算方面からいたしまして止むを得ない点があつたために両院の賛成を得られて成立したのでありますが、特に政府の企図するところの自立経済の立場から申しましても、極力物価の高騰を抑制しようというような見地から考えまして、貨物運賃の引上げか如何に物価影響するか、又一般大衆の生活に累を及ぼすかということは論を待たない問題であるのでありますが、勿論この大きな赤字を埋めますのには、かような方法をとらなければならないということはよくわかりますがために、我々どもは賛成いたしておるのでありますが、只今前項申上げましたような見地から行きますと、特に直接生活に関係あるところの物資の輸送等に関しては、それぞれ品目によつて十分検討して、等級引下げ、或いは減トン制の問題、従来戰時中とられておりましたところの藁工品のごときは、減トン制をとつてつたのでありますが、そういう問題等について再検討いたしまして、それが是正すべきであろう、さように思いますが、その点を先ず一つお聞きいたしたいと思います。  同時に品目について了解に苦しむものがあるのですが、例えば醤油、先ほど醤油協会の小宮理事からお話がありましたが、醤油と味噌と酢とは内容においてどういう点が違うか。これがすでに八級、九級というような段階に分れております。それから米の粉と、小麦粉の間に非常な段階の開きがありますので、こうした点はどういう点でそういう内容において分かれておるかという、その観点を先ずお聞きいたしたいと考えるのであります。
  29. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) お尋ねの第一点の減トン扱いの復活でありますが、これは先ほども申上げましたように、減トンは容積関係を考慮して扱われておつたのでありますが、それを等級そのものに組入れるために廃止した。ところが恐らくそれでは十分でないというお考えであろうと思います。その点はいろいろ実情調査いたしまして、今後の等級改正のときは、私はやはり昔のような減トン制をとつたほうがはつきりとわかりよいではないかと思います。これは私見でございますが、減トン制廃止のときも私は実は国鉄の中におりましたが、余りいいやり方でない、減トン制は存続すべきであるということを盛んに述べたのでありますが、当時いろいろやはり新らしい職員が非常に多くて教養上困ることがありますので、ああいう伝統をとつたのがいろいろと今日に及んでおるのであります。今後新らしい等級を建直す場合には、やはり私は減トン制をとるほうがやはり運賃制度として合理的ではないか、より合理的だと思つておりまして、常々個人的にはそういうことを申しております。できるだけそういう方向に実現して頂くように、まあ国鉄当局のほうにも研究をお願いしておる次第でございます。  それから只今御指摘になりました品目につきまして、これは非常に具体的な問題でございまするので、国鉄の岩岡君からお答えいたします。
  30. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) 醤油と味噌、酢、これの等級が違つておるのは、これは我々のほうの調査に基きました結果、かようになつたのでございますが、基本の等級においてはいずれも同じでございます。醤油も味噌も酢も同じでございますが、ただ味噌、酢はこれは大体樽入れによつて送られるということで、醤油の壜詰或いは小樽、そういうものいろいろを集積しました加重平均等から見まして、味噌、酢のほうが減トンの率か多いということから、そこに先ほど申上げました減トンを等級の中に織込んだということは、こういうところに非常にまあ錯覚を起す虞れがございますが、さような意味で違つておるのでございます。それから米粉と小麦粉の等級が違いますのは、同じ穀粉ではございますが、米の粉は主として菓子原料などに使われ、比較的用途の高級なものでございます。小麦粉はこれは專ら主食になるものでございますから、そういう意味合からいたしまして等級を区別しておるのでございます。
  31. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちよつとお尋ねいたしますが、御承知のごとく食改善が次第に強化されつつある今日といたしまして、常食として野菜、果実は欠くべからざるものである。殊に勤労大衆の健康保持の上から申しますならば、今後ますますこれが必要性を増加される今日、野菜と果実において五級、十級という大きな差をつけた理由如何。又若しこうしたことの差があつて運賃輸送等に事欠くとしたら、果実中りんごのごときものは九州或いは阪神地方には次第に高いものを供給しなければならない。これに対して何か今後輸送費に対して相当手加減と申しますか、或いは料金に対しての手を打つ方法を考案しておられますか、この点について一つはつきりお伺いしたいと思います。
  32. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 只今の御質問、野菜と果実と等級が異るのはけしからんというお叱りでございまするが、これは私ども鉄道のほうでは殆んど数十年来そういう考え方をとつてつたのでございます。野菜のようないわゆる副食物と、果実と申します多少嗜好品的な感じが入つて参るものとは区別しておつたと思うのであります。お話のように今後は果実はそういうわけには行かんということも御尤もでございまするが、なおこの点につきましては、全般的な改正というようなときに十分検討させて頂かなければならんと思うのでございます。併しながら只今お話の遠距離に相当お送りになり、遠距離の市場における価格が非常に高くなるというお話でございまするが、これはまあ統制経済運賃をプールしてやつておりましたときは、そういうことはないのでございますが、統制撤廃になりまして自由経済になりますれば、産地に遠いところの市場値段は高くなるということも或る程度はこれは止むを得んかと思うのであります。その程度が非常に大きくなりまして、本当に生活必需品の需給に支障を来すというようなことになりますれば、これは又いろいろ考慮をいたさなければならんし、ひとり運賃ばかりでなくて、ほかの方面からも、産業政策からも併せて考えてもらわなければならんかと思うのでありますが、果実類の割引現状等につきましては、岩岡君から御説明をさせて頂きます。
  33. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) 果物につきまして昨年の青森のりんご及び長野のりんごにつきまして、ちよつと資料を持つて参りませんでしたが、遠距離輸送のものにつきまして……。及び紀州、靜岡、四国方面のみかんの北海道行の物につきまして運賃を逓減した例があるのでございますが、これは昨年やや輸送力が余つておりましたので、まあさような措置をとつて、鉄道としてもこの輸送力を成るべく有効に、そういう遠隔な地にまで果物が行くようにという考慮を払つたのでございますが、今年そういう方法をとるかどうかということについてはまだ考えておりません。恐らく今年は非常に輸送が逼迫いたしておりまして、そういう遠距離輸送というものが困難になるのではないか。併し鉄道としてはできるだけ遠隔に送ることは心配いたしておりますが、そういうことで割引ということはちよつと困難のように考えております。
  34. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 大体只今の御答弁で将来何か考慮の中にあるというような予想はつけたのでございますが、御承知のごとく何と申しましても、絶対量の足りない日本の食生活は、国民生活に不安を与えるというのを第一に考えなければならない。そういう見解に立つときに、日本の食生活は次第に米麦というような見地から、或いは種々なるそこに健康保持についての勘案をしなければならない。従来ずつと運賃のこの段にあつたからというけれども、国民全体が嗜好し、国民全体の健康保持ということに対しては、やはり鉄道もこの一線に立つておる以上、十分にこれらの点を考慮して、そうして食生活の安定に寄与する方針をますます強化されることを強く要望して質問を打切ります。
  35. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 お尋ねをしましたがお答えがなかつたのですが、甘藷、馬鈴薯の澱粉が五級になつておりますけれども……。
  36. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) 澱粉類は終戰直後におきましては、主食にたまたま扱われた例もございますのですが、概してやはり菓子原料或いは高級料理の原料というようなものになりますので、主食でありますところの小麦粉などと同格に置くべきものではないと、かように考えて少し高くなつておるわけであります。
  37. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 どうも御認識が不足で困るのですが、同じ所に竹輪だとか菓子類だとか、蜂蜜だとか非常に高級な物と一緒にされておるのでありますが、澱粉というものはそういうものではない。殆んど原料なんですが、恐らく原料にしましても飴の原料、それから繊維の糊というのが主たるもので、原料をここに置きますと非常に困つたことになると思うのですが、今までもそれに困つておる。実は産地と消費地の値鞘が非常に開いておつて困るというのですが、これはもう少し御研究を願つてここに置くべきものでないと思いますが、時間がないから詳しく御説明申しませんが、実はおわかりにならなかつたら御説明に上りますから、何とか考慮してもらいたいと思いますか、如何ですか。
  38. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) この配列箇所のお話のようでございますが、私のほうはこの配列を考えますには、私ども現場の係員が索引に非常に都合にいいようなことを考えておりますので、粉といえば三十九品類を見ればそこに一括して載つているのだというようなことを考えまして、私のほうの都合で配列しているわけでありまして、工業原料であるからとか、或いは食料品であるとかというようなことを考えて載せておらないのでございます。ひとえにこれは事務的な便宜のために載せているのであります。
  39. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 事務的な便宜のために載つているのは結構なんですが、書いてある等級によつて運賃が違うと思いますが、五等に書いてあるのは困るので、もう少し安くするという意見ですから、配列のせいじやないんです。誤解のないようにお考え願いたいと思います。……どうでしよう、五等に置くことが適当であるかどうか。
  40. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) 先ほどお話の中に、資料を御提出下さるということでございますから、それに基きまして研究させて頂きます。
  41. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 本日参考人としてお出でになつた各界のかたがたの、極めて具体的な御意見を拜聽すると、いずれも極めて我々としては妥当な御意見でありますし、又政府委員国鉄関係のかたの御説明を聞いていても、私どもには大局的に肯ける点もありますが、何か詳細に入るとかなり等級別その他の扱い等について凸凹があるように考えるのであります。従つて今回の改正の中で、私は二、三点をお尋ねして、最後に御要望を申上げたいと思うことは、本年度の計算で四百三十三億の赤字が出るということです。これを埋めるために、要するに今度の運賃改正がなされたということを御説明されているのでありますが、その中で貨物関係運賃が百十七億、それから旅客関係が六十四億、こういう数字が挙げられているのでありますが、つまり旅客に対しては二割五分、貨物に対しては三割という値上をした根拠は、一体、先ほどの岡村委員説明のごとくに旅客のほうを重くして、貨物のほうは少くとも軽くするのか至当であろう。庶民生活を考えれば誰が考えてもそれが至当であると考えるにもかかわらず、現在は逆になつている。その理由が一体那辺にあるのか、それを一点お伺いしたい。  それから第二の点は、若し少くともこれを近い将来に是正するとすればこれを同率にすべきである。一歩譲るとしても三割、三割、或いは両者とも二割五分なら二割五分という運賃にすべきであろうと考えるのでありますが、そういうつまり改正が近い機会にこれはなさるべきであろうと考えますか、そういう機会が持たれるかどうか、これが第二。  それから第三は、先ほど各委員から細かなお話がありましたが、木材或いは畜産物、その他食料品等に関して、かなり等級品目等について凸凹かあるようですが、これは是非とも近い機会に改訂を一つして頂かなければどうもおさまらないと思う。こういう問題については、先ほど簡單な御説明がありましたが、これを、品目改定をする用意があるかどうか。あるとすれば一体いつ頃、この会計年度内に、或いはこの会計年度内に非常にむずかしいとすれば、四月一日以降の新らしい会計年度内においてそういう用意があるかどうか。そういう点について、以上三点について私はお伺いしたい。
  42. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) お手許に差上げました資料について、時間の関係上御説明も申上げないで差上げたために誤解を頂いて恐縮いたしました、実は三ページに書いてございます旅客収入、貨物収入は、これは運賃値上前の姿でございます。これは現行運賃率で以て本年度の収支計算をするとどうなるか、それか当初予算と申しますのは、四月に御承認頂いた当初予算でございますが、旅客収入七百二十七億、貨物収入、六百三十七億、それに補正額というのは現行運賃収入でも、その後の輸送の増によつてこれだけのものが見込まれるという自然増でございます。それを基きまして旅客か七百九十一億の、貨物が七百五十四億、合計で千五百四十六億になる。それでその収入でやりましても、千五百九十億が総合計になります。雑収入が加わりまして……、それで経費のほうを算定いたしまして四百三十三億の赤になるということでございまして、この六十四億、百十七億は運賃値上の増収額ではないのであります。運賃値上の増収額は二十ページにございまして、二十ページを御覽になりますとわかりますように、参考表一ですが、そこにございますように、旅客収入は大体いろいろ細かに分れておりますが、総まとめにいたしますと、二割五分七厘、増収額百七十八億九千九百万円、貨物のほうは二百六億でございまして、二割七分六厘でございます。これが増収額の見込でございます。資料をただお配りしただけで大変恐縮でございますが、値上の表でございます。  今度は値上の率を変える意図があるかどうかということでございますが、先ほども説明申しましたように原価、実費を計算いたしまして、而も附帶的な、つまりどちらへでもつけていいというような費用はすべて旅客に背負わせるといたしまして、大体この程度でバランスがとれるのじやないかと考えておりますので、この点を修正するのは、私どもとしては用意はございませんが、なお割引率は、御承知のように値上率をこういうふうにきめられましたのは、運輸審議会において答申があつた結果でございます。運輸審議会は法律上相当の拘束力をもつておりまして、運輸省といたしましては運輸審議会の答申に従つて事を運ばなければならんのでございます。運輸審議会は六人の專門的な委員が検討いたしまして、公聽会を開いてかような決定をいたしたのでございます。私どももそれを妥当な結論と受取りましてやつてつている次第でございます。  第三点は、品目等級等について、いつ頃改正を行うかということでございますが、等級改正自体はこれは私ども戰前もこの仕事に多少関係しておりましたか、先ず本当に申しますれば五年や六年はかかる仕事なんでございますが、併しながらそういうふうな悠長なことも申上げておられませんし、又現在の等級に対してまあいろいろ直すべき点のあることも事実でございます。ただこれはあくまでそういうことを直しますと、平常時の場合におきましてはこれはどうしても不増不減でやらなければならん。そういたしますと一方において下げるものもあれば一方において上げるものもなければこれは国鉄の財政が合わないのでございます。従いましてどうしてもそうなりますと上げるほうに御賛成の品目というものはなかなか出て参らないのであります。又仮にありましても、運輸数量は極めて僅かでございまして、これだけ幾ら上げましても、実際上は安くするほうの穴埋めに廻らないというようなことになるのでございます。私の率直なところは、実は経済状態が安定いたしまして国鉄の運営ももつと合理化されまして値下げをいたすというような時期にこの等級修正を行いますれば、これは皆さんの相当御満足を得るような結果が出るんじやないかと思つております。まあそのために平素から用意しておかなければこれは駄目でございまするから、できるだけ準備をいたしましてやつておかなければならんと思うのでありますが、従つてまあできればそういう時期が一番よろしい。併しそういう時期が来ないならば、やはり適当な機会を見てやらなければならんと思うのでありまするが。そういうときにはどうしても十分な御満足を得るような結果にはなりかねるんじやないかと思いまするから、そういう場合に至りまするまで特に著るしいものがございましたならば、非常なこれはもう何人が見ても何とかしなければならんと、或いは国鉄としてこの程度にすべきが当然であるということになりますれば、割引制度或いは運輸等級改正とか、個々的に行うということも差支えないのではないかと思つておる次第でございます。まあそういう程度で、実はいつやるかということにつきまして実は今年度中に全部の等級修正をやるかという若し御質問でございますれば、遺憾ながら御要望に副い得るだけのまだ凖備はないということだけ申上げておく次第であります。
  43. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今のお答えで大体了承いたしましたが、特別のものにつきましては若干個別の折衝に応ずる用意があるというふうに了解いたしましたが、例えば牛乳、鶏卵等についての客車便小口扱等の特別割引、こういうふうな問題については、これは当然なさるべきが至当と考えるのでありますが、こういう特殊の、これには限りませんが、特殊のものについてはどういう折衝の過程を経てやつたら一番速かなる改訂なり、或いは設定ができるか、それを一つ伺います。
  44. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 只今お話がございましたように、確かにいつまでもほつておいては……、ほつておくわけでもありませんが、結局すぐというわけには参りかねるものでございましようし、或いは戰争中、終戰直後と経済状態が変つております。今日の事情とそぐわないものもあるかと思います。一例を申上げまして、これは妥当であるかどうかわかりませんが、寢台料金、これは旅客の寢台料金でありまするが、これは戰後に設置いたしました時には、寢台車か僅かに二両しか動いてない。従つて主として外人の観光客用といいますか、併し余席があれば国内用にも用いたい、併しスペースが少いから、適当な、妥当なる料金でやると却つて収拾がつかなくなる、思い切つて高い料金にしたらよかろうというところで高い料金にいたしましたために、今日ではバランスを失しておるという説もあるわけであります。これは今回多少訂正いたしましたが、それと同じように戰争中の処置でいろいろやりましたことで、或いは終戰後の処置でいろいろやりましたことで、今日多少経済状態が安定して参つたときには、殊に食糧関係などで非常に様子が変つておりますので、又考え直さなければならん点があるかと思います。鉄道当局も十分荷主さんの立場になつてその点万遺憾なきよう気を配つておるかと申せば、必ずしもそうでない、言わば盲点とでもいうべきところかあるかも知れません。そういうことは資料を頂きまして御説明を願えますれば、十分検討さして頂きまして、適当なる措置を以て、或る程度御満足の行くような場合には、そういうふうにもいたしたいと存じまするが、ただ御承知のように鉄道の建前から申しまして、いわゆる個々の企業の利益ということでなしにやはり公共の利益という点か観点ではなかろうかと思います。公共の利益と合致する点につきましては、十分御考慮を申上げることを考えております。
  45. 松浦定義

    ○松浦定義君 只今業者のかたがたの御意見を聞きまして、非常に私どもはやはり現状は止むを得ぬものがあるというように承知をいたしておるのでありますが、特に私は只今お聞きしたいのは、最もこれに関連性のある問題としてお尋ねいたしたいと思うのであります。鉄道当局ちよつとお伺いいたしますが、今回の値上げが先ほど飯島委員お話になりましたように、赤字の補填の問題もあると同時に、その一部はやはりサービスにありたいというような御意見もやはりあつたわけであります。そこで私は、この値上げの問題は国民が相当値上げ停止について要望しておりましたが、止むを得ぬといたしましても、さて最後に打つ手といたしましては、今後いろいろな物資を輸送する場合に本当に国民が要請するように適当なる時期に適当なるものが配給されるかどうかと、こういう問題だとかように考えるのであります。特に一例を挙げて申上げますと、北海道の青函連絡一つを考えましても、聞くところによりますと、大体二十五万から三十万トンの滯貨が現在なお依然としてあるというようなことを考えますと、一日の輸送量が約八千トンといたしますと、少くとも一カ月以上、或いは四十日になんなんとする滯貨が今ある。併し賃金は上つたが滯貨が依然としてこのままに残つて行くということになりますと、国鉄只今申されました使命には反するのではないかと、こういうふうに考えられまするが、こういう問題につきまして、国鉄当局といたしましては滯貨を一掃するにはどういうような処置を行われようとしておりますか。先ずこの点について一言お聞きしたいと思います。
  46. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 朝鮮事変勃発以来非常に国内の滯貨が、在貨か殖えて参りました。非常に荷主各位に御迷惑をかけておるということもよく承知いたしております。実は最近におきましてはこの農林物資、米、肥料、木材、薪炭等についていろいろ検討いたしたのであります。勿論御満足を得るだけの輸送というものはできていないかと思うのでありますが、ほぼ御要求に応じ得るというような程度に相成つておりはしないかと思うのであります。ただ木材につきましては、先ほどやはりお話がありましたように、非常にパルプ材が多いのでありまして、このパルプ材の取引が非常に殖えておりますために、坑木等がむしろどうしても出廻りが惡いというような結果がございます。これは輸送力と申すよりも取引関係に基くものではなかろうかと考えておる次第でございます。で、これに対しましては極力貨車の増備を行なつておりまして、本年度におきまして約五千両の貨車の増備をいたし、なお補正予算で以てこの五千両の貨車の発注に対する物価騰貴の赤字を埋めました上に、約七百両の更に追加発注し得る財源を認められまして、合計五千七百両今年度において増加いたすということになつております。すでに二千四百両程度はもう動いておりまして、相当回数の配車に貢献しておると思うのでありますが、なお貨物列車にいたしましても約三十二万キロ毎日動いておりまして、これはもう戰前、戰後を通じまして最高の記録を出しておるわけでございます。そういうふうに、国鉄といたしましては、殆んど持つておる最高能力を発揮いたしておりますが、なおそれにいたしましてもまだ滯貨がどんどんと殖えて参つておるので、できるだけ全力を注いでおりまするが、この際荷主各位にも非常にまあ御協力願いたいのは、結局海運のほうの御利用をお考え願いたい。或る程度海運を御利用願いたいということでありまして、内航船につきましては必ずしも現在余裕がないわけではないのであります。この点まだ内航の船腹に余裕があるのでございますので、海運の御利用等も御研究願いたいと思つているのであります。  北海道のことにつきましては、これは御指摘の通りでございまして、実にまあ弱つたもんだと思つておるわけでございまするが、青函航送は御承知通り二月以来の浮游機雷のため夜間運行ができませんでしたために、運航回数か落ちております。ところかだんだん日照時間も少くなりまして、夜間運行をやめておつては大変なことで、種馬鈴薯の出廻り時期に当つて実に心痛いたしたのであります。幸いに海上保安庁と連絡をとりまして、浮游機雷の数も幾らか減じましたので、哨戒区域を広めまして、或る程度夜間運行の可能な時間を延してもらいまして、思い切つて十六運航にいたしました。これは現在持つております船を動員いたしましての運行数としては最大の運行数でございまするが、これをやりますにつきましても、実は機雷についての不要が全然ないわけではないのであります。従いまして船員等も乘船いたしますについて或る程度のまあ問題があつたのでありますが、輸送の公共性に鑑みまして、思い切つて現在夜間運行をやつてもらつておるわけであります。勿論船にも探照燈、防雷網等を備え、万一の場合にも備えておりまするが、それにいたしましても、そういうふうにまあ一生懸命にやつていることはお認め頂きたいと思うのであります。それにいたしましても非常に要請か多い。と申しますのは、大体北海道の物資を青函だけの細いルートに全部を御期待になるというのはまあ無理ではないか、海運を相当御利用願わなければ無理なのではないかと思うのであります。併し種馬鈴薯の輸送につきましては、これは御要求のありました百六十三万俵は鉄道でお引受けするということにいたしまして、全部これは計画通り目下輸送中でございますし、蔬菜用の馬鈴薯につきましても、約三十万俵引受けることにいたしまして、合計百九十三万俵をお引受けいたしております。出荷の御要求が二百十五万俵ございますので、あとざつと約二十万俵ばかり残るわけでございまするが、これは何とか一つ海運の御利用をお考え願いたい。それについては、運輸省といたしましては海運の定航化によつてパンクチヤリーな輸送を何とかやりたい。かように考えて目下農林省のほうとも相談をいたして計画を作つておる最中でございます。何分にも海陸運賃の差かございますので、なかなか船のほうに出て参らない。これが一番の悩みの種になつておるわけであります。
  47. 山崎恒

    ○山崎恒君 時間もありませんので、最後簡單に、これは要望しておきたいと思うのでありますが、先ほど飯島委員から貿問されました今回の料率改訂に当りましての貨物運賃の大幅な値上げ問題とからみまして、品目別の等級扱いの点を是正する意思があるかどうか。又あるとすればいつやるかというふうな問題であつたのでありまするが、この点は鉄道当局といたしましても、審議会の問題に属するというような点があろうかと思いますので、本委員会におきましては、場合によりましては審議会の委員の御出席を求めまして、我々の要望も一つ入れたい、かように思いますので、その点を一つあらかじめ委員長におきましても御考慮置き願いたい、かように存じます。同時に私は昨年貨物運賃の改訂に当りまして改訂委員といたしまして專門員として招致されたのでありますが、その際に極力木炭或いは農林物資、なかんずく藁工品のごときものについては減トン制の問題を主張して参つたのでありますが、なかなか委員会におきましても、私ども要望する問題については、合致した我々の要望する意見がなかなか通らないというような状況かあるのであります。そこでこの品目別の料率を見まするというと非常に凸凹が多い、これは誰しも万人が見て肯ける問題だろうと思うのであります。さような点からいたしまして、当局におきましてもこの点は一応こうした品目によつてこれだけの収入が上るのだ、これだけの料率を上げてこれだけの収入が上るのだという見込みを立てておりますので、この大枠だけは勿論その品目でつかめると思いまするが、この中の凸凹というものは一つ十分至急に是正してもらうということを一つ要望して置きたい。と同時に、昨年私は非常な改訂に当りまして要望いたしまして、結局いろいろの方面から強い陳情もいたしまして、遠距離のものに対するところのいわゆる割引制というようなものを最高にとつてもらつたのです。そうした点等もありますので、十分そうした問題も、例えば昨年七百キロ以上のものに対しては一割引くとかという問題が取上げられて、これを承認されたと思うのですが、その問題等について一つなお勘案して頂きたい、かように思うのであります。その他鉄道当局におきましても、十分以上申しましたような点を勘案されまして、又場合によりましては当委員会におきましては農林物資等の問題について当局の意のあるところを十分お聞きして、それによりましては前段私が申上げましたような委員会のかたがたの專門のかたがたを一つ招致して、我々の希望も聞いて頂き、又委員のかたの意見もお聞きするというような機会も一つ場合によつては作つて頂くということを要望しておきます。
  48. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今日はあとで用があるようですから、ここらで一つ閉会して頂きたい。
  49. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 今山崎議員のお話のうちに、等級の問題について審議会の委員をお呼びになることは私の聞き違いかも知れませんが、あつたと思いますが、私が先ほど飯島先生にお答えしたのに対して、値上した結果どうするかという問題を、審議会の委員を呼んで聞いて頂くということですが、等級の規定は当局できめておりまするので、審議会の委員は余り関知しないかと思いますので、この点を一つ……。
  50. 西山龜七

    理事西山龜七君) 私ちよつと一言岩岡さんにお尋ねして御考慮願いたいと思いますが、先ほど畜産業界のかたが等級のときの説明に、ふすまが俵入りと俵入りでないものが等級に差がある、かように言われたようでありますが、この点なんかはどうも筋が通らんじやなかろうかというように思いますが、その点について……。
  51. 岩岡明藏

    説明員(岩岡明藏君) この点につきましては、先般来業界のかたがたからもお話がございまして、実は調べたのでございますが、過去におけるものと現在とは多少事情が違つて来ておるようでございまして、この点につきましては機会あつたときに調整する必要があると私ども考えております。
  52. 西山龜七

    理事西山龜七君) 本日の議題につきましては、政府当局においては、本日の委員会事情に鑑みて石井部長の説明の次第により速かに関係各方面と十分協議せられまして、再検討の上善処せられるようなことを要望いたします。なお、その経過につきましては随時本委員会において報告をお願いしたいと思います。なお、当委員会といたしましてとるべき措置につきましては、追つて協議することとし、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 西山龜七

    理事西山龜七君) それじや散会いたします。    午後四時二十二分散会