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1951-11-22 第12回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十二日(木曜 日)    午前十時二十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            松平 勇雄君            溝淵 春次君            山花 秀雄君    委員            楠瀬 常猪君            郡  祐一君            横尾  龍君            成瀬 幡治君            楠見 義男君            竹下 豐次君            カニエ邦彦君            栗栖 赳夫君            三好  始君            三浦 辰雄君            館  哲二君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    行政管理政務次    官       城  義臣君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    法制意見長官  佐藤 達夫君    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    農林政務次官  島村 軍次君    農林省農政局長 東畑 四郎君    農林省蚕糸局長 青柳 確郎君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    林野庁長官   横川 信夫君    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   説明員    農林省大臣官房    総務課長    伊東 正義君    農林省大臣官房    文書課長    臼井 俊郎君    農林省農地局長 平川  守君    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    農林省農業改良   局統計調査部長  安田善一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外務省設置法案内閣提出衆議院  送付) ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  外務省設置法案について審議をいたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  3. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。
  4. 三好始

    三好始君 外務省設置法案提案理由の御説明を承わりますと、こういう表現がなされているのであります。我が国は近い将来において主権国家として国際社会に復帰いたすわけであります。従つて政府といたしましては、外交関係再開のため鋭意諸般の凖備をいたしておる次第であります、こういう表現に続いて終りのほうで、近い将来の正式の外交再開に備えんとする次第であります、これはこの法律案提出の根拠とせられておると了解したのでありますが、こういう立場に立つてこの法律案を検討して見ますというと、相当各所に不自然さを感ずる部分があるのであります。例えば一方において講和条約発効に備えての在外公館規定があるかと思えば、他方では占領継続を前提にした規定が混在いたしておる。こうした提案理由の御説明法律案内容との間にはかなり矛盾を感ずる点もなきにしもあらずという感じがするのでありますが、この点について外務省当局納得の行く御説明を承わりたいと思うのであります。
  5. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今の御質問、この提案理由説明が不十分であつたと存じます。従いましてそういう御疑念が生じたことと存じまするが、実は率直に申上げますると、いずれ来春は平和条約効力の発生する時期と相成ると存じ、それまでに平和条約内容に盛られておりまするいろいろな義務と申しまするか、そういう点についての準備交渉というものが成るべく近い機会から始めて行く。もうすでに御承知のようにそういう意味において開始をいたしておるのが二、三あるのであります、従いましてその効力が発生しまするまでの一つ準備的な、外交の正式な再開に備えた準備をするという点から考えますと、現在持つておりまする外務省機構はいろいろな意味から不便を感じており、従つて今回はまあ主として地域的な局を設置いたしまして、そしてこれらの正式な外交の回復にいたすべき準備をする、同時に外交再開に備える方式をとつている、こういうのでありますので、この提案理由がこの点に説明を十分に申上げておらないために、只今の御質問が生じたと存じます。そういう意味でございまするから、いよいよ正式の国交か回復いたしますると、実は順次在外事務所等も正式の在外公館に切換えて参りたいと存じまするし、従つて占領政策におきまする現在のいろいろな連絡事項等は九十日を過ぎまするとなくなつて参る、最高九十日を過ぎまするといわゆる占領軍がおりまする期間中の連絡ということはなくなる。そういう意味でありまするので、正式の外交再開のときには再びこの設置法相当修正をして参るとか、適当な方法を以て正常な外務省設置というものに変えて来なけりやあならないと思います。現在は純然たる占領下でありまするが、今回の改正純然たる正式外交再開までの中問的なこういう形態をとつておりまするので、お話のような相当矛盾した点もあり得るかと存じております。
  6. 三好始

    三好始君 只今の御説明はこういうふうに了解いたしたのであります。この外務省設置法案は時間的に申しまして、正式の外交再開以後における外務省のいわば安定した機構を確立するという意図ではなくして、正式の外交が実際再開されるに至るまでの準備的な意味を含んでおる、こういうふうに了解いたしたのでありますが、そういうふうに考えてよろしいですか。
  7. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御質問の点、その通りでございます。
  8. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の問題に関連してお伺いしますが、少々の時間……暫定的な問題であれば差当りは現在の態勢行つて、そうして正式に外交か回復するときに根本的にやるということでもいいようにも思うのですが、暫定的にこういう手間をとらなけりやあならん特別の理由があるならその理由について伺いたい。
  9. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実は暫定的と申上げまするのも、成るべく将来変え得ない点はそのまま行けると思います。例えば地域局等は或いは更に細分することはあり得ると思いますが、現在より以上小さくすることはない。従つて従来は全く占領下体系だけを考え外務省でありましたが、今度は将来を考えながら暫定性を持たして行く、こういうのであります。従いまして従来の行き方から相当飛躍しまして、次の段階を考えながらやつて参りましたので、この中には先に三好さんからお話のありましたような相当改正しなければならんような点が正式の外交のときには出て来るが、併しそのほかの点は従来と違つて正式再開考えながらやつたと、こういう点であります。
  10. 竹下豐次

    竹下豐次君 大野木次長はなかなかお見えにならないようですから、外務省当局に初めお尋ねします。只今楠見君から質問がありましたが、私もその点承わりたいと思つていたのです。今政務次官から答弁もありましたが、現在の機構を見ましても、あれで当分やれないことはないんじやないかというような気持ちがいたしております。併しそれで工合が悪いからこの際ほかの省の行政機構の改革は次の機会に廻わされたにかかわらず外務省機構だけを切り離して早くおやりになるということになつておるわけであります。現在の機構工合が悪いという点をもう少し具体的にどういう機構になつていてどの点が運用が困るのだというところの説明をお願いしたい。
  11. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実は、現在は御承知のように連絡局とか管理局とか普通の情報というような、全く占領下そのままの体系をとつて参つております。従つて或いは管理局でございますと在外事務所在外の従来のいろいろな残務整理とか、或いは引揚げとかいうような終戦後の処理というものを中心考えて行く、今度正式外交に備えまする今の日本との平和条約発効というものに備えて参りまするには、第一に中心になりまするのは従来の諸諸の条約の復活、或いは新らしい条約の締結、通商航海条約、そういう一つ条約を多数国とか又は二国との間にやる、或いはそれから漁業問題、賠償問題、こういうことになりますると、今のやつておりまする局は終戦後の処理中心にやつておりまするので、従いましてできるならば現在外務省設置法を変えまして、そうして将来もずつと一応中心になるものを持ちながら或いは賠償なら賠償漁業なら漁業通商航海なら通商航海をずつとやる態勢を置きませんと、四月になつてからこれを切換えますと、折角こうやつていたものが又人が変つてやる、局、課が変つてやると、こういう大変な不便を生じますので、つまり落ちついた一貫した事務体系をとるというのが、できるならばこれは実際申上げると十二月一日から、一つ審議を頂いて、御承認を頂きましたらそういうふうにして行きたい。そうして現在例えばアメリカとカナダと漁業会議をやつております。朝鮮との会談も進めておる。近く賠償会議がずつと生じて来る。そういう体系に応じてずつとその部局で続いてやらせるという休系をとりたいというのが私が申上げました根本であります。
  12. 竹下豐次

    竹下豐次君 今のお話を承わりますと、現在の機構は戦時中の機構である。これから平和になつて独立国になつて行くということになるのであるから、それに適応する機構に改革することが急務であるとこういうふうに承わつたのでありまするが、ただ抽象的に戦争中の関係独立国なつた後の関係という説明だけでは私にはまだ納得ができないのであります。と申しますのは、現機構かどういうふうになつておるかと申しまするというと、大臣官房政務局調査局管理局国際経済局条約局連絡局政務局情報部研修所外地残務整理連絡調整事務とこういうふうになつておりまするが、独立国なつたあとのことを考えても、又なりつつある現在の状態考えても、この局課の現下の機構においてそのいずれにか当てはまる事項のみでありまして、できない仕事はないはずだと思います。ただ仕事をされる上において按排して行かれればいいのでありまして、この局課にすべてが所属している仕事なのです。だから特にそれをお変えにならなければならないというのは、何故この局課仕事ができないかということをもう少し、すべてをお話下さることは必要はありません、時間がかかりますから……。事例を挙げてどういうことがあるか、どういう点が、こういう点が困るのだということをもう少し細かく御説明願いたいと思います。
  13. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実は、例えば現在のありまする政務局というのは、まあ全体的な政務取扱つております。今度それを中心にしましてアジア局欧米局というのに変えて行く。国際経済局は従来通りでありまするが、管理局或いは調査局、こういうものを改廃して行く、これらの具体的な事例一つ政務局長から御説明申上げます。
  14. 島津久大

    政府委員島津久大君) 現在の体制で、只今政務次官から申上げましたように、現在の体制から今回の新体制になる中心の点は、政務局調査局管理局、こういうものを全部何と申しますか、再調整いたしまして、それらの仕事が今回の改正によりまして機動的に動くようになるわけでございます。例えば政務局でやつております仕事は、事例を挙げますと、今日までのところは、例えば在外事務所設置でございますとか、或いは在京の各国ミツシヨン、そういうものとの連絡その他の政務でございます。又一方調査局におきましては地域的に調査局の中を分けまして、世界の各地域を分担して調査研究ということをやつてつたのであります。この局では実際の折衝その他直接外交実務はやつておらないわけであります。そこで今後は政務局だけでそういうような対外関係事務をやり切れない。又調査局のように調査ばかりやつておるのもこれも又適当でない。そこで政務局調査局というものを当然一緒にしまして、そうしてこれを地域別に分けまして、そうして渉外と申しますか、対外的な実務をやる。そうして又その地域に応じだ調査も合せてやる、まあこういうことを考えておるのであります。そこで管理局でございますが、管理局終戦後の残務整理、まあそういうような関係仕事をするのであります。これは頗る広汎に亘りまして、戦後この管理局仕事は相当多かつたのであります。御承知のような在外の財産問題、これは個人に随伴した問題が主になつております。或いは又在外公館終戦の際に居留民からいろいろ資金を用立ててもらつた、そういう後仕末を行います。まあそういう仕事もございます。そういうような財産関係仕事、こういう仕事残務整理的なことが相当大部分合まれておる期間でございまして、引揚げもここでやつております。そういうような仕事がだんだんと整理をされて参つたわけであります。従いまして管理局人員はやはり地域的な政務局に分けまして、その地域に関するそういうようなまだ多少残務整理のようなものがございますので、そういう仕事を成るべく少い人数でやる、そのほかの人数はこれからだんだんと活溌になつて参ります政務関係、そういうほうに振向けたい。そういう考えでございまして、政務局調査局管理局というものを一緒にしまして、それを地域的な政務局に再分割して行く、これがまあ大体中心になつておるわけであります。そのほかに条約局条約局仕事がこれからなお当分の間非常に忙しいということはこれは御想像され得ることと思うのであります。従いまして条約局仕事を少し分けまして、そうして新らしい条約局におきましては、まあ平く申せば本来の条約局仕事、そうして現在条約局でやつております国際協力というような関係、国連でございますとか、或いは国際機関、そういうような関係仕事国際協力というほうに持つて参りまして、そうして今後又国際協力局所掌事務で正式の外交が開かれました際、いろいろな関係で新らしい仕事か出て参ることが予想されるのでございます。その内容は確定しておりませんので只今何とも申上げかねるわけでございます。そういうことで国際協力局を設ける。そのほかは大した違いはございません。そういうようにいたしまして、これは現在の機構でやれないことはなかろうという御意見でございますが、非常にやはり従来の体制では本来の外務省の活動がやりにくいわけでございます。又人員も有効に使いにくいといぅ関係がございます。そういう関係で今回の改正を提案いたしておるわけであります。
  15. 竹下豐次

    竹下豐次君 この昨日私頂いた外務省新旧機構予算定員移替予定一覧表、これを見ますと、連絡局仕事欧米局とそれから国際協力局情報文化局とに三つに今度新らしく移し替えられるようでありますが、連絡局仕事は現在の新らしくできるアジア局とは関係がないわけでありますか。
  16. 島津久大

    政府委員島津久大君) 只今おつしやいましたのはこの表でございましようか。
  17. 竹下豐次

    竹下豐次君 線の引いた……、ありますね。連絡局の下を見ますと、三つに分れておりまして、一つの線が欧米局一つの線が国際協力局一つの線が情報文化局三つ行つているのです。そうしてアジア局のほうに連絡局との関係を示した線がない。
  18. 島津久大

    政府委員島津久大君) これは仕事移し替えではございませんので、人員移し替えの表でございます。連絡局仕事が相当減じて参りまするので、その人員をこれから仕事の忙しくなりますところに増員をしよう、こういうことでございます。
  19. 竹下豐次

    竹下豐次君 仕事関係とは全く離れておるというような、人の数だけの点ですか。
  20. 島津久大

    政府委員島津久大君) その通りであります。
  21. 竹下豐次

    竹下豐次君 私、前の外務省設置法案政務局長から御説明承わりましたときに、アジア局欧米局二つに現在の政務局を分けるということは、現在の世界情勢から見て却つて混乱を来すのではないかということを申上げまして、一応御答弁を頂いたのであります。そのときの御説明によりますると、一つにして行くというと余り局が大きすぎて、ほかの局との釣合いもとれないというような御説明があつたのであります。でこの表を見ますというと経済局が百九十人、アジア局が九十七人、欧米局か百四十一人で、欧米合わせても、この二つの局を合わせますというと二百三十人を越しますので、経済局よりも幾らか多くなりますけれども、人の数においては大した開きがないということになるんでありますけれども、その当時の局長の御説明のように、ほかの局との釣合がとれないということはどうかという疑いをこの表を拝見して更に起してわけであります。その点如何でありましようか。
  22. 島津久大

    政府委員島津久大君) 私どういうふうに御答弁申上げましたか正確に覚えておりませんが、釣合ということを特に申上げたのではなかつたのではないかと思うのであります。アジア欧米局、まあ先ほども政務次官から申しましたように、とりあえず政務局二つ作る、或いはこれが先になりまして、三つぐらいに分けるようになるかとも思つております。要するに政務関係地域的に分担いたしまして、責任を以てその地域政務を見るということが政務運営上必要であると考えた次第であります。でこの人数などから申しますと、例えば経済局経済局仕事は御承知のように具体的な、而も人手を要する仕事なんであります。ところが政務局のほうは必ずしも人手という点からそれほどのことはない。経済局仕事とは多少違つて来るわけであります。従いまして局とか或いは課の編成という点から申しまして、経済局政務局との釣合はとれておる。そうして人数が少いというのはこれはまあ何といいますか課の中の人員が少くて済む。これは実際の仕事のやりようなんですが、政務関係の点では経済関係ほど実際の人手が要らないという関係があるのであります。
  23. 竹下豐次

    竹下豐次君 局長はこの間御答弁がありましたことをお忘れになつておるようでありますが、確かに釣合いがとれないということをおつしやつたのであります。それに対しまして私は局の人の数とか、賠償とかいうようなことはそう深く考える必要はないことで、その実質において人の多かつたり少かつたりすることは当然のことではありませんかということを申上げたのであります。それはそれとしていいですが、それだけにとどめておきますが、今申しましたように釣合の点から申しましても私は二つ合せても、アジア局欧米局を合わしても他の局と、経済局とは釣合がとれるこういうふうに考えましたのが一つと、それからこの前もちよつと申上げたのでありまするが、どうもこの現在の国際情勢から見まするというと、何といつてアメリカ中心になつて世界においても中心でロシアは別でありますけれども、そういう際にアジア欧米とを二つに分けて局を作るということになりまするというと、この前御説明のありました官房長がその間の事務連繋調整を図るということに考おえになつてつても、その実績はなかなか上り得ない。現在各省にある官房長の働きの実績を見てもそれはもう間接に証明することはできると思うのであります。この二つの局の仕事がまちまちになつて行く心配が非常に多いとこういうふうに思うのであります。もう少し事務的に申しますならば、一つの案ができる、例えばアジア局でできる、それを欧米局のほうに会議しなければならないということが非常に多くなる。逆の場合も非常に多くなつて行くはずだと思います。ほかの局との会議も多いと思いますが、特にアジア局欧米局との間は常に会議して行かれなければならない。そこに両局長意見衝突もあるだろうし、第一判この数をつくだけでも大変な仕事になつて行くだろうと思う。外務省仕事というものは迅速に裁いて行かなければならんことが多いのでありまして、そういうことを考えて行くというと二つに分けて行くということは事務的に考えて見ても事務の渋滞である。別々にしたほうが便宜であるという点はちよつと私は考えられないのではないか。局が二つに分れるということになると、人情として対立する気分も起るというのが普通でありまして、なかなか意見衝突も起つて来る。どうしても大きい局長を一人置いて、その下に必要があるならば部でも置いて一人の命令でやつて行くというふうにしないと、なかなか仕事が裁けんのじやないか、それから又出先機関在外公館の点から見ましても、両方の局で一方は濃い関係であり、一方は薄い関係があるとしても、とにかく関係があるとしますれば、果して両方から指令がまちまちに出るということも決して少くないだろうと思います。これは大臣で一方にまとめて、いつでも大臣から命令、指令されるということになれば、別でありますけれども、そうはなかなか行かないので、やはり局長から指令なり、或いは文書なり行くことは、今日までの外務省事務取扱を見てもそうなつていると思います。そうなりますというと、公館のほうでも困るのであります。そのように私は考えるのでございますが、その点は如何でございますか。
  24. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御尤もな御意見だと存じます。実は従来はそういう意味におきまして政務局で一本でやつて来たところが、今度実際いろいろなさつき申上げました或いは漁業会議、或いはアジアアジアとして、朝鮮、フイリピン、インドネシアその他の国々の状態考えますと、大体政務をずつと地域的に分けて……、アメリカにいたしましても、イギリスにいたしましてもそういう体系をとつておりまするが、その体系の中に次官補を置いたり、いろいろなことをやつておる。従いまして今後例えば漁業の問題の会談をいたしますにいたしましても、すべての問題が政務局だけの問題になりますと、政務局長がすべてそれをやらなければならない。従つてこれを地域的に分けて見ますと、各課から集つていろいろやらずに、欧米局なら欧米局長というものが中心にこれを取扱う。そしてこの外務省の誰でも御承知のように方針というのは最高に先にきめまして、そしてそれからずつと流すというような行き方、外務省のほかの省と少し違つておる点であります。それでそれをずつと地域的に持つて行く。そしてもつと厳格に申しますると、或いはこの地域的も欧米アジアという二つに分けずに、まあ先に局長から申しましたように、三つぐらいに分けるほうが一番従来の経験から申しまして妥当であると存じますが、一方には成るべく外交再開後の日本機構を簡素化するという一つの大きな根本的な狙いがあります。そういうのを勘案して成るべくそれに副うようにそうして外交的な支障を少くする。そして極く一つ責任者が上から方針……、日本国会なら国会できめられた方針の下に外交をやる場合にも、それに責任を持つてやれる体系をとつて行くというのが、地域別を出しました中心であります。従いましてお話のような点は十分局長会議幹部会議を開きまして、円滑に進め、そういう弊害を起さんように一つ極力進めて参りたいとは存じております。
  25. 竹下豐次

    竹下豐次君 極力進めて行きたいというお考えはいいのですけれども、それは今日までの各省における局課にしても、できるだけ協力して調整して行こうという希望を持つているのであるということはどこの省でも同じことなんです。だからほうぼうに分れれぱ調整をすることが非常に困難な事態に進んで行くということは、これは今までの経験からしても争えないところで、いくらそれをやろうとしても、それは実際できないことです。それからもう一つは、戦争前の状態と今日の国際情勢とは非常に違います。これは私が言うまでもないことでありますけれども、その当時は二つに分れておつても、三つに分れておつても、大した混乱が起らずに済んだと思いますが、今日は世界が非常に小さくなりました。サンフランシスコまで行くのに、もとは十四日かかつてつたのが、今日は二十時間そこそこで行くという、そのくらい世界が狭くなつておりますし、アジアとヨーロツパという区別が、どこで一体線を切るのかわからないくらいに非常に密接なる一団になつて来たと思うのです。それを二つに分けて局長がやつて行かれるというけれども、徒らに事務を複雑にするということになり、不利益があるばかりじやないかと思うのですが。
  26. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実は先ほど申上げました通り一つの行き方というものは、外交の根本方針というものは一つ体系を以て、そしていわゆる日本が今後交渉再開して行きまする国は、国によつてもそつくり状態が違つております。これは御承知通りでございます。例えば、今後日本朝鮮との問題を考えますと、これはほかのアジアの国とは全く違つている。アメリカアメリカとして又全然違つた形がある。成るべくそういう国々に合うような一つの十分なる調査をしまして、そしてその体系を作つて行かなければならん。先ほど申上げましたように、地域局としては現在は最小限度の二つに分けましたけれども、或いはもつと分けるほうが本当はいいかも知れませんけれども、これはいろいろな関係二つの局になつておる。二つの局に分けまして、この局長が、アメリカで申しますると、一つの相当な中心者になつて、そうして今後地域的な問題は主としてここでやる。連絡的な関係する点は、これは最高方針に基いて、一つ方針をきめながらそれをやつて行く。従来のやり方からしますると、政務局というものが中心になつて全部やつたものであります。これはまあ到底……、今後暫くの間、ここ一年くらいは最も多いと思いますいろいろな条約なり、通商なり、或いはすべての正常復活までの問題、従つて各局からそれぞれずつと集めて来て、そうして常にそれによつてやらなければならん。例えば一つ漁業問題を解決するのにも、中心者というのが、無理に政務局というものに置いて、そうしてくつつけてやるより、今後こういうふうに分けますると、おのずからきちつと出て参りますから、大変な便利がある、そういうことか外務省の全部の一つ意見で参つたわけです。
  27. 竹下豐次

    竹下豐次君 それぞれ分担して細かく事務をおとりになるということが必要だということはわかりますが、それならば、私は一人の局長の下に部を分けて、それぞれ欧米部なり或いはアジア部とかということにして、一人でおまとめになるということにしたほうがいいのじやないか、それからもう一つは、従来政務局長が……。昔の、元の……、今はそうじやないでしようが、勿論それに伴う弊害があつたということになれば、私はこういうことを考えておる。どこの局長でも立派な人がお座りになつておりましようし、又お座りにならなければならないのですが、特に外務省政務局長、こういうような非常に、外務省に限りませんが、外務省局長とか、次官とかというような人は、本当に大物が座つてもらうということが必要じやないか。これは日本の大番頭さんみたいなことになりまして、外国人と接触することは、まあ外務省の以外の人には余り少いのです。実業方面とか、広く考えれば相当ありますけれども、正面からは少くとも政府部内においてはそうだ。その人が余り小さな、こんなことを言つては甚だ悪うございますけれども、一段下るというような、ほかの省に比べて下つておる。私の理想とする人よりも下るという人が座るということは、私はやはり対外の外交については相当影響があるのじやないか。外務省は大きな局を設けられて、本当に大物を据えて、堂々たる態度で堂々たる外交をこの際開いてもらうということが非常に必要じやないか。そういう意味において、局の数が多い少いというようなことを気にされて、ほかの局の待遇がどうとかというようなことは抜きにして、成るべく少いような局の数にして大きなものを据えて、一団として活動されるというようなことのほうが、私は大変能率が上ると思うのですが、この点如何ですか。
  28. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは御尤もであります。私どもそういう方針で進みたいと思つております。局長に大物局長、いわゆる日本を背負つて起つという立場の者を持つて行く。そうしてそういう体系で今後の日本外交をやつて行かないと、到底信用回復というようなことは困難です。従いましてそれをそろそろ現在も実は心に持ちながら進めて参つております。大体の形といたしましては、外務機構アメリカとイギリスとが二つ体系だと思います。これをまあ日本に移します場合には、一得一失があると思いますが、これらのものを総合して、日本の過去を考えながら将来を最もよくするという場合におきましては、例えば今後の交渉等をいたしまする場合にも、或いは大臣みずから次官みずからやるというようなことを相手国は望んで来る場合が多いと思います。今のお話のように局長に大物を、成るべく今後具体的な問題は局長が少くともいわゆる大使級というようなことで折衝して行かないと、到底今後難渋いたしまする問題の整理は困難だ、従つて全くお説の通りの心持で今後進めて参りたいと思います。
  29. 竹下豐次

    竹下豐次君 その大きな……今の点は御同意下すつたようですが、そういう大物を据えて、大きい局にして、その下に部を分けて仕事を統轄して行くということじやできないのですか。
  30. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) その点から申しますと従来は大体政務局二つあつたという恰好になります、具体的に申しますと……、そうして調査局管理局というものを改廃して来た。仕事の上から言うたら、大体従来の政務局というのがアジア局欧米局に分れ、そうしてその中に調査局管理局というものを適当に置いて、これか地域局の二つになつておる。これが大体の今度の機構改革の中心なんです。そこで従来の通り政務局だと政務関係はそこへ一本にやつてしまうという点がありますが、併し今申上げたような立場からこれを二つに分けまして、そうしてそこには御意見のような点を十分織込んで具体的に進めて行くこういう行き方か、この難渋を今後予想されておりますいろいろな対外折衝には、最小限度一つ必要じやないかというのが地域局の根本だと考えております。
  31. 竹下豐次

    竹下豐次君 政務局長にもう一遍前の問題で聞きたいのですが、この頂いた表ですね。これは人員関係、定員の関係だけであつて事務には関係ないということでありますが、先きの政務局に今度新らしい政務局を拡大して、従来の調査局とか管理局とかいうようなところの仕事政務局のほうに廻されるという御説明から見ても、定員の入替えの表であると同時に、事務も大体この線によつて移管されるんじやないかというふうに想像したのでありますかそうじやないんでしようか。
  32. 島津久大

    政府委員島津久大君) これは人の配置替えだけの表でございますが、只今の御意見のような点は勿論この表でも相当現われて来ておると思います。ただ連絡局仕事がこういうふうに分れるということにはならないわけでございます。政務局乃至調査局管理局という人員が分れまして、その中には仕事を持つてつて行くという人も相当あるわけであります。そればかりではないのであります。
  33. 竹下豐次

    竹下豐次君 相当あるという、その相当ですが、大部分はそうなつて行くというふうには理解できないのですか。大体この人の異動と事務の移動と所管替えというものが大体において一致するのであるけれども、人によつてそうでないところに行く人があるんだというふうに逆に私理解されるんじやないかと思うのですが、そうじやないんでしようか。
  34. 島津久大

    政府委員島津久大君) 大体まあそういうように御了解頂いて結構だと思います。連絡局あたりはそうはならんと思います。
  35. 竹下豐次

    竹下豐次君 連絡局の人が一人もアジア局に行かないということになるというと、従来連絡局仕事に慣れておられた人は、アジア局へは一人も行かん、こういうことになつて行くわけですが、ちよつと人事の異動が若しアジア局に、従来の連絡局仕事の一部分が実際的に又廻つて行くものとすれば、ちよつとおかしいんじやないかというような気もするのです。関係ないのですか、アジア局とは、事務的に見まして……。
  36. 島津久大

    政府委員島津久大君) 事務局に見まして連絡局仕事が、連絡局仕事に慣れた人をアジア局に入れてすぐ仕事をやらせる必要はございません。
  37. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると連絡局仕事を、欧米局に廻つてアジア局のほうには移つて行かないのですね、移つて行くのですか。
  38. 島津久大

    政府委員島津久大君) 連絡局関係から申しますと、仕事を持つて移るものは、只今国際協力局の線でございます。その他は連絡局人員を移して同居をするということでございます。
  39. 竹下豐次

    竹下豐次君 連絡局仕事欧米局国際協力局と、それから情報文化局三つに分れていますね。ここへ人が行くわけですか。
  40. 島津久大

    政府委員島津久大君) 連絡局の人が移りますのは、只今御指摘のように情報と、国際協力欧米三つになつております。連絡局仕事を持つてと申しますか、連絡局仕事が移りますのは国際協力局……。
  41. 竹下豐次

    竹下豐次君 だけでございますか。
  42. 島津久大

    政府委員島津久大君) だけでございます。
  43. 竹下豐次

    竹下豐次君 行政管理庁に伺いたいんですが、大野木さんでも、中川さんに……。今度次の国会に政府では機構改革の案をお出しになる御予定であるように承わつているのでありまするが、この外務省設置法改正案、これだけが先に出まして、あとは全部、ほかの省の関係は来年に廻されるということになつておりまするが、ほかの省の局課の大小とか、いろいろな関係考えて見ますというと、外務省とほかの省との釣合というようなものも一応考えなければならないことだろうと思うのでありますが、そういう点はもうすでに考慮に入れて外務省のこの案をお容れになつたものでありますか。ただこういうことをお伺いいたしますのは、ほかの省の機構改革がまだ案ができ上つていないのだ。新聞などで拝見するところによりますというと、省も或る程度整理する、或いは局課整理も相当にするのだという心がまえであるように想像されるのであります。そういうことをお考えになつて、それがきまつていない際に外務省だけ切り離してやられるということについては、少し早過ぎるのじやないかという気持がしているのでありますが、その点の今日までの経過を御説明願いたいと思います。
  44. 中川融

    政府委員(中川融君) 今の御質問の点は全く御尤もな御議論であると存じます。政府全体の行政機構の改革の問題は、御承知通り、大分前から研究して来ているのでありますが、いろいろ情勢の変化その他の事情から最終的な案がまだ決定に至らない状況でございます。併しながら従来までずつと政府全体の行政機構を検討しております過程におきまして、当然外務省の問題もその一環として検討して来ております。それで全体の構想といたしましては、私ども今御指摘のありました通り、政府全体の機構をできるだけ今後の講和実施後の体制に備えましてできるだけ簡素化したいというのが趣旨でございますので、外務省につきましてももとよりその根本的な方針は変らないわけでございますが、御承知のように、従来外務省は正式の外交はなかつたのでございますが、今後は外務省につきましては正式の外交取扱うという、いわば事務的に見ましてもむしろ今後はほかの省とは少し違いまして、外務省については充実しなければならないというふうな実質的な面はあるのでございます。従いましてその行政機構全体的に簡素化する必要、外務省についての特殊の問題といたしまして、講和再開に備えて充実しなければならない必要とを両方按配しなければならないわけでございます。外務省につきましては、外務省側から御説明があつたと思いますが、これは講和実施に先立つて是非とも本年十二月一日から発足したいという事情がございますので、外務省は特に切り離しまして、全体の構想の一環として考えてはおりますけれども、実施の時期は特に切り離しまして、且つ又外務省につきましてはこれを切り離して考えても将来の行政機構の全体の調和の上に支障がないと考えまして今回提案をいたしておりますような機構を、いわばこれで差支えない、又これが必要であると考えまして提案いたしている次第であります。局の数におきましても外務省が現在六局一部でありますのに比しまして今回の案では六局でありまして、いわば少し簡素化したとも実は言えるわけでございます。実際に当ります事務はむしろ殖えるにかかわらず、機構としては大体従来通りであるという点で、消極的な意味もありますが、やはり簡素化の要素が入つておると我々は考えておるのであります。
  45. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は、この外務省機構は、実は局が多過ぎということをさつき申上げましたが、一局減らしたけれどもまだ多過ぎる。政務局経済局二つ、そのほかにこの条約局国際協力局というものを一緒一つにして丁度いいんだ、現在これは一緒にやつておられることなんです、分けるほどのものじやないと思つております。それから情報文化局というのは、これは各局に関係がありましようから、大臣官房仕事に取込んでもいいんだ、こ、れでたくさんだと思うのです。まあ私が気にしておりましたのは、これは非常に細かくなり過ぎておりますので、政府のこのほかの省の行政機構を改革される場合に、こんな小さく分ける例に做われてごたごたしたものをたくさん局を作られちや困る、人員整理にも関係がありますので、局が少い、課が少いということはそれぞれやはり事務の簡素化にもなりますし、人を減らすという点でも相当大きな影響があるわけでございます。いろいろな方面から見まして、局、課の整理をうんとやつてもらいたいと思つている際に、これが意外にたくさんできて局が小さく分かれておりますので、これに引ずられるようなことになつちや甚だ困ると、これは私の実は懸念なのであります。併し今中川さんの御説明によりますというと、その心配はなさそうに承わりますので、一応了承いたしておきます。  なお、次官にちよつと希望を申述べておきますが、どうも御説明で、政務局一つ……そうしてその下に部を分けて働かせるんだということと、局を分けなければならないということの、何だか二つに局を分けなければ仕事ができないんだというような御説明のようでありましたけれども、どうもその点が納得が行かないのでありますが、若し何でしたら一つの局にして、上の人の、局長仕事が余り忙し過ぎるというならば、経済局でも次長というものを置かれる制度になるようでありますが、政務局にも局長の下に次長でも置かれたら、よほど荷も軽くなる。そして全体の統制がとれるという利益があるんじやないかと、こう思いますが、この点は今御返事頂きませんでも、なおこの上よくお考えを願いたいと思います。
  46. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実はその点でも十分研究したのです。これはまあ今後の関係もありましようが、恐らく次長という制度は成るべく少くしたいという一つの行政簡素の考え方がある。それから対外的に折衝いたしますときには、どうしても局長というタイプでないと、次長としては、やはり相手が国と国との場合に、どうしても工合が悪い、実質上の問題として……。従つてそういう一つ先にもお話になりましたように、大物を中心にやつて参ります場合に、次長、代理者というような感じを相手国が持ちますと、どうも最後に責任者が出て行かないと、まとまりがつかない。そういう意味を多分に含んで、これは考えて参つております。
  47. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると、今のお話だと、経済局に次長を置くということも変なことになると思いますが、この点は如何ですか。
  48. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実は経済局の次長というような制度をほかにも用いると大変都合がいいのですけれども、これは現在の次長制度は極力縮小するようにして、どうしても都合の悪い場合に限つて置くのであつて、ほかにそういう次長制度でなしに責任的な立場で処置し得るようにして行くという態度が今後考えられて行くと思います。
  49. 竹下豐次

    竹下豐次君 一般的な考え方として次長の制度は私も実は不賛成なんです。併し外務省のほうは特にお忙しいようでありますから、経済局の次長の問題についてこれはお減らしになつたほうがいいじやないかということは、私は実は申上げなかつたわけであります。私はこれで終ります。
  50. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は一点だけ伺いたいのですが、国際協力局関係と、それから現に私どもがこの委員会でやつておる定員法との関係なんでありますが、実は国際協力局規定を見ますと、第十二条で「国際機関及び国際会議への参加並びに国際行政に関すること。」こういう所掌事務があるのでありますが、これは少し経過的のことをお聞き頂きたいのですが、定員法ですね、各省の渉外事務というものは大体一〇〇%整理することになつている。で、私はこれは占領行政が済めば当然のことだとまあ思つてつたのですが、ところがその中に労働省と厚生省だけは渉外事務整理率が五〇%になつておる。これは本来ならば他の一般官庁並みにそれらの役所の渉外事務は一〇〇%整理すべきにかかわらず、なぜ五〇%になつているかということを定員法の審議の際に確めましたところ、例えば厚生省にはWHO関係仕事がある。労働省にはILOの仕事がある。こういうことで五〇%の整理にとどめておるのだとこういう話だつた。実は私の考えとしては外務省にこういうような新らしい局ができて、そうしてこの所掌事務に明記されているようなふうで行けば、主としてこういう問題は外務省が主になつてつて、あとは各省ではそれぞれの所管の局でやつて然るべき問題ではないかと思つてつたのが、まあ今申上げたような経過なんです。そこで若しそういうようなものであるとすれば、例えば農林省で言えばFAOの関係があるとか、或いは現に今農林省の事務次官がヨーロツパに行つておりまして、植物険疫に関する条約に調印をして来ようとしておるようなことがあるわけです。そこで今申上げたように、若し各省それぞれの仕事を分割するためにその程度を認めるとすれば、定員法の整理に当つては原案で渉外事務を一〇〇%整理になつているものは、それぞれの実情に即して我々としては修正しなければ、各省の間に彼此均衡を保ち得ないというようなことからお伺いするのですが、外務省としては一体そういうふうな関係のことをどういうふうにお考えになつているのか、この国際協力局というこれから大いに伸びようというので、特にこういう局ができておるのでありますが、やはり各省にそれぞれの仕事をお任せになるおつもりであるのか、すべて統一して外務省でおやりになるというお考えであるのか。先般の在外事務所の問題と関連を持つような外交機構の一元化といいましようか、そういう根本的な問題にも関連を持つところの問題ですから、この際その点を明らかにして頂きたいと思います。
  51. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 外交的なと申しますか、外交折衝、外交交渉、日本政府として対外的に活動いたしまする場合の仕事と申しましようか、そういうものは一切外務省でして行くという方針でございます。併しその内容につきましてはお話のように或いはILOの問題、或いはWHOの問題、或いはユネスコの問題、いろいろ諸官省の仕事に待つところがこれは随分多いと思います。これは各省においてお取扱いを願う。こういうことになつております。
  52. 竹下豐次

    竹下豐次君 極く簡単ですからちよつと……。直接この機構とは関係のないことでありますけれども、この夏アメリカに参りましたときに、在外事務所でいろいろお話を聞いておるうちに向うで承わつたことでありますが、俸給が少くてどうしても仕事ができにくい。殊に下級の職員の手当、俸給が少いので、いい人は皆逃げて行つてしまつて、現にこの間のサンフランシスコ会議のときにも非常に、こういう場所で話していいか知りませんけれども、非常に大事な人がいろいろな家庭の事情、つまり収入の関係でほかに移つて行かなければ非常に困るのだというような人があつて、無理算段して引きとめてやつと働いてもらうことになつておるのだというような具体的のお話も承わつたのであります。ニユーヨークでもそれに類似した話を聞きまするし、これは申すまでもないことですが、外国の商社等の待遇が非常にいいわけでありまするから、そういう事実が起つて来るということはありそうなことだというふうに聞いておつたのでありますが、ただ日本の政府の官吏であるということで、ほかの省との振合いとかいうようなことでやはり無理が行き勝ちじやないかということを私は想像したのでありますが、どうもこれは実際非常に大事なことでありまして、外務省仕事は頭のほうの人の働きが非常に大きくて、下のほうにずつと天降り的に行くことが少いことが多いとはいえ、そればかりとは考えられないので、下級の人の待遇も内地の役人などとの関係などはそう深く考慮に入れないで、これは在勤手当というのもありましよう。これは一つ思い切つてお出しになるほうがいいのじやないかというふうに考えたのでありますが、その点は何か御考慮でございましようか。
  53. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは外国においでになりまして実際在外事務所等を詳細御承知を願いまするかたがたが常に御意見として伺う点でございます。従来の在外事務所は、その費用を一切実は承認を受けないとやれないのであります。従つてこれらの事務費その他の問題もすべてそうであります。ただ根本的の問題といたしましては、お話のように現在は国内国外ともに同じ一般職、特別職という形で行つておりまするが、そこに大変な加給等はありますけれども不十分な点があろうと存じます。今後完全な独立国となつて日本の或る意味の正式な代表となつて参ります場合の活動に資するためには、不十分な点が相当あろうと思います。これは現在実は外務省関係については特別な立法措置を講じて、いずれは国会の御承認を経る段取りに進めて行きたいと目下研究をいたしております。
  54. 竹下豐次

    竹下豐次君 もう一つこれは私の記憶か古いのですが、戦争前に外国に在勤しておつた時の感じでありますから古いのでありますけれども、その後又戦争になつて在外公館というものがなくなつたので、一時空白になつたのでありますが、この在外公館に勤めておられる若い外交官、領事官、官補とかいうようなその当時の高等官五等、六等というような人たちが、実際外から見ておつて気の毒なようなくだらない仕事をさせられておる。例えて申しますならば飜訳、飜訳も外国の言葉の飜訳ならばいいけれども、日本から行く暗号電報の飜訳とかというようなことに大部分の時間を潰されて、本当の外交官らしい仕事をさせられるというようなことはまあ殆んどない。外交官の仕事を稽古されるのは、高等官三等になつて一等書記官になつて初めてその部面に足を踏み込むことかできるというくらいなことでありまして、二等書記官以下といぅものは実際県庁あたりで申しますと、その当時の属官のする仕事、ひどいのは雇いのするような仕事を立派な頭を持つておる人たちがさせられておる。これは私たちなど見ておりまして非常に気の毒だ。その人に気の毒であるということのみならず、将来の大きな外交官を養成する上においても私はどうか少しお考えにならなければならない問題じやないかと思います。尤も飜訳なんかも一応稽古されて熟達されるということは必要ですけれども、余りそれが過ぎるという傾向もある。この機会に、そんなことも研修所でいろいろ稽古せられるのでありましようか、それと考え合せられましてもう少し若い人たちに元気を付けさせて、働き甲斐のあるような立場に置かれることが今後の外交の発展の上に大事なことじやないかと思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  55. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 実は第一線と申しまするか、外国においていろいろと公館でやります場合には一言半句の折衝の中に洩らす言葉の中にも、日本というものをバツクにした動きというものが現われてしまいまするから、従つてどうしてもそういう場合においてやりまする場合には、内地ではさほど感じないことが外地では響いて参ります。従つて最上級の人たちがそれに当るという態勢をとらないと、どうしても外交というものは工合が悪い。従つてそういう意味で今お話のような場合が多く起り得る。併しそういたしておりましても、その実際の仕事にはやはり若い人たちにこれに十分協力をしてもらうということが必要でありますので、若い人たちの希望を十分持たせるようには今後十分努力をして参ります。
  56. 三好始

    三好始君 この程度で質疑を終了して討論に入ることを望みます。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  57. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君において御異議がありませんならばこれより本案について討論に入ります。御意見の開陳を願います。
  58. 三好始

    三好始君 講和条約の調印を終り、日本の批准も終るという段階において、提出せられた外務省設置法案としてこの法律案を検討して見ますというと、相当問題があると感ぜられるのであります。併しながら先ほど外務当局から補足的な御説明として、この法律案によつて正式な外交再開後の外務省の組織を規定して行こうというのではなくして、それまでの間の暫定的な措置として、この法律案を提出したということでありますので、私はそういう趣旨のものと了解してこの法律案に賛成いたすものであります。  ただ特に申上げておきたいのは、正式の外交再開も間近であると思いますので、いわば本格的な外務省の組織を今から十分に検討して凖備せられて、日本の独立後の外務省にふさわしい機構を作る努力を希望したいのであります。殊に戦前と戦後とでは国際関係にもかなり変化が認められますので、必ずしも戦前の状況に復帰するという、戦前の状態を踏襲するというような消極的な態度でなくして、新らしい国際関係にふさわしいような外務省機構を考慮せられるように特に希望申上げておく次節であります。
  59. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほどの質問の際にいろいろ政府委員の御答弁によりまして疑問の点も解けた部分が相当に多いのでありますが、未だに私はこの政務局関係、それから局が多過ぎるという点については完全な理解を得たというところまでは到達していないのであります。併し何分この際条約の批准もされ、そうして近く国際的に日本が独立するということが迫つておる際に、外務省のほうにおきまして特に機構の改革をお急ぎになつておられる事情も了承ができまするし、又先ほどからの政府委員の御答弁の筋も一応御尤もな点もあるように伺いましたので、私もこの際この案に賛成するものでありまするが、ただ希望を申述べておきたいと思いまするのは、新らしい機構で活躍を始められまして、若し私の質問いたしましたような点を思い当られるような機会がありましたならば、言い換えるならば大政務局を置く、或いは局の数をもう少し大まとめにするというような必要があるというふうにお気付きの機会がありましたならば、一度できたものであるからというので、こだわつてそれを長く頑張られるような態度をおとり下さることなく、さらさらと改めて頂きますようにお願い申上げまして私の賛成の意見といたします。
  60. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 討論を打切りまして採決に入るの動議を提出いたします。理由は、今朝来外交界に造詣の深い竹下委員の御意見と、三好委員の誠に適切なる御質問なり、又只今の討論でこの案に対する審議を尽したものと思いますから、その意味におきまして先ほどの動議を提出いたします。
  61. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 溝淵君から討論を終局する動議が出ました。溝淵君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないものと認めます。それでは討論を終局いたしまして、採決に移ります。外務省設置法案、これにつきまして賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  63. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 全会一致と認めます。それでは全会一致で可決せられました。  そこで委員長の報告は委員長にお任せを願いたいのであります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。賛成者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    竹下 豐次   楠瀬 常猪    三好  始   楠見 義男    松平 勇雄   溝淵 春次    横尾  龍   山花 秀雄    館  哲二   三捕 辰雄    郡  祐一   栗栖 赳夫    カニエ邦彦
  65. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  66. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。  それでは十二時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩    —————・—————    午後一時五分開会
  67. 溝淵春次

    ○理事(溝淵春次君) それでは只今より午前中に引続いて内閣委員会を開会いたします。  昨日楠見委員三好委員から御質問に相成りました食管法の解釈、即ち政令で撤廃できるかどうかにつきまして、本日法務府の佐藤法制意見長官と、奥野法制局長が出席されておりますから、先ず法務府の佐藤法制意見長官のこの御質問に対する意見をお聞きすることにいたします。
  68. 楠見義男

    ○楠見義男君 私もう一遍言いましようか。
  69. 溝淵春次

    ○理事(溝淵春次君) ちよつと楠見委員……。
  70. 楠見義男

    ○楠見義男君 実は昨日農林大臣にお伺いをいたしましたが、法律上の解釈について明瞭でなかつたので、本日参議院の法制局長と、法務府の法制意見長官の御出席を煩わすことになつたのでありますが、かねて御承知のように、米麦の統制撤廃問題が非常に喧ましくなつておりまして、政府は明年の一月一日から米の統制を外す、それから十一月一日から米の統制を外すという確定方針の下に、今回定員法の改正法案が出ておるのであります。そこでこの問題については、参議院の本会議で、そうして又他の委員会でも、この委員会でも同様に問題になつたのでありますが、政府が、農林大臣が常に同じような文句で言つておるのは、統制を撤廃するに当つて、法律でなければできないか、或いは命令でできるかということについて目下研究中であるということを終始言つておられるのであります。私は昨日申上げたのは、命令でできることについて、その権限の範囲内でああいうことをしよう、こういうことをしようということについて考慮中であるとすれば、これはわかるけれども、明らかに命令ではできないので、立法的措置を講じなければならんものについて、統制撤廃ができるとか、できんとか考慮中であるという言葉は我々には解せない。私どもの解釈を以てすれば、米麦の統制撤廃は、これは新らしい立法的措置でなければできないものと理解をしておる。ところが農林大臣としては法律によらずして、先ほど申上げたように、米麦の統制撤廃ができるという確定方針の下に、今申上げたような定員法の改正案を出しておる。そこで農林大臣として、又農林省として、そういうような確定的な意見が出て来た法的の根拠、第何条の規定によつて、その適用によつて米麦の統制撤廃ができるんだ、勿論統制撤廃という言葉はいろいろ意味がありますけれども、ここで申上げておる統制撤廃という意味は、供出から配給まで全部含めた意味の統制撤廃でありまして、それができると言つておるのでありますが、そこで農林省として、農林大臣として、そういうような確定的な解釈をなし得るに至つた法的根拠は別に出してもらいたい、それは我々としては又その確定的な意見文書で以て出すことにお約束をしておりますから、それが出て参つたときに、こうしたことを我々としてはそれを検討したいと思いますが、それとは別に、参議院の法制局長なり又法制意見長官の側において、今政府が言つておる米麦統制撤廃、供出割当及び配給制度を含めた統制撤廃が現行の食糧管埋法で命令でもつてできるということを言つておりますから、それは若しできるとすれば、どの条文を指して言つておられるのか。幸か不幸か法制局長官はずつと前から法制局におられて、食糧管理法が制定されたのは、たしか昭和十七年でありますが、この時分から全部この法律については手なずけておられるかたでありますから、十分その事情は御承知と思いますので、この際お二人から法律的な御説明を願いたいと思います。別に又先ほど申上げたように、農林省からいずれ書面で回答が出ますから、それは又それとして検討いたしたいと思いますが、本日は取りあえず御両所の御意見を伺いたい、こういう趣旨であります。
  71. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 只今定員法との関係にもお触れになりましたけれども、私の承知しております範囲では、政府として今の件についてどういう法的の措置をとるかということについては、只今のお言葉にも入つておりましたように、決定したものとは私承知しておりません。目下研究中であるということを言われたそうですが、それが正しいと思います……。
  72. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと途中ですが、政府は先ほど申上げたように、米麦の統制撤廃は立法的惜置を講ぜずしてできると言つておるのです。そこで一つ……。
  73. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 言います、言います。私はそう思つております。従つて政府当局としての固まつた意見を私は申上げるつもりで来ておるのじやありませんけれども、この措置の関係について、法的措置としてどういうものがあるかといぅ抽象論としては、これはお答えしたほうがよろしいと思いますから、その意味で私の考えを申上げます。  これを法律を改正してやるということについては、勿論問題のないことで、今のお話にありましたように、命令限りの措置で一体やれるだろうかどうだろうかということについて、中心を置いて申上げます。私個人として命令のほうがいいからというような趣旨で申上げておるのではないということだけは御了承願つておきたいと思います。冷静に理論上の問題として命令によつて処置することが可能であろうかということを私の考えを申述べて御参考に資したいと思うわけであります。  食糧管理法については、今の米麦統制撤廃の関係で一番関係の深い条文は恐らく第三条がそれであり、それから第九条でありますが、それがまあ恐らく主眼をなすものであろうと思います。それに関連してもろもろの手続的の条文がこの間に挾まつて来ると思うのであります。  そこで、この第三条について申しますと、私の考えではここに「命令ノ定ムル所ニ依リ」これこれを「政府ニ売渡スベシ」というふうになつております。この「命令ノ定ムル所ニ依リ」ということは、命令に斟酌の余地を法律が与えておるというふうに考える次第であります。ただ第九条を見ますというと、第九条は、文章の建て方が大分違つております。「政府ハ」これこれと「認ムルトキハ政令ノ定ムル所ニ依リ」「必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」という表現になつております。で普通に見ますというと、九条のほうは本当にこれは昔の総動員法式で、完全にこの文章の表から見ても必要なら命令を出してもいい、出さんでもいい。必要があれば出すことができるという形になつております。ところが三条のほうは、その文章の末尾に「売渡スベシ」ということになつておるじやないかというのが、恐らくこの最初の疑問としてどなたにも浮ぶところであろうと私存ずるのであります。従いまして、九条については、恐らく御疑問はないだろうと思いますから、九条には触れませんが、三条の関係におきましても、私は先ほど申述べましたように、ここに「命令ノ定ムル所ニ依リ」という文字か挾まつております以上は、その命令によつて麦をはずすということも可能であろうと思うわけであります。故に雑穀については、たしかこの命令ではずされておつても、一応世間の批判というものは私聞いておらないわけであります。ただ条文の建て方がこの三条と九条とどうして同じようなことを違う表現にしたかという御懸念が恐らく出て来ると思うのであります。これは今もお話にありましたように、この食糧管理法の立法当初の、情勢から申上げますならば、ニユアンスとしては、この供出関係、これは実際上売渡す義務を課する場合が濃厚に且つ広く考えられる、そういう情勢を反映して、条文の字句の建て方がさようになつたにとどまる。従いまして結論は、出発点が三条のほうでは「べシ」のほうからスタートをして、そうしてその調整を命令にゆだねつつ条文を定める、九条のほうは、「得」のほうからスタートして命令に調整を任かす、スタートの点が違いますけれども、結局それは数学的に申しますれば、命令の調整という点においてはこれは同じことになるだろうというふうに一応まあ考えておるのであります。  なお御質問に応じまして……。
  74. 楠見義男

    ○楠見義男君 実は昨日も、この食糧管理法における政府の権限、或いは又、義務の問題について食糧庁の御説明は大体これは権能規定であるから、従つて外そうと思えば、その権能の範囲内で外せるのだというような趣旨の御答弁かあつたのでありますが、これは私の意見に亘りますけれども、政府が食糧管理をやつて生産者から適正な供出を求め、そうして又消費者に対しては適正な配給をするということがこの食糧管理法の狙いであるから、従つて一方において政府は権能を持つておると同時に、適正な食糧配給、或いは供出事務遂行のための義務を負つておるのだ、こういうふうに私は考えて参つておるのであります。従いまして、そういう観点から申しますと、いろいろ疑問の点が出て参るのでありますが、そのことについて申上げる前に、只今の法制意見局長官の御説明でも実は納得の行かない点があるのでありますが、先ずその点についてお伺いし、逐次引続いてお伺いいたしたいと思いますが、法律の三条で言つておる「命令ノ定ムル所ニ依り其ノ生産シタル米麦等ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府二売渡スベシ」と、これはいわゆる供出において明らかに食糧管理法施行規則、ここに言う命令で委任しておる施行規則でも明らかなように、例えば供出の時期をどうするとか、或いはその割当をきめた場合には公示をしなければならんとか、或いは又、検査について予定を明らかにしなければならんとか、具体的に供出に関しての内容といいましようか、方法といいましようか、そういうことを規定しておるのが一般の立法例であると同時に、この三条もその一般の立法例には、私は例外でない規定だと思つておるのであります。  そこでまあ、お話なつた甘藷その他のものを外したということは、実は私から見れば、ここにもありますように、「小麦又ハ雑穀」とありますが、これを外したことについては、私自身は本来立法的措置で講じなけれぱならん問題だと考えておりますが、それが不問にまあ附されておるので、当然合法的にそれができたとは私は解釈しておらないのであります。併しこれも私の意見でありますから省略いたしますが、いずれにいたしましても、三条は供出についての具体的な内容、或いは方法等について規定をしておるのであつて、この規定でここにいわゆる命令で以て米或いは麦の統制が外されるということは、私はどうしてもまあ理解ができないのであります。ということは、これと実は裏腹になる問題でありますが、先ほども申上げたように、政府は一方において権能を持つておると同時に、義務を負つておる。そこで四粂以下のいわゆる適正な配給をしなければならん義務規定が、この三条で以て今長官の言われるように外してしまうということになれば、その義務規定も実は外す結果になるわけなんです。そういうような義務規定を外すことを前提とした、予定されたことをこの三条で一体できるのか。極端なことを言いますと、この三条の命令によつて食糧管理法全部を没却してしまう。全く死文に化す。こういうところまで食糧管理法は立法の当初から予想はしておりませんし、又そういうことを現在においても可能であると理解するのは余りにもこれは私は法律解釈論というよりも、むしろ法律を無視した取扱いであればこれは別でありますが、法律解釈論としてはそういうことはできないのじやないか。こういうことが第一点。それから九条の点について、三条には「売渡スベシ」とこうあつて、そして九条には「得」とあるということについての只今の御説明でありましたが、これは私の解釈では、丁度この九条と同じような書き方が御承知のように食糧管理法の施行令で規定してあります。これは全く法律と同じ文句を鸚鵡返しに受けておるだけなのでありますが、このことは本体の統制というものには触れずに、その統制の派生的な問題として、例えばこれこれの数量のものであれば移動はいいけれども、これこれの量のものであればこいつは一々証票を受けて出せとか、或いは販売業者が売渡すときにはこれこれのところへ売渡せとか、そういうような大体の統制という問題の根本を揺がすようなことではなしに、むしろ消極的制限といいましようか、命令といいましようか、そういうことを規定しておるのであつて、この九条の規定自体で法律全体を効力なからしめるといいますか、死文化させるようなことも予想しておらないのじやないか。立法当時において予想していないと同時に、現在においてもそういう法律解釈は、先ほども申上げたようにこの食糧管理法を無視するという考え方であれば別であるが、冷静な法的解釈の立場から行けばそれも困難ではないかと、こう思うのでありますが、その二点をお伺いします。
  75. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 今の二つのお尋ねは結局一点に帰着すると思いますので、含めましてお答え申上げますが、先ほども触れましたように、この「得」という形と、それから「スベシ」という形と二通りあることはもう現実の事実でありまして、且つそれは出発点が違う、ニユアンスから来る出発点の相違であつて、結論的には数学的には同じことだということを先ほど申上げたわけであります。そこで問題は今第一点としてお触れになりましたように、この「命令ノ定ムル所ニ依リ」ということは手続的のことをきめておるだけで、授権しておるだけであつて、その本体を崩して行くということまでは授権しておらないのではないかという御議論は、これは私は傾聴に値する御議論と思うのでありますが、実は先ほど最初に古い私の経歴をお述べになりましたから、それに応じまして私の想い出話を申上げますが、法制局に入りました当時に、丁度今御指摘の問題が出たのです。併し当時からこの場合広く実体にも触れて抜き得るという考え方がありまして、それにしてはその手続的のことのみを授権したということとのけじめがこれだけではわからんじやないかという角度から、新らしい参事官であつたと思いますが、その問題を提起いたしまして、或る時期にそういうことを取入れまして、この実体を披くときにはこの「命令ノ定ムル所ニ依リ」というのを何とか変えようじやないかという話が出た。そうしてそのときにまあ苦心の結果かどうか知りませんが、それじやこの「命令ノ定ムル所ニ依リ」というのを一番頭に載せたらどうだという話が出ました。ここで言いますと第三条「命令ノ定ムル所ニ依り米穀、大麦……」ということを実際やつたことがあるのであります。ありましたけれども、でき上りが如何にもこれは突如としておかしいので、たしか私の記憶では一つしかその例はなかつたと思うのでありますが、又それを撤回いたしまして元へ戻つたということで、これはお示しのように立法技術の問題としては或いは考えなければならんことかも知れませんが、ただ幸か不幸か昭和十七年時代の古い制度でございますから、今日御提案申上げた新らしい法律にそういうことがあれば多少弁解しなければならないと思いますが、その点は気楽に弁解できるわけであります。そういう意味でこの「命令ノ定ムル所ニ依リ」ということは実体に触れてもなし得る。従つてこの法律に反しないというふうに解釈しております。
  76. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、結論として法制局はこの三条の命令で食糧管理法を先ほども申上げたように全く死文化するということも可能だ、こういうふうにお考えになつておるのですか。
  77. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 冷静な数学的のお答えを申上げますれば、さように考えております。
  78. 三好始

    三好始君 私の質疑は楠見氏と大体同じであります。政府が今までいも類或いは雑穀の統制を外したのは第九条第一項によつておるのであります。第九条と第三条は長官も申されましたように関連しておりますから、一括して申上げたいのでありますが、第三条の「命令ノ定ムル所ニ依リ」という使い方は二カ所で使つておるわけであります。最初のほうの「生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依り其ノ生産シタル」というこの「命令ノ定ムル所ニ依リ」は方法を示したものであり、あとの「米麦等ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」、この「命令ヲ以テ定ムルモノ」というのは数量関係を示したものと、私は主としてそういうふうに考えるべきものではないか、こういう気持を持つておるのでありまして、政府が仮に政令を以てここに掲げてあるような各種の主要食糧のうち自由裁量で、例えば米穀だけを残してあとは削除してもいいのだ。こういう非常に広汎な包括的な授権をしておるものだとは到考えられないのであります。ここでこういうことが問題になると思うのであります。今までいも類なり、雑穀等を確かに政令を以て外して来たし、それは現に行われておるわけであります。又一月から麦の統制をやはり今までやつたと同じように政令を以て外そうとしておる。これは政府の認定によつて仮に長官が今まで御説明されたようなことが法律解釈上とられると仮定しても、政府の認定で以てそういうことをやつて来たし、今後やろうとせられておると考えられるのでありますが、その認定を政府が一方的にやることが食糧管理法の目的からいつて許されるかどうか。そういうことが問題になると思うのであります。現に参議院では第十国会において麦の統制撤廃について明らかに否定する結論を出しましたし、これは或いは政治論になるかもわかりませんが、そうした参議院の認定と政府の認定が明らかに対立する場合、法律的にいつてどちらが尊重されねばならないか、こういうことも問題になると思うのですが、私は第三条なり第九条の命令は、決して政府に主要食糧の範囲について勝手な認定を許すような趣旨ではない。こういうふうに思つているのであります。多少重複するような問題もあつたかと思いますが、長官の御所見を伺いたいと思うのであります。
  79. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 今先生のお話を承わつて、成るほど私先ほど楠見委員にお答えしたときに「命令ノ定ムル所ニ依リ」ばかりを取上げて申上げておつたことに気がつきましたが、普通の場合には、実は「命令ノ定ムル所ニ依リ」だけで済ましておつて、今の米麦等について「命令ヲ以テ定ムル」というような場合の命令は普通やつておりません。然るにもかかわらず、先ほど申上げましたような考え方で私たちはこの文字を読んで来たわけであります。今の御指摘の「命令ヲ以テ定ムル」というのは、もう一つくつついて来ると、私としてはますます外し易いというふうに条文が見えて来るというふうにならざるを得ないのじやないかという気持がいたします。  それから本法の精神ということについてお尋ねがありましたが、確かにこの本法の第一条の精神にかようなことは謳つてあるにもかかわらず、どんどんこれを外して行つていいかどうかということは、傾聴すべき御議論であると私たち思います。併しながらこの本法の精神そのものを一つつて見ますというと、これは食糧の遍迫に際して国民生活の安定が害せられることのないようにという観点から、本来ならば取引の自由、いわゆる憲法で保障されている自由権というものがあるのだけれども、それをそういぅ角度から止むを得ずその権利を拘束しても仕方がないという態度でできて来ているものと言わなければならんと思うのであります。従いまして、これが実情に応じて本来の取引の自由ということに戻して行くということは、当然憲法の精神から言つて考えられることである。こういうふうなことになると思います。これはこの第一条の上に更に憲法の精神というものを組合して考えて見ますと、これを実質的に外して行くということも、結局第一条の精神に反しないことになりやしないかということになるわけであります。ただ食糧事情が緩和されているということ、或いは緩和されていないというそのことは、ただ事実認定でありますから、その点には触れないのでありますが、その間に当然情勢が変れぱそれに応じての措置をとり得るのじやないか。これは精神論であります。
  80. 楠見義男

    ○楠見義男君 第一条の問題が只今説明が出ましたからそれに関連してお伺いするのですが、この三条の命令は食糧管理法という法律に基いた授権規定なんですね、この法律はもともと今お述べになつたように、第一条でその目的を明らかにしているわけです。従つて第三条の授権規定はこの法律の目的の範囲内においてのみ授権が認められていると解釈するのが私は正当な解釈だと思うのであります。若し今お述べになつたような憲法の自由とか何とかという問題を持ち出すとすれば、而も認定によつて食糧関係がこういうような法律を必要がないということであれば、それは法律を廃止すべきであつて、現在のこの法律がある以上、而して第一条の目的に従つた範囲内において授権規定が発動すべきであると解釈するのが、これはもう如何にその頭がお変りになつても、私はそれは当然そういう解釈が出て来べきだと思うのであります。従つて先ほどは、三条でこの法律を全く死文化することができるようなことを仰せになりましたけれども、私はその解釈は少し間違つていると思うのですが、如何ですか。
  81. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私としては命令でやらなければならないとは決して思つておりませんから、非常に力んでその説を主張しようとは全然思つておりません。ただ今のお言葉は誠に御尤もだと思つて拝聴いたしておりましたが、私の申上げているのは、第一条の問題を離れて三条自体を先ほどから説明して、三条自体においては可能であるということをお答え申上げたのでありますが、ところが今三好委員から精神論がちよつと出ましたから、精神論としてはこういうことも申上げ得るだろうという程度で申添えた程度でありますから、その点は御了承を願いたいと思います。
  82. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は精神論じやなくて法律全体の問題として、法律の運用については第一条がれつきとした目的を掲げておりまして、その目的の範囲内において授権規定が発動すべきである。従つて九条の規定もこの一条の目的の範囲内においてやるべきであるから、三条だけを切り離して実は申上げているのではないので、法律全体としての、而も一条の目的の範囲内における三条の授権規定を申上げているわけで、今のお話を承わると、第三条という規定だけをぽつつと出して文理解釈的に見て行けば、これは私は随分無理だと思いますので、先ほど一つの例としてお挙げになつたことが当時行われたことも私は実はよく承知しております。がその如何にかかわらず、第三条という条文だけを全く無関係に切り離して行けば、それは法制意見長官のおつしやるような解釈がつくかもわからんが、併し一条の下における三条ということになれば、命令を以て米麦の統制撤廃をし、食糧管理法全体を死文化するということは、これは無理である。無理というか、それは不可能である、こう解釈するのか妥当だと思うのでありますが如何でしよう。
  83. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私の触れました趣旨は、結局法律といえども憲法の下における法律でございますからして、法律を運用して行く政府の態度としては、憲法の存することを常に考えつつ運用をして行かなければならん、まあ違つた言葉で言えばそういうことになろうと思います。例えば価格の統制について、法律自身は広く授権をしておりましても、現在では公共の福祉の建前からいつて価格統制の必要がないと認めますならば、公定価格というものは政府としては作るべきじやないというような、そういう角度から申上げている次第であります。
  84. 楠見義男

    ○楠見義男君 その点は、私は権能規定の場合はそれでいいと思う。これは最初に私申上げたように、これは政府の権能であると同時に、政府の義務を規定した両面を持つているわけですね。従つてそういうことを含めて一条でその目的を明らかにする、これはちやんと書いてあるように、「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ其ノ需給及価格ノ調整並ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」、こう書いてある。このなかの内容は申上げるまでもなく、又先ほど申上げた通り一方における権能と一方における義務を書いてある。従つて今物価統制の問題が出ましたが、これは権能規定の範囲内において、例えば百種のものを初めに統制しておつたものをだんだんに減して行くということはこれはあり得ると思いますが、この場合は違うと私は思います。従つて飽くまで根本的には憲法の問題ではありますけれども、この憲法の下においてこういう法律ができているのでありますから、若しこの必要がなく、又政府も配給についての義務を免かれんとすれば、これは当然この食糧管理法を改廃すべきであると、こう解釈するのが私は妥当……というよりも適当な、正当な解釈だと私は思うのでありますか、如何でしよう。    〔理事溝淵春次君退席、理事松平勇雄委員長席に着く〕
  85. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) いろいろ教えられるところは多いのでございますけれども、私としては純粋な法律の理窟を申上げているつもりであつて、而もその法律の理窟についての妥当、不妥当論が出て来るとすれば、先ほど申上げましたようなことで、必ずしも不妥当とは言えないのじやないかという程度で申上げているのでありまして、これは非常にいい方法であつてそうすべきだというような気持で申上げているわけではございませんから、その程度で一つ御勘弁を願いたいと思います。
  86. 三好始

    三好始君 長官の考えておられることは大分明らかになつたわけでありますが、それは必ずしも了承できるということではないのであります。第三条乃至第九条を根拠にして、政府が食糧管理法改正の手続によらずして、実質的に統制を撤廃して行くことが法律解釈上可能であるかどうかということは相当問題があると思うのであります。恐らくは厳密に言えば違法ではないかと思われるようないも類なり雑穀の統制の撤廃が第九条第一項を根拠にして行われたために非常に不自然な形になつておるのでありますが、食糧管埋法の、現行法の中に例えば「第二条ノ二」として「政府ハ命令ノ定ムル所ニ依り予算ノ範囲内ニ於テ甘藷又ハ馬鈴薯ノ生産者ニ対シ其ノ生産シタル甘藷又ハ馬鈴薯ニシテ売渡ノ申込ニ依り政府ノ買入スルモノヲ予メ指示スルモノトス」全然現実に行われておらないものが法律上にはこうして残つております。これはただ法律として当然に行わなければならなかつた食糧管理法の改正の手続を経ずして、無理な政令による統制撤廃を断行した結果であります。私はこの問題について長官の考えておられる考え方には納得できないものがありますが、この際奥野参議院法制局長意見を承わりたいと思うのであります。
  87. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほど法制意見長官お話、御説明を承わつておりまするというと、三条だけ切離して御解釈になつておるように承わつたのでありますが、私も楠見委員の言われるように、当然第一条と切離して第三条だけを解釈することは意味をなさないじやないかこういうふうに考えられます。それからもう一つは、第九条の規定を見ましても「政府ハ主要食糧ノ公正且適正ナル配給ヲ確保シ、其ノ他本法ノ目的ヲ遂行スル為特ニ必要アリト認ムルトキハ」と書いてありますので、それを読んでみまするというと、配給を確保するということと、公正且つ適正なる配給を確保するということと、そのほか一般的に本法の目的を遂行することを前提とした条文になつております。そしてこの法律が何を目的としているかといえば、統制を目的としておる。ところが命令一つ一つ外して行つて全廃ができるのだといいうふうな解釈になりまするというと、この食管法の根本の目的である統制そのものを全廃してしまうことになるのでありまするから、どうもこの九条の趣旨から考えましても少し無理な解釈じやないか、かように考えるのでありますが、この点もう一遍御説明願います。
  88. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 第一条に又問題が参りましたが、「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為」というのがございまして、そのためにここで統制をするということは文字の示す通りでございましよう。併しながらこの「国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為」というその言葉の示しております裏付けになつておる現実の社会情勢と申しますか、経済情勢というものがあるわけで、それを受けての条文であろうと存じます。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕 従いましてその経済情勢、社会情勢そのものの変化があれば、それにあれした場合に、この第一条は即応して読まれて行かなければならんというように私考えておるのでございますから、先ほども触れましたように、この法律制定の際の事情或いはその後の事情と、今日における事情という実情との睨合いの問題がそこにあります。それによつて当、不当の問題が出て来るでありましようということを申上げましたのはその趣旨でございます。それはそのときそのときの事情において見なければならん条文ではないかという気持ちでございます。
  89. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 奥野法制局長からの答弁はよろしうございますか。
  90. 竹下豐次

    竹下豐次君 あとで……。今の御説明によりまするというと、「国民経済ノ安定ヲ図ル為」というのがこの目的であつて、統制を行うことそれ自体は目的でない、こういうふうな御解釈になるのでありますか。私はこれは食糧安定を図るためではあるが、やはり統制を行うことそれ自体をやはりこの食管法は目的としておるのだ、こういうふうに解釈しておるのであります。そうすると、やはりその統制が行われる範囲内において、言換えれば統制の全面的の撤廃を行うところまで行かない範囲において命令を出せるということは、この九条の場合にもできるわけで、それ以上に行くのは少し行過ぎじやないか、こういう疑問を持つておるわけであります。
  91. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) よくわかりました。私は「為」の上まで申上げておつて少し足りませんでございましたが、結局その一条の全体の趣旨は安定を図るために必要な限度内において配給の統制を行うことがこの法律の目的である、従つてその「配給ノ統制ヲ行フコト」とありますその統制の実態というものは、先ほど来縷々申上げておりまするように、例えば九条のごときは「得」という形でその都度適切なる惜置をとり得るように非常に幅広い受権をしておる。或いは三条についても先ほど申上げましたような形でゆとりを持つた規定の仕方をしてある。この三条なり九条なり、その他この法律の定める条文に従つて統制を行うためというふうに私は読むべきであろうと思いますからして、この統制の実態というものは「安定ヲ図ル為」というそれと睨合せつつ各本条において認めておる措置を適切に運用するということを、一条自体が予期しておるというふうに考えております。
  92. 竹下豐次

    竹下豐次君 一条の解釈も根本的に意見の相違があるようでございますから、この上お尋ねいたしません。
  93. 三好始

    三好始君 ちよつと奥野法制局長の御答弁を頂く前に念のために補足をいたしておきたいのでありますが、法制意見長官は経済情勢、社会情勢の変化によつて、政府は、統制撤廃の認定を下すことができるような説明をされておるように思うのでありますが、私たちの立場は社会情勢経済情勢の変化によつて統制を撤廃してもいいかどうかの認定をこの法律は政府に委任しておらない。そういう授権をしておらない。それは法律制定者としての国会みずからが認定するものであり、つまり法律改正の手続によつて統制撤廃を行い得るものである、こういう立場をとるのであります。先ほどの奥野局長の御意見を求める際に申上げたのに附加えてこれだけを申上げます。奥野局長の御意見を承わりたいと思います。
  94. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 私は佐藤意見長官とやや違う見解を持つておるのでありますが、結局政令等で米麦の統制を外すというのは、恐らくこの三条で「米麦等ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」というその命令を出さないで、結局買上げる命令を出さないことによつて恐らく撤廃というようなことに持つて行くのじやないかと思うのであります。成るほど「生産シタル米麦等ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」というので、命令で、まあこの命令という中には主として私はやつぱり数量と考えておりますが、三好さんのように数量のみかといえば必らずしも数量だけではなく、米麦とか或いは大麦とか小麦とかという、そういう種類もやはり命令で委任されておるというふうに見ざるを得ないのじやないか、即ち「命令ヲ以テ定ムル」というのは、数量並びに種類を、命令で定め得るというふうにまあ考えます。そこでこの命令でほんの少しで数量だけをきめたり、或いは米麦を全然言わないでほんの雑穀だけを命令できめたりなんかしても、この形式的には三条の「命令」ということになるのではないかという、まあちよつと考えも形式的には成立つかと思いますが、併しながらこれはやはり先ほど来問題になつておりますように、第一条で国民の食糧の確保並びに経済の安定ということの目的のために食糧を管理したり或いは需給の調整をやつたり、或いは配給の統制を行うという手段を用いて、国民食糧の確保をやるというのがこの法律の建前でございますから、やはり食糧確保という制約といいますか枠があるので、三条によりまして米麦ではなく、ほんの雑穀だけを命令できめてこれを買上げるとか、或いはほんの少しの数量だけをきめて買上げるというのでは、若しやはりそのために国民食糧の確保かできないという場合には、それはやはりこの法律の忠実なる執行ということは言えないのではないか、従いまして日本国民の食糧の確保の方法として、食糧の管理並びに需給或いは配給の統制という手段で、国民食糧の確保、国民経済の安定を図るというこの食管法があります以上は、命令で全然出さないとか或いはほんの少量の買上げとか、或いは種類でも雑穀だけをするとかいうようなことは、この法律の精神からできないものではないかというふうに考えております。
  95. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 よろしうございますかちよつと……。私はこういうような経済立法は、大体条文の全体から、ただ一部を字句的に解釈すると、長官がそういう意味とは思いませんけれども、字句的に解釈して、それでただ概念的に原則を中絶して解釈をつけて行くということじやいかんのじやないか。殊に複雑なるこの食糧、国民の生活安定というような大きな経済問題を、この簡単な文章の中に織込んでおりますから、この文章が含んでおりますところの、又文章が現わしておりますところの真の意味を引出して、それから解釈して行かなければいかんのじやないか、こう思うのであります。そういたしますと、今私がお尋ねしようとしたところを奥野局長お話になつたのでありますが、やはり第一条の精神から分析して行かなければいかんのじやないか、そうすると第一条の精神から分析しますというと、三条の「命令ノ定ムル所ニ依リ」ということは、これは純然たる手続を委任したものか、もつと大幅なものを委任したものかという問題は字句の上で起りますけれども、一条のところから制約されます。それから又第四条以下にも、国民生活に対していろいろ義務が課してあるわけであります。その義務その他とも睨合して見ますというと、全然この食管法を骨抜きにするような授権は、第三条の「命令ノ定ムル所ニ依リ」というところから出て来んのじやないか、こう私は思うのでありまするが、或いは長官と違つて我々は英米法をやつておりますので、そこが立場が違うかも知れませんけれども、一つその辺を全体を見て解釈して頂きたい、もう一度長官にお尋ねしたいと思います。
  96. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私不勉強にして日本法しか知りませんので、(笑声)この食糧管埋法の精神論というようなことにつきましては、只今栗栖先生のお話も成るほどと思つてやはり承われるところであります。ありますが、先ほど縷々私が申しましたように、私は条文解釈上さような結論にどうもなるということと、それから今の第一条の精神から申しましても、この法律が国民食糧の確保及び国民経済の安定を図るためという大目標にこれが立つておる。仮に今度この命令の措置を、どういう命令の措置か知りませんけれども、そういう措置をとることによつて、国民がその日その日の食糧に不足を生じて飢えに泣くようなことになり、或いは国民経済がすつぱりとまつてしまうというようなことでありますれば、これは極端なことを申上げますけれども、でありますれば、この委任命令を以てという字句的制限がありましても、私はこれは法律の一般精神に反するであろうとこれは言えると思います。だからやはり事実の認定の問題になると思いますので、その辺は食糧管理庁長官から御説明を願わなければならんことじやないかと思います。
  97. 三好始

    三好始君 私は奥野局長にお尋ねいたしますが、特に私が附加えてあとから申上げた点で、事実の認定を政府にこの法律は委任しておるか、或いは法律制定者自身が認定する建前になつておるかといぅ点が承わりたいのであります。第三条第一項の「命令」という言葉は、二つ出て来ておる。あとの「命令ヲ以テ定ムルモノ」というのは、私の考え方では、主として数量ということを主張いたしたのでありますが、奥野局長は数量のみでなく、種類も含んでおるという見解であります。それは特に私は見解の相違があるというわけではないのでありまして、数量を限定するには、やはり何を幾らということにならざるを得ないわけでありますので、私の言う数量には、種類もおのずから含んでおるわけでありますから、ただその種類が第三条で列挙しておる各種の主要食糧のうち政府が一方的にどれだけを残して、どれを外して行く、こういう認定がでぎるかどうか。その認定を、この法律は政府に委任しておるか、或いは委任しておらないで制定者自身が認定をする、つまり法律改正の手続を要するというふうに、この法律は規定しておると考えねばならないか。この問題について局長の御意見を承わりたいのであります。
  98. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) あとのほうの問題からお答えいたしますと、これはやはり米麦等にして命令で定むるものを政府に売渡すべしというので、若し仮に命令のうちに数量及び種類というものを含めて授権されておると仮定いたしますならば、これを実行する政府にそういう一応認定権があると思います。ただ併しその場合でもやはり第一条の目的に制約されて、これによつて食糧の確保の目的を達し得る、目的を遂行するに必要なものということは、おのずから種類といつても、そういう制約があるものであるというふうに考えております。従いましてこの命令は、やはりこの法律を実行する上において、政府に委託された……、裁量の余地があるものと思います。が、併し、それは先ほど申上げましたように、一条の目的によつて「国民食糧ノ確保」の目的を達するようなものでなければならないという枠の下において、政府に裁量の余地を与えたものであるというように考えます。  それから第一点のこの食糧確保云々の認定権が一体国会にあるのか、或いは政府が自由に認定し得るかという問題でありますが、この食糧管理法というのは、とにかく国民の食糧を確保するためにこれこれ、これこれ、即ち食糧の管理、需給、価格の調整並びに配給の統制という三つのやり方で以て国民食糧の確保をやるのだということにきめておるという法律と見ますならば、やはりこれは国会においてそういう法律を制定いたされました以上は、これにに従つて政府は誠実にこれを執行して行かなければならない義務があるものと思います。従いまして政府が独断にこの法律が改正、廃止されないのに、こういうものが必要がないといつて、これを全然適用とか、実行をしないということは、やはり憲法上内閣の義務として法律を誠実に執行する義務が課せられております以上は、政府の認定だけで現にある法律の執行をやらないというのは如何かと思います。
  99. 楠見義男

    ○楠見義男君 法制意見長官にお伺いするのですが、今丁度奥野法制局長三好委員との間に交された質疑に関連した問題なんですが、この法律の例えば三条なら三条でありますが、この解釈は立法者の意思に従つて解釈せられなければならんと思いますが、今先ほど来お話になるように、立法者の意思に反して政府が勝手に解釈せられるということになると、実はとんでもない結果になるのです。これは丁度これと同じような条文で九条の二項なんですが、いろいろの制限命令を受けた場合に、それに対して不服があるものは経済安定本部総裁に対して異議の申立ができることになつておるのであります。同じような書き方でありますが、これを政府の一方的な解釈で、命令で、或いは政令でその不服申立の権限を、権能を剥奪したということになれば、これは又先ほどのお話で行けばそういうことが可能になつて来るのです。こういうことを政府が独断にやるということは、全くその立法者の意思としては予想しておらない。同様なことがこの三条についても言えるのです。私は佐藤長官の政府委員としての立場はよく諒といたしますけれども、少くともこの三条において、立法当時そういうことが予想されておるかどうか。これは恐らく速記録を見、又その時の政府から、当時御承知のように法律を出すときには、すべてその審議に当つて委員会に命令規定事項というものを出しましたが、その規定事項をお調べ頂けば先ほど来申上げたようなことはゆめゆめ考えておらなかつたことだと思う。そこで三好委員からも只今お話がありましたが、国会の意思としては、特に参議院としては、そういうことはしてはいけない、如何なる場合といえども米麦については、統制の改廃をするときは、法律でなければいけないのだということをはつきり参議院の決議で決定をしておるぐらいなんです。これは当然のことを、政府が先ほど来お話があつたような、むしろ法律を無視するようなことをする虞れがあるので、これは例えば気違いが刃物を持つてですね、これはもうどんなことでもやれるわけなんですが、そういうことのないように予め警告を与えたつもりで、当然のことを実は決議したに過ぎないのであります。そこで三好君の質問に関連いたしますが、立法者の意思に反して政府がそういうことが自由にできるのかどうか。今奥野局長からもお話がありましたが、憲法の規定従つて、行政府としては忠実に国会の決定した法律を守つて行かなければならん、こういう場合にそういうことが一体できるのかどうか。このことが一つと、これはまあ余談になりますが、そういう法律を無視したことをやつた場合に、これはどこがその裁定をするのか、それは気違いをどこが直すのか、(笑声)その場合の精神病院は、現在の日本の国家行政機構では、どこが精神病院の役割を果すのか、この一点をお伺いしたい。
  100. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) この法律そのものの解釈についてどういう基準が本来当はまるものかということに触れてのお尋ねでございますが、我々法学通論等の勉強をいたしまして今まで考えておりまするところは、何よりも立法者の意思というものはこの文字によつて現われておる。従いまして法律の解釈をするに当つての態度としては、先ず文字から来るいわゆる文理解釈、これが第一であろう。それからその次に持つて来られます原則は、条理からどうだろうという条理上の解釈、それから先ほどお触れになりましたように立法者の気持、立法の過程、いきさつというものが出て参ります。出て参りますけれども、実はその最後の立法過程、或いは立法者の意思というものが出て参りますのは、私の考えでは文理上、或いは条理上解釈のつかない場合、そのときの助けにそれが出て来るというものであろうと考えております。従いまして先ず第一に何よりもこの文理上の解釈を尊ぶのが筋でございますと考えておるわけでございます。この解釈権はどこにあるかと申しますれば、これはこの法律に関係いたしますすべてのものがその解釈権を持つておるということができましよう。この執行に当りますところの政府が勿論第一次的に解釈をし、みずから正しいと信ずる解釈に従つて運用に当らなければならんことはもとよりでございます。その運用が仮に間違つておるということになりますれば、或いは最高機関としての国会が政府をお叱りになる、御批判になるということは又そこに出て来ると思います。最後にこれが訴訟事件等において現われますならば、最高裁判所において解釈をするという段階になると思います。法律論としては恐らく最高裁判所は最終の解釈権を持つておるというのが正しいことだろうと思いますが、まあさように考えております。
  101. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の文理解釈の問題なんですが、当然その立法者の意思が明らかになつておるにかかわらず、その意思と反した文理解釈を殊更にこの三条について、まあ例を三条に挙げますると、二条についてやろうとするところに問題が実はあるわけなんです。同時に第二段の段階として、国権の最高機関である国会がお叱りになつたらいいじやないかということでありますが、国会は先ほども申上げたようにはつきりとそういうことはできないということを念のために決議をしておるくらいなんです。従つて第三段の最高裁判所の審議にかけるという前、そういうことが明らかになつておるにかかわらずやることは、無理とか何とかいうのじやなくて、これは不可能な解釈じやないか。こういうふうに私は法律上、法律解釈上不可能な解釈じやないかとこう思うのでありますが、どうでしようか。
  102. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) お尋ねの趣旨がはつきりいたしませんが、私自身不可能な解釈とは思つておりませんものですから、先ほどのような意見を申上げたわけでありますが、不可能な解釈という言葉の意味ちよつと……。
  103. 楠見義男

    ○楠見義男君 少し言葉が足りませんでしたが、無理な解釈という言葉のほうがいいかもわかりません。無理な解釈ということと、法律を無視するという言葉とは別だと思うのです。で私の申上げるのは、それは法律を無視することじやないか……、文理解釈もですね。立法者の意思が明らかになつている。それから第二段の国会の意思も、参議院においては少くとも明らかになつておる。そういう場合にあえて、なお且つ三条の規定で以てこの食糧管理法を全く死文化してしまうということは、無理な解釈というよりも法律を無視した措置でないか。食糧管理法という法律を無視した措置ではないか、こう思うのでありますが、どうでしよう。
  104. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 全く無理な解釈であり、法律を無視した解釈であれば、これは何人からお叱りを受けても、私は止むを得ないことだろうと思います。ただたまたま今まで私が申述べましたことにつきまして、そういうお言葉が当てはまるとしますれば、最初私が申述べました通り、私自身としては政府の解釈が命令で可能ということにきまつたとか、或いは命令でやる方針だときまつたとは、私、毛頭承知しないままに、すなおな気持でここへ出て来ております。実は本当を申しますれば、この間農林委員会でも申しました通り、私自自身の信ずるところを申述べておるところでありまして、いろいろ御議論を伺つて、又私自身の修養のためにしたいという心がけは持つておりますけれども、先ほど政府委員として云々という御同情あるお言葉はありましたけれども、実は私自身の気持はちよつとそこに食い違いがあるのであります。
  105. 栗栖赳夫

    ○栗栖赳夫君 私もう一度お尋ねしたいと思うのですが、この今の文理解釈その他、全く私もそう考えております。併しその文理解釈をする態度において、やはりこの文字面でなしに、この規定の全体が狙つておるところをよく見て、そうしてこの三条の命令なら命令というものを考えて行かなければいかんのじやないか、こう考えるのであります。長官にこれ以上こうおつしやいということを私が言うわけじやありませんけれども、政治的に妥当でないことは勿論でありますが、法律的に見ましても非常な我々は法全体を没却するような命令というものは、これは委任してはおらんと、こうはつきり考えておりますけれども、併し全体を没却するかどうかということが、長官の考えておられるところだと思うのであります。そこでそれ以上申しませんけれども、ただ私どもはこの全体から見て、殊に食管といぅ事情から見て、この三条の命令、そういうふうに広く解されるということについては、私はどうも納得できない、こういうことをここで申上げておきます。
  106. 竹下豐次

    竹下豐次君 簡単に第三条の解釈について法制意見長官にもう一遍伺いたいと思うのですが、「命令ノ定ムル所ニ依リ」と書いてありますが、法律で「命令ノ定ムル所ニ依リ」云々と書く多くの場合においては、命令が出されるものであるということを前提として、こういう形で法律ができるのが普通の状態であろうと思うのです。ところが先ほどからの御解釈を承わつておるというと、命令を出さないでもいいのだというようなお考えじやないかと思うのですが、そうしますというと、何か私などの通念では、命令はとにかく大小の命令が出るということを前提とされて法律ができるのが普通であるのに、逆に出さないでもいいということを仮定した、こういう条文が何か先例でもありますでしようか。
  107. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先例として堂々と申上げる資料を持合せておりませんが、先ほど楠見委員のお尋ねのときに若干の思い出話をしたのでありますが、例の命令の定むるところによりというものを一番上にかぶせたらどうかという、あのお話のときに、そのときに出たのは憲法を見ろというお話が出まして、当時の旧憲法、今の憲法にもありますが、「日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス」とある。現在納税の義務というものは課せられていない日本臣民もあるじやないか、更に万一国力が非常に盛んになつて、税金などは一文もなしに国が持つて行けるというときであれば、そういう法律で税法を全廃してもいいというお話がそのときに出ましたが、これは思い出話として申上げますが、そういうことは一応考えられることじやないかと思つております。
  108. 竹下豐次

    竹下豐次君 その納税の例をお出しになりましたが、これとは大分違うのじやないかと思うのですが、これでもすべての国民に命令が出るわけじやない、やはり一部の者には命令を受けない者もあるわけであります。ちよつと通例でないように思いますが……。
  109. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私ども理窟ばかり申上げて恐縮でございますが、売渡すべしという義務と、税を納むべしという義務と、論理的には同じだということでお聞取り願いたいと思います。
  110. 楠見義男

    ○楠見義男君 それ以上法制意見長官と論議しても、いつまで経つても尽きないと思うのですが、この問題は最初に私が申上げましたように、政府は国会の、参議院の意思を無視し、又正当な法律解釈を無視して、米麦の統制撤廃ができるという前提で、定員法を出しておるところに問題があるわけであります。従つてそちいうことはこれは農林委員会でも迫つかけて十分に御検討になるようでありまするし、又参議院自体としても、これは十分検討しなければならん問題ではあるのですが、本日はそれとは別にあなたがたの、先ほど申上げましたように、御意向を伺いたい、そういうことで煩わしたわけでありますが、なお十分まだ尽きないところもあると思いますし、改めて私どもも本日お述べになつたところを速記録等によつてよく検討して、改めて又この定員法の審議中に明らかにしたいと思つていますが、同時に佐藤さんのほうでもなお御検討おき頂きたいと思います。
  111. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて。    〔速記中止
  112. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。それでは昨日に引続きまして、農林省関係の定員問題を逐次審議いたします。  その前に一つ諸君に申上げておきます。羽生農林委員長からこの委員会において発言をしようという通告を受けたのであります。そこで私がその発言の内容をお尋ねしてみたのでありますが、そうしたところが委員長は農林委員会から定員法修正の意見内閣委員会に提出してあるからよろしく取計らつてくれという意味の発言であるということでありました。そうして農林委員会も開会しなければならないから、内閣委員長からそのことを内閣委員諸君にお伝えしてくれということでありましたから、このことを申上げておきます。
  113. 郡祐一

    ○郡祐一君 今おつしやる意味は農林委員長から内閣委員長に伝えられて、そうしてその趣旨のことを聞いて発言されるというのですか。
  114. 河井彌八

    委員長河井彌八君) いや発言はもうやめる代りに、内閣委員長から委員諸君に申上げてくれという挨拶です。それは実はこの間連合委員会を開いたときに、最後に羽生委員長がここで申述べられた言葉、それを繰返したことに過ぎないと私は了承いたしております。
  115. 郡祐一

    ○郡祐一君 了承。
  116. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは本省の部で、Aとして大臣官房が掲げてあります。一般会計、特別会計、及び附属機関がありますが、これを併せて議題に供します。
  117. 楠見義男

    ○楠見義男君 渉外事務についてお伺いするのですが、これは昨日来のこの委員会における審議の状況をお聞取りになつておりましたから、大体おわかりになつておると思うのでありますが、国際関係機関との交渉が明らかに予定されているもの、而も事業分量の相当あると予定されているものについては、文部省、厚生省、労働省等において渉外関係整理率は大体五〇%程度になつているのであります。ところが農林省においては整理率が零になつておりますが、一方FAOへの加入問題、小麦協定への参加問題、それから又現に事務次官が今国際植物防疫会議に出席されて、そうして条約を調印して来られようとしておる。そういう状況であるにかかわらず、こういうふうに整理率が一〇〇%になつておりますが、それらの仕事は挙げて外務省本来の国際経済協力局においてやつてもらうと、こういう趣旨でおやりになつておるのか。先ほどもお聞きになつておつたように、国際経済協力局においては、全般的のことはやるが、国内的の問題についてはそれ担当の各省庁においてこれを取扱つてもらうようにしたいんだと、こういうような答弁のありましたことはお聞き及びの通りであります。一体農林省ではこの問題をどういうふうにお考えになつて整理率が一〇〇%になつておるのか、又整理率一〇〇%でそういう問題が円滑にやつて行けるのか、或いは外務省に全部おんぶして行くのか、この点をお伺いいたします。
  118. 臼井俊郎

    説明員(臼井俊郎君) お答え申上げます。ずつと行政整理案を作ります過程におきましては、我々事務当局の者は、行政管理庁のかたがたと折衝いたしまして、いろいろ一ついろいろの事務につきまして、農林省の実情を申上げたり将来のことを申上げて、お話をして参つたのでありますが、今御指摘の渉外事務につきましても、農林省といたしましては、お話の出ておりますFAOの関係、それから将来の外国の農業事情なんかもいろいろ調査するのに、英語のよくできる人は半分くらいは残して置きたい。こういうような希望は持つてつたのであります。ずつと最後まで私の了承いたしておりますところでは、行政管理庁のほうでも各省のバランスをとつて、一応渉外事務というものは総司令部との関係なのであるから、総司令部の関係仕事が講和によつて一応なくなるのであるから、そういう問題は成るべく現在の機構でやつて行くように、現在と申しますか整理後の定員でありますが、然るべき関係部局で整理することにして、これを一応全部落して欲しいと、こういう御要求で、各省調節をとつておやりになるということで一応了承をいたした次第であります。その後昨日のお話を承わりますと、最後になりまして、仕事の非常に多そうに思うところで線を引いて、一部の者は残した、半分くらいは残したと、こういうようなお話であつたわけであります。一応折衝の過程ではそういうことであります。
  119. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじや行政管理庁のほうに伺いますが、昨日審讓をいたしました厚生省のWHOの関係における事務只今農林省から説明のありました事務と、どういうふうに御査定になつて、一方をゼロにし、一方を五〇%にするかその間の事情を伺います。
  120. 中川融

    政府委員(中川融君) 昨日お答え申しましたように、現在やつております事務内容、それから近い将来において予想されます事務内容等勘案いたしまして、厚生省のほうには特別の職員と申しますか、現在の職員の半数を残すのが適当と考えた次第であります。農林省のほうはさように考えなかつたわけでありますが、これは農林省ばかりでなく、今言い漏らしましたが大蔵省あたりにおきましても国際替為協定でありますとか、国際関税協定でありますとか、いろいろ事務が出て来るのでありますが、これらも農林省と同様に考えまして、一応原局でするものと予定して、現在の渉外職員を残さなかつたわけであります。
  121. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の伺つておるのは、そういう抽象的の問題じやなくて、具体的に事業分量がこれこれでありますから、従つてここは残したんだ、ここは残さなかつたんだと、実は昨日私が申上げたように、これは適当な意見ではありませんが、渉外関係で司令部関係の或るものはこの際一切きれいに切ると、こういう方針で行くのなら、まあその方針がいい悪いは別として、これはさつぱりとしていいと思うんです。ところか或る省には残り、或る省には残らない、而もその事業分量か多い少いということが標準になつておるとすれば、勢い我々としては慎重に審議する上において、その事業分量が、残つておる省にはどれだけあつて、それから削られるところにはどれだけあるかということを調べざるを得ないのです。ところが先ほどのまあ農林省の話では、とにかくGHQ関係のものはこの際一切やめるんだと、それで海外関係のものは原局でやるんだと、こういうことが各省一般に対する行政管理庁の方針であるかのどとく誤解をしてこの整理に応じたらしい答弁があつたのですが、それじや非常に各省の間に不均衡が出て来る。それで私は農林省のこれを復活することがどうこうというのじやなく、先ほど申上げたようにするものなら一齊にしたほうが筋が通ると思つて聞いておるのですが、具体的に仕事の分量ということにうよつて残し、或いは残さなかつたということになれば、具体的に仕事分量をどういうふうに御覧になつたか、それを伺わないとちよつと審議のしようがないんですがね。
  122. 中川融

    政府委員(中川融君) 只今この渉外関係職員が、初めは全部落ちるはずになつておりましたのが、その後に至りまして最後の段階に近くなつて、若干の例外を認めるに至つたといぅ経過的な説明がありましたので、その点について補足的に御説明すると、我々の考えましたことがよりはつきりおわかりになるんじやないかと思うので、その点御説明申上げますが、渉外職員につきましては、全部落すというのが最初の考えであつたのであります。ところがどうしてもそれが落し得ないものが、文部省のユネスコ関係のものなんであります。これは渉外と称しております職員、或いはユネスコ関係の職員半数が、要するに純粋に渉外をやつておりまして、総司令部との連絡をやつておりまして、あとの半数がユネスコ問題につきましての国内のいろいろな事務をすでに相当やつておるのであります。従いましてこれを全数落すということは、これはやはり実情に副わないということになりましたので、やはりユネスコ関係の分として半数はやはり残すべきだろう、かような見解になりました。併しながら一方各省に通じまして渉外というものかあり、而もそれが初めは連合国関係のものでありましたのですが、だんだん国際情勢関係仕事を少しずつ始めておる状況になつております。従つてそれを一貫すれば各省にすべて又渉外をそれでは或る程度残すかということになりますが、これはやはり現状から見て行き過ぎじやなかろうか。大体原局で賄えると認められる限度のものは、一応原局でやるという建前で行くべきではなかろうかと思いまして、大体労働省、厚生省及び先ほど申しました文部省につきまして、渉外を約半数残すということにいたしたのであります。これは最初はそういうことで渉外全部を落すという方針行つておりましたので、各省に対しましてはさような説明をしておりました。最後の段階に変りました際に、いろいろ連絡漏れ等がありまして、各省がそれをお聞きにならなかつた向きもあるようでございますが、実情はさようでございます。従いましてその際に詳細に事務内容等を検討するという暇はなかつたのでありまして、大体我我が今まで見ておるところ、感じておるところによりまして、その間の区別をつけた程度でございます。
  123. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の御説明で行くと、文部省のユネスコ関係はわかりましたが、厚生省、労働省は、言葉は適当ではありませんが、最後のどさくさに来て滑り込んだというような感じを持つのですね。滑り込んだことのいい悪いは別にして、そういう場合にはやはり総合調整をしておられる行政管理庁の立場としては、当然同じような態度を各省について必要があればおとりになつて然るべきじやないか。これは要領よく滑り込んだところだけが残り、然らざるところが落されたという感じを持たざるを得ないのであります。政府がWHO或いはILOの関係はいつ頃から起つて、そうしてその仕事の分量というものは従来どれだけあつてどういうふうに取扱つてつたのか、その事情とそれから今問題になつておる農林省のそういつた国際関係仕事との分量的な比率をもう少し詳しく御説明頂ければ非常に幸いだと思うのです。
  124. 中川融

    政府委員(中川融君) その事務内容につきましては我々もそう深く知つておるわけではないのでございまして、これは関係各省から御聴取して頂きたいと存じます。
  125. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじや農林省のほうから伺いますが、その前にそういうふうに只今お述べになつたように、大蔵省にはどれだけある、何省にはどこどこあるという、そういうものをちよつと今列記して下さい。一〇〇%落したところでそういうものを大蔵省では……。
  126. 中川融

    政府委員(中川融君) 各行政官庁の順に追つて大体申しますと、例えば統計委員会におきましては国際統計会議というようなものがございます。それから法務府におきましては国際私法会議、私の法の会議でございます。そのほか国際的な法律関係会議が相当あると聞いております。それから大蔵省では国際の貿易為替機構がございます。或いは関脱機構さようなものがございます。それから農林省ではFAO関係があります。通産省でもやはり貿易機構がございます。そのほかいろいろな品物についての国際委員会、或いは国際会議というようなものがございます。それから運輸省におきましてもこれは例えば国際航空会議でございますとか、或いは海運のほうの会議というのがございます。それから電気通信省におきましては国際電気通信会議、郵政省におきましても万国郵便連合というようなものがございます。なお建設省所管におきましてもたしか建築関係の国際会議があるということを聞いております。経済安定本部におきましては、これは国際連合関係のいろいろの国際組織がありまして、それの常時報告を受けるというようなことをしております。
  127. 楠見義男

    ○楠見義男君 そういうふうに各省にあつて、而も特に二、三の省だけが残つておるということであれば、尚更我我としてはその二、三の省についての存置の理由を明らかにしないと、これは改正に従うというか、一律に整理するというほうが筋だと思うのです。そこでそれじや逆に残つた場合仕事の分量がどれだけ多いのか、どれだけあるのか。そういうことを一応伺つて、今度先ほど話かあつたように農林省から伺つて、そうして仕事の分量の比較を我々はしたいと思いますから、残つたほうの厚生省なり労働省のそれぞれの国際機構仕事の分量を伺わして頂きたいのです。
  128. 中川融

    政府委員(中川融君) その点は先ほど申上げました通り、各主管省からお聞取り願いたいと思います。私ども正確なことは申上げられません。
  129. 楠見義男

    ○楠見義男君 中川さんに申上げますが、私は実はいじめるつもりでもなんでもないのです。よく御承知通り成るべく筋を通したことをやつて各省の間に彼此甚だしい不均衡を来たさないようにしたいという趣旨なんです。ところがあなたのほうでこれは残した、これは残さないということをおきめになつたものだから、従つてその間の事情をお伺いしているのです。ところがそれは各省へ聞いてくれということになりますと、例えば厚生省でこの仕事はWHOにこれこれの仕事があつて大変重要な仕事です、従つてこれは五〇%は残さざるを得ないのです、こういう説明を承われば、これを仮に尤もだということになれば、先ほどお話なつ各省のもう済んだ省でありますけれども、それぞれの、大蔵省も統計委員会も、法務府も、今まで済んだ各省も一遍皆聞いて、そうして成るほど御尤もだということであれば復活せざるを得ない、こういうことになるわけなんです。従つてそれは煩を厭わずやらざるを得ない。併しあなたのほうの立場として、お前のところは残してもいいということにさせられた以上は、何らかの根拠がなければ私はそれはこの際筋が通らんと思うのですが、別にいじめるつもりでもなんでもないのですから率直にお話頂きたいと思います。
  130. 中川融

    政府委員(中川融君) その決定をいたしました際には、それまでに勿論各省からの渉外事務内容等は相当聞いておるのでございます。それらを聞きました結果を各省を通じまして検討いたしまして、その結果そういうところで区別をしたのでございます。その当時我々が聞きましたところで資料によつて聞いたところもあり、口頭で聞いたところもあり、事務の詳細な内容等については記憶してないものも相当多いのでございますが、それは各省から御面倒でもお聞取り願つたほうがいいのじやないかと思います。正確を期する意味で……。
  131. 竹下豐次

    竹下豐次君 議事進行。楠見委員の御質問は私御尤もだと思いますが、併し中川さんのほうで先に例が出された労働省だとかというような方面の、ILOその他について詳しく御説明ができないのですから、この上中川さんと問答されても仕方がないと思いますが、適当な機会にそれぞれの各省の専門の人から今日までの歴史なり現在の状况を承わるということにして、次に移られたらどうかと思います。
  132. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 竹下さんの今言われておる趣旨もまあ御尤もですが、大体この法律案は管理庁が出して来たのですよ。そこで管理庁がやはり責任を持つてそうして我々に答弁しなければならんと思うのです。そこでその管理庁が自分の都合の悪いことになれば、各省からお聞取りを願います、こういうようなことを言われるということが、無責任極まる話であると私は思う。そこで各省が自分のほうから自信を持つて出て来た数字であれば、成るほど今言われるように各省がお前のほうはこれだけでやれるのか、この渉外はいよいよ要らないのかということは言い得られるのですが、それを査定して管理庁がここに我々に数字を出して来たのでありますから、だからそれについては管理庁としてはこれこれしかじかでこれは何と現場が言おうとも私のほうでは要りませんとこういうことがはつきり言えなければそれはおかしな次第なんで、責任の所在が明らかにならないから、だから私はやはりそれは行政管理庁の中川氏がやはり自分で我々に得心の行くような御答弁をなさつて、そうしてそのいわゆる自分のほうで専門的にわからない、或いは又我々のほうでこれはどうも管理庁の言分と違うように思うというときに初めて農林省なり或いは各省の現状に対して我々が聞く、これが筋合いであつて、全く今の中川氏の言われることは管理庁としての責任が非常に私はなさそうなように考えるのです。だからやはりもう少し明快にやはり答弁して頂きたい、こう思います。
  133. 中川融

    政府委員(中川融君) 私が申上げたのは、今ここですぐ資料を納得の行くように出せと言われましても、実はそれができないのでありますということを申上げておるのでありまして、若し是非とも管理庁から系統立つて説明をせよということでありますならば、今から資料を取揃えまして、御説明するということであれば、若干の時間を頂きますればできると思います。
  134. 楠見義男

    ○楠見義男君 それは百項目ほどある農林省の最初の、これで余り時間を取つてもあれですから、中川さんに申上げますが、さつきから申上げておるような彼此均衡をとりたいというのが念願ですから、一つあなたのところでそれでは全体的に取まとめて頂いて審議に供するようにして頂きたい。
  135. 三好始

    三好始君 大臣官房関係で渉外事務のほかにもう一点問題があると思いますので承わつておきたいのでありますが、指定生産資材の現定員三十八名をやはり零にいたしております。これは同じような問題が食糧庁の一般会計でも出ておるわけでありまして、食糧庁の一般会計では四十七名をやはり零にいたしております。この根拠を承わりたいと思います。
  136. 臼井俊郎

    説明員(臼井俊郎君) お答えいたします。今度の行政整理をやります初めに、内閣のほうで整理の基準をおきめになりまして、こういう生産資材の配給のような仕事は一応全部やめるということを前提として全員を整理するという方針にきまりましたので、その線に沿つて全員が落ちたのであります。
  137. 三好始

    三好始君 ここでいう指定生産資材として何をやつておりますか。
  138. 臼井俊郎

    説明員(臼井俊郎君) 現在残つておりますのは石油と電気と了解いたします。
  139. 三好始

    三好始君 この問題は総論的な際に相当問題になつた点であります。私は事実を確めればそれ以上お聞きしなくても大体方針ははつきりしておりますからこれだけにしておきます。
  140. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと伺いますが、石油に従事しておつた人の定員数をお知らせ頂きたいのですが……。
  141. 臼井俊郎

    説明員(臼井俊郎君) はつきりこの中の何人が石油で何人がというふうに申し上げるのはちよつと少し……。一応事務当局考えておりますのは、今お話が出ております官房の三十八名のうちの二十二人、それから食糧のほうは九名だと聞いております。
  142. 楠見義男

    ○楠見義男君 それは予算定員ですね。現在の定員法による定員ですか。
  143. 臼井俊郎

    説明員(臼井俊郎君) 現在の定員法による定員の中で、事務分担はどうだというお話でございますから、事務分担はそういうことになつておりますと申上げました。
  144. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 結局この渉外は農林省としては要らなくてもやられるということなんですか。やはりこれは渉外として、数は別としてやはりこれは置かなけりややれないとこういうことになるのですか、どうなんですか。
  145. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) お答えいたします。この渉外の問題につきまして、私ども今までの交渉は文書課長から今答弁をいたしておりますので、私どもとしましては将来はやはりこれは必要だというので、来年度の予算におきましては今年の半分の十名程度を大蔵省に要求は出しております。まあこの新規の定員と今度の定員法の関係はこれはいろいろ問題があると思うのでありますが、私のほうは必要だということで大体五〇%のものは二十七年度の予算に要求はいたしております。
  146. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでまあ我々の考え方としては、こういつた渉外関係のものは講和後一括して外務省ならば外務省に全部まとめてやらすということのほうが、事務の系統からいつても簡素化ができて複雑でないというような感じを抱くのですが、外務省のほうでまとめてやつてもらつて、農林省から外務省を通じてやるというようなことでは、農林省としてはやりにくい、こういうことになるのですか。それとも多少はやりにくいが、そういうことでも将来やつて行けると、こういうようなお考えなのか、その点の実情はどうでございますか。
  147. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今のFAOの問題とか、国際小麦協定の問題が出ておるのでありますが、これは全部外務省にお委せして、農林省として渉外事務は全然やらないのだというようになれば、行政上はやはり不便なところが出て来るであろうというふうに我々考えまして、半分ぐらいは残しておいて頂きたいというような要求をいたしておる次第であります。
  148. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 管理庁のほうに伺うのですが、農林省のほうではまあそういうような、今言われたような御意見があるのですが、将来管理庁としてはどうなんですか。これはやはり外務省でまとめてやるということの方針を立てられておるのですか、それとも少数のものでもこういうものが必要であれば残してもいいというような考え方で進んでおられるのですか。
  149. 中川融

    政府委員(中川融君) この渉外関係事務の職員のことでありますが、将来対外関係即ち外国に対する関係を掌るところは、やはりこれは外務省に統一すべきであると思つております。併しながら事の性質上、外務省だけであらゆる事務準備とか資料の蒐集とかさようなことはできない面も相当あるのでありまして、そういう事務がやはりこれは各省でそれぞれ所管に応じまして準備等をしなければならない、かように考えております。従つてその意味での国際行政関係事務は、今後各省に若干ずつあることになると思うのでありますが、その際にそのための独立の課とかさようなものを設けるのが適当であるかどうかということは又別個の問題であると存じます。大体原則としてはやはりそれぞれの事務を国内的に処理します各局で、それを同時に資料その他の蒐集にも当るというのが適当であろう、かように考えております。併しながらその対外関係の国内的な事務というものが或る程度以上に大きな事務になるというようなものにつきましては、やはりそのためのほかのものを作らなければならん事情が出て来ると思いますので、さような際は又そのような独立のほうを設けることも止むを得んのじやなかろうかと、かように思つております。
  150. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちよつと今のお話に関連してですが、例えば労働省のILOの関係というようなことについて、対外の関係は直接対外交渉されるのは外務省がされるのであつて、労働省から直接されるということはないと思いますが、それともやはりこれに関する限りは労働省からやられることもある、そういうことになりますか。
  151. 中川融

    政府委員(中川融君) 国際労働機関との関係につきましては、結局政府を代表いたしまして国際労働機関と連絡するということは、やはり外務省の系統になると存じますが、併し例えば国際労働会議といつた会議に代表として労働省の人が出るということはこれは勿論従来もありますし、あり得るわけでございます。併しながらその事務的な折衝の経路としては、やはり外務省或いは在外公館等がそれぞれ当るということになるのじやないかと、かように考えております。
  152. 楠見義男

    ○楠見義男君 その次に一つ簡単に質しておきたいのですが、配付された資料によりますと、農林漁業金融四十八名に対して二割の整理が行われているのですが、これは常識的に考えて、農林漁業金融が非常に現在重要であり、而もこれからもますます重要になつて来ると思うにもかかわらずこういうふうに整理されていることは、これは私の想像でありますが、農林漁業資金融通、この(8)の場合も一人整理されておりますけれども、このほうに主力が注がれるので、(5)のほうの本体の全般的な農林漁業金融問題は相当荷を軽くしてもいいと、こういうようなお考えによる整理なんですか。それともほかの事情による整理なんですか。その間の事情を伺いたいのですが。
  153. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) お答えいたします。金融の点は御質問がありましたように特別会計と一般会計で整理率が違つております。いろいろそこに落着くまでの交渉の経緯はあつたのでありますが、大体特別会計のほうは新らしくできたばかりの制度であり、これを運用するには相当まだ問題があるというので整理率は軽くしてあります。片方の一般会計は二割ということになつておりますが、これはほかの整理率との問題もありまして、会計事務でありますとか、人事の事務は相当簡素化しまして、仕事を減らすのだという方針を我々聞いておりますので、そつちのほうは大体そういうような考えから来ている整理率になつていると考えております。
  154. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に移つてよろしうございますか。    〔「異讓なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 農政局関係に移ります。
  156. 楠見義男

    ○楠見義男君 農林委員会から農林委員長名を以て修正意見として提案されているのに、この農林委員関係整理一名を零にして、それから農村工業振興関係整理四名を一名にするというような案が来ているのですが、このことの当否は別として、農林委員会は先般の法律に基いて各種の委員会が一本になつて、そうしてこの農業委員会ができて、発足間もないと思うのでありますが、その発足早々にこうやつて而も少人数の五名でいつぱいいつぱいにやつておつたとすれば非常に無理なことになるし、若しそうでないとすれば従来の五人は一人余計でありますので、二割分だけは余分のことになつておつたようにも思うのですが、この関係と、今の農村工業指導所の整理関係、農村工業も丁度農林漁業金融と同様の重要性を今後持つて行かなければならんと考えているのでありますが、その点、この二つ整理の趣旨について御説明頂きます。
  157. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 農業委員会と農村工業指導所の御質問でありますが、農政局関係におきまして、いろいろ整理の折衝過程におきまして、一般会計の本省の仕事につきましては原則として二割程度、特別会計におきましては、危険でございますが、これは現業との問題がございますので、五%程度、附属機関等につきましては原則として管理事務等につきましては、やはり事務を簡素化するという前提で一割、業務関係で五%という一つの基準で減員を考えた次第であります。農業委員会は従いまして一名の減員ということに考えた次第であります。農村工業指導所のほうにおきましては、実はこれは折衝の過程におきまして、農村工業方面の指導は本省でやらずに地方に任しておるという実は経過がございましたのですが、御承知のように農村工業指導所は現在山形県にあるのでありますが、山形県一県を農村工業指導所が指導しているのではありません。全般的といいますか、積雪地方全体の指導に当つておるのであります。こういう指導事務等のいろいろ工業指導等につきまして、事務等の整理等もやればやれないことはないのでありますので、例外的にこれは一般の整理率二割ということに考えて減員を考えたいと思つております。
  158. 楠見義男

    ○楠見義男君 今お話に出た農村工業指導所の二割ですが、この四人の整理はどういうところの人を狙つておるのか、これは今お話がありましたように、新庄の農村工業指導所は積雪寒冷地帯の経済事情の改善のために従来随分努力して成績を挙げておるのですが、その指導所の四人の整理というのはどういう部面の人の整理をするのか、この四名の内容を伺わせて頂きたい。
  159. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 管理要員一名と業務関係三名程度を実は考えておつたのであります。仕事内容等につきまして、各方面のそこで農村工業の指導の講習をやつておりますので、例えば罐詰であるとか、毛織物の指導をやる、そういう講習会等の仕事を若干簡素化して見てはどうかというように実は考えた次第であります。
  160. 楠見義男

    ○楠見義男君 くどいようですが、簡素化という意味はやるべき講習をやめるという簡素化ですか。
  161. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 農村工業の指導を申しますと、多方面に亘りまして、おのずから人の数によつて利用率も出て参りますので、一応整理率外といたしまして、僅かな定員でございますので、四名程度を落しますと事務としては相当苦しくなる、従つて若干の講習等は今までのように手広くやれない点が出て参ります。
  162. 楠見義男

    ○楠見義男君 その次の動植物険疫所の十五名ですが、これは率としては非常に少ないように思うのですが、先ほど来問題になつておる国際植物防疫協定に次官みずからが調印に今参つておるように承わつておるのですが、その協定に参加することによつて若し仕事の分量が多くなり、或いは現在やつておる度合を一層正確にしなければならんというようなことで、若し十五名を節減することによつて折角調印をして来た協定の忠実なる実行を期し得られないということになれば、立ちどころに又増員の問題が起つて来るわけなんです。これは仮定です、私の想像ですが、若しそういうようなことであるとすれば、この際の十五名の整理というものはこれは極めて問題だと思うのです。十五名を整理しても今の国際防疫協定を受諾して、そうしてその国際基凖に従つてつて行く上において支障がないかどうか。この点をお伺いいたします。
  163. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) この整理案は実はFAOに加入が許されまして、国際植物保護条約に調印をいたすということが実は考えられなかつた前の立案でございまして、現に次官が今月の十四日にローマに参られておるような次第であります。国際植物保護条約加入ということを前提としてはこの整理案は実は考えていなかつた次第であります。国際植物保護条約に調印をいたしまして、国会で手続を経て批准を得た場合におきましては、国際植物保護条約上の義務が相当出るわけでありまして、その機構的なものは植物防疫法に基くいろいろな法律的な義務が負わされるわけであります。情報交換でありますとか、又現にいろいろな貿易等におきまして、国内的には余り問題にならないものが今度は相当問題になるわけであります。それで今後の輸出等に睨み合せまして、条約上問題があつた場合に、検疫業務を輸出振興のために慎重にやるというようなことが義務としては別に加わつて来るであろうと想像するのであります。まだ加入前でございまして、条約も各国が調印された上でよく検討して行きたいというように考えております。
  164. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、一応十五名は整理をしておいて、そうして条約に調印をして帰つて来て、実際にそれをやる場合に更に再検討すると、こういうふうに了承してよろしいですか。
  165. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 只今事務当局で大蔵省に折衝しておる予算案にも実はそういうことを前提にしてはいなかつたわけであります。その後起りました事態でありますので、次官等が帰られました上で、更に検討をいたしたいというふうに考えております。
  166. 三好始

    三好始君 今の問題は条約に加入した場合、条約上の義務としてどの程度の事務が増加し、そのためにどの程度定員を必要とするか、こういつた状況が予見せられないものでしようか。
  167. 東畑四郎

    政府委員(東畑四郎君) 国際植物保護条約は非常に抽象的規定に相成つておりますので、いろいろなことが想像し得るのであります。それをここに事務分量としまして具体的な数字を挙げることは良心的にできないことであると思います。多少そういうことに触れて来ますことは想像できる次第でございます。
  168. 河井彌八

    委員長河井彌八君) よろしうございますか——それでは農地局に移ります。
  169. 三好始

    三好始君 農地局関係では参議院農林委員会から相当広汎に亘る各方面の修正案が本委員会に提出されておるのであります。修正案の提出された各事務の状況について伺いたいと思うのでありますが、先ず農地制度改革関係で政府提案のような整理が行なわれることは非常に支障を来たすというのが参議院農林委員会の見解のようであります。これについて局長の御意見を先ず承わりたいと思うのであります。
  170. 平川守

    説明員(平川守君) 農地制度改革につきましては、御承知のごとくいわゆる一括買収式の大きな仕事は一段落を告げておるわけであります。併しなお残務が相当残つておりまするし、特にこの中には特別会計の経理の事務を扱つておりますものや、実務的な仕事も含まれておりまして、いわゆる一括買収をやつておりました当時の定員からは定員の面から言つてもずつと圧縮されておりまして、三〇%程度に現在すでになつておるわけであります。そういう意味からいたしまして、この上更に圧縮をいたしますことは、事務の上には非常に大きな圧力になると思うのであります。ただ全体としての整理から或る程度の事務の簡素化を図つて整理をするという大方針に即応して或る程度の整理はいたしたい。かように考えております。
  171. 三好始

    三好始君 農地制度改革関係整理は政府の大方針に即応してこういう整理に甘んじたというようなお話でありましたが、六十四名のうちから十八名を整理して事務の簡素化が事務を遂行して行く上に支障のないようにやれる自信をお持ちかどうか、その点伺つておきたいのであります。
  172. 平川守

    説明員(平川守君) 自信と申しますと誠に困るのでありますけれども、できる限りやつて参りたいという以外申上げかねます。
  173. 三好始

    三好始君 これは或いは他の委員から更に触れられるかと思いますが、次の土地改良法関係でやはり農林委員会から修正意見が本委員会に提出されておるのでありますが、原案による整理で土地改良の施行が法律に示されておる通り完全にやれるものかどうか、この点を伺いたい。
  174. 平川守

    説明員(平川守君) これにつきましても、この二〇%というのが先ず一般的な一つの基凖になつておりましてこの土地改良法の運用の面から申せば特に仕事がなくなるというような面は特別にございません。これも同様にできるだけ勉強してやつて行くという以外にちよつと申上げかねる次第であります。
  175. 三好始

    三好始君 一問一答でやつておると時間がかかるので、一括して伺います。  農林委員会から本委員会に提出せられた農地局関係の修正案については平川局長は多分御存じだと存じますから、一括してお伺いするわけでありますが、今お尋ねした二点以外の他の諸点についての状況は、只今問題の出ました農地制度改革或いは土地改良法関係と同様な状况にあると考えてよいのでありますか、或いは特別な他の事情のあるものがあるのでありますか、特別な事情があるものならその点を伺います。
  176. 平川守

    説明員(平川守君) 農林委員会のほうの修正案で問題になりました点は、開拓地の営農指導に関します職員と入植者の選定に関する職員、一番大きな問題としては公共事業費に関する職員、その三種類のものが問題になつたようでありますが、これらはいずれも只今申しましたような基準で営農指導にいたしましても、入植者選定にいたしましても、二〇%という一つの基凖的な整理を受けることになつておるわけでありまして、事業につきましては特別に明年度以降特に仕事がなくなるという面はございません。先ほども申しました土地改良法関係等と同様でございます。
  177. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の農地局長説明を聞いておりますと、どうも私解せないのでありますが、それは行政管理庁長官は決して天引整理はしておらない、こういうことを口を酸つぱくして言つておられるのであります。ところが行政管理庁のかたもここにおられますが、一つ一つ事務についてその事務の軽重、繁閑の度合を算定する、そうして具体的にこれだけの人間を出した、こういうふうに聞いておるのであります。これは管理庁のかたも、政府委員もおられますから、若し間違いであつたらこの際明らかにして頂きたいと思います。今申上げたような方針で我々は具体的に審議をしておるのでありますが、今の農地局長説明を伺いますと、仕事が困難……、整理をされると事務分量は一向に減らない、ところが政府の一般方針として二〇%とか、或いは一〇%、こういう一般整理率を割当てられたので、止むを得ずその範囲内で何とかやつて行かなきやならん、こういうふうに私は聞きとれたのでありますが、その点そうなのかどうか。
  178. 平川守

    説明員(平川守君) 私の申上げましたのは、これらの仕事について一般の、例えばいろいろな手続を簡素にいたしますとか、会計の規則を簡素にするとかいうようなこと、或いは人事の規則を簡素にするとか、事務の手続を簡素にするということについては適用があるわけであります。ただ特別に、例えば土地改良法の関係について明年度仕事が特になくなるとか、そういうことはない。従つて一般の事務の簡素化をする、そういう線に応じられるだけのことをやる、こういう意味であります。
  179. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうするとこういうふうに了解していいですか。行政管理庁からは別にその幾ら整理せうよ、こういうふうな率については示されなかつたが、抽象的に事務の能率を挙げろ、そうしてお前のほうは事務の能率を挙げると何%整理できるかということで、その結果ここにありますように、具体的に農地制度については三〇%の事務整理ができます、或いは入植実施のうちで住宅についてはこれは一〇%でありましようか、一〇%整理できます、事務能率が挙げられます。こういういうなことになつたのですか、その点をお伺いいたします。
  180. 平川守

    説明員(平川守君) これにつきましては、一つ一つの項目について管理庁のほうといろいろ御相談をいたしまして、具体的に非常に現業的な仕事の多いものについては低い整理率を適用するといつたような考え方で仕事内容を当りまして、二〇%のものもあり、又は一〇%のものもあるということで、一つ一つ御相談の上できめて参つたのであります。
  181. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、結局この整理率は事務能率を挙げるということを先ず検討せられて、その結果それぞれの費目について農林省から自発的にお出しになつたと、こう理解していいですか。
  182. 平川守

    説明員(平川守君) 自発的と申しますか、御承知のような経緯でありまして、私のほうから卒先して出しておるわけでもありませんから……。併し政府の方針がきまつて参りましたので、それに基いて御相談をいたしたわけでございます。
  183. 楠見義男

    ○楠見義男君 大体の趣旨はわかりました。そこで事務能率の問題に関連するのですが、実は私は昨日農林大臣に対して公共事業について質問をいたしました。その趣旨は公共事業の大部分が国営の直轄事業であつて、而もこの国営直轄事業をするに至つた経緯については、単純な請負だとか、或いは又府県に任せるとか、そういうことではなかなか大規模の干拓事業、或いは開墾事業、そういうものができないので、従つて例えば最初に京都の巨椋池を国営干拓をやつた、その成果に鑑みて逐次開墾並びに干拓の直営事業をやることになつた、而もその国営事業については一人当りの事業分量から言つても、建設省の直営工事に比較すれば金額的に言つても殆んど倍に近い過重な労働を負つておる、そういう場合にこれを整理するということは、たとえ僅少であつてもなかなか困難ではないか、而も一方では各種の風水害その他による災害によつて、或いは又政府が食糧増産をこれからやろうというときに、常に問題になるのは土地改良なり、開墾なり、干拓である、だからむしろ増員をこそ必要とすれ、整理することは困難ではないか、こういうふうに伺いましたところ、農林大臣はそれは事務の能率で行くのだ、或いは又現在の直営を請負制度に改めて行つたり、府県にこれを委譲して行くというようなことで考えて行くのだ、こういうようなことの説明があつたのでありますが、その整理に伴う事務の能率化なり、或いは又国営事業の運営方法等について、農地局としてどういうふうにお考えになつておるのか、この点をお伺いいたします。
  184. 平川守

    説明員(平川守君) この公共事業に関しまする職員のうちの管理部面につきましては、先ほど来の一般の部分と同じように、事務の簡素化二〇%というような適用をいたして参りたい。現業の国営の事業所につきましては、只今お話のごとく比較的大きな金額の事業分量を現在すでに担当いたしておりまして、その意味におきましてこの整理はなかなか苦しいとは思つております。但しこれも全体としての方針もありまするので、大臣からお答えがありましたように、でき得る部門については請負に廻す部分を多くするというような方法によつてこの調節を図つて参るということにいたすよりほかないかと考えております。
  185. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 先ほど農林省のほうからいろいろ説明を伺つておるうちに、いつの時期か行政管理庁のほうから何か基凖になるようなものを与えられた、そうしてそれによつていろいろと考え、その後各種の折衝を経て、ともかくこういうものになつたらしいことが推察されたのでありますが、この委員会で当初質疑が始まつて以来、どうもなかなか納得しない全体の問題があるのでありますが、それは恐らくその基準を拝見いたしますると、今まで何となくわからなかつたものの一部が解明せられる点もあろうかと思うのであります。従いまして行政管理庁のほうから是非その当初ともかくお示しになつた基凖というものをこの資料にお出しを願いたいと、こういうふうに思います。
  186. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 基凖と申しますのは、その今度整理をやりますのにつきまして時間的な関係もあり、とにかく一応の目安を立てて折衝をいたしませんとできませんので一応立てましたもので、例えば昨日来お話に出ております例えば病院の看護婦は対象外にする、森林の主事は五%にするというような一応の率を立てまして、そうしてそれによつて各省と折衝いたしまして、それを更に又その一応の基準によつたのでありますけれども、又その各省の事情によつて多少変更されたものがあるというような、極めて緩い基凖と申しますか、というようなものでございます。
  187. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それが緩いかきついかは存じませんけれども、そのことは口頭でお伝え願つたのでありましようか。或いは文書でそれを伝えたのか。それもどうでもよろしいのであります、ただ要は当初基準となるべきものをお示しになつて、口頭乃至文書でお示しになつたことは明らかでありまするが、そのものを文書に書いたものとして頂きたいのでございます。
  188. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) その基凖と申しますのは、初めにお示ししてですね、それからいろいろ折衝して、あとで又変つては来ておりますけれども、御要求になりますのは初めに出したものという意味でございましようか。
  189. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 初めに出したものは勿論でございますが、そしてその後なお折衝を個々にされておりまする経過において、更に基凖を改めて出したものがあるとすれば、それも併せてお願いいたします。
  190. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) それはもう終いのほうは基準といいますよりも実情によつてつておりますので、いわゆる基凖の形にはなりませんが、できれぱ初めにお見せしたようなものでもお目にかけるようにいたします。
  191. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 是非まあ初めのでも、……共通的にいろいろと現われる現象があると思いますから、先ずそれでは最初のやつを文書でお願いいたします。
  192. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 最初に農林大臣宛に淺井人事院総裁から、農林省農地事務局管下各事務所に勤務する職員の勤務条件についてという人事院勧告が私はなされているのは当然だと思います。それにつきまして内容をまあ私はここに申上げなくてよいと思いますけれども、とにかく定員が足らないのだ、だから何とかしなくちやいかんじやないかという点が第一点と、それから超勤がしつかり払われてないから、そういうことのないように注意すべきである、こういうふうになつていると思います。これを受け取られてあなたのほうはどういう処置をされ、それがこの今回の整理とそれがどういうように関連をしておるかというような点を一つ明らかにして頂きたいと思います。
  193. 平川守

    説明員(平川守君) 超勤の問題につきましては一般的な問題なんでありますが、予算の関係上十分に支払いきれないために無理をいたしておるわけでございます。現業所の性質上仕事が過重であるという注意を受けておりますが、私のほうといたしましては、昨年来、従来の枠外の職員というものがございますが、それを大蔵省で認めてもらいまして、それを定員に入れる、準じて扱うというような方法をとりまして、それによつて若干の緩和を図つて参りました。そのほかに農地局といたしましては、特別の措置を講ずる段階にもいたつておりません。只今特にこういうことをしたということを申上げることも格別ございません。
  194. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その枠外職員を大蔵省に認めさせられておるわけでございますね。その人数は何名でございますか。要するにあなたのほうの要求された員数と、それから大蔵省が認めましたところの定員をお示し願いたいと思います。
  195. 平川守

    説明員(平川守君) 私は只今要求いたしました数をはつきり覚えておりませんが、千百三十六名でございます。
  196. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 農地局全体といたしまして、私は現定員が三千五百二十一名だとこういうふうに思います。ここに出ておりますから……。それに対しまして千百三十六名の枠外職員を認めさせておる。大体三割、約三割に相当するようなものを認めさしておいて、そこで自発的じやないということも私たちもよくわかります。形式的に私はそういうことになつておると思うが、実情的にはそうでないことは認めますが、ここで三百四十人の整理人員を認められたわけですが、あなたのほうではこれはやつては行けないと私は思うんだ。そこで農地局のあなたがたの考えとしては、もう一度これじや大変だから今度は千百三十六名の枠外職員を認めさしたから、もう少し枠外職員を殖やして行くというようなお考えで大体今度の整理案というものを了承されたのかどうか。
  197. 平川守

    説明員(平川守君) そこまでは考えておりませんでありましたが、この程度の整理については先ほど申上げましたような、大臣からお答えがあつたような方向によりまして、請負その他の関係で調整を図つて何とかやつて参りたいとかように考えております。
  198. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 何とかやつて行こうとこういう話ですが、予算の問題で、超勤のことは予算関係でできないと、こういうことは、超勤が起きるということは仕事があるから起きて来ると思うのです。その超勤が予算関係で渡すことはできない、一体あなたは千百三十六名の枠外職員を認めさして、又ここで首切られて、それじやあなたはいいかも知れないが、ところが第一線で働いておる人たちはどういうことになる。あなたはやつて行けるやつて行けるとおつしやるが、それはあなたはやつて行けるか知らんが、第一線で働いておる人はやつて行けると、私はあなたと一緒には考えて行けないと思うのです。やつて行けんというふうに私は結論を出しておる。恐らくあなたの要求された員数は千百三十六名より多かつたと思うのです。恐らくこれ以上のものを要求されただろう、必要とあなたがたは認めて多い数字を要求されておると私は思うのです。それがやつて行けますなどということはどう考えてもあなたの口から言える言葉ではない。こういうふうに考えますが、もう一度伺いますが、やつて行けるやつて行けると言うが、誰がやつて行けるのか、あなたがやつて行けるのか、第一線で働いておる人たちがやつて行けるのか、これをはつきり伺いたい。
  199. 平川守

    説明員(平川守君) これは勿論人によつていろいろ考えもありましようし、私も先ほど申上げておりますように、非常に苦しいことであるということは十分考えておるわけでありまして、ただ全体の方針もあるわけでありますから、できる限りの請負関係等の調整によりまして、これだけの員数でやつて参るように努めたいと、かように考えております。
  200. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、私はこういうふうに了承したい。あなたはとにかくやつて行けると、整理は何ぼやつてもあなたはやつて行ける、但し第一線の人は苦しい、やつて行けない、こういうふうに了承をいたします。  次にこの未開墾地のことでいろいろな問題を私は聞いておるわけです。実は政府はたびたび増産ということをまあ言われておるわけです。それに対して私は農林省も非常に協力的な態度であるとこういうふうに了承しておるわけです。その増産をするためにはやはりどうしても私は増反ということも一つの基礎条件だと、こういうふうに考えるわけですが、実はその未開墾地がそのままになつてつて、まあこれは全部というわけじやありませんが、噂に聞きますとある、これはまあ県知事に関したわけですが、知事さんがそういうことを余り好まなくてやはり地主に持ちかえればいいというような意味合いにおいて余りそういうことを干渉してお見えないようなふうにも実は聞く所もあるわけなんです。どこだとおつしやれば挙げれないわけじやございませんが、あなたのほうとしてはこういう所に対してどんなような……積極的に私は満足は決してしておいでにならないと思う、だからそれに対して積極的にどのような働きかけをしてお見えになるのか、その積極的に働きかけておられることを承わりたいとこう思うのです。
  201. 平川守

    説明員(平川守君) 積極的に働きかけておることの内容ということはちよつと莫然としておりますが、私どもとしましては、お話のごとくこの食糧増産上の見地から申しましても、又農家の経済の安定というような意味から申しましても、未墾地を開拓して行くということは今後といえどもますます重要なる政策である、従つてまあ私どもの調査によりますと、内地、北海道合せてなお七、八十万町歩くらいは開拓の余地がある、かように考えておるのでありまして、勿論これに対しましてはいろいろな意味の障害もございますけれども、我々としましては、できる限りこの未墾地の開拓を進めて参りたい、従いまして予算面等におきましても相当の金額を計上いたし、いろいろその間に折衝はありますけれども、ともかくも数千戸或いは明年度の要求としては一万戸以上の新規入植を要求するというようなことでやつております。又土地の問題に対しましても林野庁からも協力を願いまして、国有林野についても開拓適地についてはできる限り開放してもらう、こういうことを林野庁のほうにも了解を進めておるようなことでございまして、まあ多くの知事さんの中にはいろいろな見解もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、各県に対してこの専門の課長以下も置いてあるわけで、この推進に努力するように機会あるごとに奨めておるのであります。
  202. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この点につきましては、私は今度森林法の一部改正などにからみまして、私は決してあなたのほうの仕事が少くなつて来たものだとは思いません。それからなおこの七、八十万町歩あるところのものは今後やられる上においては非常に私は困難な所だと思います。従つて員数を落すというようなことはやはり一つ仕事を私は結果的には、意識的じやなくて結果的にそれをサボるといつては語弊がございますけれども、そういうようなふうな結果になると思いますから、私はこういうことに対しては善処を要望いたします。  次にこの軍用地の折角開墾した所に対して、軍用地の買上の実は問題が起きておるわけです。これは定員法とは直接関係はないと思いますけれども、こういうものに対してあなたのほうはどういうような態度で以て措置をされておるか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  203. 平川守

    説明員(平川守君) 折角開拓いたしました土地が、特にその中に旧軍用地が相当ありますので、予備隊等に接収されるという問題が若干起つております。非常に苦しんでおるのでありますが、米軍にいたしましても予備隊にいたしましても、これの用地を絶対に拒むことはできないと存じます。従いまして私どもといたしましては、殊に予備隊等に対しましても最近特に折衝もいたしまして、でき得る限り未墾地殊に山林牧野等の状態にある未墾地の中にその土地を求めてもらいたい、具体的にはそのほうの要望も十分に伺いまして、私どものほうも積極的にそういう土地を探すことについて協力しよう、その代りには折角苦労をして開拓をした所は極力避けてもらいたい、又万止むを得ざる場合においても十分連絡の上で、その場合においては止むを得ず移住しなければならんというような人々に対しては十分な補償をすることと、且つあとの面倒を、例えば変つた土地に入植の世話をするというような点について十分の面倒を見てもらいたい。農林省としてもできるだけのことはする、こういうことで参りたいということで、予備隊方面とも折衝いたしておるわけであります。
  204. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今のような仕事をやられるおかたは、これはどこに入るわけですか。
  205. 平川守

    説明員(平川守君) これは只今では入植実施の方面とそれから農地制度改革という中の人と両方で担当しております。
  206. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ私は折角ここに修正案もできておることでありますし、このことについていろいろと意見がましいことを申上げるのは、本委員会とは少し事情を異にすると思いますから、以上で農地局の問題については終ります。
  207. 楠見義男

    ○楠見義男君 農林委員会から……これはちよつと委員長にも聞いて頂きたいのですが、農林委員会から出ておる修正意見は、先般の連合委員会においても問題になつたところでもありまするし、それから農林委員会としても十分御検討になつた結果の修正案がこの委員会に出て来ておると思うのでありますが、この修正案の細部については、別にこの委員会としてはとり上げて検討することにして、それを一つずつやつておりましたら、実はこの農林省関係だけで又本日も八時、九時までかかるんじやないかということを惧れるのですが、そこで先ほどの順序に従つて、というようなお話がありましたが、私は農林委員会で問題になつておらないことについて、順序にかかわらず質問したいと思うのですが、よろしうございますか。
  208. 河井彌八

    委員長河井彌八君) できるだけ審議を尽すためには、最良の方法をとりたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  209. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。それでは次に農業改良局に入ります。
  210. 楠見義男

    ○楠見義男君 農業改良局関係で、二、三お伺いしたいのですが、これは一括して御質問いたしますから、一括してお答え頂きたいのですが……。  それでは農業改良局長にお伺いしますが、実は農業改良指導普及関係で二割という比較的大幅の整理が行われておるのでありますが、実は私も、それからこの隣りにおられる三好君も、先般アメリカの農業事情の視察に参りまして、アメリカの農業改良普及員の活動状況、特にその中央政府なり又地方政府の農業政策の実行、推進上に占めておる大きな役割をつぶさに見て参つたのでありますが、日本のこれからの農業のいろいろの施策の推進の上においても改良普及員の活動に待つところが極めて多いと思うばかりでなく、むしろ現在のような甚だ未完成な状態は、早急にこれを充実して行かなければならんとすら考えておるのに、その客観情勢に逆行してここに二割の整理が行われておる。中央でこういうようなことになりますれば、その考え方が結局最前線の改良普及員に対する政府のこの事業への関心の度合が示されて行くような気がいたしまして、甚だ将来の農業施策の推進上寒心に堪えないのであります。ここでこの整理を問題点としてお伺いいたしたいことは、政府としては農業改良普及事業というものを将来どういうふうに持つて行かれようとしておるのか、ここに具体的の数字で表われたように、これを縮減して行くような方法をお考えになつておるのか、この点がお伺いしたい第一点であります。  それから第二点は、農業改良局附属機関の各種の研究所、試験場等の問題であります。この点は昨日も農林大臣質問をしたのでありますが、この関係の各種の試験場はすでに一昨年でありましたか、総司令部の強い要請に基いて極めて根本的な、而もラデイカルな機構改革が行われ、その機構改革に際して大体一割程度の人員整理がすでにその機構改革に即応して実行されておるのであります。にもかかわらず今回更に又お附合式に行政整理が行われる。そのために原始産業部門として最も重要なこの試験、研究部門において研究員が整理されるということになりますれば、その結果どういうふうにしてこれを補つて行かれるのか、具体的に言えば、事務職員についてはこれはよく言われまする事務能率の向上とか、いろいろなことが抽象的にではありますけれども言えるのでありますけれども、研究員を整理することになれば、勢い研究項目を整理して行くというような方向に進まざるを得ない。そういうことになれば、むしろこれから充実して行かなければならんと思われる研究員なり、又研究項目がこれ又逆行して整理されるということになるわけでありますが、そういう方向に進むのか、或いは何かほかにいい智慧があつて、この研究員の整理も甘受できるのか、その点を第二点にお伺いいたしたいのであります。  それから、第三点は統計調査の問題でありますが、これは統計調査部長がお見えになつておりますから、統計調査部長で結構でありますが、お答えを頂きたい。詳細の点は農林委員会で十分に検討を加えられておりますから、細かい問題はお伺いいたしませんが、    〔委員長退席、理事松平勇雄委員長席に着く〕 政府の原案によるこういつた整理で、整理によつて残つた人間でできる農林統計というものが、先般も平和条約の際に附属議定書として宣言書において宣言されたような、国際経済統計に参加して行く場合のこの統計の国際性に即応した適当な統計を得べき統計というものと、この整理によつて残つた人間が行う統計との度合がどの程度になるのか、大体この整理された人間でそういつた国際統計に満足な統計が得られることになるのかどうかということと、国内の今まで一番遅れておつたという農林行政へ科学性を注入する観点からする各種の統計数字が正確な統計が得られるのかどうか。いずれにいたしましても、この整理によつて後に現われる農林統計というものはどういう姿になるのか、以上三点についてお伺いいたします。
  211. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 第一点について申上げますが、農林省の改良局の普及事業の関係職員が二割整理ということに相成つておる関係でありますが、これによりまして、普及事業全体を将来縮小するというふうな考え方は改良局としても持つておりませんし、又恐らく政府としてもお持ちになつておられるのではないだろうと承知しております。尤も二割になるにつきましては、いろいろいきさつがございまして、当初は改良事業の根本を破壊するというか、そういうふうな実は心配もいたしておつたのでありますが、いろいろお話合いをしているうちに、そうではないということがわかつて参つたのであります。二割がいいかどうかにつきましては、これはいろいろ御意見もありましようが、一般の管理事務が三割といたしますれば、普及事業の本省でやつております部分は、何と申しましても行政的な事務も相当ありますので、それに準じて二割という程度ならばこれは止むを得ないのではないかというように考えております。併しながら、これによりまして普及事業全体の職員を整理していいのだ、或いは縮小するのだというふうな考えは私は持つておらないのであります。まだ現実の普及指導員、即ち普及員はどの程度に整理になるのか、私も存じませんけれども、願わくばそれは全く整理の対象外にしたいというふうに考えておる次第であります。  それから第二番目の試験研究機関のことでございますが、これはお話通り研究者を整理するということは、実は研究自体を縮小するとかという前提に立つならばこれは勿論認められることでありますが、今やつておる試験研究を続け、更に又これを充実して行きたいというふうに考えておる私どもといたしましては、整理するということは実は了承しがたいのであります。併しながら、これも勿論管理事務は別といたしまして、研究者の関係におきましても、他の機関が全部できるということならば私どもの農業関係だけがそれができないのだというふうに特別に主張する理由もなかなかむずかしいということで了承いたしておるのであります。お話のように、二十六年度の初めに試験研究機関の整理統合ができまして、その際農林省の試験研究の組織乃至その機構、或いは試験研究のテーマということにつきましては、根本的に再検討されまして、それによつて現在やつておりますので、組織上も人員上も私は無駄がないものだということは信じておるのであります。勿論、その際多少の機構整理に伴いまして人員の異動もあつたのでございますが、その主たる理由は、従来の農事改良実験所というのがございまして、その約三分の一程度を府県に委譲したということの結果、相当数の人員整理と申しますか、農林省の職員といたしましては縮小になつておるのでありますけれども、試験研究全体を見た場合には、人員整理ということはあのときは避けられたというふうに当時を思つて考えておるのでありまして、あのときに行政整理があつた、この度で二度なるというふうには必ずしも考えないのであります。
  212. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 統計調査関係について楠見先生からの御質問の第一点にお答えいたします。人員整理の政府原案による整理でこれが行われますと、残存の人員で統計が国際経済統計協定その他の国際会議に入るべき際に、これに即応して国際性を持つた日本として必要な統計ができるかという御質問だつたと思いますが、これに対しましては、種々この委員会でも、農林内閣委員会でも、又FAO参加の承認に関しまする委員会でも御論議もありました際に申上げましたように、まだ私どもの農林業統計は終戦後非常に日なお浅くして、それ以前の統計は国際的に通用する統計方法や統計組織ではございませんでしたので、終戦後やや確立を見出した組織が年々縮小されながら、特に二十四年以降五千人以上の人がすでに整理されておりますが、本年度も六月までに一割、千五百人の人の整理がされておりますので、やや見るべき成果を挙げつつある際に人員、これに伴う予算等の節減を受けて、刻苦努力をいたしております際でありますから、今後なお必要な多数の統計と、なおたくさんの統計を作つて参ります場合には、必らずしも自信はございません。ただどのくらいの統計がどのくらいの規模と内容で行われるとよろしいかということにつきましての判断は、人によつて多少違いましようし、政府の首脳部のかたがたと事務当局との意見とで違いましようと思うのでありますが、私は農林省の統計調査部長でありますと同時に、政府から任命されておりまする統計委員といたしまして、なお非常に不十分であると考えております。特に食糧関係、農産物関係の統計に関しましては、種々御高説もありましたように、日本は食糧輸入国のかなり大きなものでありまして、食糧問題が非常に重要でありまするので、食糧輸入上必要な農業統計と申しまするものは、重要なる食糧輸出国との農業統計との関係において、その精確度とか、調査組織とか、調査方法とかにおいて比肩することができるものでなければならないと存じておりますが、私どもはまだそこまで到達する過程にあると存じております。又日米加の漁業協定が会議中であるようでありますが、これに至りましては、本当の意味においてぼつぼつものになるかと存じておりまする水産統計は、海面漁獲量につきましてだけでありますが、昨年の十二月から実施に着手された程度でありまして、それも沿海にあります私どもの出張所では半分について一人の職員しかおりません。半分は臨時の職員で賄つて調査を続けておる程度でございます。その他も大体同様と存じて頂きたいと思います。  第二点の科学性を農林漁業行政或いは政策乃至は政治に注入することができるであろうかどうかということについての所見を述べようということでありまするが、これもどのような統計をどのように使うかということの、お使いになるかたの政治家、又は行政官の知性にもよりまするので、或いは利用方法によりまするので、どの程度がいいか、私どもの立場から申しますと、大体いろいろな食糧需給計画におきましても、過般の供出割当計画におきましても、その他価格状況の見通しにおきましても、土地政策、共済制度の政策、或いは増産政策、各種につきましても、私どもの統計調査が先ほど申しまする程度のものでありますが、これをよく検討して、利用して、それから政策なり予算なりを数字から導き出される科学的な、合理的な施策につきまして立案することが誠に少い現実を痛感いたしておりまするので、一方利用されるほうについても問題がありますと同時に、又統計自身についても、誠に御趣旨のような御意見に浴うほどの統計になつておらない次第でございます。  第三点の、どのような統計になるかということでございまするが、これは御承知のように今回の整理案は、本来統計は食糧の統制上の資料ばかりでないので、本来はそうでなしに農林業に必要な農林漁業統計を作ることを任務とし、そういたしておるのであるから、この問題に直接介入しないでお扱いを願いたい旨事務的に申入れますると同時に、農林大臣も当初からその主張を述べられまして、本委員会でも再三その旨を御信念と見解を御表明になつておりますが、私ども事務当局といたしましても同様に存じております。併しながら結果といたしましては、食糧庁と申しますか、食糧庁の定員と同様に、特に私どもの調査人員のかなり大部分を占めまする農作物調査に対しましての人員に関しまして、食糧政策に関する食糧庁の定員と同様の扱いをする方針の下にこれらの取扱いが行われましたので、又中頃に至りましては半数ばかりの人員を復活することができるとか、或いは復活してしまうという修正に関しまする扱いにつきましては、私どもはその扱いにつきましては受けませんでしたので、ただきまりました結果がどういう統計になるかということの短期間における部長としての判断を申上げるよりしようがないので、お許しを願いたいと思いまするが、一番多数の人員を占めまして、目下のところ差当り食糧問題が重要でありまするし、農業政策の基本になりまするから、重点を置いておりまする農作物生産の統計に関しまして、辛うじて府県別の生産高を推定をし得るにとどまりまして、本年度よりも遥かに精確度が低下いたしまして、府県内の反収が平坦部、山地、或いはどのような作物が適しておるかどうかというような農業政策に必要な農業地域別生産統計とか、或いは市町村別の生産統計ということはできないことになります。従いまして、農作物の作付面積、反当収穫高、被害、それらに関しまして、それが基礎となつて行政が行われておりまするし、又行われるべき土地改良、耕種改善、農業共済制度、或いは単作地帯の対策等に関しましては、十分な利用価値が出ない統計となりまして、又食糧の特に米麦の統制に関しましては、過般も知事会議等で種々問題が出まして、世上論議せられまして、事務当局としても恐縮に存じておりますが、その供出制度又配給にもどのくらいの生産があるかということが配給制度上必要でございますので、配給上にも必要な市町村別の食糧統制上の資料を今日のようには作れなくなるのを遺憾と存じております。又統制の農作物の範囲が狭くなりますと、統制されない作物の有利性或いは適地性に応じまして作物の転換が種々行われましたり、大豆、桑その他の商品作物等はいろいろ今後の農業政策上必要になりますが、これらの収量、面積の調査は今回の整理案では殆んどできなくなるのであります。新らしい国際的に通用するような方法による調査はできなくなるのであります。又水田の耕地面積を二十四年から五ヵ年計画で実施中でございましたが、今年はその三年目でございますが、これをやめるということを以て食糧統制撤廃に伴う調査を放棄するという扱いがされましたので、その調査は中途で放棄いたさなければなりませんが、水田の耕地面積調査につきましては、これはおよそ農政の基本でありまして、戦時末期から今日までにおきまして、統計上では九州一円の水田と畑地との面積が消えてしまつて、農業政策の重点がぼけてしまうというような実態になつておりまするから、これができないことを遺憾といたしております。又それらの生産量とか農林水産物の生産量の調査を従来重点を置いて参りましたけれども、流通の統計とか消費の統計とかいうものにつきましては、過般農林大臣からも、統計調査部に将来は米麦等の在庫、流通等の調査をせしめるという御答弁がありましたが、これは将来のことでありまして、来年以降やりたいと思つておりましたが、従来通りやらないことになつてしまうのであります。又農家経済調査につきましては、現在僅かに全国を十一農区別にいたしておる。そうして国際的に通用し得る誤差率と申しますか、精確度で農家の経済収支、その中の各種の項目別の収入支出状況を判断し得るように調査いたしておりまするが、実はこれは都道府県別に推計をいたしませんと、少くともそのくらいにいたしませんと、農業事情に即した農家経済の事情とか、地方税とか、その他の市町村税等に参考にすることもできませんのを、更に一層ニ割方縮減しなければならないということになります。養蚕統計、林業統計、先ほど申述べました水産統計はいずれもまだ未整備でございまして、例えば未整備の意味を申上げますと、養蚕統計は戦時末期から今日まで養蚕飼育農家数、その掃立卵量数、本当の桑の面積数、経営規模別の養蚕飼育農家数等は一度も一齊調査をいたしたことがございませんので、僅かにこの数年繭の収繭量調査、生産高調査だけをぼつぼつやつております程度であります。林業統計に至りましては、これは古来の日本の国際的に通用しない統計でありまする表式調査と申しまして、部屋の中におりまして、山がどこにどのくらいある、山林がどのくらいある、薪炭木材がどのくらい生産されたかというようなことを部屋の中で作るというような方法によります程度の調査をいたしておるわけでありまして、これすら二割整理されることになる次第であります。おおむね楠見先生の御意見について私の所見を申述べますと以上の通りでありますが、そのような経過になりましたのは、昨日農林大臣からも御説明がありましたように、三浦先生の御意見に対してだつたと思いますが、林野庁の営林局関係等のものは事務的によくこなされたのであるかというお話でありましたが、私どもは食糧庁と共に事務的には最終までこなされていなくて決定された結果のせいであります。
  213. 三好始

    三好始君 私は農林省の事務内容に関して大体実情を知つておりますので、農林事務当局に質疑する必要は認めないのであります。一点だけ行政管理庁当局にお伺いいたしておきたいのですが、具体的な例としてお尋ねいたします。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕  只今の安田部長説明の中に出て来た、例えば水田の五ヵ年計画による面積調査を目下三年目実行中のものを打切らざるを得ない、こういうような整理が行われようとしておるわけでありますが、五ヵ年計画の進行中に打切らざるを得ないということを十分御承知の上で、それも止むを得ないのだと、こういう立場の上に立つて今回の整理を立案せられたのかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。  なお小倉局長に一点お伺いいたしておきたいのでありますが、農業改良普及事業に関して先ほど楠見先生から質問が出ましたが、地方に関する職員につきましては、岡野国務大臣の手許で目下整理の立案が進められておるものと了解いたしておるのでありますが、末端の改良普及員の整理は直接今回の定員法に関係がないので現われておりませんが、この整理を進めるに当つては、改良局長なり或いは普及部長の発言の機会を与えないまま決定するということはあり得ないことだと私は考えております。局長は大体この点についての目下進行中の状況を御存じだと思いますので、その模様を一点だけ承わつておきたいのであります。
  214. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 統計調査につきましては、只今調査の方法と申しますか、体系と申しますか、それがまあ崩れない最小限度において整理をして頂くということで、主として農産物調査関係のほうで人員の削減をして頂くようなことになりましたので、只今お話の水田の耕地面積の調査ということでございますが、これにつきましては、只今整理案ではやはり一応打切らざるを得ないけれども、今後適当な実測調査によつてそれの一応あるものの変動の調査を行うということで、その目的を達して頂くという程度でお話合いをいたした次第でございます。
  215. 三好始

    三好始君 只今大野木次長答弁ちよつと了解に苦しむのであります。先ほど来安田部長が詳細に、この整理案が実現した場合の統計調査部の事務の推測と申しますか、予想についての説明があつたのでありますが、大野木次長が申されたように、現在の統計調査が崩れない程度で整理案を出したとは到底考えられないのであります。統計調査部に関する整理案が、他の各省庁の整理に比べてどの程度の割合になつておるかということは十分御承知のはずであります。こういう高率な整理をして、なお且つ現在の統計調査が崩れないということは、常識で考えてもそれが果してそうであるかどうかが判断できるのであります。面積調査の五ヵ年計画を年度進行中で打切らざるを得ないということを大野木次長自身も認められたのでありますから、統計調査を崩さない程度の整理ということは筋が通らないといいうことにもなるのでありまして、了承できないということだけを申上げておきます。
  216. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 楠見先生の御意見に、一つ誠に申訳ありませんが申忘れましたので、簡単に附加えさせて頂きたいと思いますが、科学性注入のことでございますが、改良局長に試験研究のことを御質問になりまして、改良局長からお答えがありました通りの私も考えを持つておりますが、私どもは調査上必要な試験を気象感応試験と、被害試験と、作況試験という三種の試験につきまして、改良局の農業試験場から三十五年間も引続いたものを統計調査部ができて以来引継ぎまして、試験揚を借りまして、統計調査部が調査上やるのが適当であろうというので実施いたしておるものがございますが、これは行政管理庁から試験は五%という一般率を提示されたので、そのように指示されておりましたが、農林委員会の案で、労務とか研究員がそれぞれ違つた扱いになりますれば、楠見先生のような御意見に従いまして、均衡を得て科学性を注入いたしたいとも存ずるのでありますが、ただ純粋試験と言わずに調査の一部であると、こういうふうに私自身も了解しても、農林委員会の御好意は察せられるとも考えておる次第であります。
  217. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 普及員の整理の問題でございますが、これは未だ正式にも非公式にも整理の案といつたものを私のほうにまだ示されていないわけです。従つて私のほうはただ国家公務員の整理と同様に、地方公務員についても整理があるという政府の方針でありますから、余りひどいことになつても困ると思いまして、あらかじめただ関係の向きに向つて、一方的に整理の対象をしてくれんようにということをいろいろの資料なり、我々の意見を混えて話をいたしておるのであります。従つて、向うからどの程度の整理をするかということは内示がないのでありますけれども、噂を聞けば、新聞にも出ておりましたように、五%だというようにも聞いておりますけれども、そというただ附合のための整理ということではこの際困りますので、そういうことのないように、只今いろいろ事前の申入をいたしておる次第であります。
  218. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 只今三好委員質問の過程に関しまして、一つ確認事項として私が質問したい点は、先ほど安田部長答弁大野木次長答弁について若干疑義を感じましたので、一応私の質問に答えて頂きたいと思うのであります。  三好委員質問に対しまして、大野木次長答弁は、統計調査については崩れないことを中心整理方針を示したと、こういうような説明をされたのであります。安田部長の先ほどの縷々開陳されました意見の中には、途中で仕事を打切つたり、言換えれば満足なる統計調査を引続きやつて行くことができないというような説明でございました。そこで私は大野木次長にお尋ねしたい点は、今度示した整理案を以て崩れない線で整理案を示したと言われましたが、安田部長その他の説明によつて、今日でもなお崩れないという確信をお持ちでこの整理案を飽くまでも出したものとお考えになつてつて行かれるのかどうかという点について、もう一度御所見を一つ聞かして頂きたいと思うのであります。
  219. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 私もまあ統計の細かいことにつきましては素人でございますが、統計調査部との話合いの過程におきまして、非常に不満足ではあるけれども、いわゆるサンプリング・メソツドと申しますか……をとつておられる今の方法による調査、最小限度その方法による調査はこれでやれると、勿論非常に高度な何と申しますか、誤差率の非常に少いということについては必ずしも満足はできないけれども、併しまあいろいろな情勢から最小限度と申しますか、この形をとり得る限度においてはやつて行けるというように承わつておるので、そう申上げた次第であります。
  220. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 大野木次長只今答弁は、何かこうすらすらと行かない答弁のように非常にこちらは聞き取れたのでありますが、最小限度やつて行けるともやつて行けないとも、ちよつと私は聞いておりますと極めてあいまいな感じのする答弁つたのでありますが、先ほど安田部長答弁によりますと、やつて行けないような点が多々出て来たような説明をされておつたのであります。三好委員からも極めて不満足であるというような点の意見を開陳せられましたが、安田部長説明大野木次長答弁とは双方の見解において相当食違いがある。言い換えればこの整理については完全なる了解がなかつたと、私ども今後この委員会において審議の参考にして行きたいと思いますので、その点をもう一度一つ今度は安田部長のほうから、この整理を若し甘受するとやつて行けんのかどうかという点をはつきりお聞かせを願いたいと思うのであります。
  221. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 行政管理庁の次長は、成るべく行政整理をたくさんせよという政府の基本方針の下にお立てになつた行政管理上の御意見だと思いますが、私は農林省の統計調査部長及び統計委員で、短い期間でありますが、統計の専門家といたしまして、従来の体系は甚だしく悪いと考えております。ただ、きめられた人員乃至は予算の中で体系を作り直せと言われると、それでできる範囲内で何かやらなければならないのが私どもの事務当局の立場でございまして、それがどれだけ的確にできるかは、本年でもまだ未整備だと、又十分でない、継続計画があつたものを途中で打切らねばならん、こういう統計のものが甚だしく変ると、こういうことを申上げるよりしようがないのであります。
  222. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 よくわかりました。
  223. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に畜産局に移ります。——御発言がないようでありますから、蚕糸局に移ります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 楠見義男

    ○楠見義男君 蚕糸局長に伺いますが、実は昨日蚕糸局長はこの委員会にお見えになりませんでしたから、そのときの経過は御存じないと思いますので、重複いたしますけれども、もう一度農林大臣と私との間に交された質疑について繰返して申上げます。  それは、蚕糸局で現在二十九名の整理が行われることになつておるのでありますが、一方現在農林委員会で目下審議中の繭糸価格安定法案は、法律が公布されますと直ちに施行されることになる、而もこの法律の施行に要する人員は今回の補正予算に組まれておらない。法律施行について全く人が要らないということになれば格別でありますけれども、必要な場合に糸を買つたり売つたりするようなことをやらなければならないのでありまして、曾つて糸価安定施設法というものがありました当時の実際に徴しても、通常四十人乃至五十人の職員が要る。それをこういうような一般の行政整理方針に即応して最大限に節減をしても、やはり二十五名乃至三十名の人間はどうしても必要ではないか。にもかかわらず一方で法律は審議されておりながら、それの施行に関する職員は計上されておらない。そこで私の想像でありますけれども、これだけの人間が整理されるけれども、そのほうの新らしい繭糸価格安定法案の施行に関する人間は明年度予算に計上されることになつてつて従つて仮にこの国会で繭糸価格安定法案を通過せしめてもこの施行には事欠かない、こういうふうに私は了解をしておつたのであります。若しそうでなければ全く必要な人間を伴わない繭糸価格安定法案をこの国会で通過せしめて、そうして公布の日から施行せしめても全く無駄になるわけなんで、そういう意味で目下農林委員会で審議中の繭糸価格安定法案の施行状況について、我々はこの定員法を審議すると同様の関心を持つておるわけなんであります。そこでその間の事情を昨日農林大臣に伺いましたところ、農林大臣は、最初はこの整理なつた残りの人間で繭糸価格安定法案を施行するのだ、こういうような御説明であつた。然らばその人間は残つた人間のどこから出るのか、具体的にその数字を示してもらいたい、こういうことを資料として要求をいたしたのであります。ところがその後その席で後ほどになつて、その点は何らか大蔵省と交渉をしてできるように努力をするとかせんとか、はつきりした答弁が実は得られなかつたのであります。そこで第一点として伺いたいことは、目下農林委員会で我々同僚が熱心に審議をしておる繭糸価格安定法案が通過した場合に、一体施行する人間がおるのかおらないのか、この点を第一点として伺いたいのであります。なお補正予算に計上されておらないのでありますから、それはどういうふうにして賄なつて行くのか、その点をお伺いいたします。  それからついでにもう一点伺つておきますが、これも昨日農林大臣と質疑をかわしまして、その際農林大臣は、自分は専門的なことがわからないから、よくわかる人をして答弁せしめるということでありましたので、蚕糸局長は一番その道の専門家と思いますのでお伺いするわけでありますが、それは生糸検査所の問題であります。農林委員会では恐らくこれは重要でないというような意味で落したのではなくて、うつかりして落された問題だと思いますが、生糸検査所の検査員の減員についての問題を取上げておらないのであります。私昨日農林大臣に申上げたのを繰返しますと、最近約二十年間ほどの統計、これは実際の数字に徴しましても、現在の生糸検査所の検査員の一人当りの検査俵数は、昭和十一年が三〇一俵であつたのであります。ところが本年は三〇一・八俵、来年度は現在の状況で行きますと、三二五俵、こういうようなことになります。人間が大体三分の一程度に減つており、従つて一方では検査俵数は減つておりますけれども、そういうことから今申上げたような数字になつており、而も検査所の検査員は主として女の子ばりでありまするが、随分身体に無理が加わつて、結核その他の病気の人も多いと聞いております。そこで私は農林大臣に伺つた趣旨は、行政整理をやることは結構だけれども、その結果国民が迷惑を蒙むつては困る。即ち検査が渋滞することになれば、製糸業者が横浜や神戸の市場に糸を出して、そうして輸出をし、又国内に売ろうとしても、検査が渋滞することによつてそれは倉庫のなかで待機しておらなければならない。そういうことになれば結局整理の結果製糸業者が非常に迷惑を蒙むり、金利、倉敷に相当の経費を要する。そこで日本の生糸検査というものは世界的にもこれは恐らく第一であることは御承知通りなんです。而も肉眼検査であるとか、或いはその他機械検査、それぞれの規格は国際的規格に従つて進めておる。そこで整理をされたのちの穴は、一般の事務については事務能率の向上とか、いろいろ抽象的なことが挙げられておりますけれども、一体生糸検査所においてそういうような整理をした場合に、具体的にはどういう点で事務能率が挙げられると考えられておるのか。これは事務能率を挙げるという余地は殆んどないというような観点から、若し農林大臣がそれについての案をお持ちであれば伺いたいということで質問したのでありますが、農林大臣は自分は専門家でないから答えられない。答えられる人に答弁させるということでありましたので、この点について蚕糸局長はどういうふうにお考えになつておるか、以上二点についてお伺いいたします。
  225. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 最初の御質問は、蚕糸局全体で二十九名整理されると、然るに一方現在議会に提案されておりまする繭糸価格安定法案が通過します場合に、通過したと仮定しました場合に、それに伴う人員というものが予算面に出て来ていないが、それはどうしてやる考えかという御質問だろうと思うのでございます。これにつきましては、政府の政策といたしまして、とにかく人間は整理しなければいかんというような大方針がございまするので、併し大蔵省と折衝しました結果、この補正予算で殖やすということはなかなか困難ではあるが、来年度の予算につきましては、我々としましては予算上二十五名程度の増員方を要求しております。これにつきましては、大蔵省側も内々的に了解をしておられるような関係もございまするので、若し法案が可決されましても、その点の法案の施行ということにつきましては、十分事務的には可能ではないか、こう考えておる次第でございます。  次に生糸の検査所の関係でございまするが、お話通り非常に現在の状態を見まするというと、本年度の検査件数なども見て参りますというと、検査件数一件当りに人がどのくらいかかつておるかという面も見て参りますというと、大体戦争前の程度の人間を擁しておるような形になつておりまして、戦前に現在は復しておるという恰好でございます。併し最近におきまする生糸の生産の状況を見まするというと、今年度などは一割三分少くも繭は増加をしておるのでございまして、恐らく生糸としましては横浜、神戸に出荷しまする数量は更にそれより増加するのではないかと思うのでございまするが、そういう計算に基きましても、大体戦前程度の人員が現在あるという形になつておるのでございます。併し今度は来年の問題を考えますというと、最近におきまする繭価並びに糸価の状况から参りますれば、恐らく困難になりはせんかということが考えられるのでございます。従いまして、今度の整理方針は検査関係は五%という大綱がありまして、我々といたしましても非常に苦しいのでございまするけれども、一応それに順応しておるような次第でございます。併しその面は検査の事務的の調整なり何なりやつて参りますれば、とにかく過せるのではないか。併し何分それにいたしましても、この検査は強制検査でありまするだけに、而も単価当りは非常に高い品物であります。楠見委員のおつしやいまするように、若し人員でも足りなくて検査が完全に行かんというようなことになります場合、又人員が足りなくて検査自体が粗漏に陥る。これは御承知でもございましようが、昨年から国際的な機関というようなものがございまして、少くとも日本政府でやつておりますその機関の検査をパスいたしまするならば、それは国際的にどこにもその検査が通用できるというような権威さえも持たされておる国際的な機関でありまするだけに、我々といたしましてもその点は非常に重視して参りまして、来年は実は大蔵当局に向いましては定員の増加も現在は要求しておるような状態でございます。
  226. 楠見義男

    ○楠見義男君 繭糸価格安定法案の問題で私昨日農林大臣に伺つた趣旨は申上げた通りでありますが、四月からはつきりと増員が予定されておる、一方では予定されており、一方ではほぼ同数の人間が四月に整理される、こういうことであれば、一方で減り一方で殖やすというならば、これは予算的な問題は別でありますが、定員関係から行けば二度の手数をかける必要はないのじやないか、こういう意味でお尋ねいたしましたところ、先ほど申上げたような農林大臣答弁になりましたから、本日重ねてお伺いしたのでありますが、只今蚕糸局長の御答弁によりますと、私が当初申上げておつたように、明年四月から一方でこちらが減ると同時に一方では殖えるというようなことでありますから、農林委員会の繭糸価格安定法案の審議もこれは円滑に行くと思いますから、了承いたしました。  それから二番目の問題で、検査員が戦前とほぼ同様であるというようなふうに聞えたのでありますが、横浜、神戸の生糸検査所の職員で、総務関係と研究部関係に属する人間を除いたいわゆる検査に従事しておる職員は、私の調べによりますと、先ほど申上げました昭和十一年度におきましては千六百九十四人、最高の場合は昭和十七年度で千九百三十五人であるのに、現在は六百四十六人であります。戦前とほぼ同様だということを言われたのはどういう意味でありますか、その点が一点と、それから検査の問題については国際機関の格付の関係から職員を要求されるというようなお心組もあると思いますが、先ほどお話の中にあつた検査の事務調整をやるということはどういう意味であるか、検査はこれはまあ私が申上げるまでもなく荷口ごとに肉限でやり、又最初は正量検査から逐次に検査工程を経て完全な検査になるわけでありますが、その事務調整をやるというのはどういうことを指しておられるのか、この二点を伺います。
  227. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 楠見委員のお示しになりました十一年でございますか、計数がちよつと違つておりますのですが、私の申しまする戦前と大体同じような労働度と申しますか、工合になつておるという計数は実はこれは総務部、研究部を除きました人数でその年の検査件数を割つて見ますというと、大体十年が九・一一人で以て一件を整理しておつた、ところが二十六年度でこれは大体生糸の輸出の検査の見込み数量でございますが、この見込み数量が四月から八月までの大体計数を見まして、昨年よりどのくらい殖えたかという面も今後とも同様な率で殖えるものとこう仮定して見まして、二十六年度においてはどのくらいかと申しますというと、九・四四ぐらいになるわけでございます。ほぼまあ……、戦前の昭和十年のほうが少し苛酷でございますが、ほぼまあ近寄つて来ておるという意味のことを申上げたわけでございます。  次に合理化という面でございますが、検査の面におきましても総務部或いは又研究部、従つて検査をやりまする中におきましても、製糸業検査の分におきましては必ずしも技術を要しない人たちもありますし、又各検査の過程におきましてまだまだ合理化する余地がありはせんかと考えられまするので、実はその細部に亘つてどうやるかということはまだ検査所長からは参つておりませんが、これに即応しまして、でき得る限り国家の政策に即応するようにやつて参りたいと、こう考えておる次第であります。
  228. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の点は横浜、神戸に出荷する製糸業者は勿論でありますが、貿易業者も、少々我々が金を出してもいいから人間を置いて検査をもう少し早く能率的にやつてくれと、そうしないと、これはそろばん勘定ですからそういうことの要求が現にあることは蚕糸局長も御承知通りなんであります。そういうような状態の下において整理を一方でせられ、そして又一方では先ほどお話があつたように増員要求もしなければならんということは、如何にも私はこれは辻褄が合わん話だと思いますので、この整理については我我も考えますが、こういう右に行つたり左に行つたりすることのないように将来十分これは気を付けてもらいたい、特に繭糸価格安定法案の問題については、これは折角法律を通しても施行する人間がいないということになれば、我々としても非常に重大な責任を感ずるわけでありますから、この点も先ほどお話があつたように十分善処して頂きたい、これだけ申しておきます。
  229. 三好始

    三好始君 私は楠見委員から話のあつた繭糸価格安定法実施に要する人員問題について、行政管理庁当局の御意見を承わつておきたいのでありますが、予算定員の要求中であるというお話でありますが、定員法は現在提出されて審議中であつて、四月以後の定員についても十分な予想を立てて提出されておるはずのものでございます。従つて繭糸価安定法実施に要する三十五名の増員について、当然に定員法改正案のうちにこれが織込み済みでなければならないはずだと思うのでありますが、この点どういうふうにお考えになつて蚕糸局関係の定員を考えられましたか、その点ちよつと伺つておきたい。
  230. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) このたびの定員法の改正につきましては、新法による定員のことは織込んでございません。将来予算等の措置ができまして決定いたしますれば又別でございますけれども、只今のところでは見込んでおりません。
  231. 河井彌八

    委員長河井彌八君) よろしうございますか。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  232. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に外局に移ります。先ず食糧庁を問題にいたします。
  233. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 食糧庁の中の相当大きく削られているのは、検査というところで二万三千五百三十四というのが一万一千七百六十七削られているのですが、これはどういうようなことでこんなに大きく削られているという結果になつているのか、御説明願いたいと思います。
  234. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) この食糧管理の検査の項目につきましては、実は先般来いろいろ御議論のありましたような事情でございまして、当初一万一千七百六十七人を整理するということであつたのでございますけれども、その後衆議院で修正せられまして、その結果只今お話になりましたようなことになつた次第でございます。
  235. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると衆議院の修正では一万一千七百六十七人が五千八百八十三名に直つている、これについてはどういうような根拠で五千八百八十三という数字が出たのか、その出ました根拠について御説明願いたいと思うのでございます。
  236. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) これは実は私どももよくは承知いたさないのでございますけれども、大体におきまして全体が半分復活するようになつておりますので、この検査の分につきましても半分を復活するという形になりましたと存じております。
  237. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、この点も極めて大ざつぱに大体というところで出た数字だと思うのですが、そこで今度は食糧庁長官にお伺いするのですが、検査は全国的に一体どういうような仕事をやつているのか、それから一体一人でどのくらいの量を現在やつているのか、或いは又一人でどれだけの地域を持つているのか、こういう点について一つ具体的にお話を願いたいと思うのであります。
  238. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 農産物検査は御承知のように昔は県でやつておりましたのですが、出廻つておりまする米、麦その他各種の農産物の検査をいたしまして、安全且つ公正な取引の基礎を固める。先年国営検査法か通過になりまして、それで現在国営検査の建前でやつているわけであります。供出制度でありますために、供出されますものは全面的に米麦を検査をいたしております。そして等級格付、それから量の確認をやつておるわけであります。それから包装に関するいろいろな検査もやつております。そのほか米麦のほかに各種農産物についても或る場合には県の委託を受け、又強制検査をやつているものについてはそのほかのものについてもやつておるわけであります。それで大体現状は米について一例を申上げますと、最高一人が適正検査数量は三百俵から四百俵ぐらいのものだと思います。一俵々々見まして格付をして参るのでありますが、生産者に対しては非常に大きな影響を持つておりますので、慎重にやらなければならないと考えております。やつぱり三百から四百くらいの間が何と言いましても最高だと思います。尤も只今のところ出廻期におきましては相当殺到いたしておりますし、特に早場米奨励金等が付いておる関係もありまして、十月末日までにほ相当検査しなければ生産者に迷惑を及ぼすという事情がありますので、この四百俵を上廻つて相当無理な仕事をしておる実情もあります。併し適正検査というようなことになりますれば、そういう見当だろうと思います。只今配置されております検査員は大体市町村当り二人弱ということになつております。
  239. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、現在の定員法で一人当りの実際検査をやつておる量というものは何俵ぐらいになるのですか。
  240. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 只今申上げましたように、最高が三百から四百の間ということなんであります。ただ機械的にどの程度に年間を通じてやつておるかというようなことを算定いたすとすれば、米については二千七、八百万石、麦については八百万石、それから甘藷につきましては出廻りいたしますものが八、九億万貫あると思います。そのほか各種農産物があります。それを人数で割つてみれば出るわけなんですが、ただこれにはときに繁閑と申しますか、米について見ますと、例えば五カ月間の間において相当の数量を検査をするという結果になりますので、別途はじいたので御説明したほうがよかろうと思います。お尋ねの趣旨はそういう趣旨ではつきりいたしませんですか。
  241. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 一人の検査員が地区別に言いますと、一村に一名ぐらいの割になるのですか。それとも一つの村で二人ぐらいおるのか。その点はどうなんですか。
  242. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 大体二人弱でございます。一・七人ぐらいの割合になつております、一町村当り二人弱でございます。
  243. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二人弱という程度では実際検査がやれないと思うのですが、それはやれるというお考えなのか、実際は無理だけれども現在やつておる、こういうのか、それとも又減らすだけ検査員がそれだけ余つておる、こういうのか、その点についての実態ですね、現場の実態について一つ聞かして頂きたい。
  244. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 実は今でも相当過重労働をやらしている実情であります。従つて検査員が相当余つているのだというのではありません。
  245. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 余つていない、而も過重労働でやつているというのに、減らすという理窟は一体どこを押えると出て来る勘定になるのですか。
  246. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) これは私よりも行政管理庁にお聞きになつたほうがいいと思います。
  247. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 わかりましたがね。そこで私はいつだか郡部のほうを廻つて見たときに、お百姓さんが検査員が検査をなかなかやつてくれないのだ、車で運んで行くんだけれども、朝から持つて行つておるが、まだその日、日が暮れてしまつたけれども自分の検査は済まんのだ、こう言うのですよ。そこで、一体検査員は遊んでおるのかと言うてみたところが、いやそうじやないらしいです、一生懸命にやつておるのですけれども、何分にも人手が足らんものだからついこういうことになるのだと言うです。それから消費者のほうに聞いてみると、やはり舞鶴あたりは外米が一時に入つて来るのですね、船で。そうすると農家の検査もせなければならないし、又入つて来たものの検査で等級別を分けなければならないというようなことで、勢い完全な検査がなされない。ために三等米が一等になつてみたり、二等になつてみたり、消費者のほうから言うと、当然代金を払つておりながら、級下の米を買わされるというようなことで、これは何とか一つつてもらわなければ非常に困る。こういうようないろいろな話を実は聞いたものですから、ここに今ちよつと見てみますると、五千なんぼ減らす、一体五千なんぼ減らすだけうじようじよ人が余つておるのかどうかという点でお聞きしたのですが、今の安孫子長官のお話で実態の様子はわかりました。そこで行政管理庁に伺うのでありますが、行政管理庁としてはかような実態を知らずにこういうことを書いたのか、なんでもいい、やつてしまえということで一体やつたのか、その点について一つはつきりとした御信念があれば伺いたい。若しかそれは実態においてそういう現場の実情まで我々は調べてやつたのでないということであれば、又これは我々独自な立場において判断するよりしようがないと思います。その点の一つ御返答をお願いしたいと思います。
  248. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 御承知通りこの食糧管理の人員の問題は、当初米の統制が撤廃されることを前提といたしまして計画を立てました。それを今回こういうふうに衆議院のほうで修正せられましたので、その仕分けの仕方が多少機械的であつたかとも存じますけれども、事情は大体そういうことでございます。
  249. 楠見義男

    ○楠見義男君 私昨日お願いしておいた二割五分の職員はどういうところから出て来るのかという資料がまだ届きませんが、いつ頂けましようか。それと米麦統制撤廃に関する食糧庁の……。
  250. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 米麦統制のほうは私のほうから出しますが、その基礎のほうは行政管理庁のほうから出してもらうより……。その二割五分のやつは私のほうにはない……。
  251. 楠見義男

    ○楠見義男君 あなたのほうにはない……。
  252. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) これがありますが、読みましようか。
  253. 楠見義男

    ○楠見義男君 じや後で写して皆に配つて下さい。
  254. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 楠見君それでよろしうございますか。
  255. 楠見義男

    ○楠見義男君 ええ、よろしうございます。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  256. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは……
  257. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の資料は食糧庁のほうではできない、行政管理庁のほうだというお話ですから、それじや改めて行政管理庁のほうから出して頂くようにお願いいたします。
  258. 安孫子藤吉

    政府委員安孫子藤吉君) 二割五分の根拠ですね。
  259. 楠見義男

    ○楠見義男君 ええ。
  260. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 実は事務的にはなかなか困難なんで、実は食糧庁のほうと今お打合せをいたしている状態なんであります、できましたら明後日……。
  261. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、この問題は衆議院のかたでも呼んで修正の説明をここで聞くことになりましようか、どうなりましようか。
  262. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 楠見君にお答えいたします。必要ならば衆議院からも来て頂きたいと思います。併し政府の側でもわからないことはないだろうと思うのです。
  263. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の説明を伺いますと、食糧庁は自分のほうじやわからない。それから行政管理庁は自分のほうでもわからない。そうすると、これは委員長にお任せしますから、とにかく明らかになるような一つ措置をお願いいたします。
  264. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 承知しました。
  265. 竹下豐次

    竹下豐次君 この修正案は、衆議院で修正されたときの速記録を御覧になれば理由説明があるはずでしよう。
  266. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それは政府だつて知らないはずはないのです。じや衆議院に照会します。
  267. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これは今楠見君が言つたように修正案ですからね。それで行政管理庁にがんがん言つてみたつて、政府に言つてみたつて、手前が直したものならそれは答えようがあるのですよ。そうじやないのですから、やはりこれは直した衆議院に聞かなければこの根拠はわからないと思うのですがね。
  268. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それは一応はわかつておりますが、併し衆議院に照会します。誰が出て来るか、或いは書面で来るか、それはその説明の方法は向うの自由ですから、納得の行くまで照会します。
  269. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の知りたい点は、二割五分の人間が整理されて、それはどの部門で整理されるのだということを実は知りたいのです。従つて衆議院における何も必要でありますが、同時に当該行政庁としてこの二割五分をどういうふうに受入れるのかということは、当然受入態勢側でもやらなければならん筋合の問題だと思いますので、そういう観点からも是非伺いたい、こういう二つ意味であつたのです。少くとも受入態勢のほうの御意思は我々としては知りたい、こういうことであつたわけなんです。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  270. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次は林野庁の部に移ります。
  271. 三好始

    三好始君 林野庁関係も問題がいろいろあるわけであけますが、一点だけお伺いいたしたいと思います。今度の整理案でも担当区員を整理することになつておりますが、これは担当区を減さないで整理するということはちよつとおかしいのですが、担当区を整理するような計画でもできておるのですか。その点をお伺いしたいと思います。
  272. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 担当区は二千百八十二ほどございますが、これを整理する計画はございません。
  273. 三好始

    三好始君 そうしますというと、担当区員を整理するということは不可能な結論が出そうでありますが、そういうふうに了解してよろしいのでございますか。
  274. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 司法警察権を行なつておりまする職員が担当区員のほかに七百七十四名ございます。これは営林署長、或いは庶務会計主任等のものでありますが、そのものの中で或る程度の行政整理をやつて行くというわけであります。
  275. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次は水産庁に移ります。
  276. 楠見義男

    ○楠見義男君 水産庁についてこれは相当広汎にお伺いいたしたいと思うのでありますが、実は木下水産委員長から内閣委員長宛に十数項目に亘る修正の意見が参つておるのであります。中にはこれは本当の意味人員整理でございましようか、一方で整理すると同時に一方では増員もお考えになつておるようであります。そこでこの人員整理修正案は水産庁の政府委員は御存じだとまあ思うのでございますが、先ほどの繭糸価格安定法の問題に関連をして行政管理庁はこれからの新らしい法律に必要な人間のことは考えていないと、こういうような趣旨の御答弁がありましたが、この水産委員長の御要求になつておるところを見ますと、現在すでに今までの国会、この国会じやなしにすでに過ぎ去つた国会で法沖法律が作られ、或いは改正を見たその法律の施行すら困難であるにかかわらず、なお且つ人員整理をされることに対する反対の意味で以ての修正要求であります。例えば一番典型的な問題は漁業制度改革における六名の増員要求であります。これは先般の漁業法の改正で特に複雑な漁業関係にある有明海の漁業調整事務局を設置して、その設置には少くとも六名を必要とする法律が、漁業法の改正によつてこういうものを新たに作らなければならないにかかわらずそういうことも怠つて、なお且つ漁業制度の改革において、十四名の整理を企図しておられる。漁業制度の改革はまさにこれから軌道に乗ろうというときで、今までは準備期間だつた。従つて一方においては今までの準備期間を経て軌道に乗つた行政をやると同時に、更に漁業法の改正によつて当然置かなければならない六名の、或いは五名が適当でありますか、七名が適当でありますか、少くとも水産委員長意見に従えば六名の人間を置かなければならないと、こういう情勢であるにかかわらず、なお且つ十四名の整理をしておる。一体これで法律改正の趣旨が達成せられ、又漁業制度改革が当初予定したようなふうにやつて行けるのかどうか。一つ例を挙げるとここにこういう問題があります。それから水産業の協同組合指導監督でありますが、ここでも水産委員長は十三名の人間を増加要求をされておられます。で説明を伺いますと、十六名要るのだと言う、併し現在の人間で三名は賄つて行くから新たには十三名必要だ。これも水産業協同組合法の改正によつて法律的に政府が前国会で、必ず常時検査をしなければならないという建前になつておるのです。その法律の的確な施行をやるとすればこういうものは是非必要だと、こういう趣旨の主張のようであります、説明書によれば……。それから水産物取引改善については取引所法の改正に伴う人間だと、それから沖合漁業の取締、遠洋漁業の取締、これについても十名の要求をされております。特に遠洋漁業取締については先般も水産委員会と内閣委員会との連合委員会で、現に水産庁は三ばいの監視船を建造中だと、三ばいの監視船ができれば当然船舶法ですか、船員法の規定に基いた規定の人間を乗せなければならない。而も一方これからの国際漁業条約に参加して行き、マツカーサーラインが撤廃されたときの事情を考えて行くと、遠洋漁業の取締、或いは又沖合漁業の取締というものは、むしろ仕事の面では一層に充実して行かなければならないにかかわらず、沖合漁業取締において定員四十四名のうち一名、僅かでありますけれども一名、遠洋漁業取締りにおいて六十五名のうちで三名の整理をされておる。これに対して先ほど申上げたように、水産委員長は十名の増員を要求されておる。それから水産業の基礎調査でありますが、これも私は申上げるまでもなく水産業については基礎調査というものが一番欠けておる。今まで水産行政で一番の欠陥は一般の農林行政におけると同じではありませんが、もつとそれ以上に水産業については基礎調査がちつともなかつた。それがためにこれからの国際条約を結んで行く場合にもいろいろの日本としては不利な状况にぶつからなければいけない。而もその大事な、これも確か二、三年前から本格的に、遅蒔きではあつたけれども本格的に取上げられた問題なんです。それがいよいよ国際漁業競争場裡に乗り込もうという矢先に三十六名も整理をしておる。水産委員長は逆に七名の増員要求をされております。このほかに一番最初の漁船乗組員の養成についても同様なんです。船舶職員法の改正によつていろいろのこの漁船乗組員についての資格の向上、養成のためには、従来に比べて事務が五倍になるということを水産委員長は述べておられる。若しこの説明が正しいとすれば、一体この漁船乗組員養成に、定員十名について二名の削減余地が一体あるのかどうか。漁船の管理及び改善についても全く同様であります。こういうふうに水産庁の附属機関である研究所、講習所は一応後廻しにいたしまして、内部における各項目について一つ一つ余りにも水産庁の受けられる整理の状況と、この参議院の水産委員会における主張とはかけ離れているのであります。少少のかけ離れであればともかく、一方は減らすと言い、一方は殖やさなければならない、自分たちが作つた法律、或いは改正した法律を忠実に見守るためにもどうしてもこういうようにしなければならないという主張でありました。重ねて申上げますが、余りにも懸隔が甚だしい。そこで一つ一つの問題について取上げて質問をし、又御説明を伺いたいと思いましたけれども、全般的に亘る余りにも多くの問題でありますので、この際これは各委員のかたにも一つ御辛棒を願つて、水産庁の現在やつている人間に対しての原案の整理で、一体今まで申上げたような事柄ができるのかどうか、こういうことについてわかりやすく御説明を得たいと思います。
  277. 山本豐

    政府委員(山本豐君) いろいろお尋ねがありましたが、この増員すべき人員という欄に挙つておりますものは、実を申上げますると、只今お話のように前国会、或いはその前の国会等でいわゆる法律が通つたのに伴う当然の増員すべき定員であります。然るにまあ最近こういう情勢でありまして、大蔵省方面ともいろいろ折衝いたしたのでありまするが、それが認められない、実は非常に困つている実情であつたわけであります。勿論将来に増員するというものではないのでありまするから、我々の希望としましては、これらもいわゆる整理をやめてもらいたい中に入れてもらいたい、こういうような気持でいるわけであります。勿論各項目に亘つていろいろ数字が出ておりまするけれども、これも我々としてはこれでいいという意味ではないのでありまして、水産庁としましては、大体全体的には非常にほかの局等と比べましても手不足なのであります。併しとにかく我々としましては不承々々なのでありまするが、一応各項目に振合わすと、こういうふうな考え方にまあなつたのでありまするが、併し私たちとしましては、希望としましては少くとも過去に法律で通つたようなものは当然認めらるべきものであるという意見を持つているわけであります。最近はこの法律が通りましても、それに伴う定員がとれない、こういうことは非常に困ると思うのであります。従来でありますれば、法律が通ればそれに伴う定員というものは当然認められたものでありまして、それらの事情も甚だ遺憾に思つているわけであります。
  278. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私只今ちよつと資料を取りに控室に帰つたときに、たまたま夕刊を見たわけですが、そのときに、「吉田首相は二十二日朝、増田幹事長を外相官邸に招き国会の運営状况を聴取したが、その際「定員法改正案が参院で大幅に修正されるようだが、その背後には官僚が関係委員会の委員に働きかけて整理復活を策している事実がある、このような公務員の政治活動は言語道断であるから、厳重に取締ると共に、自由党の公約実現に努力するよう」と怒気するどく指示した」云々と、こうある。我々は実にここで連日そういうことなく、独自な立場において我我は今まで定員法の改正にからんで審議して参つたと思います。私はこの際吉田首相にここへ出て来て頂いて、この真偽について私は質したいと思いますから、委員長において首相の出席についてお取計らいお願いしたいと思います。
  279. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は神聖な気持で審議をしておる自分の立場から言つても、そして又この内閣委員会の権威を維持する上から言つて只今の成瀬君の発言は極めて重要であり、又適切だと思います。従つて委員長において吉田総理の出席を要求せられるようにお願いいたします。
  280. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 承知しました。
  281. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そこで私は本日委員長からやつて頂いても、或いは若しできなければ、私は今晩実は出て来て頂きたいと思うわけですが、出て頂かなければ次に、明日は休むわけですから、やつて頂きたい。私は早速そういうふうに委員長から今すぐ私はやつて頂きたい。帰られたのか、その点も確かめて頂きたい。
  282. 楠見義男

    ○楠見義男君 ああいう答弁を求めて……抽象的な、これは雲をつかむような答弁を求めておるのじやなくて、余りにも見解が違うから、従つて具体的に各項目についてその事情を伺いたい、こういうことなんです。
  283. 山本豐

    政府委員(山本豐君) 委員会のほうから資料が出ておりまするが、私たちの考えは、大体この委員会の出されておる資料に尽きておると思うのであります。然らばなぜ最初の減員を了承したか、こう言われると思うのでありますが、これはまあ自治庁の考えでありまして、我々としましては、水産庁としては人が十分余つておるというふうな気持はないのであります。むしろ配置転換その他でやるにいたしましても、現状に近いものでなければならんというふうに考えておるわけであります。
  284. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは午前中から繰返した問題を又水産庁についても繰返すようになつて甚だ遺憾でありますが、水産庁では只今お聞きのように全くこれはしようがない、これではやつて行けないということで、答弁をはつきりされておるのでございますが、今までのあれは話はまあいろいろありますけれども、併しまあ経緯は別にして、とにかく話合いで当該官庁の政府委員も何とか……、政府委員としての苦しい立場もありましようけれども、何とかやつて行かざるを得ない、或いはやりかけた統計をやめてでも必要であればこの整理をやらなければならないというようなくらいに言つておるのでありますが、今の水産庁の側の御答弁は、今までの他の政府委員答弁とは著しく趣を異にしておるのであります。従つて午前中から繰返しておるような問題のようでありますけれども、なおこの際只今の御説明をお聞きになつた行政管理庁の側としての御答弁を煩わしたいと思います。
  285. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 水産庁の整理に関しましては、御覧の通りにほかに比べますと、人数も少のうございますし、従つて整理率も結果において一〇%ちよつとという状況でございまして、管理庁といたしましては、水産庁に極力能率を挙げて頂くことによりまして、これだけの整理でやつて頂くというようにまあ話合いをいたしました数でございます。
  286. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は再三申上げるように、余りこの政府原案と水産委員長のお申出とが違うので、実は、くどいようでありますけれども、問題を提案いたしておるのであります。例えば水産業協同組合指導監督の例を仮にとつてみますと、現在の予算定員が二十一名で、それから水産委員長の御提案は三十一名なければどうしてもやつて行けないという御提案であります。にもかかわらず二十一名から三十一名にならずに逆に十八名に下つておる。そこで只今行政管理庁側からお話がありましたように、これは人間の整理率が少いのだ、大体一割程度だということでありますが、水産庁全体を見ますと一割五分程度になります。内閣の各種の委員会を見ましても大体一割程度であります。そういうような一般の内閣の率よりも多い整理をして、そうして事務能率を挙げてもらうということに期待をしておるのだ、こういうお話でありますが、これは数字的に考えても、常識的に考えても私は困難だと思うのでありますが、そういう期待の下にこの整理原案をお受けになつた水産庁としては、具体的に申上げて余り時間をかけると恐縮でありますから、二、三の問題だけを申上げます。先ほど申上げたように漁船乗組員養成は二割、十人が二割節減で八人になつておりますが、仕事は五倍になるということであります。これは公文で以て水産委員長から御提案になつておりますから、この数字には私は間違いはないと思いますが、人間が二割減つて五倍の事務をどういうふうにして能率を挙げておやりになるのか。それからその次に水産業協同組合指導監督について二十一名から三十一名にしなければならないのを逆に十八名にして、そうして法律に規定されておる年一回の常時検査をどういうふうに能率を挙げておやりになるのか。それから遠洋漁業取締について三ばいの船が近く建造され、そうして又取締の面も増大をしておるのに、逆に三名の減員でどういうふうに能率を挙げてやられるのか、それから水産業基礎調査についてこれ又七名の職員を要求されておるのに、逆に三十六の整理をして、そしてどういうふうに能率を挙げてこの水産業の調査ができるのか。以上申上げた数項目について具体的に御説明を頂きます。
  287. 山本豐

    政府委員(山本豐君) 第一項の漁船乗組員の養成の問題でありますが、これはこの説明書にもございますように、来年度から、先般船舶職員法が改正になりまして、乗組員のレべルが上るわけであります。従つてそれに伴う養成事業という問題があるわけであります。これを約三万人のいわゆる養成を今後三ヵ年にやると、こういうような実情にあるわけであります。で、この養成事務は勿論これは水産庁じきじきやるのではないのでありまして、県の連合会、或いは大日本水産会、こういうものに委託の形でやらせるわけであります。併しながらそれを立案し、或いは企画し、又指導するということについて水産庁の人間がやるわけであります。でそういう面の人間はこれは考えようによれば、少数の人が相当オーバー・ワークしてやつてやれんことはないのですけれども、併しながらそれが非常に正確に、能率をよく勅果的にやるといたしますれば、どうしても相当の人員が要るのであります。そういう意味合いであります。  それから第二の協同組合の関係でありますが、これも先ほど申されましたように、先般の法律の改正によりまして、いわゆる組合の検査ということが始まるわけでありまして、従いましてこれも実際問題としますると、一定の計画を遂行するのにはどうしても相当な人間が要るわけであります。従つて若し人員が我々の希望通りにない場合には、どうしてもこれは計画を圧縮するとか、或いは人員の増加を認められる時期までは計画を縮小するということよりほかはないかと思うのでありまして、我々としては折角法律が通つておるのでありますから、或る程度の実効を挙げるようにはして参らなければならないと思うのであります。そういう意味から行きますると、水産委員会のほうから出ておりまするような程度のことは、これは相当であろうというふうに思うのであります。  それから次に取締関係でありますが、これは今年度の予算で、今楠見委員から申されましたことが私の考えとは違うと思うのでありますが、新らしい船が一隻と、傭船が大体五隻、要するに六隻になるのでありますが、それだけ新たに予算が要るのであります。従つてこれに少くとも水産庁の正式といいますか、監視員というものが乗る必要があるのであります。ところが予算の上で大蔵省がこれを非現業、非常勤の人間を一人ずつ六人認めてくれておるのであります。でありますから、それでやれと言えばそれはそれでやるまででありますが、併しながらこれも今も勢い相当ふるいをかけて、傭船にいたしましても、これを国が動かします以上は、責任のある本官が乗るのが当然であろう、又そのほうが正しいこの取締がやれるというふうに思うわけであります。  それから最後に基礎調査関係でありますが、これも御説明のように、我々といたしましては、水産の統計とか或いは調査の問題につきましては極めてまだ不十分であります。折角これも漁獲調査とか、企業とかの調査を始めたばかりでありますので、これはできるだけ減員はいたしたくないのでありますが、この三十八人を切りました以上、一応案にありますのは、これは不承不承にでありますけれども、若し何らかの方法で、例えば他の事業と兼業してやつてもらう人が若干はあるのでありまして、そういう面等を考えることでもいたしましてやるより仕方がないのでありますが、希望を申しますれば、我々としましてはこれはできるだけこれを充実いたしまして、質を充実いたしましてやつて参るのが希望であります。大体そういうようなことであります。
  288. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 楠見君まだ質疑がありますか。
  289. 楠見義男

    ○楠見義男君 やればありますが、時間がかかりますから。
  290. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつとこの際諸君に申上げます。只今成瀬委員から読売新聞ですか、読売新聞の夕刊に公務員行整を妨害という題目の下に、総理大臣が増田幹事長を外相官邸に招いて云々という記事がありましたので、これに対して内閣委員会は連日最もも熱心に、如何にすれば定員法の改正が合理的にできるかということについて熱心に周到な検討を加えておる際に、かような記事が出ますることは甚だ遺憾である、内閣委員会を侮辱するがごときものであるという感じを強く抱いたのでありまして、そこで委員長に対しまして、総理大臣の出席を求めるという事態に至つたのであります。そこで委員長はこの席を離れて直ちに吉田総理にお話をすることはいたしませんでしたが、官房長官を招きまして、官房長官から吉田総理にこの要求のあることを伝達して、そうしてここに出席を求めるということにいたしたのであります。ところが只今官房長官が出席されましたのであります。若し諸君が何か長官に対して御質疑でもあるならばこの際願います。又長官から、これは政府側としていつでも委員会に出て発言する権利を持つておるのでありますから、長官が何か発言されるというならばそれも差支えないと思うのであります。これだけ報告をいたしておきます。
  291. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私はですね、委員長のこの取計らいに対しては感謝をいたします。併し私は聞いた人では駄目だと思うのです。仮に聞かれた増田幹事長に来て頂いても無意味だと思います。私は飽くまでも言つた吉田首相の出席を要求されるように、若し今日駄目であるというならば、私は、二十三日は休みですから、二十四日の朝来て頂きたいということを心から希望するものでございます。私たちは態度としましては、首相に云々というようなことは、一応私は懇談会において申合せたことは了承しております。私は少くともそういう態度で政府に対してこの問題に対しては審議を協力をする私たちは立場をとつて来たと思つております。ところがその記事は余りにも私たちを侮辱した言葉だ、こういうふうに考えますから、飽くまでも私は首相の出席をされるようにして頂きたいということをお願いするものであります。
  292. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 成瀬君に一言いたします。私は増田幹事長の出席を求めるということは一言も申しておりません。首相の御出席を求めるという委員会の御意向を内閣官房長官に伝えたのみであります。
  293. 郡祐一

    ○郡祐一君 私は成瀬君の御発言のときたまたま席におりませんでしたが、その新聞は暫らく前に見たのであります。それで官房長官が総理大臣の側近の補佐役としてすべてを責任を持つておりますのでありますから、私は一応その経過について官房長官から伺うほうが、折角官房長官が出席をしておられるのでありますから、それらが済んでから何と申しますか、経過について誤解のないように、誤解のないというと語弊があるかも知れませんが経過について理解を持ち得る、又官房長官はそういうことについて責任を持つておられる責任者であると思いますから、私は官房長官の経過についてのお話を承わりたいと思います。
  294. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今委員から官房長官の発言を求めてもいいじやないかというお話でありましたが、私は官房長官が御発言をなさることは、先ほど委員長から申された通り、これは私は自由であろうと思います。併しながら官房長官がかようなことを申されたのではこの記事によりますとないのでありますから、だから私は少くとも参議院の内閣委員会に、第一国会から今日まで長年に亘りまして、私はずつとこの委員会に席を置いておつたのであります。従いまして我々はこの衆議院と異なつて、而も各派が非常に和気靄靄のうちに、他のどの委員会よりも最も熱心に、最も慎重な態度を以て私はやつて来たと思うのです。そこで殊にその内閣委員会のこの態度についてですね、而も麗々しく如何にも官僚の手先に我々が使われて行動をしているかのような印象を多くの国民に与えたという事実に対しては、これは私は必ずやはり総理の出席を求めて、総理の口から明らかに何らかのお話を願わなければ、我々過去何年間努力して来たことも水の泡になり、従つて今回の定員法にこれだけ、恐らく他の委員会ではないほど、もう、朝、昼、晩ともやつている委員会はないのであります。而も熱心にやつている我々に対して酬いられるところの言葉としては余りにも残酷に私は思うのであります。従つてこれについては飽くまでもやはり私は首相の御出席を願つて、そうして明白にいたしたい、こう思つております。
  295. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 本日午前の九時半頃でしたか、増田幹事長と私と二人で総理大臣に面会をいたしました。で、大体この総理大臣にはよく面会をしていろいろ話をするのでありまするが、多くの場合に今日どういうことを話したということを発表しておりません。本日のことも、私の名前はここに出て来ませんが、私も一緒にいたのでありますが、私は別段発表はいたしておりません。増田幹事長も恐らくはつきりした談話を発表したわけではないのだろうと思うのであります。というのは、この記事については、恐らくそういう関係もあつて大分事実と違つております。でこういう問題になりましたから、私も傍らにいて聞いておりましたので、全然私の聞き違いはないと思いまするから、ここで念のためはつきり申上げておきますが、総理大臣からこの委員会の審議について発言があつたわけではないのでありまして、増田幹事長から定員法の審讓の問題、或いは予算委員会の審議の問題等を報告いたしておつたのであります。そのときに増田幹事長は、これは幹事長の言つたことをここで私が発表するのは甚だ失礼だと思いますが、非常に重要にお考えでありまするから、増田幹事長の了解を得ずに言うわけでありまするから、その点はあらかじめお含みを願いたいのでありますが、増田幹事長はこういうふうに言われたのであります。第一には、内閣委員会は殆んど午前、午後、而もかなり遅くまで毎日非常に熱心にやつておられて、委員長の前でこういうことを言うと甚だ失礼ですが、事実上のことを言うと、委員長は特に熱心にやつておられて、審議がなかんか詳細に亘つているので、時間が取れるのはこれは止むを得ない、こういうことを第一に申したのであります。第二に、ただ困つたことには、いろいろな委員会がありまして、この内閣委員会以外の委員会でも政府委員が出席を求められて、いろいろ定員法関係の実態の仕事について質問を受けております。そこで多くの場合は関係閣僚は大きな委員会、つまり予算委員会とか、或いは内閣委員会とかに出席を要求されているものであるから、政府委員がつまりほかの例えば農林委員会とか、或いは水産委員会とかいろいろありますが、そういう所へ出席を求められていろいろ答弁するが、ときおりこの内閣委員会で行政管理庁長官なり、或いは関係閣僚なりの発言していることと、政府委員がその所管の委員会でいろいろ問い詰められて言つていることと食い違いがあるというふうに言われて、関係委員会から非難をされている。つまり、所管大臣の言つていることと、君の言うことは違うじやないかというような非難をされていることがしばしばあるので、よく関係各省では所管大臣政府委員とが打ち合せて、そういう非難のないようにしなきやならない、こう思います。こういう説明をいたしたのであります。総理もそれは全く尤だ。いやしくも政府の政策を説明するときに、所管大臣政府委員との説明とが食い違うようでは相成らんから、よくその点は注意をしてもらいたい、こういう発言がありました。実はそれによりまして、今日も次官会議におきまして同じことを私から言うはずでありましたか、私がちよつとほかの委員会に出席しておりましたので、官房副長官から次官会議において所管大臣と打合せて、定員法の問題などを徹底的に考えて、所管大臣意見もこうである。政府委員意見も同じであるというところまで徹底して打合せないと抜ける、そこまでだめを押さないと思わぬところで以て意見が食い違うのじやないかといつて叱られることがあるから、よく気を付けてもらいたいということを、次官会議でも要求いたしましたが、この記事にあるようなことを幹事長が言つたこともなければ、総理が言つたこともないことは、ここではつきり申上げられるのであります。私は終始一緒におつたので、決してここにあるような総理が怒気強く増田幹事長に言つたなんということは全然ないのでありますから、その点は御了承を願いたい。問題は関係閣僚と政府委員との意見が食い違うようなことがあつては相成らん、よく誤解のないように委員会で正確に説明するように、こういう趣旨であります。
  296. 郡祐一

    ○郡祐一君 私は総理が行政部内の統一について当然のことを只今官房長官の御発言ですと言われたので、それが新聞記事に現われます際に、そのことを触れました増田幹事長がどういう発表をされたか。どういう調子で発表されたかということは別の問題でありますけれども、その場におられた官房長官がありのままに伝えられ、又その内容は当委員会を侮辱するものでもなければ、政府の関係について格別の批判をいたしたことでもない、たた行政部内の統一を図りますために必要な発言をされたことと了解いたしますので、私自身としては官房長官の説明でこの委員会としても納得していいのじやないかと私は思います。
  297. 楠見義男

    ○楠見義男君 総理大臣にこの席に出て頂きたいという趣旨は、そういうことを総理大臣が言われたかどうかということについて問題がありますので、従つて先ほど成瀬委員から、又カニエ委員から出席要求があり、私もそれに賛成したのでありますが、たまたまその席上におられたという官房長官から只今詳細に亘つての御説明があつたわけです。従つて趣旨は、言つた人のほうから言つたかどうかを伺う趣旨でありましたけれども、今官房長官の説明で事情はわかりました。そこで問題は官房長官を信用するかしないかの問題になるのですが、私は官房長官を信用したいと思います。従つて新聞発表の問題は、これは余談でありますが、増田幹事長の従来のやり方を見ますと、そういうことを或いは又やつたかというような気がいたしますけれども、これはまあ先ほど郡君の御発言のごとく別問題であると存じます。要するに問題は官房長官を信用するかしないかの問題で、私は信用したいと思いますから、総理大臣の出席要求の問題は私は取消します。
  298. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 先ほど成瀬委員のほうから夕刊の新聞記事を中心に、一応総理大臣にこの委員会に来てもらつて、事の真相を明らかにしてもらはないと、新聞の記事を額面通り受取ると、この委員会が何か侮辱されたような点が考えられますのと、それから私はもう一つ惧れますのは、我々が審議しておりまするのは事務量の問題で、これを究明して正確な定員をきめなければならない、こういう観点から質疑応答しているのであります。行政管理庁長官の説明によりましても、事務量によつて大体定員をきめるのだ、こういう説明でございましたので、政府の関係委員から事務量について微細な質疑をして、正しい定員をきめて行きたい、こういう意味委員会は朝に夕に勉強してやつているのであります。併しこの新聞記事から私はちよつと感じたのでありますが、これからの政府委員がその事務量について本当のことを言うかどうかという、何か恐怖観念を与えるような感じが私はしたのであります。私どもはやはりそういうことのないように一応総理大臣に来て頂いて、事の真相を明らかにしてもらつたほうが、これからの政府委員答弁についても私は正しい事務量の報告がなされるものだというふうに考えておりますので、一応この委員会に来て頂いて、総理大臣内閣委員会に対する一つ考えを表明して頂いたほうが、却つて委員会を正しく運営する上においていいのではなかろうかと考えているのでございます。できますことならば、一つ委員長のほうから再度のお骨折りを願うことを要求したいのであります。
  299. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  300. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会