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1951-11-17 第12回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十七日(土曜日)    午前十時四十五分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            松平 勇雄君            溝淵 春次君            山花 秀雄君    委員            郡  祐一君            横尾  龍君            上條 愛一君            成瀬 幡治君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            三好  始君            三浦 辰雄君   国務大臣    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    内閣官房長官 剱木 亨弘君    内閣総理大臣官    房監査課長   岡田 典一君    行政管理政務次    官       城  義臣君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○公職に関する就職禁止退職等に関  する勅令の規定による覚書該当者の  指定の解除に関する法律案内閣提  出)   ―――――――――――――
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。行政機関職員定員法改正案これを議題といたします。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 二十四年度のときに定員法が大幅に改正されたのでございますが、そのときの速記録ちよつと調べてみたのでございますけれども、或いはその誤りがあるかも知れませんが、私の見た範囲内によりますと、機構改革とやはり行政制度の問題が非常に論議されておるのでございまして、その中に吉田首相それから本多国務相の答弁の中にこういうことがあります。将来行政整理をやるというような場合は行政制度審議会というものがあるからそういうものの答申を待つて行政機構改革をやらなければ、再び人員整理をやらないのだというような意味のことが述べられておるのでございまするが、あの二十四年今から二年前のこの総理乃至本多さんのものをとつて、これで方針がどうなるかというようことを私は責めるものではございませんけれども、こういうようなことについてやはり橋本長官も真剣にお考えになつたと思うのです。そして前のこともやはり十分私は知つて見えになると思いますが、橋本長官基本的には行政機構改革というものがやはり定員法改正前提条件であるということを認めてお見えになつて、そうして今回はいろいろ承わつたのですが、やむにやまれんというのですか、事務云々と言うようなことでおやりになつたのですか、基本的な態度としてもやはり行政機構改革のほうが前提条件であるということはお認めになるかどうか、この点からお伺いしたいと思います。
  4. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは二十四年の行政改革がありましてからあれ以来の状況は私もよく存じております。それでその当時党におりまして私も実は政務調査会のほうで仕事をやつておりましたのですが、あの当時におきましては機構改革というのはいろいろな関係からいつて極く局部な或る程度減らしただけで根本的な機構合理化というものを考えるひまがなかつた。それで一応人員整理をやつて、そうしてこの次はもう機構改革を図る、そうして一応の人員整理は二十四年のあれであの当時の状態としては済んだのであるからあとは要するに機構改革だけが残つておる。その機構合理化伴つて更に人員整理について考えるべきものがなお出ればその際出るのだという建前でございました確かに。以来行政制度審議会で案を練りまして昨年の春答申をいたしたのを受けて当時の行政管理庁長官廣川長官のところで案を練られておつたのでございますが、その間に講和会議の問題が進んで参りまして、これはやはり行政機構及び事務基本をなすところの基本条件が変つて来ると何遍もにいじくるよりも、むしろ講和の問題がはつきりして来てからのほうがよろしいということで昨年の秋にダレス氏が来られてから積極的に行政整理の問題を先にやるということにすることとなり、それからその際において、つまり二十四年の行政改革から引続いて、つまり人員整理が一先ず済んだあと考え得べきことは機構合理化と、その機構合理化伴つて若し人員整理の問題が起れば起るのだという考え方は根本的に変つて参りまして、独立をするとなると仕事内容自身も大分変つて来る。第一に占領関係に伴う仕事がずつとなくなつて来るし、そしてその間に又いろいろの事態変化伴つて厚生関係仕事等についてもずつと変つて来る。そうすると、今度は新たに一応その事務人員の点は二十四年で済んだということでなしに、事務人員の点にも非常な異同を生じて来るということがわかつて来たわけです。そこで今年になりましてからは二十四年の行政改革あとにおきまして、事務及び人員の点につきましても、これは占領行政終結に伴うもの、それからその後の事態変化に伴う経済統制仕事相違等を睨合せて、事務人員もこれはやはり改めて簡素化を図る余地があるし、それをやろう。それから同時に機構改革についてもそれを進んでやろうということに相成つたわけであります。若し事態というものが非常に平静であつてもう今日すつかり落着いており、今後格別起るべき事件というものが何もないというときには、私は何も先にするということよりは、むしろ機構改革事務簡素化、それから人員整理というものを同時に並行して考えて、同じに片付けるのがこれはまあ一番結構であろうと思います。ただ今日の事態におきましては、先ずやはり事務の面においてもう用のなくなつた者とか、簡素化できるものとかいうようなものは、今日の事態において非常にはつきりいたしておりますので、その分を先ず片付けてそうして機構関係の問題というものは、事務自身がもうなくなつてしまえば自然に整理をしなければならないし、動かすものも比較的容易、ということはありませんけれども当然やつて行かなければなりませんが、機構自身というものはそうむやみに局を作つたり、課を作つたり、潰したりということもできませんので、今回事務人員整理を先に行なつてそうしてその後なお機構については検討をしてからあとで、機構改革をやる。その間に事務自身はここに考えただけのものが必要でありまするから、それを結局どこの省、局でやることにするか、つまり割振を変えるというふうなことは、私は決して無理でもないし、不合理でもないと考えております。飽くまでも機構改革人員整理というものは非常に平静な、動きのない状態においては、どつちが先というよりも並行して参るほうが結構であろうと思います。今日の事態においてはむしろこういつた形をとるほうが便宜であると考えるのであります。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 このことについていろいろと論議がしたいのでございますけれども、意見にもなりますし前の質問でも承わつておりますから、不満ではございますけれども一応次に進みまして、行政制度審議会答申案というものがあつたのですが、これについては政府はどうお進みになるつもりか、それを承わりたいと思います。
  6. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) こう考えております。行政制度審議会答申案はたしか昨年の四月に出ておると思います。これは先般政令改正諮問委員会答申を作ります際にも、その審議会において参考にせられましたし、私も参考にするつもりでおります。ただ基本的な条件といたしまして、あの審議会におきましては二つあの基礎になりました条件と非常に変つたものがあつたと考えております。あの当時におきましては占領終結というものを間近に考えておりませんでしたから、やはりあの二十四年、五年初頭のような状態基礎にして考えておりました。従いまして、今日リツジウエイ声明内容をなしておるような、戦後連合国から要請された問題のようなものに対する見直しという要素が入つていなかつたということが一つと、従つて行政委員会制度に対する再検討というようなこと、それからもう一つはその当時の事態と今日と比べてみました場合に、或いは綿花の問題でありますとか、その他物資統制の面につきましもこれは非常に大きな変化がございました。で、具体的に申しますると、例えば通産省は戦時の増員態勢になりましてから、局を商務局とか工務局とか鉱山局という立てかたから、鉄鋼とか雑貨とか機械とか化学とかいうような物資別に立てましたけれども、あのような局編成を立て直す必要があるのではないかということが今日一応問題になつております。そういつたような問題というものはむしろあの行政制度審議会基礎条件をなしたものには殆んど考えておらなかつたのであります。その点がかなり大きく変つておりますので、参考にはいたしますけれどもやはりまあかなりな無理ができて参りまして、参考にすべき分がそのウエートが、かなり軽くなつておると考えております。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私お聞きしますと、これは政令諮問委員会のほうで参考にされ政府もやはりこれを参考にされて行く。但し基礎的条件が非常に変つたから云々というようなことでございますが、折角こういうような審議会を持たれる場合には、私はこうした条件、いわゆる講和条約の締結が非常に早くなつて来たというようなことは、やはり私は政府見通しというようなものは、今後審議会を持たれる場合は慎重にやつてもらいたいと思う。それからもう一つは、折角持たれたならば、そういう答申案というものは尊重して頂いて、それに沿つて即刻具体的なものをやつて頂くということをお願いしておきます。  それから今度伺いますと、何か次の国会行政機構改革のことについての案を出されるということを聞いておりますが、それはちよつと聞きますと、何か講和が結ばれて事務がなくなるのだ、そのくらいの程度行政機構改革基本方針なのか。今どんなふうに考えられておるのか。具体的に話されていい程度と申しますか、とにかく基本方針というものが決定されておるならばこの際お述べを願いたい。
  8. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 基本方針にもなおいろいろ相談しなければならんものが少し噛み分けますとございますが、大きな基本方針といたしましてはこの夏にも閣議で話をきめたのでありますが、こう考えております。一番根本的な問題は、日本の国の行政機構昭和六年以来、満州事変以後だんだん国会全体が総動員体制に入つて参り、二十年に戦さが終りましてからこれが本当の平和状態に復元するひまが十分ないままに、占領下における特殊の行政と、それから又極東委員会の指令に基く民主化要請といつたようなものと、それから又戦後の緊急事態に処する経済統制の必要というようなものも織り混ざつて、ずつとできて参つたわけであります。行政機構の常として、そうさつぱり本日から事情が変つたというように切替えはできませんのでいろんな要素が入つて来る。日本が今回二十年振りに平和になつて、そうして前とは違つた民主国家として自立して行くという場合において、平和の民主国家として、而もこの困難な時期に経済的に自立して行くというのにふさわしい、できるだけこの民主主義的行政体系を貫ぬきながら、而もそれをできるだけ簡素で経費も少くて、而も能率的に行けるようなふうに作り上げるにはどうしたらいいかということが、極く抽象的な根本的な考え方でありますが、ただ一昨年の行政改革をいたしましたときにも、これは機構の面にも或る程度触れたわけでありまして、今日ほどには事情は熟しておりませんでしたけれども、併しやはりそのときにも成るべく簡素で能率的なことで行くということを考えていたわけであります。ですから、今抽象的な方針は先ほど申上げたようなことといたしまして、一昨年の行政改革に比べての、今回の具体的に目を触れるべき問題を幾つか挙げてみますならば、一つはなんと言いましても、占領行政が終ることによりまして或いは渉外事務でありますとか、或いは特別調達関係事務でありますとか、直接関連のある機構が変つて参りまする点が一点。それからもう一つの問題は、戦後民主化要請といつたようなものが、若干やはり財政的な関係であるとか或いは又日本国民的性格に十分合うかどうかというようなことは余り考えられないで非情にたくさん行われたものを、もう一遍見直して是非必要なものを残し或いはほかのものを改組するといつたような、行政委員会制度に対する見直し。それからもう一つは、何と申しましてもその後の経緯の変化の大きいのは、経済統制を全面的に施行しておりました時期から、自由経済を本体とする経済組織に改めて参りましたことに伴うところのもの。それからもう一つは、今まで占領連合軍の力によつて警備が行われておつた日本国際環境において、自力でやはり国内の公安維持をやつて行くという面から見て、成るべくこれも安上りでそうして而も民主主義を守り得て、而も成るべく強力な公安関係といつたような問題が、およそ一昨年の行政改革の行われましたのちにおいて、今日改めて考えてみなければならない、まあ具体的な問題の主なものかと存じておるのであります。それで極くそれより更に掘下げて具体的ないろいろな問題につきましては、これはまあいろいろに私の手許で研究もいたしておりまするし、いろいろ御意見も頂戴いたしておりますが、今日まだこれをここで申上げる段階に至つておりません。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次期国会というとまあ十二月から五月頃まで大体期間的に予想されるわけですが、その場合およそまあ検討中であるとおつしやるのですが、大体予定されておる時期はどの辺かということは見当はついておられないですか。
  10. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはこういうふうにいたしたいと思います。通常国会再開劈頭から御審議を願い得る程度にまとめたいと実は私は考えております。いずれにいたしましても、来年度の本予算はできるならば年内成るべく早く遅くも来年の初頭には出さなければなりません。それでその場合にはこの予算編成基礎としての行政機構というものは固まつておりませんと困りますので、少くとも大綱はそれと並行してきめて参ります。ただ実際に各省設置法を作ります場合にはいろいろな問題があろうかと思いますので、細かいところまできめての法案もそれと並べて来年初頭には出したいと思つております。若干の時間的なズレがあるかも知れませんが、いずれにいたしましてもそれはもう全く事務的なズレでありまして、話の大筋というものはどうしても一月の上旬くらいまでには法案としてまとめようということを目途にして進めなければならんと思います。大体その程度でまとめるつもりでおります。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 行政機構改革と今度の人員整理関係でございますが、ここまでは検討されていないと言えばそれまででありますが、一応今回の整理次期国会の而も早いうちに出されるものとの関係は全然ないとは私は言えないと思う。少くとも今度人員整理をやつたならば機構改革されるかも知れませんけれども、およそこの人員は大体やつて行けるのじやないかというような見通しがあつて出されたものだと思います。  そこでお尋ねしたい点は、少くともそういうような点を検討して、今度行政機構改革に伴うて、人員整理は少しは私はあるかも知れませんけれども少くとも今回のような大幅或いはこの前二十五年度に行われたような人員整理の数のようなものはない、こういうふうに了解してよろしうございましようか。
  12. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) その通り御了解頂きたいと思います。私もそういうふうなことは或る程度含んでやつておるつもりでありまして、機構改革後に、この与えられました定員の中で彼此、片つ方のほうから片つ方のほうに移るという異動はございましても、仕事自身は、これだけのものが必要であり、従つて原則として特別な人員整理はないと思います。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほどもお伺いしましたが、今度の整理事務云々ということでございますから、この前これは三好委員質問人事の問題と会計の問題について規則云々というようなこと、そしてそれができたならばここに早急に出すというようなお話でございましたが、過日新聞にも発表をされたように記憶しておるのでありますが、あれはもうコンクリートされたものか、まだ不完全なものとして一応ああいうものがスクープのような形で出されたものか、その点についてお尋ねいたします。
  14. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それは会計のほうは会計法規改正を要します分がございます。それと同時にそれに基く政令等簡素化する、それから人事院関係のものは全く人事院規則関係でございまして、会計法規関係につきましては一点だけ、スクープでありませんで、大体次官会議で最後の固めの極く少し前のところで出たものであります。会計法規に関しましては簡素化余り関係のない問題で、ついでにこの際改正したいという問題で一点ごたごたしておつたものがありましたが、それを削除する。それを除けることにいたしまして、簡素化部分だけにしてきめました。そこでこれはもう極めて早い機会に国会提出されることと思つております。なおこの法律部分のほかに規則的な部分でも簡素化をされることになると思います。これは内閣委員会のほうに参考資料として御覧頂くようになるべく急速に提出をいたします。  それから人事行政簡素化の案につきましては、職階制部分につきましてはこれは人事院自身としてもなるべくこれが簡素能率的に運営できるように御研究中であり、又政府側といたしましてもこれに対する要望を持つておりますが、この部分がまだ話のまとまらない点がございまするが、新規採用の問題、任用承認の問題、それから兼職に関する承認問題、非常勤職員承認でありますとか、或いは条件附任用に関する承認制度とか、営利企業に関する承認の問題とか、或いは兼業に関する承認の問題とか、人事記録の細則の問題、人事異動通知書の問題、勤務記録カードの問題、任用候補者の提示の問題とかいう任用関係の問題の簡素化、それから給与関係といたしまして、給与についての承認範囲を制限する問題でございますとか、それから非常勤職員の中の手当額承認範囲簡素化する問題でありますとか、或いは勤務時間報告書、それから職員別休暇簿基準給与簿給与簿証明書廃止する問題であるとか、それから休息時間の特例の承認報告に改める問題とか、それから災害補償に関する承認関係仕事でありますとか、こういつたような給与関係簡素化。それから能率関係の問題としては勤務評定制度簡素化だとか、それから教育訓練に関する報告廃止だとか、健康診断に関する報告廃止の問題でありますとか、こういつたふうな能率関係の問題、この任用関係給与関係能率関係についての簡素化の問題については、大体において話の内容がまとまつて参りました。そのほかこれはいろいろな問題がありますものですから、職階制関係でありますとか、公平審査関係の問題でありますとかいうことについては、まだ十分に話がまとまつておりませんで、人事院のほうに対する政府側要望といたしましては、この話のまとまつた部分からだけでも、全面的に簡素化改正の案がまとまらないでも、まとまつた部分だけでも人事院規則改正をやつてつてもらいたいと思つておるわけであります。全面的な人間行政簡素化といたしましては、一部分きまらないところはございますが、これもきまり次第あとを追加することにいたしまして、資料をなお提出をいたしたいと思つております。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 事務実情に即して云云というようなことは、たびたび承わつておるわけでありますけれども、一応この資料を見ますと、この管理業務に携わる人たちは大体二五%天引されておるというのが私は実情だろうと思う、原案だと思います。  それで今お聴きした或いは新聞に出た程度のものを、これは感じの問題になるわけですが、私が検討しただけではどうしてもやはり十人のうちの二人整理していいのだというようなふうには私は出て来ないと思います。それでいやそうじやないのだ、こうおつしやればそれまでですけれども、もう少し本当に事務簡素化或いは能率化ということにおいては、そういつた面も私は考慮されて然るべきだが、やはりやつてみたら旧態依然たるものである、形式的には右のものを左へ移しただけだというようなことしか考えられないじやないか、そうしてただ人整理しただけだ。で結局職場に来ている働く人たちが超勤をやらなければ、或いは休日を返上してまで働かなければできないというような現状になりはしないかという点を非常に心配をして、この資料ができたならば、本当に私たち実情をよくわかりませんけれども、実情に明るいような人が各省別審議の場合には一度出て来て、委員長にお願いをして説明をして頂いてそうしてこれに対する結論を出したいと思つております。一応感じとしてはそういうことを考えております。  なおその場合にこういうことをやりますけれども、前にもどなたからか意見が出たと思いますが、設備ということが私は非常に重大なる関係を持つておるものだと思いますけれども、こういうことに対しては長官は必要であるということは認めるけれども、経費の問題上云々というようなことで結局やられないという点については誠に遺憾でございますが、少くともこの次の機構改革なんかにも関連したような場合には、こういうような点について非常に努力して頂いて、そうしてその努力が実を結ぶようなことに実はして頂きたい、こういうふうに考えるものでございます。それに対して長官は、まあその経費が浮いてしまつたのだからこの経費能率化のほうへ、設備のほうへ廻してしまうというようなことは非常にできないようなことで、折角の経費を少いところで浮かしたのだからそういうほうへ廻すことは困難な状態なのか、そういうような点について私はやはり一応あなたのほうで検討されたと思うのです。それに対する検討をされたとするならばその時の状態なり、或いは結論というものをこの際お聴かせ願いたいし、今後そういうものに対するところの御方針を承わりたいと思います。
  16. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今管理事務は二五%というお話がございましたが、実はそれはこの案を作ります過程において、一つ基準的なものを示して相談するために、いろいろなことをいたしましたが、最終的に話をきめまする際に、各省の意向をもう一遍開きまして内部的ないろいろな調整をいたしましたので、この官房関係等につきましては大体二割くらいのところになつておるかと思います。二割を少し切れておる所も私は多いと思うのでありますが、この問題に関しましては一つには只今申上げましたような会計人事手続簡素化をいたしますることと、それからもう一つは総体的になおできるだけ能率化して一生懸命働いてもらうという、一般的な能率増進を或る程度含めたことも事実でございます。物的設備の問題に関しましては御指摘のように、特に自動車電話、タイプといつたようなものが非常に私は必要であると考えております。この部分に関しましては今日の実情から見てこれだけやる場合にはこれだけ物的設備を拡充するというほど、なかなか物的設備の拡充が十分できませんので、物的設備のほうをむしろともかくできるだけたくさんやるということでそういう趣旨の話をいたして参りました。それで今日でも年々かなり程度の改善をいたして参つたのであります。自動車のようなものはかなり数が殖えて参つておるようでありますが、一番困つておりますのは電話の増設が十分でない問題でございます。そのほかございまするが、今までのところといたしましては、物的設備の問題はむしろもう折のあるごとに、できるだけたくさんまあとにかくとるように努力するという程度で、どれだけとつたら満足だというところまでかなりほど遠いものでありますから、従いまして行政管理制度とマツチをいたしてどれだけの物的設備が適当であるか、これだけが要望したいところであるというような科学的な物的設備の管理方針といつたようなものを立てるに至らないことを誠に遺憾としておるような状態、率直のところそういう状態であります。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうした基本的なものが立たないとかいうことは、政府方針がきまらないのか、やろうとしても、実情は私はあなたのほうがよく知つていると思うが、それでそういうことができないというのは人が足らなくてやらないのか、或いはあなたのほうがそれを積極的にやらないのであるのか、その点を。
  18. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは私は、今日の仕事を今日の陣容でやりまする場合に非常に便利であるとは思いませんけれども、大体あれで足りていると思つております。ただ私はもう自動車なんというものは、あれでいいと思いますけれども特に問題なのは電話をもう少しやりますること。それが一点とそれからもう一つはタイプライターでございますが、やはり漢字制限であるとか仮名遣いでありますとか、それから又横書きの問題等がずつと統一がとれて言葉それ自身の問題に行きませんと、全くタイプをふやしてみても大した能率は上らないという面があろうと思います。今日の状態におきましてはほぼ物的設備の問題といたしましてはまあそうまで不足だというところでなしに、仕事をする上においては一番望ましいのは電話の拡充でありまするが、ほぼこれで足りておるように考えております。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうも私たちの今の設備の問題と、長官自動車々々々と言われるけれども、この間も自動車が問題になつたのですけれども、熱海行きの自動車が何台ふえたつてしようがない、能率に関係しない、そんな自動車がふえるくらいならタイプになつたり、自転車になつたり、そのほうがいいと思います。実際に働いておる人のためにはそのほうがいいと思います。どうかその点は私たちの考えておるいわゆる現場で事務をとつておる人たち設備と、長官など自動車に乗つて通う人の設備ズレがある。もう少し長官にお願いしたいことは、やはり採光の問題だとか健康保全にからむところの設備をどうするとか、或いは今お話が出ましたような電話とかタイプとかこれはもう少し長官に真剣に考えて頂きたいと、こういうふうに思うのです。  次に今度の行政整理の中で一番私が問題にしたいと思いますことは、長官は天引じやない、天引じやないということを何遍かおつしやつたわけでございますが、その後御答弁の中に明らかになつたことは、各省が了承したということは、大臣が了承したという、こういうようなことにお聞きしておるわけであります。そうしますと、大臣はその省の末端の事務まで目を届けておいでになるとは私は思いますけれども、併し例えば気象台の問題をやつて来ると、何か気象台長の意見は、あれじやとてもやつて行けんと言うのに対して、運輸大臣はあれでいいと言う、或いは根本さんは何遍か聞かれておつて、一度は臨時雇はやらないのだ、そういうことを思つてつたけれども、橋本長官と話し合つたらそれはやめた、昨日又追及されて行きますと、やはり臨時雇をやるのだということで、あやふやしておるのでありますけれども、やはり下から事務はこういうようなことだ、こうやつて行くのだから、これだけの課ではこれだけ減らしてやる、そうして集約したものは、省においてはこれだけできるのだというような調査を毎年々々おやりになつておるようでありますけれども、こんなことならやろうと思えばいつでもやれる。そうして理屈は何ともつくけれども、迷惑するのは首を切られた人や、それからオーバーロードを強いられる人たちである。ですから長官はもう一度そこで確認をして頂きたいのですが、本当に天引じやないのだ、天引じやないのだ、天引でやろうと思つたけれどもあとからそういうものをくつつけたのだ。若し天引というならば問題はないと思うのでありますが、そうでないとするならば一つ一つ事務に当つて、或いは各課に当つて何人であるということを検討して行かなければならん。ですからその点はもう一度改めて長官にお聞きしたい。今私が申しましたのは率直な例でありますが、本当にそうやつたのか、やはり一応の基準をつけて、そうして各省に強制的に押しつけたような形で、併しそれは了解したかも知れない、そういうので話をしたのか、そこのところを明確にして頂きたい。
  20. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 事務ごとに整理をいたしました。これは政令諮問委員会答申案自身が、予算編成の各種のあれは事務に従つて事務要員及び予算を積算しておりますが、あの項目を主にいたしましてずつと細かく仕分けをいたしまして、それに従つていろいろな人員をこれくらい、この仕事はまあやめるとかどうするとかということで積み重ねられたのであります。政令諮問委員会は、私は委員質問があつたときに答えるだけの意味で、審議に参画するという意味でなしに、時に出ておりましたが委員の中の幹事役のかたがこれを作られまするに当りましても、仕事をよく存じております。政府部内で知つております行政管理庁の職員でありますとか、或いは大蔵省の主計局の職員でありますとか、法制意見局の職員等に手伝わせて、そうして個々に検討されたものでございます。で、それを参考にいたしまして原案を作りました。仕事の能率を上げる意味におきましては私の所でただ一つ一つ検討いたして参るということは非常に実際的でありませんので、何千かに分類されそして仕事ごとに人員整理の案を作りましたところの諮問委員会の答申案というものを基礎にいたしまして、そうして簡素化本部で初めは全く事務当局だけを相手にいたしまして話をいたしました。そうしてこの項目はどうなるということで各省事務当局のほうでこれはよろしいと言つたものにつきましては、特にその内容を更によろしいと言つても心配だから教えてくれというふうな検討はいたしませんでした。ただ工合が悪いということについては、どうして工合が悪いのだというのでこれは内容をお互いに聞き合つたわけであります。そこでいろいろに補正をいたして参りまして、これは実情から申しまして、削減される人員の数をふやして補正することはないものですから、減らす一方で基礎案の十八万五千ばかりの答申案を十二万ばかりにずつとまとめて参つたわけであります。最終的に案をまとめまするときに事務当局の間ではどうしても話のつかないものが幾項目かございました。その部分につきましては、閣僚懇談会をまあ何回開きましたか開きまして、そこでこれは事務当局から十分閣僚も内容を聞かれましてから、そこでいろいろに審議をいたして決定をいたしたのでございます。  只今御指摘のございました気象台職員の関係につきましては、やはり事務当局間の話合いではきまりませんで、閣僚懇談会に上つた項目の一つでありましたことは私はつきりお話を申上げることができます。これは極く僅かでございまして、私が申しまするのは、要するに最終的には閣議で閣僚がこれでよろしいという閣議を決定いたしまするときに閣僚が了承してきまつたものでございまするが、殆んど大部分の項目は事務的な段階できめましたし、極く少数の部分に関しましては閣僚懇談会でいろいろ練つておりまする間に、そして最終的にこれをきめまするときに、その担当の閣僚が御自分の所属の行政部内の意見はこれはもう責任を持つておまとめ下すつたものと私どもは考えておるわけであります。そういう経緯でございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はそういうふうに思い、あなたはそう了解しておるかも知れない。例えば水産委員会の連合審査会で明らかになつたことですが、遠洋沖合漁業監視船が三隻できるということは、私は少くとも根本さんは知らなかつたようですけれども、大臣だからそれはよいと思う、併し事務的な人が打合せをされてこんなことを知らんでおるはずはないと私は思う。ところがこれが全然知つておらんというようなことは、大臣が誰と打合せをどの程度つたかということですが、まあ想像してみるのですが定員を削除するということを決定しておいて、そうしてあとはいろいろな事情は聞くのだからこれはまあまあここらあたりで何とかやつてくれという私は押しつけだと思う。だからこそ中央気象台の問題も起きて来るし、一例でございますけれども今言つたような船の問題が私は出て来ると思います。こういうことについての考え方としても、私たちは気象台などの問題では、ルース台風の問題なんかでも、これは設備しておつたら私は絶対に防げるとは思いませんけれども少くとも十億の損害があるところを一億なら一億ぐらいはこれを防ぐことができると思います。こういうものを経費の節約のためにやつたところで無駄だということは、長官はこれはどうも行過ぎだということは私は今更原案を出しておいて言えんと思うけれども、少々これは無理に押しつけたんじやないかというふうな、私はこういうふうなお考えがあるだろうと思う。併しそのことを私はここで言つて下さいとか、或いはそういう言質をとることも不可能だと思うからこの点はこれでやめまして、なおこういう定員が無理に切られておることによりまして、例えば闇定員と申しますか、工事費とか或いはそういう事業費を食つておるところの人たちが私は相当あると思う。例えば建設省などの例をとつてみてもあると思います。この前城政府委員の御答弁がございました。これに対して楠見委員も言つておられたようでありますが闇定員がふえておるということを言つておいでになります。何割という天引整理というものは合理性を欠くものであるから、従つて定員がふえて来たのだ、非常に困つたものであるということをおつしやつておるのですが、今度もやはり私は闇定員というものが結局起きて来やしないか、そういう所はいろいろな形があると思います。例えば事業費を食うやり方、或いは非常勤職員というようなもので雇われておるのですが、今度橋本行政長官非常勤職員いうようなものはどういう待遇でお認めになる御意図なのか、或いは全然認めないというのか、そういうものに対してはどういうふうなお考えですか。
  22. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはもう非常勤職員を認めないというのは非常に無理な話でありまして、御承知のように、或いは写字をするとか或いは謄写をいたしまするとか、或いは又建設省で工事現場で人を雇いまするとか、これはおのずからおよそ国が人を使う場合においては、建設省の直轄工事などについては特にそうでありまするが、直轄工事に請負の人夫の人を全部常勤職員として日本全国で抱えておるということは、非常に不経済なことは当然のことでありまして、そこで毎年どうせ賃金要員というものは延べで何百万人分とか何とかいうふうに予算に計上いたしておりまするし、これは必要なことでございます。この間うちからの調べでは非常勤職員が何万人おるというふうなことですが、一つの或る一時点をとらえて何月何日に何人使つてつたということは一つ参考にはなりましようけれども、本来から言えば非常勤職員というものは或る日をとらえて何万人おつたというよりも、どういうふうなために常勤の公務員として置き放しにするのと、それから非常勤で延べ幾らという予算をとつて使うのとはどちらか人を使う上での合理性があるかという問題は、これは両方必要なのであります。それがどの程度必要かということを考え合せて個々にきめるべき問題だと考えております。ただ問題になりまするのは、要するに賃金要員の形をとつて、何もその賃金要員として雇う意味のない人、つまり毎日毎日同じ人を一年中而も非常に固定的な上り下りのない仕事に使つて行くというふうな場合に一番問題が起るのであります。私は、定員法と申しまするのは、国が恒常的に毎日仕事のありまする面であつて、而も人がきまつているというふうなものは定員法できめるという趣旨から申しまして、恒久的に同じ人を使うという場合においては、定員法の人数と使われる人とは合うようにいたさなければならないと考えております。勿論その場合におきまして定員のきめ方自身に無理がある場合もございましようし、或いは又そういう場合にはもう定員のきめ方自身をも考えておかなければならないし、或いは又仕事能率化というものができるにかかわらず怠つておるという場合もこれはあるかも知れません。これは今回の定員法をきめまする間におきましても各所管大臣にそれぞれ自分の所管行政を見てもらいまして、そこで今回きめる定員法についてはこの定員法の数と、それから恒久的にきまつた人が働く仕事人員の数とを揃えるようにすることを基本方針といたしたものでございます。併しできましたあとでもそういう方針で貫くつもりでおりまして各閣僚ともそのつもりでおります。ただ仕事の性質に応じまして、農林大臣の申しましたのもそうでありますが、面積調査のようなものは一年ずつとそうあわてることなしにできますけれども、併し収量調査というような問題になると収穫のある一週間乃至十日なりの間にやつてしまわなければならない。そうすると、一週間なり十日間なりの間のピークのために必要な人員を一年中抱えておくのは無駄であるし、基本的な人員をその時の臨時のものを予算でとつておくことは必要である。そういうことは私も了承しておりまするし、農林大臣もそういう趣旨で考えておられるものと思います。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が非常勤職員として指したのは臨時的なものじやなくて、例えば二カ月ごとに更新することになつておるのですが、その形において更新されておる人があるということを長官に言いたい。  それからもう一つは建設省に例をとりますと、準職員取扱要領というものを定めまして、この十一月一日から六千三名のものを定員外の職員として公務員と同様の待遇を与えるというようなことが行われておる。私はこういうものを長官は認められるのか。片一方では認めつつ片一方では整理をされるという点は私は矛盾じやないか。こういう点をお聞きしておるのです。
  24. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 建設省のほうの準職員数というものは、私は実は行政管理庁としてはこういうものがあるということを全然知つておりませんで、只今お話を承わつて初めて知つたわけであります。これは私のほうとしても内容検討いたさなければならないと思います。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はこの事実があるという点で非常に悪いと言つて長官がお叱りをされるために私はその資料を出したわけではなくて、実際仕事がこれだけあるのだ、こういうふうにやらなければならんのだというその実情を認められまして、そして建設省なら建設省に対するところの整理というものが妥当でないということを私は申上げて、そうして長官のほうで再考慮をするというわけには行かないと思いますけれども、少くともこういう今度の点については矛盾点があるということを指摘したいので私は申上げたのであります。
  26. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 建設省の問題で今準職員の制度についてお話がありましたので、これは私は存じないと申したのですが、只今の問題に関しましては実は今回の簡素化の間にもはつきり意識して問題にして建設省の当局と討議した問題でありますのでお話申上げたいと思つております。  実は前々から建設省の直轄工事の関係問題については、旧内務省時代からこれを直轄工事にしてやるがよろしいか、或いは監督だけにしてそうしてこれを請負に出したほうが国の行政運営の面で能率的かという問題がございまして、これは御承知だと思いますが今回も私のほうで問題にいたしました。一応問題にいたしましたのは全国にとにかくいろいろな職場があちこちにある。建設省の職員もその場合に非常にあちこち移動するわけにも参りませんので、建設事務所を置き出張所を置いて固定的な職員を置いておるわけでありまして、そうすると、おのずからその間に仕事の繁閑ができまして、例えば北海道の方面は非常に忙がしく働いておる。或る部分では比較的楽に働いておるといつたような面が出て参ります。そこでこの直轄工事の問題としては、これはむしろおよそ平均的に行われまする事業量について監督上必要な人員だけにしたらどうかということを考えたのであります。これに関しましては建設省のほうの考え方は、これは成るほど人の繰廻しという関係だけから言うならばこれはこの監督職員だけを置いてそうして請負に出す。そうすると新規な工事をやつている所には請負の関係で人が一ぱい入つておるけれどもやめた所は全然人がいないということができる。併しながらやはり特に河川でありまするが、堤防などについてはやはり直轄工事をやりながらでないと工事自身かうまく行かない。やはりどうしても重要な部分には直轄でやる必要があるし、それからそれほど重要でない部分についても直轄工事を始終やつていることによつて、初めてその堤防を造つた中身が確かかどうかというような監督もできるのだというお話でございまして、私のほうでも成るほど直轄工事は或る程度必要なんだということを考えて、その後建設省との話合いの過程において直轄工事をやり、且つ監督をやる職員、それからもう一つはこの請負に出すもの、又直轄工事の関係につきましても、公務員としても全く常雇いで置きまする人と、それから非常勤職員として雇う人とこういうふうな問題について話合いをいたした次第でございます。準職員なるものは非常勤職員で雇うものの中で特に始終お得意のように来る人の優遇であると思います。大体建設省とも建設省の建設工事に関する人の問題についてはそういつたような趣旨で話合いの結果了承をいたして、今回の整理案を作つたものでございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 請負制度に、或いは直轄のものを或る程度出す。だから人員整理は可能だ、こうおつしやるようでございますが、実際の地方建設局だけで数字をとつてみても八千六百二十六人ある。そのうもで準職員取扱の、いわゆる準定員の者が六千三百名、整理されるのは八千六百二十六名の中で五百四十七人ある。これはただ単に直轄云云を請負にしただけで、そういう理由でこの整理が出て来るということは、私としては何とおつしやつてもまだまだ説明が足らないので納得ができないのかもしれませんが、私はやはり納得ができないのであります。こういう点は長官になお御答弁頂けばいいんですけれども、私としては今の御答弁だけでは実は納得できない、御答弁がなければ私は次の問題に入りたいと思います。
  28. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私はまあそういうラインでいろいろ話合いをいたしまして、そうして建設省との間にこれは自分のほうもその点を裁量しながら、最も向うでいい人を使い最もしつかりした工事をやる意味において、これで結構だというところにまとまつたわけでありますが、やはり具体的の仕事の種類につきましては、なお御不審の点がございますれば、所属のやはり所管長官、建設大臣のほうから話を聞いて頂きたいと思います。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これはちよつと角度を変えまして、中央の行政事務簡素化でございますが、これと地方との関係でございますが、今度の行政事務簡素化は地方に対して何か影響をするところがあると申しますか、地方はまあ自治体だから我々は何も知らんという態度とか指示めいたものでおやりになる、或いは地方もそういうものをやることを非常に期待して何かそれを具現するような形で努力されるか。
  30. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今回のこの定員法改正自体については地方との直接の関係はございません。それはむしろはつきり意識いたしていたしたのでありまして、一昨年の定員法改正に当りましては、地方側もいわゆる出先機関の委譲という要望がございましたし、従いましてあの中には全く公務員として整理をいたしましたものと、それから地方に委譲されることによつて国家公務員から落ちたものとあつたわけでございますが、今回は地方におきましてもやはり仕事簡素化し又財政負担の軽減を図るということが非常に大きな問題になつておりまするので、地方に委譲するというくらいならばむしろもう整理自身もやらないでおく、つまり今回の整理によつて地方へ仕事を移すというふうなことは、これはもうはつきり整理自身の中に取上げないという方針でありました。ただ間接の影響といたしましては、今日中央財政もなかなか骨が折れまするし、中央の仕事能率化簡素化ということも常に必要でございますが、地方のほうにつきましては、今日中央よりも更に熾烈な仕事簡素化なり財政の負担の減少といつたようなことが切実な要望ともなつている事態に顧みまして、引続き地方関係のものについても是非一つ簡素化を実現してもらいたいと考えております。そこで今地方関係につきましては、閣議決定によりまして地方行政簡素化本部というものを作りまして、岡野国務大臣が本部長となり関係の当局がこれに協力いたしまして簡素化案を作つておる次第であります。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは中央簡素化本部ができても私は強制することはできんと思います。併しやられることはただ平衡交付金の中でそれを落して行くことは可能になつて来る。平衡交付金を落すというような形で二十七年度の予算編成にそのことが結論されて、そして平衡交付金をとつて行くかどうかというような点まで大臣にお伺いするのは少し方向が違うかも知れませんが、この点だけ明瞭になつておるならば一つ御説明願いたいと思います。
  32. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 地方に強制することはできんというふうにおつしやいましたが必ずしも全部がそうではございません。今日地方自治体も、府県と市町村のほうとで違いまするが、府県の場合におきましてはその府県財源の八割乃至八割五分というものは、中央財政から出した直接の補助金なり乃至平衡交付金によつて賄われている実情であります。その基本になりまする部分を、その財政面の問題は別にいたしましても、地方の仕事一つは、国の定めた法律に基いて中央の仕事を地方でいたしているものなんでございます。これはその大半の経費を国が持つてやる。それからもう一つは、国で法律は定めませんけれども、国の定めた予算にからむ仕事をしているものがあります。それからもう一つは全く地方のイニシアチブで地方の財源でやつている仕事がございます。この第一類に属しまするものが警察の職員でありまするとか、或いは公立学校の職員でありまするとか、或いは保健所の職員でありまするとか、社会福祉事務所の職員でありまするとか、或いは又農業改良普及員とか、こういつたような問題があります。これは国で法律を改めてそうしてそれに附随する予算を改めることによつて地方公務員の数も減りまするし、地方で財源を分担している部分の軽減が行われる。  それから第二類の問題は、一番典型的なのは公共事業費でありまして、法律は別にございませんが国で予算を組んで、県への補助費幾らとか何とかいうような形で、それに基いて地方は地方の財源を負担しながら、地方公務員で仕事をしている。  それから第三類は、これはもう純粋に地方自治法に基く地方自治体の仕事として地方公務員がやる、地方の財源によつてやるのであります。全部が全部国で意向をきめても押付けることができるというわけでもないのであります。これにつきましては先ず第一部類につきましては、法律自身に或る程度手を入れる、若し何かやるとすれば、簡素化するとすれば法律自身に手を入れる必要があるものもありましようし、法律はそのままで予算が変つて来るものもあろうかと思います。ですから一番大きく響くのは平衡交付金であろうと思いまするが、直接補助金の部分で変つて来るものもあろうと思います。今日岡野国務大臣のほうの仕事の進捗の程度を存じませんけれども、狙いといたしましては成るべく急速にこれをまとめまして、そうして通常国会において法令の整備を要するものは整備し、且つそれに並行して予算にも影響があるものと私は思つております。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そこで今の第二類の問題に入るわけですが、このことは文部省関係ですからその場合にいろいろ伺えばいいかと思うわけですが、問題になるのは、この間ここで承認をされた附属教官の問題があるわけであります。今後何か、尤もこの資料だけではよくわからないわけですが、私の手許で調べたところによりますと、何か二百九十六名の附属教官が切られるということが出ておるわけですが、そうしますと、これが自動的に影響をするのか、やはり県の或る程度の自主性というものを、平衡交付金には関係すると思いますが、そういうものを認められるのか、これがきちつときまつてこういうようにしなければならんというようにされるのか、そこのところを明確にして頂きたい。
  34. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 二百九十何名と申しますのは国立学校の教官でありますから、地方には関係のないことなのであります。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 附属教官、只今それが入つておるわけです。附属教官の中から……。
  36. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 附属教官が国立学校の教官として国家公務員になるので……。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 国立学校の中の三千四百七十二名の附属教官が二百九十六人整理されることになるのであります。そうしてそれが約一〇%に相当するわけであります。これが附属教官というのは大体御承知のように小中学校関係、それに地方公務員であるところの小中学校の整理に自動的に影響をするのか、そうじやなくて或る程度そういうものは県の自主性というものを認められるのかどうか、その点を明確にして頂きたい。
  38. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは国家公務員としての国立学校教官の整理について案を作りましたので、地方行政簡素化本部のほうで地方の公立学校の教員をどういうように取扱つておるということとは別問題であります。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 別問題ということは全然関係なしに平衡交付とか、それから県の自主性においてこれを認めていく、全然関係はないのだ、附属教官を一〇%切つたのだから自動的にお前のほうも地方の教官もこれをこうやれということに対しては全然ノータツチだ、こういうことですか。
  40. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) そうでございます。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 このことについて私はいろいろな角度から、例えば政策の問題が一番大きいと思うのですけれども、そういうようなことは省きまして、試験所とか或いは研究所というものに対して今度の整理をやられる場合に、私は相当どうこうというようなこともあるようですが、相当整理されておるというように考えておるのですが、試験所とか研究所とかいうものは、主として私は中小企業のかたや或いは農民などを対象にして設けられたものが多くて、中小企業のかたたちが単に自分或いはグループだけではどうしても立派な試験所も持てない、或いは増産とか或いは品質の向上というようなことはでき得ないのですから、国でこういうものを建ててそういうものを見てやる、こういう必要があつて設けられたものだと思うのですが、今回こういうものを大巾に整理が出ておるのですが、或いは農民のそうした農事試験場であるとか、研究所であるというようなものに対して、これは中小企業とか或いは農民自体の問題にからんで来るのですが、長官はこれにどういう方針を以て臨まれるのか。
  42. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは総体的な能率化経費の節約化という観点からいたしまして、試験所、研究所につきましては、やはり庶務、会計関係の職員を一割、それからその他の五分ということを標準にして整理をすることにいたしたのでありますが、ただこの間におきまして、この試験所、研究所等につきましても私のほうでは特にどこを整理するというふうなことを特に要望をいたしておるわけではございませんけれども、この試験所や研究所の中にもいろいろな事情があるものがございまして、中にはどうも余り今までの間、地方関係の問題等もありまして細かく分散させて経費も十分なくて能率が上らない。むしろ或る程度充実してやつたほうが経費も少くて、というよりも経費を効率的に運営することができるというふうな考えをもつておられる人もおるようでありますし、具体的に私のほうといたしましては、どこどこに同じような試験所が五つも六つもあるのを二つとか三つとかにしたほうが研究能率は上るだろうというようなことは、指図は国でいたしませんで、各省でそういう意見を聞くので考えられたのを伺つておるだけにとどめておるわけであります。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今五%ということが出たわけですが、およそこれは五%のものであつてそのものによつてはこれが違つてくる。およそのものは大体標準というものは五%であるというふうに了解していいわけですか。
  44. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはこういうふうな、最初の何といいますか話をしますときに、政令諮問委員会答申案が大体こういう形で作られたものでありますから、それを基礎にして話をいたしました。ただ所によりましていろいろな事情各省の状況に応じて若干入れ繰りのできておるものがあるはずだと思います。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ここでは五%という数字が出て来たからどうこうということは私は申上げたくないのですけれども、通産省にあるところの試験所などを見ると約一七・八%までに行くだろうと見るわけですが、それに対しては理由は別にして廃止統合があるから、そしてそれは三〇%というようなことが出ておるわけですが、こういうものに対して民間への切換えというようなことは全然考慮されておらないように承わつておるのですがどうでしようか。
  46. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それは私言葉を落しましたが、今当初そういつたような形でいろいろ御相談している間に落着くところへ落着いて変つてつたのであります。それで場所によりましては陶磁器、試験所及び工業指導所、これだけが特別な例であろうと思いますが、これは従来いろいろ地方事情等があつていくつかあるけれどもどうもこまいものを幾つか置いても仕方がない、それよりもむしろ本当から言えば国立かなんかすばらしいお金でうんと大きなのを作つてやるのが一番いいと思いますがそれも財政事情等で許されない。それでは或る程度これを統合して行くという話でございましてこれは特殊な事例であつたと記憶いたしております。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も通産省の試験所の例をとつてつたわけですが、これについてのいろいろなことについては通産省関係のときにお聞きするところですね、私はもともと設立されたときから言つてより発展させるべき方向にあると思います。それを一応行政整理させるのだという建前でこれを切られるということは、今までに絶えず政府が言つておられたような中小企業を振興させるのだ、或いは農村の増産を奨励するとか、或いは品質の向上に努められることと反した方向にあり、そうして又反した結論を私は出すものだ、こう考えております。従つてこういうような点については、私としましては非常に反対であると意見を申上げさしてもらつて次に進みたい、こう思います。
  48. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私ちよつと記憶を呼び起しました、たくさんの項目がありましたので折衝過程におきましてまとまつたいきさつを忘れておつたので恐縮でありますが、陶磁器試験所、工業指導所の問題に関しましては、政令諮問委員会でこういう意見が出たのであります。こういつた陶磁器試験所のようなふうのものは、今お話のございましたようにその地方の特殊な中小企業を育成するといつたような趣旨が一番主なるべきものだ、国の通産省というような所でやる場合には、まあ大体は通商省の一番大きな問題としては或いは石炭でありまするとか、或いは電力でありまするとか、或いは紡績であるとかいつたふうなものが主体になつてしまつて、特殊の人が熱心に身を入れれば別だけれども極く一部分の問題になつてしもう。そうするとむしろ本当に陶磁器試験といつたふうなものをやる場合においては、これに一番大きな関心を持つておるところのその地方にむしろ移管をして要するならば国はこれに対する経費の支援をし、或いは又大学その他を通じて技術的な問題についての援助をするというほうがいいのじやないかということで、政令諮問委員会答申案としては地方に移管するということでたしか定員をゼロに落すということで原案はあつたと思います。これに関しましては相談をいたしましたところが、やはりそれも一つ考え方ではあるけれども、一つには今回の考え方として地方に新たな負担をかけるようなものはやめようということが一つと、それからもう一つたまたま政令諮問委員会からそういう趣旨のテーマとして取上げられましたのでいろいろ相談して行きます間に、今のようにただ分散しておるのでも大して能率は上らないということで集中的に経費を使つて能率を上げたいというので、通産省との話合いがこういうふうに落着いたのだろう、それのほうがいいのだというふうなことに関しましては、通産省当局に一つ答弁をして頂きたいと思つております。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 民間に移管と決定ですか。
  50. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは通産省のほうでもその後いろいろやり方を考えて研究しておられるようですが、私具体的に非常に細かい最終決定を存じませんので、その点について必要がございましたら通産当局から答弁させるようにして頂きたいと思います。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もここまでお聞きする予定じやなかつた、実は試験所とか、研究所とかいうようなものを一括しましてとにかく整理が出ておる、特に農林関係などでは前からたびたび御意見も聞いておりますが、前に申しましたようにとにかく資本蓄積の殆んどない人たちのためにこういつたものが設けられておるわけです。そういうのを整理するという点については私もやはり反対である。その意見を申上げて具体的の問題については長官も言つておられるように関係の大臣にお尋ねすることにいたします。  次にもう一つ基本的な問題といたしまして、この数字の問題なんですが、聞いておりましてもガソリンの問題で、通産省とよその御意見と違つておるというふうなことで、数字がまちまちなんでございますが、私は政策の決定の上から見まして正しい数字を把握してそうしてその上に立つていろいろなものを考えて行くことは非常に大事だと思います。政府はこの正しい資料を作成されてそうして慎重な態度で今後政策を決定されて行くことが大事だ、こういうように思うのですが、それに対して反対だと私はお聞きしないのですが、非常に尊重されて行く態度ですか、どうですか。
  52. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 本当に尊重して行くべきものだと思います。今までのところでこれが十分でない部分も私はあると思います。今後十分にそれを尊重して参ろうと考えておるのであります。ただこの間、実は運輸省と経済安定本部のガソリンの数字を聞いておりまして感じたのでありますが、内部を知つておりますとよくわかるのです。運輸省のほうではガソリンがこれだけ要るという数字を出す、経済安定本部としては総体のガソリンの要望がありますので、自動車の運営といつても私もちよつと調べたのでありますが、自動車の車台なんかも昔に比べまして大変数がふえておるそうであります。経済安定本部としては、その国全体の状態から見て自動車用ガソリンはこの程度にとめたがいいじやないかという考え方意見の対立はあるようであります。将来数字を尊重するにいたしましても、この間の丁度要求者としての運輸省と総体観点からいつて我慢したらどうかと言つてる経済安定本部との数字の争いのようなものは今後もあろうかと思います。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 尊重されるという、併しこれだけでは私は不十分だ、今の数字の出し方においては不十分だ、そういうようなふうにお聞きするわけでありますが、それでも資料を見たら全部やるという統計関係全部整理されるわけでありますね。而も省たよつては非常によいのや悪いのがあるようですが、やはり私は橋本長官もおつしやつたように、この調査統計全体を尊重するためにこうしたものをどんどん落してしまう。そうして都合のいいような数字を各省が勝手に作つてしまう。そうしていがみ合うというようなことは誠に今後の民主的な政治のあり方として非常にまずいと思う。やはりきりのない話だと思います。私は公務員がやれ七・半に一人の割合とか十九人とかこんな一番大事なことすら少し掘下げて来れば、やれ数字がなかつたとかいうようなことになつてしまうわけですが、こういうものも今度お取上げになつた理由というものがどうしてもわからないわけです。それで分るように一つ御説明願いたい。
  54. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは統計関係人事院整理お話でありますが、私が申しました尊重すると申しますることは、政治を運営する上において今日まで尊重の度合が十分であつたとは考えておりません。ますますこれを尊重しなければならないと考えておるわけであります。只今私がお答え申上げました政治をする上で数字を尊重するという必要の問題は、この統計関係の職員の多寡の問題とは又少し面の違う問題でございますが、勿論数字を尊重する政治をするについては、できるだけ正確な統計調査をやらなければならないのはもう申すまでもないところでございます。ただこれはもう調査統計といつたようなものは本当に堀下げればきりのない、そうして多々ますます弁じておきたいと思います。これはやはり総体的な経費の節約その他を考えてみまして、統計等の問題についてもできるだけ能率を上げてやつてつてもらいたいという趣旨で以て、この面でも全くもうこれ以上は能率の上げようがないということもございませんので、軽微な整備をしてもらうことにした次第であります。
  55. 三好始

    三好始君 この程度で休憩して午後再開せられるようお願いいたします。
  56. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 成瀬君まだ御発言があるかも知れませんが一応ここで休憩しようと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは内閣委員会はこれで休憩いたします。午後一時三十分から開会いたします。    午後零時二十四分休憩    ―――――・―――――    午後二時三分開会
  58. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 休憩前に引続き内閣委員会を開会いたします。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 統計調査の問題にからんで、今度の平和条約で調印をし、そしてそれと同時に宣言されたというような形になるのですが、これが経済統計に関する国際経済議定書、或いは附属書というようないろいろのものの中に、やはり農林関係、或いは物価指数と申しますか、或いは生計費の調査統計というようなものをやらなくちやならないし、又これを忠実に私は政府もやつて行かれなければならないことであるし、そのおつもりだと思います。それからILOに参加するというような問題について、日本の労働調査というようなものの統計というものが非常に重大な問題だと思います。こうした統計調査関係において数を落されるということは対外的に私は信用問題だ、こういうものに対して折角数を、より一生懸命と申しますかとにかく正確な数字を出すことに政府は努力すべき段階にある。そのときに今までよりも、私は何も人を殖やすことがそれは正確な数字をつかむゆえんではないかもわかりませんけれども、数を落して行くということは私はやはり逆な結果が生れて来る、こういうことを心配しているものでございますが、重ねて長官のこうした統計技術に携わる、特にこうした人たちは私は一つの技術者だと思います。首を切つてしまつたそのすぐ次に必要になつたから雇入れるということは私は非常に困難な立場だと思いますから、こういうものに対する長官基本的な何と申しますか、宣言受諾化に関する長官の御見解を承わりたいと思います。
  60. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはいろいろな条約等を閣議できめまするたびに、そのものを検討いたしまして現在の行き方でよろしいかどうかを検討いたしております、勿論いろいろな面でこれももう統計調査というものは完備はすればするほどいいわけでありますが、現在までのところずつと当つて参りましたのでは、日本が加盟いたしました国際条約、宣言等は、今日定員法で考えている通りで十分でありまして、それだけの関係から申すならば日本はやはり世界におきまする同種のいろいろな統計調査の組織等では相当の程度仕事をやつているようでございます。ですから国際条約の宣言等の関係におきましては、今回の定員法によつてその資格を割るとか、著しく信用を害するというようなことはないと考えております。なお統計調査関係の問題に関しましても本当の調査となりますといろいろな面の調査がございます。統計調査関係は一般にこの整理のためのそろばんをやつたり、書類を集計いたしましたりいろいろな極く技術と申しましても軽微な集計等でありまするが、人員というものは相当数が多うございまして、非常に特別な、何か養成しなければ役に立たんというような技術を持つておる部面の人がそうひどく全般に亘つておるというわけではないと考えております。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その技術職員のことでございますが、これは厚生省などにも関係があると思いますが、非常に医療に従事しておる、例えばレントゲンなどを取扱つておられる人たちが今度整理対象に私はなつておると思うのですが、或いは試験所に勤務し或いは研究所に勤務する人は、やはり特殊な私は技能の人たちだと思います。こういう人たちをそう、御都合主義とは申しませんけれども、それにひとしいようなものでやつて行くとか、或いは技術職員というものは、私は三人あるところを二人に減らしたから仕事ができて来るものじやないと思いますが、こういう試験所にしろ研究所にしろ、技術職員関係のものは、こういうものを天引にひとしいような整理をして行くというようなことは私は非常に間違つた態度であると思います。特に医学面で申しましても、単に聴診器と打診と薬だけでなくて、やはり科学的に、足が一本悪かつたらそれをレントゲンで以てやつて行く。或いは胸部疾患というような点でもそうしたことが非常に医学の上においても非常に必要だと思います。それに対して今度の考えから見ましても国立療養所にしろ、或いは病院にしろそうした関係のやはり整理があるのでございますが、或いは私の調査の間違いかも知れませんが、例えばこういうレントゲンなどを取扱つておる人の整理がないのならば非常にいいわけでありますが、若しあるとすれば整理される、そうして今申しましたように歯の技巧をやる人、或いはレントゲンをやる人、おのおのがそう二人も三人もいないと思います。病院でも。やはり一人しかいないのを落して行くということは業務に支障を来たしておると思います。業務を遂行して行く上におきまして非常に支障を来たしておると思うわけでございますが、私の思い過ごしであつて、療養所とか或いは病院といつたような所のレントゲン等を取扱つておる人は、今度の整理対象になつておるかどうか。その点橋本長官、厚生大臣のほうでやつておられるわけですから、この点一つ細いことですが、お答え願いたいのですが。
  62. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはいろいろ算定基礎の数字といたしましては、病院、療養所の中ではつきりと対象から除きましたのは看護婦でありますが、実はこれも病院、療養所関係の人数というものは何万という大きな数でございますが、実際といたしましては、そういつた面での整理は極く少いものと考えております。実は国立病院なども陸海軍から引継ぎました病院がたくさんございますが、正直に申しまして、医者その他欠員が埋まらないで実は困つておるのであります。その理由と申しまするのはたしか二千何百人か欠員があつたと思うのでありまするが、その理由と申しますのは、陸海軍病院といたしましては全国各地に軍隊が置かれておりまするために病院もまあ各地に置かれておつたわけであります。その際におきましては、軍医さんにしても薬剤官にしてみても或いは看護婦長としてもそうでありますが、任命権者の命令によつて配置をされておつたわけでありますが、これが厚生省で引受けまして、一般病院になりまするとまあ辺鄙で余りお医者さんや薬剤師は都会の学校を出てから行きたがらない所にありますし、又一般病院としてはそう忙しくないような位置に病院があつたりいたしまして、これは成るべくならば折角のことで埋めたいと思つて努力をいたして参つておるのですが行き手がありませんので、欠員が埋まらない人数が相当にあるわけです。又何も空きがあるからそれだけは落したというばかりではございません。病院、療養所等は御承知の通り患者あつてのもので、その患者に対するサービスに欠けるところがあつてはなりませんのでそこは十分に考慮いたしまして、今殆んど病院の実態から申しまして支障のない程度に、特に医者、薬剤師、X線技師等には余り実際に人を減らすことはなかろうと思つております。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そこで欠員の問題が出て来たわけですが、これはまあ厚生省関係だけに限らず、私は全般的なことで伺いたいと思うのですが、どうもずつと見ましても欠員が非常に多い。その欠員が多いから今度やはり一つ整理をやつても差支えないのじやないかという一つの理由にも私はなつておると思うのです。そこで長官のほうでは、欠員がなぜ出て来ておるのか、どういう点について行き手がないのか、辺鄙な療養所などへ行くなら生活がしにくいから行き手がないのだというような単なる理由ではないと思うのです。もつと根本的なものは、何と言つても生活をして行くサラリーがそれに迫つつかない、だから医者も行かないのだというようなことが私は言えるだろうと思います。又例をとればその他たくさんあると思います。そういうようなものに対して、欠員があるから首を切るという、若し理由がそこにないとおつしやるかも知れんが、それが一つ要素になつているのではないか。ですからこれは一つ欠員を埋めるというような対策については、根本的なものがやはりベースの問題になつて来るかと思いますが、とにかく今の長官お話では、この病院関係に戻るわけですが、欠員があるから大した出血はなしであろうというような御答弁に聞えるわけです。若しそうだとするならば、私はABCとあつたときにABはいつぱいになつてつてCだけが非常に不便な所にあるから欠員になつておる。そこで整理されればAやBに勤務しておる人はCの所に替つて行かなければならないというようなことは、やはり生活を脅されることになるのであつて、首切りじやないのだけれどもABがCに替ればいいとおつしやるけれども、これはやはり実質的には、    〔委員長退席、理事松平勇雄委員長席に着く〕 首切りが出て来ると思うわけです。それで、こうした問題を大きく申しまして、欠員補充対策というようなものについてどういうような基本的な考えを持つておられますか。
  64. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今のABからCへ移すというのはございません。これは病院、療養所等の関係は、各病院ごとということでお考え願えばいいと思います。今申上げましたのは特に医者とか薬剤師という極く特殊のものについてお話を申上げたのでありまして、こういうものは病院があるために欠員ができるのであつて病院がなければできるはずはないのです。それで欠員補充の対策というお話を伺いましたが、それはもう確かに場所が辺鄙であることもありますし、月給の安い点もあろうと思います。併しまあ陸海軍病院を引受けました国立病院なるものにつきましては、やはり配置計画自身が軍の要請でできましたものと、それから一般の民間の病人を引受けるという態勢に引直した分との間のちぐはぐというものはどうしても出て参りますので、勿論私どもといたしましてはできるだけ補充をしたいと思いまして、各所管の部局から、或いは大学その他にも働きかけて人の補充に努力をいたして参りましたし、それから給料の問題につきましてもこれは一般職の職員としてやるのは無理だ、今度給与準則を設けまするときには、今日までの病院療養所の職員は、給与がたしか普通より一級上がることになつてつたかと思いまするけれどもこれではどうも無理なんで、国立病院のお医者だから国家公務員には違いないのですけれども、給与準則で特別な給与を立ててもらいたいといつて話合をいたしております。大体人事院のほうで今度給与準則をきめますときに、お医者や看護婦等に関する特別給与というものができるじやないか、それによつて或る程度今御指摘のございました問題についても解決の一助に相成ると思つております。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 只今細かい病院の関係でABCで云々というふうなことで実質的な整理はない、相対的な問題だという御答弁がありましたが、この点については厚生省関係において長官と少し意見を異にしております。この点については各省別審議のときに譲りたいと思います。  次に長欠者の問題でございます。長欠者は今度整理対象にはならない、こう言われるわけですが、長欠者が復活して来た場合にその取扱についてどういうようなふうにされておるか、定員がきまつておるから帰つて来ても定員が一ぱいになつているからやめなさいよ、こういう態度であるか、この点を承わりたいと思います。
  66. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 長期欠勤者の問題に関しましては、これはもうお話のございました通り、万一治つて参りましたときに定員がかちつと一ぱいになつておれば、これはもう治つて定員の中に入れられないということはあり得ると思います。併し大体まあ必ず年中同じだけ病人が出るわけでもございませんけれども、大体においてまあ非常に私の厚生行政が効果を挙げて長欠が二%だつたのが二年たつたらゼロになつたというふうにして定員を入れるのに困る程度にしたいと思うのですが、なかなかそうも行きませんので大体或る程度あるもので間に合せる。従いまして新規に病気になる人もありましようし、又大体におきましてそういう形でなしに、自然退職の数字というものも或る程度年ごとにあるものでございますので、大体はまあどこの役所でも一人も定員のすきがなしに一ぱいになつているということはまずまずございませんし、長期欠勤者で病気が治る日というものは、長期欠勤者が或る日を期して一遍に全部治るということでなしに、大体休んだ日から二年目なら二年目というときに或る人が出て来れば定員に入れるということになるので、実際問題としてはもう本当に治つてつて来る人を受入れるに困ることは、まあよほど何か特別な事情があれば別でありますが、治つてつて来たけれども定員が全部一ぱいでどこにも入れないということはまずまずなかろうと考えております。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そのお考えは私は長官がおつしやるようなふうになるなら誠に歓迎すべき事態だと思うのですけれども、実際問題として又病気になつて次に又病気になるのじやないかというような、使うほうの側になつてみれば私はやはりそうは行かんと思う。そこでやはり総体的な定員はないかも知れんが、その課において欠員を入れてしまつてその課で課長が頑張つてしまつて採用をしない。従つて総体的には欠員があつても駄目になつてしまうというようなことが起つて、折角今度の定員法では長欠者は除外する、併し実質的には含まれる、こういう心配をしておるのです。而もその場合に八割乃至四割もの折角の退職金をそういうようなことでもらえそうもないというので、実は長欠者の中において自然退職が出て来やしないか、こういう実は心配をしておる一人なんです。  ここで考えてみたいしそれからお伺いしておきたいことは、そういうような場合に対して何か少しは温情的な取扱いというようなものを或る程度認められましようかな。どうでしよう。
  68. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは実際がまあ成瀬さんもお仕事で奉職をしておられるときにもたしかそうであつたと思いますが、私どもが知つておる範囲におきましても同じ課の中で病人が出たりいたしますと、やはり二年たつてつたら大体喜んで迎えるのが筋でありまして、その際に定員が一ぱいでどうでも入れないからと言つておしまいにしてしまうというようなことは私ちよつと考えにくいと思うのです。自然退職関係の問題については、私は、仮にその長期欠勤のかたがまあ或いは二十年も三十年も勤められたかたであつて、今回の八割増で数十万円退職金をもらえるし、相当年をとつておるからむしろ退職したほうが得だといつたような場合で自然退職を選ばれるのなら別ですけれども、そうでない限りはこの時節じやあやはり職についておるほうが安心なので、恐らくは定員外で休養をするということを望みましようし、今日では政府職員共済組合なんかでも、本当に一年二年休養することができるだけの、生活に困らないで休養もできるだけの設備ができておりますので、私は、特別な場合で自然退職を相当な年輩のかたで選ばれたかたのほかは、大体定員外でやつて行くと思つております。今特に温情的なというお話がございましたけれどもむしろ私は大体が特別にひどい目に会うということなしに済まなければいけないと思いまして、実は初めからこの制度も考えて、先ずこれをきめて頂いたいのですが、先ず私はそれで心配なかろうと思うのですが。
  69. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次にまあ整理基準とそれから審査請求のことでいろいろと議論があり、御意見もいろいろありまして、大体私は委員会の意向としては反対の御意向のように伺つておりますから、あえてお聞きするわけではございませんけれども、長官として不当免職ということが私はあり得ると思うのです。例えば今度の定員法なんかにつきましても長官は首切れという、厚生省において長官の下の者が首を切られちやあとても事務が大変だというので反対するとどうも課長はけしからんと言つて首を切られる、これは不当馘首だ、こういうようなことが起らないように何か防ぐというようなことがあるかというと何もない。審査請求のこともないしそれから整理基準も作らないと言つてつて、そういうことを防ぐ方法があるのか、防ぐ方法があるとすればこの際教えて頂きたい。
  70. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) まあその点は前々から申上げました通り整理基準を設けて、総体の中で成るべく能率の悪い者とか勤務成績の悪い者、或いは中の折合いの悪い者から先にやめさせて行くといつたような基準をきめることが、その人の将来にとつても気の毒であり実際いろいろ問題があるということで、整理基準は前に申上げましたようなことで作りませんでした。ただそうしますと、たつてお話になれば、今言つたようにそういうことは考えられないとも限らないから、ということを言われればそうでありますが、たださえこのむずかしい行政整理の退職といつたようなときに、私はそういつたような方式ではもう到底部内が治まることができませんので、これはもうおのずから万人の見るところ無理のないところが必ず行われ、そうして行われないで無理をした場合には必ずやそこで非常に問題が起り、自然のチエツクは必ず行われるということを信じまして、特別な方法を講ずるというようなことはまあ必要はなかろうと考えるのであります。
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 部内で問題が起きると思う、こうおつしやるわけですけれどもどういう形で起きて来るのか。少くとも審査請求があるということならそうした口火が切られると思うけれども、そうしたことでないと問題の起りようがないと思う。首切られることは誰でも恐い、誰でも嫌だ、無理な泣寝入りの首切りについてはむしろ私はそういうことはないほうがいい。やはり長官の本当に私はやはりそうしたことは良識を信じまして、万々一ないとは思いますけれどもそれが全部ないとは思わない。そこで若しそういうことが起きた場合にはこういう一つのことができて、そうしてその不当というものは救済されるのだという点だけは是非そういうことは与えておかなければならない。そういうものも作つておかなければならないことでございますから、この点長官、大臣と私の意見があれですが、ここでやるべき段階じやないと思いますからやめますが、総体的に私の申上げたいと思いますのは、何と申しましてもやはり人員整理を今回やられるのであつたならば、例えば経済政策面において統制問題はどうしてくれるのだ、或いは社会問題はどうするのだと、或いは文化行政の面というのはどういうようにして現わされて来るかということが、私は少くとも今度の人員整理の上において、政府がいろいろと政策を標榜しておいでになりますが、そうしたものが今度の人員整理の間にも滲み出して来なければいけない、そうしたものが全然ないと、天引と申しますか、事務能率化というこの一点で事務整理、天引整理というような形にしたということは、私は非常に遺憾なことである、こういうことを申上げて私の質問を打切ります。
  72. 三好始

    三好始君 私はこの前一応総論的な御質問をいたしましたので、今日は先ほどの成瀬委員の終りのほうの質疑に関連した問題と、この間落ちておつた二、三の問題をお尋ねいたしたいと思います。  成瀬委員の質疑に関連した問題と申しますのは、附則第五項の審査請求権の問題であります。この前私は政府に御忠告するという形でこれは削除したほうが政府のためにいいのじやないかということを申上げたわけでありますが、整理基準とこの附則の関係の問題であります。整理基準があれば審査請求が続々と起り、且つそれを審査しなければいけないということになりますのでこういう附則が必要になる。ところが整理基準を設けない場合には審査を請求しても審査のしようもありませんし、そういうことを審査する側でもわからんだろうから実際問題として審査はないと、こういう結果になりはしないだろうかと思うのであります。現に自由党内閣の第二回整理に当つては、この前私が指摘しましたようにこれとそつくり同じ原案が出ておつたのを本内閣委員会で削除修正をいたしたのでありますが、先般浅井総裁に聞いてみますというと審査請求は一件も出ておらない、こういうことなのであります。整理基準があつて初めてこういう附則が必要であつて、今回のように整理基準を設けない方針をとる場合、実際問題としてこういう附則はなくとも政府が心配される事態は起らないのじやなかろうか。こういうふうに思うのでありますが、この点伺つておきたいのであります。
  73. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 心配するような事態が起るか起らないかは別といたしまして、先般来申上げましたようなことからいたしまして、繰返して申しまするが、本来の行政整理という筋から申しまして、どういうふうな成績が悪いからやめさせるといつたような趣旨でもございませんので、何人はやめてもらうという観点からいたしまして、整理基準を設けてどうどういう人にやめてもらつたのだということは、建前上筋はあれだというので作らないのでありますが、それと関連をいたしまして、本来特定の人の特定な性質等によつてやめさせるという筋ではなしに、何人かは当然落すということでありますので、そうするとその間に審査請求をするというのは、建前上の問題としてこれはやめておくほうが筋道だというふうに考えております。実際やりましたときに、心ずしも非常に数多く出て来て困るだろうというふうなことについてはあまり特別に考えておりません。
  74. 三好始

    三好始君 この問題は先般もお尋ねした問題でありますからこれ以上お尋ねすることはいたさないことにして、次に一言お伺いしますが、資料提出がありますので、自然退職と首切り、行政整理関係について所見をお伺いいたしたいと思うのであります。先般労働大臣に伺つていますと、今回の整理によりまして実人員では六万内外の首切りという、こういう説明であります。ところが自然退職の資料を求めておりましたのを行政管理庁のほうから先日頂いたわけでありますが、それによりますと、昭和二十四年十月から二十五年九月にわたる一カ年間の退職状況でありますが、定員又は定数の改廃による退職者が六千六百五十六名あるのに対して、それ以外の一般退職者が六万五百四十四人になつておる。このいわゆる行政整理によらない退職者が六万有余になるということは、今回の整理の実人員が六万内外という数字とやや一致するわけであります。勿論各省、庁の自然退職の実情と、今回の整理の数字とは一致しないと思いますけれども、総体の数字はとにかくよく似ておる。こういう状況なんでありますが、首切り行政整理はしばしば指摘されましたように非常に整理される者にとつては大問題でありまして、家族一同非常な問題なんでありますが、そういう非常な摩擦を敢行してまで首切り行政整理を強行するよりは、こういう自然退職の状況なども考え併せて、例えば新規採用を一時中止して自然退職によつて人員が減るのを見て、それに調和するように摩擦なく人員を減して行く措置を考えて行く、こういうことのほうが適当なのじやないかという気持も実は起つて来るわけであります。これは特に自然退職の数字と今日の行政整理の実人員とがほぼ一致するということから、特に一つの方法として浮んで来るわけでありますが、これに対する長官の御意見を承わりたいと思います。
  75. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 自然退職に関しましてはお説のような考えがあるかと思います。行政簡素化本部で話をいたしておりますときにもそういうふうな意見が出ていました。又資料を御覧になつてもわかりますように非常にむらがございまするし、それから又これはやはり年によつてかなり違う、自然退職者の内容等につきましても私自分で持つております厚生省などで見ますと、女子の退職者なんかが元相当ございましたが、今日では結婚による退職は非常に少くなりまして、女子の退職者というものが非情に少くなりまして、一般退職の率というものも年によつてだんだん変つてつております。やはり行政整理といつた建前でいたしまする場合において、私はやはり定員減をきちつときめてかかる、併しその定員の期間については相当巾を持たせる必要がある、その間に一般退職で入る人があればそれを受入れていくのが非常にいいと思つております。今回の場合におきましては、法制上のおもてからは一月の一日から六月の三十日ということに相成つておりますが、これは閣議決定になりました十月一日以後の退職者には八割増の退職金と、それから退職金課税についても遡及して軽減をすることに相成つておりすまので、実質的には九カ月間に相成るわけであります。只今お話のような部分も取入れまして、つまり総体のむら等も考えてやはり定員減というものは一勢に行わなければならないし、その間に一般退職というものを、つまり自発的退職というものをできるだけ取入れること等を考え合せまして、この実質的に九カ月間の整理期間を設けるというところに妥協的に話をまとめて参つて、これが一番妥当ではないかと考えておる次第であります。
  76. 三好始

    三好始君 それではもう一点お伺いいたします。第一回の行政整理の際こういう問題が出たのであります。定員法の制定によつて大量の整理者が出るわけですが、そういう法律で無理やりに整理せられるものは、増員なり或いは新規採用なりそういう新たに行政機関に人員を採用する場合には被整理者に優先的に再就職の機会を与える、こういう意味の政府側の答弁がなされたことを私記憶いたしております。速記録を調べての話でありませんが、私の記憶が間違いでないかどうかを確かめるために、専門員にもちよつとはなしをしてみたのでありますが、両者の記憶は一致しておるので多分間違いないと思うのであります。そういうふうに第一回の行政整理では、被整理者の再就職について優先的な取扱をするという言明がなされておつたのでありますが、今回の場合その問題はどういうふうに考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  77. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 十月の五日にこの行政整理に関する閣議決定をいたしまして、十月の十日に人事課長会議で案を練りまして、あと次官会議できめたものがございます。それにもう今回の人員整理に関連いたしましてできるだけの退職者のためのいろいろの世話の問題でありまするとか何とかいうことを相談をいたしたのでありますが、その中で当分の間というのは、おおむね人員整理の完了する時期を目途といたしまして学校の新規卒業者の中から適当ないい者を採つて行くほかは新規採用を原則として行わないこととして、今後欠員補充又は増員を必要とする場合には、政府部内において配置転換及び退職者の優先採用を考慮することにいたしました。この場合採用試験だとか給与条件等については特に考慮いたしまして、つまりそういつた人たちは採用試験や給与条件を一応人事院規則の建前においてやりますけれども、成るべくそういう人を入りやすいようにして、そうしてその実施に関しては各省庁間で緊密な連絡調整を行うということをはつきり政府部内で決定をいたしまして、これを実施するつもりでおります。
  78. 三好始

    三好始君 只今の御説明で了解できましたが、その場合退職金の関係はどういうふうにお考えになつておりますか。例えば整理されて八割増の退職金をもらつて、数カ月たつて再就職したという場合は、整理された人は非常に有利な結果になると考えられるわけでありますが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  79. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実はそういうことがありまして、例えば婦人の職員でお嫁に行く人がきまつてつて、殊に暮から正月というような割合に結婚の問題が多いものですからこれはどうも八割増というのはひどいではないか。お嫁に行く人はよしたらどうだというような特に結婚の問題などが話に出たことがありますけれども、どうもそんなことをするのもどうだろうか。たまたま得をする人もあるかも知れませんが、やめる人にはとにかくこの期間内はやはり行政整理ということにしようではないかということにいたしまして、只今お話にたりましたような一遍やめておいて又もぐり込むといつたようなものは、それはまあ、(笑声)ただ一度やめるくらいになりましたら、それから又というのは比較的少いので次官会議で考えておりますのは政府部内の配置転換を一番考えたわけであります。そういう場合は比較的少いだろうと思いますが、現実に当つてありましたら何かそのとき対策を考えることにいたしたいと思います。(笑声)
  80. 三好始

    三好始君 退職金を八割増もらつて数カ月後又もぐり込んでやろうと、そういう冒険を敢行しようというものは余りないだろうと思います。それで優先的に採用するという原則があることはいいことと思うのでありますが、退職金等の関係があつてそのために優先的に採用するという一応の方針がありながら、意識的に採用しないような結果が起る、そういうことになると原則をきめたことが何にもならないことになるから、そういう点については余り意識的に被整理者を採用することを抑えるというような結果にならないように希望を申上げまして、この問題の質疑を打切ります。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほどちよつとお尋ねしなければならんことを忘れましたので改めて伺います。実は公共企業体の郵政或いは電通関係整理の問題についてお尋ねしたいのでありますが、どう見ましても電話で言うならばだんだんふえておりますし、郵便業務関係でいいましても随分ふえて来ております。殊にサービスと申しますかとにかく成績を挙げて行く上においてやはり妥当な人員はやはり必要と思います。その限度というものは非常にむずかしいものと思うが、少くとも郵政関係或いは電通関係においていろいろ私の調査した範囲におきまして、とにかく今の人員ではやつていけない。そこで超過勤務を全部やる。但し超過勤務をやる場合、業務命令という形で出すと超過勤務のお金を支払わなければならん。そこで超過勤務の業務命令は出さない。併し例を窓口の為替などを仮扱つておる人にとりますと、今回受付けた分だけは自分で収支決済を明らかにして幾ら入れて幾ら出したということをきちつとやらなければ私は次に引継げないと思います。又そのことは毎日報告することになつておる、そういう関係で非常に業務命令の出たところの超勤じやないけれども、実質的に超勤は非常に多い数字が出ておる。長官はこういうような点について郵政関係或いは電通関係においてお調べになつたことがあるかないか、この点をお伺いいたします。
  82. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 郵政省、電通省の仕事のしぶり等に関しましては、業務命令なしにわざと超過勤務を一般的に行なつているという話は聞いておりません。ただ具体的な仕事内容に関しましては、これは所管大臣のほうから若し必要があれば内容をよくお聞取りを願いたいと思います。
  83. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その点は所管大臣に尋ねられたのですか、そうじやなくて、ただ自分としてこう思つておるという見解でございますか。
  84. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今お話のありました、つまり郵政及び電通については業務命令なしに一般的に超過勤務を行なつているという報告を受けておりません。私もそれほどであるというふうに考えて特に調査を依願したこともございませんという事実を申上げたわけであります。
  85. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今度の定員整理班の問題ですが、ただ警官だけはふえておる、あとは全部削られておるが警官は二千六百人ふえている。
  86. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 今度の場合にはふえているということはございません。警官につきましてはこの前の警察法の改正で五千人を限り増加することができるということになつておりましたのを、今回二千六百人ということに改めましたので二千四百人は定員から落ちることになります。
  87. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、この警官の新しく、今現に私は実人員関係で言うわけですが、できるということになつております。それを入れちまつたわけじやないというのですか、入れちやつたのですか、五千名を。
  88. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 特にまだ入つておりません。
  89. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから私は実質的には増員になるのは約十七%に相当するところの警察官二千六百人は殖えていると、こういうふうに思うわけです。
  90. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 警察官につきましては、この春の通常国会におきまして警察官をどうしても五千人ふやす必要があると、それでそれは学校に入れて訓練をするのでふやす必要があるということに相成ります。併しながら予算がありませんがこの予算に関しては結局臨時国会或いは次の通常国会において補正予算をとるまでの間、既定の予算の中で支弁することができるから、取りあえずこれを定員外で五千人ふやすことができるという決定をしたのであります。それで国家地方警察本部のほうにおきましてはこの五千人の採用について採用試験を行いまして入れることをきめました。ただこの行政整理の問題もございまして、これをこのまま実現するのはいけないと思いまして、採用試験が済んで人まできまつてつたのを、法務総裁と相談をして法制的にはやれることになつてつたのでありますが充実をとめたのであります。そうしてその中から二千四百人削減をいたすことにいたしまして、で、警察官をふやしたというわけではありませんので、五千人の増員をとめましてそうしてそのうちで二千四百人は落したのであります。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この点、例えばまあこの自治警から国警に引継がれたかたやいろいろなものがありまして、私は結局は三万人と、それで前の通常国会において五千人認めて三万五千、これに対して結局差引きましてあれこれして四万八千人、こうなつております。なんとしたつてふえておる、こういうふうにまあ思うのです。
  92. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) その国警に関しましては地方からの移管が一万三千人ばかり、それから只今の五千人の中の二千六百名、それが従来の三万人については、国警についてはふえるという形になります。
  93. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは非常に三好委員質問にからむわけでありますが、恩給の点が、厚生大臣所管外だと思いますが、再就職した場合に恩給の継続ですね、こういうふうなものについては何か問題を考えられておりましようか。まだ全然出ておりませんでしようか、話は。
  94. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 恐らくお尋ねは再就職をした場合に、行政整理で一般より八割増余計もらつているときは、何か差引くなりなんなりしないと不当な得をするようなことはないかというような御趣旨であるかと思いますが、恐らく恩給法の上で何らかの措置はあるものかと思いますが、私、そのほうについて詳しい知識を持つておりませんし、ここに出ております行政管理庁次長も余り正確な知識を持つておらんと思います。
  95. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はそういう点と、それから地方公務員関係で言いますと、これは続かなくなつておるのですね、現行法規でいうと。そうするとまあ非常に有利になる人と不利になる人とが余りにもひど過ぎるのですね。ですからそういう点で何か検討されておるかどうかということをお伺いしたいのです。
  96. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今の問題、恩給法にからむ問題で私存じておりませんが、ただ前にどの部分かわかりませんが、地方公務員と国家公務員との間で恩給を通算する制度が昔はあつたように思います。そうして府県財政と国の財政の間に受入払出をやつてつたと思いますが、終戦後何か警察官か何かの関係で、只今御指摘のような恩給関係の問題があつたように思いますがどうもはつきりした知識は持ちませんので、必要がありますれば恩給局のほうで一つ御答弁をしていただきたいと思います。
  97. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 就職の斡旋のことでございますが、ただまあその責任なんと言いますか引導を渡した人が責任を負うて就職の斡旋をするという程度の失業対策の問題は、それは労働省の職安だとか、あとは就職斡旋ということもまあ当然お義理だからやるという程度のものか、これに対して何か今度の整理に関して就職を斡旋することによつてなんか具体的な処置とか、或いは予算関係のようなことをなされておりますか。
  98. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 就職斡旋の問題につきましては、これはもういつの行政整理でもそうでありますが、今度も最も力強くやつておりますが、やはり今まで勤めておつた省庁の就職斡旋というものが一番力強いのでありまして、それで労働大臣が先般話しておつたところによりますれば、大体それで六割ぐらいは片付いておるということでございます。今回の先ほどお話を申上げました次官会議の申合せにおきましても、各省庁において退職省に対して就職斡旋を強力に行いまして、それが容易になりまするように、退職者の民間企業への就職制限について人員のほうで寛大な措置をしてもらうこと、それからなお民間企業への就職斡旋の強化を図りますために、その上の問題としては、公共職業安定所の機能を全面的に活用いたしまして、求人開拓を行いまするのと、必要に応じまして、公共職業安定所、関係各官公庁、及び産業団体によつて構成する協議会を設けまして、就職斡旋の強力体制を整備しその円滑化を図る。なお又それを各省だけでやるというだけでなしに、人事主任官会議におきまして各省からの配置転換について斡旋いたします。それからその上更に必要な場合を考えまして、臨時応急の職業補導施設を拡充いたしまして技能修得をさせて、職業安定所の就職斡旋の万全を期するように措置をいたしておるのであります。やはり一番効能のありますものは、各省庁みずから就職斡旋をいたしますのと、人事主任官会議で相互に連絡をとりながらやる、更には公共職業安定所、関係各官公庁、産業団体で協議会をやるということが一番効果があり、それを力強くやつておるのであります。若干行過ぎかと思いまするのは、実は私の所へ昨日も人が来まして、地方の関係の会社の好きなのをとつていいから、一人ずつ引受けるという勧誘を出して、産業団体との協議会で話合いをするというような話もございまして、余り無理のないようにはいたしたいと考えておりますが、各省庁と、その人事主任官会議の連絡で就職斡旋を力強くやるということで大体六、七割は片付いて参ると思います。一般の公共職業安定所の手を通じますものは、相当少いのではないかと考えております。そうして数の少いそういうものにつきましては、職業補導施設の拡充ということが相当効果があるものと考えております。
  99. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 失業対策の面につきましては、この前労働委員会との合同委員会ではつきりせられておると思いますから、或いは長官のここで四千万円も計上してやるということも承わつたと記憶しております。長官にこれ以上ここで具体的な問題をお聞きするのはどうかと思いますのでこれで失礼します。
  100. 上條愛一

    ○上條愛一君 私は一般質問を二、三の点についてお伺いしたいのですが、第一は公務員の整理問題ばかりでありません。一般民間の企業によりましても、最近中小企業が不振の結果失業者を出しておるのでありますが、こういう首切り問題については準備が必要であると考えられるのであります。殊に退職金が増額せられましてもそれを以て幾ばくの生活も支えられませんのは勿論でありますので、首を切られた場合における生活をどうするかという問題が重要問題であると思います。殊に厚生大臣でありまする橋本長官にお伺いしたいのは、こういう失業対策の根本的の一つといたしましては、社会保障制度の確立という問題が重点であると考えられるのであります。失業保険の充実或いは医療の完備等は重要な問題だと思いまするが、すでに日本においては社会保障制度審議会において案が答申されておるのでありますが、こういう根本的の対策と共に、社会保障制度を至急に確立しようという準備がおありかどうかということを御質問したいと思います。
  101. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 社会保障制度の問題に関しましては、私は今日の日本の社会保障制度が、そうした日本の今日の国情から申しまして、世界に恥かしくないものであると私は考えております。御承知のように社会保障制度はイギリスにおいても六つぐらいの体系から成つておりまするが、日本の現在におきましても、国民健康保険と健康保険と、政府職員共済組合、或いは又生活保護というような面で、医療衛生関係の施設といろいろな公的扶助社会政策の面が次第に体系だつて参りましたけれども、今日なおその組織的体系においてこれで十分であるとは考えておりません。体系整備も必要でございまするし、それから個々の問題に関しましても更にこれを充実させて参る必要があると考えております。昨年受けました社会保障制度審議会答申案につきましても、その後それに関しまして、或いは結核の対策にいたしましても、或いは社会福祉関係仕事にいたしましても、或いは又近く実現しようといたしておりまする遺族傷痍軍人の対策といたしましても、逐次これが充実を図つて参りまして、で私は昨年の答申案を頂きました際に、保障制度審議会答申通りのものを、いつまでに実現し終えるであろうかということについては、今日ここでそれを確答申上げる自信がございませんけれども、私は日本の将来として、やはりあそこまで行くように年と共に月と共に努力をいたして参るべきものだと思います。一遍にはなかなかできませんので、昨年から今年にかけまして実現をいたしましたところに引継ぎまして、私は今日本年から来年にかけて努力をいたしておりまする主眼点の問題は、健保、国保の医療費の一部国庫負担の実現、それからもう一つは、国保の従来の赤字の解消、それから結核のベツドを規定の計画に従つてこれを更に進めてふやして参りますことと、それから又この遺族傷痍軍人対策を確立いたしますることと、そのほかにまあ細かなものはいろいろございますけれども、大きなものについては今日それを主眼点といたしまして努力をいたして参つております。
  102. 上條愛一

    ○上條愛一君 私がこの問題を重要視するゆえんは、一般国民も病気になつた場合にどうするかということが重要な問題でありまして、殊に失業いたしました際において病気の際の対策が一番の悩みであると考えるのであります。橋本長官日本の社会保障制度は漸次に充実して行きつつあると見られるのでありますが、私はその傾向は認めまするけれども、今日において健康保険すら昨年の四月において三十億の赤字が出まして、その結果これを国家が何ら補填せず健康保険料の値上げによつてその一部分を埋め合せようというような事情であつたわけでありますが、そのような医療の問題につきましても、或いは生活保護法の対策にいたしましても、日本の現状においては失業した場合にその生活をどうするか、殊に病気になつた場合にどうするかというような点については、なお急速にこれを充実する必要があると考えられるのでありますが、橋本長官の今のような御発言だけでは我々は満足できないと考えるのであります。  殊にもう一つお伺いしたいのは、失業者に対しましては、職業補導或いは転職斡旋というようなことをおやりになつて、この公務員の失業対策の一つといたしたいということであるのでありまして、これは私どもも諒とするところでありますが、ただ一つ問題は、今日転職する場合において一番の勤労階級の悩みといたしまするものは住宅問題であります。幸いにして職がありましても、自分の現住所よりも遠方に職がありまする場合においては住宅がどうにもならんのであります。従つて失業対策の一つとしては、住宅政策というものが重要であると考えておるのであります。ところが日本の現情を見ますると、大邸宅や或いは娯楽機関や或いはビルデイングのごときものは、相当資材を投じて建設されつつあるのでありますが、一般庶民の住宅政策に対しましては、皆無とは申しませんけれども誠に不十分な現状にあると考えられるのでありますが、こういう住宅政策に対して長官はどういう具体的の対策をお考えになつておるかを承わりたいと思います。
  103. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはまあ直接には今建設大臣の所管しておる仕事でございまするが、国民の厚生に関することとして重要な関心を持つて常に連繋をとつておるものであります。今お話がございましたが、甚だ失礼でありまするけれども終戦以来の各内閣を通じまして、今日の吉田内閣が住宅政策には一番力をたくさん入れて参つたと思いますが、それで勿論私も今日の状態で十分だとは思いませんが、やはり一番基本的な問題は、一つには昨年あたりから力を入れて参つておりまする不燃性の鉄筋コンクリートの庶民のアパートの建設を地方団体へ補助をいたしまして行いますることが一つ。それからもう一つの問題は、住宅金融公庫によりまして、或る程度建てる資力のある中産階級の人たちの住宅建設を援助いたしますることが一つ。それからなお更にそれよりもずつと骨が折れるかたがたに対しましては引揚者関係の厚生住宅といつたような面をやつてつておるので、それで勿論まだまだ十分ではないと思いまするけれども、この住宅政策に関しましては住宅金融公庫の問題、それからアパート建設の補助の問題にいたしましても、厚生住宅の問題にいたしましても、特に昨年あたりから終戦後の日本としてはかなり程度に住宅対策らしき住宅対策を立てて参つたと思います。今後この点につきましては御指摘のありましたように、単に失業対策の問題のみならず、私として一番関心を持つておりまするのは、結核の対策などにつきましても住宅問題の解決なくしてはもう到底或るリミツト以上には進み得ないことを痛感をいたしまするので、保健衛生の問題に関しましても、或いは又国民道徳の面から申しましても、住宅対策は今後政府として力を入れるべき非常に大きな項目の一つであるということは我々としても十分痛感しております。上條さんから今お話のありましたことにつきましては、私の今後の施策についてもなおなお十分に心して行くように考えたいと思います。
  104. 上條愛一

    ○上條愛一君 長官お話で吉田内閣は相当住宅政策に力を注いでいるというお話でありました。これはイギリスのごとくすべての建築に優先して庶民住宅を建設するということにこれは主力を注ぐ必要があるのではないか。今日日本の現状を見ますれば、吉田総理大臣は国外に対する講和問題を控えて大きなビルデイングの建設は心すべきであるというようなお考えを新聞紙上でも伝えておりますので、そういうことでなしにもつと真剣にこの問題は考えて頂かんというと、国民生活の上からいつて重大な問題である。殊に失業問題などにからみましても、住宅問題は重大であると考えるのでありますがこれ以上は申しません。  次にもう一つお伺いしたい問題は、今回の定員法改正によりまして失業せられまする場合において、自発的退職を先ず募られるというお話であります。それでこれについて懸念されまする一つの問題は、先ほどもお話がありましたように、そういう場合において結婚適齢期に臨んでおりまする女子が、退職手当も八割増というような条件からいたしまして退職を希望する者が多いのであります。数から申しましても約四分の一を占めているのであります。そういう傾向が強くならないか。  それからもう一つは或る省の当事者のかたも申しておりましたが、自発的の退職を募る場合においては相当定員法で減らす数ぐらいは希望者がある予定であつて、従つて首を切る必要がないのではないかというようなお話もありました。併しそういう場合において私の懸念いたしますることは、自発的の退職をせられるかたがたというものが、比較的優秀なる者が退職をするというような傾向がなくはないのではないかということは、今日の公務員の待遇というものが他の産業に比して劣悪であるということは御承知の通りであります。そこでどこに転職いたしましても十分に転職し得るというような優秀な素質を備えた者がこの際自発的退職をするというような傾向がなくはないかということでありまするが、長官のお見通しは如何でございますかお伺いいたします。
  105. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今お話のございましたようなことが或る程度考えられるかと思います。自発的退職をするということになります場合には、先ず第一に相当の年輩の退職金の多い人であつて、そうして而もよそに迎えられやすい人というようなものが仮にあれば、いい機会だということにならんとも限らんとも考えられます。併しやはり一つの職場を選びましてそこに奉職することになりました場合には、これは単にその場だけの利害関係でそう動くものではございませんので、今御指摘のような部分の人も多いとは思いまするが、大多数の人たちとしてはまあ自分が奉職するに至つた所で長くずつといたいという考え方になると思いますので、やはりそこのところは当人たちの退職したい希望と、それから役所の側でそういう人たちにはいてもらいたいという希望とまあ両方兼ね合わさつて適当な所へ落着くことを期待しておるわけであります。
  106. 上條愛一

    ○上條愛一君 私がなぜこのことを申上げるかと申しますると、今度の定員法において相当国家の業務の上から重要な部門を縮小する傾向が強いのであります。例えば調査統計の機関のごとき、或いは附属学校の教員のごとき、こういう方面というものは一旦それに熟練した公務員を失うということになりますれば、容易にこれを補足するということは困難ではないかというふうに考えられまするので、殊にそういう方面は充実こそすれ縮小するというようなことはすべきではないということは勿論でありまするが、その上にやはり優秀なる技術、職能に熟達した人々というものは、軽々しく国家の業務からも失つてはならないのではないかというふうに考えられます。ただ簡単に形式的に必要でないから首切つて、必要なときにはこれを採用すればいいというような考え方では、やはり今後の重要な国務の遂行の上に支障が来るのではないかというふうに考えられまするので、この点をお伺いいたしたわけであります。  もう一つお伺いいたしたい問題は、今度の定員法によりまするというと、相当国家にとつて現下においても重要なる仕事であるにもかかわらず、天引的の整理を行われておるのであります。こういうことになりますると、勢い残りましたところの公務員のかたがたが相当労働強化が行われるのではないか。今日ですらそういう多忙なる、繁忙なる職務に就いておられます公務員のかたがたは、超過職務その他によつて健康を害しまして、相当なるパーセンテージの休職者が出ておるわけでありますが、若し今日の定員法によりまして、こういう相当重要な而も業務上から言えば、業務量の多い方面も、定員法によつて首を切つておるのでありますが、こういうことをいたしますならば、私の今申上げたようなことが傾向が強くなつて参りまして、これが延いては病欠者を生み国家の重要な職務の能率低下になるのではないかとも考えるのでありますが、この点についての長官の御意見を承わりたいと思います。
  107. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今のような御心願はまずまずないと思いますので、総体から見まして実はまあ今仰せのありましたような本当に労働強化をするというようなことであれば、これはむしろもつともつと少い人員でできるのかも知れませんけれどもさようなことなしに行きたい。それでいろいろな面で仕事簡素化も図りまするし、それから又なお終戦以来非常に若い人ができたのがだんだん年に応じて仕事に慣れて参つたというふうな点、まあこれは国税庁などは終戦以来、六年間に殆んど新らしくなつた人が、今日までの間再訓練されて仕事に慣れて来たということは相当のウエイトがあるようでありますが、いろいろな面を勘案いたして考えまするときに、まずまず今お話のありましたような弊というものは万なかろうと私は確信をいたしております。
  108. 上條愛一

    ○上條愛一君 これは私郵政省のときにお伺いしたいと考えておつたのでありますが、例えば年末の郵便はがきの販売にいたしましても、相当この従業員に対して割当をいたしまして強制的にこの販売をいたしておるのであります。それでこれは毎年のことでありまして公務員の当事者のかたがたは非常な労働強化になつておるのでありまして、何とかこのようなことはやめてもらわなければならないという強い希望を持つておるわけであります。本年も又同様なることが行われておるようでありますが、こういう点は平素郵政省の従業員のかたがたは相当なる過重なる労働に従事しておる上に、こういうことを加重せられるということになりますれば、非常な労働強化になるのではないかと考えるのでありますが、この点は如何でございましようか。
  109. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実は私年末の関係の郵政省職員の仕事振り等に関しまして、なお又はがき販売の割当等に関しても余り詳しく存じませんので、私は総対的に見まして、今日この定員によつて非常に労働強化を行わなければ済まないということはないかと思つておりますが、今特に平素の仕事、特に年末の忙がしさとをからみ合せてどの程度かと思うという話に関しましては、これは一つ郵政大臣のほうからお答えを申上げることにいたしたいと思います。
  110. 上條愛一

    ○上條愛一君 それではもう一つだけ最後にお伺いしたいのですが、これは三好さんからも御質問がありましたので多少関連いたしますのでありますが、今度の定員法整理で約六万以上が整理されるのでありますが、三好さんからの御指定のごとく、二十四年の十月から二十五年の九月までにかけての一般退職者が六万人を数えておるのであります。今度の整理によつて二十六年度の整理者の退職手当が約四十七億というのであります。これにひきかえまして、整理される人の基本給の支出すべき額が四億円、このくらいになつておるのであります。  従つて今度の整理一つの理由は財政の節約をして国民負担の軽減を図るということが重要な目的の一つになつておるようでありまするが、このようにして一年間に一般退職、自然退職によつて整理せらるる人員を、特にこの定員法によつて整理を行いまして、実際の国費から考えますならば差当りの国費の節約ということにはならないのではないかというふうに考えておりまするが、この点如何でございましようか。
  111. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) もう差当りの国費の節約にはお説の通りなりません。ただ財政計画といたしましては、当座の場合、退職金のために余計費用がかかりましても、やはりこれだけの整理をいたすことが将来の財政計画において、財政負担の軽減に資するのは疑いのないところだと思つております。
  112. 上條愛一

    ○上條愛一君 この点については数字的な問題でありまして、将来においては節減になると思いまするが、ここ一、二年間においては節約にならないと思いまするし、従つてこのような無理なる定員法改正をせずして自然にこの程度機構改革によらざる一般的のこの整理であれば、このような無理な整理を行わずして人員の減少を図ることは可能だと思いまするけれども、これは意見になりまするので私は以上の点で質問を終ることにいたします。
  113. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 同僚の各委員から詳細に総括的な質問がございましたので私は重複する点を避けて一、二点長官質問をしたいと思うのであります。  先ほど上條委員のほうから国費の節約問題で質疑がございました。長官は当座は退職手当その他で国費の節約にはならないけれども、将来の見通しとしては相当量の国費の節約になる、こういうような御答弁でございましたが、将来の見通しということになりますと、今までの例から考えてみますと一旦首を切つて徐々に人員をふやして行く、これはやはり無理な首切りをやつておると従つてすぐに人員はふえて来るというふうに、従来はそういうふうに私はなつておると思うのでございます。今度のこの整理によつて一年、二年たつうちに当然節約の面が出る時分に又人員がふえて来るのではないかという杞憂を持つておるのでありますが、この点について長官はどのようにお考えになつておりますか。
  114. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはこの行政整理を行いませんと、まあ一度できた仕事というものは何やかにやで目をかけたり何かしてなかなか終らないのでありますが、従来から見ましても、行政整理をしまして整理したその場ですぐ又人がふえるということは、これはよほどの例外の場合はどうか知りませんが私はないと思います。ただ片一方で整理をする、片一方で新らしい仕事が出て来て人がふえて行くということでありまして、逆に申しまするとむしろ放つておきますると元の所は元のままになつて新らしくふえて行くために、やはり無理をして行政整理が必要になるということも言えるのでございまして、私はまあ整理をして人がふえるというのは、これはよほどの間違つた例外か何かでないとないと思いますが、新規の新らしい仕事というものはこれはもうふえて行く分があろうかと思います。でそういうふうに新らしく出て参るものについては、これはまあ予算としても、定員としてもそのときどきによつて考えなければならないと思つております。
  115. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 新らしい面がふえてそして人がだんだんふえて来るというような説明でございましたが、そういうときにはこの配置転換というような形で、一連の社会不安を呼び起すようなこの失業者の多い中に失業者を出すということは政策の当を得たものではないと私は考えておるのでありますが、平年度で大体二百億ほど、今度の行政整理で節約になると言われておるのでありますが、その半面治安増強のために国警並びに警察予備隊関係で約百八十五億ほどの支出を増加しておる。予算面に現われておるのでありますが、治安を強化、増強するために人員整理をやつた。言い換えれば治安を強くするためにしわ寄せの犠牲が働く人々に来たというように我々は受取れるのでありますが、この点に関しては長官はどうお考えになつておりますか。
  116. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 財政面の問題としては、金にけじめがないとおつしやればそれまでのことでありますが、今日の行政整理に伴いまするこの財源というものは、第一に公務員のベース・アップ、それに引続きましては、減税に当てられておるわけであります。で、そういつたふうな治安の問題でありまするとか、或いは又公共投資の問題でありまするとかいうような面の、新規にふえて行きまする面の財源といたしましては、生産力の拡大に伴いまする租税の自然増収が相当ありますので、そのほうで賄つておるわけであります。
  117. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 他の委員からたびたび質疑がございましたが、一旦定員を減じてすぐにこの臨時というような形で、これは単なる臨時という意味ではなくして法網をくぐるという形で更新に更新を重ねて、言い換えれば常用工のような形で多くの人々を雇つておる実例が非常に多いのであります。これは他の委員のほうからも述べられ、政府のほうからも或る程度これを肯定されておりまするが、こういう傾向は明らかに労働基準法その他の法規に違反になると思いますが、今後そのようなことについてどうお考えになつておるか。
  118. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 非常に多いというお話がございましたが、私非常に多いと思つておりません。本会議でもしばしば御質問がございましたが、二十四年の整理二十五万八千の中でそういつたふうな出のものが今日一万何千かあるのではないかという話を聞いておるのであります。で、これに関しましては、今日二十六年度の予算といたしましては、賃金要員のために必要な予算をとつてありまするが、本年度内にこれを然るべき措置をいたしまして、今回の定員改正を機縁として、是非それは新規継続的に国の公務に従事する人の数は、定員法の所定のものと合わすようにいたしたいと考えておりまして、閣議におきましてもその話をいたしました。で、特別な理由があつて賃金要員として使いまするもののほか、今申しましたような常用的なものは定員法の規定と合せるように数カ月の後には措置ができるつもりでおります。
  119. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 只今長官の回答によりますと、こういうような弊害は数カ月後には除去する確信があると言われましたが、除去するように努力されるものと考えてよろしいかどうか、もう一度はつきりした確答をお願いしたいと思います。
  120. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) さよう努力するつもりでおります。
  121. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 もうございません。
  122. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは私質問じやないのですが、先ほど成瀬さんから御質問がありましたが警察の問題ですね。二千六百人にしたという問題、これは私どもも実は第十国会の時に随分問題にしたのですが、先ほども長官お話もあつたようにどうしても学校へ入れる必要があるので、従つて五千名だけは是非定員外にしたいというので修正をした、それは極く最近のことが二千六百名になつておるので非常に疑問にしておつたのですが、いろいろの説明で大体はわかりましたが数字的に、今度どうせ警察のほうに入りますから、その警察の時に又質疑を繰返さないように、数字的に自治体警察から国警にこれだけの人間が移つて出入りがこうなつたというようなことが一目してわかるような数字的な資料をお作り頂きたいと思います。
  123. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 数字的な資料は整備をいたします。ただついでに申上げておきますが、実は先ほど申上げましたようにこれは採用試験も済んで本当て採つてしまうつもりであつたのであります。その寸前にこれの採用をとめたわけであります。従いまして採つてしまえば、採つた者を又整理するということになつたのですが、今日は採る前でまだ任用通知を出しておりませんでしたから、むしろ採りかたが減つたという恰好で終つております。そのいきさつは先ほど申上げた通りでありますが、今の話は数字的に検討いたして資料をお送り申上げます。
  124. 楠見義男

    ○楠見義男君 もう一つついでですが、長期欠勤者を定員外にするという問題ですね、これは法律上どこかの法律にそういうことを明記するわけなんですか。
  125. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 定員外にするということは今回お願いをしております定員法改正案の中にあるのでございますが、その定員外になつて休んでいる人に、今までは休職になつておりますと給与がゼロになつておりますが、それに八割出せるということは、一般職の給与に関する法律のほうに書いてあります。
  126. 楠見義男

    ○楠見義男君 今回の法律案に入つているというのは何条ですか。
  127. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 定員法の第一条、職員の定義のところ、そこに書いてあります。
  128. 楠見義男

    ○楠見義男君 わかりました。
  129. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは内閣委員会は休憩いたします。四時から再開いたしまして追放解除の問題に関する法律案につきまして審議いたします。    午後三時四十六分休憩    ―――――・―――――    午後四時二十四分開会
  130. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令の規定による覚書該当者の指定の解除に関する法律案、これを議題といたします。
  131. 楠見義男

    ○楠見義男君 一点お伺いいたしますが、実は委員についての任命に関して、昨日三好委員から国会承認をどうしてとるような手続をしないかというような趣旨の御質疑があつたんでありますが、三好さんの御意見の点は一部うなずける点もまああるんでありますが、ところで問題はこの資格審査或いは又解除に関して従来ややもすると政党的な色彩があつたのではないか。或いは又政府としてはそういう意図が全然ないにもかかわらず、ややもするとそういうふうに見られた節も見えるようなかたもあつて、そこで三好さんのような問題が出たと思うのでありますが、そこでお伺いいたしたいのでありますが、政府としては委員の任命に当つて政党色のあるようなかたをお選びにならないというようなことがここではつきりお伺いできるかどうか、この点を一点お伺いいたします。
  132. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) これはなかなかむずかしうございまして、政党に入党しておるかたを選ばないというならこれははつきりするのですけれども、入党してない人であると、まあ政党色がありとも考えられ、ないとも考えられる場合が多いのでございます。併し入党していなくても明らかにこれはどの党の同調者であるということが常識的にわかる人は避けたい。政党に人党しているかたは随分優秀なかたがたくさんおられますけれども避けたいと、こういうふうに考えております。
  133. 三好始

    三好始君 第四条について一点お伺いいたしたいのでありますが、恩給が指定の解除の日において回復するということになつております。勿論そのあとでこういう表現をつけ加えてはおります。「この場合において必要な事項は、政令で定める。」ということになつておりますけれども、この解釈として一応はつきりしておるのは、とにかく「指定の解除のあつた日において回復する」という断定的な規定にたつておるわけでありますから、そのあとに続く政令はそれらの具体的な内容を明らかにするのにとどまるわけでありまして、回復すること自体ははつきりしたような規定になつておると思うのであります。この場合に他の法律において恩給が回復しない、例えば軍人恩給のような場合どういうことになりますか、この規定とやや矛盾するようなことにもなると思うのであります。そうして法律は一般的の解釈として新法が優先することにもなりますので、その点ちよつと疑問になるのでお伺いいたすわけであります。
  134. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) これはまあ新しい法律が旧い法律よりも優先するという原則はその通りでありましよう。そのほかに併し別に一般的の規則と、何といいますか、特定の問題に関する限りでは、特定の問題に関する規則が優先すると思います。従つてここでは一般的に恩給は回復すると言つておりますが、別の法令でもつて軍人に対する恩給は全部払わないという規定になつておりますのでそれは除外されざるを得ないと思います。それから政令で細かい規定をするというのは、これはいつでも当然のことであります。殊に恩給などは基礎の金額が一般の公務員等の賃金ベースが上りますと、恩給の基礎の計算も違うことになり、一概に法律できめ得ない、そのときどきの政令によつてきめたほうが便利な場合がありますのでそうしております。が原則としては恩給というものは軍人に対しても認めるべきであるけれども、特殊の事情で軍人に対しては只今のところはないとこういうことになつておるのであります。政府は一般軍人全部といわないまでも将来只今予算に計上してある一億ぐらいの費用で戦争犠牲者といいますか、広くそういう人たちの調査をいたしまして、原則としては私は恩給権はあるけれども恩給の支給は停止されておる、こういうふうな見解だろうと思います。その中の大部分は将来回復される場合もあり得ると思つております。そういうような意味と考えます。
  135. 三好始

    三好始君 特別法が一般法に優先するという原則も確かにあるわけでありますが、この場合に現在審議中の法律と軍人恩給停止の法律とどちらが一般法でどちらが特別法かということについては、或いは立場によつて解釈が必ずしも一致するとは言えないだろうと思います。従つてこの場合において条文で言えば、指定の解除のあつた日において回復するというはつきりしない表現でなしに、もう少しそこのところはつきりさせるような表現が入つておると解釈の点において問題を残さないのじやないかという気持もするわけでありますが、その点如何ですか。
  136. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) これは前例を引くわけじやありません。前例が悪ければ直すのが当然でありますから必ずしも前例を引くわけじやありませんけれども、この前の公職資格審査委員会ですか、この前つまり今年解除をやりましたあのときには政令でやりましたが、その政令にもやはりこれと同じ文句がありまして、一般の人は恩給をそれによつて回復したのでありますが、軍人もかなり解除されましたけれども恩給は回復していないからして今度も今の現状においては軍人は恩給をもらえないということになりますが、これはまあ前の例もありまして、こういう書き方のほうがより正確であろうということでこうなつたのであります。これは私のような素人の意見でなくして、法務府の法制意見長官等の専門的意見によりまして、このほうがいいであろうというのでこういうふうにいたしたのであります。
  137. 三好始

    三好始君 それでは軍人恩給と他の法律で停止されておる者は、回復するというこの場合には該当しないということははつきりしておるのですか。
  138. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 軍人に関する恩給だけをきめました法令の中で、払わないときまつておるものは払えない、こういうことになります。
  139. 三好始

    三好始君 この問題は表現の技術上の問題でありますから、これ以上お伺いする必要もないと思いますからこれだけにしておきます。
  140. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本案について質疑の御発言はもうありませんか。
  141. 三好始

    三好始君 昨日いろいろお話が出たのでありますが、或いはそれを整理するという意味になるかも知れませんが、審査の基準は別に法定するのはどうかというような御意見でありましたが、法定するというところまではつきりさせなくても一応審査する場合の基準になる方針というものの大綱をここでお示し頂けるのだつたら伺いたいと思います。
  142. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) これは昨日もお話したようで、はつきりした基準はなかなか定めがたいのでありまして、つまりこの覚書該当者となるときの基準ははつきりしておるわけです。こういう理由でなつたということはずつとはつきりしておるわけです。そこでその中で政府側で、もはやこの程度の人は該当者とする必要はないというので外して残つた者がこうあるわけです。その理由は皆はつきりこうなつておるわけです。この理由に対して各個人の訴願によりましていろいろな方面からこれは訴願されて来ると思います。自分の見方によつて。それを一々見まして理由ありと認めたら解除をする、こういうことになりますけれども、まあ極く非常に大ざつぱなことを言いますと、戦争犯罪人として刑に服しておる人はこれは困難だろうと思います。それから極端なる国家主義者とか、暴力主義者とか、或いは反民主主義者とか、これは右にも左にもあると思いますが、極端なる人たちは今の情勢では私は該当者は解除は困難であろうと思います。併しそれ以外の人はまあ大部分解除をして然るべきじやないか。こういう漠然たる基準を持つておりますが、これは一々訴願によつて委員のほうでもつて慎重に審査するわけであります。いずれにしましても戦争犯罪人として刑の執行中の人は別としまして、それ以外はいわゆる極端なる右翼か極端なる左翼か、こういう人以外は先ず先ず解除のほうに向うのではないかという希望を持つております。
  143. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 質疑も尽きたものと認めますから本案について討論に入りたいと思います。
  144. 三好始

    三好始君 この法律案は追放の解除を規定し、且つそれを担当する審査会の規定をしておるものでありまして、法律案そのものには反対すべき何らの問題もないと思いますが、質疑の際に申上げましたように審査会の委員は重要な仕事を担当しているわけであります。従来一般国民の間には追放の解除に当つて手心が加えられたかのごとき遺憾な印象を与えておる点もないでもないわけでありますので、この委員の任命には慎重を期する上からは、国会承認を経て内閣総理大臣が任命するというところまではつきりした慎重な態度をとることが望ましいと思うのでありまするが、この会期の関係もありますし追放解除そのものを早く進めるという点から申しまして本案に賛成する次第でありますが、只今の点は十分に御考慮されまして、人選に当つては不偏不党な適任者を任命されるように特に希望を強く申述べて賛成いたしたいと思います。
  145. 楠見義男

    ○楠見義男君 私も三好君と全く同様の意見であります。大体先ほど官房長官の御説明で了といたしましたが、なお万全の上に万全を期せられんことを希望いたしまして賛成いたします。従来覚書指定者の審査は慎重に且つ国民の期待に副うような方法がとられて来たと存じますけれども、更に法律としては簡単でありますけれども、新しい機関に国民が期待しているところは誠に大きいと思います。公正な人によつて適正な運営がなされて、国民の期待に副うように切望いたしまして賛成するものであります。
  146. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私も先ほど来指摘されておりまする委員の任命並びにその運用、この点を是非適正にされて運用の万全を期したい、この点を希望いたしまして賛成をいたします。
  147. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 他に御発言がないと認めますからこれから採決をいたします。本案に同意の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 全員御賛成であります。よつて本案は可決せられました。つきましては賛成者の諸君の御署名を願います。   多数意見者署名    竹下 豐次    山花 秀雄    三好  始    溝淵 春次    松本 勇雄    三浦 辰雄    上條 愛一    横尾  龍    栗栖 赳夫    楠見 義男    成瀬 幡治    都  祐一
  149. 河井彌八

    委員長河井彌八君) なお委員長報告委員長に御一任を願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会