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1951-11-13 第12回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十三日(火曜日)    午前十時十三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            松平 勇雄君            溝淵 春次君            山花 秀雄君    委員            郡  祐一君            横尾  龍君            成瀬 幡治君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            三好  始君            三浦 辰雄君   国務大臣    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    行政管理政務次    官       城  義臣君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今より内閣委員会開会いたします。  先ず経済安定委員会より定員法改正法律案につきまして、連合の要求がありますが、連合委員会を開くことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認め、さよう決します。  次に人事委員会との連合について協議したいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    午前十時十六分速記中止    ―――――・―――――    午前十時三十五分速記開始
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。それでは内閣人事連合については、人事委員長との懇談によつて決定するということにいたします。
  5. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に理事楠瀬君が辞任を申出ましたが、これを許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。つきましては、楠瀬君の補欠として理事互選をしなければなりませんが、その方法は如何いたしましようか。
  7. 溝淵春次

    溝淵春次君 理事互選方法は、その指名を委員長に一任するの動議を提出します。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは委員長から理事松平君を指名いたします。委員会は一先ず休憩いたします。    午前十時三十七分休憩    ―――――・―――――    午前十一時一分開会
  9. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 休憩前に引続いて委員会を再開いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は質疑をお願いします。……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  11. 楠見義男

    ○楠見義男君 こういうようなことから勢い能率も落ち、そうして又超過勤務も非常にやらなければならん、こういうような一つの事例が人事院勧告から一つ役所に対して行われている、こういうことでありますので、当然具体的に人員整理件つて、これは農林省の問題に限りませんが、全般的の問題でありますが、具体的にどういうようなことを先行的に、或いは並行的にお考えになつておりますか、そうして又それは予算の面においても、こういうような能率化の問題においてどういうふうに今回の補正予算に計上せられており、或いは又来たるべき通常国会通常予算に計上せられんと意図せられておるか、こういう点について先ずお伺いしたい。
  12. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 行政運営能率化の問題は、御指摘になりましたようにいろいろ働き振りの問題もありますし、又物的設備の問題もあるわけでありますが、今日考えておりまするのは、この定員法改正は先ず第一に御指摘がありましたように、仕事自身をやめていいものはやめてしまうということが一つと、仕事自身の残されるものについてはその簡素化考えております。一般的には先ず会計人事関係仕事簡素化するためにいろいろ案を作つておりまして、会計関係の法規の改正につきましては、今日も閣議にかけて、まだ若干練るところはありますが、これは本国会に提案することができると思つております。それから人事関係の問題につきましては、やはり人事関係の規定が相当複雑でありまするので、これを簡素化するための具体的な案を作つて人事院相談中であります。これはまだ若干未定のところがあります。で、こうして一般的に人事会計関係の総体的な仕事簡素化いたしますと両時に、それからあと各省一つ一つ仕事につきまして、各省大臣自分の主管の仕事簡素化一つ一つ考えているわけでありまして、具体的な問題については各省、庁の責任大臣のほうから答弁をするようにいたしたいと思います。只今指摘のありました統計調査関係仕事につきましても、今回の簡素化の主体をなしまするものは、これはもう統計調査というからには念を入れれば切りのないことでありますが、簡素化するという建前から考えまするならば、将来供出がなくなつて参りますると同時に、各個人の個人々々の持地の作柄、それから各町村作柄という関係についての公平さというものは或る程度ウエイトを軽く見ても、総体的の作付面積及び作柄をつかめればよろしいという観点に立ちまして、今日五ヵ町村單位で一出張所がありますのを郡單位出張所を改め、そのほか諸般の仕事の上の改善考えているわけであります。これは具体的には統計調査技術面に触れまするので、所管大臣のほうから詳しいことは聞いて頂きたいと思いますけれども、そういうふうにいたしまして各個の仕事について各省、庁の責任者のほうで工夫をいたしておるわけであります。物的設備改善といつた方面は確かに御指摘のありますように、たとえて申しまするのに、電話がもつとよくかかるようになるとか、或いは又タイプライターや自動車自転車を十分に整備することができるとか、或いは更に根本的に申しまするならば、今日も政府としてはずつと順次努力してはおりますけれども漢字混りの文章簡素化、これの横書関係の問題とか、いろいろ基本的な問題がございまするが、今日の財政関係状態としては、特に行政簡素化の一環として今の物的設備拡充を図るというところまでは参りかねている実情でございます。
  13. 楠見義男

    ○楠見義男君 農林省統計調査事務所の例を挙げましたが、これは一つの例に過ぎないので、全般的の問題として是非考慮を煩わしたいと思つてお尋ねしたわけですが、例えばこれは多少意見に亘るかもわかりませんが、会計事務簡素化というような場合に、対国民との関係におけるいろいろの手続はこれはできるだけ簡素化することが必要でありますが、内部においてはこれは昔の非常に何と申しましようか、堅い時代と、最近すでに政府言つておられるような吏道刷新強化を必要とせられておる時代とでは、随分私は様子が違うと思うのであります。例えば金券一枚切るにしても、これを書き入れるもの、或いは又それに検討を加えるもの、或いは予算と照合するもの、こういうふうに極めて愼重にやらなければならん問題で、得てして下のほうが実務を扱い、上のほうの監督不十分、或いは手数を徒らに省略したために大きな過ちが生ずるというようなことも現在の状態においてはなきにしもあらずというような状態でありますから、これは先ほど申し上げましたように意見に亘る点でありますけれども、十分御愼重考えて頂きたいと思うのであります。これは意見でありますが、そうしますと物的方面合理化に関する予算的措置というものは臨時国会補正予算なり、或いは又通常国会通常予算においては今のところでは余り期待されないと解釈していいのですか。
  14. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは終戰後今日までの間、特に電話の問題でありますとか、それから自動車自転車の問題、タイプ問題等は非常に困りまして、そうして現在までのところ余裕が幾らかでも財政的にできるたびに改善して参つておりまして、官庁電話等も前に比べれば、役所電話が丸きりかからないという時代に比べてかなりよくなつて参つた思つております。従いまして、今回の補正予算、又来年度の予算につきましても、官庁物的設備改善ということは継続した問題として年ごとによくしては参つておりますけれども、今度の定員法改正とからんで特にそういつた一般的な努力のほかに、格段の定員法改正に伴う物的設備改善費といつたような形では出しておりません。ただその点が非常に大事だと思いますので、行政管理庁といたしましても、官庁仕事の上では特に電話自動車自転車タイプといつた方面改善が非常に大切だということは常に折あるごとに強調いたしておりますし、且又これは日本語そのものの本質から来る点が非常に多いと思いますので、文章の書き方の問題等もこれは文部省とも連絡をして、できるだけ改善をして行きたいと一般的には考えております。
  15. 楠見義男

    ○楠見義男君 非常に細かい問題のようでありますが、併し各省共通事柄でありますので、特にこの機会にお伺いするわけでありますが、只今お話に出ました電話の問題でありますが、現業員五%減ということで、電話交換手或いは自動車運転手守衛その他の使用人の人々整理をやつておられるのであります。例えば自動車運転手の場合においては、課長を送り迎えしている自動車自体を廃止することによつて、即ち経費を節約することによつて当然運転手も要らなくなるというようなことが考えられますが、百電話の場合には、これも最初申上げたように、電話交換手が少くなる、従つて電話がなかなかかからない。忙しいからつつけんどんの応答が繰返される。こういうことから官庁民主化といいましようか、こういう点についてもむしろ逆行したような結果になりはしないかということを実は非常に慮れるのでありますが、あえてこのような電話交換手人々整理までやらなければならぬという理由がどこにあるか、特に今もお話なつたように、一般的の問題としては、こういう点についてサービスをよくして行こう、又設備もよくして行こう、殖やして行こう、こういうようなお考えにある際に、その整理をすることは逆行するようにも思うのでありますが、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  16. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 電話交換手の問題に関しましては、電気通信省電話交換手の問題と、それから各省庶務会計に属する電話交換手の問題とあると思いますが、各省関係の問題につきましては守衛だとか、小使だとか、まあお茶汲みのような人たちと一緒にして総体的に五%の整理をすることにいたしましたが、これは仕事の繁閑に応じて、この電話交換手は特に仕事が忙がしいということであれば、適宜な整理が行われると思つております。  電気通信省の問題に関しましては、これはやはり総体的にできるだけ少い人数運営できるようにということを考えまして、常語交換手も或る程度行政整理対象には入つておりますが、これは交換局建設計画とのからみ合い、その他いろいろな問題がございまして、極く具体的な問題に関しましては、電気通信大臣のほうからお答え願つたほうがよろしかろうと考えております。私のほうは簡素化本部においても電通省事務当局話合いをいたし、なお又電気通信大臣ともお話をいたしまして、大体こういう行き方で結構だという話をしまして、運営の実態に関しましては、私も余り詳しいことは、どういうわけで交換手の配置がこれでいいのかということについては、具体的な問題は電通大臣のほうから一つお答えするようにいたしたいと思います。
  17. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじや次の問題に移りますが、今回の整理に関連しまして、女子職員の取扱がどうなるかという問題でありますが、恐らく行政管理庁としては、それは各省庁にお任せになり、そうして又各省庁は単に女子なるが故にどうこうというようなことはやらずに、一般的に男女平等の立場でということになるものとお考えになつておることと思うのでありますが、例えば最近の国家公務員性別調、これは管理庁から出して頂いた資料によりましても、女子が昔に比べて随分殖えている。例えば二十四年の九月十五日現在においては全体の四分の一が女子職員によつて占められている、こういう状態でありますが、女子が今回の整理によつて、而もこういうような大量の整理にぶつかつたような場合には、整理されるに当つて女子が実際問題として非常に不利な立場に置かれはしないかということを懸念するのでありますが、この点についての管理庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  18. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 整理基準の問題はたびたびお話もございました。そうして政府といたしましても、これを設けたほうがいいか悪いかということについては十分考えて見たのでありますが、併しながらこれはやはり昨日も人事委員会との合同審査会で申上げました通り整理基準というのはむしろ設けないほうが筋だと思つてつたのであります。その間においてもいろいろ話はございましたけれども、これは女子を特に整理をするとかというふうなことを全然考えたこともございませんし、又各省庁のほうでも特別にそういう意見はございませんでした、人員整理を行う場合に自発的退職者を募り、それからあとはやはり省内でのみんなの納まりのいいところに落着けて行くということに相成ろうかと思いますが、特別に女子整理対象になる、不利になるとも考えておりません。  それからついでに前回の昭和二十四年の行政整理の際におきまする整理の、退職者の中の思と女の比率をこの間調べるように言つておきました。男は三、女一の比率に相成つておるそうです。
  19. 楠見義男

    ○楠見義男君 具体的に整理を進めて行く段取りでありますが、一応政府のお考えでは、全体の整理者のうちの半分は一月から三月まで、残り申分は四月から六月まで、こういうふうにしておられて、従つてその前半については今回の補正予算においても一月から三月まで毎月三分の一ずつ整理されて行く、こういうような予定に、予算面の上ではやつておられるようでありますが、実際問題として考えた場合に、できるだけ自発者は別でありますが、そうでない人はできるだけ最後のぎりぎりのところまで、即ち三月三十一日までおつて、そうして、三月その月の月給はもらいたいし、又八割の退職金増額恩典にあずかるところまで行きたいと、こういうのが私は人情だろうと思うのでありますが、そこで予算上における計画と、実際の整理進行状況自発者は別にして、どういうふうな段取りでおやりになるのか、例えば三分の一ずつ退職勧告のようなことをやつて行かれるのか、或いは最後になつて半分をばさつと切るようなやり方をしておられるのか、具体的にその整理やり方についてお伺いいたしたいと思います。
  20. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それは昭和二十四年の整理の際にも何省は大体何日から何日までの間にこういう規模整理をするといつたいろいろ打合せをし、大体の基準を定めてやつたようであります。今日定量法国会で御審議を願つております最中に、余り整理の具体的な実行方法を事細かにきめるのも如何かと思いまして、今日のところ各自のあら筋は持つておりますが、またきめておりません。大体考えておりますのは、一月から三月までの間には自発的退職者を募る、その間に大体数をきめて一月三月の間にどれだけ整理をするというようなことをいたしたものかどうか、この点は少しなお政府部内において次官会議等においてこれが具体的な方向が付きました上で相談をいたしたい。やはりこういつた相談はやり始めますと、いろいろな問題も出て参りますので、やはり大体のあら筋を研究しつつ、定員法国会を幸いに通過させて頂きました上で、実行方策を審議いたしたいと思つておる次第であります。それまでの間に各方面でもこうしたほうがいいじやないかというような御意見等がございましたら、十分に聞いて考えて参りたいと実は思つております。予算の面では補正予算のほうでは一応落す、定員の半分を三月の一カ月分の予算を落す、こういう形になつておりますけれども、これは御承知のように現在出ておりまする補正予算を御覧下すつてもわかりますように、退職金の金額のほうが多うございまして、そうして退職金と俸給とは中で一致流用できる項目の中にございますので、その点は実行上は何か一月ごとに落すとか、或いは三月までまとめて落すとか、或いは半分だけ必ず前半でなければいかんとか、或いはそれ以上前半整理したら困るというようなことはないつもりであります。もう少し先に参りましてから、今お話のございましたようなことを大体自発退職者、それから欠員で受けるもの、その他の睨み合いを付けた残りをどういうふうな段階でどういうふうに扱うかということを具体的に相談したいと思います。
  21. 楠見義男

    ○楠見義男君 次に業務特殊性の問題についてお伺いしたいのでありますが、提案理由の中にもありますように、一方で経済統制の撤廃により縮小し得る事務、或いは占領の終結に伴い不用となる事務、その他不用不急なつ事務について大幅に人員を縮減すると共に、他方では治安関係職員、造幣、印刷、電気通信事業、その他いろいろの仕事について各業務特殊性を考慮いたしまして、軽微な整理にとどめております。こういうふうにお述べになつておるのでありますが、具体的に各省における整理状況を提出されました資料について見ますると、全然ゼロのところ、或いは五%のところ、或いは一〇%のところ、こういうふうに業務特殊性についてもいろいろ段階を設けられておるのでありますが、この特殊性において段階を設けられた根拠、又恐らくこれは行政管理庁でおきめになつたことと思いますが、どういう根拠で誰がおきめになつておるのか、その点を御説明願いたいと思います。
  22. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはこういうふうにいたしました。具体的に実際どうなつたかということを申上げますが、政令改正諮問に関する委員会答申案を基礎にいたしまして、その政令改正諮問に関する委員会田中一郎委員が主任になりまして種々研究された結果、相当細かに作られました。それを八月末の閣議決定でそれを参考にして、行政簡素化本部で案を練るということにいたしました。行政簡素化本部は私が本部長になりまして、その答申案各省に示しまして、これに対する意見はどうかということを申しました。それに対する各省言分を聞き、こちらも意見を申しました。或るところまで話がまとまりました。で、大体特殊の大きな項目だけは話のまとまらないものを閣僚懇談会処理をすることにいたしました。事務的な問題については全部簡素化本部事務当局間の話合いでまとめてしまつたわけであります。ですから、お話のございまするような部分は大体閣僚懇談会に持出す以前の簡素化本部におきまする事務的な話合いで私ども各省との間できまりました。あと閣僚懇談会には十ばかりの大きな項目について話をして決定をいたしたものでございます。
  23. 楠見義男

    ○楠見義男君 いろいろ具体的な各省庁における整理を見ておりますと、例えばこういうふうな問題があるのでありますが、それは現在でも非常にその仕事が忙しくて、そして現在の定員でも随分無理をしているにもかかわらず、これを整理対象になつておる仕事で、而もその仕事においては近き将来必ず仕事が殖えこそすれ減るというようなことがない仕事従つて必ず増員をしなければならないというようなものが各省庁の間に具体的にあちらこちらにあるのであります。これはこういう席で言つていいかどうか疑うのでありますが、従つて具体的に大臣の名前は申しませんけれども、例えば労働組合人々あたりがそのことを以て当該大臣に申入れますと、大臣は一応今度の整理で削るものは削つたらいいじやないか、併し四月から必ず殖えるのだし、又殖さなければいけないのだからそれは当然殖すのだ。こういうことでこれは極めて一時逃れの答弁であるのか、或いは心底からそういうふうなことを考え言つておられるのか、その辺はよくわかりませんが、その大臣の言葉如何にがかわらず、客観的に見ましても、そういうような場合が考えられるのであります。行政管理庁長官としては今回のこの大規模整理仕事をお引受になつたのでありますから、従つて一応整理してしまえばあと増員になろうとなるまいが、それは各省の問題で自分の問題ではないと、こういうふうなお考えであるかもわかりませんが、併しそれでは折角これだけの大きな仕事、而も大義名分を立てての整理をせられておる立場からすれば、やはり将来についても重大な関心をお持ちにならなければならん筋合のものだと思うのでありますが、そこでお伺いしたいのは、具体的にそういうようなことを言つており、又大臣そういつた言明がある、そういうふうな事柄について管理庁長官としてはそういうようにお考えになつておるか、お伺いいたします。
  24. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私どもも勿論ただ整理をしさえすればいいというのじやなしに、要するにできるだけ少い人数国民への奉仕のできるようにしたいと思います。先がうまく行くようには十分に考えておるわけでございます。そういう趣旨で専ら今回の整理に当りましても、いきなり閣議あたりできめるということがいけないと思いまして、実は八月以来長い日をかけまして話合いをして、もう大抵の問題につきましては事務当面間の話合い納得付でまとめたつもりでございます。ただ将来の拡充の問題につきましては、これはいろいろな話が出て参りました。それでこれは率直に申しまして、将来と申しましても非常に近い将来もあれば先もあればいろいろあるわけでございます。而もそれを普通の一般行政官庁で先へ行つてこういう仕事が出て来そうだというふうな予想と、現業官庁で、例えば電気通信省で先々だんだんに電話交換局もこれはもう日と共に殖えて行くわけでございます。そういつたような問題もある。それでこの行政整理をやりまする話合いの間にもこういうふうな場合が起り得るかも知らんという話は幾つかございました。余りひどい、つまりどうかわからないような問題をむやみに主張するところもございませんでしたか、その場合は先に行つてこういうことが出て来るかも知れんという問題にもやはり非常に確度の薄そうなのから、非常に確度の厚そうなのから、それから今申上げましたように一般行政官庁のように確度が高いとか薄いとか申しても今日の予想であつて、事態によつてそういうような仕事が出て来るか出て来ないかわからないのでありまして、それから現業庁の仕事のように、これはスピードの問題があるわけであつて、例えば鉄道言つてもだんだんに鉄道網拡充するとか、電話言つても将来必ずや一本でも二本でも電話の数というものは日と共に殖えこそすれ減りはしない。先に殖えるのは確実であつて、その電話交換局が来月できるのか、或いは来年の計画か、再来年の計画かという違いでいろいろあるわけなんです。それでこの問題に関しましては、極く目前に明瞭に殖えることの非常にはつきりしておつて直ちに処理をしなければならない、これは極めて典型的な例が外務省の例でございますが、これは今回の臨時国会にも設置法をお願いいたしておりまするように、管理局のような仕事は落ちますけれども、別に今までは占領下で要のなかつた仕事を是非やらなければならん、そうして結局差引関係がはつきり起つて来る、こういうふうなものについてはそうした処理をいたしました。それから或いは警察で申しますれば自治体警察をやめて、あのやめた部分国警に受入れなければならないでしよう、そういつたふうな将来の問題に関しましては、これは考えようによつて、いや、確実にこれを予算に計上してやるのだということを各省大臣のほうでお考えのかたがおられるかどうか知りませんが、これも予算その他の問題でありまするので、この定員法におきましては、これはどうしても非常にはつきりしたものというものはこの定員法自体の中で差引いたしました。将来の問題については今後は或るべく人員の増加を防ぐという建前で処理をして参るということを考えて、不確定のものについてはこれの中に取入れませんでした。
  25. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の今申上げているのは、例えば将来の問題として来年度にやるか、或いは再来年度にやるかというような、そういう問題じやなしに、日々その事務が続いており、而も日々その業務件数が多くなつて来ておる。例えば一番わかりやすい例で申上げますと、自動車の問題、自動車は御承知のように日々殖えて行つておりまするし、従つてこれに関する運輸省の自動車検査業務というものは、これは日々殖えて来ておることは御承知の通りなんであります。そういうようなものが事例が他にもございます。一番素人わかりであると思つて自動車の例を出したのでありますが、こういうような例については増員の必要こそあれ、減員することはこれは私は無謀じやないか、せめて能率化を挙げるという意味からしても、少くとも減員はやめるべきじやないかと、こういうような問題があちらこちらにあると思うのであります。そういうようなことに関連いたした同様の仕事について、先ほど申上げたような大臣お話があつたように聞いておるのでありますが、これは自動車の例ではありませんが、従つて運輸大臣が言つたというのではありませんが、そこでそういうことになつて参りますと、如何にも無計画な、照に行政整理のための行政整理という感を強くせざるを得ないような事項があちらこちらに散見するという場合でも、当該大臣としては具体的なそういう事例を持つておるから従つて今一応お附き合いで整理をしてもすぐに四月一日から増員をする、こういうことによつていいじやないかというようなことを言つておるのか、或いはさつき申上げたように、一時逃れのそういう答弁をされておるのかわかりませんが、そういう点について行政管理庁とせられてそういう点までよく御検討になつて今回の整理ができておるのか、ただ一時逃れのそういう各省庁の首脳者の言葉をそのまま御参考になつて整理されておるのか、具体的に各項目についてそういう点にお当りにになつて今度の案ができておるのか、の点伺いたい。
  26. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) たまたま自動車の話が出て参つたのでありますが、自動車の問題はうるさい問題で、特に検討した問題の一つであります。これは私のみならず官房長官もよく検討いたしてくれました。そこで総体的な話としては但しどこの省のことか存じませんが、私はそういうつもりで今回の定員法改正を私はいたしたものでないのみならず、閣議におきましてもそういうようないいかげんな趣旨でやつたのではございません。ただこの定員法改正をやるから、将来例えばその現内閣の続く間定員を殖さないといつたような、このような考え方はすでに堅過ぎるから、まあ考えようによつてはこの間減らしながら、こうやるのはどうかというような問題が出て来るといかんけれども、今日の事態において確実に殖さなければならないそういつたようなものは別だけれども、そうでないものについては行政整理をやつて、そしてあとできるだけ殖さんようにやつて行く、今日の問題は十分お互いが檢討するということを決定いたしたものであります。自動車の検査の問題につきましては、運輸省のほうからいろいろな意見がございました。これは検査の仕方に非常にかかるわけでありますが、今日では営業用の自動車についても個人自動車についても、これは非常に事細かに、自動車のありとあらゆる部分が一〇〇パーセント完全でなければならんという検査をしておるのでありますが、これはかなり時間もかかるわけで、人も多く要るし、要らないじやないか、一番大事なのは交通安全に関することの部面、つまりブレーキ、方向標示器であるとかいうものは十分に調べなければならん。そのほかの部分については、自動車の性能が悪くつてそうして途中で止つちまう心配があるとか、これはごみが溜まりそうだとか何とかいう問題については、少くとも乗用車の問題は乗つてる連中が損するだけで、これは極端に言つてはいけないけれども、今のところでは何といいますか、自動車の技術者としては、ちやんとあらゆるものが非常に便宜のようにできておる、ちやんとあらゆるものが目的の通りにできていなければならんという検査をするそうです。併し一番大事なのは営業用、それから自家用を通じて交通安全に関する面を十分に調べる、次には営業用の車体が乗客に迷惑をかけないように、それから乗用車などについては非常に細かくまるで本来の売出した自動車会社が広告をした性能通りでなければいかんような検査をする必要はないじやないかというので、検査の簡素化ということを十分に検討してみるということで事務当局にも運輸大臣にもそういうお話合いをして、検査関係の問題は取扱つておるのであります。勿論こうやつて総体随分たくさん仕分けをして見ると仕事があるのでありますから、自動車の全部を自動車の検査問題のように意識に上せて非常に詳しく話をしたということは私も申しませんけれども各省事務当局のほうで格別問題にせずにこれでよろしうござんすというようなことは、大体それでよろしいと了承して、具体的の差別につきましては、各省事務当局及び所管大臣にお任せして願つておるのであります。今お話のありましたように、用はあるのだから整理はできないのだけれども、一応附き合つておいてあとで復活するようなことは私はないように信じております。
  27. 楠見義男

    ○楠見義男君 総括質問の際に具体的の事例を挙げて御質問して、ほかの委員にも御迷惑をかけることはどうかと思いますが、ただ私今の御説明を聞いておつて、これから各省ごとの審議をして行く際に、行政管理庁長官としては、こういうような考えの下に整理をしておるが、併し各省としてはこういう立場があるというようなことを彼此勘案をしてやることが我々の審議の上においても非常に今後に益すると思いますので、従つて本来は各省の審議の場合に聞くことでありましても、お許しを頂いて具体的の事項についてお伺いしたいのでありますが、と申しますのは、只今自動車の問題でも、行政管理庁としては自動車の例えば車体なんかは公共の安全維持という観点からブレーキなり或いは方向標示器、こういうものの検討検査をし、その他の検査は簡素化されるのじやないか、こういうお考えであり、又各省へ聞く場合においては、我々もそういう観点から実は聞きたいと思つておりますが、この程度の検査で公共の安全上検査が十分であるかどうかというようなことは一つ各省ごとの審議の対象の参考になりますから、そういう意味で二、三お伺いいたしたいと思いますから、お容赦頂きたいと思うのでありますが、例えばその中の一つの問題として教育の問題であります。これは教育尊重、文化国家として我々は教育を尊重して行かなければならない、これは何びとも異存のないところであり、特にまあ自衛の問題にしましても、單に警察予備隊とか、或いはその他警察の充実とか、そういつた武力的な意味の自衛のほかに、精神的な自衛という問題が我我としては大事じやないか、こういうことを考えておるものであります。即ち教育が徹底することによつて民主主義も伸び、そうして又武力によるそういつた治安を増加せずに済むような事態が来るのではないか、即ちそういう意味では一方における近代文化国家としての今後の成長の上において教育が必要であると同時に、他面そういう観点からしてもまあ必要であるわけであります。ところが整理案を見ますと、国立学校等において教官或いは事務職員に相当の整理が行われる。先般も公聴会で最初に聞いた東京教育大学の石教授の陳述を聞きましても、附属中学校、小学校、高等学校というものは、こういう整理によつては殆んど附属の学校としての役割が果せないというような強い発言がまああつたようでありますが、これは一部分の問題でありますけれども、全体として教育の問題については、今後学校が殖えて、又クラスが殖え、教員を増加しなければならんような実際の情勢にあるにかかわらず今回の整理対象になつておる。これは先ほども申上げたように、文部省の具体的審議に当つて詳細に聞くつもりでありますけれども、行政監理庁の立場からはどういうようなお考えでこの整理を取上げておられるか、これをお伺いいたしたいと思います。
  28. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 教育の問題は、まあ御指摘のように極めて大事な問題だと思つております。今回の行政整理に当りましても、教育の部面についてもいろいろな面で能率化考えてもらわなければなりませんので、主としてこの学校における管理関係について簡素化をお願いをいたしたものであります。で、教員それ自身の問題に関しましても、これは勿論決して昔のような制度がいいとは考えておりませんけれども、そのままのものがいいとは考えておりませんけれども、今日まあ教育関係の費用も相当大きな金額に上つてつて、できるだけこの範囲内で教育内容の向上を図つてもらわなければならないというふうに考えまする場合に、今日では例えば中、小学校におきましても、昔は校長、教頭共に何らかの授業を持つてつたのであります。今日は校長、教頭は学校行政官として講座を持たないという建前に大体原則としてはなつておるようであります。そういうふうな面についても、今日の理想を言えば、勿論できるだけ教官の数も多くして、そうして教室に出る時間を少くして、御自分の勉強なり何なりする時間を多くするということは理想ではございましようけれども、或る程度教官の方面においても若干もう少し多く上る方法がなかろうかということで、文部省とも御相談をしてきめたいと思つております。これはまあむしろ国家公務員の部面で出て参りまするよりも、別に地方行政簡素化本部考えております。地方公務員としましての教官として多くの問題をまあ考えなければならない問題だと思うのであります。で只今お話も、或いは国立学校としても、中、小学校というようなものは大体まあ附属のものが多いのでありますが、附属というのは一つの何といいますか、教育の研究機関だといつたような意味で、特にその校長のかたのお話があつたと思いまするが、私ども政府といたしまして考えましたのは、教育を非常に尊重しながら、まあ與えられた枠の中で、なお能率化の余地はないかということで、検討をいたしたのであります。
  29. 楠見義男

    ○楠見義男君 学校の事務職員整理は、それだけ実は教員の負担を加重するような場合を生ずる虞れがないかどりかということについて私は多大の疑念を持つておるものでありますが、それはそれとして、この教員の整理ということによつて、私も多少その方面関係いたしておりますが、例えば地方の職員、地方公共団体の学校等においてはPTAの負担がまあ非常にそれだけ多くなつて来る虞れがあるのであります。例えば先般の公聴会でも、附属の中学校、小学校で現にPTAの負担で以て先生を相当雇つておられます。地方の学校でも、現に私ども関係している学校でも殆んど例外なくPTAで負担をしております。そこで今お話なつた、現在の教員数が多少減つてもそれは教員の能率向上の観点から、その観点で以て或る程度のカバーができないかどうかということをお考えなつたようでありますが、これも文部省の審議の際に十二分に検討いたしたいと思いますが、行政管理庁立場としてはどういう面において教員の能率向上が可能であるというようなことで文部省とお話合いになつておるのか、その行政管理庁側の御方針といいましようか、御提案になつておるその方向が若しおありであればお伺いいたしたいと思います。
  30. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 先ずその御質問の前に、事務職員お話がありましたから、ちよつとお答え申上げておきます。今はつきりした数字を記憶しておりませんが、私立学校の事務職員と、それから官公立学校の事務職員と分けて見ますと、これはまあ比較にならないほど官公立のほうが多くて私立学校が少いのであります。勿論これについては、私立学校のかたならば学校の経営をよくすると、それだけボーナスがあるのかも存じませんけれども、政令諮問委員会でいろいろお話を伺つておりました間にも、中山先生その他国立の学校にも関係せられ、私立の学校にも関係せられておるかたのお考えを伺いまして、で、私はいろいろな面において、殊に学校と申しまする所は、生徒の授業時間が二時なり三時なりに済むということになりますと、教官その他事務職員は五時までいるのが筋でありましても、まあ割合に夕方になつて手薄になることであるし、能率を再検討する余地はないのじやないかと実は思つているのであります。文部省のほうでそうお考えになつたのもそういう趣旨だと思います。それから能率の点に関しまして一番考えておりますのは、戰後、学校の職員については、やはり学校行政の管理面に専念する人は、これは管理といいましても事務会計でなく、教育内容の指導もございますが、そういう学校行政に専念する人と、それから授業をする人と分れているようであります。原則として中学校、小学校は校長さん、教頭さんは今はたしか講座を持つておられないと思います。私どもが子供であつたときのように校長先生が修身を教えて下さつたり、或いは地理を教えて下さつたりするということは、必ずしもいいとは存じませんけれども、そういう面でなお若干の余裕というものはあるのじやないかということで、そういつた点を主眼にしているわけであります。  教育の問題にいたしましても、私ども教育法案をできるだけ充実いたしたいと思いまするし、政府も挙げてそう考えております。ただ行政整理全体を通じで私の痛感をいたしますることは、前にも申したかと思いまするが、幾ら政府がぼやぼやいたしておりましても、全く無駄な仕事をしたり、全く無駄な人員を置いたり、ましてや甲斐のないような仕事をするということは絶対にないので、必ずその人のいることによつて何ほどかの益のある仕事しかないはずでございますから、それをできるだけセーブできないかということは問題であろうと思います。教育の問題にいたしましても、私は何も今日アブラハム・リンカーンが学校へ行かないで、而も本も買えないで、よその人から借りて来て、夜読んで、大統領になつたと、みんながそれで行けるじやないかということは私は決して申しません。併しそれを申しませんけれども、やはり今日国がこれだけ衰えて、そうしてその間において日本民族が真に起上るためには、私は今日のような、これは政府の責任だと言われるかもしれませんが、いささか教育に魂の入れようが足りないのではないかと実は思つております。で、私はむしろ仕事の面についてもなおこれはいろいろ改善の余地というものはないでもないのじやないか、ただ先生が食えないとお子さんの教育がよくできません。或いは又物的設備ができないと子供の教育ができないから、子供は馬鹿にもなるし、病人にもなるといつたようなことで全部やられるということは私は必ずしも教育の将来についていいかどうかわからない。私は勿論教育費をできるだけ充実いたしますることと、それからその充実する必要があればあるほど、できるだけ安い費用で内容の充実を図ることができれば、私はそれだけいろいろやつて行けるのじやないかと考えております。  なお、これは今日定員法の御審議を願います上において欠員問題等余り問題にしないで実はお話をしているのですけれども、実際は話をまとめる上において欠員関係の問題というものは、具体的に相当考慮された面があると思うのです。例えば拡充の予定であつたものが実際はなかなかいろいろな事情があつてできなくなつてしまつたりするような部面の問題はあるわけでありまして、国立学校の場合でも現在欠員が二千八百七十九名でございますが、別にこれは病気欠勤者というのがあるわけであります。整理人員は三千四百七十二人でありますが、先般衆議院の内閣委員会において文部省の政府委員が参つて答弁をいたしておりました際にも、整理人員は総体としてきまるので、そうして内部的なやり繰りの面で必ず機械的にどこの小学校でどれだけ減らすというようなことをするのではないので、総体的な人員の操作の上で国立学校についてはこれくらいの整理はできるというつもりでやつているのです。という答弁をいたしておりました。これは極く具体的になりますので、私も余り自信のある内容説明はできませんけれども、それもお含みを願いたいと思います。
  31. 三好始

    ○三好始君 議事進行について。楠見委員質疑はまだ残つているようでありますが、この程度で休憩して、午後適当な時刻に再開せられんことの動議を提出いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ありませんか――御異議ないようですから、一時半まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩    ―――――・―――――    午後四時十五分開会
  33. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 休憩前に引続き、内閣委員会開会いたします。  諸君に御報告申上げます。今朝人事委員会との連合委員会に関しまして御決定のことは、先刻人事委員長に面会いたしまして内閣委員会の意向を申し伝えました。そして人事委員長はこれを了承せられました。このことを御報告申上げます。
  34. 楠見義男

    ○楠見義男君 それでは午前に引続いて総括的な問題についてなお若干お伺いすることにいたします。  先ずその一つは、今回の行政整理が実体法の確定を待たずして行われておることについての質問であります。具体的に申しますと、主食の統制撤廃の、方針については、政府は先般六日でありましたか声明を発せられて、一応白紙に還元されたようなふうに思いますが、併しその後関係閣僚の間の意見は必ずしも一致しておられないように思われます。併しそれはそれといたしまして、参議院では御承知のように九日の日に決議をいたしまして、即ち国会尊重に関する決議が議決せられまして、主食の統制撤廃に関する措置は如何なる場合といえども立法的措置によつて先ず国会の意思の決定を待つて然る後に行うべきである。こういうふうな趣旨の決議が議決されておることは御承知の通りであります。政府のほうでは現在の食糧管理法の委任命令によつて統制のどの部分考えておられるのか、これはよくわかりませんが、いずれにいたしましても、その委任命令の規定の適用によつて統制の一部が、或いは全部が撤廃可能のような見解を持つておられるようでありますが、これについてはいずれ農林委員会との合同委員会の際にその点を十分確めたいと思いますが、そういうようなことは別といたしまして、少くとも我々の審議の立場からいたしますと、そのことができるできない、又個人的な意思、意見が通る通らないは別といたしまして、国会の意思の決定を待つて確定すべき実体的事項に先行して行政整理が行われておる。そこで我々から見ますと、今回のこの定員法改正の審議は実は軽々にはやれない。即ちこのことは定員法を仮に原案通り承認するということになれば、その実体的なこと、而も別に法律で以て十分に審議を盡さなければならない事柄まで定員法の承認ということによつてそのことまで包含するような、即ち将来の国会の審議権をこの定員法によつて解決してしまうような問題にまでなるわけであります。同様のことが国営競馬の民営移管の問題についてもある。これは参議院においては競馬の問題は実は従来からも極めて愼重にやつて来ておりまして、中には国営を民営にするくらいならば、むしろ競馬自体をやめてしまつたほうがいいというような意見まで出ておるような状況でありまして、従つて競馬問題はこれはもう十分御承知のことと思いますが、参議院としては非常に従来もそうでありまするし、従来も慎重に検討しなければならん問題だと思つておるわけなんであります。にもかかわらずこれらの問題にも実体的な確定を待たずして今度の行政整理が先行しておるということに我々は大きな問題の所在を認めざるを得ない。その点について橋本長官は一体どういうふうにお考えになつておるのか。即ち実体法の確定を待たずして、これを今回の行政整理が先行されておることをいいお考えになつておるのか。勿論政府としては飽くまで主食の統制撤廃をしたい、或いは国営競馬を民営に移管をしたいと、こういうふうな御希望の存するところはこれは十分わかつておりますが、その希望の有無と国会の審議権尊重の問題とは私は明らかに区別されるべき問題だと思いますので、その点について御意見を伺いたいと思います。
  35. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 実体法を法律或いは政令、或いはいろいろな諸般の処置といつたふうな実体法関係の処置と、それから予算定員とは同じ一事項について三つの面でそれぞれ措置しなければならない場合があることは御承知の通りであります。そこで勿論同一時日において一つ事柄をめぐるものが一斉に発足をすれば非常に結構でありますが、政府でそれを決意をいたしまして措置をいたしまする場合に、まあ予算だけ先にきまりましたり、或いは又そのほかの若干の時日のズレができますることは、これは普通の場合でも止むを得ないと思いまするし、まあ今日のような占領下においてはまま起り得る事態でございます。で、今御指摘のような問題につきましても、政府としては方針を決定いたしまして、一斉にその措置をとるべくやつて来たわけであります。ただいろいろな齟齬を生じまして、殊に主食の統制撤廃の問題については、そのうち二十七年四月までに米の配給統制をやめるということができないことがはつきりいたしましたので、與党側から修正案が出ましたので、私どもはそれを了承しているわけでありますが、それで私はどうも実体法関係のほうがすつかりきまつて落着いて、そして全く用がなくなつてからあとで次の議会のそれまでの間人を置いて、次の議会で人の整備をするというふうなことは必ずしもする必要がないので、私はやはり一事項を政府で決意します場合に、それぞれの部面での処理をそれぞれ進めて行くということでよろしいかと思つております。  只今指摘のありました国営競馬の問題につきましても、どうも政府の役人がその馬券を売つたり、勝馬を計算をしてみたりすることが必ずしも結構だと思いませんので、国営競馬を民営に移管するということを決意をいたしまして、この定員法改正案を作り、実体法のほうも準備をいたしております。定員法のほうは、国営競馬のほうは法案ができましてからでもいろいろな準備が必要でありますので、来年の十月一日から実施するごと考えているのでありますが、具体的な法案については実はこの臨時国会で出すつもりでおりましたが、いろいろ問題がございまして、民営案をやるという方針はきめながら、その具体案については固まつておりません。勿論今楠見委員の御指摘のありましたように、私は必ずしも全部を一斉に、殊にこの国営競馬のように案をきめましても定員の動くのは来年の十月一日からという場合には、同時にこれと一緒に実体法案が出なければならないとは思いませんけれども、併し国会の御審議としては、政府考えておりますような具体案をあとで作るとしても、少くとも競馬というような仕事政府がやるのをやめるという方針自体についてはこれは御了承を得るということでなければ、国会を通過することは私はむずかしいと思う。私は国会で審議を願う形といたしましては、必ずしも実体法と私は並行しなければならんということもないじやないか、国会としてのお考えになる方も、民営はやる、併し民営案の内容については意見があるというふうなところに政府と同じような考えを若し持つて頂けるならば、今日直ちに民営案を具体的にまとめることができなくても、まあ定員法の原案について御了承を頂きたいと考えているのですが、併しそれが或いは民営ということ自身にし全く御反対であつたり、或いは又具体案を見てみないと国営、民営いずれかというような意見もきめられないということであれば、それが定員法の審議にも響くということはこれは止むを得ないことだと思つております。
  36. 楠見義男

    ○楠見義男君 競馬の話が出ましたが、橋本長官競馬はよく御存じないようなんですが、国の役人が馬券を売つたり、計算をしたりしておらない。その点は一度競馬を御覧になつてみるとわかると思いますが、(笑声)そこで問題は、今お話のように民営にするという方向には異存はないけれども、その内容について将来検討を要するということであればお話通りなんですが、民営にするということに、その根本の問題に参議院としては従来非常に問題があり、先ほども申上げたように民営にするぐらいなら、現在の国営及び府県営の競馬を一切やめたほうがいいというような意見があるくらいなんですから、従つてこういうような問題はむしろ実体法が先行するか、少くともこの定員法とそれから実体法とが同じ国会で審議される場合には大体の見当もわかりましようから、時間的にどちらが先になつてあとになつても、これはよくあることですから止むを得んと思いますが、少くとも同一国会にこの法案が出なければ無理じやないか、ということは仮に実体法が現行法通り継続するという場合には、定員は一度落ちたと、従つてその法律を施行する人間はなくなつてしまう。例えば国営競馬で言いますと、五百何人のうちで殆んどその全部の人はいなくなつてしまう。そして又新たに予算に計上し、定員法改正しなければならない、これは如何にも愚なやり方ではないか。それよりも先行し、或いは少くとも同時に国会に提案されて、そしてその国会の意思を明らかにせられるということが必要じやないか。これは主食の問題でもそうなんですが、一応衆議院で修正になつて来ましたけれども、あれは統制撤廃ということについては原則は一向変つておりません。即ち統制撤廃を前提としての修正なんです。そこで配給業務を四月からやめるとか、或いは十月までやつて十一月以降はやめるとかいうことが前提になつておりますけれども、これは政府の一方的な解釈や意思ではできない問題なんです。どうしても法律で以てきめなければならん問題なんです。而もその問題については参議院でああいうような決議までし、又大体の空気もおわかりになつていることだと思います。そうすればいま競馬で申上げると同じように非常にその間に無駄なことをやらなければならないのじやないか。こういう意味からすれば同時提案とか、或いはこちらの定員法関係のほうをあとへずらすということが最も至当なやり方ではないかと、こういうふうに思うのでありますが、もう一度お伺いいたしたいと思います。
  37. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはやはり御意見はいろいろおありだろうと思います。ただ政府といたしましては、主食の統制撤廃に関しましては、本年度産米の配給はいたしますが、その後の新規の供出の配給も行う、そうして主食の統制撤廃は行うという方針でこの定員法改正案を……只今指摘通り自由党の修正はそういう趣旨で作つて御審議があつたと思います。そういう趣旨で御賛同を願いたいと思つておるものであることははつきり申上げられると思います。で、なおその場合におきます先行きをどうするか、法律、政令の関係等につきましては、これは私も具体的に細かい問題について存じませんので、主管大臣からこれは答弁申上げるほうが間違いないと思います。
  38. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の申上げる趣旨は、この定員法において政府の御希望なり、或いは與党の御希望なりに副うような結論を出す出さんは別にしても、その是非をきめるということになれば、これは二週間や三週間の論議ではこの問題は私は解決付かんと思つております。今の主食統制撤廃の可否の問題、或いは競馬の民営移管の可否の問題、従つて若しこの委員会でその問題も同時解決するような方向で審議するとすれば、勿論農林委員会との連合審査も今申上げたように相当長期にやつて、恐らくこの会期を延長しても解決の付かない問題じやないか。そういうことであれば先ほど申上げたように、この問題は一時棚上げをするか、或いは継続審査というような行き方に持つて行くのがいいのか、この法案の審議自体にも、非常にこれからの我々の審議自体にも大きな影響を持つて来るというような意味からお尋ねをしておるわけなんであります。いずれお話のように農林との連合委員会もありまするし、又具体的に農林省関係の審議のときもありますから、その場合に改めて伺うことにして橋本長官の対する質問はこの程度にいたします。  その次にお伺いしたいのは審査請求権の排除の問題なんですが、これは一昨日でありましたか、人事院総裁の出席を求めて内閣人事委員会との連合委員会をいたしました際の人事院総裁の御意見は、前提として自分政府委員であるからその政府委員立場からその限度において説明をするというようなことではつきりとしたことは立場上言われなかつたのでありますが、内心は反対であるのか賛成であるのかよくわかりませんが、一応表面的に言われた理由は、これの適用を排除しないということになればどうしても整理基準を設けなければならない、その整理基準を設けることによつてつて整理される人に不利な立場を與える、即ち成績が悪いとか無能であるとか、こういうような刻印を押すことになつて従つて整理基準は設けないほうがいいのじやないか、そうなつてくればこの適用を排除する規定はやはり原案のほうがいいのじやないかと、こういうような趣旨のお話があつたのでありますが、委員会として当時問題になりましたのは、整理基準を設けることは困難だからという理由で以てこの公務員としては最後の抗議権といいましようか、自分を守る権利を剥奪されることは非常に酷ではないか、人事院もその際に言われたのでありますが、第二回の行政整理の際にはこの適用除外の規定は国会の修正によつて削除される、修正の結果審査の請求権が認められることになつた、併し実際問題としては審査請求をして来た件数はなかつた、こういうようなお話でありました。そこで適用することにしておいても第一回の場合で人事院総裁がお話なつたように審査請求がなければそれは結構なことじやないか、こう私は思うのであります。同時に整理基準は困難だと言われますけれども、困難でもやはりその程度のことはしてあげて、最後整理される人に対する講義権を、或いは基本的人権を守る機会を與えてあげるのが至当ではないか。これは世間的に見れは今回整理される人はその仕事自体は残つてつて、而もその仕事に従事しておつた人の一部が整理されるのでありますから、決して一番有能な人が整理されるとは世間は誰も考えない、そこで行政官庁の都合で、即ち予算の縮減によつて、或いは定員改正によつて行われる場合は、これはまあ一方的に当局所は整理ができるのでありますが、その場合でも人事院としては平等の原則に従うということを各省庁に通達してやるそうであります。従つて予算は削減されても人事院の平等の原則によつて整理はされるわけでありますが、その場合にむしろ整理基準は困難であつても、ない場合に比較いたしますと、ない場合には一方的に整理されたことに対して不公平、人事院の平等の原則に反したと認めて抗議をいたしたくとも実は抗議ができない、そういう人を最後の一人まで救うのが私は官庁として当然なすべきことであり、又人事院として当然守らねばならん問題だと思つておるのであります。そこで人事院総裁は政府委員立場からはつきりお話にならなかつたのでありますが、国務大臣として橋本長官はこの問題についてどういうふうにお考えになつておりますか、この点の御意見を伺いたい。
  39. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 先ず人事院総裁は賛成か賛成でなかつたかわからないというお話でありますが、賛成、賛成してないというお話は別として、人事院総裁は特に重要な地位でありますから私は申上げません。この附則の五項の一の、予算の減少によつて免職され、不利益処分を受けるという中には人事院自体も入つておるのであります。それでこういつたふうな関係行政管理庁としては直接定員法には御承知のように人事院の問題には触れてならないという積極的な規定がある。私が法律違反をしてまで積極的なおせつかいをするということは考えものでございまして、十分人事院とは相談ずくのものであるということは御了承願います。  それから今の整理基準の問題でありまするが、前々からお話をいたしまするように、行政整理ということになれば、それは特に工合の悪い人を定員があるにかかわらずやめさせる、そうしてその場合に工合が悪いか、悪くないかといつた場合にいわゆる不利益処分として問題になるのと違つて、仮に今日おりまする八十何万の定員の中で、その中の人が全部極めて有能で、極めて誠実で、極めて勤勉であつても、この行政整理の趣旨によつて人々々が全然甲乙がなくてもやめてもらわねばならないという状態にあるわけですが、従いまして、そういう見地から言つて、この定員の中で別の理由から一定の人員を減らすということになれば、むしろ整理基準というようなものを特定に設けてないほうがいいじやないか、夏以来実際整理の衝に当る次官なり、官房長、人事官等ともよく相談をいたしましたが、これは殊に行政整理といつたような場合においては各省庁において真実公平にやらなければ到底できないと思います。強いて書くとすれば勤勉ならざるものとか、或いは有能でないものとか、なんだかんだということを書かなければなりません。而してそれも一つの職場の中で一人や二人ならいいかも知れませんが、相当な人数ということになると、例えば千人いる所で二百人やるとすると、そうすると一番から八百番までその評定をして、八百一番目から落したのでなければ、これは仮に処分が不当か、不当でないかということを言うにしても誠に困つてしまう、人事院の総裁も言つておるように整理基準というものをそれは作つても作れないということになるかも知れませんが、実際につまり勤勉ならざるが故に、有能ならざるが故に整理をするというのでなく、別の理由から整理を要するというこの法律で、強いてその法の趣旨と違つた、法の趣旨は全部有能でも勤勉でも誠実でもこれだけはやめてもらうというのであります。それでこの法の特に趣旨と違つた何か特定の理由整理をするということになるのは、これは整理をされた人に対しても気の毒であるし、実際上いろいろな点でむしろうまく行かないのではないか、それでむしろ強いてそういつたような整理基準を設けるよりは、各職場で万人の見るところであるというそういうような何といつても自発的の退職者の勧誘をするとか、それが第一であり、欠員、長期欠勤者の補充した残り整理しなければなりません。それでおのずから省庁内でも相談をして行きたいということで、この問題につきましても何遍かいろいろと討議をいたしました結果、こういうふうにしたわけであります。昨年の場合にはたしか総計が六千何百人であつたかと思いますが、数も少なかつたのでそれでもよろしいと思いましたけれども、今回の場合には一昨年の場合と同じようにむしろこれは排除するほうが適当じやないかと考えております。
  40. 楠見義男

    ○楠見義男君 昨年の整理はいわゆるレッド・パージの問題が中心になつた。整理で通常の場合であれば審査請求件数が相当多かるべきものと考えるのが常識的な見方であつたのでありますが、それに対して人事院総裁は審査請求は殆んどなかつたと、こういうことなんであります。そこでこの審査請求の問題は先ほど申上げたように、最後のその権利を守る、残された唯一のチャンスであるわけなんです。そこでそういうような最後のチャンスを残すことの煩ですね、先ほどのお話のあつたいろいろの一番から千番という中で二番や三番の人が不平等に整理された場合にはその人たちを救つてあげるということの、その制度を残すということの重要性と先ほどの煩とどちらに重きをかけるかということが私は問題だと思うのであります。整理あとで従来のような事務能率を挙げて行く場合には、これは長官自身も提案理由でお述べになつておつたような事務能率を挙げて行かなければならんというのでありますが、その能率を挙げて行く場合にはこれはできるだけ優秀な人を残して、そうして優秀ならざる人にやめてもらう以外には、私は事務能率を最高度に挙げて今回の整理による欠員をカバーして行くということは考えられないじやないかということが一つと、先ほども申上げたように、誰も世間は整理される場合に、皆が籤引きで整理者をきめたなんかということは誰も考えない。やはり出動状況が悪いとか、そういつた比較的優秀ならざる人が順次整理されるものと考えるのがこれが常識なんであります。従つて先ほど申上げたように、秤にかけてどちらを我我は重しとすべきかという観点からすれば、昨年の例から見ましても、当然この規定は存置すべきものと思うのでありますが、これは議論になりますからこの程度にいたしておきまして、別の機会に又お伺いすることにいたします。
  41. 三好始

    ○三好始君 私は第五国会において定員法案が提出された際に、即ち現内閣の第一回の行政整理法案を審議して以来第二回の定員法改正案も審議に参加いたしました。その後農林委員に変つておりましたが、第三回目のこの定員法の審議に再び参加しておるわけでありますが、第一回の定員法案とこの現在提出されておる法案との間には、いろいろな点で類似点もありますし、又違つておる点もあるのであります。著しく違つておる点はどこかと申しますと、第一回の行政整理の法案では二割とか三割とかいう一律の基準をきめたいわば天引整理案であることを当時の本多国務大臣も認めておつたのであります。そういう御説明でありました。従つて私たちは二割乃至三割の基準をきめての整理がいいか悪いかということが問題の焦点になつたのであります。ところが今回の場合は、橋本長官の御説明によりますというと、天引整理ではなくして、各省庁について事務の実情を具体的に検討して整理人員を算出した、こういう説明でありました。この点が最も著しい相違であります。そういたしますと、私たちは各省庁について事務の実情から、どういうふうにして政府の提出しておる整理案が出て来たかを具体的に検討する当然の責任か生ずるのであります。その点第一回の行政整理に比べて審議がおのずから具体的になつて来るし、日数も従つて多くかかるものと私たちは考えておるのであります。そこでこれは委員長に対するお願いでありますが、会期はあと余すところ僅かしかありませんけれども、審議の日数を枠をきめてしまつて、その間に十分な審議が終らないのに結論を出さなければいけないようなことにならないようにお取計いをお願いいたしたいのであります。具体的の問題につきましては、各省庁について検討する際に十分にお尋ねすることにいたしまして、一般的な問題について、只今から数点お伺いしてみたいと思うのであります。  先ず第一番に、行政整理による定員の削減は、本来ならば機構改革が同時に考えられて、これと並行して審議する、或いは機構改革を先行させるということが好ましいことは誰しも考えるところでありますが、橋本長官の御説明によりますというと、人員整理は專ら事務整理関係するものであつて、必ずしも機構改革と密接に関係するものではないというような御説明であつたと思うのであります。私たちはそういう御説明に必ずしも納得するものではありませんが、機構改革の法律案は恐らく次の通常国会に提出されるものと私たちは考えております。そこでお伺いをいたしたい第一点は、通常国会において機構改革の法律案が提出される際に、再び機構改革に関連した人員整理が問題になるのかどうか、人員整理は今回の定員法改正で一応一段落して、次に行われる機構改革は人員整理には全然無関係なのかどうか、先ずその点をお伺いしたいと思います。
  42. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 三好君の委員会の審議を十分に盡せという委員長に対する御要求でありまするが、委員長といたしましては、三好君の御意見通りできるだけ十分に意見を盡すようにしたいという考えであります。そのことを先ずお答えいたしておきます。
  43. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今お話の点でございますが、私は真実この行政機関の定員というものはやはり仕事をするために人が必要なんであつて、如何なる仕事が必要であるか、如何なる仕事が又手が空いて来たかというところから定員がきまつて参るものだと事実考えております。行政機構を仮にむやみやたらと統合して、省庁を少くするのがいいとも考えませんけれども、その場合に問題になるのは、例えば二つあつた会計課がくつ付いたときには、仕事は成るほど合理化されて、幾らか減らせないかといつたような問題はあるだろうと思いますが、私は機構の改革によつて即ち人員整理が当然起らなければならないと考えておりません。今日私の考えておりまするところは、個々に行政事務をずつと検討いたしました場合、これに所要の人員というものが必要であると考えております。従いまして行政機構の改革が行われまする際におきましても、省庁間におきまする人員の移動というものが行われますととはあつても、人員の数の整理というものは原則として考えておりません。ただそういうことがございましよう。例えば或る種の行政委員会なら行政委員会が仮にやめて、そうして一般省庁仕事をするというふうな場合には、その行政委員会仕事の実体というものはきえませんから、その根になる人員というものは動きませんけれども委員何名かでやつておつた仕事所管大臣の下じ一つ仕事にして、委員何名が減るということはあります。私はそういつた例外的なことは除きまして、今日の行政機関定員法改正を以て足ると考えております。
  44. 三好始

    ○三好始君 来国会に予定されておる機構改革には、人員整理は原則として伴つておらないというふうに了解いたしましたから、次の問題に移ります。  今回の定員法改正案には第一回の整理と非常に違うもう一つの点でありますが、実体法が改正になる予定の下に定員法改正案が提出されておつて、実体法の改正そのものは法律案の形で国会に提出されておらない。こういうふうなことでありまして、先ほども楠見委員から繰返して述べられたことであります。昨年来出ておる問題でありますが、こてに対する橋本長官の御説明では、予算と実体法、定員法、三つの間に相互に関係があるけれども、提出の時期は必ずしも同時であるとは考えておらない、政府は一貫した一つの方針をきめて、案としては準備のできたものから出して差支えないと思う。こういうお話であります。私はこれは同じ会期に提出されるものとすれば、そういうお立場を認めるにやぶさかでないのでありますが、会期が異なつて、別な問題については次の会期でなければ出て来ない、こういう状態の行かなければならない。こういう審議上非常に困つたことになるのであります。若し長官の立場のように、方針はすでに政府としてきまつておるのだから、準備のできたものから審議してもらいたいということであれば、私たちは定員法改正案の審議の前提になつておる実体法の変更は、他の委員会で審議せられないのでありますから、前提をなしておる実体法の審議そのものもこの内閣委員会でやつて行かなければ、定員法の結論は出ないということになるのでありまして、それは本委員会の審議がそれだけ愼重を要するわけであります。時間的にも多くの日数を費すことはこれは当然だと思うのであります。このことを質問するというよりはあらかじめ私の態度として申上げておく次第でありますが、一つお尋ねいたしたいのは今の問題にも関係するわけでありますが、更に今度の法律案の審議に当つては、審議上必要な資料余り提出されておらない、これを非常に遺憾に思うのでありまして、以下述べるような資料の提出が審議に十分間に合うようにできるのかどうか、それをお伺いしておきたいのであります。即ち今度の人員整理事務の実情を具体的に正検討して整理人員をきめたことになつておるのでありますが、先ほど楠見委員に対するお答えの中で申しておりました会計関係人事関係事務簡素化を図る具体案を検討中である、こういうことでありました。ところが会計なり人事事務簡素化を検討せられた上で整理人員が出て来るというのがし本来の順序でなければいけないと思うのです。政府は一応会計なり、人事事務簡素化をこういうふうにやりたいという一つの情想を持つてつて、それで整理人員を出されたと思うのでありますが、私たちにとりましては会計なり人事事務をどういうふうに簡素化するのかという政府の具体的な計画をお示しにならないで、抽象的に事務簡素化をするのだということで審議を進めて行くわけには行かないのでありまして、どういうふうに計画なり人事事務簡素化を図ろうとしておるのか、政府から資料が提出されなければできないと思います。これが審議に間に合うように提出して頂けるかどうか、お伺いしておきたいのであります。
  45. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 人事法制及び会計法制の調整をいたしまして、事務人員簡素化を進めておるのであります。会計法規については今日は実は閣議関係法律の案を審議しておつたのでありますが、極く一部の未決のところがありまして、これは閣議決定後に譲りたいと思います。会計関係については法律を要する部分もありますので、これものちほどお示しすることになろうかと思います。人事は殆んど人事院規則の問題でありますので、これは成案を得次第お示しをすることにいたしたいと思います。ただこの問題につきましては、仕事簡素化を図らなければならないということ自身につきましては、もう政府部内におきまして、又人事についても人事関係も了承のことでありまするので、この具体的な規定の確定いたしますると否とにかかわらず、仕事は極めて簡素化の方向に進めつつあるということは御信用願いたいと思います。  それからお話のございましたこの前は天引だつたけれども、だから天引を承知すればあとはいいんだというようなお話がございました。今回は……ということでございましたが、私はこれは前回担当された本多国務大臣の名誉のためにも私は申上げたいのでありますが、前回のときには二割、三割ということを基準にいたしまして、長いことやはり今回と同じ簡素化案を練つて、そうして具体的にこれで国政の運営がうまく行くかどうかということを検討した結果きめたことでございます。ただきめ方が今回は政令審議会の答申を基礎にして、あらかじめ各人に区分けして当らせましたし、前のときには、二割、三割という大枠をきめておいて、小枠に入つて行くということで始めまして、政府といたしまして、国政の運営を最小限度の人員能率的にやるという基本的な考え方については前回も今回も変らず、基本はやはり事務がどれだけの人でできるかという点にあつたということを私は申上げておきたいと思います。
  46. 三好始

    ○三好始君 資料の点についてなお二、三追加して申しておきたいのでありますが、すでに要求されておる資料のうちで、公務員が昭和六年頃に比べて非常に激増しておるようなことを本会議でも委員会でも大臣のほうから話が出ておるのでありますが、この具体的な資料はすでに本委員会から要求されておりますけれども、まだ私たちは受取つておりません。これは早急に出して頂きたいと思うのであります。なお本国会つてすぐであつたかと思うのでありますが、私のほうから公務員の自然退職の状況についての資料を要求いたしましたが、これもまだ受取つておりません。こういうものが審議に間に合うように出せるのかどうか、これも承わつておきたいのであります。
  47. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 公務員の数につきましては前にも申上げました。昭和六年の数字を差上げてあると思いますが、ただそれに五十数万となつておりますのが、終戰当時にいろいろ資料を焼いてしまつたりなんかしました関係で、わかりにくい部分があるのであります。それをますます正確ならしめるための検討はいたしております。今日までのところではあれを今まで行政管理庁で調べて一応正確と考えて差上げた資料でありますが、それを御覧を頂きたいと思います。で、いろいろ昔のものは雇用人等は予算の中の各項目の中に隠れておりますので、それをなお検討いたしまして正確を期したいと思つております。なおその部分がいつ頃になりますかはまだちよつとわかりません。それから自然退職の数字については明日までに一つ……。
  48. 三好始

    ○三好始君 行政整理の常識的な根拠になつておる問題で公務員が余りにも多過ぎる、こういうことが正確かどうかは別といたしまして、よく宣伝される言葉の中に国民七人について一人の割合で公務員を養つておる、こういう言葉が出て来るのであります。これは外国に比べて日本の場合に公務員が非常に多過ぎるのだという印象を国民に與えておりました。それが行政整理が妥当なものと結論する一つの常識的な根拠になつておるように思うのであります。ところが行政管理庁から頂きました資料によりますと、公務員と国民の数との割合は、日本の場合にはアメリカ、イギリスに比べて少いという結果が出ております。即ち資料によりますというと、日本の場合には官公吏数の国民との比率は三・五%に過ぎないけれども、英国の場合にはこれが四・九%になつておる。アメリカの場合には四・%になつておる。日本の場合が官公吏合せて公務員の数が少いという結果になつております。これは行政管理庁から頂いた資料に出ておるのであります。そうしますと、世間に流布せられておる日本のほうが公務員の数が外国に比べて非常に多いのだという考え方は誤まつておるということになるのでありますが、長官はこれをお認めになるかどうか、伺いたいのであります。
  49. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は実は公務員の数をむやみに外国と機械的に比較してみるのが必ずしも意味があるとも考えておりませんので、そういつたようなことを余り検討したことがございません。只今指摘になりました資料も私余りよく見ておりませんが、公務員と国民との比率という先ほどの七人、一人といつたのも恐らく国家公務員と地方公務員と合せて家族の数などを想定してやつたものだと思いますが、数が非常に正確なものかどうかということは私余り検討したことがなく、わかりません。ただ今回そういつたふうな外国との比較とか何んか言いますることよりも、むしろ日本が総動員体制へ入る直前であつた昭和六年頃との比較というものは私はやはり考えていいことだと思つております。その間におきまして、日本の国民所得もうんと減りまして、海外から帰つて来た人たちで又人口も殖えておりまして、総体的に非常に貧乏である場合においては、役人の数が全く同じであつてもこれは行政費が高いということに相成りまするし、今日の場合におきまして、先ほども指摘のありました五十九万という数字は、一応調べ上げたところを行政管理庁で従来からまとめておるものでありますが、仮に昔の予算に入つておりました傭人などの数を拾い上げて若干補正いたしましても、その当時に比べて今日のほうがずつと数が多いということはたしかだろうということになつております。  で、私はむしろ日本の国民所得や国富の動きを見まして、できるだけ日本としてのチープ・ガバンメントを作つて行かなければならないということを考えておりますが、外国の問題につきましては、数字自身の比較をしようと思いましたら、いろいろ例えば公企業のあり方だとか、或いは地方公務員のあり方だとか、いろいろなものを比較して内容を検討いたしませんと、国によつて事情も非常に違いますし、それから金の非常にある国とない国とも違いますししますから、どちらが多いとか少いとかいうようなことを論ずるには余り意味のないことでもあるし、又私がそれを申しまするのもいろいろな意味において却つて誤解を生じやすいことだと思いますので……。
  50. 河井彌八

    委員長河井彌八君) まだ質疑応答の半ばでありますが、とり急いで決定したいことがありますから、お諮りいたします。明日の連合委員会のことでありますが、明日は労働委員会経済安定委員会から連合委員会を申出ております。  更に又只今運輸委員会からも連合委員会の申出があります。従つて明日は労働、経済安定及び運輸この三委員会連合委員会開会したいと思いますが、このことをお諮りいたします。御異存はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めまして、さように決しました。
  52. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ついでに今のに関連いたしまして、実は明日参議院の本会議が午前十時からありまして、社会保障制度推進に関する決議案というのがありまするのと、それからそれに引続いて河崎ナツ君から社会保障制度推進に関する緊急質問というのが厚生大臣と大蔵大臣宛にありまして、これは両方で、やはり三、四十分要するようであります。
  53. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  54. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは速記を始めて下さい。
  55. 三好始

    ○三好始君 先ほどの私の質問は結局世間に流布されておる、外国に比べて日本のほうが公務員が非常に多いのだというような考え方が当つておらないということがわかればそれでいいのでありまして、この点について長官言葉を濁されまして、日本国内で昔と今とのほうが問題があるというようなお話なんでありますが、日本自体の戰前との正確な比較の出ている資料がまだ提出されておらないような状況ですから、私はその問題は比較のできる資料の提出を待つてから改めて問題にすることにしまして、次へ移りますが、行政整理一般に歓迎される一つのやはり根拠になるのが経費の節約だと思うのであります。この点について今回の定員法改正案の実現によつて二十六年度内では退職金なんかの関係で四十三億円ばかり経費が増加するけれども、二十七年度は百五十七億七千万円、平年度二百七億七千万円程度の人件費の節約になる、こういう意味のことをしばしば述べられておるようであります。ところが私は数字はすべて正確でなければいけないと思うのであります。誤まつた数字を発表されることは誤まつた結論を導き出すことになりますから、少くとも数字は間違いのない正確なものでなければいけないと思うのです。ところが繰返して本会議でも委員会でも述べられておる今回の整理による経費節約額には、私は問題があると思うのであります。と申しますのは、例えば食糧管理特別会計から人件費が支弁されて、主食の消費者負担になつておる食糧庁の人員整理による給與の節約額もこの中に入つておるように私政府資料から判断するのでありますが、これは一般の経費から支弁される公務員の整理とは趣が違うと思います。租税の節約というものに直接の関係はありません。仮に政府の提案しておる通り食糧庁の定員が削減された場合、そして先般来問題になつております主食の統制撤廃が仮に実現した場合、現在の食糧庁の人件費に支払われておるものに相当するもの、或いは統計局にはそれ以上の中間経費が曾つての自由経済時代に見られるのであります。これは一般人員整理の場合と趣が違うはずであります。これをやはり経費節約額として加算しておるのは私誤まつた数字を発表せられておるという結果になりはしないかと思うのであります。この点についての長官の御意見を承わつておきたいのであります。
  56. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) その点につきましては全く所見を異にいたしております。行政整理に伴う経費の節約額に違いないのでありまして、三好委員のお言葉によりますると、経費の節約にはなるけれども、その経費に見合う歳入か手数料收入であつたり、或いは又食糧払下げ価格であつたりするものはその経費節約をしようとしまいと問題にしないでよろしい、租税だけが見合になつておるものさえ問題にすればいいのじやないかというお考えのようでありますが、私はそう思つておりません。やはり租税でとられようと、米代でとられようと、手数料でとられようと、やはり国民の負担に違いないのでありまして、私どもはあらゆる部面においてやはりできるだけ少い人員と経費とを以て行政運営のできるようにしなければならんと考えておりますので、行政整理に伴う経費の節約額は予算上の経費の節約額でありますると同時に、これが又実体的にも経費節約の必要のあるものと考えておるわけであります。
  57. 三好始

    ○三好始君 只今の問題は長官と所見を私異にいたします。少くとも一般経費から支弁されておる人員の削減の場合と食糧管理特別会計により支弁されておる場合とで性質は同じでないと思うのでありますが、この点は問題が農林関係の問題にも関連して来ますので、更に別な機会に農林関係人員整理を検討する際に讓ることにいたしまして、これはこれ以上触れないことにして次に移ります。  附則第三項の問題についてお尋ねいたしますが、これは結局衆議院で自由党修正案によつて削除せられることになりましたから、ここで殊更取上げてお尋ねするのに及ばないかもわかりませんが、一応政府はこういうものを附則に加えた趣旨について質しておきたいのであります。私は今までいろいろな法律案を審議して参りましたが、こういう條件附の法律案を審議したのは只今記憶しておるところによりますというと、これが唯一の例であります。米穀についての統制の廃止ということは政府がきめる問題であります。定員の削減もやはり同じ政府がきめる問題でありまして、これは長官がしばしば繰返しております通り政府の同じ政策から出て来る問題であります。それをこの附則ではあだかも何だか自然條件でも言つておるかのような印象を受ける規定になつておるのでありまして、法律の体裁として随分おかしいわけであります。政治に自主性のない占領下の立法であると申しましても、こういうものを明らかに法律の明文の上に出すのは非常に不見識だと思うのであります。今回の衆議院の審議におきましてこれは削除されたようでありますから、存在するものとして質疑するのは適当でないかもわかりませんが、念のためにこういう附則を設けた趣旨について長官の考え方を承わりたいのであります。
  58. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) お話のありましたように、もう実は勝負のあつたことでありまするが、不見識だというお話がございましたが、私も実はその通りだと思つております。ただ日本がいくさに負けまして政府が不見識たらざるを得ない状態に置かれておることは私は非常に遺憾に思うのですが、実はこれはもう下手なことを申しまするよりも、率直に意見を衆議院でも私申上げたのであります。実はこの主食の統制撤廃の問題につきましても、私は行政管理庁の、長官として定員法改正を所管しておるわけであります。実は他の所管大臣の所管しておる面の仕事というものは並行して進むものと思います。それで今日の状況としまして、一切の案はやはり近く独立を見ましようが、今日総司令部の承認が要ります。提出をいたしましたところ予算案のほうは先ず第一に通りまして、それから定員法のほうに関しましては、定員法改正案を出すこと自身は賛成だ、むしろ早く国会にかけるについて総司令部も協力的であつて、ただ主食の統制撤廃の問題、その中で供出関係、それから麦の統制撤廃については向うは問題にいたしませんでした。ライス・オブ・コントロールの部分だけについては自分のほうでまだ意見がきまつておらない。従つて反対というわけじやないんだが、これは黙つて通すのは賛成しないというようなこと、そこで要するにこの問題についてだけは若し政府考え通りこの配給統制をやめるということが四月一日までにOKだということにならない場合には、自動的に復活できるような措置を講じて置いてもらいたいということでありまして、むしろ講和会議以前の状態においてならば、恐らくこういう附則でも付けなければならないようなものについては総司令部のほうで全然国会に提案することは話がすつかりきまるまで認めなかつたと思いますが、今日の段階におきましては、私も実は初めて感じたのでありますが、むしろ今まで認めなかつたけれども、とにかく附則付では出すことを認められる段階まで来たのだと実は感じたのです。そういう経緯でこの附則を付けて出して国会の御審議を願う。従いまして総司令部の場合においても実体的な要綱について相談をし、できるだけ早く裁断を下し、いずれ国会に提案してからあとで、この附則はいずれのときか死文に帰するような措置がとられるであろうということで最初から考えておつたことであります。これについてそういうふうなものは出すのは不見識だ、或いは臨時国会に通らないでもいいから提案を遅らせろという御意見もおありかと思いますけれども政府といたしましては、総司令部のOKをとるにつきまして、向う側とも相談して実態に即した提案をいたしたつもりであります。
  59. 三好始

    ○三好始君 附則第三項の問題は、本委員会が審査するものとしてはすでに衆議院で修正されて対象がなくなつた問題ですから、これ以上触れません。  附則第五項についてお伺いいたしたいと思います。これは先ほど楠見委員も触れられましたし、又淺井人事院総裁に対してこの問題について相当詳しく、質疑応答が交されたのでありますが、提案理由の説明なり、先ほどの長官の説明も同様でありますが、第一回の行政整理と同じように今回は整理人員が非常に多いから、国家公務員法の審査請求権を認めることは適当でない。  人数の問題、量的な問題として長官は理解されておるようであります。ところが淺井総裁の説明を考えますというと、これは量的な問題でなくして質的なものである、こういうふうに了解いたしたのであります。つまり行政整理というような整理の仕方で人を減らす場合に、整理基準の設けようがないというところからこういう整理基準を設けさえすれば、公務員法による審査請求権を原則通り認めても、人事院としては実際問題として審査が可能である。ところが整理基準を設けられないから公務員法の審査請求権が実際上発動できない。審査できないというような淺井総裁の話であります。そうしますと、結局これは量的な問題でなくして、行政整理による首切りの性質から来る問題のように思うのであります。先ずこれについて長官の御意見を承わつておきたいのであります。
  60. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 御指摘になりますように、先ほども楠見委員に対してお答えをいたしましたように、私はやはり質的な問題だと思つております。提案理由の説明に書きましたことは、これは言葉は少し足りないと思いますが、要するにこういつたような多数の人員行政整理として整理をしなくちやならんような場合においては、この制度を適用することはこの実情に即していない。この制度自身を飽くまでも……定員なら定員というものは存在していて、その中でわけもないのに首を切られるということが趣旨であつて、全部がいい人であつてもとにかく人数自身としてこれだけ整理するといつたような場合においては、もう整理基準を設けることが適当でないし、今回のこの附則のように適用しない措置をするほうか理事の筋だというふうに私は考えております。その点につきましては、提案理由の説明については言葉はいささか不備であると思います。
  61. 三好始

    ○三好始君 第五国会の第一回の行政整理の場合には今回提案の場合と同じように、国家公務員法による審査請求権を剥奪したものが通過成立いたしたのであります。ところがその翌年の、いわば第二回の行政整理の場合にはこれとそつくり同じような提案がなされておつたんですけれども内閣委員会で我々が修正をいたしまして、これを削除して公務員法の原則に還りました。ところが原則に還りましたけれども、結局審査請求権は一件もなかつたような淺井人事院総裁の答弁でありました。そうしますというと、今回の場合にもこの第五項を削除するという修正を加えても、実際問題として非常な支障が起るというふうには考えられないわけであります。第二回の整理の実情から考えてもそういうふうに判断できるのでありますが、それにもかかわらず第五項を飽くまで設けなければいけない実際的な理由が何かあるんでしようか。
  62. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) そこまでのお話になりますと、これはやはりおのずから整理人員の量というものが相当な問題になると思います。昨年何千何百人か整理をいたしました。これはもう一般的に行政整理と銘を打つて規模にやつたわけでもございませんし、むしろ世間では一昨年行政整理はあつたが、昨年は行政整理がなかつたというふうに感じておるくらいであります。昨年に引続きまして今回のようにやはり何万というものの整理をやるというふうな場合におきまして、そうして先ほど申上げましたような趣旨から言つて整理基準を設けないで、各省庁の中で飽くまでいいようにやつてくれというふうな場合におきましては、これは飽くまでその中でまあ公平な原則から言えば、自分よりほかに無能なやつがいるはずだ、そのほうを先きにやつたらどうかというふうな式の訴えが出て来たら、これに非常に人事院も裁きに困るだろうと思う。これに一つ原案の趣旨でやつて頂きたいと思います。
  63. 三好始

    ○三好始君 そうしますと第五項を設けなければ、公務員法審による審査請求権が次々と提出されて処置に困るだろうというふうにお考えになつておるのでしようか。
  64. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いやそうは思つておりません。私は本来からいいまして、行政整理なんというものは、私も実は行政管理庁の長官としては整理案を立てる側であり、行政管理庁自身の僅かの中におきましても、又厚生大臣としましても自分整理を担当しなければならんわけでありますが、これも本当に今まで頭を痛めているのです。これは納まりのいいようにやらなければ、それは好きだ嫌いだといつたような空気がちよつとでもあつたのではないかというような印象を一般に與えたら納まるものではない。実際に当りまして所管大臣といたしましても、ああいう又実際に人事に当られる方といたしましても、むしろその訴えの出て来るようなやり方をするというようなことはこれはもうありませんので、普通で行くならば私は余り訴えというものは出て来ないだろうと思います。ただこれはやはりこれだけの大臣整理をいたしますにつきましては、これを政府で提案し、国会でこれがよいとして成立をいたしましても、その趣旨を理解しないような人たちの間で、これがむやみに出て来たり何かしたら、やはり非常に困る場合があると思います。趣旨において本来この定員法の如何にかかわらずこういう人たち整理するというような趣旨でなく、先にも申上げましたように、全部が勤勉誠実のような人であつても、人数整理をしなければならないという趣旨から言いまして、この規定の適用を排除して行くことは建前上の筋だと思つております。
  65. 三好始

    ○三好始君 浅井人事院総裁は、たとえ公務員法の原則によつて審査請求がなされても、整理基準がない以上は審査はできないというような意味のことを言つております。ですからそういう場合にも整理そのものの法則の効力が認められないというような結果にはならないのだろうと私思つておりますが、そうしますと、審査を請求した人も実際問題として整理基準がないから審査ができないものをいつまでも当てにしておるということもないだろうと思うのです。そうしますと、こういう明文で以て公務員法の原則の例外を設けて、あたかも整理をされる公務員の最後に残された権利を剥奪するかのような印象を與えるよりは、あつさり第二回の整理と同じように、これを取り去つてしまつたほうが、政府としても却つて公務員の権利を無暗に抑圧するというような印象を受けないでいいのじやないか、私はこれは政府のために忠告申上げるわけです。
  66. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと関連して今の点で伺うのですが、これは橋本長官の言葉尻をつかまえるわけではないが、百人全部揃つて勤勉で同じような人間だというときに、それを例えば一割とか二割整理をするというのはどういうふうにして……あなたは厚生大臣ですけれども整理される場合は、どういうふうな方法、行き方で整理せられますか、参考のために、後学のために伺つておきたいのです。
  67. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は実は定員法改正によるところの行政整理というものは、たとえどういう場合でも数だけ減らさなければならないという性質のものだということを申上げただけで、現実の世界においては、楠見さんも長い間役人生活をされて御承知のように、人の能力、勤勉の度合、それから部内におきまする人の和といつたような点でも差がありまして、おのずから皆の考え方で、まあ整理をするならだんだんああいう人から遠慮してもらいたいというところを見計らつて、いたすということに私はするつもりでありますし、皆そうであろうと思います。
  68. 楠見義男

    ○楠見義男君 ですから、整理基準というものは設定困難じやないじやないか、これが問題になつているわけですね。例えば客観的に勤務成績が惡いとか、或いは又衆目の一致したところあの人がおるために仕事がうまく行かんとかというふうになつておる。従つてそういう整理基準をおきめになることは不可能だと私は実は思えない。それよりも先ほど申上げたように、アト・ランダムに成績のいい人が例えば課長なり局長の御機嫌を損じたために、或いはあけすけに思うことを真直ぐにはつきり言うために、いやがられてやめさせられる、こういう人を救うことが国家公務員法の審査請求権の問題だと思うのです。
  69. 三好始

    ○三好始君 非常勤職員の問題に関連して一つお伺いいたしたいのでありますが、本会議でもこの問題について緊急質問が出た際に、長官は人員整理して裏へ廻つて非常勤職員が増加するというような事態は嚴重に監視して避けたい、こういう意味の答弁をされているのであります。これは問題のとらえ方が非常に質問者と違つているのでありまして、問題は非常勤務員をすぐに増加しなければやつて行けないような事務の実態の中に問題があると思うのであります。そういう事務の実態には目を蔽うて、單に裏へ廻つて非常勤職員が増加するのは極力監視して避けなければいけない、こういうふうにおつしやるのは、丁度寒空に向つて洋服の上衣やチヨツキを脱がされたものが止むを得ず間に合せに着物を引つかけようとするのに、それをさえ監視してさせないようにする、こういつた結果になるのではないかと思うのであります。私はこういう点で非常勤職員状態に対しては非常に重大な関心を持つております。この問題について本委員会から資料の提出が要求されておつたように思うのでありますが、若しまだ要求されておらないのだつたら、ここで改めて非常勤職員の推移についての資料行政管理庁のほうでお出し頂きたいと思うのであります。詳しい非常勤職員の問題についての質疑はそれを拝見してからにいたしまして、一応先ほど来申し上げましたいろいろ質疑不十分な点も残つておりますが、要求した資料が提出されてから更に質問さして頂くことをお願いしておきまして、本日のところ一応これだけにとめておきます。
  70. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 三好委員の質問に関連して経費の問題で、三好委員の問題は数字の問題ですが、とにかく経費節約になり、そうしてその数字は正確でなければならないのだ、こういうことに対して食糧庁の問題について例をとらえて言われたわけです。それに対して橋本長官の言は、そうではなく、それはとにかく手数料であろうと経費であろうと、そうした人を減らせば実際経費は減るのだ、こういうような観点の御答弁だと思います。そうしますと、今そこに非常勤の問題が出たわけですが、使えば養蚕の指導員のようなおかたに例をとりますと、たしかに整理されて一昨年そういう人たちの経費が相当養蚕連合というか、何かそういう民間団体に負担されている。ですから私は三好委員の言うような意見であつて、これはまあ意見に少し亘るわけですが、橋本長官の考えておられるような経費節約には実際なつていない。ですからこの点を三好委員言つておられるのじやないかと私は思うので、改めてその点についての御見解を伺いたいと思います。
  71. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはお話のように、結局どこかで何人かの消費者の負担なり何なりにかかつておるとすれば、これは経費の節約になつておらんと思います。それから例えば、むしろそういうふうな形で行きますよりも、もつと典型的なわかりやすい例で言えば、国で仕事をやらないで地方自治体に移管した場合なんか明瞭にそうであります。これはそういうふうな場合には、若し経費節約だけが理由でやることならば、そういうふうな整理というものは意味がないということになりまするし、むしろそういう場合にはその仕事を国でやるほうがいいか、自治体でやるほうがいいか、民間団体でやるほうがいいかという観点から見て整理をすべきものだと思います。一昨年の行政整理の際には、いわゆる出先機関の権限の地方移管のように、国としては落すけれども、地方に移管するということをはつきり考えてやつたものもございます。今度の行政整理の場合には、仕事自体を国として要るか要らないかということを検討をいたしましたので、結局それを地方に移すというような結果になるものにつきましては、そういつたような意見が出たような場合においても、結局その仕事はどこかでやることが必要であつて、そうして国でやらないで地方に移すというだけのことならば、それはもうやらんでもよろしいというふうにいたしまして、そういうものは極力やめました。ただ先ほどお話に出ましたこの国営競馬関係の問題につきまして、これはむしろその競馬の国営というものをやるべきかやるべからざるかという観点からいたしましたので、そこで働いておつた人たちが競馬が民営になりますれば、何らかの恰好において民営競馬の運営に携わり、それは諸般の手数料なり入場料なりにかかつて来るものと考えております。ですからその経費節約ということが理由整理をするというものは格別考えておりませんけれども、若しそういう経費節約だけを問題にするならば、よそへ移るということならば意味がないというようなことになるだろうと思います。今日の場合には飽くまでもその仕事自身簡素化するか、或いは又国でやるか、よそでやるかということにつきまして考えております。
  72. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は整理がどうこうという問題ではなくて、政府発表の数字というものが、これだけ切つたらこれだけ経費が出て来る、非常に算術的な計算がしてあると、今長官が話されたように、競馬を民営に移せばそういう人たち事務がなくなつたわけではない、仕事がなくなつたわけではないから、当然その経費は要るのだと、だからその経費を節約されるという数字は、そういう人たちの働かれるところの経費というものが省かれた数字であるのか。若しそういう経費を省かれた数字であるとするならば、三好委員の言われるのは、政府の数字はでたらめであると、こういうことを言つておられるように思うのです。だから、そういう点を長官は除外されたのか入れられたのかということをはつきりして頂きたいのです。
  73. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今申上げましたように、前回の場合には地方委讓を考えておりましたけれども、今回の場合にはそういうものは極力除いてやつて行くということにいたしましたので、考えられまするものは、国営競馬の問題とアルコール工場の二工場払下げだけで、極めて軽微なものでありまするので、計算をいたしますときに、これは大蔵省で計算いたしました数字でありますが、これを特に除いてくれという註文はいたしませんでした。微々たるものとして入つておりますので、殆んど幾らも響かないと思います。
  74. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあそのことは三好委員資料を請求されておつて、非常勤が今後雇われるか雇われないかということについて、私は水掛論になつてしまうと思いますから、私はそれは昭和二十四年度に行われた場合にどうだ、或いは昭和二十五年に行なつ人員整理の結果どうなつたというような点からもう一度改めて機会を得てその問題については御質疑をしたいと思いますので、この問題はこれで打切ります。
  75. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 最後に、私非常勤職員のことをよく尋ねられますから、どうもはつきり問題をつかんでおられるのか、或いはごたごたしておるところがあるのではないかと感じておりますから、申上げておきます。よく非常勤職員が何十万おつたというような話がありますが、非常勤職員は御承知のように予算の中に賃金要員として上げて、写字工であるとか、翻訳であるとか、建設省の現場の工事関係人たちとかいうようなものが多いわけですが、これはやはり何と申しますか、延人員で何万人とか何十万人とかいうことを計算するのが予算に上つた延人員でありますが、或る一時点において同月何日現在何人働いていたかというようなことは、私は意味がないのではないかというように実は思つておるわけです。それで勿論非常勤職員にいたしましても、予算の上で延幾らという非常勤職員を上げた範囲で使つておるわけでありまして、おのずからそれは仕事のいろいろな関係から上つておるわけのものでありまして、決して政府の知らん間にやつておるわけではないのです。ただ私の考えておりますのは、常時ずつともう仕事についておる人員というものは定員法の数と合うようにしなければいけないのだということは、定員法のある限り私は当然だろうと思うのです。今回の整理の場合においても、各省庁に対してそれを私は要望いたしまして、その建前でできておることと私は信じておるわけでございます。従いまして、この定員法の立て方が惡いと言えば別問題でありますが、私は要するに定員法の趣旨に従つて、常時働く人はこの定員の中でやるという建前でこの定員法を作つたからには、これはまあいろいろな面で行政整理といつたようなものは摩擦のある無理な仕事でありまするので、たまたまこの仕事のピークを均らしたりするための賃金要員というものが予算で延幾らになつておると、こういうピークが幾つかあるのを集計して行きたいというふうに、ピーク抜きで均らしてこれくらいで使えば常時人を雇い得るというようにして、定員法の趣旨に反して常勤者を賃金要員で雇つて行くということは私は避けなければならないということも考えておるし、これは飽くまでも今日行政簡素化本部においてこれまで練つて参り、それから又関係省の責任大臣と話した結果まとまつたものも、常時働く者についてはこの定員法で間に合うという建前でできておるということから来る結論でございます。
  76. 三好始

    ○三好始君 本日は遅くなりましたから、この程度で散会されんことの動議を提出いたします。
  77. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君において御異議がありませんならば、本日はこれを以て散会したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会