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1951-11-12 第12回国会 参議院 内閣・人事連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      溝淵 春次君    委員            郡  祐一君            松平 勇雄君            横尾  龍君            上條 愛一君            成瀬 幡治君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            三好  始君            三浦 辰雄君   人事委員    委員長     吉田 法晴君    理事            杉山 昌作君            千葉  信君    委員            加藤 武徳君            木下 源吾君            森崎  隆君            紅露 みつ君   国務大臣    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    行政管理政務次    官       城  義臣君    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      中川  融君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   —————————————   本日の会議に付した事件行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣人事委員会連合委員会を開会いたします。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、これを議題といたしまして予備審査を行います。
  3. 楠見義男

    ○楠見義男君 人事委員会内閣委員会との連合委員会でありますから、でき得る限り我々内閣委員といたしましては人事委員会委員のかたに御発言を願い、我々は又我々の内閣委員会独自の立場からいろいろの御質疑をしたいというふうに私は考えているのでありますが、人事委員のかたがまだお見えなりませんから、そのかたがお見えになるまで私二、三の問題についてお伺いいたしたいと思います。それは先ず第一の問題は、実は今月の三日四日に休日が続きまして各地のいろいろの遊覧バス状況新聞で報道されておつたのでありますが、一番眼をひきましたことは、熱海温泉街官庁用の、即ち四万台の自動車海岸通りを賑わしておつたという記事新聞に出ておつたのであります。私は一方において行政整理が行われ、而もその目的は、政府の御説明によりましても、その目的のうちの一つ経費節約という点に非常に重点を置かれていることを承知をいたしているのでありますが、同時に先日来問題になつておりますように、その経費節約という立場から整理をされる人々立場になつて考えて見ますと、誠に同情を禁じ得ざるものがあるわけでありますが、一方四万台の車が熱海に行くというそのガソリン代だけでも私は相当金額に上ると思うのであります。仮に数台或いは十台の自動車行つて、その金額整理する人によつて浮く金額とは比較にならぬほどの金額でありますけれども、併し事柄重要性と申しましようか、感覚の上からいたしますれば、これは全く看過し得ざる問題ではないかと思うのであります。そこで一方では実は涙を以て整理を断行せられようとしておる行政管理庁長官が、一方においてお膝元のそういうような官庁の贅沢と申しましようか、そういうようなことを看過しておられるはずはないと思うのであります。従つて恐らく管理庁長官なり或いは次長なり首脳部かたがたは、あの新聞記事は特に心を痛めて御覧になつたことと思うのでありますが、この自動車の問題についてお調べになつたことがあるかどうか。若しお調べになつたとすれば、それについてどういうような処置をおとりになつたか。事柄は細かいようで実は私は極めて大きな人情の機微に触れる問題であり、又世間も一方でそういう状況を見、一方で又整理状況を見るといたしますれば、国民もこの問題については非常に心を痛め、又迷う問題だと思いますので、その点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) この間の新聞記事は私も見まして、実は心を痛めておるのであります。実は他からも四万台の自動車だけでなしに、官庁トラツクとか、バスなどが観光地を走つておるというような報告を受けました。我々としてはこれをもう少し実態を調べて、こういつたふうなことが他に累を及ぼさないようにいたしたいと実は思つております。今日までのところ全官庁に対してどういうふうに調べ、又どうするということは、まだ具体的にきめておりませんけれども、実は乗用車とトラツクバスについてほかからも話を聞きまして、これに対する綱紀を維持する方策を講じたいと思つております。具体的な方策については、今日まだどういう方法調べて、どういう通達を出すとか、どういう方法をとるかということはきめておりません。
  5. 楠見義男

    ○楠見義男君 全般的な問題については又改めてお伺いしたいと思うのでありますが、今私が申上げましたこの三日四日の自動車の問題については、お調べになるとすぐにおわかりになることだと思いますので、管理庁としてお調べになつて頂きまして、この委員会で御報告を頂ければ非常に仕合せだと思いますから、その点もお願いいたしておきます。
  6. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 承知いたしました。
  7. 溝淵春次

    溝淵春次君 本日一時からは人事委員会があるそうです。人事委員会はやはり一般職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を審議しておるようでございます。そうすると人事委員会かたがたはこつちへいつ来られるかわからんということになりますが、そうすると人事委員会と、大体それは一遍人事委員会委員長のほうと適当にお打合せして頂く必要があると思います。
  8. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 溝淵さんにお答えいたします。人事委員会溝淵さんのお話通り只今委員会をやつております。そうして委員長の話では政府提案理由を聞いて、そしてそれともう何か一言加えましてそれが済み次第この委員会に来ると、こういうことを聞いております。なお私といたしましてはこの間から質問をしておられた森崎君には、内閣委員会連合会がこの時刻に開かれますということを通知いたしてあります。従つて人事委員会の諸君はじきに見えることと、かように考えております。
  9. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじやもう一つ次の……。実は行政整理の問題で公聴会の際にもそういうような意見をお述べになつたかたがあつたのでありますが、即ち抵抗力……整理を受けるほうの省、庁の立場抵抗力の強いところ、弱いところによつて相当の不公平があるようだ。こういうような発言をせられた公聴人のかたもあつたのでありますが、その問題に関連して一つお伺いいたしたいことは、実は会計検査院の問題であります。若しこれが間違いであつたとすればそのことをおつしやつて頂けばいいのでありますが、会計検査院において相当行政整理が行われんとする気配があつたので、誠にこれは何と申しましようか、適当な方法でないと私は思つておるのでありますけれども、検査院職員が合法的に賜暇戦術を行なつて強く抵抗をしたために、会計検査院行政整理の問題が非常に腰くだけと申しましようか、そういうふうな恰好になつた。ああいうようなことをすればよかつたというような意味のことを言つておる官庁職員もあるようでありますが、会計検査院の問題についてどういうことがあつたのか、又どういう事情であつたのか、これは大臣承知であれば大臣、御承知でなければ次長あたりからでも結構でありますが、その間の事情をお伺いいたしたいと思います。
  10. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 会計検査院の問題につきましては、行政管理庁としては、私といたしましても、事務当局といたしましても、全然関知いたしておりません。これは閣議決定においてもこの際同時に国会や裁判所や会計検査院においても行政整理をやつてもろうということをきめまして、専ら予算上の問題として大蔵省と交渉いたしましたので、どういうことになつておりますか、員数、経費……。
  11. 森崎隆

    森崎隆君 この間私質問を始めましたが、橋本長官お忙しいようで御退席されましたが、残りました分を今からお尋ねいたしたいと思います。先日申上げた公務員定員の問題でございますが、政府がしばしば用いられておりました五十九万という数字が不正確で誤りであるということは先般の質問の際にはつきりと認められたようでございます。で丁度ここに私その数字を実は持つておりますが、これは内閣統計局数字でございますが、昭和年度勅任奏任判任、いわゆる本官が十三万九百八十八名ということになつておる。それから嘱託とか雇員であるとか、傭員とか、それを一緒にいたしましてこれが五十九万九千三百九十九人、両方合計いたしますと七十三万三百八十七名ということになつております。こういう数字内閣統計局はつきりと打出されておりますのに、陸海軍軍人を引きまして五十九万という、ああいう不正確な数字を用いられたこと自体に、非常に不審を感ずる。そこでこういうような責任のある政府が、間違つた数字を知らないで発表するとは思いませんので、これは一応作為的に発表したというふうに惡く言えばとりたくなるのですが、そういうことは私は毛頭思いたくないのですが、少くとも数字がこういう不正確であるその結果、日本の現在の公務員が非常に戦前より多い。これの首を切るのは当然だというような印象を国民に非常に実際に与えるということは政府責任があるわけです。その点をはつきり御確認頂きますれば、当然私は早い、近い将来におきまして明日にでもラジオ新聞等を通じまして、少くとも政府は五十九万という数字誤りであるから、正確の数字はこうだということを国民全体に釈明して頂きたいと思います。誤つたことは改むるにはばかることなかれでございますからはつきりとそういう数字間違つてつたと言うことによつて政府のいわゆる信頼感が殖えるのでありますから、これは橋本長官を通じて特に強く要望いたしたいと思います。  それで次に私財政面でございましたか、定員法改正の第三は経費節約行政費節約ということが中心になつておるようでございますが、この点は大蔵大臣に聞けばよくわかるかも知れませんが、一体九万人の首切りをいたしまして本年度並びに来年度その他に関しましてどの程度経費節約が期待され、その金はどういうふうにして使うかといつたような面につきまして、いろいろ御意見があつた上でこういう数字が出たんだろうと思うのでありますが、その行政費節約ということを理由にいたしました具体的のお考えをお聞きいたしたい。
  12. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ちよつと相談をしておりまして肝心のところを聞き落したのですが、今具体的なところを聞きたいと言われた問題ですが、行政費節約、その行政費節約の計算の内容でございますか。
  13. 森崎隆

    森崎隆君 いや、そういう細かいことを、私具体的に何万円ということを聞いておるわけじやありませんで、何故こういう……、例えば私のほうはこれは又一応素人で、ちよつとペンの先でやりましたのですけれども、どんなことになりますか、そういう予算の当否もよく調べておりませんですが、少くとも結論といたしまして、まあ九万人を今すぐ首切るといたしましても、年間でまあ百億前後くらいじやないかと思うのです。ところがその首を切りましても、それだけじや済みません。退職手当の八割増等いろいろ考えますと、これは相当実は少くとも切つたその初年度におきましてはオーバーするんじやないかと思います。その差額は相当私はマイナスになつて、二十億か三十億はマイナスになると思う。で、そのことと、国家財政の中で占める節減される予算面考えまして、又今後再来年、二十八年度、九年度のことはわからないと言えばそれまでのことですけれども、政府といたしましては、やはり一応先に目処をおいておられるだろうと思うのです。少くとも来年度以降には相当のいろいろな事務が、幾ら減らそうとしても殖えるだろうと思いますけれども、まあ細かいことはこれも逆に質問されても私も困りますけれども、大体そういう目処を立てている。又特別調達庁その他のああいうものにつきましても、今すぐこれを全部閉鎖するということは、これは気違いじみたことであります。少くとも一年や一年半は続くだろうと思う。そういう中で、こうして切つて、極端に言いますると、たとえ全然費用が要らないで切つたために百億の金が節約できるといたしましても、その結果一体国家行政事務というものは円滑に行くかどうかの問題です。それが国家予算に対して、どの程度響くかという問題ですね。一番二十七年度、二十八年度が大切じやないかと思いますので、別にそう響かないと、そこに私は最初に申しました基本的な原則として、こういう問題はやはり行政機構改革というものにつきまして、基本的な調査研究をされまして、それに基きまして三年計画なり五年計画で、徐々に定員を減らすことが必要なれば減らして行く。又必要で殖やすことがあれば殖やして行くという無理のない、そういう行き方をして頂いたら私いいじやないかと思います。例えば二十七年度公務員の数を減らすと、例えば千億なり三千億なりの金が一遍に浮く、どうしてもこの際止むを得んというそういう大きなウエイトを占めるような予算額が浮いてこれをしなければならんというようなことがよく打出されまして、それによつて国家が救われる、国民が納得する、これは又そういうこともあり得るかも知れませんけれども、この国家予算の全体の中で僅かな、極く少額の金だと思うのです。特に二十七年度中におきましては、これはプラスにはならない。而もその一方九万人と言いますけれども、これは九万人の首切りじやないと思う。まあ家族人員の構成は何割占めるかわかりませんけれども、少くとも九万人の首を切ると、五十万程度人々がやはり路頭に迷うわけなんです。これは公務員自体につきましては、これは本人にとりましては、実に生涯に恐らく一度しか出くわさないだろう一家を挙げての重大な一つの問題なんですね。最近私食糧事務所関係に働いておる近所におる家族の人から聞きましたが、どうも困つたことだ、首を切られるのは困つたことだ、これは当然なんですけれども、小さな子供が毎日ラジオにすがりついている、今日はその話が出なかつたというのですね。お母ちやん今日はまあ首切りの話出なかつたと言う、そういう家庭ではみんなそれなんですね。私はこれには驚きましたのですが、こういうように公務員自体に非常に大きな影響を与え、而もそれを切つた結果、二十七年度はむしろ予算を若干加えなければならん。二十八年度以降におきまして或る程度減りましようが、これは国家予算全体の枠でそう大した影響はない。而も私たちは、先般申上げましたように首を切ることによつて果して行政事務が本当の意味に合理的な簡素化をされ、能率が上るかどうかということも関連して考えますと、早急になぜこうして突然大量に首切りをする必要があるかということを予算面で実は言いたかつたのでございまするが、趣旨は実はそこにあるわけなんですね。そういうことでまあ予算一体これでどれだけ浮かし、二十七年度にはどれだけ浮かし、二十八年度以降には大体そういうところの余力はどういうところに出されるかということについてお伺いいたしたい。もうちよつと加えますが、一方においては増原長官の何か新聞報道などを見ますと、一躍国家警察予備隊を来年度は倍にするというようなお話がありましたね。そういうことも聞きますと、どうも私割切れない。予備隊の隊員を倍に殖やすということが必要ならいたし方ございませんが、それを倍に殖やすということについても関連して考えたくなる。そういう点で、経費節約という、行政事務が非常に厖大しているのに、節約するということについてどういう効果、どういう御計画があるかということにつきましてお聞きいたしたい。そういうような意味で今質問したわけであります。
  14. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今回の行政整理に伴う経費節約額は、今までにも何かの機会に申上げたかと思いますが、もう一度申上げますが、二十六年度内においては退職手当を差引いて四十三億五千万円の増加であり、二十七年度がやはり差引いて百五十七億七千万円の減少であり、平年度において二百七億五千万円の減少になるわけであります。二十七年度、二十八年度財政計画との比較の問題は、これは大蔵大臣にお聞きを願いたいと思つております。で、国家予算全体から見まして、これは小部分じやないかというふうにお考えになるのか……、私はそう考えておりません。勿論まあ考えようによつて百億、二百億というのは何でもないという考え方があるかと思いますが、実際は相当金額であり、そうして国家予算としては財政面でいろいろな種々の支出の必要があればあるほど、できるだけ冗費を省き得る部分というものは省くように、合理化考えるのが筋だと考えているのであります。この行政整理によるところの経費節減というものは、何よりもやはり勿論金というものは、どの金をどこに持つて行くということはありませんけれども、財政計画考え方といたしましては、要するに今後の公務員待遇改善、減税というものが第一に行政費節減財減を求めている趣旨のもので、そのほか或いは公共事業費とか、或いは又防衛費であるとかといつたような、そういうような、或いはその他の投資であるとかいうふうな積極的に拡大して行く部面については、生産力の増大に伴うところの国民所得増収部分から上る租税の自然増収を一番主眼点にして考えて行くべきであろうと考えております。今日の行政整理が非常に突然であるというお話がありましたが、決してそうではございません。一昨年行政整理をやりましたが、これの中で非常に大きく残つてつた、その当時もはつきり知りながら残つてつた部分は、一つには経済統制がなお相当行われておつたということが一点、それからもう一つは、占領行政の施行に伴うところのいろいろな仕事が大きく残つてつたということであります。それが今回ではやはり今回の行政整理の中で、占領行政の終結に伴つて起りまするところのいろいろな行政上の事態の変化、それから一昨年以来の経済統制の規模の縮減に伴うところのいろいろな変化ということが一番大きな変化であろうと思います。で、行政機構改革と並んで事務人員整理というものは去年以来ずつとやつて参りましたし、今回進んでここに事務整理に伴う人員整理をいたしたわけであります。なお予備隊を倍にするというお話がございましたが、これは全く新聞の誤報でありまして、閣議においても話したこともないし、これは私の言うことでなしに、むしろ法務総裁にお聞き願いたいと思いますが、予備隊を倍にするということは全然関知しておらないところであります。で、財政計画等につきましてはむしろ私よりも大蔵大臣のほうから一応お話をお聞き願いたいと思います。
  15. 森崎隆

    森崎隆君 只今の御答弁の中でまあ百億、二百億の金が国家予算の全体から考えて小さなものでないというふうなお考えでありますが、それは私はやはりその通りだと思います。私申上げたのはそういう意味で申したのではありませんので、言い換えましたならば、今も二十六年度、二十七年度、二十八年度と徐々にまあ節約できる面がはつきり示されたのでありますが、例えば必要でないのに浪費する金でありますればこれは一銭でも、一円でも実に大きな大切な金なのであります。必要止むを得ない予算につきましては、例えば若し九万人の人を切らないでそのまま置くことが行政事務処理のために最も適当だ。それによつてまあ財政収入行政事務処理ができるということなら、若し一番正しいということの結論が出るといたしますれば、それを犠牲にして百億、二百億の金を節約するということに何の意義があるかという意味におきまして私実は申上げたわけであります。この点につきましてはもうこれ以上橋本長官にお尋ねするのもどうかと思いますが、そういう趣旨であります。そのことが即ち次に私お尋ねする能率化の問題にこれは入つて来ると思いますが、そこで私は話を変えまして能率化の問題、これもやはり定員法改正の主要な理由一つに、提案理由説明書の中に入つております。これもやはり元を申しますれば行政整理に関連する問題でございまして、これがどうしても先行しなければ定員法改正は絶対にできないという私のまあ観点に立つのでございまするが、例えば具体的に考えまして現在所要の行政事務が予定通り処理されておるでありましようかどうか。少くとも時間的に不必要なズレがないかあるか。この問題と、勿論その中に不必要な時間的なズレがあつて、そのために行政事務のまあその後の計画に支障を来たすということがあるといたしますれば、これには二つのフアクターがあると思います。一つはこういうようにして強力に人員整理をして人間の力でこれ以上やり得ないといつたようなものがある場合、もう一つはやはり働いておる公務員自体が或る程度能率が、一人前でない、そういう非能率的な面ですね、これもまああると思います。両方の面をこれを考えなければならん。そういう全体をよく研究調査されまして、そこからこの部局については十名程度は減らしても間違いない、この部局はこう遅れておるからこれはむしろ何とか殖やさなければならない、この部局は遅れておるが、その部局公務員がもう少し力を入れてまじめにやれば当然これだけの定員でも事務処理ができるといつたようなそういう具体的な部局についての調査研究をされて、それを総合いたしまして行政機構改革、それに伴いまして定員の増減という、いわゆる増と減とを一緒に入れました定員法改正というものを出されることが至極私は尤もだと思うのです。そういうような行き方は、今も突如でないと、一昨年の問題も持出されましたが、これは一昨年で今年じやなくて……、毎年そういうことは常に研究されて定員法改正はすべきだと思うのです。私が申しましたのはそういう観点に立つて考え頂きたい。だから今年突如と言つて先ほど私が申したことに御批判を頂いておるのですが、それは計画が杜撰である、無計画的な首切りを、私はそれを突如と言つたのです。その点を特にお含み頂きたいと思うのです。試みにこれは私素人考え内容の如何は知りませんが、具体的にこれまで見て来たところを見ましても、現在果して首を切る計画に入つておる各部局が本当にまじめに、ただその中には勤惰の面が若干含まれておるかも知れませんが、とにかく遅れている面はたくさんあろうと思います。例えば昨年の終り頃からでしたか、例の法務総裁大橋武夫氏に関係いたしておるところの二重煙突事件、これなんか一体年度の決算が今審議されておるのでありましようか。問題は去年起つた不正事件じやないのですね。二十五年度に起つた不正事件でもない。もつと遙か遡つたものを今頃会計検査院がやつておる。こういつたことで果して国民に対する奉仕という責任が果せるかどうかというのですね。これも私は一例だと思う。又特別調達庁特調関係機関でも現在補償事務で二十四年度補償事務がまだ完了していない。私はそのように聞いているわけです。そうしておいて首を切るということが私はわからないのです。だからそれを調査して首を切つても、今まで公務員全体が怠惰であるからいけない、一応半分にしてやればできるということは私は話はわかるが、そういう説明が欲しいというわけなんです。更には、例えば農林関係統計調査事務所ですか、これも昨年でしたか一千名か幾ら切られましたね。非常に全国でやはり事務処理能率の問題が出たわけですね。そうして多少事務方面簡素化をして仕事を多少残してほかに廻すということは確かに全国の事務所長会議にはつきり政府は公約したのです。そうして事務を省いて、改めてしなくてもいい、その代り首を切れということになつて、承諾したが、現実はどうでございましよう。事務は殖える一方なんです。あのときよりも殖えておる。殖えておるのに、事務量を減らすという約束で首を切つた。その後事務は減つてるわけじやない、殖えておる。殖えておつて又首を切るということは、それが果して文化国家、科学性を持つた本当の文明国家と言えるかどうか、文明国家の政府のやり方であるかどうかというところに私は大きな疑問があるのです。私は人事委員会に属しておりますので、例えばこれも或いは問題外の事例と言つて怒られるかも知れませんが、人事院に私はもう毎日のように、最近は行きませんが、行つております。あそこの例えば給与局だけでも行つて御覧になつたらよくわかる。あの給与局は毎日いつ行きましてももうてんやわんやの大騒ぎで仕事を幾らやつても、あれで最上の能率を上げておる。あの給与局の中のどの課を見ましても実に私は行つたら頭が下ります。実に忙しい。そこへ又お客さんが、陳情団がたくさん来ますし、その接待をしながらその間で一生懸命仕事をしておる。毎日七時、八時までやつておる。あの姿を見ると本当に国民の奉仕機関として誠に有難いという感謝の気持をいつも持つて帰る。この人事院だつてそうでしよう。三三%幾らか首を切る。あの上首を切つたらどうなるかという、これは現実に毎日接触している一つ部局について自分が体験をしたその中で、この上これを首を切つたらどうするかという問題が私ははつきり自分の信念として打出されるわけです。今の全国の統計調査事務所とか、結核療養所なんか大体二〇%近くあるというお話ですが、こんなのもやはり行政事務全体の量と人間として働き得る限度の労働力というものとのバランスにつきまして十分これはお考え頂かなければならん。むしろこれは増員を必要とする面があるのではないかと思う。どの省に行きましても、どの部局に行きましても全部定員減になつておる。これは私としては非常にわからない。政府行政事務能力を増進するために定員を減らす、この定員法改正をするということになりますと、逆に見ますると経費節約して首切りをすることが行政事務能率化になるというような結論になるのです。こんな逆説が一体成立つかどうか。これにつきまして一つ長官から御意見を聞きたいと思います。
  16. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今言われた最後の逆説を……。
  17. 森崎隆

    森崎隆君 こういう逆説が果して成立つていいのでしようか。それを正しいと思いますか。
  18. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いや最後に言われた、もう一度……。
  19. 森崎隆

    森崎隆君 最後は、経費節約いたしまして首切りをいたしますことが国家の各機関行政事務能率を図るゆえんであるという、こういう逆説が果して政府でも立てられておるのでしようか。それをお聞きしたいのです。
  20. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) そういうような趣旨は今までに一つも申上げたことはございません。前々から申上げましたように、事務の繁閑に応じてこの整理案を立てたわけであります。占領関係の事務経費統制の事務、それからその他の物資統制事務、それから経済民主化関係の事務、それから今もお話がございました人事院その他の関係の人事、庶務、会計といつたような内部管理事務、これの事務の廃止、簡素化に応じてこの人員整理をいたしておるわけであります。人員整理はその結果であります。で従来から申しまして、非常に惡い癖で、仕事をそのまま整理をしない、そうしてこんなに仕事があるのに人が足りないというふうなことがまあ多く言われるのであります。やはり根本的にはその仕事自身本当に省くことができないかどうかということを考えなければなりません。個個の細かい問題、役所の中でどこの局が楽で、どこの局が骨が折れるといつたふうな問題にいつては、これは具体的な問題について各省庁の責任者のかたからお答えをすることにいたしたいと思います。今丁度人事院のお話がございましたからこの部分については私からお話を申上げますが、個々の項目についてのいろいろな事務の繁閑に応じた整理のほかに人事、会計、庶務という方面には、これは一般的に仕事簡素化する。例えば人事については人事院、それから会計については大蔵省と相談をいたしております。人事院は今のところ仰せの通り給与局も忙しく仕事はしておりますし、各省の人事官は実に忙しくしてやつておる。ところがこれは非常に行き過ぎがございまして、実に手続その他が複雑でございます。で、まあ政府といたしましては、もつともつと簡素化をしたいと思いまするし、各省の人事課長会議、或いは次官会議等においても決して官吏制度の民主化といつたようなものに反対するというようなことでなしに、極く地道に本来の精神を生かしながら、こうまでやらんでもいいじやないかというような細かい具体的な要望条項が出ております。で内閣官房のほうでまとめて人事院と交渉いたしておりまするが、任用や給与等に関しましても人事院が事細かに自分で捌く、その協議を要するといつたような事項を各省庁会議に処理し得る範囲を大きく拡大することと、それからもう一つは給与簿に記載したり、いろいろな報告や認可を要するといつたような複雑な人事行政の手続的部面の簡素化を行うことが非常に必要でございまして、この二つの柱の問題について内閣官房のほうでまとめて大体人事院のほうのお話趣旨はわかつて処理されつつあるのであります。なお職階制の運用の問題につきましてもこれを当初人事院で考え通りの方向でやりますのはなかなか大変なので、これも余り複雑にならないように検討中でございます。で、問題は要するに今日までの仕事の中ですでに用のなくなつたものや乃至はこれを整理できる部分がありはしないかということが一番の根本でございまして、それに基いて整理の案を立てたわけであります。今のお話のございました人事院の関係の仕事等につきましては政府部内におきましても極く具体的に要望事項をまとめて今日人事院と相談中であるということをお含みの上でお考えを願いたいと思います。
  21. 森崎隆

    森崎隆君 それでは今御答弁になりました趣旨考えますると、さつき私が申しましたああいう理論はないと、言い換えますなら今度行政事務機関定員を削減するということにつきましては、各機関で今言いましたように事務そのものが非常に遅れておるということは、全面的にその部局に属しておる公務員の勤惰の問題であるというような結論でございますね。ですからそれを首を切つても将来やつて行けるというように今は聞こえたのですが、それでよろしうございますか。
  22. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 勤惰の問題ではなくて、要するにこの定員法改正資料にありますように、個々の仕事の項目を捉えまして、これに従事しておる定員は従来どれだけであつたけれども、今日では仕事自身の幅が狭くなつておる。或いはそれを更に簡素化し得るからこれだけの人数でよろしいと、こういうふうにいたしたのであります。で、勿論そのほかにも一般的に公務員諸君の勤労能率というものを改善する部分も一応若干は期待しておりますけれども、これはむしろ何と言いますか、気持の問題でありまして、表の、要するに定員法改正案を作りました趣旨は個々の項目に従つてそれがどれだけでやつて行けるかということを各省庁と相談をして作り上げたのであります。
  23. 森崎隆

    森崎隆君 今聞きましたのは、さつき申されたお言葉の中に事務整理なり、後始末をやらなくて、すべて仕事をまあ中途のまま捨てておる。非常に作業能率が惡いといつたお話がある。だからといつたように私実は聞こえたわけですが、それじや勤惰の関係から整理をするのかというように実は聞いたのです。その点まあさつき申されました……。
  24. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 先ほどそう申しません。
  25. 森崎隆

    森崎隆君 能率が非常に惡いと申しました点はやはり大きな要素として入つておるのかどうか。それを聞きたい。
  26. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) そういうようなお話をしておりませんが、私もう一度繰返して申上ますが、今日の定員法改正は飽くまで定員法改正資料にありまする各種の仕事の項目に従いまして、その仕事の項目に応じて、この仕事はもう大して用がない、更にこの仕事はこういうふうに整理ができるとこういう形で、そういうことを基本にいたしまして各省庁と相談の上で作つたものであります。ただ或いは何か聞き違いをしておられるのかと思いまするが、従来うつかりすると仕事簡素化するつもりで整理をしたものを、たまたま仕事簡素化しないで、その政府できめた趣旨と違つていろいろ仕事をやつて、こんなに用があるのだから困るというふうな弊がないでもなかつたのでありますが、仕事簡素化ということについては、簡素化するということを各省庁の責任者は今度の定員法改正に伴つて責任を持つていたします。こういう趣旨であります。
  27. 森崎隆

    森崎隆君 まあ中心になる理由としましてはそのように実はお聞きしたのです。さつき申しました、聞きましたのは、とかくどうもなまけておるという噂があるということはやはり、言われたことは事実です。
  28. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いや、そう申しません。
  29. 森崎隆

    森崎隆君 いや、そう申しました。若し……それは速記を見ればわかる。念のためにこれは聞いたわけです。そのことはそれでおきまして、いま一つ今申しました人事院の問題は、人事院の浅井総裁ははつきりと御承認なさつた上でこういう計画をなさつたのであるかどうか、その点をはつきりとしておきたい。
  30. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今日の国家公務員法の下においてできるだけ仕事簡素化を図るということをお互いに相談をいたしております。
  31. 森崎隆

    森崎隆君 意見になるかも知れませんが、私は少くともさつき例を挙げました特調機関その他農林の統計調査その他調べればたくさんありましようが、思い付きのこれは例に過ぎませんが、少くともこういうところは、私から見ますれば作業能率を高めまして必要な行政事務処理を必要な時期に管理をするためには、むしろ増員こそ必要であり、定員を削減するとは以てのほかだといつたような私は実は気持を持つておることをはつきり申上げておきます。それでもう一つこの能率化のために、今言いましたように各省庁の事務の量等を勘案されて、この程度人員がいいというような建前から定員法改正をすると申されましたが、それではこの前にいろいろお聞きいたしました説明というものが余りにも簡単なんですね。少くとも公務員の大量の者を首切るためには、もつと真摯な態度で、この際止むを得ないという正しい理由を附して説明をして、その上で私はこういう法律を出さるべきものだとこの前も申しましたように、政府行政事務簡素化趣旨、方針に従いましてというあの簡單な一片の理由は私は少くとも不満なんです。少くともこういうようにやるといたしますれば、定員法改正するといたしますれば、農林省は農林省として、農林大臣の下で一括しまして各部局におきまして、ここはこれこれの事務をやつて行くところだからこれはこれだけにしてもいいといつたようなもつと納得の行くような説明の資料というものが欲しいわけであります。その説明の資料をまじめに全部出してこれを統括いたしましたら、必ず私はその中には、どんなに大臣が言われましても、増員を必要とする部局が必ずあると私は考えております。ところが全部これは増員というのはない。外務省は別でございます。外務省だけははつきり増員になつておりますが、そのほかには何もない。これは全部をこちらで調べるといつてもそれは無理でございますが、全体的に考えましてこれは果して政治を運営する我々の常識としては納得行かない。その点を実はお尋ね申上げた次第であります。  次に話を進めまして、もう一つこの能率化の問題につきまして私お聞きいたしたいのでありますが、むしろ公務員能率を強化し、これを奨励して行くためには、これまでもやはりとられておつたところの正しい意味方策というものが、今後も持続されねばならないと実は考えておるわけであります。首を切つて能率増加とか、これは私としてはナンセンスと思いますが、その逆に本当に能率化を図りますならば、図るような方策をこれまでも或る程度はやつていたわけです。これを続けて頂きたいのです。具体的に申上げますと、例えば現業官庁で造幣庁とか印刷庁、林野庁といつたようなところがございますが、こういうところにつきましては現業各事業の特別会計等でございますが、その現業職員につきましては御承知通り勤務能率の向上ということを目途といたしまして生産奨励金が出ておるわけであります。同様にこういうことがやはり電通郵政関係でも、各種の奨励手当といつたものが予算の範囲内ではございまするが、これを実施されておるのです。こういうような方策をもつともつと拡大強化して行くことが、本当に私は行政事務能率の向上に資する最も正しい方策だと思う。こういうような奨励政策をやりまして能率がだんだん高まつて来ますると、その結果あそこに百人おるがあれは八十人でもできるという問題が出て来ると思うのです。そのときには納得ずくで計画的に二年なり三年なりかかりまして、無理のないように逐次これを百名を八十名に切替えて行くというようなことが私は筋の通つた行き方ではないか。今日実はあちらへ、人事院で実は開いておりましたので、私あちらへ参りまして、原則的なことしか官房長官に御質問できなかつたのですが、まだ見ておりませんが、この問題につきましてこのようにこの間私緊急質問いたしたときのお答えを或いは長官もお聞きだと思いますが、今度の新らしい人事院勧告の中に、こういつたような特殊の事務能率向上のための方策としてのこういうようなものが奨励手当として勧告されておる、それが今回打切られておるのですね、どうもまだ見ていませんが打切られておるらしいし、聞きますともう打切るというような御答弁でございました。これで果して、首を切つて能率を増進しよう、これまでやつてつた能率増進の方策としてのこういう奨励手当といつたようなものは全部打切ることが、果して公務員能率増進に対してこれを激励し奨励する正しい民主的な政治決定であり得るかどうかの問題になると思うのです。こういう点につきまして一体橋本国務相はどんなに考えていられるのか。
  32. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 現業庁の仕事振りの問題については、又これはちよつとおのずから問題が違つておりまするが、只今お話のありました仕事の仕振りに応じて一つの差等給与を或る程度基本給のほかに附けるということは、私はいい考え方だと思います。で戦後の状態としては、勤惰に応じて賞与に差等を付けるということは、むしろこれは職員組合あたりからはよくないといつたような話がございましたけれども、私は結局今森崎委員の言われる生産奨励金の制度というものを一般行政事務に当てはめて見るのならば、一つの基本給のほかの勤惰に応じた賞与の制度といつたような形になると思いますけれども、私はそういう方式は考えてもいいことであるし、私は考えたほうがいいのじやないかと思つて、自分では今日一応臨時という恰好になつております年末手当の制度なるものを本格的な制度の立て方の一部分として考えて見たいと思つております。で、今日問題になつておりまする現業庁の生産奨励金の制度の問題について、これは私は詳しい制度の立て方その他をよく知りませんが、これについては所管の閣僚のほうに必要があればお知らせ願いたい。なお先ほど定員法改正の各項目についての仕事の繁閑の度合乃至処理の仕方についてお話がありましたが、これは非常にこの改正資料の刷り物にこだわつておられるようですが、本来からいいまして、各省庁の閣僚からこの何千という項目についてお尋ねがあれば、それぞれ答弁をすることになつております。ただできるだけ粗いものだけでも出したらいいじやないかというので、私はまとめて各省庁の大臣説明資料を一つ収録して差上げたのでございます。私は必ずしも各個の項目、中にはもう何千という従事員のものもあります。その各個の項目のものを事細かに書き物に刷つて出さなければいかんとも思つておりません。むしろ是非必要なところは一つ各省庁の責任者から答弁するということになつております。その方面でお考え願いたいと思つております。で、只今お話の問題、つまり仕事能率化を図るための一つの奨励的給与の問題ということは十分に考慮することにしたいと思つております。
  33. 森崎隆

    森崎隆君 各省の定員法改正の納得の行く説明書が欲しいと申しましたのは、これは先般も河井委員長からも早くこの審査を能率的に終えたいということもありますし、私たちも早く期限内に出された法律案の審議をしてはつきりしたいと思います。又政府自体もやはりそういう気持を持つておられると思う。そういうようにやはり審査の、これも又能率化なりますが、そのためにもやはり、御質問があればお答えいたしまするがというこの言葉自体が私は非常に受取れない。一応基本的な説明を、これはほかの問題ではないのですから、首切りの問題ですから、やはり切られるものの身にもなつて頂きたい。どうしても仕方がないといつた場合、例えば朝鮮から、三十八度線突破のために一生懸命子供を連れて帰つて来る、あの中にも止むを得ない場合には一番下の赤坊を捨てて、ほかの子供を連れて帰つて来た人もあります。絶体絶命の場合には、これは公務員つて納得すると思うのです。納得させるための真摯な責任者の態度が欲しいというわけなんです。そういうようにまじめな説明資料をよく附けて、そうしてこの前も又何度も言つて申訳ありませんが、偶然に私開けて見たに過ぎませんが、例の消防庁の問題ですが、やはりそれにつきまして繰返すようで恐れ入りますが、憐なら憐の火災の統計とか、或いは全家屋数の中で鉄筋コンクリート建物のでき上つた比率の問題、その編成とかそういつたようなことから、十名減らすなら減らしてもいいという結論として、定員法改正ということになれば私は納得すると思う。それが欲しい。そういうものを出して頂ければ私は読みます。その読んだものについて、ここはどうか、ここはどうかという、字の誤りなり多少わからないことだけを開けば、それで済むのです。それもとにかく何にも出さないので、一々これを聞かなければならない。言い換えたらこれこそ政府の怠慢の結果、審議の時日を必要以上にとらなければならないような結果を招来しておる。そう見られるし、若しそうでないといたしますれば、説明つけようにもつけようがないから仕方がない。もう目をつぶつて頬被りして適当なところでやる、とにかく首は切るのだといつたようながむしやらな方策かどちらかにこれはとれるわけなんです。その点も実はあなたにお聞きしておつたわけなんです。今のあなたの御答弁をいろいろ聞くと、どうも私は不得要領な気がいたしまして残念に思います。私あちらにも委員会を持つておりますので、更に次に進みたいと思いますが、今の問題、定員削減の問題につきましては、やはり業務内容事務内容の問題を勘案してと申されましたが、その御説明をお願いしたいのですが、これもやはり袋に入つておりました表の中でございますが、昭和二十四年六月一日施行の定員と、二十五年これは五月四日施行ですか、二十六年の四月一日の、これは現行です。それから今度の改正案というのと四つの数字が出されております。占領治下にあります我々でございますので、その各部局その他の中の事務量というものには多少のやはり増減はあろうと思います。そこで二枚目を見ますと、例えばこれも一つの例で、気付いたところだけアンダー・ラインしたのですが、ほんの二、三だけでたくさんは申上げませんが、大蔵省の本省では二十四年度では一万三千三百二十一名ですが、それから次の年は多少減つておりますが、第三段の昭和二十六年度ですか、現行では相当増員されております。国税庁もこれは逐次増加の傾向に現行法まではあるわけですね。それから文部省はやはり二十四年度が本省で六万三千十人、二十五年度が六万三千九百八十六人、現行が六万四千三百七十四人と逐次増加の傾向をとつております。ほかを見ましても、やはり厚生関係も二十四年度を基礎にいたしますれば、五年度に殖え、六年度も殖えておる。又電通関係を見ても、だんだん殖えておる。労働省関係もだんだん殖えておる。これはどういう意味で殖えたのか、この前のお答えの中では、いつも行政機構改革の問題につきましては、やはり常に意を用いられておるようでございますが、この現行まで三カ年だけの資料を見ましても、逐次増加しておる部局相当あるわけです。これはやはり相当必要があつて増員したものと私は考えます。従いましてこのときにも、これはさつきも又繰返して怒られるかも知れませんが、ここに働いておるところの大蔵省本省の公務員が非常に怠惰で、必要な時期までに事務処理ができないから、仕方なく怠惰な面はいわないで増員をするというのならこれは別でございますが、先ほどの御答弁から、了解いたしました説明から考えますると、やはりいろいろ各省部局事務内容事務量というものを勘案されまして、止むを得ずこの増員が逐次なされたものと私は解釈するわけです。若しそうでなくて、情実や何かのために勝手にこれが殖えたとすれば、その責任は重大です。今度の首切りをする資格は、そういうようないい加減のことで増員したといたしますれば、現政府は今度の首切りをする資格は絶対にない。これははつきりとあなたがた政府責任者においては肚をきめてかからなければならない。即ち累年的に人員が増加しておるというのは、やはり事務内容が殖えてどうしてもやれない、これはまじめに働いておるがそれでもやれないから、ここで五十名、百名、二百名というように逐次増加したのだ、誠に国民の税金……、あなたがたが言われておるから私も使うのですが、国民の税金を使つて申訳ないが、これはどうしてもこれだけ増員しなければ事務処理ができないという観点に立つて増員したものと、そう私は考えておるのです。又それ以外に途はないと思う。それが今度の改正案におきましては急転直下大幅に首切りが始まつておる。一体これで行政事務内容簡素化とか何とか申されますが、簡素化内容をお聞きするつもりはございません。お聞きいたしましてもはつきりした御答弁はこの前通りないと思いますから……。一体こういう行き方はどういう観点に立たれておるのか、肚のない御説明を聞きたいのです。
  34. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは一昨年の整理後に殖えておるものは、ここで御覧の通り整理をいたしましてからあとでその整理の対象とは別の問題として新規に起つて来た仕事、大蔵省で言えば一番大きいのは、貿易の再開に伴つて税関の充実で人が殖えたのが大きいと思うのであります。そういつたような部分が殖えておるわけであります。厚生省の分も御覧下さればわかりますように、一番多いのは結核療養所の拡充に伴うものであります。で、今日ここに行政整理を、定員法改正案を出しました。勿論これから先、将来に亘りまして、丁度たまたま外務省については管理局その他の仕事をすると同時に、外国の関係、在外公館を殖やすといつた問題が起つて来ます。将来といえども必要な新規の仕事が出ても来ましようし、それから又今日では必要が或る程度なくなるというものも起ると思います。今日定員法改正案として出しましたのは、今日の時代から見てできるだけ仕事簡素化するという建前で、新規の仕事で人を殖やすということをできるだけ避けたい。それで総体の仕事簡素化を図ろうというので、定員法改正を出したわけなのです。勿論いろいろな問題はこれはもう起つて来る可能性はあろうと思います。で、先ほど森崎委員からお話のありました、毎年々々殖やすものと落すものとを監査する必要があるのかないのかということは、これはもう本当に御尤もでありまして、私もそれを痛感いたします。今日私行政管理庁長官としてやつて見て、行政監察委員会といつたようなものが、個々の問題を取上げて調べておるわけですが、私はそういう形をとるよりも、むしろ官制上、年中この政府全体の各省局の仕事の繁閑を観察して、ここはもう整理してよろしいのだ、大体においてまあ役所の実情から言いますと、新規に人が必要なときには要求するけれども、用がなくなつて来ると、まあ黙つておるという実例がまあ間々あり勝ちなのでありまして、そうしてまあ私どもこれは人情でありまして、折角仕事に慣れた人たちがいるから、何か今は仕事ちよつと途切れておるが、次に起つて来るかも知れない。そういう仕事のために、仕事の途切れにすぐ整理をするということは、これは考えなきやならんということは一般的には考えていいことでありますが、私はやはりそういうふうな正当な場合と、それともう一つやはりこの際整理したほうが本当なんだけれども、やはりわきからの監察がないとまあじつとしておるといつたふうな場合も起り得ると考えまして、先ほど森崎委員からお話のあつた、年中仕事の繁閑を睨み、そうして行政組織の妥当、不妥当を調べて行くということは私は非常に必要であろうと思います。今度行政機構改革を図りまする場合には、どうもこうして、まあ問題を溜めては行政整理をやるといつたようなことは、これはもう政府にとつても、又この整理を受ける公務員諸君にとつても本当に気の毒な又迷惑なことでありますので、そういつたような御提言がたつたような制度を、今後行政管理を担当する役所の仕組として是非制度的に取入れたいと考えております。
  35. 森崎隆

    森崎隆君 私の意のあるところは御賛成頂いたのですが、まだ大切な問題についてはどうもその御答弁が不足でありまして、非常に残念でございまするが、この逐次殖えて来まして、今回突然に大幅な首切りをする、それに関連しまして、今の御答弁の中にありましたように、来年度以降におきまして必ずしも減るばかりじやない、又必要止むを得ず殖やして来る場合もあり得る。現に一昨年の整理のあとでやはり殖えて来た面もあるということになりますれば、それと関連いたしましても、私はこの公務員にとつて重大な問題であるこの定員法改正ということにつきましては、やはり時間的な或る余裕を置きまして、少くとも三年計画なり、何年計画を立てましてやつて頂きますると、大幅な首切りをいたして、又足りなくなつて、又新規採用、又どかつと首切りをやる、何か特別な意図で切るならば別でございますが、それでは安心して公務員が自己の持つておるところの事務処理に対する責任が果せないと私は思う。その意味でもやはり計画性を持つた何年計画かの計画の下にやつて頂きますれば、例えば必要によつて殖えるところへ、必要によつて減らす分が、何かこの循環的な操作で人員を廻されて行く、そうするとまあ余り首を切らなくてよい。やめる者は、定年に達したら、止むを得ないいろいろな事情で、本人の自発的な意思でやめるといつたような者以外は無理しない、これが私はやはり政府の最も正しいあり方じやないかと思うわけなんです。この観点からまあこういう質問を続けて参つたわけなのでありまして、それに対するどうも橋本国務相の御答弁が私は非常に不満な点が多いのです。やはりこれは私はあなたをお責めいたしましても、あなただけのお力ではこれは解決しない、やはり現内閣の性格と言いますか、現内閣の基本的なやはり方策から、非常にまあお苦しい立場に立つた御答弁であろうと私は考えます。個人のあなたに対しましては非常に私は気の毒に思うわけでございますけれども、併し政府責任者たるあなたに対しましては非常な私は不満と忿懣を実は感ずるものであります。  最後にもう一つお聞きしたいのは、附則でしたか、この法案の最後にありまするが、これはまあ実に私は重大な問題だと実は思うわけで、これは又内閣委員会委員各位のかたがたから詳しくこれについては審議をされまして、恐らくこの条項は多分皆さんがたの手でお省きを頂くことだろうと実は思いまするが、第一には御存じの通り国家公務員法の八十九条、九十条、九十一条、九十二条の不利益処分に対する審査請求権の、全面的な、今度の定員法に関する場合は全面的な禁止の問題なんですね。更には教育公務員特例法の第五条、第六条等も、このやはり基本的な人権と言い得るこの法が抹殺される。労働基準法の九十九条のこの条項も今回は無視されるといつたこと、いつでも私はまあどういう考え政府定員法改正を意図されておるかわかりませんが、幾ら何でもこれはもう明らかに基本的な人権の具体的な現われといたしまして、各種の公務員の身分を保障する、基本的な、これは私は権利が厳として法律で規定されたものであると思います。それが今度は簡単に法案の中で余りにこれを全部は今度適用されない。而もこれにつきましては今ちよつとここに資料をまとめて見てないのでございまするが、この間三好委員が保利大臣質問されたときにもこの問題に触れられておるのでございまするが、全部が全部この不利益処分に対する審査要求されたのではたまつたものではないというような、まあ御答弁らしい言い訳があつたのでござるまするが、これは例えば全員が全員、例えば審査請求をいたしましても、これは正しい法律に基く要求なんで、基本的な人権であるわけだと思うのですね。これを尊重しないで、如何なる他の法律も私は出しがたいと思うのです。これは政府一体どういうおつもりでこういうような附則を置かれたか、これを一体飽くまで突つ張られるおつもりかどうか、一応それだけお聞きいたしたいと思います。
  36. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私の答弁は飽くまでも定員法……、森崎委員お話は要するに定員法改正案というものが通つて行政整理をする場合におけるお話だと思います。で勿論定員法改正案それ自身が通らないで、行政整理がなければ問題はないわけでありますが、要するに現在の政府職員の中で何万かの人をセーヴすることができるという、そういう国会の意思がきまつて、そうして何万かの整理をするという場合の問題でありまするが、その場合には、これは私がくどく申上げるまでもなく、何も今回の定員法改正というのは、その定員としては置いておいてもいいけれども、できの惡い人を整理するとか何とかいうことでなしに、要するにいろいろな事務の繁閑の度合だとか、或いは財政負担の軽減とかいうようなことを考えて、そうして総体で要するに何万かの数を減らすという国の意思がきまつてやるわけでありまするから、その御当人が惡いからやるとか、或いはどうこうといつたふうの整理ではないわけであります。従いまして今回の整理の際にも、整理の基準というものは設けないつもりでありますし、そのほうが本来の建前から言つて、つまり惡いから整理をするとか何とかいうような趣旨でないわけで、つまり定員それ自身の中でこれだけセーヴできるものがあるから落すという問題でありますので、それをこの当人にとつてどういう処分が不当か、不当でないかといつたふうの問題とは、問題自身が違うと考えておるのでありまするが、一昨年もそういう趣旨でやつたわけでありまするが、で今回の場合におきましても、そういうような趣旨でこの附則を附けたつもりであります。整理の基準等も規定しておりませんし、実際の整理がどうなるかということについてはよく御質問を受けまするけれども、これは全くその省庁の考え方でやりたいと思つております。現実整理の問題といたしましては、やはりこれはどんなやり方をいたしますにしてみたところで、その省の中というものが落着いて治まつて行かなきやいけないわけでありますから、おのずから衆目の見るところ、どういう人たちがやめて行くというふうなことについては、その省内の治まりのいいような方向に必ず行くに違いないと考えております。実際のやり方といたしましては、先ず第一に自発的な退職者を募るということに相成ります。で今日のこの計画従つて、来年の一月から六月末までの間に整理をして、実際に閣議決定なりました十月五日以後やめる人には退職金を提供いたしますが、その場合に三月以前の退職者には現行法に基く退職金の八割増を支給するということにいたしましたのも、自発的な退職者をできるだけ募るという意味であります。自発的な退職者のない部分については、これはどうしても整理をいたさなければなりませんけれども、これは今申上げましたように、整理の基準を設けないで、そうしてその省庁の都合に任す。都合に任すということは必ずやはりその中で衆目の見るところ、もうますますこれが整理をするとなれば一番妥当だというところに落着いて参るに違いないと考えておるのであります。
  37. 森崎隆

    森崎隆君 今のお話を聞きまして、非常に私意外に思つたのでありますが、大体結局この法律に対し政府が意図しておりますところは、一応理由らしい事務簡素化能率化経費節約、戦争以前の公務員の数より今日は非常にまあ膨脹しておるといつたような漠然たる理由を掲げまして、この定員法を通して首を切る。切られた者の言分はこれで全然聞かないというわけなんですね。そういうようにこれは私はとれるのですが、それでいいかどうか。若しこれで行きますと、これはまさに徳川時代、幕府時代のこれは行き方なんですね。政府の都合によつてそのほう何とかを仰せつけると言うとそれで済むのですね。それで私はいいのでしようか、どうでしようか、という観点からお聞きしたのですが、結論的にはもうそれでいいという御意見でございますね。
  38. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 政府の都合というのじやないので、要するに今日もここでこうやつて定員法提案して御審議を願つているわけですが、国の行政組織といたしまして、要するにどれだけの定員がなければならないか。で勿論政府といたしましても、公務員自身といたしましても、今日の、殊に敗戦後の貧乏な我が国としては、できるだけ少い人数で、できるだけ能率が上るように考える、それが政府としても、公務員自身としても、義務だと思いますから、そうして検討いたしまして今日定員法改正を出しまして、定員法改正案というものを政府提案して国会で御審査を願うわけですが、それは決して定員自身としては、現行定員が必要だけれども、それの中で或る特定の整理基準で何人かを整理するという法律じやないので、定員それ自身が現在よりも何名減らすのが妥当だという国の意思が決定するわけですから、その中でどの人を整理するかということはこれはもう第一には自発的退職者であり、その後の人たちはやはり省庁の都合によつて要するに定員自身の削減を図るという国家意思を実現するようにいたすのが筋だと考えます。
  39. 森崎隆

    森崎隆君 そういうようなお答えから考えますと、納得行くような……、これまで繰返して私お尋ね申しておる、納得の行くようなもつとまじめな態度の表現としての定員法改正につきましての説明書が欲しいというわけなんですが、この説明書は附けない。そうして切られた者につきましてはまあ何にも審査要求、不利益処分に対する審査要求は全部適用しない。これを現実的にまあ結論的に申せば、やはり私はさつき申しましたような結論にならざるを得ない。聞きますと、お答弁では何名で多過ぎるからここでは何名だというようなことになりますと、その根本をもつとわかるように、納得行くように説明資料というものを欲しいと私は要求していおる。それを出さないで、とにかくこうだ、やたらに切るのではない、みんなここは何百名でいいから余つた者を切るのだとそれ一点張りでは、どうもこのまま行きますと押問答となりまして、まあ幾らお尋ねしましても橋本さんのほうではやはり同じことを繰返して申されて、それに対して本当に我々に納得行くような、少くも切られる当人自体はどうしても腑に落ちないでも、審議をする我々としてこれは止むを得ないであろうというように納得させるような、そういう説明書を欲しいというのですが、それがまあ聞けば各省大臣はそれじや非常に治まらないのですね。私はなぜこういうことを申すかと申しますると、現在政府の手で自衛力といいますか、国内の治安を維持するために実に御熱心な方策がとられています。労働三法の改正とか、いろいろの問題も出て来るようだし、又予備隊のことはあなた知らないとおつしやいますが、今のところ未決定でございましようが、とにかく少くも現在の予備隊に対する予算は逐次殖えておることは事実であります。又予備隊の隊長さんなり……、新聞の報道を見ますとああいうようなのがあることは事実であります。又安全保障条約の結果、米軍の駐留ということが決定して国内の治安の維持はやはり要るのですね、こういうような武装力、いわゆる力、腕力、力というものを強化して行つて、それであなたがたは国内の治安を維持しようという方策のようでございまするが、私は一つだけ御忠告申上げたい。如何にそういうことをいたしましても、それだけで国内の治安を保てると思つたら当て違いです。この首切り法案がこのまま若し、多数の力で押切られて法案ができ、どしどしこれで所定の人員通り首切られましたら、その人々は果して納得行くかどうか。民主政治はもつと納得行くようにしなければならない。個人感情として切られた人は困るという面がありましよう。さつきあなたがおつしやいましたように首切る基準というものもきめない。これは本当に古い考えです。それだけにやはり各省の大臣は非常に困る。併し大臣はまだ困りません。部局長のかたは非常に困る。何らはつきりした基準を示さず……、まあ背の高さは五尺以下は切る、そういうものでも何でもいいのですよ。何も基準を示さずに、そうして下に任して無理やりに首切らす。適当なところは切られるだろう。これは切られる人に対しては実に残酷な行き方であろうと思います。そうようにして首切つて、一応それは済むと思います。節約された金がどこに使われるかわかりませんが、それで済むと思いますが、その切られた人の家族は概算五十万程度の人たちが、それが又それを中心にしまして国民の輿論というものはどういうそれに対して反響といいますか、表に現われない心の反響を持つかの問題です。私はやはり国内治安の中心というものは、思想的な面で、如何に苦しかろうと、税金が高かろうと、政府のやつておる政治はこれは止むを得ないといつたような、そういう理解の上に立つ政治をやれば、これは国民はついて来ると思う。それをやらないでこういうふうに訳のわからない、どうして切られたかわからないような法律が国会を通過して切られる、それは丸でわからない。退職手当は八割増、四月以降は四割増、これだけもらつて食えるか。そういう政治を行いますと、その結果は私はやはり思想的に何とも腑に落ちない、何か政治的に納得が行かないという気持が私は皆あると思う。これは言い換えましたならば、ガソリン・タンクの口を開けましてその側にローソクとマツチを置くことと同じです。政府が本当に国内の治安を考えるならば、こういうような馬鹿な法律案をおめおめと出すこと自体が如何に国民の思想を険惡化する因であるかということをお考え頂かなければならん。あなたにもうこれ以上御質問申上げましても同じことを繰返えされますので、これでは処置がない。あとはもう仕方がございませんから、各省別に、又内閣委員かたがたにお願いいたします。又合同審査を要求されております他の委員かたがたにもお願いいたしたいと思いまするが、とにかく全体としてこういう定員法が、私に言わしめますれば、突如として出された。それが無計画という意味で突如として出された。こういう行き方は日本の国の治安を危殆に瀕せしめる一つの原動力であるということをはつきり申上げておきます。これ以上もう一般質問はやりません。ここで私は一般質問は打切ります。
  40. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて。    午後三時二十二分速記中止    —————・—————    午後三時四十二分速記開始
  41. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  42. 木下源吾

    ○木下源吾君 大体一般的な問題はそう長くなくてもいいと思う。むしろ実際各省の問題についてのほうが重要なことだ、こういうように考えています。で一般的な問題について私から二、三お伺いしたいと思うのですが、この前総理が本会議で、戦前が五十七万人ということを言われた。それでこの間からの審議で、五十七万人という数はどこにも出て来ないのですが、これはどういうところの調査で、どういう資料で総理がそういうことを言われたか。その点先ず伺いたい。
  43. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それは多分昭和六年の末の数字だと思いますが、国鉄専売を公務員の中に含めて、そして従来行政管理庁で以て調べただけの程度のものを集計いたした数字であろうと思います。五十七万であつたか、九万であつたかわかりませんが……五十九万一千という数字でありますが、それは今日なくなりました拓務省が入つている。それから今日では会社になつてしまつた八幡の製鉄所、それから公社になつた国鉄専売のものを含めた数字でございます。ただこれに関しては、前に楠見委員からの御注文がありまして、今日では大きく国家公務員に取入れられましたけれども、当時予算で雇傭人として雇つていたもの、これが不明確でありまして、終戦当時に資料が焼けたりして十分でないものを、その後なお検討して追加収録しておりますので、これを今日の材料で更に整理をいたしたいと、これよりはもう少し雇傭人を、予算で雇つてつた雇傭人の数を入れると殖えると存じます。成るべく正確な数字を掴んで見たいと思います。併し今日まで行政管理庁調べて、これが確かと思われるだけの分を収録したものを、昭和六年当時の人数五十九万とみなしているわけでありまして、この後において更にこの正確な数字として補正ができれば補正をいたしたいと思います。併しいずれにいたしましても、今日の百五十二万という数字に比して、非常に大きな差があるということを示すには足りると思つております。    〔委員長退席、内閣委員楠見義男委員長席に着く〕
  44. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうしますと、必ずしも五十七万というのは正確じやないですね、総理の施政演説のは。そういうことですか。
  45. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今日まで調べたところでは一番正確な数字としてとつておるものでございます。ただその後指摘されたものがありまして、終戦当時資料がなくなつたので困りますが、表に人数が出ていないけれども、予算の中で傭人なりなりをとつて、    〔委員長代理楠見義男君退席、内閣委員会理事溝淵春次委員長席に着く〕 或いは又予算にとつておいて、人員はよくわからないけれども、常傭的に始終おつたものがこのほかにあるようでありますから、それを調べております。
  46. 木下源吾

    ○木下源吾君 総理の演説で、五十七万と言われて、今は非常に多くなつたという基礎に言われているので……そうして一般的には何か非常な冗員——用のない人間を雇つてつたという印象を深く与えるわけであります。従つてその数字というものに重大な意義があるわけなんです。私ども早速調べまして、五十九万一千という数字を私どもも掴んでいるわけであります。五十九万一千という数字一体どこから出たのかということをお伺いしているわけで、別に咎めるわけじやないのです。それはあとでよろしうございますが、そういう数字じやないことであつたならば、これは施政方針の何に対する御訂正を願わなければいかんとまで、私は当時考えておつたのです。そこでその後戦時から戦後に引続いていわゆる複雑厖大となつたという点ですな。この複雑厖大となつたというのは、具体的にはどういうものがそういうことになつたということを、一つお示しを願いたい。
  47. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 機構の面におきましても、人員の面においても、非常に複雑にもなり大きくもなつているわけでございます。どういうものと申しまして、機構の面で申しますと、それから人員も附随しておりますが、一つには大きなのは、やはり今日もなお残存しております戦時から戦後に引続いての経済統制のために必要な機構が一つ。それからもう一つは、戦後いわゆる日本の行政民主化といつたような見地から作られました各種の行政委員会の制度。そういつたようなものが機構的にも人員的にも大きくなつている問題の一つであります。なおいろいろ又更に細分に仕分けをいたしますれば、警察が従来の警察制度を解体いたしまして、昔は一本の警察でいたしておりましたのが、国家地方警察と各自治体、それから機能的に分けました場合に衛生関係の仕事が保健所へ、及び麻薬取締官へ、それから鉄道の移動警察が鉄道公安官になりました。治安関係のものが特審局、それから外事の関係の問題が出入国管理庁関係といつたふうな、警察の解体に伴うものといつたようなものも相当大きく人数に響いておる部分であります。一つ一つ見た場合にいろいろな問題がなおなおあろうと思います。それで各種の、各省の中でも局だとか課だとかいうものの数が殖えておるのは事実です。
  48. 木下源吾

    ○木下源吾君 まあその複雑厖大になつた今の機構というものは逐次併しそれはまあ整理される。今回この機構で整理されるものは何々ですか。
  49. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 今度はまあ機構の改革はなおいろいろ練つておりまするので、行政事務整理をやつておりますし、行政事務の面でのこの定員法に現われておりまするものは、一つは占領関係の事務、これの中には廃止されるものと簡素化されるものがありますが、各省の渉外事務、それから外務省の連絡調整事務、それから通産省の対日援助関係の事務、特殊物件の処理事務といつたようなものは廃止になりまするし、それから公職追放、教職追放、それから賠償関係の仕事もこれは原則として廃止になると思います。特別調達の事務というものはそれ自体としてはずつと簡素化されて参る。  あと進駐軍関係の調達を処理する特別調達の仕事としては多分整理になると考えております。但しこれは仕事は住宅返還等がありますからまだまだ残務があります。それから大別にして経済統制事務があります。これにつきましては新聞用紙の関係、それから綿の関係、パルプの関係の統制の事務はすでに停止されたり、又は廃止されつつある。それから石油の統制の事務、ガソリンも又近く廃止、重油は廃止されようとしておる。それから食糧関係の統制事務に関しましても今は米麦だけが残つて、それが一部簡素化されるというようなことでございます。それから大別にして経済民主化の関係の仕事、それは財閥役員の審査事務のようなものが廃止になります。それから大蔵省の証券取引関係の事務、総理府の公正取引関係の事務は非常に簡素化されることになろうと思つております。それからこれは一種の経済統制というか占領関係と申しますか、商船管理委員会の海運統制関係の仕事はもう来春にやめることになつております。それから内部管理の事務については終戦後総司令部の勧奨等がありまして、人事関係の法規、財政関係の法規というものが非常に細かく相成りました、これは人事関係の事務と、それから会計、経理関係の事務については手続的に非常に仕事簡素化をするつもりで関係当局と交渉を進めております。そのほかにも個別で申上げれば、国営競馬の民営移管、アルコール製造事業の民間払下だとかという問題、それから財務局の行なつておりまするところの会計監督なんかの一般行政事務というものも非常に大きく簡素化されたところがございます。細かく申上げると、この定員法改正資料にあります個々の項目に入るわけであります。一応気付いたものはそういうところであります。
  50. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のお話の分で、例えば石油とかその他においても、海運統制のことについてもまだ今の分では存続しておるわけですね。これからやろうというただまあ見当でおられるわけですね。そういうものはそれといたしまして、今のような直接事務整理というものだけに限定するのではなく、これの一つ事務に対して、他の変動のある事務に対して何割天引というようなこともおやりになるようですが、そういう点はどういう一体仕事の都合でそうなるのかその点を一つ
  51. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは今日定員というものが戦前と比較して数が随分多いわけであります。これは昭和六年以来総動員体制が強化され、終戦後もそれが十分復元しないままにいろいろな占領下の行政に入つてあと何度か行政整理を行なつて整理をいたして参りましたけれども、次第にずつと全体的に組織が膨脹しておるわけであります。今日の財政負担の状況等から見てもなお公務員諸君にも能率を上げてもらう余地がないとも言われないと思いまするので、中でどう考えて見てもこれはいかんというものをずつと引去つて参りまして、例えて申しまするならば、厚生省の所管で病院、療養所の看護婦でありますとか、そういつたようなもの、全然整理の不可能なもの等をずつと除きまして、そのほかの部分につきまして一般的にこれは能率改善ができ得るというものについてはこれは或る程度整理を総体的にやつてもらう。
  52. 木下源吾

    ○木下源吾君 今整理される目途では、例えば試験場のごとき、気象のごとき、船に乗つておりますものは一定の割合の人でなければ船が動かん、或いは試験場のごときも手を省いたならば全体の試験の何はできんというようなものまでも含まつておるようですが、そういうようなことについてはどういうお考えであるかということを……。
  53. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 試験場などに関しましてはこの庶務や会計関係の仕事簡素化を図りまするので、その面からの或る程度整理をいたすことにいたしておりまするが、技術関係の実体等についてはこれはもう極めて軽微な整理にとどめておく。なお船の面などにつきましてはやはりそういつたような経理関係のものは別といたしまして、船の乗務員などについては殆んど整理をいたしておりません。
  54. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると、個々に調べて見て今まで二人のものは一人でまあ無理にやれば能率増加というか、労働強化というか、そういう面ならば、どうにかやれるという面以外のものを含めても必要なものはやはり存置しなければならん、こういうように受取つていいわけですか。
  55. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは飽くまでも必要なものは存置しなければなりませんので、ずつと八月以来事務的にも簡素化本部で研究をいたしましたし、更に閣僚懇談会で何遍かやりまして、その結果まとめたものであります。そういつたふうなものは個々に具体的にずつと当りまして何遍か検討をいたしまして、是非必要なものについては、その必要なものは残しておきまするし、全然手を触れてないものも相当あります。
  56. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは何ですか、あなたのほうで各省からそういうように意見を取りまとめて、実情を取りまとめてのお話なんですか。あなたのほうで直接御調べになつたのか。
  57. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは経過を申上げます。前にも委員会で御説明を申上げましたが、この定員法改正案を作るに当りましては、政令改正諮問に関する委員会で東大の田中一郎教授がいろいろ検討されたものでございます。それを参考にいたしまして検討いたしたものであります。で、その田中教授のこしらえました政令諮問委員会の答申案を基礎にいたしまして、そうして各省を呼んでこの仕事についてはこれこれでよろしいかというふうなのをずつと個別に当りまして、そうしてその結果まとめたものでございます。で、更に最後に閣僚懇談会で話を大体まとめましてから、あとでもその内部で更に事務当局仕事を検討いたした結果作り上げたものがこの案であります。
  58. 木下源吾

    ○木下源吾君 各省においてはそのような問題はどういう方法でまあきめられておるのか。各省でございますね、例えば各省の省長とか、或いは人事係なんかそういうような人たちの何かの機関と言いますか、調査するそういうようなことを何か具体的に行なつてつたのか、ただ省長の考えだけでやつたのか、その点はもう少し詳しく一つお聞きしたいと思います。
  59. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 各省でどういうふうなやり方をいたしましたかはこれは各省に聞いて見ないとわからないと思います。ただ大体大臣、次官、官房長、官房課長といつたようなのが中心になつて、恐らくは適当な段階から局長会議まで開いてやつてつたと思いまするし、それからそれぞれの局長が話をまとめるについて省内課長の意見を聞いたか聞かないか、まあそういつたふうな問題についてはこれはまあその局長が仕事をよく知つておるかどうか、いろいろな面の状態があると思います。これはまあ私のほうといたしましては、大体閣僚懇談会の前の段階の簡素化本部の事務的な段階では事務次官だとか、官房長、官房課長あたりを相手にして仕事をやつて参りました。それから閣僚懇談会に入つて閣議では勿論閣僚相手に交渉したわけで、所要に応じて事務当局間に更に膝を合せていろいろなことをいたしました。各省の内部でどういうまとめ方をしたかということは、私はよほど事情が省によりその省内の局により違うかと思つております。
  60. 木下源吾

    ○木下源吾君 例えばわかつておるだけでもありませんか。いろいろ違うだろうと思いますが……。
  61. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それはわかりません。
  62. 木下源吾

    ○木下源吾君 庶務或いは会計、管理、こういうところを簡素化をするというのですが、具体的にどういうことですか。
  63. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 会計のほうは財政法に基く会計規定の改正案を作つて、これはすでに司令部のほうとも相談をしておると思います。要するに財政法に基くところの諸般のいろいろな手続の規定の改善も図つておるわけでありますけれども、これはいろいろな戦後におきまして財政法規が非常に厄介になりまして、大蔵大臣に対する協議事項なんかがうんと殖えておるわけです。例えば指名競争契約締結の協議、契約書の省略の協議、認証済額報告書、出納員に関する協議とか、これはもう適当に各省に任せるように整理をいたします。それからもう一つは、いわゆる支出負担行為の認証制度というものがあるのです。これはまあむしろ原則として各省庁に与えられた予算の範囲で支出するわけですが、原則として各省庁の任意とすることに改めまして、公共事業費などで大蔵大臣の指定する特別なものについてのみ予算の範囲で支出する場合でも大蔵大臣の承認を得るというような方向に持つて行こうということであります。それからなお各個の支出負担行為の認証のほかに四半期別の支出負担行為ということについて大蔵大臣の承認を受ける制度、要するにこれはなかなか面倒でありますが、この整理をし簡素化したいと思つております。なお予算の科目の改正その他も図りたいと思つておりまして、これは各省会計課長や官房長の間でいろいろの要望を出して大蔵省で取りまとめて進めつつあります。  それから人事関係の手続に関しましては、これももう国家公務員法に基く委任規定の範囲内で人事院がやられたのが非常に面倒な規定が多くて、余り意味のない複雑さが非常に多いのであります。これは人事課長会議で意見をまとめまして内閣官房は代表して人事のほうと相談をいたしておる。主要項目は任用や給与等に関して各省課長と人事院とかなり細かい問題まで協議をしておりますので、これをうんと減少して大体各省限りで処理ができるようにして、人事院としては仕事減少をする。それからなお人事に関する技術的手続の部面が非常に複雑であつて、例えば厚生省でも私仕事する上に非常に困つておりますが、こういうような複雑な事項を簡素化するということをやつております。  それからもう一つ大きいのは職階制の任用につきましてもこれは余り複雑にやりますと非常に困るので、これは余り複雑にならないように検討中でございます。これは目下内閣官房のほうで人事院の事務総長と相談をしてこれも人事院規則の改正措置を進めておるわけであります。
  64. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうしますと、今のいろいろなお話はこれからそういうことにしようということが大部分のようでありますが、そういうことならまあ今ではそういうお考えのようであります。現在ではそういうところにこのいろいろな実際の人員整理に対しては納得の行かないという根拠にもなると思う。それらについての事務簡素化のつまり計画、それからいわゆる戦時、戦後を通じての複雑厖大になつた機構を改めるというプラン、そういうものを一つお示しを願いたいと思うのですが、参考に出して頂きたい。
  65. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 先ず機構の問題でありますが、これも前々からお話を申上げましたように、人員の問題は機構というよりもむしろどういう仕事処理しなければならんか、それにどれくらいの人数が必要かという行政事務を主体にして考えて行くべきものであると思います。で、機構の改革もやるつもりでありまするが、そういたしますれば必要な仕事はどこかでやらなければなりませんので、各省庁の間で定員の異動ということが起りますけれども、定員それ自体のきめというものは行政事務から立てて参ることができるわけでありまして、機構の改革はなお検討いたしまして、通常国会において開会劈頭から審議をできるようにまとめて提出いたしたいと実は考えておりますが、まだ最後的にお示しをする段階までなつておりません。なつておりませんが、併し定員というものは、飽くまでも必要な事務処理するということが建前であつて、私は必ずしも関係のないものであると考えておりません。勿論省庁間の活動は起つております。なお私只今申上げましたことは、これと並行いたして進めておる仕事でありまして、必ずそういう方向にまとめるつもりでございます。
  66. 木下源吾

    ○木下源吾君 今定員というものは機構とは別個にというお考えのあることは、あなたの立場からは或いはそうかも知らんが、やはり人員整理というのは、今日は御承知通り相当面倒になつております、元よりは。と申しますのは、憲法改正から繋がつて、そうしていわゆる人権とかいろいろそういう問題も関連して来る問題になつて来るので、機構の問題は、まああなたのほうで十分にいろいろ御計画になると思いますが、整理ということになると、又別途に納得が行かんと、やはりいろいろな問題が起きて来るような状態になつております。だから人員整理は、そういうあなたのおつしやるような軽い意味だけではいかんのであります。殊に人事委員会としてはそう考えております。でき得れば今の機構の改革のことは、あなたはこれから先のことだということも言われておるのでありますが、事務的な簡素、この点だけは今度の直接定員の問題とは関連して来るので、この事務簡素化というだけでも只今いろいろお話になつた点をまとめてお示し願いたい。こう思うのですが、どうですか。
  67. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは極く近いうちにそれぞれの規定となり、通牒となつて出ると思いますが、これを個々に書いて差上げても結局今私申上げたような方針で、細かい資料等を規定するということです。これは大体この定員法改正と並行いたしまして、不日必ずそれぞれの所管庁において処置するつもりでおります。
  68. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今お話の中に職階制が出て来たのですが、職階制の内容についてのお話があつたが、実は行政機構改革に伴う、或いは定員の問題等も、この職階制というものが根本のいろいろなものを規定する原則的なものになつている、こういうことに我々は了承しているのです。特にここにも謳つている能率の点を謳つているのですが、こういう点については職階制に対するお考えはどういうお考えを持つておられるか、この点も一つつておきたいと思います。
  69. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはまあ職階制に対する考え方というのは、総体的な職階制に関する批判というか、考え方というか、これは今日ここで簡単に申上げる筋でもなかろうと思つております。ただ私の今日考えておりまするのは、職階制の問題というのは一応法律ができております。人事院で、人事院の中でもなお研究しているようです。まあ非常に複雑な手続規定を伴つてやるという案もあるのであります。少くとも職階制の趣旨を活かしながら、これが非常に面倒なことにならんように、手続問題その他も、只今も一度検討し直してもらいたいと言つて人事院のほうに申入れてあるはずであります。実際公務員法についても、このアイデアの問題のほかにやる手続が如何に大きな、官庁能率の上に影響を及ぼしているか痛感しております。今度の職階制の問題なんかにつきましては、これはまあ一応これの下に具体的にどういう形で運用するかというと、ずつとよほどよく検討してもらつて、そうして我々もそれを説明してもらい、連繋をとつて、従来のような人事的な複雑な弊を少くとも避けたいと思います。基本の問題については、今ここで私はどうこう申上げるというのも如何かと思つております。
  70. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると職階制というものに対しては余り複雑だから、今後そういうものを使うというようなことは考えておらんというように了承していいのか。只今お話ではちよつと漠然としているのだが、少くとも私どものほうでは、いわゆる能率の問題ですね、その他こういう人事院の定員の問題等も、職階制がやはり基本になるべきものだと、こういうふうに実は考えているのです。ところが、それは余り複雑なものであるからして、こういうものではなく、今後公務員定員法考えて行くのだというようなお話のようですが、やはりそのようにお考えになつているのかどうか。
  71. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 職階制の法律はあの通り制定をされて、どういう形で運用するかということは人事院で検討しておるのであります。私が申しましたのは、この職階制それ自身についてどうこう非難をいたしたわけではございません。ただ職階制の運用の仕方につきまして、従来も国家公務員法に基いていわゆる科学的人事行政というものをやつて見て、今日人事院自身でも、これほど複雑な手続規定は必要がないといつて考え直しているところがあるわけであります。要するにそういうことのないように、職階制の運用を細かく具体的に一遍立ててもらつて、そうしてそれを検討して、要するに職階制自身のために、むやみにその行政事務が殖え、行政能率が落ちるとか、みな公務員仕事が殖えてくたびれるというようなことのないようにいたしたい。従来の人事行政の技術的手続的な不満が、人事課長会議でも尤もな要望として出ている点から考えて見て、職階制についてはその運用の実際をよほどよく検討した上で、成るべくこれが行政事務を複雑化しないように、運用の面において考えてもらいたいと思つているわけであります。
  72. 木下源吾

    ○木下源吾君 今回減員される定員は、一人々々については職を失うということになるのでして、国家の要請がどうしても減員せねばならんのだという結論に到達しましても、今或る中から一部のものをやめさせるということになることだけは事実なので、これは個々人に対してはどういうふうな方法でそれを選択させるか、やめさせるかということを選ぶかということについては何かお考えはありませんか。
  73. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは先ず第一の問題としては自発的な退職者を募るということにしたいと考えております。今回の退職手当法律に一月から、従来の既存の退職手当法律を、行政整理の際におきましては、総体的に殖やしたいと考えておつたのでありますが、特にその前半でありまする一月から三月までの間を八割増といたしまして、そうして実際はもうすでに十月五日、閣議決定のあつた十月五日以降の退職者については遡つてやはり八割の退職手当を支給するつもりでありまするが、この十月から三月末までの六カ月間の人たちに特に八割増にしたというのもできるだけ自発的な退職者を先ず第一には募りたい、募るという趣旨であります。そのあとの人たちに対しましては定員法がきまりますればこれはもう先ほど簡単に考えているという話がありましたが、私決して簡単には考えておりません。退職される人はなかなか大変でありまするから、定員法に基いて退職者を何名か選ばなければならぬ。つまり定員法定員減になる者の中で、欠員で補充できるもの、それから又長期欠勤者で定員外で休むもの、それから自発的退職者というものの残りが退職者になりますので、これについては特定の整理基準というものを設けておりません。各省庁の考え方によりましてそうして選ぶということに相成るわけであります。でこの点につきましては夏以来各省の事務次官その他とずつと相談をいたしまして、できるだけ無理のないように、そうして退職される人々にも気の毒にならぬような方法でなければいかぬということにつきましては、整理基準というものは設けないほうがよろしい。整理基準というものを設ければどうせ勤怠常ならざるものとか何とかかんとかいうことになるのじやないかと思いますけれども、それから或いは又定員の範囲内で他の人よりも、つまり点をつけて行けば点の惡いもの、こういうふうなことになりましようけれども、こういつたふうな整理基準を設けるということはこれはよくない。むしろ定員法がきまつて、そうして今言つた自発的退職者、それから欠員補充、それから長期欠勤者で定員外に休む人を引いて残るということに相成つて来たときには、当然やはり各省庁としては先ず衆目の見るところ公平に行なつた、あの人は残つて、あの人は退職したのは当然だというふうにきめればいいんで、整理基準というものは設けないほうがむしろ省庁の治まりの上からも、やめた人々の上から言つてもよろしいので、特定の基準というものを設けておりません。
  74. 木下源吾

    ○木下源吾君 大変心やりのあるようなお話ですが、どうしても併し今お話のようにやられるならばこういう定員法というようなものを改正しなくても先ずそういう方向で一つつて、それから定員法に手を着けてもいいんじやないか、こういうふうにも考えられる、その点はどうですか。
  75. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それはもう独立後の成るべく簡素な行政運営をやつて行くという意味において、国の定員というものをどれだけなければならないか。一人でも少い人数で国民に奉仕するという途をとることは当然であると考えますので、私は定員法改正、それ自身というものは私は大切な問題であろうと考えているのであります。実際問題として、それならば今日どれだけの人数で行政運営ができるかということに相成つたならば、やはり定員法改正するというのが筋であつて、それを肚の中に含めておいて自発退職昔を募つて行くというようなことは、これは実際上から言いましてもなかなかできにくいと思いますし、又そういう肚積りを持つならば、やはり定員改正を先ず図るべきであると考えます。
  76. 木下源吾

    ○木下源吾君 先ほど来からお伺いしておれば、これからいろいろ機構上の問題、或いは能率的にやるために簡素化という問題等を考えておると言われるので、むしろそういうようなことをやるとすれば先じやないかというように実は考える。この定員法でこれだけの定員をきめるということは、逆に私は今あなたの言われたような方法をとつて、そうして実際にはこれで仕事をやつているのだという面で改正せられたほうが妥当ではないか。私はそう考えるのですが、ただそういうことはなかろうけれども、内閣では厖大なつまり人員が殖えているのだからという一つの現象で、そうして俺が定員を減らしたのだと、こういうようなことをやるのとだというような或いは疑いも受ける。私が今申しましたようなことでおやりになるならば、実際に即して問題も少くなるのではないか。こういうように考えるわけなんですが、これはお互いに意見でして、考え方に違いがある。具体的には自然退職者、或いは欠員或いは長期欠勤等々を差引いても、やはり何ほどかのどこかに無理な面が多少でも出て来るのではないかということは長官もお考えになるだろうと思う。その際にいろいろ心遣いをしてやるのだ、その心遣いはそれは有難い話のようだけれども、効果が実際はないのではないか、こういうふうに考えるのですがなあ。どうしてもやはり定員の人数をきめてかからなければならないのはどういう理由か。私は今お聞きしているのでは余りないのではないかと、こういうように考えるのですが、どうですかな。
  77. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それはどうも非常におかしいと思う。私は現実にこの定員法改正の資料を御覧下さつてもわかりますように、非常に国の仕事の中で、これだけの人数でやつている面がございますし、もう基本的に考えて見て、私は財政負担の上に築き上げられなければならない行政組織というものは、できるだけ少い人数で運営できるように始終考えるのが当然であるし、今後恐らく日本が変化するこの際において事務をもう一遍見直して定員法改正をやるということが私は当然必要なことだと思つております。まあいろいろ国民の輿論としても新聞の論説等を見ても私は国民的に要望されていると考えているわけです。
  78. 木下源吾

    ○木下源吾君 私はこの前からもいろいろ定員法改正にぶつかつておるのですが、実際にはやつたあと臨時雇、而も長期の臨時なんというようなのはほうぼうにあるのですね。実際定員法定員をきめてもこれは表面上の、国民の輿論と言われるが、一方では国民の輿論に応えたようだけれども、実際の面を見ればやはり経費を使つておる。それは実際に必要なんだ、そういうような矛盾を今日我々は見ておるわけなんです。だから表面だけで定員法定員を少くした、こういうだけでは実際の仕事が行われないという面が多分にあることをやはり見逃してはならないと思います。もつと実際に即したような方法でこの実効を挙げられたらどうかと、こう私は申しておるわけなんであります。現に今度でも各省別にいろいろこれから審査をすればわかつて来るだろうと思うのですが、なかなか一律の天引というものは到底これは……成るほど表面ではこれだけ減らすということになつても、逆に減らしたために非常に支障の来る面もあります。それから他方におきましては、支障が来るばかりでなく、実際にこれではやれないで同じ性質の臨時雇を置くということが出て来るとか、いろいろあるわけなんです。これはこれから各省の状況調べてからでもよろしいのですが、今一般的に私はそう考えておる。殊に各省の長がやめさせることについて一切の責任を負うようなこういう行き方なんですが、これも各省の長としては、基準がないところにやろうということになれば、これは非常な迷惑じやないかということも考えられる。長官ではこれだけの整理をするのだからお前のほうでそれに適当するだけの人員を減らして適当に持つて来い、こう命令すれば、だんだん下のほうへ行けばやつぱり上のほうの命令だからこうしなければならないということで、私は締出される面もたくさんあると思います。併し実際これを実行することになれば相当責任に当る者は困難を来たすのではないか、こういうふうに考える。これは事実そういうこともこの前ある。そういうことについては一体どういうふうに考えておられるか。長官としては集まつて来たものはいろいろそこでまとめて閣僚懇談会、或いはその他できめた、こう言われるけれども、実際面においてはそういうような支障が一つもないものだ、こういうふうにお考えになつておるのかどうか。この点も一つお伺いします。
  79. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) ないものと考えております。
  80. 木下源吾

    ○木下源吾君 そこでこの定員法には公務員の不利益の救済、これがないわけです。これはどういう考えで不利益救済の条項を、公務員法にあるそういうものをなくしたのか。それをちよつとお伺いします。
  81. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それはさつき森崎委員にもお話申上げましたから……。
  82. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど来木下委員との質疑応答を聞いてりまして感ずることでありますが、例えば国営競馬の民営移管ということであつたかと思うのですが、或いはアルコール工場も同様な方針、或いは石油の統制問題等にしても、これからきまる各省のいわゆる統制撤廃というか、或いは言われたような項目についての措置の方向、方針を人員整理から始めて行く、こういうふうに感じたのでありますが、その通りであるか、どうか。
  83. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 人員整理から始めて行くのじやありませんで、そういつたような実体的な方針がありまして、それに即応してこの定員法も作り、且つ一部は補正予算にも出ておりますが、二十七年度の本予算にも出ております。それらが並行してそれぞれの部分で進んでおるわけでございます。
  84. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、例えば石油の統制撤廃、或いは国営競馬の民営移管、或いはアルコール工場の民間払下と申しますか、そういう方針がすでにきまつてつて、そうしてそのきまつた方針によつてそこの定員を減らす、こういうことなのでありますか、それともこれから、先ほど伺いましたのは、はつきり各省ではこういうふうにきめたわけではないけれども、そういう方針で並行して進めて行くということなのか、そこはまだそれぞれのところできまつておるわけではないが、今のお話でいうと、未定でなければ、並行して進む、こういうお話のように聞こえるのです。
  85. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) そうじやありません。政府としましては全部閣議できめた方針でございます。それに基いて或るものは行政措置でできまするし、或るものは予算に上るものもあるし、或るものは省令等の手続規定等を要するものがあるし、それぞれの仕事を別途進めておる、こういうことです。
  86. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 例えば人事行政の問題が先ほど出たのですが、職階制それ自身はお認めになつておる。ただその手続と申しますか、長官は先ほど来アイデアに触れるのじやなくて、その手続という言葉で言われたのでありますが、例えば人事管理なら人事管理の方式について、職階制その他公務員法に基いて人事院がとつて参りました人事管理の方式、それらのものについて人事院として正式になお方針の変更と申しますか、決定があるものではないのに、人事課長会議なりなりで一応意見を開く。それから人事院の意見も非公式に聞いた上で余り煩瑣にならないような方法でやろうじやないか。或いはまあ職階なら職階の分け方ですが、そういうものについても人事院において今まで考えていましたものを多少減らしても、こういう人事なり、或いは人事管理のやり方について変更をされておるように、決定もしていないのに打合せをして、こういうふうにして行くという御相談をなされたかのような印象を受けるのでありますが、やはりその点についてもきめた方針に従つてされるという工合に説明をされるのでありましようか。
  87. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 職階制は将来、まだ実施されておりませんから、法律だけできておりますが、具体的手続は進んでおりませんから先の問題でございますが、現行の人事行政については、もういろいろに手続的に面倒なところ等がありまして、これにつきましては人事行政の仕組、制度自身の本質に触れるところの問題でない、もう本当にただ手続的に面倒な部面が相当ございますが、そういう点を検討して、こういうものをもつと簡素にして、人事行政を担当しておる行政管理の仕事の手間を省こうじやないかということを、内閣の官房と、人事院のほうと相談をいたしておりまして、大体仕事を簡素にする。手続規定等の簡素化については、大体の意見はまとまつております。それで職階制の問題につきましても、これは今後具体的に実施されるわけですが、具体的に実施される場合において、これのために新たに、つまりあの職階制にいたしましても人事が公平に円滑に行われるように考えられたものが、却つて実際的には仕事だけを煩瑣にするといつたような結果にならないように、職階制の問題についても検討してもらつておると、要望もしておるということをついでに申上げておきます。
  88. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 将来の問題は、或いは将来に持つておる希望は別なんですが、私ども人事院が従来考えて参りました能率的な人事管理、そういう面から今度の定員法改正問題がどういう工合に影響するかということを、人事院の正式の調査事項として現在調査承認要求を求めて話を進めておるのです。ところが今の御説明の将来の問題でなくて、ちよつと今資料で見落しをいたしましたが、このまあ事務合理化とか能率化云々ということで、先ほどの言葉で言うと、この人事管理の方式、或いは研究所の庶務関係の人員云々と、こういうまあことが出ておりますが、そういたしますと、庶務関係なら庶務関係の仕事を減らすといたしましても、それに人事院の従来考えて参りました人事管理の方式というものと関連があると思うのでありますが、そういう点について将来の問題ではなくて、今までやつて来たやり方、それを減らすために人間を減らすと、こういう結果が出て参ると思うのですが、それらの点についてもこれは人事院と相談した結果、そういうことにするのだ、こういうまあお話に聞いて差支えがないのかどうか。そういたしますと、従来私どもが人事院と折衝をして参りました点から考えますると、人事院の人事管理の諸方式に対しましては、これを修正する方向に参る点があると思うのであります。例えばこれはちよつと今、目についたところでありますが、法務府のところに、当府千四百六十二人の整理は主として人事会計等の管理業務の高度簡素化を前提として行われたものであると、こういうことが書いてありまして、従来の人事管理の方式に対して人事管理の面で手を触れると、こういうことが出て参ると考えるのでありますが、そういう工合に解釈いたしてよろしいですか。
  89. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これもまあ前に森崎さんのお話もあつたのですが、あつちこつちでいろいろ出したものの中に言葉の適切でない説明が書いてあるのがあるのです。人事管理の方式というものは多いのでありますが、今日の国家公務員法に基きます人事行政のシステムにつきましては、恐らく人事院のかたがたはよく御承知だと思いますが、とにかく具体的にとりますと、例えば出張費……内部で人事をやりますときに、一つやるためにどういう書類を作るとか、どういう報告を作るとか、どれだけの間にどういう評定をするとかいうようなことがもうわかり切つたような問題について往々に手続的に複雑化する場合が多いわけです。それで人事管理方式というような大きなものでなしに、むしろ今日の人事管理方式の下にあつてこれほど仕事を面倒にしないでもいいというふうに考えますので、それを簡素化してもらうように人事院に話合いをいたしまして、この手続等の人事管理の技術的な、手続的な部面の簡素化については、向うのほうも話は尤もだと考えてくれております。人事管理方式というようなことを言うとちよつと話の筋が少し大き過ぎてそこまでは考えておりません。
  90. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは管理方式という言葉は、抽象的な言葉でなくて、今まで人事院が考えて参りました能率的な人事管理の方式というのは、言われるような例えば給与法にいたしましてもその他の場合にいたしましても一応手続はあるわけであります。それを行政管理庁のほうで今度の行政整理に関連いたしまして、煩瑣な手続はやめようじやないか、それを具体的にどこまで出ておるかわかりませんけれども、それに触れて参りますというと、これは今までの少くとも人事院が考えて来た人事管理の方式と矛盾するものが出て来るのじやないか、それを非公式、私はあえて非公式と申しますが、それは人事院が職階制なり或いは国家公務員法に基いてやつておる部分に末端においてこれは関連して参ります。従つて人事院は我々委員としても関心を持つことでありますが、そういう手続とか或いは方式とか細かい事務的な問題についてやはりお話の点で触れて参る点があるのです。これはそういう工合に考えて解すよりほかないと思うのでありますが、そこで先ほども要求が出ておりましたけれども、ほうぼうで資料の点において不備な点があるというか、或いは不十分な点があると言われるならばお話のようなさつきの点をもう少し文書にしてはつきり出して頂きたい。こういうように私は考えるのですが、その二点について……。
  91. 溝淵春次

    委員長代理(溝淵春次君) 途中でありますが、成瀬さん。
  92. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 議事進行について……。御発言に対しましては緑風会もお見えにならんので、時間も五時近くなりましたから本日はこの程度で……。
  93. 溝淵春次

    委員長代理(溝淵春次君) もう大体人事関係のかたの何は進んだろうと思うのでございますが、緑風会のかたがちよつと特別な何で……。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  94. 溝淵春次

    委員長代理(溝淵春次君) 速記を始めて下さい。
  95. 木下源吾

    ○木下源吾君 この定員で落しておりますところは先ほど来いろいろ聞いたけれども、これも不分明、ところが予算で落しておるところがあるのです。政府関係機関において、この予算で落したのは一体どういうような方法でやつたのですか。
  96. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 予算で落しておりまするものの中に種類が三つありますので、一つ行政管理庁でやつていない、定員法でこういうふうにきまつていないもの、即ち人事院、これが一点であります。それからもう一つ定員法定員を規定してないところの政府関係機関定員であります。それからもう一つは私のほうとしては全然関係をいたしませんでした。ただ閣議で同時にこのほうもしてもらいたいということを考えました。国会、裁判所及び会計検査院、この三つのグループが予算できめたものであります。それで人事院の関係のことに関しましては、これは行政管理庁の設置法にありまするように行政管理庁として直接触れることのできない仕事でございまするので、これは閣議で話しました筋によつて内閣官房長官のほうで人事院と下話をいたしまして、そうしてその大体話の通つたところで予算できめたものであります。それから政府関係機関定員につきましては、これはほかの行政機関と同じように閣議で私が関係閣僚と相談をいたしまして、そうして閣議決定をいたしまして、国鉄も専売もその他もそうでありますけれども、その決定されたところに従つてそれぞれの或いは一般会計或いは特別会計の予算で、或いは政府関係機関予算できまるわけでございます。それから国会、裁判所及び会計検査院については、これはただこの際これらのところにおいても、できるだけ能率化を図つて行政整理をやつてもらうという話合いをしようということにいたしまして、これは内閣官房も私のほうも全然関係をいたしません。ただ予算の編成面からして大蔵省が各省と折衝して、予算上の定員を或る程度整理いたすことにしたようであります。
  97. 木下源吾

    ○木下源吾君 そういたしますと、予算で落したという面は整理基準は予算を削つて予算を落してということになるわけなんですか。上で、つまり閣議決定の線で予算を落して、下のほうから、若干、官房だとか、或いは人事とかという面で盛り立てられて来たというような形式は一つもなく、上のほうから予算でただ落すという、こういうふうに了解していいわけですか。
  98. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いや、そうじやないので、要するに、定員法できめるか、予算のほうできめるかという最後のきめる形式が違うだけで、きめた手続はもう全く同じことであります。やはりこれも政令諮問委員会の答申案に基いて行政簡素化本部でずつと練りまして、それから閣議できめて、きまつたところに従つて定員法に上つている部分定員法改正案として出すし、それと同時に別途予算のほうもそれに並行して組まれるし、定員法のない部分については専ら予算のほうで組まれる。きめたのは全く閣議できめたのです。ただ国会、裁判所及び会計検査院の方面は全く私のほうが関知いたしませんので予算面での話合いが大蔵省との間に行われているわけです。
  99. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうしますと予算できまつて行く方面は、例えば必要な現業の人間の落してはならんところを落して、不必要な、まあそう極端ではありませんが、不必要なものの方面を残すというようなことも、その方面のつまり機関でできるわけですな。
  100. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) そんなことはありません。例えば国鉄なら国鉄につきましても、これは全くほかの一般の行政整理と同じように夏以来簡素化本部その他とずつと話をし、それから最後に閣議できめるときにも運輸省の鉄道監督の方面の人、それから国鉄公社の人々も、それから私始終公社の総裁とも会いましたし、そうして話をして、整理の人数をきめたわけでございます。ただそのおちが定員法できまつているものは定員法及び予算の中に反映されて来るし、定員法のないものについてはただ予算の面に結果が現われるというだけで、きめ方は同じことであります。それで、その内部的な仕事簡素化の仕方というものは、例えば運輸本省についてどの仕事をどういうふうにするというのと同じように、国鉄運営の面でもどの仕事をどういうふうにするというように一歩積上げていろいろ議論したわけです。その点につきましてもほかのものと同じことであります。
  101. 木下源吾

    ○木下源吾君 そういたしますと、ますますどういう仕事をどういうふうに切りつめるか、どういうように積重ねるかということの具体的な資料はますます我々は欲しくなるわけなんですが、これは一つ是非お願いしたいと思うのです。それからもう一つは政令諮問委員会というのは私の記憶では公式の機関じやないように考えておりますが、どうですか、それは。
  102. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 公式の機関じやありません。これはリツジウエイ司令官の五月の声明、即ち占領下において総司令部の指令だとか、示唆だとか、勧告だとかいうものでできたものについては日本側で再検討をしてくれて差支えない、その再検討の上での相談には応ずるという声明に応じまして、内閣総理大臣一つの私的な諮問の機関として、政令改正諮問に関する委員会というものを作りました。それから内閣総理大臣に答申されたものを、私どもはただ行政簡素化本部で各省と相談するための一つの参考資料に使つております。
  103. 木下源吾

    ○木下源吾君 まあ参考資料に使われたというそういうお話は非常に軽い話だけれども、今日までしばしば出て参りまする政令諮問委員会という言葉は、何か非常に国家機関であるかのごとく、そうして権威があるもののように我々には聞こえておるわけですが、又実際においても政府は大半の責任が政令諮問委員会にあるかのごとく、いろいろ印象を与えておるのです。で、一体政令諮問委員会というものは、参考としてどういう点を取入れたかということは非公式なものだからというので、お話にならないかも知らんが、できるならばその点を一つ伺いたい。どういう点を政令諮問委員会の答申を参考として取入れたかということをですな。
  104. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは格別どの点を取入れたというよりも、要するに各省と話合いをいたしまする上で、何らかやはり基礎の案というものがなければお話にならんわけでありまして、例えて言うならば、初めから私のほうで仮に案を作つて、これでどうかというので話合いを始めるというふうなことになるわけです。その話合いの参考資料として両方が行政簡素化本部で、行政管理庁長官が中心になつて、各省と検討するための出発の材料に使つたわけであります。それに比べまして、今日は非常に大きく変つておりまして、まあ人数から見ましても、その案によりますれば、国家公務員整理が十八、九万であつたと思いますが、今日提案いたしておりますものは十二万何がしであり、今日衆議院の委員会の修正等もありまして、十一万幾らというくらい、人数にも非常に開きが出ております。これはもう全く討議の基礎材料であつて、どこをどういうふうにして入れて、どの面をどうしたということは、個々の項目によつて非常に違つております。
  105. 木下源吾

    ○木下源吾君 そういうお話であれば全く責任のないもの、そうして極めて軽い参考として聞いたと、こういうことになるので、今後余り政令諮問委員会ですか、そういうものをここへ持出さないようにしてもらわんと、これが権威のあるもののように見える、実際は御承知通り世間ではこの委員会の決定は内閣を左右するものだというくらいななにを持つておる。殊に十何万というような数字が出ると、これは整理さるるものの側になると、誰がされるという問題ではなく、全体として非常な関心が持たれるわけなんで、私どもはこの政令諮問委員会というものに対して、実はこの存在に対して、非常なまあ疑義を持つてつた。そうして一般も今のような軽い意味のものであつたというよには、今日なお考えておらないような事情なんで、ここでもうきつぱりその点は明らかに長官から一つはつきり言うておいて頂きたいと思うのです。それは簡単な政府の軽い意味の相談というか、参考意見を徴する一つ機関であつたということを……。
  106. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) まあ軽いか重いかということは考えようで、軽いとか重いとかいうのは、言い過ぎると思いますが、私はただ事実だけを申上げたいと思うのです。政令改正に関する問題については、これはやはり相当練達な常識人の意見を聞くということで、まあ意見を聞いて、それからスタートをいたしておるわけでありますから、飽くまでも政府はこれを参考にするだけで、これを参考にしてからあとは、政府独自の見解で練つておることは今申上げた通りであります。ただ参考にしておるのは確かでありまして、私も今後言うなと言われてもこれは困るので、八月にちやんと閣議で決定をいたしました文書の中にも、政令改正諮問に関する委員会の答申案を参考にして行政簡素化本部で案を作るということで、それを参考にして案を作りましたので、それで飽くまでも参考でありまするから、練つてつた間には内容は非常に変りましたけれども、初めの数字は私が今申上げた通りであります。で政府としてはこれを参考にいたします。併し飽くまでも参考でございます。
  107. 三好始

    ○三好始君 議事進行について。時間が遅くなつて委員の数も非常に少くなりましたので、内閣人事連合委員会の今後の運営については、追つて相談することにして、今日はこの程度で散会されんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  108. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 賛成をいたしますが、その前に一点だけ聞かしてもらつて、そうして三好さんの動議に賛成いたしたいと思うのですが、お許しを頂きたいと思います。  私は先ほど来非公式にきまつておる方針を含めて、定員法改正をやろうと、こういう御方針ですねということを申上げたのですが、例えば国営競馬の民営移管ということについては、競馬法の改正も要りましよう。それから石油の統制については、これはそれぞれ法律があることですし、これはほかの例えば人事院の問題については、人事管理の問題については、人事院規則の改正を必要とするでありましよう。問題の焦点は資料として明らかにしてもらいたいと思います。それらの諸法令を本国会において出されるつもりであるかどうか、その点一点だけ橋本管理庁長官に聞いておきたいと思います。
  109. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは物によつてつております。石油については御承知のように物調法に基いて政府のきめることでありまして、それは格別法律も政令も要らないわけであります。これは来る四月から大体この石油統制の撤廃をするつもりでおります。それから国営競馬の問題については法律案を作つておりまして、今国会に出して、継続審議にいたしますか、或いは通常国会に出すことになりますか、いずれにいたしましても民営の法律案を至急提出する準備をいたしております。
  110. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 説明が足りませんでしたが、例えば人事管理の問題については、人事院規則の改正が要ると思いまするが、例えばアルコール工場についてもそうでしよう。石油統制撤廃の問題については、それは物調法でできると、こういうお話でありますけれども、石油の統制が可能なりや否やということについては議論もあると思いますし、国会開会中にそれらの問題について、国会の議を全然経ないということについては、これは麦の統制撤廃と同じようなことだと考えます。これらは当然この国会において実質的に審議もしなければならん。定員法を先に通して、国営競馬の民営移管という法律を出すのはあとからと、こういうやり方については、これは絶対に排撃せられなければならん方法だと考えますし、当然あとで審議になると思いますが、本国会に出されることをこれは強く要望して、それらの点について問題がありますことを、ここで確言をしておき、それから政府としてはこの定員法改正問題に関連して、それらの関連いたします事項をこういう不十分な長官説明によると、不十分というか、或いは間違つておるところさえも若干あるかのような御説明でしたが、それらの点をはつきりと文書にして頂きたいと思います。それだけを要望いたしまして、あと残りましたものは適当に次の機会の委員会において連合審査の機会を持ち得るようにして頂いて……。
  111. 溝淵春次

    委員長代理(溝淵春次君) それでは只今の吉田さんの御意見がありまして、先ほどの三好委員の御意見がありましたように、人事委員会との連合委員会は一応これで打切りまして、明日農林委員との連合委員会をいたしますから、それで特に人事委員のほうのかたで御質問を、今度の内閣委員会と同時におやりになる要望のおありになるかたは、でき得れば人事委員長が取りまとめて頂いて、そして明日の農林委員会なりその次の、恐らく明後日は労働委員会との合同委員会をやるようなことになるのじやないかと思いますが、適当な時期に、人事委員会を代表なさるような意味で、委員長のかたかどなたかそういう意味合いで一つ適当な時期にやつて頂くということで御了承願います。
  112. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それは先ほど河井委員長のお言葉とも違いますし、今の三好さんのお言葉とも違うと思うのです。というのは、今のお話人事委員会との連合審査はこれで一応打切つてというお話でありますけれども、それでは困るのです。なお先ほど来申上げましたが、例えばほうぼうで人事会計という言葉を使つておりますが、人事行政簡素化ということでほうぼうに出ておる点もございますし、これは内閣委員会のこれからの連合審査、或いは内閣委員会人事委員会との連合審査のみの機会を持つて頂けるかどうかわかりませんけれども、それらの審査に御協力をいたして参りますが、人事委員との連合審査はこれで打切るということでなしに一つお進めを頂くようにお願いいたします。
  113. 溝淵春次

    委員長代理(溝淵春次君) 明日の……。
  114. 木下源吾

    ○木下源吾君 河井さんと人事委員長と打合せをして、今後のことをきめるようにして、それで今日はただ散会することに一つ、あとお話合いで……。
  115. 溝淵春次

    委員長代理(溝淵春次君) それでは明日午前九時五十分から内閣委員会を開きまして、そのときよく打合せもしまして、そしてすぐ引続いて内閣農林連合会をやりますが、その人事委員会との関係はよく委員長と相談をいたしまして、両委員長との間に適当にお話を願うことにして、明日は九時五十分から内閣委員会をやつて、散会後内閣農林連合委員会を開くということにいたしますから……。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時十五分散会