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1951-11-22 第12回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十二日(木曜 日)    午後二時三十一分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十一月二十一日委員奥むめお君辞任に つき、その補欠として中山福藏君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            石原幹市郎君            古池 信三君            結城 安次君            三輪 貞治君            佐々木良作君            須藤 五郎君    委員            石坂 豊一君            岡田 信次君            小野 義夫君            高橋進太郎君            加賀  操君            中山 福藏君            山川 良一君            境野 清雄君            油井賢太郎君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左ェ門君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    技術長     平井寛一郎君    労働省労政局長 賀來才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       渡辺 一郎君   法制局側    参     事    (第三部長)  岡田 武彦君   説明員    建設省河川局次    長       伊藤 大三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電源開発に関する件)  (水利権に関する件)  (電源スト及び電産ストに関する  件)  (出水率に関する件)   ―――――――――――――
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会を開会いたします。  本日の案件は、前委員会に引続きまして、電源開発に関する調査を続行いたしますると同時に、請願、陳情の処理を併せて行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さよう取運びます。  電源開発に関しまして前回委員会において問題になりました点がありまするので、その点につきまして冒頭に前委員会申合せによりまして調査をいたしたいと存じます。それは、水利権に関しまして国と地方行政庁との関係並びに公益事業委員会との関係等、相当錯綜いたしておる点がありまして、前回委員会におきましては確定的な回答を得る運びに至らなかつたのであります。從いまして本日はそれぞれの部署におきまして御研究を願い、更に法制局の御出席も求めまして、重要な問題でありまするのではつきりといたしたいと存ずるわけであります。  それでは建設省公益事業委員会並びに法制局、順次説明補足願うことにいたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは建設省から。
  5. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 水利権の問題でございますが、水利権を得たいと思う者は先ず河川法の十八条並びに十七条によりまして、工作物の設置並びに流水の占用、敷地の占用という問題について知事に出願いたします。そこで知事はその内容を審査いたしまして、そして許可すべきものについては第十八条並びに十七条によつてこれを許可するのであります。許可に当りましては、主務大臣でありまするところの建設大臣監督を受けるのでありまして、この監督河川法の第四十九条によりまして認可を受けることになつておるのであります。認可を受ける範囲につきましては、この四十九条の委任に基く、昔の言葉で言いますなら委任勅令によります、今ではその政令でありまするが、それによりまして認可を受けることになつておるのであります。県知事から認可申請がございますと、その内容を審査いたしまして、府県知事許可条件なり、その許可内容につきましては十分審査いたしまして、正しきものでないものにつきましては認可に当りましてその変更を命じたり、或いは条件を付加したりいたしまして認可いたすのでございます。この場合におきまして許可を適当といたすものでなければ、それを認めないという認可も出るわけでございます。この場合におきまして、府県知事がこの認可条件に從わなかつた場合、又認可を無視した場合、或いは許可すべきものを正当の理由もなくして許可もせずおつた場合というような問題を、どう処理するかという問題につきましては、建設大臣といたしましては監督の責に当つておるのでありまして、これをどう促すかという問題、これをどう訂正するかという問題につきましては、河川法におきましては五十一条におきまして「地方行政廳職権施行セシメルコトヲ得」いわゆるこの職権というのは、正当な職権を施行せしめるという意味でもあります。先ほどの認可におきましてもいろいろの条件を命じて認可するのでありまするが、なおこの場合におきまして、正当の職権を行使するように府県知事に命ずることもできるのであります。なお地方自治法並びに国家行政組織法にも条文がございまして、国家行政組織法地方自治法条文を利用いたしておりまするので、地方自治法条文をここで御説明申上げますと、それは第百四十六条にその処置規定いたされているのでありまして、その第百四十六条におきましては「主務大臣は、国の機関としての都道府県知事権限に属する国の事務管理若しくは執行法令規定若しくは主務大臣処分に違反するものがあると認めるとき、又はその国の事務管理若しくは執行を怠るものがあると認めるときは、文書を以て、当該都道府県知事に対し、その旨を指摘し、期限を定めて、その行うべき事項命令することができる。」要するに河川法におきましても、こういう適正を期するような命令を出せるのでありまするが、地方自治法におきましても包括的にこの条文がありまするのでこれを利用いたしますことができるのであります。なおその場合におきましても、県知事がその命令に從わなかつた場合はどうであるかということにつきましては、第百四十六条の二項以下においてその処置規定いたされているわけでありまして、詳しく読上げるのを省略いたしまして申上げますると、そういう場合におきましては、その命令いたしてから今度は聞かなかつた場合には、裁判所裁判を請求し、そこで裁判所におきましてはそれを取上げましてその裁判をいたしまして確認の裁判をやるわけであります。その裁判が決定いたしますれば、当該府県知事に代つて主務大臣である建設大臣がその事項を行うことができる。又その次の項におきましては、内閣総理大臣においてもこれを罷免する場合があるという規定もございますのであります。  大体以上簡單に申上げたわけでございます。
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に公益事業委員会意見を求めます。
  7. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は水利権等監督並びに管理等についてのことに入る前に、実は河川に関する管理について、非常に疑問を持つている一人なのであります。というのは明治二十九年の当時においては地方行政庁というものは府県であつたことは間違いない。併し今日においてその当時の観念法律上の規定というものは大分違つて來ているので、府県というものは純粋なる自治庁なつている。それでただ国家行政を一面において管理しているということになつているけれども、そういう観点から考えますと、今日の民主主義憲法治下においては明治二十九年の法律というものはよろしく改めて行くべきであつて、この行政庁に属するものと地方自治庁に属するものというものは同一であることは私はいかんと思うのです。それを同一にするならば一つ法律を以てこれを規定して行かなければならん。であるが故に河川法であるとか道路法であるとかそういう主なる法律を、これに直接関係はないのでありますが建設大臣が見えておりますから、道路法河川法というこの基本法を早急に建設省において立て直される意思があるかないか、それを一つ、伺つておきたいと思います。なぜかというと今ここにあります明治二十九年のものをそのままにして、或いは又道路法を今日のようにして行くと、或いはその当時の海軍の軍令部とか或いは陸軍の師団とかそういうものに通ずる、府県に通ずる道というものは、国道とか県道とかいう規定があいまいになつている。どうしても建設省においてこの法規を改善するなり道路については改められなければならん時期に私は迫つているんじやないかと思います。先ず以てその大本から伺つておきたいと思います。改めて申しますが、地方行政庁というものがすぐに府県知事という観念は今日において非常に変つて來ているこう私は考えますが、その点について大臣意見をお述べ願いたいと思います。
  8. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 石坂委員の御意見御尤もでありまして、河川法道路法も非常に古くなつておりまして、最近の事態に必ずしも適合しない点も非常に多いと見受けられますので、できるだけ早い機会にこれを全面的に修正をいたしたいと考えて目下その成案を準備しつつあるような実情であります。若し間に合えば來るべき通常国会に提出いたして御審議願いたいと思います。
  9. 石坂豊一

    石坂豊一君 そこで只今大臣改正根本法を立てられるという意思を明らかにされたのでございますが、この河川法において、今ここに書いてある大本、これの基本法というものについては別に改められる意思はないのか、又これについても今日の現状に照して相当改正せられる意思があるのかそこを一つ伺いたいと思います。
  10. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 御質問趣旨を取り違えているかもしれませんが、河川法を根本的に改める意思があるかどうかということでございますか、御質問趣旨は。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 石坂委員に、只今の御質問を重ねて明らかにされたいと思います。
  12. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 河川法も今全面的に検討いたしております。從つて今後提出される河川法は相当変つたものになつて來るだろう、こういうふうに考えております。
  13. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今石坂委員質問された要点は、明治二十九年にできたこの河川法は、今日の時代にそぐわない点があると指摘されたのは、例えばその職権の中にありまする地方行政庁そのものの性格が明治時代とは相当変つている。從つて新らしい形になつ地方行政庁と国との関係を調整するように根本的に法案改正をする意思がないかどうか、こういう御質問なのであります。
  14. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 委員長の敷衍でよくわかりましたが、その点につきましては私は河川法道路法だけの問題ではなくして、国家行政を取扱う上におきまして府県知事地位を如何に認めるかという大きな問題があるのでありまして河川法道路法もその一部だろうと思います。その他の法律でもたくさんこういうケースがあると思いますが、そういう全体の府県知事に国の行政を取扱わせる上におきまして、府県知事をどう取扱うかという新らしい憲法の下における諸制度と睨合せまして処置したい、こう考えております。
  15. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 公益事業委員会水利権の問題について補足意見がございませんか。
  16. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) 実は石坂議員の御発言がありまして全く私は同感であります。実は若し委員会で御質問があれば同様なことをおいでになつておる建設大臣にもお願いしたい、又皆さんにもお願いしたいと思つてつたのであります。もうそれ以上何も言葉を加える必要はありませんけれども、とにかく電源開発ということは今日においては電気事業者仕事だとか或いは一部政府仕事だとかというものじやなくして、むしろ官民一緒に急いでやらなければならん大きな国民的問題となつておりますることは、別にこれを申上げても我田引水ではなかろうかと思つておるのであります。その点について極く簡單に例を申上げますと、この河川法知事認可を握つておるというために事実仕事が遅れることが非常に多いのであります。今ちよつとやりかかつたのでありますけれども宮崎県におきまして九州電力火力に偏して到底火力ばかりでやつておりましても九州産業は動きません。又火力に偏すれば地域差ということをいつまでも守る以上は業界も発達しないし、産業界も非常に迷惑になるのであります。只今上椎葉というものを建設省の御了解を得つつありまして、そうしてあれを急速にできる方法をとつてアーチダムをお願いしかかつておる。幸い御了解で御認可があろうかと思つております。併し九州球磨川開発をしなければなりませんが、球磨川はもう少し慎重に研究を要するのであります。そのために目下公益委員会として特に研究をしておりますが、研究が全部済んでいつでもやれるようなものが大淀川において綾川という川がある。上綾川下綾川両方やりますと五万キロの電力が直ちにとれる。これは上椎葉より早くできる。かくのごとく急いでおることでありますから、見返資金を本年つけることになつてその了解を得て建設が進んでおりましたが、どういうわけだか知事許可してくれない。遂に大蔵省、安本方面に交渉してもどうも許可のないものは見返資金はできない。けれども工事はやるだけやつたほうがいいというので工事はやることにはしておりますけれども、併し知事許可しないという妨害でもあればこれ又一年も二年も遅れるということになるのでありまして、何らあまり根拠のないことをただ許可権をにぎつておるだけで、かれこれ二年も三年も遅れさせるというようなことになりますとちよつと困るのでありまするが、聞くところによると宮崎県でやりたいというお考えです。県営のことについてかれこれ口を出すわけには行きませんけれども、随分予算関係そのほかで県営仕事は非常に遅れております。できるだけ何とかして国家的に早くやることにしなければならんことは皆さんの御承知の通りでありまするが、忽ちそういう例が幾多ありまするのでありまするから、知事方認可権を持つておる、或いは県でやりたいというようなために一年も二年も遅らかしてもらうということは非常に困ることでありまするから、何とか本年の議会中にでも皆さんでこういう問題は電源開発の一番その劈頭第一次に解決されなければならん問題である。そのほかまあ国立公園法であるとか、かれこれのいろいろなその古い法律、新らしい法律が錯綜して何ともその開発に間に合わんことになつておりまするから、この点は建設大臣にもお願いしまするがなお議会でもお取上げ願いまして、早急御解決を願いたいと思つております。これが私の意見であります。
  17. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に法制局の本問題に対する意見を求めます。岡田第三部長
  18. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 水の使用許可に関しまする問題につきまして、先ほど建設省から都府県知事建設大臣権限につきましては御説明がございましてそれで十分でございますので補足するところはございません。ただ公益事業委員会府県知事又は建設大臣との関係が出ておりませんのでこの点を御説明申上げます。  お手許に関係法令の抜萃をお配りしてございます中にやはり載つておりますが、公共事業令、これはポツダム政令でございますが、公共事業令の第五十九条によりますと、府県知事がこの先ほど御説明がありました河川法によりまするところの許可をいたそうといたしますときには、申請のあつたときには府県知事意見を付けまして公益事業委員会に報告しなくちやならない、そうして委員会意見を求めなきやならんということになつておるわけでございます。でこの場合法律的に申しますと、意見を聞くこと自体につきましては、法律義務付けられておるわけでございまするけれども、その委員会意見に從うべき旨の規定はないのでございますから、從いまして法律上は府県知事は拘束されないという解釈になると思います。  それから公益事業委員会としては知事から意見を求められた場合には、建設大臣協議をするものとする、という規定なつておるのであります。然らばこの場合疑問は建設大臣委員会意見が合わなかつたときどうなるかという問題があるのでございまするが、これもその規定がない関係上、仮に若し合わなかつた場合におきましては、委員会は独自の考え府県知事に申出ることができるのではないかという解釈になるのではないかと思うのでございます。ただ建設大臣府県知事に対する監督命令権を持つておりまするので、その関係は從いまして委員会意見を今度は府県知事が聞くか否かという問題が起つて來るわけでございまするが、これ又むしろ建設大臣との協議によつて決定することになるのではないかと思うのであります。更に公共事業令の今の五十九条の第三項によりますと、「発電水力開発を効率的に行うため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、河川法規定による処分に関し必要な勧告をすることができる。」ことになつておるのでございます。これも從來の例におきましては勧告というのは成るべくこれを尊重しなくちやならないのでございますけれども、これに從わなくちやならんという義務はないという解釈が一般の例になつております。  以上公益事業委員会知事若しくは建設大臣との関係を御説明申上げました。
  19. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これで一応補足説明を終つたわけでありますが、各議員の更に御質問に入ります前に、根本的な問題として建設大臣にもう一言お尋ねしておきたいと思うのであります。  只今石坂委員発言によりまして道路法河川法等は新らしい法律として改正すべきであるということに対して、建設大臣はその用意のあることを明らかにせられたのであります。と同時に又一方において地方行政庁或いは知事地位権限等につきましては道路法河川法の問題ではなくして、憲法にマツチするところの国内法全体の問題として考えなければならない。こういうことを言われたのでありますが、そこで只今建設省で立案されておりまする道路法なり河川法なりの改正法案というものは、どういう立場においてこの地方行政庁を見つつ立案されておりまするか。全般的な問題としてそれを解決する努力をしながら、道路法なり河川法改正に着手されておるのか、或いは從來のままの形におきまして、地方行政庁というものを規制しつつ、その他の点において道路法河川法改正を用意せられつつあるのか、その点を明らかにせられたいのであります。
  20. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今建設省の部内におきまして用意いたしております河川法改正法案は、私はまだ十分その審議に参画しておりません。でありますから現在は係のほうでいろいろと法律その他の研究をしておる段階でありまして、建設省考えておる案はこうだということを今日申上げる段階に至つておらないということを申上げたいのでございます。
  21. 結城安次

    結城安次君 只今水利権の問題で建設省公益事業委員会法制局の御説明がございましたが、この水利権権限を持つておるのは、地方知事建設省公益事業委員会、そこで知事が第一に願書を受けてそれを建設省に出し、公益事業し委員会に出すと、建設大臣はいろいろ指揮監督命令又は地方自治行政の何かで訂正を命じたりいろいろすることができるという大体筋はわかつたのですが、この法制局の御説明によると、公益事業委員会建設省との意見が一致しなかつた場合には、公益事業委員会の説が通るようにちよつと聞くのですが、私の聞き違いかも知れませんが、どうですか。
  22. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 建設省委員会との意見が食違いました場合には、委員会知事に対しまして独自の意見は言えると思いますけれども知事はその委員会意見に從うべき義務はないというふうに私は申上げたのであります。
  23. 結城安次

    結城安次君 そうすると、知事が出し公益事業委員会がこれに対して修正訂正をやる、併し知事はこれに從わない、それで建設省知事を押えると言つたら語弊があるが、相当の権限を以て訂正を命ずることができる。そういうことになると公益事業委員会というものは宙に浮くのではないか。公益事業委員会の主張というものは結局通すということにならないと思うが、そういう結論になると思うがどうですか。
  24. 岡田武彦

    法制局参事岡田武彦君) 純法律論から申しまするとお説の通りでありますが、結局実際論といたしましては意見を尊重してやることになるのではないかと思います。これは法律論ではありませんが、実際論としては委員会意見を尊重しなければならないと思います。
  25. 中山福藏

    中山福藏君 私松永さんにちよつとお伺いしておきたいのですが、それはあなたが只今この地方自治関係法律とか、公益事業委員会とか或いは建設大臣権限相関性、そういうことをお聞きになつてそうして御意見をお述べになつたのですが、あなたのお説の通り極めて多岐多端に亘つて煩瑣なものであると、從つて極めて緊急を要する電源開発に関してはこの公益事業委員会存在というものがその一役を演じておるように我々素人は感ずるのですが、若しこの緊急電源開発の問題を早急に解決することができない、そのできない原因の一つ公益事業委員会にあるというようなことでありますれば、これをどういうふうに持つて行くかということが大きな問題だと思うのです。勿論公益事業委員会だけでなくて、或いは地方長官権限関係も一応は我々考えなければなりませんが、これに対して何かあなた自身意見がありませんか、それを一つお伺いしておきたいと思います。
  26. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) 只今の御質問の趣意を或いは取違えて御返事するかもわかりませんがその際は御注意を願います。電源開発を急ぎますことは非後な重大な国民的要請なつておりまするが、それに対して法令上種種雑多な手数が要りますため、或いは古い法律があり或いは新しく矛盾撞着をするような法律等がありますために、この許可手数のほうについては相当電源開発を遅らすことがあろうかと思います。  次に私どもの最も責任としているところは国民に向つて十分な電力を供給すること、それから地域亘つてどの地域にもできるだけ普遍的に電力の供給をしなければならんこと、殊に火力が行詰つておりまするからできるだけ水力によらなければならない。この要点を抑えますると、公益委員会事業者に命じ、或いはその電力開発を急がせる多大の業務を国家に対して持つておりますことは、法律の上から申しましても委員会水力開発上必要な調査を行う、その結果開発に関する意見を毎年一回内閣総理大臣及び国会に報告しなければならないというのは、これは義務付けられた大きな問題でありますと共に、この開発の順序を立て、各業者を奨励して国民の要求にこたえんならん義務がありまするので、只今法制局のお方のお話のように知事意見を異にしたためにこの開発を急ぐことができない、抑えられるというようなことは私は性質上ないものと思うておりますが、ただいろいろな法令が乱れておりますると、事実上いろいろ話をしている間に遅れて参ります。この点非常に遺憾に思うので只今皆さんにお願いしているのであります。詳しいことは事務総長松田君も参つておりますから又意見を申述べさせます。
  27. 中山福藏

    中山福藏君 私は、あなたのお答えは、それはこの事務の取扱に関する御意見だと考えるのですが、私がお尋ねするのは、公益事業委員会の存否の、いわゆる存在の価値が今日相当私どもによつて考えなければならないような立場にあるのじやないかと思う。あなたが地方長官に対するところのこの権限の問題でお考えなつていると同様な心持で、私ども公益事業委員会というものが或る一面においては非常に利益を立場上提供するかも知れません。けれども又一面においては公益事業委員会そのものがいわゆる電力開発というものを遅らしているのじやないかというような見方を私自身はしているのであります。從つてこれは一つ諮問機関というような立場に置かれるほうが将來電源開発の問題を解決するのにいいのじやないか、そういう点についての簡單に御高見を洩らして頂きたいというお願いなんです。
  28. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) 果して御質問を取違えておりました。私は公益委員会存在電源開発に最も有力な推進機関であることを信じて少しも疑つておりません。
  29. 中山福藏

    中山福藏君 これは以上は御意見でありますからさように承わつておきます。併し私は遺憾ながら反対の考えを持つているということだけを明らかに申上げておきます。それから建設大臣ちよつと先ほどの御答弁に関連してお聞きしたいのであります。野田建設大臣は朝夕この電源開発の問題について御苦労なすつておいでになることはよくわかるのでありますが、併しながら相当今年の夏時分からこの問題というものはすでにあらゆる方面において問題になつている。只今承わりますればその何と申しまするか骨組さえも法的にでき上つていないようなお答えでありましたが、もうすでに相当な時日が経過しているのでありますから、大体こういう点をこういうふうにしたいと思つているとか、或いはこういう方針でこの法制の観点から法律というものを制定して行かなければならんというようなことを一応お考えなつているのじやないかというような気がするのですが、相当時日は経過しておりますが、何もお考えなつていないんですか、そういう点は。
  30. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 問題が少し複雑だと思いますので御質問のない点まで私触れたいと思うのでありますが、私は就任以來電源開発は国土の総合開発として是非急がなければならんという考えで進んで來ております。只今お話のは、大体私は県知事にこの水利権許可権を与えていることが電源開発の急施を阻害しているというような前提で議論されておりますが、私はその具体的な例を一々やはり検討しなければ総括な議論はできんと思います。若しそういう具体的な例がありましたなれば私は建設省に言つておいて頂きたい。何となればその各府県知事水利権許可権なるものは結局建設大臣に帰するのであります。從いまして若しそれがいけんということがありますなればその事情を具して十分建設大臣に御相談を賜わりたいと思います。私はまだ受けておりません。でありますから問題があればまず私の所に持つて來て頂きたい。それでどういうわけでこうなつているかということを検討いたしたいと思います。只今松永さんの言われた件は最近私は聞きません。最近知事のほうから聞きまして今日ちよつとここで私語されておりましてそこで松永さんから聞きました。それ以外は聞いておりません。でありますから私はどうしても事務執行するについて水利権の根本は建設大臣だということははつきりしているのでありますから、その意見を十分お尋ねして十分協議して進めて行きたい。何かやはり理由があると思いますが、何かやはりそこを協調してお互いで努力して尽して行きたい。そういうような考えで今のところはそういう実情であります。
  31. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 水利権の問題について先ほど松永委員長代理が実例を挙げられまして、かような状態であるから知事にこの許可権があることは誠に電源開発上困つたものだというようなふうの御意見があつたように拝聴いたしました。併しながら私はどういうふうにいたしましても建設省が全般的に河川管理をいたしておりますし、又地方においてはその地方庁というものが河川管理をば総合的な立場においてやつているのでありますから、この地方知事建設大臣の御意見というものを抜きにして公益事業委員会等が決定することは、これは如何なる事態が來てもできないことだと思うのであります。やはり事前に早くそういう官庁と了解をつけられることが必要であつて、これは先の例の場合はそういう了解が事前についていなかつたのではないかという感じを持つわけであります。公益事業委員会は名前は公益事業でありますけれども主として電気事業の立場からこういうことをお考えになりましようけれども府県というものは非常にその河川の性質のために災害も相当受けましようし又その水を何とかして利水しなければならないという総合的な立場に立つておりますから、多少公益事業委員会立場とは又別な考え方が出て來ると思います。それで私は今の具体的な例については事前に了解工作が足りなかつたのではないかと思いますが、事前にそういう了解工作をされておりますかお伺いいたします。
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今の問題は宮崎県の具体的な例について問題になつておりますから、そのおつもりでお答え願います。
  33. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) 今三輪さんのお話については、この問題については公益委員会としては先ほどから申しておる通り考えでおるのであります。それから地方のこういうことをやりますものは、宮崎県の例によると九州電力会社そのものがお願いをし、そのものが工事を施行し或いは許可を得るということになつております。ただ公益委員会としては大体全国の電力のバランスを見、その需要を見て、そうしてできるだけ電力開発を促進し、或いは有効ならしめることについては常に勧告して常に調整する立場におります。今大臣の御説明のありましたように私どものほうとして業者の話したことをお取次しただけのことでありまして、私自身建設大臣のところに行つてお願いすべき筋合でも何でもありませんのでありますから、九州電力において十分の手数をしておるものと考えております。その点だけ御返事しておきます。
  34. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 まあ松永さんはそうおつしやいますが、本当はそういう事前工作がついておれば、突如としてそういうふうに地方知事が態度を豹変するものではありません。私は恐らくそういう了解工作はできておらなかつたものだと思います。それからさつき知事がそういうふうに横車を押したために折角付けられるべき見返資金が付けられないようになつたというお話でありましたが、これは誰がやつても本当は電気をどんどん作ればいいのであつて、まあ関係当局に対して同じく電気事業者である県の公営の場合においても、普通のいわゆる電力会社がなすと同じように、やはり見返資金を付けてやれば幾ら地方自治体がやつてもできるのですが、金がありさえすれば。これを同様に取扱うことを相当関係当局に対して御工作されたかどうか。この前松田事務総長から聞きますと、同じく電気事業者ではあるけれども電力会社でなくては困るということであつたという御説明があつたのです。それを地方の団体がやることになれば同じなんです、誰がやつても。そういう御折衝をされたかどうか。電力会社と同じように地方団体がやる場合でも見返資金を付けさせてくれといつたような工作、折衝、それをされたかどうか。
  35. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) 電気事業者からはこういう設計でこの通りにすると、何年以内にできて九州電力事情に最もいい、当然見返資金を付けて工事をやらしてくれ、然らばお前のところは許可権をちやんと持つているのかと言うと、許可権の点においてはまだ十分の折衝ができません、どういうわけでできないかと言つたところが、県は自分で何だか考えておるようである。併し私どものほうが大いにやるということになつたときに、急速宮崎県が自分のほうでやるというようなことを言い出されて、そういうために行き違いが起つておりますという話でありますから、それでは知事許可を受けることを急げ、そうして見返資金はどうも許可がないのに付けにくい併し工事をやることは急ぐべきである。こういうことを以て九州電力会社にはさように申しておる次第であります。
  36. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、私はこの前松田事務総長から聞いた、電気事業者であつて電力会社と公共団体は違うのです。公共団体のほうは見返資金が付けられないというお話だつたのと、今のとは違うのですね。
  37. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 今委員長代理がお答えになつたのは、むしろその点に私は触れていなかつたと思うのでありますが、この点の沿革を申しますと、多少見返資金を付しますにおきまして、電気事業者のほうからの申請も、それから県のほうからの申請も皆一緒にして司令部のほうに当初交渉したのであります。その際に県営関係については見返資金を受けるわけにはいかぬというので、結局電気事業者関係だけを司令部のほうで認められたといういきさつであります。從つてそういう関係でありますが、県営のほうの関係につきましては預金部資金のほうから資金が出ているという実情であります。
  38. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 だから私が聞いたのはそういう御意見であつたが、同じく電源開発だから同様に取扱つてほしいということを折衝されたかということを委員長代理に聞いたのです。
  39. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) 私の判断は設計がよく進んでそうして実際それをやり得られるものに早く命じて、そうして開発をやるのが目下電力の足りないところに促進すべき行為と思いまして、見返資金のごときはよろしくそこに付けて早くやらせるべきものである。もう立派に計算もでき工事設計もできている。併し一面技術部を通じて県の設計、県のやり方ということをその後調べるように申しておりまするがまだ報告は得ておりませんけれども、その当時私どもの承わつたときは県の設計というものは非常に不十分であつて、まだその用意がないということを承わつて大いに遺憾と思つている点であります。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はその実例について今お聞きしているのではないのです。一般的な問題を聞いているのです。又その問題だけでなしにほかにも新らしくそういう場合も発生するだろうと思う。そういう場合に見返資金地方治団体は駄目なんだということで地方自治団体のほうは見返資金は削られたというお話だつたから、それは電源開発というものが目的であつて、急速に開発しなければならないというならば、建設の主体がどこであつてもいいじやないかと、だからそういう御折衝をされたかということを聞いているのです。その一つの実例だけではありません。
  41. 松永安左ェ門

    政府委員松永安左ェ門君) ちようど御意見が一緒で、私は、九州電力のほうが調査も進み、事も進んでおります、又見返資金も付くような状態でありましたからこれを許したのでありまするが、この例は他の東北で起りましようとも、北陸で起りましようともやはり早くできる、確実に行えるというところに命ずるのを以て公益委員会の本務と考えております。
  42. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今の三輪委員質問に関連してでありますが、結局三輪委員質問は、見返資金も公共団体である府県に出せるかどうかという問題だろうと思います。ところが実際の公共団体の起債は、御承知の通り公共団体の起債というものは預金部から出ているので、建前上それが若し出し得るならばいわゆる預金部の資金を出すべきだと、こういうようになつているのですが、從つてその際そういういわゆる見返資金ではなくて一般預金即ち地方債の起債の枠がきまつていて、この中から預金部の資金を出すことになるのですが、そういうことについての御折衝があつたのでしようか。その点を解明して頂けば要するに三輪委員の御質問に答えられると思うのですが、その点を。
  43. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 私から代りまして御回答いたします。私率直に申しまして見返資金であろうが預金部資金であろうが、本当に電源開発を営んで行く企業体が立派な計画を立てて、そうして電源開発をやつて行くという場合に、本來そういう区別をする必要は私はないと思うのであります。併しながら今日の実情を私は先ほど申上げたのでありまして、それから又先ほど來委員長代理の申上げたことも、現に今の宮崎県の綾川の例でございますかを例にとつてみましても、委員長代理のお考えとしてお述べになつたことは、恐らく電気事業会社として立てている計画と、それから又宮崎県のほうとして立てておられる計画とを比較検討して見て、電気事業者のほうで立てている計画のほうが電源開発という観点から見ていいのじやないか。又これは九州としては大きな規模のものでありまして八万乃至十万キロ程度の電源開発ができるのであります。從つてそういうような電源の一つの例でございますし、そういう意味でいろいろな計画なり又今後の資金の見通しなり、或いは技術陣容なり、そういうような観点から見て、これはやはりこの地帯については電気事業者のほうにやらしたほうが適当な点じやないか。こういう意味で見返資金が折角付け得られるなら電気事業者のほうに見返資金をつけたほうがいいのじやないか、こういうお考えを述べられたかと思います。
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの際松永さんにちよつと伺いたいのですが、最近電力不足で国民が非常に困つていることは御承知の通りであります。而も最近におきまして電産ストが大規模に行われるのではないかといつたようなことが新聞紙上等で見受けられるのでありますが、こういうことが実際に起きますれば日本の生産業界、或いは国民生活の根底におきましても相当の不安が出ると思うのです。それに対しまして公益事業委員会としては何らかの対策を、お考えなつておられるかどうかということ、これをこの際御発表願いたいのです。なおこれに関連いたしましては委員長にお願いしたいのですが、労働大臣或いは通産大臣等の対応策があるならば適当な機会において発表方をお願いしたいと思います。
  45. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと油井君にお答えいたしますが、この問題は前会の委員会に石原君から御質問がございまして、本日は労働省からは賀來労政局長の出席を求めておりまして、後ほど詳しく労働省、公益事業委員会等からも御答弁があろうかと思つておるわけであります。只今水利権の問題の途中でありまするので、一応その問題を打切りましてから今御質問の点に入りたいと思いますがさよう御了解願えますか。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の問題は成るほど水利権の問題も重大な問題ですけれども、緊急差迫つた点でありまして、又この委員会が何時まで続くかわかりませんけれども、若しできることなら先きに委員会松永さんの意見なり或いは労働省当局の意見なりを伺つたほうがいいんじやないかと思いますがお諮り願いたいと思います。
  47. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 水利権の問題は今日恐らく一日やりましてもこれは結論の出ない問題だと私は思います。從つて適当なところで今日は皆様にお諮りして打切りたいと考えておるのでありまして、さようなお含みの下でこの問題の一応お始末を願いたいとこう私考えるわけでございます。如何でございますか。
  48. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 今水利権の問題でいろいろありました。又県知事許可とか何とかこういうことに関連いたしまして一つだけ、皆さん恐らく御承知だと思いますが念のために申上げて置きたいのでありますが、私たちの考え地方公共団体が電力事業を営むということに対しまして今お話が出ていたのでありますが、具体的な問題といたしましては、地方団体が電力事業を営むのは電力事業のみのために電力事業を営むというのは比較的少い。私の聞いているところでは殆んどないと思います。必ずそれに伴いまして総合開発電力を起すと同時に灌漑をやる、或いは飲料水をとる、工業用水をとる、それから洪水調節をやるという多くの重大なる目的を持つている場合が主として地方団体がこれをやりたい、こういう希望を表明するのです。私は今の宮崎県の問題は詳しく知りません。まだよく調査しておりませんのでわかりませんが、地方団体の他の例を見ますと、地方団体、県知事としましては県下の食糧問題、或いは電源の問題、いろいろな問題を全体より見ておりまして、その川を一番有効に使いたいという希望を持つておる場合が相当多いのであります。私たちはそういう場合に限つて地方団体がそういう堀やダムを作つたり何かしたほうがいいのじやないか、ただどちらでもいいというので地方団体がやるということは、これはどうか。この点を結論は出ておりませんが、我々はむしろ地方団体がやつたほうがいいと思うのは、電源開発のほかにそういう重大なる多くの目的を持つたダムを建設する場合には地方団体にやらしたほうがいいのじやないかと、こういう感じを持つておるわけなんであります。  もう一点申上げますが、地方団体がやる場合にその資金をどこから出すか、この問題でありますが、地方団体のやる場合それに要る資金をいわゆる地方債という枠の中に押込めまして地方債の枠をがちやつと小さく縮めてしかやれないというやり方は今後改めなければいけないのじやないか。なぜならばこれは單なる地方財政というよりも、ただこれは公企業の事業債に属するものであります。でありますからそういう地方団体にやらせるのがいいときまつたもののこの必要な資金というものは、これは私企業と同じに見てもいいのじやないか、今後はこの点を研究して行きたい、こういうふうに思つておるのであります。
  49. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 水利権の問題はこの程度で打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは石原君並びに只今油井君が御質問になりました電産の争議の問題につきまして調査をいたしたいと存じます。
  51. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほど油井委員からお話があつたのでありますが、私は最近だんだんと事務ストが各地の電力会社で行われている。事務ストの程度ならよいのでありますが、所によつて電源ストも行われているわけですが、或いは無効放流も行われているのではないかというようなことも感じられますので、只今各地のそういう状況について概況を労政局長からこの機会に承わつておきたい。  それから又如何なる場合に公共事業令の八十五条でありますか、どういうストに対して処罰規定が適用されるものかどうか、そういう問題につきまして説明を求めておきたいと思います。
  52. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 電産のストライキの今日までの状況を申上げたいと思いますが、御承知のように電産が、現在電産の組合と東京電力の組合と二つに分れております。二つとも別別の系統でストライキをやつておるわけであります。先ず電産から申しますと、この十七日に電源ストをやる、午前八時から午後二時までのうちにやるということになつておりましたが、結果はまだ会社側の報告ははつきり出ておりませんが、我々が得た情報では約百カ所の電源ストをやつておるのでありますが、うち五十カ所は会社側が直ちに操作をやりましたので、一般には大した影響は与えていないようであります。次いで十一月二十日に同じく八時から午後二時までやつております。個所数は七十九カ所ということになつておりますが、やはり大部分会社側の操作によりまして余り大きな影響は与えておりません。二十四日以降第三波といたしましての電源ストをやるということになつておりまするが、どの個所をどういうふうにやるかという報告はまだ我々得ることが困難でありまして、最近この電産の組合はあらかじめ計画の概要を発表するという態度をとつておりませんのでこの情報の収集は至難であります。東京電力のほうの組合は十五、十六日大口工場に対し短時間の送電停止をやつておりますが、これは実際上の影響を与えていないのであります。二十一日、二十二日に交通機関のほうに対する送電をとめるという計画をやりましたが、これはその筋の勧告によりまして組合は自発的に中止をいたしております。同じくこの二十七日以降において野放し送電、或いは停電ストをやるという計画をいたしておりまするがこれも情報はつかめない状況であります。目下この争議につきましては御承知のように中労委の調停にかかつたものでありまして、中労委におきましては現行一万六百円ベースを一万二千四百円にする、現行の一八、二%増、七月から九月の間の一時金として千八百円を出す、退職金の算定ベースは新基本給の九〇%とする、こういう調停案を出しております。これは組合側の要求は現行から四二%増で一万五千九十円にしてもらいたい、期末賞与は基準賃金の一カ月分をもらいたいというふうな要求であつたのであります。組合側はこの調停案を不満とし、会社側は財源その他の見通しがつかないのではつきりした返事ができないという態度で参つておりまして、この争議行為が行われるようになつたのであります。目下中労委におきまして藤林、中山委員の手によりまして再斡旋をしようかという段階なつておりまするが、実は経営者側におきまして二十四日に社長会議が開かれそこで対策を練らなければ如何をもしがたいというような状況でありますために、労使双方の間におきまして具体的な交渉が行われていない状態であります。從いましてこの二十四日以降のストライキがどういうふうに行われるかということにつきましては、直ちにこれがその前日あたりに片付くというような見通しは現在我々のほうとしては持つていないのでありますが、併し中労委といたしましてはできるだけこれを一般社会に大きな影響を与えることなく片付けたいという状況にありますので、その努力に期待し、同時に労使双方共にさような状態が起らないうちに妥結をするように早く具体的な折衝に入つてもらいたいということを希望しておる次第であります。  只今質問の第二点でありまするが、公共事業令との関係でございます。争議行為と公共事業令との関係について我々が考えておりますことを申上げたいと思うのであります。先ず御承知のように第一は公共事業令の第八十五条は、公益事業の從業員が電気の供給を正当な事由なくして取扱わず、又は不当な取扱をすることを禁止いたしておるのでありまして、これに違反いたした者については罰則をかけることになつておるのであります。ところで一方労働組合法第一条第二項によりますと、これは御承知のように刑事上の免責規定でありまするが、ここで労働組合が正当な行為として行なつた、即ち正当な争議行為につきましては、これは当然公共事業令第八十五条の「正当な事由というものになる、或いは不当な取扱ではないということになるわけであります。即ちこの公共事業令の八十五条の正当な事由とは労働組合法第一条第二項の「労働組合の正当な行為」を当然含むことになるものと考えておるのであります。併し第三番目には不当な争議行為として公益事業の從業員が電気の供給を停止いたしますれば、八十五条のこの「正当な事由」とならずして「不当な取扱」ということになるわけでありまして、不当な争議行為をやりますればこれは八十五条の違反となる、かように解釈いたすのであります。從いまして電気事業関係の争議行為は正当か或いは不当かということにつきましては、一般の争議行為と同じように第一に暴力行使でこういう行為をやりましたらこれはいかん。それから生産管理に該当する行為は不当である。そから労調法三十七条の冷却期間を経ない場合及び労働協約違反の場合等社会通念に從つて考えておるのでありまするが、特にこの電気事業の特質ということから考えまして、公共事業令第八十三条に違反して工作物を損壊し、或いは物品の接触等によりまする電気の供給、使用を妨害する行為等は明らかに不当な行為であると考えておるのであります。労調法に規定いたしまする手続を遵守いたしまして三十日の冷却期間を経た後におきましてなお労働争議が解決しない場合におきまして、今度電産がやつておりまするのは三十日の冷却期間を経ておりまするが、その場合におきましてたとえそれが電気事業におきまして行われるために停電を結果するという場合でありましても、これが労働組合の正当なる行為といたしまして行われましたる場合におきましては、これは正当な争議行為といたしまして八十五条の適用はないと、かように考えざるな得ないのであります。併しながらこの労務提供拒否に当然随伴するような行為の範囲を超えまして、例えて言いますならば、特定事業場の狙い打ち送電停止、或いはスイツチを切りましてそうしてやはりスイツチ、ダウンしておる。言い換えますと生産管理の様式をとつておるというような場合、或いは機器、器物、施設等の破壊を伴うことが明らかな行為でありますような場合、こういうことになりまするとこれは不当なる争議行為ということになるのでありまして、八十五条の罰則の適用が來るもの、かように考えておるものであります。
  53. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大体わかるのでありまするが、例えば堰堤をあけまして水を放流するとかいうことは第八十五条との関係からどういうことになるのでありましよう。
  54. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 犯罪になるかならんかの、いわゆる違反行為になるかならんかのところでありますので、具体的な場合について具体的なお答えをすることは適当でないかと思いまするが、一般的に申しますと、電気從業者が労務提供拒否をやつてそうして職場から離れて行くという行為でありまして、それが生産管理的なものでない、或いは暴行沙汰でもない、こういうような行為でありますならば、これは我々は正当な止むを得ざる行為であるとかように考えておるのであります。御指摘のような場合につきましては、今まで私どものほうに受けておりますところでは、電産の組合も非常に良識ある行動を最近いたしておるようでありまして、あえて水門を開きまして水を流して妨害をするというふうな要らざる行為に出たような事件は聞いておりません。大体そこの看守をするという労務の提供を拒否いたしまして出て行く。從いまして会社側は直ちに非組合員を入れましてその看守を続けて行くというふうな傾向にあるようであります。新聞に見えまするほどの大きな無駄な放水をやつたというふうな報告は受けていないようなわけであります。
  55. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか。  この問題で一点労政局長に伺いますが、問題は争議行為を停止し、労使の紛争を解決するためには問題になつておる賃金問題の解決が促進されなければならんと思いますが、只今のお話では中労委が再斡旋の機会があり、そして会社側の態度がきまれば二十四日頃から話がすべり出すというふうなお見通しのようでありますが、労働省としてはこの問題の解決に積極的な行為をとられるようなそういうお気持は全然ないわけでございますか。
  56. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働省といたしましては、最近労使間の紛争状態及びその問題の解決の状況というものは数年前と比較いたしまして非常に正常な形になりつつあるわけであります。それが純然たる経済争議であり、同時に公益に対しまして大きな被害を与えるものでないというふうな場合におきましては、できるだけ労使間の自主的な交渉によつて解決がつく慣行を確立いたしたい。從つてこれらの問題の解決に積極的に介入することは避けるということを基本方針にいたしておるのであります。從いまして目下の現状におきましてはこの争議に直接、或いは積極的に介入する意図を持つておりません。ただ中労委の解決を促進するために我々の労働省が得ました情報を提供し、或いは労使に対しましてできるだけ速かに中労委の斡旋、乃至は自主的交渉によつて大きな損害の起らないようにやつてもらいたいということを非公式にいろいろ連絡をするということはいたしておるというのが現状でございます。
  57. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと一点伺つておきたいのですが、これは公益事業委員会のほうでお答え願いたいと思うのですが、今度の争議を契機として経済行為によるところの争議といたしましても、これがきつかけになつ電力料金の値上げというようなことが真剣に論議されるということになると思うのです。そういうことは今から委員会といたしましては何らかのお考えがあるかどうか。それを一応伺つておきたいと思います。
  58. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 只今のことに関連いたしまして委員会として電気料金の問題云々について何らの研究とか検討ということはいたしておりません。
  59. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 若し例えば先ほど労働省のほうの意見としていわゆる從業員のほうでは或る程度の賃金ベース・アツプを要求し、会社側としては財源がないというようなことになつております。そうすると財源を見つけるためには結局今の料金の値上げということにかかつて來ると思うのですが、そういう際においてはたしかこの前の委員会で石原委員からも質問があつたと思いますが、松永さんから御返答のいわゆる料金の改訂についての具体的な措置がとられるということは必然だと思うのです。そういうふうに我々は解釈せざるを得ないのですが、さよう考えてよろしいのですか。
  60. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) この前松永委員長代理からお答えいたしました点は、最近の石炭の事情でありますとか、或いは電力のいろいろ制限をいたしておりますような点からいたしまして、会社の相当経理面も苦しくなつて來ておる。併しながら会社といたしましても今後あらゆる意味で企業合理化なり、又経理面の改善等についていろいろな努力は勿論して行かなければならん。併しながらそういうような点もいろいろ考えた場合、将來電気料金の改訂問題ということがそれは起り得るかも知れん。併しながら今直ちにどうこうということは考えていないというお話を申上げたと私は記憶しておるのであります。今の御指摘のこの問題につきましても、勿論会社としてもこの問題については現在の経理状況の中でどういうような改善、改良を或る程度考え得るかということも私はいろいろこれは会社としても考えておると思うのであります。それを直ちに料金改訂に持つて行かなければどうにもならんというような、そういう意味でこの問題の解決に対処しておるとは私は考えておりません。從つてこの問題がどういう工合にどういう線で円満に解決するかは数日を経過してみなければわからんと思いますが、将來におきまして会社の経理全体というものがあらゆる観点から見て今後も適正に続けて行けるかどうかということは、これは十分検討しなければならん問題だと思いますが、その上で今お話のような点を考慮するのはその時の問題であると思いまして、今ここですぐにこういう問題があるから料金問題について直ちに影響が來るとか、來ないとかいうことを申上げる時期ではないと私は思います。   ―――――――――――――
  61. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それではこの問題を打切りまして、次に前委員会において小川君から御質問になりました最近の全国各河川出水率の報告を伺いたいと存じます。
  62. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 最近の出水率の状況につきましてはお手許に一枚ずつのすり物を差上げてございますのでこれについて御説明申上げたいと存じます。御参考までに十月の上旬、中旬、下旬の旬別の出水率も上のほうに載せてございます。なおここに挙げました出水率の数字は、毎日下の註にございまするように当日の午前六時における出水率を示しておるのでございまして、從いまして一カ月の総出水率を平均をしたいわゆる統計上の最終的な数字よりは若干食い違つておるのでございます。この点につきましてはいずれ正確なる数字がまとまつた上においてその数字のほうへ移行するものとして御了承をあらかじめ願つておきたいと思うのでありまするが、十月の上旬は全国平均七一%、中旬八三%、下旬八五%でありまして、月通算が七九%になつております。これらも地方によりましてその表で御覧になりまするようにいろいろと出入りはあつたのでございます。十一月に入りましては毎日の数字がここに載せてございまするが、上旬中は特にこの三日、四日に非常に幸運の雨に恵まれましたので、三日以降におきましてはおおむね順調な経過を辿つておるのでありまして、一日、二日は七六%、八一%というふうな数字でありましたのが、一〇〇%以上の出水率を示しております。上旬の平均は一〇七%、中旬はやはりときどき雨が降りましたので減りかけては戻るというふうで、中旬の平均も若干上廻つて一一一%となつております。それから二十一日現在の数字は一〇一%であります。地域別の仕わけの説明は省略いたします。
  63. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとお尋ねしたいのですが、一カ年の雨量が貯留される量とそれから出水量との差額はどのくらいか、今すぐにお答え願つても無理かと思いますが、大体どれくらいの見当をお付けになつておりますか。
  64. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 御質問の意味が或いは聞き違えるかと思うのでありますが、数字は必要でございましたら別途にお目にかけてよろしいと思いますが、現在の日本の河川水力の利用の仕方はおおむね水路式の発電が多いのであります。貯水池式のいわゆる季節的に降雨量を貯留して渇水期にこれを利用するというふうな計画は、まだ全体から見ますと極めて少量なんでございまして、從いまして、一カ年の降雨量のうちで貯水池によつて季節的に調整されておりまする量というものは極めて微々たるものでございます。
  65. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとその点お聞きしたいのですが、これは築堤その他の工事によりまして、一カ年に我が国に恵まれたる雨をどれだけ貯え得るかということで、水力をどれだけの量を開発することができるかという問題に関連して來ると思います。我々の考え方ではこの雨を利用していわゆる電源開発の母体にするということを先ず第一に考えなければなりませんから、これはお伺いしておるわけなんですが、私は十五年前から研究しております琵琶湖の水なんかでも、大体あそこの水は一カ年に五十億万立方メートルだつたと考えておるが、雨の量が、そういう量すらも半分ぐらいは大概淀川に流れ込んで結局大阪湾に注いでおるということになつております。これと類似の関係に日本の河川というものは多く立たされておるのではないか、湖沼もそうじやないかと思うのでありますけれども電源開発の根本問題は雨量を如何にして貯留するかということに帰一すると考えております。この問題を解決しなければ、いわゆる一カ年に出水量が幾らで、堰堤工事の料金が幾らということを研究したところが、これはもう同じことを繰返すようなことになるのでありますから、一カ年の降雨量をどれだけ貯留する設備を日本の内地においてするか、この問題を解決しなければ到底だめだと思います。こういう問題について根本的な数字を表わして頂きまして、我々の参考に供して頂きたい、かように考えておるわけであります。
  66. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) そこで不用意の数字で申上げるのも恐縮でございますので、適当の折に著名の堰堤の数字的な資料としてお目にかけるようにいたしたいと思います。ただ一言附言しておきますることは、只今の御発言通りに我々といたしましても、又電気事業者のほうとしましても、今後の電源の開発はどうしても御趣旨のような線に大きな方向転換をして行かなければならない、これはもう一般の大きな空気になつております。從いまして川の水を或る時には利用する。なくなれば減つた程度を使うというふうな、いわゆる「とい」にかけてとるというような行き方ではなく、どうしても季節的にこれを貯留して発電の目的にもこれを高度に利用すると同時に、これらが利水、治水の面においても、総合政策に利用するような方向を厳守せざるを得ないのであります。狹い国土の水、恵まれたる唯一の水というものはどうしても高度の利用に前進する、最近の五カ年間に計画しております発電計画においては、そういう意味における大きな貯水池計画というものが相当大幅に入つております。從つて五カ年後における姿は今日よりも相当に前進するんじやないかと思うのでありまして、現状ではまだ正確な数字はちよつと違うかと思いまするが、例えば今年度には発電される水力のキロワツト・アワーのうちで貯水池で季節的に調節されるものは約五%見当じやないかと思つておりますが、これがもつともつと高度に利用されるものであり、又当然そういう方向に今前進しつつあるということは申上げ得ると思います。数字は又改めて申上げます。
  67. 中山福藏

    中山福藏君 実は私はこの十五年前に議会に琶琵湖開発の問題を五年続いて出したのであります。その時に赤松という内務省の土木局長がおりまして、どうかそういうことはやめてくれ、竹やり騒動が始まつて、滋賀県の漁民というものが内務省に押しかけるからという大騒動がありまして、とうとう私は五年継続してやつてそれを思いとどまつたのであります。ところがその時は僅かばかりの金でできるものだつたのです。それが、今日になつてやつとこさつとこ政府がさめてこれに着手しようというような、誠に泥なわ式のことばかりやられて困つておるのであります。だからしてこの電源開発というものは我が国の何と申しますか、国力の進展に対してこれくらい大きな役を強めるものはないと私は考えておる。この問題を解決しなければ、この日本のうちで幾ら国民がじたばたしたつてだめだと思うのです。  それで今日急にお伺いしたいという問題につきまして、こういうことをお取調べを願いたいのです。現在我が国に使つておりまする電気は、将來火力に重きを置くのか或いは水力に重きを置くのかということが一つであります。それから第二に現在使つておりまする電力のうちで、運輸用と灌漑用と工業用、電燈用、それから娯楽用、その他絶対に必要な量というものは今どれくらいのものであるかということと、それからあと五カ年間政府の企画出しておりまする事業に対して、必要量というものは大体どれくらいの率であるかということを一つお聞かせを願いたいのであります。それから現在の日本のうちにありまする河川、湖沼、瀑布、このうちに電源開発に利用し得るものが全国にどれくらいあるかという問題、それからその河川、湖沼、瀑布というものを電源開発のために利用する設備をしたら、それからどれくらいの電気が得られるか、こういう問題を一つお取調べおきを願いたいのであります。それから一カ年の雨量の最低量と最高量これは十カ年の統計ぐらいは測候所にお尋ねになればわかると思いますから、こういうこともついでに一つお知らせ願いたいと思います。どうしても雨というものを只今も約七割ぐらい放つて利用しておりません。日本の政府の今日までのやり方はこういう廃物利用と申しますか、廃物じやないけれども必要なものを放つてあるんですから、どうか一つこういう点を御留意を賜わりまして、十分私ども委員が納得するような一つ説明をお願いしたい。
  68. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは公益事業委員会は、只今中山委員の要求せられました資料を整理せられて成るべく早く皆様に御提出を願いたいと思います。   ―――――――――――――
  69. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に時間も大分進みましたが、一点私から質問をいたしたいと思います。その第一点は電源開発が叫ばれておりまするけれども、これは緊急に送電開始の運びになるということが一番重要な問題であろうと思います。ところが今日すでに工事に着手しておる発電所におきましても、折角各方面の努力によつて一月、二月と工事の繰上げ断行が行われておるようでありますが、半面においていろいろな先ほど問題になりました水利権等のこともありますが隘路がございまして、予定の竣工までに間に合わないというのもあるのではないかと心配をいたしておるわけであります。  そこで今日日本全国に亘りまして工事に着手しておりまする発電所についていろいろな工事上の隘路がありまして、そして困難をせられておりまするものについて、ここに具体的に資金の点にあるのか、資材の点にあるのか、工事力の点にあるのか、或いはその他等の問題にあるのか、その理由を明らかにせられて説明をお願いしたいというのが第一点であります。それから第二点はそういうような隘路が発見されました場合に、それを刻下の問題として取上げて解決をいたしました場合には、その個々の工事個所がどの程度繰上げて竣工し得るのか、又繰上げたことによりまして、日本の電力の需給バランスにどの程度貢献し得るのか、こういう点も併せて御説明を頂きたいと思うわけであります。
  70. 平井寛一郎

    政府委員平井寛一郎君) 只今の御質問の点につきましては、丁度私ども事務局を出ますときに連絡がございましたので、只今の御質問の御要点を個々に一つ一つの御説明を申上げるための資料を実は遺憾ながら持つておりません。ただ全体的に申上げますると、一昨年以來或いは昨年に着工いたしまして現に工事を進めておりますものにして、完成の近いものが今年度相当あるのでありまするから、又來年にかけても完成するのでありまするが、これらの、工事の相当進んでおりまするものにつきましては、すでに諸般のいろいろの問題もおおむね見通しを立て、そしてむしろ工期は、先ほど委員長からもお話がありましたように、ぐんぐんと繰上げられつつあるような面もあるのでありまして、隘路というものはそういう面においてはここではお願い申上げるようなものは残つておらないと思います。問題はむしろ今年になりまして着工しましたもの、今年是非着工したいと思つていろいろ準備を進めておりまするようなこれらの地点について、そういう問題は地点によつていろいろ違うものではありまするが、今日その最大なるものは何かと申しますればやはり資金にあると思います。現に今年度電気事業者が着工しようと意図していろいろ準備を進め或いは着工にかかつておりますものが水力において約百万キロワツトあるのでありますが、このうちで漸く今年度の新規着工として見返資金の援助を政府から得られるという見通しがつきかかつておりまするものは約その三分の二程度に過ぎないのでありまして、これらすら全額見返資金ではないのでありまして、自己調達資金も或る程度加えてそうして進まなければならんというような状態なのであります。残りの三分の一程度のものにつきましては或いは自己調達資金を以てこれを進めるというふうにして鋭意努力はいたしておりまするが、何分にもこうした分については、もつとやはり今の電気事業の資金吸収力の実情から見まするというと、相当の政府資金の放出というような形の協力をもつともらわなければ進み得ないというような事情にある、これが一つの大きな点であろうと思います。  それから第二に着工の当初において最も問題となりまするのは、やはりいろいろの地元関係でありまして、或いはいろいろな湖沼関係、或いは利権、或いはいろいろなものがありますが、そうした地元に関連しました問題、それから水利権許可の手続が遅れるというふうな問題というものは当初においてどうしてもこれは或る程度免れないのでありますが、これらも各事業者は、それぞれの地点において最短期間にこれを解決すべく善処はいたしておる次第であります。  資材の面につきましては、今日までのところでは特にこれが非常に困ると申上げるほどの状態ではないのでありますが、建設の量が相当殖えますれば、どうしても鉄鋼類、セメント、或いは銅、或いは銅の代替品というものが主として資材需給面において苦労をしなければならん面であろうと思います。それから工期を繰上げまするのにもう一つは、機械の製作、これが外国品を注文しましても納期がかかりまするし、国内品にいたしましてもそれぞれ他産業との競合もありますので、こうした点を考えますと手放しに早くできるというわけにも参りませんのでそうした面の制約等はあると思います。
  71. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今平井技術長はこの問題を先ほど公益委員会を出発するときに聞いたので、資料の用意ができなかつたとおつしやつたのでございますが、そういう理由で説明が不十分になつたと理窟つけられることは私甚だ以て遺憾でありまして、実は昨日専門委員会事務局を通じまして、公益事業委員会松田事務総長宛にこれは正式に申込をいたしてあるのであります。それは公益事業委員会内部の齟齬でありまして、この委員会の取扱に帰せられることはいささか当を得ないと思いますのではつきり申上げておきます。
  72. 山川良一

    ○山川良一君 今の問題は事重要でありますので、又の機会にでも委員諸君が揃つておられる時分にでも取上げられたらどうですか。
  73. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さようでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) では公益事業委員会に改めて依頼をしておきますが、今問題になりましたいろいろな理由別にされまして、只今現に着手になつておるもの、それから近々着手をしなければならんものまで、これはおまけになりましたが附加えて、そして個個別々に一つ明らかにして頂きたい。いろいろな事情で国会としても側面的に工事促進に役立つような努力の効果がありますれば大いにやりたいと思いますので、さような意味で以て一つあらゆる角度から検討されて資料を御提出願いたいとこう思います。それから通産省のかた、自家用関係についてやはり同様なことがありましたならば一つ御提出を願いたいと思います。  それから皆さんにお諮りを申上げますが委員会もこの前よりより協議をいたしておりまして、時間の関係もございませんから來週火曜日、二十七日にもう一度開会をいたしまして請願、陳情の処理をいたしたい。そして一応会期中の結末をつけたいと存じますが、それでよろしうございますでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからもう一つお諮り申しますことは、通常国会以後は恐らく電力委員会も、開発問題で更に調査を続行されることと思いまするが、それにつきまして最近竣工いたしました関東、北陸、関西、中部方面に大小いろいろ発電所がございますが、それの中のいずれかを、工事中と申しますか、完成一歩前というような所のものを見学いたしたらば如何かと考えるのでありまして、出張いたす場所等は更に調査をいたしたいと存じまするが、さようなことをいたすことについて如何でございましようか。御意見を伺いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  76. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大体の時期ですね、これは。
  77. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 時期は寒くなりますので、できれば閉会になりましてから通常国会の召集される間ぐらいにまあ中部地方でありますから、二、三日で出かけられるような所を選びたいと思いますが如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか。それではこの件につきましては、具体案を作りまして二十七日の委員会で御承認願うことにいたしたいと思います。
  79. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは希望ですけれども、できれば通常国会が召集をされてすぐ休みになりますね、そのときのほうがいいという希望だけ申上げておきます。
  80. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) わかりました。それでは本日の委員会はこれを以て閉会といたします。    午後四時十分散会