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1951-10-29 第12回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十九日(月曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            石原幹市郎君            古池 信三君            結城 安次君            小川 久義君            佐々木良作君            須藤 五郎君    委員            石坂 豊一君            岡田 信次君            小野 義夫君            加藤 武徳君            高橋進太郎君            椿  繁夫君            若木 勝藏君            高木 正夫君            田村 文吉君            山川 良一君            稻垣平太郎君            境野 清雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            水橋 藤作君   事務局側    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君   参考人    北海道電力株式    会社会長    藤波  收君    東北電力株式会    社社長    内ケ崎贇五郎君    東京電力株式会    社社長     安藏 彌輔君    中部電力株式会    社社長     井上 五郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電力危機対策に関する件)  (電力相互融通に関する件)  (火力用燃料入手状況及びその見透  しに関する件)  (電源開発現状並びに今後の年次  計画に関する件)  (電気事業経営上の諸問題に関する  件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から電力に関する特別委員会を開会いたします。  本日の調査事項は公報で御通知を申上げました通りに、九電力会社責任者に御出席願いまして、順次次の五項目に亘りまして、その御所信を伺うことになつております。第一は今後の電力危機に対する具体的方策、第二は電力相互融通に関する意見、第三は火力用燃料入手状況及びその見通し、第四は電源開発現状と今後の年次計画並びにこれに関する各種方策、第五は電気事業経営上の諸問題についてであります。日程に従いまして、北海道電力株式会社から順次実情並びに御意見を伺いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さよう取り運びいたしたいと存じます。北海道電力参考人であられる藤波鈴木両君にお願いを申上げますが、この委員会で決定いたしましたのは、八月末頃から全国的に襲われました電力危機に際会いたしまして、よほど画期的な措置を講じませんと、今冬を控えて国の生産計画に非常な齟齬を来たすのみならず、社会問題としても重要視せざるを得ない段階にありまするので、貴社におかれてはこの切抜けに対しまして、それぞれ御努力を願つておると存じますが、私ども公益委員会を通じて伺つておりまする貴社実情の知識は隔靴掻痒の感をなしとしないのであります。直接経営責任者であられるあなたがたから本当のことをお聞きいたしたい。身近なことをお聞きいたしたいというのが趣旨でございますから、さような心組みで北海道に関することは率直にお述べを頂きたいと思うのであります。それでは説明を求めます。北海道電力株式会社会長藤波牧君。
  4. 藤波收

    参考人藤波收君) 藤波でございます。只今お尋ねがございましたので逐次御説明申上げたいと思います。  先ず第一の今後の電力危機に対する具体的方策についてでございますが、北海道のほうはこの夏から今まで殆んど電力制限はいたしておりません。若干都合の悪い時分ピークの時間を少しシフトして頂くという程度のことはやつておりましたけれども電気の量を全面的に制限をするということはしなくて済んだのでございます。それは大体内地のほうと違いまして、向うのほうは上期五月から九月までを通じまして、九月の平均降雨量、水量に対しまして約一割くらい豊水であつたのが主な原因であります。併し非常に安易に過ぎたのではなかつたのでありまして、その間に北海道としましては、一番大きい水力の雨龍五万キロ、約水力の二割に当るものを四十日間に亘りまして修理をいたしまして、さようなことのために相当火力も焚きましたし、又自家用火力を動員して頂きましてその電気を受電するとか、或いは委託発電するというようなことをやつたのであります。たまたま九月の末に水力のほうの修理ができたのでありますが、その直前に火力のほうの一番大きな機械でありまする江別発電所の二万五千キロの発電機故障を起しまして、さようなわけで有体に申上げますと、危機一発というようなところで助かつたようなこともありましたが、サイクル北海道は五十サイクルでありますが、大体五十サイクルを保ちまして、さような事故の場合におきましても、四十八か四十八半くらいに下つたのが数時間という程度でありまして、四十九サイクルを割つたということは余りおりません。かようなわけでございまして、今までのところ割合に無難であります。併しながら電力があり余つているというわけでは決してないのでありまして、お手許に差上げました資料の第一ページに需給の想定と今後の発電計画の線を図表で出しておりますが、いつも若干足りない形になつておりまして、現在でも需用のほうを野放しにいたしますれば、やはり不足しておるのであります。併しとにかく今までは無事に済んで参りました。  それでは今後どうなるかということを申上げますと、十月の十二日に水力蘭越というのが五千七百キロかできました。これは十二月にできる予定でありましたのを繰上げてできたのであります。それからなお十二月に久保内という発電所が七千二百キロができることになつております。これも一週間か二週間くらいは早くできて、来月の早ければ中旬にはできるのではないかと思つております。それからそのほかに砂川火力発電所の二万七千キロが今年できたのでありますが、そのボイラー増設が十一月にできることになつております。さようなわけで幾らか電源のほうも現状よりは増強して参りました。併しながらこの九月、十月以降逐次電気のロードが重い時期に入りまして、昨今では私どものほうの会社ピークは二十八万五千キロくらいで、これは昨年の十二月の二十七万五千キロに比較いたしましてすでに一万キロくらいオーヴアーしております。今のままで進んで参りますならば、別に制限を加えませんと、約三十一万キロくらいまでは伸びるのじやないか。さようになりますと、今の供給力を以てしましては約二万キロぐらい足りないという計算になります。併し先ほどちよつと申上げましたが、ピークの時間をシフトするとかいうような操作を多少やりますと、ひどい電力制限とかいうことなしに、一万五千キロかそこらぐらいはピークが減ると思いますが、水のほうさえ平年並みに行きますならば、かつかつ行けるのじやないかと思います。併し九月から十月にかけまして、北海道のほうの水も平均よりは幾らか減つて参つております。今後の見通し平均で行けるかどうかということに対しましては、何ら自信がないわけであります。減るかも知れません。さようなことが起りますと、もつと制限をしなければならぬという事態も起り得るわけであります。その二ページのところに、水力が二十四万六千キロ、それから火力が九万五千九百キロと出ております。これは水力火力設備を全部合計したものでありまして、水力のほうには先ほど申上げました蘭越の五千七百キロが入つております。合計いたしまして三十四万二千キロとなりますが、これだけでは三十一万キロの供給に堪えませんので、渇水もありまするし、それから火力設備関係もありまして、さようなことにならないのであります。で、それを補うためには若干の買入電力をいたします。なお委託発電ということをいたします。しまいのほうに表がついておりますが、しまいのほうから四五枚目のところにこういう自家発電設備一覧表というのが附いております。それに自家用水力火力の名前を挙げてございますが、その認可出力とか、実際に出る可能の最大電力、それから各自家でお使いになる分量が書いてございますが、そのしまいのほうに、我々が受電をいたしました部分が二千六百キロと、それから委託発電をする分が二万六千五百キロという数量が出ておる。これを加えまして先ほど申上げておきましたようなことになるのでございます。キロワットアワーにいたしまして一月先ず七千くらいは足りないことが起こるのじやないか、それからもう少し渇水がひどいともつとその数字が大きくなる。併し今までの大体の見通しといたしましては、大したひどいことにはならないで済むのじやないかと思つておる次第であります。  ちよつと委員長に伺いますが、この具体的の方策は本年分だけでよろしうございますか、将来も……。
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 本年分だけでよろしうございます。
  6. 藤波收

    参考人藤波收君) 大体の見通しはそんなことでございまするが、お尋ねでもありますれば、わかつたことは何でも御説明申上げます。  それから三ページの最後のところに今後の需給状態というのをちよつと書いてございます。大体申しましたような趣意のことになつていると思うのであります。状態が非常に惡ければ一番最後に書いてありますが三万七千キロ、八%ばかりの不足が予想されることもあるということでございます。危機に対する具体的方策には燃料の問題が関連いたしますけれども、これはハのほうで御説明することになつておりますから、大体さようなことで御説明を終りたいと思います。  それから次のロ、の電力相互融通に関する意見でございますが、これは御承知のように北海道は離れておりますから、内地のほうとの融通電力そのものについてはございませんが、多少石炭や何かの取り合いの関係は起こりますけれども、直接の融通はございません。ただ先ほど申上げましたように、道内といたしましては自家用が相当ございますから、自家用を我々で利用さして頂ける範囲で、最大限にそれを利用さして頂くというようなことは、道内融通になると思うのであります。それから従来は、従来と申しましても十数年以前ですが、十年以上前は発電設備が大抵予備電源を持つておりまして、送電でも若干持つておりましたが、さようでございますから、渇水なんか、又事故のときにもその予備電源を活用することができたのでありますけれども、戰争中から設備一ぱいに使うような習慣になりまして、現在では設備一ぱいにそれを使うという計算供給をいたしておりますので、渇水とか大きな事故とか起こりました時分に、それを補う設備がないのであります、この点が十数年前の電気事業状態只今と非常に異つている点であると思います。北海道は他から融通を受ける途がございませんから、若し希望することができまするならば、そういうような事態になりますならば、まあ一割五分ぐらいの電源余裕を持つということになりますれば、渇水が少々参りましてもそれを切拔けることができまするし、それからサイクル維持とか電圧の維持ということもできるのでありますが、只今はそういう状態にございません。そういうような状態に持つて行きますためには今後電源開発して、その若干を予備のほうに廻すというようなことができますれば、そういう状態に近ずけて行けることができまするが、でなければ現在の設備だけで行きますと、そういうことはできませんけれども供給量を減す、或いは常時に供給する電力を節減する。分量として故障時分、或いは渇水時分には減していいというような電力供給することにしませんと、非常に供給ということができないのであります。ただ年を通算しまして、キロワットアワーを多く出すということから行きますと、水の多いときには発電をいたします。それから石炭も焚いて増強いたします。減つたときには減すということにいたしますと、年を通算いたしますと、出るキロワットアワーはむしろたくさん出るんじやないかと思います。併しその電気は最近ほうぼうでその影響が現われましたように、電気をお使いになるほうから言いますと、非常に不定な、きまらない或る時はたくさん来ますが、或る時は非常に減るというような電気になりまして、お使いになるほうは工場計画も立たないというようなことになるのであります。質の良い電気にするためには豊水時分にはそれを貯水池に溜めるとか、或いは貯炭するということで渇水に対する準備をするというようなことにしませんと、その渇水に対する用意ができないのであります。要は発電力余裕を持つことができるかできないかということによりまして非常に影響があると思います。これは内地方面でも、本州方面でも同様であると思います。ただ本州方面北海道よりも広うございますから、渇水状態も所によると非常に変りますから、その間に融通できるという多少彈力がありますけれども北海道においてはその彈力割合少いのであります。で北海道としましては、先ず融通のほうは自家用との間の問題と、それから将来そういうことができるようになりましたならば発電力に少し余裕を持ちたいということであります。  次に融通につきましては、北海道余り関係ございませんからその辺で終ることにいたしまして、次は(ハ)の火力発電用石炭入手状況と今後の見通しということでございます。それは六ページに書いてございます。北海道では二十六年度に約三十七万トン石炭を使う予定を立てて、昨年よりも十三万四千トンばかり殖えております。尤もそのうちで北海道電力それ自身の焚きますのは約三十三万トンで、そのほかは委託発電等によつてつているのでございます。炭の入りました状況はこの五月から九月までに十万八千トン入つております。それで計画としましては十四万六千トンを考えておりましたのでありますが、契約その他の関係でさようになりましたので、実際に入りましたのは炭付数量の八五%が入つております。併し消費が割合に少なかつたためと、豊水であつたためにそれで足りたのであります。ただ九月の末に三万二千トンの貯炭を持ちたい。これは渇水期一番焚きます時分には三万五千トンか或いは四万トンぐらい焚くのでありますが、約一月分ぐらいの貯炭を持ちたいという希望に対しましては、その半分の一万五千トンの貯炭ができたに過ぎなかつたのであります。さようなわけでありまして、炭の入り方は我我希望通りには入らなかつたのでありますけれども、九月までとしては実際には差支えはなかつた。下期に対しましては二十三万トンばかりの炭が欲しいと考えて、いろいろ手配をしているわけでありますが、これは九カ年平均数量があつたと計算したときにそれだけ要るのであります。渇水がひどいとこれより炭が要るわけであります。幸い水がそれよりたくさんありますれば、これで足りるか残ることになるのでありますが、今のところの見通しではどうにか入るのではないかと思うております。ただ三月末の貯炭はどうも二万トンばかり持つことにしたいと考えておりましたのに、一万五千トンくらいしかならないのじやないかと計算をしております。尤も北海道本州方面と違いまして、本州は大体三月の半ば、彼岸頃までが渇水期でありますが、北海道は約一月遅れております。三月の末には若干貯炭を持つているということが必要であります。それから一カ月の貯炭を持ちたいという希望を持ちますのは、北海道は寒さのために炭の輸送に支障を起す場合がありますので、その場合二週間くらいは炭が動かない、よく入らないということも考えまして、一月分は必要であると考えている次第なのであります。大体我々の会社ではいわゆる大手筋から炭の大部分を頂いております。そのために炭の入る受入の率も日本全体の平均に比しましたならばいいほうであると思つております。勿論大手筋の炭と申しますのは、夏冬多少違いますけれども、八割五分、九割くらいが大手筋の炭が入つております。その点は電力会社としましては、大手筋を信頼して安心しているわけであります。勿論それは北海道の炭の産出量の大部分大手筋から出ておりますから、特に小さい山を避けているという点から大手筋から頂いているのではなくて、大体そういうことになつているのであります。その点は炭の出る地方でありますから、その意味では惠まれておりますが、最近は北海道電力会社はほかの方面の炭が逼迫して参りましたために、我々のほうに少し圧力が加わつて来るような状態で、決して安心はできないと思つて努力をいたしている次第であります。炭のほうの見通しはそれくらいにいたします。  次は(ニ)の電源開発現状と今後の年次計画並びにこれに関する方策をその第一表の三行目、四行目のところで、先ほど申上げました久保内発電所というのがあります。これは先ほど申上げましたように、すでに蘭越はできております。久保内は遠からずできることになつております。それから火力発電所江別発電所というのがございますが、そのボイラー増設工事も進んでおります。それから砂川火力発電所、これは二万七千キロでありますは、タービンを一台、ボイラーは三罐、この三罐目ボイラーが来月末あたりまでにできることになつております。これは一罐半で二万七千キロ出る設備なつております。  それから江別発電所が先ほど申上げましたように故障が起しておりましたが、今月の末くらいまでに二万五千キロくらいになります。なお二万五千キロと、ほかに一万二千五百キロ二台ありますが、そのうちの一台はこの六月から機械一部分工場にやつて修理をいたしております。その修理のものが十一月一ぱいくらいには直ることになつております。さようなものが渇水期に向つて夏よりも殖える電源になるというわけであります。  それから今後の計画といたしましては、そのまんなかのところに見返資金とこう書いてありますが、見返資金をこれはお願いしておるのでありますが、その中に、然別第一発電所と第二発電所というのが書いてございます。これは十勝川の上流然別湖という湖水がありますが、その湖水から、二、三支流を横断しまして、この十勝川の本流岩松発電所湛水区域まで、その間に発電所が第一、第二、第三とできまして、約三万キロ、この表では二万八千キロになつておりますが、その発電計画をいたしております。これを最も急ぎたいと思つております。次にこれは第一、第二、第三は、三つで一つの発電所のようなものでありまして、第一を、一番先にかかる。これは二十八年の一月竣工予定でございますが、できることならば二十七年の十二月までくらいに竣工させたいという希望を持つております。  それから第二というのは、ここに頭が出ておりますが、これはトンネルが長いので、第三というのは非常にトンネルが短くて電力が大きいのでありますが、ここには第三は出ておりませんけれども竣工は二十九年の一月、できれば二十八年の十二月くらいに一部発電をいたしたい、こういうふうに考えております。これが私ども会社で今後の水力開発に一番急ぐ部分であります。それから一番上のほうに班溪という発電所がありますが、これは空知川のやや下流にありますが、これは非常に鉄道に近くて工事をやりやすいというので、これもできることならば二十八年の十二月までにやりたい、こういうので、これはいずれも見返資金をお願いしてその決定を待つている次第であります。それからその下に砂川発電所二号機四号罐増設工事というのがございます。それは二万七千キロ、尤も二千キロは少いようでありますから、結果におきまして二万五千キロでありまして、先ほど申上げました砂川のところに一基一罐増設をしよう。基本方針としましては水力開発に重きを置くのでありますけれども水力のほうがどうも十分な早さでできませんから、少し繋ぎと申しますか、火力暫らくつて行きたい。こういうので火力をやつております。これはもう建物はすでにありますので、機械と若干の工事をやればできる、こういうので、これを希望としましては、二十八年の三月と書いてありますが、できれば一月か二月、まあ渇水期に間に合うように竣工させたい。実はこれは二十七年の十二月を目標にいたしておりましたのでありますけれども、だんだん着工が遅れておるために少しずつ延ばして行く。こういうふうになつておりますが、これで結局班溪の八千二百キロと然別一万一千四百キロ、それから砂川は二万七千キロを以て来年の渇水期に対処したい、こういう考えであります。いずれも渇水期に入つてからでき上るのであります。その間が少し苦しいのでありますが、今からやりますと、これが一番短かい期限であろうかと思つております。  それから大体総括的な話を申上げますと、北海道では総合開発計画がありまして、そのうちに電力開発部分もあります。その第一次五カ年計画では水力約三十一万キロばかり造るという計画なつております。それはいわば官民合同調査をいたしておるのでありまして、それで行きますと、大体三十一年までにまあ水力火力を通算しまして、北海道電力に関する限りはほぼ倍になるわけであります。そういう計画なつておりますが、それには十二ページの次のところに水力発電所の表が出ております。これは大体今の総合開発計画と殆んど合つておる。多少時期的にはズレはできておりますけれども、殆んど合つておる計画でございまして、出力最大のところへ行きますと、三十二万キロであります。それから工事費が三百六十六億何がしという数字が出ております。これは工事費の方は今後物価の変動などで又変ると思いますけれども、それからそれに火力とか或いは自電そのほかを加えますと、合計しまして約五百八十億くらいの数字が出ます。これは概算でありますから先ず大体六百億とみなして、六年間に六百億、一年平均が百億になつております。初めの年はそうたくさんできませんから、まあしまいの方の半ば以後に使うようになつておりますけれども、大体において平均百億ぐらいの金を使つて行けばいいだろうということになるのであります。これは資金関係でそう容易な話じやないと思います。そういう計画一部分としまして、只今申上げましたほかに、近くかかりたいと思うような水力を少し申上げておきたいと思います。それは十ページに帰りまして、第二表の二十七年度以降開発計画というのに然別第三が出ております。それからその下に糠平五万二千四百キロというのが出ております。これは十勝川の又支流の音更川というのでであります。その辺の支流に又ダムを造りまして、これを更に別の支流ダムを造るというその初めの計画であります。この然別第三は先ほど申上げましたように、来年度竣工させたいと思います。  それからその次の双雲別第二、第三というのがありますが、これは第一、第二、第三というのが石狩川本流の一番上流でございますが、上流に双雲別第一というのがダム地点でありますが、これは今地質調査、ボーリングなんかをやつておりますが、それは少し暇がかかると思いますので、第三に先にかかりたいと思つております。最初の計画では第一、第二、第三となつておりますが、その後第二をやめて一部は第一にくつ付けて一部は第三にくつつけてやりたい。その第三を金さえあれば今年内からとも考えたのでありますが、来年あたりは是非着工したい。こういう考えであります。これは双雲別というちよつと景色のいい国立公園なつておる所でもありますが、その計画であります。それからなお石狩川のその下流にまだ二、三の地点がありますからこれも継続して開発したい。それから一面糠平と申します十勝川のほう、十勝方面は非常に開発が遅れております。いわゆる道東地区というのは電源開発が非常に遅れております。今の然別とか糠平系統を開発をしてやつて行きたいという希望であります。今の然別に入ります岩松、これは十勝川の本流でありますが、まだ上のほうと下のほうに数ヵ地点ありますが、これは糠平方面には四ヵ地点、十五万七千キロという計画を一応立てております。これは折々新聞なんかに外資導入の対象なんかに挙げられておるようなものでありまして、相当まとまつた資金でありますが、同時に何といいますか、十五万七千キロに対しましてはキロワットアワー電力量が割合に少いのでありまして、少し特殊な地点であります。この辺につきましてはなお調査を要するものがありますので、私の会社でもやつておりますが、こつちの東京方面の経験のある方面調査を依頼いたしております。火力のほうは先ほど申しました砂川増設とそれから江別増設くらいを考えておりまして、主に水力本位にやつて行くつもりであります。ずつと先のほうのことをたくさん並べましても御興味のないことと存じますが、表のほうに竣工の、今の十二ページの一のところに着工、竣工予定の期日が記入してございますから、それで御了承願いたと思います。要は如何にして開発資金を得るかということによりまして開発竣工がきまつて行くものであろうと思う次第であります。大体第三表に年度別所要資金というのが出してありますが、これは近い二十六年度、二十七年度は割合に確実でありますが、先のほうは概算であるということを申上げておきます。北海道のほうで申上げたと思いますのは、北海道は面積は甚だ広いのでありますけれども割合に山が高くなく、土地の勾配と言いますかがのろく、それからもう一つ雨の量が雪を含めまして非常に少い。全国平均で約一年に千七百ミリぐらい降雨量がありますのに対しまして、北海道では千五十か、せいぜい千百ぐらいしかでありません。北海道では水力を作りますと、幾らか割高につきますけれども、併し割高ではありますけれども、やはり将来は水力を主とし、水力を従として開発して行くほかはない。かように考えております。大体の需用の想定には、若しこの第四次五ヵ年計画といつたような計画が実現いたしますと、三十一年ぐらいには想定いたしました需用とそれから電源とがほぼ合うことになるのでありますが、需用の想定のほうも、これは将来変化があることと思いますし、はつきりは申上げかねますが、大体少くとも五年ぐらいは北海道としては相当の金をかけて追つ駈けなければ追つ付かない。それより早く追つ付くということはできないのではないかというふうに考えられる次第であります。今の開発現状と今後の年次計画といつたようなことは大体以上で終りたいと思います。若しお尋ねがあれば、わかつておることはお話いたします。  それから最後電気事業経営上の諸問題、これはどういうことをお導ねになつておるのか、よく……或いは私考えが違つておるのかも知れませんが、私の考えておることも一応申上げてみたいと思います。もう皆様御承知のように電力が足りませんのでございますから、電気事業の経営の一番の問題は電源開発にあると思うのであります。電源開発は、現状におきましては、これは資材とかいうようなこともありますけれども現状におきましては、その開発資金の調達が甚だ困難であるということであると思います。終戰後復興金融金庫からとか、或いは見返資金の金が出まして、そうして若干開発をいたして参つたのでありまするけれども、無論足りません。然るにそれでは電力会社が自分で金を作つたらということになるのでありますが、九社、九つを集めましても、その資本金は七十一億、北海道は僅かに三億三千万円であります。今の五ヵ年計画を遂行すると一年に平均百億ぐらいの金が要る。非常にこれは勝手にきめて相済まんわけでありますが、消極的に考えましても、四十億から五十億、いいところ五、六十億ぐらいではないかと思うのです。そうしますと、一年に資本金の先ず二十倍近くの金を調達しなければならんといつたような状態になるわけであります。これは戦後はどこでも資本金は少くて、社債とか、或いは借入金が非常に多い状態にはなつておりますが、電力事業は特に金が固定しまして、そうして多額の金が要る。十分やろうとすれば三十倍の金を調達しなければならない。ここに何といいますか、私ども非常に勝手な言い分かも知れませんが、非常に無理が行くのであります。そうしますと、今のように見返資金を当てにするとかということになるのでありまするけれども、見返資金ももう限度があります。つまるところは何か政府に声をかけて頂くとか、或いは政府資金、国庫資金といいますか、そういつたようなものを考えて頂くとかいうようなことしか途がなくなつて来るわけであります。それもそうばかりも行かんと思うのでありますが、増資をすれば最もいいのでありますけれども現状ではとてもどの電力会社も増資をしても、とても増資に応ずることがないのじやないかと思います。先般電力料金も値上げをして頂きましたけれども、恐らくこの上期は九つの電力会社とも配当しないのではないかと思つております。会社によつてははつきり相当欠損が出る。私どものほうは豊水でありますけれども、値上げの時期が一月半くらいしかありません。一月半に対しましても、調停の関係で、値上り分が完全に一月半分は入つておりませんけれども、僅かに赤字でなく済むかどうかというくらいなところなんであります。だんだん只今でも私ども会社に五十二、三億の社債の借入れがございますが、年々五十億とか幾らとかいうて来ましても、百億、百五十億となりますと、全体の投資に対しまして、払込み資本金とか積立金とか非常に僅かでありまして、収入が一%違いましても、払込み資本金の半分ぐらいはすぐどうにかなります。ちよつと予想が変つてもすぐ変ります。私どものほうで三十万、四十万トン近くの炭を焚きましても、炭の値段がすぐに上りまして、それで相当変つて参ります。それから渇水とか渇水でないかによりまして炭の消費が変りますと、それだけでも仮に十万トン変りましても、四億とか何億、そういつたような金がすぐ違つて来るのでありまして、すぐに払込資本金と同額くらいな異動がすぐに起つて来るのであります。どうも事業として非常に安定性を持つていないことになるのであります。ずつと前は電気事業の株とかいいますものは、資産株とか或いは安定しておるということで、利潤は少いけれども、安定性があるということで買われたのでありますけれども現状では非常に安定性を失つておるときでありますから、なかなか増資をするというところまで参りません。結局まあどういう形でか増資をするか、或いはまあそういうことは同じことになりますが、転換社債でもやつて返さないでもいい、資本に繰込まれるということができるようになりますと、仮に半分とか、三分の一が払込み資本であるとか、返さなくていい資本であるとかいうことになりますと、非常に状態はやりやすくなります。まあ三分の一とか五分の一でも、その程度でもいいのでありますけれども、年々非常な金を使つて払込みが済んで行かないということになりますと、非常に結果として不安定なものができ上つて来る。その不安定のものはなかなか増資がむずかしい。結局どうすれば安定するか、内部的な事情はたくさんございますけれども、外部的な事情によつて変り得る事項が非常に多いと思います。それからもう一つ、今後新たに電源開発して作りましても、その電力の原価というものが今までの料金に比べまして著しく上つて行く。苦しい中から金を調達しまして、勉強すれば勉強するほど現在の状態では会社の経営が苦しくなるという形になります。非常に小さい例でございますけれども道内発電所の促進をいたしますのに、多少工事をやつておるものを促進いたしますと、発電所は早くできますけれども蘭越発電所は一キロワット十三万円になります。それから久保内発電所が十五万円かかつております。一キロワツト十三万円かかる。なおその送電線が要るのでありますが、さようなものでありますと、現在の地域料金いわゆる火力料金と称するものくらいに当るわけであります、勉強して早く作れば作るほど計算は左前になるという結果になるのであります。電力を作らなければならんと思つておりますけれども、作ることには極力やつて見たいと全力を挙げてやつておる次第でありますけれども、作れば作るほど計算は苦しくなる、結局そうして増資なんかは困難になるといつたような状態になるのであります。この点を一つよく御了承願いたいと思います。その点は北海道だけの問題でもありませんし、全国的の各社とも共通の問題であると思います。それから仮に日本発送電がそのまま残つておりましても、三十億の資本で恐らく日本発送電がやりましたら、五百億、六百億の金を使つて、もう少し慾を言えば千億も使つてやらなければならんと思うのでありますが、その点は日本発送電が存続しましても、とにかく政府のほうからの何か方策でもなければ、これは非常に困難に陷るのではないかと思います。かようなわけでありまして、開発資金の調達、それから会社が相当の経理状態で世間で信用ができるようなものにして行くということに相当に困難を感ずるのであります。一面電力供給状態は皆様御承知のように甚だ不満足な状態にある、例えばサイクルが継続して下る、電圧が下る、電力が足りないというような状態にありますが、この状態を良くするためには、約大体一五%ぐらいの予備電源が必要だと思います。これはアメリカでも一五%くらいになつておるという話でありまして、アメリカあたりで五%ぐらいしか予備電力がないというのは非常に少いわけであります。それくらいの力を持たなければ、こういうふうに安定した電源ができないということになりますと、今まで私どもが体験しております電源開発計画なるものは、殆んどその点に触れていないで、ただ三十万キロできる、すぐ三十万キロの需用に応ずるというような結果になつておりまして、いつまでたつても不安定な電源にしかならない。いつかはこの点について立直りを考えなければならんのではないかと、かように考えておるのであります。それからこの電力会社電源開発に対する資金調達なんか只今申上げましたような状態でありますから、自然自家用電源開発ということが非常に出て来る、私が例を述べて或いは当らないかも知らんが、借家法ができまして家賃を抑える、そうすると家主は家を建てても引合いません。だんだん借家は減つて行く。減らないまでも新規じやなかなか建たない、そうしますと、金のある人は自分で家をお建てになる。これが私に言わせれば自家用発電所であると思います。金が百パーセントない人は自分の金とよそから借りた金を合せて発電所を作る。これが丁度住宅金融公庫から金を借りて家を建てるということになる。併し自分で家を建てることもできない、金を借りて家を建てることもできないような人もある、そうしますと、都営住宅とか市営住宅とかいうことになる。電力のほうでも電力をお使いになるために電力会社供給が不満足な状態であるから、自家用発電所を作ることができるところも多々あると思いますけれども、又それを作ることができない一般の需用家というものもあるのだと思います。それにはどうしても電力会社が作つて差上げるほかないと思うのであります。なお自家用をお作りになりましても、例えばセメント会社の余熱を利用する発電所であるとか、或いは蒸気をお使いになる所がその蒸気を利用して火力をお作りになるというような時分には、それは特に安くできますから、そういうのは当然お作りになるべきである、又お作りになつていると思うのでありますけれども、一般の水力地点とか、ただ普通のそういう火力を作る時分には、その建設費というものは、我々電力会社の作る水力火力に比して大差はないのであります。そうしますと、そうした電力をよくお使いになる工場は当然電力原価が相当に高いものをお使いになる、お使いになりましても電力が安定して工場生産計画の立つほうがいいという見地からお使いになるんだと思うのでありますが、さような所に私は仮に新たに電力会社を作りまして或る水力開発する、現在の九会社ではなかなか資金の調達ができないので、新たに会社を作つて電力開発ということも考えられるのでありますが、その時分にはその電力は誰が使われるのであるか、電力会社がそれを買受けて行くのであるか、別に工場なり何なりがその電力を買つて使いになるんであるか、これはいろいろ考え方があると思いますけれども、その電力の総合原価はやつぱり高くなる。完全なる設備にすればロスのないいい電気ができますけれども、必ずそれは高くなるのであります。さようなことを考えますと、電源開発ということは、結局電力料金を如何にきめるか、つまり電力料金は総合原価を基準にして、それをお使いになる人が御負担になるのか、或いはこれは公益事業であるからというもつと広い考え方で何かお考えであるかということで、大分違うと思いますけれども、いずれにいたしましても、その電力が新らしい電力会社で経理が立つような収入があるような料金になるのでなければ、やつぱりその電力会社も又我々と同じように行き詰るのではないかと思います。  さように考えますと、電源開発には開発資金の調達ということが非常に現在では大きい項目になつております。これが一年に千億円とか、千二百億円とかいうものを投ずるようになりますと、資材の問題も起つて来ると思いますけれども、併し今では資金が一番大きい問題であるが、同時に電力料金は如何にあるべきかということが電源開発に期するところが非常に大きいのではないかと私は考える次第でございます。  以上一応申上げてお話を終りたいと思います。
  7. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御質問の点がありましたならば、お願いします。
  8. 山川良一

    ○山川良一君 藤波さん、今の資金の問題が結局全国的に不足して来ると思う、電力会社で。その場合にほかの地区では送電系統が関連性を持たれるから中部をやるか東北を先にやるか、多少資金の投入の仕方も何といいますか、一番能率のいい所をやるということになりましようが、北海道は全然関係がないのであるから、その不足する資金北海道にどれだけ割当るかということについて大分むずかしい問題になるだろうと思う。そうすると、その北海道はこういう理由で北海道を先に開発する必要があるとか、少くともこういう地区は優先的に資金を投入する必要があるというような、何かあなた方の資金をとられる場合の北海道を先にする根拠をお持ちでしたら、一つおつしやつて頂きたい。
  9. 藤波收

    参考人藤波收君) 北海道は何といいますか、天然資源、主に地下資源、殊に石炭のようなものがたくさんございますし、それから農産物、水産物のようなものもございますが、どうもまだ内地並みの開発をいたしておりません。いわばまだ子供のようなものです。でそれを開発することが国土の狭くなりました日本では非常に急務であると考えております。それにはほかの地域よりも何といいますか、露骨に言いますと、採算を超えて国が資金を投入されるほかはないのではないかと思うのであります。丁度まあ鉄道であれば鉄道の収入ということがありますけれども、道路を作つても收入はない。併し道路を作ることは必要であると同じような意味で、北海道には特に当分の間資金を投入する必要があるのではないか。そういう意味におきまして、電力も同じような意味で、丁度今山川さんのお話になりました通りに、本州方面であれば融通はききますけれども融通はききませんから、その融通のききません分も込めまして、例えば私はさつき一五%ということを頻りに申上げておりますけれども内地で一五%であるならば北海道は二〇%か二五%余裕を持つほど、内地が一〇%でありますならば、その時分には北海道は一五%くらいの余裕を持つ、二〇%くらいの余裕を持つような電源が、いろいろな北海道で興りまする工業に先んじて行くような計画を立てることが非常に必要なのではないか。今までのところ私の感じましたところは、北海道は気象の関係、それから交通運輸の関係、すべて内地よりは劣つている。便利が惡いのであります。私どもで電柱を建てますのは、北海道では材木がありますけれども、電柱は本州のほうから送つております。本州の秋田あたりだけじやなくてずつと遠い紀州辺から来くようなことがあるのであります。さようなわけで、今は北海道には相当に金を注ぎ込んで開発しなければならん次第である。この意味におきまして北海道でできる開発内地並みの開発ということでなしに、特に力を入れてやつて頂きたい。それから又電力の非常事態におきましても他の救援を受けるということができないのでありますから、幾分か余裕があるという状態に置きませんと、需用は成立ちません。そういう意味を兼ねまして、北海道には特に何といいますか、普通の比例以上の資金を投入して開発を助けて頂きたい、かように考えている次第であります。
  10. 小野義夫

    ○小野義夫君 北海道は、現状におきましては、日本でまあ第一の電力的には惠まれた結果が出ているのですが、それに反して四国、中国、或いは東北地方は、非常にまあ今年は特にひどかつたのでしようけれども、全体から見まして非常に電力事情が惡いのです。その又一つの原因は石炭がないというので、金は出しても石炭が入つて来ない、こういうことであるのですから、北海道はその石炭についてもやはり非常手段を講ずればあるというので、そこでまあ日本のこの今のお話もありましたけれども、さて日本の産業をどういう面を開発して行くかということについて、非常に重点的に考えられると思うのでありまして、そこで中央政府が考えていますところの特殊の電力開発をするという場合において、今山川さんの言われるような段等をつけて行くと思われるのですが、四国辺で開発する、今差当り五百万キロも作ると言うのであるが、その百万キロもなかなかむずかしいと思われるのですが、その順序を立てる場合に、まあ吉野川流域なんというものは非常に安いように聞いておるのでありますが、あれらに比べるというと北海道の企業費は場合によつては二倍にもなるようにも考えられるので、北海道は差当り火力のほうへ重点を置いて水力を後廻しにするというようなことが経済的な一つの行き方ではないか、将来、遠き将来のことは又別としまして、差当りのところはそういうのが問題ではないかというふうにも考えられる。それからこの青函の間を、これは東北は常磐から火力で送るという手もあるようですけれども北海道から電力で送るということが若し技術的可能であれば、北海道の炭を焚いて発電所を向うへ持つてつて東北を援助してもらうということも、非常に炭を運ぶよりは電気を運ぶほうがいいのですが、あの青函の電力輸送というものは技術的には不可能でありますか、その点一つ伺つて置きたいと思います。
  11. 藤波收

    参考人藤波收君) 今お尋ねがありました最初の北海道電力事情が比較的よく、東北方面は非常に惡かつたということは、この夏、最近はその通りでありますが、その状態はたまたま北海道はよかつたのでありまして、若しも北海道に今年の、先般のような渇水北海道で起れば事態は同じであるかも知れません。その程度は、つまり渇水がどの程度に来るかというだけの問題で、東北が従来惠まれておりましたのが、殊に最近二、三年間は非常な豊水で惠まれておりましたのが、その裏が来たという恰好であります。実質的にはそう差はない。でありますから北海道も油断をいたしますれば同じ事態が来る。ただ東北には私どものほうのようには火力設備が殆んどありませんから、その点は違いますけれども、これは従来は東北の火力は、関東の火力がその代りをいたしておりました。今度は分断をいたしましたからその関係が少し何といいますか、複雑になつておりまして、ああいうふうになつたのだと思います。  それから四国で水力を作れば安くできるが北海道水力は高いという、これは高いのであります。高い理由は、先ほど申上げましたように、地形、地層等によるのでありますけれども、併しその差は今小野さんがお話になつたように二倍にはなりません。この表を御覧になりますと、一キロワット当り十一万円くらいの数字が出ておりますが、恐らく高いというのはまあ二割から三割、大きく言いましても五割は開かないんじやないかと思います。でありますから北海道水力内地水力平均よりもよくはありませんけれども、併し地点によりましては余り変らない、或いは内地の惡い地点よりは北海道地点のほうがよいという地点もあるのであります。さような地点をどんどん開発して行く。それからもう一つは、石炭がありますから北海道火力に依存して、水力開発は他の方面にやるのが順序ではないかというふうに承わつたのでありますが、従来火力発電の一キロワットの建設費は水力の建設費の約三分の一で上つたわけであります。大きく言いますと四分の一くらいで済んだときもあります。例えば水力が五、六百円でできるときには火力は二百円前後、安いのは百五十円くらい一キロワットでできたのであります。ところが最近はいわゆる金へん景気でありますか、金属類の値段が非常に上りまして、そのために火力の建設費も非常に高くなりまして、水力との開きが非常に少くなつたのであります。只今概算で申上げますと水力一キロワットの建設費は約十万円かかります。それに対しまして火力は約八万円くらいかかる、惡くするとそれ以上かかります。さようでありますから水力を作りましても、火力を作りましても、これは十万円と申しますのは全国の平均でありますが、その初めにかかる金の開きが割合少いのであります。ところが水力のほうは壽命も長くなりますし、運転費もたくさん要りませんし、火力のほうは寿命が短いから償却費もたくさん要りますし、運転費も要りますし、一番大きいのは石炭であります。石炭が要る、燃料費が要る、非常に大ざつぱな言い方で済みませんが、大ざつぱに少し誇張して言いますと、殆んど燃料費代が余分に要るようになります。さようなわけでありますから、北海道でも水力を作つたほうが、北海道で作りますれば運賃だけは安くなりますが、それでもその石炭を使うよりも水力本位で開発したほうがいいことになります。それから今の内地水力との差は二倍にはなりません。その差は火力は確かにありますが、そう大きく開かない。特殊の地点につきましては内地と余り変らないものがある、そういうものはどしどしやつていいんだ、かように考えております。これでお答えになりましたでしようか、どうでしようか。なお……。
  12. 小野義夫

    ○小野義夫君 青函の連絡…。
  13. 藤波收

    参考人藤波收君) 青函連絡のことでございますが、それは今の技術でもただ送るということならば不可能ではないと思いますけれども、経済的にそれが成立つかという問題になりますと、まだ当分はあすこを送電して渡すというよりもむしろ炭を青森、八戸へ持つてつてそこで発電されたほうがいいと思うのです。それから北海道の函館方面も、半島方面水力がありませんし、それから火力を作りましても炭はあの半島のほうには余りないので、若干はあるようでありますが、主に中心部にありますから、それまでの運賃が相当かかります。海を渡るのと渡らないのと違いますが、ここには石炭の專門家がおられますからして石炭のことは余り申上げませんけれども、とにかく北海道の端つこのほうには余り、水力で申してもでありますが、火力でも余り有利な地点はありません。その点北海道火力で作りますより、もう少し奥のほうでむしろ水力で作つたほうがいい。まあ非常に送電距離はあります。それから東北のほうは、将来はわかりませんけれども、現在では青森方面には余り電力の需用がないのであります。もう少し奥のほうに入らないと電力の需用はない状況であります。将来非常に電力が殖えれば又状況は変ると思いますが、現在、近き将来も北海道発電をして東北に渡すということは経済的に無理ではないかと思います。
  14. 小野義夫

    ○小野義夫君 もう一つ、北海道で三十万キロ、遠い将来でしようけれども、三十万キロを、今の丁度倍ほどのところまで持つて行きたいというようなお話にちよつと承わつたのでありますが、その要する資金は約六百億程度要るということで、私はまあ二十万円もかかるのじやないかというそろばんが出たのでありますが、それは先ず別としまして北海道でそういうふうにどんどん増して行く事業は、どの方面の事業に需用が非常に増加して行きよるんでしようか。その点一つ産業上の需用としてどの方面に多く必要とされるのでしようか、相当あるのでしようか、需用の増加ですな。
  15. 藤波收

    参考人藤波收君) 北海道の現在の一番大きい需用は鉱山、主に炭鉱でございますが、これが金属の鉱山まで入れまして殆んど四割でございます。そのほかがパルプ、紙、肥料、まあ電力のほうで言いますとそういうものが主なものであります。だんだん各種の工業が入つて来るようになつておりますが、大体、私どものほうでは直接供給はいたしておりませんけれども、室蘭方面の製鉄関係のもの、これが大きなものであります。伸びるのも大体同じようなものが伸びるので、非常に新規のものが伸びるということは少いと思います。肥料なんかは最近相当に伸びております。
  16. 古池信三

    ○古池信三君 ちよつと簡単なことをお尋ねしておきたいのですが、やはり先ほどお話があつたように、北海道における将来の開発は第一に水力をやらなくちやいかんと私も思います。それについては、中央部の大雪山の雪を一つ北海道のために十分利用するようなことをお考えなつておられるかどうか。双雲別あたりはその一つだと思いますけれども、将来あの雪を十分に利用されて、例えば雨龍のような、ああいうよい発電所をたくさん造つて行くということが必要だろうと思います。それからもう一つは湖水がありますが、洞爺湖であるとか支笏湖とか阿寒湖、これらの湖水は完全に利用されるような計画只今立てておられるかどうか。特に阿寒湖については、いろいろ天然記念物の関係があると存じておりますが、それらの方面には今どんなふうに手を打つておられるか、先ずこれを一つお聞きしたいと思います。
  17. 藤波收

    参考人藤波收君) 只今の大雪山の雪を利用せよというお話は非常に御尤もであります。先ほども申上げました石狩川上流の双雲別第一というのは、それに対する一つの計画でありまして、石狩川の雪をそこで集めようということであります。今お話のありました雨龍もその一つでありますが、やはり北海道で雨量の割合多いのは日本海に沿うた方面、それから大雪山方面、こういうところであります。それから先ほど然別というのを申しましたが、あれもやはり大雪山にかかる山の部分でございますが、それが一つであります。それから十勝川の支流の糖平川というのを申上げましたが、これは十五万何千キロの計画でありますが、この糖平川と申しますのは、音更川にダムを造りまして水を溜めるわけでありまして、これは私も先月行つて見て参りましたが、相当のダム地点があります。むしろダムが大きくできて、その中に溜まる水が不十分であると、そういうふうに造れば大きくできます。まあ経済的にそれまでにはならんと思いますが、そういうところがあります。それから今の十勝川の岩松というダムがありますが、これは上流のほうは十勝方面から結局は大雪山のほうにかかつて行きますが、その方面にもダムを造つて水を溜めるということを計画いたしております。それから支笏湖は現在北海道発電方面には最もよく利用されておる湖水の一つであります。そういう意味で北海道で随一であると思います。近来は、あれから出る川は千歳川でありますが、それでなくて札幌の所を流れておる豊平川の上流、つまり定山溪の上流ダムを造つて、その水を支笏湖に入れて、又再びそれを取戻して発電をするという計画計画としてはできております。これは併し早急に実現するかどうかわかりません。洞爺湖のほうは現在相当に利用しております。なお洞爺湖の周囲の川をあそこに入れようとするのでありますが、これは併し海抜が余り高くありませんです。その意味で利用価値が少い。然別は海拔八百米くらいありますが、支笏湖はそれより低いと思います。それから阿寒湖のほうは、あれは非常に有名でありまして、或る程度まで使つておりますけれども、現在のところ他から水をあそこへ入れるということもちよつと計画がありません。それからあれは水量が小さいのでありまして、余り大きい期待が持てないのであります。そのほかに屈斜路湖というものがありますけれども、これも割合に海抜が低くて、検討はいたしておりますが十分ではありません。併し今お話のような気持で、なお雨龍の下にも鷹泊のダムを造りまして、それから空知川方面とか或いは日高方面の川に貯水池をやる計画を持つて調査をいたしております。まあ北海道では所によりましては雨よりも雪が放水量の大部分なつておりまして、雪を利用するよりほかないと思います。せいぜいそういう方面に進んで行きたいと思つております。  それから先ほど小野さんに御返事するのを少し忘れたところがありますので附加えますが、北海道で三十万キロ開発計画といいますのは、この頃新聞なんかで御覧かと思いますが、こちらで出ます六千億とか七千億とかいう計画にほぼ当つておるのであります。大体北海道では大抵のものが全国の二十分の一くらいの標準になつておりますが、二十分の一の標準で進めましたのではなかなか追いつきません。もう少し北海道では率を多く開発しなければならんと、さように考えておる次第であります。
  18. 古池信三

    ○古池信三君 次にこの火力の問題についてお尋ねしたいのですが、先ほどもお話がありましたように、北海道の需用の産業としまして大きな部門が炭鉱によつて占められておる、それで炭鉱と電力会社というものは北海道においては特に関係が密接であると私は思うのであります。この現在の例におきましても、炭鉱の所有しておられまする自家用発電設備を相当委託して利用されておるように見ておるのでありまするが、そうなりますと電力会社と炭鉱のほうと共同して設備を造るというようなことも一応考えられるわけであります。先ほど住宅の例を引いて電源開発の問題をお話になりましたが、炭鉱のほうの金と電力会社の金とを合せてそこに共同的な会社を作つて発電するというようなことについては、お考えなつたことがありますかどうですか、お尋ねいたします。
  19. 藤波收

    参考人藤波收君) 今のお話のようなのは、これは古池さんも御承知であると思いますけれども、先年石狩火力というのが炭鉱四社か五社と発送電と合同しまして、いわゆる一種の共同火力の形式でやりました。それが後に日本発送電に引継がれまして、今の砂川火力なつておるわけであります。今のような構想でやりますことは、今は計画をいたしておりませんけれども、そういうことも非常に面白いやり方であると思います。何しろ火力は炭に依存するのでありますから、炭鉱方面とタイアツプすることができれば、その点は非常によいと思うのでありますが、只今のところはまだそういう具体的のものは持つておりません。
  20. 古池信三

    ○古池信三君 戦時中は非常に電力供給事業の独占性が強く言われたのですが、只今はそれよりもむしろどうしたら早く解決できるかということが主眼でありまするから、電力会社一本でできにくいような場合には、そういうように炭鉱とタイアツプされて、少しでも早く設備もでき、又石炭供給方面もそれによつて確保できるようなことを考えられたらよいのではないかと思いますものですから、一応お尋ねしたわけであります。
  21. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほどのお話で、将来の電源開発資金の調達が第一と、それから資金調達をするにしても、更に電力料金のきめ方が非常に問題であるというお話は私は御尤もだと思うのでありまするが、参考にちよつと承わつておきたいのでありまするが、将来まあペイするような行き方で考える場合に、大体どのくらいにお考えなつておるかどうか、将来の研究資料にちよつと承わつておきたいと思います。どのくらいの電力料金の線に持つて行つたらいいのか、ほかのいろいろの條件には制約されると思いますけれども……。
  22. 藤波收

    参考人藤波收君) 新たに水力なり、火力なりを作りますと、いわゆる電力の総合原価という多少の、いわゆるフエア・リターンなどを見込みますと、一キロワツトが、先ずこれは大ざつぱな話でありますが、六円以上八円以下、まあ大体七円前後ぐらいに落ちつくのじやないかと思います。これは併し何と言いますか、電燈のような末端の料金には当りません。いわゆる発電原価、そう配電の先までは入つていない、その辺の数字なつております。そうしますと、現在の少くとも二倍以上三倍に近いのであります。先ず三倍と申上げたほうが端的に当つているほうに近いのではないかと思います。
  23. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先般の改訂料金の更に三倍ぐらいに持つて行かなければ、採算がとれないだろうということでありますか。
  24. 藤波收

    参考人藤波收君) 大体さようでございます。三倍まで行きませんけれども、実際上そういう数字なつております。
  25. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 先ほどお話の中にもございましたように、この領土が狭くなつて、人口問題の上から考えましても、又食糧問題から考えましても、北海道総合開発ということが非常に重要になつて来るわけであります。それに当つて原動力である電力が、お話によりますと内地に比べて倍にはならんが、三割乃至は五割ぐらいは発電原価というものが高くつくだろう、こういうことになりますと、自然電力料金というものが、内地に比較して今の仕組でありますと、今後北海道ではずつと高くなつて来なければ会社の採算がとれない事態になるということが、これは予想されるのであります。そういうことになると、北海道総合開発計画というものの進展に非常な障害になるように思うのですが、こういう将来の電力料金と北海道総合開発の推進の状況などに、今のこの九分割をいたしました制度の下においては、非常な私は障害が来るように思うのですが、お考えなり、対策なりがございましたらお聞かせ頂きたいと思います。
  26. 藤波收

    参考人藤波收君) 今のお話の九分割の関係でございますが、これは現在では水力火力の調整をいたしておりまして、水力の賦課金、火力の補給金ということによりまして或る程度緩和されております。併しこれが非常に永続性のあるものであるかどうかということについては疑問に思つております。併し北海道電力開発しますのには、今先ほど申上げました通り総合原価は高くつきます。高くつきますが、これは民間で、今のような会社でやりましても、それから昔の日本発送電のような会社でやりましても、高くつくことは高くつくのであります。その料金を、まあ日本発送電のような会社のときには、全国プール制にいたしましたから、そういうことで調節いたしました。今後これは国がどういうふうにお裁きになるか、その方針で必ずしも北海道電力を高くしなければならないということにはならないのじやないか。まあ端的な方法は電源開発に対して補助金を頂きますれば安くなります。又補助金を頂けませんでも、料金面において何かそういうことに対する補助を頂きますれば安くなります。全国的にやりましても北海道の総合原価そのものは高くつくのでありまするが、それをどういうふうにして高くならないように、つまり北海道電力を使う人が高い料金でなくて済むようにするかということにはいろいろ方法があり得ると思います。九分割の影響があると言えばありますけれども、又それを救う方法がないこともないと思うのであります。現に北海道の地方のかたがたは何か電源開発に対する補助金のようなものが頂きたいとか、欲しいとか、いろいろ希望を言つておられるようであります。一番早い方法は電源開発に対しまして何か補助金のようなものを頂くということができれば、これは一番端的に早いのであります。それができなければほかの方法、つまり北海道電力料金を如何にして高くしないようにしようかということを国のほうでお考えになれば、方法はあり得ると思います。かように考える次第であります。
  27. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 今の藤波さんのお話でありますが、政府が何らかの特別対策を持たなければ、自然内地に比較して北海道電力の料金というものは将来高くつく、これはまあお話でよくわかるのですが、只今の政府の方針で、果して将来そういうことがやつてもらえるようにお考えなつておるのでございましようか。
  28. 藤波收

    参考人藤波收君) それは少し御返事がしにくいようなお尋ねであると思うのでありますが、地方としてはそういうことを期待いたしております。
  29. 山川良一

    ○山川良一君 北海道水力火力開発ですが、これは開発だけじやちよつと駄目なので、結局貯水能力がどれだけあるかというのが、非常な大きな問題であると思う。すぐ渇水なつて参つてしまうような発電所は、我々は開発してもらいたくないので、そういう見地から、北海道開発されようとしておられる水力発電所と、それから内地でいろいろ考えられておるのとのウエイトですね、まあすぐ渇水で参るようなのが、どつちが多いのか、我々勉強が足りないので、全体的にまだわかつていないのですが、あなたのほうで我田引水になつてもよろしいですから、一つそういう点を感じでもいいですから、おつしやつて頂ければ結構だと思いますが…。
  30. 藤波收

    参考人藤波收君) どうも少しむずかしいお尋ねのように思うのでありますけれどもですね、要するに北海道でも相当比較的に有利な地点があるのであります。有利な地点については今の御懸念はないと思います。併し全体の平均で言いますと、何と言いましても雨の降り方が違うのでありますから、それはどうしても仕方がない。仕方がないのでありますけれども北海道開発しました水力が、割高ではありますけれども、箸にも棒にも掛らない、あとで厄介なものになるということは言えないと思います。やり過ぎになるということは私は決してないと思います。むしろ北海道水力開発がやり過ぎになると思われるまでに行つたというときが丁度いいくらいじやないかと思うのでありまして、今内地との振合いにおきまして北海道開発を遠慮する理由は何にもないと思います。それから火力発電につきましては、これは内地火力と別に変りはないのであります。ただ発電所を作ります時分にたくさんの労力か要りますと、内地からやるとか、いろいろなことがありますから、幾分の不利がありますが、これは大して違わない。むしろ炭の値段に依存するのでありますから、火力発電に関する限り内地と違いありません。場所によりましてはむしろ北海道のほうが有利と考えられます。その火力と比べましても北海道水力はなお開発すべしというのが、私の意見であります。
  31. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと私から一点伺いますが、これは数字的なことでございますが、今日御提出願いました資料の二頁にありまする二十六年度の需給見透しは、下期決定において四億六千二百万キロワツトアワーの不足を来たすことになつております。これは損失率をどれだけに見ておられますか。
  32. 藤波收

    参考人藤波收君) 二八%くらいに見ております。
  33. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 大体北海道の損失率が二八%を上下しておることは承知いたしておるのですが、公益委員会のほうから出ておる資料では、これが二三%くらいのところで出されておりますが、二八と二三%と、五%としますと、北海道の全発電量を仮に八十八億キロワットアワーとしますと、四億乃至五億の差が生ずるわけで、非常に大きな差でありますが、これは御承知になつておりますか。公益事業委員会がさような見通しで扱つておる……。
  34. 藤波收

    参考人藤波收君) それは承知しておるのであります。承知させられておるのであります。これは甚だおかしい言い方をしますけれども、二十六年度の電力需給調整をいたしますときに、近年非常に豊水でありましたために、九カ年平均平均水量よりも十廻つた数量を取ることを或る方面で主張されました。併し私どもはどうも何年平均と出ている数字を上廻つておるということ非常に合理的でない。或いはまあ実際には出るかも知れませんが、悪いこともあるかも知れない。それは平均なんですから、それ以上に取るということは無理であるという主張をいたしました。それは容れられました。ところが一面ロスが三〇%近くある。これは先年もつとロスが低かつたときもあるのだから、これはロスを低くしよう、これは正しい御意見であると思うのでありますが、そう言われてもすぐにはできない。少しの年月はかかるのでありますから、年月がかかるということを申しましたけれども、どうも割当の数量が減るためにロスを減すべしということでやつておるのであります。ここらにやはり渇水期になりますと無理が出て来るのでありまして、五%といつたようなこの数字は実に大きい数字であります。その数字が或いは水の見合いになつて行つたような感じがするのでございます。その数字は私ども今ここに変えますと、実際はなかなか、この夏以来このロスを軽減させて若干やつておりますが、ここまで効果を上げることに達しておりません。それを最後に達するであろうという数字まで押えられるという形でありまして、ここで露骨に言いますと、その点では無理であると思いますけれども、併し一面では又電気をたくさん供給して産業を盛んにするという見地からおやりになつたと思いまして、付いて参つておる次第であります。
  35. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと、一口で申しますと、公益事業委員会の提出しておる発電計画数字は、北海道に関する限り総発電量の四%乃至五%、絶対量で申しますと四億乃至五億キロワツトアワーだけは現実に不足する、こういうことでございますね。それだけロスが、不可能のものを軽減しておるわけですから……。
  36. 藤波收

    参考人藤波收君) それは北海道だけではありません。(笑声)
  37. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それはわかりました。それからもう一つは、負荷の伸び方が北海道もなかなか活発なようでありますが、今の御方針としては新設負荷の受付は殆んど無條件で許しておられますか、或いは相当なやはり抑制をしておられますか、その点の実情をお伺いしたい。
  38. 藤波收

    参考人藤波收君) 大体この需給のバランラをとるという面だけから行きますと、抑制をいたしたいのであります。併しどうも細かい事業に対しまして抑制することは無理であると思いまして、例えば電燈とか、小さい小口のものに対しましては余り抑制をしないようにしております。併し大きい事業に対しましてはできるだけ待つて頂くというような方針でやつておりますが、完全に抑制するというのじやなくて、中間抑制を希望しながら、止むを得んと思うものは少しずつやつて供給を殖やしております。若干今までお使いなつておるものがおやめになるものがあります。さようなものがありますから、その見合いにおきまして新規の事業にも若干置いておりますけれども、非常に何といいますか、お奬めするとか、進んで置いて行くというところまではやりたいのでございますけれども、やれませんからやつておりません。又非常に押付けるということが、需給のバランス等からいえばそれをやりたいのでありますが、それも中庸を失するという考えで……、こういつたようなことです。
  39. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それから電源開発のことで一点伺いたいのですが、先ほどあなたのお話を伺つておりますと、甚だ私はつきりしない点が一点ありますので改めてお伺いいたすのであります。それは水力北海道において特に開発をしなければならんという考えは非常によくわかります。ただ問題はその開発の方法でありますが、あなたのお話を伺つておりますと、一方においては開発会社、或いは開発業者というような別の担当者で行なつても原価は高くなるので同じであると、こうおつしやつたのでありまして、この御言葉の裏を私なりに解釈いたしますと、配電電力会社でやつたほうが能率がいいと、こういう工合におつしやつておるのだと、こう伺つたのでありますが、そうしますと、半面において北海道電源開発は採算外のことも行わなければならない点も出て来るので、当然これは国で何とか善処願いたい、即ちこのことは国家資本で行うべきである、こういうようなお説であると思うのです。又古池委員の質問に答えられましては、共同火力のような点も甚だ結構である、こういうこともおつしやつた、従つて現実にこの電源開発を行います場合に、もうすでに東京におきましてもいろいろな具体的な案が発表されておるわけでありますが、あなたがたといたしましては、今お述べになつた御意見等を集約されて、北海道電源開発にはどういう方法でやつたならば、一番手つ取り早くて金も集まり、効果も上るかということをどういう工合にお考えなつておるかという点をもう少し掘下げて御説明願いたい。
  40. 藤波收

    参考人藤波收君) 電力会社の者としましてですね、北海道電力北海道電源開発に主として当るべきものである、かように考えておるわけです。併し北海道電力が当ります時分でも、国庫の支持を得たい、さように考えております、それから、それでは北海道電力でどの程度できるか、ほかにいい方法かあるというのであれば、それを阻止する考えはありません。そういう方法があればそれでもいいと思うのでありますけれども、今私ども考え及んでいる範囲内では、北海道電力北海道では電源開発に最も何といいますか、仕事を進めやすい立場に立つておると考えられます。今の炭鉱方面の共同火力のような考え方は主に資金面から行つております。それに石炭の問題がからみますので、ここでは火力燃料問題としましてかようなことも考えられますけれども北海道電力で力がありますれば、我々としては自分でどんどん火力を作つて行きたいという考え方で、若し我々の希望がかないませんで、民間資本、或いは我々の調達し得ます資金開発できないときには、それでも我々が頑張りまして、北海道電源開発に支障を及ぼすようなことがあつては相済まんと思いますから、さようなときには他の適当なる方法をとられることなら我々は進んで賛成するものであります。
  41. 佐々木良作

    佐々木良作君 ちよつと見当でよろしうございますが、私あとから来ましたので、或いはお話があつたかも知れませんが、若しお話があつたなら省略して頂きたいと思いますが、今の需用ですね、需用の構成のパーセンテージでどのくらいですか、大口電灯、電熱関係は。
  42. 藤波收

    参考人藤波收君) 電灯は約二%です。
  43. 佐々木良作

    佐々木良作君 それは電灯だけですか。
  44. 藤波收

    参考人藤波收君) 電灯だけです。夏と冬で多少キロワツトアワーの構成が変ります。冬のほうが少し出ます、多くなります。夏の場合は少し減りますが、大体二〇%、あとは……。
  45. 佐々木良作

    佐々木良作君 それでは家庭用電熱のようなものは。
  46. 藤波收

    参考人藤波收君) それに含んでおります。
  47. 佐々木良作

    佐々木良作君 電灯に含んでおりますか。
  48. 藤波收

    参考人藤波收君) はあ。
  49. 佐々木良作

    佐々木良作君 それからもう一点、これは増加需用の、上期で言いますと一七%くらい出ているらしいというふうに書いてありますが、伸びておる需用の主なものはどんなものでございますか、産業別から見て。
  50. 藤波收

    参考人藤波收君) 炭鉱方面でございますね。やつぱり肥料、電気、化学方面、それから北海道、私のほうとしては直接ありませんが、北海道としましては製鉄、製鋼関係、パルプ、製紙、さような方面……。
  51. 佐々木良作

    佐々木良作君 そういうもので、大体伸びの何%ぐらいですか。
  52. 藤波收

    参考人藤波收君) 何%と言いますのはおのおのが何%ですか、全体の量ですか。
  53. 佐々木良作

    佐々木良作君 一七%なら一七%増のうちの、そのもののキロワツトアワー中に大口のものはどれくらい占めておりますか。四、五〇%占めておりますか。
  54. 藤波收

    参考人藤波收君) もつと多いと思います。六〇%ぐらいだと思います。
  55. 佐々木良作

    佐々木良作君 そうすると一般の電灯、電熱としてはどのくらい伸びておりますか、電灯電熱だけ。
  56. 藤波收

    参考人藤波收君) 先ず四%ぐらいあるかどうかと思つております。今的確な数字を持つておりませんけれども
  57. 佐々木良作

    佐々木良作君 有難うございました。
  58. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 午前中の委員会はこれにて休憩をいたしまして、一時から再開いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後一時三十一分開会
  59. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 午前中に引続きまして委員会を開会いたします。  おいでを願いました参考人のかたがたに一言御了解を願つて置きたいと思います。御案内を申上げましたように、現下の電力事情に対処いたしまして、各社でそれぞれ御責任の範囲内において御苦心をなさつておるわけでありますが、その実情につきまして、第一には、今後の電力危機に対する具体的な方策、第二には、電力相互融通に関する意見、第三に、火力用燃料入手状況並びに見通し、第四に、電源開発現状と今後の年次計画、並びにこれに関する各種方策、第五に、電気事業経営上の諸問題につきまして、各社の腹蔵のない御意見を承わりたいと存ずるので拘ります。私ども委員会といたしましても熱心に電力事情の調査に当つておるのでありますが、公益事業委員会を通じまして各社の実情説明を求めておるわけでありまするが、各社には、それぞれのお立場もあり、御所見もあろうかと存じまして、公益委員会を通じての実情調査はさような意味から申しますると隔靴掻痒の感なしとしないのであります。本日は特に固苦しい証人喚問の形式をやめまして、参考人として御列席を願いまして、御所見を伺うようにいたしましたのも真意はそこにあるわけでございまするから、どうか御腹蔵なく今日の電力事業の危機並びに将来の問題になつておりまする点から開発についての御抱負をつぶさに承わりたいと存ずるのであります。御発言時間は各社とも四十分程度予定をいたしておりまするから、その範囲内におきまして適宜御発言を頂きたいと存じます。又議員諸君の御質問は、本日予定をいたしております東北電力、東京電力、中部電力の三社の説明が一応終了いたしましてから一括していたしたいと思いますので、さように御了承を願いたいと存じます。では東北電力株式会社から御説明をお願いいたします。
  60. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 私東北電力の社長内ケ崎でございます。よろしく。  第一の聽取事項のイ、今後の電力危機に対する具体的方策につき御説明申上げます。詳細はお手許に差上げました別紙電力事情の見透しと今冬の渇水対策と書いてありまするが、大体のことを申上げて見ますれば、本年の夏の異常渇水影響としまして、この異常渇水は、私ども電気事業に携つてから殆んで見ないほどの大渇水でございまするが、この異常渇水影響としまして冬の期間、下期に響きますのは、東北電力におきましては十和田、田沢及び野尻湖この三貯水池の使い込み分でございます。その量は電力に換算いたしまして七千百七十万キロワツト時であります。これが対策といたしましては、目下工事中の発電所の工期の繰上げによりまして約三万キロワツト時の設備を冬の渇水期に運転できるよう画策いたしまして約二千三百万キロワツト時の発電を可能にし得る見通しがついております。そのほか発電所の改良工事、送電線の新設、諸設備の改良工事等で約二千万キロワツト時、合計四千三百万キロワツト時の供給力の増強ができます。そのほか年度当初の計画以上の火力発電所の運転、自家用火力発電所の動員、それから国鉄の上越線の切替え、これは只今私のほうから送電をいたしておりますが、国鉄の小千谷の発電所の完成によつて向うの電源に切替えられるのでありますが、その切替え等によりまして約三千万キロワツト時の供給用の増強を見込みますので、合計約七千五百万キロワツト時となりまして、貯水池の使い込みは十分埋め合せができることに相成ります。以上の供給力に対して需用は年度当初の計画に対し需用が上廻つているので三彩程度の不足をすることになりまするが、これに対しまして社内は勿論、従家員一同の電力使用を強度に合理化すると共に、一般需用家にも電力使用の合理化を指導宣伝をして切り抜けたいと考えまして、目下推進中でございます。なお冬期異常渇水ま見舞われるような事態なつたならば、次に説明申上げます非常時地帶間融通によると共に、貯水池の田沢湖、十和田湖両湖の湖面の非常低下によりまして約三千万キロワツト時の増加を計画いたしまして、技術的な諸調査を終つているので、かかる不幸な事態が若し起つた場合には、湖面の非常低下を実現いたしたいと思つておりまするので、この際には是非各位の御援助をお願いしたいと考えておる次第でございます。  なお御参考までに十和田湖の水位を申上げますと、今日現在、十月二十九日現在に十和田湖の水位は〇・六〇七メートルでございます。これの最高は一・六七メートル、又今冬の計画水位は十月末でありますが、一・六二メートルです。それが〇。六〇七で大分計画を下廻つております。それから田沢湖、このほうは本日現在で二メートル三八、二・三八、最高の水位は十二メートルであります。十月末の計画水位は九メートル五〇、それが二・三八になつて、これも相当に切つておるわけであります。以上がイの説明でございます。  次はロの電力相互融通に関する意見、これを御説明申上げます。第一に、基本的な構想を申上げますが、現在電力会社間に契約されている電力相互融通は、電気事業の再編成に当り各電力会社への発電所の帰属は、各社の供給率が同じになるよう努めましたが、送電系統の分割等に困難があつて発電所の帰属のみではその目的が達せられなかつたので、その点を補正するために強制的に電力融通が行われることになつたものと承知いたしております。従つて日々行わるべき融通量につきましては、再編成当初の計画によつて、あたかも融通量に相当した発電所が相手会社に帰属したというような観念で実施さるべきものと考えておるのであります。又融通量に対する責任の範囲については、水力発電量が不可抗力の天候によつて支配されるから、融通量についても計画火力発電量並びに水力貯水池発電量を考慮した出水率によつて変更し得るものでなければならないと考えます。以上は平常時でありますが、本年夏から初秋において経験したような異常渇水時におきましては、電力会社の採算を無視した諸対策にもかかわらず、供給率甚だしく低下いたしまして、社会問題を惹起した地方もあつたのは甚だ申訳ない点でありまするが、かようなこともあつた点を考慮いたしまして、今後基本の電力融通契約のほかに、非常事態における対策の必要を痛感するものでございます。非常事態、即ち一社又は数社があらゆる努力にもかかわらず供給率が低下し、社会問題惹起の虞れある場合、ほかの会社から供給率に応じて非常時応援電力を拠出しまして基本契約にオーバーラツプして融通するようにいたしたいと考えております。なお各社の供給率については、渇水の軽度なる場合は地域的に差等を認めまするが、渇水が非常に甚だしい場合におきましては、融通関連地帶はほぼ均等の供給率とならざるを得ないと私は考えます。第二は電力融通の契約についてでありますが、東北電力は東京電力及び中部電力との間に相互電力融通を行なつておりまするが、東北電力の時質として全部水力発電で、火力の補給設備は殆んど持つておりません。従つて豊水期は相手会社に送電いたしまするが、渇水期には逆に相手会社から受電して供給力を補わねばならないのであります。年度当初における需給計画は、過去九カ年平均発電力を基礎に立てられまするが、各月の実際発電力は必ずしも過去の平均とはなつておりません。上期の契約に当りこの点は考慮いたしましたが、期間を通じては過去の平均数量を保ち得るとの建前で契務締結をいたしたために、夏季の異常渇水に遭遇したために東京電力に対しては責任量の送電を果し得なかつたことは誠に遺憾であつたのでございます。下期契約に当りましては、前に申述べましたような基本構想に従いまして、出水率を加味いたしまして、融通の円滑を図るように十分考慮して契約いたしたいと考えております。なおこの点の打合せは大体了解を関係の各社間において大体の了解を得ております。それから非常事態における地帶間融通措置については、これは御覧を頂いて説明は省略さして頂きます。  次は火力用燃料入手状況及び見通しでございまするが、これは実は東北電力では殆んど火力発電設備を持つておりません。新潟県に僅かの火力設備を持つておりまするが、これは殆んど十年ほど運転をやつておりませんが、この渇水期に際しましては、非常時動員をいたして運転をいたしましたので、何がしかの火力関係はございまするが、石炭の入手というものについては大体新潟におきまして、我々のほうが消費する程度石炭の手当は十分になし得ると考えております。一部分契約を締結いたしております。この程度石炭の手配は我々のほうで十分確保し得る考えでございます。なおこのほかに非常時に際しまして自家用動員をお願いしておりまするが、それは福島県の浜通りに常磐炭鉱、それから古河鉱業の好間炭鉱それから日本水素工業の小名浜工場でありまするが、ここの三工場並びに岩手県の大船渡の小野田セメント工場この四カ所にお願いしまして、自家用火力の非常動員をお願いしております。こういうものに対する石炭の手配についても会社のほうといろいろお話合いをしまして、石炭等は相当量、炭鉱それ自体は勿論のこと、そのほかの日本水素工業さんのごときも、常磐炭鉱さんのほうと我々のほうでいろいろお手伝いをいたしまして炭を確保するとか、そういうような手配はやつております。何とか円滑に行くのじやないかと考えておる次第であります。  ハは以上で終りといたしまして、次は二の電源開発現状と今後の年次計画並びにこれに関する各種方策について御説明申上げます。第一は、継続工事の現況の御報告でありまするが、現在工事中の発電工事は次の四ヵ地点で、その工事計画の概要は次の通りであります。第一は沼沢沼発電工事、本工事は只見川筋の既設宮下発電所上流約六キロに位し、只見川の豊水期には只見川の水をポンプで天然湖である沼沢沼に揚水いたしまして貯水いたし、渇水期発電する揚水式の発電所でございます。本工事は昨二十五年三月着工いたしまして、現在出来高七九%で、今年の冬季には工事施工の関係から十三メートルの水位を低下する必要がありますので、この排水を利用して電気機器の試験をなし、合せて千九百三十五万キロワツトアワーの発電をいたすつもりでおります。これは正式の認可をもらつて発電するのでありまするが、工事関係で水位をどうしても下げる、そのときにその貴重なる水を捨てるのを発電に利用する、それを活用する、こういうつもりなんであります。本工事は二十七年の九月発電開始の予定で、すべて極めて好調に進歩いたしております。本発電所最大出力は四万三千六百キロワツトで、年発生電力量は、これより下流の既設五発電所でございますが、その増加電力二千七百八十万キロワツトアワーを含めままして、七千七百九十万キロワツトアワーで、渇水補給の発電設備であります。本工事は労務者は只今土木工事関係だけで一日七百人で、電気機械、水車、発電機、ポンプ及び変圧機等は殆んど製作済で、目下大部分据付中でございます。その次は第二といたしまして、瀧淵の発電所、本地点は青森市から西方約四十キロ、中村川の川筋に設けるものであります。八戸及び青森市の地域は特に電力不足がきびしいので、本年一月に着工いたしたのであります。現在出来高は約七五%で電気機械を今据付中でございます。最大出力は五千キロワツト、年発電量は三千三百万キロワツト時で来春の二月送電開始となる予定でありまするから、青森北部の窮状をそれだけ緩和できるものと期待しています。現在土木工事の労務者は一日約六百三十人でございます。次は三として夏瀬発電所、本発電所は田沢湖の貯水地糸のダム発電所でございます。最大出力は一万九千キロワツトであります。今年の五月本工事に着手いたしまして、堰堤工事及び発電所基礎工事中で、現在の進捗率は約四〇%であります。堰堤し流の湛水区域の営林署の軌道の付替え工事その他の附帶工事はほとんど支障なく完了いたしました。現在の労務者数は一日約五百五十人でございます。田沢貯水地は御承知の通り十和田湖と共に、天然貯水地としてこの夏以来曾つてなかつた渇水に大いに役立つたことは御承知の通りで、渇水期の補給電源でございます。従つて夏発電所も生保内、これは三万千五百キロワツト、神代、一万九千七百キロワツト、これは既設の発電所でありますが、これと共に渇水期の発生電力として、且つ、北部地帶の不足に応えるものとして大きな期待を持つておるものでございます。年発生電力量は七千二百三十万キロワツトアワーで、二十八年の五月発電開始の予定でございます。次は四として立石の発電所、これは機械が三台でありまして、最大出力が一万五百キロワツトでございますが、このうちの二台はすでに既設でありまして、一台、三千五百キロワツトを増設するのでございます。これは十和田の貯水池の調整水量及び奥入瀬川の残流の利用度を高めるためにやつたものでありまして、発生電力量は八百十五万三千キロワツトアワーでございます。本工事は鉄管路を除きまして土木工事一切は完成しておりまするので、鉄管一條と発電機一台の据付工事をやれば足るのであります。本工事の所要資金は約七千三百万円で、去る七月着工して来年の一月発電開始の予定でございます。  その次に近く着工予定工事計画を申上げます。ひとり東北のみではありません、全国的に異常渇水ではありましたが、この夏以来約四カ月余に亘る旱天続きで非常に一般需用家に御迷惑をかけまして申訳ないのでありまするが、一方年次的の需用の増加に伴いまして、当社におきましては、こういう御迷惑をかけることは結局電源の増強を図る以外に手がないと、さように考えまして、できるだけ急速に電源開発を促進すると、かように考えておるわけでありまして、比較的規模の大きな只見川筋の柳津発電所、片門発電所、この二つの新設と宮下発電所、これは既設の発電所でありまするが、これに増設をする計画等至急にいたしまして、今準備を整えて極めて近き将来に着工する予定でございます。なおこのほか経過年数約三十年に及ぶいわゆる老朽発電所の改造を要する矢別及び飯豊川、矢別は青森県であります。飯豊川は新潟県、この改造並びに出力増加工事を実施するつもりでありまするが、その概要を申上げますれば、第一の柳津発電所、これは会津の宮下線、丁度柳津町というのがありますが、その柳津町の附近に設ける調整池を持つ発電所でありまして、最大出力は四万八千七百キロワツト、年発電量約二億三千万キロワツトアワーでございます。本工事会社側の仮設備工事は殆んど完成しまして、二十八年十二月末に発電開始の予定でございます。本工事の建設資金は約三十億円を要しまするが、発電量の大なると、單位建設費の安い点においては稀に見る経済的開発地点であります。堰堤し流湛水池域内の用地その他補償等については目下関係者と交渉中でありまするが、円満なる解決を確信し、可及的に工事実施方策を推進しております。第二の片門の発電所、これは柳津発電所下流約九・四キロメーターに設けます調整池を有するダム発電所でありまして、最大出力三万六千六百キロワツト、年発電量約一億八千万キロワツトアワーでございます。本工事会社側の仮設備その他につきましては、柳津発電所と同様、殆んど完成して二十八年十二月未完成の予定でございます。本工事の建設資金は約二十四億円でありまして、極めて経済的に開発可能な地点であります。第三の宮下発電所増設工事、宮下発電所計画機械が四台、最大出力六万四千二百キロワツトでありますが、うち二台を据付けて現在の出力最大三万二千百キロで運転中でございます。只見川河川流量には多量の無効放流がございますので、所定の二台増設工事を実施して、増加水力三万二千百キロワツト、増加発電量一億三百万キロワツトアワーを発生するものでございます。増加分の土木工事中取水設備は完了し、水路隧道の導坑掘鑿の大部分と隧道の巻立の一部はできておりますので、極めて早期に且つ経済的に開発する地点でございます。本増設工事資金は約十億円を要します。今年度内に着工して二十七年五月発電開始の予定でございます。本工事実施に当つては、補償その他において何らの支障はないようであります。第四は矢別発電所の改造工事、本発電所は青森県の荒川上流にあります。荒川水系には強酸性の温泉が湧出して荒川本流に注ぎ、水圧鉄管及び水車の主要部分が腐蝕し、出力は半減いたしまして、且つ毎年莫大な補修費を要するので改造の必要を認め、現設備八百四十キロワツトを二千キロワツトに改造して、今年着手いたしまして、二十七年の十一月発電開始の予定で、工事資金は約一億五千万円であります。次は飯豊川発電所改造工事、本発電所は阿賀野川水系、加治川筋にあります。経過年数三十六年で、水路工作物、これは導水路、木管でありますが、腐朽のために改造を必要といたしたのであります。現設備出力千九百キロワツトを、最大五千六百キロワツトに改造する計画であります。増加出力三千七百キロワツト、増加発電量は二万一千百六十キロワツトアワー、今年度内に着工して、二十八年三月末発電開始という予定で、所要改造工事資金約四億五千万円であります。  なお只見川開発の問題でありまするが、只見川電源調査は、すでに六カ年に亘り広汎な測量並びに地質調査を実施しております。宮下下流については当社は早期開発する方針で、只今説明申上げました柳津、片門の両地点は、一切の準備を整えて近々着手する予定でありますが、ついで上野尻地点出力五万四千六百キロワツト、揚川地点出力八万キロワツトはいずれも二十八年中に着工する計画で、綿密な調査設計を進めております。只見川の上流につきましては、当社は旧発送電より継承した計画案に基き、引続き調査と検討を強力に実施中でありまするが、政府におかれましては、その基本的開発計画をOCIに委囑せられておるので、その成案を待つて開発方針を樹立する考えであります。なおもう一つ特に申上げたいことは、北部地帶、青森、岩手、秋田の三県を北部地帶と申しておりまするが、この北部三県の電力不足は特に深刻でございます。これに対し当社は目下工事中の湾渕の発電所、先ほど御説明いたしました夏瀬の発電所のほかに十和田貯水池系の電力の強化を図り、立石増設は御説明いたしましたが、そのほかに法量の発電所及び大湯川の工事を実施して、十和田系の出力約一万キロワツトの増強と青森県の西部の水力即ち笹内、大池、松神の主力地点を新設して、出力二万四千キロワツトを開発する計画を持つております。このほか矢別及び葛根田、これは岩手県でありますが、両発電所の改進工事等やりまして、当面の北部対策として最大出力約八万一千キロワツトを急速に開発する方針でございます。その計画概要はお手許に差上げたものに載つておりまするので、二頁でありまするが、それを御覧を願いたいと存じます。説明は省略さして頂きます。  以上で、二の電源開発の現況と今後の年次計画並びにこれに関する方策の御説明の大要を申上げたのでありますが、なお私ども、この今夏の渇水に際ましては、東北は火力発電所設備が一向ないじやないか、これは急速にやる必要があるのではないかというような御質問をちよちよい承わつたのであります。それに対しまして私はいつもかように御返事を申しておつたのであります。東北においては当分この火力発電所の新設は見合せます。やりません。水力に全力を傾倒してやる考えでおります。その理由といたしまして、火力発電所の建設は早くできるかどうかという問題、これは約二カ年の歳月を要します。然るに水力発電所只今申上げましたように、これも相当規模のものが約二カ年でできます。決して火力が工期が早いという点は考えられません。これが理由の一つ、それから第二は建設費、一キロワツト当りの建設費が、一年ほど前には、火力のほうが遥かに安い時代があつたのであります。殊に昨今は殆んど同額であるか、むしろ我々のほうの水力の有利な地点に比較しますというと、却つて高価になつております。それは御承知の通り、昨今この金へん景気、金物が非済に暴騰いたしております。ほかの物価が横ばいしておるのに対して、金物に非常に暴騰いたしまして、機械類が非常に高価につくようになつております。その焚くのであります。そこでお話申上げれば、火力をなぜ私がやりませんと申上げたかすぐにおわかりになるでしよう。こういうふうに御説明いたしております。東北は再編成後できるだけよその地区に負けないような電気を需用家に供給するという考えでおるので、当分は火力発電所の建設はやるつもりはございません、こう申上げております。なおそのときに、当分はやりませんが、併し石炭が安くなる時代も来ないとは限らない、それから建設費が安くなる時代が来ないとも限らないから、そういつたような見地から常磐炭田地方に火力発電所を置く場合にどうするかというようなこと、それから北海道炭を使つて八戸附近に相当規模の発電所を置く場合にはどうなるかというようなこと、並びにもう一つは御承知の通り山形県には非常な亜炭田があります。大炭田がございます。その亜炭田を開発して亜炭を利用して火力発電所が可能であるかどうかというような問題については着々技術的その他経済的の研究は進めておりますが、飽くまでも研究でありまして、直ちに実施する考えは三つともないのであります。併し研究だけは飽くまでも急速にこれを進めて参る、かように考えております。こういうように御返事申上げておりまするが、この点特に皆様がたの御了解を得たいと考えております。  時間も参りましたのでこの電気事業経営上の諸問題、これはどういうことを申上げるのか私ちよつとわかりませんので、これについては御質問がございましたならば後ほどお答えいたすことにしてこのほうの説明は省略させて頂きたいと思います。以上で私の御説明は終ります。
  61. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 引続きまして東京電力株式会社の説明をお願いいたします。
  62. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私東京電力の社長安藏でございます。風邪を引きましてちよつと声が聞えにくいと思いますが、お許しをお願いいたします。  先般来電力不足で諸産業或いは一般の需用者に多大なる御迷惑をかけたことは何とも申訳がないのでございます。この点につきましては如何なるお小言も如何なる御批判も受ける十分な理由があると存じております。又比較的私のほうの電力事情がよいために各地からいろいろと融通応援を依頼されましたが、できるだけのことはいたしましたけれども、その至らざるところは誠にこれ又申訳ないと思います。  私ども会社は五月一日再編成に基きまして新発足いたしました。その当時私どもが建設工事を引受けたのが群馬県の流川のそばにある箱島という発電所の二万二千キロと、東京のそばの、川崎のそばにある潮田の火力発電所ボイラー増設いたしまして二万キロ増加する、合せまして四万何がしの工事をお引受けいたしたのであります。電気の需用というものは大体一割程度の年々の増加がございます。私どもが使つておる電気が百三十万キロほどでございますから、年々の増加は十五万キロほどあるのが当然でございますにもかかわらず、先ほど申上げました僅か四、五万の増加でございますから、当然渇水がなくても足らなくなるのは当り前であります。従いまして私どもは普段からこれを心配いたしまして、できるだけ新規の需用を抑制いたしまして、又私どもが持つておりますところの設備を十分に活用いたしまして、できるだけ一キロでも多く出さなければならない。無駄があつてはならない。又無駄に流れるところの水があつてはならない。いろいろな方面に注意をいたしまして電源の不足を補おうといたしたのでございます。幸いにして五、六、七月に水がたくさんございまして、需用に応じて別に不足がございませんでしたけれども、これに送つた電気というものは、昨年に比較いたしまして僅かに五%ほど増したに過ぎませんように、私どもは送ることに注意をしておりましたが、九月頃になりまして渇水をして参りまして、私ども石炭を焚きまして火力を十分に動かしてやつたのでございます。そのときは私どもが持つております火力発電所では不十分でございまして、鉄道省の火力発電所とか或いは横須賀にあります進駐軍の発電所を借りまして、これに石炭を送つて焚いてもらつたのでありまして、私ども需用に応じ或いは他の電力会社の応援をいたしたのでございます。私どもは当時他の電力会社から実は送電をして頂くのでございますけれども、逆にこちらから送るというようなところまでやつて、何とかやつたのでございますが、いよいよ十月十日前後行詰りまして、この他地区への送りをだんだん減したのであります。他地区の非常事態が一層緊迫したために、私どもも私ども自身の需用をも制限いたしまして応援することになつたのでございます。こんなわけでして、只今は雨が降りまして一息ついておりますが、今後の渇水に会いますとまたまたひどいことが起るのではなかろうかと心配しておるのでございます。先ほど申上げました通り普段でも手入れを十分にし、ロスの節約をし、あらゆることをやつて参りました。只今新潟に中津川発電所という三万五千キロほどの発電所があります。これは実はとめたくないのでありますが、将来のことを考えましてこれをとめまして、約二ヵ月ほど前にとめて修理をしております。この渇水石炭の要る際に水力発電所を、而も三万五千キロもあるのを、一日にいたしますと七百トンぐらいの石炭に相当する発電所をとめたのでございます。実は痛いのでございますが、止むを得ず覚悟いたしまして六十日間とめまして、やつと昨日できて運転に入つたような次第でございます。かくのごとくいたしまして、冬に対する渇水に対してはできるだけ安全に送るように努力しております。私どもは能率的の運転とか或いはランナーの取替え、溪流の取入れ等にあらゆる手を皆様にやつて頂いております。それから猪苗代湖の水というものがいつもに比較いたしましてずいぶん下つております。これは一部には使い過ぎがございまして、一部は御承知の通り東北方面渇水がひどかつたために、数字で見ますと普通の年の雨の降り方の六割しかございませんでした。そんなために猪苗代湖の若干の使い過ぎと天然の降雨が少なかつたために猪苗代湖の水位が非常に下つたのであります。只今ではいつもよりも二メートル近く下つております。このままで行きますと猪苗代湖の水位は来年の三月二十日頃には全く零になるというような計算が立ちますので、又渇水の、非常に惡い場合を考慮いたしまして、これに対する対策を私ども考えております。一方におきまして石炭はあらゆる手を盡しまして、予定石炭以上に手入れをいたしまして、或いは重油或いは外国炭、いずれ後ほど燃料について申上げまするが、これらの手入れをいたしましてやつても、なお且つ三割程度の不足ではなかろうかと私どもは心配しているのでございます。幸いにして渇水がなかつたり、或いはわきの電力会社から購入いたしますところの電気が大体予定通り来るとかしますというと、それほどのひどいことはないと思いまするが、最惡の場合を考えますというと、三割近くの不足ではなかろうかということを考えまして、私どもは今からこれに対する手を打つております。需用家にお願いいたしまして節約運動をいたしております。使用の合理化をいたしております。勿論私ども社内においては、電気使い方に対しては、どちらから見ても何らの非難の点がないように社会人として個人として注意をいたし、社内用の電力のできるだけの節約をいたしております。というふうに結局はお客さんのできるだけの御協力によりましての節約と、私どもがやる工作とによつてこの危機を切拔けたいと存ずるのでございます。私どもがロスの節約をどのくらいやつたかと申上げますというと、ここにちよつと数字がございまするが、上期においては四千二百万キロワツトアワーやりました。下期においては四千八百万キロワツトアワーをやるつもりでございます。それでロスの率が青本といいますか、RB、公益委員会できめたよりも少し下廻るようになつております。これは私ども社員があらゆる方面努力した結果であると感謝しているのでございます。  石炭のことは後ほど申上げまするが、電力融通について何か言えということでございます。私ども電力融通につきましては大体の契約がございます。それによりまして電力の授受をやつたのでございまするが、他地区の状態が悪かつたために私どもは約束だけのものは無論もらえない、むしろこちらから応援するというような程度であつたのであります。従いまして契約なんかは全く無視しておりまして、契約ではこれこれを送るというにもかかわらず、私どもにはちつとも来ません、逆にこちらから送る、これも仕方ありません。お互いのことでございます。又私どもも将来渇水のときには援助してくれるのでございまするから、そういうことは言つておりません。又一々そろばんを彈いてもおりません。できるだけ相互いに助けるべく私どもつたのでございますが今後は私どもも何とかこれを当てにするようなものでなければならない。当てにならないものではとても商売はできませんから当てにしたい。お互いにこれこれまでは何とか、いろいろ方法がございましよう、出水率がいいとか悪いとかいろいろございましようが、これまでは送つてやろう、これまでは受けようというようなことをいたしたいのでございます。それから普通の場合でございまするというと、お互いの話合いによりまして、甲地区は水が一〇〇パーセント以上出た、他の地区は一〇〇パーセント切れたという場合には、もうお互いにすぐに機械的に助け合うということは従来もやつております。これは併し範囲が狭うございます。普通の豊水渇水のときでございまするが、先般のような異常渇水でございますというとこれは到底できません。この際におきましてはお互いに数日来話合いました結果、或る段段以上の差ができましたときには、これはすぐにやるように、又或る段段になつたというときにはお互いに平にしようじやないか、例えて申しますと、一番いい例は九州の門司と下関とこの間に格段の違いがあつたらば、これは何といつてもお気の毒であるからこれはすぐに応援しようじやないか。併しながら中国と東京となりますと、これは多少の段階があつてもいいじないかというふうな構想の下に、数字的に今固めようとしているのでございます。又融通考えるときには、無論おのおのの持つているところの出水率或いは負荷の制限石炭の量、火力発電量、貯水量等いろいろのものを考慮してきめるべきではないかと思うのでございます。  次は火力用燃料のことについてちよつと申上げます。先ほども申上げました通りども石炭の入手にいろいろと手を盡しております。上期におきましては、私ども予定したところの石炭以上に入手をいたしました。私ども計画したところの石炭は、大体十八万トンほど消費する計画でございました。それに対しまして石炭を受入れようとして努めたのが三十一万トンでございます。即ちその差額十万トンは貯炭に向けようとしたのでございますが、実際石炭のほうは予定通り入りました。大体三十一万トンの計画に対して三十万九千トン、一〇〇パーセント入つた。消費のほうはと申しますというと、十七万八千トンでございましたのが三十万トン焚きました。十何万トンも余計に焚きましたために、不幸にして貯炭が予期の通りできませんでした。十何万トン貯炭をしようと思つたのが十何万トンほど少い。誠にこの点は遺憾でございますが、どうしてこの石炭を焚いたかと申しますというと、需用が如何に抑制いたしましても五%殖えております。水も相当殖えましたけれども、需用の殖えたことと、他地区のほうへの応援というためでございます。下期におきましては全体を通じまして、私どもは先般の電力料金値上げの計算には、七十二万トンを織込んだのでございます。上期において約二十万トン使いましたから、下期においては五十二万トンというのが常道でございますが、私どもはそれでは満足いたしません。普通の方法で五十四万トン只今買うように手配が、殆んど見込ができましてございますが、これだけでは足りませんので、私どもはもつともつと焚きたいと存じております。そうして特別に増産のお手伝いをして、二万トンか五万トン余計に頂こうとしております。増産によりまして五万七千トンほど余計に殖やそうとしております。それ以外にインド炭を安本、通産省、資源庁のいろいろの御心配によりまして二万五千トンはできましたのです。更に私ども燃料がだんだん悪くなります、カロリーが低下いたします。従いましてボイラーで燃えにくくなりますというので、この燃えにくくなるのを防ぐという方法と、一部は石炭の補充という意味におきまして重油を二万五千トン頂くことになりまして、只今すでにこれを燃やしております。そんなわけでして、かれこれ合せますというと七十万トンの見込ができたのでございます。先ほど申上げました、冬になつてひどいときには三割くらい減るだろうというときの石炭は、私ども予定に織込んだ、五十二万トンを予期したのでございますが、それ以上に十八万トンを余計に焚きますから、三割の不足というのはずつと緩和されると存じます。  それから建設計画について申上げます。お手許に差上げました昭和二十六年度見返資金工事計画概要というのがございます。それをお開き願いますと、先ず一番上のほうに水力発電設備として小田切、笹平、三田、幸知、所野第三というのがございます。これはいずれも小さな水力地点でございます。私どもは大きいやつをやりたいと念願しておるのでございますが、私どもの管内には大きいものが、而もとにかくやれるというのが遺憾ながらないのでございます。止むを得ずこんなちつぽくさいものをやるのでございます。これを合せたところで僅かに六万に達しません。五万八千キロに過ぎません。いずれも小さなものでございますが、すでに設計ができまして、先頃このお金がどうかということを心配したのでございます。無論見返資金は当てになりませんが、この表にある、先ず今年着手するものは全体でこの下期、来年の三月までに六十三億のお金を要するのでございます。そのうち見返資金として当てにいたしますものが二十七億でありまして、差引三十六億が足りないのでございます。これは私どもが骨を折つてやらなければならないのでございます。先般銀行にお願いいたしまして、年内に二十億円、十、十一、十二、二十億円貸して頂くことにしました。それで私どもは安心してこれらの工事に着手することができたのでございます。なぜ今こんなに急ぐかと申しますと、この冬の渇水期を逃しますというと、先ず川の中の仕事が又一年延びてしまう。渇水期に着手しないと又一年延びてしまうというような心配をいたしまして、水力発電所の許可地点を早速この渇水前に着手いたしましようということにしたのでございます。この地点についてはここにございますが、一々申上げてもよろしいかと思いますが、御迷惑でなければせいぜい地点ぐらいを申上げておきたいと思います。  先ず小田切というのは長野県長野市のそばにあります。犀川を利用したのでございます。最大出力は一万六千キロの小さなものでございます。それは五ページに大体その土地のところの数字が書いてございます。それからそれに対する工事費とかその他いろいろ書いてあります。それからその裏に行きますというと、六ページに行きますというと、笹平というのがございます。これも同じ図面の小田切の上流にあります。これも一万数千キロのものでございます。  その次に七ページに三田というのがございます。これも一万キロぐらいの小さなものでございます。場所は八ページに書いてございます。東京府下の青梅でございます。多摩川を利用する小さなものでございます。  九ページに幸知というのがございます。これは図面が十ページに書いてございますが、水上附近の利根川を利用したものでございます。上越線のループに入る山のところにできるはずでございます。それから十一ページに所野第三というのがございます。これも四、五千キロのものでございまして、その場所は十二ページに書いてございます。日光線の今市のそばにできるのでございます。以上が水力地点でございます。  それから又一ページに戻りまして、火力発電所を二カ所やりたいと思つております。川崎附近の潮田に只今つておる機械増設以外に、今度はボイラー二つ、タービンを一台増設いたしまして、土地はすべてございます。水路、貯炭場、すべてございますから、工事費も安く期間も早くできます。それから鶴見というのはやはりその後の隣にございます。これも大体発電所ボイラー若干を増設いたします。これも建物と機械だけでよろしいのでございます。その他の設備もございますから、これによる出力に比較して工事費は安くできます。それからそれだけでは足りませんので、更にその中に六万キロの火力発電所を作りたいと思つております。これもすでに土地等は買つてありますから、普通のものよりも安くできるのでございます。そんなわけでして、火力で十五万キロ、水力で五万八千キロ、合せて二十万八千キロを近く着手したいと用意をしております。その他これに関連して送電線、変電所等を建設するのは勿論でございまして、それに要する金額その他はこの表にございますから略させて頂きます。只今申上げましたのは本年着手するものでございます。更に来年度におきまして着手するもの等は一枚の表がございます。水力開発予定計画一覧表というのがございます。これを御覧願つて頂きたいと思います。その表の一番上のは只今申上げました地点でございます。それから中頃から下がこれからやろうという地点を掲げてございます。これを一々御説明するのも如何と存じまするので、この表を御覧頂きまするというと、これによつて出力が年々どのくらいできるかというのは、右のほうの下の欄を御覧頂けば、何年度に一番下の何キロできるかということがおわかりかと存じます。  このようにして私どもは建設工事に着々進んで行きたいと存じますが、何分にもこれに要するお金が莫大でございます。私どもの力では到底できないのでございます。御承知の通りどもが集め得るお金というのは社債でございます。社債を発行する力というのは、先般値上げのときに御承認を得ました再評価による積立金を目当として社債を募集するのでございます。先ほど申上げました銀行から差当りの金二十億を借りたのも、これはほんの短期間でございまして、これは来年募集いたしまするところの社債を目当とした前借でございます。来年は二十億乃至二十四億の社債を募集したいと思います。その前借で借りたのでございます。社債の発行能力というものは四百ほどございますが、これをどの程度に発行し得るかということもよほど疑問であると存じます。それ以外に私どもは見返資金をお願いする。これは見返資金でございますから日本国全体の計画と睨合せまして分けて頂くのでございます。誠に気ははやつておりましても、建設工事がどうも思うように行かないのは何と言つて資金面でございます。この前もこの席に伺いましたときにお願いいたしましたが、如何なる恰好でもよろしうございまするが、国家資金の出るようにして頂きたいのでございます。又一方只今の料金では十分なる償却もできません。償却は足りんのでございます。又只今状態では満足な配当は到底できません。殊にこの渇水においては配当どころの騒ぎではないのでございます。従いまして建設資金を如何に募集するか、全くわからないのでございます。又外債の声もございますが、私どもの経営の内容を見ますというと、外債に応ずる資格がないのではなかろうかと私は思うのでございます。それは私どもが言うことは出しやばつていやしないかと思いまするが、東京電燈で募集した外債がまだ始末がついておりません。あれの金利も払つておりませんし、むしろ元金も期限が来ているのに払つておりません。始末がついておりません。又一方私どもの経理内容を見ますというと、私どもの修繕費及び償却費合せますというと、これはまあ修繕も償却も同じようなものでございまして、修繕できないものは償却でやる、償却できないものは修繕でやる、この合せた金額というものは私どもが先般値上げして頂いた総収入の二七%に当つております。ちよつと考えますと非常にいいように見えます。が、私どもが外債をこの前お願いしたときは修繕費プラス償却は一五%になつております。たしか大同のインデンチユアにも償却が七%、修繕費が八%だか、とにかく合計一五%になつている。二七%あるのならいいじやないかとおつしやいますけれども、それは少し違つておるのでございます。只今は私どもが扱つておる物価というものは三百倍以上になつています。木材にいたしましても電線にいたしましても、鉄材にいたしても何でも三百倍以上のものを、マル公のない自由価格で買つてつているのでございます。然るに私どもが売つている電気というものはマル公でございます。これも三百倍に上つているのならばそれこそ二七%は多過ぎます。私どもは一五%で結構でございますが、電力は先般上げたところで六十倍か七十倍にしかなつておりません。少くともこれは倍になれば、即ち先ほどの二七%が半分になります。つまり一三%であります。その点から行きましても私は電力代がまだ安いのではないか。即ち外債を引受けるのにはもつと上げて行かなければ完全なる修繕、完全なる償却ができないのではないかと思うのであります。従いまして六十倍の電力の値上げというものはまだまだ足りないのではないかと思うのでございます。私どもは今そういうことは申上げません。與えられた金で以て一生懸命電気供給に全能力を注いでおります。又私どもの社員は五月の発足以来、成るほど発足までは日発だ、発電だといろいろ長い間喧嘩しておりましたが、これが出発になりましてからはもうそういう空気はございませんで、ともかくスムースに仕事ができるということになつたと私は思うのでございます。社員一般が努力いたしましてこの難局に最善の努力をいたしておるつもりであります。  次に最後の問題についてちよつと申上げます。私どもは経営を預る以上、どうしても会社の経理というものは健全でなければならないと思うのでございますが一方又私どもは社内においてやるべきことは飽くまでもやりたいと存じます。先般もお約束し、或いは又各公聽会においても申されました通り、合理化ということについては先ず第一に手を打つております。お手許にたしか合理化運動の要綱が差上げてあると思うのでございますが、社内挙つてあらゆる方面に合理化を行い、先ず事務の簡素化とか或いは事務のやり方を、運行を円滑にする方法とか、或いは資材面の無駄排除或いは活用、或いは営業方面における合理化、或いは発電から送電、変電に至るあらゆる合理化ということに專門的に部門を分けまして、不肖私が委員長となり、各重役がおのおの担当となりまして、ここに一ぱいの労力を只今つております。いずれこの結果が数字に現われることと存じます。一方又この冬におきましては、従来とも電燈は消してございません。私は電燈を消してはならないというので、従来は少くとも夜間においてはつけでございます。或いは暗いかも知れません。むしろつけたために非難をこうむつております。東京は明るいではないか、俺の所は暗いではないか、もつと消せという非難も受けておりますが、私は灯は節約しても消すべきものではないというのでつけております。下半期の渇水期におきましても、成るたけ灯数は減らしてもできるだけ消さないようにといたしたいと思うのでございます。と同時に一週間に三日以上の停電なんかは到底許すべきものではないというので、これも極力避けたいと努力いたしておりますが、今後の渇水状態によつては、或いは先ほど申上げました三割足りないというようなことがありはしないかと常に心配しておるのでございます。私どもも常に猪苗代方面の貯水のあれを観測し、これによつて計画を毎日変えております。注意しております。又経営のことにつきましては、上期についてはどうということはございません。大したことはありません。赤字があつても大したことはないと思います。まだ決算のことはわかりません。併し下期に行きますというと、もう相当の赤字が多いのだろということを認めております。それは電力制限により販売電力が減つておることと、他方におきましては石炭の料金が殖えておること等でございます。従来は、去年、一昨年は稀に見る豊水でございました。従いましていろいろと出費はございましたけれども、それの赤字というものはわからなかつたのでございます。先般料金改訂に当りまして、そういう不明朗のものはあつてはならないと私も思うのでございまするが、例えば予定石炭を織込んでおつたのがたまたま豊水に惠まれまして石炭費の節約があり、剰余金がございましたらば、これをすく利益処分にすることは私どもは避けたいのでございます。これもここで申上げました通り、いわゆる渇水準備金といたしまして翌期に持越し、翌期の準備金にいたしたい、幸い規則にもそういうふうに織込んでございますから、今期豊永でございましたらば恐らく渇水準備金が翌期に持越し得たのでございますが、不幸にして、反対に渇水が先に参りました。従いまして今期は赤字の渇水準備金ができるのではなかろうかと思います。これも普通の渇水として一割、二割というならば、これは毎年平均してございますから、一年で、渇水準備金で埋合せがつくと存じますが、今度のような何十年も見ないというような渇水では、非常な渇水ですから、この渇水準備金を埋合せする機会というものはなかなか今の料金では来ないのではなかろうかと心配するのでございます。私どもは如何にして行くか、実は考えさせられるのでございますが、幸いにして大きな赤字の渇水準備金が認められ、或いはこれを政府に何らかの方法で一時埋合せて頂きまして、将来の長い間に、豊水時に返すというようなことが考え得られますならばこの上ない仕合せと存ずるのでございます。以上お聞き苦しいところ誠に申訳ございません。以上で終ります。
  63. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 続きまして中部電力株式会社の説明をお願いいたします。
  64. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 私中部電力社長井上でございます。委員長から御提示の議題の順序に従いまして御説明を申上げます。  今後の電力危機に対する方策、なかんずくこの冬場を目指しまして如何ような方策をとつているか。只今東北並びに東京両社より御説明ありましたのと考え方といたしましては同様なのであります。一面におきまして渇水を控えましてできるだけ早く発電所の完成を急ぐ、一方におきまして消費の節約面を図る、こういうことになると思うのでありますが、具体的に二、三の事項につきまして御説明申上げます。  発電所といたしましては、私どものほうでは日本発送電株式会社が見返資金工事といたしまして数年来継続工事中の平岡発電所、これは天龍川の中流どころにあるのでありますが、出力四万一千キロワット、これは当初二十七年三月に完成の予定でございましたが、特に突貫工事をかけまして、これは大体確実に本年一ぱいに完了の見込が立ちました。その関係からこの一月以降本年度中に恐らく四、五千万キロワット・アワーの出力は増強し得るものと考えております。発電所としてできますものは当地区におきましてはそれだけなのでありますが、なお別に私ども会社には名古屋に火力発電所が二カ所ありますほかに、清水に三万キロの発電所がございます。これはいろいろの関係で数年来全く発電を停止しておつたものであります。このたびこれを重油燃焼の火力に改造いたしまして、本年度中に一万五千キロワットの出力を可能にするよう目下手配を進めております。これも先ず確実に完了いたすものと考えております。その他発電力に関するものといたしましては、修繕をいたしまして出力を増加し、或いは渓流を取入れる等、細かいことでありますが、こうしたことはそれぞれに手配をいたしております。なお又自家用と提携いたしまして、自家発の火力をこちらに廻して頂く等の措置もそれぞれやつております。資料もございますことでございますから省略させて頂きます。  一方におきまして電力の損失を軽減する、或いは電力の使用を合理化する、或いは芳しからざる使用を是正して行く、こうした運動を極力展開することに努めております。損失の軽減といたしましては、下半期に私どもが目標といたしております減額は二千三百五十万キロワットアワーでございます。実は先刻東京電力で御発言ございましたが、いわゆる青本に計上しております電力の損失率というものは、私ども考えまして決して甘いものではないと考えるのでありますが、現在幸いにして私どももあれに考えられている数字よりは若干上廻ることを得たかと思うのであります。この点につきましては私どもも引続き努力を怠らないつもりであります。次に電力の使用面からの合理化でありますが、これにつきましては需用家各方面に一つ大きな運動を展開しようとしております。それに先立ちまして、これは先般来電力料金の値上げその他におきまして、一般の世論からかなり手厳しい御批判をこうむつたのであります。即ち従業員そのものの電力の使用の問題であります。私ども考えまして決して従業員が不当にルーズな電力の使用をしているとは考えないのでありますが、やはり多数の中には多少心得違いの者もあると存じます。こうしたことが大きな電力使用の合理化を展開する上におきまして多少とも支障があるということは、先ず自分みずから自粛するという建前におきまして、私ども会社は一万七千数百人の従業員がおりますが、一人残らず計量器を取付けました。電力の使用の合理化につきましては、一面におきましては精神運動も大切であります。一面におきましてやはり電力を使うことを技術的に合理化をするということで、生産量を落すことなく、いわゆる製品の生産原單位に対する電力の消費量というものはまだ確かに節約の余地があるのであります。お手許に差上げてありますこうした。パンフレットがございますが、原單位電力量の比較であります。いろいろ私ども或いは專門家によつて工場診断をいたしまして、その結果電力が相当節約されているという実例がかなり細かに出ております。こうした運動をこの冬に展開をすることによりまして、少くともこの冬やはり一割くらいの電力の節約はできるものと考えております。  それから電力の公正使用の運動であります。残念ながらいわゆるロスと称するものの中に計量し得ざるロスと申しますか、端的に申しまして盗用をされておる電力というものが未だ若干あるということを認めざるを得なないのであります。この機会にやはり大きな運動を展開いたしまして、こうしたことも十分規正をして頂きたいと、こう考えておるわけであります。こうした一面におきまして電力の増強を図る他面、使用の合理化、自粛規正という面を併せまして、できるだけこの冬期に電力供給上の混乱を来たさない、今日以上にむしろよくするということを努力をしておるわけであります。これには勿論後ほど述べます石炭の問題も関連をいたしております。特に石炭の問題は後刻申述べますように一応の目標が立つたと仮定いたしまして、然らばこの冬一体供給はどういう状態なのであるか。これは固より天候によることでありまして、予言的のことを申上げろということは非常に困難なんでありますが、只今申しましたようなわけで、天龍川におきます平岡の発電所が完成する、又清水火力もできますと同時に、火力発電所は御承知のごとく一年中最大出力を保つということは現在の日本の火力発電所施設においては困難であります。いつでも夏の期間にボイラーその他の修繕をいたしております。私どものほうで申しますと、十日現在におきまする火力発電最大十五万五千キロくらいでありますが、この冬までにはそれぞれの修理をいたしまして、大体二十二万キロくらいに出力の増加をいたします。そういうような関係で今日いわゆるB段階の制限を私どもではいたしております。一日最大電力といたしまして五十六万八千キロワット、一日供給量で申しまして発電端換算一千百七十万キロワットアワーを出しておるのであります。水力出力で申しまして、私どものほうの認可出力で七十三万キロワット持つておるのでありますが、実際は最大で約七十万キロワツトであります。これが本日の出力は三十五万四千キロワツトでありますが、御案内のごとく相当渇水をすれば減るのであります。例えば十月におきましての最低は二十九万キロになつておるのであります。これをいわゆる九年平均というもので見ておるのでありまして、この十月初めのごときはその二十九万キロと申しますのは、九年平均にも曾つて見ざるような出力の減退でありましたために、非常な供給上の混乱を来しまして、私ども甚だ遺憾に存ずる次第でありますが、この冬こういう状態と比べてどうなるかと申しますと、若し九ヶ年平均程度であるならばせいぜい渇水をいたしましても三十万キロを若干下廻る程度で食い止め得ると思うのであります。過去九カ年間の最低で申しますならば、この七十三万キロの出力は二十二万キロに減ると一応想定をせざるを得ないのであります。そうした場合に只今申しました平岡の新設、清水火力の重油化並びに火力修理の完了と、こういうことを併せ行いまして、大体におきまして今日の最低の程度出力だけは確保し得る。若し出力が九カ年間の最低を下廻るといつたような最悪状態に見舞われたならば、今日ほどの状態までには少くとも電力供給は保ち得るのではないかと、こういうふうに考えておる次第であります。又少くともそうしたことをすることが私どもの義務であると考えておる次第であります。  電力相互融通に関する問題につきましては、東北並びに東京の両社のかたがたからお述べになりましたことと、これは事業者といたしましてすでに申合せをいたしておることでありまして、大同小異でありますから省略をさせて頂きたいと存じます。要するにこの問題につきましては、先般当委員会におかれまして公益委員会のかたがたに対しましても、全国の不足を均等化するということにつきまして強い御発言があつたように速記録その他で伺つておるわけであります。最悪の事態におきましては、事業者におきましても当然そうしたことを考えておるのであります。と同時に私どもはそれぞれの月におきまする供給に万全を盡すという覚悟を持つておるわけであります。原則といたしまして平常状態におきましては自分の需用家に自分でサービスをするということは当然であります。非常時におきましては必ずしも法の発動を待つこともなく、自発的にそうした円満な融通による相互援助に努力したいと、こう考えております。  次の問題、火力石炭の問題であります。これは中部電力といたしましては上半期におきまして料金の想定において一応焚くであろうと考えられた炭は十三万二千トンであります。下期におきましては三十万八千トン、上期の実績におきましてこの数字は十六万トンに達しております。下期は只今までのところ大体国内炭で見通しをつけておりまする数量が三十一万数千トン、このほかにインド炭或いは米国方面の炭並びに重油一万トンというものを想定しておるのでありますが、これを合計いたしまして、希望といたしましては約四十万トンのものを計画をいたしております。これは資金面の問題は別といたしまして、何とか実現したいと考えておりますし、必ずしも不可能な数字ではないかと考えておるのであります。炭の問題につきましては関係方面、又直接には石炭関係業者方面からの絶大な御同情を願つておるわけであります。なかなか容易ならざる数量ではあるのでありますが、少くともこの程度石炭につきましては絶対に入手をしたいという覚悟でおるのであります。尤もここで申上げることは大変泣き事のようになつてお聞き苦しいかと存じますが、この問題につきましては料金改訂当時にも、私どもといたしましては、その意味におきまして是非石炭については相当の価格を織込んで頂きたいと考えておつたんでありますが、当時御査定を受けました金額は、單価といたしましては、例えば私のほうは五千五百五十円であります。今日は到底そうした価格では石炭は入手しておりません。下半期に向いましてはこの單価はもつと上ることが当然に予期されておるのでありますが、仮に只今申上げましただけの炭が完全に入手いたすと考えますならば、炭の單価だけで十一億五千万円くらいの料金織込み数量とは差額が出るのであります。この点安藏社長からも触れられたのでありますが、私どもといたしましては、それであるから買わずに済ませるものでないという、事業者としての苦衷をお聞き取り置きを願いたいと考える次第であります。  次に電源開発現状と今後の計画に関する問題、これはお手許に差上げました資料の中にこういう電源関発工事計画といたしまして綴込みのもの、別に一枚の紙で発電所建設工事進捗状況というもの、それからいま一枚、主要電源拡充工事所要資金表というのがございます。詳しくはこれに讓るといたしまして、電源開発につきましての簡單な現状と、なかんずく資金考え方について補足説明を加えさして頂きます。先ほど申しましたごとく継続工事といたしまして私のほうが今日やつておりますものは、平岡の発電所一カ所であります。先刻申しましたごとくこの四万一千キロは十二月末までに完了いたす予定なつております。そこで今後の発電所工事なんでありますが、大体私どもこれについて三通りに分けて考えております。一つは極めて短期間にできる、具体的に申しまして来年度中に何とかやり上げ得るもの、それからこれから着手をいたしまして比較的短期間、具体的に申しますと再来年或いはその次に若干かかる程度工事、それから比較的大規模な工事でありまして、長期間かかるが、これによつて電力の不足を解消し得るだけの根本的な開発計画、こういうふうに三段階に考えておるのであります。で今申しましたように私どものほうの地域といたしましては、不幸にしてと申しますか、日本発送電からの継続工事といたしまして我々が引き継いだものは僅かに一ヵ地点しかないのでありますが、電力の不足、なかんずく名古屋方面は御案内と存じますが、非常に新設工場が殺到しておるのであります。これの供給につきましては抑制と申す言葉がどうかと思いますが、極力少なく使つて頂く、常時電力であるところは特殊にして頂く、季節常時にして頂くということにいたしましてもなお且つ非常な増加を考えなければならない、而もこれが非常に急ぐというので、本来から申しまして水力が一年でできるはずはないのであります。幸いにして日本発送電から承継しました発電所等の中には、機械増設すれば相当まだ年間としては出力を得られるといつたような発電所等若干あります。それらを急速に着手をいたしまして、来年度中に五万六千五百キロワット作る、名前で申しますと平岡発電所只今申しました四万一千キロのものに機械一台を増設いたしまして二万五百キロの増加を図る、晝神発電所も四千キロの増加を図る、久野脇発電所が一万六千キロワットの増加を図る、清水火力の重油化によりまして一万六千キロの増加を図る、こうした大体におきまして機械の増加、若干の土木工事を加えることによりまして緊急に増加し得るものを先ず手取り早くやる、この所要資金は約十七億円かかるのであります。これは目下のところ具体的にこうした資金計画ができておるということは申上げかねるのでありますが、こうした計画を私ども発表いたしましたところ、地元産業界におきまして非常な御協力を得まして、そうした手取り早くできる発電所があるならば我々と一つ一肌脱ごう、中部産業連合におきましてこの問題を取上げまして、地元においてこれらの所要資金を賄おうじやないかという運動が展開をされておるのであります。尤もこうした方法において資金を集めることは、金融統制上如何であるかというような点から多少異論もあります。私どもといたしましてはこれはどこまでも需用家の御厚意に待つ問題でありまして、私どもが強制してこれだけの醵出金を求めるということはできない問題であります。決してこの運動に手を束ねて私ども資金を仰ぐのを待つておるという意味ではないのでありますが、そうした運動もあり、又いろいろな意味におきまして金融界その他の御援助に待ちまして、この金は何とかでき得るという目安の下に、すでに工事並びに機械の手配等に一応完了を見ておるわけであります。その次の、つまり再来年並びにその次の年にできる発電所といたしましては、飛彈川筋の朝日の貯水池計画、揖斐川の久瀬の計画、それから長野県の姫川の計画及び名古屋におきます名港火力発電所増設、これを合せまして八万三千八百キロのものを作りたいと考えております。これは大体におきまして見返資金を仰ぐことに考えております。尤も見返資金を仰ぐのでありますが、御案内のごとく見返資金だけで決してこの工事ができるわけではないのでありまして、見返資金にプラス私どもの自己資金を合せてやつて行きたいと、こう考えております。それとは別に先ほど申しました大きな計画であります、この実現によつて電力の不足という状態を解消すべき地点といたしまして、私どもといたしましては天龍川における佐久間の地点或いは大井川における井川の地点、佐久間は三十五万キロと考えております。井川の地点は十三万七千キロと考えておるのであります。これらは地形から申しましてもすでに鉄道その他の便利が近くまで行つております。又キロワット当りの建設費その他からいいましても非常に有利な地点であります。又天龍川、大井川等は需用地に非常に近接をしておるといつたような地点であります。これらを開発するということはいずれの観点から見ましても目下の急務と考えるのであります。非常に大きな地点でありますために、工期約四カ年を必要とするのであります。極めて急速に着手をいたしたいと考えておるのでありますが、相当大きな金額、たとえて申しますれば佐久間一ヵ地点でも二百四十億円を必要とするといつたような関係上、これにはどうしても国家資金が注入されるということが必要であるかと考えております。これらにつきましては皆様方の絶大の御支援を願いたいと考えております。  電気事業の経営上の諸問題、これはいろいろの問題が考えられると思うのでありますが、只今東京電力社長からも御発言ございましたように、何と申しましても電気事業の経営においての最大の問題は資金の問題であるかと思うのであります。電気事業当面の問題といたしまして、勿論私どもは合理化、社の内外を問わぬ合理化ということに当面全力を傾注すべきであるということは申上げるまでもないのでありますが、根本的にはどうしても電力の増強ということができなければ、電力事業再編成の根本義が失われるかと思うのでありますが、それにはどうしても資金の問題が先行するのでありまして、この問題がいわゆる電気事業最大の問題であるということは申上げるまでもないと思います。これも安藏社長の御発言と重複いたしますから全部省略させて頂きたいと思うのでありますが、それにはやはり電力料金の問題等、今日の状態で必ずしも合理的でないと考えられる問題が多々あるのであります。重複をいたしますから省略をいたします。  で、なおいま一ついささか問題が逸脱するかと思いますが、電気事業のやはり資金の問題に絡む一つの問題といたしまして、電気事業に対する租税公課の問題を考える必要があるのじやないかと考えるのであります。その一つは固定資産税であります。御承知のごとく固定資産税、標準税率といたしまして、百分の一・六がかかつておるわけであります。ところがこの標準税率は地方税法第三百四十九條によりまして標準税率一・六%を超えて三%まで賦課することができると、こういうことになつております。で申上げるまでもなく電気事業のごときは資本を固定する、発電所に施設を固定するということが、それ自体他産業における材料の役割をするわけであります。当然に大きな資産が固定されるのであります。その意味におきましては固定資産税そのものに対して特別な御考慮が払われて然るべきであると考えるのであります。仮にそれはそれといたしまして、標準税率が一・六%であるものに対して、それを超えて課税してもよろしいのである。こういう税法上の一つのまあ除外例を適用いたしまして、一般の税率である一・六%以上の課税をしておられるという町村が、私ども会社だけでいいましても四十ヵ町村あるのであります。でこのために或る村のごときは村費の殆んど全部が一つの発電所の固定資産税で賄われる。非常に税法上の不合理と申しますか不均衡といつたようなことが現実には起つておるのかと思うのでありますが、むしろ我々は一・六%でも減免して頂きたいと考えるのでありまして、こうした扱いは事業の健全な発達という意味からいつてむしろ時代に逆行するものではないかと考えるのであります。  第二の税法上の問題といたしましては資産の再評価税の問題であります。只今両社の社長から御発言ございましたが、幸いにいたしまして再編成後五月一日を期しまして電気事業は、若干の程度の差はございますが、再評価をいたしましたことによりまして、今後多少なりとも償却その他において内部保留金を作る、これによつて設備を増強し、或いは施設を改善して行こうというのにかかわらず、再評価税というものが他産業と同様に課税をされるということでは、本来この再評価をこの機会にやつたという趣旨の大半が失われるということは甚だ残念であると考えておるのであります。でき得べくんばこれを電気事業に限つては減免してもらいたいと思うのでありますが、若しもそれが不可能であるといたしましても、これを相当期間繰延べして納税するような方法を講じて頂ければと考えるのであります。  第三の問題といたしまして水利使用税の問題があるかと考えるのであります。先刻これ又安藏社長の御発言があつたのでございますが、電気事業は、今回料金が改訂になりましても、なお六十倍或いは七十倍というものであるかとも思うのであります。水利使用税、これが御案内のごとく戰前は常時出力一キロワットについて一円、特殊は五十銭であつたのであります。それがつい先刻までは水利使用税は一キロワットについて九十銭であつたのでありますが、今度突然といたしまして百七十円に上つておる。即ち百七十倍になつておるのであります。こうしたことは決して電気料金の改訂の中に織込まれておらないことなのでありますが、今日電気事業というものはもとより内部において我々規正すべきものを規正し自粛をして十分合理化をしてサーヴイスの万全を期して行くということは当然の責務と考えるのであります。同時にこうした面、あらゆる面から電気事業というものの経理というものが幾分たりともやりやすくなるようなほうに万般の御支援御援助を願いたい。いささかこの問題は本日の御質問の点と逸脱するかと思うのでありますが、併せてお願いを申上げる次第であります。
  65. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 一応各社の御説明を承わりましたので、これから委員諸君の質問に移りたいと思います。
  66. 古池信三

    ○古池信三君 先ほど来詳しくこの電源開発の方法或いは合理化の行き方につきまして御説明を承わつたのでありまするが、勿論電力政策の第一義としては、やはり何としても電源開発して増強して行くということが当然であります。併しこれには或る程度の時日を要するのでありまするから、すぐその日から間に合つて是非やらなければならない問題はどうしてもこの合理化の問題だと思うのであります。今井上社長からもこの合理化の問題については熱心に御努力つておるというお話を聞いて、非常に心強く思うのでありますが、家庭の節電について従来とかくそれの障害になつておりましたのは、只今も井上社長からお話があつたように電力会社の従業員の諸君の電気の使用方法が合理化されておらん。悪く言えば電気の濫費が行われておるのではないかということが世間一般に言われておつたのであります。で、このことは電気事業の従業員諸君に対しては非常にお気の毒なことで、恐らく大多数の従業員の諸君は非常に合理化については気を付けておられたであろうと思うのでありますが、中には多少そういうような傾向があつたとするならば、これは極く一部の人のことであろうと思うのであります。これが併し一般の社会に及ぼす影響は相当少からぬものがあつたと考えるのでありまするが、只今の御説明によつて、従来定額需用家であつた人たちまでも従業員の家庭には全部メーターを取付けられたということは非常にこれは結構なことだと存ずるのであります。併しメーターを取付けて従量需用家としただけではまだ十分でないのであります。今後従業員の諸君は率先して合理化の模範を示されるという意味合いにおいて、社長その他幹部の諸君も十分に御監督をお願いいたしたいと考えます。で、この点は中部の社長からお話がありましたが、東京電力及び東北電力におきましてもこのメーターの従業員の家庭における取付け方はどんなふうに進んでおりまするか、あとでお答え願いたいと思います。それから合理化の何としても大きな部面はやはり工場の使用電力の合理化であろうと思うのであります。これにつきまして、いろいろパンフレット等も今拝見したのでありまするが、ちよつと私この中部電力の使用合理化強化推進運動実施要綱というものを拝見いたして見まするというと、非常に会社中心になつてやられている。勿論これは会社が中心になられるのは結構でありまするけれども、如何にも組織等を見ても委員長、その他推進委員長、いろいろおきめになつて、而もそれが地方組織がある、あたかも戰時中のいろいろな愛国運動のようなふうな感じがいたすのであります。勿論会社が中心になられるのは結構でありまするけれども、こういう問題はもつと会社が引きずつて行くという意味でなく、需用家のほうが進んでやれるように仕向けて、会社がついて来いというのではなく、工場その他のほうに、会社から大いに需用家のために働きましようというように持ちかけられることが必要じやないかと思う。それには何としても会社外の人たちが積極的にやつて行き得るように持ちかけて行かれるということが必要ではないかと思うのであります。この中にも社外の団体、その他への協力要請として協力するようになつておりますが、例えば公益事業委員会とか、或いは各県の各業種団体、そういうようなものに大いに呼びかけをされるということも一項目として入つておりまするけれども、もつとこれを積極的にやられまして、ただ会社内部の一委員会組織というようなものにとどまらんようにこれはすべきじやないかと、かように私は考えるのであります。それで恐らく工場のほうでも合理化によつて電力の使用量が減るというようなことになれば、直ちにこれは工場のいろいろな方面によい影響をもたらすものでありますから、喜んでやられるのだろうと思うのであります。でありまするから、かような外部の工場自体なり、或いは又産業団体なり、そういうようなものが率先して合理化に進もうというような場合は、電力会社としてはあらゆる努力、犠牲を払つてこれに協力して、そうしてその目的を完遂するように縁の下の力持ちくらいな気持でやつてもらわなければならんと思うのでありまするが、そういう心構えがあるかどうか、私は一つお尋ねをいたしたいと思います。  それからもう一つは、先ほど中部地方において、どうしてもこれは見ておられない、何とか電源拡充のために努力をしようという民間の声が高まつて来て、中経連あたりがそのために金を集めて応援しようという気運になつているという話であります。これも無論結構なことでありまするが、現在中部地方においてそういう動きによつてどのくらいな金が集まる見込があるのか、これについて一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。それからそういうことが中部地方においてなされるとすれば、当然これは東京の方面においても或いは北陸方面においても又やつていいことかとも思うのでありまするが、他の電力会社においてはこれをどうお考えなつているか、それを一つお伺いしたいと思います。
  67. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 只今古池委員から従業員の電力の消費に関する御注意を受けたのであります。メーターを取りつけただけでは勿論いけないのでありまして、率先垂範するようにということで特に社長みずから視察をしておるようなわけでありますが、及ばずながらそうした意味で努力をいたしておりますということに御了承を願いたいと存じます。  第二の問題であります電力の使用合理化につきましては、私御説明を省略いたしましたために、言葉が足りなかつたかと存じます。実は資料として差上げました電力使用合理化強化推進運動の実施要綱、これは私ども会社の内部でどういうことを考えておるかということを御参考に申上げたのでありまして、これが実施運動につきましては、只今御指摘がありましたごとく、私どもがやるというよりは、それぞれのかたがたにお働きを頂きまして、私どもが縁の下の力持ちをするという形、只今お勧め頂きました通りに私どもも賛成でございます。具体的に只今その形として生れかかつておりますのは、一つは大体県を中心に県の経済部長その他の胆入りで、こうした運動が展開しつつあるのであります、今一つは我々の運動の一環でありますが、電力の国の宝運動というものを全面的に展開いたしまして、不要不急の電力を重要な方面へ廻す精神運動と併せてこの運動をやりたい。これにつきましても大体中部電力を中心に、各地区に一つの中心団体を作りまして、地方長官その他のかたがたに働きかけまして、そうした運動を展開したいと考えております。只今御質疑がございました点は全面的にさよう考えておるのでありますが、言葉が足りなかつたかと思いますので、その点補足いたします。  それから第三の問題でありまする中部経済連合会に非常な御盡力を願つておる。これは只今説明をいたしました自己資金を以ちましても、来年度中に手つ取り早くやり上げてしまう、五万六千五百キロワットの発電所、この工事には十七億円というものがその運動の対象になつておるのであります。併しながら十七億円くらいできるのか、その何割ができるのか、これは只今も御説明申上げましたように、私どもといたしましては御協力を願いたい。決して強制をするものではございません。又金融統制上の見地からも、こうしたもので仮に金融方面から金が流れるならば、それはむしろ直接融資によるべきであるといつたようなお考えもございます。そういう意味におきましてどのくらいできるのかということを、私、今日はまだ申上げ得る段階になつておりません。
  68. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それでは古池さんの御質問に対して東北のお答えをいたします。第一の点。従業員のメーター取付に関する件でありますが、これはひとり従業員のメーターばかりでなしに、事業場それ自体、いろいろ本店、支店、営業所その他発変電所等の事業場でありますが、こういう方面を第一に節約せんければいかん。こういう考えを以ちまして、従来メーターがないためにどの程度の使用があつたかというようなことがわからなかつた。それでその方面に全部メーターを取付けまして、第一にこの面において節約をさせる、これを今やつております。それから第二として一般の需用家にお願いする前に、うちの従業員が是非節約をやるべきであるということは、我々どうしてもこれはやらんけりやいかん、こういう考えからメーターを殆んど今取付けております。十一月一ぱいぐらいには全部完了する、尤も定額燈の一部分の従業員には取付けない考えでおります。大部分の、今従業員が一万五千何百でありまするが、一万二、三千のメーターを取付けてこれをやる、こういう計画を立てております。十一月一ぱいまでには完了して監督を厳重にやるつもりでおります。こういうふうに考えております。  それから第二の点でありまするが、一般の需用家の合理化の問題でありまするが、この点につきましては地方の電気協会、或いは農事電化協会であるとか、或いは一般の大口の電力の連盟があります。そういう方面、各地区に地区別にいろいろな団体がございます。そういう団体と連絡をとりまして、随時、ひとり今度の渇水期が始まつたからでなしに、従来も何回となくこういう合理化の運動をやつております。それを今後も一層強力に推進して参る、かように考えております。  それから第三の資金の調達という問題でありまするが、この問題につきましては、私のほう、東北の地区におきましては、なかなか中部、或いは東京、関西のような有力なる事業団体というものは遺憾ながらないのであります。そういう関係でそういう方面に特にお願いするということは、これはなかなかやつても実をつかみ得ないというふうに考えておるので、そういうことはまだ話には上つておりません。我々としては自分らの力においてできるだけの資金を集める、こういうことを考えまして、差しずめ先ほど申しませんでしたけれども、一般の資金計画として三カ年計画、約二百億というものを考えております。それで初年度、二十六年度は約六十二、三億を考えておりまするが、尤もこの二百億計画は全然例の只見川とか、ああいつたような大計画、先ほど中部からも発言があつたようでありますが、非常に厖大なる資金を要する大計画は全然除外して、この場合は全然枠外として考えておりまするが、我々の手の届く範囲内においてやろうとするのが、只今の二百億計画でありまして、そのうちの二十六年度の六十二億ぐらい、この資金の調達については第一に見返資金が二十五億弱今度出して頂くことになつております。そのほかに一般の協調融資、中央地方を通じて十九の銀行でありまするが、これは二十五億の金を調達することになつて、すでに第三四半期の……、一四半期六億ずつ、第一、第二四半期は十二億すでに借りました。それから第三四半期は六億と、ほかに端数を一億、合計七億、これも調達がすでにはつきり確定いたしまして、十一月の十日には三億、それから今月の末には一億入ります。それから十二月の十日頃には三億、合計七億、これは確定いたしております。それから第四四半期の六億も、これもすでに了解済みであります。二十五億の一般の協調融資を調達する、そのほか社内留保金で約五億、それから七億ほど、これは普通の一般の協調融資ではなかなか金を集めがたいという考えから、この預金部資金、これを何とか調達したいというふうに考えまして……、預金部資金はところが直接我々の手には入りませんので、それを手に入れる方法として発券銀行から何とかこれを一つ融資願いたい、こういうふうに考えて、今折角努力いたして、希望が非常に持ち得る、こういう状態なつております。その金が約七億ぐらいの程度、そうして合計六十二億ぐらいの資金を調達する、かように考えまして、先ほど申上げたようなこともどんどん実行に移しております。以上でございます。
  69. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 先ほどの社員電燈のメーターはどうなつておるかという御質問に対して御返事を申上げます。私どもの社員の二万九千五百六軒のうち、計器を取付けべきものは二万三千四百三十三でありまするが、これは全部取付けました。定額の供給五千五百が只今つております。これは進んで取付けたいと思つております。かくのごとくいたしまして電気の使用量をおのおの自粛して頂くということ、先ずこれを施行いたします。  それから資金面の応援につきまして東京におきましても日産協の石川さん初め、いろいろとお考えを持ちまして応援して頂くという心配がございますけれども、私どもはこれには十分お願いをいたしまするが、無理にはお願いはしかねると思います。いろいろお持ちの金ならば結構ですが、同じ銀行からの融資ならばという、いろいろの銀行方面の御心配もございまするので、私どもはお願いはいたしまするが、無理にということは控えたいと思つております。
  70. 古池信三

    ○古池信三君 ちよつと継続ですが、先ほど東京の……。
  71. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 簡単に要点をお願いいたします。
  72. 古池信三

    ○古池信三君 わかりました。東京の社長から、将来こういうような事態ではなかなか外資の導入ということも困難であるというお話がありました。東北の社長にお尋ねしたいのですが、東北には先般会長として白洲次郎さんが御就任になつた。そのとき白洲さんが御就任になつた途端に、国民はこれはもう非常にうまい、あのかたが会長になられたからこれはすぐ外資は入つて来ると、非常に明るい気持を持つて国民は全部期待を持つておるのであります。勿論白洲さんは米英方面に多数の御知人もおありになるし、きつとこの外資の導入については有力なるお見通しもあるのではないかと推察しておるのでありまするが、その辺のところを少しあなたがたからお洩らし願えれば非常に仕合せだと存じます。
  73. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) お答えいたしますが、実は今日は白洲会長がここへ伺えば大変結構だつたのでありますが、参つておりませんのではつきりしたことは申上げかねまするが、私としては大いにそれを期待しておるわけであります。それだけお答えいたします。
  74. 古池信三

    ○古池信三君 是非これは社長からも会長にお願いをされて、早くこの外資が導入される、少くともそのパイオニアになつて頂くようにお願いいたしたいと思います。  次に私は電力融通問題について極く簡單にお尋ねしたいのでありますが、この電力融通は再編成の当時から非常に心配もされて来たのであります。そこで先般新聞等に出ました記事を見ますると、今そのまま受取りますと、甚だ心配な事態があつたように思うのでありまするが、併し実際はどうであつたかということについてお尋ねいたしたいのであります。一例といたしましては、例えばこの東京、中部、関西の間の融通につきまして、例えば関西電力は三浦の貯水池を或る程度余して、放水してはいないにもかかわらず、一方猪苗代は相当に涸れております。これはけしからんじやないかというような発言が一方においてあるとすれば、一方からは猪苗代は渇水したかも知れないけれども、裏磐梯のほうは水がまだ満々としておるのじやないかというようなことを言われている記事が新聞にありました。私はその真相は一向わかりませんが、この際その辺の事情をはつきりして頂いて、国民が心配をしておりました電力融通がうまく行かんのじやないかということは、これは單なる杞憂であつて、実際はうまく融通が行つているという御答弁があれば非常に仕合せだと思いますが、ちよつとお尋ねいたします。
  75. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私、差し出がましいですが、当時融通のことを座長としていろいろ心配した関係上、お話したほうがいいと思います。あの当時は非常に電力が逼迫して参りました。御承知の通り関西ではハンストだとか、何とか言つて、非常に困つております。当時私どもはこれは何とか燃え立つた火を消すべきものだというので、丁度集まりました首脳者のかたがたに、とにかく火を消そうじやないか、もう自分の持つているものを考えないで、とにかくやろうというのでお願いをいたしまして、そのときには資料もまだおのおのの出水率がどの、石炭がどうの、そんなことは考えていません。本当の気持で以つてやろうというので話がまとまつたのでございます。そして一時の火を消そうということをやつたのでございまするが、先ずそのときはお互いに誠心誠意、本当に円満にその方向に進みまして或る数字をきめたのでございますが、咄嗟のことでございまするから、皆持合せがたつぷりあるのならこれは容易にできるのでございましようが、おのおのがたつぷり持つておりません。丁度私の例で申上げますというと、東北に何十万、関西に何十万と送りたいのですが、余裕がございませんもので、あたゆる火力を動員し、あらゆるものを運転しているのです。止むを得ずこれは緊急停電をやるより仕方がないのでございます。従いまして私どもは十分にはやれませんが、一部は送りまして、そうして一時の火を消そうといたしました。従いましてそのときの申合せは三日ということであつたのです。たまたまその晩か、雨が降りまして東北方面に雨が降りました。従いまして東北方面にはそう融通しなくてもよろしい。そうして多少なりとも関西のほうに行つた。それから九州からも若干行つた。それから名古屋からも関西に応援が行つたということでやりました。そうしてその事態の変化を待つておりましたけれども、依然渇水は進行いたします。二回目も又集まりまして、そうしてこの際ももつとポンプで消そう、丁度そのときに九州に水が出まして私どもは九州に水が出たのだから、九州からもつと応援すべきじやないかということを一晩やりまして、そうして従来よりも九州からの応援は少し多くなりました。併し私どもと、中部は一層苦しいのでありまするから、応援が多少減りました。それでもとにかく急の火事を消そうというのでやつた。而も九州の水の量が出ましたけれども、まだ数字がはつきりしないから一晩待つてくれというので、一晩はこれでやりました。それから今度は翌日又寄り集りましてやつたのですが、そのときにも私どもはいずれも相手が火事で苦しんでいる、いわゆる据り飯を送るのじやないかという気分で送つたのでございます。それでございますので、手許がどうだとか、こうだとか、そんなことは考えておりませんが、たまたま新聞にあんなことが出た。言い訳立たないと実は思つたのですが、果して向うの言うような猪苗代に、上に満々と水があつて下がどうだというのは、あれは水位を私は言つております。猪苗代に水はあるのです。上に水がある。猪苗代の奥に水は勿論ありますけれども、猪苗代の水を合わせて水位は下つておるのでございまして、これは水位が上つておるのでは決してございません。要するに下の水位はこうなんですが、上の水を持つて来ればこうなつて来るのです。要するに下り方は同じであります。下のものが上るようなことはございません。実に私は新聞記事は誤りであると思つております。併し関西のやつたことは私は別に不都合と思つておりません。私どものやつたことがむしろ甘いのではないか、併し甘いと言われても別に差支えありません。隣の火事を消すには仕方がありません。そんなことを言つておるととてもうまく応援できませんので、今度は一つ数字的にはつきりやろう、先ほど私が申上げましたが、おのおの持つている力、おのおのの出水力、そういうものに按配してやろう。そうなれば機械的にうまく行くのじやなかろうか、こういうふうに申上げてよろしうございましよう。
  76. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は東北電力の御関係につきまして二、三の質問をしたいのでございます。その前に数学的にちよつと細かいことですが、承わつておきたいのですが、先ほど大変楽観的にいろいろ御説明頂いて我々実は意を強うしたのでありますが、一体二十六年度のこの渇水期前には何キロの発電が殖えますか。それから二十七年の渇水期の前にはどのくらい殖えますか。若し御資料がありましたらば、簡單に御説明を頂きたいと思います。
  77. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 二十六年度の渇水期と申しますと、まあ大体私ども……。
  78. 田村文吉

    ○田村文吉君 十二月……。
  79. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 私どもも十二月の中頃からといつも考えておりますが、十二月中頃までにできるものは五月の五日にできた新郷の発電所の一万二千九百キロ、これがすでにできたのみで、それまでにできるものはございません。併し先ほど約三百キロできる、こういうことを御説明申したその内容は、一月頃に先ほどの立石の発電所の三千五百キロのもの、それから滝淵の発電所五千キロですが、それが二月中に完成いたしまして、それから沼沢沼の発電所、これは四万三千六百キロとさつき御説明いたしましたが、これは機械二台です。一台分ぐらいは一月早々ぐらいにできろ……十二月の初め頃になると思いますが、十二月の初め頃から発電を開始して一万九千キロワツトアワーぐらい発電できると御説明いたしましたが、それと合せて二万千五百キロ、それから五千キロ、三千五百キロ、合せて三万キロでございます。これが大体二十六年度の渇水期に間に合う、こういう数字であります。
  80. 田村文吉

    ○田村文吉君 そうすると二月までの最大渇水期には間に合うと……。
  81. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) ええ、これを合計してああいうことを申上げました。
  82. 田村文吉

    ○田村文吉君 次に二十七年はどうですか。
  83. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 二十七年度は先ほども説明申上げたように……。
  84. 田村文吉

    ○田村文吉君 全体では……。
  85. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 今の沼沢沼の発電所が大体九月一杯ぐらいに完成して、十月頃から一部分揚水をして、そうして二十七年の渇水期に間に合うように、かように考えておるのが四万三千六百キロワツト、これは水が揚らんと使えない揚水発電所ですから、その点はお含み願いたいと思います。それから夏瀬の発電所が大体二十八年の三月ぐらいに完成のつもりであるのです。そうするとこれは間に合わないのです、二十七年度の渇水には……。併しこれをできるだけ一つ馬力をかけて来年一杯に、二十七年の十二月中にやるいうとことで請負の尻を叩いてやつてもらつております。そういうことを今考えております。
  86. 田村文吉

    ○田村文吉君 それからなお数字について伺いたいのですが、御配付になりました「電力事情の見通しと今冬の渇水対策」その四頁にございますね、四項に「前記(2)供給力と(3)の需用とを比較すると次の様になります(此の場合需用には地帶間融通を含む)」、こう書いてありますが、一体どのくらい地帶間に融通なさる見込ですか。
  87. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 大体下期としては東京電力融通するのが大部分でありますが、約二億キロワツトアワーになります。
  88. 田村文吉

    ○田村文吉君 二億……、それからもう一つ伺いますが、今の供給力の不足の表のそのすぐ次の頁にございますね。供給力不足、それで一〇〇%の水が出た場合として平均いたしまして二三・七%の不足になる。こういうことに相成るわけですが、今の増設は全然この中に入つていませんね。
  89. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) いや、これは一〇〇%と書いたところは二三・七と、これは不足の%じやなくて、二千三百キロワツトアワーです。單位が百万キロワツトアワ—ですから……。
  90. 田村文吉

    ○田村文吉君 ああ、そうですが。これは%じやないですか。
  91. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと田村君に何しますが、実は今御質問になつておる点は、東北、東京、中部とも数字的にちよつと伺つておりませんので、一括して私からちよつとお調へ願つて読み上げて頂きたいと思います。それは二十六年下期の合計で結構でございますから、水力による発生電力量、それから火力による発生電力量、それから委託発電電力量、受電電力量、これの合計がどれだけになつておるか、御計画分量でございます。その計画の單位は公益事業委員会から資料が求められて御提出になつておると存ずるのでありますが、大体現在程度の貯水の状態で、水が平水であつた場合の前提條件の下にどの程度なつておるか。それからそれに対しまして、山元に換算いたしましてロードのアワーがどれくらいか。そうして不足電力が差引きどれくらいになるか、そのときのロス率は一体どの程度お見込になつておるか。この点を各委員に御発表願いたい。
  92. 田村文吉

    ○田村文吉君 賛成。なおそこで、先刻のお話の中に東北電力としては火力設備は今後とも当分は考えておらんと、こういう御説明でございましたが、在来東北の各電力会社が小さくありましたときには、それぞれ水力を持つていながらも、若干の五分なり一割なりの火力発電の用意をしておつた。ところが今度の発送電に変りまして、而も今度のように分割された場合になりますと、殆んど東北には火力発電がない、こういうことになりました。それでも電力が十分に供給願えれば、これは文句はないのであります。殊に雪と寒さにいじめられて非常に産業の上から言つても、生活の上から言つても非常に難澁しているそういう所が、今度のような渇水が参りますというと一番大きな被害を受ける。まあ各会社間の比率を出してもわかるのですけれども、北陸だとか東北だとか、電気を一番持つて、一番水と雪とでいじめられておる所が一番苦労した、こういう結果です。そこで大きな問題としては議論があります。これはまあ私も別に意見を持つておりますが、すでに分れてしまつた上は、分れた会社としてできるだけその会社の自立自存できるようなことを考えるということが必要じやないか。それにはわしのところは水力があるのだから火力は全然用意しない、こういうようなことで放つて置かれていいかどうか、第一、まあ実例から申しますると、まだ多少小さいのは新潟に二つばかりあります。あれで発電すれば一キロが仮に十円で上るというものを、近所の工場がそれがないために止むを得ず抽気タービンを蒸気で大気中に吹かしまして、それまでして発電をしている。一キロ四十円かかるか五十円かかるかわからん。そういう不経済なことまでやつて、需用家というものは苦しんでおる。そういう場合におれのほうは水力を将来やるのだから、火力のことは全然考えないでいると、こういうふうに考えていいかどうか。  もう一つ先の御説明の中に私ちよつと抜けておつたと思うのですが、ちよつと表を拝見すると各会社の送電ロスというものは随分大きい、平均して二五%、一番少いのは北陸が一六%だ。そこでそういう送電ロスの多いということは一番国家の損害の大きいことであります。それは送電線が長いということであります。そういう点から考えても或る程度やはり地元に火力発電を置いて渇水の場合にはこれを補給するというようなことが国家経済の上から見ても必要なのじやないか。こういうふうに実は考えるのでありますが、それについて先刻大変はつきりと火力発電はやらないつもりだという御答弁でございましたが、ちよつとそういう懸念があるのですが……。
  93. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 先ほど火力は私は東北はやらないということを御説明いたしましたが、その考えには変りございません。と申しますのは、只今需給契約は実は東北には火力がございません。新潟のちつぽけなものはこれは別として、ございません。ございませんけれども、全体の需給計画としては東北は十分にあれでやつて行けるのだ、むしろ東京には電気のを送電するのだ、こういう立場にあります。然らばなぜこの夏にはああいう状態なつたかという御質問が当然起ると思いますが、新会社ができたのは五月でございますが、五月、六月には我々のほうは決してよその地区には負けないだけの十分な電気を需用家にお送りしております。然るに七月から渇水が来たので、相当予想以上に需用家に大きな御迷惑をかけました。これは先ほどの需給計画なるものは、水力が過去九カ年の平均の出水で一〇〇%を基準として計画いたしておるのであります。然るに今年は非常な異常の渇水が来たわけであります。それで火力発電所のあるところは、これは石炭を焚くのですから機械故障がない限り、石炭の手配に落度がない限りは出し得ることになつております。それで水力の出水率の非常に惡い年には、火力水力の地帶は非常に分が悪くなるということは、これは当然の帰結として将来あるのであります。併し、これは毎年そう続くものではなく、毎年は大体出水率は一〇〇%というのが平均である。こういうことで今年は而も七月、八月、九月に、或いは十月の十三、四は非常に御迷惑をかけたのであります。これは異常渇水で先ほども申上げたように、二、三十年に一回来るか来ないかというような渇水のために御迷惑をかけたということなのでありまして、これが毎年そうなるとは私は絶対に考えておりません。それで何十年というように一回上か来ぬものに対する設備をするということは、結局そういう設備をするだけの負担を需用家にお願いせなければいかんという結果になる、そういう考えから一年ぐらいは御辛抱を頂いても、而もこれに対しては、我々は何とでも手配はする考えでおります。一年のために高い電気を差上げるということは私としては、方策としては取らんほうがいいと、こう考えておりまするから、先ほど申上げたことになつたのであります。  それから第二の問題でありますが、第二の問題は新潟の工場においては、抽気タービンまで出して大いに高い電気を出しておる、お前のほうは何もやつておらんではないかというお話のようでありましたが、これに対しては新潟の沼垂の火力は先ほども申上げたように一キロ十五、六円に恐らくついたでしよう。ついても我々のほうは金はとやかくは申しません。できるだけのことはやつて発電はいたしたつもりであります。もう一つは火力のほうは、これは遺憾ながら設備が間に合つておらなかつたので、これは動員できなかつたことは甚だ遺憾で申訳ないと思つておりますが、我々としてできることは全部手を盡したと、こう考えておりますので、金が高いからやらんと、そういうことでは絶対にありませんで、先ほど申上げましたように常盤炭鉱その他は火力を一日四十五万キロワツトアワーずつを動員しております。これは一キロ七、八円とか八、九円の料金を請求されることになつております。そういう収支や何かは念頭から絶対に外して、少しでも御迷惑をかけないようにこの渇水期には対処したつもりでおります。
  94. 田村文吉

    ○田村文吉君 大変結構なお話で有難いのですが、まあ金を度外視してもやるのだと言われるが、事業会社でおいでになるのですから、余りそういうわけには行きませんが、そのくらいの意気込みがおありになるということは結構ですが、今度のは実は稀に見る夏から秋にかけた渇水なんだ。ところが例年起る渇水は一月、二月、三月、これが一番ひどい、こういう状態が実はもう今年は来ないのだ、こういうことが保障できるなら……又来年は来ないのだ、この最大渇水のような実例は起らんということが保障できるなら、それは結構なんですが、私どもは毎年冬になるというとやはり……幸いこの二年ばかりは暖冬異変で割合になかつた、割合になかつたけれども毎年冬になるというと渇水で苦しめられる。そういうことを考えた場合に、殊に採算を或る程度までは無視しても需用家のために図らなければならんという御親切は、お心持があればこれは火力発電の御用意をなさる必要があるのではないか。併しこれは関西とか中部とかいうようにたくさんの量を御用意なさらんでもいいのですが、どうしても冬になれば電気が減るのだ、こういうことかちお考え直しを一つ頂く必要があるのじやないか、  それからもう一つちよつとお尋ねしたいのですが、大体今度の公益事業委員会から発表になりました各電力会社の需用の見込量ですな、これを見まするというと、上半期の第一四半期に比べまして、東北と北陸というものが割合に見方が少く見てある。これは数字で御承知になつておるかどうか知りませんが、第一四半期の倍数にした数字が下期の数字と仮定いたしますと、そうすると今度お出しになつ数字は約九割にしか当つていない。よその電力会社は全部十一割くらいに計算なすつております。これはどういうわけで非常に需用見込が少いのか。それをちよつとお伺いしたい。
  95. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつとその前に、先ほど私各社にお願いしました数字ちよつと順次お述べ願えませんでしようか。
  96. 田村文吉

    ○田村文吉君 私のあれだけ一つお答え頂いて……。
  97. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それでは今の火力設備のお話がありましたが……。
  98. 田村文吉

    ○田村文吉君 いや火力じやない。
  99. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 先ほどのお話……、これは折角の非常に御親切なお言葉でありまするから、これは考えます。考えますが、ちよつとそこにお話しておきたいことは、この冬の渇水ですね、大変御心配なようでありますが、我々も実は非常に心配しておりまするが、過去九ヵ年の平均出力というのは、冬は渇水するときまつているのです。毎年だから減るものは減つたとして、それの九ヵ年の平均のものをとつておるのですから、それが又異常に減るということがない限りは、我我計画通りに行くわけなんです。併し七、八、九と相当に渇水がひどかつたのですから、その影響が冬にもこれは継続しないとは保証しがたいので、又来年がどなうるかという点についても、私はこれは保証は無論申上げることはできませんけれども、まあ夏のようなああいう渇水が、いつまでもあの異常状態が続くというようにも考えておりません。というのは、昨今ルース台風が来て以来、我々東北のほうは割かた恩惠を受けております。殊に今後は時雨の時期でありまして、それから御承知の通り雪の時期でありまするからして、まあそれほど悲観的に私は考えておりません。併しこれはお天道様次第ですからどうなるかは、保証するかということをおつしやられても、これは保証はいたしかねますので御了承頂きたいと思います。併しとにかく火力設備については考えさせて頂きます。それから想定の問題ですね。
  100. 田村文吉

    ○田村文吉君 需用量の想定が非常に少いじやないかという私の心配なんです。あなたのほうでお出しになつております公益委員会数字から見ますというと、一四半期に対する比率から計算して九割くらいしか出ていない。非常に少いが、よその会社に比べて非常に少いが、それでよろしいのですか。
  101. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 九割の増加というのは。
  102. 田村文吉

    ○田村文吉君 九割くらいしか見ていない、一〇〇%見るべきものが。第一四半期の数字を倍数すれば、下半期の数字が仮に出るといたします。ところがその数字から行きますと……。
  103. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 実績の書類は持ちませんけれども、実績の何%ですか。
  104. 田村文吉

    ○田村文吉君 実績から出したのです。
  105. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 実績からすると我々の区域には、豊水期には特殊電力が行くんでね、それで非常に多くなつておる。それから割当、アロケーシヨンのほうも非常に豊水なるが故に一般の平均よりも多く割当てられるということはあるのです。その結果、それにパーセントをかけたものが或いは少くなるというようなことがあるかも知れませんが、それを拝見しないとはつきりした御返事はできませんけれども
  106. 田村文吉

    ○田村文吉君 これは皆様の御迷惑になりますからあとで申上げますが、ただ申上げることは豊水時であろうが実績に使つたものは使つたものとして、やはりそれを考慮に入れた上で下半期の予想をお立てになるべきじやないかと思います。
  107. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それは特殊電力だけは除外して、常時電力についてだけ考えることになつております。
  108. 田村文吉

    ○田村文吉君 なお、その点は委員長が先刻数字を要求されておりますから、それがわかりましてからで結構です。なおもう一問。それから計算不能の電力というやつですね、これは先刻の問題と関連していると思うのですが、これはあなたのほうの初めの予想に比べると全体量の七%多いですね、全体量の。これは非常に大きなことなんでございまして、これは若しどうしてもそいつは避けることはできないとおつしやるならば、それをちやんと割当の中に見てもらつて公益委員会にお話になつて置かないと、始終あなたは苦労なさる。若しそれが取締りが嚴重にできて、よその会社並にこういう計算不能の電力というものは減らしますということがはつきりとおつしやられるなら、それはそれでもよろしいけれども、どうしても計算不能の電力というものが、予算よりは七%も多くなる、全体量の。全体量の七%も多くなつておるというのでは、これはもう数字にちやんと入れてもらうか、どつちかなさらんと非常に迷惑する。
  109. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それは七%うとおつしやるのは全国平均よりも七%ですか。
  110. 田村文吉

    ○田村文吉君 いえ、東北だけの。
  111. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 東北の割当よりも七%多くなつているというお話ですか。
  112. 田村文吉

    ○田村文吉君 そうです。
  113. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それでありましたら、全体のロス率というものは、これには本当の送電線のロスと送電線その他電気機械のロスと。
  114. 田村文吉

    ○田村文吉君 それはあるのです。
  115. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 擅用のロスと、主としてその二つが大きなロスになつておるのです。ところがですね、我々のほうとしては実際はそういう僅かなロスじやございませんので、かくかくのロスがございますというものを、公益事業委員会に提出してその上でこの需給計画を立てて欲しいということを申してあるのです。ところがそのロス率はどうも多過ぎると、こういうことで勝手にこの程度まで下げろと、こういう御注文を受けて、それに強制的にやらされておるので、各社ともそれには異議の申立をしておるのです。その問題について我々需給計画のときにいつも公益委員会との間、或いは各社間においていろいろな論争があるのです。それで実際は多いんですよ、そこに挙げました数字よりも。それで甚だ不合理なわけでありますが、それだけ企業努力によつて何とか減せと、こういう御注文を受けるので、今までは、一部分は企業合理化によつてそういうものを無論減しておりまするが、又一部分豊水なるが故に一〇〇%の出水率なり、もう少し出水が多かつたが故に、そういうものをキャンセルすることができて、御迷惑かけなかつたということなんです。それで、我我としては何とかそれを合わせるようにして下さいということは、これは何回となく非常な議論を闘わしてお願いするんですが、何せ需用が相当に多い、然るに電力が非常に少いんだと、こういうことから、否応なしに先ずこれでやれと、こういうことに令命をされたような形で我々はやつておるので、甚だ遺憾な点でございます。
  116. 田村文吉

    ○田村文吉君 十分に各社との間の合理化について御検討になつたことと思いますが、なおこの数字は東北電力において特にひどい、でありますから、この点は一つそのために割当がいつでも減つて来るというようなことでありますと、押せ押せで非常に東北の人たちが不自由いたしますから、特にこの点を一つ御注意願いたい。
  117. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 需給計画の問題は、送電線設備の問題もありますが、今日は公益事業委員会にものをお聞きしているのでなくして、各会社の実績を、或いは実際の計画数字的に先ほど私はお聞きしておりますので、お答え願いたいと思います。それから比率も、毎日のデータを、私どもは実績を八ヵ月分までは持つておるわけであります。これは実績を持つておるわけでありますから、御遠慮なくおつしやつて頂きたい。こう思うわけであります。東北のほうから一つ水力火力、委託受電それから山元需用、不足、損失率、そういうものをおつしやつて頂きたい。
  118. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それは後で資料か何かでもらえないですか。それに基いて委員長が何か質問されるなら別ですが、我々はもう少し東北電力の社長にいろいろな具体的な問題を聞きたいんだが、我々のほうにもう少し聞かしてもらつたほうがいいと思いますので、それは資料でもらつたら如何ですか、そこに書きとめて、それに基いてあなたが質問されるならなんですが……。
  119. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それではそういうことにいたしましよう。
  120. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私も東北電力の社長にお伺いしたいのですが、田村委員と同じように実は私も昨今の現況から見て、やはり火力発電設備が是非欲しいのじやないかという感じを持つておる一人であります。先ほどからいろいろお話があつたのであなたの説明は大体わかつております。といいまするのは、東北のほうの会社も最近の電力事情から考えて、自家発の火力発電を作つておるようなところも御承知であろうと思うのでありまするが、ぼつぼつ出ておるような状態でありまして、こういう状況であればむしろ一つ火力発電を、日発時代からの計画のある揚川あたりに、或いは八戸というようなことも先ほどお話がありましたが、考えてもらつたらどうかということを考えておる一人であります。と同時にそれと関連して今年は非常に異常渇水異常渇水と言われますが、再編成直後直ちにこういう事態が出て来たということから考えまして、私は再編成の電源の帰属についても再検討してもらわなければならん部分が相当あるのじやないかと思うのでありまするが、こういう問題に関連して東北の首脳部としてどういうふうにお考えなつておるか、一応承わりたいと思います。
  121. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 火力の問題につきましては、先ほど田村先生からの御質問に対してお答えいたしましたからそれで御承了願いたいと思います。  それから電源の帰属の問題について改めてもう一遍再検討を要するのではないかという御意見でありまするが、これはもう非常に再編成をやるときに問題になりまして、お互いに何とかきめようということで大いに我々努力をいたし、又政府のほうにおいても非常に真剣にこれを御検討頂いて又国会にもお諮りになられたり、いろいろ御審議も頂いたのでありまするが、なかなかいろいろな問題が複雑多岐に亘りまして非常にむずかしいというようなことから、ポツダム政令で以てあの帰属をきめてもらつたのであります。こういうことは御承知の通りでありまして、我々として希望は幾らでもあります。併し一度きまつてこうなつた以上は、この線に副うてできるだけお互いに努力をして、自分の足りないところは自分の力で補つて需用家に御迷惑をかけないで行くべきじやないかと、かように考えておるわけであります。ところで、この五月、六月はさほど惡くない、むしろ東北は需用家に対しては送電量は多かつたと私考えております。実績を御覧願えれば結構と思いますが、併し七、八、十の中頃は非常に惡かつたというので、これはもう誠に私としても申訳ないと考えておりまするが、併しこういう年が先ほど申上げたように毎年来るとは私考えておりません。うまく行けばこの下半期には我々のほうは相当によくなるのじやないか、これは期待ですけれども……。期待はしておるようなものの来年も必ずそうなるならんということは、これは申上げかねますけれども、そういつもいつも惡いのじやないのだと、現に下期にも東京には、先ほど申上げたようにやはり二百万キロワットの電気を送るというような状態なつておるわけでありまして、相当にこつちとしては電源の帰属そのものについてはそう惡い状態ではないと、こう考えておるのであります。
  122. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 電源の帰属は再編成令に、ポ政令によつてできたというその事実結果は我々もまあ何するのでありまするが、東北とか北陸とか皆電源地帶が一番電力に苦しまねばならんような事態が、たとえ異状渇水とはいえ生じておるということは、私は再編成の結末について非常な不満と言いますか、物足りないものがあるのであります。それについて東北の社長として非常に言いにくいだろうと思いまするが、自分としても今後再検討して見なきやならんという気持ちを持つておるのかどうか、それだけのことを承わつたらいいのです。
  123. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) その点は是非再検討を加えて、東北地区として需用家に迷惑をかけん、こういうような線に大いに研究は進めて参りたいと考えております。
  124. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから次に、最近、十和田湖の開発、十和田湖の開発という言葉を頻りに言われまして、何か只見川のほうよりも十和田湖のほうを先に開発しなければならんというようなことがちよちよく新聞に見えるのでありますが、只見川のあの奥只見という大電源開発問題は別問題として、先ほどお話がありました柳津とか片門、或いはその他揚川とかたくさんの開発地点があるのでありますが、この十和田湖の開発が叫ばれているのは、どういうところに事情があるのか、承わりたい。
  125. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) これは先ほどちよつと御説明したつもりでおりますが、只見川のほうは只見川で手拔かりなしに積極的にどんどんと進めております。現に柳津、片門のほうは今日請負を呼んで見積りを調査いたしております。もう近々に決定いたします。そのほか工事の何と言いますか、準備工事ですね、これは請負にやらしたのじや間に合わんので会社が直接工事をやつております。それによつてすぐに請負を決定すれば直ちに着工するように、これはどんどんと進めておりますから御安心を願いたいと思います。  それから十和田湖の方面の仕事は、北部三県としてはどうしても南部三県だけがよければいいというわけには参らんので、新潟は私としては考えなければならんので、北部三県ぐらいはどうしてもこれは考えなければいかんというのは、送電線を以て今持つて行く方法がありません。殊にそれはロスだけが多くなつてつまらんことになると考えますので、あすこに電源開発すべきであるという考えで、それで進めておりますから、たびたび十和田十和田ということはどういうお話かわかりませんけれども、今少くとも、私が考えておりますのは現在以上に湖面低下をやつて、それで出力を増強しようということを考えておるのです。先ほど申上げたのはそのことです。
  126. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 もう一つ最後に……これは私或いは若干見当違いをしておるかも知れませんが、水力火力の調整金の問題です。こういうような今のような非常事態に当つてもやはりこういう程度はお互いの間でやつておるのかどうかということを聞きたい。それは東北各産業が窮するくらい非常な迷惑を受けておるわけでありますが、にもかかわらずやはり関西とかあの方面火力に対して調整金を水力の発力に応じて上げておられるものかどうか、そのことをちよつと聞いておきたい。
  127. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) これは本年は水火力調整金を支出しております。予定通り支出はいたしております。これは契約を見まして、そういう前提の下に料金もきまつたのでありますということから料金に織込まれた程度の水火力の調整金は出すという建前で、すべての再編成を遂行した関係上、本年は出しております。併し来年度以降そのままするかどうかということについては大いにこれは検討を加えるつもりでおります。水火力調整金或いは先ほどから問題になつておる電力需給という問題は、だんだんに消滅さすべきじやないかと、かように考えております。ただそれが来年からすぐ打切るか或いは二、三年でこれはやめることにするか、どうするかというような点について大いに検討を加える、こういうことで折角その準備は私ども整えて考えておる次第であります。
  128. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 で、私は最近の情勢でその地方の産業経済は非常に迷惑を受けておるにかかわらず、会社自体としても非常な犠牲であり負担であろうと思うのでありますが、今年のような事情になれば、それにもかかわらずなお調整金を出さなければならないというような契約だから仕方がないからといえばそうでありますが、関西なり向うのほうは金がかかつて火力を焚くことによつて、その地方の産業経済は非常に潤おうのでありますから、これに対して調整金を上げねばならんということが、どうも私にはちよつと腑に落ちないのであります。ちよつとこれは何か誤解しておる点があるかも知れませんが、その気持で尋ねるのであります。
  129. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) その点は、関西というお話なんですが、関西のほうは東北並みに相当に大産業がお困りになつておるはずであります。東京、中部あたりはそうでもないかも知れませんし、又九州等はそうではないかも知れませんが、関西あたりは相当に打撃を受けておられると考えております。なお北陸方面も相当に深刻に御迷惑をかけておるのじやないかと思いますが、いずれにしても出水率の惡い地帶が非常に需用家に迷惑をかけておるので誠に申し訳ないと考えておりますが、これは会社は赤字が出れば負担をいたして、需用家にそつくり迷惑をかけるというつもりはありません。ただ先ほど申上げたように会社が幾ら経理上赤字になつても、そういうことは頓着な上にできるだけ手を盡して電気を上げることにしております。ただ遺憾ながら電気が手に入らんので、それが東京あたりには非常に無理をおかけしまして、電気を送つてもらつたのですが、これは皆高い電気を差上げることに無論なるつもりでおるのです。金の高い安いを申しておられないので、今電気そのものが足らんので、止むを得ず御迷惑をかけたということになるので、その赤字の負担は会社が全部負担する、これは然るべく処理をして我我として立つて行けるように、一つ処理して行く考えでございます。
  130. 小川久義

    ○小川久義君 実は東北と北陸は大体最惡の地域と思いますが、東北へ先日調査に行つて来たのでありますが、九月の初旬どのくらいの電気が足らなかつたか。先ずそれからお伺いしたい。ルース台風の前……。
  131. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 調整令の発動されたのは九月六日と記憶しておりまするが、その頃が一番困つた事態と思います。その頃は一番ひどいときで、常時の需要としては発電状態において一日に千三百万キロワツトアワーぐらいなんですが、それがあの当時は大体七百五、六十万キロワツトアワー、八百が切れております。七百五、六十万キロワツトアワーしか送電しなかつた、こういう状態であります。
  132. 小川久義

    ○小川久義君 丁度その時期に我々が東北へ行つてつたのでありますが、その当時の実情からすると鉱山の保安電力も送れんという実情であります。ところが、今社長さんから聞くと三万キロほど電力を受けるので電力の心配がなさそうなんだと言つておる。それで僕は九月の初旬にどれくらいの電力が足りなかつたかということを数学的に伺つておるのであります。二万キロや三万キロの不足ではないと思うのであります。ところが、先ほどからお聞きしておると電力は十分あるようなお話である。雨は必ず降るという前提におけるお話のようでありますが、先ほど田村委員の伺つておるのは最惡の場合に備えて設備をどういうふうにするかということだと思う。ところが、こんなことは二十年も三十年もなかつたことだから、そういうことに備えることはないというのが社長さんのお考えの根本らしい。そういう考え方ではこれは東北にしても北陸にしても決して惠まれる状態に行けない。この点は十分お考え直しを願いたいと思う。それから余り東北ばかりを申上げるのも何ですから各社のかたがたにお伺いしたいのでありますが、先ほどから聞いておると、炭の心配を御自身でやつておるようなお言葉である、発電計画も御自身で、悩んでおいでになるようです。ところが、公益事業委員会に対してはその問題に対しては極力御協力を申上げておるという言い分なんですが、それはどの程度の協力が公益事業委員会になされておるか。それからもう一つは公益事業委員会の、いろいろ問題はありますが、今度の電力危機に対してとつた処置が皆さんがたの実態に合うか合わないか、それに対しての満足の点、又は不満足の点がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  133. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは最初に東北からお願いいたします。
  134. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) これは何回も同じことを申上げて恐縮するわけですが、結局火力発電所をやるのと、水力発電所をやるのとでは年限が同じぐらいかかるのであります。これは少くも電源開発することには異存はないのでもります。どつちでも早いほどいいと思うのであります。同じほどかかるのであります。できるだけ速かに水力開発するほうが将来需用家にはお得であるというように考えますから、そう申上げておるのであります。簡單に短期間にできるようなものがあれば、これは大いにやるつもりである。こういうつもりでおりますから御了解を……。
  135. 小川久義

    ○小川久義君 水力なら早くできる、火力なら遅いというような解釈になると思います。
  136. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) いや、同じぐらい……。
  137. 小川久義

    ○小川久義君 同じくらいでありましても、非常時に備える火力はどこまでも必要だと思います。水が不足をするのは天候が左右するところであつて、この川だけは水が出て、この川が出ないということはないと思います。日本中、足らんときは足らなくなる。又部分的にあるときはあつても、北陸、東北は冬期間は雪であつて、水が出ないはずである。従つてその惡い面が一番多い。これは公益事業委員会に対して私強く委員会を開くことに、又その間にも強く要求しておりますが、北陸が最下位より上つたことはない。大体東北もそれと同じ條件下に置かれておる。それで真剣に一つその点をお考えになられたかということを言つておるんで、得だとか損だとか……、この電力不足が産業に及ぼす影響は、高い電力料金を払つて機械を動かすことは、僕は国家的に考え、事業自体、産業自体から考えて、あなたの御心配よりも、もつと甚大なる影響があると思うので、この点を重ねて強く御反省を願いたいと思う。
  138. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) よくわかりました。一言御参考までにですが、先般御覧を頂いたときに、今申上げたように千三百万キロワツトアワーが七百七、八十万に下つたのです。そうすると五百四、五十万キロワツトアワーの不足なんです。これをキロワツトにすると二十三、四万キロワツトなんです。それだけが出水率の低下のために平均の年よりも二十二、三万キロワツト下つたのです。ところが、火力を以て補うならば二十二、三万キロワツトの火力がなければ、あれは差上げられないという状態なんです。それで火力の二十二、三万というものはそうやすやすとできませんで、火力をやつても二、三万とか何とかというような先ほど来のお話なんでありますが、なかなかそういつたようなものだけでは到底非常に大きな開きなんですから、御満足を頂くようなことにはならなかつたのですが、できるだけ大いに私のほうはやることには異議はないのです。
  139. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと待つて下さい。内ヶ崎さんにお願いしますが、火力論は私も最後にあなたの御所見を伺いたいと思うのですが、まあその点は一つ待つて頂いて、後ほど公益事業委員会電気事業者にとつておる態度が各社の主体性から考えて是であるか否であるか、その点について一つ御所見を述べて頂きたいと思います。先ず東北から。
  140. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 私は、公益委員会から何をやれとか何とかというようなお指図は別にありませんので、我々のほうからかような計画をやつておりますと、こういう計画を持つてつて、それで結構だというお答えを頂戴して、それを進めて行つておるわけです。で、何も公益委員会に対してどうであるということは何もございません。
  141. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 公益委員会に対するお前たちの気持はどうかという御質問のようでございます。私は公益委員会がございまして迷惑なんかということはちつともございません。御安心下さいませ。私ども石炭にしても、又割当にしても、又制限の方法につきましても、いずれも私ども意見をお聞き下さいまして、私どもに惡くないことをやつて下さいまして、私感謝いたしております。明らかに申上げます。
  142. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 特別に申上げることはございません。
  143. 小野義夫

    ○小野義夫君 東北電力の社長さんに伺いますが、過日私どもが参つたのは、十月の四日から六日までであつたのですが、その当時東電、中部から、逆に送電してもらつた数字は、甚だしいときは十数万キロ程度融通を受けておるようであつたのです。それから爾来帰つて来まして、公益事業委員会にその事情を質問し、お願いした結果として、松永委員長代理が本委員会において固く誓われたことは、全国均一の制限度に置く、これがためには法的手段をとることも辞しない、あらゆる協力を以てこれが融通に当るというお話を承わりまして、私どもはそれを実行するようにということを非常にお願い申上げた結果として、だんだん東北が受入れているところの電力数字的に拝見いたしまして……ところがだんだんこちらからの供給はよくなつて、十四日か十五日までの統計を見ると、それによると、最高のところは六十万キロ程度のものを送つているように思うのです。受電していると思うのです。ところが十五日から先の今日までの受電の状態は一切わからんのですが、先ほど安藏社長のおつしやるのには、東北にも雨が降り、それから西のほうにはルース台風が来て、もうあんまり面倒を見なくてもいいような状態に行つたというようなお言葉があつた。ところで実際の問題としては、二、三日前に東北産業の代理者が来まして、委員長のお手許にあると思うのですが、非常に深刻なる産業団体の陳情書が参つております。又両三日内、恐らく三十日か三十一日に東北工業界が再び本委員会に来て、東北の電気現状を訴えるということです。これらの観点から見ますというと、東京、中部及び東北或いは北陸等が同じような、制限率と同じような需給状態が保たれているのかどうかが甚だしく我々には不明瞭になつているのでありますから、十五日以降の受電の状態需給状態数字的に一つお示しを願いますれば……、これは先ほど委員長から全面的の御要求があつたのですが、特に東北は非常な大きな問題があることを皆さん御了承を願いたい。それは我が国のいわゆる肥料の源泉たる硫化鉱が、西においては棚原、東においては松尾、この二大鉱山によつてのみ、我が国の硫安であつても、石灰窒素も或いは過燐酸もことごとくこれに依存して、今日は東洋高圧のごときははるばるアメリカから硫化鉱を輸入する。その価格は非常に夥しき高価に価いしている。かような状態によるところの東北の、そういう我が国の今の農業経済から申しましても、或いは輸出入経済から申しましても、重大なところの鉱山に対して、供給量は決して満足な状態に行つてないということは、これは事実だろうと私は推察しているのであります。この点に関して東北電力は如何なる努力を続けて来たり、又現実において電力需給状態は東京電力の間、及び中部との間でどういうような取りきめになつているかの実際を、一つ明確にお話を願いたい、簡單でよろしうございますから。
  144. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 詳しい数字は明日でも差上げることにいたしまして、大体私の頭にうろ覚えのことでお答えいたします。大体の見当は外れておらんつもりでおります。十月の三、四日に仙台において行われた頃、その頃は非常に惡い状態で、只今のお話の通り非常に……。又東京との話合いで八十万キロワットアワーぐらいの電気を欲しいということを申出まして、何とかしようという相談もできたのでありまするが、実際は只今のお話のように十七、八万キロワットぐらいしか来なかつた日がありましたし、三十万程度の日もありました。それから一番最大としては六十万キロワットアワー程度の救援を受けておりました。併しこれはお互いにできるだけの救援をお願いしたのでありまして、我々としては毎日実は安藏さんのところへねばりついてお願いしたのですが、できるだけの御好意を頂戴して、あれだけに食いとめ得たということなんでありまするが、只今状態は、その後十四日のルース台風以降東北が非常によくなりまして、十四日に……。十六日でしたか、十六日には、今まで二十四、五万キロワットアワーであつた発電力が六十四、五万キロワットアワーに上つたのです。その関係で東京へ逆に七、八十万キロワットアワーを送電いたしております。無論送電する前には、うちの需用家に相当に今までの分を取戻して頂けるように電気をお送りして、残つた分を却つて逆に東京へ送る。それから三、四日はそういう状態が続きましたけれども、又四十万キロワット近く、三十七、八万キロワットぐらいに下りましたが、その後徐々に低気圧というものでなくとも時雨と申しますか、北国特有の雨が降るようになりまして、只今現在は大体安定した状態……。今まではA地区と称して五割の制限、それから一般の供給は一週間に三月停電しておつたのですが、それがB地区になりまして、大口電力が四割の……、それから一般は一週間に二日停電という状態、これは現在の東京、中部と同一の形でありますが、それ並みの状態に昨日から入つております。それで今後のことはわかりませんけれど、先ほど来私は必ずしもそう悲観論ではないのだということを申上げておりまするが、制限状態は以上のようであつて、それから契約による電気も昨今毎日百万キロワットアワーに近いものを東京へ送電いたしております。そういう状態でありまするから、この程度で進行すれば相当にまあ余り御迷惑をかけずに行けるのじやないかと、まあ念願いたしているわけであります。それから先ほどの松尾鉱業ところでちよつと落しましたけれども、松尾鉱業さんのお話は、先ほどのお話の通り非常に重要な鉱山なのでありまして、私のほうといたしましても何とかしてやはり手を打ちたいというふうに考えまして、実は電気がない、それで火力で一つ何とか送つて上げようという話、日本水素工業というのがあります、そことの間でいろいろあそこの火力を特に動員して頂きまして、そうして何とか松尾さんには電気を差し上げるようなことを考えよう、こういうことで計画いたして、石炭も常磐炭鉱の社長に特に私は出向いて頼みまして、それをもらうことにしまして、送る相談ができ上つております。ところが幸いにして水が出たものですからそれを実行せずに、今は余り御迷惑をかけずに行つているという状態でありますから、お含みおきを願います。
  145. 小野義夫

    ○小野義夫君 東京に今のように余つて来たからお返ししようという、これは意味があると思うのですが、非常に急場を助けてくれたから東京へお返しをすることは人情的に見れば非常に当然であろうと思うのですが、私どもは安本に対して一体我が国の産業の重要度ということに多少の考えを置いて段階的にやらなければならないのだから、言い換えるというと、消費面、いわゆる不急の消費面を規正して、重要の産業に重点的にやるべきでないかといつて、その案を出せというのですけれども、我々は未だ今日その重要度の順序を得ておらない。併し東北は御承知の通り地下資源開発に非常にこれは全国的の重点を持つているのです。ほかのほうは私は金、燐、銅などとは言いません、併し硫化に関する限りは、これは非常に全国的の問題であるのでありますから、これは一つ東京電力におかれましても百万というところは九十万にでもして、そうしてやはりこういう産業助長の政策をやはりお考え下さるといつたようなことでなければ、これはもう單純なる、地区的の私は均一性はいいと思いますが、同じ地区内においても多少のいろいろの加減をなさるということは電力会社として止むを得ないのではないか。それは私情において左右するのはいけないでしようが、公けの福祉を認めて行くとして、或る種のことをやられるということは今差当り止むを得ないのではないかというような考えを持つております。これは併し可否いろいろの反対論もあると思いますから、ただ東北がしきりとここに今日ここにおいでの中では、一番私は危険な状態にいるものが東北電力であるということを、北海道は先ほどから申しました通り非常に隔離しておりまするし、又十分惠まれている今日の情勢であるのですが、あと中部、東京に対して先ほどから出ている火力電力の問題というのは、これは私は内ヶ崎社長に一つよほど研究してもらはなければ、我々は後においてもう少しこの問題、水火の均分性を、どういう割合に水火を保有すべきであるかということを根本的に検討したいと思うのですが、一つそのままにしては委員長ちよつと提案があるのですが。
  146. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 質問ですか。
  147. 山川良一

    ○山川良一君 質問がまだ残つています。
  148. 小野義夫

    ○小野義夫君 それでは私は質問を継続します。先ず先ほど承わつた損失処理の問題についてでありますが、或る会社の今度のような何十年来、承われば三十年来の出来事であるということでありますから、この損失の処理につきましては、金融的には成るほど一つの対策が要ると思いますけれども、損益計算の面から見まするならば、これは反対に非常な豊水のあることも予想せられるのでありますから、これは軽々に一年、二年で三十年来ただこの場所で、一年、二年でこの損失をどうするこうするというような経理のやり方はしてはならんのではないか。こう思いますが、この点について東京電力の社長さんの御意見を伺つておきたいと思います。
  149. 山川良一

    ○山川良一君 ちよつと関連がありますから。先ほどの赤字ですね、異常渇水から来た赤字は、消費者に負担させずに、会社で何とかするというようなお話がありましたが、私は究極において消費者が何とかしなければ、会社ではどうにもならんだろう、会社が何とかするというようなお考えでやられたのでは、大きな資金は集まらんだろう、結局そこを心配します。ですから内ケ崎さんは東北電力の経営を担当されるかたとして、その消費者に負担させずに、どういうことで措置をしようとしておられるか、それを一つ今の小野君の御質問と合せて御答弁を願いたいと思います。
  150. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) その前に一つ東北と東京との間の数字のことを小野さんから御質問がありましたから、補足さして頂きます。よろしうございますか。
  151. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) どうぞ。
  152. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 東北電力の数はお持ち合せはないとおつしやいましたけれども、幸いに私毎日の様子をポケットに持つておりますから、その数字を申上げます。十三日が非常に行詰つた日で十四日にいわゆる何とか台風が来たので息ついたのですが、十五日になりますというとまだ東北は雨は降りませんでしたので六十五万キロ私どもは送つております。十六日に八万二千キロ送りました。それが東北に一〇〇%以上の水が出たために逆に向うから六十七万五千キロ。十七日に来ますと水が急に減りましたために十八日に十五万二千キロ送りました。十九日になりますと逆にこちらから五万三千キロ送りました。二十日には四万四千キロ送りました。二十一、二十二日十二万キロほど送りました。二十三日には又少し水が出て来まして九万二千キロ送りました。二十四日には六万キロ送りましたが、又このときに雨が降りまして逆に二十五日からは百六万キロ送りました。二十六日百三十一万キロ、二十七日八十九万キロ送りました。こちらに来るというのは契約では大体百二十万東京に来るのが契約なんです。ですけれどもどもはわきの苦しいところを見て、下さいとは言つておりません。たまたま私ども先ほどちよつと申上げましたが、渇水対策というのがございます、或るときには一〇〇%以上出たというような場合に、これは大いに使いなさい、私どもは少いけれども、まだまだ九五%ほどございますから、私には要りませんと。併し関西のほうに行きますというと、二十八日五五%、北陸五五%という哀れな出水率でありますから私どもが受取つたやつが大体関西に流れることになつております。私自身ポケットに入れておりませんからそれを御了承願いたいのですから先ほど赤字の御質問のことは先ほど申上げました通り、僅かな赤字は、これは当然その期においてやれると思います。只今山川さんからお話のごとく、何十年間私ども経験しない、この渇水においての赤字は翌期とか或いはその次の期で到底埋合せることはできません。又埋合すべきものではなかろうと思います。これは長期に亘つて埋合すべきものだと思います。長期に亘つて非常に又豊水があれば、これはいつでも回復はできます。又これもなかなか期待できません。去年、一昨年というのは未曾有の豊水でありますから、あんなときがあれば回復できますけれどもこれは期待することができると思います。いわゆる一〇%、二〇%、三〇%上り下りのあつたとき、そんなことでは到底短期間には無理だと思いますから、特別の会計法によつて赤字の積立を認めるか私はわかりません、赤字の積立があるかないかわかりませんが、そういうものを認めるか、或いは一時政府なりからお貸し下さいましてこれを埋めておきます。併しこれは別途にちやんと明瞭にしておきます。そうしていわゆる豊水のときにこれをお返ししたらどうかと、こういうことをお願いしたほうがよいのではなかろうかと私は思つております。
  153. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 山川さんにお答え申上げます。先ほどのお話、私は需用家には御迷惑はかけずにということを申上げたのですが、その意味は決して自分がどこからか金を探して来るという意味で申上げたのじやない、そういうことは到底これはできる相談じやなくて、我々電気事業の收入というのはもう殆んどもう全部といつていいほど電力料金なんですからそれ以外に手はないわけであります。それで御迷惑をかけないという意味は、急にその余分の金を頂戴するとか何とかという意味じやなしに、自分らのほうにおいてこれを処理するという意味で申上げたのであります。その処理の方法としては東京の安藏社長から申上げた通りに我々考えておるわけであります。その赤字、なんといいますか、準備金ですね、そういつたようなものを実は先般の聽聞会のときにもそういつたようなことができはせんかといつたようなことも、いろいろ聽聞会に先立つていろいろ意見を闘わしたわけですが、赤字の準備金という手は先ずないというようなことで、まあそのうちに何らか適当な方法を考えようということにまあなつておりますので、そういう方法によつて何とか処理いたしたいと考えておりますからさよう御了承頂きたいと思います。
  154. 小野義夫

    ○小野義夫君 もう一つ最近新聞紙上で発表されておりますところの、熊野川であるとか只見川であるとかその他大きな大計画電力を、中央で各社を離れて公益事業委員会でもなく、又政府の公社というような恰好で数千億の資金を以てこれにかかろうという計画に関する皆さんの御意見でありますが、一人々々承わるのもどうかと思いますから、私どもは参考にしたいと思いますので、安藏社長さんのこの問題に対する忌憚なき御意見を拜聽したいと思います。
  155. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私は独立採算制の会社ができたからには、私どもは全力を上げて電力を拡充し、そうして一般の御要求に応じなければならないという覚悟は持つておりまするが、私は電力供給するのに今の状態ではいけない、ただただその日暮しの送り方ではいけない、少くとも予備を持つていなければならないという私は昔からの考えを持つております。私は技術屋でございまして、東京電燈時代には工務部長の役目をしておりました。従いまして拡張の部門を担当しておりました。その当時は需用の約一割強、一割以上というものは必ず予備として保留しておきました。火力発電所でもよろしいし、水力発電所でもよろしいが、大体十万キロ、十五万キロの予備というものはちやんとして置きました。そういたしますというと、翌年特需とか何とかいろいろな突発的の事情がございましようし、又いろいろの渇水もございましよう。これらに対してこれを当てても何らの不安もなく、又サイクルも決して今のようなサイクルでなく完全に供給して来たのでございます。又こうやるべきだと思います。当然一割くらいの予備があつて然るべきであります。ただこれは少し無駄ではあろうかという猿智慧の結果、これを不定時電力或いはいつでもとめて置いてもいいというので、昭和肥料その他のものに送つて見逃しておきました。こんなために私どもは常に一割以上の予備を持つように、拡張計画、新規の発電計画をやつてつたのでございまするが、東京電燈のような会社でさえも毎年十五万キロという拡張はなかなか困難であります。私ども信濃川に十万キロ、鶴見に十五万キロやれ、猪苗代にやると言つて相当やりましたけれども、毎年ひとりの手で十五万キロは容易なことではございません。たまたまその当時は発電を專門にする会社がたくさんございました。東信電気とか、小坂さんのやつた梓川電気とか、松永さんのやつた群馬電力とか、やれ上毛電力とか何とかという会社が十或いは二十くらいございました。おのおのが少しずつ拡張しております。それで私どもは十五万キロ用意する、半分はそういうかたがたにお願いしてそのお作りになつたものを購入しておりました。かくのごとくして私どもの力と外部の力と一緒にしてやつて来たのでございます。それでございまするが、その発電所をいろいろな会社がやるときには、無論その計画その他のものは私どもが購入するに当りましては十分の注文を與えます。そうして私ども会社が使つて都合のいいように、国家的に使つていいようにというふうに御協力を申上げてやつたのでございますが、ましてや今日のごとき私どもの、一軒で東京電力が、要するにこの際数十万キロの力の発電所を短期間にやろうなんということは全く想像もつきません。技術的には私どもは不可能と申しません、申上げませんが資金的には全く不可能だろうと思います。この際別の会社でやられるのは私は個人としては賛成いたします。があくまでもこれは独立性のある企業努力の発揮できる会社でありたいと存じます。私どもは余計なことを言うかも知れませんが、外部から余りの制肘のない、本当に独立してやられ、その計画も国家的にあらゆる観点から見て尤もな計画を遂行する会社ならば、私はこれに協力参加していいのではないかと思つております。
  156. 佐々木良作

    佐々木良作君 どうもお話が少し現実離れしておるような気がするのですが、御質問の前に希望を一点だけ申上げておきたいと思います。先ほどから異常渇水その他の問題があるけれども、おのおの收支を拔きにしまして経営上の考慮を抜きにして供給に一生懸命やつておられる、こういうお話ですが、非常にまあ結構だと思います。同時に先ほど従業員の電力使用の合理化の問題につきましてもお話がありました。結構なことだと思います。この点について一つだけ希望を、そういうように收支を殆んど度外視され、それから従業員のメーターの合理化装置も一生懸命やられるということであるならば、その半面にどうか今電力がこれだけ不足しておるがために従業員自身が受けておるところの苦痛、特に例えば石炭屋にしましても、給電屋にしましても、料金屋にしても、検針屋にしても身体の危険さえ感じながらやつておることと、その方面の保護安全装置が私どもは先ほどの従業員の使用するところの電力の合理化装置と並行的に本来やられなければいかんのに、どうもそれほどじやないのじやないかということを非常に心配しております。どうかそういうことも今の電力危機の対策の中に含められて十分御考慮願いたい。同時に收支を拔きにしての電力供給をやられるくらいな意気込であるならば、一つ従業員の賃金のほうも人並みに收支を拔きにしてお考えを願いたい。それは今の電気事業の形態自身が恐らく犠牲的な産業として出て来ておるのですから、石炭の問題、建設の問題と同様に運転員の問題を考えなければ僕はできない産業になつておると思うのであります。そこは同じことですからどうぞお考え願いたい。石炭が入ろうとも、雨が降ろうとも、発電機を廻す男がなくては絶対に電気が出ないことをお知り願いたい。これは私の希望であります。  次に御質問申上げますが、これはどなたにお聞きしたらいいのか、どうも結論がわかつたような気がしますけれども融通問題につきまして先ほどからいろいろな御質問がありますけれども、お答えになられた内容の中で我々が要求しておるようなことはお答えは一つも実はないのです。先ほど安藏さんのところから、東北向けに幾らやつた、東北から幾ら来たというようなお話がありましたけれども、それならばそのときに東北とか関東とか大体同じ制限率になつたか、そうでないでしよう、同じ制限率になつていない。我々がここに非常に強く要求しておるのは、採算を抜きにしてということは当り前、当り前ということはそれを通り越して、とにかく似たような制限率のところまで持つて行きたいと考える。それでもつて公益事業委員会に要求し、公益事業委員会もそうやると言つた。併しながら先ほどからずつとお話を聞いておりますと、私はどうも今の企業の形態ではそれは不可能に近いような気がする。先ほど非常事態云々のお話がありましたけれども、この間以上の非常事態ちよつとないと思う、現在を含めて。それでうまくやろうといつてもうまく行きつこないと思う。これは簡單に井上さんあたりからお伺いしておると、今の企業自体で給電技術上可能ないろいろな経営だとかいう問題を抜きにしまして、給電技術上可能だと言われるが、大体似たような制限率に融通することは、私は大体不可能じやないと思うのですが、それでお聞きしますのは弁解でなくて、実はこの冬のために公益事業委員会で似たようなことができると言うものですからそれに非常な期待をしておる。できないということになれば別の対策も実は考えなければいかんわけである。それで実際どうも今まで見ておりますというと、殆んど制限率が似たようなところまで行くということは不可能のような気がするのですけれども、先だつて大部話合いができたらしいというように聞いておりますが、そういう意味の融通が現在のところで本当に期待していいかどうか。これはお答えにくいか知れませんけれども、実際我々としてそういう期待を持つていいかどうかということは、この委員会として重大問題です。ですから一つ簡單にお答え願いたいのです。
  157. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 非常にむずかしい御質問なんですが、これは先般公益委員会の会議がありましたときに、佐々木委員からも御発言があつて、そのときの御発言によりますと、自分も電気のことは詳しく知つておるのだというお話があつたように記憶しておるのであります。御承知の通り電気需給というものを本当に均等にできるかどうか。刻々に発電量のごときも違うのでありますから、考え方の問題にとどまる。現実にぴつちり合うということは、これはできないと思います。過去におきましても今までの例を見ればなかなかお話のようにうまく行つたということは私申上げかねると思います。併しそのむずかしいものを何とか話合つて、最惡の事態においてはできるだけ均一にしようという意味において、目下私ども努力をしておる。併しながらそこまでの事態に至らない限りは、各社は各社の企業努力によつてできるだけのことをしたい、この二つを如何ようにうまく調節して行くかということを折角私ども努力をしておるということを申上げて、簡單にすぐ割り切つて、できますとか、或いはできませんとか言い得る問題ではない。ここでのお話もございましたし、折角その趣旨につきまして、私どもも先般来引続いて実は本日も担当者もそのことによつて寄り合つて努力をしております。そういうふうにお考え願います。
  158. 佐々木良作

    佐々木良作君 最惡の事態ということは、この秋から現在までに来ているのは、私は継続的な最惡の事態考えておる。そうすると、井上さんその他業者のほうでは給電に混乱が起きるとか、或いはそういう事態が最惡の事態だとか、そういう一時的なことを考えておられますか。
  159. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 例えば十月の初旬におけるような事態は私ども最惡事態考えております。併しながら、例えば本日のような事態ならば、これはまだ最惡ではない、これは程度の問題でありまして、先般来東北に引続きました事態、或いは関西で引続きました事態に比べますれば、今日A制限、B制限の地域はございますが、一応その限度において安定したところの供給を進めておるのであります。この間のような状態になりますれば、到底その限度を超越したような本当の最惡事態、こういうようなときには、どうしても全国均一的な努力をしなければならん、こう考えております。
  160. 佐々木良作

    佐々木良作君 その辺は実は私の考えておつたのとは非常に違つておるのでありまして、実はこの夏の終り頃から現在までのところ、それは数日間例外的に昨日とか今日というものは拔きですよ、そうでなくて平均してみまして、制限率が60%の所と90%の所と月にならしてみればずつとその辺へ来ている。こういう結果を前提とされるのならば、今の井上さんのお答えでそれはやつたということになるだろうと思う。その辺が実はこの委員会で以て要求しておるもの、或いはこの委員会で期待しておるものと実はかけ離れておることは、私は前から知つておつたわけなんです。だから実際私は電気のことを知つておると確かに申しました。それは前に例えばそれならば日発があつた当時のような全国給電ができるかできないか、それに殆んど近いような可能性があるかどうかということを実は求めたんです。併しながら大体見当はつきました。これはもうそういう意味の電力供給は今の機構では、これは殆んど望めないという感じを持ちますから、お答えは結構です。  それから二番目にもう一つお聞きしておきたいのは、それは根本問題でありますが、同様に先ほどから山川さんのところからも非常にお話がありましたように、この電力再編成が行われた現在におきましては、当業に企業採算を考えて、そうして企業努力が発揮できるような恰好であらなきやならんということは安藏さんからも先ほどから繰返されておりますし、それはまあ当然そうだろうと思います。ところがその一方におきまして、收支を拔きにした供給も行わなきやならんということを今殆んど異口同音に言つておられます。而もこのような状態は今年だけ特殊の異常渇水であるからだとは私は言わせない。なぜならば、ずつとそういうやつを平均して考えられて、健全なる資本として運転するためには三倍乃至五倍ぐらいの料金値上げをしなくちやならんと、現にこういつておられる。それはですね、この異常渇水のときもあればそうでないときもある。ひつくるめて、やはり健全資本化するためには、三倍乃至五倍の料金値上げをしなきやならんということだと私ども考えざるを得ない。そういたしますと、先ほどから言われましたように、料金の問題と同時に又何か渇水なんとか積立金というのをやつて豊水期に返すとか、そういう話は私は豊水期に返すような金を云々というような積立金を、私はちよつと考えられないような気がするわけです。要するに今の企業努力を発揮して健全経営を行うためには、平均して数倍の料金の値上げをやらなきやならないということが私は前提になつておるのだと思う。それであるならば、そういう数倍の料金の値上げが現実に日本の経済機構上、現在の日本の経済上本当に可能だと考えておられるのかどうか、非常に私はこの点疑問を持つわけです。そうして一方におきましては收支を抜きにしてもやられると言われる。そうしてその又一方におきましては先ほど来から伺つておりましてもどこから聞きましても、殆んど大きな建設資金というものは国家資本に待たなければならないと言われる。一体現在あるこの電気事業会社、九つの事業会社は、これは一応株式会社として利潤を目的としてやつておられるのか、何が会社の中心になつて、私は、運営しておられるのか、その点を一つはつきりとお伺いしたいと思うのです。そうしないというと対策が立たんと思うのです。
  161. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 先ほど来收支を度外視してやるんだという発言があつたというような前提でお話をお伺いするのでありますが、私ははつきり何と申上げたか、速記録を見るわけではございませんが、私はこういうように申上げたつもりだつたのでございます。つまり石炭で申しまして、私のほうが料金に織込まれましたものは、上期におきましては十三万二千トン、下期におきまして三十万七千トンだつたですか、それで而も炭価としましては五千五百六十円というものが織込まれたのであります。これは当初私の、ここでも申上げた記憶がありますが、あらゆる機会におきまして私どもはその炭価並びにその数量では足りないのであるということを申上げたのでありますが、遺憾ながらそうした御査定の結果を得たのであります。併しながら料金にその石炭価並びに石炭量が織込まれてなくても、私どもといたしましては供給の責任を果す上におきましては万全の努力を払いまして、そうした石炭の獲得をいたしたい。つきましてはこれが資金につきましては、国家或いは皆様がたの御援助も願いたいのである、こういうことを申上げたと思うのであります。そのことは資金につきまして取りあえずいろいろの御心配を願わなければならないのでありまして、究極において若し豊水であつたらば或いはそれだけの石炭を消費しないで済むかも知れないが、渇水においでは相当石炭を消費しなければならない。その赤字は究極において事業者が背負つてもいいのであるというふうには私申上げなかつたと思うのであります。電気事業の経営上の問題という項目において申上げたごく、現在の電気料金は、私はそういう観点からいつても決して適当ではない。今日ここで電気料金の問題を云々しておるのではありませんが、電気料金の決定を見たものが今日今の事情から言つて適正ではないということを私申上げたつもりなんであります。究極において只今御指導のごとく株式会社であり営利会社の形態を取つておる以上は、そろばんが合わなければならないということは当然のことであります。ただ最惡の状態において石炭を焚く、それを料金に全部織込めなければいけないのだということを私必ずしも考えておりません。或る相当期間を通算してみればおのずからそこに先ず考え得る限度というものがあるかと考えますから、今日の状態が全部そのまま電気料金に入らなければならんという主張をいたしたつもりではないのであります。なお而もそれだけの石炭を焚くといたしましても、只今佐々木委員から御指摘がありました電気料金が三倍乃至五倍になるといつたようなことは、万々私はないと考えております。そういう意味で決して日本の経済界においてそれが負担し得ない限度であるとは考えておりません。  それから、従つてそういう健全な経理状態に立つという前提におきまして、私はやはり電気事業者として自己資金を賄い得る範囲、或いは又その健全財政を前提といたしまして、或る時期には外資といつたようなことも考え得るのでありますが、電気開発ということにつきましては、そうしたいろいろな規模、将来における問題というものを待つておれない今日、端的に電源開発をやらなければそれだけ経済界に対する我々としての責務が果し得ない緊急な意味におきまして、どうしても今日解決をして行かなければならない我々のできる範囲内においての仕事は、先刻御説明申しましたような意味で着手するのであります。大きな面での資金は、やはり国家の資金が流入するということが望ましいと思うのであります。その場合先ほど小野委員からも御質問がありまして、安藏社長からお答えを申したのでありますが、やはりそうした形態、企業責任をとり得る会社形態というものが望ましいと私も考えます。
  162. 佐々木良作

    佐々木良作君 時間をとりますから質問はこれでやめますが、まあ井上さんの今おつしやつたことも私もわからんじやない。併しながら恐らく今電気会社の中で中部というのは一番調子のいい所のはずなんです。ですからそういう考えもできるでしようし、健全な考えもできると思います。併し今電力危機を乗り切ろうと思つたら、会社の健全経営と言つたつて両立しませんよ、実際問題として。そうして今料金の話も出ましたけれども建設のほうは別だと言われる。併しながら料金値上の問題を言われる場合には当然償却費というものを別に考えるわけです。償却費を考えるということは当然に建設費ということを意味することになる。料金の中に建設というものが入つて来ざるを得ないということになつて来る。その辺から申しまして、私はお答えは要求しませんが、今の電気事業会社の中で本当に今の企業形態として而も商法上の株式会社の立場をとられるならば、その立場を僕はもつと強行に押し出してもらいたいと思う。そうしないと仕事になりません。そうでないのならば本当の犠性産業としての性格を打ち出してもらいたいと思う。石炭入手の問題にしましても中部は非常にうまく行つておりまするけれども、中部がうまく行つたところで全部の電気用炭がうまく行つていないことは事実です。それは今の電気事業自身がそういう会社の対象になる事業であることと、本格的な犠牲産業的な性格を多分にとらなければならないということがはつきりしないものですから、政府だつて手の打ちようがない、手の打ちようがないというか、石炭業者のほうとすればほかの会社に持つて行くものが、その辺うやむやとして問題がある。従いまして私は実情といたしましては今のような考え方よりほかありませんし、今のような会社のあり方のほかないと思う。併しながらそれをそうはつきり肯定されずに、もつと素人にわかるようにぱつとぶつてもらわなければ電気事業は伸びつこないと思う。どうかそういう意味を含めてお考えを願いたい、こういうふうに思います。
  163. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 東京電力の安藏さんにちよつとお尋ねしたいと思いますが、第一点は、今年度の七月頃の供給予定ですね、供給の何といいますか計画と、それから実際に電力を送られた量との比較を一度聞きたいと思います。  それからもう一つは世間でこういうことが言われておるのです、今年度下期になつてから八月、九月、十月頃非常に電気が足りなくなつた原因は、六、七月頃にたくさん猪苗代湖の水を過度に放水してしまつたためだ、又関西では準備しておつた石炭をたくさん焚いてしまつたためにそれが不足した。何故焚いたかというと、これは送電力の三分の一を特別大口が使つておるわけですが、その辺の需要が非常に大きくなつて、それを無制限に受入れたためにそういう結果が来た。そういうことが言われておるわけなんです。来年度も要するに特別大口方面に対して本年度と同じようにもつともつと需用が殖えて行くと思うのですが、それを制限なしに受入れて行かれるお考えなのかどうか、そういうことを伺いますことは、電源開発はなかなか困難だと思うのです。ですからこれからどんどん殖えて行く需用をそのまま無制限に受入れるということは困難だと思うのですが、それをどういうふうに措置して行かれるお考えなのか。又この間大蔵大臣が本会議で放言していらつしやるのですが、開発々々と言つても要するに外資が入つて来たところでそれを裏付けるセメントが日本にないじやないかということを言つておるわけなんですが、そういう状態で実際に皆さんの計画しておられる開発がやつて行けるような状態であるのかどうか。業者の立場で一つ伺いたいと思います。
  164. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 第一の質問は、七月までの電気の送り方はどうだつたろうかという御質問だつた思います。八月まで加えますいうこと先ほど申上げましたが、五%の増加になつております。それから予定よりは、今年度どのくらい送ろうかということから行きますというと、約六%増加になつております。本当ですというと野放し式に需用に応じておつたならばもつともつと増加したのではなかろうかと思つています。それは先ほども申上げました通り、新規に入るところの電力を見合せまして、新規の需用をできるだけ抑制しております。従いまして随分御迷惑をかけております。申込がたくさんあるにかかわらずその半分は保留という恰好になつております。併しながら電燈のごときは、これはどうも送らなければならないというので、私どもがロスの節約或いは合理化によつて浮いた電気、新規の計画によつて浮いた電気、これを以て充てたいと思つておりますから、むやみに私ども供給はいたしかねております。誠に憐れな現状でございます。  猪苗代のことにつきましては随分これはむずかしい問題でございます。私ども猪苗代の湖水使い方はいつでも注意しておるのでございます。私ども本当に申上げますというと、三千万キロワットアワー使い越しでございます。九月三十日までの私ども使い越しは三千万でございます。これは私どもが他の供給、その他いろいろの方面に送つたということで言訳はいたしまするが、これが私どもの何とも残念な数字でございます。どのくらいそれじやほかのほうに送つたかというとこれは莫大な数になるのです。私どもはほかの地区から九月までに頂かなければならないところの電気は三億九千万あるにかかわらず、渇水その他のために実際に受ける数は二億五百万、一億九千万キロワットアワーが足りなかつたのです。私どもの営業に差支えた数はこれなんであります。止むを得ず猪苗代湖の水三千万を出したのであります。この出した結果、猪苗代の水位にどのくらいかと申しますというと、猪苗代の水位は一尺が千八百万キロワットアワーでございます。私は使い越したのはそれの二倍近くで約二尺が使い越しではなかろうかと思います。私はこの使い越しの埋め合せに石炭を余計に準備したのでございます。
  165. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 開発に対する見通しは如何でございますか、金があつてもセメントがないじやないか、それだから只見川のような発電所はできないということを通産大臣は言つております。
  166. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私どもが先ほど言いましたように大きな開発は一つもございません。先ほども申上げました通り、私どものやつておりますのは一万キロから一万六千キロの小さなものばかりでございます。今年の着手用といたしまして五万八千キロ約六万キロ計上してございます。そのお金も先ほど申上げましたように先般銀行二十二行を集めまして年内に二十億借りることになりましたので、これがすぐにも着手したいということを申上げておきます。
  167. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が安藏さんにお伺いしましたのは、東京電力だけの立物でなしに、日本の電力界の立場で一つ代表的御返事を願いたいと思うので申上げたのですが、そういう小さいものが幾つできても日本の電力事情というものは容易に解決されないのであります。やはり大きな所ができないと問題にならないと思いますが、そういうことはできないと大蔵大臣がこの間本会議で言いましたために、通産大臣もそういうことを言つておりますので、一つ皆さんを代表しての立場でお答えを願います。
  168. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私はそういう全国のことを御返事する資格はないと思いますが、私の立場から申しまするというと、私の管内にはいずれも小さいものでございまして、それがために先ほど申上げましたように微々たるものを計上したに過ぎませんけれども、これでは到底私どもは満足しておりません。従いまして他地区の只見川とか大井川とか或いは天龍川、これを日当に先ほどの表にも掲げてございます、只見川から出した二十万キロを目当にしております。こんなわけでありまして、これには先ほど申上げました通り到底私どもの力ではできませんから、別の会社ができましたならば私は十分協力いたしましてできた電気を分けて頂こうと、こういうふうに考えております。全国的にどうだというと私ちよつと数字は持つておりません。何ともここではお答え申上げかねます。
  169. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私からちよつと一点だけ質問いたしたいので、もう暫くお待ちを願います。間もなく閉会いたしますから。  どなたでも結構ですが、今日私が一番に奇異に感じましたのは、電気経営上の問題として資金繰りに非常にお困りになつておるので、その問題に対して積極的な御意見が吐露されるのではないかという期待をいたしておつたのでありますが、これが殆んど私の期待が外れたような恰好になつております。勿論電源開発用の資金は、これは各社とも非常にお困りになつておりますことは重々承知いたしておりまするが、それでなくて経営経営の必要とするところの資金がこの異常渇水のために非常に困つておられるのではないか、それが本当に困つておられるのか、おられないのか、この点を一つ明瞭にして頂きたい。それから本当に困つておられるということならば、これは何とかしなければならない問題でありまするが、その場合安藏さんも先ほどおつしやつたように、マイナスの渇水準備金のようなものを考えたいということをおつしやつたのですが、今日の段階では、たいという状態ではないと思うのです。若しマイナスの渇水準備金制度を設けて、そしてこの天災的な渇水が本当に電気経理を混乱させておるとするならば、来年或いは再来年、更に将来に亘つて異常豊水が来たときを期待しながら、今年度の渇水準備金がプラスのものでないわけでありますから、国庫にお願いをせられて、そうして国庫からさようなるマイナス準備金を、電気事業の会計の中に特別に紐付き勘定として設定せられて、それによつて石炭の手当を私はせらるべきものと思う。それが法的拘束力を持たないところの渇水準備金の制度でも私あると思う。そういう点に対しての御認識が或いはお考えというものが本日のこの会において積極的に私は吐露せられなかつたという点を甚だ以て遺憾に存ずるのでありまして、この点に対しまして、各社の一つ積極的な今後どうしてやるか、資金にお困りになつておらなければ問題でありませんが、資金繰りにお困りになつておらないというのならばさようにおつしやて頂きたい。困つておいでになるということならば積極的にこれをどうする、これは電源開発資金と離れてお答え願います。
  170. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) この設備資金計画は先ほど皆申上げましたから、只今の御質問にお答えしますが、実は石炭の手当、これは非常に重大なることであります。幸か不幸か私のほうはあまり火力発電所を持ちませんので、比較的私のほうは少いのでありまするが、これから多分お答えがあると思いますが、東京、中部のほうは相当におありと思いますが、そういうものは各社からどれだけの金が欲しいというものを持寄りまして、是非これだけの金は一つ何とかやつて頂きたい、こういうことを今お願いしつつある状態であります。  私のほうの金額は、大体自家用動員費でお願いするならばその使用する石炭を買つてやらなければならんという関係からお願いしている分で、金額としては私のほうは大変少いのであります。
  171. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると東北としては下期の見通しを通じまして、経理的にも又貸金繰り的にも、電源開発資金は別といたしまして、日常経営の面においては大した困難はない、こういうことでございますか、
  172. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 只今申上げたのは石炭の手当の関係であります。
  173. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それを含めまして……。
  174. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) そのほかに先ほど申上げましたように、赤字になつているのですからこの赤字は早速資金繰りの上に圧迫を加えて来る。こういうことになりまするので、そのほうは石炭の手当と又別個に赤字資金としてお願いしたい、こういうふうに考えております。併し何もかにも一緒にこの金もこの金もというわけには参らんので、差ずめ最も大事な石炭の手当の関係の融資をお願いし、その上に赤字資金のお願いをいたそう、かように考えております。
  175. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと私の質問と外れた点がございますがよろしうございます。安藏さんにもう二言繰返して申しておきますが、私は国が若し仮に意を決して電気事業の赤字補填をしなければならんとした場合でも、それは決して今度の天災的な渇水ということを認定してそれに対する措置以外はないと思うのであります。その点をはつきり区別してお答えを願いたい。今、内ケ崎さんの御答弁にはそこがなかつたと思いますから。
  176. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私は飽くまで赤字というものは料金の値上げのときに織り込んだ、一切の経費の赤字ということは私は申上げません。私は飽くまでもこれこれの上石炭を焚きましよう、例えば東京電力で申上げますというと、七十二万トンの石炭を焚きましよう、これは当然私どもは負担いたしますが、これ以上のいわゆる渇水による石炭の消費とか或いは値上りによるものとか、そういうものを私はマイナス渇水準備金とか何とかでお願いをしたいと思うのでありまして、一切の経費の赤字をお願いしようとは、それは少し虫がいいのではなかろうかと思います。又遠慮すべきものではなかろうかと思います。それの点におきまして私どもは今後の赤字がどのくらいになるかということを少しは、やつておりまするが、なかなかこれはむずかしいのでございます。いわゆる渇水程度石炭を殖やす程度、それから融通電力、いろいろございますので、大ずかみのところで私どもでは十何億かの赤字を計上しておりますが、これは各電力各社別々にいつても御迷惑だからというので、併せましてお願いするつもりで準備をしております。
  177. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 中部電力は如何ですか。
  178. 井上五郎

    参考人(井上五郎君) 先刻石炭で御説明申上げましたときに数字的に申上げたのでありますが、料金に織込まれた額で申上げますと、この渇水を乗切るために、それとは別個に私ども希望しております量並びに額との差額が十一億五千万円になるわけであります。それだけの資金ができるのかできないのかという御質問であると思うのでありますが、只今のところ上半期におきまして繋ぎ資金といたしましてそのうち四億円を銀行に融資を仰いでおるのでありまして、更に下期分として約八億のものを只今希望しておるのでありますが、そのうち若干のものは内部保留金等でできるといたしまして、当面四億円ぐらいを話中でありまして、なおそのとき申しましたように只今その計画の中にはインド、カナダ、アメリカ方面石炭が相当量入ることを前提としておるのであります。その入り方と睨み合せましてその融資を仰ぎたいと思つておるのであります。これは相当多額になりますので、私どもといたしましては、直接には銀行融資の形を以て交渉しておるのでありますが、只今他の社長からお話がありましたように、全国的な問題といたしまして公益委員会等にまとめて、別個の意味においてこの全体の融資を日銀斡旋なり、その他の形で解決するように努力中でございます。自力でできるとは申上げかねるのであります。
  179. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もう一点、東北電力の内ケ崎さんに火力設備のことについてお伺いしたいのですが、これは電気は九会社が独立して自主的経営をやることを建前としておるのでありますが、先ほどあなた自身が表明された、将来相互融通はやめて行きたいというようなところまで発言せられたわけであります。それは私は現在の企業政策からいつて本当の姿と思いますが、その場合、あなたは火力を焚いても單価は水力と変らない、日常運転においても石炭費を要する、建設期間も水力と大した変りはない、こういうことを條件にせられまして、東北は火力を作らないのだ。こういうことをおつしやつたのでありますが、私は更にそれについて御質問申上げたいのであります。それは私のような電気について余りよく知らない者が申上げるのもおかしいかも知れませんが、大体水主火従というのが電力の今までの原則であつたのであります。そして東北のほうは渇水時の水力を基準にして最大出力を御決定になつておるなら私は申上げません。恐らく最大出力を平水或いはそれに近いところでお取りになつておるなら、最大出力というものが何万キロと出ましても渇水時にその出力が減退してしまう。それが全部ダム式で常に最大出力維持できるというなら私は申上げませんが、全然火力を必要としませんでそうして水力にどんどん金をかけて参りましたときには、冬の渇水時にいたずらに投下された厖大な設備が遊ぶだけでありまして、従つて一定の需用を充すために水力設備開発だけをやつて参りますると、これは非常に資本の浪費となると思います。従つて一定の需用に対しましては水力開発すると同時にピーク・ロードに対して火力を補つて行く、こういう建前をとつてやらなければ、東北地区だけが自主的な電力経営をやろうと思つても、決して私は発電所の能率的の運営も又電気事業全体の能率的の経理もできない、従つて非常に資本の浪費になると私は考える。これは私は少くとも日本の置かれておる天然的な地形からして、数十年に亘つて日本の電気会社がとつて来た基本的な態度であります。その態度が今日昔のようなブロツクの再編成に戻されようとしておるときに、東北だけがどうして例外的なのか、その点が非常に納得いたしかねますので、その点明確な答御弁を願います。
  180. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 先ほど東北は火力をやりませんとお話申上げましたが、絶対にやりませんという意味でないということをそのとき附加えて申上げたつもりであります。絶対やらんという意味でなく或る時期が参ればこれはやるのだ、それで調査、研究は進めておるというお話を申上げたつもりであります。それでどういうふうに考えておるかということになるのでありますが、当分やらないという意味は、今後おつしやる通り水力だけでは片ちんばですからどうしても渇水補給を考えなければならん。渇水補給を考える場合に火力考えることが一つ。それからもう一つは非常に大きなダムを築いて相当大きな貯水量を豊水期に溜めて渇水の時に出すのだという計画、これもあり得るわけなんであります。その貯水池の計画火力とを睨み合してやるのだと、かような意味で申上げたのでありまするから御了承を願いたいと思います。
  181. 古池信三

    ○古池信三君 ちよつと関連して、丁度今、水、火力の問題が出ましたので私も申上げておきたいのですが、水、火併用という問題は今非常にむずかしい問題だと思います。それだけに十分に研究する余地があると思うのでありまするが、先ほど栗山委員長の言われた日本は水主火従であると、これは成るほど日本全体として見ればたしかこれはさようなことが言えるのであつて豊水期に十分な能率を発揮して渇水期に補給する、何らかの形においてこれは考えなくちやならんということも当然でありまするが、併しそれかといつてどこにでも火力を作つてやることが果して長い目で見てそれが最も能率的であるかどうかということも、これは一つ考えてみなくちやいかんと思うのであります。御承知のように北海道はこれは炭鉱も多く火力も相当ありますが、東京、中部、関西、中国、九州、これらに相当な補給用の火力があるにかかわらず東北と北陸には殆んど今まで火力がなかつた。それが果していいか惡いかということはいろいろ議論の対象になると思いますけれども、とにかく今まで何十年の間、東北には火力が置かれてなかつたということについては、企業形態の問題もありましようが、又それ相当の理由もそこに存したのではないかと思われるのであります。従つて本日同僚の委員からも東北に大いに火力を援助すべしという御意見が出ました。私はこれは一途に本年のような場合があるから、常に公共事業として又基礎産業として供給の安定性を確保しろと、こういうことがその狙いであると思うのであります。従つてその皆さんの狙つておられる目的はよく了承するのでありまするが、果して火力を而もどの程度のものを置くか置かんかと、今内ケ崎社長も言われた火力の補給用に代用するようなダム水力発電所を設けるということも一つの構想でありましよう。それらの点は一つ十分に私は検討されて、最後供給の責任を持たれるのは飽くまでも東北電力の社長でありまするから、そういう意味合いからも愼重に検討された上でこれは決行されるように一言申上げておきます。
  182. 佐々木良作

    佐々木良作君 ちよつと資料について、先ほど委員長から資料の注文がありましたが、それに附加えまして、その中に入つていると思いますけれどもずつと先ほどから話を聞いておりますと、今の電力危機の問題は殆んど今渇水一点張りで御説明をされておる。これは委員会でたびたびやつても、公益事業委員会から話をされましても、むしろ需用の問題が実際面に大きく出て来ておる。従つて需用の問題、特に上期におきまして各社で考えられた需用と、それから実際とはどれだけ違つたかというようなこと、及び下期における需用の見通し等につきまして、成るべく各社で以て実態を、需用のデータを附加えて頂きたいということをお願いして置きます。  それと同時に融通の問題を申上げましたが、これは希望を申上げておきますが、この委員会でいろいろ話になりましたところの融通の問題は、先ほどから伺つておりましたようなそういうなま易しいものではない。もつと真劍に本格的な融通の問題がたびたび論ぜられておりまするから、どうか各社でその問題を、或いは各社間で話合われた場合に、もう少し本気この融通問題をよくお考え願いたいという希望を申上げておきます。
  183. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 閉会するに当りまして、参考人のかたがたに一言御挨拶を申上げます。  電力問題が極めて多端な折柄でありまして、各社の最高責任者のかたがたにあられましては、誠にお忙がしい時であつたろうと存ずるのでありますが、私どもの要請に応えられまして本日御来院を願い、そして熱心に私どもの質問に答えて頂き、各社の実情をつぶさに明らかにせられましたことは、誠に当委員会電力事業調査のために、貢献せられたところ鮮少ならずと存ずるのでありまして、委員会を代表いたしまして厚く御礼を申上げる次第であります。  来年の三月までの状態につきましては、御專門の各電気業者におかれましては、それぞれ自信を以て当られておるふしを本日の委員会でも私どもはお聞きしたのでありますが、この委員会においてすでに九月以来公益事業委員会或いは通商産業省、安定本部等々の政府筋を通じて私どもは理解しております点については、実に容易ならざる事態であることを又了承いたしておるのであります。従いましてどうか日本の産業が電力のために混乱に陥るとか、或いは電力のために社会問題が発生するとかいうようなことの絶対に起きませんように、誠に御苦労でありますが、折角の御努力を頂きますことをお願いとして附加えましてお礼に代える次第であります。どうも有難うございました。  それでは本日の委員会はこれで閉会といたします。    午後五時五十七分散会