運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-11-06 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月六日(火曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            廣瀬與兵衞君    委員            入交 太藏君            中川 以良君            松本  昇君            重宗 雄三君            島   清君            加藤 正人君            山川 良一君            境野 清雄君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    纎維局長    記内 角一君    資源庁鉱山局長 松田 道夫君   参考人    全日本金屬鉱山    労働組合連合会   中央執行委員長  原口 幸隆君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員の選任の件 ○小委員長指名の件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (纎維に関する件)  (産金問題に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から通産委員会を開催いたします。  先般の委員会におきまして、中小企業に関する小委員会競輪に関する小委員会の御決議を賜わりまして、これが人選につきましては、委員長一任ということに相成つておりましたから私から御指名申上げたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では委員のかたを御指名申上げます。  中小企業に関する小委員会    松本  昇君、古池 信三君、    入交 太藏君、小松 正雄君、    片岡 文重君、佐多 忠隆君、    加藤 正人君、高瀬荘太郎君、    境野 清雄君、油井賢太郎君、 競輪に関する小委員会    結城 安次君、広瀬與兵衞君、    中川 以良君、栗山 良夫君、    島   清君、山内 卓郎君、    竹中 七郎君、境野 清雄君、 右に決定いたします。
  4. 境野清雄

    境野清雄君 只今中小企業に関する小委員会と、競輪に関する小委員会委員長指名で決定したのでありますけれども併せてこの小委員会の小委員長をこれは互選でやるのですが、これは急いで開かなくちやならんししますから、これも併せて一つ委員長に一任するという動議を私から出したいと思います。
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野君からの御動議に対しまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。委員長から両小委員会委員長を御指名申上げます。  中小企業に関する小委員会の小委員長松本昇君、競輪に関する小委員会の小委員長結城安次君にお願いいたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして右決定いたしました。   —————————————
  8. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から公報を以て御通知を申上げました通り纎維に関する件につきまして当局から、先般の委員会におきましていろいろ御質問がありましてその実情をお話願つておるのでございますが、その後の情勢、いわゆる電力問題或いは石炭問題、こういう問題の全体の影響その他に対しまして、又紡績問題その他の問題に対しまして纎維局長からお願いいたしたいと思います。
  9. 記内角一

    説明員記内角一君) 纎維の最近の概況について御説明申上げますと、電力事情でございますが、これは御承知通り本年異常な渇水のために各地の電力不足で非常に影響をこうむつております。特に割当におきましては十月においては、今年の七月を基準として割当はいたしておるのでございますが、それにもかかわらず現実送電停止というようなことで相当減産を来たしているわけであります。ただ九月におきましても相当減産があつたと思つているのでありますが、綿糸紡績その他各方面生産余り減つておりません。むしろ綿糸におきましては八月よりも少し殖えているという状況でございます。勿論七月よりは下廻つているわけであります。これは八月には例のパキスタンインドネシア方面輸出が停滯いたしましたので、減産気がまえになつ関係もあつたのでありますが、八月よりも若干上廻つているというような現象を来たしているのであります。いろいろ調査をいたしているのでありますけれども、どうもよくはつきりわかりませんけれども紡績と織布を兼業しているような大きな工場におきましては、織布のほうを抑えて糸の生産を挙げているという関係もあつたかと思うのであります。又人絹スフにおきましては、八月又非常に不況でございましたので生産を抑制いたしておりましたが、その後市況も回復したために九月に行つて生産の増強に当つたというふうな関係もあろうかと思うのであります。又羊毛においても同じように不況でありましたが、丁度シーズンに入つたという面があろうかと思うのであります。もう一つ人絹スフのいわゆる化学纎維工場は大部分自家発を持つておりますので、これを運転いたしまして電力を確保したという関係があろうかと思うのであります。十月になりますとその影響が端的に現われているようでありまして、お手許に配付いたしました資料終りから三枚目以降が、十月の初めをべースにしましてどういう影響を来たしているかということを各工場別に調べたわけであります。このAとか、Bとか、Cとかでありますのはそれぞれ工場名前でございます。特に挙げてはございませんが工場名前だけを挙げておきましたが、それによりますと一番終りの欄、備考の欄に七月に比較いたしまして十月の生産予想でございます、それをパーセンテージで現わしますと大体二割から三割の減、勿論一部には上廻つておるところもございますが、大体いたしまして三割見当の減産を来しておるということが推定される次第でございます。まだ的確な数字集計ができておりません。目下集計を急いでおるような実情でございます。  石炭でございますが、どちらかと申しますとこの八月頃非常な不況ではありましたが、比較的資金的に恵まれた立場にありました関係か、大手筋におきましては相当夏場に石炭を手配いたしまして、目下のところでは相当手持を持つておる実情でございます。従いまして勿論現在石炭電力用相当優先的に出荷をするように、或いは手持石炭の供出というふうなこともいろいろ手を打たれておるのでございます。今後入手は漸次困難になつて来るかとは思うのでございますが、目下状態におきましては石炭自身影響というものはございまん。專らこの電力影響ということによつてむしろ石炭消費の量も減退するということすら考えられるような実情でございます。  輸出方面におきましては御承知のこの春以来の輸出不振が非常に未だに回復いたしませんで、トータルにおきましては例えば初めから三枚目の資料を見て頂きますと、主な輸出品でありまする綿布におきましては一月の輸出がたしかこれは六千八百万ヤールだつたと思うのであります、それからそれが八千万ヤール、三月には一億ヤール、一億を突破する、五月には最高で一億二千五百万ヤールという数字を示しておるのでありますが、八月から九月にかけまして非常な減退を来しておるというような実情でございます。十月に入りました数字はまだわかつておりませんが全般の数字から推算いたしますとやや回復いたしまして七、八千万ヤール程度ではないかというふうに考えられるわけであります。ただ現実の問題といたしましてはここにも挙げられておりますように一——八月、この数字綿布関係におきましては一月から九月までの数字でございますがこれが八億ヤール、昨年度に比較いたしますと昨年が七億七千万ヤール、丁度五%増加いたしておるという実情でございます、併しながら尻上りに設備増設もいたされておりまするし、綿花状況も好転しておる関係上平均一億ヤールくらいの輸出はどうしても達成しなければならんということに努力いたしておるのでありますが、現実にはまだはかばかしく回復はいたしておりません。その他の方面におきましては大体順調に輸出は出ておるように思われるのでありまして、一時減退を唱えられておりました人絹織物人絹糸等におきましても最近漸次回復いたしておりまして輸出のほうも余り心配はない。スフが若干停滯ぎみにあるという程度の感がいたす次第であります。こういうふうに纎維中心であります綿布が不振でありまして、殊にこの六、七、八月、例のパキスタンインドネシヤ方面のキヤンセル問題ということで、それをめぐつて滯貨金融が非常に憂慮されておつたのでございますが、これも八月末から九月初めにかけまして日銀その他の斡旋による融資ということが漸次緒につきまして、目下のところはこの問題も大体一段落ついたのじやないかというふうに考えておるわけであります。ストツクの面におきましても当時キヤンセル品が一億五千方ヤール、或いは二億ヤールと言われておつたのでありますが、それがそのままストツクになり貿易商社、或いは紡績方面手持になつておるはずでございましたが、現在では手持はそう殖えておりません。これは大部分国内に流用されたというような現象になつておるのじやないかと思つておるわけでございます。その関係でありますか綿布国内市価は、糸が一梱十三万円から十四万円というふうに一頃よりも相当上廻つた市況を示しておるにかかわらず、綿布は依然停滯気味になつておるということでありまして、これは本来輸出に向けらるべき綿布国内に転用されて来ておるということを示すものだろうと考えておるわけであります。こういうふうになつて参りますと、結局国内市況を圧迫するだけでありますし、貴重な外貨を以て購入した綿花を徒らに国内消費する、乱費するということになるのは遺憾の限りでございますので、我々といたしましてはできる限り輸出の増進を図りたいということで目下関係業者を督励いたしておるわけでございますが、先ずその第一歩といたしまして現在大体月産十五万梱ばかりの綿糸生産を見ておるわけでありますが、その中の六割に相当するものを糸でもよろしいし、主として織物中心でございますが綿布として輸出してもらう、残る四割を内地のほうに振向けるというふうな心組で以て今この督励をいたしておるような次第でございますが、この三、四月頃の纎維ブームの時代におきましてはむしろ如何にして国内を確保するかということに苦慮いたしておつたのでありますが、現在では国内に流れ過ぎて如何にして輸出に振り向けさせるかというところに問題があるように思うのであります。  更に第二段の方策といたしましてその中でも特にドルの資金をかせぐ必要があるということで北米、中南米方面に特別な綿業使節団というふうなものを業界人を以て派遣するというふうなことも計画いたしておりまして、近くこれも実現することじやないかと思つておるわけであります。ただ何分にも一般の空気が単に我が国ばかりでなく、纎維関係が若干輸出貿易方面に停滯の傾向が見えますので、この打開策についてはなかなか苦心が必要でろうと思つておるわけであります。原料関係におきましては原綿におきまして七——九月において約五十万俵、十——十二月において三十万俵の資金割当いたしまして、年間米綿にしまして、百二十万俵を獲得するという目標の下に、資金割当に努力をいたしておる次第でございますが、これとは別個にアメリカから、いわゆる綿花借款といたしまして、向うの輸出入銀行から綿花クレジツトを設定してもらうということについて、目下関係方面と折衝を重ねておるのであります。若しこれが実現いたしますると約二十万俵ばかりの原綿を獲得することができるかと思うのでありますが、ただ現在の輸出状況その他と睨合せまして、これは予定計画の百二十万俵のうちの資金としてこれを使いたいというふうに考えておるわけであります。  羊毛方面におきましては、相当順調に資金割当が御承知通り、これは主としてオーストラリアのスターリング・ブロツクでございますので、ポンド相当余つておりますので、この方面買付を進めておるという状況でございますが、ただ今年は羊毛の値段の変動が非常に激しいために、買付の時期を若干見送つておると申しますか値の安定を見定めておるというふうな概況が見受けられるのであります。いずれにいたしましても、原綿といい原毛といい原材料関係方面では、目下のところでは資金的に、さしたる心配はないのではないかというふうに考えられるのであります。  要するに目下纎維業界におきましては、やはり問題は電力不足の問題であり、次は綿を中心といたしまして輸出の振興ということが一番大きな問題ではないかというふうに考えておるのであります。設備の拡張につきましては今年度中に六百万錘になるのではないかという予想をいたしておりましたが、いろいろな関係がありまして、これは非常に促進されまして、去る十月十五日現在での調査によりますとその稼働錘数は五百九十万錘という数字を示しておりまして、当然十月中には六百万錘をオーバーする、この年末までには六百二十万近くのものの稼働を見るのではないかというふうに考えられるのであります。その他の方面におきましても、目下の需給と睨合せますれば、設備的な不足心配ない。むしろ織機方面におきましては、設備の過剰が憂慮されるというようなことすら窺える実情でございます。さしたる問題は、差当りのところないように考えられる次第でございます。以上概略の説明を申上げました。
  10. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 今の御説明に対しまして、御質問その他ありましたら。
  11. 境野清雄

    境野清雄君 今人絹輸入問題に対して第一の表を拝見したのですが、あとから四、五枚目に、人絹パルプ輸入実績というのがありますが、これを総計いたしますと、四月から九月までが大体二万六千トン、それから原料輸入見通しが十月——十二月と、一——三月が共にここには三千トンしか載つていないということになると、四月から来年の三月までの一カ年が三万二千トンになりはしないか。当初二十六年度は多分六万トンというふうな予定でありましたものが、大体半数ぐらいしか輸入されておらないのじやないかと思いますが、この点はどういうふうな食い違いがあるのか。或いは国産のほうが十分間に合つたの輸入もやめたのか。そういう点を伺いたいのと、スエーデン、ノルウエー、フインランドという北欧三国のやつは、多分為替の関係から一カ年切替にしたのでしようが、一カ年契約であるとすれば、十月——十二月、一月——三月の輸入パルプ数量は三千トンというのが違うのじやないかと思うのですが、その割合に対して纎維局のほうの見通しをお伺いしたいと思います。
  12. 記内角一

    説明員記内角一君) 人絹パルプ輸入は、大体二十五年度におきまして三万二千トンばかり入つております。それから本年度はそれを大体四万八千トン入れるという計画にいたしております。而もそれは相当長期に亘つて契約になつておりますので、勿論国内産のパルプと総合いたしますと、目下生産状況から考えればさしたる心配はないのじやないか、こう考えております。
  13. 境野清雄

    境野清雄君 今のあれで結構ですが、大体前の纎維局長さんのときに、多分今年の三月頃の二十六年度報告というのは、今私の申上げた通り、二十六年度の四月以降の入荷見込が、二十万五千トンというようなものであつて、そのときに大体輸入パルプが六万トン、国産パルプが十四万五千トンというようなものである。今年の総計画が三億九千万ポンドというような数量を出されたので、他の数量の点はややこれに合つておりますが、輸入パルプはどうも私が見ますと当初の計画より、四万八千トンにしましても一万五、六千トンは輸入不足になつておる。輸入不足は最初は二百三十ドルぐらいで入つていたものが、最近入つておりますのは四百ドルから四百八十ドルという高いものですから、間に合うものなら人絹パルプは余り入れないほうが単価の上には都合がいいと思うのですけれども、ただそのものが確保でき得ないというような難点がありますと、国産パルプが足らない場合に重大問題が起りはしないか。本年度計画に対しても或いは来年度に対しても相当難点起りはしないかと思いますので、大体この人絹パルプ輸入されておる価格の面と、今年の予定とどういうふうに違うかを、一つ今日でなくも結構ですがお調べ願いたい。こういうふうに人絹パルプについては考えるのであります。  それから次にこれは私の希望でありますけれども、まだ今ここで拝見しただけなのでよく内容的にわからないのですが、この羊毛輸入実績というようなところにオーストラリア数量金額ニュージランド数量金額というのがあるのですが、これは多分羊毛自体オーストラリア羊毛品質ニュージランド品質相当違うはずなんでありますから、これに対して一つ今後お出しになるときにはポンド当り単価一つお出し願いたい。そのほうが私見てよくわかります。私家に帰つてから割算すればわかりますが、一応一つ今後のものには銘柄と単価をお入れ願えれば私ども見ましてすぐわかりますので、そういう点を今後の資料のときに、一つお願いしたいと思います。  それからこれはこの次纎維局長にもう一度出て来て頂いて、一つ再度調べてから今日のやつの質問をやつてみたいのでありますが、取りあえず今お話の十月十五日に綿が五百五十万錘、十一月中に六百万錘、年末には六百二十万錘になる。そういうものに対して政府自体がどこがリミタンスになるか、どこまで紡績を拡張すればいいか、一体内需輸出とに関連してみて紡績錘数というものが日本で拡張すべきものかということの基準をお考えになつておるのかどうか。私どもはいろいろ考えますと、六百万錘というものが頂上じやないか、六百万錘を超した場合には、綿花輸入資金という面並びにでき上りました綿糸その他のものの消化というような面に相当難点が出るのじやないか。金融が総括的に相当逼迫して設備資金というものは特に逼迫しておるというようなときに、大企業紡績面へ余り不必要になつてもどんどんこの増錘のために金を使うということが日本経済の再建の面から是なのか他のもう少し殖やさなければならんところへ廻すことが是なのか。こういうような点もありますので、纎維局自体としては大体現在の紡績というものの輸出内需との睨み合せをした上で、一体どの辺を頂上にして紡績というものの錘数を押えて行くつもりか、そういうような面が若しおわかりでしたら一つお知らせ願いたいことと、若しおわかりでなかつたらそういう点も一つ通産省纎維局自体としては今後お考え願わないと、このまま野放しにしておくと七百万錘、八百万錘をいうことになつて紡績綿花自体を買入れる資金にも難点を来し、できた商品の消化にも非常な難点が出て来やしないか。今のように従来四〇%、六〇%というような輸出内需割当を付けておりましても、すでに今日では輸出自体相当難点がある。こういうような状態におきますとこれが余り野放し錘数増錘するということはどうかというような点も我々は心配するのでありまして、そういう点に対して一つ纎維局自体で現在おわかりでしたらおわかりの方針を承わりたい。そうでなければ一つこの点は御研究願つて、後日でもそういうものに対する纎維局としてのお考えを一応お知らせ願いたい、こういうふうに思うのであります。
  14. 記内角一

    説明員記内角一君) 只今紡績錘数の問題でございますが、大体紡績は現在は電力で制約を受けておりますが、それまでは二番操業で大体フルの操業をいたしておつたのでございます。従いましてそのできる糸にいたしましても、十六万梱までを突破するというふうなことがあつたわけでございますが、ただこれも輸出内需との総分的な需要との睨み合せが必要でございまして、現在の輸出状況がもつと向上するものとは考えませんで、毎月一億ヤール或いは一億二千万ヤールという数量は是非出さなければならんと考えているわけでありますが、その辺と内地需要とのバランスを見ますというと、大体フル操業というものを前提にしますれば、現在の六百方錘で目的は達せられるのじやないかというふうに考えられるのであります。従いまして我々といたしましてはこれ以上の増設を奬励するとか、希望するとかいうふうなことはやつておりません。例えば最近日銀当局、或いは大蔵省のほうで通牒を出しておりますように、設備拡充には金融機関からの面倒を見ないというふうな原則をとつている面もありますが、事紡績に関する限りは余りそれによつて痛痒を感じないというような状況じやないかと思つているわけであります、ただ現実の問題といたしますと、出遅れた所も若干ありまして或る程度採算ベースに乗るまでの増設ということも考えている向きも或いはあるのじやないか。目下調査をいたしておりますが一応いわゆる十大紡につきましては大体これで出揃つたと見てもいいのじやないかと思つているわけであります。ただいわゆる新紡、新しく出ました、紡績におきましては、餘りに単位工場錘数が少いためにこれを或る程度経済単位にまでレベル・アツプしたいというふうな動きも相当あります。これらが積り積りますと相当の量にまで上つて来るということも察せられるわけであります。我々といたしましてはこの辺を一応の一段落といたしまして、更に今後の輸出状況、又国内消費状況、これらを睨み合せまして、もう少し時期を待つてから、必要とならば第二段の策を講ずる、現状においてはこの程度で一応のリミツトに来たのじやないかというふうな考え方を以て指導をいたしているのであります。ただ御承知通り現在におきましては全部自由な立場で操作し得るわけでありますので、それぞれの経済懷ろ勘定で以て増設計画している向きもあるように見られるのでありまして、ただ第二段の問題といたしまして、増設が幾ら行われましても、資金的な面においておのずから限度がある。又需要の面、輸出の面と睨み合せて、原材料であります原綿輸入というものも考えて行かなければなりません。増設が如何に行われましても、これにそれをフルに動かすだけの原材料を十分に買うだけの資金割当てるというふうなことは、まだこれはなかなか至難な問題であるわけであります。その辺は紡績業者自身のかたがたも十分に反省をせられて対処せられることを我々としては常に希望している次第であります。
  15. 境野清雄

    境野清雄君 纎維局長の御説明でよくわかりましたが、ただ私ども心配しておりますことは、紡績の機械というもの自体パキスタンなりその他へ或る程度プラント輸出で出るという見通しもあるのでありますから、そこで折角作りましたもので外貨を獲得でき得るものは日本紡績会社紡績自体の自力があるというので設備作つてそのものがその十大紡績としては、一応の資金裏付がありますからやれましようが、そのしわ寄せが中小企業に寄つて来て、中小企業の小さい一万錘、或いは五千錘というようなものは折角設備作つて、従来やつてつたの遊休設備になるというような憂いも或る程度あると思いますので、そういうものに対する対抗的な方針は一応自由に野放しにしても、政府自体をしてこういう方針なんだということを明示されたほうが私は政府の責任も或る程度なくなりますし、それから日本纎維界の総体の統帥をしておる纎維局としてはそういうような面を一つ研究願つて、或る程度の結論を出して頂くほうがよいのじやないか。丁度その反面に今日のこの表を見ますと、人絹織物なんかも相当輸出パーセンテージが上つておるようで非常に結構ですが、人絹織物現実の問題としては、もつと輸出ができ得るものが中小企業でありますために、契約ができたときに直ちに糸の買付ができ得ない、その間に糸が暴騰してしまう。糸が御承知通りいつも不安定な状態日本経済界現状から見てありますために、そういうために輸出がみすみす取れるものが取れないというような憂いがたくさんあるので、片方大きな紡績会社自体のほうはそういう安易な考えでどんどん増設ができる。片方折角取れるところの人絹織物というようなものは企業自体中小企業なるが故に糸の裏付がないためにみすみす取れないという現況にありますので、そこで特に中小企業庁での纎維局長さんでありますので、(笑声)こういう点は特に中小企業に対してももう少し重点を置いてお考え願いたい。そうして紡績一方でなく、一つ中小企業である絹、人絹、織機というものに対しても糸の裏付その他に対しても何かと纎維局としてお考えを願いたいと思います。
  16. 記内角一

    説明員記内角一君) 御尤もな仰せでございまして、我々も極力そのように努力いたしたいと思いますが、ただ例えば綿布方面におきましては、或る程度紡績輸出用の糸を、若干の期間のずれは必要でありましようが、或る程度の余裕を見るというふうなことは勧奬したいというので、目下よりより話を進めているわけでありまして、輸出用の糸が足りないというようなことは今日の輸出不振、そのために内需の不振ということも憂慮されております折からでありまして、是非実現さしたいというふうに考えているわけであります。絹、人絹につきましても、やはり必要に応じてはそういう手も考えてみたいというふうに考えております。ただ根本としまして、どちらかと申しますと、戦前に比べ、又内需輸出とのバランス以上に織機が殖えてしまつておるというような傾向があるわけであります。このために織屋のほうで相当糸の買漁りが行われるというようなこともしばしば見受けられるのであります。織屋方面においてもこの点については十分の理解が望ましいのじやないかというふうに考えるのであります。いずれにいたしましても、輸出用の糸に不足するというふうなことは是非なくしたいものということで、いろいろその手を考えております。
  17. 境野清雄

    境野清雄君 この表については先ほど申上げました通り、もう一度私どもお出かけ願つて質問さして頂きたいと思いますけれども、全然違う問題ですが、農林省に来てもらわなければわからん問題だろうと思いますが、糸価の定安策を図られているということで三十億か予算が計上されているようでありますけれども、これに対して一応多少の関連性がありますので、纎維局のほうではこの問題に関してどんなお考えであるか。これはおわかりにならなければ結構なんですが、何かおわかりになつている点がありましたら、生糸の糸価安定策に対しての纎維局としての御意見があつたら承わりたいと思います。
  18. 記内角一

    説明員記内角一君) 糸価の安定、殊に生糸の安定の問題は過般ロンドンで開かれました世界の絹業大会の際にも強く要望せられたところでありまして、やはり糸価の安定ということが直ちに又絹織物、絹製品の安定ということになるわけでございます。従いまして我々といたしましても、生糸の安定ということにつきましては非常に切望しているところなんであります。その意味におきまして農林省で立案しておりまする絹糸価格安定法案につきましては、我々といたしましても賛意を表しておる次第でございます。ただ問題は糸価をどの辺に抑えるか、又その最高と最低との値巾をどの辺で落ちつかせるかというところが問題でございまして、余りに高い相場でありますれば、当然輸出のほうが不振になるわけであります。まあ農民自体立場に立つて考えますれば、糸価は高いほどよろしいのでありますが、殊に大部分輸出に行く生糸というのでありますから、その面から見ておのずからの制約がありまするし、又その中が、最高最低の間の中が相当広くなりますというと、折角の糸価安定が糸価安定にならないという面もあるわけでございます。これは今後実施の際におきましては、この法案によります糸価安定審議会というふうなものができるようにも伺つております。できるようになつておりますので、その際には我々もそれに参画いたしまして、その相場の値きめの問題、あれにつきましては十分検討を加えて参りたいというふうに考えている次第でございます。
  19. 境野清雄

    境野清雄君 纎維局のほうと、農林省の蚕糸局とお打合せするような場合に、一つ纎維局長さんの頭に入れておいて頂きたいことは、私ども考える糸価の安定策というものは、今日本自体が許可されております製糸工場の釜数が約五万釜、それで一釜当り五万貫なければフル操業ができないのでありますから、日本の産繭高が二千五百万貫にならない限りは、いつも製糸工場は産繭高というものがアンバランスになつております。最後の晩秋蚕というものの出廻りのときには、相当の採算の合わない点ができても、買い漁りをしなければ製糸工場は休まなくちやならないのじやないかというような点があるのに、今年は大体予想としては二十万俵乃至二十一万俵というお話ですから、二千一百万貫、多くて二千二百万貫しかできないのじやないか、一割以上のアンバランスがありますので、これを農林省自体が桑園の拡張なり何なりを非常にやつて頂いて、来年度はどうしても二千五百万貫という生産に持つて行きませんと、折角糸価安定策として予算に三十億円か組まれましても、なかなか本格的に実現ができないのじやないかと思いますので、協議会でもありました節は、こういう点に関しても農林省に強く、纎維局のほうから要望をして頂きたい、こういうふうに思います。  最後に先ほどの局長からのお話では、内需の綿は相当十二分に潤沢に廻つている、そこで輸出に振り向けるべく努力しているのだ、こういうお話で、私は非常に結構なことで、外貨を獲得しなければ日本経済の事態としては困難な情勢ですから、結構だと思うのでありますが、大体当初予定としまして七億万ポンドばかりの綿糸を作るというようなときに、大体内需向けというものは日本では二億四千六百万ポンドというものが内需向けというように二十六年度計画を立てられた、その当初から見ますというと大体国民一人当りの消費量が三・一ポンドぐらいじやないか。たまたま先ほどの六、七月のキヤンセル問題その他の特殊の問題が起りましたので、今年はうまく行けば、六ポンドぐらいまで上がるのじやないか、今の表をよく検討すれば何ポンドぐらいになるかということはわかるのでありますけれども、大体五ポンド乃至六ポンドになるのじやないか、併し一九三八年戦争前というものは、日本人は国民一人当りは十二・八ポンドというものを消費しておりますから、当初計画のような三・一ポンドというものは、農村なり或いは他の一般方面では相当不足しているのじやないか。まあ六、七ポンドまで行きますれば、これは半分ぐらいの、戦前の半分ぐらいになりますから、綿というものは一般家庭その他のほうへ或る程度つて来るというように考えられますけれども、これを余り輸出ばかり奬励しまして、来年度国内消費というものを圧迫しますと、又綿の相場というものに変動を来たしますので、この点のところはよく、一つ御勘案願つて、二十七年度計画を立てるときに、一つ内需の綿にもひどい圧迫を加えないようにやつて頂きたい。これは二十七年度のあなたのほうの計画を立てられるときに、一応そういうお心組みでその点も見て頂きたい。勿論輸出を前提にしなければ外貨が取れないので、その点は我々は異論はないのでありますけれども、そういうような内需をひどく圧迫しないで、元の三万七千五百万俵から五万俵ぐらいに上りまして、この五万俵の線ぐらいは何とか確保できるように、一つ御配慮願いたいと思います。
  20. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと私から局長にお尋ね申上げたいと思うのでありますが、先ほども申されましたように、ちよつと御答弁の中にも出ておりましたが、織機が多過ぎる嫌いがあるということを言われておりますが、絹或いは人絹、綿、羊毛という場合に、どの部分にどのくらいの率で多過ぎるとお考えになりますか、この点を伺いたいと思います。
  21. 記内角一

    説明員記内角一君) ちよつと数字を持ち合しておりませんので、なんでありますが、纎維設備纎維が全部統制撤廃になりまして、設備の制限或いは承認というふうなことがなくなりましたので、実際のところは非常にわかりにくいのでございます。ただ今までのずつと動きを見ておりますというと、いわゆる糸の買漁りということが頻々と行われて来ておるのであります。やはり二割見当を上廻つておるというふうに見ていいのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  22. 境野清雄

    境野清雄君 今のお話は私のほうから見ましても大体纎維局長と同じような考えでありますけれども、大体一つ纎維局のほうで若しそういうようなデーターができましたら出して頂きたいと思います。というのは絹、人絹なら絹、人絹という織機を見ますと、私どもといたしまして現在十九万六千台ぐらいのものが全国にあるのじやないか。併しながらこれに対する供給面としての原糸は生糸に関しましては三万俵と、それから内需用の七万俵、この十万俵が国内消費として十九万六千台に対する供給量、それから人絹のほうを見ますと一億四千万ポンド、それからスフの二億五千万ポンド、三億九千万ポンドの中の大体二千二百万ポンドばかりは原糸のまま輸出と、こういうような計画らしいので大体三億六千万ポンド強のものと、今の十万俵の生糸というものが、絹、人絹織機というものについての原料の供給面じやないか、そういうようなことになると大体十四万台及至十四万五千台でフル運転できれば十分にあるので、五万台ばかりのものが過剩になつてしまう。又毛のほうで見てみましても大体今一万五千台ぐらいありまして、戦前は一万二千台きりしかなかつた。一万二千台きりしかなかつたときにその梳毛のほうは大体百六十方錘ぐらいある。それから紡毛のほうは七百三十セツト、それが戦後の今日では梳毛約八十方錘きりで、紡毛のほうは一千セツトというので、織機は一万五千台となつているので、これはまあ相当二割以上の過剩となつている、いわゆるアンバランスができている。これは各方面もそんなふうになつているので、この点は一つ何かのときに総数量をできる範囲のお調べを願いまして、そういうようなアンバランスの点も一つお知らせ願いたい。そういうものによつてどもは事業者団体法なり何なりを改正して頂きまして、そうして操短のでき得るように指令して頂かないと、日本纎維界というものは相当困難な状態に逢着しやしないか、こんなようなことを考えておりますので、そういう点に対する資料もできましたら一つお出しを願いたい、こういうふうに思います。
  23. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 他に御発言ございませんか。
  24. 境野清雄

    境野清雄君 今はたまたまこの委員会に全日本金属鉱山労働組合連合会のかたがお見えになつておりまして、産金政策に対して何か請願をしたいというような御希望がありますので、一つ皆さんにお諮りを願いまして一応この御説明を簡単にお聞きしたいと思うのでありますが、皆さんにお諮りを願いたいと思います。
  25. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野委員からの御動議によりまして、参考人として日本労働組合全国総評議会副議長、全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君の意見を聞くことにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めまして原口君の発言を許可いたします。
  27. 原口幸隆

    参考人(原口幸隆君) この通産委員会におきまして、産金問題について金属鉱山労働者を代表いたしまして、発言する機会を得ましたことを厚く感謝いたすものであります。大体簡単に鉱山労働者を中心といたしまして作つております我々金属鉱山労働組合の意見を申述べて国会議員の皆様がたの御共鳴、御協力を得て、現在非常に窮地に入つております金山の問題について申述べたいと思います。  先ず第一に現在の金鉱業の実情でございますが、金の政府買上げ価格は二十四年の七月に一グラム四百一円に引上げられたまま現在に至つております。その間物価は約五七%上昇いたしておりまして、その結果必然的に金山は非常な苦境に陷つております。その内容を申上げますと、第一にいろいろな鉱種を稼行している大企業は危険分散を行うことができますが、他鉱種が有利なために、辛うじて操業を維持しておるという状態でありますが、中には一億以上の赤字を出しているところもあり、生産意欲がとみに低下しているというような現状であります。更に危険分散を行い得ない中小企業の金山は止むを得ず高品位な鉱石を拔掘りでかろうじて経営を維持しておるというような状態であります。採算の引合わなくなつた金山は休閉山の一歩手前にある。更に高品位鉱石の拔掘りは戦前はトン当り四・九グラムのものでありましたが、二十四年頃には六グラム前後の品位で採算がとれましたのが、現在は十五グラム前後でなければ、現在の條件では採算が合わないというような状態にあります。すでに半数の金山は休廃止が不可否でありまして、残りの金山の十中の八、九も今後数年を待たないで閉山の止むなきに至るものと予想されます。例えば戦前には約二百八の金山がございましたが、現在においては約五十というふうに減少いたしておりますし、生産量においても同じように約四分の一の低下を見ております。こうした事態の直接の影響を見ますと、現在金山によつて生活を支えております金属鉱山労働者は約七千名でございますが、家族を合わせて約一万五千名の生活というような問題にも非常に大きな影響もありますし、又金銀というものは、いわゆる随伴鉱物として出て参りますものが非常にありますので、そういう影響考えれば、約二十万人に直接の影響があり、且つ鉱山を中心とする市町村というような連関性も考えられまして、非常に大きな生活上の問題にもなつておるわけであります。  更に今年の金の生産予定は六トンということが予定されておりますが、これは金額に直せば約二十四億であります。この生産が半減するということは、つまり十二億円、三百三十万ドルの外貨の喪失という結果と同じことになります。又銀は金と同時に出て参りますが、これも半減して約六億二千百万円、百七十万ドルの富の生産が停止されるというような結果になります。更に重要なことは金銀を随伴しておるために、稼行可能な銅、鉛、亜鉛の採算が低下して生産量が全体的に低下するということであります。これは直接間接の国の富の増進を阻む原因は絶対に過小評価ができないということが言えると思います。  更に我々が非常に遺憾とするところは金、銀、銅、鉛、亜鉛などの量要金属の莫大な富が永久に地下に眠つて経済、文化に貢献し得ないという結果になることであります。現在の日本における採掘可能な確定鉱量は、地金換算にして金約二百五十トン、銀二千五百トン、金額にして八百四十億円に達しますが、トン当り十五グラム以上の品位鉱量は、僅か十分の一に過ぎないような状況にあります。このほかに推定鉱量は、大体前の確定鉱量の五倍でありますから、三千七百億円でありますが、更に今後開発される分も計算すると、この数字は一層飛躍して行くわけであります。以上は直接金銀に関してのみであります。  即ち金山の困窮がその極に達すると、右のような結果を招来するのでありまして、これは民生安定並びに国民経済にとつても非常なマイナスであるというふうに考えられます。  なお、二十六年三月現在の政府手持金地金は、僅かに五・三トンでありまして、終戦当時の保有金約百二十トンは占領軍によつて管理されております。又一方国際通貨基金加入による預け入れ額は、割当額を三億ドルと見ると、約七千五百万ドルになるわけであります。二十七年度予算には、復興開発銀行分も含めまして五千五百万ドル、円貨で約二百億円というのが計上されておりますが、これも金で預け入れるとすると、五十トン前後の金が必要になるという状況になります。  こういうような現在の金鉱業の現状でありますが、一方世界における……。
  28. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと申上げますが、これを皆読まれるとちよつと長いのですから、大体その要点だけ……。
  29. 原口幸隆

    参考人(原口幸隆君) 要点だけ御説明申上げます。世界における金政策の流れについては、特にアメリカの金政策というものがこれは重点的に考えられますが、各国の保有高の約六四%を持つておるアメリカとしては、これはインフレの抑制のためにも、或いはアメリカ経済が世界経済に占める地位から言つても、金の価格を上げないということが政策の大綱的なものになつておりますので、一オンス三十五ドルの公債というものがきめられて現在にずつと及んでおります。その後一般物価は三倍にも上つておりますが、非常にアメリカの産金業者としても非常に困難を来しておる。従つてアメリカは金価格維持のために国際通貨基金や、対外援助などの圧力を利用して、各国の産金が減少するのを意に介しないというような非難さえ出て来ております。その他の諸国の金政策にいたしましても、世界の産金量の大半を擁しております英帝国、南阿連邦、カナダを含めまして、各国はアメリカの政策に鋭く対立して、非常な折衝をし、アメリカ並びに通貨基金に対して各種の折衝の結果、各国においてそれぞれの特殊な政策をとられております。  その内容について簡単に申述べますと、カナダにおいては補助金交付或いは租税減免電力料の割引、或いは為替レートの切下げというようなことがとられておりますし、それから南阿連邦においては二重価格制度がとられ、租税減免の途が講ぜられております。それから濠州においても補助金の交付の制度があり、租税減免、政府の融資がされております。或いは南ローデシアとメキシコ、コロンビアにおいても、補助金即ち二重価格制度のいわゆる産金の補助政策がとられておりまして、そういうように各国においては、それぞれの立場において自国の産金政策について非常に具体的な補助政策がとられて、そうして漸くまあ世界的に自国の産金問題を処理しているというようなのが現況であります。  それに対して現在の国内における政府の施策の点については、金山が戦争中に金山整備によつて、製練、選鉱設備などを撤去転用されて、殆んど全滅に帰しました。それを戦後になつて金属鉱山の労資が協力一体して復興せしめたのでありますが、政府は戦後金山復興に積極的な努力を払わなかつたばかりでなく、金買上価格を極めて低くすることによつて、金山復興を阻害して来たというように考えられます。例えば一例を挙げれば、戦前における一般物価を一〇〇とすれば、昭和二十四年においては、一般物価は約二〇三という数字を示しておるのに対して、金の価格は僅かに一一一というふうに半分であります。  以上の金属鉱業の現状並びに世界の各国のとつておる産金政策の外貌、或いは現在の政府の施策という点から考えて、我々の要望といたしましては、第一に金価格の引上げをお願いいたしたい。これは政府買上価格の引上げは国際的な関係もあつて不可能でもありましようが、加工用金については、自由処分が認められておりますので、これによつて平均価格を大巾に引上げるように努力すべきである、こういうふうに考えます。二十六年度五・七トンの生産に対し加工用金の割当は二トン前後でありましたが、加工用金の需要は今まで抑制されていた関係で、非常に大きく非常に大であり、而も工芸品などは輸出によつて外貨獲得も十分可能でありますから、産金量の半分を自由処分し得るように要請したいと思います。加工用金は相当割高でも、完成品中に占める比重は非常に僅かでありますから、むしろ操業度の拡大安定によつて吸收し得るばかりでなく有利であるというふうに考えられます。併し加工部門における雇用量の増大或いは失業状態の解消というような副次的な効果をももたらすというふうに我々には考えられるのでございます。で加工用金の価格はどのぐらいの数字が妥当であるかと言えば、金山の採算可能な点を中心考えると、大体六百円というくらいなところでありますが、通貨用と加工用半々とすれば、平均価格は五百円となり、現在十五グラムが採算可能品位であるのに対して、これを十二グラムまで品位を低下し得るわけであります。従つて十二グラムという高品位では金山の壽命が短くなることを防げないし、増産も十分期しがたいが、これは直接生産面に対する補助育成によつて補い、価格面の操作はこの程度が最低限度であるというふうに我我は判断しております。  それから第二に銀の価格統制撤廃又は国際価格に基く政府買上げをお願いしたい。これは現在のニューヨーク相場は八十八セント一キロあたり一万二百円でありますが、一万五百円の相場もあるくらいでありまして、銀の自由処分を認めるか、或いは国際価格によつて買上げるか、いずれかによつて金の附随として生れて来る銀の問題を処理してもらいたいというわけであります。  第三には、探鉱奬励金の増額の問題でありますが、現在の認められております六千万円では不足でありまして、最低一億五千万円を必要とするというふうに計算上考えられます。これは是非二十七年度の予算において計上して頂きたいというふうにお願いするわけであります。  第四には、金山の設備費の補助であります。永年に亘る低物価政策及び戦時中の金山整理による犠牲から急速に金山を復興せしめて、金増産を図るために青化製練所、浮遊選鉱場、送電線設置などに要する経費に対する補助金を最低二億円を支給されたいというのが我々の希望であります。  最後に融資斡旋についてでありますが、閣議決定による十トン生産計画に基きまして、開発銀行又は見返り資金の融資斡旋を実現して頂きたいというのが我々の最後の要望であります。なおこの点につきましては二十五年度の産金復興対策というものが閣議決定としてなされておりますが、その際における見返り資金の融資の十五億円というのが決定されたはずでございますが、実際には殆んどこれが実現されていない、こういうような状態であります。更に先ほどの世界の産金政策という問題と連関いたしまして、戦前においては日本において産金奬励法という産金対策についての保護法がでございましたが、保護法があつて世界各国がとつておると同じような程度に産金問題についての補助があつたはずでありますが、戦後現在の金山窮境の立場において、更に戦前における産金奬励法の趣旨を活かして再び金山の復興ということをひとり鉱山労働者のみならず、国家的な立場よりも我々の念願を取上げて頂きたいということでございます。以上であります。
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の原口君の御意見に対しまして資源庁当局は如何なるお考えを持つておられるか。今後如何なる対策をとられるかということにつきまして、松田鉱山局長から御説明を願いたいと思います。
  31. 松田道夫

    説明員(松田道夫君) 只今お話のございましたかずかずの点は御尤もでございまして、私どもといたしましても金の重要性は十分認識いたしております。先ほどお話のありましたことを繰返す結果になるかと存じますが、今までやつておりますこと乃至今後やらんとしておりますことについて申上げたいと存じます。御承知のように昨年の二月かと記憶いたしますが、産金対策について閣議の決定を頂きましたことは先ほどお話の通りでございます。それを中心にいたしまして御指摘のありました税金の免除の問題、運賃の割引の問題、融資の問題、それから助成の問題、これを実行して参つておるわけでございます。  多少敷衍さして頂きますと、税金の免除の点は法人税、所得税、これは操業開始後三年間は免税して頂く、輸入機械についての輸入税を免除してもらう、これをやつております。運賃の点は二割引ということでやつておりますが、最近運賃の値上げがございましたので、その際も是非金の割引ということをお願いしたいということで折衝いたしておりましたので、ほぼ了解を得られるのではなかろうかというふうに考えております。融資の点でございますが、金額が非常に少いというお話でございました。最近出ておりますのは、或る鉱山でございますが、これは八千万円ほど融資して頂くということが具体化しております。  それから助成の点でございますが、探鉱奬励金、これが今年は六千万円、お話の通りでございます。それからもう一つ申し落しましたが、値上げの問題も、これは昨年の三月頃かと思いますが三百八十五円を四百一円に、この四百一円が低く過ぎるというお話御尤もでございますが、これは国際通貨基金の関係がございまして、止むを得ず四百一円ということになつておる点を御了承願いたいと思います。これが大体今まで閣議決定のラインに沿いまして実行しておる点でございますが、今後これをどうするかという問題につきましてお話申上げますと、一つの問題は、国際通貨基金に入るか入らんかという問題でございまして、これは入るように今大蔵省あたりでもお考えつて準備が進められておることと思います。その関係もございましようし、来年度予算を伴います関係上これをどうやつて行くかという点は大蔵省にいろいろ折衝をいたしております。探鉱奬励金の増額の問題、設備の助成の問題これを私どもといたしましては予算にお願いしたいというふうに準備を進めておりますが、国際通貨基金加入問題と関連いたしましてそれともう一つ年度の予算が今大蔵省で策定中でございますので、結論を得ておりません。二重価格の問題についてお話が出ましたが、これは御承知のように、この九月二十八日だと記憶いたしますが、国際通貨基金で「私的退蔵に向けられる金のプレミアム付価格による取引は各加盟国の決定に委ねる。」と、こういう声明が出ましたので、このラインで考えるのも一つの方法ではなかろうかというふうに考えておりますが、これもまだ日本は加盟国でございませんので、この実行をどうするかという点についても私どものほうで目下研究をいたしておる段階でございます。大体以上でございます。
  32. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 私からお伺いいたしますが、金の補助金その他二十七年度の税金などはあなたのほうから大蔵省へ折衝中でありますか。今の労働組合のほうからの御説明だというと六千万円を一億五千万円にしろと、あなたのほうでもその見当までの御熱意があるかどうか、こういう点につきまして一つつて置きたい。
  33. 松田道夫

    説明員(松田道夫君) 私どものほうで大蔵省に来年度の予算要求案として組みました金額は、探鉱奬励金が先ほどお話のありました金額と一致するわけでございますが、一億五千万円、設備の助成関係に一億円という案で大蔵省に折衝いたしております。
  34. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) もう一つ、そういたしますと、今の国際通貨基金その他の問題で金を高く買上げるということはなかなかむつかしいと、こういうことでございますね。そうするというとその代りに金の助成金とか或いは運賃の割引とか、そういうものであなたのほうでは御努力願うと、こういうことでございますか。
  35. 松田道夫

    説明員(松田道夫君) 左様でございます。
  36. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかに委員のかたから御貿問ございませんか……。  代表者だけならばいいのですが、もう一回だけ……。再発表ということはちよつと困りますから、補充ならいいのですが、意見の補充ですな。補充ですよ。
  37. 原口幸隆

    参考人(原口幸隆君) 只今の鉱山局長のお話わかるのですが、税金とか、運賃とかの問題ではどうしても解決されない現状にあるというのが事実でありまして、やはり我々は加工金のほうについての価格の操作ということはできるというふうに考えられますので、加工金の部面について更に我々の要望を具体的に生かして頂きたいというふうに思うわけです。
  38. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の原口君の意見に対しまして通産当局から御説明願いたいと思います。
  39. 松田道夫

    説明員(松田道夫君) 金の二重価格制の問題、先ほどもちよつと申上げましたが、今日あたりの香港相場を見ますと、四十ドル乃至四十一ドルぐらいではなかろうかというふうに思いますが、そういたしますと、今の三十五ドルとの差額、これを日本円に換算いたしまして五十七円ぐらいな違いということになると思います。金の価格をフリーに離しました場合に、国際相場にさや寄せられるかわりませんけれども、仮にその値段だということになりますと、五十七円が殖えることになりますが、この半分を自由販売にいたしますと、五十七円の半分でございますから二十八円ぐらいしか上らないのじやないかということになりまして、価格の面から金鉱業がなかなかうまく行かないという問題の解決策としては不十分であろうというふうに考えます。そこでこれも私どものほうで今勉強中という問題でございますが、金鉱山の採算状況と申しますか、それを今調べさせてもらつておりますが、その場合に出ます赤字の問題をどうするかというふうなことにつきましても、大蔵省と内々相談中でございます。まだ具体的な問題まで進んでおりませんが……。
  40. 境野清雄

    境野清雄君 鉱山局へ一つお伺いしたいのですが、今の要望を聞きますと、ここに銀の価格統制撤廃又は国際価格に基く政府買上げというような問題が二の條項にあるようなんですが、これに対してはどんな御意見ですか。
  41. 松田道夫

    説明員(松田道夫君) 銀の価格を外す問題は、鉱山局のほうで御答弁申上げる筋合よりは大蔵省の御答弁が本式かと思いますが、私どものほうで感じておりますことを申上げますと、最近大蔵省でも外すか外さんかということは御研究中のように聞いておりまして、まだ正式な決定までは至つておらないようでございますが、これを外しました場合に、一口に申しますとうまく売れて行くかどうかという問題、更にこれが輸出の問題、この辺と、政府が買上げるということになりますと、すぐに金になるというふうな点、この辺を睨み合せて大蔵省の御意向も参酌しながら私どものほうの考え方というものを持つて行きたいというふうに考えております。まだ結論がはつきりしていないようでございます。大蔵省のほうでも御研究中で私のほうではちよつと筋違いでありますから……。
  42. 境野清雄

    境野清雄君 この問題がすつきりしておりませんし、なかなかむずかしい問題だろうと私は思うのと、産金政策というやつは、日本経済上これは相当我々も考える必要がある問題だと思うので、たまたま労働組合関係からも多勢来ておられるようですから、一つ委員会のほうは閉じられまして、そうして懇談会の形で一つ承わる意見があつたら承わつたらどうかと、こういうふうに思うので、一つお諮り願いたいと思うのです。
  43. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野君の御動議に対しまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。では本委員会はこれを以て閉じます。    午後三時十七分散会