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1951-10-25 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            入交 太藏君            中川 以良君            松本  昇君            小松 正雄君            山川 良一君            境野 清雄君            油井賢太郎君   政府委員    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    振興局長    井上 尚一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する一般調査  の件  (国鉄運賃値上げ産業に及ぼす影  響に関する件)  (中小企業育成に関する件)  (貿易政策に関する件) ○運輸委員長に対する申入れの件 ○小委員会設置の件   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通産委員会を開きます。  先ず最初にお諮りいたしたい件がございます。それは一昨日の委員会で御審議を願いました鉄道運賃値上げについてでありますが、委員長腹案専門員より御報告申上げたいと思います。
  3. 山本友太郎

    専門員山本友太郎君) では最初国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対します両院の運営委員会における審議状況を御報告申上げます。衆議院におきましては、大体今週一ぱいでこの法案を上げるという目標の下に、目下本格的な審議が進められております。それから参議院におきましては、この二十七日の日に公聴会を開きまして、大体今月の二十九日に討論採決に入りたい、そして遅くも、今のところ三十日に本会議がありますかどうかはつきりいたしませんが、三十日あたりの本会議にかける、まかり間違つても三十一日には本会議上程のできるような目標の下に審議が進められておるような模様でございます。かような状況でございますので、この法案に対しまして、通産委員会から連合審議の申込をするというようなことは、時間的な関係から申しましてもかなり無理ではないかというようにも考えますので、委員長の手許におきまして、一応委員会総意運輸委員会委員長宛申入れまして、それの善処方を依頼するというような形式をとつたらどうか、かように考えまして、この申入れ案文を一応起草しておるような次第でございます。これを一応朗読いたします。    国鉄運賃改正に関する件  通商産業委員会では今回の国鉄運賃改正について審議の結果、改正法案実施の暁には之が産業界に及ぼす影響頗る大なりと認め、委員会総意において左記諸点運輸省並び国鉄当局に要望する次第であるが、貴委員会においても「国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案審議の際、通商産業委員会の意とするところを了とせられ慎重審議相成るよう特に御配意願いたい     記  一、国鉄経営合理化を更に徹底せしめること  二、貨物運賃値上げによる負担力の均衡を考慮し可及的速かに貨物等級調整を行うこと  三、貨物等級調整実施までの応急措置として割引運賃制等運用弾力性をもたせること  四、国鉄輸送力増強サービス改善に特段の考慮を払い特に貨車の新造と港湾設備の拡充をはかること               以上 かような申入通商産業委員会委員長名義運輸委員会委員長宛に提出いたしまして、通産委員会としての意のあるところを申入をするということにしたら如何かと考えまして、一応の腹案を作つたような次第でございます。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今案文運輸委員長まで申入れたら如何かと存じますか、これにつきまして御意見がありますか、如何いたしますか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、この案文運輸委員長まで申入れます。   —————————————
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に本日は公報で御通知申上げました三件のうち、中小企業対策貿易政策、これは十九日の委員会の続きでありますが、この二件だけを議題といたしたいと存じます。順序といたしまして、先ず中小企業対策に関する件を議題といたします。本日は中小企業庁長官出席を求めております。どうか委員から御質疑をお願いいたします。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 先般通産省から、中小企業関係法律改正案を今国会に提出するというような証明をこの間聞いたのでありまして、そのうち中小企業関係のほうでは、商工中金法の一部を改正する法律案、それから中小企業信用保險法の一部を改正する法律案、この二案を大体準備しておる、こういうようなお話でありましたから、その後この問題に対してどんなような経過になつているか、二三点お聞きしたいと思うのであります。  先ず第一に、商工中金というものに関しまして、五項目を大体中小企業庁として出したのでありますが、このものが一体私のほうから見ますと、資金面一つもできていないというようなことであり、それから預金受入れ対象を変えるというようなものが、どうも商工中金性格を変えることになりやしないかという点も考えられまして、こういうようなものに関してその後中商企業庁自体としてはどんなお考えを持つておるか、これを先ずお聞きしたい。これは私から申上げるまでもたく、組合だけでなく個人への貸出をどんなふうにするのか、個人預金対象にして来たのだから、貸付もお考えにならなくちやならないじやないだろうか、それから従来これは申上げるまでもなく半官半民的な性格を持つておつたのでありますけれどもそのものが今度の形によりますと、相当変つて来まして、組合銀行化の第一歩とも考えられるのじやないかというような点、又同時に今日商工中金か相当惡評かあるということは、これはもう中小企業庁御存じのことだと思いますが、こういうものに対する御所見というような点を一つ先ずお伺いしたい。  次いで商工中金の今の預金受入というようなものを変えて行くために、協同組合というものを育成しようという従来の中小企業庁考えが相当弱体化しやしないか、こういうような問題がありますので、この点を先ず第一にお伺いしまして、そのあと今申上げました信用保險法について質問したいと思います。
  8. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 私どものほうで、商工中金法改正として考えておりました内容につきましては、すでに御承知かと思うのでありますが、改正主要点と申しますると、一点でありまして、それは現在の商工中金が、その取引先と言いますか、取引相手組合だけに限つておるのを、組合及びその構成員、いわゆる組合員にまで拡げるということであります。即ち預金受入れを、組合からは勿論現在できるのを、組合員かち直接に受入れられるということにいたしますと共に、貸付も中金から所属組合組合員へ直接貸せるというふうな形にいたしたということであります。それからもう一つの点は、従事の業務の中で荷為替の手形の保証だけしかする権能がなかつたのを、いわゆる組合員債務一般について保証ができる、支払保証といいますか、ができるというふうに保証行為能力を拡げて参るということが業務に関しまする主要な点でございます。それからそのほかに、商工中金法の、極く関連した改正点といたしましては、商工中金が国又は公共団体業務の委託というかを受けてやれる、いわゆる代理事務をやれるということをはつきり規定いたすことにいたしたのであります。その他極く若干の技術的な点につきましての改正点を加えておりますが、先ほど申上げましたような点が主要な改正なつております。  この改正の要綱は、私どもといたしましてはいわゆる政府提出の予定で進めておつたのでありまするが、衆議院のほうの関係で、議員提出という形で近く運ばれることに実は相成つております。その内容自体は、先ほど申上げましたようなことで、ちつとも異動はございませんが、そういうふうに只今なつております。それから先ず現在の商工中金動き方からして、現在でも金が、資金の量が足りないのに、組合員に直接行くというようなことになると、資金需要というものはますます多くなるということは当然予想されるのであります。そこで商工中金資金源を増大するという問題がこれに伴わなければ十分な効果が出しにくいのじやないか、こういうことが言われるのでありまして、この点につきましては、いろいろ政府部内としても相談の結果、先ず差当り措置といたしましては、商工中金の発行する割引商工債券、いわゆる割商と言われておるものを資金運用部資金相当額引受けるということに大体いたしておるのであります。従来商工債券、普通の債券のほうは資金運用部におきまして四、六の割合で、四割が市中消化、六割が資金運用部引受けという形で引受けられておつたのであります。それで割引商工債券というものは、制度がありながらその引受けがなかつたのを、今回それも引受けて行こうということにして資金源を殖やして行くというふうなことで大体話を進めておるわけであります。これは十分だとは言えませんが、順次資金源を殖やして行くという問題があとに残るのでありますが、そういう方法で進めて行きたいと思います。今申上げましたような考え方改正が施行された場合に、ご質問のような問題が起つて来ると思うのであります。  先ず第一の問題は、御指摘組合結成指導方針影響があるのじやないか。いわゆる組織化運動にゆるみが来やせんか、こういう心配が先ず起つて来るのであります。この点は組合組織化運動組合運動と申しますか、組織化運動につきましては、できるだけ強力に進めて参りたいと考えておるのでありまするが、組合運動一つといたしまして、資金を借りて組合員に又貸しをする、転貸をするという行為中心的に考えますと、組合結成というものが、一つは形式的なものになりがちではないかと、こういうふうに考えられるのでありますが、私は組織化一つの狙いというものは、そういうふうな資金転貸、事業の問題もありまするが、いわゆる中小企業現実企業経営の單位の小さ過ぎるのを引上げるという一つの線を、組織化は狙つておるということが一つ、もう一つは、中小企業経営自体がもう少し新らしい形になつて来るといいまするか、合理化の線に進む、その合理化の線に進む最もいいてだてとしての組織化というふうなことが考えられますので、組織化運動に対しまして、今申上げましたような点は大きな影響はないものと実は考えておるのであります。で、特に組合指導中心が單に金融ということだけでなしに、経営合理化というふうな点と結び合して行くといたしますれば、そういうふうに私は言えるのではないかと思います。第二の問題といたしまして問題になりまするのは、そういうふうな改正をした場合に、御指摘のような商工中金性格をどう考えて行くか、こういう問題が出て来ると思うのであります。で、商工中金性格といたしましては、戦後から今日までの間におきまして、いわゆる普通の商業銀行的に考えて行くのがいいのか、或いは特殊な形、金融機関として考えて行くかという問題がある、債権債務の場合にはどちらかというと普通の金融機関の形に以て行くというふうに考えておつたのでありますが、その後の動きから見ますると、中小企業金融専門にやる一つ組織というものは、どうしても特殊な形で以て行かなければいかん商工中金自体がそういうような意味におきまして半公共的な機関に育てて行くというほうがいいのではないかというふうに考えておるのであります。そこでそういうふうな点から考えますと、仕事の範囲が先ほど申上げましたような組合という線を越えない、組合及びその構成員という線から一応越えないようにするということが一つある。それから第二の問題は、出資の問題をどうするか、現在出資は約十五億であります。で、そのうちに十億が民間出資、それからあと五億が政府優先出資という形に相成つておるわけであります。そこでこれをできるだけ政府出資を殖やして行く、資金源を殖やして行くための方法として、政府出資を殖やすという問題と、今申上げましたような性格をはつきりさせると、こういう意味においての出資構成というものを考えて行くと、こういう問題があるのであります。これは私といたしましては、私自身の個人的な考え方になるかと思うのでありまするが、政府出資をできるだけ殖やして行くという方向考えて、それを実施に移したいというふうに実は考えておるわけであります。現在五億の出資と申しますのは優先出資でありまして、その目的は飽くまで債券発行余力を付けるという意味において政府出資しておるというのでありますが、商工中金或いは農林中金、或いは勧業銀行等に対し優先出資しておるのであります。従いまして債券発行余力がなくなりまして、これを追加して行くということが起るのでありますが、資金源を殖やして行くという意味から優先出資はむづかしい、そこは私は性格論といたしまして、先ほど現在の中小企業実情からいつて、もう少し政府出資を強めて行くということが必要だと考えておるのであります。で、この点はもうすでにお聞き及びだと思うのでありますが、補正予算におきましても、来年度予算におきましても、私どもは強い希望を以て進んでおるわけであります。それから先ほど申上げましたような線で考え商工中金法改正して行くという場合におきまして、現在商工中金に対する世の中の見方という問題です、これは商工中金の動かし方につきましては、私どもといたしましてはできるだけ実情に合すような方向も持つて行こう、いわゆる実情に合すというのは、中小企業実情に合うような運用をして行きたいと考えておるのであります。ただ実際問題といたしまして、商工中金資金源から申しまして中小企業という広い範囲からの要求に十分応じ切れないというような点から、限られた資金をどういうふうな線に流して行くかというような問題が現実の問題に相成ると思うのであります。その点から申しますると、商工中金の動かし方としては、私は成るべく一つ組合余り多く偏しないような形において広く運用さして行くということが必要ではないかと、こう思うのであります。特に数百万円というふうな、二三百万円というふうな少額な組合対象貸付につきましては、できるだけ簡易に、そして廻転させて行くということが必要ではないかというふうに考えておるのであります。商工中金運用に対するいろいろな世間の非難の多くの問題は、この余り多くない要求に対しましての措置が非常に手間取ると申しますか、というようなことがありまして、その点をできるだけ簡單に、そして諾否を明確にして行くというような方向指導して参りたいと思つておる次第でございます。で、これは今年の八月に実は或る程度の改善の通牒を商工中金から各出張所に出さしたのであります。そういう点を中心考えますと同時に、もう一つの問題は、私は商工中金一つ非難と言いますか、不平の問題は窓口が少いことだと思うのであります。やつと四十二、三になつたかと思うのでありますが、まだ府県に一つもないというふうな所があるのでございまして、ここに窓口が少いから利用したくともできないというふうな批評があります。これは極力速かに各県に少くとも一つというものを置く方向で進めておるのでありまするが、人手の関係等からまだ十分にできておりませんが、あと極く僅かの所は、年度内に恐らく全部各県に置けると思うのであります。ただ最近の事情から申しますと、例えば北海道というものを考えて見ますと、札幌に一つあるのでは意味がないという、こういうふうな形になるのであります。そういうふうな場合に出張員制度なり、何なりの制度をどうしても拡大しなければいかん。それと同時にこれはいろいろな見方があると思うのでありますが、出先決裁権限の問題でございます。決裁権限余りに低過ぎる。従いまして一々東京に集まらないとなかなかうまく行かないと、こういう問題があるのでありまして、これもできるだけ引上げて参りたいというふうに考えておるのであります。これは現在五十万円というのが線になつておりますが、これをせめてもう少し、倍か倍半ぐらいに、二百万円見当まで行けるようにすると、いろいろな非難というものが少し柔かくなるのじやないか、先ほどの小口の貸付緩和というような問題と並んで、そういうふうな問題を直して行かなければならないと考えております。何分にも昨年の三月の末に三十億見当貸出残が今日すでに百七十億を突破しておる現状でありまして、その間に急速な伸びを見ましたので人が十分に揃つていないという一つの問題があるようでありまして、目下人の養成につきまして十分な努力を当局としては続けておるという有様であります。  お尋ねの点はそのほかにあつたかと思うのでありますが、商工中金法改正に関連しまして考えられる問題につきましてお話申上げた次第であります。
  9. 境野清雄

    境野清雄君 今の長官の御説明の中で、要するに商工中金惡評だというようなことは、窓口が少いとか、出先権限が少いとかいうような問題がありますが、私はもう一つ大きな問題があるのじやないか、要するに商工中金自体が、最近の貸付そのもの情実貸付が多いということも相当あるので、こういう面に関しては一つ中小企業庁として内部機構を改革するとか何とかいうような意味のことも一応お考えなつて頂かないと、今のような問題だけじやないのじやないかというふうに思うので、この点も一つ中小企業庁としても御調査願いたいと思うのであります。それから今の御説明でよくわかりましたが、大体商工中金協同組合への融資対象にしておる、その協同組合への融資対象が或る程度完遂されたとか、或いは一応のその峠が見えたということによつて個人への貸付なり、或いは預金なりを受入れるというような形態に、正規な金融機関としての伸び方をしたものなら私どもは非常に結構な形態だと思うのでありますけれども、大体そうでなく今のお話通り三十億から今日百七十億まで伸びておる。伸びていること自体で、資金源大蔵省から出ない。余り芳ばしい資金源が出て来ないので窮余の一策としてどうも各個人にまで手を伸ばして、むしろ貸付ということよりも、預金を吸収しようということに主眼を置いて、一般所属組合組合員にまで拡張するというようなふうに私たち考えられるのじやないか。これは五月末の統計を見ましても大体四千七百十一組合に対して百四十億を貸しておる。これは少くも平均三百万円を越しておるのであります。これは長官お話通り何か統計でも三百七万円というような平均が出ているというようなこと、これはどうも金額的には平均が多過ぎやしないか、これはもうお話通りで、私もそういうふうに思つておりますが、大体四千七百組合ばかりに貸しておるというといきに、同時に全国の協同組合というものが二万三千を突破しているというような数字では、僅かに協同組合としての総体の組合数に対して二割弱きり貸しておらない。二割弱きり貸しておらないこの商工中金を拡大しよう、組合員にまで拡張して預貯金を集めてやるというようなことは、どうも少し私は本末顛倒しているのじやないかと思うので、もう少し組合というものに対しても力を入れて頂いた上でやつて頂いたものならばとにかく、今そういう組合自体商工中金だけで安心していられない。私ども考えてその当時から、今年の三月あたり私は委員会でも申上げたと思うのですが、大体年末までに二百五十億まで行かなければ、私は協同組合金融というものは曲りなりにも完遂できないのじやないかと思つてつたのに、今日百七十億というようなお話ですと、まだ八十億ぐらい資金源が足りない。まして年末金融なんていうものは、それじや到底その金繰りが中小企業はできないのじやないかというようなふうに考えられるので、私は制度よりもむしろ資金源というものにもう少し力を入れたい。これはまあ関連した問題ですが、今度の補正予算を見ましても、国民金融公庫のほうはすでに三十億ばかりの金が出て来る形になつておるようであります。むしろ私ども国民金融公庫か拡充されたために、中小企業金融体系というものが乱されやしないかと考えておる。言い換えれば、どうも巷間伝うるところでは、国民金融公庫商工中金との切り替えというようなことまで大蔵省考えておるのじやないだろうか。言い換えれば、資本のほうも全部政府出資にする。国民金融公庫を拡充して、商工中金のほうは、むしろ圧迫と言つちや語弊があるか知れないけれども商工中金のほうはどうも置きざりにされている形で、国民金融公庫へ力を入れ過ぎているのじやないか、こんなふうにも考えているので、これは機会を改めて私は大蔵大臣に直接よく聞いて見たいと思うのでありますけれども、こういうような形態から見ましても、大体商工中金というものの資金源というものにもう少しお考えを及ぼして頂きませんと、なかなかこれは法律だけ改正しましても所期目的を貫徹できないのじやないか、少くも二十七年度の予算に対しましては、相当なものを持つて行かなくちやならない。政府出資というお話がありましたけれども政府出資を増加すると言うけれども、現在は多分政府出資言つても本格的なものは二百十万円なんです。二百十万円だというものは、大正十二年かにあれは決定されたときの、当時は一千万円、それが三千万円まで上りましたものが、二十四年かの再建整備で四百二十万円に減らされ、その四百二十万円に減らされたものの半額が政府出資というために二百十万円というようなものを未だに持つている。これじや殆んど政府自体が力を入れているというふうには考えられないので、見返資金や何か入つているようなんですが、政府出資として謳つているのは、国民金融公庫の最近まで六十億というものは、どうもそこのところに私どもとしては大蔵省自体中小企業に対する観点が違つているんじやないか、こういうふうに思うので、これは中小企業庁の問題ではないのですが、一応そういう点も、長官においても十二分に今まで本当にお考えだろうと思いますが、そういう点でもう少し私は大蔵省自体に強く当り、そして少くも二十七年度予算というものでは、相当まとまつたものを一つ出して頂かないことには、商工中金所期目的に到底到達できませんし、組合はさておき、個人という問題になつて来たときには、これは問題かもつと紛糾するだけで、手は拡げた、資金源はないというような結果になると思うので、この点一つ十二分に御留意の上、二十七年度の予算に対しては大蔵省との御折衝を願いたいと思うのでありますが、大体これは私は質問でなく、希望條項でありますけれども……。  次に中小企業信用保險法の一部を改正する法律案というものが今国会に多分出るのじやないかというようなお見通しですが、そのときに何か保險金額の、保險価額に対する割合を現在の七五%から九〇%に上げる、これは非常に私は効果のある問題だと思うのです。その際併せて保險金支払請求権行使の時期を、現在の保險事故発生の日から六カ月を三カ月に短縮することも、信用保險というものが実際に行われるという点では非常に我々が期待したい問題であり、この二つの点がいわゆる今後の改正法律案としては、一番の大きな重点じやないか、こういうふうに思うのでありますけれども、従来私どものほうで仄聞しているところによると、共に主計局が反対している、特にこれは聞いた話で、真僞のほどはわかりませんが、大蔵大臣がなお又七五%から九〇%に上げるなんていうことは以てのほかだ、おれが大蔵大臣に在任中は許可しないというような見栄を切られたとかいうような話を漏れ承わつておるので、そういうようなことは信用保險法の一部を改正したところで何にもならないじやないか。そうして何か第四項には、信用保証協会の保証業務を保險することができるということで、三つの條文が出ておる。併しこれは二十七年度の予算が通らないことには、これはもう空文に等しいものになつてしまう。要するにこの予算の見通しはどうなのか、それから最初に申上げましたこのパーセンテージの引上げと、それから保險金支払請求権行使の時期の短縮、そういう問題に対して、その後中小企業庁大蔵省との折衝経過がおわかりだつたらお話願いたいと思います。
  10. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 最終的な結論をまだ得るに至つておりませんので、はつきりしたことを申上げかねるのでありますが、保險率の引上げの問題につきましては、政府部内の意見がまだまとまつておりません。時期の点につきましては大体まとまつておる、こういう事情であるのであります。改正法案の全体的な政府部内の態度というものはまだきまつておらないと申上げていいと思うのでありますが、この改正案の狙いにつきましては、今御指摘のよう点があるのでありまするが、私ども考えておりますところでは、この法律改正の主たる狙いは、保証協会の活動に活を入れるというところに私は主たる狙いをおいておるのであります。保証協会は現在四十九ありまして、その保証残高が約百十億円余に相成つておるのであります。ところが保証協会によりましては、債務返済の義務が発生しても何やかやと支払いをしないで延ばすというような向きも出て参つておりまして、保証協会の業務自体の権威の問題もぼつぼつ考えなければいけない。特に地方公共団体の財政との関係から、保証協会の活動の限界近く来ておるのじやないかというふうにも考えられますので、これに活を入れる意味において政府が或る程度すけてやる、いわゆる責任保險として債務保証の実を拳げて行きたいと、こういうところに実は私どもは主たる狙いをおいておるわけであります。この保証協会は御承知の通りに殆んど都道府県にありますし、第一線の中小企業に最も近く接しておる。而も短期の金融をしておるというふうなことから見まして、中小企業金融の拡がりを拡げて行くという意味において相当な効果を特つておりますので、どうしてもこれの活動に活を入れて行くということが必要であるというふうに考えまして、信用保險法の中に責任保險という形におきまして債務保証の実を拳げて行くということが、今度の改正の主眼点に相成つておるわけであります。これに伴いまして予算的な措置でございますが、建前は独立採算の建前になるのでありまするが、基金として実は来年度予算に十五億ばかりの要求を実はいたしておるわけであります。これは金額の点はまだきまりませんが、是非実現いたしたい、又できるものだろうと私は期待いたしておるわけであります。これはただ臨時国会に提出されましても、十二月から交付するといたしますと、基金が年度内に間に合わんということで、補正予算のほうには要求いたしておらんので、二十七年度の予算に是非計上いたしたい、こういうふうに私は考えておるわけであります。
  11. 境野清雄

    境野清雄君 大体私から申上げるまでもなく、今の中小企業というものの金融対策に対する政府の裏付的な施策としては、信用保險とそれから信用保証協会というもの以外にないので、この点は是非一つ政府におきましても格段な努力をして頂かないことには、なかなか中小企業金融という問題はむずかしいのじやないか、特に今度私は気の付いておりますことは、いわゆる個人というようなもの、或いは信用協同組合というようなものが、共に無盡のほうは相互銀行、それから片方は信用金庫というようなものに変りますことは、見方によりますと相互銀行というものになると、やつぱりこれは一応市中銀行化というようなことが相当考えられる。そして従来から見ますと、今年の三月あたり統計で見ましても、総体の中小企業金融の一八・八%というような大きな率を無盡会社が持つている。続いて信用協同組合にしましても六・八%というような相当比重の重いものを持つている。この二つの体系が崩れまして、そうしてむしろ相互銀行というようなものになると、大企業に貸出しするほうを多くするほうがいわゆる相互銀行としての形態がよくなるというようなことはどうしても考えられるので、従来の無盡なり或いは信用協同組合というものの中小企業への貸出額というものは、これはパーセンテージの上で今後は相当減るのじやないか。だから何かの措置を講じなければ、私は中小企業金融というものは、本年度より来年度のほうがむしろ惡くなるのだというふうなことも考えておりますので、一つ是非そういうものをカバーするだけの金融体系というものを何とか立てて頂きたい。そうしてその重点は、制度ではなくて資金面だということを強く一つ要望いたしまして、中小企業庁として何とかこの問題に関しての一つ格段のお骨折りを願いたい。併せて委員会としましては、今はどちらかと言いますと中小企業庁と我々との議論はえて合うものなのでありまして、むしろ中小企業庁よりは目標大蔵大臣にあるのでありまするから、次の機会にでも大蔵大臣出席して頂きまして、本委員会で続いて一つ中小企業問題を取上げて頂きたい。中小企業庁の意向は大体初めから私どもはわかつているのでありまするから、長官との質疑応答ということよりも、結論的に大蔵大臣出席して頂いて、中小企業問題は改めて私のほうから質問して見たい、こう思いますので、この点は一つ委員長のほうにおいてお取計らい願いたいと思うのであります。  最後に中小企業庁が内局化するのじやないかというような問題も最近相当行われており、そうしてこれの反対陳情というものも国会にも相当来ておるのでありまするが、こういうふうな問題に関して私どもは内局化するというのは以てのほかじやないかというふうに思うのですが、中小企業庁自体としてこういう問題をどういうふうにお考えなつているか、一応小笠長官のこれに対する所見を承わりたいと思います。
  12. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 政府の公務員でありまして、政策によつてきめられることに対しましてどうこうという意見の述べ方がないのであります。ただ私どもとして感じますことは、中小企業行政というものは本質と言いまするか、本質というものは誰かがどこかで強くボイスをずるということであろうと思います。ボイスを出し得る組織を持つということが中小企業政策を推進する途だというふうに実は考えております。
  13. 結城安次

    ○結城安次君 今までの中小企業金融については、境野委員からで殆ど盡されておりますが、私は中小企業協同組合という言葉の中には生活協同組合が入つておらん、生活協同組合は農業協同組合もそういう種類のものと同一のものに心得ますが、殊に生活問題を云々されますときに、この生活協同組合を除外しておるというのは何らか意味があるのですか、ちよつと理由をお伺いしたい。
  14. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 生活協同組合考え方というのは、消費生活をより改善して行こう、こういうところに私は狙いがあると思うであります。中小企業協同組合というものはいわゆる産業政策の一助として産業の何といいますか、進歩改善に資する、こういうようなことを考えておるのでありまして、いわゆる消費生活の合理化改善という問題と一応分けて考えたほうがいいのではないか、こういうふうな意味において同じく協同組合ではありまするが、分けて扱つておる、こういう事情だと思います。
  15. 結城安次

    ○結城安次君 前年信用保証協会が作られることには私どもも同感だつたのでありますが、そのとき生活協同組合の仕事の内容を伺いますと、農業協同組合と似ておる部分も多分にあるので、それで今産業の助長ということも大事でありますが、同時に生活が安定しなければやはり産業の助長にもならない、殊に生活協同組合に入つておるものは、大抵都会地の産業に従事しておる人たちの組合、若しくは公務員の組合というような、いわば直接間接に産業には非常に影響のある仕事なので、これを前のような本質論、産業の助長というようなことばかりでなく、こういう組合にまでこの際及ぼすということが、今生活不安が叫ばれる時代においては必要ではないかというので、私は是非ともこの中に入れてもらいたい、今後入れるようなお考えはないのでしようかということをちよつとお伺いしたい。
  16. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 私はその点につきましては余り知識がございませんので、一つ答弁は勘弁して頂きたいと思います。
  17. 境野清雄

    境野清雄君 中小企業庁は御承知の通り第十国会で農林漁業資金融通法というものが成立しまして、そして政府出資六十億によつて農林漁業の長期低利資金融通の途を開いたことは、これはもうすでに御承知だろうと思いますが、私は農林漁業が必要じやないと言うのではありませんが、農林漁業者よりもむしろ今の中小企業者に必要なのではないか。言い換えれば中小企業者に長期且つ低利資金融通の途を開くために中小企業資金融通法というものを考うべきじやないか、むしろ遅過ぎた、これはもつと早くそういうような問題は考うべきものではなかつたろうか、こういうことに対して、我々は中小企業者代表として、そういうものに責任を感じておるので、いずれそういうような法案というものを私どもの手で何らかの措置を講じたい、こういうふうに思つておるのでありますが、中小企業庁として、こういうものに対するお考えはどんなものであるか、あらかじめ長官の御意見を伺つて見たいと、こう思うのであります。
  18. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 中小企業金融方法につきましては、私から申上げるまでもなく、対象の広汎、複雑ということからいろいろなパイプが要ると思いますが、現在すでに中小企業金融体系というものは複雑過ぎるくらいにパイプが多くなつている。これはその対象の複雑さから来ておると思います。そこで中小企業に安定した比較的長期な資金を供給して行く一つ方法として、資金の源を政府資金に求め、そうして出して行くということが、私は必要だと考えております。とにかくそういうふうな形で行く場合に特別会計の形がいいのか、或いは別の組織で行くのがいいのか、なお十分檢討を要すると思いまするが、本質的に私は是非必要だとこう考えております。
  19. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は長官に二三お尋ねしたいのですが、最近中小企業者は一体蜷川長官がやつておられた当時と、あなたが就任された今とでは大分内容的に変つておりますかどうか。それは蜷川長官がやつておられたときは中小企業者の危機を叫んであのような問題を起したのですが、その後中小企業庁としては別にそういつたような御発表もないのですが、それは内容一般的に改善されておるのかどうか。先ず長官のほうから御覧になつ中小企業者の状態を一つお話願いたいと思います。
  20. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 前長官の蜷川博士の時代と私の時代という区切りの仕方は、私は適当でないと思います。一昨年から昨年の二月頃、いわゆる三月頃までと今日との中小企業のいわゆる実態が違つておるかどうか、こういうようにお問い下さるとお答えしやすいと実は思うのですが、その点は私は最近いろいろな意味において若干問題は出ておりまするが、昨年の三月頃から大体よくなる気配を示したと私は思つております。それでよくなつて、だんだんと好転のなにがはつきり出て参りましたのは、六月の朝鮮動乱というのを契機にはつきり出て参りました。丁度いろいろやつておりまする調査の中から、特に事業者の整理状況調査というのが実はあるのであります。それを見ますると、大体本年の上期頃までの調査によりますると、これはデータの檢討の問題もありまするが、全体的に傾向としては整理の度合は漸次縮小して来ておる。それからいろいろな意味におきまする資金の苦しみを愬える度合というものも、昨年の上期と動乱以後との関係においては若干よくなつて来ておる。特に昨年の上期におきまする共通的な一つの問題は、いわゆる販路のないということ、売れないというときが起る、ストックが溜まる、経営が回転しないというところに私は基本的な困難が多かつたように考えておるのでありますが、その後の状況は、ともかく売るほうの問題は或る程度解決して来たのだ。現在は苦しみの焦点は、どつちかというと資金の面に中心的に来ておるというようなことから考えまして、そう目立つてよくなつたということは、これは言えないと思いますのですが、徐々によくなつて参りましたことは、日本の経済全般としての足取りと同じ足取りをとつて来ておる、こういうふうに実は私は見ておるわけであります。
  21. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に最近の状況を伺いたいのですが、昔は中小企業者も横の連絡がよくとれていた。ところが同業組合当時のような強制力のある組合が今日なくて、協同組合でやつているという関係上、罰則規定もなければ、強制加入等もないというわけになつておつて、弱小企業者が勝手ばらばらにやつておるのですが、今日のようないわゆるそういう状態のほうが、以前の状況、強制力のあつた組合状況あたりから比べては進歩しておるのですか。それともやはりそういうふうな強制力のある組合あたりを通じて中小企業者をリードして行くという方法が好ましいのですか。それを御研究になつておられたらちよつとお示しを願いたい。
  22. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これは非常にむずかしい御質問だと思うのであります。日本の終戦後の経済の基本は、御承知の通りに民主主義、いわゆる経済の民主化というものに重点がある。で、民主化の線の基本が御承知の通り独禁法なり。事業者団体法なりで動いておるわけであります。それでこの線の考え方というのは、私的な統制というものを外して行こう、そうして各企業の任意の意思によつて経営改善合理化を図らせる、こういうことにあると思うのであります。そんな意味からしまして現在の日本の経済の建前から見て、私は強刷力を持つたいろいろな団体というふうなものを考えて行くということは適当でないのじやないか、もう少しこの民主化の線を続けて行くことによつて、自然にそこに秩序が出て来るのではないかというふうに私は見ております。これにつきましてはいろいろ御意見があることと私も想像はいたしまするが、少くとも日本の経済の動きの基本自体がきまつておるので、その線からいつて、まあ一つの団体を扱つておる場合に非常に歯切れの惡い場合が多々あるのでありますが、それは私は暫らく強制を成るべく持たずに行つたほうがいいというふうに考えておるものであります。それで組合運動自体を見てみますと、油井さんもすでに御承知だと思いますが、最近の組合結成は非常に小さな組合で、何百人という形のもので非常に小さくなつている。それが再組織されて、そしてそのまとまつたものが組合的に動くという形が非常に強く出て来ております。ほかの問題は連合会、協同会というものか任意の形で横の連絡の形で行こうという傾向が非常に強くなつておりますので、そんな意味から私は暫らく現状のほうがいいのじやないか。又そういうふうな空気が出て来ていると考えております。
  23. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 連合会の話か出たんですが、今の連合会の組織で以て経済の実態把握というのがうまく行つておりますか。昔はいわゆる組合傘下の組合員の事業の内容とか、或いは経営状況とか、生産数量とか、あらゆるものが相当強制力を持つたような形で以て数字を把握することかできたのですが、今日はそういうことは殆んどルーズになつておると思うのですかが、それはどんなことになつておりますか。
  24. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 一般的な傾向といたしましては昔ほどはつきりつかみにくい、こういう状況だと思います。
  25. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そこでその正確な数字がわからなくて対策というものはなかなか講じ得られないと思います。それについて何が将来お考えはあるのですか。
  26. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これはいわゆる正確な数字のつかみ方の問題でありまするが、例えば特定の業種について、或いは鉄鋼業なら鉄鋼業というようなものについて政策を立てるという場合に、はつきりしたデータをつかまなければならん、又つかむことは可能だと思います。又中小企業というような総体的な横の数字をつかむことは、はつきりした数字は事実つかみにくい、つかみにくいから政策が立たないかというと、それはそうじやない、これはアンケートもあるし、一つの傾向調査ができると思う、この傾向調査から押して共通の問題を引張り出して行く、そうして共通の問題に対する対策を立てて行く、中小企業対策というものは、いわゆる共通対策、個々の特殊対策じやなくて、そこに私は資料がつかみ出せると、実は考えております。
  27. 中川以良

    ○中川以良君 私はちよつとお伺いしたいのですが、遅れて参りましたので、或いは重複した質問になるかも知れませんが、このたび国民金融公庫が拡充されまして、政府出資その他が大幅に出されるようになつたのですが、これと相伴つて商工中央金庫も当然拡充しなければならんと思いますが、これは一方は政府機関であり、一方は法律政府機関なつていないので、直ちに政府出資ができないというような大蔵大臣の意向のようでありますが、こちらのほうはいずれ近く法律案が出まして、その上において商工中央金庫も拡充されるように聞いておりますが、この点を一つどういうふうに御当局考えておられるか、お伺いしたいことが一点と、それから国民金融公庫のほうが拡充されたに伴いまして、貸付額も大幅に今度は増大される、五百万円というような話もありまするし、或いは三百万という話もあるようであります。殊に不動産金融に対しては五百万円ぐらい貸してもよかろうという話もございまするが、ただここで私憂えますことは、国民金融公庫は飽くまで零細なる庶民階級を相手とする金融機関であると思います。そこで貸付の額を拡大をされますると、金融の極めて楽な、又手数もかからないところの大口の貸付にやはり集中される傾向が、当然これは金融機関の性質としては出て参ると存じます。そうなりますると、大きな、中小企業でも相当な金額を要するいわゆる中小企業金融と庶民金融とが混同するのみならず、零細な庶民金融というものがおいてきぼりになるのじやないか、そこでやはり国民金融公庫貸付額の決定につきましては、よほど慎重に考えまして、額を或る程度で当然これは押えることが私は必要じやなかろうかと思います。その半面、商工中央金庫のほうは思い切つて増資をしまして、そうして貸付額もこれは更に増しで行くというような方向を当然とるべきが、今後の中小企業と庶民階級の金融とを混同させないためにも必要な條件だと私は思います。徒らに両方の資金を増して、そうして貸付高を増して行くというようなことになりますと、これはやはり大事な金融の性質の方途を誤る心配があるのでありまして、この点について一つ長官の御意見、将来の御方針等を承わりたいと思います。
  28. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 中小企業金融問題の中にいわゆる零細金融という問題が御承知の通り大きく横たわつておるわけでございます。そうしてその金融の問題と一般の事業金融との問題を別の組織で一応今考えておるのは御承知の通りでございますが、全体に政府関係機関としては、商工中金国民金融公庫がそれぞれの分野を持つことに相成つております。これの問題につきましての考え方は、私は御指摘通りだと思うのでありますが、現在国民金融公庫出資は六十億であります。六十億のうち四十数億、四十四、五億というものがいわゆる十万円口として貸出される、この窓口に来て貸してもいいというふうに認められたものに対する充足率は約三割という状況であります。そこでこれを三十億も五十億殖やしましても、なお確実に窓口へ来て貸してもいいようなものをカバーはできないというぐらいの今の状況でありますという点から考えましても、どうしても増資を早急に図つて行く、それと同時にその貸付限度引上げの問題は私は余り大きくしないほうがいいと実は考えておるものでございます。現在商業銀行の一件当りの貸付高ほ四十七万円ぐらいでございます。その点から考えましても現在の庶民金融といたしましては、現在の線というものが大体妥当なのじやないか、連帶をいたしました場合に若干上げるにいたしましても、個々の個人に対する場合は、私は現状程度で、大体現在の十万円、特殊の場合二十万円、こういうことになつていることは、私は結構であるというふうに実は考えております。この点につきましては中川さんもすでに御承知だと思うのでありますが、大体そういう線に政府部内もまとまりかかつております。そこで公庫の貸付限度引上げの問題というものは、前のように五百万円に引上げで不動産金融をするというふうな問題はもう起らなくなつておると私は思つております。それともう一つの問題は、国民金融公庫の増資と一方の商工中金の増資の問題であります。これは商工中金の増資というよりも、資金源を殖やす問題であまするが、私どもは先ほども申上げたのでありまするが、商工中金性格考え方という問題が実は一つあるのであります。これはいわゆる半政府機関的に政府の金を導入させるということが私は必要だと実は考えておるのでありまするが、大蔵当局は必ずしもそういうふうに考えていない。どうもその出資の形による問題は、今はそんな事情で意見が必ずしもまとまつておらんのでありまするが、別の線から一つ資金を導入して行くという方法といたしまして、差当り決定いたしておりまするのが、いわゆる割引商工債券を今発行しております。これを資金運用部で四分六の形で引受け得ることになつて、まだ今まで一遍も行われておらないので、これを今回これからいわゆる割商資金運用部引受ける、四分六の協調率で、それで相当程度出して行く、こういうことが大体内定いたしておるわけであります。併しこれは問題は四割といういわゆる市場消化の問題が問題でありますので、限度は当然にきまつて来るわけでありまするが、取あえずそれで行こうということになつております。それで今後の問題といたしましては、先ほど境野さんからもお話があつたのでありまするが、相当まとまつた資金商工中金のほうへ導入するという問題に私はどうしても進まなければいかんというふうに考えておるわけであります。
  29. 中川以良

    ○中川以良君 今の国民金融公庫のほうの不動産の貸付のほうはどういうふうに考えていらつしやいますか。その限度等に対してはどういう御意見でしようか。
  30. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) いわゆる不動産金融、不動産担保金融をするというように一部で言われましたことは、一応たくなつたと考えていいのじやないかと思つております。
  31. 中川以良

    ○中川以良君 そうすると、商工中央金庫のほうも将来不動産担保金融というようなことは考えられなくなりますか、どうですか。
  32. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 不動産担保金融と申しましても、現在商工中金等で行なつておりますものは、これは二次的な意味において担保を取つております。そういう意味ならばもうすでに商工中金は行なつておるということになるのであります。これは併し飽くまで二次的な意味であります。担保を補完的な意味で取つておるのであります。
  33. 中川以良

    ○中川以良君 これはやはり不動産担保金融というようなことは少し真劍に考えて頂いて、将来中小企業の発展のためには御検討をして頂かなければならんと思いますので、この点は一つ十分御研究を願いたいと思います。私どもその点いろいろと案も持つておりまするが、今直ちにどうというわけにも参りません。それは一つ是非お願い申上げたいと思います。それから今のお話で、国民金融公庫貸出限度の引上げというものは、一応当初考えられておつたような案は今日は全然ないということで大変安心いたしましたが、是非その線を堅持して頂きたいと思うのであります。それから商工中央金庫におきまして、将来資金源を何とかして作るというお話がございましたが、これは是非早急に実施をして頂きたい。今日のような資金源では到底中小企業金融を十分賄えないのみならず、折角できた商工協同組合法というようなものが、全くその効果がないというようなことになりまするので、やはり法律かある以上は、この法律に対して並行的に商工中央金庫に是非活動してもらわなければならんと思います。それから最近考えられておりますいわゆる組合員に対する直接の貸出、これは今御檢討になつておると存じまするが、殊に近く出る法律案にはこれが載るように承わつておりますが、これは一応その組合というものを尊重して、組合の承認とか或いは何かの経由というような恰好をとられるものか、それとも全然加入した組合は抜きにして、個人対象にされるというような考え当局は持つていらつしやるかこの点を一つはつきり承わりたいのです。
  34. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 一応法律の肩替りといたましては、じかに行ける、即ち商工中金に行けるというふうにいたしておるのであります。
  35. 中川以良

    ○中川以良君 直接ですか。
  36. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 法律上は直接、運用上の問題として少くとも組合の理事長と話をして行くとか、何かの組合のまとまりをつけたような調和点を考えなければいかんのですが、まだ具体的には考えておりませんが、その辺の配慮が要るというふうに考えております。
  37. 中川以良

    ○中川以良君 この点はいずれ法律案が出ましたら又いろいろ論議をされることと存じまするが、そういう点は一つ十分お含み頂きまして、ただ何ら組合と関連なく個人を相手にやるということになりますと、組合対象にしての商工中央金庫のやはり性格というものがちよつと変つたものになるのじやないかと思います。それから商工協同組合法に対しましてもやはり逆の結果が出るようなことになりはせんかということを懸念をしておりますので、その点は十分御檢討をして頂きたいと存じます。それからこれはこの機会に申上げるのが適当かどうかかわかりませんが、まあ一般国民金融公庫のほうは直接大蔵省が管轄をしておられる。商工中金のほうはまあ商工省か共管というようなことで、そういうなことで商工中金のほうかどうも大蔵省とちよつと縁遠いので弱いというような流説がいろいろ巷間流れております。こういうことは甚だいかんと存じますので、一つ中小企業庁というような特別な役所があるのでありますから、この点は十分少くとも風説が流れるというなことかないように、大蔵当局と十分密接な連繋をとられ、むしろ大蔵当局に対して、中小企業庁としての独自の立場から少くとも主張を述べられて、それが通るように一層の御奮発を頂きたいと思います。お願いを申上げます。
  38. 境野清雄

    境野清雄君 最後にちよつと、今初めてこの「中小企業対策の現况」というものの十月十五日現在を見まして気が付いたんで、ちよつとお伺いしたいんですが、これを見ますと、この三頁の所に中小企業貸出総計というものがありまして、これだと五千百二十一億六千八百万円というものと、その次の四頁を見ますと、全国の銀行合計の貸出が一兆二千二百三十九億九千四百万円というのがありまして、これもうろ覚えでよくわからないのですが、大体八月にこれを出された時のやつは、多分この中小企業融資残高が四千七百億と心得ているので、この増加は僅かに三百八十三億、それから四頁のほうの一兆二千二百三十九億九千四百万円というのは八月の時は一兆五百億というようなふうに覚えておりますので、このほうは千六百六十億殖えている。大企業のほうは僅かに八%きり殖えていない。その上無盡、信用協同組合というのが、先ほど私が申上げたように、これが減る一方になるという形態になると、これは中小企業は僅かに二ヵ月足らずの結果でさえ、こういうような結果が或る程度出て来ますので、これは一つ金融問題に関しては特段の一つ中小企業庁としてもお骨折りを願いたいと思うのであります。それから併せて八頁の所に、これはこの前も多分何か違つていたが、私がよくわからないのかどつちかわからないのですが、この八頁の所を見ますと、貸出というのは設備資金については組合数が四百、運転資金については四千四百七十四というもの、合計が四千七百六というふうになつて、これも八月の時が何か違つていて、四千七百十一件というのが私の計算でそうなつたので違つているんですが、これは何か含まれているんでしようか、どうでしようか。ここの所の御説明を、八頁のほうを……。
  39. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) これは一応貸出しの資金の性質からの計算になつております。一つ組合で設備資金も借り、運転資金も借りますので、組合の数は減りますが、これは貸した種類だげでとつております。累計になつておりますから……。累計を見ますと四千八百何ぼになりましよう。四千八百七十四組合、それが四千七百六組合なつておる、その差だけは両方に入つておるわけです。
  40. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると、金額のほうは設備資金と運転資金と合せたものが合計になつてやしないでしようか。
  41. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) だから金額はぴちつと合うでしよう、組合の数は合わないでしようが。
  42. 境野清雄

    境野清雄君 わかりました。それからもう一つ中小企業庁ではこういうことは金融課のほうではお考えになりませんか。大体銀行はこれにも書いてあります通り、なかなか「市中銀行の占める比重は甚だ大きいので」、これに対して「信用保險融資斡旋等の方法により、極力中小企業融資を奨励している。」と書いてあるのですが、前にもそういうふうに聞いておりましたが、大体私一番の盲点と思うのでありますが、大きな点は金利の問題ではないか。金利は小さい事業に貸しますものと、大事業に貸しますものとはやや似たような市中銀行の率になつておるので、こういうような問題が解決でき得ないのではないか。勿論その問題にはいろいろ大蔵省と、法令や何かあつて面倒とは思いますが、併し無盡会社その他の金利というものは決して市中銀行と一定のものではないので、無盡会社とか、或いは質屋とか、信用協同組合というようなものの金利は相当上廻つておるために、そのほうからは中小企業への金融が促進し得るが、市中銀行というものはでき得ないというような点はお考えなつておるかどうか。その点のところについてちよつと承わりたいと思います。
  43. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) お話通りの点が私はあると思います。それで先般一口百万円以下のやつは金利の制限を撤廃いたしております。いわゆる協定利子より高くとつておる。私はこの線を三百万円くらいまで延ばして行くという要求を当時いたしたのでありますが、現在でも三百万円くらいまでは普通の金利で、いわゆる二錢七、八厘よりももつと高くてもよいということにしたほうが却つて融資には楽になる。こういうように考えております。
  44. 境野清雄

    境野清雄君 私はもう質問はいいのですが、先ほど申上げました中小企業問題に関しては、結論的なものは大蔵省に少し質問して見たいと思いますので、次回でも、いつでも結構ですが、一応大蔵大臣出席を願つて中小企業問題を再度檢討して見たいと思いますので、その点を皆さんにお諮り願いたいと思います。
  45. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野委員からの御提案に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、次回に大蔵当局を招致いたしまして質問いたすことにいたします。
  47. 結城安次

    ○結城安次君 私が先ほど質問しました生活協同組合については、長官余り御承知でないからという御返事でしたから、これはいたし方ありませんが、併し生活協同組合組合員のための加工若しくは生産というようないろいろの措置をやつておるようですから、十分御研究なすつて、この中に入り得るように御努力を願いたいということを希望しておきます。長官、これはできますか。
  48. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) 先ほど申上げたような事情でよく勉強しておきます。
  49. 結城安次

    ○結城安次君 研究しておいてこの次入れるか、入れないかぐらいまで御研究願えますか。
  50. 小笠公韶

    政府委員小笠公韶君) そういうふうに努めて見ます。
  51. 境野清雄

    境野清雄君 あの今そういう問題を出しちやどうかと思いますが、一つお聞きおきだけ願いたいと思うのでありますけれども、大体先ほど私の申上げました農林漁業の資金融通法と同じように中小企業資金融通法を一応これは考えて見なくちやならないのだろうか。それから中小企業の問題は、ここでどうしても一応年末金融というものが来るので、委員会としても再檢討しなくちやならないということを考えている。もう一つ、これは全然別の問題でありますけれども、それは廃止論とか或いはいろいろな議論があるようでありますけれども、競輪法というあの法律はあのままでは私は放つておくわけにいかんのじやないかと思う。どちらにしても、通産省自体権限を強化するとか、廃止するとかという形にしても、いずれにしても今のままで行く限りは一応競輪法の一部は改正しないとこれは軌道に乘らないだろう。こう思いますので、今日でなくてもいいから何かの機会に今の中小企業の問題並びに競輪法の問題というものについて一つ委員会の中に小委員会でも作つて頂いて、この二つの問題を専門的に研究するほうがいいのじやないか、こういうふうに思いますので、この問題を一つ皆さんにお取計らいを願いたいと思います。
  52. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野委員から中小企業問題、金融問題、競輪問題に対しまして小委員会を作つてはどうかという御提案がございましたが如何取計らいましようか、御意見を伺いたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  53. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。只今境野委員の御提案に対して賛成が多いようでありますから、小委員会を作ることにいたします。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。人員その他は委員長に御一任願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして委員長において適当にお願いいたします。   —————————————
  56. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に、前回十九日の委員会におきましての、貿易対策につきまして、円資金につきまして外国為替管埋委員会の御説明を願いたいと思います。大久保外為委員
  57. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 外国為替資金特別会計の円資金の收支につきまして御説明申上げるというお話でございましたので、お手許に資料をお配りいたしましたはずでございますが、お手許にお配りしました表によりまして、一応数字的な御説明を申上げておきまして、その上で御質疑を承わりたいと存じます。  昭和二十五年度の外国為替特別会計の円收支の実績と、二十六年度の外国為替資金の收支の中で四月から九月までの実績をそれぞれ四半期に分けましてここに掲げましたのでございますが、昨年度におきましては、年度合計といたしまして、收入の面におきまして五千七百七十八億、そういう收入に対して支出といたしまして五千八百二十一億、差引き支払の超過、これが約四十二億になつております。その各四半期に分けました收入と支出とはまちまちでございまして、第一四半期におきましては支出の支払超過が二百五十五億、第二四半期は二百十九億という支払超過の状況が、第三四半期になりまして收入超過が三百三十六億、第四四半期九十五億という收入超過に相成りまして、これは專ら昨年の九月から日銀のユーザンス制度、外国為替貸付制度か施行されまして、この制度によりますと為替銀行が信用状を開きました場合に、その保証金として所要の外貨を日本銀行が委員会から買取りまして、これを外国為替銀行に貸付けて、そうしてその保証金に充てさせるという制度でございますので、日本銀行にいきなりドルを売ります関係上、対日本銀行の收入が非常に殖えたわけであります。第三四半期、第四四半期におきましても御覧の通り千五百億、千八百億の対日本銀行収入がありますので、円の供給が相当豊富になつたと、そういう関係でございます。それで年度末におきましては、一番最後の欄で御覽願いますように、期末残高といたしまして、この会計の現金は三百十七億という豊富な円資金を持つておつたわけであります。そこで本年度に入りまして、右の方の外国為替資金收支実績というものを御覽願いますと、本年度になりましてから支出が相当まだ増加している傾向がございます。昨年度におきましては、第四四半期に二千五百八十七億という数字でございましたが、第一四半期におきましては三千三百六十億、第二四半期において三千百二十三億という支出がございます。これは專ら為替委員会が買取ります外貨、即ち輸出によりまして我が国が外貨を取得いたしますその買為替、それから特需が依然として昨年の下期以降たくさんございまして、その資金を買いますために為替銀行に対する支出が相当著しく増加いたして参つたのでございます。ところで一方收入の面におきましてそう殖えておりませんのみならず、第二四半期におきましては、第一四半期よりも減つておる。この收入は、一つはこの輸入の為替決済で為替銀行が委員会から外貨を買取りますときに円の対価を支払います。それが対為替銀行の数字に上つておるわけでございますが、勿論アツト・サイトで決済いたしまするのと、日銀の外貨貸付制度の決済によりますのと両方含むわけでございますが、委員会といたしましては売為替、これのために收納いたします金額が大分減つて参つて、それから日本銀行のほうから入りますのは、先ほども申しましたように輸入信用状が開設されます際に、その輸入信用状の保証額を、外貨を日銀に売るわけでございますので、收入が非常に多い。つまり信用状の開設が非常に多いときには、日銀からの收入か非常に多いわけでございますが、御承知の通り本年度になりましてから輸入が予期しました程度に参りませんで、かなり輸入取引が遅延いたしまして、そのために対日銀收入というものが著しく減つたわけでありまして、昨年度におきまして対日銀收入が御覽の通り千五百億、千八百五十億というのに対しまして、本年度になりましてからは第一四半期が千百三十六億、第二四半期に至りましては八百十一億という数字になりますので、こういうふうに收入の面ではかなり予期以上に少い。一方支払は、輸出ウの状態がそう変りませんで、且つ特需その他の買為替が多いために、委員会等の円資金といたしましては、著しく支払超過の状態を呈したわけでございます。第一四半期におきましては六百六十八億、第二四半期におきまして五百六十九億というふうな支払超過を見たわけであります。で、この資金をそれではどこから調達したか、その財源につきましては、御覽の通り昨年度末におきまして三百十七億の現金を持つておりましたから、これを充てました。それの足りません分は国庫余裕金の繰替使用というので、この半年間に五百億繰替使用をいたして、御承知と存じますが、本年度の現予算におきましては外為資金特別会計の借入限度は五百億ということに相成つておりますが、その限度まで九月末までに借入を実行いたしまして、それからなお足りませんので一般会計からの繰入、これは第一四半期に十億、第二四半期に四百九十億、予算に定められました一般会計からの繰入五百億というものを実行いたしまして、まあかつかつ漕ぎ抜けて参つておるわけであります。九月末におきまして現金の保有高が七十九億ということになつております。  なお今後の状況でございますが、輸入の信用状の発行は九月になりまして大分一時よりも殖えて参つておりまするし、十月にも相当やはり季節的な輸入の信用状の開設がございますので、円の收支の面におきましては相当殖えて参つて、対日銀收入が殖えて参つておりますが、一方この輸出或いは特需で以て外貨の殖えるものが相当ある見込でございますので、今後半カ年におきましてもなお相当の円資金の補給を受けませんと、この会計の運営ができません。御承知のように一般会計からの繰入金の増額或いは予備的に借入限度の拡張ということをお願い申上げておるわけであります。表につきましての御説明はこの程度にとどめさして頂きまして、なお御質問がございましたらお答え申上げたいと思います。
  58. 境野清雄

    境野清雄君 今の御説明ですと、あれですか、この1の收入と2の支出と、3のほうへ行きまして差引收支という面がありますが、差引收支の超過になつておるという場合は、全部いわゆる輸入に比較して輸出特需が多いために受取外貨が多いという意味でございますか。
  59. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) 大体外為会計といたしましては、外貨が入りますときには円を支払い、外貨を払いますときには円を受取る、大体外貨と円とは裏はらをなしておるのでございます。日銀のユーザンス制度というのは、信用状を開設いたしましたときに、その信用状金額の金額、旧制度は、今年の三月までの制度は、信用状の全額であります。三月になりましてから信用状金額の半額ということがございましたが、その金額が円としてすぐに收納されるわけでございます。ところが外貨といたしましてはまだそのときに落ちませんで、払われませんで、その信用状に基きまして海外で売出されました日本の輸入ビル、輸入手形があちらの銀行で買取られましたそのときに外貨が落ちるのでございます。大体その期間は二月ぐらいのズレがあるわけであります。そういう制度が相当広汎に輸入について行われておりますために、外貨が落ちるときに円が入るということはちよつと申しにくいのであります。
  60. 境野清雄

    境野清雄君 そうしますと、今の事情はよくわかりましたが、この一時借入金というものと、或いは5、6、7というような借入金的なものは、いわゆる輸入が増加して行きますと、それによつて一応今のような事情はありましても、このものが消えて行くという解釈ですか。
  61. 大久保太三郎

    政府委員大久保太三郎君) さようでございます。輸入が非常に促進されまして外貨の決済が行われる。我々から外貨を売ります場合に円が入つて参りますから、この5、6、7、の方法で以て補充を受けませんでも、資金の円の收支はまあバランスするということでございます。ただ見通しといたしまして、今後相当やはり外貨が殖えるという、輸入がありますにかかわらず、輸出の特需で外貨が殖えるという見通しを持つているわけでございます。
  62. 境野清雄

    境野清雄君 今よくわかりましたが、私の質問しましたのは、このものによつて日本自体の外国為替という面から見た輸入の能力が現在相当あるのだ、こういう観点を聞きたいと思つたので、今質問したのであります。
  63. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) よろしうございますか。それでは次に井上通商振興局長から、先般、やはり十九日に佐多君から質問がありまして資料を提出して頂きましたので、その提出資料について御説明を願いたいと思います。
  64. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) 先般の本委員会におきまする御要求に応じまして、今日資料をお配り申しましたので、この資料につきまして簡單に御説明を申します。  東南アジヤ各国向けの貿易について商品別の数字を出すようにという御要求に対しまして、今日ここに「東南亜細亜地域輸出認承額」一九五一年一月乃至九月という資料がございます。それから「東南亜細亜地域輸入実績」、これは一九五一年一月乃至八月、これは各国別且つ地域別且つ商品別ということになつておりまして、商品別に縦断的な合計はまだ出ておらないのでありますが、目下準備中でございます関係上、この商品別の縦断的な数字がまとまりましたら又お配りを申上げます。それから次にゴアの鉄鉱石の開発につきまして、それの具体的な内容についてという御要求がございましたので、非常に印刷が不鮮明で恐縮でありまするが、「ゴア鉄鉱山開発について」という資料がありまするので、これによつて御承知を願いたいと存じます。これは一応御覽願いたいのでありまするが、この要点を簡單に申しますると、最初から八行目にありまするが、この「同計画の概要は、」と申しますのは、日本の鋼管鉱業株式会社とゴアのチヨウグリという会社がありますが、この両者の間で契約が先般正式に調印に相成りました。結局我が国のほうから約五億八千万円に達する鉱山開発用の機会設備を向こうに送りまして、そうしてこれを現地に投入し、そうしてこの機械によりまして鉄鉱山の開発機械化を行う、そうしてその結果産出する鉄鉱石をこちらへ輸入をしよう、そうしてその五億八千万円に相当する代金の決済は、向うから輸入になりまする当該鉄鉱石につきまして、大体一トンについて一ドル程度の割引を行うことによつて、この代金の決済をしようというのであります。ここに一、二、三と内容が書いてありまするが、一にございまする通りに、開発用の機械のこちらからの積出は、本年十一月以降開始になりまして、十一月に七千七百万円、十二月に八千四百万円、来年の二月に二億五千一百万円ずつ積出して行く、この金額はこの機械の国内の値段でありまする関係上、これに保険料、運賃、諸掛り等を加えますと、今申しました五億八千万円見当に相成ります。それから第二項としまして、ここにございまするが、先方からの鉄鉱石の日本への積出は、昭和二十七年十一月以降開始になりまして、以後三年間において年間五十万トンずつという予定であります。値段は大体その第二項の一番最後にありまするが、これは差当り初年度入荷分五万トンについてのみFOB六ドルということになつております。第三項としまして、先ほど申しました通りに、これは代金決済がその輸入します鉄鉱石につきまして、一トン約一ドル見当のデイスカウントによりましてこれを決済します。それで代金の完済の時期は、この最後の五行目に書いてありまする通りに、昭和三十年十月の予定であります。なお一番最後に附記としまして、今申しました鋼管鉱業株式会社とチヨウグリ商会との契約の外に日建産業とそれから先方のブラック・ウツドという商会との間で、金額が少し小さくなりますが、約一億九千万円の機械をこちらのほうから供與しまして、そうして先方の鉱山の開発をやる、そうして年間二十万トソずつこちらに鉄絋石を輸入しよう、そういうような計画も一方においてはございます。以上が今回のゴア鉄鉱石の開発の問題でございます。  それからモロー調査団の報告書という御要求がございましたが、ここに「モロー調査団の報告について」という資料をお配りしましたが、このミツシヨンの報告について、公表がありましたものは別段ないのでありますが、通産省の方から平塚鉱業課長が参りましたし、経済安定本部安藤連絡部副部長が参りました。日本輸出銀行のほうからも二村総務課長が参りましたので、この三氏の報告書を大体まとめまして、御参考にと思いまして本日お配り申したわけであります。一応これは参考資料としまして御覽願えれば結構であります。  それから「沖縄関係輸出銀行融資分」という資料がございますが、これを出しました理由は、先般佐多議員のほうから、前回のこの委員会でお配り申しました資料中に、日本輸出銀行の業務状况の報告としまして、輸出銀行が本年一月一日発足以来、極く最近までの融資をしましたその輸出契約の金額のトータル百二十四億円という数字がございまして、それから他方プラント輸出の契約状況という資料を先般お配り申しました。各仕向け地に対しましてのプラント類の輸出契約の数字をお配り申したのでありますが、この数字が二十六年分につきまして、合計二千五百八十五万五千ドルという金額でありました。でこの二千五百八十五万五千ドルは円に直しまして九十四億と少しでありまするが、丁度佐多委員のほうからこの輸出銀行の融資対象の輸出契約の百二十四億という数字とプラント類の輸出二十六年分のトータルのこの九十四億何がしという数字の食い違いはどういう理由であるかという御質問がございまして、前回の委員会で、私はこの違いは沖縄関係の兵舎建設に対する融資、これが輸出銀行の融資対象なつているのでありますが、この分がこちらのプラント類の輸出契約の統計のほうには入つてなくて、輸出銀行の契約金額のほうにはこれが入つておる。即ち沖縄関係の金額によつてこの金額の相違が出たものであると思いますが、なお詳しくは調査をして御報告を申します。こう申しました問題について調査の結果、やはり私が申しました通り沖縄関係の違いでございました。で沖縄関係の分につきましての輸出銀行の融資分が、ここに市中銀行のほうとこの輸出銀行との協同融資の分、これが契約金額のほうから申しまして約二十億、それから二としまして手形割引のほうが契約金額としまして約十二億八千万、合計しまして約三十三億、いろいろ細かな点がありまするが、大きく申しまして今申しました数字の両方の違いは、相違の生じました理由は、この沖縄関係であるということを御了承願いたいと思います。  それからプラント輸出と輸出信用保險関係についてという御要求がありましたようでありますが、この簡單な「プラント輸出と輸出信用保險」という資料をお配り申したのでありますが、この日本輸出銀行の業務方法書によりますると、輸出銀行から融資をいたします場合には、原則としてその当該輸出契約につきまして輸出信用保險に付けるということが業務方法書に一応きめられておるのでありまするが、ここに書きました通りに、繊維機械、即ち紡織機等につきましてはこの事故が発生する、即ち輸出信用保險の保險事故が発生する、言い換えますれば、先方の国の輸入の禁止でありますとか、或いは戦争とか暴動とか内乱とか、まあ従来の中共向けの輸出の禁止などがこの適例でありますが、そういう事故発生の場合に、これが内地に転売することが可能であるというものにつきましては、事実上リスクは少いわけでございます関係上、この業務方法書にはこういうふうになつておりましても、実際上輸出銀行が融資をいたします場合に、必ずしも輸出信用保險をこれに付けないという場合が多いわけであります。或いは又ここにも書きました通りに、船舶輸出契約の場合には、契約と同時に何%というふうな前払いが向うのほうから入るというような場合、そういうような関係で輸出信用保險を付けるということが必ずしも全部については行われておらないわけでありますが、今日まで輸出銀行で融資をしましたそのプラント輸出について、輸出信用保險が付きましたものの調査の結果がここにお配りしましたようなアルゼンチン向けの発電設備五億五千六百八十万円とか、パキスタン向けの紡織機三千万円、並びにパキスタン向けのデイーゼル客車一億四千五百万円、同じくパキスタン向け機関車及び客車が十億二千三百九十万円、それからタイに対しましてのボイラーとかというようなもの、合計しましてこれで十八億見当に相成りますから、輸出銀行も融資の総契約や今まで百二十四億というわけでありますから、全体の約これが一五%に相当するということに相成ります。  なおついでにプラント輸出の問題に関連しまして、輸出信用保險法の一部改正というのを今国会に提出することになつておるのでありまするが、この問題につきましては、いずれ法律案提案後にこの委員会で十分御審議を願いまする際に改めて詳しく申上げたいと思います。
  65. 境野清雄

    境野清雄君 これは今のゴアの鉄鉱山の開発の問題でありますけれども、日本からの積出が先になりまして、ゴアのほうから来る鉄鉱石があとになるというようなものに対して、政府自体の補償とか何とかいうようなことが何かあるのですか。
  66. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) この点につきましては、只今制度としましては別段政府の補償はございません。で、御質問がございましたので申しますが、このゴア鉄鉱石について只今申しました通り、こちらのほうから輸出の商品を先方に渡す、引渡しましてその輸出の代金請求権はこちらにある。この請求権につきまして、その代金の決済方法が、こういうふうに長期間に跨りまして、且つ現物の、鉄鉱石という現物弁済の方法によるということに相成ります関係上、非常にリスクがそれだけ多いわけであります。で、只今申しました輸出信用保險の一部改正法律案というのを急遽この臨時国会に提案しようということになりましたゆえんは、まさにこの点にあるのでありまして、即ち従来の輸出信用保險におきましては、外国の輸入の禁止とか、日本の政府の輸出の禁止とか、或いは戦争とか、内乱とか、暴動とか、そういう申さば政治的、行政的な非常危險というものをその担保にしておるのでありまして、バイヤーの支払不能とか、バイヤーの履行の遅滞というようなことは、その保險事項にはないのであります。そのバイヤーの支払不能、バイヤーの破産とか、バイヤーの履行遅滞というような問題は、普通の輸出契約の場合でございますと、取消不能信用状方式ということによりまして、信用状の開設がございますれば、大部分このバイヤーに対する信用危險というものは大部分カバーができるわけでありますが、今申しましたようなプラント輸出の場合に、プラント輸出をしてその代金の吸収方法が非常に長期間に亘るこのゴアの鉄鉱石なんかの場合はまさにこの適例でございますが、こういうような場合には普通の取消不能信用状方式によることができないわけでありまするから、従つてこの際文字通りの信用危險をこの輸出信用保險制度によつて担保することがどうしても必要であるという点で、こういうプラント類の輸出を対象としまして信用危險、即ち買手の破産とか、支払不能とか、或いは履行遅滞とかというような保險事項を新規に加えよう、追加しようというのが今度の輸出信用保險法改正法案内容でございます。
  67. 境野清雄

    境野清雄君 今のでわかりましたが、その前に振興局で一度やりまして、今継続しているかどうかわかりませんが、こういうような問題に関してはゴアとの契約書によつて、この五億八千万円というものはどつちにしても鋼管鉱業株式会社が一応金融措置を講じなくちやならん、そういうものに対しては前に契約書か何かを基準にして振興局が金融斡旋を一時やつておりましたが、ああいうようなものは今やつておるのですか。金融措置に関しては政府自体は何ら関連しないのである、会社自体金融措置を講ずる、こういうような形態なつておりますか。
  68. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) こういうようなプラント輸出でありまして、政府が特に干渉を必要とするというケースにつきましては、輸出銀行に通産省或いは大蔵省のほうから臨時緊密な連絡をやりまして、そこで輸出銀行を通じまして融資が十分付くような事実上方法は講じております。
  69. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つ別の問題ですが、振興局に直接お聞きしておきたいのですが、今日現在の貿易面におきましては、どうしても約定というようなものが不可抗力的な電力不足というようなものによつて一応デリヴアリイが完納でき得ないものが相当私は今後続出して来るだろう、こういうように考えるので、そういうような場合におきまする面、それによつて生じて来るクレームというような問題がどうしても今後、来年度あたりの初めには相当起つて来るのじやないか、そういうようなものに対して通産省として、これは日本の不可抗力的なものなのだとか、電気が所期の、予定のようなふうに廻らないので、デリヴアリイがこういうように遅れたのだというような証明をするなり、或いは在外事務所に対して何らかもうすでに電力が不足しているので、それに対する事前工作をしておられるかどうか、そういう面に対して振興局長にお伺いしたいと思います。
  70. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) 誠に適切なる御質問でございまするが、実は今までの段階ではそういうことをあらかじめの方法としまして、在外事務所等に対する連絡等の手は打つておりませんが、そういつた点につきましては、電力の不足の問題に当然結果として生ずる重要な問題でもございまするが、御質問の御趣旨の方向に十分至急研究したいと思います。
  71. 境野清雄

    境野清雄君 従来私もそのほうに関連しておつたので、そういうような問題は従来の戰争前の貿易面にも再度起つておつた、例えば愛知地区において地震が起つたような場面でも、その土地の商工会議所なり或いは県なりから報告することよりも事前に、政府自体がその問題の影響はあつてもなくても、今で言う在外事務所なら在外事務所、或いは今後できる大公使館というものに向つて、日本にこういう地震があつたとか或いは火災があつた、その結果によつて生ずるであろう輸出の問題もあるかも知れんぞということをやつて頂ければ、それによつてクレームの問題その他の問題も非常に解決がスムースに行くというようなことが過去にありまして、日本自体としては従来そういう手が打つてない。インドあたりはそういう手を非常によく打つておりましたので、今後は再発足する日本の経済というような観点からいたしましても、振興局におきましてこういう点は特段の御配慮を願いたい。そしてやがて起るであろうクレームに対する予防、そのことは実際的に効果があつてもなくても、そういう手を打つて頂いたら今後必ず貿易面に大きなプラスになると思いますので、振興局におきましてもこういう点は十二分に一つ御檢討願いたいと思います。
  72. 井上尚一

    説明員(井上尚一君) 十分努力いたします。
  73. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。それでは本日はこれを以ちまして散会いたします。    午後三時五十五分散会