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1951-10-23 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十三日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 十月十九日委員植竹春彦君辞任につ き、その補欠として入交太藏君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            廣瀬與兵衞君            古池 信三君    委員            入交 太藏君            中川 以良君            松本  昇君            加藤 正人君            山川 良一君            山内 卓郎君            境野 清雄君            西田 隆男君            油井賢太郎君   政府委員    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    日本国有鉄道輸    送局長     木島 虎藏君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君   参考人    日本鉱業協会専    務理事     園原  巖君    石灰石鉱業協会    会長      芳賀 茂内君    日本石炭協会専    務理事     天日 光一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (国鉄運賃値上げ産業に及ぼす影  響に関する件)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 只今より通産委員会を開きます。  本日は国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。同法律案は目下両院運輸委員会に付託されて審議中でありますが、運輸大臣提案趣旨説明によると、今回の国鉄運賃値上げは、一、国鉄財政を健全化し機能を十分に発揮せしめるためには必要止むを得ない措借であること。ニ、運賃改正実施を十一月一日と予定していること。三、値上率旅客二割五分、貨物三割であることを明らかにすると共に、特に貨物運賃については貨物価格に占める運賃割合は、昭和十一年には四・六一%であつたものが現在では二・六ハ%であり、今回三割値上げしても三・五二%に過ぎず、従つて一般的には負担余力が十分あるものと考えられ一般物価に及ぼす影響の軽微である旨が強調されているのであります。然るにかねて当通産委員会に寄せられている業界からの端的な要望は、運輸当局説明とは相当の隔りがあるように思われます。そこで本日は当の責任者である運輸省並び国鉄当局から運賃値上げ必要性を、いわゆる健全財政保持の立場から聴取すると共に、業界参考人諸君より今回の運賃値上げ産業如何なる影響を与えるかという点を中心として御意見を承わり、以て法案審議参考に供したいと存じます。  なお本法案は先に申上げましたように運輸委員会に付託審議されているのでありますが、必要なる場合には通産委員会として合同審議申入れを行い、或いは又そこまで参りませんでも特定の問題について運輸委員会に対して申入れをする等のことも考えられますので、これが取扱については後刻御協議願うことにいたします。先ず運輸当局より御説明を求めることにいたします。鉄道監督局国有鉄道部長石井昭正氏にお願いいたします。
  3. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 只今委員長から国有鉄道運賃値上げ理由について御説明を申上げるようにということでございます。お手許に差上げてございます資料について御説明申上げたいと存じます。  今回の運賃値上げ理由はここにございまするように、改正資料と申します資料にございまするように、最初の横書の第一頁の本年度国鉄予算でございまするが、これはこの前の通常国会両院の御承認を頂きまして只今実施中でございまするが、この国鉄予算は御承知のこととは思いまするが、損益勘定工事勘定と二つに分かれておりまして、いわゆる毎日の列車を運転して参ります通常営業費に属するほうの経費損益勘定で処理いたしております。新らしい施設の拡張或いはいわゆる資本増加となるような事柄は工事勘定で処理をいたしておる。運賃改正につきましては損益勘定赤字と申しますか、不足分運賃で賄う、損益勘定収入は殆んど運賃収入でございまして、従いまして損益勘定におきまして赤字を生じましたときは運貸収入で賄うという考え方がいわゆる国鉄独立採算制でございまして、工事勘定に属する財源につきましては或いは自己資金の導入もございますし、或いは借入金もいたすということもあるのでございまして、そのときの財政状況に応じ、又一般国家財政状況、或いは経済界状況に応じて処理いたすべきものと考えております。従いまして今回の運賃改正もこの営業費の分が非常に嵩んで参つたということに基いておるわけでございますが、その大きな原因はどこにあるかと申しますと、この二十六年度予算を編成いたしましたのは昨年の八月頃でございまして、当時は御承知のように朝鮮動乱が勃発いたしておりましたが、果して短期に片付くものであるか、或いは長期に亘るものであるかということが見通しのつかないときでございましたので、やはりこれは一応考慮のほかにおいて平常、朝鮮動乱の勃発の影響というもののないときの物価のべース物件費を組んだということにあるのであります。これはその後本予算審議されます当時におきましては情勢もはつきりいたしましたので、この点について十分できるかというような御質問も頂いたのでございますが、そのときにはできるだけやつて見たい、併し或いは足らなくなるかも知れん、その際は又運賃値上げお願いするかも知れん、併しながら取りあえず一生懸命何とか節約してやつて見たいというようなふうに申上げて御了解を得た次第でございます。ところが非常に国鉄の使つておりますところの物件費が値上つて参りまして、特に石炭、或いは鋼材木材というような国鉄が消費いたします物件生産資材が主でございまして、その値上りが非常に著しいのでございます。その上り方はこの資料の中にも詳細な表がございますが、この予算編成の基礎から比べますと倍以上になつておるものが相当あるのでございます。又一方この経済情勢がかようになつて参りまして、生計費のほうも苦しくなつて参りますと、従事員給与改訂も熾烈な要求となつて参りまして、御承知のように本年の六月に国鉄調停委員会給与ース調停案を出したのでございます。それが現在のべースよりも二千四百円ばかり、一万八百二十四円という調停案が示されたのでございます。この調停案はほかの産業、或いは文最近考えられております公務員のべース・アップ等と比較いたしましても決して妥当を失するものじやない、当然この程度のべース改訂は行わなければならん、こういう情勢に相成つたわけでございます。そういうわけでございまするので、国鉄当局のほうから実は本年の八月の末に、今回は運賃及び旅客運賃共に三割五分値上げいたしたい、こういう申請が参つたわけでございます。この三割五分の理由につきましては、やはりお手許に配つてございます、国鉄営業局長の書いた「国鉄運賃改正について一というパンフレットがございます。これに詳しく出ておりますが、要点を申上げますと、要するに平年度に換算いたしまして五百三十三億円の経費不足ができる。これを現在の運賃収入で逆算いたしますると三割五分上げなければならん、そこで旅客貨物バランスをどうするかという問題もあるが、大体において両方とも同じ値上率を適用するのがいいではないかという意味で両者とも三割五分の値上げという申請が参つたわけでございます。そこで運輸省といたしましては法律の定めるところによりましてこれを運輸審議会に諮問いたしたのでございます。で、運輸審議会は九月十二日から四日間に亘りまして各方面のかたがたの意見を聞きまして、これは或いは交通業者、或いは産業界の各方面代表のかた、或いは一般通勤者代表、或いは主婦の代表、或いは学識経験者、いろいろございまして、四十数名に亘つて多方面意見を聴取いたしたのでございまするが、なおそのほかに私ども或いは国鉄当局からも非常に精細な資料を取りましてそうして検討した結果、国鉄申請に対しまして或る程度査定を加えまして、結局四百三十三億円の大体経費不足を妥当とするというような考え方をとりまして、それに基いて旅客平均二割五分、貨物は大体三割という値上げが妥当であるという答申が出て参つたのでございます。私どもはそれに基きまして大蔵省或いは物価庁方面とも折衝いたしまして、これは国鉄補正予算と裏腹と相成りまするので、これを検討いたしまして、そうして更に関係方面とも折衝いたしました結果、只今国会に御提案申上げて御審議お願いいたしておりまするような補正予算案並びに運賃法改正案としてお願いをしたわけでございます。そこで問題は何がそんなに経費が増殖えたかという問題でございまするが、大体国鉄申請物価騰貴によるものが三百五十四億ございまして、それから給与改訂によるものが百六十三億ございます。そのほか輸送量増加に伴う経費といたしまして九十三億、それから減価償却増加に見合う額といたしまして七十四億、それから利子の増加、これは工事勘定における借入金増加を予定しておるわけでございますが、それに見合う額といたしまして十三億、合せまして六百八十一億の不足、それに対しまして運輸収入増加を百三十七億と見込みまして、これは公布予算お願いいたしておりましたのが、経費ばかりでなくして、収入のほうも、運輸量のほうも、朝鮮事変影響考慮におきませんので、従いまして朝鮮動乱以後の影響はこれは輸送量増加なつて現われております。運輸収入増加は百三十七億期待されておる。これは勿論プラスのほうに考慮に入れます。但し運輸収入増加を来たすためには半面どうしてもそれに伴う経費が要る。石炭代或いは車輌の修繕費人件費等が要るわけでございますが、そのほうは支出のほうに見まして先ほど申上げました九十三億何がしという経費を取つたわけでございまするが、そういうことで結局収支の差が五百三十三億ということに相成るのでございます。ところが我々のほうの見解といたしましては、この物価騰貴を仔細に検討いたしまして、結局国鉄申請は六月の物価基準といたしておりまするが、その後六月以降相当物によつて下り気味のものもある。一面石炭のごとくとてもやはり六月当時の予想では入手できないものがある。この上るもの、下るもの、相共に詳細脚に検討いたしました結果、大体全体といたしまして約三百三十二億程度でよかろう。国鉄申請よりは約二十一億ばかり減じてよかろうという見解に到達したのでございます。  それからもう一つ経費の節減でございまするが、これは最近閣議を以て決定せられましたところの行政整理、これも国鉄にはもはや整理の余地はないということでございまするが、なお併しながら特段の努力を払つてもらいまして、若干の整理人員を予定いたしまして、これに伴う人件費の減を約十二億見るということにいたしたのでございます。それから逆に今度は運輸収入のほうでございまするが、これはやはり国鉄申請が六月を基準といたしておりまするので、その後七月、八月が或いは貨物の夏枯れというような季節にあるにもかかわらず、相当強調でございましたので、この七月、八月の様子を見て更にもう一段の増収を期待しておる。国鉄申請よりも約増収分を四十三億ほど余計に見ました。なお且つそれと同時に雑収入増加を十二億ほど余計に見ました。それはいわゆる一般資材値上りに伴いまして払下品その他貯蔵品等の払下げ、そのほうの値段も高くなつておるだろうというような点も考慮いたしまして、そこで十二億ほど殖やして見ました。そういたしますと、経費の増が六百三十六億でございまするが、収入増が約二百億ございまするので、合せまして四百三十三億ということに相成りまして、国鉄申請より約百億を減じた経費に一応査定することができました。これに基いて運賃値上率を大体においてきめたのでございまして、これは大体運輸審議会におきまして旅客貨物バランスを考えて旅客おおむね二割五分、貨物三割という御査定答申がありましたので、それに従つて法案も整備いたした次第なのであります。大体これによりますると、只今申上げましたように、大体増収分で以て給与改訂の額はほぼ賄い得る。運賃値上げによる額は物価騰貴に伴うものが殆んどその大部分なつておるというような数字に御了承願えるのではないかと思うのでございます。そういたしまして、できるだけ国民の御負担を軽くいたしたい、かように考えて案を練つたわけでございます。勿諭国鉄当局といたしましては、物価騰貴に対するこのような見方、殊に石炭の現在の値上り、或いは入手難は必ずしも納得のしがたいものもあると思うのでありますが、併しそれは一つ是非経営合理化その他をもつと強行することによつて、何とかしてこの運賃辻妻を合せてもらいたいというのが私ども運輸省考え方なのでございます。その大体最後の結論がお手許に差上げました改正要領という横書の字で書いてあるのでございます。あとは大体におきまして参考表でございまするが、第三頁の表が、これが予算の概略をお示ししたのでございます。そうしてその次に主要資材値上りがございまするが、国鉄で消費いたしておりまする資材価上りがこのように異常なものであるということはそれぞれの表について御了承願いたいと思います。何分にもその大部分鋼材、それから木材、繊維というようなものでございまして、一般の消費、生産資材の最も値上りの多いところの被害の影響を受けておるわけでございます。六頁以下は運賃改正方法を書いておるのであります。これにつきましては、国鉄当局から営業局長がお見えになつておりますので、営業局長のほうから御説明をさして頂くことにいたしまして、運輸省といたしまして国鉄鉄道運賃改正法案を御提出申上げました経緯につきまして御説明申上げた次第でございます。甚だ概略的な説明で大変恐縮でございますが、御質問を頂きまして補足さして頂きたいと思います。
  4. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) それでは国鉄から営業局長が見えておりますが、参考人のかたの御意見を先に伺うことにいたしたいと思います。
  5. 園原巖

    参考人園原巖君) 私は金属工業代表いたしまして、今回の国鉄運賃値上げが我が業界にどういう影響を及ぼすかということにつきまして、お耳を拝借したいと思います。原案の三割五分の値上げ影響は非常に我々の業界にとりまして甚大なのであります。御承知通り金属鉱山は多く立地的に製錬所とか工場とかいう所から相当遠隔の地にありますので、大体品位の低い原鉱石のままで輸送する量が非常に多いのであります。従つて今回のような大幅の運賃値上げは、現在年間輸送量が二百七十六万トンに及ぶ金属工業にとりましては、お手許に差上げました資料について御覧願います通り値上げだけでも六億七千万円に及ぶという状態でありまして、これが金属最終製品影響し、それが国鉄資材値上りなつて循環して来て、惡循環を起すということを非常に憂えるのであります。硫化鉱は御承知通り化学肥料原料鉱石でありまして、これが大量に国鉄輸送対象になるものでありまして、年間輸送量は約二百万トンに達するのであります。これが食糧化学肥料価格の、未だに統制価格の停止という状態なつておりまする関係上、非常に値段は安いのであります。然るにかかわらず、鉄道運賃はこの化学肥料よりはずつと高い七級賃率ということになつておるのであります。この結果、鉄道運賃負担率は、現在一九・二%に達しまして、砂利石灰石、砂について非常に高率な負担率なつておるのであります。これが改正の結果は、三五%としますれば、負担率は二五%以上に達しますし、それだけ化学肥料値上げ食糧値上げに響いて来るのでありますし、又若しもその価格が抑えられるとするならば、硫化鉱の減産を来たすということが心配されるのであります。次に金鉱石は、低品位のまま製錬所に輸送されることは硫化鉱、銅、鉛、亜鉛鉱と同じでありまするが、その上に、金は御承知通り、今後我が国国際通貨基金に加入するということの準備としまして、その国際通貨基金の方針に則りまして、この価格が二十年前のアメリカの価格をそのまま据置値段を、現在円価に換算しまして、非常に安い値段に抑えられておるのであります。然るにそのできた金は、強度国家集中なつておりまして、全量を国庫に納入するということになつておるのであります。この強度専売制度であるにかかわらず、その生産費も遙かに下廻つた過去二十年間据置値段で、その価格がきまつておるということは、誠に不合理なのでありまするが、その値段据置かれておるという点に誠に国際情勢上止むを得ないとしまして、貧弱な産金政策を補う意味で、金鉱石運賃割引を従来お願いしておるのでありまするが、今回の鉄道運賃の値上によりまして、金の価額が依然として据置かれるに対して、鉄道運賃の大幅の値上げは、その影響するところが重大でありまして、現に金鉱石を掘つておる山は崩壊寸前にあるのでありまして、この衰亡を促進するという結果になることを非常に恐れるのであります。それからマンガン鉱石は御承知通り北海道並び東北各地遠隔の地から製鉄所及びマンガンを要求する工場に相当遠距離輸送されておるのでありますが、その値段鉄道運賃負担とのアンバランスのために、マンガン業者は非常に窮境に立つておるのでありまして、これを鉄道運賃の面から救済緩和して頂く、ということは、この際こういう遠距離輸送のかかるものに対して、遠距離輸送の制限の方法を考えて頂きまして、大幅の運賃値上げの率を多少緩和してということにならない限り、マンガン業者窮境は察するに余りあるように思われるのであります。  以上は、二、三の例を挙げまして、業界の現在、それに及ぼす鉄道運賃値上げ影響を申上げたのでありまするが、これを総括しますと、鉱山は非常に片田舎の遠隔不便な地にありまして、品位の低いものを大量に製造加工工場に持つて行くということで、鉄道輸送対象になる部分が誠に多いのであります。今後重要金属はI・M・Cの要請などもありまして、国内資源を積極的に開発して、その余つた部分はこれを加工して海外に輸出するという方面業界努力を結集しまして、日本経済の再建に役立てたいという覚悟を以て進んでおります際、非常に惡影響を及ぼしまして生産意欲を阻害するという虞れがありますので、値上げは一部分は止むを得ないとしましてもこれを最小限度に食い止めて頂きまして、金属値上りによる惡循環を断ち、生産の阻害による惡影響を断つて頂きたいということが業界お願いであります。
  6. 廣瀬與兵衞

  7. 芳賀茂内

    参考人芳賀茂内君) 今回の鉄道運賃値上げにつきまして私あえて反対するものではありません。但し石灰石に対しましては著しく影響を及ぼしますので値上げをしないと同一効果になるように御措置を願いたいと存じます。  以下その理由をかいつまんで申上げます。第一石灰石重要性、第ニ生産量及び国鉄輸送量、第三が価格、第四が価格中に占める運賃割合、第五運賃過重負担原因、第六運賃割合の不均衡の是正、第七現行割引状況、それか第八平均輸送距離の現況、これにつきましていささか御説明申上げます。  石灰石は戦後我が国地下資源としまして唯一の重要な自給資源なつつております。その用途の主なるものを申上げますと、セメント、鉄鋼、石灰窒素、カーバイド、ビニール、ソーダ、石灰炭カル、そのほかにもございますが主なるものを申上げますとそういうようなものでございまして、石灰窒素石灰炭カル、そういうものは食糧の増産に大いに役立つ部門でございます。それから二番目としましては、これは石炭に次ぐ大量生産でございまして、二十五年度におきましては一千百八十万トン、鉄道輸送量が三百十七万七千トン、それから二十六年度予想としましては、生産量千五百万トン、鉄道輸送による数量は四百十五万トンを推定するわけでございます。石灰石鉱山工場関係は特に緊密でありまして、一定区間定時定量輸送せられ、大半はピストン輸送専用列車で運行されているような状況であります。而も荷役設備は機械化されまして、積込積下は数分間で行われ、工場においてはカーダンパーの設備さえもあるような状態であります。定量、定区間定時輸送であること、荷役設備合理化は両々相待つて貨車運用効率の最も大きな貨物であります。三、石灰石価格は極めて低廉でありまして、石炭石山元貨車乘価格は、一トン当り平均二百五十円であります。着駅貨車乘価格は四百四十八円というような状態であります。なお石炭石同一貨物等級のうちの品目値段を比較いたしますと、石灰石は二百五十円でありまして、硫化鉱は三千円、亜鉛鉱は七万五千円、マンガン鉱は一万三千円、鉄鉱が二千五百円、砂鉄が二千円、石膏が二千五百円、これはいずれも市場価格平均でございます。こういうものと同一等級に扱われているような状態であります。四としましては、石灰石価格の中に占める運賃割合は、鉄道貨物中他にその例を見ざる高率の割合であります。昭和十一年の運賃割合は二七・二%であります。現今は四四・二%、三割引上げとしまして五〇・七%、こういうことになつております。それで主なる品目国鉄の調べによりますと、二十六年の現在におきまする割合は、石灰石が四四・二%、それから砂利が二九・七%、硫化鉱が一九・二%、著しく高いものを拾い上げますと右のような状態であります。これを三割値上げをしますると、石灰石は五〇・七%、硫化鉱が二三・五%、それから砂利が三五、五%ということになります。それから五になりまして、石灰石運賃過重負担原因、これがどこにあるかと申しますると、価格の高いものと安いものと同一等級の七級に入れられているということが根本原因と存ずる次第であります。この根本原因是正お願いしたいと存じます。これは石膏でも発駅価格においては石灰石の十倍になつておりまして、亜鉛鉱のごときは三百倍以上になつております。それからもう一つは、昨年の一月の運賃引上げに際しまして石灰石負担力如何考慮されずに、一律に八割値上げをされたということが大きな原因なつておると存じます。最低運賃は戦前は十キロ程度でありましたが、現在は四十ロに引上げられておるような状態であります。而も運賃負担力如何を問わず、一律一体な運賃であります。それから六、石灰石運賃割合現行率におきましても四四%二であることは、すでに負担限界点以上に達していることを端的に示しているものであります。石灰石としましては、到底これ以上の負担力はないのであります。従いまして次のような措置をお願する次第であります。第一に貨物等級引上げお願いしたいと思います。これが若しできなければ、できるまでの間暫定措置として運賃割引お願いしたい。それから次に定量、定区間大量輸送に対する特別割引の適用の範囲を拡大して頂きたい。それから最低運賃の逓減をお願いしたいと存じます。七、石灰石等級を二級引下げましたとき、或いは賃率を二割引にして頂きます場合には次のような計算になります。現行運賃率七級で価格一トン当り四百四十八円、運賃一トン当り百九十八円、これで運賃割合は四十四%二、三割引上げた場合には五〇%七、それから等級を三割引上げたと仮定しまして、等級を二級下げますとそれが四五%二になります。それから賃率において三割引上げたと仮定しまして、二割引をした場合には四五%二になるというような状態であります。運賃率現行の三割に引上げるとしまして、貨物等級二級引下げ、或いは運賃率二級割引、こういうように運賃率を訂正いたします。運賃率現行の三割引上げるとしまして、貨物等級二級引下げ、或いは賃率割引等級据置の場合は運賃割合は四五%二となりますが、なお現行率に比較しますと一%高となるようなわけであります。現行割引は次の通りであります。現行一般割引は二百五十一キロ以上一割となつておりますが、この割引に該当するトン数は全輸送量の三%にしか達していないようなわけであります。元来石灰石は近距離輸送が普通でありまするので、輸送距離八〇%未満が全量の八〇%を占めておる状況であります。ニ、特別割引、現在若干の定量、定区間輸送に対しまして特別割引が行われておりますが、その範囲を拡大して他の定量、定区間輸送に対しても特別割引の適用をお願いしたいと存じます。なお石灰石平均輸送距離につきましては、昭和十一年に四五・一キロメートルとなつております。昭和二十三年は一二七キロメートル、昭和二十五年度は七八・六キロメートル、こういう状態なつております。平均輸送量七八・六キロメートルは昭和十一年より若干伸びておりますが、当時私鉄線よりも大量出荷がありましたが、その後これら私鉄線は大半国鉄に合併された結果、統計上は当時に比して輸送キロが延びておるようなわけであります。昭和二十一年の輸送キロは当時の省線のみの計数でございますから実際は四五・一キロを相当上廻つておりますと推定されるわけであります。従つて昭和十一年と現在の輸送キロは大差がないものと思います。  以上のようなわけでございまして、石灰石にとりましては等級をニ級下げて頂きましてもなお一%の現運賃よりも高いということになりまするので、どうか二級を下げて頂きますか、或いは一般賃率としまして二割引をして頂きますか、適当な措置お願いしたいと存じます。これは特別割引は別に考慮をして頂きたいと存じます。どうかそういうことで石灰石運賃につきましては適当な御処置が願いたいと存じます。
  8. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 次は日本石炭協会専務理事の天日光一君にお願いいたします。
  9. 天日光一

    参考人(天日光一君) 冒頭にちよつとお詑びを申上げて置きます。本日日本石炭協会会長がいらつしやるのでありましたが、どうしても都合差繰り相つきませんので代つて参りました。本日御審議にあずかりました、この鉄道運賃値上げ問題につきまして、石炭界の希望と申しますか、お願いいたしまするところを先ずかいつまんで申上げたいと思います。結論を先に申上げるようで恐縮でございますが、お願いいたしたいという点といたしましては、第一点といたしまして今回提案になつておりまする貨物運賃の値上禁を相成るべくは更に御圧縮を願いたい、三割よりも更に低いところにおきめを願いたいというのが第一点であります。それから第二点といたしましては、車扱いの最低運賃の適用限界距離が、只今三十キロになつておりますのでありますが、これが戦前は十キロでありましたので、その戦前の姿までお持ち行きを願いたいのでございますけれども、物事に段階もあると存じますので、少くとも差当りましては二十キロ程度に御調整を願いたいというのが第二点であります。第三点といたしましては、只今特に適用されておるのでありますけれども石炭中無煙炭につきましては運賃割引制度を今後とも御継続を願わなければ相成るまい。この三点であります。これは後ほどちよつと申し触れますが、単に石炭のためばかりでなくて、一般家庭生活のための見地から出ておる御措置でありまするので、事情変りありませんのですからして、引続いてこの御措置お願いしたいということであります。それから第四点といたしましては、いろいろ御工夫もございますわけでありますが、鉄道輸送力を一層増強願う。これは或いは貨車の面におきましても、或いは荷役設備の面などにおきましても、輸送力の御増強を願いまして、それによりまして又自然増収も伴うわけでございまするので、かような御措置、御工夫を一段と御推進を願いたいという、かいつまんで四点に要約して、他の点は省略いたしておるわけであります。結論を先に申上げまして、ほぼお願いいたしたい点はお聞きとりを願つたわけでありますが、極く簡単に理由といたしますところ、或いは趣旨といたしますところを申上げることを許して頂たいと思うのであります。  以上申上げましたこの鉄道運賃値上げを、できる限り低いところにおとめ願いたいと申上げましたのは、石炭というものの性質、御承知通り産業でありましようとも、或いは運輸でありましようとも、又一般国民の生活の上におきましても、その一番基礎的な物資でもありまするので、又特に最近は国内におきましてインフレの高進を防遏し、外には輸出の振興を図ることを最も強く要請されておる状況でもありまするので、これらに対しまして物価の高騰をできる限り抑制されまするために、基礎物資である石炭、又一般物価の非常に広い範囲におきまして基礎をなしまする鉄道運賃というものの値上げにつきましては、十分慎重な御考慮を頂きたいという点にあるわけであります。石炭は、もとより御承知と思うのでありますけれども、年産額の近年の統計を見ますというと、約九〇%以上が鉄道輸送にかかるわけであります。それだけに、たとえ石炭の現在の価格に占めまする、或いは価格に対しまする運賃の比率と申しまするものは他により高いものもままあるようでありますけれども、何にいたせ、今申上げたように、産業なり輸送なり、或いは一般国民生活の基礎物資でもありまするし、又運賃物価の一番広い面に関係するものでありますので、両々相待ちまして、石炭運賃値上りということは、一般物価の非常に広い範囲に影響があると思うのであります。かような見地からいたしまして、石炭に対する運賃値上りは努めて程度の低いところにおとどめ願いたい。これが現在の経済界産業界の要請に石炭が順応できる一つの大きな方法であろうかと考えるわけであります。なお運賃値上げ問題につきましては、いろいろ御当局、或いは国鉄御当局で御苦心される点があることを十分承知いたすのでありますが、長い間日本といたしましては、輸送原価を償うという趣旨が必ずしも厳格にとられずに参つて来たことは御承知通りであります。これは外国とも多少事情を異にするようでありますが、それが即ち日本の従来の経済界、或いは国民の富の程度産業状況というような点からいたしまして、いわゆる政策運賃という制度が長い間慣行としてとられて来た理由であると思うのであります。最近独立採算制という要請からいたしまして、輸送原価を相償うということが要請されているのでありますけれども、何にいたせ長い間、国の実際上の事情、情勢からしまして、採用されて来た貨物運賃につきましては、一種の政策運賃であつたのでありまして、これを一挙に独立採算、又輸送原価を償うという線まで持つて行かれますることは、急激に産業方面なり、一般民生に大きな影響を与えますので、十分その間に御調整をお願いいたしたい。貨物旅客おののおのの運賃の原価を相償うということは望ましいことではありまするが、これがために、日本の国情として長い間必要とされて来ておつた面を一挙に失うことのないように御配慮をお願いいたしたい、かように考えるわけであります。なお運賃値上りの石炭価格面に対する影響等につきましては、国鉄御当局の詳細な御調査もございまするし、又只今拝見いたしまするというと、通商産業省におきましても一つの試算を御提出になつているようであります。恐らくはこの程度影響かと思うのでありまするけれども、実はかような三%乃至は四%の程度の数字を示すのでありますが、これを具体的に、九州の炭の運賃が幾ら上る、又北海道の炭が幾ら上るというような点は、お手許に差上げた刷物——これも国鉄でお調べになりました数字を拝借いたしたのでありますが、一例として、九州の炭につきまして、伊田、若松炭で現在百五十六円のものが二百四円になり、値上りが四十八円。或いは北海道炭につきましては夕張、室蘭炭が三百四十円のものが四百四十六円となり百六円上り、又坑所直送炭につきましては、少し大きな数字の値上りがあることは当然なのでありますが、数字の朗読は省略させて頂きたいと思うのであります。なお石炭運賃値上りにつきましては、石炭自体の運賃値上りのほかに、御承知通り石炭というものは、鉄道輸送貨物のうちでも石炭が第一でありますけれども、それに少しく間を置いております大量貨物であります坑木、これは現在でも年間に千数百万石の量でありますが、こういう坑木というようなものを初めといたしまして、多くの資材を使いますので、石炭自体の運賃値上りのほかに、所要資材運賃値上りから来る影響というものも大きいのでありますからして、かような点も十分お含みを願いたいのであります。  又鉄道運賃値上りは、自然に他の輸送機関の、例えば船でありますとか、機帆船でありますとか、かようなものの方面運賃なり或いは荷役料なり、これらのものが値上りを来たすことを誘発するのが従来の実例でありますので、又今次の鉄道運賃値上げも自然従来辿つたと同じ現象をやはり呈するかと懸念いたすのであります。これら他の輸送機関の賃率値上げなり、荷役料の値上り等は、最近殊に顕著なものがあるのでありまして、十分これらの点も併せて御考究をお願いいたしたい、まあかように考えるわけであります。それからなおいろいろ御考究のようでございまするが、貨物運賃値上り、又船運賃関係等が十分に調整されませんというと、必ずしも御企図のごとくに、貨物の陸送、海送の偏在が是正されないのみならず、ただ海陸共に運賃が上るという結果だけに終ることを恐れるのでありまして、具体的に、或いは阪神でありままとか、京浜地区でありますとか、かような個々具体的の場所についての運賃につきましては、鉄道運賃と船運賃との間に十分の調整がありませんというと、或いは石炭産業者の中にも、勢い石炭の自力輸送というようなことなども考えねばならないというような事態も或いは起きるかと思うのであります。いずれにいたしましても、石炭価格の高騰を努めて抑制したいというのが一般の要請でもあり、又業界自体の意向でもありますので、最近或いは電力といい、或いは鉄材等の関係といい、石炭価格が上る要素が次第に累積することが甚だ遺憾に思われるのでありまして、鉄道運賃もこれに余り多くの拍車がかからんことを希望するわけであります。なお先刻申上げました中で、少しく細目の点でありまするが、輸送力の増強によりまして増収を図つて頂くということを申上げましたのは、御承知通り、最近石炭の需給関係の逼迫が訴えられておるのでありまして、生産業者としましては、本年度年度途中におきまして、四千五百万トンに出炭目標を引上げ、更に関係官庁におきましては、明年度四千七百五十万トン、明後年度五千万トンというような生産目標を指示されておるのでありますが、これらの目標達成のためには、やはり十分の輸送力と荷役設備設備して頂きませんというと、この生産目標の達成すらも阻れるというのが石炭の特殊事情でありまして、山元が詰まりますというと、如何生産意欲生産設備を持つておりましても、生産がかなわないということになるのでありまして、この貨車、石炭車の増強など、又小樽でありますとか、或いは九州にもございまするが、積出港の荷役設備を十分整備をして頂きたい、かように思うのであります。これが増産されました石炭が需要者に最も早く適切に届く手段、方法でございまするので、この点十分にお考えおきを願いたいのであります。  以上概略のことを申し上げたのでありまするが、冒頭に申上げました点を少しく申上げますというと、第一点につきましては、運賃値上率を更に圧縮願いたいということで尽きるのでありますが、第二点も、先刻申上げました通り、車扱いの最低運賃の適用限界距離を戦前の十キロの程度に持つてつて頂たいのでございます。一挙に参りませんければ二十キロ程度に相成るように賃率値上げを御調整を願いたい。これは案によりまするというと、二四%ほどの値上げになるようでありまするが、これを一〇%程度におとどめ願えれば、距離としましては二十キロすれすれのところにきめましたと同じ効果を生むのであります。九州炭の大部分がこれに関係がございますので、特にこの点を申上げるわけであります。それから、第三点で、無煙炭の運賃割引でありまするが、これは、申上げるまでもなく、家庭生活の保護という意味から採用されておるのであります。今冬電力事情なり或いは薪炭その他家庭燃料の需要が御承知のごとき段階でありますから、無煙炭が家庭燃料として持つておる使命を十分に果させ、又家庭生活の負担を軽減する、今以上加重しないという見地からいたしましても、従来三百一キロから五百キロ未満までは一五%割引、五百一キロ以上は二〇%割引の制度が行われておるのでありまするが、これを今後も御継続を願うようにいたしたいというわけであります。  なお最後にお願いいたしたいと思いますのは、昨年の一月運賃改正の際にも、特に立法府におきまして、附帯決議が行われたように承わつておるのでありまするが、運賃等級改正という問題がいろいろ事変の勃発に伴いまして、物価がなお安定を見ざるものがあるというような点からいたしまして、等級改正が行われておらないのでありますけれども、或いは物価を安定せしめるために、むしろ等級改正を勇断を以て行われることも一つの方策かとも思われるのでありまして、十分、今回の値上げに関連いたしまして、一般貨物運賃等級改正に速かに御着手相成るようにお願いいたし、又等級改正で必ずしも十分に実情に適合いたしかねる点なり、部分なりにつきましては、割引制度を十分御活用願いまして、痒いところに手の届くような御親切を頂きたい、かように考えるのであります。以上甚だ概略だけを申上げたのでありますが、特に石炭界として希望しお願いしたいところを率直に申上げた次第であります。
  10. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 以上で三人の陳述を終りましたが、これから質疑に入りたいと存じますが、政府側からは、運輸省鉄道監督局国有鉄道部長石井昭正君、それから国有鉄道営業局長津田弘孝君、国有鉄道運輸局長の木島虎藏君、運輸省の港湾局長の黒田靜夫君などが見えておられますので、どうぞ御質疑を願いたいと思います。
  11. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今皆さんから、お話を承わつておつたのですが、誠に御尤もな点がたくさんあると思います。これについて、いわゆる重量貨物運賃の特別な運賃制度をとるというようなことを国鉄当局がお考えになつておられるかどうか、その点を先ずお伺いしたいと思います。
  12. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今の御質問にお答えいたしまする前に、今回の運賃改正につきまして、その理由方法等につきまして先ほど運輸省国鉄部長から御説明がありましたのでありますが、その中にもございましたように、国鉄といたしましては旅客貨物共に三割五分の値上げをいたしまして五百三十三億に上る赤字の穴埋めをしたい、こういつたようなことであつたのでありますが、運輸省当局におかれましては、旅客につきましては三割五分、貨物につきましては三割、こういつたような査定をされまして、その結果、それが日本政府の案となりまして今回の国会に提出されておるような次第でございます。国鉄といたしましては、この三割五分の値上げをいたしまするに当りまして、十分に運賃値上げにつきまして、それが国民の社会生活又国の産業経済、こういつたものに及ぼす影響の重大なるに鑑みまして非常に慎重な検討を遂げたのであります。或いは輸送原価の面から見ましてどうなつておるか、或いは今回の運賃値上げをこうむります旅客或いは個々の物資或いは産業につきましてどのような影響があるか、又そういつたものが負担をし得る程度であるかどうかというような負担力の面、又第三番目には、只今もお話がございました海陸輸送の調整というような面、かようにいろいろな面から慎重検討いたしました結果、申請いたしたのであります。その結果今回の運賃法改正というような恰好になりまして、運輸省から提案に相成つておるわけであります。只今質問のありました大量物資につきましては、一概に大量物資だから特に運賃上の操作をする、或いは割引をするというようなことは、ただ大量であるということだけのためにはいたしておらないのであります。大量と申しますると、鉄道で一番の大量の輸送物資は石炭でございます。或いはその次に木材がある、鉱石があるというようなことになつておりますが、ただ大量ということだけのためには運賃割引をいたしておらないのであります。ただ個個の物資につきましては、従来とも只今申上げました運賃負担力の面でありますとか、或いは一部海陸輸送調整とかいうような面も一部にはあると思います。そういつた面から、或いは又鉄道輸送の原価の面から見まして、一部の貨物につきましては、従来とも運賃割引というような方法を講じているものもあるのであります。今回の運賃改正につきまして、又いろいろと客観的な状况も変更しておるものもありまするので、個々の物資につきまして、慎重に考究いたしました結果、或るものにつきましては、例えば運賃割引というような方法を講じたほうがいいという物資もあるのじやないかというように心得ておるような次第であります。なお必ずしも大量貨物関係じやないかとも思うのでありますが、例えば等級の引下げというような問題も、各物資から起つて来ておるのであります。御承知のように、未だ経済が安定いたしませず、又いろいろと国際物価への鞘寄せというような関係からいたしまして、価格の変動も今後予想され、又現在起りつつあるというようなものもありまするので、等級改正につきましては、先般来いろいろと研究をいたしておるのであります。この改正と同時に、等級改正をするというような運びには至らないほうがいいのじやないか、併し物価が安定をいたしました際には、成るべく早い時期におきまして、こういつた等級改正というようなものも全般的な問題として考えるべきではないか、というふうに考えております。
  13. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これは極めて素人くさい質問かも知れませんけれども、大量物資を運ぶのに対しまして、国鉄の専門的研究によつて、やはり現在の運賃で堪えて来ておるのですか、或いはこういう重量といいますか、大量といいますかの物資を運ぶということは、相当犠牲になつておるのですか、若し犠牲になつておるというような点があるとすれば、どの程度収入に対する犠牲になつておるか、そういう点をちよつとお聞きして置きたい。
  14. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 個々の物資につきまして御返答を申上げまする前に、一体鉄道貨物輸送というものが引合つておるかどうかという点につきまして申上げたいと思うのであります。お手許に差上げました資料の九頁、パンフレットがございますが、その九頁を見て頂きますると、この九頁の一番先に鉄道貨物輸送に要します原価コストと、それから収入との関係が載つておるのであります。それより前にちよつと御説明申上げますが、ここにトン・キロ当りの原価、トン・キロ当り収入というのがあるのでございますが、これは国鉄でコスト計算をいたします場合に、一トンの貨物を一キロ運ぶに要する原価、又一トンの貨物を一キロ運んだならば得られるところの収入という意味で、原価計算をいたしまする場合の単価、単価と申しますか、ベースにいたしておるのであります。昭和二十五年におきましては、この国鉄で運ばれておりますあらゆる貨物のトン・キロ当りの原価が、一円九十八銭になつておつたのであります。それに対しましてトン・キロ当り収入が一円九十四銭ということで、若干収入コストのほうが上廻つておるのでありますが、大体にいたしまてとんとんということが言えるのであります。然るに昭和二十六年度に至りますると、先ほど運輸省鉄道部長からもお話がありましたように、一般物価、なかんずく鉄道で所要いたしますところの資材の非常な高騰、一部職員の賃金べース値上り原因といたしまして、一トン・キロ当りの原価が二円六十六銭、これに見合いますところのトン・キロ当り収入が一円八十七銭六厘、コストのほうが四割二分多いということに相成るわけであります。なお御参考までに旅客の面につきまして、その前の八頁の終りのところに、今度はトン・キロでございませんで人キロ、これは一人のお客さんを一キロ運ぶところの原価並びにそれに見合うところの収入でございますが、昭和二十五年度におきましては営業係数八十四、これは収支見合つて若干の黒字が出るということでありますが、二十六年におきましては、ここにありますような計算によりまして支出のほうが二割ニ分殖える、この百二十二、百四十二という数字を御覧になりますると、単にコスト計算の面から申しますると、この旅客は二割ニ分の運賃値上げでよろしい、貨物は四割ニ分の運賃値上げを必要とするということに相成るわけでありますが、先ほど石炭協会の天日理事からもお話がございましたように、従来とも日本国有鉄道におきましては、貨物のほうの赤は旅客のほうで若干これを補う、いわゆる低物価政策に即応してやるというような観点からいたしまして、今回の国鉄申請は、旅客貨物共に三割五分の値上げと、これに対するところの政府の査定旅客二割、貨物三割というようなことに相成つたような次第でございます。で只今質問のありました、一体国鉄貨物は引合つているかどうかという点につきまして、なかんずくこの大量物資については引合つているかどうかというようなお尋ねに対しまして、全体的な考察はさようなことになるのでありまして、只今お話の大量物資という点は、これは石炭とか木材とか鉱石とかいうようなものだと思うのであります。或いはセメント、こういつたようなものが殆んど大部分鉄道貨物輸送量の中に占めるところの割合というものが非常に高率なものでありまして、ここに現われているところの原価計算も大体そういつた大量物資が非常に大きな部分を占めておる、貨物全体の輸送のコストと收入との現われた数字であるというふうに御覧頂いていいと思うのであります。具体的な凡百のと申しまするか、何千というような貨物の個々につきまして、一々こう、言いましたようなコスト計算をいたしておるというわけではございませんが、大体一般的に申上げまして、鉄道貨物等級は一級から十一級まで分かれておるのでございますが、その真中の六級以下くらいの小品について見ますると、大体はまあ原価を割つていると、先ほど申上げましたような、石炭とか鉱石とか木材とかいうようなものにつきましては、原価を割つた輸送を現在においてもいたしておるというような状況でございます。
  15. 西田隆男

    ○西田隆男君 輸送局長にお伺いしたいのですが、貨車の新造の問題がずつと前から論議せられておりまするが、現在どんな状況なつておるのか、これを一つお伺いしたい。それともう一つは福岡県の刈田港の岸壁の延長が、輸送力の増強のために役立つように計画されておるかのようにも聞いておつたのですが、この問題はどうなつておりますか、この二つの点を一つ説明願いたい。
  16. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 輸送局長がちよつと席を外しましたようですから……、貨車新造の問題について申します。お言葉の貸車の新造につきましては本年度の当初予算におきまして十五トン車に換算いたしまして、約四千七百輌の予算のお認めを願つたのでありますが、ところがその予算資材の高騰のために当初予定いたしておりました価格よりも、ここにもございまするが約倍近い高騰を示したために、非常にまあ不足いたしたわけでございまするが、併し貨車の新造は目下の輸送力を救うための急務であると、かように考えまして、まだ補正予算を頂かないうちに約三千輌の発注をいたしております。その後補正予算の新規の要求をいたしまして、甚だ乱暴な話でございまするが、補正予算の或る程度御承認願えるという見通しの下に2千輌を発注いたしました。只今のところ合計五千輌の発注をいたしておりまして、これの殆んど半分以上は、もはや製作されまして稼働いたしておりまして相当の成績を挙げておるわけでございまするが、なお補正予算のお認めを願えますれば、なお五千七百輌の発注ができる資金の御承認を願いたい、実はこれでは甚だ不足いたしまするので、再三大蔵省に追加要求をいたしたのでありまするが、何分にもこの財源を預金部資金から認めざるを得ない、御承知のように只今ではまだ公債発行の点について司令部の了解もなかなか得られませんし、且つ又見返資金のほうも財源がない、結局運用部資金によるほか財源がないのでありまするが、このほうを非常にいろいろ御無理をお願いしたのでありまするが、補正予算につきましては総額で五十億という国鉄の請求は実は二百七十億近い要求をいたしたのでありまするが、五分の一程度しか認められませんで、非常に重点を貨車新造に向けましても、結局現在発注いたしておりますものの、俗な言葉で申上げますと、尻を拭いまして、なおあと七百輌程度の発注をし得る見込の予算なつております。この点につきましては、補正予算を御承認願えましたならば、広軌、その他シャシー等を勘案いたしまして、適当に発注いたしたいとこう考えております。
  17. 西田隆男

    ○西田隆男君 今、補正予算が通つたら五千七百輌の稼働ができるというお話ですが、五千七百輌の新造ができても、大体二十五年度から貨車の総数はどれくらいの増加になりますか。
  18. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 五千七百輌できまする。5千七百輌の新造ができまするが、一方現在の貨車の中には非常に古くなつて廃車しなければならないものもございます。当初の予定といたしましては、二千五百輌の廃車をいたす、まあ廃車に充てるという計画にいたしておりますが、これは相当多量の貨車が製作できるというつもりで計画いたしたのでありますが、資金の関係上、思う通りの数量ができませんときは、止むを得ず、廃車いたすべきものも何とか手当をして、運転保安の危険のない程度には手配をいたしまして……、余り感心しませんが、積極的にやつて行かなければならんかと思うのであります。従つて廃車数も或る程度抑制いたしまするから、恐らく実際の貨車の実数の殖えるのは、先ず三千輌以上は十分に増加いたすかと思つております。
  19. 西田隆男

    ○西田隆男君 今三千輌殖えるというお話ですが、三千輌殖える貨車の中にセムとト号車との関係はどうなつておりますか。
  20. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 今輸送局長が見えられましたので、詳しい専門的な答弁は輸送局長からどうぞ願います。
  21. 木島虎藏

    説明員(木島虎藏君) 今年度造りました……、セムは造りませんですが、あの三十トンセキ、あれを二百輌ございますが、造りました。それからト号車のほうは、従来一日約五千輌に相当する貨車を有蓋車の代りに代用しておりましたものですから、今度有蓋車を造りまして、浮かして行く、こういう考えで今年度はト号車は造らないわけであります。
  22. 西田隆男

    ○西田隆男君 今、さつきの御答弁では、補正予算が通つたら五千七百輌貨車の新造ができるというお話ですが、補正予算が通れば五千七百輌、従つて、今までよりは、貨車の殖えるのが三千輌は殖えるというお話ですが、そこで私の聞きたいのは、三千輌殖える貨車の中で、今セキが二千輌造られておるが、ト号車は幾ら、セムは幾ら殖えるかということを聞きたいのです。そのつもりで御答弁を願います。
  23. 木島虎藏

    説明員(木島虎藏君) はい承知いたしました。五千輌のうちセキの二百輌と、ワキが百三十五輌でありますから、これを差引いたものが大体一部ト号車が浮いて来るかとも考えられております。はつきりした数字は先ほど申しましたように一日五千輌ばかり代替しておりますから、それが地区的に適合車が当つたり当らなかつたりしますので、はつきりしたことは申上げかねますけれども、相当数量ト号車が浮いて来ると、こう考えております。
  24. 西田隆男

    ○西田隆男君 はつきりした数字がわからなかつたらこれはいいのですが、それでは現在新設すべく注文されている車輌の総数の中にセキ、セム、ト号車、有蓋車等はどういうふうな割合で注文されているのか、発注されているか、それが年度末までにどういう状況で完成して運転されるようになるのか、それを一つ説明願いたいと思います。
  25. 木島虎藏

    説明員(木島虎藏君) 只今の予定でありますが、これは製作会社の……大体これで間違いないと思いますけれども、ワキが九月までにでき上つたのが百六輌でございます。それから十月中にあとの残りができまして、全部で百三十五輌できる予定でございます。それからワムがやはり九月までにでき上りましたのは千九百六十七輌、そのあとが十月に四百七十六輌、十一月に六百五輌、十二月に七百二十五輌、一月に七百二十五、締めて四千五百輌、それからワムと申しましてこれは車掌を乘せる場所があるワムであります。これが十五輌、これは上期にできております。それからセキが上期に百五十五輌、あと残りが十月中にできまして、締めて二百輌、それから家畜車が上期に百輌、それからそれ次に下期……上期に百輌が入りまして、それから豚積車が十一月に二十五輌、十二月に二十五輌、締めて五十輌、こういう関係なつております。
  26. 西田隆男

    ○西田隆男君 今のお話を聞きますと、ワムが大部分で、そのほかは極めて少い数量でありますが、石炭輸送の専用貨車としてのセム車の新造がなすべきものができたとすれば、セキの三十トンの無蓋車の一部を使うよりほかないのですが、最近輸送が捗つているように一般には考えられているようですが、実際にはさほど石炭輸送には影響はないと思いますが、逐次石炭の増産がされており、二十七年度、二十ハ年度に、これで石炭輸送に関しては十分であるとお考えになつているかどうか、その点をもう一度御答弁を願いたいと思います。
  27. 木島虎藏

    説明員(木島虎藏君) 勿論セムのほうも造らなければならなかつたのでありますが、セムのほうはこの九月からピストン輸送をやりまして、あれで二百五、六十輌と思います。これは勘定の仕方でありますが、二百五、六十輌は浮いた勘定になつております。と申しますのは、私どものほうの調べでは九州で石炭は九月の下旬で一日五千トンばかり増となつております。それで九州のほうは機関車或いは乘務員、これを注入することによりまして、そうしてセム車の運用効率を向上する。それから北海道のあれは御承知のように冬になりますと氷が張るので相当鶴嘴で壊しておりますので、これはこの冬までにどうしても補充をしようと、こう考えまして二百輌やつたわけであります。決してセムを永久に造らないという考え方でそういうことをしたのではございません。
  28. 西田隆男

    ○西田隆男君 貨車の問題はこの程度でおきまして、第二番目にお尋ねした福岡県の刈田港の岸壁施設の延長、これをやられる予定か、若しやられるならいつ頃からやられるつもりですか。
  29. 黒田靜夫

    説明員(黒田靜夫君) 刈田港の港湾設備についてお答えいたしたいと思います。刈田港は御承知のように小型船の石炭輸送を目標としまして、昭和十七年の国策によつて決定をいたしまして、十ハ年に着手をしましたが、その後いろいろな事情により、又台風の被害等によりまして工車が少しく遅れたのでありまするが、おおむね昭和二十三年から石炭輸送を開始いたしましたところ、最近に至りまして石炭の機帆船によるもの、或いは曳かれ船によつて輸送が相当殖えて参りまして、目下月七、八万程度だと思いますが、その程度をあすこから輸出いたしておるような状況でございまして、最近には小型汽船、例えば簡易型のようなものが入つて荷役しておるような状況でありまして、機帆船のみでは現在の要求に応じかねるのでございまして、来年度から小型船に対する岸壁施設を延長することに一応計画として決定いたしまして、目下その予算を要求中でございますが、予算の枠によりましてそれがどの程度完成し、どの程度延長できるかということは今きまつておりません。併しながらできるだけ来年度においてその一部の岸壁にかかりたいと、かように存じております。
  30. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私はこの際輸送力増強について電化の関係をお聞きしたいと思います。輸送力増強は貨車をたくさん造つたからというばかりでなく、やはりスピード・アップと又坂の多いような所とか、飽和点に達しておるような所の電化というようなことが必要になつて来ております。それで一体国有鉄道並びに運輸当局では電化ということについてどの程度のお考えを持つておられるか。例えば東北本線のような相当勾配の多い所では機関車を三輌も附けて走つて満足な輸送ができない。而も飽和点に達しておるというような状况です。而もその石炭の消費量は非常に多いのですから、あれをむしろ火力発電でもして電力を起してどんどん電化で以て輸送量の増大を図つたほうがいいのじやないかと考えますが、専門的立場から言つてどのようにお考えになつておるか、この際伺つて置きたいと存じます。
  31. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 只今油井委員のお話誠に御尤もでありまして、国鉄の電化を終戦後相当のスピードで進捗させたいと、かように考えておりますが、いろいろ占領治下にあります関係上、諸種の事情で一時足踏みをいたしまして、今度本気にやろうというときにはすでに資材等が相当暴騰いたしておりまして、資金量の関係から思うようには参らない、誠に残念に思つております。おつしやるように勾配線或いは輸送量の大きな線等を電化いたしまして、速度を上げますとたくさんの貨車を造らすと同じ効果があることは御指摘の通りであります。そこで本年は当初予算におきまして御承認を願いました高崎線の電化を只今実施、工事中でございます。これも途中の資材値上りによりまして年度内に完成も如何かと思いますが、補正予算のすでに認められました五十億の財源を貨車と電化に主として充てることにいたしまして、高崎線の電化は本年度中に完成いたしたい、かように考えておるわけであります。なお東海道線の電化も当初予算で五億円の御承認を願いました。これも本年度中に五億円の消化を図りたい。かように考えておる次第でございますが、今後如何なる方面に電化を進めて行くかと申しますれば、やはり日本の国際動力資源の状況及び輸送工事の向上から考えますると、只今お話のあつたような主要線、特に国鉄といたしましては電源関係もやはり相共に考慮いたして参らなければなりません。そういたしますると最近、今年から信濃川の発電工事の第三期工事が完成いたしまして小千谷発電所で五万キロの出力を持つた発電が開始されておりますが、これは第四期を完了いたしますれば更に五万キロ増加し得ることになつております。結局東京を中心といたしまして関東東北方面は電源関係から申しましても、非常に国鉄電化を進めて行く上に好都合ではないかと思うのでございます。明年度におきましてはできるだけ一つ予算を、資金をお願いいたしまして電化を進めて参りたい、かように考えて目下大蔵当局と交渉中でございます。何分よろしくお願いいたします。
  32. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のお話ですが、私の質問のうちの一つお答え願いたい点は、石炭のままで以ていわゆる輸送の燃料とするのがいいのか、石炭を火力発電に直して輸送したほうがいいのか、その点ですね、経済的立場或いはその他の点からどういうふうに考えておられるか。
  33. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 要するに理論的に申しますれば、蒸気機関車の熱効率と火力発電の熱効率とを比較いたしますれば、当然火力発電のほうがいいのでございます。ただ火力発電で以て電化するほうがいいかどうかということは、やはりそれには相当の固定資産を要する次第でございまするし、現在使つております蒸気機関車を棚上げにして電気機関車をすぐ造らなければならんかという問題もございますので、具体的な問題といたしましてどちらがいいかという問題はなかなかむずかしい問題で、ちよつとお答えしにくいかと思います。例えば北九州は明らかに水力の電気の利用は不可能でございます。而も石炭が簡単に入手できるという関係上、火力発電所を建設することは、資金さえできますれば電化ということは当然行けるのではないかと思うのであります。その他の地方につきましても一々具体的に計算しなければならんかと思いますが、理論的には火力発電のほうが熱効率が高いから従つて経済的にもなるのでありますが、問題は建設費をどう考えるか、現在の設備が遊んでしまうことをどう考えるかという点ではないかと思います。
  34. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ伺いたいのは、アメリカあたりで使つているデイーゼル・エンジンによる機関車ですが、あれは日本では活用できないのですか。
  35. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) デイーゼル・エレクトリックは非常に牽引力も大でございますが、又非常に便利な機関車のようでございます。最近あちらのほうにも国鉄の技術者が相当出掛けまして随分研究いたしておるのでございますが、何分にも日本の現状から見まして、油の資源を持つておらないという点が最大の欠陥ではなかろうかと思うのであります。その点を除けば将来の機関車の進歩はやはりデイーゼル・エレクトリックのほうに向つて参るのではないかと思います。国鉄のほうにおきましても今後この新らしい機関車の研究を進めて参りたいと或る程度施策の用意もあるのでございます。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 最後にもう一点今お話の、今ある蒸気機関車を棚上げするのは勿体ないというお話ですが、それでは蒸気機関車を造つてないのかというとやはり造つておるのですね。それである以上はやはり火力発電というほうを優先的にやつたほうがいいという結論にはならないのですか。
  37. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 大変お言葉を返すようで恐縮でございますが、只今ここ一、二年蒸気機関車は造つておらないのでございまして、今の考えでは電化をいたしまして蒸気機関車を造り、その電気機関車を除いた蒸気機関車をほかの線区へ廻して、古いのから走らせて参る、こういうように無駄のないよう電化のスピードと合せて参りたい。ただ最近特に急激に輸送量が殖えたので、電化の速度に間に合わないために、或いは来年度は蒸気機関車を少しは造らして頂くことをお願いしなければならんかと思つておるのであります。これはちよつと輸送量の殖え方が急激だつたために計算違い、見込違い、電化がこれに伴わないという結果になつたと思うのでありますが、今までに蒸気機関車は成るべく造らないという方針でございます。
  38. 山内卓郎

    ○山内卓郎君 ちよつと国鉄当局のかたにお尋ねしたいのですが、先ほど石炭協会のかたからお話がありました煉炭用無煙粉炭の割引措置の問題でございますね、今度の運賃値上げに際しましてこういつたことをやはり考慮されておるのでございますか。これを存続するとかどうとかいうような……どなたからでもよろしうございます。
  39. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今お尋ねのございました無煙粉炭につきましては、先ほども石炭協会のほうからお話がございましたように、それが国民の冬季の燃料、なかんずく都会地におけるところの燃料として非常に大きな働きをしているというような点から申しまして、無煙粉炭につきましては特別の考慮を払いたいというふうに目下考えておるような次第であります。
  40. 山内卓郎

    ○山内卓郎君 運賃値上げの問題にそういうことも考慮されておるわけですね。
  41. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 運賃は一律に各物資につきまして上るわけでございます。併しながら今申上げましたような事由によりまして、無煙粉炭につきましては特段の措置を目下研究いたしております。
  42. 山内卓郎

    ○山内卓郎君 そこでちよつと承わりたいのでございますが、今日この問題に触れておりませんが、亜炭の問題があるのでございますが、亜炭の必要性というものにつきましては、最近石炭が非常に不足のためにそれを補う意味におきまして亜炭というものの重要性も相当言われておるのでありますが、この亜炭は石炭に比較しまして非常に価格が安いのです。先ほど石灰石の問題でお話になりましたように運賃負担というものは非常に大きな問題でありまして、亜炭業者のかたがたもいろいろお話があるように聞いておるのでありますが、それにつきましてこの前、鉄道運賃値上げしました際に、何か特別措置として亜炭だけは暫定措置として運賃等級を引下げたとかいうようなことがあつたように聞いておるのでありますが、ところがそれが三、四ヵ月実施されてその後又撤廃されてしまつた、こういつたことがあるのでございますか。この際ちよつと伺いたい。
  43. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今お尋ねのありました亜炭につきましては、今お話がございましたように石炭と亜炭とは曽つて同じように六級の貨物にいたしておつたのであります。それを先般の運貸改正に伴いまして亜炭は一級の引下げをいたしまして現在七級ということになつております。目下等級全体の調整につきましては先ほど申上げましたように研究をいたしておりますが、今回の運賃改正にからみまして、特に亜炭の七級にいたしましたものを又元に引戻すことは考えておりません。
  44. 山内卓郎

    ○山内卓郎君 いや、私のお尋ねいたしますことは、七級じやなくて、何か一時的に九級ですか、まで下げた時代がある。値上げに際しまして、それは公団廃止の問題やいろいろに関連しまして、亜炭が非常に気の毒な立場にあるというような意味で、特に何か数カ月特別措置が講ぜられたというように聞いているのでございますけれども、当時のことを私はよく記憶がないのでございますが、そういう措置があつたのでございますか。
  45. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 営業局長最近送られましたので、この前の運賃改正のときの経緯のお話のようでございますから、私からお答えいたしたいと思います。  この前、昭和二十五年の一月に運賃改正いたしましたときに、亜灰につきましては負担力の見地からとてもこの値上げは堪えられないという御要望があつたのでございます。そこでそのほかいろいろほかにも相当同じような物資がございましたので、それらの物資につきましては等級改正いたしまして御要望に応える、併しながら等級改正というものはなかなかむずかしいから一挙にできないから、四月を目途としてこれを実施いたしたいということで御了承を得たのでございます。ところが、じや一月から四月までの三カ月間をどうするか、こういうことでございまして、それは暫定的に割引を申上げる、従いまして亜炭につきましては当時六級でございまして、六級から割引を申上げたわけでございます。それが一月から三月まで、四月一日までの間に等級審議会というものを設けまして各界の代表を、或いは国会からもご参加を願いまして、いろいろ問題になりました品目につきまして検討いたしました。その結果、亜炭については等級を一級下げて七級にしたらよかろう、で、等級改正いたしましたから、今までの一月乃至三月の暫定的な割引を廃止いたした、こういう結果になつております。
  46. 山内卓郎

    ○山内卓郎君 一月から三月までの暫定的措置というものは、やはり四月から七級に下つた程度割引率だつたのでございますか。何かそれがもつと多かつたように聞いているのでありますが……。
  47. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) それは割引いたしました当時は、お言葉のように七級に下つたよりも、結果としては幾らか低めの運賃なつております。従いまして七級になりました際には多少上つたというような結果になつていることはおつしやる通りであります。併しこの点につきましては先ほど申上げましたように各方面関係官庁も、又業者のかたがた、いろいろのかたがたの御意見を十分に拝聴していろいろデイスカスをいたしました結果決定いたしましたので、勿諭当該の業者の生産業者のかたがたには御不満ではあつたかも知れませんが、主管省であるところの通産省、或いはそれ以外の一般審議会のかたがたが妥当であるというお認めを願つて御承認を願つてやつた次第でございます。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の山内さんの質問に関連するのですが、等級審議会というものはやはり現在でも継続されてあるのですか。それから今度の運賃改正は十一月一日からというような目標でやつておつたのでありますが、これはまあ仮に通つたとすれば、等級改正ということは、その後において行われるような御意思があるのか。それは大体何月を目標としてされる意思があるのか、その点をお聞かせ願いたいです。
  49. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今等級改正につきましての従来のいきさつ並びに将来をどうするかというような御質問があつたのであります。お答えいたします。昨年の一月に貨物運賃を八割値上げいたしました際に、国会がこの八割値上げの決定をされるのに附帯いたしまして二つの条件を附けられたのであります。先ずその一つは、特殊の物資で、運賃値上げによつて著しい影響を受けるものについては、運賃値上げと同時に、運賃上何らかの措置をとること、これが第一点でございました。その二は、貨物等級は現在の事情に即しないものが多々あると思われるので、各界の意見を徴して、可及的速かに、即ち四月の一日から、昨年の四月でございますが、四月から改正し得るよう準備をすること、その際は、すでに運賃値上げと同時に実施した暫定措置は、等級改正の中に折込むというような、この二つの附帯条件があつたのであります。今石井部長からお話のありました亜炭のごときは、丁度この後段の例に当るのではないかと思うのであります。この運賃上、それでは暫定措置をとつた貨物がどういうものがあつたかということを申上げますると、今お話のありました無煙粉炭でありまするとか、亜炭でありまするとか、石灰石、原木、坑木等々の貨物があります。昨年の四月にそれではどういうことをしたかと申しますと、この一月の運賃改正の際に国会で附帯条項があつたのでありますが、この附帯の要望事項に基きまして、昨年の四月に貨物等級改正審議するために、国鉄総裁の諮問機関として、貨物等級審議会を設けました。そうしてその貨物等級審議会では、国鉄で作成いたしましたところの改正原案を、数回に亘つて慎重に検討せられますると共に、更に専門委員会を挙げまして、詳細の検討をされて答申案を作成されたのであります。この答申案に基きましての改正案は、等級引上げたものが二百三十品目等級を引下げましたものが四十品目、更に等級操作が不適当なもので、運賃を引下げる必要があるものについて運賃割引をしたもの、又等級操作と併せて運賃割引をしたものが、合計いたしまして十三品目ございます。この等級改正案は、先に運賃上の暫定措置をとつたもの以外につきましては、大体無増収、無減収という全体としてプラス、マイナスなしというような建前として作られたものでありましたが、それでも約四億四千六百万円、国鉄全体といたしまして減収を来たすというような結果に相成つたのであります。なお只今出しました審議会は、答申の中に、国鉄貨物等級についての研究を引続いて行い、可及的速かに根本的な改正を行うというような要望事項があつた。国鉄総裁の諮問機関として設けられた等級改正審議会の決議にも要望事項も加えられておつたのであります。  ところでその後の経過につきまして申します。昨年の四月の等級改正は応急的な措置でありまして、根本的な改正は近い将来に持越されるということになりましたので、国鉄といたしましては、更にこの等級改正のほうの準備を進めることといたしたのであります。なお関係方面からもそういうような要望があつたのであります。そこで等級の根本的な改正につきましては、対内的な準備と対外的な準備とに分けて進めております。対内的な準備といたしましては、各種の資料を目下収集いたしております。昨年の十一月に鉄道で運ばれるあらゆる貨物につきまして実態調査を実施いたしましてその調査カードも七千枚にも、三尺にも及ぶというような七千枚に及ぶところのカードを、そのカードの中には貨物の銘柄別の価格でございますとか、或いは荷造の方法であるとか、又重量と様式との関係、それからその物資の生産される量等々の各般に亘つて生産者の許に係員が実際に出向さまして、調査をいたして、それが目下基本的な資料なつているのであります。なお先ほども申上げましたように価格が刻々と変りますので、この七千枚につきましても最近のデータをとつているというような状況でございます。それから対外的な準備といたしましては内部の調査研究と併せまして、各界諸種の産業代表者を以て組織いたしましたところの鉄道貨物運賃研究会というものを作りまして、その研究会ではまあ大体月に一遍くらいの会合をいたしまして、非常に熱心な活発な論議を目下続けておる。まだ結論には到達いたしておりませんが、今申上げましたような次第で貨物等級改正につきましては決してないがしろにいたしていない、非常に科学的に、合理的な研究を進めている。それじやいつ結論を出すのか、研究ばかりしてもしようがないじやないかということも言われるのであります。これは先ほど私が申上げましたような次第で、もう少しこの物価が安定する、経済が安定する、そしていろいろな物の間に価格の釣合いもとれる、或いは国際価格との関係におきましても一つバランスを得た状態になるというような状況になりましたような暁に可及的速かに国鉄貨物全般につきまして等級改正をいたしたい、かように存じております。
  50. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の最後のお話の点ですね。どうも安定するまでというと、これは極めて不安定な問題になつてしまうのでして、今度運賃改正が相当業界に及ぼす影響が大きいのですから、やはり三ヵ月なり四ヵ月なりとか期限を切つて、先ほどこの前やつたような措置をとられるとか、そういつたようなことまでお考えになつておいて然るべきだと思うのですが、そこまでお考ええになつてないのですか。
  51. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 先般これは一つの例でございますが、木材等級を、従来と建方を変えまして、上級木材とか下級木材とかいうようなふうに分けてやつたのであります。朝鮮事変前にやりました。ところが朝鮮事変と同時に木材価格が非常に騰貴して参り、どうも下級木材なんかにしなくともよかつたというような例も一つの例でございますが、そういうような次第でございまして、もう少し、経済の安定するまでということになればいつになるかわからないというようなお話、御尤もではございまするが、もう暫らくすれば、これは安定するのじやないかというふうに考えております。なお私ども一つの悩みは従来等級を下げてくれという、今ここにもいろいろ先ほどから各産業のかたがおられましたが、そういう御要望は山ほどございますが、自分の関係している貨物等級引上げてくれというような御要求には、一遍も接したことがないのであります。而も一遍下げたものは、これはなかなか上げられないというような状況でございます。かような次第で等級を調節すると申しましても、なかなかの大事業でありますが、といつていつまでも荏苒日を送るということは、これは最も避くべきことだと思います。これははつきりと二ヵ月とか三ヵ月とか日をきるのはここで御勘弁願いまして、やはり可及的早急にということでお願いします。
  52. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 特に御意見がありましたら……。
  53. 天日光一

    参考人(天日光一君) さつき私が申上げたので、ちよつと言葉の足らなかつた点を申上げたいと思います。  国鉄のほうも赤字赤字でありまして、この前従来石炭と同じ低物価政策の余波で抑えられていた関係があります。それにもかかわらず値上げを成るべく低く願いたいというのは辻辻褄が合わないようですけれども、その辺は政府から一時借入金とかいうようなそういう方法をおとり願つて、或いは一部赤字繰延べでありますとか、欲を言えば赤字のうちの一部は更に国鉄の事業の能率化と申しますか、合理化と申しますか、そういう点で幾分は御吸収を願う。これは到底限度があります。相成るべくは国あたりから財政的な、資金的な、一時的な手を差し延べて頂くことによつて、結局は上げなくちやならんものと思いますけれども、暫定的な措置を願えばいいのじやないか、さつき貨物が実際に赤字と言いながら、複雑なことを言つて、上げる率は大分低く願いたいというようなことをお願いしました。そういうことをお願いいたしたいという意味であります。
  54. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) それでは今日はこれで散会いたします。どうも有難うございました。    午後三時五十七分散会