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1951-10-18 第12回国会 参議院 通商産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十八日(木曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   委員の異動 十月十日委員小野義夫君辞任につき、 その補欠として中川以良君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            中川 以良君            松本  昇君            小松 正雄君            佐多 忠隆君            加藤 正人君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君            油井賢太郎君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    資源庁長官   始関 伊平君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    通商産業大臣官    房長      永山 時雄君    通商産業大臣官    房会計課長   伊藤 繁樹君   参考人    福岡県鉱害対策    被害者組合連合    会副会長    栗田 数雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通商産業省関係予算に関する件)  (行政整理に関する件)  (行政機構改革に関する件)  (最近の電力不足重要産業に及ぼ  す影響に関する調査の件)  (石炭鉱害復旧措置に関する件)   —————————————
  2. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今より通商産業委員会を開きます。  竹中委員長所要のため依願によりまして、私が本日は代理をいたします。かねて公報を以て御通知申上げてありましたごとく、本日は通商及び産業一般に関する調査を議題といたしまして、通商産業省所管事項についての各般の説明を聴取いたしたいと存じます。委員長から政府当局要求をしておきました本日の説明事項は大体次の通りであります。第一昭和二十六年度補正予算、第二昭和二十七年度予算要求と現在までの折衝の経過、第三行政整理に関する事項、第四行政機構改革に関する事項、第五最近の電力不足重要産業に及ぼした影響調査、第六は一般鉱害対策進捗状況、以上の通りでありますが、問題が頗る多岐多端に亘つておりまする関係上、到底短時間で審議を終了することはむずかしいと考えます。従つて本日は政府側からの提出資料に基きまして、概括的な説明を承わり、これが本格的な審議は、今後同委員会において慎重に継続して検討を加えて行きたいと考えまするので、委員各位におかれましても、その点御了承の上然るべくお願いをいたしたいと存じます。それでは只今申上げましたような順序に従いまして、通商産業省当局説明お願いいたしたいと存じます。先ず第一に予算関係について御説明を願います。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君 通商産業省予算に関する事項は、これはやはり大臣から私は概括的な御説明があつて然るべきだと思うのであります。ところがまだ新大臣は就任されてから恐らくこの通産業委員会には答弁にお見えにならなかつたと私は思うですが、そうですか。予算についてはとにかく大臣から省の方針というものを御説明になるのが順序だろうと思いますので、さようにお取計い願いたいと思います。
  4. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今栗山委員から御要望がありましたが、これに関して通産当局はどう考えておられるのでありますか。
  5. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 本日は大臣出席いたしまして、只今栗山委員の御指摘通り補正予算、更に進んで通常予算に対するところの構想を御報告申上げる予定であつたのでありますが、御承知通り講和条約並びに安全保障条約、この特別委員会総理と共に出席要求されておりまして、そのほうに出席して頂いておるのであります。なお只今総理と共に靖国神社の大例に参列されまして、多少時間がかかりますので、或いはもう少し遅くなれば出席ができるかと考えますが、只今のところ困難な事情でありますことを申上げておきます。
  6. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の政務次官の御答弁のような事情であれば、予算の問題については、大臣出席されてから大臣から一つ説明を伺う、こういうことにお願いをしたいと思います。
  7. 古池信三

    理事(古池信三君) それではちよつと皆様にお諮りをいたしますが、只今栗山委員から予算の問題については、大臣出席の上で親しく説明をしてもらいたいという御要望がありました。如何取計いいたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは只今栗山委員の御要求のようなふうに取扱いたいと存じます。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つは、今政務次官がこれはほかにも関係のあることなんで質しておきたいと思いますが、靖国神社祭典出席をするためにこの委員会に出られない、こういうことをおつしやつたのですが、靖国神社祭典は国の祭りごとではないはずだと私は思うのでありますが、この点は国会のほうの委員会出席をやめても、靖国神社祭典に出なければならないものかどうか、その点を明らかにしておきたいと思います。
  10. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 非常にまあデリケートな御質問ですが、御承知通り終戦後六ヵ年の間靖国神社の公の参拝が禁止されておつたわけでありまするが、講和条約の成立と共に今般幸いに政府のほうから公の参拝が許されたのであります。考えて見ますれば、これら英霊に対しまして国民感情としても長い間崇高の念を以て参拝いたしたいというふうに考えておつたにもかかわらずこれができなかつた。幸いに今回許されたところでありまするから、総理大臣初め各大臣がお詣りするということは、この際我々は必要じやないかというふうに考えておるのであります。而もそれがためにこの委員会出席ができないというのではないのでありまして、多少遅れるかも知れないという程度のものでありますので、その辺は御了承願いたいと思います。
  11. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは予算説明あと廻しにいたしまして、通産省行政整理に関する事項について御説明を願います。
  12. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 行政整理につきましては官房長から詳細御報告を申上げたいと思います。
  13. 永山時雄

    説明員永山時雄君) 御説明申上げます。お手許に二枚綴りの表題がついてない資料が配付してあると思いますが、その資料につきまして御説明申上げます。  行政整理は御承知のように政府方針として決定をいたしまして、大体一般職員については三割程度にするということを原則にいたしまして、あと仕事の内容によりましてそれぞれ整理率の高いものは一〇〇%から整理率の低きについては〇%というような、いろいろな仕事種類によりましていろいろな段階で内容的に検討をいたして決定をされたのでございますが、通産省につきましてはお手許資料で御覧を頂きますと、二枚目の最後のところに合計欄とい欄がございますが、その合計欄の現在定員が一万六千八百六名でございます。それに対しまして、今般の閣議決定をいたしました整理人員は三千五百二十七名、二割強ということになつております。従つて定員は一万三千二百七十九名ということに相成るのであります。これを今般の国会定員法の改正として決定をされましたならば、来年の六月までに実施をするということになるのであります。で、一々内訳説明は省略をさして頂きますが、通産省におきましては本省外局というように一応分けられるのでございますが、本省におきましては一万五百八十三名の定員が、今般の整理によりまして、七千六百二十五名になるということで、以下各局の内訳がその中にあるのであります。大体先ほど申上げましたように、仕事種類によりまして非常に大幅な整理を受けるものと、それから仕事によりましては整理ができないというものがあるわけでありまして、そういう意味で本省関係では、この説明欄に書いてございますが、渉外関係、或いは賠償関係、対日援助関係特殊物件処理関係、こういうような占領行政の終結に伴う事務については大幅な整理をいたしまして、それから物資需給調整事務については全面的な廃止をするというわけであります。なおそれと逆に、輸出入貿易の管理或いは保安、特許、各種取締法規施行調査統計通商振興鉱業法規施行企業合理化基本政策、或いは若干外局関係も入つておりますが、こういうような仕事につきましては仕事性格からいたしまして、そうむちやくちやに切るわけに行かないということで、比較的少い率整理にとどまるというわけであります。只今これらのこの表に載つておりますような数字で仕事を如何に調整するか、もう少し具体的に言いますれば、試験所関係につきましても相当整理を……工業技術庁関係におきましても相当整理を余儀なくされるわけでございますが、それらの試験所におきましても人員相当に淘汰をされる関係から、地方の小さい試験所や或いは支所、そういうものにつきましては所によつて必ずしも現在通りこれを維持するということが非常に困難なものが出て参るわけでございます。予算使い方或いは一般的な限られた人員使い方におきましても、或る程度これを集中するほうがむしろ合理的である、経済的であるというようなケースもございますので、そういうような問題につきましてどこをどういうように整理をするか、調整をするか、そういうような問題を折角只今研究中という段階なつておるのでございます。なおこの二枚綴りの一番最後の註に載つておりますが、対日援助物資等特別会計、それからアルコール専売事業特別会計、或いは貿易特別会計残務処理、こういうものについては工場払下残務処理に伴う仕事が必ずしも明年六月を以ては終らないといラ事情にございますので、これらのものは若干、三ヵ月乃至六ヵ月期間を延ばして整理をするということになるのであります。  大体通産省人員整理につきましては、只今申上げたような事情でございます。なお御質問によりましてお答えすることにいたしたいと思います。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 この只今人員整理の問題は、予算説明の一部として今説明されておるわけでございますか、或いは別個のものでございますか。
  15. 古池信三

    理事(古池信三君) 今当局から伺つております趣旨は、予算関係とは別個に聞いておるわけです。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 予算には関係するわけでございますね。
  17. 古池信三

    理事(古池信三君) 勿論関係はしますけれども、今伺つております趣旨別個の立場から聞いておるわけであります。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 この整理方針が大体今永山官房長官から話がございましたが、やはり基本な問題で質したい点もございますので、これはやはり大臣出席のお席において、大臣から一つお答えを願うということにいたしたほうが至当のように思いますが、さようにお取り運びを願いたいと思います。
  19. 古池信三

    理事(古池信三君) さように取計いましよう
  20. 結城安次

    結城安次君 私は只今説明で現在の構想は了承いたしましたが、通産省人員の変動ですな。昭和十二年頃からどういうふうに変つたかということについて、特に去年、一昨年ですか、行政整理をやつたあのときのやつと今度のとを対照して頂きたい。
  21. 古池信三

    理事(古池信三君) ちよつと官房長お尋ねしますが、今御答弁ができますか。
  22. 永山時雄

    説明員永山時雄君) 只今資料を持合せませんので……。
  23. 結城安次

    結城安次君 私のは表を頂戴したい。それによつて考える。
  24. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは委員長から只今結城委員の御要望のような表を資料として提出されることをお願いいたします。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから参考に伺つておきますが、この内訳は結構ですけれども、合計において、実在人員と申しますか、そちらの関係はどういう工合になつておりますか。
  26. 永山時雄

    説明員永山時雄君) お答え申上げますが、現在の実員はこの現定員というところに載つております一万六千八百六名、この定員殆んど一ぱいでございます。これは実は来年一月一日現在の定員をここに記載をしてあるのでございますが、御承知通り一昨年実施をいたしました行政整理で逐次三ヵ月或いは半年ごとにだんだんと人員を減らして参りまして、そうして来年の一月一日現在通産省については一万六千八百六名にすべしということになつておるのでございまして、只今その一万六千八百六名ぐらいに減らす努力をいたしておるのでございまして、大体現在は総体的に実員定員と殆んど同数ということに御了承頂いて結構だと思います。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは公務員法適用を受けない、いわゆる公式には臨時雇のような恰好になつております、そういう者も含めてでございますか。
  28. 永山時雄

    説明員永山時雄君) これは公務員法適用を受ける者だけでございます。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、そのほかの常傭式なつておる人は何名くらいでございますか。
  30. 永山時雄

    説明員永山時雄君) お尋ねのような職員は、いわゆる非常勤職員でございますが、大体二十名前後と思つておりります。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは公務員法適用を受けない人が二十人程度と、こういうことですか。
  32. 永山時雄

    説明員永山時雄君) 非常勤職員も等しく公務員法適用は、非常勤職員として適用を受けるのでございますが、ここに言います定員は、これは常勤職員のみを指すというわけでございます。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 非常勤職員と言いましても、これは普通の自由労働者と違いまして、雇傭契約非常勤かも知れないけれども、殆んど常勤と変りないわけですね、常識上は。従いまして、私は通産省に働いておられる実在総員数が知りたいわけなんです、そういう者を含めまして。
  34. 永山時雄

    説明員永山時雄君) 公務員法の中で、非常勤職員と、それから常勤職員とありますことは、只今申上げた通りでございますが、非常勤職員と申しますのは、例えば医者だとか或いは看護婦だとか或いは委員でございますが、そういうような普通のいわゆる終日勤務する、フル・タイムで勤務するという職員と違う者が非常勤職員でありまして、それは大体先ほども申上げた二十名ぐらいかと思います。それから栗山委員お尋ねのようないわゆる人夫のような者は、これは役所では普通の雇傭契約役務費支払いを、その都度雇傭し、その都度支払いをするという形をとつておりますので、従つてこれは何名というようなことを申上げ得る性格のものでないものであります。
  35. 結城安次

    結城安次君 ちよつと永山官房長に伺いますが、嘱託若しくは臨時雇或いは顧問というようなもので、そのときどきの仕事でなく、三月、四月というものに亘つて勤めている人はどれくらいになつておりますか。
  36. 永山時雄

    説明員永山時雄君) 以前役所にありましたような嘱託という制度は、現在の公務員法では認められておりませんで、先ほど申上げましたように、委員とか、ときどきまあ来て頂いて知識をお伺いするとかいうようなかたがたは非常勤職員ということでお願いしておるのでありまして、そういうかたが只今申上げましたように大体二十名ぐらいということになつております。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、大体わかりましたが、現在の定員一万六千八百六名、これに対して只今通産省考えておるところでは、整理人員が三千五百二十七名ということになつておりますから、従つて三千五百二十七名はこれは当然現職を離れる人が実際にあると、こういうことに解釈してよろしいわけですか。
  38. 永山時雄

    説明員永山時雄君) その通りでございます。
  39. 古池信三

    理事(古池信三君) この問題よろしうございますか。  それでは次に行政機構改革に関しまして説明を願います。
  40. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 今回の行政改革の一環といたしまして行政機構の改変を行いますることは、すでに内閣限定方針でありまして、通商産業省といたしましても当然これに対しまして積極的な協力を惜しまない所存であります。ただ当省機構考えまするに当りましては、各省間の組織及び権限の調整の問題をも併せ考慮する方針でありまして、この点につきましては未だ内閣方針が全く示されておりませんので、この際当省としての意見を述べることは若干時間的に早いような気持がいたしまするので、この際は一応差控えておきたいと、かように考えておるのであります。ただ通商産業省といたしましては、貿易関係、国内の行政機構を強化したい考えを持つておることをこの際特に申上げておきたいと考えます。仮にその点を差置きまして、現在のままの当省の体制を前提として考えますれば、機構改革の方向はおおむね以下申述べるようなことになるのではないかというふうに考えられるのであります。それは先に十月五日附を以ちまして閣議決定を見た人員整理案に基きまして、通商産業省は現在定員の約二割強に当りまする三千五百二十七名の人員整理することとなつておるのであります。この人員整理は、通商産業省所管行政事務整理前提としているのでありまするが、概して言いますれば、工業技術庁特許庁及び各種輸出品検査機関等は、経済情勢の変化に左右されない恒常的な性格を持つておりまするので、これらの事務整理縮小する余地は極めて少いのであります。従つて整理の重点は、勢い本省内の各部局資源庁及び地方機関としての通商産業局に置かれておるのでありまして、而も本省及び通商産業局におきましても、貿易関係行政事務は、これを整理する余地が極めて乏しいのでありまして、従つて行政事務及び人員整理の焦点は、いわゆる物資面行政担当部局整理簡素化をどうして行うかということに問題が集約されると考えておるのであります。最近ニ、三の経済統制撤廃進捗状態に鑑みまして、物資担当部局必要性を疑問視する考えがむしろ一般的ではありまするし、例えば政令諮問委員会の答申も、工務鉱山の二局を以て従来の繊維、雑貨、化学、機械、鉄鋼の五局及び資源庁に替えようと提案しているのもその考え方に基くものであると考えておるのであります。併しながら日本経済現状におきましては、或いは又電力石炭等動力面から、或いは輸出入貿易の面から、或いは産業資金の面から産業に加えられておるところの制約はかなり大きいのでありまして、国民経済の円滑な運行を図るためには、或る程度政府の介入が必要となる場合が少くないことは御承知通りであります。最近異常な渇水対策としまして、電力用炭確保について政府行政指導に乘り出したことはその適例でありますが、不足しておりまする動力産業間に合理的に配分することとか、少い外貨資金各種輸入物資間に合理的に割当てることとかいうようなことは、やはり政府が各産業の実体を十分把握した上で公平に実施しなければならんものだというふうにも考えておるのであります。従つて将来の物資担当部局簡素化考えるに当りましては、統制撤廃に基く不要不急事務整理の必要と、現実に要請せられておりまする行政運用の幅とを比較考慮した上で慎重にきめたいと考えておる次第であります。なお外局の面につきましては、特許庁及び工業技術庁につきましては、行政事務及び人員整理率も極めて少いのでありまして、これが存続につきましては、余り問題がないものと一応考えておる次第であります。又中小企業庁につきましては、最近の経済情勢におきまして、中小企業振興助成の必要がいよいよ焦眉の急となつておる事実を考慮し、又資源庁については、石炭生産増強及び需給調整の必要がいよいよ増大しつつある現状及び国際的に不足物資である非鉄金属増産必要性等を勘案しつつ、今後の機構簡素化考えて参りたいというふうに存じておるのであります。  次に地方支部部局につきましては、先ず通商産業局機構を能う限り簡素化したい。更にその下にある通商事務所アルコール事務所鉱山事務所石炭及び電力事務所は、極力これを整理統合することとしまして、真に止むを得ない必要性の存するもののみを存置して参りたいというふうにも考えておるのであります。又官営アルコール工場につきましてはこれを漸次民間に払下げ方針の下に、差当り来年度においては三工場程度払下げ実施する考えを持つておるのであります。最後工業技術庁所管各種試験所等組織につきましても目下これが整理統合につきまして慎重な検討を続けでおるのでありますが、まだ結論は得ておりません。以上申上げたような方針の下に今後における通商産業省機構を改変いたしたいというふうに現在のところ考えておる次第でございます。
  41. 古池信三

    理事(古池信三君) 何か御質問或いは御意見はありませんか。この問題は只今次官からの説明がありましたように、まだ固まつておらんようでありまするから、この程度に本日はいたしまして、又他の機会に更に情勢に応じて詳しくお話することにいたしたいと思います。   —————————————
  42. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは次に今般の電力不足が我が国の主要産業相当大きな影響を及ぼしておると考えるのでありますが、その影響について調査されました結果をここに御説明お願いしたいと存じます。
  43. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) この電力は本年は異常な渇水の結果、非常な減退を示しまして、特に関西中国地方産業に対しましては重大な圧迫を加えて参つたのであります。政府事態の容易ならんことに対しまして、特に通商産業省といたしましては、石炭確保に万全の措置を講じつつあるのでありまして、幸い先週台風の襲来がありまして、やや愁眉を開き、更に又石炭確保関西電力に対しましてはその後漸次好転いたしまして、仮に渇水が先週程度に落ちましても、火力発電がかなり増強されまするので、先週みたような最惡の事態は恐らく再び繰返さないであろうという実は予想を持つておる次第であります。そこで只今までの被害状況の概略でありまするが、主な産業について個々に申上げますれば、お手許資料を差上げてあると存じまするが、石炭につきましては、幸いに九州、北海道が電力状態が他に比較しましてかなり良好でありましたので、本年の一・四半期の出炭量を一〇〇といたしましても、十月は九三%程度、こういう程度で、そう大きな減産はいたしておりません。更に高炉銑でありますが、これはおおむね各会社が自家発を持つております関係と、その後増産に必要とする合理化が進んだ関係上、これはむしろ殖えまして一一九になつておるのであります。平炉鋼塊も若干自家発工場もありますから、他の産業ほどは圧迫を受けておりません。これは大体九九%程度なつております。鋼材は自家発を持つていない工場が苦干ありまする関係上これは七五%ということになつております。亜鉛でありまするが、これは御承知通り、特に電気亜鉛電気を多量に必要といたし、又その企業体関西、その他電力の非常に惡い場所にたくさんありまする関係上、相当被害をこうむつておるのでありまして、十月の生産は六八%程度に落ちるのではないかというふうに憂慮されておる次第であります。アルミニユームも亦大体その程度でありましてこれは八七%、セメントもアルミニユームと同様八七%、苛性ソーダの、電解でありまするが、これは特にひどい影響をこうむつておるのでありまして、五九%ということになつております。苛性ソーダアンモニア法は、これはアンモニア法でありまする関係影響はありません。これは一〇四%というふうになつておるのであります。ソーダ灰相当影響を受けており七九%、硫安が七三%になつております。但し硫安は御承知ごとく、どうしてもこれは内地の需要を確保しなければならないし、又できるならば或る程度輸出しなければならん重要産業でありますので、この産業に対しましては電力に対しましても格段の措置を今後講じなければならんというふうに考えております。カーバイドが非常な影響でありまして、僅かに二四%の生産に落ちるような状態なつております。石灰窒素もやはり同じ影響でありまして四〇%、綿糸は先月まではよかつたのでありまするが、これは今月に入りまして急激に惡化いたして六五%、スフは七六%でありますが、人絹と共にこれは電力影響もありますけれども、更に各会社が自発的に相当操短をしておる、ストツクは相当殖えておりまする関係上操短を各社とも或る程度つておるらしいのでありまして、むしろ減産はその面の影響が主であるというふうにお考えを願つてもいいと考えております。洋紙のほうでありまするが、これも北陸その他の電力相当影響いたしまして六五%ということに落ちておるのであります。これは先ほど申上げましたごとく、主な産業でありまするが、その他の産業もおおむねこの重要産業と同じ状態に至つておるのであります。従つて特に現在政府といたしまして重要視いたしておりまするのは鉄鉱石、硫化鉱、従つてこれが鉄鋼或いは肥料の生産に重大な影響を及ぼしまするので、先ほど申上げましたごとく、この方面につきましては特別な措置を今後講ずる必要があるというふうに考えておるのであります。大体概略でありまするが、以上で報告を終りまして御質問にお答え申上げたいと思います。
  44. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど次官は関西電力用炭確保が順調に進んで、先週のような事態は今後起きないであろうということを述べられたのでありますが、それをもう少し数字的にちよつとおつしやつて頂けませんか。
  45. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 関西電力石炭の獲得方法がこの春以来かなりまずい方法をとつたということは御承知通りであります。これがために関西電力の貯炭は九月末におきましては僅かに一万七百十七トン、こういう少量に減少いたしたのであります。而も消費量は当時僅かに千九百トンから二千四五百トン、こういう石炭の消費量でありまして、従つて火力の発電力が如何に少量であるかは申上げるまでもないと存ずるのであります。本月初め以来、先ほど申上げましたごとく、通産省は強制命令とまでは行きませんけれども、少くとも気持の上では強制命令と同様の強さを持つ行政措置を講じまして、各大手山元或いは中小山元等に一齊に呼びかけまして、この関西電力に対する協力方を要請いたしますると共に、更に関西におけるところの一般の私企業に対しては手持供出或いは今後入荷するところのものを一応関西電力のところに譲渡を要請いたしまして、専ら関西電力石炭の集中に努力して参つたのであります。これがためにその後漸次効果が現われまして、最近の日報によりますと、一昨十六日の入荷が六千六百トン、それから十五日がこれは暴風でありません。十四日の日に六千四百六十一トン、十三日が七千百八十一トン、十二日が九千四百三十四トン、こういう入荷でありまして、一方消費のほうも十二日が六千百四十一トン、それから十三日が六千十九トン、十四日が四千九百四十六トン、十五日は台風の結果、これは七百九十四トンになつております。更に十六日もこの台風の影響によつて流水が非常に殖えましたので、五百六十二トンに減つております。かたがた貯炭は三万八千四十六トン、九月末の一万トンに対しまして三倍七分という状態なつておるのであります。而も本月入荷予定されております契約高が三十三万トンであります。このうち今日まで入荷したものを差引ましても今後大体一日に九千トン乃至一万トンの入荷がある予定になつております。かたがた仮に関西の現在の発電をフルに動かしまして七千トン消費いたしましても、なお入荷が起過いたしまして月末の貯炭はおよそ六万トン或いは七万トン前後に上昇するであろう、これを目標にいたしまして石炭獲得の操作を現在続けておるのであります。更に来月以降にいたしましても、大体七千トン前後消費いたしましてもなお供給のほうが相当超過いたしまして漸次ストツクを殖やして十二月並びに一月の発電に差支えない態勢が大体整つて来ておるのであります。かたがた先ほど申上げましたごとく例えば渇水になりましても、先週みたいなようなあの最惡の事態には再びならないことと思つておるのであります。
  46. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに御発言ありませんか。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから只今説明を願いました産業への影響の表の中で十月の統計になつておりますが、これは十月のいつが締切でございますか。
  48. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) これは大体この今週初めの状態を基礎といたしまして、これが月末まで継続するという予定の下に作成した資料であります。従つて只今申上げましたごとく今後電力事情が多少でも好転いたしますれば、この数字は勢い上昇するということになります。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、十月一日から十五日の大分前の電力事情によつて十月分の生産指数を一応想定された数字でありますね。
  50. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) その通りであります。
  51. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の石炭事情の見通しは、通産省のお骨折でそこまで好転したことは御同慶に堪えないのでありますが、私どもはまだ政務次官がおつしやつた程度には楽観を許さないと思うのでありますが、特に炭の質の問題があるわけでありますが、只今そういう工合に入荷が漸次好転しておる炭というものは、大体カロリーはどの程度のものに揃つておるわけですか。
  52. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 大体六千カロリーを標準としておるようであります。
  53. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに御発言ありませんか。なければこの問題はこの程度にいたします。
  54. 古池信三

    理事(古池信三君) 次に一般鉱害対策について法案制定の準備、並びに予算折衝の模様等につきまして、説明お願いいたしたいと存じます。  なおこの機会にちよつと皆様にお諮りをいたしたいのでありますが、一般鉱害対策の問題につきましては、本日九州の現地から関係者のかたが多数御上京になつております。よつてその代表者のかたを本日の委員会参考人ということにいたしまして、代表者から御意見を開陳して頂く機会を後刻お与えしたいと考えるのでありまするが、御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは本日来ておられまする福岡県鉱害対策被害者組合連合会副会長栗田数雄君をその代表者と認めまして、適当な機会に御意見を述べて頂くことにいたします。  先ず政府側の御説明お願いいたします。
  56. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 鉱害復旧対策につきましては、先般も申上げましたごとく、前々国会から本委員会におきまして非常に強い要請が継続しておるのでありまして、特に前国会におきましては、西田議員その他のかたから非常に強い要請がありましたので、政府も各般の情勢を勘案いたしまして、できる限り速かに本問題を解決いたしたいというふうに考えまして、この春以来各省の総合委員会を構成いたしまして、専らこれの進捗に努めて参つたのであります。併しながら検討いたしますにつれまして、いろいろ難問題が発見されましたので、炭政局長を欧州に派遣いたしまして、英国、ドイツ、或いはオランダ、こういう各国の実情をよく調査いたしまして、それら外国でやつておりまする鉱害対策も今回の対策に参考といたしましてもこれらのいいところを全部取入れて、そうしてこの一応の案を作つておるのであります。只今手許に差上げてありまするのが、今日までの経過並びに作らんとしておりまする法案に対する考え方であります。概略でありまするが現在のところ、この月末か来月早々もう一度各省の委員会を開きまして、できるならばそれで結論を得たいというふうに考えておるのであります。なお予算措置でありまするが、これも復旧事業費といたしまして十九億五千八百万円、それに別に通産省事務費として四千万円、この予算を現在公共事業その他から所管の農林省、建設省、厚生省、運輸省、文部省、それぞれ諸官庁から大蔵省のほうに予算を申請してあるのでありまして、各省とも一応予算説明は終つております。ただ大蔵省がいろいろの観点からまだ最終的なこれに了承を与えておらぬという実は段階にあるのであります。内容は申上げますると、非常にくどくなりますから省略いたしたいと存じまするが、要するに国家の介入によりまする復旧につきましては、従来の公共事業費その他で賄つて参りたいというふうに考えております。  一番重要な点は農地の復旧でありまするが、これは復旧団というものを別個に作りまして、そこで国庫の補助金或いは公共団体の負担金、或いは又加害鉱業権者の負担金、これらをまとめまして、主として復旧工事に直接当りたいというふうな考え方であります。家屋の復旧でありまするが、個人家屋の復旧は鉱害問題の一つの大きな問題でありまするが、直接国庫の補助はいろいろな事情から到底期待できませんので、復旧に関する紛争につきましては、通産局長による裁定の制度を設けまして、加害鉱業権者をして復旧を行わしめますと共に、復旧団の附帯業務として低利資金の貸付を行い、そうして復旧に便宜を与えるというふうな考え方を持つておるのであります。復旧団でありまするが、これは宇部つまり山口県並びに九州に二ヵ所、合計三ヵ所に地理的な事情を考慮いたしまして復旧団を作りまして、そうして先ほど申上げましたような業務を行わしめることが適当でないかというふうに考えております。大体そういう事項を主な骨子としまして、法案を現在作りつつあるのでありまして、併しながら最終的な決定は先ほど申上げましたごとく今月末か来月初めに各省の委員会にかけまして、そこで決定いたしたいというふうに考えておるのが現状であります。
  57. 西田隆男

    ○西田隆男君 今政務次官から大体の考え方について経過のお話を伺いましたが、聞くところによると、或る程度法律案として審議する草葉ができておるかのように聞いておりますが、もう少し基本的な考え方が草案の中にどういうふうな条文で入つておるかという点について鉱害課長でも、炭政局長でもいいのですが、概略の御説明お願いいたしたい。正式な法律案もありませんから質疑応答はやりませんけれども、一応説明を願います。
  58. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 鉱害復旧法案の考え方は只今政務次官から申上げた通りでありますが、法律案自体はまだできておらんところもありますし、各省と打合中もございますので、ここにございますけれども、配付は次の機会までお待ち願いたいと思うのでありますが、鉱害で今日まで累積しておりまする額は、最近の調査によりますと復旧費の総額で申しまして、大体二百三十四億円ということに相成ります。その内容につきましての詳細に分析いたしました資料はこれ又お手許に配付いたしてございます一般鉱害全般調査集計表というものがあるのでございます。これを一般鉱害とはどういうものかという意味におきましてちよつと御説明したいと思うのでありますが、第一表に一般鉱害全国集計表というのがございます。それによりますと、これは炭鉱から提出して参りました分、それから市町村から提出して参りました分と二つに分けてございますが、炭鉱側でこれは一般鉱害であると認めましたものが、復旧費の総額で申しまして百四十六億くらいになつております。従来大体二百三十億見当の鉱害がありまして、そのうち特別鉱害が七十八億、あとの百五十億程度一般鉱害であるというふうに申されておりましたが、ほぼそれに近い計数が出ておる次第でございます。それから炭鉱側では特別鉱害と考えておりませんで、落ちておりますもので、市町村といたして見ました場合にこれは一般鉱害をあつて何らかの措置が要るのだというものがここにございますように八十七億程度ございます。只今政務次官が申されましたようにその一般鉱害の中で一番大きいのが農地でございまして、その次の表の最後に率が示してございますが、土木関係が一一%、それから農地が五六%、水道関係が五%、以下そこにございますように大体六割近くのものが農地もあるというふうに考えられるのであります。それからその次の頁には同様の立場から市町村から出しましたものについての分析が載つております。そこで最後の頁を御覧頂きますと、一番の中心であります耕地の耕地鉱害につきまして、復旧費からいたしして五万円以下のもの、五万円から八万円までのもの、八万円から十万円までのもの、十万円から十五万円までのもの、十五万円以上のものというふうに分けてございます。復旧費総額が農地につきましては約六十五億円、総平均で反当り十万五千円ばかり、若し十五万円以上の復旧費を要するものを除きますと、約八万円程度になります。  以上のような大体の考え方になります。それでこういつたような内容を持ちております鉱害に対しまして、国といたしましてどういうような考え方でこの復旧をやつておるかという問題でございますが、要するに従来鉱業法の規定によりまする金銭賠償主義の下におきましては、この鉱害の復旧はできなかつたわけでございます。そこで今回は国家が介入いたしまして計画的に復旧をやつて参りたい。それは国土開発計画の一環といたしましてやつて参りたい。只今申しましたように、被害の面積が相当に広いわけでありまするし、国土的に見まして相当に重要な地域である、更に復旧の経済的効果を期待しなければりなませんので、農地を回復するにいたしましても農業水利というような点を無視してはならないというような関係、更に社会問題になつておるというような点からいたしまして、国が取上げましてこれを計画的に復旧してやるというところに根本の考え方を置いておるわけであります。その場合におきまして国の負担、それから鉱業権者の負担、更に鉱業団体の負担というものを以ちましてこの復旧事業をやつて参りたいと思うのでありますが、鉱業権者の負担につきましては鉱業法できまつておりまする金銭賠償義務の限度というものを一応考えまして、その限度内においての負担を行う。それ以上の分につきましては国庫負担その他によつてつて参りたいというふうな考え方であります。なお鉱業権者の金銭賠償義務につきましては、完全な不毛地になつた場合における負担額を対価プラス離耕料、土地の価格プラス離耕料というふうに見て、完全な不毛地でない場合におきましてはそれから逓減して行くというふうに一応考えておる次第であります。その次に鉱害が先ほど申しましたように河川、道路、港湾といつたような公共施設、或いは農地、或いは農業用の公共施設、家屋というふうに対象が分けられるわけでございますが、そのそれぞれにつきましての考え方でございますが、河川、道路、港湾等につきましては、これは加害者のある災害でございまして自然災害ではございませんが、自然災害の復旧に準じまして国庫負担 の途を開いて参りたい。例えばこの場合におきましては自然災害の例によりまして国庫負担の途が開かれまして、それによつて不足の分を鉱業権者が支拂つて参る。場合によりましては鉱業団体が部一負担して頂くというような考え方であります。それから農地の問題でございますが、農地の問題につきましては、先ほど申上げましたように、総合的な水利計画を組入れた計画的な復旧をやる。その場合におきまして、先ほどちよつと触れましたような程度におきまして、そういう限度におきまして鉱業権者が負担をいたしまして、そのあとは国庫負担、並びに場合によりましては鉱業団体の負担でやつて参る。政務次官が申しましたように、この場合に鉱害復旧団というものを作りますのは鉱業権者の賠償責任、金銭賠償の限度と復旧に要する経費とは必ずしも一致いたしませんので、資金のプールをするということと、只今申しましたような総合計画を立てるというような観点からいたしまして、大体鉱害を三つに分けまして復旧公団、復旧団というものを作りまして、これを主体に復旧計画の作成、或いは負担金の徴収、或いは集めました金を支拂つて行くというふうなことをやらして参りたいというふうに存じておるわけでございます。家屋につきましては只今政務次官から申した通りでありまして、これは直接の補助は望み得ませんので、通商産業局長がいろいろのごたごたした問題につきまして、加害者と家屋の所有者との間に立ちまして斡旋なり裁定をする。更に第四といたしましては、復旧団で低利資金の貸付をやつて参りたいというふうに考えている次第であります。復旧団は只今申しましたように計画の作成、それから金銭の收授、その他をいたすのでございます。それから工事の施工そのものを復旧団がいたしますのは必ずしも適当とは思われませんので、地方公共団体或いは農業協同組合、或いは土地改良というふうなものにやつてもらいまして、それに対しまして復旧団から必要な資金の交付その他をやつて参る、こういうふうにしたいと考えている次第でございます。この鉱害農地に国庫等からどの程度の補助をするかという問題でございますが、これも大体自然災害の場合に準じてやつて行くのがいいと考えている次第でございます最後に農地の復旧等が済みますと、鉱害賠償の責任は消滅するはずでございますが、それらの点につきましても必要な規定を設けて参りたいというふうに存じている次第であります。  大体以上申上げましたことは今日まだ未定稿でございますが、法案の内容といたしまして考えている次第でございます。
  59. 西田隆男

    ○西田隆男君 今資源庁長官から大体構想をお聞きいたしましたが、二、三基本的な問題について質して見たいと思います。  家屋が今のように被害の対象から外されているような恰好で、ただ通産局長が斡旋調停をするのと、低利資金の貸付をするということだけになつているようでありますが、これはどういう理由でそういうふうな取扱をしなければならないか、その理由を一つ承わりたいと思います。
  60. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 一番大きいのは先ほど申上げましたように農地でございますが、農地の復旧につきましてはこれは国土開発というような点と関連いたしまして公共性がございます。そういう意味からいたしまして国庫補助を期待できるのでございますが、家屋につきましてはそうは参りませんので、要するに一人の鉱業権者とそれから一人の家屋所有者との関係になるのであります。従いましてそこで資金のプールをするというような特別の措置もできませんし、又必要がないわけでございますので鉱業法百十一条という規定がございますが、この場合復旧費と賠償費とを関連させまして、或る場合には復旧をやつてつてよろしいというような規定がございますので、そういう規定を生かすような趣旨におきまして大体お話申上げたようなわけであります。
  61. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の長官の御説明によりますと、我々が鉱業法を審議しましたときに石炭の、鉱産物の採掘等によつて生じた被害は国で補償しなければならない、それが当り前だという建前をとつて来て鉱業法の審査をやつて来たのでありますが、今の長官の御説明であると、その基本的な考え方が、この一般鉱害の問題については取入れられずにただ起きている被害を何とかして復旧させればよろしいというような基本考え方に基いて、この一般鉱害対策考えられているかのように私には受取られるのでありますが、大体この鉱害というものに対しての基本的な考え方がそういうふうに変つて一般鉱害の法律案というものを出すということになつているのかどうか。
  62. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 鉱害につきましての鉱業権者の負担限度というものは、これは一定の限度があり、それ以上の要求をするのは無理であるという前提に立ちまして、併しながら国土の開発、或いは国土の利用という点からいたしまして、そういう場合におきましてはもう少し積極的な意味合いにおきまして又別に取上げて参りたいという考え方を以ちまして法案の準備をしつつあります。
  63. 西田隆男

    ○西田隆男君 まあその基本的な問題は法律案が出たときに又論議をすることにいたしましよう。今低利資金という御説明がございましたが、低利資金というのは鉱業権者ですか、被害者に貸付けるのですか。
  64. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) これは鉱業権者の賠償責任に関連いたしまして金が必要になるわけでございますので一応鉱業権者の場合でございます。
  65. 西田隆男

    ○西田隆男君 それから一般鉱害に関する意見を聞いて見ますと、現在発生している二百三十億のものに対する法律案のようにも考えられますが、鉱業法の賠償の規定によつて、完全な賠償のできなかつた一般鉱害と称せられるようなものが将来も必ず発生するであろうことは予測されるのでありますが、そういうものに対しても、仮にこの法律がきめられました場合にはこの法律を適用される心組みですか。現在二百三十億という調査されている額に対してこの法律を適用されるお考えですか、これを一つ伺いたい。
  66. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 差当りの問題は只今つております二百三十億の問題の処理であると思いますが、日本の今後の見通しといたしまして、どうしても石炭鉱害につきましては石炭の採掘に関連いたしまして、これと同じような問題が今後も継続して起つて参る可能性があると思いますし、それにつきましては鉱業権者の賠償責任と国家的な立場からする全般的な復旧計画というものとの関係が将来も続いて残ると思いますので、この法律は特別鉱害法のように臨時的なものではございませんので、相当期間続けてやらなければならんものと考えております。
  67. 西田隆男

    ○西田隆男君 もう一つお伺いいたしますが、あなたの御説明を聞いておりますというと、耕地の復旧について、一応耕地を耕地として、田は田として使われるだけの復旧はやめるということが基本的に考えられるのですが、これは耕地整理をやつて見て、その田の、土地の収益率と申しますか、それを原状回復まで持つて行くという考え方でこの耕地の損害の賠償をやられるとお考えであるのか、ただ単に耕地そのものを田として使えるというだけの復旧をやられるお考えでお考えなつているのか、これを一つ伺います。
  68. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 只今お尋ねの点でございますが、田を田として復旧いたしましても完全に既往のものの回復はできないというような場合におきましては、復旧の問題と併せまして若干の措置と申しますか、そういうのを考えて参らなければならないかと思いますが、ただ只今考え方でも、これは一時的、今までのように永久に続くものとしてではなしに、一時的にその効用の完全に回復しない分につきましての金額の支払いとか何とかいうような方法によつてのその問題を整理して参るというふうに一応考えております。
  69. 西田隆男

    ○西田隆男君 御説明の内容を聞いておりますと、予算が各省の予算として計上されるということでありますが、そうすると単に一般鉱害の問題が法律ができましてもそれも公団とか何だかわかりませんが、復旧する場合に予算に計上された各省の予算をもらう場合に、各省の大臣の承諾を、求めなければならんことになると思いますが、そういう場合に勿論事前には十分にお話合いができて予算が計上されるのだと思いますが、公共事業費が若し不足した場合に、こちらの、農林省なら農林省がその予算を流用することによつて、鉱害の復旧が或る程度完全にできないというようなことが私には考えられるのですが、そういうことのないように予算の計上はなされるのですかどうですか、その点を一つお聞きいたします。
  70. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 農林省にいたしましても建設省につきましても、この問題については非常な熱心な態度でやつているのであります。恐らく筑豊その他の地区におきまして特別鉱害の問題と併せまして、工事能力の限度におきましてこの予算を計上しておると思うのです。まあ予算が不足になつたというような場合におきましても、社会的な緊急性その他からいたしまして、そちらのほうに優先的に金が出て参るように今後連絡をして参りたいと思つております。
  71. 西田隆男

    ○西田隆男君 もう一つ、これは非常に重要な問題だと思うのですが、鉱業権者、或いは市町村長といいますか、或いは被害者の代表といいますか、そういうような人たちによつて何らかの委員会が作られて、運営することになるだろうと思うのですが、そういう際にその委員会が作られるものとすれば、その委員会の構成等について、十分被害者側の意見が取入れられるような委員会の構成になされる必要があると思うのですが、どういうような構想を持つておられますか、それを一つお伺いしたいと思います。
  72. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 農地の問題につきまして復旧団を作ることを申上げたんでありますが、この復旧団の運営につきまして、加害鉱業権者それから被害農民、双方の意思を完全に反映するような、双方の意思を母胎とするような形でこの復旧団というものを作つて参り、且つ運営して参りたいと思つております。
  73. 西田隆男

    ○西田隆男君 この問題は大体昨年の十二月鉱業法がかかつたときからの問題でありまして、今度の臨時国会に法律案として提案されぬことは私は非常に遺憾に思うのですが、準備ができないという政府側からの御説明があつたのですが、従つて二十七年のこの次の通常国会には必ずその法律案を提案されんことを切に希望して、私の質問をこれでやめます。
  74. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに御発言ございませんか。それでは参考人の発言を許します。どうかできるだけ簡単に御発言を願いたいと思います。
  75. 栗田数雄

    参考人(栗田数雄君) 私が福岡県におきまする鉱業被害者の代表栗田数雄でございます。本日この貴重な時間を割いて私ども被害者の実情をお聞き下さることを誠に有難く御礼を申上げます。更に特別鉱害の法案の際には、諸先生がたの格段の御尽力によりまして法案が成立いたしまして、すでに工事も着々と行なつておる点につきまして、又一般鉱害の法案の際に際しましても、我々被害者の苦境をよく御忖度頂きまして、いろいろの面に、現地視察等によりまして御同情を賜りましたことを重ねて厚くお礼を申上げる次第でございます。  私どもは今朝福岡から参りまして、この席にはべらせて頂くのでありまして、政府の御草案がどういうふうにできておるかということは、只今ここに書類を頂戴いたしまして、初めて大体の要項がわかつたのでございまするが、ただ私ども現地におりまして、まあ非常に心配して多数の代表が飛んで参りましたことは、この法案がだんだん長引くのではないか、この臨時国会にも取上げられぬというようなことも聞きまして、非常に遺憾に考えましたことが一つでございます。もう一つは、一般鉱害の対策が、鉱業法の改正に当りまして、我々被害者は原形復旧を主張したのであります。ところが鉱山側では、現在の鉱業経営の面からして、金銭賠償でやらなければならんという、そこに意見が対立いたしまして、私どもの原形復旧の線が破れて金銭賠償の旧態依然たる鉱業法になつたのでございまして、私どもは原形復旧そのものが正しい法案であるということは、まだ信念を捨てておらんのでございます。併しながら先ほどお礼を申しましたように、諸先生がたが被害者に御同情下さいまして、原形復旧に代る何ものかの法律を作つてやろうというて、ここに生れんとする法律であるのでありまするが、私ども噂に聞きましたところによりますと、その法案が被害者に有利であるのでなく、むしろ鉱業権者に有利な面ばかり謳い込んであるように考えるのであります。例えば鉱業賠償金の、年々賠償金の打切りの問題等であります。或いは又鉱害地の強制買収の問題、こういうことも承わりまして飛んで参つたのでございます。先ず私どもはこの法案を速急に上程願つて、私ども被害者を救済して頂かなければならないという理由は、一応その際も御検討願いましたように、一般鉱害と特別鉱害とは鉱害のあり方については何ら変りございません。ただ鉱業権者が採掘する時期において、或いは国家の要請の時期において異なるものでありまして、一村、一部落の耕地が陥落し、或いは家屋が倒壊に瀕しておるというようなもの、特別鉱害、一般鉱害の別など、何も被害者としては関知するものではございません。ただその内容でございまするが、被害者としては、当然ここは特別鉱害に入るべきものだと、こう考えておるものが、あの定められた期限内に遡及してないということで特別鉱害から漏れておる。これらに対しては被害者は非常な不満と不安焦燥の念に駆られておる。又事業をいたしまするにしましても、特別鉱害の地域がこういうふうに出て来ておつて、その中に一般鉱害があつて、特別鉱害がこうある。水利関係、交通関係、すべての面から行きましても、特別鉱害と一般鉱害とをここに合せ得るということによつて工事の有終の美、工事費を逓減することができるのでございます。大体において特別鉱害でも第一類を認めて頂きまして、それらの面は大体にお取上げを願つておりまするけれども、いよいよ工事にかかつて参りますると、まだまだそれらの点が漏れておるものが相当ございまして、かような点から一刻も早く私どもはこの法案が成立して、被害者が安心してその職につき、不安な念に駆られぬということにして頂きたいというのが、私どもが馳せ参じました一つの大きな理由でございます。  第二は、特別鉱害においてもさようでございますが、何もその耕地を強制買収なさらなくても農民は異議なく土地を提供いたしまして、そうして工事の復旧に協力いたしておるのであります。金さへ払えば百姓はいいじやないかというような端的なお考えがあるとするならば大きな間違いでありまして、現在の農村、農民というものはやはり我が土地を愛する、祖先が生んでくれた土地を守つて行くという本当の純情な精神に生きておるものでございまして、一時幾ら金をもらつたからといつて喜ぶものでもございません。又その米を、稲を、野菜を作ること、それを愛することによつて我が子を育てるような気持で以て百姓がやつておるのは農道精神でございます。一時百姓が闇屋をやつたとかいろいろ批難を受けましたけれども、それは一部戦後に起つた特殊な現象でございまして、少くとも鉱害地のごとく耕地の少い農民は、さような考えを持つておる者はなしとは申しませんが、私は大勢を論ずる上においては大きな誤りである、それにおいて強制買収するというようなことが行われることは甚だ以て遺憾千万であるのでございます。これらの点はお考えなつたということも承わるのでありまするけれども、強く私どもは主張するものでございます。  それからここに今見まして、鉱害賠償関係の消滅ということがございますが、私どもは耕地が完全に回復して、米が普通に取れれば、それに補償して下さいということは申しません。又それを補償しようとなされる私どもは要求をしたこともございません。又炭鉱としてもなさらんことは明白でございます。過般鉱業法の改正の審議に当りまして、私被害者が非常に弱い、被害者ぐらい弱いものはない、実際今まで非常に重圧を食いましてもそれを甘受しておるということを委員会の席上申しましたところが、東大の我妻先生が、あんたは非常に被害者が弱い、苦しいと、こう言われるけれども、実際被害者が苦しい、弱いならば、なぜもち少し法に与えられたように、炭鉱を相手どつて訴訟をなさらんか、今までだつてこれこれの件数しか訴訟が起つておらないということを先生おつしやつたのであります。私はその言葉を聞きまして、誠に参考になり、有難くは考えましたけれども、実際面は、百姓が地位があり、金があり時間を持つていらつしやる鉱業権者に対して、日々働いて僅かな兵糧の余りを売つてつておる百姓が訴訟をいたしまして何で勝ましよう。地位もありません、金もありません、ひまも持たない百姓が訴訟をいたしましても、これは到底勝ち得ないということが今までの事情でございます。そういうことで私ども被害者としては、何も闘争するが目的ではないのでございます。鉱山地帯の被害者は、何としましても鉱山あつて被害者であります。被害者は炭鉱が潰れれば翌日から潰れる形体になりますから、炭鉱と私どもは抗争する考えは絶対持つておりません。さような面からこの弱い被害者というものをむしろ救済する法案があつてもいいけれども、それらの点において、今申しまする強い鉱業権者のために賠償を打切るような方法を定められなくても、私は今まで通りつて頂いて決して無理なことを申さない、申すようなことがあればこれは制裁を受けてもいいと思うのです。なお、特に非常にむずかしい点は、原形復旧でありまするならばさような点はないようでありまするが、少くとも私どもは原形復旧を主張いたしておりまするけれども、将来はやはり効用回復の線に進まれるだろうと思う。そういうことになりますと、一層こういうふうに一方的に賠償を打切るというようなことでありまするので、被害者は到底これを承服することができない、かような考えを持つております。  それから次は、今この書類を頂戴いたしましたので、順序は多少変更しますが、復旧工事費の問題でございますが、これは別にむしろお願いを申上げたほうがいいじやないかと思いまするけれども、丁度関連いたしまするからお願い申上げたいと考えておりますのは、特別鉱害で、第二十四条によりまして、鉱山の負担金は二十円で一応釘付けになつております。ところが御承知のように物価はだんだんと法律ができましたときから上つてつて、設計その他も政府が御認定になつておりますのは三割、四割と上つておると考えられる。それらの点を勘案いたしまして、石炭の単価はどうであるかと考えますと、少くともこれは全般的には存じませんけれども、六割、七割というような上昇率でないかと思う。これは誤りがあるかも知れません。そういう点からいつて、一方二十四条の二十円を釘付けになさつて、工事をやれ、こういうようなことになりますと、工事を打切るか、乃至は何か粗末な工事をしなければできないということは明瞭な線でございます。この点は私は本特別議会においてでも御審議を願いまして、そうして何とか釘付けの線を改訂して頂きたい、こういうことをお願い申上げる次第でございます。従つて段階においてそういうふうな支障の点もございまするから、一般鉱害の納付金の徴収の際は、トン当り何円というようなそのときの金額によつて定められることでなくて、例えば炭価或いは工事費とかいうようなもののその率によつて決定願うようなことにして頂きたい。過去におきまして鉱業法においてトン当り五十銭の積立金があつた、それが昭和十四年から物価が上りましてから改正法になりまするまで依然として五十銭、そういうふうなことでは法律があつてもないような結果になるのでございます。この点においては格段の一つ審議を煩わしたいと考える次第でございます。それとこの耕地その他は、国土保全の点や食糧増産の面、公共的な面から政府としては取上げるが、非公共のものは取上げはできないというような御意見のようでございますが、私ども被害者としては誠にその点遺憾と存じております。国家が鉱業権を御認定になる、監督権を持つていらつしやる。でありますから、それらの点において被害が起るならば、これの補償すべき責任まで政府が持つて頂くのが当然でないか。今まで小さい小山を濫掘しまして、家がまさに倒れんとしておる、井戸水がなくなつておる、或いは墓石がひつくり返つておる、鉱業権者はすでにどこに行つたかわからんというような悲惨な事例もあるわけでございまして、これらの面は、少くとも私はやはり国家としてこれらに対して関与して頂きたいと考える次第でございます。  その次は鉱害復旧団の問題でありまするが、私ども被害者としては復旧団というような特別な団体を置いて頂くことは、行政等の簡素化、或いはそれらの面で、特別の費用を要するのじやないか、むしろ今までのような特別鉱害等のあり方によつて何とか善処をして頂くほうがいいのじやないか。もう一つは、被害者の立場から申しまして、地方公共団体に何ほどかの費用負担を命じておりますが、これは非常に苦境に陥つている被害者もやはり地方公共団体の構成の一員でございます。被害を受けながら、地方公共団体の一員として更に何ほどかの金を出せ、宝が地の底にあるからお前たちには何ほどか恩典を与えよう、こうおつしやつて下さるならばいいのでありますけれども、宝を持つておるためにお前たちにより以上に損害を与えよう、何ぼか出せというような私は考え方は、絶対被害者としては、地方のいわゆる住民としては承服できないことです。  只今申しましたように、今朝上京しまして、何も取りとめた構想もなく、貴重な時間を拝借いたしまして、なお私まだ申上げたいこともありまするけれども、小さいことに亘りまするので、何かの方法で以て諸先生がたにお願いを申上げたいと思います。大変失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
  76. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは本問題はこれにて打切ります。  丁度高橋通商産業大臣の御世席がありまするので、最初に戻つて予算問題に入りたいと存じます。大臣から昭和二十六年度の補正予算並びに昭和二十七年度の予算要求と、現在の折衝の経過について概略御説明を願いたいと存じます。
  77. 高橋龍太郎

    ○国務大臣高橋龍太郎君) 二十六年度の補正予算につきましては、通産省としては緊要欠くべからざる経費についてこの際できるだけ計上することを希望いたすものでありますが、一方各省にも各般の経費の要求があり、これを調整すべき財政当局とも十分打合せしまして、この際必要最小限度の経費を計上することにいたしたのであります。このため補正予算に計上した項目は、第一は輸出振興のため輸出信用保険の基金を十億増額し、プラント輸出の振興に遺憾なきを期したこと、第三には、競輪益金の国庫納付金が、当初予算に計上しました以上に増加しておる関係上、その一部一億円を自転車工業振興に充てることといたしたこと、第三には、貿易特別会計の整備のため新たに必要の経費が起りました、これに四億九千六百万円を計上したのであります。これらが主なる内容でありますが、そのほかに給与改善費及び今回の行政整理のための人件費の減少等を差引き計上しておるような次第であります。次に行政整理につきましては、累年整理実施して参りました通産省といたしましては、この際更に二割以上の整理を断行することは極めて困難でありますが、私といたしましては、国民負担の軽減を目的とする今回の行政整理基本方針には積極的に協力し、各種行政事務の内容を一々十分に検討いたしました上、この結論を出した次第であります。整理すべき人員の後途につきましてはできるだけ努力いたす決心であります。  次に二十七年度の予算要求につきまして御説明申上げます。通産省といたしましては、次に申述べまするような項目は、刻下緊要な通商産業政策といたしまして必要で、これに十分な経費を要求せねばならないと思うのであります。即ち主要項目につきましては、二十七年度予算要求は、二十六年度の成立予算に比しまして、貿易振興対策において七億六千三百九十八万円、技術振興において四十六億一千四百六十二万円、中小企業対策において五億四千五百万円、資源開発において二十三億二千二百六十四万円、自転車及び自動車工業振興において一億七百五十四万円、その他六億四千三百万円、合計八十九億九千七百二十二万円の増加要求をいたしております。このほかにも一時的支出として輸出信用保険特別会計資金三十億、通商企業信用保険基金増額に二十億、なお商工組合中央金庫出資金に六十億等の経費を要求いたしておりますが、結局一般会計総額は二十六年度百三十三億八千五百九十五万一千円に対し、二十七年度二百六十五億四千八百五十万五千円であります。差引き百三十一億六千二百五十五万四千円の増加要求をいたしておる次第であります。尤もこれは要求でありまして、財政当局と目下交渉中であります。なおその内容の詳細につきましては官房長より説明いたさせますから、御了承願います。
  78. 永山時雄

    説明員永山時雄君) 只今大臣から基本的な問題につきまして御説明申上げた予算の内容につきまして、若干説明を加えさせて頂きます。お手許資料が配布してございますが、二十六年度補正予算でありますが、これは只今大臣説明にもありましたような、先ず輸出信用保険特別会計へ十億繰入、これは先頃この委員会政務次官から本国会へ提出を予定いたします法律案の御説明を申上げたのでございますが、その際に輸出信用保険特別会計法の改正を考えております。内容はプラント輸出の振興を主体とするものということで御説明を申上げたのでございます。それから第二は貿易特別会計残務処理事業費、これは本年度当初予算におきましても三十二億五千六百万円計上をいたしておつたのでございます。その後実行の過程におきまして若干補正をしなければならんという必要が出て参りましたので、ここにございますような四億九千六百万円の補正をいたしたのでございます。その主たるものは連合軍がかねてから日本側に向う側としての不用の物資を払下げをしておつたのでございますが、その代価の支払をしなければならんというので、取りあえず今年度の補正予算におきまして三億円計上をすることに相成つたのでございます。それが主たる内容でございます。それから自転車工業振興費は先ほど大臣説明がありましたように、競輪関係の収入も勘案をいたしまして、貸付金として一億円の予算を計上しております。こういう内容でございます。  それから二十七年度の予算でございますが、これは御手許の表で御覧を頂きますと、総額におききして前年度の予算と比較をいたしますと百三十一億六千二百万円増加いたしておるのでございますが、この中にはその二十六年度との実績比較という欄に書いてございますように、貿易特別会計残務処理に必要な経費三十七億七千万円、その他それぞれここに記載してございますような臨時的な経費を、二十六年度におきましても、二十七年度におきましても含んでおるのでございまして、従つてこれらを控除いたしまして、経常的な予算で比較をいたしますと、金額で比較をいたしますと、二十六年度の予算は五十一億千五百万円に対しまして、来年度の要求は概算百四十一億千二百万円ということで、その間八十九億九千七百万円ばかりの増加に相成つておる。これは無論要求段階もございまして、まだ大蔵省と本格的な折衝に現在の段階では入つておりませんので、従いましてこれがどの程度決定になるか目下のところは見通しは全然ついていないという状況であります。で、来年度予算要求案の編成の考え方は、前々から申上げておりますような、通産省の重要政策といいますか、施策といたしましては、何と申しましても貿易振興がその第一であります。その他は技術振興、中小企業対策或いは資源開発というような項目、いずれもこれらを共通して産業合理化といいますか、企業の合理化といいますか、そういうものが横に一貫をした大体これらの四つの項目が通産省としては従来から施策に重点を置いておる問題でございますが、それらの項目におきましては、ここに記載してございますように、貿易振興対策も七億六千三百万円の増加予算、以下技術振興、中心企業、それぞれ御覧を頂きますような金額を、前年度に比較いたしまして増加要求をいたしておる。結局先ほど申上げましたような八十九億九千七百万円の増加予算というわけでございます。  それでその中の主たる内容は然らばどうかという点でございますが、主な事項において極く概略御説明を申上げますと、貿易振興対策では、本年度の予算に載つておりましたような、海外見本市の参加費の補助、或いは在外事務所の見本陳列費、それから海外通商情報及び競争見本収集補助、JETRO関係でございます。それから輸出信用保険特別会計の繰入というような項目につきましては、この表にございますようなそれぞれ本年度に増した金額を要求いたしておりまするのでございます。新らしい費用といたしましては、貿易組合の補助、それから輸出品検査施設の補助、東南アジア経済協力費、それからプラント輸出促進費、輸出機械の総合陳列館建設補助というような費目で、それぞれ貿易振興の経費要求をいたしておるのでございますが、これらはいずれも海外市場の調査、或いは海外に信用を博します意味で、ダンピングの防止を図るために国内事情を海外に宣伝する、或いは輸出品検査を、民間機関に対して適切な検査が行われるような補助をする、或いは当面極めて大事な東南アジアの経済協力、或いはプラント輸出を促進するというような意味で、海外調査、或いは使節団を派遣するというような趣旨の、いずれも貿易振興上大事だと思われるような経費であります。それから技術振興の経理でございますが、これ又現在行われておる日本の状況からいたしますと、最も重点を重かなければならないものであります。かように考えまして、本年度の予算十八億五千五百万円に対しまして六十六億という金額を要求いたしておるのでありますが、主たる問題は試験研究所員の整理ということで、特にそのうちでは研究機関の総合集約化を図ろう、これは現在経費の関係、建物の関係、施設の関係等で相当各所に分散をされております研究機関を、特に在京の研究機関をできるだけ総合化し、集約化して、そうして能率を一層発揮して行こう、効率を上げて行こうという意味の予算でございます。その他試験研究設備の近代化、国立の研究機関の設備の近代化を図る経費、或いは国の研究機関が行うよりも、むしろ民間の機関に委託研究をさせるということが適切なような、そうした研究につきましては新らしく委託研究費というものを計上いたしまして、その途を開いておるというのであります。それから民間試験研究機関の助長育成といたしましては、本年度の予算にも計上してございます鉱工業技術研究の補助、それから工業化試験の補助、前者はやや基礎的な補助金、後者は工業化の段階に入つているような、熟して来ているような、そういう試験に対しての補助、それを本年度の予算よりも更に相当額増額をしておるのであります。それから産業技術の近代化、合理化と言いますか、近代化と言いますか、そういう関係予算といたしましては、昨年度ほぼ通るべくして遂に成立を見なかつた産業設備近代化の補助金、これも引続き来年度におきましても要求をして実現をして行こうという意味でございます。それから優良機械の試作補助、これは特に輸入機械につきまして見本品の輸入をいたしました上で、これを国内でそうした機械の試作に補助金を出して、国内的に製作が十分にできて行くように強化をして行こうという意味のものであります。それから鋳造、鋳物工業が機械工業において占めております重要性に鑑みまして、これらに対しても計上しています。或いは工業化を合理化、近代化して行く見地から補助して行こうという意味で経費をそれぞれ計上して置いたのであります。それから発明実施関係としては、新たに発明事業団というようなものを政府出資で作りまして、これが発明資金の貸与或いはその研究の助成というような施策を講じて行こうというようなことで、発明事業団というものを、現在発明協会というものがございますが、それの外郭の一つの機関として作つて、発明協会をしてこれを運営さして行こうというような構想で、そのために出資金三千二百万円、そしてその事業団が運用する貸付金といたしまして一億円ほどを計上するという構想でここに計上いたしたのでございます。  それから中小企業対策でございますが、本年度、二十六年度の予算にございますような共同施設費の補助、その他の項目につきましてはそれぞれ御覧を頂きまするような、いずれも相当額増加をいたして要求をいたしておりまするほか、商工組合中央金庫につきまして、これを増資をするという趣旨政府からの出資金を予算に計上いたしたのであります。  それから資源開発でございますが、資源開発につきましても、現在の日本の外貨の不足の状況からいたしまして、或いは物資取得の困難な事情からいたしまして、できるだけこれに重点を置いて行くという考え方で、先ず石炭増産対策といたしましては、坑木の現在の需給関係からいたしまして、それの使用の合理化補助を講ずるとか、或いは現在の石炭の企業の内容からいたしまして、できるだけこれを合理化をして行くという意味で、採炭方式の改善の補助、或いは炭鉱の機械化の補助、選炭技術の合理化の補助というような経費を、それぞれ合理化、近代化の経費として計上して行く、それから前々からの引続きの事業として、埋蔵炭量の炭質調査費もこれ又計上するという方法を講じておるのであります。その他の地下鉱物につきましては、本年度予算にあります採鉱探査の補助金のほかに、更に特定地域の鉱量の調査或いは産金の重要性からいたしまして、金鉱業の復興補助或いは採鉱技術の改善費補助乃至は不足鉱物の増産対策といたしまして、機械の購入費を補助するとか、硫黄が世界的に不足しておる現状からいたしまして、硫黄の精錬方法を改善するための補助金だとか、或いは鉱山の道路の整備の補助金というものを、不足鉱物の増産補助施設として出すという方策をとつておるのでございます。原油、石油関係につきましても、本年度の経費と同じように、試掘或いは地質調査関係予算を計上するほか、天然ガスの補助につきましても同じような方策をとろうというもくろみを入れておるのでございます。そのほか自家発電の開発を促進する意味のその調査費の補助金或いは増産に伴う保安関係の強化を図る意味におきまして、鉱山保安関係予算を計上するというような施設も併せて講じて行きたいというのでございます。  それから自転車或いは自動車工業、競輪或いは自動車競走の関係につきましては、来年度は自転車関係で四億九千四百万円、それから自動車関係では八千五百万円の予算を計上いたしまして、今年度とほぼ同じような方法で奨励振興方策を引続き実施をして行きたいとかように考えております。  大体以上ざつと御説明申上げました。
  79. 古池信三

    理事(古池信三君) 御質問ありませんか。
  80. 結城安次

    結城安次君 いずれ又あとでお伺いいたしますが、第一頁の貿易振興対策の所で第(10)のその他が、昭和二十六年度は六十三億八千七百万円、それが来年度は十六億二千五百万円に減つておりますが、この六十三億八千七百万円というのは大体どういうふうな内容のものですか。
  81. 永山時雄

    説明員永山時雄君) この六十三億の中の大きな費目は、貿易特別会計を御承知通り清算をするということになつておりまして、その関係残務処理の経費として三十七億七千万円というのが一番大きな費目になつております。ほかに緊要物資特別会計、例のニツケルその他の物資を特需用として輸入をするというような特別会計を御賛成頂いて存置したのであります。それに対する出資金が二十五億、こういうような費目が主たる内容であります。
  82. 結城安次

    結城安次君 それから〔II〕の技術振興対策、この(2)の所に鉱工業技術研究補助という所に自転車に対する八千万円がございますが、それから(4)の発明実施化試験補助、ここに四百万円、それから最後の自転車振興対策という所に四億九千万円とありますが、こういうふうに分けたのは、振興対策というのはどういう意味ですか、こういうふうに分けたのは。
  83. 伊藤繁樹

    説明員(伊藤繁樹君) 御説明申上げます。そのお配りいたしました資料の中には、自転車の関係の経費が二十六年度は四億五千万円、二十七年度は四億九千万円と計上してございますが、これはいわゆる主管原局でありますところの機械局の関係の経理だけを計上したものでありまして、その他若干他の所管部局の事業に自転車の益金を見返といたしまして計上した経費が載つてているわけであります。その一部が只今御指摘になりました経費でございまして、四億九千万円全部が自転車の経費ではございませんが、そのほかに自転車につきましては六千八百万円の経費がいろいろな他の局部に分割されて入つているわけでございます。
  84. 結城安次

    結城安次君 そうすると、この中の各項目はほうぼうに分れて入つているという意味に解してよろしうございましようか。
  85. 伊藤繁樹

    説明員(伊藤繁樹君) これは書き方の問題でございまして、自転車の経費だけを特に抜き、集中して書いてもよかつたのでありますが、たまたま共同施設補助金とかいろいろ項目がございまして、その分から自転車の関係だけ抜きますと、その点が読みにくくなるものですから、別に特掲項目の中に入つておりますものはその中に入れまして、漏れましたものを全部自転車経費として計上したわけであります。
  86. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは予算の問題は、今日は時間もありませんから、いずれ恐らく他日に護られると思いますので、資料お願いすると同時に、大臣ちよつと根本的なお考えの二、三を伺つておきたいと思います。  先ず第一は、今度の行政機構改革人員整理というのはどちらに重点を置いておられるのか、特に通商産業相としてはどういう考えでおられるのか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  87. 高橋龍太郎

    ○国務大臣高橋龍太郎君) 私は、私の所見では今度の行政改革というものは、機構改革のところに重点を置くべきだと思うのであります。政府仕事検討して整理簡素化して行く、それに伴つて自然に人員が減つて来る、そういうふうに私は考えております。
  88. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、先ほど説明を頂きました人員整理の御計画によりますと、いささかそれと方針の違つた点が出ているのではないかと私は思うわけであります。例えて申しますと、説明にもございましたが、技術庁であるとか、或いはその他の研究機関等につきましては、余り整理の対象になし得ないものがある、こういうことを述べられたのでありますが、それでもなお且つ相当人員整理の対象に挙げられているわけであります。例えば工業技術庁で申しますと、約三百七十名近い人が対象になつているわけであります。技術庁のような所は、御承知のように技術者のいわば集団でありまして、こういう技術庁の本来の使命を果させようと思いまするならば、同じような比率での圧縮ということはあなたが述べられた方針にも私は合わないのではないかと思うのであります。今の行政機構を中心にしてやるということでありますならば、今通産省として重点を置かれなければならんというような工業指導に対する機関、技術指導に対する機関、或いは従来ややもすれば軽視の傾向にありました中小企業庁等の拡充というような点を中心にせられて、そうして不急不要の部面の圧縮を考えなければならんという工合な方針で行かれるのが正しくはないかと思うのであります。どうもこの表を見ますると、通産省に対して二割ばかりの人員整理が大体予定されている。その二割の人員整理をこういう工合に按配したならば最もうまく行くのではないか、こういうような工合にやれば人員整理ということに重点を置かれて、そうして内部の再調整が行われて行くように私は考えるわけであります。この点はどういう工合に考えておられますか。
  89. 高橋龍太郎

    ○国務大臣高橋龍太郎君) それは至極御尤もなんですね。ところが機構改革案のほうはまだ検討中でできていないのであります。全体この機構改革案と人員整理のほうと一緒に出るのが望ましいので、現在では遺憾ながらこの機構改革のほうがあと廻しなつているので、今の御意見の点は私も御同様に感ずる点がたくさんある。ただそれなれば人員整理のほうは又できんじやないかというお考えであれば、今御指摘になつた技術庁のごときもですね、技術庁の中に研究所、試験所、それの支所だとか何とかいうものが数十あるわけですね、それらを検討して見ますと、それをおいたときにはそのおく理由があつたのですが、例えばある所でこういう工業の試験所をおくとか研究所をおく、ところがだんだん時代が進んで来ましたからして、もうそういうものは必要がない。通産省で持つ必要はない、民間或いは地方、或いは府県に移してもいいものがあります。で、そういうものを検討して見ますというと、今何人でございますか御指摘になつた数ぐらいは減員できるという結論を得たわけなんであります。一々につきますと、今のあなたの御意見は私も同感なんですが、ちよつとそういう事情機構改革の法案があと廻しなつて、それは併しそのほうも年度内には出ますわけです。それが出ますというと完全ですが……。
  90. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは希望になりますが、実は過日議院運営委員会でありましたか、農林委員会でありましたか、私ちよつと確めておりませんが、岡崎官房長官の出席を求めまして、私のほうの羽生君が質問いたしましたときに、非常に奇怪なことが述べられたのであります。それは今申上げましたものの考え方を論じておつたときでありまして、農林省の人員整理につきまして、人員整理の絶対値を示されて、それで農林省の機構改革は一向明らかにならない。そこでどちらが先かといういろいろ話をしておりましたところが、行政機構のほうの改革のほうが先である、重点であるということが述べられたわけで、今あなたがおつしやつた通りのことが述べられた。それで然らば人員整理の中には米の統制撤廃関係する分が相当たくさん入つておるが、若し行政機構改革において米の統制撤廃ということが国会で認められなくなつたときには人員整理したけれども、役所は残るというときにはどうするのか、こういう質問をいたしましたときに、官房長官は、そういうことになりますれば食糧関係の役人は又元へ戻すのだと、こういう答弁がありまして非常に失笑をかわれたということを私は聞いておる。従つてそういう不見識なことでは困りますので、若し人員整理の計画を立てられるならば、やはり先ほど述べられたような大原則を貫くように通産省は努力して頂きたい。特に先ほど研究機関の総合集約化の話が出ましたので、これは是非とも私は資料を頂きたい。具体的にどこの研究機関をどういう工合に整理して、集約統合をするのかということを頂きたい。これは私もやはり技術に若干関係がありますし、大臣もよくおわかりだと思いますが、研究機関というものは、地方の研究所を東京へ集中したからそれでいい研究ができるというものでは断じてないわけであります。ただ多くのものを一ヵ所に集中しますれば、或いは総務係のようなものは減るかもわかりませんけれども、研究機関そのものは決してさようにはならん。学者も全国的に点在しておるわけであります。又それぞれの系統、産業の基盤等も各地に分れておるのでありますから、決して一ヵ所に集中したからいい研究が早くできるということは絶対にない。従つて私どもは官房長が先ほど研究機関の能率化を挙げるためにこういう経費を組んでいろいろ集約するのだということをおつしやいましたが、研究機関の能率を挙げるということは一体どういうことであるか。これを先ず最初に伺わなければ私はにわかに了承しかねるわけであります。従つてこの問題はこの次の問題に残したいと思いますが、具体的の、これは研究所の数はきまつておるわけでありますから、これをはつきりとお示しを願いたい。そうしてこれは一つ一つについていま少し深く掘り下げて研究をいたしておかなければならん。これを人員整理の対象にいたしまして当を得ないような整理をいたすことになりますれば、日本の産業指導のために非常に私どもは悔を残すことになる、こういう工合に考えるからであります。この点は資料を頂きたい。  それから第二の問題といたしましては、産業近代化の問題は経済自立、更には国際物価の鞘寄せということで首藤政務次官は先国会以来力説をしていられたのでありまして、法案が提出されるということで私ども待つておるわけでありますが、この二十六年度の補正予算にはこれに対する費用というものは全然顔を出していないのであります。過日の法案の説明のときには、臨時国会にできれば提出をする、提出するように努力をするということを言われた。そのことは裏を返して申しますれば、臨時国会への提出が間に合わなくても通常国会には必ず出すという私は御公約であろうと解釈をしておるのでありますが、そういうような緊急を要する産業近代化に対する費用が全然この補正予算に組まれておらんということは、先国会以来首藤政務次官通産省を代表して我々に非常に力強く力説せられたところの実行の意思というものが極めて薄いということを私は指摘せざるを得ない。この点はいま一度はつきりと私どもに了解の行きまするように御説明を願いたいと思います。
  91. 高橋龍太郎

    ○国務大臣高橋龍太郎君) 企業近代化というものは私も非常に必要を感じておるのです。これに関する法案は恐らく一部臨時国会に議員提出として出るだろうと思います。議員提出でなければ省から出したいと考えておりますが、少くとも通常国会には出します。  それから先刻の企業庁の、何と言いますか、改組案の資料を出せというお話でございましたが、これは暫らくお待ちを願つて、いずれ案ができましたならば無論御意見を承わりたいと思いますが、只今まだ資料を出すほどに進んでおりませんので、でき次第出しますから御猶予願いたいと思います。
  92. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、私がお尋ねいたしましたのは、産業近代化に対する予算の計上は、二十七年度のこの要求項目の中には入つております。今説明を伺いましたが、併し二十六年度の補正予算に一銭も計上されていないというのはどういう意味合いでありますかというように御質問しておるのであります。
  93. 高橋龍太郎

    ○国務大臣高橋龍太郎君) 先刻御説明したのは、補正予算のほうはこの以外にもいろいろ要求をしたわけなんですが、結局承認を受けたものを御報告いたしたわけで、これは私どもも甚だ満足しかねる点が多々あるのを遺憾に思います。
  94. 栗山良夫

    栗山良夫君 それではこれは先国会以来の話でありますから、首藤政務次官一つお尋ねをいたしますが、私はその通産省からいろいろな費用を要求せられて、財政当局である大蔵省と御折衝になつて、或るものは容れられ、或るものは容れられないということは、これは予算技術上わかるわけであります。併し先国会以来、私或いはここにおられまする境野委員、或いはその他相共に声を大にして叫んだのは日本の経済自立の問題でありまして、而も国際物価への鞘寄せの論争をいたしました場合に私どもは労働対策とも睨み合せていろいろ憂慮すべき事態をつぶさに述べたのであります。それに対して明確な御答弁はありませんでしたけれども、とにかくその一つの助けとして産業の近代化をやりまして、そうしてコストを引下げることにこれは万全の努力をするのである、先国会にすでに近代化法案は提出するとまで言明されたのであります。そういう工合に現在の通商産業省が対外貿易ということを考えて日本の産業の振興を専ら担当される省であるといたしまするならば、私はこれが産業省という名前ならばあえてそこまで追及いたしませんが、通商産業省というあえて名前を呼びにくいのを我慢してまでも通商という字をくつつけられた、その意味合いからいたしましても、又先国会以来のあなたがたの非常な熱意ある御発言からいいましても、その裏付けとなる予算が二十六年度の補正額にお出ししてないということは、極めて熱意が乏しかつたということを私は感ずるのであります。これを私はお伺いしたいと言つておるわけであります。
  95. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 栗山委員の御発言の通り産業の近代化法案でありますが、合理化に必要とする法案は、先国会におきまして是非とも提案いたしたいということで、我々としましてもあらゆる努力を実は傾倒いたしたのであります。併しながら不幸にいたしまして、大蔵省との間の折衝が妥結に至らないうちに閉会になりましたので、遺憾ながら先国会に提案できなかつたのであります。そこで今度の臨時国会に対しましてはいやが応でも提案しなければならんという考え方の下に、爾来大蔵省との間に引続き折衝を続けて参つたのであります。ところが当初法案の内容として作られましたのは、その当時大体御報告申上げたかと記憶いたしまするが、一定の留保金を作りまして、それに対しては免税措置をする、そうしてそれで新らしい近代的な機械を購入するという実は案であつたのであります。ところがこれに対しまして大蔵省との妥結はできないのみならず、その後全面的に大蔵省のほうで反対という実は態度を表明いたしました。いろいろ折衝いたしたのですが、どうしても妥結は困難になりましたので、最近になりまして急速方針を変えまして、実は償却年限を、一応現在のきまつた償却の命数だけはそのままにして置きますが、そのうち大体六割ぐらいは三ヵ年の間に償却する。例えば十五ヵ年の命数のものを三ヵ年で六割乃至六割二分くらいの償却を認める、そして残りのものを十二年の間に償却して行くという程度の一応の話が今できかけつつあるのであります。これも我々といたしましては決して満足いたしておりません。けれども近代化法案の急速な実施を切望いたしておりまする関係上、これが折衝に徒らに時日を遷延するよりも、この程度でもともかくも早くやつたほうがよかろうという実は気持を持ちまして、最近大体まとまるのではないかというところに来ておるのであります。ところが今回の臨時国会は先般も申上げましたごとく、講和条約並びに安全保障条約の問題が主たる国会であります。従つて法案も極く少数の、恐らくこの条約に関連した而も非常に急を要する法案の提案にとどめてもらいたいという実は内閣方針決定しておるのであります。従つてこの法案をこの国会に提案するということは困難ではないかというような情勢になりましたので、大蔵省の折衝にも時間を要しました、かたがた通常国会に提案しなければならないというような今状態にあるのであります。かような関係上非常に遅れておりますが、大体今のところでは通常国会に間違いなく御提案できるというふうに考えておるのであります。
  96. 栗山良夫

    栗山良夫君 それだから、あなたがたの御熱意は……通常国会に提出することができるというふうにおつしやるから、従つてそれの裏付けとなる予算というものはどうなるのかということを御質問いたしておる。通常国会にもう一度補正予算を御提出になる予定でありますか。只今説明を聞きますところによりますと、二十七年度の産業技術の近代化をされるには、産業設備近代化補助金というのが十億二千九百三十八万一千円計上されている。で通常国会に出す、こら言われておつて、ただ税法上の若干の緩和程度産業設備の近代化であるということは、それは名前が少し内容と合つていないと、こう言わざるを得ない。やはり二十七年度の予算に計上されておる金額の当否は別といたしまして、こういうふうに仕事が進められて行くのが政府の行わるべき産業の近代化であると私は了解いたしたい。従つて通常国会にその法案が提出されるということになりますれば、当然三十七年度の予算に予定されているような仕事ができるようにその法案の中に私は盛られるものと了解をせざるを得ない。そうしますれば、今度の補正予算に当然入らなければならない。で、私は更に重ねて伺いますが、この二十六年度の補正予算というのはこれつきりでおしまいなのか、来るべき通常国会にもう一度補正予算を御提出になるのか、その辺を明らかにして頂きたい。
  97. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 二十六年度の補正予算は、この臨時国会で提案されました予算で一応打切りになる、非常な重大なもので、何らか特殊な問題が通らない限りは、これを早くしたいと思います。
  98. 栗山良夫

    栗山良夫君 それならばなぜ二十六年度の補正予算に今の産業近代化に関する経費を顔出しをされなかつたのか。これは大蔵省との折衝が間に合わなかつたとおつしやるのですけれども、そういう間に合わなかつたというだけでは、私どもどうも理解いたしかねる。というのは、これは或る意味においては、現内閣のやはり産業政策上一つの支柱になるべき仕事でなければならん。若しそれについて論争がまだ足りないということならば、私ども大いに先国会以来の論争の引続きをやつてもいいわけで、ロにいろいろ経済自立のことを唱えられましても、実行の面が全然現れていないということになれば、どうしても了承し得ないのであります。
  99. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 先ほど申上げましたごとく、いろいろの事情から、法案が到底臨時国会には提案はむずかしいという見通しがありましたので、更に又この臨時国会には、先ほど申上げましたごとく、極く限られた予算だけにとどめるという内閣方針決定いたしましたので、その線に沿いまして臨時国会には提案しなかつたということになります。
  100. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、こう了解してよろしゆうございますか。来るべき通常国会産業近代化法案が提出をせられて、そうしてそれが可決になりましても、法案として成立しましても、その実行は二十七年度に入らなければできない、こういう工合に理解してよろしゆうございますか。
  101. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 現在のところはさように御了承願いたいと思います。
  102. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、産業近代化法という通常国会に提出される法律案は、通常国会においてもそう急ぐ必要はないという結論にもなるので、なぜそれでは、できれば今国会、臨時国会にも産業近代化法案は提出したいというようなことを述べられたか、そのお考えをお聞きしたい。
  103. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 繰返して申しまするが、かような重要法案でありまするから、一日も早く御協賛を得たい、実行いたしたいという気持から、この国会に提案を計画したのでありまするが、いろいろの客観情勢がこれを許さない、従つて止むなく通常国会に提案することに相成つたということであります。
  104. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の設備近代化の問題は、私は全く栗山委員と同感であるのでありますが、この中小企業対策の問題に関しても、商工中金に何か六十億というような予算を二十七年度に要求しておる。併しまあ我々が考えれば、商工中金の問題は大蔵省の管轄だと思いますが、例の国民金融公庫は年末金融を控えて三十億ばかりの出資ができるというような形なりに、商工中金のほうはこの補正予算にも全然載つておらんというようなことは、もう今の設備近代化のお話と同じで、商工中金に関してはいわゆる来年度、二十七年の四月以降でなければあれは拡大できないのだというような形になると思うのでありますけれども、この補正予算に出さなかつたのか、出して通らなかつたのか、その辺のいきさつを承わりたいと思います。
  105. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 商工中金に対する金融問題につきましては、境野委員も大体御承知つておるかと存じておつたのでありまするが、過去三ヵ月に亘りましてあらゆる実は折衝を続けて参つたのであります。ところが大蔵省の見解は財政資金を支出いたしまする相手は政府機関でなければならん、これは要するに国民金融公庫であつて、商工中金はこれに該当しないということが大体論争の頂点でありまして、その点について幾たびか実は折衝を続けて参つたのであります。最後に至りましては党の政調を中心としまして、更に党からも折衝を続けたのでありますが、どうしても大蔵省の態度が軟化しないのであります。飽くまでも政府出資は政府機関に限るということで終始いたした関係上、而も国会の期日も切迫いたしました関係上、一応この臨時国会には提案しないことにきまつたのであります。併しそれでは年末金融が、殊にこの中小企業の年末金融に非常な不安を感じまするので、別途運用部資金から三十億円、それから市中銀行から二十億、いずれもこれは商工債券でありまするが、これを発行いたしまして、五十億を融資するという一応の了解が現在できておるのであります。これを年末金融に当てまして、更に通常国会で別途の要請をいたしたいというのが現在通産省の持つておる構想なんであります。
  106. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは本日の議事はこの辺で終了したいと存じますが、明日の委員会のことでありますけれども、聞くところによりますと、大蔵大臣の財政演説が午後二時頃であるという話であります。従つて委員会は午前十時に開会することといたしまして、主として貿易関係の全般的な調査をいたしたいと存じます。御了承を願います。  それでは本委員会はこれを以ちまして散会いたします。    午後四時二十四分散会