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1951-11-15 第12回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)    午前十一時二十分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            岡本 愛祐君            石川 清一君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方財政平衡交付金地方公務員  の給与引上げに関する問題)に関す  る件) ○連合委員会開会の件   ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では本日の会議を開きます。  本日は、地方行政改革の問題につきまして御審議を願いたいと思います。先ず最初に文部大臣以下文部省関係官がおられますから……。
  3. 相馬助治

    相馬助治君 この際文部大臣に二点ほど伺つておきたいのです。地方財政平衡交付金が常に政府経済政策によつて左右せられまして、地方財政委員会勧告すら無視されて今日に至つているわけでありまして、このために地方財政がもう極度の窮迫状態に立至つていることは文部大臣もよく御了解のところだと存じます。その地方財政窮迫が、直ちに財政的に弱い教育の面に皺寄せをせられまして、今般政府補正予算措置するようなままで参りまするならば、誠に地方教育遂行上重大な支障を来すであろうということが我々には心配されるのでございまするが、そういう前提に立つて一つつておきたいと思いますることは、現在の補正予算政府提案補正予算、それで以て昭和二十六年度におけるところの教職員給与改訂、年末手当、そういうものの財源措置文部省としてはできるお見通しであるかどうか。でそのままではできないとするならば、どのような政治交渉を経て文部省としてはどのような結論を今日お持ちであるかどうかということを財政上から一つお伺いしておきたいと存じます。  第二の問題は、現在各府県とも国が定めた基準に教職員の定数は充ちておりません。この際伝えられるところの行政整理というものが、地方教職員に対しては、どのように措置される文部省としてはお見通しであるか、この二点について、一つかなり詳しく文部大臣自身計数亘つてお答えづらいところは、係の人でも結構でありますが、お聞かせ願つておきたいと思います。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一の点につきましては、私も相馬さんの言われる通りに、地方財政の非常な窮乏のために、教育財政が非常な困難に陷つておるということは承知いたしております。けれども文部省としては、今度の給与ベースアツプというようなことでも、何とかそれが都合できるような処置がしてあると事務当局考えておりますので、その計数のことは事務当局から今御説明をいたさせます。  それから第二の点につきましては、教育支障を来さないように、教育支障を来すような減員ということは、これは到底自分らは受入れられないことでございますから、その点を地方行政簡素化本部交渉をして、今以て結論に達しないのは、私どもがどうしても自分たちの基本的な線を守ろうとしておるためでございます。  その前の計数的なことをこれから事務当局説明させます。
  5. 辻田力

    政府委員辻田力君) それでは計数的な面につきまして私から御説明申上げます。今回の地方教職員給与改訂に関する財源措置につきましては、一応本年一月に行われた第一次給与改訂の問題と、この十月から実施されようとしておりまする第二次給与改訂と、二つの問題に分けて考えることができると思うのであります。というのは、前回の第一次給与改訂におきまして、当時いわゆる千円の引上げということで、本年度平衡交付金千百億円が計上され、一人当り一千円の増加についての財源措置をされたのでございますが、併しその給与改訂後実際の実施状況を具さに調べて見ますると、教員については、級別推定表改訂等を加えまして、二千円を越える引上げとなつたのであります。従つてこの不足額を補填しなければならんのであります。又第二次の給与改訂は、この度の千五百円ベース・アツプでありまして、新たにその所要額を全額見なければなりません。文部省といたしましては、教職員のこれら給与改訂に関する財源措置につきまして、しばしば大蔵省交渉いたしました結果、次のような了解に達したのでございます。即ち本年四月から九月までは、旧ベースと現ベースの差額を実績によつて二千七円とし、これから前回財源措置されました千円を差引きました残りの千七円の不足分について、追加財源措置を行うことといたしました。次に十月以降来年三月までは、この千七円に調整を加えまして、これを八百三十四円に抑え、その上に第二次ベース改訂分として千六百三十八円を加えたものを單価といたしまして、財源措置することにいたしたのであります。これによつて第一次、第二次分を通じて、給与改訂のために今回新たに財源措置が講ぜられた額は百二十八億円であります。これにこの改訂基礎とした〇・八カ月分の年末手当増額分二十七億円と、共済組合費恩給費寒冷地手当石炭手当等増額を合せて、総額百七十億円が今次補正予算における平衡交付金等増額基礎として考慮されておるのであります。  なお、これらの額の計算基礎といたしました人員につきましては、義務教育職員予算定員、即ち小学校については、五十人の増に対して一・五の割合、中学校については一・八、それに結核休職者の一・三三%を加えたこの予算定員といたしまして、即ち小学校におきましては三十四万三千七百二十五人、中学牧におきましては十七万七千七百三十八人、盲聾唖学校におきましては三千八百五十二人を取りました。その他の職員は二十六年の四月三十日の現在の現員を抑えまして、高等学校におきましては七万七千三百二十七人、その他六千八百四人を取つたのでございます。従つてこの百七十億の財源措置は現在人員を以てする教員給与改訂実施と年末手当の支給について見れば、何とかこれを賄われるものであるということを信じているのであります。勿論今日の地方財政現況から考えまして、非常にこれが簡單に行われるということは言いかねるかも知れませんが、我々としまして財源措置の面からは一応そういう計算になつている次第でございます。
  6. 相馬助治

    相馬助治君 只今お話ですが、数字の上から見ますと、今の局長説明で十月以降行われんとする千五百円のベース・アツプも、それから年末手当財源措置も可能であるというお答えですが、これは数字の上から言うと、一応そういう結論が出、同時に私の質問に対してあなたがそういうふうにお答えになるということはわかりますが、現実の問題として私どもが心配している。むしろ文部省側に立つてどもがこの当地方行政委員会が心配しておりまする問題は二点ある。先ず第一は、数字上仮にそういう財政措置が可能であるとしても、この大蔵省補正予算を出して、いわゆる百億の平衡交付金を計上する基礎となつている資料を見ますというと、地方税なんかもかなり過大に見積つておりますし、その他、雑収入というようなものも相当大きく見積つているわけであります。そういうような観点から私どもとしては、これはかなり教職員給与改訂というようなことは、現実の問題として困難であろうという一つ見通しを持つていたわけであります。そこで一昨日当委員会関係者を呼んで、即ち府県理事者、市長、それから日本教職員組合代表者、その他自治労連代表者等を呼んで話を聞いて、その結果私どものわかつたことは、労働組合側が騒いでいるだけでなくて、現に知事のほうとしても、この大蔵省の出した計数というものは、極めて勝手な、中央政府に都合のいい点のみを強調して、そうして地方財政窮迫状態に、虚僞を以て真実に目を掩うような一つの統計上のやり繰りであるというふうな意味の話をされて、とてもこのままでは、いわゆる政府が今補正予算に計上しているような財源措置では、到底給与改訂などということは思いもよらない、こういうことを述べているのです。従いましてこの点についてはくどいようですが、どういうようなお考えですか。その一つの具体的な現われとして、地財委国会に対して勧告されました勧告書を見ましても、御案内のように地方教職員は三百七十五円国立学校教職員に比して高いということを申しているわけです。従つて文部当局はこの資料に対して同意を与えていられるのかどうか。即ち教職員国家公務員に対して俸給が高いということを文部省自身が認められているのかどうか。これらの点も答弁の中に含めて、もう一度局長からお話を承わつておきたいと存じます。
  7. 辻田力

    政府委員辻田力君) 国家財源と共に、地方財政の非常な窮迫状態にあるということにつきましては、我々も全くそうだと存ずる次第であります。そこで今回の平衡交付金算定に当りましての基礎資料として、我々が出しましたのはございますが、これはいろいろ折衝の結果、只今申しましたような結果になつたのでございますが、その只今申しましたことは、今度の平衡交付金算定の場合に織込んで、計算基礎に織り込んであるわけであります。それで大蔵省のほうで考えますような収入面が、確実にこれが履行されますれば、只今教育関係についてもこれが完全に履行できるものだというふうに確信している次第でございます。  次に只今お話のございました三百七十五円の問題でございますが、即ち地方公立学校の先生の給与国立学校教員給与より三百七十五円高くなつているということが計算の中に入つているが、それを文部省は了承したのかどうかというお話でございますが、これにつきましては、文部省といたしましても特別の資料を以て種々研究をし、大蔵省折衝を重ねて来たのでございまするが、地方財政委員会において若し地方公務員給与財源措置がそれでよい、即ち既成の事実を、既得の事実を含めてそれでよいというふうなことに計算上なりますれば、我々といたしましてもこれはいたし方ないと考えたのでございます。即ち今回は特別に二・五%の昇給財源を見込んだりいたしておりまするししますので、この三百七十五円というものが計算一つ基礎なつたといたしましても、現実地方教職員給与を引下げるということを要求するものではないということがはつきりいたしましたので、そこで我々といたしましては教育費に関するすべての計算の面から考えまして、四月、本年の四月十日の現員現給を基礎としてその上に千五百円のベース・アツプはできるものだという、財源措置としましてはできるものだという結論に達しましたので、これを承服した次第でございます。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると今の三百七十五円高いということは、現実がそうであるというふうに認めたのではなくて、国が財政措置する場合の一つのよりどころとして、そういう考え方大蔵省がしたことは止むを得ないとして認めたと、こういうわけなんですか、それともそのことはそれでいいのだ、こういうことですか。
  9. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今申しましたように、それは現在の事実を基礎にいたしまして、我々の資料から一つ結論を得ておりますが、それでそれから導いて財源措置としてはそれでできるということでございます。
  10. 相馬助治

    相馬助治君 この各府県教職員俸給は、これはもう私から御説明するまでもなくて、従来文部省の指導の下に、そうして又法律の定めるところによつて皆上げて来たと思うのです。勝手に上げたなどということはないと思う。むしろ文部省が指導し、又今までのたびたびの給与改訂に伴つて出されたいろいろな規則に正直に準拠して上げて来たところは、少いのではないかと思うのです。皆それより下廻つておると思うのです、現実は……。で一昨日神奈川県の総務部長の話でも我々は文部省言つた通りにもうそれを減らすこともない、殖やすこともない、忠実に守つてつて来たというのですね。ところが今になつて大蔵省がそれを高いと言い出した。これは大蔵省国家公務員に比べて高いということの意味はわかる、大蔵省が言うならば……、併し今になつてこれが高いのだから今度のベース・アツプについてはその分を見込んでそれだけ減らしていいのだというようなことをされても、現にその県としてはどうにもこうにもやりようがないと、こうおつしやつておるわけなんです。そこでまああなたのお話を聞くと、仮に三百七十五円というものを高いと大蔵省言つても、そのことは直ちに府県で以て三百七十五円を差引いてベース・アツプをしろという法的拘束力を持つているわけではないから了解した、こういうふうに御説明になつておりまするが、その点はどうなんですか。
  11. 辻田力

    政府委員辻田力君) 結論としまして申しますと、財源措置といたしまして我々としましては三百七十五円高いということを認めたのでありますが、併しこれを実施面におきましてはそういうふうな結果にならんという確信を得ましたので、それを了承したということでございます。
  12. 相馬助治

    相馬助治君 そういうようなわけで、実施面にもそれが差障りないとお考えになることのほうが私には不思議なのです。即ち国は明らかに教職員は三百七十五円高いということを認めておる。勿論役場の吏員であるとか、その他地方公務員全般関係ありますが、今日は文部省ですからその教職員関係だけ申上げておりまするが、三百七十五円高いということを認めておる。そうして地方ではそういう財源措置をした、そうしてそういう財源措置をもらつた県知事はそれに従つてやる以外に手はないのです。そこへ以て行つて局長はこういうことを御承知ですか。閣議決定の線で地方自治庁から通牒が出ていることを御承知でしようか。
  13. 辻田力

    政府委員辻田力君) 閣議決定をそのままこういうふうな閣議決定をされたということを自治庁から出されたということは、聞いております。知つております。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこういうふうに了解しているのですが、成るほど閣議決定通牒をされたでしよう。併しその閣議決定財源措置はこうしたというだけの通牒であつて地方で個々の実施に当つて必ずこうこうせよという通知ではないのです。それは平衡交付金性質上申すまでもなくできないことなんです。だからこれは地方に任せられておる。若しそういう平衡交付金にそういう條件をつけてよいものなら、私どもは多年何も標準義務教育費の確保なんかに苦労して来てない。苦労して来ているということは、平衡交付金ではそういう制限は付けられないということから来ている。だから今回の閣議決定財源措置としてはこういうことをしたという閣議決定であつて実施をこうせよということではない。実施をこうせよという拘束中央からできないということはあなたも御承知通りであります。それでありまして、只今申した三百七十五円というのは私は事実と、こう思つている。それが三百七十五円、どういうことか、それは詳しいことは文部省研究しておりますが、事実上地方公務員のほうが、詳しく言えば地方教育公務員のほうが国家教育公務員よりもそれは幾分か高くなつて来ている。だから若し原理的に言うならば、国家教育公務員地方教育公務員の線まで上げるということは、これは原理的に言えば、ならすということは当然言えることと思うのです。この現実の事実として、地方教育公務員が三百七十五円だけ高くなつているなら、それをここで切つてしまうということは原理的には言えるけれども現実の事実を認めて、三百七十五円の上にベース・アツプを私はしたい、こう考えているわけなんです。それをしちやいかんということは、平衡交付金性質上、中央から言えるはずがないのです。だからこれは地方に任せる。ところで、地方に任せきりでは、地方でもできないはずですが、その財源措置文部省考えたというのです。どうして考えたかというならば、欠員が二万人もあるということ、それから昇給ということもあるということで、そういう実際の問題としてはそれの解決ができる、こういう財源措置がしてある。それに対して、そんなことでは非常に不徹底であつて、原理的にもつと、例えば三百七十五円高い上にやれ、こういうことをなぜ政府はやらんかという論がおありかも知れませんが、これは先ほどから申した通り平衡交付金性質上そういうことができない、これは地方に任せてある、こういうわけです。
  15. 相馬助治

    相馬助治君 私はいささかの意見もまだ申してないので、お尋ねしているのです。その三百七十五円が高いということを認めたということは、それはその高いということを割出したことにまあ相当私ら不服があるのですが、暫らくそれをおくとしてもですよ。三百七十五円が高いという現実は認めた、併しこのことは、直ちに今度の千五百円ベース・アツプにそれを差引いて地方がやることではないのだ、こういうふうに文部省はお考えのようなんですね。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そうですよ。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 而も事実はそうならんと思うのです。という理由は、今の地方自治庁通牒も、国務大臣が言う通り、三百七十五円高いのであるから、それはそのようにして措置せよなどというような具体的なことを示しているのではないことは私もよく了解しているのです。で今度のベース・アツプその他、地方財政のやりくりについては、中央考え方というものを十分に考えて、適正なることをやれということを申して、指導的な言葉を以て、その文章は綴られているやに私ども承知しているのです。ところがそういうものをもらつた県知事は、現実の問題として、政府自体が三百七十五円高いということを言つておるのですから、そしてそれだけの財源措置しか中央からもらえないのですから、私は今の地方自治体の財政現況を以てすれば、そういう條件が積重つて来た府県において、とても私は文部省が言うような、望むようなベース・アツプというものが行ない得ないだろう。こういうことをまあ先ほどから心配してお尋ねしておるわけなのです。それで局長にお尋ねしますが、そうすると現在のように百億の平衡交付金、それから百五十億の起債、こういう財政措置が今度なされるわけなんです。御承知のように、地方財政委員会としては、あと百億平衡交付金を増せということを国会にも政府にも要求したのですけれども、どうやら今の見通しではなかなか実現が困難なようです。そういう際においても、実際問題としては、各府県末端において現在の平衡交付金の枠内において教職員ベース・アツプというものが可能であるかどうか、こういうことを我々は心配しておるわけなんです。従つてそれで可能であるとお考えであるかどうか。先ほどから可能だと申されておりまするが、私どもにはどうしてもそれが腑に落ちないので、その確言をお尋ねして、そうして仮に可能だというならば、私ども計数を挙げて質問をして行く以外に手がないのです。我々のこの地方行政委員会が超党派的に、現在政府措置したような平衡交付金起債枠等では、すでに地方財政においては給与改訂などというものは思いもよらないという結論に至つておりまするので、それらを参考に附加えてお尋ねをいたしたいと思います。
  18. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先ほど三百七十五円を引いてそれだけの財源措置しかしていないというお話でございますが、それは多少私たち考えは違いますが、これは單価につきましてそういうふうに承わつておりまするけれども義務教育費について申しますと、全体について計算しますと、只今大臣からお話がありましたように、ほかの場合においては現員でそれぞれ計算してありますが、この義務教育の場合におきましては、これはいわゆる予算定員五十に対して一・五とか一・八とかいう予算定員計算してありますので、その間においていわゆる予算定員現員との間が約二万人あるわけでありまして、その二万人の分も場合によつては使い得るわけです。それから又そのほかに二・五%の昇給財源も特に加えてありまするので、それらと併せて考えまするならば、本年の四月十日の現在におきまして、現在の現員現給を基といたしまして千五百円のベース・アツプはできる財源措置になつておるということでございます。それで只今お話がありましたように、平衡交付金の百億、或いは起債の百五十億、それから又その他の財源の問題、或いは税収入問題等いろいろありますが、その場合に、例えば税収入等におきまして、大蔵省のほうで予定されておるものが入らなかつたらどうするかというようなことにつきましては、これは我々としましては何とも申上げかねるのでありまして、現在の教育費の面から申しますと、我々としましては実現し得るようになつておりますということを申上げた次第でございます。
  19. 相馬助治

    相馬助治君 その問題はまあ解決点に到達しておりませんが、これに重大な連関がありまするので、先ほど文部大臣に尋ねたので、原則的なお話だけがありましたが、この教職員関係行政整理の問題はどういうふうになつておるのですか。
  20. 辻田力

    政府委員辻田力君) 行政整理の問題につきましては、現在地方行政簡素化本部研究をしておる最中であります。従つて、最終的な決定は勿論見ておりません。文部省からも、委員、或いは輔佐員として係官が出ておりまして、実情を縷々説明しておる次第であります。従つて、最終的な決定はまだ見ておりませんので、何とも申上げかねます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実は自治庁なり大蔵省のほうの関係から計数的に聞き出してから大臣にお尋ねしたいと思つておりましたのですが、そういうことになりませんので、計数には亘らないで実は大臣見解を二、三お尋ねしたいと思います。  閣議決定の事項については触れたろうと思うのですが、これは地方に対して具体的な措置を強要したものではなくて、中央政府における財源措置の方向として考えられたものであるというふうな政府見解というものを、ときどきお伺いするのであります。併しそれは、地方財政を担当する地方財政委員会配分等においてそういう考え方を持つということもあり得るでしようし、又財政全体を預かる大蔵省として、その心証の如何はともかくといたしまして、或る客観的な資料によつてきめようとすることも当然でありましよう。併し私は、文教責任所管の官署である文部省並びに文部大臣が、結果として給与ベースそのものが見込まれた通り上らないという事態になつて来ることについて、承認を消極的ではありましようけれども与えたやに伺つておる点は、私たちとして誠に遺憾に堪えないものであります。天野文部大臣は、本会議答弁等においても、道徳問題等について、個人的であるか、或いは大臣としてであるかわかりませんが、文教責任者として道徳実践要領かを広く頒布し参考に資するというようなこと等もお考えのそうでありまするが、これらはすべて学校教育現場教職員の肩にかかつて来る問題であります。然るに現場における教職員は、文部大臣といえどもこれで十分なる生活基盤を持つたものだとはお考えにならんでありましよう。然るに、この財政的な問題から止むなくこういう考え方を持つこととして、而も今の局長の御答弁のように、そうなつてつても、財源地方にあるのだ、千五百円ベースはこれは確保できるのだなどということをぬけぬけと言われることであつては、これは地方教育委員会も、或いは財政を預かる府県当局も大きに迷惑ではないかと考えるのであります。で大臣は御承知かどうかわかりませんが、そこにおられる内藤君などは、これは終戰以来教員給与の問題について所管しておられて、十分この今日の給与の成り立つて来ました経緯については御承知のはずである。当時における文部省の各位が協力せられて、この教員給与が戰争前における誠に不遇な立場にあつたものを、これを標準的なものに引上げられる、その場合、千六百円ベース、二千九百二十円のベースが発足点となつたのでありまするが、二千九百二十円のベース決定する場合にも、教員の意図せる超過勤務手当を支給しないこととして、その代り教職員の待遇を一段と考慮するという政府教員との約束の関係から協定の関係から、当時においてたしか二号一般公務員より給与は高く決定せられて来たのであります。それでもなお且つ大阪とか東京とか地域のばらばらな財政と、それに伴う教員給与の実態というものにただ單にベースをかぶせましたために、給与実施本部等においては、こういう教員の不当なるこのベース引上げ等については、罷りならんということさえ嚴重に言われて、その場合においても、文部省が斡旋もし、府県当局給与実施本部の了承を得るならば、そういう地域の実態に立つたベース引上げが可能であるということを政府決定しまして、そうして成り立つて来たものの上に今日積み重ねられて来たのが給与の実態であるはずなんです。どこにも非合法な給与引上げは行われておらんのであります。然るにこれを、今回において最近の一月の千円ベースにおいては全部財源的にも見ようと努力し、又地方にも何らの指示もなくして千円ベース……実態は千八百円になつたでありましようか、或いは二千百円になつたでありましようか、統計的に出ているのでありまするが、まるまるベース・アツプしたものが、秋の今回のベース・アツプ財源はそれだけ出ないということになるならば、これは後段に申上げまするが、教員の今までの給与の既得権を侵害すると言われても、これは闇雲な文部省に対する攻撃ではないだろうと私は考えるのであります。而も大阪の給与が高い、東京の給与が高いということは、過去の伝統があり、又この都市を取巻く民間産業の給与水準が高いために、教壇上に人材を吸収することができない人事管理の部面から、給与がそうなつておるはずでありますし、又実態としまして、国家公務員が諸給与を合せる総所得から見ますならば、教員において、別途の収入のない教員の収入において、そう所得が高いとは考えられない。従つて、本俸、或いは給与のみにおいて比較するというようなことは、教員の実態的な立場に立つてその待遇を考え文部省としては、誠に軽率ではないかと私は考えるのであります。又反対に農山村の府県のほうに参りますならば、僻地の学校、或いは分校等に教員を吸収することができない。従つてPTA或いは部落民は住宅を建てる、或いはその他の食糧の補給等もする、こういうようなことで教員を吸収しようとするが、それもできない。従つて僻地手当を出すとか、或いは教員給与国家公務員並みに上げるように教育委員会は努力して、各府県教育を辛うじて維持しておる。今定員等においても非常に切りつめた形に置かれて、そうして過当な労働に服する教員のために、そのなけなしの金をはたいて各府県当局は苦慮している。而も教育委員会は、教育財政に関する何らの権限も持たない中でこの点について苦慮しておられることは、文部大臣十分御承知だつたはずであります。然るにこういう財政権を持たない、誠に財政的に力弱い教育委員会に対して、中央の直接の所管官庁である文部省がカバーすることをしないで、そして公式的にこういう財源措置において切下げられることを肯定して、そうして地方においてだけ府県当局と政治的な折衝その他を以て、なけなしの財源府県当局から教育委員会が取ればいい、国からは出ているはずだということを百万遍言うたところで、教育委員会はそれに対して何ら肯定するものがないだろう。困るのは私は教育委員会だけであろうと思うのです。先ずこの教員の従来の給与の実態と、或いは教育委員会現実の姿から言つて中央においてこういう措置をとられるということが、如何ほど全国の教員大衆の生活に影響し、延いては直接それが教壇上における教育に影響するかということを思い、私たちは憂慮に堪えないのであります。而も一方道徳或いはその他の問題については、全国的にそういうことを推進することについては、やぶさかでないのではなくて、積極的である。然るにその裏付になるものを余りにも考慮される形が文部省において少いということは、私たちとして非常に遺憾であります。少くとも文部大臣としまして、こういう結果になりまして、若しも地方において切下げられたままの給与ベース引上げというようなことが行われることに対して、文部大臣はどういうお考えをお持ちになるか、又何ら非合法でもない過去の給与の実態が、今日において突如としてそういう結果になることに対して文部省としてどういう考えを持つておられるのか、この際はつきり大臣の御所見を承わりたいと思います。私は日頃天野文部大臣がこういう措置をとることに易々諾々としたものであるということは、到底想像もできない。歴代の終戰後の文部大臣は、何党の大臣であろうとも、この点については及ばずながら我々としても不満である点もありましたが、真劍な努力を捧げて来たものであるということは、それを認めるにやぶさかでない。而も天野文部大臣は全教員の信頼と輿望を担つて大臣として教育の復興のために画策しておられる。それが土台骨であるこの教育財政面の縮小になつて来る問題については、根本的にどういうお考えを持つておられるのか、一つ御所見を承わりたい。先ほど局長がよい意味で申しましたが、教員の場合は予算定員に、その定員定額です、定員定額というものでやつておるので、実質賃金はそれに足りないのだが、財源的なものがあるということを申しましたが、誠にこういうことは不当であります。文部当局の権威いずこにあり、その責任どこにあるかということを問いたい。定員減になつておるならば、なぜ定員の充実について地方に指導助言をしないか。それらはすべて教員の負担にかかつておるのでありまして、そこにはしなくも湧いて来た金を以て補填するならば千五百円ベース・アツプも不可能でないというようなごときことは、詭弁も甚だしい。而もそれが一月のベース・アツプについてのことでありまするが、各府県ともなけなしの財源を以てベース・アツプを完了しておる。府県の一般財源というものを使つておる府県当局は、平衡交付金の枠内で教育財政というものの限度をきめておる。それ以上はみ出たものについてあとから平衡交付金が国から行きましても、それは府県が取上げて一般財政に使うことは必至であります。それは教育のほうに来たのだからこちらに廻わしてくれなどということは、今の教育委員会現実の実態の上から言つて府県当局に要求できるものではないのであります。こういう点についても天野さんは、いつも御質問いたしますというと、計数上のことはまあわからないから局長にというようなことでありますが、局長やその他のかたにはあとでゆつくりお伺いしますから、この際の六三制をどう維持して、真に独立後の民主教育を推進するための一つの大きな要素、基盤である教員のためのこの財政を確保する部面が、今回私たちとしては結果として客観的にできなかつたものであると断定せざるを得ないのでありますが、文部大臣はこの点についてどういう御所見を持つておられるかお伺いしまして、重ねて御質問いたします。
  22. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は平常からしてこの教育公務員が普通の公務員とは違つておる。で教育公務員の俸給を高くするということには自分は微力ながら努力して来ておる考えでございます。只今併しここで問題になつておるのは、一般公務員と教育公務員の関係ではなくして、国家教育公務員地方教育公務員との関係でございます。でそれを比較しますというと、地方教育公務員のほうが三百七十五円高くなつておる、一般的な計算から言えばなつておるということでございます。そこでこの国家教育公務員地方教育公務員の線まで上せるという意味を含めて、そうして一般の調整の意味で以てここで平衡交付金を出すと、その場合に私は現在出された平衡交付金で満足だとは思いませんけれども、併し大蔵大臣のお考えでは、これ以上は国家財政としてできないというようなことでございますから、それは私の專門とするところでございませんから、私は大蔵大臣並びに閣内のそういう財政のほうのエキスパートの言葉に従つて、とにかく財源措置という意味ではこれを認めたわけでございます。併しそれが直ちに教員俸給を引下げるということに私が同意したというわけではございません。だからして地方に向つて、それを実施の場合において引下げるようにという勧告をしようという議のあつたときに、私は絶対それに承服できない。ただここできめたのは、そういう財源措置をしたということをきめるということだけは、これは閣議でそうきまつたことですから、私はその際それに同意した、閣議の決定に同意したわけでございます。けれどもそれは直ちに教員俸給を下げるとかいう意味には、私は解しておりません。それならばそれはできないのではないかということでございますが、ここは非常に私はむずかしいところだと思うのです、原理的に言うならば……。国家教育公務員地方教育公務員の線まで上げたということでは、三百七十五円というものの上にベース・アツプができないということになると思うのです、原理的に言えば……。けれども三百七十五円高いというのは、現実一つの事実でありますから、その事実を尊重して、私は地方教育公務員国家教育公務員よりそれだけ高くして、その上にベース・アツプをするということがどうかして可能ではなかろうかという点を考えたわけでございます。で文部省事務当局計算によれば、それは小笠原さんには御満足行かんということでございますけれども、とにかくこの際事実においてはそういうことができるという財源措置を、文部省では特に教育公務員に対してはしてあるのであつて、そういう考えに立つてどもはやつて行く、けれども平衡交付金とかそういうものは中央から強要することができないのですから、それを減らせという強要もできないと同時に、殖やせという強要もできないわけでございますが、私どもはできるだけそれが殖えるようなふうに知事の諸君にも、教育長にもそれぞれ自分らのできる範囲内のことを努力いたしたいと考えておるわけでございます。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この前の何かのときと同じケースの答弁でありまして、どうも私は納得行かない。天野先生は財政的なエキスパートでないから、それは大蔵省のほうに任せて、閣議においては承認したが、過去の実態においてはそうではなく、それはただ單なる財政措置なんだから、財源を使うという、金を使うというほうは、それ以上廻つて使われるということは、可能なんだというふうなお話のように聞き取れ、それがこの前も御答弁があつたことがあるのですが、我々としてはそこが一番問題なんです。今の地方財政は、税収、或いは補助金、平衡交付金起債だけで以て賄つておる。それが地方財政委員会がさまざまな査定をして、各公共団体に対して基準財政需要額を決定しておる。その枠の中に流し込まれて行く金の範囲内で教育関係だけは国からはつきりと金が流れて来ないことがわかつておりながら、地方自体の持出し分で以て措置できるなどという考えは私にはどうも納得できない。ところがそれを文部当局に言わせるならば、いやさまざまな名目でその金を流しておるのだ、だからそれを使えばいいのだというふうにおつしやるようでありますが、併し流れておる部分というものは過去の補填であつて、それは府県の、常識的に言うならば、府県の一般財政支出に要する費用にも食い込んでおるというふうに財政的には見なくちやならん問題なんです。だから過去において食い込んでおる、又今度流れて行つたものを又食うということについては、これは教育委員会としては主張できない。府県の如何なる総務部長といえどもですね、そんな馬鹿なことを初めから承認する総務部長は私はいないと思うのです。而も府県当局総務部長なり副知事なり知事はどちらかと申しますと、文部省に頭が上がらないなどというようなことではなくて、地方財政委員会なり地方自治庁に頭が上がらんのです。これらの者の反対を押切つてでも、押切つてでも地方府県当局が何らかの特段な自分ぎりの財源措置を講じたということになりますと、一方は府県にあります大蔵省の出先機関の財務部がこれを早速見付けて大蔵省のほうに報告をする。一方地方財政委員会は、財政調査と称して指導助言に名をかりて強硬な意見を府県に出す。それを見ますところの地方自治庁の鈴木次長などは早速公式の通牒を出す、これは目に見えている。若しそれを出さないにしても、その後における起債或いは財源的の中央政府の援助を打切るとか、減額するとか、或いは罰則規定でやつつけるぞというような、おどかすとはこの際申上げませんが、そういう空気を釀し出す、国に依存している地方府県は、それについて汲々、びくびくしているのが現状なんだ。それに財政的に十分一般の公共団体の運用のことを、そう言うと失礼ですが、知らない文部省が、教育関係財政についてだけは切離されてそういうものが使われるのだなどということを考えるならばこれはもう的外れであります。その証拠には鈴木次長名を以て閣議決定と称して取りあえず通知するなんということですが、通知もへつたくれも要るものではない。中央政府における財源措置についての閣議決定でありますから、中央政府ぎりで関係当事者が熟知し、知つてさえおればいいのです。地方はどういう手続でどういう恰好になつて平衡交付金が来たかというようなことはあとあとになつてわかつても、それで結構なんだ。若しも地方にもそういうことを勘案して措置せよということであるならば、ああいう通知は意味がある。然るに鈴木次長はそういう意味合のことではないということをおつしやつておられるそうで、さもありなんと思う。ところがさもありなんと思うようなことを通知として出すということは、これは常識上から言えばナンセンスなのです。ナンセンスなものを出されても、地方府県当局はびくびくしてあの三下り半の通知を見て、書かれざる百行、二百行もの地方自治庁の威嚇というものに恐れおののく、これは間違いのない現実なのです。こういう点も各般考慮せられて相当に愼重に文部省としてお取扱い頂かないと、文部省の努力も希望も、これは末端に行きますならば水泡に帰する。話が先に進みますが、今回府県の一般職員等においては、この紙上定員等で計算しておるというようなことからいろいろの問題があつて、或いは府県自体においては或る程度の財政操作はできるでしようけれども文部省関係教員の問題は、定員定額で財政委員会でもはつきりきまつたものを、それをはつきりと金を落して流してやるということになりまするから、その具体的な影響というものは教員に及ぼされるものほど大なるものはない。でもう一遍お伺いしますが、知事に頼むとか、教育委員会に頼むとかおつしやつていますが、そういうことで文部省の意図するようなことが実施される、実現するという確信をお持ちになつておられるのか、もう一度この点をお伺いします。
  24. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは本当に言うならば、原理的に必ず三百七十五円の上に行くということがきまればそれに越したことはないんですけれども、それを原理的にきめるということはできない事実において、それならば三百七十五円切つてしまうかというと、現実のすでに成り立つておる事実を無視するというわけにも行かない。ここに非常なむずかしい問題があると思うのです。だからして私ども教育長に対しても詳しくこういうようなふうに文部省の計画はできておるということを述べて、ちやんと定員に対して金がもらつてあるのだからして、その金は教育に使つたらいいのだから、そうすればここで以て三百七十五円を切らないでもやれるということは詳しく文部当局から教育長に説明をいたしているのですから、そういう線に向つて我々は努力をするというより以外にすることはできないと思うのです。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは又元に還つて、基本的に文部省の責任を追及するというふうに誤解を受けるならば、それは誤解であるという前提を申上げて置いてお話いたしますが、三百七十五円高いから、その分財源的に落させるということになぜ文部大臣は同調したか、なぜ同意したか。今日までの文部省の全国の教員給与引上に対して努力して来た経緯と、又その逐次積重ねて来た当時の公約、取決め、これらのものを今日において一朝にして破棄して、そういう客観的な考え方で、国家公務員である教職員と、地方公務員である教職員との間に差があるということで、それ一本の物指で平衡交付金のほうからその部分だけ落して行くということをなぜ承知したか。各府県給与の実態がばらばらであり、又そのばらばらであることは給与実施本部も認めたところであり、文部省も承認しておるところである。そういう実態でなければ、各府県の慣行と伝統と或いは教育の不振を挽回する実際の教育行政がとれないからこそ、そういう給与実施しておる。こういう現実教育行政に関する事実、そういうふうになつて来た経緯というものを文教の府である文部省自体が一切考慮することもなしに、なぜ画一的に千篇一律なそういう決定に対して承認を与えたか。そこから、私は還つて問題をほじくり出さなくちやならんとさえ思うのであります。文部大臣も御承知でありましようが、一般公務員でありますと、地方といわず中央といわず、特に国家公務員等においては方式的な本俸或いは勤務地手当、これら等々のほかに食費なり、或いは旅費なりというものが莫大なものがある。一切もう各課或いは各局における人件費の平均というものと、学校の一学校における人件費というものの平均というものを比べたら、べらぼうに違うことはもう明らかなんだ。現在一般地方において文部省は三千円の旅費を保障するとか何とかいうようなことを言つておりますけれども、各学校に一人当り配分せらるる旅費の配分額というものは千円そこそこなんだ。而もそれが教育委員会或いは地方出張所等に学校長が招集せられて一、二回歩けばふつ飛んでしまう金であります。一般教員のための研修その他に対する旅費などというものも自弁でやつておる。こういうことは文部大臣再三お聞きになつて承知なはずである。本当に本俸と家族手当と勤務地手当以外には教員というものには実収入はないものなんだ。それを一般の公務員と引比べてそうして問題とし、或いは国家公務員であるいわゆる各附属の小中学校等と比べての話でありましようが、大体附属の小中学校なりと一般の公立学校なりの内容と実態は違うのだ。それでもまあこの部分はこの部分として文部大臣に特段な、国家公務員である教職員給与引上については御努力を願わなければなりませんが、ああいう特殊学校とは違う一般の公立学校に人材を吸収するということ、定員を確保するということ、その生活を最低に保障するということ、このことのためにぎりぎり一ぱいの手を盡しているというのが各府県のこれは僞わらざる現実だと思うのであります。それを全国千篇一律にそういう結果としての切下げを招くような財源措置そのものに文教の府の文部大臣がなぜ承認を与えたのであるか。今までの文部省がやつて来た経緯或いは結果に鑑み、どういうところに根拠があつてそういうことを肯定したのであるか。なぜ文部大臣は今までの文部省のこういう実態について主張せられなかつたのであるか、こういう点をお伺いしたい。
  26. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 平衡交付金をもつとたくさん殖やせということができればもう問題はないのですけれども、それは先ほど申すように大蔵大臣はこれができない。併しそれでもとにかく大蔵大臣としては現在の平衡交付金を出すということなんです。その際に私はですね、実際の問題とすれば地方教育公務員の三百七十五円高いのを切らないでも行くということがやれるという文部事務当局考えでありますので自分はとにかく大蔵大臣が百億の平衡交付金でも出すということですから、それに賛成をしたわけでございます。
  27. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 だんだん相馬委員や小笠原委員お話を承わつたんですが、この問題の一番前提となつておりますのは、要するに国家公務員地方公務員との給料が同一でなければならんというその前提が先ず一つだろうと思うのであります。併しそれには今小笠原君も言われた通りに、地方公務員にはそれぞれの伝統と又事情がありまして、例えば今教育の問題を言われましたが、仮に衛生の公務員でありましても、地方で医者を雇います場合にはなかなか参りません。それは医者の立場からになりますれば、仮に国家公務員として採用になりますれば、行く行くは地方に行けば或いは衛生課長なり或いは又自分研究所なり、そういうようなところとの連携もあるから、若干給料は安くても国家公務員なら行くけれども地方公務員なら埓が明かんから行かんというような実情で、従つてそれを無理に取ろうとしまするならば、いろいろと優遇の方法を考えなければならんというような工合でありまして、その前提となつておるこの国家公務員地方公務員との給料を、果して同一にするということ自体が一体適当かどうかということは、根本的にこれは考え直さなければならん一つの問題だろうと思うのであります。これは国家公務員は全国一体となつておりまして、従つて国家公務員ならいろいろな栄進の方法もあり、或いはそういう地域的な問題もある。ところが地方公務員はその府県なり或いはその地方なりに奉職いたしますれば、一生涯殆んどその地方なり、その土地なりに、いつかなければならんというようないろいろな事情があるのでありまして、この点は今後の問題としてよくお考え頂きたいと思います。且つ又今回前提となつておりまする国家公務員地方公務員との給料を同一にすべしというその前提自体についていろいろと問題がある点を十分お考え頂きたいと思うのであります。そこで今問題となつておりますのは、地方公務員が一体国家公務員よりもベースが高い、そのこと自体もこれは調査の方法なりいろいろな資料なりを十分検討しなければ、にわかに私は断定のできる問題でなかろうと思うのであります。従つて問題は、要するに今回我々の問題にしたいのは千五百円ベース引上げる場合に、この問題と、言い換えるならば地方公務員国家公務員よりも高いのだ、まあ教職員の場合なら三百七十五円高いのだという問題と一緒に混同したところに私は問題があるのでなかろうかと思うのであります。従つて地方の公務員から特に教育公務員から申しまするならば、やはり全国的に千五百円ベースが上がる場合なら、地方公務員もやはり差別待遇されずに千五百円は上げるということに持つて行くのが筋合でなかろうか。そしてその間において地方公務員国家公務員とがこれが実態的に差があつて、而もこれは同一にせなければならんという前提がどうしても必要であるならば、それはそれとして、又別個の問題として考えるべきでなかろうかと思うのであります、従つてそれの方法といたしましては、今後地方公務員には極力或いは住宅の問題であるとか、その他の問題も考えてやる必要がありましようし、或いはその高いベースの切下げということにつきましても、若干の経過規定なり何なりを設けまして、そうしてそれを一度に処理せずに、何年か、三年なり五年なり、なし崩しにこれを匡正して行くという温い私は経過的な方法がとらるべきでなかろうかと思うのであります。従つて、今回問題はこの千五百円ベースを上げます際に、今直ちに、地方公務員国家公務員より高い、そういう数字をこれをこの給与ベース引上げの際に一遍に解決しようというところに問題があり、且つ又文部大臣お話では、それは財政措置の問題であつて実施面についてはそうでないと言われるのでありますが、地方財政の実態は、これが余裕がある地方財政でありますならば、お話のように財源的には引下げても、実施の面については若干これは地方財政によつて色付けてどうこうということができるのでありますけれども、大体の府県なりにおきましては、殆んど手一ぱいの財政でありまして、到底地方において、財源措置のない所において特にこれに色付けるというようなことは到底不可能であり、且つ又地方財政中央より頂いたところの旅費なり或いは研究費なりでは到底やつて行けないのでありまして、従つてそういう方面にも相当の色付けがあるというのが地方財政の実情でありますので、我々としては今後平衡交付金なり或いは地方財政の問題がありますときに、是非この地方の実態を十分文部大臣において御了承下さいまして、そして大蔵大臣と或いは閣内において御折衝のときには、やはり財源措置自体においても今のような温い一つの温情を持たれ、且つ又国家公務員地方公務員との給料の同一性というようなものについても、十分これは一つ深い洞察を下されまして御折衝をお願いすることにいたしたいと思うのであります。あえて文部大臣の御返事は必要がございませんが、この問題については、そういうような実情を十分文部大臣は特段の御配慮をなされて頂きたいということを希望いたしまして私の質問を打切ります。
  28. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では時間が大分経過いたしましたので、本日の午前中はこの程度にいたしまして午後一時半より再開いたします。    午後零時三十四分休憩    ―――――・―――――    午後三時十八分開会
  29. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では午前中に引続きまして午後の委員会開会いたします。  最初にお諮りいたしますが、明日の八幡浜事件に関しまして、法務委員会から連合審査の要求がございますが、これを承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。では連合委員会といたします。  なお、本日はこの程度にて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会