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小笠原二三男君 実は
自治庁なり
大蔵省のほうの
関係から
計数的に聞き出してから
大臣にお尋ねしたいと思
つておりましたのですが、そういうことになりませんので、
計数には亘らないで実は
大臣の
見解を二、三お尋ねしたいと
思います。
閣議決定の事項については触れたろうと思うのですが、これは
地方に対して具体的な
措置を強要したものではなくて、
中央政府における
財源措置の方向として
考えられたものであるというふうな
政府の
見解というものを、ときどきお伺いするのであります。併しそれは、
地方財政を担当する
地方財政委員会が
配分等においてそういう
考え方を持つということもあり得るでしようし、又
財政全体を預かる
大蔵省として、その心証の如何はともかくといたしまして、或る客観的な
資料によ
つてきめようとすることも当然でありましよう。併し私は、
文教の
責任所管の官署である
文部省並びに
文部大臣が、結果として
給与ベースそのものが見込まれた
通り上らないという事態にな
つて来ることについて、承認を消極的ではありましようけれ
ども与えたやに伺
つておる点は、私
たちとして誠に遺憾に堪えないものであります。
天野文部大臣は、本
会議の
答弁等においても、
道徳問題等について、個人的であるか、或いは
大臣としてであるかわかりませんが、
文教責任者として
道徳実践要領かを広く頒布し
参考に資するというようなこと等もお
考えのそうでありまするが、これらはすべて
学校教育、
現場の
教職員の肩にかか
つて来る問題であります。然るに
現場における
教職員は、
文部大臣といえ
どもこれで十分なる
生活基盤を持つたものだとはお
考えにならんでありましよう。然るに、この
財政的な問題から止むなくこういう
考え方を持つこととして、而も今の
局長の御
答弁のように、そうな
つてお
つても、
財源は
地方にあるのだ、千五百円
ベースはこれは確保できるのだなどということをぬけぬけと言われることであ
つては、これは
地方の
教育委員会も、或いは
財政を預かる
府県当局も大きに迷惑ではないかと
考えるのであります。で
大臣は御
承知かどうかわかりませんが、そこにおられる内藤君などは、これは
終戰以来の
教員の
給与の問題について所管しておられて、十分この今日の
給与の成り立
つて来ました経緯については御
承知のはずである。当時における
文部省の各位が協力せられて、この
教員の
給与が戰争前における誠に不遇な立場にあつたものを、これを標準的なものに
引上げられる、その場合、千六百円
ベース、二千九百二十円の
ベースが発足点とな
つたのでありまするが、二千九百二十円の
ベースを
決定する場合にも、
教員の意図せる超過勤務
手当を支給しないこととして、その代り
教職員の待遇を一段と考慮するという
政府と
教員との約束の
関係から協定の
関係から、当時においてたしか二号一般公務員より
給与は高く
決定せられて来たのであります。それでもなお且つ大阪とか東京とか地域のばらばらな
財政と、それに伴う
教員の
給与の実態というものにただ單に
ベースをかぶせましたために、
給与実施本部等においては、こういう
教員の不当なるこの
ベースの
引上げ等については、罷りならんということさえ嚴重に言われて、その場合においても、
文部省が斡旋もし、
府県当局も
給与実施本部の了承を得るならば、そういう地域の実態に立つた
ベース引上げが可能であるということを
政府も
決定しまして、そうして成り立
つて来たものの上に今日積み重ねられて来たのが
給与の実態であるはずなんです。どこにも非合法な
給与の
引上げは行われておらんのであります。然るにこれを、今回において最近の一月の千円
ベースにおいては全部
財源的にも見ようと努力し、又
地方にも何らの指示もなくして千円
ベース……実態は千八百円に
なつたでありましようか、或いは二千百円に
なつたでありましようか、統計的に出ているのでありまするが、まるまる
ベース・アツプしたものが、秋の今回の
ベース・アツプの
財源はそれだけ出ないということになるならば、これは後段に申上げまするが、
教員の今までの
給与の既得権を侵害すると言われても、これは闇雲な
文部省に対する攻撃ではないだろうと私は
考えるのであります。而も大阪の
給与が高い、東京の
給与が高いということは、過去の伝統があり、又この都市を取巻く民間産業の
給与水準が高いために、教壇上に人材を吸収することができない人事管理の部面から、
給与がそうな
つておるはずでありますし、又実態としまして、
国家公務員が諸
給与を合せる総所得から見ますならば、
教員において、別途の収入のない
教員の収入において、そう所得が高いとは
考えられない。
従つて、本俸、或いは
給与のみにおいて比較するというようなことは、
教員の実態的な立場に立
つてその待遇を
考える
文部省としては、誠に軽率ではないかと私は
考えるのであります。又反対に農山村の
府県のほうに参りますならば、僻地の学校、或いは分校等に
教員を吸収することができない。
従つてPTA或いは部落民は住宅を建てる、或いはその他の食糧の補給等もする、こういうようなことで
教員を吸収しようとするが、それもできない。
従つて僻地
手当を出すとか、或いは
教員の
給与を
国家公務員並みに上げるように
教育委員会は努力して、各
府県の
教育を辛うじて維持しておる。今定員等においても非常に切りつめた形に置かれて、そうして過当な労働に服する
教員のために、そのなけなしの金をはたいて各
府県当局は苦慮している。而も
教育委員会は、
教育財政に関する何らの権限も持たない中でこの点について苦慮しておられることは、
文部大臣十分御
承知だつたはずであります。然るにこういう
財政権を持たない、誠に
財政的に力弱い
教育委員会に対して、
中央の直接の所管官庁である
文部省がカバーすることをしないで、そして公式的にこういう
財源措置において切下げられることを肯定して、そうして
地方においてだけ
府県当局と政治的な
折衝その他を以て、なけなしの
財源を
府県当局から
教育委員会が取ればいい、国からは出ているはずだということを百万遍言うたところで、
教育委員会はそれに対して何ら肯定するものがないだろう。困るのは私は
教育委員会だけであろうと思うのです。先ずこの
教員の従来の
給与の実態と、或いは
教育委員会の
現実の姿から
言つて、
中央においてこういう
措置をとられるということが、如何ほど全国の
教員大衆の生活に影響し、延いては直接それが教壇上における
教育に影響するかということを
思い、私
たちは憂慮に堪えないのであります。而も一方道徳或いはその他の問題については、全国的にそういうことを推進することについては、やぶさかでないのではなくて、積極的である。然るにその裏付になるものを余りにも考慮される形が
文部省において少いということは、私
たちとして非常に遺憾であります。少くとも
文部大臣としまして、こういう結果になりまして、若しも
地方において切下げられたままの
給与の
ベースの
引上げというようなことが行われることに対して、
文部大臣はどういうお
考えをお持ちになるか、又何ら非合法でもない過去の
給与の実態が、今日において突如としてそういう結果になることに対して
文部省としてどういう
考えを持
つておられるのか、この際はつきり
大臣の御所見を承わりたいと
思います。私は日頃
天野文部大臣がこういう
措置をとることに易々諾々としたものであるということは、到底想像もできない。歴代の終戰後の
文部大臣は、何党の
大臣であろうとも、この点については及ばずながら我々としても不満である点もありましたが、真劍な努力を捧げて来たものであるということは、それを認めるにやぶさかでない。而も
天野文部大臣は全
教員の信頼と輿望を担
つて大臣として
教育の復興のために画策しておられる。それが土台骨であるこの
教育財政面の縮小にな
つて来る問題については、根本的にどういうお
考えを持
つておられるのか、
一つ御所見を承わりたい。
先ほど局長がよい
意味で申しましたが、
教員の場合は
予算定員に、その定員定額です、定員定額というものでや
つておるので、実質賃金はそれに足りないのだが、
財源的なものがあるということを申しましたが、誠にこういうことは不当であります。文部当局の権威いずこにあり、その責任どこにあるかということを問いたい。定員減にな
つておるならば、なぜ定員の充実について
地方に指導助言をしないか。それらはすべて
教員の負担にかか
つておるのでありまして、そこにはしなくも湧いて来た金を以て補填するならば千五百円
ベース・アツプも不可能でないというようなごときことは、詭弁も甚だしい。而もそれが一月の
ベース・アツプについてのことでありまするが、各
府県ともなけなしの
財源を以て
ベース・アツプを完了しておる。
府県の一般
財源というものを使
つておる
府県当局は、
平衡交付金の枠内で
教育財政というものの限度をきめておる。それ以上はみ出たものについてあとから
平衡交付金が国から行きましても、それは
府県が取上げて一般
財政に使うことは必至であります。それは
教育のほうに来たのだからこちらに廻わしてくれなどということは、今の
教育委員会の
現実の実態の上から
言つて府県当局に要求できるものではないのであります。こういう点についても
天野さんは、いつも御
質問いたしますというと、
計数上のことはまあわからないから
局長にというようなことでありますが、
局長やその他のかたにはあとでゆつくりお伺いしますから、この際の六三制をどう維持して、真に独立後の民主
教育を推進するための
一つの大きな要素、基盤である
教員のためのこの
財政を確保する部面が、今回私
たちとしては結果として客観的にできなかつたものであると断定せざるを得ないのでありますが、
文部大臣はこの点についてどういう御所見を持
つておられるかお伺いしまして、重ねて御
質問いたします。