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1951-11-13 第12回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十三日(火曜日)    午前十時三十四分開会   ―――――――――――――   委員異動 十一月九日委員岩男仁藏君辞任につ き、その補欠として林屋亀次郎君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            中田 吉雄君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            堀  末治君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            吉川末次郎君            鈴木 直人君            石川 清一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   説明員    大蔵省主計局主    計官      白石 正雄君   参考人    神奈川総務部    長       矢柴 信雄君    山梨県副知事  金丸 徳重君    大 阪 市 長 中井 光次君    藤 沢 市 長 伊沢 十郎君    千葉県津田沼町    長       白鳥義三郎君    全国自治団体労    働組合協議会書    記長      松室 悦弘君    日本教職員組合    教育財政部長  辻原 弘市君    大阪市役所職員    組合委員長  浅羽 為造君    日本都市交通労    働組合連合会副    委員長     河野 益夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方公務員教職員等を含む)の  給与引上げとその財政上の問題に関  する件) ○証人喚問に関する件   ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) これより開会いたします。  本日は参考人においでを願つておりますので、先ず最初参考人のかたがたに順次御意見を伺いたいと思つております。本日の参考人公述は、十五分乃至二十分程度にして頂きまして、その後に委員よりいろいろ質疑があると思つております。では最初神奈川総務部長矢柴信雄君。
  3. 矢柴信雄

    参考人矢柴信雄君) 神奈川総務部長矢柴でございます。職員給与に関する問題でございまするが、先般大蔵省は、全国平均にいたしまして、教員の給料は国家公務員に比しまして三百七十五円平均して高い。それからその他の公務員では四百六十二円高い、こういう発表をいたしたのでございます。その際に神奈川県につきましてはどうなつておつたかと申しますると、神奈川県につきましては、平均をいたしまして二百八十四円高いのである、こういう資料を出したのでございます。然らば神奈川県におきまして職員の実際の給与はどういうことになつているかと申しますると、七千九百円ベースにおきまして、一般職員給与一人平均を申しますると、二十六年の十月現在でございまするが、本俸が六千七百六十一円であり、扶養手当が八百九十円、勤務地手当が千四百三十円、計九千八十一円と相成つているのでございます。従いまして、いわゆる七千九百八十一円ベースに対しましては千百円ばかり高いということに相成るのでございます。併しながら人事院の発表しましたところによりましても、現在の国家公務員現実ベースは、七千九百八十一円におきまして八千五百六十九円であるということが言われているのであります。これと比較した場合におきましては約五百円の差額ということになるわけであります。更に国の勤務地手当平均率、これと神奈川県の勤務地手当平均率とは違うのでありまして、国の勤務地手当平均が八百十四円になつているのでありますが、神奈川県におきましては、特殊の東京に近い殆んど全部が都市であるというような地理的環境からして、これは千四百三十円という金額に相成つているのであります。そこで勤務地手当で六百余円の差があるのであります。従いましてこれだけで考えましても国家公務員に比しまして、神奈川県のベースはやや下廻つているということが現実に言えるのでございます。なおそのほかに勤続年限の問題でございまするが、勤続年限におきまして、国家公務員平均は六・七二年ということに相成つております。それに対しまして神奈川県の勤続年限平均は、七・五年ということに相成つております。  更に又教育職員について考えますると、教育職員神奈川県におきまする現在の単価は、本俸平均いたしますると、七千九百三十八円ベースにおきまして、本俸全部合せまして一万四百四十二円ということに相成つているのでございます。で、これにつきましても勤務地手当差額その他の問題があるのでございまして、神奈川県におきましては、勤務地手当が一、六〇という比率に相成つております。一割六分でございます。そういつた比率に相成つております。そのために一般に比べまして約一割高いのが当り前である、それは勤務地手当から当然出て来る結果ということに相成るのでございます。神奈川県の教育職員につきましては、昭和二十四年に文部省単価を指示したのであります。そのいわゆる文部省指示単価、これに何らの作為を加えることなくしてベース改訂をいたしましたものを現在の予算単価に採用をいたしております。その金額は七千八百十五円になります。これに対して実際の給与でありますが、これは本俸が八千二百四十九円となつております。その間いわゆる文部省指示単価そのままにベース改訂をして参りました場合と比べて四百三十九円高くなつております。この差額は実は定員の極端な圧縮によつてつておるのでありまして、大体理論学級当り一・一九、実学級当り一・一四というような、これは校長も用員も含めてでございます。こういつた甚だしい人員の圧縮によつてその差額を賄つておる、こういつたことになつております。然るにこの文部省指示単価というものを切り替えて参りました場合の七千八百十五円というのは、国家公務員におけるいわゆる七千九百円ベースの場合における七千九百円に相当する金額でございます。それに対しまして国家公務員におきましては八千五百六十九円という現実給与になつておるということを考えますと、先に申上げました七千八百十五円と現実給与平均八千二百九十四円の差額は当然であるというふうに考えられるのであります。又事実現在のように昇給期間が六カ月ということになつておりますと、何らの作為を加えないで私ども計算いたしましたところでは、現在の人事異動状況で参りますと、神奈川県だけで一年に約五千万円ずつは昇給のための予算増額をしなければなられない、かような結果になるのでありまして、或る程度の上廻りというものができるのが当然なのでございます。かように考えて参りますと、むしろ神奈川県の教育職員につきましても、神奈川県の給与ベースというものは決して高くないということが言い得るのであります。なお八千五百六十九円という給与ベースに対しまして一万四百四十二円になつておるということを申しましたが、これは勤務地手当差額の問題だけでなしに、職員構成からも当然出て来る結果なのでございまして、先きに申上げました文部省指示単価昭和二十四年の六千二百三十九円と言いましたときに、国家公務員本俸平均が四千七百四十一円ということであつたのであります。これだけの相違が文部省指示においてすでにあつたのでございます。これは職員構成から来るものであると言い得るのでございます。現在小学校教員について見ますると、小学校教員の総数が七千九百五十五人でございまするが、そのうち勤続十五年以上のものをとつて見ますと、これが千九百人ということに相成るのでございます。更に平均いたしますると大体八、九年、約九年というものが平均勤続年数に事実なつておるのでございます。これに対しまして、然らば国勤続年数平均は一体幾らになつておるか、こういうことを考えて見ますと、国家公務員勤続年数平均は六・七二年ということに相成つておるのでございます。これらから考えますると、又教員の学歴におきまして殆んど全部が大学卒業という形であるということを考えて見まするならば、これはこれだけの差があるのがむしろ当然なのでありまして、この教員一般公務員国家公務員と比較して給与の問題を論議するのがすでに誤つておると言い得ると思うのでございます。  かようにいたしまして、本県の給与は決して高くないと考えておるのでございます。従いまして今回のべース改訂という問題に関連いたしまして、国が切下げ措置というものを要求するやに聞いておりまするけれども神奈川県といたしましては、これは個々人間について計算して見なければ、個々人間について何とも申せませんけれども全般の問題としましては切下げ改訂ということは、これは行い得ないところである、こういうふうに考えておるのでございます。事実又東京都を控え、又川崎、横浜市等を控えておる神奈川県におきまして、そうして又一般民間ベースの非常に高い神奈川県におきまして、たださえ窮屈であります公務員給与法律に定められ、国家公務員について行われるのよりも更に低い形において昇給をするというようなことは、これは実際上考え得ない問題でございます。さて、こういうふうにいたしましてベース改訂をしますと、神奈川県だけで一体どれだけの金が要るかという問題でございます。大体第一次の給与改訂でございますが、これによりまして一般職員におきまして平均千九百二十円、教員におきまして二千円、その他これに附随いたします恩給或いは共済組合等費用関係がございまして、それらを合せますと年末手当等を含めまして約一割加わるのでございますが、それだけの金額、それで合せまして大体六億円という金額が第一次ベース改訂だけで要るのでございます、年額にいたしまして。それから第二次ベース改訂、これは第一次ベース改訂よりも少し下廻るのでございまして、大体年額におきまして五億円くらいになるかと思うのでございます。これは職員構成から来るのでありまして、第一次ベース改訂におきましては千円と言われておつたのが、実際は大体二千円であつたと言い得るのでございます。今回のベース改訂は千五百円と言われておつたのでございますが、教員におきましては、これは二千二百円ばかりになるのでございます。併しながら一般職員につきましては職員構成関係から一応の試算をして見ましたところが、大体において千六百円から千七百円くらいまでで済むんじやないだろうかと、こういうふうに考えられているのであります。その結果第二次ベース改訂において約五億円、その他の共済組合等費用勤務地手当等の増を含めまして大体一年において第一次、第二次ベース改訂で通計いたしまして十二億円の金が要るということに相成つて来るのであります。  神奈川県の現在の一般財源でございまするが、大体税収が昨年におきましては、地方財政委員会はこれを二十三億五千円と見ておりました。これに対しまして普通平衡交付金が十三億円与えられたのでございまして、合せまして約三十七億の一般財源というものがあつたのでございます。こういう財政規模であつたわけであります。本年につきましては地方財政委員会神奈川県の税収を昨年の二十三億に対しまして、本年は三十八億九千万円であるということを言つているのであります。これは恐ろしい増加でありまして、かようなことが可能であるかどうか、これは甚だ疑わしいのであります。半面におきまして平衡交付金におきましては、昨年の普通平衡交付金に比べまして約六億の減が先般の仮決定で与えられているのであります。約七億というものがある、こういうことになつているのであります。そういたしますというと、神奈川県のいわゆるすべての一般財源税収平衡交付金とすべて合せまして、而も税収においてはかなり危険というか、無理というような数字であるのをそのままこめましても神奈川県の一般財源というものは四十六億円しかないことになるわけでありますが、その中で第一次、第二次だけが十二億を要するという計算になるのであります。ベース改訂による増加だけが十二億円である、こういう計算に相成つて来るのでございます。かようなことに相成つて参りますというと、これは府県独自で処置をし得るわけがないのであります。すべていわゆる中央における財源措置というものによつてこの問題を片付けて行かなければならんということに相成ると思うのでございます。勿論中央で与えられました平衡交付金につきまして、この配分状況そのものが私ども決して満足なものであるとは思つておりません。大体先般の平衡交付金の仮決定配分を見ますというと、全国平均一般財源人口一人当り二千五十円ということに相成つております。それに対しまして、神奈川県に対して千八百五十円しか与えられていない、これはいわゆる税収の三割を除いたという意味ではございません。税収すべてをぶち込んでございますが、いわゆる平衡と申しながらいわゆる都市的形態を持つております税収の多いと言われております地帯におきまして、その税収全部を含めまして、平衡交付金と合わまして与えられました財源人口一人当りにして見ますと、税が殆んどない、丸がかえとも言つていいような府県に比べまして更に少いというような配分が一応仮決定で与えられているのでございまして、このこと自身に対しましては勿論是正をしてもらわねばならん、かように考えているのでございます。併しながら全般の問題として考えますならば、これは根本的には平衡交付金増加、或いは税制の改革という問題として片付けるのほかないのでございまして、特に本年度におきましては平衡交付金増加ということが唯一の頼りに相成つている次第でございます。然るに平衡交付金に関する措置、この問題については、私が今更申上げるまでもないことでございまするが、第一次ベース改訂に際しまして、大蔵省のほうでは、このベース改訂を千円として計算をいたしまして、両も殆んどそのすべてが雑収入の増、これは全く架空のものでございます。府県雑収入として計上せられておりますものは、特別会計の分を含めますと厖大な金額になると思うのでございますが、競馬とか競輪とかの売上、これが全部雑収入に入つております。勿論このうちから七割五分の配当をして経費を差引くのであります。こういつた種類のものがございます。或いは又例えば農事試験場等において鶏に卵を生ませて売つている。この金額は全部雑収入になつております。餌代のほうは全然勘定に入つておらないということになつておるのであります。試験場あたりで卵を売ります場合において、餌代に比べると、大体餌代のほうが多い、卵代よりも飼育費のほうが高いのが普通でございます。水産試験場についても同様でございまして、水産試験船を以ちまして魚をとつて参ります。そうしてそれを売つております。水産指導船がたまたま魚をとるのでありますけれども、これは船を動かす費用のほうがよほど高くついておるのであります。こういつたものの増をすべて税収に見る、こういつたような形において第一次のベース改訂が一人当り千円であつて、それが府県の自然の増収によつて賄い得るのだ、こういつたような考え方をとつたようでございます。その後いろいろの御折衝がありまして、一面においては府県に対する唯一のデータといたしまして税収の増、特に法人税関係税収増というようなものが考えられて参つたのでございます。けれども全体として考えまする場合におきまして、ベース改訂全国所要額が大体四百八十億程度であると考えております。これは第一次、第二次を合せましてでございます。第一次、第二次を合せまして大体四百八十億になる。第一次ベース改訂が三百四十五億円、第二次ベース改訂が百三十五億円、大体こういう数字になると思つておるのであります。そのほかに公共事業費等の国の国庫補助等の増に伴う地方歳出増が百二十五億円、災害の全額国庫負担が一部負担に改められましたところの負担増が百億円、それから法令の改廃等に伴うものが九十六億円、合せまして三百二十億円、その他物価騰貴等を考えまする場合におきまして、地方財政需要額の増というものは尤に九百億を突破することになるのであります。それに対しまして税の自然増というものを四百億見積られております。これはこれだけあるかどうか私どもは疑問に思つておりまするけれども、あれば結構でございます。仮にあるといたしましても、その残りの五百億を一体どうするのか、こういう問題になるのであります。これらの金額も比例というものが、現在の財政規模と比べました時に甚だ大きいものであることを考えます時に、これが節約とか何とかいつたもので賄えるべき性質のものでないことは明瞭なのでございます。かような意味におきまして今回、この五百億に対しまして、政府が単に起債において百億円、平衡交付金において百億円というものを支出したのにとどまつて、なお三百億余、三百五十億になんなんとする不足額について目を蔽つておるということは、地方財政というものを破綻に導き、或いはベース改訂を不可能ならしめる、こういつたものに相成るのではないか、こういうふうに考えるのでございます。  なお大蔵省がこの財源計算におきまして、さつき申上げました地方教員給与改訂で三百七十五円、一般職員におきまして四百六十二円高いということをやつた調べでございますが、これが各府県を通じて非常な物議をかもしたのでございます。大蔵省のやりましたことは、大体各府県につきまして課長以上、これを全員、それから係長、これが一つの県について三人、それから係員、これが一つの県について三人ずつ、そのほかに大工とか、タイピストだとか、小便というようなもの、こういうものを一、二名程度ずつ、こういうものを抽出いたしまして、これについて現在の給与とその人間履歴履歴書等によりまして、これはこれだけの給与であるべきものだということを一方的に大蔵省で算定いたしましたもので、それの開き言つておるのでございます。ところがやつて見ると、いろいろな事例が出て来ておるのでございまして、例えばこれは群馬県の実例でございまするが、群馬県におきまして……申し落しました、そうして係長について平均して結論を出しまして、それを人数に掛けるのでありますが、これを実際の人数に掛けないで、例えば群馬県の実例で申しまするというと、大蔵省では、係長というものが大体二四%あるであろうというので、全体の人間の中の二四%の者に対しまして、この係長平均給与を掛けたわけでございます。そうしてその他の者について、係員平均給与を掛けて見まして、そうして結論を出しておるのであります。ところが群馬県の実例では、逆に係長のパーセンテージというものは八%である。だから係長におきましては、非常に、人数が多いものとして計算をされ、逆に一般係員につきましては、人数が少いものと計算されて、即ち俸給の高い者について非常に大きな人数があるようにして計算し、そうして俸給の低い者については少いように計算する、こういう計算をやつたことになるわけであります。この結果が甚だ信憑しにくいものになることは、事実間違いのない点であろうと思うのであります。  その他各府県実例について若干承知をいたしておりますけれども、時間の関係がございまするので、この程度公述を終らして頂きます。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御質疑をどうぞ。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今公述について、御主張はよくわかりましたが、そうして而もその実態としてもその通りであろうということがわかるのですが、公述の中にもありましたが、結論としてこういう地方財政状態で、今回の補正予算にも百億の増額しか見られないという状態において、実際給与については地方自治庁から、十一月八日附で各都道府県知事宛に、地方公務員給与改訂について閣議決定の通知があるのですが、実際上の措置としては、神奈川としてはどういうところに追い込められて給与改訂をせざるを得ないのか、はつきりこの点をお伺いしたい。即ち閣議決定とか、或いは地方自治庁の助言とか、指導とかがあろうとも、地方公務員東京なり、或いは国家公務員との均衡上切り下げ改訂はできないから、赤字財源でも何でも、従前通りベース切り替えをやつて行こうとするのか、又この中央が要望する通り措置でやつて行くということで、神奈川県の政治的な立場でそういうことが可能であるかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  6. 矢柴信雄

    参考人矢柴信雄君) お答えを申上げます。神奈川県のような場所におきまして、公務員とそれから一般の労務者、というものとの間におきまして著しい給与開きがあることは勿論でございます。従いましてそういう点が非常に注目をされておる、非常に公務員が苦しんでいるということは、どなたにも御了解を頂けると思うのであります。そういう所で国が定めました一定基準、これは決して十分なものと誰も考えておりません。その一定基準を更に独自に下廻つて給与切り替えをやるということは、これは私ども自身として忍びないだけでなしに、実際上政治的にできないのではないか、こういうふうに私は考えているのでございます。で、ただできない要素というものがまだほかに逆に財政のほうの問題で出て来るわけであります。いわゆる赤字の問題が出て来るのでございます。これは将来に亘る問題でございまするが、私どもはこの点金がないからと言つて、そういうことが実際やれないといたしますというと、結局赤字でも何でもやつて、そうして結局は政府にその尻を何とか面倒を見てもらう、或いはその他の方面におきまして事業、これはいわゆる独自の事業というようなものではございませんで、法律上義務付けられている事業でございますが、こういつたものを犠牲にいたしましてもやらねばならん、こういつた問題が起り得るのでございまして、これは非常に困難な問題でございまするが、私どもは今のところではベース改訂というものが、どうしても先決条件になるのではないかと、こういうふうに考えております。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点お伺いしたいのですが、これは地方理事者であられる他のかたにもお伺いしたい点であつたのですが、今回のような地方公務員法ができて、地方においては人事委員会というふうにそれぞれの人事管理に関する機関も法律でできて、給与についても地方は何ら中央に拘束されない建前ができて来ているにもかかわらず、閣議決定というようなことで財政的な部面から地方を絞り上げて行く、こういうやり方に対しては地方側としてどういう見解をお持ちになつておられるのか、この点も一つ一般的な問題でありまするが、お伺いしておきたい。
  8. 矢柴信雄

    参考人矢柴信雄君) お答えいたします。只今のお話でございますが、これはいわゆる伝えられている行政整理等に関しましても、結局これがいわゆる財政圧迫という形で以て押付けられるのではないか、こういう感じを持つているのでございます。で、財政上可能なことにつきましては、我々としてはどこまでもこれを節減をして行くということにやぶさかではないのでございまするけれども、今回のような給与ベース改訂というふうな問題に関しまして、而も国家公務員よりも不利な、一般民間ベースよりは勿論遙かに離れて不利なそういつた事柄をただ財政圧迫ということで押付けられるということは、これは誠に遺憾なことでございまして、私ども財政自主性を持つていない、自分の税だけで以て賄えるだけの税源を与えられていないということから、こういうことが行われるということを非常に遺憾に考えておるのでございまして、何とかこの際税、財政根本亘つて改革によりまして、地方が与えられた財源の中で本当に地方住民自分の意思と能力に応じた行政ができる体制というものを是非作つて頂きたいと思います。さように考えております。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点、これも他の理事者のかたにもお伺いしたいのですが、終戦後の給与ベース、大体一千六百円ベースからが本格的な今のやり方に変つて来た最初だと思うのですが、その当時においても官房長官を本部長とし、大蔵省給与局長の今井さんを次長とする給与実施本部において、地方公務員に関する場合については地方の実態とその伝統を尊重して、国のきめたべースと実際的にでこぼこの出ておる所は、それぞれの知事が実施本部の承認を得れば、神奈川、大阪のような所は或る程度の上廻つた、実態に即した給与ベース切り替えをすることができる了解があつて、各府県そういうふうにやつたものと考える、それに則つて給与切り替えが行われて来たものであつて、何ら非合法であると言われるようなべース・アツプを地方独自で行なつて来たものではないというふうに私たちは調査しておるのですが、神奈川県においては、従来のいきさつ等から言つて、仮に一部国家公務員よりも給与が高いと言われる向きの公務員があろうとも、それらは一切国の承認、即ち給与実施本部の承認の下に行われて来たものへ積み重ねられて来たものだというふうに考えてよろしいかどうか、この点お伺いしたいと想います。
  10. 矢柴信雄

    参考人矢柴信雄君) 神奈川県におきましては、先の数字でも申上げましたように、実際上国家公務員より高いという事例が実は出ていないのでございまするが、現在のベースというものを考えますときに、これはむしろ国家公務員よりも、先にもお話がございました給与実施本部の二千九百円ベース時代からの切り替えでございますが、それにつきまして順当にその通りをやつて来ておるのであります。なおそのほかに神奈川県といたしましては、例えば昇給でございますが、昇給に関しまして、現在例えば六カ月に一回昇給をするということになつておるのであります。神奈川県におきまして六カ月に一回三割だけの人間昇給をする。その他の大体四割ばかりの者が九カ月で昇給をする、残り三割はそれよりももつと遅らせる、こういうことをやつておるのでございまして、地方では何分財政、それから人事というものが直結をいたしております、直結いたしておりまして、実は私がその両方の主管部長というような形に相成つております。財政が非常に圧迫せられておりましたことは、皆さん御承知の通りでございます。従いまして人事関係におきましても、自分で可能な、できる限りの縮減をするという方向こそとつて来ましたが、やみくもに政府で考えた基準よりも遙かに大きなことをやるというようなことは実施いたしておりません。それから只今お話のございました中に、現在仮に高いとしたならばというお話がございましたが、この問題に関しまして市町村なんかについて、特に横浜市或いは川崎市等について或いは実例があるかと思います。併しながらこの高いというのは、やはり高かるべき理由があつて高いのです。東京の隣りにおり、そうして日本の大工業地帯の真中にございまして、そうして市の吏員として決して先に洋々たる未来を持つておるというような国家公務員法の立場とは大変違うのであります。又国家公務員において、これは余り言いたくないことでありますけれども、例えば全国を歩かれて臨時の収入があるとかないとかいつた問題もないではないのでございます。そういつたことが全然ない。こういつた所で落着いて仕事をして行くということになつて参りますると、これは或る程度高いということは止むを得ないのじやないか、ベースとして高くなるのは止むを得ないのじやないか、というふうに考えるのであります。高かるべくして高いものだと私は考えるのでございまして、従いましてそれを今になつて、これは官吏はこうやるのだからお前の所もこうやれというようなことを言われましても、実際上これはできないことじやないか、無理じやないか、こういうふうに考えられている点が多分にございます。
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは進行の上から次の参考人に御意見を承わりまして、矢柴君に対しての御質問は又午前中の御供述が終つたあとにお願いしたいと思います。次に山梨県副知事金丸徳重君。
  12. 金丸徳重

    参考人(金丸徳重君) 県の財政の逼迫状況及び県職員、教職員給与関係などにつきましては、只今神奈川県のほうから詳細に亘つて公述がございました。私から申上げる事情も全く神奈川と同じでありまして、一見給与が高いように思われる分につきましても、それは特殊の事情があるものについてのみであります。特に山梨県といたしましては、給与が高いという例はございません。お手許にお配りしてございます案の中に、一般係員職員の中に若干高いものがあるようでありますが、これは先ほどの公述の中にも現われておりますように、データのとり方の問題でありまして、私どもの調べたところによりますると、国家公務員一般給与の状況から比較いたしまして、私のところの県のものが高くなつているという実例は毛頭ないのであります。ただそうした誤解を受ける、或いは又公選というようなことからいたしまして、たまたま何か人気取りのために給与を上げているのじやないかというような噂が飛びますし、又特殊な例としてはそうした疑いを受けるような例がなきにしもあらずと、私はよその県などからいたしましてもあるのではないかと思います。併しながらそれは極めて、何と申しますか、雨夜の星のごとき極く一部の例に過ぎない。この一部の例を以て全般給与を律せられて、県庁職員或いは地方教育職員給与が大体に高いというような誤解を持たれることは甚だ遺憾千万に存じておるのであります。山梨県といたしましては特にそうした例はございません。伝えられるように今回のベース・アツプにおきましても、その高いと思われる分を差引いて平衡交付金の交付において考慮しようというようなことになりますると、これは事は重大であります。事務運営なり、或いは社会問題といたしましても問題になる次第であります。この点はもう神奈川のほうから縷々御説明がありましたので私は詳しく申上げません。  ただ実は私あとの会合のために出掛けなければなりませんので要点だけ申上げます。先ほどお尋ねになりました中に、そういうような窮迫した県の財政からいつてどうするのか、若しか今の平衡交付金の百億を以て押付けられて、而もこの中から差引かれるというような窮状に追込まれたときにどうするかというような大きな問題をお尋ねになつておるのでありますが、全く私どもといたしましてはこの点に非常に苦慮いたしておるのであります。知事会議といたしましては、先般五百七十億の不足財源の補填を国に求めておるのであります。その後若干の数字の補正はございましたが、五百五十億程度のものは現在でも不足いたしておる状況なのであります。給与ベースを或る程度に上げるといたしましてもそうした不足を来たす、それに対して平衡交付金が百億、地方債の百億の枠の増等を以ていたしましては、なお三百億余の不足のあることはこれは明瞭であるのと、従いまして今後平衡交付金において更に相当の増額をお願いしなければ本年度の経費が成り立たないわけなのでありまして、これらにつきましては国のほうに御要望も申上げておるわけでありますし、今後是非とも補填の御承認をお願いしなければなりません。そこで若しどうしてもというような場合に迫詰められたときに、我々といたしましては止むを得ませんので、次年度の繰上げ支出でもしなければならないのではないかというような問題にまで考えております。又公共事業の繰延べもしなければならんのではないか。これはもうそうしたことを考えるどころか、現実に私ども県予算を組む場合に、財源の枯渇いたしております関係上、背に腹は替えられんで延ばすというような状況なのであります。殊に私が一番今度県会に予算として出しまして苦しみましたのは、例えば法律上義務付けられておるところの恩給の増に伴う経費ですらも財源枯渇のために計上できない。止むを得ませんので十月支払の分だけ上げておいて、一月の支払分は次の平衡交付金増額を待たう、状況を見ようというようなところまで追詰められている状況なのであります。尤も山梨県というのは特別に財政窮迫の例に挙げられるような貧乏県なのであります。又県の特殊の事情からいたしまして県の特殊な事業がございません。それからいたしまして問題になりまするところの税の自然増というものも殆んど、例えば事業税などの増ということは、相当国全体として考えられておるようでありますが、私どもの県からいたしますればそういう事業税の増を見込むだけの大きな事業がありません。そうしたことからいたしまして、税の自然増に頼ることも目下のところは困難だ、そこでどうしても止むを得ませんので、平衡交付金なりに頼る以外にはない。山梨県は平衡交付金に県財政の三分の一を頼つておるような特殊な県なのであります。そうした関係からいたしまして、特に平衡交付金に頼る率が高いのであります。その平衡交付金が要望いたしました二百億の半分にもならん。或いは五百七十億に対して、当時三百億の平衡交付金が必要であるというようなことであつたのでありますが、それが三分の一の百億だけというようなことで、而も今後の増が認められんということになりますれば、県の財政の実情から非常に憂うべき状態になる。而も先ほども仰せになりましたようにベース・アツプ、これは社会問題としてもどうしてもやらなければなりませんということでありますれば、そこに止むを得ん非常手段といたしまして公共事業を繰下げる、或いはもうそういうことは到底考えられないことでありますが、次年度の経費の繰上げ支出というようなところまで追詰められるのではないか。この点を当局といたしましては非常に心配いたしておるところであります。今後関係御当局の好意ある御処置をお願いしなければなりません点があるのであります。簡単でありますがこれで終ります。
  13. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の金丸さんにお尋ねしたいのですが、先ほど同僚の小笠原君が矢柴さんに質問した点でも明らかになつたように、国家公務員に倣つてこの際給料を考えた場合に、地方公務員のほうが高いのだという大蔵省の見解というものは、全く為にせんとする資料を集めて、とてつもない未熟なことをやつて、皆様がたを結果において苦しめていることに相成つているので、我々も極めて遺憾としている次第です。その上に今般この国会から見ておりまして非常に我々が憂慮しております問題は、従前、地方財政委員会及び地方自治庁は、大蔵省側の国家公務員に比較して地方公務員は高いという論を論難していたのです。ところがこの頃は大蔵省のその説に屈服して、どうやらやはり地方公務員の給料は、国家公務員に比して高いのだというようなことを、積極的には言つておりませんが、消極的にそれを肯定し、而も閣議決定の線から皆様がたのほうに通牒が発せられているというようなことを我々は承知しているわけです。そこで今の金丸さんの並々ならん御決意を聞いて、非常に全国地方公務員のために感激に堪えないのですけれども、実際問題として、給料を来年度の税収入を見込んで繰上げ支給をするということ、これはかなり困難な問題だと思います。それで又一方にはこの平衡交付金増額につきましては、第一次、第二次の給与の引上げの財源に目を蔽うて、物価が上つた分の平衡交付金の増というようなことを申して、僅か百億でとめようとしてこれを強行せんとしていることも、これも又御承知のことであります。そういうような矢先きに、関議決定の線と称して地方自治庁から皆様がたに発せられる通牒というものに対して、基本的にはどういうふうにお考えであるか、この点について一つお尋ねしておきたいと思うのです。なぜそういうことをお尋ねするかと申しますと、副知事さんとしては、全く国の考え方が間違つているということを御承知であつても、一歩県にお戻りになつて、例えば教職員組合から要求があると、そうしてその要求は当然であろうとは知りながらも、これを交渉する場合に、何しろ国のほうからもこういうものが来ているのだからというようなことを、山梨県では申さなくても、全国ではそれを今度は武器にして、何しろ国でこうなんだから君たちの要求は正当なんだけれども、聞くわけにはいかんという交渉の姿が必ず起ると私は思つているのです。従いまして、代表されて本日参考人としてお話下つた金丸さんとしては、こういう状態において発せられるあの地方自治庁の通牒に対しては、基本的にどういうふうにお考えであるか、この点を参考にお聞かせ願つておきたいと思います。
  14. 金丸徳重

    参考人(金丸徳重君) あの通牒の詳細な検討につきましては、更に閣議その他において十分検討されることと思います。又そうした例が生じた原因などにつきましても、各県別、且つ又事情別にそれぞれいろいろあろうと思いますので、それらの検討がされることと思うのでありますが、基本的には、地方財政の窮迫からいたしまして、私の県の例ばかり申上げて甚だ恐縮でありますけれども、むしろ抑えに抑えているような給与状態であります。上げたいけれども上げられない。それは先ほどもいろいろと例を挙げて公述されたのでありますが、地方公務員給与には特殊なる事情もある、例えば私どものほうの県で言いますと、東京或いは横浜という方面からの煽りを食いまして、とかくいい教員が逃げて行くというような例もありますし、又地方公務員の特殊性で、福祉施設等が国家公務員に比較いたしまして低いのであります。そうした事情もありまして、上げたい事情があるにもかかわらず、県財政の窮迫からいたしまして、とかく上げ得られないという実情にあるのであります。従いまして給与ベースの改訂などの際において、平衡交付金その他の措置によつて財源の潤沢化をお願いいたしたいのであります。これが私は基本の問題であろうかと思います。
  15. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 国家公務員がこのたび千五百円アツプするわけですが、閣議決定で、それぞれ教職員なり一般職員なり低い決定をしましてそれを地方に流して行く、只今知事さんや総務部長さんの話を聞きますと、諸般の情勢からそういうことは困難であるということになりますと、予算の款項目におきましては流用の限度はあるわけでありますが、背に腹は替えられないので、いろいろな形によつて費目の流用をやつてでもやるというようなことはできんものですか。その点一つ……。
  16. 金丸徳重

    参考人(金丸徳重君) 費目の流用というような余裕も殆んどありません。ただ私どもそうした事情を非常に苦心いたしまして、教職員については、私どもの県としましては定員がむしろ足りない程度で、かつかつでありますけれども、県職員につきましては補充を差止たり等いたしまして、これは非常に無理だつたのでありますけれども、若干いたしております。それから物件費の節約というようなことも考えまして、いたしておりますけれども、これは殆んど僅かであります。それによつて平衡交付金のほうの額が減るものをカバーするというようなことは到底考えられません。
  17. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 例えば事業費なんかがありまして、その中のいろいろ県会なんかに出される予算の説明では、例えば委員会費とか調査費とかいろいろあるわけですから、それの費目の流用によつていろいろな形で実質的なべースを確保して、事業の遂行に実際支障を来たすというようなこと、そういうことはやはり官僚の人はそういう予算の費目の流用については天才的な技術を持つているのではないかと思うのですが、その点の妙味はどうですか。
  18. 金丸徳重

    参考人(金丸徳重君) 如何に天才的技術を発揮いたしましても、手品を使いましても、私どもの県の事情から言いまして、これ以上絞るに絞りようがないのではないかと思います。
  19. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一つ知事さんにお願いしておきたいのですが、我々地方行政委員会としても、現在の千二百億の平衡交付金では絶対地方財政は賄えないという結論に超党派的に達しておるわけであります。この夏月余に亘りまして西郷委員長を中心にして結論も出して昨日も増額することが必要であるという参議院の全会一致の決議に至つたわけなんです。我々としましては何とか今国会に地方の要望に応えたいという固い決意を持つているのですが、幸い米の供出について全国知事さんがお集りになつているのですから、その知事会の事務局にでも一つ強力な連絡をとつて、大蔵大臣がともすればその筋の許可が得られないというようなことに名を籍りて、大蔵大臣の独善と越権によつて地方財政が非常な被害をこうむつている。特に知事会で総司令部に対して強力な手を打つて地方財政の実情を訴えて大蔵大臣のやつている蒙を啓いてやりたいと思うのですが、我々も是非それはやるつもりなんですが、その点御希望しておきます。
  20. 金丸徳重

    参考人(金丸徳重君) かしこまりました。
  21. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では残りました質問はあとに願いまして、大阪市長中井光次君。
  22. 中井光次

    参考人(中井光次君) 本日当委員会において地方公務員、なかんずく大都市に勤める政府職員給与改訂の問題に関してその事情を開陳し、国会の御理解と御考慮をお願いする機会を得ましたことは誠に有難く感謝に堪えません。政府職員給与ベース改訂についてはすでに法案及びその予算も提出され、国会において御審議中にて、近く十月に遡つて実施される見込と承わつております。今回政府が行わんとする給与ベース改訂は、申すまでもなく一般物価の高騰、特に最近における各種公益企業料金の改正に伴う生計費の上昇と、一般民間賃金との均衡上とられた措置でありまして、今日の経済情勢の下にあつては誠に当然の施策であると存じます。我々大都市の場合におきましても事情は全く同様でありまして、特に大阪市を初め、五大都市は、本年当初以来常に我が国最高の物価水準にあることは、総理府統計局の調査に明らかでありまして、その他の諸都市に比べて格段の高い位置にあります。又物価の上昇率も極めて急激なのであります。かような環境の下に生計を営む大都市職員につきましては、むしろ急速にその給与ベースを改訂する必要が痛感せられるのであります。然るに大都市職員給与水準は政府職員に比べて高いということ、及び財政需要が極めて窮迫する状況にあるという理由から、給与ベースの改訂は不必要であるとして、政府はこれに必要とする何ら特別の財源措置をも講じていないのであります。そもそも給与水準の比較は誠に困難なことに属するのであります。と申しまするのは、比較の対象が、それぞれ年齡、勤続年数職員構成等の諸条件を検討せずして、単に給与平均額のみをとつてその可否を論ずることは無意味であり、又大都市職員のごとく、最高物価水準の土地柄に生計を営む者の給与と、政府職員のごとく全国平均給与とを比較することは甚だ不適当であり、又大都市行政のごとく交通、水道等の公企業を営み、土木建築、港湾等の士風業を営むサービスを中心とする現業と、監督行政を主体とする国家行政とは本質的にその内容を異にしておりまして、従つてこれに従事する職員給与を単純に比較することは正しい結果を得がたいのみであり、特に政府職員の場合に見られまするいわゆるベース給以外の超過勤務手当及び旅費の予算額の多額なること、官舎の設備の充実せること等、実質給与の存在することは世間周知のことでありまして、単に名目賃金であるベース給の高低のみを以て給与水準を論ずることは不当も甚だしいと存じます。  このことは最近横浜、神戸等において実施いたしました政府職員引継ぎの際に、その実収を保証するために本給を三号級乃至五号級と大幅に引上げて、横浜、神戸市に国家公務員から採用しなければならなかつたという実例によつても明白であります。まして今回政府職員給与ベースを改訂する目標が、単に実質賃金の従来の水準を維持せんとするに過ぎないのでありまして、何ら賃金を実質的に増額せんとするものではないのであります。このような事情の下に政府職員給与が改訂されるに際しまして、ひとり大都市職員給与のみがそのまま据え置かれねばならんという理由は全く見出し得ないのであります。私は国家行政の一環としての、且つは又講和後の国家経済推進上最も重要な地位を占めまする大都市行政の円満なる運営を期する上から見まして、職員給与水準の上昇を政府案に基いて実施いたしたいと存じておるのでありまするが、これが財源につきましては、以下申述べまするような全く困難な事情にあるのであります。即ち大都市財政事情については、巷間さながら金があり余つてでもいるかのような声をしばしば耳にするのでありますが、これは全く実態を知らない想像から出た誤りで、大都市の台所はまさに火の車、而もこれが次第にその度を加えつつあるのでありまして、財政力に余裕を生じているのは実は大都市を抱えた府県なのであります。現に二十五年度の決算見込におきましても、新地方税法施行の遅延、地方配付税制に代る平衡交付金制度実施による減収、更に又大都市起債承認額の低下等により、予定収入は著しく減少した上に、更に関西地方におけるかのジエーン台風による災害復旧、復興のために多額の財政需要に迫られることになり、既定予算の更正減額措置をとるは勿論のこと、更に執行においてこれを徹底的に抑制して、半面市税その他収入の確保に全力を傾注したのでありますが、結局横浜市において一億七百万円、神戸市において三億九千五百万円、大阪市において十五億円の歳入欠陥を生じて、翌年度歳入の繰上げ流用の止むなき事態に陥つたのでありまして、かくのごときことは大都市財政史上未曾有の事実であります。更に今年度においては、このような前年度の赤字事情から、各都市とも経常物件費の徹底的緊縮に努めた上、使用料、手数料等の利用収入については全面的に単価又は料率引上げを行う等、積極的増収策を講じているにもかかわらず、一般及び災害復旧公共事業の認証額及び政府施策に伴う事務的経費を全額執行するとすれば、五大都市合せて実に百三億に上る収入不足が予想されるのであります。従つて各市においては一部人件費の節減、その他単独事業費の執行中止を図るほか、公共事業といえどもその一部を返上することとして、約二十六億の節約を敢行してもなお七十七億に上る赤字は避けがたいという窮状に直面しているのであります。いささか当面の給与問題にそれる感じもいたしまするが、今この赤字の原因を述べますると、先ず第一にその原因は新地方税法そのものにあるのであります。大都市施設と密接な関係にあります事業税、入場税、遊興飲食説等弾力性のある税種がことごとく府県に移された結果、意想外の増収を得たのは大都市を抱えた府県でありまして、今大阪府、市を例にとりますると、大阪市は二十四年度四十九億の税収が、二十五年度六十七億で三割六分の増収となつておるに過ぎないにもかかわりませず、シヤウプ勧告では増収を予定されなかつたはずの府が四十一億から六十九億と一挙に六割八分に当る増収を得ておるのであります。従つて今仮に五大都市について旧税制の仮定の下に本年度の税収見込を推定いたしますると、その調定見込額は三百十一億と相成り、現行法による場合よりも六十六億の増収が期待せられるのであります。即ち大都市においては新税法によつて実質的には却つて大巾に減収という結果を生じたのであります。而も旧制度の下においては、この上に三十三億地方配付税が交付せられていたのでありまするから、現行の地方税制の下においては、大都市平衡交付金に負うというような観念は、全く認識不足も甚だしいものと言わざるを得ないのであります。然るに又平衡交付金の算定基礎にも大きな欠陥があつて、大都市の交付金は著しく減少いたしたのであります。即ちその基準財政需要額と称する標準行政費の算定に当つて一般の市町村を対象としておるために、大都市の特殊な行政実態から、多額の市費負担を必要とする住宅費、失業対策費、下水道費、屎尿、塵芥処置費、大学教育費、河川費、公園費、水害対策費等、更に大都市に特に認証の多い公共事業費について殆んど没却されて顧慮されないのであります。大阪市に一例をとりましても、二十五年度政府認証公共事業の港湾費だけでも、すでに二億四百万円要しているにもかかわりませず、港湾費の基準財政需要額というもので算定しまするというと、それの十分の一、二千五百万円でよいという、誠に不可解な結果と相成つておるのであります。又大都市人口が年々歳々一般の市町村とは比較にならん比率を以て膨脹して、大阪市に例をとつて見ましても、年々十四万の人口が殖えて宇都宮とか川口とか、或いは岸和田等の中都市が年々一つずつ殖えて行つているような工合であります。且つ又大都市行政が道路、橋梁その他土木、保健衛生、産業経済、警察、消防等、おおむね中間の活動人口、即ち大阪市では約三百万人をその対象としておるにもかかわりませず、基準財政需要額の算定においては、単純に二十五年度の国勢調査人口百九十五万人に測定しておるので、全く実態と乖離したものと相成つておるのであります。従つて今若し仮にこの基準財政需要額で以て、大都市が真に標準行政費とみなして実施いたしますれば、大都市行政機能は忽ちに頓挫してしまうことと相成りますることは明らかでありまして、かかる不合理極まる経費の算定によつて、大都市の収入が増加するものとして、実は過大財政力と称せられておるのであります。而もこのような誤つた架空の数字が、更に又大都市に対する起債許可額の逐年減少の理由とせられているのであります。右のごとき誤つた根拠に立つて、大都市過大財政力の見解の下に、お手許に配つた別表に示すような、その起債の許可額を低下しつつあるのは、誠に不合理極まるものと言わざるを得ないのであります。このままにして推移いたしますならば、たとえ我々大都市自体が、如何にその経費の節約、合理化に努め、その固有財産についてあらゆる増収策を講ずるとも、その財政運営に意を用いましても、このような現行地方税制そのものの持つ欠陥、並びに平衡交付金、共済制度の運営方法の不合理性が是正されない限り、大都市財政の窮迫はいよいよその度を加えて、実質赤字は累積するばかりで、如何とも対処し得ないことになりますので、これらの点につきましては、先般来貴院並びに関係方面にしばしば陳情懇請を続けておる次第でございます。  さて財政問題が少しく長くなりましたが、右のごとき大都市財政の現状からして、今回の給与改訂財源については、如何に一般物件費の徹底的節減、事業収入の積極的増収策は勿論のこと、人件費の節減、事業の打切り等を考慮いたしましても、到底これは捻出することができず、而も現下の労務事情より、これを放置し得ない実情を十分に御賢察の上、これが財源措置として平衡交付金増額、並びにその合理的適正なる配分方法の改正、及び特別貸付金の措置等につき、特別の御尽力をお願いして、是非ともこれが対策を仰ぎたいのであります。右長々と御清聴を煩して有難うございました。何とぞ右陳述の事情を御了承賜わりまして、国会として急速且つ強力に格段なる御措置をお願いする次第であります。
  23. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは午前中に、時間もございますので、もう一人藤沢市長の御意見を先に拝聴いたします。藤沢市長伊沢十郎君。
  24. 伊沢十郎

    参考人(伊沢十郎君) 私が藤沢市長の伊沢でございます。神奈川県におきまする中都市でありまして、人口八万六千、市制施行もまだ数年でありまして、一種の郡のような形態の都市であります。さて地方公務員給与ベース改訂が、今の財政需要で可能であるかどうかということに重点をおきまして、若干公述いたしたいと思いますが、全国市長会で二百二十四都市に対しまして、地方公務員給与現状を調査したものがございまして、これは専門員のほうへ差上げてございますが、これによりますると、政府、主として大蔵省が指摘しておりまするように、若干政府公務員給与ベースよりは高いのでありますが、これは先ほど来他の公述人からもお話がありましたように、都市に居住する公務員の生活実情から当然起つて来るものと私どもは理解するのでありまして、この調査によりますると、政府公務員の八千五百六十九円以上の都市が六十六市、それ以下の八千円以上という都市が五十四市、七千五百円以上が四十一市、七千円以上が二十五市、七千円未満が九市ということに相成つております。私のほうの市は九千六百八十円というのでありまして、やはりこの政府公務員よりも給与が高いということに相成つております。これはその理由はいろいろありますが、若し政府公務員にして都市在勤者だけを調べれば、恐らく八千五百円を更に千五百円以上上廻るのではなかろうかということの推測が成立つのでありまして、これは他の公述者から申上げたところと同じような理由であろうと察するので、これを省略いたします。  さて私の市におきましては今回政府公務員に行われまするようにベース・アツプいたすと仮定いたしますれば、月額百三十一万六千円、本年度の所要額七百九十六万九千円でありまして、これは当市の財政事情から見ますれば、今のところこの財源調達の見込はないのでございます。と申しますのは、地方財政委員会で本年度の平衡交付金の算定基準を算出いたしまして、これによりますると藤沢市は富裕の自治団体だということになつておりまして、平衡交付金の交付はない見込に相成るのであります。併しながらこの富裕都市であるというその当市の事情を申上げますれば、本年度の住民税におきまして、政府昭和二十五年度に所得税の減税をいたしました結果、これに基きまして千七百二十三万円の減収と相成りまして、一面固定資産税の増徴が見られますけれども、それを差引きまして九百二十万円ばかり税収の減が見られるのであります。然るに平衡交付金におきましては、昭和二十五年度は千三百九十九万円頂き、或いは又更にその前に遡りまして配付税時代におきましては三千四百七十三万二千円あつたのでありまするが、これが全然昭和二十六年度の現状においてはないということでありますれば、この税収の減に加えて平衡交付金の減少によりまして、今の既定予算を賄うにさえも事欠くのでありまするからして、到底ベース・アツプに伴う七百九十六万円並びに年末手当の六百七十六万円でありますが、両者合せまして、千四百七十三万円の財政支出は到底できないのであります。これは一面我々が自治団体の運営者といたしまして軽率な財政経理をしておるということに基くのではありませんで、当市におきましては、各位も御承知のように、本年財政力を充実させる目的を以ちまして、住民税の総所得に対する課税をしようという試みをいたしたのでありますけれども、市民の増税に対する嫌惡によりましてこれをあえてなし得なかつたのであります。従いまして、本年度の当初予算に計上した人件費を定員三十名を減じまして、これによりまして半年分の人件費の節減が二百七十万円、これを年額にいたしますれば、五百三十万円になるのでありますが、かように三十人に及ぶ人員整理をいたし、そうしてなお且つ只今申しましたように、今回のベース・アツプの財源が得られないので、一面平衡交付金においては仮決定で、全然交付がない見込でありますのにかかわらず、予算上どうしても一千万円は見込まざるを得ないというのでありまして、ベース・アツプ財源の不足の九百万円と、予定しておつた平衡交付金がもらえぬということになりますれば、これに基く一千万円、小都市にとりましてはこの千九百万円の歳入欠陥ということは相当大きいのであります。併しながら他の公述人も言われましたように、東京と同じような生活実態をなす当市の公務員ベース・アツプの恩典に浴せないということは、到底円満な運営ができませんので、私どもは如何にもしてこれを財源獲得により或いは又他の手段により、ベース・アツプをせなければならんわけであります。従いましてこれは一般財源問題になりますけれども平衡交付金増額並びにこの配分等について格段な御配意を政府当局或いは地方財政委員会というものに要請いたすのでありますけれども、併しその資源でありまする予算がかくのごとき状態でありましては、到底実現の可能性がありませんので、ひとえに国会における各位の御認識、御支援によりまして、政府のかくのごとき態度が改まることを切に念願いたす次第であります。  簡単でありますが、中都市の例におきます現状をお話申上げた次第であります。
  25. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では以上の四市に対しまして御質疑をお願いいたします。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 午前で区切るとしたら白鳥さんも公述なさつたほうが本人の御都合もあるでしようから……。
  27. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは午前中に千葉県の津田沼町長であり、全国の町村会長の白鳥義三郎君にお願いいたします。
  28. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) お許しを頂きまして町村吏員の給与の現状について公述いたしたいと存じます。その前に当委員会がしばしば地方公共団体のために格別な御尽力を下されましたし、又特に弱小の町村につきまして格段の御配慮を頂いておりますことを厚くお礼を申上げたいと存じます。  町村吏員の給与の現状は、大蔵省のほうから発表されております市町村の一括されたものの結果によりますと、相当国家公務員よりも高いというのだそうでございますが、町村だけの吏員を、私のほうで七百七十七カ町村に亘りまして調べました現状によりますと、非常に食い違つております。今そのあらましを申上げますと、三役級をとりますれば本俸が一万八百四十円で、吏員が六千二百九十一円、雇用員で四千百六十円、これを全部平均いたしまして六千二百八十一円と相成ります。それに諸手当等を加えましても七千二百八十七円にしかならないのでございます。八千何百円ベースから見ますと、現状におきましてもすでに千円近く下廻つていると、これが私のほうで調べました実態でございます。こういうような現状でございますので、国家公務員のほうがベースが上つたからといつて町村の吏員までベースを上げる必要はないのだと、こういうようなことを実は先だつて或る政党の極めて重要な地位にあられるかたから私聞いたのでございますけれども、物価が上つて国家公務員のほうはベースを上げる、国家の費用でそれは上げると、他の府県についてはそれぞれ何らかの、平衡交付金を増す等でこれも上げられると、他の会社等の雇用員は勿論これはすでに上つてしまつております。それにもかかわらず町村の吏員だけ何も上げなくてもいいんだということは、如何にも私は残酷だと思います。これはそのかたにもその場ですぐに反省を求めましたけれども、そういうようなことをおつしやられることは私としては実は堪え切れないことなんでございます。国民ひとしく物価高で給与が上つているさなかに、町村吏員だけ、而もその町村吏員が今まで国家公務員に比して給与がいいというのならとにかく、それから見ますと約一千円も低い町村吏員だけが上げなくてもいいんだということは、これはもう理論にも何にも合致しない暴論だと考えております。  なお附加えて申上げますが、只今町村吏員の給与の現状を御報告申上げましたが、成るほど本俸とかそういつたものについては今申上げたようでございますが、そのほかの諸手当等の実情を申上げますと、又々ひどい慘澹たるものがございます。幸いにして私のほうの津田沼町は東京とはすぐ近くでございますし、職員の中にも組合ができておりますので、始終私のほうと折衝いたしまして、給与等につきましてはできるだけのことは、一通りのことはやつておるのでございますが、又人口も比較的多うございますから、それだけのことを何とかして面倒は見ておりますが、これを全国的に見ますと、大体人口五千以下の村へ参りますと、給与の実態は非常に惡いのでございます。先だつても実は私のほうと少し離れた村へ行つて、その実態を大分調べて参つたのでございますが、そこではこういうようなことがやられております。超過勤務手当は全然そこの村では出しておりません。それから又扶養手当なんかにつきましても、村会のほうで議決があつて、妻君はみんな何かかんか仕事をしていて金を幾らか取つているから、妻君には扶養手当を出さないことにしようという議決になつて、その村では子供にしか扶養手当を出しておりません。それから又旅費なんかにいたしましても、極めて予算が乏しいので、まともな旅費の計算ができておりません。日直料、宿直料なども僅かにそれぞれ百円しか支給していない、こういうようなことは実は町村では決して稀ではないのでございまして、殊に比較的人口の少い、財政力の乏しい所ではみんなそういう同じような実情にあるわけでございます。こういうようなさなかに、町村吏員だけ、ほかの人がベース・アツプになつてもなお且つベースが上り得ないということは誠に残念至極と考えておる次第でございます。町村といたしますと、では今度のベース・アツプが実施されます場合にどのくらいの経費がかかるかを概算して見たのでございますが、これは非常に内輪の数字しか挙げられないのでございますが、七百七十七カ町村の吏員数全部から一町村当りの吏員の平均数を出しまして、それを現在の九千八百余カ町村に直しますと、約二十二万一千人ばかりおります、それが半年分といたしまして、十月からベース・アツプになるものといたしまして、千五百円ずつといたしますと、一人について九千円、それから年末手当のほうを〇・八カ月と仮定いたしますと、それで三千三百九十円ばかりに相成るのでございますが、それらをいたしまして大体二十二億三千万円ばかり、このほかに勤務地手当等を出している所で多少経費がかかりましようし、超過勤務手当を出している所でも一時間当りの給料が違つて参りますので、そういつたものを入れましても、大体三十億ぐらいの経費増となるんじやないか、内輪に見積つてそのくらいになるんじやないかというふうに考えております。ではそれを今の町村の財政事情からそれだけのものが支出ができるかと申しますと、これは殆んど私は不可能だと考えております。私のほうの町の実情につきまして先だつて調べて見ましたところ、平衡交付金の減額なり、それから今年の町民税の減収、これは先ほど市長さんのほうからもお話がございました通りに、二十四年度の所得税から見ますと、二十五年度の所得税がかなり減つております。それで昨年同様に第一方式をとつた所では、結局町民税の所得割がずつと減つております。私のほうのちつぽけな町で約五百万円ばかり減つておりますが、それと逆に又法人割が出て参りましたので、それが約百五十万ばかりございますが、これらを差引きましても三百五十万ばかりの減額に相成りますし、その他のいろいろ財政の縮小に伴います経費を入れますと、大体五百万円ばかり当初予算を縮小しなければならんことに相成るのでございますが、一方におきまして、私のほうの町で約八十万円ばかりのべース改訂による経費増がございます。それから中学校の建築費の値上り等がございまして、それこれを勘案いたしますと、次のような財政措置をとらなければどうしても辻褄が合わないことになつてしまつているのでございます。それは二百万ばかりの工費を見積つてある小学校の建物を一棟の増築をやめてしまう。それから一つの保育所の建築費、これが約二百万ばかりでございますが、これもやめてしまう。それから失業対策は今やつておりますものをこれを打切つてしまう。そのほか役場の改築費等を見積つておりましたのを、これをやめてしまう。こういうような非常手段をとりませんと、どうしてもべース改訂ができないというようなことになるのでございますが、併し計算はそういうふうに出ましても、二部教授をやつている現状におきまして、私は財政が苦しいからもう一年……而も四年も五年も二部教授をやつておりまする部落の人たちにもう一年二部教授を我慢してくれということは、如何にも私としても言いにくい。失業対策で四、五十人の人がどうやらそれで飯を食つて行くことができますものを、かすかすに御飯を食べて行きますことができますものを、失業対策を町の者の経費がないから今度やめてしまうとやつたら、直ぐに生活保護のほうに転落しなきやならんというような人々のことを思いますと、計算はそういうふうに楽々とできますけれども、なかなかこれは実現が不可能だということに相成るのでございまして、私といたしましても、一体どういうふうにしてこの難局を打開して行くか迷う次第でございます。ただこれは私の一存でございますが、私たち町村のほうに、実は法令に基かないいろいろな負担がかけられております。例えば福祉事務所ができますと、その福祉事務所の配下に福祉協議会というのが作られます。そうして半年なら半年だけの予算を勝手に立てまして、三十万とか三十五万とかいう予算を立ててその分担金を町村のほうに押付けて参りますとか、農業委員会ができますとその連絡協議会というようなものを勝手に作つて、その経費を又三十万なり四十万を町村のほうに押付けて参ります。警察の後援会もあり、或いは又司法保護委員の活動も今のままではできないというので、又町村のほうに人口一人当り二円なら二円という経費を押付けて参ります。これらは決して法令に基いたものでもないし、私たちがそれに従わなくてもいいことなんですから、全国の一万の町村が結束いたしましてこういつたものを蹴つてしまえば、これは或いはベース・アツプの費用が捻出できない限りではないかと思うのでございますが、併しそうなつた暁に、果して今までやつておりました……併し蹴りましても今年は大体の経費が支出してしまつてあるんですから今年の間には合いません。来年からは或いはどうやらそういうようなことをいたしますと町村の財源は確保できるかとも思いますが、今年はもうそれも大部分が金を出してしまつたあとなんでございますから、これも解決の方法としてとり得ないというようなジレンマに陥りますので、どういうふうにやつたらいいのか殆んど決断が付かない実情でございます。で、私のほうでも、町でもそうでございますが、これが村のほうへ行きますとこれはもつともつとひどい。ここにも一つの例として千葉郡の椎名村という村の予算書を持つて参りましたが、この中でも村の財政というのは現在もう破綻してしまつておるんだと私は考えております。と申しますのは、千葉郡で十二カ町村がございますが、このうちの十二カ町村を人口別にいたしまして標準財政需要額と実際の二十五年度の決算額或いは二十六年度の予算現計との比較表を作つて見ますと、町のほうの人口五千以上の所の支出の仕方と、それからそれ以下の支出の仕方とでは全然性質が違つているのでございます。殊に人口二千五百ばかりの小さな村へ行きますと全くめちやくちやだといつて差支えないような支出の仕方でございます。めちやくちやだというのは、めちやくちやに費用を余計使つているというんではなしに、ひどい支出の不足なんでございます。例えば教育費を見ましても、小学校の教育のほうに財政需要額で申しますと四十万円ぐらいここの村で使わなければならないのに、現実に使つているのは幾らぐらいかと申しますと、需要費が僅か二万二千円でございます。その他の一切合切を含めても小学校費として十二万九千三百円しか使つておらないのでございます。それから中学校のほうの費用、これには非常に多額になつておりますが、五十三万四千八百円になつておるのでございますが、このうちの五十万円は校舎の建築費なんでございますから、それを除きますと僅かに三万四千八百円というべらぼうなひどい支出ぶりなんでございます。財政需要額から申しますと、これは約三十万円に相当いたしております。一体どうしてこういうふうなひどい予算を作つているかと申しますと、役場を維持するために、或いは農業調整委員会とか、もうこれは農業委員会に移りましたけれども、そういつたような法律できめられた委員会を維持するための経費が村の財政の半分以上を占めちやつておりまして、従つてその他の自治体として当然やらなければならないほうの費用に充てる財源がないのでございます。消防費なんかも殆んど全部これは部落負担になつてしまつています。町村の消防というのが今の建前でございますが、村でその経費が負担できないからこれは部落負担になつてしまつています。学校のほうの費用は、当然需要費等は役場で持たなければならんのでございますが、それが持ち得ないのでPTAの会費のほうにお委せをしてしまつている、或いは土木費等につきましても同じようにこれが村民の奉仕によつてかすかす道路を維持している、こういうような事態でございまして、従つて今後ベース改訂などをいたしますときには殆んど支出の途がなくなつてしまつている。打切るべき事業もないというようなのが、これが村の財政の現状でございます。そういうような矢先に平衡交付金等の増額等によつてこれを賄つて頂きませんければ、町村吏員のベースを上げるということは、これは到底できないことだと考えておる次第でございます。是非皆様がたの格段の御配慮によりまして、今後町村財政が維持できますように、是非御配慮を頂きたい、こういうように考えておる次第でございます。何分よろしくお願い申上げます。
  29. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上の各氏に対しまして、御質疑をお願いいたします。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大阪市長さんにお伺いしたいのですが、まあこれは事務的なことですから付いて来たかたの御発言でも結構なんですが、地方公務員なら職員団体として市長さんと話合もできる、或いは電車や水道なら労働組合として交渉権もあるのですが、警察、消防のほうは何らそういう手だてもないという場合に、仮に政府がこうきめたからと言つても、地方理事者として、これらの警察、消防等の公務員に対して給与を切下げて押付けるということが実際問題としてできるものであるかどうかお伺いします。
  31. 中井光次

    参考人(中井光次君) 今のお尋ねですが、警察とか消防などの給与を下げることを実際としてやり得るかというお話ですが、てんで頭からそういうことをやろうという頭はございません。現在の給与はそう楽であるというわけではありませんが、それから又事実の問題としても今の組合のほうと変りませず市役所のいろいろの職員関係を横に見まして、そうして消防なり警察官の或る一定のなにがありますけれども、その横の関係を労務局で見るということをやつておりますから、若し今回いろいろの御配慮によりまして、こういう処置が完全にとれれば結構でありまするから、それには又警察、消防同様にスライドすると思いまするが、又どうしてもできないという財政上の問題に逢着すれば、それに順応して行かなければならん。併し現在の給与を下げるとかいうような考えは毛頭ございませんし、又できもいたさないと思います。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一つつておきますが、これは五大都市どこでも電車や水道があるわけですが、一般会計との関係は、過去のやり方から現在までどういう関係になつて来ているのが実態なのでしようか。
  33. 中井光次

    参考人(中井光次君) お答えします。電車、いわゆる交通事業、地下鉄、電車、バスというもの、それは交通局が所管いたしております、それから水道、この二つは特別会計になつておりまして、一般会計とは切離されております。そうしてそれぞれが独立採算制をとつておる、こういうわけであります。そこで従前は例えば電気局などがあつた時分に、配電が統制される前大阪市あたりで非常に飽和状態の供給区域を持つておりますから割にいい収入があつた時代がありますが、そういう場合には若干の電気事業費の収益を一般会計に持つて来たことがあります。併し今日はそういうことは表向きは許されません。ただ併しこの諸掛り費と申しますか、共通的の職員費とか何とかいうものについての何かいろいろきめがありまして、この負担特別会計も当然一般会計に対してやつておる、こういうことになつております。
  34. 安井謙

    ○安井謙君 先ほど港湾関係府県職員が市に編入されました場合の何を給与についてお話があつたようですが、もうちよつと具体的にお話願いたい。
  35. 中井光次

    参考人(中井光次君) 今のお尋ねでございますが、これは今私手許に持つておりませんが、実例でございます。御承知のように今度港湾法ができて、そうして横浜なり神戸の国港が市の管理に移つた。そこで今まで港湾に従事されておつた数十名の人がそれぞれ市役所に移つて行つた、こういうわけでありますが、その際における状況を先ほど申上げたのですが、つまり名目上は三号乃至五号の昇給をして市役所に入るのでありますが、でありますから官吏の俸給が非常に低いということになるわけですね、一面を見るというと……。然るに三号乃至五号の昇給をして市役所に入つた横浜乃至神戸の吏員が実収においてはそれでもまあ大体とんとん程度である。こういうことを申上げて、名目に出ておることだけでは御比較になるのが甚だ適当でないという実例を申上げたわけであります。と言うことは、横浜なり神戸の、或いは私のほうでもありまするが、表面に出ている号俸というもの以外の収入はないのだと、こういうことであります。
  36. 安井謙

    ○安井謙君 その具体的な実例が、その資料か何か……。
  37. 中井光次

    参考人(中井光次君) それは横浜並びに神戸市よりお届けになつたのが私の手許にあると思いますが、お届けいたします。
  38. 安井謙

    ○安井謙君 その資料を一つ是非出して頂くように委員長のほうで御手配願いたい。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ついでですからそれに関連してお尋ねしますが、大蔵省平衡交付金問題で我々問い質した場合も、或いは地方財政委員会の意見書に対する反駁の中にも、地方公務員給与が高いという実例、どこかの都市の市立病院長の給与国家公務員である医者よりは随分高い、或いは都道府県の部課長の給与中央の局長給にもなつて高過ぎる、こういうようなことで、なお且つよく聞いて見ると東大の先輩、後輩というような関係や何かから辿つて来て、高過ぎて生意気だと、こういうような感じが大蔵省あたりにあるのじやないかというふうに受取つたのですが、この地方に人材を吸収するとか、有能な人物を採用したいとかいう人事管理上必要にして止むを得ない措置として地方はこういうことも或いはあるとすればあり得るのじやないかと我々考えるのですが、そういう特例的なことを以て全体を推し測られることについては、まあどなたの御意見でもようございますが、どういうお考えを持つておられるか。
  40. 矢柴信雄

    参考人矢柴信雄君) これはお話の通り大蔵省はそういうことを一つの例に挙げておるのでありますが、問題は給与ベースそのものの問題でございまして、部課長の占める比率、特に部長あたりについて大蔵省あたりはよく比較をしておるのでありますけれども、全体の問題から言いましたならば給与総額の一%にも当らない、或いは○、五%にも当らないものにつきましてそれが○、五%のなお一割高いとか二割高いとかいう話をしておるのでありまして、これは為にせんとして言つておるようで、私どもには考えられないのであります。それから実際にそれじやどういうふうに高いかという問題でございますが、これは只今病院長なんかのお話がございました、こういう問題になりますと、やはり有能なお医者さんというものを田舎のほうへやるということはかなり困難なように思うのであります。神奈川県あたりに参りますと、例えば栃木県から神奈川県に転入すると相当号俸を下げなければならん。逆に神奈川県から栃木県に有能なお医者さんを持つて行こうとするとこれは相当上げんと行つてくれない。こういう問題があるわけであります。これは田舎に行きまして、而も勤務地手当その他が惡い、而も田舎で環境も惡い。そういうところで辛抱するということで、有能なお医者さんが行つてくれないということがあるわけであります。その差は、やはり神奈川、栃木県とでは栃木県のほうがお医者さんの給与が高いというところから出て来る問題だと思うのです。それから部長級なんかにつきましてやはり同様の問題が今度は国家公務員地方公務員という立場でやはりあると思うのでございます。一つの大きな責任を持ち、部下を何百人と持つやはり一つのポストでございまして、それが地方の部長は中央の課長に相当するのだというようなことを言つておるのはそもそも一方的の断定じやないか、こういうふうに考えるのでございます。何百人、例えば神奈川県の衛生部長というものは九百人、約千人の部下を以つてつておるのであります。それだけの部長が本省の課長であるとか、三十人か二十人集めまして極めて小範囲の仕事をしておるその課長と同格なんだ、こういう考え方自身がおかしいのじやないか、こういうふうに考える次第でございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 白鳥さんにお伺いしたいのですが、地財委のほうは大蔵省の調査に基いて五百七十六円というものを千五百円から差引いて町村のベース・アツプを考えるというふうに財源措置をするという意見書を出しておるのですが、先ほどの七百何十カ町村かの調査から見ると著しく差がある、どういうところにそういう大蔵省側の調査の欠陥があるというふうに町村会のほうはお考えになつておられるのか、その点第一点としてお伺いします。第二点としては、五百七十六円そのものの半年分で、先ほどの推定による二十二万何がしというと約八億に近い金が切られるわけですが、先ほどからいろいろの御発表の通り、私たちも町村財政は、特に貧弱な村等においてはひどいものがあると思うのですが、それで今後地財委のほうに対しては町村会のほうはどういう働きかけをするお考えであるか、その配分についてお伺いしたい。それから三点としては、私たち、まあ私は岩手県ですが、町村を歩いて給与の実態を調査して見ますと、旧態依然たるお手盛りの給与で、まあ何と言いますか功成り名遂げたような、御隠居さんのようなかたをやはり委員として雇つておるか、そうでなければ極端に若いかたを雇つておるかどつちかなんで、給与の体系なんというようなことについても科学的にとか、国家公務員並みにとか、大体ベースなんというものを考えないでお手盛りでやつておる所が多くて誠に低いわけなんですが、こういう点町村会としても、他の府県に対する寄附金の強制醵出とか、或いは各種団体、委員会等の分担金とか、そういうものを割愛してでも近代的な給与関係に町村の吏員を置くということについては、今後どういうふうにお考えになられるか、一応三つ……。
  42. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 第一の地財委のほうでも認めたというあの数字でございますが、あれは私のほうでは市町村を一括しておるからそういう結果が出たのではないかというふうに今まで軽く考えておりました。ただ先ほど来市町村のほうのかたのいろいろのお話を承わりますと、あながち私たちが軽く考えたように市町村を一括したから給与ベースが高くなつたのだということは、私たちの考えの間違いであつたというふうに考えておりますので、従つて今までのように地財委に市と町村との給与の実態をよく精査して頂ければ町村のほうは面倒見て頂けるのじやないかと甘く考えておりましたが、それも是正いたしまして、なお地財委のほうにも十分申入れをするつもりでおります。それから第二の点でございますが、私が申述べましたものよりも地財委のほうで算定いたしました通り給与の改訂といたしますと約八億ばかりの減になるというのでございますが、その点につきましても、先ほどの町村の給与の実態を地財委がどういうふうに把握しているか、それを十分突きとめまして、それと一緒に解決したいと考えております。それから第三の点でございますが、これは確かにお説の通りでございまして、私も先ほど申しました中でちよつと落したのでございますが、町村の吏員の給与というものは確かにお説の通りに合理的な基準によつて、科学的な管理方法によるというようなことでなしに、大体どういつた仕事のポストにつけるのだからまあどのくらいの、今までの古い人たちと均衡をとると、六千円くらいなところでよかろうとか、或いは五千五百円くらいのところでよかろうとかいうふうなところで実はやつておることでございまして、或いは又家族が多いというと家族手当が余計あるのだから、まあ本俸のほうは少し減らしておけというような、実に乱暴なことをしてやつております。これも決して私たちが好んでそういうことをやつておるわけでなしに、又財政に余裕がありさえすれば、又人並の暮しがやれるのだつたら、これは私たちといたしましても自分の補助員として使つておる吏員の給与をこれほど痛め付けなくてもいいのでございますが、如何にも町村の財政が苦しいので、そういうふうなことをせざるを得ないのでございまして、その点私たちといたしましても、今後町村の責任が重くなればなるほど吏員の質の向上、能率の増進というようなことをどうしてもやらなければなりませんので、今後できるだけ他の法令によらない分担金等を控えましてでも吏員の待遇をよくし、事務の能率を挙げて行きたいというふうに考えております。
  43. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 中井市長さんにお尋ねしたいのですが、五大市が取りわけ収入面においても、当初の国と地方との税制、税種を分けたときの我々の見方と違つて少い、それから支出面においては五大市はそれぞれ当該府県の頭であり心臓であるということから、平衡交付金測定基準以外の大都市の責任と風格を備えて経費の膨脹が余儀ないことになつて来る、こういつた二点の鋏で五大市等の大都市財政的窮迫が激しい、これを矯正、是正するには、これらの二点の矛盾と欠陥を除去せにやならんというわけなんです。そこで先ず歳入面において、これはもう今当面しておる問題だけでないのであつて、こういう状態であると、毎年、毎期同様の窮状が展開されるということを考えますと、抜本的にこの問題を取上げて改正せにやならんと思う。そこで歳入面において新らしく地方税法が設定されて以来、国とそうして府県税とそうして市町村税との点に当初の見込違いがあつたと思うについて、どのようにすればこの歳入面において現在の税制、税種の中で是正できるかどうか。できなかつたならば結局平衡交付金において適正な処置をせにやならん、第一点は、歳入面において現在の国と府県と市町村との税収入を、もつと経費に適合したような矯正方法を考えられる点があるかどうか。あるならばその具体的な資料をお出し願いたいということが第一点と、それから第二点は、平衡交付金の現在の測定基準等に対する大都市の特例規定による方法か、現在の測定基準を抜本的にこういう改正はすべきであるという改正要点の御希望があるならばその点と、これを至急にお出し願いたい。或いはこの席上で承わつても非常に結構ですが、この二点を先ず抜本的に改正せねばならんと私は思うのです。あとの支出面の冗費を節約するとか、行政整理とかいつたようなものは国が行わんとする行政整理に地方色を織込んで適切な処置を講じなければならん。そうして支出面を節約するということは、これはもう当然であるからこれは図つて頂かなければならんが、ただ一点、我々が非常に奇異に感じておるのは、今ちよつと委員長からもお話がありましたが、警察消防等に関する国と地方と一体化した不可分のこうした費用に対する起債の粋を制限するとか、或いはこれらの測定基準が国家地方警察の必要経費とも睨み合せておるのかおらんのか、疑問のあるような態度をとつておる。例えば国警が一人当りすでに二十六万円年間を要するような工合になつておる上に、今回中央公務員ベース改訂に伴つて、同様に国家警察にも給与改善の予算が相当大幅に計上されておる。これは警察予備隊の経費と違うのであります。明らかに国家警察としての給与改善の費用が国の公務員ベース改訂と同様の率でスライドして盛られておる。ところが平衡交付金の現在の百億の不足というものは、自治警察の費用が国警と同様の費用の問題と著しく違う。例えば十万幾がしのものがある、十万円から現在違つておる。これを改善するのには極めて微弱な、先般政府予算の百億の平衡交付金増額であります。よつて衆、参議院とも更にもう百億の増額を要求しておるが、これが本日のところ具体化しておらない。どの程度どうなるか、これもわからん。こういう工合で国家警察には相当の予算がある上に、今度地方公務員給与改善に伴つて同様の増額措置が講ぜられておるが、自治警察にはそういうものが講ぜられておらない。平衡交付金がたとえあと百億増額されても到底国家警察の給与改善、或いは実質収入の点において著しく違う。然るに今日治安が重大であるとして警察予備隊の費用増額し、或いは国警の装備も改善するとか或いは増員するとか、こういつたような状態と睨み合せて、国警と自警との国の総合的な治安責任の上においても、地方住民負担においてこれらをやれというままでは、取りわけ大都市の治安確保の上においては重大な問題であろうと思う。従つてこうした問題などに対する根本的な政府の頭の切替えと施策を緊急に講ぜなければならんということに追つておると我々は思いますので、こうした問題等につきまして自警を持つておる自治体、取りわけ枢要地区の自治体警察の立場としては、大いにこの問題などは、将来日本が独立国家となつてみずからの手で治安を確保せなければならんという段階においては極めて重要な問題と私たち思つておりますので、この問題等に関してもつと具体的な資料を御提出願つて、これらの始末をつけて行かなければいかんとまあこう思うのですが、こうした点につきまして、一つ御見解を承わり、必要によつて今私が申上げた資料を御提出願いたいと思いますが如何ですか。
  44. 中井光次

    参考人(中井光次君) お答えいたします。只今の岩木さんの第一のお尋ねでございますが、これは先ほど実は御説明申上げましたのですが、この税制改正のあとで、非常な見当違いであつたということでありますが、それは大阪府と市の例をとりまして、大阪市は二十四年度において四十九億の税収が二十五年度においては六十七億で三割六分の増収に過ぎなかつた。これはシヤウプ勧告で行けば五割以上の増収を見込んでおりますから、過ぎなかつたと申上げるのですが、ところがシヤウプ勧告で言えば据え置きでいい、増収は見込まれなかつたはずの分が二十四年度には四十一億から六十九億と一挙に六割八分の増収があつた、こういうような見当違いがあります。それでどうしても税制を変えてもらつて都市の全体の事情、実態と即応するような税制の改正をして頂かなければ、抜本塞源的のことはできないと私は思うのであります。これを一つ御研究を是非お願いいたしたいと思うのであります。  第二の平衡交付金の問題は、これは現在のその基準という物差では、政府のきめておりまする物産では、これは誠に、先ほど実は申上げたのでありまするが、基準決定そのものが非常に不合理である。従つて都市等においてはそれに該当しない部分が非常に多い。一例を申上げれば、その基準でやれば大阪港の工事費は二千五百万円でいいのだ、実際は政府認定の事業として我々がやつておるのは二億円を越えておる、こういう事実そのものから見ても平衡交付金基準というものは非常によろしくない。まあ大都市の側から見て全く無意味状態である、こういうように思うのでありまして、現実においては甚だ残念なことながら、私が先ほどから大阪市の財政の状況、事業の状況等を若干申上げましたけれども、大阪市は現在においても一文の平衡交付金もくれるという計算にならないという物差ができておるのであります。でありまするから、根本的に平衡交付金については、これは大都市ばかりではありません。私は大都市の立場からそういうことを申上げるのでありまするが、現実にもう少し地方自治行政の実態と即応した基準を定めて頂きたい、かように考えておりますが、大都市の立場から申した資料をお求めのようでありますから、その点につきまして私どもの立場から見た資料を差上げることにいたしたいと思います。  第三の警察費の単価の問題でありますが、実は私はそのことをつまびらかに存じません。国警が二十六万円で自警が何ぼということを存じませんが、ただ自警と国警との関係、根本のなににおきましては、私どもは自警、国警一体となつてそれぞれその警察の目的に、共同な目的に向つて相提携して進むべきもの、又そういうようにやるべきものと考えております。給与の点は先ほど小笠原さんからお尋ねがございまして、私は一般職員と特殊要員の状況と睨め合せて、或いは警察官だけがよくなつてもいけないし、睨み合して行きたい、かように考えております。又警察官だけを無くするということも毛頭考えておりません。どうも第三の警察の問題、よくお尋ねの点がわからなかつたのですが、以上お答えを申上げます。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の点ですね。岩木さんの質問は、共同の目的で共同動作をとつておる自治体警察、特に大阪、東京のような大きい所ですね、これはもう国警と同じような、国の治安に任ずるという部面が大きい、だから国警側には給与改善費がちやんと出ておるのに、地方の自治警のほうには、ときに又そういう重要な地域給を、自治体警察にはそういうものを国が見ようともしないで、一般地方公務員同様切下げとか何とか言つておる。こういう国が財源措置を特段にしないという点について、権利として地方側が主張する問題ではないだろうか、そういう点について国警側の予算書による資料と睨み合つて、大阪、東京というふうな自治体警察の警察職員の待遇改善費というものを算定した資料等を出せるなら出してもらえないか、こういうような希望です。
  46. 中井光次

    参考人(中井光次君) 以上の御趣旨非常によくわかりました。誠に御親切な有難いなんでありまして、私どもの本日いろいろ皆様がたにお願いをいたしておりまするのは、地方職員全般について申上げておりまして、もとよりどうも国が自分のことばかりやつて地方公務員、国家のために働いておる者に対して何ら考えないということは、以上皆様お述べになつたにもかかわらず、考えないということは非常に部局的な考え方である、国家全体としての見方が欠けておる、こう思うのでありまして、その意味においてはもとより強い色彩は、今のような警察においてははつきりしておることかと存ずるのでありますが、その他についても同様な考えを持つておる次第でありますので、この点はよろしくお願いを申上げたいと思います。私どもで以上の御説の点についてはよく調べて見ましよう。
  47. 石村幸作

    ○石村幸作君 白鳥さんにちよつとお尋ねしたいのですが、これは小笠原委員とさつき質疑応答したそれに関連があるのですが、白鳥さんに、町長さんでなしに全国町村会長さんとしてちよつとお伺いいたします。先ほどの質疑のうちに町村の吏員が、職員が有利でない、まあこういうお話でしたのですが、この件について先般大蔵当局や、地財委の政府委員ともいろいろ話をして、私は県、市町村、これが有利である、併し町村の場合はあながち、又絶対にそうでないというようなことをいろいろと話したのですが、そのとき大蔵、又地財委のほうでも、町村は決して有利でない、これは県、市町村を平均して地方職員、こう言つておるのだからということを明らかに答弁があつたのです。併しいろいろな、この資料も出ておりますが、それをちよいちよい見ますと、どうも町村もやはりやや有利であるというような資料が多いのです。そこで先ほどあなたのお話のときに、数百カ町村において調査したところが、事実決して国の吏員よりも有利ではないというようなことがはつきりわかつておる、こうおつしやつたのですが、そこでですね、何とかこう資料をまとめてお出しになるというような、無理にお勧め……まあ出して頂けば非常にいいと思いますが、そして特にこの有利に……ほうぼうから出ている資料を見ますると、やや有利になつているのですね、それはやはりこの三役というものを同じように計算に入れて出しておる、これは大きな間違いであつて、これはまあ県なら知事、副知事、国なら大臣、こういうふうなものです。これは別に扱つていいのです。これははつきりして、そして資料を一つお作りになつて、地財委なり又当委員会にも出して頂くと非常に参考になる。そういうことできますか。
  48. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) その資料を実はこの夏から調べましたので、まとまつて暫らくたちますので、地財委のほうにも出してあります。併しこちらのほうの専門員さんのほうには提出してあると思いますが、なお出ておりませんければ、早速提出いたしたいと思います。
  49. 石村幸作

    ○石村幸作君 まだ出ていないそうですから、一つ至急お出しになつて頂きたい。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 白鳥参考人にお尋ね申上げますが、私鳥取県ですが、このたび県に概算交付されました平衡交付金が大体昨年よりか約八千万、市町村百六十七と思うのですが、減つているのです。そして大体平均いたしまして、一町村四十万ぐらいですね、そして特に山間部の零細な町村ほどたくさん減つて、五、六十万ずつ減つているのです。ところが大体まあ昨年ぐらいはくれるであろうという予定の下に、予算が組まれていると思うのです。給与ベース・アツプがなくても非常に困られると思うのですが、特に大体昨年くらいと予定されて組まれたことが、こういう問題をどう調整されるかということは、先に話されたような例からしてもなかなか不可能だと思うのですが、予算の組替えとかその他でこの事態に即応できるのでしようか、或いはもう少し残つておる平衡交付金で何とか調整するかとも思いますが、そういことについて何か今後とらるべき処置について御見解ありましたらお伺いいたします。
  51. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 平衡交付金配分につきましては、かねて私たちのほうも、こちら様のほうのお声もありますし、地財委のほうに厳重に申入れいたしておるのであります。幸いに昨年から比べますと約五十七億町村分が全国として減つておるのでありますが、それは元へ戻してくれ、なおそれに多少の増額を認めるというようなことの委員長さんのほうからの言質もございますので、それを私たち信頼をいたしておるような次第でございます。なおその配分につきましては、単位費用なり、補正計数なりをいろいろ調べて見ますと、非常に不合理な点が発見されましたので、その点も厳重に地財委のほうには申入れするつもりであります。その一番大きな不合理と申しますのは、一つの町村を経営して参りますと、どんなに小さな村でも、或る一定費用というのは、コンスタントの費用が要るものと思いますが、そういつたようなものを全然見ておらないのでございます。その他の行政費とか或いは産業経済費とか消防費とか、そういつたようなものを見ますというと、いずれも、これを消防費のほうで申しますと、家屋の床面積に比例させるとか、或いは人口に比例させるとかいうようなことでございまして、その町村自治体を経営して行くことについての基準財政需要量というのは全然見ておらないのでございます。これが私たちとして誠に困ることでございまして、先ほどの例で申上げましても、私のほうの町は人口二万五千ばかりございますが、これで役場の費用が約七百万でございます。ところか人口二万五千くらいの私どものほうから見ますと約十分の一の村に参りましても、その役場費が私どもの十分の一の七十万円で上がるかと申しますと、決してそうじやございませんで、それが百三十万なら百三十万という金額がどうしても要るのでございます。そういうようなところに人口だけから判定いたしますと、その他の行政費というものが非常に配分が不合理になる、そこに大きな欠陥が……欠陥の一つがそこにあるというふうに考えております。なお又第三号補正という、この地域別或いは地域形態別の補正計数がありますが、これをあらゆる費目について適用しております。而もこれが大都市、特に甲町村、乙町村というふうに都市形態のほうで、集落形態のほうで比率を定めておりますし、又一級地、二級地から五級地に至るまで、それぞれ計数を定めておるわけなんであります。その計数が二乗されておるわけであります。併し実際の経費から見ますと、決してそういうふうに二乗に比例するような経費でなしに、これは級地別なら級地別の計数をそのまま捕捉になるとか、或いは集落形態による補正計数だけを拾つて頂きまして、いずれかに一方付けて頂ければいいんじやないかと、そこに大きな欠点があるのではないかというふうにも考えております。それらの点につきましては、今折角町村会といたしましても、実際の計数を拾い上げまして、勿論全国的な資料が今急に集まりませんが、併し一つの郡なら郡を集めましても、その間の傾向がはつきり現われることでございますので、それを計数のまとまり次第地財姿のほうに言つて、そして配分基準と、今までの欠陥を是正して頂きたいというふうに考えております。
  52. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは時間が経過いたしましたので、午前中はこの程度にいたしまして、午後は二時から再開いたします。    午後零時五十八分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十四分開会
  53. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは午前に引続きまして再開いたします。午後は四名の参考人の御意見を徴しまして、後に総括的に御質問を願います。  先ず全国自治団体労働組合協議会書記長松室悦弘君。
  54. 松室悦弘

    参考人(松室悦弘君) 午前中の参考人から、地方公務員給与の改訂、それから地方財政は関しまして種々述べられたわけでありますが、この参考人の述べた中で共通しておる点は、やはり大蔵省計算によつていわゆる地方公務員給与が高いということは誤りであり、且つ地方財政が逼迫しておるという、この二つであつたと思うわけであります。私もその二つの点に関しては全く同じ意見であります。ただその大蔵省計算なるものがこういう点によつて誤りである、杜撰であるという具体的な点、それから俗に言われておりますところの地方公務員国家公務員給与の均衡という、その均衡の内容、それから地方財政の中に占めるところの人件費の問題、これらの点について極く簡単に私の意見を述べてみたいと思うわけであります。  先ず第一点の大蔵省の調査なるものが非常に杜撰である、不合理であるという点につきましては、その調査対象なるものが各県とも係長平均三名、係員は事務職員が三名、或いはタイピスト、運転手というようなものは平均して六名というように、係長が全職員の四百分の一、又係員は二百分の一というように極めて少率のものについて抽出調査を行なつているという点でございます。我々の経験からいたしましても、やはり全国の都道府県職員が約三十万でございますが、少くともその百分の一則ち一%の抽出調査は行なつてもらわなければ、大体間違いないという資料は出て来ないと思うわけであります。  第二点は、大蔵省は一律に各県の人的構成を部課長は三%、係長は二四%、その他の七三%を係員というふうに推計いたしましてそこから計算しておるのでございますが、これを群馬県の例にとりますならば、このような大蔵省の推計からいたしまするならば、群馬県の全職員四千三百二十六名中、部長は八名、課長は四十一名、係長は一千百十九名と机成るわけであります。ところが群馬県の実態は部長は八名、課長は四十一名、これは大蔵省と間違いありませんが、係長に至つては実に八%三百四十六名と、大蔵省計算よりも七百七十三名も下廻つておるわけでございます。こういたしますと、大蔵省はいわゆる課長は一千三百五十円平均政府職員よりも高い、又係長は一千二百五十円高く一般係員は七百五十円高いということを事実といたしましても、このように人的構成係長の部分を大蔵省が多く見ておるということによりまして、結局平均百七円という誤差が生じて参ります。つまり大蔵省政府職員よりも群馬県の職員全部が平均九百九円高いという計算をしておるのでありますが、これは誤りでありまして八百二円か事実であるというふうに相成つて来るのであります。又島根県と鳥取県の例を見ましても、大蔵省は、鳥取県は百六十四円政府職員よりも低く、島根県は八百五十六円高いというふうに、双方の給与の間に一千二十円という開きをつけておるのでございますが、併しながらこれを我々のほうの資料から見ましても、本年九月鳥取県と島根県の平均は、鳥取県が六千五百五円で、島根県が六千五百五十円と、僅かに四十五円しか違わず、又勤続年数平均十年でありましてこれは全く同じであります。更に学歴、資格というものを見てみましても、旧制の中学並びに新制の高校を卒業しておる者が鳥取県は四五%であり島根県は四七%というふうに大体同じ率でありまして、鳥取県と島根県の間にそう給与の差がないというふうに我々のほうとしては計算しておるのでありますが、大蔵省計算によると一千二十円も違う。つまり今申上げましたようないろいろ具体的な事実に基きまして大蔵省計算なるものが極めて杜撰である。従つてこういう杜撰な計算によりまして、そうして地方公務員給与が高いからこれを切下げるというふうに至りましては、我々といたしましてはどうしても納得できない、反対せざるを得ないわけであります。  それで、従来地方公務員給与が高いということはいろいろな場合に言われて来ました。そのことはつまり総平均が高いと言われており、このことから地方公務員給与一般に高いというふうに宣伝されておるのでありますが、これを本俸それから勤務地手当又家族手当という面から見ました場合に、いわゆる七千九百八十一円ベースに切換えました本年一月一日現在によりましても、国家公務員本俸が六千四百三十円でございまして、地方公務員は六千四百十一円と十九円地方公務員が下廻つておるわけであります。ところが扶養家族手当になりますと、国家公務員の場合が八百六十四円であるにもかかわらず、地方公務員が九百七十六円と地方公務員のほうが上廻つておるわけであります。これは国家公務員の扶養家族が平均一・七人であるにもかかわらず、我々地方公務員の場合が一・九人というふうに扶養家族の率が多いということに基因するわけでございます。又勤務地手当にいたしましても、国家公務員勤務地手当が八百二円であるにもかかわらず、地方公務員の場合が一千六十四円となつておるのは、勤務地手当の支給比率国家公務員が〇・一一、つまり一割一分となつておるのに対し、地方公務員勤務地手当の支給比率が一割一分四厘というふうに上廻つておるということに基因するのであります。それで総額といたしましては地方公務員のほうが事実上廻つておるのでありますが、これらはそのように扶養家族、それから地域給の給率が上廻つておる結果によるのでありまして、本俸そのものは決して上廻つていないというふうに思つておる次第でございます。又若し仮に二、三の県におきまして、大蔵省言つておるように、給与が高いという所がありましても、これは政府職員地方公務員人事管理の面からいたしまして当然であるというふうに思つておるわけでございます。いわゆる役所流に言うところの栄進の率というものも、国家公務員の場合には多いのでございまして、又その他のいろいろ共済的な面も政府職員の場合が多いという実情であります。特にこの著しい具体例といたしましては医者が挙げられ或いは栄養士が挙げられるのでありますが、医者にいたしましても、事実上国家公務員と同じ級号俸では地方には来ないのでありまして、どうしても優秀なる職員或いは適当なる職員を雇い入れる場合には、それだけ何らかの面において優遇しなければ来ないという事実があるのでありまして、これはいわゆる我々の地方公務員国家公務員との均衡をこの給与の面において若干増さなければ真の意味の均衡はとれないと思つておる次第でございます。  次に財政の問題でありますが、地方財政委員会は、当初地方自治団体の一年間の昭和二十六年度の歳入とそれから歳出の差は六百七十五億と計算し、交付金を三百七十五億、起債を二百五十五億、それを以て財源措置とせよというところの意見を持つておつたようでありますが、十月二十二日の意見書によれば、この差を四百三十八億とし、つまり不足額は四百三十八億とし、而もその内容は先ほどから申上げておりますように、都道府県職員は四百六十二円引下げた額で、一千五百円より四百六十二円引下げた額で計算しておるのでございます。従来地方自治庁並びに地方財政委員会では、先ほど私が申上げましたような理由によりまして、決して地方公務員給与は高くないと言つてつたのにもかかわらず、今回の意見書によりましては、大蔵省の主張を認めまして、一千五百円からそれぞれの金額を引いたものを以て今度の意見書の算出基礎としましたことにつきましては、我々としては大いなる不満を持つておるわけでございます。このような給与改訂にいたしましても、今回の補正予算のように平衡交付金百億円だけの増を以ては到底できないことはここに贅言を要するまでもありません。我々といたしましては、先ず二、三の例を申上げますならば、給与に関しましては、例えば長崎県におきましては、超過勤務手当というものは一銭も組んでおらないという事実がございます。若し私の記憶に誤りがなければ、例えば某本省におきましては、一カ月平均二百乃至三百時間の超過勤務手当が見込まれておるという事実に対しまして、長崎県では超過勤務手当は一銭も見込まれておらないという地方自治団体の財政事情であります。更に大分県は十二カ月、一年分の給料を予算化することができずに十一カ月だけ予算を組み、あとの一カ月はブランクにしておるというような実情もあるのであります。従いまして地方財政の問題につきましては、只今の現状では非常に給与改善も又その他の面も困難である、従つて何としても平衡交付金又は起債の枠の拡大、増額ということによつてこれを補つてもらいたいというわけであります。  最後に私たちの組合の立場といたしまして、従来行政整理にいたしましても、又給与改訂の場合にいたしましても、しばしば人件費が多いということを言われるわけでありますが、併しながら組合の立場としては決してそのようには思つておらないわけであります。例えば国家公務員の場合におきましても、当初予算におきましては約六千五百億円中四百八十二億、つまり八%程度が人件費であり、又地方公共団体におきましても、例えば大分県では、県の職員の人件費の占める率というものは、僅か一五%に相成つておる次第でございます。それで一般の企業からいたしましても、特に戦後の日本経済の中におきましては、丁度我々の個人の生活の中におきまして、食費の占める割合が非常に多いのと同じように、人件費の占める割合が非常に多くなつております。で、健全なる企業形体といたしまして、全経費中約二五%乃至三〇%以内を人件費が占めればそれは健全な企業形体を示すものであるというふうに言われております。で戦後はこれが四十、或いは四十五というふうに非常に高率を示したわけでございますが、先ほど申上げましたように、国家公務員の場合におきましては八%、地方公共団体の場合は、大分県の実例をとりましても僅か一五%というふうに、我々としては決して人件費は多くないと思つておる次第であります。只今申しましたような事実に基きまして、我々といたしましては、今回の大蔵省の調査というものは非常に不合理極まるものであり且つ杜撰である。又政府職員地方公務員の均衡というものは、人事管理の面を合せたものを加味してそこで均衡をとつてもらわなければ困るという点。更に地方財政の現状というものは非常に窮迫してはおりますけれども、我々のいわゆる人件費が占める率というものが決して高率過ぎるということはないという点を主張いたしまして、私の公述を終りたいと思います。
  55. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次には日本教職員組合中央執行委員教育財政部長の辻原弘市君。
  56. 辻原弘市

    参考人(辻原弘市君) 只今御紹介を頂きました日本教職員組合の辻原でございます。先ほどから種々具体的な計数を挙げられまして、今回の給与切下げの問題につきまして、公述人のかたがたから詳細に亘つてお話下さいましたので、できるだけ重複いたしました部分を省きまして多少変つた面からこの問題について意見を申上げてみたいと存じます。  先ず私は結論から申しまして、今回の政府決定をいたしまして国会に提出いたしておりますところの平衡交付金給与財源計算におきまして、これを切下げ平衡交付金を極めて少額にとどめているという点につきましては、誠に私どもの立場からいたしましても不当極まるものである、かように考えておるものであります。前の公述人のかたからも述べられておりますように、当初地方財政委員会が要求を出しておりました三百七十五億の平衡交付金の際には、給与の算定に当つて地方財政を主管いたしますところの地方財政委員会におきましても、決して国家公務員に比して地方公務員は高いという論はとつておらなかつたことは御承知の通りでありまして、逆に低いという立場を堅持いたしておつたことを私は記憶をいたしておるのであります。又私ども主管いたしておりますところの文部省におきましても、この問題に関しましては決して高いという論を主張いたしておらなかつたのであります。然るに最終的な勧告におきましては、これを切下げて財源計算をいたしておるのでございます。このことにつきまして、私どもが再三再四地方財政委員会の野村委員長にも折衝いたしました際に、その答えといたしまして次のように述べられているのでございます。と申しますのは、決して現在におきましても地方財政委員会としては国家公務員に比して高いという論を持つておらない。ただ現在すでに平衡交付金が百億という極めて少額にとどめられたために止むを得ない措置としてそれを採用しておるにとどまつておるのだ、こういう答弁があつたのであります。なおこの点につきましては、過日の本院文部委員会におきましてもその点の委員長の答弁が記録にとどまつておるはずでございます。以上のごとくこの問題は単にその面だけをとらえて見ましても、決して正確なデータに基いた計数上の査定から生れて来る問題ではなくして、いわゆる平衡交付金を少額にとどめようとする政治的な方途から生れたものである、私どもはかようにこの問題を把握いたしておるのでございます。  然らば次に一体この大蔵省が高いと断定をいたしておりますところの調査それ自体の方式なり、或いはそれによつて出されたところの結論が果して妥当なものであるかどうかという点についてでありますが、私は先ず最初にこの高い安いが論じられておる問題の焦点が一体どこにあるかという点についていささか私見を申上げてみたいと思うのでありますが、そもそもこれは午前中に公述をせられました公述のかたからもその意見が出ておつたと思うのでありますが、給与を比較する場合に、単に本俸のみの比較を以てこれが給与全般の比較である、こういう結論が出し得るものであろうかという点であります。少くとも私は給与を比較する場合には、その個人が受けるいわゆる給与と称されるすべて万般に亘つての内容全体のトータルにおいてこれを比較対照を試みるのでなければ、正確な真の対照比較にはならないということを考えておるのであります。一例を国家公務員の場合と私ども地方の教職員の場合を例にとりましても、本俸或いは勤務地手当、家族手当といつた面についてはそれぞれの種類がございますけれども、ところが超過勤務手当という例を取上げてみました場合には、教員におきましては、現在私どもの町村によりましても、少くとも一日十時間以上の勤務をやつておるわけでありますが、それに対する超過勤務手当というものは何ら支給せられておらないのであります。又旅費等の面を眺めてみても、現在教職員におきましては国が定めた線が四千円でございますけれども、それが実際地方へ行つて各個人に渡る場合におきましてはいろいろの差引がありまして、実額は三千円乃至は二千円というふうに極めて少額にとどまつておるのでありまして、これを以て国家公務員に比します場合には、その少くとも数倍、或いは十数倍に上る旅費額というものが使途されておる例をまま私たちとしては見るのでございます。かように極めて少い例を上げてみましても、本俸のみの対比を以てこれをあたかも給与総額全体の比較である、かように論じますことは、たとえを申上げますと、二匹の動物を比較検討いたします場合に、その動物の大きさを頭で以て計つて、これはこの動物の大きさであるといういわゆるおとぎ話のような話に私は帰着するのではないか、かように考えておるものであります。  第二に、ではこの調査の結論自体がどうであるかという問題でございますが、この点につきましては、いろいろ具体的な先ほどから各県の状況もその都度申されておりましたのでくどくは申しませんけれども、これを基本的に眺めてみますならば、やはり対比する国家公務員の側におきましても私は問題がある、それはいわゆる理論的な法通りのきつちりとした切替え方式をとるところに必ずしも国家公務員の実体の給与を現わしておらないという点が、先ず国家公務員の場合に問題があると思うのであります。  次にそれに対比されるところの地方職員及び地方公務員の、結論でございますけれども、これはお手許に大蔵省が調査をいたしました調査の資料を提示いたしておりますので十分御承知のことと思いますが、僅かの数を以て抽出いたしまして、而もその計算におきましては曾つて千六百円ベース当時にそれぞれの各県におきましては、従来の既得権を尊重するという立場におきまして、当時の給与を主管いたしておりましたところの給与実施本部との間の了解事項として認められたところのその県の妥当な給与をもこれは省いて計算をしておるところに、いわゆる合法的であるはずの給与が逆に切下げられておるのでありまして、そういう点におきましてこの地方職員並びに地方公務員給与の実態というものを現わした大蔵省の調査というものは、非常に統計的に申しました場合には僅かに七万名程度の数で以て厖大な地方公務員の全体を現わしておるというところに問題がございます。その計算方式におきましても先ほど申しましたように合法的な部面までを切下げておるという計算方式が非常に問題なのでありまして、これが具体的に現われます場合には、いろいろ知事会議或いは先ほどの公述人のかたからも言われましたように、各県において必ずしも勤続年数或いは学歴を対比される場合におきましても正確な数字が出ておらない、こういう点に帰着するわけでございます。  次の問題でございますが、政府はこの財源計算に基きまして、なお地方に国が措置いたしました財源計算の方式に則つて具体的な給与措置をもそれに従わしめよう、かかる意図を以てこの切下げ措置閣議決定をいたしておる点が非常に重要な問題でございます。なおこの十一月七日の閣議決定に基きまして、明くる十一月八日に地方自治庁から通牒として各都道府県に発せられましたこの通牒が非常に現在地方では問題を起しておりまして、特に私ども職員の立場におきましては、少くともこの通牒によつて具体的に今度のベース改訂においては三百七十五円も差引かれるのであります。こういう未だ曾つて見ないような問題が出ておるのであります。少くとも地方自治の本旨に立脚いたしましたならば明らかなように、地方には地方の実情とそれに伴う独自の政策が存するのでありまして、国がみだりに干渉すべきではないということは当然であります。このことは今更私が喋々申上げるまでもなく、先般来から行われておりますところの地方行政調査委員会議の勧告にもその趣旨が明確でありまして、国と地方公共団体の権限というものはそれぞれ法に従うところによつて独立をしておる、みだりに地方に対して国が主管すべき事項を委任する等のごとき行為は、これを避けなければならない、或いは地方自治を拘束するがごとき行為は、これを厳に戒めなければならない、かような事柄は常に地方自治の尊重という立場におきましていろいろの機会にとり上げられ、戒められておられる問題でございます。従つて今回のこの問題も如何に閣議決定の内容がそうではないとかいうように否定をいたしましても、現にその影響するところが現実の問題としてそこに給与の具体的措置に介入しようということに相成つておる点を考えました場合には、明らかにこれは地方自治の本旨にもとるものでありまして、地方措置すべき権限をも拘束をしておると、かように私としては論断せざるを得ないのでございます。このことは更にくどく申上げますれば、画一的な中央集権制というものを非常に強化しようというふうな具体的な現われであると、かようにも把握できるのでございます。特に給与に関しましては、地方自治法の第二百四条及びその施行規定五十五条の第二項においても明らかにせられておりますように、国の給与の例に従つて地方の条例がきめるということを規定せられておりましたし、又昨年の十二月に制定せられました地方公務員法の趣旨の中にも、その二十四条において明らかとなつておりますように、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員、並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して、当該地方公共団体の条例において定める、こういう旨を明記いたしてあるのでありまして、更に教職員に関しましては、教育公務員特例法の二十五条の五に同様の趣旨が明確にせられているのであります。ここの地方公務員法に言うところの趣旨は、他の条件を考慮しつつもその地方の独自性というものを固持しなければならない。そうして公務員自体の生計費を考慮しつつ十分その地域の実情に合うごとく給与決定する必要がある。単に国にすべて準拠すべきものであるというふうな事柄は述べておらないのでございます。特に国に人事院の存在を認め、国家公務員に対しまして給与の勧告措置を行わしめているごとく、地方におきましては、この地方公務員法において人事委員会を設置いたしまして、その地方独自の勧告を行い、給与措置をとる権限を与えているのでございます。このことは当然地方にはその地方に適合した給与措置の必要であることを認め、公国画一的であるということを排除いたしておるものと私は考えるものでございます。従つてこの人事委員会の勧告に先立つて、国が地方給与措置云々と述べるがごときは、これはすでに地方公務員法の趣旨を没却いたしているものでありまして、人事委員会の存在というものを空文化いたしているものである、かように考えざるを得ないのでございます。更にひるがえつて従来千六百円ベース以来順次二九、三七、六三又は現在の七九ベース給与改訂が累次行われて参りましたけれども、その間にありまして法律措置として再計算措置をとられました以外には、かかる通牒で以て地方を拘束するなどということは未だ曾つて例を見ないのでございます。而もそれぞれ国に準拠して地方が独自に行うということに何らの支障も何らの不都合も生じなかつたというのが、現在までの給与の取扱に対する経過でございますが、現在ではなぜかかる措置をあえてとるに至つたかという点については非常に理由が不明確なのでございます。勿論地方財政地方財政の窮迫状態を救うためにということを述べておりますけれども、併しながら地方の自治を侵害いたしまして地方の政策をゆがめて、そこに何の地方財政の救助であるというようなおよそ私は本末を顛倒いたしているものであると、かように考えざるを得ないのであります。従いましてこのことは単に交付金の増額にとどめるための、先ほども申上げました通り政治的な意図であり、而も何とか交付金を抑えようという彌縫策に出でた愚策である、かように考える以外の何ものも出て来ないのであります。  次に先ほど申上げました地方自治庁の通牒なるものでございますが、すでに十分内容の点につきましては御承知のことだと存じますけれども、ただこの通牒の意味それ自体が非常に不明確でございまして、而も意図するところは明確でありますけれども、文章から来るところの解釈については種々な解釈がなされるということは文章表現を見れば一目瞭然でございます。従いまして私どもといたしましては、過日地方自治庁の鈴木次長に対し直接この問題に対する折衝を行なつたのでございます。と申しますのは、内容の点について如何なる見解に基いて出したか、こういう通牒を発した鈴木次長の具体的解釈を得るためにやつたのでございます。その結果鈴木次長が責任のある答弁と、又私どもと最終的に一致いたしました点をそれぞれ文書に取交わした点を申上げてみますならば次のように述べているのであります。文書により私どもは確認をいたしておりますのでそれをそのまま読上げてみたいと思うのであります。  第一は、この通牒は国の財源措置についてこれを明らかにするためのものである、これが第一項の確認事項であります。第二項といたしまして、従つて文中の措置することというのは国の財源措置地方公共団体に明らかにするという意味である。即ちこの通牒に記載された以外に附加して措置することはない。この意味は、閣議決定の通牒の内容の中に次のような文言があるのでございます。来るべき地方公務員給与改訂については左に掲げる措置をとること。この措置をとることの意味が今申しましたように財源計算の内容を明らかにするということである。それ以外に何らの措置をも考えておらない、従つて今後この問題に対しては改めて通牒を発するとか、更に現在私どもがやつている解釈以上に大幅な解釈をするとかということはしない、こういう点を文書により確認いたしたのでございます。  第三点といたしまして、以下その通牒の文面の中に次のような文章がございます。今回の地方公務員給与の改訂について、国がすべき地方財源措置地方公務員給与国家公務員給与基準との間の不均衡の調整を期待し、それを前提として計算されるものである。かような意味合いの事柄が記述せられておりますので、その給与の不均衡乃至調整を期待しということは如何なる意味であるか、この点に対しては次のように確認をいたしたのでございます。ということは、国が財源措置する場合についての記述であつて地方給与措置面についての記述ではない意味は、給与の調整を期待するということは、決して地方にそれがやつてくれるであろうという期待の意味ではない、いわゆる国が財源措置する場合に、措置すること自体が調整を期待したことで、かように地方の問題に触れているのではないということを言明をいたしたのでございます。  以上のように、この点につきましての解釈が鈴木自治庁次長、並びに担当課長であるところの佐久間課長及び補佐官立会の上で確認をいたしたのでございますが、若しこの通りであるとするならば、私どもとしては非常にこの通牒自体に対しまして、又閣議決定自体に対しまして大きな疑問を持つものであります。と申しますのは、以上のように単に財源計算の内容において明らかにするという意味合でありますならば、何故にあえて閣議においてそういうことを決定する必要があるか。又自治庁通牒においてかようなものを都道府県知事に発しなければならない理由が存在するか。財源計算について明らかにするということでありますならば、すでに十月十九日に地方財政委員会においては詳細な大蔵省財源計算の基礎を都道府県知事に通牒で以て説明いたしているのでありまして、あえてそのことについて地方行政の主管である自治庁が通牒すべき筋合のものではない。こと財源計算の問題でありますならば、主管は地方行政委員会であつて自治庁の権限外のものである、かように考えますので、この点について何が故に意味合のない通牒を出す必要があるのであるかという点について、誠に私どもとしては不可解なことである、かように考えているのでありまして、従つて自治庁が私どもに言明をいたしました内容とするならば、かかる通牒は不必要であるという点について、我々としてはこれを撤回すべきが至当ではないか、かように考えているのであります。  更に又この問題に対しまして、決して地方にかかることを拘束するものではない、従つて地方公務員給与を切下げるというふうなことは考えてないのだというふうなことをいろいろ理由をつけて申しますけれども、この点につきましては先ほどから私が種々申上げておりますように、如回に抗弁をいたしましても、実際問題としてそれの効果が現われて地方の自治団体を拘束をいたしているという点から考えてみました場合には、明らかにこれは現在の教職員並びに地方公務員給与の既得権の侵害でございまして、断じて私どもとしては許容できる筋合のものではない、かように考えるものであります。先ほども申上げましたように、それぞれ各人の給与と申しますものは、従来いろいろな法的措置が行われましたけれども、ちなみに三千七百円ベース当時の、いわゆる闇昇給云々の問題が提示されました場合においても、それが都道府県知事の認める場合においては決して闇ではない、明らかに合法的な給与措置であるということがその後の人事院の公開審査におきまして明らかになつているのでありまして、かように給与の既得権というものは如何なる場合においても非常に強く尊重せられて来たのが現在の給与の状況であります。如何なる理由に基きましても、従つて根拠不明なかかる意味合で以て死活に関する給与を切下げるなどということはこれは到底公務員自体として忍びないところでございます。又およそかかる措置は未だ曾つて見ないところである、かように私は考えるものでありまして、特に物価が上昇いたしましてインフレが進行しているさなかにおきまする措置として引上げるということならいざ知らず、切下げるなどということは、如何なる国の歴史にも私はおよそ例を見ないであろう、かように考えるものでございます。而もこの問題に対しましては、私どもとしてはかねがね非常に問題であると考えましたので、種々意のあるところをそれぞれの主管大臣に対しまして、特に地方自治庁の岡野国務大臣に対しましては、閣議決定せらるる直前の七日に種々意見を申述べまして折衝をいたし、その結果決して既得権は侵害しない、給与は切下げを行わない、かような言明を私どもに与えたのであります。併しながらその翌日にその私どもに対する公約を一擲いたしまして、この措置決定し而も通牒を発したということにつきましては、誠に私どもとしては遺憾に堪えないところであります。又給与の額の決定の問題でございますが、私は法に定められたこの給与の額の決定と同時に、従来給与財政というものは、その地方の教育行政なら教育行政という上に非常に大きな影響をもたらしているのでありまして、その点において給与一つの大きな意味の政策である、かように考えられているのでありまして、例えてみまするならば、山間僻地を多く持つところの地方等におきましては非常に多数の定員を要するという建前から、給与の問題よりもむしろともかく定員だという考え方におきまして非常に多くの定員を無理して抱えている所もあります。又都市におきましては、他産業と或いはその他のいろいろな企業との振合いから給与がそれらに比較して低い場合におきましては、優良な教職員が確保できないという立場において、生計費とは若干離れた見地におきましてもこの点に対して均衡をとるべく努力して給与の額を引上げている例が少くないのでございます。かようにこの給与の点におきましては、単に本俸が高い低いなどというような観点で決定せらるる筋合のものでないということは、すでにいろいろな例に徴して見ましても明かなところでありまして、これらは少くとも法に定められた点と加えまして今申しました政策、地方の産業経済機構、地勢、風土といつたすべての点にこれは関連を持つものである。かように私どもといたしては把握いたしているのでありまして、画一的であるというがごとき考え方は根本的に誤りである、それ自体が非常に実情にそぐわないものである、かように考えているものであります。  又給与の面につきまして今回国の基準云々ということを非常にやかましく申しているのでございますけれども、若しそのように国の基準というものをあえて云々するならば、単に私は給与の面にとどまらずすべての問題に言及しなければならないのではないか、かように考えるものでございます。例えば今申しました教職員の定員を一例に挙げて見まするならば、現在教職員の定員は、国で定めた基準は公立の小学校におきまして一・五、中学校におきまして一・八でございます。ところが最近の地方の状況から見ました場合に、特に平衡交付金の少額というものが影響して、地方財政が逼迫するにつれまして漸次この国の基準を下廻りまして、現在ではすでに国の基準を下廻ること二万名の多きに上つているのでございます。若し国の基準云々を主張するならば、私は特に教育の面におきまして重要な定員について国はその基準を維持すべく措置をしなければならないのではないか。従いましてこれは通牒を発するということも、あえて給与の問題と考え合せてみた場合に不自然な措置ではない、かように考えるものでございますが、恐らくこの面については何らの用意もしていないであろうと考えるものでございます。併しながらかくのごとく単に一方の面だけを取上げまして、他の一方の面においてはそれを捨て去つたということは、国の政策といたしましても極めて首尾一貫しない方法である、かように私は考えざるを得ないのでございます。  最後に私は、現下地方公務員並びに教職員が置かれている立場というものをよく考えてみて頂きたい。即ち公けに奉仕するという立場に置かれておりますところの公務員は、昨年非常に私どもといたしましても問題としました地方公務員法の制定に伴いまして、幾多の基本的人権の制約がなされているのでございます。又同時に職務に専念する義務というものを負わされているのであります。ところが半面その教職員公務員を安んじて職務に専念せしめるところの給与措置面につきましては一体どうなつているか。論ずるまでもなく明らかでありまして、現在においても七千九百円という極めて低いベースに釘付けせられておつて、朝鮮動乱以来の少くとも政府の発表によりましても三〇%に近い物価の上昇の中に、殆んどその生活状況も破綻を来さんばかりの状況に陥つているのでありまして、かかる状態に放置して置きながらあえて義務面のみを拘束しようとする、そういう現在の政府の政策に対して私は非常に大きな憤懣を持つているのでございます。特に今回政府が国会に提出をいたしておりますところの予算案を見ました場合に、予備隊の強化を含むところの巨額な非生産的経費の支出と相待ちまして、資本蓄積を意図いたしますところの厖大な投資をやつているにもかかわりませず、こういう状況に置かれておりますところの公務員に対しては、僅かに千五百円の給与措置しかとらないという方針のみをしか決定いたしておらないのでありまして、かような点におきましても私どもとしては非常に残念に思うのでございます。又この措置が単に国家公務員だけでありまして、地方公務員に至りましてはすでに本朝来、又従来から本地方行政委員会が多大の資料と多大の日数を費やされまして検討いたされました地方財政の実態に対して大きく増額を要望されておりまするところの平衡交付金に対しましては、僅かに百億という少額で以て打切つて、これを以て地方財政の穴埋めと称して事態を糊塗せんといたしているのであります。かかる政策の上になお且つ今度は先ほど縷々申上げました切下措置を行わんという、かような政策がそもそも公務員に対する私は給与政策であつて然るべきかどうかという点について非常に疑問を持つものでありまして、ここに反大衆的な政策に終始をいたしているという予算の基本的な性格が窺われるのではないか、かように考えているものでございます。私どもは今後少くとも当面の問題といたしまして人事院が勧告をいたしました一万一千二百六十三円の獲得に向つて全力を挙げて闘つて行きたい、かよう考えているものでございますけれども、当地方行政委員会の各位におかれましてもどうか私どもの意のあるところを十分御賢察下さいまして、この最低一万一千二百六十三円の実施とそれに伴う平衡交付金の所要財源を是非確保して頂きたい、かように念願いたしまして、なおそれらに対する計数的な他の資料はお手許に配付をいたしてございますので、又機会を見まして詳細御説明をいたしますとしまして、本日の私の公述はこれを以て終りたいと存じます。
  57. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に大阪市役所職員組合委員長浅羽富造君。
  58. 浅羽為造

    参考人(浅羽為造君) 浅羽でございます。本日は大阪市職員組合委員長として全国の市町村の吏員の立場から意見を述べさして頂きたいと考えます。その前に、本日は参考人としてお呼び頂きまして意見を述べる機会を与えて頂きましたことに対しまして、西郷委員長を初め委員諸公に対しまして厚く御礼を申上げます。  申上げるまでもなく日本国憲法におきまして地方自治が特に一章を設けて規定され、又地方自治法が制定されておりますことは、日本の民主化というものは地方自治の確立にあるというところにその趣旨があると了解いたしております。併しながら地方自治の確立は地方財政の確立というその財政的な裏付けなくしてはあり得ないことは申上げるまでもないところでございます。然るに現在の中央集権的な財政制度並びに現在の政府の行なつておりまするところの財政政策の誤りから地方財政は現在極めて窮迫な状態に置かれておりますことは申上げるまでもないところでございます。これの解決につきましては、もとより税制その他の財政制度の抜本的な改革を必要とすることは勿論でございますが、併し当面する問題といたしましてはこの窮迫せる地方財政の実情から必要な地方における行政すらも渋滞をするという実情の上に立ちまして、何としても平衡交付金或いは起債の枠の拡大ということがどうしても必要であるというふうに考えておるわけでございます。然るに去る十一月七日における閣議決定におきまして、先ほどから参考人も申しておりましたように、起債をも含めて二百億というような線を決定し、これを地方給与ベース国家公務員に比較して高いという立場から、それを勘案してベース・アツプを考えるべきであるという趣旨のことを決定いたしましたことは、我々市町村の吏員といたしましては何としても了解に苦しむところでございます。我々といたしましては、御承知の通り我々地方公務員給与といたしましては、一万二千円がCPSその他の点から割出しまして何としても必要であるという立場の上に立つております。又人事院におきましても一万一千二百六十三円の勧告を行つております。このたび政府が一千五百円のベース・アツプをするということで進めて参つておりますが、仮にこれが実現いたしました場合におきまして、果して市町村の吏員に対しましてこの一千五百円すら果してベース・アツプできるかどうかにつきましては極めて疑問なきを得ないのでありまして、恐らく不可能のことに属すると考えるのでございます。即ち現在のような平衡交付金状態では到底なし得ないところであります。大蔵省は市町村の吏員の給与は高いということを言つておりまして、市町村が本俸といたしまして六千七百十五円、国家公務員が六千四百三十円、従つて二百八十五円というものが高い、こういうことを言つておりまするけれども、併しその割出方は、先ほどからの参考人も申しておりましたように極めて機械的な割出方でございまして、特に申上げたいことは、市町村の吏員などというものはその土着の者が極めて多うございまして、従いまして二十年、三十年という長い間その一つの市役所或いは町村役場に勤めるのでございまして、従つて勤続年数というものが極めて長い、又従つて平均年齡も極めて高いことは常識としても明らかなところでございまして、そういう面を勘案いたしますならば、地方公務員給与は決して国家公務員よりも上廻つてはおらないということは常識的にも明らかであるというように考えるわけでございまして、この点は私のみならず先ほどから大阪中井市長も申しておられましたし、又全国町村会長の白鳥氏も統計的な数字を挙げて、町村においては一千円程度低いのであるということを言つております。まさにその通りでございまして、小さい市或いは町村におきましては、現在八千円ベースと言われておりますが、八千円ベースはおろかまだ六千三百円ベースでおる市もございます。更に又例を挙げますならば、北海道の小樽市におきましても、同じ級であり、同じ号俸でありながら一割五分低い号俸をきめて、それを実施しておるという実情でございます。これは要するに市の財政が極めて窮迫しておるということがここに反映しておることは申上げるまでもないことでございまして、地方財政の窮迫並びにそれから来るところの市町村吏員の給与の低いということはこの一例によりましても明らかであると考えるわけでございます。かくいたしまして国家公務員と比較いたしまして、地方公務員ベース・アツプが、千五百円のベース・アツプも国家公務員にできたけれども地方公務員にできないということに相成りまするならば、市町村の吏員の立場が果してどうなるかということをどうかお考え頂きたいと考えるわけでございまして、御承知のように、市の区役所或いは市役所の窓口におきましては御承知のように列をなして並んでおるというような状況でございまして、特別忙しい仕事もいたしておりますし、或いは又人が死んだ場合にこれを焼かなければいけない御坊のような仕事や、或いは国家財政の上から見ましても極めて重要なことでありながら、一番人に嫌われますところの徴税の事務、そういつたものもやつておるのが市町村の事務でございまして、いわゆる第一線事務としての苦しい立場にある市町村の吏員が国家公務員の一千五百円、我々の納得できないところの一千五百円のベース・アツプをも、財政的な事情からできないというようなことに相成りますことは、これは知事の代表のかた、或いは市長代表のかたも申されておりましたように、極めて残酷なものと言わざるを得ないのでございまして、大蔵省当局が地方公務員給与が高いということも、実を申上げますと平衡交付金を減らさんがために、逆に地方公務員給与が高いのであるという理窟をつけて来たものであつて、決して高くもないし、又それと不均衡な姿において今次の改訂がなされるということは、我々市町村の吏員といたしましてはどうしても納得できないことに属するわけでございます。たとえ千五百円ベース・アツプができましたといたしましても、決して実質的な賃金の向上にはならないのでございまして、御承知のように電気料、或いはガス料、交通費、通信費等の値上等によりまして、仮に千五百円のアツプがなされましても決して実質的なべース・アツプにはならない。然るにこの最も我々の納得できない千五百円すらベース・アツプできないというようなことになりますならば、それは残酷であると言うにとどまりませず、そういつたようなものの不平の爆発が起らないということも必ずしも保証できないと考えるわけでございます。要するに大蔵省を中心とする政府当局の地方公務員給与が高いということは全然誤りであるということ、これは我々だけでなしに先ほどから言われました知事代表のかた、或いは市長代表のかたの御意見とも一致しておるところでありまして、我々組合関係の立場からのみ申上げることではないのでありまして、その点もどうか御勘案頂きたいと考えるわけでございます。又危機に瀕するところの地方財政の点から考えまして当面平衡交付金増額は何としても必要なことであると考える次第でございます。  今、日本は御承知のように米ソ対立の冷たい中に立たされておるわけでございますが、この中にあつて、再建途上にある日本の将来というものに我々としても考えを及ぼしておるわけでございますが、そういつた日本再建の立場からいたしましても、市町村の吏員にそういう不平を爆発せしめるがごとき事態を招来することは、皆さんと共に深く考えてみなければならないところであると考えるわけでございます。なお率直に申上げまして、我々といたしましては常に公正な立場から御判断を頂いておりますところのこの参議院に対しまして、特に我々としては期待いたすわけでございまして、これをおいてほかに我々の期待するところはございません。従いましてどうか地方行政委員会が特にその衝に当られておりまするので、どうか公正なるお立場から御判断を頂きまして、平衡交付金増額することによつて危機に瀕する地方の情勢を救うと共に、国家公務員との間のベース・アツプの不均衡を来たさないように御努力を頂きたいと考えるわけでございます。この点につきましてどうか委員長を初めとされまして各委員諸公の格段の御配慮をお願い申上げるわけでございます。
  59. 西郷吉之助

  60. 河野益夫

    参考人(河野益夫君) 御紹介にあずかりました都市交通副委員長の河野でございます。前三人の参考人としての公述につきましては、私といたしまして全く同感でございまして、重複する面があり殆んど同感の面ばかりでありますので、交通という公営企業という特殊な立場から私の関係を申上げまして、それ以外の基本的な問題については前三者の発言を援用して行きたいとかように私といたしましては考えておる次第でございます。  昨年十二月九日に成立いたしました地方公務員法の附則二十項によりまして、現在公営の交通事業は今後制定されるであろう組織、会計経理並びに職員の身分取扱に関する事項を内容とする法律ができるまでは従前の例によるというふうに附則立法によつて規定されておるわけでございます。国家公務員法が制定せられ、その次に地方公務員法が制定せられまして、大部分の官公関係職員の身分を律する法律は制定されて来たのでありますけれども都市交通関係は現在全国で三万九千、約四万近い従業員がおりますが、この面初め水道関係、単純労務の関係、この面だけが依然として取残されておるという、この面の関係がはつきりしていない、こういうのが実情であります。そこで私どものほうは、国家公務員の或いは大蔵省だとか地方自治庁だとかこういつたところで働いておられる国家公務員のかたと全然性格の違う面を持つておるわけであります。私たちの大部分の構成をなすものは電車の運転手であり、車掌であり、線路工夫であり、電気屋であるというのが実態であります。こういう実態の人がどういう関係になるかと申しますと、附則立法に基いて将来できると予想されておる仮称公営企業法とでも申しますか、こういつた法律で以て将来完全な独立採算制というものが確立されるということが言われておるのでありますが、現在においてはどうかと申しますと、地方自治法及び地方財政法に基きまして交通事業の会計経理が行われておる。而も現在におきましては市庁の補助機関として、市庁の職制の一角に入つておる、こういう関係に置かれておるのであります。そこで独立採算制がとられておるから一般の他の公務員とは別なんだということがよく我々に言われるわけなんであります。将来の方向としては、独立採算制が確立されて行くということは、先ほど申されたごとく予想できるのでありますが、過去においてどうだつたかという点を申述べてみますと、交通職員の場合につきましては、形の上では如何にも法制的には独立採算制がとられておるように思われるのであります。併しこの独立採算制と申しますのは、我々職員の立場から給与という点に着眼してみました場合には、職員に不利な場合が独立採算制であつて、有利な場合が独立採算制でないという、歴史的に見ますとそういう結果になつておる。従いまして我々に不利な場合には交通職員というものが責任を持たされて来たというのが過去の実情である、こういうことを申上げたいと思うのであります。その一例といたしまして大阪の例を取りますと、昭和七年に交通会計というものが非常に惡くなりまして、そのときにどういうふうにしたかと申しますと、将来入つて来る者に対しては従来のような本給をやらない。新しい規定を設けましてこの規定によつて採用をして行つて何年計画かによつて財政を建て直そうとしたわけであります。そこで新しい規則による職員と、古い規則による職員とができた、こういう状態に置かれたわけであります。そうして新しい職員は独立採算制だからという理由でその犠牲を負うたわけであります。又東京都に例を取りますと、東京都は大阪の例のように逐次変えて行くという方法をとらずして、一齊に公開という制度をとりまして、昭和九年に全員を一応解雇しまして低い給与で雇い変えた、こういう状態にあるわけであります。  そこで私ども交通職員の場合にどういうふうにして給与がきめられるかと申しますと、交通職員は曾ては能率給というものに中心を置かれた時代があるのであります。本給というものは交通職員の場合は能率給に力を置くがゆえに本給を低くするということと、もう一つの理由といたしましては、交通職員は通勤の際は自分のところでやつている電車に便乗することができるのだから、その交通費程度のものは本給等を安くしてもいいのだ、こういう立場から本給を低くして手当に重点をおいてやつて来たわけであります。この結果は労働の強化となつて現われて参りまして、戦前においては九時間十五分、乗る時間だけが九時間十五分というような長い勤務をしておつたのであります。これがすべて先ほど申上げましたように、我々にとりまして経済状態が惡くなつた場合は独立採算制、よくなつた場合は独立採算制でないというふうな状態に置かれまして、例えば大阪の交通の場合若し剰余金ができた場合にどういうふうになつたかと申しますと、これは当時の佐竹局長が記述に残しておりますように、又先ほど大阪市長中井氏も少しくその点に触れました通り、剰余金を一般会計のほうに繰入れて行く、交通会計のほうには全然もらつたことがないのにかかわらず、交通会計の中から逆に一般会計に振替えて行くという、こういう方法がとられて来たのであります。その犠牲を誰がこうむつたかと言いますと、先ほど申しました東京と大阪の例と同じく、すべて職員がこの犠牲をこうむつて来ているわけであります。かような立場から私どもども給与国家公務員に比して高いということは毛頭考えたことがなかつたわけであります。  そこで戦後においてどういうふうになつたかということを申上げますと、戦後におきましては我々がこの九時間十五分というような長い時間を短縮して、現在の漸く八時間制度まで来ている、給与につきましても我々の闘いの結果といたしまして漸く国家公務員に迫付いたというふうな感じを今持つているわけであります。先ほど申上げましたように差があつた本給というものが、次第に差がなくなりまして、更にその代りに奨励手当というものが逆に減つてつています。現在においても勤務時間において非常な差がありますが、本給においてはどうやら追つ付けたのではなかろうかというふうな段階に置かれているわけであります。  そこでこの独立採算性というものが先ほどのような二つのいいときと惡いときとの姿になつて現われて来るのでありますが、最近においてはどうかと申しますと、私どもがまだ地方公営企業法が確立されていない現在といたしましては、地方自治法に基き及びその規則に基いて国家公務員と同列に扱われるということが規定として定められているわけであります。そういう関係から会計経理の如何にかかわらず、国家公務員と同じような方法で給与がきめられて行く。従いまして大阪市におきましては、市長と交渉する場合におきましてもすべて国家公務員一般職、地方公務員一般職と同じ姿で給与がきめられて行く、而も二十三年の七月の例のマツカーサー書簡に基きまして、政令二百一号が出ているのでありますが、三カ年以上に亘りまして政令二百一号でそのままどこにも訴えることもできずに、この折衝を続けて来ているというのが現状であります。併しながら私ども給与は、この折衝の結果として現在与えられている給与だと我々は考えているのでありまして、現在のこの給与によつてどもは不満ながらそこに労働関係の調整を見出だし、職員の生活の安定とまでは行かないけれども考え方の上において安定が得られている、これは市当局というものと組合というものとの間におきまして話合ができた納得ずくの給与であるいう点において私は尊重されるものがなければならないというふうに考えるわけであります。然るに先般大蔵省給与課の表わしました統計を見ますと、この事実を全く否定するような、地方公務員給与は高いのだという結論を出そうとしている。又地方自治庁の先般七日の閣議できまりました各地方公共団体に発した通牒に基きますと、給与の不均衡を調整するということを国が期待している、こういうふうに言われているわけであります。大蔵省の統計を基準にしてこういうような結果になりますと、私ども現実の問題とは非常に異なつたものがどこに現われて来るということになるわけであります。これは前の参考人もそれぞれこの点を指摘されたと思いますけれども、私どもの場合は、電車を運転するという立場から行きますると、多い所におきましては、係長が六百人からの車掌運転手を抱えているわけであります。係長の所長一人に対して六百人からの者を抱えている、少い所においても百人からの者を抱えている、こういうふうな構成にあるものを、大蔵省が資料としてとつたような抽出方法によりまして統計をとりますと、実態と非常に変つて来るということを私は申上げたいのであります。而も先ほど申上げましたように、この統計が私どもの実態に合わないということを強調すると共に、従来我々がきめて来ている給与というものは双方が納得ずくできまつた給与であつて、これは尊重されなければならない。而も基準としては、国家公務員昇給するときには同じような昇給をさせる、昇格するときには同じようにさせる、こういう地方自治法の規則に基きまして国家公務員に準ずるという立場で来ているのでありまして、今回大蔵省の言うような、地方公務員は高いのだからこの際引下げろ、給与の切下げをやるということに対しては。従来私どもがこの納得ずくの給与に来るまでに幾人かの首切り犠牲者を出して闘つて来たこの給与が、打破られるということになると、恐らく電車の車掌、運転手、軌道の電気技術者、こういうふうな交通職員にとつては納得できないものとなるであろうと私は考えるのであります。どうぞ地方行政委員会の皆様方におかれましては、従来得られた私どもの納得ずくの給与の現状を尊重して頂き、大蔵省大蔵省の権限によつて或いは地方自治庁地方自治庁の権限によつて給与を左右することのないように、一つ地方行政委員会のほうにもいろいろとそういうお願いをいたしたいと思うわけであります。  そこで私ども公営企業の経済に平衡交付金関係があるかと申しますと、平衡交付金そのものは何ら関係を持つていないわけであります。  併し現状におきましては先ほどから申上げましたように、平衡交付金というものとの関係において一般職の給与が先ずきめられる以上、平衡交付金の額の問題との関連において我々が現在規制されておる、これは動かすことのできない事実でありまして、私ども平衡交付金によつて独立採算制だという形がとられている限り、平衡交付金に直接の関係は持たないのでありますけれども平衡交付金の額如何が私ども給与を左右するという現実は動かすことのできないものと考えているわけであります。さような意味から前三者がそれぞれ発言されましたごとく、交通といたしましても平衡交付金増額という点についてよろしくお願いをいたしたいと考えるわけであります。地方自治庁の通牒に対する我々の反対の見解、或いは大蔵省の統計の中に隠されているいろいろな不備、不満については我々はたくさん指摘する点があるのでございますけれども、前三者といろいろ重複する点がありますので、どうか私は私どもが今まで得られた既得の権益、こういうものを尊重して頂きたいということを切に希望いたしまして私の公述を終ります。
  61. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして参考人の意見の開陳を終りましたが、なお大蔵省の主計官が見えております。御質疑をお願いいたします。地方自治庁の鈴木次長も今参るそうでございます。では大蔵省の主計官が見えておりますから御意見を伺いますが、お聞きの通り参考人の意見の開陳がありましたが、それらの意見は大蔵省の見解とは給与の問題においては特に食い違つているので白石主計官の意見を求めます。
  62. 白石正雄

    説明員(白石正雄君) 地方公務員給与についての意見でございまするが、地方財政平衡交付金の算定におきまして、今回地方公務員給与改善に要する経費として見積りました金額は、第一次改訂分が三百十二億円、第二次改訂分が八十二億円と、かように相成つております。その根拠といたしましては、府県庁の一般職員につきましては、第一次改訂分が一人当り千六百六十円、第二次改訂分が八百四十八円、合計いたしまして二千五百八円、教職員につきましては第一次改訂分が二千百十四円、第二次改訂分が千二百五十一円、合計いたしまして三千三百六十五円と相成つております。で第一次改訂分につきましては、御承知のように千円ベース・アツプということを基準といたしまして給与改訂法が作成せられたのでありますが、国家公務員につきましてもその結果は約千二百円ほどのベース改訂となりまして、当初の千円におきましては財源が不足したわけであります。このときにおきまして地方につきましては千円ベース・アツプの財源が非常に少いということがやかましく論議せられたわけであります。従いまして大蔵省といたしましては、地方給与の実態を調査する必要があるという意味におきましてその実態調査を実施したのでありまするが、その結果は先ほど申上げましたように、約一人平均府県庁の一般職員については千六百六十円、教職員については二千百十四円というベース改訂になつておつたわけであります。この事実は正しく地方職員国家公務員一般に比較いたしまして、そのべースが割高であるということを示しているものと考えられるのであります。と申しますることは、御承知のように第一次の給与改善の法律は下よりも逐次上になるほど引上額が大きかつたわけでありまするので、従いまして地方公務員ベースが高いということが、その一人平均額が現実に高かつたということを現わしていると先ず考えられるわけであります。従いましてこの当時におきましてもいろいろの議論があつたわけでありまして、第一次のベース改善それ自体におきましても、国家公務員に比較して高い分につきましてはその財源措置をなすべきではなかろうという議論もあつたわけであります。併しながら現実になされたところのベース改善については何らかの財源措置をなさなければならないという見地に立ちまして、この第一次分につきましては実際をそのまま認めてそれだけの財源措置をするという方針で進んだわけであります。併しながら第二次の改善の時、いわゆる千五百円ベース・アツプに当りましては、国家公務員との権衡を考慮してその間の調整をなすという意味におきまして財源措置がなされたわけであります。従いまして第一次の給与改善のときに国家公務員との権衡を考えて調整をなした場合よりも多くの財源措置がなされているということは、第二次給与改善がなされるまでの六カ月分においては、最初に調整をなすよりも、第二次の引上げのときに調整をする際は多くの財源措置がなされておるという結果になるわけであります。従つて第一次、第二次を合計いたしますと、先ほど申しましたように一般府県職員につきましては二千五百八円、教職員につきましては三千三百六十五円という給与改善費を見込んでいるわけでありまして、国家公務員に比較いたしましてこれは権衡のとれたものであろうと考えるわけであります。然らばこのような地方公務員給与の実態に対しまする調査が如何になされたかという点でありまするが、これにつきましては……。
  63. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 話の途中でありますが、地方公務員給与をどうするかという問題は、平衡交付金の額がどれだけでいいかという根本に触れる問題だと思います。従つて我々といたしましては百三十数万に上りますところの公務員に対して、大蔵当局が精密な調査をされたやに承わつておるのですが、あちこちで要約したものは頂いておりますが、我々といたしましてはできるだけ、作為的だとは申しませんが、加工をしない生の正確な資料を一応提出して頂いて、それを基本にして大蔵当局の説明を承わり、そうしてその調査が統計学の示すような確かさを持つかという判定に基いてそれから質問したいと思いますので、一つ大蔵当局が調査されました正確なできるだけ加工しない生の資料を提出して頂いてから質問をやるように、非常に重大だと思いますので一つ委員長においてお取計らい願いたいと思います。
  64. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では只今の中田委員の御意見がございましたが、御異議がなければさように取計らいたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では大蔵省に対しまして今中田委員が言われました通りの資料を早急に御提出になるよう希望します。  本日の参考人に対しまして御質疑がございましたらこの際お願いしたいと思います……。では参考人のかたに対する質疑はこれで終ります。いろいろ有難うございました。  なお皆さんにお諮りいたしまするが、先般理事会を開きまして決定した事項を御報告いたします。  その一つは御承知の通り先般愛媛県におきまして八幡浜の事件と申しますか、街頭録音におきまして警察との間に問題が起きておるのであります。その問題を取上げますかどうかにつきまして理事会で諮りましたところ、理事会では取上げるというふうなことにきまつたのでありまするが、この問題につきまして改めて委員会にその点をお諮りいたしたいと存じます……。御異議がなければ理事会で決定いたしました通りこの事件を取上げたいと存じますが、皆さんの御意見を伺います。理事会の通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ではさように取計らいたいと存じます。  なお四国でございますので本日決定の上、二日ほど間を置きまして、本日は十三日でございまするから、来る十六日金曜にこの八幡浜の事件を取上げたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なおその際証人として喚問すべきものを大体ここに予定しておりますので御参考に供します。愛媛県西宇和郡喜須来小学校教員田緑喜平君、これはその際質問した当人であります。八幡浜市警察署長、八幡浜市公安委員長、松山中央放送局放送部長、日本放送協会編成局長、同編成局社会課長、この社会課長は放送局から特に希望しておるのであります。以上が関係者でありまするが、政府側といたしましては大橋国務大臣、辻国家公安委員長、斎藤国警長官、小畑全国自治体公安委員会連絡協議会長、田中自治体警察長連絡協議会長、以上大体ここに予定いたしておりまするが、御異議なければ今申上げました連中を証人又は参考人として召喚いたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なおこの際更にお諮りいたしまするが、今申上げました中には第三者は入つておりませんが、第三者の問題については如何いたしますか、御意見を伺いたいと存じます。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 相当人数の証人でありまするから、第三者は一応必要なしとしてやつて頂きたいと思います。
  70. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今小笠原君から多人数であるから第三者は必要なしとこういう御意見でございましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。では今委員長が申上げました人に限りまして証人とし或いは参考人として当日出席してもらうことにいたします。  なお次の件は同じく理事会におきまして自由党のほうから御希望がありまして、例えば五大都市の警察消防等の起債の問題が御承知のごとくほとんど許されませんので非常に困難を来たしておる。なお一般の長期起債につきましても御承知の通り目下審議中のものもございまするがそれでも不十分でございますので、補正予算と睨合せまして本委員会において特に地方一般の長期起債について取上げてもらいたいと、こういう問題がございましたので、理事会ではそれを決定いたしましたが、理事会の決定通り委員会において取上げることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。ではその問題につきましては十六日の金曜日に八幡浜事件を取上げますので、その以前、明日から、只今本日意見の開陳がございました給与ベースの問題、この問題につきましては先ほど中田委員より大蔵省に対し精密なる科学的調査をなした大蔵省の資料を取寄せた上で質問をしたいと、そういう御意見がございましたので、本日大蔵省に至急提出を求めましたその問題と起債の問題を十四、十五取上げたいと思います。さよう取計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 折角大蔵当局からお出でになりまして御説明の腰を折つたようなことで大変恐縮ですが、資料も頂かずに滔々と弁ぜられましても却つて我々が巻き込まれてしまつてそうかなと思つたりすると大変ですから、私としてはこの問題はやはり統計学の確かさ、確率を見るためにはやはり大量観察の原理によりまして、どれだけの全体の数のうちのどういう選び方をしたかという基本的な問題にからんでくると思いますので、一つ厄介だとは思いますが、さつき申上げましたように、できるだけ加工せずに生のままで一つ出して頂くこと、それをお願いしたいと思うわけであります。例えば平衡交付金なんかにいたしましても、大蔵省地方係ですか、この地方財政の困難は平衡交付金配分方法に非常に原因があるということで、おのずから各県に対する配分方法が決定されて自治庁、地財委には示されたように伺うのですが、そういうものを頂かずに我々としてはただ雲をつかむようなことで判断せざるを得ないので、一つ問題の所在をはつきりするために、我々は必ずしも大蔵当局に殊更に反対しようとしてではないわけですから、一つ委員長のほうからも特にお願いして頂いてできるだけ詳しい資料を頂いて、一つ誤りのない判断をするようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  74. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 大蔵省にお願いたしますが、今重ねて中田委員より御意見がありました通りでありまするから、早急に大蔵省の調査された資料の御提出を求めたいと存じます。  なお今の委員長がお諮りいたしました通り十四、十五日は本日の給与改訂の件並びに一般長期起債の問題、十六日金曜日は八幡浜事件、さような以上のことを決定いたします。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほど参考人を喚んで事情を聴取した目的は、やはりこの平衡交付金増額の問題にからむと同時に、一般の物価騰貴にからむ国家公務員給与ベースの改訂と、地方公務員とはやつぱり公務員平等の原則に立つて不当なものであつてはならないという建前から御意見を伺い、又調査もして来たという点にあろうと思う。従つて明日からこの問題を委員会として政府側に質問を展開するにしましても、それは自治庁、地財委、大蔵省関係者に出て頂かなければならないと思いますので、その点は特に希望しておきます。而もこの大蔵省のほうにおいてはこの調査の資料が閣議決定にまで行き、又今回の地財委の平衡交付金要求の重大な計算の基礎ともなり、予算における平衡交付金決定の積算の基礎になつておる重要な問題でありますから、従つて白石主計官も御苦労をかけてここにおいで願つていますけれども、この調査をしたほうが大蔵省主計局給与課であるならば給与課の課長というふうな、或いは主計局長というふうな責任のあるかたに御出席を願わなければ、単に技術的な操作の問題だけでなしに、この資料の使い方についても聞きたい点がありますので、そういうかたがた揃つて御出席になるように特段なお取扱を願いたいと思います。
  76. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なお只今文部省より関係官が参りましたが、先ほど来の各員の御意見に従いまして明日から大蔵省の資料の提出を待ちまして改めて関係官の出席を求めたいと思いますが、さよう取計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ではさよう取計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会