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1951-11-06 第12回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月六日(火曜日)    午前十一時三十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            吉川末次郎君            岡本 愛祐君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    地方自治政務次    官       小野  哲君    大藏省銀行局長 河野 通一君   事務局側            福永与一郎君            武井 群嗣君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (平衡交付金に関する件)  (地方起債に関する件)  (短期融資に関する件)   ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこれより本委員会を開催いたします。  昨日に引続きまして地方財政平衡交付金起債短期融資の問題について御質疑を願いたいと思いますが、只今銀行局長参つておりますからさよう御了承をお願いいたします。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 河野銀行局長に御質問いたしますが、昨日当委員会におきまして会議を開きまして、あなたのほうの事務官のかたにも来てもらつて短期融資のことについて質問をいたしました。地方財政委員会のほうからは野村委員長初め政府委員参つて答弁に当つたのであります。そこでまだはつきりしない点がありますのでお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、先ず第一に岡野国務大臣が当委員会においても言明し、又昨日野村地方財政委員会委員長が当委員会におきまして言明いたしました短期融資を、只今府県並びに市町村に対して大体百八十億を本年度においてする。そのほかになお五十億乃至百億程度短期融資地方公共団体に対して取計らうように政府当局が今尽力中だという話なんでございます。その点を先ず最初に伺つておきたい。それが事実であるか。あなたがたが御存じであるかどうか。それを伺いたい。
  4. 河野通一

    政府委員河野通一君) 短期融資の問題につきましては、昨日私らの係りのほうからも申上げたと思うのでありますが、地方財政の窮乏と申しますか財政上の需要の増加に鑑みまして、いろいろそういう問題が討議されておることは事実でありまするが、私の事務的に承知いたしておりまする範囲におきましては、まだその短期融資の、お話の百八十億、現在の枠と申しますか、限度を決定いたしておるのでありますが、それを百億なり五十億なり増加するという話が具体化しておるようには承わつておりません。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 昨日も、只今申した政府委員その他の答弁によりまして私どもそういうふうに感得しまして、甚だ遺憾だと思つておるのです。これは大蔵省の責任ある当局に出てもらつてこの点をよく確かめなければならんというので、今日委員長から御出席を煩わしたのであります。……そういたしますと、大蔵大臣はもとより銀行局長のほうにも百八十億以外の地方公共団体に許す五十億乃至百億の短期融資の話はまだ正式には来ていない、まあこういうふうに承わりました。それでは、正式には来ていないが、その百億程度を百八十億の枠以外に許す必要があると思つていらつしやるか、我々は必要があると思つておるのでありますが。又必要があると思つていらつしやれば、今後どういうふうにしてやつてつて頂けるか、その点を伺いたいと思います。
  6. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先ほどもちよつと申上げましたように、地方財政需要が非常に大きい点に鑑みましていろいろ御要望の向があることは承知いたしております。私どももこの点について検討はいたしておりますが、只今のところ資金運用部資金計画を申上げますと、資料は大体お手許まで或いは行つているのではないかと思うのでありますが、大体年度末まで資金の動きがいろいろあるわけでありますが、結局年度未におきまして一般の起債その他長期金融を除きますと、資金が残りますのが五百四十億ということになるわけであります。その五百四十億のうち五百三十億は食糧証券を保有して行く資金、あと十億はいろいろの関係で若干ずれもありますので、何と申しますか、手許現金と申しますか或る程度準備として持つて行くという程度年度を起す予定になつております。この食糧証券の五百三十億という数字は政府及び民間の総合的な資金計画資金需給計画一環としてこういうふうな計画になつているのであつて糧券年度末におきまして千億余り残る今のところでは予定ですが、これを資金運用部と見返資金そういうような政府会計で以ちましてできるだけ市中の金融を圧迫しないという方針で参りますというと、資金運用部資金といたしましては五百三十億の程度糧券を持つて年度に継いで行くということが資金計画全体の円満な遂行上必要だということに只今のところはなつているわけであります。従いまして年度末におきましては只今お話のありました現在行われております枠と申しますか限度は大体百八十億でありますが、これも全部年度末においてはお返し願う。そういたしませんと年度末における資金余裕というものは五百四十億でありますから、五百三十億の糧券を持つて越すということもできないわけです。従いまして百八十億の現在のものについてもお返しを一応願わなければなりませんわけであります、いわんやこれを更に追加して年度を越すような短期的の融資というものは法律上も御承知のようになかなかむずかしいのみならず、資金運用部資金運用計画といたしましても現在のところでは困難な状態である。併しこの糧券を五百三十億必ず資金運用部が持つて年度を越さなければならんということは法律上何もあるわけではございませんので、政府として只今つております総合的な資金需給計画一環として考えました場合に、資金運用部としてこの程度糧券で越すいうことが全体の計画上必要であろうという観点に立つておるわけであります。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今お話を承わりますと、かろがろしく岡野国務大臣が当委員会並び衆議院におきまして、更に百億の短期融資政府が実行いたしまして、そうして地方財政の窮迫を救うというような言明をすることは甚だ不穏当に思うのであります。解決の唯一の鍵としてはお話のありました五百三十億でありますか、それを以て食糧証券を持ち年度を越すというその計画を変えてもらつて、百億何とか都合してもらうということより方法がないように思いますが、それはやり方によつては可能でありましようかどうか。それを伺いたいと思います。
  8. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は只今申上げましたように、法律上どうしても五百三十億を資金運用部として糧券を持つて繰越さなければならんという法律上の制約はございません。資金計画全体の立場から、何と申しますか、インフレーシヨンを押えながら政府資金運用を図つて参りますためには、この程度のものは資金運用部としてどうしても持つていなければ資金全体がうまくマツチしないということになるわけであります。ただ問題は地方財政自体需要の大変大きな点と、今申上げました資金計画を円滑に遂行するという一つの目的、要請と、どういうふうにして調整して行くかという問題に相成るわけであります。御要望の点はいろいろ間接には承わつておるのでありますが、私個人といたしましてはまだ国務大臣からそういう点について何ら指示も受けておりませんし、又私としてもその問題について話合つたことはないのであります。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この点は甚だ案外でありまして、もつと確信のある岡野国務大臣計画であろうとこういうふうに考えておりましたところが、言うは易くしてとてもこれは今のような御説明ならば、百億の短期融資を更にするというようなことはなかなか困難なことだと思います。この点について地方自治庁乃至地方財政委員会政府委員は来ておりますか。野村委員長が来ておられますが、今のような話なんですが、甚だ意外でありまして、野村委員長としてどういうふうにお考えになりますか。又岡野国務大臣は見えておりませんが、その代理の小野政務次官としてはどういうふうにお考えになるのか、甚だ容易ならんことだと思うのです。
  10. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 短期融資のことは昨日も当委員会において申上げた通りに、私は岡野大臣から確実に融通ができ得るもののように承わつておりますから、昨日も当委員会散会岡野大臣にお目にかかつて委員会の経過を報告してこの点について確めましたところ、岡野大臣は依然としてその確信を持つておいでのようで、私も安心いたした次第であります。
  11. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今地方財政委員長からお答えがあつたわけでありますが、昨日もこの問題について本委員会でいろいろ御質問がありました際にお答えをいたしましたように、岡野国務大臣もこの点につきましては何とか実現を図りたいというので熱心に折衝をいたしておるように聞いておるわけであります。従いまして、或いは岡野国務大臣から直接お答えをいたすのが適当かと思いますが、さように私も承知しておりますことを一応お答えしておきたいと思います。
  12. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今小野政務次官からお話がありましたけれども、今銀行局長から答弁のありましたような事情でありまして、そういうまだ海のものとも山のものともわからんようなこと、而も大蔵大臣並びに大蔵省首脳部責任者等と何ら交渉なくしてそして軽々確信あるごとく委員会答弁せられるというようなことは、非常な誤りだろうと思うのです。その点についてどうお考えになりますか、もう一応小野政務次官に御答弁願いたい。
  13. 小野哲

    政府委員小野哲君) 恐らく岡野国務大臣といたしましては、確信を持つて何とか実現をいたしたいということを考えておりますがために、本委員会答弁をいたしたものと心得ておりますので、私としてはそれ以上ここで何と申しますか推察を混えたお答えをすることは差控えたいと思います。
  14. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういうような次第でありますから、岡野国務大臣出席を求めます。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  15. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今朝から出席を求めておりますが、閣議が済みまして、今衆議院予算委員会に出ておられますので、重ねて今出席を求めておりますから今暫くお待ち下さい。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 只今のに連関した問題ですが、いずれ岡野国務大臣参つてから聞いた上で質問をするのが順当ですけれども、先ほど銀行局長お話の中に触れて一点お尋ねしておきたいことがあります。  先ず第一は資金計画上かなり無理があるというお話ですがそれは暫くおいて、法律的にこの種の短期融資は困難であるというお話只今ありましたが、これは昨日大角君から縷々その点については我々も意見を聴取いたしました。大角君の意見も概括的に法律的にはこれはかなり問題が存じているというこういう結論でした。そこでこの際局長に重ねて伺つておきたいことは、我々としてこの問題を見ますると、いわゆる政治的了解がなされたというこの短期融資を実際に行う場合において、そのよりどころは先ず昭和二十五年度預金部地方資金融通要綱ですか、これによる以外に手がないとこう考える。これによると、なるほどこの種の短期融資というものは非常に法律的に困難であろうということを我々は考える。そこであなたの今お話ではそういうようなものは今考えていないというお話ですが、まあ実現した場合にこれは大蔵省としては、なんですかこの内規或いは特例というようなものを設けて、この種の短期融資をする予定ですか。それともこの融通要綱を何か解釈上でそういうことは可能だという見通しですか、局長からこの点伺つて置きたいと思います。
  17. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今お尋ねの点は前提を少し間違えて、或いは申上げるのを落しまして誤解を起したかと思いますが、短期融資として年度を越して繋ぐ、つまり何と申しますか来年度税収なりその他の収入見返りにして本年度短期融資を出すということでありますと、今お話融通要綱、これは法律でも何でもないのでありまして内規的なものでありますから、場合によりましては変えることもできるわけであります。むしろそれでなくして地方自治法でありますとか、或いは地方財政法でありますとか、そういうふうな法律条文、私も今条文はつきり覚えておりませんが、この観点から一時の借入金というものは年度を越してするということは法律上非常に困難なことになつているように私は承わつておるのであります。むしろこの融通要綱の問題じやなくして法律自体の問題から来ておると、こういうふうに考えます。ただ問題が年度内に必ず還る金でありますならば、これは法律の問題じやございません。併し今私が聞いておりますところでは来年度に属する税収でありますとか或いは補助金でありますとかそういうものを見返りにして出すということは、結局来年度にまたがる資金を今年度の一時借入金で出すということ、これは地方自治法、今申上げました地方財政法等に牴触するものであるというふうに思います。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 私もその前提を言わなかつたのですが、局長お話通り前提でああいう質問をしたのです。伝えられるところによると、この短期融資というものは何を見合いにしているかというと、来年の税収その他のものを見合いにしているのであるというふうに我々も聞いているのです。なるほどこれはなぜこの短期融資が行われるかと言えば、御案内のように地方財政が非常に逼迫しておると、その穴を埋めるために本来ならば融資などというものでは駄目なのだが、補助金であるとか平衡交付金で埋めなければならないものだが、この際金繰りをやることによつて何らか方法があるだろうという政治的考慮でこの短期融資というものが考えられていると、こういうふうに聞いているわけなんです。そこで来年の税源、そういうものなんかを見合いにしてこういう短期融資が仮に行われる場合には、現在の大蔵省内規を改正する程度でこれを出すということは不可能であると、こういうふうな見解ですか。
  19. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今御指摘のようなことで、私が申上げましたような前提のもとに、短期融資をいたすことは法律に触れるのじやないかと思います。なおこの点は私どもよりはむしろここに御両所が見えておりますから、専門家のほうからむしろ法律解釈についてはお聞き願つたほうがいいのじやないかと思います。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 それじやこの点に関して特に荻田局長答弁を求めます。
  21. 荻田保

    政府委員荻田保君) 確かに一時借入金自治法によりまして、地方財政法ですか、年度内歳入を以て充てなければならないことになつておりますから、一時借入金の形において両年度にまたがつて金を借りるということは、法律違反でできないことは当然だと思います。でそういう場合に実際問題としましてどうなるかということでありますが、地方財政におきましては繰上げ充用という形は公式に認められておる。併しこういうことをやるのは実際問題としてはよろしくないのでありますが、万止むを得ない場合には繰上げ充用という形によつて決算の辻褄を合わすということができております。従いまして本年度若し金が足りませんと、明年度歳入を繰上げて今年使うという方法はあるわけでございます。この措置をとりまする場合には、一応の会計上の決算等の問題におきましてはそれでよいわけであります。その場合に現金の繋ぎといたしまして金が要るわけでありまするが、それにはやはりこの一時借入金という問題になつて来ますが、この場合には恐らく四月以降を過ぎて借ります金は、これは何も二十六年度の金でなくて二十七年度の金として借りる、それを繰上げて使うという恰好になるわけで、恰好だけはつくわけであります。併し飽くまでさような金でありますから、将来の見返りの何らかの歳入が要るわけでありまして、これのない限りは極めていい加減な起債がずるずる行くことになりまして好ましくないのでありまして、勿論短期融資によつて差当り現金処置はつくとしましても、財政上、決算上の処理がつきませんから余り好ましい形ではないと考えております。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、荻田局長説明はよくわかりましたが、そういうことで若し短期融資が行われるとすると、来年当然使える金を繰上げて今年使つているだけのことで、岡野国務大臣が誇らしげな顔をして百億云々と言うべき性質のものではないと、こういうことに相成るかと思うのですが、これは荻田局長見解はこの点に関してはどうですか。即ち百億の短期融資が行われた場合には、一応政治的な話合いによつて三月末には払うという形で貸しておいて、そうして来年の四月以降から又それは事実上は金錢の出し入れがなくて、四月一日からその契約が更新されて、そのまま融資しておくという形にするのか。それとも又何ですね、この際何かもつと別な便法で地方自治が助かるような形で特別に恩恵的に百億を出すという措置が講ぜられるのか、まだこれは仮定の問題ですけれども、どんな見通しですか。
  23. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申上げましたように、現金そのものが出してもらうに十分ありますならば、そう問題ないのであります。むしろ決算上どう処置つけるかという問題でありまして、これはまあ一時借入金自体の問題から離れるのでありますが、それは飽くまでも来年度繰上げ充用とすれば、来年度においてそれだけ返すだけの余計の、本年二十七年度自体歳入だけじやなくてそれにプラス百億なら百億という歳入がなければならんことになると思いますから、それを探すとそれをどこに求めるかという措置を講じなければならん。問題はむしろそちらのほうにあると思います。
  24. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、短期融資があることは望ましいことだが、現実の問題としては銀行局長が言つているように極めて困難な問題であると、こういうことに荻田局長の御意見結論されますか。
  25. 荻田保

    政府委員荻田保君) 銀行局立場にいませんが、いずれにしましても金を貸されるのでありまするからその見返りの金がなければ貸せないわけであります。そういう意味におきましてもやはりちやんとした見返り見通しがつくということが前提であると思います。岡野国務大臣も恐らく単に金を融通するのじやなくて、そういう見通しをつけて何とかしたいということを御努力中なんだろうと思います。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今荻田政府委員お答えに関連して質問いたしますが、地方財政委員会としては、それでは百八十億の短期融資の枠、そのほかに百億短期融資をしてもらう、それにはこの二十六年度のそれに対する収入見返りというものが出ていなければならない。その収入見返りというものを立てるのが非常に困難であるというお考えでしようか。府県並びに市町村において百八十億の短期融資のほかに百億もらうことは、実際上見返り収入関係において非常に困難だという見通しでしようか。
  27. 荻田保

    政府委員荻田保君) まあ非常にむずかしい問題だと考えております。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、ますます岡野国務大臣軽々に百億を短期融資で賄うように努力すると言われることがわけがわからないのでありまして、大蔵省のほうの資金運用部資金の動かし方、都合の仕方、のみならず短期融資を願う地方側準備と申しますか、そういうものが少しもできていない、できないという虞れがあるんじやないのですか。小野政務次官はどういうふうにお考えになりますか。
  29. 小野哲

    政府委員小野哲君) 短期融資の問題についてだんだんと具体的な話になつて参つたのでありますが、私どもといたしましては何らかの方法打開をして行きたいというのが先ず第一の希望でありまして、この点をどういう操作によつて処理して行くかということについては、勿論只今荻田局長からも答弁いたしましたように、いろいろ研究すべき問題があろうと考えております。ただ問題が極めて窮迫しておる現状に鑑みて、短期融資方法によつて打開をいたさせるならばという気持から、実は私どもも、恐らく岡野国務大臣も努力いたしたいという考えを持つておるものと思つておるわけでありまして、勿論具体的の措置につきましてはよくこの間において研究を進めて行かなければならんと私も考えております。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それではもう一つ具体的にお尋ねしますが、地方財政委員会のほうにおいては百億の短期融資を更に大蔵省資金運用部資金のほうから認めてもらう、そのためには来年度歳入を繰上げ流用と言いますか、使用と言いますか、そういうふうに地方にさせるということが差支えありませんか。
  31. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方財政委員会といたしましては、目下のところは意見書も出してありますように、そういう方法をとらずに正道を踏んで行つたほうがいいと考えております。最惡の場合には又そういう方法考えなければならんと思つております。
  32. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それじや最惡の場合のほうのことを今論議しておるのでありますが、最惡の場合としてそういう来年度歳入を繰上げ流用することにしたときに、それによつて大蔵省のほうは食糧証券の問題が打開できるとすれば、その繰上げ流用見返りにして、この資金運用部資金の中から百億を短期融資をするということはできますか。やれるつもりでありますか。仮定が二つ重なつておりますが、ともかく来年度歳入を繰上げて流用するという前提の下に大蔵省のほうの資金運用部資金短期融資をすることができますか。それは今度食糧証券のほうから都合がついたとしてです。その点を念を押しておきたいと思います。
  33. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今お話のように、前提資金計画全体の問題として糧券等を或る程度さばいてもいいということが若し前提なつた場合、この前提はむずかしいと思いますが、仮にその前提を踏んだといたしまして、来年度収入を繰上げて流用するための財源として資金運用部から短期融資ができるかできないかの問題でありますが、私どもといたしましては、これは非常に何と申しますか言葉がひねておりますけれども、一種の脱法行為であろうと思います。法律精神から言えば、そういうふうなことのために資金運用部資金短期に実質上年度を越して融通するということは、法の精神から言いますと適当でないというふうに考えます。まだこの点につきましては、私ども甚だ申訳ないのでありますけれども十分な研究を積んでおりませんので、ここではつきりした結論を申上げられませんけれども、今私がお話を伺つて感じておるところでは、どうも余り適当でないではないかということを考えております。
  34. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういうふうな状況でありますと、岡野国務大臣がどれだけの確信を持つておられるか、岡野国務大臣出席を待つて確めますけれどもなかなか困難なことであるように思うのであります。これはよほど地方財政が、殊に町村財政というものが如何に窮迫しておるかという認識をもつと大蔵省側に深く持つて頂き、それからまあ多少のことは目をつぶつて、そうしてこの窮境を救うために短期融資をするということにしてもらわなければならないと思うのであります。ここでこれ以上聞いても仕方がないように思うのでありますが、ほかのかたから御質問して頂きまして。
  35. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 僕は前後のお話の筋合を十分知らんので見当違いのことをお尋ねするかも知れませんが、荻田局長地方自治体見返り財源としてそれだけの余裕がないであろうという意見でありますが、それはその地方自治体の内容によるのであつて、そういう財源のない自治体もあるかも知れないが、十分一つ水道事業であるとか電鉄事業であるとか或いはその他の事業等において財源余裕があると見られるような市町村等が、それを見返り財源として借りる場合は、銀行局長としてはそういつたものはそれは別ものであるという解釈を持つておられるのかどうか。私は、岡野国務大臣が言われたのはこうした意味合で、全国一万何ぼの自治体から百億ぐらいの余裕財源はなくともその解釈次第においてはそういう財源と見なされるものがあるという観点から言われたのではないかとも思うのであります。  それからもう一つは、シンジケートなどの組織で市中銀行、地方銀行がそういつたような状態で融資をしようというものは融資を受けても又するのも差支えないのではないか。この点を銀行局長お尋ねしたい。
  36. 河野通一

    政府委員河野通一君) 只今お話の点はむしろ地方財政委員会のほうから御答弁願つたほうがいいかと思います。
  37. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今私が申したのは、地方財政委員会からも聞きたいと思いますが、将来政府金融統制をしようという意向やら、預金部資金その他の資金財政資金及び一般市中金融政策の観点から見て、やはりそういつた場合には大蔵省当局としては差支えないか。問題は、私は地方財政のこういう窮乏に対して大蔵省が極めて冷淡である。これはもう税制の問題の当時から我々言及しておつたのでありますが、地方財政に対して大蔵省当局が極めて冷淡であつて、今回のこういう地方財政窮乏に対しても金がないとか、融資方法がつかないとか言つておるが、それじや主食統制を撤廃する段において、農村団体に何百億か融資しなくちや集荷貯蔵ができない。或いは価格補給金でも当然輸入食糧を増加すればそれだけ補給金も要るのです。その他いろいろの市場操作の上においても数百億を予想される資金が必要なんであります。そういつたようなことは目盛りで五十億、百億はどんなにでも狂つて来るのであります。先般も大蔵大臣は補給金で五、六十億余裕があるとこう言つておる。現在の段階では余裕がある、こういつたような状態であります。然るに地方財政は極端な窮乏を来しておるにもかかわらず、大蔵省当局は市中銀行、地方銀行からでき得る限りの方法短期融資を求めんとすることについてもこれを牽制せんかのような態度をとつておるということは我々にも極めて遺憾である。であるから大蔵省当局は法規を曲げるわけには行かないが、許される範囲内で解釈論を広義に持つて、而も私が申上げる通り地方自治体がその経営する事業のうちから、明年度インフレかデフレかわからないが、現在の段階においてなお財源余裕ありと見積り得る基礎が算定される場合には、それを基準としてシンジケートその他においてでも話ができ上つて借入れるという場合にはそれまで牽制する必要はない。私はこう思うから大蔵省当局のこの考え方というものは基礎的に一つ立て直してもらわなければいかんが、先ずこういつた問題に対して広義の解釈と大きな気持で、地方財政の窮乏に対し特に平衡交付金をふやす。これは問題は別でありますがその問題と別個にして、非常に困難であるから短期融資でもせめての切抜け策として、喘いでおるこの実情に対して極めて冷淡な態度をとつておるのは僕は非常に怪しからんと思つておるのです。それは別ものとしてもこうした態度を大蔵省当局も何とか誠意を持つて収拾して行くような努力をしてもらいたいと思うのだから、今私が申上げる点については、私たちの常識では差支えないと思いますが、それでも大蔵省当局は異論があるのかどうかお伺いしたいと思います。
  38. 河野通一

    政府委員河野通一君) 地方財政の必要といたしまする資金といたしましては、できるだけ政府資金で賄つて行くという原則はとつて行くのが適当であろうと思います。地方の銀行から地方財政の使用いたしまする資金を借入れることができるのか、できないかの問題につきましては、法律解釈の問題もございますのでありまして、その点は先ほど申上げましたように専門のかたから願いたいと思いますが、私といたしましてはできるだけ市中のやはり集まつた金は、市中の産業資金とかそういつた方面へ廻して行くのが適当であろうと思います。従いまして、地方財政その他のいわゆる政府関係機関の所要する資金につきましては、できるだけ政府資金で以て賄われることが筋であろうというふうに考えております。併し今申上げましたのは原則論でありますので、別に例外的な問題が法律上許されるのでありますならばあえて反対すべき筋合ではないと思いますが、いずれにいたしましても、その資金が原則といたしましては、資金運用部資金に限りませんけれども、或いは平衡交付金でありますとか、その他の政府資金地方財政というものが賄われて行くのが筋ではないかというふうに考えております。  それから今のお話地方財政に対して大蔵省は非常に冷淡だというお叱りを受けておるのです。たびたび実はお叱りを受けておるわけであります一般の平衡交付金その他につきましては、私は実は担当いたしておりません。私が担当いたしておりまするのは資金運用部資金の範囲内でありまするが、この問題につきましては先ほど来申上げましたように、全体の政府資金の総合資金需給立場から、今年度資金運用部資金計画は、来年度に対して五百三十億の糧券と、約十億の何と申しますか準備金を以て来年度に繰越しする。従つて短期資金を来年度に繰越す資金計画というものは、只今のところは持つておらない、こういうことを申上げたのです。
  39. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私のお尋ねしておる点のうち一点はお答え頂きましたが、私が特に中心としてお尋ねしておる点は、地方財政需要に対しては国家資金で賄うのが建前であるということはお説御尤もであつてそれに異存はありません。ただ私がお答えを求めんとしておる要点は、それじやそれはできないと言われるのだから、せめての当座切抜策として、短期融資をシンジケートその他において地方自治体見返り財源として金融機関が了承した場合は、それは成るべくこれら金融は産業資金に使うのもよいが、併しながら地方自治体が全部消耗資金ではない、或る一点には公共事業の補助助成と言いますか、そういうようなものもありましようし、或いは経済振興費もありましようし、或いは社会救済費もあるわけであります。そういつた角度から見て、必ずしも市中金融は全部産業資金といつたところで、このうち産業資金だといつても産業資金と名ずけるだけで、内容がどのように使用されるかそれはわからない。そういつた角度から、地方自治体と市中金融機関との間で了承し得る範囲で借入れるというものならば、それは差支えないと私たちは思うし、又そういつたことはそんなことまで金融統制でこの財政窮乏に対する地方自治体の努力を制限する、制圧するという手は私はどうかと思うから、そういつた場合には、大蔵省としてはそれを大いに助長する必要がなくても授助する必要がある、私はこう思うのですが、そういつた場合に大蔵省は援助する気持があるかどうかということをお尋ねしておる。
  40. 河野通一

    政府委員河野通一君) 只今申上げましたように、政府団体に対しては、やはり政府資金で賄わなければならんという原則は飽くまでとつております。併しながら、地方自治法なり地方財政法の許します範囲において許すか許さないは、私よりもむしろ地方財政委員会その他のかたがたのほうが御専門であられるのでお聞き願いたいのでありますが、法律が許す範囲におきましてならば運用資金を一時銀行のほうにでも繋いでよろしいということでありますならば、その点は差支えないかと存じます。ただ先ほども申上げましたように、一時借入金の性質が、民間資金であろうと、政府資金であろうと、やはり同じように、地方自治法或いは地方財政法精神から言いますと年度内収入で以て返すということが原則であろうかと思います。従つて、その原則が市中から借りた場合におきましても、政府資金資金運用部資金等から出した場合におきましても、同じ原則が適用されるかと思いますが、この点につきましては先ほど申上げましたように専門家の御意見をお聞きとり願います。
  41. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私は専門家意見を聞く前提としてあなたの意見を聞いているので、専門家以上の総金融元締本尊のあなたの御意見を聞いておるのですから、地方財政資金が、成るべく国家資金から或いは地方財政から収入し得る財源で賄うという建前はよくわかります。けれども今日の地方税と国税との振合いから見ますれば、地方税から直接住民或いは地方経済に重圧を受けておるウエイトは大きいのであります。これを徴収しても地方自治財政上非常に困難を来しておるこの原因は幾多ありましよう。或いは人員整理の問題もありましようし、事務が増大した点もありましようしいろいろ問題がありますが、いずれの点においても現在の段階ではどうしたらいいのかということについては、やはり地方自治体が営んでおる事業或いはその他を財源とし、私は税金を財源とするという角度よりは、地方自治体がそれぞれ事業を経営しておるのがある、そうした事業を経営している財源のうちから、それを見返りとして金融機関から借入れるというものは、この際としては私は金融機関の監督調整を担当しておる大蔵省としては、奨励はしなくともそれを間接に援助して行くということじやない限りは……現在の国家財政はこれを大幅に支出することは許されない、こう言われるのでありますが、我々は出す余地があると思つています。これはいろいろのたくさんな問題から百億や二百億くらいのものは出し得ると私は思いますが、これは全般の予算問題に関連するのでありますので省略しますけれども、若し出せないというのならば、こういう方法でもやるというのが親切な、やはり金融機関の統制者たるあなたのほうの考えでなくてはならんと私は思つております。だからこの際そういつた事業財源、事業から出る財源を以て一般市中銀行と相談の上でき上つた融資は、それを関接に援助する、こういう態度に私は出てもらいたい。その金額は岡野国務大臣の言う百億になるのか、或いは五十億か百五十億かそれはわからないが、これは地方金融機関との相談ずくでの話である。そういう方法で大体の目安百億ぐらいのものは我々の感じとしてはあると思います。それを大蔵省金融統制の見積りの枠に入れておくということが望ましいのであります。是非そうしてほしいと思いますが、これは希望でありますがもう一度御返答を承わりたいと思います。
  42. 河野通一

    政府委員河野通一君) お答えが重複することになると思います。甚だ申訳ありませんが、恐らく金融機関がこれを引受融資をいたします場合にも、一時の融資短期融資というと言葉が惡うございますが一時借入金ということになると思います。借りるほうから言うと借入金ということになる。そういたしますと、これは先ほど申上げましたように、資金運用部から借入れます場合と金融機関から借入れます場合とを問わず、一時借入金というものは地方自治法なり或いは地方財政法なりによりまして、年度内収入で以てこれを返すという原則ができておる。年度を越して来年度の以降の収入によつてやはりそういつたものを見返りにして本年度の一時の借入金をするということは、地方財政法或いは地方自治法精神からいつて私は適当でないと先ほど申上げたのであります。その点は金融機関から借入れする場合にはいいけれども資金運用部から借入れる場合は、これは一時借入金でもいけない、ということではないと思いますので、そういつた一時借入金に関する限りは貸出先がどこであろうと、同じ原則が地方自治法地方財政法が存続する限り適用されておるのだと私い思います。従いまして、この点私はそう思いますが、なおその点について資金運用部から借入れる一時借入金は、いろいろむずかしい制限がありますけれども金融機関から借入れる一時借入金はそういうむずかしい法律の制限はないんだということになるかもわからん。私はならんと思いますけれどもその点は先ほど申上げましたように専門の方からもう一度お話を願いたいと思います。
  43. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私はそこにもう一点わからん点があるのは、翌年度の税源、財政収入を担保として借入れるというのは違法であるというのであるならば、そう法律になつておるのですからなるのでしようが、その場合ならばそれでは事業なり税源なりというものではなくして、信用による貸出であつたらどうであるか。それからこれが三月三十一日を期限として、四月一日に又継続したならば当年度財政収入でそれを返還するということになるわけで、当年度は信用、年度替りのときに初めて財源に担保を切換える、収入財源に担保を切換えるということであるならば差支えないのでありますか。
  44. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は、法律の建前から言いますると、その年度収入で返すということになつておりますので、それがすぐ年度末におきまして年度当初と同日に切換えて若し繋ぐということになりまするなら、実質的に言えば一時借入金の性質を失つておる、実質的に従つてそれはやはり長い起債でありますとか、いわゆる長期融資、長期借入金という形を備えているものであろうというふうに考えます。ただその実質がどうであるかという問題でありまして、それでは三月三十一日に返済を受けて、四月の十日に出したらどうだという問題がありますが、その点は程度問題になるかとも思いますけれども、即日返済して即日すぐ借入れるということでは、結局その実態は年度を越して長く繋いで行つたことと少しも変りがないのではないかというふうな点で、法律上疑問があるのではないかということを申上げたのであります。
  45. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 岡野国務大臣が御出席になりましたから岡野国務大臣に御質問いたします。  岡野国務大臣は、先般この委員会におきまして、地方財政の窮迫を救うために更に五十億乃至百億の短期融資をさせて、そしてそれで以てこの急場をしのぐように努力するというお話があつたのでありますが、そこで昨日今日この委員会を開いて、そういう短期融資というものが果して可能であるかどうか、どのくらいまでその計画がうまく働いておるかどうか、それを検討しておるのであります。そこで今日大蔵省河野銀行局長に来てもらいまして、この百億の短期融資が、果して現在大体きめられておる百八十億の短期融資の枠のほかに地方公共団体に対して資金運用部資金から出せる見込があるかどうかということを検討したのであります。ところが今も河野銀行局長が融れておりますように余裕は五百四十億ある、併しそのうちの五百三十億は食糧証券を以て年度を越す資金計画になつておる、それから十億手持ができますけれども、それはこれからのいろいろなことに対処して行かなければならんから、これもなかなかそれに廻すことは困難であるというふうなお話があつたのであります。一方においてそれでは地方自治法の二百二十七条の一時借入については当該年度収入を以て見返りをしなければならんという規定があります。果してそういう百億の年度内収入を以て見返りするだけの余裕地方公共団体にあるかどうかという点を地方財政委員会のほうについて検討いたしますと、これはなかなかそうはないだろう。それじやどうしたらいいのだと言えば、地方財政委員会のほうとしては、来年度歳入を繰上げて流用してそれを以て見返りに当てるというよりほかないだろうという結論に来たわけであります。そういうふうに二つのまあ困難があると思います。而も銀行局長の話では来年度収入を繰上げて見返りに当てるというようなことは、これは法規の建前としては好ましからんことである、それによつて資金運用部資金短期融資に充てるということはなかなか困難であろうというふうな今御答弁であつたのであります。そういたしますと、岡野国務大臣が当委員会におきましても、又衆議院委員会において今日の新聞に出ておりますが、この百億くらいの短期融資を更にさせて、そうしてこの急場を凌ぐという、そのお考えがなかなか実行しがたいような状況にあるのじやないかと思うのであります。而も大蔵当局ではそういう話を正式に聞いていないというお話であります。非常な不安定な不確定な話であります。で岡野国務大臣がこの委員会お話になる以上は、もつと確信のあるお話かと思つて承わつてつたのでありますが、そうじやないんじやないかという疑義が起つて来ました。この短期融資のもう話が新聞に出て来まして、地方のほうでは当てにしているだろうと思うのであります。果してそういう御確信があるのかどうか。今いうような困難性がありますがそれをどういうふうにして打開をなさるつもりか、それを承わつておきたいと思うのであります。
  46. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。いろいろ法制上のこととか、事務的に考えますればいろいろ難関があると思います。思いますけれども地方財政が非常に困つていることは事実なのであります。これを政治上打つちやつておくわけに参らんと私は思います。でございますから先般も申上げましたように、若し本当に立つて行かないということになれば五十億乃至百億の短期融資でもしてこれを凌いで行くより方法はない。その方法は無論正道を踏んで行けるわけのものではありません。でありますから、私はどんなことがありましても地方財政が立ち行かないということがはつきり財政委員会のほうでわかり、同時にどこそこの地方団体が非常に困つているということがあれば私は当然すべきものだということで、これに対しては大蔵大臣と十分打合せをしておりましてそうして大蔵大臣もこれを了承しております。昨日参議院の予算委員会におきまして同じ質問が出ました。その点におきまして大蔵大臣がちやんと私の隣に控えておりまして、私は地方財政は百億の平衡交付金並びに起債の枠百億では財政委員会意見書とよほどの食い違いが出る、併しながら国家として平衡交付金を増すわけにも行かん、起債の枠を百億以上増すわけに行かんという立場ならば、いたし方がないから短期融資によつて五十億乃至百億の程度において見て行かなければならん、こう考えております。これに対してより処置をしておりますとはつきり申上げておきます。これは大蔵大臣も若し御異論があればそのとき立つて反駁なさるはずでございますが、私と同席しておつて、そうして私がそれだけの答弁をしましたことについて大蔵大臣は了承しておりますから、私は大蔵大臣と私との考え、並びに閣僚間において十分緊密なる連絡をして事務当局が納得ができて行けるような方向にやつて行くのは、大蔵省の所管は大臣々々がまとめて行つてくれるものと私は確信しております。
  47. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今岡野国務大臣の御答弁を聞きまして私はまあ半ば安心をいたしました。それだけ確信を持つて大蔵大臣お話合いをなさり、又打開の途について十分な御確信があるということならばそれで結構であると思います。私どもは単に短期融資だけじやいかんと実は思つております。百億の平衡交付金の増額では足らんと思つているのであります。これは当委員会におきまして、私は留守でありましたけれどもこの閉会中にわざわざ委員会を開かれて、そうして決議をなすつた百五十億の平衡交付金の増額、即ち五十億は足らないと私は思つているのであります。又起債についても百億の枠の増額では足りない、これも長期起債を五十億乃至百億は増してもらわなければならん。こういうふうに考えているのでありますが、それはこれから当委員会において皆様と御相談をしてだんだん審議をして頂きたいと思いますが、ともかくそれに至らない過程におきましても最後の手段として、今岡野国務大臣が力強く当委員会において御言明をなすつた。こういうふうに承知をしまして、岡野国務大臣の今後の御努力に期待をするものであります。
  48. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ほかに御質問ありませんか。
  49. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつとほかの点に亘りますが、大蔵省から銀行局長が見えておりますからお尋ねしたいのでありますが、この頃地方へ参りますと政府がいろいろ心配をして長期起債を、又短期融資というものを努力してくれる、それは諒といたしております。併し手続が非常に面倒になりまして、県庁へ行きますほかに起債についても大蔵省地方財務局といいますかそのほうにも行かなければならん、地方財務局の出張所のほうにも行かなければならん。そこで又なかなかやかましいことがありまして非常に困つておる。村長なんか弱つておるというようなのでありますが、あれは県庁のほうに行けばそういうことが万事運ぶような手はずにはならないものか、その点を伺いたいと思うのであります。
  50. 河野通一

    政府委員河野通一君) 起債その他短期融資につきましての手続は、できるだけ簡素化して迅速に事務を処理して行かなければならんということは御指摘の通りだと思います。ただ具体的には、大蔵省といたしましても出先機関におきまして大蔵省としての立場からいろいろ検討をさせなければならん問題もございますので、これを全部抜きにしてしまいますわけには参りません。これは例えば私どものほうにいたしましては資金運用部資金の問題だけじやなくて、平衡交付金の問題でありますとかその他につきましても、いろいろの関係から大蔵省の分野における事務の処理をやつております。これは総合的に見ましてやはり検討を加える余地があると思います。この点はいろいろ手続上煩瑣になつて事務が渋滞いたしておるような点がありますならば、これは十分注意して、できるだけ迅速に運ぶように努力は今後いたしたいと思いますけれども、全部外してしまうということはちよつと私どもとしては只今のところは困難だと考えております。なお具体的な点がございましたらこういう点をもう少し簡素化しろというようなお話でもございますれば、お示しによりまして十分検討して参りたいとかように思つております。
  51. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今具体的な例は申上げませんが地方で非常にその点を困つているのでありまして、何とかそこを県庁を大蔵省のほうじや信用してもらつて、県庁のほうでよろしいと言えば委してもらうというふうに御研究願えないものかどうか。県庁を信用できないとなればそれは万事終つたのでありますが、そうでなくて県庁を信用してから又その前提として地方財政委員会を信用してもらうということに、是非してもらいたいと思うのでありますが、もう一度この点御意見を承わりたいと思うのであります。
  52. 河野通一

    政府委員河野通一君) その点はいろいろ具体的には問題があると思いますが、只今のところ私どもは事務を簡素化してできるだけ迅速に運ぶように努力いたすことによつて一つ御勘弁を頂きたいと、かように思つております。
  53. 安井謙

    ○安井謙君 銀行局長にちよつとお伺いします。先ほど岩木議員の短期融資の銀行融資の御質問と関連してですが、これを公共事業引当の長期融資の民間融資という点についてはどうお考えになりますか。もう一回申しますと、公共事業費を引当にして今短期融資の問題が質問なつたようですが、そうでなくて長期の普通の起債を民間から求めるという点について。
  54. 河野通一

    政府委員河野通一君) その点は別段差支えないように思つております。
  55. 安井謙

    ○安井謙君 実際上は資金規正や何かで非常にやりにくいということの通則になつているようですが、事実地方公共団体がやつている例もないのでありますがやればできるということですか。
  56. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は別に私ども禁止もいたしておりませんが、一般的に市中の金融は相当資金が不足いたしておりまするために、詰つておりますからそういう余裕は出ないと思いますが、ただ公共事業費が出ることになつておりまする場合には或いは預金部からこれを繋ぐこともいたしておりますし、そう別に一般の市中銀行からお借りにならなくても繋ぎは何とかつくのじやないかと考えております。
  57. 安井謙

    ○安井謙君 今の意味は起債の地財委がきめました枠外にはみ出ていないもの、こういう意味なんであります。
  58. 河野通一

    政府委員河野通一君) それはやはり、今地方自治庁地方財政法の建前から行きまして、実質的な長期の起債になるわけでありますから、法律上の手続を踏まないで、ただ一般の短期の繋ぎから公共事業費が、例えば最近出ておりますような災害関係の査定が済みまするまでは、一時繋ぎ資金を出すということはやつておりますけれども、これは長期のものじやございませんで、必ず何カ月かのちに補助金が出る、それを見返りにして短期の繋ぎを資金運用部資金から出す、こういう制度をやつております。
  59. 安井謙

    ○安井謙君 今の枠の問題ですが、勿論枠外に単純には離れられないのですが、今枠がきめられるのは政府資金需給その他の関係が基調になつてきめられていると思うのであります。その場合公共事業とこうありますが、そうでなくて公企業ですね、水道であるとか電車であるとか、そういつたような場合に、今後地方公共団体にそういう政府資金上規正される枠以外に、地財委その他が何か特別のそういう枠を民間に求めるというような方向が考えられないだろうかというのです。
  60. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は先ほど申上げましたように地方の自治体の所要いたしまする資金は、できるだけ原則として政府資金で賄つて行く、政府資金と申しますのは何も資金運用部資金だけじやございませんが、あらゆるソースの長期資金で賄つて行くというのが原則であろうと思います。従いまして例外的に繋ぐ場合の資金等につきましては、民間の市中銀行を使つてもこれは勿論差支えない、枠の許す限りにおいて差支えないと思いますけれども、長い資金につきましてはやはり今お話申上げましたように、原則として政府資金で賄われることが適当であろうというふうに考えております。と申しますのは市中で集められた資金はやはり市中の産業資金等に廻されるのが本筋であろうと考えますので、これらの点を総合的な資金需給立場から、地方財政のほうへどの程度資金を廻したらいいかということになつて来ますると、これは必ずしも政府資金の需給計画だけでなしに、総合資金と申しますか、民間資金を合せて総合的な資金計画一環として起債というものを考えているわけです。その中には今申上げましたような趣旨もありまして、大体市中金融機関から長期の地方団体の資金借入金等は予定をいたしておりませんし、今後におきましても民間産業資金が非常に枯渇いたしております際でありますから、この点についてはできるだけ政府資金で賄つて行くという原則を貫くことがこの際としては少くとも金融政策としては適当ではないかというふうに考えております。
  61. 安井謙

    ○安井謙君 そうしますと結論としては、公企業体のような一種の産業資金に類するようなものでも、これは枠を拡げまして民間で求めるという方法は今のところ全然ないわけですか。そうして当分考えられないわけですか。
  62. 河野通一

    説明員(河野通一君) 政府財政なり金融の状况から見ますと重複して申上げますけれども、できるだけそういう資金は広い意味の政府資金で賄われることを私どもは期待いたします。
  63. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では本日はこの程度にいたしまして、明日は十時から再開いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ではさように決しました。では本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会