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1951-11-05 第12回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月五日(月曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君    委員            高橋進太郎君            安井  謙君            相馬 助治君            吉川末次郎君            岡本 愛祐君            鈴木 直人君   政府委員    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方自治政務次    官       小野  哲君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    地方財政委員会    財務課長    奧野 誠亮君    大蔵省銀行局資   金運用課長補佐  大角  武君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (平衡交付金に関する件)  (地方起債に関する件)  (短期融資に関する件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) これより本委員会を開催いたします。  本日委員長理事会を開催いたしまして、議事運営の点について協議いたしましたが、御承知通り会期が十八日となつておりまして、予算のほうも審議が開始されると思いまするが、その前にこちらとしては本年の地方財政についての態度をどうするかというふうな問題が当然出て参りますので、成るべく早い機会にそれを決定して参考のために予算委員会のほうに要望したいと思いますので、できるだけ平衡交付金なり起債短期融資の問題に主力を注ぎまして審議を進めてやつて参りたいと、さように考えております。本日は大蔵省銀行局資金運用課課長補佐大角君が見えておりますので、一つ短期融資について御質疑を願いたいと存じます。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 大蔵省のかたにお尋ねしますが、この大蔵省における短期融資方針というものはどういうふうになつておりますか。それを承わつておきます。
  4. 大角武

    説明員大角武君) 短期融資といたしましては従来はいたしておらなかつたのでありますが、昭和二十四年度から現在の地方財政窮乏を救うために短期融資制度を設けたのです。そういたしまして大体二十四年度から始めておりますが、大きくこの制度運用をし始めましたのは、昨年度地方税制の整備に伴うところの制度でこれが大体総額二百億を限度といたしまして、昨年度これが融資を実行いたしまして、地方財政資金運用のほうでは相当貢献をしたと思つております。運用部資金短期方法といたしましては、本年度におきましても従来通り継続しておりまして、本年度は大体年額最高百八十億と見当を置きまして、その範囲内で地方の要望によりまして、短期融資を実行しております。短期融資と申しましてもいろいろ種類がございまして、現在の制度では短期融資、大きく分けまして四つございまして、第一は国庫補助がきまる場合、或いは県の補助金がきまつた場合、それが現実に交付されるまで資金を繋ぐ、それから次は平衡交付金でありますが、平衡交付金がきまつて大体現実に出るまでそれを目当てに繋ぐ、これが第二の目的でございます。その次はその他の一般税收入見合いとしまして、年度の初めに年度のあとの税金を目当てに繋ぐというのが税收等繋ぎ資金でございます。もう一つは特殊なものとして、今度ルース台風等で問題になつております補助金はつきりときまつておりませんけれども、大体そのくらいなものは出るだろうという見当によりまして、緊急の災害復旧のための繋ぎを出す、この四つが現在の短期融資制度であります。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その短期融資の一件ごとの限度とか、それから担保を要するのかどうか、或いはその期限はどのくらいか、そういうことをお話願いたいと思います。
  6. 大角武

    説明員大角武君) 期限は大体全部一応一カ月といたしております。それから利率は日歩一銭八厘であります。それから担保の点でございますが、普通民間銀行のような担保は要しません。無担保でございますが、ただ先ほど申上げましたように、国庫補助金繋ぎ融資でございましたならば、当該官庁補助金の出る証明書でございますね、それを添付して頂く、それから平衡交付金でございましたら、例えば府県なんかの証明書を頂く、税收なんかについては全然そういう証明書も何も要らず、ただ金繰り表によりまして、前年度実績と今年の見込みが余り相違しなければそれを目当てに出しております。
  7. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつと委員長から質問いたしますが、短期融資説明されて、三つ理由を言われましたが、その他にも今あなたの説明繋ぎ融資だけを説明されたと思いますが、短期融資のうち調整融資というものがありますが、これはどうですか。
  8. 大角武

    説明員大角武君) 調整融資というのは繋ぎ融資のことでございます。本来の繋ぎ資金税收入を繋ぐのが調整融資でございます。
  9. 相馬助治

    相馬助治君 今の委員長質問委員会が聞いたことは、ページにして何ページか、この資料は誠にはつきりしないのだが、短期融資とありますね、第三の見出し、その次のページの所に行つて小さな番号で四、その他の短期融通、以下調整融資と、こういうふうに書いてありますね、これは何ですか。
  10. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 大角説明員に申しますが、あなたの説明では、一、二、三と言われましたが、その他というのだから、繋ぎ融資ではないかいうような感じがしたのですが、これもその他の短期調整融資もこれも繋ぎですか。
  11. 大角武

    説明員大角武君) 全部でございます。
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) すると、繋ぎというのは地方公共団体の場合はどういう性質繋ぎですか。
  13. 大角武

    説明員大角武君) それははつきり申上げられませんが、繋ぎと申しますのは、国庫補助金平衡交付金繋ぎ、これが繋ぎ融資でございます。その他今後入りますところの税を見合うものを長期調整資金、従来こう言つておるわけでございます。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、税收入見合いとした融資をここでその他の短期融通と書いてあるので、それ以外のものではないのですか。いわゆる平衡交付金補助金それから税收入、これらを見合いとした融資以外に何も特殊な融資というものはないのですか。
  15. 大角武

    説明員大角武君) そのほかにはございません。その他は今申しましたような災害のための緊急融資以外はございません。
  16. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 その百八十億という短期融資の枠は何か根拠のあるものでしようか。或いは今後情勢によつては百八十億というのは動き得るのでしようか。その点について。
  17. 大角武

    説明員大角武君) それは前年度実績によりまして、大体今年はこれぐらいならいいだろうという見当を付けまして、一応百八十億といたしましたが、これは少々上りましても別に差支えはないと思います。
  18. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それからこの期限ですが、短期融資は三月三十一日に全部きれいにしなければならないことになりますか。その点はどうなんですか。
  19. 大角武

    説明員大角武君) 三月三十一には必ず全部回收してしまうことになつております。それで三月を越えることは認めておられません。
  20. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、税收入担保にしたやつで、税收入ですから若干翌年度の四月なり、五月の出納関係で残るものがあるだろうと思います。そういうときの措置はどうなんですか。
  21. 大角武

    説明員大角武君) 去年の実績なんかから申上げまして、大体二百億近く出ましたのですが、三月末には全部回收いたしておりまして残つておりません。それでそれがためには或いは実際問題といたしまして、それを償還するために或いは銀行から一時繋ぎのものもあると思いますが、私たちといたしましては、全部三月末には回收済でございます。
  22. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 するとやはりあれなんですか。あなたのほうとしては三月三十一日にきちつと返済が、けりが付かんと何か帳簿上困るとか、整理上困るとかいう法制上の理由があるのですか。或いはそういう一応だらだらしておつてはいけないというので、三月三十一ということになつたのですか。
  23. 大角武

    説明員大角武君) それは国内的に法律とか、或いは法制上の制限があるわけじやございませんが、この短期融資制度は実を申しますというと、国内的だけでやつておる制度でありまして、御承知のように毎月の私のほうのバランスシートは日銀のほうから直接関係方面に行く関係になつておりまして、三月末にそういうものが残つておれば、関係方面の了解なしにそういつた運用をやつたということになりまして工合が悪いので、一応三月末にはそういう長期正式承認を得たもの以外は零にするという関係がございます。
  24. 相馬助治

    相馬助治君 私さつき聞いたことでどうも不思議に思うのだが、例えば短期のほうから見て、補助金平衡交付金、それから税收入見合いにした短期というのは、そうでなくて特殊なものは融資していないのですか。例えば病院であるとか、或いは水道であるとか、そういう長期でなくですよ、長期でなくそういうものの経営收入に不足を感じて請求してお借りするというふうなときには、短期融資の途は全然ないのですか。
  25. 大角武

    説明員大角武君) それは全部本質的には繋ぎでございます。税收と申しますか、使用料なんかも繋ぎますが、その場合長期で正式の起債が認められなければやれないような事業に対しては出しませんが、場合によつて水道事業なんかで、例えば非常に会計のいい水道会計があつて起債をしなくても年度内水道使用料だけで事業がやれるという場合に、年度の後半に入りますところの使用料目当て事業に対して短期繋ぎを出すという場合は、例外として出る場合がございます。
  26. 相馬助治

    相馬助治君 そうですね。わかりました。
  27. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつと伺いますが、今大角説明員お話だと、短期融資が本年度は普通の長起債とは別に総額は百八十億というお話でしたが、これは間違いありませんか。政府決定案として百八十億というのは。
  28. 大角武

    説明員大角武君) 間違いありません。
  29. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) その伺つたのは、岡野国務大臣のこの間の委員会の席上でのお話では、百億というお話もあつたが、これも明確を欠いておつたので、もう少し政府に百億というものを確かめようと思つてつたのですが、今あなたのお話ですと、百八十億本年度短期融資というので、ちよつと驚いたのですが、多いことは結構なんですが、更に金額が百八十億が間違いがないとすれば結構ですが、その枠に対して、その総額に対して大蔵省としては府県市町村の枠を百八十億の中で考えておられるのかその枠がありますか。
  30. 大角武

    説明員大角武君) それはですね、市町村分とか或いは府県分というふうに区分いたしておりません。大体百八十億くらいまでは出しても差支えないという目標の下に、現実に毎日々々出しておりまして、現在の状態で申しましても約百五十億現在地方団体繋ぎ資金が出ておるわけです。
  31. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の委員長質問に連関してお尋ねしますが、そうすると、百八十億の中でもうすでに百五十億出ておるのですね。
  32. 大角武

    説明員大角武君) さようでございます。
  33. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうすると、百五十億の内訳はどうなつておりますか。府県分幾ら、市の分が幾ら町村分幾らと分けられませんか。
  34. 大角武

    説明員大角武君) 現在ここには持つておりませんが、帰つて計算すれば出ますが、今ここに持つておりません。
  35. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 府県分市町村分ともわかりませんか。
  36. 大角武

    説明員大角武君) 分けておりません。
  37. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この前の委員会岡野国務大臣言つた意味は、百八十億の中で百億は市町村分と、こう言つたのかどうか、その点不明瞭なんですが、一つ早速ですね、どういうふうになつておるか帰つて調べて、府県分とそれから五大市を入れた市の分と、それから町村分と、こう分けて短期融資がどうなつておるか。それからついで長期起債のほうのことも調べて三つに分けて……。
  38. 大角武

    説明員大角武君) 長期と申しますと、長期のものの府県分市町村分に分けるわけですか。
  39. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ええそうです。それもついでに調べて下さい。関連しますから。
  40. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はこの間の岡野国務大臣のおつしやつた短期融資の百億というのは、今問題にしておる百八十億の短期融資とはこれは本質的に違う問題だろうと思うのです。これは要するにこの間も平衡交付金なり或いは長期起債なりの枠が少いと、それで、それに代るべきものとしての短期融資意味じやなかつたかと思うんです。従つてそういう意味短期融資ということになれば、問題は結局三月三十一日を超えても借し得るような短期融資というものが考えられるかどうかという問題だろうと思うのです。言い換えるならば、そういう意味短期融資というものは、先ほどのまあ大角課長補佐の話ではむずかしいという話であつたけれども、ただ実際上、言い換えれば三月三十一日において銀行なら銀行で処理するけれども税收入なり或いはそういういろいろな、町村の具体的な実情から見て、一応三月三十一日においては始末はするけれども、すぐ又短期融資として貸して、そうしてそういう町村のまあ財政の実態に応じて、そういう運営と申しますか、調整と申しますかそういうような短期融資の、手加減というか、或いはそういうふうな運用ができるかどうか、その点についての御説明をお願いしたいと思うのです。
  41. 大角武

    説明員大角武君) お話の趣旨でございまするが、これは私ども資金運用部だけの立場でなく、地方自治法二百二十六條、その規定からできないと思います。と申しますのは、御承知のように地方自治法二百二十七條に、一時借入金は本質的に起債年度内收入で償還しなければならないということでございますが、その前條の二百二十六條に行きますと、いわゆる一時措入金以外で、翌年度に跨がるものは全部正式の許可が要る、従つてそういつたものに対して、翌年度收入目当として出すということは、自治法違反をあえてやるということになつてちよつとその点は工合が悪いと思います。
  42. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私の言葉が足りなかつたのですが、私はこういうように思うのです。例えば或る町村なり或いは特に市なんかですが、いろいろな事情で税收入の入り方が非常にまずかつたと、例えば八割なり九割予定していたけれども、実際は三月三十一日までにはその六割近くしか入つて来なかつた。翌年度の四月か五月かまでかかりそうだというときには、要するに三月三十一日としては一応銀行から借りるなら借りるで一応お返しするけれども、おつつけ追いかけてそういうようなものを調整するために、短期融資というような途をやり得るようなその間若干の期間の間はあるけれども、そういう調整のなし得るような運営ができるかどうかということなんです。
  43. 大角武

    説明員大角武君) 現在の状態から申しますと、そういうことはちよつとできないと思いますが。
  44. 相馬助治

    相馬助治君 それができないというのは確言なんですか。これは私たちの聞いているところでは、今年の金額が百八十億で、そうして大臣の言つている百億というのは、今年とにかく足らないから、来年起債がきまつたら、その枠でくれてもいいし、平衡交付金を増してくれてもいいし、とにかく今年のこの窮乏差当り百億を以て別の枠で救つてやろうと、こういう意味だと聞いているのですが、そうすると、あなたのようなはつきりそういうことはできないということになると、大臣言つた百億を考えるということはできないと、こういうことになつて来るかと思うのですが、その辺の関係はどうですか。
  45. 大角武

    説明員大角武君) その百億の問題は、実を申しますと、私はまだ承知いたしておりませんので、どういう問題かよく知りませんが、私が今申上げましたのは、事務的に申上げまして、そういうことはできないと、かように考えるのであります。
  46. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今説明員のお引きになつ地方自治法の二百二十七條ですか、それにあなたのおつしやるようには書いてないのです。二百二十七條は「普通地方公共団体の長は、予算内の支出をするため、議会の議決を経て、一時の借入をすることができる。  前項規定による借入金は、その会計年度内收入を以て償還しなければならない。」だけであつて会計年度内收入が確保されてあれば、その償還は翌年に入つてもちつとも差支えない。
  47. 大角武

    説明員大角武君) これは、会計年度内收入と申しますのは、一時借入金とか何とか、そういつたものは含みませんで、予算はつきり載つておりますところの確定した税とか何とかいう收入だけを申しますので、予算に載らないもので償還されるというような場合は、これを見合せることになつております。
  48. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうでなくて、予算の中の支出をするためには相違ないのだけれども、一時の借入をすることができる。「前項規定による借入金」というのだから、一時の借入金はその会計年度内收入税收入でも、今年度内收入であれば翌年度にかかつてもよいと思うが、それによつて償還しなければならないというのだから、今あなたの言われるのと全く違つたことになる。
  49. 大角武

    説明員大角武君) それはですね、予算に載つておりますところの税が三月末までに入りませんで、ずれて決算の五月に入る分は説明通りでございますが、私の申上げましたのは、今岡野国務大臣の言われたと申します意味は、恐らく今年の予算で組めない、来年度予算に載せるべき性質のものを財源として一時借入金で繋げと、こういう意味だろうと思います。そういう意味で事務的にはちよつとむずかしいと思うのです。
  50. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私の聞いているのは、やはり二十六年度の収入であつて、先ほど申上げた通りそれが三月三十一日までに入らずに、その税收入が四月、五月にずれて、そうして六月なら六月でその借入金を、短期融資を返すというような形ではどうかと、こういうことなんです。
  51. 大角武

    説明員大角武君) それは国内的な法律上の制度から申しますと、説明通り決算末の五月まではそれは可能でございます。ところが先ほど申しましたような関係方面の操作がございまして、私のほうの現在のやり方といたしましては、一応三月末ではそういうものは零にする、こういう方針で参つております。
  52. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちよつと速記をとめて頂きたいのですが……。
  53. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記中止。    〔速記中止
  54. 西郷吉之助

  55. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今野村委員長もお見えになり、小野政務次官も来られ、それから奧野課長も来られたのですが、只今大蔵省のほうに聞きますと、この間岡野国務大臣からこの委員会説明をなすつた地方財政窮乏、殊に町村財政窮乏を救うために百億ぐらいの短期融資を本年度内において工夫をしているというお話があつた。それを大蔵省のほうでは全然知らんというのですが、まだ事務官のほうだから知らんのかも知れんが、どういうことになつているか。只今おいでになる前に、預金部地方資金融通要綱によつて都道府県並びに市町村に対して短期融資をされた百八十億の話を聞いているのです。大体もう百五十億出してしまつた。その関係についてどうなつておるか、それについて御説明を願いたい。
  56. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 百億の短期融資の問題については、先般この委員会においても西郷委員長からお尋ねがあつたのでお答え申上げましたが、自由党において平衡交付金百、起債百、短期融資百ということが対策として決定いたしたということを聞きましたから、私岡野大臣にも伺いましたところが、百億は短期融資として政府のほうでも出してくれることであるということは承わつておりますが、その後或いは短期融資が五十億に減らされたとか、又百億に還つたとか、その最後の決定が如何に相成つておるかまだ私ども承わつておりませんです。ただこの短期融資は今高橋委員からお話のような意味において私は解しておつた、百五十億か百八十億か存じませんが、その枠のほかに地方財政を救うために、打開するために更に百億の短期融資が出るものだと、かように解しております。現にこの頃災害によつて地方にも現金が必要だということで、地方財務局を通じて短期融資を、いわゆる繋ぎ資金を受けておるというようなことも聞いております。これなんかもやはり先ほどの百億のほかのものだろうとかように解しております。  なお短期融資についてはたくさんできるだけ融通をして頂きたいと思いますが、この短期融資はなかなか地方財務局大蔵省のほうもやかましいので、果して我々が期待しておるように円滑に、敏速に融通ができるかどうか、殊に府県とか、市も大きい市はいいでしようが、町村至つてはこの短期融資の問題は厄介ではないかとかように考えております。私どもとしては短期融資市町村府県財政打開のために、できるだけ多く又速かに簡易にやつて頂きたいと、かように希望しておるわけであります。
  57. 相馬助治

    相馬助治君 只今の問題は極めて重要だと思うので、この際小野政務次官にお尋ねしておきたいと思うのです。そのいわゆる百億という短期融資は政治的な折衝経過はどうなつておるのかというのが一点、それから第二点はですね、その担保になるものは本年度税收入を見合おうとしておるのか、それとも来年の税收入並びに平衡交付金等から支拂つていいという性質において出そうとしておるのかどうか、この二点、小野政務次官から承わつておきたい。
  58. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私から一応お答いたしておきます。短期融資の問題につきましては、御承知のごとく、今回の補正予算平衡交付金総額百億及び長起債の枠の拡張が百億、こういうことに大体政府としては方針決定して、平衡交付金につきましては目下御審議を願つておる最中であります。それと同時に自由党におきましては、更に地方財政の現況に鑑みまして、何らか短期融資等措置を講ずることが適当ではないか、かような意見も出て参つておりますので、この問題については何とかかねてから都道府県市町村を通じました財政窮迫状態打開して参りたいという考えを強く私ども懷いております関係上、適切な方法によりましてかような目的が実現されるならば、地方公共団体に対しましても更に寄與し得るのではないか、かような考えを持つておるわけであります。従つて先般当委員会において岡野国務大臣から短期融資の問題についてのお話を申上げたわけでありますが、この問題は只今申上げましたような経過を辿つておりまする関係上、未だ恐らく事務的にこれが処理を決定するという段階までは来ておらないだろうと私も思つております。いわば政治的な折衝によつて何とか打開をするように推進をして参りたい、かような心組みを持つておりますがために、岡野国務大臣といたしましても、先般同大臣の所見を 申述べ、将来なおこの問題については折角努力をいたしたいということをこの委員会で述べたわけであります。従つて具体的に然らばどういう措置をとるかということにつきましては、只今私からここではつきりと申上げるまでには至つておらないわけでありまして、私自身も岡野国務大臣とこの点につきましては十分に協議をして、何とかこれが政治的な解決を図つて行きたい、かような段階にあることを一応御承知おきを下さいまして、具体的に然らば来年度平衡交付金なり起債との関連についてどうするかということは、できるだけ地方公共団体の現状を斟酌して善処するように私どもとしては進めて参りたい、かような考えを持つておりますことを一応申述べておきたいと思うのであります。
  59. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、市町村側や我々が非常に期待を持つて聞いた岡野国務大臣の言明というものは、一つの政党としての自由党の中にそういう考え方があるという程度にとどまつているので、まだ大蔵大臣と正規の折衝に入つたとか、或いは閣僚懇談会でそういう話が出たという段階にまでは至つていない。例えば今小野次官説明では事務的なところまで行つていないと言つたのですが、それは勿論だが、それ以前だ、こういうことですが、まだ本当に岡野さんのここで本来ならば言うべき性質のものでなかつた話をこうやつた、この程度ですか。
  60. 小野哲

    政府委員小野哲君) この御質問につきましては、岡野国務大臣から直接お答えをするほうがいいのではないかと思いますが、少くとも岡野国務大臣がこの委員会短期融資の問題を考えておるということを言つておる限りにおきましては、その間において話を進めつつあると、かように御了解を願つていいのではないか、ただ事務的に然らばこういうふうになつたということを申上げるまでには至つておりませんけれども、少くとも何らかの話合いを進められておるということを私は推察するにかたくないのではないか。かように思う次第であります。
  61. 相馬助治

    相馬助治君 地方自治の振興というこの建前からして、次官はこの問題についてはどういうふうにお考えですか。即ち平衡交付金の増額、或いは起債の枠を拡大するという努力を十分やつていると思うけれども、それが期待通りに行かない。そこで大蔵省がすべて実権を握つている短期融資というようなものに待つ、こういうふうな行き方は本質的には地方財政窮乏というものをいささかもこれは解決していないのであつて、そういうやり口が私どもには解せないのです。むしろ短期融資というようなものを増すというのではなくて、もつと本質的な平衡交付金を増すなり、或いはこの起債の枠を拡大するなりにこそ地方自治庁が努力して、地方財政委員会の期待にも応えるべきが至当だと思いますが、それらについての御所見を一つこの際次官に承わつておきたいと思います。
  62. 小野哲

    政府委員小野哲君) 誠に御尤もな御質問でありまして、短期融資が完全な打開方法とは考えておりません。ただ政府において能う限りの限度におきまして、百億の平衡交付金の増額を実現いたしたい、又起債の枠を拡張いたしたいということで只今手続を進めておるわけでありますが、本来ならば御意見のようにこれを更に平衡交付金の増額により、或いは長期債の枠の拡張によつて地方財政の現状を打開して行くということが最も望ましい点であろうと、私も全く同感であります。それにつきまして、従来地方財政委員会考え方による計数の結果と、大蔵省当局の考え方による計数の問題等、いろいろの問題がありますがために、最近與党におきましても、何らかこの間の打開をして行くことが必要ではないかというので、特別委員会をも設けまして、折角適正な資料に基いて解決をして行くようにいたしたいということを努力をいたしておるようであります。従つて将来更に適当な数字を得ました上で、或いは又平衡交付金の問題、或いは起債の枠の拡張の問題を取上げる機会も来るのではないかということも私どもは期待をいたしておるわけであります。併し地方公共団体財政の現状から考えますと、少しでもこの際窮迫しておる現況を打開して参りたいということは、これ又否みがたい私どもの心情でありまして、従つて短期融資の問題を解決できるならば、何がしかでも地方財政運営に寄與するのではないか、かような考え方から短期融資の問題も考慮に入れて進みたいという気持を持つておるような次第でありまして、相馬さんのおつしやるような考え方が実現することは望ましいことであつて、又地方財政委員会の御意見等も十分に拜聽もしておりますので、これらをかれこれ考え合せまして、適切な措置を講ずるということは必要であるとは思うのでありますが、先ほど申しましたように、短期融資の問題もこれ又やはり考慮の中に入れまして十分に検討も加え、若しできるならば、これを実現するような方向に持つて行くこともよいのではないか、こういう考えを持つておりますがために、岡野国務大臣もいろいろと苦心をいたしておりますことを申述べておきたいと思います。
  63. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 短期融資の問題は、これはどこまでも金繰りの問題であつて、ところが一方地方財政委員会が勧告しておられる百五十億の起債と二百億の平衡交付金というものは、二十六年度地方財政そのものの穴の問題であろうと思う。要するにその問題がどう金繰りをしても、要するに平衡交付金で二百億、起債で百五十億というものは穴が開くので、それを埋めるためにはどうしてもこの程度平衡交付金起債が必要だという問題であつて短期融資では片付かない問題であろうと思う。そこでただ問題になるのは、そのときに穴が開くところの三百五十億の計算の前提になつておるいわゆる税收入というものは、七割だけを一応見ておるわけなんですね。そうすると三割というものが残つておるのですが、その三割で、今言う通りいろいろなやり繰りもあるけれども、若干はその金繰りさえ付くならば、言い換えれば、それが四月、五月にその税收入が入るかも知らんけれども、それが入れば、幾らかでもその穴が三割の中から埋まるということであるならば、今言う通り四月、五月の問題も考えの中に入れて短期融資というものを考えるならば、若干その間の調整ができると思うのですが、そのあたりの関係は一体どうなるのか、その点を奧野説明員にお聞きして見たいと思うのですが……。
  64. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 御質問の趣旨を或いは穿き違えておるかも知れませんので、そういう場合には御注意頂きたいと思います。お話のように岡野国務大臣がおつしやつております。百億円の短期融資につきましては、融資を受けます見合いの財源としては或いは国庫補助金、或いは地方財政平衡交付金、或いは地方税の收入等はないものについてのことであります。併しながら現実に各地方団体財政状況というものは区々でありますので、大蔵省が仮に全体としては地方団体財政が困りきつているわけではないといつたにいたしましても、現実に非常な困難に当面している団体もあり得るわけでありますから、そういう団体は短期融資を受けまして、とにかく今年だけはやはり繰りをつけて行く、そうして問題を来年度において解決をしたい、その間に地方財政の実態につきましてもあらゆる角度から検討いたしまして、地方財政委員会大蔵省との間の見方の食違いも調整できるのではないだろうかと、こういう考え方があるわけであります。そういう意味合いにおいてどうしても地方財政平衡交付金地方債の問題で解決できないならば、問題を将来に延ばしながら而も現実地方財政の窮迫した状態打開して行くというような方途として、或いは自由党、或いは全国知事会議等からこの短期融資の問題が取上げられて参つて来ておるわけであります。私はこういう方法による打開一つ方法だろうと思うのでありますけれども、それがためには先ほど大蔵省のほうから説明のありました三月三十一日には全部一応は返してしまうのだというようなやり方は改めて頂かなければならんのじやないかというふうな問題もあると思います。
  65. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今の奧野説明員短期融資ということになれば、今いう通り現在の短期融資方針の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、というさつき大角君が言われたもののほかに、困窮せる地方財政を救うためにも一つ短期融資を出し得る、こういうような枠を作つて融通して問題を将来において解決する、そういう短期融資の途が開かれれば私は非常に結構であり、又現在の地方財政窮乏を救うことができると思うのでありますが、従つてそういう今までとは違つた意味短期融資というものも是非一つ考え願えるように御推進願いたいと思うのですが、私のいう意味は先に地方財政委員会がいわゆる三百五十億足りないといつて平衡交付金起債で勧告せられたのは、要するに二十六年度地方財政の穴がどうしてもこの程度はあくのだ、従つて金繰りではどうしてもこれは賄うことができないのだとこういうふうな趣旨だと思うのですが、その点はそうなんでしような。
  66. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) お話通りなのでありますけれども、一時融資を受けますものは大蔵省の預金だけではなしに銀行からも受け得るわけであります。併しながら先ほども長期債と短期債の問題がありましたように、銀行等でありましても、何も見合いの財源がなければ短期融資をすることはないわけであります。そうしますと、どうしても二十六年度において始末を付け得ないものについてまで短期融資を巨額に求めることは困難でありますので、どうしても大蔵省預金部から相当額の融通をたびたび申上げているような趣旨において受けざるを得ないというようなことになると考えております。
  67. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いや、私のちよつとお聞きしているのがどうもあれなんでしようが、結局三百五十億というものはまあ二十六年度一つ穴があく、こういうような見方の勧告書だと思うのですが、その場合に恐らく一つ考え方としてはそういう見方を立てても、要するに税收入というものは七割だけ見込んでいるのだからあとの三割がある。併しその三割というものは必ずしも三月三十一日までには全部取切れないで四月なり五月なりに延びると思うが、そういうものについても若干取れたら、繋ぎ融資というものをそれを対象にするならば、今言う通り三百五十億という穴が若干は埋まるのじやないか、こういう見方も立つというふうに考えられるのですが、そういう意味合いの繋ぎ融資というふうにも考えられるのですが、その点はどうなんでしようか。
  68. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 地方財政委員会が三百五十億円新たなる財政措置を要するというふうに言つておりますのは、税收入について七〇%だけしか計算に入れていないのでありまして、百%計算に入れておるわけでありません。而も出納閉鎖期の五月三十一日までに税收入を予定いたしまして、三百五十億円の新たなる財政措置を要する、かように申上げているわけであります。
  69. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 奧野説明員ちよつとお聞きしますが、そうしますと、その三割というものについて若干繋ぎ融資考えるならば、その三割の中から今の三百五十億というものの若干埋まる途はあるのでしようか。そこらの見通しはどうなんでしようか。
  70. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 先ほど大角君から百八十億円の短期融資の問題がありました。それを予定いたしまして三百五十億円の資金措置を必要とする、かように考えておるわけであります。
  71. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は奧野さんが言う百八十億の繋ぎ資金というものは、私はその三百五十億の足りないということとは本質的には関係がないのじやないかと思うのです。要するに百八十億というものはどこまでもこれは繋ぎ融資であり、一時のいわゆる運転資金なのですから、ところが財政委員会で勧告せられている三百五十億というものはどこまでも二十六年度地方財政の赤字の問題だろうと思うのです。問題はただその場合に今いう赤字の三百五十億というその前提になつているものは、税收入というものを一応七割だけ見ているからその残つた三割の分について若干赤字に繰入れられる、併しながらその税收入の三割というものは大抵四月、五月のうちに入らないから、従つて仮にそれを繰入にしてみてもいわゆるそこに運転資金といいますか、繋ぎ融資と申しますか、或いは短期融資というか、そういうものの力を借りるならば、若干その赤字の三百五十億を埋めることができるという見方が立てば、そこに短期融資意味があると思うのですが、その点の関係はどうなんでしようか。
  72. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 少し私の考えておりますところと食い違いがあるようでありまするけれども税收入の七割という問題は各地方団体地方財政平衡交付金を配分いたします額を計算いたします際の一つの方便に過ぎないのです。三百五十億円地方財政委員会としては地方財源が足りないと言うておりますのは、そういう七割ということではなしに、地方財政全体の計画を立てた場合に三百五十億円の赤字が出ておるのだ、かように言つておるわけです。従いまして、やはり百億円の新たなる短期融資の問題は單に繋ぎの問題だけでは解決できないのでありまして、もとより先ほど来百八十億円の問題を言うておられますが、三月末日に返さしても、四月に入れば大蔵省としては又貸して行かれるわけなのでありますから、それとは別個にやはり財源の穴埋め的な意味短期融資が必要である。かように考えておるわけです。
  73. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうなりますと、仮にあなたの言う短期融資ということは、言い換えるならばはつきり赤字というものが三百五十億になるかどうかわからんけれども、要するに将来に若干残る際は残すけれども、赤字のためのいわゆる短期融資の途を考えなければ解決しないと、こういうふうに承知していいわけですか。
  74. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 大体においてそういうことです。併しもとより地方団体としてはできるだけ破綻しないように努めなければならないという道義的な責任はあるでありましようけれども、見返りの財源が年度内にないものについても短期融資はして行かなければならないとかように考えております。
  75. 相馬助治

    相馬助治君 この際奧野課長に尋ねておきたいのですが、政治的予解を得たと伝えられる短期融資の問題が、大蔵大臣が申したのでなくて岡野国務大臣が話しておるところに私は一つ意味考える。即ち知事会議その他から猛烈な要望があつたために、希望としてこういう短期融資考えるというので、現実にはこれが泡沫のように消え去る危險性が私はあるのではないかと思う。そこでお尋ねしておきたいことは、今のところこの短期融資をするとするならば、そのよりどころは昭和二十五年度預金部地方資金融通要綱という一応これ以外によりどころがないはずですね。その要綱の範囲内によれば、先ほど大角説明員説明されたように貸出す途は私はないと思う。これを貸出すとするならば内規、或いは省令によつて特例を設けなければそれは不可能だと思う。現実に内規、或いは省令によつて特別の規定を設けてまでこういうことをする積極的な意思を大蔵省が持つてるか持つてないかが相当疑問なんですが、法制的にそういうことが可能であるかどうかというあなたの見解ですね。それを私は参考までに承わつておきたい。
  76. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 大蔵省資金運用委員会の決議を要するでありましようけれども法律的には何ら拘束はされてないというふうに私は理解しております。それは法律的にできない問題ではないと考えております。
  77. 相馬助治

    相馬助治君 どうもこれは大蔵大臣に出席を求めて聞かなければどうもならんことなのですが、地方財政委員長としても、大蔵省岡野国務大臣との政治的折衝についてはつきりまだ耳にしていないというお話でございまするが、財政委員会としてはこの問題についてはどういう見通しをお持ちでございますか。
  78. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 岡野大臣は確信を持つて短期融資の実現は期し得るということを我々は岡野大臣から承わつております。従つてどもはその岡野大臣の言明を信頼して、必ず実現するものであるということを今なお思つております。
  79. 相馬助治

    相馬助治君 大蔵省関係からは聞いてない……。
  80. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 大蔵省からは直接私公式には話しておりませんけれども平衡交付金増額問題について大蔵大臣と懇談した際には、大蔵大臣短期融資考えていることを言つておりました。
  81. 安井謙

    ○安井謙君 今高橋委員質問関係するわけですが、百八十億ほどの短期融資というのはこれは平衡交付金なり起債を引当にしたものであるということになると、まあ今後の短期融資というものはそれ以外のもの、何らかの形において来年度それを処理されるというものでやられるお見込みだろうと思うのです。例えば今年の起債を三十億前に食い込んだというのもあれも短期起債の形でやつたのではなかつたかと思うのですが、長起債を食うという……食うのは形は或いは短期起債の形で昨年中に処理されたのじやなかつたかと思うのですが、来年度の何らかの形というものは大体の目標はどういうことになるのですか。今までの慣例でやはりその短期起債が来年の起債を又食うということが大きな要素に入つて来るのじやないかと思うのですが、その点はどうでしようか。もう一度簡單に言いますと、百八十億は高橋委員も言われた通り今年の繋ぎです。今年の起債なり平衡交付金で、或いは税の増收で穴埋めするというものだ。それ以外のもので今の財源になる短期融資なり何なりの方法がどうしても今要望されておるのです。その分は常識で行くと、来年度起債を一応食つても返すという考え方が非常に強くなるのですか、それとも何らか別途に方法があるのですか。ということは去年三十億を恐らく短期起債の形でやつて、そうして今年の起債を先どりに食つたのじやないかと思うのですが、そういつたものに関連して……。
  82. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) やはり短期融資でありますから、その年度で返せる、又返すということを原則にはしなければならぬと思うのでありますけれども年度内資金で返せないような地方団体であれば短期融資はしないという頑固な態度はやめてもらうというふうな問題になつて来るだろうと思います。自然二十六年度の返済の資金国庫補助金でありますとか、或いは地方財政平衡交付金でありますとか、そういうものが必ずしもはつきりしていなくても短期融資して頂く、自然短期融資を受けましたものが、出納閉鎖期限である五月三十一日になりましても返せないかも知れない。そういう場合には一応二十六年度財政資金として短期融資を受けましたものを返しまして、四月一日からは又二十七年度分の財政資金融資を受け得るわけなのでありますから、二十七年度分を受けて、それで返して行く、そういうやりくりの操作はできるだろうと思うのであります。要するに短期融資に当つて必ずその年度財政資金で返せる状態にしなければならぬというふうなことを余り強く方針としてとらないという問題になるだろうと思います。
  83. 安井謙

    ○安井謙君 そうすると、百八十億のほかになるわけですね、いずれにしろこれは……。
  84. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) その通りです。
  85. 安井謙

    ○安井謙君 そうすると、その年度内に返せなかつた分について、常識としてはこれは来年度起債を食うということに先ず落着くと思うのですが……。
  86. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) お話のように来年度地方債を返せなかつた場合には食うて行くことが多いだろうと思いますけれども、もとより地方財政平衡交付金でそれを措置する、或いは更に地方税制を改正して地方団体に新たな財源を與えるというふうにいろいろな問題があると思うのでありますが、問題の解決を二十七年度に持ち越すということになるのだろうと思います。
  87. 大角武

    説明員大角武君) 只今奧野財務課長から、法律上はそういうことは可能じやないかという御意見でありますが、私ども考えでは、私ども資金操作の問題ではなくて、地方自治法制度上できないのではないか、こういうふうに思つております。というのは、一時借入金規定通り起債の許可なしにやれますけれども、一時借入金以外のものはすべて許可が要る。その一時借入金の中には借入金を以て償還するものは入らんわけですから、借入金を以て償還するものは全部翌年度に跨がる長期債ということになる。起債の枠を食うわけです。従つてそれをあえてやるということになると、地方自治法違反に私のほうはなると、こう解釈しております。それから又それでは起債の枠を食うてやつてもいいじやないかという御意見もあるかと思いますが、それは地方財政法第五條に、地方公共団体起債以外の收入を以て財源としなければならぬということで、例外としてあそこに列挙しております公共事業に対してのみ認めておりまして、赤字起債は認めないという趣旨があそこにはつきりしておりますので、起債を食うこともできないのではないか、かように思つておりますので、これは資金の操作の問題よりも制度の問題ではないかというように考えております。
  88. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 奧野財務課長今お聞きのような大蔵省の御意見ですが、あなたのほうはどうですか。
  89. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 先ほど来たびたび申上げておりますようにやはり短期融資であります。一時借入金でありますから、道義的にはその年度内に返してもらうことになつておりますし、でき得る限りそういう努力をしなければならないと申上げておるわけであります。併しながら五月三十一日になりましても二十六年度資金を以ては返せないという場合には、その団体の財政状態は赤字になると思います。言い換えれぱ翌年度の歳入を繰上げてそうして決算尻だけを合わせなければならぬわけであります。併しながら現実には短期融資を受けた金はやはり返さなければならんのでありますけれども、二十七年の四月からは二十七年度財政資金借入れて行くことができるわけであります。二十七年度短期融資として融通を受けることもできますし、或いは又二十七年度税收入なり、平衡交付金なり、或いは長期債の資金なりというものを以ちまして、それで返還して行くこともできるわけであります。でありますから、しばしば申上げますように、赤字を見越して短期融資をするわけじやありませんで、その年度財政資金で返してもらうのだけれども、余りやかましいことは言わない、そういう意味で百億円を短期融資してもらう、そういう意味で二十六年度の問題を一応二十七年度に持ち越して行く、こういうように申上げておるのであります。こういう考え方において決して法律的に違法ではない、かように考えておるわけであります。
  90. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この問題は先ほど奥野財政課長が来る前に、大蔵省のほうの大角事務官ですかと私と話した問題であつて、同じ意味だと思います。奧野君の言われた、つまり五月三十一日までに上ると思つておるこの二十六年度の財源で以てそれを見返りにして短期融資をする、それがたまたまその二十七年の五月三十一日までには入らなかつた、こういう危險性も多少あるというのもそこは融通の問題として大目に見るくらいのことはできるのじやないか、こういう意味だと思いますが、違つておりますか。
  91. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) そうでございます。
  92. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうですね。
  93. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつと地財委員長に伺いますが、岡本委員から先ほど質疑があつたのですが、重要な問題ですから……。両者の言い分がありましたが、地方財政委員長としてはどういうふうに考えておるか、伺つておきたい。今地財委のほうの奧野財務課長の意見がありましたが、重大なる問題でありますから、委員長に念を押しておきます。
  94. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この問題は大蔵省のほうも大体そういう意味に了解しておる、そこは取扱いだけの問題だと思います。これは大蔵省事務官のみならず、大蔵省の事務当局の首脳部にはつきりさしておいたほうがいいかと思います。
  95. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 銀行局長が来るように懇請しておるのですが、何か所在がわからんので……。もう少しこの点は大蔵当局の首脳部にも確めたいと思いますが、地財委のほうは委員長おられますが……。
  96. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 先ほど奧野課長からお答え申した通り地方財政委員会はさような解釈をとつております。
  97. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 更に小野政務次官に伺いますが、今お聞きの通り短期融資の問題なのですが、先般の岡野国務大臣のほうでははつきりしないのであつて、今日の政務次官のお答えも政治的に考慮中ということであるが、本年度予算は目下審議中で、衆議院でもう結論が近いのですが、衆議院における予算審議のうちにおいては、この今日ここで言われておるところの新たな百億の短期融資ということをやるということは、大蔵省方面からも全然まだ触れてないのですかどうか。もう向うのほうの予算審議は結論が近付いておるのですが、まだ政治的考慮中では非常に遅きに失するのではないかと思うのですが、その点は如何ですか。
  98. 小野哲

    政府委員小野哲君) 衆議院の予算委員会の問題につきましては、大蔵省においてここの問題に触れておるかどうかということを実は私確かめておりません。本日岡野国務大臣が出席要求がありまして出ておりますので、或いはそれに関連する質問が出ておるかと思いますけれども、具体的にどの程度の話になつておるかということは未だ十分には聞いておりません。いずれ今日の質疑応答の内容につきましても質して見たいと考えておるわけでありますが、私、こちらへ参りましたものですから、午前中の質疑にはどの程度まで行つておりますか、まだ聞いてないのですが、いずれ質しました上で又お答えできるのではないかと思います。
  99. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それから小野政務次官に参考のために伺つておきますが、この大蔵省預金部地方資金融通要綱というものを頂いて、今短期融資をいろいろ伺つておるのでありますが、このうちの長期融通のほうの中に、大蔵省ので行きますと十ページなのですが、銀行局は地方自治庁と緊密に連絡し云々というのがありますが、我我が見ますと、地方自治庁では所管の仕事の上からもおかしいし、地方財政委員会でなくてはならんのではないかと思いますが、これは大蔵省のほうのあなたのほうの專門の資金運用のほうにも伺いますが、小野政務次官にもどう考えておられるか伺います。
  100. 大角武

    説明員大角武君) それはちよつとお断りしておかなければなりませんのは、四月から法律が変りまして、それに伴いまして全面的な関係法令の改正をやつておるのでありまして、それがまだ正式にできておりませんものですから、御参考までに現在これができるまでのいわゆる基準にいたしております二十五年度の要綱をお配りしております。これは当然近々のうちに訂正をいたしたものが配付されることになつております。ですからそれは現に預金部資金とこうなつております。資金運用部資金とは名前は変つておりません。それから利率なんかも二銭二厘が今一銭八厘でございます。そういう点は訂正いたして参りますが、一応考えとしてはそういうようなことを新らしい省令なんかに組むことになつております。
  101. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) もう一度伺いますが、昨年度にしても、地方自治庁より財政委員会はあとにできたのだと思うのでありますが、それにしても地方自治庁というのが出ておるのはおかしい。
  102. 大角武

    説明員大角武君) それは要綱を作りました当時が地方自治庁でありまして、当然あとで訂正しなければなりませんが、こしらえたときがそうだつたのですから……。
  103. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今大角君から話がありましたように、地方財政委員会ということが正しいのではないか、ただこの要綱ができ上りました当時が地方自治庁の直接やつておりました関係上、こういうことに書いたのではないかと思います。
  104. 安井謙

    ○安井謙君 野村委員長ちよつと伺いますが、この要望書の備考に、地方公務員のべースが政府のほうよりも高いから切り下げた措置をするというあれがあるのですが、これは実施することに方針はきめておられるのですか。
  105. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) この点は次官会議並びに閣議において協議して、決定すれば通牒することに相成つております。
  106. 安井謙

    ○安井謙君 そうすると、ベース・アツプを少くとも今度は政府の基準より下げるということなんですね。それは数字的に言いますと、実情から見てこれは止むを得んことに地財委のほうではなつておるのですか。
  107. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 地財委としては財源措置関係上、止むを得ずそういうふうにいたさねばならんと思つております。
  108. 相馬助治

    相馬助治君 実はこの問題は非常に大きな問題で、次官会議等で決定したら通知すると申しておりますが、この前の国会までは地方財政委員会大蔵省の見解を反駁して、地方公務員の給與は高くない、特殊な大都市に二、三そういう例はあるけれども、それは極めて特殊的な例であつて、そのようなことはない、こういうように抗弁されて、又参議院の地方行政委員会も超党派的にこれを支持していたのですね。ところが突如として今度はこういう委員長名を以てした国会に対する意見書を見まするというと、断定して大蔵省が従来とつて来た態度を財政委員会が支持しておるのですね。私はこれはもう極めて大きな問題だと思うのです。従つてこの財政措置上こういうふうな規則を割出したのだと言うけれども、今のお話を聞くと、なお積極的に何ですか、地財委は意見をまとめて地方の公共団体に対して地方公務員の俸給は総括的に高いぞと、こういうことを訓令のようなもので発する御予定なんですか。
  109. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 財政委員会としては、地方公務員が国家公務員よりも高いとは思うておりません。ただ政府のほうでかように解釈してかように財源措置を講じたために、財政委員会としてはその範囲において止むを得ず通牒をいたすわけであります。これは一つの例でありますが、神戸と横浜とで何か港に関する役人を両市で六十名か八十名か採ることになつております。ところが現在の俸給において採用してくれということであつたために三級俸か四級俸か、僕はこの級のことはよくわかりませんが、三級俸か四級俸か上げた。ところがそれでは不満足だ、定額の旅費が五万円とかあるのだから、これを見込んで月級を上げてくれねば困るというので、そうなると何か十五級俸というのですか、何かそのたくさん上げねばならないようなことになつて、神戸でも横浜でも非常に困つておるというようなことを神戸、横浜の両当局から承わつておりますが、この大きい都市ですらなおそういう状態であります。いわんや小さい都市、殊に町村至つては到底国家の公務員と比較すべきものじやない、かように考えております。
  110. 相馬助治

    相馬助治君 今野村委員長お話を要約しますと、この財政措置上、こういうふうに地方公務員が国家公務員に比して高いという大蔵省の見解を地方財政委員会は支持するのでなくて、否、むしろそれは考え間違いなのだが、こういうふうな財政措置をされたから地方でもよろしく頼むと、こういう意味のことを言つて、具体的に言えば足らない分は地方財政から支出して出して上げてやれと、こういう意味で何か通牒を発するというふうにお聞きしたのですが、それで差支ございませんか。それが第一点。  それから第二点は、県庁にある職員組合或いは教員組合、そういうものが知事とべース・アツプについて交渉をしておりまするが、そのときに財政委員会から国会に出された意見書というものが非常に大きな知事は今度はよりどころにして、これを否定している。即ち君たちはそういう要求をしておるけれども、地財委ですらこの国会に出した意見書に見るというと、教員において三百七十五円、それから一般の市町村の職員において五百七十六円、こういうものが高いということを認めておるのだ、だから君たちの要求通りには上げられないのだ、従つてたちに意見があるならば、地財委のこういう考え方を直したらよかろう、直させたらよかろう、こういうことを言つて地方で紛争が巻き起つておるということを、委員長はもう近い将来に現実でお知りになると思うのです。非常にこれはまあ重要な問題なものですから、まあくどいようですが、重ねてお尋ねいたしまするが、先ほどの答弁は私が了解したようで差支ないのでございますね。
  111. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) その意味におきまして、私ども平衡交付金が百億では足りん、是非二百億にしてもらいたい、そうすればこの給與関係も或る程度まで緩和できるのじやないだろうか、かように考えております。なおこの通牒等の内容については、奧野課長から御説明申上げたいと思います。
  112. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) お話のように給與の問題は非常に重大な問題でありますので、意見書に対しましてもただそれだけを二項に我々は謳つて提出しておるわけであります。例えば教職員につきましては、地方公務員の場合は高過ぎる、これを引下げて然るべきであるというふうな考え方が文部省及び大蔵省の間において一致いたしますならば、財源の計算上は地方財政委員会としてはいろいろな見解を持つてつたわけでありますけれども大蔵省の給與課が非常にたくさんの人を動員いたしまして、地方公務員の万余の人たちにつきまして個々に当りまして、このような数字を出して来たわけであります。同じ政府の部局におきましてそういうような調査をいたしまして、而もその調査を文部省が呑み、或いはその他のものが賛成いたしました場合には、それによつて地方財政の計画も立てて行くべきものであると思うのであります。併しながら高いとか安いとかいうことは單に機械的に比較するだけでよろしいのかどうかというと、いろいろな問題があるわけであります。そこで大蔵省の事務当局との間におきましては、これだけ高過ぎるという問題については非常に論議が起るであろう、その結果高過ぎるという数字が正しいか正しくないかということについていずれ判断が生れて来るであろうから、若し間違つておればそれをやりなおす、こういう話合いをしておるわけであります。若しそれでよろしいということになるならば、そうして又、内閣においてそのような方針をきめますならば、それに従つて必要な措置地方財政委員会としてもとらざるを得ないと思うのであります。地方財政委員会といたしましては、地方財政運営が円滑に行われますように、必要に応じましては地方団体に対して勧告をしなければならないような義務も負つておるわけでございますので、内閣においてどういうような決定がなされるかということに従いまして、地方財政委員会としてとるべき方針がきめられなければならないと考えておる次第であります。現在内閣においてその問題がいろいろと論議されておる最中でありますので、それがきまりました上で、地方財政委員会としての態度をきめてもらおうと考えておる次第であります。
  113. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、最終的なものを決定するのは閣議だと、只今のところでは閣議だというふうに聞いたのですが、問題は例えば地方教職員については、文部省は大蔵省のこの見解は誤まりである、こういうことを天野文部大臣はつきり言明しておるのであります。そこで問題は地方財政委員会がこの際この大蔵省の見解を正しいとしているのか、それとも正しくないと思つておるのか、或いは正しいとか正しくないとかということはこの際言うべきでないという態度をとつておるのかという意味で私はさつき委員長にお尋ねしたのです。委員長は率直に我我に見解をお示しして下つたわけですが、あなたのお話だというと、それがぼやけてしまうのですが、地財委事務局としてはこの二項に附いております註に出ておりますこの内容については正しいという御見解ですか、それとも誤まりがあるという御見解ですか。
  114. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 文部大臣がそのような見解を持つていないということをおつしやつたという話を初めて伺いまして、私は驚き入つております。私は地方公務員である教員の給與につきましては多少いろいろな意見も持つてつたわけでありますが、大蔵省が示しました高いという数字につきまして、文部省の主官課長がそれに同調したわけであります。従いまして、我々はその数字をそのままとり入れまして、地方財源の計算をいたして参つておるわけであります。
  115. 相馬助治

    相馬助治君 問題が別になつたので、質問はこの件に関してはこれで打切つておきます。
  116. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも私は腑に落ちないのですが、奧野政府委員説明を聞きましても、この給與べースについては大蔵省が一万四千人について調査をして、従つてそれがまあ一応の権威があるから、それを閣議にかけて、そうして各省の意見によつてきまればそれに従う、こういうようなお話ですが、私は地方公務員の給與なり、或いは実態なり、或いはそれの裏付けになる財政全体というものは、やはりこれは地方財政委員会というものが自主性を持つのじやないかと思います。従つてほかの役所が一万人を動員しようが十万人を動員しようが、どこまでも地方財政委員会というものは地方財政のいわゆる基本である、公務員のそういう実態についても一つの権威を持つてやるというのがこれは政府部内での私は建前だろうと思うのです。それを或る特殊な役所が一万人を動員した十万人を動員したからと言つて、それに従つて閣議できめられるというようなことは、これは地方財政委員会の自主性を私はなくするものだと思う。従つて問題はむしろそうじやないので、地方財政委員会が、大蔵省が同調させようが、或いは文部省が同調させられようが、自分自身のやはり調査に基いて地方公務員の実態から見まして、或る特殊な先ほどの委員長お話のように高いのがあるとすれば、それはそれとして勧告するなり、具体的なものとして御指摘になればいいのであつて、こういう一般の地方公務員の実態についてはもう少し私の見解から行きますれば年齢なり、或いは又その受けた教養なり、そういうようなあれから積み立てて見まして決して高いとは思われないのですが、そういう地方財政委員会の自主性に基いた御見解について伺いたい。従つてその自主性に基いた御見解によつてそれは閣議に出されて裏付けされるなり何なりせらるべきであつて、ほかの役所がこう言つたからといつてこういうものを出されるというようなことは、私は地方財政委員会の本質的な問題であつて、若し奧野政府委員の言うようなことを今後地方財政委員会がやられるとするなら、非常な私は由々しい問題だろうと思う。その点について私は重ねて一つ承わつておきたいと思うのです。
  117. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) もとより地方財政委員会は自主的な判断をして計算して行かなければならないと思います。併しながら例えば生活保護の地方負担はこれでよろしいのだということを厚生省が言い、或いは又農業関係の経費についてはこれでよろしいのだということを農林省が言いました場合に、いや、地方財政委員会はもつと要るのだということで、従つて地方財政に大きな穴が開くのだ、地方財政平衡交付金をもつと増額してもらわなければ困る、こういうふうな態度をとることが正しいのかどうであるか。むしろ各省の責任を持つております所でこれが至当であると言うのなら、地方財政委員会で詳細綿密な資料を持つておりません限りは、或る程度それに同調して行くべきではなかろうかというふうに考えておるわけであります。地方公務員も百三十数万人おります。これらの人たちにつきまして、僅かな人数で、万余の人はおろか、千人の人につきましても調査するだけの能力は現在の陣容ではないわけであります。陣容がないのみならず、政府機関がそれぞれ思い思いにスタッフを動員いたしまして調査をして、これは正しい、あれは間違つているというふうに論議をいたしましては收まりが付かないだろうと思うのであります。それで我々は大蔵省の調査なり、或いは文部省の調査なりを一応基礎といたしまして財源を計算する。併しながらここには大きな問題があるのだということをはつきりさせておきたいと思いますがために、あえて意見書にそれだけを断つて出したわけであります。恐らく国会においてもいろいろ論議も出ましようし、或いは又政府部内においてもいろいろ意見もございましようし、或いは又地方団体におきましてもいろいろ意見が出て来るだろうと思います。その結果間違つておるというのならば、大蔵省の事務当局にも特に話をしまして、一応それを計算の基礎にいたして参つておるわけであります。
  118. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は奧野課長の常々のお話とは違うような感じを受けて非常に意外に感ずるのですが、今の奧野課長お話を聞きまして、農業関係については農林省の意見、或いは厚生省については厚生省の意見というような、こういうようなお話がありますし、同時に自分のほうにはスタツフがないので、従つて厚生省の関係のほうは厚生省の意見、こういうようなお話ですが、私は非常な誤まりだと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)それは厚生省が出された資料が地方財政委員会がそれを正しいとして判断せられたときには、それは厚生省の資料に基いてあなたのほうが自主的に判断せられたいわゆる地方財政委員会の意見になると思う。而してあなたは今自分のほうに人が少いとか何とかと言いますけれども地方財政委員会のいわゆる指揮下と申しますか、背後には三十何万もの府県市町村、その系統のものが全部おられるわけです。従つてなぜ一体、若し厚生省なり文部省なりがそういう資料を出されるならば、自分の系統である府県なり町村に資料の提出を求めて、それを基礎に資料をまとめられてそれを判断せられるべきではないか。何も政府の役人だけが私は国家の系統機関でない、むしろ地方財政委員会というもののよつて立つところは、あなたの背後にあるところの三十数万の地方公務員全体が大きな力となつてあるのでありまして、それを信頼せずして、農林省なり厚生省のいわゆる国家官吏のみが調査せられたところの資料を以て正しいとせられるということは、僕は地方財政委員会の自主性を失うものであり、大きな問題だと思うのですが、この点について私は非常に考えさせられるのですが。
  119. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 高橋委員の言葉は御尤もと思いますが、財政委員会といたしましては、そういう方針をとつて来ておるのであります。ただ政府のほうで、たとえたならば今度の補正予算に出しておる、六三制の補正予算を九億五千万計上せられた。これなんかも事実において果してその物価騰貴が今日政府考えておるような数字で行けるものかどうか。我々としては行けないと、かように考えておりますが、政府が行けるという建前でその数字をはじき出して、かように政府のほうできめて財源を出す以上は、財政委員会とてしはそれによつて一応のいろいろの措置をとつて行くほかはないと思います。これは財政委員会の機能云々の問題よりも、むしろこの制度の上において我々の主張が十分に徹底しない憾みがあるのじやないか、かように考えております。
  120. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 野村委員長のお言葉がございましたが、私も非常に今回の平衡交付金なりその起債の問題につきまして、政府部内の非常なあらしの中に敢然として二百億の平衡交付金の増額及び起債についての百億の決定に対して百五十億というような、地方財政委員会が非常に自主性を持たれ、而うしてその地方財政委員会の自主性を持たれているということに地方府県なり或いは二万に亘る市町村というものが非常な信頼を繋いでおるのでありまして、従つてどこまでもこういう問題につきましては一層委員長初め地方財政委員会の独自な一つ御見解と熱意を持つてつて頂きたいということをお願いしまして、私の質問を打切ります。
  121. 相馬助治

    相馬助治君 甚だ言を重ねるようで恐縮ですが、地財委の委員長に私はこの際一言やはりはつきりお尋ねしておきたいと思いますことは、地財委というのは委員会型の一つの行政機関であつて、戰争後日本の民主化、具体的にその一つのこととしての地方自治の確立、そういう建前からこの地財委といものが生れて、国会とか内閣とかからは独立した地位に置かれている一つの権力を持つておる、即ち時の政府の権力、内閣の政策、そういうものに左右されないというところに私は地財委の生命があるのだとこういうふうに考えておるわけです。従つて今の高橋委員の御質問に対して財政委員長のお答えは、答えとしては一応我々は了解されまするけれども、現におやりになつたことはそのお言葉通りではない、具体的にこの奧野課長説明がそれを端的に物語つている。こういうことを我我はこの際言わざるを得ないのです。もう一つ重ねて申したいことは、最近地方財政委員会はこの参議院の行政委員会を侮辱している……という言葉を使つては恐縮ですが、軽視しているということを私は言わざるを得ない。具体的になぜかと言いますと、十月十八日に西郷委員長の名前を以て我々は資料要求をしている。これは一委員長が個人的見解を以てこういう資料を要求したのではなくて、我々が大蔵省その他といろいろ議論を展開する場合にも、地方財政の規模の実態というものはどういうものであるかということをつかんでいないために非常に困る。従つてそういうものを我々が地財委から資料として頂戴し、その上に立つて平衡交付金の増額或いは起債の枠の拡大というものについて我々もやつて行きたい、具体的に言えば地財委の要求をバツクアツプして行きたい、こういう考え方を持つて資料を要求したにもかかわらず、官房調査課の名前による半ぺらのガリ版で「府県市町村について行つた財政調査の対象及びその方法その結果」という一枚の紙切れを我々に渡しただけであります。こういうことでは具体的に我々はその大蔵省等と闘つて行くことができない、それに今度は符節を合わせるように、この間までは地方公務員の俸給というものは国家公務員に対して高いという大蔵省の主張に敢然として反対的な態度を表明していた地財委が、これに同調するかのごとき資料を提出されて、参議院地方行政委員会としては超党派的に地方財政窮乏に対応してまじめに考えて来、本年はこの暑さの折にもかかわらず、高橋氏を小委員長とする地方財政の緊急対策に関する小委員会というものを設けて今日まで歩んで来た我々としては、最近の地財委の資料の提出並びに答弁、そういうものに対して甚だ不満を感じておるのであつて、これは一相馬個人の問題ではなかろうと、こう考えまして、この際財政委員長からこれらの点についての御所見を承わつておきたいのです。お答えによつては我々も又独自に考えなくちやならん問題であるので、一つお尋ねしておきます。
  122. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 地方財政委員会地方行政委員会を軽視しておるとか侮辱しておるとかいうお言葉がございましたが、誠に以て私どもそのお言葉に対して非常なる不満を感じます。決して私どもはこの委員会を侮辱もしていなければ軽視もしておりません。どういうことでそういうことをおつしやるのかと思うておると、この十月十八日に資料を要求せられたけれども、極めて薄つべらのものでお茶をにごしておる、かようなことを言われておりますが、それは或いは私存じませんが、御不満のところがあつたかも知れません。その点は何かの行き違いかも存じませんから、よく取り調べてお答えいたします。なお私は先ほども地方行政委員会において、夏の暑いのにもかかわらず一週間の長さに亘つていろいろこの地方財政の窮状を打開するためにお骨折り頂いたことに対しては非常に感謝しておるのであります。私はその際西郷委員長からこういうことを決議したから、財政委員会においてもこの線を強く守れということをお教え頂いたときに、非常に感激いたしまして、この要望書は私常に懐中にいたしてこれを持つて、どうしてもこの線を守つて行かねばならんと、かように感じて鋭意努力しておるほどでありまして、決してこの行政委員会を軽視しておるとか侮辱しておるとか、私どもとしては何ら考えておりません。この点は強く申上げておきます。(拍手)これは私が殆んど日夕読むと言えば如何にも言葉が誇大でありまするけれども、ことほどさように私はこの要望書を大切にして、これだけはどうしても財政委員会としては守つて行かなければならん、かように感じておるくらいであります。行政委員会に対しては非常に敬意を拂い、又感謝しておるのであります。この点は行政委員会各位におかれても我々の意のあるところを御了承願いたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)  なお同調ということを仰せになりましたけれども、私どもは先ほども申上げた通り決して同調しておるのじやありません。ただそういう大蔵省のほうで決定して、補正予算として国会へ提出せられた、その数字に基いて止むを得ず地方へも早く齟齬をしないように知らしてやる必要があるということを考えておるだけでありまして、平衡交付金の増額によつて多少でも地方の負担、地方の困難を緩和したい、かように考えておるのであります。
  123. 相馬助治

    相馬助治君 私の言つたことが委員長としては癇にさわられたと思うんです。そのことは私の喜びに堪えません。野村委員長は終始この問題について真劍にとつ組まれ、而も我々委員会における答弁についても常に真摯な態度を以ておつしやつておることを我々はよく了解しております。私は一委員長に申したのでなくて、総括的に地財委のというよりは、事務局に対して私はこういうことを一言言いたかつた、という理由は、御案内のように先般新聞等で見まするというと、大阪市に対しても財政委員会の権限において警告を発せられておる。非常にその努力に対しては我々敬意を拂つておるのです。従つてそういう勧告をなさるのであるからして、その基礎をなす資料というものは事務局においても十分調査され、そうしてもう集績されてあるはずであるというふうな我々は考え方を持つているのです。従つてこの平衡交付金を増額せよ、起債の枠を増せという我々の主張を貫くためには、是非とも我々としては地財委からそういう資料を頂戴して、それに立論の基礎を求めて考えて行きたいという考えでいたことが、西郷委員長においてそういう資料の要求を委員会に向つてせしめた原因なんです。ところが後ほどお調べになつてというお言葉でございましたが、私は地財委委員長に対して行政委員長がそういう要求をしていたからして、当然委員長了解の下にこの資料が、一枚の簿つぺらなガリ版が、委員長の了解の下に提出されたと考えるのが当然でありますので、さように考えて一応私は真に地方財政窮乏を救うために我々も微力をいたしたいという立場から、相共に協力して参りたいという建前を以て申上げたのであつて、その点については一つ私意のあるところも了解しておいて欲しいと思いますると共に、委員長のおつしやつていることについてはよく了解し、言葉、態度等について不穏当のところがあるならば、これは委員長に対しても十分私は陳謝するにやぶさかでございません。従つてどうかそれらの点についてはとくと一つ御了解をしておいて頂きたいと存じます。
  124. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) そういうことを言われると又恐縮であります。(笑声)これは私の不行届かも知れませんけれども、存じませんでした。御尤もと思いますから、よく事務局のほうへ注意いたしますから、御了承を願います。なお事務局は、そういうことを言えば何かために殊更に言うようになるかも知れませんが、実際財政委員会の事務局の人は練達堪能であるのみならず、誠心誠意地方財政のために働いております。私ども役人の生活をよく知りませんが、かくもよくやつてくれておると常に感謝しておるようなわけでありまして、なお不行届のところがあれば今後も十分注意いたします。どうか悪しからず御了承願います。
  125. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 野村委員長が来られ、それから地方自治庁のほうからも見えておりますから、この機会に平衡交付金のことについて一言お尋ねをいたしておきたいと思います。この前の委員会で、町村に関する平衡交付金の問題で、今年町村平衡交付金の仮決定額が非常に減りまして、それに対する質問をし、委員長その他政府委員から、それは本年度中におきまして何らかの方法で十分二十五年度と同様額までは追加交付するように努力をするという言明を得たのであります。そこで実は私ども緑風会のほうにもほうぼうの府県町村から陳情団が続々と来られまして、応接にいとまなかつたのでありますが、その中で一番私が気の毒に思つたのは、合併町村に対する平衡交付金であります。地方財政調査委員会議におきまして、この町村合併を奨励した勧告を出しております。又地方自治庁のほうでもそれに対して、同一の生活圈にある町村に対しては成るべく合併をしたほうがいいだろうというような方針でやつておられるように承知いたしております。我々国会としてはその勧告に対してどうするか、まだ十分な検討をしておりませんが、併し個人としては、やはり国策の一部としてその合併について、殊に同一生活圈にある町村の合併については国策に副うて合併をしたほうがよかろうというので、勧奬して参つたのであります。そこで今度の仮決定を見ますと、本気になつて合併をした町村が非常な不利になつておる。その資料が二、三手に入りましたから、実際の状況について申上げて見ますと、京都府について見ますと、大江山の麓にある大江町というのがありますが、六カ町村合併をしまして、合併前の平衡交付金総額は九百万円、それが今度合併しますと、三百万円に減つてしまつて、結局六百万円以上今度は減額をされたというような実情であります。又大宮町というのがあります。これも六ケ町村合併を断行しました。そういたしますと、昨年は七百万円もらつてつたのが二百三十万円に減つてしまつた。つまり四百六十万円以上減つたというようなことなのであります。御承知通り合併をしたといつて急に規模を縮小するわけに行きません。数年間はやはり合併した町村の折合上いろいろなことがありますので、却つて出費は増加をするような傾向にあります。で、こういうふうに激減をするということになりますと、その合併した町村は非常な困難に陷つてしまう。今度は無理して合併させられたので、こんなことなら又分村したほうがいいというような運動も起つております。折角新たな町長が非常な苦心をして、やつて行く上においても非常な障害を起しているような有様であります。誠に気の毒な次第でありまして、これも一般の町村の仮決定額が少いのを本年度何とかして補つて頂くのと同様に、合併町村に対しましても、元の町村にもらつてつた平衡交付金の合計額ぐらいに達するように追加交付をしてやる必要があると私は思うのであります。この点につきまして、地方財政委員会におきましても非常に苦慮しておつて頂くようでありますが、どういうような御方針なつたか、それを承わつておきたいと思います。
  126. 野村秀雄

    政府委員野村秀雄君) 京都のことは、数カ町村長からその話を承わつております。誠に御尤もな点があると私ども考えております。先だつての当委員会においても申上げた通り、あの仮決定は今度の補正予算において決定をみた後に本決定をいたしたいと思つております。なお本決定の際において合併町村に規則上止むを得ず著しき減額を来たすというような場合においては、これはまだ委員会において協議したわけでありませんけれども、私の考えとしては特別交付金においてでも何か考慮しなければならんだろうか、かように考えております。十分是正して公正なる配分を図りたいと考えております。
  127. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今の御言明は甚だ満足するところであります。実際そういたしませんと、もう合併はやめだということになります。現に合併が進捗しております町村におきまして、合併したものがひどい目に会つた、もう合併はやめようということが言われ出しております。こうなりますと、折角の国策と申しますか、それに非常な支障が起ります。どうか善処方を要望する次第であります。
  128. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではお諮りいたしますが、本日は大分時間が経過いたしましたので、午前中はこの程度にいたしまするが、本日午後から算委員会平衡交付金説明がございますので、本日はこれにて散会いたしまして、質疑は明日の午前十時から続行したらどうかと思いますが、さよう計らつてよろしうございますか。——さよう決定いたします。では本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会