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政府委員(
斎藤昇君) 先ず第一に、このたびの
自警廃止の
投票は果して
民意を表現したものかどうかという
お尋ねであると思います。千二十八の中で
廃止と
決定したのは千二十四、
存続が四、この開きが、開きと言いますか、比率が余りにも平衡が取れない、ここに何らか妙なことがあ
つたのじやないかという
お尋ねのようでございましたが、この
投票をやりまするのには、御
承知のように
町村会の決議で
廃止の
投票をやろうと、こうきめまするか、
住民の三分の一以上の直接請求で
廃止の
投票をやろうということをきめたわけでありますから、従いまして、ただ單に
警察を
維持するかしないか
投票をや
つて見ろというのでや
つたのではございません。従いまして
町村会なり、或いは
町村住民の三分の一以上から直接請求があ
つたということ自身は、これは
町村住民の意向を代表している
町村会の決議、或いは三分の一以上の
住民の直接請求ということ自身が、
町村住民の気持が
廃止したほうがいいという
意見の人が多か
つたところにおいて行われたということが私は言えるのではないであろうかと思
つておるのであります。従
つて存続と、いわゆる
廃止決議が破れたところにおきましては、
町村会の見方或いは直接請求をした三分の一以上の人
たちの
考え方が
町村住民の総意と違
つてお
つたということを現わしたのに過ぎないと思
つておるのであります。御指摘されましたように、このたびの
投票で
廃止賛成の票数と、反対の票数の開きはどこにおいても非常な相違があ
つたのであります。併しこれを以て
住民の自由な意思から起
つたものではないというように見るわけには参らないであろうと思うのであります。私はやはり
投票の結果が
住民の僞わらざる
意見を代表したものと、こう見ざるを得ないと私は
考えております。
国警が圧力を加えたとか、或いは
自警がどうしたとかいうような事柄は、これは殊に
国警の分につきましては、
自警の区域内におきましては
警察官、一人も
国警の者があるわけじやありません。さような圧力を全
住民にかけるというような
組織も
自警の区域内においては持
つておりません。又さようなことをしたとは
考えておらないのであります。さような
意味からいたしまして、この
投票の結果を以て或る種の不当な勢力の圧力で、かような
投票の結果を見たというようには私は解釈することには反対でございます。
それからこの
自治体警察の
廃止によりまして、その
警察官が
国家地方警察の
警察官になり、形の上においては
強化をされた、いわゆる
警察力が形態の上において非常に
強化されたように見えるけれども、併し真に
民意を離れた
警察であるならば、これは
警察の
強化にはならないではないかという御指摘の点があります。この点は誠に御尤もに感じるのであります。
警察の力と申しまするのは、
警察自身の力もさることながら、
国民と本当に一体にな
つているというところに
警察の力が出るのであります。
国民から遊離いたしました
警察は、如何に物理的に力が強うありましても、真の力にはなり得ないのであります。この点は私としてふだんから最も重点をおいておる点でございます。従いまして
自治体警察が
国家地方警察に移り変りましても、当該
自治体の区域における
住民から
警察官自身が真に信頼せられ、愛せられ、
住民と共に
治安を守
つて行くという、この心がけが最も肝要であるということは、十月一日の日を期しまして更に強調いたし、全国に訓令をいたした次第でございます。
警察の運営の
責任は
町村から
国家地方警察に移りましても、この精神はむしろより一層
強化をするように、いわゆる
町村の
住民の
かたがたの本当に信頼と、又親しみを受ける
警察官でなければならないということは、今後も十分これを強調し、又これを実現に現わして参りたい。これは
警察のあらゆる仕事の面において、又
警察官の監督の面において強く表現をして参りたいと、かように
考えておる次第でございます。
それから多数の
町村自治体警察が
廃止に
なつたということについて、何か
反省をすることがないかという
お尋ねでございまするが、
住民投票によ
つて廃止をせられましたその
理由につきましてはいろいろございましよう。一番大きな点はやはり財政上の
負担の点、それから先ほど御指摘になりましたように
廃止の
理由というものを公示をいたしておるのでありますが、それによりますと、財政上の点でありまするとか、或いは
国警と
自警、或いは
自警相互の間の連絡
関係、何と
言つても独立しているとこれが不十分で、いざというときにやはり不安を感じる。或いは所によりましては、
町村の一部の有力者の支配を受けやすいとか、受けているとか、そういうような点が主な
理由にな
つてお
つたように
考えるのであります。これらの点から
考えまして、先般も十大
都市の
警察長の
かたがたと会談いたしました際に、今後
国警と
自警は本当に一体の活動のできるように、それぞれ人格は違うけれども、活動の面においては渾一体の活動をし、一般
国民の人々から、こういう点から不満を受けるということのないようにしようではないか、又財政
負担の面におきましては、勿論
平衡交付金の増額の問題もありましようが、これも何とい
つても
国民の税金から取上げたものであります。
自治体警察と
国家地方警察の二本建なるが故に
国民負担が殖えるという、このことに対しては、お互いに
警察の物的或いは人的施設、これも全面的に一体とな
つて考えるなら、経費の重複を省くことによ
つて国民負担を増大することなくて済むのではないか。
国家地方警察は或いは通信、或いは鑑識、或いは教育等の面において
自治体警察にサービスをするという建前にな
つて、これによ
つてや
つておるのであるから、これらの施設も最大限度に
自治体の
警察で利用をしてもらう、
国家地方警察も又利用をしてもらいやすいように持
つて行く、こういうようにして
自治体警察相互の間、或いは
自治体と
国家地方警察の間に経費がダプらない、人も必要な人はお互いに応援し合う、或いは出し合うというようにすれば、常時必要な知識経験を持
つてお
つた者を数多く持
つていなくてもや
つて行ける。又一部有力者その他のものになると、これはいわゆる
警察が或るボスによ
つて支配される、この点については、これはそれぞれの心がまえの如何によることでもあり、又これも
自警、
国警本当に一体にな
つておるならば、強い全体のあれとしてそういうボスの支配を敢然としてはねのけて、強力にや
つて行けるということにもなるのであろうから、一応そういう面でお互いに腹の底から話し合
つてみたならば、いい結果を来たすのではないかというように
反省をし合
つた次第であります。私もしかくその点を確信をいたしておるのであります。
それから
行政整理の点でありまするが、
国家地方警察のほうにおきましては、先ほども申しましたように、本当にこのたび首切りをやるのはないのであります。又たとえそういうものがあるといたしましても、
自警から来たものを余計やるとか、
国警に前からいたものを少くやるとか、そんな
考えは毛頭持
つておりません。今度の
行政整理におきましては、新たに
増員すべきものをこれを少く
増員をするということでありますから、現在に
警察官吏であるものを
行政整理の故を以て強制的にやめさすというものは出ないのでありまするから、御心配の点は御無用にお願いしたいと思います。ただ五千人の
増員を二千六百名にとどめますと、二千四百人の当初の計画からいたしますると減少になるのであります。これが五分の
数字でありますが、これにつきましては、できるだけ能率を向上させ、又裝備の充実を図
つて、この間隙を埋めたいと
考えているのであります。このたびの補正予算の中にも車輛及び通信の費用をお願いをいたしてお
つたのでありますが、これらはこの五分の減少を償うのに役立つものと
考えておるのであります。
自警のほうにおきましては、法律上何ら施すべき
措置がないであろうが、規則か何かを作
つてこれを強く強制をさすようなことを
考えておるのではないかという
お尋ねでありましたが、さようなことは全然
考えておりません。これは
町村の全く自由な判断に任すべきものだと
考えております。
定員の点につきましては、
国家地方警察のほうからは何ら
自治体に対して干渉をいたすという
考えは持
つておらないのであります。
国家地方警察におきましても、
自治体警察におきましても、
警察官の数を減らすということは我々といたしましては誠に堪えがたい点であります。従いまして我々といたしましては、現勢力を
維持する、五千人の
増員を極力
維持したいと
考えたのでありまするが、併し
政府の一般の
方針もあることでもありまするし、又裝備の
強化、能率の向上ということに、努力をいたしまするならば、この
程度は
政府の
方針に従いましてもカバーをしてや
つて行けるであろうという見通しを付けましたので、
国警のほうには私どものほうとしては応じた次第であります。