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1951-10-29 第12回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十九日(月曜日)    午前十時三十分開会   ―――――――――――――   委員異動 十月二十五日委員林屋亀次郎君辞任に つき、その補欠として岩男仁藏君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            吉川末次郎君            岡本 愛祐君            鈴木 直人君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    法務特別審査    局長      吉河 光貞君   参考人    東京都警視総監 田中 榮一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件アメリカ議会における特審局長の証  言に関する件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (警察制度に関する件)   ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは本委員会を開会いたします。  本日は最初に吉川君から御希望がありました先般法務吉河特審局長アメリカにおきまして種々証言をされましたその問題に関連しまして意見を求めます。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先般アメリカ地方行政視察のために、米国各地を廻つておりましたのでありますが、吉河特審局長の御一行とは、出発いたしまして以来、ワシントンでもお顔を合わす機会が多かつたのであります。その後私たち一行が、どこでありましたか、たしかミシガン大学がありますミシガン州のアンナーバーという町であつたと思うのでありますが、その日に新聞が、シカゴ・トリビユーンを見たのでありますが、当日の最も大きな記事といたしまして、ソ連はアメリカが……日本が……アメリカでありません、日本が真珠湾をば攻撃するということをすでに事前に知つてつたというような非常に大きな見出しでその新聞辻売をしておりまして、とにかくその日における最大の新聞記事であつてアメリカ社会に当時相当なるセンセーシヨンを起したと思うのであります。これは私が曾つて読みましたのは、米国の代表的な大新聞でありますシカゴ・トリビユーンでありますが、当日のその他の新聞、恐らく全米の各新聞が同様な記事の取扱いをそのことについてはいたしたと思うのであります。ところがそれを読みますと、私たちと同じ飛行機で日本を立ちました特審局長吉河氏が、米国国会委員会においてそういう証言をせられたということから、その大きなセンセーシヨナルなアメリカ新聞記事が書かれたのであります。その日の新聞吉河特審局長写真を載せまして、又通訳をいたしましたワシントンのコングレス・ライブラリーのアンドリユー・クロダという人と共に米国国会において吉河氏がそういう証言をいたしておる大きな写真等も載せておつたのであります。私は早速シカゴ・トリビユーン、それからニユーヨーク・タイムスを同時に切拔いてお送りしたかと思うのでありますが、西郷委員長宛にお送りいたしまして、ともかくもこの新聞記事をば飜訳しておいてもらいたいというようにお頼みしたようなわけなのであります。私が送りましたニユーヨーク・タイムス及びシカゴ・トリビユーン、これについての記事がここに飜訳されて皆様のお手許に配付されておると思うのでありますが、今申しますように、アメリカ社会に当時大きなセンセーシヨン吉河氏は起されたのでありますが、それについての前後のいきさつ、又お述べになりました内容を、一応我々治安行政のことに関係を持つております当地方行政委員会委員が、同様にその内容につきましても特審局長からお伺いいたしまして、了承しておく必要があるかと思うのであります。できるだけ一つ詳細に米国国会で御証言になりました内容中心といたしまして、それに関連するいきさつを特にこの機会お話を願いたいと思うのであります。
  4. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 法務特審局長吉河光貞であります。只今吉川委員からの御質問の趣旨を承わりまして、よく了承いたしました。私といたしましては、アメリカ国会で前後二回、上院と下院で証言をいたしました。証言内容、又その前後のいきさつについて申上げたいと思いますが、委員長のお取計いで速記をおとりにならないようにして、できるだけ自由に述べたいと思います。
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) お諮りいたします。只今答弁に先立ちまして、特審局長から速記をとらないようにと希望されました。さよう取扱つて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) さようにいたしまして、速記を中止いたします。    午前十時三十八分速記中止    ―――――・―――――    午後零時九分速記開始
  7. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を開始いたします。本日は次に先般国会を通過しました警察法改正の前後の経緯その他につきまして、警視総監並びに斎藤国警長官より御説明を伺いたいと思います。十二時を過ぎましたが、もう少し継続したいと思います。斎藤国警長官
  8. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先般の警察法改正によりまして、一番大きな問題でありましたのは、町村警察町村住民投票によつて廃止することができるという改正の件であります。これに基きまして、九月三十日までに住民投票を行なつた町村におきましては、十月一日から警察責任転移が行われるというようになつておりましたことは御承知通りであります。そこで町村警察を持つておりまする町村千三百十四の中で、九月三十日までに投票を行いましたのが千二十八であります。このうち町村会の議決によつて投票を行うことを決定しましたものが千十九、住民の直接請求によつて投票を行うことに決定をいたしました町村が九であります。そこで千二十八の町村の中で、投票の結果存続と、いわゆる廃止反対というので、廃止が破れましたものは四カ町村、あとの千二十四カ町村廃止決定いたしました。これによりまして、十月一日から千二十四の町村警察廃止になり、国家地方警察のほうに責任転移をされたのであります。国家地方警察におきましては、この関係からいたしまして、廃止をいたしました地域従前国家地方警察地域との間に相当の調整を行いましたが、新たに地区警察署二百二十六を増設いたしました。町村警察で働いておられました警察吏員一万三千百八十名、警察吏員以外の職員二千八百六十名、この定員国家地方警察定員に切替えたのであります。自治体警察職員は原則として国家地方警察職員採用するという方針に基きまして、殆んど例外なく国家地方警察職員に切替えたわけであります。ただ自由意思によつてこの際辞職をいたしたいというような職員或いは特殊の関係国家地方警察採用ができなかつた職員が極く少数ございますが、これはほんの一部でありまして、不採用決定いたしましたのは八名でございます。それから十月以降に廃止住民投票を行いまする場合、いわゆる十月中に廃止住民投票を行いましたものは、来年の四月一日から町村警察維持する責任転移が行われるのでありまするが、この十月中に住民投票を行うであろう町村の数は五十四であります。この半分ぐらいはすでに住民投票を行いました。そのうち二カ町村廃止反対という結果になりましたが、多数廃止のほうが多くて廃止決定をいたしております。五十四カ町村のうち十月未日まで全部廃止決定をいたしますものの数は今のところまだ不明でございます。現在そういうような状況でございます。  この町村自治体警察廃止をめぐりまして若干問題の起きたところがございまするが、一つ国家地方警察自治体警察との間に、我々といたしましては、できるだけこれは住民自身の自主的な意向によつて決定すべきものであつて、いずれも廃止をすべし、すべからずというような事柄は、警察としては慎しむべきであるというような方針を堅持いたしておつたのであります。末端におきましては、或いは互いの感情的な意味合から対立的な様子の見えたところもあつたかのようでござましたが、この廃止或いは存続決定後は、いずれも自治警国警、極めてこの今までのいろいろな感情問題をすべて一掃をいたしまして、本当に手を握り合つて治安維持に邁進しようというようになつておりまするので、この点は非常に治安維持上有難いことだと考えております。島根県の安来町におきましては、新聞に出ましたように自治体警察吏員選挙運動をやつたのではないかという疑いを持たれたのでありまするが、この町村警察署長及び次席二名と巡査の二名、合計四名は單に涜職疑いがあるということで署長次席は今日すでに起訴に相成りました。併し選挙運動を他の団体と協力してやつたという証拠はまだないようであります。現在は涜職事件として起訴されたということに相成つております。秋田の鷹巣におきましても同様な記事新聞に出ておりました。併しこれも自治体警察職員が特殊の団体と共同して選挙運動をやつたという証拠はございません。これらにつきましては、新聞記事に出ましたので当委員会委員長から各県の国家地方警察隊長或いは当該団体公安委員等質問書を出されましたが、これにつきましては詳細な回答が参つておるはずでございまするから、私は内容を詳しいことを申上げることはこの程度に差控えたいと存じます。  もう一つ改正の大きな点は、警察学校に在校する警察官五千名を限つて定員の外に置くという改正であつたのであります。事実上は五千人を新たに増員をするという改正意見でございましたが、これは政府考えておられまする大行政整理等考え合せまして、自治体体警察から今度こちらに参りました一万三千名、従来の三万名、新たに増員すべき五千名、この四万八千名の五分を緊縮するという意味合から、二千四百名を減らしまして二千六百名を定員外にする、こういうことにいたしまして、只今補正予算を提案をいたしまして、御審議願つている次第でございます。以上簡單でございますが……。
  9. 相馬助治

    相馬助治君 私は法務総裁に基本的なことをお尋ねして、その上で国警長官お尋ねしようとしたのですが、法務総裁が見えないので、長官に二点お尋ねしたいと思います。  先ず第一点のこの行政整理の問題ですが、国家警察自治警察も双方五%減であると、こういうふうに伝えられております。ところが国家警察のほうは五%減だけれども事実上は出血がない、なぜかと申しますれば、自治警より編入されるものを当初国警側では一万人と推定していたと聞いております。事実は一万三千有余編入されて来た。こういうことから事実上国警では五%の行政整理ということは、当初の目論見からすれば全然出血なしということに言い得ると思うのです。国内治安を確保するという意味合から、警察は当然国警自治警を連関して、この定員というものは眺めて行かなくちやならない。自治警のほうは現在の数字を基礎としてやはり五%減ということに伝えられている。とすると、これらの連関について国警長官はどういうふうに考えておるか、で、又五千人の増員ということは前の国会できまつたけれども、今長官としては、この新規募集についてはどういうふうに取運んで、又将来どういう見通しであるか、これを一つお尋ねしておきたいと思うのであります。  それから第二点は、自治警察から国家警察に移管されるについて、只今ちよつと触れられましたが、安来町の事件というのが新聞に報ぜられております。只今お話では一応了解は付いたのですが、九月二十一日の読売新聞を見ますると、安来町の署長日本共産党と相提携して存置運動をした。こういうことが報ぜられておりますが、これはちやんと理屈上から考えても、共産党というものが合法政党であるから何ら差支えない。それから又自治体警察署長自治体警察というものを残すべく動くこともこれ又当然です。そうしてこれが告示されてから選挙運動をしたというなら別として、それ以前にそういう行動があつたということは、我々としては十分了解してよろしいことではないかと、こういうふうに考えているわけです。で、只今お話では署長の起訴されているのはこの涜職事件だけであると申しておりますけれども、越えて同じく読売新聞の十月八日付の島根県の国家地方警察隊長の談話なるものを見るというと、安来町において署員と日本共産党が十分なる提携をして運動をしたとの、真偽ははつきりはしていないけれども、容疑は極めた濃厚である。こういうふうに書いてあるのですが、その当時の容疑というものが一体どんなものであつたか。仮に今そう了解したとしても、その当時の容疑というものが一体どんなものであつたのか、それを聞いて置きたいと思います。それから一応涜職で以て起訴しておいて、逐次この問題について調査して、そうしてこの真相を明らかにして行くという態度をとつているのであるかどうか。このことについて一つお尋ねして置きたいと思います。
  10. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 行政整理の点でございまするが、自治体警察行政整理をするかしないか、これについて政府は何らかの勧奬をするかどうか、私は最後的なことを聞いておりません。従いまして五分ぐらいは整理をしたらどうかという呼びかけをするのかしないのか、それも聞いておりません。ただ自治体警察国家地方警察のその警察官の両方合せた数字というものは、日本治安の維特上勿論大事なことでありまするので、絶えず両方合せて考えておらなければならんことは勿論でございます。併し自治警察のほうは、御承知のように自治体が必要と考えた数を定員として自治体独自できめることができるということになつておりまするので、必ずしも我々や或いは自警連と相談して、このくらいが望しいこと考えておりましても、その通りになるかならないか十分確保の途がないのであります。従いまして若干の増減がありましても、そう余りに、何と言いますか、若干の増減があつても止むを得ないと考えなければならんと思つておるのであります。出血の点につきましては、お述べの通り国家地方警察のほうは、五千人の増員のできるところを二千六百人の増員にとどめたわけでありますから、現実に話をする必要はないわけであります。自治体警察のほうは、若し五分ということをやろうとすれば、その五分のところもあるかも知れませんが、併し現在欠員のところは出血がなくて済むかもわかりません。又そういつた五分減と申しましても、自治体警察定員がきめられてから、その市町村人口異動が非常に激しくなつておりまするから、五分減はどうかという勧奬がありましても、むしろ増員現実問題として行わなければならんというところも起つて来る、又そういうところでは現実増員をされるであろう、かように考えておりまするが、私はここらは自治体自身の良識に待つておきめになるなれば、自治上はそう憂慮すべき点はないであろう、こういう考えを現在のところ持つております。  それから安来町の問題につきましては、投票告示があつてから後に選挙運動をやつたのではなかろうか、こういう容疑であろうと考えられます。若し現実にやつたとすれば、これは公職選挙法違反になるのであります。併しこれにつきましては、先ほど申しまするように、明らかな証拠がないという報告を聞いております。どういうような容疑があつたか、これは隊長から文書を以て委員長宛報告をいたしております。それによつて承知を頂ければ、仕合せだと思つております。
  11. 相馬助治

    相馬助治君 この行政整理の問題ですが、確かに自治体警察の場合には、定員の問題がこの前の改正であのように改正されたのですから問題なさそうですけれども、私が申しておりますのは、自治警察五分減、こういうことは取りも直さず平衡交付金ですね、財政措置上響いて来ると思う。そこで私が言つておる率直な意見というものは、むしろ国警長官に尋ねるのはちよつとおかしいのですけれども、どうしても警察のほうも行政整理をしなくてはならないのならば、五千人の増員なんか返上して、それをむしろ自警のほうにでも廻すくらいな基本的な考え方、そういうのが望ましいのじやないかというような私は考え方があるので、そういうふうに一応お尋ねしたのであつて、どうか一つ国内治安維持するという立場から、どうしてもこの近代国家都市中心にして兇惡なる犯罪が頻発しますから、自治体警察都市警察の責務というものは非常に大きくなると思うので、国警長官としても十分それに協力する意味行政整理の問題に当つて頂きたい、こういうふうに希望して置きたいと思います。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も国警長官並びに自警連の代表のかたがたにお伺いしたいのですが、私たち国会で過般警察法改正した結果、住民投票が行われて、今日のような事態なつたわけですが、私は第一点としまして、この今回の選挙が真に民意を反映して公正に行われたかどうかということについて幾多の疑問を持たざるを得ないのであります。この点はこういう場合私申上ぐるのは誠に遺憾でありますし、又お聞きになられる国警側といい、自警連側といい、遺憾千万な質問であるとお考えでございましよう。併し数の上から見ましても、千二十八の中の千二十四が廃止決定し、存続がたつた四つであるということが、真に現在の警察法の精神がわかつて、素直に民意としてこれが反映されたものであるかということについては、この数字の上から見ても私には疑念を抱くのであります。而も又少数の存続を決したところ、或いは投票数が接近して廃止決定したところは、これは全国的に見ても非常に紛糾した事態を醸した事実があるのであります。そこで私は例えば安来町なり、鷹巣町なりは、特殊な団体警察関係が連絡があつたとか、なかつたとかいうことが一応解決しましたにせよ、半面又各県の警察隊長なり、県当局なりが、あらゆるやはりこの自治体警察廃止方向に、私は直接とは申上げませんが、間接にも或いは非常に大きな影響力を持つたことは私間違いないと思うのであります。率直こもう少し、事情のわかつている国警長官でありますから、言を憚からず申上げますならば、少くとも組織力において申しても、力の弱い自治体警察が全国的な国警というものの力に負けたのではないかという率直な観察をしている人もあるようでありまして、私はこの選挙には自警連も作用したでしようが、国警側も又冷靜、沈黙を守り、ただ單に野放しにしておつたものであるとは考えられないのであります。そこで御両者かたがたは、今回のこの廃止存続のこの手続が、真に民意を反映したものとして行われたという把握を持つておられるかどうかということを第一点として率直にお伺いしたいのであります。  第二点としましては、関連してでありまするが、こういう形で住民の大した関心もなく、これは統計的に見ればわかりますが、各自治体廃止決定した場合の、存続廃止投票がべら棒に開いておるのであります。接近しておるところが極く小部分、特殊な事情において作用せられたところだけでありまして、そうでない部分は問題にならず、廃止という方向投票が圧倒的に多いのです。これは私から申しますならば、住民理解が行届かず、地方当局なり或いはその他の力によつて左右せられて、そういうものでございますかなあという程度投票であつたのではないかと思うのでありまするが、民心がこういうふうに動いておるときに、組織として、形体としては国家警察というものが強化されるという結果になりましたが、こういう住民或いは国民の真の警察に対する理解を拔きにした数の上での警察力強化ということが、真に今後における治安に対処して国民の協力を得ることになるだろうかということを私は心配するのであります。少くとも警察はやはりどこかの権力によつて指揮命令される。我々市町村民はこの警察に支配されるもの、又この警察に左右せられるものである。これはもう当り前で、長いものには巻かれろと、こういう形で、極端に言うならば警察官或いは警察組織民心とが遊離した中に、形体と数の上だけで警察強化したからと言つて、真にこのことが警察力強化になるであろうかという点を私は心配するのであります。この点について国警長官の御所見も承わりたいし、如何にこの大衆と警察が密着して、民主的な警察行政を実現して行くかということについての抱負を、こういう機会に私は国警長官からお伺いしておきたいと思うのであります。これが第二の質問であります。  第三のお尋ねは、こういう将来のための反省の材料として、今回の住民投票は私は貴重なる参考資料を提供しておると思うのであります。そこで自警連或いは国警側両者にお伺いしますが、今回の住民投票の経過並びに結果に鑑みて、どういう反省をお持ちになつたかということであります。即ち今回の廃止存続の論議の的となつた、焦点となつた主な理由は、選挙管理委員会等告示もせられて、町村議会における議事の要録も公示せられているのでありますが、これらを見て、統計的にはどういうことがこの廃止存続の主なる理由となつてこういう結果が現われたのであるかということをお伺いしたい。その理由というものを御両者において反省せられて、どういう結論をお持ちになつたかお伺いしたいというのであります。  四番目には、先ほど相馬君もお尋ねでありましたが、検察官の行政整理の問題であります。これは二つに分けてお尋ぬしなければならんと思うのでありまするが、その一つとして、国警側行政整理内容を先ほどお伺いいたしましたが、警察力強化するとして五千人を増員することにした建前と、今回の行政整理との関係は矛盾するのではないかということであります。又矛盾しないとするならば、自治体警察のほうから吸收しました一万三千百八十という警察官吏だけが集中的に対象となつて、いわゆる能力或いは地域的な偏重、こういう問題からここに集中せられて行政整理が行われるのではないかという考えも起るのでありまするが、この点についてお伺いしたい。二千四百人減になつて、これをカバーするものは何か、自治体警察廃止し、集権的な国家警察強化という方向において二千四百人というものを減じて、そしてなお且つ従前以上に警察力強化する方策は何であるかということを国警長官にお伺いしたいのであります。それから分けました第二の場合としましては、都市負担自治体警察行政整理関係でありまするが、先ほどこれは相馬君からも質問があつたのでありまするが、これは法律的な措置を以てしては、或いは国会における法律の措置としてはこのことはできないだろうと思うのであります。やれる方法一つは、規則によるこの人口比定員というものを減らして、国警が一方的にこれを自治体に押付ける場合があるであろうと思うのであります。こういう措置国警長官はおとりになろうとしておいでになるのか、お伺いしたいのであります。第二の方法としては、財政的に搾り上げるならば、地方は必然的に人件費節約という問題が起つて来ましよう。その最も大きな影響力のあるものは平衡交付金の問題であります。そこで平衡交付金だけをただ單に減らして、そのことによつて自治体警察定員を減じて行くということについて長官はどういうお考えを持つておられるか、そういう考えがないということであるならば、地財委に対して長官はどういう要求を以てこれを阻止しようとするのであるか、お伺いしたい。根本的には、国が五分減の場合には自治体警察五分減をやるというのが長官の趣意であるかどうかということをこの際お伺いしたいのであります。  自警連側に対しまして、次にお伺いしたいことは、仮に定員五分減という問題が起る場合に、私はこれは財政的な負担に耐えないから、そのままで五分減にするということについては根本的に私は反対の意見を持つておるのであります。現在の警察力において警察官の減ということはイコール警察力の減退弱化ということは間違いない。従つて私は当局が口癖のように治安維持、確保、強化、こういうことを言う建前から申しますならば、財政負担を軽減するということで、天引のこの定員減ということについては基本的に私は賛成できない。併しこれがそういうことではなくて、警察人員の低減を以てその費用を機動力の強化、機械設備の充実という方面に当ててやつて行くならば、それは可能であると、こうした場合には仮に定員減になりました場合にも、より以上の真に近代的な警察内容を持つようなこういう機械化、設備の関係に十分金が割かれるという建前でなければならんと思うのであります。そこで基本的に自警連側ではこれら行政整理並びに内容の充実、警察力維持強化に対して、どういう方策を持つて、どういう希望を中央政府なり、国会に対してお持ちになつておられるか、この際意見を表明して頂きたいのであります。長官のほうには又仮に定員減になつた場合、中央、地方を問わず、これをカバーする各種の対策についてお考えがあつたらお伺いしたいのであります。以上御質問申上げます。
  13. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ず第一に、このたびの自警廃止投票は果して民意を表現したものかどうかというお尋ねであると思います。千二十八の中で廃止決定したのは千二十四、存続が四、この開きが、開きと言いますか、比率が余りにも平衡が取れない、ここに何らか妙なことがあつたのじやないかというお尋ねのようでございましたが、この投票をやりまするのには、御承知のように町村会の決議で廃止投票をやろうと、こうきめまするか、住民の三分の一以上の直接請求で廃止投票をやろうということをきめたわけでありますから、従いまして、ただ單に警察維持するかしないか投票をやつて見ろというのでやつたのではございません。従いまして町村会なり、或いは町村住民の三分の一以上から直接請求があつたということ自身は、これは町村住民の意向を代表している町村会の決議、或いは三分の一以上の住民の直接請求ということ自身が、町村住民の気持が廃止したほうがいいという意見の人が多かつたところにおいて行われたということが私は言えるのではないであろうかと思つておるのであります。従つて存続と、いわゆる廃止決議が破れたところにおきましては、町村会の見方或いは直接請求をした三分の一以上の人たち考え方町村住民の総意と違つてつたということを現わしたのに過ぎないと思つておるのであります。御指摘されましたように、このたびの投票廃止賛成の票数と、反対の票数の開きはどこにおいても非常な相違があつたのであります。併しこれを以て住民の自由な意思から起つたものではないというように見るわけには参らないであろうと思うのであります。私はやはり投票の結果が住民の僞わらざる意見を代表したものと、こう見ざるを得ないと私は考えております。国警が圧力を加えたとか、或いは自警がどうしたとかいうような事柄は、これは殊に国警の分につきましては、自警の区域内におきましては警察官、一人も国警の者があるわけじやありません。さような圧力を全住民にかけるというような組織自警の区域内においては持つておりません。又さようなことをしたとは考えておらないのであります。さような意味からいたしまして、この投票の結果を以て或る種の不当な勢力の圧力で、かような投票の結果を見たというようには私は解釈することには反対でございます。  それからこの自治体警察廃止によりまして、その警察官国家地方警察警察官になり、形の上においては強化をされた、いわゆる警察力が形態の上において非常に強化されたように見えるけれども、併し真に民意を離れた警察であるならば、これは警察強化にはならないではないかという御指摘の点があります。この点は誠に御尤もに感じるのであります。警察の力と申しまするのは、警察自身の力もさることながら、国民と本当に一体になつているというところに警察の力が出るのであります。国民から遊離いたしました警察は、如何に物理的に力が強うありましても、真の力にはなり得ないのであります。この点は私としてふだんから最も重点をおいておる点でございます。従いまして自治体警察国家地方警察に移り変りましても、当該自治体の区域における住民から警察官自身が真に信頼せられ、愛せられ、住民と共に治安を守つて行くという、この心がけが最も肝要であるということは、十月一日の日を期しまして更に強調いたし、全国に訓令をいたした次第でございます。警察の運営の責任町村から国家地方警察に移りましても、この精神はむしろより一層強化をするように、いわゆる町村住民かたがたの本当に信頼と、又親しみを受ける警察官でなければならないということは、今後も十分これを強調し、又これを実現に現わして参りたい。これは警察のあらゆる仕事の面において、又警察官の監督の面において強く表現をして参りたいと、かように考えておる次第でございます。  それから多数の町村自治体警察廃止なつたということについて、何か反省をすることがないかというお尋ねでございまするが、住民投票によつて廃止をせられましたその理由につきましてはいろいろございましよう。一番大きな点はやはり財政上の負担の点、それから先ほど御指摘になりましたように廃止理由というものを公示をいたしておるのでありますが、それによりますと、財政上の点でありまするとか、或いは国警自警、或いは自警相互の間の連絡関係、何と言つても独立しているとこれが不十分で、いざというときにやはり不安を感じる。或いは所によりましては、町村の一部の有力者の支配を受けやすいとか、受けているとか、そういうような点が主な理由になつてつたように考えるのであります。これらの点から考えまして、先般も十大都市警察長のかたがたと会談いたしました際に、今後国警自警は本当に一体の活動のできるように、それぞれ人格は違うけれども、活動の面においては渾一体の活動をし、一般国民の人々から、こういう点から不満を受けるということのないようにしようではないか、又財政負担の面におきましては、勿論平衡交付金の増額の問題もありましようが、これも何といつて国民の税金から取上げたものであります。自治体警察国家地方警察の二本建なるが故に国民負担が殖えるという、このことに対しては、お互いに警察の物的或いは人的施設、これも全面的に一体となつて考えるなら、経費の重複を省くことによつて国民負担を増大することなくて済むのではないか。国家地方警察は或いは通信、或いは鑑識、或いは教育等の面において自治体警察にサービスをするという建前になつて、これによつてつておるのであるから、これらの施設も最大限度に自治体警察で利用をしてもらう、国家地方警察も又利用をしてもらいやすいように持つて行く、こういうようにして自治体警察相互の間、或いは自治体国家地方警察の間に経費がダプらない、人も必要な人はお互いに応援し合う、或いは出し合うというようにすれば、常時必要な知識経験を持つてつた者を数多く持つていなくてもやつて行ける。又一部有力者その他のものになると、これはいわゆる警察が或るボスによつて支配される、この点については、これはそれぞれの心がまえの如何によることでもあり、又これも自警国警本当に一体になつておるならば、強い全体のあれとしてそういうボスの支配を敢然としてはねのけて、強力にやつて行けるということにもなるのであろうから、一応そういう面でお互いに腹の底から話し合つてみたならば、いい結果を来たすのではないかというように反省をし合つた次第であります。私もしかくその点を確信をいたしておるのであります。  それから行政整理の点でありまするが、国家地方警察のほうにおきましては、先ほども申しましたように、本当にこのたび首切りをやるのはないのであります。又たとえそういうものがあるといたしましても、自警から来たものを余計やるとか、国警に前からいたものを少くやるとか、そんな考えは毛頭持つておりません。今度の行政整理におきましては、新たに増員すべきものをこれを少く増員をするということでありますから、現在に警察官吏であるものを行政整理の故を以て強制的にやめさすというものは出ないのでありまするから、御心配の点は御無用にお願いしたいと思います。ただ五千人の増員を二千六百名にとどめますと、二千四百人の当初の計画からいたしますると減少になるのであります。これが五分の数字でありますが、これにつきましては、できるだけ能率を向上させ、又裝備の充実を図つて、この間隙を埋めたいと考えているのであります。このたびの補正予算の中にも車輛及び通信の費用をお願いをいたしておつたのでありますが、これらはこの五分の減少を償うのに役立つものと考えておるのであります。自警のほうにおきましては、法律上何ら施すべき措置がないであろうが、規則か何かを作つてこれを強く強制をさすようなことを考えておるのではないかというお尋ねでありましたが、さようなことは全然考えておりません。これは町村の全く自由な判断に任すべきものだと考えております。  定員の点につきましては、国家地方警察のほうからは何ら自治体に対して干渉をいたすという考えは持つておらないのであります。国家地方警察におきましても、自治体警察におきましても、警察官の数を減らすということは我々といたしましては誠に堪えがたい点であります。従いまして我々といたしましては、現勢力を維持する、五千人の増員を極力維持したいと考えたのでありまするが、併し政府の一般の方針もあることでもありまするし、又裝備の強化、能率の向上ということに、努力をいたしまするならば、この程度政府方針に従いましてもカバーをしてやつて行けるであろうという見通しを付けましたので、国警のほうには私どものほうとしては応じた次第であります。
  14. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 自治体警察側からも一応これにつきましてお答え申上げたいと思います。  今回の警察法の一部改正に伴いまして、定員の少い町村警察が一千二十八ほど国警に編入されることになりましたことは、自治体警察側といたしましては、誠に淋しいことでありまするが、今回の住民投票は主として民意を尊重いたしまして、一般住民の一般投票によつてその数を決定するということに相成つておりますので、私どもも大体において今般の一般住民投票は適正且つ公平に行われたものと考えまして、止むを得ないものと考えております。ただ、今から考えてみますると、実は今回のかような結果になりましたのも、我々自治体警察に職を奉ずるものとしましても、まだ自己の持つ警察の価値を十分に一般の民衆のかたがたに宣伝普及がされなかつた点があるのじやないかということも一応考えられるのでありますが、当初マツカーサー元帥の政府に宛てました書簡の中にも、地方分権の趣旨からして、市並びに町はみずからの警察を持つべきである、又その市及び町はその警察によつてその地域内の治安推持、治安確保をなすべきである、又同時にこの経費はそれぞれの町村においてこれを負担すべきであるということも謳われておりまして、この精神に基いて今回の新らしい警察制度ができたのであります。かような趣旨から、当初警察地方分権の趣旨に做いまして、一応その自治体警察というものが原則としてとらるべぎであるというような考えで、我々もさような趣旨で、一般の住民にもいろいろ啓蒙運動をいたしておつたのでありますが、併しながら一方におきましてこの啓蒙運動に対しまして、非常に大きな障害になりましたのは、先ほど国警長官からも申されましたごとくに、財政的負担の大きかつたということであります。小さい町におきましては、或いは殆んど九割程度までの、警察費の九割程度までの平衡交付金が交付されそおつたのでありますが、比較的富裕な町におきましては、平衡交付金というものは殆んどなかつた、従つてむしろその財政の貧弱な町村には一般平衡交付金が相当交付、確保されておつたのでありますが、そうでない中以上の比較的町の財政のよかつた町村は交付金がない、従つて交付金がなければ警察制度廃止することによつて相当な町の財源が浮いて来る、これを或いは他の方面にこれを使用するとか、或いは又住民負担を軽減するというようなことは、これはもう一般の住民からして、具体的な現実な問題でありまして、誰もが飛び付く問題であるのであります。かような点からいたしまして、私どもは自治体警察出発当時から、その一般平衡交付金の増額を政府に対してかねがねお願いをしておつたのでありますが、併しながら政府といたされましても、財政上の理由から、この平衡交付金の増額というものが認められない、又一面におきまして、この町村財政を調節する意味におきまして、警察費の臨時費に充当すべき起債の枠を政府に向つて是非一つ増額してもらいたいということも、かねがね全国の公安委員会からも、又全国の自治体警察長の連合会からもかねがねお願いしておつたのでありますが、地方財政法の規則の單なる文字に拘泥されまして、その枠すらも頂けないというように、財政的の理由から非常に締め付けられておつたのでありまして、かような点が、私は住民に対する警察自体のいわゆる宣伝も不十分であつた、と同時に、又一面において財政的な非常な大きな理由によりまして、今回の住民投票が懸河の勢いを以て廃止に向つたということは、これは誠に止むを得ないことであろうと考えておるのであります。まだいろいろ細かい理由はたくさんございます。或いはこの現在の警察制度におきまして、国警自警との人事の交流が禁止されておるという点、又相当この或いは自治体警察内におけるいろいろな問題、又国警側とのいろいろな摩擦というような問題からいたしまして、今回多数の自治体警察国警に移管されましたことは、誠に自治体警察陣営といたしましても、誠に淋しいことであり、又遺憾なことでありますが、併しこれが本当に民意を代表しておるものと考えられますれば、これは当然止むを得ないものと我々考えておる次第であります。  それからなお今後につきましては、やはり自治体警察といえども、国家地方警察と同様に、国家治安の重要なる面を担当いたしております。殊に自治体警察としましては、大都市その他中小都市治安を担当いたしておりますので、今後も十分国警側と連絡をとりまして、少くとも治安の重要なる面は自治体警察において負担しておるという決意を持つて、今後国内治安確保に万全を期したい決心でおるのであります。  それから都市警察におきまする人員整理でございまするが、先般も岡野国務大臣の下に、全自警連自治体警察を代表いたしまして私が呼ばれまして、いろいろ事情を聞かれたのであります。その際に私はかように申したのであります。この、これは私個人の考えであるかも知れませんけれども、警察というものは、單に人員を増加するということももとより必要でありますが、より肝腎なことは、施設裝備を完全なものを持つということが一番必要なのであります。従つて私どもは現在の定員を必ずしも固執いたしません。仮に同家の御方針が五分という数次で一般的にこれを減じたいというならば、私どもは無論政府の御方針に準じて差支えありません。併しながら單に機械的に五分という数字で以て天引的にどこも、甲の都市、乙の都市、丙の都市も五分にやるということは、これは考えるべきものである。六分のところもあり、或るところは三分しか減員できんところもある、ただ減員する代りに、臨時的の費用として、これに減員しても差支えない程度の施設を十分に與え、裝備を充実する、或いは車両をうんと増すとか、或いは通信施設を完備するとか、或いはそのほかの設備を完備いたしまして、そうして少数精鋭主義で治安を確保するということが最も効果的じやないかと考えております。ただ外面的に、警察予備隊ができたから、警察を現在の現有勢力をうんと減らしても差支えないじやないかという御意見もあつたのでありますが、私はそれに対しまして、戰争中は全国で九万五千の警察は現有勢力を持つてつたのであります。その際に、陸に、海に、空に日本は厖大なる軍備を備えて、而も国内治安維特のために九万五千の現有勢力を持つてつたのであります。現在におきましては、現在のあの裝備の警察予備隊では不十分ではないか、従つて七万五千の警察予備隊ができたからといつて、直ちに国家の警察の十二万の数を減員するということは、これは今少し愼重に考えらるべき問題ではないか、併しただ政府として財政的の事由からこれを一般的に減員するというならば、機械的にやらずに、それに代るべき裝備施設を一方において與える。その代りこれを減員せよという方法でやつて頂きたいということを私からもお願い申上げたのであります。従いまして都市警察としまして、今直ちに五分減員して困るか、五分で差支えないかと言えば、私は困るという答しかないのであります。但し五分減員するならば、それに代る力を與えて欲しい、それならば私は五分減員されましても立派にやつて行ける自信を持つております。かように答えたのであります。併しながら、或いは地方によりましては、例えば北九州の諸都市のごとき、或いは近畿の諸都市のごときは、現在増員をしておるような状况でございまして、一方において増員をするなら、増員をした数の何分を減員するというようにやつて頂きたい、増員しない前の数字の何分ということではなく、増員された数字の何分を減員する、丁度国警が五千人を増員したならば、その増員した五千人のうちの何分を減員するというような、国警の案によつて是非やつて頂きたいというようにお願いをしておる次第であります。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどの長官の御答弁でありまするが、成るほど、形式的には投票を以て決せられ、又相当の多数の意思がそこにあつたことは事実であつて民意を反映しているということがこの手続によつて言われるならば、私はその通りであると申上げるのであります。私のお尋ねしておりますことは、こういうやり方が、形式論としては民意を反映していると申しましても、内容をつぶさに分析した場合には、私ここで自警だ、国警だという泥試合の話は一切申上げようとは思いませんが、そういう内容を分析した立場から言えば、民主々義の発展という上から言うて、こういうことでは如何がかと思われる、深く心配される点があるので申上げたわけなんで、票が大量に開いているということは、新らしい警察制度、精神を理解して票が開いたということでは断じてないと私は考える、却つてこのことは一般民衆の新警察制度の精神に無関心であるということを暴露したのではないだろうかとさえ思われる。これは私たち国会議員としても、又当局者としても、すべてがこの警察制度を守り立てて行くがための努力が足りなかつた結果であるとして、私自身も自責の念に堪えない。廃止理由と申しましても、これは警察制度の本質論から廃止が肯定せられた理由は何らない。すべてが運営上或いは方法論上の問題で、例えばこの国警自治体警察の連絡が不十分である、一部のボス支配がある、或いは又技術的な問題もあるわけで、財政的な負担に堪えない、すべてこれは運営上の可否ということが本質的な問題まで引繰返したということは否定できないと思うのであります。で、限られた財政における日本国内事情において、これは止むなしとする現実的な問題はありますけれども、真に民衆が警察制度の精神を理解せずして、こういう結果を来たして、それが物理的に警察力強化であるとするだけであつては、これは大変非難がましく聞えて耳ざわりでありましようかも知れないけれども、過去の警察と何ら変らない結果が待ち来たされ、民主主義の日本における発展ということが、警察行政の中から私は失われて来る一つの傾向を生むのではなかろうかということについて誠に遺憾であつたので、その点を申上げたわけなんで、長官からは今後十分な考えを持つて民主的な運営に当り、国家警察的な、権力的な警察行政というものを排撃する意味合の発言がありましたので、私はこの経過に鑑みて、今後において十分この警察制度の精神の民衆への侵透ということについては、国警自警共に真劍にお考え願いたいということを繰返して申上げて希望する次第であります。最後に、時間がありませんから、長官に、これは政府委員としてお伺いしますが、今後の段階においては、この部分における自治体警察の存廃のみならず、中小都市部分においても、人口のそれによつて区別せられて、又存廃問題が起るのではないか、地方行政簡素化本部の計画、一切の地方中央を問わない行政機構の改革というような問題、それから又今後予見せられるもつともつと大きな治安対策として、そういうことをお考えになつているのではないかということを私は想像するのであります。斎藤政府委員は、この市警察の存廃について今後どうせられようとするのであるか。お考えを承りたいと思うのであります。
  16. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 市警察の将来の問題でございまするが、私自身の立場からいたしましても、又政府といたしましても、現在この市警察を近き将来にどういうように改変しようという考え只今は持つておりません。先の臨時国会において警察法改正を御審議を願いましたときも、この改正を以て最善を盡して参りたいということは、当時の法務総裁もお述べになられたのであります。現在もその心境に変りはございません。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 前国会におけるそういう力強い御発言を確かに法務総裁からお伺いして、私もこれは了承したのでありまするが、現在の事態はその当時とは客観的に情勢が違う。この内閣が、国と地方とを問わず行政機構の改革ということを公式的に全面的に取上げて、地方の場合は地方行政の簡素化本部を持たれて鋭意検討中であります。この枠から警察行政だけが切離されるというはずはない。それにもかかわらず、長官は心境には変りがないということでありまするが、私はそういう答弁には満足できない。変りがないのではなくて、具体的な結論、対策を未だ持合せておらないということであるならば私はわかるのでありまするが、今の心境というものが決意となつて、断じてこの地方行政の機構の改革と関連して市警察の存廃問題は起らないという心境と決意であるならば、私はそれでよしとするのであります。そうでないならば、ないで御答弁を願いたい。そういう意味合お尋ねしているのであります。
  18. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 決意とおつしやいますが、私は一政府委員でございますから、私の一政府委員としての考えなり、又今日感じております点、見ておりまする点を只今率直に申上げただけであります。
  19. 安井謙

    ○安井謙君 時間がないので簡單に伺いますが、今度廃止になりました警察定員配置はどうなるのでありますか。今の五%の削減と関連して、それ以外にも定員自体が動かされるようなことになるのかどうか伺いたいのが一つと、それから先ほど警察廃止の問題でいろいろ議論がありましたが、今度移管された最大原因は、何といつても財政的に弱いということが一番の原因であろうと思うのであります。私は警視総監に伺いたいのは、この自治体警察というものは非常に政府その他の機関との折衝と言いますか、いろいろと行政事務を解決して行く上に非常に組織的に力が弱い、都道府県は都道府県で相当政府との折衝の機関を持つておるし、自治庁というお世話をする機関があるのでありますが、市町村自治体警察になつて行きますと、どこへ相談を持つてつたらいいかわらないというような形に置かれておると思うのであります。予算の折衝は当該の市町村或いは府県に頼むというだけで、平衡交付金の問題にしましても、これを国会へ持つておいでになるにしても、これは一参考人として総監がお話になる程度である、或いは政府のどの機関に付けるというような組織もない、取りきめもないというような非常に弱い立場に立たされておるように考えるのですが、その点について何か御所見がありましたら伺いたいと思います。
  20. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 廃止になりました自治体警察定員は、そのまま国家地方警察定員として引継ぐわけです。現実廃止した町村従前定員をその通りに配置するかどうかという問題になりますると、これは自治体警察廃止をいたしますると、これは国家地方警察の区域になりまするから、従つてそこに署の廃合が行われます。従つて廃止前の定員と、廃止後の現実にその町村にいる定員とを比べますると、或いは一割くらい減つているところがあるかと思います。二割、ひどいところですと三割くらい減るところもあるかと思いまするが、できるだけ外勤警察官は当分減らさないようにという方針でやつております。ただ従前はその自治体警察にいる警察官だけでやつておりましたものが、今度国家地方警察のほうになりますると、県本部或いは署の警察官自身も直接その町村に配置されておりませんでも、管轄の署自身が、事あれば直ちにそこでやるということになりまするから、そういう比較から言いますると、比較が非常にしにくいわけであります。総数といたしましては、自治体警察警察官定員は、今の国家地方警察のほうに参つておる。それから今度の先ほど申しました整理は、これは五千人増員するところを二千六百人の増員にとどめるということによつて賄いまするから、従つて従前おりました警察官よりも、今度のほうが整理によつて減るということは起らないだろうと思います。
  21. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 只今の御質問は私は自治体警察の最も大事な点を御質問頂いたと思うのであります。自治体警察が始まりましてから、自治体側の利益、意見を代表いたしまして、これを時の政府に反映し、又意見を上申するという機関が何もないのであります。で、やむを得ず現在では自治的な組織といたしまして、自治体警察長の連合協議会若しくは公安委員会の連各協議会組織を以て全体の意思を代表したものということで一々政府に我々の意見を反映し、又連絡をいたしておるのでありますが、これとても單なる一つの約束の団体でありまするので、そう強い統制力というものは持つていないのであります。そこで我々といたしましては、依然この総合的ないわゆる命令官庁では、これは現在の警察法の精神に背反いたしまするので、例えば国家消防庁のごときいわゆる指揮命令の権限はない、併しながら全体の自治警察の調整をしたり、或いは財政的の世話をしたり、又自治体警察の実情を閣議に反映して、閣議決定まで持つて行けるような有力なる一つ組織を持ちたい。そこで具体的に申しまするならば、この地方自治庁の中にいわゆる自治警察の主として財政方面を世話する一つのセクションなり、或いは局若しくは課を以て、これが自治体警察の財政全般を調整し、又世話をするというようなところを一つ是非作つてくれないだろうかということも実は意思表示もしたことがあるのでございまするが、併しこれも現在ではまだなかなか考えられないのであります。で、私どもの考えとしましては、この自治体警察全体を運営の面において統制をして行くことは、これは国警長官の指揮命令下において統制されております。ただ自治体警察としましては、全国自治体警察長連合協議会長である私が、お互いの自治的な組織としまして、約束の下にいろいろ重要なる指令その他を伝達を申上げる機関として私どもが現在運営をいたしております。そのほか財政的ないわゆる調整につきましては、現在のところ極めて力の弱い自治体警察の連合協議会事務局がこれに当つているに過ぎないのでありまして、従いまして政府の一部局として何らかそうした機関を設置して頂きたいということは、我々もかねがね念願をいたしておるのでありまして、今後もそういう方面で一つ我々も意見を上申いたしまして、何らかこれが具体策を実現できるように、又地方行政委員会にもお願いを申上げたいと、かように念願いたしておる次第であります。
  22. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは本日は大分時間が過ぎましたので、この程度にいたしたいと思いますが、この平衡交付金地方起債の問題が予算に出ておりますので、それらの点を明日から午前中にいたしますか、どういたしますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは明日十時からそれらの問題について委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十八分散会