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証人(
高橋豊春君) この度はいろいろと御
心配をせられまして誠に申訳次第もございません。
八幡浜市警察といたしましては、いわゆるこの
ボス云々の問題につきましては、当市は往年からとかくの聞えのある
土地柄だけに特に留意をいたしまして、いわゆる小心翼々といたしまして、その
警察運営に過誤なきを期して参つておるところでございます。丁度幸い
内藤警部補の
顛末書を持参いたしておりますので
内藤警部補はそこでこういうふうに述べております。私の勤務しておる八
幅浜市は昔から
暴力や
刃傷沙汰の多い所ということは
世間周知のところでありまして、
終戰後この
種事犯はどこも同じでしたが、
八幡浜は一際目立つて多いということでありました。それが
ためには
署員拳つて、殊に
刑事方面においてはこれが防犯と
検挙に努めて参
つたものであります。そのような
土地柄だけに、私のほうの
署長は常に
署員に対し
民主主義を阻むものは
暴力である、
暴力こそは
民主主義の敵であり、この
暴力は絶対否定して、これを
八幡浜市署の
モツトーといたしまして事に当つてもらいたいと常々訓示されておるところであります。それに加えて一、二年前頃より
警察制度改革は、世論に上ると、一部の人々からは
自治体警察は弱い、殊に
八幡浜市は
暴力の町、ポスの町の有難くない惡名を以て
新聞等に論議せられるようにな
つたことは、これ又
世間周知の
通りであります。私
ども第一線に活動する者は、
市民の
ための
警察であり、市の治安を維持することはあずかつて私
どもの双肩にあることを再確認し、
汚名返上を目標にみずからを
慎しみ、署の
モツトーとしてある大
方針の線に
沿つて日夜これらのことに気を配り、傷害までに至つていないただ一つ二つ殴
つた、殴られたというような
單純暴行事件でも耳にしたときはこれを
検挙し、立件しておるのであります。それが
ためにはそれくらいのことは微細な
事件と
世間では思つていることですから、一時は
警察の処置は余りにもひど過ぎるという非難もあ
つたようですが、私はこれらのことには一切耳をかさず、ただ一筋に
暴力事犯に関する限り
徹底的検挙に努めておるのであります。その
ためでもありましよう、昨年よりは今年、今年も
前半期よりは後半期と、これらの
事犯は次第々々に減少して参りました。
市民のかたがたも喜んで頂くようになりましたので、私も如何なる圧力にも屈することのないようこれをこのまま推し進めて行かなくてはならん、私のところの九名の
刑事諸君ともよく話合うて現在も精進を続けておる次第であります。そこへ以て参りましてのこの度の
街録であります。
八幡浜は、これは中略さして頂きます。
かようなわけで進んで参つておるのでございまするが、
先ほどのような
田縁教官のお口ぶりに徴しまして何らかの
資料を
持合せられての
発言のことく思われましたので、若しその
資料をお
持合せならば虚心坦懐にこれを傾聽いたしまして、
警察の再
反省乃至は
執行部の
資料としたいと、こう思いまして、たまたま
現場にい合せました
当署の
捜査課長の
内藤警部補、当年五十七歳になります、
警察生活三十年になんなんといたしております、
刑事専務者といたしますれば
愛媛県では最
古参者でございます、におきまして
街頭録音終了後、
先生にお会いいたしまして、失礼ですが
ちよつとものをお尋ねしたいのですが、実は私は
八幡浜市警察の
刑事の
責任の一端を負わしてもらつておる者ですが、
先ほど言われたようなことがあるのでしたら私にお
教え願えませんでしようかと、極めて穏かな口調で尋ねかけたが、
先生はやや当惑の色を見せられたので、
ちよつと間を置いて、実は私の署にも若い
刑事が十名ばかりおるのですが、私には心当りがないのですが、そのかたの
心配もありますので、
先ほどのようなことがありますればお
教え願いたいのですが、と重ねて懇談をいたしましたところ、
先生はこれは
郡部のことです。
郡部は
地区署のと漏されまして口籠られたのでありますが、そこで
内藤警部補はこれを受けまして、そうです、
郡部は
地区署ですが、ということで、これは
国警の管内で何らかの
資料をお
持合せであろうというふうに直感をいたしまして、
国警側へも連絡する必要があろうと考えまして、
西宇和地区署の
川之石警備派出所へその
向きを電話をいたしまして、いずれ日を定めて
国警の側と共に
先生にお会いをいたしまして、今の
資料をお
持合せなればお漏らし頂こうと、こういうことにいたしたのでございます。それから十九日は丁度
八幡浜の祭でございまして、その
警備に専従いたしておりました。翌二十日丁度
一般放送の行われた日でございましたのですが、これは
放送が行われたからかような措置に出たのではございませんのですが、たまたま日が同じであ
つたわけでございます。
学校にお邪魔をいたしまして、
只今先生から
お話がございましたようなことにな
つたのでございまするが、……それではこの機会に再び中略をさして頂きました
内藤警部補の
顛末書の次を朗読さして頂きます。私はその足で帰署して早速
川之石町
警備派出所に電話照会しましたところ、該当の人は近頃
川之石の
学校の
教官であ
つたが、今は
宮内村の
学校の
教頭をしておる
川之石町
楠浜の
田縁喜平氏であるということがわか
つたのであります。そこで私は前に言いましたように、
国警、自警と
制度の上では分れていても、仕事は一体をなす建前から、早速その日
川之石の
菊池警察部補に
田縁氏の言われたことについて連絡し、いつか一緒に
行つて言葉の中にある真相を
教えてもらうよう約束しておいたのであります。そのように
川之石地区署に連絡しておいて、後その日に、午後五時頃でした、
署長は在署しておられたので、私は
田縁氏の
街録においての
発言内容をつぶさに報告し、日時は未定であるが、
菊池警部補と共に
田縁氏を訪問して事実の
穿さくをする旨の
承認を得ておいたのであります。ここにもございますように、私は
街録の行われました五時頃、
内藤君からの報告によりまして初めてこの問題を承知したのでございまして、
内藤君のこの
匡警のほうにも連絡し、そして
国警のほうとも共々に
先生のほうにこの事実を若しもお持ちならば
お話し頂こうということに出まするその
方針に
承認を與えたのでございます。その翌十月十九日は
八幡神社の例祭で、時間は忘れましたが、私は在署しておる、たしか午前中でした、
川之石町
警備派出所の
井出巡査から
菊池警部補と約束されたことについて、明二十日私が代理に行くから、午後一時頃までに
喜須来村駐在所に来てくれ、なお昨日
田縁氏は
宮内校とい
つたが、
調査して見ると
喜須来校であ
つたと電話して来ましたので、私はそのことを承諾しておいたのであります。
川之石地区署の
井出巡査と約束した二十日は土曜日でもあるので、
学校の都合もよいと思いまして、
市署から晝食に
帰り、午後零時半から
放送された十八日收録した
街録放送を半分ほど聞いて後署を出て、伊予鉄バス停留場に行き、午後零時五十分発の
川之石行バスに乘ると折よく会が
終つて川之石地区署に帰る
菊池警部補に出会い、そこで両人で
学校に行くことにしたのであります。そしてそのバスも
喜須来村に行き駐在所前で降りてそれから三町くらい隔
つた学校に徒歩で行
つたので、
学校へ着いたのが午後一時半過ぎであ
つたと思います。土曜日のことで、すでに
学校は引けておりまして、生徒の姿は見当りませんでした。
菊池警部補と私は先ず
校長室に
校長さんを尋ねると、丁度在室しておられたので、私は初対面ですから名刺を差出して来意を告げ、
田縁先生の在否をお尋ねすると、現在在校していると言われ、
ちよつと出て行かれましたが、すぐ引返して来られ、
只今田縁先生は来客中ですから、
ちよつとの間をお待ち下さいと言われたので、私
ども二人で
校長先生と
世間話をしておる間に、
校長先生はかように言つておられたのであります。
田縁教頭は十八日の
街録のあ
つた日、
帰つて来て、
街録に立
つたが、つまらんことを言つて、
警察官に尋ねられた、それで帰る途中で、言い過ぎたと
思つたので、
街録のあ
つた所に引返し、
帰りかけている
放送局の自動車を呼びとめ、カツト方を申入れておいて
帰つたと、相当後悔しておるように見受けられたというのであります。そのうち三十分間ぐらいた
つた頃でした、前日約束した
川之石町の
井出巡査が制服でやつて来たのであります。これは
あとでわか
つたことですが、
井出巡査は
喜須来村に出張を命ぜられ、そのついでに
学校を訪れることにして、私と約束したとのことでありました。
井出巡査は来て間もなく、
田縁先生が見えるような気配がした頃、
校長先生が、私は席を外しておりましようかと言われたのですが、私は何も秘密のことではなく、むしろ陪席してもら
つたほうがよいと思いまして、いや
先生はいて下さい、おつてもら
つたほうがよろしいですからというと、
校長先生は、それでは私は何一口も言わずに聞いておりましようと言われたので、どうぞそうしていて下さいと言つておるところに、
田縁先生が
校長室の表入口から入つて来られたのであります。そこで私を見ると、先日は失礼いたしましたと言われたので、私も失礼いたしましたと挨拶を交すと、
田縁先生私の右側に着席されたのであります。そこで私は改めて来意を告げ、実はあのときの
言葉に、
郡部のことと言われたので、今日は
川之石の
菊池警部補さんと一緒に来たのですが、あのときの
お話によると、或る事柄を知つておるが遠慮するというように言うておられるが、事実を聞かして頂けませんかというと、
菊池警部補もそれに
言葉を添え、私も
川之石町に来て間がないことで、管内の様子も十分わかつておらないですが、参考にしたいから聞かして下さらんかと言うと、
田縁先生は、実は根も葉もないことで、
郡部のことでもなく抽象的なことを言
つたまでのことですと答えられるので、私は
田縁先生の言われた
言葉を指摘して、繰返して聞いて見ましたが、ただ抽象的
一般論であると逃げられるのであります。そこにおいて私は、無学の者ならともかく、
学校の
教官ともあろう者が、さような無
責任な
言葉が出るはずはない、ボスと
警察と連繋のあるような
言葉は、私
どもの最も忌むべきことで、事実のないことをあるかのように放言されることは、
警察を侮辱したこれ以上のことはないと心中思いましたので、私は
田縁先生に対しましては、あのときのあなたの
言葉は、
はつきりと名は指摘しておられぬが、町は
八幡浜を指し、取締
警察当局というのは、
八幡浜市警察を指しておられることになりますぞ、その理由は、一、場所は曾つて
暴力の街、ボスの街と惡名を買つている
八幡浜市で行われ、二、表題に明るい街を築くにはと言つている点から見て、村の問題でなく、まさか青森や北海道あたりのことではないことは
はつきりしており、三、それに加えて、アナウンサーの質問の
言葉に、判断すればわかるようなことになることを言われたことは、他の遠隔の地の人に言われた
言葉ではなく、そのときの、その場所の聽衆に言つておられる
言葉でしよう。その聽衆の人の中には、旅の人もおられることと思いますが、その八、九割は土地の人でした。その人たちにおいて、判断すればわかることであれば、
八幡浜のことを言つていないと誰が思いましよう。私は
はつきりとそのように聞いたので、聽衆の中に混つて人の話を聞いて見ると、聽衆の中にもそのように聞いておる者のあることを知りました。それからあなたから四、五番目に、アナウンサーが、
警察に対してどのように思つていますかとの質問に対し、市会議員の山本さんが登壇され、
八幡浜警察は、どこも同じく終戰直後は弱いようであ
つたが、次第に盛り返して、現在ではよくやつてくれるので感謝しておると、
警察といえば
八幡浜市警を指して言われるように、聽衆もすぐ思うような点などからして、
はつきりしております。無論私はそのように解釈しております、私はあなたの言われるボスと
警察との連繋のあるような
言葉は、私
どもの最も忌むべきことであるような放言は、
警察を侮辱したこれ以上のことはないと思います。私はこれから
帰つて署長に報告すると、
署長は告訴すると言われるかも知れません。お前がやれと言われれば私はやります。あなたもそれについて心の準備をしておきなさい。それというのは、あなたの抜けられると思われることにつき、そのことを考えておきなさいということです。法の上で争いましようという
意味の私の持つていることを率直に述べると、
田縁先生はつまらんことを言つて済みませんでした。どうか許して頂きたいと言つて、相当悔いられておられる様子が見えるので、私も気の毒にも思い、その半面その場に
校長先生や
菊池警部補がおるので、言いたいすべてのことが言えないのだ。これは二人だけの所で話をして見れば、何もかもわかるようなことになると思いましたので、私は
田縁先生に対し、明日は日曜日ですが、
先生もお休みでしようと尋ねると、そうですと答えられたので、私も日曜日は少し体も楽にしておりますから、二人で話をして見ませんかと言うと、私の心が
田縁先生に反映したものか、快い返事がありましたので、それでは明日午前一時に出署していますから、来てくれませんかと言うと、
田縁先生は快くこれを受け入れてくれたのであります。その間
校長先生は
最初言われたように、
一言も発せられず、一切のことを聞いておられたことは勿論であります。そのようにして、
田縁先生との会談は二十四、五分で終
つたのでありますが、私は告訴云々と言
つたことは、他の普通
事件であれば
警察は摘発の義務があるのですが、名誉毀損罪は親告罪のことで、被害者である
警察の立場から、あらかじめ親切味を深めて行
つたことでありますから、勿論準備しておきなさい、抜けられることを考えておきなさいと言
つたことも同じ
意味であります。私は若い頃から物事にぶつか
つた際、一応一歩、二歩退いて考えて見る性質を持つておることを知つております。つまり前後をふり向けて考えて見ることを忘れません。それが
ため犯罪容疑者を前にしたとき、手ぬるい、気が長いと思われたことはしばしばでしたが、生来の気性には変りません。相手を納得させて、自然の自供を促すとい
つた方法をとるので、決していわゆるトンコロをかけたり、嘘を言つて自供を促すとい
つたような卑怯なことは禁物といたしております。それが
ためには、若い
刑事連中には、犯罪容疑者に当る場合には急いではならない、三十分かかるところは一時間、一時間のところは二時間かかる
気持で相手を納得させて自供させねばいけないことを常々言つておるところであります。それが
ため、相手には先の先までのことを言つて納得させておくというやり方を私は常にとつておるので、
田縁先生に言
つたことも平素の私のやり方をと
つたまでのことであります。まだありますが、略さして頂きます。
それで、
八幡浜市警察に対しまする名誉毀損容疑
事件としての論拠並びにこれを黙過することができなか
つた特殊事情につきまして、
一言述べさして頂きたいと思います。
先ほどお聞き及びの
通りの
田縁先生の
発言の
内容のうち、あの前半の
発言のみを以ていたしますならば、事実を指摘したものではございませず、いわゆる抽象的な
希望意見のごとき、一応は肯けるのでございます。秋本アナウンサーの反問に対しまする後段のあのお
言葉とその口ぶり並びにこの
街頭録音の行われましたるあの三月十八日のあの時、時間、場所的な環境乃至は当時の会場の雰囲気などとこの
田縁先生の前半の
発言内容とを総合いたしまして考え併せて見まするというと、刑法二百三十條の二の証明なき限り、刑法二百三十條によりまして明らかに
八幡浜市警察に対しまする名誉毀損罪の成立あるものと解しておるのでございます。殊に
八幡浜市警察は
先ほども申上げましたごとく、
土地柄上
ボス云々の問題につきましては、特別に配慮いたしまして、
警察の純粹中立性を堅持して参つておりまするところでございまして、その事実なきにかかわりませず、あたかもこれあるかのごときお口ぶりを持たれてかかる真向よりの中傷に対しましては、
市民の当市
八幡浜警察に対しまする信頼感保持の見地からも、これを黙過し得ざる特殊の事情がございましたことを特に御賢察賜わりたいと思うのでございます。あえて処罰は求めませんけれ
ども、筋を立てる
意味、筋を通す
意味におきまして、
警察に対しまし一時い合せました
市民の或る若干の者には、或いは
八幡浜市警察はボスとそういう繋がりがあるのではないかとい
つたような誤解を与えた向もあるのでございまして、さような失われましたる
警察の名誉、と申しましても決しで
署員の
高橋の、
内藤の或いは
警察吏員の誰々のという名誉じやございません。
八幡浜市警察つまり四万一千の
八幡浜市民の皆様がたの
警察に対する名誉を損われたものだ、この名誉回復の
意味におきましては、告訴による方法も一つの証明方法で、言われるがごときボスと繋がりはないという証明の方法といたしましては告訴による方法が先ず唯一の方法であると考えます。そしてあえて処罰を以て臨んだものではありません。告訴する
気持で進んだのでございまして、この
喜須来小
学校におきまして
先生とお会いいたしました顛末は、その直後
喜須来の駐在所から私に
警察電話がございまして、その
いきさつをよく承知いたしまして、そういうことならば、いずれ告訴するということになれば、公安
委員会にお伺いして見なければならないけれ
ども、一応私はそのときの
気持は、
先生に二十一日においで頂いて更に
先生の
気持を確めて、私今でもそう思つてならないのであります。何か
先生はそういう
資料を、ただ噂でもよろしい、そういう事実をお
持合せに
なつているのじやないかという気がしてならないのでありますが、そのことについて更にお伺いし、若しさような事実の
持合せがないのにかかわらず、ああい
つた発言があ
つたということでありましたならば、私はその
責任を問いたいという
気持であ
つたのでございます。その後、と申上げますると、二十一日、
先生においで頂く約束をした日でございますが、午前十一時頃
阿方岡公安
委員長より電話がございまして、相手は
教育者のことであるし、話さえわかればいいじやないかというお電話がございまして、私もそのときにはそういう途の点も配慮すべきことと考えまして、話さえわかればいいのだ、あえて告訴する必要もなかろう、こう思いまして告訴権の行使を放棄いたしまする
気持にな
つたのであります。
以上のような事情もございまして、あの場合あの
先生の
発言に対しまして
八幡浜市警察がとりました措置につきましては、必要止むを得ざる当然の措置だと私今でも信じているのでございますけれ
ども、ただ一つ遺憾に思いますることは、この点は申上げる次第もないのでございますが、たとえ
内藤警部補が
先生に心の御準備を、或いは拔けられるようなことを考えておられるような余裕を與えます
ために、
署長に相談すれば告訴になるかも知れないがいう、この告訴云々の我々の内意を漏らしましたことは、我々の
気持は、
只今申上げましたように、好意的な親切心からではございましたが、お受けになります
先生にとつて見れば、或いはこれによりまして一般のかたがたの受けられるその御印象というものは、必ずしも
警察の意を諒としていなか
つたと思います。その点は非常に残念に思うのでございまして、今でも考えて見ますると、これは申上げるまでもございませんが、捜査の段階におきまして、
警察当局の捜査の手順を相手に知らせるということぐらい不利なものはございません。捜査の非常に障碍になるのでございます。告訴するかもわかりませんよと申上げますならば、相手のほうは告訴に応ぜられる御準備をなさる。そうするということになりますと、公訴の維持上において、決して我々は、公訴の維持を望む我々として不利であるということをよく御賢察頂けると思うのであります。それを忍んで好意的に申したことでございますけれ
ども、お膳を返して考えて見ますというと、そうは受取つていないのであります。この点非常に遺憾に存じます。実はその点を
反省いたしておりますが、たとえ好意的にもしろ
警察が、我々がその告訴の内意を
先生に漏らしたということは失敗であ
つたと思つております。これにつきましていろいろな誤解を生みまして、誠に私
ども事志と違いました結果を招来しましたことを
反省をいたしておりますのでございまして、この点は私率直に
警察が行過ぎであ
つた、告訴云々を漏らしたということは、たとえ好意的であ
つたにしろ、行過ぎであ
つたと私は率直にお詫び申上げる次第であります。併しその他の点におきましたならば、
八幡浜市警察におきましてとりました措置につきましては、一応御了承を頂けるのじやないかと今でも考えております。何とぞよろしく御叱責を賜わりますようにお願い申上げます。