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1951-11-16 第12回国会 参議院 地方行政・法務連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十六日(金曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     西郷吉之助君    理事      岩沢 忠恭君    理事      中田 吉雄君    理事      岩木 哲夫君            石村 幸作君            高橋進太郎君            堀  末治君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            吉川末次郎君            岡本 愛祐君            鈴木 直人君            林屋亀次郎君            石川 清一君  法務委員    委員長     小野 義夫君    理事      伊藤  修君    理事      宮城タマヨ君    理事      鬼丸 義齊君            小串 清一君            左藤 義詮君            鈴木 安孝君            長谷山行毅君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            岡部  常君            中山 福藏君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   —————————————  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            堀  末治君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            鈴木 直人君            石川 清一君   法務委員    理事            伊藤  修君            鬼丸 義齊君    委員            鈴木 安孝君            齋  武雄君            岡部  常君            中山 福藏君            一松 定吉君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    国家公安委員会    委員長     辻  二郎君   証人    愛媛県西宇和郡    喜須来小学校教    員       田縁 喜平君    八幡浜市警察署    長警視     高橋 豊春君    八幡浜公安委    員長      阿方 岡一君    松山中央放送局    放送部長    稻田  稔君    日本放送協会編    成局社会課長  長澤 泰治君    日本放送協会編    成局長     春日 由三君   参考人    全国自治体公安    委員会連絡協議    会長      小畑 惟清君    自治体警察長連    絡協議会長   田中 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政改革に関する調査の件  (八幡浜市における街頭録音問題に  関する件)   —————————————    〔西郷吉之助委員長席に着く〕
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今より地方行政委員会並びに法務委員会連合委員会を開会いたします。  本日は先般愛媛八幡浜市におきまして明るい街にするためにはという題目で行われました街頭録音の際、同県西宇和喜須来小学校教頭田縁喜平君が警察あり方について発言したことに端を発しまして問題が起きた事件につきまして調査をいたしたいと考えます。  即ち申すまでもないのでありまするが、本件につきましては憲法に保障されました基本的人権の擁護並びに言論の自由、或いは又民主的警察あり方警察基本的性格等の観点から調査を進めて参りたいと考えます。本日は次の関係者証人としてこの委員会に出頭をして頂いております。申述べます。愛媛県西宇和喜須来小学校教頭田縁喜平八幡浜市警察署長警視高橋豊春君。八幡浜公安委員長阿方岡一君、松山中央放送局放送部長稻田稔君。日本放送協会編成局社会課長長澤泰治君。日本放送協会編成局長春日由三君であります。  証人各位には今回は急に、而も中には非常に遠方から今日はるばる本委員会においで下さいましたことに対しまして委員会を代表いたしまして委員長から謝意を表します。証人のかたに申上げますが、規定に従いまして宣誓をして頂きますが、その前に証人一言申上げておきます。証人虚僞の陳述をしたり、或いは正当な理由がなく証言を拒んだりいたした際には、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律の規定によりまして罰せられることに相成つておりまするから、念のため以上のことを御注意申上げておきます。  それでは証人のかたに順次宣誓を求めます。各証人におかれましてはそれぞれ宣誓書の朗読をお願いいたします。総員起立をお願いいたします。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 田縁 喜平    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさげ、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 高橋 豊春    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 阿方 岡一    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 稻田  稔    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何勤もつけ加えないことを誓います。         証人 春日 由三    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 長澤 泰治
  3. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御着席を願います。それでは最初に各証人供述をお願いする前に、先般行われました八幡浜市における録音再生盤をここで実際にやつて見ます。    〔録音聽取
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) これから各証人に御供述をお願いいたしまするが、あらかじめ御注意申上げておきますが、大体証人最初約二十分程度に供述をして頂きたいと存じます。なお発言内容につきましては、各証人におかれまして重複しないように御注意願いたいと思います。なお先ほども申上げましたが、供述につきましては御注意願いたいと存じまするが、発言内容は御自由に願います。  それでは只今田縁証人録音再生盤を聞取りましたが、最初にそれに関連いたしまして田縁証人から供述を願いたいと思います。
  5. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) 十月十八日午後三時過ぎであつたと思います。八幡浜市の街録の場に偶然行き会いまして、先ほど録音盤でかけて頂きましたような発言を私がいたしました。私は一番最初発言したのでありますが、その最初発言の順位は、これは録音盤の、放送局のほうで決定されたものであります。テーマは街を、まちというのは街という字が書いてあつたのでありますが、街を明るくするにはと大きく書いてありまして、その下へ一、街の封建性な打破するには二、青少年不良化防止三、その他小さな見出しが下に書いてあつたように記憶いたします。只今録音でもお聞きになつたよう発言をいたしたのでありますが、そのほかにももう一回私発言をいたしております。それはマイクがだんだん終りかたに近付いた頃でありますが、街録終りのほうに近くなつた頃でありますが、マイクが壇を降りて群衆の中に割つて入り、何か一言ずつというふうにマイクが廻つたわけであります。私の前へマイクを再び出されましてあなた二回になりますね、でもいいですから何か一つ発言して下さいというお話がありまして、その時私はこういうような発言をいたしております。青少年不良化を防止するには、社会人全般が、大人たちがこれら青少年の夢を育ててやるということが大切でありますという発言をいたしております。録音もだんだん終りに近くなつた頃、もう帰ろうと思いまして群衆を分けて外へ出まして、丁度自転車に乘つて来ておつたものですから、自転車に乘つて帰ろうと思いまして自転車の鍵をあけまして乘ろうとしたところへ、これは後ほどお話いたしますが、内藤捜査課長が私に話掛けて来られました。細かな言葉一言一言はつきり記憶にないのでありますが、大体、ちよつと今の街録お話になつた内容についてお伺いいたしたいのですが、というような話掛けであつたと思います。で、私まあびつくりしまして、併し内藤さん、まだどなたかその時は知らなかつたわけでありますが、じつと見詰めて沈黙をしておりました。そうすると、いや私は八幡浜市警の者ですが、刑事の二、三人も使つておりますので、というようなお話であつたと思いますが、その意味はほかの者に不心得者でもあつたならば、そういう具体例お話願えないだろうかという意味でなかつたかとその時の感じて思つたのでありますが、とにかく八幅浜市警の者だが刑事の二、三人も使つているので、若し今発表になつた内容の問題ですが、具体的な事例がおありのようだつたらお教えを願いたい、参考資料にしたいと思いますから、こういうふうに話掛けられたのであります。そこで私なお沈黙守つてつたのでありますが、そういたしますと、いや別にあなたを詰問をいたしておるわけではございませんよ、というお話がございました。そこで私、いや詰問ということも思いませんけれども、あなたのような地位のかたがそんなにおつしやいますと私としてもまあいささか動揺するのでございますが、あなた市署のほうだとおつしやつたのでありますが、市署のことではありませんよ、私は郡部の者ですから、こういうふうにお答えいたしました。その後のやり取りは大分言葉はつきり覚えていないのでありますが、続いて内藤さんのほうから、具体例が別にないのにああいう言葉をあの場所であなたが発言なさると迷惑をするのはこれは市警のほうです。あなたどちらですか。こういうふうにお聞きになりました。私川之石ですと答えました。お名前は、私暫らく沈黙しておりましたのでありますが、その間に内藤課長さんは自転車うしろに書いておりましたところの西宇和川之石田縁という文字を読み取られておつたようであります。これは読み取られておつたということは、あとから内藤課長さん自身が喜須来学校においでになつた時にちよつと漏しておられました。そのまま重ねてお聞きにもなりませんし、私も非常に何と申しますか、不愉快でもありますし、気持も惡い気持がいたしましたし、多少ぴつくりもいたしましたので、何かこうお話があるんでないかという素振りも見えたのでありますが、まあ黙つて自転車に乘りまして帰途についたのであります。まあ五、六百メートルも帰つた頃、どうも今会つた内藤さんとの間の話合いが不愉快でもありますし、自分の考えておつたところのいろいろな希望意見が、必ずしもそういうふうな受取り方にとらないであろうかというような気持もいたしましたのでありますが、とにかく気持が非常に不愉快なものでありますから、直ちに五、六百メートル帰つてつたのを引返しまして街録現場帰つて見ました。ところがすでに街録終つておりまして、NHKの自動車はまさに発車寸前であつたのでありますが、私呼びとめまして、私本日の街録最初発言した者ですが、今実は警察のかたからこんな話があつた。で、自分事志違つてもおるし、非常に不愉快だ、だから今日の発言自分の分のところだけカツトしてもらいたい、こういうふうに申入れたのでありますが、放送局のほうではカツトしようと約束をしてもらいました。  そこでまあ十八日の街録現場いきさつ終つて、次が二十日でありますが、二十日二時頃であつたかと思います。一時半か時間に多少食い違いがあるかもわかりませんが、このところはつきり記憶いたしません。多分二時頃であつたと思います。校長室学校長が終始立会の上、話をしたのでありますが、その概略は次の通りであります。で、そこへ列席をしていられたかたは、警察官が三名であります。内藤課長さん、これは私服でありました。背広を着ておられます。それから地区署でありますが、川之石派出所部長さんだと思いますが、菊池警部補、このかたも私服でありました。それから同じく川之石地区署井出巡査巡査部長であると思いますが井出巡査部長、このかたは武裝をしておられたわけであります。で、最初校長と暫らく話しておられたのでありますが、私丁度父兄を呼んでおりました関係上、私の用件の終るのを待つておつたらしいのをありますが、私が用件終りまして自分の席へ帰りますと、学校長が私のそばへやつて見えまして、ちよつと警察から見えておるから来てくれないかという話でありまして、私校長に呼ばれまして校長室に入りました。そしてまあ話を進めたわけるあります。で校長室に入りますと、もうすぐ内藤さんと視線合つたのでありまして、視線が合うとやあ先日はどうもと、私のほうから挨拶をいたしました。そしてまあどうぞお坐りなさいということで、私椅子に腰掛けたわけでありますが、腰掛けてから後は、私のほうから御用件向きはというふうに切り出して行きました。そうしますと、内藤課長さんが実はこの間の街録の問題ですが、今日、二十日の十二時三十分から三十分間に亘つて放送しましたよ、当日あなたの発言されたままのお話でしたという話がございました。で続いてあの内容についてですが、何か具体的な事実があればお教えを願いたい、反省資料にいたしたいがというようなお話であつたと思います。そこで私、いやあれは一般論で別に市署とか地区署とか特定を指しているのではありません、従つて具体的な事例なんというものは持つておりませんとお話ししました。でそのとき内藤さんが、いやあなたはあの日、十八日ですか、あの日市警ではない郡部の問題だと言われた、それで地区警察からも来てもらつている、で市警の問題か、でなかつた地区署の問題についてお話になつたに違いない、何かあるのでしようというふうに聞かれました。で、私はいや全然具体的な事実に基いて発言したのではありません。こういうふうに答えました。そうすると内藤さんが、それならば伺いますがね、あなたの学校の校区で明るい教育をするにはというようなテーマで先ず街録が行われたと仮定いたしましよう。そういう場合、先生がたは貧しい家の子供もPTAの役員の子供も平等に扱つてもらいたい、盆や節句に贈り物をする家の子供が特別扱いされるようでは明るい教育はできないというような発言者があつた場合、あなたは黙つてお聞きになつておられますか。一般論として聞き流しておられますか。こういうふうなお問いがあつたのでありますが、私沈黙して何も答えませんでした。すると、内藤さんが町の一角であんな発言をされると、それは市署を誹謗したことになる、で今日は肚をきめで来ました。告訴するから対抗手段を講じなさい。男と男、法廷で争いましよう。署長が告訴するか、でなかつたら私のほうから告訴します。こういうふうに話されました。で私、今更責任を回避しようとは思いません。ただお許し願えるのであつたら、許してもらつたらと思います。家族の者が全部明日から路頭に迷わなければならない。対抗手段を講じよとおつしやいますが、全くの無資力で何らの対抗手段も講じることはできない。ただありのままの真実を話す以外に手段はありませんというふうに答えました。このとき地区署関係の二人のかたが、地区署には関係のない事件であるということがここで判明いたしましたので、それじや署長に報告しておこうかねと、地区署の二人のかたが話しておられたようであります。でそれから後は私のおる所では地区のかたは一切黙して語られませんでした。大体そういうようなことで三人のかたがやがて学校を辞して帰られたのでありますが、このとき井出巡査、これは武裝しておられたのですが、このかたは学校の裏口からお帰りになりました。それから内藤課長菊池警部補の二人の私服かたは校長室の表よりお帰りなつて行きました。で裏と表から入つたことをこのとき知りまして、まあなお更何と言いますか、非常な薄気味惡さというようなものを感じ、まあシヨツクをここで受けたわけであります。ところがあとから聞けば、これはあとから聞いたのでありますが、井出巡査は六分か七分遅れて学校へ来たとのことだそうでありまして、同時刻に裏表から入つたのではなく、若しかすると偶然であつたかもわからないということも考えられるのでありまして、この点を明らかにしておきたいと思います。大体細かないきさつはいろいろまだあるのでありますが、大まかなアウト・ラインは以上でございまして、若し御質問がございましたら、お答えいたします。終り
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に高橋証人供述をお願いいたします。
  7. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) この度はいろいろと御心配をせられまして誠に申訳次第もございません。八幡浜市警察といたしましては、いわゆるこのボス云々の問題につきましては、当市は往年からとかくの聞えのある土地柄だけに特に留意をいたしまして、いわゆる小心翼々といたしまして、その警察運営に過誤なきを期して参つておるところでございます。丁度幸い内藤警部補顛末書を持参いたしておりますので内藤警部補はそこでこういうふうに述べております。私の勤務しておる八幅浜市は昔から暴力刃傷沙汰の多い所ということは世間周知のところでありまして、終戰後この種事犯はどこも同じでしたが、八幡浜は一際目立つて多いということでありました。それがためには署員拳つて、殊に刑事方面においてはこれが防犯と検挙に努めて参つたものであります。そのような土地柄だけに、私のほうの署長は常に署員に対し民主主義を阻むものは暴力である、暴力こそは民主主義の敵であり、この暴力は絶対否定して、これを八幡浜市署モツトーといたしまして事に当つてもらいたいと常々訓示されておるところであります。それに加えて一、二年前頃より警察制度改革は、世論に上ると、一部の人々からは自治体警察は弱い、殊に八幡浜市は暴力の町、ポスの町の有難くない惡名を以て新聞等に論議せられるようになつたことは、これ又世間周知通りであります。私ども第一線に活動する者は、市民ため警察であり、市の治安を維持することはあずかつて私どもの双肩にあることを再確認し、汚名返上を目標にみずからを慎しみ、署のモツトーとしてある大方針の線に沿つて日夜これらのことに気を配り、傷害までに至つていないただ一つ二つ殴つた、殴られたというような單純暴行事件でも耳にしたときはこれを検挙し、立件しておるのであります。それがためにはそれくらいのことは微細な事件世間では思つていることですから、一時は警察の処置は余りにもひど過ぎるという非難もあつたようですが、私はこれらのことには一切耳をかさず、ただ一筋に暴力事犯に関する限り徹底的検挙に努めておるのであります。そのためでもありましよう、昨年よりは今年、今年も前半期よりは後半期と、これらの事犯は次第々々に減少して参りました。市民のかたがたも喜んで頂くようになりましたので、私も如何なる圧力にも屈することのないようこれをこのまま推し進めて行かなくてはならん、私のところの九名の刑事諸君ともよく話合うて現在も精進を続けておる次第であります。そこへ以て参りましてのこの度の街録であります。八幡浜は、これは中略さして頂きます。  かようなわけで進んで参つておるのでございまするが、先ほどのような田縁教官のお口ぶりに徴しまして何らかの資料持合せられての発言のことく思われましたので、若しその資料をお持合せならば虚心坦懐にこれを傾聽いたしまして、警察の再反省乃至は執行部資料としたいと、こう思いまして、たまたま現場にい合せました当署捜査課長内藤警部補、当年五十七歳になります、警察生活三十年になんなんといたしております、刑事専務者といたしますれば愛媛県では最古参者でございます、におきまして街頭録音終了後、先生にお会いいたしまして、失礼ですがちよつとものをお尋ねしたいのですが、実は私は八幡浜市警察の刑事責任の一端を負わしてもらつておる者ですが、先ほど言われたようなことがあるのでしたら私にお教え願えませんでしようかと、極めて穏かな口調で尋ねかけたが、先生はやや当惑の色を見せられたので、ちよつと間を置いて、実は私の署にも若い刑事が十名ばかりおるのですが、私には心当りがないのですが、そのかたの心配もありますので、先ほどのようなことがありますればお教え願いたいのですが、と重ねて懇談をいたしましたところ、先生はこれは郡部のことです。郡部地区署のと漏されまして口籠られたのでありますが、そこで内藤警部補はこれを受けまして、そうです、郡部地区署ですが、ということで、これは国警の管内で何らかの資料をお持合せであろうというふうに直感をいたしまして、国警側へも連絡する必要があろうと考えまして、西宇和地区署川之石警備派出所へその向きを電話をいたしまして、いずれ日を定めて国警の側と共に先生にお会いをいたしまして、今の資料をお持合せなればお漏らし頂こうと、こういうことにいたしたのでございます。それから十九日は丁度八幡浜の祭でございまして、その警備に専従いたしておりました。翌二十日丁度一般放送の行われた日でございましたのですが、これは放送が行われたからかような措置に出たのではございませんのですが、たまたま日が同じであつたわけでございます。学校にお邪魔をいたしまして、只今先生からお話がございましたようなことになつたのでございまするが、……それではこの機会に再び中略をさして頂きました内藤警部補顛末書の次を朗読さして頂きます。私はその足で帰署して早速川之石警備派出所に電話照会しましたところ、該当の人は近頃川之石学校教官であつたが、今は宮内村の学校教頭をしておる川之石楠浜田縁喜平氏であるということがわかつたのであります。そこで私は前に言いましたように、国警、自警と制度の上では分れていても、仕事は一体をなす建前から、早速その日川之石菊池警察部補田縁氏の言われたことについて連絡し、いつか一緒に行つて言葉の中にある真相を教えてもらうよう約束しておいたのであります。そのように川之石地区署に連絡しておいて、後その日に、午後五時頃でした、署長は在署しておられたので、私は田縁氏の街録においての発言内容をつぶさに報告し、日時は未定であるが、菊池警部補と共に田縁氏を訪問して事実の穿さくをする旨の承認を得ておいたのであります。ここにもございますように、私は街録の行われました五時頃、内藤君からの報告によりまして初めてこの問題を承知したのでございまして、内藤君のこの匡警のほうにも連絡し、そして国警のほうとも共々に先生のほうにこの事実を若しもお持ちならばお話し頂こうということに出まするその方針承認を與えたのでございます。その翌十月十九日は八幡神社の例祭で、時間は忘れましたが、私は在署しておる、たしか午前中でした、川之石警備派出所井出巡査から菊池警部補と約束されたことについて、明二十日私が代理に行くから、午後一時頃までに喜須来村駐在所に来てくれ、なお昨日田縁氏は宮内校といつたが、調査して見ると喜須来校であつたと電話して来ましたので、私はそのことを承諾しておいたのであります。川之石地区署井出巡査と約束した二十日は土曜日でもあるので、学校の都合もよいと思いまして、市署から晝食に帰り、午後零時半から放送された十八日收録した街録放送を半分ほど聞いて後署を出て、伊予鉄バス停留場に行き、午後零時五十分発の川之石行バスに乘ると折よく会が終つて川之石地区署に帰る菊池警部補に出会い、そこで両人で学校に行くことにしたのであります。そしてそのバスも喜須来村に行き駐在所前で降りてそれから三町くらい隔つた学校に徒歩で行つたので、学校へ着いたのが午後一時半過ぎであつたと思います。土曜日のことで、すでに学校は引けておりまして、生徒の姿は見当りませんでした。菊池警部補と私は先ず校長室校長さんを尋ねると、丁度在室しておられたので、私は初対面ですから名刺を差出して来意を告げ、田縁先生の在否をお尋ねすると、現在在校していると言われ、ちよつと出て行かれましたが、すぐ引返して来られ、只今田縁先生は来客中ですから、ちよつとの間をお待ち下さいと言われたので、私ども二人で校長先生世間話をしておる間に、校長先生はかように言つておられたのであります。田縁教頭は十八日の街録のあつた日、帰つて来て、街録に立つたが、つまらんことを言つて、警察官に尋ねられた、それで帰る途中で、言い過ぎたと思つたので、街録のあつた所に引返し、帰りかけている放送局の自動車を呼びとめ、カツト方を申入れておいて帰つたと、相当後悔しておるように見受けられたというのであります。そのうち三十分間ぐらいたつた頃でした、前日約束した川之石町の井出巡査が制服でやつて来たのであります。これはあとでわかつたことですが、井出巡査喜須来村に出張を命ぜられ、そのついでに学校を訪れることにして、私と約束したとのことでありました。井出巡査は来て間もなく、田縁先生が見えるような気配がした頃、校長先生が、私は席を外しておりましようかと言われたのですが、私は何も秘密のことではなく、むしろ陪席してもらつたほうがよいと思いまして、いや先生はいて下さい、おつてもらつたほうがよろしいですからというと、校長先生は、それでは私は何一口も言わずに聞いておりましようと言われたので、どうぞそうしていて下さいと言つておるところに、田縁先生校長室の表入口から入つて来られたのであります。そこで私を見ると、先日は失礼いたしましたと言われたので、私も失礼いたしましたと挨拶を交すと、田縁先生私の右側に着席されたのであります。そこで私は改めて来意を告げ、実はあのときの言葉に、郡部のことと言われたので、今日は川之石菊池警部補さんと一緒に来たのですが、あのときのお話によると、或る事柄を知つておるが遠慮するというように言うておられるが、事実を聞かして頂けませんかというと、菊池警部補もそれに言葉を添え、私も川之石町に来て間がないことで、管内の様子も十分わかつておらないですが、参考にしたいから聞かして下さらんかと言うと、田縁先生は、実は根も葉もないことで、郡部のことでもなく抽象的なことを言つたまでのことですと答えられるので、私は田縁先生の言われた言葉を指摘して、繰返して聞いて見ましたが、ただ抽象的一般論であると逃げられるのであります。そこにおいて私は、無学の者ならともかく、学校教官ともあろう者が、さような無責任言葉が出るはずはない、ボスと警察と連繋のあるような言葉は、私どもの最も忌むべきことで、事実のないことをあるかのように放言されることは、警察を侮辱したこれ以上のことはないと心中思いましたので、私は田縁先生に対しましては、あのときのあなたの言葉は、はつきりと名は指摘しておられぬが、町は八幡浜を指し、取締警察当局というのは、八幡浜市警察を指しておられることになりますぞ、その理由は、一、場所は曾つて暴力の街、ボスの街と惡名を買つている八幡浜市で行われ、二、表題に明るい街を築くにはと言つている点から見て、村の問題でなく、まさか青森や北海道あたりのことではないことははつきりしており、三、それに加えて、アナウンサーの質問の言葉に、判断すればわかるようなことになることを言われたことは、他の遠隔の地の人に言われた言葉ではなく、そのときの、その場所の聽衆に言つておられる言葉でしよう。その聽衆の人の中には、旅の人もおられることと思いますが、その八、九割は土地の人でした。その人たちにおいて、判断すればわかることであれば、八幡浜のことを言つていないと誰が思いましよう。私ははつきりとそのように聞いたので、聽衆の中に混つて人の話を聞いて見ると、聽衆の中にもそのように聞いておる者のあることを知りました。それからあなたから四、五番目に、アナウンサーが、警察に対してどのように思つていますかとの質問に対し、市会議員の山本さんが登壇され、八幡浜警察は、どこも同じく終戰直後は弱いようであつたが、次第に盛り返して、現在ではよくやつてくれるので感謝しておると、警察といえば八幡浜市警を指して言われるように、聽衆もすぐ思うような点などからして、はつきりしております。無論私はそのように解釈しております、私はあなたの言われるボスと警察との連繋のあるような言葉は、私どもの最も忌むべきことであるような放言は、警察を侮辱したこれ以上のことはないと思います。私はこれから帰つて署長に報告すると、署長は告訴すると言われるかも知れません。お前がやれと言われれば私はやります。あなたもそれについて心の準備をしておきなさい。それというのは、あなたの抜けられると思われることにつき、そのことを考えておきなさいということです。法の上で争いましようという意味の私の持つていることを率直に述べると、田縁先生はつまらんことを言つて済みませんでした。どうか許して頂きたいと言つて、相当悔いられておられる様子が見えるので、私も気の毒にも思い、その半面その場に校長先生菊池警部補がおるので、言いたいすべてのことが言えないのだ。これは二人だけの所で話をして見れば、何もかもわかるようなことになると思いましたので、私は田縁先生に対し、明日は日曜日ですが、先生もお休みでしようと尋ねると、そうですと答えられたので、私も日曜日は少し体も楽にしておりますから、二人で話をして見ませんかと言うと、私の心が田縁先生に反映したものか、快い返事がありましたので、それでは明日午前一時に出署していますから、来てくれませんかと言うと、田縁先生は快くこれを受け入れてくれたのであります。その間校長先生最初言われたように、一言も発せられず、一切のことを聞いておられたことは勿論であります。そのようにして、田縁先生との会談は二十四、五分で終つたのでありますが、私は告訴云々と言つたことは、他の普通事件であれば警察は摘発の義務があるのですが、名誉毀損罪は親告罪のことで、被害者である警察の立場から、あらかじめ親切味を深めて行つたことでありますから、勿論準備しておきなさい、抜けられることを考えておきなさいと言つたことも同じ意味であります。私は若い頃から物事にぶつかつた際、一応一歩、二歩退いて考えて見る性質を持つておることを知つております。つまり前後をふり向けて考えて見ることを忘れません。それがため犯罪容疑者を前にしたとき、手ぬるい、気が長いと思われたことはしばしばでしたが、生来の気性には変りません。相手を納得させて、自然の自供を促すといつた方法をとるので、決していわゆるトンコロをかけたり、嘘を言つて自供を促すといつたような卑怯なことは禁物といたしております。それがためには、若い刑事連中には、犯罪容疑者に当る場合には急いではならない、三十分かかるところは一時間、一時間のところは二時間かかる気持で相手を納得させて自供させねばいけないことを常々言つておるところであります。それがため、相手には先の先までのことを言つて納得させておくというやり方を私は常にとつておるので、田縁先生に言つたことも平素の私のやり方をとつたまでのことであります。まだありますが、略さして頂きます。  それで、八幡浜市警察に対しまする名誉毀損容疑事件としての論拠並びにこれを黙過することができなかつた特殊事情につきまして、一言述べさして頂きたいと思います。先ほどお聞き及びの通り田縁先生発言内容のうち、あの前半の発言のみを以ていたしますならば、事実を指摘したものではございませず、いわゆる抽象的な希望意見のごとき、一応は肯けるのでございます。秋本アナウンサーの反問に対しまする後段のあのお言葉とその口ぶり並びにこの街頭録音の行われましたるあの三月十八日のあの時、時間、場所的な環境乃至は当時の会場の雰囲気などとこの田縁先生の前半の発言内容とを総合いたしまして考え併せて見まするというと、刑法二百三十條の二の証明なき限り、刑法二百三十條によりまして明らかに八幡浜市警察に対しまする名誉毀損罪の成立あるものと解しておるのでございます。殊に八幡浜市警察は先ほども申上げましたごとく、土地柄ボス云々の問題につきましては、特別に配慮いたしまして、警察の純粹中立性を堅持して参つておりまするところでございまして、その事実なきにかかわりませず、あたかもこれあるかのごときお口ぶりを持たれてかかる真向よりの中傷に対しましては、市民の当市八幡浜警察に対しまする信頼感保持の見地からも、これを黙過し得ざる特殊の事情がございましたことを特に御賢察賜わりたいと思うのでございます。あえて処罰は求めませんけれども、筋を立てる意味、筋を通す意味におきまして、警察に対しまし一時い合せました市民の或る若干の者には、或いは八幡浜市警察はボスとそういう繋がりがあるのではないかといつたような誤解を与えた向もあるのでございまして、さような失われましたる警察の名誉、と申しましても決しで署員高橋の、内藤の或いは警察吏員の誰々のという名誉じやございません。八幡浜市警察つまり四万一千の八幡浜市民の皆様がたの警察に対する名誉を損われたものだ、この名誉回復の意味におきましては、告訴による方法も一つの証明方法で、言われるがごときボスと繋がりはないという証明の方法といたしましては告訴による方法が先ず唯一の方法であると考えます。そしてあえて処罰を以て臨んだものではありません。告訴する気持で進んだのでございまして、この喜須来学校におきまして先生とお会いいたしました顛末は、その直後喜須来の駐在所から私に警察電話がございまして、そのいきさつをよく承知いたしまして、そういうことならば、いずれ告訴するということになれば、公安委員会にお伺いして見なければならないけれども、一応私はそのときの気持は、先生に二十一日においで頂いて更に先生気持を確めて、私今でもそう思つてならないのであります。何か先生はそういう資料を、ただ噂でもよろしい、そういう事実をお持合せなつているのじやないかという気がしてならないのでありますが、そのことについて更にお伺いし、若しさような事実の持合せがないのにかかわらず、ああいつた発言があつたということでありましたならば、私はその責任を問いたいという気持であつたのでございます。その後、と申上げますると、二十一日、先生においで頂く約束をした日でございますが、午前十一時頃阿方岡公安委員長より電話がございまして、相手は教育者のことであるし、話さえわかればいいじやないかというお電話がございまして、私もそのときにはそういう途の点も配慮すべきことと考えまして、話さえわかればいいのだ、あえて告訴する必要もなかろう、こう思いまして告訴権の行使を放棄いたしまする気持になつたのであります。  以上のような事情もございまして、あの場合あの先生発言に対しまして八幡浜市警察がとりました措置につきましては、必要止むを得ざる当然の措置だと私今でも信じているのでございますけれども、ただ一つ遺憾に思いますることは、この点は申上げる次第もないのでございますが、たとえ内藤警部補先生に心の御準備を、或いは拔けられるようなことを考えておられるような余裕を與えますために、署長に相談すれば告訴になるかも知れないがいう、この告訴云々の我々の内意を漏らしましたことは、我々の気持は、只今申上げましたように、好意的な親切心からではございましたが、お受けになります先生にとつて見れば、或いはこれによりまして一般のかたがたの受けられるその御印象というものは、必ずしも警察の意を諒としていなかつたと思います。その点は非常に残念に思うのでございまして、今でも考えて見ますると、これは申上げるまでもございませんが、捜査の段階におきまして、警察当局の捜査の手順を相手に知らせるということぐらい不利なものはございません。捜査の非常に障碍になるのでございます。告訴するかもわかりませんよと申上げますならば、相手のほうは告訴に応ぜられる御準備をなさる。そうするということになりますと、公訴の維持上において、決して我々は、公訴の維持を望む我々として不利であるということをよく御賢察頂けると思うのであります。それを忍んで好意的に申したことでございますけれども、お膳を返して考えて見ますというと、そうは受取つていないのであります。この点非常に遺憾に存じます。実はその点を反省いたしておりますが、たとえ好意的にもしろ警察が、我々がその告訴の内意を先生に漏らしたということは失敗であつたと思つております。これにつきましていろいろな誤解を生みまして、誠に私ども事志と違いました結果を招来しましたことを反省をいたしておりますのでございまして、この点は私率直に警察が行過ぎであつた、告訴云々を漏らしたということは、たとえ好意的であつたにしろ、行過ぎであつたと私は率直にお詫び申上げる次第であります。併しその他の点におきましたならば、八幡浜市警察におきましてとりました措置につきましては、一応御了承を頂けるのじやないかと今でも考えております。何とぞよろしく御叱責を賜わりますようにお願い申上げます。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に阿方岡一証人にお願いいたします。
  9. 阿方岡一

    阿方岡一君 この問題は八幡浜人でなければピンと来ないということがあるのではないか。それは先ほどから高橋署長より縷々申上げておりますが、我が八幡浜市は余りよくない名前を頂戴しておりますが、高橋署長が就任以来というものは鋭意努力してもらいまして、極めてよくなつておる。これは市民も認めており、市議会も今度の問題について全面的にこれを承知してくれているのであります。それで八幡浜市におきましては、この問題について警察をとやかく言う者はないのであります。更に一、二少数の者があるということは、これまでの警察というものを考えましたときに、とかくの批判を受けているのでありまして、委員会といたしましても、今度署がとりましたことにつきましては、これほどに気を付けてくれておるということについて満足しておるのであります。ただ先ほど署長より申しました告発するかも知れないからという、この言葉でありますが、この点はまずかつたなとこれだけは存じております。これが、或いは言論を抑圧したということに、そういう感じを與えるということであつたならば、如何に親切に申しました言葉でも、受けるほうが親切でないときには幾らこちらから親切だと申しても、これは通らないことであります。その点はまずかつたと、こういうことが考えられると思います。なほ先ほど署長から私の意見として学校先生であるから話さえわかればとこう申しました。これには私は常に学校警察というものは離れてならない。殊に今日のごとく青少年に対する問題、かようなことを考えまするときに、学校警察が感情の上に対立しているというがごときことがあつては大変だと、こういうことを私は考えておるのであります。それで話の内容さえわかればそれでいいじやないかと、こういうふうなことを私は申したのであります。そのほかは何にもないのであります。いずれ又御質問でもありましたらお答えいたしたいと思います。
  10. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に稻田証人にお願いいたします。
  11. 稻田稔

    証人稻田稔君) 十月の十八日に街頭録音八幡浜市の伊予鉄営業所前で実施をいたしました。その街録を実施いたしました翌々日、即ち二十日でございます。その夜田縁先生校長先生から放送局に電話がありまして、事の次第を初めて知つたわけでございます。私のほうでは直ちに八幡浜市に在住しておりまする放送局の通信員に連絡をいたしまして、事件の真相を調査せしめました。その結果、警察当局のとられました措置は言論の自由に対する抑圧であり、民主警察あり方としては遺憾の点がある、そういう工合に私どもは考えまして、街頭録音始つて以来今まで曾つてない発言者に対する警察の措置である、大変これは遺憾なことである、健全な街録を将来進めて行く上においての芽を摘むものであり、大変前途思わしくない結果になつておる、こういう気持から事件の真相を輿論に訴うべく報道活動を開始いたしたわけであります。私どもといたしましては二十二日、これは月曜日でございますが、丁度署長さんも松山にいらつしやつていましたので、高橋八幡浜市警察署長さんと、内藤捜査課長、それから田縁先生の来局を求めまして、いろいろお話合いをいたしました。そこには地元の各報道機関も集つておりまして、又教員組合の代表のかたもお集りでございました。そうした席上におきまして、おのおの立場を申しまして懇談をいたしました。その席上問題になりました街頭録音は、勿論これを再生いたしましてこれを検討いたしました。で、改めて警察側の見解と、発言者田縁さんの意見も聞いて見ました。正確を期するために各自の意見を録音に收めまして、お三人の了解を得まして、当夜の六時三十分からの週間録音と申しまするローカル放送にこれを実施いたしまして、放送局としましては飽くまで客観的な態度を堅持いたしまして、事態を輿論の審判に待ち、公正を期して、慎重な編成方針、報道を行いまして、輿論の喚起に努めた次第であります。その間に松山弁護士会会長から、市長並びに公安委員長さん宛の警告と申しますか、それも発せられたようでございますし、又県政記者クラブからの市長さん、公安委員長宛の意見も出ております。放送局としては、その間に又時の動きで以て全国に判断の資料としての放送もいたしました。私のほうに参りまする投書は相当な数でございます。恐らく田縁先生の所へも、市長さんの所へも相当の投書が参つたと思いますし、世論も相当熟して参りました。そこで十一月の四日、今度の事態、恐らく正確に大衆のどちらがどう言つて、こちらがどう言つているということを大衆に理解されたものとみなしまして、輿論が今申しましたように成熟したものという考えから、再び街頭録音をこの前やりました同じ場所の八幡浜でやりました。そのときの題は、あなたは八幡浜街頭録音事件をどうお考えになりますか、こういう題の下に街頭録音を実施いたしました。当日の街頭録音にはゲストといたしまして、八幡浜市の公安委員会委員長阿方岡一さんと、愛媛県高等学校PTA連合会会長井上末光さん、お二人に御世席をお願いいたしまして、冒頭にお一人ずつ意見の発表をお願いいたしました。さすがに話題の中心になつた事件でもありますし、たまたま日曜日でもございまして、参集人員は約二千人を超えまして、附近の道路は勿論、民衆は民家の二階や窓や屋上までも人で埋められるという大変な人出でございます。録音は先ず事件いきさつと、問題になりました田縁先生発言内容の速記いたしました全文をアナウンサーが紹介しまして実施に入りました。  最初にゲストとして八幡浜公安委員長さんが登壇されまして、八幅浜市警察の立場と見解を説明されました。前回の街録を、アナウンサーは、今のお話の中でもつと具体的にお話し願えませんかとの質問に対する先生の態度と発言内容は、先生おつしやるように一般的なことを言つたとは受取れない、特殊の場合を指して言つたものと考えられる。この特殊性という見地に立つてよく判断しなくちやならない。こういうふうな意味合いにとつております。続いて井上PTA連合会長からお話がありまして、第一に教官発言内容というものは名誉毀損にはならないと思う。第二にあの場合に現場で聞いておつた内藤捜査課長は、なぜ堂々と警察官としての所信を現場において述べなかつたか。第三に内藤さんは国警のかたと一緒に教官学校にお訪ねになつて調べられた際に、告訴云々といつておられる。署長も任意出頭しなければ逮捕状を出すというようなことを報道関係者に言つておられる。今後のことは明らかに権利の濫用であり、行き過ぎであると自分は思う、猛省を促してやまない。こういう意味のことを井上PTA連合会長お話になりました。続いて一般大衆から発言を求めましたが、一般の人々の発言内容は、警察の態度は行過ぎである、公僕としての民主警察の精神に欠けるところがある、こういう意味の意見が圧倒的でございました。警察のとつた態度を是とする意見はございました。それも、あり場合警察のとつた態度は当然であるが、告訴すると言つたのは行過ぎではないか、又先生も自己の発言には飽くまで責任を持つべきである。こういう発言もございました。なお終りに当りまして、高橋八幡浜警察署長に登壇をお願いしましたところ、署長さんは壇に登られまして、今度のことは測らずも大きな波紋を描いて皆さんに御心配をかけましたことにつきましては責任を痛感している。併し私たちがとつた措置は、單に高橋とか内藤とかの個人の名誉を問題にしているのではない、八幡浜四万市氏の警察の名誉のためにとつた止むを得ざる措置で、この点は了承して頂きたい。こういう意味合いのことをお話になりました。最後に会場の拍手によりまして、警察の措置が妥当であつたかどうかを問いましたところ、妥当でないという拍手が圧倒的に多くございました。四十分に及びまする録音実施中は、終始真劍な熟慮された発言がされたように思います。これが十一月の四日の再街録でございます。  さてそれから二日置きまして十一月の六日と記憶いたしますが、高橋署長さんはかねて抗議文を出しておりました県政記者クラブに訪れられまして、警察側の行過ぎであつた点を認めて次のように回答されております。十月十八日の八幡浜市の街頭録音の際、田縁教官発言に対して警察署のとつた措置に対して行過ぎのあつた点を認め、一般に対して言論の自由を妨げたかの感を與えたことは誠に遺憾である、今後このようなことのないよう十分注意するという意味のことをお話になつたそうでございます。記者団もこれを了承いたしまして、又先ほど申上げました弁護士会長あたりから警告もよいの、何と申しますか声も出ておりましたが、弁護士会のほうもこれを満足に思われたようでございますし、又教員組合のほうも一応署長さんの言葉に満足の意を表したように存ぜられます。私のほうはその後、今の街頭録音を実施いたしたのが四日であつて、十日に午後零時三十分から再生放送を実施いたしました。その際最後に当りまして、街録あとに今の高橋署長が申されました。こういうことを申されておる。即ち警察側に行過ぎのあつた点を認めておられるということを附け加えまして、十日の街録実施放送を終了したわけでございます。
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に日本放送協会編成局社会課長長澤証人にお願いいたします。
  13. 長澤泰治

    証人長澤泰治君) 街頭録音の性格といつたようなものを先ず初めに簡單に申上げたいと思います。街頭録音終戰後間もなく東京で始めまして、当初は勿論公安を害しない、公共の福祉に反しないというような線で自由に聽取者の皆様に意見を発表してもらうというだけの目的で滑り出しましたが、当初は銀座で始めたのでございますが、なかなかその当時の情勢としては誰もマイクの前に立つて頂けなかつたのですが、日時がたつと共に非常に活溌に話をして頂いて、自由に意見を発表して頂くようになりましたので、更に目的を進めまして、現在までその目的はまあ続いておるのでありますが、世論の動向をラジオを通じて聽取者に知らせるということと、いろいろの世論を形成する上に判断の材料を提供して、その問題を各自聽取者が任意に判断して、民主化に貢献するというような意味合いで、現在も、その目的を持つてやつております。勿論或る一つのテーマに基いて賛成意見もありますし、反対意見もありますし、非常にそういう点で活溌な意見が交換されまして、現在でもNHKの番組の相当の地位を占めておるようなものでございます。それが一応私たちが考えております街頭録音の目的でございますが、今度の松山の、八幡浜事件街頭録音と申しますのは、今一週間に火曜日と土曜日にやつておるのでございますが、土曜日は松山ローカルで、全国放送ではございません。その松山のローカルの時間に放送したものでございまして、全国放送ではなかつたわけでございます。それで私どものほうの本部といたしましては、二十日に松山でこの街頭録音放送をいたしまして、放送する前にやや輿論の関心を持たれておりましたが、放送後も投書その他で関心を持つておる状態の報告が松山から参りましたので、本部といたしましてもこれを全国放送に取上げて、一応輿論の審判に任したいという態度を以ちまして、十月の二十八日、日曜日に八時半から九時に「時の動き」という時間がございますが、そこに事件のあらましを松山放送局から取つた資料に基きまして放送したのでございます。その中に勿論田縁教官先ほど録音のものもお伝えし、街のこの問題に対する批判、警察署長の談話、それからPTA会長の井上さんの、先ほど稻田証人が申しました井上さんの意見というものも交えまして、飽くまでも言論弾圧の行過ぎである、或いは警察の民主化のための行過ぎであるというような断定したものは、更に私どものほうといたしましては出しませんで、意見の真実を伝えて全国放送として実施して現在までに至つておる状態でございます。簡單ですが、あとは御質問に答えさして頂きます。
  14. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に放送協会編成局長春日由三君にお願いいたします。
  15. 春日由三

    証人春日由三君) 春日でございます。NHKは御承知のように放送法という法律によつて律せられておるわけでございます。その放送法の第一條二号、三号には、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」及び「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」という大前提がございます。あらゆるプログラムの編成方針はこれに基いて行われておるのでございまして、これは長澤証人の申しましたような全国中継のプログラムにしろ、或る特定地区のローカル放送にしろ同じでございます。更に只今長澤証人から申しましたように、街頭録音というものはあらゆる問題についての意見をあらゆる角度から知らせまして、その問題の所在、輿論の趨勢、そういうものを知らしめる。併せて各自が民主々義の原理に基いて自分の意見を卒直に発表する機会を與えるというふうな目的を以て行われておるわけでございます。従いまして私といたしましては、若し先ほど内藤捜査主任さんが、それに違つた意見をお持ちであつたならばなぜその場でおつしやらなかつたか、又その場でおつしやるような機会はNHKとしては十分に提供してあるということを第一に申上げたいと思うのであります。更にこの問題が初めはローカル放送でありましたものが、土地の新聞なり輿論なりに相当大きな反響を巻き起しておるということが伝えられましたから、これは非常に適当な問題であるから、全国にこの問題の正しいあり方、所在を示して、その焦点をはつきりさせなければならないという方針の下に、全国放送の時の「動き」に取上げるべく命じたわけでございます。私どもといたしましては放送民主主義の発達に大きな役割を果すためには、こういうような問題が起きました場合には、飽くまでもその問題の正しい焦点と申しますか、所在を明らかにして頂くと共に、若しこれは高橋阿方証人もお認めになつておりますが、告訴云々というようなことから民衆の正しい意見の発表というものが阻害されたならば、折角今日まで育て上げて来ました私どものほうの日本の民主化に役立つ大きな役割を果すプログラムの芽を摘まれることになりはせんか、これが私どもといたしましては一つの大きな問題の所在だと考えるわけでございます。従いましてこういう際に、こういう問題のあり方及びそれの究明を十分に行いまして、本当に放送というものが日本の民主化のために役立つ放送法の精神に立脚して飽くまでも正しい態度で、不偏不党で進んで行くということに努めたいと考える次第でございます。詳しいことは御質問にお答えいたしたいと思います。
  16. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今証人供述が終了いたしましたが、時間が十二時十分前になつておりますが只今多少質問を継続しますか、午後に再開いたしますか、お諮りいたします。    〔「そのままやりましよう」と呼ぶ者あり〕
  17. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは質問を午前中これから続けます。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 私はこの際、署長と公安委員長阿方さんにお尋ねしたいと思います。先げ第一に高橋署長さんにお尋ねしたいと思いますことは、署長が正式文書を以て当院に報告されておる中に、告訴云々の内容を漏らした点はいささか当を得なかつたという表現がございます。私はこれを読んだときには「警察が告訴云々といつたことは行過ぎであるということを反省してかかる表現をとつたと、こう見ていたのです。ところが只今証言を聞きますと、告訴云々を言つたことは捜査上その他いわゆる警察の手続としてこれは失敗であつた。だから当を得なかつたのだというふうにも聞きとれるのでございますが、その点現在の署長の見解を承わりたいと思います。それと加えて私は、署長に幾つかの点をお聞きしたいと思つておりまするが、時間の関係もございまするので、最終的にあなたの御見解を尋ねておきたいことは、現在只今田縁教官発言を刑法所定の犯罪を構成する言辞と解しておるかどうか、この一点について承わりたいと存じます。逐次聞きますから、それからお答え願います。
  19. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えをいたします。私は現在におきましても、田縁教官のあの発言を以ていたしますならば、八幡浜市警察に対しまする名誉毀損罪の成立するもの、かような見解を堅持しております。それから今一つの御質問にお答えしたいと思いますが、いささか当を得なかつたというのは、恐らくこれは公安委員長から御報告申上げました文書に記載された文句じやないかと思うのでございます。私捜査手続上失敗であつた点も認めております。それから今一つ遺憾に存じておりますることは、私ども内藤君がああいう気持田縁教官に告訴の内意を漏らしまして、心の御準備を向けられるようなことを考えておかれるようにと、こう言つたのでございますが、私どもの本意はそうではあつたのでございますが、併しながら相手方の先生の身になつて考えて見ますると、そうはお受取りになられませんので、非常なシヨツクを受けられたということは、そのお気持は我々もよくわかりますが、我々のこと志と違いまして、さような結果を招きましたことにつきまして、これは告訴云々のことを申し向けましたことは、たとえそういう好意的に言つたことであつたにしましても、これは極めてまずかつた、遺憾であつた。この告訴云々の言葉は我々は不用意ではなかつたのでございますが、そういうふうな感じをお與えした。こういう点について申訳ないと思つておるわけでございます。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 田縁教官あとの話で、これは地区関係することであると言つておりますけれども内藤氏の調査によつて、これは依然としてその影響するところは、市警察に関することであるから、これは飽くまで市警察の問題として取上げるという態度を署長はとつておるようでございまするが、そういたしますと、私が疑問に思いますことの一点は、先ほどの公安委員長さんのお話に面白い言葉がある。これは八幡浜市でなければピンと来ないということを言つておる。これはこの言葉の裏をひつくり返すと、田縁君が言うと言わないとにかかわらず、八幡浜というものがボスが横行し、なおこの田縁君が言うがごときことが一般の人々の常識化しており、町の話題になつているのではないかと想像されるのでありまして、そういう意味であなたは田縁教官発言を当市警察に対する名誉毀損罪の成立に価いするというその根拠として、特に八幡浜というものは特殊であるということを認めておると思うのです。然らばその特殊事情というものは何であるか。過去においては何であつたか、現在においては何であるか。その特殊事情という点を一つお聞かせ願いたいと存じます。
  21. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) この八幡浜市の特殊事情につきまして申上げたいと思いますが、只今はそうだというのではございません。往時からいわゆる暴力団と申しまするか、ボスと申しまするか、そういうものだと目せられておりまする人物があつたのでございます。現在はさような組織だとか動きというものにつきまして、私そういうものはないと、こういうふうに信じております、現在において……。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 それは後ほど公安委員長さんにも尋ねたいと思いますからそれでやめますが、内藤さんの質問態度、それから言葉、誠に慇懃鄭重を極めていたことは、これは田縁氏の証言にも明らかですから、我々は信ずるにやぶさかでありません。ただその言葉が如何に慇懃鄭重を極めていても、追討的に田縁君に対していろいろなことを質問し、とどのつまりに至つては告訴することがあるから用意しなさいと言うことは、その一点はいささか当を得なかつたなどという生ぬるい表現ではなくて、甚だ警察としては私は行過ぎではないかと思いまするが、而もその言つたところがラジオの街頭録音でもつて、街頭録音というものが今日社会に果している啓蒙的役割というものは非常に大きいと思うのです。而もこれは原稿があつてしやべるのでも何でもない、いわば、無責任言葉を許すというわけではないけれども、一般の人の思いつきというものがやはり集約されて世論を指導することの価値というものを我々は認めないわけに行かないわけでして、そういうふうに考えて見ますと、告訴云々と言つたことは強迫的言辞だと私は思うのですが、それに対しては署長はどうお考えですか。
  23. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。私思いますのに、一部のかたも、ほんの一部でございますが、さような御意見がございました。告訴云々のことを洩らすということは強迫ではないか、こういうことをおつしやいましたが、併しながら、告訴権者が告訴権行使の腹がありまして、告訴するかもわかりませんぞということを申込みますということは、併し警察である限り妥当を欠くと思いますが、一般の場合ならば容認されることだと思います。
  24. 相馬助治

    相馬助治君 警察官の場合にはかかる言辞は妥当を欠くということを署長は肯定されますか。
  25. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) そうでございます。
  26. 相馬助治

    相馬助治君 従つてこれは強迫的言辞であると断定して差支えございませんね。
  27. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。強迫的の言辞ではないと思います。こちらに告訴権があるのでございますから。
  28. 相馬助治

    相馬助治君 私が尋ねておりますのは、こういう問題が普通にあります場合には、法の示すところによつて俺は告訴をするつもりだ、こういうことはそれは普通の場合許される。併し警察官の場合にはあなたが問題であると、こうおつしやつているので、私が申しているのは内藤君の言葉というものは慇懃鄭重を極め、而も告訴についても、私どもが見るというと非常に親切げな表現をとつていることを認めたのです。従つて私は先ほど署長にそれらの点についての予備質問をして今こういうことを申しておるのですが、いろいろの雰囲気、それから田縁君の置かれている心理状態、そういうものからいたしますると、而も言つているものが警察官である、而もそこには何の必要あつてか知らないが、地区署員も同道している。而も校長室である。こういうことをいろいろ考えまするというと、これは私どもとしては、今証人の陳述しただけの資料から判断いたしますると、強迫的言辞と受取る以外に手かない。従つてこれに対して如何ですかということを署長にお尋ねしているわけです。
  29. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。重ねて私ども信じておりますることを申上げさせて頂きたいのでございますが、私は決して強迫的な言辞だとは思つておりません。
  30. 相馬助治

    相馬助治君 そういうふうな考え方が一方的に警察としてはされるからして、こういう間違いが起きて、私あえて間違いと申します、これはやはり街頭録音の問題ではなくて、放送局の問題でもなくて、やはり私は民の言論に対する一つの大きな圧迫に、究極するところ発展して行くと思うのです、あなたの善意の如何にかかわらず。そこで先ほどからお尋ねしておるわけなのでございますが、それではもう一点承わりますが、内藤君が署長に報告した文書には現われていないようですが、中略されたところに或いはあるのかも知れませんので、念のために伺いたいと思いますが、逮捕状云々という言葉内藤君が、田縁君ではないそうでございますが、誰かに洩らしたということは事実でございまするか。又そういうことを署長は指揮されたことがございますか。
  31. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 先ほどのいわゆる言論の自由に対しまする私どもの考え方でございまするが、これから申上げさして頂きたいと思います。申上げるまでもございません、国民の政治的、社会的乃至は学問的、芸術的活動上不可欠の要件でございまする言論の自由が憲法によりまして保障されておることは当然でございます。併しながら、そのいわゆる言論の自由は、絶対無制限の、放任の自由ではございません。(「その通り」と呼ぶ者あり)公共の福祉の粋の中において認められるものでございまして、この限界を超えました、少くとも刑法で定めておりますところの犯罪を構成しまするような言辞は、いわゆる自由の言論として放任さるべきものではないと思います。たとえ公共性を有しまする街頭録音の場合におきましても、その違法性が阻却されるものではないという見解を私は持つておるのであります。それから今一つ逮捕状云々の問題でございますが、これが誤解を生みまして、私誠に軽率であつたとみずから恥じておるのでございますが、この事情を一応お聞き取り頂きたいと思います。実は二十一日、田縁先生においでてもらう約束のできた日でございます。たまたま検事正の送別会がございまして、私松山に出向く予定になつておつたのでございますが、その発車の時刻が零時五十四分、これが迫りました四、五分前でございます。愛媛新聞社の藤堂記者だと記憶しておりまずか、電話がございました。丁度私出かけておりましたのですが、署長電話だ、愛媛新聞からだと、署長はもう出たと言つておこうかということで、私出たと言つてもろうたら問題はなかつたのでございますが、私正直に引返して参りまして電話にかかろうと、気はせきながら……署長あと二分しかない、もうあと一分だと、こういうわけで署員が私をせかしまして、実は署長、今日田縁先生を喚ばれたというが……そうです、その通りです。これは併し喚ぶということは飽くまで先生の御任意なお気持から来てもらうところのいわゆる捜査上の言葉で申しますれば任意出頭である、こう申しました。ところがその藤堂記者の言われるには、任意出頭と言つても昔の時代ならばいざ知らず、今の時代で警察の任意出頭だと言つたところでは応じぬでもいいのではないかというので、その通りです、応じられんでも結構です、そのときに、そのときはそのときの考えがあると言つて置けば誤解を生まなかつたのでございましようが、私根が正直なものでございますから、(笑声)飽くまで任意出頭でございます、併しながらこれに応じられないでも結構です。それではそれに応じられなかつたらどうするかということでございましたから、応じられない場合には、場合によれば逮捕状をもらつてでも強制捜査の方法によつてやらなければいかんということになるかもわかりません。そうしたらベルが鳴り出しました、発車の……。それで私は、今すぐ松山に出かけましてこのいきさつお話し申上げますからと言い、いずれ本署へお伺いします、と、それで電話を切りましてもう発車間際に列車に飛び乘つたのでございます。駅を降りてみましたら二十一日の愛媛新聞の夕刊でございましたが、大きく出ている。外録に怒る八幡浜市署、任意出頭命令、応ぜざれば逮捕状。私は事の意外に驚いたのでございます。逮捕状云々の件はそれなのでございます。誠に軽はずみであつたと、私警察官拜命十八年になりますが、これは一生の不覚であつたと、決して今後新聞社にものを申します場合には余ほど用意周到に、(笑声)用意周到にです、正直にものを言つたらいけない。こういう気がいたしました。今反省をいたしております。そういう事情でございますので……。
  32. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 先ほど来の相馬君の発言に関連して質問のあるかたは、この際願います。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今入つて来たばかりで前後のいきさつはわかりませんが、先ほど田縁君の供述について警察署長にお尋ねして置きたいのですが、一つは捜査課長なるものが、田縁君の勤務校まで出掛けられ、而も地区署と連絡されて出掛けられたということですが、どういう根拠によつて地区署と連絡をしたものであるか、お伺いしたい。又その点は或る事犯として連絡があつたものでなければ、私的な連絡であつて、自治体警察国警との公式の連絡という問題とは問題は別ではないかと想像せられるのであります。従つて若しも公式な情報交換等の連絡であるとするならば、この問題は捜査課長を指揮する警察署長として、その当時どういう事件であるとお見込みになつて、そういう措置をとらせたのであるか、この点お伺いしておきたい。
  34. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 国警のほうに連絡をいたしました点ですが先ほど朗読いたしました内容に附加える点はございませんですが、これは連絡後に私は内藤君から報告を受けまして、そういう措置をとらしたのであります。先ほど申上げましたように、内藤君の質問に対しまして先生はこれは郡部だ、こういう仰せでございましたので、郡部国警関係でございまして我々はそれで国警のことだからというので聞き逃しはできない。国警、自警と制度が分れておりますけれども、仕事は同じ仕事をやつておるわけでありまして、これは国警のほうにも耳に入れまして、若し何らか国警の管内にさようなことでもあつて、そういう資料先生がお持合せならば、それをそのまま聞き捨てにはならんという意味から国警のほうに……、而もこれは何回も申上げまするが、最初から告訴呼ばわり、名誉毀損呼ばわりしたのではございませんので、何らか先生がお持ち合わせならばその資料をもらおうじやないかという気持でありまして、国警のほうにも連絡をいたしまして……ですからこれは名誉毀損罪という捜査の過程にはそのときはなかつたのでございます。そういうわけでございますので、地区署長にも内藤君にも連絡いたしません。出先の川之石の菊池警部に電話をいたしまして、一緒に先生にお会いして見ようじやないかということでお会いしたのであります。そのとき飽くまで捜査の段階に入つていないのであります。事実行為として何らか資料をお持ちならばもらわして頂きたい。そうして警察の運営の資料に或いは若し間違いができておればお詫びをしよう、お詫びで済まなければ責任をとろう、こういう一念からであつたのであります。それで学校を選びましたということは、これはいろいろ見方、考え方もございまするけれども、先ず犯罪捜査としてお邪魔しておるのではないのでございますから、先生の任地のお勤先の学校が一番適当でないかと、こういう考えであつたようでおります。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その捜査課長の属する八幡浜警察署の、例えば名誉毀損罪を構成するという場合でも、その自治体警察の権限内においては田縁君は郡部のものであると言つたというさつきの話なんです。郡部のことですよということではないようであります。私は郡部のものですから八幡浜市のことではございませんと、こういうふうに申上げておるようですが、それが仮にあなたのおつしやる通り郡部のことですとなつたにしましても、それだけの話があるならば、それだけの問題で若しも名誉毀損罪が構成するとなつたならば、それだけで手続がとれるのではないか。何で地区のほうの学校側まで出掛けて行く必要があるか、こういう点を捜査の過程でもなくつてそういうことをやつたということは、それは自治体警察としての仕事の上の行為ではなくて、その捜査課長個人の越権ではないかということを一面考えられるのですが、この点は如何です。
  36. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 場合によつたならば、署長と話をして署長と相談ずくで告訴することになるかもわからないということは、先ほどから申上げておりまするがごとく、喜須来の小学校先生とお会いをいたしまして、最後にそういうことが出たのでございまして、それまではさつきも申上げましたように、その資料をもらわして頂きたいという一念もあつたのでございます。それから越権というような今何がございましたのですが、内藤君は街録のございましたその当時の内容、それから地区の菊池警部の派出所に電話連絡をいたしました、その日の五時頃でございましたか、その事情を私に報告がございました。私はその日に報告を承認いたしまして、ともかく事実を漏らしてもらおうではないか、国警と相談して、国警と示し合いでやつたらよかろう。こういうことでやつたのでございまして、ですから先生言葉が変つて参りまして、一般概念論ということに変つて参りましたので、それは併し先生、そういう口振りは無責任じやないかということになりましたのは、もう最後でございまして、その途中は飽くまで捜査の過程じやございません。事実行為として何かそういう資料をお持合せならば、お見せ頂きたいということで参つたのでございます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 というのは、私今のお話は納得できない。本人が、街録においての閉会後に、個人的な話合いの場合に、八幡浜市のことではございませんと言うたら、それで用は済むのじやないか。それについて何か嫌疑があるとするならば、嫌疑があるとする方法を以てなぜやらないか、こういう点を先ず第一に私は指摘をしたいのです。それからもう一つは、誠にどうもその場合の自治体警察国警側に対して親切極まるやり方であるようでありまして、一緒に同道して聞くということについては、飽くまでこれは自治体警察側のほうが主役になつて、そうして国警の者の同道を求めて学校に行つたように考えられるのですが、この点もはつきり一つお伺いして置きたい。それから先ほどの任意出頭の問題ですが、あなたの十八年間のあれで一生の不覚であつたと申しますが、併し一般に任意出頭に応じない場合には、これは逮捕状も出すというようなことは、よく言われておるし、やつてもおることです。従つて田縁君の側にして見れば、来ても来なくてもいいのだという誠に捜査の段階にあるかないかわからんようなプライベートのようなことで、自由な気持警察に行くということ、或いは行くことをやめるということをなし得ない。その背景には若しもこれを断つたらどういうことをされるかわからんという不安と動揺があつて、そうして出かけて行かざるを得なかつたのであろうと私は考える。私自身の身になつてもそういう場合があると考える。それとこれとを睨み合わして、先ほど相馬君も言つておりまするが、警察官として、確定もしておらない問題について、そういう不用意な署長発言があり、又捜査課長のそういうやり方については、私は越権ではないかという考えを持つものなんで、この点もう少しはつきりお答えを願つておきたいと思います。
  38. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。只今の御意見御尤もでございますが、あの場合に郡部のことだから市警のことじやないのだということで済まされはしないのでございます。その場合に、郡部のことだ、こういうことになりますれば、もうしよつちゆも私も仕事の方針といたしまして、つい最近まで西宇和地区署とは同居をいたしておつたのでありますが、ことごとく犯罪捜査の面ではお互いに連絡し合いまして、よく協調の実を挙げて参つておつたのであります。このことにつきましても、郡部地区署のことと、今日先生自体もおつしやつたよう内藤君が申すのでございますが、そういうのであれば、ともども出かけて行つて、先生にそういう資料があるならばばらしてもらつて、ともども反省資料に、或いは警察運営執行部資料にと、こういうことになつたのであります。それで一緒に喜須来学校をお訪ねしたと、こういうわけでございます。それから先にも申上げましたが、場合によつたら告訴をということになりましたのは、先生のお言葉が変つて参りまして、一般概念論だということになりましたので、先生のあの後段の口振りとは全然変つたことになりましたので、これはどうも我々の迷惑これより大きいものはない。署長に相談すれば告訴することになるかもわからんがということになりまして、そこで初めて名誉毀損罪の捜査の、何と申しますか、本筋の段階に入る段取りになつたのであります。それまでは別に犯罪捜査だとか、何とかというようなことでやつたのではございません。それから先ほどちよつと御意見がございましたが、告訴を我々自体が、警察自体が被害者だから、被害者自体がそれを捜査するということは、これはいわゆる本筋的な捜査の段階に入りますればこれはよくない、妥当を欠くということはよく我々心得ております。であればこそ、その告訴権を行使するかどうかの準備行為といたしまして、先生に二十一日においで頂いて、それでゆつくり話合つてみようと、若しその資料が、又そのときも内藤君が今のところを顛末書にも書いてございますが、又二人で、国警のかたがおられたり、校長先生もおられたならば本当に腹を割つてのお話を願えないのじやないか。二人だけならば膝を交えて懇談すれば何らかの資料を洩らして頂けるのじやないかというような気が内藤君にはあつたのでございます。それで二十一日においでてもらう約束をしたわけでございます。それから今の逮捕云々の問題でございますが、これは先ほど申上げましたようなことでございまして、あれはいきなり新聞にああいう記事になつて出ましたことは、これは私の軽率のいたすところであつたかもわかりませんけれども、私どもはそういう事情だつたのでございますから、若し任意出頭、今の時代で任意出頭に応じんでもいいのだから、昔ならばいざ知らず、今の時代に応ずる必要はないのだ、先生が出られなかつた場合はどうするかということでございましたので、若し、おいでにならなくてもいいのだが、場合によつたならば、逮捕状をもらつてまでも、強制捜査の方法でやらなければならないことになるかもわからないということでございます。とにかくまあ行つて話をするから行くということだつたのですが、新聞に先走つてぱつと出たという事情でございますので、その点御了承頂きたい、こう思います。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも私素人のせいですか、わからんのですが、街頭録音の当日に、プライベートの街頭における田縁君への捜査課長の話で、田縁君は八幡浜のことではございませんと言うたなら、別に犯罪捜査の意思のないそのときにおいて、何で国警とも連絡し、しつこく学校まで訪ねて聞こうとするか。そうでないと言われたらそれで済むのではないか。それをですね、出掛けて行つてまで参考の資料、事実を聞いて反省に供したい、反省に供したいという、もうしつこいことではないだろうか、どうもこの点が私にはわからん。而もその当日、聞くところによると、これも証言を求めますが、街頭録音の会場に偶然に捜査課長がおられたり、あとのその他の警察官もおつたようでありまするが、それらはやはり街頭録音の題目と警察との関連で、どういう民衆の意向があるかということを聞き、或いはその他の目的のためにその会場に意識的に八幡浜警察署員が入つておつたのではないかと思うので、この点の顛末についてもお伺いしておきたい。で第一点から一つ。
  40. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。国警のほうに連絡いたしましてともども出掛けて参りましたということは、私ども警察、私ども警察というより皆さんがたの警察でございまするが、この警察の運営をより民主的にと、皆さんがたの御意図に副うように、皆さんがたの声を十分に聞くと、こういう意図に基きまして何らか資料をお持ち合せであれば洩らして頂きたい。先ほどお話がございましたが、市部のことでないのだということで、それでもうよせばいいのじやないか、しつこく聞く必要ないじやないかという仰せでございまするが、いま一度あの先生の御発言の前段と後段の話をもう一度御検討頂きたいと思うのでございます。それでこれは済まされるかどうかの問題もございまするが、我々がそのまま国警のことだからいいということでは、この傷つけられましたところの我々の警察の名誉の回復と申しまするか、何といいますか……ですから資料があるならば私ども反省する、若しなければ先生の御発言に対して、無責任極まる放言ならば、その責任を問いたい、こういう気持ちであつたのでございます。それからいま一点でございますが、或る新聞にも出ておつたそうでございますが、事前に署員を潜らしておつたのではなかつたかという記事があつたようでございますが、全然そういうような事実はございません。たまたま内藤君、ほかの二、三名の職員が非番の連中などが街録に出ておつたようでございまするが、内藤君が顛末書でこういうことを書いてございます。街録の標題は、明るい街を築くにはと書いて、その傍に、十分覚えておりませんが、封建云々、青少年不良化防止、何々と紙に書いたものが貼つてあつたので、私はこれを見てこれはよい題目だ、殊に青少年不良化防止とは我々の仕事に通ずるよい問題だ、如何なる発言か聞いて、これからの参考資料にしなければならんと思つて、この街録の場所に出掛けたと、こういう述懐がございますので、それで事前にこれは警察に対する何かあるであろうというようなことで、私どもが事前に何かの目的を持ちまして現場に出掛けておつたものでないということはおわかり頂けると思いますし、若しそういう意図に基きまして我々が事前にその手を打つておつたのでございますならば……その点御了承頂けると思うのでございますが、あの田縁先生内藤君がお会いをいたしまして、極めて辞を低ういたしましてお会いいたしておりまするが、その後におきましても、先生御自身にもお認め頂いておりますような状況であつたのでございまするが、我々が何らかの意図を持つて出掛けておつたというのでございましたならば、先生ちよつと済みませんが、署へ、ということで、その場から署へ出て頂いてということになるのじやないかと思うのでありまして、決してそういうような意図によつて私ども最初からそういう考えでこれに臨んだものじやないということは、是非一つ御賢察頂きたいと思います。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の前段の部分の御発言ですね、しつこいようではないかというのだが、いやそうではないということでありましたが、その発言中にですね、若しも事実無根のことであるならば、無責任極まることである。これは追及しなければならん。こういう意図を持つてやつたのだということを、只今あなたはおつしやつておられる。そうだとしますとですね、それは犯罪の捜査のためにしたものではない。意図的ではないということに矛盾して来るのではないか。この点やつぱり警察としては、或いは捜査課長として職権によりて意図的なものを持つて、こういう行為をやつておるのではないか、学校において面会するまでのときにおいて、若しものことがあつたら引つかけてやろう、こういう意図があつたことは、あなたの今の証言において明らかなんです。この点は私もう一度念のためにお伺いしておきますし、こういう話を繰返しても如何ですから、公安委員長にお伺いしますが、この單なる警察署に対する誹謗ですか、或いは又……言い直しますが、犯罪を構成するという容疑があるというような意味合いで、この報告を受けたのはいつであつたか。又そうでなくて、街頭録音に行つて、これらのことを言われたというようなことで、この問題をお知りになつたのはいつであつたか。この点をお伺いしますし、又今の高橋さんと私との質疑応答の間における問題点について、あなたのほうに御所見があつたら承わつておきたい。公安委員長として……。
  42. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 今の捜査の、いろいろ犯罪捜査に移つたのはいつからか、それより以前かとの問題でございますが、最初内藤君から報告を受けましたのは、先も申上げました通り、十八日の午後五時頃だと記憶いたしております。そのときには飽くまで先生資料を我々のほうに洩らしてもらうと、洩らしてもらいたいと、こういうことで内藤君に話をしておるのでございますが、私のそのときの気持といたしましては、それじやないのです。併しながらその奥には私考えを持つでおつたのです。これは内藤君には洩らしておりませんけれども、若し資料が、我々は心当りは全然ございません。こういうことについては……だから心当りもないにもかかわらず、あれだけの御発言……。そうするというと、八幡浜市警察に対しましてかれこれ言われた、いわゆる名誉毀損に対しまする、名誉毀損をされる類の事件といたしましては、警察に対する酷評といたしましてこれ以上のものはございません。かように言われたごとき警察であれば、むしろ無警察のほうがよろしいと思つております。それぐらいの問題でございましたので、資料があるならば、飽くまで洩らしてもらいたい。責任もとろう、資料をお持ちのものがあれば、我々心当りがないから、若し先生資料をお持ち合せにならんで、いい加減な御放言ならば、その責任は私のほうで一つ告訴によつて問いたい。こういう気持であつたことは間違いないのでございます。併しながら我々のほうで申しまする犯罪捜査過程に入りましたのは、先生がお言葉を飜えされるようになつてから後のことであるということを重ねて申上げておきます。
  43. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) 私は問題を承知したのは二十一日であつたと思います。あなたがNH……いや、これは恐らく松山放送局でしようね、尾上というのは……尾上というZKの連絡員が参りまして、その人と朝日新聞の八幡浜駐在の連絡員……記者ですか、その二人が二十一日の十時頃であつたか、私の所に来られまして、ちよつと会おうということでお会いしましたが、この間の問題で警察のほうでこれを話さないかということで聞いたのであります。そうして問題がどうも大きくなりそうだから、委員長、何とかして呉れんかと、こういう話があつた。それで私は、それは八幡浜でああいうことを言われたのでは、八幡浜市民は、何か署長が持つておるのではないか、こういう不安がある。これは最近になつ高橋署長の就任以来極めてまじめに取組んでおる。それほど市民はまじめで、非常に有難いのです。又内藤捜査主任が、何かあるのではないか、あれば教えてもらつて、いけないことであるならば、これを直さなければならん、この心持は当り前ではないか。私こういうふうに考えております。但しこれが聞いてみますと、学校先生がこういうことですから、私先ほど申上げました通り、これはどうも感情の上で妙なことができると困る。早速署長に電話をして、これは話がわかつたらどうなる。あなたがたが的確にやつて呉れる気持はわかる、わかるが、そこで一方又この先生と妙なことになつて、将来お互いがまずいことを考えなければならんということになると困るのだが、言葉が惡いかも知れませんけれども、感情的にいやなものを残すと困る。話がわかればというのはそこなんで、先生が名誉を傷つけたという、そういうような意味ではなく、そんなことがないということがわかれぱ…、荒立てて先生をどうしようということであればどうかと、こういうような意見を出したのであります。確かに私が承知したのは、二十一日の十時頃に連絡員と、朝日新聞の人が来られたときに初耳でございます。
  44. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は先ほど録音を聞きまして、高橋さんの発言だけ、今日の問題のみを捉えて言つているというふうには感じられないのです。高橋さんじやない、いや、田縁さんです。再三言つておられるように、市の特異性ということをよく言つていらつしやる、その特異性をあんたも認めているように思うのです。そこで田縁さんは單に今日の問題ではなくて、これまでに八幡浜市にあつたいわゆるボスと警察の結託と言いますか、そういういろいろのことを耳にしておられたために、それを既定概念として発言されたので、今日高橋さんのやつている警察の中に、そういうことがあつたという断定の下において、これを発言したとのみ解釈できないと思うのです。あの放送を聞いて、私はそういうふうに聞きます。そういうことは街頭録音で往々あることもすね。これまであつたことを……今日あるかないかわからんことを発言する場合、そういうふうな発言の仕方はあると思うのです。それを高橋さんは今日のこととして取上げたのは、どこにあるのか。又田縁さんは本当に今日あるという断定の下に、それを発言されたのか。そこの点を先ず第一に伺つておきたいと思います。
  45. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 先ず田縁さんから……。
  46. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) ちよつと席を立つておつたのですが……。
  47. 須藤五郎

    須藤五郎君 わからなければもう一遍申しましようか。
  48. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) わかりました。後段の私の発言が具体論であろうと、その具体論はつまり八幡浜市の既往の問題ではないかという御質問であつたと思うのでございますが、後段の発言をいたしました私の心理状態というものを、この際明らかにしておきたいと思います。と申しますのは、街録を始めます最初にアナウンサーのほうから、街録実施上の注意というのが二ヵ條お話になりまして、その第一に街録の性質をまあお述べになつて、街録は個人の誹謗に亘るようなことはいけないというようなことであります。もう一つは、選挙に利用してはいけないというようなことをお話になつたのであります。で、私の前段の取締の公平という趣旨の話が終りまして、壇を下りたと思うのでありますが、袖を引張つてちよつとお上り下さい、ちよつと上つて下さいとおつしやつたと思うんですが、今のお話でと、こういうようなことであつたと思います。
  49. 須藤五郎

    須藤五郎君 簡單でいいですから……。
  50. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) そうですか。今の注意の第一の個人の誹謗云々ということはいけないという御注意がありましたのでありまして、具体的事例を述べれば、そういうような個人の誹謗ということに関係するし、個人の名前を出さないまでも、推測のできるというようなこと自体が個人の誹謗に当るのであるから、そういう御発言は適当でないというふうに考えますので、御遠慮させてもらつたらというような気持なんでございまして、そこのところ御了解して頂けたらと思います。従つて只今八幡浜市の既往の何か事件についての概念ではないかというようなお話でありますが、近在に住んでおるのでありますが、それほど深く八幡浜市の既往のいろいろな問題……。今回の事件が起きましていろいろ耳にするわけでございますが、それまで既往の問題なんということを、特に八幡浜市について考えておつたわけではございません。飽くまでも八幡浜市というものを考えないところの、広い意味一般論でございまして、既往、現在を間わず、八幡浜市の問題ではございません。
  51. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。田縁先生の御意向が奈辺にあるかは存じません。併しながら、先生の御発言にございましたように、警察取締当局が本当に公平な取締をやつて頂いたならば、現在のいわゆるボスと言われておるところの勢力は、今少し影を潜めるのではないかと思つております。惡いことをする、暴力をする、そういう場合でもいわゆる街の顔役が中に立つて、警察取締当局と折衝すると、問題はわけなく解決するという御発言がございましたが、私どもが黙つておれるはずはございません。そういうような有力な背景を持つておる者は、何ら罪に問われない、問題にならない。併しそういうふうな背景のない者が少しばかり惡いことをすると、それがかなり大きな問題として取上げられる。それからちよつと略しまして、あとの何ですか、先生のお気持はどうであつたかわかりませんが、この御発言内容からいたしますというと、具体的な話はいろいろ差支えがありまして、個人の名前は出ませんが、判断が付くというようなことになる心配がありますので、遠慮させてもらつたらと思いますので、と、こう言つておられます。それからこれはここでかようなことを申上げて如何かと思いますが、内藤君が田縁先生にお会いをいたしましたより以前に、或る町のかたが先生に会つておられます。そのお話の模様はどうであつたか詳しくは存じませんけれども、かようなことであつたように承わつておるのでございます。先生、私はどこそこの誰という者ですが……。実はその御本人今がこちらにお見えになつておられるのでございますが、八幡浜市の菊池璞と申されるかたでございます。このかたが、私はこの町の菊池という者ですが、終戰当時の警察については私も飽き足らない感情を持つておつたのですが、今、先生お話は何でしたか、何か御存じになつておられるのですか、ということをおつしやつたかと思います。そのとき、先生郡部の者だとおつしやられました。郡部のかたでこちらの警察のことが、と、こういうふうに重ねてお尋ねになりましたら、いや、私は郡部ですが、市の近くでございますので、警察のことはよく知つておりますと、かようなお答えがあつたように洩れ承わつておるのでございます。かようなことでございましたならば、先生のお気持が奈辺にあつたかは存じませんけれども、そのお言葉内容から伺いますというと、何らかやはりこの八幡浜市警察に少くとも繋がりのあるものを以て御発言なさつたのではないか。こういうふうに私は心得ておるのであります。
  52. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほどからの御発言の中で、高橋さんの中にも八幡浜市民でないとピンと来ないという御発言があるのですが、そのピンと来ないという内容が、私たちもう一つピンと来ないわけです。そこでこのピンと来ない点を、もう少し具体的に説明して頂くために、私は田縁さん、高橋さん、阿方さん、稻田さん、四氏にお伺いするのでございますが、今日の八幡浜市においては、そこのボスと警察の結託というような、町を暗くしておるような事件が全然ございませんですか。風評としてもないですか。その点を伺つておきたいと思います。
  53. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) 私、具体的なことはわかりませんのでありますが、丁度街録終りまして帰る途中でございます。帰る途中、喜須来八幡浜市の中間の峠に差しかかつた所で、丁度私の同僚と……八幡浜から通勤をしておるのございますが、その同僚と出会いまして、実は街録があつてこうこうだつた、こういう内容の話をした。内藤さんからこんなふうに話があつたということを申しましたときに、それは八幡浜においてそういうことを言えば誤解されるかもわからないぞというようなことを言われましたので、まあ突つ込んで聞いたわけでありますが、いや、現在は何もそういうことはないが、そういうふうなことが言われておるんだというような話があつたのであります。彼も事重大であると見たのか、それ以後具体的な事例を語つて呉れませんので、詳しい具体的な事例というものは存じておらんのでありますか、そういうふうに同僚たちの話ではやはり何かそういうものがあるのだというような印象を現在受けておるのであります。
  54. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 私、昭和二十三年の十二月二十八日附を以ちまして、国警本部の防犯統計課長から八幡浜市警察署長といたしましてお世話になることになつたものでございまするが、爾来満三ヵ年になんなんといたしておりまするが、公安委員会の上司のかたがたの御指導を頂きまして、私は八幡浜勤務は初めてでございます。赴任に当りまして私の先輩、只今国警本部の刑事部長をやつておるかたでありますが、高橋、お前行つてほかに気を付けなきやならないことはないが、ただこの点だけ心得ておけ、ということがございましたのは、八幡浜には昔からボスを以て目されておる者がある、これはいずれも只今映画館を経営いたしております。これは余ほど気をつけてかれこれ色眼鏡で見られるというようなことのないように、それさえ注意しておればそれでいいのだと、こういうことを教わつて赴任いたしました。そういうことも、全然私、未知の土地でございまして、そういう先輩からの指導もございましたし、公安委員会の上司のかたがたの御意向もございまして、私三年間になりまするが、その間かれこれ批判を受けまするようなことについて絶対に覚えがございません。又私、従来はどうであつたかは存じませんが、ここ二、三年来八幡浜市にいわゆる従来のボス云々を以て目される者があるのはありまするが、併しながらそれらの動きといたしましては、少くとも犯罪を構成するようなことは本人はございません。それのいわゆる配下を以て目される者の連中にはいろいろございます。それらはことごとく事務的に処理をいたして参つておるのでございます。私考えますのに、重ねて申上げまするが、現在の八幡浜市におきましては、他のかたはいろいろ色眼鏡で見ておられる向きも、誤解もあるようでございます。或る投書が参りました、今回のことで……。徳島から参りました。お前、そんな大きなことを言うたが、四国だけじやない、八幡浜と言えば全国的に知れておる暴力の町だ、ボスの町である、それで警察が大きいことを言つたが、それでいいのか。こういうような投書もございました。これは全く誤解でございますのですが、私どもはかれこれ今、他から見られまするような、誤解をされておりまするような町では絶対ないと確信を持つております。何らのこともないと、こう思つております。
  55. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) 高橋警察署長就任以来極めてまじめにこの問題にお当りになつております。私はとやかく非難されることは目下ないと思つております。特殊事情と申しますのはここなんでございまして、八幡浜人として、あり田縁先生の御発言を受ける感じというものは、どうか市民の心で受けて頂きたい。これは私が特に申上げたいのでございます。八幡浜人は、その問題については非情に敏感なんであります。おわかりでございましようか。
  56. 稻田稔

    証人稻田稔君) 今日並びに既往を問わず、私は確実なことは存じません。とかくの風評というだけで存じておるわけでございます。
  57. 須藤五郎

    須藤五郎君 とかくの風評は、稻田さんも認めていらつしやるし、田縁さんもちよちよい耳にしたというふうな発言つたと思います。なほ高橋氏も、阿方氏も、高橋氏就任以来はないということははつきり言つていらつしやるが、高橋氏就任以前のことには少しも触れていらつしやらない。そうすると要するに、田縁さんの発言というものは、高橋氏就任以来のことのみを取上げて言つているのではなしに、その以前のこともその発言内容なつていると、私は解釈するわけです。そういうことは往々あり得ることで、私はそういうように、この際、田縁さんの発言を理解しているものであります。なほ、先ほどから告訴を口にしたということが問題になつておりますが、高橋さんはこの告訴を公言したのが脅迫でないと強く言つていらつしやる。今もそういうように信じていらつしやるようでありますが、これは非常な考え違いだと思います。一般の人、特に教職にある者は……私は今お見受けしますと、田縁さんは非常に気が小さいかたのように思います。その田縁さんの性格からも判断できるのですが、一般の人が、警察官の取調べに会うときに、告訴を先ず第一に口にされたということは、確かにこれは脅迫観念を第一に與えていることです。それを若しも與えていないというふうに高橋さんが考えられるならば、これは非常な聞違いだと思うのです。そういうものの考えかたで人を調べ、又人民に接するならば、今後でもこういう問題はたくさん出ると思います。大体、今日の警官諸君にはそういう気持が多いのじやないかと思うのです。そして私は、ほかの町に起つているいろいろな行過ぎの事件を知つております。最近安来町で国警と自警が、自警の廃止の問題のときに国警の或る人が……自警廃止に反対の言動をなしたときですね、たまたまその人が国鉄の従業員だつたために、わざわざそこへ行つて、あなたがそういうことを言うと、あなたのためになりませんぞというようなことまで言つているこいうことが、ちやんと調べられております。要するにこれは警察の行過ぎが最近の風潮だと思うのです。皆さんがのぼせ上つていると言つちや惡いか知れませんが、確かに警察官が少し終戰当時から比べますと、今日はだんだんとそういうふうな風潮が非常に強くなつて来ていると思う。その強い気持がたまたま今度のこの問題にも現われていると思うのです。さつき高橋さんは、若しも田縁さん、あなたの学校の区内で、教官がPTAと結託して、その間いろいろな面白くないことがあるというようなことが言われたならば、あなたは黙つておりますかと、名誉毀損で訴えないでおれますかということを、何ですか、内藤さんがおつしやつたというふうな発言がありましたが、これも概念的に学校教職員の間に、そういうことがこれまで全然なかつたとは言えないと思うのです。あつたこともあるだろうと思うのです。だからそういうことを質問を受けたと言つて、真向から告訴問題を口にして名誉毀損で訴えるとか、何とか言つて意気まくような問題でもないと思うのです。そういうことは一笑に付しておけばいいことです。なければ一笑に付していいことをすぐ執拗にそれに食い下つたり、先ほどから小笠原委員も言いましたように、自警のことでないとまで言つているのを、執拗に食い下つて、それを問題にしなくちやならんという気持を、あなたが持つたこと自体が私には了解が行かないのです。それが即ち私が今まで申述べましたような警察職員の行過ぎの気持から、そういうことが超つて、何か私から考えると、特に事件を起したがつているような、そういう印象が私には来るのです。第三者でありますと…。而も告訴を口にしたことが脅迫を與えたとは思えない。むしろ私たちとしては告訴を口にしたという、マイナスであつたようなものの考え方は、私はどうかと思うのですが、この点に関しまして私は高橋さんの意見をもう一度聞きたいと思います。ここに幸いに国民の良識を代表していらつしやる辻国家公安委員長がお見えになつておると思いますので、私は辻国家公安委員長の意見を……これは行過ぎであるかどうか。脅迫観念を與えたというふうに思わないと言つているが、果してどうなのか。その点を伺いたいと思います。先ず辻国家公安委員長からの御返事を頂きたいと思います。
  58. 辻二郎

    説明員(辻二郎君) 私はこの事件につきまして田縁教官の第二段の御発言が大変問題になつておるように思いましたが、これは第一放送に出た聽取者として考えますならば、この御発言も何ら問題にならない、極めて一般的なにとを言つたのである、全国的にはこういうこともないとは言われないのでありますから、それに対してこういう発言をなすつたことは決して不適当でないと考えます。これは八幡浜市警のかたがたがこれを特に非常に聞き耳を立てられて、これは八幡浜のことであるというふうに解されたについては、いろいろお話がありまして、これも一部御尤もであるかとは思いますが、併しこれに対してとられた措置が少しく行過ぎであるということは一般的に考えられると、私はそう考えます。
  59. 須藤五郎

    須藤五郎君 高橋さんは、自分は絶対行過ぎではない、脅迫を與えたとは思わないということをはつきり言つていらつしやるが、その点をもう一遍同いたい。
  60. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 只今の告訴云々の内意を洩らしましたことにつきましての問題について、お答えをいたします。私の気持にいたしましても、当時の内藤君の気持にいたしましても、内藤君が先生に申上げたことは、あとから報告を受けて私は了承したのでございますけれども、私も全く内藤君と同感であつたのでございます。いきなり逮捕状をもらつて、先生に逮捕状が出ましたぞと言うよりも、場合によつてはまあそういうことになるかわからんのだから、心の御準備を、抜けられるようなことを考えておきなさいよということであつたのでございますので、私どもといたしましたならば好意的に申上げたものであつたのでございまするけれども、併し又立場が違つて参りますると、そうは受取つて頂けません。これはもう尤もなことでございます。そういう意味におきまして、私は捜査の技術の面が誠に拙劣であつた。告訴云々のことを好意的に言つたにしろ、それは行過ぎであつたということを私率直に申上げまして、その点はお詫びを申上げたはずでございます。
  61. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 須藤君、ちよつと待つて下さい。委員長からお尋ねしますが、先ほど辻国家公安委員長の御意見がありましたので、それに関連しまして小畑東京都特別区公安委員長の御意見を伺います。
  62. 小畑惟清

    参考人(小畑惟清君) 御意見というのは脅迫であつたかなかつたかということでございますか。逮捕状を持つておるか持つていないかということですか。
  63. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 先ほど須藤委員の質問に対して、辻国家公安委員長がお答えになりましたが、その問題について御意見を伺いたい。
  64. 小畑惟清

    参考人(小畑惟清君) 実はこの問題は私はこれまで存じなかつたのです。昨日もありましたか、一昨晩でありましたか、こちらへ出て来いということであつて、何事かといつて取調べましたら、こういう事件がやかましくなつておるということで、初めて驚いて、私全国の公安委員会の連絡協議会の会長をしておりますが、その会長に対しては何ら報告がありません。従つて存じなかつたのです。ところが全警察長会議の会長である田中総監に宛ててはあちらのほうから報告が来ておりますから、その書類を私調べてまあ初めて知つたようなわけで、それから今日先ほどから聞いておりますが、話の中心は告訴するからというようなことが脅迫であつたかなかつたかというのが中心であるかのことく、私はそういう印象を受けておりますが、それに対する批評はどうかというふうに私まあ考えておりますが、一体言う言葉が脅迫であるか脅迫でないかということは、ただ言葉だけ聞いてはわかるものじやない。その時の聞いた人の状態、それからその場合というようなことで、同じ言葉でも脅迫になることがあり、脅迫にならんことがあるから、私は先ほどからずつと承わつておりますと、何かしらん必ずしも私は脅迫になることは存じておりません。そういう印象を受けません。これだけ、私の感じだけ申上げます。
  65. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は田縁さんが告訴の問題を出された時に脅迫観念に襲われたということは、事実を以て証明しておると思うのです。それはすぐ録音の終つたあとへ追つかけて行つて録音取消を申出ているということにちやんと現われておると思うのです。田縁さんはそういうふうに感じなければ、その録音を取消す理由はなかつたのではないだろうかと、こういうふうに私は解釈しますために、恐らく田縁さんは内藤さんからそういうことを、告訴の問題をやはりいろいろな取調を受けた場合、非常に恐怖観念に襲われたのじやないか、そのため放送の中止を申出ておる。そういうふうに私は第三者として考えるのです。  なお、放送局のかたにお聞きしたいのは、そういう申出があつた場合には、その放送をカツトするのが建前ですか、そうでなしにやるのが建前か。そうしてそれをカツトしないでやつた場合、発言者に迷惑のかかつた場合、それは放送局が共同責任をとられるのかどうか。又高橋さんは、本人は中止を申出ているにかかわらず放送された、その放送局に対してあなたは名誉毀損を訴える意思があるのかないのか。そこの点をはつきりしておきたいと思います。
  66. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。内藤君が告訴云々の内意を洩らしたので、先生がおあわてになられて放選の中止、或いはあの部分のカツトを申出られたのではございません。それより前のことでございます。街頭録音が行われた当日、それからその後内藤君がお会いいたしましてからでは決してございません。而も告訴云々の内意が出ましたのはもう最後なのでございます。途中では決してこれは出ておりません。  それから私、放送局に対しましての考えでございますが、放送局に対しましては毛頭名誉毀損されたとか何とかいう何は持つておりません。と申上げますのは、どういうことかと申上げますと、私問題にしておりますのは、あの三月十八日の午後三時四十分から四十分に亘つて行われました、最初に登壇されました先生発言内容を捉えて問題にしておるのであります。この放送におきましては、警察に対する御発言を收録されて放送せられておりますし、更に警察の立場を支持されました市民の声も、八幡浜警察ではそういうことはないのだ、よくやつておるのだという声も放送されております。私があの場にい合わせて頂きましたならば、発言の機会も與えてもらえたと思いますが、私の若し発言がございましたならば、それも收録されておりましようし、内藤君が発言をする機会が與えられておつたはずでございますから、警察の立場もよくあの録音に收録して、放送されておつたことでございますので、私は放送局に対しましてかれこれ申上げなければならないとは毛頭考えておりません。
  67. 春日由三

    証人春日由三君) 只今街録一般の問題についての御質問にお答えいたします。街頭録音という放送は、先ほど長澤証人から申しましたように、如何なる問題で、いつ幾日どこで行なうということを予告してやつているのが原則でございます。従いまして、その場においでになつて自発的に発言をなさるかたは御本人の責任で、御本人の正しい考えを申しておると受取つておりますから、この場合何の何がし、どういう身分でどういう人間であるということをお名のりになつておりません。それから先ほど申上げましたように、街録というものは、その全体を通じまして輿論の趨勢がどこにあるか、庶民の声がどこにあるかといういうことを伝える放送でございます。個々人が御自分の名前を名のつて、御自分の一人々々の演説と申しますか、そういうようなものをなさるものではないわけでございます。従いまして、先ほど私も申述べましたように、公安を害するとか、公けの秩序を紊すとか、特定な個人を誹謗するとかいうふうな言論の行われません限り、それは一つの輿論のあり方としてそのまま出すという建前をとつております。それから、今までにおいて発言をなさつたかたは、あとであの発言は本旨でなかつたから取消して呉れというようなことを受付けたことはございません。そういう申出を受けたこともございません。それから、今回の八幡浜街録の特定の場合につきましては、稻田証人からその経過を説明さしたいと思います。
  68. 稻田稔

    証人稻田稔君) 今どなたかおつしやいました警察当局から放送中止方の申出ということはございませんでした。はつきり申上げて置きます、今春日証人から申しました街録というものの建前、それに準じて我々もやつております。御了承願いたいと思います。
  69. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は終りたいと思いますが、どうしても私たちの胸の固まりの解けん点は高橋氏のいわゆる言葉の中にあるああいう告訴とか逮捕というようなことを口にしたことは、決して相手に脅迫観念を与えるものではない、そういうことでないという発言、これは警察官として、民主的な警察官として大いに反省して頂きたい、若しもそういう気持でやるならば、これは絶対民主的な警察というものはできない、そしてあなたも多少その間違いであつたことは認めていらつしやるだろうと思う。そうして自己の間違い、欠点は認めながら、なお田縁氏のちよつとした行動を追及することが余り嚴し過ぎると思うのです。何もそういうことをそこまで追及しなくても、それは一応参考として、あなたたちがおさめて、なお自己反省の糧として、ないが上にもないように心がけてやつて行かれるという態度が正しいので、田縁氏が單にそういう発言をしたからといつて、それを食い下つて飽くまでも田縁氏を罪人に仕立てよういとうような考え方は、民主的な警察官の態度としてこれは正しくない。私たちはそういうふうに理解します。どうぞ今後こういうことを、單なるこんなことでこんなにがやがやと騒がないでいいように、お互いに考えて行つて頂きたいということを希望條件として申上げて私はこれで発言終ります。
  70. 相馬助治

    相馬助治君 最後に私は是非聞いておかなければならないことは、高橋証人言葉を以てすると、田縁教官発言は刑法所定の犯罪を構成する言辞であると、こういうふうに本日も申しております。それから、又八幡浜市の警察に対する名誉毀損罪の成立が可能である。都合によつては未だ告訴の意思を捨てていない、こういうふうに申しております。そこで、私はこの際、是非とも辻国家公安委員長、それから小畑全国自治体公安委員会連絡協議会長さん、それから自治体警察側を代表する田中警視総監から、この高橋証人の見解に対する御所見を是非伺つておきたいと存じます。
  71. 辻二郎

    説明員(辻二郎君) 私は法律の専門知識が不足いたしておりまして、今日これが刑法上の罪に該当するかどうかということについては、只今ここで自分の判断を申上げることは差控えまして、この問題につきまして専門家の審議を待つべきものであると考えますが、常識的に考えまして、先にも申上げましたごとく、田縁教官の御発言は、これを非常にローカルな八幡浜市の市警のかたがたからお聞きになつて、甚だ以て八幡浜市警察を誹謗するものであるというふうな見解があるかも知れませんが、常識的に考えまして、この御発言は全国の一般に起り得る、起るかも知れないような事柄について述べられた意見である。従つて、これが特定の警察を誹謗したものであるという解釈は成り立たないように考えるのであります。
  72. 田中榮一

    参考人(田中榮一君) 私にお尋ねでございますから、私の考えを率直に申述べたいと思います。実はこうした街頭録音は、東京都内におきましても、過去におきましてもすでに相当な回数、やはり警察を中心にした事件が行われております。或いはこれよりももつとひどい演説も中にあつたようでありまするが、私どもとしましては、こうした場合におきまして、先ほど須藤委員も仰せのように、我々はこれを直ちに捜査するとか、そういうことをすることはこれは警察としては誠に不手際でありますので、そういう場合におきましては、これを一応いわゆる教養資料といたしまして、これを関係方面に、各署のほうへ流して、かかる輿論もあるからして、再びこうしたことのないように十分注意をして欲しいというような教養資料として現在流しております。従いまして、只今田縁さんの仰せのような点は毎回これもよく都内の街頭録音にもございまするが、ただこの一般的な、抽象的なことでこれを告訴するということは刑法の解釈の上から言いまして、又これを実際問題として、事件として取る場合におきましては非常に困難な点がございます。名誉毀損ということになりますると、何の何がしが具体的にいつどこでどういうことをやつたというような具体的な証拠資料を整えてこれを送りませんと、検察庁におきましても直ちにそれを起訴するということが非常に困難であります。但し今高橋証人の仰せによれば或いはもつと何か証拠がほかにおありになるならば、当然これは刑法上の問題になるかも存じませんが、只今承わつたところだけで判断いたしますると、これが直ちに名誉毀損になるかどうかということは、非常に取扱としてむずかしい問題になつて来るのじやないかと考えております。ただ私の考えだけでは、やはり名誉毀損である以上は何の何がしがいつどこでどういう行為をして、それがどういうように名誉毀損をした。それがどういう影響を及ぼしたという具体的なはつきりした事例をここに備えておきませんと、なかなか事件として取立てることは非常にむずかしいと思います。但しこれは高橋証人の又別な考えで、名誉毀損が成立するという御意見があるならばこれは別でありまするが、従来の名誉毀損の実例から申しますると、さような取扱がなされるのであります。それからなお、本件につきましては、この警察側として非常に心配いたしておりまするのは、これは高橋証人も私もやはり大小の区別はございまするが、やはり警察というものはややもいたしますれば、小さなことでもすぐ民衆の批判を受け、又いろいろと批判をされることによりまして、多数の警察官というものに非常に心理的影響を及ぼすのでございます。あの警察官がこんなことをしたというようなことを言われますると、署長は勿論のこと、多数の警察官というものに非常に心理的影響を及ぼすのでありまして、警察署の執行の上におきまして非常な支障を来たすということがございまするので、やはり街頭録音においておつしやる場合におきましても、その辺を一つ御考慮の上で十分おつしやつて頂くことが必要ではないかと考えておるのであります。勿論田縁さんのおつしやつたことは八幡浜市警察そのものを批判したのではないと考えておりまするが、これを受取つた署員の心理状態というものも十分一つ御考察願いまして、やつて頂けば非常に有難かつたと、私自身としてはそう感ずるのであります。併しこれは街頭録音は如何なることを言つても……二つの注意があつたそうであります。選挙運動をしてはいかん、個人の行為の誹謗に関してはいかんという仰せでございますが、それ以外のことは、これはもう何を言われても差支えないのであります。併しながら憲法には、個人の、人民の言論の自由は保証されております。併しなからその言論の自由もやはり公共の福祉によつて……、或る程度これは当然公共の福祉に反することは言えない。又公共の福祉に反し、公共の治安を害するようなことはこれは言えないのでありまして、かような点は十分一つ考慮せられまして街頭録音をされる場合におきましても一つ御注意を願いたいと、かように考えておる次第でございます。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 参考人の意見まで聞いてしまつて、又証人にいろいろお尋ねするということは、これは進行上困難な点がありますけれども、私はまだ腑にに落ちない点があるので、御迷惑でも証人のかたに簡單なことをお尋ねします。この放送は土地としては、八幡浜市で行いましても、明るい街にするということは、八幡浜市を明るい街にするためにという具体的な構想ではないと考えております。而もその場合に氏名も明らかにしないで、或る声として田縁君が壇上に上つて話をしたことは、その間、進行のための、世論の構成のため、批判のための一つの素材として、それは使われておるのではないかと思う。それに対して、それをのみ肯定して、一方的にそれが進められるならば、やや問題もあろうけれども、個々の大衆の批判も意見もあつたのであります。従つてこの問題について警察署長なり或いは捜査課長なりが、これは八幡浜市の我々の市に対する名誉毀損である。例えば今度は個人的に田縁君をつかまえてこの世論を構成する一つの要素なり名前を公表せられないところの個人の責任を追及して行く、それに対して名誉毀損の挽回をして行くというその考え方、警察側の職務執行の熱意の余りとは言いながら、民主警察の行き方として角度が変つておるのではないか、私はそう考える。若しもそれほどの侮辱を與えられたということを若しも仮に考えるとしましても、高橋警察署長初め警察官は、八幡浜市の地域の住民によつて任命せられておる公務員である。それが市民の声が、又世論を構成する要素として扱つた個人のその声を、対抗的に追及して行つて警察の権威を高める。こういう考え方は角度が変つておるのではないか。それは誹謗を受けたとしますならば、それを受けた当事者であるそれが警察権を以てこれに対して対抗して行くという考え方を、直ちに持つことが、今の民主警察制度として私は望ましいことだとは考えない。若しもそういうことであるならば、市民の意思を代表して指揮監督するものとして任命せられておる公安委員会に、我々はこういうことを言われておる。これは具体的なことではないけれども、結果として我々に與える影響は大きい。従つて公安委員会において十分措置してもらいたい、或いは市民にも十分その点も理解が行くようにやつてもらいたい。我々においてはそういう事実はないということを公安委員会にまで正式にお話合いになるなり、又公安委員会自体も、これは公安委員会の職務としてお取扱になることが、私は円満に事が運ぶことではないだろうか、こう考えるわけです。それを直ちに、若しもそういう内容一般論であるならば、その責任を追及するとか、或いは告訴するとか、逮捕状を出すかも知れんというのは、市民の声を聞くことにおいてけしからんとなつたら、対抗して行く、こういう警察の考え方というものは、我々立法府におる者として誠に遺憾なのです。この点について私は又、市民である一個人田縁君なら田縁君が不安、動搖、恐怖、或いはどうなるか知らんという危惧の念を持つて或いは毎日々々、多分夜も寝つかれないような心配があつただろうと思う。そういう影響を與えてゐるということについて、私はその八幡浜警察の職務執行の熱意の方向が誤つておる、いけないということになりますと、甚だ将来考えて行かなければいかんことである。こういうふうに考えるので、高橋さんの先ほどからの御答弁を伺うと、誠に御熱心におやりになつている点は私ども想像に余りある。併しその行き方、やり方というものについては、私は旧警察警察署長のやり方と何ら変らない、さように思う。一般の犯罪というような問題でもなく、犯罪の容疑もなく、その事前の行為として、或いは公表として取沙汰されるようなことを以てしてでも対抗して行く、或いは一人の民を糾明して行く、何かあつたら引つかける。こういう警察あり方というものについては私はどうも納得が行かん。この点について高橋さんに弁明があるならばお聞きしておいて、これは国警にも或いは自治体警察全体の連絡協議会の会長のほうにもお尋ねしたいことがあります。お二人の御所見を……。
  74. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) すべての人が最善なりと思つてしたことに非難を受けることは私はあると思う。この市警の者があの場合ああまじめに取組んで呉れたということは、委員会としては私はその市民に極めて忠実であつたと思つておる。それはあなたのおつしやる通り公安委員会として公安委員会の手でやれば誠によかつたかも知れませんけれども、これはどうか人間のしたことですから、そういう惡い意味にお取り下さらんように、立場を何してやつたこと自体は私は極めてまじめであつたと思うのです。甚だ私は満足しておる。そこが先ほどから申します通りいいと思つてやつたことですね、とかくの批判はあるということはこれはよくあることであつて、いや、私は今申しました通り、したこと自体がいいと思つてやつたことであつても、とかくの批判を仰ぐということはあると、こう思うのであります。それで八幡浜市の者といたしましては、そういうことはないと思うが、若しあれば教えて呉れと、こういう行き方に行つたのだということは、私は当然じやないかと、こう思つておりますが、それがいけないということになりますと、これは甚だ将来考えて行かなければいけないことであります。
  75. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 私の所信を申上げさして頂きます。この問題は街録当時のあの雰囲気と申しますか、あれを国会へ移して参りましたらピンと参ります。あの会場の雰囲気、あのときの市民の受けました感じ、印象、こういうものはそれは一つ八幡浜市で、このとかくの昔聞えのありました土地柄で、暴力の町と言つておつたところで、町を明るくするには封建制を云々という問題が出ましたが、この問題はこの発言のございました当時のことを一つ御想像頂きたいと、こう思うのでございます。私ここに根本的な見解の観点の、相違があるのじやないかと思いますが、御意見はこれは一般論だと、こういうふうにおとりになつておられますが、私は今でも一般論だと受取つておりません。秋本アナウンサーのあの反問に対してやはり一般論であつたと、ここにこういうことがあるのじやない、どこそこにこういうことがあるのじやないと、こういうことをやつているときは問題はなかつたのでございます。ところが、もう重ねて申上げる必要はないのでございますが、具体的な話はいろいろ差支えがあつて、個人の名前を出さんが、判断がつくというようなことになる。ここに至りましたならば、これは一般論じやございません。あの街録当日にございましたところの発言内容は、始んどが八幡浜市政に関係を持つものばかりでございます。だからこそ、或るかたが立たれましたときに、秋本アナウンサーが、警察の話が出ませんので、警察はどうですか、警察のことはどうですか。こういう御質問があつたのじやないか。八幡浜警察先ほどのような何じやない、私は重ねて申上げをするが、あの街頭録音を行いました当時、殆んどの発言内容は、殆んど八幡浜市に限局された問題ばかりでございます。これは重ぬて申上げます。  それから名誉毀損のこの問題でございますが、私、決して名誉毀損呼ばわりはしたくございません。事の出発点は何らか我々が皆様がたの声を聞いて、警察を皆様と本当の警察を……、立派な警察として運営して行きたい。皆様がたの声を聞いたという一念に出ましたものでございましたのですが、ところが、これは私もう一度委員長田縁先生にあの当時の気持をお尋ね頂き、本当にあのときのお気持を吐露願いたいと思うのでございまするが、全くよりどころなくして、よたを飛ばされたのであるかどうか、(笑声)私は今でもこう思う。内藤君は初め刑事でございますが、今でもいるのです。本当に警察の仕事を思つて、まじめにやつたことで、これほど、地元は別といたしまして世の批判を受けると、いいかげんなよたを飛ばした者が、一時の、時の英雄として祭り上げられる。どうしてもこれは受取れない、よろしく御賢察を頂きたいと思います。
  76. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 連合委員会の諸君にお諮りいたしますが、すでに時間も経過しておりますし、この辺で休憩したいと思います。なお、この際申上げておきますが、先ほど委員長に対しまして愛媛八幡浜市古町の菊地璞さんという民間のかたが、この席上の発言を求めておられまするが、そういうこともございますので、休憩いたしまして午後の委員会にお諮りいたします。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 休憩には賛成でありまするが、一応、尻を結んで置きたいために、この部分についてはもう一度御発言を許して頂きたいと思います。
  78. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 小笠原君。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 お二人のかたに御答弁を願つたことは、どうも我々が証人をお呼びして真相を究明しようということとはピントを外れてどうも困る。それは高橋さんが如何ようなことを今おつしやつても、それは高橋さんの考えでありましようが、私は自治体警察警察官、市民の公僕である公務員の立場にある者が、警察権があるからといつて、警察に対する批判がこういう漠然としたものでありながらも、具体性ありとして対抗手段に訴えて事の結末をつけようとするこの態度に、私は極端に言うならば警察権の濫用ということさえ言えるのではないかと、そういうことにも私は思う。それは警察署長自分が侮辱されたりで、自分は事ごとに警察権を以て対抗してやるということと同然であります。警察署長なるが故に警察権があるのではない。我々国会議員といえども今の新聞その他、或いは地方の演説その他においても具体的に罵詈讒謗を浴びせられる場合もある。併しこれは国民の批判であるとして聞いて反省資料にすることはあれ、対抗手段に訴える等という、そういう馬鹿げたことは一般の考えとしてあり得ないことである。然るに幸いにもあなたは警察権を持つておるという考えであるからこそ、こういうようなことになつて来るので、行使方向について私は一応国会として疑問がある。而もこれは言論の自由と関連して来ているから、そういうことも言われるということで所見をお尋ねしておる。やつてやれないことはないでしよう。又それが合法性はあるでしよう。併しそれが国家公安委員長も言われるように、行過ぎであるというようなことは、これは常識論なのであつて、我々も常識的にそういうことについてあなたの所見を聞いているのです。だからまあ御答弁がなければ午後に廻しますが、そういう意味合いで尋ねているということを御了解の上で御答弁が頂きたい。又、公安委員長は誠に今回の措置は尤もなことであるというようなことでありまするが、公安委員会が任命している公務員として、その職権の行使において不適当或いは遺憾な点があるというような問題がある場合には、公安委員会責任を持つて警察署長であろうが、警察官であろうが、手続をとつてそれらについて処断することができる。そういう権限を公安委員会は持つている、警察官に対してですよ。それをあなたが、今回の措置は尤もなことである、遺憾なことではございませんと、公安委員会がおきめになつた。そういう意思だということですが、そういうことでこの民主警察の運営、正当なる警察権の行使という問題について十分であるかどうか。こういう点を、私は重ねて今回の問題について、あなたにお尋ねしたいと思います。
  80. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。只今御指摘がございましたが、御尤もでございます。私もそういう気持でやつているつもりでございます。つまり警察の主人公は私じやございません、皆さんがたです。八幡浜市警察の御主人公は我々じやないので、四万一千の皆さんがたであります。そういう気持であればこそ、私どもは皆さんがたの気持を体して警察の執行をおあずかりして、これをやつて行かなければならないのですから、そのためにこそ先生お話して、何らかの資料お話し願いたい。こういうことで出ているのでございます。事の出発はそれなんです。ところが、全くよりどころのないところの御発言であつた一般論なら一般論らしく御発言願いたかつたものだと私は思います。それでこれは或いはお叱りを受けるかもわかりませんけれども、若し仮にこの御発言八幡浜市民の誰かからございましたのならば、又考えようも違つていたのですが……又、違つていたかもわかりません。ところが八幡浜市民のかたではございません。かれこれの御批判のごいましたのが、隣の村の先生でございました。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 誰であろうが、街頭音にはしやべつていいのですよ。
  82. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) それはよくわかつています。わかつています。ところが、重ねて申上げることはないと思うのですが、私どもあとも御発言の機会が與えられるようでありまするが、市民のかたの大半は八幡浜市警についての批判があつたものだと、こういうふうに受取つておられます。これは間違いございません。
  83. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) 私が先ほど申しましたのは、それはでき上つたこと…いいと思つてしたことをあとから非難を受けることがある。市民から考えれば、あれほどまじめなものを、何か落度がありはしないかということが本当に……どういいますか、適当にやつておる問題だ、かように考えて申しましたのであります。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 休憩になりますから、これ以上申しませんが、事と問題によつては、それは人でありますから行違いがあることもあるわけです。だから行違いのこともあるかも知れないのです。人のことだから仕方がないのだ。そうして今回はそう大したことではないのだということであろうと思うのですが、この警察権の行使については、こうした行違いのことがあるということで、許しておけない限界がある。憲法上の問題が優先する、その他法律上の問題が優先する。ただ單に道義的な問題で済まされない問題があるからこそ、こういう大きな問題になつて来ておるわけなんです。その点についてのあなたの意見を私はお尋ねしておるわけです。
  85. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは時間が経過いたしましたから、この際休憩に入ります。二時半に再開いたします。    午後一時三十三分休憩    —————・—————    午後三時一分開会
  86. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 開会いたします。証人に対する御質疑がありましたら継続願います。
  87. 石川清一

    石川清一君 署長さんと委員長さんに先ず八幡浜市の警察に関する情勢についてお伺いしたいのですが、愛媛県ではこの春の自治警の五千以上の町村団体における廃止の場合、全部が廃止されておりますが、自治体警察署長さんとし、公安委員会委員長さんとしてこれは当然であつたと思われますか。民主的の警察を守るために何かもの足らん、こういうようにお考えになりますか、簡單でよろしいですが、お伺いしたいと思います。
  88. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) 私は自治体警察というものをもう少しすべての人が認識しておつて頂きたい。かように考えております。
  89. 石川清一

    石川清一君 署長さんは……。
  90. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 私は只今におきましても考えておりますることに、あの当時と現在としても変つていないのでありますが、本当に自治体警察に対しまする御理解と申しまするか、これが足らなかつたのではないか、という点を遺憾に思いますると共に、自治警の一員といたしまして、我々自体のこの運営の上におきましても反省すべき点が多々あつたのではないか、こういうふうに考えております。署員にも堂々申しておるのでありますが、特に愛媛県の場合八幡浜の町の警察が全廃になつたということについては、これはよそごとではないのであります。お互いのこととして十分反省をして、本当に私思います。この自治体警察が正しく立派なあり方といたしまして運営されて参つておりましたならば、私これを財政の面からとやかく言われることはない、多少地元で経費を賄われましても、地元で負担をいたしましても、本当に立派な警察あり方をし、本当に皆さんがたの警察といたしまして民主的に運営されて参つておりましたならば、かような結果にはなつておらなかつたのではないかと考えます。私自身といたしまして反省もいたしておりますと共に、一般のかたの自治体警察に対しまする御理解、御認識の足らなかつた点を遺憾に存じております。
  91. 石川清一

    石川清一君 続いてお尋ねいたしますが、八幡浜市内には地区の署もあるように存じておりまして、一つの市内に二つの自治体警察と国家地方警察地区がありますが、今までのお話では捜査その他治安の維持には非常に円満に行つておると伺つておりますけれども、やはりその反面一本であつたほうがよいというお考えは持つておりませんか。
  92. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 私思いますのに、本当に皆様がたの警察だ、俺たちの警察だといつたよう気持がぴつたりいたしますのは、自治体警察の場合においてのみ初めてそういう気持もし、そういう気持になるのじやないか、こういうふうに考えておるのでございまして、本当にその警察の運営において間違いがございません限り警察の本当に嚴正中立性が堅持されまして、本当に皆様がたの警察だといつたよう気持で我々が仕事をし、又皆様がたも一つ我々の警察を間違いなくうまく運営させて盛り立ててやつてやろう、こういうお気持が、そういう御協力を得られます限り、私は只今の二本建の制度で参りますることを希望いたしております。
  93. 石川清一

    石川清一君 委員長さんも同じような気持だとこう了承してよろしいですか。
  94. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) できれば私は警察というものは、組合でも何でもいいですが、もう少し自治体警察なつてしまつたらいいじやないかという考えを持つております。併し西宇和地区署と我が八幡浜地区署との間にどうというのではないのであります。私の考えでは、すべて警察自治体警察でいいのじやないか、組合でも何でもいいのだから、こういうふうな気持を持つております。
  95. 石川清一

    石川清一君 若干私の想像もくるめてお尋ねをいたしますが、自治体警察を国民に任すためには、言論の自由が自治体警察の運営の上に現われて来るものは喜んで受けなければならん、そういうような建前から放送協会が試みられたところの今度の録音並びに田縁さんの出された御意見が非常に好意的に明るい町、自治体警察自分ら民衆のものとしようという意欲の上に立つておる、こういうようにお考えになつたことがありませんか。今もなおそういうようなお考えになりませんか、お尋ねいたします。
  96. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えをいたします。私常々一つの信條といたしまして、機会あるごとに市民の皆様がたにお願いして廻つております。何かお気付きの点がございましたならば御遠慮なくおつしやつて頂きたい、投書でも結構だ、或いは御本人直接でなくても、どなたか人を介さしても結構だ、何か問題がありましたならば皆様がたの代表でございますところの公安委員のかたはどなたとどなただ、この公安委員会に直接お漏らし頂きたい。又市長さんでもその他どなたでもいいから、警察のことについてお気の付いた点があるなら御遠慮なく容赦なく一つざつくばらんにおつしやつて頂きたいということを絶えず強調いたして参つておる次第でございます。今度の場合におきましても私は先ほどから申上げておりまするがごとく、何か警察運営につきまして或る御批判ございましたならば、資料をお持ちならお漏らし頂きたい、こういう一念であつたのでございます。ところがそういうことにつきましては、事実を持合せないようでございまして、ということになつて参りますというと、我々のほうに御批判がございます場合でも、それは公開の席も、而も街頭録音が行われておりまする場所でああいう御発言に対しましては、私どもは何か拠りどころがございましての御発言ならばもとよりなんでございますが、そういうような拠りどころがない根も葉もない御放言だということがわかりましたので、それならば一つこの八幡浜市の警察の名誉が毀損されることこれより大きいものはないのだから、それを一つの、私は決して処罰はあえて求めるものではございませんが、筋を通す意味で、筋を正す意味で、このことを取上げて参りたいという気持で進んで参つておつたのでございます。ところが上司からの御意向もございまして、話さへわかればそれでいいのだ、そういう資料もお持合せにならんで、一般論であつたということでございますならば、あえてこの責任を追及するというほど大人げない私どもでもございませんので、阿方公安委員長から電話を受けましたときに、すでに告訴権を行使するという気持は全然なくなつておつたような次第であつたのございます。それで先ほどお尋ねがございました警察に対する好意的なんだというふうには、私ども警察の前にはどうしても受取れないのでございます。
  97. 石川清一

    石川清一君 又少し想像をたくましういたしますが、ボスの横行、或いは土地柄ここはいろいろな問題があつたというような御報告もありましたし、先ほどからのお話の中にも、八幡浜市民でなくてすらこの問題に対してはぴんと来るのだ、こういうことを詮索いたして参りますと、今まで何か問題があると警察官が先ずタツチをいたしまして告発をするというような言辞が今まで行われておつて、而もそういうふうな時間的な中にボスが入つて来ておつて、いつもそこで何かうやむやに終るというようなことが、今もなお続いている。警察官も又そういうような慣習の中にあるような、先ほどからの答弁並びに意見の中で受けるのですが、そういうふうなことはなかつたのですか、お尋ねいたします。
  98. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えをいたします。八幡浜市内のおかたはよく知つて頂いております。ところが市外のかたの側から見ますというと、今なお且つ八幡浜市警察と、いわゆる町のボスと目されるものの間には、何らかの特殊の何ものかがあるのではないかといつたような誤解を招いたわけでございますが、それは私非常に遺憾に思いまして、その名誉回復のために起ち上つたわけでございます。私重ねて申上げますが、私全然心当り、身に覚えはございませんのですが、かれこれ田縁教官から批判がございますように、かれこれ言われる私どもに心当りの点は全然ございません。すべて先ず防犯第一主義で仕事に当つているのでございますが、この防犯活動の力が及びませんで、若し事故ができたという場合におきましては、その事故はすべて事務的に今日まで処理して参つておりますことを、はつきり申上げられると私は思います。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 高橋さんや阿方さんの御証言でだんだん事情がわかつて来たように考えるのですが、ただ午前或いは今の答弁でも、高橋さんは自分警察署長就任以来民主警察を標榜して、真の警察行政を行なつて来た、そういう自負心をお持ちになつており、誠に結構だと思いますが、その自負心をお持ちになつて、職務に熱誠であればあるほど、今回のような問題も起つたというふうに善意に解釈せられるものもあるわけでおります。ただその措置として、やり方として警察全体に着せられた誤解、濡れ衣をはらして八幡浜市の市民の誤解を解くべき存念から、それが被害を與えたと目される相手である田緑証人責任を追及するということで、そのことでこの誤解が果されるとお考えになつた。その方法について私はこの際個人的な意見を申上げるのは大変恐縮ですが、遺憾であると考えるのであります。それはそういうことよりも、或いは逆に申しますならば、しつこく田緑証人を迫つかけ廻すということから、却つて何かやはりその間あるのではないかという誤解を世上醸さないとも限らん問題なので、この点について私は、まあその当時の雰囲気として、数十万の警察官が、自分たち警察官に着せられた汚名をはらすということから、警察の権威という立場からいろいろ具体的な措置をとることについて、或いは警察署長に対しても進言もなされ、あなたもこの方法を是としておやりになつたのでしようけれども、どうも言論の自由という基本的な問題、又内容を精査して見ます場合に、必ずしも名誉毀損罪として犯罪が構成されるかどうか、専門的にも非常に疑義のあるような問題を、あれほどの問題にまで高めて来たということについては、どうもやはり私たちとしては大きな問題であると考えなければならんのであります。そこで証人にお尋ねしますが、こういう問題を追及して来るという場合に、この基本的な人権の問題と、これらの問題についてどういう結論を得られて、どういう考え方を以て措置せられたのかお伺いしたい。私たち常識的に考えますと、言葉は走るかも知れませんけれども、終戰前における憲兵警察、軍部なり、或いはその他ひよつとしたことを言うと、きつかけを見付けて引張り上げてその言論を封殺した、ああいうやり方と類型的には何ら変らない。外面上から見るとそういうふうにさえ思われるような問題ですから、多分高橋さんは民主警察についていろいろお骨折りになつておられたのですから、この基本的人権、言論の自由という問題と今回の誤解、濡れ衣をはらすという方法とをとるために、どういうお考えをその当時お持ちになつておられたのか。そうして今日においてどういう心境にあられるのか。かた苦しい質問ではないのですから十分御所見を承わのたいと思います。
  100. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 非常に御同情のあるお言葉でありまして、私感謝に湛えない次第でございます。重ねて申上げるのでございますが、これは我々警察吏員の個人の問題ではございません。少くとも四万一千の八幡浜市民警察に対しまする信頼感とでも申しまするか、これを保持して参りまする上に、大きなひびが入れられたということを今でも私は考えておるのでございまして、これを回復いたしまするために、つまり我々の八幡浜市警察は決してああいう発言にあつたよう警察ではないのだということを、知る人は知つて頂いておりますけれども、中には或いはそういうふうにかれこれ言われるようなものもあつたのじやないかという誤解を與えた向きもあるのでございまして、そういう向きに対しまして誤解を解いて頂きまするような意味からも、我々の警察は健在であると、こういう態勢を飽くまでも示しまするためには、処罰は求めませんけれども、処罰は希望いたしませんが、この告訴の方法によりまして、もう御承知でもございますように、我々の場合はその事実が立証されますならば、むろん名誉毀損罪の成立はございません。無罪でございます。そこで一応我々の告訴が通る、その公訴が維持できる、或いは起訴になりませんまでも、起訴猶予になつても、私はそれで結構だと思うのであります。八幡浜市警察は、ああいう批判があつたけれども、決してさような警察ではなかつた信頼できる警察である、これは警察の執行も高橋長署初め吏員に任せる、そういうことを希望いたしまして、場合によつたならば告訴権を行使しなければならんと、こういう気持であつた点を特に御賢察賜わりたいのでございまするが、私反省をいたしております。さようないろいろ御指導を頂いたのでありまするが、根本的な問題といたしまして、八幡浜市警察がこの問題に取組みまして、乘出しましたこの根本的な問題につきましては、この場合八幡浜市警察といたしますれば、必要止むを得ない当然な措置であつたろうと、こういう御了解を頂けたものだと思うのでございまするが、私はその後におきまする我々の措置の面におきましては、告訴云々の件だとか、或いは私が不用意に洩らしましたことは、これは私は責任が余りないのではないか、決して責任を逃避しているのではございませんのですが、行つてお話をしますからというので、先に新聞記事に先に出てしまつたような始末でございまして、併し何といたしましても、私の不用意な、軽率な言からそういうようなことになつたのでございまして、その責任は痛感をいたして参つて来ておるのでございます。ともかくもこの措置の技術の面におきまして、行き過ぎだと見られる点がございます。告訴云々を申しましたのも、私どもの意図いたしまするところは、重ねて申上げるようでございますが、心の御準備を向けられんことをお考えになつておられるようにと、こういう意図に出たものでございまするけれども、その点私顧みて考えて見まするというと、先生のほうといたしましては少からざるシヨツクをお受けになつた気持はわかりますし、又私ども今から考えまして、この点は全くまずかつた、この点は誠に申し訳なかつたと甚だ遺憾に存じておりまするところでございまして、この点は率直にお詫びを申上げる次第でございます。今後この警察の運営の面におきましては、我々の意図しないような誤解を招きましたりなんかいたしますることのございませんように、この仕事をやつて参りまするいろいろな面につきましては十分慎重を期しまして、先ほどからいろいろ御叱正頂きましたような御趣旨に沿いまして、本当に自治体警察のよりよき育成と、民主警察の確立のために微力を捧げて参りたい、かような気持でおりまするわけでございます。何とぞどうかよろしく御了承頂きますようにお願い申上げます。
  101. 相馬助治

    相馬助治君 この際放送局側にお尋ねしておきたいと思うのですが、只今高橋証人証言にも現われておりますように、手続上には遺憾の点があつたが、市警察をあずかる者としては、万止むを得なかつたのだ、止むを得ない状況なんだ、こういう点だけは了解して欲しいという意味の御発言がありまして、一番最初発言とはいささか内容を異にしておりまするけれども、依然としてやはり田縁氏の言葉というものは怪しからないのだという一つの考え方というものが未だあると思うのです。そこで私はNHK関係の御三人のどなた様でも結構でございますから伺つておきたいのは、この種の問題が今後言論、報道機関として放送事業を実施して行く上においてどんな影響を持つものであるか、そして具体的には投書その他の方面によつて放送局にどのような反響が現われたか。例えば警察側が行き過ぎであるとか、或いは田縁教官発言というものは怪しからんとかいうような、相当反響があつたと思うのでございますが、その概括、これを承わることが第一点。  それから第二点は、春日さんのお名前を以て当地方行政委員会委員長西郷吉之助氏に宛てて、八幡浜街頭録音事件に関する意見書が提出されております。我々も読ませて頂きまして非常に参考になり、且つ又同感の点がございます。そこでその最後のほうに、換言すればNHKに與えられている任務を滞らなく遂行するために、この機会に当局者の善処を要望するものであると、こう述べられてございまするが、放送事業をおやりの立場から如何なる具体的な処置が望ましいとお考えであるか。そうしてこの当局者の善処というものは具体的には如何ような内容を含むものであるか、差支えなかつたならば明確にこの点を一つお聞かせおき願いたいとこう存じます。
  102. 春日由三

    証人春日由三君) 御質問が二つございますようでございますが、第一段の御質問に対しまして如何なる反響があつたかというものを具体的にということにつきましては、この街録を実施し、放送をいたしました松山放送局稻田放送部長にお答えいたさせたいと思います。第二段の問題につきましては、そのあとで私から申上げたいと思います。
  103. 稻田稔

    証人稻田稔君) 今の反響ということでございまするが、私の松山中央放送局に葉書、封書併せまして百余通の投書が参つております。承わりますれば署長さんのほうにも参つておるそうであります。田縁教官のほうにも参つておるそうでございます。私のほうに参りました反響の殆んど全部と申上げてよいと思いまするが、警察の行過ぎを非難しております。警察のとつた態度は妥当である、止むを得ないとこういう投書は二、三通あつたように記憶いたしております。それから再び街録をやりました十一月四日の街頭録音、これは八幡浜市と同じような場所でやりました街頭録音でございますが、そのときの情勢は現に録音盤を持参しておりますから、御所望ならおかけしましてもよろしうございます。そういう反響面ではその程度でございます。  それからもう一つ附加えたいことは、田縁教官が非常なシヨツクをお受けになつたことは、事実であろうと思います。滅多なことは言えない、こういう現象が起きるということを今後街頭録音を実施する上におきまして非常に面白くない、こういう事態が起きるということは、自分の考えることを率直に述べる機会を失う。特に街頭録音におきましては何と申しますか、公共団体と申しますか、そういう関係筋への自分たちの意見はこうあつて欲しい、こうあつてはならないということを一般の民衆の声として取上げる機会が多いのでございます。そういうことにおきましての言論の自由でありまする現在におきまして、現在実施いたしておりをする街録の折角の発展を阻害するといいますか、支障を来たす、こういうふうになつては、我々当事者といたしましても非情に心配でございます。そういうことのないように一つ今後とも御注意頂きたいというのが私の考えでございます。
  104. 相馬助治

    相馬助治君 録音をかけて下さい。
  105. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは先ほど言われました録音をやります。    〔録音聽取
  106. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では春日証人……。
  107. 春日由三

    証人春日由三君) 政治的に公平であるというNHK放送法のに課せられました使命を滞りなく遂行するために幾多のむずかしい問題があると思うのでありますが、率直にこの番組を預かる当事者から申しますれば、ともすればこの街頭録音の育つて行つた芽をつむようなことがあつてはならないということを考えるわけでございます。それと同時に私が意見書で、八幡浜事件の問題の焦点をはつきりさしたいということな申しておりますのは、これは非常にいいケースでございますから、これがどういうふうな御意見を頂くかによつて、私どもこれからこの仕事を続けて行く上のより拠りどころといたしたい、こういうふうなつもりで書いたわけでげざいます。つまり換言いたしますれば、NHKが與えられました任務を滞りなく遂行するために、丁度いいケースが出て参りまましたから、これについて直接的には法を施行なさるかたがた、大きく言えば法を守つて下さるかた、そういう権威あるかたがたの適当なる御解釈を頂いて、私ども今後仕事を続ける上のよき拠りどころといたしたい、かように考えるものでございます。
  108. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 言訳をいたしまするようで、誠にその点は申訳ないのでございますが、決して言訳でも何でもないのでございますが、あの再街録が行われましたときの発言者最初の部分は出ませんようでございましたが、だんだん警察が行過ぎだという御意見があつたのでございます。この発言者はどういうかたが発言されたかということを御参考までに申上げさして頂きたいのでございます。  最初登壇をいたしましたかたは、私は顔をよく覚えておりますが、これは市内ではございません。西宇和郡の喜須来村の或る旬刊新聞の記者でございます。これはこういうことを申上げてどうかと思いますけれども、名指しをいたしませんから、お許し頂けると思うのでございますが、恐喝罪によりまして一年ばかりの刑を終えて帰つた男でございます。その次に登壇をいたしましたのが、これは市内でダンス・ホールを経営いたしておりましたが、どうも不都合が多うございましたものですから、ダンス・ホールを閉鎖させました相手方の男でございまして、警察に少からん惡感情を持つておつた者であるということを申上げたいのであります。それからその次に登壇をいたしましたのが、これも西宇和郡のたしか宮内村ではないかと記憶いたしております。私も顔をよく覚えておりますが、登壇するときは、私に会釈をして立たれました。それでよく覚えておるのでございますが、このかたも旬刊新聞の記者でございますが、最近刑事事件を引き起しました人物でございます。それからいろいろ御意見がございましたが、そのうちに或る党の同調者のかたもございましたし、それから警察の処置が妥当と思うかどうかというときの拍手に、警察の処置を妥当と思う者と言つて、拍手をしてもらつたかたもあるらしいのですが、決して我々のところに気休めでわざわざ言つて来てくれたのじやないと思うのですが、手を叩きたかつたのですが、あたりにどうもねめつけられるような気がして手が叩けなかつたという、こういうことを言つて来てくれておるのですが、大体あの当時の発言者の層なり、その会場の雰囲気を御賢察を賜りたいと思います。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここの証言は、高橋さんのように警察で陳述を求めたり、検察庁や裁判所でやることと違つてご自由な発言を願つてまあかたくならないで一つお話願うことで、問題のつかみ方も又全然他とは別なわけなんですが、非常に御尤もな御意見を先ほど結論として頂いて大体我々委員会としても実に結論を出すのに好都合だと考えておつたのですが、どうも今のような現象的なことをですね、又出して来られるとどうもやはりそこにですね、何か別なお考えもあられるようで、私としてはまあこの進行上どうもうまくないと考えるのですが、これは意見がましいことですが、そこでそういうことをおつしやるならばもう一度お伺いしますがですね、先ほど私の質問に答えて田縁証人を告訴する、それが起訴が成立しようが維持できようができまいが、そういうことは問題でない、高圧するということで、我々警察の権威を保持し、誤解を解くのだ、こういう考えを当時持つておつたということを言われるのであります。こうなるとですね、これは明らかに田縁証人へ対する報復的な感情の混つた御議論でありまして、自治体警察として起訴を維持して行くだけの材料を持つて、確信を以てやるべきはずのものがですね、そんなことはまあどうでもいい、高圧するのだ、こういうような考え方であるならば、これはそういうなお警察官として極端に言うと、まかしておけない法律上のですね、はつきりした根拠に基く起訴資料を持ち合せてやつて行くということで、客観的に慎重に感情を混えないでやるならともかく、その警察の権威のためにこういうことで結果はどうでもいいのだ、やるだけやるのだという、そういう考え方をお持ちになつたということについて、もう一度私はお伺いしなければなりません。もう少しこれは言葉の何んといいますか、足りない点があるのではないかと思うので、もう一度一つこの点御答弁を願うし、先ほど私質問したうちで一点落ちておるのですが、言論の自由という問題が、名誉毀損罪を構成することが容易でない、漠然たる問題である点も相当その当時研究されたでしよう。そこで、いや言論の自由ということを侵害しない、起訴要件は成立つのだというふうに客観的に、いわゆる司法警官として客観的に考えられた根拠を一つ明らかに列挙して頂きたい。
  110. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えいたします。只今の名誉毀損罪が成立するかどうかの問題でございますが、これは私も相当警察生活が長ごうございますし、内藤君におきましては、まあその道の先ず権威者の一人でございます。それからお慎重を期しますために、これが果して名誉毀損容疑事件かどうかという点につきましては、いろいろ研究もいたしてみたわけでございますし、特に専門家につきましても一部のかたにお尋ねしたこともございますが、私どもの見解は今日まで変つてないのでございます。名誉毀損容疑事件として成立つ、こういうふうに思つておるのでございます。併しながら、前にも申上げましたが、只今ではもう阿方公安委員長からの電話がございました瞬間に、もうすでに告訴をしようという、こういう意思はすでに放葉をいたしまして、現在では告訴する意思は全然ございません。ただ今の報復とか或いは私情を混じえての怪しからんぞ、貴様は何んだといつたような報復的な気持で私ども乘り出したものでは決してございません。  それから先ほど私があの再街録が行われましたときの模様に触れましたのは、決して他意があるわけではございませんので、とにかくこの八幡浜市の街録問題につきまして、八幡浜市警が乘出さざるを得なかつた特殊な事情のありまする点、必要止むを得なかつた措置であるということにつきまして特に御了承を頂きますような意味を附加えたまでのことでございます。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の御答弁の中で私の聞いたこととぴつたりしない点はですね、この告訴してそれが起訴になる、ならないのことはともかくとして、告訴するという形式のものが警察の権威を高め、誤解を解く基であると考えられたという当時の心境をもう一度、何か話の行違いではないだろうか、言葉が足りなかつたのではないかということで一応お伺いしておつたわけなんです。それからあとの御答弁のほうでは、これは名誉毀損罪としてその容疑が成立つ、客観的な根拠を以て成立つということを主張せられるということですが、それは今日においても変らないことであろうと思うのです。その御認定は、それが公安委員会阿方さんから電話があつたから起訴をするという意思を放棄したというお話つたのであります。そうしますと、その電話というのは、警察署長に対する公安委員会の御命令だつたのであるかどうか、この点をお伺いしたい。それから警察官として、署長として公安委員会から命のあるなしにかかわらず、或いは外部からどうのこうのということのあるなしにかかわらず根拠として、犯罪容疑が成立すると考えておるものをなぜ起訴しないのか、なぜ告発しないのか。しなくなつた、その考えの変つて来た点について、あなたの心境というようなもので、かたくなくてよろしうございますが、お伺いしておきたい。
  112. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えをいたします。これが非親告罪でございますならば、我々のほうに告訴権があるわけじやございません。すべて検察官にあるのでございまして、その事件の対象を問いませずそのまま事務的に処理をいたしまして検察官に送致すべきでございます。ところがこの名誉毀損罪につきましては親告罪でございますることは御承知の通りでございまして、而も被害者が八幡浜市警察ということになつておるのでございまして、この告訴権を行使するかどうかの問題につきましては、重要なる警察の運営管理の面に入つて参ります。それで告訴権を行使する、二十一日に先生においで頂いて、その話合の上では、或いは告訴止むを得ないということになりました場合はこの問題の重要性に鑑みまして公安委員会にお伺いをいたしまして、告訴するかどうかを決定したい気持であつたのでございます。それで非親告罪ならば、我々のほうにさような裁量処分は許されません。未だ曾つて、私三年お世話になりまするが、事件がございまして上司から、公安委員会のかたがたからこの事件をどうしろうしろといつたようなお指図を受けたことは未だ曾つてございません。親告罪なるが故にさような御指示があつたものだと考えますし、告訴権を行使いたしまするにつきましては、これが親告罪であるために行使するかどうかということは私どもがこの問題につきましては、政治的な考慮を拂つて然るべきでないかとかように考えまして、公安委員長からの電話によりまして相手が学校先生であるし、学校警察とは密接不離の関係に立つものである、それにもかかわらず告訴するとか何とかいうようなことは教育界と対立しておるといつたような感じを與えるというここは望ましいことではないから、話さえわかればいいじやないか、こういう電話でありました。私御尤もだと思いましてその瞬間にもう告訴はしない、こういう気持になつたのでございます。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると私にも素人ですからわかりませんが、常識的に二つにこの問題は分けることができると思う。警察という権威において告訴するという問題ではなくつて、たまたま名誉毀損せられたとする警察署長高橋さん個人なり、捜査課長内藤さんなり、或いはその他の吏員諸公なりでこれは告発するような問題ではないかとも考えられるのですが、この点はまあお伺いするという行き方での告訴ではないということであれば、明らかにこれは田縁証人と平等に対等な立場でこれは争うということになつて来ると思うのです。そういう場合にそれが報復手段ではない、感情も混えないということであるならば、なぜその起訴が成立しようがしまいがそんなことはかまわんというような御答弁になるのか、私どうも常識的にわからんのです。その点を又お伺いしたい。
  114. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 私現在におきましても、これを告訴する、公安委員会承認を得まして告訴するということに相成りましたならば、恐らく私は検察官におきましては起訴或いは起訴いたしませんでも起訴猶予と、こういう処分がなさるべきものだと、こういう確信を持つておるのでございまるが、起訴猶予結構でございます。私告発を望むのじやございません。併しながらこれが罪とならずと、犯罪の嫌疑なしということには絶対にならないと、こういう今でも私勉強が足りませんので、何かわかりませんが、そういうふうに思つておるのでございます。  それからもう少し先ほどの御質問がございましたので、決して高橋とか、内藤とかという個人の、警察吏員でございまするところの個人の名誉が傷けられたとか何とかいうのではございません。それならば私自体で解決すべき問題でございまして、上司の御承認を得る必要はないのでございますが、先ほども申上げましたがごとく決してこれは警察吏員一個の名誉が傷けられた問題じやございません。少くとも八幡浜市警察署、つまり四万一千の八幡浜市の市民の皆様方の警察、つまりこの皆様がたの権威と申しまするか、それを傷けられたという事案でございまするために、この四万一千の代表者といたしまして警察の運営管理に当つておりまするところの公安委員会承認を得まして、この告訴をするかどうかをきめるということは、これは極めて当然のことじやないかと思いますわけでございます。我々一個の個人の意見によりまして決すべき問題ではない、かように心得ておるのでございます。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうなつて来ますと、私ますますわからない重大な問題が起つて来ると思うのです。名誉毀損罪として告訴するということで学校へ行つて、そうして告訴をするかも知れないから対抗手段を考えろと言うことは、この場合においては我々民間における者が喧嘩でもした場合に、貴様今俺に対してこういうことを言つた、だから俺は告訴するからお前のほうもよく考えろ、裁判所で争おうじやないかと、こういうことと何ら変らない類型のものだと思う。それに対して司法警察権を発動して或いは逮捕状を請求してまでこの問題を調べて行くかのごときそういう印象を與える、又真実にそういう発言署長さんとして或る時期においてはなされておる。こういう点とは矛盾しないだろうかということを私は考えておるのです。若しもこれが、あなたが今おつしやるような立場であるならば、団体であろうが個人であろうが、ただ單に八幡浜市警察という一つの団体なり、個人が告訴しようという意思なのであつて、それに與えられている権力を使つて告訴するという問題とは問題は別だと思うのだ。あなたの今の話であると、それを逮捕状をもらつて云々、名誉毀損罪の訴えをすると、こういうことはどういうことなのか。
  116. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) お答えします。逮捕の問題は先ほど申上げましたごとく、これは程度でございまして、この問題に当てはめましてどうこうと言つたのでは決してございません。この点御了承頂けるのじやないか、こう思うのでございますが、それから私この告訴するかどうかということを最終的にきめますまでには、ただもうあの先生の御発言、それだけで以てきめることは早計でございます。更に先生にお会いいたしまして先生のお気持なり、その他のことを伺いまして告訴するかどうかについて公安委員会にお伺いする必要があるわけでございまして、その資料をという一つの準備行為といたしましてあの一連の措置、その間にはまずい点もございますたけれども、ああいう措置に出たわけでございますので、それからつまり告訴いたしましてから後の本格的なる捜査は、これは我々自身は手を引きまして、我々が被害者でございますから検察官の手においてはなされるべきだと、こういうふうに我々も考えておるのでございます。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、私常識的に今ものを申しておるのですが、そういうあなたがたは被害者である立場において名誉毀損罪を以て告訴しようという意思を持つ場合には任意出頭とか、或いは逮捕状を執行してとかいうことはおかしいのじやないかということを私申上げるのです。逮捕状のことはわかりましたが、任意出頭ということは、これはやはり警察において警察権の行使と申しますか、そいうう一環として手続上扱う一つの方法であろうと思うのです。そういう取調べ方をする問題と、この問題は範疇が違うのじやないかとそういうを私は申上げておるのです。
  118. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) その点につきまして重ねて申上げさして頂きます。先ほど朗読をいたしました内藤警部補顛末書にこう書かれておるのでございますが、「田縁先生はつまらんことを言つて済いませんでした。どうか許しで頂きたいと言つて相当悔いられておられる様子が見えるので、私も気の毒にも思い、その反面、その場に校長先生や菊地警部がおるので言いたいすべてのことが言えないけれども、これは二人だけのところで話をしてみれば何もかもわかるようなことになるなあと思いましたので、私は田縁先生に対し、明日日曜日ですが先生もお休みでしようと尋ねると、そうですと答えたので、私も日曜日は少し体を楽にしておりますから二人で話をしてみませんかと言うと、私の心が田縁先生に反映したものか快く返事がありましたので、それでは明日午後一時に出署しておりますから来てくれませんかと言うと、田縁先生は心よくこれを受け容れてくれたのであります。」これが強いて私どもの仕事の上で何ということになるかということになりますというと、通常捜査のいわゆる任意出頭と、こういうことになるわけでございまして、任意出頭と申しますると何だか何のようでございますが、強いて言えば任意出頭でございますが、全く先生の任意の軽い気持でお出で頂けるような約束ができたのであります。決してその任意出頭命令とか何とかを出したという、それほどまでに角張つたものではなかつたのでございます。
  119. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) 今の出頭の件でございますが、前半の日曜日云々ということはその通りでございますが、それから後は明日二十一日の一時に出頭して下さいというお話があつただけで、その後のお話はありませんでした。二十一日の一時と言うから明日の一時ですか、そうです明日の一時に署のほうに来て下さいと、こういうお話でした。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも私わからんのをすが、私の申上げておることが法律的にこれはどういうことになりますかわかりませんですが、あなたのほうが被害者の立場で告訴しようというのに、警察の捜査権というものを発動してやるという範疇にはこれは入らん問題ではないだろうかという疑問を投げかけておるものなのです。やはりそういう名誉毀損罪というようなことで告訴するという場合には、一般民間と同じにそれぞれ対抗する手段として考えられて行くことであろうと思うのです。それを警察権を使うかのごとき誤解を、この際は誤解を受けると申上げておきますが、ような任意出頭というようなことは、或いは逮捕状を出すような段階に至るかも知れないような口吻を洩しているというようなことは、これは警察行政と申しますか、そういうものを混同しておられるのではないだろうか。自分に降りかかつて来た火の粉を拂うという努力と、法の下に警察権を以てこれを責任を追及して行くのとごつちやになつているのじやないだろうかという疑問を私は持つのです。その点どうなんです。
  121. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 御意見御尤もでございます。先にも申上げました如く本格的に告訴権を行使する、告訴するということになりましてから後の捜査手続は一切検察官にお任せすべきでございまして、我々は手を引くべきでございます。ところが一般の場合でございますと、名誉毀損罪について告訴がございましたならば、告訴提起後の捜査手続はやはり捜査の主体性が警察に認められておる建前上警察においてやらしてもらうだけでありまして、そうして一応の捜査が終りまして、検察官に意見を附して送致するということになのるありまして、これは警察が被害者でございますので、告訴提起後の分は検察官にお任せをする、我々は手を引くそれまでの準備行為としまして、而もその準備行為と申上げますのも、先ほど申上げておりますように、喜須来の小学校先生にお会いしまして最後にそうなつたのであります。場合によれば署長にお会いすれば告訴することになるかも知れないということになつたのは、先生言葉が変つて参りましたので最後にそうなつたのでございまして、最後に二十一日に出てもらうことにしましても、そのときの内藤君自身の言葉によりまして、この顛末書によれば先生の御気持ちは大体わかつた、それで署長に会つて話をすれば話はうまく行くだろう。つまりこのときにはもうすでに先生のお気持ちもわかりましたので、内藤君自身といたしましては、私にこれは告訴しなければなるまいという進言は恐らくなかつたのではないかと思つております。内藤君自身といたしましても二十一日には私と先生と談笑裡に話を進めて行けば、うまくことは解決すると、こういうふうに内藤君は考えて二十一日に先生に出てもらうように約束をしたのであります。又一方私の気持といたしましても二十一日の十一時頃だと記憶しておりまするが、阿方公安委員長から電話がございまして私の気持もそうなつたのでございます。だから恐らくあのときに、二十一日に先生がお出でになつたときに私は松山に行きましたためにお会いできなかつたのでございますが、若し仮に先生とお会いできておりましたならば、一切は解決が、解決と申しますると私どもといたしましてはもうそれで先生のお立場なりお気持なりがよくわかれば、すべて円満に釈然といたしまして、ことはもう済んでおつたのではないかとこういうふうに考えておるのでございます。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今日の段階においては、だんだんいろいろな問題から整理して来れば、高橋さんのおつしやるようなことになるのでしようが、その当時においては、やはり新聞記者にあなたがああした逮捕状の発言をせられたり、或いは学校で告訴するというようなことを言われたり、或いは警察ちよつと来てくれないかと言われたりしたことは、これらはやはり準備行為の段階において警察権というものを背景にしてこの問題を処理して行こうとする意思があつたのではないかという疑いを持つものなのです。その点が先ほどから行き過ぎであるとこういう問題にからんで来ておるわけなのです。この点をあなたからもつとはつきりお答え願いたい。
  123. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) この点重ねてお詫び申上げたいと思います。只今告訴云々のこと、或いは逮捕状云々のなにが出ましたということは、事情を御賢察頂いたことだと思うのでございますが、何といたしましても、私どもが思わざる、事志と違つた誤解を與えていろいろ世間をお騒がせするということになつたということにつきましては、十分反省をいたしております。軽率であつた、行き過ぎであつたと、そういう点は率直に私認めておるのでございまして、お詫びを申上げる次第でございまして、今後警察の運営の上におきましてかかる間違いの起りませんように十分改悛いたして参りたいとかように思つております。
  124. 須藤五郎

    須藤五郎君 今高橋さんは非常に改悛の情を示されたようでありますが、私はそれは嘘だと思う。(笑声)何となれば本心はまだそういうふうに思つていない。やはり朝から申しましたように告訴を口にしたのも、やはり自分の本心では行き過ぎではないと思つておる。又それが相手を強迫観念に陷れたことはないというふうに考えていらつしやる、私はそう断ぜざるを得ない。その証拠にあなたはさつきあの録音を聞かれて、あの拍手の声を聞かれて、人民の声を聞かれて、なおそれに対して反抗の念を持つておる。あなたはあの声を何の声だと思つておるか。あなたはあれを一々例をとつて、あの最初発言した者は誰であるか、その次は誰であるか、すべてこれは警察に反感を持つておる人の声で、本当の人民の声じやないというふうに解釈していらつしやる。併し最後に起つたあの拍手は何だ。警察に睨まれて拍手しなかつたという或る卑屈な観念を持つた市民の声を、それを警察に都合のいい市民の声として、あの大多数の拍手に耳をふせておるという態度、これが即ちあなたが反省していない証拠だと解釈する。なおあなたの発言の中に或る党ということを言われた。或る党とは何を指すのか、はつきり聞きたい。
  125. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) さようにおとりなりましたこと、誠に私残念でございまして、私は捜査の技術の面で行き過ぎがあつた点は率直に認めておるのでございまして、十分反省もいたしておりますつもりでございます。それから只今のお尋ねでございまするが、或る党とこう申上げましたのですが、ここで申上げますることはどうかと思うのでございまするが、遠慮させて頂いたほうがいいのじやないかとこう思うのです。
  126. 須藤五郎

    須藤五郎君 明らかにすべきだと思います。どの党を指したのか明らかにしてもらいたい。
  127. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) それでは私この点をお伺いいたしまして私の発言をいたしまするかどうかを決定したいと思うのでございまするが、御列席の各委員のかたがたの御意向が大多数で以て発言しろと、何党かはつきり発言しろと、こういうお申出なれば申上げさして頂きたいと思います。
  128. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうことを各委員に諮る必要はないと思います。天下には公党以外に党はないと思う。その天下の公党に対して侮辱を加えるような言葉ならばはつきりすべきだと思う。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今朝の証言宣誓の文言にもありました通りですから、責め立てられてですね、何でも言わなければならんという筋合のものでもございませんが、あなたが若しもここでお許しがあれば発言するという前提である限り、委員のお一人が発言を求められるとなればあなたもこれは自分の御意思で御発言になられることが望ましいと思います。
  130. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) それでははつきり申上げます。共産党の同調者でございます。名前を申上げてよろしうございますか、その人の名前もはつきり申上げられるのでございます。
  131. 須藤五郎

    須藤五郎君 名前までは要求しません。それではお尋ねしますが、あなたは共産党の同調者が言つたことをなぜそういうふうに解釈しましたか。それは共産党の同調者は国民でないのか、市民ではないのか、あたかも市民でないかのことく発言されておる。あの先ほどの要するに警察の態度が行過ぎだという発言は、あたかも市民の声でないかのごとき発言をされているが、あれは市民でないのかどうか。
  132. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) もとより市民のお一人でございます。私どもは十分傾聽すべきでございまするが、共産党と警察とは宿命的に対立の感じを持たれておるということは、私どもは望ましいことではございませんけれども、そういう感じを持たれているということを遺憾に思うのでございます。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 須藤さんが連続して御質問の段階になつているようですが、証言をなさるかたも今朝からの証言でお疲れになつているような向きもあるようですから、ちよつとここで休憩せられんことをお願いいたします。
  134. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは私は保留しておきます、休憩後に発言します。
  135. 一松定吉

    一松定吉君 今の動議に関連して……、今実は條約の委員会に出なければなりませんので、その前に発言さして頂いたら有難い。休憩後ならもう出ませんが、どちらでもよろしい。
  136. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) お諮りいたしますが、今の一総委員のおつしやつたことは尤もだと思いますので、お急ぎだと思いますから特に今日は一回も発言しておられませんから、動議がありましたが、普段ならばその動議を採決いたしますが、併し今ののつぴきならない事情を述べられましたから、折角の連合委員会ですから一つ……。
  137. 相馬助治

    相馬助治君 今の小笠原君からの動議を成立せしめて、但し今一松委員のおつしやることも御尤もですから、一松さんの発言だけを認めて、それに関連質問を認めて、一松さんの発言だけを認めて、これが終れば自動的に休憩が成立するということですから、整理してやつてもらいたい。
  138. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 委員長の言うのはそういう意味です。
  139. 一松定吉

    一松定吉君 私はこの委員会の本日の趣旨を実はよく了承していないのでありまして、趣旨を誤解しておるがために、或いは私の発言が当を得ないかも知れませんが、かように私は考えて発言をいたしたいと思うのであります。この八幡浜事件録音に対して警察官のとつた行動が妥当であるかどうであるかということをこの地方制度委員会においてこれを検討し、将来地方警察あり方について考える、こういう意味でこの事件の御審議が進行しておるのじやないかと思う。そういう意味において私は法務委員の一人として実はこの手許に與えられました資料について、これをよく検討して見たのですが、これは問題は要するに田縁教官が街頭で放送したということが八幡浜警察の名誉を毀損したということに起因して、田縁教官に対して警察官のとつた行動が行過ぎであるかどうか、この点を明らかにすればいいのじやないかと思うて、その点を一つ私の意見を申上げておきたい。私はこの田縁教官が今與えられました資料によつて放送した事実は、これは名誉毀損にならんと思う。高橋警察署長はどう思つたか知らんけれども、刑法の二百三十條には「公然事実ヲ摘示シ人ノ名誉ヲ毀損シタ」、八幡浜警察というのは人じやない。ね、八幡浜警察署は人じやない、八幡浜警察署の署長高橋何がしがこうした、八幡浜警察署の巡査部長がこういうことをしたからというようなことは、これは立派な名誉毀損になるでしよう。けれども八幡浜警察署というのは人間じやないのだからそれは一つの国家機関に過ぎない。若しもあなたが言うように、これが名誉毀損になるならばね、吉田内閣の今のやり方は秕政百出だ、こういうような内閣はぶつ倒してしまえと言つたら、名誉毀損になるのかね。吉田内閣の総理大臣吉田茂氏がこういうことをやつたのだ、これは不都合だというようなことはこれは名誉毀損ですよ。我々専門家はそう解釈している。だから八幡浜警察署がこういうこそ泥を捕えたり、大泥を逃がしてみたり、或いはボスの行動によつて行動を二、三にするというようなことは不都合ではないかというようなことは、八幡浜警察署のやり方について、その八幡浜市民はそれらの誤れる行動を是正するという、即ち街の輿論を発表して、これが放送せられたものであると私は認める。そんなことは名誉毀損になりませんよ。但しそれを調べた結果が高橋署長がこういうことをやつたのだ、何々巡査部長がこういうことをやつたのだということならば名誉毀損になる。但しこの名誉毀損になるということも制限がある。これには即ちこの刑法の二百三十條の二によると、「前條第一項ノ行為公共ノ利害二関スル事実ニ係り某目的専ヲ公益ヲ図ルニ出テタルモノト認ムルトキハ」云々、公益を図るために官署のやつたやり方について国民が批判するということは刑法において罰せられていない。だからそういうことはあなたはいやしくも署長としておつて、刑法の法文の解釈がわからないようなことじやそれはよくない。そういうようなことで、その田縁教官が本当に街の声を放送して警察官のやり過ぎを是正するためにやつたこの言葉が、これに対して警察に出頭を命ずるとか、任意出頭を命ずるということはこれは警察の行過ぎです。殊にそれが自分のことに関する限り人から告訴とか告発されるということでなくて、警察自身のやり方を非難されたことについて、その教官に対してちよつと出頭して来い、出頭しないから学校に行つて生徒が退けたあとといえども学校警察官が二、三人出かけて行つてその教官に面談して、それで都合によれば告発するかも知れんから用意しなさいというようなことは、これは確かに相手がたに対して畏怖心を與えるやり方なんだ。そういうことを警察官がやることがよくないというので、警察官に対してはいろいろな行為の制限がある。即ち刑事訴訟法においていろいろな今までやり過ぎであつたのを、そういうことをさせないようにしたのは、今の新刑事訴訟法の立法の精神であることは、あなたは警察署長としては知つておらなければならん。だからそういうようなことで、警察に任意出頭を命じたり、或いは今のような言葉を言うて告発するかも知れんから用意しなさいというようなことはそれは行過ぎですよ。そういうことは警察官としてすべきものじやない。そういう意味において私はこの委員会がこの事件を取上げて、地方警察あり方について大いに検討して、将来地方警察あり方について然るべく検討をしようという意味において、この事件をお調べになるということに対して私の考えておることを一言申上げまして、私は退席さして頂きます。但し今のような高橋さんがそのことについて言うことがあれば、それを承わつた後に出てもいいけれども、今のような輿論があつて、もう一言だけ私に言わしてあとは休憩だということであると、あとで聞けないから、それだけのことを御了承願いたい。(笑声)
  140. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では先ほどの話合いの通り休憩いたします。    午後四時二十四分休憩    —————・—————    午後四時四十三分開会
  141. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では連合委員会を再会いたします。
  142. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) 先ほど本月の四月に行われました八幡浜市内の街録事件をどう思われるかというテーマ只今行われました第二回の街頭録音問題につきまして、私は発言の機会を與えて頂いて発言をさして頂いたのでありますが、それから後の私の言葉に不穏当な点も多々あつたの反省をいたしております。お願いできればこの第二回の街録問題についての私の、或いはそれに関連いたしまする発言を一切取消さして頂きたいと思います。よろしく御了承をお願いいたします。
  143. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はなお先ほどの共産党に対する誹謗に対して高橋氏を飽くまでも追及する考えでおりました。併し休憩中に反省をなすつて、共産党云云の問題も全部取消されたので、取消すと同時に遺憾の意を表されたものと理解しますから、私ももうこの際証人をこれ以上苦しめる意思はありませんから、男らしくあつさりとその問題は了解することにいたしたいと思いますが、なお私は一点だけ申述べたいと思います。それは希望條項も入ることと思いますが、警察に対立したものをすべて惡という断定を警察が下されることは非常な間違いだと思うのです。そういう断定を下すところに非民主的な警察というものが芽生えて来る。即ち今回のこの問題の起つた原因も、そういう警察官の思い上り、即ち警察に対して一指も触れることは許さんぞという態度、これは過去の警察であつたと同時に又今日そういう傾向に、趨勢に向いつつあるということを私は今回の事件を通じて考える。それが非常に心配です。にもかかわらず幸いに高橋氏にそういう意図がなければ結構でありますが、併しそういう心配は我々議会にいるものには常に感じられる日本国中にいろいろな問題が起る。その問題通をじて、そういうことが心配ために、今回もこの地方行政でこの問題を取上げておる。そこに問題があわけです。ですから若しもそういうことが少しでもあるならば、この際大いに反省して頂きたい。そうして警察と対立したものを決して惡と断定をしない。警察が独断に立たないで、お互いに反省することによつて、民主的な日本を築くという方向に私は持つて行つて頂きたいと思う。  それからなお先ほどからこの告訴問題に対して、飽くまでも自信を持つていらつしやる、高橋さんは……。併し我々は法曹界の先輩である一松氏が、これは名誉毀損にならないということを断定していらつしやる。私たちもこれは名誉毀損にならないという確信を持つております。若しもこの席上飽くまでもあなたは、名誉毀損はまだ自信を持つているということを飽くまでも頑張られるならば、どうぞ一度その黒白をつけるために堂々と男らしく告訴なさるがいいと思う。併し私は言いたい。若しも告訴の結果裁判所においてあなたが負けた場合、名誉毀損にならなかつた場合、あなたは責任をどうとるかということをはつきりここで伺つておきたいと思う。
  144. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大変中へ割つて入るようで須藤さんには失礼でありますが……。
  145. 須藤五郎

    須藤五郎君 全く失礼です。
  146. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 証人を呼んで証言を求めたのですから、今後における決意なり告訴に関する点については証人としましては、しないということも言つておられるのでありますし、それをせよという前提の下に御意思を問うということは、或いは無理な点もあるのではないかと思われるのであります。
  147. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はなお何が故に今こういう発言をしたかというと、飼くまでも名誉毀損が成立するということを警察関係のかたとして持つている、そこに私は釈然としない。今日我々は名誉毀損にならないという結論に達しておると思うのです。然るになお高橋さん、又岡田さんたちは必らず名誉毀損が成立するという確信を持つていらつしやるから、そういう疑惑を解かないで、ここで然為としないで、これを散会することはいけない。だから若しもそういう確信を今日今現在なお持つているならば、男らしく私は天下にはつきりさすために告訴をして、そうして明らかにしたほうがいい、そのほうが警察の民主化のためにもいい、日本のためにもいいという結論のためにこういう提案をしたのであります。
  148. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 須藤委員に申上げますが、先ほど来、朝以来いろいろの御証言がありましたが、大体高橋証人の考え方もおわかりになつておりますから、連合委員会証人に対する質疑はこの程度にいたしまして打切りたいと存じますが御異議ございませんか。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今委員長のお考えには、私結論的に賛成であります。ただ須藤委員も釈然としないものがあるようでありますから、高橋証人の最後的な証言を発表させる機会も與えで頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そこで附帶して申上げまするが再三午前中から申上げております通り、この証言を求める委員会警察証言とは違いまして、民主警察あり方或いは言論の自由が如何にして確保されるかというような諸問題について証言を頂いておるのでありまして、高橋証人或いは阿方さんにおかれましても、善意を以て良心の命ずるところによつてああした行動をとられたという、そういう主観的な問題については我々も事情はよくわかりました。ただ客観的に、我々として判断をして結論を得ることはこれは後日に廻すのであります。従つて高橋さんや阿方さんが午前中以来えらい遠いところからお出でになつて御苦労をおかけしましたが、今後におきましても、今後民主警察の発展のために、一般と御努力を頂きたいということを私は希望申上げておきます。
  150. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは各証人に対する質疑は……。
  151. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたの御意見を発表する前に私申上げておきたい。私は今須藤委員高橋さんに対して告訴するかせぬか意見を発表せいというようなことはこれは穏当でないと思う。それは高橋君が自分がこういうようなことによつてこうこういうことをやつたということが、この委員会において地方警察としてのあり方についていいか惡いか我々に判断の資料を與えたのです。そこでそれからその告訴するとかせぬとかいうことは高橋さんの自由意思である。自由意思をここに発表することを強制するとか、それを命ずるとか、要求するとか言うことは、これは須藤君の行き過ぎだと思う。その意味において私どもは、高橋さんは将来この委員会の空気を察知せられて、将来地方警察ためにますます誠心誠意奉公の誠を盡すという態度を以て頂けばそれで私は十分だと思つております。
  152. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は強要した覚えはありません。釈然としないものがあるから、だからこの際そうなすつたらどうでしようかという意見を申上げたので強要はしておりません。(「了解々々」と呼ぶ者あり)
  153. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 各証人に対する質疑はこれを以て打切ります。  終りますに当りまして各証人に申上げますが、今朝から長時間御発言を願つておりまして御苦労でありまするが、終りに当りまして何か所見がございましたら各証人において順次御発言を願いたいと思います。
  154. 阿方岡一

    証人阿方岡一君) どうも大変御心配をかけまして我々はいろいろ教えられるところがたくさんありました。将来とも民主警察育成のため努力をしたいと思います。
  155. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 別段各証人発言がなければ……。
  156. 高橋豊春

    証人高橋豊春君) この問題につきましては、終始一方ならぬ御心配をかけましたことを重ねてお詑びを申上げます。いろいろ御叱正、御指導を賜り十分肝に命じました。今後よりよき民主警察実踐のために御奉公を全うして行きたいかように念願いたしておりまする次第でございます。  なおこの告訴云々の問題でございますが、これにつきましては私ども只今までの意思はすでに決定いたしておりまして、今後告訴するとかいつたような考えは毛頭ないのでございます。それから名誉毀損罪成立の問題につきましても、私どもは誠に不勉強でございまするが、只今その所信には変りはないのでございますが、先ほど先生の御意見等も拝聽いたしまして、なお十分勉強をさせて頂きたいとかように存じておりまする次第であります。大変いろいろ御心配をかけましていろいろ御高配を賜りまして、殊にこの問題につきまして、私ども証人としまして御喚問頂きましてかように発言の機会をお與え頂きましたこの御厚情に対しまして、心からお礼を申上げる次第でございます。いろいろ有難うございました。
  157. 田縁喜平

    証人田縁喜平君) 今回の事件につきまして本委員会で取上げて頂きまして、審議をして頂く機会を作つて頂きましたことを誠に感謝いたします。この問題につきましては、私といたしましては一般論を申述べたつもりでありますので、これは繰返し申上げた通りでございます。併し警察のかたに一般論でないという見解を與えたことを考えて見ますと、或いは表現の上で何分とつさの問題であつたために、適当でない個所があつたのではないかと自分でも反省をいたしております。特に八幡浜市の警察が、この事件が起りましていろいろお聞きしたところによりますと、非常に熱心に、特に私の発言いたしましたがごとき問題につきましては、清潔なという感じを市民一般が持つつておられるということを今回初めて知つたのでございまして、いろいろの誤解行き違い、むしろそういうようなところから問題がかくも紛糾いたしまして、各方面に大変御迷惑を相かけましたことにつきまして責任を痛感いたしておるのでございますが、将来ともどうか御叱正、御指導下さいますようこの席から改めてお願いいたします。
  158. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは本日の地方行政法務連合委員会の各委員を代表いたしまして委員長より皆様がたに謝意を表します。それではどうかお引取り願います。なおこれを以て連合委員会を閉じたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこれを以て連合委員会を閉じます。    午後四時五十八分散会