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1951-11-28 第12回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十八日(水曜 日)    午後一時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            山本 米治君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            菊川 孝夫君            松永 義雄君            菊田 七平君            森 八三一君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省理財局長 石田  正君    日本專売公社監    理官      久米 武文君    労働省労政局長 賀來才二郎君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    労働省労政局労    働法規課長   松崎  芳君   —————————————   本日の会議に付した事件財政法会計法等財政関係法律の  一部を改正する等の法律案内閣提  出、衆議院送付) ○旧外貨債処理法による借換済外貨債  の証券の一部の有効化等に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○連合委員会開会の件 ○日本專売公社法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今より第二十二回の大蔵委員会を開催いたします。  財政法会計法等財政関係法律の一部を改正する等の法律案議題といたします。先ず政府より提案理由説明を受けます。
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今議題となりました財政法会計法等財政関係法律の一部を改正する等の法律案について提案理由を御説明申上げます。  この法律案は、国の行政事務簡素化の一環として財政会計制度簡素化を図るため、支出負担行為その他の会計上の制度及び手続を簡素にすると共に、会計職員及び繰越に関する制度を整備し、併せて継続事業の円滑な遂行に資するため、新たに継続費制度を設けることを目的といたしております。以下、簡単にその内容を御説明いたします。  先ず、支出負担行為に関する制度簡素化について説明申上げます。現行法では、各省各庁の長は配賦を受けた予算に基き、支出負担行為計画を定めて大蔵大臣承認を経なければならないこととなつており、又、各支出負担行為担当官支出負担行為認証官認証を受けなければ支出負担行為を行うことができないこととなつているのでありますが、改正案におきましては、支出負担行為計画につきましては、公共事業費その他大蔵大臣の指定する経費に係る予算についてのみ支出負担行為実施計画について大蔵大臣承認を要することとし、又認証につきましては、特に各省各庁に認証官を置かず現在の支出官にその支出負担行為が示達された予算を超過しないかどうかという確認を行わせるごとといたしたのであります。なお、各省各庁におきまして予算の適正な執行を図るため認証官を置いて認証を行わしめることが望ましい場合には、支出官確認に代えて認証官による認証を行うことができるものとした次第であります。  第二に、会計職員に関する制度改正について説明申上げます。会計職員に関しましては、その任命変更についての手続を簡素にし、又必要に応じて他の各省各庁の職員会計職員にすることができることを明らかにする等、会計事務遂行の便宜を図ることといたしたのであります。  第三に、契約手続に関する改正であります。現行法におきましては、随意契約又は指名競争契約をなす場合には、すべて大蔵大臣協議を要することとなつておるのでありますが、契約性質又は契約金額少額のものにつきましては、あえて協議を経る必要もありませんので、この協議を省略し得るようにすることといたしておるのであります。  第四に、繰越制度改正について説明申上げます。現行法による繰越制度といたしましては、経費性質年度内支出を終る見込のない経費につき国会承認を経て翌年度へ繰り越すいわゆる明許繰越と、支出負担行為をした後避け難い事故のため年度内支出を終らなかつた経費金額を翌年度へ繰り越すいわゆる事故繰越の二本建でございますが、改正案におきましては、このほかに、予算成立後の理由に基く繰越を新たに認め、現行明許繰越と共に、繰越明許費として国会議決を経べきものとし、経費の効率的な使用に資しようといたしておるのであります。  第五に、継続費制度の創設について説明申上げます。国の工事製造その他の事業でその完成に数年度を要する継続事業につきましては、その経費は毎年度歳出予算を組みまして支出をするのが現行法建前でありますが、継続事業の性格からいつて長期事業計画の樹立と共にこれに対する長期財政裏付が望ましいのでありまして、今回継続費を設けまして、国の重要な継続事業につき数年度に亘る支出権限を確保し、その遂行に遺憾のないようにいたしたのでありまする  なお、只今説明申上げました事項のほかに、歳出予算部款の区分は、予算編成執行及び決算事務を複雑化せしめる点が多いので、昭和二十七年度予算からこれを廃止することとし、現在翌年度八月三十一日まで繰り延べている歳入歳出の完結の時期を最近の出納事務整理進捗状況に鑑み原則に復帰して翌年度の七月三十一日までとすると共に、昭和二十四年九月十五日限り停止いたしておりました小切手認証制度につきまして、制度自体としても廃止することといたしました。  以上財政法会計法等財政関係法律の一部を改正する等の法律案提案理由について御説明申上げました。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。   —————————————
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に本案内容説明を求めます。
  5. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 只今提案理由を御説明いたしましたが、私から少しくそれを敷衍補足して申上げたいと思います。  これを御理解願いますためには、先ず現在政府予算支出いたします場合にどういうふうな方法で行われるかということの概略を御説明する必要があろうかと思います。予算支出しようと思います場合に、御承知のように先ず第一段階におきまして契約を結ぶわけでございます。契約以外の場合におきましても、補助金その他何らかの意味支出の行われる原因となるとこ支出が生ずるわけであります。それでその契約が行われましてから、それに基きまして支出即ち小切手を振出すが、それに基いて日本銀行支払が行われる、こういうことになつておるわけでありますが、現在これについての統制が行われておるのであります。先ず第一段階におきまして、年間の予算国会議決を経て成立をいたしますと、内閣各省大臣にその予算配賦いたします。でその配賦をいたしまして直ちに使えるかというとそうではありませんで、契約計画、我々はこれを支出負担行為計画と呼んでおりますが、この支出負担行為計画というものは四半期ごと大蔵大臣承認を求めまして、そうしてこの計画範囲においてのみ毎半期これをすることができる、即ち全体の契約についての総体の四半期計画というものが先ず立てられるわけでございまして、それで具体的に各省係官契約を結びますときには、その計画範囲内であるかどうかということを先ずたしかめまして、それに基きまして行われるわけであります。その場合に各省の中に認証官というものを置きまして、契約を担当しておる係官が先ずその認証官認証を求めまして、契約がその計画を超えておらないかどうかというような点をたしかめてもらつてから初めて契約を締結する、契約が締結されましてから、具体的に支出をいたしますときには支出官という係がございまして、これをその支出官に要求するわけでございます。ところがこの支出官小切手を振出します場合にも四半期計画がございまして、これを支払計画と呼んでおります。これは前の契約計画であるところの支出負担行為計画とは別個に資金的な見地から国庫金状況等を勘案して大蔵大臣各省に認めたところの四半期別支払計画というものに基きまして、同様なその計画範囲内であるかどうかを支出官がたしかめて然る後にこの支出をする、こういうことになつております。即ち現在の予算執行におきましては、統制契約段階支出段階とにおきまして二重に行われておるわけでございます。ところがこれは昭和二十四年度に初めて二重に統制をする方法を採用いたしまして、それまでは支払計画という支払計画だけがあつたわけであります。その後二十四年度に二重の統制を実行いたしました結果、少しく統制が形式的に流れておりまして、必ずしも労多くして効果が少ないという経験を我々感じたわけであります。即ち俸給の支払でございますとか、日常書記用雑品でございますとか、そういうようなものは多くの場合において契約支払でございます。従つて契約計画支払計画という二重の計画制度をあえて立てる必要がない、この計画というものがございますと、やはりいざ執行に移すという場合にはどうしても実情に即して計画変更等のために相当の手数を要する。各省立場からいたしますと、予算執行上甚だ手数が多くて、而も大して効果がない、こういう点が明らかにせられたのでございます。それで従来のようにすべての費目につきまして支出負担行為、即ち契約計画制度をとることをやめまして、公共事業費でございますとか、官庁営繕費でございますとか、その他大蔵大臣がこれはやはり契約の面においても計画統制を行なつて行く必要があると思われる特定の費目以外は支払計画だけを残しまして、契約計画の措置をやめよう、こういうことにいたしたのが第一段の改正でございます。  それから只今も申上げましたように、各契約を担当しているところの係官認証官という係官認証を求めるわけでございますが、御承知のようにこの認証は我々が呼んでいるところの部内認証というものでございます。即ち各省の内部における認証制度でございまして、他の大蔵省その他検査院等の他の官庁による認証ではございません。従つてこの認証につきましても、その効果に比して手数の繁雑であるということが実行以来しばしば非難せられて参つたわけでございます。で私どもといたしましては、現在支出負担行為担当官、即ち契約係官、それから認証官支出官、三つでチエツク・アンド・バランスをやるという建前で参りましたが、むしろ非常に手数が多いということから認証官制度原則として廃止いたしまして、支出官認証事務を併せて行わさせるということによつて人手数も省けるのではないか、こういう建前に変えたわけでございます。勿論経費性質によりまして、又各省大臣認証官制度を、自分の省の予算は複雑であるから存置しておきたいという希望のある所は、それを従来通り行わせる予定でございますが、特に必要のない場合には認証官制度というものは廃止させたいというのが第二点でございます。これが今回のいわゆる事務簡素化という見地からして、主として改正をいたしました主要の点でございます。  なお些細な点に亘りますが、会計職員にしても同様に簡潔を図りました。従来支出官でございますとか、或いは歳入徴収官等官職を指定いたします場合には、個々の当該の係官の氏名を一々指定しておりましたが、これは各省の例えば会計課長でございますとか、或いは地方の局長でございますとか、そういうポストに対して指定せられるのが本来の趣旨でございますので、個々の人的な異動ごとに、その一一手数を省くという意味から官職自体指名するというふうに改めまして、従つてその指名について大蔵大臣各省協議する際も同様に個々人間についての協議はこれを省く、こういうことにいたしました。そのほか従来は歳入徴收官には代理官制度が認められておりませんでしたが、これは便宜上置くというような点を明らかにいたしました。  それから、その次の御承知契約の問題でございますが、政府契約をいたします場合に、只今会計法原則におきましては、一般の競争入札原則にいたしておりまして、特に法令において規定がある場合においてのみ、指名競争入札乃至は随意契約を行うことができる、こういうことになつております。この場合に各省大臣指名競争入札若しくは随意契約をいたしますときは、会計法第二十九條に基きまして、大蔵大臣協議をすることになつております。併しながら事柄の重要であるものは別といたしまして、日常些細のものにつきまして、一々大蔵大臣協議を要求するということはいささか手数であり、行き過ぎではないかというように感ぜられますので、その後特にその弊害を伴いませんものにつきましては、大蔵大臣に対する協議を外して参りたい、こういうふうに考えております。一例を申しますと、予算決算及び会計法の九十六條に随意契約をやる場合が列記してございますが、その列記が二十四ございます。そのうち最初の一から十八まではほぼ大蔵大臣協議を必要としない自明のものが多いというので、今回そういうものにつきましては、政令において省略し得るような規定を設けたのでございます。例えば予算価格が五十万円を超えない工事若しくは製造をなさしめる場合であるとか、或いは予定の代価が三十万円を超えない財産買入をなすときとか、そのほか、工事者若しくは製造請負、或いは財産の売買、こういうようなもので予定価格が二十万円を超えないときとか、こういうような場合については一々協議を要しない、こういうふうに政令において規定したい、こう考えておる次第であります。  それから、その次の繰越制度でございますが、現在繰越につきましては二種類制度がございます。一つは当初予算におきまして、予算の中においてこれは到底年度内にはでき上る見込がないので繰越をすることになると思うからということで、予算審議の際にあらかじめ国会において明許を受けるという明許繰越というものと、それから当初は予想しておらなかつたが、年度末に至つて何らかの事由で工事が遅延いたしまして、到底年度内にできない、これにつきましては真に止むを得ない場合には大蔵大臣承認によつて繰越をすることができるという事故繰越という二種類があつたのでございます。ところがこの事故繰越につきましては、少くとも契約は先ず年度内にやつておらなければならないものでございます。然るに契約自体もまだ年度内にやることができないような事情が起り得るのでございます。例えば道路工事をやりたいといいます場合に、土地の買収が予定通りに行われなかつた、相手の持主の承諾を得られなかつた、そのために工事請負契約自体年度内に行えないというようなことがあり得るのであります。これは年度の当初から予定せられておる場合には、勿論予算におきまして明許を得るのでございますが、年度の途中においてそういう事態がわかつてつたという場合には、これは何とか処置をしてやらなければならないというので、当初予算においてのみ認められました明許繰越制度を、今回は追加予算等の際において一つ経費について改めて明許を認めてやるというふうに国会議決によつてそういう途を開きたい、こういうふうに拡めて見たのであります。なお従来直轄工事につきましては請負契約等と違いますので、政府自体直轄工事で行います場合にはこの事故繰越を実際に認める場合が非常に少かつたのでございますが、これらにつきましても事故繰越が自由にできるようにその範囲を拡大いたしました。もとより予算年度内執行すべきものでございますが、止むを得ないものについてこの繰越制度を余り厳重に統制いたしますと、各省におきまして却つて工事が完了いたしませんのに完了したような様子をとつて無理に支出するという傾向がございまして、これは会計検査院からしばしば政府が批難を受けております。それで今回繰越しの点につきましてはやや緩和をしたようなわけであります。  次に継続費制度でございます。御承知のように旧憲法におきましては、継続費規定がございましたが、新憲法におきましてはこの規定を欠いております。併しながら政府憲法審議以後一貫してこれは併しながら継続費制度自体を否定しておるものではない、継続費制度は設けることができる、こういうふうな態度で参つております。終戰以来公共事業費については種々の問題があつたのでございますが、そのうちの一つといたしまして、何とかして継続費制度を設けて欲しい、これがないと長期の大港湾工事でありますとか、或いは例えば関門トンネルのような大きな長期に亘る工事についての安定性がない。又不必要な出費が出て参るというような要望がございまして、我々も何とかしてこの継続費制度を認めて参りたい、こう思つておりましたので、今回この制度を初めて新憲法の下に採用することにいたしたわけでございます。それからこれは昭和二十七年度予算編成関係があるのでございますが、御承知のように予算の形式は従来部款その下に項というのがございまして、それから目というふうになつてつたわけでございます。そのうちの部、款というものは多く項と重複した名前が多いのでございまして、一種の分類的な見地からこれを採用しておつたのでございますが、実効の上から申しますと、項というものが結局予算中心をなしておるようなわけでありまして、部、款というものは必ずしも必要はない。帳簿その他の事務的な見地からいうと、部、款があるために必要以上に繁雑な点があるというので、新らしい二十七年度予算からは項を中心にする点をはつきりといたしまして、部、款というものを廃止しよう、こういうふうに考えております。なお今回の改正に附随いたしまして、従来政府の毎年度決算は七月末を以て締切ることにいたしておつたのを、終戰以来会計経理職員が手薄であつたり、一面において事務が非常に過重になりましたので、とかく決算が遅れがちになつたのであります。それで毎年この法定期限である七月末に必ずしも決算の締切りが事実上できないような状態が続きましたので、一時暫定的に一月延しまして八月末まで待つ、そうして八月末において締切るということにいたしました。併しその後経理手続も次第に改善を見まして、今回又は従来の原則のように七月末で締切り得るようになりましたので、その原則を回復したいということを規定してございます。なおこれに伴いまして従来から小切手認証制度というものが以前終戰の直後にございまして、これは間もなく廃止になつたのでございますが、まだ正式に廃止になつておりませんでしたものを、規定によつて明らかにしたということになつております。  以上が大体今回の改正でございます。
  6. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に本案の質疑を行います。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 継続費の問題ですが、これは運用というか、政治問題として取扱われて来ておると思いますが、最初は極めて少額で頭を出しておる。ところがあちらこちらから継続費継続費言つて頭を出して、四、五年たつとそれが厖大予算になつて現われて来る。実際政府の収入の中で、これは契約だけの義務というか、何かいろいろの義務的な支出の面も多くなつて、新たに今度何かしようとするときになるとなかなかできなくなるということが曾つて言われておつたのですが、そういう点が生ずる慮れがあるときは、これは閣議でやられるでしようけれども、併し前の内閣が前年度にきめて来た継続費予算計画を建てるわけです。そうすると次年度にはどうしても予算に組まなければならないことになつて来る。今度は新事業をやるというときになるとなかなか困難になつて来て、これでは一体あとから出て来る仕事ができなくなるんじやないかというような心配が生じはしないかと思いますが、そういうような按配なんかはどういうふうにされているのですか、その点です。
  8. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは予算編成の仕方の問題であろうかと思いますが、この規定にもございますように、当初において先ず総額と、それから何年間の間に各年度ごとに幾らずつやるかという年割額というものを当初に議決を経るわけでございます。全体の工事その他から見まして適当に按配するわけでありますからして、又この継続費の全体に対する比重によることと思いますが、そうむやみにこの制度を濫用さえしなければそういう弊害は生じないのではないかと、こう思われます。なお戰時中等におきましては、新らしい要求が次々と参りましたので、多くの場合にいわゆる年割額改訂繰延というのをやりまして、そうして次々に延ばして行つたというのが実情でございます。それらによつて実際上運営できるかと、こう思つております。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 今最後に言われました按配して行くという規定は、財政法でやればできるという法律の解釈になつでおるわけですか。
  10. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは編成の問題でございますから、政府予算編成するときにその意を用うればよろしうございますし、又国会が御審議なさいます際にその点を十分御注意願えばできることであると思います。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 最近大分決議ども行なつているが、新聞にも出ています。各官庁におるけ工事不正事件ですが、ああいつたものが結局は契約施行等手続欠陷等が非常に原因しているのじやないかと思いますが、結果から見たいろいろのそういう間違いが大体どういうところから出て来ておるか。そういうものをお調べになつたものがありましたならば、お聞きして見たいと思います。そのことは結局すべてのものが大体民主化されて、審議会とかいろいろなものが持たれておりますが、こういう契約というようなものだけがお役所だけでずつと持たれて、これから見ましても大蔵大臣から承認を得るのであるが、少額のものはそれをしないでよい、こういうことになりますと、従つてそこには一つの不正が盛り込まれる、こういうようなことも考えられますので、折角こういう契約等のものを取扱う法律を作られるときに、その契約自身がやはり民主的にはつきりするような方法が盛り込まれることができるのかできないのか、というような点も実は併せて御意見を伺いたいと思います。
  12. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 私どももその点については、まあときどきしよつちゆう研究はいたしていたところでございますが、何といいましても終戰直後においてこれだけ経理上の不正事件が頻発しました根本の原因はやはりモラルの低下であると思います。一般的な道徳の低下ということが会計面に現れているというのが本筋であろうと思います。いろいろな規制の仕方があろうかと思いますが、例えば今お話のございましたように、大蔵大臣各省を監督すると申しましても、結局各省自分立場仕事をするわけでございます。大蔵省としては多く書面によつて、いわばデスクの上で審査をするというに過ぎないのでありまして、直接に契約なら契約を担当するところの係官がやはりまつすぐな人間でなければこれはなかなか防げない。まあ公団等事件からでも我々そう考えているわけであります。それでまあいろいろな原因もございます。例えば最近私どものとりました手といたしましては、従来小切手帳の保管であるとか、そういうような点について非常に不備な点がございました。それでそういう点を規定の上でも相当整備するということも行いますし、或いは又各建設事務所におきまして厖大工事費支払が行われるのでございますが、この場合に経理に暗いところの事務所人たちが一面工事をしながら一面において現金の支払をするということは、実際上不正を頻発する原因にもなりますので、これを銀行に預託いたさせまして、そうして銀行支払を任せるというようないろいろな手をとつております。併しこれについて結局どういうふうにしたら根本の対策が立てられるかと言いますと、責任を確立することと、それから教育をする、即ちよき会計官吏を育てるという二つ以外にないかと思つております。それで私どもといたしましては、昭和二十五年、昨年に予算執行職員の責任に関する法律というものを作りまして、従来はまあ徴戒処分以外に方法がなかつたわけでございますが、直接に本人に対して損害賠償を追求し得る、これは会計検査院の一般の手続によらないで、簡易な方法によつて追求できるというような制度を設けまして、結局これらの法律を設けましたが、その法律を運営して信賞必罰を明らかにするというその運営が適切でなければ、折角の制度意味がない、こう考えております。  それから会計職員の教育がこれは特に私は大事だと思いますが、モラルの低下と共に会計手続が複雑である、乃至は全然素人がやる、例えば地方の農業試験場等で言いますれば、それこそ小さな試験場ではいろいろな雑務から一切やりましすし、年をとつた余り会計法規等も御存じないようなかたが実際上の支払いをやつておるというようなことが多いわけであります。それで会計手続を一面において簡素化し、そうして明確にすると共に、できるだけこれを理解するように教育をしたいというので研修制度を設けまして、まだ出発早々でございますが、毎年少しずつ会計官吏の養成を始めました。それから末端にまで行渡るために通信講座を設けまして、新らしい会計法令の出ますときには、常にそれを徹底せしめるというような方法も考えております。いずれにしても、そういうような点を少し長い眼で以て考えて頂かなければならないと存じております。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは会計上から見た金の出入りといいますか、それは今言われたごとくになりますが、私の最もお聞きしたいことは、製造とか或いは工事等の契約に対してあらかじめ一つ契約ができます際に、この工事はもう何千も儲かつているのだ、これはもう非常に多分な利益がそこに付きまとつていることがはつきりわかつている、そういうものが最近の災害の復旧とか或いは見返資金による建設工事というようなものが、地方に対して要求してないものが突如として闇のうちに契約せられて、そうして今のような評判が立つ、そこに必ず疑獄事件が新たに起る、こういうことが集積して今大分問題になつているのだと思いますが、こういう契約等に対してこれは大蔵大臣といえども、あなたが今おつしやる通り書面だけでやることなんで、工事内容における正当な経費がどうかとかいうことはおわかりないかと思います。おわかりないものを大蔵大臣認証によつてこれが行われる、こういうようなことになりますと、不正はいつまでたつても絶えん。それはモラルで行くということになれば問題はありませんでしようが、それにだけに頼ることは……、教育等をやつているという話でありますが、これは非常に長くなることなんで、こういうものは不当な契約でないということを承認するときの何か民主的な方法が考えられんでしようか。
  14. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ちよつとお断り申上げておきますが、認証は、大蔵大臣は今認証いたしておりません。各省において認証、つまり認証という意味が、個々契約を締結いたしますところの認証各省大臣がやつております。大蔵省はやつておりません。それから今清澤さんのおつしやる意味契約の中の随意契約であるという点に関連して来るのじやないかと思いますが、これは一般競争入札をできるだけ励行いたしまして、而も巷間に伝えられますように談合というようなことができるだけ行われないようにすれば、そういう点については不正が起らないと考えております。大蔵大臣としては全体の枠の設定とそれから会計法の四十六條に監査という制度がございますが、それで地方の財務局を通じてこれをいたしまして、その地方の今お話になるような点はしばしば問題になるわけでありますが、予算執行について適当でないというものがございますれば、大蔵大臣におきましても勿論四十六條の監査によりまして各省に注意を與えております。なお全体の予算執行については各省大臣の責任の下に行われると共に、それに対して御承知会計検査院の検査がございます。これによつてできるだけ不正なことがないように防止できることと考えております。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今お話になりました大体会計検査院と申しましても、それは過ぎたあとを調べることになるのであります。問題は契約の際にすでに問題をはらんでいる、こう私は申上げたのです。その契約の際に何かもつとしつかりした方法を以て不正契約とでもいいましようかを防止する方法が考えられないでしようかどうか。
  16. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これについてはやはり極力一般入札制度を採用するということ。それからこれはもう結局各省並びにその末端の機関がこの会計法の精神に則つて適当に行うのかどうかということに帰着するのでございますから、責任を今申上げましたように明らかにして、若し間違いがあつたときには厳重に責任を追及する、それから各省の中でも常時監査の制度をできるだけとるようにさせておりますが、そういう部内の監査を励行するということによつて行なわれる以外には、これは若し本人がどうしても悪いとをしようという気になつておりますと、これはどうしても或る程度それを防ぐのは容易でなくなる、こう考えております。でありますからして、私どもは今の責任を確立する、或いは本人の素質を向上させるというような点から根本的にやつて行かなければ事故を絶滅することは、これはできないと思われます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 継続事業の円滑化の問題については、実質的に今どういう効果があるのか、さつき松永さんが質問しましたがよくわからないのですが、例えば三カ年なり四カ年の計画工事をする場合に、その各年度予算については一応国会でそれぞれ審議するわけですね、現在でも。ですから別に予算審議の……、予算によつて拘束されるわけはないと思う。ところで実質的に今度それを改正することによつてどういう差が出て来るかという点をもう少し説明して頂けませんか、例でも挙げて……。
  18. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは例えば大きな港湾工事等について申上げますと、例えば五年どうしてもかかるという場合に、先ず第一に直接に建設の工事を行なつておる連中自体が五年間の全体としての計画を認められませんと、非常に安定感がない、これは工事全体について不安定であるので、第一年度予算は認められたが、第二年度予算の都合で打切られるかどうかわからないということでは、いわば本当の設計が立たないのであります。結局それが一番我々の考えている根本でありますが、それと共に例えば工事の施行におきましても、非常に細切れ的な、つまりぞんざいな工事をやることになり、毎年々々例えば港湾の工事をやりますときに、防波堤が仮に二百メートルございます。そうしますとその防波堤二百メートル作りますとき、こま切れでやる、そういう場合には例えば大きな機械を買うというようなことができない。これが大体五年間承認を受けたということになりますと、最初に資材もその他の必要なものも一切一括して買入れる、最初年度においては工事の実体よりもそういう準備工事に十分手を盡す、そうしてその大きな機械なり、それからたくさんの資材なりを手に入れまして、二年度、三年度で今度は実際の工事をやつて行くというような全体としての工事の仕方ができる。従つて工事も本格的なものができます。今のようなこま切れでやつておりますと、労力につきましても、年度ごとに極端に言えばその人夫小屋を解散してしまうわけです。そうして又募集に経費を使つて又新らしく雇わなければならない。又資材につきましても、一括購入ができませんから少しずつ買わなければならない。況んや大きな機械で本格的に腰を据えた工事ができないというような点が非常に不便なわけであります。それで前から大きな工事につきましては継続費の要求が強かつたのであります。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今まではそういうふうに何カ年というふうに一応継続的に計画全体としての承認を得て行くのじやなかつたのですね。
  20. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) はあそうです。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ところでそれはわかるのですが、そうしますと、一応三ヵ年なり五カ年なりの継続的な予算承認ということになると、あとでそれはどうなるんですか。拘束されて来るわけですね。
  22. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これについては非常にまあ理論的にも継続費性質については従来から議論のあつたところです。併し一度国会がおきめになつたものを後に御変更になることは私は少しも差支えないと思いますが、ただ一応やはり国会として慎重審議の結果議決された継続費でございますれば、特別の理由がなければこれはできるだけ手を触れない、こういうことになりますので、絶対にこれを変更することはできないとは申しませんけれども、相当重みが違つて来るわけであります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかりました。これは佐藤さんに言つてもあなたの責任ではないわけですけれども、法制的にそうきめても今度の補正予算みたいにこの物価補正はしないということになりますと、公共事業費から見ましても七割くらいしかできない、物によつては……そうすると精神的にはそういうふうに仮に認められても、予算措置によつて実質的に壊れて来るということはあり得るわけですね、そういう点は……。
  24. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは継続費に限らず、即ち年度事業を通じて全体の問題でございます。これについては予算編成においてできるだけ工事の目的を貫徹するようにすべきだと思いますが、まあ財政事業の目的とを調整するということになするかと思います。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは直接この法案には関係ないのですが、どうもこれまで我々予算審議していて非常にいつも問題になるのは、会期末になりましていつも予算が間に合わないと暫定予算を組まなければならないので、それで会期が延びると、野党が仮に引張るというような場合ですね、非常に責任が出て来るのですね。一日ぐらいならいいのですがね、それで十分に予算をただ政略的に引延しするのでなくて、どうしても十分に審議しなければならんという場合に困る、どうも今の財政法建前では……そこのところ佐藤さんどうですか、やはり前の制度のほうがその点はいいのじやないかと思うのですが、それに対して何か措置というものがないものですかね。
  26. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは旧憲法の下におきましても、予算が若し成立いたしませんときには前年度予算を当然に執行する、即ち執行予算というものの制度があつたわけでございまして、実体においては変つておらない。ただ今回は執行予算を組みませんで暫定予算を組む、こういうことになつているのであります。ただ暫定予算制度そのものはこれは現在はそういうふうに運営されておりませんが、制度的に申しますと英国のようなやり方もできるのであります。即ち不成立の場合にだけ暫定予算を組むというのが現在日本の慣行になりつつあるわけでございますが、英国のように来年度予算審議を十分にするために例えば七月頃までかかる、本当の予算は。そうしてその毎年予算成立するしないにかかわらず最初の四、五、六は暫定予算を組むというようなやり方もできないことはございませんし、これは制度の上については別にそれについての制約はしていないわけでございます。それから一つ会計年度が旧来の日本の実情等もあり四月一日からということになつております。四月一日に会計年度が始まつておりますことと、それから一方において、国会のいわゆる開会の期日並びに期間というようなこととの結び合せの問題になるわけでありまするので、まあできるだけ運営によつてそういうことのないようにするという以外には現在としてはないと思います。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると運営によつてそのイギリス式みたいにできるというのですか。
  28. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは暫定予算制度については制限はございません。
  29. 木内四郎

    ○木内四郎君 逐條の説明大変よく書いてありますので、これを読めば大体わかるのですけれども、二十三條の改正というのはどういう趣旨から来ておりますか。
  30. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは部款廃止につきましては、御承知のように我々も予算を見てよく考えるのですが、例えば部が教育文化費で款が又教育文化費で、項のほうがそれより少し詳しいというような実情がしばしばあつたわけでございます。併しあんまり段階をこしらえるよりも、御承知のように我々は昔から項を中心予算を御審議願う、項が即ち議決科目であつて、項を単位にして国会はこの経費が適当であるかを審議して頂くということに従来からなつておりますので、できるだけ項を中心にしまして、その代り項においてもう少し具体的にわかりやすい名前を付けまして、いわば総体においてやや小刻みになりますが、予算の目的を明らかにしたい、部款は言い換えれば全然不備とは申しませんが、大して意味がない、むしろ部款の趣旨からこういう意味は分類的な意味であろうと思います。従つて最近のようにいろんな各経費についての参考書等を作りますれば、全体の分類的な要求はそれによつて満される。却つて予算の形式に部款を載せておきますと、会計帳簿その他の実際の事務を取扱います際にも項さえあればいわばいいわけですが、一々部款から規律しまして全部やつているというようなことになつているわけでございます。そういう点も考えまして、項を中心にするということをはつきりさせたというわけでございます。
  31. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、一時やや複雑にしたのを元に戻したような形になつたわけですか。
  32. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そういうことが言えます。
  33. 木内四郎

    ○木内四郎君 それからもう一つ伺いたいのですが、戰争前に継続費というのがありましたね、これは相当後年度まで続けておつたものがあるだろうと思いますが、それはどんなような扱いをその新財政法になつてからやつてつたのですか。
  34. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 御承知のように新憲法以後継続費制度は認められませんでした。従つて現在は国庫債務負担行為というものがございまして、国庫債務負担行為の制度が少しは活用されておりましたが、これも実際問題としましては大して活用されておりませんでした。即ち継続費というようなものは実際上なかつたわけでございます。
  35. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、前からの継続費計画はあつたけれども、それは継続費としては予算に載せないで、来年度必要なものを議会の承認を得て予算を計上しておつた、こういうことですか。
  36. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そうです。
  37. 木内四郎

    ○木内四郎君 戰争中は全然継続費というようなものはなかつたわけですか。今の国庫債務負担行為というようなものを利用して継続費の目的を達するようなことはやつておらなかつたのですか。
  38. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 終戰後ですか。
  39. 木内四郎

    ○木内四郎君 新財政法になつてからです。
  40. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 新財政法になりましてからはやつておりません。国庫債務負担行為を僅かやつております。
  41. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 今のに関連していますが、旧憲法には継続費規定があつたのですね。新憲法では八十六條に「内閣は、毎会計年度予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」とあつて継続費は認めていないのですね。そうすると、継続費を認めるというのは法律で以てまあ認めたことになるんですが、それは国会議決はこの憲法の八十六條による議決じやないわけですね。
  42. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) まあ継続費規定を新憲法が除いた点については議論がある問題でございますが、金森国務大臣憲法審議の際に答えられているのにも、八十六條にいうところの予算というものはそういう制限的な意味ではない、これによつて何ら継続費を否定するものではない、こういうふうに答えられておりまして、政府も一貫してそういうふうな理論で進んでおります。
  43. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 趣旨はそうでしようが、国会議決継続費だけについては憲法第八十六條による議決を求めているのではないのであつて法律によつて別の議決を求めるようになるわけですか。
  44. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) やはり八十六條によると考えております。
  45. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 八十六條は毎会計年度予算であるから、その他年度予算までをこれで議決は求められないと思うのですが、法律によつて国会議決を求めることはそれは差支えないことだろうと思うのですが、八十六條による議決はないということになりはしないのですか。
  46. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これについても非常に議論の多いところでございますが、毎会計年度予算と申しておりますけれども、毎会計年度作成するところの予算であるというふうにも考えられます。そういうふうな意味で以て解釈しております。
  47. 田村文吉

    ○田村文吉君 議事進行についての問題ですが、これは本会議を開くあれがあるようですが、まだ質問を続行してよろしいのですか。
  48. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 本会議までまだ時間がありますから、それまでやつていていいと思います。
  49. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 ついでにやりますが、私ちよつとはつきり記憶しないのですが、今度いろいろな支出負担行為とか、或いは歳入徴収官、或いは支出官とか、皆代理官を認めるということになつておるのですね。そうすると代理官と代理される本人、代理といえば本人があると思うのですが、その本人との責任関係というものはどういうのですか。殊に官庁官職で以つてつた場合にはそのものが欠けておるときに代理官があるのですが、本人がいないのに代理支出負担行為とか何とかいろいろなものがあるのですが、ちよつとおかしいように思うのですが、どうなんですか。
  50. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 例えば病気欠席等と言つておりますが、その場合には勿論代理官がやつておる場合には、代理官がやつておる間だけは代理官の責任でございます。そういうことにまつて従来病気等で欠席を相当長くやりましても、結局自分のはんこを部下のものに預けるというようなことがあつたわけでございますが、そういうことをなくしてはつきりと代つてつたものが直接の責任を生ずるというふうに考えております。
  51. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 本人がいないのはちよつとおかしいじやないですか。
  52. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) といいますのは、欠員の場合をおつしやつておるのですか。
  53. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 欠員じやなく名前が欠けておるのは……、何かいい名前はないのですか。
  54. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 本人がいないということになりますと、どういうことになるのですか。
  55. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 本人がいないというのは、その官職にある者が欠けたときを含む……それに代理官があるのですね。
  56. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) その点はおつしやる通りでございます。大部分の場合は本人がおつての代理でございますが、特別の場合には黒田委員のおつしやいますようなことがございますが、その点特に断わつたわけでございますが、一応代理という観念で言葉を使うというふうに考えておるわけであります。
  57. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 名前がちよつと不適当のように思うのですが。
  58. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 繰越明許費のうち、歳出予算経費のうち、その性質上云云というのはよくわかりますけれども予算成立後の事由に基き云々というのは、予算成立したあとに何か事由が起つたという場合には、あらかじめ国会議決を経れば翌年度に繰り越して使い得るというのは、何か矛盾があるような気がするのですが、もう少しそこの御説明を願いたいと思います。
  59. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは先ほど申上げましたように、事後繰越支出負担行為即ち契約はすでに行われておる、而もその工事内容自身が完成をしておらないというような場合には事後繰越ということが考えられる。即ち予算そのものの繰越ではないのであります。予算の第一着手としての契約はすでにあるが、契約内容が完了しておらないという場合であります。明許繰越によります場合には、予算そのものの繰越ができる。契約内は着手を全然いたさないでも何らかの正当な事由があるならば、そうして国会議決が得られておれば予算そのものを翌年度に使い得る、こういうふうになつておるわけであります。その点当初の予算においてはそういう必要がありませでしたけれども、大体まあ補正予算を出すのはその次の通常国会になるわけであります。そろそろ年度末に近付いて参りまして、工事進捗状況等もほぼ分明をして来るという時間になつて来るわけであります。その後何かの理由で以てどうしてもこれは繰越をしなければいかん、事故繰越の提定によつて円滑に運営されます部面につきましてはお説のように二重になるわけでございますが、予算そのものを繰越すような場合には改めて当初の予定しておらなかつたものについても繰越明許を得るということは意味がないわけではございません。
  60. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 そうすると、一年間に国会が二度も三度も開かれるということを予想しての規定と考えてようございますか。
  61. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 通常国会は必ず開かれますので、その際を考えておるわけであります。
  62. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 通常国会が開かれて、その翌年度予算議決する、そうして翌年度予算を実行して行く場合に、そういう事態があらかじめ国会承認を得るというのは、どういう場合になるということですか。
  63. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 例えば昭和二十六年度予算について申上げれば、前回の通常国会でこの予算ができたわけでございますが、来たるべき通常国会にまあ多く予算等も補正の機会もございますが、そうでなくして、二十六年度末である三月の前に通常国会が会期があるわけでございますからして、その際にそういうような案件を処理する余地があるわけでございます。
  64. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 それからもう一つ先ほど木内委員からお尋ねがあつたのに関連しておりますが、部款廃止をこれは歳出の方面だけやらして、歳入のほうは依然として残しているように見えますが、その通りですか。又両方一緒にできない事由があるのですか。
  65. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは歳入については残して置くことにいたしておりますのは、歳入と歳出と分類の建前が非常に違つております。まあその建て方の大ざつぱであるとか細かいとかいう点もございますが、租税の中に各種の税目が並んでおりますが、そういうような点はやはり明らかにして置く必要がございますので、歳入のほうはいじくつてございません。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さつきの継続費の問題ですがね。ちよつとわからんところがあるんですが、例えば関門トンネルみたいな工事をやる場合に、そのとき三カ年なり五カ年かかるという場合にその予算を一括して一応承認を得て、事前にですね。後で継続的にやるということを意味しているんですか。
  67. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そうであります。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなると、これは非常に問題になるわけですね。今までのいわゆる財政民主化の建前とか、今まで継続費を認めなかつたという建前とちよつと違う。例えばこれからその軍事基地を建設する三年計画が生じてどかんと予算を取られてしまう、そうなるとこれは一応あとで非常に制約されることになります。その一応きめたものはあとで無理矢理に削るということになると非常に困難を来します。材料は買つちやつた、そういうふうになると、非常に弊害があるので、これは運用如何でしようけれども、随分大きな変化が来るんじやないかと思うんです。何かこういうことを必要とする具体的な事例が出て来ているのか、どうしてもこういうことを今度やらなくちやならなくなつた具体的な重要性が生じた事例が起つているんですか。
  69. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは終戦以来の建設省その他で、或いは政府の建設関係の担当者の多年の要望でございます。毎年大蔵省に対してそういう要望がございまして、それから明二十七年度予算はまだ勿論きまつておりませんが、関門トンネル等については継続費を認めよう、編成しよう、こういうふうに一応考えている次第でございます。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはこの改正によつてどのくらいの定員を減らすということですか、行政整理の一環も含められているんじやないですか。
  71. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 実はこの一番最初に御説明いたしました認証制度の問題は行政簡素化の一環になつているようでありますが、継続等についてはたまたま財政法会計法を相当大幅に改正いたしますのと、それからやつと司令部のアプルーヴアルを得まして、それで継続費制度をここに入れることにいたしたわけでございます。直接に行政簡素化の点と結びつけて考えておりません。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この司令部は今まで継続費を認めなかつた。それで私たち最初司令部へ呼ばれまして、財政民主化のサゼスチヨンを受けたんです。そのときそういう財政民主化というものの項目はこうこうだといつてそういうふうに大体一年というものを限つてやるとか、これが一つの民主化のあれだと、今までの軍国主義時代の日本の財政のあり方の悪い点を指摘されたんですよ。最近こういう継続費を司令部がアプルーヴアルをくれるようになつたということは、悪く解釈するのじやないんですけれども、何かそういうような工事の必要が出て来て日本もその分担をしなければならん、そういう場合にはこういう継続的なあれがないと困る、こういうようなことは別になかつたんですか。
  73. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 全然そういう御心配はないんです。
  74. 田村文吉

    ○田村文吉君 御質問がありましたが、部款廃止ということは単なる複雑を單純化するというだけであつてほかに意味がないというお話でしたけれども、別に何ですか、大蔵大臣の認可とか、そういう変更する場合においてどうとかいうようなことについての権限がそれによつて変るということは絶対にないんですか。
  75. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ございません。
  76. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  77. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を初めて下さい。  この法案は質疑は次回に譲ることにしまして、この程度にとどめておきます。   —————————————
  78. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に旧外貨処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案議題として審議を行います。
  79. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私はこの旧外貨債処理法による借換のこの法律案について少しお尋ねしたいと思うのでありますが、時間が丁度三時か三時五分くらいの間にベルが鳴つて、成るべく議場に入つてもらいたいということを各議運の委員委員会に出たらそのことを皆さんに申上げて、一応国際的な儀礼でもあるので議場に入るということにしてもらいたいというのですが、そういうことも考えましてちよつと休憩願つて……。
  80. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  81. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。  それでは本委員会は休憩いたします。    午後三時六分休憩    —————・—————    午後三時五十三分開会
  82. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 大蔵委員会を再開いたします。  先刻御協議願いました経過に基きまして、企業合理化促進法案に関し、通商産業委員会に連合委員会の開催を申入れることに決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めまして、そういうふうに取計らいます。   —————————————
  84. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案議題として質疑を行います。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この法律案立案に当たりまして、あらかじめいわゆる旧外貨債の処理法によつて不当な取扱をされたというような面、例えばニヨーヨークの証券業者とか、そういう方面との折衝をあらかじめ予備折衝といいますか、折衝を経てこれをやつたものであるか、それとも独自に大蔵省のほうで、との程度であつたならばいいだろうというのでおやりになつたのであるか、予備折衝ができておるのかどうか、こういう点について一つお伺いしたい。
  86. 石田正

    政府委員(石田正君) この旧外貨債の戦時中におきまするところの処置につきましては、対外関係におきまして、いろいろ問題とされる点が多いのでございます。その点に関しまして、私たちの所へいろいろと申出がございます。併しながら今お話がございましたような工合に証券業者等とよく話合いをして、そうして予備折衝の上でこの法律案を出した、こういうわけではないのでございます。これは大体日本政府といたしまして、旧外貨債につきましていろいろ処置をいたしまして、その中で問題が起るであろうと予想せられるものはどういうものであるかと申しますると、証券が海外にございまして、そうして抹消とか或いは穴をあけるとか、そういうふうな状態にはない、即ちその証券自体としては完全な形態で残つておる、而もそれに対して日本政府のほうはこれはもう無効なんだというふうに制限をいたしましたところのもの、これがすべて問題となるところの大きな枠であろうかと思うのであります。その中におきまし七、本当の所有者が外国にそういうものを残して日本に帰つて来て、そうして自分は外国においてこういうものを持つておるのだという証明書を出しまして、それに基きまして邦貨債への借換が行われるわけです。従つてそれは日本政府とその所有者との間においては何ら問題とすることのないような借換、かようなものにつきまして、それは原証券がそのまま生きておるが故に無効とすることを取り消すかどうかということについては問題があろうかと思います。この法律案におきましては、今申上げましたような原証券が残つておりまするところの、而も日本政府が無効と宣言したもののうちで所有者の承諾を得なかつたとか、或いは質権者の承諾を得なかつたとか、或いは敵産管理等に付されたとか、そういうものの中で更に向うの申出に基きまして、そうしてこちらで考えて、そうしてこれは無効の措置を取り消すのが妥当であろうと思うものだけを有効化するような措置をとりたい、かようなことでございまして、日本政府といたしましては、将来問題となるであろうと予想せられるところのものについて、全部この際立ちらから進んで有効化するということをせず、万止むを得ぬものだけ有効化しようということで、何と申しますか、しぼろうという考え方がこの法案の中に盛られておるわけでございます。それから又所有者と申しますか、その現在の所持人といいますか、そういうものがどういうふうに相成つておるかわからないものも相当あるわけです、現状におきましては……。そういうものについては向うから言つて来たときに、そのときにこれを生かすか殺すかということを考えるところの余地を残したい、こういうふうに考えておりますので、従つて一々その所有者を確かめて、そうしてその人たちとよく話をして、そうしてその上でこの法案ができ上つた、そういうわけではないのでございます。
  87. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは次にお尋ねいたしますけれども、第六條のこの邦貨債を取得した者、借換によつて邦貨債を取得した者は大蔵大臣の指定する日までにこれだけの金額政府に納付しなければならん。その取得した者は大体においてあなたの今御説明によりますると、向うに外貨債を置いて来たということを証明を提出して、そうして別の邦貨債をもらつたと、そういうものであるという御説明でございましたが、併しそういう個人が一々日本にどのくらい人数があるか知りませんが、その人たちに今度はあなたのほうから指定する日までにこれだけの金を一つ納めてもらいたいという通知を発するようにちやんと記録はできておるかどうか、それから果してこういう指定する日までにこれだけの金額が納まる見込みがあるかどうか、その点について一つお伺いしたいと思います。
  88. 石田正

    政府委員(石田正君) 御指摘のように第六條につきましては、大体今のお話のような工合に、所有者が自分がこういう物を持つてつたということを証明書を出しまして、政府と借換えをするというような場合が多かつたのでありますが、この場合の記録はちやんと取つてございます。それから、それではそういうふうなものは全部取上げるのかという次の御質問だと思いますが、これにつきましては先ほど申上げましたのですが、この取上げる邦貨債に見合うところの外貨債をどの程度まで活かすかということが先ず先の問題になるわけであります。たとえて見ますると、所有者の人がこちらで邦貨に借換える外貨債は向うに預けて来たというような場合におきまして、その証券を爾後におきましてこちらで邦貨債を取得した人が処分してしまつたと、こういう場合でありまして、善意の第三者に渡つておると、善意の第三者からこれを活き返らしてくれという請求が来ますれば、これは活き返らさざるを得ないかと思うのであります。そういう場合には邦貨債を取上げると、こういうことに相成るかと思います。ところが海外におきましてその寄託しておつた人がそのまま持つておると、その邦貨債を所有者の人がその証券を取寄せられるというような事情の下におきましては、その証券をこちらへ取寄せてそうして抹消するということを行うべきものであろうというふうに考えておるわけであります。でこれは第六條はそういうわけでありまして、我々は外貨証券を活かすについて一律的にはしないで、できるだけしぼつて、そうして外貨債の有効化という範囲を狭めて行きたいと思います。その狭めた範囲内において活き返らせたところのものについてこういう処置を取ろうというのが第六條の趣旨でございます。  次に第六條において果してそういうものが取れるか取れないかという問題でございますが、これは実はそういう借換えました人の名前はわかつておりますが、その借換えた人も、法案が通らないうちからあなたは取得があるかどうかということを調べておるわけではないのでありまして、従いまして、この法案によりまして取ろうというような場合に、実際上納められないという人が或いは出て来るかも知れんということはあろうかと思つております。ただ一般的な問題といたしまして、こういうかたがたは向うに証券を置いて来たと、それを何と申しますか、こちらのほうの資産に換えたわけでありまするが、向うの資産が生き返つておるということになりますれば、政府といたしましては両方の債務を負うと、こういうのは、おかしなことに相成るのでありまして、若し向うで生き返らざるを得ないということが初め持つてつた人の手落であると、こういうことでありますならば、こちらの人から取らざるを得ないというのが筋道であろうと、こう考えましてこの規定ができておるわけであります。その人の立場はどういうことに相成るかと申しますと、端的に申しますと、結局在外財産を向うで持つておりつ人、こういうことと同七状態に置かれる、こういうことに相成ろうかと存じております。
  89. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういう取扱をするということになりますると、こういう問題が起るのではないかと思いますが、これをどの條項によつて処理しようとしておるかという点についてお伺いをしたい。それは所有者の承諾を得なかつた場合と、こういうふうに第三條の第一項の第一号にございますが、向うにおいて信託会社等に信託をしておる場合があろうと思う。信託会社は善良なる管理者の注意を以てやつているが、日本政府の発表で無効になつた。これはおかしいということで信託会社が疑問を持つてつた。ところが本人はこちらに帰つて承諾してもらつておると、こういうような場合に信託会社が異議を申立て来る。ところがその信託会社と信託をした者との間において交換が通信も何も杜絶してしまつておる。信託会社では活きておると思つておるけれども、本人がこちらでもらつておるのだから無効だと、従つてその係争が起きる場合があると思う。ニユーヨークの信託会社と日本政府との間に係争が起きる場合がある。これは当然予想されると思うのでありますが、そういう場合の処理はどの條項によつて処理するのですか。
  90. 石田正

    政府委員(石田正君) 今のは所有者のかたが信託会社に預けて来た、こういう場合でございますが、そういう場合におきましては、私たちはこちらの所有者の人からその信託会社に話をして、その証券を返してもらつて、そうして日本政府に提供してもらつて、そうして償却をすると、こういうことをやりたいと思つておるわけであります。
  91. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その條項はどこでやるのですか。
  92. 石田正

    政府委員(石田正君) その点は、これは信託会社のほうからこの証券は生き返らしてくれという申出が日本政府にあるのだろうと思います。その場合に、信託会社の言つておるところの証券というものは番号は何番であるか、どういう銘柄のものであるか、こういうことを我々は聞くわけであります。それを聞きますと、我々のほうではその証券に見合つておるところの邦貨債は誰に渡つておるかということを調べるわけであります。調べましてその所有者の所に話をすると、今お話のような事情がわかる、こういうことになると思うのです。その場合において、信託会社の申出をすぐ我々が受付けて有効告示をするのではなくして、その場合には所有者のほうと信託会社のほうと話をして頂いて、その証券は有効化の措置はとりませんで、こちらに返してもらつて償却をすると、こういう方法をとりたいと思つております。このことは、三條におきまして大蔵大臣が指定するものだけ有効とするのでありまして、指定する以前の問題として処理をしたいと、かように考えておるわけであります。
  93. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に第三條の一項の二号ですが、質権の目的となつていたもので、これもやはり問題の起る可能性が多いと思うのですがというのは、向うで親友なり何なりに預けて来たというけれども、預つた者は長いこと通知もないし、これをもらつたように思つてしまうのは、これは日本人でも常識だと思うのです。時計を預けて来たけれども、その者が生きておるものやら死んでおるものやらわからん、これはよいものをもらつたということになつてしまう。而も、もらつたのであるか或いは預かつたのであるか当事者が……父が預つてつたと、ところが父が死んでしまつた。金庫を開けて見ると、こういう物が出て来た。これはよい物が出て来たというので、何ドルかの日本の外貨債をアメリカ人が持つておると、そうするとその人が一つの質権というものを主張するという場合が起きて来ると思うのですが、そういうようなものの処理の仕方はどういうことになるのですか。そういう場合があると思うのですが、質権云々につきまして、当該質権の権利者の承諾を受けなかつたものという場合におきましては、当然向うは弁護士なり何なりによつて日本政府に言つて来るだろうということが想像されると思うのですが、その点を一つ伺いたい。
  94. 石田正

    政府委員(石田正君) お話の点におきまして、多少誤解を起す点が或いはあるであろうかと思うので、その点を分けて申上げたいのでありますが、ただ單に所有者が預けておいた、預つてつた人が、儂は持つておるのだからこれを有効にしろと日本政府に言つて来た場合には、我々としましてはどういうふうな意味でお持ちになつてつたかということを聞くわけでございます。それでその人が預つてつたと、預つてつたけれども、預つたものはもらつたものだと、こういうふうなことで言つて来られましても、我々のほうではこれを信用することはできないと、こういうことに相成ろうかと思うのであります。ところが、そうでなくして借換えをいたしまして、所有者なら所有者が借金をしておつたと、そうして質の担保にその証券を入れておつたという事情がはつきりいたします。こういう場合には、日本政府としてその質権者がよろしいということを言わないで借換えたものでございますから、従いまして、これを無効であると最後まで突つ張ることはできないと思うのであります。そうでありますならば、その場合においては、その借金なり、それから質の担保になつておりますところの証券というものは活かすと同時に、こちらのほうでその邦貨債を取得した人からその邦貨証券を返してくれと、こういうことに相成るのであります。
  95. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の所有者の承諾を得て質権者の承諾を得なかつたという場合に、所有者が承諾を與える以上は、当然質権者に対して何らかの連絡了承を求める行為がなくてはならんと思うのですね。従つて、今お話のような所有者の承諾を得たが質権者の承諾を得なかつたものを借換え有効とするということは、ちよつと筋が通らない、不当じやないかと思うのですが。
  96. 石田正

    政府委員(石田正君) これは、これらの事象が起りましたのは戰争が始まりましたあとのことでございまして、従つて海外との連絡が途絶しておつたという状態を先ずそこで想定せねばならないのであります。それが事実でございます。従いましてその当時の政府といたしましては、これは所有者の承諾を得ずしてやつたという点はとれは遺憾と思いますが、併し所有者の人が質権者の承諾を得たか得ないかということをはつきりさせることができなかつたということは、大体そういうことを言つて来ない場合は質権に入つておらんものと、こういう前提でやつたわけであります。あとで今度は質権者のほうから日本政府に対してこういうことをやつたのは不当じやないか、こういつて有効化してくれということを言つて来た場合にそれを拒否することができないと思います。その関係がはつきりいたしますれば、従つてそういう場合には所有者はどうして日本政府にそういうことを言わなかつたのか、こういうことを所有者に聞くということに相成ろうと思うのですが、そのときに所有者のかたか、いや質権者たる彼はああいうことを言つておるけれども、実は承諾を得ておるのだ、或いは質権といつても債務はすでに払つておるのだ、こういうことでありますれば、その所有者のかたと質権者のかたと相談して頂いて、そうしてその担保でありまするところのものをこちらへ返してもらうということを先ずすべきだと思うのであります。即ち有効の措置はとらない、こういうふうにしようと思つております。
  97. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の説明でまあ納得はできるのですけれども、そうなるとちよつとこの法文の書き方が、これは当然所有者の承諾は得たが、質権者の承諾を得なかつたものは有効だという書き方になつておるのです。今のような話合いの余地があるようには読めないのじやないか……。
  98. 石田正

    政府委員(石田正君) これは一号、二号、三号にはそういうことはございませんけれども、一項の本文のほうにおきまして、「無効とする行為がされなかつたもので大蔵大臣の指定するものは」というふうに書いてあるのでありまして、大蔵大臣が指定をするかせんかというところにそこに裁量権を残しまして、この三つの項目を大きくしぼつておるわけであります。
  99. 小林政夫

    ○小林政夫君 ではわかりました。
  100. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その次にちよつとお尋ねしておきたいのは、第六條の第一項の「自分の三十に相当する金額を控除した金額」というものをいずれも付けておるわけでありますが、この百分の三十の控除は何の費用を控除、これはどういう理由で百分の三十を控除されるのか、その点伺いたい。
  101. 石田正

    政府委員(石田正君) これは実はこういう借換或いは無効化等の措置がとられましてから、今日に至るまで相当の年限を経過しておるわけでございます。その間にいろいろと税制が変つておるのでありまするが、いろいろな形におきまして、この税を国がとつておる、こういうことがあるわけであります。それではそれを一々いつ払つたものについてはそのときにおいてどうこうということを詳しくやるのが本当はいいのかも知れないのでございますが、それは非常に細かい計算に相成りまするので、大体個人の場合、法人の場合等を考えまして、大体税金を納めた、国が税金でとつた分を又返せということはひどいではないか、こういう意味で納付額につきましてこういう斟酌を加えた次第でございます。
  102. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に第六條の同じく六項でありますが、閉鎖機関はその一部だけを納付して、それであとは分割に納付することができるということに免除規定といいますかな、できておりますが、これは一体閉鎖機関がそれを持つておるのに何故一遍に納付できないのでございますか。この点について閉鎖機関について特にこれを認めた理由、それからこれについてはそれだけ遅らすに当りましてのやはり閉鎖機関がそれだけ一部でもこれは金額としては大きい、今日の利子というものは相当のものだと思うのでありますが、これについては延滞利子、そういうものは課せられるでありましようか。その点一つお伺いしたい。
  103. 石田正

    政府委員(石田正君) これは御承知通りに、閉鎖機関というものは司令部の指令に基きまして閉鎖機関の指定、清算等が行われておるのでありまして、一般の場合と同様にすることは困難な事情になつております、そこでこれは一般の金融機関なり、或いは企業なりの清算方法と違つて閉鎖機関のやり方と同調した意味において国の債権が取上げられる、そういうふうなことにしたわけでございます。それから閉鎖機関につきましてはいろいろと海外関係の問題がございまして、どう処理するかということがはつきりしないままに完全な清算が行われないのが多いと思います。勿論閉鎖機関と申しましても、戰後国内におけるいろいろな統制機関の整理等をやつたのもございまするが、一番初めの閉鎖機関と申しまするのは、海外において主として活動をしておつたものでございまして、この場合におきましては、具体的に申しますれば正金銀行ということに相成るわけであります。これらの海外におけるところの債務、債権、そういうものの整理というものにつきましては、今後相当又問題が或いは起つて来るのではないかと心配しておるのでありますが、とにかくこの正金銀行の整理につきましては、なかなか海外における債務関係等の関係もございまして、きれいさつぱり行かないというような実情に相成つておるわけであります。そこでそういう半面におきまして、一部この債権の支払をするというふうなことも行われておるわけでありまして、そこらのところを考えまして、この一部納付という規定を設けたわけであります。なおその納付しなかつた部分が閉鎖機関たるところの正金自身の身勝手から納付を遅らせるというならば、これは一応延滞利子というような問題も起ると思うのでありまするが、この点については今申しましたような事情でございまするので、納付が仮に遅れるといたしましても、その部分について延滞利子を取るというふうなことは考えておらん次第でございます。
  104. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大体まあわかりましたが、さて最後に一つお尋ねしたいのは、今それではそういう日本政府としては無効を宣言したが、本人、所有者が生きている。これは自分が有効であると認めて日本政府に対してその確認方、或いは償還方等について申出て来ておる面が、或いは在外公館等を通じましてそういうのがあると思うのでありますが、一体金額として、この不当な処理によつて向うの人たちにも迷惑をかけたという金額、この法律によつて処理しなければならんのは一体どのくらいあるか。それから外貨債の種類でございますが、一体ドル貨、ポンド、フラン、その明細は概略でよろしいですが、あなたがたの想像される、これも今後大蔵大臣の指定するものということできまるわけでございまして、それを今邦貨に換算するとどのくらいになるのかということと、それからこれはやはり今度は償還をするときには一般の外貨債、こういう処理をしていないところの外貨債の処理と一緒に償還するのであつて、これは償還とは何ら関係はないものかどうか。それから償還するのだつたらどういうふうに処理するのか。これは償還には関係なしに、ただ有効なら一応これは有効だということで生かすということだけだと思うのでありますが、従つて生かすにしても、どのくらいのものをどういうふうにやつて行くのかということを一つ伺いたい。
  105. 石田正

    政府委員(石田正君) この法律案によりましてどういう銘柄のものかどういうふうに生き返らせることになるのかという御質問でございますが、これは御質問の中にありましたような工合に、終局的にどういう数字になるのかということは、先ほど申上げました指定の関係もありまして、はつきり申上げることはできないのであります。併し最大限どのくらい予想しておるだろうかということを申上げますと、これは大体元本額のほうで申しますると、英貨債が十銘柄ほどございまして、この数字が七十五万七千ポンドでございます。それから米貨のほうは十二銘柄でございまして八百七十七万ドルでございます。それから先ほどの英貨債を仮にドルに換算いたしますと、七十五万七千ポンドが二百六十五万八千ドルばかりに相成ると思うのであります。この換算の仕方は今の為替レートによつたのではありませんで、契約のところに書いてありますような確定換算率があるものは確定換算率による。そういうことになつておりますので、その点現行の為替の換算率でやるのと違つておりますが、仮にドルで支払うとどういう数字になるのかということで御了承願いたいと思います。この両者を合せますると、合計額は千百四十二万八千ドルに相成るわけであります。で、話がちよつと飛びますが、大体私たちは将来いわゆる外貨債として処理すべきところのものは二億八千万ドルぐらい元本としてあろうかと思うのでありますが、若しこれが全額有効化されるということに相成りまするならば、その額は二億九千万ドルぐらいになる。大体そういう計算をいたしておるわけであります。  それから次に元の証券のいわゆる元本額のほかに利札があるわけでありますが、元本と利札と、元本を殺したから利札も殺されておるというものが生き返えるであろうと思うところの額が、これは来年の三月三十一日までのやつを計算してみますると、大体英貨のほうにおきまして四十一万七千ポンド、それから米貨のほうにおいて五百五十一万五千ドル。両方これを又先ほど申しましたような工合にドルに換算いたしますというと、六百九十四万九千ドルということに相成ります。従いまして、先ほど申しました千百四十二万八千ドルと、この六百九十四万九千ドルとを加えますと、千八百三十七万六千ドル、こういう数字が出て来るわけであります。これは元本を殺すと同時に従つて利札も一緒に殺されておつたというものが、両方生き返えつて来たからこういう数字になるということでございます。これが主としてこの法案で申しますならば三條関係と四條の初めのほうになるわけであります。このほかに日本政府が例えば利子の支払を特別な勘定に払い込ませまして、そうしてそれに見合うところの利札を無効であるというような宣言をいたしておるところのものがあるのでありまして、こういうふうなものの額、即ち四條で申しまするならば三項までのものでございますが、こういうふうなものが大体千八百五十二万七千ドルあるわけであります。これはやはり来年の三月三十一日までのものとして計算してあるわけでございます。従つてこの法律案全体といたしまして、若しこれを全部何と申しますか、外国に原証券が存在する。或いは利札が存在する。こういうものは全部生き返えらせるのだということに相成りますれば、全体の数字は三千六百九十万三千ドルと、こういう数字に相成ります。このうち一体どれだけ生き返えるであろうかということは先ほども申しましたように、アメリカ方面からは割合に個人等においていろいろと言つて来ておるのでありますが、イギリス方面からは全然言つて来ないということは、イギリス関係などにおきましては、当然生きておるつもりであつて、あえて日本政府に交渉するまでもないというような考え方のかたもあられるかも知れないのでありますが、今のところ大体どのくらいのものが結局生き返えることに相成るかという数字を的確に申上げることはできないという状況でございます。
  106. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大体わかりましたが、そうするとこれだけの三千六百九十万ドルは換算してそのぐらいな金額は一体これは、戰争中の借換えで全部日本政府の責任になつておるものであるか、それとも未だにまだ民間の、或いは地方自治体の責任になつておるものもあるかどうか。これについてお伺いしたい。そうして地方自治体の仮に責任になつておるものだとすると、どういうふうにして処理するか。
  107. 石田正

    政府委員(石田正君) 今度の借換えで、有効化をいたしますところの何と申しますか、その場合最大限予想されます先ほど申上げました数字のうち大部分は国債なのであります。でありますから、従いましてこれを政府が知らんと言つてつたものがこれが政府の責任であることがはつきりするものが多いわけであります。併しながらその他に地方債、社債、これは電力債などがあるわけでございまして、こういうようなものにつきましては、この法案に規定いたしておりますごとく、生き返ると同時に又何と申しますか、その債務はこれは政府が承継する、こういうことになるのでございます。
  108. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 例えばここにあります台湾電力というようなものは、これは日本にはもうございません。日本政府がこれの責任を負うということになるのだが、そうすると新らしい証券との交換ぐらいの処置はこれは講じなければならんが、日本には全然ないような台湾電力というような証券を向うが持つておるということになると、この際の有効化をする処置は日本政府の国債に換えるとか、例えば地方債になつてつてその地方自治体が知らんといつて、ただこれが有効であるということだけではおかしなことになるんじやないか、日本政府の国債に換えるというような規定はあるのですか、この案を読んでもちよつとわかりませんが。
  109. 石田正

    政府委員(石田正君) これは先ほども申しましたような工合に、内部的には日本政府が承継する、こう書いてあります。併し外国の人は相変らず台湾電力の社債、或いは東京都の地方債じやないかと思つておる場合にはどうするのか、こういう問題があるわけであります。この問題につきまして、一番私ども心配いたしましたのは、一体旧外貨債処理法というものの効力がどういうふうになつて行くだろうかということを心配するわけであります。これは御質問に関係ございませんが、旧外貨債処理法によりまして借換を行つた額は三億ドルに昇つておる。この三億ドルというものはこれは地方債、社債があるわけであります。それが皆無効である。日本政府が勝手にやつた法律だから無効であるということになると、借換に関連して連合国のもののために問題のないものまで全部切換られるというようなことがあつては大変だ、かように考えまして、日本政府としましては、終戰後できるだけ旧外貨債処理というものの効力が元から覆されないように努力して来たわけであります。その結果今度のやつはさつき申上げました三億ドルに見合う元本というものは八百万ドル、これで事が済むと我々は考えております。それでこれは條約にもございますが、條約の十八條の(b)項「日本国は、日本国の戰前の対外債務に関する責任と日本国が責任を負うと後に宣言された団体の債務に関する責任とを確認する。」この点は連合国においても日本政府の旧外債処理法によつてのそれは不当でなかつた。而もそれは認める、こういうことであろうと我々は了解しております。従いまして、まだ将来のことを何とかかんとかということはできないのでありますが、今御質問になるような御心配の点は、大体今回の條約によつてなくなつておるのではないか、少くとも條約が発効いたします場合には、條約に批准しました国との関係においては問題はなくて済むのではないか、かように考えるわけであります。
  110. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは條約と全然関係はないというさつきのお話でございますが、例えば、戰争中にはアメリカにあつたであろうが、今中国等の関係はこれは相当複雑な関係になるであろうと思います。やはり中国にあるやつもこの講和條約とは関係なしに有効である、こういうことになるのですか、その点についてはほかの国は大してないだろうと思いますが、中国或いは台湾、こちらは外貨債はやはり来ているのじやないかと思いますが、その点はそういう取扱はどうですか。
  111. 石田正

    政府委員(石田正君) これはやはり何と申しますか、今でも條約との関係において主として所有者が、恐らく批准した国の所有者が多いだろうというので申上げたのであります、併しこれは日本政府が戦時中にやりましたことが非常にいいことであつた、大体これに対して多く言われる筋合のものじやないのだ、そういうふうなことではなくして、やはりいわゆるやり方において適当を欠くものがあつたものは、これはそういうことが判明いたしますれば有効化せざるを得ない、こういうふうな考え方に基いて本法律案を作つたのでありまして、別に例えば中国の人が持つているものを日本人が持つているといつて借り換えてしまつた、そういうふうなものはこれは中国の人であるから有効化しないというわけには行かんと思います。
  112. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一つ、それでは前に戻つてえらい恐縮でございますけれども、邦貨債の取得をした人員、あなたのほうに名簿があるというのですがへ一体これは個人でそういうふうなのか、或いは正金銀行の支店その他なのか、一体何人くらいそういう邦貨債を取つてしまつてあるのか、その金額はどれくらいになつておるのか、御説明になつて頂きたいと思うのであります。
  113. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体これはいわゆる外債処理でやつたものがありまして、敵産管理をやつたもの、いろいろございますが、金額のほうから申しますると大体敵産管理でぐつと返つて来るというものが金額的には多いと思います。それから先ほど申しました千百万ドルというような元本額を申上げましたが、大体その半分に近いものが十数社の銀行、保険会社、それから船会社というようなもので持つておるわけであります。そのほかのものにつきましては、実はまだはつきりした今個々のところは何人になるかという数字を遺憾ながら持合せておりませんので、はつきりしたことを申上げかねると思います。
  114. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この半数の五百万ドルぐらいは船会社、保険会社、信託会社、こういうふうなお話でございましたが、大体そこらがやつたやつを引換互て、それが又生き返えるというような措置はないと思います。少くとも向うへ行つてつた個人であつたら、それは手続その他もございましようけれども、例えば三井物産とかそういうような会社がやつたような邦貨債を取つてしまつておいて、そうしてそれが嘘を言つてつたというような事実は少いと思うのです。その五百万ドルというのは大体は無効にして差支えないだろうと思います。それでもまだ生き返つて来る虞れのあるものがございますか。例えば三井物産とか正金銀行の一流会社が邦貨債に引換えてしまつたということは、これはもう一遍向うでは生きているのだというような措置はないと我々は想像するのでありますが、例えば個人でございますと、そういう措置も十分にできないでしようけれども、三井物産やそういう有名会社、日本郵船等の会社がやつた行為には、私はそういうものがないとこういうふうに思うのでありますが、あなたのほうではそういうのもまだ危険があるというふうに考えるのでございますか。
  115. 石田正

    政府委員(石田正君) 普通の常識から申しますれば、そういうことはないのじやないかというふうに考えるのでございますが、たとえて申しますると、横浜正金銀行なら横浜正金銀行が、アメリカにおいて営業を営む、こういう場合には営業するについては預金とかいろいろの取引をいたします。それに関連いたしまして供託金のようなものをいたすわけであります。その供託金を日本の外債でやる、こういうふうなことをやつてつたわけなんです。そういたしますると、そういうふうなものは要する正金銀行なら正金銀行の向うにおけるところの債務がございます。その債務の担保として州の政府なり何なりに預けて来た。それで正金銀行が帰つて来て、あれはわしのものだから、これは借り換えだ、こういうことをやつたわけです。併しそれは一方の筋が通つておれば生き返えらすわけには行かないのでありますが、私たちのほうは実は先ほど申しましたように、小さい所有者の人の数が幾らあるかわからんか、こういうことでございますか、それはそういうふうなものについては、向うの人からこれを生き返えらせろというときにそれを生き返えらせることを考えるというふうな工合に考えておるのでありまして、余り大きな額にならん、さつき申しましたところの大きな中で余りが出るということに相成りますれば、むしろ個人のほうの関係でそういうことをせずに済むのじやないかと、かように考えておる次第であります。
  116. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今のお話ですと、第三條の二号とちよつと違つて来ます。質権の目的となつていたのですか、それは向うだけが質権と言つているのであつて、そういうものを第二号における質権と解釈するのですか、正金銀行は向うに供託しておるのであつて、供託と質権というのは違うと思います。供託によつて質権が発生するとは考えられない。ただ横浜正金銀行は債務は別な方面にあるかも知れないけれども、供託行為に、質権というふうに解釈して二号を適用する、こういうふうに解釈するのですか。
  117. 石田正

    政府委員(石田正君) これは今までのお話が一号、二号のお話をいたしたのでありますが、今のような場合には大体三号に該当するわけであります。要するにこの戦争が始りますると、正金銀行であるとか或いは住友銀行とか、そういうようなものは向うの銀行の管理官によつて清算に付されたものであります。その清算に付された中にこの財産があるわけでございまして、今のような問題につきましては、二号によつて質権であるとか何とかいうような議論をするばかりでなく、三号のほうによつて処理さるべきものと考えておる次第であります。
  118. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると大体わかりましたが、国債、地方債とか社債というようなものもあるのですが、それをもう全部それじや日本政府の責任として、日本政府の債務として処理をする。それは外貨伏に借換によつて戦争中に処理してあるからしてそうするのだ、こういうことに了解してよろしうございますね。  その次に、ここでちよつと大蔵大臣の指定するもののところで、消抹とか当該証券を無効とする行為がなされなかつたもので、ということになるわけでありますが、これと不当な取扱というのと引かかるようなことはございませんか、不当な取扱によつて抹消とかそういうようなことをやつているもの、これに引かかるようなことはございませんか。
  119. 石田正

    政府委員(石田正君) この抹消とか、それから穴あけとかというようなものは、自分の資産としてそういうかたがたがやつたわけであります。人に取られてしまつてはつまらんというので穴をあけたり、抹消したわけであります。従いまして、穴をあけたり抹消したりしたものは、これは発行者じやありませんで、債務じやなくして、むしろ財産権を持つていた人がやつたわけであります。その当時の穴をあけたり抹消したりしたことが、所有者として第三者との関係において適当であつたか不適当であつたか、こういう問題はあるかも知れません。当時の事情がわかりませんから。併しながら日本政府として直ちに関與すべき問題ではないのではないか、所有者が日本政府の債務たるところの証券を破棄した、それが不当であるから日本政府が責任をとらなければならんのだ、そういう考え方はとらんでいいのではないかと思つておる次第であります。
  120. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の問題に関連して、所有者の承諾を得ずに借り換えた外貨債で穴あけ等をやつたということはないのですか。所有者の承諾を得ずして借り換えた外債で、今の穴あけ等の処置をしたものはないのかどうか。
  121. 石田正

    政府委員(石田正君) これは何と申しますか、大多数のものは問題がないと思つております。ただ国内におきまして……、外国にあるものは穴をあけようと思いましてもできません。国内におきましては、実際問題といたしまして、いわゆる連合国人の持つている証券を連合国人の承諾があつたのだと敵産管理法の適用をいたしまして、そうして穴をあけてしまつたものがあるわけであります。それをどうするかという問題でございますが、この穴をあけたものを活き返らせるということはなかなかむずかしいのでありまして、この問題は連合国人の財産の返還に関するところの措置、そちらのほうに譲りまして、こちらのほうは活きているものの処理を考えると、かような考え方で進んでおるわけでございます。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 主として電力債ですが、政府が電力会社の債務を継承したのですが、そのとき電力会社と政府との債権債務の関係、あれはどういうふうになつたのですか。
  123. 石田正

    政府委員(石田正君) この外貨債処理法をやります場合に、こちらに所有者がおつてはつきりしておる場合があります。これは外貨債と当該電力会社の内国債と換えたわけでございます。ところが外国人や連合国人の持つておるところのもので、何とも手の付かないところのものにつきましては、その対価をあらかじめ政府に納付せしめまして、それはいわゆる社債の形で納付いたしまして、そうして日本政府は外傾のほうの元利払いを承継する。それに伴いまして、政府はすべて外国人の担保になつておるところの担保権や何かを抹消してしまつたと、かような事情でございます。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、政府は社債を持つておるわけですね。
  125. 石田正

    政府委員(石田正君) これは一応取りましたけれども、一般会計はそれを預金部に売りまして、預金部に持たせまして、そうして一般会計のほうでは現金をとつたと、こういうことでございます。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると銀行とか個人とか誰かがその社債を持つているわけですね。
  127. 石田正

    政府委員(石田正君) 大部分そういうことになります。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこの換算率はどうなんでございますか。その後ドルも、ポンドは切下げをやつているのですが、そういうような関係で換算率はどうなんですかね。
  129. 石田正

    政府委員(石田正君) これは証券によつていろいろと性質が違います。発行條件というものが違いまして、発行のときに今のお話で以て換算率について言及のないものは現在のドルであり現在のポンドであると、さように我々は解しておるわけであります。併しながら、仮にポンド債ならポンド債であつて、そうしてこれはニユーヨークで支払う場合にはドルで払う、而もそのドルは四ドル何ぼであると、こういうのがございます。逆の場合もあるわけでございます。そういう場合につきましては、我々はそれをどう処理するかということは、要するに外債処理の全般的の問題でございますが、今申しました数字においては一応安全を見て、そうして要するに現在の為替換算率によらずドルでやります場合には大きな数字を取る、かようなことにいたしておるわけであります。これは終局の負担関係がどうなるかということは別問題といたしまして、数字を申上げることはそのほうが間違いないのではないか。それから確定換算率といたしまして、五ドルというようなものがございます。それをそのまま数字に一応持つて行く、それから又金約款の問題がありますが、金約款は大体問題が余りありませんので、これは一応金約款は無規するということで計算いたしました数字で申上げておるわけでございます。ただそういうふうな数字を申しげたから、そういうことで以て最後まで行くのかどうかという問題は、これは外貨債処理の一般の問題の折衝の内容になるのでありまして、今どうなるかということは申上げかねるような実情にあると考えております。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。そうしますと、大体外債処理についてこれまで資料をもらつたのですけれども、それは換算率の変更如何によつて又実際の日本の負担額というものが違つて来るわけですね。
  131. 石田正

    政府委員(石田正君) まあいろいろな数字をはじいて来ておるのでありますが、これはどういうふうにそれを扱うかという目的によつて数字はいろいろ違うかと思うのであります。今度の條約の中には、とにかく外債処理というものについて日本政府としても努力せねばならんという趣旨のことが織り込まれておるのでありまして、そういう考え方の下においてやはり数字というものを作つて見なければならないと、そこで最近私たちのほうで計算し申上げておる数字は、大体大きく見積つてどのくらいかという数字のほうか間違いがないのではないか、そういう意味で先ほど申しましたような工合で、大体金約款の点を除いては契約の文言通りでやつたらどういうことに相成るだろうかと、かような数字を近頃は申上げるようにいたしておる次第でございます。なおまだこの法案は通りませんけれども、最近出しますところの数字においては、この数字の最大限を含めまして、この法律案によりまして先ほど申上げました数字が皆生きるという場合にどういうふうな数字になるかというような数字を一応申上げるようにいたしておるわけでございます。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いますが、前に戰争中いわゆる預け合い勘定というのをやりまして、これは北支、中支、南支、ビルマ、タイなんかやつたのですが、あのときの債務というのはどういうふうになるのですか。これは直接関係はないかも知れませんが、これは正金が恐らく債務者になつたと思うのですが、或いは日本銀行が債務者になつたかも知れませんが、あの問題は外債処理に関係して来るのか、賠償に関係して来るのか。
  133. 石田正

    政府委員(石田正君) この問題につきましては、私たちこれはまあ條約をどう解釈するかという問題でありまして、私か申上げますよりも外務省のかたが申上げたほうが或いはいいのかと思うのでありますが、私としてその問題につきましては、大体十四條の(b)項、要するに連合国でありまするならば、連合国はすべての賠償請求権、それから戰争の遂行中日本国及びその国民がとつた行為から生じた連合国及びその国民の他の請求権という中に含めて支払わないでもいいのではないか、こういうふうな心組みで、まあ解釈問題についても連合国のかたと話をしてみたいと、かように考えておる次第でございます。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは国内的にはどうなつているのですか、債務関係は日銀になつていたのですかな、預け合い勘定の問題は。
  135. 石田正

    政府委員(石田正君) これはまあ預け合いと申しまして、極く大ざつぱな意味のお話かと思うのでございますが、要するに外国の中央銀行との間に日本の中央銀行又はこれに準ずるものがやつたものが仏印の場合もございますし、タイの場合もございますし、中国の場合もございます。いろいろあるわけでございますが、それらの中身の問題につきまして、我々は一括して言えばこういうふうにというふうには考えておりまするけれども、併しそれらのものができたところの原因は、例えば戰費の調達のためであるというようなことがはつきりしておるものもありますし、それからして又いや米を買つたとか、いや船を買つたとか、いろいろ中身はごしやごしやとなつているのでございまして、そこらの問題はどういうふうに相成りまするか、相手方のあることでもございまするので、今この段階において、條約においてはこれによつて結局は処理されるであろうということをちよつと申上げかねるような次第であります。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国内的にはそういうものを非常に減価償却としてやつているのじやないですか。日銀なんか納付金を納めないで、納付金を一時停止したことか二回くらいあるのです。そうして何十億というものを納付金を納めないで、そういうものを償却に充てたように我々は聞き及んでいるのです。
  137. 石田正

    政府委員(石田正君) この勘定は、国内における関係におきましてはそれを消してしまう、今のようなお話で償却して消してしまうと、そういうふうな措置はとつておりません。ちやんと勘定としては幾つております。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは国内的には一応日本銀行はそのために一時潰れるかも知れないくらいになつたのですからね。納付金を政府に納付しないで、それで減価償却に充てて一応それを整理したのです。だから日銀は潰れなくて済んだんでしよう。納めるべき納付金を一時しなかつたのです。そういうことにおいて国内的には一応あれしたように思つているのですが、今度その対外的な関係になつて来ると思うのですか……。
  139. 石田正

    政府委員(石田正君) これはちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
  140. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  141. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  142. 小林政夫

    ○小林政夫君 この前も質問をしたのでありますけれども、第十條の後段のほうで、「当該外貨債の評価額か確定した場合」一応価格を零と評価しておいて、評価額か確定した場合というのは具体的にどういう地帶を予想しておられるのか、伺いたい。
  143. 石田正

    政府委員(石田正君) これは予想しておるかということで、具体的なことは申上げかねると思いますが、ただ可能性ということを一つ考えて参りますると、例えば或る銀行関係におきまして証券は抑えられておる、併し清算して見たところが余つてしまつたと、その国において没牧するかどうかという場合に、まあ没収するのもあれだから返してやると、こういうふうなことが仮に起つたといたしまするならば、そのときには、日本国全体として見れば貸した借り手は同じでございまするから意味がないと思いまするが、個々の地帯としますると、要するに価格の差違があるものと、こういうことが予想されると思います。そこでまあそういうような事態が起つて来た場合には又別途に研究しなければならんかと、かように考えておるわけであります。大体ここにありまするような場合は、御承知のように金融機関の場合におきましても、私企業の場合におきましても、対外的な債権債務の関係、特に在外の債権債務の関係につきましては、確定評価をしておらないわけであります。今取りあえずそういたしておりますが、だんだんと固まつて来るにつれて評価をはつきりして行かなければならんかと存じております。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 明年度予算予算関係としては出て来ると思うのですか……。
  145. 石田正

    政府委員(石田正君) こういう措置をすることになりますると、お叱りを蒙むるかも知れませんけれども事務費が殖えるということに相成ろうかと思つております。その点の予算は、これは我々のほうは主計局に対して要求をいたしております。併し、それだけが本件に関するものでございまして、外債処理の全般の問題としての予算関係がどうなるか、こういう点は今のところははつきりしておらん次第であります。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外債処理は一括して出て来るのですね。
  147. 石田正

    政府委員(石田正君) さようでございます。
  148. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決を行います。旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御挙手を願います    〔賛成者挙手〕
  151. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     山本 米治  森 八三一     菊田 七平  大矢半次郎     小宮山常吉  小林 政夫     田村 文吉  菊川 孝夫     黒田 英雄  清澤 俊英
  152. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れはないと認めます。   —————————————
  153. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。
  154. 清澤俊英

    清澤俊英君 一、二ちよつとお伺いしたいのですが、この法案が出ました場合、公労法の第八條の団体交渉権につきまして、団体交渉権がこの法律によつて制圧を受けますか、受けませんか。
  155. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) この法律によりまして団体交渉権を阻害することはない、つまりこれによりましても団体交渉はできるというふうに考えております。
  156. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、若し団体協約が行われておりました場合百には、どちらか優先するということにな参りますか。
  157. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) 団体交渉は可能でありまして、若し団体交渉が妥結しない場合におきましては、公労法に定めてあるところの調停仲裁の手続を経て行けるということは言えるのであります。ただ団体交渉をやりまして、それによつて労働協約を締結するという問題になりました場合におきまして、この日本専売公社法というものがあつたときに、専売公社総裁がこれを無視して、その団体交渉によつて労働協約を締結することができるかどうかという問題は非常に微妙な面があると我々は考えておるわけであります。といいますのは、専売公社総裁というものは日本専売公社法によりまして制約を受けることになります。でありますから、その面におきまして、この百分の八十を支給することができるとか、六十以内を支給することができるというようなことによつて、専売公社総裁の権限というものが一つ明確にされているというふうに、この法律を考えた場合には言わざるを得ないのじやないかというふうに考えております。
  158. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると一口に言えば、この法律によつて団体協約の内容が制圧を受ける、こういうことになりはしないか。それは新らしい場合ですが、若し前の協約があつたとしたら、その場合にはどうなるのですか。
  159. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) 現行の日本専売公社法におきましては、一年未満三分の一というふうになつておりまして、これによりまして、現実に労働協約というものはないわけであります。日本専売公社になります前におきましては、大蔵省の専売局としてでありまして、国家公務員法の適用を受ける。その前におきましては、政令二〇一号の問題が出て来ます。その政令二〇一号以前におきましては労働協約というものがあつたわけでありますが、政令二〇一号の施行によりまして労働協約というものがなくなつたわけであります。でありますから、現実問題といたしまして、こういうものについての労働協約というものは存在していないわけでありまして、その点の問題は起らないと思います。
  160. 清澤俊英

    清澤俊英君 次にちよつとお伺いしますか、改正法の五項ですが、「職員が公務上負傷し、又は疾病にかかり、第一項第一号の規定に該当して休職にされた場合」これはまあ公務上の負傷はわかりますが、この第六項との関連において公務上の疾病か否かというものの区分は明確にできるでしようか。
  161. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 第二十二條の今度の第五項でございますが、五項は公務上の負傷又は疾病の場合の規定でございます。この場合には休職の期間給與の全額、百分の百出せるという規定でございます。実効は従来と同じことでございます。それから次の第六項と第七項は公務以外の場合で、その以外の場合の中に結核性疾患の場合と結核性疾患でない場合、結核性疾患の場合が第六項でありまして、結核性疾患以外の場合が第七項、結局第五項、第六項、第七項とこの三つに場合を振り分けるとそういう規定になつております。なお公務以外の場合におきましては、給與の額は従来の休職者は休職の期間中俸給の三分の一ということになつております。それを今度は第六項の場合には二年間百分の八十、第七項の場合には一年間百分の八十、いずれも給與の額は引上げております。そういう改正になつております。
  162. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと私の質問が悪かつたかも知れませんが、私はそれを質問しておるのではなく、第五項の公務上の疾病というものがありましたね。ところが第六項においては公務上にあらざるこれは疾病ではないかと思いますが、その区分は何で付けるか、こういうことであります。この病気は公務上の病気なんである、この病気は風邪を引いたが、これは公務上の病気でない。而も風邪と結核の区分が付いておる。こういうふうな区分が果して付けられるか、付けられないか。
  163. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 公務上の病気であるか、公務上の病気でないかという認定は従来もいたしておりまするので、同様に認定いたして参ります。従来もそういうふうに同じようにやつております。
  164. 清澤俊英

    清澤俊英君 従来やつておることを聞きたいのです。どういうところでこれか……、破りに地方に調査に出た。まあ僕らの所のように非常に雪に会つて不幸にしてそういうものの準備をしなかつた、非常に寒さに会つて風邪を引いた、それが因で病気になつた。これはまあ公務上と言えると思います。併しそれが両三日経過して発熱した。こういう場合これか公務上でないということになると、非常に面倒な問題になるが、この負傷の場合に負傷の個所、負傷の時期等で明確に公務上か否やというものは考えられるが、疾病という問題に対しては公務上の疾病であるか、或いは長い間の集積によつて、過労から出た結核であるかというようなことは、これはなかなか面倒じやないかとこう思うので、従来のそういう区分の率がありましたならば、それをよく一つお聞せを願いたい。
  165. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 具体的に或る疾病が公務上の疾病であるかそうでないかという認定の問題は、具体的な場合といたしましては相当デリケートな場合もあろうかと思いますが、これは具体的の場合々々を押えまして、その場合について事情を十分調べまして、これは公務上の疾病と認定すべき場合か否かという判断を下しております。具体的な場合を一々押えましてよく調査いたしまして、これは公務上の疾病と認め得るものは公務上の疾病と、そういうような取扱をいたしております。
  166. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう今までやりましたので、どれくらいの率になつておりますか。公務上の疾病であり、片方は公務上の疾病でないという取扱を受けられた率はどちらが多いのですか、疾病の場合。
  167. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 公務上の疾病として休職になつた者の数は比較的少いのでございます。現実の休職者の数と申しますものは大体今年の九月末くらいの統計によりますると、専売公社全体を通じまして約二百四十名と記憶いたしておりますが、その大部分は公務によらざる結核性疾患の場合、今度の法律改正案で申しますれば、第六項に該当する、そういうものが大部分に相成つております。なおもう一つこの公務上の疾病の場合は実際の取扱におきましてはすぐに休職の発令をしないで、そのまま置いて行くというふうなケースも相当あるように私は見受けております。
  168. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、極く特例が公務上の疾病とみなされると、こう解釈していいと思いますので、その公務上の疾病として取扱われる特例的な実例を直接お聞かせ頂きたいと思うのです。
  169. 久米武文

    政府委員(久米武文君) その具体的な例は極めて少いのですけれども、今私記憶いたしておりません。
  170. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこの問題は非常に重要な問題があると思うのです。病気というものをただ考えて見ますと、過労てあるとか或いはいろいろな長い間の原因が集積して病気になる場合が多いのでありまして、伝染病等であればこれは別でありましようけれども、普通の肺疾患或いはその他のリウマチであるとか、或いは過労して生ずるような多くの病気というものは長い集積によつてできておる、いわゆる勤務のうちに出て来る一つの病態であつて、その大部分は私は特殊の流行病等でない限りにおいては公務上の疾病と見ていい。逆の数字が出なければならんと思う。ところが結局しますと、非常に公務上の疾病というものは数が少くてそれ以外のものが多いということは、取扱に非常な間違いを持つておるんじやないか、私はこう思うのです。この疾病を区別する場合に、公務上でないという場合は私は恐らく流行病、而も不注意によつて流行病にかかつた、赤痢にかかつたとかチブスにかかつたとかいうような場合に、これは公務上でないというようなことは言えるかも知れませんが、その他の自然的な一つの体の弱りから出た病気というようなものはいずれも業務上から出た病気とされることが多いのじやないか。而も肺疾等に対してはそういうお取扱が適切なのじやないかとこう思いますので、その点の御所見を伺つておきたいと思うのです。
  171. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 公務上の疾病の認定につきましては、お説の通りその認定を慎重にいたしまして、運用に誤りなきを期するという点は誠に御尤もと存じまして、専売公社の当局としても勿論その運用に適切を期するという点は十分留意をいたしておりますし、今後もいろいろ御意見のように留意いたさなければならん問題であると考えております。又具体的な場合の認定につきましては、そういうふうな意味で御了承を願いたいと思います。
  172. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に、松永さんからでも又よく法律上のことでありますから、助太刀もお願いしたいと思うが、刑事被告人の場合、この法律からいいますと、百分の六十以内と、こうなつておる。まあ新憲法や新刑事訴訟法から見ましても、被告人はまだ罪人でない、こういうことが規定せられておりまするとき、刑事被告人になつた場合、いわゆる起訴をせられたような場合にはそれがまだ刑の判定が下らないうちに百分の六十と、これはときによりますと飛ばつちりを受けたまあほんの被疑者に過ぎん場合もありますので、その刑のまだきまらない者にこういう昔通りの、起訴でも受けたら直ちに犯罪者としての特別な取扱を受けるように見えますのは、これはどういうふうなお考えになつておるのかお尋ねします。
  173. 久米武文

    政府委員(久米武文君) この刑事事件に関して起訴されたとき、この場合の取扱につきましては、現行法におきましても休職の期間は裁判所に事件が係属する間ということでありまして、その期間は現実の勤務をいたさない期間、仮に無実の罪でありましても、勤務をいたさない期間につきましては百分の六十以内ということで休職給というものを支払つて参る、判決が確定いたしまして、無実であつたということがわかりますと、後から補償をいたすというふうな仕組に相成つておると思います。
  174. 松永義雄

    松永義雄君 関連して……。現行法というのはいつ施行されたんですか。
  175. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 現行法は専売公社ができますとき、結局昭和二十四年の六月一日というわけでございます。
  176. 松永義雄

    松永義雄君 これは余り埋窟を言つてもどうかと思うのですが、新刑事訴訟法では起訴されてもそれはまだ無罪の取扱を受ける、そうして御承知通り保釈は当然許されておる。昔の刑事訴訟法とは精神が違うのでありまして、ひとたび判決があれば、それから先の取扱は又従来の旧刑事訴訟法とは違つて来ておる、起訴という一つの文句があつて、起訴ということが一つの條件だということになれば別ですけれども、実質的に起訴されれば何かその人は罪人ということであるとすれば、起訴されたといつてもまだ無罪であつて、判決のない間は昔のように起訴されたからと言つて罪人のように扱わない、こういう建前になつておると思います。そうすれば例え二十五年に新刑事訴訟法ができたにしましても、少しく時代の考えに副つておらないのではないか、こういうふうに考えるのですが。
  177. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 刑事事件に関して起訴されたとき、その場合の休職期間中は本人は勤務をいたしませんので、その勤務をしないという実体だけを見まして、一応百分の六十という率を適当と考えておるわけでございます。これはなおほかの関連した法律もこういうふうなことに相成つておるように私は記憶いたしております。
  178. 松永義雄

    松永義雄君 起訴されると必ず休職になつて、勤務状態でないということになるのですか。起訴されても勤めるということは勤めてもいい、勤めさしておるということになつておるのですか、どつちですか。
  179. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 実際の取扱は起訴になりますと、休職にするというふうな取扱なのであります。
  180. 松永義雄

    松永義雄君 そうすれば間違だということになつて……起訴されれば起訴という一つの事実によつて休職になると形式的に考えれば別ですよ。文章の上でそういうふうに作れば別ですけれども、起訴というものの実質、内容でその人が悪いことをしたのだということになつて、その前提の下に休職になるということであれば別ですが、それは起訴ということは必ずその人が悪いということになるのじやないので、今日の人権擁護の見地から新刑事訴訟法では起訴になつてもその人はまだ無罪だ。だが有罪である虞れもある、有罪だと仮定して休職にするのは間違いでないか、こういうこと……。
  181. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 専売公社の職員が起訴になりましたときは、その職員をその職場で従来通り働かしているというのも如何かと存じますので、(「おかしいな」と呼ぶ者あり)一応そういう場合は休職の取扱をする。別にそれで以てお前は悪いのだというふうな焼印を押したような気持ではございませんので、起訴になつたその人間を職場に毎日出勤させているのが如何かと思います。
  182. 松永義雄

    松永義雄君 それは政府のほうの気持としては、それは一応今までの考え方から言えば問題ないと思うのですが、新刑事訴訟法、新憲法では解釈上如何かと思うことに対してそういうことをしてはいかんということになつているのじやないかと思う。(「これは重大問題だよ」と呼ぶ者あり)
  183. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の松永さんのような考えの御質問も御尤ですが、これは一般公務員が全部こういう例になつているのです。それでこの専売公社の関係だけをこれをやつても仕方がないので、人事委員会等で十分検討をしてやられたほうがいいんじやないですか。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 専売公社法の第二十三條におきまして、ここに明らかに第二号として、「刑事事件に関し起訴されたとき」。とこうなつている。それを引延したものが第八項の場合を規定しているのですね。それからまあこういうものが仮にあつたとしても、その考え方によつてこの手当の問題の百分の六十を変更して行けば差支えないと思う。今現行法からもその起訴されたものは現職にするということが困難であれば、その支給額を新らしい考え方で正当なものに直して行けばいいと思うのでお伺いしているのですが、それに対して御同意願えませんか。
  185. 久米武文

    政府委員(久米武文君) この御審議を願つておりまする第八項の規定といたしましては、ここに原案として御審議つておりまする通り、百分の六十以内というのを政府としては適当と考えております。
  186. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今この審議の際に、若し無罪になつた場合にはそのあとの百分の四十を補償する規定があると言われますが、その補償規定は専売法の中にはないようですが、別の規定にあるのですか。
  187. 久米武文

    政府委員(久米武文君) これは公社決の中にはございませんけれど、別の法律の中にあるように思います。(「あるようじや駄目だよ。」と呼ぶ者あり)
  188. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 それはないだろう。補償するということはないだろう。
  189. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  190. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  191. 森八三一

    ○森八三一君 今の政府委員の答弁でありますが、起訴をされたときには本人は勤務をしないと、だから休職の処置をとる。そこで或る一定給與を減額するというのは当然であるというお話であつたように伺いますが、起訴をされたから勤務をしないということは絶対的なものではない。これは事例がたくさんあります。刑事事件によつて起訴をされましても、不拘束のままで起訴されており、通常の執務に堪え得るという場合は例証いたしますれば幾らでもあるので、そういうものを無理に休職せしめてしまうということは、その本人の精神的な打撃というものも非常に大きいと思うのであります。而もそれがまだ白とも黒とも決定をしておらないというときに、強制的に勤務を拒否するということは如何かと思います。同時に今日遊んでおるということは許されることではないのでありまして、無理に遊べということを強要するということも、置かれておる日本の国情から考えまして矛盾をするめじやないか。今までの通念から申しますると、これは起訴されれば罪があるという常識的な解釈が行われておつたので、旧来の解釈をそのままここに持つて来られておると思うのですが、先刻も松永委員からお話のように新らしい憲法下におきましては、むしろ検事が白、黒を決定するということではなくて、公正な判事が決定をするということが正しいというわけでありまして、多少でも疑問があれば起訴をするというのが今日における取扱の実態と私は承知をいたしておりますが、そういうようなことから考えまするときに、なお更以て起訴をされただけで強制的に執務をさせないということは非常におかしいのじやないかと思いますが、如何でございますか。
  192. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 起訴をされました場合はこの職員を従来の職場で従来通り毎日出勤さして事務をとらせるということは公共企業体としての日本売專公社の業務を円滑にやつて行く上に如何かと思われる節もあるのでございます。そういうふうな場合には、公社の公共企業体であるという点に着眼いたしまして、専売公社の管理者側としては休職を命ずることができるのだということに相成つておりまして、休職を命ぜられて初めて本人がその職場へ出勤しないようになると、そういうことでございます。
  193. 森八三一

    ○森八三一君 休職は先刻の御説明では起訴をせられますれば自動的に当然阻止されると私は御説明があつたように伺つたのでありまするが、休職させることもできるというので、その起訴の性質内容如何によつて取扱が区分されると、こういうように規定があるのですか。
  194. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 刑事事件に関して起訴されたときは、本人の意に反しても休職を命ずることができると、そういうふうな規則なんでございます。ですから単純な法律の文字だけの解釈からすれば、こういうことは余りないとは思いますけれども、非常にこの起訴が誤りで、本人はもう明白に青天白日だと思えば、公社の総裁は休職にしないという余地も條文の上からはあるようにちよつと見受けるのでございますが、従来の実際の取扱は大部分休職になつている、そうい多わけでございます。
  195. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、刑事事件による起訴がありましても、その起訴の内容如何によつて休職を命じない場合もあるのであるというように、公社は運営されるものだという理解をしてよろしいが、刑事事件で起訴を受けた場合には絶対に休職を本人の意思に反してでも命ずるという措置がとられるのか、その辺をはつきりお伺いしたいと思います。
  196. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 実際の取扱としては極く特殊な例外があり得るかと思いますが、大部分は休職を命ずるということになつております。
  197. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこの場合ですね、第二十三條第八項の場合の取扱は、今その後で補償する提定があるというお話になつておりますが、これは国家補償で裁判でも起ればとれると思いますが、むしろ長い間被告人として取扱われて、その間百分の六十と、薄給者が非常に少い生活費で生活して行かなければならないということは、場合によつたならばこれによつて犯罪を構成させる元にもなるということを考えられるので、新憲法の精神から言えばこの場合は百分の百を與えて、実際職場におることは工合が悪いとするならば、休職させることもよろしいと思います。そうして判決がきまつた場合それらのものが何らかの方法で遡つてこれを受取るというような方法を考えたほうが却つて妥当なのじやないかと思います。私はただ刑事事件で起訴せられたというのですぐ百分の六十というやり方は、非常に人権を無規したひどい考え方ではないかと思うのでありますが、あなたがこれに対する御見解の御表明ができないとするならば、これは人事院でしようかね、と思いますが、人事院総裁にちよつと来てもらつて、一応もつと突きつめた御質問をしてみたいとこう思いますが。
  198. 田村文吉

    ○田村文吉君 議事進行につきまして……一つ四、五分速記中止にして頂いて、その間にもう少しフリー・トーキングをやつてみたいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  200. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
  201. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 専売公社の職員が刑事事件に関し起訴されたときに、その本人を休職にするかどうかという問題は、その起訴の内容によりまして具体的に判断すべき問題と考えます。公共企業体としての日本専売公社の職員として、従来通りその職場において勤務させても支障がないと認められる場合は、休職を命じないでその職場に従来通り勤務させることといたしますが、引続いて勤務させることが不適当と認められる場合には休職を命ずることになるのでございます。先ほどの答弁に言葉の不足の点がありまして、誤解が起りましたことは遺憾に存じます。
  202. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私はこの法律の制定と、公労法の八條の関係におきまして、将来も問題が起り得ると思いますので、労働省の関係官が来ておりますので御質問申上げたいと思います。  先ず第一点は、こういつた結核に罹病した場合には休職期間、それからそれに対する休職期間中の給料等をきめるのは、これは第八條の第二項の第一号の労働條件、これに該当すると認められるがどうか、この点について……。
  203. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) お説の通り労働條件に該当すると思います。
  204. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 労働條件に該当するということになると、団体交渉の対象となる、これは先ほども対象となるという御解釈でありましたが、さてそれでは先ほどもちよつと申上げましたように、教育公務員が結核に罹つた場合には一〇〇%の給料をもらつて、それから休職期間も長いわけであります。従いましてこの関係におきまして、将来専売公社の職員が組織する労働組合が専売公社の経営者に対して、それと同等までに引上の要求を出して団体交渉をやることが当然予想されると思います。その場合に苦しもこの法律が制定されておつても、公社の総裁がこの要求に対して団体交渉に応じなければならん、応じても差支えないと私は思うのでありますが、差支えございませんか。
  205. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) お説の通り応じても差支えないと思います。
  206. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 団体交渉の要求に応じまして団体交渉を行なつて、仮に総裁が教育公務員並に取扱うのが妥当であるという結論を得て労働協約を締結した場合、そういたしますると、この法律と食い違つて参りますが、そのときにはどちらが優先するか。それからこれは十六條の公共企業体の予算上資金上とは余り関係がないと思います。これは運用できると思いますが、従いまして法律にはこうなつてつても、労働協約が締結されました場合には、当然その労働協約によつて支給をされてもよいものであるかどうか、これとの関連が非常にむずかしくなつて来るが、労働省はどう解釈するか。
  207. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) さつきも申しましたように、非常にこの点は微妙な問題であります。さつきも答弁いたしましたのは、こういう専売公社法というような法律でまあいわば、いわばといいますか、労働條件をきめておられるという場合におきまして、団体交渉は勿論できますが、公社総裁がその団体交渉に応じ、且つその結果の労働協約を締結することができるかどうかという点につきましては、百分の八十以下でありますればこれは問題がありません。問題はありませんが、百分の八十を超えるものについては現在の政府といたしましては、これはこの法律は専売公社総裁の権限を規定したものである、権限以上のことをやるのだから、この点においてこういう法律がある限り、公社総裁としては制約を受けるというふうに言わざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  208. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますると、仮に専売公社の総裁がそれは妥当と認めても、まあ約束し得ることは、大蔵大臣に対してこの法律修正のために申請をし、その努力をするという程度の約束よりできない、こういう結果に或るときには私はなつて来ると思います。そういたしますると、第八條で労働條件については団体交渉の対象として非常にこれは保護しておると思うのであります。併しこれは団体交渉の対象とすることを妨げない、締結することを妨げないということになつておるのだから、必ずしなければならんということではございませんけれども、これは労働組合の存在を許す以上は、こういう労働條件については当然団体交渉の対象として労働協約によつて処理しておくのが望ましいことであるし、労務行政と申しますか、労働行政上又そう努力しなければならん、そうあるべきが正しいのだ、労働省としてはそうなければならんと私は思うのでありますが、然るに今回の専売公社法の改正立案に当つて大蔵省で立案されたか、あなたのほうで立案されたか、どちらにいたしましても、その意見を申述べて政府部内においてその調整をなぜ図らなかつたか、図つたか図らなかつたか、どういう点でそれはできなかつたか、こういう事情を御説明願わなければ、これは重大な問題だと思いますので御説明願いたい。
  209. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 大蔵省の側から先に御答弁いたします。公共企業体としての日本専売公社の職員の休職に関する制度というものは、公社制度として法律上立法することが必要であると思われる事項は公社法に規定するという建前であります。例えば休職の期間、休職者の休職中の給與、これは従来も公社法の中に規定されております。先ほど労働省のほうから御答弁がありました通り団体交渉の対象にはなりますが、例えば従来休職期間が一年とありまするときに、休職期間を五年というふうな団体交渉が行われましても、法律にきまつておりまする一年を五年で以て労働協約が成立するということはあり得ない、結局公社総裁としては法律改正をする必要があると考える場合には、政府に対してそういうふうな意見具申をして来るであろうと思います。法律に矛盾するような労働協約というものは起り得ない、こういうふうに考えております。併し今回の公社法の改正につきましては、労働省とも政府部内において閣議、次官会議その他におきましてもいろいろ協議はいたしておるわけであります。
  210. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういうことになりますると、今度は仲裁の裁定を仰ぐということになると思うのでありますが、仲裁の裁定が教育公務員と同じような取扱をするのがよろしいという裁定を出した場合に、これは最終的決定として服さなければならないということになつておりますが’これとの関連をどういうふうに処理しますか。
  211. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 日本専売公社の職員の休職に関しまして、今御指摘のような紛争が起り、それが調停にかかり仲裁にかかつたという場合を想定いたしまして、仲裁の裁定といたしましては、例えば休職の期間が現行法で一年、今度の改正で三年ということになつておりますが、これ以上の長い期間に直したほうかいいということを若し仲裁委員会が判定を下します場合は、公社総裁及び組合の委員長双方に対して、専売公社法第何條の規定はこういうふうに改正するが適当である、そういうふうに改正するように双方努力すべしというふうな裁定は可能だと考えます。
  212. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の立法処置を努力すべしというようなことを裁定するというのは、立法は国会にあるのであつて、それを努力せよということを国会でないものに対してそういう裁定を下したところで、そんな裁定は下し得ないと思う。立法するのは国会で、努力するのは国会であつて、ほかのものに努力せいというようなことを下すことそれ自体が第一憲法違反になるのですよ、あなたそれはそんな国会の概念で以て立法府が努力せよというようなことをやるということは、大体国会の自由意思を拘束するものになつて、これは重大な問題だと私は思うのですが、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
  213. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 法律改正に協力するように努力する、協力ということですから……
  214. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 協力ということは……国会の協力と言つたつて……
  215. 久米武文

    政府委員(久米武文君) なお労働省のほうの御答弁のほうがより正確だと思いますから……
  216. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) 非常にデリケートなところで、フランクに言いますと、むずかしいのであります。仲裁委員会がどういう仲裁裁定を出され、調停委員会がどういう調停案を出されるということは今久米さんからいろいろ御説明がありましたのですが、仲裁委員会も調停委員会も共に労働省から独立して、勿論大蔵からも独立して御判断になることでありまして、どういう調停案、仲裁裁定が出るか私たちにも予測は付きませんし、且つそれに対してどういう調停なり仲裁裁定を出してくれという注文も付けられないのであります。でありますから、そういうようなこの専売公社法二十三條と公労法の規定とのむずかしい問題が起つたときに、そのときに一つ考えざるを得ないんじやないかというふうに思つております。
  217. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、これ以上突込んでも無理だと思いますが、結論的に申しますと、こういう休職の期間、或いはそのときの給與の條件等を専売公社法において規定することと、公労法の第八條の規定は労働行政上から言つたならば余り好ましくないということが一応これは明らかにされると思うのであります。無論いいことじやない、将来の問題としてこれは相当まだ研究の余地かあるということだけはお認めになりますか、どうですか。
  218. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) これは最初も申しましたように、一般の行政法と労働法とのボーダーラインにあります非常にむずかしい問題でありまして、この労働省の一属僚としての私から申しますならば、こういう労働條件の問題を法律とか、まあそういうようなものでおきめになるのはややどうかと思うのでありますが、併し公共企業体という公的性格というものから見た場合に、こういう法律又止むを得ない面もあるであろうと思うのであります。そこの組み合せの問題でありまして、成るべく労働者の権利擁護という面においてこれは運営されて行くことを祈念している次第であります。
  219. 松永義雄

    松永義雄君 今収賄とかいろいろなことが関係がありますからついでに聞きたいんですが、富山県で労働基準局に問題が起きて、そういうことはあるのですか、ないんですか。
  220. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) 私は労政局の職員でありまして、労働基準局のことはちよつと存じません。
  221. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと今の問題ですが、大体公務上の疾病にして見たり、そうでない場合にして見たり、疾病等の場合の取扱方ですね、殊に肺結核の場合二年というような考え方が病気の性質としてあなた方は妥当だと思つておいでになるか、実際多くの場合を中心にして妥当と見ておられるのか、見ておられないのか、私見でよろしいからお答えして頂きたいと思います。
  222. 久米武文

    政府委員(久米武文君) まあ私見というのは……どうしましよう。
  223. 清澤俊英

    清澤俊英君 私見でもよろしいから……。
  224. 久米武文

    政府委員(久米武文君) 只今審議を願つている原案を適当と考えております。
  225. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) ちよつともう一度……。
  226. 清澤俊英

    清澤俊英君 私見でよろしいからお伺いしています。結局肺患等に対しまして二年間これを支給するということが病気の性質上妥当とお考えになつているかどうか。私は肺患等はもつと長い期間が療養期間として必要である、こう考えておりますので伺つているんです。
  227. 松崎芳

    説明員(松崎芳君) 実を言いますと、前に私も肺病を患つたこともありませんものですから、肺病に二年間が適当であるかどうかということについては研究いたしたことがありませんので、この点は一つ答弁を御勘弁願いたいと思います。
  228. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあいい。これ以上やると、けんかになるから……。
  229. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  230. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。  本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会