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1951-11-28 第12回国会 参議院 大蔵委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十一月二十八日(水曜 日) 午後一時五十二分
開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
平沼彌太郎
君 理事
大矢半次郎
君
清澤
俊英
君 伊藤
保平
君 木内 四郎君
委員
黒田 英雄君 山本 米治君
小宮山常吉
君 小林 政夫君 田村 文吉君 菊川 孝夫君
松永
義雄
君 菊田 七平君 森 八三一君
木村禧八郎
君
政府委員
大蔵政務次官
西川甚五郎
君
大蔵省主計局法
規課長
佐藤
一郎
君
大蔵省理財局長
石田 正君
日本專売公社監
理官
久米 武文君
労働省労政局長
賀來才二郎
君
事務局側
常任委員会專門
員
木村常次郎
君
常任委員会專門
員 小田 正義君
説明員
労働省労政局労
働法規課長
松崎 芳君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の 一部を
改正
する等の
法律案
(
内閣提
出、
衆議院送付
) ○旧
外貨債処理法
による借
換済外貨債
の証券の一部の
有効化等
に関する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
連合委員会開会
の件 ○
日本專売公社法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
平沼彌太郎
1
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
只今
より第二十二回の
大蔵委員会
を開催いたします。
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
を
議題
といたします。先ず
政府
より
提案理由
の
説明
を受けます。
西川甚五郎
2
○
政府委員
(
西川甚五郎
君)
只今議題
となりました
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
について
提案
の
理由
を御
説明
申上げます。 この
法律案
は、国の
行政事務
の
簡素化
の一環として
財政会計制度
の
簡素化
を図るため、
支出負担行為
その他の
会計
上の
制度
及び
手続
を簡素にすると共に、
会計職員
及び
繰越
に関する
制度
を整備し、併せて
継続事業
の円滑な
遂行
に資するため、新たに
継続費
の
制度
を設けることを目的といたしております。以下、簡単にその
内容
を御
説明
いたします。 先ず、
支出負担行為
に関する
制度
の
簡素化
について
説明
申上げます。
現行法
では、
各省
各庁の長は
配賦
を受けた
予算
に基き、
支出負担行為
の
計画
を定めて
大蔵大臣
の
承認
を経なければならないこととな
つて
おり、又、各
支出負担行為担当官
は
支出負担行為認証官
の
認証
を受けなければ
支出負担行為
を行うことができないこととな
つて
いるのでありますが、
改正案
におきましては、
支出負担行為
の
計画
につきましては、
公共事業費
その他
大蔵大臣
の指定する
経費
に係る
予算
についてのみ
支出負担行為
の
実施計画
について
大蔵大臣
の
承認
を要することとし、又
認証
につきましては、特に
各省
各庁に
認証官
を置かず現在の
支出官
にその
支出負担行為
が示達された
予算
を超過しないかどうかという
確認
を行わせるごとといたしたのであります。なお、
各省
各庁におきまして
予算
の適正な
執行
を図るため
認証官
を置いて
認証
を行わしめることが望ましい場合には、
支出官
の
確認
に代えて
認証官
による
認証
を行うことができるものとした次第であります。 第二に、
会計職員
に関する
制度
の
改正
について
説明
申上げます。
会計職員
に関しましては、その
任命変更
についての
手続
を簡素にし、又必要に応じて他の
各省
各庁の
職員
を
会計職員
にすることができることを明らかにする等、
会計事務遂行
の便宜を図ることといたしたのであります。 第三に、
契約手続
に関する
改正
であります。
現行法
におきましては、
随意契約
又は
指名競争契約
をなす場合には、すべて
大蔵大臣
に
協議
を要することとな
つて
おるのでありますが、
契約
の
性質
又は
契約
の
金額
の
少額
のものにつきましては、あえて
協議
を経る必要もありませんので、この
協議
を省略し得るようにすることといたしておるのであります。 第四に、
繰越制度
の
改正
について
説明
申上げます。
現行法
による
繰越制度
といたしましては、
経費
の
性質
上
年度内
に
支出
を終る
見込
のない
経費
につき
国会
の
承認
を経て翌
年度
へ繰り越すいわゆる
明許繰越
と、
支出負担行為
をした後避け難い
事故
のため
年度内
に
支出
を終らなか
つた
経費
の
金額
を翌
年度
へ繰り越すいわゆる
事故繰越
の二本建でございますが、
改正案
におきましては、このほかに、
予算成立
後の
理由
に基く
繰越
を新たに認め、
現行
の
明許繰越
と共に、
繰越明許費
として
国会
の
議決
を経べきものとし、
経費
の効率的な使用に資しようといたしておるのであります。 第五に、
継続費制度
の創設について
説明
申上げます。国の
工事
、
製造
その他の
事業
でその完成に数
年度
を要する
継続事業
につきましては、その
経費
は毎
年度歳出予算
を組みまして
支出
をするのが
現行法
の
建前
でありますが、
継続事業
の性格からい
つて
長期
の
事業計画
の樹立と共にこれに対する
長期
の
財政
の
裏付
が望ましいのでありまして、今回
継続費
を設けまして、国の重要な
継続事業
につき数
年度
に亘る
支出権限
を確保し、その
遂行
に遺憾のないようにいたしたのでありまする なお、
只今
御
説明
申上げました事項のほかに、
歳出予算
の
部款
の区分は、
予算
の
編成
、
執行
及び
決算事務
を複雑化せしめる点が多いので、
昭和
二十七
年度
の
予算
からこれを
廃止
することとし、現在翌
年度
八月三十一日まで繰り延べている
歳入歳出
の完結の時期を最近の
出納事務整理
の
進捗状況
に鑑み
原則
に復帰して翌
年度
の七月三十一日までとすると共に、
昭和
二十四年九月十五日限り停止いたしておりました
小切手
の
認証制度
につきまして、
制度自体
としても
廃止
することといたしました。 以上
財政法
、
会計法等
の
財政関係法律
の一部を
改正
する等の
法律案
の
提案
の
理由
について御
説明
申上げました。何とぞ御
審議
の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
—————————————
平沼彌太郎
3
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に
本案
の
内容
の
説明
を求めます。
佐藤一郎
4
○
政府委員
(
佐藤一郎
君)
只今提案理由
を御
説明
いたしましたが、私から少しくそれを敷衍補足して申上げたいと思います。 これを御理解願いますためには、先ず現在
政府
の
予算
を
支出
いたします場合にどういうふうな
方法
で行われるかということの概略を御
説明
する必要があろうかと思います。
予算
を
支出
しようと思います場合に、御
承知
のように先ず第一
段階
におきまして
契約
を結ぶわけでございます。
契約
以外の場合におきましても、
補助金
その他何らかの
意味
で
支出
の行われる
原因
となる
とこ支出
が生ずるわけであります。それでその
契約
が行われましてから、それに基きまして
支出
即ち
小切手
を振出すが、それに基いて
日本銀行
の
支払
が行われる、こういうことにな
つて
おるわけでありますが、現在これについての
統制
が行われておるのであります。先ず第一
段階
におきまして、年間の
予算
が
国会
の
議決
を経て
成立
をいたしますと、
内閣
が
各省
の
大臣
にその
予算
を
配賦
いたします。でその
配賦
をいたしまして直ちに使えるかというとそうではありませんで、
契約計画
、我々はこれを
支出負担行為計画
と呼んでおりますが、この
支出負担行為計画
というものは
四半期ごと
に
大蔵大臣
の
承認
を求めまして、そうしてこの
計画
の
範囲
においてのみ毎半期これをすることができる、即ち全体の
契約
についての総体の
四半期計画
というものが先ず立てられるわけでございまして、それで具体的に
各省
の
係官
が
契約
を結びますときには、その
計画
の
範囲
内であるかどうかということを先ずたしかめまして、それに基きまして行われるわけであります。その場合に
各省
の中に
認証官
というものを置きまして、
契約
を担当しておる
係官
が先ずその
認証官
の
認証
を求めまして、
契約
がその
計画
を超えておらないかどうかというような点をたしかめてもら
つて
から初めて
契約
を締結する、
契約
が締結されましてから、具体的に
支出
をいたしますときには
支出官
という係がございまして、これをその
支出官
に要求するわけでございます。ところがこの
支出官
が
小切手
を振出します場合にも
四半期計画
がございまして、これを
支払計画
と呼んでおります。これは前の
契約
の
計画
であるところの
支出負担行為計画
とは別個に資金的な
見地
から
国庫金
の
状況等
を勘案して
大蔵大臣
が
各省
に認めたところの
四半期別
の
支払計画
というものに基きまして、同様なその
計画
の
範囲
内であるかどうかを
支出官
がたしかめて然る後にこの
支出
をする、こういうことにな
つて
おります。即ち現在の
予算
の
執行
におきましては、
統制
が
契約
の
段階
と
支出
の
段階
とにおきまして二重に行われておるわけでございます。ところがこれは
昭和
二十四
年度
に初めて二重に
統制
をする
方法
を採用いたしまして、それまでは
支払計画
という
支払
の
計画
だけがあ
つた
わけであります。その後二十四
年度
に二重の
統制
を実行いたしました結果、少しく
統制
が形式的に流れておりまして、必ずしも労多くして
効果
が少ないという経験を我々感じたわけであります。即ち俸給の
支払
でございますとか、
日常
の
書記用雑品
でございますとか、そういうようなものは多くの場合において
契約
即
支払
でございます。
従つて契約
の
計画
と
支払
の
計画
という二重の
計画制度
をあえて立てる必要がない、この
計画
というものがございますと、やはりいざ
執行
に移すという場合にはどうしても
実情
に即して
計画
の
変更等
のために相当の
手数
を要する。
各省
の
立場
からいたしますと、
予算執行
上甚だ
手数
が多くて、而も大して
効果
がない、こういう点が明らかにせられたのでございます。それで従来のようにすべての
費目
につきまして
支出負担行為
、即ち
契約計画
の
制度
をとることをやめまして、
公共事業費
でございますとか、
官庁営繕費
でございますとか、その他
大蔵大臣
がこれはやはり
契約
の面においても
計画統制
を行な
つて
行く必要があると思われる特定の
費目
以外は
支払計画
だけを残しまして、
契約計画
の措置をやめよう、こういうことにいたしたのが第一段の
改正
でございます。 それから
只今
も申上げましたように、各
契約
を担当しているところの
係官
が
認証官
という
係官
に
認証
を求めるわけでございますが、御
承知
のようにこの
認証
は我々が呼んでいるところの
部内認証
というものでございます。即ち
各省
の内部における
認証制度
でございまして、他の
大蔵省
その他
検査院等
の他の
官庁
による
認証
ではございません。
従つて
この
認証
につきましても、その
効果
に比して
手数
の繁雑であるということが実行以来しばしば非難せられて参
つた
わけでございます。で私
ども
といたしましては、現在
支出負担行為担当官
、即ち
契約
の
係官
、それから
認証官
、
支出官
、三つでチエツク・アンド・バランスをやるという
建前
で参りましたが、むしろ非常に
手数
が多いということから
認証官
の
制度
を
原則
として
廃止
いたしまして、
支出官
に
認証
の
事務
を併せて行わさせるということによ
つて人
の
手数
も省けるのではないか、こういう
建前
に変えたわけでございます。勿論
経費
の
性質
によりまして、又
各省大臣
が
認証官
の
制度
を、
自分
の省の
予算
は複雑であるから存置しておきたいという希望のある所は、それを従来
通り
行わせる
予定
でございますが、特に必要のない場合には
認証官
の
制度
というものは
廃止
させたいというのが第二点でございます。これが今回のいわゆる
事務
の
簡素化
という
見地
からして、主として
改正
をいたしました主要の点でございます。 なお些細な点に亘りますが、
会計職員
にしても同様に簡潔を図りました。従来
支出官
でございますとか、或いは
歳入徴収官等
の
官職
を指定いたします場合には、
個々
の当該の
係官
の氏名を一々指定しておりましたが、これは
各省
の例えば
会計課長
でございますとか、或いは地方の
局長
でございますとか、そういうポストに対して指定せられるのが本来の趣旨でございますので、
個々
の人的な
異動ごと
に、その一一
手数
を省くという
意味
から
官職自体
を
指名
するというふうに改めまして、
従つて
その
指名
について
大蔵大臣
に
各省
が
協議
する際も同様に
個々
の
人間
についての
協議
はこれを省く、こういうことにいたしました。そのほか従来は
歳入徴收官
には
代理官
の
制度
が認められておりませんでしたが、これは便宜上置くというような点を明らかにいたしました。 それから、その次の御
承知
の
契約
の問題でございますが、
政府
が
契約
をいたします場合に、
只今
の
会計法
の
原則
におきましては、一般の
競争入札
を
原則
にいたしておりまして、特に法令において
規定
がある場合においてのみ、
指名競争入札
乃至は
随意契約
を行うことができる、こういうことにな
つて
おります。この場合に
各省大臣
が
指名競争入札
若しくは
随意契約
をいたしますときは、
会計法
第二十九條に基きまして、
大蔵大臣
に
協議
をすることにな
つて
おります。併しながら事柄の重要であるものは別といたしまして、
日常些細
のものにつきまして、一々
大蔵大臣
の
協議
を要求するということはいささか
手数
であり、行き過ぎではないかというように感ぜられますので、その後特にその
弊害
を伴いませんものにつきましては、
大蔵大臣
に対する
協議
を外して参りたい、こういうふうに考えております。一例を申しますと、
予算決算
及び
会計法
の九十六條に
随意契約
をやる場合が列記してございますが、その列記が二十四ございます。そのうち
最初
の一から十八まではほぼ
大蔵大臣
の
協議
を必要としない自明のものが多いというので、今回そういうものにつきましては、
政令
において省略し得るような
規定
を設けたのでございます。例えば
予算価格
が五十万円を超えない
工事
若しくは
製造
をなさしめる場合であるとか、或いは
予定
の代価が三十万円を超えない
財産
の
買入
をなすときとか、そのほか、
工事者
若しくは
製造
の
請負
、或いは
財産
の売買、こういうようなもので
予定価格
が二十万円を超えないときとか、こういうような場合については一々
協議
を要しない、こういうふうに
政令
において
規定
したい、こう考えておる次第であります。 それから、その次の
繰越
の
制度
でございますが、現在
繰越
につきましては二
種類制度
がございます。
一つ
は当初
予算
におきまして、
予算
の中においてこれは到底
年度内
にはでき上る
見込
がないので
繰越
をすることになると思うからということで、
予算審議
の際にあらかじめ
国会
において
明許
を受けるという
明許繰越
というものと、それから当初は予想しておらなか
つた
が、
年度
末に
至つて
何らかの事由で
工事
が遅延いたしまして、到底
年度内
にできない、これにつきましては真に止むを得ない場合には
大蔵大臣
の
承認
によ
つて繰越
をすることができるという
事故繰越
という二
種類
があ
つたの
でございます。ところがこの
事故繰越
につきましては、少くとも
契約
は先ず
年度内
にや
つて
おらなければならないものでございます。然るに
契約自体
もまだ
年度内
にやることができないような事情が起り得るのでございます。例えば
道路工事
をやりたいといいます場合に、土地の買収が
予定通り
に行われなか
つた
、相手の持主の承諾を得られなか
つた
、そのために
工事
の
請負契約自体
が
年度内
に行えないというようなことがあり得るのであります。これは
年度
の当初から
予定
せられておる場合には、勿論
予算
におきまして
明許
を得るのでございますが、
年度
の途中においてそういう事態がわか
つて
参
つた
という場合には、これは何とか処置をしてやらなければならないというので、当初
予算
においてのみ認められました
明許繰越
の
制度
を、今回は
追加予算等
の際において
一つ
の
経費
について改めて
明許
を認めてやるというふうに
国会
の
議決
によ
つて
そういう途を開きたい、こういうふうに
拡め
て見たのであります。なお従来
直轄
の
工事
につきましては
請負契約等
と違いますので、
政府自体
の
直轄工事
で行います場合にはこの
事故繰越
を実際に認める場合が非常に少か
つたの
でございますが、これらにつきましても
事故繰越
が自由にできるようにその
範囲
を拡大いたしました。もとより
予算
は
年度内
に
執行
すべきものでございますが、止むを得ないものについてこの
繰越
の
制度
を余り厳重に
統制
いたしますと、
各省
におきまして
却つて
各
工事
が完了いたしませんのに完了したような様子をと
つて
無理に
支出
するという傾向がございまして、これは
会計
検査院からしばしば
政府
が批難を受けております。それで今回
繰越
しの点につきましてはやや緩和をしたようなわけであります。 次に
継続費
の
制度
でございます。御
承知
のように旧
憲法
におきましては、
継続費
の
規定
がございましたが、新
憲法
におきましてはこの
規定
を欠いております。併しながら
政府
は
憲法
の
審議
以後一貫してこれは併しながら
継続費
の
制度自体
を否定しておるものではない、
継続費
の
制度
は設けることができる、こういうふうな態度で参
つて
おります。
終戰以来公共事業費
については種々の問題があ
つたの
でございますが、そのうちの
一つ
といたしまして、何とかして
継続費
の
制度
を設けて欲しい、これがないと
長期
の大
港湾工事
でありますとか、或いは例えば
関門トンネル
のような大きな
長期
に亘る
工事
についての
安定性
がない。又不必要な出費が出て参るというような要望がございまして、我々も何とかしてこの
継続費
の
制度
を認めて参りたい、こう思
つて
おりましたので、今回この
制度
を初めて新
憲法
の下に採用することにいたしたわけでございます。それからこれは
昭和
二十七
年度
の
予算編成
に
関係
があるのでございますが、御
承知
のように
予算
の形式は従来
部款
その下に項というのがございまして、それから目というふうにな
つて
お
つた
わけでございます。そのうちの部、款というものは多く項と重複した名前が多いのでございまして、一種の分類的な
見地
からこれを採用してお
つたの
でございますが、実効の上から申しますと、項というものが結局
予算
の
中心
をなしておるようなわけでありまして、部、款というものは必ずしも必要はない。帳簿その他の
事務
的な
見地
からいうと、部、款があるために必要以上に繁雑な点があるというので、新らしい二十七
年度
の
予算
からは項を
中心
にする点をはつきりといたしまして、部、款というものを
廃止
しよう、こういうふうに考えております。なお今回の
改正
に附随いたしまして、従来
政府
の毎
年度
の
決算
は七月末を以て締切ることにいたしてお
つたの
を、
終戰以来会計経理
の
職員
が手薄であ
つた
り、一面において
事務
が非常に過重になりましたので、とかく
決算
が遅れがちにな
つたの
であります。それで毎年この
法定期限
である七月末に必ずしも
決算
の締切りが事実上できないような状態が続きましたので、一時暫定的に一月延しまして八月末まで待つ、そうして八月末において締切るということにいたしました。併しその後
経理
の
手続
も次第に改善を見まして、今回又は従来の
原則
のように七月末で締切り得るようになりましたので、その
原則
を回復したいということを
規定
してございます。なおこれに伴いまして従来から
小切手認証
の
制度
というものが以前
終戰
の直後にございまして、これは間もなく
廃止
にな
つたの
でございますが、まだ正式に
廃止
にな
つて
おりませんでしたものを、
規定
によ
つて
明らかにしたということにな
つて
おります。 以上が大体今回の
改正
でございます。
平沼彌太郎
5
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に
本案
の質疑を行います。
松永義雄
6
○
松永義雄
君
継続費
の問題ですが、これは運用というか、政治問題として取扱われて来ておると思いますが、
最初
は極めて
少額
で頭を出しておる。ところがあちらこちらから
継続費継続費
と
言つて頭
を出して、四、五年たつとそれが
厖大
な
予算
にな
つて
現われて来る。実際
政府
の収入の中で、これは
契約
だけの義務というか、何かいろいろの義務的な
支出
の面も多くな
つて
、新たに今度何かしようとするときになるとなかなかできなくなるということが曾
つて
言われてお
つたの
ですが、そういう点が生ずる慮れがあるときは、これは閣議でやられるでしようけれ
ども
、併し前の
内閣
が前
年度
にきめて来た
継続費
の
予算計画
を建てるわけです。そうすると次
年度
にはどうしても
予算
に組まなければならないことにな
つて
来る。今度は新
事業
をやるというときになるとなかなか困難にな
つて
来て、これでは一体あとから出て来る
仕事
ができなくなるんじやないかというような心配が生じはしないかと思いますが、そういうような按配なんかはどういうふうにされているのですか、その点です。
佐藤一郎
7
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは
予算
の
編成
の仕方の問題であろうかと思いますが、この
規定
にもございますように、当初において先ず総額と、それから何年間の間に各
年度ごと
に幾らずつやるかという
年割額
というものを当初に
議決
を経るわけでございます。全体の
工事
その他から見まして適当に按配するわけでありますからして、又この
継続費
の全体に対する比重によることと思いますが、そうむやみにこの
制度
を濫用さえしなければそういう
弊害
は生じないのではないかと、こう思われます。なお
戰時中等
におきましては、新らしい要求が次々と参りましたので、多くの場合にいわゆる
年割額
の
改訂繰延
というのをやりまして、そうして次々に延ばして
行つた
というのが
実情
でございます。それらによ
つて
実際上運営できるかと、こう思
つて
おります。
松永義雄
8
○
松永義雄
君 今最後に言われました按配して行くという
規定
は、
財政法
でやればできるという
法律
の解釈に
なつ
でおるわけですか。
佐藤一郎
9
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは
編成
の問題でございますから、
政府
が
予算
を
編成
するときにその意を用うればよろしうございますし、又
国会
が御
審議
なさいます際にその点を十分御注意願えばできることであると思います。
清澤俊英
10
○
清澤俊英
君 最近
大分決議
な
ども
行な
つて
いるが、新聞にも出ています。各
官庁
におるけ
工事
の
不正事件
ですが、ああい
つた
ものが結局は
契約施行等
の
手続
の
欠陷等
が非常に
原因
しているのじやないかと思いますが、結果から見たいろいろのそういう間違いが大体どういうところから出て来ておるか。そういうものをお調べに
なつ
たものがありましたならば、お聞きして見たいと思います。そのことは結局すべてのものが大体民主化されて、
審議会
とかいろいろなものが持たれておりますが、こういう
契約
というようなものだけがお役所だけでずつと持たれて、これから見ましても
大蔵大臣
から
承認
を得るのであるが、
少額
のものはそれをしないでよい、こういうことになりますと、
従つて
そこには
一つ
の不正が盛り込まれる、こういうようなことも考えられますので、折角こういう
契約等
のものを取扱う
法律
を作られるときに、その
契約自身
がやはり民主的にはつきりするような
方法
が盛り込まれることができるのかできないのか、というような点も実は併せて御意見を伺いたいと思います。
佐藤一郎
11
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 私
ども
もその点については、まあときどきしよつちゆう研究はいたしていたところでございますが、何といいましても
終戰直後
においてこれだけ
経理
上の
不正事件
が頻発しました根本の
原因
はやはりモラルの
低下
であると思います。一般的な道徳の
低下
ということが
会計面
に現れているというのが本筋であろうと思います。いろいろな規制の仕方があろうかと思いますが、例えば今お話のございましたように、
大蔵大臣
が
各省
を監督すると申しましても、結局
各省
が
自分
の
立場
で
仕事
をするわけでございます。
大蔵省
としては多く書面によ
つて
、いわばデスクの上で審査をするというに過ぎないのでありまして、直接に
契約
なら
契約
を担当するところの
係官
がやはりまつすぐな
人間
でなければこれはなかなか防げない。まあ
公団等
の
事件
からでも我々そう考えているわけであります。それでまあいろいろな
原因
もございます。例えば最近私
ども
のとりました手といたしましては、従来
小切手帳
の保管であるとか、そういうような点について非常に不備な点がございました。それでそういう点を
規定
の上でも相当整備するということも行いますし、或いは又各
建設事務所
におきまして
厖大
な
工事費
の
支払
が行われるのでございますが、この場合に
経理
に暗いところの
事務所
の
人たち
が一面
工事
をしながら一面において現金の
支払
をするということは、実際上不正を頻発する
原因
にもなりますので、これを
銀行
に預託いたさせまして、そうして
銀行
に
支払
を任せるというようないろいろな手をと
つて
おります。併しこれについて結局どういうふうにしたら根本の対策が立てられるかと言いますと、責任を確立することと、それから教育をする、即ちよき
会計
官吏を育てるという二つ以外にないかと思
つて
おります。それで私
ども
といたしましては、
昭和
二十五年、昨年に
予算執行
職員
の責任に関する
法律
というものを作りまして、従来はまあ徴戒処分以外に
方法
がなか
つた
わけでございますが、直接に本人に対して損害賠償を追求し得る、これは
会計
検査院の一般の
手続
によらないで、簡易な
方法
によ
つて
追求できるというような
制度
を設けまして、結局これらの
法律
を設けましたが、その
法律
を運営して信賞必罰を明らかにするというその運営が適切でなければ、折角の
制度
も
意味
がない、こう考えております。 それから
会計職員
の教育がこれは特に私は大事だと思いますが、モラルの
低下
と共に
会計
手続
が複雑である、乃至は全然素人がやる、例えば地方の農業試験場等で言いますれば、それこそ小さな試験場ではいろいろな雑務から一切やりましすし、年をと
つた
余り
会計法
規等も御存じないようなかたが実際上の
支払
いをや
つて
おるというようなことが多いわけであります。それで
会計
手続
を一面において
簡素化
し、そうして明確にすると共に、できるだけこれを理解するように教育をしたいというので研修
制度
を設けまして、まだ出発早々でございますが、毎年少しずつ
会計
官吏の養成を始めました。それから末端にまで行渡るために通信講座を設けまして、新らしい
会計法
令の出ますときには、常にそれを徹底せしめるというような
方法
も考えております。いずれにしても、そういうような点を少し長い眼で以て考えて頂かなければならないと存じております。
清澤俊英
12
○
清澤俊英
君 これは
会計
上から見た金の出入りといいますか、それは今言われたごとくになりますが、私の最もお聞きしたいことは、
製造
とか或いは
工事
等の
契約
に対してあらかじめ
一つ
の
契約
ができます際に、この
工事
はもう何千も儲か
つて
いるのだ、これはもう非常に多分な利益がそこに付きまと
つて
いることがはつきりわか
つて
いる、そういうものが最近の災害の復旧とか或いは見返資金による建設
工事
というようなものが、地方に対して要求してないものが突如として闇のうちに
契約
せられて、そうして今のような評判が立つ、そこに必ず疑獄
事件
が新たに起る、こういうことが集積して今大分問題にな
つて
いるのだと思いますが、こういう
契約等
に対してこれは
大蔵大臣
といえ
ども
、あなたが今おつしやる
通り
書面だけでやることなんで、
工事
の
内容
における正当な
経費
がどうかとかいうことはおわかりないかと思います。おわかりないものを
大蔵大臣
の
認証
によ
つて
これが行われる、こういうようなことになりますと、不正はいつまでた
つて
も絶えん。それはモラルで行くということになれば問題はありませんでしようが、それにだけに頼ることは……、教育等をや
つて
いるという話でありますが、これは非常に長くなることなんで、こういうものは不当な
契約
でないということを
承認
するときの何か民主的な
方法
が考えられんでしようか。
佐藤一郎
13
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) ちよつとお断り申上げておきますが、
認証
は、
大蔵大臣
は今
認証
いたしておりません。
各省
において
認証
、つまり
認証
という
意味
が、
個々
の
契約
を締結いたしますところの
認証
は
各省大臣
がや
つて
おります。
大蔵省
はや
つて
おりません。それから今
清澤
さんのおつしやる
意味
は
契約
の中の
随意契約
であるという点に関連して来るのじやないかと思いますが、これは一般
競争入札
をできるだけ励行いたしまして、而も巷間に伝えられますように談合というようなことができるだけ行われないようにすれば、そういう点については不正が起らないと考えております。
大蔵大臣
としては全体の枠の設定とそれから
会計法
の四十六條に監査という
制度
がございますが、それで地方の財務局を通じてこれをいたしまして、その地方の今お話になるような点はしばしば問題になるわけでありますが、
予算
の
執行
について適当でないというものがございますれば、
大蔵大臣
におきましても勿論四十六條の監査によりまして
各省
に注意を與えております。なお全体の
予算執行
については
各省大臣
の責任の下に行われると共に、それに対して御
承知
の
会計
検査院の検査がございます。これによ
つて
できるだけ不正なことがないように防止できることと考えております。
清澤俊英
14
○
清澤俊英
君
只今
お話になりました大体
会計
検査院と申しましても、それは過ぎたあとを調べることになるのであります。問題は
契約
の際にすでに問題をはらんでいる、こう私は申上げたのです。その
契約
の際に何かもつとしつかりした
方法
を以て不正
契約
とでもいいましようかを防止する
方法
が考えられないでしようかどうか。
佐藤一郎
15
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これについてはやはり極力一般入札
制度
を採用するということ。それからこれはもう結局
各省
並びにその末端の機関がこの
会計法
の精神に則
つて
適当に行うのかどうかということに帰着するのでございますから、責任を今申上げましたように明らかにして、若し間違いがあ
つた
ときには厳重に責任を追及する、それから
各省
の中でも常時監査の
制度
をできるだけとるようにさせておりますが、そういう部内の監査を励行するということによ
つて
行なわれる以外には、これは若し本人がどうしても悪いとをしようという気にな
つて
おりますと、これはどうしても或る程度それを防ぐのは容易でなくなる、こう考えております。でありますからして、私
ども
は今の責任を確立する、或いは本人の素質を向上させるというような点から根本的にや
つて
行かなければ
事故
を絶滅することは、これはできないと思われます。
木村禧八郎
16
○
木村禧八郎
君
継続事業
の円滑化の問題については、実質的に今どういう
効果
があるのか、さつき
松永
さんが質問しましたがよくわからないのですが、例えば三カ年なり四カ年の
計画
で
工事
をする場合に、その各
年度
の
予算
については一応
国会
でそれぞれ
審議
するわけですね、現在でも。ですから別に
予算審議
の……、
予算
によ
つて
拘束されるわけはないと思う。ところで実質的に今度それを
改正
することによ
つて
どういう差が出て来るかという点をもう少し
説明
して頂けませんか、例でも挙げて……。
佐藤一郎
17
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは例えば大きな
港湾工事
等について申上げますと、例えば五年どうしてもかかるという場合に、先ず第一に直接に建設の
工事
を行な
つて
おる連中自体が五年間の全体としての
計画
を認められませんと、非常に安定感がない、これは
工事
全体について不安定であるので、第一
年度
の
予算
は認められたが、第二
年度
は
予算
の都合で打切られるかどうかわからないということでは、いわば本当の設計が立たないのであります。結局それが一番我々の考えている根本でありますが、それと共に例えば
工事
の施行におきましても、非常に細切れ的な、つまりぞんざいな
工事
をやることになり、毎年々々例えば港湾の
工事
をやりますときに、防波堤が仮に二百メートルございます。そうしますとその防波堤二百メートル作りますとき、こま切れでやる、そういう場合には例えば大きな機械を買うというようなことができない。これが大体五年間
承認
を受けたということになりますと、
最初
に資材もその他の必要なものも一切一括して
買入
れる、
最初
の
年度
においては
工事
の実体よりもそういう準備
工事
に十分手を盡す、そうしてその大きな機械なり、それからたくさんの資材なりを手に入れまして、二
年度
、三
年度
で今度は実際の
工事
をや
つて
行くというような全体としての
工事
の仕方ができる。
従つて
工事
も本格的なものができます。今のようなこま切れでや
つて
おりますと、労力につきましても、
年度ごと
に極端に言えばその人夫小屋を解散してしまうわけです。そうして又募集に
経費
を使
つて
又新らしく雇わなければならない。又資材につきましても、一括購入ができませんから少しずつ買わなければならない。況んや大きな機械で本格的に腰を据えた
工事
ができないというような点が非常に不便なわけであります。それで前から大きな
工事
につきましては
継続費
の要求が強か
つたの
であります。
木村禧八郎
18
○
木村禧八郎
君 そうしますと、今まではそういうふうに何カ年というふうに一応継続的に
計画
全体としての
承認
を得て行くのじやなか
つたの
ですね。
佐藤一郎
19
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) はあそうです。
木村禧八郎
20
○
木村禧八郎
君 ところでそれはわかるのですが、そうしますと、一応三ヵ年なり五カ年なりの継続的な
予算
の
承認
ということになると、あとでそれはどうなるんですか。拘束されて来るわけですね。
佐藤一郎
21
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これについては非常にまあ理論的にも
継続費
の
性質
については従来から議論のあ
つた
ところです。併し一度
国会
がおきめに
なつ
たものを後に御変更になることは私は少しも差支えないと思いますが、ただ一応やはり
国会
として慎重
審議
の結果
議決
された
継続費
でございますれば、特別の
理由
がなければこれはできるだけ手を触れない、こういうことになりますので、絶対にこれを変更することはできないとは申しませんけれ
ども
、相当重みが違
つて
来るわけであります。
木村禧八郎
22
○
木村禧八郎
君 それはわかりました。これは
佐藤
さんに言
つて
もあなたの責任ではないわけですけれ
ども
、法制的にそうきめても今度の補正
予算
みたいにこの物価補正はしないということになりますと、
公共事業費
から見ましても七割くらいしかできない、物によ
つて
は……そうすると精神的にはそういうふうに仮に認められても、
予算
措置によ
つて
実質的に壊れて来るということはあり得るわけですね、そういう点は……。
佐藤一郎
23
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは
継続費
に限らず、即ち
年度
事業
を通じて全体の問題でございます。これについては
予算
の
編成
においてできるだけ
工事
の目的を貫徹するようにすべきだと思いますが、まあ
財政
と
事業
の目的とを調整するということになするかと思います。
木村禧八郎
24
○
木村禧八郎
君 これは直接この法案には
関係
ないのですが、どうもこれまで我々
予算
を
審議
していて非常にいつも問題になるのは、会期末になりましていつも
予算
が間に合わないと暫定
予算
を組まなければならないので、それで会期が延びると、野党が仮に引張るというような場合ですね、非常に責任が出て来るのですね。一日ぐらいならいいのですがね、それで十分に
予算
をただ政略的に引延しするのでなくて、どうしても十分に
審議
しなければならんという場合に困る、どうも今の
財政法
の
建前
では……そこのところ
佐藤
さんどうですか、やはり前の
制度
のほうがその点はいいのじやないかと思うのですが、それに対して何か措置というものがないものですかね。
佐藤一郎
25
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは旧
憲法
の下におきましても、
予算
が若し
成立
いたしませんときには前
年度
の
予算
を当然に
執行
する、即ち
執行
予算
というものの
制度
があ
つた
わけでございまして、実体においては変
つて
おらない。ただ今回は
執行
予算
を組みませんで暫定
予算
を組む、こういうことにな
つて
いるのであります。ただ暫定
予算
の
制度
そのものはこれは現在はそういうふうに運営されておりませんが、
制度
的に申しますと英国のようなやり方もできるのであります。即ち不
成立
の場合にだけ暫定
予算
を組むというのが現在日本の慣行になりつつあるわけでございますが、英国のように来
年度
予算審議
を十分にするために例えば七月頃までかかる、本当の
予算
は。そうしてその毎年
予算
の
成立
するしないにかかわらず
最初
の四、五、六は暫定
予算
を組むというようなやり方もできないことはございませんし、これは
制度
の上については別にそれについての制約はしていないわけでございます。それから
一つ
は
会計
年度
が旧来の日本の
実情
等もあり四月一日からということにな
つて
おります。四月一日に
会計
年度
が始ま
つて
おりますことと、それから一方において、
国会
のいわゆる
開会
の期日並びに期間というようなこととの結び合せの問題になるわけでありまするので、まあできるだけ運営によ
つて
そういうことのないようにするという以外には現在としてはないと思います。
木村禧八郎
26
○
木村禧八郎
君 そうすると運営によ
つて
そのイギリス式みたいにできるというのですか。
佐藤一郎
27
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは暫定
予算
の
制度
については制限はございません。
木内四郎
28
○木内四郎君 逐條の
説明
大変よく書いてありますので、これを読めば大体わかるのですけれ
ども
、二十三條の
改正
というのはどういう趣旨から来ておりますか。
佐藤一郎
29
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは
部款
の
廃止
につきましては、御
承知
のように我々も
予算
を見てよく考えるのですが、例えば部が教育文化費で款が又教育文化費で、項のほうがそれより少し詳しいというような
実情
がしばしばあ
つた
わけでございます。併しあんまり
段階
をこしらえるよりも、御
承知
のように我々は昔から項を
中心
に
予算
を御
審議
願う、項が即ち
議決
科目であ
つて
、項を単位にして
国会
はこの
経費
が適当であるかを
審議
して頂くということに従来からな
つて
おりますので、できるだけ項を
中心
にしまして、その代り項においてもう少し具体的にわかりやすい名前を付けまして、いわば総体においてやや小刻みになりますが、
予算
の目的を明らかにしたい、
部款
は言い換えれば全然不備とは申しませんが、大して
意味
がない、むしろ
部款
の趣旨からこういう
意味
は分類的な
意味
であろうと思います。
従つて
最近のようにいろんな各
経費
についての参考書等を作りますれば、全体の分類的な要求はそれによ
つて
満される。
却つて
予算
の形式に
部款
を載せておきますと、
会計
帳簿その他の実際の
事務
を取扱います際にも項さえあればいわばいいわけですが、一々
部款
から規律しまして全部や
つて
いるというようなことにな
つて
いるわけでございます。そういう点も考えまして、項を
中心
にするということをはつきりさせたというわけでございます。
木内四郎
30
○木内四郎君 そうすると、一時やや複雑にしたのを元に戻したような形に
なつ
たわけですか。
佐藤一郎
31
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) そういうことが言えます。
木内四郎
32
○木内四郎君 それからもう
一つ
伺いたいのですが、戰争前に
継続費
というのがありましたね、これは相当後
年度
まで続けてお
つた
ものがあるだろうと思いますが、それはどんなような扱いをその新
財政法
にな
つて
からや
つて
お
つたの
ですか。
佐藤一郎
33
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 御
承知
のように新
憲法
以後
継続費
の
制度
は認められませんでした。
従つて
現在は国庫債務負担行為というものがございまして、国庫債務負担行為の
制度
が少しは活用されておりましたが、これも実際問題としましては大して活用されておりませんでした。即ち
継続費
というようなものは実際上なか
つた
わけでございます。
木内四郎
34
○木内四郎君 そうすると、前からの
継続費
の
計画
はあ
つた
けれ
ども
、それは
継続費
としては
予算
に載せないで、来
年度
必要なものを議会の
承認
を得て
予算
を計上してお
つた
、こういうことですか。
佐藤一郎
35
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) そうです。
木内四郎
36
○木内四郎君 戰争中は全然
継続費
というようなものはなか
つた
わけですか。今の国庫債務負担行為というようなものを利用して
継続費
の目的を達するようなことはや
つて
おらなか
つたの
ですか。
佐藤一郎
37
○
政府委員
(
佐藤一郎
君)
終戰
後ですか。
木内四郎
38
○木内四郎君 新
財政法
にな
つて
からです。
佐藤一郎
39
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 新
財政法
になりましてからはや
つて
おりません。国庫債務負担行為を僅かや
つて
おります。
黒田英雄
40
○黒田英雄君 今のに関連していますが、旧
憲法
には
継続費
の
規定
があ
つたの
ですね。新
憲法
では八十六條に「
内閣
は、毎
会計
年度
の
予算
を作成し、
国会
に提出して、その
審議
を受け
議決
を経なければならない。」とあ
つて
、
継続費
は認めていないのですね。そうすると、
継続費
を認めるというのは
法律
で以てまあ認めたことになるんですが、それは
国会
の
議決
はこの
憲法
の八十六條による
議決
じやないわけですね。
佐藤一郎
41
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) まあ
継続費
の
規定
を新
憲法
が除いた点については議論がある問題でございますが、金森国務
大臣
が
憲法
審議
の際に答えられているのにも、八十六條にいうところの
予算
というものはそういう制限的な
意味
ではない、これによ
つて
何ら
継続費
を否定するものではない、こういうふうに答えられておりまして、
政府
も一貫してそういうふうな理論で進んでおります。
黒田英雄
42
○黒田英雄君 趣旨はそうでしようが、
国会
の
議決
は
継続費
だけについては
憲法
第八十六條による
議決
を求めているのではないのであ
つて
、
法律
によ
つて
別の
議決
を求めるようになるわけですか。
佐藤一郎
43
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) やはり八十六條によると考えております。
黒田英雄
44
○黒田英雄君 八十六條は毎
会計
年度
の
予算
であるから、その他
年度
の
予算
までをこれで
議決
は求められないと思うのですが、
法律
によ
つて
国会
の
議決
を求めることはそれは差支えないことだろうと思うのですが、八十六條による
議決
はないということになりはしないのですか。
佐藤一郎
45
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これについても非常に議論の多いところでございますが、毎
会計
年度
の
予算
と申しておりますけれ
ども
、毎
会計
年度
作成するところの
予算
であるというふうにも考えられます。そういうふうな
意味
で以て解釈しております。
田村文吉
46
○田村文吉君 議事進行についての問題ですが、これは本会議を開くあれがあるようですが、まだ質問を続行してよろしいのですか。
平沼彌太郎
47
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 本会議までまだ時間がありますから、それまでや
つて
いていいと思います。
黒田英雄
48
○黒田英雄君 ついでにやりますが、私ちよつとはつきり記憶しないのですが、今度いろいろな
支出負担行為
とか、或いは歳入徴収官、或いは
支出官
とか、皆
代理官
を認めるということにな
つて
おるのですね。そうすると
代理官
と代理される本人、代理といえば本人があると思うのですが、その本人との責任
関係
というものはどういうのですか。殊に
官庁
の
官職
で以
つて
や
つた
場合にはそのものが欠けておるときに
代理官
があるのですが、本人がいないのに代理
支出負担行為
とか何とかいろいろなものがあるのですが、ちよつとおかしいように思うのですが、どうなんですか。
佐藤一郎
49
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 例えば病気欠席等と言
つて
おりますが、その場合には勿論
代理官
がや
つて
おる場合には、
代理官
がや
つて
おる間だけは
代理官
の責任でございます。そういうことにま
つて
従来病気等で欠席を相当長くやりましても、結局
自分
のはんこを部下のものに預けるというようなことがあ
つた
わけでございますが、そういうことをなくしてはつきりと代
つて
や
つた
ものが直接の責任を生ずるというふうに考えております。
黒田英雄
50
○黒田英雄君 本人がいないのはちよつとおかしいじやないですか。
佐藤一郎
51
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) といいますのは、欠員の場合をおつしや
つて
おるのですか。
黒田英雄
52
○黒田英雄君 欠員じやなく名前が欠けておるのは……、何かいい名前はないのですか。
佐藤一郎
53
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 本人がいないということになりますと、どういうことになるのですか。
黒田英雄
54
○黒田英雄君 本人がいないというのは、その
官職
にある者が欠けたときを含む……それに
代理官
があるのですね。
佐藤一郎
55
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) その点はおつしやる
通り
でございます。大部分の場合は本人がお
つて
の代理でございますが、特別の場合には黒田
委員
のおつしやいますようなことがございますが、その点特に断わ
つた
わけでございますが、一応代理という観念で言葉を使うというふうに考えておるわけであります。
黒田英雄
56
○黒田英雄君 名前がちよつと不適当のように思うのですが。
大矢半次郎
57
○
大矢半次郎
君
繰越明許費
のうち、
歳出予算
の
経費
のうち、その
性質
上云云というのはよくわかりますけれ
ども
、
予算成立
後の事由に基き云々というのは、
予算
が
成立
したあとに何か事由が起
つた
という場合には、あらかじめ
国会
の
議決
を経れば翌
年度
に繰り越して使い得るというのは、何か矛盾があるような気がするのですが、もう少しそこの御
説明
を願いたいと思います。
佐藤一郎
58
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは先ほど申上げましたように、事後
繰越
は
支出負担行為
即ち
契約
はすでに行われておる、而もその
工事
の
内容
自身が完成をしておらないというような場合には事後
繰越
ということが考えられる。即ち
予算
そのものの
繰越
ではないのであります。
予算
の第一着手としての
契約
はすでにあるが、
契約
の
内容
が完了しておらないという場合であります。
明許繰越
によります場合には、
予算
そのものの
繰越
ができる。
契約
内は着手を全然いたさないでも何らかの正当な事由があるならば、そうして
国会
の
議決
が得られておれば
予算
そのものを翌
年度
に使い得る、こういうふうにな
つて
おるわけであります。その点当初の
予算
においてはそういう必要がありませでしたけれ
ども
、大体まあ補正
予算
を出すのはその次の通常
国会
になるわけであります。そろそろ
年度
末に近付いて参りまして、
工事
の
進捗状況
等もほぼ分明をして来るという時間にな
つて
来るわけであります。その後何かの
理由
で以てどうしてもこれは
繰越
をしなければいかん、
事故繰越
の提定によ
つて
円滑に運営されます部面につきましてはお説のように二重になるわけでございますが、
予算
そのものを
繰越
すような場合には改めて当初の
予定
しておらなか
つた
ものについても
繰越
の
明許
を得るということは
意味
がないわけではございません。
大矢半次郎
59
○
大矢半次郎
君 そうすると、一年間に
国会
が二度も三度も開かれるということを予想しての
規定
と考えてようございますか。
佐藤一郎
60
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 通常
国会
は必ず開かれますので、その際を考えておるわけであります。
大矢半次郎
61
○
大矢半次郎
君 通常
国会
が開かれて、その翌
年度
の
予算
を
議決
する、そうして翌
年度
に
予算
を実行して行く場合に、そういう事態があらかじめ
国会
の
承認
を得るというのは、どういう場合になるということですか。
佐藤一郎
62
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 例えば
昭和
二十六
年度
の
予算
について申上げれば、前回の通常
国会
でこの
予算
ができたわけでございますが、来たるべき通常
国会
にまあ多く
予算
等も補正の機会もございますが、そうでなくして、二十六
年度
末である三月の前に通常
国会
が会期があるわけでございますからして、その際にそういうような案件を処理する余地があるわけでございます。
大矢半次郎
63
○
大矢半次郎
君 それからもう
一つ
先ほど木内
委員
からお尋ねがあ
つたの
に関連しておりますが、
部款
の
廃止
をこれは歳出の方面だけやらして、歳入のほうは依然として残しているように見えますが、その
通り
ですか。又両方一緒にできない事由があるのですか。
佐藤一郎
64
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは歳入については残して置くことにいたしておりますのは、歳入と歳出と分類の
建前
が非常に違
つて
おります。まあその建て方の大ざつぱであるとか細かいとかいう点もございますが、租税の中に各種の税目が並んでおりますが、そういうような点はやはり明らかにして置く必要がございますので、歳入のほうはいじく
つて
ございません。
木村禧八郎
65
○
木村禧八郎
君 さつきの
継続費
の問題ですがね。ちよつとわからんところがあるんですが、例えば
関門トンネル
みたいな
工事
をやる場合に、そのとき三カ年なり五カ年かかるという場合にその
予算
を一括して一応
承認
を得て、事前にですね。後で継続的にやるということを
意味
しているんですか。
佐藤一郎
66
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) そうであります。
木村禧八郎
67
○
木村禧八郎
君 そうなると、これは非常に問題になるわけですね。今までのいわゆる
財政
民主化の
建前
とか、今まで
継続費
を認めなか
つた
という
建前
とちよつと違う。例えばこれからその軍事基地を建設する三年
計画
が生じてどかんと
予算
を取られてしまう、そうなるとこれは一応あとで非常に制約されることになります。その一応きめたものはあとで無理矢理に削るということになると非常に困難を来します。材料は買つちや
つた
、そういうふうになると、非常に
弊害
があるので、これは運用如何でしようけれ
ども
、随分大きな変化が来るんじやないかと思うんです。何かこういうことを必要とする具体的な事例が出て来ているのか、どうしてもこういうことを今度やらなくちやならなく
なつ
た具体的な重要性が生じた事例が起
つて
いるんですか。
佐藤一郎
68
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) これは終戦以来の建設省その他で、或いは
政府
の建設
関係
の担当者の多年の要望でございます。毎年
大蔵省
に対してそういう要望がございまして、それから明二十七
年度
の
予算
はまだ勿論きま
つて
おりませんが、
関門トンネル
等については
継続費
を認めよう、
編成
しよう、こういうふうに一応考えている次第でございます。
木村禧八郎
69
○
木村禧八郎
君 これはこの
改正
によ
つて
どのくらいの定員を減らすということですか、行政整理の一環も含められているんじやないですか。
佐藤一郎
70
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 実はこの一番
最初
に御
説明
いたしました
認証制度
の問題は行政
簡素化
の一環にな
つて
いるようでありますが、継続等についてはたまたま
財政法
、
会計法
を相当大幅に
改正
いたしますのと、それからやつと司令部のアプルーヴアルを得まして、それで
継続費
の
制度
をここに入れることにいたしたわけでございます。直接に行政
簡素化
の点と結びつけて考えておりません。
木村禧八郎
71
○
木村禧八郎
君 この司令部は今まで
継続費
を認めなか
つた
。それで私たち
最初
司令部へ呼ばれまして、
財政
民主化のサゼスチヨンを受けたんです。そのときそういう
財政
民主化というものの項目はこうこうだとい
つて
そういうふうに大体一年というものを限
つて
やるとか、これが
一つ
の民主化のあれだと、今までの軍国主義時代の日本の
財政
のあり方の悪い点を指摘されたんですよ。最近こういう
継続費
を司令部がアプルーヴアルをくれるように
なつ
たということは、悪く解釈するのじやないんですけれ
ども
、何かそういうような
工事
の必要が出て来て日本もその分担をしなければならん、そういう場合にはこういう継続的なあれがないと困る、こういうようなことは別になか
つた
んですか。
佐藤一郎
72
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) 全然そういう御心配はないんです。
田村文吉
73
○田村文吉君 御質問がありましたが、
部款
の
廃止
ということは単なる複雑を單純化するというだけであ
つて
ほかに
意味
がないというお話でしたけれ
ども
、別に何ですか、
大蔵大臣
の認可とか、そういう変更する場合においてどうとかいうようなことについての権限がそれによ
つて
変るということは絶対にないんですか。
佐藤一郎
74
○
政府委員
(
佐藤一郎
君) ございません。
平沼彌太郎
75
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
平沼彌太郎
76
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を初めて下さい。 この法案は質疑は次回に譲ることにしまして、この程度にとどめておきます。
—————————————
平沼彌太郎
77
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に旧外貨処理法による借
換済外貨債
の証券の一部の
有効化等
に関する
法律案
を
議題
として
審議
を行います。
菊川孝夫
78
○菊川孝夫君 私はこの旧
外貨債処理法
による借換のこの
法律案
について少しお尋ねしたいと思うのでありますが、時間が丁度三時か三時五分くらいの間にベルが鳴
つて
、成るべく議場に入
つて
もらいたいということを各議運の
委員
は
委員
会に出たらそのことを皆さんに申上げて、一応国際的な儀礼でもあるので議場に入るということにしてもらいたいというのですが、そういうことも考えましてちよつと休憩願
つて
……。
平沼彌太郎
79
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
平沼彌太郎
80
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を始めて下さい。 それでは本
委員
会は休憩いたします。 午後三時六分休憩 —————・————— 午後三時五十三分
開会
平沼彌太郎
81
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
大蔵委員会
を再開いたします。 先刻御
協議
願いました経過に基きまして、企業合理化促進法案に関し、通商産業
委員
会に連合
委員
会の開催を申入れることに決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平沼彌太郎
82
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 御異議ないと認めまして、そういうふうに取計らいます。
—————————————
平沼彌太郎
83
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に旧
外貨債処理法
による借
換済外貨債
の証券の一部の
有効化等
に関する
法律案
を
議題
として質疑を行います。
菊川孝夫
84
○菊川孝夫君 この
法律案
立案に当たりまして、あらかじめいわゆる旧外貨債の処理法によ
つて
不当な取扱をされたというような面、例えばニヨーヨークの証券業者とか、そういう方面との折衝をあらかじめ予備折衝といいますか、折衝を経てこれをや
つた
ものであるか、それとも独自に
大蔵省
のほうで、との程度であ
つた
ならばいいだろうというのでおやりにな
つたの
であるか、予備折衝ができておるのかどうか、こういう点について
一つ
お伺いしたい。
石田正
85
○
政府委員
(石田正君) この旧外貨債の戦時中におきまするところの処置につきましては、対外
関係
におきまして、いろいろ問題とされる点が多いのでございます。その点に関しまして、私たちの所へいろいろと申出がございます。併しながら今お話がございましたような工合に証券業者等とよく話合いをして、そうして予備折衝の上でこの
法律案
を出した、こういうわけではないのでございます。これは大体日本
政府
といたしまして、旧外貨債につきましていろいろ処置をいたしまして、その中で問題が起るであろうと予想せられるものはどういうものであるかと申しますると、証券が海外にございまして、そうして抹消とか或いは穴をあけるとか、そういうふうな状態にはない、即ちその証券自体としては完全な形態で残
つて
おる、而もそれに対して日本
政府
のほうはこれはもう無効なんだというふうに制限をいたしましたところのもの、これがすべて問題となるところの大きな枠であろうかと思うのであります。その中におきまし七、本当の所有者が外国にそういうものを残して日本に帰
つて
来て、そうして
自分
は外国においてこういうものを持
つて
おるのだという証明書を出しまして、それに基きまして邦貨債への借換が行われるわけです。
従つて
それは日本
政府
とその所有者との間においては何ら問題とすることのないような借換、かようなものにつきまして、それは原証券がそのまま生きておるが故に無効とすることを取り消すかどうかということについては問題があろうかと思います。この
法律案
におきましては、今申上げましたような原証券が残
つて
おりまするところの、而も日本
政府
が無効と宣言したもののうちで所有者の承諾を得なか
つた
とか、或いは質権者の承諾を得なか
つた
とか、或いは敵産管理等に付されたとか、そういうものの中で更に向うの申出に基きまして、そうしてこちらで考えて、そうしてこれは無効の措置を取り消すのが妥当であろうと思うものだけを有効化するような措置をとりたい、かようなことでございまして、日本
政府
といたしましては、将来問題となるであろうと予想せられるところのものについて、全部この際立ちらから進んで有効化するということをせず、万止むを得ぬものだけ有効化しようということで、何と申しますか、しぼろうという考え方がこの法案の中に盛られておるわけでございます。それから又所有者と申しますか、その現在の所持人といいますか、そういうものがどういうふうに相成
つて
おるかわからないものも相当あるわけです、現状におきましては……。そういうものについては向うから言
つて
来たときに、そのときにこれを生かすか殺すかということを考えるところの余地を残したい、こういうふうに考えておりますので、
従つて
一々その所有者を確かめて、そうしてその
人たち
とよく話をして、そうしてその上でこの法案ができ上
つた
、そういうわけではないのでございます。
菊川孝夫
86
○菊川孝夫君 それでは次にお尋ねいたしますけれ
ども
、第六條のこの邦貨債を取得した者、借換によ
つて
邦貨債を取得した者は
大蔵大臣
の指定する日までにこれだけの
金額
を
政府
に納付しなければならん。その取得した者は大体においてあなたの今御
説明
によりますると、向うに外貨債を置いて来たということを証明を提出して、そうして別の邦貨債をもら
つた
と、そういうものであるという御
説明
でございましたが、併しそういう個人が一々日本にどのくらい人数があるか知りませんが、その
人たち
に今度はあなたのほうから指定する日までにこれだけの金を
一つ
納めてもらいたいという通知を発するようにちやんと記録はできておるかどうか、それから果してこういう指定する日までにこれだけの
金額
が納まる
見込
みがあるかどうか、その点について
一つ
お伺いしたいと思います。
石田正
87
○
政府委員
(石田正君) 御指摘のように第六條につきましては、大体今のお話のような工合に、所有者が
自分
がこういう物を持
つて
お
つた
ということを証明書を出しまして、
政府
と借換えをするというような場合が多か
つたの
でありますが、この場合の記録はちやんと取
つて
ございます。それから、それではそういうふうなものは全部取上げるのかという次の御質問だと思いますが、これにつきましては先ほど申上げましたのですが、この取上げる邦貨債に見合うところの外貨債をどの程度まで活かすかということが先ず先の問題になるわけであります。たとえて見ますると、所有者の人がこちらで邦貨に借換える外貨債は向うに預けて来たというような場合におきまして、その証券を爾後におきましてこちらで邦貨債を取得した人が処分してしま
つた
と、こういう場合でありまして、善意の第三者に渡
つて
おると、善意の第三者からこれを活き返らしてくれという請求が来ますれば、これは活き返らさざるを得ないかと思うのであります。そういう場合には邦貨債を取上げると、こういうことに相成るかと思います。ところが海外におきましてその寄託してお
つた
人がそのまま持
つて
おると、その邦貨債を所有者の人がその証券を取寄せられるというような事情の下におきましては、その証券をこちらへ取寄せてそうして抹消するということを行うべきものであろうというふうに考えておるわけであります。でこれは第六條はそういうわけでありまして、我々は外貨証券を活かすについて一律的にはしないで、できるだけしぼ
つて
、そうして外貨債の有効化という
範囲
を狭めて行きたいと思います。その狭めた
範囲
内において活き返らせたところのものについてこういう処置を取ろうというのが第六條の趣旨でございます。 次に第六條において果してそういうものが取れるか取れないかという問題でございますが、これは実はそういう借換えました人の名前はわか
つて
おりますが、その借換えた人も、法案が通らないうちからあなたは取得があるかどうかということを調べておるわけではないのでありまして、従いまして、この法案によりまして取ろうというような場合に、実際上納められないという人が或いは出て来るかも知れんということはあろうかと思
つて
おります。ただ一般的な問題といたしまして、こういうかたがたは向うに証券を置いて来たと、それを何と申しますか、こちらのほうの資産に換えたわけでありまするが、向うの資産が生き返
つて
おるということになりますれば、
政府
といたしましては両方の債務を負うと、こういうのは、おかしなことに相成るのでありまして、若し向うで生き返らざるを得ないということが初め持
つて
お
つた
人の手落であると、こういうことでありますならば、こちらの人から取らざるを得ないというのが筋道であろうと、こう考えましてこの
規定
ができておるわけであります。その人の
立場
はどういうことに相成るかと申しますと、端的に申しますと、結局在外
財産
を向うで持
つて
おりつ人、こういうことと同七状態に置かれる、こういうことに相成ろうかと存じております。
菊川孝夫
88
○菊川孝夫君 そういう取扱をするということになりますると、こういう問題が起るのではないかと思いますが、これをどの條項によ
つて
処理しようとしておるかという点についてお伺いをしたい。それは所有者の承諾を得なか
つた
場合と、こういうふうに第三條の第一項の第一号にございますが、向うにおいて信託会社等に信託をしておる場合があろうと思う。信託会社は善良なる管理者の注意を以てや
つて
いるが、日本
政府
の発表で無効に
なつ
た。これはおかしいということで信託会社が疑問を持
つて
お
つた
。ところが本人はこちらに帰
つて
承諾してもら
つて
おると、こういうような場合に信託会社が異議を申立て来る。ところがその信託会社と信託をした者との間において交換が通信も何も杜絶してしま
つて
おる。信託会社では活きておると思
つて
おるけれ
ども
、本人がこちらでもら
つて
おるのだから無効だと、
従つて
その係争が起きる場合があると思う。ニユーヨークの信託会社と日本
政府
との間に係争が起きる場合がある。これは当然予想されると思うのでありますが、そういう場合の処理はどの條項によ
つて
処理するのですか。
石田正
89
○
政府委員
(石田正君) 今のは所有者のかたが信託会社に預けて来た、こういう場合でございますが、そういう場合におきましては、私たちはこちらの所有者の人からその信託会社に話をして、その証券を返してもら
つて
、そうして日本
政府
に提供してもら
つて
、そうして償却をすると、こういうことをやりたいと思
つて
おるわけであります。
菊川孝夫
90
○菊川孝夫君 その條項はどこでやるのですか。
石田正
91
○
政府委員
(石田正君) その点は、これは信託会社のほうからこの証券は生き返らしてくれという申出が日本
政府
にあるのだろうと思います。その場合に、信託会社の言
つて
おるところの証券というものは番号は何番であるか、どういう銘柄のものであるか、こういうことを我々は聞くわけであります。それを聞きますと、我々のほうではその証券に見合
つて
おるところの邦貨債は誰に渡
つて
おるかということを調べるわけであります。調べましてその所有者の所に話をすると、今お話のような事情がわかる、こういうことになると思うのです。その場合において、信託会社の申出をすぐ我々が受付けて有効告示をするのではなくして、その場合には所有者のほうと信託会社のほうと話をして頂いて、その証券は有効化の措置はとりませんで、こちらに返してもら
つて
償却をすると、こういう
方法
をとりたいと思
つて
おります。このことは、三條におきまして
大蔵大臣
が指定するものだけ有効とするのでありまして、指定する以前の問題として処理をしたいと、かように考えておるわけであります。
菊川孝夫
92
○菊川孝夫君 次に第三條の一項の二号ですが、質権の目的とな
つて
いたもので、これもやはり問題の起る可能性が多いと思うのですがというのは、向うで親友なり何なりに預けて来たというけれ
ども
、預
つた
者は長いこと通知もないし、これをもら
つた
ように思
つて
しまうのは、これは日本人でも常識だと思うのです。時計を預けて来たけれ
ども
、その者が生きておるものやら死んでおるものやらわからん、これはよいものをもら
つた
ということにな
つて
しまう。而も、もら
つたの
であるか或いは預か
つたの
であるか当事者が……父が預
つて
お
つた
と、ところが父が死んでしま
つた
。金庫を開けて見ると、こういう物が出て来た。これはよい物が出て来たというので、何ドルかの日本の外貨債をアメリカ人が持
つて
おると、そうするとその人が
一つ
の質権というものを主張するという場合が起きて来ると思うのですが、そういうようなものの処理の仕方はどういうことになるのですか。そういう場合があると思うのですが、質権云々につきまして、当該質権の権利者の承諾を受けなか
つた
ものという場合におきましては、当然向うは弁護士なり何なりによ
つて
日本
政府
に言
つて
来るだろうということが想像されると思うのですが、その点を
一つ
伺いたい。
石田正
93
○
政府委員
(石田正君) お話の点におきまして、多少誤解を起す点が或いはあるであろうかと思うので、その点を分けて申上げたいのでありますが、ただ單に所有者が預けておいた、預
つて
お
つた
人が、儂は持
つて
おるのだからこれを有効にしろと日本
政府
に言
つて
来た場合には、我々としましてはどういうふうな
意味
でお持ちにな
つて
お
つた
かということを聞くわけでございます。それでその人が預
つて
お
つた
と、預
つて
お
つた
けれ
ども
、預
つた
ものはもら
つた
ものだと、こういうふうなことで言
つて
来られましても、我々のほうではこれを信用することはできないと、こういうことに相成ろうかと思うのであります。ところが、そうでなくして借換えをいたしまして、所有者なら所有者が借金をしてお
つた
と、そうして質の担保にその証券を入れてお
つた
という事情がはつきりいたします。こういう場合には、日本
政府
としてその質権者がよろしいということを言わないで借換えたものでございますから、従いまして、これを無効であると最後まで突つ張ることはできないと思うのであります。そうでありますならば、その場合においては、その借金なり、それから質の担保にな
つて
おりますところの証券というものは活かすと同時に、こちらのほうでその邦貨債を取得した人からその邦貨証券を返してくれと、こういうことに相成るのであります。
小林政夫
94
○小林政夫君 今の所有者の承諾を得て質権者の承諾を得なか
つた
という場合に、所有者が承諾を與える以上は、当然質権者に対して何らかの連絡了承を求める行為がなくてはならんと思うのですね。
従つて
、今お話のような所有者の承諾を得たが質権者の承諾を得なか
つた
ものを借換え有効とするということは、ちよつと筋が通らない、不当じやないかと思うのですが。
石田正
95
○
政府委員
(石田正君) これは、これらの事象が起りましたのは戰争が始まりましたあとのことでございまして、
従つて
海外との連絡が途絶してお
つた
という状態を先ずそこで想定せねばならないのであります。それが事実でございます。従いましてその当時の
政府
といたしましては、これは所有者の承諾を得ずしてや
つた
という点はとれは遺憾と思いますが、併し所有者の人が質権者の承諾を得たか得ないかということをはつきりさせることができなか
つた
ということは、大体そういうことを言
つて
来ない場合は質権に入
つて
おらんものと、こういう前提でや
つた
わけであります。あとで今度は質権者のほうから日本
政府
に対してこういうことをや
つたの
は不当じやないか、こうい
つて
有効化してくれということを言
つて
来た場合にそれを拒否することができないと思います。その
関係
がはつきりいたしますれば、
従つて
そういう場合には所有者はどうして日本
政府
にそういうことを言わなか
つたの
か、こういうことを所有者に聞くということに相成ろうと思うのですが、そのときに所有者のかたか、いや質権者たる彼はああいうことを言
つて
おるけれ
ども
、実は承諾を得ておるのだ、或いは質権とい
つて
も債務はすでに払
つて
おるのだ、こういうことでありますれば、その所有者のかたと質権者のかたと相談して頂いて、そうしてその担保でありまするところのものをこちらへ返してもらうということを先ずすべきだと思うのであります。即ち有効の措置はとらない、こういうふうにしようと思
つて
おります。
小林政夫
96
○小林政夫君 今の
説明
でまあ納得はできるのですけれ
ども
、そうなるとちよつとこの法文の書き方が、これは当然所有者の承諾は得たが、質権者の承諾を得なか
つた
ものは有効だという書き方にな
つて
おるのです。今のような話合いの余地があるようには読めないのじやないか……。
石田正
97
○
政府委員
(石田正君) これは一号、二号、三号にはそういうことはございませんけれ
ども
、一項の本文のほうにおきまして、「無効とする行為がされなか
つた
もので
大蔵大臣
の指定するものは」というふうに書いてあるのでありまして、
大蔵大臣
が指定をするかせんかというところにそこに裁量権を残しまして、この三つの項目を大きくしぼ
つて
おるわけであります。
小林政夫
98
○小林政夫君 ではわかりました。
菊川孝夫
99
○菊川孝夫君 その次にちよつとお尋ねしておきたいのは、第六條の第一項の「
自分
の三十に相当する
金額
を控除した
金額
」というものをいずれも付けておるわけでありますが、この百分の三十の控除は何の費用を控除、これはどういう
理由
で百分の三十を控除されるのか、その点伺いたい。
石田正
100
○
政府委員
(石田正君) これは実はこういう借換或いは無効化等の措置がとられましてから、今日に至るまで相当の年限を経過しておるわけでございます。その間にいろいろと税制が変
つて
おるのでありまするが、いろいろな形におきまして、この税を国がと
つて
おる、こういうことがあるわけであります。それではそれを一々いつ払
つた
ものについてはそのときにおいてどうこうということを詳しくやるのが本当はいいのかも知れないのでございますが、それは非常に細かい計算に相成りまするので、大体個人の場合、法人の場合等を考えまして、大体税金を納めた、国が税金でと
つた
分を又返せということはひどいではないか、こういう
意味
で納付額につきましてこういう斟酌を加えた次第でございます。
菊川孝夫
101
○菊川孝夫君 次に第六條の同じく六項でありますが、閉鎖機関はその一部だけを納付して、それであとは分割に納付することができるということに免除
規定
といいますかな、できておりますが、これは一体閉鎖機関がそれを持
つて
おるのに何故一遍に納付できないのでございますか。この点について閉鎖機関について特にこれを認めた
理由
、それからこれについてはそれだけ遅らすに当りましてのやはり閉鎖機関がそれだけ一部でもこれは
金額
としては大きい、今日の利子というものは相当のものだと思うのでありますが、これについては延滞利子、そういうものは課せられるでありましようか。その点
一つ
お伺いしたい。
石田正
102
○
政府委員
(石田正君) これは御
承知
の
通り
に、閉鎖機関というものは司令部の指令に基きまして閉鎖機関の指定、清算等が行われておるのでありまして、一般の場合と同様にすることは困難な事情にな
つて
おります、そこでこれは一般の金融機関なり、或いは企業なりの清算
方法
と違
つて
閉鎖機関のやり方と同調した
意味
において国の債権が取上げられる、そういうふうなことにしたわけでございます。それから閉鎖機関につきましてはいろいろと海外
関係
の問題がございまして、どう処理するかということがはつきりしないままに完全な清算が行われないのが多いと思います。勿論閉鎖機関と申しましても、戰後国内におけるいろいろな
統制
機関の整理等をや
つたの
もございまするが、一番初めの閉鎖機関と申しまするのは、海外において主として活動をしてお
つた
ものでございまして、この場合におきましては、具体的に申しますれば正金
銀行
ということに相成るわけであります。これらの海外におけるところの債務、債権、そういうものの整理というものにつきましては、今後相当又問題が或いは起
つて
来るのではないかと心配しておるのでありますが、とにかくこの正金
銀行
の整理につきましては、なかなか海外における債務
関係
等の
関係
もございまして、きれいさつぱり行かないというような
実情
に相成
つて
おるわけであります。そこでそういう半面におきまして、一部この債権の
支払
をするというふうなことも行われておるわけでありまして、そこらのところを考えまして、この一部納付という
規定
を設けたわけであります。なおその納付しなか
つた
部分が閉鎖機関たるところの正金自身の身勝手から納付を遅らせるというならば、これは一応延滞利子というような問題も起ると思うのでありまするが、この点については今申しましたような事情でございまするので、納付が仮に遅れるといたしましても、その部分について延滞利子を取るというふうなことは考えておらん次第でございます。
菊川孝夫
103
○菊川孝夫君 大体まあわかりましたが、さて最後に
一つ
お尋ねしたいのは、今それではそういう日本
政府
としては無効を宣言したが、本人、所有者が生きている。これは
自分
が有効であると認めて日本
政府
に対してその
確認
方、或いは償還方等について申出て来ておる面が、或いは在外公館等を通じましてそういうのがあると思うのでありますが、一体
金額
として、この不当な処理によ
つて
向うの
人たち
にも迷惑をかけたという
金額
、この
法律
によ
つて
処理しなければならんのは一体どのくらいあるか。それから外貨債の
種類
でございますが、一体ドル貨、ポンド、フラン、その明細は概略でよろしいですが、あなたがたの想像される、これも今後
大蔵大臣
の指定するものということできまるわけでございまして、それを今邦貨に換算するとどのくらいになるのかということと、それからこれはやはり今度は償還をするときには一般の外貨債、こういう処理をしていないところの外貨債の処理と一緒に償還するのであ
つて
、これは償還とは何ら
関係
はないものかどうか。それから償還するのだ
つた
らどういうふうに処理するのか。これは償還には
関係
なしに、ただ有効なら一応これは有効だということで生かすということだけだと思うのでありますが、
従つて
生かすにしても、どのくらいのものをどういうふうにや
つて
行くのかということを
一つ
伺いたい。
石田正
104
○
政府委員
(石田正君) この
法律案
によりましてどういう銘柄のものかどういうふうに生き返らせることになるのかという御質問でございますが、これは御質問の中にありましたような工合に、終局的にどういう数字になるのかということは、先ほど申上げました指定の
関係
もありまして、はつきり申上げることはできないのであります。併し最大限どのくらい予想しておるだろうかということを申上げますと、これは大体元本額のほうで申しますると、英貨債が十銘柄ほどございまして、この数字が七十五万七千ポンドでございます。それから米貨のほうは十二銘柄でございまして八百七十七万ドルでございます。それから先ほどの英貨債を仮にドルに換算いたしますと、七十五万七千ポンドが二百六十五万八千ドルばかりに相成ると思うのであります。この換算の仕方は今の為替レートによ
つたの
ではありませんで、
契約
のところに書いてありますような確定換算率があるものは確定換算率による。そういうことにな
つて
おりますので、その点
現行
の為替の換算率でやるのと違
つて
おりますが、仮にドルで
支払
うとどういう数字になるのかということで御了承願いたいと思います。この両者を合せますると、合計額は千百四十二万八千ドルに相成るわけであります。で、話がちよつと飛びますが、大体私たちは将来いわゆる外貨債として処理すべきところのものは二億八千万ドルぐらい元本としてあろうかと思うのでありますが、若しこれが全額有効化されるということに相成りまするならば、その額は二億九千万ドルぐらいになる。大体そういう計算をいたしておるわけであります。 それから次に元の証券のいわゆる元本額のほかに利札があるわけでありますが、元本と利札と、元本を殺したから利札も殺されておるというものが生き返えるであろうと思うところの額が、これは来年の三月三十一日までのやつを計算してみますると、大体英貨のほうにおきまして四十一万七千ポンド、それから米貨のほうにおいて五百五十一万五千ドル。両方これを又先ほど申しましたような工合にドルに換算いたしますというと、六百九十四万九千ドルということに相成ります。従いまして、先ほど申しました千百四十二万八千ドルと、この六百九十四万九千ドルとを加えますと、千八百三十七万六千ドル、こういう数字が出て来るわけであります。これは元本を殺すと同時に
従つて
利札も一緒に殺されてお
つた
というものが、両方生き返え
つて
来たからこういう数字になるということでございます。これが主としてこの法案で申しますならば三條
関係
と四條の初めのほうになるわけであります。このほかに日本
政府
が例えば利子の
支払
を特別な勘定に払い込ませまして、そうしてそれに見合うところの利札を無効であるというような宣言をいたしておるところのものがあるのでありまして、こういうふうなものの額、即ち四條で申しまするならば三項までのものでございますが、こういうふうなものが大体千八百五十二万七千ドルあるわけであります。これはやはり来年の三月三十一日までのものとして計算してあるわけでございます。
従つて
この
法律案
全体といたしまして、若しこれを全部何と申しますか、外国に原証券が存在する。或いは利札が存在する。こういうものは全部生き返えらせるのだということに相成りますれば、全体の数字は三千六百九十万三千ドルと、こういう数字に相成ります。このうち一体どれだけ生き返えるであろうかということは先ほ
ども
申しましたように、アメリカ方面からは割合に個人等においていろいろと言
つて
来ておるのでありますが、イギリス方面からは全然言
つて
来ないということは、イギリス
関係
などにおきましては、当然生きておるつもりであ
つて
、あえて日本
政府
に交渉するまでもないというような考え方のかたもあられるかも知れないのでありますが、今のところ大体どのくらいのものが結局生き返えることに相成るかという数字を的確に申上げることはできないという状況でございます。
菊川孝夫
105
○菊川孝夫君 大体わかりましたが、そうするとこれだけの三千六百九十万ドルは換算してそのぐらいな
金額
は一体これは、戰争中の借換えで全部日本
政府
の責任にな
つて
おるものであるか、それとも未だにまだ民間の、或いは地方自治体の責任にな
つて
おるものもあるかどうか。これについてお伺いしたい。そうして地方自治体の仮に責任にな
つて
おるものだとすると、どういうふうにして処理するか。
石田正
106
○
政府委員
(石田正君) 今度の借換えで、有効化をいたしますところの何と申しますか、その場合最大限予想されます先ほど申上げました数字のうち大部分は国債なのであります。でありますから、従いましてこれを
政府
が知らんと言
つて
お
つた
ものがこれが
政府
の責任であることがはつきりするものが多いわけであります。併しながらその他に地方債、社債、これは電力債などがあるわけでございまして、こういうようなものにつきましては、この法案に
規定
いたしておりますごとく、生き返ると同時に又何と申しますか、その債務はこれは
政府
が承継する、こういうことになるのでございます。
菊川孝夫
107
○菊川孝夫君 例えばここにあります台湾電力というようなものは、これは日本にはもうございません。日本
政府
がこれの責任を負うということになるのだが、そうすると新らしい証券との交換ぐらいの処置はこれは講じなければならんが、日本には全然ないような台湾電力というような証券を向うが持
つて
おるということになると、この際の有効化をする処置は日本
政府
の国債に換えるとか、例えば地方債にな
つて
お
つて
その地方自治体が知らんとい
つて
、ただこれが有効であるということだけではおかしなことになるんじやないか、日本
政府
の国債に換えるというような
規定
はあるのですか、この案を読んでもちよつとわかりませんが。
石田正
108
○
政府委員
(石田正君) これは先ほ
ども
申しましたような工合に、内部的には日本
政府
が承継する、こう書いてあります。併し外国の人は相変らず台湾電力の社債、或いは東京都の地方債じやないかと思
つて
おる場合にはどうするのか、こういう問題があるわけであります。この問題につきまして、一番私
ども
心配いたしましたのは、一体旧
外貨債処理法
というものの効力がどういうふうにな
つて
行くだろうかということを心配するわけであります。これは御質問に
関係
ございませんが、旧
外貨債処理法
によりまして借換を
行つた
額は三億ドルに昇
つて
おる。この三億ドルというものはこれは地方債、社債があるわけであります。それが皆無効である。日本
政府
が勝手にや
つた
法律
だから無効であるということになると、借換に関連して連合国のもののために問題のないものまで全部切換られるというようなことがあ
つて
は大変だ、かように考えまして、日本
政府
としましては、
終戰
後できるだけ旧外貨債処理というものの効力が元から覆されないように努力して来たわけであります。その結果今度のやつはさつき申上げました三億ドルに見合う元本というものは八百万ドル、これで事が済むと我々は考えております。それでこれは條約にもございますが、條約の十八條の(b)項「日本国は、日本国の戰前の対外債務に関する責任と日本国が責任を負うと後に宣言された団体の債務に関する責任とを
確認
する。」この点は連合国においても日本
政府
の旧外債処理法によ
つて
のそれは不当でなか
つた
。而もそれは認める、こういうことであろうと我々は了解しております。従いまして、まだ将来のことを何とかかんとかということはできないのでありますが、今御質問になるような御心配の点は、大体今回の條約によ
つて
なくな
つて
おるのではないか、少くとも條約が発効いたします場合には、條約に批准しました国との
関係
においては問題はなくて済むのではないか、かように考えるわけであります。
菊川孝夫
109
○菊川孝夫君 これは條約と全然
関係
はないというさつきのお話でございますが、例えば、戰争中にはアメリカにあ
つた
であろうが、今中国等の
関係
はこれは相当複雑な
関係
になるであろうと思います。やはり中国にあるやつもこの講和條約とは
関係
なしに有効である、こういうことになるのですか、その点についてはほかの国は大してないだろうと思いますが、中国或いは台湾、こちらは外貨債はやはり来ているのじやないかと思いますが、その点はそういう取扱はどうですか。
石田正
110
○
政府委員
(石田正君) これはやはり何と申しますか、今でも條約との
関係
において主として所有者が、恐らく批准した国の所有者が多いだろうというので申上げたのであります、併しこれは日本
政府
が戦時中にやりましたことが非常にいいことであ
つた
、大体これに対して多く言われる筋合のものじやないのだ、そういうふうなことではなくして、やはりいわゆるやり方において適当を欠くものがあ
つた
ものは、これはそういうことが判明いたしますれば有効化せざるを得ない、こういうふうな考え方に基いて本
法律案
を作
つたの
でありまして、別に例えば中国の人が持
つて
いるものを日本人が持
つて
いるとい
つて
借り換えてしま
つた
、そういうふうなものはこれは中国の人であるから有効化しないというわけには行かんと思います。
菊川孝夫
111
○菊川孝夫君 もう
一つ
、それでは前に戻
つて
えらい恐縮でございますけれ
ども
、邦貨債の取得をした人員、あなたのほうに名簿があるというのですがへ一体これは個人でそういうふうなのか、或いは正金
銀行
の支店その他なのか、一体何人くらいそういう邦貨債を取
つて
しま
つて
あるのか、その
金額
はどれくらいにな
つて
おるのか、御
説明
にな
つて
頂きたいと思うのであります。
石田正
112
○
政府委員
(石田正君) 大体これはいわゆる外債処理でや
つた
ものがありまして、敵産管理をや
つた
もの、いろいろございますが、
金額
のほうから申しますると大体敵産管理でぐつと返
つて
来るというものが
金額
的には多いと思います。それから先ほど申しました千百万ドルというような元本額を申上げましたが、大体その半分に近いものが十数社の
銀行
、保険会社、それから船会社というようなもので持
つて
おるわけであります。そのほかのものにつきましては、実はまだはつきりした今
個々
のところは何人になるかという数字を遺憾ながら持合せておりませんので、はつきりしたことを申上げかねると思います。
菊川孝夫
113
○菊川孝夫君 この半数の五百万ドルぐらいは船会社、保険会社、信託会社、こういうふうなお話でございましたが、大体そこらがや
つた
やつを引換互て、それが又生き返えるというような措置はないと思います。少くとも向うへ行
つて
お
つた
個人であ
つた
ら、それは
手続
その他もございましようけれ
ども
、例えば三井物産とかそういうような会社がや
つた
ような邦貨債を取
つて
しま
つて
おいて、そうしてそれが嘘を言
つて
取
つた
というような事実は少いと思うのです。その五百万ドルというのは大体は無効にして差支えないだろうと思います。それでもまだ生き返
つて
来る虞れのあるものがございますか。例えば三井物産とか正金
銀行
の一流会社が邦貨債に引換えてしま
つた
ということは、これはもう一遍向うでは生きているのだというような措置はないと我々は想像するのでありますが、例えば個人でございますと、そういう措置も十分にできないでしようけれ
ども
、三井物産やそういう有名会社、日本郵船等の会社がや
つた
行為には、私はそういうものがないとこういうふうに思うのでありますが、あなたのほうではそういうのもまだ危険があるというふうに考えるのでございますか。
石田正
114
○
政府委員
(石田正君) 普通の常識から申しますれば、そういうことはないのじやないかというふうに考えるのでございますが、たとえて申しますると、横浜正金
銀行
なら横浜正金
銀行
が、アメリカにおいて営業を営む、こういう場合には営業するについては預金とかいろいろの取引をいたします。それに関連いたしまして供託金のようなものをいたすわけであります。その供託金を日本の外債でやる、こういうふうなことをや
つて
お
つた
わけなんです。そういたしますると、そういうふうなものは要する正金
銀行
なら正金
銀行
の向うにおけるところの債務がございます。その債務の担保として州の
政府
なり何なりに預けて来た。それで正金
銀行
が帰
つて
来て、あれはわしのものだから、これは借り換えだ、こういうことをや
つた
わけです。併しそれは一方の筋が通
つて
おれば生き返えらすわけには行かないのでありますが、私たちのほうは実は先ほど申しましたように、小さい所有者の人の数が幾らあるかわからんか、こういうことでございますか、それはそういうふうなものについては、向うの人からこれを生き返えらせろというときにそれを生き返えらせることを考えるというふうな工合に考えておるのでありまして、余り大きな額にならん、さつき申しましたところの大きな中で余りが出るということに相成りますれば、むしろ個人のほうの
関係
でそういうことをせずに済むのじやないかと、かように考えておる次第であります。
菊川孝夫
115
○菊川孝夫君 今のお話ですと、第三條の二号とちよつと違
つて
来ます。質権の目的とな
つて
いたのですか、それは向うだけが質権と言
つて
いるのであ
つて
、そういうものを第二号における質権と解釈するのですか、正金
銀行
は向うに供託しておるのであ
つて
、供託と質権というのは違うと思います。供託によ
つて
質権が発生するとは考えられない。ただ横浜正金
銀行
は債務は別な方面にあるかも知れないけれ
ども
、供託行為に、質権というふうに解釈して二号を適用する、こういうふうに解釈するのですか。
石田正
116
○
政府委員
(石田正君) これは今までのお話が一号、二号のお話をいたしたのでありますが、今のような場合には大体三号に該当するわけであります。要するにこの戦争が始りますると、正金
銀行
であるとか或いは住友
銀行
とか、そういうようなものは向うの
銀行
の管
理官
によ
つて
清算に付されたものであります。その清算に付された中にこの
財産
があるわけでございまして、今のような問題につきましては、二号によ
つて
質権であるとか何とかいうような議論をするばかりでなく、三号のほうによ
つて
処理さるべきものと考えておる次第であります。
菊川孝夫
117
○菊川孝夫君 そうすると大体わかりましたが、国債、地方債とか社債というようなものもあるのですが、それをもう全部それじや日本
政府
の責任として、日本
政府
の債務として処理をする。それは外貨伏に借換によ
つて
戦争中に処理してあるからしてそうするのだ、こういうことに了解してよろしうございますね。 その次に、ここでちよつと
大蔵大臣
の指定するもののところで、消抹とか当該証券を無効とする行為がなされなか
つた
もので、ということになるわけでありますが、これと不当な取扱というのと引かかるようなことはございませんか、不当な取扱によ
つて
抹消とかそういうようなことをや
つて
いるもの、これに引かかるようなことはございませんか。
石田正
118
○
政府委員
(石田正君) この抹消とか、それから穴あけとかというようなものは、
自分
の資産としてそういうかたがたがや
つた
わけであります。人に取られてしま
つて
はつまらんというので穴をあけたり、抹消したわけであります。従いまして、穴をあけたり抹消したりしたものは、これは発行者じやありませんで、債務じやなくして、むしろ
財産
権を持
つて
いた人がや
つた
わけであります。その当時の穴をあけたり抹消したりしたことが、所有者として第三者との
関係
において適当であ
つた
か不適当であ
つた
か、こういう問題はあるかも知れません。当時の事情がわかりませんから。併しながら日本
政府
として直ちに関與すべき問題ではないのではないか、所有者が日本
政府
の債務たるところの証券を破棄した、それが不当であるから日本
政府
が責任をとらなければならんのだ、そういう考え方はとらんでいいのではないかと思
つて
おる次第であります。
小林政夫
119
○小林政夫君 今の問題に関連して、所有者の承諾を得ずに借り換えた外貨債で穴あけ等をや
つた
ということはないのですか。所有者の承諾を得ずして借り換えた外債で、今の穴あけ等の処置をしたものはないのかどうか。
石田正
120
○
政府委員
(石田正君) これは何と申しますか、大多数のものは問題がないと思
つて
おります。ただ国内におきまして……、外国にあるものは穴をあけようと思いましてもできません。国内におきましては、実際問題といたしまして、いわゆる連合国人の持
つて
いる証券を連合国人の承諾があ
つたの
だと敵産管理法の適用をいたしまして、そうして穴をあけてしま
つた
ものがあるわけであります。それをどうするかという問題でございますが、この穴をあけたものを活き返らせるということはなかなかむずかしいのでありまして、この問題は連合国人の
財産
の返還に関するところの措置、そちらのほうに譲りまして、こちらのほうは活きているものの処理を考えると、かような考え方で進んでおるわけでございます。
木村禧八郎
121
○
木村禧八郎
君 主として電力債ですが、
政府
が電力会社の債務を継承したのですが、そのとき電力会社と
政府
との債権債務の
関係
、あれはどういうふうにな
つたの
ですか。
石田正
122
○
政府委員
(石田正君) この
外貨債処理法
をやります場合に、こちらに所有者がお
つて
はつきりしておる場合があります。これは外貨債と当該電力会社の内国債と換えたわけでございます。ところが外国人や連合国人の持
つて
おるところのもので、何とも手の付かないところのものにつきましては、その対価をあらかじめ
政府
に納付せしめまして、それはいわゆる社債の形で納付いたしまして、そうして日本
政府
は外傾のほうの元利払いを承継する。それに伴いまして、
政府
はすべて外国人の担保にな
つて
おるところの担保権や何かを抹消してしま
つた
と、かような事情でございます。
木村禧八郎
123
○
木村禧八郎
君 そうすると、
政府
は社債を持
つて
おるわけですね。
石田正
124
○
政府委員
(石田正君) これは一応取りましたけれ
ども
、一般
会計
はそれを預金部に売りまして、預金部に持たせまして、そうして一般
会計
のほうでは現金をと
つた
と、こういうことでございます。
木村禧八郎
125
○
木村禧八郎
君 そうすると
銀行
とか個人とか誰かがその社債を持
つて
いるわけですね。
石田正
126
○
政府委員
(石田正君) 大部分そういうことになります。
木村禧八郎
127
○
木村禧八郎
君 それからこの換算率はどうなんでございますか。その後ドルも、ポンドは切下げをや
つて
いるのですが、そういうような
関係
で換算率はどうなんですかね。
石田正
128
○
政府委員
(石田正君) これは証券によ
つて
いろいろと
性質
が違います。発行條件というものが違いまして、発行のときに今のお話で以て換算率について言及のないものは現在のドルであり現在のポンドであると、さように我々は解しておるわけであります。併しながら、仮にポンド債ならポンド債であ
つて
、そうしてこれはニユーヨークで
支払
う場合にはドルで払う、而もそのドルは四ドル何ぼであると、こういうのがございます。逆の場合もあるわけでございます。そういう場合につきましては、我々はそれをどう処理するかということは、要するに外債処理の全般的の問題でございますが、今申しました数字においては一応安全を見て、そうして要するに現在の為替換算率によらずドルでやります場合には大きな数字を取る、かようなことにいたしておるわけであります。これは終局の負担
関係
がどうなるかということは別問題といたしまして、数字を申上げることはそのほうが間違いないのではないか。それから確定換算率といたしまして、五ドルというようなものがございます。それをそのまま数字に一応持
つて
行く、それから又金約款の問題がありますが、金約款は大体問題が余りありませんので、これは一応金約款は無規するということで計算いたしました数字で申上げておるわけでございます。ただそういうふうな数字を申しげたから、そういうことで以て最後まで行くのかどうかという問題は、これは外貨債処理の一般の問題の折衝の
内容
になるのでありまして、今どうなるかということは申上げかねるような
実情
にあると考えております。
木村禧八郎
129
○
木村禧八郎
君 わかりました。そうしますと、大体外債処理についてこれまで資料をもら
つたの
ですけれ
ども
、それは換算率の変更如何によ
つて
又実際の日本の負担額というものが違
つて
来るわけですね。
石田正
130
○
政府委員
(石田正君) まあいろいろな数字をはじいて来ておるのでありますが、これはどういうふうにそれを扱うかという目的によ
つて
数字はいろいろ違うかと思うのであります。今度の條約の中には、とにかく外債処理というものについて日本
政府
としても努力せねばならんという趣旨のことが織り込まれておるのでありまして、そういう考え方の下においてやはり数字というものを作
つて
見なければならないと、そこで最近私たちのほうで計算し申上げておる数字は、大体大きく見積
つて
どのくらいかという数字のほうか間違いがないのではないか、そういう
意味
で先ほど申しましたような工合で、大体金約款の点を除いては
契約
の文言
通り
でや
つた
らどういうことに相成るだろうかと、かような数字を近頃は申上げるようにいたしておる次第でございます。なおまだこの法案は
通り
ませんけれ
ども
、最近出しますところの数字においては、この数字の最大限を含めまして、この
法律案
によりまして先ほど申上げました数字が皆生きるという場合にどういうふうな数字になるかというような数字を一応申上げるようにいたしておるわけでございます。
木村禧八郎
131
○
木村禧八郎
君 もう
一つ
伺いますが、前に戰争中いわゆる預け合い勘定というのをやりまして、これは北支、中支、南支、ビルマ、タイなんかや
つたの
ですが、あのときの債務というのはどういうふうになるのですか。これは直接
関係
はないかも知れませんが、これは正金が恐らく債務者に
なつ
たと思うのですが、或いは
日本銀行
が債務者に
なつ
たかも知れませんが、あの問題は外債処理に
関係
して来るのか、賠償に
関係
して来るのか。
石田正
132
○
政府委員
(石田正君) この問題につきましては、私たちこれはまあ條約をどう解釈するかという問題でありまして、私か申上げますよりも外務省のかたが申上げたほうが或いはいいのかと思うのでありますが、私としてその問題につきましては、大体十四條の(b)項、要するに連合国でありまするならば、連合国はすべての賠償請求権、それから戰争の
遂行
中日本国及びその国民がと
つた
行為から生じた連合国及びその国民の他の請求権という中に含めて
支払
わないでもいいのではないか、こういうふうな心組みで、まあ解釈問題についても連合国のかたと話をしてみたいと、かように考えておる次第でございます。
木村禧八郎
133
○
木村禧八郎
君 それは国内的にはどうな
つて
いるのですか、債務
関係
は日銀にな
つて
いたのですかな、預け合い勘定の問題は。
石田正
134
○
政府委員
(石田正君) これはまあ預け合いと申しまして、極く大ざつぱな
意味
のお話かと思うのでございますが、要するに外国の中央
銀行
との間に日本の中央
銀行
又はこれに準ずるものがや
つた
ものが仏印の場合もございますし、タイの場合もございますし、中国の場合もございます。いろいろあるわけでございますが、それらの中身の問題につきまして、我々は一括して言えばこういうふうにというふうには考えておりまするけれ
ども
、併しそれらのものができたところの
原因
は、例えば戰費の調達のためであるというようなことがはつきりしておるものもありますし、それからして又いや米を買
つた
とか、いや船を買
つた
とか、いろいろ中身はごしやごしやとな
つて
いるのでございまして、そこらの問題はどういうふうに相成りまするか、相手方のあることでもございまするので、今この
段階
において、條約においてはこれによ
つて
結局は処理されるであろうということをちよつと申上げかねるような次第であります。
木村禧八郎
135
○
木村禧八郎
君 国内的にはそういうものを非常に減価償却としてや
つて
いるのじやないですか。日銀なんか納付金を納めないで、納付金を一時停止したことか二回くらいあるのです。そうして何十億というものを納付金を納めないで、そういうものを償却に充てたように我々は聞き及んでいるのです。
石田正
136
○
政府委員
(石田正君) この勘定は、国内における
関係
におきましてはそれを消してしまう、今のようなお話で償却して消してしまうと、そういうふうな措置はと
つて
おりません。ちやんと勘定としては幾
つて
おります。
木村禧八郎
137
○
木村禧八郎
君 それは国内的には一応
日本銀行
はそのために一時潰れるかも知れないくらいにな
つたの
ですからね。納付金を
政府
に納付しないで、それで減価償却に充てて一応それを整理したのです。だから日銀は潰れなくて済んだんでしよう。納めるべき納付金を一時しなか
つたの
です。そういうことにおいて国内的には一応あれしたように思
つて
いるのですが、今度その対外的な
関係
にな
つて
来ると思うのですか……。
石田正
138
○
政府委員
(石田正君) これはちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
平沼彌太郎
139
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
平沼彌太郎
140
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を始めて下さい。
小林政夫
141
○小林政夫君 この前も質問をしたのでありますけれ
ども
、第十條の後段のほうで、「当該外貨債の評価額か確定した場合」一応価格を零と評価しておいて、評価額か確定した場合というのは具体的にどういう地帶を予想しておられるのか、伺いたい。
石田正
142
○
政府委員
(石田正君) これは予想しておるかということで、具体的なことは申上げかねると思いますが、ただ可能性ということを
一つ
考えて参りますると、例えば或る
銀行
の
関係
におきまして証券は抑えられておる、併し清算して見たところが余
つて
しま
つた
と、その国において没牧するかどうかという場合に、まあ没収するのもあれだから返してやると、こういうふうなことが仮に起
つた
といたしまするならば、そのときには、日本国全体として見れば貸した借り手は同じでございまするから
意味
がないと思いまするが、
個々
の地帯としますると、要するに価格の差違があるものと、こういうことが予想されると思います。そこでまあそういうような事態が起
つて
来た場合には又別途に研究しなければならんかと、かように考えておるわけであります。大体ここにありまするような場合は、御
承知
のように金融機関の場合におきましても、私企業の場合におきましても、対外的な債権債務の
関係
、特に在外の債権債務の
関係
につきましては、確定評価をしておらないわけであります。今取りあえずそういたしておりますが、だんだんと固ま
つて
来るにつれて評価をはつきりして行かなければならんかと存じております。
木村禧八郎
143
○
木村禧八郎
君 明
年度
予算
に
予算
関係
としては出て来ると思うのですか……。
石田正
144
○
政府委員
(石田正君) こういう措置をすることになりますると、お叱りを蒙むるかも知れませんけれ
ども
、
事務
費が殖えるということに相成ろうかと思
つて
おります。その点の
予算
は、これは我々のほうは主計局に対して要求をいたしております。併し、それだけが本件に関するものでございまして、外債処理の全般の問題としての
予算
関係
がどうなるか、こういう点は今のところははつきりしておらん次第であります。
木村禧八郎
145
○
木村禧八郎
君 外債処理は一括して出て来るのですね。
石田正
146
○
政府委員
(石田正君) さようでございます。
平沼彌太郎
147
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は盡きたものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平沼彌太郎
148
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平沼彌太郎
149
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決を行います。旧
外貨債処理法
による借
換済外貨債
の証券の一部の
有効化等
に関する
法律案
を原案
通り
可決することに御賛成のかたの御挙手を願います 〔賛成者挙手〕
平沼彌太郎
150
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 多数でございます。よ
つて
本案
は原案
通り
可決すべきものと決定いたしました。 なお諸般の
手続
は前例により
委員長
に御一任願いたいと思います。それから多数意見者の御署名を願います。 多数意見者署名 山本 米治 森 八三一 菊田 七平
大矢半次郎
小宮山常吉
小林 政夫 田村 文吉 菊川 孝夫 黒田 英雄
清澤
俊英
平沼彌太郎
151
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れはないと認めます。
—————————————
平沼彌太郎
152
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に日本専売公社法の一部を
改正
する
法律案
を
議題
として質疑を行います。
清澤俊英
153
○
清澤俊英
君 一、二ちよつとお伺いしたいのですが、この法案が出ました場合、公労法の第八條の団体交渉権につきまして、団体交渉権がこの
法律
によ
つて
制圧を受けますか、受けませんか。
松崎芳
154
○
説明員
(松崎芳君) この
法律
によりまして団体交渉権を阻害することはない、つまりこれによりましても団体交渉はできるというふうに考えております。
清澤俊英
155
○
清澤俊英
君 そうしますと、若し団体協約が行われておりました場合百には、どちらか優先するということにな参りますか。
松崎芳
156
○
説明員
(松崎芳君) 団体交渉は可能でありまして、若し団体交渉が妥結しない場合におきましては、公労法に定めてあるところの調停仲裁の
手続
を経て行けるということは言えるのであります。ただ団体交渉をやりまして、それによ
つて
労働協約を締結するという問題になりました場合におきまして、この日本専売公社法というものがあ
つた
ときに、専売公社総裁がこれを無視して、その団体交渉によ
つて
労働協約を締結することができるかどうかという問題は非常に微妙な面があると我々は考えておるわけであります。といいますのは、専売公社総裁というものは日本専売公社法によりまして制約を受けることになります。でありますから、その面におきまして、この百分の八十を支給することができるとか、六十以内を支給することができるというようなことによ
つて
、専売公社総裁の権限というものが
一つ
明確にされているというふうに、この
法律
を考えた場合には言わざるを得ないのじやないかというふうに考えております。
清澤俊英
157
○
清澤俊英
君 そうすると一口に言えば、この
法律
によ
つて
団体協約の
内容
が制圧を受ける、こういうことになりはしないか。それは新らしい場合ですが、若し前の協約があ
つた
としたら、その場合にはどうなるのですか。
松崎芳
158
○
説明員
(松崎芳君)
現行
の日本専売公社法におきましては、一年未満三分の一というふうにな
つて
おりまして、これによりまして、現実に労働協約というものはないわけであります。日本専売公社になります前におきましては、
大蔵省
の専売局としてでありまして、国家公務員法の適用を受ける。その前におきましては、
政令
二〇一号の問題が出て来ます。その
政令
二〇一号以前におきましては労働協約というものがあ
つた
わけでありますが、
政令
二〇一号の施行によりまして労働協約というものがなく
なつ
たわけであります。でありますから、現実問題といたしまして、こういうものについての労働協約というものは存在していないわけでありまして、その点の問題は起らないと思います。
清澤俊英
159
○
清澤俊英
君 次にちよつとお伺いしますか、
改正
法の五項ですが、「
職員
が公務上負傷し、又は疾病にかかり、第一項第一号の
規定
に該当して休職にされた場合」これはまあ公務上の負傷はわかりますが、この第六項との関連において公務上の疾病か否かというものの区分は明確にできるでしようか。
久米武文
160
○
政府委員
(久米武文君) 第二十二條の今度の第五項でございますが、五項は公務上の負傷又は疾病の場合の
規定
でございます。この場合には休職の期間給與の全額、百分の百出せるという
規定
でございます。実効は従来と同じことでございます。それから次の第六項と第七項は公務以外の場合で、その以外の場合の中に結核性疾患の場合と結核性疾患でない場合、結核性疾患の場合が第六項でありまして、結核性疾患以外の場合が第七項、結局第五項、第六項、第七項とこの三つに場合を振り分けるとそういう
規定
にな
つて
おります。なお公務以外の場合におきましては、給與の額は従来の休職者は休職の期間中俸給の三分の一ということにな
つて
おります。それを今度は第六項の場合には二年間百分の八十、第七項の場合には一年間百分の八十、いずれも給與の額は引上げております。そういう
改正
にな
つて
おります。
清澤俊英
161
○
清澤俊英
君 ちよつと私の質問が悪か
つた
かも知れませんが、私はそれを質問しておるのではなく、第五項の公務上の疾病というものがありましたね。ところが第六項においては公務上にあらざるこれは疾病ではないかと思いますが、その区分は何で付けるか、こういうことであります。この病気は公務上の病気なんである、この病気は風邪を引いたが、これは公務上の病気でない。而も風邪と結核の区分が付いておる。こういうふうな区分が果して付けられるか、付けられないか。
久米武文
162
○
政府委員
(久米武文君) 公務上の病気であるか、公務上の病気でないかという認定は従来もいたしておりまするので、同様に認定いたして参ります。従来もそういうふうに同じようにや
つて
おります。
清澤俊英
163
○
清澤俊英
君 従来や
つて
おることを聞きたいのです。どういうところでこれか……、破りに地方に調査に出た。まあ僕らの所のように非常に雪に会
つて
不幸にしてそういうものの準備をしなか
つた
、非常に寒さに会
つて
風邪を引いた、それが因で病気に
なつ
た。これはまあ公務上と言えると思います。併しそれが両三日経過して発熱した。こういう場合これか公務上でないということになると、非常に面倒な問題になるが、この負傷の場合に負傷の個所、負傷の時期等で明確に公務上か否やというものは考えられるが、疾病という問題に対しては公務上の疾病であるか、或いは長い間の集積によ
つて
、過労から出た結核であるかというようなことは、これはなかなか面倒じやないかとこう思うので、従来のそういう区分の率がありましたならば、それをよく
一つ
お聞せを願いたい。
久米武文
164
○
政府委員
(久米武文君) 具体的に或る疾病が公務上の疾病であるかそうでないかという認定の問題は、具体的な場合といたしましては相当デリケートな場合もあろうかと思いますが、これは具体的の場合々々を押えまして、その場合について事情を十分調べまして、これは公務上の疾病と認定すべき場合か否かという判断を下しております。具体的な場合を一々押えましてよく調査いたしまして、これは公務上の疾病と認め得るものは公務上の疾病と、そういうような取扱をいたしております。
清澤俊英
165
○
清澤俊英
君 そういう今までやりましたので、どれくらいの率にな
つて
おりますか。公務上の疾病であり、片方は公務上の疾病でないという取扱を受けられた率はどちらが多いのですか、疾病の場合。
久米武文
166
○
政府委員
(久米武文君) 公務上の疾病として休職に
なつ
た者の数は比較的少いのでございます。現実の休職者の数と申しますものは大体今年の九月末くらいの統計によりますると、専売公社全体を通じまして約二百四十名と記憶いたしておりますが、その大部分は公務によらざる結核性疾患の場合、今度の
法律
改正案
で申しますれば、第六項に該当する、そういうものが大部分に相成
つて
おります。なおもう
一つ
この公務上の疾病の場合は実際の取扱におきましてはすぐに休職の発令をしないで、そのまま置いて行くというふうなケースも相当あるように私は見受けております。
清澤俊英
167
○
清澤俊英
君 そうしますと、極く特例が公務上の疾病とみなされると、こう解釈していいと思いますので、その公務上の疾病として取扱われる特例的な実例を直接お聞かせ頂きたいと思うのです。
久米武文
168
○
政府委員
(久米武文君) その具体的な例は極めて少いのですけれ
ども
、今私記憶いたしておりません。
清澤俊英
169
○
清澤俊英
君 私はこの問題は非常に重要な問題があると思うのです。病気というものをただ考えて見ますと、過労てあるとか或いはいろいろな長い間の
原因
が集積して病気になる場合が多いのでありまして、伝染病等であればこれは別でありましようけれ
ども
、普通の肺疾患或いはその他のリウマチであるとか、或いは過労して生ずるような多くの病気というものは長い集積によ
つて
できておる、いわゆる勤務のうちに出て来る
一つ
の病態であ
つて
、その大部分は私は特殊の流行病等でない限りにおいては公務上の疾病と見ていい。逆の数字が出なければならんと思う。ところが結局しますと、非常に公務上の疾病というものは数が少くてそれ以外のものが多いということは、取扱に非常な間違いを持
つて
おるんじやないか、私はこう思うのです。この疾病を区別する場合に、公務上でないという場合は私は恐らく流行病、而も不注意によ
つて
流行病にかか
つた
、赤痢にかか
つた
とかチブスにかか
つた
とかいうような場合に、これは公務上でないというようなことは言えるかも知れませんが、その他の自然的な
一つ
の体の弱りから出た病気というようなものはいずれも業務上から出た病気とされることが多いのじやないか。而も肺疾等に対してはそういうお取扱が適切なのじやないかとこう思いますので、その点の御所見を伺
つて
おきたいと思うのです。
久米武文
170
○
政府委員
(久米武文君) 公務上の疾病の認定につきましては、お説の
通り
その認定を慎重にいたしまして、運用に誤りなきを期するという点は誠に御尤もと存じまして、専売公社の当局としても勿論その運用に適切を期するという点は十分留意をいたしておりますし、今後もいろいろ御意見のように留意いたさなければならん問題であると考えております。又具体的な場合の認定につきましては、そういうふうな
意味
で御了承を願いたいと思います。
清澤俊英
171
○
清澤俊英
君 その次に、
松永
さんからでも又よく
法律
上のことでありますから、助太刀もお願いしたいと思うが、刑事被告人の場合、この
法律
からいいますと、百分の六十以内と、こうな
つて
おる。まあ新
憲法
や新刑事訴訟法から見ましても、被告人はまだ罪人でない、こういうことが
規定
せられておりまするとき、刑事被告人に
なつ
た場合、いわゆる起訴をせられたような場合にはそれがまだ刑の判定が下らないうちに百分の六十と、これはときによりますと飛ばつちりを受けたまあほんの被疑者に過ぎん場合もありますので、その刑のまだきまらない者にこういう昔
通り
の、起訴でも受けたら直ちに犯罪者としての特別な取扱を受けるように見えますのは、これはどういうふうなお考えにな
つて
おるのかお尋ねします。
久米武文
172
○
政府委員
(久米武文君) この刑事
事件
に関して起訴されたとき、この場合の取扱につきましては、
現行法
におきましても休職の期間は裁判所に
事件
が係属する間ということでありまして、その期間は現実の勤務をいたさない期間、仮に無実の罪でありましても、勤務をいたさない期間につきましては百分の六十以内ということで休職給というものを
支払
つて
参る、判決が確定いたしまして、無実であ
つた
ということがわかりますと、後から補償をいたすというふうな仕組に相成
つて
おると思います。
松永義雄
173
○
松永義雄
君 関連して……。
現行法
というのはいつ施行されたんですか。
久米武文
174
○
政府委員
(久米武文君)
現行法
は専売公社ができますとき、結局
昭和
二十四年の六月一日というわけでございます。
松永義雄
175
○
松永義雄
君 これは余り埋窟を言
つて
もどうかと思うのですが、新刑事訴訟法では起訴されてもそれはまだ無罪の取扱を受ける、そうして御
承知
の
通り
保釈は当然許されておる。昔の刑事訴訟法とは精神が違うのでありまして、ひとたび判決があれば、それから先の取扱は又従来の旧刑事訴訟法とは違
つて
来ておる、起訴という
一つ
の文句があ
つて
、起訴ということが
一つ
の條件だということになれば別ですけれ
ども
、実質的に起訴されれば何かその人は罪人ということであるとすれば、起訴されたとい
つて
もまだ無罪であ
つて
、判決のない間は昔のように起訴されたからと言
つて
罪人のように扱わない、こういう
建前
にな
つて
おると思います。そうすれば例え二十五年に新刑事訴訟法ができたにしましても、少しく時代の考えに副
つて
おらないのではないか、こういうふうに考えるのですが。
久米武文
176
○
政府委員
(久米武文君) 刑事
事件
に関して起訴されたとき、その場合の休職期間中は本人は勤務をいたしませんので、その勤務をしないという実体だけを見まして、一応百分の六十という率を適当と考えておるわけでございます。これはなおほかの関連した
法律
もこういうふうなことに相成
つて
おるように私は記憶いたしております。
松永義雄
177
○
松永義雄
君 起訴されると必ず休職にな
つて
、勤務状態でないということになるのですか。起訴されても勤めるということは勤めてもいい、勤めさしておるということにな
つて
おるのですか、どつちですか。
久米武文
178
○
政府委員
(久米武文君) 実際の取扱は起訴になりますと、休職にするというふうな取扱なのであります。
松永義雄
179
○
松永義雄
君 そうすれば間違だということにな
つて
……起訴されれば起訴という
一つ
の事実によ
つて
休職になると形式的に考えれば別ですよ。文章の上でそういうふうに作れば別ですけれ
ども
、起訴というものの実質、
内容
でその人が悪いことをしたのだということにな
つて
、その前提の下に休職になるということであれば別ですが、それは起訴ということは必ずその人が悪いということになるのじやないので、今日の人権擁護の
見地
から新刑事訴訟法では起訴にな
つて
もその人はまだ無罪だ。だが有罪である虞れもある、有罪だと仮定して休職にするのは間違いでないか、こういうこと……。
久米武文
180
○
政府委員
(久米武文君) 専売公社の
職員
が起訴になりましたときは、その
職員
をその職場で従来
通り
働かしているというのも如何かと存じますので、(「おかしいな」と呼ぶ者あり)一応そういう場合は休職の取扱をする。別にそれで以てお前は悪いのだというふうな焼印を押したような気持ではございませんので、起訴に
なつ
たその
人間
を職場に毎日出勤させているのが如何かと思います。
松永義雄
181
○
松永義雄
君 それは
政府
のほうの気持としては、それは一応今までの考え方から言えば問題ないと思うのですが、新刑事訴訟法、新
憲法
では解釈上如何かと思うことに対してそういうことをしてはいかんということにな
つて
いるのじやないかと思う。(「これは重大問題だよ」と呼ぶ者あり)
小林政夫
182
○小林政夫君 今の
松永
さんのような考えの御質問も御尤ですが、これは一般公務員が全部こういう例にな
つて
いるのです。それでこの専売公社の
関係
だけをこれをや
つて
も仕方がないので、人事
委員
会等で十分検討をしてやられたほうがいいんじやないですか。
清澤俊英
183
○
清澤俊英
君 専売公社法の第二十三條におきまして、ここに明らかに第二号として、「刑事
事件
に関し起訴されたとき」。とこうな
つて
いる。それを引延したものが第八項の場合を
規定
しているのですね。それからまあこういうものが仮にあ
つた
としても、その考え方によ
つて
この手当の問題の百分の六十を変更して行けば差支えないと思う。今
現行法
からもその起訴されたものは現職にするということが困難であれば、その支給額を新らしい考え方で正当なものに直して行けばいいと思うのでお伺いしているのですが、それに対して御同意願えませんか。
久米武文
184
○
政府委員
(久米武文君) この御
審議
を願
つて
おりまする第八項の
規定
といたしましては、ここに原案として御
審議
願
つて
おりまする
通り
、百分の六十以内というのを
政府
としては適当と考えております。
清澤俊英
185
○
清澤俊英
君
只今
この
審議
の際に、若し無罪に
なつ
た場合にはそのあとの百分の四十を補償する
規定
があると言われますが、その補償
規定
は専売法の中にはないようですが、別の
規定
にあるのですか。
久米武文
186
○
政府委員
(久米武文君) これは公社決の中にはございませんけれど、別の
法律
の中にあるように思います。(「あるようじや駄目だよ。」と呼ぶ者あり)
黒田英雄
187
○黒田英雄君 それはないだろう。補償するということはないだろう。
平沼彌太郎
188
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
平沼彌太郎
189
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を始めて下さい。
森八三一
190
○森八三一君 今の
政府委員
の答弁でありますが、起訴をされたときには本人は勤務をしないと、だから休職の処置をとる。そこで或る一定給與を減額するというのは当然であるというお話であ
つた
ように伺いますが、起訴をされたから勤務をしないということは絶対的なものではない。これは事例がたくさんあります。刑事
事件
によ
つて
起訴をされましても、不拘束のままで起訴されており、通常の執務に堪え得るという場合は例証いたしますれば幾らでもあるので、そういうものを無理に休職せしめてしまうということは、その本人の精神的な打撃というものも非常に大きいと思うのであります。而もそれがまだ白とも黒とも決定をしておらないというときに、強制的に勤務を拒否するということは如何かと思います。同時に今日遊んでおるということは許されることではないのでありまして、無理に遊べということを強要するということも、置かれておる日本の国情から考えまして矛盾をするめじやないか。今までの通念から申しますると、これは起訴されれば罪があるという常識的な解釈が行われてお
つたの
で、旧来の解釈をそのままここに持
つて
来られておると思うのですが、先刻も
松永
委員
からお話のように新らしい
憲法
下におきましては、むしろ検事が白、黒を決定するということではなくて、公正な判事が決定をするということが正しいというわけでありまして、多少でも疑問があれば起訴をするというのが今日における取扱の実態と私は
承知
をいたしておりますが、そういうようなことから考えまするときに、なお更以て起訴をされただけで強制的に執務をさせないということは非常におかしいのじやないかと思いますが、如何でございますか。
久米武文
191
○
政府委員
(久米武文君) 起訴をされました場合はこの
職員
を従来の職場で従来
通り
毎日出勤さして
事務
をとらせるということは公共企業体としての日本売專公社の業務を円滑にや
つて
行く上に如何かと思われる節もあるのでございます。そういうふうな場合には、公社の公共企業体であるという点に着眼いたしまして、専売公社の管理者側としては休職を命ずることができるのだということに相成
つて
おりまして、休職を命ぜられて初めて本人がその職場へ出勤しないようになると、そういうことでございます。
森八三一
192
○森八三一君 休職は先刻の御
説明
では起訴をせられますれば自動的に当然阻止されると私は御
説明
があ
つた
ように伺
つたの
でありまするが、休職させることもできるというので、その起訴の
性質
、
内容
如何によ
つて
取扱が区分されると、こういうように
規定
があるのですか。
久米武文
193
○
政府委員
(久米武文君) 刑事
事件
に関して起訴されたときは、本人の意に反しても休職を命ずることができると、そういうふうな規則なんでございます。ですから単純な
法律
の文字だけの解釈からすれば、こういうことは余りないとは思いますけれ
ども
、非常にこの起訴が誤りで、本人はもう明白に青天白日だと思えば、公社の総裁は休職にしないという余地も條文の上からはあるようにちよつと見受けるのでございますが、従来の実際の取扱は大部分休職にな
つて
いる、そうい多わけでございます。
森八三一
194
○森八三一君 そうしますると、刑事
事件
による起訴がありましても、その起訴の
内容
如何によ
つて
休職を命じない場合もあるのであるというように、公社は運営されるものだという理解をしてよろしいが、刑事
事件
で起訴を受けた場合には絶対に休職を本人の意思に反してでも命ずるという措置がとられるのか、その辺をはつきりお伺いしたいと思います。
久米武文
195
○
政府委員
(久米武文君) 実際の取扱としては極く特殊な例外があり得るかと思いますが、大部分は休職を命ずるということにな
つて
おります。
清澤俊英
196
○
清澤俊英
君 私はこの場合ですね、第二十三條第八項の場合の取扱は、今その後で補償する提定があるというお話にな
つて
おりますが、これは国家補償で裁判でも起ればとれると思いますが、むしろ長い間被告人として取扱われて、その間百分の六十と、薄給者が非常に少い生活費で生活して行かなければならないということは、場合によ
つた
ならばこれによ
つて
犯罪を構成させる元にもなるということを考えられるので、新
憲法
の精神から言えばこの場合は百分の百を與えて、実際職場におることは工合が悪いとするならば、休職させることもよろしいと思います。そうして判決がきま
つた
場合それらのものが何らかの
方法
で遡
つて
これを受取るというような
方法
を考えたほうが
却つて
妥当なのじやないかと思います。私はただ刑事
事件
で起訴せられたというのですぐ百分の六十というやり方は、非常に人権を無規したひどい考え方ではないかと思うのでありますが、あなたがこれに対する御見解の御表明ができないとするならば、これは人事院でしようかね、と思いますが、人事院総裁にちよつと来てもら
つて
、一応もつと突きつめた御質問をしてみたいとこう思いますが。
田村文吉
197
○田村文吉君 議事進行につきまして……
一つ
四、五分速記中止にして頂いて、その間にもう少しフリー・トーキングをや
つて
みたいと思いますが。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平沼彌太郎
198
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) それではちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
平沼彌太郎
199
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を始めて下さい。
久米武文
200
○
政府委員
(久米武文君) 専売公社の
職員
が刑事
事件
に関し起訴されたときに、その本人を休職にするかどうかという問題は、その起訴の
内容
によりまして具体的に判断すべき問題と考えます。公共企業体としての日本専売公社の
職員
として、従来
通り
その職場において勤務させても支障がないと認められる場合は、休職を命じないでその職場に従来
通り
勤務させることといたしますが、引続いて勤務させることが不適当と認められる場合には休職を命ずることになるのでございます。先ほどの答弁に言葉の不足の点がありまして、誤解が起りましたことは遺憾に存じます。
菊川孝夫
201
○菊川孝夫君 私はこの
法律
の制定と、公労法の八條の
関係
におきまして、将来も問題が起り得ると思いますので、労働省の関
係官
が来ておりますので御質問申上げたいと思います。 先ず第一点は、こうい
つた
結核に罹病した場合には休職期間、それからそれに対する休職期間中の給料等をきめるのは、これは第八條の第二項の第一号の労働條件、これに該当すると認められるがどうか、この点について……。
松崎芳
202
○
説明員
(松崎芳君) お説の
通り
労働條件に該当すると思います。
菊川孝夫
203
○菊川孝夫君 労働條件に該当するということになると、団体交渉の対象となる、これは先ほ
ども
対象となるという御解釈でありましたが、さてそれでは先ほ
ども
ちよつと申上げましたように、教育公務員が結核に罹
つた
場合には一〇〇%の給料をもら
つて
、それから休職期間も長いわけであります。従いましてこの
関係
におきまして、将来専売公社の
職員
が組織する労働組合が専売公社の経営者に対して、それと同等までに引上の要求を出して団体交渉をやることが当然予想されると思います。その場合に苦しもこの
法律
が制定されてお
つて
も、公社の総裁がこの要求に対して団体交渉に応じなければならん、応じても差支えないと私は思うのでありますが、差支えございませんか。
松崎芳
204
○
説明員
(松崎芳君) お説の
通り
応じても差支えないと思います。
菊川孝夫
205
○菊川孝夫君 団体交渉の要求に応じまして団体交渉を行な
つて
、仮に総裁が教育公務員並に取扱うのが妥当であるという結論を得て労働協約を締結した場合、そういたしますると、この
法律
と食い違
つて
参りますが、そのときにはどちらが優先するか。それからこれは十六條の公共企業体の
予算
上資金上とは余り
関係
がないと思います。これは運用できると思いますが、従いまして
法律
にはこうな
つて
お
つて
も、労働協約が締結されました場合には、当然その労働協約によ
つて
支給をされてもよいものであるかどうか、これとの関連が非常にむずかしくな
つて
来るが、労働省はどう解釈するか。
松崎芳
206
○
説明員
(松崎芳君) さつきも申しましたように、非常にこの点は微妙な問題であります。さつきも答弁いたしましたのは、こういう専売公社法というような
法律
でまあいわば、いわばといいますか、労働條件をきめておられるという場合におきまして、団体交渉は勿論できますが、公社総裁がその団体交渉に応じ、且つその結果の労働協約を締結することができるかどうかという点につきましては、百分の八十以下でありますればこれは問題がありません。問題はありませんが、百分の八十を超えるものについては現在の
政府
といたしましては、これはこの
法律
は専売公社総裁の権限を
規定
したものである、権限以上のことをやるのだから、この点においてこういう
法律
がある限り、公社総裁としては制約を受けるというふうに言わざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
菊川孝夫
207
○菊川孝夫君 そうしますると、仮に専売公社の総裁がそれは妥当と認めても、まあ約束し得ることは、
大蔵大臣
に対してこの
法律
修正のために申請をし、その努力をするという程度の約束よりできない、こういう結果に或るときには私はな
つて
来ると思います。そういたしますると、第八條で労働條件については団体交渉の対象として非常にこれは保護しておると思うのであります。併しこれは団体交渉の対象とすることを妨げない、締結することを妨げないということにな
つて
おるのだから、必ずしなければならんということではございませんけれ
ども
、これは労働組合の存在を許す以上は、こういう労働條件については当然団体交渉の対象として労働協約によ
つて
処理しておくのが望ましいことであるし、労務行政と申しますか、労働行政上又そう努力しなければならん、そうあるべきが正しいのだ、労働省としてはそうなければならんと私は思うのでありますが、然るに今回の専売公社法の
改正
立案に当
つて
大蔵省
で立案されたか、あなたのほうで立案されたか、どちらにいたしましても、その意見を申述べて
政府
部内においてその調整をなぜ図らなか
つた
か、図
つた
か図らなか
つた
か、どういう点でそれはできなか
つた
か、こういう事情を御
説明
願わなければ、これは重大な問題だと思いますので御
説明
願いたい。
久米武文
208
○
政府委員
(久米武文君)
大蔵省
の側から先に御答弁いたします。公共企業体としての日本専売公社の
職員
の休職に関する
制度
というものは、公社
制度
として
法律
上立法することが必要であると思われる事項は公社法に
規定
するという
建前
であります。例えば休職の期間、休職者の休職中の給與、これは従来も公社法の中に
規定
されております。先ほど労働省のほうから御答弁がありました
通り
団体交渉の対象にはなりますが、例えば従来休職期間が一年とありまするときに、休職期間を五年というふうな団体交渉が行われましても、
法律
にきま
つて
おりまする一年を五年で以て労働協約が
成立
するということはあり得ない、結局公社総裁としては
法律
改正
をする必要があると考える場合には、
政府
に対してそういうふうな意見具申をして来るであろうと思います。
法律
に矛盾するような労働協約というものは起り得ない、こういうふうに考えております。併し今回の公社法の
改正
につきましては、労働省とも
政府
部内において閣議、次官会議その他におきましてもいろいろ
協議
はいたしておるわけであります。
菊川孝夫
209
○菊川孝夫君 そういうことになりますると、今度は仲裁の裁定を仰ぐということになると思うのでありますが、仲裁の裁定が教育公務員と同じような取扱をするのがよろしいという裁定を出した場合に、これは最終的決定として服さなければならないということにな
つて
おりますが’これとの関連をどういうふうに処理しますか。
久米武文
210
○
政府委員
(久米武文君) 日本専売公社の
職員
の休職に関しまして、今御指摘のような紛争が起り、それが調停にかかり仲裁にかか
つた
という場合を想定いたしまして、仲裁の裁定といたしましては、例えば休職の期間が
現行法
で一年、今度の
改正
で三年ということにな
つて
おりますが、これ以上の長い期間に直したほうかいいということを若し仲裁
委員
会が判定を下します場合は、公社総裁及び組合の
委員長
双方に対して、専売公社法第何條の
規定
はこういうふうに
改正
するが適当である、そういうふうに
改正
するように双方努力すべしというふうな裁定は可能だと考えます。
菊川孝夫
211
○菊川孝夫君 今の立法処置を努力すべしというようなことを裁定するというのは、立法は
国会
にあるのであ
つて
、それを努力せよということを
国会
でないものに対してそういう裁定を下したところで、そんな裁定は下し得ないと思う。立法するのは
国会
で、努力するのは
国会
であ
つて
、ほかのものに努力せいというようなことを下すことそれ自体が第一
憲法
違反になるのですよ、あなたそれはそんな
国会
の概念で以て立法府が努力せよというようなことをやるということは、大体
国会
の自由意思を拘束するものにな
つて
、これは重大な問題だと私は思うのですが、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
久米武文
212
○
政府委員
(久米武文君)
法律
改正
に協力するように努力する、協力ということですから……
菊川孝夫
213
○菊川孝夫君 協力ということは……
国会
の協力と言
つた
つて
……
久米武文
214
○
政府委員
(久米武文君) なお労働省のほうの御答弁のほうがより正確だと思いますから……
松崎芳
215
○
説明員
(松崎芳君) 非常にデリケートなところで、フランクに言いますと、むずかしいのであります。仲裁
委員
会がどういう仲裁裁定を出され、調停
委員
会がどういう調停案を出されるということは今久米さんからいろいろ御
説明
がありましたのですが、仲裁
委員
会も調停
委員
会も共に労働省から独立して、勿論大蔵からも独立して御判断になることでありまして、どういう調停案、仲裁裁定が出るか私たちにも予測は付きませんし、且つそれに対してどういう調停なり仲裁裁定を出してくれという注文も付けられないのであります。でありますから、そういうようなこの専売公社法二十三條と公労法の
規定
とのむずかしい問題が起
つた
ときに、そのときに
一つ
考えざるを得ないんじやないかというふうに思
つて
おります。
菊川孝夫
216
○菊川孝夫君 そうすると、これ以上突込んでも無理だと思いますが、結論的に申しますと、こういう休職の期間、或いはそのときの給與の條件等を専売公社法において
規定
することと、公労法の第八條の
規定
は労働行政上から言
つた
ならば余り好ましくないということが一応これは明らかにされると思うのであります。無論いいことじやない、将来の問題としてこれは相当まだ研究の余地かあるということだけはお認めになりますか、どうですか。
松崎芳
217
○
説明員
(松崎芳君) これは
最初
も申しましたように、一般の行政法と労働法とのボーダーラインにあります非常にむずかしい問題でありまして、この労働省の一属僚としての私から申しますならば、こういう労働條件の問題を
法律
とか、まあそういうようなものでおきめになるのはややどうかと思うのでありますが、併し公共企業体という公的性格というものから見た場合に、こういう
法律
又止むを得ない面もあるであろうと思うのであります。そこの組み合せの問題でありまして、成るべく労働者の権利擁護という面においてこれは運営されて行くことを祈念している次第であります。
松永義雄
218
○
松永義雄
君 今収賄とかいろいろなことが
関係
がありますからついでに聞きたいんですが、富山県で労働基準局に問題が起きて、そういうことはあるのですか、ないんですか。
松崎芳
219
○
説明員
(松崎芳君) 私は労政局の
職員
でありまして、労働基準局のことはちよつと存じません。
清澤俊英
220
○
清澤俊英
君 ちよつと今の問題ですが、大体公務上の疾病にして見たり、そうでない場合にして見たり、疾病等の場合の取扱方ですね、殊に肺結核の場合二年というような考え方が病気の
性質
としてあなた方は妥当だと思
つて
おいでになるか、実際多くの場合を
中心
にして妥当と見ておられるのか、見ておられないのか、私見でよろしいからお答えして頂きたいと思います。
久米武文
221
○
政府委員
(久米武文君) まあ私見というのは……どうしましよう。
清澤俊英
222
○
清澤俊英
君 私見でもよろしいから……。
久米武文
223
○
政府委員
(久米武文君)
只今
御
審議
を願
つて
いる原案を適当と考えております。
松崎芳
224
○
説明員
(松崎芳君) ちよつともう一度……。
清澤俊英
225
○
清澤俊英
君 私見でよろしいからお伺いしています。結局肺患等に対しまして二年間これを支給するということが病気の
性質
上妥当とお考えにな
つて
いるかどうか。私は肺患等はもつと長い期間が療養期間として必要である、こう考えておりますので伺
つて
いるんです。
松崎芳
226
○
説明員
(松崎芳君) 実を言いますと、前に私も肺病を患
つた
こともありませんものですから、肺病に二年間が適当であるかどうかということについては研究いたしたことがありませんので、この点は
一つ
答弁を御勘弁願いたいと思います。
清澤俊英
227
○
清澤俊英
君 まあいい。これ以上やると、けんかになるから……。
平沼彌太郎
228
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
平沼彌太郎
229
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 速記を始めて下さい。 本日の
委員
会はこれにて散会いたします。 午後六時十二分散会