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政府委員(
泉美之松君) この点は、これもやはりシヤウプ勧告に基きまして、二十五年の四月一日から配当
所得に対しまする源泉徴収は行わないことにいたしたのでございます。それは
考え方といたしまして、
法人というものを独立の納税主体と
考えないで、個人が相集
つてその
事業を営む
一つの組織体というふうに
考え、
法人税率を源泉徴収の
税率と
考えて、それを
所得税のように総合する、その場合に
所得税の
税率を適用して算出した税額から源泉徴収された法税に相当する三五%、これをまあ
所得税の税額から引くわけですが、その際に三五%というのでなしに、配当
所得の二五%ということで、この二五%は
法人税に相当する
金額ということで
考えているのございます。そういうふうにいたしたのでございます。ところが昨年の二十五
年度の申告
所得の
状況を見ますと、昨年間の配当
所得は、あとで又
資料を差上げたいと思いますが、約百八十四億
程度あつたというのが税統計に現われているのでございます。実際は税統計の
金額より多か
つたのではないかと我々は思
つているのでございますが、税統計に現われただけでも百八十四億の配当
所得がある。ところが実際に配当控除の申請をして来たのは僅かに三十六億円でございます。こういう
状況を見ますと、どうも配当控除があ
つても申告しないでおいて、配当控除をしてもらわんでも、申告して高い
税率を適用されてそこから配当控除を受けるよりも、一切申告しないほうがいいんじやないかというふうに
考える
納税者がいるために、そういう結果にな
つたのではないか。勿論納税義務のない者が配当
所得を受ける場合もあろうかと思いますが、それにしては百八十四億円に対する三十六億円は余りにも少な過ぎるというふうに
考えますので、やはり申告漏れがあるのではないかというふうに
考えるのでございます。で、そういたしますと、やはり配当
所得、まあ
法人企業の収益が
増加しまするにつれて、配当
所得も昨年は百八十四億でありましたけれ
ども、本年は五百億を超える、更に来年は六百億を超えるというふうに見込まれるような次第でございますので、そういう点から
考えますと、そのまま放置せず、やはりもう一度源泉徴収の制度を復活して二〇%の
税率で徴収しておいて、そうして若し
所得税の総合申告いたしました結果、配当控除と源泉徴収の税額の二〇%を引きますと、納め過ぎになるというような人がおりますならば、その人は申告して頂いて、そうして申告して頂いたならばお引きするということにして行けば、まあ課税が相当徹底することになろうというふうに
考えまして、二〇%の源泉徴収は行うということにしておるのでございます。ただシヤウプ勧告に基いて設けましたこの配当控除の額の二五%というのは、これはもう申上げるまでもないのでございますが、
法人税率三五%というものと、それから
所得税の最高
税率五五%というものとを基礎にしてでき上つた配当控除の額でございまて、今度の
法人税率引上げ及び
所得税の最高
税率を再検討するということに伴いまして、
考え直さなければならんような点が若干生じておるのでございますけれ
ども、まだ特に変更しなきやならんほどのものとは認められませんので、一応配当控除は二五%そのまま据え置きまして、源泉徴収した分と併せて控除するということにしておるのでございますが、これはまあ要するに源泉徴収によ
つて課税を逃げようとするのを防ぐ、そうして適正な課税をして行くということにほかならないのでございます。