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1951-11-30 第12回国会 参議院 水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月三十日(金曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            松浦 清一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            玉柳  實君   政府委員    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁生産部水    産課長     塚原 慶悟君    水産庁生産部海    洋課長     尾崎順三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件水産物増産対策に関する調査の件  (石油の値上げ問題に関する件)  (漁船拿捕事件に関する件)  (漁業協定に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これから委員会を開会いたします。  今回の石油類の値上げ問題に対して、本委員会としては反対決定をしておのおの関係官庁提示いたしました。その後の状況について山本次長から御説明願います。
  3. 山本豐

    政府委員山本豐君) 前回に申上げましたように一時沙汰やみなつておりましたこの価格の値上げ問題が、司令部等関係もありまして再び出て参りました。この案はこの前こちらでもお聞きの通りでありますが、それに対しまして水産庁といたしましてもこれじや困るというので、その態度を堅持いたしまして、実は衆議院の政調会懇談会があつたのであります。そのときの模様は大体この原案がいわゆるCIF価格から二%引きまして、それによつて計算を立てておるのであります。我々としましては二%引きというのは理窟が合わんし、それから又この価格構成の中に含まれておりますいわゆるタンカー運賃、これが大体六%くらいを見ておるのでありますが、これは実際問題としまして、いろいろなこちらで手に入れました資料によりますと四五%くらいが大体多いのであります。そういうふうなときに六〇%というタンカー運賃というのは高過ぎる、これらも検討を要するということを申上げまして、結局そのときの政調会懇談会もなおこれらのいろいろな資料も、いわゆる生産業者のほうが納得の行くような材料を物価庁としてもあるのだろうから、それらを出してよく説明したらどうか、若しこの統制が今後一年も続くということでありまするならば、これはどうも止むを得ないけれども、とにかく一月とか二月頃に統制が撤廃になるという前提の下でありますれば、ここ一月や二月の問題でありまするから、現在のままでも石油輸入がとまるということはあり得ないのじやないか、こういう議論が多数を占めまして、然らばもう少し検討しようということで一応別れたのであります。ところが極く最近になりまして、政調会のほうで大体二%引き案を、大体これを採用するというような決定があつたということを聞いたのであります。そういたしますと、まあ我々としましては非常に困るのでありますが、更に又反対の尻押しをいたしまして、今後のいろいろ折衝をまあ最終段階でありまするがやつてみたいとは思つておりまするが、ただ政調会が全体としてそういうふうな確たる決定があつたということになりますると、非常に今後の折衝がむずかしくなるだろうというふうに思われるのでありますが、大体その程度状況であります。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと山本次長にお伺いしますが、若しこのCIF価格日本からタンカーを持つて行つてFOB価格にしたらどのくらいになりますか。まだ計算してないのですか。
  5. 山本豐

    政府委員山本豐君) ……。
  6. 千田正

    千田正君 ちよつと山本次長にお伺いしますが、アメリカからの原油その他の輸入に対しては一定の商社のみしか取扱できないようになつておりますか。その点を一つ承わつておきたい。
  7. 山本豐

    政府委員山本豐君) そうなつておると思います。
  8. 千田正

    千田正君 これは仮に今後日本が独立して新しい通商条約を結ばれた後においてもその状況は続くものと思われますか、如何でしようか。
  9. 山本豐

    政府委員山本豐君) それは条約の問題もありましようが、それより現在司令部で要するまあ輸入資金と言いますか、そのいわゆる資金許可をとつておるわけであります。ですからこれは条約とどういう関係になりますか、むしろ条約というより石油統制自体の問題じやないかと思う。ですから統制をやめればそういう資金許可というようなことはなくなるのじやないかと私は思つておるのですが。ですからまあ統制関係で一応そういうような枠付けがあるのじやないか、こういうように思うのであります。
  10. 千田正

    千田正君 統制枠付けということは、結論においては占領政策の一環としてのいわゆるその間におけるマージンを一つ産業方面に振替えるとか、振向けるというような方策から出た意味統制と解していいのですか。
  11. 山本豐

    政府委員山本豐君) これはまあ結局一つは、やはり経済の常道によりまして需給の関係がまだ安定しない、而も重要物資でありますからそういう意味統制があるだろうと思いますが、一つにはやはり石油というものは特殊な物資でありますので、今千田委員から言われたような面も半面には含みにしてあるだろうと思います。
  12. 千田正

    千田正君 特にこれは伺つておきたいと思うのでありますが、現在認定されておる、指定されておるところの数社の石油販売会社或いは日本においては輸入会社でありますが、それ以外にアメリカ石油業者の中にはどんどん海外に輸出したいと、而も遥かに安い單価で輸出してもいいという空気があることは、我々はよく承知しておるのでありまするが、この輸出する單価、今指定されておる業者以外の商社が扱つておるところのこの石油は、遙かに現在日本輸入しておる單価よりも安いという点において、我々は非常にその点を研究したいと思つておるのですが、これは当然通商条約その他が結ばれた後において考えるべきことであるかも知れませんが、それは間もなく結ばれる状況にあるのであつて、これに対処しまして、日本側が殊に漁業生産団体が特に現在或る程度高いものを買わされておる。それは只今山本次長の御説明にありましたように、日本のいわゆる石油価格統制ということは、一つ日本政策並びに占領政策上、物資の供給の立場において考えられて行われておる結果であるということはよく承知しておりますが、将來そういうものが仮に入れられて、殊に日本水産業が、日本重点産業一つなつておる関係上、特に日本産業発達に寄与するために現在よりもより安価な石油輸入してより多く産業発達に寄与すべき方法が、これは我々の理想とするところでありますので、特にこの点を水産庁方面において御研究願つて、若しも現在の協同組合或いはこうした連合団体立場に返つて、直接に輸入できるかどうかという方面も研究して頂きたいと思うのであります。こういう点につきましては何か山本次長のほうで、現在でなくても近い将來のうちにはそういうような方法がとれるようなチヤンスがあつた場合は、どういう方法が一番いいかという点についてお考を願つておきたいと同時に、若しも現在アイデアがあるならば一つお知らせ願いたいと思うのであります。
  13. 山本豐

    政府委員山本豐君) お説のように現在数社に限定されておりますが、これは理窟からいいまして正当ではないのですが、特に一方では非常に石油業者も多いわけでありますし、中にはそれ相当安く持つて來るのもあり得るわけでありますから、それは競争さしてやるのが建前だろうと思うのであります。勿論ですから統制でもとれまして、そういうふうな段階になりました場合には、我々の考えといたしましては漁業者団体、まあ例えば全国の連合会もございませんですけれども何かそういつたものもそのうちに生まれると思うのでありますが、そういつた団体が直接向うの比較的安い業者と取引を開始する、こういうことは非常に結構なことでありますし、我々もそれを念願しておるわけであります。民間でもそういう動きが若干あるようでありまして、先般も何かアメリカのほうのそういう模様をいろいろと研究しておられるようであります。我々も一つそういつた方向に進むべき心組を以て今後進んで行きたいと思つておるのであります。
  14. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 塚原長官ちよつとお伺いしますが、この石油価格改訂案物価庁で出しましたこの案の中に、運賃改訂が載つておりますが、一体この東北京浜ずつとこう書いてありますが、これに行く一カ年の量がおよそわかりますか、京浜地区に何ぼ、東北には何ぼという数量が。
  15. 塚原慶悟

    説明員塚原慶悟君) 私どものほうといたしましては、今委員長お尋ねなつておる点と或いは私の答えとはピントが外れておるかもわかりませんが、私どものほうといたしましては、各地区別取扱数量の全体の数字につきまして私のほうに資料はございません。併しながら水産業への割当量につきましては、資料水産庁水産課で持つております。
  16. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それを一つお示しを願いたいと思います。
  17. 塚原慶悟

    説明員塚原慶悟君) 今のお尋ねの点、数字は今申しましたように水産関係割当につきましては水産庁水産課でわかるわけでございますが、現在この場では資料を持つて來ておりませんから、又帰りましてこの資料は提出したいとこういうふうに考えております。
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) その資料を各委員にお配り願いたいと思います。
  19. 塚原慶悟

    説明員塚原慶悟君) 承知はいたしました。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 若しこれが改訂になるといたしますといつからなのですか。その時期をお知らせ願いたいと思います。
  21. 塚原慶悟

    説明員塚原慶悟君) 時期は水産庁といたしましてはいつかはつきりしたことはわかりません。物価庁第三部長のお話では今司令部にこの案を提出しているので、司令部が承認次第成るべく早い期間において実施したいと考えている。大体時期としては十二月初旬、成るべく早い期間にこれを実施したい、このように第三部長は申しております。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御意見なり御質問なりございませんか。
  23. 千田正

    千田正君 只今水産庁側から数字その他については後日こちらの各委員のほうに資料を提出されるそうでありますからそれを見た上で再検討したいと思います。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは石油問題は十分資料が揃つた場合において継続的に審査しますから、休会中でもやりますからして、一つその資料が出揃つた場合に適当にこの問題の審議をしたいと思います。  なお山本次長に申上げますが、参議院の決定事項を尊重して、私らは値上は絶対反対であるが、若し上げるとしても極力最小限度にとめるよう今後とも折衝をお願いいたします。石油問題以外に何か御意見ございませんか……。   —————————————
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは最近瀕々と漁船拿捕があるようでありますが、最近の状況一つお聞きいたしたいと思います。
  26. 尾崎順三郎

    説明員尾崎順三郎君) 最近東支那海方面拿捕船が瀕発いたしておりますが、その詳細な資料を今日は持合わせておりませんので、数字につきましてはあとで表をこしらえまして提出いたしたいと思います。拿捕関係は先般も資料を出しておりましたが、東支那海が一番多いのでございまして、これは韓国中国中共と三国に関係して拿捕されておつたわけなんであります。ちよつと古い資料でございますけれども、今月の十三日までの数字を見ますと、韓国関係拿捕されました船は八十四艘でございます。それから中国関係では四十四艘になつております。それから中共関係で四十二艘、これは十三日までの数字でございますが、その後も瀕々と拿捕が殖えております。併し韓国関係中国関係のものは総司令部を通じましていろいろ交渉いたした結果、拿捕はしないように了解がついておりますが、先般又韓国に二隻拿捕されましたがこれは直ぐ返還になつております。ただ中共関係の最近の拿捕は非常に組織的になつて参りまして、漁船を数艘の、怪船と申しておりますが、これもアメ巾の船、大した大きな船ではございません、七、八十トン乃至百トン程度の船のようでございますが、そういうものが六艘も集団的に包囲しまして、そうして場合によりますると発砲いたしまして威嚇して拿捕して行くというような状況でございます。これに対しましては外務省とも相談いたしまして、何らかの手段を以ちましてかようなことをしないように交渉したらというような相談をしておりますが、差当つて措置といたしまして、水産庁としましては監視船をできるだけ性能のいい速力の早い船に切替え、又レーダー等の装置を持つた船を揃えまして事前に拿捕を防止するというような措置を現在取りつつあるわけであります。併し漸次向うの船が組織的に動いて参つておりますので、十分の保護はできない状態になつております。まあ以上でございます。
  27. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではその詳細な最近の資料を至急各委員に御配付願います。   —————————————
  28. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それから次に山本次長が承知しておられる程度でもいいから三国漁業協定模様をお願いいたしたいと思います。
  29. 山本豐

    政府委員山本豐君) ちよつと速記を……。
  30. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。
  32. 千田正

    千田正君 山本次長から一応の経適の報告がありましたが、見通しとしましてはもう本年も余すところ一カ月になつておりますので、本年中に或いは來週中にでも何か成案が生れ出るような状況でありますか。それとも來年に延びそうな状況ですか、その点を一つ
  33. 山本豐

    政府委員山本豐君) いやその点は直接衝に当つておられますかたから言つて頂きたいと思いますが、私の見方では一応まあ第三案というふうなものもできて來ておりまするから、大体今申上げたような点が或る程度明瞭になれば、これはもうこつちの態度如何にもよるのでございますが何とか結論が出るんじやないかというふうに見ておるわけでございますが、併しいろいろ重要なポイントでもございますので、こちらといたしましても簡單には妥協するというわけにも参りませんので、そこらへんの掛引をやつておるのが現段階だろうと思うのです。併し先ほど申しましたような点を、或る程度話が一致いたしますれば、いわゆる委員会とかこういうような関係の規定は、これは問題なく一致いたすと思うのでありますから、恐らく年内には何とか結論が出るのではないかというように私は想像いたしておるわけであります。
  34. 千田正

    千田正君 勿論これは国会批准を経て効力を発生することと思いますが、日本側立場から言えば勿論最初条約でもあるし、それにアメリカ合衆国、カナダ、日本というようなこの太平洋を挾んでの友邦の国との間には、十分了解の上に今後ともよりよき有効な条約を結んで行かなければならんのであるから、国会としては慎重に審議すると思いますが、折角敗戰の中から漸く独立国として国際関係に参加することのでき得る日本としての最初条約としては、やはり日本の主権の回復と同時に又国際間の信義を重んずる条約を我々としてはやつて行きたいと思うので、特に国会において批准の際のいろいろな物議をかもすような状況に置かれないように、できるだけ両国或いは三国間の信義を重んじ、且つ又この条約将來結ばれるのであろうところの日米加以外のほかの国との間の一つのモデルケースとしての条約となることは疑いのないものでございまして、日米加との間に非常に親善的に結ばれたとしても、その他の国との間には非常な摩擦が起るような条約であつては、折角日本独立国家としての条約を結ばれた効果としては甚だ遺憾なことで、そういうことの起らない方向に持つて行きたいというのが、恐らくこれはまあ少くとも水産委員として国会に席を連ねておる者の多くの同僚の同じような気持だと思います。でありますから、水産庁長官委員として出ておられますので、できるだけ国会においても十分条理を尽して、了解して、この三国の将來の親善のために、且つ又将來に起るであろう幾多の国との条約関連性において、十分慎重なる態度で臨んで頂きたいというこの点だけを一つ要望しておきます。
  35. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 別に御意見がなければ本日はこの程度委員会を閉じたいと思います。なお臨時国会前より私と千田理事が約三カ月間留守でありまして、委員諸君にも非常に御迷惑をかけましたが、幸い松浦理事委員長代理として万違算なく委員会の運行をやつて頂きましたので、私どもとしては感謝をいたします。恐らく本日は、この臨時国会においては最終委員会じやないかと、かように考えますが、法案二つ継続審査なつておりますので、閉会中も適当な時期を見計らつて、又委員会を開いて審議を進めたいと、かように存じております。その点御了承願います。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後二時十二分散会