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1951-11-16 第12回国会 参議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十六日(金曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事      松浦 清一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            青山 正一君            玉柳  實君            櫻内 義雄君   政府委員    水産庁次長   山本  豐君    物価庁第三部長 森  誓夫君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員   水産庁漁政部長 松任谷健太郎君    資源庁鉱山局油    政課長     吉岡  格君    経済安定本部産    業局燃料課長  近藤  勝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (石油値上げ問題に関する件) ○漁業法の一部を改正する法律案(内  閣提出・衆議院送付)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  漁業法改正法律案を上程する前に、今回石油類価格改訂物価庁のほうで考えておられるようですが、どういう考えで今度の価格改訂をやるか、大体その根本趣旨について物価庁のほうから一つ説明願いたいと思います。
  3. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 石油類価格改訂につきまして、物価庁只今考えておりまする案を御説明申上げる前に、それまでに至る経緯について若干の御説明を先ず申上げたいと考えます。  価格改訂はなぜ必要であるかと申しますると、従来は石油製品は国が輸入いたしておつたのでありますが、本年の六月頃からこれが民間貿易に移されまして、普通の、世界市場価格で買わなければ、輸入しなければならないという状態になりました。ところで現行価格はそれ以前の態勢に応じた価格でございまして、民貿によりまする高い輸入価格で入れるためには、現行価格は低く過ぎるという問題がすでに六月から起つてつたのであります。併しその当時はガリオアの資金で安く輸入した石油製品手持がありますので、これを民間に安く拂い下げて、それで輸入業者の採算をなんとか合うようにして行くという操作をいたしまして、急速な価格引上げを避けて参つたのでありますが、これが大体八月一ぱいでその手持の安い石油製品がなくなつたということで、九月の初めから完全に輸入される石油製品は、民貿価格を反映して行かなければいけないという状態になつたのでございます。我々といたしましても、最近の石油市場価格の動向について十分注意いたしておりますが、それほどひどい闇価格もありませんし、こういう特に重油、軽油のごとく輸入品価格国内精製品価格が従来違つてつたというものについて、一本の価格を、改訂価格を作るということは、技術的に相当困難がございますので、そういうことも考えまして、石油類については公定価格を、速かに停止いたしたいという方針をとりまして、関係方面折衝をいたしたのであります。これは我々のみならず、安定本部長官マーカツト会談にその案を出されまして、ずいぶん御熱心な交渉をして下すつたのでございますが、先方考えとしましては、石炭代用のもの、或いは自家発電用のものとして重油類の特別の輸入懇請が最近関係方面に出されておりますので、国内重油、その他の石油類需給は、まだ均衡がとれていない。そういう場合に公定価格を停止することは、望ましくないというふうな考え方で、どうしてもそういうふうに行きませんので、ここにやむなく価格改訂ということを取上げるに至つたのであります。価格の今回の改訂につきまして最も考えなければなりませんことは、輸入ができるような価格にしなければならないということでございます。  大体本年度下半期の、つまり十月から三月までの日本に対する重油供給量がどの程度輸入に依存しておるかということを申上げますると、私は正確な最近の数字を承知いたしませんが、大体半分以上のものが輸入に期待しなければならないということになつております。少なくとも政府の計画が関係方面で承認されますると、そういうことになつて参ります。大体一年間平均しますと、まあ重油類は四割五分くらいのものが輸入されなければならないのでありますが、特に今年は石炭代用のもの又自家発電のものとして重油類特別輸入要求される関係上、半分以上のものが輸入に依存しておるということでありまして、これらの輸入を円滑にして各種の産業が円滑に動いて行くようにしなければならないわけで、それに支障とならない適当な輸入価格をきめなければならないということになるわけであります。特に当委員会と御関係の深い重油につきまして申上げますると、向うの積出価格運賃保険料その他の諸掛りを加えましたこのCIF価格は、品種によりまして多少の開きがあるのでございますが、その最低のものをとりまして、そうしてその上にこれを更に二%程度切るということをいたしたのでございます。その結果としまして、現行のものに比べまして、五、六%程度の値上りとなります。金額にしまして七百五十円程度でございます。二%程度切るということは非常に供給者の側から申しますと苦情の多いところでございます。併し我々はその程度のものはこの際消費者利益のこともよく考えまして、大いに輸入業者は勉強をしてもらいたい、輸入価格を高くしない、或いは運賃を高くしない、又止むを得なければ配給段階における合理化を行うなり、そういうことによつてこの程度のものは捻出してもらいたいということでこういう考えかたをいたしたわけでございます。プレートにつきましては一応USMCの六〇%アツプということを思つておりますが、これは大体現在の公定価格制度日本がまあ自由に問題を処理し得る時期まで続けられるという前提の下に考えますると、そう長い期間ではございません。その間に更に二月、一月のような冬場運賃が高くなる傾向の時期が入つておりますので、それを加味しまして、六〇%アツプということにいたしたのでございます。一番年間で低い時期をとればそれほど高くはないのでございますが、冬場の高い時期を考え合せまして、そういう率をとつたわけでございます。いろいろ過去の実績等から見まして、或る場合には四五%アツプ程度の安い契約が行われておるという事例もあるのでありますが、我々のところで調べました全貌について考えますると、六〇%アツプという見方は過大なものではないというふうに我々は考えております。又一口に六〇%アツプとか、四五%アツプとかいいましても、その入れる重油比重の如何によりまして絶対額からいたしますと、そう変わらないという数字も出るのでございまして、即ち非常に比重の重い重油を入れますと、これは四五%アツプ運賃であつても、実はそれは非常によい軽い重油を入れた場合に六〇%アツプ運賃拂つたのと、絶対額においては同じことになつて来るのであります。その結果としまして結局CIFの我が国に入つて来たときの総金額の絶対額を見ると非常にいいと思うのでありますが、大体九千円を下ることはないというふうに考えております。この場合に物価庁考えましたCIF価格は八千八百円ということになつておりまして、恐らくこの数字は現に実例に照らしてみまして、決して甘い数字ではないということを申上げられると思います。  次にこの改訂と同時に従来もありました地域別の差額を成るべく短縮するという趣旨の下に若干の地域別価格を修正いたしました。これは北海道、九州等の遠い地区販売価格が、運賃等相当高くつくものですから、中央部と比べまして非常に高い価格になつておるのでありますが、その結果としまして、その地方の人々で自分で船を使い得るというふうなかたがたは、中央部のほうへわざわざ買いに来ておるような現象が非常に盛んに行われております。そのほうが地元で買うよりかえつて安いという結果でございます。これはまあ消費者価格の公平という見地からいいますると、非常に望ましいことではございませんし、又地方販売店の維持という点から見ましても、非常にお気の毒な、地方販売店にはお気の毒な結果になるのでありまして、そういう点を考えまして成るべく辺鄙な土地の販売価格は安くするように、その反面において中央地区のものは高くなるということになるわけでありますが、そうして平均価格は従来と変らない、従来といいますか、この新らしく改訂された価格に落ちつくということになるわけでありますがそういうふうに改訂された価格にマージンを加えたものに落ちつくということになるのでありますが、そういう改正も従来販売業或いは消費者等の間に声がありましたのをこの際取上げて、今回の改正に盛ることにいたしたわけであります。  以上現在物価庁考えておりまする改訂方針について御説明を申上げました。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か物価庁に対する御質問がありましたら……。
  5. 松浦清一

    松浦清一君 いつの委員会でありましたか、日にちは忘れたんですが、やはり物価庁その付関係方面の係官の御出席願つて、一応物価庁のほうで考えておられる石油価格改訂値上げという問題について御説明を承わつてつたんです。その際の結論としては、今の油の出廻り量の関係からいつて統制撤廃するということの方針政府の部内も意見が一致したので、総司令部関係のほうと今は折衝中であると、こういうお話であつたのであります。でいつ頃統制撤廃になるか、それは総司令部許可がなければ現在のところ撤廃するということはできないということであつたんですが、そのときの結論ではなお交渉を続けておると、こういうことであつたんですが、その後の交渉の経過はどういうことになつておりますか。
  6. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) この前当委員会におきまして交渉をやろうという方針がきまつた直後にお話を申上げたのでございますが、それから間もなく私のほうの大臣が関係方面に参りまして、マーカツト会談にこの問題を出しまして、二時間ほど実に熱心な討議をされたのでございまするが、先方はどうしても聞き入れなかつたのであります。大体先方認識としては、日本では重油その他の石油製品はまだ需給から安定したとはいえない。これはまあそう考えまするのは、推察するところでは丁度その頃石炭不足して、その代用重油を入れなければいかん。又電力不足しておるので自家発電を奨励させる意味で、自家発電用重油を入れなければいかんというので、大量の重油特別輸入懇請をいたしておつたわけであります。そういうふうな事柄を前にしながら、石油類需給のバランスはとれておるということを申したところ、どうも先方に対してこちらの主張が迫力を持たないというわけで、先方とこちらと現状に対する認識違つておるのでありまして、その違つた前提の上で議論をするものでありますから、なかなかこちらの説を納得しなかつたというわけであります。でそのマーカツト会談で不調であるということになりましたので、止むなく次の手として価格改訂ということを研究せざるを得なくなつたわけであります。
  7. 松浦清一

    松浦清一君 物価庁として統制撤廃ができないから、その値上をしようというのでなしに、そのときに承わつた説明によると統制撤廃のあるなしにかかわらず、現状においては値上をしなければならんという御見解のように承わつてつたのですが、それは違うのですか。
  8. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 統制撤廃すれば問題はないわけでありますが、統制を……、
  9. 松浦清一

    松浦清一君 それは時期の問題ですね。撤廃すると言つたつて今すぐ撤廃することはできないのだから、撤廃されるまでの暫定措置として、統制撤廃になるということを前提として物を考えて行くのと、いつまでも統制を継続しなければならんという建前から物を考えて行くのと、ちよつと違うわけなんです。
  10. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 現状においてはとにかく値段を上げないといけない、公定価格制度をいやしくも続けるならば、現在の程度価格ではいけないということで、而もできるだけ早く公定価制度は停止しなければいけない、こういう考を持つておるわけであります。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 結局そのなんですね、統制撤廃問題というのは、現在の日本の置かれておる立場においては、総司令部許可がないというと撤廃するということはできない。併し政府部内で統制撤廃を可とすることに方針が決定しておるなら、講和條約が発効されて総司令部の何と言いますか、監督というのですかね、そういうことを受けないように、自主的に日本政府方針をきめて行くということができるようになれば、それは撤廃されるのですね。
  12. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) そう考えます。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 そうするとその時期は、講和條約発効後ですから、これはまあ推定になりますけれども、大体来年の三、四月頃までには各国が批准されて、講和條約が発効されるものと考えられるので、その頃になれば撤廃されるわけですね、これは確定的ではないけれども、推定ですけれどもそう考えておるわけです。
  14. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 極めて普通に考えますとそういうことが考えられます。
  15. 松浦清一

    松浦清一君 だんだん説明を承わつたのですけれども、ここに僕とあなたがたの認識の相違が少しあるのですが、どうして三カ月や四カ月値上げをしなければならんかという問題ですが……。
  16. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 公定価格制度は、それ以上高くちや刑罰に処するという制度でございまして、そういう非常に強い制度を布きながら、而も業界赤字を出させ価格をきめるということは、我々政府としてはできないことでございます。これは今のは形式的な理窟でございますけれども、実質的な理窟といたしましても、これだけのちよつと少い価格引上げのようでございまするが、これを現行価格で今の扱い量の油を売をとしますとその損害というのは莫大な額でございます。これは資源庁のほうから、あとからその金額説明して頂きたいと思いますが、それを而も極く少数の商社で負担するといたしますると、これは容易ならんことで、その会社の存立にも根本的な影響を与えるということになつて来ると考えます。そういうわけでこの下半期の、最も大量の重油が急速に供給されなければならないという段階におきましては、余り輸入して赤字が出るというふうな価格を、政府が強制するということはいたしたくないのでございます。
  17. 松浦清一

    松浦清一君 この損害をこうむる業者というのは、恐らく油の輸入業者と思いますが、そうなんですか。
  18. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 油を輸入する業者であります。
  19. 松浦清一

    松浦清一君 損害を実際にこうむるか、利益が少くなるかというだけの問題なんですが、問題は現在の日本の、まあ水産委員会立場から言うと、漁業方面に使われておる油の公定価格と、通常闇で流れておる価格とは、実際問題として市場でどういう関係になつておるかということを考える必要があるわけなんですね。だから油の輸入業者のほうに損害を与えない、こういう建前統制価格考えて行くというと、統制価格よりも安い価格で油を手に入れることのできる者は損をするわけですね。配給を受ける者であれば公定価格という高い油を買つて使つて、そうして統制を受けない自由に闇で買つておる油は安いものを買う、こういうことになる。実際にはこの点統制撤廃の可否というものが前提になりましようけれども、若し統制価格というものがなければ、現在の水産業者というものは、今の公定価格よりももつと安い価格で油を入手できるという奇現象が出ておるわけです。そこに問題があるのです。それは役所のほうで、テーブルの上で計算をしてみるというと、いろいろに出ておるように、計算上は、やつぱりそういう建前をしなければ輸入業者は損をするだろう、損をすれば輸入しなくなるだろう、輸入しなくなれば日本の油が少くなるだろう。こういう考え方は、一応机上の計算としては持てるのでありますけれども、水産業界の実情は公定価格よりもつと安い価格で油を入手することができる、こういう奇現象にあることをどうして解決することができるかという問題なんです。
  20. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) その点はつまり現在までのところをお考えになつて言われておるのだろうと思いますが、これから後のことを考えますると、必ずしもそうではないのではないかというふうに考えます。それは現在すでに若干変な現象が現われつつあります。輸入業者がこれから輸入するものについては、相当新らしい世界市場価格を基礎にした価格要求し、そのために話が停頓しておるというような事例が私たちの身辺にも起つております。そういうわけで、これまでは一応相当市場もだぶついておりまして、大過なく来たかと思いますが、今後はそういうわけには参らないのではないかというふうに感じられます。
  21. 松浦清一

    松浦清一君 それではあなたのほうで考えておられる、実際の日本に現在持つておる油のその量は一体どのくらいですか、それから四月までに輸入されると推定される輸入量はどのくらい、需要量は多くてどのくらいのパーセンテージになるか、需要というのは需要要求量ですね。
  22. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) これは経済安定本部から来ておりますので……。
  23. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 只今手許石油需給表数字を配付いたしましたのですが、ここの中で一番関係のございますのは重油でございますから、私の説明重油に限つて申上げたいと思います。この表にございますように、重油年間需要は約二百六十七万キロ、これに対して毎四半期五十万キロ程度割当をいたしておつたのでありますが、最近に至りまして、石炭需給の逼迫を反映いたしまして、重油による代替といいますか、重油転換の問題が相当強く押出されて来た関係で、五十万キロ程度割当は現在十—十二月の割当におきましては約六十七万キロ、一—三月の割当予定をこのぺース考えて行きますと、七十五万キロ程度割当考えざるを得ないようになつて来ておるわけであります。これにつきましては、先ほどの御質問のように、重油供給源としましては、国内に原油を入れまして精製をして、これで補給する道と、もう一つ重油を單味で輸入して補給する道とがございますが、現在までは、ほぼ国内生産が三十万トンで、輸入は二十万トン内外と考えられていたのでありますが、この需要増を反映いたしまして、その比率はむしろ今後においては反対になる可能性があるわけでございます。と言いますのは、今までは六〇%が国内生産で四〇%が重油輸入量でございましたが、この旺盛な需要増を一時的にもせよカバーするためには、むしろ国内生産補給率は四〇%程度で、あと六〇%を輸入に仰がなければならないように、今のところ考えている次第でございます。この表にございますように、そのようなやり方によりまして需要をカバーして行きましても、年間を通じての重油補給率は一〇〇%まではどうしても行きません。八九%程度補給できるように今のところは考えておるわけであります。それで、更に重油の欄の下のほうを御覧になつて頂きますと、その場合においてこれだけの割当をいたしました責任官庁としましては、この割当に見合う供給力予定しておかなければならないのでありますが、残念ながら現在のところその割当をいたしますと、今のところ我々の供給の見込みに対しましては、八万八千トン程度の赤が出るという勘定になつているのであります。言い換えればこの八万八千トンについての供給源というものについての手当は現在のところまだついておりません。従つてこれは今後行われる外貨折衝の面で何とかして製品輸入外貨、即ち重油輸入外貨の増額を要求するという面と、それから国内における精製工場に協力を願つて重油生産を上げてもらうという、この二つの方法を目下検討して推進している次第でございます。  以上簡單でございますが……。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 日本におきましては、油の絶対量が不足をしているので、国内産にしても、それから輸入にしてもその量を殖やして行くということの不断の努力政府がなさるということは、これは当然の話なんです。私の聞きたいポイントというのは、前に伺いましたように、現在日本が持つておる油の全体量、それから、四月頃に統制撤廃されるものと予定して統制撤廃されたから輸入が増大するとか、国内産が非常に増産されるとかいうことにはならんでしようけれども、一応その頃合を目安として考えてみて、今の政府の最大の努力拂つて輸入量を高め、国内生産を高めて行つて、今業界から要求をしております何%ぐらい確保ができる御自信がおありでしようか。八九%と伺つたのですが、これは大体来年の三月一ぱい頃まで目安にしてのお考えでございますか。
  25. 近藤勝

    説明員近藤勝君) これは来年の三月一ぱいを目標にしました年間を通じての需給率でございます。従つてその欄の二行下に、マイナス八万八千トンとございますのが、先ほど御説明いたしましたように、まだ手当がついていないわけでございます。ですから八九%の需給率を確保するためには、更に少くとも八万八千トンについて今後速急に手当をつけなければならないという段階でございます。
  26. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 松浦委員の言われた、現在の手持量はどのくらいかということはわかりませんか。
  27. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 現在の手持と申しますと、在庫意味でよろしうございましようか。
  28. 松浦清一

    松浦清一君 そうなんです。
  29. 近藤勝

    説明員近藤勝君) それでしたら大体十月一日には十九万一千トン程度推定しておりまして、まだこれははつきりした数字は出ておりませんけれども、大体そういう推定をしておりますが、来年の一月一日の予想は、四万六千トンに減少する予定であります。
  30. 松浦清一

    松浦清一君 それはわかりました。これはあなたがた政府の帳面に載つている在庫量ですね。闇で流れているやつは幾らあるか、わからんのですか。闇で保有されている油は幾らあるかはわからないわけだね。抑えどころはないわけでしよう。
  31. 近藤勝

    説明員近藤勝君) この在庫と申しますのは、第三次基地までの在庫でございますから、大体闇でこれ以上にその基地で持つているということは考えられません。むしろ、それよりも下の段階消費者に近い部面に若干の闇はあるかと思います。
  32. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、細かいことを聞くようですけれども、大体日本在庫している油というものを、政府は抑えられているわけですね。その抑えている在庫品が、配給をして行く、その配給消費者手許に渡つて行く間に、価格が闇で動くというだけの問題で、量が実際にあなたがた抑えていらつしやるよりも多いから公定価格よりも安く流れるということではないわけですね。
  33. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 闇を二つに分けてみますと、我々の予定している供給量よりも以上の闇というものは余り考えられないわけでございまして、むしろ供給者消費者との切符に見合つているかいないかというところに若干の闇が今のところ考えられるわけでございます。言い換えれば、需要者でこれだけの油は要らないという者が、これを受取らずに、別な需要者がそれを闇で買つて取得しているという闇が考えられるわけでございます。これは若干あると存じますけれども、前に御説明したような、この供給力よりも大きな供給力があるというふうな闇は今のところございません。これはほかの製品と違いまして、あとにも先にも補給圏輸入ということよりほかにございません関係で、その点についてのアンバランスは余りございません。こういうふうに考えております。
  34. 松浦清一

    松浦清一君 先ほどの説明の中で、電力不足のために、その方面相当量の油を廻さなければならんという御説明であつたのですが、現に電力発電用のほうに重油が廻つているわけなんですか、これは……。
  35. 近藤勝

    説明員近藤勝君) これは一四半期を通じまして約五万キロ程度でございます。従つて下期を通じて十万キロ程度電力関係重油転換分の油を予定しております。これは石炭量で申上げますと、大体二十万トン程度石炭の節約になつておるわけでございます。
  36. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、現にこれから考えて、来年の三月一ぱいまでに十万トンの油は電力方面に廻さなければならんということを予定しているわけですね。
  37. 近藤勝

    説明員近藤勝君) そうでございます。
  38. 松浦清一

    松浦清一君 あなたのほうのお考えでは、実際の油を消費している現場においては、需要量の何%くらい油の配給があればこの仕事はやつて行けるというお見込みがあろうと思うのですが、どう見込んでおられますか。需要量の一〇〇%なくても実際に事業というものが運転されて行くのだという大体ぎりぎりの限度というものがあると思うのですが、これを常識的に考えて、どのくらい油を配給されれば水産業はやつて行けるという、こういうお見込みの数量というものはございますか。
  39. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 非常にむずかしい御質問なのでございますが、これは一四半期の短期間を見ての御説明はできないと思うのでございます。というのは、先行きが需要量について一〇〇%程度充足できるという見込みがつきますと、供給者のほうも、それから需要者のほうも、安心して油の授受をやる関係で、その場合には、極端に申しますと八五%乃至九〇%ついても何とか消費節約その他の点で我慢して行けるということも考えられるわけでございますが、先行きが段々高くなる、或いは入手が困難になるというようなことがございますと、一躍買溜めその他の問題も起りますし、販売業者のほうもできるだけ売惜みその他いろいろ難癖をつけるというような関係で、我々の予想していたよりも大きな需要が生れて来る。潜在需要が生れて来るというというような関係で、この場合は八〇%になつても、九〇%になつても、極端に言いますと一〇〇%あつても、先行きが悪いということだと安心ができないわけでございます。その点私のほうでは、今のところどの程度あれば安心かということは相当先きを見越して考えなければならないので、余り数字的に言明するわけに参らないわけであります。
  40. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると、今までお尋ねした分を要約して伺いますというと、この表によりますと、八万八千トン不足をするということは、これからの四半期ですね、来年の三月一ぱいですね、今から来年の三月一ぱいまでに八万八千トン不足する、これだけの不足が今の状態よりも改善されれば国内産は或いは輸入量が改善されれば八九%ですか、一〇〇%ですか、需要量に対して八万八千トンあれば一〇〇%になるのか、八万八千トン不足しても八九%の配給というものは確保できるかという問題なんです。
  41. 近藤勝

    説明員近藤勝君) その点は八万八千トンが確保できても八九%までしか行かないというのです。
  42. 松浦清一

    松浦清一君 八万八千トン確保ができなければ、計算したらわかるでしようか、何%ぐらいになりますか、この供給量は。
  43. 近藤勝

    説明員近藤勝君) お答え申上げます。ストツクなんか全部吐き出して八五%程度になると思います。
  44. 松浦清一

    松浦清一君 大体我々のほうの推定した計算によりますというと、今までの状態から考えて、需要総量の八〇%あれば、日本の水産業はやつて行ける。と言つたところで減らされちや困るでしよね。実際のところ八〇%くらいあれば、日本の水産業はやつて行けるわけなんです。だからその値段を上げることによつて八万八千トンの輸入は可能である。値段を上げなければ、八万八千トンの輸入は不可能であるかもわからん。若し不可能であるというような状態になつても、水産業の分野から考えると、八五%全体量において確保できれば値段を上げてもらわなくても結構だ、こういうとことになるのですか。
  45. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 只今申上げましたこの八万八千トンの赤字と申しますのは、供給力の合計が二百三十一万トン確保されたということを前提としても、なお八万八千トンの赤字が出るということであります。従つてこの供給力が二百三十一万トンを確保するためには先ほども申上げましたように下期においては六〇%程度、上期においては四〇%程度輸入というものを前提としての二百三十一万トンでございますから、ですからちよつと御質問趣旨の中に誤解があるのかと存じますが、八万八千トン以上に更に二十五万トン程度の、一四半期三十万トン程度輸入というものが前提でございます。
  46. 松浦清一

    松浦清一君 もう一遍説明して下さい。八九%配給するのには、もう八万八千トン要るわけでしよう。なお八万八千トンなければ計算上八九%を配給することができない、こう言うのでしよう。私の伺つたのは、八万八千トン若し値段を上げるということにしないと入らない、こういうことを想定した場合に、どれくらいの配給量になるのかと言つたら、八九%くらいになる、こうおつしやるのでしよう。
  47. 近藤勝

    説明員近藤勝君) そうではございませんで、八万八千トンが入つて来ないときには、八五%ということでございますが、輸入全量が入つて来ないとなれば、相当低下するのでございます。
  48. 松浦清一

    松浦清一君 それはわかるけれども、理窟を言うようだけど、今の値段を値上げをしなければ、輸入業者は商売をやめてしまつて輸入をしないかというと、そんなことはないのですよ。
  49. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 併しそうなれば、根底から違うのでございますが、割当計画が大体一四半期に先ほど申上げましたように一月——三月では七十五万トン程度予定しておるのでありますが、これをカバーするためには供給力としましては、国産原油から造り上げます重油が約一万四千トン、それから輸入原油から造り上げます重油が約二十九万トン、それから製品によつて輸入予定しておりますものが、三十万八千トンでございます。その製品の三十万八千トンというものが現在の価格輸入できるかできないか、という問題かと存じますが……。
  50. 松浦清一

    松浦清一君 あなたがたの考えでは、大分問題が集約されて来ましたから……結局値上げをやらなければ今の油の輸入業者は損をするから油を輸入しなくなるだろう。それでは日本の油の量が少くなつて困るということなので、引合のとれる値段にしなければ、業者輸入のできる程度に、引合がとれる価格にしてやらなければ入らなくなる、こういうことなんでしよう。そこが認識の相違なんですよ。我々のほうの立場から考えましても、やはり油が入らなければこれは困るわけです。それだけの値上げをしなければ業者が油の輸入をやめるかというと、そんなことはないという確信に基いて言つておるわけです。そこにあなたがたと認識の相違があるんですがね。
  51. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 実は重油需要が専ら水産関係でありますれば、そういう解決をしてもらつてもいいのです。ところが全体の重油需要の中で水産関係は三割ぐらいなんです。他の運輸関係そのほかの鉱工業関係のものがその解決に巻添えを食うのを我々じつと見ているわけにも行かないのでありまして、我々としてはそんなふうにしてどつちかが、龍虎相打つて一方が倒れるということを見る前に、成るべく穏やかに事をおさめたいというわけで、苦心をしておるわけであります。
  52. 松浦清一

    松浦清一君 だがら私は、話はたまたま水産委員会で話をしておるから水産関係立場から、言葉は水産関係が多くなりますけれども、油の配給量だとか、配給率だとかいうものは水産だけに限定されたことではない。全体量の上から調べるならば、私どもの見方では、大体需要総量の八〇%程度あれば操業にそう大して大きな支障は起らん。こういう実際上の見方なんです。だから若し八万八千トンの油が政府の至大なる努力にもかかわらず確保ができないということがあつたとしても、万一あつたとしても、八五%の配給量があれば来年の三月までは困らない。而ももう一遍考えてみなければならないことは、それだけの値上げをしなければ業者は業をやめる、油の輸入業をやめるかといつたら、そういうわけではない。こう認定するわけです。若干儲けが少くなるか、儲けが多くなるかということはありますけれども、やはり油の輸入業者輸入業者として、ぶつぶつ言ながらもそれは輸入するに間違いないと思いますよ。そういう考え方があなたがたとちよつと違うわけでしよう。私は値上げ反対の意思表示をしておいて、議論するのはやめます。
  53. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) いろいろ申上げると長くなりますからこの程度にしますが、今のお言葉に対しては、余り細かいことを申上げないことにいたします。
  54. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私ども統制撤廃になるものと思つて実は安心をしておつたわけでありますが、最近の情勢ではそれがストツプされた。併しながら来春四月頃には早晩撤廃になるという期待は持つておるし、又その可能性もあると想像しております。そうしますと今後の三月一ぱいまでの油についての問題になることは、今同僚委員から頻りに話があつた通りでありまして、その間何とか値上げをせずにつなぐことができないか、そうすればここに強いて無理も行かないと思いますが、仮に運輸業者にしましたところで、値段の上ることを喜ぶはずはないと思います。ただ油が少くなるということによつて困るのであつて値上げはしてもらいたくないと考えておられるに違いはない。併し現在輸入製品国内精製油との歩合が転倒しまして四対六の形になつたということでありますが、そうすると仮に四〇%の精油でありましても、非常にコストが安くつくという話です。そうしますと一方では引上げる。現在でも日本精製しておる石油業者は非常に儲けておるのです。これはお調べになつておると思われますが、大きな配当をしてなお含みが多分にある状態に現在あるのです。そうすると一方では現在マル公でも非常に儲かつておる。従つてこれを割つて、マル公を割つて現在入手できるような状態にあるが、一方では逆にこれを上げて行くということになると、非常におかしな価格がそこに出て来なければならん。ここの表にもございましたが、この値上りによるところの精製業者の収入は、潤滑油等の機械油の値下りによつて相殺するということを言つておりますが、この機械油の値下りといわれても、値下りで結構間に合つておるのじやないか。値は下つておるけれども、それで引合つておるのじやないか。それを何もカバーする必要はないので、それはそれで、ここにあります通りグリースなんかにしましても、一〇〇%の需給率がちやんと合つておる。不足もしてなければ、むしろ過剰になつておるのじやないかと思います。そうなるのが当然の値段であつて、そこに値上げをしただけのものは更に大きな儲けになり、一部の業者は非常に利をすることになると私は思います。そうして一般消費者は誰しも好まない方面に追い込まれて行く。これが而も三月一ぱいまでのものとするならば、この統制撤廃するまでの間において、何とか価格を上げないで操作できないか。今日価格のプールをする公団等の機関がなくなりましたので、輸入品或いは製品とのプールはできないかも知れないが、今松浦氏も言われました通り、必ずしもCIF価格が上つたから上げなければ入らないというのでもないのじやないか。殊に又この八万八千トン或いは二百三十一キロというものは確保できるかどうかというのでありますが、大体油を売ると大きな出目が出るのです。これは必ず出目が出るのです。泡を売るのです。この出目というものは何%くらいお見込みでございましようか。これは私どもも曾つて油の販売をやつた経験がありますので、相当の出目が出る。ここに仮に五%出ますと十何万キロというものが出て来るのです。その出目をどのくらいにお見込みであるか。これは出目というものは結局消費者に持つて行くのです。そうすると今言つたように一〇〇%なくても足りるのだということになる。現在十トン買つておると思つても、実際消費者は十トン買つてないのです。ざあつと入れると、サービス・ステーシヨンへ行つてつてもそうなんですが一ぱいは来ないのです。そこに油を売つておる業者は非常に儲かつて来るのですよ。現実に、それは否定できないのです。そうしますとここに僅か八万八千トンくらいのものが結構出目で出て来ておる。もつと以上のものが出て来やしないか。そうすれば帳面の上では足りないが、実際には余つておるから、それが現在闇に安く出て来るということになるのです。そういう点から考えると、お役所のほうできつちりペーパーの上で計算したときとは実態が非常に違つて来ておる。そこに私は輸入業者の強い力があつて、ただ遮二無二上げなければいかんという圧力がかかつておるのじやないかと思います。お役所のほうに……。それは圧力がかかつておるとはおつしやらないであろうが、何かそういう面がありはしないか。これがまだまだ先へ、統制撤廃の見通しがつかないということであれば別ですが、三月一ぱいまでなら何とか価格を上げないで操作できないか。これはいつも申すことでありますが、運輸業者その他は原料が上る、或いは諸掛りが上れば、運賃が上げられるのですけれども、水産に関しては決してそれができないのです。そこで水産業者は常にこういうことには鋭敏であり非常に困るのです。そこで我々はあえて下げてくれとは言いませんが、ここで非常に価格のおかしな、一方には非常に儲つて、現在でも儲つているのにまだ儲けをやらなければいかん、又一方では油がマル公を割つて供給されているという実情、そうして更に実際面から言うと私は相当の出目、その他によつて現在は賄い得ておるものと思う。そういうことから考え合せますと、これは非常に抽象的な論議になりますけれども、これは油業者にお聞きになつて、本当に心を割つたら、必ずこのくらい出る、何パーセントくらい出ているということは必ずわかるのです。私も曾つては油を売つたこともあるのです。そうしてこの出目というものが相当あるので、油業者から買つてはたまらん、それでみづから油を卸で買うて売つていたところ、たくさん出目が出て、出たやつを又横に流しちやつて罪を受けた連中もあつたのです。そこで実際やると相当出るものなのです。そういうことから考えると、ここに二百三十万というような大きな数字になりますと相当の量がどこかに溜つているのです。実際需給の面においてはそんなに窮屈にならないで、数字の上から言うとそうなりますが、私はそういうふうに考えるのです。そうしますと何とかここに価格を上げないで三月まで現状を持続するという方法がないものか。
  55. 吉岡格

    説明員(吉岡格君) 只今御指摘のありました精製業者が儲け過ぎるのじやないかという点につきましてお答え申上げます。精製業者の現在のコストは昨年の六月——八月の間までの実績を基礎として定められておりますが、その後材料の値上り、或いは原油の値上り等がかなりございますほかに、石炭電力、鉄道運賃その他の諸経費もかなり値上りになつておりますので、これで操業量の増大によるコストの逓減というものもかなり相殺されております。その上先ほどお話がありましたように潤滑油の市価が相当値下りをしておる。それから潤滑油の需給がかなりバランスがとれましたために、各社とも潤滑油の生産を抑制しております。従いましてキロ当り、の製品価格がかなり低下をしておる。こういう状況からかなり実際には精製油の値上りという結果になつております。  今度の価格改訂によりましてまるまるそれがプラスになるというようなことは言えないのでございまして、精製業者としては、若し価格が据置というようなことになれば、改めて原価主義による価格改訂を要望するという態度もとつております。勿論改訂になりました結果は、若干の利益が出るということは事実でございますが、この問題は我々もともと精製業者利益増大とか、或いは輸入業者利益の増大ということを目的としておるのではなくて、飽くまで必要な量の確保ということを重点に置いておるつもりでございまして、業界からの圧力というようなお話がございますが、我々はむしろ当然引合うに足るだけの値段をつけなければ輸入が行われないという点を非常に憂慮しておるわけであります。更に現在日本に対しまする輸入供給源になつておりますアメリカにおきまして、最近の情勢を見ますと、イラン問題の解決が遷延しておりますために、米国内需給が刻々に悪くなりまして重油の輸出等は日を遂うて激減をして来ておるという状況で、来年の一——三月あたりは特に冬場需要増を控えまして日本への輸出等は、仮に価格面によるチエツクなどがないといたしましても、かなり逼迫を予想されるという状況でございます。
  56. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 松浦委員、秋山委員のこれに対する質問で大体この油の値上というものは無理であるということは、これは私ども非常に痛切に感ずる。で私ども見ますと、どうも物価庁は一般の需要者である鉱山とか、或いは水産とかいうことについての御配慮よりも、むしろ精油業者の懐ろ工合等を非常に大切に考えておられるように思いますが、最近の株価を見ても日石でも、帝石でも或いは大脇でも、丸善すべて株の値段が上つておる。いずれも相的高率の配当をしております。又アメリカにおける需要関係はもとよりイラン問題のために多少は窮屈になるかも知れませんけれども、日本に輸出をしておるアメリカの石油会社は大体八社ぐらいで、その他たくさんの石油業者日本に油をやりたいということを私ども直接行つて聞いて来た。そういう関係であつて、何も価格を上げんければその油を売らんというような状況じやなかろう。私らは十分よく資源庁物価庁もこの間の事情を十分一つお察し下すつて、現在の水産業のこうむつておるいろいろの面における打撃を十分念頭に入れて一つ再考して頂きたいということを申上げて今日の石油問題を打切りたいと思います。
  57. 森誓夫

    政府委員森誓夫君) 御意向を一つ部内で研究いたしまして、善処いたしたいと思います。   —————————————
  58. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に漁業法の一部を改正する法律案を議題に供します。これの逐條審議をいたしたいと存じます。「第六十六條の次に次の一項を加える。(許可を受けない中型まき網漁業等の禁止)」、それから順次一つ水産庁から御説明願います。
  59. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 漁業法の一部を改正する法律案といたしまして六十六條の次に、六十六條の二を加えまして、一項、二項、三項、四項、五項というふうに附加えておるのでございまするが、その第一項はここにございまする通り中型まき網、小型機船底びき網、それから瀬戸内海機船船びき網という三種の漁業につきましては船舶ごとに知事の許可を受けさせるという制度を作つたのでございます。これは御承知の通り現在の漁業法関係で六十五條によりまして省令又は規則で以て許可制度ができるような態勢にはなつておりまするが、地方自治法との関係におきまして許可を知事に委任してやらせるというようなことのためには、法定すべきであるというような法理上の問題から規定されておるのでございます。  それから第二項は以上の三種の漁業につきましての定義を書いておるのでございます。第一の中型まき網漁業、これは総トン数五トン以上六十トン未満の船舶によつてまき網を使用して行う漁業であるというのでございまして、五トンから六十トンの間のまき網漁業を中型まき網と称してこれを知事の許可制度にかからせようということでございます。括弧にもございまする六十五條第一項の規定による「省令に基いて主務大臣の許可を必要とする漁業」と申しますのは、これは六十トン以上の船舶によりまするまき網には勿論大臣許可といつたことを予定しておりまするが、中型まき網中、指定された海区におきましてのまき網につきましては大臣許可予定しておりますので、この括弧で特に断つてあるのであります。それから小型機船底びき網の定義といたしましては、「総トン数十五トン未満のスクリユーを備える船舶により底びき網を使用して行う漁業」であるというふうに定義をつけたのでございまして、これによりまして、十五トン以上のものは小型機船底びき網の範囲外であるというふうな関係でございまするとか、それからスクリユーを備えないようなものは小型機船底びきの範疇に入らないというようなことが出て参るのでございます。
  60. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) そこまでをちよつと区切りまして、第一項、第二項について何か御質問ありませんか。
  61. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 第二項に「第六十五條第一項の規定による省令に基いて」云々とありますが、これはまだできていない海区でありますか。指定海区というものですか。
  62. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 指定海区につきましては、この前の委員会で御説明申上げました通り、現在の予定しております海区といたしましては、三陸関係、それから日本海……。
  63. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これはその次の第三項になりますな。
  64. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) そうでございます。
  65. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それではそのときに伺います。
  66. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第一項、第二項について御質問ありませんか。
  67. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、括弧内の分は指定海域におけるものだけでございますか。ほかにはございませんか。
  68. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) そうでございます。
  69. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それからまき網というものの種類はどういうものになりますか。
  70. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 具体的な漁業名称の種類でございますると、まき網、巾着網、縛網といつたような種類でございます。それからなお法律的にここで中型、大型、小型というような区別をしておりまするが、これはここにも書いてございまするように、五トン未満のものが小型関係で、五トンから六十トンが中型、それ以上を大型と称して区別しておるわけでございます。
  71. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私がお尋ねしているのは、中型でなくて、まき綱、例えば巾着網或いは揚繰網とかいつておりますが、そういうものは、今お話になりました縛網等も入るのですか。
  72. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 入ります。
  73. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 縫切網等も入るわけですね
  74. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか。
  75. 玉柳實

    玉柳實君 ちよつと私聞き洩らしたので甚だ恐縮なんでございますが、六十六條の二を加えました趣旨につきまして、何か、知事の許可を受けることにしなければならん法理上の理由があるということをお述べになつたのでございますが、その意味をもうちよつと具体的にお知らせ願いたいと思います。或いは六十二條の本文において、すでに府県知事の許可を受けなければならないことになつているのが、ここでは船舶ごとにということに意味があるのではないのかどうか、その点も併せてお伺いしたいと思います。
  76. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 第一項で規定されておりますのは、地方自治法の百四十八條との関係におきまして、現在でも知事の許可製度にはなつておる部分があるわけでございますが、特に法律であとの規制をいたすような漁業につきまして、知事に許可権を与えて参るというような場合におきましては法律的に規定するというようなことに相成りますので、規定したわけでございます。
  77. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一つ伺いますが、知事が許可をします場合に、従来は非常に入会ができておつたのですが、この場合には或いは第三の「海域を指定し」云々に入るかも知れませんが、併し指定しない海域もあるわけでありますから、数県にまたがる許可はどういうふうになるか。例えば長崎県の許可も受けたり、佐賀県、福岡県或いは熊本県といつたような許可を受けておるが、これは従来通り各県がそれぞれ許可をすることになりますか。
  78. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) この提案趣旨にもございました通り、まき網漁業につきましては、現在のいろいろの入会関係、それから許可関係というものが府県ごとに大分複雑しておりますのと、それから一方まき網が増加の形勢にあつて、それをどうしても他種漁業との関係並びにまき網漁業自体の健全化を図りますためには、現状で以てストップする処置を講ずるというような意味で規定されておるわけでございまするから、従つてその場合におきまして、現在各県ごとの入会関係といつたような、或る海区をとらえまして、そこに各県が入会つているような関係がございました場合におきましては、その海域を指定することによりまして大臣がそれを許可する。従いましてその場合におきましては、各県知事の許可を必要としなくなるというようなことを考えておるのでございます。
  79. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、大体中型まき網漁業というのは、今一番多く普及しているのがまき網漁業でありますが、これは恐らく一県限りのものはないと思うのです。大抵二県乃至は三県の許可を受けておる。殊にあじさばの巾着網のごときは、遠くは北海道まで行つておるといつたようなことで、相当広い範囲に出漁しておりますが、そういうものは殆んど中型まき網、殊にさば漁業となりますと、ここには知事とありますけれども、多くは大臣許可になるというお見込でありますか。
  80. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在さような複雑した海区として予想しておりますのは、三陸の沖合関係の海区、これは県で申しますると、千葉県から青森県の沖合に亘る海区で、これが一つでございます。それから第二番目は中部の日本海海区、これは石川県沖合から兵庫県沖合に亘る海区、それから第三は西日本海区、これは鳥取県の沖合から長崎県対馬沖合に亘る海区という三つの海域を指定海区として予定をしておるのでございまして、その他につきましては大体各県の許可で行く、さように考えております。
  81. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 各県と申しますと、例えば長崎県の例をとりますと、対馬は勿論長崎県でありますが、対馬の北部となりますと、もう五島方面或いは長崎沖合というものは入らないのでありますが、その方面は主として熊本県から入つておりますが、そういつたものはどうなんでしよう。これはまあ一県の許可行つていることになつているわけでしようが、それを仮に両県の許可を受けることになりますと、長崎県の漁船は長崎県の許可を受けている。それが熊本県に行く場合には大臣の許可を受けなければならないことになりますか。
  82. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 今の建前で申しますると、長崎の沖合に熊本のまき網が入つて来るという場合になりますと、その長崎の海域が指定されないとすれば、長崎県知事の許可を要するわけでございます。その海域が指定されますると、いわゆる指定海域といたしましてすべて大臣が許可をいたすということになるわけであります。
  83. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それはわかりますが、先ほどのお話の北部、中部、西部といううちには入らない海区ですか、その入らない場合に、長崎県の漁業者は長崎県の知事の許可を受けてやることができるのですが、それが天草沖へ行つてやる場合に熊本県の許可を受けなければならん、こうなる場合に、これは熊木県の許可ではなくて、大臣の許可を受けるべきかというのです。
  84. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 熊本県の知事の許可を受けてその場合はやるわけであります。
  85. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、まあ指定海区でない所は従来通りに各県の許可を受けて行く、こう了承してよろしうございますか。
  86. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) その通りでございます。
  87. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 わかりました。
  88. 松浦清一

    松浦清一君 この第二項と附則の第二項と関連があるのでしようが、こういう工合に法律が改正されることによつて各都道府県規則とのマツチしない部分があつたりするとどういうことになるのですか。例えば瀬戸内漁業取締規則というようなものがあつて、瀬戸内海の漁業の取締は兵庫県規則でやつておる。ほかの県もあると思うのですが、これに併せて府県規則を変えて行くということになるのですか。
  89. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 当然そういう措置を予想しておるわけであります。
  90. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにありませんければ、第六十六條の一項二項は原案通り決定してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。  それでは第三項に入ります。
  92. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 第三項は、いわゆる知事が許可する場合の枠をきめるというような建前考えておるのでございまして、これによりましてまさ網につきましては、全体の現状ストツプの処置を講ずるところの根拠の規定となり、又小型底びき網につきましては減船整理の根拠規定になるというふうに考えておるのでございまして、ここに規定してございまするように、漁業調整のために必要ありと認めた場合には、都道府県別に知事が行います許可によりまして、その許可することができる船舶の隻数でございますとか、合計総トン数、それから合計馬力数といつたようなものの最高限度を定めることによりまして、それを規制して参るということを考えておるのでございます。それから又は海域を指定し、その海域について知事の許可することができる船舶の総トン数又は馬力数の最高限度を定めることができるというふうに、特殊海域等の場合につきましてはこういつた規定の根拠によりまして現状を規制し、減船措置をとつて参るという趣旨でございます。
  93. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その指定せられたる海域について船舶の総トン数若しくは馬力数の最高限度を定めるというのですが、この定めたものによつて許可するのは大臣が許可することになつて、知事は許可することにならないのですね。
  94. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 先ほどちよつと私も説明が足らなかつたのでございまするが、この三項におきまする海域の指定と申しまするのは、主として小型底びきの場合のように、紀伊水道でございまするとか、有明でございまするとか、伊勢湾でございまするとか、或いは噴火湾でございまするとかいつたような特殊海域を指定するというようなための根拠規定として考えておつたのでございます。それで前に申上げましたまき網の場合につきまして申上げますると、第二項の指定海域というのは当然この定義からは出て来ないのでありまするが、この中型まき網漁業のうちで大臣が指定しました海域につきましては大臣許可にするということで、これは別途省令できめることに予想しておりますので、特に括孤で除いておるのでございまして、この省令による海域の指定というものと三項の法律上の海域の指定の場合とは異なつて考えておりまするので、その点説明が不十分でございましたから、訂正いたします。
  95. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますると、三項における海域は誰が指定するのですか。
  96. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 農林大臣が指定することになります。
  97. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、やつぱりこの前のほうにかかつて来るのでございますかね。海域を指定するということは、これは何に基いて農林大臣が指定するということになるのですか。ああそうか……、最初の主務大臣がかかつて来るわけですね。
  98. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) さようでございます。
  99. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 わかりました。
  100. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにありませんか。なければ第四項、第五項に移ります。
  101. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 第四項につきましては、第三項で主務大臣が最高限度をきめるわけでございますが、さようの場合におきましては、よく実態に合うように各方面の意見を聞いてきめる必要がございますので、中央漁業調整審議会の意見を聞いて定めるというような規定にいたしておるのでございます。  それから第五項は、今申しました最高限度をきめました場合におきましては、この最高限度以上の隻数なり或いはトン数なりの船舶につきましては許可をしないということを規定いたしまして、その枠の励行を考えておるのでございます。  それからその次の百三十八條中、六号を七号とし、六号として次のように加えると申しますのは、以上申しましたような関係で、知事の許可といつたようなことを明白に法定いたしましたので、知事の許可を受けないで営んだものに対する罰則を設ける必要がございますので、一号を挿入したわけであります。  それからなお、政府提案のこの案に対しまして、衆議院の水産委員会のほうで修正があつたのでございます。その修正の個所を申上げますると、只今読みました四項の中央漁業調整審議会の意見を聞くというような場合におきましては、これだけでは不十分であるから、実情をよく知つておる関係都道府県の意見を聞く必要があろうということで、さような文句を附加えまして、「関係都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見を聞かなければならない。」というふうに修正があつたのでございます。  それから、あとは附則の修正でございますのでそのときに申上げます。
  102. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 第四項、第五項について御質問ありませんか。
  103. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 第五項のですね、「最高限度をこえる船舶については、第一項の許可をしてはならない。」とありますが、これは総トン数或いは馬力数、隻数とこうなつておりますが、そうするともう隻数もきめられておる、仮に二つの船を一つにしてこれは減す場合には差支えないか、又併わせてこれを大きくするということについては差支えはないわけですね……よろしうございます。
  104. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。  それでは御質問がなければ附則に移ります。附則の一、二を御説明願います。
  105. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 附則第一項については、法律の施行期日を書いてあるのでございますが、中型まき網、小型底びき網、それから船びきのの三種類の漁業につきましては、それぞれ別にし、準備段階等も考慮しまして施行する予定になつておるのでございまして、大体の予想といたしましては、小型底びきにつきましては、できるならば一月から二月にかけてやりたい、それから中型まき網につきましては、現在のところ三月を目標にやりたい、それから船びきにつきましては小型底びきと大体同じ時期に施行したい。かように考えておるのでございます。  それから第二項でございまするが、これは中型まき網につきまして現在都道府県知事の許可を受けておる船があるわけでございますので、さようなものにつきましては許可事務を省略する意味におきまして、施行後一年間、括弧にございますのは、その一年以内に許可期間が切れるものがあるわけでございますので、それは切れるときまで、これは許可を繋いでおこうというような趣旨に出ておるのでございます。
  106. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 附則の第一項、第二項について御質問ありませんか。
  107. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 この一項の「公布の日から起算して三箇月をこえない期間」というのは、今お話があつたのでありますが、そうするとその間に都道府県が許可を与えたものはどうなるのですか。
  108. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在さようなことの余り起らんように通牒、その他で指導しておるのでございます。恐らく事実上さようなことが起らんと予測しておるのでございますが、仮にさような事態があつたといたしますれば、法律の適用といたしましては、これに形式的には該当するわけでありますが、実態的に調査をいたしまして、その取扱につきましては善処したい、かように考えておるのでございます。
  109. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか、ではないようでございますから、それでは第三項に移ります。これは衆議院の修正でございます。
  110. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 第三項は衆議院の水産委員会で修正になつたのでございまするが、それによりますれば、主務大臣が定める海域において、総トン数十五トン以上で主務大臣の定めるトン数に達しないスクリユーを備える船舶によつて底びき網を使用して主務大臣の定める漁法によつて行う漁業は、二十九年三月三十一日まで小型機船底びき網漁業とみなして取扱うということによりまして、たとえこの法律の関係で十五トン以上のものは小型底びきとしては該当しないのではありまするが、実体関係から申しまして、かような例外を認める必要があろうということで規定されたのでございます。実質的に申しますると、或る漁村が大体十五トン以上の小型底びきの類似船を持つてつて、それを法律施行と同時に全部認めないというようなことになりますると、漁業者の側から申しましても、失業問題、その他の非常に複雑な関係が起つて参ります。村自体から考えましても、村の財政的にも影響して、村の立直りといつたようなことも問題になつて来るというような場合も予想されますので、かような修正がなされたと承わつておるわけであります。
  111. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本件に御質問ありませんか。
  112. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この「主務大臣が定める海域」とありますが、これは前にも主務大臣が定めた海域でありますが、これはどういう海域を考えておられるのか、瀬戸内海、紀伊水道或いはどつか徳島県の北部海域或いは同県中部海域とする、或いは又そのほかに何か別の海区を考えておられるのですか。
  113. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) この規定は、只今申しました道り極く例外的な問題を救済する必要があるために規定されておるわけでございまして、この規定によりまして全体の減船整理といつたような問題に影響するようなことになりますると、いろいろと支障がございますので、御質問のございました「主務大臣が定める海域」と申しまするのは、現在紀伊水道の一部の極く限定された海域を考えておるのでございまして、その他の海域については考えておらないのであります。なお将来も又その他の海域を指定するというようなことを予想しておらないのでございます。
  114. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 次に総トン数十五トン以上で「主務大臣が定める」云々とありますが、この主務大臣の定めるトン数というのはどのくらいの程度を予想しておりますか。
  115. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) この主務大臣の定めるトン数の範囲につきましては、現在二十トン程度で抑えて参りたい。これは小型底びきとみなす漁業として取扱う関係がございますので、余り大きい船を認めて参るということになりますと、全体の体系が崩れて参りますので、二十トン程度で抑えて行く、かように考えておるのでございます。
  116. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 次に主務大臣の定める漁法によつて行う漁業とありますが、これは打瀬なんかを考えておられるのですか。
  117. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在打瀬の範囲を考えておるのでございます。
  118. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この附則の第三項は衆議院の修正になりておりますが、瀬戸内海の連合海区漁業調査委員会では、これに反対の決議をしておると聞きましたが、この点はどうですか。
  119. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 小型底びきの範囲につきまして、これを十五トン未満といつたような限界でやるというようなことで審議をされたのでございまして、十五トン以上を全然認めない、認めるか、認めないかといつたようなことにつきましては、審議はされておらなかつたのでございます。
  120. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この附則に該当する漁船は、先ほど御説明にありました極く限られた部分だと思いますが、何県の何村の漁業協同組合に所属する船でございますか。
  121. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 水産庁はいろいろと調査をいたしました結果、現在徳島県の北灘村漁業協同組合といつたようなところを予想しておるのでございます。具体的に申しますると、北灘村につきましては、十五トン以上の船が三十一隻あるのでございます。そこでそのうちまあ手ぐりが七隻と打瀬が二十四隻、その二十四隻の打瀬のうちで先ほど申しましたように、二十トン以上が十二隻、半分の十二隻になつておるのでございます。従いましてこの三十一隻全部をなくしてしまうようなことになりますると、先ほど申しました重大な結果になるわけでございますので、少くともこの手ぐりの七隻と二十トン以上である打瀬の十二隻、全体のまあ六割程度を減船するような措置ができることになれば、只今申しましたような影響というものも、その回復しがたい打撃を与えないだろうというようなことを考えておるのでございます。
  122. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この條項を入れたために企図しておりますところの小型底びき漁業の整理に非常な混乱を来たして、所期の目的を達成するに非常な混乱を生じて來やせんかと憂うるものでありますが、その辺如何でありますか。
  123. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話の通りこの指定を濫発いたしますると、減船、小型底びきの整理に支障を来たす虞れがあるのでございまして、そういつたことが予想されますので、水産庁といたしましては、先ほど申上げましたように、北灘村の漁船に限つて認めたいと現在考えておるのでございまして、指定のそれ以外の地域に亘つての指定の濫発といつたようなことは、行わないというふうに考えておるのでございます。
  124. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 次に、仮にこの主務大臣の定める海域を、最小限度の徳島県北部及び中部の海区ときめまして、トン数は十五トン以上であつて十七、八トンに達しない船、それから漁法は純然たる打瀬に限り、当該漁村は徳島県の某々村に限るとした場合、弊害は少ないだろうと思いますが、それでもこれに対して、現に打瀬の許可を以て、同県の漁船で、同海区で操業しておるもの、又他府県のもので、打瀬の許可を受けて同海区に接近しておる海区で操業している他の船からも同様の要求が出て来ないか。これがために折角の整理案が実行できなくなることはないでしよう。そしてこの條項は是非必要だとすれば、最小限度にとめる意味で、「主務大臣が定める海域において」とあるのを、更にこれに追加して主務大臣が定める地域の漁船でとする必要はないでしようか。
  125. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 御指摘のような心配が起らんように処置いたしておきたいと思いまして、この処置につきましては関係県とよく協議いたしまして、指定の仕方なり、或いは枠付の方法等を慎重に考慮いたしまして、よく調整して混乱の起らないようにやつて参りたい、かように考えております。
  126. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 昭和二十九年三月三十一日までとされたのはどういう意味なんでしようか。
  127. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 御承知の通り小型底びきの減船整理の関係は、大体五カ年間を目標にしてやつて参るようなことになつておるのでございますが、かような例外的な関係につきましては、成るべく早く終了さして行きたい、併しながらそれに対する対応策を或る程度漁村で考うるべき準備期間を考えなければならないというような意味合におきまして、せめて二ヶ年という期間を考えたのでございます。
  128. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにありませんか。
  129. 玉柳實

    玉柳實君 秋山委員からいろいろ御心配がありましたのでありますが、私もかような法文の書き方、即ち主務大臣が定める海域において云々というような書き方をいたしますと、御説明がありましたような、特定の、例えば徳島県の北灘村の協同組合に所属するところのものに限るというような指定は困難であつて、十五トン以上で云々という定義に該当する船舶はすべてこの規定の適用を受けるということになるわけでありますが、お話しの紀伊水道、どういうふうな定め方をしますか。紀伊水道というように広くしないで、更に北灘の村の前面の海域のみを指定するのかも知れませんが仮に紀伊水道というように広く指定されますと、今のような非常に不都合を生ずるという虞れがあるようになると思うのであります。それで厳格に特定の地域に限定するという御意向ならば、どうもこの文章では不安な気がいたすわけでございます。即ちもう一度お尋ね申上げますと、紀伊水道の海域には、北灘漁業組合と同様な状態にある船舶が相当に存在しておるのであるかどうか。ただ北灘に限つてかような特殊な現象があるので、さような一般的な心配はないという状態にあるのかどうか、いま一度お伺いいたしたいと思います。
  130. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 御質問のございましたような点につきましては、いろいろと検討をしたのでございまするが、船の根據地で押えるか、海域で押えるかといつたような問題があると思うのでございます。漁船につきまして考えて見ますると、大体自分の操業している海域というものがその漁船、底曳船によりまして、大体瀬戸内海におきましては固定しているというような関係もありますのと、根據地関係につきましては、或る程度異動関係考えられるというような二つ意味合いからいたしますと、やはりその村の船を押えるようにいたしますれば、やはりその操業の海域を押えたほうが実態に合うであろうというふうに考えまして、かような規定をいたしておるのでございます。
  131. 玉柳實

    玉柳實君 更に端的にお尋ねいたしますが北灘の漁業協同組合の地域以外には該当の船は殆どないのでございますか、どうでございますか。
  132. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在先ほども申しました紀伊水道に操業する打瀬の関係考えて見ますると、徳島の大潟村、それから橘町の漁村につきましては十四隻ほどでございます。それから和歌山の箕島関係といたしましては五十四隻、その他大阪にも多少あるのでございまするが、これを先ほど申しましたように紀伊水道といつたように全般的に海域を指定いたしますると、これらが全部入る虞れがございますので、北灘村の漁船が操業しておる海域を指定するというようなことになりまして、こういう関係が排除され得るように処置して参つて行きたいと思つておるのでございます。
  133. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私もちよつと質問しますが、この條文に対して先に秋山委員から指摘したように前の本法の第三項にも主務大臣が指定する海域とここにも同じ主務大臣が定める海域と、こうありますが、まあ指定と定めるとは少し違うかも知れませんが、同じような意味の海域のように感ずる、この主務大臣が定める海域といつたのは、一般的な法文であつて、その運用が北灘村一村に適用するというようなことがあり得るかどうか。如何に行政的に考えられてもこの法文がこうある以上は、玉柳委員のように私どもも考えるが、一体水産庁は先に説明されたように北灘村一村に限つてやるというような自信がありますかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
  134. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) この点につきましては、最後に秋山委員の御質問にお答え申上げましたように、具体的な処置をいたします場合におきまして、関係県とよく協議いたしまして指定の仕方、それから漁船の枠付けの場合におきまして、この関係に限定できますようにやつて参りたいと、かように考えるのであります。
  135. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この條文については、一つ特に水産庁において最たる態度で臨んで頂きたい。そうしなければ減船に対して非常な支障を来すと思います。それでは次に参りまして……。
  136. 玉柳實

    玉柳實君 只今理事者から縷々お話のような方針で、今後の方針を講ぜられる御意図ならば、その場合を制限する意味におきまして特別な支障がある場合においてはというような意味の、何か限定的な文字をここに挿入しては如何かと思うのでございますが、理事者のお考えを承わりたいのであります。
  137. 青山正一

    ○青山正一君 私ちよつと席を外しまして、或いは質問が重複するかも知れませんが、この法律に載つてつて、具体的に一体どことどことどこを整理の対象にしておるか。その点を聞かんと、この法律全部の点がわからんと思うのですが、この点も第三項の問題に関連しておるわけなんですが、一体まき網はどういうふうな建前で進んで行つておるか、例えば小型は広島県のほんの一部分というふうな対象になつておるらしいのですが、それから今言うこの徳島県の北灘というふうな建前で進んでおるわけなんですが、法律を施行して行く建前の上において、そういつたことがいいですか、惡いですか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  138. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 御質問の御回答になるかどうかわかりませんが、第一のまき網漁業の関係、これは全国的の規制をやる、現状の増加傾向を一応全部現状で以てストツプするという処置をとりますので、その処置がとり得る範囲内においての規制をやるわけであります。従いまして複雑な入会、その他の関係にあるところを主務大臣が指定いたしまして、大臣みずからの許可に移して参るという点でございまして、地方的にこの指定海区を除きました場合におきましては、地方的にどことどことどこといつたような関係はないのでございます。それから小型底びきの問題でございまするが、この問題は提案理由にもございました通り、五ポイント計画の線に沿いまして、全国的にこの小型底びきの過剰なものを減船して参るということでございまして、隻数で申しますると、全国三万五千隻程度ある小型底びきを五カ年間に二万隻にしようというような目標で進めて参る場合におきまして、まあ県によりましては非常に多く整理されるところもございますし、県によりましては少い隻数で済むところもあるわけでございますが、各県々々といつたようなところを具体的に予定いたしませんで、全体としてこの減船を図つて参るということを考えておるのでございます。なお、その場合におきまして、瀬戸内海でございまするとか、伊勢湾でございまするとか、或いは紀伊水道、有明でございまするとか、北海道の噴火湾でございまするとかいつたような、極く内湾或いは内海関係で、従来からの特殊の関係のある地域につきましては、多少小型底びきの程度を全体的に下げて考えませんと、他種漁業との関係、資源との関係もございますので、下げて考えて参るということを予想しておるのでございます。例えて申しますると、瀬戸内海におきましては大体十馬力といつたような線で考えて行く、それから伊勢湾について申しましても、十馬力を考えて行く、噴火湾につきましては二十馬力といつたふうに、その特殊な海域海域による制限馬力というようなものも併せて処置して参りたい。併し一遍にはさような目標に到達できないような関係もございますので、当分の間例えば紀伊水道は三十馬力だとか、或いは伊勢湾は二十五馬力だとかいうふうな応急的な処置も講じて参りたいと考えておるのでございます。なお船びき網につきましては、それは具体的に資源との関係が目下調査中でございまして、一体どの程度資源的に影響されるか、又他の漁業との関係がどの程度において調整さるべきであるかというような点も研究中でございますが、常識的に申しまして、或る海区には非常に多過ぎて混乱をしておるというようなところもありますので、そういうような地帶で具体的に整理の処置を講じて参つたところにつきましては、この法律の根拠によりまして減船できるような処置を講じさせようという趣旨でございます。
  139. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 先の玉柳さんの質問に対して……玉柳さんの意見と思いますけれども、何か漁政部長の御意見がありましたら伺いたい。
  140. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 玉柳委員からの御質問につきましては、我々といたしましても、非常にその線の引き方のむつかしい点は認めざるを得ないのでございまするが、御承知の通り予定しておりまするところにつきましては、瀬戸内海区でございまして、現在県の許可を受けておるような船はないのでございます。従いまして現在無許可のものを一応本改正によりまして、知事の許可漁業に移すというようなことに相成るのでございますので、そういつた場合におきましては、よく県と協議いたしまして、具体的にそれに限定できるような処置を講じて参りたい、かように考えておるのでございます。
  141. 青山正一

    ○青山正一君 この衆議院の三項ですね、先ほどからの御説明から考えて見て、農林当局はこれを法律的な建前からして入れればいいか惡いか、その点の見解をはつきり示して頂きたいと思います。
  142. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 行政当局といたしましても、かような修正によりまして具体的な問題が救済できるということになりますれば、行政的にこの減船整理の問題を進めて参ります場合におきまして、非常に都合がいいというふうに考えております。
  143. 青山正一

    ○青山正一君 どうもおかしいのですが……。
  144. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) まあ今のところは質問にとめまして、意見はあとにしまして、それでは第四項、第五項、第六項までを御説明願います。
  145. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 第四項につきましては、これは二項におきまして、中型まき網について規定したと同様のことを小型底びき網について規定したのでございまして、御承知の通り現在機船底曳網漁業取締規則の第二十六條の二の規定に基きまして、知事が許可いたしております機船底びき網漁業でございますが、その許可がある部分につきましては、施行後一年間、それからその許可の存続期間中というものは、これを繋いで許可事務の簡素化を図るという趣旨でございます。  それから第五項でございまするが、第五項は、これは現在いわゆる以東底びき網漁業として別個の取締規則がございまして、それによつて大臣の許可を受けておる機船底びき網が、まあ二、三トンの船から七十トンくらいの船に至るまであるわけでございますが、そのうち十五トンに満たない船につきましては、今度の法律が施行されるようになりますると、小型底びきになつて参るのであります。従いましてこれをすべて小型底びきとして処理するというようなことになりますると、実質的には以東底びきといつたような、従来の観念の船が沿岸を操業するということを認める結果ともなるわけでございまして、さような状態は各地におきまして、底びき船が沿岸漁業を圧迫するというような声の強い今日におきまして、結果的に面白くないし、さような秩序を立つべきではないと、こういうように考えましたので、法律施行後一年間は、かような以東底びき船、十五トン未満の以東底びき船というものには改正法を適用せずに、従来通り以東底びき船として従来通りの沖合で操業させる、即ち小型底びきの操業区域よりも、より従来の沖合で操業させるということをやらして行こうということを考えておる次第でございます。従いましこの一年間にさような以東底びき船は極力増トンを実施いたして、十五トン以上の船となつて、正式の以東底びき船としての資格を備えるように指導するということも必要でありましようし、万止むを得ずその増トン工事ができないという場分におきましては、これは一年後におきましては小型底びきというい範疇に入つて参るのでございまするが、現在この小型底びきの減船整理という計画を実行して参る場合におきましては、従来の本当の小型底びき船と、以東底びきから落ちて参ります小型底びき船というような、二種類の小型底びき船がそこにできて来た場合におきまして、減船整理の関係においてどう処置するかというような問題につきましては、別途に考えて処置して参りたいと思うのでございます。別途と申しますのは、全部ひつくるめて小型底びきではございまするが、丁度小型底びきの中にも、正則の許可を得てやつておるものと、然らざる小型底びきとがありますように、以東底びきから落ちて参りましたのと、従来の小型底びき船と、どちらを先に整理して参るかというようなことにつきましては、実情を十分考慮いたしまして処置して参りたい、かような意味であります。  それから第六項の規定につきましては、これは瀬戸内海の機船船びき網漁業に関する経過措置でございまして、先ほど御説明申上げました第二項の規定並びに第四項の規定と全く同趣旨に規定されておるのでございます。
  146. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問がございましたら……。
  147. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今の御説明の中で、この整理のために増トンを認めるというお話でございますが、そうすると十五トン未満の船が極端に言えばことごとく増トンする、或いはその船をやめてしまつて、大きな船に替えるというようなことは、お認めになるのでございますか。
  148. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 無條件に増トンを認めるというわけではございませんで、現在の以東底びきの正規許可船のトン数の範囲内で調整をする、具体的に申しますると、十三トンの船が十六トンになる場合におきましては、その三トンのものは他の正規許可船のトン数を以て補充して参るということを考えておるのでございます。
  149. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると総トン数の枠はもうきまつておるわけでありますね。
  150. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 枠としてきめておるわけではございませんが、一応現在の底びきの許可船を抑制する意味合から申しまして、現在以上に総トン数が殖えたり、総隻数が殖えたりすることを極力防止するように処置して行くという方針でやつておるのでございます。
  151. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか。ほかに御質問ありませんければ、大体質問は終了したものと…。
  152. 青山正一

    ○青山正一君 先ほど席を外しておつたので、前のほうをちよつと……。
  153. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではどうぞ。
  154. 青山正一

    ○青山正一君 先ほど中坐しておつたので、様子がわからないのですが、いま一応お聞きしたいと思いますが、第六十六條の二の第二項です。第二項に、質問が重複するかも知れませんが「(第六十五條第一項の規定による省令に基いて主務大臣の許可を必要とする漁業を除く。)」この「主務大臣の許可を必要とする」ということ、地域別に、一つもう一度お話し願いたいと思います。
  155. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 委員会のほうに御提出申上げました「旋網漁業説明資料」を御覧になりますると、現在まき網漁業の関係は総数二千八百三十三ヵ統、現在の隻数にいたしまして、五千百六十一隻あるのでございます。そこでこれを六十トン以上の大型まき網と、それから五トンから六十トンの中型まき網と、それから五トン未満の小型まき網に区別して考えて見ますると、六十トン以上の大型まき網が二十四ヵ統、隻数で二十四隻ということになつておりまして、そのうちアメリカ式巾着網漁業が十八隻を占めておるのでございます。それから中型のまき網の中で、指定海区として大臣が許可するもの、そういうものにつきましては、この前御説明いたしました通り、指定海区を三陸沖合の北部太平洋海区、これは千葉県から青森県の水面を考えるわけでございますが、三百十七ヵ統、六百隻というものがございますし、それから中部の日本海海区、石川から兵庫に至る海域でございますが、これが六十六ヵ統、百三十二隻あるのでございます。それから西部の日本海海区としまして、鳥取から長崎の間の海区、これが百十六ヵ統の二百十六隻というようなことが予想されておるのでございます。そのほかにこの指定海区以外で、個々の府県で許可をするというものが、中型のまき網として千五百六十一ヵ統で、二千七百三隻ということになつておるのでございます。それから五トン未満で、これは知事が全部許可することになるわけでございまするが、この小型のまき網は七百四十九ヵ統で、千四百八十六隻というような数字になつておるのでございます。なおこの数字につきましては、この法律が施行されますと、全部現状ストツプという処置に相成りますので、具体的にこれに載つておらないで、隠れておるような隻数も出て参るのではないかと思うのでございますが、さような分は余に多くはないだろうと予想しておるのでございます。
  156. 青山正一

    ○青山正一君 この指定海区ですが、三陸を中心として太平洋の海区、それから中部日本の海区、それから西日本の海区、こういつた三つに指定された海区ですね、これはどういうふうな根拠で選びましたか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  157. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 指定海区をとらえましたのは、例えて申しますると、北部太平洋海区について現在青森から、千葉の海域を予定しておりますが、この海域につきましては、千葉のまき網船も青森の三陸沖合でやつております。それから青森のまき網船も千葉のほうに南下してやつておる。相互いろいろと入り合つてつておる実態を備えておるのでございまして、これを一々県の許可をするということになりますと、一つのまき網業者が青森から千葉に至る数県の許可を一々取りに歩かなければならんというようなことが考えられますので、その関係を簡素化する必要もあるし、又入会関係相互の関係も認めて参る必要もあろうということが第一点でございます。第二点といたしましては、各県別に許可を与えますると、自県沖合に操業漁場がないにもかかわらず、許可の隻数だけ殖やして参るというような弊害が多いのでございまして、そのまま放任いたしますと、まき網事業というものが数の上において過剩になつて、まき網業自体の健全性から申しましても、何としても規制して行かなければならんということに相成ると思いますので、そういつた理由を第二点として考えまして、この指定海区を考えたのでございます。
  158. 青山正一

    ○青山正一君 大体三海域ともに量が非常に多いのですか、どうですか。
  159. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 概括的に申しまして、主要ないわゆるあぐり地帶と申しますか、かつお、或いはあじ、さばなりの取れるところとして考えておるのでございます。
  160. 青山正一

    ○青山正一君 この三海域のほかにあぐり地帶として、それに相当する数量以上に取れるところがありますか、その点。
  161. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在予想されますのは、北海道地帶があぐり地帶でございます。この地帶につきましては、北海道に相当各県から入り合つて入る隻数が多いのでございますが、北海道からは余りほかの県に出て操業するというような実態はございませんので、一応指定海区とせずに、北海道の知事の所管にかかる海域に考えてみたのでございます。
  162. 青山正一

    ○青山正一君 どうもこれは腑に落ちないのですね、北海道のほうの関係はどうして三陸地帶のほうに入れなかつたかという問題、それからもう一つは、先ほどからいろいろ入会の問題とかなんとか申しておりますが、西日本海域とか、或いは中部日本の海域、或いは三陸地方の海域、これは農林省で許可する。漁場であろうとも、そういう小さい船であろうともこれは農林省の大臣の許可になつておる。ところが北海道のほうの関係はこれと別扱いだ、その点がどうも私どもが非常に腑に落ちないのですが、最近いろいろな新聞紙上を見ますと、北海道の代議士諸君の政治力に農林省は負けたというような形の下に北海道を外したんじやないかと思うんですが、その点についての意見を一つ御発表願いたいと思います。
  163. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) さようなことではございませんで、水産庁といたしましては、各県とよく打合せてこの海域の指定の予想を考えておるのでございます。
  164. 青山正一

    ○青山正一君 この北海道のほうの関係の入会権は、道知事に全部任す。ところが、西日本とか、中部日本とか或いは山陸方面はこれは水産庁のまあ許可の内容になつておる、そういつた建前にある関係がございます。京都とか、或いは福井、石川あたりへは北海道の関係の入会を水産庁のほうで自由に許可できるような権限になつておる。ところが一方では北海道の知事が自分の入会権を持つておる関係があるからして絶対に認めない、今までこの問題については相当新聞紙上も賑わしておるように僕は見受られるわけなんですが、殊に代議士諸公の政治力、圧力というものが非常に強いように思われるのですが、そういう建前から考えてみまして、この北海道を新たに海区として認めるとか、或いは山陸の方面へそれを入れるというようなお考えはないかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  165. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在までの道庁と水産庁との話合いの経過から申しますると、とにかくこの制度が実施に相成りますると、現状オール・ストツプというような処置で行くのでございまして、農林大臣が例えば道庁の知事に枠を与える、その枠の範囲内で道知事が許可をするということになるのでございまして、その枠の与え方を通じて嚴重に指導監督をするということによつて知事が許可をするという態勢を一般の府県並みにとつたらどうだろうかということで、話合いをしてやつておるのでございまして、只今申上げました通り、北海道から他府県に操業するというようなことがありませんので、その関係を考慮いたしまして、北海道の海域は道知事に許可を認めるというふうに話合つてつておるのでございます。
  166. 青山正一

    ○青山正一君 それではちよつとお聞きしたいと思いますが、水産庁当局のお考えですね。年々年を追うに従つて、例えば知事に北海道のほうの関係のいわゆる許可を与えるというようなことになるとすれば、だんだん、只今多少なりともほかの地方からの入会権も認めておるわけなんですが、年を追うに従つて、これは北海道の地元の業者にだんだんその権限を行く。終いに殆んど他府県から来ておる入会の船がなくなつてしまうというような危惧はないかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  167. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 現在考えておりますのは、この制度で農林大臣が各都道府県別に枠を与えて、その枠内で知事が許可いたします場合におきまして、その枠の与え方が、自県船幾ら、他県船幾らというふうな枠の与え方をして参りたい、かように考えているのでございますので、御質問の点につきましては、その枠の与え方の内容如何で調整ができるかとも考えているのでございます。
  168. 青山正一

    ○青山正一君 只今松任谷部長からいろいろお心強いお話がありますが、その枠の与え方ですね、それをはつきりして、例えば北海道内の船についてはどれだけ、それから北海道以外の各県の船はどれだけというふうなことが水産庁の権限としてできるものかどうか、その点について承わりたい。
  169. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 法律的に大臣が承認して最高限度を定めて、知事に許可させるというような規定になつておりますので、この根拠に基きまして自県船、他県船の区別をして、枠を与えることも可能であるというふうに考えているわけであります。
  170. 青山正一

    ○青山正一君 可能であるということは、そうしなくてもいいというようなことになるわけなんですが、北海道に限つて自県船は幾ら、それから他県船は幾らというふうなことをはつきり水産庁当局として区別して、いわゆる枠を与えるという自信があるかないか、その点についてお聞きしたいと思います。
  171. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 各都道府県全部についてそういう枠付けを実施して行くということで現在方針を決定しているような次第でございます。
  172. 青山正一

    ○青山正一君 そうすると例えば福井県ならば福井県に、自県のものが幾らと他県のものが幾らというふうな建前ではつきり数字を表して農林省で発表するわけなんですか、その点についてお聞きしたいのです。
  173. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) その通りでございます。
  174. 青山正一

    ○青山正一君 私もこのまき網に関係しているわけなんですが、少くともそういつた入会権の問題については非常に今後大きい問題が出て来ようと思うのであります。こういつた際におきまして、最善いろいろ新聞紙上を賑わしたりなんかする事情を考えてみまするのに、農林省が北海道の道庁なり、或いは北海道選出の代議士の圧力に負けているような形であります。そういつた圧力に負けないようなはつきりとした、例えば北海道の海域については北海道の船は何隻だ、或いはその他他府県の船は何隻だというふうな数字をはつきり発表して、今後そういつた政治的な圧力に負けないようなはつきりとした行政府としての建前で今後進んで行つて頂くように、特にお願いしまして私の質問をとめる次第であります。
  175. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体質問は終了したと存じます。  最後にお諮りしたいと思いますが、小委員の各位から石油問題について資源局並びに物価庁に対して質問がありましたが、私どもどう考えましても今石油値上げは無理であると思いますので、水産委員会として、それに反対の決定をして、安本それから農林省その他関係官庁に意思表示をしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではその文章並びに提出方法は委員長に御一任下さいますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではさよういたします。  それから先に上げました定員法に対する修正案、これは内閣委員会交渉しまして多少修正も又あるかも知れませんけれども、これを提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。さよう取計らいます。本日は……。
  179. 青山正一

    ○青山正一君 ちよつと定員法の問題について農林当局にお聞きしたいと思います。多分まあ先般来この定員法の問題については、この水産庁の管轄の内部の問題について恐らく折衝したのだろうと思いますが、一つこれを次長にお聞きしたいと思うのですが、農林省内にある統計調査ですね、これについて水産関係はやはりその部面に入つているわけなんですか、どうなんですか。その点についてお聞きしたいと思います。
  180. 山本豐

    政府委員(山本豐君) 統計調査については、大体統計調査部が統一してやつているのであります。併し水産については全部の統計調査を統計調査部がやつているのではないのでありまして、漁獲高を調査するだけを統計調査部がやつているわけであります。従つてその関係では水産の経験者が若干そのほうに入つているわけであります。
  181. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと青山君に申上げますが、私昨日の連合委員会では特に水産統計の問題について言及しました。
  182. 青山正一

    ○青山正一君 それからもう一点お聞きしたいと思いますが、何と申しますか、水産製品の検査というのは、昔ありましたのですが、そういつた検査員の関係は今どういうふうになつているか、その点についてお聞きしたいと思います。
  183. 山本豐

    政府委員(山本豐君) この検査の関係は大体現在農林省では官房に検査課というのがございます。ここが中心になりまして大体検査を、まあ何か検査規程がございまして、大体格付をいたしまして、格付をきめる場合には、検査法に基いてやるわけです。従つて水産物についての格付の問題については、水産庁の人が行つて連絡をとつてつているわけであります。あと従つて実施の場合には結局検査を誰がやるかという問題ですが、それは大体官房の検査課の傘下にある人がやつているわけであります。
  184. 青山正一

    ○青山正一君 委員長に要望いたしたいと思いますが、やはり日本で一番足らないのは、委員長の持論である水産統計、こういつた面が非常に不十分である。それから、まして今まで四十年来或いは五十年来水産物検査員というものがあつて、今現状においてはこれは水産庁から離れておりますけれども、そういつた面についてのいわゆる人間の整理というような問題も相当大きく謳われているわけなんです。その点についても十分委員長として内閣委員会に対してお話を願いたいこういうふうに考えます。
  185. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私前の廣川農林大臣当時、水産統計の管理をするために、十分統計の方面も人員を充実してやるという言明をされておつたのですから、その言明を裏切つたような整理は、この際絶対に承認し得ないという意味を言つておきましたからその点も十分やりたいと思います。  それからこの次の委員会漁業法を上げたいと存じます質問が終了いたしましたら、討論採決に入りたいと思いますので、成るべく一つ出席をお願いいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会