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1951-11-07 第12回国会 参議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月七日(水曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   委員の異動 十月十九日委員入交太藏君辞任につ き、その補欠として、植竹春彦君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君            松浦 清一君    委員            秋山俊一郎君            青山 正一君            櫻内 義雄君   衆議院議員            松田 鐵藏君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員   水産庁漁政部長 松任谷健太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○渡米議員報告漁業法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○水産物増産対策に関する調査の件  (漁業協定に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  ちよつと私から御挨拶を申上げます。私ども水産議員団は、八月の十三日に羽田を出発いたしまして、極めて順調に予定の日程をほぼ完了いたしまして、十一月の一日の午前一時にサンフランシスコを出発しました。そして三日の午後五時三十五分に羽田に到着いたしました。留守中は松浦委員長代理を初めとして皆様が非常に御熱心に水産委員会の運行に当られましたことについては私ども衷心よりお礼を申上げます。なお、旅行中においていろいろ問題がありましたが、いずれ詳細は何らかの機会において皆様に御報告申上げたいと思います。  ただ一言申上げたいのは、私どもがフロリダ州のペンサコラにおりました当時、廣川弘禪から、電報ではありませんが、電報に類した航空便参つたのであります。その要旨は、「貴団らの滞米中における水産関係についての発言は、米国官民をいたく刺激しつつあり。今後の折衝にも悪影響があるため、以後慎重を期せられたし、親友として心からお願い申します。」こういうようなのでありました。どういうわけでこういうものが来たか、さつぱりわかりませんが、私どもは当初からアメリカ行つたならば、十分日本水産事情並びに貿易関係その他の輸入関係等については、忌憚なく意見を交換したいという決心で、各都市におきましても、各議員から率直にそういうことについての事情を申述べたのであります。殊に第一問題としては、マツカーサー・ラインを講和調印前に撤廃してもらいたいということ。第二番目としては、講和調印後において日本漁船の安全を保障してもらいたいということ。第三には、水産罐詰、殊にツナの罐詰が四割五分の関税を取つておりますが、これは非常にきつい関税である、これを低下してもらいたいという問題。それから日本漁業者が非常に過剰になつて、失業なんであるし、殊に今度の五ポイント計画によつて更に多数の失業者を出すからして、この失業者の処分についてアメリカ一つ十分研究してもらいたいということ。それから日本漁業に対して資金を供給してもらいたい。即ち日本に対する外資導入をやつてもらいたいということ。それから、現在の油が非常に高い、何とかして安い油を日本漁業者に供給してもらいたい。殊に漁業協同組合に対しては直接油の輸入をするよう考慮してもらいたとしうようなことでありましたが、そういうことについては各地において官民の諸君に向つて率直に申しました。又新聞記者に対しても、その事情を十分に申したのであります。私どもアメリカの東海岸をずつと廻りまして、それからカナダとアメリカの境の五湖関係視察並びに調査をいたしました。それから南下してメキシコ湾に沿うた各漁業根拠地等を廻りまして、最後太平洋方面へ出まして、ロスアンジエルス、パロアルトー並びにサンフランシスコ視察調査いたしたのであります。至るところで私どもは率直に申しましたが、併しアメリカ官憲は極めて善意の下に我々の意見を聞きました。そして至るところで私ども非常に愉快にやつて来たのであります。何らいやな思いをしたことは一回もなかつた。それにこういう電報が来たので、実はいささか腑に落ちない点があつたのであります。これはいずれ十分に一つ調査いたしまして、私ども多くの場合における何らかの参考にいたしたいと、かように存じております。なお詳細はいずれかの機会において、皆さんに御報告を申上げたいと存じます。報告はこれを以て終ります。
  3. 千田正

    千田正君 私は水産渡米議員団の一人といたしまして、只今廣川君からの電報について委員長から御報告がありましたが、この点につきましては、一応委員長から廣川君にその真意を質して頂きたいと思います。いやしくも国会に代表として、我々が渡米し、且つ又、我々は長い間水産委員として我が水産界のために熱意を持つてつてつたのでありまして、決して日本水産の不利になるような行動も、言論もやつた覚えもございません。むしろ米国官民と共に隔意ない意見を交換した。至る所で好感とそれから期待を持たれて帰つて来た我々でありまするが故に、特にこの点につきましては甚だ私は遺憾と存ずるのであります。廣川君は自由党の幹部であるかも知れませんが、木下水産委員長も不肖私も自由党の党員ではありません。であるから、彼からそういうような電報を受入れて我々が行動する必要もないし、そういうことに対して我々は甚だ遺憾に考えるのであります。この点につきましては、委員長から特にこの点どういう真意でそういう電報を打つたかということを質して頂きたいと思うのであります。この点を特にお願いいたします。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今千田君の御発言通り、私はアメリカから廣川君には私信をやり、又水産新聞においてもそのことを発表して、我々一行の決心を披瀝しましたが、なおまだ廣川君には会う機会がありませんので、十分会つて一つ確かめて御報告いたします。   —————————————
  5. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは只今から本委員会に付託になりました漁業法の一部を改正する法律案を議題に供します。先ず本法案に対する政府の御説明をお願いいたします。
  6. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 漁業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由の大体を御説明申上げたいと思います。  この法律案は、前国会以来懸案のもので、即ち、昨年三月十四日施行をみた新漁業法においては、漁民による漁業秩序の再建を意図し、旧法に基き免許された漁業権の再編成を行うと共に、許可漁業についても、それぞれ漁業民主化という見地から再検討を加え、漁業制度改革を円滑に実施すると共に、更に又、去る二月十四日総司令部より非公式の形で政府に勧告のあつたいわゆる「日本沿岸漁民の直面にしている経済的危機とその解決策としての五ポイント計画」に掲げられている第一ポイントに対する措置として、お手許に配付いたしてある法律案要綱に書かれているようなことを実施いたしたいと考えております。これは、今述ベた五ポイント計画中第一ポイントにおいて指摘されている乱獲漁業を禁止することにより水産資源の涸渇を防止するため、この法律案に規定されております漁業増勢をとにもかくにも停止することを狙いとしている次第です。ところで漁業許可権限自体は、都道府県知事に委任いたすのでありますが、その許可し得る総枠自体中央においてしつかりと把握してその増勢を停止しようとするのがこの法律案調整方式考え方であります。  この問題につきましては、前国会において相当慎重に討議を重ねれらて参つたもので、ただこれを裏付けるべき予算措置に欠くるところがあり、成立を見なかつたのであります。  今回は、補正予算において小型機船底びき網漁業については二億四百万円、瀬戸内海機船船びき網漁業については二千万円が認められることになつたので速かにこれが実施をいたしたいのであります。  以下本法律案において取り上げました具体的内容について説明いたします。  第一は中型まき網漁業についてであります。現在まき網漁業はすべて都道府県知事許可なつておりますが、現在全部で約三千カ統の数に達し、更に増勢傾向にあります。従つて前述した趣旨に則り、大型船即ち六十トン以上のものはすべて大臣許可漁業とし、中型船(五トン以上六十トン未満)で特殊海域として農林大臣が指定する予定である三陸日本海中部及び日本海西部海域において操業するものは大臣許可漁業、その他のものは本法律案に規定するところでありますが、これについては農林大臣が各都道府県別ごとに定める枠以内で都道府県知事許可することとし、小型船(五トン未満)は従来のままで知事許可に委す方式調整し、これらの増勢傾向を極力抑えて行く予定であります。なお、前二者は、別途農林省令を制定して規律する予定であります。  第二は小型機船底びき網漁業についてであります。この漁業は、現在、機船底曳網漁業取締規則農林省令)第二十六条ノ二の規定によつて規律されているものを主といたしておるのでありますが、いわゆる以東底曳と言われる大臣許可漁業機船底曳網漁業とは取扱を異にし、さほど問題がないものとして知事許可に委ねられております。ところで、この「小型底びき」は、技術の進歩と共に漁獲能率が高まり、且つ、僅少な資本で経営することが可能であることから零細漁民が容易に入り易い漁業でありまして、従つて沿岸到る所で操業され、戦時戦後の秩序の弛緩から無許可操業が常態化し、その数三万五千に達し、沿岸漁業秩序維持に由々しき事態を惹起しております。従つて制度改革との関連からも急速にこの漁業秩序を回復すると共に余りにも資源との不均衡を来たしている点を是正するため、農林大臣が直接都道府県別許可枠を定めて、適正な操業統数減船し、この漁業自身の健全な発達と他漁業との円滑を期そうとするものであります。  第三は瀬戸内機船船びき網漁業であります。この漁業は、主としていわし及びその稚魚を採捕の対象とするのでございますが、小さいものが価格がいいいことから勢い稚魚乱獲を来たしているものでありまして、現在のままその増勢を放任することになりますと、いわし資源危機が叫ばれている折柄、内海における資源に全く破壊的影響を与える虞れがあるのであります。従つてこの漁業についても特に緊急の必要がある瀬戸内海においては、農林大臣が定めた枠以上の許可統数を認めない強硬措置をとることといたしたい。以上がこの法案の主要な内容でありますが、何とぞ慎重御審議上速かに御協賛あらんことを切望する次第であります。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この改正法律案衆議院において修正されましたが、衆議院の当時の委員長代理松田君も、又修正発議者である川村君も留守だそうです。それで修正点についての説明は次の委員会に延期したいと存じます。修正以外の点について何か御質疑がありましたらお願いいたします。
  8. 青山正一

    青山正一君 政府当局にお聞きしたいと思いますが、この中型船ですね、「中型船(五トン以上六十トン未満)」、こういうふうになつておるのでありますが、その特殊海域として農林大臣が指定する予定である三陸、それから日本海中部及び日本海西部海域において操業するものは大臣許可漁業、この三陸とか或いは日本海中部或いは日本海西部区域は大体どういうふうなことになつておるか。その点について御説明を願いたいということと、それからこういつた特殊海域は、例えば五トンとか十トン、そういつた小型のものも全部大臣許可とするかどうか、その点についてお聞きしたい。  第三点は、この瀬戸内海機船船びき網漁業、これはいろいろありますが、瀬戸内海沿岸は全部含まれておるわけでありますが、大体この広島県に幾らとか、香川県に幾らとかいうふうなことで、多少補償の額がきまつておるかどうか、その点についても一つお聞きしたいと思います。以上三点。
  9. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 山本次長に申上げますが、この修正衆議院修正ではありませんが、提案された条項の、今青山委員から質問された条項に関連して説明を要するところは一つお願いいたします。
  10. 山本豐

    政府委員山本豐君) 只今お尋ね海域の問題でありますが、これは実は大体従来の慣例によつて或る海域はつきりどこからどこまでという区域はあるわけでございます。手許只今この地図を持つておりませんので何でありますが、あとの機会にその地図でよくわかりますものを作りまして……。それからもう一つ小型のもの、五トン以下のものも大臣許可にするのかというお尋ねでありますが、これは勿論府県知事許可にしたい。ただその総枠をやはり大臣でまあ握つておきたい、こういう考えでおります。それから瀬戸内海方面県別補償額等があるかということでありますが、これも大体係りのほうにいろいろ検討させまして、一応の資料は持つておるわけでありますが、ただ具体的にこれをいよいよ実施するという場合には、更にそれをよく慎重に検討を要すると思うのでありまして、まだはつきり発表する段階になつておりませんが、いろいろ係りのほうで県から持ち寄つた資料、或いは又こちらから調査に参りました場合のいろいろな材料等を集合しまして、前から一応の案はあるわけでして、これも又必要に応じまして、一つ材料を作りまして差上げたいと思います。  それからこれに附随して説明をという委員長お話でありますので、極く概略を申上げますと、大体中型まき網につきましては、実は昨年度から新らしく殖えるのを一応ストツプしておるのであります。これは水産庁長官から県知事に通牒を出しまして、とにかくストツプしておるわけでありますが、それを法律はつきり根拠付けまして、今後とにかく現状以上には殖やさない。そういたしまして、各海域ごとにいろいろ実情をよく検討いたしまして、或る程度調整を図つて参りたい。併してその結果或いは若干減船整理を必要とするかも知れないと思いますが、それに応じて予算を取る。又必要に応じては減船に着手して参りたい。差当りは一応ストツプしまして、その調整を図ることを考えておるわけであります。  小型機船底びき網につきましては、これははつきりと減船計画を立てておるわけであります。大体御承知のように主として瀬戸内海に最も多いのでありますが、大体小型機船底びき網と通常言われておりますものが現在約三万五千隻くらいあるわけであります。これから大体一万五千隻くらいを減船いたしまして、約二万隻ぐらいを最終的に残したい、こういう計画の下にいろいろと考えておるわけであります。これを一挙にやると申しましても予算関係もございまするので、これを大体五カ年計画で着手したい、五カ年の最後までの見通しをつけまして、今いろいろ計画を立てておるわけであります。初年度といたしましては、先ほど政務次官説明にもございましたように、補正予算におきまして大体小型底曳減船に関する予算が二億四百万円一応大蔵省が承認しておるのであります。そこで当初の計画を若干変えまして、現在我々の考えておりますところでは、大体補正予算の中で差当り減船をする目標が八百五十八隻を考えておるわけであります。この八百五十八隻を大体三種類に考えまして、一つ政府が買上げましてこれを機付にする。これは沈没させるわけになるのでありますが、これは大体トン当り三万円程度補償金を出そう、この関係のものを、一応これも仮定でありまするけれども四百隻ぐらいを見ておるわけであります。それからもう一つは他種漁業に転換するためにいろいろと造作をするわけでありますが、その場合の補償額というか、転換に必要な補助というものを考えておるのでありますが、これが大体四百隻ぐらいを見ておるわけであります。これは大体トン当り二万五千円程度を標準にいたしております。もう一つは改造して運搬船等に転換さす、こういうものを若干考えておるのでありまして、これは八百五十隻予定をいたしております。これが大体トン当り一万五千トン程度予算の上において見ておるわけであります。今回は当初でもありますので、我々が机の上で考えた通り行くかどうか問題でありますが、よくそこら辺を検討いたしまして、これらを参考にいたしまして二十七年以降の予算編成に当つて参りたい。そうして大体五カ年の間にこれを整理いたしたい、こういうふうに考えているわけでります。  それから第三の瀬戸内海機船船曳網漁業の問題でありますが、これは現在問題が非常に差迫つておりますものに例の安芸湾にこの種の船曳網が約百五十カ統ほど整理いたしまして百カ統ほど残したい、こう考えております。これは非常に計画を、昨年あたりから地元で練つておりますので、非常に急ぎますために、この関係予算だけを政務次官説明のございましたように二千万円程度一応大蔵省が了解しておるのであります。そのほか伊勢湾とか、その他にも若干あるわけでありますが、これは先ず今年の分をやつて見まして、それらを参考にした上で、更に調査の上必要な箇所に取上げて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつとお諮りいたしますが、先に松田委員長代理は今見つからんということで、修正点説明は次回に廻すと申しましたが、丁度松田委員長代理が見えましたので、これから修正点の御説明を願うことに御異議ございませんか。
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは修正点について松田委員長代理に御説明願います。
  13. 松田鐵藏

    衆議院議員松田鐵藏君) この漁業法の一部改正法律案に対して衆議院側はこれを修正したのであります。その修正の主なる点は第六十六条の二第四項中「中央漁業調整審議会」を「関係都道府県知事及び中央漁業調査審議会」に改める。こういうことは、要するに水産庁が、現地事情がわからずしてこの許可をやつたり又は整理をするというような事柄が果して実態に合うかどうか、こういう点でありまして、都道府県知事意見というものを十分聞かなければならないじやないか、かような考え方から、かようにしたほうがいいのではないかということで、この点をかように修正したのであります。それから附則第三項の、「主務大臣が定める海域において、総トン数十五トン以上で主務大臣の定めるトン数に達しないスクリユーを備える船舶により、底びき網を使用し、主務大臣の定める漁法によつて行う漁業は、昭和二十九年三月三十一日まで小型機船底びき網漁業とみなす。」、この点が私ども衆議院のほうにおきまして、してもらつてはいけないという反対意見もありますし、又三十馬力に制限してもらいたい、二十馬力に制限してもらいたいとかいう、いろいろな意見が出ておつたのであります。併く折角今年において初めて補正予算でこの予算をも取ることができたので、この場合どうしてもこの整理を断行しなかつたならば、到底共食いになる虞れがある。かような点から、かような法案が出ておるものでありますし、その趣旨則つてあらゆる点を考えて行かなければならないのであるけれども、要は一カ村でこの法律案に基いて行なつた場合においては、トン数馬力において超過するところがある。要するに大きな馬力又はトン数を持つておる、かようなものが、例えば一カ村に九〇%まであるという所も相当あつたのでありまして、これを一挙に法律案のようにやつて行つた場合においては、その漁村経済も、又漁民も苦しむ点がたくさんあるのじやないか。かような点から「当分の間」という字句を当初使つたのでありますが、「当分の間」ではなかなかそれが又来たりになつて来るようなことがあつては困る。要するに予算化を急がなければならないし、漁民に対してはつきりした年月日を知らせておくことが、一番親切な行き方でないか。かような点から言つて、この昭和二十九年の三月三十一日までに整理をするのであるという期間の指示をすると同時に、その間に予算を獲得しようと、こう考えたのでありまして、その間だけ漁村経済の破滅を来たさないようという考え方から、かように修正案を出したのであります。簡単でありますが、説明を申上げて、参議院の各位におかれてもどうか御了承願いたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 修正点を含めた全般について御質問がありましたら……。
  15. 青山正一

    青山正一君 先ほど御質問したのを、次長に更にお伺いするわけですが、山陸とか、日本海中部とか西部海域ですね、大体の見当として府県別くらいの見当はわかりはせんかという問題と、もう一つ中型まき網漁業として五トン以上六十トン未満、こういうものがこういつた特殊海域操業した場合においては、五トンとか十トンとかいうものは、これは知事認可になるのか、農林大臣認可になるのか。この文章を見ますと、如何にも農林大臣認可というような建前なつておるように見受けられるわけなんですが、先ほど次長説明では、それが知事許可するというふうに申しておるわけなんですが、この点はやつぱりはつきりして頂きたいと思います。それから第三点の問題は、例えばこの広島県の安芸湾ですね、この法律には大体先ほど次官の説明によりますと、二千万円見当を何とかする、こういうふうなお話ですが、広島県のほうではその額が発表されております。そうして香川県とか或いは愛媛県あたりにはその額が発表されておらず、大分現地の人が騒いでおるというような向きもありますので、この額はやつぱりはつきりきまつておるのか、そうしてすでに発表したものかどうかということもお聞きしたいわけです。以上の三点について……。
  16. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 法案によりますと、まき網につきましては海域を指定して、その海域でのいろいろの規正をやつて行くというようなことができるようになつておりまして、この内容につきましては専ら政令、省令に書くような予定なつておるのでありますが、先ほど提案理由にもございましたように、六十トン以上のまき網につきましては、これは農林大臣許可漁業にするということと、それから小型の五トン未満まき網につきましては、これは専ら知事許可制度にするということ、それからその間にございまする五トンを超えて六十トン未満のものにつきましては、これは原則としましては、全部枠を大臣から知事に与えまして、その枠の範囲内で知事許可をするというのを建前にしております。而もその五トンから六十トンの間の船につきましては、いろいろと入会の問題その他の調整の点がございますが、制限を超えての操業が行われておるわけでございますが、そういう地帯を特に海区を大臣が指定いたしまして、その指定した海区の操業漁船につきましては、農林大臣許可をするというような建前に考えておるのであります。その海区の大体の内容につきましては、北部太平洋海区、それから中部日本海海区、それから西日本海海区、この三つの海区を指定することを予定しておるわけでございまして、第一の北部太平洋海区につきましては、青森県沖合から千葉県沖合に亘る太平洋、これはやはり現状まき網漁業実態からいたしまして、かかる海区を指定することが適当であるというふうに考えたのであります。それから第二番目の中部日本海海区は、石川県沖合から兵庫県の沖合に亘る日本海、それから西日本海海区は、鳥取県沖合から長崎県対馬沖合に亘る日本海区というふう考えておるわけでございます。日本海区を二つに分けようとします理由といたしましては、現在の入会操業関係がこの二海区の関係で大体分れておるような現状なつております。と申しますのは、片つ方、中部日本海区につきましては、大体経営体漁民の協同体が多いということが言われまするし、それから西の日本海区につきましては、個別の経営体が多いようでございます。従いましてこれを直ちに一つの海区に指定するというようなことになりまするというと、現状ストップの処置をとります場合に、いろいろと支障を生ずるのではなかろうかというふうに考えまして、大体以上申上げました三つの海区を指定するように考えておるのであります。
  17. 青山正一

    青山正一君 それならばここにつまり北海道の海区、それから日本海東部と申していいですか、石川県なら石川県から青森などの海区は、特殊区域と指定しないわけですね。つまり農林大臣許可じやなしに県でやろう、こういうわけですね。道とか県でやろうという意味ですか。  それから一番最後の金の枠はどうなんですか、広島あたりに発表なすつたのですかどうですか。
  18. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) いわゆる船びき網の整理につきましては、提案理由にも説明がございますように、専ら「いわし資源に影響があるというような意味合で、実は調査を進めておるのでございます。併しながらその実態として、果して科学的に見て「いわし資源にどの程度の影響を及ぼすかというような結論につきましては、まだ出ておらないわけでございまするが、常識から申しまして、一つ海域海域を捕えて見ますると、相当船びき網が数が多くて、漁業調整の上から見ましても減らしたほうがいいということが言われまするし、又資源的に漁種的に解釈しましても、船びき網を或る程度厳選したほうがいいのじやないかということが判断され得るわけでございます。従いましてこの船びき網の整理につきましては、全国的な厳選処置といつたようなことを今の段階において小型底びき同様に考えるというようなことにはできないようなことでございますので、地元のいろいろの海区調整委員会のいろいろの具体的な計画ができておるところといつたようなものをピツク・アツプいたしまして、まあ予算を計上して実施に移したいということを考えたのでございます。従いましてその意味におきまして、広島の安芸海区が前からこの具体的に船びき網の整理といつたようなことを地元の協同組合なり事業者と、更に海区調整委員会で取上げまして、具体計画を作つて中央に実は協議を申出てあつたのでございます。広島以外の他の海区につきましては、まださような厳階に至つておらなかつたのでございますので、予算化といたしましては、取りあえず広島のこれを予算化して行くということなのでございます。従いまして来年度以降この船びき網の整理につきまして、海区の具体的な計画ができました場合におきましては、予算化に努力して行きたい、かように考えておるのでございます。  なお二十七年度の予算要求といたしましては、先ほど申しました船びき網の調査研究は、資源的に如何なる影響があるかというようなことも併せて考えなければなりませんので、安芸海区において厳選整理した場合におけるその後の実情と状況というものを調査する予算を実は要求しておるのでございます。
  19. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か修正点について御質問ありませんか。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 私修正点について、誠に素人らしいことを聞くのですが、附則の第三項の「主務大臣が定める海域」というのはどういうところなんでしようね。
  21. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 修正のございまする附則の第三項の「主務大臣が定める海域」と申しますのは、先ほど衆議院松田委員長代理からお話がございましたように、全村小型底びきを営んでおるというようなところが瀬戸内にはあるわけでございまして、そういつた地帯におきまして、而も漁業法改正が実施になりますると、十五トン以上の小型底びきというものは、その漁業法改正によりますと、小型底びきの範疇に入らなくなるわけでございまして、無条件にこれを切らなければいかんというようなことになるわけでございます。従いまして、さような村につきまして、無条件にそういう小型底びき、底びき類似と申しますか、小型底びきよりも規模の大きい機船底びき網というものを切つてしまいますと、その村の財政が成立たなくなりまして、或いはその漁村漁業全体が転換しなければいかんというような実情になるわけでございますので、この「主務大臣が定める海域」と申しますのは専らそういう漁村操業をしている海域というものを選定いたしまして指定して参りたい、かように考えております。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 具体的に説明をする資料ございますか。例えば、何県の何村というような……、それはまだ御調査なつていない……。
  23. 松田鐵藏

    衆議院議員松田鐵藏君) いや、あるのです。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 今お持ちでなければ、一つあとから資料を頂きたい。  続いてちよつと質問いたしますが、私は素人だから変なことを聞いて笑われるかも知れませんが、第六十六条ですね、第六十六条にずつと出ております中型まき網漁業小型機船底びき網漁業という、これはこの法律改正することによつて初めてこういう指定をしたものですか、前からあつたのですか、これは……。
  25. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 制度といたしましては初めて出て来るのでございますが、実態から申しまするとそういう漁法で営んでおる漁業が多い関係上、これを規定しなければいかんという意味合いで、特にそういう種類の制度をまあ法的に規定いたしまして、現状ストツプなり或いは厳選処置をするということになつております。
  26. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、実際にこの法律改正なつて適用される具体的な面から考えてみて、瀬戸内海あたりにはやはり三十トン、五十トンという、ここで言う「中型まき網漁業」ですね、これをやつているのが大分あるのですがね。そうするとこれはもう十五トン以上は結局やらせないと、こういうことになるのですか、結論的に、具体的に言うと……。
  27. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 瀬戸内で問題になりますのは、主として小型底びき網漁業の問題が多いようでございまして、この漁業法改正によりますと、いわゆる小型底びき網漁業というものは十五トン未満であるということに規定をしたのでございます。十五トン以上のものは小型底びき網漁業としての範疇に入らないことになるわけであります。これは瀬戸内海におきまして、小型底びき網漁業というものの漁船の数が大体一万四千六百五十八隻ほど調査の結果出ているのでありまして、十五トン以上の船によつてつておりますものが二百四、五十隻あるのでございます。なお瀬戸内海につきましては特別にこの小型底びき網漁業の厳選措置を集中して、実施して行かなければいかんというような実態なつておりますので、特に瀬戸内海における小型底びき網漁船につきましては馬力の制限を行いたいということを考えているのでございます。馬力の制限といたしまして瀬戸内で考えておりまするのは、大体十馬力以下にして行きたい。但し現状におきまして十五馬力程度でやつているようなものにつきましては、漸次十馬力に引下げて行くというような措置を講じたいのでございまして、余り一遍にやるということは予算関係上できませんので、十五トン程度のものは暫定的に一応認めて漸次十馬力以下にして参りたい。それからなお、紀伊水道につきましては、現状のところ二十馬力以下に将来限定して参りたいと考えているわけでございますが、只今瀬戸内全体で十五馬力未満を認めると同じような意味合いにおきまして差当り三十馬力までは認める、漸次二十馬力まで制限して行きたい、かように考えております。
  28. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、十馬力に制限するということは、船のトン数には関係ないのですね。
  29. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) いいえ、いわゆる小型底びき網漁業として、十五トン未満でなければいかんということははつきりしているわけであります。
  30. 松浦清一

    松浦清一君 十五トン以上のものは……。
  31. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 十五トン以上は小型底曳漁業にならんわけでございます。従いまして法律が施行されますと、直ちにこれは整理されなければいかんというような関係になるわけでございまして、これは以東底曳網漁業との関連を御説明いたしたいと思いますが、現在底曳網漁業を営みます場合におきましては、いわゆる以東底曳網の取締規則によりまして、農林大臣許可を要するということになつているわけでございます。その以東の、現在では中型底曳と申しておりますが、その以東底曳網漁業農林大臣許可漁業の大小は、大きいのになりますと六、七十トンのもございますが、小さいのになりますと五トン、六トンといつたような船もあるわけでございます。従いまして十五トン未満を以て小型底曳船とこう定義いたしますと、以東の底曳の中で十五トン未満のものがありました場合におきましては、これは小型底曳網漁業として取扱わなければいかんという関係になるわけでございます。それから又、逆に小型底曳網漁業として取扱われた十五トン以上の漁船につきましては、これは以東底曳の未許可船になるような現状になるわけでございます。従いましてそういうふうなことで漁業法改正して参りますと、十五トン以上の小型底曳に類する船は全部一律に切らなければいかん。これは農林大臣が新らしく追加して許可するわけに参りませんので、切らなければいかんということになるわけでございます。そこで一律に全部無条件で法律施行と同時に切つてしまうということになりますると、先ほど御説明申上げましたように、全村でそういつたような漁業を営んでいる所がございまして、そういつた所が非常に村の財政から、又漁業者の生活から見まして影響を受けるというので、衆議院修正案として地域を限定して、そういう場合も或る程度小型として認めてやつて、漸次正規の線に乗せてやるということを考えたらというわけでございます。
  32. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると具体的に言つて、十五トン以上の船舶乃至は十馬力以上の機械を持つている船では瀬戸内で操業できない、簡単に言えばそう考えていいのでしよう、構想はそうなんですね。
  33. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 将来におきましては、そういうことにはつきりなるわけでございます。と申しますのは、トン数におきましては法律施行と同時に直ちにできますが、馬力の制限は告示を以てやることになつております。十馬力といつたような線を告示を以ていつやるかということにつきましては、先ほど申上げました通り現状と、それから予算措置の裏付け等の勘案によりまして、差当り十五馬力ぐらいの線で引いて行きたい。又来年度予算の裏付けができ次第順次十馬力に告示を改めて行きたい。かように考えておるわけであります。
  34. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 松田さんに対する御質問はありませんか。
  35. 千田正

    千田正君 それでは松田さんに対するといいますか、この案件についてですが、松田さん、特に北海道の御出身だからお伺いするのでありますが、この指定の海区のうちから、北海道を特に除外したという理由が甚だわからんのでありまして、特別北海道の地域だけが、北海道の地方長官に任せるという理由は、どういうわけですか。これは松田さんでなくてもよろしいのですが。
  36. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 千田委員お尋ねは、まき網漁業についての海区の指定の問題だろうと思いますが、北海道につきましては、実は道という一府県に該当するような行政区画でございますので、一応許可の体制は知事に任したほうがいいであろう、こういうことで考えたのであります。
  37. 千田正

    千田正君 今日きめるわけじやないと思うのですが、慎重に御審議を願いまして、次回に又各委員からのいろいろな御質問もあると思いますので、本日は御承知の通り日本水産のためにも、日本の外交上におきましても重大なる影響を及ぼすところの、いわゆる日本とユーナイテツド・ステーツ・オブ・アメリカとカナダ、この三国の漁業協約の問題が起きておりますので、その点について疑義を質したい点がありますので、でき得ればこの漁業法の一部改正に関する法律案審議につきましては、次回に改めて開いて頂きまして、今の協約問題のほうに移つて頂きたいと思います。
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今千田委員の御発言の、漁業法の一部を改正する法律案の質疑は本日はこれを以て打切りたいという御発言でございますが、御異議ございませんか。
  39. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 打切るということはどういうことですか。
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 実は本日はこれで打切つて、次の委員会に更にやるということです。
  41. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今日は外務省から誰か見えておられますか。
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 見えておりませんが、水産庁に対する御質問だろうと思いますが、ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  43. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。明後日の午後一時から委員会を開きまして、それに外務大臣或いは外務次官の出席を求めるということに決定いたしたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それではさよう決定いたします。
  45. 千田正

    千田正君 只今の三国協約に関する件について勿論外交上の問題もありますが、実際の問題としましては農林当局の問題でもありますので、水産庁当局はこの協約に対する何らかの態勢をとつておられるかどうかということと、どういう方法によつてアメリカ並びにカナダ側の提案に対して日本水産業並びにこれに影響を及ぼされるところの協約に対する農林当局の態度につきまして、一応当局から御意見を承わりたいと思うのであります。
  46. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは或いは長官に来て頂きまして直接お答えしたほうがいいかとも考えておるのでありますが、今日は出ておりませんので、私の知つている範囲のところを御説明申上げます。この漁業協定の問題につきましては、二、三カ月前からとにかくアメリカのほうから来そうだというような様子でありまして、それによりましてこちら側といたしましてもいろいろ具体案を考えなければならん。実は昨年末だつたと思いますが、こういうことも予想いたしまして、いわゆる業界の主だつた人を集めまして、海洋漁業協議会というものを作つたのであります。そこでいろいろと各国の既存の条約、法律でありますとか或いは又今までの各漁場の実情でありますとか、いろいろそういう資料固めを半年ぐらいかけましてやつて参つたのであります。それには勿論外務省も水産庁も係官がいつも出ておりまして、よく三者で連絡をとりながらいろいろと研究は進めて参つたのであります。併しそれがいつ予備交渉が始まるかわからなかつた当時でありまするので、いわゆる具体的な案というところまではまだ間に合わなかつたのであります。ところが約一カ月ほど前に急遽アメリカのほうから見えるということがはつきりいたしまして、そこで水産庁といたしましてはやはり外務省といろいろ懇談をいたしまして、いろいろと検討を加えて参つたのでありまするが、その際に具体案を作るという問題でありますが、これは向うの出方がどういうふうに出るか。草案みたいなものを全然もらつておらないのでありまして、司令部あたりを通じて多少向うの空気というようなものを打診したこともあるわけでありますが、何ら具体的なものはないわけでありまして、そこで我々といたしましては、ダレス、吉田書簡のああいう線を頭において水産庁ではいろいろと原則的な問題について外務省とか或いは漁業界とか、主だつた人人の会合によりまして、まだ一通りと申しますか、そういうようなことを一応やつて参つたのであります。そこで極く間近になりまして、条約文というような、そういうような具体的の問題はこれはちよつとできないのでありますが、ただ主張すべき要点というふうなものの地固めだけは是非やりたいというので、長官を中心に水産庁でもここ半月ほどいろいろやつております。又外務省でもいろいろ研究はされておると思うのであります。又時には両方の会合をやつたりいたしたのであります。その内容につきましては私よりも或いは長官からお話なつたほうがいいかと思うのでありますが、要するにいわゆる公海自由の原則というようなことは、これは強く要求していいのではないか。それから次に仮りに原則は原則としまして、いわゆる濫獲というような意味から、これを何らかの意味で制限を加えるということも、これは想定できるのでありますが、その際におきましても、どこまでも対等に、いわゆる公正妥当に、片一方に有利で片一方に悪いというものでなく、どこまでも公正妥当な制限でなければならん。而も又、その制限なるものはどこまでもいわゆる資源の科学的調査というふうなものを基準にしたものでないと困る。取引によつて制限するというような式では困るというようなことでありました。或いは又、いわゆる原則を主張する前提といたしまして、日本における水産業と米国における水産業というものの違いと申しますか、日本はとにかく四つの島に八千万の人間が住んでおるのでありまして、そういう意味の蛋白給源というような建前から言いましても日本水産業というものは非常に重大なんである。又多数の漁民がいるんだというようなことなども、これは前提として大いにアメリカの認識を深めてもらわなければならんというような点だとか、その他いろいろあるわけでありますが、そういうような原則的なことをいろいろと相談、検討していたわけであります。で、二、三日前からいよいよ具体的な交渉の段階に入つておりますが、それらの経過につきましては私実はそちらのほうに出ておりませんので、ここで御報告する何は持つていないのであります。必要でございますれば又長官等にもおいで頂きましていろいろ説明したいと思います。
  47. 千田正

    千田正君 山本次長から大体農林省の心構えを伺つたのでありますが、我々はこの問題について深い関心を持つということは、吉田、ダレス書簡の内容において、又吉田首相が世間にいわゆる発表しておる言葉の中においても、漁業協約若しくは通商条約というようなものは、平和条約をサインし、更に関係各国がおのおのの国家において批准を経た後において、直ちにこれを実行するという考えであるということを述べておりますにもかかわらず、まだ日本においては只今国会審議中である批准問題、アメリカ合衆国は来年の一月でなければ国会が開かれない。こういう関係当局において未だこの日本の独立を確認したところの批准が行われない前に、漁業協約なるものが突如としてここに結ばれるということについて、我々は慎重に考えなければならないと思うのであります。ということは申すまでもなく、国際公法から言つても、批准を経ないまでの間は飽くまでやはり占領国としての一つの問題が残つておる。殊に水産の問題についてはマツカーサー・ラインというものが未だに撤去されないという見方からして、それを一つの基礎としての協約が結ばれないということは誰も保証できないという今日、何故急いでこの問題を条約に結ばなければならないかという……私はこれは予備会談であると思つておりました。ところが実際においては正式な条約であるということになるというと、国際法上の疑義があるという点において私は水産庁当局よりもむしろ外務当局にこの問題について疑義を質したいと思うのでありますが、問題は先ほど山本次長から仰せられたように、日本水産業の発達過程と、アメリカ合衆国及びカナダの水産の発達過程においてはおのずから非常な相違があるということを我々は認識しなければならない。やはり日本水産業は、農業と同じように日本の重要産業であると同時に、国民の大きな蛋白給源である。アメリカ合衆国及びカナダはいわゆる重要産業ではない。アメリカにおいては一千七百万のいわゆる素人漁業の人々がありまするが、実際漁業を生業としてやつておる者は僅かに十万に過ぎない。而も太平洋を挾んで日本水産業と密接なる関係を持つものはワシントン州、オレゴン州、カリフオルニア州の三州に過ぎない。漁業者の数においても五万そこそこの漁民である。こうした立場においての漁業権の主張……、四百万からなるところの、漁業によつて生活をしているところの日本水産業には、おのずから及ぼすところの影響は非常に大きい。そういう問題を未だ批准をしない今日においい、何故急がなければならないか、どこにそういう意図があるかということを私は質したいと同時に、農林当局はよほどしつかりしてこの問題にかからなかつたならば悔を千載に残す虞れがあるということを一言私は注意しておきたいと思うのであります。それでありますから、この条約に臨むに際しまして農林当局のはつきりとした肚を我々委員会に十分述べて頂きたい、今後恐らくいろいろな折衝の過程があると思います。併しまだ批准をしない国会、両国の間に未だ独立国としての認識が明確に表示されない今日において、条約だけが先にできて、果してそれが効果があるかどうか。国際法上においてそれが効果を生ずるかどうかという点につきましても研究を願いたい。この問題は単に水産業の問題ばかりじやなく、日本が四つの島に閉じ込められた今日において、日本の領土権の確立というものを将来にはつきりと認定する一つの段階であるということを、我々が認識した場合において、水産委員会としましても勿論真剣にこの問題を討議して頂きたいということを要望いたします。
  48. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私ちよつと外務当局に対する委員各位の心構えについて申上げたいと思いますが、今度の漁業協約は日本側がアメリカ及びカナダを招請したいということになつております。これは非常に私は問題だと思います。これも一つお考え願いたい。それから新聞にすでに発表されておりますように、カナダ代表、アメリカ代表、日本代表から開会に際して演説がありました。その中でアメリカ代表は、御存じの通り、すでにその開会の挨拶において多少具体化したことを述べております。これも十分一つ検討つて頂きたいと思います。それから吉田並びにダレス氏の交換書信においては日本が完全に主権を回復した暁においては速かに漁業協定を結ぶ、こう言つている。この速かにというのは私は主権回復後速かにということに解したいと思いますが、それにもかかわらず主権も回復しない今日、日本側からこの代表団を招請したということに、余ほど私は問題があると思います。その点も一つ十分頭に入れて思い切つた御質問を願いたいと思います。まだ具体的な問題については討議はなしていないようですが、この名誉議長は農林大臣にきまりました。常任議長は農林次官であります。それから委員会は今できておりませんが、この委員会委員長は各国持廻りでおることになつております。その内容についてはその都度新聞に発表することになつておりますが、まだまだ具体的な問題について討議に入つていないということです。只今千田君が言われた通り、この条約は本式な条約であつて、一々決定したものは、そこでもう決定事項として決定して、そうして全権が委任された場合にはただそれを承認する程度になるだろうと思います。で、重大な漁業協約であつて、これで恐らくフイリピンとか、濠洲とかその他の諸国にも非常に影響すると思いますから、私ども非常に重視しております。次に私もその条約の代表団の一員になつております。私が差支えのある場合においては千田理事をお願いいたしたいと思つております。それもあらかじめ御承知を願いたいと思います。
  49. 松浦清一

    松浦清一君 ちよつと伺いますが、あれは何ですか、交渉をやつておる日本の代表は代表委員と交渉するのですか。
  50. 山本豐

    政府委員山本豐君) これは大体政府代表というのは、これは外務省、水産庁のよく新聞に出ましたようなああいう者でありまして、それからそのほかの衆参両院水産委員長と業界のかた、これは顧問とかいう恰好になつておるわけであります。先ず最初総会的なときには、或いは顧問もございましようが、そういうときには全員が集まる。併し今後分科会なんかどういうことになりますか、結局何か委員会を二つくらい作つて、原則的なことをきめる委員会と、それとまあ資源保護と言いますか、そういう関係委員会と、二つできるようなお話のように聞いておりますが、その人員はどういうふうに振合いするか、これは実はまだ私たちよく存じていないのであります。
  51. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私から申しますが、名前は顧問とか何とかいうはつきりした名前はないようであります。ただ、今のところは政府側は外務次官、それから調査局長、水産庁側から水産庁長官と生産部長、それから民間から七名、それがただ代表団というふうになつておりまして、発言は皆自由であると、委員会なつた場合においては各国三名の委員が列びますけれども、その委員は、あとの人は後ろにおりまして、発言したいときにはその委員と代つて発言する、こうなつておりまして、誰が委員ということにはなつていないようでありますから、発言しようと思つたならば委員席に代つて自由に発言できるようであります。
  52. 松浦清一

    松浦清一君 自由に発言はできるけれども、どういう権限が、業界から出ておる人、それから衆参両院の水産常任委員長に與えられておるかということは、これは政府の代表と少しも変らない一つの交渉権限が與えられているのでしようか。
  53. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) そう私は聞きました。同じ権能だと……。
  54. 松浦清一

    松浦清一君 そうすると顧問というのは、新聞だけの問題なので、結局日本政府代表としては同じ立場と条件で交渉していける、それは確実なんですか。
  55. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それははつきりそう聞きました。これは恐らくこれが大体できましたら正式な全権ができると思いますが、それはこの問題を確認するという程度じやないかと思います。私は水産庁長官説明でそう承知しております。
  56. 千田正

    千田正君 特に水産庁お尋ねしたいのは、アメリカとカナダが日本に来る前に両国間におけるところの漁業協定があつたはずであります。その内容について水産庁当局はおわかりでございますか。
  57. 山本豐

    政府委員山本豐君) わかりません。
  58. 千田正

    千田正君 こういう態度が臨まれたのでは、大変なことになると思います。
  59. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私からちよつと申上げますが、これは向うのかたから言われましたが、多数決はとらない、アメリカとカナダが一致しても日本が反対する場合にはこの問題は決定しない、多数決をとらないということを向うから発言しておりました。
  60. 千田正

    千田正君 それからもう一つ、これは我々が新聞で相当デイスカスしたことは御承知かも知れませんが、日本の冷凍「まぐろ」、アメリカ輸入に対して日本及びペルーの冷凍魚に対する排斥運動が起きておるということは、水産庁も御承知のことと思います。又日本水産加工品の罐詰輸入に対して四五%の国内保護関税をかけて拒絶しておるということも御承知のことと思います。そういう立場の下にその代表の人たちが今度の代表団の中に加わつていわゆる代表員として来られておるということも御承知のことだと思います。そういうような非常に微妙な、いわゆる日本水産並びに貿易並びに将来の海域に対する重大な問題であるから、特に水産庁におきましてもその点十分に御研究を願いたい。同時に当委員会といたしましても、お互に研究いたしまして、過ちのないように、日本の将来の水産業ばかりでなく、日本の国力の復活のために寄與するように、委員会を運営して頂きたいということを強く要望いたしておきます。
  61. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それからもう一言申上げますが、総司令部はこの条約については何ら関知しないと、日本を完全なる独立国と認めてこの条約に向うことを自らは承認するという発表を、新聞にもありましたが、しております。それでこの際、日本は何ら遠慮なく主義主張を述べてよいと、かようなことを申しております。
  62. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 これは申上げるまでもないと思うのでありまするが、条約の締結権はこれは政府にあるわけです。それで只今委員長お話から考えますと、衆参両院の水産委員長が何か全権というのか、或いは代表というのか、そういうような形で会議にも参加せられるということでありますが、その参加せられる実質的な効果について私は疑いを挿む者ではないのです。併しながら、立法府と行政府建前につきましては、先般平和会議に民主党や緑風会から全権を送るときに非常に疑義があつた問題であります。殊に今回の問題は、全く行政当局の責任によつて行われるべき問題だと思うのであります。で、それらの問題は、衆参両院の委員会に正式に相談をかけられると、或いは内容についての検討を求めるという機会は、政府は持つておるわけだと思うのであります。その際において、両院の委員長がその会議に出られて行政当局の責任の一端に若し加わるようなことであるのであつてはどうもまずいのではないかと、かように考えるのでありますが、この辺はどういうふうな御見解でありますか。
  63. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私も櫻内君の意見に非常に同意しておりましたが、若しこの条約で官庁だけでやつてできてしまつて、そうしてその批准を国会に求めた場合に、国会としてはその修正ということはできないようです。否決するか可決するか二つしかないと、この際余り意に満たないものが出た場合にはこれを否決するということは当然ですけれども、やはりそこにはいろいろと問題がありましようし、やはり事前に相当発言して、我々国会意見も反映せしめて、万違算なきを期するほうがいいのではないかと、私こう思いましたので、出席することにしたのであります。
  64. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 現在のところは、委員長の御説明で、その身分等が余りはつきりしておらないと思うのであります。だからそういう過程において、一つの傍聴者というか、アドバイザーと言いますかねそういうような形でおられることがまだ無難だとは思うのでありますが、これはもつと、先ほども説明がありましたが、はつきりしたものになつて来ると、なかなかこれは今の委員長の御説のようなことについては、私も成るほどとは思うのであります。併しそれ以上に行政府と立法府との関係ということは御慎重にお考え願いたい、かように思うのであります。  それからもう一つ、これは今後国会においてどういうふうにしてそれを取扱うかという問題でありますが、今回のような漁業関係の条約が国会に承認を求められるときに、これは外務委員会にかかつて来るのか、或いは直接関係ある水産委員会にかかつて来るのかということについては、検討を要する点があると思うのであります。というのは、単なるその条約の締結が事務的なものであるとするならば、私はこれは外務委員会にかかつてつていいと思います。併しながら、漁業条約のような水産関係に非常に関係のある、又実質的に言うならば、水産関係委員のほうを尊重すべきであるということになつて来るならば、その委員会にかける場合の主管は水産委員会であるべきだと、かように思うのであります。これも一つ委員長のお手許において、まあ私の一つ意見としてお考えおき願いたいと思います。
  65. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 私もさように存じます。あの会議の状態を見ますと、外務省からは調査局長が一名出席しております。あと全部水産関係の人ばかりであります。今櫻内君が言われたように、別に私は何ら資格は与えられておらん。ただ前に坐つているのは、調査局長と、水産庁長官と、生産部長と、それから平塚君が民間として坐つておりますが、それが自由に交換できると、こう申しておりますけれども、何ら正式な会議であるのやら、或いは予備会談であるのやら、一切わからんような会議と私も思つております。  それから先に、外務大臣又は外務次官と申しましたが、このほかに農林大臣水産庁長官を加えることに御異議ございませんか。
  66. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは御異議ないと認めまして、外務大臣又は外務次官及び農林大臣、並びに水産庁長官に出席を求めます。  では本日これにて散会いたします。    午後三時十二分散会