○
政府委員(
山本豐君) これは或いは長官に来て頂きまして直接お答えしたほうがいいかとも考えておるのでありますが、今日は出ておりませんので、私の知
つている範囲のところを御
説明申上げます。この
漁業協定の問題につきましては、二、三カ月前からとにかく
アメリカのほうから来そうだというような様子でありまして、それによりましてこちら側といたしましてもいろいろ具体案を考えなければならん。実は昨年末だ
つたと思いますが、こういうことも予想いたしまして、いわゆる業界の主だ
つた人を集めまして、海洋
漁業協議会というものを作
つたのであります。そこでいろいろと各国の既存の条約、
法律でありますとか或いは又今までの各漁場の実情でありますとか、いろいろそういう
資料固めを半年ぐらいかけましてや
つて参つたのであります。それには勿論外務省も
水産庁も係官がいつも出ておりまして、よく三者で連絡をとりながらいろいろと研究は進めて
参つたのであります。併しそれがいつ予備交渉が始まるかわからなか
つた当時でありまするので、いわゆる具体的な案というところまではまだ間に合わなか
つたのであります。ところが約一カ月ほど前に急遽
アメリカのほうから見えるということが
はつきりいたしまして、そこで
水産庁といたしましてはやはり外務省といろいろ懇談をいたしまして、いろいろと
検討を加えて
参つたのでありまするが、その際に具体案を作るという問題でありますが、これは向うの出方がどういうふうに出るか。草案みたいなものを全然もら
つておらないのでありまして、
司令部あたりを通じて多少向うの空気というようなものを打診したこともあるわけでありますが、何ら具体的なものはないわけでありまして、そこで我々といたしましては、ダレス、吉田書簡のああいう線を頭において
水産庁ではいろいろと原則的な問題について外務省とか或いは
漁業界とか、主だ
つた人人の会合によりまして、まだ一
通りと申しますか、そういうようなことを一応や
つて参つたのであります。そこで極く間近になりまして、条約文というような、そういうような具体的の問題はこれは
ちよつとできないのでありますが、ただ主張すべき要点というふうなものの地固めだけは是非やりたいというので、長官を中心に
水産庁でもここ半月ほどいろいろや
つております。又外務省でもいろいろ研究はされておると思うのであります。又時には両方の会合をや
つたりいたしたのであります。その
内容につきましては私よりも或いは長官から
お話に
なつたほうがいいかと思うのでありますが、要するにいわゆる公海自由の原則というようなことは、これは強く要求していいのではないか。それから次に仮りに原則は原則としまして、いわゆる濫獲というような意味から、これを何らかの意味で制限を加えるということも、これは想定できるのでありますが、その際におきましても、どこまでも対等に、いわゆる公正妥当に、片一方に有利で片一方に悪いというものでなく、どこまでも公正妥当な制限でなければならん。而も又、その制限なるものはどこまでもいわゆる
資源の科学的
調査というふうなものを基準にしたものでないと困る。取引によ
つて制限するというような式では困るというようなことでありました。或いは又、いわゆる原則を主張する前提といたしまして、
日本における
水産業と
米国における
水産業というものの違いと申しますか、
日本はとにかく四つの島に八千万の人間が住んでおるのでありまして、そういう意味の蛋白給源というような
建前から言いましても
日本の
水産業というものは非常に重大なんである。又多数の
漁民がいるんだというようなことな
ども、これは前提として大いに
アメリカの認識を深めてもらわなければならんというような点だとか、その他いろいろあるわけでありますが、そういうような原則的なことをいろいろと相談、
検討していたわけであります。で、二、三日前からいよいよ具体的な交渉の段階に入
つておりますが、それらの経過につきましては私実はそちらのほうに出ておりませんので、ここで御
報告する何は持
つていないのであります。必要でございますれば又長官等にもおいで頂きましていろいろ
説明したいと思います。