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1951-10-18 第12回国会 参議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十八日(木曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            松浦 清一君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            玉柳  實君            櫻内 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部経    済課長     奥田  孝君    水産庁生産部水    産課長     曾根  徹君    水産庁生産部漁    港課長     林  真治君    経済安定本部産    業局燃料課長  近藤  勝君    物価庁第三部長 森  誓夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (石油価格及び需給に関する件)  (災害対策に関する件)   —————————————
  2. 松浦清一

    理事松浦清一君) それではこれから委員会を開会いたします。  本日の問題は石油類政府当局における値上等に関する問題なんですが、政府当局からは物価庁の森第三部長安本近藤燃料課長資源庁鉱山局百武配油課長水産庁曾根水産課長のお越しを願つております。前の委員会重油が約八%の値上げ、それに反して揮発油のほうは若干の値上げをやる、こういうことを政府当局において考えておられるということを聞きましたので、その理由、それからその実情等の御報告を願つたわけでありますが、水産庁当局の御説明だけではまだその実情を十分に把握することができなかつたわけなので、値上げが妥当であるかないか、或いは統制撤廃が可能であるかどうかという問題については、いろいろこれから御質疑願うわけなのですが、そのために更に詳しくその実情調査研究する必要があるということで、只今申上げた関係人たちの御出席を求めているわけであります。最初に今日の新聞等に伝えられておるところによりますというと、周東安本長官が本日マーカツト局長定例面会日であるというので、その際に石油類統制撤廃を懇請する予定であるということが報道されておりますが、それらの経過について、水産庁当局の、前回の委員会で承わりまして以後の実情についての御説明を願いたいと思います。
  3. 曾根徹

    説明員曾根徹君) 次長が急用がございまして海上保安庁に参りましたので、私代つてその後の経過につきまして御報告申上げます。  衆議院の自由党のほうで、水産委員会でこの問題をやはり同様にお取上げになりまして、政務調査会のほうへこのことにつきまして協議をされたのでありますが、その際水産庁といたしましては、次長ほか係官がお供をいたしたわけでありますが、その際の経過を御報告申上げます。その際に政務調査会のほうで結局御決定になりましたことは、価格問題よりも石油統制の全体についてこれを停止又は撤廃したほうがよろしいというような結論に御到達になりまして、その結果政府価格改訂について司令部等折衝することについては、これを価格改訂折衝ではなく、一挙に石油統制停止若しくは撤廃についての折衝にするというふうな運びにしたほうがいいというような、そういうふうな御決定になつたのであります。なお、その後只今衆議院水産委員長からの御報告に、その後総務会においてもそのような趣きに御決定なつたというようなことを御報告つてつたのであります。以上が我々水産庁の側から見たと申しますか、その後の経過でございます。
  4. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今最近の本問題に対する経過について承わりましたが、丁度今日は安定本部及び物価庁からもお見えになつておりますので、只今経過も極く最近のものであるようでありますが、安定本部及び物価庁においては、これについて勿論政府決定したものであならば別に異議のあるはずはないと思いますが、如何ようにお取扱いになつておりますか、伺いたいと思います。
  5. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 重油のみならず軽油についても同様でありまするが、価格現状のままで置くことは非常に不自然であるという状態になつておるのであります。これは従来はガリオア資金輸入いたしました安い重油軽油をその輸入業者に渡しまして、高い民貿で入れた重油軽油等一緒にして売りまして、その結果現在の価格でも売つて行けるという状態になつておるのでありまするが、このガリオア資金輸入いたしました重油軽油は八月一杯でなくなつております。従つて今後は純粋の民貿輸入いたしまする重油軽油だけで輸入事業はやつて行かなければならないということであります。そういたしますると、現在の公定価格よりも七、八%高い価格で売ることを認めなければならない。政府としては少くとも赤字輸入をしろと言うわけには行きませんので、公定価格違反にならないために、現在の公定価格を少し上げて、まあCIF価格の最低のところまでしてやらなければならないだろうということを考えておるのでありまするが、そういう意味で現在の重油とか軽油を少し公定価格を直さなければならないという事情があつたのであります。併しながらこれをCIF価格まで上げるといたしますると、国内で精製されました重油軽油が従来の公定価格で大体やつて行ける程度でありまして、その分までが一緒に上る虞れがあるというわけで、消費者としては承服しかぬる事情があるわけであります。従来はそういう安い国産品と高い輸入品一緒にして無理のない値段で売らせるためには、価格調整機関がございまして、そこで一種のプール計算をしまして、その高い値と安い値の中間あたりで売らせるということをいたしておつたのでありますが、最近価格調整公団もなくなりまするし、又業者相互の間でプール計算をさせるということになりますると、これは法律を要しますることですし、又独禁法に触れるという関係もございます。それから補給金政府が出すといたしましても、現在その財源はありません。そういうようなわけで、重油軽油輸入品が全部民貿によらなければならないという事情になつて参りました。今日としましては、それらの価格関係の各方面が満足せられるような形できめるということは非常にむずかしい事情にあるのであります。ところで他方最近の公定価格市場価格開き等を見てみますると、そう大した開きはございません。そこでこういう非常にむずかしい仕事を無理をしてやるよりも、むしろこの際公定価格停止するほうがよいのではないかという考えを以ちまして、物価庁としてはそういう案で関係方面折衝をいたして来ておつたのであります。ところが関係方面意向としては、配給統制を存続しておきながら価格統制だけ停止するというのは非常におかしいじやないかというわけで、なかなか話が進展しないという状態でございました。ところがまあ最近に至りまして、政府といたしましても一致して石油につきましては公定価格停止をしようじやないかという方針がきまつたのでありまして、我々としても現在司令部と更に強力にその交渉を進めておる状態でございます。又私のほうの大臣もマーカツト会談にこれを持出して、最善の努力を尽そうということになつておるのでございます。以上経過を御報告申上げます。
  6. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 安定本部のほうの御意見は変つたことはないのでありますか。
  7. 近藤勝

    説明員近藤勝君) 御承知のように、石油につきましては、只今石油製品割当規則というものによりまして安定本部割当の指示をいたしまして、需要官庁でこれを需要者割当をしておるわけでございます。その関係から見まして、配給統制がある間は、私のほうとしましては石油についての需給関係考慮いたしまして、国内でできる製品と、外国から輸入を仰ぐ製品とを一緒にいたしまして需給バランスを常に調査しているわけでございます。漁業に一番関係のございますのは、今お手許に配付いたしました重油割当状況でございますが、これにつきましては若干御説明をさして頂きまして、配給統制が存続する場合には、これが割当状況になるのでありまして、配給統制が若しなくなつたといたしますれば、これが需給数字だというふうにお考えになつて頂いていいと思います。先ず今年の四月から、割当その他国内統制関係は総司令部から日本政府が委譲を受けております。従つてそれ以後の割当については一応安定本部が責任を以てやつておるわけであります。去年の割当の総量は重油で百三十九万三千キロ、そのうち水産関係は約三分の一の四十四万四千キロでございまして、今年の四月からは我々のほうで自主的に割当をいたしておるのでありますが、只今のところ十月から十二月の割当が約二カ月前に完了いたしましたが、その数字を見て頂きますと、有効需要が大体七十万キロ程度考えられるのでありますが、これに対して割当は六十一万キロ程度従つて需給比率は八七%ということになつております。それに対しまして水産関係有効需要は二十二万九千キロ、これに対して割当実績は十八万九千キロ、その需給比率は約八三%ということになつております。で、この十月——十二月の割当実績を見て頂きますと、我々のほうの有効需要の推定というものは必ずしも的確なものではございません。その間いろいろのでこぼこがございまして、或るところは品物が欲しいけれども、金を払うのがいやだ、又或るところは金のほうの手当はついたけれども、今のところは割当がないために品物が入らないで困つているというような、預り又は前渡しというような問題が錯雑しておりますから、必ずしも有効需要を一〇〇%充足するという割当をいたしませんでも、大体ここで御覧になるように八〇%を相当上廻るという場合には、これはほぼ需要が付いていると考えて頂いてもいいのじやないかと考えております。従つて——十二月の割当状況は、私のほうの我田引水かも知れませんけれども、大体業者のかたにはそれほど御迷惑をかけないような数字だと考えております。これを去年と比較して頂きますと、すつかり容貌が変つたがごとき観があると思います。ただ私のほうで特にお願いをし、又注意をして頂かなければならない問題としましては、ほぼ十二月の初めに我々のほうで来年の一月から三月までの割当をしなければならないというような仕組になつておるのでありますが、その場合において只今のところ外貨折衝をほぼ終えたところでございますが、その外貨折衝の結果を以ちまして一月から三月までの割当を、どの程度割当ができるかということを予測いたしますと、この表の註にございますように有効需要が七十六万七千キロ程度考えられるのに対して、只今のところの割当予想としましては五十五万キロ程度しか考えられない。従つて需給率は七一%程度に低下するような見通しでございます。併しこれにつきましては十——十二月においてはほぼ需給バランスしたと考えておるのでありますが、一——三においては我々の事務的な見解としましては相当逼迫した需給になる見通しでございます。併しこれは今までの外貨折衝経過でございますから、これから皆様のほうにも御支持をしてもらいまして、できるだけ外貨の追加ということを考えて頂けますれば、この需給率を緩和することは人為的にできるものだろうとは考えておる次第でございます。この問題につきましては確かに三分の一の需要を持つておられます水産業にも非常な影響がございます問題であると同時に、御承知のように只今一般産業は電力の不足と併せて、石炭不足に悩んでおるので、この石炭不足を幾らかでも緩和する道は増産ということが第一義でございますけれども、併せて石炭輸入という問題と、それから輸入が比較的効率的に行われる重油による転換ということが只今大きな問題になつておるわけでございます。それで国内産業活動をできるだけ円滑にするためにはどうしても増産と併せて石炭輸入と、それからここにございます重油輸入ということが我々にとつて一番大事な問題だと考えるわけでございまして、これからの外貨折衝について私たちも事務的には大いに努力いたしますが、皆様がたにも一つ十分御支援を頂きたいと思います。  報告かたがたお願い申上げます。
  8. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今それぞれ経過並びに今後の見通しについてお話を承わりました。我々としても非常に喜んでおるわけであります。ここに、この表にございますように大体水産に対する割当需要関係はまあ八四・五%というところが平均でないかと思いますが、統制下における需給バランスは一〇〇%供給考えなければならないけれども、自由になつた、いわゆる統制撤廃した後においては八五%確保できるならば統制時代の一〇〇%に相当する供給ができると言われておるのでありまして、そういう意味合いから考えますと、現在までの割当で参りますと、さして水産関係には不都合なく、スムースに行くことだと思います。又現在までに一時は非常に燃料不足によつて方面から、重要方面からひつきりなしに増配の陳情がございましたけれども、昨今は絶えてそういうこともなく、むしろ公定価格を割つて供給を受けるといつたような現状にありますことは、水産に対する割当は或いはパーセンテージから言いまして少ないのかも知れませんけれども、全体的に見た場合には不足をしていない。先ほどもお話のありましたような、要するに余つておる面から流れて来るという面もある、流れるというと語弊があるかも知れませんけれども、そういう方面のものが必要な、不足しておるところに供給されるというようなことにおきまして、需給バランスがとれておるのじやないか、こういう現状におきましてなお且つ価格統制し、配給統制するということは殆んど意味のないことであり、むしろ害を招き、いわんや国内製油によつてできた油が価格違つて統制も何者かということにもなりますので、この際むしろ撤廃することが賢明な策と考えます。ただ今のお話のように、今後の外貨取得につきまして、その取得の少ないために七一%程度になるというお話でありますが、これは今お話のごとくお互いに努力いたしまして今少しく外貨取得する方法を考えて、これを緩和するならば殆んど問題は起らないで行くことと思います。初めて我々としても或いは水産関係の者といたしましても楽な気持で仕事ができることを喜んでおるわけであります。本日経済安定本部長官マーカツト局長とこの点について折衝されるということでございますが、どうかこの成果はつきり現われることを期待してやみません。ただ我々もできるだけ努力いたしますが、この七一%がせめて八五%乃至一〇〇%の程度まで引上げられるように、外貨取得に御尽力を頂きたいと思います。私といたしましてはここまで参りましたことは、業者期待に副うた政府の行き方としまして非常な期待を持ち、又その成果の早からんことを希望いたしまして質問を終りたいと思います。
  9. 玉柳實

    玉柳實君 秋山委員只今お話とちよつと似たような点もあるのでございますが、念のために森物価庁第三部長にお伺いいたしたいのでありますが、先ほどのお話によりますと物価庁初め政府機関におきましては、価格統制を全面的に停止するという方針を定められまして、その方針によつて司令部折衝をせられる御意向のように承わつたのでありますが、只今経済安定本部からお示しになりましたこの表によりますと、本年第四・四半期においては有効需要に対して需給率は七一%に低下する見通しであるということに相成つておりまするが、かように七一%に需給率が低下しても、なお且つ価格統制撤廃をして差支えないという考えの下に、価格統制停止を御考慮になつておられるのでありますか。或いは何らか適切な手段を講ずることによつて、ほぼ従来の八五%程度前後の供給を確保いたしたいということを前提として、価格統制停止を御考慮になつておられますのかどうか、念のために伺つて置きたいと思います。
  10. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 只今安定本部の資料で一——三月が少し需給率が下るようになつておりまして、一抹の危惧を感じさせるようでございまするが、我々としましては、大体最近の傾向を見ますると、そうひどい価格の暴騰はないのでございまして、むしろ非常に公定価格に近い状態まで来ております。で一——三で仮に供給量が若干減るということがありましても、これはそうひどい社会の経済秩序を混乱させるというふうなところまでは行かないと考えまするし、又四月以降になりますると、日本政府としても自由に外貨予算をきめる立場になるだろうと考えております。従いまして、又非常に突発的なことがあつて、更に一——三月において需給が悪くなるということがあるにいたしましても、そうそれを恐れる必要はないと物価庁考えております。
  11. 松浦清一

    理事松浦清一君) ほかにございませんか。……それじやちよつと私から伺うのですが、大体ざつくばらんに申上げるというと、ここの委員会で別に決議をしたのじやないのですが、今の石油類現状における出廻り状況から言つて、もう撤廃をしてもしようがないんじやないか、こういうのが肚を割つた見解なんです。だから今日の新聞に出ているように、只今説明がございましたように、安本長官が肚をきめられて総司令部のほうと折衝を始めておられるということなら、もう殆んど何にも話合う必要はないわけなんで、併しこれが不可能になつた場合に、講和条約の発効と、あとになるか先になるかわかりませんけれども、やはり統制というものは近き将来にこれは撤廃されるべきものと、今は不可能であつたとしても、これは考えられるわけなんですね。僅か何カ月かの間に、どうして日本水産業に非常に大きな影響を持つておる油の価格を、これだけ上げなければならないのかという、そこに一つ疑点があるわけです。今までの御説明によると、国産の油の価格との均衡上やはり上げる必要がある。若しこれを上げなければ均衡が保たれなくなるという、そういう意味の御説明であつたけれども、現場のほうの需要関係というものは、今の公定価格よりももつと安い値段で実際は入手ができておるという実情から考えて見ると、統制の力で価格引上げをやらなくても、そういう需給調整関係が乱されて行つて困るということはない、ただ価格を吊上げるということによつて、内需の石油業者は喜ぶかも知れんが、それを使つておる業者が甚だ困るという、こういうところにこの委員会としての一つ疑点があるわけです。どうしてもこれはやはり需要量、それから供給量の絶対量の関係において価格調整をやつたり、配給統制をやつたりしなければ、重油を使つておる方面産業なり或いは水産なり海運なりというものに、大きな影響が現われて来るというような実情ならばこれは又別問題である。実際の現場に油があつて、そうして今の公定価格よりも安く取引されておるという実情において、目前に統制撤廃されるということが見えておるのに、僅かの期間これだけ価格を上げなければならんというところに疑点があるのです。その点を一つ机上数字的な計算だけでなしに、もう少し実情というものを把握して御検討なさる必要があるのじやないかというのが、この委員会の趣旨なんですが、どうなんでしようか。
  12. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 只今この委員会重油価格を上げることについて疑点を持つておられるというお話でございまして、それは私の説明はまだ足りなかつたかと思います。もう一度重油価格を上げなければならなくなるということを御説明申上げたいと思うのであります。国産の、国産と言いますか、原油日本輸入して、それを精製して重油国内で作るという場合の価格は、現在の価格で大体まあやつて行けるということになつております。ところが重油製品として海外から輸入する場合には、現在の状態では、それよりも七、八%高い値段でないと輸入業者赤字を出すという状態になつております。つまり輸入品が非常に高くて、現在の公定価格では、このままでは物が入らないということであります。これを更に突き詰めて申しますると、現在市価が、仮に公定価格がなくなつたとしまして、市価が現在通りとしましても、重油業者は入れるかも知れません。これは自由経済の自然の動きで、それは結構だと思うのでありますが、政府がみすみす輸入価格を下廻る公定価格をつけるということは、政府立場として非常にこれは苦しいのであります。そういう意味で、公定価格制度を維持する、今後も維持する場合には、どうしても輸入品が入れるような途を、入れるようなことをはつきり価格の上でしなければいけない。そうすると、どうしても高いものをきめざるを得ない、まあこういうふうな事情があるのでありまして、先ほどの説明を補足いたしたいと思います。それからさつきの需給事情の話ですが、これは物価庁としても、反面から、ただ価格の面から、動きの面から見ているだけでございまして、実際の需要とか、供給数量安定本部のほうがむしろ専門家でありますので、我々は価格の面から見ても、只今委員長の申されたように、そうひどく神経質になつて心配する必要はない、こういうふうに考えております。
  13. 松浦清一

    理事松浦清一君) そうすると、結局今値上げをしようという新らしい油の価格でないというと、油が入つて来ない、こういう心配があるのですね。端的に言うとそうですね。
  14. 森誓夫

    説明員森誓夫君) そうです。更に言いますと、結局政府がそれをきめるところに問題がある。政府がそれをきめる限りは、輸入できないような価格にきめられない。公定価格がなくても、輸入業者はどうしても商売を続けて行かなければならないのですから、赤字を出して輸入しましてもそれは自由です。併し、政府公定価格をきめようとすると、その建前上、みすみす輸入して赤字を出すような価格はきめられない。こういう辛い事情があります。
  15. 松浦清一

    理事松浦清一君) どうして赤字が出るかという数字的な根拠はあるですかね。
  16. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 最近半年ぐらいの輸入実績を全部調べてあるのです。これがそうなんです。どこから買つて値段はこうだと全部わかつております。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一遍念のために伺つておきたいのですが、今価格統制をされました場合に、恐らく価格は、二本建のような恰好に自然になつて来るじやないかと思います。というのは、国内精油数量というものは、或る程度能力によつて制限されておるから、需要量全部を賄うだけのものは、日本では原油から精製できない。そうすると、それを賄うためには、どうしても製品輸入というものが必然的に起つて来る。然し製品価格というものは、地域によつて相当国内製品より上廻つておる。上廻つておるが、結局それを扱つておる店はおのずから分れておる。国内品を扱つておるものと、輸入品を扱つておるものは殆んど分れておる。この需給関係は、端的に言えば、安いものは先に売れてしまつて、高いものは後に残るけれども、高くても必要だから買わなければならん。こういつたような事情にあるじやないかと思いますが、お見通しは如何ですか。
  18. 森誓夫

    説明員森誓夫君) そういうことも考えられます。結局輸入品を使わなければ需要が満たされないのですから、最後のほうの買い遅れた連中が高い輸入品を買わざるを得ないことになるだろうと思います。併しむしろ私は、仮に公定価格撤廃すれば、輸入品国産品中間辺のところに市価が大体ずつと行くんじやないか、当分はそれが実現して行くんじやないか、こういうふうに観測いたしております。
  19. 松浦清一

    理事松浦清一君) 統制撤廃安本は今日行かれるのですか。
  20. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 今日は延ばされたようです。
  21. 松浦清一

    理事松浦清一君) 政府方針は、やはり統制撤廃という方針で話をすることになつておりますね。
  22. 森誓夫

    説明員森誓夫君) それはきまつております。
  23. 松浦清一

    理事松浦清一君) 統制撤廃されればこの価格引上げの必要がない。廃止になるから。
  24. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 我々としては撤廃に全力を注いでおりまして、あとそれが通らなかつたら、もう一度研究しようと思つております。
  25. 松浦清一

    理事松浦清一君) それではよく事情がわかりましたから、ほかの委員のかたに御質問がなければ。……統制撤廃がきめられるという既定方針に最大の努力を払つて頂きたい。どうしても向うさんのあることですから、統制撤廃ができないということになれば、価格を最終的に決定するのはもう少し御研究を願つて、我々のほうでも研究してやつてみたいと思います。委員会意向を無視して、官僚独善的におきめにならないようにしてもらいたいと思います。  次に水産庁の林漁港課長、奥田経済課長がお見えになつておりますから、只今までにわかつておりまするルース台風の水産関係の被害の状況一つ承わりたいと思います。
  26. 林真治

    説明員(林真治君) ルース台風の被害状況でございますが、只今お手許に差上げました資料は、私の所管しておりまする漁港関係の被害につきましての表でございます。実は全体の模様につきましては、まだ余り的確な表ができておりませんので、目下作成中でございますが、取りあえずこの問題につきまして、御報告を申上げたいと思います。御承知のように、今回のルース台風は、本年度は多分あるまいと想像されておりましたにもかかわらず、非常に猛烈な勢力を持つたものが参りまして、西日本から殆んど一面総なめにいたしましたわけであります。この表でもわかりますように、九州、四国及び中国、この辺が最も大きな被害を受けたわけであります。まだ詳細なことにつきましては報告を受けておりませんので、判明いたしかねますが、例えて申しまするならば、鹿児島県枕崎附近におきましては、瞬間風速実に六十四メートル幾らというようなものでありました。今まで余り前例を見なかつたようなものであります。従いましてここに載つておりまする数字をちよつと見ましても、漁船等の関係はまだ的確な数字はございません。従つて備考欄に参考程度に載せて置きましたが、二千七百幾らという被害の漁船を出しております。これはまだただ一部の人の口頭による報告から算定いたしましたので、果して的確かどうかはわかりかねるわけでありますが、こういう厖大な被害を受けておるわけであります。漁港の問題につきましてもここに二億という数字が載つておりますが、これは只今のところ鹿児島県では主として薩摩半島を中心としましたものの見込額がわかつておるだけであります。大隅半島におきましてはまだ通信不能でありましたために、今までのところ資料が参つておりません。その他佐賀県、或いは山口県、広島県、島根県、そういつたところにおきまして相当な被害があるわけであります。なお又、高知、愛媛等におきましても、まだ詳細な数字が参つておりませんが、これも相当に甚大な被害を受けております。近畿から東乃至北におきましては比較的被害は軽少であつたであろう、こういうふうに想像しております。只今までに受けました報告が大体十六億余りが漁港につきまして被害を受けております。これらに対しまする処置でございますが、具体的には現地査定の上に計画を定めまして、やつて行くことになろうと思います。取りあえず応急の問題といたしまして、どういうふうにするかということにつきましては、従前の例に見ますならば、予算決定前の緊急措置といたしまして、補助金を見返りにいたしました応急融資の途が講ぜられて来たのであります。多分そういうことも考えられるのではないかと考えておりますが、ただ只今丁度補正予算の時期に相成つておりまして、その関係についてちよつと御説明を申上げておきたいと思つておりますが、御承知のように災害復旧費の公共事業費につきましては、二十六年度として八十億の予備費というものがあるわけであります。これは二十六年度に起るであろう災害のために取つて置かれた金でありますが、只今までのこのルースの参りまする前に、先ほど申上げましたように大体今年中におきまして起る被害がないであろうという想定で、マージ台風でありますとか、或いはケートでありますとか、或いはその前に起りました冬期風浪害でありますとか、そういうものだけの処置を考えまして、それだけの余裕というと語弊がございますが、台風が少かつたために予備費の中に多少余裕が出た。一方二十六年度におきまして法律改正、或いは主として法律改正の問題に伴いまして補助率等の引上があつたわけであります。そういう問題を解決いたします財源が補正予算には実は組まれなかつたのでありますが、こういう操作はすべて安本なり大蔵省なりでやつておるわけでありますが、そういつた関係の予備費に多少の余裕が生じたということからいたしまして、補正予算の機会におきまして予算組替えをやりまして、両方の問題を解決しようということに相成つてつたわけでありますが、八十億のうち約二十億ばかりをそういう補助率改正の操作に充てます。又四十億程度を二十六年度のルースを除きましたそれより前の災害に充てる。それからあと十五億程度の予備費を取つておく、こういう話に実は大体なつてつたのです。ところが、ルースがこういう大被害を及ぼしましたので、この復旧費につきましても相当多額に上るであろうと考えられます。そこでこの問題はまだ私、的確に聞き及んでおりませんが、一応そういつた操作をしようということを差とめまして、再編成を考えて、或いは予備費は予備費としてルースの復旧まで込めてやるようになりますか、或いは別の財源で以て補正予算の再補正を組まれるようになりますか、この点はまだ決定しておりませんが、今政府首脳部でお考えになつておるのではないかと想像しております。いずれにいたしましても、今までの操作で考えておりました十五億程度の予備費の残りで以て、このルース関係を処理するということは非常に困難になつて来ておると思います。総被害額につきましては今後の報告に待たないとわからないわけであります。一応鹿児島県だけの問題として考えましても、総被害額約五百億といわれておりますから、これを全国的に見ますと相当な数字に上るのではないか、その応急復旧の問題につきましては相当に財源的にも考えて、緊急支出をして頂かなければならんのではないかと考えております。そういつた問題につきましては今後の進行に伴いまして、水産といたしましても公共事業につきましては成るべく乗り遅れないように早く処理をしてもらいたい、こういうふうに考えております。一応の御報告を申上げます。
  27. 松浦清一

    理事松浦清一君) 何か御質問ございますか。
  28. 玉柳實

    玉柳實君 只今の被害状況報告書の中に愛媛県はブランクになつておりますが、先刻愛媛県副知事の報告によりますと、同県内の水産関係の被害は船舶被害二千隻その他漁港の被害を加えまして総額五億六千の巨額に達するということでございます。恐らく本日にも、水産庁にも同様な御報告があろうかと存じますが、然るべくお取計らいを願つておきたいと思います。  なお、委員長に御相談申上げるわけでありますが、本日午前中の衆議院水産委員会におきましては、水産関係の被害も極めて甚大であります関係上、水産委員の災害現地視察を決定されたそうでございます。我が参議院の水産委員会は人数も少数であります。国会中何かと支障の多いわけでもございましようけれども、被害が非常に激甚でもあり、又今、臨時国会には追加補正予算が提出されておりまして、今回のルース災害の補正予算提出ということになりますれば、非常に時期が急を要しまする関係等もございまするので、これが現地の視察等につきましても、適切な措置を講ずる必要があろうと思いますから、この点お諮りを願つた上、適当な御措置をお願い申上げたいと思います。
  29. 松浦清一

    理事松浦清一君) ルース台風の被害地に対する議員派遣の問題のように伺つたのでありますが、これは今朝ほど常任委員長会議をやりまして打合せた点がございますから、委員会が終りましてから懇談会に移りましていろいろ御相談申上げたいと思います。
  30. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回のこの台風の被害はだんだんと各地からの報告によると大きくなつて参りまして、我々が初め想像したものから見ると遙かに大きな被害のようであります。殊にこの漁港等の被害につきましてはまだここにございますように、報告未了のところがあり、はつきりどういうところにどれだけの被害があるかということのわからん点もございますが、恐らくこの通過した附近においては、相当な被害があつたことは想像されるわけでありまして、この場所にもよりますけれども、今後又、だんだんと季節風の強い時期になりまして、漁港の防波堤が壊れる、或いは護岸が壊れたというような場合には、今後の作業にも大きな支障を来たしますし、従つて漁港の損害のみならず、漁業の損害も又大きいと想像されるわけであります。これが復旧はとにかく非常に急を要するものと思います。若しこれをそのままにして長く放つておきますと、決壊したところはだんだん大きくなつて参りまして、今やれば割合に安くて上る工事も、遅ければ倍にもなるといつたような性格のものでありますので、この際復旧については、尤も破損の被害の状況にもよりますけれども、防波堤等は多くはそういう傾向を持つておると思うのでありまして、極力速かにこれが復旧をするということに努力しなければならんと思います。我々といたしましても能う限りの努力をいたしたいと思いますが、政府当局におかれましては、特に現在の、漸く漁港が拡充されようとしておる際に、壊れたのを壊れ放しにしておいたのでは、むしろないに等しいじやなくて、有害になるという憂がございますので、特に一つ急速にこれを復旧するように、格別の御尽力を願いたいと思います。
  31. 林真治

    説明員(林真治君) 只今お話通り、災害復旧を放置しておきますならば、ゼロになるのではなくて、むしろマイナスになる面も実は出て来るのであります。従いまして私どもといたしましても、従前から申上げ、結局は予算の面になつて来るわけでありますが、できるだけ尽力をいたしておりますが、実は実情を、過去の実績を振返つて見ますと、三年乃至四年かからなければ大体全部の復旧ができないというのが今までの実情なのであります。従いまして、この点につきましては、私どももできるだけの努力はいたしますが、又委員会なり、或いは国会等におきましても、この点につきましては是非御尽力をお願いしたい。私のほうからも一つお願い申上げておきます。それから愛媛の、先ほど玉柳委員からお話がありましたが、これは途中の報告でありますから、まだなつておりませんが、この数字は今後相当変つて来るのではないか。恐らくもう少し的確な数字をつかみましたならば、総体としてこの倍額ぐらいになるのではないかと予想はしております。まだ途中でございますから、その点は御了承願います。
  32. 松浦清一

    理事松浦清一君) ほかに御質問ございませんか。
  33. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この被害状況の大体見当がつきましたら、その都度一つこちらのほうにも御連絡を頂いて、どこにどれだけの被害があるということを我々にもお知らせ願いたい。
  34. 松浦清一

    理事松浦清一君) ほかにございませんか。それでは最近どうも非常に好ましくないことではありますけれども、頻々として南方のほうから台風がやつて来て、前の災害のまだ復旧ができないうちに、又次の災害をこうむるというようなことで、只今委員からもお話がございましたように、速かに、又恒久的な一つ方針を確立して、これが復旧を図らない限り、だんだんだんだん被害の影響というものは大きくなつて行くわけでありますから、何か水産庁当局で恒久的な復旧の措置としてお考えになつておることがございますかどうか、その点について一つ伺いたいと思います。
  35. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) 国の災害対策といたしまして、農業の面におきましては御承知のように農業災害補償制度というものが確立されておりまして、これによりまして、農作物等の被害に対しまして、国が面倒をみるという制度ができ上つております。然るに漁業の面におきましては、僅かに漁船保険制度があるのみでございまして、漁具或いは養殖施設等に対する被害につきましては、国として何ら制度的に救済する制度ができ上つておりません。で、災害を受けました漁業者が、何よりも先ず必要といたしますのは復旧資金であります。で、その復旧資金を漁業者が独力で銀行その他から借りるということが殆んど不可能でございます。ただでさえ経営難に苦しみまして、普通のいわゆる金融ベースに乗りにくい漁業者が、一たび災害を受けました際に、自力で以て金融機関から金を借りまして、その災害から立ち上るということは非常に困難なことでありますので、国といたしましては、何とかその復旧資金に対しまして面倒をみる必要があると存じます。先ずその恒久的な対策といたしましては、丁度農業におきまするように、漁業の災害補償制度というものを確立するのが根本的な解決策だと思うのでありますが、この制度はなかなか一朝一夕にしてでき上らないと存じます。というのは救済制度を打ち立てるにいたしましても、その基礎になります例えば危険率とか、或いは危険の分布状態、そういうものから調べて行きませんと、そういう制度の確立はできないわけでありまして、先ずそういうデータを揃えますまでは、臨時的に何とか漁業者が復旧資金を得やすいような措置を講じて行くということの必要が痛感さ揃るわけであります。そういうふうな観点からいたしまして、水産庁といたしましては、二十七年度の予算といたしまして、お手許に配りましたような経費を要求しておるのでございます。この内容は簡単でありまして、漁業者が二十六年度中に災害を受けました場合に、その復旧資金を金融機関から借りました際に、国家がその金融機関に対しまして、融資額の十五%を限度といたしまして、損失補償契約を結ぶ、更に四%の利子補給をするという内容になつておるわけでございます。その内容をもう少し詳しく御説明申上げますと、予算書の第四頁を御覧願いたいのでございますが、最近二カ年間における漁業災害金額の平均額は約二十四億円になつております。で、この二十四億円の中には、漁船の損害、それから漁具、養殖施設の損害も含んでおります。そこでこの二十四億円の中から漁船を除外いたしますると、漁具の平均の損害額が約十億一千万円ほどになります。それから養殖施設の損害額が二億七千万円、両方合せまして、約十三億円ほどの年間の損害額になるわけでございます。で、そのうちの七割を融資を要する額といたします、銀行から融資を受けねばならん額を七〇%と抑えますと、約九億円になるわけでございます。で、その九億円に対しまして、四分の利子補給と、それから九億の一五%を限度とした損失補償契約を国家が金融機関と結ぶ、こういう内容になつておるわけでございます。でありますから、二十七年度の予算といたしましては、取りあえず四%の利子補給額だけを計上いたしております。その額が約三千六百万円になるわけであります。損失補償のほうは三年又は六年目に初めてその損失補償の債務が発生いたしますので、これは別に国家の債務負担行為として手続をとつておるわけであります。予算書といたしましては、来年度における利子補給額だけが乗つておるわけであります。それでこれを実施いたしますには、法律を要しますので、やはりお手許に配りました法案要綱に基きまして、法律を整備する必要があるわけであります。この法案要綱は大略を書いてありますので、実際の法案としましてはもつと詳しいものが要るわけでありますが、これで大体のところはおわかりになると思いますが、第四条におきまして、融資額の一割五分に相当する損失補償契約を結び得る、政府がそういう損失補償契約を結び得るということを第四条で規定いたしております。それから第五条におきまして、年四分の利子補給の規定を設けておるわけでございます。以上が大体この復旧資金に対する損失補償並びに利子補給の予算の内容でありますが、先ほど申上げましたように、恒久的な漁業災害補償制度が確立するまでの応急的な措置といたしまして、是非この特別の金融措置を実現いたしまして、災害を受けた漁業者の再起の大きな支柱を打立てたい、かように努力しておる次第でございます。なお、その恒久的な災害補償制度のために従来から漁業に起りました災害の詳しい調査が必要でありますので、その調査に必要な経費も別に二十七年度の予算として只今大蔵省に要求中であります。
  36. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今この災害復旧の問題につきまして、将来の……まあ将来でない差迫つた問題として、そういうような法案を出してやつて行こうということは、誠に結構でありますが、その前に私は一つお伺いしたいのは、この漁港などが、これはもう勿論全般的にというわけでないかも知れませんけれども、災害のあるたびに相当の被害がある。これは漁船等につきましても、漁港の不備なために、港の中におる船がやられるということも非常に多いのであります。漁港そのものが、防波堤或いは護岸がやられるということは、もうしよつちゆうなのであります。私どもが、昔藩制時代に築き上げたところの港の状況、或いは土木工事を見た場合に、かの震災のときにも東京の城はびくともしてない。石垣があんな粗末のように見えてもびくともしてない。又港においても当時において造つた港が案外災害に対して平気である。ところが最近造つたところの港は、造つたが、壊れたが、という状態が非常に激しいわけである。いわゆる粗製濫造の気味があるんじやないか。今日科学は非常に進んでおりまして、そうして成つた土木建築の工事等についても科学的に非常に進んでおるはずなのに、その港が風波のために傷むことが激しいということに、私は多分の疑問を持つのでありますが、その原因とするところの一つは、たくさんの港がとにかく整備したいということで、僅かの予算を多くのものに割いたために、その一カ所の工事費というものが非常に節約されるといえば結構ですけれども、いわゆる総花的になりまして、十分の工事をしてないがために起る原因が、相当あるんじやないか、これらに対しましては、その都度復旧費に相当莫大な費用を割かなければならんことから考えますと、勿論予算を多く取ることも必要でありますが、その工事について、もつと入念な、いわゆる今日の科学の基礎について恐らく私はその技術が、昔の藩制時代の技術から劣つておるとは思いませんけれども、要するにそこに金の足りないために、手抜きがあるとか、或いはいい加減の工事をしているとかいうことに基因するんじやないか、そういう意味からして漁港課といたしましては、将来これに対してもつと入念な仕事をする……これは地元の負担にもかかわることでありますが、併し折角こさえて安心しておつたところが、港がやられた、船もやられたというのでは、何もならない。むしろ何もなかつた時のほうが用心するという結果になるかも知れん、さような意味において、もう少しこの土木工事について築造の上に、何らかの考案をする必要はないか、そういう点をお考えにはなつておらんか、両課長にお伺いいたします。
  37. 林真治

    説明員(林真治君) 秋山委員からお話がございました最近におきまするこの施設の破壊状況が非常に甚だしい、これはまあいろいろ原因があろうかと思うのでありますが、まあ我々といたしましては十分設計の内容につきましては慎重にやつておるつもりではありますが、予算の、まあ何と申しますか、配分に当りまして、ばら撒き主義をとるためにこういう結果が出るということは、一応考えられんではないと思いますが、と申しますのは、復旧の事業が遅延いたしますことは、これは確かに予算の配分の問題になるのであります。そのために設計の内容を貧弱にいたしまして、延ばすということはやつておりません。ただ年度が延びまするために、その年度におきまする工事の途中において仕事をやめなければならない、従つて例えば防波堤の一番先端になりまする、工事の終りになりまするところに弱点ができますというような問題が起つて来るのではないか。まあ設計の内容につきましては今までも十分努力して良心的にやつておるつもりではありますが、今後とも十分注意はして参りたいと思つております。台風が、まあ過去の古い時代におきまする実績というものはこれはなかなか的確なものがございませんけれども、最近特に多くなつたというわけでもないと思うのでありますが、施設の面から申しますと、例えば旧藩時代にやりましたものは自然に、何と申しますか、逆らう程度が少いという位置に造られたものが多い。近代的な築港技術ができて参りましてからいろいろ今まで比較的造ることも困難であつたというような場所にも、需要の必要からいろいろの施設物を造つて参りました。従つて自然の力を受けますことも非常にまあ強くなつたので、被害をこうむる機会も多くなつた。これに十分抗し得る強大なものを造れば勿論災害は非常に減殺されると思いますが、ただ築設上の経済的な問題もまあ出て来まして、安全係数をどういうふうに考えるかというような問題も出て来るわけでありますが、いわゆる築港技術の点から申しまして経済的な問題を織り込んで計画を考えまするために、まあ如何なる災害に対しても安全であるというような強大なものを、大体今までとしては造つておりませんので、場合によりますと、こういう異常災害について甚だしき被害を生じておりますという結果になつておると思います。併しながら最近の実例から考えてみますと安全係数と言いますか、強度につきましては多少従来の安全係数の程度を高めまして、考えて行く必要があろうかと思います。この点につきましては今後十分に検討を加えまして実施に移して参りたいと考えております。
  38. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どうも釈迦に説法のような感じがしますが、殆んど毎年いかれるわけなんでございますね。従つてまあ経済的の関係も勿論あると思いますけれども、今まで水産庁の指導と言いますか、管轄下において築造された港の被害の状況を統計的にこう調べて行きますと、どこへどういう欠陥があるかということがよく出て来ると思うのですが、これが年々今まで予想しなかつたような台風がだんだんと力を増して来るのであれば、これは今までのように気が付かなかつたからと言えるかも知れませんが、強弱ともに或る程度の損害を受ける。これは設計上には或いは万全を期しておつたかも知れないけれども、それぞれ築造の技術において、或いは材料において欠けておる点がないとも言えません。こういう点は一つ地方の施設するほうの側とも当初において十分研究し、少々金はかかつても毎年々々手を入れなければならんようなものは造らないことにする。これを造つたために先ほど申しましたように安心しておつて船をぶつこわしたというような結果も、まま生れておりますので、この点は私が申すまでもないと思いますけれども、水産庁の御担当の係においてとくと研究されて、一つ復旧費が毎年要るようなものは、初めに少し出してしつかりしたものを造つておけば損害は非常に少くて済むのじやないか。絶対に破損しないものを造るということは、これは無理なんでありますが、余りにも被害の程度が多過ぎる、こういうことを私は痛感するので、このことを申上げるわけであります。  それから次に今の復旧資金の融資に関する臨時措置法の要綱の第二条にありますが、中金、或いはその他の主務大臣の指定する金融機関が、これに融資をすることができるということになつておりますが、これはその融資をする場合にはどういう方法で融資をするか。担保、或いは補償その他というようなことはどういうふうに考えておられますか。
  39. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) 融資の財源、それから担保その他の手続は全部普通の金融の場合と同じであります。ただそれに対しまして政府の損失補償と利子補給が付くと、こういうことを謳われておるわけであります。
  40. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、大体においてこの指定する金融機関というのはどういうことを見込んでおられますか。主としてやはり農中のほうでございますか。
  41. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) この第二条にいわゆる主務大臣の指定する金融機関というのは、銀行というように……。
  42. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 指定銀行……。
  43. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) はあ、例えば無尽とか、いろいろな金融機関がございますが、銀行を指定いたしたいと思つております。
  44. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうした場合に、指定された銀行は別に義務を負うということはないのですか。任意なんですね。
  45. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) 一般的に銀行というような指定をいたしまして、何々銀行というようには指定いたしません。
  46. 松浦清一

    理事松浦清一君) これはやはり若干政府の補償の裏付があるわけですか。どうしても払えないというような場合には補償の裏付というのはどういうふうに……。一割五分だけ……。
  47. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) はあ。
  48. 松浦清一

    理事松浦清一君) これは併し着想としては、案の内容についてはまだまだ検討を要する余地があろうと思いますけれども、こういう途を開きたいという案の着想は非常に結構で、大賛成ですから大いに推進をしてもらいたいと思います。
  49. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは前にこういう何か構想があつたのじやなかつたですか。
  50. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) 昨年キジア、ジエーンの台風の対策といたしまして考えましたのでありますが、そのときは予算のきまつた後でありまして、そういう事情で実現できなかつたのでありますが、今年は丁度予算を要求中でありますので、何とかこれはむずかしい予算でありますが、何とか通しまして、そのあとで立法措置を講じて行くようにいたしたいと、かように考えております。
  51. 松浦清一

    理事松浦清一君) 台風と共に流れないように一つ……。
  52. 玉柳實

    玉柳實君 経済課長にお伺いいたしますが、この漁業災害復旧資金について特別な法的措置を講ぜられますことは非常に結構なことでありまして、私双手を挙げてこの実現を希望する次第でありますが、ここでお伺いいたしたいと思いますのは、この融資に必要な資金につきましては、特別に何か政府資金を用意せられるのでありますかどうかということ、それから第二には、この要綱は二十六年度中に生じた災害に対する融資についてのみの措置になつておりますが、二十七年度以降のものにつきましてはどういうふうに考えておられますか。先ほどお話の将来漁業災害に対する根本的な補償制度が実現するまで、毎年かような臨時的な措置を繰返して行かれるお考えであるかどうかということを伺つておきたいと思います。  それから第三に、折角かような結構な法的措置を講せられるならば、一歩を進めて二十五年度以前の既往の災害に対する融資につきましても何らか適切な方法が考えられないかどうか。御承知通り累年の災害によりまして融資を受け、その後の漁業の不振のために償還の困難を極めておるという例が全国に非常に多いわけであります。従いましてかようなところではいろいろと将来の漁業の振興について計画をめぐらしましても、新たに融資を受けようといたしましても、旧債の償還が十分でないために、新たに融資を受けるということができない。そのために旧債の償還もできなければ、新たに漁業振興の飛躍を図つてもそれを実現することができないというようなことで、非常に困窮をいたしておる事例が多いわけであります。従つてかようなところにはこれはここで思い付きました一つの試案に過ぎないわけでありまするけれども、例えば旧債の償還ができなくて困つているというようなところに対しましては、政府が何か旧債の条件の緩和、例えば償還期限の延長を図る、或いは利率の引下を図る等のことを勧告をして、それに応じたものに対しまして、なお且つ償還が困難な場合にはこの法案の趣旨を適用いたしまして、一割五分に相当する補償をするといつたようなことを考えることも、一案じやないかというふうな気もいたすのであります。尤も政府財政逼迫の際でもあるわけでありまするし、従つていろいろと研究すべき点は少くないと思いまするけれども、何か折角かようないい法案をお作りになろうとしておる際でありますので、旧来の災害に対する融資に対しましても、何らかの手が打てないものであるかどうかというようなこと、一応試案を提起して御意見を承わりたいと思います。
  53. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) 只今の御意見の災害復旧資金資金源を、政府で面倒みよという御意見、誠に御尤もでありまして、実際に漁業者の復旧資金の面倒を見るのでありましたら、その資金源まで政府が面倒を見るべきものだと考えます。併しながらその点につきましては、予算的乃至立法措置で解決するのは誠に困難なように考えますので、その資金源につきましては、こういう措置が実現いたしました暁にいろいろ行政的な手を用いまして、できるだけこの資金源の確保に努めたいと、かように考えておる次第であります。それから臨時的な措置ということになつておりますが、恒久的な災害補償制度ができ上りますまでは、毎年この臨時的な措置でやつて参りたい、かように考えております。そのためには毎年法律を改正してやつて行かねばならんと、かように考えております。予算的措置も毎年やつて行くと、こういうまあ考えでおるわけであります。それから既往の災害に対しましてどうするかということでありますが、これも御尤もでありまして、現在漁業金融の非常に困つております大きな原因といたしまして、既往の災害復旧のための負債の累積というものが大きく働いておることは十分承知いたしております。これに対しまして何とか手が打てたらという工合に考えますけれども、実際問題として非常に困難だと考えます。そういうわけで只今のところとしましては、先ず本年度以降の災害について考えておるわけでありますが、既往の分につきましては立法的乃至予算的措置で処理するということは甚だ困難でありますので、そういう点につきましてはやはり金融機関との話合い、その他の行政的な措置で以て解決して行かねばならんじやないかと、かように考えております。甚だ既往の分につきましては水産庁としても何ともいたしかねるというような現状でありまして、甚だ残念でありますが、実際はそういうような実情でございます。
  54. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この法案はいつ出すのですか。
  55. 奥田孝

    説明員(奥田孝君) 予算の見通しがつきましたら、次の通常国会に出したいと考えております。
  56. 松浦清一

    理事松浦清一君) 予算的な措置を講ずる見込が立つまでは、法律案を作るわけには行かんでしようが、その頃までに若しこの国会が終つて休会中でもよろしうございますから、若し只今御提示願つております要綱の内容についての変更を加えるような必要、又この予算案に対して内容が変るというようなことがございましたら、こちらのほうへ一つ御連絡願つて検討を加えて行きたいと思います。  それからもうほかに御質問ございませんですか。林課長にお願いを申して置きますが、今度の台風の被害というものは、今報告が来ております以上にだんだんと事実が明らかになるに従つて、拡大して来るものと予想されるわけなんで、いずれにしても政府はあらん限りの努力を拂つて復旧に着手しなければならんと思うのですが、国会のほうでも急速にそれぞれ関係の議員が実情調査に赴くようになると思うのですが、丁度二十七年度の予算の編成中であるし、又国会開会中非常に御多忙であろうと思いますけれども、特に漁港に関する調査を至急に現地においてなされて、ほかよりも遅れないように、その復旧の手が打てるような御準備を一つ願いたいということを要請して置きます。
  57. 林真治

    説明員(林真治君) 具体的な復旧の計画を定めます査定等は、今少し府県におきまする現地調査ができてからになると思いますが、取りあえず応急的に進めなければならない問題のためにも一応の調査をする必要がありますので、取急ぎまして調査をし、特に被害の甚大な県だけでもいたしたい。この点につきましては私の関係しております漁港だけの問題でございませんで、或いは漁船保険の問題でありますとか、いろいろな問題がございますので、水産庁といたしましても長官のところで、皆集まりましていろいろ協議をしておるわけであります。近くまあ長官のほうでいろいろおきめを願つて出かけることになろうと思います。御了承を頂きたいと思います。
  58. 松浦清一

    理事松浦清一君) ほかにございませんですね。それでは本日の委員会はこれを以て散会をいたします。次回の委員会は公報を以て御通知申上げます。    午後三時九分散会