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松浦清一君 この問題が
最初に提案されてこの
委員会に総括的な御
説明を
当局から承わりました際に、
理解のどうしてもできなか
つた点が幾つかあ
つたわけなんですが、その
理解のできなか
つた主な点が
只今委員長がおつしや
つておられたように、
運搬船に転用するとか、ほかの
漁業に転用するというような
方法を考えておる。こういうような
説明でありましたが、
運搬船に転用するということは、到底高い
修繕費を出して引合いのとれるような船ができようとは考えられないし、又どうせ
機帆船のようなものにして、
沿岸輸送をやるということになるでしようが、
沿岸輸送をや
つている
機帆船自体が行き詰
つておるという
状態でありまするから、いわんや
漁船に使
つておるものを多額の
修繕費を出して
運搬船に変えてまでやろうという人は出て来ないことは当然である。そこでこの解決を、
法案に対する結論を求めるためには、一体
整理しようとする一万六千の船のうちで、どれだけ
ルース台風による
被害地に持
つて行つて、これを利用することができるかという精密な科学的な
調査を必要とする。もう
一つは
頭勘定で勘定するというと、四万八千の
乘組員が一万六千の船を
整理することによ
つて失業するということになる。若し
ルース台風の
被害地のほうにこれを売却して、それに使用するということになれば、一万六千隻のうちのどれくらいがその
方面に持
つて行つ
つて使えるか、こういうことはやはり極める必要がある。これは
補助金のほうに非常に大きな
予算と関連がありますから、これをやはり知りたい。それから例えば一万六千隻のうちで半分がその
方面に使用されるということになれば、なお八千隻の船が、これは仮定でありますけれども
減船しなければならん。そうすると四万八千人の
船員のうちで二万四千というものが
失業するということになる。これに対してどういう
処置を講ずるかということの
説明に対しては、
失業する
船員はおおむね
家族船員であ
つて、
雇用関係が結ばれていないから、これらの
諸君に対する
手当というものが
予算の中に含まれていないという
説明であ
つた。ところがまあ
家族が
乘つてや
つておる船もあるでしようけれども、やはり
雇用関係の結ばれておる船というものも皆無ではないと思う。そういう場合に
労使の間に
失業手当なり
退職手当に
紛争があるということを予測されるので、こういう問題についてはこのうちのどれくらいが
家族船員であ
つて、
雇用関係を
結ぱれていないから退職手当、
失業手当を出さんでも済むという
状況にある船であるか、又何隻の船が
乘組員と
船主との間に
雇用関係が生じていて
成規の
手当をしなければならんか、こういう詳細な調べができないというと、鵜呑みにできないのですね。若しそれが
水産庁で直ちにこの
法案を通すまでに間に合わんということになれば、私はやはり
業界の証人というか、
参考人を呼んで
聽聞会といいますか、そういうものを開いて、一体こういうことで
整理をされて、これだけの
補助金でまあ恐らくそれで結構だとは言わないと思うが、
労使間にその
手当が含まれておるといることで
紛争が起るか起らんかというような点を、もう少し掘り下げて検討しないと、今まで承わ
つておる
説明だけではまだ
條文の
逐條審議に至る前の前提的な問題が私は解決されていないと思う。そういうことに対して
水産庁が正確な
調査を持
つていて、そうして
十分理解のできるような
説明をして頂くことができれば、それはもう
聽聞会を開いたり、これ以上の
調査を求めませんけれども、どんなものでしようね。