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1951-10-23 第12回国会 参議院 図書館運営委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十三日(火曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   委員氏名    委員長     西田 天香君    理事      平沼彌太郎君    理事      羽仁 五郎君            岡田 信次君            徳川 頼貞君            金子 洋文君            相馬 助治君            原  虎一君            徳川 宗敬君            櫻内 義雄君   —————————————   委員の異動 十月十一日委員櫻内義雄君辭任につ き、その補缺として櫻内辰郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            平沼彌太郎君            羽仁 五郎君    委員            岡田 信次君            徳川 頼貞君            櫻内 辰郎君   国立国会図書館側    館     長 金森徳次郎君    参     事    (調査及び立法    考査局長)   角倉 志朗君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国立国会図書館組織規程の一部を改  正する規程案昭和二十六年度国立国会図書館の補  正豫算に關する件 ○国立国会図書館經過報告に關する  件   —————————————
  2. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 只今より委員会を開きます。本日西田委員長が所用のために欠席されておりますので、私が代つて委員長の職責を行います。  本日審査を願いますのは、お手許に差上げてございます三つの議案でございます。先づ初めに国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案を問題に供します。金森館長より御説明を願います。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今議に上つておりまする組織規程の一部を改正する案件は、眼目といたしまするのは、中央気象台図書館が今まで私のほうの図書館と直接関係がなかつたのを、今回国立国会図書館支部中央気象台図書館というふうにして、他の官庁支部図書館と同格に置こうということが狙い所であります。で現在この中央気象台図書館はもとより運輸大臣の管理に属しておりまして、そうして内容は相当專門的に発達をしております。幾たびかの災害により損失はありましたけれども、現在ございまする書物統計資料学術雑誌、単行本、パンフレット類を合せましておおよそ十三万五千册を揃えておりまして、実際的な価値は非常に進んだもののように聞き及んでおります。これを支部図書館一つにするのであります。従来先ず手始めに行政事務に附随しておりまする図書館のほうから支部図書館に編入する方法をとつておりましたが、漸次こういう專門的な色彩の強いものも入れまするほうが、資料統轄運営という面において非常に利益があるように考えております。
  4. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 御質問ございましたら御発言を願います。
  5. 岡田信次

    岡田信次君 そうするとなおこのほか運輸省には技術研究所でありますとか、その他の図書館があると思いますが、或いは建設省の建設技術研究所とか、そういう方面に対する今後のお考えは如何なものでございましようか。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) その支部図書館という制度が、国会図書館法の中に作られておりますけれども、これが実際は、各図書館がほぼ独立したような状況をしておりまして、余り強く連繋を求めるというのは、事務の円滑を欠くような点もございまして、漸次得心ずくの上に包容して行きたいという考えを持つております。最初日本学術会議図書館、これを包容いたしましたときが、一番專門的なものを取入れる顯著な事例になりました。それでなお実際に官庁所属の中に非常に発達したいい図書館がございまして、或る時期には、物が順序よく運べば併せましたほうが連絡運営の上に都合がいいように思つておりますけれども、今のところまだこの辺までしか手が届いておりませんのです。
  7. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) ほかに御質問ございませんか。御質問ございませんければ、本案につきまして承認を与えることに決定して御異議ございませんでしようか。
  8. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  9. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 次に、昭和二十六年度補正予算に関する件を問題に供します。金森館長より御説明を願います。
  10. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今議に上つておりまするのは、昭和二十六年度補正予算のことでありますが、お廻してありまする予定経費要求書印刷物に沿いながら趣旨を御説明申上げたいと存じております。最初にこの経費要求三つの問題を含んでおります。一つは官吏の俸給が今回一齊に増額されるということに連れまして、予算の上に増額を見込まなければならん、これが第一点です。一つ行政整理の問題が一般的になつておりまして、国会図書館も自然それと歩調を揃える場面がございまして、それがために若干の職員の数を減らす、減らすと同時に退職手当の途を設ける、この点で予算に変更が起るということが第二の論点であります。第三の問題といたしましては、かような経費増額等念頭に置きながら、従来予算面に計上されておつても、実際の経費の支弁の上に節約して来た面がございまして、金額としてはさほど大きなものではございませんが、とにかく節約考えております。それがため予算の上に若干の変化が起る必要がございまして、この三つの点をまぜ合せまして、この経費要求が出ておるのであります。  印刷物につきまして御説明を申上げますると、最初のところに出ておりまする国会職員給与改善に必要な経費という点につきましては、大体職員の一人当りの俸給が千八百六十円殖える計算になります。これに応じまして勤務地手当が四百六十五円、勿論月額ですが、それが殖えるという計算になる。それから又これにからみまして超過勤務手当俸給増加に関連をして動いて行くというようなことがございまして、それがためにここに記されておる千六百六十一万二千円という追加額を計上いたしました。  それからその次に、節約による既定経費の減少と申しまするのは、大体年度当初から大蔵省からの要求によりまして、旅費については一割を節約する、物件費につきましては原則として五%を節約する、こういう計画を立てておりまするので、国会図書館の項目から二百五十四万一千円を減額することになりまするし、それから国立国会図書館営繕事務費というものが、これは次の紙に出て参りまするが、そこで二万四千円節約するということの結果、二百五十六万五千円を節減することになるのであります。  それから次の数字に現われて来ますのは、この人員整理に伴う問題でありまするが、行政整理ということがよいか悪いかという点につきましては、私どもみずから判断をするだけの特別な研究をしておりませんけれども、大体政府行政整理を一様に行われるということになりまして、国会についてもその協力を求められるということになりますると、一般的な原則に非常に強く反対をしなければならんというほどのはつきりした理由もございません。或る程度は、心ならずもこれと歩調を揃えるという結果にもなります。そこでどういうふうに人を減らすべきかという問題になりまするが、これは一般の標準と、それから私ども図書館の持つている特色とを併せ考えて、折衝をするよりほかにいたし方もございませんので、その点によつてだんだん研究を進めて行きましたが、私ども図書館は非常に現業に近い部面が多いのでございまして、勿論普通の行政事務に近い仕事もありまするけれども書物取扱つて整理をするとか、或いは本を読みに来る人に対して、それ相応の便宜を図るということは、非常に現業的なものが多いのであります。でありますから、そういうところは余り減らすことはできません。のみならず現在持つておりまする職員でやつても、どうしても仕事が余つてしまつて溜つた仕事が累次蓄積されて行くほど困つているという面もございますので、そういうところを念頭に置きながら、各仕事種類別研究をいたしまして、その結果三十名を減少するという方針を立てまして、この三十名というのは、大局から言えば、五分に接近しているものであります。殆んど五分に当つております。その三十名を減少するという方針につきましても、実行をいたしまするのは、来年度の初め三カ月の終り、つまり六月の終りまでに実行をするという方針でありまするので、この二十六年度におきましては、およそその半分近いものを実行すれば目的を達するわけであります。いろいろの考慮をいたしまして、十七名がこの二十六年度においては整理せられるものという予想を立てまして、そこでそのために起りまする俸給不用額四十万七千円というものを減少いたします。同時にこれと振り替えるような意味を以ちまして、退職手当に関しまする三百二十八万八千円というものを計上するということにいたしまして、その結果すべてのものを差引き計算いたしますると、千六百九十二万八千円だけ増加補正ということになるのであります。  これが今回の経費要求書の実情でございまして、然るべくお願いいたしたいと思います。
  11. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 只今説明に対して御質問がございましたら御質問願います。……では私からちよつと館長に伺いたいと思うのですが、行政整理に伴う一般方針に対して特に反対論拠がないというふうにお考えになつて、それに順応されたというふうな御説明に伺いましたが、次の点についてはどうなのでしようか。つまり第一は、国立国会図書館創立間もないことである。従つてそこに働いておられるかたは、今までさまざまの仕事をしておいでになつたわけでしようが、今後はまあ半生を捧げるというか、国会図書館でまさか二年や三年で首になるものとは思わない。相当ここで自分の図書館に対する使命というものを果したいと思つて入られたかたが多いのじやないか。従つてそのかたを創立まあ二、三年でやめて頂くということは、どういうものであろうか、この点が第一です。つまり創立間もない国立図書館においてすでに早くも整理をなさるということは、私にはちよつと納得が行かないのであります。で、若し私の考えておるようなことが間違いであれば結構ですが、間違いでないとすると、一般行政整理政府趣旨を仮に了承せられるといたしましても、創立間もない国立国会図書館において将来の希望を抱いて就職せられたかを今日整理するということは、できないという論拠が認められるのじやないかと思うのが第一であります。  それから第二に伺いたいのは、これは順序が前後いたしましたが、あとから国立国会図書館経過報告を伺うことになつておりますけれども、我々が了承しておりますところでは、国立国会図書館はやはり創立所期のまだ事業というものを十分になしておるということはできません。而もそれについての要求は高まつておる。そういう点から新しい仕事として出発した国会図書館が急速に果さなければならないような仕事を果す上に、増員こそむしろ必要であつて、その整理をなさるということの余地がないのではないか。そういう意味でも一般方針に対する批評は別として、国会図書館としては創立間もないことであり、国会議員に対する立法上の援助その他なさねばならぬ仕事が多々あるので、本来ならば増員要求せられるところである。只今の状態では増員は差控えるとしても、減員せられるということは不可能だというようなことがあるのじやないか。特に第二の点、又第一の点につきましては、我々は国会としては、国会議員に対する調査立法のその責任者の御意見も、これは勿論館長が十分その責任者意見をお聞きになつておることと思うのでありますが、この際又伺つて置いたほうがいいんじやないかと思いますので、只今の二点について館長並びに立法考査局長の御意見伺つて置きたいと思います。
  12. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今お尋ねになりました点は、誠に私もその点において苦慮しておる点でありまするが、第一の創立後間もないときに整理をするということは相当不満足な点でありますけれどす、今回の整理ということの趣旨を何とかして、人数が少くて而も同じ業績を挙げるということにありといたしまするならば、如何なる人間も十分に働いておるとは言えますけれども、まだ或る程度余力が隠れておるという推定を置きますれば、ごく僅かの人数は省略しても事務に差支えはないのではなかろうか。これが基本的な考えの筋でありまして、そういう筋が非常な精密な眼で見て正しいかどうかということも又疑いがありますけれども、大体一般がそういうふうで行くならば、特にそれに異を立てるということにも忍びがたき事情がありますので、その考えで進みまして、そこで定員がその根拠によりまして減るということは、この個々の人の立場が如何であろうとも直接には何ともしようがない、そういう考えで進みました。その困るところはほかの考え方調節をするという気持を持つております。  それから第二の所期事業がまだ出来上つていないのに人を減らすという理窟はないではないか、これは誠にその通りでありまして、私どもも当初はその論を以て大蔵省話合つたのでありまするが、結局考えて見ますると、これもただ一つ考え方というだけでありまするが、我々が百の仕事をするために、百の人を持つてつても、やはり能率発揮ために九十五人でやるという、こういう原理を立てますると、やはりこの場合にも五人だけは人を減らすという理窟が立ちます。併しながら将来仕事が殖えて行くという面におきまして、新らしく仕事分量を測定して増員要求するという途が残つておりまするので、今回の縮小というものは、現在の仕事をするためには、このくらいで我慢するということであり、将来の昭和二十七年度予定仕事ためには飽くまでも増員をお願いする。これは最も正当な方法調査をしてもらいたい、こういうふうな希望を以てこの話を進めたわけであります。そこで今度個々人間の処置につきましては、今のところまだはつきりした具体的な方針は立ちませんけれども、何しろ図書館は新らしい仕事であり、ここに入られた人も原則として年令が若いのでありまして、折角仕事に馴れかけたときに、わきへ転ぜられるということは、図書館としても損であり、その人としても非常に辛い立場であろうと思います。そういうところはいろいろ人間配置等を工夫いたしまして、あらゆる手段を講じて、できるだけ損害の少い方法を講じようと思つております。けれども無理な方法がとれるわけはございません。今心の中に思い浮かべておりまするのは、丁度今年この増員をするときであり、予算関係で十月以後に遲らされておる部分が少々ございまして、そこのところは実員を埋めておりませんので、その点は実はそういう予想されている適材を持つて来なければならんから、全部外の人を採つて来るべきものであり、中の人を振替ることはできないというような理窟も一応は成立いたしますけれども人間には相当の彈力性がありますので、一部分振替えで問題を解決することができるのではないかという気持を持つております。ただもう一つ考えは、来年度無事に新しく増員ができまするならば、その増員の計数が来年度に縮小すべき人数と多少の関係を以て調節のできる余地もあるのじやないかというふうに考えまして、有能なる人々には決して累を及ぼさないということを先ず第一原則として処置して行こう、こう考えております。  なお、ちよつと申し添えて置きますが、この中で人の数を整理いたしますにしても、どうしてものつぴきならん、減らすことのできない、如何に能率を発揮しても予定するだけの仕事がやれないという部分につきましては、減らさないという方針を堅持して多少の話がついたわけであります。
  13. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 只今館長の御説明の中のことでちよつと伺いたいと思うのは、今度何人か整理なさつて、そうして不用経費によつて節約される額が数十万円、それに対する退職などのために要する経費が数百万円、そうして実際上この補正予算の面におきましては、少くとも節約にはならないで、経費が増大するわけなんですね。そうして今御説明のように、又御説明を待つまでもなく、国会図書館は今後充実しなければならないから、近々増員しなければならんということは、火を見るより明らかである。そうするとこの補正予算の面だけにおいてではなく、国立国会図書館が国に負わせる負担というものは或る意味ではダブつて来る。今一般行政整理方針に順応するということは大変結構なんですが、併し実質上それによつて何人かにやめて頂き、退職金を出す。そうして来年度なり再来年度にはどうしても殖やして行く、こういうことになると、今度は無用な整理を行い、無用な退職金を支払い、国に対して損失をかけるという非難を受ける余地が或いは生ずるのじやないか。そういう点についての館長責任と申上げては少し強いのですが、どうでしようか、大蔵省もなかなか無理解のことだと思うのですが、特に国会議員ための重要なるサービスなさなければならん国会図書館でもあり、従つて又その経費の使用などにおいても、合理的にいわゆる表面だけ行政整理をして行く。実際においては国に損失をかけるというようなことが勿論他の官庁でもそういうことはないと思いますが、併し国会の中で或る意味て範を示すなんという僣越なことは言えないかも知れませんけれども国会の極く身近でもそういうことが行われておるということになると、名目上の行政整理で、実際は国民が非常に損失をこうむるということになつては大変だと思うのですが、如何でしようか。
  14. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 行政整理というものは私どものいくらか経験したところによつて判断いたしますと、なかなか所期の効果は上げ得ないものであります。私どもも実は政府のほうにおりますときに、何遍も行政整理のプランを立ててやつておりましたが、結局人数が全体的に減つたが、又知らん間に人が殖えて来る。それと同時に俸給退職金に化けて行くと、国家の経費は若干ずつ殖えて行く、こういう面は少くとも部分的にはあつたものと思つております。でありますから行政整理ということは余り下手にやるというと消極的な不利益ばかり残るという気もいたします。ただこの図書館が今やつております場合は、そういう一般整理と離れまして、何しろ分量が非常に少いのですから、本当の有害と見られるような損害は余りませずに行くのではなかろうかという気がしております。露骨に申しますると、官庁のいろいろな空気の沈滞というものは普通の方法では処置できんものでありまして、多少は外科的な手術があることによつてものが変つて行く。そこで行政整理というものの持つている当面の意味ではなくて、裏に隠れている意味というものは普通では或る病気を解決できないときにこの行政整理というその流れの線に沿つて若干それが改善せられて行く。これが行政整理の持つている一つ利益であると思つております。現在私ども立場におきましてはそこまでも考えるほどのまだ深刻な問題は起つておりません。まあ私ども立場といたしましては、先にも述べました通り行政整理などを、人員を減らして各人の能率を高める、こういう意味においてこの行政整理に賛成をする、けれども実行の面におきましては行政整理から来るところの損害を極度に減らして行つて、若しも選び得るならば、それから出て来る利益の面だけを残して行こう、こういう着想を持つております。幸いこの整理の中に出て来まする人数というものが、全体に比べまして極く僅くかである。それは一部分は自然的な現象を以て解決することができましようし、又一部分は新たに取ろうとする職員を取らないで置いて、従来の職員を適当に配置するということによつて目的を達しましようし、更にそれでもいけないという場面につきましては、それはもう十分な考慮をして、如何なる角度から見ても無理からぬという方法で大体処置して行くということにいたしましたら、比較的弊害なく、むしろ有利な面をも実現して行けることができるのじやないか、こう思つております。ただ今もちよつと申しましたように、来年度予算の上に新らしい見地から増員が行われて、そしてその一部分振替計算ができるということになりますると、実は非常に好都合に行くのでありますけれども、そこのところはまだ見込みがつきませんので、苦慮しているところはそこにあるわけでございます。
  15. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 御説明大体了承すべきであるというふうにも思うのですけれども一つ国立国会図書館が或る意味においては他の国立なり、自治体の議会の附属図書館なりに与える影響ということも相当あるのじやないか。又国会図書館がなさることがそういう意味において影響が非常に大きいということも十分お考えのことだろうと思うのです。  それから第二には、これは輿論もそういうことを言つておりますが、国民教育を高めるか、そしていろいろな犯罪等の防止に資するか、それとも国民教育のほうは余りやらないで、その結果犯罪などが増大し、取締の方面を充実するかということは、これは抽象的の問題でなくて、事実青少年図書館行つても入れない。入つても読みたいと思う本が読めない。従つて帰りパチンコ屋に行つちやうとか、パチンコ屋ぐらいはまだいいかも知れませんが、それから進んで賭博なり、或いは悪習に染まるというように、折角青少年が向上する機会として、しばしば世論が指摘しているように、若い人たち図書館に行きたいと考えて、これは赤坂の図書館だけを見ればその数は知れたものかも知れないけれども、併し最初申上げましたように、国立国会図書館全国図書館の或る意味において一つの範をなすということになると、国立国会図書館は十分充実しないで人員整理されて来る。全国図書館が、国会を見なさい、あそこさえ整理しているじやないかというふうに、やはり縮小されて行く。すると青少年図書館行つても面白く楽しむことができない。その結果将来を誤る。政府そつちの方面は、或いは警察予備隊その他の予算を盛んに増大される。ですから、最初館長おつしやつたように行政整理一般については我々は批評しようとしているのじやないのです。併しながら国立国会図書館がそれ自身の任務である国会議員に対するサービス、それから又全国図書館に対する影響力、そういう見地から見れば、予備隊が増強されなければならないような現状においては、国民教育のレベルを高めて、そして無用な暴力的の行為が発生しないようにする任務は実に図書館としては重大だという意味では、私はさつき申上げました、第一創立間もなく就職されて間もない人を切るということ、それから第二、国会図書館の急速に果さるべき任務は多大であるということ、それから第三には、全国図書館にやはり与える影響が非常に大きいということ、それから第四には現在道徳の頽廃とか或いは暴力行為の発生とかいうことが言われておるときに、図書館のほうを縮小するということは、青少年が健全なる楽しい生活をして行くということができなくなつて、彼らを犯罪暴力行為に追いやるということになるという点からも重大だという点で、どうも只今の点はもうこれ以上御説明伺つてもなんでしようが、館長において十分考えの点であろうと思いますので、まだその余地がおありになるならば、この補正予算においてそういう努力をして頂きたいと思いますし、もうすでにその時日がないならば来年度予算なり何なりにおいて、そういう点を愼重に今日お考えになつて十分おられると思うのですが、その上にも十分お考えを頂きたいと思うのであります。
  16. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 御注意有難うございました。成るべく整理損害のないように、結局只今のところは能率発揮は努力するけれども仕事の範囲を狹められるのは困る。この一線で押しておりまするが、今後も努力いたしまして、できるだけ進展の方向に進んで行きたいと考えております。
  17. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 他に御質問ございませんでしようか。特にさつきお願いしました立法考査局長のほうで議員に対するサービスにおいて支障ないというふうにお考えになりますか、どうですか。
  18. 角倉志朗

    国立国会図書館参事(角倉志朗君) サービスの面で更に減員しても業務上支障はないかどうかとの御質問でございますが、実は二十六年度予算につきましては当図書館運営委員会の御意向もあり、又衆参両院の庶務小委員会の議題ともなり、その議決を以て予算折衝等を試みて頂きました結果、六十名の増員を頂いたわけであります。そのときも、増員が必要だという趣旨は、その当時でも六十六名の人員がおりましたけれども、如何にも多岐に亘つて問題があり、そうして自発的に出します調査物につきましても、幾多の欠陥がございますので、これではとても議員各位の要望には副い得ない、一つこれを大きくしていい者を精選して、その中に入れて機能を発揮させたいという御趣旨であつたようであります。その御趣旨に従いましてそれぞれこのたびの拡充につきましても人員の精選その他を努力して参つたのでありますが、先ほど館長がおつしやいましたように、そのうちの二十名は十月一日からしか採用できないというふうなことになりましたために、未だに或る部分が未補充の状況であるのであります。これが實は全部適任者を以て埋められましても、やはり機能発揮ということに重点を置きました場合には、幾多の欠陥があるのでありまして、予算要求しましたのは實は百二十名、現在の三倍を狙つたのであります。それぞれ細かい業務計画を立てまして出したのでありますが、これらは認められなかつた、結局半分しか予算は頂けなかつたのであります。それで今苦慮していろいろ業務を按排いたしておりますが未だに未補充の部分もあり、完全とは申し得ません。不思議なものでございまして、やはり検討を加えていい調査を出しますと、非常に皆さんのお喜びを頂くわけなんで、どんどんそれを配つてくれというのでもう余部がないという調査物が出て参りました。そうして各省との連絡をつけるということが必要でありますので、そうした立場から優秀なる人物をそれぞれ各省と約束いたしまして今準備最中でございます。これがうまく参りましても事務上支障はないということは申上げかねるのでありますが、今承わつておりますように、更にこれから減員するということは、これは私たち責任を以つていろいろ計画をいたしております者から申しますと、誠に晴天の霹靂で誠に困つたことだというふうに考えております。
  19. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) この補正予算予定経費要求書が實行されて現在特に重大な支障を生ずるというふうにお考えにならんですか。
  20. 角倉志朗

    国立国会図書館参事(角倉志朗君) 非常に困つたものであります。
  21. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 私は責任を以て図書館の全般の管理をしておりますから、支障を起すか起さないかということについては、とにかく全責仕を以てその責任に当るべきものと思つておりまして、全体の考慮においてどうせ或る人数が減れば物理的に何らかの支障を起すことは止むを得ませんけれども、併し国家全局の或る必要なる目的を達するためには、平均的な支障が残ることは一応これを考究して、そうして起り得る支障を人間の努力によつてつて行く。これがとるべき正しき道だと思つてこの補正予算をここに出したわけでございますから、私の立場から申しますれば、特に顯著なる支障はない、こうお答え申したほうが本当かと思います。
  22. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
  23. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 速記を始めて下さい。
  24. 岡田信次

    岡田信次君 国立国会図書館の本館の建築の問題でございまするが、これも国会図書館が設けられましてから以来の問題でございますし、又最近の情勢からこれが早急に具体化するということは緊要のことと考えられまするが、補正予算の中に全然そういう項目が現われておらんようでありますが、この点館長に御説明を煩わしたいと思います。
  25. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 昭和二十七年度予算には国立国会図書館庁舍建築のための主として準備的なものではありまするけれども、或る額の予算要求しております。それは一億一千七百万ばかりでありまして、だんだんと必要な庁舍を作りまして、およそ一万五千坪ばかりの延坪の建物を作り、その中に必要な設備を充實して行きますと、ここ十五年ぐらいは格別な工事を加えなくても円滑に図書館が動いて行くのではなかろうか、こういう希望をその上に含めております。  ところで他の一面におきまして、現在の私ども図書館はいわばやり繰りでやつておりまして、場所は狹くて何ともいたし方がない、書物が来ましても、仕事ために人が殖えましてもこれを置く所がございません。そこで三宅坂の附近にだんだんと比較的簡単な庁舍を建て増しするという方針をとつておりまするが、これとても不燃燒の工作物を作らなければならない仕儀になつておりまして、この状態をだんだん続けて参りますれば、結局ばらばらの建物ができ、而も集積して相当の経費を要するということになりまして、甚だ策を得たるものではないように思つておりまするが、まああらゆる角度から考えて見ましても、本格的な図書館ができるのでなければ、合理的にものは動かない。こういう気持ちを持つておる次第でありまして、實はこの図書館関係のおありになるかたがたにいろいろと事情を申し上げて御意見等をも伺つておる次第でありまするが、何とかしてこれができることが望ましいのであり、これができませんければ、結局国立国会図書館法というものそれ自身が途中で停頓するということにもなりまして、責任を持つておる私といたしましては、寝ても覚めても非常に不安心でありまして、まあかなりこう心に重い負担になつておる事情でございますから、何か然るべく御援助を願いたいと思つております。
  26. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 御質問はございませんか。  それではお諮りをいたします。この補正予算に対する本委員会の態度並びに国立国会図書館の現状及び将来に対する本委員会の態度は、本日のみならず本日に至るまでの委員会会議の場合に各委員から十分に発言せられており、そしてその点について館長も十分お考えになつておられますし、この二十六年度国立国会図書館の本予算に対しては本委員会としても強硬な勧告を付しておりますので、この昭和二十六年度国立国会図書館補正予算予定経費要求書に関しましては勧告を付さないで議長に送付することにいたしたらどうかと思うのでありますが、御異議がございましたら御発言願います。
  27. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) では御異議ないものと認めましてそのように決定いたしました。   —————————————
  28. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 最後に国立国会図書館経過報告に関する件を問題に供します。金森館長より御説明を願います。
  29. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 国立国会図書館の経過の大要はかねがね御説明を申し上げようと思つておりましたが、いろいろな事情で遅れました。丁度過去一年分、つまり昭和二十五年の十月から昭和二十六年の九月に至りますまでのことを大略御報告申上げたいと存じております。お手許に出して置きました印刷物がいろいろございまして、そのうちの二色は昭和二十五年十月からの分になつておりますし、他の二色は昭和二十六年四月からの分になつております。おのおのの組が報告要綱とそれの基礎になつておりまする統計資料と二つからできております。先ず古いほう、昭和二十五年十月からの分の経過報告要綱につきまして、そのうちの特に顯著なところの御説明を申上げますると、経過報告要綱の第一頁一、組織とありまするところにアラビヤ数字の1に出て来まするところの大倉山分室を設置したということが出ております。これはかねがね懸案になつておりました神奈川県の大倉山にありまするところの財団法人所属の図書館、建物と書物とを合せまして国会図書館において管理をする、こういう話がついておりました。丁度この頃はまだ正式な予算も取れておりませんので軽い処置をいたしまして、大倉山分室という名前で管理しておりました。これが半年のちになりまして翌年の四月におきましては、正式に大倉山図書館という支部図書館なつたわけであります。  それからまあその辺のところいろいろ細かいことが書いてございますけれども、その紙の裏のところに参つて行きますと、数字の三というところに国会への奉仕という項目がございます。そこの中に調査立法考査局の考査件数が二百四件となつております。簡易な考査は除かれております。それから又そこで出しておりまする調査資料、二十六件という数が出ておりまする。この数は實は非常に少い感じのする数でありまして、調立の職員といたしましてはもつともつと活溌な活動をなしたいと思つております。爾後職員を充實してその方向に進んでおり、次第に次の時期には相当分量も増しておるような状況であります。  それから更に次の紙へ行きまして、数字の四というところで行政、司法各部門への奉仕という項目がございますが、支部の図書館が各行政、司法の部門に二十幾つもできまして、その實際運営の結果というものは案外調子よく行つておりまして、初め法律に出ておりまするときには正直なところ少し軽い気持で扱われる問題と思つておりましたが、實際は非常に緊密な関係を生じまして私ども図書館のかなり重要なる発展部門がこの行政、司法の関係のことであるということを自覚して来ておる次第であります。  それから先のところもいろいろ細かいことばかり列んでおりまして、例えば数字の五のところにいろいろのこの図書館利用の数字等が出ておりまするが、これは次第々々に数が殖えて行くということを示すところに意味があるのであつて、そのほかに特に顯著なものはございません。その同じく数字の五の中の算用数字の8というところがございます。総合目録編さん状況という点がございまして、これは御承知のように我々の図書館かできました当時から日本にありまするところの目ぼしい図書館の持つている書物の目録を一手に集め、誰でも本を探したい人はそのカードを繰ればどこにどういう書物があるか、これが非常によくわかる、こういう趣旨から来ておりまするが、なかなかこれは経済的な負担が大きいためにそう早くも行つておりませんけれども、併しカードの作製が累計いたしまして十五万二千ばかりになつております。理想から申しまするとこれが百万ぐらいのカードが一つの箱の中に納まつて来ますると、相当利用価値が出て来ると思いますけれども、まだまだこの程度でございまして今後努力しなければならんと思つております。それからその並びの印刷カードというところがございまするが、これも比較的新らしく始めただけございましてまだ十分の効果を挙げておりませんが、ただ日本で新しくできまする出版につきまして原則としてすべてこの印刷カードを作り、そうしてそれを或る條件の下に一般に売り出すという方針をとつておりまする。この半年の間に六千七百冊分のカードを作り、総数において約七十万枚できておる極く初歩的な立上りでございまするけれども、これが今後発達いたしましたら日本のいろいろな面に利益を及ぼすことができようとこう思つております。  それから紙をはぐりまして数字の六のところ、国際交換業務という項目が掲げておりまするが、これはこの図書館が世界の諸国との間に図書交流の重要な施設になろうという考えからだんだんと門戸を拡張しております。ここにありますように、国際交換のために、外国に送りました資料は半年の間に三万二千に及び、カードはやはり同じく半年の間に三万余に及んでいるという調子をとつております。これがもつと広く各種の国に及んで行くというわけでありまするが、そう一足飛びにも行きませんが、だんだんと間口を拡げることに努力をしております。  それからそのほうはそのくらいにしまして、次に別の昭和二十六年四月から九月に至ります経過報告の要綱について申上げますると、この期間には組織の面では調査立法考査局が大きく拡張したということが非常な顯著な事柄であります。調査立法考査局のために六十人の人員のお許しを願つたために、従来の三課四室を、三課十三室に拡充するという方向をとつております。だんだん必要なる職員が充実されますれば、もとより理想には遠いこととは思いまするけれども、相当顯著に業績を挙げることができよう、こう考えております。  大倉山図書館ができましたことは先に述べたところでありまするが、次の紙のところに出ておりまするが、大倉山文化科学図書館というものは、今日のところは実は非常に小さい規模のものであります。書物は十三万冊ばかり持つておりまするし、建物も充実しておりますけれども、何しろまだ我々がそこに多くの経費を注ぎ込むことができませんために、いわば古い書物がそれだけで封鎖されたような状況でありまして、新らしい書物を供給するにもまだ十分手が及んでおりませんが、漸次拡張してその価値を高めたいと思います。現在利用者は相当殖えて来ております。  それから表紙を飛んで、二枚目の裏のところ、三、国会への奉仕というところに参りまして、立法考査局の考査件数が二百五十六件に殖えているということは誠に喜ばしいことと思つておりますが、その後の趨勢から見れば、遙かにこれから殖えなければならんものと考えております。  あと大体のほかの一般的な面の拡大強化ということは、自然の速度に従つて伸び行くといふ形になつておりまして、印刷カードとか写真複製事業というようなことも漸進的に動いておる状況であります。なお、私ども図書館といたしましては一遍に手を拡げることはできませんので、少しずつ毎日の新らしい門戸を開いて行くという考えを持つておりますが、最近の方向といたしましては一つは貸出しということをやろうという気持であります。それは何しろ書物を読みまするためには、貸出を受けたいということは人の思うところでありますが、ただへたにやりますると、直接の利用者を妨げることにもなりますので、本年の一月八日から貸出業務を始めまして、複本があるとかその他の事情によつて貸出してもよろしいと思いますものは、無料で相当の期間、外に貸出す。ただ保証金だけは積立てさせて置く、こういう方法でやつておりますが、成績は悪くないと判断しております。  いま一つは、図書館というものの、いわば中央研究所とでも言えば、少し話が大きくなりますけれども、日本の図書館には実際技術的な面の中心点がございませんので、そこで私どものほうの図書館で、図書館資料とでも申しますか、図書館の知識を得ようとするときに、その部屋に集まつて来て、そこの中にあるところの資料を利用するというと大体の情勢がわかるというような一つの施設を作ろうと思いまして、現在はまだ試験的でありまするけれども、次第に外国からも図書館資料に関する書物などを受取りまするし、又国内の各図書館の特色を調べるとかというような方向で、いわば図書知識の中心点を供給しようというようなふうに計画をしております。  細かいことは、たくさんございますけれども、大体のところはそんなふうでございまして、なお御質問等によりまして申上げたいと思います。
  30. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 御質問がございましたら御発言を願います。
  31. 岡田信次

    岡田信次君 この国際交換業務でございますね、この初めの半年と最近の半年と大分数が減つて来ておるのですが、何かわけがあるのですか。
  32. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) ちよつと速記をとめて。
  33. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) 速記を始めて下さい。
  34. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今お尋ねの数字は、ちよつと前後の動き工合に奇異な感じをさせますけれども、現在のところ、この基本をなしておりまする数字がその当時の数字で出ておりまするので、もう少し取調べてからお答えいたしたいと思います。
  35. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) そのほかに御質問ございませんか。御質問ございませんければ、館長経過報告を承認することに御異議ございませんか。
  36. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) それでは承認することに決定いたします。  なお、この経過報告要綱並びに報告資料、これは速記録に載せて、そうして一般のかたにも見て頂くようになすべきものというふうに考えておりますが、どうでしようか館長
  37. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今の差出だしました資料はもとより速記録にお載せ願つていいと思います。ただ、中に現われております数字は、いろいろの、まだ補正の機会もあろうかと思いまするが、本当の正確なのは図書館で発行いたしまする年鑑のほうにきちんと載せるつもりでおります。
  38. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) それじやこれは速記録に載せることにいたします。  なお、本会議におきまして委員長がこの経過を口頭報告することになつておりますが、その内容につきましては、委員長におきまして、只今の審議の経過をよく勘考いたしまして作成いたしたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。
  39. 羽仁五郎

    理事羽仁五郎君) それじやそのように取計らいいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十五分散会