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1951-11-20 第12回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十日(火曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     長島 銀藏君    理事            森崎  隆君            高良 とみ君            紅露 みつ君            千田  正君    委員            木村 守江君            玉柳  實君            宮本 邦彦君            成瀬 幡治君            片岡 文重君   政府委員    総理府恩給局長 三橋 則雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○在外同胞引揚問題に関する調査の件  (戰争による遺族及び傷い者に関す  る件)   —————————————
  2. 長島銀藏

    委員長長島銀藏君) 只今から委員会を開会いたします。  本日は、当委員会といたしましては、戰歿者遺族戰傷病者等に関する問題について審議をいたすわけでありますが、審議に入ります前に、これからの審議参考のために、当委員会として、この問題を過去においてどのように取扱つて來たか、その來歴を一応取りまとめて経過を振り返つてみますことも、あながち無駄でもなかろうと存じますので、少し時間を割愛させて頂きたいと思います。  遺族戰傷病者の問題が当委員会に取上げられましたそもそもの始まりは、他の委員会等においてはこれを取上げようとの空気も全然ない頃に、当委員会では外地での死亡者復員患者取扱い等の問題、それに昭和二十一年二月一日に制定された勅令第六十八号による恩給扶助料等廃止にからんだ問題等いろいろに関連が強くなり、第一国会以來最初から引続き審議されて参つたのであります。昭和二十二年十二月十五日、未復員者給与法が制定されて、ほんの一部分ではありますが、問題の解決に一歩を進めましたことにつきまして、当委員会初期の尽力があずかつて力がありましたことは、当時の速記録が物語つているところであります。爾來、当委員会におきまする遺族傷病者問題の取扱いも、もつぱらこの未復員者給与法改正を目標とすることとなり、例えば、遺族に対し国から弔慰金を支給する条項を挿入する案等につきまして、幾度か関係筋とも折衝が重ねられたのであります。併し、関係筋の極めて同情ある態度にもかかわらず、これらの問題解決を頑として拒んだのは、軍務による恩給等廃止を命じた昭和二十年十一月二十四日附の覚書AG二六〇号(恩給停止)と、遺族傷痍者等一般生活困窮者と異る取扱いをしてはならないという趣旨の昭和二十一年二月二十七日附の覚書SCAPIN七七五号(無差別平等の原則)との、この二つ覚書であつたのであります。このために、当委員会の真剣なる努力も、結果から見ますれば、必ずしも十分に酬いられなかつたとも言えるようでありますが、それでもなお、遺族に対しましては、遺骨埋葬料遺骨引取経費増額、傷い者に対しましては療養或いは傷害一時金制度の設定、その増額等、すべて当委員会委員発議法律によつてなされているのでありまして、困難なる状況の下に、ここまで持つて來られた当時の委員会の御努力には敬意を表する次第であります。  昨年十二月、第十回国会が開会されますや、これら問題の解決の要いよいよ急なる状況に鑑み、当委員会では当時の千田委員長を初めとして、特に遺族戰傷病者問題の解決に画期的の努力を払うことを決意せられ、先に申上げました二つ覚書の改訂、或いは撤回につき政府並びに関係方面とも数次に亘つて折衝を重ねられたのでありますが、これらの覚書極東委員会の指令に基くもの故、今直ちにこれに変更を加えることが不可能であるとの意向が明白にされたのであります。そこで、これらの覚書の線に触れることなく、この覚書間隙縫つて特に援護という見地から、何らかの適当なる措置が許されないであろうかという検討がなされ、西ドイツ、オーストリア、イギリス、アメリカ等遺族及び戰傷病者等に関する資料並びに日本及び西ドイツ経済力に関する資料等の収集に努め、又各都道府県に対し、遺族、父母、未亡人遺児等資料の提出を求め研究され、その結果未亡人対策遺児育英対策、或いは勅令第六十八号の改正による傷病恩給増額老齢者に対する扶助料恩給復活等、各種の具体策が樹立審議された。委員会として先ず遺児等教育費国庫負担に関する法律案要綱を立案いたしましたことは各位の御記憶になお新たなることと存じます。併し、これらの案も、度重なる折衝にもかかわらず、その実施は時期尚早ということとなつたのでありましたが、将來の根本的なる遺族傷病者対策を樹立するための調査研究を行う調査機関だけでもせめて設置してほしいと千田議員関係方面折衝折衝を重ね、ようやく調査機関だけは許可されまして、第十回国会の末期に当委員会委員及び厚生委員会委員発議戰傷病者等対策審議会設置法案が提出され、全会一致を以て本院を通過いたした次第であります。併しこの案も、衆議院におきまして、内閣委員会継続審査として処置され、遂に成立することができなかつたことは、返すがえすも遺憾に存ずるところであります。併し客観情勢調査機関の放置を許しません。政府といたしましても、過般この問題解決のため、同種の審議会設置の必要に迫られ、去る十月十五日次官会議戰傷病者及び戰歿者遺族の処遇に関する連絡打合会を設けることを決定し、今日までに、すでに数回の会議を開いている状況であります。  以上が大体今日に至りますまでの本問題に関する当委員会払つた努力経過の概要でありますが、この間において政府といたしましても具体案を得ようと努力している現状であります。今振り返つて、これら努力の跡を顧みますとき感じますことは、今までのところは、覚書によつて制限されている窮屈な範囲内で、無であるか、或いは殆ど無に等しいかの遺族戰傷病者対策に幾分でも附加え得れば幸いであるという、潜在意識とでも申しましようか、そういう気運に支配されていたことは争えぬことでありまして、從いまして対策樹立根本観念覚書間隙縫つて、血路を開いて行くという行き方で、いわゆる援護という狹い範囲を出なかつたことも事実とも言えようかと信じているのであります。本來から申しますれば、戰傷病者といい、遺族といい、国は單にこれらを援護するのではなくして、国として当然に補償という見地から対策を樹立せねばならないのであります。これが又遺族戰傷病者の衷情に答える本筋であるかと信ずるのであります。而して今やこういう援護というような狹い観念から飛躍して、国が国として当然の義務を行うという施策樹立の時期が、すでに参つておるように考えるのであります。即ち、平和条約調印を境とする客観情勢の動き又、只今審議中の補正予算に一億円の遺族、或いは戰傷痍者調査が差し加えられるようになりました前後の経緯から察しましても、情勢はかように急変を來たしているとあえて断言し得ると信じているのであります。更に申しますならば、覚書がその効力を失う我が国完全独立の状態を想定して、自由なる構想の下における傷痍者遺族対策を考え得る状況と相成つたと申すことができるのであります。只今遺族傷痍者の問題を、当委員会の議題といたしておるのでありますが、この問題の審議には、繰返し申しました通り、從來とは一段と飛躍した観念の下に援護という狹い観念に縛られることなく、自主的に新たなる方向の努力をいたすことが必要と存ぜられます。幸いここにその途の権威者である三橋恩給局長が御出席になつておりますので、戰争による遺族及び戰傷病者等対策に当つては、どういう観点に立つて考えるべきか、どういう精神で以て立法に当るべきか等について、委員会として十分参考にいたしたいと思いますので、先ず御意見を述べて頂きたいと思います。次いで恩給局長の腹案がありましたら、それを御発表して頂きたいと存じます。  ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  3. 長島銀藏

    委員長長島銀藏君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時七分散会