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1951-11-26 第12回国会 参議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十六日(月曜 日)    午後一時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            井上なつゑ君    委員            上原 正吉君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            河崎 ナツ君            山下 義信君            松原 一彦君   政府委員    厚生政務次官  平澤 長吉君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (児童福祉措置費に関する件) ○広島市の原爆犠牲者遺族援護に関す  る請願(第一一八三号)(第一一八  四号)   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 厚生委員会を開きます。  本日の議題は公報によつて御報告しておりますよう児童措置費平衡交付金から除外して国庫補助に切替える、こういうことが議題ですが、この問題に対しては河崎ナツさんの緊急質問において、大体政府の意図するところは明瞭になつているわけでありますが、たまたま予算委員会において山下委員質問に対して食い違いがある。こういうことで政府のこの間における経過の概要を知り、なお且つ政府のこの問題に対する所信を問いたいというのが内容でございます。この件を議題にいたします。
  3. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 只今委員長から御説明になりました議題につきまして、もう少し具体的に申述べまして事柄を明らかにいたしたいと存じます。  児童福祉法によりまして福祉施設が全国にできておりますことはもう周知の事実でございまして、それの措置費が昨年度から平衡交付金の中に入れられて地方に行つておりますが、それが新らしい各施設に行つておりませんために、各施設が水枯れになりまして、施設の從事者及びそれぞれ施設措置されておりますところの児童への措置費が参りませんために児童も困つておりますし、施設の從事員も困つております。これはたびたびこの委員会でも問題になりましたし、結局生活保護法保護費平衡交付金の枠から出されまして、特に生活保護費として流されておりますると同じ性質のものであります関係上、措置費平衡交付金の枠から出すのが当然ではないか、出してやつてほしいというような話がたびたび出まして、昨年はその関係の、岡崎長官にも質問いたしました次第でございましたが、それがまだそのままになつておりまして、なかなか処置がされませんで、ちよつと日は忘れましたが、先日の本会議緊急質問といたしまして、社会保障制度推進に関する決議案が出ましたあとで、そういう社会保障制度推進の議が満場一致で取上げられておりまするときに、その実践の一つ方面でありますところの児童に関する措置費の問題が未だに解決されておりませんために非常に困つておりますことが頻々でございまして、百三十六例を遂にこの六月までに見ることになりましたから、それを挙げまして岡崎長官関係大臣に申しましたところが、大臣速記録にもございますように、本当にその通りで、もはやその問題についてはこちらも考えてそういうふうにするつもりであるから御安心下さいというお答えでございまして、丁度そのときには関係厚生省責任者である橋本厚生大臣おいでになりまして、あのことはお聞きになつたわけでありまして、あと橋本厚生大臣も少しその問題に触れた言葉の御答弁の中にもあつたと思つておりますわけでございまして、そういうふうなことになつておつたのでございますが、あとで、一昨々日でございますが、予算委員会山下委員からその問題をもう一度念を押してお聞きになりました。ところが同じ大臣でありますところの岡野国務大臣が、あれはできない、結論は……言葉はもう少し違いますが、そういうお答えであつたということでございます。そのときのことにつきましてはなお詳しく山下委員から又おつしやつて頂けると思うのでございますが、この問題につきまして一日、二日を出ないで責任のかたからそういうふうなお言葉がありましたということにつきまして、厚生省としましてはどういうふうにお考えになりますか、又何かそこに事情がございましたのでございましようか、そういうことにつきまして今日ははつきり伺いたいと考えますのでございます。その前に予算委員会におきましての山下委員の御質問関係大臣答弁につきましてもう少し細かく述べておきたいと存じます。
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 山下委員、よろしうございますか、では政務次官
  5. 平澤長吉

    政府委員平澤長吉君) 只今河崎委員からいろいろ承わつたのでありまするが、厚生省といたしましては、昨年からのこれは問題でございまして、只今仰せられる通りでございます。厚生省といたしましてはすでに御承知通り來年度予算は、ひとり厚生省ばかりではございませんが、まだ折衝最終過程に、大蔵省その他との間には結論まで達していないことは御承知通りでありまするけれども厚生省では実は率直に申しまして省議を開いて、私ども意図するところの方針を定めたのであります。それには皆さんの御要望もあり、同時に我々もさようにせねばならないというので、昭和二十七年度の予算に対しては補助として平衡交付金から取りまして、数字は大よそ三十四億幾ら、三十五億ばかりだと私只今記憶しているのでありまするが、それを計上いたしまして、それを厚生省としては決定いたしておるのであります。でありまするから、先ほどお話がありました厚生大臣の御答弁せられましたことは、さようにして参らねばならないということを御答弁せられたことと存じます。なお今岡野大臣でありますか、岡崎官房長官と言われたが岡野大臣だろうと思いますが、それはまだきまつておらないというようなことじやないかと私は推察をいたすのでございまするが、私ども予算を今各関連ある方面折衝をいたしておる段階であろうかと思いまするけれども、我々の現にとりつつあるところの折衝面から言わせますれば、それは我々の意図するところにだんだん近付いておる、こういうふうに私は観測もいたし、自分も自信を持つて進んでおるような次第でありまして、どうしても皆さんの御協力を得まして二十七年度はその実現を必ずいたすようにいたしたいと思つて折衝の最中でございます。私の観測を申上げますると、大体実現し得るのじやないかと、かように信じておる次第でございます。
  6. 山下義信

    山下義信君 平沢政務次官から大変力強い御答弁がありまして結構に思うのでありますが、私は只今河崎委員がお述べになりましたように、予算委員会におきましてたしか二十一日であつたと思うのですが、この問題について岡野国務省の所見を質したのであります。そのとき私の受けました印象は、第一には厚生省との話合いがまだ熟していない、まだ話合いが残つておるということ、それが第一点。第二点としては明年度果して平衡交付金から抜き得るや否やとの見通しについては確信が持てないというよう意味答弁で、又岡野国務相の御答弁から私の受けた印象としては、誠に心細い印象を受けたのでありました。更にそれでは今の岡野国務相答弁を聞いて見るというと、全く悲観的で見込がないように思われるが、大蔵大臣はどう思うかという意味のことを尋ねたのであります。私が岡野国務大臣答弁について全く見込のないような悲観的な印象を受けたということについては更に釈明がありませんでした。その席におられた岡野氏も別に弁明をしませんでした。詳しくは速記録を取つて見ませんとわかりませんが、大体はそうであつたと思います。大蔵大臣にそのことを尋ねて見ましたところが、いや、自分平衡交付金から抜く抜かんについては、大勢は抜こうという意向が六割くらい、四分六分というところのように思われると、併しながらこの児童福祉の費用を抜くということになりますと、同時に関連して解決しなければならん問題がある。それは生活保護法保護費をどうするかという問題である。これがもう必然的な関連があるのでこれと同時に解決をせねばならんと、児童福祉措置費だけを解決するということはこれは至難であると思う、こういう意味答弁があつたのであります。それで生活保護法保護費をどうするかということは、中央地方負担区分について大蔵省としては意見があるようであります。これは昨年我々が平衡交付金児童福祉措置費の問題について大蔵省に掛合いに、当時河崎委員おいでになりまして一緒に行きましたときに、当時大蔵省意見としては、御承知のごとく今の八、二を七、三にしてくれろ、こういう要求がありまして、そのときに児童福祉措置費を抜く抜かんと奇怪の言辞のありましたことは、政務次官のよく御承知通りであります。それが七、三の要求より更に今日では五分五分にまでにするという大蔵大臣の意図を、個人的な意見という前置きではありましたが、予算委員会において表明をして、この問題と児童福祉措置費の問題とは不可分の関係であつて、同時に解決したいと自分は考えていると、こういう意見であつた。それらから総合いたしますというと、私はこの児童福祉措置費の、折角厚生省が御努力下さるこの問題の前途は必ずしも楽観を許さないという印象を受けたわけです。それで折角この問題について本会議緊急質問までして頂いた河崎議員予算委員会の状況をお話申上げた。委員長河崎議員の所属の会派と同会派でいられるので、多分委員長にこのことか伝わつて本日の会議となつたのだろうと思うのです。そこで私は以上のことを河崎委員の御質疑に補足いたして申上げるのでありますが、私として伺いたいと思いますのは、この岡野国務相との間なり或いは地財委野村委員長との間なり、厚生省首脳部との間のお話合いは十分尽きたのでありますか、今後何か話合いをする余地はもうないのでありますかどうか、つまり率直にお尋ねしますというと、問題はただこの平衡交付金から拔くという事務的ないろいろな、技術的な措置にどこか隘路があり難点があるのでありますか、首脳部同士の間は十分もう理解がついておるのであるかどうか、ただ單に厚生省の内部だけで省議においてこれをまとめる、或いは厚生省首脳部だけで力みかえつておられるのであるかどうか、どの点まで関係大臣との間、或いはその他の首脳部との間のお話合いがついておるのかどうか、岡野国務相の言うところではまだ十分その話合いがついていないということ、その話合いがついていないということは地財委事務当局厚生省とを指しているのか、私の印象では岡野国務相自体がまだ厚生省首脳部との話合いが、何か残つているかのごとき口吻であつたのであります。ですからこれはまあ岡野国務相に更に質して見なければならんわけでありますが、その前に厚生省側のそういうような問題についての責任者同士話合いがどこまで行つておるかということを伺つて置きたいと思うのであります。
  7. 平澤長吉

    政府委員平澤長吉君) その事柄は今いろいろお話がありますが、私ども折衝を今までいたしておる経過におきましては、事務上の問題についてまた妥結が完全に行つていない、併しながら先ほど申上げましたことが甚だ概念的であつたかとも存じまするが、その点は私ども観測するところでは、それは間もなく解決するであろうと、こういうふうに考えておるのであります。岡野国務大臣は、実は私ここで速記録もまだ見ませんし、今山下議員から承わつたのでありまするけれども、同時に又大蔵大臣お話についてもここでお述べ下されたのでありまするが、私どもはその点については確信を持つておるのであります。大蔵大臣は仰せのごとく六、四であるというようなお言葉があつたそうでありまするし、同時にその事柄は、個人としては意見として、何か生活保護費の問題と絡み合わせたようお話もあつたやに今承わつたのでありますけれども、この児童福祉に関する問題についての事柄はだんだん折衝の結果、今事務部分において私ども受けている印象といたしましては、その部分が残つておるように心得ておる次第でありまして、それを更に私どもは打開に努めねばならないということで関係しておる者とも話しておるという現状でございます。さよう一つ御了承を願います。
  8. 山下義信

    山下義信君 政務次官お話はよくわかるのであります。ただいま一つ私は他の方面から地方財政関係と密接な而も枢要な立場にある人から、恐らく見込はないであろうというようなことを別途耳にいたしておりまするので、更に憂慮いたしまして先ほどお尋ねしたのでありますが、政務次官お答えでは、大変御確信もあるようでありまして、さほど憂慮する必要がないようでありまするので、私といたしましては大変安心をいたしますわけであります。ちよつと速記をとめて頂きたいのですが……。
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは速記をとめて。    〔速記中止
  10. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。政務次官からいろいろ措置費の問題に対して力強い発言がありました。なおこの問題は決定を見ておりませんので、当然來国会に持ち越される問題だと思いますけれども、一応この程度で今日はこの問題は終りたいと思いますが、如何でございますか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは児童措置費平衡交付金に関する件は一応終ります。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  12. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。それでは次に陳情請願の件でお諮りいたしますが、もうすでに済んでおる件がございますから、それを抜いたうちで、持に請願の第一千百八十三号ですね、これを議題にいたします。同じく第一千百八十四号。
  13. 山下義信

    山下義信君 本請願は私紹介議員なつておりますわけでございますが、先般当厚生委員会遺族援護に関する小委員会関係者陳情に出まして、親しく委員各位に御陳情申上げた次第でございますが、本日は正式な請願書になりまして当委員会議題に供して頂きましたので、紹介議員として極く簡單に請願趣旨を申上げたいと存ずる次第でございます。  今回国において遺家族援護の対策が講ぜられるということを承わりまして、この遺家族対象軍人軍属に限らるべきものでないという相当強い御意見か出ておるやに承つておるわけでございます。從いまして若しその遺家族援護対象が拡大せられまして、強制によりまして、或いは学徒動員ような形で当時の軍務に協力せしめられ、或いは徴用工等よう立場に置かれまして、それぞれ軍の仕事從事中空襲等の災害によりまして戰死同様の立場に置かれました者に対しましても、国家援護の手を差伸べて頂きたい、こういう次第でございまして、何も広島原爆による罹災者の救護をお願いするという趣旨ではないのでございます。軍人軍属或いは動員学徒、或いは義勇隊或いは徴用工等、当時の強制によりまして軍の命令等によりまして軍関係仕事に服役せしめられ、その間空襲等によりまして戰災を受けました者を多分に持つておりまする広島市といたしまして、是非遺家族援護対象の中にお取上げ願つて、今回の国の措置に漏れのないようにして頂きたいという趣旨請願でございます。而して今日地元から直接の資料を持つて参りましたのでございますが、当時義勇隊員として軍の指揮下に属しました市民で、この原爆によつて罹災いたしました者が約八千六百三十名という調査ができたのでございます。なお同じ軍の指揮下に属しまして作業を命ぜられて死亡いたしました中学校以上の学徒が九千五百五名、学校数が百七十四校という調査ができまして、本日関係方面陳情にも参つておる次第でございます。詳細は請願書に認めましてあるわけでございますが、何とぞ慎重審議を賜りまして、特段の御同情の下に御採択を賜りたいと存ずるのでございます。なおこの徴用工の問題につきましては、労働大臣におきましても強く政府部内で主張せられましておるということでございます。動員学徒の問題につきましても文部大臣も同様に主張されておられるということでございまして、今回の補正予算の一億に計上せられました遺族実態調査調査項目として実施せられるやに承わつておる次第でございまして、やや関係者といたしましては力強く思つておる次第でありますが、何分にも当厚生委員会に直属の案件でございますので、是非ともこういう方向に国家援護の手が及ぼし頂けまするよう特段の御配慮に与りたいと存ずる次第でございます。よろしくお願い申上げます。
  14. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) この請願に関して何か御質疑ございますか。
  15. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 只今山下委員の御説明徴用工動員学徒に対しての戰災者に対する取扱いが、この遺家族なんかの援護の枠を拡げてそこへ入れることについて私は是非賛成したいと思うのです。「原爆の子」を読みましていろいろ書いてあるのを見ますと、こういう動員された学徒が非常に死んでいる。ほかの学徒大分工場では死んでおりましたが、広島の場合ですと非常にたくさん死んでいることを思つて、私もそのことを、これは今までの單なる戰争犠牲者的遺家族というよう言葉には余り今までなかつたことで、今度はこれは落しちやいかんと、私はあの「原爆の子」を読みまして非常に感じておりましたのですが、これは今までにそこまで拡げることは例がないけれども、今度は是非これは取上げなければならんと私は思うものでございまして賛成いたしたいと思います。
  16. 山下義信

    山下義信君 河崎委員から大変有難い御賛成を頂戴したのでございますが、この軍人軍族並び強制によりまして軍務に服せられました一般国民にも遺家族援護の手を差伸べまする前例は、御承知ように西ドイツがこれをやつておりますわけでございます。皆さん承知でございますから私は申上げませんが、例えば準軍務という場合には、私参考にこの際速記のありますときに申上げておきたいと思うのですが、徴兵検査のためにそれらの仕事に從事した者、それから軍官衙命令によりまして軍の指揮者の下にいろいろ行いました役務、それから同様に又国民が軍の艦船又は補助艦艇等に乘組みましていろいろ作業させられた者たち、或いは又行政官庁の官吏及び軍に派遣せられた者で私有の鉄道等勤務をいたして軍の高級指揮官指揮下に入つて仕事をしておりました者、それから軍の雇用員でありました男子及び女子の勤務者、それから軍の看護婦として服務をいたしておりました者、或いは兵器廠、倉庫、そういう所に勤務しておりました者、或いは馬匹を繋ぎまする馬繋場などに勤務いたしておりました者、軍需品の製造並びに供給等仕事勤労奉仕立場において勤務しておりました者、或いは軍の訓練所、例えば開拓団訓練所というようなものにおいて仕事をしておりました者、それから軍に勤務した土木建設隊よう土工作業勤務いたしました者、それから防空訓練或いは防空の実施のために勤務をいたしておりました者等々、これが政府部内におきましても考えられておりまする、つまり範囲を拡げました強制によつて服務した一般国民の範疇でございます。この際申添えまして御参考に供しておきたいと存じます。
  17. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) いろいろ御尤もの御意見であります。特にこれは請願として重要な意味を将來持つものでございますので、これに対する御発言がなければ、これを採択したいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではこの二件を採択することに決定いたします。  では速記をとめて。    午後二時三十六分速記中止    ————◇—————    午後二時五十九分速記開始
  19. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会