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1951-11-05 第12回国会 参議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月五日(月曜日)    午後一時十六分開会   —————————————   委員の異動 十一月二日委員島津忠彦君辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   国務大臣    厚 生 大 臣 橋本 龍伍君   政府委員    厚生事務次官    (引揚援護庁長    官事務取扱)  宮崎 太一君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き、検疫所支所及び出張所  の設置に関し承認を求めるの件(内  閣送付) ○社会保障制度に関する調査の件  (結核予防に関する件) ○小委員長報告診療所における同一患者收容時間  の制限に関する医療法特例に関す  る法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) これより委員会を開きます。  先ほど政府から承認を求める件に関しての件はお手許に回付になつていると思いますが、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件を議題にいたします。予備審査でありますが、これに対して大臣の御説明をお求めします。
  3. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 検疫所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件の提案理由説明をいたします。  今回連合国最高指令官からの覚書によりまして、入国指定港として新たに室蘭港、釜石港、舞鶴港、下津港及び徳山下松港が追加されましたが、これらの港におきまする檢疫業務実施するために、厚生省設置法第二十條第三項の規定によりまして、その地に檢疫所の支所又は出張所を設け、外航船舶運航経済に利便を與えますると共に海外貿易を促進して業務の安全を期したいと思います。よつてここに地方自治法第百五十六條第四項の規定により国会の承認を求めるため本案提出した次第であります。  何とぞ愼重御審議上速かに承認されまするようお願いいたします。
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 理由は以上の通りであります。御質疑がありましたら……。これは予備審査の事項になつておりますから、この件はこの程度打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではそういたします。   —————————————
  6. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に本委員会におきましては、過去何回、数回或いはもつとそれ以上になりましよう、社会保障制度に関する調査の一環としてのBCG予防接種に関する件を議題として取扱つてつたのでありますが、殊に小委員会においては鋭意これに関する結論を出すための努力を続けられて、幸いほぼ結論に到達したということでありますので、本日は小委員長報告を求めたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは藤森委員長
  8. 藤森眞治

    藤森眞治君 結核予防法に関する小委員会の小委員長報告を申上げます  BCG予防接種の問題につきまして、前回小委員長中間報告をいたしまして、厚生委員会証人を喚問することの御賛同を得まして、十月二十日以来三回に亘りまして、日本学術会議側より塩田廣重氏ら八名、文部省の総合結核研究班予防接種科会及びBCG協議会等の中から西野忠次郎氏ら八名の御出席を願いまして、学者として又は專門家としての貴重な証言を得たのはすでに御承知通りであります。小委員会におきましては、十月二十六日、二十七日及び三十一日の三回に亘りましても、小委員会を開き、各証人証言と現在の社会情勢考え併せました結果、BCG予防接種は有効であると認められるから、現行結核予防法方針は少くとも現行我が国結核蔓延状況から見て変更する必要のないとの見解に到達いたしたのであります。但しこれについては潰瘍の問題、乾燥ワクチンに対する問題といろいろな問題がありますことは、証言をお聞きになつた皆様のすでに御承知通りでありますから、その内容につきましては速記録讓つて、ここでは省略いたします。併しこの実施については、なおいろいろ行政的に愼重考慮が払われなければならない点が多々あると思われまするから、政府はよろしくこの点を至急調査研究して万全の策を講ずるよう強く要望するものであります。以上御報告申上げます。
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 小委員長報告は以上の通りでございますが、小委員長に対して御質疑がございましたら……。
  10. 有馬英二

    有馬英二君 只今の小委員長の御報告誠に簡明でありまして、よく要旨は徹底しておると存ずるのでありますが、この内容についてもう少しく詳しく御説明を小委員長からして頂きたいと私は思います。
  11. 藤森眞治

    藤森眞治君 それではこの報告を申上げまするに至りました理由その他につきまして、極く簡單に申上げます。結核予防法にありまする結核予防法としてのBCG接種というものは、これは有効であるということは先般の証言において殆んどすべてのかたが認められておりまするので、ここに書きましたような、ここに御報告申上げましたようにBCG効果は有効であるということを先ず認めたいのであります。なお乾燥ワクチンBCGにつきましては、証言の中にもいろいろお話がございましたが、現在の国家檢定を我我が信用いたしまして、これに疑いを持たない限り、現在の広く予防接種をするということから申しますると、生ワクに代えて乾燥ワクチンを使うのもこれは止むを得ないことだろうと、こういう考えであります。なおすべての予防接種というものが、できるだけ最大多数の人を対象にして行われなければならないという考え方からいたしまして、何か特別な方策が講じられて、そうして法律でなくとも最大多数の人に効果を挙げることができまする方策がない限りは、どうしても法律によらなければならないだろう、こういうことであります。それからなお現在の日本結核蔓延状況を見まするときには非常な憂慮すべき点が多々ありますので、少くもこれが欧米結核罹病率又は死亡率の水準まで下りまするまでは、或る程度強い意味においての最大多数の人を少くとも対象として行われなければならないだろう、こういう観点からいたしまして、現行結核予防法法律を変える必要はないという見解に立至りました次第でございます。併し先ほど申しましたように、いろいろ問題になる点がございます。簡單に拾い上げて見ましても、先ほども申しましたような潰瘍の問題であるとか、或いは全身的の影響の問題であるとか、或いはBCG接種によつて結核が誘発されるんじやないか、或いは又惡化をするのじやないかというような問題、或いはBCGによつて、それによつて結核が起るんじやないか、或いは乾燥ワクチン抵抗力が低下しておるのではないかというような問題、或いは個人の栄養状態予防接種との関係とか、或いはツベルクリンの力価の問題、こういうような問題等々が、証言の中に出ました。併しこれらの大部分のことを見ますると、一面においては今後の專門の学術的の研究が行われなければ解決のできないまだ非常に遠い研究題目が中にありまするのみならず、一面におきましては、こういう点が施行の行政面において相当解決される点があるという点を我々は考えましたので、いろいろの問題のありまする点は行政面のほうにおいて十分に研究調査いたしまして、これが対策を講ずるなれば、只今問題になつておりまするいろいろの点も相当解決されるというふうに考えましたので、先ほど報告いたしましたような見解をとつたのでございます。
  12. 有馬英二

    有馬英二君 只今の御説明はこの結論についての御説明であつたのでありますが、私はなおこの学術会議から塩田廣重氏ほか八名、それからBCG協議会から西野忠次郎氏ほか八名という証人が出て、それぞれ証言を述べられたのでありますが、それを極く簡潔に要約してこうである、片方のほうはこういう証言であり、こつちはこういう証言であるというような、極く簡潔に一つ説明をそこへ加えて頂きたいと思います。小委員長にお願いいたします。
  13. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  14. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。それでは定足数に達しましたから、すでに議題なつておりましたところの診療所における同一患者收容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案、これを議題にいたします。これは御存じのように衆議院議員立法なつておりまするので、この前発議者から提案理由説明を聞き、更に又質疑応答がもう終了しておることになつておりまするので……。
  15. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 この提案されておる法案につきましては、すでに前回にも質疑がありましたので、質疑をこれで打切つて討論を省略して、早速採決あらんことの動議提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  16. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今谷口委員から、質疑はすでにもう終了しておるので、討論を省略して直ちに採決に入るようにという動議を御提出になりましたが、谷口さんの動議に対しまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものと認めまして採決をいたします。  診療所における同一患者收容時間の制限に関する医療法特例に関する法律案採決をいたします。  原案の通り可決することに賛成のかたの挙手をお願い申します。    〔賛成者挙手
  18. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 全会一致と認めます。本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから報告書委員長に御一任願えるでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではさよう決定いたします。なお多数意見者署名を付することになつておりまするので、順次御署名を願いたいと存じます。   多数意見者署名     大谷 瑩潤  藤森 眞治     谷口弥三郎  有馬 英二     松原 一彦  常岡 一郎     中山 壽彦  井上なつゑ
  20. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 署名漏れはございませんか……。ないものと認めます。なお本会議における委員長口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記を止めて下さい。    午後一時四十分速記中止    ——————————    午後三時二分速記開始
  22. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。  先ほどの小委員長報告に対しまして、質疑をお願いいたします。
  23. 有馬英二

    有馬英二君 先ほど私から小委員長に対する質問をいたしたのでありますが、それもまだ返答がないのでありますが、小委員長から説明を求めます。
  24. 藤森眞治

    藤森眞治君 先ほど問題点につきましては、数項目私は述べましたが、これを一々申上げるのは如何かと存じますので、その中で最も問題になりました二、三の点についてお答えしたいと思います。一番問題になりました点は潰瘍の問題でございます。BCG研究者証言によりますると、潰瘍のできるのは、堂野前証人によりますと一・四%、柳澤証人は五%、染谷証人は九%と言つております。而もこの治癒期間は大体一カ月乃至三カ月でありまするが、これに対する学術会議側証言は、数字を示しておりませんので、明瞭ではありませんが、以上の数字を上廻つておるものと考えられるような御発言があつたのであります。ここが論点の中心でありまして、若し事実潰瘍の形式が相当多数であり、又治癒期間が相当長いものといたしましても、その数字的の開きはBCGワクチンに対する国家檢定を尊重しまする限り、BCGワクチンの本質的のものと考えるより、むしろ接種方法或いは接種技術によつてつて来るものではないかと思われるのであります。そういう点から結核予防の大局から見まして、現在の状態ではこの止むを得ないとする各証人証言を尊重したいと考えたようなわけでございます。次に非常に問題になりましたのは、乾燥ワクチンの効力の低下の問題でございます。これも只今申しましたように、国家檢定を信頼いたしまして、若しそれが低下しておるといたしますると、その原因がどこにあるかということでございますが、これをいろいろ檢討してみますると、結局保存方法であるとか、或いは輸送などの製造後の條件によつて起るのではないかと思われるのであります。なお強制接種がよくないという御意見が相当強くございました。これにつきましては、先ほども一言触れましたように、結核予防効果を期待するために、予防接種法律によらないで、最大多数の対象者に確実に実施し得る具体的方策がない限り、又日本結核欧米結核死亡率まで低下しない限り、先ず現行法によるよりほか止むを得ないのではないか、こういうような事柄から、先ほど申しましたような、報告をいたしましたような見解をとつたのでございます。なおいろいろこのほかにも問題点がありますが、この中には純学問的の今後の研究に待たなければならない点がございますが、これは純粹の学問的の研究に任すべきものだというふうに我々は考えました次第でございます。
  25. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御質疑がございませんければ、小委員長報告通り承認することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものと認めまして、当委員会承認をいたしました。  つきましては、只今承認になりました通り政府行政責任者としての大臣は、社会問題にまで発展した経緯については十分御承知のことと思うのであります。今回の責任は実に大きいと思われるのであります。先に五回の公聽会におきましては、理論上或いは臨床上から重要な御証言がありまして、委員一同非常に裨益するところがあり非常に有意義であつたと思うのであります。本日当該大臣といたしまして、行政上の意見と、これに対する行政措置に関しての意思表示をせられることは、国民の疑惑を解く上に重要だと思われますので、委員会を代表して大臣発言を求めます。
  27. 有馬英二

    有馬英二君 ちよつと関連しまして……、大臣発言に先だつて委員長から、この小委員長報告大臣がどういう工合に……、認められるか、認められんかということを一つお聞きを願いたいのですが。
  28. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 有馬委員動議がございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議がないものと認めまして、小委員長報告承認の件に関して、厚生大臣の所見をお尋ねいたします。
  30. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今藤森委員長報告を承わりまして、当委員会においていろいろ御検討の結果の報告要旨を採択されましたものにつきまして、私この報告要旨を十分尊重いたしまして、善処いたしたいと考えております。なお衆議院委員会においても、いろいろ検討いたしておりまして、その後御意見があるやに承わつておりますので、そのほうも十分承わりたいと思つております。なお先般社会保障審議会のほうからも、予防接種法及び結核予防法接種については愼重を期するようにというお話がございましたので、研究は十分いたして善処いたしたいと実は考えております。只今委員長の御報告でも、諸般のいろいろな問題があるようだから、学術的にこれは検討すべきものであるというお話がございました。で、私といたしましては、この結核予防法というものが全面的に罰則を付けて強行されておるものでありまする場合には、私の良心的な立場から申しまするならば、改めて学術的な検討をしてみるということ自身に相当の問題があると思いまするが、結核予防法定期外接種の場合には罰則を以て強制をいたしておりまするが、定期接種の場合には罰則を以てしてまで強制してはおらないという点を考えまして、今日この結核予防法実施いたして、成るべくその効能を挙げるようにいたしながら検討するということは、法の精神から言つても誤まつておらないと考えておるものであります。で、諸般の点に関しまして、十分検討をいたしたいと考えております。  なお学問的な検討対象といたしましては、日本学術会議の側におきましても、その後資料を整えて、何でも今日でありまするか、明日でありまするか、新たに持つて来られるそうでありまするが、その学問的検討の範囲としては、私は限定をいたしたくないと存じておるのであります。私といたしましては、BCG予防接種が有効であるということは、ここでも有効であると私は考えておるゆえんを前にも申上げましたのでありまするが、学問的研究の幅といたしましては、有効の度合いその他につきましても、これは検討いたしてみたいと考えておるのであります。この実施については、なおいろいろ行政的に愼重考慮が払われなければならない点が多々あると思われるから、よろしくこの点を至急研究調査して万全の策を講ずるようというお話であります。行政的にも十分考慮をいたすつもりでございまするが、学問的に検討いたしました結果といたしまして、今日の結核予防法でかなり事細かに、薬の量でありまするとか、或いは又使い方等を限定いたしておりまするので、單に行政的な問題だけでなくて、検討の結果としては私はこれをよりよくするために法的措置というものを御相談するのが……、然るべき部分も或いは出て来るのじやなかろうかと私は考えております。今日頂きました参議院厚生委員会お話の趣旨というものは、私といたしまして十分これを尊重して、善処いたしたいと考えております。
  31. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは大臣意思表示がなされましたが、BCGワクチン接種に関する行政上の、今、大臣のおつしやられる行政上の立揚から善処したということもございまするので、行政上の問題に関して質疑に入りたいと思います。
  32. 有馬英二

    有馬英二君 私は只今大臣の御所信を承わつたのでありますが、大臣は本当にまじめにこの結核予防ということを考えておられるということを私どもはつくづくと感じまして、大臣行政的と言いますか、結核予防に関する御抱負を尊重しておる、或いは尊敬しておるものであります。熱心であればこそいろいろな発言をされると私は考えております。それは非常に結構なことであると私は思うのでありまするが、つきましては、先般来のいわゆる箱根談話というものに対する解決一つこの際ちやんとして置いて頂きたいと思います。只今大臣は小委員長報告を尊重するとおつしやつたんですが、ここに小委員長報告の中の真随とするところは、BCG予防接種は有効であると認められるから、これは大臣はやはり認めておられるようでありますが、現行結核予防法方針は、少くとも現在の我が国結核蔓延状況から見て変更する必要はないとの見解に到達した、こう考えております。大臣がこの要旨を尊重されるということは、只今私が読みましたこのことを御承認なつたと解釈してよろしいのでありましようか、御意見を承わりたいと思います。
  33. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 只今有馬委員お話でございまするが、私只今申上げました通り参議院の立てられたこの御方針というものを私できるだけ尊重して考えたいと思つております。ただ今日の私の立場といたしまして、衆議院厚生委員会の方面は日本学術会議のほうに質問書を出しておられまして、その返事が出て来てからなお検討するという話でございました。で、私は今日少くとも、今日におきまして結核予防法の今日の立て方というものを生かして改善の方途を考えておる、ますます研究もし、やつて行くということについては先ほど申上げた通りでございます。
  34. 有馬英二

    有馬英二君 只今大臣の御答弁では、どうもこの趣意を御賛成にならんように聞えるのでありますが、先般来衆議院厚生委員会大臣が言われたということを我々も聞いておるのでありますが、やはり現行結核予防法実施はそのままにして置くということを言われたと聞いておるのでありますが、そうすると、この小委員長報告要旨と大体同じではないかと私は思うのでありますが、然らば大臣はここに書いてありまするこの現行結核予防方針は少くとも云々と、即ち変更する必要はないということをはつきりここで言つて頂きたいと私は思います。
  35. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は現行結核予防法に関しまして、参議院の御意見を私尊重いたすつもりでございます。で、今日の現行結核予防法はできるだけこの結核予防のためにBCGを進めるということでありまして、罰則を以て強制している場合と、罰則まで附けていない場合と両方ございまするが、こういう立て方によるやり方をより一層改善してやつて参りたいと思つております。ただ私といたしましては、両院に対する片方のほうだけで最終的結論を出すということは、他の院に対してこれは失礼と思いまするので、私は今申上げたような考え方でおりまするが、衆議院のほうの御意見の出るのを待つて意見は承わりたいと思つております。
  36. 有馬英二

    有馬英二君 大臣箱根お話なつたという、即ち強制接種は中止するかも知れないというようなお言葉が、現行法結核予防法に何らか欠点がある、であるからして接種は有害であるというような意味にもとられて、一般民衆に非常に不安と疑惑を抱かせたいと私は思うのでございます。この点は大臣はどういう工合にお考えなつておりますか。
  37. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) その点は私はもう前々から申上げましたように、気持は一つも変つておりませんが、私はやはり学問的検討というものは、政治で結果を縛つてはならないと考えておるのであります。従つて今日結核予防法の問題につきまして、只今申上げましたような考え方でおりまするが、この問題に関しまして、内外を通じていろいろな議論があるわけでありまするし、現に日本学術会議意見を出しておるわけでありますから、私は意見意見としてできるだけ検討いたしたいと思つております。従いましてその学術的検討の結果というものにつきましては、これはあらかじめどんな検討の結果が出ようと、結核予防法を絶対に未来永劫存続するとも考えておりませんし、又別の結果が出ました場合、つまり非常に力強くBCGが高く有効であり、又心配されているような害のある場合は絶無であるというふうに言われても、極く一部に何かあるときにはこれを停止するというふうなことも考えまするし、要するに学問的検討というものは真劍に私はやはり結論を先に立ててやるべき問題であろうと思つております。私実は箱根で話のありました場合にも、私は実は終戰以来内閣及び党におきましては、いろいろ新聞記者に接触する機会が多いのでありまするが、何か話のありましたときには、特別に秘密なもの、或いは個人的な問題、小さな問題を除いては普通に話をすることにいたしております。で、あの場合にも私いろいろな問題を聞かれまして話をいたしました。新聞は必ずしも正確に伝えておりません。私はこの結核予防法に関して、日本学術会議から意見の出ておること、そうして施行されている法律についての問題だから極めて重大で愼重考慮しなければならないゆえんのこと、それから或る場合には伏せて置くということは、むやみに問題を伏せるのはいいとは思いませんけれども、扱いについてはよほどこれは愼重に相談しなければならないので、相談した結果とにかく学術的には問題があるのだから、そうして今は申入れを受けただけだけれども、資料等についても或いは外国でどんな学者言つておるのか、或いは国内でどんな意見が出ておるか、それを出してもらつて、必要であるならば検討する必要があるのじやないかという結論なつたことを申したわけであります。で、それに対して記者諸君としては、それでは検討の結果若しBCGが有効の度合が薄いとか、或いは害ではないかと思われるような場合に、真実害であるというときにはどうするんだというふうなことを問い詰めて聞く人がありまして、それは勿論初めから結果を予定するわけには行かんから、それは学術的に検討した結果、そう出て来れば法律上何とかしなければならないのは当然じやないかという話をいたしたわけであります。繰返して申しまするが、私は今日この小委員長報告要旨を尊重いたしまして実施を図るつもりでおります。ただそれに関しまして、学問的な検討は私は自分の良心の問題といたしましても、どういう形でどこに諮問するか、成るべく片寄らない形で広く、藤森委員長からのお話のありましたように、飽くまでも学術的な検討をやるということにつきましては、成るべく検討できるような方向へ持つて行きたいと思つておりまするが、その場合におきまして、私として申上げて置きたいと思いましたことは、これに行政的という問題があるけれども、薬の量だとか、さし方だとかいうものも肯定しておる状態においては、検討の結果、行政的のみならず、法制的にも措置する必要があるんじやないかと思われますることと、それからもう一つはやはり学術的に検討する場合におきまして、私は今日BCG予防接種は有効であるという建前で処理をいたしまするけれども、学術的検討内容につきましては、予防接種が有効であるか、或いは有効の度合がどれだけであるかということについて学術的検討をしようという人に対して、これは政治で圧迫を加えるという気はないということを率直に申上げたいと思うのであります。
  38. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 私から一言お尋ねしたいのですが、今大臣は学問的とおつしやいましたが、私は今度の五回に亘る公聽会証言を聞いておると、丁度理論医学と臨床医学が対立したような形になつておると思います。私は学問は臨床医学の学問もあり、理論医学の学問もある。これは学問の二途であつて、結局つき詰めれば一つの頂点を見付けるんだ、そこで私は大臣が学問と言われるその学問は、臨床医学と理論的な立場と両方併せた学問であるか、或いは理論的なほうばかりを学問と考えるのか、その点をはつきりお尋ねしたいと思います。
  39. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私もいろいろ実は論争が出ておりまするのを見まして、それから又実は今日厚生省内におきましても、いろいろなデータを調べて見ましても、なおなおBCGの問題も改善を図る余地はいろいろにあるように思います。で、私が学問的と申しましたのは、これは理論的な問題も、臨床的な問題もすつかり併せてのものでありまして、従いましてこいうつたような大きな問題につきましては、まあ私はもう一遍総体に学術的な検討、つまり個々の人に、特別な人だけに委嘱するということよりも、もつと広い、むしろ日本の臨床と理論と全部を通じた日本の全臨床及び理論の医界というものを動員して検討をしてもらいたいと考えておるわけであります。結論的に何日までにどうこうしてどうするということを私は必ずしも考えておりません。その間に生まれ出る結論は早く出るものもありましようし、遅いのもありましようし、若し改善施策について早く出るものがあれば、これはもう極めて早くから実施するというふうなことで、極く広い範囲で検討いたしたいと考えております。
  40. 有馬英二

    有馬英二君 私ども厚生委員会では、何と申しましようか、幸いに医学をやつた人が委員にたくさんおるという一種の強味と申しましようか、非常な重要なるコンポネントがあるわけであります。そこで御承知のように十月二十日から三日間小委員会並びに委員会におきまして証人を呼んで、そうして学術会議の人と、それからBCG委員会の人との両方の証言を聞いて、私どもが持つておる知識を以てこれを判断いたしまして、小委員長がここに書いたような結論を得ておるのであります。そうして塩田氏ら八名の厚生大臣に進言をした側の人の証言を十分聞いて見たのでありますが、どうも学問的に基礎が非常に薄弱であるということを私どもは認めたのであります。然るに一方BCG委員会の人たちの証言は根拠が誠に学問的によく整つておるということを私どもは見たのであります。そういうことからして、こういうような結論が出ておるのでありまして、ただ総体的に專門家でないような人から何から引つくるめていろいろな人の意見を聞いたというようなことは違うのでありまして、この点は大臣も十分それをお認めになることと私は思うのであります。従いましてこの小委員会のこの結論が十分根処のあるものであるということを大臣はお認めになるだろうと思うのでありましようか。
  41. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私は十分そう考えております。それでここの御報告にもありまするように、いろいろ行政的に愼重考慮が払われねばならない点が多々あると思うから、政府はよろしくこの点を至急調査研究して万全の策を講ずるように強く要望するというお話でございまして、私はこういうラインに沿つてやりたいと思います。ただ先ほど申上げましたように、單に行政の範囲だけでなくて法律にも触れる問題があると思いまするし、私は幅広くこの研究調査をやりたいと考えておる次第であります。
  42. 有馬英二

    有馬英二君 大臣箱根新聞記者お話なつたということから端を発して、先ほど申しましたようにいろいろの疑惑、不安を世の中に起した。それは大臣もきつと御承知のことであると私思うのでありますが、つまり今結核予防法実施しておるのに、大臣のこの言が元となりまして、各地方ではBCG接種を拒絶したり、或いは欲しなかつたりというようなことが続々現われておる、BCGの請求が少くなつたというような結果が現われたのであります。これは一時的かも知れませんけれども、大臣の言によつて我が国の重要なる結核予防の施策が一時停頓したと私は思うのであります。こういうことについて大臣責任をとられなければならないと考えますが、その点について大臣はどういうお考えを持つておられますか。
  43. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私はこのBCG接種の問題について、いろいろ検討しなければならないことがあるということを前に箱根で話をいたしましたときにも考えまして、そうしていろいろな重要な影響はあろうけれども、検討を開始するかどうかということについての打合せをして、良心的な問題としては、これは万事いいので何ら改善の余地がないといつたような形で宣伝するということはよくないんだ、それで検討せねばならんということを決意をいたしまして検討を開始したい。要すれば検討を開始しなければならんのじやないかということを考えまして、学術会議から更に詳しい資料をもらつたわけであります。その後参議院その他からもいろいろな御意見を私は承わりまして、これはまともによく了承をいたして考えておるものであります。私は研究調査をとにかくするかしないかということが問題でありまするが、若し有馬さんのおつしやるようにするならば、研究調査をするという限りにおいては、これは何ら問題がないというのと違つて、いささか問題があるということになるわけであります。私はそれであればこそ、この扱いについては当初からいろいろと考えておりまするが、やはり諸般の点を考えて見たときに、施行している問題だから研究調査せよという要望自身を抹殺してしまうということはよくないという考え方を持ちましたので、研究調査というものをするということからして起つて来るところの影響というものは、これはその影響が正しい影響でなければならないと思いまするが、ただにもろにこれはきき目がないのだ、これは全くの毒なんだというふうなことは考えられないだろうと思いまするけれども、なお研究調査政府としてやつて見たいということにつきましての、自然起つて来るところの影響というようなことは、これは私は若干は止むを得ないものと考えております。
  44. 藤森眞治

    藤森眞治君 私は大臣に一点だけお尋ねしたいのですが、今月の四日の毎日新聞の社説に「BCGの総合調査に期待」、こういう見出しで日本医学会が下部機構を全面的に動員して総合調査を行うことになつた、これは一般大衆はこの調査の結果に大きな期待を寄せているという、こういうことを載せておりますのは大臣も御覽になつたことと存じますが、勿論こういうふうにいろいろの方面から調査研究されるということについては我々も非常に賛成するものでありますが、それにつきましては、政府として先ほども私が申述べましたように、いろいろ問題点があるから至急調査研究して欲しいということを申上げたので、徒らにと申しては語弊があるかも知れませんが、他の研究調査を待つまでもなく、政府が今直ぐにその問題点調査研究を進めるというふうに私は出て頂きたいと思うのですが、これに対する大臣の御見解を承わりたいと思います。
  45. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 全く藤森委員のおつしやる通りでありまして、私は研究調査をする場合にもいろいろな面があると思います。政府として直ちに急いで手を触れなければならないものにつきましては、これはどういう方法でやるのがいいか、事務当局とも相談いたしまして急速に手を触れて参りたいと思います。だんだんに資料等も出ておりまするので、次第に問題としては表へ出ておるようでありまするが、例えば乾燥ワクチンの質をよくする問題でありまするとか、或いは又ツべルクリンの質でありまするとか、いろいろの薬のさし方とか、濃さとかいうようなことは、全くこれは法的強制を更に強くしなければならんというお考えのかたにおきましても、なお一層問題にしておられる部分があるようでございまして、こういうふうなものにつきましては、十分に考えて参りたいと思つております。今日厚生省におきましても、ワクチンの検定の資料をずつととつておりまするが、なおまだ十分な検討が進んでおりませんので、かなり検定の角度を下げて通しておるような部分もございまするし、こういうふうな場合に乾燥ワクチンの質を向上させるために具体的にどうしたらいいのか、それからこの委員会でも御指摘のありましたように、検定の際においてもその質が維持されるにはどうしたらいいかというような問題があると思います。それからなおさし方の問題については九州の戸田教授などもこちらへ来られて、今のさし方でないほうがいいんだというようなお話もございましたし、研究調査という問題につきましては、これは私は一つ方向に限定いたしませず、これの効果を真によくするために最善の方途をできるだけ講じて参りたいと思います。
  46. 有馬英二

    有馬英二君 BCGというような実にこうした專門的な、特に細菌学的の知識、特に片寄つた非常な学問的の問題について、恐らく大臣は余り多くを知つておられなかつたと思うのであります。そこで大臣日本学術会議の連中から一種の勧告を受けた、それに対して大臣はそれを非常に重く見られたということは、これは日本学術会議というものの性質上、当然であつたかも知れませんが、なぜ大臣はこの非常に專門的なことについて、結核予防審議会というものが大臣の諮問機関としてあるのでありまするから、それにかけて專門意見を聽取されず、直ちに強制接種を中止するかも知れないというような、非常に疑惑を起しそうなことを言われるということは、これは結核予防審議会を軽視したものであると私は思うのであります。これは結核予防法にもちやんとこういうことが書いてありまして、こういうことについて大臣は特に諮問をされて、それからいろいろ行政的に決定さるべきであるというように私どもは解釈しておるのでありますが、大臣がその方法をとられなかつたということについては、大臣はどういう工合責任をとられるか。
  47. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 有馬委員と不幸にして見解を異にするのは私非常に遺憾でございますが、私といたしましては、一体そういつたふうな諮問をするということ自身が非常に私は実は問題だと思つておるのであります。今日結核予防審議会に対しても、或いは日本医師会、医学会に対しましても、学術会議に対しても、私は何らの諮問をいたしておりません。要するに今日実施中の法律に対しまして、相手が結核予防審議会でありましようとも、或いは日本医学会でありましようとも、あの学術会議の第七部の意見書にありましたような、非常に疑問もあり、疑惑もあるということにつきまして、或いはBCGは有害な副作用を伴うものではないかとか、或いはBCGは果して有効であるかというふうな諮問を出すということは、私が政府責任者としてやはりこのBCGについての疑問を表明することになるわけでありますから、従いまして一体この学術会議の勧告に従つて、あれは要するに結論は何かと言えば、どうせいというのでなくて、問題を調べてもらいたいということでありました。ただその説明に来られた中に、調べることが必要なくらいの問題なんだから、もう少しはつきりと施行を停止したらどうだという意見を述べられた学者が二人ばかりおられましたけれども、とにかく結論は調べてくれということでありました。私自身も今日実施されておる法律について相当のやはり調査をするということは、これは非常に問題であると思いますので、調査に手を着けようか、どうしようかということを一番問題に考えたわけであります。総埋とも私あの以前にも二回ばかり相談をいたしました。そこでやはり問題になつているものはとにかく検討して見よう、併し検討するについても、これは大事な問題なんだから、いきなり検討するということを言わないで、学術会議から資料を御提供願つて、それを見た上で検討する必要があれば検討しようと考えたわけであります。そうしてその検討するときに、どこに検討する場合の意見の答申を求めるかということについては、結核予防審議会についても、これは当然聞くべきものとその当時から考えておりました。今日はまだそこまで至らない間に問題が非常にむずかしくなつて参つたということであります。
  48. 有馬英二

    有馬英二君 只今大臣の御答弁では、結核予防審議会に初めの言ではどうも諮問する必要がないようなお答えであつたが、あとになつたらば諮問するというような、或いは利用する、或いはそれに学問的に質すというようなことを言われたようでありましたが、どうも大臣の言われることがはつきり一致しないように思う。どつちであるか、はつきり言つて頂きたい。
  49. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 私結核予防審議会についての何か御質問を受けたようなことはないように思うのですが、私は繰返して申上げますが、私が今日政府責任者として最初から問題にしましたのは、これはなかなか厄介な問題が出て来た、簡單に言えば調べるか、頬被りをして逃げてしまうかという問題であります。ただ私は良心的に言つて見て、若し学術会議の言われることに、根拠資料として頂戴するものに、とにかくやはり調べる必要はあるということであるならば、これはもう無暗に論議を避けるということは如何なる問題についてもよくないと思いますから、頬被りをしないで、資料を頂戴して見た上で調べる必要があろうかということを考えたのであります。ただその場合にも、調べる場合にどこにどうして調べるかということについては、これはいろいろな問題がありまして、今日も私は検討をいたしておりまするが、そうした検討して調べる場合には、当然厚生省内でもいろいろ調べることがありまするし、外にも諮問することになりまするが、外に対する諮問の対象をどこにするかということは、今日まで私は申したことはございません。
  50. 有馬英二

    有馬英二君 大臣は私が質問したことがどうもはつきりおわかりにならなかつたのじやないかと思います。重ねて申上げます。結核予防審議会というものが特に作られておるのであつて、それにBCGの問題のような、こういう問題をこそ大臣が諮問にかけて、審議にかけて、その結論によつて大臣行政的にいろいろお考えになる、措置をとられるというのが私は普通の途であろうと思うのであります。大臣がその措置をとられないで、或いはそれを無視されるというような、只今大臣の言では、結核予防審議会であろうが、ほかの学会であろうが、そういうものに何もかけなくても差支えがないようなお言葉があつたように私は解釈するのでありますが、若し大臣がそういうような御意見であれば、私どもはこの結核予防法をこの委員会で制定した責任者の一人として十分考えなければならんと思うのであります。大臣はもう一度その点についてはつきりと大臣のお考えを述べて頂きたい。
  51. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いや、私は学術的に検討するというふうにいよいよ決意をいたしました曉におきましては、結核予防審議会にも諮問をするつもりでございます。ほかにも諮問をするつもりでございます。今日までの間、くどいようでありますが、私は本当に今日私が責任閣僚の一人としてBCGの基本問題について、それから又いろいろな改善する問題についても、技術的なようで、而も非常に根本的な問題がございますが、こういうようなものを調べるということは、一つの疑問を表明するのでございますが、そういうことをするかしないかということに、私は非常に愼重にいろいろ苦心をしたのだということを申上げておるわけであります。今日もまだそこまでに至つておりませんが、私は衆議院委員会の御意見を以ちまして、これは恐らくは参議院委員会とそう違つた結論は私は出ないものと思つておりますが、研究調査をするというふうになりましたならば、結核予防審議会には当然諮問をするつもりであります。
  52. 松原一彦

    松原一彦君 私今初めて承わつたことですが、この問題については前に二回ほど総理と話をしておられるというお話ですが、そういうことはあつたのかと今初めて承わつたのですが、どういうお話をどなたからお出しになつたのでしようか。総理からお話があつたのでしようか。厚生大臣からお話があつたのでしようか。二回のお話内容をお聞かせ願いたい。
  53. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) それはこういうことでございます。十月の四日でありまするが、日本学術会議から意見が出ました。それで日本学術会議から意見が出たのに対して、結核予防法についてこういつたような問題が出ている、いろいろな問題があるから調べろということで、これはどうも現行法律のことでもあるしするのだし、なお自分の時代ならばまだいいけれども、前任の黒川大臣のやられたことでもあるし、まあ聞くところによりますと、連合軍総司令部の意見が相当あつたということでもあるし、又マイヤース氏の著書によると、日本においてBCG強制接種計画は連合軍総司令部によつて創設せられたということを説明したという話が本に書いてありまするが、まあこういつたような問題はあるにしても、いろいろ厄介なので私はどうしようかと思つて悩んでおつた、とにかく日本学術会議という相当権威のある団体の意見でもあるし、それから且つ又私自身も良心的に言つて非常に不安でもあるし、どうしようかと思つておるということを申しました。で、それに関しましては総理の意見は、占領下におきまするいろいろな問題については、これは連合軍の総司令部の間にも今日レビユーをしていいということになつて、いろいろな問題、行政機構もそうでありますし、労働法規にしても、或いは又教育制度、その他の面についてもレビユーをしている状態なのだから、これはやはり良心的に考えて見て、それは吉田内閣がやつて置きながら、なぜレビユーするのだと言われれば、いろいろな問題があるけれども、これは良心的にほかのものと同じようにレビユーの必要があればやつたらいいじやないかということであつたのであります。ただ私は問題が保健衞生といつたような問題になりますると、ほかの教育制度とか、労働政策だとか、官吏制度だとか、諸般の或いは独占禁止だとか、その他の問題に比していろいろデリケートなところがありますので、あの日、更に四日の日には紙をもらつて申入れを受けただけだけれども、十二日の日に呼んでから検討を聞きました。で、聞きました結果を報告しました。こうこうこういうことである、それでどうも私としては紙を頂き又口頭の説明を六人から伺つたが、一つ疑惑を表明された根拠になるところの論文だとか、資料だとかいうものをもらいたい、その上で考えたいと思うということを申しました。ところがそれは愼重な態度で、それでその資料とつた上で、そうしてやはりこれを学者が言うのだから、そうでたらめでもないだろうし、問題になる点もあるのだから、これはやはり我々のやつたことではあるけれども、新らしく又レビユーをするということは止むを得ないという話で、問題の出るのを待つております。
  54. 松原一彦

    松原一彦君 これは私初めて承わつたので、二回も総理とお会いになつ愼重にお打合せになつたというのでありますが、それならばその後に大臣のおとりになつたあの発表は、私はやはりあのとき私があなたをお咎め申した、軽卒だという信念はいま一層強くなつた。というのは、学術的な問題に対しては私ども素人だからちつともわかりませんけれどもが、結核の予防ということが日本のいま民生上における重要なる重点であつて、一軒の家に結核が一人発生しますというと、実は経済的にも精神的にも破滅するのであります。二百万人以上と申しますが、もつと多くの患者がいま日本には満ちておる。これはどうかして一人でも多く発生しないように予防せにやならない。発生するというと、御承知のあなたのほうからお出しになつておる予算のような、一病床を新設するのに二十七万円かかるのであります。国家が大きな費用をかけるばかりではない、各家庭が非常な大きな不安にさらされるのであります。さような意味から八十四億円という大きな予算を組んで、これを重点として取上げて結核撲滅に邁進いたしておる最中であります。その予防の方法はほかにない。それで保健所をば作つて第一線の陣を張つて、保健婦を廻して結核のある家を訪うて、これを指導し、一面には発生を防いで、BCGの注射によつて少しでも未然にこれを防ごうといたしておる。そういうような国策が強硬に推進せられておる最中に、あなたがそれほどに愼重にお考えになるものであるならば、今度のあなたが箱根からお帰りになつて発表になつたというあの影響の大きなことと比べて見て、あなたは実際どうお考えなつておるであろうか、私がやはり非常な不満を持つのであります。と申しますのは、当該大臣がただ一片の証拠もない、何ら挙証のないところの有志の申入れをばお受けになつて、そして総理大臣に二度もお会いになつて御相談になつた、それほどに念をお入れになるものならば、更に引返して省内における省議を開き、更に結核予防審議会の專門家にかけて、十二分にお問い質しになつた上で、初めて然るべき御発表があつていいのだろう、それにもかかわらず総理にお会いになつて二度も御相談なすつたというほどに念を入れておきながら、或いはこのBCG強制注射はやめるかも知れんというようなことを御発表になつて、その及ぼした結果はどうかというと、BCGの要求は非常に減つて参つた。私は大分県の出身でありますが、大分の新聞を見ますというと、大変不安にさらされておる。そこで関係当局が皆集まつていろいろ審議した結果、今やめちや困る、中断してはいかん、大分の地方新聞も、BCGの予防注射を中断するなという論説を書いた、又責任者が集まつて鳩首協議した結果、これはどうしても中断してはいかん、続けて行かなければならんから、今までの方針通り進もうと非常に苦労しておる、これに水をさして不安の念を起さしたのは、大臣、あなたなんです。私は世間でこの問題が或いは首相の身辺から出たのじやないかという疑いを持つておられることにも、一片のやはり疑念を持つのであります。すでに昨年来BCGの問題は取上げておるのであります。併しこの部屋ではこれは熊谷博士も呼び、武見太郎氏も呼んで、ここで十分証人としての意見を聞いて一応解決いたしておる。併しあの当時新聞を賑わしましたのは、総理のお声がかりで結核の予算をば半分に減らすというようなことが伝えられて、これが非常に大きな影響を及ぼしたのであります。併しそれは誤伝であつたと中山委員等からも真劍なお話を聞いて、私どもは一応安心しましたが、何かここに大きな問題がもやもやいたしておる。そうして結核予算がこの影響を受け、並びに予防という国策の第一の実施の上に大きな不安が来るのじやないかということを恐れている。果してそういう大きな不安が大臣の口から出たというのでありますから、それで私はこれはいかんと申上げたのです。今あなたがそんなことをおつしやつてはいかん。十二分に調べた上で省議にもかけなければならんのです。これは当然です。又結核予防審議会は法の上で当然これに食つ付いているのです。八十四億といつたような大予算、これをば実施する上については非常な熱意が要るのであります。私どもは学者でありませんからして、学術的な論争はわかりませんけれどもが、今国策をここに集中して、結核という民族を蝕ばむ大きな、あの原子爆彈二発落した以上の人間が死んでいるという現実を歎いてやつているこの当面の施策に対しまして、水をさされるような言論をあなたがお発しになつたということは私は非常な不満を持つのです。でありますから、あなたにここで二回まで申上げた。それはいかん、そんなことを今言つちやいかん。別に今BCGによつて死んだという証拠は少しも挙つておりません。又学者の先般の証言にも、実は何らのデータも出ておらんのであります。いわば道聽途説のごときものをばとつて言つておられる。私は非常に遺憾に思つたのであります。これは生物学的な問題ではないのであります。生物学的個体の問題でなくして、民族全体がこの結核から一人でも助かるように急いでいる。私は藁にもすがるように予防を急いでいるということを申上げでいる。でありますからして、こういうふうな大きな影響を及ぼすような結果を招来したことにつきましては、当該行政大臣としましては、私はこれを取返すだけの御処置が要ると思う。この非常な不安にさらされているBCG接種が今よほど下火になつている。これをどうして取返すか。これを取返さない間に結核がぐんぐんと現われたならば、その及ぼす影響というものは測り知るべからざるものがあると思う。マイヤース氏は、いや、BCGをささなくても病人は自然に減るのだというようなことを言つておりますけれども、それは欧米等の事情であつて日本ではないのであります。日本ではますます絶対量は殖えて行きつつある。死亡率こそ減りますけれども、絶対量は毎年殖えている。この上に殖やされたならば、どうして一体この結核を防ぐことができましようか。家ごとに結核の不安で経済は破綻をいたしているのであります。どうにもこうにもならないような姿になつているときに、私はこの強硬に行なつている、八十四億の大予算をふりかざして行なつている日本結核防止行政、殊に衞生行政の中の最も大きな公衆衞生において、大きなここに中断的な不安を起したことに対する私は大臣責任があると思う。これをどうしてお取返しになるお見込みでありますか、私は御決意を伺いたい。
  55. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 松原先生の御意見BCGというものは全く有効で無害であつて、そうしてそれについて何らの疑いもないのにかかわらず、私が余計な疑いを出して、これの妨害をした責任をとれというお話のようであります。私は問題の一番の主眼点がそこにあると思うのです。つまり今日現行法律でもいろいろの問題はあると思います。そうしていやしくも学術会議の先生たちの言われるように、いろいろな疑問があつて、なお研究を要するということであるならば、研究に手を着けるということ自身が当然或る程度一つの何があるわけでありますから、これは全くいいのだ、全然研究の余地はないのだというふうにやつているときに比べれば、先生のおつしやるような影響は現われて参ります。そこで私も良心的にいろいろ考えておるわけであります。総理にも相談したゆえんであります。つまり省内では二十二日に行きましたときも事務当局の者いたわけでありますが、私が本格的に問題を提起して、或いは所管の委員会なり、学会なりで討議をするとか、或いは連続の省議を開いて検討するというふうなこと自身に私は相当の問題がありますので、それは私だけの責任で勝手にやる筋の問題でない。つまり省内を挙げて討議を開始するとか、そうしてそれは省内だけではいけないので、当然こういう問題については人の意見も聞かなければなりません。そういうことをするかどうかということを私は一番考えまして、この点最後の結論は先生と違いますが、先生はそういうことを考えてはいけないのだというようなお考えでありますが、私はこれで検討する必要があるかも知れない。従つて日本学術会議の方面から資料をとつて、その資料によつてとにかく検討する必要はありそうだ。つまりそういう意見を出しておる人たちもそうでたらめな人たちでないので、調べる必要があるのだというふうなことであり、又いろいろな問題が出て来ておるわけであります。今日までこの委員会において取上げられて議論されておる部分もあるし、比較的触れられておらない問題もいろいろあるようでありますけれども、総体的にもつと検討が要るのではないかというような場合には、やはり検討しなければならないというふうに考えているわけであります。で、私は松原委員は何らの害もなく、そうして非常に有効であるという考え方でありますが、私はまあ大体これは只今程度に有効なものとは前々から思つておりますが、害その他の問題についても意見を出す人がときどきおりますし、そうした場合にいろいろな強制程度等につきましては、よほどまあ考えてみる必要があるかも知れないと実は考えておりまして、それで結核予防法の、法律上は定期接種の場合には罰則はないということも承知しておりますが、間接強制の方法を法律とは別にとつておるようなところもあるようでありますし、こういうような問題についても、或いは先生の言われたような御意向が出ておるかも知れないと思いますが、私は一番問題にいたしたのはこれでありますが、これは本当に疑惑のないものとして伏せてしまうか、或いは又検討をしたほうがいいのかどうか。そのふん切りを私は一番この問題に対していたしておるわけであります。なお記者諸君に私が話しましたときには、私はいつでも特別に伏せるもののほかは、どういう話をしたかということについては結核予防法を修正するとか、或いは強制の方途を変えるということを私は積極的に話したわけではありません。私はこの問題について勧告されたように検討を開始するかどうかということは非常に問題なのだけれども、これは資料を見た上で或る程度理由があるならば検討しようということを考えたのだという話をいたしましたのであります。これに対して記者諸君のほうからたたみかけられて、検討するとなると、検討してからあと学術会議の諸氏の言つておられるような疑問が事実として証明されるような場合には法律を変えるのかどうかという話でしたから、それはもうあらかじめ結論を立てて検討するわけに行かんから、そういう場合にはそうなるかも知れないという話を私はいたしました。新聞に書いてあるのも僅か五、六行で書いてありますが、私はそこで他の問題を交えて約二時間ばかり話をしたのであります。こういう事情であるということを御了承願います。
  56. 松原一彦

    松原一彦君 問題点が違うのです。今あなたがそういうふうにいろいろ御弁解になりましたけれどもが、私は学者ではありませんから、BCGがいいか惡いか知りませんけれども、あなたのほうは立派なスタツフを持つておいでになつて十二分に御調査の上で、この法律案は厚生省として出されたものと信じているのです。内閣は変つておりません。吉田内閣総理大臣の下に一貫している現内閣であつて、その現内閣の公衆衞生を司つている厚生省から、あの予算に添えてあの結核予防法というものがここに提案せられたのです。たとえそれはあなたはその当時の大臣でないにしましても、現内閣の一貫したる方針として責任を以てこれをお出しになつたのであります。そのお出しになつて、今実施しているそのしよつぱなに、そういう影響のあるようなことをお話になることは私はよろしくないと申上げる。それはすべての学問は日に日に新たに進歩しますのでありますから、学問はどこまでも学問として常に改良進歩するように研究せねばならぬ。行政の面は行政の面として格別の証拠が挙つて保証があるならば、先般の京都におけるあの注射のごとく中止もしなければならんけれどもが、そういうことがない限りには行政面はスムーズにあの予算を執行しておいでになるのが私は行政府の大臣責任だと思う。私の申すのはBCGに欠点があるかないかではないのです。BCG強制注射をするがいいということを厚生当局が法案を作つてここにお出しになり、参衆両院の巖重な審議を経ておる。この中には医学博士が数名いる。そういうふうな医系の委員のかたがたもこれを論議して、そうしてこれを承認して執行いたしている。おびただしい予算を添えてこれが行われている最中に、これを継承した大臣が、この予算の執行と、この予防法の事実施行の上に影響のあるようなことをおつしやるときには非常な御用意がなくてはいかん。新聞に現われたのはBCG強制は中断するかも知れないと我々の耳には入つている。目にも映つている。それは幾多の疑惑があるからだという原因を添えて映つているのであります。それならば幾多の疑惑がどこにあるのかということを実は拾つて証人を呼んで聞いて見たのでありますが、私どもには納得の行くような論証になつておりません。これからお調べはなるならばそれはよろしい。どこまでも並行して研究はお進めになるがよろしいが、この予防法が現に進行の最中に、これを妨げるような御言動に対しましては、私は非常な愼重なる御用意があつて然るべきであろうと思う。政治というものはそういうものだと私は思う。併しながらもはや取返しはつきません。もうここまで来ました以上何ともいたしかたがないと言えばないものの、行政府の大臣としましては、この善後措置をどうおとりになりますかということを私は申上げる。今非常に需要が減つてしまつている。私は先日関係筋のかたに聞きましたが、爾来BCGの注文は激減しているということを言つている。そうなるというと、これは結核予防対策上には大きな支障を生ずる。又予算も死んでしまうということになる。本年も継続して予算はお出しになつているのであります。お出しになるということで我々は御内示を受けているのであります。その中には調査の費用もちやんと入つている予算の執行を行い、一方においては当面の公衆衞生をば強硬に実施しつつある際における御言動であるが故に私は愼重に願いたいが、もう仕方がない。すでにああいうふうにお述べになつた。だからこれが新聞に現われて、こういう影響を及ぼしたときにおいて、どういう御処置をおとりになつてこれをお取返しになろうとするのか、いやそれはもう新聞が書いたのだから俺の知つたことではないということでは済まぬと思う。何か早く地方に通牒を発して、決して中断してはならん。論証の挙るまではこの方針でやるから大いに盛んにやれというようなことでも御指令になりますかどうですか。私はそこを承わりたい。
  57. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 松原先生のお話はよく承わりました。で、私は今日松原委員お話のやはり前提というものは、どうも私の聞き方が惡いのかも知れませんけれども、この問題自身に対して一つの学問的な疑問が提起されているのに対して取合うのがいかんじやないかというご意見のように……。
  58. 松原一彦

    松原一彦君 違います、違います。そんなことは言いはしません。
  59. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) いや、ただ私はこれはどういうのか、私は先生のお話だと、つまり学問的な疑問が出ていても疑問がないように考えてどんどん知らん顔をして強行して、こつそり調べて工合が惡かつたらはつきりわかつたときに直せというようなお話のようにとれるのですが、私は自分の考え方から言いまするならば、これがただ誰かの言いつけ口とか、何とかいうことならば、日本学術会議の第七部において討議をされた結果の意見でありますならば、私自身がこれを本当に調べるという熱意を持つといたしますならば、今日BCGについてはなお調べる必要のある、なお改善する必要のある部分も残つているのだということを世間の人にも知つてもらつたほうが政治的な良心の問題として正しいと私は思つているわけです。
  60. 松原一彦

    松原一彦君 まだいけません。それは良心的な御行動としてはそれでいいでしよう。併し一方にまだ何らの証拠の挙つていない、そういうふうな道聽途説なもので仮にあつたとしたときに、これを論証した後でなければ私は強制を中止するといつたようなことを即断してはならんのは勿論でありますが、併しあなたが御発表になつたことに対して、新聞記者が間違えておろうと間違えていなかろうと、現にこういうような事実が起つている。起つているということに対してこれを満足しておいでになるのでありますか、需要が激減しているということに御満足していらつしやるのか、それじや困る、だからしてこれはやつぱり現行方針通りにやれと、参議院のほうでは結論を出そうとしているのでありますが、それに対して委員会においては現行方針通りにやつて差支えはないということを承認いたしたのでありますが、その承認とあなたが御発表になつた結果とは非常に大きな狂いが来ている。この行政上の狂いをどういうふうにして御調整になるかを承わりたい。
  61. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 先ほど以来私の考え方は申上げた通りでございます。勿論この点につきまして私は道聽途説という仰せは僕はいささかひどいと思うのであります。私も責任大臣として道聽途説的に取扱つたつもりはございません。でありまするが、勿論のちに至りまして調べました結果、BCGというものが今日のこの行われておりまする方法において、行われておりますワクチンにおきまして、ここに何らの害もないし、そうして誠に有益だということが仮に証明されました場合には、私はこの疑問の表明に取合つたということは怪しからん人間であつたということになるのかも知れません。ただ私は今日の状態におきましては、日本学術会議から表明されたことによりまして、この資料を頂戴しただけで、相当の根拠があるのならば研究調査をやりたいと実は考えておるのであります。只今お話のございました問題も、結局は罰則を以て強制していない部分について、罰則もないのだから、心配だからいやだということが出て来ているのだろうと思いまするけれども、私は今日それに対してどれだけ力強くこれを強制的な方向へ持つて行くかどうかということから見まして、これをなお検討いたしてみたいと思つております。で、この小委員長報告要旨は、私繰返して申しまするが、結核予防法方針は変更する必要はないという検討に達しておる。その他の点についていろいろ調査するというラインで私はできるだけ善処したいと考えております。
  62. 松原一彦

    松原一彦君 もうこれから以上は繰返しませんけれども、実は私どもは学問的なことがわかりませんから、厚生省の当局がお出しになつたこの法律の原案に対して、実は信頼をしたのであります。併しながらそれが半年、一年経たんうちに信頼のできないものであつて、これを改めねばならんものであるかのごとくお言いになる私は大臣の常識を疑うのです。そうなりますと、これから後に厚生省から出されるところのものには、こういうものはたくさんある、学問上の論証の付かないものがたくさんある。それに対して我々の審議の態度が変つて来るのであります。厚生省から出す予算は当てにならない、危いからしてうつかり引受けられないということになるのです。すでに責任を以て厚生省が数年来研究研究を重ねてこの結論に達してお出しになつた法案を我々は尊重しているわけです。それを御継承になつてあなたは大臣の席にお着きになつたのであります。でありまするから、厚生行政の一貫したる方針の上にお出しになつたものでありますけれども、念には念を入れて、なおよりよきものをお求めになることはこれはもう実に結構です。どこまでもそうであつてほしいと思う。單なる生理学的な答の問題ではなくして、民族全体に及ぼす問題でありますから、これは十分御念をお入れ下さるがよろしいが、その道程においてのお取扱には非常な愼重さを要するということを私は申しておる。あなたが御発表になつたところのことによつてこういう結果が来ておるということを私は指摘して、これをどういうふうに御処理になりますかとお尋ねしたのでありますけれどもが、いやそれは当り前のことであつて、まだ論究のきまつていないところのものを強制するわけに行かないから、まあこの程度でよろしいということであるならば、これは私考え直します。その代り今後厚生省からお出しになるところの法律案に対しましては、我々は十二分にこれから検討して、的確なる証拠のないものに対しましては否認します、こういうことになるのであります。これでよろしい、いや、これくらいな影響はあつてよろしい、三分の一に減つてもよろしい、BCGには問題がたくさんあるのだから行わなくともいいのだという御態度ならば、それで私は考え直します。その点を伺つておるのです。
  63. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 松原委員から御意見承わりまして、私率直に申して、御指摘の問題は私にとつて実につらい問題であります。それはもう私の私的な事情でございますから、ちつともかまいませんけれども、私はただ今日の問題といたしまして、日本学術会議の諸氏に対しても、なぜ今頃そんなことを言うのだということを申しましたのでありまするが、これはいろいろ御意見のあることでございましよう。BCGといつたような問題については非常に重要であるだけに、日本の学界を挙げての論議検討がほしいと思うけれども、日本の学界を挙げての論議検討はその当時行われなかつた、そうして又非常に行われにくい空気にあつた、そうして殆んど大多数の人々は結核予防法がこういう形で進行しつつあるということを余りよく知らなかつたということでございました。いろいろ日本の学界においても異論がございまするし、実は私の手許にも、率直に申しますると、個人的な交渉のようなものが実によく参るのであります。ただ私は率直に申して非常に言いにくいのでありまするが、地方の病院等から、BCG接種してみたところが、こういう結果があつたというようなことにつきましても、いろいろ検討してもらいたいというような話はありましても、保健所等とのデリケートな関係があつて、外に名前は出さないでもらいたい、研究するのなら、こうしてもらいたいというような話がしばしばございまして、十月四日に日本学術会議の七部のかたがたから意見書を頂戴いたしまして、私も実にこれは辛い立場には立ちましたけれども、併し私自身といたしましては、何と言つても人間の健康なり、生命なりに関係のある問題でありまするから、やはり有効の度合でありまするとか、或いは又害があるとかないとかいう問題についても、相当な人物から相当な程度の疑問の表明されているものに対しまして、これはまあ私としては率直に言えば、ただほつかむりしてじつとしているのが一番楽でありまするけれども、やはり或いは検討してみるほうが筋であろうかと思いまして、資料提出を求め、そういう考え方で相談をして参つたものであります。今後の問題といたしまして、いろいろ今後も法案を整備してお願いすることもございましようけれども、殊に保健衞生関係の問題というものは重要な特別な意味のありまするものだけに、省内としましても十分な審議をし、又日本の学界におきましても、本当に広く審議をいたしまして、そうしてその上で十分の資料を具して国会にお願いをし、そこで又御審議を願うという方向へ持つて参りたいと思つております。従来におきましても、そういう方策がとられて参つたものとは思いますけれども、併しやはり私は日本が占領下にありました今日までの状態と、今後の状態とは若干違うのじやないかと思つておるものであります。
  64. 松原一彦

    松原一彦君 実は私さつき道聽途説と申したのでおとがめがあつたようでありますが、私は学術会議のかたがおつしやるのだからして、定めし確実な論拠があつての御意見であろうと思つて耳をそばだてて聞いたのであります。三日間……。そのときにどういうかたがどういう御提案になつて、それをどういうふうに御審議になりましたか、これを御提案になつ行政部面に一つの勧告をおやりなさるという重大なる学者の御措置としては、何か的確なるところのデータがあつてこれをお添えになつての御提案だろうと思うし、御審議の模様、御提案者は何がしか、その過程を聞かして欲しい。私どもはこれはもう最も虚心坦懷に聽従しなけりやならんと思うのです。そこでお聽きしましたが、幹事のかたもお答えがない。誰が提案したというわけじやない、ただ漫然皆誰からもそんな声が出ておつたのだと、こういうことであつて、一向に出所もわからないし、それから論証の拠点も私どもは遂につかむことができなかつたのであります。併しさすがに学界のかたがたでありますから、いろいろいい参考資料を承わつております。例えば零下五度、攝氏五度の低温で以て保管しなけりやならないのにもかかわらず、第一線にある保健所にはさような冷蔵庫の裝置がないじやないか、従つて効果が激減するであろうということが想像せられる等のこと、それから途中の輸送等における関係等もいろいろ我々は教えられるところがありまして、改善すべきものは多々あのお話の中から出ております。併しながら今急にこれをやめねばならんという論証はただ一つも出ておらん。すべての学界の側から出られました学者の言われることも、BCGは有効であるということに一致いたしたのであります。無効であるということは一つもありません。有害であるかどうかというところが論点になるのでありますが、有害であるというところの確実なる論証も出ておらんのであります。多くは方法論に帰しておることは、あの週刊朝日が今週の号にはつきり書いておる。実に明確に要領をつかまえて書いてある。私は非常に敬服して読んだのでありますが、さように道聽途説に、私もあのときに先生がたの前で申したのです。どうもお聞きすると、私どもの目には確実なる論証、学者としての御論断がないように私は思われてならん。そこで私は先ず道聽途説といつたような軽卒なる言葉も申したのでありますけれどもが、そういう感じもいたしたのであります。そこで私はこの影響がかくのごとく大きくなつた現在、大臣はこれで御満足になつておるのでありますかということをさつきから申上げております。御満足になつておるならばそれはいたしかたありません。あなたの御心境ですから……。ただ今後そうなると、厚生省から出されるところの法案に対しては、私どもよほど用心しなければならん。よほどあやしいものがたくさん出て来ておるのだということになります。併し大臣の御心境も的確なる確証が挙つたなら処理するというのであつて、挙らなければこのままやはり御遂行になるのだろうと思うのです。そこでさようなあやふやな場合における大臣の言動には、よほどの私は御注意を願いたいということを申上げた、大変御無礼な言葉でございまして、出過ぎたようなことでございますが、我々は立法の府から、立法の責任を負いますから、何で一体あんなでたらめの法律を作つたかと責められた場合に、我々は誠に面目のないことになるのであります。どうか今後はさようなあやしいものは一切お出しにならないように希望します。
  65. 有馬英二

    有馬英二君 私は大臣の言われたことに甚だ不満を抱く者です。大臣先ほどこの予防法を作るときに、BCGのことはよく学者研究しておらないというようなことをさつきおつしやつたように思います。大臣はその当時のことはよく御存じなかつたかと思うのです。BCGのことについては恐らくあなたは御自分の下僚からいろいろお聞きになつたか知れないが、これは昭和十三年に私どもが三十六名の同僚と共に、この前も申上げたかも知れないのでありますが、文部省の学術振興会の第八小委員会として、BCG研究をやりかけて、五カ年間これをやりまして、そうしてその結論を以て当時の文部大臣その他の関係大臣に申言をして、初めてBCGの有効であり、そうして害が殆んどない、或いは多少の作用があつても、いわゆる害というようなものがないということを確めた上でこれをやりかけたのです。爾来だんだん研究をして今日になつて、今日でもやはり研究を続けておるということは大臣もきつと御承知に違いないと私は思う。然るに大臣は、このBCGがもうすでに研究が全く完了したものである。併し今回学術会議の人がそこに疑問を抱いて、これはもつと検討すべきであるというようなことを言うたがために、大臣が初めてそこに気が付いて、これはどうも学術会議というような重大なる機関が発表したものでありまして、或いは勧告したから、それで自分は注意しなければならんと、初めてお考えなつたものだから、こういうような間違いを生じたのだろうと私は思うのであります。決して大臣が言われるように、日本学者BCGを看過したわけではない、熱心に研究した結果、これを申言して、国家がこれを採用したのであります。あなたのおつしやることは、大臣はこれをお引つ込めにならなければならんと思う。
  66. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これは私が実は日本学術会議の先生たちに、なぜ今頃こういうことを言うのかということを聞いたのに対して、向うの先生がたが、結核予防法がこういう形で立案が進行しておるということを、BCGに関係を持つておられるかたがたは御存じだつたんだろうと思いますけれども、ほかの一般の学界としてよく知らなかつた、それでこう言つたふうな重要な問題についてはいろいろな、殊に今日何か副作用があるのじやないかと言つて疑問を個人的に、私に提示される方も大人のお医者よりも、むしろ小兒科の人たちが多いようでありますが、要するにいろいろな学界を挙げての検討をした。で、それについて結核予防法の進行過程において、これがこういうような形で進みつつあるということをよく知らない人が多かつたということを向うが言つてですね、そうして今後の問題としては成るべく広い範囲で新立法を知り、検討する機会を持ちたいものだという話を、向うが言つたのをお伝えしたわけです。
  67. 藤森眞治

    藤森眞治君 私は大臣にお尋ねするというより御参考に申上げたいのですが、先ほど大臣お話を聞いておりますと、学術会議の諸君がみないたという。成るほど学術会議の諸君が見えたのでありますが、学術会議の七部会の中には必ずしも全部のかたがこれに同意をしておらんのじやないかということがございます。と申しまするのは、先だつて証人の中には、九大の戸田証人BCG接種は有効無害であると、こういうことを証言されております。のみならず、戸田証人は、若しもこういうことによつてBCG接種ということが遅れるようなことがあつたら、これは自分の大きな責任だ、従つて自分は今後九州に帰つたら学界にも発表し、又地方を遊説してもこれを取返したいということまで言つておられまするので、必ずしも学術会議のかたがすべてが同じ意見でなかつたということを、先ず御念頭に置いて頂きたいということを御参考までに申上げておきます。
  68. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 この際厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、この小委員会報告の中に、行政的部面と書いてあります点に触れたいと存じます。それは御承知のように、皆さんの御意見では乾燥ワクチン一つも惡くない、身体に有害でない、これは技術の面で非常に劣つているからということでございます。この間証人のあるかたに、この接種は一体どなたがなさいますか、お医者さんがなさいますか、その他の技術者がなさいますかと言つてお尋ねをしたところが、この証人のかたは、医者がしますというふうにおつしやつていられましたけれども、地方に行つて伺いますところによりますと、これは公表されておりませんが、或る村のごときは看護婦が全村BCGをやりまして、殆んどが潰瘍ができて大きな問題を起した。又保健所では保健婦がこのBCG接種をやつたというようなことを聞いたのでございますが、厚生省といたしましては、過般国立病院の看護婦が静脈注射をしたことがございますが、この点どういうふうにお考えなつていらつしやいますか。折角立派なお薬を作られましても、そうした教育を受けないものが接種をしましたり、又教育を受けられましたお医者さんにしても、皮内注射をしないで、皮下注射をしたということで潰瘍を起しておられるということを承わつたこともあつたのでありますが、こういうように皆様法律を作られ、立法機関とか、厚生省の部面では非常に理論を盡したり、医学的に技術的におやりになつても、末端に本当に行き届かないのが日本只今の情勢であるものですから、保健衞生の生活と申しましようか、日常の生活は非常に貧弱でございます。もう肺病になつたら、何といつて松原先生もおつしやつたようにBCGがついておつたら必ず治るという考え、これは国民生活の貧弱で無理からんことだと思います。それにいたしましても、患者の中にも種々ございますように、静脈注射をしたり、BCGをしたりなさるお医者さん、又生活部面の指導をします保健婦のような、看護婦のようなかたの配置をはつきりして頂いて、こうしたいろいろな組織をきちつとして頂いたら、今度のような大きなBCGのようなことも起らなかつたと思いますが、行政面研究なさつていますか、厚生大臣、この点何とお考えになりますか承わつて、又こういう点の改善も附加えて頂きたいと要望するものであります。
  69. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 恐らく委員長の御報告、そして殊に小委員長の御報告、小委員長から後に念を押して頂きました、研究調査の中には非常に基本的な研究調査もあるし、厚生省として省内で調べて、すぐに善処できるものもあるという御指摘のありました問題は、恐らくそういつたような問題を含んでのことと存じます。で、今回いろいろ検討をいたしました結果、この学術会議の諸氏の言つておりまするように、法律がそのまま一〇〇%にいい工合に実行されたとしても、起り得べきいろいろな学術的な意見というものもありまするし、それから又法律が理想としてはいるけれども、実際上なかなかそこまで達しかねるといつたような面から起つているんじやないかと思うような問題もございますし、只今御指摘のような、やればできるのだけれども、指導監督がよくないといつたようなものもあることと思いまするので、これはBCGに関する改善策も重要な部分として、善処いたしたいと思います。
  70. 有馬英二

    有馬英二君 最後にさつきからたくさん厚生大臣に伺つたのでありますが、御要望のうちにいろいろ行政的に愼重な顧慮を払わなければならんということにつきまして、厚生大臣は今後その点に重点を置いてやるような御答弁がありました。然らばこの行政的処置という中に、BCGを製造するというようなことについて、只今BCGは財団法人結核予防会が一手にやつておるのでございます。そういうことについて大臣は何かお考えがございましようか、ありましたらお聞かせを願いたい。
  71. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) 事務当局から聞きますところによりますると、従来BCGについては、結核予防会のほうからこれを作りたいという話があつて、そうしてたまたまそこだけしか適当なものがなかつたので許可しなかつたという話でございました。これはもう本来のワクチンの製造、薬の製造、或いはこういう血清の製造全体を通じまして、相当な技術を持ち、そうして資力を持ち信用できるところがあつて、願出でがあるならば、これはもう許可をしても然るべきものだと考えております。
  72. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 最後に私から一言……。このBCGの問題から、恐らく私は学者のうちにも論文博士と経験博士と二つあると思うのです。これを医学界から言えば、理論博士と臨床博士とあると思うのです。こういうような二つの対立ができて、将来学問の頂点を見出すために競り合うことになつて、そのことが厚生大臣先ほどのお考えから、学問という範囲の広い枠内において問題を解決する、こういうのならば私はわかると思うのです。これがまあ惡いほうに発展して、臨床と理論とが分れて、拾收の付かないようなことになれば、全く私は学問上、或いはBCGを中心として不幸なことに終ると思う。この間の調整を厚生大臣行政責任者として十分にお考えをおいて然るべく善処して欲しい。もうそういう考えであると思いますので、念のために大臣にこの件に関して、御見解を頂きたいと、こう思うわけです。
  73. 橋本龍伍

    国務大臣橋本龍伍君) これはあらゆる面について大事でありますが、殊に医学の領域といつたようなものについては、特に非常に大事なことだと思います。私はやはりいろいろな問題についてフランクに、できるだけ大勢の人が集まつて討議をされるという機会を持たれることが私は一番いいことだと思つておりますし、政府当局といたしましては、いずれにもこだわりを持たずに、広く見解を徴して善処いたして参りたいと思います。
  74. 松原一彦

    松原一彦君 最後にもう一つ。最後と言いますか、私は今日激越な言葉で大臣を非難したようにおとりになるかも知れませんけれどもが、実はどうしたらこの日本結核が撲減できるかということについては私は日夜苦心しておるものの一人であります。それでこういうワクチンなどを試みに用いられるときには、いろいろ非難が八方から出る。例のいわゆる種痘のごとき、今日ではもう誰一人疑うものはありませんけれどもが、あれが初めて行われたときは日本でも皆逃げて廻つたものであります。随分最初にはいろいろの非難が出ましたけれどもが、政府が一旦御方針をお立てになつたならば、それに念を入れて、そうしてこれが一方に害を除きつつ、一方に普及して行くような方法を行なつて頂きたいのが精一ぱいの願いなんであります。ただこの中に私が証人のかたにお目にかかつて、別室でお目にかかつて、私どもはどうしたら結核がなくなるかについて苦労をしておるのですが、行政面からも我々は苦労するのですが、先生がたは一体どうお考えになりますか、学術会議の相当責任者に伺いますというと、こう言うのです。あんなつまらんものはやめてしまえと言われたのです。私は実は不思議でならん。それじやそんなにつまらんものですかと聞きますと、そんなつまらんものはやめてしまえ、私は併し金をかけて、予算をとつてつているのですが、と言いますと、そんな予算なんかよしてしまえと言われたのです。ほかに幾らでも使いようがあるというお話でありましたから、それではどういう一体対策がございますか、幾らでもあるということであつたのです。どうぞ御教示を願いたいと申して別れたのでありますけれどもが、どうも私ども聞いておるところでは感情の問題が多く挾まれておるような気がしてならなかつたのであります。学者らしくもない御言動という感じをその節々に受けたのであります。でありますから、いろいろこういう問題を取扱うときには、敵は本能寺的なものもありはしないか、いろいろなことがありますから、どうぞ念には念をお入れ下さいまして、一日も早く日本の民族の中から、この金を食い、人を悩ます結核を撲滅させる万全の御処置をば十二分におとりになつて頂きたいと切望申上げます。
  75. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) いろいろ質疑の点がございましたが、大体において終局をしたものと考えられますので、本日はこれにて会議を閉じたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 本日はこれにて散会いたしますが、明日は委員会を開く何か議題がありましようか……。なければ明日は小委員会にいたします。それではこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会    —————————— 十月三十一日予備審査のため、本委員 会に左の事件を付託された。  一、地方自治法第百五十六條第四項   の規定に基き、検疫所支所及び   出張所設置に関し承認を求める   の件   —————————————    地方自治法第百五十六條第四項    の規定に基き、検疫所支所及    び出張所設置に関し承認を求    めるの件   厚生省設置法(昭和二十四年法律  第百五十一号)第二十條第三項の規  定により、検疫所支所及び出張所  を左記のように設置したいので、地  方自治法(昭和二十二年法律第六十  七号)第百五十六條第四項の規定に  基き、国会の承認を求める。    —————————— 十一月一日本委員会に左の事件を付託 された。  一、診療所における同一患者の収容   時間の制限に関する医療法特例   に関する法律案予備審査のため   の付託は十月三十日)    —————————— 十一月二日本委員会に左の事件を付託 された。  一、国民健康保險事業の危機突破に   関する請願(第五五六号)(第五   八八号)(第六六六号)  一、戰争犠牲者遺族の援護強化に関   する請願(第五五七号)(第五七   四号)  一、新潟県二見港に検疫所設置の請   願(第五六六号)  一、戰争犠牲者国家補償制度確立に   関する請願(第六一三号)  一、医療法中一部改正に関する請願  (第六三七号)  一、新医療法実施延期等に関する請   願(第六三八号)(第六三九号)  一、公的医療機関の財政危機打開に   関する請願(第六四〇号)  一、歯科医師たる保險医の診療報酬   点数引上げに関する請願(第六九   七号)  一、社会保險制度の運営に関する陳   情(第八五号)  一、国民健康保險事業の危機突破に   関する陳情(第八七号)(第一四   一号)  一、雲仙国立公園施設費国庫補助に   関する陳情(第九〇号)  一、兒童福祉法による措置費国庫補   助復元の陳情(第九一号)  一、戰ぼつ者および遺族対策に関す   る陳情(第九五号)  一、兒童福祉法による措置費国庫補   助復元等の陳情(第一一六号)  一、国立病院および療養所の地方移   管反対に関する陳情(第一一七号   )  一、戰争犠牲者遺族の補償に関する   陳情(第一二八号)   —————————————  第五五六号  昭和二十六年十月二  十日受理 国民健康保險事業の危機突破に関する 請願   請 願 者 高知市丸ノ内五高知         県国民健康保險団体         連合会理事長 目代         真一   紹介議員 西山龜七君 入交太藏        君 現下の困難窮乏せる国民健康保險財政 を打開するために、(一)療養給付費 の二割補助、(二)再建整備費の交付 または、長期貸付、(三)直営診療施 設費補助の増額等国庫補助の実現を図 られたいとの請願。   —————————————  第五八八号  昭和二十六年十月二  十三日受理 国民健康保險事業の危機突破に関する 請願   請 願 者 神奈川県横浜市中区         日本大通一ノ一神奈         川県国民健康保險団         体連合会理事長 松         崎定治   紹介議員 石村幸作君 この請願の趣旨は、第五五六号と同じ である。   —————————————  第六六六号  昭和二十六年十月二  十五日受理 国民健康保險事業の危機突破に関する 請願   請 願 者 山口市役所内山口県         国民健康保險団体連         合会理事長 窪田秀         夫   紹介議員 中川以良君 この請願の趣旨は、第五五六号と同じ である。   —————————————  第五五七号  昭和二十六年十月二  十日受理 戰争犠牲者遺族の援護強化に関する請 願   請 願 者 徳島県美馬郡郡里町         郡里町遺族会内 加         藤義夫外三百四名   紹介議員 平井太郎君 対日講和條約も調印され国際社会に復 帰する日も間近になつた、今日なほ、 戰争犠牲者遺族は、社会的冷遇のまま 放置されている状態で、子女の教育、 日々の生活に堪えられない実状にある から、遺族に対する、(一)年金制度 、(二)家族扶助、(三)教育扶助等 の救済制度を法律化せられたいとの請 願。   —————————————  第五七四号  昭和二十六年十月二  十二日受理 戰争犠牲者遺族の援護強化に関する請 願(二通)   請 願 者 愛知県北設楽郡上津         具村中家裏一 古瀬         一夫外六百二十六名   紹介議員 長島銀藏君 この請願の趣旨は、第五五七号と同じ である。   —————————————  第五六六号  昭和二十六年十月二  十日受理 新潟県二見港に検疫所設置の請願   請 願 者 新潟県佐渡郡二見村         大字二見 小山儀作         外十四名   紹介議員 山縣勝見君 講和條約の締結により外国貿易の飛躍 的発展が期待されるとき、日本海諸港 には検疫所がないので外国船は、立地 條件を具有している新潟港に直行でき ず、函館港もしくは六連島に回航し、 折り返えしてから新潟港に入港する状 態で、時間的経済的損失はばく大なる ものがあるから、新潟県内二見港に検 疫所を設置せられたいとの請願。   —————————————  第六一三号  昭和二十六年十月二  十三日受理 戰争犠牲者国家補償制度確立に関する 請願   請 願 者 茨城県議会議長 宇         田川源次郎   紹介議員 郡祐一君 終戰以来はなはだしく国家より冷遇さ れまた一般国民より忘れられたいた戰 傷い者、遺族、留守家族、抑留者等に 対する国家補償を始めとする各種援護 方策の実現を期せられたいとの請願。   —————————————  第六三七号  昭和二十六年十月二  十四日受理 医療法中一部改正に関する請願   請 願 者 北海道美唄市南空知         医師会長 佐藤定雄         外十一名   紹介議員 有馬英二医療法が全面的に改正公布されてから 二箇年、この新医療法の完全実施が目 前に迫つてきたが、現在の経済事情下 において完全実施の期日までに病院の 規格、構造、設備を変更することは至 難であるというよりむしろ不可能に近 いから、医療法の第一條、第十三條、 第二十一條を最もその目的に沿い、最 も実際に即した真に国民の福利をもた らす最善の法とするよう改正せられた いとの請願。   —————————————  第六三八号 昭和二十六年十月二  十四日受理 新医療法実施延期等に関する請願   請 願 者 北海道札幌市南一條         西一九北海道医師連         盟会内 松本剛太郎   紹介議員 有馬英二医療法の定めるところにより、昭和二 十六年十月三十日以降は病床を二十床 以上有しない医院または診療所では入 院患者を四十八時間以上收容できない ことになつているが、現下の経済事情 からして本法に規定する施設の急速整 備はもちろんのこと私的医療機関の態 勢確立は困難であるから、本法の実施 を延期せられると共に医療機関に対す る長期金融の途を講ぜられたいとの請 願。   —————————————  第六三九号  昭和二十六年十月二  十四日受理 新医療法実施延期等に関する請願   請 願 者 北海道函館市会所町         五五函館市医師会長          竹田侃一郎   紹介議員 有馬英二君 この請願の趣旨は、第六三八号と同じ である。   —————————————  第六四〇号  昭和二十六年十月二  十四日受理 公的医療機関の財政危機打開に関する 請願(二通)   請 願 者 北海道札幌市長 高         田富與外一名   紹介議員 有馬英二君 国民経済のひつ迫に伴い、公的医療機 関の整備と運営はいよいよ地区住民の 福祉に重大な影響を與えているが、近 時拍車を加えつつある物価の高騰によ り、同機関の財政は利用度に比例して 赤字となり、窮迫せる市町村財政に更 に圧迫を加えているから、(一)社会 保險診療報酬單価ならびに点数を現下 の経済事情に即応するよう改正するこ と、(二)施設の新設ならびに増設に 対する補助額および起債額を増加する こと等、公的医療機関の財政危機打開 策を講ぜられたいとの請願。   —————————————  第六九七号  昭和二十六年十月二  十五日受理 歯科医師たる保險医の診療報酬点数引 上げに関する請願   請 願 者 栃木県宇都宮市日野         町二八栃木県歯科医         師会長 簗瀬眞策外         三百三十八名   紹介議員 大島定吉君 植竹春彦        君 戰後の社会情勢は歯科医師にとつても 非常に苦しいものとなり、とくに社会 保險の画期的普及によつて保險患者は いちじるしく増加し、今日では患者の 八割が保險患者なつているが、その 診療報酬は二、三箇月遅延して支払わ れる有様で、しかも昭和二十三年制定 された一点單価十円が依然として存続 しているため、診療設備を充実するは おろか生活費、医療資材の高騰により 、現状の維持すら困難であるから、一 点二十円を実施せられたいとの請願。   —————————————  第八五号  昭和二十六年十月十九  日受理 社会保險制度の運営に関する陳情   陳情者 熊本県玉名郡玉名町高瀬       玉名郡医師会長 河野潜 社会保險の診療報酬は、昭和二十三年 以来すえ置かれたまま現在に至つてい るが、保險医は高率な課税に苦しんで おり、保險診療の目的を達成すること が困難であるから、(一)診療点数を 引き上げること、(二)保險診療の不 合理を改善すること、(三)国庫補助 を増額すること等適当な措置を講ぜら れたいとの陳情。   —————————————  第八七号  昭和二十六年十月十九  日受理 国民健康保險事業の危機突破に関する 陳情   陳情者 群馬県桐生市長 前原一       治外八名 現下の困難窮乏せる国民健康保險財政 を打開するために、(一)療養給付費 の二割補助、(二)再建整備費の交付 ならびに長期貸付、(三)直営診療施 設整備充実費の補助等の処置を講ぜら れたいとの陳情。   —————————————  第一四一号  昭和二十六年十月二  十五日受理 国民健康保險事業の危機突破に関する 陳情   陳情者 滋賀県甲賀郡貴生川町長       石川金藏外一名 この陳情の趣旨は、第八七号と同じで ある。   —————————————  第九〇号  昭和二十六年十月二十  日受理 雲仙国立公園施設費国庫補助に関する 陳情(四通)   陳情者 長崎県南高来郡ロ之津町       観光協会内 三宅治利外       三名 雲仙国立公園が真に国民の公園として 、かつまた国際的観光地として、その 全機能を発揮するためには、道路、宿 舎、野営場その他の諸施設を緊急に整 備する必要があるから、すみやかにこ れらに要する資金融通の措置を講ぜら れたいとの陳情。   —————————————  第九一号  昭和二十六年十月二十  日受理 兒童福祉法による措置費国庫補助復元 の陳情   陳情者 福岡県飯塚市議会議長       岡芳太郎 兒童福祉法に基く施設連営に要する費 用は、従来国庫補助金制となつていた が、昭和二十五年平衡交付金に含めら れた。しかして地方財政の窮乏に伴つ て兒童福祉施設の経営は、福祉事業の 進展にいちじるしい支障をきたしてい るから、兒童福祉法に基く施設運営に 要する費用については、すみやかに国 庫補助に復元の措置を講ぜられたいと の陳情。   —————————————  第九五号  昭和二十六年十月二十  日受理 戰ぼつ者および遺族対策に関する陳情   陳情者 千葉市本町三ノ五一千葉       県遺族連合会内 加納金       助外十三万九千八百二十       四名 戰ぼつ者は、強制徴收により軍務に服 し、世界平和の戰争であることを信じ て戰つたのであつて、決して好戰的で あつたのではない。しかるにこの戰争 の犠牲者である戰ぼつ者ならびに遺族 に対しては、適切なる偉徳顯彰および 援護の措置が取られていないから、こ れ等戰ぼつ者および遺族に対して適切 な措置を講ぜられたいとの陳情。   —————————————  第一一六号  昭和二十六年十月二  十三日受理 兒童福祉法による措置費国庫補助復元 等の陳情   陳情者 宇都宮市今泉町六ノ九四       八栃木県社会福祉協議会       内 高際徳治 栃木県社会福祉事業大会において、兒 童福祉法による措置費を直接国庫補助 に復元することと、保育所給食を従来 通り継続すること等の決議がなされた から、すみやかに実現せられるよう取 り計らわれたいとの陳情。   —————————————  第一一七号  昭和二十六年十月二  十三日受理 国立病院および療養所の地方移管反対 に関する陳情(ニ通)  陳情者 北海道亀田都七飯村国立北      海道第一療養所内 竹内肇      外五百十二名 今回行政機構改革に関する政令諮問委 員会の答申によつて、国立病院および 療養所を都道府県に移管する運動が活 発化しているが、社会保障制度の確立 されていない現在においては、このよ うな措置を強行することによつていた ずらに地方財政を破壞し、種々の弊害 を生ずるから、国営病院および療養所 の地方移管には反対であるとの陳情。   —————————————  第一二八号  昭和二十六年十月二  十四日受理 戰争犠牲者遺族の補償に関する陳情   陳情者 山口県玖珂郡伊陸村一、       六五四 岩政音二外五       十九名 終戰以来戰争犠牲者遺族は、精神的、 物質的に苦難を堪えてきた。しかして 第十国会の衆参両院において、戰ぼつ 者、傷い者留守家族対策に関する決議 がなされたのであるから、この決議の 趣旨にかんがみ、すみやかに、(一) 弔慰金または見舞金の支給、(二)遺 族年金の支給等立法措置を講ぜられた いとの陳情。