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1951-11-08 第12回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月八日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            田中  一君            赤木 正雄君    委員            平井 太郎君            島津 忠彦君            深水 六郎君            小林 亦治君            東   隆君   国務大臣    建 設 大 臣 野田 卯一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君   説明員    建設省大臣官房    人事課長    町田  稔君    建設省大臣官房    文書課長    小林與三次君    建設省河川局長 目黒 清雄君    建設省住宅局長 大村巳代治君    経済安定本部建    設交通局公共事    業課勤務    谷口 龍夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○河川道路都市及び建築等各種事  業並びに国土その他諸計画に関する  調査の件  (ルース台風災害に関する件)  (人員整理に関する件)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  本日はルース台風災害状況につきまして、建設大臣がこの間御視察なつたわけでありますから、先ず一応その状況の御説明をお願いいたしたいと思います。
  3. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) ルース台風被害につきましては、先般私中国九州及び中部地方に参りまして実地について視察をいたしたのであります。なお鹿児島及び山口におきましては、私初め関係各省の代表のもの、現地知事その他のかたがたの打合会を開きまして、災害状況等を詳しく現地からお聞きしたような次第であります。その他いろいろな報告をも取り混ぜて、大体被害の全体の様子を勘案いたしますと、今度の被害豪雨によるもの、強風によるもの、高潮によるものに分れると思います。このうち豪雨によるものにつきましては、御承知のように河川氾濫する、山崩れを起す、それから河川沿つた両岸の土地を荒し廻るというような、又橋梁が甚だしく流失する、こういうような現象を起しまして、それから風の強いために起つた災害につきましては、家屋及びその他の建設物が非常な被害をこうむつておる。又農作物に対する被害もかなり甚大であるのであります。高潮によるものにつきましては海岸堤防がやられ、又海岸沿つた道路或いは家屋というようなものも大きな被害を受け、又普通の港、漁港というようなものもこれも甚大な被害を受けております。又今回の災害一つの特徴をなす漁船並びに漁網等漁業に対する、漁業用施設に対する被害が極めて大きいのであります。それで今回の災害は過去の災害に比べて見ますと、過去のいろいろな台風災害に比べて三つの点において今回の災害は断然過去の例をぬきんでておるのでありまして、第一点は人的被害でありますが、人的被害は行方不明、死者を合せますと、約千名近くになつておるのでありまして、これは過去の最大被害をもたらしましたアイオン台風の場合における八百五十名、それからデラであるとか、ジエーンなどの場合におきます四百から五百名程度被害、それからヘスター、キテイ、ジユデイス、キジア、こういうような台風のときは百名を超えておらない、こういうのに比べましても今回の台風によりまして、如何に大きな人的被害を受けたかということがわかるのであります。  それから第二点は住家被害でありまして、今回の台風によりまして住家全壊いたしましたものが二万四千五百四十四戸、流失をいたしましたのは二千六百九十九日合計いたしますと、二万七千二百四十三戸、こういうようなものが全壊流失、要するに姿を消すというような、ぺしやんこにやられるか、姿を消すというふうに相成つておるのでありまして、これ又過去のいずれの災害よりも大きいのでありまして、過去におきまして一番この住家に対する被害の多かつたのジエーン台風でありまして、大阪、各近畿地方中心としたあのジエーン台風被害でありまして、当時におきましては全壊流失合せて一万九千三百三戸ということになつておりまして、これよりも今回の災害は更に一まわり大きいということがわかるのであります。その他の台風ではアイオンにおきましては七千七百八十二戸、その他の台風におきましては大抵二千戸以下、こういうような状況を示して、住家被害が断然今までにない記録を示しておるというわけであります。  次に船舶でありますが、船舶被害は沈没と流失合せまして、六千二百四十隻の損失なつておるのでありまして、これを過去の最大被害であつたジエーン台風のときの一千七百六十五隻と比べますと、非常な懸隔があるということがわかるのであります。  以上、人的被害の点、住家に対する被害船舶被害、これらにおきましては最近のすべての台風被害を絶している、こう申し得るのであります。  それから次に公共土木施設に対する被害でありますが、これを府県報告によつて見ますと、河川道路海岸堤防、これが合せまして二百八十億、それから港湾漁港、普通の港と漁業の港、これを両方合せまして八十四億、内訳では普通の港湾が三十九億で、漁港が四十五億、合計八十四億ということになつております。又、農地に対する被害は、二百十一億、この中には農業用施設も含んでおりますが、二百十一億、山林関係におきましては三十一億、それから学校関係におきまして、学校が倒れた、或いは破損したという関係被害が四十六億、それから住宅全壊流失でありますが、これが八十六億、この住宅被害はそのほかいわゆる中破、小破というような、いろいろな破損があります。そういうもの全部合せると二百七十四億になるのであります。今八十六億というのは、全壊流失だけを見ております。それからその他に、都市関係、水道、都市施設、或いは病院とか、開拓入植者被害、そういうものを合せまして二十五億ぐらいでありまして、以上総計いたしますと七百六十七億ということになつておるのでありまして、これが政府補助の対象になるものであります。  それから次に、農作物に対する被害でありますが、これは御承知のように、風が非常に強かつたのでありますから、一番大きな被害を受けましたのが稲であります。陸稲も水稲も両方やられております。これは或いは粒が取れる、脱粒するとか、或いは芽が出る、発芽するとか、或いは枯れるとか、いろいろな災害を受けておるのでありますが、金額は或る程度わかつておるのでありますが、ちよつと不正確でありますから、差控えたいと思います。  九州地方の各県の報告をそのまま取りますと、百五十七億、これが九州地方であります。中国四国報告をそのまま取りますと、八十一億、そういうような数字なつております。全国的な数字はわかりません。結局こういう数字なつておりまして、これは正確を期しがたいので一応……。  それから漁業関係におきましては、先ほど申しましたが、漁船漁具、或いは共同施設養殖施設、こういうものが相当被害を受けておるのでありまして、一応の推算によりますと、漁船関係が二十八億、漁具が十一億、共同施設が八億、養殖関係が三億、これはまあ一応の数字でございますから、又訂正されることになるかも知れません、申上げておきます。その他交通通信のほうにもいろいろの被害が出て、鉄道関係では二十二億の損失があり、電気通信省関係では九億ぐらいの損失があつたと言われておりますが、いろいろなものを合わせますと、全国ではどれだけになりますか、千億を超えることは勿論でありますが、千何百億の被害総額になるというような状況なつておるのであります。  以上は全部を合せての話でありますが、これを各県別に見ますと、九州で一番災害がひどかつたの鹿児島県でありまして、鹿児島県では、県の報告によりますと、県下の損害総額は三百三十億出ておると言われております。それから次には宮崎県でありまして、宮崎県は百三十八億の損害である。それから大分県は八十八億、福岡県のほうが三十八億、熊本県が三十二億、佐賀県が二十二億、長崎県が二十三億、こういつたように九州地方鹿児島宮崎大分といふうに、いずれも相当大きな損害をこうむつておるのでありまして、鹿児島県の被害の大要は、この土地は割合に水害は少いのでありまして、大体は海岸地方における高潮損害と風の損害が多い。非常に鹿児島では風が強かつたために、丁度そのとき満潮台風がやつて参りましたので、あの近海は満潮で風が猛烈に強かつたというために、海岸地方被害が甚大でありまして、私も海岸線を廻つて歩きましたが、海岸はずたずたにやられており、漁港は無慙に壊されておる。又枕崎のごときは、海岸線に沿つておる約二万坪の土地にいろいろな家が密集しておりました。その二万坪の土地がごつそりと取りさらわれて、あとは河原のように石ころだけになつておるという惨状が見られるのでありまして、海岸線被害はひどくやられておるのであります。それから宮崎のほうにおきましては、二色の被害があるのでありまして、一色は都城を中心とする地域で、風が猛烈に強かつたため、住家農作物に対する被害が非常に大きい。それからその他の土地におきましては、雨が相当ひどく降つておりまして、五ヶ瀬川、一ッ瀬川の流域或いは大淀川の支流でありますが、そういうところでは雨が非常に降りましたので河川氾濫相当ひどい、こういうふうな状況であります。大分県につきましては、これは大体におきまして海岸災害が多いのでありまして、各地海岸がやられております。私は大分、それから別府、中津の近所の海岸を見て歩きましたが、この前の、昨年のキジア台風のときに比べますと、数倍の被害を受けております。私はこの前のキジア台風、昨年の九月十四日と記憶しておりますが、そのときのキジア台風のときには私丁度九州におりまして、キジア台風直後に、三日目に大分県の海岸地方を見て歩きましたが、それと今回と比べますと問題にならん非常な甚大な被害に驚いたのであります。なお大分県では単に海岸のみならず、いろいろな川が相当溢れておりまして、私駅舘川という川を見ましたが、非常な堤防決壊その他の大きな災害を受けておるのを見たのであります。それから次の福岡県のほうは、これは大体におきましてニヵ所あるのでありまして、一ヵ所は福岡東部瀬戸内海に面した築上郡と京都郡という二郡がありますが、この方面におきまして、河川が猛烈に氾濫しておる。こういう所の海岸相当やられておるという状態、もう一つは筑後川に沿つた地域河川災害が起つておるのであります。それから熊本県のほうにおきましては、天草方面がいたくやられて、天草北部海岸地方がひどく叩かれておるのでありまして、なおそのほかの問題といたしましては、球磨川の上流地方相当やられておる。こういうふうな状況なつております。  中国地方におきましては、山口県の損害が一番大きいのでありまして、県の報告によりますと三百二十一億円、鹿児島県と伯仲をしておるのでありますが、三百二十一億円となつておるのであります。それから広島県が百一億、島根県が三十九億、その他の県は比較的いいのであります。山口県のことにつきましては新聞紙上に伝えられておりまして、大変世間にセンセイシヨンを起したのでありますが、山口県の東部岩国からずつと流れております錦川流域が一番ひどいのであります。その他徳山の東のほうがひどくやられておる。これは風も強かつたのでありますが、風よりも雨が猛烈であつたのでありまして、錦川の流域におきましては時間雨量九十八ミリという曾つてないレコードを示しております。そういうふうに一時間の間に降つた雨の量は曾つて記録にないほど出しております。こういうことのために河川の水が急速に殖えて参りまして、両岸を洗う、又山崩れを生ずる、こういう惨憺たる状況でありまして、岩国から錦川を上つて行く道路はすつかり決壊いたしまして、十日間くらい奥地へ入れなかつたのでありまして、これを警戒するために岩国のほうからは消防隊が二百名出動し、徳山のほうからは日本初めての例でありますが、警察予備隊三百人が出動いたしまして、道路の警戒に当つたと、こういう約十日くらいして漸く奥地で以て両方から来た者が握手をした、こういうような状況であつたのであります。私も道路の警戒されたその日に奥地に入りまして行つたのでありますが、全く惨憺たる惨状に目を蔽わしめるものがあつたのであります。山口県は川に関係したほうの災害が一番多い、海岸地方は勿論やられておりますし、又徳山その他の工業地帯相当被害を……海岸にも受けておる、こういうことであります。広島県は大体におきまして、山口県寄りの部分相当被害がありました。山口に入つて見たら相当被害がありました。なお工業地帯海岸が、或いは又漁業に対する被害が甚大でありました。島根県につきましては山口県と……山口県に近い部分、山のほうの部分には山口県とやや似た被害があるのであります。  四国につきましては愛媛県が六十四億円に相成つております。それから徳島県が二十五億、こういうふうなことになつております。この両県とも海岸地帯被害が一番甚大でありまして、愛媛県あたりは瀬戸内海に面したところの海岸相当の幅に亘つてやられておるのであります。徳島県におきましても海岸のほうを相当にやられておる、これは幾分山嶽地帯もあると思います。その他の地方といたしましては、中部地方におきまして愛知県、これが二十二億と言われておりますが、被害があるのであります。又三重県にも相当被害があります。近畿地方では和歌山……、兵庫、こういうところがやられておる、こういうふうな実情なつておるのであります。  なおこの対策につきましては災害を受けました直後、中央におきましては建設省、勿論建設省直轄の役所全部でありますが、それぞれ係官を派遣をする、或いは出先の係官現地を調べさせるというようなことをいたしたのであります。緊急の措置をとりまして、各県も又難民の救済その他緊急復旧等に努力をきれたのでありますが、何と言いましても現地災害復旧に追いまくられて、知事さんもなかなか、県民も大わらわになつておるような状態でありますので、中央から私が、閣僚といたしまして私、それからあと安本通信、農林、厚生、文部、電通の各政務次官その他の関係係官が出まして、二十五日鹿児島、二十七日山口対策を協議したのであります。その結果一番問題になりましたのは補正予算でありますが、補正予算につきましては災害関係補正予算をどうしても出さなければならんというのでありますが、これにつきましては、相当調査をいたしませんと補正予算の提出が困難でありますので、できれば臨時国会に間に合せたいけれども、或いは都合によりましては、準備都合によりましては、通常国会を待たなければならんかと思つております。でそれまでの問題といたしまして御承知繋ぎ資金の問題があるのでありまして、これにつきましては我々もまだ現地に行つております十月二十五日、一応繋ぎ資金として十億円の……、十億二千五百万円が第一次として出されておるのであります。第二次以下の繋ぎ資金については、目下安定本部において各省数字を取りまとめております。数字はほぼ固まつて参つて、この次の閣議において決定をいたしたい。こういうふうに考えております。  それから現地に参りまして、各方面からの要望があつたのでありますが、各地とも災害を頻繁に受けておつて財政力が極めて弱化しておりますので、政府から補助金をもらう以外の地方団体負担分については、起債を全額認めるようにしてくれという要望が熾烈でありまして、地方財政の現況と睨み合せて何とかこの点を考慮して措置をする必要があるかと、こういうふうに考えております。又財政措置のほかに金融上の問題については漁業関係中小企業関係、或いは営農資金、いろいろなものについて早急金融措置要望されておるのでありますから、この点についてはそれぞれ安本において目下準備をし、今一部実行に移しておると、こういうような実情でありまして、住宅対策については、災害救助法に基く仮設住宅の問題、それから公営住宅法に基く第二種公営住宅の問題、及び住宅金融公庫法による融資住宅の問題、こういうような問題がありまして、建設省中心として今回の災害一大特色である住宅被害、これについて善処したいと……、こういう点についてはもう実行に移しつつある、こういう状況であります。  以上災害視察の概況を御報告いたしました。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今大臣ルース台風視察報告があつたのでありますが、今閣議がありますので、閣議が終えたら間もなく帰つて来ることになつておりますので……。  只今河川局長が見えております。それから住宅局長も間もなく到着することになつております。経済安定本部建設交通局公共事業課谷口龍夫君が来ておりますので、その間只今災害状況報告に対しまして、御質問をお願いいたしましようか。
  5. 田中一

    田中一君 今ルース台風について、災害状況について大臣から質問する余地のないほど一応伏線を張つた説明を伺つたが、具体的にはまだ繋ぎ資金の十億というか、出ておるに過ぎない程度でありますが、大体こうした被害に対して今後公共事業なり、又地方に対する補助金の交付なりが、災害復旧に、原形復旧という形でのみ方針を立てておるか、或いは抜本的な無論資金関係の点において満足なものはできんとして、重点的に抜本的な政策をとつて行こうとするか、そういう点について、安本又は建設省当事者のお考え方を伺いたいと思います。
  6. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 災害復旧方針の問題でありますが、我々は原形復旧に囚われて再び災害を起したくないという気持でやつております。勿論改良的なものも認めて行きたいという考え方でありますが、この災害の法律につきましては、原形復旧が高率の補助であります、それからそれに対する超過工事は二分の一の補助なつております。そこで二分の一の補助というようなことのために、非常に計算の手数がかかるというようなことで、そういう手数を厭わないところは構わんですが、厄介なものですから、超過工事を嫌う傾きが多分にあります。でありますが、我々は現地査定に行きましても、府県が若し超過工事をやらんで原形復旧にこだわつておるというようなことで、それは非常な欠陥があると思われた場合には、金額を減らすというよりは、逆にこれを忠告してそれを訂正するという査定方針をとつておりますので、必ずしも原形復旧にこだわつては考えておりません。ただここで問題になりますのは、更に重点的に改良をやる。例えば今度錦川が氾濫いたしました。この錦川の氾濫原因は、非常に雨量が多かつたというのが氾濫原因でありますが、ここは大部分渓谷であります。渓谷中間部道路がありまして、その道路の沿線に多くの家があつた。その道路は結局水に浸つて家流失したわけでありますが、ただそれのみならば大した被害がなかつたのに、本流よりも裏から来ておりまする支流が非常に氾濫して土砂を流して来た。それで死人を出したとか家屋が埋まつたというのが、この本流よりも支流の非常な渓流の土砂の流出によつたのが多いのであります。そこで我々は抜本的にやるのならば、恐らくあの花崗岩質の山を、いわゆる花崗岩の風化されたマサの山を治めなければ、これは到底災害は防げないという感じを抱いたのであります。そうしますると、抜本的なものをやりますと、大々的に砂防工事をやらなければならんという結論になるわけであります。それからもう一つは、曾つて錦川の計画といたしまして、上流堰堤造つて洪水を調節し電気を起すという問題がありました。ところがこれが多くの家屋の移転を要するというので、それが行き悩みになつて現在に及んでおります。一つ上流にたつた一つ堰堤ができまして、これが現在徳山工業用水を補給しまして、徳山の発展に資しております。勿論電力もできておりますが、これは余りに小さいので錦川の洪水調節には役に立たんのであります。でありますから、それの第二期工事として下流に堰堤を造るということは非常にいいことであると思うのであります。こういうことを錦川について考えますということが根本的な問題だと思いまするが、これが災害としての費用範疇に属するかどうか、災害費として急に考える範疇に属するかどうかということにつきましては、我々は主張をいたしたいのですが、なかなかこの問題は早急の解決は困難ではないか。そこで我々といたしては、災害の起きました場合には、それに対する対策一般費用から重点的に出してもらいたいと、そういう計画を推進するような行き方にしてもらいたいと、こういうことも主張しておるわけであります。そうでありませんと錦川の問題は解決しないのではないかというふうに考えております。そこでこの原形復旧の問題ですが、こういう問題が起ると思うのであります。それならば若し上流堰堤造つて洪水調節ができ、水位の低下ができ、砂防が完全になるといたしますれば、そういう理想の下にそういう計画を立てるといたしますれば、現在災害で壊れておる個所をそう立派なものにしなくてもよいという問題が起るのであります。その兼ね合せの問題が非常に厄介なのであります。地元としては一応原形に復旧してくれということでありまするが、恐らくこういう根本的な問題が解決すれば原形に復旧することも必要がないという問題が起きて来ると思うのであります。でありますから、災害原形復旧費最小限度の線でありまするが、そういう理想的な姿に持つて行けば或いは必要のないものであるということも言えると思うのであります。その辺の兼ね合せは非常に厄介な問題だろうと思います。
  7. 田中一

    田中一君 今の局長お話を伺いますと、局長としては、こうした錦川の場合は原形復旧が最善の方策ではない、それ以上に災害復旧の面でなく、抜本的な、根本的な災害から守るという意味の施策が必要と考える、こういう御意見になるわけですね。安本の御意見はどうでしようか。
  8. 谷口龍夫

    説明員谷口龍夫君) 只今河川局長からお話がありましたように、災害費査定に当りましては、原形復旧中心とし、更に超過工事の分につきましても法規によつてきめられた程度までは十分取つておるわけであります。併し予算の立て方が災害費一般とは別に立てられておりますので、超過工事以上逸脱した程度のものにおきましては、一般改修費なり何なりによりまして、予算の編成時において災害を睨み合せて更に検討を加えて計上するというしか方法がないのではないかと、こういうふうに考えております。
  9. 田中一

    田中一君 今建設省安本考え方食い違いがあるのです。その食い違いは、予算措置一緒にできんというようなお話になるのですが、これを一緒原形復旧を含めた、或いは原形復旧を超えた抜本的な施策を立てる意思があるかないか。今の予算措置においてそれができないというならば、それを変える意思があるかないか。この両方から伺いたいと思います。
  10. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) これは安本のお答えのほうがいいので、我々からお答えすることは適当でないかと思いますが、こういう問題だと思うのです。災害が起きますと、そういう行き方が一番正しいという案は立つわけです。それが現在では一般費から出るわけでございますが、そうするとその錦川なら錦川にダムを造り砂防をするということが非常によいと、抜本的な考え方だということが出ました場合に、それならば錦川と他の災害を受けない水系における未然防止の仕事とどちらに重点を置くかと、こういうバランスの問題が出て来るわけです。災害が起きたらそこのところだけを考えればよいのだということには、これは我々としても行かない問題があると思うのです。併し一般費に振込みますと、一般の枠内でこれを操作しなければならんという形になつて来るわけです。ですから、災害が起きたら、錦川なら錦川の災害を解決するのだという方針になりますと非常に結構でありまするが、そうなりますと、逆に言いますと、全国を見渡して、果してそれが根本的な施策のプライオリテイーの問題が妥当であつたかどうかという非難を受けるかも知れんという心配があるわけです。そういう点で非常に悩みがあると、こういうことです。
  11. 田中一

    田中一君 悩みは結構ですが、局長自身として、どういう方法ならばあなたの希望するような災害復旧計画というものを御説明願いたい。
  12. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  13. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。
  14. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いますが、もう安本の御答弁では甚だ不満足です。併し局長自身がこうなればいいのだというような方法はお持ち合せないですか。
  15. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 私は今の姿では災害が起きましたときに、必ず抜本的な施策を一応考えをして、それを今の制度では一般費用から重点的に出すという方法しかないと思います。そこで今のような錦川のような問題は、今までの計画、過去において錦川の総合開発計画がありますが、これを実行すべく努力して来たのでありますから、これは又半面から見れば相当有利な仕事でありまするので、これは地方長官あたりを説き伏せて熱心にこれの推進を図らせる、こういう手を尽すのが一番いいと考えておるのでありますが、まだ正直なところは機がそこまで熟しておりませんので、我々のほうは積極的には進んでおりませんが、そういうふうに持つて行くべきであるということを考えております、
  16. 田中一

    田中一君 今の錦川の例が出ましたが、安本では錦川の災害に対してどのくらいなものを出すような意向でおるのですか。
  17. 谷口龍夫

    説明員谷口龍夫君) 災害査定に現在のところ、まだ各原局から要求書その他も出ておらない状態でございますので、近く要求書がまとまつた上で更に十分検討いたしまして考えることになるのじやないかと思つております。
  18. 田中一

    田中一君 先般災害……、防災課ですか、仮査定に行かれたというように聞いております。本査定にまで行つていないようですが、その仮査定被害額ですね。これは県から通達が、報告が来たものと大体同じでございますか。同じでないですか。
  19. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 実はその災害の当初におきましては、県の報告はまちまちでありまして、非常に大災害を受けたところはなかなか報告がまとまらん、こういう大災害のところにまあ督促という姿で行つたので、査定というよりは、今のような災害原因がどこにあるか、或いはこれに対する根本施策はどう考えるべきかというようなものを土台に考えまして、それに県の報告を早くまとめさせる督促、こういうものを兼ねて行つたので、現在お手許に差上げました報告がその結果なのであります。
  20. 島津忠彦

    ○島津忠彦君 今度のルース台風は今お話がありましたように、錦川とか何とか、河川被害相当大きかつたのでありまするが、それに負けずに海岸線被害相当大きかつた。私は現地を見まして痛切に感じたのでありますが、この海岸堤防の復旧がいろいろ、所管がいろいろになつておりますのですが、その関係で非常に工事が、復旧工事が遅れるというようなことを現地で聞くのです。この点は各省でどういうふうにしておられるか。例えば運輸省だとか、農林省だとか、建設省あたりの所管がありますが、その調整をどういうふうにしておられるか。
  21. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) この前の国会に海岸堤防法を出すべく準備をしたのでありまするが、これが各省意見の調整ができないので、実はまだ議会に提出されていないという現状であります。そこでこの各省のあれから言いますと、はつきり海岸堤防河川局内の仕事になつておるのでありますが、実際問題といたしましては、なかなかまちまちである。港湾は、港湾区域内の海岸堤防港湾だと言つておりますし、農地の海岸堤防は農地局の仕事である。こういうふうに言つておるのです。あと都市海岸堤防が残されたわけですが、そういうことで海岸堤防の一貫性は現在のところないわけであります。もともと海岸堤防は御承知の通りに個人が全部やつておる、維持、補修も、建設も殆んどが個人であります。それが農地の改革と共に地主がなくなりまして、この補修ができなくなつた。維持、補修ができなくなつて、海岸堤防の問題が出て来たのでありまして、そういうふうな現状で、国がどうしても面倒を見て行かなければならないのが現状であります。そこでそれならば、現在の姿で海岸堤防災害復旧は促進されない、遅れるというようなことのお話でありますが、これは逆に言うと、却つて促進されるのではないか、と言いますと、各省相争つて仕事をするような結果になりまして、トラブルこそは起きますが、地方長官として、或いは地方局として考えますると、非常に各省が争つて面倒を見てくれるという逆の結果ではないかということも言えるのでありますが、問題はその所管の問題よりも、今度行つて見た感じから言いますと、海岸堤防の構造上の問題が、技術上の問題が大きく取上げられなければならんと思います。海岸堤防は石垣で積んで、毎年のように破壊されているのが現状です。それを見ますると、どうも設計が悪いのか、或いは施工が悪いのか、非常にいい仕事とは言えないのであります。そこで我々のほうは昨年から海岸堤防災害に対しては、相当丈夫なものをやつておるのであります。今度の災害でもその一部が、これは一部だけしかまだやつておりませんが、その一部か厳然として残つておるという例を見て参りましたので、これならば大丈夫だという自信を持ちましたから、今年から海岸堤防査定は、原形復旧と申しますか、これは非常にそれに囚われますと非常に困る問題ですが、再び壊れんような海岸堤防を造らなければならんということでやつております。
  22. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 安本のほうにちよつとお尋ねしますが、干拓で災害を受けた場合は、今これを復旧すると二分の一の補助であるが、三年放棄しておくと全額国の補助になる、こういうふうなことをちよつと聞きますが、実際ありますか。
  23. 谷口龍夫

    説明員谷口龍夫君) ちよつと私この問題につきましては聞いておりませんので、お答えいたしかねます。
  24. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今の問題はこの次までおきます。私は主に大臣にお伺いしたいのですが、大臣が見えませんから一つ二つ局長にお尋ねいたします。先ほど局長の錦川の話に関してあそこに災害復旧原形復旧をやる、又それを根本施設をせずして上流のダム、砂防ということをおつしやいましたが、併し費用の観点からは重点的に持つて行く。こういうことを言われましたが、仮に河川砂防に千億の費用が公共事業費にあるとして、これは全国平均でその府県に応じて按分しておる、そういう場合に今の重点的というのは、千億の費用を、ほかの費用を薄くしても重点的なところへ持つて行こうという御趣旨でありますか。私はそれでなしに、やはり千億は千億として今まで通りやるが、千億以上にやはりこういう場合には、公共事業の多分の増額をして、そうして錦川のほうに持つて行こう、こういうふうに解釈すべきと思いますが、どうでしようか。
  25. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 我々としては災害の復旧費というそのものは決して枠に囚われないで、枠外にしてもらいたいというのが我々の希望であります。従つてこれに伴うような一般費も例えば砂防災害対策費とか、或いは河川のいわゆる災害対策費というようなものも枠外にすべきだということを我々は主張しておるのでありますが、そうなりますと、一般の枠からはみ出すということになりますので、相当重点的にできるというふうに考えておりますが、さて実際問題としては、安本あたりの査定考え方、或いは大蔵省の考え方災害復旧費さえも一つの枠に入れたいがごとき考え方を持つておるので、その辺は予算の折衝のときにいろいろトラブルが起きる問題であります。
  26. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私はまだはつきりしない点がありますので、もう一度お伺いしますが、災害復旧費は災害復旧費でこれはいいとして、その他の治水事業費、その治水事業費を各府県に必要度に応じてまあ今日やつておる。併し錦川というふうに特別の災害が起きましたら、災害とは別に抜本的な意味において、そこにこの治水事業費のうち今まで各府県に分けていたものを、重点的に錦川のほうに持つて行こう、こういう御意思ですか。それをはつきりしておいて頂きたいと思います。
  27. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 我々の希望としては今までも過去のものは、過去のものと申しますか、一応の計画を立てておりますものは、これもやはり重要な仕事でありますので、災害で突発的に起きた新らしい問題として、それにプラスをして行くべきだという主張をしていたのでありますが、なかなかこれは往々にして通らんというのが現状であります。
  28. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今の局長の答弁はそうあるべきなのでありまして、仮に錦川の方面に重点的に持つてつた結果として他の府県が手薄になりますならば、他の府県にやはり水害のある場合には、その府県が当然あの錦川の二の舞をすることは当然であります。つまり錦川のように水害が起らないように、各府県では河川砂防をやつておるのでありますから、錦川のために各府県河川費、砂防費を減額することはあり得べからざることなのであります。これがためには当然安定本部はどうなさるかというお考えを私は聞きたいのです。つまり私は安定本部は仮に千億なら千億という公共事業費をどこに重点的に持つて行くかという、こういう確固たるお考えはない以上は御承知の通りに公共事業費として枠がきまつておりますから、この際日本の国土再建のために、或いは毎年今局長のおつしやつたような厖大な災害がある場合に、この何千億の災害を防ぐためにどういう仕事を第一にやらなければならないか、それに対して安定本部としては公共事業を処理なさる場合に当然お考えがあるべきはずと思いますが、その根本のお考えを私は承わりたい。
  29. 谷口龍夫

    説明員谷口龍夫君) 災害費は先ほど申上げましたように、今度の災害につきましては、各省からの災害の要求書もまだ出ておりませんので、各省の御意見その他についても、安本といたしましては、まだ十分に承知してないような状態になるわけであります。各省から出揃いました上は、更に委員会の御意見を拝聴いたしまして、善処して行きたいと思います。
  30. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私の尋ね方が下手なことでしよう。結局私の言い方がまずいので尽くせませんでしようが、災害のことを私はかれこれ言つておるのではありません。それは災害九州地方に起きようが、東北地方に起きようが、関東地方に起きようが、それは止むを得ない。併しこういうように災害が起きる国でありますから、これに対して公共事業費を、災害以外の公共事業費を、どういうふうに重点的に持つて行くべきか、それに対する御意思を承わりたい。……当弁がなければ安定本部から長官をここに御出席願いたい。又そういうことで答弁ができんというなら、今まで安定本部は公共事業費をどういうふうに処理されていたか、非常に疑問に思う。公共事業費の処理が或いは間違つておるために、こういう災害が年々増発すると、こういうふうに解釈して差支えありませんか。
  31. 谷口龍夫

    説明員谷口龍夫君) 災害につきましては皆さん御存じのように、予算の限度がございますので、その限度におきまして、安本といたしましては予算実行をいたしておるようなわけであります。相当大幅な災害費がございますならば、又別問題でございますが、現在の枠において経済安定本部といたしましては予定いたしておるような次第でありますから、その点御了承願いたいと思います。
  32. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 どうもまだおわかりになつておらん。私は災害のことを言つておりません。災害が起りますから、こういうふうにその災害が起きるために、その災害復旧費をかれこれ言うのじやありません。毎年々々日本のように災害がないと思つていたのに災害が起つておる。つまり日本は災害が起きるそういう国柄でありますから、災害を防ぐ、災害が起らない、そういう根本方針のために、仮にあなたのほうに今まで公共事業費をお分けになつておる場合に、どの方面に公共事業費を重点的に持つて行くべきか、これに対するお考えが私はあるべきはずだと思います。それでなしに公共事業費をお分けになつておるとするならば、誠に今までの分け方が私どもには納得しがたいのです。で災害とは別に、先に河川局長に伺つたように、災害の根本施策をどうするか、災害が起らないようにどうするか、或いは農業方面に公共事業費をお用いのこともありましよう。或いは開拓事業のために、或いは林道のために、ほうぼうにお用いになりましようが、先ずこの日本の現在の状況としては、どこに公共事業費を重点的に持つて行くべきか、これがおわかりになつているはずだと思います。まあそれによつて、今までの公共事業費の按分をされているか知りませんが、それに対して私は非常に疑問があるのです。今まで公共事業費の按分の仕方が悪い。仮に千億の公共事業費がある場合に、治水に対する公共事業費、河川に対する公共事業費、砂防に対する公共事業費、その事業のアンバランスがあるために、こういうように災害が起るのじやないか。又災害がある場合には、もつとあなたのほうに何か災害を未然に防ぐために、こういうふうに公共事業費を分けておられるということがあるならば、我々は納得し得るのでありますので、それに対してのお考えを承わりたい。
  33. 谷口龍夫

    説明員谷口龍夫君) それは皆さんも御存じかと思いますが、公共事業費がいつも言われておりますように、治山治水ということが重点になつているということはここで申上げられると思います。
  34. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ではそういうふうなまあ来年に公共事業費がどういうふうになるか知りませんが、今の御趣旨に反しないように治山治水に重点的に災害が起らんようにしつかりお願いします。まだその案がお立てになつていなければ今ここで確答なすつたことが反古にならんように私たちは見守らております。
  35. 田中一

    田中一君 住宅局長にお伺いいたしたいのですが、今度のルース台風によるところの住宅被害がさつき大臣からも公共事業費のうちで、公共事業や及びこの政府補助の問題で、八十六億あるという話ですが、これについてはその後どういう工合に具体的にこの住宅問題を処理しているか伺いたいのですが、その後の進捗状態です。
  36. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 先般の建設委員会の際に御報告申上げましたときは、丁度大臣現地へ御視察中だつたわけであります。その後帰つて来られましでから早速御連絡申上げたわけでございますが、先般住宅局としての案を申上げた例の資金運用部資金を、修理用に府県単位で貸付けるという問題につきましては、非常に軽卒でございまして、本年から資金運用部資金法ですか、実施になつておりまして、個人に府県単位で貸付ができんようになつているそうでございます。これは残念ながら放棄いたしました。大臣とされましては、非常に今度の災害で、これは抜本的の方法をとらなければいかんじやないかという御意見もございました。それから特に建築関係被害が従来の災害に比べまして大きい点から、例えて見ますれば、建築基準法などの運用などにもう少し力を注ぐべきじやないか、その他災害の保険問題なども少し研究して見たらどうかというような御意見もございまして、目下内部で以て将来の災害のために対策を考究中でございます。で今回のルース台風につきましての対策は、先ほど或いは大臣お話になつたのかとも思いますが、公営住宅法によります災害住宅の建設につきまして、大体約六千戸を予定しております。それから、厚生省の災害救助法によります住宅の建設につきまして約四千戸余りを予定しております。それから農林省関係の開拓住宅の補修費を計画されております。そのほか金融公庫のほうも積極的に融資するように手配をいたしまして、金融公庫といたしましては約十億分につきまして府県に協会を作つてもらいまして、そこで賃貸住宅相当数造るような予定にしております。只今きまりましたのは山口県におきまして百五十戸、鹿児島市におきまして四十戸ばかりの申請は実施することにきまつておりますが、漸次各府県からその線によりまして申請が出て来るだろうと想像しております。
  37. 田中一

    田中一君 そうしますと、大部分先般お話なつたこの預金部の流用の問題は取上げたと、従つて災害住宅に対して個人のものも公営でやつて貸付けるというような形に持つて行くというわけですか。
  38. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) そうです。
  39. 田中一

    田中一君 そうしますと、無論それは災害のあつたところに復旧するか再建するか、或いは他の地域土地を求めるということになるのでしようけれども、その際やはり公営住宅法によるところのあらゆる法律を適用してやるか、或いは例外を認めるか、そういう点はどうなつております。
  40. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 只今実はまだ詳しくどういう処置で各府県公営住宅並びに国庫賃貸住宅を要求して参りますかはつきりしたところがわからないわけでございますが、大体大臣がお出掛けになる際に大臣が直接公庫とお打合せになられまして各府県に公庫の融資の方法をお示しになつて来られております。それと噛み合います問題でございますので、私どもとしましては成るべく公営住宅法の枠で許せる範囲べ大きく見て上げたいと思つておりますのですが、まだはつきりしたことを申上げかねます。
  41. 田中一

    田中一君 この住宅金融公庫の資金を特定のこうしたところへ流用するのは、これは法律上どうです、間違いじやないですか。やはり我々に約束されたこととは違うように考えるのですが、どうです。
  42. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 公営住宅法の内容につきまして、たしか賃貸住宅を三割の範囲まではできるようになつておると思いますが、ただその対象が府県の公共団体をバツクにした公益法人になつておると思います。それで鉄筋コンクリート、不燃構造を主としておりますわけでございますが、災害の緊急措置として木造の分も認めたいということでございます。
  43. 小林英三

    委員長小林英三君) 田中君にお伺いしますが、定員法の御質問があるそうですが、大臣が今閣議が正午までかかるそうです。それで事務的の問題でしたら今文書課長つております。人事課長も来ておりますが、それらの御質問をなさいますか、或いは他日に譲りますか。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  44. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて……。
  45. 田中一

    田中一君 住宅局長にもう一点聞きたいのですが、住宅金融公庫に対して先般、まだ廻つておりませんけれども増資の法案が廻わるはずですね、今国会に……。その十億はそれに加えるという考え方は持つていないのですか。ただ一般金融公庫に今度増資される金のうちから十億を災害地に分けるという考え方ですか。それともそうでなく、この十億は一応応急措置として住宅金融公庫の金を使つておる。それを、公営住宅法によるところの資金を同じようにもう一遍充当する、返すというような措置をおとりになるのですか、どうですか。
  46. 大村巳代治

    説明員大村巳代治君) 只今補正予算に提出されておる中から十億割くというふうに聞いております。
  47. 田中一

    田中一君 次の機会に譲ります。
  48. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 河川局長にお伺いしたいのですが、最近は会計検査のほうが非常に変つたらしいので、災害復旧等で指定した場所について何らか厳重なことを又会計検査のほうから言つて来ておる。折角建設省査定したものに対してこれは超過工事だと言つていろいろの金を返すというのがあるらしいのですが、これは事実でしようか。
  49. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) この法律ができましたのは今年ですから、今年の査定にはそういうことがないのですが、過去に査定しましたのはこの法律の適用時代じやないのですから県では超過工事相当つております。そこで今度はこれに対して今度の法律を適用するので、上げなくちやならんのですが、超過工事原形復旧を……。ところが府県によりましては、これは手数が厄介なので、成るべく府県財政を豊かにするというわけで、或る程度府県の考えで分けておるのがあります。そうしますと会計検査でやられておるというのが事実であります。我々が一応過去のやつを査定すればいいのですけれども、そういう時間がありませんので、超過工事府県の自治的な考え方で分けていたのがたまたま会計検査に引つかかつたという事実であります。
  50. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私はこの間衆議院の行政監察委員会で傍聴しました。あのときに佐賀県の砂利問題、又石川県の天狗橋の問題、これが非常に手厳しく審議されていました。ああいうふうなことは恐らくはかにはなかろうと思いますが、あなたの手許にはあれに類したことが今上つておりますでしようか、どうでしよう。
  51. 目黒清雄

    説明員目黒清雄君) 天狗橋事件は非常に有名なので或いは御承知かと思いますが、実は、天狗橋事件は国の補助をいたしておらないのであります。でありまするから、恐らく国で取上げて国費を出したという問題は起らないと考えておつたのですが、たまたま取上げられておつたという結果で、非常に何かその辺の誤解があるようであります。我々は天狗橋事件が発生しない前に査定に行きまして、これはどうもあやしいというので査定をはねた問題なのであります。でありますからまだ国費を投じない。ただそういう事件を県が考えたかどうかというところに、何と言いますか未遂の問題があるのでありますが、これは我々の関知するところではなく、今警察署でやつておるという次第でございます。国費をそれに不当支出したという問題は起らないと思うのであります。佐賀県の問題はこれから進行、認定をいたしまするが、勿論そういう不当の支出をいたしましたものに対しては、精査の結果、国から補助を出すべきものとは考えておりません。これは細かくこれから調べようと思つておりますが、只今のところでは、その種の問題は起きて来ておりません。
  52. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この前の前の国会だと思いますが、私やはり建設省当局に、この公共事業のいろいろと思わしくない事実が新聞等に上つていますから、三回ほどこの委員会で質問いたしました。その結果いろいろとまだ審議中とか或いはまだこれからどうなるかわからんというような御答弁がありまして、その後の結果を聞いてませんからこの次の機会でも、いつの機会でもいいですから、この国会中に、私が質問していた、あのいろいろと不在事実についてはどうなつておるか、一応御答弁願いたいと思います。これはこの次でもいつでもよろしいですが、この国会中に……。
  53. 田中一

    田中一君 行政整理の問題について伺いたいのですが、曾つてより建設省が事業費を以ていわゆる労務者とは言いながら職員に準ずるものを採用して使つております。従来の、今日あるところの定員法によつてなお且つ人員が足りないから一万数百名の事業費によるところの雇用人を使つておるという現状は間違いないと思う。にかかわらず、今回各省が、頭から一応三割減二割減とかいう事業と全然遊離したところの整理案を以て各省にのしかかつて来ております。それに対して建設省としては約七百八名の、定員において七百八名を首切るということになつたそうでありますが、事業と遊離した整理案というものは、今あなたのお使いになつておるところの、雇用しているところの公務員が能率が悪く、素質が悪いというその意味において首切るということか、さもなければ病気で長期欠勤しておる……、或いはただ単に行政整理という、各省並みの振合いにおいてやるのだというような考え方であるのかどうか。七百七名乃至八名の整理する者に対して、どういう立場から建設省は承認したのであるか。先ず第一に伺いたいと思います。
  54. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今のお尋ねの問題でございますが、この、まあ七百七名でございますが、これは建設省にもいろいろ部局がありまして、直接事業をやつておる地建の問題、それから本省、その他研究所の問題、いろいろありまして、まあそこを全部集計して、七百七名という数字が出たわけでございます。でありますから、事業プロパーの方面につきましては、それは事業の遂行に所要な人員との割振りというものを考えまして、整理する者につきましても一応それぞれバランスという段階がまああるのでございまして、只今お尋ねの問題は、主として地建の問題だろうと思うのです。この七百七名のうちで、本省関係が実は百四十四名、それからその他研究所等の附属機関が十六名、地建が五百四十七名こういう内訳になつておるのでございます。問題は五百四十七名の地建の人員が、むしろ人員が足らんというのに、どういうことであるのかというお尋ねだろうと、こう考えます。地建のうちにも、管理関係の仕事をやつておる者と、それから工事事務所以下の本当の現場の仕事をやつておる者とに分れ、更にその中で、営繕関係の者と土木関係の者に分れる。こういうわけでありまして、地建関係の中でもいろいろ部門があるのであります。そこで、特に一番忙しいのは、営繕関係で、最近予備隊関係工事その他で非常に過重な仕事をやつておるということは我々もよく考えておるのでありまして、それでこの営繕関係は人員は減らさないという建前になつております。土木関係が一部と、それから本局の一般管理事務は予算とか会計とか人事とか、そういう一般の役所並みの仕事を主としてやつておりますので、これは全然整理ができないというわけには参らんだろうというので、理窟から言えば一割ぐらい、ちよつと出ますが、そういうものを整理するというふうに、それぞれ部門を考え、仕事を考えて我々としては事をきめて行く、こういう次第でございます。
  55. 田中一

    田中一君 補助員につきましては、補助員と言いますか、事業費によつて雇用しておるところの補助員については、一応この一万三千名のうちの六千名くらいを準公務員としていわゆる共済組合その他の厚生の枠……、何と言いますか、厚生施設の枠に入れようということを大蔵当局は承認したということを聞いておる。然らば少くともこの七百七名の人間を首切る前に、この臨時雇的な補助員を減らさして、現在の現状維持或いは現状より以上に増員しなければならんというような現況にあるほうが妥当なんじやないか。今文書課長がおつしやるように、ほかの役所並みに自分のほうもしなければならんのだという考え方であつてはならないのじやないかと思います。それで補助員を一応準公務員として六千名を引上げるというならば、この七百七名の現在の公務員を救う途が先ず妥当じやないかと思うのです。片つ方は公務員法によるところの定員です。片つ方は事業費によるところの臨時雇なんです。この場合に無論補助員を必要に応じて臨時雇として雇つておるのですから、我々この首切りも反対します。併しながら定員法によつて定められたところの七百七名を雇用しておる、首切らないということが妥当と考えますが、どうでしようか。
  56. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 只今のお尋ねの、準職員というものは相当数だから、本定員に手を着けるのはおかしいじやないか。これは極めて御尤もな御質問でありまして、我々としましてもその点は一番考えもし主張もして来た問題であります。今後も又そういうことになるだろうと思います。ただ問題は定員法上の定員と、いわゆる準職員というものを全然同様に考えてよいか、こういう問題が一つあるだろうと思います。それで特に私たちのほうはそういう現業の役所でございますから、使つておる人間はいろいろの、何と申しますか、質的、量的その他仕事の内容によつて性質上違うものでございまして、準職員の下には更に日雇の人夫をたくさん使つておるわけであります。そこがほかの役所と性質が違うところであります。それで公務員法上の公務員として定員の枠内に入つておるのは、本当に公企業的な役所の機関の構成員として仕事をやる、いわば事業そのものに密接しておるというよりも、事業を管理執行して行くという立場におるものでありまして、事業費で雇われておるものは事業そのものと消長するいわゆる現業的な人夫が主体でございます。ただその人夫のうちで毎日日雇の形式をとつておるものと、それから事業が続く限り永続的なものと、こういうふうにいろいろ段階が実はあることだと思うのであります。それでありますから、準職員でありますから、本定員とは全然別だという、こういうわけにも参らんのでありまして、そうなりますれば、準職員の枠と本定員というものは全然一緒に考えていいか悪いかと、こういう問題にもなるわけでありまして、そこはそれぞれ仕事の内容によつて雇用関係状況によつて段階がある、こういうふうに考えておるのでございます。そこで本定員の枠内に入つておる範囲内において、それなら一体整理の余地があるかどうか、こういう問題で事を考えて、それは或る程度つて行く方法もあるのじやないかというので、併しその方法は各省並みというわけでは無論ありませんで、事務の執行能力等を考えて、この程度ならばやり得るという程度で一応一部を削つた。こういうことになつております。ただすぐに振り替えれるかということになれば、今言う雇用の状況、勤務の状況等でできるものもあれば、必ずしもできないものもある、こういうのが本当の筋の通つた考え方ではないかということを考えております。
  57. 田中一

    田中一君 七百七名の大まかな、或いは長期欠勤とか何とかいう内容をちよつと知らして下さい。
  58. 町田稔

    説明員(町田稔君) 七百七名と直接関係はございませんが、現在建設省の職員のうち……現在と申しますのは十月一日現在になつておりますが、欠員が百四十一名でございます。それから長期欠勤者が、これは一ヵ月を超えて休んでおるものの数でございますが、全建設省職員のうち二百九十三名であります。それからなおこれは御質問にもございませんでしたが、大体昨年一ヵ年におきまして建設省から辞職をしたり、或いは他の官庁に出向いたりしたりしまして、建設省外に出ました数が昨年一ヵ年間で五百名余りでございます。
  59. 田中一

    田中一君 この長期欠勤者の理由は大まかにどういうふうに分類されますか。
  60. 町田稔

    説明員(町田稔君) これは殆んど全部が結核、呼吸器病関係でございます。
  61. 田中一

    田中一君 この結核患者に対しては首切ればあと措置はどうなるのですか。
  62. 町田稔

    説明員(町田稔君) 従来は長期欠勤のものを休職にいたしました場合なんですが、これは休職者に対してはその間俸給を払わないことになつておりますが、現在国会に提出されることになつたと思いますが、給与法案の中では休職者に対してもたしか俸給の何割か支払が可能になることになつておると思います。そういたしますと、長期欠勤者は休職することにいたしましても、なお二ヵ年程度は安心して給与をもらいつつ休養ができるということになるのではないかと思います。なお休職にさせずに退職せしめた場合には、共済組合法によりまして、退職した後も、発病後三ヵ年間は療養の給付がございます。これによりまして療養費は全額国のほうが、国と申しますか、共済組合のほうで負担をするということになるわけでございます。
  63. 田中一

    田中一君 今のお考えでは長期欠勤の二百九十三名というものはどつちみち退職休職させるということになつておりますか。
  64. 町田稔

    説明員(町田稔君) 二百九十三名の長期欠勤者がおりますが、このうちどの程度のものを休職させる必要があるかということは、その職場々々におきまして必要に応じてきめられるものだと思つております。それで長期欠勤者は一律にこれを休職にするとか、或いは退職にするとかというようなことは考えておりません。なお先刻ちよつと申し忘れたのでございますが、今国会で御審議になつております定員法には休職者は定員外になるような措置ができることになつておりますから、従来とその点が非常に違つて、必ずしも休職にいたしました場合には退職をさせる必要がないということに、定員を食いませんがら、退職させる必要がないということになると思います。
  65. 田中一

    田中一君 公共事業費その他の補助工事などはこの七百七名の減少によつて完全に今までの仕事が遂行できるという自信の下に立つておるわけですね。
  66. 小林與三次

    説明員小林與三次君) それはもとより建設省としてこの数字に同意をいたしましたのは、この数字で少くとも現在の段階の仕事ならば、来年又仕事が如何に変化して行くかは別として、これは来年の新らしい問題でありますが、現在のものならば何とかできる、馬力をかけてやつて行く、こういう考えであります。
  67. 田中一

    田中一君 大体全貌がわかりましたが、ただここで今行政整理、首切りをやろうというときに、六千名の準公務員を作つて実質的に定員増加という姿になつておるのです。そうしてなお且つ七百七名を首切るというような形は、これは精神的に本非常にまずいやり方だと思うのです。営繕関係のほうの仕事は多いから、営繕費は殖えることになるでしようが、私らの調べたところにおいても非常に過労です。片方においで準公務員を作つて、定員を増加する形で以て、片方七百七名首切るということの矛盾ですね。これは一体、先ほど文書課長は何とかできると思うということを育つたが、本音は一体何ですか。本音は七百七名を首切らなければならんということは、予算を、経費を節減するためにやるんだということで、事業が減つているからやるんだという……本音はどうなんです。速記をとめても結構ですから、あなたも同じ公務員なんです。本音を聞かして頂きたい。
  68. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 七百七名の分は事業が減つたからというわけでは勿論承りません。事業は、来年の予算はどうなるか別として、これは今年の問題でございますから、事業は減るというわけでは勿論ありません。そこで我々は役人ですから、本音としては整理することは欲しないことは、これも又間違いのない事実でございます。できるだけ、定員が無駄にある必要はないですけれども、相当にあつて、十分に働き得るようにしたいということはこれは又我々としては同じ考えです。ただ併し今度のように、いろいろ会計事務とか人事関係とかその他の管理事務というものの整理というものを一方で考えておりまして、その事務を具体的にまだ案がきまつておりませんが、或る程度減らす、こういうことになれば、そうした事務のために非常に手数が殖えて、それに従事しておつた人間というものは一部浮いて来る。これは理窟ですけれども、この理窟は或る程度認めざるを得ない、こういうふうに考えております。そうした非常に煩瑣な仕事が戦後殖えて、その煩瑣な仕事を減らすに応じて或る程度のことは整理して、例えば七百七名の中でも例えば紹介事務をやめるとか、特殊物件の事務をやめるとか、資材割当の事務をやめるというような問題が実はある。そういうものをやめるのですから、その仕事は減らす。これは我々としては同意せざるを得ないのです。ただ県の現業関係では、これは現業の仕事は今の準職員が何千名というものを現に認めた、こういうのとそこに食い違いがありはしないか、こういうところに問題があるのでございますが、これは共済組合の定員という共済組合に加入している労務者ということでございますから、それがそのまま本先負と同一視すべきものかといえば、私はそこに少し疑問があるのではないかと思う。事業に従事するためにたくさんな労務者が直営でやつている関係上、これは要りますから、そうした直営に必要とする労務者の中で、或る程度継続的に使われているものは共済組合に加入させる、そうでなしに浮動的に使つているものはほんの日雇人夫にしよう、こういう段階がおるのでありまして、これは仮に請負にやつておれば請負にある監督の事務をやるとか、契約の事務をやるとかというものが定員になる。それがまさしく本定員に該当すべきであると思うのです。そういうわけでございますから、そういう方面において或る程度事務の整理というものが行われるならば、それに対しては我々としても止むを得ず協力せざるを得ないのじやないか、こういうのが実情でございます。
  69. 田中一

    田中一君 今準公務員が労務者労務者とおつしやるけれども、これは皆大学を出た、専門の学校を出て恐らく優秀な技術者もおるのです。あなたは一概に労務者労務者とおつしやるけれども、労務者ではないのです。大学を出たり、特殊な技術を持つて、恐らく今いるかたがたよりももつと優秀なものも労務者として使われている。これは何をしているか、労務者をやつておるのではない。やはり職員、或いは職員以上の、公務員以上の仕事をやつている。そういうものは当然転格されるようなことはあると思うのです、講和の批准に当つて通訳とか何とか偉くなる、これは自然に、定員法によらなくても当然あるもので、こういうことは理由にならんと思います。今の例えばこれはあなたがたの組合から出ている書類の参考ですが、今まで二十一年に、これは無論単価の価格で違うでしようが、一人の公務員の工事の消化率が二十一年度には五十五万二千円、二十二年四十五万六千円、二十三年度が六十九万九千円、二十六年が百四十五万円になつている。これは物価の値上りもあつて、どういう査定をしたか、詳しいことは存じませんが、少くとも今日我々が営繕関係の現場に行き、河川関係の現場へ行つても、土木建築関係へ行つても、仕事は相当殖えておるのです。又消化率も殖えておると思う。こういう点について、殊に準公務員というものを作つてやらせるということになると思いますが、どうも仕事が相当殖えているのではないかという考え方は間違いなく持つているのです、終戦直後以来ですね。それにもかかわらずしなければならぬ。結局労働強化ということになるのではないかと思うのです、現在残つたものはですね。それを工事費とか何とかで以て、労務者労務者とあなたは一概に言うけれども、皆相当な技術を持ち、相当学校も出ているものを、労務者扱いにしてそういう仕事をさせるというような盲点があるのではないかと思うのです。これは文書課長まだ本音を吐いてないと思うのです。ほかの行政官庁と違うのです、現場の仕事は。ですから大臣が強く増員を要求していいと思うのです。それにかかわらず、大臣も就任以来日が浅いから他の仕事に圧迫されるのでしようけれども、ただ建設省関係の公務員をやはり各省並みに減らすのだというような考え方は、これは結局煎じつめれば労働強化です。この点組合から出ている消化率、こんなものは正しいか正しくないかわからんです。文書課長はどうお考えになるか、こういう労働強化ということに対しては。
  70. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今の組合の数字の根拠は別として、それは確かに事業費が殖えておることは事実です。それから一人当り物価の騰貴を補正いたしましても、恐らく一人当りの実質上の事業量は二十六年度あたりまで殖えておることは間違いない。これは我我も実際それを承知いたしておりまして、それであるからこそ、この整理の場合は勿論頑張るし、その他増員の要求も処理して行つておることは事実でございます。ただそこで問題は一般官庁と違いますけれども、事業官庁というものは、建設省だけでなしに、ほかにも港湾なり、農林省にもあります。そういう現業関係と、むしろ権衡の問題だろうと思います。一般行政部門は初めから事が別ですから、別に考えるのは当り前であります。それと更に比較するということになれば、民間の企業における人員の雇用の状況とも又比較することになるだろうと思います。これは各省現業部門の間において、そうえらいちぐはぐがあつては困る。それが客観的に見て非常に無理だということになれば、これは又筋が通らぬだろうと思います。営繕なども明らかに一人当り五百万円ぐらいを超えておるのでありますから、これはどう考えたつてむしろ足らぬということになると思います。ですから特別に仕事のやり方でも変え、例えば現在設計を皆役所がやつておりますが、設計の仕事を民間に委託するとか、そういう方式でも考えぬ以上は仕事はこれ以上断るよりほかに手がないということになるだろうと思います。ですからそうした点を我々実質的に考えて、ただ二十一年から殖えておるから一人も減らせぬ、こういう問題だけではやはり通らない。やはりずつと昔から、それでは内務省時代から一番忙しかつたときの実質上の仕事の分量とどうか、こういう比較もありますし、又各省の現業の仕事の状況、それから今の民間の仕事の状況、そういうようないろいろのものと比較する、そうしてもう一つは特に終戦後いろいろな雑務が殖えたために、非常に人手が要る、これが非常に人手が多くなつた二番の原因だろうと思います。例えば人事関係の仕事とか、労務関係の仕事とか職業紹介所の関係とか、そういう雑務が殖えて、そうしてむしろ先ほどお話のような技術者が技術プロパーに打込めずに雑務に忙殺されておる。そこに我々としては一番大きな問題がある。本当の優秀な技術者は技術に専念して雑務から解放させなければならぬということが今度の整理の場合でも我々は一番主張したので、雑務さえ整理してくれれば、人は或る程度整理してもよいというので、我々としてこういう仕事と、こういう仕事、全部やめてもらいたいということを事務的にも強く主張しております。大臣あたりからも、整理というものを秤にかけてやつてもらわなければ困るということを実は申しておるわけであります。この間から赤木先生のおつしやつた行政監察委、あの問題でも、結局いろいろなそういう雑事があるということが人手の問題にみんなからんで来ておるのでありまして、我々といたしましては、そういう方向にできるだけ事を運んで頂きたい、皆様のお力によつてでもそういうことを徹底的に整理して頂きたい、これが本音なのでございます。そうしてできるだけ本当に能力のある者がその能力を十分に本来の立場で振えるような立場に仕事のやり方というものを純化して行きたい、こういうふうに実は考えておるわけなのであります。それと皆こんがらげて考えるというと整理がどうこうという問題が起りますけれども、そういうふうに成るべく筋の通つたように少しでも仕向けて行きたいというのが今度の整理に対する我々の意見でございます。併しもつと言えば、一人でも多いほうがいいわけでございまして、我々としてもそういう念願は常に持つておるわけでありまして、来年度の予算の場合は、又予算の問題として一つ議論をしよう、こういうふうに考えておるわけであります。
  71. 小林英三

    委員長小林英三君) なお御質問もあると思いますが、この次に譲りたいと思います。  それからこの次は請願陳情が七十件ばかり溜つておりますから、先ずそれを片付けたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会