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1951-10-30 第12回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十日(火曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            高橋進太郎君            仁田 竹一君            長谷山行毅君            カニエ邦彦君    委員           池田七郎兵衞君            大矢半次郎君            楠瀬 常猪君            西山 龜七君            栗山 良夫君            小林 亦治君            田中  一君            永井純一郎君            赤澤 與仁君            加藤 正人君            有馬 英二君            鬼丸 義齊君            菊田 七平君            森 八三一君   事務局側    常任委員会專門    員       森 莊三郎君   説明員    大蔵省管財局総    務課長     小林 英三君   参考人    東京地方検察庁    検事正     馬場 義続君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和二十四年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出) ○特別会計政府関係機関及び終戰処  理並びに国有財産処理に関する調  査の件  (昭和二十三年度会計検査院決算検  査報告批難事項第三百九十七号足利  工業株式会社に対する二重煙突代金  支拂及び之に関連する事項)   —————————————
  2. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それではこれから決算委員会を開会いたします。  本日は委員長は公務のために御出席がありませんので、理事の私が職務を代行することの委託を受けましたので、委員長といたしまして代行を行いたいと思います。  先ず昭和二十四年度国有財産増減及現在額計算書昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書議題に供します。これらは第十回の国会におきまして政府説明及び検査院検査報告を聽取いたしまして若干の質疑を行なつております。これより質疑を続行いたしたいと思います。御質疑のあるかたは御発言をお願い申します。この場合政府当局からは説明員といたしまして大蔵省管財局総務課長小林さん、検査院からは説明員といたしまして事務総局検査第四局長の小峰さん及び国有財産検査課長の中川さんがお見えになつておられます。それでは御質疑をお願いいたします。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今議題になつておりまする中に国有財産管理についてでありますが、国有財産管理が十二分に行届いていないではないかというような感じを抱くのでありますが、これについて個々の財産管理状況について一応御説明を願いたいと思います。
  4. 小林英三

    説明員小林英三君) 国有財産管理状況について御説明申上げます。御承知の通り国有財産につきましては大きく分けまして普通財産行政財産と、こういうふうに分けておるわけであります。行政財産のほうにおきましてはそれを所管いたしまする各省々々におきまして管理しておるということになつておるわけであります。この行政財産の中身といたしましてはいわゆるいろいろな庁舎というような公用財産と、それから新宿御苑のような公共福祉用財産というようなものがあるわけでございます。普通財産のほうにおきましては大部分が現在ありますのは物納財産の問題とそれから旧軍用財産の問題でございます。で、この旧軍用財産におきましては現在賠償指定施設ということで指定されておるものが大部分を占めておるわけでありまして、現在この旧軍用財産のうちの賠償指定物資につきましては、監視というようなものを全国に配置しておりまして、大体この賠償施設処理費のほうで約千三百余現在各地に配置しておるわけであります。それからなお行政部費のほうでも約監視要員として三百四、五十名の者をその賠償指定以外の国有財産監視として配置しておるわけであります。なおこのほかいろんな監督事務をやる機構といたしまして、現在これらのものを当該施設のあるような所においては、警備所或いは監視所というものを設けまして、更に重要な所には出張所、更にその上には財務部財務局、こういうような機構で現在監視に、この管理に当つておるわけであります。で、この普通財産と違いまして行政財産は国の用に供するというためでございまして、このほうの管理につきまして、十分各省のほうでやつておるのでございまするが、時には又十分でないということもあるかと思います。で、大蔵省のほうで直接やつておるのは、そうした公用財産の部面の一部と、それから今申しましたような普通財産の厖大なものでございますが、この財産につきましては国の用に供するのが目的じやなくつて、これを売拂処分するという建前になつておるのでございまして、大体そのうちの賠償指定施設につきましては、どうしてもこれを転用してはならんというようなものについては、先ほど申しましたように、これを今申上げたような職員を以て管理しておるわけであります。ただこの予算の問題、それから賠償指定施設処理費を節減するという意味合いにおきまして、非常に人間は限られておるというためにおきまして、例えば川越にある大きな製造所でございますが、そこに約十八万坪の大きな施設でございますが、そこに僅か六名、八名ですか、八名程度人間がおりまして、監視に当つておるわけでございますが、往々にして泥坊に入られるというようなこともあるわけでございます。そのほかにおきましても転用を認められたものについては、全部各事業会社のほうに一時使用という形でやつておりまして、できるだけそうしたことのないように十分努力しておるわけでありまして、これも先ほど申しましたように、亮拂処分のできる過渡期の問題でございまして、成るべく早くこれも必要なところに向けて行きたいというふうに考えております。簡單でございますが、最近の状況と申しますか、管理状況について申上げます。
  5. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今説明なつた中で、公共用財産というものは、これはおおむねそこに居住し、或いは又それを各省が使つておる国の財産であるがために、これに対する管理というものはおのずから十二分でなくとも、先ず先ずというところでできておるのではないか知ら。ところが普通財産と言われておるところの旧軍用、或いは今申された機械等の収容されておる個所には極めて少数の人間を配置しておるがために、盗難等に会う。その盗難によつて国財産がなくなつて行くものが相当あるのではなかろうか。その中にはいろいろ国有財産の損失として挙げられたものが新聞紙上等によりましても相当あるように見受けられるのであります。一例を申しますと、旧陸軍の火薬廠である京都府の宇治火薬廠のごときは、僅か十人足らずの人間でこれを管理しておる。ところが内部には国警予備隊がその中に入つてしまつておる。この管理を、この機械施設管理しておるところの管理員が出入りするのでさえも、一々嚴しくその予備隊に咎められておるというようなことである。従つてそういうことであるがために十二分に……、管理責任財務局にあるが、使つておるのは予備隊が使つておる。だから予備隊員機械部分の高価な部分を外して、ポケツトに入れて出るとか、或いは又それをトラツク等の搬出の際に便乘して持出すとか、こういうようなことがあつて非常に現地の監視員としては困つておるという。そこで責任は我々十何名かの人間に持たされておるが、これが日夜交替でおりますが、とてもこれだけの予備隊員が惡いことをするのは十二分に監督はできないと、こう言つておる。こういうものについてはですね、予備隊に対して管理責任を持たせるか、中にある品物の数を調べて引継ぎをするか、或いは又予備隊の絶対入らないような方法考えるか、いずれかの方法をとられなければならないのじやないか。これは極く一部分の、一個所の事例でありますが、大よそ全国到る所に国有財産というものはそういうような形に現在なつておるのではなかろうか。これに対するところの政府考え方、それから現在の人員でも、なお監視が十二分に行届いていないという現状に鑑みて、今後においてそれらの人員については、増加して完全なる管理を行うつもりなのか、或いは又この人員をなお減らしてしまうというようなことになるのかですね、そういつた点について今後の管理についてのお考えをですね、伺つておきたいと思います。
  6. 小林英三

    説明員小林英三君) 只今の御質問でございまするが、宇治製造所の例を挙げられまして、予備隊国有財産のほうの管理関係について聞かれておるわけでございますが、実は逆に予備隊のほうとちやんと話が済みまして、ここの警備予備隊でやるというようにきちんとできたのもあるわけであります。それからなおこの予備隊のほかに実は例えば船岡の製造所のように、そこに進駐軍の要員が入つておりまして、そのほうの警備と併せて共同して警備しているというような状況になつておりまして、現在のところ予備隊不祥事件につきましては一、二私も聞いたわけであります。特にこの予備隊が転駐するというようなときに問題があつておるわけでございますが、最近そういう報告を聞いておりませんので、今後もそういうことがないように特に今御指摘のあつたような点については十分注意して参りたいと思つております。なお今後のこの人員の増強というようなことにつきましても、私のほうとしてもできる限り考えて行きたいと思いますが、なにせ現在におきましてはこの今機械をじつと置いておくのが大部分でございまして、むしろ私のほうといたしましては、この機械を成るべく早く処分いたしたいということで、関係方面にも再々やつておるのでございますが、如何せんまだその点もできてないわけであります。若しこれが大いにそういう仕事ができるようになりますれば、臨時的な配置もいたしまして、盗難その他の不祥事件を防止し、同時に円滑に処理いたしたい、こういうように考えておるわけであります。現在におきましては大体先ほど申しましたような賠償指定施設につきましては千三百人余あるわけでありますが、現在これ以上に……実は減員と言いますか、自然退職でやめているかたもあるわけであります。今度の行政簡素化に伴う整理といたしましても特にそういう実情をよく認識して頂きまして、大体五%程度ということになつているわけであります。できるだけ能率を上げてもらうように考えまして、同時に今後起り得るような、そういうような場合におきましては又場合によつては増員ということも考えられるじやないかと、こういうふうに考えております。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから国有財産のほかの面で、今は普通財産と言われておりますが、昔は何と言つたのですか存じませんが、多分雑種財産というようなことを言つてつたのじやないかと記憶するのですが、この雑種財産管理状況についてですが、この管理が十二分に行われていないのじやないかと、全国到る所において行われていないのじやないかと感ずるのですが、ただその財務部或いは財務局帳簿のみを、台帳のみを握つている、その台帳の中には土地、或いはその他の固定財産というものが詳細に明記されている。而もその金額については非常な安い、現在の価格とおよそ似ても似つかぬような金額が皆明記されている。これは勿論処分されるときに価格を改訂されればいいじやないかと思われるのでありますが、私の懸念するところは、それからの帳簿に載つているところの現物がどういう実情にあるかということすらも、あなたのほうではよく掴んでおられないのじやなかろうか。これも例を申上げますと、各その末端の財務部帳面だけはあるが、引継いだことは引継いでおりますが、この現物については確かめて見たことがないという……果してこれがどんな形をしているものであろうか、一体それだけの帳面通りの数が現存しているのか、現存していないのか、こういうことすらも明確でないというのが殆んど実情でなかろうか。それには非常にそれを調査するということには困難であるということが窺われるのです。非常に数が細かくて大きいということ、だからなかなかこれを確認して行くということはむずかしいという点も考慮されるのでありますが、併しこのままに放置して置くなれば、その土地はその隣の民有地からそれを侵害をされて、そうして殆んど官有地というようなものはなくなつているというようなことも現実にはあるのではないか知らと、こう思うのでありますが、こういつた雑種財産確認、或いは管理というものは、どういうような工合に具体的になされているか、この点について先ず御説明を願いたいと思います。
  8. 小林英三

    説明員小林英三君) 只今雑種財産のことでございますが、この普通財産につきましては終戰後の旧軍用財産物納財産の問題が起ります前の、いわゆる各省のいろいろな公用公共用に使わない、それ以外の財産というものが雑種財産でございますが、この雑種財産につきましては、御指摘のような点もあるように私のほうも現に調査を進めておりますが、例えば昔はこの国有地民有地のいろいろな分け方の問題におきまして、完全に実測をしなかつたというのがあるわけでありまして、これを我々のほうはいわゆる脱落財産ということによりまして、現在これもぼつぼつながらでございますが、現に実測し、台帳にきちんと登載しておるようしておるわけであります。本年度予算関係もございますので、全体の財産、これは勿論旧軍用財も含むわけでありますが、これも大体まあ一割程度、本年度予算の範囲内において実行しようじやないかということをやりまして、現在これも実測を実行中でございます。来年度においては予算の点もあるかと思いますが、若しこれが認められるならば、大体四、五%のものは来年度において大いに馬力をかけてやつてもらうということで、このような脱落財産は先ほど述べましたように旧軍用財産引継ぎの脱落しておるようなものもこれも完全に調査いたしたい、こういうふうに計画して、又一部でございますが、本年度においては実行しておるのでございます。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 脱落財産というものはこれは国でいつまでもこれを持つておるというお考えなのか、これを一日も早く処分をして、そうして国庫入金として繰入れるというお考えなのか、これの今後の処分についてはどういうお考えですか。
  10. 小林英三

    説明員小林英三君) 先ほどちよと触れましたように、雑種財産脱落地、一般に普通財産大蔵省としてと言いますか、普通財産の性格上これは国で持つておるという筋合いのものではないと思うことで、脱落地のみならずそうしたいわゆる普通財産は急速に処分をして行きたい、こう考えております。
  11. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それでは現在の大蔵省の計画によると、この雑種財産脱落財産整理というものは、今からおやりになつて昭和何年頃大体調査或いは結末が完了する御予定ですか。
  12. 小林英三

    説明員小林英三君) 例えば石川県のところにおきましては一町歩くらいの繩延の関係実測して見たらそれが出て来たというような個所がぼつぼつわかつて来ておるということで、私のほうとしては脱落財産がどの程度あにるかということは実ははつきり掴んでおらんのであります。先ほど申したような実測がどんどん進めば前の台帳に載つてつた数量と引合せて、その実測の結果殖えたものが脱落財産というようなことになるのでございますが、この調査の進行も私のほうとしては少くともここ二、三年のことにおいて完全に実行して行きたい、こう考えておるわけであります。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 私のお伺いしておる点は、大蔵省自体が国の財産数字でなくして、実体と合うところの数字を掴んでいないという点がけしからんじやないか、こういうことを申上げているのです。従つてこの問題の帳面に載つている財産目録にあるものが、大蔵省自体としてここ十数年の間見たこともない、調べたこともないということがけしからんじやないか、こういう点を指摘しているのです。そういうものが、今の御説明によりますと、二三年かかればすつきりと整理ができるということを申されているのでありますが、この点もう一度大蔵省最高責任者からやはり明確にしておいて頂きたい、こう思います。  それから次に国有財産の一部分でありますが、いろいろ又新聞等で非難をされておりました山口県の沖合に沈んでいる戰艦陸奥でありますが、これについても、どういうような取扱をされたのか、ここではまだほかの議案もたくさんありますので、私は大蔵省に対して戰艦陸奥の現在までに売拂いをされたところの品物、日時、数量、それから売渡先ですね。これを一つ資料として御提出を願いたい。ただそこには、戰艦陸奥の上にはいろいろなものが満載されたまま沈没しておつたのでありますから、このものについては恐らくこれは大蔵省でなくして、山口県がこれを処理したのではなかろうかと思われるのでありますが、それもあなたのほうで所管をされているならば、これをお出し願いたいと思うし、なおこの分については山口県の当局でないと、そういう明細はわからないということであれば、この際あなたのほうからおつしやつて頂ければ、私のほうでは県のほうから資料をもらうことにいたしたいと思うのでありますが、この点について伺いたいと思うのですが……。
  14. 小林英三

    説明員小林英三君) 戰艦陸奥のことにつきましては、いわゆるこの載つているような油だとか、いろいろな食糧とかいうような、いわゆる我々は搭載物件とこういうふうに申しているのでありますが、この特殊物件としての搭載物件につきましては、建設省所管として、建設省仕事として山口県がやつているわけであります。ですから、お聞きになるのでございますれば、建設省のほうがよろしいのではないか、こういうふうに考えております。それから戰艦陸奥艦体と申しますか、これについてはまだ売拂いしておりませんのでございます。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それじや委員長のほうにお願いしておきますが、建設省のほうから、今申上げた資料請求をお願いいたします。
  16. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 承知いたしました。  ほかに御質疑ありませんか……。別に御質疑はないようでありますが、質疑終了に決したいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 御異議ないようでありますから、質疑は終了いたしたことに決したいと思います。  それでは引続いて討論に入りたいと存じます。慣例によりまして、御意見のおありのかたは賛否を先ず明らかにされまして、然る後に御意見の発表をお願いいたしたいと思います。御意見のあるかたは御発言を願いたいと思います。
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件は、本委員会として賛否を決するというものではなくして、ただ数字報告にとどまるものでなかろうか、従つて数字報告であれば、委員会としては、一応報告を受けたということの確認を、委員長がとつておかれればそれでいいのじやないかと、こう思うのですが……。
  19. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 確認をすることの一つ方法として決議を得る必要があると思いますから……確認の形式として決議をする……別に御意見もないようでありまするが、昭和二十四年度国有財産増減及現在額計算書昭和二十四年度国有財産無償貸付状況計算書でありまするが、この二件はすべて異議がないという御決議をお願いいたしたいと思いますが、御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 御異議ないと認めます。  なお本会議におきます委員長口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長におきましてこの両件の本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することにして、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 御異議ないものと認めます。本院規則七十二條によりまして、両件をすべて異議なしと議決されたかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    高橋進太郎   長谷山行毅    カニエ邦彦   大矢半次郎    楠瀬 常猪   西山 龜七    栗山 良夫   小林 亦治    田中  一   永井純一郎    加藤 正人   有馬 英二    鬼丸 義齊   菊田 七平    森 八三一  池田七郎兵衞
  22. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れないと認めます。
  23. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) この場合日程を変更いたしまして昭和二十三年度会計検査院決算報告批難事項第三百九十七号足利工業株式会社に対する二重煙突代金支拂及びこれに関連する事項につきまして参考人といたしまして御出席をお願いいたしました東京地方検察庁馬場検事正から検察当局における経過説明を聽取いたしたいと思います。日程変更等につきまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 御異議ないようでありますからそのように取計らいたいと思います。  馬場検事正一つ御着席を願いたいと思います。それでは馬場検事正に御質疑のかたがありまするなば順次お願い申上げたいと思います。
  25. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 前回の国会におきましては一応本件に関する小委員会或いは本委員会の決定を院議に報告をいたしまして、一応の調査は終えておるのでありますが、その後本件に関しましては特に検察庁職権搜査を依頼するということになつて、そうして委員会から検察庁委員長を通じて話されたことと思います。そこでその後今日までの間において、検察庁ではどういうようなお取調べになつて、どのような結果になつておるかということを先ず馬場検事正から一応承わつて、その上において私たちが質疑を申上げたほうが適当でないかと思うので、さよう取計らつて頂きたいと、こう思うております。
  26. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 馬場検事正にお願い申上げますが、今申上げましたような意見が出ておりまするが、差支えのない限りこの場合経過についての御報告をお願い申上げたいと思います。
  27. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 本年の三月三十日に当院の前之園委員長とそれから棚橋小委員長から、昭和二十三年度決算に対する会計検査院検査報告に掲げられた不当事項第三百九十七号につき証人を喚問した結果足利工業株式会社特別調達庁に納入した二重煙突代金請求とこれに基いて発生した過拂金処理に関して会社関係者詐欺横領容疑があり、更に同会社顧問であつた大橋武夫所得税法並びに政治資金規正法違反容疑が認められるので、委員会決議により速かに搜査をするようにという御要望の旨の申入があつたのであります。これに対しまして事実を明確にして置くことが必要であると思いましたので、書面でその要領の御提出をお願いいたしましたところ、四月四日に前之園委員長から私宛に次のような要旨を掲げて、これを告発するものではないが、委員会決議により速かに職権調査を行われることを要望するという旨を附記され「覚」と題する同月三日附の公文書が提出されたのであります。  説明を申上げます。便宜上その事実の要旨を申上げますと、一、足利工業株式会社社長田中平吉及び同会社專務取締役高橋正吉特別調達庁に納入した二重煙突代金支拂を受けるのに、特別調達庁から検収業務を委嘱せられていた太平商工株式会社検收業務関係者及び特別調達庁関係者らと共に二重煙突納入数量を僞わつて三万二千九十二呎分に相当する二千二百三十七万六千九百六十七円の不当支拂を受けた詐欺容疑があり、二、特別調達庁は右二千二百余万円の過拂金回收のため、足利工業株式会社にその所有財産を売却処分させてその代金を納入させていたが、右高橋正吉はその売却代金の一部を横領した容疑があり、三、大橋武夫は(一)、昭和二十三年四月頃から約一年間足利工業株式会社顧問在任中、同会社より月額三万円の顧問料を受取つていたのに、政府に対しその所得の申告をしなかつた所得税法違反の容疑と、それから(二)、昭和二十四年一月施行の衆議院議員選挙に際し、高橋正吉から二十万円を贈與されたが、これには政治資金規正法違反容疑がそれぞれ認められる。四、高橋正吉は右三の(二)について贈與税の脱税の容疑が認められる。  大体こういう内容の搜査要請がありましたのであります。これの搜査を始めますと間もなく、足利工業株式会社社長の田中平吉に対して今度は高橋正吉から東京地方検察庁に告訴状が提出されたのであります。それは昭和二十六年五月七日元足利工業株式会社專務取締役高橋正吉が同会社の社長田中平吉及び元株式会社第一銀行足利支店長梶川有に対して背任横領の罪名で告訴して参つたのであります。その告訴状が必ずしも明確ではありませんが、これを要約いたしますると、被告訴人の田中平吉は同梶川有と共謀の上昭和二十三年十二月二十九日頃足利工業株式会社の代表者である告訴人が二重煙突の納入代金として特別調達庁から受取つた日本銀行支拂の額面四千百七万六千八百五十円の小切手を株式会社第一銀行本店より同行足利支店の告訴人名義の預金口座に振込方を依頼したのに、ほしいままに右足利支店の足利工業株式会社名義の預金口座に入金した上、その頃足利工業株式会社の第一銀行足利支店に対する借入金が千三十万円であつたのを三千八百万円あるように僞わつてこれが返済に藉口して三千数百万円を横領したものであると、こういう要領の告訴が提起されたのであります。そこで私どもといたしましては国会からの要請でありますから、私のほうの搜査部長岡崎検事に指名いたしまして本委員会から送付されました資料を検討せしめたのであります。その結果本件は過拂発生に起因する犯罪と、過拂金の措置に起因する犯罪、及びこれらに関連して派生した犯罪の大体三つに分類されることが認められますので、これを中心に搜査方針を立てまして、四月下旬から五月上旬にかけまして基礎的段階として先ず足利工業株式会社及び同会社関係者の銀行取引に関する搜査に着手したのであります。ところが五月七日に今申しましたように、たまたま高橋正吉から右のような告訴がありましたので、銀行取引に関する搜査と並行いたしまして、この告訴事実をも併せて搜査に着手したのであります。先ず田中平吉について取調を進めたのでありますが、田中平吉からは不得要領の供述しか得られなかつたのでありますが、取引銀行における預金操作状況の取調の進展に伴いまして、昭和二十三年十二月二十八日に特別調達庁から二重煙突五万呎の代金として四千百七万六千八百五十円のうち、五百万円については田中平吉の横領の容疑が相当濃厚になつて参りましたので、先ず六月十三日に田中平吉を業務上横領の嫌疑で逮捕状を請求いたしまして、翌十四日に田中を逮捕し、同月十六日に勾留をして即日勾留状発付と共に身柄を東京拘置所に勾留の上取調を進めたのであります。田中平吉と関係人の取調が進むにつれまして、過拂発生の原因となりました二重煙突代金支拂請求に高橋正吉が中心となつて内容虚僞の物品納入検査書を使用し、特別調達庁の係官を欺罔して多額の代金を騙取した容疑が濃厚になりましたので、六月二十五日に詐欺容疑で高橋正吉に対する逮捕状を請求し、即日高橋を逮捕の上、同月二十七日勾留請求をなし、同日勾留状発付と共に身柄を東京拘置所に勾留して取調を進めたのであります。高橋正吉の取調によりまして二重煙突受注以後の全貌がほぼ明らかになると共に、過拂発生の直接の原因となつております最終分の五万呎の代金四千百七万六千八百五十円の請求に当つて請求書に添附すべき足利税務署長武藤儀四郎作成の納税証明書が変造されて、内容虚偽の物品納入検収調書と共に特別調達庁提出された事実が判明いたしまして、同時に納税証明書の変造には高橋政雄及び羽鳥元章が関與した容疑が濃厚となりましたので、田中平吉及び高橋正吉の両名に対しまして搜査上の必要によりいずれも勾留延長を請求しましたが、田中平吉は六十歳の高齢である上に勾留中に持病の神経痛が昂じて参りましたので、六月二十九日に釈放し、引続き搜査を続けましたが、高橋正吉は勾留満期の七月十六日に釈放いたしました。その高橋正吉釈放の日に、田中平吉及び高橋正吉の勾留解除と同時に公判を請求すると共に、即日公文書変造容疑で高橋政雄及び羽鳥元章の逮捕状を請求し、同日高橋政雄を翌十七日羽鳥元章をそれぞれ逮捕して十八日に高橋政雄を、次いで十九日に羽鳥元章を東京拘置所に勾留した上で取調を進め、その取調の結果事実がはつきりしましたので、八月の七日に高橋政雄を公文書変造罪で東京地方裁判所の公判を請求し、羽鳥はその日起訴猶予処分に付しました。かような取調の進捗に伴いまして過拂発生に起因する犯罪、即ち過拂の起因になつた犯罪を中心に取調を進めたのでありますが、更に過拂金の措置に関する犯罪及びこれに関連して発生した犯罪の搜査をも行なつたのであります。以上の由中、高橋に対する詐欺並びに公文書変造行使の起訴によりまして当委員会から要請されました第一の事実については一応の取調が終つたのでありますが、これに関連しまして特別調達庁本件関係者がこの詐欺に加功しておるのではないかということがやはり搜査要求書の中に謳つてあるのでありますが、この点は詳細に取調をいたしましたが、これまでの取調の段階ではさような事情は知らなかつたという供述でありまして、特別調達庁の係員がこの詐欺に加功しておるということは証拠上明らかにならなかつたのであります。又太平商工の検収員の藤原英三本件の検収調書を発行しておるのでありますが、これは実際に納入されていないことを承知の上発行しておるのでありますから、犯罪の成立、詐欺罪の幇助としての犯罪の成立は認められますが、本人は高橋のほうから直ちに納入されると言われて、それを過信して出したというようなことを申しておりますのと、又私のほうも納得の行かない点がありますので、処分を留保して更に搜査を継続しておる状態であります。  次に搜査要請の第二番の過拂金回收として足利工業株式会社に対して所有財産を売却処分せしめた、その売却代金の一部を横領した容疑があるという件でありますが、この点につきまして田中平吉及び高橋正吉らが昭和二十三年十二月二十八日まだ五万呎の二重煙突を完納していなかつたのに、完納したごとく装うことによつて特別調達庁係官を欺罔して、特調から五万呎の代金を、メーカーに対して四千百万円の交付を受けたため、特別調達庁より未納分に相当する二千二百万円余を過拂金として返納を命ぜられたのであります。これが返納方法一つとして、高橋正吉が田中平吉を通じて特別調達庁経理局次長川田三郎に売却方を委託して提出いたしました東武鉄道株式会社株式三万五千株を川田三郎を欺罔しし騙取したという詐欺容疑事実があるのであります。この点について申上げますが。これが返納方法一つ……。今申しました四千百七万六千八百五十円の交付を受けますために二千二百万円余の過拂を生じ、これが返納を命ぜられたのでありまして、これが返納の方法一つとして同年の二月下旬頃高橋正吉はその所有に係る東武鉄造株式会社株式三万五千株を、右田中平吉は同様式一万五千三十株をそれぞれ足利工業株式会社に無償で提供した上、同年三月八日、同会社より特別調達庁経理局次長川田三郎に対し、右株式を返納金の返済に充てるという約束の下に、白紙委任状を附してその処分権を一任して交付しましたが、川田三郎は同会社よりの委託の趣旨に基き株価の値上りを待つて売却し、特別調達庁に対する同会社の返納金に充当することとして、一時株式会社大阪銀行日本橋支店に保護預けをして、これを保管するに至つたところ、高橋正吉は右の事情を知つておるにもかかわらず、生活費等に窮した結果、右川田三郎を欺罔して、自己の提供分前記株式を無断で取戻し、これを他に売却し、生活費等に流用しようと企てまして、同年五月六日頃、東京都中央区日本橋江戸橋一丁目十二番地所在の特別調達庁において、右川田三郎に対し、売却代金を直ちに納入する意思がないのに、あるように裝つて、今度株の値も六十二円に上つて、買手も見付かつたので、自分が提供した三万五千株は自分で売り、代金はすぐ納めるからこれを交付してもらいたいと川田を騙して、即日同人が預り保管中の前記東武鉄道株式会社株式三万五千株中、三千五百株を交付させてこれを騙取したという容疑事実であります。でこれにつきましては私どもとしては一応詐欺の嫌疑が濃厚であると考えたのでありますが、この株式提供につきましては、返還計画書の覚書が作成されておりまして、それに当時の大橋顧問が立会人として署名せられておりますので、後に申上げますが、一括してこの本件に関する大橋氏関係部分につきまして、一応書面で回答を求めた上で処分を決するという方針をとりまして、この部分処分只今のところ留保いたしておるのであります。  次はこの横領の容疑の中に入つておりますと思いますが、この自動車の売却代金の問題でございます。この点につきましては山下の供述が非情にあいまいでありまして、まだ真相を捕捉するまでには至つていないのであります。御承知のごとくこの足利工業株式会社は、帳簿等が殆んど正規にできていなくつて、このほうから正確な資料を掴むことができなかつたのと、山下の供述が今申しましたように非常にあいまいである。と同時に、この自動車は虎ノ門自動車株式会社に売却されているのでありますが、この虎ノ門自動車の社長の有城氏が八月から九月頃まで大阪のほうに行つておられて、取調をすることができなかつたので、延び延びになつておりますが、最近有城氏の取調も終了しまして、大体の輪郭を掴むことができたのであります。この点も大橋顧問が関與しておられる部分があるので、併せてこれの事情につきまして、その供述を聞いた上で処分を決定するという段階に至つております。  最後は大橋顧問顧問料に関連する所得税法違反の容疑事実と、それから昭和二十四年一月、衆議院議員選挙の際高橋正吉から二十万円の贈與を受けていることに関する政治資金規正法違反容疑の点でありますが、この顧問料の問題は高橋の供述によりますと、昭和二十三年の六月二十八日に三十万円を顧問料の前拂として当時の大橋顧問に差上げたという供述をいたしておりますほか、ほかに小口で数万円やはり顧問料名義で行つております。これにつきましても、果して顧問料であるか否か。或いはその顧問料の性質が如何なるものであるかということがわからないと、最後の決定をいたしかねますので、これも併せて大橋現総裁に対して書面でその事情をお尋ねしておりますから、その回答を待つて決定をするという段階に至つております。それから政治資金規正法の点でございますが、これは一応二十万円が選挙の行つておりますので、政治資金規正法の疑いがあるということになりますが、御承知のように政治資金規正法は短期時効の定めがありまして、二年で時効にかかります。そうしますと本年の一月に時効にかかりましたが、政治資金規正法が成立いたしておりましても時効が完成しておりますので、これにつきましては更に搜査を継続することも如何かと、かように考えているのであります。  大体の今日までの搜査経過は以上の通りでございます。
  28. 小林亦治

    小林亦治君 馬場検事正にお尋ねしますが、大橋氏に対して書面を以て回答を求めたとおつしやるのですが、これはいつ頃ですか。
  29. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 数日前でございます。
  30. 小林亦治

    小林亦治君 数日前というと……。
  31. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 二十五日くらいに届いてるわけなんです。
  32. 小林亦治

    小林亦治君 田中、高橋の現在の経過はどうなつているか。それからこの連中が八月すでに公判を請求せられておるというのに、大橋氏に対してはつい三、四日前まで何らの手当もしなかつた。その理由を聞きたいのです。
  33. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 実は私どもこの搜査をしておりますうちに、本件の最も疑わしい点は四千百万円の支途が、どうなつているかという点であつたのであります。その点の追究をいたしましたのでありますが、先ほども申しましたように帳簿等が整備していないので專ら銀行その他につきまして調べて行くより他に方法がないのでその取調に非常な時間を要しまして、全体の取調が済んで最後に大橋氏の回答を求めるという方針であつたので遅れたのであります。
  34. 小林亦治

    小林亦治君 先ほど検事正がおつしやつた四月三日附の決算委員長の名による覚書ですが、その中にはいずれも田中、高橋、大橋、これらの各種の犯罪が総合的に錯綜しておるのであります。区別がない、明確になつておらないのであります。そうしまするというと、片方の大物である大橋をさておいて小物の二、三名を先ず以て起訴するということについては、何か大橋をあとに廻して別個にしても差支えないという見通しがつかなければあとに残して搜査を大橋だけを分離するというわけにはちよつと行かないような考えるのですが、その点はどういう取扱をしたか、お聞きしたいのです。
  35. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 最初の搜査要請の二千二百万円余の過拂を生じた問題につい詐欺容疑という点につきましては、最後に本件関係者とありますから、今小林委員の仰せのように大橋当時の顧問は当然包含されておるものと思いますが、その点はもとより大橋当時の顧問本件請求に関與しているか否かという点は十分研究したのでありますが、全然この点についての関係をしているという事実は発見されなかつたのであります。それから後の第二の三万五千の株券或いは自動車の提供問題については関與しておられますが、先ほど申しましたように、先ず主たる役割を演じております高橋並びに山下の搜査をして、その搜査の結果に基いて大橋氏の関係をお尋ねするという順序をとつたのであります。最後の点は今申しましたように高橋の調べによつて大体顧問料の確定ができましたので大橋当時の顧問意見を聞くという方針をとつたので、別段他意があつたわけではございません。
  36. 小林亦治

    小林亦治君 そうすると大橋氏に対しては詐欺とか横領とかいつたような面の容疑がないということが確定したのですか。
  37. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 詐欺の点につきましては只今のところ全然そういう嫌疑があるとは申上げられません。それから横領の点は先ほど申しましたようにまだ山下の供述が固まつていませんので、固まつていないというか、山下の供述に対する私どもの心証がはつきりいたしませんので、大橋総裁からの書面の回答を待つて更に搜査をして初めて私どもの意見が立つ段階でございます。
  38. 小林亦治

    小林亦治君 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律というのがございますね。この法律に曰く、いわゆる僞証の場合の、僞証というのはこれはあなたがたの職権の面から見ますると、これは告発が起訴條件になつておりますかどうか、それを簡單に聞きたいのです。
  39. 馬場義続

    参考人馬場義続君) この点につきましては、私どもは最初告発が起訴條件でないという見解をとつて事件処理をしておつたのでありますが、御承知のように最高裁判所で起訴條件であるという判例が出ましたので、私どもはその判例に従つて、今日の段階におきましては告発が起訴條件である。  かように了解しております。
  40. 小林亦治

    小林亦治君 非常に重要な証言なんですが、それはいつ頃の最高裁判所の判例なんでしようか。
  41. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 時期ははつきりしませんが、多分河野一郎氏に対する事件の判決であると思います。
  42. 小林亦治

    小林亦治君 私ども学説上これは起訴條件でないと今日まで信じておるのであります。それは間違いないでしようか。
  43. 馬場義続

    参考人馬場義続君) さような判例の出たことは私の記憶する限り間違いございません。
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本件がこの委員会で取上げられましたことにつきましては、当初勿論この会計検査院の批難事項にもあるのでありますが、新聞とか或いは雑誌とかが、余りに大きく二重煙突に関する大橋云々の問題を取上げておつたのであります。そこで我々委員会といたしましても、国の重要な問題を担当する我々としても、又国民大衆から見ても大橋氏の現在の地位が法務総裁であるというような観点からいたしまして、なお更これは明確にする必要があるということ、それからもう一つは批難事項の内容から見まして、何かここには單なるそういう批難でなくして、刑事事件が伏在しておるのではなかろうか、こういうような点を考えまして、この委員会で先ず取上げて参つたのであります。ところが我々がそういうような感じを持つ前に、新聞や雑誌等に随分前からそういうことが言われておつたのでありますが、検察庁としては僅かな聞き込みであるとか、或いは僅かな投書でもあると一々検察庁はこれをお取上げになつて、そうして事の是非を確かめられて来ておるように思うのであります。そこで一般国民といたしましても、私どもとしても、これだけ世間がやかましく言つておるにかかわらず、なぜ検察庁がこれを取上げて搜査を開始しないのであろうか、そういう疑念を他面持つておつたわけなのであります。その点について検察庁がなぜ……、一体、国会が長年月かかつてそうして而も手足を持たない委員会がかような搜査を続けて、そうして検察庁搜査を依頼するまでなぜ検察庁は默々として本件を無視して来られたかという点であります。この点について過日草鹿刑政長官を、本件を取上げる前に一応呼びまして、そうしてどうも我々素人ではあるけれども、この件に関してはどうも刑事事件が伏在しておるように思う。併しながら大橋法務総裁がこれに関連されておるおらないにかかわらず、これを調べる意思がないかということを確かめた場合に、本件に関してはさような刑事事件が伏在しておるように見受けられないというようなお答えがあつたのであります。なお警視庁も当時呼びまして、本件搜査開始前に伺つたのでありますが、警視庁もかような答弁をなされておつたのであります。そこで委員会としてはどうもそういうものではなかろう、どうもおかしいということで今日まで調査をやつてつて来て、そうしてその結果ですよ、その結果我々委員会考え通りやはり刑事事件になり得るような可能性があるという事実を発見したのであります。かような観点からいたしまして、なぜ、国会が先ほど申上げましたように調査をして、そうして国会みずからがかような結論を出すまでに検察庁のほうでお取調べにならなかつたか、その事情について一応先ず伺つておきたい。こう思うのであります。
  45. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 御尤もな御質問でございますが、実は会計検査院が職務を執行されておる間において、犯罪の嫌疑を発見された場合の取扱につきましては、昭和二十二年に当時の大審院検事局と会計検査院との間に打合せがあつたのでございます。それは会計検査院法の第三十三條には「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件検察庁に通告しなければならない。」こういう規定がおかれましたので、この運用について協議をいたしまして、会計検査院において刑罰法令に触れるようなものを発見した場合には検察庁に通告をするということになつておりましたので、会計検査院で若し犯罪の嫌疑があるときには当然私のほうに連絡があるものというふうに考えておつたのであります。もとより連絡がなければ全然やらないということは毛頭ないのでありますが、何分御承知のように事件が輻湊しておりますために、国会から搜査を依願されるまで直接取調に着手するというところまで至つていなかつたわけであります。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 会計検査院調査の結果、犯罪容疑のあるものはこれを検察庁に通告をするという制度になつておることは私も了承しておるのでありますが、御承知のように会計検査院は、検察庁とは性格を異にいたしまして、会計法上の手落ちがなければそこまで深く調査をしていないと思うのであります。従いまして実際は会計検査院が批難をいたしました事項の中に、随分かような犯罪事実のあるようなものも相当たくさんあるのではなかろうかということは、これは会計検査院報告書を我々が読んだだけでも感じられるところであります。従つて会計検査院から刑事上の手続をして来ないからというので、それまで手をつかねて待つておられるようなことであれば、最近特に各新聞紙上でもやかましく言われておりますところの国のいわゆる国費の濫費というものは、ますます激しくなる一方ではなかろうか。この点については今後検察庁がどう考えて行くか。それから最近の検察庁考えを承わつておきたいと思う点は、事個人の財産を個人が横領或いは詐欺或いは又集団的に財産を犯した場合はなかなか検察庁は鋭くやつておられるように思うのでありますが、事国有の財産、国民の血税、血の出るような税金がかようなふうに濫費され、或いは幾多の不正手段によつてこれが取られて行く、盗まれて行くということについては検察庁は熱意を欠いておられるのではなかろうか。だからこそ今日各新聞が一齊に論じておるような、こういつた国費の濫費というものが盛んに行われるのではなかろうか。こういう点について、個人の財産に対するいわゆる取締の考え方、国の財産に対するところの考え方というものをどういう工合に一体検察庁考えておられるのか。又今後検察庁としてどういうふうな方向で取締をやろうと決意されておるのか。その点を明確にお答え願いたいと思います。
  47. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 誠に御尤もな御質問でありまして、私どもも公の財産に対する侵害を強く取締らなければならないということは十分考えておるのであります。たまたま本件搜査の着手が遅れておるという御非難で、そのあとで私がかようなことを申上げると、お前の言うこととやることは違うじやないかというお叱りをこうむるかも知れませんが、私どもはカニエ委員と同じような考えで取締をしておるつもりであります。と申しますのは、最近の鉱工品公団の求刑でありますが、あれは御承知のように併合罪を加重した最高刑を盛つたのであります。それはあの論告の中に私言わせたのでありますが、あれは單に財産犯というだけではなくて、国民の納税思想に非常に惡い影響を與え、それから又公務員の信用を甚だしく失堕したというような点を十分考えなければならないという観点から、私どもとしては余りやらない併合罪を加重した最高刑を以て臨んだのであります。あの求刑を定める際にもいろいろ議論がありまして、御記憶のあるかたもあるかと思いますが、曾つて埼玉県庁で百万円の横領事件があつたことがあります。その求刑が私の記憶では八年ではなかつたかと記憶しております。と申しますのは、これは或いは私どもの従来の考え方がいけないのかも知れませんけれども、最高刑を盛るとそれ以上の犯罪があつた場合に刑の盛りようがないのではないかというような考え方から、余り最高刑は盛らないのがこれまでの例であつたのであります。そこであのときもたしか十年くらいの求刑で八年の刑があつたのかどうかその点ははつきり記憶いたしませんが、八年の求刑であつたような記憶もありましてどうしようかという議論をいたしたのでありますが、結局最高刑で行こうというので併合罪を加重した十五年という刑を以て臨んで、それを基準にしてほかの刑を盛つたわけであります。これは一つの例でありますが、私どもの力が足りずに非常に歯がゆい感じを皆様がお持ちかも知れませんが、私どもとしてはできるだけこれをやらなければいけないという方針で、第一線で搜査している検事も督励して取締をしておるのであります。
  48. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は途中から決算委員に入つて来て、よくこの事件を知らないのでありまするが、併し国民の立場の極く常識的な立場から見て、今検事正がおつしやるその他の公団の関係、そういつたものは非常に嚴重にやることにして、これも同じようにやるのだというようなお考えのようにもとれましたが、この問題はカニエ君なり小林君からも熱心な質問がありましたが、我々が考えておるのは特に法務総裁としての大橋君に対する考え方をしつかりやつてもらいたいということが、これは国民の感情であります。そういう希望を持つております。ということは、今の検事正のそういう意識的に……そうではないのであると私は思いますが、御説明を伺つておると、例えば会計検査院からの通告がなければ処理をしないというようなことになつておるという非常に事務局のお話でありまするが、それではその他のそういつたような役所関係事件が必ずそういうふうに行われておるかというと、大部分はそうでないと思います。実際会計検査院が調べるのは私がそのお話を今聞いて疑問に感じたのは、会計検査院が検査をしていろいろなことが詳細にわかつて来るのは非常に時間がたつのであります。一年も二年も、うつかりすると三年も四年も大きな経理に関してはなるのであります。そうすると今の大橋君に関係する部分などは政治資金の規正法関係は時効であるからというような、殊更に時効に持つて行くようなふうに受取れるような御説明でありまするけれども、若し会計検査院からの通告がなければ非常に社会的に重要な影響を及ぼすと思われるようなことについても積極的に動かないということであるならば、時効なんというものは始終あるかも知れないということを今ひよつと御説明を聞いて感ずるのでありまするけれども、国会がこれを取上げたのは社会の秩序或いは民心を、更に漸次独立をして行く国でありまするから、よくしたいというようなこの国民の気持が非常に動いておるわけでありまするから、そういうふうに通告がない、或いは時効だというようなことに重点を置いて、この事件に臨まれることは、私は非常な間違いであるというふうに国民は思うというふうに私は今感じたのであります。私どもが希望するところはそうでないのであります。反対のことを考えて、むしろこの問題を非常に大切なものであるというふうに考えるのであります。このような性質を同じくするような問題が、これは各地方の検察庁にもたくさんあります。それは多く生活に結び付いて、極く下級の役人であるとか、或いはそういつた類いの職員が本当に生活に結び付いた誠に同情すべきような問題もたくさんあります。併しそういうものに対しては相当嚴重な仮借のないと思われるほどの気の毒なような処分がたくさん行われておることを考えても、こういう点等もやはり考え併せて我々がここに問題を重視しておるわけでありまして、今の御説明を聞いておると成るべく問題にならんように、何とかどこかに引つかけて行きたいというようなことじやないと思います。ないと思いますけれども。そういう感じを受けたのであります。恐らくこの今の説明を国民が聞いた場合には私と同じような感じをきつと持つだろう、そういう感じを持つことが私どもの意と反するわけでありますから、私がここにお聞きしたいのは、今後これをどういうふうに進めて行つて、積極的に社会の秩序や民心をよくするためにやつて行かなければならんと思いまするが、検事正としてはどういうふうにこれを今後やつて行こうとされておるかという点をお尋ねしたいと、こう私は今考えたのであります。
  49. 馬場義続

    参考人馬場義続君) どうも私の説明が少しまずかつたので非常に誤解を受けましたが、私は決して会計検査院の通告がなければやらないという趣旨では毛頭ございません。ただああいう協定がありましたので、会計検査院から通告があることを予期して、期待しておりましたのを、先ほど申しましたように非常に事件が輻湊しておりますので、まだ検事が着手する段階まで至つていなかつたというので、その点は一つ誤解のないようにお願いをいたしとうございます。それから今後の方針は、これはもう私どもとしては飽くまで公正な搜査を進めて参りまして適正な結論を出す覚悟であります。いずれ書面で回答を求めてありますから、その回答に基いて従来の搜査の結果を検討し、更に必要があれば取調を進めて公正な結論を出すように努力をするし、そういう覚悟を持つております。
  50. 永井純一郎

    永井純一郎君 その言葉を聞いて大変力強く思うわけでありまするが、なお小さいかも知れませんが、今その会計検査院からの通告によるということは、私どもそういうことを知らないで今聞いたわけですが、こういつたような事件は普通必ず通告があつて行われておるかどうか、そのことを一つこの事件以外で聞きたい。それからこのくらいのケースの事件は検事を一体普通どのくらい動かしたり、或いは搜査関係の者を動かすのが普通であるのか、その他の事件と比べてこれが非常に手薄になつておるというようなことが係官の数や何かにおいてないかどうか、それを聞きたい。
  51. 馬場義続

    参考人馬場義続君) これまで会計検査院から通告があつたのは、私の記憶するところでは一件か二件であつたように思います。ただ私どもこれは希望でございますが、会計検査院の都合もあると思いますけれども、私どもの希望がそのまま受取れるかどうかは別といたしまして、どうも本件の場合も非常に後になつて事案が発覚しておるわけであります。若しこれが二十三年の末、あの請求がなされた翌年にも会計検査院では過拂を発見して回收方法を講じられておるのでありますが、あの当時に連絡なり、告発なり何かあれば私はもつと事案の真相がはつきり掴めたのではないかと思うのであります。と申しますのは、これは先ほど申しました四千万円、或いはその前全体で今度は九千万円、これは物品税も入つておりますが、九千万円の支拂を特調から足利工業が受けておるわけでありますが、支途を詳細に検討しておるわけでありますが、そのうち五十万円くらいはいろいろな饗応、接待費に使われておるのであります。その中には現実に饗応したり金を渡したというようなことを高橋正吉が供述しておるものもありますが、いずれも時が古くて皆時効になつておるので取上げることはできないのであります。こういう点から私どもといたしましては、ああいうほかの点は別といたしましても、本件のごとく物品税のかからないものに物品税を拂うというようなことは、ちよつと私どものほうで異様に感じましたので、何かその間にいきさつがあるのではないかと随分追究をして見たのでありますが、二、三の渦中の官吏に対する贈賄なり響応はありましたけれども、これはもう今申しましたように時効にかかつてつて、私どもとしては取上げることもできませんし、逮捕もできないというような関係で、本件の事案の真相を発見するにつきましては非常に苦心をした次第であります。だから希望といたしましては、会計検査院が会計検査をされる過程において犯罪の嫌疑があつた場合にすぐ告発をして頂きますならば、私どもとしては非常にやりやすいということを申上げたいと思います。本件が多少長くかかつておることは申訳ないのでありますが、実は先ほど申しましたように岡崎検事を主任にしまして、それから渡邊という検事と、鈴木という検事を応援させ、三人で初め搜査をやらせまして、八月の例の起訴まで行つたのであります。ところが岡崎検事が渡米をすることになりまして、それでそのあと次席検事が特搜部長を兼ねることになりましたので、次席検事を中心に搜査を進めて、渡邊検事を今日までも他の事件をやらずにこの事件にかからしておるのであります。ところが鈴木検事その他は御承知のように公団事件等いろいろな事件が輻湊して参りましたので、一時この事件から遠ざかつてつたので、甚だしく手薄だというわけではないのでありますが、途中で検事が渡米したということのために多少処理が遅れたということは非常に遺憾に存じております。
  52. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほど私が申上げました通りに、本件が世上で新聞雑誌等にやかましく騒がれておるときに、我々が感じたときに搜査を自発的におやりになつておりますれば恐らくは今日までに解決もついておるし、従つてそういつた時効というような問題もなくて済んでおるんではなかろうかと、こう思つて私はくれぐれもこういうことが余りにも社会的な大きな問題として取上げられたときには、その相手方が何人であろうとも、やはり搜査を開始をして頂くのが適当でないかと、こう思うのであります。その点について重ねてお伺いをしておきたいのと、それからもう一つは今の御説明を聞いておりますと、高橋、それから田中等の調査についてはかなり迅速な搜査が続けられ、すでにこれらの結論も大体のところ出ておるかのように窺われるのでありますが、大橋武夫君に対するところの容疑については、まだ数日前に調査にかかられておるというようなことでは余りにも怠慢に過ぎやしないかどうかという点であります。それからもう一つは、現在の制度の上から行きまして、法務総裁の現職の人が疑わしいようなことがあつたとしても、これをそんな七面倒くさい書面だとか何だとかいうことでなくして、検察庁にやはりこれを呼んで、そうして調べるということが今の検察制度ではでき得ないのかどうか。若しかでき得なければでき得ないということでお答えを願えればいいと思うのでありますが、この点がどういうことになつておるのであろうか。ただ私はここで非常に事件の解決に盡力をされておりますところの検事正を責めるわけではございませんが、そういうことで上級監督者を自分が調べるというようなことはどうもやりにくい、実際は制度の上ではやれることになつておるのか、おらないのか、それも伺つておるのですが、仮にやれるということになつてつても実際問題としては非常にやりずらいんだというような点があれば、重ねてここで承わつておきたいと、こう思うのであります。以上の諸点について一つ御答弁を願いたい。
  53. 馬場義続

    参考人馬場義続君) この搜査が遅れました理由は、私どもといたしましては、仮に現職の法務総裁に対して取調をするよりも、大体の外郭的な搜査が終つた後にまとめてその見解なり供述を聞くというほうが妥当であると考えて、全体の調べの一応終るのを待つて出したので、決して特に法務総裁であるから取調の矛先を鈍らしたという趣旨ではないのであります。だから回答があればその回答で私どもが承服できなければ、場合によつては直接お尋ねするということもあろうかと思うのであります。あとの第二点の現在の制度ではどうかという点でありますが、これは制度上は私から申上げるまでもなく当然取調をすることが可能でございますし、それから又気持の上ではどうかとおつしやると、これはまあ考え方でございますけれども、私どももそういう職責を持つておるのでございますから、必要があれば十分納得の行くまで取調をするつもりであります。
  54. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで事件の内容の点でありますが、自動車の売拂につきましては、これは自動車も株も同じく過拂の国損に対して充当するという趣旨であつたことは、これは間違いないのでありまして、そこで自動車は田中平吉から大橋氏が自分が売つてやるからということで、その自動車を自分が受取つておるのであります。従つてその受取つたということは、大橋氏自体が自分の自書で以て受取証を田中に渡しておるのであります。自動車一台を預つたという預り証を発行しておるのであります。そこでこの預り証に基いてその品物を返すか、或いは売れたとすればその金を返すか、いずれかせなければならないということになつて、そこでいろいろ本委員会で調べましたところ、金は一部分しか返していない、そうしてその金は自分が保管を命じておるところの山下が使い込んでしまつたんだというような結論になつた、こう思うのであります。我々は飽くまでも大橋君が自分のものでないものを他人から預つて、預り証を発行して、その預つた品物が他に売れたなれば、その金を当然国庫に收めるべきでないかという考え方に立つておるのであります。ところがその金は自分が渡したところのその山下が使い込んでおると、こう言われるのでありますが、併しながら山下に田中が預けたものでもなければ、山下から預り証をもらつておるものではないのですから、勢いこれは大橋氏が当然その自動車を返すか、或いは売つた金を返すか、どちらかをしなければならないのだが、どちらも行つていない。こういう点ではです、明らかにこれは横領の容疑があるのではなかろうかと、こういう点を実は指摘しておるのでありますが、又その他いろいろこの委員会の最終の報告書にも細かくは出ておると思うのでありますが、この点についてなお一層お調べになつたかどうか、お調べになつたとすれば、その経過について御説明を願いたいと思います。
  55. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 大橋法務総裁について書面で回答を求めております以外におきましては、山下、並びに虎ノ門自動車の関係は全部一応の調べは終つておるのです。それでこの回答を頂きましてこれまでの調べを検討して、更に必要があれば搜査をしますが、今私のほうは概括的な搜査は一応終つたのです。ところが山下の供述と、他の者の供述と合わない点が相当多いのです。そこで今どうだというふうに断定的な私ども意見を申上げるところまで至つていないというのが今日の実情であります。
  56. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) これは一つ御相談を申しますが、今日検事正においで願いましたのは、事件の従来の経過を御報告願うということが主体であつたのでありますが、事件の内容にまで入りまして、而もその問題を主観的な考え方まで議論されることになりますと、相当時間もかかるだろうと思いますので、将来の問題に対して検事正に希望を申述べるということはよろしいと思いますけれども、事件の内容の批判と申しますか、議論は到底時間が足りないと思いますが、そういうような方針で進んで行つたらいいと思いますがどうでしようか。
  57. 永井純一郎

    永井純一郎君 委員長のお考え御尤もだと思いますが、経過は、こちらが決算委員会で聞いておることは、内容についてもやはり伺つておるわけです。その内容の詳細に亘つて聞くことは今日の場合又とてもできないと思いますから、経過に附随する程度の内容は、カニエ君の言う程度のわかつておらないことは……今度どういうふうに、私が一番考えるのは、今委員長のおつしやつたように、今後国民が検察庁だといつて信頼を、やはり検察庁に今後も繋ぎ得るというような態度をとつてもらいたいということが一番我々の考えるところです。それは先ほど馬場さんもそうおつしやつて非常に喜んでおるのでありますが、従つてそういう点から言つて、素通り経過だけ聞いておつては、決算委員会としても何にもならない。やはり或る程度の今カニエ君の言う程度のものを、今日ここで折角おいでになつているのでありますから聞いておくべきだと思います。
  58. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) 私が申上げますのは、自動車の問題はここでカニエ君がお調べにならなくても、十分検察庁でわかつておるのだと思いますので、これに対して俺はこういうふうに思うのだという主観的な批判を加えての話合いになりますと、本日の検事正を呼びましたのと少しズレはしないかと思いましたので、大体そういうような方向でお尋ねになり、希望があるならば申述べて行くほうが適切だというふうに考えるのです。
  59. 小林亦治

    小林亦治君 前の質問と関連するのですが、大体今まで高位高官の要職にあつた人が、或る種の刑事容疑を受けた場合に、結局とどのつまりが、大山鳴動して鼠一匹、龍頭蛇尾に終つているようです。この事件もどうやらそういつた経過になりつつあるのであります。そこで申上げたいのは、検察庁でお調べの結果が、高橋正吉氏が一番の元兇になつてつてつたのであります。さればこそ詐欺横領、或いは公文書の僞造行使、詐欺といつたような併合罪の下に公判のなにがなされたと思うのでありますが、検察当局でお調べの経過の間には国会で調べたところの速記録、それらの資料は全部これは一応御検討になつたろうと思うんです。その記録の中にさしもの元兇の高橋正吉すらどうもひどいのは大橋だということを繰返して使用人に述懷しておつたということが明らかであるのを速記に載つておるのであります。そうして見ますると、事の実相はやはりこの最も仔細に御簾をかかげている大物というのは大橋君じやないか、こういうような感じを私は持つておるのであります。国民の疑惑も結局大橋法務総裁の二重煙突に関するところの件に関して強く疑惑を抱いておるのであります。永井君からも縷々懇望せられましたように、国民の疑惑を一掃するためにも、検察庁の本来の機能を果たす上からも、遠慮せず、我々はこうして見ておるのであります、勇敢に検事正としては職権をお持ちになつて、今回の暗雲を一掃してもらいたいと思うのであります。折角の委員長の御注意でありますから以上で私の質問を終ります。大体において検事正経過、それから今後に対するところの御決意も伺えたのでありますから、どうか私のこの最後の注文を活かして下さるように一つ重ねて御要請申上げまして、検事正に対するところの参考意見の聽取はこの程度で本日は結構だろうと考えるのであります。
  60. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今永井君、小林君からも意見がありましたように、私はこの問題について、検察庁が最も公平に且つ勇敢に国民の代表としてそうして本件を明確にされることを願つておるのであります。ただ最近におきまするところの国費の濫費というものは、非常に二十三年度決算報告から見まして、現在二十四年度が私たちの手許に廻つて来ておるのでありますが、年々激増の一途を辿つておる状態であります。これは如何に綱紀粛正が空念仏のように唱えられておりましても、やはりこれに対する検察庁の断乎としたところの措置が行われなければ私は足りないと思うのです。いわんやこの問題は国民ひとしく重視をしておりますと共に、法の番人であるところの法務総裁がかような事件に関連をいたしておるというところに問題がなお一層あるのではなかろうか、従いまして、若しもこれが検察庁の英断によつてはつきりなされずうやむやに終るといたしますなれば、現在ですらも、今申上げましたように年々非常に国費の濫費が行われる、そうして国家の財産がめちやめちやになりつつあるのでありますから、かようなことがそのまま過されるということになりますと、法務総裁ですらあのぐらいのことをやつておるのにもかかわらず、あれで済んだじやないか、だから我々末端の局長や、課長、職員においては、このぐらいのことはよかろうというようなことがこれが官吏の常識というようなことにでもなつて行きますなれば、それこそ大変な結果になろうかと思うので、特にこういう点を十二分にお考え下さいましてそうして非常にこれは検察当局としてはこれはやりにくいことだろうと我我も推察をしておるのでありますが、併しながらこの苦難な立場から最も強い力とそうして決断を以て処されんことを切にこの際お願いをしておきたいと思うのであります。なお最後に一点、我々委員会で調べて参りまして大橋武夫君に対しましてはどうも疑わしいという考えを抱いてかような結論を出したのでありますが、検察庁で今日まで大橋君の問題はさておいて他の方面からお調べになりました結果、やはり大橋氏に対するところの疑義が持たれる点があるとお考えになつておるのか、そうでないというお考えであるのか、その点を伺つておきたいと思います。
  61. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 国費濫費について十分な取締をするようにという御激励を頂きまして、私ども非常になお一層勇気付けられたわけで、今日より一層強い態度を以て取締をして国民の負託に応えたいと思つております。それから後の点でございますが、先ほど申しましたように詐欺の点につきましては一応の取調を終りましたのでありますが、その点については大橋総裁は証拠上全然関係がないという結論を得ております。それから次のあとの二点は先ほど申しましたようにまだ調べが途中でありますから、いずれとも私は申上げる段階ではないと御返事するより仕方がないと思います。
  62. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 只今永井君、カニエ君から検察庁の公正なる措置についての御鞭撻の言葉がありましたが、私もその点は誠に同感であります。なお先ほど検事正の御説明を伺いましてこの事件の重点はどこにあるのかということから順序立てて搜査が行われたことも私としては十分納得の行くような気がするのであります。そこで本委員会におきましては恐らく取調が全部終了したのじやないかという気持で、そういうことで今日検事正においで願つて説明を聞いたのでありますが、まだいろいろの点で全部完結はしていないようでありますので、この後は検察庁におきましては先ほどから検事正がお述べになつておるような公正なる立場でこれは搜査が続けられるものと思いますので、本日はこの程度で終られたら如何かと考えます。なおちよつと一点だけお伺いしておきたいのは、この田中、高橋それから高橘政雄等に対するこの公判が今継続中だと思いますが、大分進行しておるかどうか、その点進行の模様をお伺いしたい。
  63. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 実はこの事件の主任である長谷川判事がやはり渡米をしておりますので未だ公判は開始になつておりません。いずれ十一月頃お帰りだと思いますが、その後になると思います。それまでに成るべく済ましたいと思つております。
  64. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 大橋氏に対しまする書面回答を求めておりまする要点としては結局先ほど来からの御説明によりますると顧問料その他足利工業から受領いたしました二十万円を除きまする他のものについての税法違反に対する点に集約されての回答を求められておりますだけでありますか。ちよつともう一点、先ほどからの御説明によりますると詐欺の点については大橋氏は今までの搜査の段階においては関係がない、ところが委員会から検察庁のほうに当時申告いたしました中には先ほどカニエ委員その他の委員からもお話がございましたが、ひとり詐欺の問題ばかりでなくその後の国庫に対する支拂金に関連をいたしまする山下氏のやはり介入いたしておりまする問題についての横領とかいうような事件があつたのであります。それらの点についての書面回答は含まれていないかどうか。なお詐欺の点についての回答を求めていない点から考えますれば、この税法違反の点については傍証によつて大体大橋氏の税法違反の事実はあるものであるというふうな御見解の下にその書面回答を求められておるか。その点を差支えなければこの際明確にして頂きたいと思います。
  65. 馬場義続

    参考人馬場義続君) 回答はただ税法違反だけの点でなくて全般的に数項目掲げて求めております。というのは、ほかのいろんな事情、例えば覚書の問題でございますとか、自動車の問題でありますとか、直接大橋氏個人に関係なくつて事件全体を見る上に必要でありますから全部で十項目に亘つて回答を求めております。それからあとの第二点の税法違反の点は、これはちよつとやはり説明を聞かないと今一方の供述だけで嫌疑があるとかないとか私は申上げにくいと思つております。
  66. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) ほかに検事正に対しまして御希望或いは意見を聞いて見たいというようなお話はございませんですか……。別に御意見も御希望もないようでありまするから……。
  67. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 まだお聞きしたいことはあるのでありますが、本日はこの程度におきまして、後日又搜査が進行するについで御質問をしたいと思います。
  68. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは一つ検事正に対しましての経過の御報告を願いましたが、又希望或いはお尋ねになることはこれで一応済んだものといたしたいと思いますが、別に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) ではそのように取計らいます。検事正にはどうもいろいろ御多用中のところ有難うございました。   —————————————
  70. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それでは引続きまして日程に上つておりまする昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算昭和二十四年度政府関係機関收入支出決算でありまするが、お諮り申上げますが、どうでしよう、大分時間が遅くなるので次回に讓りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 仁田竹一

    理事仁田竹一君) それではそういうふうに計らうことにいたしまして、次回は明後日木曜日の午後一時から開会いたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。それではこれを以て本日の委員会を閉会いたします。    午後三時三十九分散会