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1951-10-25 第12回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            前田  穰君    委員            石原幹市郎君            内村 清次君            小酒井義男君            高木 正夫君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 石井 昭正君   事務局側    常任委員会專門    員       古谷 善亮君    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道経    理局長     三木  正君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員の選任の件 ○一般運輸事情に関する調査の件  (補正予算に関する件) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは本日の運輸委員会をこれから開会いたします。  先ず最初に、先般の委員会において委員長に一任されました観光陳情の小委員の人選について、各委員の希望を承わつて、大体観光につきましては七名、陳情につきましては五名の小委員を一応委員長手許で選定をいたしました。観光の小委員岡田君、内村君、小酒井君、前田君、村上君、前之園君、カニエ君、この七名、陳情の小委員石原君、高木君、前田君、小泉君、鈴木君、この五名といたしましたが、別に御異議ございませんですか。
  3. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議がないようでありまするから、観光陳情の両小委員につきましては、只今申上げました通り決定いたします。   —————————————
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次いで一般運輸事情に関する調査というので、先ず昭和二十六年度補正予算に関する件を議題といたします。昨日に引続いて、本日は国有鉄道関係予算について、当局より説明を求めます。石井政府委員
  5. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 昨日お手許に御配付申上げました資料につきまして、二十六年度国鉄補正予算の概要について御説明申上げます。  実は本年度国鉄予算は、通常国会におきまして、両院の御承認を頂きまして、目下実行に移しておる最中でございまするが、御承知のように、本年度予算が編成されましたのは、丁度昨年の八月頃実質的の編成が行われたのでございまして、その際におきましては六月末に勃発いたしました朝鮮関係影響がどうなつて行くかということの見通し余りよく付かなかつたのでございまして、極めて短期に終了して、極く一時的な影響にとどまるか、或いは相当長期な大規模なものになるかということにつきましては、我我といたしまして殆んど予測が付かなかつたわけでございまして、従いまして経費の算定におきましては、この動乱前の基準を大体踏襲いたしておりました。若干は多少動乱後の予想も組入れておりますが、見通しといたしましては、必ずしも今日の現状見通してはおらなかつたわけでございます。そういうわけでございまして、実は通常国会におきまして、いろいろ御審議を頂きました際も、この予算でやつて行けるかというような御質問相当つたかと記憶いたしておるのでございまするが、その当時におきましては、何とか一応やつて参りたい。而もまあ物価騰貴等余り高くなるならば、いずれは補正もお願いしなければならんときも来るかも知れん。併し又とにかく一応予算を御提出申上げておりまするのでやつて参りたい、かように御了承を願つたよう考えておる次第でございます。その後御承知のように、物価騰貴を見ますると、国鉄が所要しておりますところの主要資材につきましては、特にそれが生産資材鋼材或いは木材等生産資材が主でございますし、又動力に使つておりますところの石炭、こういうものの値上りが極めて顯著でございまして、実際上当初の交付予算で以て想定いたしました業務量をこなすわけには殆んど参りかねて参つたのでございます。なおこの支出の面のみならず、この輸送量の面につきましても同様でありまして、朝鮮事変以後非常にまあ生産活動が向上いたしまして、その結果として貨物輸送トン数は飛躍的な増加を見せておりました。且つ又それに伴いまして旅客も当初の予定よりも相当増加予想されるに至つたわけでございまして、こういう輸送量増加に対応いたしますところの経費も又必要と相成つて参つたわけでございます。そこで大体当初予算におきましては、旅客輸送人員は大体二十九億人程度考えておりました。又貨物輸送トン数は一億三千四百万トン程度考えておつたのでありますが、只今現状を以て見通しますれば、いろいろこれから将来には電力事情石炭事情等余り好ましからん見通しもございますが、併しながらとにかく最近の情勢で押して参りますと、旅客は三十二億人余、貨物は実に一億五千七百万トンに達するであろうというふうに見込まれるに至つたのでありまして、これを当初予算に比較いたしますと、旅客においては一〇・八%増、貨物においては一七・二%の増となるわけであります。又一面物価値上り生計費のほうにも相当影響を及ぼしております。特に八月以降米、電力その他の値上り等によりまして、給与ベース改訂も必至となつて参つたわけでありまして、これに対しましては国鉄労働組合におきまして給与改訂に対する要求当局にいたしました。結局これが調停委員会に持込まれまして、調停委員会におきましては、一万八百二十四円という調停案を出したことは先刻御承知通りでございますが、この調停案につきましては、当局といたしましても、できるだけこれを実施いたしたい、実現いたしたいと努力いたした次第でございます。そこで以上のような情勢変化が入つて参りましたので、結局只今委員会で御審議をお願いいたしておりまする運賃値上げによりまして、或る程度この予算経費辻褄を付けなければならんかという状態になつたのであります。もとより運賃値上げ国民経済に及ぼす影響も極めて大でございまするので、できるだけ最小限度にこれをとどめなければならんと思うのでございまするが、併しこの経営費不足は何としても運輸収入を以て補うというのが、これがいわゆる国鉄独立採算制の建前でございます。工事勘定、いわゆる資本的支出のほうに相成りまする支出につきましては、これは時の経済状態国鉄財政状態、或いは一般経済状態に応じて自己資金を以て充てる場合もございましようし、又借入金を以て充てる場合もあるかと思うのでございます。必らずしも一概に如何なる財源によるべきかということは言いかねると思うのでありますが、経営費につきましては、これは運賃収入を以て充てるということが必要かと思うのでございます。併しながらこの運賃収入運賃値上げの率を算定いたしますに当りましては、運賃法の提案の際にも御説明があつたと思うのでありまするが、要するに運賃値上げは平年度計算において妥当するものでなければならないのでありまして、本年度幾ら不足するかといつて年度だけの辻褄を合せるだけの運賃値上げでは、これは国鉄財政バランスの基礎とはならないと思うのでございます。従つて運賃値上げにつきまして、運輸省或いは政府において国鉄の申請に対してとりました態度は、これはいわゆる平年度における経費増加経営合理化その他によつて如何なる程度に圧縮し、そうして万止むを得ざる部分運賃値上げに求めると、かような態度になつたわけでございます。そこで本年度の問題でございまするが、御承知のように只今お願いいたしております運賃値上げは十一月一日から予定しておりまするので、これは平年度運賃値上げ増収に比較いたしますと、増収分は僅かに十二分の五と相成るわけでございます。なお併しながら一方の経費増加のほうを見ますると、これは必ずしも十一月一日から増加するわけではないのであります。物価騰貴のごときは殆んど年度当初からこれの影響を受けておるわけでございます。そこで本年度経費増加額は約大体二百八十九億円と物価騰貴の額は見ておるのでございまするが、これは後ほど御説明申上げまするが、結局この物価騰貴の額に対しまして、すでに貯蔵品等の安い購入価格で仕入れましたものを使うことによりまして、このうちから約五十億程度の節減をいたしておるわけでございます。一応物価騰貴によりましては二百八十九億円と相成つておるわけでございます。  それから給与改訂でございまするが、これは調停案趣旨則つて一万八百二十四円ベースといたしまするが、これを四月から実施いたしまするには、財源関係上如何にしても不足なのでございまするので、一応八月から実施するものといたしまして、九十六億円を計上いたした次第でございます。  それから輸送力増加につきましては、先ほど申上げましたように、旅客につきましては一〇・八%、貨物は一七・二%と極めて莫大な輸送量増加があるのでございます。これには全然経費なしというわけには参り兼ねる、当然列車に焚きます石炭費用その他人件費等につきましては相当費用があるわけでございます。これが約八十億円の予想でございます。なおそのほか今般政府におきまして人員整理ということを行なつておりまするが、国鉄におきましても目下輸送量状態から見まして、必ずしも人員整理の余地ありとは言えないのでございまするが、併しながらなお経営合理化いたしまして、できるだけ経費を少くいたしまして、国民の負担を軽減することはこれは国鉄当局といたしましても当然のことでございます。この点に対しまして、この趣旨則つて若干の人員の縮減をいたすことに考えておりますが、それに要しまする退職手当経費、本年度におきましては、むしろ退職手当等経費増加いたしまして、その経費約九億円と相成るわけでございまして、結局四百七十四億円の経費増加と相成るわけでございます。併しながら一方経営合理化等によりまして七十五億円の削減をいたしておるのでありますが、これは先ほど申上げましたように、安い購入単価で仕入れましたものを使うことによりますものと、石炭消費節約をなお一層行いまして、約二十億円の財源を見込むということによりまして、七十五億円このうちから削りまして、大体四百七十四億円を三百九十九億円の増加を以て食い止めたい、かように考えた次第でございます。  一方収入のほうは、運輸量増加に伴いまして旅客におきましては六十四億円、貨物におきましては百十七億円、なお雑収入がほかに二十二億円の増収が見込まれますので、従いまして結局これはこの増収と申しまするのは、自然増収に対する現在の運賃だけの問題でございます。運賃値上による増収ではございませんので、この点誤解のないように御了承願いたいと思いますが、現在の運賃ベースで言いましても、運輸量増加によりましてほぼ百八十数億の増収が見込まれるわけでございます。そこでこの自然増収と、それから昭和二十五年度利益金のうちから二十三億円を受入れまして、二百二十六億円は運賃値上をいたさないでも、大体当初予算よりも財源が殖えるわけでございます。併しこれでは先ほど申上げました三百九十九億円に対しまして、約百七十二億円が不足するわけでございます。この不足額運賃値上によつて補いたい、こういうことでございます。運賃値上の数字只今審議を願つております通り旅客二割五分、貨物三割でございますので、この収入合計は五カ月分で約百七十二億円となりまして、ここに本年度補正予算の収支のバランスがとれる、こういうことに相成るわけでございます。  損益勘定のほうは只今ざつと申上げた通りでございますが、工事勘定のほうにおきましても、同じく物件費が非常に高騰いたしておりまするので、予定通り工事は到底できないわけでございますが、当初予算でお願いいたしましたのは三百十二億円でございますので、国鉄といたしましては、この三百十二億円の枠内におきまして実行的にいろいろやり繰りをいたしまして、御承認を願いました項目のうちでも或る程度繰延べのできるものは繰延べをする、着手にならないで見送つておくというようなことで、且つその代り緊急な工事はできるだけ物価騰貴等で当初の予算額を超えても行いたいというような考え方でやつて参つたわけでございまするが、結局当初予算でお願いいたしました工事を全部これを行うためには、普通二百七十億程度資金の、物価騰貴だけでは百六十数億でございまするが、全部で二百五十七億、二百六十億程度資金不足でございましたので、これを一応大蔵省要求をいたしたのであります。いろいろ折衝いたしましたが、どうしても運用部資金より充てるべき財源が五十億円しかない、こういうことでございまして、そこで前年度持越資金の十五億円を出しまして、六十五億円しか工事経費追加ができなかつたのであります。従いましてこれだけの追加でございますから、結局本年度工事経費は当初予算の三百十二億にプラスするところの六十五億、合計三百七十七億と相成るわけでございます。それで以て賄わなければならないというような計算になつたわけであります。その結果当初予算のときにいろいろ御説明申上げました項目のうち、若干はこれはどうしても手が付けられないというようなものも出て参つた次第でございまして、誠に遺憾に存ずる次第でございます。で、当初予算のうちでも新線建設として御承認願いました津軽線赤穂線窪川線の三線は、これは工事着手いたしておりまして、ほぼ本年中にこの三線とも完了する運びになつておるのであります物価騰貴のために資金が約一億円ばかり不足いたしまして、これは今回追加になりました六十五億円のうちからこの追加分を出しまして計上いたしまして、この三線の開業は何とか本年中に間に合わせたい、かように考えておる次第でございます。それから電化工事につきましては、高崎線につきましては、できるだけ目下の諸般の事情から早く完結して電気運転の開始を急ぎたい、かような考え方で、結局これに対しましても、年度内の完遂のために当初予算より十三億円を追加いたしまして、これによりまして高崎線電化工事年度内に完成さして参りたい、かように考えておるわけでございます。東海道線電化工事につきましては、当初五億円の予算を御承認願つたのであります。物価騰貴のために着手は非常に困難を極めめておりました。今回の補正予算におきまして当初予算通りの、一応当初予算額についてだけの財源は確保し得たわけでございます。車両につきましては、貨車新造は当初予算四千六百両程度でございましたが、これはワム換算でございますが、これを現在までに約五千両の発注をいたしておりますが、これは甚だ大胆ではございましたが、追加予算の、或る程度追加財源が得られるということを期待いたして行なつた次第でございます。なお今回の追加財源の確定に伴いまして、七百両程度増加いたしまして、五千七百両ということで今回の予算を組みました。従つてその経費増加車両数増加と合せまして、三十一億円が追加されておるわけであります。そのほか工事勘定所属職員給与改訂による経費を含めまして、大体六十五億円の経費追加をいたしたのであります。一面その結果といたしまして、他の工事費目につきましては、当初の交付予算よりも減額をいたしておるというような費目もございます。これはお手許に差上げました資料の一番終りの紙に書いてございまするが、従いまして総括して工事予算概略を申上げますれば、一応当初予算で計画した工事のすべてがどうしてもできない。従つて必要止むを得ないものだけをやることにして、特にそのうちでも新線電化のごときものは何とかこれを予定通りにやるようにいたして、その代り一般的な工事費におきまして、相当の犠牲を受けざるを得なかつた貨車につきましては、当初の予定数量はほぼ充足し得ましたが、その後の輸送量増加に伴いまして、必要と思われました八千両乃至九千両の増加はできなかつたのでございます。併し国鉄当局におきまする輸送能力の向上の方策と相待ちまして、ほぼこの車両数を以ちまして、予定輸送数量は確保し得る、かように考えている次第でございます。  甚だ概略で申訳ございませんが、一応補正予算の御説明をいたしました。詳細に亘りましては御質問によつて補足させて頂きたいと思います。
  6. 内村清次

    内村清次君 二十五年度予算が決定いたしましたときに、当時の情勢からいたしまして、年度末までの国鉄予算が必ず大幅な補正がされるのではなかろうかということは私も懸念しておつたのでありまするが、今回の補正によりまして、大蔵省基本方針としては物価値上りによるところの補正は認めないというようなことを伺つてつたわけであります。これは大蔵省の、今日は責任者も来ておりませんことでありますが、折衝過程におきまして、この国鉄予算に対する物件費値上りに対しての補正は、どういうふうな大蔵省考え方であつたか、いわゆる他省関係人件物件費値上りに対する考え方をどのように考えをしておつたかということが第一点であります。勿論私といたしましても現業企業でありまするし、殊に又運輸収入を対象としての経費増加ということは当然考えなくてはならない企業性格を持つておりますが、何分の値上りはこれはやはり考えなくてはならないと私は思つております。併し先ほど説明によりますと、平年度経費増加、これを見通して今回の運賃値上げというものが考えられるとしたならば、これは総括的に二十六年度から二十七年度考え方についても、これはよく愼重に考えて、今回の運賃値上げというものを考慮しなくちやならない問題でありますからして、そういう点も考えを及ぼして、運賃値上げ基本方針を定めたかどうか、この二点を先ずお伺いしたい。
  7. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 今回の補正予算については物価騰貴は認めないというような大蔵省方針というのは私聞いておらないのでありまして、これはこの前通常国会のときに、当初予算につきましては、まだ物価の変動は大蔵省としては考慮に入れないのだという言い方をしておつたと思うのであります。それを今回のこの補正予算では改めたものと私は思つております。従いましてほかの省の予算につきましても、物件費の高騰或いは人件費増加ということが中心となつて補正予算は組まれたものだと承知いたしております。それから運賃値上げ見通しでございまするが、運賃値上げ先ほど説明申しましたように、本年度辻褄を合せるということでなくして、国有鉄道財政状態の本格的なバランスをとるためにやつたのでございまするが、平年度計算と申しまするのは、一応本二十六年度を平年に引伸ばした、いわゆる架空の状態における計算でございまするが、経済状態さえ変化がなければ、これがそのまま二十七年度、二十八年度に当嵌つて、妥当な結果を得るという確信の下でやつているわけでございます。
  8. 内村清次

    内村清次君 これは第一点の答弁に対しましても、勿論先ほどもいつたように今日責任者がおりませんから、一応別の予算委員会その他で大蔵大臣考え方も聞きたいと思いますが、各省から勿論特別会計も含めての予算補正要求というものは相当厖大な額が要求されたはずであります。それを大蔵省で整理する上については物件費値上りというものはこれは認めない、これは節約を以て、その部内の節約を以てやるということが基本的に大蔵大臣渡米前の考え方であつたはずであります。そのために補正の額というものを総体的に或いは四百億か乃至五百億でこれらを収縮して行こうというのが、今回まあ千数億の金になつて補正されているのでありまするが、これは当初国鉄からも補正予算を出したはずであります。この数字についても私は仄聞いたしておりまするが、そういうような予算を出して、今回の補正された、認可されたところの補正決定額というものとは相当数字が違つているはずです。今石井さんの答弁を聞いてみると、政府のほうでは物件費値上りは何ら考慮する必要はない、今後はどれだけでも値上りに応じて予算は組むというのなら、まだ私たちは要求したいところの額を持つておるはずです。又貨車新造についても、これだけではどうしても国民要請にはちつとも達しないという基本的な考え方も持つておる、同時に又国鉄もそうであろうと思うのです。これはまあ陸運議員その他のこれに協力しつつあるところの議員に訴えたところの要請書から見ても、まだ相当数字の開きが違うはずです。そういう点を考えて見ますると、あなたのほうで先ほどの御答弁は誠に何というか安易な考え方でやつておる、通り一遍の答弁であるように認めますが、どうですか。
  9. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 大蔵省物件費を認めないと、或いは大蔵大臣が言われておるとすると、私の考えるところでは、これはいわゆる庁中用品雑消耗品というような事業費、これは一般行政官庁では物件費は大部分それに該当する。国鉄のような企業官庁でございまするから、鋼材とか、木材とか、或いは石炭とかいう生産資材が問題になる。純粋に行政官庁だけですと、そういう点だけが物件費の主なものになろうかと思うのです。そういうものにつきましては、これはもうできるだけ節約して、単価上つたからといつても、一枚の紙は裏も使うというようなことで儉約して予算を増さないようにするのが国民に対する義務であるということで、そういう点についてのものは原則として認めないという方針大蔵省が査定しておるということは承知いたしております。国鉄予算につきましても同じことでございまして、いわゆるこの予算の上では業務費となつております庁中用品という種類のものにつきましては、大蔵省といたしましても、特殊な物件以外は値上りを認めておらないわけでございます。それから貨車の問題のお話がございましたが、工事費物価騰貴関係につきましては、これは先ほど申上げましたように、結局財源に帰着するものでございまして、全部当初予算予定いたしました工事ができ上らない、誠に残念であるということは申上げた通りでございます。ただ貨車につきましては、当初予算予定いたしました両数に対しましての物価騰貴は当然認めたわけでございます。ただそのほかに幾ら追加して増備すべきかという点につきましては、これは各方面の御要望に十二分にお答えするだけの数量には相成らなかつた。併しながら私どもはまあ一応この程度の増減ができますれば、只今予定されておりまするところの輸送数量を達成するには、まあどうやらやつて行けるという自信を持つことができると、かよう御説明を申上げたのでございまして、決して通り一遍の説明を申上げておるつもりではございません。
  10. 内村清次

    内村清次君 これは今日は三木経理局長も見えておりまするが、補正要求した額、それから大蔵省折衝過程の基本的な考え方、これあたりについて一つ三木局長から説明を願いたいと思います。
  11. 三木正

    説明員三木正君) 工事勘定につきましては、先ほど石井鉄道部長からお話がございました通り、二百五十七億の要求をいたしました。その内容は新線建設費二十五億、貨車増備九千三百等のようなものと、原価の繰上げというようなものが主でございまして、そのほかに一部工事の繰延べをやつてなお足りない。物価値上りをカバーするものというようなものでお願いしたのでございますが、先ほどお話がございました通り、五十億円の借入金増加と、十四億余りの昨年度の支給ができる剰余金を使用するほか、調整資金として十数年前に改良工事調整資金という項目で積立てておりました千五百万円を合せまして、六十五億というような予算になつております。それから損益勘定のほうにおきましては、人件費におきましては私どもは調停案のように四月から調停案の実施できる額を要求しまして、それが給与ばかりでなく工事勘定、中間勘定全部を合せまして、更にそれに給与ベース改訂によりまする共済組合の補給金或いは超過勤務の増加というものを含めまして、百六十三億の要求をいたしたのでございますが、今回値上げが十一月になりましたために、今年度は非常に苦しいものでございますから、大体八月から実施できるような数字でございまする百億余りの額が認められたわけであります。そのうち損益勘定に所属いたしますものが、先ほど説明にありました九十億でございますが、そのほかに工事勘定で二億余りつたと思います。それと中間勘定の十数億というものと合しまして百十億足らずが認められたということでございます。それから物件費につきましては、先ほど石井部長からお話がありました通り、私どもは四月末、五月初めの実際に購入しました單価を基礎にいたしまして、所要数量値上りをかけまして、大体平均しまして従量平均しますと、約七七%の値上りになるので、それだけの増加をお願いいたしたのでございます。丁度予算の査定中にグレー・マーケツトの物価がだんだんと下押しして参りまして、我々の買います工場建値のものも横這いになりまして、或いは中には一部上つたものもないではございませんが、加工したものもできて来たような状態でありましたし、グレー・マーケツトのほうのと言いますか、工場建値乃至市中の価格というものは、相当綿糸のごときものは暴落したような状態でございますので、政府におかれては四月末、五月初めの物価を以てそのまま採用することはよろしくないというので、約六五%程度値上りを認められたということになつております。それで約四十億円の値上りになつております。併し石炭はその当時よりも現実に下期に契約をいたしましたものが非常に高かつたので、その石炭値上りは認めてあります。それから修繕並びに動力用の石炭修繕費につきましては、材料費につきましては、そういう査定を受けております、業務費につきましては、先ほど石井部長からもお話がありました通り、庁中用品というものに類するものは、物価値上り節約を以て賄い、一般会計の方針従つてその通り査定を受けております。ただ切符でありますとか、或いは貨物通知書のようなもの、或いは車両に使います油脂であるとか、ウエイストであるとか、そういうものを特定用品と私ども呼んでおりますが、そういう業務に直接関係のある費用、更には私ども経理の担当者として帳簿を付けまする帳簿の類というようなものは実際の値上り率を見てもらつておりますが、その他の特定用品以外の業務費は全部据置ということで、今非常に苦しい、従事員の諸君も非常に最近は節約に努めてくれており、非常に不自由をかけておるのでありますが、更に節約を強行しなければならない、こういうような予算になつております。
  12. 内村清次

    内村清次君 私が質問いたしたのは工事勘定損益勘定合せてどれぐらいの増額を要求してですよ、そうして大蔵省がどれぐらいに認めたかというその額の問題と、それからそのときの大蔵省の即ち考え方はどうであつたか、勿論結果においては幾らかの物価値上りはこれは認めておるはずです。それが幾らであつたかということをお尋ねしたのであつて、それを一つ答弁してもらいたいが、今一つはこの物件費値上りは、勿論国鉄の企業経営相当影響いたして来たことは事実として認めますが、問題はこの購入の時期次第によつては、その品目によつて相当国鉄にも用品関係でストツクがあつたはずです。これに対して今年度のその用材関係についてどういう現状であるか、これを総体的な答弁でよろしいんですから、具体的な品目に対する問題は一つ資料として出してもらいたい。この総体的な、どういう買込みの品物が、本年度を潤おすだけの品物を相当物価値上りをしなかつた期間に買つておられたかどうかという問題、これを一つ御答弁をお願いいたしたい、これが第二点。
  13. 三木正

    説明員三木正君) 最初の第一点についてお答えしますが、つまりそう予算要求と申しますのは、そんなに書面でどれだけと、こういうふうにいろいろな数字は作つて折衝いたしますけれども、公式の文書で言うわけでもありませんので、はつきり覚えておりませんが、そういうものを、只今申上げましたようなものを集計いたしますと、人件費で、ですから約五十億、それから修繕費で四十億、それから業務費で二十億ぐらいだと思いますから、合計いたしまして今度の追加予算よりも百十億ほど多かつたと思います。それから第二点でございますが、まあ私どもは凡百の品物を買いますのでありますが、昨年度予算書には、御承知通り持越残高の制限がございまして、百億と制限されておりましたから、百億しか物は持つて越せないわけであります。そういうふうに資金なり、そういう方面の全部の予算は縦横に組合わされておるわけでございます。それで成るべく有効に買うように、百億の範囲内で買うように、努力いたしたのでございます。更に現実に百億と申しますのは、現実に持込まれて、検収されて私どもの貯蔵品になつた額でございますが、そのほかに予算外国庫債務負担行為と申しますか、翌年度支払、翌年度持込みされる品物の購入契約なり、工事の請負契約をする額が予算書に定めてございます。その限度一ぱいに昨年も契約したのでありますが、成るべく早期に物を買う、大体先高のような傾向にございましたので、四月早々納入してもらうように品物の手当、契約をいたしたのでございます。その最も著るしいものは枕木でありまして、枕木が十二月の終りでございましたか、一月の初めでありましたか、百七十五万挺の契約をしたのでございますが、実際は納入が非常な木材値上りが高くて、納入ははかばかしく参りません。契約保証金と申しまして、契約をするときには一割の保証金を支払いまして、若し納入がないときにはそれを頂くことにしておるのですが、その保証金は支払つてもいいからというのでなかなか折衝が付きません。納入状態は非常に悪うございました。要するにその先高を見越しまして、残高一ぱいにものを持ち、それから国庫債務も、車両等につきましても、輸送増に備えて予算一ぱいに年度越しの契約をいたしたような次第でございます。
  14. 内村清次

    内村清次君 先ほどはこの百十億の大体増加というようなことでございましたが、決定額は本年度千七百九十億七千九百万円、そうすると、二十六年度の当初予算が千三百九十一億四千八百万円ですから、大体四百十億ですか、四百億ですかね。これだけであつて、これに只今の百十億を足しますると、五百十億、こういうようなことになりますが、これは国鉄の白書その他の数字を出してみると、七百九十億くらいの予算が計上されておつたようですが、そうすると大分、二百億以上のですな、差が違つておる。数字において相当あなたのほうに食い違いがあるのだな。これはまあ重ねて私質問をしようとは思いませんが、そういう大蔵省にやはり交渉するときには、あなたのほうでも集計がなされて、そういう資料を基本として細目の折衝がなさるるだろうと思うのですが、そういう点はやはり整備しておいてもらいたいと思うですな。それから先ほど石井部長の説明の、この本年度経費増加額のこの予算額と、それからこれが差引本年度分においては不足を生ずる額として百七十二億の不足が出ておるようですが、先ほどのこの運賃改正要項ですね、運賃値上のこの資料提出の要項ですが、この数字相当開きがあるようですね。これで見ると差引で四百三十二億が不足するな。こういうような資料が出ておるのですが、これはどちらが本当ですか。
  15. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 両方とも本当でございます。運賃改正要項のは、先ほども申上げました通り、本二十六年度経費は、平年度に換算いたしまして計算した結果に基いて運賃値上げを決定したのでありまして、補正予算のほうは現実に本年度における負担経費の算定でございますが、その点の誤解のないように私は一生懸命に申上げたつもりでございますが、残念ながら誤解を頂いたことは一番遺憾と存ずる次第であります。
  16. 内村清次

    内村清次君 そうすると、これは津田局長にお願いしたいのですが、まあ石井さんでもいいのですけれども、まあ全般の物価値上り、この見通しですね、見通しはどういうふうに考えて、こういうその値上げというものが頻繁に起るようでは、これは国民はたまつたものではない。不安であります。そこでですよ。どういう見通しでこの平年度予算というものがまあ編成されようとしておるか。又今回の値上げというものがそれにマツチして国鉄の企業経費見通し考えておられるか。この点一つ。
  17. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 只今質問の点につきましても、先ほど説明の中に申上げたと思つておるのでございまするが、要するに国鉄経営の基礎を堅実ならしめるという見地から運賃値上げをお願いいたしておるのでございます。よほど異常な物価の変動がない限り、二十七年度或いは二十八年度続きましても、この運賃値上の運賃率を以て予算が十分組んで行ける、かような考え方計算をいたしておるのでありまして、従いましてちよつと物価上つたからすぐ運賃値上げをお願いしなけりやならんという問題はないと思うのでございます。併しながら一般的な経済情勢が非常に変つて参りますれば、これ又止むを得ないことと存じておる次第でございます。
  18. 内村清次

    内村清次君 そこでですね、先ほど説明では、この改正要領と今回のこの補正予算説明は、大体数字的にも一致しておるのだと、こういう話ですが、まだ私は納得行かない点も二、三ある。ただこの点は資料でもいいですが、石炭の問題は物件費に占める要素というものは相当大きい。二十五年度で一三%を占めておるというようなことが資料で出ておるのですが、このように物件費の大宗ともなるべき諸品目に対する経費において占める割合、これを至急一つ資料を出してもらいたい。いいですね。それから今回政府から借入れられたところの五十億、この五十億は勿論これは工事勘定のほうに使つておられるようですが、その使用別の状態、これを一つここで説明してもらいたい。どういうふうに使用されたか。
  19. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) お手許に差上げました資料の第三枚、一番終いの紙を御覧願えれば詳細にそこに書いてあるのでございまするが、この資料の一番初めの欄に、おわかりになりましたか。昭和二十六年度日本国有鉄道工事経費補正予算というやつでございます。これの一番初めの欄が当初御承認を願いましたいわゆる三百十二億の予算の内訳でございます。で、これに新線建設で申しますと、三億二千六百万円と相成つておりまするが、これが先ほど申上げましたように物価騰貴上どうも止むを得ないので、結局一億一千百二十四万四千円というものを今度補正増加いたしたわけでございます。それから電化設備費は、これは二十五億三千六百万円余ございましたが、これに十四億七千八百万円加えまして三十九億六千五百万円ということに相成つております。それから発電設備費では、これは十三億四千万円に対しまして一億三千四百万円を増加いたしておる。それから今度はそれ以外の諸設備でございますが、その中の線路増設は五億二千九百万円に対して五億二千五百万円を増加いたしております。以下かように増加すべきものを増加いたしておるのでありまするが、特に一番問題となつておりますのは、車両費でございますが、車両費は百三十五億二千七百万円の当初予算の御査定を頂いております。これに対しまして三十一億円を追加いたしまして百六十六億円といたしておるわけでございます。そこでそういたしますと、追加すべきものを追加いたしますと、到底所要の財源では間に合わない。そこで遺憾ながらそこに三角が付いてございますように、或る費目については工事を繰延べ、或いは当初の計画を放棄いたしまして削減いたしておるのはあるのでございます。例えば水陸連絡設備費のごとき二億六千九百万円でございますが、これから三千六百万円を減じまして、二億三千二百万円にいたしております。これは先ほど申上げましたように、当初予算から物価騰貴のために全面的に計画通りの実施が困難でございましたので、国鉄部内におきまして実行上やり繰りをいたしておりまして、工事着手を見送つてつたものがあるわけでございます。それを今度の補正予算で正式に計画から落すことをお許し願うと、こういうことでございます。そういう減らされましたのは水陸連絡設備費或いは建築費、通信設備費、無線設備費、電燈電力設備費、工場費、それから自動車費と、こういうものから削らして頂いたのであります。そうして先ほど申上げました新線電化或いは線路改良、車両というような重要な品目のものにつきましては物価騰貴を補い、且つそれにプラスして若干の工事ができるように今回の補正でいたしております。その合計が六十五億円と相成りまして、当初予算に比較いたしますると、これは六十五億円殖えておるわけでございますが、従いましてその追加を認めました五十億円がどこへ嵌つたかというと、こういうふうなやり繰り計算で、而も前年度持越金の十五億と合わせて六十五億と、こうなつておりますので、五十億の色が付いておるわけではございませんので、どれに当嵌つたかと、こうはつきり申上げかねるのでございます。工事予算全体として六十五億増加したというふうに御了承願えたら非常に幸いだと思います。
  20. 内村清次

    内村清次君 今回の補正予算で当然問題になりまする点が、これは重要問題が数点あるのですが、その中の要素といたしまして、国鉄人員整理の問題、この点につきまして、私はもう総裁や運輸大臣には細目の質問を保留しておつたのですが、基本的な考え方は別といたしまして、又政府方針といたしましても、これは別としまして、別に質問をするといたしまして、具体的な数字で整理人員が今回は二万二千二百三十二名と、こういうことに決定いたしておるのですが、これで企業全体の労働管理ができて行くかどうか、こういうようなことでできて行くかどうかということが一点。第二点は、これに対する経費の問題ですが、退職資金その他がどういうふうに今回は出されるのであるかということ、それからこれが職種別に或いは又長期欠勤の整理だとか、こういうような問題で総計において現在の実員数でどのような状態になるかということを明確にしてもらいたい。特に又退職金の問題で総額が非常に膨脹するために、今回のその問題も一つの運賃値上げの要素に入るというようなところまで侵入して来ておるかどうか。そういう影響についても一つ御説明をしてもらいたい。
  21. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 整理人員の二万二千二百三十二人という数字でございますが、これについては私どもの事務的な折衝の経過を申上げて御了承を得たいと思うのであります。御承知のように本年度予算におきましても、大体自然減耗の数字はこれは欠員不補充という方針で当初から予算上も当然減員すべきものという考え方で御承認を頂いておるわけであります。従つて二十六年の四月一日、つまり本年度の初めにおきましては、これは大体四十七万六千五人というのが予算上の人員でございまして、それが年度末には四十六万一千七百二十五人と約一万四千人余、これは減ずるということで実は予算が成立いたしておつたわけでございます。その大体方針に則りまして、国鉄のほうにおきましては新規採用の欠員不補充と申しますか、勿論地域的にどうしてもやつて行けないところは若干例外はございますが、全般的には欠員不補充の方針で押して参りまして、昭和二十六年の九月三十日では四十六万九千人何がしに相成つておるわけなんであります。当初政府のほうに行政管理庁のほうで要求いたしましたのは、先ほど申上げました年度末の四十六万一千七百二十五人から管理部門については二五%、現業部門については五%、結局約三万二千人ほどの減員をしろと、こういう要望が査定であつたんでございます。それに対しましてお話通り現在の国鉄輸送量の増強の現状から見て減員は殆んど不可能であるということを申上げて、この了解を得たのでございます。結局のところ、国鉄だけが行政整理というものと無関係であるということは政府の政策としても甚だ面白からざるものがあるし、又行政整理の円滑な遂行を妨げるというような観点から考え方を変えまして、この一万数千人の自然減耗、すでに予算予定しておりまするものを行政整理とみなそうじやないかと、こういうことに御了承を得たのであります、従いまして現在九月の末までに四千三百人という人間が落ちておる。この減つております人間も整理人員の中に勘定しようということになりまして、年度当初の現在員、これは先ほど申上げました四十七万六千という予算上の人員に比して約三千人ばかり減つておりますが、四十七万三千四百六十二人という数字に対しまして、その事務内容を検討いたしまして、管理部門二五%、現業部門五%という一応の率をかけまして、それで得られました二万六千五百四十三人でございますが、という数字を一応整理人員予定いたしました。それに現在まで減つております四千三百十一人を引いて二万二千二百三十二人という数字国鉄の整理人員として一応計上したわけであります。従いまして結局これは当初予定しておりました自然減耗と欠員不補充による人員の縮減ということを徹底して参りますると、これと今度は長期欠勤者につきましては定員外の扱いをする。決して整理をして退職せしめるということではなくして、定員外の扱いをいたしまして、相当程度の給与をずつと支給いたしまして専心療養に努めるということにいたしまして、これに該当する数、これはまだはつきりわかつておりませんが、一万人から一万三千人ぐらいあるかと思うのであります。そういう数字と睨み合せますると、実際に働いておるかたがたの定員を減らさなければならんというようなことに立至ることは極めて少いのではないかと我々は考えておるのであります。併しながら勿論現在の人員の配置が完全に配置の妙を得ておるとは言い切れないと思うのであります。国鉄当局におきましては、これを機会になお一層人員配置の合理化、不均衡なところを、非常に足りないで困つておる一面、幾らか余裕のある地域も、或いは職種においてそういうものがある。そういうものを均衡化するような方策をとられるというようなこともあろうかと思うのであります。これは国鉄経営内部のことでありまして、人員整理の総枠のこととは関係がないことかと思うのでございます。なお退職金につきましては、只今国会に提出を予定せられておりまする公務員の退職金と同じ例に倣いまして、本年度の末、来年の三月の末までに退職する者につきましては、普通の基準に対しまして八割増、それ以後六月までのものに対しては四割増というこの率を適用するということに大体了解いたしております。それに基きまして本年度補正予算を計上いたしておりまするが、そのために必要な予算追加額は、先ほどの御説明に申上げましたように、損益勘定におきましては一億円を大体予想しておるわけでございます。従いましてこれは臨時的な経費でございまして、運賃計算の基礎にはかような数字は組入れておりません。運賃値上げということは普通の人員の普通の状態において如何なる給与を必要とするかということを基礎といたしまして計算いたしておるわけでございます。運賃値上げにその負担をかけておるということは全然ございません。
  22. 内村清次

    内村清次君 先ほど答弁の中に、実員数において余り影響が少いのだと言つて数字が明確になつておらない。そこでこれはあとで資料としてでよろしいのですから、至急に職種関係に亘つての整理の対象になる数字をこちらに提出してもらいたい。それからこれは予算の一つの大綱ですが、退職金の問題は一応今回の政府のとつた処置については了解する点もあります。ところが長期欠勤者の取扱、この取扱が労働基準法に違反するような取扱をやつたり、或いは又国鉄のまだ団体協約ができておらないが、大体のやつはできておるのですが、その後変転したそういう組合の要望に対する協定というものがまだ完全に実行の段階に行つておらないということを聞いておるのですが、この病欠の整理に対するところの療養の期間の問題、こういう問題については基本的にどういうふうに運輸省考えておるか、この点一つ明確にしてもらいたいということと、それから今回の整理対象に女子職員が、これは資料の中にも是非明記してもらいたいのですが、この女子職員がどれくらいになつておるかということをも加えてもらいたいのでありますが、これは今日の説明としては、運輸省が、どうも私は考えてみると職場の事情を勘案してでも相当女子職員の職場拡大というものは組合員自体にも非常に何と申しましようか、取上げていない。これは共通的に取上げられてある。それが鉄道のほうではやはり封建的な、成るたけ女子職員を締め出そうとする考え方があるようです。こういう考え方で、ただ現業に、女子職員の能力程度を男子の、即ち労力の問題との対比によつてこれと交替させて行こうという考え方は大きな間違いであつて、今日やはりサービスその他の点を考えて行きますると、やはり職場拡大というようなことに転換してもらう要素が私は多分にありはせんかと思うのですが、これに対する考え方を一つ明確にしてもらいたい。
  23. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 職種別の整理人員資料を出せというお話でございまするが、先ほど申上げましたように、実動人員にはさしたる影響はないと私は思つておるのでございまするし、又この整理は公労法の規定に従いまして、当局側と組合側との団体交渉によつて実際の実施を行われるものと存じておりまするから、私どもにさような計画はございませんのです、何も職種別に……。従つて折角の御要求でございまするが、御説明もできなければ、資料の作成もできないことを御了承願いたいと思うのであります。それから女子職員に関する問題でございまするが、女子職員に対して特に整理を強化するというようなことは毛頭考えておりません。ただ今回の退職金の率が非常に高率になりましたために、女子のかたがたでも相当年間お勤めのかたは、この際退職されると或る程度退職金にまとまつた額が御入手になる。そこでみずから進んで結婚等の御準備のためにおやめになるかたも多少は出て来るかのようには、これは噂で聞いておりまするが、そういうことで強要するということは全然ない。特にむしろ電話の交換のかたとか、或いは看護婦のかたがたが、むしろこれでおやめになられては業務運営上非常に困るのではないかと逆に懸念をいたしておるような状態でございます。
  24. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて……。
  25. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて……。
  26. 内村清次

    内村清次君 今石井部長の答弁は、これは全く詭弁ですよ。大体私たちはこの二万何千人かの整理の対象になる人員自体をですね、運輸省が引受けたということ自体についても納得が行かないのです。納得が行かないが、先ほどつた答弁の中では減員数がわからないのだ、恐らく減員数においては、実際に健康で働いておられるかたがたに対して、而もこの整理を希望されておらないというような人たちには恐らく行かないだろう、或いは自分でみずから希望して退職するかたは別といたしましても、整理の対象になるかたはないだろうというから、それでは一つ辞表を提出して、そうして予定せられておるところのいわゆる希望退職者の数もその職種も確かにあるはずだから、今回組合の団体交渉の対象になるところの原案というものは当然鉄道当局が作らなければ交渉の対象にはならないのですが、そういう点はあなたもお見込みのはずだと思いますが、何ら自分たちのほうでは組合との話合いにおいて決定するから……、決定はするでありましよう。何かの状態で決定はするでありましようが、決定する過程についての原案というものはやはり当局が作るのでありますから、この原案を一つここに提出してもらいたいというのは当然な我々の要求であるから、これはあなたのほうで作つて至急に出してもらいたい。それから又女子職員の問題をあなたは逆に言われるようですが、これは事実を以て私は説明するのですが、併しこれを説明しておれば、先ほど委員長からの折角の要望もちよつと時間の関係もあるのですが、ちやんと実員数がわかつておるのですが、この女子職員の趨勢を然らば運輸省が今とつておるこの実員の状態を何と申しますか、戰後でもいいですよ、二十年以降の問題でもいいですがね。いわゆる六十万の職員のおつたときから、いわゆる男子の整理対象と対して、今日の四十六万になつた数字との間でもいいですが、これだけでも女子職員の職場というものがどれほど縮小されたか、こういうことを明らかに言つて、そうしてただ現実の看護婦のかたがたや、これがやめてしまつてもらつちや困るというようなことでは、そういう考え方があるから私は言うのです。それは看護婦のかたがたがやめてもらうことは困るのは当り前の話ですよ。併しこの看護婦のかたがたや或いは又電話のかたがたや、或いは又経理その他のそういう職場のこの女子の職員のかたがたが、この人たちがですよ、やめて行くような情勢を作つておるんじやないですか。作つておりながら、そうしてやめてもらつちや困るというようなことでは、だから基本的に拡大するようなことを一つ考えてもらいたいというのが我々の希望であつて、そういう詭弁を言つてもらつてはいかないのですよ。
  27. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) お叱りを受けまして申訳ございませんが、私がさつきできないと申上げましたのは、整理人員を示せというふうに伺つたから、それはお示しする何ものも持つていないとお答えしたのであります。長期欠勤者が何人くらいになるか、或いは現在員がどうなつておるかという、そういう具体的な実情を示す数字を出せということでございまするならば、できるだけ御要望に副うように資料を整えまして差上げるようにいたしたいと思つております。それから女子職員のことにつきまして、非常にきついお叱りがございましたが、どうも私の申上げておるのも、内村委員も随分誤解になつておられるようにお見受けするのでございます。勿論戰争中非常に女子のかたにたくさん働いて頂いて、たしか私の記憶するところでは全職員の一三%以上にもなつたと思うのであります。これは併し私も当時記憶がございまするが、或いは機関助手までやつて頂いたり、線路工事まで女子のかたにやつて頂いたというようなこともございまするので、それはやはり女子のかたに対しまする適切な職場というものがまあ自然復元しつつあるので、お話のような男子との相対的割合を見ますれば、終戰後から今日まではずつと縮減して参つておるかと思います。これはまあどこの国を見ましても、戰時と戰争が終つて平和になれば当然見られる現象かと思うのです。特に日本だけが封建主議なんだからというふうには私は考えないのでございます。この数字も割合の数字を出せということならわかつておりまするから提出することにいたします。
  28. 前田穰

    前田穰君 只今内村委員質問に関連してお伺いしたいのですけれども、人員整理の二万二千二百三十二人というのは、恐らくは五分ということでもうお引受になつたろうと思うのですが、それを如何にこなすかということは、或いは今後の御研究に待つておられるのかも知れないと思うのですが、引受けられるについては大よその成算がおありになつたのだろうと思う。無論節約し得る部分もあるだろうが、新らしい事業の計画もある。例えば列車の増発とか、そういつたような計画もあるわけなので、相当の配置替えをされる計画であろうと思うのですが、どういう成算で五分の整理を引受けられたかということを我々具体的に承わることができれば結構だと思うのですが、今日まで御研究になつた程度のところで一つお伺いしたい。これは今日は一つ時間も足りないようですから、又の日でいいと思いますが、人員整理についてはそのほかに私固有の御質問もありますけれども、それは後日に讓りたいと思います。それから運賃値上げに関連した部分だけ、この予算について只今お伺いしておきたいと思うのですが、それはこの運賃資料のほうで見ますというと、平年度で四百三十億不足する。そして運賃値上げによつて四百十億まあ増収する。これで二十億不足があるわけなのです。それから昨日伺つたところでは、運賃値上げに伴つて輸送数量の減少は見込んでいないのであると、こういうお話つたのですが、普通長い目で見れば減収はしない。むしろ増収するのであるけれども、差当りとしては数量が減るというのが我々の常識だと思うのですが、それが一切見込んでないということであり、それから自然増収が当初の計画は百三十何億であつたやつが百八十億ばかりに殖えておる、二割数分の自然増収だ、こういつたことで、何だかそこに無理が非常にかかつておるような気持がするのであります。八月に頂いたあれを見ますと、資料を見ますと、この経営費合計が幾らでしたか、一千六百六十億になつておる、それが今度のやつを見るというと、大体百二十億ぐらい節約されることになつておる。そういつた点を考え合すと、元来無理があるような気持がするわけでありますが、そのほかに、昨日からここでも問題になつておる貨物のいろいろな、多少無理かと思われるような品目に対して何か考慮をしておられる、それから私は本日お伺いしようと思つたのですが、航路運賃というものが、どうも少し高過ぎるのじやないかといつたような考えを持つておるのですが、そうすると、しわ寄せは結局その節約をどういうところにするかという点においてかかつて来ると思うのですが、これは今度の表を見ますと、石炭費とそれから修繕費ということにしわ寄せしてあるようにも見えるのですが、これは表面に現われたしわ寄せがその二点である。人件費節約してもそれはどうも表面では何らの判断ができないような仕組になつておる。まあそういつた細目については、これは予算のほうでお伺いしたいと思うのでありますが、運賃値上げと、それからここに書いてある損益勘定だけの予算の収支のバランスは確信があるのかと、後日いろいろ細目について伺いたい前提として、全体としてこの運賃値上げと、この損益勘定経費バランスとはとれる確信がおありになるのかと、こういうことだけを、一つ伺つておきたい。
  29. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 大変不備な資料を差上げまして恐縮でございます。運賃改正の要項の収入は実は今回運賃法の改正によつてお願いし得るものだけを挙げましたために、そこに約二十億の不足が出て御不審を頂いたと思うのであります。実はこのほかに自動車の運賃が、これが本年只今多分十一月かと思いますが、すでに物価庁の認可も出ておりますが、平均三割程度値上げをいたすことになつております。それから郵政省との協定に基きますところの郵便車の料金でございます。これが実は郵政省の財政が非常に苦しかつたために今日まで実費を相償うものをもらう予定になつておりましたのを、まあ率直に申せば泣付かれまして、まあ非常に安い料率でやつておるわけです。ところが郵政省のほうも思切つた料金の値上げをされまして財政の改善を図られました。来年度からは十分な料金を頂きたいということを申入いたしておりまして、大蔵省もこれを了承しておりまするので、その二つのものを合せますると大体この間が埋まる、こういう計算になつておるわけです。
  30. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 委員の諸君に申上げますが、津田説明員は午後から予算委員会に出席を要請されておりますので、できますれば只今津田説明員に対する御質問をして頂いたほうがいいのではないかと思うのですが……。
  31. 岡田信次

    岡田信次君 昨日運輸大臣並びに運輸省当局からいろいろお話があつたんですが、国鉄にお尋ねしたいのは、この運賃値上げ後の輸送サービスの改善に対する具体的なお考えを先ず伺いたいのです。
  32. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) この運賃の改正を今回お願いいたしまするにつきまして、只今岡田委員からの御質問がございましたが、それと同様なお話が運輸審議会或いは運輸審議会が開催されましたところの公聴会におきましても、運賃値上げの前提といたしまして先立つものが、前提となるものが二つある。その一つは経営合理化であり、更にもう一つはサービスの改善であるというお話があつたのでございます。これは又当然の御要請でございまして、国鉄におきましても、この運賃値上げを契機に、従来とも心がけておりましたサービス方面、実質的なサービスの改善につきまして一段と力を盡したいということを考えておるような次第でございます。で、実質的なサービス改善にはいろいろあると思うのでございますが、その二、三につきまして申上げます。実はこの機会に列車の増発、なかんずく従来非常に列車回数の少い地方のローカル線におきまして。もつとフリーケント・サービスを図るべきである、こういうような要請が非常にあつたのでございます。そのような運びにいたしたいと国鉄としても考えておつたのであります。あいにく石炭事情の悪化に丁度ぶつかりまして、考えておりましたような列車の増発ができかねるというような非常に悪い羽目に相成つたのであります。併しながらそれにいたしましても何とかいたしまして、例えば列車の増発にはならないけれど、列車と列車とを繋ぎ合わせるということによつて直通旅客の便を図る、まあ一例を申上げまするならば、従来山陰から東京への直通の客車というものはなかつた。又日光線から東京への直通の客車というものはなかつたのでありますが、こういつたものもこれを機会に考えたいというふうに目下準備をいたしております。そのほか又地方線につきましては、デイーゼル車がだんだんとできて参りますに伴いまして、汽動車の増発を図りたいと目下具体的の計画を進めております。それから客車につきましては、現在まだ一万両の客車の中に三千両余りの木製車があるのでございますが、これの交替化を年次的にやつて行きたい、三年くらいのうちには大体木製車を一掃いたしたいというような計画で進んでいるのでございますが、こういつた方面につきましても一層拍車をかけて行きたいというふうに考えております。なお東京、大阪附近の電車輸送につきましては、更に電車の増車をいたしまして、フリーケンシイを増して行きたいというようなことも考えております。それから又最近非常に好評を博しておりまする特別二等車等につきましては、先ず試験的に従来の何号車という指定だけになつておりますのを、座席指定まで持つて行きたいというようなふうに目下準備を進めているような次第でございます。まあその他従業員の何と申しますか、取扱い方面のサービスの改善につきましては、それが直接大衆、公衆と結び付く第一線でございますので、そういつた方面の旅客、荷主に対するいわゆるサービスにつきましては、更に一層指導を徹底いたして行きたいと、かように考えているような次第でございます。
  33. 岡田信次

    岡田信次君 電力の料金が値上げになつて、今日御承知のような状態なんですが、一つ国鉄運賃値上げに伴なつてああいう二の舞を踏まないように特に一つ御警戒をお願いします。それから津田営業局長運賃改正の要綱において、海陸輸送の調整ということを力説しておられまするが、この海陸輸送の調整は運賃の面からだけでは到底達しないと私考えるのですが、即ち臨港鉄道の敷設であるとか、そういう設備方面も充実しなければならんと思うのでありますが、先ほど予算説明に見ますと、本年度補正予算におきまして、水陸連絡設備場をむしろ削減しているというような状態で、津田局長考えておられるのと相反するような気がするのですが、この点について如何お考えになりますか。
  34. 三木正

    説明員三木正君) よくわからないのでございますが、水陸連絡設備は御承知通り主として石炭だとか、そういう荷役の関係もございますけれども、只今つておりますものはフエリー関係の設備でございまして、宇野、高松間の航路であるとか、或いはそういうところが主力でございます。これは非常に大工事でもありますし、海陸、そういう方面を繰延べをしたという恰好でございますから、仰せのようなことにはならんのじやないかと思います。
  35. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、今の水陸連絡設備のことは、ちよつと私の考え違いだつたらしいのですが、一般の港湾に対する海と陸との連絡というか、接続というか、これに対して一段の力を入れなくては海陸輸送の調整ということがうまく行かんと思うのですが、これに対する営業局長のお考えを伺いたいと思います。
  36. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今の海陸輸送の調整の面から見て、更に港湾関係、なかんずくその中で港湾の中でも鉄道の受持つべき部分を更に充実させよ、こういうような御意向のようでございます。予算等の関係もございますし、又関係する方面もたくさんあるわけでございます。できるだけそういう方向に向つて進みたいと思います。
  37. 岡田信次

    岡田信次君 それから貨物の平均輸送距離が年々非常に延びておる。これは今回の値上げによつて或る程度何というか、低下の傾向に持つて行くことができますかどうか。それからそれに関連して貨車の平均輸送距離と、貨車の運用効率との関係はどういうふうになるか、おわかりでしたらお伺いしたいと思います。若しあれだつたら後刻でも結構です。
  38. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 最近におきまして、と申しまするよりも、戰争の末期並びに終戰後の状況といたしまして、鉄道の貨車の足が従前に……、戰争前に比しまして非常に延びておる。これにはいろいろの原因があるのでございます。例えば非常に取引が何と申しますか、アツプド・デイスと申しますか、その日その日に貨車を入れてもらつて、その日その日に消化して行く。どかつと船腹一ぱい荷物を持つて来るというようなことよりも、まあそういつたような取引或いは生産関係から見て、そのほうが望ましいというようなこともあると思いますが、いずれにいたしましても貨車足は延びております。同じようなものもあります。例えばお米のようなものは大体戰前と今日におきましても同じであります。よく問題になります石灰石のごときは、戰前には四十キロ、四十数キロでありましたものが、この頃は七十数キロに延びておる。こういうようなものもございます。そこで今回の運賃値上げによりまして、私どもといたしましては、できるだけ海陸輸送の調整をしたい。折角日本の国が海運を持ち、又自動車を持つておりますので、それぞれの性能に応じまして適当な輸送分野に、当然あるべきその姿に戻して行きたいということを考えておるのであります。先般お示しいたしました資料によりましても、今回の貨物の三割値上げによりまして、大体海運よりも下るものが同じ物資につきましてあるのでありますが、なお且つ三割程度値上げではまだ鉄道のほうが安いというようなものもあるのでございまして、私どもは只今の御質問に対しましては、今回の三割の値上げは或る程度海陸輸送の調整に資するというふうには考えますが、これによりまして当然輸送機関がおのおの持つべき適切な姿にそのまま戻るというようなことはなかなかにむずかしいものではないか。併しながらそういうほうに海も陸も努力しなければならないというふうに考えております。
  39. 岡田信次

    岡田信次君 今の後段のやつはどうですか。
  40. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) それから後段のものは、いつぞや差上げました国鉄運賃の改正についてという資料の中にも差上げてございましたが、最近の輸送距離と、それから運用効率との実績の姿をですね。これは作りまして差上げたいと思つております。
  41. 岡田信次

    岡田信次君 次は三等定期旅客運賃についてだけ或る程度枠をきめておる。ところが今度できました二等定期にはこの枠がきめられていないというのは何か理由があるわけですか。
  42. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) ちよつと枠と申しますと、どういうことでございますか。
  43. 岡田信次

    岡田信次君 今度の運賃法には何か書いてあつたなあ。
  44. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 二等の定期乘車券を今回設定いたしたのでございますが、三等の定期につきましては、我が国の特別の事情と申しますか、いろいろと社会政策的な意味、又労働政策と申しますか、或いは文教対策と申しますか、そういつたような面から非常に高率な割引をいたしておりまして、運賃法におきましても、条文の詳しい文句をそのまま覚えておりませんが、普通運賃に対しまして五割以上の割引をしなければならんというふうになつておるのでございますが、二等の定期につきましては、今さつき申上げましたようないろいろな国家的な政策からの割引というようなものとは又違いますので、今岡田委員のおつしやいました枠と申しますか、制限というものは法律にないというふうに私は考えておるのでございます。
  45. 岡田信次

    岡田信次君 最後にもう一つお伺いいたしたいのですが、この二等定期券を創設されて、輸送力との関係はどうでしようか。
  46. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今の御質問は御尤もでございまして、今回の割引率、一カ月三割、三カ月三割五分という程度の割引率をきめまする場合にも、現在の二等車の輸送力を勘案いたしまして、その輸送力以上にめちやくちやに殺到するということがない、適当な利用度に抑制をいたしたいという点も考えまして、そのような割引率をきめましたような次第でございます。なお二等定期券発売をいたしまする実際の地方につきましては、只今仰せのありました輸送力をよく勘案いたしまして発売する必要がありますので、国鉄の地方機関におきまして、発売期間を決定させるようなふうに取計らつて頂きたいというふうに考えております。
  47. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私も昨日サービス向上についていろいろ伺つたのでありまするが、只今業局長の、ローカル線について最初ちよつとお話がありましたが、何ら具体的なものが聞き得なかつたのでありますが、私は昨日も申上げたのでありまするが、運行中に自然分解でもするのじやないかというような、命がけのような気持で乘るような箱があるのです。そういうものを早急に改善してもらいたいとか、或いは又急行列車に連絡する主要ローカル線については、場合によつては半分の二等車でも付けてもらつてはどうかというような希望も持つております。それから終列車なども非常に早く引上げられて、一日に出張して帰れるような人が一晩泊らねばならんというような非常な不便を感じておる地帶が相当あるのでありまして、こういうふうな点の改善というようなことを、少し考えてもらいたいのでございますが、只今業局長からのお話では、ローカル線について何らの具体的考えを聞き得なかつたのでありますが、何か計画されておるものがありましたら承わりたい。
  48. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 先ほどもちよつと岡田委員からの御質問に対しまして申上げたつもりでございますが、ローカル線の客車が非常に悪い、又列車の廻りが非常に長いというようなことは、これは現実にさようでございますが、漸次そういつたものも改善をして参りたいというようなことで、例えば汽動車の計画等に、汽動車と申しますと、ガソリン・カーでございます。或いはデイーゼル・カー、そういつた汽動車の運転につきましても、大分各地方の線につきまして、運転の実施をいたしておるのでございますが、今後とも車両ができ上るに伴いまして、一定の計画の下に、汽動車を増強、増発して参りたい、或いは新らしくそこに入れたいというようなことも考えております。又客車も空中分解しそうな客車というお話がございましたが、これ又漸次、勿論一番新らしいやつをそのまま入れるというようなことはないにいたしましても、本線のほうからお下りになつて来ておる、現在の支線に入つておるよりもいいというような客車、例えば更生車というようなものも入れて参りたい。まあこの地方のかたがたに対しては、やはりそこに若干のいい車両と申しますか、更生車のごときものも入れますと、いずれは自分のところもこのような車両によつて全部整備されるというような期待も持たせるというようなことから申しまして、そのようなふうに客車の分配をしたらどうであろうというようなことを部内で話合つておるような次第でございます。なお終車が早いという、最後の列車が早いというようなことにつきましては、これは又全体的に、今回は輸送力の大拡充、列車の増強ということができないことは、先ほど申上げました石炭事情等から申上げまして止むを得ないにいたしましても、具体的な点につきましては、具体的に又御相談をさして頂きたいというふうに考えております。
  49. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これも昨日聞いた点でございますが、今回の運賃値上げについては、ただ現状を維持するに止むを得ない運賃値上げであるのか、積極的なサービス向上その他について考慮を払われたのかどうかという点を聞いたのでありますが、それと関連して、最初三割五分引上案が、旅客運賃二割五分、貨物が三割に結論はなつたようでありますが、国鉄としていろいろ考えられた計画が、これで十分やり得る自信を持つておられるのかどうかということをもう一点承わりたいと思います。
  50. 三木正

    説明員三木正君) 昨日大臣からお話がございました通り、現在のサービスを維持するのに必要な額が計上してありますので、特段にこれによつて新らしい際立つたサービスを向上して行けるという願ではないと心得ます。それから第二点につきましては、先ほど石井部長からお話がありました通り、百億円ばかり違うのであります。私どもが考えました三割五分と、今度法案に載つております三割、二割五分との運賃値上げの率の違いますことによる増収額の差は約百億なのでございますが、その内容は石井君のお話にもございました通り物価値上りを七七%を六五%に見たという点と、それから増収が当時三割五分計上しました時分には五月、六月の実績しかわかつておりませんので、増収額を百三十八億と考えておつたのでございますが、その後七月、八月の実績を見ますと、百八十一億の増収が見られた、そういうことで賄つておるわけであります。更に行政整理というものができまして、それを実施いたしますれば、そこに経費の節減もできる、こういうような点で賄つておる次第でございますから、物価値上り予想通りで参りますならば、最初考えておつたことができるということになると思います。
  51. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を止めて……。
  52. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて……。
  53. 高木正夫

    高木正夫君 営業局長さんに御質問申上げます。質問というよりもむしろ資料のお願いをしたいと思うのでありますが、将来の参考のために伺つておきたいと思うのですが、国有鉄道の現在の発電能力がどのくらいあるか、それから将来のまあ方針と言いますか、計画と言いますか、そういうことを一つ聞かして頂きたいと思います。それと関連して石炭を使う場合と、それから電力を使う場合と、ガソリンを使う場合の、つまり経営費と言いますか、そういうものの比較のようなもの、これは別に急ぐわけじやないのです。それだけ一つお願いしておきます。
  54. 前田穰

    前田穰君 営業局長に一つお伺いか、お願いをしたいのですが、それは昨日監督局長にお願いしたのですがね、貨物運賃の中でいろいろ問題になつておるものがあると、それについて一々お伺いしたいんだけれども、却つてそれよりはあなたのほうは、いろいろな問題について来ているんだろうから、それについて研究されたことを、あなたのほうから積極的に一つここで説明して頂きたい、そのほうが審議の都合上簡便に行くのではないか、こう思うのですが、時間の関係で或いは明日でも結構ですが、それともう一つ、私は航路運賃は一般の鉄道運賃に比較して非常に高いのではないか、これは航路單独の採算関係もあるかも知れないが、若干フイーダーになつておる点も考え得るのではないか、かような考えを持つておるわけなんですが、航路運賃に関して、なぜああいう五割若しくは五割五分以上の値上げをしなければならないのか、そういう説明もそのとき一緒にお願いしたいと思う。
  55. 内村清次

    内村清次君 資料の提出が要求されておりますから、ちよつと私も資料を一つお願いしたいのですが、給与関係の問題であつて、すでに調停案がああやつて出ておる関係で、相当国鉄のほうでも一つの案を持つて組合と交渉中であるか、或いは又は最終決定は別といたしまして、原案があるはずだ、それは級別の問題だね、こういう問題で調停案前の級別と、それから調停案によるところの級別の変更、この変更、給額の変更ですね、それから又それが国鉄が今考えようとしておる、まあ級と号の変更の職種名、これを是非一つ出してもらいたい。それから先ほど要求したところの物件費予算面に現われておるところのパーセンテージですね、それともう一つは、津田営業局長にお願いしたいのは、これはちよつと説明会でもお願いしたように、一人乘車の運賃影響だけではどうしても私たち納得行かない。それであとのほうで別に資料として提出すべきところの影響を統計にとつたものがあるか。例えばこれは給与関係の面に含まれている生計費に対するところの交通費の割合だとかですね、それから一般的にはね返りを予想をするところの貨物運賃旅客運賃値上げが諸物価にはね返りを予想するところのそのパーセンテージ、このあたりがありますならば、これは一遍私たちとつた経験がありますが、そういうようなものを一つ至急出して頂きたい。
  56. 岡田信次

    岡田信次君 経理局長に伺いたいのですが、補正予算の中の給与改訂に関する費用の九十六億中には、年末手当というか、越年資金というのか、それが入つているのですか、どうですか。
  57. 三木正

    説明員三木正君) 入つておりません。
  58. 岡田信次

    岡田信次君 これを出さなくても大体済むというお見通しですか。
  59. 三木正

    説明員三木正君) 調停案御自身が、平均月収ですね、一万八百二十四円ということになつておりますので、それに必要な経費を現実に支給いたします場合は組合と相談しなければならんと思いますが、八月からもう、大体八月から実施できる計画ができ上つておりますから、現実に相談してきまりますのは、相当あとだろうと思いますから、年末はその中の一部が概算払いというか、そういう支払いになるだろうと思いますけれども、計算の基礎としては入つておりません。
  60. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは午後に続行いたして暫らく休憩をいたします。先ほどから各委員要求資料につきましては、政府委員或いは説明員のほうにおいて、可能なるものをできるだけ早く御提出願います。  それでは暫らく休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。    午後零時三十分休憩    —————・—————    午後二時三十五分開会
  61. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは午前中に引続いて、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたして質疑を続行いたします。
  62. 内村清次

    内村清次君 運賃改正に対しましての今後の赤字を埋めて行くという考えと、先般の運輸大臣や国鉄総裁のお考え方では、国鉄職員の給与の問題は一応は基本的にはこれが分れた考え方のようでありまして、私はこの点を承わりまして、まあ実はそうあるべきだと、率直に申しましてそう思つておりますが、要点はこの国鉄の中央委員会でも実はこの通告を見てみますると、仲裁裁定を正式の機関で国鉄総裁の申込を了承したというようなことでありまして、ところが一面国鉄職員は非常に最近の状況からして、この給与面に関心が多かればこそ、そういう国会の審議状態あたりを是非直接一つ見たいというところで、これは各管理者には了解の上だろうと思いますが、来ております。これは当然のことだと思いますが、そういう職員全般が心配をいたしておりますことでありますが、こういう委員会の決定というものは重要であります。委員会の様子を聞いてみますと、相当それにも反対者があつた。基本的な考え方につきましては、これは反対して行くという空気のほうが強かつたというようなことでございますが、それにはやはり調停案というものが一つの段階として、仲裁裁定の権威の問題からいたしますと、その下位にあるという考え方が職員の間にあるようでありまして、そういう裁定まで行かずして調停で解決をするということを私は希望いたしておりますが、総裁のお気持を承わつておきたいと思います。
  63. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 給与ベース・アツプの問題、これは私は組合のかたがたに劣らず心配をいたしております。御承知のようないろいろの関係で、なかなか今日鉄道の輸送状態が非常に繁忙を極めております。その間において従業員諸君の苦心は並々ならんものがございますので、給与の問題を解決しまして、安心をして安定した状態で働いて頂くということを私は希望しておるのであります。不幸にして調停は両方で受諾だけはしましたものの、なかなか幅があるものですからきまらない、遂に裁定に持つてつたのでありますけれども、裁定に持つて行きましても、只今内村先生がおつしやるように、できるだけの調停のラインで双方一応受諾しておるのですから何とかして行きたい、かように存じまして、実は裁定の時期等についても、もう少し話があつてもいいわけじやないかという意味で延期を申入れました。ところが組合でも御承知通りなかなか議論があつたようでございますけれども、よく我々の意のあるところをわかつて頂いて、ではそうしようじやないかということで、誠にきまりましたあとは円満に手を握つて、それでは一緒に裁定のほうに申入れをしようというようなことでわかれたような次第でありまして、目下のところまだ組合からもお話がなく、こちらからもお話をいたしておりませんが、御承知のように、どうか調停のラインで何とか話を付けたいと、かように私は念願いたしておる次第であります。
  64. 内村清次

    内村清次君 この裁定延期というのは今まで前例も実はなかつたことで、どちらかと申しますると、今までの慣行からいたしますると、裁定を組合のほうは急ぐというような態度のようであつたようであります。これはまあ前回の経緯からいたしまして、一方は拒否しておる問題でありますからして、組合の気持もわかるのでありまするが、今回はやはり一時延期はいたしましたものの、これにも限度があることと思うのであります。又而も限度がありまする以上は、政治的な考慮も相当微妙であろうと思いますが、総裁のほうではこの延期期間を、これは組合と話して見ないと結論に達するまでには行かないという見通しではございましようが、どのような心組があるか、できますならばこれは一つ、委員のほうはみんな心配しておりまするからして、その点若しも御答弁ができますならばお知らせをして頂きたい。
  65. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 実は内輪を割つて申上げますると、私は十日ぐらいはどうだと、こういう申入れをいたしたのであります。ところがなかなか組合としましてもむずかしい問題があるものでございますから、期間を切ることは困るという考え方であつたのでありましよう。或いはもつと深謀遠慮があつて、総裁は十日なんと言うがそんなことではきまりが付かない、まあ時間を切らないほうがよかろうというような考えであつたかも知れませんが、その間の事情はよくわかりませんが、私が申入れましたところでは、十日ぐらいどうだと、こう言つてあるのです。
  66. 内村清次

    内村清次君 これは私は総裁の申入れが何日であつたか存じませんが、受諾を承認いたしましたのが発効の期日となるか、或いは申込まれたのが発効の期日となるのか存じませんが、この点の考え方はいつでございましたでしようか。
  67. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは明日裁定の期限が来ると、つまり二十一日の日に来るわけだつたのです。それが期限であります。たしか土曜日だつたと思います。二十日の日に私が申入れをして、期日が二十一日でしたか二十二日でしたか……。
  68. 内村清次

    内村清次君 そうすると、仲裁裁定の日にちがその日でございますが、その日から十日間という御予定でございますか。
  69. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) いや、私は十日間と言つたわけではないので、十日くらいでどうかと……。
  70. 内村清次

    内村清次君 その日にちが総裁が申込まれました日にちからですか、或いは仲裁裁定が予定された……。
  71. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) いや、仲裁裁定の期間はこれは延期も何もないわけで、仲裁裁定の日その日から十日くらいでどうかと……。
  72. 内村清次

    内村清次君 わかりました。そういたしますと、大体今月一ぱいはあるという形になるわけでございますね。非常に微妙な問題も含んでおるかと思いますが、一つ最大の努力を両者して頂くように希望いたします。それからもう一点は機構改革の問題でございますが、これもやはり改正をいたしまして、先般お尋ねをいたしましたが、総裁のほうでも考慮中だという御答弁でありましたが、少し具体的にそれがどういう形で今後現われて行くかという一応の公社内での意見がまとまつておるかということが一つでございます。それから伺いますれば、これは仄聞でございますが、相当新らしい考え方を又別に企画中であるということを聞いておるのであります。それは全貌を私が申そうとは思いませんが、職員の例えば係長が今主査になつておりますか、それから前の部長が長ということになつておりますか、こういう現場から直接一般職員が何と言いますか、上級のほうに進路を築きまするポストというものの要望につきまして、この要望が今新らしい試みのために閉されておるのだという話を聞いておるわけでございます。こういうことが話合いがなされておるかどうか、最初の総体的な機構の考え方と、それから新らしい構想がなされておるかどうか伺いたい。
  73. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 国有鉄道の機構の問題については、私は問題を二つに大きく分けて考えられるのではないかと思うのであります。それは一番大きな問題は、日本国有鉄道そのものの性格と申しますか、本質と申しますか、これに対する御疑念でいろいろあり、実際実施して見た暁において一体どこに欠点があるのか、どういうところを改めなければならんかというような、いろいろな御意見があるわけであります。と申しますことは、公共企業体というものはどういうものだ、これをややもすると、公共企業体というものは独立採算制なんだと、これと二つくつつけてお考えになつておられるかたがあるようであります。ところが私考えますのに、独立採算というものは結局収支の均衡を図るということでありまして、これは内村委員承知のように、国有鉄道でなくても、昔の鉄道省の時代でも独立会計でありまして、特別会計でありまして、収入を以て支出を賄う、そうしてそれが足りなかつた場合に、建設の資金、改良の資金に公債を募集して借金をして金を作る、その借金も決して一般会計におぶさつたわけではないので、これは鉄道の負担で元利共に返すという仕組であつたことは御承知通りであります。その点において私は何も公共企業体と昔の国有鉄道とに差異があるとは考えておりません。それから昔はまあ純然たる官庁でありまして、まあそういうことを申上げちや何ですが、私どもがこういうところに罷り出るにしましても、政府委員というようなことで来ておつたのであります。違いは、その辺のところが私は政府委員でないのでありますから、違つておるということで、どうも大した相違はないのです。而も鉄道の公共性なんというものは、官庁であろうが公共企業体であろうが、これはもう政治的に非常に重要な仕事にも関係がある、日本の全体の経済、文化、あらゆる面に重大な関係があるという本質においては変りはないというようなことでありまして、然らばどこをどういうようにして真に公共企業体たらしめるかという問題は、これは非常に重大な問題であると共に、これは私どもが軽々に考えるべき問題ではない。なぜならば、これは日本国有鉄道法という法律の改正の問題になるのであります。でありますから、この点については私はまあ一つの案を考えておるのですが、これも監督官庁である運輸大臣その他のかたによく相談しなければいけないことなんですが、まあ考えれば我々だけで考えて我々だけでやれるものではないので、国会の皆さんを初め朝野の有識のかたがた、こういうかたがたの御意見をよく聞くと、まあこれを性格的に申しましたら、運輸大臣の諮問機関でありますとか、或いは私どもの諮問機関になつて頂くか、それはまだわかりませんが、とにかく委員会を作つて下ごしらえをして、よく練つて、これは考えて行きたいと思います。それからもう一つは、いわゆる昔の現場、管理部、局、本庁という四段制がいいのか、今の三段制の縱割がいいのか、これも一つの機構改革の問題であると思うのでありまして、これについてもなかなかこれは軽々に判断すべきではなくて、実を申せば私などは内村委員承知のように古い経験者でありますから、昔の制度でありますと誠にわかりよくていいのですが、と言つて、それがいいのだと言つて昔の通りつてつたのじや、私は日本国有鉄道の進歩も何もないと思う。やはりこれは新らしい仕組でできた機構なんですから、これを何とか育てて行く、悪いところを捨てて、いいところをとつて行くというふうに持つて行かなければならん。それには私はこの前申上げたかと存じますが、主眼を内部だけからでなしに、外部からこれを見たときに、どういうふうに見られるか、果してこれは便利であるかという点に重点を置いて私は考えて行かなければならないと思います。それからもう一つ考えなければならんことは、私の考えによりますと、これだけのたくさんの局ができるに当りましては、私は本庁と各局或いは隣接局相互の間の情報を迅速にとる。これを言換えれば、通信機関をもつと充実しなければうまい運営は私はできないのじやないか、かように考えておるのであります。で、これらの問題もそういう設備の問題と共によほどよく考えなくちやならん。のみならず、御承知のように政府はその方針として行政整理或いは行政機構の簡素化ということを言われておるのであります。公共企業体ではありますけれども、日本国有鉄道もその精神に則つて、やはり行政機構の簡素化と言いますか、機構の簡素化を図つて能率を高めて、そうして真に国民の鉄道として信頼を得るように私はいたして行かなければならんと思つておる次第であります。でありますから、それらのことをも勘案いたしまして、縦割、横割或いは三段、四段制というものについて、私はこれから考えて行かなければならんと思います。最後のお話は、これは御尤もなお話でありまして、最近におきましては人員の不補充と申しますか、つまり能率を上げるためにできるだけ欠員を補充しないというようなことから、或いは配置転換をやるとか、いろいろなことで、むしろその降職、職を下げられるということこそあれ、上に向つて進級して行くのだという面が非常に少なかつた。これでは私は今までは止むを得なかつたかも知れないが、もはや今日ではむしろそうでなくて、我々も上のほうに昇つて行ける見込があるのだという明るい面も作つて行かなければならんと思つております。これは人間ですから、従業員諸君だつて金だけやればそれで済むのだということは言えないと思う。私はやはりその自分の執る職務、それがだんだんといいところに行くのだ、終いには長になれるのだという、その明るい面がなくては、私は五十万の大衆、四十万の大衆というものを心持ちよく働かせることはできないと存じます。そういう明るい面を今度は開いて参りたいと、かように考えておるのであります。
  74. 内村清次

    内村清次君 最後に誠に今の総裁の考え方は私も同感であります。現実に実は機関助士の進路が塞がつておる、機関士が又勿論進路が塞がつておる、これは各職種別にそういう形でありまして、中には機関助士が一心になつて真黒になつてつておる、機関士の見習の人たちは機関助士で重労働をやつておる、そうして一向進路は塞がれたままであいておらない。そういう面がこれは人間生活であります以上非常に気持の上におきまして、如何に協力態勢を考えつつも毎日の労働面からして、職場環境からして、そういう気持になつて行くのは、これは人間の一つの半面としてあるべき問題であると思います。どうかその点も明るい面を切り開いて頂きたい。それから今回の政府のとりました地方財政の平衡交付金の問題によりまして、相当これは県市町村というようなところは財政が逼迫いたしております。そこで相当その面から来るところの各国会に対する陳情が参つておるようでありますが、こういう地方財政が涸渇をいたして参りますと、自然対象的に国鉄に対する固定資産税の関係、こういう問題の議論がやはり地方的には深刻になつておるようであります。これに対しまして新総裁は勿論この問題は大きな問題としてやはり国会でも論ぜられましたし、地方制度の委員会においても結論も或る程度付いたと思いますが、国鉄の意思も大体決定いたしておると思いますが、総裁はこの問題に対してどういうお考えになつておるか。
  75. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) その問題については、まだ詳しいことを私は承わつておらないのでありまして、でありますが、これは相当むずかしい技術上の問題点もあるようでありますが、理論的にはだんだんやつて来れば、どうも国鉄は公共企業体なんだ、政府じやない、いわゆる地方公共団体ではないのだということになりますと、これはやはり、公平な見地から相当の負担も場合によつては止むを得ないのではないか、かように考えます。
  76. 岡田信次

    岡田信次君 今回の運賃値上げは、いわゆる経営費を辛うじて賄うにとどまつておるという先日来の説明であつたのですが、御尤もだと思います。併し一方国鉄としまして、多少の増費或いは電化の促進だとか、電源の開発、新線の建設なり、停車場の改良なり、設備の改良を積極的にやらなければならない面が非常に多いと思う。そうすると、国鉄当局としてはこれらの財源政府の出資なり、或いは借入金なり、或いは鉄道債券ということに求めるということに相成つておりますが、講和後の国費多端の折を考えますと、これらの財源というものは非常に不安定であろうと、かように考えるのであります。そこで来年度或いは近い将来におきまして、更に運賃を一割なり一割五分値上げして、その分だけは以上申上げたいろいろな設備の改良、改善に充当しようというようなお考えはありませんか、どうか。
  77. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 岡田委員只今お話誠に御尤もだと思うのであります、お仰せの通り今度の運賃値上げは全く経営経費の赤字をなくするという意味合におきまして計上されたものであります。そういう資金面を持たないということではございません。これにつきましては、私はいろいろ議論があると思います。そういうような資産の増加を図る新らしい投資というものを鉄道の利用の対価である運賃で賄うべきものであるかどうかということは、私はいろいろな議論があると思います。それから借入金の問題にいたしましても、これ又なかなかお仰せの通り、今日の一般財界の状況で或いは政府資金に仰ぐにいたしましても、政府資金の内容、財政方針というようないろいろな面で私は愼重に考えなければならん点が多々あると思います。そこで来年度予算を如何にして行くかということにつきましては、目下想を練り、なおこれについては一番大きな関心にあります大蔵大臣からも篤と御意見を伺いまして、大蔵大臣の意向も仰がなければならんと存じておる次第でありますが、御承知通り大蔵大臣は講和会議にお出でになり、帰任匆匆臨時国会、私の就任したのが八月二十五日というようなわけで、まだそこまで至つておりませんので、ただ私の架空の説明をここで申上げて見たところで全く実現性も何もないのでございますから、ここではいずれ通常国会までに何か方針を定めまして、いずれ又本委員会等にも御相談する機会があることと存じますから、そのときにして頂きたいと思います。
  78. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御質疑ございませんか……。それでは質疑はこの程度にいたして、最後にこの二十七日開催の予定になつておりまする国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に関する公聴会に関して、公述人をかねて公告をいたして募集をいたして置きましたが、二十四日の締切までに四十七名応募がありました、そのうちかねて委員会の申合せによつて委員長、理事の間で愼重に審議いたしました結果、只今手許に差上げたような十二名の公述人を選定いたしましたから、この点御報告いたします。大体一名あたり十分間内外で公述をしてもらうつもりでおります。かねて申上げておりまする通り、二十七日午前十時から公聴会を開催いたしますから、委員のかたがたは是非御出席を願いたいと思うのであります。  本日はこれで委員会を散会いたします。    午後三時三分散会