○
説明員(
津田弘孝君) 私、
国鉄の
営業局長の
津田でございます。昨日
運輸大臣から
国鉄の今回の
運賃改正につきまして
提案理由の御
説明がございましたが、それにつきまして若干補足的に
資料について御
説明を申上げたほうが御
審議を頂きます場合に便利ではないかと思いますので、若干お時間を拝借しまして申上げたいと思うのであります。
昨日お
手許に
鉄道貨物運賃改正資料という表を差上げてございますが、この
横書の表について申上げます。昨日
大臣から今回の
運賃改正につきまして、その主たる原因が
朝鮮事変以来の
物価の
騰貴にあるというような御
説明があ
つたのでありますが、それにつきまして、それではどの
程度に
物価が上
つているかという点をこの
資料の四ページについて
御覧を頂きたいと思います。これは
主要資材の
値上り調べが出ておりますが、ここに出ております
品目は
国鉄の所要いたしまする
資材のうちの一部分でございますが、これらにつきましても
御覧になりまするように、
国鉄で使用いたしますところの
資材は
石炭といい、鉄といい、或いは
非鉄金属といい、すべて何と申しますか、時局に非常に
関係の深い
物資ばかりである。
従つてその
物価騰貴の
増嵩の
趨勢も著しいという点を御
参考までに挙げてあります。例えばこの軌条、
レールにつきまして一番上を
御覧になりますと、
購入単価のところに
昭和二十五年の
朝鮮事変が始まります前に本
年度の
予算を編成したのでありますが、その当時の
レールの
価格が二万二千六百円、それがこういつたようなふうに漸次右のほうに追
つて来ますと、
値上りをいたしまして、二十六年の八月、九月と最近におきましては、それが五万一千円に上
つておる。その率は二倍三分というようなふうに上
つておる。なお
レールと
レールとを継ぎ合せますところの
継目板、これにつきましても、
事変前が二万九千五百円のものが六万五千八百円というようなふうにこれ又二倍以上に
値上りをしておる。その他各
品目につきましても非常な四割乃至二十割というような
値上りを示しておる。これが
値上りについての
趨勢の御
参考になるのではないかというふうに考えております。
で、私どもが
運賃の
値上げをいたしまする場合には、それが非常に国民の
社会生活、或いは
国家全体の
産業経済生活にも及ぼすところの
影響が重大でありまするので、非常に慎重な
考慮、あらゆる面からの
検討を加えまして、
お願いをいたさなければならないのでありまするので、先ず
国鉄といたしまして、或いは
運輸省におきましても、いろいろな点から
検討したのでありまするが、ここにはそのうち
三つの点について申上げたいと思うのであります。
先ず第一に
原価計算と申しまするか、
経費の
コストの点から勘案いたしまして、果して
運賃の値上が妥当であるか、又値上をする場合にはどの
程度にすべきであるかという点が第一点であります。
それから第二番目には、
運賃の値上によりまして、
旅客なり、或いは個々の
物資、
貨物がそれぞれ
運賃を
負担するのでありますが、そういつた
お客さんなり
貨物が
運賃の
負担に堪え得るかどうかというような点につきまして、
運賃負担力の点からの
検討を第二にいたしたのであります。
第三番目には凡百の
物資がいろいろな
交通機関によ
つて運ばれる、海により、
自動車により、或いは
鉄道によ
つて運ばれるのでありますが、その場合に
輸送調整と申しまするか、
交通輸送力を最も
国家的見地から見て有効に活用するというような観点からの
考察、なかんずく
海陸輸送の
調整という点から見て
検討を加えたのであります。以上
三つの点につきまして順を追
つて御
説明を申上げたいと思うのであります。
先ず第一の
原価計算、
コストの面から見ての
検討でございまするが、御
参考までにその二十一ページをお開き願いたいと思うのであります。この二十一ページにつきまして
原価の面から見ましてどう
なつているかという点を申上げたいと思います。先ずこの表の
旅客の点から見て頂きますると、ここに「
経費」と「
収入」というふうに分けておりまするが、この「
経費」のところの
旅客の計のところで見て頂きますると、
経費が九百七十六億、それに対しまして
収入が七百七十三億、
収入を分母といたしまして、
経費を分子といたしまして、これに百をかけると
営業計数が百二十六ということに相なるわけでございます。
つまりこのままで参りますると、
旅客におきましては二割六分の
欠損になる。それから
貨物におきましては同じような
見方をいたしまして
経費が九百九十九億、
収入が七百四十七億、
営業計数が百三十四というようなことでございます。そこでこの
数字だけから見ますると、
旅客におきましては約二割六分、
貨物におきましては三割四分、こういつたような
運賃の値上を
旅客、
貨物別に見るとしなければならん。それによ
つて赤字が解消されるということになるわけでございまするが、今回
国鉄といたしましては、当初
旅客、
貨物共に一律に三割五分の値上を
運輸省に対しまして
申請をいたしたのでありますが、
運輸省は慎重に
運輸審議会等の意見を徴しまして、
旅客につきましては二割六分、
貨物につきましては三割というふうに
決定をされて
閣議にかけられ、成案として今回国会の御
審議の運びになるというような段階に
なつておるのであります。これが大体
コストの面から見ましたところの
検討でございます。
その次には
負担力の面から見ましてどうなるかという点であります。先ず
旅客、
貨物別に申上げたいと思うのでありますが、お
手許の
資料の三十三ページを
御覧頂きたいと思います。
旅客につきましては、
定期旅客と一枚一枚
切符を買われる
定期外の
旅客とあるのでございますが、先ず第一に
定期外の
旅客につきましての
負担力の点の
検討でありまするが、ここに
官公吏と
工業勤労者の一月
当りの
賃金の推移と、その時々におけるところの
賃金と、この
勤労者が一枚の
切符を
買つて一回の
旅行に払う
運賃額との
比率を
参考までにと
つて見たのであります。どちらでもよろしうございますが、例えば
工業勤労者に例をとりますと、
工業勤労者の下から四行目ほどの所に六千九百二十一円という
数字がございますが、
昭和二十四年当時に
工業勤労者の一月の
賃金が
平均六千九百二十一円、その際にこの
勤労者が一回の
旅行に払いますところの
運賃が三十七円十四銭でございまして、この
賃金と
運賃とを比べてみますると、その
比率が千分の五・三七ということに相成るわけであります。その同じ
勤労者が今日におきましては、一番下から二行目を見て頂きますると、
賃金が一万九百七十円に上
つている。そうして彼が一回に払う
旅行の
運賃が三十七円九十七銭、下から二行目にございます。でその
比率は千分の三・四六ということに相成るわけであります。この右のほうに
算術がございまするが、それによりまして、この千分の五・三七と千分の三・四六とを比べますると、答えが一五五%と
なつておりますが、この
算術によりましても、
旅客の
運賃を五割五分値上をいたしましても、今日において
昭和二十四年当時の
比率を崩さないということが言えると思うのでありますが、いわんや
国鉄が
運賃値上を
お願いいたしました率の
旅客につきましての三割五分、或いは今回
政府案として
決定に相成りましたところの二割五分に相成りますると、その
比率は
勤労者にと
つて大分有利になるというような
一つの
考察が加えられるのであります。今回の
改正の即ち二割五分の値上によりますると、その
比率が千分の四・三一になるというようなことであります。これは
定期外の
旅客について申上げたのでございまするが、その次に同じような
考察を
定期運賃について申上げたいと思います。それが三十四ページに出ております。同じく
工業勤労者の例によりまして
お話を申上げたいと思うのでありまするが、この
工業勤労者の
昭和二十四年におけるところの
賃金ベースが前と同じように六千九百二十一円でございまして、この
勤労者が一月の
定期を
買つて払いまするところの
運賃が、五月の一日からは四百六十円ということに相成
つております。その
比率が
運賃とを見比べますると、
運賃が百分の六・六五という
数字に相成
つております。この
勤労者が今日におきましては一万九百七十円、その
運賃が四百七十円、四百六十円と四百七十円の違いは、若干最近
距離が極めて僅かでございまするが、
平均距離が延びているというような
関係でございます。その
比率が四・二八、即ちその
比率を見ますると、
比率と申しまするか、
昭和二十四年と今日とを見比べて見ますると、その一番右の隅、下の隅にございまするように、やはり一五五%、五割五分の値上をいたしまして、二十四年当時の
比率に相成るということでございます。これ又
定期外におけると同じように
国鉄は三割五分の
申請、それに対しまして
運輸大臣は二割五分の値上と、又
閣議において
もさように
決定にな
つたのでございまするので、こういつた
考察の面から見まして、
勤労者の
運賃の
負担の
割合は二十四年の当時よりはよく
なつているというような
一つの
見方があると思うのでございます。
同じような
見方を
貨物について申上げたいと思うのでありますが、四十一ページを見て頂きたいと思います。
旅客におけるところと同じような考え方をいたしまして、
主要貨物の
価格の中に占めるところの
運賃の
割合とを見たのであります。先ず
一つの例をお米について申上げますと、一番上にございますが、
昭和十一年当時にはお米を
貨車に積みまして、
貨車一
トン当りのお米の
価格が幾らであつたかという点を見ますると、その当時二百七円でございまして、その当時の
運送距離はお米が二百二十六キロメートルで、当時のお米の
運賃は一
トン当り二円二十八銭、
価格の中に占めるところの
運賃の
割合が百分の一・一、一%一分ということに相成
つております。この二十五の四月は省きまして、二十六年の四月のほうで見て頂きますと、同じお米の
貨車一
トン当りの
価格が四万三千四百四十六円、それに対しまして
運送距離は殆んど十一年当時と変
つておりません。そのお米の
貨車一
トン当りの
価格は三百十七円ということで、
価格の中に占めるところの
運賃の
割合は〇・七ということでございます。従いましてこの一・一と〇・七を比べて頂きますると、五割
程度の値上をいたしましても、十一年当時の
比率を崩すわけではない。同じような
考察をここにございますが、この二十六
品目は
国鉄で運送されまする
物資の主なるものでありまするが、その
価格と
運賃との
比率を
加重平均をとりまして見たのでありまするが、
実数は省きまして、この率のところだけで見て頂きますると、
昭和十一年にはAのところが四%六一ということに相成
つております。それが二十六年の四月にはCのところで二%六八ということに
なつておるのであります。でお米につきましては、
先ほど十一年当時と
運送距離が余り変
つていないということを申上げたのでありますが、
物資によりましては、非常に
輸送距離が延びているものがございます。そういつたものを十一年当時の
平均輸送キロに還元をいたしまして
考察をいたしますると、このDのところで二%○九ということに相成
つております。今回の
改正案によりまして、現在の
輸送距離によ
つて見ますると、このEのところに
価格と
運賃との
割合が百分の三・五二、これらの
物資が
先ほども申上げましたように今日におきましては、相当
輸送距離の延びている物もありますので、その
輸送距離の延びているという点を十一年当時の
輸送距離であつたならばというような
前提で換算をいたしますと、このFのところに二%七四というようなことに相成
つております。このCとか或いはDをAとお比べ頂きますると、二倍近い
運賃の
改正をしても、その
比率を崩さんというようなことになるわけでありますが、今回
国鉄の三割五分の
申請に対しまして、
政府がおきめになりました二割五分というような線に相成りますると、その
比率がここにありまするように二・七四ということでありますので、
価格と
運賃との
比率が以前よりも非常に
物資のために何と申しますか、有利に
なつているという
一つの
見方を申上げたのであります。
今申上げましたのは、
負担力の面からでございまするが、一番最後に
海陸輸送の
調整、或いは海だけでなしに例えば
自動車との
比較なんかどう
なつているかというような点につきまして、四十二ページを
ちよつとお開き頂きたいと思うのであります。四十二ページは
鉄道と船舶と
自動車運賃との変遷についての
実数並びに
指数によ
つてお示しをしてありまするが、
〔
委員長退席、
理事小泉秀吉君
委員長席に著く〕
昭和十一年に
鉄道におきましては、一トン
車扱いの五級二百キロ分、
鉄道で運びまするところの
貨物は十一等級に分類をいたしておりまするが、その
丁度まん中の五級の二百キロ分の一
トン当りの
運賃の
実額で
御覧になりますると、
昭和十一年当時には
運賃が三円十五銭であつたものが、二十六年の四月には四百十二円、
指数で申上げますると、
昭和十一年を百とすると、二十六年の四月は一万三千七十九、
つまり百三十倍の
指数に相成
つておるのであります。これを
汽船について例を申上げますると、
若松、横浜間の
石炭の一
トン当りをと
つて見ますると、
運賃の
実数のほうは省きまして、
指数で
御覧頂きますると、百のものが四万千三百四十六と、
つまり四百倍以上に相成
つておる。
機帆船について
考察いたしますると、
若松、阪神の
石炭の
トン当りで見たのでありまするが、
指数がやはり百に対して二万三千二百、二百三十二倍に
なつている。
トラツクにつきましては、一日一車の
専属制の例によりますると、
昭和十一年の百に対して二万六千、二百六十倍ということに
なつております。
つまり汽船が四百十三倍、
機帆船が二百三十二倍、
トラツク二百六十倍、それに対しまして
国鉄の
運賃の
指数は百三十倍であるのに過ぎないというような点が
一つの御
参考になるのではないかと思うのであります。
四十三ページに
海陸運送費の
比較を例示いたしておるのでありますが、例を
一つ二つ申上げますると、先ず
鉄道の
大宗貨物でありまするところの
石炭について申上げますると、どれでもよろしうございますが、上から三行目の
飯塚、
大阪というような
筑豊炭の例について申上げますると、
鉄道の
現行の
運賃と
諸掛りを加えまして
トン当り千三十八円、
海上の
運賃諸掛りを加えまして千五百五十四円、差額が海のほうが五百十六円高い。
鉄道を百といたしますると、
海上運賃諸掛りが百五十ということに、船のほうが大分高いわけであります。それを今回の
改正によりまして
貨物を三割
値上げするという案によりましても、なお且つ
鉄道を百といたしますると百十九というような
指数で、昨日も
予算委員会で
お話があ
つたのでありまするが、
海上運賃が
鉄道運賃よりも高いというのは非常に変則的な
状況である。これを何とか本来の
輸送の形態に戻さなきやならんというような
お話があ
つたのでありまするが、三割の値上をいたしたのではこの
飯塚、
大阪の例ではまだ船賃のほうが高い。同じ例をもう
一つ下の
飯塚、東京の例について申上げますると、
現行では
鉄道を百といたしました場合に船が百十、三割
国鉄が
運賃の値上をして船がそのままであるとすれば八十八ということで、この場合は船のほうが安くなるというようなことに相成ります。併しながら承わりまするところによりますると、
石炭、
木材等につきましては、
海上運賃もやはり値上をされるというような傾向にありまするので、この
海上、陸上の
輸送の
バランスというものはなかなかとりにくいのでありますが、併しながら
現行におきましては、かようなアン・
バランスな
状況にあ
つて、少くとも多少の
国鉄の
運賃の値上によ
つてできるだけ
バランスをと
つて行くような方向に向いたいということが考えられるわけであります。以上
三つの
考察、即ち
原価計算の面から見まして、又第二には
旅客、
貨物の
負担力の面から見まして、又第三番目には
輸送の
調整というような点からいろいろと
検討をいたしました結果、
国鉄といたしましては、八月の末に
旅客、
貨物共に三割五分の値上を
お願いしたいという
申請に対しまして、
政府といたしましては、
旅客二割五分、
貨物三割というようなふうな査定をされたのであります。
予算関係につきましては、
経理局長から申上げるほうがいいかと思うのでございまするが、三ページを
御覧頂きますると、当初の
予算、
補正額、平
年度という項が分れておるのでありまするが、内容的な点は
経理局長からでも
お願いすることにいたしまして、ただ結末のところだけを申上げますると、
収入が千五百九十五億、現在の
運賃が続けられるならばという
前提であります。それに対しまして、
経営費が二千二十八億、その
欠損が四百三十三億ということに相成りまして、二割五分の
値上げ、
貨物の三割値上によりまして、この四百三十三億の
欠損を
運賃の値上と、なお非常に世上から要求されておりますところの
経営合理化によ
つて埋めて行きたいというような所存でございます。
なお今回の
運賃改正の内容につきまして若干御
説明を申上げまするが、五ページを開いて頂きます。先ず
旅客運賃の
改正要領でありまするが、一番基本になりまするところの
旅客運賃の三等の
賃率でありまするが、
国鉄の
運賃の
計算をいたしまする場合に、
遠距離逓減法を以前からと
つておるのでありまするが、大体百五十キロまでの
賃率が一番高く
なつております。それから百五十一キロから五百キロ、五百一キロから千キロ、千キロ以上というような
賃率の
地帯増につきましては、今回の
改正におきましてもこれに触れることがございませんでした。
〔
理事小泉秀吉君
退席、
委員長着席〕
その
賃率を現在は百五十キロまでが一円四十五銭と
なつておりまするのを、今回
改正を
お願いしたいのは一円八十五銭、
国鉄が三割五分の
申請をいたしました際には、この一円八十五銭のところが一円九十銭に
なつてお
つたのであります。この百五十キロまでの
お客さんの数というものが
国鉄の
旅客輸送量の中で占める
割合というものが圧倒的に多いもので、ここで五銭違いますることが非常に全体の
収入におきまして
影響を及ぼすわけであります。それから百五十一キロから五百キロまでが一円五銭が一円三十銭、それから六十銭が七十銭、四十銭が四十五銭ということに
改正を
お願いしたいと思
つております。よく
鹿児島県とか或いは
北海道のかたがたから
遠距離逓減をもつとしろと、
日本は国が長細いのだから
遠距離旅行をする者のために
運賃を安くしろというような
お話があるのでございますが、これで
御覧になりましても、最初の第一
地帯から
御覧になりますると、
鹿児島辺りが位するところの千キロ以上というところは四分の一以下の四十五銭というような非常に低い
賃率ベースに
なつております。これは
国鉄始ま
つて以来の
運賃の
逓減のカーブを
遠距離につきましては低くしたということに相成
つております。二番目には
最低運賃でありますが、現在は五円でありまするところを、これは最近の通貨の
流通状況とか、或いは
鉄道の
先ほど申上げました
運賃原価、
輸送費とか、或いは
発着費とか、そういつたものを分析いたしまして、
運送原価の点から見ましてこれは七円ほどに相成りまするので、十円に
お願いしたいというのであります。
それから三番目は、これは
端数切上げのことでありまして、大した問題でございません。
それからその次に、
国鉄が経営しておりますところの
航路の
運賃でありまするが、これもここにございまするように、
青凾から始まりまして関門まで
航路を経営しておりまするが、それぞれかような率を以て
運賃の値上をいたしたいというふうに考えております。これも細かい
原価計算並びに民間の
交通船で取
つておられるところの
運賃等を慎重に参酌いたしてきめたのであります。この
値上率が、併し
鉄道の二割五分に対しまして著しく高ま
つて、
平均四割六七分に当
つておるのであります。
それからその次に
鉄道の
定期旅客運賃でありますが、六ページを
御覧頂きますると、これはやはりこの一般の
旅客運賃、一枚々々買われるところの
旅客運賃の
改正に伴いまして
改正をいたしたのでありまするが、その
割引の率、
日本の
国有鉄道につきましては非常に高額な
定期につきましては
運賃の
割引を社会政策的な
見地からいたしておるのでありますが、その
割引率、六割から九割二分に及ぶ高率な
割引率につきましては、今回の
改正におきましてもそのままに存置をいたしたのであります。
それから
定期の
最低運賃が、現在が百円のを百五十円、六十円の
通学定期を百円にするということであります。
それから三番目には、今回二等の
定期運賃を設定いたしまして、その
割引率を一カ月については三割、三カ月は三割五分ということにいたしました。これは三等の
通勤通学定期が非常に社会政策的な
見地から高率な
割引をしているのでございますが、二等につましてはそういつた点の
考慮は三等よりも少くていいのだろうというような
見地から、かような
割引の率を三等に比べては少くいたしたのであります。御承知のように
運賃法によりますれば、
定期運賃は
普通運賃の五割以上の
割引をしなければならんというようなことが謳われておるのでありますが、今回の二等の
定期を設定いたしまするにつきまして、この
運賃法の
改正をその
條項につきまして
お願いをしなければならんという段取りに相成
つております。
航路の
定期旅客運賃も
普通旅客運賃の値上に伴いまして改訂をいたしました。
それから
料金関係でございますが、
特別急行料金、
普通急行料金、
準急料金、これも大体
旅客運賃の
改正に伴いまして三割、二割五分、三割、これはまあラウンド・ナンバーにするというような
関係もありまして、その
程度の値上に
なつております。
寝台料金はここにございますように、これは余り大衆的なものではありませんが、それぞれ別表にありますような
料金の値上を
お願いいたしております。
それからハの特別二等
車料金、これは俗に特別二等車と言
つておりますが、現在は
距離に
関係なしに一律に百円、
鹿児島まで参りましても
北海道まで参りましても百円というようなのは余りに設備に対しまして安過ぎるというようなことが言われてお
つたのでありまするので、今回は急行
料金の刻みに準じまして、三百キロまでが二百円、六百キロまでが三百円、千二百キロまでが四百円、千二百キロ以上が五百円というような刻みにいたしまして、
距離によりまして
料金の違いを作
つたのであります。
それから七ページの小荷物の
運賃でありまするが、小荷物の
運賃につきましては大体
現行の
賃率、これも
地帯ごとに
賃率がきま
つておるのでありますが、これ又大体
平均三割の値上をいたしたいということであります。それから新聞雑誌につきましては、これは非常に沿革的な経緯を辿
つておりまして、明治の時代から三十何年ですか、数十年変更がなかつた、終戦後に若干変えたのでありますが、現在は非常に
原価を割
つて安い
運賃、
つまり新聞紙で申し上げますると、重量に
関係なしに一キログラム一円ということに相成
つております。それから雑誌につきましては一キログラム三円ということに相成
つております。それを今回は一円五十銭、雑誌につきましては四円ということに改めた。
国鉄といたしましては、非常に新聞雑誌につきまして
原価割れがひどい、例えば
原価の点から申上げますると、新聞紙の
運賃のごとき、現在の八倍ぐらいに
お願いしなければならんということでありますが、新聞とか或いは雑誌の持つところの文化性と申しますか、に鑑みまして、今回は
国鉄は大体十割
値上げを両方とも
お願いしたいと思
つておりましたが、
運輸省では一円五十銭、又雑誌につきましては四円というような
改正をされることに相成
つたのであります。
それから八ページの
貨物の
改正要領でありますが、これ又
貨物は車扱と一車の貸切扱と小口扱に分れておるのでございますが、車扱につきまして
賃率が三割の
値上げをいたしておるのであります。それから等級につきましては、等級の
指数と申しますか、一級から十一級ありまするその等級間の格差につきましては、
現行通りといたしました。それから
最低運賃が
貨車につきましてもきま
つておりますが、これも大型、中型、小型に、型に従いましてここに書いてありまするような
改正を二割から、小型におきましては三割
程度になりますが、その
程度の
最低運賃の
改正を
お願いしたい、
平均二割六分に
なつております。小口扱につきましてはやはり車扱と同じように三割の値上をいたしまして、
最低運賃を七十円を八十円にするというようなことを考えております。
以上申上げました点が、
国鉄が今回
運賃の
改正をいたしたい理由と申しますか、或いは背景と申しますか、それを申上げまして御理解に一応若干の御便宜になるのではないかと思うのであります。並びに
改正の要領をかいつまんで申上げまして、私の昨日の
運輸大臣の
提案理由についての補足的な御
説明を終りたいと思います