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1951-10-19 第12回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十九日(金曜日)    午前十時三十四分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十月十八日委員松浦定義君辞任につ き、その補欠として大山郁夫君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            小泉 秀吉君            前田  穰君    委員            石原幹市郎君            仁田 竹一君            内村 清次君            カニエ邦彦君            小酒井義男君            高木 正夫君            村上 義一君           前之園喜一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道経    理局長     三木  正君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは只今から開会いたします。  先ず委員の交代について申上げたいと思いますが、松浦委員運輸委員を辞任されまして、その代りに大山郁夫君が委員となりましたから、この点御報告をいたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  3. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて下さい。  それでは国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質議のおありのかたは御質疑を願いまするが、只今国鉄総裁がすぐに出席になるはずでありまするのが、その前に監督局長営業局長経理局長が御出席でありますから、御質問によつて適当に御答弁願いたいと思います。  それでは昨日運輸大臣から提案理由説明がありましたが、それに関連し、又それを補足して御説明を申上げたいということでありますから、さよう取計らいましたら如何かと思いますが、如何でございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) では、どうぞ。
  5. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 私、国鉄営業局長津田でございます。昨日運輸大臣から国鉄の今回の運賃改正につきまして提案理由の御説明がございましたが、それにつきまして若干補足的に資料について御説明を申上げたほうが御審議を頂きます場合に便利ではないかと思いますので、若干お時間を拝借しまして申上げたいと思うのであります。  昨日お手許鉄道貨物運賃改正資料という表を差上げてございますが、この横書の表について申上げます。昨日大臣から今回の運賃改正につきまして、その主たる原因が朝鮮事変以来の物価騰貴にあるというような御説明があつたのでありますが、それにつきまして、それではどの程度物価が上つているかという点をこの資料の四ページについて御覧を頂きたいと思います。これは主要資材値上り調べが出ておりますが、ここに出ております品目国鉄の所要いたしまする資材のうちの一部分でございますが、これらにつきましても御覧になりまするように、国鉄で使用いたしますところの資材石炭といい、鉄といい、或いは非鉄金属といい、すべて何と申しますか、時局に非常に関係の深い物資ばかりである。従つてその物価騰貴増嵩趨勢も著しいという点を御参考までに挙げてあります。例えばこの軌条、レールにつきまして一番上を御覧になりますと、購入単価のところに昭和二十五年の朝鮮事変が始まります前に本年度予算を編成したのでありますが、その当時のレール価格が二万二千六百円、それがこういつたようなふうに漸次右のほうに追つて来ますと、値上りをいたしまして、二十六年の八月、九月と最近におきましては、それが五万一千円に上つておる。その率は二倍三分というようなふうに上つておる。なおレールレールとを継ぎ合せますところの継目板、これにつきましても、事変前が二万九千五百円のものが六万五千八百円というようなふうにこれ又二倍以上に値上りをしておる。その他各品目につきましても非常な四割乃至二十割というような値上りを示しておる。これが値上りについての趨勢の御参考になるのではないかというふうに考えております。  で、私どもが運賃値上げをいたしまする場合には、それが非常に国民の社会生活、或いは国家全体の産業経済生活にも及ぼすところの影響が重大でありまするので、非常に慎重な考慮、あらゆる面からの検討を加えまして、お願いをいたさなければならないのでありまするので、先ず国鉄といたしまして、或いは運輸省におきましても、いろいろな点から検討したのでありまするが、ここにはそのうち三つの点について申上げたいと思うのであります。  先ず第一に原価計算と申しまするか、経費コストの点から勘案いたしまして、果して運賃の値上が妥当であるか、又値上をする場合にはどの程度にすべきであるかという点が第一点であります。  それから第二番目には、運賃の値上によりまして、旅客なり、或いは個々の物資貨物がそれぞれ運賃負担するのでありますが、そういつたお客さんなり貨物運賃負担に堪え得るかどうかというような点につきまして、運賃負担力の点からの検討を第二にいたしたのであります。  第三番目には凡百の物資がいろいろな交通機関によつて運ばれる、海により、自動車により、或いは鉄道によつて運ばれるのでありますが、その場合に輸送調整と申しまするか、交通輸送力を最も国家的見地から見て有効に活用するというような観点からの考察、なかんずく海陸輸送調整という点から見て検討を加えたのであります。以上三つの点につきまして順を追つて説明を申上げたいと思うのであります。  先ず第一の原価計算コストの面から見ての検討でございまするが、御参考までにその二十一ページをお開き願いたいと思うのであります。この二十一ページにつきまして原価の面から見ましてどうなつているかという点を申上げたいと思います。先ずこの表の旅客の点から見て頂きますると、ここに「経費」と「収入」というふうに分けておりまするが、この「経費」のところの旅客の計のところで見て頂きますると、経費が九百七十六億、それに対しまして収入が七百七十三億、収入を分母といたしまして、経費を分子といたしまして、これに百をかけると営業計数が百二十六ということに相なるわけでございます。つまりこのままで参りますると、旅客におきましては二割六分の欠損になる。それから貨物におきましては同じような見方をいたしまして経費が九百九十九億、収入が七百四十七億、営業計数が百三十四というようなことでございます。そこでこの数字だけから見ますると、旅客におきましては約二割六分、貨物におきましては三割四分、こういつたような運賃の値上を旅客貨物別に見るとしなければならん。それによつて赤字が解消されるということになるわけでございまするが、今回国鉄といたしましては、当初旅客貨物共に一律に三割五分の値上を運輸省に対しまして申請をいたしたのでありますが、運輸省は慎重に運輸審議会等の意見を徴しまして、旅客につきましては二割六分、貨物につきましては三割というふうに決定をされて閣議にかけられ、成案として今回国会の御審議の運びになるというような段階になつておるのであります。これが大体コストの面から見ましたところの検討でございます。  その次には負担力の面から見ましてどうなるかという点であります。先ず旅客貨物別に申上げたいと思うのでありますが、お手許資料の三十三ページを御覧頂きたいと思います。旅客につきましては、定期旅客と一枚一枚切符を買われる定期外旅客とあるのでございますが、先ず第一に定期外旅客につきましての負担力の点の検討でありまするが、ここに官公吏工業勤労者の一月当り賃金の推移と、その時々におけるところの賃金と、この勤労者が一枚の切符買つて一回の旅行に払う運賃額との比率参考までにとつて見たのであります。どちらでもよろしうございますが、例えば工業勤労者に例をとりますと、工業勤労者の下から四行目ほどの所に六千九百二十一円という数字がございますが、昭和二十四年当時に工業勤労者の一月の賃金平均六千九百二十一円、その際にこの勤労者が一回の旅行に払いますところの運賃が三十七円十四銭でございまして、この賃金運賃とを比べてみますると、その比率が千分の五・三七ということに相成るわけであります。その同じ勤労者が今日におきましては、一番下から二行目を見て頂きますると、賃金が一万九百七十円に上つている。そうして彼が一回に払う旅行運賃が三十七円九十七銭、下から二行目にございます。でその比率は千分の三・四六ということに相成るわけであります。この右のほうに算術がございまするが、それによりまして、この千分の五・三七と千分の三・四六とを比べますると、答えが一五五%となつておりますが、この算術によりましても、旅客運賃を五割五分値上をいたしましても、今日において昭和二十四年当時の比率を崩さないということが言えると思うのでありますが、いわんや国鉄運賃値上をお願いいたしました率の旅客につきましての三割五分、或いは今回政府案として決定に相成りましたところの二割五分に相成りますると、その比率勤労者にとつて大分有利になるというような一つ考察が加えられるのであります。今回の改正の即ち二割五分の値上によりますると、その比率が千分の四・三一になるというようなことであります。これは定期外旅客について申上げたのでございまするが、その次に同じような考察定期運賃について申上げたいと思います。それが三十四ページに出ております。同じく工業勤労者の例によりましてお話を申上げたいと思うのでありまするが、この工業勤労者昭和二十四年におけるところの賃金ベースが前と同じように六千九百二十一円でございまして、この勤労者が一月の定期買つて払いまするところの運賃が、五月の一日からは四百六十円ということに相成つております。その比率運賃とを見比べますると、運賃が百分の六・六五という数字に相成つております。この勤労者が今日におきましては一万九百七十円、その運賃が四百七十円、四百六十円と四百七十円の違いは、若干最近距離が極めて僅かでございまするが、平均距離が延びているというような関係でございます。その比率が四・二八、即ちその比率を見ますると、比率と申しまするか、昭和二十四年と今日とを見比べて見ますると、その一番右の隅、下の隅にございまするように、やはり一五五%、五割五分の値上をいたしまして、二十四年当時の比率に相成るということでございます。これ又定期外におけると同じように国鉄は三割五分の申請、それに対しまして運輸大臣は二割五分の値上と、又閣議においてもさよう決定になつたのでございまするので、こういつた考察の面から見まして、勤労者運賃負担割合は二十四年の当時よりはよくなつているというような一つ見方があると思うのでございます。  同じような見方貨物について申上げたいと思うのでありますが、四十一ページを見て頂きたいと思います。旅客におけるところと同じような考え方をいたしまして、主要貨物価格の中に占めるところの運賃割合とを見たのであります。先ず一つの例をお米について申上げますと、一番上にございますが、昭和十一年当時にはお米を貨車に積みまして、貨車トン当りのお米の価格が幾らであつたかという点を見ますると、その当時二百七円でございまして、その当時の運送距離はお米が二百二十六キロメートルで、当時のお米の運賃は一トン当り二円二十八銭、価格の中に占めるところの運賃割合が百分の一・一、一%一分ということに相成つております。この二十五の四月は省きまして、二十六年の四月のほうで見て頂きますと、同じお米の貨車トン当り価格が四万三千四百四十六円、それに対しまして運送距離は殆んど十一年当時と変つておりません。そのお米の貨車トン当り価格は三百十七円ということで、価格の中に占めるところの運賃割合は〇・七ということでございます。従いましてこの一・一と〇・七を比べて頂きますると、五割程度の値上をいたしましても、十一年当時の比率を崩すわけではない。同じような考察をここにございますが、この二十六品目国鉄で運送されまする物資の主なるものでありまするが、その価格運賃との比率加重平均をとりまして見たのでありまするが、実数は省きまして、この率のところだけで見て頂きますると、昭和十一年にはAのところが四%六一ということに相成つております。それが二十六年の四月にはCのところで二%六八ということになつておるのであります。でお米につきましては、先ほど十一年当時と運送距離が余り変つていないということを申上げたのでありますが、物資によりましては、非常に輸送距離が延びているものがございます。そういつたものを十一年当時の平均輸送キロに還元をいたしまして考察をいたしますると、このDのところで二%○九ということに相成つております。今回の改正案によりまして、現在の輸送距離によつて見ますると、このEのところに価格運賃との割合が百分の三・五二、これらの物資先ほども申上げましたように今日におきましては、相当輸送距離の延びている物もありますので、その輸送距離の延びているという点を十一年当時の輸送距離であつたならばというような前提で換算をいたしますと、このFのところに二%七四というようなことに相成つております。このCとか或いはDをAとお比べ頂きますると、二倍近い運賃改正をしても、その比率を崩さんというようなことになるわけでありますが、今回国鉄の三割五分の申請に対しまして、政府がおきめになりました二割五分というような線に相成りますると、その比率がここにありまするように二・七四ということでありますので、価格運賃との比率が以前よりも非常に物資のために何と申しますか、有利になつているという一つ見方を申上げたのであります。  今申上げましたのは、負担力の面からでございまするが、一番最後に海陸輸送調整、或いは海だけでなしに例えば自動車との比較なんかどうなつているかというような点につきまして、四十二ページをちよつとお開き頂きたいと思うのであります。四十二ページは鉄道と船舶と自動車運賃との変遷についての実数並びに指数によつてお示しをしてありまするが、    〔委員長退席理事小泉秀吉委員長席に著く〕昭和十一年に鉄道におきましては、一トン車扱いの五級二百キロ分、鉄道で運びまするところの貨物は十一等級に分類をいたしておりまするが、その丁度まん中の五級の二百キロ分の一トン当り運賃実額御覧になりますると、昭和十一年当時には運賃が三円十五銭であつたものが、二十六年の四月には四百十二円、指数で申上げますると、昭和十一年を百とすると、二十六年の四月は一万三千七十九、つまり百三十倍の指数に相成つておるのであります。これを汽船について例を申上げますると、若松、横浜間の石炭の一トン当りをとつて見ますると、運賃実数のほうは省きまして、指数御覧頂きますると、百のものが四万千三百四十六と、つまり四百倍以上に相成つておる。機帆船について考察いたしますると、若松、阪神の石炭トン当りで見たのでありまするが、指数がやはり百に対して二万三千二百、二百三十二倍になつている。トラツクにつきましては、一日一車の専属制の例によりますると、昭和十一年の百に対して二万六千、二百六十倍ということになつております。つまり汽船が四百十三倍、機帆船が二百三十二倍、トラツク二百六十倍、それに対しまして国鉄運賃指数は百三十倍であるのに過ぎないというような点が一つの御参考になるのではないかと思うのであります。  四十三ページに海陸運送費比較を例示いたしておるのでありますが、例を一つ二つ申上げますると、先ず鉄道大宗貨物でありまするところの石炭について申上げますると、どれでもよろしうございますが、上から三行目の飯塚大阪というような筑豊炭の例について申上げますると、鉄道現行運賃諸掛りを加えましてトン当り千三十八円、海上運賃諸掛りを加えまして千五百五十四円、差額が海のほうが五百十六円高い。鉄道を百といたしますると、海上運賃諸掛りが百五十ということに、船のほうが大分高いわけであります。それを今回の改正によりまして貨物を三割値上げするという案によりましても、なお且つ鉄道を百といたしますると百十九というような指数で、昨日も予算委員会お話があつたのでありまするが、海上運賃鉄道運賃よりも高いというのは非常に変則的な状況である。これを何とか本来の輸送の形態に戻さなきやならんというようなお話があつたのでありまするが、三割の値上をいたしたのではこの飯塚大阪の例ではまだ船賃のほうが高い。同じ例をもう一つ下飯塚、東京の例について申上げますると、現行では鉄道を百といたしました場合に船が百十、三割国鉄運賃の値上をして船がそのままであるとすれば八十八ということで、この場合は船のほうが安くなるというようなことに相成ります。併しながら承わりまするところによりますると、石炭木材等につきましては、海上運賃もやはり値上をされるというような傾向にありまするので、この海上、陸上の輸送バランスというものはなかなかとりにくいのでありますが、併しながら現行におきましては、かようなアン・バランス状況にあつて、少くとも多少の国鉄運賃の値上によつてできるだけバランスをとつて行くような方向に向いたいということが考えられるわけであります。以上三つ考察、即ち原価計算の面から見まして、又第二には旅客貨物負担力の面から見まして、又第三番目には輸送調整というような点からいろいろと検討をいたしました結果、国鉄といたしましては、八月の末に旅客貨物共に三割五分の値上をお願いしたいという申請に対しまして、政府といたしましては、旅客二割五分、貨物三割というようなふうな査定をされたのであります。  予算関係につきましては、経理局長から申上げるほうがいいかと思うのでございまするが、三ページを御覧頂きますると、当初の予算補正額、平年度という項が分れておるのでありまするが、内容的な点は経理局長からでもお願いすることにいたしまして、ただ結末のところだけを申上げますると、収入が千五百九十五億、現在の運賃が続けられるならばという前提であります。それに対しまして、経営費が二千二十八億、その欠損が四百三十三億ということに相成りまして、二割五分の値上げ貨物の三割値上によりまして、この四百三十三億の欠損運賃の値上と、なお非常に世上から要求されておりますところの経営合理化によつて埋めて行きたいというような所存でございます。  なお今回の運賃改正の内容につきまして若干御説明を申上げまするが、五ページを開いて頂きます。先ず旅客運賃改正要領でありまするが、一番基本になりまするところの旅客運賃の三等の賃率でありまするが、国鉄運賃計算をいたしまする場合に、遠距離逓減法を以前からとつておるのでありまするが、大体百五十キロまでの賃率が一番高くなつております。それから百五十一キロから五百キロ、五百一キロから千キロ、千キロ以上というような賃率地帯増につきましては、今回の改正におきましてもこれに触れることがございませんでした。    〔理事小泉秀吉退席委員長着席〕 その賃率を現在は百五十キロまでが一円四十五銭となつておりまするのを、今回改正お願いしたいのは一円八十五銭、国鉄が三割五分の申請をいたしました際には、この一円八十五銭のところが一円九十銭になつておつたのであります。この百五十キロまでのお客さんの数というものが国鉄旅客輸送量の中で占める割合というものが圧倒的に多いもので、ここで五銭違いますることが非常に全体の収入におきまして影響を及ぼすわけであります。それから百五十一キロから五百キロまでが一円五銭が一円三十銭、それから六十銭が七十銭、四十銭が四十五銭ということに改正お願いしたいと思つております。よく鹿児島県とか或いは北海道のかたがたから遠距離逓減をもつとしろと、日本は国が長細いのだから遠距離旅行をする者のために運賃を安くしろというようなお話があるのでございますが、これで御覧になりましても、最初の第一地帯から御覧になりますると、鹿児島辺りが位するところの千キロ以上というところは四分の一以下の四十五銭というような非常に低い賃率ベースなつております。これは国鉄始まつて以来の運賃逓減のカーブを遠距離につきましては低くしたということに相成つております。二番目には最低運賃でありますが、現在は五円でありまするところを、これは最近の通貨の流通状況とか、或いは鉄道先ほど申上げました運賃原価輸送費とか、或いは発着費とか、そういつたものを分析いたしまして、運送原価の点から見ましてこれは七円ほどに相成りまするので、十円にお願いしたいというのであります。  それから三番目は、これは端数切上げのことでありまして、大した問題でございません。  それからその次に、国鉄が経営しておりますところの航路運賃でありまするが、これもここにございまするように、青凾から始まりまして関門まで航路を経営しておりまするが、それぞれかような率を以て運賃の値上をいたしたいというふうに考えております。これも細かい原価計算並びに民間の交通船で取つておられるところの運賃等を慎重に参酌いたしてきめたのであります。この値上率が、併し鉄道の二割五分に対しまして著しく高まつて平均四割六七分に当つておるのであります。  それからその次に鉄道定期旅客運賃でありますが、六ページを御覧頂きますると、これはやはりこの一般の旅客運賃、一枚々々買われるところの旅客運賃改正に伴いまして改正をいたしたのでありまするが、その割引の率、日本国有鉄道につきましては非常に高額な定期につきましては運賃割引を社会政策的な見地からいたしておるのでありますが、その割引率、六割から九割二分に及ぶ高率な割引率につきましては、今回の改正におきましてもそのままに存置をいたしたのであります。  それから定期最低運賃が、現在が百円のを百五十円、六十円の通学定期を百円にするということであります。  それから三番目には、今回二等の定期運賃を設定いたしまして、その割引率を一カ月については三割、三カ月は三割五分ということにいたしました。これは三等の通勤通学定期が非常に社会政策的な見地から高率な割引をしているのでございますが、二等につましてはそういつた点の考慮は三等よりも少くていいのだろうというような見地から、かような割引の率を三等に比べては少くいたしたのであります。御承知のように運賃法によりますれば、定期運賃普通運賃の五割以上の割引をしなければならんというようなことが謳われておるのでありますが、今回の二等の定期を設定いたしまするにつきまして、この運賃法改正をその條項につきましてお願いをしなければならんという段取りに相成つております。航路定期旅客運賃普通旅客運賃の値上に伴いまして改訂をいたしました。  それから料金関係でございますが、特別急行料金普通急行料金準急料金、これも大体旅客運賃改正に伴いまして三割、二割五分、三割、これはまあラウンド・ナンバーにするというような関係もありまして、その程度の値上になつております。寝台料金はここにございますように、これは余り大衆的なものではありませんが、それぞれ別表にありますような料金の値上をお願いいたしております。  それからハの特別二等車料金、これは俗に特別二等車と言つておりますが、現在は距離関係なしに一律に百円、鹿児島まで参りましても北海道まで参りましても百円というようなのは余りに設備に対しまして安過ぎるというようなことが言われておつたのでありまするので、今回は急行料金の刻みに準じまして、三百キロまでが二百円、六百キロまでが三百円、千二百キロまでが四百円、千二百キロ以上が五百円というような刻みにいたしまして、距離によりまして料金の違いを作つたのであります。  それから七ページの小荷物の運賃でありまするが、小荷物の運賃につきましては大体現行賃率、これも地帯ごとに賃率がきまつておるのでありますが、これ又大体平均三割の値上をいたしたいということであります。それから新聞雑誌につきましては、これは非常に沿革的な経緯を辿つておりまして、明治の時代から三十何年ですか、数十年変更がなかつた、終戦後に若干変えたのでありますが、現在は非常に原価を割つて安い運賃つまり新聞紙で申し上げますると、重量に関係なしに一キログラム一円ということに相成つております。それから雑誌につきましては一キログラム三円ということに相成つております。それを今回は一円五十銭、雑誌につきましては四円ということに改めた。国鉄といたしましては、非常に新聞雑誌につきまして原価割れがひどい、例えば原価の点から申上げますると、新聞紙の運賃のごとき、現在の八倍ぐらいにお願いしなければならんということでありますが、新聞とか或いは雑誌の持つところの文化性と申しますか、に鑑みまして、今回は国鉄は大体十割値上げを両方ともお願いしたいと思つておりましたが、運輸省では一円五十銭、又雑誌につきましては四円というような改正をされることに相成つたのであります。  それから八ページの貨物改正要領でありますが、これ又貨物は車扱と一車の貸切扱と小口扱に分れておるのでございますが、車扱につきまして賃率が三割の値上げをいたしておるのであります。それから等級につきましては、等級の指数と申しますか、一級から十一級ありまするその等級間の格差につきましては、現行通りといたしました。それから最低運賃貨車につきましてもきまつておりますが、これも大型、中型、小型に、型に従いましてここに書いてありまするような改正を二割から、小型におきましては三割程度になりますが、その程度最低運賃改正お願いしたい、平均二割六分になつております。小口扱につきましてはやはり車扱と同じように三割の値上をいたしまして、最低運賃を七十円を八十円にするというようなことを考えております。  以上申上げました点が、国鉄が今回運賃改正をいたしたい理由と申しますか、或いは背景と申しますか、それを申上げまして御理解に一応若干の御便宜になるのではないかと思うのであります。並びに改正の要領をかいつまんで申上げまして、私の昨日の運輸大臣提案理由についての補足的な御説明を終りたいと思います
  6. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今津田営業局長の御説明に対しまして何か御質疑がありましたら、この際御質疑をして頂きます。
  7. 高木正夫

    ○高木正夫君 只今の御説明だけではないのですが、昨日運輸大臣から御説明がありまして、只今津田さんから詳細なる御説明を頂きまして、なお又印刷物もたくさん頂戴いたしましたが、何分にも昨日頂戴したばかりで、十分に検討する暇がないのでありますが、極く大雑把なことにつきまして一応お伺いしておきたいと思うのであります。国有鉄道の案といたしまして、三割五分ということになつておりまするが、これによりますると、大体数字がとんとんに行く、辻褄が合うように思うのでありますが、それを運輸審議会並びに運輸省におきましては、旅客二割五分、貨物三割ということになつておりますが、そうしますると、結局数字におきまして約百億円の相違がある。この百億円をどうするか、こういうことに帰着するであろうと思うのです。国有鉄道の財政から申せば百億円は何でもないかも知れませんが、相当この百億という数字は大きいと私は思うのであります。これをどういうように処理して行くか。昨日の運輸大臣の御説明の中には経営の合理化、それから経費の節約、自然増収の見込みと、三つを挙げられておりますが、そのほかにあれば又あとで御説明を願いたいと思います。経営の合理化ということはどうもこのぼやつとしたような話で、どこをどういうように経営の合理化をするか、大体それについて、まあこれはいろいろの細かい点もありましようが、若しおわかりでございましたら、主なるものでも御説明願いたいと思うのであります。それから経費の節約という点につきましては、これから物価もむしろ上る状態にあるかと思うのであります。そういう余地がまだ十分にあるのか、この点はどの程度まで節約し得るのか、めどが付いておればこれもお知らせ願いたい。又付いていなければ又御研究願いたいと思うのであります。それから最後の自然増収ということは、これもぼやつとした話で、大体まあ自然増になるとは思いまするが、どの程度まで目安を付けておられるか、そういうことについて突き進んだ御説明を願えれば大変仕合せだと思うのであります。  なお国有鉄道として、果してこれについて自信がおありであるかどうか。その査定について十分な自信がおありになつて引受けられたかということを念のためにお伺いしておきたいと思います。
  8. 三木正

    説明員(三木正君) 三割五分、二割五分で、百億ほど違うというのは御指摘の通りでございまして、運賃値上による増収は約百億ばかりその値上率が減ることによつて減ると思います。どうしてそれを経理して行くのかという御質問かと思うのでございますが、その一つ輸送量の増加に伴う増収と、一つ物価見方、もう一つは経営の合理化と申しますか、経費の節約と申しますか、そういう三つの項目によつてこの百億を減したのでございます。運輸増収につきましては、当初八月中頃でございましたか、私どもは三割五分をお願いしました当時わかつておりました五月、六月までの運輸量の実績を基にして計算いたしまして、当初の予算よりも約三十七億余の増収があるであろうということを基礎にしてやつてつたのでございます。ところがその後だんだんと政府部内で査定をしておられるうちに、七月、八月の実績が分明いたしまして、その実績を基礎として考えますと、更に四十数億の増収が見込まれたのでございます。でございますから、補正予算の案には百八十一億の増収というものが挙げてございます。それが鉄道の経理を楽にした一つの原因でございます。もう一つ物価見方でございますが、私どもは本年の四月末五月初め当時の物価を基礎にいたしまして、従量平均いたしまして、約七七%ぐらいの値上げになる、こういうふうに考えまして、それに基いて経費計算いたしたのでございますが、当時五月頃からグレイ・マーケツトの価格は頭打ちというよりも非常に下向きでございまして、だんだんと下つて参りました。私どもが買います物は大部分がメーカーから直接買う工場建値によるものでございまして、そのものはその後も一部の物を除きましては保合い、又は値上りを示しておる物もございます。一部は値上りを示しておる物もございますが、大体そういう傾向にありますけれども、グレイ・マーケツトが下押しをして来るということはやがては工場建値にも下向きを見せるであろうし、又政府の政策として貿易関係、そういうものから考えてももつと物価を下げなければならないから、平均値上率は六五%が至当であるとこういうお考えの下に、そこで約四十億ぐらいの差額が出たわけでございます。  それからもう一つ経費の節減でございますが、経費の合理化でございますが、特にそのうちで目立ちますものは予定せられております行政整理による来年度の人件費の減というものが、平年度はそれだけ人数が減ることによつて十億余りの経費の節約ができるのではないか、こういうような点を併せまして、そうして百億円を減らしても鉄道の運営ができるのではないか、こういうふうに考えます。  それから経営の合理化につきましては、主だつたことを話せというお話でございますが、人員につきましては、御承知の通り二十四年の八月、ああいう大整理をいたしました後は欠員不補従という原則を、鉄則を立てまして、極く特殊な例外を除きましては自然減による人員の補充を行わないという建前の下に四万近い、その後も三万数千人の減員をしておつたのでございますが、最近におきましては、非常に一万には輸送量が増加いたしますし、一方には自然欠員不補充も相当期間になりますので、地域的には非常なアンバランスを生じまして、なかなか運営にもむずかしいいろいろの苦労を伴つております。併しいろいろと智慧を搾りまして、いろいろな運営の方式を変えるなり、或いは業務の簡素化を図るなり、そういうことをいたしまして、更には又機構改正というようなものをいたしまして、管理要員の減少に努めるというようなことをいたしまして、生み出しました余剰の人員を所要の必要な場所へ配置転換するということによつてつて来ておるのでございますが、今後とも業務の能率化ということに努めまして、必要な最小限度の人員を以て運営をいたして行きたいとこう思います。  資材の節約につきましては、特に戦後当委員会におきましても、石炭の点につきまして非常な御鞭撻なり後援を頂いたのでございますが、非常に多額の数量を使いまする石炭の節約につきましては、断えず研究を続けておりまして国鉄財政の現状の数字を掲げておきましたのですが、大体戦前と殆んど同じような状態にまで達しておりますが、更に戦前には考えられなかつたような方法におきまして、この節約を進めて行きたいというので、今年は主として缶水の処理、缶水を清浄化することによりまして、或いは清缶剤によりまして、或いは缶の外におけるウオーター・トリートメントと申しますか、そういうことによつてスケールの附着を防ぎ、熱量が直ちに動力に変えられるようにするということに特に力を注いでやつております。更にこの間新聞あたりで御覧でございましようが、石炭に石灰石を混ぜて焚くとか、或いは蒸気を吹込むことによつて完全燃焼を助けるというような方法も研究しておりますが、未だ見るべきものになつておりませんけれども、本年度は缶水の処理ということに力を注いでやつているような次第でございます。  それから最後に、これで鉄道はやれるかというお話でございますが、非常な価格の変動がある、経済界の変動がある、社会上の変動がありますれば別でございますけれども、そうでない限り、これを以て十分とまでは行かないかも知れませんが、できるだけのサービスを提供して運営を続けて行きたい、そういう覚悟を持つている次第であります。
  9. 前田穰

    ○前田穰君 ちよつと今の質問に関連してお伺いしたいのですが、今経理局長さんが説明資料にされた表を拝見すると、運賃の増収が四百十億になつて、そうして平年度の資金計画の一覧表は四百三十億の不足になつている。その差は二十五億しかないわけです。この前の国有鉄道の現状という冊子をもらつたときのも五百三十億と書いてありました。それから九月に営業局長の名前で出されているパンフレツトにも五百三十億と書いてあるようです。只今経理局長が御説明なつたような理由でこれが四百三十億に減つているのだ、こう解釈すればいいのですか……。ついでに新らしい十月の資料と、この九月のパンフレツトの中には同じような表若しくは同一の表があつて数字が少し違つているところがあるようです。それらはすべてその後研究の結果この新らしい表のように改められた、こう見ておいてよろしうございますか。
  10. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 只今前田委員からお話のございました点につきましてお答え申上げます。その国鉄財政の現状並びに運賃改正についてというパンフレツトを作りました当時と、この一番最近の資料との間に数字等において違いのあるものがあるではないかという御質問でございました。これは一番最後の改正資料の、これが一番正確なものというふうにお考え願いたいと思います。
  11. 高木正夫

    ○高木正夫君 只今の御説明で大体了承いたしたわけでありますが、この物価値上りの問題は現に頭打ちしておる傾向がある。それでこのまま行くのではないかという御推定のようでありますが、これは浮動的のものではつきりしないと思うのであります。これは今後の情勢がどうなるかによる問題でございます。ただ確かにやれることは経費の節約と合理化であると、この点についてはよく御説明にありまして、非常に今まで御努力願つておる点は有難く感謝するわけであります。最後にこれでどうしてもやつて行くということでありますので、これは又誠に力強く感じたわけであります。私はなかなかこれは経費の節約と合理化というようなことでこれをやつて行くということは相当困難のことと存じますので、なお一層、御如才はないと存じますが、しつかり一つおやりを願いたいという希望を申上げてこの問題は打切ることにしたいと思うのであります。  それから別の問題でありますが、先ほど津田さんからのお話のことで、等級改正は暫くやらぬということでございました。これは長い間の問題でありまするし、相当貨物によつて負担力のないような品目も大分この頃できておるのじやないか。相当そういう問題が蓄積しておるのではないかと思います。いつまでも研究々々ということをおつしやられずに、或る機会に思い切つてこれを断行して頂くようなお考えもないものであろうか。例えば石灰石のごときも殆んど価格の四〇%まで運賃に取られておるということもあるようであります。その他細かいものについても随分あると思います。できるだけ早くそういう思い切つた処置をとつて頂くことが必要でないかと私は思います。先ほど負担力説にからんでお伺いするわけであります。
  12. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 只今高木議員から御質問、御意見のございました貨物の等級改正の問題でございまするが、この等級改正につきまして若干経過的に御説明を申上げたいと思うのでございます。  昨年の、二十五年の一月に貨物運賃の八割値上をいたしました際の頃から事柄は始まるのでありまするが、その昨年の一月に貨物運賃を八割値上をいたします際に、国会におかれては二つの附帯條件を附けられたのであります。その一つは特殊物資運賃値上によつて著しい影響を受けるもの、そういつたものにつきましてはこの八割の運賃値上と同時に運賃上何らかの処置をとることということが第一点。第二点は貨物等級は現在の事情に即しないものが多々あると思われるので、各界の意見を徴して可級的速やかに、即ち二十五年の四月一日から改正し得るように準備をしろという二つの條件を国会においてお附けになりまして、この條件に即応いたしまして昨年の運賃値上と同時に実施したものがございます。例えば運賃上の暫定的な措置をとつ貨物の二、三の例を申上げますと、無煙粉炭でありますとか、或いは只今お話のありました石灰石でございまするとか、或いは原木、坑木、鮮魚等々につきまして、運賃上の若干の措置をとつたのでございます。その後やはり国会の御要望に基きまして、貨物の等級改正審議するための国鉄総裁の諮問機関を作つたのであります。名前は貨物等級審議会というものを設けまして、その審議会におきまして国鉄で作りましたところの改正原案を基にいたしまして、数次に亘つて検討をせられ、更に専門員を挙げて詳細なる検討をされて答申の作成をされたのでございます。その審議会の改正案によりますると、等級を引上げるものが二百三十品目、等級を引下げるものが約四十品目、更に等級操作が不適当のもので運賃を引下げる必要のあるものにつきまして運賃割引をしたもの、及び等級操作と併せて運賃割引をしたもの等々が十三品目ございます。なおこの審議会の答申の中に、国鉄貨物等級についての研究を引続いて行なつて可及的速やかに根本的な改正を行うという要望が附けられておつたのであります。この要望に基きまして、国鉄といたしましては引続き凡百の貨物につきまして、各界の権威、産業界の代表のかたがたにもお集りを頂きまして、種々の貨物につきまして非常に細かい調査表を取まとめております。その調査表の種類、調査表で調査いたしておりまするものが七千種類にも及ぶというような次第でございまして、この調査によりまして貨物の銘柄別の価格とか、或いは荷作り費用とか、荷作りの方法でありまするとか、或いは重量と容積との関係でありますとか、或いはそのものの生産量、各般の状況につきまして各生産者の下に係員が出向いて調査をいたして目下着々とその資料の収集に手がけておるような次第であります。このような次第であるのでありますが、御承知のように最近におきましていろいろと経済が安定しないために物価の変動も引続いてやまない、或いは国際価格への鞘寄せというような点からいたしまして、今後価格の変動が予想されるというような物もございまするし、或いは又物によりましては従来なかつたような用途に使われるというような化学製品等も続々に現われる等々の関係からいたしまして、更に研究を十分に進めると共に、そういつた状態が、つまり物価がほぼ安定いたしましたような際を見計いまして、只今御指示のありました貨物等級の根本的な改正に着手いたしたらどうかと考えておる次第であります。
  13. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本日出席を要求いたしておきました長崎国有鉄道総裁が見えましたから、時間の関係もあり、長崎国有鉄道総裁に対して御質疑等がございましたら御質問願います。
  14. 内村清次

    ○内村清次君 国鉄総裁は公共企業体に移行いたしましてから三代目の総裁として今回就任されたのでありますが、国鉄の現状につきましても、私たち第一国会から終戦後の国鉄を眺めておりまして、この委員会も各般に亘つて強力な態勢を持続いたして来たのであります。戦災の各施設関係、それから列車増幅の件につきましても一応の目安が付いて、国鉄の使命でありまする安全、正確、迅速という三つの大きな使命がどうやら国民の要請に応えられようとした即ちサービス的な面が出て来たというようなところではございまするが、併し今回の総裁就任と同時に非常に困難な面が又国鉄に現われて来ておりはしないか。それは予算の面でありましようし、或いは又今まで予算の面からいたしまして窮屈になつておつた線路、橋梁、まあこういうような施設に対しましての耐久力、即ち補充関係からいたしまするところの更新をやつて、ここで一回鉄道の基盤を切換えて補強して行く、こういう面に直面しておられはしないかと私は思うのでありまするが、こういうようなときに当りまして、今回の国鉄賃率値上げがこれは一つの総裁の施策の一環として現れたと私たちは考えて、この値上問題につきまする検討に取りかかつておるわけでありまするが、総裁といたしましてこういう困難な状況下にあり、又講和後の国鉄が如何にあるべきかというような重大な前途の問題にも打当つておられまするが、これに対しまして総裁は国鉄をどのほうに今後持つて行こうとするお考えを持つておられるか、この点を先ずお伺いいたしたいのであります。
  15. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) お答えいたします。内村君は鉄道の玄人でございますから、こういう言い方で申上げたのが一番いいかと思います。私はお説のようになかなかこの国鉄の今後の行き方というものは相当の困難があるように思います。のみならず実は就任いたしまして二ケ月にもなりますけれども、その間甚だ勉強が足りませんで、詳細な数字的な基礎とか、或いは全般的な事務に対する戦後のやり方機構の動き方、そういうものを詳細に私まだ実は調べていないのであります。でありますからそういう細かい詳細な部分に亘り、又数字を基礎にいたしました行き方等については実は今日まだはつきりお答えができませんけれども、およそ私の考え方を申上げますと、国鉄というものを大体昭和十一年、十年というようなライン、あの辺のところにありました国鉄の姿と申しますか、潜在能力と申しますか、力と申しますか、そういうところへ私は急速に持つて行きたい。急速にと申しましても一月や二月、一年やそこらでやるのではなくて、やはり私は二、三年かかると思いますが、折角私の見るところでは従業員諸君も張切つてつております。大いにやろうという意気込みのところでありますから、そういうことを考えておるわけであります。ただ残念なことに、先日私は名古屋、大阪のほうへ参りまして組合の諸君にもお会いして、只今申上げたような十年、十一年のラインと申しましても、もはやこの間十五年も経つておるのですから、その姿を知つておる者が非常に少いのであります。でありますから十年、十一年の国鉄の姿というものをもう一遍解きほぐしまして、そうして細かにこういうものであつたということを教え込まなくちやならんと考えております。大体そういうつもりでおります。
  16. 内村清次

    ○内村清次君 まだ具体的な御方針に対しまして聞きたいのでございますが、今の御方針だけでは、とにかく十一年、二年というような戦前のまあ黒字時代の国鉄のあり方に早く直して行きたいということと伺つておりますが、これは第一代の下山総裁は残念ながら当時の政府の定員法によつて国鉄の大きな整理の犠牲になられたのであります、誠に痛感に堪えないところでございますが、加賀山総裁はこれは私たちも国鉄になりましたときからいたしまして、非常に企業の合理化、即ち経営の合理化の点に対しまして非常に熱心な施策を持つておられたようで、たまたま公共企業体に移行しますると同時に、国鉄には大きな機構改革がなされております。これは御承知の通りでありまするが、併しその機構改革、即ち縦割制の営業、資材、経理、こういうような縦割制の責任体制というものが、当時におきましても国鉄の現在の機構に対しまして、又経営のあり方に対しまして、どうもぴつたり来ないというような世論を押し切つて、この合理化がなされたように考えられます。これは加賀山総裁の心あつてのことであるかどうかは私は知りませんが、とにかくそういうような一部に非常に大きな波乱が残されつつ、こういう機構が改正なつておるのでありまするが、新総裁といたしましては、まだ就任後この問題につきましては浅い経験だと、こう一概にお言いになるかも知れませんが、こういう世評はもう特に呑み込んでおられると思います。で現実の状態といたしまして、この機構改革を先ずやつてもらいたいということは、一つ新総裁への希望であろうかとも思いますが、これに対しまして総裁はどのようなお考えであるか。今回の値上の問題につきましても、内部的な機構の、即ち経営の合理化もやつて行こうという一端にもこれは該当するかとは思いますが、この点につきましての御方針を承わりたい。
  17. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 機構の問題につきましては、いろいろな批判があり、旧制度に返すのがいいじやないかというようなお話も聞いております。併しながら機構というものはそう簡単にあつちへ持つて行き、こつちへ持つて行きするものではないので、一旦きめました現在の機構、それを根幹にいたしまして悪いところは是正する、その是正の方針も私は承わつて見ますと、内部的には非常にいい面もあるようでありますが、それは内部からだけ見たんではいけないので、機構が外部に対してとにかく公衆に対してどういう御不便があるか、その利害、外から見ました機構のあり方というものを主としまして、これに是正をして行きたい、かように考えております。
  18. 内村清次

    ○内村清次君 この是正の対象といたしまして、現在運輸、営業、特に又営業部門におきましての窓口、こういう窓口が非常に各部門からいたしましても何と申しまするか、余り世間にもよく宣伝されてない。接触の部面につきましても効果的に、内部の経営につきましても重要な而も又世論に応えるような機能が余り発揮されないと、こういうような状態でありまするが、この問題に対しまするのと、それから特にこの資材関係、それから経理関係というものが、これがやはりまあ非常に鉄道の現場に対する資材供給、或いは又購入面に対するところの不便、こういうもので困難をいたしておるように聞くのでありまするが、こういう営業、資材経理部門というものを監理局の中に包含すると、こういうような御意思があるかどうか。  それから第二は運輸、営業支配人の制度ですね、これがどうも機能的におきまして、少し現在では重複しておるような感じがいたしまするが、これに対しまする総裁のお考え方をお伺いいたします。
  19. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今のお説大いに参考になると思います。それらの事務所を監理局の中に入れるか或いは支配人のあり方をどうするかという詳細の点につきましては、私まだ研究中でございますので、遺憾ながら明確に申上げることはできません。併し内村委員の御意見は私は大いに尊重するつもりでございます。
  20. 内村清次

    ○内村清次君 それから今回の運賃改正当りましての一番大きな要素は、物件費が三百三十三億円というように値上りしておる問題であります。これは先ほど局長資料説明にもありましたように、非常に現在の朝鮮動乱以後の物価の上昇によつておる、これは将来におきましてもやはりこの値上りというものが決してこれは即ち頭打ちはしないであろうというような見通りもあるのであります。これはまあ世界の軍拡景気によりまして、そういう見通しもあるのでありまするが、一番この物件費がこのように嵩む状態のままにおける公共企業体のあり方、而もこれは直接新任早々体験せられた石炭購入の問題でも十分御心配されたと思いまするが、こういうあり方というものが今後の経営上におきまして、総裁といたしましてはどう希望されるのか、政府物価政策、こういう面に対しまするお考え方はどうであるかということを率直に一つお話願いたい。
  21. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 物価はこれは安いに越したことはないですが、併し物価自体を国鉄総裁が如何に希望いたしましても、又そうありたいと思つても、どうもこれは私自身では如何ともいたし方ございません。できるならば物価は安定して頂きたい。余り急激に安くなるのも困る、それから余り急激に高くなるのも困るのでありまして、事業をやる我々といたしましては、物価が安定してもらいたいということを希望しております。
  22. 内村清次

    ○内村清次君 まあ余りお答えに対しましては満足とは考えられませんが、問題は、私が聞かんとすることは、これは物件費の大きな要素、而もこれは直接今鉄道の当局者の一番大切でありまするところの石炭ですね、こういうような石炭というものが、たとえ山元からの購入が鉄道の入札制度で購入ができるといたしましても、単価の高い或いは又入手が非常に困難だ、而もこれは電力問題とも関連いたしまして、そういうような所に流れて行くというようなそういう問題のために、鉄道の使命というものが非常に脅かされる、これは単価の問題につきましても量の問題につきましても、非常に脅がされて行くと、こういう問題について総裁として何か確固たる御方針があつて、その方針の下に或いはいろいろの方法をおとりにになろうとする決意があるはずだと思うのです。そういう点を私はお聞きしたかつたのです。
  23. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 石炭の購入の方法の問題になつておるようでございまするが、その点につきましては、私は多少従来と考え方を変えまして、必ずしも一般競争入札ということでなしに、やや旧制に帰りまして、話し合或いは懇談という意味で、石炭業者とも話をし、相談をしてできるだけ我々に協力をして頂く、又業者にしましても鉄道を離れて石炭販売業はないわけなんですから、これをよくわかつて頂いて、相当以上に、予期した以上に協力が願えると思うのです。今後もそういう態勢でやろうということになつておりますから、値段の問題は別ですが、協力しようという点では業者と我々の間が今までのような一般競争入札によるというような状況じやないのです、非常に協力態勢になつておりますから、値段が高ければよそへ売る、鉄道にはやらないのだということはなくなつて来ております。協力態勢というもので進んで来て、石炭鉄道というものは不可欠の関係でございますから、これをよく業者にも呑み込んで頂いて、長い間の取引ということで研究して協力してもらいたい、そういうことで話をし、業者もよく了解をいたしておるところであります。
  24. 内村清次

    ○内村清次君 国鉄はもうダイヤ改正をやりまして相当時期的に改正の時期が来ておると思つております。私が聞いておりましたときには、十月にはダイヤ改正がある、これは一般地方のローカル線関係にいたしましても、非常に列車回数が少いために困つておるところがある、又本線、幹線の輸送にいたしましても、やはりときの事情によつて国民の要請に応じて考えなければならない。それが今回の石炭の講入によつてダイヤの即ち改正の時期が延びたのだというように、一部の理由といたしましても聞いているのでありますが、併しそれはまあ一部の理由といたしまするが、そういう一般国民の要請からいたしまして、鉄道のダイヤの改正をいたすべき時期だと思うのであります。これに対しまして、総裁はどういう御準備と、それから又どういう時期を以て改正をされようとしているか、これが第一点であります。  第二点は、進駐軍関係の即ち鉄道輸送をやつておりますが、これが講和後になりまして、或いは批准後九カ月以内になりますると独立国といたしまして、又安全保障条約の問題から行きますると、その間に駐留兵が来るかも知れませんが、とにかく今後の態勢といたしまして、現在の占領行政の進駐軍輸送の情勢とは又性格が変つて来やししないか、これと睨合わせました鉄道輸送というものがどうなつて来るか、進駐軍関係輸送が一体どうなつて来るか。それからダイヤ改正の時期というものを如何にお考えになつているか、これを一つお聞きいたします。
  25. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) ダイヤの改正の問題はできるだけ早いときに考えていたしたいと思います。詳細は局長からお答えいたします。  進駐軍輸送の問題は、これは只今は命令と服従という関係にございますけれども、今後は独立国としてのあれもありますから、国有鉄道と進駐軍との間の対等な契約関係になると思います。併しそれがどうなるかという問題は安全保障協定の内容をなす行政協定ですが、それがきまらなければできないが、只今向うのほうからも、米軍のほうからもそういういろいろな問題を予想して話合いをしようじやないかと、折角準備中であります。細かいことはまだ申上げる時期に達しておりません。
  26. 内村清次

    ○内村清次君 この点は先般の新聞発表によりまして、又独立後の国民の気持といたしまして、非常に期待を持つた一つのニユースとしてあの新聞発表がなされておりますが、只今の総裁のお答えではまだ協定中である、或いは折衝中であるというようなお話でありますが、この問題は暫らくおくといたしまして、今回の値上の中におきましても、一番私たちが心配いたしますのは、部内の協力態勢、即ち従事員の協力態勢の問題であります。これは昨日も運輸大臣ちよつと私は質問いたしたのでありまするが、一番大きな問題は職員の整理の問題ではなかろうかと思います。この整理が、輸送の要請に対しまして現在の四十六万の職員では足らないのだ、そこで一万六千だけは是非とも新規採用を認めてもらいたいという強い要請を政府にしておつたのが、今回は逆に二万二千二百三十三名という人が整理をされるというようなことになつているのでありまするが、下山さんのときにおいては五十万の定員が、これは定員法で規定されたのです、そうしてまあ九万何がしかの人たちが首を切られてしまつた。そうして五十万の定員が認められている、それが現在の、即ち九月末までの実定員では四十六万九千百五十一名になつておるはずです。そのように三万以上の人たちが自然減かどうか知りませんが、減つているのにかかわらず、あなたのほうは一万六千の増員を頼んでおるのに二万何がしというような人を整理しなくてはならない。こういうことは実際の現場の即ち労働管理におきましても、又営業の輸送態勢の確立につきましても、実際とぴつたり合つたことであるかどうか、この心境につきまして、又この具体的な御方針に対しまして一つお伺いをいたします。
  27. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) お話のように輸送数量が増せば人を殖やさにやならんのが本則でございます。併し一方において、過去終戦当時のあの荒廃した国鉄、あれを運営する場合を、今日だんだんと設備が整つて参りました時代とではその考え方を変えなくちやならんと思うのであります。設備がよくなれば人手が少くてすむはずであります。輸送数量が増しましても、それにすぐ同じ割合で増加する必要は私はないと思う。でありまするから、設備をよく改善しなければならんことは無論でありますが、設備の改善ができたならば、同時に人手も一応減じていいのではないか。今度の詳しい数字につきましては私から申上げませんが、そういうことをいろいろ勘案いたしまして、私は今度政府が決心しました二万数千の人員整理ということは可能だと信じている次第であります。
  28. 内村清次

    ○内村清次君 それはその当路の総裁といたしましては簡単なお考え方であつて、勿論それは設備が充実して能率が挙がるような施設ができて参りましたならば、勿論その定員というものを針付けまするとか、或いはだんだん減つて行くということは一応考えられるわけであります。これを固執しようとは思いませんが、この現下の輸送情勢に対しましてどうしても現場職員は足らない、どうしても一万六千から増してくれということを先ほど政府のほうに要請している。この要請をしている国鉄の現状において、政府のほうが如何に天引で人員を減らそうということは一つの政策であろうが、二万何千というような職員の首を切る、これを直ちに受入れができるというような簡単なあなたのお考えというものがどうも私には納得が行きません。それでよろしいのですか。実際において何ら故障が起りませんでしようか、伺いたいと思います。
  29. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今のお尋ねは、一つの意見の問題でございまして、私は可能であると信じております。
  30. 内村清次

    ○内村清次君 これはまあこういう人員関係はどうもあなたの御答弁だけでは納得が行きませんが、数字的にこれは可能であるという上申をあなたがお聞きになつてそれはよろしいと、こうおつしやるかも知れませんが、その数字をはつきりお挙げになつて、そうして大丈夫だということでここに御説明をされれば私も納得いたしますけれども、あなたができないとすればこれはやはり係りの人でもいいから詳しく話して頂きたい。これはあとに廻してもよろしいのであります。ただ問題は私たちの考え方ではこれは少し大きな今後波瀾が起きはしないか、こう考えております。これは現在のあの民主的な労組の予告からいたしましても、私たちはそういう感じをいたしております。そこで今回の政府の考え方では団体交渉はさせないのだ、話合いでなく、この数字を出すからして、これで総裁の責任において首を切れと、こういう形で現われて来ておるようでありまするが、それでは経営の協力に対しましても労働組合というものは非常に残念なことではなかろうか、私はここを心配いたしまするが、総裁の意見といたしまして、政府のほうでこれは法案が出ましたときにおきましては、極力私たちはその点は主張いたしまするが、たとえそういう事態が起きても話合いによつてこの問題は解決するという御決心があるかどうか。
  31. 三木正

    説明員(三木正君) 公共企業体労働関係法に書いてある、排除して政令に……あの四項目以外の整理を団体交渉によらないでやるということを立法化するという企ては政府にもないと承知しております。
  32. 内村清次

    ○内村清次君 それでは団体交渉は認められたということになりますか。総裁として……。
  33. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 今の御質問は、初めそういうことが一応議論のあつたこともあつたのでありまするが、併し公共企業体労働関係法の団体交渉に関する規定についての制限は設けないということで、それを改正するには現在何も話に上つておりません。従つて今の御質問のような御疑念はなかろうかと、こういうふうに考えております。
  34. 内村清次

    ○内村清次君 これは又具体的な問題につきましても実はこれは聞いておかなくちやならんと思いますけれども、時間の関係がありますから……。  いま一つは昨日の運輸大臣のお考えでは、今回の運賃値上の如何にかかわらず、只今国鉄のほうと労組のほうと紛争をやつておりまする調停案の賃金支払いに対しましてはこれはその財源は考えると、この財源で以て必ず一つ円満に解決ができるようにしよう、努力しようというようなお考え方であつたようでありまするが、総裁はどういうお考え方でありますか。調停案に対するところの賃金の問題はどういうお考え方であるか、この点一つ伺いたい。
  35. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 昨日運輸大臣が申述べました通り、私同意見でございます。
  36. 内村清次

    ○内村清次君 余り簡単過ぎるようでございますね。これはあなたは労働組合のなんと申しますか、対象になる当事者の責任者であります。問題は私たちは今回の賃金問題というのが仲裁裁定まで行かずして、折角当局者のほうにおきましても、労組のほうにおきましても調停案を一応呑んだのでありまするからして、これで一つ平和的に解決すると、こういう途が望ましいのであります。これは一つの前例になつて参ります。進歩いたしましたところの両者間の前例になつて参りまして、私はこれで解決すればやはり世界的にも労働関係といたしましては大きな歴史の跡になろうかと思うのであります。それが少しのことで対立をしてやはり仲裁裁定まで仰がなければならないという原因になつておるのであります。近く二、三日中にもう裁定が下るような状態でありまするが、その間におけるところの総裁といたしましては、どのような即ち御努力をなさつておるか。又裁定が下らずして調停案で解決をしようというお考え方があるかどうか。この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  37. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 誠にこれは微妙な問題でありまして、一方において裁定にかかつておりますが、その裁定にかかつておる間に更に話をして行くということは、これは実は余り公然とはやれない問題じやないかと私は思うのでありますが、併しお話の通り一方においては調停があり、その調停のラインに沿うて組合においても又我々のほうにおいてもそのラインに沿うべくお互いに努力をいたしておりますが、できるならば仰せの通り調停の線に沿うて両者が互いに歩み寄つて裁定などということなしに立派な結末を付けたいと思つて私は蔭ながら努力をいたしております。今後も又その努力を、まだ時期がございますから、時間がございますから努力をいたすつもりでおります。
  38. 内村清次

    ○内村清次君 それでは何と申しますか、対立というのはおかしいですが、今ひつかかつております。ポイントはどういう点であるか。その点一つ明確にして頂きます。どういうところでひつかかつているか。
  39. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) やはり交渉中の問題でございますからここで申上げかねるのであります。
  40. 内村清次

    ○内村清次君 おかしいですね。この賃金問題に対しましても、私たちは国鉄の企業能率の観点からいたしましても、是非一つこれが円滑に行くようにという立場でもう二回も仲裁裁定の問題につきましては協力的な態勢をとつて来たものであります。それがどこでかかつておるかということの御発表さえもないというようなことはどうかと思うのですね。その点がどうして言われないのですか。
  41. 三木正

    説明員(三木正君) 私も担当でないので甚だなんでございますけれども、我々といたしましては、仲裁の裁定の線に沿いまして大よそ八月初め前後から月額一万八百二十四円という給与をしたいということを申しておるのでありますが、組合のほうでは四月一日から同額の給与を受けたいというのが争いの点であると承知いたしております。
  42. 内村清次

    ○内村清次君 そういたしますと、調停案にはどう書いてありますか。調停案には調停案を呑まれた当局といたしまして、四月から支払えというのをあなたのほうでは八月から支払う、こういうようなことであるならば非はどちらのほうにあるか。この点をお考えになつておりますか。これは譲るというわけには行きませんか。全体的に調停案を呑んだ当局の態度といたしましては、それくらいのことでまだ紛争が続いて仲裁裁定まで仰がなければならんということはどうかと思うのです。而も又御承知のごとくこの国鉄の給与、これは国会で私たち審議いたしました予算総則においては、国鉄職員に対しては年末手当が支給されていない、而も官公吏のほうには支給されてあるが、国鉄職員だけ、同じ公共企業体でも専売の職員には支給されておる。そうして国鉄だけ支給されていないという態勢で今から行こうとしておる。これは相当年末におきましてもやはり労使間の紛争というものが起るという予想がされております。こういうような予算総則を政府決定しておる無慈悲な態勢の中において総裁が就任されて、労使の間をスムースに、円滑に管理して行こうというお考えになればです。この四月から八月までの僅か四カ月分ですね。この差額の問題で今日まで御紛争になられるということはこれは非常に職員に対する無慈悲ではなかろうかと思う。もうすでに六カ月以上も経過しておるんですよ。併し職員が我慢してそらして今日までその問題が闘争されておるという状態というものは、これは総裁どうですかね。先ほどあなたの簡単な御答弁をなされた御態度といたしましては、私は職員は失望しはしないかと思いますが、如何でございますかね、この点は。
  43. 三木正

    説明員(三木正君) 御承知だと存じますが、調停を頂きまして、その御返事に調停の線に沿つて努力を続ける、こういう返事を申上げたのでございます。そうしてでき得るならば四月一日から調停案の通りの額を得たいと思いまして、数次の折衝を重ね努力をいたしたのでございますが、一面には国有鉄道は非常に物価値上りによりまして多額の赤字を出すような情勢にもあり、それをカバーするために運賃値上げもお願いしなければならんような情勢にございます。併し運賃は御承知の通り国民生活並びに国家経済に非常な大きな影響のあるものでございますから、慎重に考慮されなければなりません。そういう慎重な考慮の下に貨物三割、旅客二割五分の運賃値上案が政府決定されたのでございますが、それによりますと、四月一日から給与ベースを上げるに必要な百六十数億の財源を得ることが鉄道の経理の下では今年においては不可能なのでございます。明年においては勿論そのベース、明年度一ぱいは新ベースによつて給与し得る運賃値上を考慮されておりますけれども、値上の時機が十一月、幾ら早くても十一月というようなことになりますると、本年の四月から十月一ぱいの安い運賃であつた収入額を以てしては百六十数億という四月一日からベース改訂を実施する財源の捻出ができない情勢にあります。そうしてでき得る限りそれを拡げまして、只今申しました八月一日前後からベース改訂をしたとするに必要な金額を補正予算を盛りまして、それを国会の御審議を仰ぐ段取になつておるのでございますが、勿論只今お話がございました公務員のほうは年末手当の支給があり、我々の従事員にはそれがございません。併しながら公務員のベース・アツプは補正予算に組まれておるものは平均千五百円でございまして、国鉄の従事員は平均いたしますと二千四百円くらいのベース・アツプになるかと思います。そういうものを考え合せますと、こういう鉄道の財政も非常に苦しい時期でありまするし、運賃値上が早急に行われないような情勢でもありまするし、これだけのことがして頂けるならば、従事員全体も辛抱しなければならないのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  44. 内村清次

    ○内村清次君 今の三木局長の御答弁というものは、只今折角運輸大臣が申して国鉄の従業員のかたがたの今まで六カ月、七カ月も待たされたことが何か幾らかこう何と申しまするか、非常に言葉としては明るいちよつと希望を持つたような点が見えたと思いましたが、即ち運賃値上の財源獲得によつて給与問題を考えるのじやないのだ、而もあなたたちの改訂要綱にもあるように、今後の増収によつて値上げされない増収によつて旅客では六十四億、貨物では百十七億、雑収入で二十二億、合計二百三億の増収が見込まれておる、こういう点も明らかになつておる。そうしてこれは値上の問題でなしに給与問題は解決されるのだ、だから折角努力中であるというような答弁を全く崩すあなたの答弁です。そういうような一貫しないところの考え方でこの大事な給与問題を、これは四十六万の生命にかかる問題ですよ、而も従業員の気分というものがやはり国鉄の今後の発展にも、非常に毎日々々の仕事の能率に対しましても大きな関係を及ぼす問題ですよ、これをそういう一貫しないところの考え方で答弁してもらうということは困るのであります。私はそういう点については良く注意してもらいたい。総裁自体も一つこの点は注意してもらいたいと思う。やはり真剣に取り組んで行つて、大企業の国鉄が国民の要請に応えて行く、発展の途を辿つて行く足がストツプするというようなことのないようにやつて頂きたい。そういう念願で労組というものも民主的にいろいろ困難な状況下に、みずからを断ち切つて自主的に起上つておるのであります。そういうような気持の労組を再び今のような御答弁で遮らないように私たちはお願いしたいのであります。その気持はよく分ります。それは財政的に困難な気持はよくわかりますが、併しそういうような重大な問題はやはり一つ総裁も真に乗り切つてもらつて、就任の第一歩でありますから、これは首切り問題は過去の経験からいたしましても総裁の苦手であつた問題でありますから、早急に取り組んで早く解決してもらいたい、私はいろいろ細部の点について質問したいのでありますが、委員長これ以上如何ですか。
  45. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) できますれば他の会議がありますので、この程度で本日はやめたいと思つておりますが。
  46. 内村清次

    ○内村清次君 それでは質問を保留いたします。
  47. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 他に御質問もございますと思いますが、丁度零時半から他に会議もありますから、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十八分散会