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1951-10-18 第12回国会 参議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十八日(木曜日)    午後二時九分開会   ―――――――――――――  委員氏名    委員長     植竹 春彦君    理事      岡田 信次君    理事      小泉 秀吉君    理事      高田  寛君            仁田 竹一君            山縣 勝見君            内村 清次君            カニエ邦彦君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君   ―――――――――――――   委員長補欠 十月十日植竹春彦委員長辞任につ き、その補欠として山縣勝見君を議長 において委員長指名した。   委員の異動 十月十二日委員植竹春彦辞任につ き、その補欠として、石原幹市郎君を 議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山縣 勝見君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            前田  穰君    委員            仁田 竹一君            石原幹市郎君            内村 清次君            小酒井義男君            カニエ邦彦君            高木 正夫君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   事務局側    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸事務次官  秋山  龍君    鉄道監督局長  足羽 則之君    国有鉄道公社総    裁       長崎惣之助君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○派遣議員報告国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○公聽会開会に関する件 ○一般運輸事情に関する調査の件(第  七次造船と鋼材価格及び金融措置に  関する件)(国有鉄道職員給與ベ  ースに関する件)(私鉄運賃に関す  る件) ○小委員会設置の件   ―――――――――――――
  2. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは只今から運輸委員会開会いたします。  議事に入りまする前に、今回委員長に就任いたしましたので……。微力のものでありますが、皆さんがたの御指導、御支援を得て大過なくやつて行きたいと思いますので、今後よろしくお願いいたしたいと考えております。  最初に今回運輸委員植竹君が辞任されましたので、その補欠として石原君が運輸委員になられましたから、御紹介を申上げます。只今見えておりませんから、いずれ見えましたら御紹介を申上げて、御挨拶を願うことにいたします。  次に理事補欠互選の件についてお諮りをいたしたいと思いまするが、高田君が欧洲視察のために理事辞任いたしたい旨の申出がございましたので、許可をすることにいたしたいと考えまするが、御異議ございませんですか。
  3. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議がございませんようでありまするから、異議ないと認めて、さように決定いたすことにいたします。   ―――――――――――――
  4. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) つきましては、理事が一名欠員となりまするので、その互選方法如何いたしまするか。如何ようにいたしたらよろしいでありましようか。
  5. 村上義一

    村上義一君 委員長の御指名に一つお願いしたいと思います。
  6. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今村上委員からの御動議によつて委員長指名にいたすようにというお話でありましたから、私より理事高田寛君の補欠といたしまして、前田穰君を指名いたすことにいたします。   ―――――――――――――
  7. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) この際御報告をいたしたいと考えるのでありまするが、今朝委員長会議がございまして、今回のルース台風によつて九州地方中心にいたして相当の被害がありまするので、各委員会において、これが被害状況調査のために、委員派遣を寄り寄り協議されておるようであります。但し多数の委員会でありまするから、各委員会から多数の委員現地参つて各個別に現地調査をいたしますると、これは従来とも例のあつたことでございまするが、いろいろ又現地においても忙がしい中、個別の議員の応接にも困ることでありましようし、又統一して調査いたすことも、又結果としてもよろしいであろうというふうなことで、如何ようにするかということも相談ございましたのですが、結論といたしましては、大体この際各委員会から個別に出さないで、合同派遣議員団というふうなものを組織して、そして一番関係の深い委員会から適当の委員派遣いたすことにいたしたらということに大体まあ落着きましたのですが、いずれこの点は議運で決定いたすことでありますから、丁度議運委員長も出ておられまして、今日の会議趣旨によつて議運で更に案を練りまして、そして派遣議員の数なり、或いは合同委員会の構成なり、或いはその使命なり、或いは方法なり、そういうふうな問題を決定いたすことになりましたが、その際私も発言いたしまして、これについては議運で決定するのはよろしいけれども、一応原案のようなものができれば、重ねて委員長会議を開いて、そして各委員会間の調整図つて、殊に各党からの派遣議員のいろいろな調整もありましようし。当初は議運と各委員会の間でいろいろ話合いをしたらどうかということになつたのでありますが、それでは議運のほうに相当強く働きかけた委員会から多く出るということではいけない。だからやはりもう一度委員会会議を開いて各委員会間の調整図つて、そして参議院として一番形のいい派遣団を作ろうということに相成りましたが、それでこの際お諮りをいたしますが、さように、一応緊急でありましたので、皆さんにお諮りをしないで、委員長の権限においてさようなふうに申したのでありますが、運輸委員会といたしましては、やはりさよう措置従つて合同委員会が結成されるときには参加いたすということにいたすことに御賛成を得るかどうか、一応又それに関連して御意見を承わつておきたいと思うのですが、如何でございましようか。
  8. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 その問題で民主党でもいろいろ協議いたしまして、結局今お話よう合同視察というようなことで出す、それでまあ民主党としては何かしら議運でいろいろな話があるようですが、二、三、四とかというような比率で行くとかいうようなことを伺つた、それに多少変更を加えて、水害の視察はなかなか広範囲に亘つては困るので、一県一班主義で一ついたしたらどうかというようなことで、そういうようなことを議運のほうに申入れるようになつておるのです。それで被害を受けたところの地元の者がやはりその地に行くような人選のほうがよくはなかろうかというようなことになつておるので、まあ大体御趣旨のことで結構です。
  9. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今前之園さんから御意見がございましたが、やはり現地事情現地から出ておられるかたが一番よく御承知ですから、委員を出しますときには、又そういうことも考え、いろいろ又御相談をしてきめたいと思います。一応議員を、さよう合同委員会ができますときには、当委員会から委員が参加するということは御異議ありません。又当委員会が別個に委員派遣するということも合同委員会の構成或いは又今後の合同委員会の結成を見て、或いは当委員会から別個に出さなければならないということになるかも知れないが、現在の情勢においては一応当委員会から合同委員会に参加するという方針で進みまして、御異議ありませんか。
  10. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議ないようでありますから、さようにいたします。   ―――――――――――――
  11. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次はかねて九州運輸事情一般に関して御視察を願いました派遣議員の御報告をお願いいたしたいと思います。
  12. 仁田竹一

    仁田竹一君 それでは九州班視察の御報告を申上げたいと思います。  視察委員前之園先生と私と二人でございます。便宜上私から御報告を申上げます。御報告を申上げる前にあらかじめ御了承を願つておきたいと思いますが、報告書は約四十枚ほどにわたつておりまするので、これを一々読み上げますることは時間の都合上いろいろ御迷惑だと思いまするので、いずれガリ版等で作り上げまして、皆さんの御手許へ配付申上げることにいたしまして、その概要を御報告いたしまして御了承を願うことにいたしたいと思いますが、一応お諮り願いたいと思います。
  13. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今仁田君から御発言がありましたが、さように取計らいましてよろしゆうございますか。
  14. 仁田竹一

    仁田竹一君 それでは概略の九州班視察報告をさして頂きます。  九月二十八日より十月七日に至る十日間の九州各地における視察概要を御報告申上げます。  今回の視察目的は、港湾施設鉄道運輸状況及び施設鉄道敷設の問題、海上取締状況気象台関係観光地施設状況国鉄自動車関係等の実情を視察するものでありまして、下関、門司、若松、佐世保、長崎雲仙、熊本、鹿兒島、油津、宮崎、指宿、枕崎等視察いたしたのであります。  視察概要を申上げますると、港湾関係におきましては、外国貿易の再開、国内運輸激増等によりまして、いずれの港湾も現在の施設では不十分でありますので、港内の浚渫、防波堤、岸壁の増改築等が必要であろうかと存じます。視察いたしました地方が良港に惠まれておりますことを見るにつけ、我が国のごとき島国におきましては、将来の交通において、海によるものを相当期待していいと思うのであります。  鉄道輸送状況及び施設につきましては、各監理局共輸送力増強、客車の施設改善努力はしておりますものの、輸送の要請に追つ付けない状態ようであります。殊に石炭輸送のごときはピストン輸送なるものを実施して着々その効果を挙げつつある模様でありますけれども、一般的に貨車の不足等による滞貨は免れ得ない現況のように見受けました。  各支線の施設上のサービスも漸次改善されつつありまして、殊に肥薩線のごときは十一月よりデイゼル車を配属して混合列車を全廃する等、その改善には見るべきものがあるように思いました。  新線建設の問題につきましては、現地では県民一体となつてこれが実現を熱望いたしておりまして、資源の開発、文化の普及等の面からいたしましても、できるだけ地方民要望に応うべきものであると考えました。  海上保安部海上取締り状況につきましては、人員資材不足により、その万全を期し得ない状況ようであります。殊に密入出国及び密貿易取締りに当りましては、警備の手薄に乘じまして、その手段方法は漸次巧妙を極めて来ておりまするので、現在のごとき少い施設では如何ともいたしがたい状態ようであります。  気象台関係につきましては、毎年のごとく襲来する台風禍等に備え、九州台風上陸地でもありまするので、第一線の観測陣を強化するなど万全の措置を講じなければ、その災害は年々激増の一途を迫るのではなかろうかと思われます。殊に沖繩失つた今日、鹿兒島測候所昇格問題等、真剣に討議さるべき問題ではないかと考えました。  観光施設につきましては、九州は別府、雲仙、霧島等優秀なる国際観光ルートを擁しておりますので、外客用のホテルの整備その他の諸施設を充実して、観光客の誘致にもつと積極的なる施策が必要ではなかろうかと存じます。  国鉄自動車の問題につきましては、これが運営に多少検討を要する点があろうかと存じまするが、いずれにいたしましても、施設給與その他のため、地方民間の業者に対抗し得ない現状でありまして、ここに独立採算上の運営の困難があるのではなかろうかと存じました。  以上甚だ簡単でありましたが、報告書の全文を簡略いたしまして、その概要を御報告いたします。以上であります。
  15. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今派遣議員の御報告がありましたが、これに関して何らか御質疑等ございませんか……。別に御質疑がないようでありましたら次の案件に入りますが……。
  16. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の御報告に附加したいのでありますが、佐賀関係を、特に佐賀県の知事その他から話を聞いて参りましたので、皆様に御報告を申上げて置きたいと思います。  従来九州視察には、どうもいつも佐賀が抜けておる、殆んど佐賀は素通りだということで、わざわざ佐賀県会議員その他十人ばかりおいでになつて是非佐賀を見てくれというので、佐賀運輸交通並びに監理局問題等に、ついても十分一つ調査してもらいたい、こういうお話でありましたけれども、日程の関係上とうとうできなかつたのです。そういうことで、是非一つ改めて佐賀に来てくれ、そのことを委員会にお願いをしてくれという強い要望であります。それだけのことを申上げておきます。
  17. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 今回のルース台風では佐賀はどうでした。
  18. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 佐賀は大したことはないと思います。問題じやないと思います。
  19. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) そうすると如何でしようか、ルース台風で相当やられておれば一緒に視察することもいいが……。
  20. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 何かの機会に願うことにしたら如何でしようか。
  21. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) では承わつておいて、何かの機会に……。その他別に御質疑等ございませんですか。別に御質疑がないようでありまするから、次の件に入ります。    ―――――・―――――
  22. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案が本日予備審査付託に相成りました。ついては本件について本日の議題にいたしますことに御異議ございませんでしようか。
  23. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 御異議がないようでありまするから、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案が本日予備審査付託になりましたので、政府より提案理由の御説明を願います。山崎運輸大臣
  24. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 只今から国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本国有鉄道は、昨二十五年度におきましては、収支相償い健全な経営をなし得たのでありますが、本年度に入るや、輸送量の増大にもかかわらず、朝鮮動乱以降の資材の高騰及び生計費増加による職員給與ベース改訂等止むを得ない経費増加を必要とするに至つたのであります。  これらの経費に充てるためには、独立採算の建前から、運賃値上げによる増収を図るほかはないのでありますが、現在の物価情勢に鑑み、できる限り経営合理化輸送量増加による増収とを期待し、人件費は殆んどこれによつて賄うこととし、運賃値上げ物価騰貴のための必要最小限度にとどむべく努力いたした次第であります。  先般、日本国有鉄道から、この趣旨に基いて、旅客運賃及び貨物運賃共に三割五分引上げ申請が提出されたのでありますが、運輸大臣といたしましては、早速運輸審議会に諮問し、審議会は、四日間に亘つて公聴会を開き、広く一般意見を聴取して慎重審議の結果、旅客運賃二割五分、貨物運賃三割の引上げを可とする旨の答申があつたのであります。これは別途御審議を願う補正予算案とも合致し、且つ妥当な線であると存じ、政府におきまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案として今国会に提出した次第であります。  国有鉄道申請に対して、このように査定しましたのは、物件費の値上りに検討を加えますと共に、一方経営合理化、節約を一層強化せしめ、他方輸送量増加をより多く見込んだことによるものであります。  今回の運賃改正の主なる点を申上げますと、先ず旅客運賃並びに料金は、総体として二割五分の引上げでありますが、その際特に考慮いたしましたことは、遠距離旅客負担を緩和するため遠距離逓減を更に強化したこと及び定期旅客負担力を考慮して割引率を据置いたことであります。なお今回二等定期を新設することといたし、又特別二等車の料金は、従来その法的根拠が明確でありませんので、これを明確にするための所要の改正を加えたのであります。  次に貨物運賃につきましては、一率に三割値上げでありますが、最低運賃については値上げ率をやや緩和いたしております。貨物価格に占める運賃の割合は、昭和十一年には四%六一でありましたものが、現在二%六八であり、今回三割の値上げをいたしましても、なお三%五二でありまして、一般的には負担余力はあるものと考えられ、一般物価に及ぼす影響も僅少な程度にとどめ得るものと存ずる次第であります。なお貨物運賃につきましては、自動車海運等運賃との調整を図り、正常なる輸送分野確立する見地から検討を加えた次第であります。今日国民各位に幾分でも負担増加を願うことは誠に心苦しい限りでありますが、国鉄の財政を健全化し、国民鉄道であるという機能を発揮せしめるためには必要止むを得ない措置であるということを御了承願いたいと考えるのであります。  最後に、本法案は補正予算案と表裏をなすものでありまして、補正予算におきましては、運賃改正の実施を十一月一日と予定しておりますので、重要案件の御審議に極めて御多忙のことと存じますが、何とぞ御審議の上予定期日に実施相叶いますように格段の御配慮をお願いする次第であります。
  25. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今運輸大臣説明に対して御質疑等があると思いまするが、議事の進行上、質疑等は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんですか。
  26. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) なお国鉄総裁からこれに関連して説明を願いたいと思つたのでありますが、只今他委員会出席中でありまして、後ほどできれば出席願つて説明を願いたいと思つております。  この際国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案についてお諮りをいたしたいと思いますが、御承知通り本案一般の関心及び目的を有する重要案件でありまするので、利害関係者及び学識経験者等から意見を聴取いたしまして、当委員会審査の参考に資したいと考えるのでありまするが、そのために公聴会を開くことが妥当ではないかと、こういうふうに考えまするが、如何でありましようか。これに関しまして何か御意見がございましたならば、御発言を願いたいと思います。
  27. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 公聴会を開かれることは至極必要だと思うのでありますが、ただその時期について、一応この法律案について審議をいたしまして、大体の要領を我々が会得してからのほうがよくはないかと、こういうふうに考えるのでありますが。
  28. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて、懇談をいたします。
  29. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて……。只今皆さんの御意見によつて、この際国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に関して公聴会を開くことに決定いたします。  次いで只今松浦君から御発議がありました件でありまするが、公聴会の日時、公述人選定方法、数、発言時間等に関しましては、前例もあり、又準備都合等もございまして、一応委員長及び理事に御一任願えますれば好都合だと思いますが、但し又何か別途のお考え等がございましたら承わつておきたいと思います。
  30. 松浦定義

    松浦定義君 只今委員長のお説に賛成でございますが、一応希望事項といたしまして、お願いいたしたいと思いますのは、非常にこの問題は全国的に重要な問題だとして、今国民輿論中心になつておると、かように存じておるであります。従つて私お願いいたしたいことは、遠距離輸送関係上から……、どの関係ということは申上げませんが、北海道関係から是非一人公述人を御選定願いたい、これを特にお願いしたいと、かよう考えております。
  31. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今松浦君の御発言は、委員長及び理事において斟酌をいたしまして、最も適当な公述人選定をいたしたいと思います。公聴会を開催いたしますこと並びにそれに関しました件につきましては、御異議ないようでありまするから、公聴会開会要求書議長に提出することにいたします。   ―――――――――――――
  32. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次に国有鉄道職員給與ベース等に関して、内村委員から大臣質疑通告がございまするから発言を許します。
  33. 内村清次

    内村清次君 私はこの国会が対日平和條約の問題や或いは安全保障條約の問題と絡みまして、日本の運命を決するような重要な時期でございますし、それと同時にこの講和後に我が国経済自立という点におきましても、條約の中にありまする賠償問題その他を勘案いたしまして、相当困難性のある問題でありまするが、併しどうしてもやはりこの八千四百万の国民がこの問題と取組んで、この難局を切抜けて行かなければならない、こういう重要なときでございまして、勿論今後の自立経済要素といたしましては、日本貿易の振興の点もあるでありましよう、或いは又食糧の需給の体制の確立の面もあるでありましよう、或いは又この船舶の問題、陸運の問題即ち交通全般的な問題もあるでありましよう。或いは又電力の開発につきましても、重要な要素があると思うのでありますが、こういうような重要な要素の中にこの海陸運交通事情確立につきましても、これは決して軽視のできない問題でございまして、この海運現状にいたしましても、戦前の六百万総トン、即ちこれは昭和十六年でありましたが、六百万総トンの中に外船が、船腹が約三百万総トン乃至四百万総トンあつた、ところがそれが戦後になつて非常に縮小されてしまつて百八十万総トンにも満たないような現在の状態において、この船腹増強はどうやつて今後確保して行くかという問題もこれは大きな問題でありますが、この点につきまして、運輸省ではかねて計画がなされつつ各般の準備が整つておるようでありますが、これに対しまするところの運輸大臣の最近の状況につきまして、大蔵省との折衝において、僅か第七次船の増強に対するところの後期において二十万総トンの船の増強さえも今制約されておる、こういうようお話を聞くのでありますが、これに対しまして運輸大臣はどういう御決心であるか、それから第二の点におきましては、二十六年度の予算面から考えまして、輸送人員二十九億四千四百万人、貨物一億三千四百万トン、こういうような一応の予算上の基礎が出ておるのでありまするが、併しながら今後の自立経済の面から考えて見ますると、この客貨輸送におきましても相当な伸びが予想せられて来る。而も又一方におきましては、自動車関係の非常な激増からいたしまして、この自動車の占めるところの輸送量増強ということに対する国鉄経営の問題ということも併せて考えなくてはならない。こういうような点を考えて見ますると、ここに相当な計画性と、それから運輸大臣の御努力が結集しないと今後の自立経済に向うところの大きな要素を果すことはできないのではないかということを私は心配するものでございまするが、この点に対しまする運輸大臣の御答弁を先ず要求いたしたいのであります。
  34. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 只今御指摘の通りに、講和後における新らしい日本経済的立上りに当りまして、水陸の運輸交通機関が大きな動脈の役割を果すべき使命を持つておる、重要性を持つておるというお考えに対しては、私も全然同感でありまして、不肖ながらここに大きな使命を感じて日夜努力をいたしておるような次第であります。海運の場合を申上げるといささか説明がましく相成るのでありますが、今日の日本国策が、殊に将来に向つて貿易立国策によれざれば立上り得ないということは、もう日本国国民輿論であると考えるのであります。貿易は即ち船腹によつてそれが進展を見るのでありますから、船腹増強拡充ということが取りも直さず貿易国策自立根抵をなすということも申上げるまでもないと思うのであります。ところが現在におきましては、その予想される貿易額のせめては半分ぐらいの数量を日本の船によつて運びたいと考えるのでありますけれども、それを果すだけでも、今日の段階においては数十万トン船腹不足を感ずるよう状態にあるのであります。将来日本一般の産業は駸々乎として勃興することは当然であり、そうさせなければならないのでありますから、今後はますますこの輸出入の数量が年と共に増大すべくさせなければならないのでありますから、この船腹と輸出入数量との隔りをいうものは、若し現状ようなことで進んで行くならば、ますます拡がつて行く一方であると考えなければならないと思うのであります。これをうずめるためには、狭めるためには、どうしても一面においては日本において造船に大いに効力することが一つであり、これを主として行かなければならないのであり、それを補助する意味においては、或いは適当のものがあれば船を買う、或いは沈んだ船を引揚げるというよう方法もなきにしもあらずでありますけれども、今後の日本貿易を世界の海運界に遅れをとらないように発展せしめるための優秀なる船を造るという、ここに大きな前提要件があるのでありますから、どうしても、我々は造船、日本みずから船を造つて優秀なる船をそれぞれの航路に配当し得るような方向に業界の奮発を願わなければならないと同時に、今日業界も只今お話通り戦前に比較して非常なる打撃をこうむつて、漸く起き上ろうかという気勢を示し始めた程度にあるのでありますから、これはできるだけ政府は国家的の大局から見て行つて、個々の船主、個々の造船所をどうこうするという問題じやない、貿易国策を遂行して行く見地から、国としてはこれにできるだけの便宜を與え、力添えをして行くべきであろうと、国策としてさよう考える次第であります。ただ問題は、日本海運が戦前に世界の七つの海を雄飛した当時の働き振りが、よき意味に残らないで、悪き意味の印象として戦後の今日まで引次いでおりますために、ややともすれば、世界の海運国と言われるような国々から、日本海運政策或いは造船力というようなものに対して、日本を独立させる前にこれを何か一つ制限でも加えたいというような空気もあるということは、新聞その他で各位の御承知のことと考えるのであります。殊に又日本政府海運政策に対し、特別の補助助成をする、けしからんというような声もあるのであります。我々日本側として世界の海運国の実情を見れば、日本ばかりを抑えて行くような感じなきにしもあらずと言いたい点もあるのであります。いずれにしても今日までの段階においては、そういうことの反駁を加えて行くだけの自由と力をさえ持たなかつたのであります。講和会議成立の後において、初めてそれらの点にも我々が主張を強くし得るような時代、主張ばかりでなしに実行力を持つような時機にもなるかと考えような次第であります。こういうつもりで政府といたしましては、計画造船を継続して年々やつて参つて、今日では第七次の前期が今建造進行中或いは殆んど出来上つたよう状態に進んでおる、今懸案になつておりますのは御指摘の通り七次の後期であります。我々は七次後期も、第八次も、九次も計画的に、できる限りの数量を国際海運界を悪く刺戟しないような、できるだけの用心をなしつつ、今日の欠陥をうずめるために努力しなければならないと考えておるような次第であります。七次造船につきましては、大体この春、四十万トンというような仮定的狙いを付けまして、その前半の二十万トンを建造進行中の時代なのであります。併し四十万トン、四十万トンと年々重ねて行くというようなことは、国の富の程度、経済の実力の点から申しますると、公平に見て荷が勝つ、勿論貿易の趨勢から言えば、五十万トン、六十万トンつても、この数年間はなお足りない感じを持つのでありますけれども、実力を顧みつつ、更に又国際的悪刺戟を残さないようにして難癖を付けられないように進んで行くというようなことも併せ考慮しつつ行く場合において、その場合に妥当な線を発見して進まなければならないということに思量いたしておるような次第であります。世論はいろいろ伝えられております。運輸大臣、主管大臣といたしましては、国内にあつてこの線をどういうふうにすれば最善の線で推し進めることができるであろうかというようなことに苦慮いたしておるのが今日の状態であります。これはただ海運だけも考えられず、国内における資金面も考慮いたさねばなりませんし、殊に又講和後における、独立を取戻した後におけるまで尾を引くところの悪性インフレーシヨン等も十分に考慮しつつ行かなければならないと考えてもおるのであります。併し第七次の後期は、現在日本の造船界の全体の情勢から察しまして、極めて早い間に、少くとも十一月の半ば頃までには最善の方法を講じて実施いたして行かなければ、手遅れに相成ろうとも考えておるようなわけで、折角努力最中に属しておるようなわけであります。そのトン数がどういうところに落着くかということについては、当事者たる運輸省においても意見がありまするし、船主側においても、造船界においても、鉄工業の面においても、一般経済界においても、それぞれの意見があり、又政府には政府として資金の面から見た意見もありまするし、これらを十分に勘案いたしまして、妥当な線にトン数を落着けたい。併し運輸省としては、できるだけこの線は七次の初期において仮想的に定めた数字ではありますけれども、前期二十万トン、後期二十万トン、こういうつもりで進めてよかろうと考えて参つたようなわけであります。  以上申上げるような造船のみならず、海運のみならず、広く経済界に視野を向けて、そして妥当な線を得よう努力するのでありますから、一遍二十万トンときめたら、それでなければ出るも入るもできないというようなかたくなな判断は成し得ないので、今日は今日の実情に即した判断をしなければならないという面をも併せて考慮しなければならないかとも思つておるような次第であります。併しながら今日運輸省といたしましては、四十万トンぐらいはそうひどく法外な数字ではなかろうというふうに考えつつ、これらの手を打ちつつあるような次第であります。これらの点はまだ全貌をそのまま申上げる段階に参つておりません。折角努力中であります。先刻申上げたように、十一月にも入れば、このことは無論決定しなければならない。時期が遅れるというふうにも考えますので、この最後の場合の努力をいたしておるような次第であります。適当な機会を得て改めて又詳しく御報告申上げたいと考える次第であります。只今まで申上げたのは海運の場合であります。陸運の場合も、いずれにしても国鉄独立採算制の建前で自由手腕を発揮し得るという面もあるのでありますけれども、敗戦後の惨澹たる経済界、事業界、地方の社会情勢、こういう日本の憐れな状態の上に、相当行渡つた線路を、幹線、支線いずれにしても二万キロの長い路線を持つておるのであります。而もその二万キロになんなんとする鉄道の約六割は赤字であります。四割の黒字線によつて六割の赤字線を支えなければならないというよう独立採算制の形に置かれておるのであります。然るに前に申上げたように、戦後この数年間産業の勃興は、農産物と言わず、水産物と言わず、工業製品と言わず、地下資源と言わず、山林物産と言わず、非常な勢いで復活興隆をいたしておるのでありまして、これはことごとく陸上輸送機関を煩わすものであるのであることは申上げるまでもないのであります。そうして、一方二万キロになんなんとする線は、戦争当時から使い放題に使つて老廃の極度に達しておつたと申しても差支えない線のほうが非常に多いのであります。破れた輸送機関を以て、限りある力を以て無限の産業の復興に応えなければならないというようなのが今日の国有鉄道現状であると思うのであります。無論東海道線のごとき幹線は、或いは戦前にもまさつたかと言われるような批評をこうむるほどの復興もいたしておりますけれども、これらの線の収益によつて、前に申上げたような赤字支線を支持しておるというようなことを考えて見ますれば、必らずしも東海道線の復興は止むを得ないと言わざるを得ない状態にもあるのであります。更に最近の情勢は、今申上げたように、挙つた金で支線の修復、改善、維持をして行かなければ、どんな事件が起るかも知れないというような、予想のできないという状態まで逼迫しておるところが多いのにかかわらず、昨年以来は、物価の値上りによつて資材の購入は予定通りには参りません。更に又これに従事しておる従業員の生活も同様に逼迫を告げる。これは抑えんとして抑えることのできない必至の勢いなのであります。国有鉄道といたしましては、一面においては破れたる鉄道を修繕維持して事故なからしめ、そうして輸送使命を果したいと考えなければならない、而もその資材は値上りで苦しむ、従事員は生活に苦しむ、そうして全国の国民は新らしい線の建設を叫んでやまない、これも無理はない、当然な話と考えられる節が多いのであります。更に又御指摘になりました自動車の面でありますが、どうしても今日の鉄道だけでは運び切れない。特殊の自動車に適したる状態に置かれておる貨物自動車の発達によつてつてもらわなければならないということは、これは自明の理であります。幸いにガソリン、重油等も戦争直後よりも幾らかゆとりを生ずるようを生ずるよう情勢参つております。これは勿論道路を改良するということと相待つて行かなければ、自動車運送は車両の損耗の場合を考えましても、ガソリンを浪費する点から考えましても、大変不利な点でありまするが、道路と相待つて行かなければならないのでありますが、それにもかかわらず、道路の悪いのを乗越えて自動車が非常な勢いで今発達をしておるのであります。アメリカなどでは、聞くところによれば、貨物自動車のために鉄道が圧迫をこうむるというような話も伝えられるのでありますけれども、日本の場合においては、運び切れない鉄道のものは、当然自動車の発達によつてつてもらつて結構だと言わざるを得ないよう状態にあると思うのであります。国有鉄道の場合には、これをなしたいことは、御承知通り貨物の面においても、旅客の面においても非常に多いのであります。貨車の増強もしなければならない。新線も敷設しなければならない、古い路線は改善をしなければならない、いろいろ多いのでありますけれども、今日悩んでおりますのは、結局資金の問題に落ちるようなわけなのであります。これは急激に無理をして資金を調達するというようなことは、国有鉄道のために禍いを残すのでありますから、これも十分に考慮しつつ、後世に悔いを残さざるよう方法によつて、ただ運賃値上げばかりでなしに、何らかの途を講じて、国民大衆の資金を集めるなり、或いはその他の方法によつて、この今日の国有鉄道を更に能率を上げ得るように工夫をいたさなければなるまいかと考えておるような次第であります。それらにつきましては、まだ私がこの席上で御発表申上げるまでの具体的な案に練りつめておりません。ただ腹案を持つておるだけであります。ただ申上げることは、そういう国有鉄道に対する非常なる註文、希望を国民大衆から受けつつ、国有鉄道独立採算制の形で手を拡げ過ぎた長いマイルの路線を維持しつつ、これに応ぜんとしつつあるということが国有鉄道の偽わらざる現実の姿であるということを申上げまして、私も微力ながら最善を盡し、国有鉄道使命達成のために、今後とも粉骨碎身するつもりでありますが、どうぞ委員各位におかれても、この点において御鞭撻、御指導を願いたいのであります。  只今国有鉄道についてお尋ねでございましたから、主として国有鉄道について申上げたのでありますけれども、この場合に、私どもが忘れることのできないのは、私設鉄道の今日の状態なのであります。国有鉄道のごとき状態とは私設鉄道経営は比較にならない困難を持つておるということは御賢察を願わなければならないのであります。而も国民大衆は国有鉄道たると、私鉄たるとを問かず、遠慮会釈なく交通機関としての要求はなされるのであります。これはいずれ機会を改めて申上げたいこともあるのでありますが、ここに一、二の例を挙げて申せば、石炭事情を御覧になつても、電力の事情を御覧になつても、給與面の状況を御覧になつても、更に又運賃の点におきましても、運賃国有鉄道から法外に引離した高い運賃を課するわけにはやはり参らないのであります。四方八方から締められた窮屈な中で、公共事業に私設鉄道が当つておるというこの点は、見逃すことのできない日本交通運輸関係の重大なる問題であろうかと私は考えておるのであります。いずれ私鉄につきましては異つた機会において御高見を拜聴し、又申上げたいとも思つておる次第であります。大体お尋ねにお答えしたようなつもりでありますが、足りないところがありましたら、重ねて御質問願います。
  35. 内村清次

    内村清次君 私は現在の日本経済というものが非常に弱小で、而も朝鮮動乱や又は一時の好況に支配されまして非常に変動があり過ぎるのだ、そういうような脆弱性を持つておるこの日本の産業で、今後は日米協力の線からいたしましても、相当な産業構造の変革がなされるであろうということも考えられるので、そういうような構造の変更から来る問題も勘案いたしましても、私は何と申しましても、船腹増強及び又輸送量に対するところの交通企業の即ち発展ということは早く考えなくてはならない。そこにどうも今日まで見ておりますると、これは運輸省のほうでも相当計画を持つて逐次対応されておるやに見えておりますが、先ほどの答弁にもありまするように、資金面において非常に常に折衝というものが停頓をし、或いは又そのために制限をせられて、でき上つた計画というもの、或いは実施に移されたその仕事というものが非常に国民の要請に足りない。で、現実の問題といたしましても、すでにこの国会においては、輸入確保の決議によりましても、船腹増強はこれは出してあるわけです。それにつきましても、要請もまだ十分でないのに、今回の第七次造船も資金面においてすでに行詰つておる、こういうよう状態でありますからして、この点につきましては、政府のほうでも助成政策をとつておられる好機でもありますから、委員長にもお願いしたいのですが、別に一つ議題を設けて徹底的に……、今日は運輸大臣の時間もありまするからして、私は小さい点に対するところの具体的な質問は差控えますが、この問題は一つ時間を十分作つて頂きまして、海陸の輸送の根本政策の点については、これは一段の御努力を希望いたします。  そこで私が第二番として質問いたしますことは、今回の補正予算の問題ですが、これは先ほど国鉄関係でも、今回の当初予算の千三百九十一億、こういうような、これも二十五年度に比べますと、相当画期的な予算であつたわけですが、それが今回補正予算が決定いたして見ますると、千七百九十億の予算、約四百億の予算増加補正予算が決定いたしておるようでありまするが、もともと国鉄の企業の赤字といたしましては、これは損益勘定から工事勘定合せて約七百九十億、八百億、近くの赤字が出ておつたように私たちは承わつておるのです。それが削減をされましても、四百億の増加を認められたということになつておりますが、その主たる原因は朝鮮動乱後の物価の値上りということが主たる原因になつている。勿論職員給與ベースの問題も入るでありましよう、或いは又は貨車新造というような問題も入るでありましようが、とにかく物価の値上りというようなことから大きなこの予算の補正をしなくてはならん。而も又厖大な予算の補正をしなくてはならんという状態に立至つたのですが、それは当初すでに大蔵省に対します、又大蔵大臣考え方について私たちは予算委員会で相当突つ込んで注意を促したわけでありますが、そういうようなことが八百億というような赤字をもう起させたというようなことは、私たちはこれは大蔵大臣及び又運輸大臣といたしましても、決してこれは責任を、立派な責任を果されたとは私は思わない。そういうような、やはり脆弱な日本経済の中で、物価の変動の甚しいところの要素を含んでおります経済界の見通しといたしましても、予算の構成というものは、当初において真に国民に対しましてはやはり正直にその見通しを明確にして、予算の決定というものがなされなくてはならん。それを今期に当つて四百億でありますが、これで一体八百億に近いところの国鉄の企業その他に対するところの今後の支障がないかということも、私は今後予算委員会その他におきましては是非検討したいと思いますが、問題はこの現実の問題といたしましても、貨車の、即ち新造貨車の問題にしても、貨物の要請は、駅頭滯貨が二百万トンあるのだ、この声というものは三、四カ月前にあつたわけです。それが夏枯れの時期になつて百七十五万トンくらいに下つた。だからしてこのままの情勢で行けると思つたら、又二百万トンというような現在の数字になつているわけでありまして、この情勢というものは今後の、即ち年末を控えましては決して下つて来ない。これに対してやはり各産業におきましても、又はこれを取扱うところの、即ち運送その他につきましても、貨車の新造を叫ぶ声というものを非常に痛切に私たち耳にしているわけであります。この貨車新造に対して、大体国鉄のほうでは九千両ばかり欲しいのだといつておつた。その両数というものが今回の補正予算におきましては、僅かに五十億だけの預金部資金からの借入れができておらない。恐らく一般会計からの国鉄予算への編入というものは三百億程度ぐらいは是非共今回はやつてもらわないと、今後の赤字補填からいたしまして。或いは又輸送の伸びに対するところの措置ができないというのが一つの考え方であつたろうと思うのでありますが、それが五十億しか認められていないというようなことは、私は残念ながら運輸大臣の即ち政治力に対しましても、勿論御努力なさつておられることは重々私も知つておりますのですが、どこかに国鉄に対するところの認識が足らない、どこかに国民の要請に対するところの認識が足らない個所がありはしないか、私はその点をどうも考えざるを得ないのでありまするが、この点に対しましての運輸大臣の御答弁をお願いいたします。
  36. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) お答えいたします。国有鉄道予算の場合におきましては、私は普通の国の行政事務の予算とはおのずから異なつた形のものであるということをかねがね考えておるのであります。従いまして、過ぐる議会、委員会等におきましても、物価の値上り等に対して補正予算を出す考えがありや否やというようなお尋ねをこうむつた場合には、国有鉄道の場合においては物価の値上りによつて運営ができなくなつた場合にはこれを補正予算をなすべきであると考えておる。それで大蔵大臣の言われる補正予算は出さないのだ、運輸大臣考えとは違うじやないかという御反問も受けたのでありますが、それは違うのが当り前でありまして、国有鉄道は営業をしておるのでありますから荷物が多くなり旅客が多くなつて来る。予算にきめたのだから、もうこれ以上は何もすることができないというわけには参らないのでありますから、その荷物が多くなり或いは旅客が多くなつた場合にはそれに応ずる施設をして行かなければならない、物価が値上りすれば物価が値上りしただけの補正予算をして、これに応じて行かなければならないと考える。それはただ單に物価が上つたときばかりでなしに、下つた場合といえども荷物が殖え、人が殖えれば、やはりそこに多少の計画と違つた事態が出て来るのでありますから、それに応ずるやはり補正予算も出さなければならない、こういうふうに私はかねがね考えて、この考えから国有鉄道のあり方を見ておるのであります。更に又国庫からの補給を国有鉄道がとつてはどうかというような御意見ようにも考えられるのであります。それはやはり国有鉄道独立採算制というこの基本線を打立てておいて、この範囲で最善を盡して節約すべきものは節約し、合理化すべきものは合理化し、そうして適当なる運賃値上げ等も行なつて、この建前の下に運営をして行くことによつて国家、国民に対する国有鉄道の義務責任が果されて行くのであると考えまするので、勿論国有鉄道のことでありますから、国家が必要に応じて万止むを得ざる場合には補給を與えて行くということは勿論許されることではありまするけれども、建前としてはやはり独立採算制を固くとつてそうしてここで努力をして行く、そうして若し補給を要するというような場合には、当然国会の議に附して国民の意思によつて決定された形で補給の遂に入つて行くということでなければ相成るまいかと、こういうふうにかねがね私は考えておるのであります。でありますから国有鉄道の財源は受益者から挙げて行くということを原則として考えて行くことが、独立採算制の国有鉄道のあり方としてはふさわしいのではなかろうか、これを第一義として考えて行く。その上で更に第二段、第三段の遂に入るべきではなかろうか。私はこういうふうに考えまするので、できるだけ先ず以つて国有鉄道みずからの力で困難なる運営の前途を打開して行くという建前だけはどうしても変えたくない、こういうふうに考えるのであります。こういう趣意によりまして、今回の運賃法の改正のごときも、先ず運賃の値上の御協賛を願う前に、合理化、節約、稼ぎ出すというような点を十分に力を入れて、その上で止むを得ず運賃値上げをする。運賃の借上げはできるだけ国民経済に影響を及ぼさないように最低限度でやつて行く。従つて国有鉄道が或いは七百億、八百億の不足を感ずるがごとく感じた場合にも、それに改討に改訂を加え、是正に是正を加え、あらゆる面からたたいてそれらの赤字補正を最小限度まで圧縮して、そうして健全なる国有鉄道の基本にして行かなければなるまい。こういうふうに考えてできるだけ圧縮しつつ補正予算を提出いたした次第なのでありますから、どうか私の申上げるような趣意を一つ御考慮を願つて御理解を願いたいと思うのであります。
  37. 内村清次

    内村清次君 只今運輸大臣のお言葉の中に鉄道が企業体となつてから独立採算をとつて、そうして企業採算を埋め合わせて行けと、こういうような企業体に移行した後におきまして、まだ年月も浅いのでありまするが、先ほど申しましたよう日本経済情勢の中においては一つも面倒を見ないというようなことでは、公共性というものが非常に閑却せられる。今のお説では足らないならば運賃を値上すればいいじやないかという御議論のようであります。勿論それには採算の点を睨み合わせて、国民の税金かれ来るところの一般会計から補填することはよく検討しなくてはならないという意味はわかりまするが、実際面におきまして足らない。即ち経費は皆な運賃値上げをすればいいじやないかということは、これは私も今後の運賃値上げの問題のときに、具体的に又細部に至つて質問もいたしまするが、そういうよう運輸大臣のお言葉は、私はこの前の国会委員会でのお言葉とは少し過ぎるような答弁という感じがしたわけです。それと申しますのは、それは新線建設の費用だ、これはやはり国鉄であります以上は、新線も建設して行かなくてはならない。国民貨物の要請が加わつて来れば貨車も造らなくてはならない、そうして経済の発展を考えなくてはならない。そういうような費用を一々今の切詰められた然も又物価の値上りというような大きな物価の変動のあるときに、企業全体に負わして行つてしまうということでは、私は国鉄の進展というものはなされないだろう、同時に又国民国鉄に対する信頼感というものは、その点で非常に薄らいで来はしないかということの度合をやはり勘案してもらいたい。その点であなたのほうの政策は即ち自由経済政策である。然も又御承知のごとく今回の国鉄の白書でもはつまりいたしておりますように、六月から予算編成の当時の価格にして鋼材が一二〇%上つておる、枕木が一五〇%も上つておる、銅が一〇〇%、それから銑鉄が一九〇%、セメントが七〇%、木材が一二〇%、石炭が一六%であるが、石炭は御承知のごとく今回の後半期の買入れに対しては、相当国鉄の即ち運転状態に対しましても、危殆に瀕するような取引というものがなされておる。そういうような自由経済の中に放置された日本のこの状態からいたしましても、独立採算制でやつて行けという国鉄使命というものは私はなかなか困難性があるだろうと思う。こういう点を一つ運輸大臣もよく御勘案になつて頂かないと、政府の自由経済の政策のほうは一つも何もお考えにならずにそうしてほつたらかしにしておいて、ただ赤字になつたから値上げするというようなことでは、生活の逼迫しております国民としては到底堪え得られないだろうと思う、この点を一つお考えを願いたい。  補正予算の点につきましては、まだ今国会は相当時期がありますからあとで私も具体的に質問をいたしたいと思いますが、先ほどの御答弁の中に国鉄の今後のあり方につきましても、相当国民要請に従つた、或いは又日本自立経済に従つたところの国の伸展を図らなくてはならないという御答弁がなされておる。私はこの大臣の答弁からいたしますると、今回の政府考えておりまする、これは一連の行政官庁の職員の首切り問題と併せて、国鉄の即ち首切り二万二千というような数字を出して、今回整理をしようというお考えでありまするが、現在の長期欠勤者が一万三千二百五十一人ある、こういうような実績というものは、国鉄職員の労働状態というものが、一万人以上を越した長期欠勤者がある。而もその中には肺患をわずらつてそうして今後相当の長期の療養をせなくては、身体が復帰しないというような惨めな職員のかたがたもおられるようでありまするが、こういう悲惨な労働條件の下に働らいておる国鉄職員に対しまして、二万二千人というような厖大な天引、定員を減らそうとする。先ほどの国民要請によるところの貨車増強と同時に、貨物の整備だけでの要員関係、現場職員関係でも、国鉄のほうでは運輸大臣を通じて一万六千人かの増員を政府のほうに要請されたと思う。そういう要請をしながら今回はそれを認めずに二万人の首切りをやろうというところにおいて相当あなたがたのお考えというものが無理がありはしないか。私はこういう首切りをどういう方法でやつて行かれるつもりであるかということが、これが第一点。  それから第二点の問題は、今回はこの前の行政整理の問題で又今日のよう国民生活の状態で、失業者に対するところの完全な手当も方策もないというよう状態の中において人員整理をやられるのであるから、今回は政府のほうでは退職当時におけるところの退職金につきましても、約八割ばかりを増加をしてやるというようなことを気を付けられたことについては一応私たちは了承いたします。併しこれはどうしてもやはりその後の生活状態、これを保障するような、或いはその当人が希望するならば何か職を與えて、就職を斡旋してやるんだという、或いは又そのかたがたが希望しないならば相当の年数において生活の途を考えてやるというようなことが付いて、初めて今回の政府のこの問題に対するところの対策は幾らか好転したと私たちはまあ言うのでありまするが、そういう点がまだ明瞭になつておらないのであります。こういう点に対しての政府考え方はどうかということが第二点。  この二点に含ませて今回はもう政府が定員法を出して首を切る。そうすると国鉄職員のほうにおいてももう組合との団体交渉も何にもさせない、こういうよう考え方のようでありまするが、これでは私は納得の行つた整理の方法ではなかろうと思いますが、団体交渉というようなことを運輸大臣みずから一つ規定するような、或いは又はそれが附帯條項として残るような御処置をなされるかどうか、この点もこの二点に含ませて一つ御答弁を頂きたいと思います。
  38. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) いろいろ御意見を承わつたのでありますが、人員の整理ということは、公私を問わず、こと人間の血の通つておる者は全く忍びないことなのであります。これを決していい気で、或いは経卒な考えで或る程度にやつて行けばよろしいというような気持のあるはずはないのであります。ただ一面においては、国民負担をできるだけ軽くして、国の経費をできるだけ少くして行くという国民大衆の期待に応ずることも考えなければならないのであります。即ち行政を簡素化する、自然人員の整理というものが相伴つて来るというようなことにもなり、整理される人に対してはここに非常にみじめな生活上の姿が展開して来るのであります。つまり政府としましては、一面多数国民大衆に対する負担を軽減して、そうして効率を上げる方法、即ち簡素化して効率を上げる方法を講じなければならず、そのためにはここに相当数の人員整理をも忍んでやらなければならないという、その狹い羽目に立ち、殊に今日の日本の姿が戰争中相当水膨れにふくらんでしまつたいろいろな機構組織が多いのでありますので、新らしい日本として立つて行く上においては、一面においてこれらの機構を改革し、そうして能率を上げて行くという方向に向わなければならんことは、これは国論であると私どもは考えておるのであります。ただそのために犠牲になり整理される人々に対して全く忍びない点がある。こういう表裏違つた形を、これを歩まなければならないのがこの人員整理の苦しい点であり、攻められる点であり、ここに最善を盡して誠心誠意臨まなければならないという理由があると思うのであります。更に又病人その他の悲惨なる状態の生活をしておる者が、不幸にして整理の槍玉に上るというような場合には、国鉄といたしましては、むろん政府全体といたしましては、許す範囲の最大限度の心持を用いて、そうして十分に権利と義務とを傷つけることのないように、而も生活を無限とは申しませんけれども、保障し得る程度の最大限を保障する方法を講ずるという方針の下に進めておるのでありまして、これは国家の公務員の場合もこの精神を持つてやるというようなことでやつて参つておる次第であります。更に又団体交渉等の問題について御言及に相成りましたが、今日まではそう無理な残酷なことをしないで、できるだけ現在の法規の下で十分に話合い、理解し合つて、このことを処理するというのが人員整理のもともとの出発点でありますので、この線に沿つてこれを進めて行くということで、現行法によつて最善を盡し、條理を盡して、情理ともにかねそなわるよう方法によつて、この刻下の重大なる要請に応じてもらわなければならない、先ずかよう考えておる次第なのであります。
  39. 内村清次

    内村清次君 この問題は重要な問題でありまして、委員長にもお願いいたしておきますが、これは相当時間をとつて頂きまして、又政府委員のほうでも具体的な数字の点については納得するような一つ説明をお願いしたい。  これはあとにして、それから御承知のごとくこれは運輸大臣もこの前の仲裁裁定のときから非常に努力を願つております。又昨年の末におきましても本院の委員会委員のかたがたの毎回に亘る非常に温い御協力によりまして、国鉄職員給與というものが漸く維持されて来たというような事態でありましたが、決してその維持されて来た事態というものも御承知のごとくあの大きい企業体でありまするからして、まあ国民生活に対するところの影響も多いというよう考え方から、この公共企業体の関係労働法によつて、大事な力であるところのストライキ権も剥奪されておるという状態で、平和的に解決するような仲裁制度或いは調停制度、これによつて話がつけられておるにかかわらず、政府のほうではやはり昨年はその要求額の又裁定された額の半額四九%しか支拂つておらないという状態のままで苦しい生活をして来ておるわけでありますが、全くこれは一面職員のかたがたによく聞いてみますると、もう本当に赤字でようやく本当に個人的な礼儀の問題につきましても、もう何もできない、もう教育の問題につきましてもできない、こういうようなただ生きているというだけの状態である。そういう賃金状態で来ておりますが、今年の四月の調停委員会で再度物価変動に関するところの賃金ベースというものがきまつたことは御承知通りでありますが、四月から今日までもうすでになか半年ぐらいなつておりますのに、国鉄のほうでは自分もこの調停案がよろしいと、引受けたと承諾をしながら賃金協定もしないし支拂もしないこういう状態であるのでありますが、これは運輸大臣よく御承知通りだろうと思います。そこでこれには大臣のほうでは、それはもう国鉄企業が内村が言うように八百億も赤字があるのではないか、それから運賃値上げもやらなければ企業が成立たんではないか、賃金ベースの賃金も拂えんのじやないか、こういうような御答弁では実際私は職員の人たちがかわいそうではないかと思うのであります。この調停で両者が呑んだものが半年も支拂できないというよう状態は、これで国鉄の将来の又現実の状態の発展を願うということができるかどうか、これは一つ大臣はよく心して頂きたい。国会が開かないとこの問題が解決ができないという悩み、国鉄職員のこの悩みを一つ考えて頂きたい、そこで臨時国会が早く開かれるようにという一応の気持というものも考えて頂きたい。で今回の仲裁の調停につきまして、運輸省といたしましては国鉄に対しどういうような支拂の方法又支拂の確約、こういう点を示唆されておるかどうか。或いは今組合のほうでは調停案に対しまする権威を作るために仲裁委員会のほうに上申しておるようでありまするが、この仲裁の裁定を待つて更に又はこの前同様な公共企業体労働法十六條の問題で国会に承認を受くる件というようなことで政府はこの問題を解決しようとするお考えであるかどうか。或いは又仲裁裁定が下らない前に両者が呑んだところの調停案によつて、そうして調停案通りの賃金をお拂いになる、解決をする心組みであるかどうか、この二つの点について。
  40. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 大臣ちよつとお待ち下さい。内村君に申上げます。四時から閣議があつてそれまでに衆議院の予算委員会のほうにも行かなくちやならないので、できますればこれは大臣にお願いをして……。
  41. 内村清次

    内村清次君 この問題は答弁を一つ願つておいて頂きたいのだが。
  42. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) なおその他の点相当の質問が出ておりましたから、この次の委員会で詳細に納得の行くような御答弁を願うようなことにして、緊急の問題は何ですか。
  43. 内村清次

    内村清次君 今の問題です。
  44. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは最後の問題だけ簡単に御答弁をお願いして。
  45. 内村清次

    内村清次君 簡単には行きませんよ。
  46. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) そう言つているうちにやりましよう。  今内村君より昨年以来の給與問題についていろいろお話がありましたが、私は決して満足いたしておりません、極めて不十分であると、国鉄従業員の至大なる使命に鑑みて誠にお気の毒だということで常に考えておるような次第であります。  只今御指摘になりましたこの度の問題につきましてはここで今繰返して私は申上げませんけれども、国鉄といたしましては現在最善の数字をはじき出して、そうしてできるだけ裁定、仲裁の線に沿うことに努力をいたしておるはずなのであります。それで両者の納得を得た線というふうにお話があつたのでありますけれども、私はこの八月か九月頃の衆議院と思いますが、労働委員会に出ましてお答えをした際に申したのでありますが、両者の協定ができない、なぜできないかというと、両方とも応諾すると言いつつやはりその間に私をして公平に言わしむれば両者がそれぞれの條件を具して応諾という態度を示しておるのであります。でありますから、一つの壁を両面から登るようなものであつて、登るには相違ないのだけれども登る面が違つておるというので応諾の協定が両者の間にできないでおつたようなわけであります。不幸にして調停から仲裁に廻るように相成つたのを私は悲しんでおるのであります。併し仲裁の進行の如何にかかわらず国鉄は最善の努力をしてできるだけのベース・アツプの資金を捻出するための努力をいたしておるような次第であります。而もそれは先ほども提案理由説明で申上げたよう運賃を値上をしたものを以てベース・アツプの資金に充てるというような狙いでなく、むしろ国鉄自体の経営上の合理化、節約、稼ぎ出しというような面から従業員ともに力を合せて資金の捻出に努出するというような心持でやつておるということを申上げることができるのであります。只今いろいろ細かい数字等については政府委員よりというお話がありましたが、是非そうお願いいたしたいのであります。どうか詳細に数字についても、個々の事情につきましても十分御納得の行くように御質問を願つてお答えを申上げて、そうしてこの法案を御承認願いますことのできるように重ねてお願いをいたす次第であります。  只今委員長の御宣言の通りに私も先刻より他の委員会、閣議等に招かれておる関係もありますので、次の機会に又お答え申上げることにいたして本日はこれで退席を御承認願いたいと、かよう考える次第であります。
  47. 内村清次

    内村清次君 委員長一言だけ。先般からの私の質問はその大綱だけでございまして、併しこの具体的な質問に対しましては又別に大臣に時間のあるときお願いいたすことにいたしましよう。  賃金問題につきましては、これはもう本当に大臣も相当努力されておりまするその御態度で、今回の国会でも又この問題が非常に心配されて各職員のかたがたも上京中でもありますし、又国鉄の企業といたしましても相当大きな問題であろうと思いまするからして、なお一つ御努力のほどを特に私はお願いをいたしまして質問を打切りたいと思います。
  48. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) その他の機会において運輸大臣その他から只今内村君の御質問に対しましては御答弁を願うことにいたして、一応ここで質問を終りたいと思います。   ―――――――――――――
  49. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) たまたま内村君の質問の中に第七次造船の問題がありまして、今日の議題の中に別途に第七次造船と鋼材価格及び金融措置に関する件というのがありまするから、時間を節約する関係もあり、たまたま秋山運輸次官が出席でありますから、関連して秋山運輸次官に御説明を願います。
  50. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 只今委員長の御質問でございまするので七次造船のことについて御説明申上げたいと思います。  今年の丁度正月頃から非常に船舶不足がやかましく言われましたので、運輸省といたしましても、本年度は是非一つ四十万トン程度の造船をいたしたいという心組を以ちまして諸般の準備を進めて参つたのでございまするが、年度初頭におきましては、このうち約二十万トンを実施に移すことができたのでございます。これは私どもといたしましては、この残りを二十万トンを一応目標といたしまして、これを是非本年後半、つまり現在から十二月末までの間に着工できるよう措置を講じたい、かよう考えて目下努力をいたしておるわけでございます。今年度の初頭に着手いたしましたいわゆる七次前半の造船工事は非常に順調に進渉いたしまして、この間つまり十月半ばくらいから十二月の初めくらいにかけましておよそ進水を了することになりました。その後は造船所のほうにおきましてはいつでも注文を受け得る、又注文を受けなければ工員その他のアイドルが出ると、こういう状態になるかと想定いたしておるものでございます。
  51. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 七次造船に関して御質問がございましたから、丁度次官が見えておりますから、御質問を願いたいと思います。
  52. 岡田信次

    岡田信次君 今第七次造船の第一と申しますか、前半のお話があつたのですが、後半のお話がなかつたのですが、それはどうなんですか。
  53. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) ちよつと言葉が足りなかつたかも知れませんが、七次のいわゆる後半と申しておりますが、これは政府といたしましては何万トンと決定をいたしておるわけではありません。運輸省として約二十万トンのものを計画することができれば非常に海運政策から見ましても、造船上から見ましても都合がいいと思つて目下努力をいたしておるような次第でございます。併しまだ決定という段階にまで至つておりません。
  54. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 七次造船の後半というやつはいわゆる二十万トンつておるとのことでありますが、その二十万トンに対して新聞などで見ると或いは十五万トン程度しかできないとか或いは十万トンしかできないというようなことで、安本その他大蔵省、運輸省あたりといろいろ交渉があることでありまするし、又今日の海運議員連盟に対して造船関係並びに海運業者の関係から相当そういう問題に対して具体的に陳情があつて是非二十万トン造るようにしてほしいというような話もあつたのでありますが、そういうことに対して一体運輸省は当然二十万トン造るという御計画でもあるし、又御復案を遂行される御熱意もあるように拜承しておるが、そういう大蔵省との関連或いは先の見通し等に対して秋山次官の御意見を伺いたい。
  55. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 新聞にいろいろなことが伝えられておるようでございますが、取るものもあり当らないようなものもあるように思つております。この政府部内の打合せの模様を話せという、こういう仰せでございますが、まだ私どもはいろいろな議論をいたしております段階でございまして、決定的にこうでなくてはならん、ああでなくてはならんということをみんなきめているわけではないのでございまして、見返資金全般の見地からいえばこの程度にしたほうがいいと思うというよう意見もありまするし、又全体を睨み合してこの程度がよかろうというよう意見もあります。いろいろな意見がございますのでありますが、未だ決定的にどうという態度を決定しておるわけではございません。何とかして船をできるだけ余計作つたほうがいい、いい船を余計作つたほうがいいという気持におきましては政府部内全部一致しておるわけでありますが、その具体的な数字等はやはり資金全体の量とからみ合せまして、いろいろと議論になつておるような実情でございますし、私どもとしましては成るべく早く而も私どもが希望いたしておりまする数字に落着けるようにいたしたいと努力いたしておる次第でございます。
  56. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 非常に用心深い御答弁で甚だ私は安心しかねるのですけれども、大体今までの行き方からいうてもこの参議院の運輸委員会は、相当そういうような問題に関してはまあいわば運輸御当局に御同情というよりも国家の見地において同調して、そういう同じようなことを言つておるのだと思います。今日海運議員連盟で聞いた話によると、今のお話ようだと、一体我我が同調をしてそうして御協力しようというのにもしようがないので、或いはここで別問題でも出して、そうして運輸当局の希望はこういうふうだから参議院の運輸委員会でもこんなふうにしようかというような、新らしい問題でも取上げられなければ同調がしにくいような気持がするのですが、もう少し碎いた今の問題に対してもそのトン数から運輸省の希望というようなものをお伺いするわけには行かないのでしようか、強いて伺うというのではないのですけれども、一応私見を述べておきます。
  57. 内村清次

    内村清次君 関連して、あの三十五億の見返資金の問題ですね、そういう問題が大蔵省のほうで難色があるんだというようなことで、資金問題では勿論それは大蔵省関係が握つておりましようが、どこで支障があるか。ここで非常に困難性があるんだ、このために計画自体が相対的には意見は同意見であるけれどもが、実際において計画が遂行しないんだというようなことをやはり率直に言うて頂きたい。これは先ほど小泉先生も言われたようなことであると思いますが、そこですよ、問題は。あなたのほうでは折衝中だから、おれの力だけでもやつて行く、こういうようなことではどうも私たちは協力態勢がやつて行かれやしない。勿論私たちも一応検討いたしましても、運輸省の案そのものが直ちにこれが最上の案だとは考えないんですよ。これは又私たちのほうの党的な考え方からいたしましても、まだそういうよう計画的な造船の計画もあるわけですが、資金計画もあるわけですが、併しこれは何と申しましても與党及び政府がその気になつて頂かないとできない問題であります。その点を一つ率直に言うてもらえんかと思います。
  58. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 率直にというお話でございますが、私は率直に申上げたつもりなんでありますが、初から申上げております通り、運輸当局は諸般の事情考えまして、大体二十万トン程度の船をこの際造るように資金の割当をするのがよろしいという見解に立つておるわけでございますが、これに対しましては建造船価をどのくらいに想定するか、それに対してどの程度の政府資金を融通したほうがいいか、こういつたような問題があるわけでございます。これに対しましていろいろと検討いたしました結果、大体私どもの技術者が計算いたしましたところでは、貨物船一艘トンあたり十四万円程度と見積るのが妥当であるという結論でございます。これに対しまして金融情勢その他を考えまして、七万円程度つまり五〇%を見返資金から出すのがよろしい。この五〇%ということは大体従来踏襲いたして来ておる方針でございまして、それを話したがよかろう、かよう考えておるわけでございます。そういたしますると、仮に二十万トンの七万円でございますると百四十億の見返資金を要するわけでございます。その百四十億のうち年度内と来年度とにこれを分けて考えますると、大体半分が年度内でございまして半分が年度外でございます。従いまして七十億円の見返資金があれば二十万トンの着工ができるということになるわけでございます。これに対しまして七十億という数字がちよつと現在の見返資金の経理状況では出しにくいんだというところにまあ問題があるようでありまして、私どもは何とかして一つ七十億円出してもらいたいということを言うわけであります。まあそれに対しまして、或る論は十万トンつまり三十五億円というものを以て適当とするのではないかというような見解をとる人もあります。またいや十五万トン程度、つまりもう十七億五千万円増した程度のところがいいのではないか、そこらは何とか出せそうなものであるというような見解をとる人もあるわけでありますが、私どものほうは成るべく七十億円を一つこの際出してもらいたい、かようなことを主張いたしておるわけであります。この船腹全体の趨勢を考えてみました場合に、やはりこの本年度は非常に船腹不足いたしましたために、いわゆる買船、外国から古い船を買うということにいたしまして急速に船腹を充足するという方策をとりまして、その結果四十六隻の船が入つたのでありますが、これらの船は船令的にはできるだけ若いもので而もそれは油だけの能率のいいものをと狙つたのでありますけれども、やはり市場に売るものとして出て来ますものは、船質的には十分満足のできないものがやはり多いのでありまして、実績からいつても四十六ぱいのうち四十ぱいほど入つておりますが、その就航状況を見ましても、四隻ぐらいは太平洋を越えおるけれども、その他の船は大体東洋地域の航路に従事しておるというよう状態であります。然るに我が国の期待いたしております物資は非常にたくさんの量がパナマ運河以東の地にあるわけであります。従いましてそれらの貨物経済的に取つて来る船は、どうしても自分の新造船で当らなければならないわけであります。従いましてできるだけ早くそういつたような所要の船をそろえたいというのが運輸当局の希望でございます。大体さような経過になつておるわけであります。
  59. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ほかにどなたかございませんか。
  60. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 大体全貌は数字の上でわかつたのでありますが、さつき内村君の話にもあつたし運輸大臣の御答弁にもあつたのでありますが、日本で船を造ることが必要なことはかれこれ言うことを越えて当然なことでありますが、今の七十億の見返資金が出るか出ないかということは、大蔵省できめることになるだろうと思います。ここで一つ適当な機会に大蔵大臣に来てもらつて、もう少し海運と資金面との関係を十分説明して頂いたらいいと思います。いかがでしようか。
  61. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 次回にできれば関係の各省から出てもらつて、そうしてこの問題に対して検討したいと思います。そういうふうに取計らいましよう
  62. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 それでは委員長にお委せして。
  63. 小酒井義男

    小酒井義男君 新造船計画のことでございますが、今年度の予算を開き、当時とその後の経済事情の変化が計画に対して大した影響を與えるようなことになつておらないかという点でございます。これをどうぞ。
  64. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 只今小酒井委員の御質問でございますが、一番顯著に気のつきますることは輸送要請といいますか、輸出入の分量というものは当時考えておりましたよりも減らないで、むしろ殖えて来ておるという実情、而もそれが従来依存いたしておりました中国方面等が全くなくなりまして、ますます多くのものをパナマ以東に期待しなければならなくなつたという事情であります。海運事情、それから又世界の船腹情勢を申しましても、市場は四月頃は一応非常に高うございまして、その後ちよつと下り気味でございましたが、又ちよつと上向いて安定いたしておりまして、この面から見ましても世界の船腹事情には大した変化はございません。日本から見ますとつまり新造船を造つてそれによつて運ばなければならないというよう輸送要請は漸次殖えておるというような、こういうような傾向でございます。これが反面又経済的に申しますと、物価その他がやはり相当に上つておりまするために、造船のコスト、船を造りますのに対しまして資金の面が不足しておるのでありまして、この点は全体として計画遂行に困難を来たした一つであります。
  65. 小酒井義男

    小酒井義男君 あの当時予算が組まれる時期、つまり朝鮮事変後のいろいろな経済の変動、特に鉄鋼の需給関係、国内価格と国際価格との問題等から考えた場合に、予算において計画されているような建造が果してでき得る見通しがおありかということを御質問申したことがあつたのですが、次官がそのときにはそれができ得る見通しを持つているという御回答をしておられたのですが、やはりそのような実績が遂行されて来ているかどうか、この点をお質ししたいと思います。
  66. 秋山龍

    説明員(秋山龍君) 予算に盛つてありましたのは、前期の二十万トンよりも実は少いのでございまして、それに対しましても私どもは今年度は是非四十万トン計画をいたしたいという態度を表明いたしまして、計画を進めて参つたわけでございます。で、当時もちよつと御説明いたしましたと思いますが、七次の前期におきましては、少し現在の資金繰りの予定とは違うけれども、二十万トンだけは是非年内に竣工するようにしたい、あと年内は次の機会考えてもらうということで進めたいということをお話申上げたと存じますが、その通りには一応できまして七次前期は二十万トン着工いたしまして、これが非常に順調に進行いたしております。先ほども申上げましたように、只今から十二月の半ばにかけまして大多数の船は船台を降りまして艤裝に大体二カ月乃至三カ月かかりまして、年度内にはおよそ確保し得るよう状態になる、かよう状態でございます。従いまして今新らしい問題、私どもとしては継続的問題ですけれども、政府全体といたしましては新らしい問題として、七次の後半と我々は見ますけれども、或いは八次というふうな考え方もあるわけでありますが、その二十万トン程度の造船についてどうするか、かようなことを今しきりに折衝、検討いたしているような次第でございます。
  67. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 別に御質問もありませんようでしたら、次回適当の機会に本件に関して関係各省の説明を求め、又質問をいたしたいと考えますから、今日は他に案件もありまするから一応この程度で、この案件に対しては質問を打切つて異議ございませんか。
  68. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それではさように取計らいます。   ―――――――――――――
  69. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に関して、長崎国有鉄道総裁から発言を求められておりますから、発言を許しまして説明を求めます。
  70. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) この機会にちよつとお願い申上げます。  国有鉄道運賃法改正につきましては、運輸大臣から提案理由説明があつたと思いますが、あの理由にもございますように、今回の運賃値上は、国有鉄道経営上必要な経費に、朝鮮動乱以降非常な物価騰貴がございましたので、誠に遺憾ではございますが、物が上つて来れば経費は暴騰するのも止むを得ないことでございますので、提案してございますよう貨物並びに旅客運賃改正ということに相成つた次第でございます。どうぞ御審議の上御協力を頂きたいと思います。
  71. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今長崎国有鉄道総裁の発言に対して質問等もあると思いますが、運輸大臣に対する質問と共に次回に讓りたいと思いますが如何でございましようか。
  72. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 異議がないようでありますから、本件はこの程度にいたして次の議案に移ります。
  73. 岡田信次

    岡田信次君 値上問題につきましては、只今通り次回に讓ることに異議がないのでございますが、折角私も要請をいたしまして国鉄総裁出席を求めておつたものといたしまして、ただ一つ、あとでよろしうございますから。
  74. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 本日ですか。
  75. 岡田信次

    岡田信次君 ええ。
  76. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それならばどのくらい時間がかかりますか、別に時間を制限するという意味ではございませんが、他の案件の時間の都合等ございますから、若しも簡單ならば折角の御出席もありますから、御質問に対して相当詳細の答弁を求められるならば次回にかためて頂いても如何かと思いますが、総裁如何でございますか。
  77. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 次回のほうが……。
  78. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) それでは次回のほうがいいということですから、折角の質問に対して簡單な答弁では何ですから。
  79. 岡田信次

    岡田信次君 私は国有鉄道運賃改訂に関連いたしまして、地方鉄道運賃の改訂も必然に考えなければならんと思うのであります。これは勿論国会にはかからないのでありますが、その辺の事情を伺いたいと思います。ただここで御注文いたしたいのは、大体国有鉄道運賃の改訂は、要するに貨物輸送が大体原価を割る、或いは石炭費が非常に経営費の大きな部分を占めるというよう状況から、国有鉄道運賃改訂と相成つたと思うのでありますが、私鉄におきましては多くの会社が旅客輸送を主としておる。而も動力は電気が主であるという事情が伴いますので、その間の事情から国有鉄道運賃の値上に対する態度と、私鉄等の運賃値上に対する態度とはおのずから差があると思うのであります。その辺の事情も合せてお含みの上伺いたいと思うのであります。
  80. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 只今岡田委員から私鉄運賃の値上に関する御質問がありましたから政府から説明を求めます。
  81. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 私鉄の運賃の値上についての御質問がございましたので、現在までの状況現状を一つ御説明申上げたいと思います。  お話ように私鉄におきましても運賃改正して欲しいという希望は非常に熾烈でございます。そこでその原因といたしましては、只今お話よう国鉄とはいささか事情を異にいたしておる点がございますが、大体やはり資材の値上りが非常に事変発生以来激しい。従つて修繕費なり資材の面においての影響も激しいという点は先ず第一の一つの原因でございます。それからなおそれに伴いまする従事員の給與ベースの改訂の問題も、先般の私鉄のベース改訂について中央労働委員会でこれを扱われ、全国の私鉄においてベースの改訂をいたしたのでございますが、これによる人件費増加ということも一つの原因でございます。それからなお御指摘のように電力の値上りというものが相当大きく見込まれる。大体只今説明を申上げまする私鉄の運賃と申しますのは関東、東京を中心とし、或いは京阪地方中心とする大きな会社約十四社、及び西日本、それから名古屋鉄道と大体こうした主要な会社十六社についての運賃値上をいろいろ検討いたしておるのでございますが、いずれもこれは電力を動力といたしております。従つて電力の値上の関係が相当大きな要素として検討いたさなければならず、電力の今度の料金改訂は約三割余とこういうふうな電力料金の改訂。こういうふうになつておりまするが、これは基礎の水力料金でございまして、御承知ように電力の割当がそのそれぞれの私鉄が使う電力量から見ます場合には基礎水力の割当が少うございますので、勢い火力料金を相当支拂わなければならんということが実情でございます。そこでそれの大体の傾向なり或いは今年度の実情、或いは来年以降は大体どういうふうに進むであろうかと、こういうふうに考えます場合に、これは相当の影響がある。今年度の数量を基礎として考えてみましても、約昨年度の三倍以上の電力料金を大体支拂わなければならない、こういう程度の数字に相成るようでございます。  なお私鉄につきましては昨年再評価をいたしたのでございますが、併し来年の九月までにもう一回再評価をすることが認められておりまして、その再評価をいたすに伴つての減価償却の問題もございます。いろいろそういつた点も考慮いたします場合に、どうしても現在の運賃では私鉄の経営はやつて参れない、こういう実情になるようでございます。只今十六会社と申しましたが、御承知ように、全国にはいわゆる私鉄と申しますのは、地方鉄道及び軌道でございますが併せて百八十数社ございます。そこでそうしたたくさんの鉄道のうちで、小さい鉄道と申しますか、只今挙げました以外の鉄道につきましては、随時緊急必要なものについてその申請を待つて個々に査定をいたして、運賃値上を実施いたしておる。今回取上げましたこうした十六社につきましては、これが或いは東京を中心とし、或いは京都、大阪を中心として共通の交通圏内にありますので、いずれを一社と別に取上げて運賃値上をいたすわけにも参らない。相互のいろいろな交通事情が関連しておりますので、これを同一の機会によく検討する必要があるというのが、これを今回一緒に取上げた主なる一つの理由でございます。  それからなおこうした大きな社の取扱数量は、全体の私鉄の扱い数量のうちで、相当大きな部分を占めておりまして、それが国鉄との連帶運輸の関係がございます。従つて国鉄運賃改正があります機会に、同時に同じ運賃改正をいたすとすれば、同様の関連を持つて考慮いたす必要がある。そういう考えかたで現在検討いたして、できれば国鉄運賃改正と同時期に、是非この十一月一日を目標としてやりたい、こういう考えかたでいろいろ数字を検討いたしているわけでございます。  なお余談でございますが、勿論御承知と思いますが、現在物価統制令が施行されておりまして、運賃の認可権が物価庁にございます。従つて、運輸省といたしましては、運輸行政の観点から実質的にそういう会社の運賃の内容にタツチしておるのでございまして、運賃の認可は物価庁においてなされる、従つて、その内容の検討をなお我々が今検討いたします上に、更に物価庁でもいろいろ検討をして頂くことになりまして、そして今後その実施の運びになる、大体こういう順序になろうと、こう考えております。  そこで各社の大体の実情でございますが、それぞれの会社でございますので、今個々の会社について一々申上げるということは非常に煩瑣になるのでございますが、大体先ほど申しましたようないろいろな事情によりまして相当な赤字が出る。それは会社の説明を総合いたしていろいろ観察いたしますと、大体三割五、六分から五割ちよつと上廻る程度の赤字が出る、こういう説明をいたしております。申請につきましても、或いは対キロ制を取つております会社におきましては、一キロ当り二円乃至一円九十五銭の引上げを希望いたしております。又区間制をとつております私鉄におきましては、現在いろいろ区間制については一区間についての運賃の額が相違があるのでございますが、これを区間を多少修正をいたしまして、そうして一区十円という考え方で申請をいたしておるのが大部分の会社でございます。なお均一制、例えばつまり全体の区間をただ一つの運賃だけきめておる均一制の会社もございますが、そうしたところにおきましては、大体値上率何割という恰好で申請をいたしておるところもございますが、大体只今申上げましたごとく、赤字の程度に応じて三割四、五分から五割少し上廻る程度の申請をいたしておる、こういう状況でございます。これらの内容につきましては、現在個々の会社についてそれぞれの要素について数字を実は検討いたしておりますので、まだそれをどの程度に見るかという正確な固まつた数字は実はまだもう少し検討中なんでございますが、恐らく三割を少し上廻る程度から三割五分以内ぐらいの程度に落着け得るのではないか。これは見込でございますが、大体そういう勘でその数字が如何なものであろうかということでいろいろ内容を検討いたしております。いろいろ私鉄には、国鉄とも違つた先ほど申上げましたよう事情もありますので、旅客運賃改正が主ではございますが、国鉄の値上よりはやはり少し上廻つた率になるのも止むを得ない事情がある、こういうふうに考えておるわけでございますが、以上は私たちとしての一応の観察でございまして、なお今後物価庁ともよく協議をいたして逐次内容を固めて参りたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
  82. 岡田信次

    岡田信次君 国鉄旅客運賃の値上の案は二割五分、ところが今足羽君のお話では三割五分か四割ぐらい。大体のお話の十六会社は旅客輸送をやつておる。貨物を三割、旅客を二割五分にしたのはやはり貨物輸送に重点がある。石炭が動力の方面でかかる。この表を見ましても二十五年は営業費中占める割合が石炭が一三%、大体私鉄は電力の値上の前は七%及至八%半行かなかつたと思いますが、さつきのお話では三倍になつたというお話なんですが、併し一方電気で動かすというのと石炭で動かすというのとは、いろいろ経費が違うという面から、それで恐らく違うのじやないか。要するに私鉄の三割五分、四割というのは国鉄に比して高過ぎやしないかという感がいたしますが、どうですか。
  83. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 只今私申しましたのは、三割少し上廻る程度、三割五分見当の値上だと申しましたので、実はまだ数字がはつきりいたしませんので、はつきりしたお答えを申上げるのはちよつとできんわけでございますが、実はまだこの数字ははつきりした数字ではない、大体三割二、三分から三割四、五分見当に落著くのではないかという見込で、数字をそのくらいにならんかというのでいろいろ検討しております。四割とは申しておりません。
  84. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今私鉄の説明があつたのですが、私鉄の給與ベースというのは国鉄と大体同じですか。
  85. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 社によつて非常に違つております。
  86. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 その表みたいなものを一つ作つて出して頂きたい。それからもう一つ、設備、施設というものが大体国鉄の標準に近いものと、もう馬車と違わんようなものも私鉄の中にあるのですがね。大体国鉄の標準に近いものと、非常に遠いものと、そういうふうなものを一つお調べがつけばお知らせ願いたい。国鉄の標準というのが私にはわからない、東京あたりに走つておるのが標準なのか、鹿兒島あたりの支線のごときは、大野伴睦氏あたりの説によればこれは五等車である。これはどこが標準になるのか、私はわからない。五等車が標準なのか、東京あたりが標準なのか、大体国鉄線の中くらいのところを標準にして、それと私鉄との比較をお知らせ願いたい。
  87. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) なかなか施設の比較というのは、むつかしうございまして、非常にいい設備の私鉄もあれば、或いは非常に悪い私鉄もあるわけであります。或いはレールのゲージにしても二フイート六インチの鉄道もあれば、広軌の鉄道もあれば、或いは国鉄に劣らんいろいろな施設を整えておる私鉄もあれば、問題にならん私鉄もあるわけです。従つて、これを大体こういう平均だということは実はできないのであります。
  88. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 各私鉄ごとに、これは国鉄に比較してどうだということですね。その設備、例えば今のゲージの問題、客車の問題。たくさんあるのを表にして一つ教えて頂きたい。
  89. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) なかなか一般的に全貌をつかんで頂くように御説明申上げることは施設についてもなかなか困難かと思いますが。
  90. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 施設といつてもいろいろありますが、機関車とか或いは客車、そういうようなものも非常に私どもが見ると全く馬車というものといくらも変らんものがあるのです。
  91. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 概略的に何か御説明を申上げられるような資料を整えてでも別な機会に御説明申上げたいと思います。
  92. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私鉄の会社の赤字とか、黒字とかいう話がありますが、あれは再評価をいたしました金額に対する減価償却を最高度に見た場合の赤字、黒字なんですか。或はい考課状あたりには再評価を少くして利益を出しておる会社もあるわけです。従つて赤だ、黒だというのは再評価をした場合の減価償却を見てからのちの赤ですか。黒ですか。
  93. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 再評価をいたしておる会社につきましては、それの償却が運賃の中に当然出て参るわけでありますが、してない会社については、それがまだ出ないわけであります。
  94. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 してない会社はいいけれど、若ししておる場合。
  95. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) そうした会社についても来年の九月までに再評価をすることが予想され、認められております。いずれもこれはやつていかなければいかん。従つて、再評価の問題を私鉄全体の運賃の場合に、一つのフアクターとして我々には取上げてどう考えるかという点は考えなければいけないと思います。そこで再評価につきましては、これにも再評価をするという前提に立つて、それの定率法でない、定額法でございますね。この間の電力問題でいろいろな原価において定額法でやることが一つの定説にもなつておるようでございますが、やはり運賃などにも織込む場合には定額で織込むほうがよかろう、こういうふうにわれわれいろいろ協議いたしておるのでございますが、それで運賃原価の中に織込もう、こう考えております。
  96. 仁田竹一

    仁田竹一君 委員長ちよつと簡單に。物価庁のほうはね、再評価による減価償却を少くして利益を出しておる考課状の場合、これは赤字と認めないわけなんですね。その減価償却を全部やりますと赤になる場合、少くして出しておる場合は黒になる。こういうことなんですが、これはあなたのほうと違いますけれども、運輸省の場合、あなたのほうはどうなるでしよう
  97. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 内容的に個々の会社についていろいろ当つてみます場合に、再評価なりをして、つまり悪い考課状には減価償却費の多寡という恰好で現われ参りますが、それと修繕費との関係というものが再評価をどの程度しておるかという、個々のものについて相関関係として見ますと、再評価の少い所はどうも修繕費のほうがずつと多くなつておるように思います。それらの相関関係考えながら内容をよく査定をして参りたい。こういうふうに考えておりますので、現実に再評価をしたか、しないかという問題につきまして、あまり偏頗な、或いはしておるとしないのによつて非常に違つた結果が出るということのないようにいたしたいと考えております。
  98. 仁田竹一

    仁田竹一君 要するに再評価をしている場合には減価償却を一応認めるというふうに考えてよいわけですね。
  99. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 当然減価償却は出て参つておるわけでありますが、それは認めるわけであります。そうでない所では修繕費がふくらんでおりまして、相関関係がはつきりつかめませんが、一つの傾向としては見られるように思いますが、そのために数字を扱つてこの辺が適当でないかというふうな考え方ができるのではないか、こういうふうに考えております。
  100. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 私鉄の運賃の値上の申請がありました場合に、それを査定して許可するとか、値上をする時分に申請者を納得さしてやるか、それではなしに天降り的にこれでやれというよう命令が行くのですか。
  101. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 内容は勿論申請者の意見をよく聞きまして、そしてこちらの見解、こういう点はこういうふうに思うがどうかというふうないろいろ申請者の意見も質しまして、そうして大体こういうふうな私は考え方なんだが、その点についてはどうかというふうにいろいろ検討いたしまして、相当程度やはり両方の考えが無理でないというふうな了解に達する方法は実際問題としてはやはりいたしております。
  102. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 最後はやはり了解を得てやるということになるのですか。実際は。
  103. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 結論的に申上げるとですね、その出る前までには意見の結果がどうしても合わん場合もあるかも知れませんが、併し考え方だけはお互いにはつきりする、そしてきめる、こういうことであります。
  104. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ちよつと速記をとめて下さい。
  105. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 速記を始めて下さい。それでは今日は長時間に亘つて相当重要な問題を御審議つたのでありますが、松平部長には相済みませんが、後日にいたして頂きます。  なお最後に小委員会でございますが、小委員会は御承知ように請願とそれから観光でありまするが、これを置きまするかどうか、皆さんの御意見によつて置きますれば、それに関して又御相談いたすことにいたします。先例によつて置くことにいたします。
  106. 村上義一

    村上義一君 先例によつて置いて頂いたほうが審議上便利であろうと思います。
  107. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) 今村上委員の御発言がございましたが、先例によつてやはり請願と観光の両小委員会を設置いたしますことにいたしたほうがよかろうと思います。さようにいたします。つきましては、小委員の人選につきましての御希望もおありと思いますから、又新らしい委員のかたもおありですから、委員長までお申出を願つていろいろ御相談をいたしたいと思います。如何でございますか。
  108. 山縣勝見

    委員長山縣勝見君) ではさようにいたします。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十九分散会