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1951-11-26 第12回国会 衆議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十六日(月曜日)     午後三時十分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 福永 健司君    理事 森山 欽司君 理事 青野 武一君       天野 公義君    篠田 弘作君       船越  弘君    松野 頼三君       三浦寅之助君    柳澤 義男君       今野 武雄君    中原 健次君  出席政府委員         総理府事務官         (特別調達庁財         務部長)    川田 三郎君         総理府事務官         (特別調達庁管         理部長)    長岡 伊八君         総理府事務官         (特別調達庁労         務部長)    中村 文彦君         労働事務官         (労政局長)  賀來才二郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      龜井  光君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君  委員外出席者         労働事務官         (職業安定局失         業対策課長)  大島  靖君         労働事務官         (職業安定局雇         用安定課長)  富山 次郎君         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 濱口金一郎君     ————————————— 十一月十六日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として前  田種男君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員金原舜二君辞任につき、その補欠として北  川定務君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員北川定務辞任につき、その補欠として金  原舜二君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十一月十五日  労働基準監督行政職員行政整理反対請願(  松岡駒吉紹介)(第一三二五号)  労災病院及びけい肺療養所設置請願大内一  郎君紹介)(第一四一三号)  失業保険待期期間廃止等に関する請願倉石  忠雄紹介)(第一四一四号)  ガラ紡績業に対し労働基準法適用除外請願(  三宅則義紹介)(第一四二四号) 同月二十一日  接客業者等労働基準法適用除外請願有田  二郎紹介)(第一五六五号) の審査を本委員会に付託さた。 同月十五日  専売裁定賃金即時実施等に関する陳情書外一  件(第七五九号)  失業対策事業国庫補助額増加及び残額に対  する起債承認等に関する陳情書(第八五二号  )  労働基本権確保に関する陳情書外二件(第八五  三号)  労働法規改定反対に関する陳情書外八件(第八  五四号) 同月二十二日  労働法規改正反落に関する陳情書外二件(第九  四五号)  同(第九四六号)  労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書(  第九四七号) を本委員会に送付された。     ————————————— 本日の会議に付した請願  一 港湾運送公益事業とする請願關谷勝利    君紹介)(第四四号)  二 失業対策事業国庫補助増額等に関する請    願(辻寛一紹介)(第二一一号)  三 ガラ紡績業に対し労働基準法適用除外の請    願(三宅則義紹介)(第二一二号)  四 ガラ紡績業に対し労働基準法適用除外の請    願(千賀康治紹介)(第四七七号)  五 労働基準監督行政職員行政整理反対の請    願(赤松勇紹介)(第五二一号)  六 派遣看護婦及び附添婦職業紹介に関する    請願青野武一紹介)(第五八五号)  七 労働基準監督行政職員行政整理反対の請    願(岡田春夫紹介)(第七三二号)  八 公共職業安定所職員行政整理等に関する    請願天野公義紹介)(第七六三号)  九 労働基準監督行政職員行政整理反対の請    願(中原健次紹介)(第九一四号) 一〇 特需関係労務者労働條件改善に関する請    願(赤松勇紹介)(第九七一号) 一一 労働基準監督行政職員行政整理反対の請    願(久保田鶴松紹介)(第一〇二三号) 一二 労働基準監督行政職員行政整理反対の請    願(松岡駒吉紹介)(第一三二五号) 一三 労災病院及びけい肺療養所設置請願(大    内一郎君紹介)(第一四一三号) 一四 失業保険待期期間廃止等に関する請願(    倉石忠雄紹介)(第一四一四号) 一五 ガラ紡績業に対し労働基準法適用除外の請    願(三宅則義紹介)(第一四二四号) 一六 接客業者等労働基準法適用除外請願(    有田二郎紹介)(第一五六五号)   陳情書  一 労働基準法改正に関する陳情書(第三四号    )  二 失業対策事業費国庫負担に関する陳情書    (第一〇四号)  三 労働基準行政官署における職員増員等に    関する陳情書(第一一四号)  四 夏時刻法廃止に関する陳情書(第一五五号    )  五 失業対策に関する陳情書(第二九七号)  六 日雇労務者待遇改善に関する陳情書(第    三一八号)  七 町村における失業対策樹立に関する陳情書    (第三三七号)  八 北海道における失業対策事業就労者賃金    増額に関する陳情書(第三六六号)  九 労働基準行政機関拡充強化に関する陳情    書外三件(第四〇七号) 一〇 労働法規改正反対に関する陳情書外三件(    第四五〇号) 一一 労働基準機構拡充強化に関する陳情書外八    件(第五〇七号) 一二 労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書    (第六一一号) 一三 道費又は国費による失業対策事業拡大並    びに国庫補助額増加等に関する陳情書(    第六一二号) 一四 緊急失業対策事業全額国庫負担に関する    陳情書(第六一三号) 一五 職業補導事業国庫補助率増加に関する陳    情書(第六一四号) 一六 労働基準行政機構拡充強化に関する陳情    書外二件(第七〇一号) 一七 同外三件(第七〇二号) 一八 労働基準法改正に関する陳情書(第七〇三    号) 一九 専売裁定賃金即時実施等に関する陳情書    外一件(第七五九号) 二〇 失業対策事業国庫補助額増加及び残額    に対する起債承認等に関する陳情書(第    八五二号) 二一 労働基本権確保に関する陳情書外二件(第    八五三号) 二二 労働法規改定反対に関する陳情書外八件(    第八五四号) 二三 労働法規改正反対に関する陳情書外二件(    第九四五号) 二四 同(第九四六号) 二五 労働基準行政機構拡充強化に関する陳情    書(第九四七号)     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  まず本委員会に付託されております。請願審査に入ります。  日程第一、港湾運送公益事業とする請願關谷勝利紹介、第四四号を議題といたします。紹介議員がおられませんので、かわつて島田末信君より御説明を願います。
  3. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、港湾運送業のうち、小運送業公益事業と認められているが、一般港湾運送業公益事業に指定されていない。港湾関係ストライキは、港湾運送業公益事業でないため、労調法に定められた冷却期間三十日の経過を待たずにストライキに突入することができる。先般の神戸港の港湾ストライキが他産業に及ぼした影響は多大であるから、港湾ストライキ瀕発を防ぎ、損害を最小限度に食いとめるため、労働関係調整法の一部を改正して、港湾運送事業公益事業として認められたいというのである。
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承りたいと存じます。
  5. 賀來才二郎

    賀來政府委員 すでに御承知のように現行の労調法におきましては、公益事業範団は第八條で定められておるのであります。そのうち運輸事業でありましても、公衆の日常生活に直接欠くことのできないものについては公益事業となつておりますが、港湾運送事業につきましては、どの程度公益事業であるか、公益事業たる運輸事業の中に含まれておるかということにつきましては、労調法施行以来たびたびその解釈は通牒しておりまするし、また労働委員会で問題になりまして、労働委員会においても、この範囲公益事業たる運輸事業に含まれるという裁定をいたしておるのであります。一般的に申しますと、通運事業でありまして公益事業でありまする鉄道、軌道、あるいは自動車、船舶と一体をなすもの、すなわち同じ小運送業をやりましても、直接公益事業の規定になつておりまする鉄道等の定期的な運送と直接関係のある部分につきましては、港運事業のものも一部公益事業という扱いを受けて参つておるのであります。ただいま請願にありましたような御趣旨は、最近の港運事業ストライキ等から出て来たことでありまして、一応ごもつともな点がございますが、しかしこの争議状況を見ますと、労使ともまだふなれなところがあるということから、必要以上と思われる程度争議がエキサイトしておつたようなわけであります。従つてただいまのところ政府といたしまして、港運事業の実態を考えてみますると、これを全部公益事業に指定するごとについては、相当研究の余地があると考えておるのでありまして、目下のところこれを一部改正をやりまして、指定しようという考えは持つておりません。しかしながら政府におきましては、組合法労調法全般につきまして、改正するとすればどういう点をどういうふうにやるかということを研究してもらいますために、労働関係海審議会をつくりまして、そこで審議されておるわけであります。従いましてごの審議会において、港運事業公益事業とするかどうかということも議論になるであろうと考えておりますが、政府といたしましては、この審議会審議の結果にまちまして、さらにいろいろ研究をいたしたい、かように考えておる次第であります。     —————————————
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第二、失業対策事業国庫補助増額等に関する請願辻寛一紹介文書表第二一一号を議題といたします。紹介議員がおられませんので、島田末信君にお願いいたします。
  7. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、失業対策事業は終戦後社会情勢の推移により漸次増加傾向にあるが、本事業は当然国費をもつて処理すべきであり、窮乏した地方財政ではとうてい負担すべきではない。ついては全額国庫補助とするか、不可能の場合は少なくとも九割を国費負担とし、残額については起債を認められるとともに、日雇い労務者の生計を不当に圧迫することのないよう、賃金単価引上げられたいというのである。
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ることといたします。
  9. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 失業対策事業全額国庫負担の問題でございますが、失業対策事業として実施いたしておりまする諸般の事業地方的な受益関係等もありますし、国の財政全般の立て方等の問題もありますので、全額国庫負担にするということは困難である、かように存じております。しかしながらまた一面、地方財政が非常に逼迫しておりまする実情承知しておりますので、地方負担額につきましては、できるだけ起債わく拡充するということが、最も適当な方法ではないだろうか、かように考えまして、失業対策事業起債わく拡充につきましては、今日までも努力いたして参りましたが、将来におきましてもさらに努力を続けまして、地方財政との調整をはかつて参るようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。  なお日雇い労務者賃金単価引上げでございますが、これにつきましては、最近の一般日雇い労務者賃金動向等をにらみ合せまして、十月以降予算面上の賃金単価を約一割程度引上げましたし、また地方におきましては、事業主体において約一〇%から一一%程度日雇い労務者賃金を高めることといたしたのであります。日雇い労務者賃金につきましては、その地方々々、そのときどきにおきまする一段日雇い労務者賃金動向中心といたしまして、将来ともそういう方向で進んで参りたいと存じております。     —————————————
  10. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第三、第四及び第一五は、いずれもその内容がガラ紡績業に対し、労働基準法適用除外請願でありますから、一括して議題といたします。紹介議員がおられませんので、島田末信君より御説明を願います。
  11. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、明治初年以来、愛知県三河岡崎地方中心として発展した三河ガラ紡績業は、原料を主として綿布の裁断くず並び再製綿を使用して、ガラ紡機をもつて行う家内工業で、現代の高度化された他の工業とはその趣を異にし、ガラガラと気長く長時間運転するのでなければ、優良なる生産品はできない。ついてはかかる産業に対して労働基準法適用を除外されたというのである。
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  13. 龜井光

    龜井政府委員 請願趣旨は、労働基準法改正の問題になると思うのでございますが、この問題につきましては、ただいま中央労働基準審議会におきまして、各方面から提出された意見に基いて検討がなされておるのでございまして、その中にガラ紡の問題も当然含まれて参つておるわけでございます。政府としましては、この審議会の答申をまちまして、案をつくりたいと思つておる次第であります。     —————————————
  14. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは次に日程第五、第七、第九、第一一、第一二、は、いずれも労働基準監督行政職員行政整理反対請願でありますから、一括して議題といたします。紹介議員の御説明を願います。中原健次君。
  15. 中原健次

    中原委員 ただいま議題となりました労働基準監督行政職員行政整理反対請願請願者は、大阪府豊能郡箕面町後藤幸一君外十九名の請願でありますが、それと関連しまして、他に同様の四件をあわせて私から請願趣旨を御説明申し上げることといたします。  このことは、さきに定員法が上程され、衆議院では遂に多数決をもつてこれが承認され、目下参議院で審議中に属する事項と関連するわけでありますが、本来労働基準監督行政の問題は、いまさら御指摘申し上げるまでもなく、労働基準法施行以来、基準法適用工場並びに事業場等に対して、労働基準法精神を徹底せしめるため、その直接事務を担当する職員諸君整理して、定員を減ずる問題なのでありますが、施行以来の経験を通じて考えますのに、今日基準法適用に対し、事業場あるいは工場等経営者側の法に対する軽視の風潮が目立つて増大しておる傾向から考えまして、むしろますます積極的に監督行政の徹底を期することが必要だとして、これが要望しきりな場合、それとまつたく反対の現象として、かえつて職員を減ずるというような政府考え方は、まつたく私どもとしては意外と申しましようか、何と申しましようか、労働基準法に対する政府考え方もまた、これを軽視する傾向の増大しつつある事業場、あるいは工場等経営者考え方と、通じておるのではないかというふうにさえ私どもは感ずるのであります。ことに御存じのように、今日の定員をもつていたしましても、一人の担当いたします事業場の数は、九百事業場以外になつておるといわれておるわけであります。従つてこの九百事業場を一人で受持つておる現状から考えますと、この事業場全般を視察するだけにいたしましても、その間四年以上を必要とする状況になつておると考えるのであります。従つて四年半以上も要さなければ、その担当する範囲工場事業場を一まわりすることができないというこの状態の中に、きわめて不行届きな行政事務しか遂行できないという経験を持つておるこれらの関係監督者諸君が、定員法によつてさらに減員されるということになつて参りましたのでは、せつかく基準法精神を生かすための仕事が、だんだん一層稀薄にせしめられるほかないと考えるわけであります。従つてこういうような行政整理の方針を政府自身が打出すということは、何としてもこの法の精神から考えて大きく逆行するのでありまして、このようなことは政府自身みずから省みて、厳に戒めなければならないのではなからうかと思うわけであります。本請願趣旨もまた従つてそのような意味から、この減員は行わないように、適当な措置を講じてもらいたいというところにあるわけであります。この請願趣旨を十分くみとられまして、行政整理を目途とした定員の天引のごときは、むしろ政府自身から進んでやめるばかりでなく、逆に増員の計画をさえ立てなければならないように思うのであります。この点の意味するものを十二分にくみとられまして、政府は積極的にこれに対する適切なる施策を考えらるべきであると考えるものであります。そのような意味のことをつけ加えまして、本請願趣旨を概略御説明申し上げたわけでございます。何とぞしかるべきおとりはからいをお願い申し上げます。
  16. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  17. 龜井光

    龜井政府委員 行政整理は御承知のように、講和後の日本における国民の負担をできるだけ軽減するということと、行政能率化あるいは合理化という点から、今回政府といたしましてこの問題を取上げ、目下国会において御審議を願つておるわけでございますが、ただいまお話のございましたこれによつて監督行政の実質的な低下を来しはしないかという御心配につきましては、われわれとして目下考えておりますところは、整理を受けます人々につきましては、それぞれの対策が講じられておるのでございまして、できるだけ内部的な事務合理化し、整理をいたしまして、監督の実をそこなわないようにしたいという趣旨で、検討を加えておるわけでございます。要は人の数ではなくして、やはり監督官の質の問題になるのではなかろうかと思うのであります。先ほどお話の中に、一人の監督官が八百幾ら、約九百の事業所を受持つておるというお話がございましたが、われわれの統計におきましては、昨二十五年度一年間において、三十四万近くの事業所監督いたしておるわけでございますが、目下労働基準法適用を受けております事業所は六十八万ありまして、いわばその半数を一年間で監督しておる実績も現われておるわけであります。これは半数で足りるかということになりますと、今度は監督方法の問題だと考えるわけでありまして、一人、二人を使つておりますような事業所をしらみつぶしにまわるということが、はたして合理的な、能率的な監督方法であるかどうかということは、われわれとしてかねがね検討を加えておるのでございます。そこに監督重点的施行と申しますか、監督方法につきましても、そういう小さな事業所につきましては、使用者組合協同組合、あるいは団体というようなものを通じまして、監督実績を上げて行くというようなくふうもこれからいるのでありますが、これは過去においてもやつておるのであります。従いまして、結論は監督官の質を向上させることと、それから監督方法改善、くふうをいたしまして、さらに内部事務合理化調整することによりまして、少数精鋭主義によりまして、今後監督の運営をはかつて行きたい、これによつて監督の質の低下は来さないように、われわれとしまして十分努力をいたすつもりでございます。
  18. 中原健次

    中原委員 ちよつと関連しまして御質問を申し上げます。ただいまの御説明能率化あるいは合理化によつて、その成果を上げることのできるようにやる、いわゆる少数精鋭主義をもつてこれに当れば可能である、こう言われたように思うのであります。なるほど少数精鋭によつて徹底的に働かすことができるならば、そうでない場合よりは成績が上るだろうということは考えられるわけであります。ところが人間の能力にはやはりおのずから一定の限度がありまして、そう目ざましく能率を上げることは、実は容易でない場合が多いのでございます。そこでその意気込みについては私どもも賛成いたしまするが、人の能力限度に対する綜合勘案というような立場から申しますれば、やはり減員でなく、増員するということの方が、ほんとう合理性があるものではなかろうか、こういうふうに思います。従つて一律整理というようなきわめて機械的な整理方式には、まず賛成しかねるということが当然言われなければならぬのではないか。もちろん一律と申しましても、それぞれの官庁によつて率は違つておるわけでありますけれども基準関係職員諸君に関する場合は、もはや減員するという根拠はいささかもないのではないか、むしろ精鋭主義にするとしても、現員をさらに精鋭主義の方に発展せしめて、過去において十分監督を徹底せしめ得なかつた部分をむしろ補うための精鋭主義というふうに考えられた方が、ほんとうは合理的なのではなかろうか、このように感じます。この点についてもう一度御所見を承つておきたいことが一つ、それからもう一つは、基準法に関する申告件数、これは基準法施行以来どういうふうになつておりますか。そうしてこれに対する監督執行状況はどうでありましたか。十分今後ともそれを果し得る御確信を持つておいでになるかどうか、そういうことについてもこの際承つておきたい。
  19. 龜井光

    龜井政府委員 行政整理と申しましても先ほど申し上げましたように、監督の実質を低下しないような整理方法が考えられ得るのであります。具体的に申し上げますと、現在の基準法で要求されております許可認可、届出、その他手続面に非常に煩瑣な事務があるわけであります。従いましてわれわれとしましては、こういう手続はできるだけ簡素化いたしまして、内部事務整理するということが第一点に考えられるのでございまして、監督官は実は従来こういう内部事務に忙殺されまして、外に出て直接監督するというひまが、このためにずいぶんとられておるわけであります。従いましてこの点を十分整理合理化することによりまして、全力をあげて監督官監督事務に従事し得るような態勢をつくつて行きたいということが第一点であります。  第二点は、監督官整理の率につきましては、そのほかの職員整理の率と違えまして、できるだけ監督官につきましては、その数を確保して行くという整理方法を、われわれとして考えてもらいたい。これによりまして、監督官による監督実績低下を来さないように処理して参りたい、かように思つておる次第でございます。  その次の申告監督の問題でございますが、大体毎月申告がございますのが二千四、五百件でございます。これらの申告につきましては、完全にこれについて調査監督するという原則でやつておりまして、これはほぼ百パーセントに近いだけの実績を上げておるとわれわれは考えております。
  20. 中原健次

    中原委員 申告件数が大体三万件くらいの見当と考えておりますが、それに対して責任ある仕事を果し得る、こういうふうに言われたのでありますが、実情を申しますと、実は申告件数以外に、申告してない部分相当基準法施行上に関する問題が隠されておる。すなわちそれを問題にするだけの考え方を持つていない。そういうような無知というが、基準法に対する周知のなさから来る一つの看過されたものが多数あるわけであります。これはやはり申告件数だけでなく、積極的に監督官工場を視察するという方法をとることによつてだけ、これらの監督をなし得ることになると考えるのであります。従いまして実情から申しますと、基準法は満足に守られておらないというのが現状であります。これは本省の皆様が直接工場をごらんになる場合はめつたにありますまいし、またたまに工場を視察になるという場合には、そういう点はひた隠しに隠されて、りつぱなところだけを見せてくれるに違いない。従つてほんとうには、監督行政が徹底しないところがたくさんある。法違反工場内部事情というものが、いまだに監督官庁である労働省自身の目に十分映じていないということのあることを、私はつけ加えて申し上げておきます。このことにつきましては、また直接問題があります場合あるいはその他の機会にお話を申し上げるといたしまして、一応この場合は、行政整理反対請願説明を申し上げたのでありますから、それ以上深入りをすることを差控えますけれども、必ずしもあなたがお思いになつておいでになるような実情とは違う。相当忙しく立ち働かなければ、基準法趣旨を徹底せしめることは困難である。従つてそのためには減員ではなく、むしろ増員の必要さえあるということをつけ加えて御注意申し上げたい。
  21. 龜井光

    龜井政府委員 今のお話の中に、多少数字的に間違つておるところがございますので、申し上げたいと思います。われわれの監督業務月報によりまして、一年間の統計は今出ておりませんが、七月だけの状況で御説明申し上げます。七月において監督を実施しました事業場の数は、三万二千四百三件でございます。われわれの監督方法としては、申告につきましては大体百パーセント監督している。そのほかは定期監督を行つておるのであります。その定期監督として七月に行いましたのは、総合的な監督としましては一万二千九百七十三件、これが四〇%、定期監督のうちの部分的な監督、これは法の個々の問題につきまして部分的にやる監督であります。これが八千五百二十件、二六・三%、そのほかに安全衛生の特殊監督をやつております。これが七月におきまして三千九百五十四件、一二・二%、それから再監督と申しまして、前に参りました際に十分に法が守られていないという場合、再度監督に参ります。そして最初の際に是正を命じて、その是正が行われておるかどうかということのための再監督をいたしております。これが四千六百二十二件で一四・三%、それからお話申告に基く監督が二千三百三十四件、七・二%というので、申告監督の件数はごくわずかでございまして、ほとんどは監督署の計画的な定期監督というものが、監督の主体になつておるのであります。しからばその成果はどうかという問題でございます。その中で再監督をいたしました四千六百二十二の事業所につきまして、どういう成果が出ておるかと申しますと、七月中において、その中で完全是正をいたしましたのが二千五百五十三件、五五・二%、一部是正が千七百五十二件、三七・九%、是正しなかつたのが三百十七件、六・九%というふうに、再監督の結果半数以上は完全な是正をいたしておることがわかつております。またその残りの大部分も一部的に是正がまだ十分でない、完全に是正をしてないのがわずか三百十七件という数字を示しておりまして、必ずしも基準行政が徹底して行われていないということは、この数字から申しまして言えない。まず十分でないという個々の具体的な問題についてはあろうかと思いますが、われわれとしては今後十分に注意いたしまして、そういう問題の発生の都度是正して参りたいというふうに思つております。
  22. 中原健次

    中原委員 なるほど数字的な資料で御説明でありますから、御説明だけで考えるとりつぱに成果が上げられているというように印象づけられるわけですが、しかしほんとうにはまだ監督署自身が気づいてか気づかないか知りませんが、まつたく手を触れておらないで、しかも違反が相当念入りに繰返されている場所が相当多数あるわけなんです。この点について私不幸にして数字を持たないし、ここで具体的な実証づけをして申し上げることができないのは遺憾でありますけれども、お手元の資料だけをもつて、相当大きい部分として評価することによつて見る基準法適用範囲工場事業場等の集積は、りつぱに基準法が浸透しておると言うことはむずかしいと思う。むしろそれははなはだ危険でありまして、そうじやなくて、もつともつと実情を調査しかつ指導して行くという積極的な方針をとられない限り、せつかく基準法も死物になる、あるいは死物に近くなる危険性があることを私どもは気づくのであります。いずれまた他の機会に、私の生きた問題をもつて当局の御反省を求めることを付言いたしまして、この請願説明を終ることにいたします。     —————————————
  23. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第六、派遣看護婦及び附添婦職業紹介に関する請願青野武一紹介、第五八五号紹介、第五八五号、紹介議員の御説明を願います。青野君。
  24. 青野武一

    青野委員 請願書の内容は非常に長いので、簡単に要約して御説明を申し上げます。本請願者の小林よしえという人は看護婦の代表で、都下一千三百五十七名から請願書が提出せられております。これは第十国会でも問題になつ請願でございますが、本請願要旨は、派遣看護婦制度は公衆衛生の面から見て重要な制度であるが、一方働く婦人の職業問題としても、婦人の職業分野として職質のあるもので、婦人の職業問題解決にとつて重要な事柄を含んでいるから、この職業紹介を営利を目的とする事業の対象とならないよう考慮するとともに、派遣看護婦及び派出婦の各単位の任意組合組織に対し、求職活動の自由を与えるため、無料求人、求職活動ができるよう職業安定法第三十三條によろ施行規則を改正されたいというのであります。
  25. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  26. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 看護婦並びに派遣看護婦職業紹介の問題につきましては前回の国会におきましても種々論議のありました点でありまして、公衆衛生の面から、また働く婦人の職業問題という面から、非常に重要な問題でありますので、従来とも慎重なる考慮のもとに措置をいたして進んで参つておるのでございますが、こうした問題につきましての考え方は、前回の国会でも申し上げましたように、公共職業安定所の職業紹介というものを中心といたしまして、安定所で十分できない面につきましては、それぞれ民間の御協力をお願いいたし、民間の御協力といたしましては、それぞれ民間のこうした職業紹介に関心を持つておられる方々の職業紹介事業を、できるだけ許して行くというやり方をとつてつております。しかもこの問題につきましては、有料の職業紹介事業のみでなければならぬとか、あるいは無料の職業紹介事業のみでなければならぬといつたふうな狭い考えではなくして、それぞれの業者の方々の立場々々において、有料の職業紹介事業もできるように、無料の職業紹介事業もできるように、それぞれの門戸を開きながら進んで行くことが適当であろう、かように考えて措置いたしておる次第でございます。  なお本請願の後段にあります派出看護婦の任意組合組織に対する求職活動の自由を与えるという点が、請願趣旨にあげられておりますが、この問題につきましては、現在東京その他にあります委託寮の寮長の方々が、委託寮そのままの形において求人活動あるいは求職活動をしようというのでありますれば、これはいろいろな條約の関係あるいはそうした法律の関係から申しまして困難でありますけれども青野委員の御承知のように、これらの方々が労働組合法による労働組合を組織するということでありますならば、先般来名古屋においても実験的に実施いたしておりまして、実は非常に成績を上げておるというような前例もありますので、こうした方々が労働組合法による労働組合を組織されておやりになるということでありますならば、私どもの方も安定法の精神従つて、そうした方々に対する労働者供給事業をできるだけ許可いたしまして、そうした方方の創意くふうによつて、こうした職業紹介事業が円滑に進んで行くようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 青野武一

    青野委員 齋藤局長にちよつとこれに関連して質問しておきますが、この臨床看護婦組合というものは、労働組合とはつきり書かないといけないのか。私も大分東京をあちこち走りまわりましたが、大体求人側も病院側も、はつきり労働組合の労働という文字が入ると、何を感情的にやはりいやがるというような空気がある。これはまあ封建的な気分から生れて来るのでありますが、そういうことがある。今回のは第十国会と違いまして、こういう任意組合をつくるからひとつよろしくお願いしたい。それで組合趣旨といたしましても、大体労働條件の維持改善に関する事項、経営の民主化に関する事項、あるいは文化の向上に関する事項、技術並びに品位の向上に関する事項、厚生福利に関する事項、同一目的を有する他団体との連繋、協力に関する事項、その他目的達成のために必要なる事項というものが大体組合趣旨であつて、目的達成のためにいろいろなことをこの組合の規約ではこしらえておりますが、こういうことで大体各委託寮を中心にして、順次こういうような組織ができれば、結局これに対して局長は便宜をはかられて行かれるかどうか。一番先にお尋ねしたいのは、はつきり労働組合という文字を打ち出さなければいけないのか、実態が労働組合であればいいのか、この間私が愛知県に行きましたとき、あちらで関係者に会つて来ましたが、非常に成績がよく、模範的にできておるのでありますが、東京はまだそこまで行つておりませんので、あわせてお尋ねしておきます。
  28. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 この問題は、青野委員も御承知のように二つあるのでありまして、労働者供給事業と無料の職業紹介とわけて考えた方が、御理解がいいのではないかと思うのでありますが、職業紹介、労務供給事業ということになりますと、やはり労働組合法上の労働組合でなければならぬ。これは私はそれが適当だと思います。ただいま青野委員の御発言の中にもありましたように、利用される方々がやはり労働という文字がありますと、利用しにくいということもありましようから、通称は何と申しましてもけつこうだと思いますが、法律的な、形式的な要件といたしましては、やはり組合法上の組合であることが、一番適当ではないかと存じておるわけでございます。ただもう一点の無料職業紹介所ということになりますれば、実はこの問題についても労働省におきましては、法律ができました当時は非常に強い、かたい制限を加えておりまして、財団法人でなければならぬとか、いろいろの制限を加えておりましたけれども、こういうふうな職業紹介事業につきましても、従前のような弊害もあまり見受けることもできなくなつたというようなこともありまするので、必ずしも財団法人でなくてもよい。やはり無料の職業紹介をやれるような、ある程度の財政的な面、そういう事務的な面、そういう組織さえあれば、この人たちが無料職業紹介所をやろうとするならば、これはまたけつこうじやないか、私どもはこういうような考えでいたしております。労務供給事業ということでありますと、これは名前は何であつてもけつこうだと思いますが、組合法上の組合でなければならぬと思いますが、無料の職業紹介をやるならば、従前のように必ずしも財団法人でなければならないというようには私どもは考えておりません。やはりある程度の財政的な基礎を持ち、事務的な組織が完成されておるならば、それでけつこうではないか、こういうふうに存じておる次第であります。     —————————————
  29. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第八、公共職業安定所職員行政整理等に関する請願天野公義紹介、第七六三号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。天野委員
  30. 天野公義

    天野委員 本請願請願者は、全国公共職業安定所職員組合連合会中央執行委員長熊川廣衛君でございまして、本請願要旨は、今回の行政整理は、公共職業安定所職員に対しても同様に行われるというが、行政整理の結果生ずる十数万の失業者に対する就職「あつ」せん業務は倍加され、これ以上定員を縮小すれば、安定所の運営は麻痺状態に陥ることは明らかであり、また行政整理の結果、失業保険業務も急激に増加し、現在の担当員でも困難である。ついては職業安定所の行政整理を中止し、最低賃金八千七百円を支給し、現業的業務の特殊性から特別俸給の適用と号俸調整引上げを実施し、失業保険業務取扱いに対しては、公共企業体関係職員と同様、危険手当を支給されたいというのであります。
  31. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。齋藤政府委員
  32. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 公共職業安定所の行政整理の問題でございますが、これは公共職業安定所の業務の内容等を各方面におきましても御理解願いまして、現在定員一万一千八百七十人でありますが、これにつきましては安定所の職業紹介の現業に従事する職員につきましては、実は一人も行政整理をしないで、内部の管理事務の人事、会計といつたような庶務関係事務について、ある程度整理をすることにいたしまして、さらに先般衆議院の修正等もありまして、一万一千八百七十人に対しまして、整理いたしますのは三百九十六八ということに相なつているのでございます。現在安定所の職員は、非常な厖大な求職者を相手といたしまして、非常に御苦労を願つておりますことにつきましては、私衷心から感謝もいたしておりますし、まことに御苦労なことだと存じております。しかしながら政府の今回の行政整理趣旨から申しまして、内部管理事務についてのある程度整理のみでございますので、この程度整理でありますならば、安定所の職員にも御苦労を願うことはもとよりでありますけれども、これだけの定員行政の万全を期して参りたいと考えている次第でございます。なお安定所の職員の中には、十一月現在で約二百人近い欠員等もありますので、その他の定員外に出まする長欠というものもやはり二百人以上ございますので、そういうことをあわせ考えますならば、現在安定所に勤務しております現有職員で、行政の万全を期して行くことができると考えている次第でございます。  なお請願趣旨の中にあります特別号俸の問題と号俸調整の問題でございますが、これは天野委員も御承知のように、号俸調整は昨年の九月から〇・五並びに一号俸調整いたしておりますが、将来ともごの号俸調整は続けて参りたいと考えております。なお安定所職員の勤務の態様から申しまして、やはり特別俸給という問題は考える必要があるのではないかと考えております。まだ成案を得ておりませんが、これは将来の問題として、請願趣旨にのつて考究を続けて参る考えでございます。  失業保険の危険手当の問題でございますが、この問題につきましてもいろいろな問題がありまして、この問題につきましても目下人事院と折衝考究中でございます。請願趣旨に沿うてこの待遇の問題につきましては、将来とも努力を続けて参る所存でございます。
  33. 天野公義

    天野委員 公共職業安定所の職員は御承知のように、非常に重要な業務でございまして、今後ますますこの方面の業務量はふえ、また重要性を増すと思います。私どもが今後非常に考えなければならないのは、共産系の煽動とおぼしいような、いろいろな紛争が安定所をめぐつて起きるということも推定されるのでございます。先般は相当安定所の職員がけがをしたり、中には殺されたというような話しも聞いておるのであります。そういうような面もございますので、あれこれいろいろ考えあわせまして、安定所の職員につきましては、政府側においても特に万遺漏のないような御配慮を賜わりたいのでございまして、この点要望をいたす次第でございます。     —————————————
  34. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第一〇、特需関係労務者労働條件改善に関する請願赤松勇紹介、第九七一号、紹介議員がおられませんので、かわつて青野武一君より御説明を願います。
  35. 青野武一

    青野委員 請願者は日本労働組合総評議会議長武藤武雄君からでございますが、今委員長がおつしやいます通り、紹介議員赤松君が欠席しおりますので、かわつて簡単に請願要旨を申し上げたいと思います。本請願要旨は、朝鮮動乱後の特需発注の激増に伴い、鉱工業の生産は一箇年に五二%増加し、残業労働時間もまた増加しているが、労働者の実質賃金はわずかに七・一%上昇しているにすぎず、従つてこの特需によつて、もたらされるものは労働者にとつては実質賃金低下と労働強化、災害の増加以外にはない。日米経済協力の規模の増大に伴い、このような傾向が増大するものと思われるから、次の事項につき特別の措置を講ぜられたいというのであります。第一が日本政府機関を通ずる契約の実施、第二が総合的苦情処理機関の設置、第三が契約内容の公開、第四がダンピング契約の防止、第六が契約単価の引上げ、第七が組合活動の自由、以上であります。
  36. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  37. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 特需の関係につきましては、実は進駐軍の方の法規の関係もございますので、ただいま特調といたしましてこの問題をすぐ取上げるというわけにも参らないのでありますが、実は進駐軍からわれわれが要求されまして、各般のサービスをやつて参りました経験から御説明申し上げておいた方が、本件御審議の御参考になるかと思いますので、一言申し上げます。実は本件は前議会におきまして、材木業者組合からも同じ趣旨請願が出て、たしか御採択になつたかと存じておるのであります。本件の内容に盛られましたものは、実は物心両面の意味があるかと存ずるのであります。進駐軍から直接いろいろな注文が会社に出ましたり、また直接労務者を使われるということになりますると、人情、風俗、言語を異にいたしております関係上、いろいろな問題が起つて参るのであります。そのときに、あえて特調と申し上げるわけではございませんが、この間に日本機関が入つておりますると、いわゆるクツシヨンの役を勤めまして、摩擦を防ぐことができろのでございます。端的に申し上げまするならば、アメリカのむちが直接当りますると、そこにいろいろな感情の疎隔というものも起つて参りますので、将来の日米関係にかんがみまして、この間に立つものがあることが必要ではないか。俗な例を申し上げまするならば、同じしかられますにしましても、おやじにしかられますのと、隣のおやじからやかましく言われるのとは大分違います。日米関係の将来を考えまするとき、何か日本の機関が間に入りまして、これを調整して、場合によれば双方に対しまして、俗に悪者と申しますか、いやなことも直接言わずに、労働者の方から出ますることも、軍から出ますることも、その中間機関がこれを一応こなして取次ぐということが必要ではないかと存じておる次第であります。なお経済関係から見ましても、たとえ話を申し上げまして恐縮でありまするが、いなかの井戸の水をくみますときに、消防ポンプの大きいのをつつ込みますと、その水はすぐかれてしまいますし、しかも濁つて飲めなくなります。井戸の水をくみますときには、つるべでなれた者がくむということが、水をきれいに飲むことにも相なります。この問題につきましては、冒頭に申し上げました物心両面の理由が含まれているように考えまするので、われわれの四年間にわたる経験から、これだけ申し上げておきたいと存じます。
  38. 青野武一

    青野委員 御説明で大体よくわかりました。私はこれについて相当質問の項目を持つておるのですが、時間の関係もございますので、また適当な機会に労働委員会を通じてお尋ねすることにいたしますが、ここに第二に総合的な苦情処理機関の設置ということが入つております。特別調達庁の財務部長、管理部長、労務部長が見えられており、関連しておりますので、ひとつお尋ね申し上げたいと思いますのは、新聞の切抜きを部屋に置いて参りましたが、先日立川の横田基地でB二九が民家に衝突をして火災になつた。これと関連するのです。新聞紙の上でございますから事実かどうかわかりませんが、岡崎官房長官が、その民家に与えた損害については、大体特別調達庁を通じて弁償して行くといつたようなことを言明された。それがかりに事実といたしまするならば、これは七月の十八日付で請願書になつて、これは衆参両議長にも来ておりますが、今年の五月十日に福岡市の下臼井というところで、戦闘機が墜落して十一名死んだ。これはしようゆをつくつておる醸造工場の中に落ちたので、そこの主人、家族、使用人十一名が死んでおる。そうして大体の損害が一千百万円ほどであつた。それが大体二十八万円程度の補償しか与えられなかつた。これについて県知事から私どものところ、内閣総理大臣、外務大臣、厚生大臣、特別調達庁長官、これにずつと請願書が出ておつたのですが、関連して御質問したいのは、今度のB二九が民家に衝突して損害を与えたのに対して、どのくらい弁償されるか、それと関連して死亡者が十一名、財産の実損害が大体一千百万円、これは福岡の県知事が請願書の内容をつくつております。これに対して見舞金が二十八万三千三百五十二円、戦闘機の墜落をいたしましたのが二十六年五月十日、これは今申しましたように下臼井であります。これは速記をとめてもいいですが、ジープなんか常時よその店につつ込んでおる。私の知つておるところでもずいぶんある。全然あいさつ拔きでやりつぱなす場合が多い。これなんかは十一人の人が、戦闘機が墜落して死んでおる。今度は横田基地でそういう損害を与えたのを全額弁償するとすれば、今年福岡で起つたこういうことも、非常なけが人もできて、一生労働のできない人もある、いろいろな機械設備がこわされて賠償してくれない。全額二十八万円で打切られて、実際は一千百万円やられておる、こういうことは規則がどうあろうとも、もし向うさんが出さなければ、特別調達庁が終戦処理費の中から、適当な方途を講じて、実際にその弁償額を賠償してやるということにならないと、不可抗力だけでは片づかぬと思う。朝鮮動乱が続いておりますので、九州あたりは特にものすごいのです。始終飛んでいる。それが事故のあるたびに民家の上に落ちる。やられた場合にどこにも言うて行く先がない。そういうときに政府の代表機関である特別調達庁あたりが、あたたかい気持で実情を調査して、できるだけのことをしてやらなければいかぬと思う。今度のB二九の墜落の問題と福岡市の下臼井の問題と関連して、私はこの際お尋ねしておきたい。店をぶちこわしたというような小さい問題はたびたびあるのです。ところがほとんど問題にならない。向うさんがしなければ、日本の政府機関で何とかこれを解決しなければいかぬ。やられ損ではたいへんな問題が将来において起ると思うので、この点お尋ねしておきます。
  39. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 各地でただいまお話のような事件が起りまして、これに対する見舞金がはなはだ軽少で、非常に犠牲を払つていただいておることにつきましては、まことにお気の毒に存じておる次第でございます。実はこの種の損害の発生した際の補償の問題につきましては、進駐軍の方と交渉を進められたのでありますが、進駐軍の方においては補償することができないという命令が参つておりますので、日本政府といたしましては、日本政府の責任によつて起つた損害ではございませんけれども、非常にお気の毒でございまするので、終戦処理費からそれぞれ見舞金をお贈りすることに相なつております。この事務は、実はただいまでは終戦処理費を特調で扱つております関係上、特調が予算を握つておりまするが、この見舞金の交付の問題については、厚生省所管でお取扱いになつておる次第でございます。しかしこのたびの横田の事件といい、ただいまお話の九州の事件も、われわれ承知いたしております。これは何とか見舞金の増額の問題を考えなければならぬであろうということを存じておる次第であります。伺うところによりますれば、厚生省におきましても、この見舞金の増額の計画を持つておられるように承知いたしております。今後十分打合せもいたし、研究もいたしまして、善処いたしたい、かように考えております。
  40. 青野武一

    青野委員 私の質問に対するお答えが一つございませんので、重ねてお尋ねいたします。岡崎官房長官が新聞紙を通じて発表したのですが、日本政府機関でこれを弁償するということでありますが、この間の立川の横田基地の問題、これはやはり今の規定に基いて見舞金を出す程度の内容ですか。ここに二十五年の一月三十一日、厚生次官、大蔵次官が、都道府県知事あてに、進駐軍による事故のため被害を受けた者に対する見舞金に関する件という通牒を出した、その写しを私持つておる。今度の場合と福岡の場合と関連して私お尋ねしておるのですが、官房長官のおつしやつた内容は、やはりあなたの今御説明になりました規定による見舞金程度であるかどうかということをお尋ねしておきます。
  41. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 官房長官がどういうふうに申されましたか、私うかつに存じなかつたのであります。ただいまの規定で見舞金を出すことになりますれば、先ほどお話の福岡の例と同じようなことになると思います。死にました者に対してわずか二十万円、家の焼けましたものに対して四万円といつたようなわずかな基準がございますので、この基準によるほかはないかと存じますが、おそらく官房長官のお話は、この基準を何とかかえるくふうはないかという意味で、お話しになつたのではないかと思います。この基準をかえることにつきましては、さらにこれをいつから適用するかという、適用の時期の問題もございますので、十分打合せて処理をいたしたいと存じております。
  42. 青野武一

    青野委員 終身自由に用を足すことができないとか、終身業務に服することができないという場合に、障害見舞金、死亡見舞金一人当り十万円とか、三万四千円とか、七万二千円とか、表はできております。これは大蔵次官と厚生次官の通牒にあるのです。私が今年の三月に、この労働委員会を通じて特別調達庁の方に質問した内容に触れるのですが、東京の自由労働者が軍務関係に従事して死亡した場合に、労働基準法から行けば本給の千日分ですか、百五十万円くらいの生命保険をつけてあるとか、あるいは一箇月の給与が三万円くらいになつているとかいうようなことも聞いておるのですが、かりにそれが事実とすると、これと比較いたしますと、あまり開きが大き過ぎるのではないかと思つております。規定がこうなつているから気の毒だがということでは、やられた方は見舞金だけではどうすることもできないのであります。そこでこれは非常に困難な問題ですけれども、内容を改正することがむずかしければむずかしいだけ、関係方面と十分に折衝して、損害を与えただけのものは補償して行くというようにして行かなければならぬのではないかと思う。私が三月の承認委員会で申しましたときに、大体日本の港からよそに連れて行かないと言われたが、仁川の方に連れて行つた。そうしてけがをした人もあり、死亡した人もある。政府の発表によると、二十名ばかりの船員が魚雷でやられて死んだが、そういう人たちの遺家族はどの程度の扶助料をもらつたかということをその後聞いてみますと、今申しましたような相当高額の待遇を受けておる。ところが戦闘機とはB二九などの墜落によつて受けた損害は、これらと比較すると、その補償見舞金の内容はほとんど問題にならないのです。そういう不合理なことは、そういつもあることではないのですから、むずかしければむずかしいだけ関係方面と折衝を続けて、そういう損害を与えたときにはできるだけのことをしてやるような交渉、打合せをしていただきたいと思います。この点についてひとつ御所見を伺つておきたいと思います。
  43. 川田三郎

    ○川田政府委員 連合軍の起しました事故による見舞金につきましては、ただいま御発言のありましたように、私どももその御趣旨に沿つて予算の成立を希望しておる次第であります。現在その事務を各府県によつてつておりますが、主務省としての厚生省から、予算所管庁たる総理府に対しまして、見舞金の標準額を引上げる予算の予側折衝が行われておりましたそのやさき、先日の北多摩における事故が起つた次第であります。先ほどお話のありました九州の醸造業者の被害も、両々相権衡をとりまして、補償しなければならない性質のものではございます。ただ現在の財政から申しまして今日起りました災害について、国が従来の見舞という観点を変更いたしまして、実損額を補償するという取扱いになりました場合には、二つの問題がございます。一つは軍の行動により損害の責任を、日本政府が負うということがはたして妥当であるかどうか。もう一つは実際問題でありまして、現在起つておる災害を、まことにお気の毒であるというので実損程度まで補償いたしました場合、従来全国に起つております大小さまざまの交通事故ないしは演習等における被害、そういうものも権衡上救わなければならぬ、でなければつじつまが合わぬということになります。現在厚生省が立案しております補償は、終戦来の損害について、あらためて基準の立て直しをして、追加補償をするというところまで考えておりますが、財政上これが負担できるものであればやりたいけれども、とうてい現在の財政ではそれができない。それでこの補償につきましては一つの段階がありまして、先ほどお読みになりました大蔵、厚生両次官の協定書、その線を、特調所管になりましてから少しでも損害に近づけたいという念願から、死亡十万円の最高限度を、二十五年四月一日から二十万円に上げ、その他それに準じて大体最高限度を倍額に上げた。しかし先日の事故にこれを直接に適用いたしますならば、死んだ方には二十万円ということで、いわゆる進駐軍雇用の労務者との権衡は非常に離れて来る。また焼けた家につきましても一戸最高四万円で、これでは二坪程度の再建築しか補償できない。これもすべて見舞という観点に立つておりますので、まず政府部内におきまして、これを補償金という角度に引直すかどうかということが、一つの問題でございます。この二点につきまして、ことに第二の財政問題の解決ということは、なかなかただちに考える通りには行かぬものと思いますが、なるべく見舞という形で出すにしても、補償を実損に近づけてやりたい、こういう観点から現在研究中でございます。研究中とは申しながら先日も事故が起きましたし、近くは九州の事故もございますので、厚生当局ともよく打合せをいたしまして、大蔵省とも十分協議をし、またすでに閣内においてもこれは相当の重要案件として取上げられておるのでございます。一特調だけの意見ではどうにもならぬことでございますが、政府部内あげてこれを積極的に押しまして、何とかしてこの補償を少しでも多くしてあげたい。たとい名前は見舞金であろうと何であろうと、棄損をカバーしたいという念願は持つております。しばらく検討いたしまして実際の策に進むまで御猶予願いたいと存じます。
  44. 青野武一

    青野委員 お話でよくわかりました。これは大体重要な問題で、あまりつつ込んで御答弁もまた質問もできない問題ですが、できるだけこういう気の毒な——十一名もまくらを並べて焼け死んでおりますので、補償をする際は、今度のB二九の問題だけでなく、こういう問題はやはり今年のできごとですから、気の毒な諸君に対しては少しさかのぼつてお考え願いたい。前は十万円だつたが、今は二十万円に増額したというような、差額も相当の開きがあるので、そういう点は改正をされるときは、ひとつ十分お考え願いまして、寝耳に水の被害を受けました人々に対しては、できるだけのことをしていただきたい。終戦処理費は向うさんのまかない費ですが、向うのあやまちだから、多少削つてもそつちへまわして行く。むずかしいといえばむずかしいのですが、そういう点について日本人が日本人の立場に立つて、気の毒な人の損害をどうして負担し、弁償して行くかということをよくお考え願いまして、今のお話のように、ひとつその線を進めていただきたい。これを最後に希望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  45. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは次に日程一三労災病院及びけい肺療養所設置請願大内一郎君紹介、第一四一三号を議題といたします。紹介議員がおられませんので、島田末信君かわつて説明を願います。
  46. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、東北七県における労働者の災害件数は近年激増の傾向にあり、ことに多数の鉱山を有する関係上、坑内作業による硅肺病患者が増加しているのであるが、これら災害者は遠く東京労働病院、北海道整形外科療養所、または栃木硅肺療養所に収容されるため、その不利不便ははなはだしく、しかもこれら病院自体においてもその施設が狭隘のため、自県の患者さえ完全に収容し得ない現状である。ついては東北地方実情にかんがみ、省立労災病院並びに硅肺療養所を設置されたいというのであります。
  47. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側の御意見があれば承ります。亀井政府委員
  48. 龜井光

    龜井政府委員 労災病院につきましては、東京と九州に現在あります。また本年からは、関西労災病院の設置を今見つつあります。また硅肺病院としては現在栃木県に一箇所あるのでありまして、将来におきましては逐次労災の経済とにらみ合せながら、これを拡充して参りまして、合理的な診療を普及いたすように努力いたしたいと考えておる次第であります。東北につきましても来年度予算におきまして、大蔵当局に要求をいたし、これが折衝の段階に入りましたならば、極力その実現について努力いたしたいと考えております。     —————————————
  49. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第一四、失業保険待期期間廃止等に関する請願倉石忠雄紹介、第一四一四号を議題といたします。紹介議員にかわつて島田末信君の説明を願います。
  50. 島田末信

    島田委員 本請願要旨は、日雇い労働者の失業保険金給付については、前二箇月、通算二十八日以上就労し、失業保険印紙二十八枚以上を得ておれば、第三月日に保険金百四十円十三日間、四十八枚以上を得れば十七日間の保険金を受給される資格がある。しかるに現在第三月目の初めに連続四日間か断続六日間の待期期間と称する公休及びあぶれ番の日があつて、この期間が差引かれるため、保険金受給資格十三日間ないし十七日間という数字は有名無実となり、一箇月にして八百円ないし千二百円の減収となつている。ついてはこの待期期間を廃止するとともに、当り番の目に病気その他やむを得ない理由で就労できなかつた場合に希望認定を認めて、保険金を支払われたいというのであります。
  51. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。齋藤政府委員
  52. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 日雇い労働者の失業保険法の保険の待期期間廃止の問題でございますが、日雇い労働者の失業保険につきましては、できるだけ待期期間を短縮し、いなむしろ待期期間をなくすることが理想であると私どもも考えておりますが、御承知のように失業保険経済の実情、さらにまた日雇い職業紹介実情から申しまして、今ただちに待期期間を全廃するということは困難なことであります。しかしながら日雇い労働者の生活安定をはかるために、一方失業対策事業の円滑なる運営をはかり、また一方において日雇い失業保険法の円滑な適用をはかるということは、きわめて緊要なことでありますので、できるだけ待期期間は短縮するということが適当だと考えております。昨年八月の臨時国会において連続五日、断続七日の待期期間を一日短縮いたしまして、連続四日、断続六日という待期期間にいたしたのでございますが、さらに私どもとしてはもう一日くらい短縮できないであろうかということで、目下検討を加えておる次第でございまして、できますならばできるだけすみやかにそうした成案を得て、日雇い労働者の生活安定をはかりたいと考えておる次第でございます。
  53. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はございませんか。
  54. 中原健次

    中原委員 ただいまの日雇い労務者の待遇に関する請願に関連してお尋ねしておきたいことは、日雇い労働者の労務賃金の問題であります。この問題は先年来しばしば請願あるいは質疑その他の方法を通じて当局の意見をただし、あるいは労働者側もこれに対してしばしば意見を述べておるのでありますが、その後聞くところによれば、わずかに一割ないし一割二、三分くらいの貸金引上げの措置が講ぜられたように思うのでありますけれども、その程度賃金引上げでは、今日の物価の諸事情から考えてきわめて不適当であると考えるのであります。ことにこの失業労働者は、失業労働者自身の責に帰すべき原因によつて失業した場合でないのが多いのでありまして、先年来の失業対策、失業者を政府の政策によつてずいぶんつくつたという事実が過去において累積しておりますので、政府としては相当この失業労働者に対する待遇問題についての、積極的な施策あるいは対策を講ぜられなければならぬと私どもは思うのであります。従つてこの際日雇い労働者の賃金の問題についてどのような実情になつておるのか、さらにはどのような考え方をもつて望んでおるのか、その諸点についての真相を御発表を願いたいと思います。
  55. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 失業対策事業に就労する日雇い労働者の賃金につきましては、御承知のように緊急失業対策法に基きまして、一般の民間事業に使用せられる日雇い労働者の賃金よりも、一〇%ないし二〇%程度低く定めなければならないということが定められておるのでございます。すなわち民間事業への就労をいやがるというふうなことがあつてはなりませんので、そのような考慮から一般の日雇い労働者の賃金は、一般職種別賃金から申せば、進駐軍労務が最高でありまして、その最高から大体一〇%引きが公共事業の最高になるという形になつており、従いまして失業対策事業就労の日雇い労働者の賃金も、一般民間企業よりも大体一五%低目、公共事業よりは多少低い、最近においてはあまり差はありませんが、民間企業よりは一五%少くする、こういうのが法制上の建前になつております。従つて日雇い労働者の賃金につきましては、その地方地方における同種の事業に従事する民間事業賃金が、どう動くかということが問題でありまして、民間事業賃金が上れば、当然ある程度日雇い労働者の賃金は上つて行く、こういう形態をたどつておるのであります。実は昨年の十二月、一般職種別賃金が多少上りましたので、その際にも日雇い労働者の賃金をある程度上げました。さらにまた今回は八月以降の一般の日雇い労働者の賃金動向にかんがみまして、大体一一%程度日雇い労働者の賃金単価を上げたわけであります。賃金についではなるほど多いに越したことはありませんけれども、やはり失業対策事業の本旨から言つて、ある程度民間事業よりは低目というのが適当な線ではないだろうか、私はかように考えておる次第であります。従つて先般一般職種別賃金の調査をいたしましたところ、その調査においても、一般事業賃金が大体一〇%以上上つておりましたので、私の方でもそれと並行し、その調査をもとにするばかりでなく、実際の賃金動向をもとにしたわけでありますが、そうしたものも一〇%以上上つておりましたので、それに即応して失業対策事業の予算単価としては、二百円六十銭を二百二十五円六十銭というふうに、一一%程度上げますと同時に、全国的にもその地方々々の一般の日雇い労働者の賃金動向にかんがみて、それぞれ一一%程度引上げるという措置を講じたのであります。従つて将来といえども民間賃金が上れば当然失対事業も上る、民間賃金が下ればこちらも下るという関係になつております。
  56. 中原健次

    中原委員 日額単価の点についても議論の余地が残されておりますが、それは別の日に譲るといたしまして、このような措置で、結局一箇月の稼働日数が全国平均幾らになつているか、あるいは東京都内はどうなつておるか、それとの関連で月収の確保はどの程度に見ておいでになるか。やはり大切なことは、月の実収入ということにあると思うのです。従つて月の実収入が一般の職種別賃金に対照して、その間のにらみ合せがどの程度になつておるのか、この点を伺つておきたい。  もう一つは、年の瀬も迫つて参りましたが、今年もお盆の当時にいわゆる盆手当といいますか、暑中手当といいますか、そういうものを要請する声がしきりに強かつたと思うのです。ところが当時それに対して必ずしも適当な、すなわちその要望にこたえるような措置が講ぜられたように思つておりませんですが、今後年末あるいはお盆の手当等については、依然としてこれを支払わないような方針を持つておいでになるのか、それとも何らかそこに努力してこれにこたえるような、日雇い労働者諸君に対する利益を——利益というより、むしろその人たちの必要欠くべからざる要求にごたえるための誠意をお持ちになるのかどうか、こういうことについてもあわせて伺いたいと思います。
  57. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 最近の日雇い労働者の就労状況でございますが、御承知のように昨年の夏時分は、一箇月間の就労日数は、全国平均いたしますと十五日あるいは十六日といつたような、非常に悪い状況にあつたのでありまして、衆議院の方におきましてもいろいろ御決議等があり、その後本年度に入りましては、失業対策事業予算の増額といつたようなこともあり、さらにまた昨年の八月以降におきましては、民間の日雇いの求人の増加といつたようなこともあり、これらの点と相まちまして、最近に至りましては日雇い労働者の就労の日数は逐月改善せられて参りまして、この九月は、一箇月二十五日稼働といたしまして、実は二十一日の就労を確保することができるに至つているのでございます。全国平均といたしましては、一箇月二十五日の間——日曜は一応休むものといたしておりますので、二十五日のうち二十一日稼働という線になつております。本年の一月以降ずつと統計を見ましても、大体二十日から二十一日という線を確保することができるに至つたのであります。戦争前の日雇い労働者の就労日数等から勘案いたしまして、国が失業対策事業としてやる場合の就労日数としては、まあまあよい線まで近づいて来ていると私どもは考えているものでございます。特に今申しましたのは、全国平均が二十一日ということでございまして、特に東京におきましては、大消費都市における日雇い労働者の生活困難ということも十分承知しておりますので、さらにそれ以上の就労日数を確保いたしておりまして、ほとんどあぶれないという程度まで東京ではなつているものと、実は報告を受けている次第でございます。二十五日、二十六日というような就労にまで東京は至つております。地方によりましては、今申しましたように二十日を割るところもありますけれどもあわせまして全部考えてみますと、二十一日平均という状況になつております。しかも今回十月以降は、一割の賃金の単価を引上げましたので、東京で申しますと従来は二百四十五円でありまして、二百四十五円から保険料三月を引くと、手取り二百四十二円という金額でありましたが、今回の東京の賃上げによりますれば二百七十三円、すなわち保険料を含めて二百七十三円、税はかかりませんので手取り、二百七十円を標準といたしまして、最高三百三十円、最低二百五十円の幅で、応能による賃金制度というものを確立いたしましたので、従前に比較いたしますれば、重労働のむずかしい仕事に従事する日雇い労働者は三百三十円まで行く、しかも就労日数は二十五日から二十六日という状況になつている次第でございます。将来ともこうした方面の改善には努める所存であります。  なお御質問の後段の年末手当の問題でございますが、歳末を控えて、日雇い労働者の生活安定をはかりますことが、非常に重要であることはお説の通りでありますので、これに対しましては、私どもはできるだけ就労日数をふやす、就労日数を延長して、これによつて日雇い労働者の手取り賃金額を高める。この線で進んで参りたい、かように考えているものでございます。これらの就労態様につきましては、緊急失業対策のいろいろな制限がございますので、この制限を越えてやるというわけには参りません。緊急失業対策法の精神の許す範囲内において、できるだけのことを考慮いたしまして、日雇い労働者の生活の安定に努めて参りたい、かように存じておる次第でございます。
  58. 中原健次

    中原委員 なるほど相当御心配のようであります。しかし結局日雇い労働者の越年の対策としては、ただ就労日数をふやすためた努力するということで、うまくこを濁されたわけでありますが、それでは実は身が乗らぬのであります。ことに日雇い労働者の場合は、勤務地手当も、あるいはまた家族手当も、その他いろいろな諸手段というようなものは、加わつておらぬのでありまして、ただ基本給だけの問題のようになつております。そうしますと東京都は、地方より少し高くしなければならないことになりますが、いわゆる一般にいう勤務地手当的な考慮が、適当に払われていないということがあるわけなのであります。従いまして就労日数をふやすことに努めるということももちろん大事でありますが、それだけではなお届きません。越年の手当等のごときは一般にも必要であるだけに、それだけ日雇い労働者諸君の家庭にも必要であるわけであります。従つてそのことを編み出すための予算をつくるために、所管当局としては積極的な努力あるいはあらゆる方策を講じて、これにこたえるような働きが当然あるべきものじやなかろうか、こういうふうに私どもは考える。その点について局長の御所信、あるいは今までの努力実情をお漏らし願いたい。
  59. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 年末に何らかの手当をという御質問でございますが、御承知のように日雇い労働者は、失業対策事業に就労することもありますれば、民間企業に就労することもあり、さらにまた公共事業に就労し、進駐軍労務者として月の間何日か働きに出るという態様にありますので、こうしたものに対して、何らか年末手当的なものを出すことが、国として適当であるかどうか。こういう方々が生活にお困りになつておるということは十分承知いたしておりますが、民間企業にもやはりどんどん出ておる日雇いであり、失業対策に一部行くのもあるというような実情の労働者に対して、手当を出すかどうかということには、やはり問題があると私は考えております。一応私ども現在の緊急失業対策法というわくの中で、こういう事業を運営するのでありますから、現在のところ、こういう事業を運営するのでありますから、現在のところ、こういう安定所の窓口に来る日雇い労働者なるがゆえに、手当を出さなければならぬということは、私としては考えておりません。従つて年末手当を出すということにつきましては困難である。私はあくまでこういう人々に対しましては、民間事業への求人の申込みなり、あるいは公共事業への求人の申込み、そういつたものと照し合せながら、そして最後は失業でできるだけ就労日数を延ばして行く、これがやはり国としては適当な線ではなかろうかと存じておる次第でございます。
  60. 中原健次

    中原委員 もちろん民間の仕事に振り向けた場合に、それを国が年末手当を出すのは不適当ではないか。これはなるほど一応議論があるわけであります。しかしながら公共事業——国あるいは地方の自治体が行う事業に動員された人たちに対して、これは当然国並びに地方自治体が責任を負うことができると思う、また負わなければならぬ。いずれにしましても、これはただ同情するというような、そういう簡単な意味ではなしに、これらの人たちの生存権を確保せしめるために、むしろ国自身が積極的に考慮を払うべきであると私どもは考えます。従つて職安局当事者としても、これに対して積極的な意見を持つべきである。積極的な意見を持つことによつて、これが実現するための努力がそこから初めて生まれて来るのではないか。ただ言葉の上だけで最善を尽すという程度では、これは気が乗らぬので、この点については、ただその場だけを何とか糊塗するような傾向に陥るのではなくて、積極的にそこへ心を打込んで対策を立てる、こういう決意を持たれて——もちろん局長にこのことをあまり詰め寄るのは無理かとも思います。これはやはりその他それぞれ責任当事者に問うべきことかと思いますけれども、一応職安当局自身としても、その成案を持つための努力がいる、このように考えます。このことについてもう一度御質問します。
  61. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 御質問にありましたように、ただ私は口だけで善処するということを申し上げておるのではないのでありまして、実は昨年もそうでありました。昨年の十一月、十月ごろの日雇い労働者の全国平均就労日数は十八、九日で、二十日が切れておつた、こういう実情でありましたが、何とか失対事業の予算を機動的に使えぬだろうかということで、御承知のように補正予算の出る前でありましたので、繰上げ支出をいたしまして、年末における就労日数を増加するという処置を、現実に講じて参つたのであります。本年度も七十七億五千万円、本年度成立いたしました予算の範囲内において、できるだけ就労日数を延ばす。これは地方々々によつて多少差もあると思いますので、全国平均をここで申し上げるわけには参りませんけれども、何とかしたいというのは、口だけでなしに、現にそういう予算的措置も講じているのでございます。ただお尋ねの手当というような問題になりますれば、これは民間事業へ行つた者、公共事業へ行つた者、それを按分で手当を出すというわけには参りませんし、またこういう性質のものでありますので、それは困難だということを私は申し上げたのでございます。日雇い労働者の生活が困窮しているということは、私は常時接触しておりまして十分承知いたしておりますので、それぞれ事業主体でありまする府県なりあるいは市町村に対しまして、年末あたたかい手をさしのべていただくようにお願いいたしておりますけれども、国の建前として、こういう各方面の事業に常時従事しなければならぬ態様にある日雇い労働者に、国が手当を出すということについては、これは相当問題もあり、現在の予算執行上も困難ではないだろうかということを申し上げたのでありまして、私は口先だけでなしに、できるだけ年末就労日数を延ばすという措置を現に講じている次第でございます。     —————————————
  62. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程一六接客業者等労働基準法適用除外請願有田二郎紹介、第一五六五号の審査は、都合により延期いたします。     —————————————
  63. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより陳情書審査に入ります。日程第一ないし第二五を一括議題として、まず浜口専門員より順次その趣旨説明いたさせます。
  64. 濱口金一郎

    ○濱口専門員 日程第一、労働基準法改正に関する陳情書要旨は、労働基準法は、制定以来多くの実数を上げてきたが、その反対に同法が理想主義によつて現実の判断を誤り、企業の負担能力の限界を越えて実施を要望している面は、各種の悪弊を馴致したきらいも認めざるを得ない。ついては今後次記の面を改正されて、同法を完璧にされたい。(一)労働契約当事者の自由意思をなるべく尊重すること、(二)同法によつて課せられる使用者の責任と並んで労働者の責任をも明らかにすること、(三)企業経営的立場を考慮すること、(四)解釈に疑義のある規定は明確にすること等をあげて、同法の改正を要望しているのであります。  日程第二、失業対策事業費国庫負担に関する陳情書要旨は、失業対策事業費は、全額国庫負担としてその総額を増加し、特に資材費の増額をはかるとともに、各県の労務費単価が全国平均額に達しないものは、この平均額にまで引上げる等の措置を講ずることを要望しているものであります。  日程第三、労働基準行政官署における職員増員等に関する陳情書要旨は、労働基準法の運営を直接担当する職員の教養訓練を行い、客観的社会情勢とにらみ合せ、指導監督に重点を置き、あわせて災害撲滅、技能者養成の推進その他労働生産性の検討等の助長行政面に力をいたすことも緊要であるから、労働基準行政に携わる職員については、行政整理の対象外として一層増員を行い、労働基準行政官署における予算の増額を要望するものであります。  日程第四、夏時刻法廃止に関する陳情書要旨は、夏時間は、さなきだに短い夏の夜を構えて短かくするため、睡眠の不足を招来し、児童生徒の心身の過労を来し、発育保健上弊害があると思われるから、明年よりはサンマータイムを全廃せられたいというのであります。  日程第五、失業対策に関する陳情書要旨は、最近失業者の数はますます増加傾向があり、ことに青年層に多いのは、思想上にも悪影響を及ぼし、はなはだ憂慮にたえない。ついては政府においても、すみやかに根本的対策を樹立し、失業救済に万全を期せられたいというのであります。  日程第六、日雇労働者の待遇改善に関する陳情書要旨は、最近の日雇い労務者は、需要数激減のため、その就労率はきわめて悪く、憂慮すべき事態になつているから、政府日雇い労務者の生活安定をはかるため、次項の対策を実行されたい。(一)日雇い労務者賃金増額されたい、(二)失業対策事業拡大並びに公共事業に失業者雇用のわくを認められたい、(三)日雇い労働者の福利厚生施設として、宿泊所、寄場、炊飯所、浴場、医療設備の拡充をされたい、(四)日雇い労務者に対して、健康保険法並びに厚生年金保険法の適用について適切なる措置を講ぜられたい、(五)公共職業安定所施設の拡充並びに職員待遇改善をはかられたいというのであります。  日程第七、町村における失業対策樹立に関する陳情書要旨は、町村における失業問題の解決は、地元町村の自主的財政力の遠く及ばないところであるから、左記諸事項を中心とする広汎かつ抜本的な施策を講ぜられたい。(一)公共職業安定所及び職業補導所等対策機関の拡充強化、(二)公共職業安定所等に対し町村との連絡を緊密化し、顕在、潜在ないし半失業者の発見に努める、(三)緊急失業対策事業及び公共事業を町村地域に拡大施工する、(四)農山村の工業化を助長、奨励するため、低利、長期の農村金融の方途を講ずる、(五)失業対策としての土木事業の経費を国庫負担とし、起債を認めるというのであります。  日程第八、北海道における失業対策事業就労者賃金増額に関する陳情書要旨は、北海道における失業対策事業賃金については、その後における諸物価の高騰並びに積雪、寒冷地の特殊事情を考慮して、現行支給額をいま少しく実情に即し、かつ年間を通ずる適当なる賃金に改められたいというのであります。  日程第九、労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書外三件の要旨は、政府は、労働基準行政機構の縮小とその減員を考慮中と聞くが、実情事業場を直接監督する監督官の数は、署長を含めてわずかに数名にすぎず、監督官一人当りの負担は、事業場数百余、労働者数数千余に及び、最小限の法運用に当つているのみで、全事業場に対する指導監督にとうてい期待できないありさまである。かりにこの行政機構を縮小し、職員を減少するようなことになると、労働基準法施行を著しく阻害する。ついては労働基準行政機関における職員については、行政整理の対象外とし、一層増員を行うとともに、その機構の拡充強化をはかられたいというのでありす。  日程第一〇、労働法規改正反対に関する陳情書外三件の要旨は、労働諸法規の改正にあたり、年少労働者や婦人労働者のささやかな保護までもなくそうとする等、労働者の生活を無規した施策に反対である。ついては労働者の自由と幸福のために、労働者の基本的権利を尊重し、労働法規の改悪はとりやめられたいというのであります。  日程第一一、労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書外八件の要旨は、第四〇七号に同じであります。  日程第一二、労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書要旨は、第四〇七号に同じであります。  日程一三道費または国費による失業対策事業拡大並びに国庫補助額増加等に関する陳情書要旨は、政府においては、札幌市内失業者の増加に備え、特に来るべき冬期において、同市の行う失業対策事業のほかに、道費または国費により、この事業の拡大実施をなし、また失業対策事業における賃金は、現在の経済事情に対比してあまりに低いと認められるから、この値上げの措置を講ずるとともに、同道の冬期賃金について特段の考慮を払われたい。なおこれに伴う失業対策事業経費の増加に対しては、国庫補助並びに起債増額をはかられたいと要望しているものであります。  日程第一四、緊急失業対策事業全額国庫負担に関する陳情書要旨は、現在失業者群は累月増大の傾向にあるとともに、自然條件に制約されて住民生活費の割高なるため、これら失業者の生活は極度に難渋を加えている。しかも失業対策事業はその効率化をはかるため、資材費その他経費の急増を来している状況である。しかるに一方地方財政はきわめて逼迫し、道県及び市町村はこの負担に応じ得ない実情にある。よつて緊急失業対策事業は、その性格にかんがみ、従来の国庫補助條件を根本的に改め、全額国庫負担をもつて実施し、賃金の地域差を改訂増額し、さらに寒冷期間について別途臨時加給措置を講ずることを要望しておるものであります。  日程第一五、職業補導事業国庫補助率増加に関する陳情書要旨は、職業補導事業に要する経費の補助割合は地方財政法第十條により措置すべきであるにかかわらず、第十六條により現在一方的に国庫四割とされている。しかるに地方財政は極度に逼迫し、六割の地方負担はとうてい応じ得ない実情にあるから、今後国庫補助の割合を六割に変更増加されたい。なお補助対象も原則として人件費および経営物件費のみであるが、同事業拡充強化の必要から、土地買収及び新増改築等に対しても五割以上補助することを要望しておるものであります。  日程一六労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書外二件は、第四○七号に同じであるので省略いたします。  日程第一七、労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書外三件も、第四○七号に同じであるので省略いたします。  日程第一八、労働基準法改正に関する陳情書要旨は、最近労働基準法改正が論議せられ、政府においてもその意図がある由であるが、同法の改正にあたつては、中央労働基準審議会に諮問せられると同様に、地方労働基準審議会の意向をも十分に反映する機会を与えられたいと要望しておるものであります。  日程第一九、専売裁定賃金即時実施等に関する陳情書外一件の要旨は、日本専売公社職員賃金改訂につき、すみやかに左記事項を実現されたい。一、専売裁定賃金の即時実施、二、賞与一時金の即時支給、三、主食の統制を存続する、四、行政整理を行わない、五、公労法の改悪をとりやめる、六、平和を確保することの実現を要望しておるものであります。  日程第二〇、失業対策事業国庫補助額増加及び残額に対する起債承認等に関する陳情書要旨は、失業対策事業は、終戦後社会情勢の推移により、漸次増加傾向にあるが、同事業は当然国の施策として国費をもつて処理すべきであり、窮乏せる地方財政負担とすべきでない。よろしく全額国庫補助とするか、不可能の場合は少くとも九割は国庫負担とし、残額については起債を認められるとともに、失業者の最低生活を保障し、社会不安を一掃するため、すみやかに賃金単価引上げ地方公共団体の負担増加を来さぬよう決定し、失業就労、日雇い労務者の生計を不当に圧迫することのないよう、賃金単価引上げにつき善処することを要望しておるものであります。  日程第二一、労働基本権確保に関する陳情書外二件の要旨は、政府は、労働者の熱意を無視し、労働基本権を剥奪し、賃銀の釘づけ、企業の合理化、予算の合理化の口実をもつて、人員整理を実施せんとしている。しかも労働諸法規を改悪し、さらに一方、大量の追放者を解除している。これはまさに労働運動、民主主義の危機である。よつて次項の実施をはかられたい。一、賃金の即時引上げ、二馘首、行政整理反対、三米麦統制撤廃反対を要望しておるものであります。  日程第二二、労働法規改定反対に関する陳情書外八件の要旨は、政府は、講和條約締結とともに、国内治安の維持、あるいは日本産業実情に即応を口実に、労働諸法規の改正を意図しつつあるが、このことは労働基本権をも剥奪され、生活は戦前のそれにも増して、みじめなものになるであろう。特に伝えられるゼネスト禁止法のごとき、労働運動を治安問題として処理するがごときは、組合運動を否定するものである。よつてこれら労働法規の改正には慎重に検討されることを要望しておるものであります。  日程第二三、労働法規改正反対に関する陳情書外二件の要旨は、平和民主日本の再建復興は、ひとしく全国民の念願とするところであり、その再建復興は全産業の増強保持にあり、このことは国民勤労大衆の生活権確立に根源を有するものであるにもかかわらず、米麦統制のわくを撤廃せんとし、労働三法を改正し、ゼネストを禁止せんとするは、まさに国民の自由と権限とを束縛し、生活権を脅かす極悪きわまりない暴政と言わざるを得ない。よつてこれらの労働法規改正には反対であるから、この改正については慎重な検討のなされることを要望しておるものであります。  日程第二四、労働法規改正反対に関する陳情書は、第九四五号に同じでありますので省略いたします。  日程第二五、労働基準行政機構拡充強化に関する陳情書も、第四〇七号に同じでありますので省略いたします。
  65. 倉石忠雄

    倉石委員長 次会は公報をもつてお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時七分散会