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1951-11-26 第12回国会 衆議院 労働委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年十一月二十六日(月曜日) 午後三時十分
開議
出席委員
委員長
倉石
忠雄
君
理事
島田
末信
君
理事
福永 健司君
理事
森山 欽司君
理事
青野
武一
君
天野
公義
君 篠田
弘作
君 船越 弘君 松野 頼三君
三浦寅之助
君 柳澤 義男君 今野 武雄君
中原
健次
君
出席政府委員
総理府事務官
(
特別調達庁財
務部長
) 川田 三郎君
総理府事務官
(
特別調達庁管
理部長
) 長岡 伊八君
総理府事務官
(
特別調達庁労
務部長
) 中村 文彦君
労働事務官
(
労政局長
)
賀來才二郎
君
労働基準監督官
(
労働基準局
長)
龜井
光君
労働事務官
(
職業安定局
長)
齋藤
邦吉
君
委員外
の
出席者
労働事務官
(
職業安定局失
業対策課長
) 大島 靖君
労働事務官
(
職業安定局雇
用安定
課長
) 富山 次郎君 専 門 員
横大路俊一
君 専 門 員
濱口金一郎
君
—————————————
十一月十六日
委員受田新吉
君
辞任
につき、その
補欠
として前
田種男
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十一日
委員金原舜
二君
辞任
につき、その
補欠
として北 川定務君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十二日
委員北川定務
君
辞任
につき、その
補欠
として金
原舜
二君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
十一月十五日
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の
請願
(
松岡駒吉
君
紹介
)(第
一三
二五号)
労災病院
及び
けい肺療養所設置
の
請願
(
大内一
郎君
紹介
)(第一四
一三
号)
失業保険
の
待期期間廃止等
に関する
請願
(
倉石
忠雄
君
紹介
)(第一四一四号)
ガラ紡績業
に対し
労働基準法適用除外
の
請願
(
三宅則義
君
紹介
)(第一四二四号) 同月二十一日
接客業者等
に
労働基準法適用除外
の
請願
(
有田
二郎
君
紹介
)(第一五六五号) の
審査
を本
委員会
に付託さた。 同月十五日
専売裁定賃金
の
即時実施等
に関する
陳情書外
一 件(第七五九号)
失業対策事業
の
国庫補助額
の
増加
及び
残額
に対 する
起債
の
承認等
に関する
陳情書
(第八五二号 )
労働基本権確保
に関する
陳情書外
二件(第八五 三号)
労働法規改定反対
に関する
陳情書外
八件(第八 五四号) 同月二十二日
労働法規改正反落
に関する
陳情書外
二件(第九 四五号) 同(第九四六号)
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情書
( 第九四七号) を本
委員会
に送付された。
—————————————
本日の
会議
に付した
請願
一
港湾運送
を
公益事業
とする
請願
(
關谷勝利
君
紹介
)(第四四号) 二
失業対策事業
の
国庫補助増額等
に関する請 願(
辻寛一
君
紹介
)(第二一一号) 三
ガラ紡績業
に対し
労働基準法適用除外
の請 願(
三宅則義
君
紹介
)(第二一二号) 四
ガラ紡績業
に対し
労働基準法適用除外
の請 願(
千賀康治
君
紹介
)(第四七七号) 五
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の請 願(
赤松勇
君
紹介
)(第五二一号) 六
派遣看護婦
及び
附添婦
の
職業紹介
に関する
請願
(
青野武一
君
紹介
)(第五八五号) 七
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の請 願(
岡田春夫
君
紹介
)(第七三二号) 八
公共職業安定所職員
の
行政整理等
に関する
請願
(
天野公義
君
紹介
)(第七六三号) 九
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の請 願(
中原健次
君
紹介
)(第九一四号) 一〇
特需関係労務者
の
労働條件改善
に関する請 願(
赤松勇
君
紹介
)(第九七一号) 一一
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の請 願(
久保田鶴松
君
紹介
)(第一〇二三号) 一二
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の請 願(
松岡駒吉
君
紹介
)(第
一三
二五号)
一三
労災病院
及び
けい肺療養所設置
の
請願
(大 内一郎君
紹介
)(第一四
一三
号) 一四
失業保険
の
待期期間廃止等
に関する
請願
(
倉石忠雄
君
紹介
)(第一四一四号) 一五
ガラ紡績業
に対し
労働基準法適用除外
の請 願(
三宅則義
君
紹介
)(第一四二四号)
一六
接客業者等
に
労働基準法適用除外
の
請願
(
有田二郎
君
紹介
)(第一五六五号)
陳情書
一
労働基準法改正
に関する
陳情書
(第三四号 ) 二
失業対策事業費
の
国庫負担
に関する
陳情書
(第一〇四号) 三
労働基準行政官署
における
職員
の
増員等
に 関する
陳情書
(第一一四号) 四
夏時刻法廃止
に関する
陳情書
(第一五五号 ) 五
失業対策
に関する
陳情書
(第二九七号) 六
日雇労務者
の
待遇改善
に関する
陳情書
(第 三一八号) 七 町村における
失業対策樹立
に関する
陳情書
(第三三七号) 八 北海道における
失業対策事業就労者
の
賃金
増額
に関する
陳情書
(第三六六号) 九
労働基準行政機関
の
拡充強化
に関する
陳情
書外
三件(第四〇七号) 一〇
労働法規改正反対
に関する
陳情書外
三件( 第四五〇号) 一一
労働基準機構拡充強化
に関する
陳情書外
八 件(第五〇七号) 一二
労働基準行政機構拡充強化
に関する
陳情書
(第六一一号)
一三
道費
又は
国費
による
失業対策事業
の
拡大並
びに国庫補助額
の
増加等
に関する
陳情書
( 第六一二号) 一四
緊急失業対策事業
の
全額国庫負担
に関する
陳情書
(第六
一三
号) 一五
職業補導事業
の
国庫補助率増加
に関する陳
情書
(第六一四号)
一六
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情
書外
二件(第七〇一号) 一七 同外三件(第七〇二号) 一八
労働基準法改正
に関する
陳情書
(第七〇三 号) 一九
専売裁定賃金
の
即時実施等
に関する
陳情書
外一件(第七五九号) 二〇
失業対策事業
の
国庫補助額
の
増加
及び
残額
に対する
起債
の
承認等
に関する
陳情書
(第 八五二号) 二一
労働基本権確保
に関する
陳情書外
二件(第 八五三号) 二二
労働法規改定反対
に関する
陳情書外
八件( 第八五四号) 二三
労働法規改正反対
に関する
陳情書外
二件( 第九四五号) 二四 同(第九四六号) 二五
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情
書(第九四七号)
—————————————
倉石忠雄
1
○
倉石委員長
ただいまより
会議
を開きます。 まず本
委員会
に付託されております。
請願
の
審査
に入ります。
日程
第一、
港湾運送
を
公益事業
とする
請願
、
關谷勝利
君
紹介
、第四四号を
議題
といたします。
紹介議員
がおられませんので、かわ
つて
島田末信
君より御
説明
を願います。
島田末信
2
○
島田委員
本
請願
の
要旨
は、
港湾運送業
のうち、小
運送業
は
公益事業
と認められているが、
一般
に
港湾運送業
は
公益事業
に指定されていない。
港湾関係
の
ストライキ
は、
港湾運送業
が
公益事業
でないため、労調法に定められた
冷却期間
三十日の経過を待たずに
ストライキ
に突入することができる。先般の神戸港の
港湾ストライキ
が他
産業
に及ぼした影響は多大であるから、
港湾ストライキ
の
瀕発
を防ぎ、損害を
最小限度
に食いとめるため、
労働関係調整法
の一部を
改正
して、
港湾運送事業
を
公益事業
として認められたいというのである。
倉石忠雄
3
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承りたいと存じます。
賀來才二郎
4
○
賀來政府委員
すでに御
承知
のように現行の労調法におきましては、
公益事業
の
範団
は第八條で定められておるのであります。そのうち
運輸事業
でありましても、公衆の
日常生活
に直接欠くことのできないものについては
公益事業
とな
つて
おりますが、
港湾運送事業
につきましては、どの
程度公益事業
であるか、
公益事業
たる
運輸事業
の中に含まれておるかということにつきましては、
労調法施行
以来たびたびその解釈は通牒しておりまするし、また
労働委員会
で問題になりまして、
労働委員会
においても、この
範囲
は
公益事業
たる
運輸事業
に含まれるという
裁定
をいたしておるのであります。
一般
的に申しますと、
通運事業
でありまして
公益事業
でありまする
鉄道
、軌道、あるいは自動車、船舶と一体をなすもの、すなわち同じ小
運送業
をやりましても、直接
公益事業
の規定にな
つて
おりまする
鉄道等
の定期的な
運送
と直接
関係
のある
部分
につきましては、
港運事業
のものも一部
公益事業
という扱いを受けて参
つて
おるのであります。ただいま
請願
にありましたような御
趣旨
は、最近の
港運事業
の
ストライキ等
から出て来たことでありまして、一応ごもつともな点がございますが、しかしこの
争議
の
状況
を見ますと、労使ともまだふなれなところがあるということから、必要以上と思われる
程度
に
争議
がエキサイトしておつたようなわけであります。
従つて
ただいまのところ
政府
といたしまして、
港運事業
の実態を考えてみますると、これを全部
公益事業
に指定するごとについては、相当
研究
の余地があると考えておるのでありまして、目下のところこれを一部
改正
をやりまして、指定しようという考えは持
つて
おりません。しかしながら
政府
におきましては、
組合法
、
労調法全般
につきまして、
改正
するとすればどういう点をどういうふうにやるかということを
研究
してもらいますために、
労働関係海
の
審議会
をつくりまして、そこで
審議
されておるわけであります。従いましてごの
審議会
において、
港運事業
を
公益事業
とするかどうかということも議論になるであろうと考えておりますが、
政府
といたしましては、この
審議会
の
審議
の結果にまちまして、さらにいろいろ
研究
をいたしたい、かように考えておる次第であります。
—————————————
倉石忠雄
5
○
倉石委員長
次に
日程
第二、
失業対策事業
の
国庫補助増額等
に関する
請願
、
辻寛一
君
紹介
、
文書表
第二一一号を
議題
といたします。
紹介議員
がおられませんので、
島田末信
君にお願いいたします。
島田末信
6
○
島田委員
本
請願
の
要旨
は、
失業対策事業
は終戦後
社会情勢
の推移により
漸次増加
の
傾向
にあるが、本
事業
は当然
国費
をも
つて
処理すべきであり、窮乏した
地方財政
ではとうてい
負担
すべきではない。ついては
全額国庫補助
とするか、不可能の場合は少なくとも九割を
国費負担
とし、
残額
については
起債
を認められるとともに、
日雇い労務者
の生計を不当に圧迫することのないよう、
賃金単価
を
引上げ
られたいというのである。
倉石忠雄
7
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ることといたします。
齋藤邦吉
8
○
齋藤
(邦)
政府委員
失業対策事業
の
全額国庫負担
の問題でございますが、
失業対策事業
として実施いたしておりまする諸般の
事業
の
地方
的な
受益関係等
もありますし、国の
財政全般
の立て方等の問題もありますので、
全額国庫負担
にするということは困難である、かように存じております。しかしながらまた一面、
地方財政
が非常に逼迫しておりまする
実情
も
承知
しておりますので、
地方
の
負担額
につきましては、できるだけ
起債
の
わく
を
拡充
するということが、最も適当な
方法
ではないだろうか、かように考えまして、
失業対策事業
の
起債
の
わく
の
拡充
につきましては、今日までも
努力
いたして参りましたが、将来におきましてもさらに
努力
を続けまして、
地方財政
との
調整
をはか
つて
参るようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。 なお
日雇い労務者
の
賃金単価
の
引上げ
でございますが、これにつきましては、最近の
一般日雇い労務者
の
賃金
の
動向等
をにらみ合せまして、十月以降
予算面
上の
賃金単価
を約一割
程度引上げ
ましたし、また
地方
におきましては、
事業主体
において約一〇%から一一%
程度
、
日雇い労務者
の
賃金
を高めることといたしたのであります。
日雇い労務者
の
賃金
につきましては、その
地方
々々、そのときどきにおきまする
一段日雇い労務者
の
賃金
の
動向
を
中心
といたしまして、将来ともそういう方向で進んで参りたいと存じております。
—————————————
倉石忠雄
9
○
倉石委員長
次に
日程
第三、第四及び第一五は、いずれもその内容が
ガラ紡績業
に対し、
労働基準法適用除外
の
請願
でありますから、一括して
議題
といたします。
紹介議員
がおられませんので、
島田末信
君より御
説明
を願います。
島田末信
10
○
島田委員
本
請願
の
要旨
は、明治初年以来、愛知県
三河
、
岡崎地方
を
中心
として発展した
三河ガラ紡績業
は、原料を主として綿布の
裁断くず並び
に
再製綿
を使用して、
ガラ紡機
をも
つて
行う
家内工業
で、現代の高度化された他の
工業
とはその趣を異にし、ガラガラと気長く長時間運転するのでなければ、優良なる
生産品
はできない。ついてはかかる
産業
に対して
労働基準法
の
適用
を除外されたというのである。
倉石忠雄
11
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ります。
龜井光
12
○
龜井政府委員
請願
の
趣旨
は、
労働基準法
の
改正
の問題になると思うのでございますが、この問題につきましては、ただいま
中央労働基準審議会
におきまして、各方面から提出された
意見
に基いて
検討
がなされておるのでございまして、その中に
ガラ紡
の問題も当然含まれて参
つて
おるわけでございます。
政府
としましては、この
審議会
の答申をまちまして、案をつくりたいと思
つて
おる次第であります。
—————————————
倉石忠雄
13
○
倉石委員長
それでは次に
日程
第五、第七、第九、第一一、第一二、は、いずれも
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の
請願
でありますから、一括して
議題
といたします。
紹介議員
の御
説明
を願います。
中原健次
君。
中原健次
14
○
中原委員
ただいま
議題
となりました
労働基準監督行政職員
の
行政整理反対
の
請願
の
請願者
は、大阪府豊能郡箕面町
後藤幸一
君外十九名の
請願
でありますが、それと関連しまして、他に同様の四件をあわせて私から
請願
の
趣旨
を御
説明
申し上げることといたします。 このことは、さきに
定員法
が上程され、衆議院では遂に多数決をも
つて
これが承認され、目下参議院で
審議
中に属する事項と関連するわけでありますが、本来
労働基準監督行政
の問題は、いまさら御指摘申し上げるまでもなく、
労働基準法施行
以来、
基準法適用
の
工場
並びに
事業場等
に対して、
労働基準法
の
精神
を徹底せしめるため、その直接
事務
を担当する
職員諸君
を
整理
して、
定員
を減ずる問題なのでありますが、
施行
以来の
経験
を通じて考えますのに、今日
基準法
の
適用
に対し、
事業場
あるいは
工場等
の
経営者側
の法に対する軽視の風潮が目立
つて
増大しておる
傾向
から考えまして、むしろますます積極的に
監督行政
の徹底を期することが必要だとして、これが要望しきりな場合、それとまつたく
反対
の現象として、かえ
つて
職員
を減ずるというような
政府
の
考え方
は、まつたく私
ども
としては意外と申しましようか、何と申しましようか、
労働基準法
に対する
政府
の
考え方
もまた、これを軽視する
傾向
の増大しつつある
事業場
、あるいは
工場等
の
経営者
の
考え方
と、通じておるのではないかというふうにさえ私
ども
は感ずるのであります。ことに御存じのように、今日の
定員
をも
つて
いたしましても、一人の担当いたします
事業場
の数は、九百
事業場
以外にな
つて
おるといわれておるわけであります。
従つて
この九百
事業場
を一人で受持
つて
おる
現状
から考えますと、この
事業場
の
全般
を視察するだけにいたしましても、その間四年以上を必要とする
状況
にな
つて
おると考えるのであります。
従つて
四年半以上も要さなければ、その担当する
範囲
の
工場
、
事業場
を一まわりすることができないというこの状態の中に、きわめて不行届きな
行政事務
しか遂行できないという
経験
を持
つて
おるこれらの
関係監督者
の
諸君
が、
定員法
によ
つて
さらに
減員
されるということにな
つて
参りましたのでは、
せつかく
の
基準法
の
精神
を生かすための
仕事
が、だんだん一層稀薄にせしめられるほかないと考えるわけであります。
従つて
こういうような
行政整理
の方針を
政府自身
が打出すということは、何としてもこの法の
精神
から考えて大きく逆行するのでありまして、このようなことは
政府自身
みずから省みて、厳に戒めなければならないのではなからうかと思うわけであります。本
請願
の
趣旨
もまた
従つて
そのような
意味
から、この
減員
は行わないように、適当な措置を講じてもらいたいというところにあるわけであります。この
請願
の
趣旨
を十分くみとられまして、
行政整理
を目途とした
定員
の天引のごときは、むしろ
政府自身
から進んでやめるばかりでなく、逆に
増員
の計画をさえ立てなければならないように思うのであります。この点の
意味
するものを十二分にくみとられまして、
政府
は積極的にこれに対する適切なる施策を考えらるべきであると考えるものであります。そのような
意味
のことをつけ加えまして、本
請願
の
趣旨
を概略御
説明
申し上げたわけでございます。何とぞしかるべきおとりはからいをお願い申し上げます。
倉石忠雄
15
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ります。
龜井光
16
○
龜井政府委員
行政整理
は御
承知
のように、講和後の日本における国民の
負担
をできるだけ軽減するということと、
行政
の
能率化
あるいは
合理化
という点から、今回
政府
といたしましてこの問題を取上げ、
目下国会
において御
審議
を願
つて
おるわけでございますが、ただいま
お話
のご
ざいましたこれによつて監督行政
の実質的な
低下
を来しはしないかという御心配につきましては、われわれとして目下考えておりますところは、
整理
を受けます人々につきましては、それぞれの
対策
が講じられておるのでございまして、できるだけ内部的な
事務
を
合理化
し、
整理
をいたしまして、
監督
の実をそこなわないようにしたいという
趣旨
で、
検討
を加えておるわけでございます。要は人の数ではなくして、やはり
監督官
の質の問題になるのではなかろうかと思うのであります。
先ほどお話
の中に、一人の
監督官
が八百幾ら、約九百の
事業所
を受持
つて
おるという
お話
がございましたが、われわれの統計におきましては、昨二十五年度一年間において、三十四万近くの
事業所
を
監督
いたしておるわけでございますが、
目下労働基準法
の
適用
を受けております
事業所
は六十八万ありまして、いわばその
半数
を一年間で
監督
しておる
実績
も現われておるわけであります。これは
半数
で足りるかということになりますと、今度は
監督
の
方法
の問題だと考えるわけでありまして、一人、二人を使
つて
おりますような
事業所
をしらみつぶしにまわるということが、はたして合理的な、
能率
的な
監督
の
方法
であるかどうかということは、われわれとしてかねがね
検討
を加えておるのでございます。そこに
監督
の
重点的施行
と申しますか、
監督
の
方法
につきましても、そういう小さな
事業所
につきましては、
使用者
の
組合
、
協同組合
、あるいは団体というようなものを通じまして、
監督
の
実績
を上げて行くというようなくふうもこれからいるのでありますが、これは過去においてもや
つて
おるのであります。従いまして、結論は
監督官
の質を向上させることと、それから
監督
の
方法
に
改善
、くふうをいたしまして、さらに
内部事務
を
合理化
、
調整
することによりまして、
少数精鋭主義
によりまして、今後
監督
の運営をはか
つて
行きたい、これによ
つて監督
の質の
低下
は来さないように、われわれとしまして
十分努力
をいたすつもりでございます。
中原健次
17
○
中原委員
ちよつと関連しまして御質問を申し上げます。ただいまの御
説明
は
能率化
あるいは
合理化
によ
つて
、その成果を上げることのできるようにやる、いわゆる
少数精鋭主義
をも
つて
これに当れば可能である、こう言われたように思うのであります。なるほど
少数精鋭
によ
つて
徹底的に働かすことができるならば、そうでない場合よりは成績が上るだろうということは考えられるわけであります。ところが人間の
能力
にはやはりおのずから一定の
限度
がありまして、そう目ざましく
能率
を上げることは、実は容易でない場合が多いのでございます。そこでその意気込みについては私
ども
も賛成いたしまするが、人の
能力
の
限度
に対する
綜合勘案
というような立場から申しますれば、やはり
減員
でなく、
増員
するということの方が、
ほんとう
は
合理性
があるものではなかろうか、こういうふうに思います。
従つて
一律
整理
というようなきわめて機械的な
整理方式
には、まず賛成しかねるということが当然言われなければならぬのではないか。もちろん一律と申しましても、それぞれの
官庁
によ
つて率
は違
つて
おるわけでありますけれ
ども
、
基準関係
の
職員諸君
に関する場合は、もはや
減員
するという根拠はいささかもないのではないか、むしろ
精鋭主義
にするとしても、現員をさらに
精鋭主義
の方に発展せしめて、過去において
十分監督
を徹底せしめ得なかつた
部分
をむしろ補うための
精鋭主義
というふうに考えられた方が、
ほんとう
は合理的なのではなかろうか、このように感じます。この点についてもう一度御所見を承
つて
おきたいことが
一つ
、それからもう
一つ
は、
基準法
に関する
申告件数
、これは
基準法施行
以来どういうふうにな
つて
おりますか。そうしてこれに対する
監督
の
執行状況
はどうでありましたか。十分今後ともそれを果し得る御確信を持
つて
おいでになるかどうか、そういうことについてもこの際承
つて
おきたい。
龜井光
18
○
龜井政府委員
行政整理
と申しましても先ほど申し上げましたように、
監督
の実質を
低下
しないような
整理
の
方法
が考えられ得るのであります。具体的に申し上げますと、現在の
基準法
で要求されております
許可認可
、届出、その他
手続面
に非常に煩瑣な
事務
があるわけであります。従いましてわれわれとしましては、こういう
手続
はできるだけ簡素化いたしまして、
内部事務
を
整理
するということが第一点に考えられるのでございまして、
監督官
は実は従来こういう
内部事務
に忙殺されまして、外に出て直接
監督
するというひまが、このためにずいぶんとられておるわけであります。従いましてこの点を十分
整理
し
合理化
することによりまして、全力をあげて
監督官
が
監督事務
に従事し得るような態勢をつく
つて
行きたいということが第一点であります。 第二点は、
監督官
の
整理
の率につきましては、そのほかの
職員
の
整理
の率と違えまして、できるだけ
監督官
につきましては、その数を確保して行くという
整理
の
方法
を、われわれとして考えてもらいたい。これによりまして、
監督官
による
監督
の
実績
の
低下
を来さないように処理して参りたい、かように思
つて
おる次第でございます。 その次の
申告監督
の問題でございますが、大体毎月
申告
がございますのが二千四、五百件でございます。これらの
申告
につきましては、完全にこれについて調査
監督
するという原則でや
つて
おりまして、これはほぼ百パーセントに近いだけの
実績
を上げておるとわれわれは考えております。
中原健次
19
○
中原委員
申告件数
が大体三万件くらいの見当と考えておりますが、それに対して責任ある
仕事
を果し得る、こういうふうに言われたのでありますが、
実情
を申しますと、実は
申告件数
以外に、
申告
してない
部分
に
相当基準法
の
施行
上に関する問題が隠されておる。すなわちそれを問題にするだけの
考え方
を持
つて
いない。そういうような無知というが、
基準法
に対する周知のなさから来る
一つ
の看過されたものが多数あるわけであります。これはやはり
申告件数
だけでなく、積極的に
監督官
が
工場
を視察するという
方法
をとることによ
つて
だけ、これらの
監督
をなし得ることになると考えるのであります。従いまして
実情
から申しますと、
基準法
は満足に守られておらないというのが
現状
であります。これは本省の皆様が直接
工場
をごらんになる場合はめつたにありますまいし、またたまに
工場
を視察になるという場合には、そういう点はひた隠しに隠されて、りつぱなところだけを見せてくれるに違いない。
従つてほんとう
には、
監督行政
が徹底しないところがたくさんある。
法違反
の
工場
の
内部事情
というものが、いまだに
監督官庁
である
労働省自身
の目に十分映じていないということのあることを、私はつけ加えて申し上げておきます。このことにつきましては、また直接問題があります場合あるいはその他の機会に
お話
を申し上げるといたしまして、一応この場合は、
行政整理反対
の
請願
の
説明
を申し上げたのでありますから、それ以上深入りをすることを差控えますけれ
ども
、必ずしもあなたがお思いにな
つて
おいでになるような
実情
とは違う。相当忙しく立ち働かなければ、
基準法
の
趣旨
を徹底せしめることは困難である。
従つて
そのためには
減員
ではなく、むしろ
増員
の必要さえあるということをつけ加えて御注意申し上げたい。
龜井光
20
○
龜井政府委員
今の
お話
の中に、多少数字的に間違
つて
おるところがございますので、申し上げたいと思います。われわれの
監督
業務月報によりまして、一年間の統計は今出ておりませんが、七月だけの
状況
で御
説明
申し上げます。七月において
監督
を実施しました
事業場
の数は、三万二千四百三件でございます。われわれの
監督
の
方法
としては、
申告
につきましては大体百パーセント
監督
している。そのほかは定期
監督
を行
つて
おるのであります。その定期
監督
として七月に行いましたのは、総合的な
監督
としましては一万二千九百七十三件、これが四〇%、定期
監督
のうちの
部分
的な
監督
、これは法の個々の問題につきまして
部分
的にやる
監督
であります。これが八千五百二十件、二六・三%、そのほかに安全衛生の特殊
監督
をや
つて
おります。これが七月におきまして三千九百五十四件、一二・二%、それから再
監督
と申しまして、前に参りました際に十分に法が守られていないという場合、再度
監督
に参ります。そして最初の際に是正を命じて、その是正が行われておるかどうかということのための再
監督
をいたしております。これが四千六百二十二件で一四・三%、それから
お話
の
申告
に基く
監督
が二千三百三十四件、七・二%というので、
申告
の
監督
の件数はごくわずかでございまして、ほとんどは
監督
署の計画的な定期
監督
というものが、
監督
の主体にな
つて
おるのであります。しからばその成果はどうかという問題でございます。その中で再
監督
をいたしました四千六百二十二の
事業所
につきまして、どういう成果が出ておるかと申しますと、七月中において、その中で完全是正をいたしましたのが二千五百五十三件、五五・二%、一部是正が千七百五十二件、三七・九%、是正しなかつたのが三百十七件、六・九%というふうに、再
監督
の結果
半数
以上は完全な是正をいたしておることがわか
つて
おります。またその残りの大
部分
も一部的に是正がまだ十分でない、完全に是正をしてないのがわずか三百十七件という数字を示しておりまして、必ずしも基準
行政
が徹底して行われていないということは、この数字から申しまして言えない。まず十分でないという個々の具体的な問題についてはあろうかと思いますが、われわれとしては今後十分に注意いたしまして、そういう問題の発生の都度是正して参りたいというふうに思
つて
おります。
中原健次
21
○
中原委員
なるほど数字的な資料で御
説明
でありますから、御
説明
だけで考えるとりつぱに成果が上げられているというように印象づけられるわけですが、しかし
ほんとう
にはまだ
監督
署自身が気づいてか気づかないか知りませんが、まつたく手を触れておらないで、しかも違反が相当念入りに繰返されている場所が相当多数あるわけなんです。この点について私不幸にして数字を持たないし、ここで具体的な実証づけをして申し上げることができないのは遺憾でありますけれ
ども
、お手元の資料だけをも
つて
、相当大きい
部分
として評価することによ
つて
見る
基準法
の
適用
範囲
の
工場
、
事業場等
の集積は、りつぱに
基準法
が浸透しておると言うことはむずかしいと思う。むしろそれははなはだ危険でありまして、そうじやなくて、もつともつと
実情
を調査しかつ指導して行くという積極的な方針をとられない限り、
せつかく
の
基準法
も死物になる、あるいは死物に近くなる危険性があることを私
ども
は気づくのであります。いずれまた他の機会に、私の生きた問題をも
つて
当局の御反省を求めることを付言いたしまして、この
請願
の
説明
を終ることにいたします。
—————————————
倉石忠雄
22
○
倉石委員長
次に
日程
第六、
派遣看護婦
及び
附添婦
の
職業紹介
に関する
請願
、
青野武一
君
紹介
、第五八五号
紹介
、第五八五号、
紹介議員
の御
説明
を願います。
青野
君。
青野武一
23
○
青野
委員
請願
書の内容は非常に長いので、簡単に要約して御
説明
を申し上げます。本
請願者
の小林よしえという人は看護婦の代表で、都下一千三百五十七名から
請願
書が提出せられております。これは第十国会でも問題に
なつ
た
請願
でございますが、本
請願
の
要旨
は、
派遣看護婦
制度は公衆衛生の面から見て重要な制度であるが、一方働く婦人の職業問題としても、婦人の職業分野として職質のあるもので、婦人の職業問題解決にと
つて
重要な事柄を含んでいるから、この
職業紹介
を営利を目的とする
事業
の対象とならないよう考慮するとともに、
派遣看護婦
及び派出婦の各単位の任意
組合
組織に対し、求職活動の自由を与えるため、無料求人、求職活動ができるよう職業安定法第三十三條によろ
施行
規則を
改正
されたいというのであります。
倉石忠雄
24
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ります。
齋藤邦吉
25
○
齋藤
(邦)
政府委員
看護婦並びに
派遣看護婦
の
職業紹介
の問題につきましては前回の国会におきましても種々論議のありました点でありまして、公衆衛生の面から、また働く婦人の職業問題という面から、非常に重要な問題でありますので、従来とも慎重なる考慮のもとに措置をいたして進んで参
つて
おるのでございますが、こうした問題につきましての
考え方
は、前回の国会でも申し上げましたように、公共職業安定所の
職業紹介
というものを
中心
といたしまして、安定所で十分できない面につきましては、それぞれ民間の御協力をお願いいたし、民間の御協力といたしましては、それぞれ民間のこうした
職業紹介
に関心を持
つて
おられる方々の
職業紹介
事業
を、できるだけ許して行くというやり方をと
つて
参
つて
おります。しかもこの問題につきましては、有料の
職業紹介
事業
のみでなければならぬとか、あるいは無料の
職業紹介
事業
のみでなければならぬといつたふうな狭い考えではなくして、それぞれの業者の方々の立場々々において、有料の
職業紹介
事業
もできるように、無料の
職業紹介
事業
もできるように、それぞれの門戸を開きながら進んで行くことが適当であろう、かように考えて措置いたしておる次第でございます。 なお本
請願
の後段にあります派出看護婦の任意
組合
組織に対する求職活動の自由を与えるという点が、
請願
の
趣旨
にあげられておりますが、この問題につきましては、現在東京その他にあります委託寮の寮長の方々が、委託寮そのままの形において求人活動あるいは求職活動をしようというのでありますれば、これはいろいろな條約の
関係
あるいはそうした法律の
関係
から申しまして困難でありますけれ
ども
、
青野
委員
の御
承知
のように、これらの方々が労働
組合法
による労働
組合
を組織するということでありますならば、先般来名古屋においても実験的に実施いたしておりまして、実は非常に成績を上げておるというような前例もありますので、こうした方々が労働
組合法
による労働
組合
を組織されておやりになるということでありますならば、私
ども
の方も安定法の
精神
に
従つて
、そうした方々に対する労働者供給
事業
をできるだけ許可いたしまして、そうした方方の創意くふうによ
つて
、こうした
職業紹介
事業
が円滑に進んで行くようにいたしたいと考えておる次第でございます。
青野武一
26
○
青野
委員
齋藤
局長にちよつとこれに関連して質問しておきますが、この臨床看護婦
組合
というものは、労働
組合
とはつきり書かないといけないのか。私も大分東京をあちこち走りまわりましたが、大体求人側も病院側も、はつきり労働
組合
の労働という文字が入ると、何を感情的にやはりいやがるというような空気がある。これはまあ封建的な気分から生れて来るのでありますが、そういうことがある。今回のは第十国会と違いまして、こういう任意
組合
をつくるからひとつよろしくお願いしたい。それで
組合
の
趣旨
といたしましても、大体労働條件の維持
改善
に関する事項、経営の民主化に関する事項、あるいは文化の向上に関する事項、技術並びに品位の向上に関する事項、厚生福利に関する事項、同一目的を有する他団体との連繋、協力に関する事項、その他目的達成のために必要なる事項というものが大体
組合
の
趣旨
であ
つて
、目的達成のためにいろいろなことをこの
組合
の規約ではこしらえておりますが、こういうことで大体各委託寮を
中心
にして、順次こういうような組織ができれば、結局これに対して局長は便宜をはかられて行かれるかどうか。一番先にお尋ねしたいのは、はつきり労働
組合
という文字を打ち出さなければいけないのか、実態が労働
組合
であればいいのか、この間私が愛知県に行きましたとき、あちらで
関係
者に会
つて
来ましたが、非常に成績がよく、模範的にできておるのでありますが、東京はまだそこまで行
つて
おりませんので、あわせてお尋ねしておきます。
齋藤邦吉
27
○
齋藤
(邦)
政府委員
この問題は、
青野
委員
も御
承知
のように二つあるのでありまして、労働者供給
事業
と無料の
職業紹介
とわけて考えた方が、御理解がいいのではないかと思うのでありますが、
職業紹介
、労務供給
事業
ということになりますと、やはり労働
組合法
上の労働
組合
でなければならぬ。これは私はそれが適当だと思います。ただいま
青野
委員
の御発言の中にもありましたように、利用される方々がやはり労働という文字がありますと、利用しにくいということもありましようから、通称は何と申しましてもけつこうだと思いますが、法律的な、形式的な要件といたしましては、やはり
組合法
上の
組合
であることが、一番適当ではないかと存じておるわけでございます。ただもう一点の無料
職業紹介
所ということになりますれば、実はこの問題についても労働省におきましては、法律ができました当時は非常に強い、かたい制限を加えておりまして、財団法人でなければならぬとか、いろいろの制限を加えておりましたけれ
ども
、こういうふうな
職業紹介
事業
につきましても、従前のような弊害もあまり見受けることもできなく
なつ
たというようなこともありまするので、必ずしも財団法人でなくてもよい。やはり無料の
職業紹介
をやれるような、ある
程度
の財政的な面、そういう
事務
的な面、そういう組織さえあれば、この人たちが無料
職業紹介
所をやろうとするならば、これはまたけつこうじやないか、私
ども
はこういうような考えでいたしております。労務供給
事業
ということでありますと、これは名前は何であ
つて
もけつこうだと思いますが、
組合法
上の
組合
でなければならぬと思いますが、無料の
職業紹介
をやるならば、従前のように必ずしも財団法人でなければならないというようには私
ども
は考えておりません。やはりある
程度
の財政的な基礎を持ち、
事務
的な組織が完成されておるならば、それでけつこうではないか、こういうふうに存じておる次第であります。
—————————————
倉石忠雄
28
○
倉石委員長
次に
日程
第八、
公共職業安定所職員
の
行政整理等
に関する
請願
、
天野公義
君
紹介
、第七六三号を
議題
といたします。
紹介議員
の
説明
を求めます。
天野
委員
。
天野公義
29
○
天野
委員
本
請願
の
請願者
は、全国
公共職業安定所職員
組合
連合会中央執行
委員長
熊川廣衛君でございまして、本
請願
の
要旨
は、今回の
行政整理
は、
公共職業安定所職員
に対しても同様に行われるというが、
行政整理
の結果生ずる十数万の失業者に対する就職「あつ」せん業務は倍加され、これ以上
定員
を縮小すれば、安定所の運営は麻痺状態に陥ることは明らかであり、また
行政整理
の結果、
失業保険
業務も急激に
増加
し、現在の担当員でも困難である。ついては職業安定所の
行政整理
を中止し、最低
賃金
八千七百円を支給し、現業的業務の特殊性から特別俸給の
適用
と号俸
調整
の
引上げ
を実施し、
失業保険
業務取扱いに対しては、公共企業体
関係
職員
と同様、危険手当を支給されたいというのであります。
倉石忠雄
30
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ります。
齋藤
政府委員
。
齋藤邦吉
31
○
齋藤
(邦)
政府委員
公共職業安定所の
行政整理
の問題でございますが、これは公共職業安定所の業務の内容等を各方面におきましても御理解願いまして、現在
定員
一万一千八百七十人でありますが、これにつきましては安定所の
職業紹介
の現業に従事する
職員
につきましては、実は一人も
行政整理
をしないで、内部の管理
事務
の人事、会計といつたような庶務
関係
の
事務
について、ある
程度
の
整理
をすることにいたしまして、さらに先般衆議院の修正等もありまして、一万一千八百七十人に対しまして、
整理
いたしますのは三百九十六八ということに相な
つて
いるのでございます。現在安定所の
職員
は、非常な厖大な求職者を相手といたしまして、非常に御苦労を願
つて
おりますことにつきましては、私衷心から感謝もいたしておりますし、まことに御苦労なことだと存じております。しかしながら
政府
の今回の
行政整理
の
趣旨
から申しまして、内部管理
事務
についてのある
程度
の
整理
のみでございますので、この
程度
の
整理
でありますならば、安定所の
職員
にも御苦労を願うことはもとよりでありますけれ
ども
、これだけの
定員
で
行政
の万全を期して参りたいと考えている次第でございます。なお安定所の
職員
の中には、十一月現在で約二百人近い欠員等もありますので、その他の
定員
外に出まする長欠というものもやはり二百人以上ございますので、そういうことをあわせ考えますならば、現在安定所に勤務しております現有
職員
で、
行政
の万全を期して行くことができると考えている次第でございます。 なお
請願
の
趣旨
の中にあります特別号俸の問題と号俸
調整
の問題でございますが、これは
天野
委員
も御
承知
のように、号俸
調整
は昨年の九月から〇・五並びに一号俸
調整
いたしておりますが、将来ともごの号俸
調整
は続けて参りたいと考えております。なお安定所
職員
の勤務の態様から申しまして、やはり特別俸給という問題は考える必要があるのではないかと考えております。まだ成案を得ておりませんが、これは将来の問題として、
請願
の
趣旨
にの
つて
考究を続けて参る考えでございます。
失業保険
の危険手当の問題でございますが、この問題につきましてもいろいろな問題がありまして、この問題につきましても目下人事院と折衝考究中でございます。
請願
の
趣旨
に沿うてこの待遇の問題につきましては、将来とも
努力
を続けて参る所存でございます。
天野公義
32
○
天野
委員
公共職業安定所の
職員
は御
承知
のように、非常に重要な業務でございまして、今後ますますこの方面の業務量はふえ、また重要性を増すと思います。私
ども
が今後非常に考えなければならないのは、共産系の煽動とおぼしいような、いろいろな紛争が安定所をめぐ
つて
起きるということも推定されるのでございます。先般は相当安定所の
職員
がけがをしたり、中には殺されたというような話しも聞いておるのであります。そういうような面もございますので、あれこれいろいろ考えあわせまして、安定所の
職員
につきましては、
政府側
においても特に万遺漏のないような御配慮を賜わりたいのでございまして、この点要望をいたす次第でございます。
—————————————
倉石忠雄
33
○
倉石委員長
次に
日程
第一〇、
特需関係労務者
の
労働條件改善
に関する
請願
、
赤松勇
君
紹介
、第九七一号、
紹介議員
がおられませんので、かわ
つて
青野武一
君より御
説明
を願います。
青野武一
34
○
青野
委員
請願者
は日本労働
組合
総評議会
議長
武藤武雄君からでございますが、今
委員長
がおつしやいます通り、
紹介議員
赤松君が欠席しおりますので、かわ
つて
簡単に
請願
の
要旨
を申し上げたいと思います。本
請願
の
要旨
は、朝鮮動乱後の特需発注の激増に伴い、鉱
工業
の生産は一箇年に五二%
増加
し、残業労働時間もまた
増加
しているが、労働者の実質
賃金
はわずかに七・一%上昇しているにすぎず、
従つて
この特需によ
つて
、もたらされるものは労働者にと
つて
は実質
賃金
の
低下
と労働強化、災害の
増加
以外にはない。日米経済協力の規模の増大に伴い、このような
傾向
が増大するものと思われるから、次の事項につき特別の措置を講ぜられたいというのであります。第一が日本
政府
機関を通ずる契約の実施、第二が総合的苦情処理機関の設置、第三が契約内容の公開、第四がダンピング契約の防止、第六が契約単価の
引上げ
、第七が
組合
活動の自由、以上であります。
倉石忠雄
35
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ります。
長岡伊八
36
○長岡
政府委員
特需の
関係
につきましては、実は進駐軍の方の法規の
関係
もございますので、ただいま特調といたしましてこの問題をすぐ取上げるというわけにも参らないのでありますが、実は進駐軍からわれわれが要求されまして、各般のサービスをや
つて
参りました
経験
から御
説明
申し上げておいた方が、本件御
審議
の御参考になるかと思いますので、一言申し上げます。実は本件は前議会におきまして、材木業者
組合
からも同じ
趣旨
の
請願
が出て、たしか御採択に
なつ
たかと存じておるのであります。本件の内容に盛られましたものは、実は物心両面の
意味
があるかと存ずるのであります。進駐軍から直接いろいろな注文が会社に出ましたり、また直接労務者を使われるということになりますると、人情、風俗、言語を異にいたしております
関係
上、いろいろな問題が起
つて
参るのであります。そのときに、あえて特調と申し上げるわけではございませんが、この間に日本機関が入
つて
おりますると、いわゆるクツシヨンの役を勤めまして、摩擦を防ぐことができろのでございます。端的に申し上げまするならば、アメリカのむちが直接当りますると、そこにいろいろな感情の疎隔というものも起
つて
参りますので、将来の日米
関係
にかんがみまして、この間に立つものがあることが必要ではないか。俗な例を申し上げまするならば、同じしかられますにしましても、おやじにしかられますのと、隣のおやじからやかましく言われるのとは大分違います。日米
関係
の将来を考えまするとき、何か日本の機関が間に入りまして、これを
調整
して、場合によれば双方に対しまして、俗に悪者と申しますか、いやなことも直接言わずに、労働者の方から出ますることも、軍から出ますることも、その中間機関がこれを一応こなして取次ぐということが必要ではないかと存じておる次第であります。なお経済
関係
から見ましても、たとえ話を申し上げまして恐縮でありまするが、いなかの井戸の水をくみますときに、消防ポンプの大きいのをつつ込みますと、その水はすぐかれてしまいますし、しかも濁
つて
飲めなくなります。井戸の水をくみますときには、つるべでなれた者がくむということが、水をきれいに飲むことにも相なります。この問題につきましては、冒頭に申し上げました物心両面の理由が含まれているように考えまするので、われわれの四年間にわたる
経験
から、これだけ申し上げておきたいと存じます。
青野武一
37
○
青野
委員
御
説明
で大体よくわかりました。私はこれについて相当質問の項目を持
つて
おるのですが、時間の
関係
もございますので、また適当な機会に
労働委員会
を通じてお尋ねすることにいたしますが、ここに第二に総合的な苦情処理機関の設置ということが入
つて
おります。特別調達庁の財
務部長
、管
理部長
、労
務部長
が見えられており、関連しておりますので、ひとつお尋ね申し上げたいと思いますのは、新聞の切抜きを部屋に置いて参りましたが、先日立川の横田基地でB二九が民家に衝突をして火災に
なつ
た。これと関連するのです。新聞紙の上でございますから事実かどうかわかりませんが、岡崎官房長官が、その民家に与えた損害については、大体特別調達庁を通じて弁償して行くといつたようなことを言明された。それがかりに事実といたしまするならば、これは七月の十八日付で
請願
書にな
つて
、これは衆参両
議長
にも来ておりますが、今年の五月十日に福岡市の下臼井というところで、戦闘機が墜落して十一名死んだ。これはしようゆをつく
つて
おる醸造
工場
の中に落ちたので、そこの主人、家族、使用人十一名が死んでおる。そうして大体の損害が一千百万円ほどであつた。それが大体二十八万円
程度
の補償しか与えられなかつた。これについて県知事から私
ども
のところ、内閣総理大臣、外務大臣、厚生大臣、特別調達庁長官、これにずつと
請願
書が出ておつたのですが、関連して御質問したいのは、今度のB二九が民家に衝突して損害を与えたのに対して、どのくらい弁償されるか、それと関連して死亡者が十一名、財産の実損害が大体一千百万円、これは福岡の県知事が
請願
書の内容をつく
つて
おります。これに対して見舞金が二十八万三千三百五十二円、戦闘機の墜落をいたしましたのが二十六年五月十日、これは今申しましたように下臼井であります。これは速記をとめてもいいですが、ジープなんか常時よその店につつ込んでおる。私の知
つて
おるところでもずいぶんある。全然あいさつ拔きでやりつぱなす場合が多い。これなんかは十一人の人が、戦闘機が墜落して死んでおる。今度は横田基地でそういう損害を与えたのを全額弁償するとすれば、今年福岡で起つたこういうことも、非常なけが人もできて、一生労働のできない人もある、いろいろな機械設備がこわされて賠償してくれない。全額二十八万円で打切られて、実際は一千百万円やられておる、こういうことは規則がどうあろうとも、もし向うさんが出さなければ、特別調達庁が終戦処理費の中から、適当な方途を講じて、実際にその弁償額を賠償してやるということにならないと、不可抗力だけでは片づかぬと思う。朝鮮動乱が続いておりますので、九州あたりは特にものすごいのです。始終飛んでいる。それが事故のあるたびに民家の上に落ちる。やられた場合にどこにも言うて行く先がない。そういうときに
政府
の代表機関である特別調達庁あたりが、あたたかい気持で
実情
を調査して、できるだけのことをしてやらなければいかぬと思う。今度のB二九の墜落の問題と福岡市の下臼井の問題と関連して、私はこの際お尋ねしておきたい。店をぶちこわしたというような小さい問題はたびたびあるのです。ところがほとんど問題にならない。向うさんがしなければ、日本の
政府
機関で何とかこれを解決しなければいかぬ。やられ損ではたいへんな問題が将来において起ると思うので、この点お尋ねしておきます。
長岡伊八
38
○長岡
政府委員
各地でただいま
お話
のような事件が起りまして、これに対する見舞金がはなはだ軽少で、非常に犠牲を払
つて
いただいておることにつきましては、まことにお気の毒に存じておる次第でございます。実はこの種の損害の発生した際の補償の問題につきましては、進駐軍の方と交渉を進められたのでありますが、進駐軍の方においては補償することができないという命令が参
つて
おりますので、日本
政府
といたしましては、日本
政府
の責任によ
つて
起つた損害ではございませんけれ
ども
、非常にお気の毒でございまするので、終戦処理費からそれぞれ見舞金をお贈りすることに相な
つて
おります。この
事務
は、実はただいまでは終戦処理費を特調で扱
つて
おります
関係
上、特調が予算を握
つて
おりまするが、この見舞金の交付の問題については、厚生省所管でお取扱いにな
つて
おる次第でございます。しかしこのたびの横田の事件といい、ただいま
お話
の九州の事件も、われわれ
承知
いたしております。これは何とか見舞金の
増額
の問題を考えなければならぬであろうということを存じておる次第であります。伺うところによりますれば、厚生省におきましても、この見舞金の
増額
の計画を持
つて
おられるように
承知
いたしております。今後十分打合せもいたし、
研究
もいたしまして、善処いたしたい、かように考えております。
青野武一
39
○
青野
委員
私の質問に対するお答えが
一つ
ございませんので、重ねてお尋ねいたします。岡崎官房長官が新聞紙を通じて発表したのですが、日本
政府
機関でこれを弁償するということでありますが、この間の立川の横田基地の問題、これはやはり今の規定に基いて見舞金を出す
程度
の内容ですか。ここに二十五年の一月三十一日、厚生次官、大蔵次官が、都道府県知事あてに、進駐軍による事故のため被害を受けた者に対する見舞金に関する件という通牒を出した、その写しを私持
つて
おる。今度の場合と福岡の場合と関連して私お尋ねしておるのですが、官房長官のおつしやつた内容は、やはりあなたの今御
説明
になりました規定による見舞金
程度
であるかどうかということをお尋ねしておきます。
長岡伊八
40
○長岡
政府委員
官房長官がどういうふうに申されましたか、私うかつに存じなかつたのであります。ただいまの規定で見舞金を出すことになりますれば、
先ほどお話
の福岡の例と同じようなことになると思います。死にました者に対してわずか二十万円、家の焼けましたものに対して四万円といつたようなわずかな基準がございますので、この基準によるほかはないかと存じますが、おそらく官房長官の
お話
は、この基準を何とかかえるくふうはないかという
意味
で、
お話
しに
なつ
たのではないかと思います。この基準をかえることにつきましては、さらにこれをいつから
適用
するかという、
適用
の時期の問題もございますので、十分打合せて処理をいたしたいと存じております。
青野武一
41
○
青野
委員
終身自由に用を足すことができないとか、終身業務に服することができないという場合に、障害見舞金、死亡見舞金一人当り十万円とか、三万四千円とか、七万二千円とか、表はできております。これは大蔵次官と厚生次官の通牒にあるのです。私が今年の三月に、この
労働委員会
を通じて特別調達庁の方に質問した内容に触れるのですが、東京の自由労働者が軍務
関係
に従事して死亡した場合に、
労働基準法
から行けば本給の千日分ですか、百五十万円くらいの生命保険をつけてあるとか、あるいは一箇月の給与が三万円くらいにな
つて
いるとかいうようなことも聞いておるのですが、かりにそれが事実とすると、これと比較いたしますと、あまり開きが大き過ぎるのではないかと思
つて
おります。規定がこうな
つて
いるから気の毒だがということでは、やられた方は見舞金だけではどうすることもできないのであります。そこでこれは非常に困難な問題ですけれ
ども
、内容を
改正
することがむずかしければむずかしいだけ、
関係
方面と十分に折衝して、損害を与えただけのものは補償して行くというようにして行かなければならぬのではないかと思う。私が三月の承認
委員会
で申しましたときに、大体日本の港からよそに連れて行かないと言われたが、仁川の方に連れて行つた。そうしてけがをした人もあり、死亡した人もある。
政府
の発表によると、二十名ばかりの船員が魚雷でやられて死んだが、そういう人たちの遺家族はどの
程度
の扶助料をもらつたかということをその後聞いてみますと、今申しましたような相当高額の待遇を受けておる。ところが戦闘機とはB二九などの墜落によ
つて
受けた損害は、これらと比較すると、その補償見舞金の内容はほとんど問題にならないのです。そういう不合理なことは、そういつもあることではないのですから、むずかしければむずかしいだけ
関係
方面と折衝を続けて、そういう損害を与えたときにはできるだけのことをしてやるような交渉、打合せをしていただきたいと思います。この点についてひとつ御所見を伺
つて
おきたいと思います。
川田三郎
42
○川田
政府委員
連合軍の起しました事故による見舞金につきましては、ただいま御発言のありましたように、私
ども
もその御
趣旨
に沿
つて
予算の成立を希望しておる次第であります。現在その
事務
を各府県によ
つて
行
つて
おりますが、主務省としての厚生省から、予算所管庁たる総理府に対しまして、見舞金の標準額を
引上げ
る予算の予側折衝が行われておりましたそのやさき、先日の北多摩における事故が起つた次第であります。
先ほどお話
のありました九州の醸造業者の被害も、両々相権衡をとりまして、補償しなければならない性質のものではございます。ただ現在の財政から申しまして今日起りました災害について、国が従来の見舞という観点を変更いたしまして、実損額を補償するという取扱いになりました場合には、二つの問題がございます。
一つ
は軍の行動により損害の責任を、日本
政府
が負うということがはたして妥当であるかどうか。もう
一つ
は実際問題でありまして、現在起
つて
おる災害を、まことにお気の毒であるというので実損
程度
まで補償いたしました場合、従来全国に起
つて
おります大小さまざまの交通事故ないしは演習等における被害、そういうものも権衡上救わなければならぬ、でなければつじつまが合わぬということになります。現在厚生省が立案しております補償は、終戦来の損害について、あらためて基準の立て直しをして、追加補償をするというところまで考えておりますが、財政上これが
負担
できるものであればやりたいけれ
ども
、とうてい現在の財政ではそれができない。それでこの補償につきましては
一つ
の段階がありまして、先ほどお読みになりました大蔵、厚生両次官の協定書、その線を、特調所管になりましてから少しでも損害に近づけたいという念願から、死亡十万円の最高
限度
を、二十五年四月一日から二十万円に上げ、その他それに準じて大体最高
限度
を倍額に上げた。しかし先日の事故にこれを直接に
適用
いたしますならば、死んだ方には二十万円ということで、いわゆる進駐軍雇用の労務者との権衡は非常に離れて来る。また焼けた家につきましても一戸最高四万円で、これでは二坪
程度
の再建築しか補償できない。これもすべて見舞という観点に立
つて
おりますので、まず
政府
部内におきまして、これを補償金という角度に引直すかどうかということが、
一つ
の問題でございます。この二点につきまして、ことに第二の財政問題の解決ということは、なかなかただちに考える通りには行かぬものと思いますが、なるべく見舞という形で出すにしても、補償を実損に近づけてやりたい、こういう観点から現在
研究
中でございます。
研究
中とは申しながら先日も事故が起きましたし、近くは九州の事故もございますので、厚生当局ともよく打合せをいたしまして、大蔵省とも十分協議をし、またすでに閣内においてもこれは相当の重要案件として取上げられておるのでございます。一特調だけの
意見
ではどうにもならぬことでございますが、
政府
部内あげてこれを積極的に押しまして、何とかしてこの補償を少しでも多くしてあげたい。たとい名前は見舞金であろうと何であろうと、棄損をカバーしたいという念願は持
つて
おります。しばらく
検討
いたしまして実際の策に進むまで御猶予願いたいと存じます。
青野武一
43
○
青野
委員
お話
でよくわかりました。これは大体重要な問題で、あまりつつ込んで御答弁もまた質問もできない問題ですが、できるだけこういう気の毒な——十一名もまくらを並べて焼け死んでおりますので、補償をする際は、今度のB二九の問題だけでなく、こういう問題はやはり今年のできごとですから、気の毒な
諸君
に対しては少しさかのぼ
つて
お考え願いたい。前は十万円だつたが、今は二十万円に
増額
したというような、差額も相当の開きがあるので、そういう点は
改正
をされるときは、ひとつ十分お考え願いまして、寝耳に水の被害を受けました人々に対しては、できるだけのことをしていただきたい。終戦処理費は向うさんのまかない費ですが、向うのあやまちだから、多少削
つて
もそつちへまわして行く。むずかしいといえばむずかしいのですが、そういう点について日本人が日本人の立場に立
つて
、気の毒な人の損害をどうして
負担
し、弁償して行くかということをよくお考え願いまして、今の
お話
のように、ひとつその線を進めていただきたい。これを最後に希望いたしまして、私の質問を終ります。
—————————————
倉石忠雄
44
○
倉石委員長
それでは次に
日程
第
一三
、
労災病院
及び
けい肺療養所設置
の
請願
、
大内一
郎君
紹介
、第一四
一三
号を
議題
といたします。
紹介議員
がおられませんので、
島田末信
君かわ
つて
御
説明
を願います。
島田末信
45
○
島田委員
本
請願
の
要旨
は、東北七県における労働者の災害件数は近年激増の
傾向
にあり、ことに多数の鉱山を有する
関係
上、坑内作業による硅肺病患者が
増加
しているのであるが、これら災害者は遠く東京労働病院、北海道整形外科療養所、または栃木硅肺療養所に収容されるため、その不利不便ははなはだしく、しかもこれら病院自体においてもその施設が狭隘のため、自県の患者さえ完全に収容し得ない
現状
である。ついては東北
地方
の
実情
にかんがみ、省立
労災病院
並びに硅肺療養所を設置されたいというのであります。
倉石忠雄
46
○
倉石委員長
政府側
の御
意見
があれば承ります。亀井
政府委員
。
龜井光
47
○
龜井政府委員
労災病院
につきましては、東京と九州に現在あります。また本年からは、関西
労災病院
の設置を今見つつあります。また硅肺病院としては現在栃木県に一箇所あるのでありまして、将来におきましては逐次労災の経済とにらみ合せながら、これを
拡充
して参りまして、合理的な診療を普及いたすように
努力
いたしたいと考えておる次第であります。東北につきましても来年度予算におきまして、大蔵当局に要求をいたし、これが折衝の段階に入りましたならば、極力その実現について
努力
いたしたいと考えております。
—————————————
倉石忠雄
48
○
倉石委員長
次に
日程
第一四、
失業保険
の
待期期間廃止等
に関する
請願
、
倉石忠雄
紹介
、第一四一四号を
議題
といたします。
紹介議員
にかわ
つて
島田末信
君の
説明
を願います。
島田末信
49
○
島田委員
本
請願
の
要旨
は、日雇い労働者の
失業保険
金給付については、前二箇月、通算二十八日以上就労し、
失業保険
印紙二十八枚以上を得ておれば、第三月日に保険金百四十円十三日間、四十八枚以上を得れば十七日間の保険金を受給される資格がある。しかるに現在第三月目の初めに連続四日間か断続六日間の待期期間と称する公休及びあぶれ番の日があ
つて
、この期間が差引かれるため、保険金受給資格十三日間ないし十七日間という数字は有名無実となり、一箇月にして八百円ないし千二百円の減収とな
つて
いる。ついてはこの待期期間を廃止するとともに、当り番の目に病気その他やむを得ない理由で就労できなかつた場合に希望認定を認めて、保険金を支払われたいというのであります。
倉石忠雄
50
○
倉石委員長
政府側
に御
意見
があれば承ります。
齋藤
政府委員
。
齋藤邦吉
51
○
齋藤
(邦)
政府委員
日雇い労働者の
失業保険
法の保険の待期期間廃止の問題でございますが、日雇い労働者の
失業保険
につきましては、できるだけ待期期間を短縮し、いなむしろ待期期間をなくすることが理想であると私
ども
も考えておりますが、御
承知
のように
失業保険
経済の
実情
、さらにまた日雇い
職業紹介
の
実情
から申しまして、今ただちに待期期間を全廃するということは困難なことであります。しかしながら日雇い労働者の生活安定をはかるために、一方
失業対策事業
の円滑なる運営をはかり、また一方において日雇い
失業保険
法の円滑な
適用
をはかるということは、きわめて緊要なことでありますので、できるだけ待期期間は短縮するということが適当だと考えております。昨年八月の臨時国会において連続五日、断続七日の待期期間を一日短縮いたしまして、連続四日、断続六日という待期期間にいたしたのでございますが、さらに私
ども
としてはもう一日くらい短縮できないであろうかということで、目下
検討
を加えておる次第でございまして、できますならばできるだけすみやかにそうした成案を得て、日雇い労働者の生活安定をはかりたいと考えておる次第でございます。
倉石忠雄
52
○
倉石委員長
他に御質疑はございませんか。
中原健次
53
○
中原委員
ただいまの
日雇い労務者
の待遇に関する
請願
に関連してお尋ねしておきたいことは、日雇い労働者の労務
賃金
の問題であります。この問題は先年来しばしば
請願
あるいは質疑その他の
方法
を通じて当局の
意見
をただし、あるいは労働者側もこれに対してしばしば
意見
を述べておるのでありますが、その後聞くところによれば、わずかに一割ないし一割二、三分くらいの貸金
引上げ
の措置が講ぜられたように思うのでありますけれ
ども
、その
程度
の
賃金
の
引上げ
では、今日の物価の諸事情から考えてきわめて不適当であると考えるのであります。ことにこの失業労働者は、失業労働者自身の責に帰すべき原因によ
つて
失業した場合でないのが多いのでありまして、先年来の
失業対策
、失業者を
政府
の政策によ
つて
ずいぶんつくつたという事実が過去において累積しておりますので、
政府
としては相当この失業労働者に対する待遇問題についての、積極的な施策あるいは
対策
を講ぜられなければならぬと私
ども
は思うのであります。
従つて
この際日雇い労働者の
賃金
の問題についてどのような
実情
にな
つて
おるのか、さらにはどのような
考え方
をも
つて
望んでおるのか、その諸点についての真相を御発表を願いたいと思います。
齋藤邦吉
54
○
齋藤
(邦)
政府委員
失業対策事業
に就労する日雇い労働者の
賃金
につきましては、御
承知
のように緊急
失業対策
法に基きまして、
一般
の民間
事業
に使用せられる日雇い労働者の
賃金
よりも、一〇%ないし二〇%
程度
低く定めなければならないということが定められておるのでございます。すなわち民間
事業
への就労をいやがるというふうなことがあ
つて
はなりませんので、そのような考慮から
一般
の日雇い労働者の
賃金
は、
一般
職種別
賃金
から申せば、進駐軍労務が最高でありまして、その最高から大体一〇%引きが公共
事業
の最高になるという形にな
つて
おり、従いまして
失業対策事業
就労の日雇い労働者の
賃金
も、
一般
民間企業よりも大体一五%低目、公共
事業
よりは多少低い、最近においてはあまり差はありませんが、民間企業よりは一五%少くする、こういうのが法制上の建前にな
つて
おります。
従つて
日雇い労働者の
賃金
につきましては、その
地方
地方
における同種の
事業
に従事する民間
事業
の
賃金
が、どう動くかということが問題でありまして、民間
事業
の
賃金
が上れば、当然ある
程度
日雇い労働者の
賃金
は上
つて
行く、こういう形態をたど
つて
おるのであります。実は昨年の十二月、
一般
職種別
賃金
が多少上りましたので、その際にも日雇い労働者の
賃金
をある
程度
上げました。さらにまた今回は八月以降の
一般
の日雇い労働者の
賃金
の
動向
にかんがみまして、大体一一%
程度
日雇い労働者の
賃金単価
を上げたわけであります。
賃金
についではなるほど多いに越したことはありませんけれ
ども
、やはり
失業対策事業
の本旨から言
つて
、ある
程度
民間
事業
よりは低目というのが適当な線ではないだろうか、私はかように考えておる次第であります。
従つて
先般
一般
職種別
賃金
の調査をいたしましたところ、その調査においても、
一般
事業
の
賃金
が大体一〇%以上上
つて
おりましたので、私の方でもそれと並行し、その調査をもとにするばかりでなく、実際の
賃金
動向
をもとにしたわけでありますが、そうしたものも一〇%以上上
つて
おりましたので、それに即応して
失業対策事業
の予算単価としては、二百円六十銭を二百二十五円六十銭というふうに、一一%
程度
上げますと同時に、全国的にもその
地方
々々の
一般
の日雇い労働者の
賃金
動向
にかんがみて、それぞれ一一%
程度引上げ
るという措置を講じたのであります。
従つて
将来といえ
ども
民間
賃金
が上れば当然失対
事業
も上る、民間
賃金
が下ればこちらも下るという
関係
にな
つて
おります。
中原健次
55
○
中原委員
日額単価の点についても議論の余地が残されておりますが、それは別の日に譲るといたしまして、このような措置で、結局一箇月の稼働日数が全国平均幾らにな
つて
いるか、あるいは東京都内はどうな
つて
おるか、それとの関連で月収の確保はどの
程度
に見ておいでになるか。やはり大切なことは、月の実収入ということにあると思うのです。
従つて
月の実収入が
一般
の職種別
賃金
に対照して、その間のにらみ合せがどの
程度
にな
つて
おるのか、この点を伺
つて
おきたい。 もう
一つ
は、年の瀬も迫
つて
参りましたが、今年もお盆の当時にいわゆる盆手当といいますか、暑中手当といいますか、そういうものを要請する声がしきりに強かつたと思うのです。ところが当時それに対して必ずしも適当な、すなわちその要望にこたえるような措置が講ぜられたように思
つて
おりませんですが、今後年末あるいはお盆の手当等については、依然としてこれを支払わないような方針を持
つて
おいでになるのか、それとも何らかそこに
努力
してこれにこたえるような、日雇い労働者
諸君
に対する利益を——利益というより、むしろその人たちの必要欠くべからざる要求にごたえるための誠意をお持ちになるのかどうか、こういうことについてもあわせて伺いたいと思います。
齋藤邦吉
56
○
齋藤
(邦)
政府委員
最近の日雇い労働者の就労
状況
でございますが、御
承知
のように昨年の夏時分は、一箇月間の就労日数は、全国平均いたしますと十五日あるいは十六日といつたような、非常に悪い
状況
にあつたのでありまして、衆議院の方におきましてもいろいろ御決議等があり、その後本年度に入りましては、
失業対策事業
予算の
増額
といつたようなこともあり、さらにまた昨年の八月以降におきましては、民間の日雇いの求人の
増加
といつたようなこともあり、これらの点と相まちまして、最近に至りましては日雇い労働者の就労の日数は逐月
改善
せられて参りまして、この九月は、一箇月二十五日稼働といたしまして、実は二十一日の就労を確保することができるに至
つて
いるのでございます。全国平均といたしましては、一箇月二十五日の間——日曜は一応休むものといたしておりますので、二十五日のうち二十一日稼働という線にな
つて
おります。本年の一月以降ずつと統計を見ましても、大体二十日から二十一日という線を確保することができるに至つたのであります。戦争前の日雇い労働者の就労日数等から勘案いたしまして、国が
失業対策事業
としてやる場合の就労日数としては、まあまあよい線まで近づいて来ていると私
ども
は考えているものでございます。特に今申しましたのは、全国平均が二十一日ということでございまして、特に東京におきましては、大消費都市における日雇い労働者の生活困難ということも十分
承知
しておりますので、さらにそれ以上の就労日数を確保いたしておりまして、ほとんどあぶれないという
程度
まで東京ではな
つて
いるものと、実は報告を受けている次第でございます。二十五日、二十六日というような就労にまで東京は至
つて
おります。
地方
によりましては、今申しましたように二十日を割るところもありますけれ
ども
あわせまして全部考えてみますと、二十一日平均という
状況
にな
つて
おります。しかも今回十月以降は、一割の
賃金
の単価を
引上げ
ましたので、東京で申しますと従来は二百四十五円でありまして、二百四十五円から保険料三月を引くと、手取り二百四十二円という金額でありましたが、今回の東京の賃上げによりますれば二百七十三円、すなわち保険料を含めて二百七十三円、税はかかりませんので手取り、二百七十円を標準といたしまして、最高三百三十円、最低二百五十円の幅で、応能による
賃金
制度というものを確立いたしましたので、従前に比較いたしますれば、重労働のむずかしい
仕事
に従事する日雇い労働者は三百三十円まで行く、しかも就労日数は二十五日から二十六日という
状況
にな
つて
いる次第でございます。将来ともこうした方面の
改善
には努める所存であります。 なお御質問の後段の年末手当の問題でございますが、歳末を控えて、日雇い労働者の生活安定をはかりますことが、非常に重要であることはお説の通りでありますので、これに対しましては、私
ども
はできるだけ就労日数をふやす、就労日数を延長して、これによ
つて
日雇い労働者の手取り
賃金
額を高める。この線で進んで参りたい、かように考えているものでございます。これらの就労態様につきましては、緊急
失業対策
のいろいろな制限がございますので、この制限を越えてやるというわけには参りません。緊急
失業対策
法の
精神
の許す
範囲
内において、できるだけのことを考慮いたしまして、日雇い労働者の生活の安定に努めて参りたい、かように存じておる次第でございます。
中原健次
57
○
中原委員
なるほど相当御心配のようであります。しかし結局日雇い労働者の越年の
対策
としては、ただ就労日数をふやすためた
努力
するということで、うまくこを濁されたわけでありますが、それでは実は身が乗らぬのであります。ことに日雇い労働者の場合は、勤務地手当も、あるいはまた家族手当も、その他いろいろな諸手段というようなものは、加わ
つて
おらぬのでありまして、ただ基本給だけの問題のようにな
つて
おります。そうしますと東京都は、
地方
より少し高くしなければならないことになりますが、いわゆる
一般
にいう勤務地手当的な考慮が、適当に払われていないということがあるわけなのであります。従いまして就労日数をふやすことに努めるということももちろん大事でありますが、それだけではなお届きません。越年の手当等のごときは
一般
にも必要であるだけに、それだけ日雇い労働者
諸君
の家庭にも必要であるわけであります。
従つて
そのことを編み出すための予算をつくるために、所管当局としては積極的な
努力
あるいはあらゆる方策を講じて、これにこたえるような働きが当然あるべきものじやなかろうか、こういうふうに私
ども
は考える。その点について局長の御所信、あるいは今までの
努力
の
実情
をお漏らし願いたい。
齋藤邦吉
58
○
齋藤
(邦)
政府委員
年末に何らかの手当をという御質問でございますが、御
承知
のように日雇い労働者は、
失業対策事業
に就労することもありますれば、民間企業に就労することもあり、さらにまた公共
事業
に就労し、進駐軍労務者として月の間何日か働きに出るという態様にありますので、こうしたものに対して、何らか年末手当的なものを出すことが、国として適当であるかどうか。こういう方々が生活にお困りにな
つて
おるということは十分
承知
いたしておりますが、民間企業にもやはりどんどん出ておる日雇いであり、
失業対策
に一部行くのもあるというような
実情
の労働者に対して、手当を出すかどうかということには、やはり問題があると私は考えております。一応私
ども
現在の緊急
失業対策
法という
わく
の中で、こういう
事業
を運営するのでありますから、現在のところ、こういう
事業
を運営するのでありますから、現在のところ、こういう安定所の窓口に来る日雇い労働者なるがゆえに、手当を出さなければならぬということは、私としては考えておりません。
従つて
年末手当を出すということにつきましては困難である。私はあくまでこういう人々に対しましては、民間
事業
への求人の申込みなり、あるいは公共
事業
への求人の申込み、そういつたものと照し合せながら、そして最後は失業でできるだけ就労日数を延ばして行く、これがやはり国としては適当な線ではなかろうかと存じておる次第でございます。
中原健次
59
○
中原委員
もちろん民間の
仕事
に振り向けた場合に、それを国が年末手当を出すのは不適当ではないか。これはなるほど一応議論があるわけであります。しかしながら公共
事業
——国あるいは
地方
の自治体が行う
事業
に動員された人たちに対して、これは当然国並びに
地方
自治体が責任を負うことができると思う、また負わなければならぬ。いずれにしましても、これはただ同情するというような、そういう簡単な
意味
ではなしに、これらの人たちの生存権を確保せしめるために、むしろ国自身が積極的に考慮を払うべきであると私
ども
は考えます。
従つて
職安局当事者としても、これに対して積極的な
意見
を持つべきである。積極的な
意見
を持つことによ
つて
、これが実現するための
努力
がそこから初めて生まれて来るのではないか。ただ言葉の上だけで最善を尽すという
程度
では、これは気が乗らぬので、この点については、ただその場だけを何とか糊塗するような
傾向
に陥るのではなくて、積極的にそこへ心を打込んで
対策
を立てる、こういう決意を持たれて——もちろん局長にこのことをあまり詰め寄るのは無理かとも思います。これはやはりその他それぞれ責任当事者に問うべきことかと思いますけれ
ども
、一応職安当局自身としても、その成案を持つための
努力
がいる、このように考えます。このことについてもう一度御質問します。
齋藤邦吉
60
○
齋藤
(邦)
政府委員
御質問にありましたように、ただ私は口だけで善処するということを申し上げておるのではないのでありまして、実は昨年もそうでありました。昨年の十一月、十月ごろの日雇い労働者の全国平均就労日数は十八、九日で、二十日が切れておつた、こういう
実情
でありましたが、何とか失対
事業
の予算を機動的に使えぬだろうかということで、御
承知
のように補正予算の出る前でありましたので、繰上げ支出をいたしまして、年末における就労日数を
増加
するという処置を、現実に講じて参つたのであります。本年度も七十七億五千万円、本年度成立いたしました予算の
範囲
内において、できるだけ就労日数を延ばす。これは
地方
々々によ
つて
多少差もあると思いますので、全国平均をここで申し上げるわけには参りませんけれ
ども
、何とかしたいというのは、口だけでなしに、現にそういう予算的措置も講じているのでございます。ただお尋ねの手当というような問題になりますれば、これは民間
事業
へ行つた者、公共
事業
へ行つた者、それを按分で手当を出すというわけには参りませんし、またこういう性質のものでありますので、それは困難だということを私は申し上げたのでございます。日雇い労働者の生活が困窮しているということは、私は常時接触しておりまして十分
承知
いたしておりますので、それぞれ
事業主体
でありまする府県なりあるいは市町村に対しまして、年末あたたかい手をさしのべていただくようにお願いいたしておりますけれ
ども
、国の建前として、こういう各方面の
事業
に常時従事しなければならぬ態様にある日雇い労働者に、国が手当を出すということについては、これは相当問題もあり、現在の予算執行上も困難ではないだろうかということを申し上げたのでありまして、私は口先だけでなしに、できるだけ年末就労日数を延ばすという措置を現に講じている次第でございます。
—————————————
倉石忠雄
61
○
倉石委員長
次に
日程
第
一六
、
接客業者等
に
労働基準法適用除外
の
請願
、
有田二郎
君
紹介
、第一五六五号の
審査
は、都合により延期いたします。
—————————————
倉石忠雄
62
○
倉石委員長
これより
陳情書
の
審査
に入ります。
日程
第一ないし第二五を一括
議題
として、まず浜口専門員より順次その
趣旨
を
説明
いたさせます。
濱口金一郎
63
○濱口専門員
日程
第一、
労働基準法改正
に関する
陳情書
の
要旨
は、
労働基準法
は、制定以来多くの実数を上げてきたが、その
反対
に同法が理想主義によ
つて
現実の判断を誤り、企業の
負担
能力
の限界を越えて実施を要望している面は、各種の悪弊を馴致したきらいも認めざるを得ない。ついては今後次記の面を
改正
されて、同法を完璧にされたい。(一)労働契約当事者の自由意思をなるべく尊重すること、(二)同法によ
つて
課せられる
使用者
の責任と並んで労働者の責任をも明らかにすること、(三)企業経営的立場を考慮すること、(四)解釈に疑義のある規定は明確にすること等をあげて、同法の
改正
を要望しているのであります。
日程
第二、
失業対策事業費
の
国庫負担
に関する
陳情書
の
要旨
は、
失業対策事業費
は、
全額国庫負担
としてその総額を
増加
し、特に資材費の
増額
をはかるとともに、各県の労務費単価が全国平均額に達しないものは、この平均額にまで
引上げ
る等の措置を講ずることを要望しているものであります。
日程
第三、
労働基準行政官署
における
職員
の
増員等
に関する
陳情書
の
要旨
は、
労働基準法
の運営を直接担当する
職員
の教養訓練を行い、客観的
社会情勢
とにらみ合せ、指導
監督
に重点を置き、あわせて災害撲滅、技能者養成の推進その他労働生産性の
検討
等の助長
行政
面に力をいたすことも緊要であるから、労働基準
行政
に携わる
職員
については、
行政整理
の対象外として一層
増員
を行い、
労働基準行政官署
における予算の
増額
を要望するものであります。
日程
第四、
夏時刻法廃止
に関する
陳情書
の
要旨
は、夏時間は、さなきだに短い夏の夜を構えて短かくするため、睡眠の不足を招来し、児童生徒の心身の過労を来し、発育保健上弊害があると思われるから、明年よりはサンマータイムを全廃せられたいというのであります。
日程
第五、
失業対策
に関する
陳情書
の
要旨
は、最近失業者の数はますます
増加
の
傾向
があり、ことに青年層に多いのは、思想上にも悪影響を及ぼし、はなはだ憂慮にたえない。ついては
政府
においても、すみやかに根本的
対策
を樹立し、失業救済に万全を期せられたいというのであります。
日程
第六、日雇労働者の
待遇改善
に関する
陳情書
の
要旨
は、最近の
日雇い労務者
は、需要数激減のため、その就労率はきわめて悪く、憂慮すべき事態にな
つて
いるから、
政府
は
日雇い労務者
の生活安定をはかるため、次項の
対策
を実行されたい。(一)
日雇い労務者
の
賃金
を
増額
されたい、(二)
失業対策事業
の
拡大並
びに公共
事業
に失業者雇用の
わく
を認められたい、(三)日雇い労働者の福利厚生施設として、宿泊所、寄場、炊飯所、浴場、医療設備の
拡充
をされたい、(四)
日雇い労務者
に対して、健康保険法並びに厚生年金保険法の
適用
について適切なる措置を講ぜられたい、(五)公共職業安定所施設の
拡充
並びに
職員
の
待遇改善
をはかられたいというのであります。
日程
第七、町村における
失業対策樹立
に関する
陳情書
の
要旨
は、町村における失業問題の解決は、地元町村の自主的財政力の遠く及ばないところであるから、左記諸事項を
中心
とする広汎かつ抜本的な施策を講ぜられたい。(一)公共職業安定所及び職業補導所等
対策
機関の
拡充強化
、(二)公共職業安定所等に対し町村との連絡を緊密化し、顕在、潜在ないし半失業者の発見に努める、(三)
緊急失業対策事業
及び公共
事業
を町村地域に拡大施工する、(四)農山村の
工業
化を助長、奨励するため、低利、長期の農村金融の方途を講ずる、(五)
失業対策
としての土木
事業
の経費を
国庫負担
とし、
起債
を認めるというのであります。
日程
第八、北海道における
失業対策事業就労者
の
賃金
増額
に関する
陳情書
の
要旨
は、北海道における
失業対策事業
の
賃金
については、その後における諸物価の高騰並びに積雪、寒冷地の特殊事情を考慮して、現行支給額をいま少しく
実情
に即し、かつ年間を通ずる適当なる
賃金
に改められたいというのであります。
日程
第九、
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情書外
三件の
要旨
は、
政府
は、
労働基準行政機構
の縮小とその
減員
を考慮中と聞くが、
実情
は
事業場
を直接
監督
する
監督官
の数は、署長を含めてわずかに数名にすぎず、
監督官
一人当りの
負担
は、
事業場
数百余、労働者数数千余に及び、最小限の法運用に当
つて
いるのみで、全
事業場
に対する指導
監督
にとうてい期待できないありさまである。かりにこの
行政
機構を縮小し、
職員
を減少するようなことになると、
労働基準法
の
施行
を著しく阻害する。ついては
労働基準行政機関
における
職員
については、
行政整理
の対象外とし、一層
増員
を行うとともに、その機構の
拡充強化
をはかられたいというのでありす。
日程
第一〇、
労働法規改正反対
に関する
陳情書外
三件の
要旨
は、労働諸法規の
改正
にあたり、年少労働者や婦人労働者のささやかな保護までもなくそうとする等、労働者の生活を無規した施策に
反対
である。ついては労働者の自由と幸福のために、労働者の基本的権利を尊重し、労働法規の改悪はとりやめられたいというのであります。
日程
第一一、
労働基準行政機構拡充強化
に関する
陳情書外
八件の
要旨
は、第四〇七号に同じであります。
日程
第一二、
労働基準行政機構拡充強化
に関する
陳情書
の
要旨
は、第四〇七号に同じであります。
日程
第
一三
、
道費
または
国費
による
失業対策事業
の
拡大並
びに国庫補助額
の
増加等
に関する
陳情書
の
要旨
は、
政府
においては、札幌市内失業者の
増加
に備え、特に来るべき冬期において、同市の行う
失業対策事業
のほかに、
道費
または
国費
により、この
事業
の拡大実施をなし、また
失業対策事業
における
賃金
は、現在の経済事情に対比してあまりに低いと認められるから、この値上げの措置を講ずるとともに、同道の冬期
賃金
について特段の考慮を払われたい。なおこれに伴う
失業対策事業
経費の
増加
に対しては、国庫補助並びに
起債
の
増額
をはかられたいと要望しているものであります。
日程
第一四、
緊急失業対策事業
の
全額国庫負担
に関する
陳情書
の
要旨
は、現在失業者群は累月増大の
傾向
にあるとともに、自然條件に制約されて住民生活費の割高なるため、これら失業者の生活は極度に難渋を加えている。しかも
失業対策事業
はその効率化をはかるため、資材費その他経費の急増を来している
状況
である。しかるに一方
地方財政
はきわめて逼迫し、道県及び市町村はこの
負担
に応じ得ない
実情
にある。よ
つて
緊急失業対策事業
は、その性格にかんがみ、従来の国庫補助條件を根本的に改め、
全額国庫負担
をも
つて
実施し、
賃金
の地域差を改訂
増額
し、さらに寒冷期間について別途臨時加給措置を講ずることを要望しておるものであります。
日程
第一五、
職業補導事業
の
国庫補助率増加
に関する
陳情書
の
要旨
は、
職業補導事業
に要する経費の補助割合は
地方財政
法第十條により措置すべきであるにかかわらず、第十六條により現在一方的に国庫四割とされている。しかるに
地方財政
は極度に逼迫し、六割の
地方
負担
はとうてい応じ得ない
実情
にあるから、今後国庫補助の割合を六割に変更
増加
されたい。なお補助対象も原則として人件費および経営物件費のみであるが、同
事業
の
拡充強化
の必要から、土地買収及び新増改築等に対しても五割以上補助することを要望しておるものであります。
日程
第
一六
、
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情書外
二件は、第四○七号に同じであるので省略いたします。
日程
第一七、
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情書外
三件も、第四○七号に同じであるので省略いたします。
日程
第一八、
労働基準法改正
に関する
陳情書
の
要旨
は、最近
労働基準法
の
改正
が論議せられ、
政府
においてもその意図がある由であるが、同法の
改正
にあた
つて
は、
中央労働基準審議会
に諮問せられると同様に、
地方
労働基準
審議会
の意向をも十分に反映する機会を与えられたいと要望しておるものであります。
日程
第一九、
専売裁定賃金
の
即時実施等
に関する
陳情書外
一件の
要旨
は、日本専売公社
職員
の
賃金
改訂につき、すみやかに左記事項を実現されたい。一、
専売裁定賃金
の即時実施、二、賞与一時金の即時支給、三、主食の統制を存続する、四、
行政整理
を行わない、五、公労法の改悪をとりやめる、六、平和を確保することの実現を要望しておるものであります。
日程
第二〇、
失業対策事業
の
国庫補助額
の
増加
及び
残額
に対する
起債
の
承認等
に関する
陳情書
の
要旨
は、
失業対策事業
は、終戦後
社会情勢
の推移により、
漸次増加
の
傾向
にあるが、同
事業
は当然国の施策として
国費
をも
つて
処理すべきであり、窮乏せる
地方財政
の
負担
とすべきでない。よろしく
全額国庫補助
とするか、不可能の場合は少くとも九割は
国庫負担
とし、
残額
については
起債
を認められるとともに、失業者の最低生活を保障し、社会不安を一掃するため、すみやかに
賃金単価
の
引上げ
を
地方
公共団体の
負担
増加
を来さぬよう決定し、失業就労、
日雇い労務者
の生計を不当に圧迫することのないよう、
賃金単価
引上げ
につき善処することを要望しておるものであります。
日程
第二一、
労働基本権確保
に関する
陳情書外
二件の
要旨
は、
政府
は、労働者の熱意を無視し、労働基本権を剥奪し、賃銀の釘づけ、企業の
合理化
、予算の
合理化
の口実をも
つて
、人員
整理
を実施せんとしている。しかも労働諸法規を改悪し、さらに一方、大量の追放者を解除している。これはまさに労働運動、民主主義の危機である。よ
つて
次項の実施をはかられたい。一、
賃金
の即時
引上げ
、二馘首、
行政整理反対
、三米麦統制撤廃
反対
を要望しておるものであります。
日程
第二二、
労働法規改定反対
に関する
陳情書外
八件の
要旨
は、
政府
は、講和條約締結とともに、国内治安の維持、あるいは日本
産業
の
実情
に即応を口実に、労働諸法規の
改正
を意図しつつあるが、このことは労働基本権をも剥奪され、生活は戦前のそれにも増して、みじめなものになるであろう。特に伝えられるゼネスト禁止法のごとき、労働運動を治安問題として処理するがごときは、
組合
運動を否定するものである。よ
つて
これら労働法規の
改正
には慎重に
検討
されることを要望しておるものであります。
日程
第二三、
労働法規改正反対
に関する
陳情書外
二件の
要旨
は、平和民主日本の再建復興は、ひとしく全国民の念願とするところであり、その再建復興は全
産業
の増強保持にあり、このことは国民勤労大衆の生活権確立に根源を有するものであるにもかかわらず、米麦統制の
わく
を撤廃せんとし、労働三法を
改正
し、ゼネストを禁止せんとするは、まさに国民の自由と権限とを束縛し、生活権を脅かす極悪きわまりない暴政と言わざるを得ない。よ
つて
これらの労働法規
改正
には
反対
であるから、この
改正
については慎重な
検討
のなされることを要望しておるものであります。
日程
第二四、
労働法規改正反対
に関する
陳情書
は、第九四五号に同じでありますので省略いたします。
日程
第二五、
労働基準行政機構
の
拡充強化
に関する
陳情書
も、第四〇七号に同じでありますので省略いたします。
倉石忠雄
64
○
倉石委員長
次会は公報をも
つて
お知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後五時七分散会