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1951-11-12 第12回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)     午後零時一分開議  出席委員    委員長代理 理事 島田 末信君    理事 森山 欽司君 理事 青野 武一君       天野 公義君    金原 舜二君       篠田 弘作君    塚原 俊郎君       船越  弘君    松野 頼三君       三浦寅之助君    受田 新吉君       今野 武雄君    中原 健次君  出席政府委員         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    久米 武文君         労働政務次官  山村新治郎君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    松崎  芳君         日本専売公社副         総裁      勝田雄次郎君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員         長)      今井 一男君         参  考  人         (全専売労働組         合中央執行委員         長)      平林  剛君         専  門  員 横大路俊一君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 十一月十日  特需関係労務者労働條件改善に関する請願(  赤松勇紹介)(第九七一号)  労働基準監督行政職員行政整理反対請願(  久保田鶴松紹介)(第一〇二三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第一号)     ―――――――――――――
  2. 島田末信

    島田委員長代理 ただいまより会議を開きます。  本日は倉石委員長が事故のため出席できませんので、私が委員長の職務を行いますから、御了承願います。  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、議決第一号を議題といたし、前会に引続いて質疑を継続いたします。今野武雄君。
  3. 今野武雄

    今野委員 最初政府質問したいと思いますが、ただいままでの質疑応答を聞いておりますと、公社側においてもその資金上あるいは公社側から考えた予算の上では、今度の裁定を実施することは不可能ではない。ただ一つの障害は、予算総則中に給与総額を掲げておるという点だけにあるように見受けられるのですが、はたしてそうであるかどうか、政府の所見を伺いたいと思います。
  4. 山村新治郎

    山村政府委員 お説の通りでございまして、予算総則の上におきまして予算が縛られている結果、出すことができないわけでございます。
  5. 今野武雄

    今野委員 予算総則の中にこういう給与総額を掲げたのは、たしか二十五年度からだと存じますが、公務員関係や何かにおいてもこういうものはうたわれてないのを、特別に公社だけに限つて専売公社とか国鉄公社とか、きちんと一つ一つについて掲げなければならない理由は一体どこにあつたのか。これは予算総則の中に入れて国会議決を得れば、国会では当然審議されて、その理由も明らかにされるといえばそうなのでありますが、予算を提案した政府としては、どういうわけでこの予算総額を掲げなければならなかつたのか、法的な別個の根拠があるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  6. 久米武文

    久米政府委員 給与総額に関する事項は、ただいま御指摘の通り昭和二十五年度予算からそういうことに相なつております。なお給与準則につきましては、専売公社法の改正がございまして、予算上の給与総額に対応する規定として、公社法の第四十三條の二十一という條文がございます。この條文はこういうふうに相なつております。「公社は、その役員及び職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。この場合において、この給与準則は、これに基く一事業年度の支出が国会議決を経た当該年度予算の中で給与の額として定められた額をこえるものであつてはならない。」結局給与のレベルというものは、原則的には団体交渉できまるのでありますが、予算の中で給与の額として定められた給与額を起えてはならないということが、公社法の中にも一つ指導精神としてうたわれているというのが現行法に相なつております。
  7. 今野武雄

    今野委員 そうするとただいまの御説明によると、公社法によつて国会給与総額なんかを定めるということが、当然法的に根拠づけられるという意味解釈してよろしいですか。
  8. 久米武文

    久米政府委員 公社法の方におきましては、ただいま申しました給与準則規定がございます。これに対応して予算の方においては給与総額というものが数字的に計上されておりまして、これについて毎年度予算におきまして、この給与総額がいいか悪いかということが、国会の御審議対象になつておるわけであります。
  9. 今野武雄

    今野委員 そうするとその給与総額は、国会へ大体目安として提出するわけではなく、大蔵省から出て来るとすると、やはり一番最初は当然実際に事業をしている公社側から出て来るものだと思いますが、その経路はどういうふうになつておりますか。
  10. 久米武文

    久米政府委員 専売公社予算は、公社総裁がまず最初に作成いたしまして、大蔵省財政上の諸般見地から、これに必要な調整を加えまして、政府として国会に提出するということになつております。政府が提出いたしました予算の中における給与総額というものは、国会において御審議を願うということになつております。
  11. 今野武雄

    今野委員 そうすると今回の裁定があつたときに、公社としてはこれは当然義務づけられるわけなのだから、従うという意思があれば、これに対して給与総額をかくかくのごとくかえてほしいという要求が当然あつたことと思いますが、いつごろそういうことがあつたか、念のために伺いたいと思います。
  12. 久米武文

    久米政府委員 この点につきましては、参考人としての専売公社総裁がこの席でたびたび申されたかと思いますが、十月十二日の仲裁裁定があつた後に、専売公社としては仲裁裁定に当事者として服従しなければならない、そのためには予算上必要な修正が必要となるということで、大蔵大臣に対して補正予算をある程度修正するという御要求がありました。大蔵大臣としては財政上の諸般の考慮からいたしまして、この専売公社総裁の御要求には、遺憾ながら応ずることができなかつたというのが、今までたどりました経過でございます。
  13. 今野武雄

    今野委員 そうすると専売公社側にその点についてもう一点お伺いしたいのですが、専売公社側では、それは公社経理上当然可能であるとお考えになつて、そういう要求をしたいのだと思いまするが、その点念のためにお伺いしたいと思います。
  14. 勝田雄次郎

    勝田説明員 まさにその通りであります。
  15. 今野武雄

    今野委員 そうすると大蔵大臣はここにまだおられませんが、専売公社経理としては十分可能であるということから、そういう申請があつた。それをどうしてこの予算上不可能であるという判定を下して、減額せざるを得なかつたか。その間の事情を、諸般状況によつてというような抽象的なことでなく、もつと具体的に示していただきたいと思います。
  16. 久米武文

    久米政府委員 この点は公共企業体労働関係法現行法のもとにおいて、どういう制度になつているかということから私としてはお答えしなければならぬと思いますが、公労法の第十六條におきまして予算上、資金上と申すのは、すでに国会の御審議を経て成立した予算というものが、判断対象になるわけであります。この現に成立しております予算に対して、可能かどうかということが判断される。次に補正予算が現在御審議中でありますが、補正予算が成立しましたら、補正予算の成立した内容に盛られているところの給与わく等と比較して、可能かどうかということが判断される、そういうふうな現行制度になつておりますので、今御質問の点につきまして、形式的には予算上不可能だということを申し上げざるを得ない。ただ実質的に補正予算をさらに修正する余地がないかという問題でありますれば、これはあらためて他の適当なる政府委員からお答えした方がよいかと思います。
  17. 今野武雄

    今野委員 そのお答えちよつといただきかねるお答えなんです。というのは公社側からそういう裁定があつたのが十月十二日です。なるほど補正予算は準備はされておつたでしようが、まだ提出されていないときです。公社側としてはやはりあまり時を置かないで、これを大蔵大臣に申し入れたに相違ないし、大蔵大臣はその裁定があつた事実は知つてつたはずです。そうすると当然この補正にそのことを組む義務があるし、また現にそういうような作業をして、若干の補正を認めているわけです。その際に仲裁額一ぱいにその補正をしないで、それを減額した理由を私は聞いているのですから、今のお答えでは何も答えにならないわけで、減額したのは一体なぜか、その事情はつきりとお答え願いたい、こういうわけです。
  18. 久米武文

    久米政府委員 予算の編成につきまして責任を持つ国庫大臣としての大蔵大臣、あるいは専売公社予算を調整する責任を持つ立場における大蔵大臣が、なぜこの補正予算をさらに修正しなかつたかということにつきましては、予算委員会等におきまして、直接大臣の心境を述べられておりますの、で、私から申し上げることは差控えたいと思います。
  19. 今野武雄

    今野委員 そうするとただいまの点についてはやはり、予算委員会云々という話もありましたけれども、今度の裁定を議する上の焦点になる問題なんです。従つて私並びに他の委員からもたびたび大蔵大臣出席を求めているわけです。にもかかわらずいまだに出席なさらないわけなので、そのためにお答えが得られないのです。非常に審議上支障を来しておると私どもは考えざるを得ない。できるならば午後でも出席願つて、この点をはつきりさせたいと思いますが、委員長においてよろしくおとりはからいを願いたいと思います。
  20. 島田末信

    島田委員長代理 その御質問大蔵大臣出席したときに願います。
  21. 森山欽司

    森山委員 ちよつと今野委員の御質疑に関連して質問いたしたいと思います。日本専売公社日本国有鉄道については、給与わくという特別の概念が二十五年度からつくられておりますが、どういう動機でおつくりになつたのか、ちよつとこの際念のために伺つておきたいと思います。今までなかつたのを急に置くようにした理由……。
  22. 久米武文

    久米政府委員 専売公社予算審議につきましては、国会において給与わくというものについて御審議いただいた方が、予算審議として適当であると考えたから、そういうことに相なつたのだろうと思います。
  23. 森山欽司

    森山委員 予算審議として適当であると考えたというのは、答えにならないのです。それではほかの各省、あるいはその他の政府機関には、こういうような規定はないわけですね。何がゆえに専売公社国有鉄道にこういうものを特別に設けたのか、予算審議だけの見地じやないと思うのです。予算だけの見地からこういうことをおやりになつたのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  24. 島田末信

    島田委員長代理 森山君に申し上げますが、責任ある答弁は大臣出席してからどうですか。
  25. 森山欽司

    森山委員 よろしゆうございます。
  26. 今野武雄

    今野委員 さつきの質問を続行いたします。専売公社にお伺いしたいのですが、専売公社予算を立てて給与総額を見積る、そうした場合に今までもやはりたびたび大蔵省から、これは多過ぎるとか、少な過ぎるとかいうことがいろいろあつたと思いますが、裁定されたものについて公社としては受けるべきだというので、その予算を出す、そして大臣から削られたというようなことが今までにあつたかどうか、またそれはいつであつたか、その理由をお聞かせ願いたい。
  27. 勝田雄次郎

    勝田説明員 第一回の裁定のときにもそういうことがありましたが、それは後になりまして資金ができまして、裁定を実施した場合がございます。
  28. 今野武雄

    今野委員 公社立場をまたもう一つお伺いしたいのです。私どもとして不可解なことは、裁定というものはただちに実施するということで、裁判の判決みたいな意味で下すのだと、私ども公労法立場から考えておるのですが、そういうものを実施するのに要する金について意見の食い違いの点が、約四億というふうに見積られております。今度それがなかなか実施されないために、いろいろな紛争に類似するものが起きており、それによつて大分生産減を来しているのではないかというようなことが、新聞紙上にも伝えられておりますが、先月の二十日以後、そういう紛争によつて予定生産がどのくらい減じられたか。またそれによつて専売益金としてどの程度のものが損失になつて来ているか。実質的な損害がどのくらいあるか、その点をお伺いしたいと思います。
  29. 勝田雄次郎

    勝田説明員 お答え申します。ただいまの御質問生産減ということにつきまして、まだ数字的にはつきりはつかんでおりませんが、かなりの生産減はあると思います。この生産減は、この裁定が実施されることによりまして、あとの半年で必ず取返し得る見込みがあります。
  30. 今野武雄

    今野委員 正確な数字でなくてもよいのです。取返し得ると言われても、どれくらいのものならば取返し得るかという判断の仕方も私の方にはございますから、ごく大ざつぱな数字でよいからあげていただきたい。私どもの知りたいのは、四億円と引きかえに、今までに一体どれくらいのものが出ているかということです。
  31. 島田末信

    島田委員長代理 それはあとから調査して、資料にして出してもらつたらいかがでしようか。
  32. 今野武雄

    今野委員 見込みですから、大ざつぱでけつこうなんです。
  33. 勝田雄次郎

    勝田説明員 ただいままでの生産減見込みは、土曜日半日の超勤拒否によりまして、大体二億円くらいの生産減であります。
  34. 今野武雄

    今野委員 土曜日というのはいつのことですか。
  35. 勝田雄次郎

    勝田説明員 先週の土曜日です。
  36. 今野武雄

    今野委員 そうすると、それ以外には大体ない見込みですか。
  37. 勝田雄次郎

    勝田説明員 まだそこまでははつきりわからないのでございます。
  38. 今野武雄

    今野委員 その次の点ですが、この予算上、資金云々ということが、政府見解によると非常に形式的に考えられている。これは政府もお認めの通りであります。予算上と書いたときに、單に形式上の問題としてではなく、実質上の問題として解釈することも可能であろうと思うのであります。そういう解釈をおとりにならない理由実質上可能であるということは、たびたび参考人から述べられておつて、大体において政府も認められておる。その実質上可能であるという方の解釈を、どうしてとることができないか。あの條文から言えば、どつちにでもとることができるように思われるが、どうしてその解釈をとつて政府みずから再補正をしないか、その点をお伺いしたいと思います。
  39. 山村新治郎

    山村政府委員 実質上の予算形式上の予算かということについては、すでにたびたび議論されている通りでございますが、政府といたしましては、すでに昭和二十六年度政府関係機関予算として、予算を出している次第でございますので、形式上の予算と見るほかしかたがないのでございます。
  40. 今野武雄

    今野委員 私は、実質上可能であるのに、どうしてそれを再補正することができないか、つまり、たとえばこれは政府の面目に関するとかなんとか、もつと別な理由があろうかと思われますが、それの理由をお伺いしているのです。
  41. 松崎芳

    松崎説明員 予算上を、実質上に解釈するか、形式上に解釈するかという御質問でございますが、今政務次官から御答弁いたしましたように、十六條の解釈としては、予算上というのは、昭和二十六年度政府関係機関予算という形式に拘泥せざるを得ないと思うのであります。もしこれを実質的に解釈いたすことが可能であるといたしましても、給与総額というものは、この予算総則の中に盛られており、そこに盛られておるということは、国会議決がなければこれを変更することができないものでありまして、たとい十六條の予算上という言葉を、実質上の予算であるというふうに解釈いたしましても、結局国会議決を経なければならないという、同じような結果を生ずることに相なると思います。
  42. 今野武雄

    今野委員 私ども労働委員会として、今までの論議においては、与党も野党側もともに、実質上可能だからそうやりたい。国会としての意思全体ではございませんけれども、その一部分として、ことにこの点を付託されておる委員会として、ほとんどの委員がそういうふうに思つておるわけです。そこのところは、委員会決議とか何とかいうかつこうにはまだなつてないけれども、それこそ実質的にそうなつておるわけです。そうしてみると、そういう空気があれば、政府としては再補正を出されれば、国会議決を得る見込みは当然あると思わなければならないと思う。そういう事情にあるのに、なおかつそれをされない理由は一体どこにあるか、そのことを伺つておるわけです。
  43. 山村新治郎

    山村政府委員 国会において、裁定の結果をのむべしという御結論が正式に出された場合においては、政府といたしましては、十分善処することは、たびたびお答え申し上げた通りであります。
  44. 今野武雄

    今野委員 山村政務次官お答えは、こういうふうに解釈してよろしいか。政府としては実質上可能であると見る。従つて国会でその議決をすれば、そういうことをする用意はある、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  45. 山村新治郎

    山村政府委員 先ほどお答え申し上げた通りであります。国会裁定の結果をのむべしという結論が出た場合においては、政府は十分善処するつもりであります。
  46. 今野武雄

    今野委員 そうすると、かりに本日なり、あるいは明日になるかもしれないけれども、ここでもつてそういうような決議がなされたとすると、政府としては、ただちに大蔵当局をして予算の再補正の手続をとらして、今国会に、やむを得なければ来国会になるけれども、できるだけ今国会にそれを提出する、そういう用意を整えておる、こういうふうに解してよろしいわけですか。
  47. 山村新治郎

    山村政府委員 その技術上の問題はいろいろあると思います。必ずしも再補正をしなくてもよろしい点もあるとも存じますが、いずれにいたしましても、専売裁定の結果を国会が承認すべしという結論を出されるかどうか、まだはつきりいたしておりませんので、その結果政府といたしましては善処するつもりであります。
  48. 今野武雄

    今野委員 そうすると、予算を再補正するのが一番理想的なんでしようけれども、再補正しなくてもいい道があると今言われた点ですが、その点は一体どういう点で、そしてそれについてはどういう用意があるのか、その点を念のために伺いたいと思います。
  49. 久米武文

    久米政府委員 御質問にいろいろ仮定が入つておりまするので、その仮定についてお答えするのは、いろいろ誤解を招くおそれもあるかと思いますが、ごく率直に申し上げますれば、年末手当につきましては、目下組合側から年末手当要求もございませんし、それについての団体交渉も開かれていない。その紛争も起つていないという点がございまして、年末手当予算上は計上されておりまするけれども、それを現実にどう実行するかということは、目下未定の状況である。あるいはこれは仮定議論でございますが、仲裁裁定で示されたベースをのむということは、公労法から来る第一の要請でありまするので、場合によつては年末手当の財源を使つて給与ベースをのむというふうなことが可能ではなかろうかというふうな研究も必要になろうと思つております。なお給与総額のうちには、超過勤務予算を計上してございます。超過勤務は時間内で予定製造数量を上げ得ないという見通しのもとに、超過勤務予算が計上になつているわけでありますが、もしかりにベースをのむということになつて職員勤労意欲が大いに向上し、時間内の能率が上るという場合におきましては、それほどの居残りをしなくとも、予定製造数量が確保できるのではなかろうかというふうな希望もありますので、いろいろそういう点も考慮して、補正予算が必要になるかどうかということは、国会の御判定が出た後におきましてよく検討しなければならぬ。これは私多少私見にわたつたと思いますけれども、そういうふうな問題がいろいろございます。
  50. 今野武雄

    今野委員 これはちよつと妙なことを聞いたことになるので、少し聞き過ぎたせいもあるかもしれませんけれども、どうも年末手当についての要求がないというのですけれども、これは政府予算を組んであれば、これはどうせくれるんだろうと思うから、特別には要求が出ないかもしれない。それから超過勤務というものは、この間の平林委員長証言を聞いても、支拂われてない場合が多いという話で、当然支拂わるべきものが支拂われてない場合が多いということを言われておる。ことにタバコの買入れ、今買付期でありまするが、これはたいがい夜の八時ごろまでかかる。これは証言にはなかつたようでありますが、いろいろ事情を聞いてみるとそういうこともあるようであります。そういうことをやらなければ、タバコの葉が濕つてしまつてどうにもならなくなる。こういうようなことから、やむを得ず超過勤務をやつている。それにもかかわらず支拂われていない、そういうようなことが現在でもすでにある。そうすると超過勤務予算があつても、それが十分でないのかもしれないし、あるいはあつて支拂われていなければ、なお奇怪なことだと思いまするが、そうすると、そういうようなことがすでにちやんと予定されておつて、当然支拂をるべきものと期待されておるそういうものも流用して、ベース・アツプをするというようなことになるのなら、給与としては少しもふえたことにならないし、労働者諸君としては当然これでは承服できないということで、紛争は私は治まらぬと思います。そうすると山村さんがさつき言われた補正以外の道があるということが、今のようなことであるとすれば、これはとても承服できないような性質のものではないかと思うのでありまするが、その点山村さんの見解を聞いておきたいのであります。
  51. 山村新治郎

    山村政府委員 今野委員の御質疑発展的過程をたどつてみまするのに、これはもとが仮定の問題から出発いたしておりまして、従いましていろいろ誤解を生むおそれもあると思います。従いましてその仮定に基いた議論のために、結局専売労働者諸君のおためにならぬような結果が出てはいかがかと思いまするので、仮定の問題につきましての今野委員の御議論は、どうかその程度で差控えていただきたいと思います。
  52. 今野武雄

    今野委員 山村さんは仮定と言われますけれども、実は山村さん自身お答え仮定になつているのです。ここで議決されたら、こうしますと言われるから、またその内容がよくわからぬから、では議決されたら、その用意があるかというふうに聞いているわけです。ですから、そうなりますと、山村さんのお答え自身仮定を含んで、答えにならない答えをなすつているということになつてしまうので、これはまつた議論になりませんから、それではどういうふうにわれわれは考えたらいいのか。先ほど言われたように、非常に含みのある言葉のようにも聞えますけれども、もう少しここで議決されたならば、こういう用意があるのだということでないと、それが実質的に可能だということがたびたび出て来る以上、論外だと思いますが、形式的のことを整える、つまり用意があるかどうかという点を聞いているわけであります。その点をもう少し御説明願いたいと思います。
  53. 山村新治郎

    山村政府委員 裁定の結果が国会におきましてのむべしという結論が出ましたならば、政府といたしましては、十分その趣旨に沿いまして善処いたすつもりでございます。
  54. 今野武雄

    今野委員 その点が前と同じで発展しないので、その点はそれで打切ります。
  55. 受田新吉

    受田委員 ちよつと関連質問をいたします。ただいま仮定の問題が出たので、ちよつと関連してお尋ねしたいのですが、政府は今度の補正予算に四十五億の専売益金の増加を見越しておりますし、二十八億本でしたか、増産を考えております。現在の人員のままで増産ということは仮定でやるのですか、何かそこに根拠があつたのですか。
  56. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいまのお尋ねの趣旨は、あるいは大蔵当局の方に対する御質疑かと思いますがい先ほど来仮定の問題というものを繰返しておりますが、もし国会が承認すべしという結果を与えるかどうかという仮定に立つて議論であつた点を申し上げたわけであります。従いまして受田委員のお話の筋とは関連質問と言いますけれども、多少関連がなさそうであります。
  57. 受田新吉

    受田委員 国会議決という仮定のもとに、今いろいろ議論がなされているのですが、先ほど大蔵省政府委員から言われた年末手当をこれに流用するとか、あるいは超過勤務手当を流用するとかいうことが、特に仮定のもとになされる以上は、こうした労働力の過重負担を組合に要望することが、やはり考えられると思うのです。四十五億の益金増をはかり、二十八億本をふやすということは、結局それと関連して来るのであつて、そういう仮定のもとに年末手当を流用することを考える以上は、どうも労働者の労働力を奪うような考え方が、その奥にひそんでいると思うのですが、その仮定議論が労働者に非常に不親切な仮定議論だと思うので、私はお尋ねしているので、まだ団体交渉をしていないから、それも技術的に流用できる、超過勤務手当も技術的には流用できるのだというような考え方は、仮定としては非常に不親切な仮定だと思うので、それをお尋ねするのです。
  58. 久米武文

    久米政府委員 私の言葉が、いろいろ私の予期していないような効果を伴つているかと思いますが、これはわれわれ大蔵省に籍を置きます政府委員といたしましても、根本的な態度は、今回の問題が円満に妥結するということに向つて、あらゆる努力を盡したいということでおります。その点まず先に申し上げます。ただ現行法上、予算上、資金上不可能だということを申し上げておきます。  それから補正予算を直せないかという問題については、大蔵大臣予算委員会お答えをしております。  それから先行ほどの仮定は、補正予算を直さずに仲裁裁定ベースをのむという方法の可能性、可能な道として、抽象的にいかなる方法があるかという例を一、二申し上げたようなつもりでありまして、別にそういう方法をとろうとか何とかいうことで申し上げておるのではなしに、ただ可能性の問題として、現行法制のもとにいかなる可能な方法があるかということを、抽象的に何ら意見をまじえずに私は申し上げたつもりでございます。
  59. 受田新吉

    受田委員 おとといこの席において、この今の国会議決があるならば、政府としては政治的責任において何とか考えたいと言われたのですが、それに対して大蔵省としても、政府生産報奨金のごときものが公社から要求されるならば、それに対しても承認する道もあるということも出たのですが、山村さんが今野さんからのお尋ねに対して、何らかの具体的な責任をとりたい、善処したいと言われる意味は、そういうことを含んでおるのですか、それを確かめたいのです。
  60. 山村新治郎

    山村政府委員 その通りでございます。
  61. 今野武雄

    今野委員 次に今井さんにお伺いしたいと思うのでありますが、私どもは、元来公労法というよりも、公共の福祉というようなことをあまりにも強力に主張して、労働者から、憲法に許されておる争議権を奪うような立法をすることは、憲法上から見ていけないことだ、こういうふうに考えておる次第であります。しかしながら今公労法ができ上つている状態のもとで考えてみましても、今までの政府公労法に対する態度は、私は非常に遺憾であると思うのです。というのは、今までのような解釈が行われならば――仲裁というものは、あたかも普通の給与の問題における裁判と同じような性質のもののように、公労法では全体としては規定されておる。それがたまたま一つ條文があるために、全体の精神において解釈されないで、実質的に給与をふやすことが可能であるのに、形式上の手続の問題でもつて、こういうふうに裁定が下されてから長い間、それが実施されない。そうして実質的に労働者に損害を及ぼすというようなことであつては、労働者としては、公労法は悪法であるということで、やはりこういうものを信用しない、だんだんこういうものに拘束されない動きをして行く傾向が出て来ると思うのです。そこでこの公労法というものは、現在の政府のような解釈が唯一の解釈であり、それ以外はたとい事柄を円滑にする解釈であつても、法的に不可能である、こういうふうにお考えかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思うのです。
  62. 今井一男

    ○今井参考人 公労法の一般問題は別といたしまして、問題の十六條、三十五條の関係でございますが、仲裁委員会といたしましては、当初の第一次国鉄裁定以来、公労法立法の沿革にかんがみ、かつはまた一般世間にございます仲裁制度との権衡等から考えまして、この裁定は労働協約にかわるものである。従いましてそこで債権、債務の関係は確定する。ただ憲法に定めた予算とは違いますけれども――これは公社というものが国家から独立した法人格を持ち、財産権の主体になつておりまするがゆえに、国の予算ではございませんが、便宜国の予算に準じて、国会議決を経るという建前をとつております関係から、十六條の問題として、国会の承認ということが必要になつて参りますけれども、これは単に予算の性質上、予算というものは、国会政府に対するところの訓令的な効力にとどまるものでありまして、一般国民を直接拘束するものではない。特に予算総則のようなところに書かれました條文は、その点まつた議論の余地のないほど明確と考えられるのでありまして、たとえば一時借入金の最高限度が百億である。こう予算総則にきめました場合、百億を越えて一時借入れをいたしましたら、この借入金が法律上無効になる、こういつたことは当然起り得ないと思うのでございます。すなわち国会政府を拘束し、政府が監督権をもつて公社を拘束するという関係だけに立つものと考えられまするがゆえに、第一次国鉄裁定以来、政府は、国会で不承認の場合に、これは債権そのものが消滅する、こういつた解釈をとつておられるのでございますけれども、私どもその点につきましては十分以上の疑いを持つておるのでありまして、一度最終的に裁判所におきましてはつきりされることを望んでおるものであります。
  63. 今野武雄

    今野委員 もう一つお伺いしたいのですが、こういうような状態で、いつでも裁定の実施が延ばされる、結局は実施されるにしてもそれが延ばされて行く、そうすると実質上に労働者に損害が来るわけなのですが、そういう点を見込んで裁定をなさつておるか。あるいはただちに実施されることを期待して裁定を下されておるか。その点を、わかり切つたことのようですけれども、ひとつお答え願いたいと思います。
  64. 今井一男

    ○今井参考人 個々の裁定につきましてはいろいろございます、今回の裁定につきましては、実質的に公社に支拂い能力のある範囲内であつて、もし民間の企業でありますれば、問題のない事件に該当すると考えられまするがゆえに、すみやかな実施がなされるものとわれわれは期待いたしたものであります。また公労法十六條一第二項には、ほかの法律にない裁定というものは、五日以内とか十日以内に必ず国会に出せ、こういうふうに政府に命じておるほどに、労働問題の特質上、すみやかなる解決ということを、公労法自身は期待しておると思うのでありますが、ただ国会審議状況につきましては、これは国権の最高機関たる立場から考えまして、法文にも別に規定は書いてないし、われわれといたしましても、これはどうかその精神をくんで、なるべく早くおきめ願いたいと要望するだけであります。
  65. 今野武雄

    今野委員 そうすると、そういう給与の変更が実際上延期されて、それによつて労働者が損害をこうむるというようなことについては、裁定を下す仲裁当局の責任ではなくして、実質上できるのに、もし形式的にそれが延ばされているとすれば、これは国会責任であるというふうになると思うのですけれども、その点御見解いかがでしようか。
  66. 今井一男

    ○今井参考人 労働問題の特別な性質から、公労法自身にもいろいろ日限が切つてございまして、われわれもいかにむずかしい問題でありましても政令の規定に従う、三十日以内には必ず裁定を下す、こういつた記録をつくつておる次第であります。これがすみやかに解決されないということは、あらゆる面におきまして不適当であることはお話の通りでありまするが、私ども立場といたしましては、問題が起りました際に、その問題につきましての両者の意見の合致しない部分についての判断を下すというだけにとどまるのでありまして、それが結局法律の規定によりまして、そのまま軌道に乗つて具体的に実施される、かように相なつておるものと考えます。従いましてわれわれが実施面につきましてまで、問題のない場合にお世話をするということは、これは出過ぎたことだ。むろん関係者として、それを心から願わないものではもちろんないので、心からなるべくすみやかなる実現を期待することは申すまでもありませんが、しかしながらわれわれ仲裁委員会立場は、要するに紛争の未解決のものに対して判断を下す、その判断は即最終の判断である、それによつて両当事者は拘束されるという法律の規定、しかもそれがわれわれによりますれば、それによりまして債権債務が最終的に確定する、ただ支拂い方法につきまして制限が加えられる、こういつただけの建前になつておると解せられますがゆえに、さような立場を特に考える次第であります。
  67. 今野武雄

    今野委員 ただいまの証言に対する政府当局の見解をお知らせ願いたいのです。つまり公社と労働者側との債権債務がこれによつて確定した。その支拂いの実施について問題が出て来ておるわけで、そうすると公社側はそういう債務を背負いながら、それが実施できぬという悩みを持つているわけです。そうするとたとえばこれが裁判の対象なつた場合には、仮処分とかその他のことも出て来得ると思いますが、そういう点について政府側の見解を述べていただきたい。
  68. 松崎芳

    松崎説明員 今今井委員長から御証言があつたわけでありますが、政府といたしましては、先々年でありますか、国鉄裁定の場合におきまして、あの当時増田官房長官からお答えいたしましたように、十六條二項におきまして国会による承認があつたときは、この協定はそれに記載された日付にさかのぼつて、効力を発生するというふうにされておりまして、国会の承認ということを停止條件といたしまして発生する債権債務であるというふうに解釈しております。もし当初から債権債務が発生するというふうにいたしましても、その債権の実現方法ということについては、相当疑問があるのではないかというふうにわれわれは考えておる次第であります。
  69. 今野武雄

    今野委員 そうすると、仲裁委員会の方と政府の方とに、明らかに見解の食い違いがあるように思われるわけです。そういう食い違いをそのままにしておけば、やはり今後も裁定が行われる際に、いろいろな支障が来るのではないかというふうに考えられるのです。今回のもやはりそうですけれども、この点を政府としては一体どういうふうに調整なさるつもりか。これをこのままにしておくつもりか。聞くところによりますと、改正の意思云々ということがいわれておりますけれども、それはどういうふうに改正しようとするのか、その点を話してもらいたい。
  70. 松崎芳

    松崎説明員 仲裁委員会の今井さんを前に置いて、こういうことを言うのは失礼でありますが、仲裁委員会におきましても政府におきましても、いわゆる行政解釈というものは、結局法律の最後解釈でも何でもないのでありまして、終局においては最高裁の判決によつて、その十六條二項の解釈というものが成り立つものでありますから、その点はあまり神経質にお考えにならぬようにお願いしたいのであります。この点債権債務の発生時期につきまして、十六條が非常に不明確であることで、仲裁委員会政府との間に解釈の食い違いのあるような印象を与えておりますが、なるべくこういうことのないようにいたしたいと考えておるわけであります。今回の労、使、中立の三者構成による法令の改正委員会におきましても、当然この問題をお取上げになることをわれわれは期待しておるわけでありまして、どういうふうな御結論が出るかわかりませんが、私ども立場といたしましては、そういうような問題が将来起きないように、はつきりした文章をおつくり願いたいということをお願いいたしたいと思つつております。
  71. 今野武雄

    今野委員 そうすると政府見解としては、その債権債務なるものはどういうふうに、だれとだれとの間に発生するとお考えになりますか。
  72. 松崎芳

    松崎説明員 仲裁裁定が出まして、それが予算上、資金上不可能な支出を内容とする裁定であります場合におきましては、国会の承認がありますれば、公社と組合との間に債権債務関係が発生するというふうに考えております。
  73. 今野武雄

    今野委員 そうすると公社と組合との間に、この債権債務が発生するかどうかということについて、国会がきめなければならない、そういう立場にあるわけですね。つまりわれわれは公社と組合との間に債権債務があるかどうかをきめる裁判所みたいな機能を果さなければならない、こういう解釈になると思いますが、はたしてそうでしようか。
  74. 松崎芳

    松崎説明員 国会の承認という行為が停止條件になりまして、公社と組合との間の債権債務が発生するのでありまして、国会公社と組合との間の債権債務を発生させる行為をなさるというわけでないのであります。
  75. 今野武雄

    今野委員 形式上の問題はいろいろありますけれども、実際上の問題として、公社側もそういう債権を認めてもよろしい、経営上さしつかえないということが言われておる。そうして大体において形式上の問題であるということが、先ほどから力説されておるわけです。それでなおかつこの問題が実施を見ないで、ここでひつかかつておるとすれば、一体労働者はだれに対して何を要求したらいいかということですね。これは非常に迷うわけです。そうするとごく率直に考えれば、専売労働者諸君は、国会に対していろいろな交渉をし、あるいは交渉がそうなかなかうまく行かぬ場合には、争議行為に訴えるということに、実質上ならざるを得なくなるわけでありますが、政府もそういうふうになつてしかたがないというふうにお考えですか。そうでなければ、さつきのような解釈は私はとうていできないと思うのですよ。
  76. 松崎芳

    松崎説明員 公社の労働組合が、国会の承認をすみやかに得たいと御希望になることは、これは現行公労法上やむを得ない制度だろうと思つております。国会の承認という行為を停止條件とする限り、その停止條件が早く成就されるということを御希望になるのは、あたりまえのことだろうと思うのでございます。
  77. 今野武雄

    今野委員 そうしますと、大分前に二・一ストをやつたころに、公労法などができない時分に、やはり国鉄の労働者諸君や、全逓の労働者諸君が、みんな政府に対して闘争するというようなことが行われたわけでありまするが、現在労働省としては、そういうような事態、つまり公労法というものは、一面そういうような事態をなくするためにできたのだというふうに私どもは考えておりましたが、それは今回のような場合には考え違いだということになりそうでありまするが、はたしてその通りであるのかどうか。
  78. 松崎芳

    松崎説明員 公労法の立法趣旨について、先日来今井委員長から御説明があつたわけでありますが、その趣旨においては絶対にかわつていないのであります。ただ問題は、国会公社職員給与を上げる、上げないということに、予算という形式において御関係になるというのでありまして、どうしても国会の先決事項としての予算審議ということは、公社というような公共企業体において左右するわけには参りませんので、この問題につきましては、国会の御承認ということが停止條件になるという意味なのでありまして、政府は労働争議の対象になるのであるというふうには、私は申していないつもりであります。
  79. 今野武雄

    今野委員 今井さんのような解釈をすれば、やはりそうはならないで済み、幅が非常に大きいのじやないかと思うのですけれども、今あなたのおつしやつたような解釈をすると、労働者はやはりいろいろな要求を持つて団体交渉などするわけです。そうしてその結果が裁定になる。そうするといつでもそのときには、すでにその年度予算というものはできているわけなので、いつておいても労働者はやはり国会並びに政府に対して要求せざるを得ない、こういうことになりますから、公労法を定めた趣旨がまつたくなくなつてしまうのじやないかと思われるわけです。従つてそういうふう論拠から言えば、そういうはずはないのだから、あなたの言う通り解釈は、ここでは保ち得ないのじやないか、こういうふうに考えられるわけです。その点もつと明確にしてもらいたいのです。あなたの言う解釈意味は、私はわかつておるつもりです。ところがその解釈からすれば、当然労働者は国会並びに政府に対して闘争せざるを得なくなる。そうすると、それでは公労法を何のためにきめたのかということになるわけなのであります。
  80. 松崎芳

    松崎説明員 今仲裁裁定が出ますと、ただちに債権債務が発生するという解釈をとれば、国会を相手にして公社の労働組合が闘争するといいますか、そういうような結果は生じないが、私のように停止條件というようなことを言うと、そういう結果が出て来るのじやないかというお話なのでありますが、債権債務が仲裁裁定と同時に発生するというような形をとりました場合に、その債権を実現し、債務を履行するという手段が、当然そこから出て来るのだということにいたしますと、専売公社といたしましては、金の出道がないにもかかわらず、債務を負担するというようなことになつて、問題が非常に紛糾して来るということが起るわけであります。債権債務がいつ発生するのだというような法律論は拔きにいたしましても、結局のところ専売公社という債務者が、労働組合という債権者に立ち向う場合におきましては、予算の流用でありますとか、あるいは予算の増額でありますとか、そういうようなことが必要になるわけであります。そういたしますと結局のところ、――今長いことしやべつておりましたので、今の御質問趣旨を忘れましたが、政府といたしましては、債権債務というものは初めからあるという解釈をとろうととるまいと、同じ結果になるというふうに考えている次第であります。ちよつと御質問趣旨を途中で忘れましたものですから……。
  81. 今野武雄

    今野委員 つまりこういうことになるのです。あなたの言つたところをもう少しついて言えば、債権が発生したということになれば、公社としては、大蔵省に対してこういう債権が発生したから、これの支拂いの道を講じてもらいたいということで、これがこの間も出されたわけです。そうでしよう。債権債務という言葉は使わないにしても出された。そうすると当然大蔵大臣としては、公社のその債権を支拂うべき措置を予算上講ずるように、国会が開かれておるのですし、現に予算委員会も開かれているときですから、そこに出せば承認してもらえるわけです。ですから当然そういう債務を背負うことになつたから、これだけのものを携える処置を講じてもらいたいということになれるわけです。公社側証言を聞いても、あるいはまた政府側でも、部分的には認めておられるわけですけれども、必ずしも統一されていない。公社経理としてはそういうことは不可能ではない、可能であるということが出ている。問題は、その手続上の問題になつて来ている。そういう際には、すみやかにその措置が講ぜられることはできるわけですから、従つてさつきの債権債務ということを確定する問題は、私は、單に解釈上どうでもよろしいという問題ではなく、実質上そういうことになれば、もつと早く事が運ばれていたろうというふうに考えるわけです。その意味紛争は避け得る、こういうふうに考えるわけです。
  82. 松崎芳

    松崎説明員 専売公社予算国会審議にかからしめている以上、債権債務論、法律論をやりましても、同じ結果になるであろうということを申し述べたいと思います。もしこれがほんとうの民間企業と同じように、独立採算制が決定しておりまして、予算そのものについては、専売益金をこれだけ納めれば、あとはどうしてもよいのだというぐあいになつておりますれば、これまた全然別個の話でありますが、現在の公共企業体の会計制度から行きましては、どうしても国会審議にかからしめているということになりますと、結論としては同じことになるのではないかと思います。
  83. 今野武雄

    今野委員 そうすると、あなたの言う結論ということになると、結局労働者は国会に対して要求をしなければならぬ、こういうことになると思いますが、そのことをつまりあなたは認めるというわけですか。
  84. 松崎芳

    松崎説明員 国会に対して要求するといいますと、国会が闘争相手ということになりまして、非常に語弊がありますが、国会の承認を停止條件とするということになりますから、国会の承認という停止條件が早く成就されることを、専売の労働組合として希望することはやむを得ないことだと思います。
  85. 今野武雄

    今野委員 そうすると労働者の基本的な賃金の要求みたいなものも、公労法によれば、そこでもつてストツプして、どこへも要求の持つて行きどころがないところができる、こういう解釈なんですね。国会には要求はできない、希望ができるだけだということになりますね。しかし国会以外はどこへも向けようがないということになりますと、労働者の給与、生活の問題に対する基本的な要求が、もうどこへも持つて行きどころがない場合ができる、公社の労働者の場合にはそれができる、こういうことになるということを承認なさるわけなんですね。
  86. 松崎芳

    松崎説明員 専売労働組合の要求というものは、公労法第三十五條によつて仲裁裁定によつて最終的な決定が出ております。普通の紛争でありますれば、それで問題が済むわけなのでありますが、予算上、資金上不可能な支出ということであるがために、国会の承認ということを停止條件にしておるということなのでありまして、問題は国会が承認になるかならぬかということによつてけりがつくのでありますから、それから先は要求という言葉を使うか使わぬかという、言葉のあやの問題におちつくのではないかと思うのであります。
  87. 今野武雄

    今野委員 それが普通ならとあなたはおつしやるけれども、そうじやない。むしろ仲裁裁定がそのまま通ることが異例であつて、そうではないことが普通のような状態になつておる。また政府側の見解のような解釈を行えば、いつでもそういうふうになる。だからこそ今聞いておるわけなんです。さつきからの問答をずつと考えていただきたい。それでは困るじやないですか。そうすれば始終国会が交渉相手みたいなかつこうになるのじやないか。あなたの言うように、それが異例ならまだしもがまんができるが、異例ではなく、そういうことの方がむしろ普通になつておるのだから、ここに問題が出て来ておるわけです。あなたの言うように、国会に対して要求する、つまり労働省がよく労働組合は政治闘争をしてはいかぬというけれども国会に対して要求を突きつけてやるということになれば、これは一種の政治闘争的なことになるわけです。そういうことをあなた方はお認めになると解釈するよりしかたがない。あなたの方の解釈からこう出て来るとすれば、その解釈が問題だから、そこで私は聞いておるのです。ところで山村さんどうですか、もつと政治的にはつきりしたお答えを願いたい。
  88. 山村新治郎

    山村政府委員 重箱のすみを楊枝でつつつくような法律論議になりまして、傾聽するところもたくさんありますが、政府といたしましては、国会においてその、裁定を承認すべしという御結論が出ました場合におきましては、十分その趣旨を尊重して善処するつもりでございます。なおまた労働組合の方々が、国会に対して要求することがいいかどうかということについての、今野委員の御意見でございますが、組合の方が希望されることは、さしつかえないことではないかと思うのでございます。
  89. 今野武雄

    今野委員 そうすると山村先生は労働省の権威者として、労働者が政治闘争してもしかたがないのだということを、お認めになつたと私どもは承知するわけですが、ここでこれ以上議論されてもなかなからちがあきませんから、大蔵大臣出席を待つて、再び継続することにいたしたいと思います。
  90. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいまの今野委員の御質問の政治闘争ということについては、いろいろ疑点もございますが、それを認めたわけではないのであります。国会に対して希望することは国民としても当然でありますから、希望することはさしつかえないじやないかという私の意見を申し上げたわけでございます。
  91. 今野武雄

    今野委員 それはどこの社会に行つたつて、社長さんが社員にものを言うときは――ここで秋山さんもそういう口ぶりでしたが、会社側と労働者側とは協調してやつておるのであつて要求がましいこととか何とか、そういうことで言つておるのじやありませんと、どこの会社の社長さんだつてそう言うのですが、事実は労働組合対資本家の闘争という言葉が、普通新聞にも使われておるし、またそういう事態を認めて労働法規にさえちやんと規定されているわけです。そうしてみるとあなたが希望すると言われようと何と言われようと、言葉はどう使つても、それは結局事実において労働者と国会との間の闘争ということにならざるを得ない。そのことを私は申しておるのです。それを山村さんがお認めになつた、こういうわけですから、別に気になさらないでいただきたいと思います。
  92. 山村新治郎

    山村政府委員 ちよちよく各省の壁新聞などで、共産党の名をもつて闘争という言葉が使われております。事実は円満に話をしているようなことを、闘争という言葉を使われることは、その言葉趣旨がはなはだ転倒しておるのではないかと思います。国民として国会に希望することは、何らさしつかえないのじやないかと思います。
  93. 森山欽司

    森山委員 さつき法規課長は、国会が不承認の場合、債権債務があるないについて、政府としては債務はない。仲裁委員会委員長はある。しかし法規課長はかりに債権債務があるとしても、金の出道がないということを言われたのですが、一体国会の不承認という場合に、金の出道がないという政府解釈といたしますと、承認の場合には一体金の出道があるのかどうか。これは日本専売公社法第三十五條とくつつけてみますと、どうも国会が承認しても金の出道が、少くとも法律上はなさそうですね。それをひとつ御確認願いたい。
  94. 松崎芳

    松崎説明員 国会が承認いたしますれば、政府はその出道を考えますということでありまして、現在の予算上におきましては、支出不可能であります。しかし国会の承認という停止條件が成就されますならば、その財源を考えなければならぬ。それはまた一昨日来申し上げておりますように、政治上の責任といたしまして、どうしても考えるということに相なります。
  95. 森山欽司

    森山委員 だから、国会で不承認の場合は金の出道がない。承認の場合もこのままでは金の出道がない。何か予算補正というようなことでもやらなければ、金の出道がない。公労法そのものだけを日本専売公社法と組み合せてみると、そのものだけとしては、いずれにしろ金の出道がないという、今の法律の建前になつておるわけですね。法律の問題を私は取上げておるのであつて、政治責任とか道義上の責任とかいうようなことを聞いておるのではない。今公労法の論争をしておるのですから、公労法の建前としては、国会が承認しようとしまいと、法律の建前上は金が出ない、こういうことになるわけですね。
  96. 松崎芳

    松崎説明員 現在の予算といたしましてはそうであります。
  97. 森山欽司

    森山委員 それが公労法の精神にお合いになる、こういうように御解釈になるわけですか。
  98. 松崎芳

    松崎説明員 公労法といたしましては、国会の承認があれば適当な措置を講ずるということになつておるわけであります。
  99. 今野武雄

    今野委員 先ほど山村さんのお話の中に、闘争ということに関連して、各省の壁新聞に共産党の壁新聞などというお話がありましたが、各省二、三私あちこち知つておりますが、組合の壁新聞は見たことがありますけれども、共産党の壁新聞なるものは私は見たことがないのです。そういう軽率なことを言われないでほしいのです。その点政務次官ともあろう者が、公の席上で、共産党の壁新聞が各省の中にあるということをお認めになるとすれば、これはたいへんおもしろいことだと思うのですが、組合の壁新聞だと思います。その点山村さん何を見られたのか知らぬけれども、事実を曲げてとられはせぬかと思いますから、ひとつお考え直し願いたいと思います。
  100. 山村新治郎

    山村政府委員 最初に事実を曲げたのはあなたの方でありまして、穏やかに話合いをしておるものを、闘争ということを認めろというような御要求でありましたが、それは無理だということを、はつきり申し上げたのであります。しかし終戦直後から今日までの間におきまして、共産党の壁新聞が――各省とは申しませんので、各所ですから、各所の壁新聞があつたことは事実であります。
  101. 島田末信

    島田委員長代理 それでは暫時休憩いたします。午後は二時半より開会いたします。     午後一時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時十二分開議
  102. 島田末信

    島田委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。中原健次君。
  103. 中原健次

    ○中原委員 私は一番最初仲裁委員長にお尋ねしてみたいと思います。それは裁定の結果、赤字補填の部分は支給しなくてもいいという結論が出ておりますが、この結論根拠を御説明願いたいと思います。
  104. 今井一男

    ○今井参考人 この点は仲裁委員会の方においても、議論のあるところであろうと考えております。一般的に経済が従前のインフレ時代と比べておちつきまして、こういつたことは労働慣行として比較的例が少くなつたことは事実でございますが、それにいたしましてももしもベースに、たとえばスライデイング・スケールというような特約がつきまして、物価が上ればひとりでに上るといつた場合は、かりに資料の判明が遅れまして、三月か四月後にベース・アツプした場合においても、その間の赤字補給をやるのが順当であろうというのが、仲裁委員会――少くとも今回の仲裁委員会の意見であります。ところが専売の場合におきましては、特殊な事情の変更がない限り、本年度中はかえない、また特殊な変更があればかえる、こういつた約束がありまして、その変更に基いて両者間に団体交渉が持たれたわけでございます。従いましてこういつた特約からいたしますと、赤字補給というものは認めない方が穏当であろうというのが、三人寄つた結果の結論であります。
  105. 中原健次

    ○中原委員 今井さんは給与関係の権威ですから、いまさら私が申し上げる必要はないのですが、そのように物価の方が先に上つてあとから給与がぼつぼつ問題になつて給与が上がつたころには、その次の物価の値上りの状況が出て来ておる、こういう様相は当然起きると思うのです。すでにもう今日でも先般来から、物価上昇の條件が出て来たと思います。ことに加えていろいろな国際的関係にも影響されまして、好まざるとにかかわらず、インフレ様相というものが出て来つつあると思うのです。そういうことがすでに予想されるわけでありまして、そうなつて来れば、よしこの際組合と公社側にどのようなお約束があつたにいたしましても、赤字補填は御配慮を願う方が、適当な措置ではなかつたと私どもは考えるのです。せつかく権威ある裁定でありますから、裁定に対してとやかく非難がましいことを申し上げることは控えたいと思うのですけれども、この点につきましては、私どもから申し上げますと、赤字補填をこの際御配慮が願いたかつた、こう思うのです。しかし今議論いたす考えはありません。  ところでこの赤字の面をそのように一応の理論づけもあつて、お取上げにならなかつたのですが、これを取上げないで、ベースの分だけを一万四百と割出されたからには、これはいわば一歩も讓れない線である。もしこれを割るようなことがあり、あるいはこの支拂いを遅延することがあるなら、関係労働者はまつたく生活の破綻を来すであろう、こういうことが御予想の中にあるだろうと思うのです。従いましてこの一万四百という数字を割出されたお心構えとしては、おそらく裁定は最終決定であり、従つて両者が拘束を受けるという確信の上に立たれたものと私どもは考えます。そこでもし不幸にして政府予算措置ができないとか何とかいうことで、この條件を弱めるような結果が万一にも起るとするならば、そういうときには仲裁委員会としては、政府の労働行政に対する何らかの御見解が当然起つて来ると思うのです。もしそういう不安が起つて来たときには、仲裁委員会としてどういうふうに考えると御感想があるのではなかろうかと私は考えますので、そのことをちよつとお漏らし願いたいと思います。妙な質問ですけれども、私にとつては重要な質問なのです。
  106. 今井一男

    ○今井参考人 仲裁委員会は御承知の通り専売及び国鉄の労働紛争だけを解決いたす立場にございます。従いましてその裁定がある程度国会なり政府なりによつて実現された結果、これが日本の労働運動にどういうことになるという点につきまして、一般的な労働が政策を扱う立場でございませんので、私個人的な感想はございますけれども、ここへは仲裁委員長として出席しておりますので、答弁は差控えさせていただきたいと思います。
  107. 中原健次

    ○中原委員 それではけつこうです。私がそういうことを今取上げましたのは、政府の方としてほんとうに考えてもらいたいことがあるからであります。といいますのは、聞くところによると、労働関係諸法規の、私どもから言うと、改悪が予想されるのです。もちろん改善されればはなはだけつこうなのです。特に改正ということが課題になつておりまするが、あるいは場合によつてはゼネスト禁止法というようなものまで、問題になつておることが流されておる。そういうようないわば労働政策が、そういう行政面で労働階級に対して圧迫を加えなければならないかということを感じさせるような面が出ておることなのです。これは政府自身がもう少し考え方を直さなければならぬ点がある。労働者は決していたずらに事を構えたり、騒いだりするものじやないのです。労働階級自身は自分で労働組合をつくつて、その労働組合の権威にかけてりつぱに行動しようとしておるわけです。しかるにたとえば今度の裁定のような場合に、私ども今ここで各党の質問者が質問を提起いたしました質疑応答の過程の中にうかがわれますように、何とかできるだけ支出部分を圧縮して行こうというような心構えが政府にあるように見えるのです。これは私の卑屈さだと見られると困るのです。私は卑屈な気持でそういうふうに見ておるのじやないが、どうもそういうふうにうかがわれる。と申しますのは、先ほどの御答弁の中でも、たとえば裁定国会議決するならば、それを尊重してこれが実現のために努力するというお言葉は非常にありがたいのですが、それならそのために財源措置について、今どういうことが予想されるかという質問に対する御答弁の中では、たとえば年末手当予算が組み入れられておる、あるいは過勤手当等も組み入れられておる。そういうものを流用というか、転用というか、とにかくここへ持つて来て操作すれば云々というようなことも言葉の中に出たと思うのです。そういうお言葉が出るということは、なるべく給与面を圧縮するという考え方が、やはりそこに出ておるのじやなかろうか。せつかく御心配を願うのにもかかわらず、いわば関係労働者が当然必要として設けられた年末手当の費目、あるいは過勤手当のそれというようなものが、すぐにその方へ目を移させられるというのでは、どうもこれはそういう考え方が必ずしもひがみではないということになるような気がするのです。この点について次官の御見解を承りたいと思います。
  108. 山村新治郎

    山村政府委員 労働省が今回の労働法視の問題につきまして、公益委員並びに労働者側、使用者側の三者構成の委員会の組織によつて、いろいろな労働法規についての改正すべき点がありとすれば、いかなる点を改正すべきかという点につきまして、諮問をいたしておることは御存じの通りでございます。従いましてこの委員会におきます結果というものは、十分に労働者諸君の御意見が開陳された結果がもたらされるものと、私たちは信じておるのでございまして、そのような点からいいましても労働者として、労働者側の要求に対して圧迫がましき行動は絶対にとつておりませんから、その点は御心配なきようお願いしたいと思うのでございます。しかして専売裁定の問題についても、この結果何か出し澁つておるのじやないかというような点についての御意見がございましたが、この点も全然そういう御心配はないのでございまして、労働省といたしましては、あくまでもこの裁定の結果を尊重して参りたいという気持でおる次第なのでございます。このような見解でございますので、国会において裁定のむべしという御結論が出ましたならば、これは財政方面でありますが、当然政府としての責任においての善処はいたすつもりでおります。なお先ほど年末手当の流用に目をつけることは酷ではないかという御質問があつたようでありますが、これも一つの方法として、そういう点があるのじやなかろうかという意見が述べられたにすぎないのでございまして、あえて一方の予算を削つて、無理に形だけを整えようとするものではございませんが、もちろんこの専売裁定の結果を尊重すべしという御結論国会において出ましたならば、実質上において労働者の方々に満足できるような方法をもつて、政治的解決をいたしたいと思つておる次第でございます。
  109. 中原健次

    ○中原委員 法規の論争は今する必要はないのでございまして、これについては別の見解を持つております。しかし監理官のお言葉の中に出たことなんですが、年末手当の問題につきましては、すでに予算に計上されて以来、関係労働者はこれを当てにしております。〇・八はもうもらつたように思つております。またもらうべきものだと思つております。従つて私はこういうものは今いじくりまわしてはいけないと思います。こういうふうなものを入れなければほかに財源がないのかどうか、財源措置ができないのかどうかという問題については、先般来からこの席上で公社側の方の御答弁あるいは御説明の中からうかがわれますように、財源措置に講ぜられると明言しておると思います。従つて公社自身がそういうふうに明言しておるところの確信ある財源見通しに対しまして、大蔵省としては率直にそのことを受入れて一向さしつかえないのじやないか。大蔵大臣がここにいてくれれば非常に都合がいいのですが、何べん要求しても大蔵大臣は、労働委員会へはどうも気が進まぬらしく姿を見せられませんので、責任ある答弁を求めることはむずかしいように思いますけれども、しかしこれは單にそういう責任ある答弁とかなんとかいうことでなくて、これだけの議論がかわされ、それが証明されたとすれば、常識的にだれが考えてみても、財源操作ができるということはすぐ言えると思う。従つてそういうことがわかつておるときに、国会決議裁定を尊重し、その裁定の金額を拂うべしときめれば、当面の措置としては年末手当あるいは過勤手当というものに一応言葉を持つて行かれるというそのことは、やはり大蔵省当局の中にそういう見解があるのではないか、私はそういうふうに思うのです。従つてそういう見解、その他のすなおな財源で答えを出すというのではなくて、すでに既定の事実になつておるものをいじくりまわして、これを流用あるいは転用して行くという考え方がもしあるとするならば、これは一大事だと思います。單にきよう裁定を即時実施すべしという要求の闘争が展開されておることだけではこれは終らない、そういうように私たちは考えるのであつて監理官立場の御説明ではちよつとどうかと思いますけれども、どうもほかに方法がないから、一応監理官として、そういう考え方が大蔵省の中にあるのじやないか。まつたくそうではないというのかということと、それからついでですからもう一つつけ加えますが、私どもはこういうことを耳にしておる。他との均衡上、この裁定はどうもそのまま取上げにくい、こういうことが私どもの耳には入つておるわけです。まさかそんなことを言われたのじやないと思いますけれども、そういうことを聞いておる。そのことについても、そういうことがからみついてのことじやなかろうかという心配がありますので、一応両者についての御答弁をあわせて求めたいと思います。
  110. 島田末信

    島田委員長代理 この際ちよつと御了解を得たいと思います。労働政務次官は人事委員会に急用がありますので、暫時出かけて参りますから、御了承を願いたいと思います。
  111. 久米武文

    久米政府委員 たびたび答弁を繰返すようになりますけれども、今回公労法の第十六條によつて国会議決第一号ということで議案が提出になつておりまして、国会の自由な御判断によつて問題をきめるということになつております。政府国会の御判断を仰いでいるところであります。国会が本裁定を承認するということでありますれば、たびたび申し上げております通り政府としてこれに必要な予算的措置を講ずるのであります。これは法律上の義務ではないが、道義的かつ政治的な義務といたしまして、必ずこの通り出すのであります。その点はどうぞ御懸念のないようにお願いいたしたいと思います。  それから先ほど私が答弁の中で触れました年末手当云々の点、あるいは超過勤務云々の点は、これは一種の仮定質問に対する仮定お答えのようなかつこうになりまして、あるいは誤解を伴うのではないかと思い、私も答弁を差控えた方よいかといろいろ考えたのでありますが、ごく率直な気持から申し上げたわけでございます。要するにそういうふうに持つて行きたいということを考えているのではございません。もし補正予算における給与総額というものを動かさないで、裁定を完全に履行するというような、方法として客観的にいかなる方法が存在し得るかというふうな――私の意図を何らまじえないで、どこかの外国の新聞記者か何かが日本の法制を見て研究した場合に、客観的にいかなる方法が存在し得るかということの、一つの例をあげたつもりでございます。その例のあげ方が、あるいは今回の紛争を円満に解決するという方向に向つて、好ましくない影響を与える効果を伴つておりましたならば、まことに私の不徳のいたすところで遺憾に存じておりますが、精神におきましてはあくまでも国会の御審議の結果に従いまして、予算上の措置を講ずると思います。
  112. 中原健次

    ○中原委員 なるほどそういう場合もあると思いますが、しかし実際にこの裁定を最後的に決定するものについての見解について、大体この公労法というものは、当時のマツカーサー元帥の書簡に発してできた法律だつたわけです。従つて公労法規定したその規定は、もとよりわれわれだけの独断でも何でもなかつた。しかもあの公労法は私どもから言えば、まことに了解しがたい点も多々あつたわけですが、その論は別にいたしまして、この仲裁裁定はそのような経過をもつてできた法律の、しかも最終的な最高の決定権として三十五條の、いわゆる仲裁裁定の両者拘束の原則が確立したわけであります。従つてこの裁定というものは、国会が最終の最後の決定をするというふうには私は思わないのです。裁定の効力の発生というのは、やはり仲裁裁定をもつて終るものだと思う。だから国会がこれに対して可否を決定する権能はない、論議はしてよいと思いますが、決定する権能はない。ただ国会に諮られたということの意味するものは、予算上あるいは資金上の措置についてだけ、それだけのことだと私ども解釈しております。でありますから、話が先ほどの今野君の議論の中に少し入るようで、時間を惜しみますけれども、一言つけ加えたいのは、これは国会の承認を得ることによつて、初めて仲裁裁定が効力を発するとか、あるいは両者を拘束するとか、債権債務が確立するというのではなしに、これは全然別個のものであると思う。これを十六條でわざわざ設けたのは、予算上あるいは資金上の措置のとりはからいについての国会責任を、そこで果すということだけだつたと私は考えます。そうなりますと、国会はどういう判断をしているか。これは結論が出ているようで出ておらぬようになつておりますが、おそらく与党、野党各派をあげて今考えている一貫した見解は、財源の、つまり資金上の措置はできるということだと思うのです。資金上の措置ができるということに結論がなつておるとすれば、その資金上の措置をするための最大限度の方法というものが発見されるために、努力されなければならぬと思うのです。その発見をするための努力としては、私はやはり既存の権利を侵すということは、いささかも考慮の上に入れるのではなしに、まつたく別の方法に目を転じて行くべきじやないか、そうしますとここで先般来の監理官の答弁の中で思うのですが、予備の中で十二億円までは大体使う目安をつけておる。その残余の八億というものがある。それを使おうと思えば使う道があるかもしれませんが、しかし一時流用あるいは転用というようなことで、あるいは何らかのそういう措置ができるとすれば、これに目をつけて何とか操作するということはできないものであるか。これも考えようでは、やはり予算総則給与わくをいらわなければ、手がつけられないというような議論が出るかもしれませんけれども、これも先般来からの質疑応答の中での話では、総裁大蔵大臣に申請をすれば、大蔵大臣が何とかこれを操作することを承認する可能性がある。また承認する権限もある。こういうことになつてつたのでありまして、そうなると私は八億という残余のものに目を向けて、もう少し考えるべきじやないかと思うのです。そうすればあまり必要以上の動揺や心配や混乱を起さずに、事が片づくのではないかと思うのです。これについてどういうふうにお考えになりますか。
  113. 久米武文

    久米政府委員 私も必要以上の動揺や心配を与えないで、問題を解決して行きたい、その点については同意見であります。ただ予備費二十億といううち、現在までに費途の確定しておりまする分十二億円を引きまして、残りが約八億円ある。これも大体今日までの事実としてはその通りと思いますが、これを給与へ持つて行くということにつきましては、問題が二つあるわけであります。一つは予備費というものは、天災地変その他予期すべからざる費途に充てるために設けてあるので、その予備費の本質にかんがみて、今予備費をくずして行くというのは、予算制度上の予備費の性質として適当でないということが一つ、第二には予備費から給与の方へ持つて行こうとしても、その場合においても、予算上の給与総額という制約はまぬがれることができませんので、予備費が余つていても、持つて行く方の先の給与総額で受入れる余地がないという制度に相なつておるわけでございます。なほ先ほど御質疑の中で触れられました公社総裁が申請し、大蔵大臣が承認すれば出せるということになつておりますと申しましたのは、これは制度論として申し上げたつもりであります。そういう制度になつておりますのは、これは生産報奨金へ流用増をする場合、よその費目から生産報奨金へ持つて行くという場合、その場合だけであります。
  114. 中原健次

    ○中原委員 この費目の一時借用といいますか、ある費目から、他の費目を消化するために一時借入れするというようなことは、実際問題としてむずかしいのですか。このことについてしろうとなりに考えるのに、一応借入れという措置を講じて、すぐ継続する次の国会でこれを埋め合せるための予算総則給与わくをきめる、こういうようなことにする。これならばできそうに思える。もう一つは、これはたしか今井仲裁委員長のお言葉の中で、参議院で聞いたかこちらで聞いたか、ちよつと記憶しておりませんが、予算総則給与わくのところに附則あるいは但書といいますか、そういうものを付加して、四億減のものを場合によつてはふやしてもよしというようなことをつけ加えることができるならば、ということも確かに耳にしたように思うのです。従つてほんとうにやろうという腹をきめれば、何かそういうような方面で、きわめて簡單に、あまり時間をとらないで可能ではないか。もちろんそれは予算に何ぼかの修正を加えることになるから、了解を得なければならぬということも出て来ましようが、それくらいのことはやれるのではないかというふうに私ども解釈するのですが、この点はどうですか。
  115. 久米武文

    久米政府委員 今御指摘になりました借入れ云々の点、これは今あなたがお考えになりましたような方法で実現することは、予算技術としては、今のところできないように私は了解しております。
  116. 中原健次

    ○中原委員 そうなりますと、結局は国会議決いたしましても、ほとんど操作すべき方法が見つからない、こういうことになるような気がするのです。せつかく労働省当局としては、国会議決を尊重して、これを実現するようにするという御答案が繰返し繰返しあつたのでありますが、それにもかかわらず、国会がどのような決定をしてみても、大体先ほどの給与の範囲内における過勤手当あるいは年末手当、こういうものにやはり持つて行かなければ、便宜的に一時流用措置も講ぜられない。ほかには何も残つていない、こういうことになると思うのですが、それはどうですか。
  117. 久米武文

    久米政府委員 国会が本案を承認なさるという場合には、それに伴う予算的措置は講じられると思います。
  118. 中原健次

    ○中原委員 それであれば、予算的の措置ができれば一番いいと思うのです。おそらく与党の各位の御決心もすでにわかつておるように、私どもは思つておる。政府でもそういうふうにお考えを願えておると思う。しかも資金上の措置は、すでに明らかに証明されております。そうなりますと、問題はすぐ結論が出て来ておるように思う。従つてわれわれとして心配しますのは、そういう流用的な措置のために、既存の、あるいはすでに承認されておるはずの年末手当、過勤手当等に混乱を与えるようなことが、もしそのことの結果として起るのならたいへんである。そういうことになるのなら、もう一度考え直さなければしかたがない。ことに労働組合自身としましても、そうなるとまたわざわざもう一つの行動を起さなければならぬというような事態が、当然伴うて参ります。しかも先ほど公社側の御答弁の中でもありましたように、たつた土曜日の半日の二食闘争といいますか、二食による組合側の動きの結果としまして、およそ二億くらいの減産という目安が考えられるということでありましたが、これは何としても重大なことで、そういうようなことが今後重ねて起らなければならぬような條件を絶対につくつてはならない。それをあくまでつくらないようにするためには、この問題をもつと明瞭に解決するということが、私は一番大事だと考えます。もう一つは、申すまでもなく営利的な性格を持つ一つの企業体でありますから、普通の官庁の場合とは、またものの考え方も大分違つていいと思う。従つて企業体、いわば営利事業を営む公社の場合の考え方としては、むしろ労働意欲を大いに盛り上らして、増收をどんどん計画して行くという積極的な考え方の上に立つことの方が、結局採算上は有利だという結果が予想されるわけです。従つてそういうふうに考えてみますと、国全体の財政から考えましても、このような裁定の出されました場合に、私どもが先ほどから指摘いたしましたように、政府がどうも出し惜しむというような考え方をみえないように仕向けて行くためにも、もつときれいさつぱりとした結果をここでつくり上げて行くということが、必要なのではないかと考えます。このような場合に、私どもがそのことを特に強張いたしますのは、いわば事を好まないからなのであります。何としてもこの問題をあとに残さしめないで、すつきりさせるということが、いわば両者の利益であるというような見解も出て参るわけでありまして、そういうふうな意味から、われわれはこの際とやかくと複雑なことを抜きにして、できれば大蔵大臣にこの場合、委員長からとりはからわれて出席を求めて、そうして大蔵大臣から責任のある答えをさせるというふうにはからわるべきではないか、こういうことが可能であるように考えますし、大蔵大臣もこの際、この問題についてこれ以上異議を持たれるとも思われませんし、この点についてむしろ問題の早き処理のために、委員長の御見解を承つた方がいいかと思いますので、その点について委員長のお考えを承りたいと思います。
  119. 島田末信

    島田委員長代理 先般来大蔵大臣責任ある答弁を聞かねばならぬという意味での、いろいろな御書もあつたようでありまするから、あらためて大蔵大臣出席を得て、十分質疑を盡す機会をぜひ近い機会につくりたいと思います。
  120. 中原健次

    ○中原委員 その近い機会というのは、きようというわけではないのですね。
  121. 島田末信

    島田委員長代理 きようはちよつと都合が悪いようですし、委員長も明朝帰る予定でありますので、よく相談をいたして、なるべく早い機会にそういう段取りをしたいと思います。
  122. 中原健次

    ○中原委員 それではその点については、きようというわけに行かなければやむを得ません。一応私はかようにすぐにも結論を考えるわけです。ですから大蔵大臣出席して、責任のある答弁をすることによつて国会の方もスムースに事が進むのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  では最後に、せつかく仲裁委員長もお見えになつておりますので、もう一つのことをお尋ねしておきたいと思います。これは先ほど来委員長のお言葉では、最終決定としてのこの裁定が、かりにスムースに運ばれないというような結果になつて、そのために国全体の労働政策の面にいろいろな支障も起つて来るという見解については、これは仲裁委員会では、ただ仲裁委員会として与えられた限度内の勧告をしただけのことであるからというお言葉がありましたが、しかし私はこの際特に仲裁委員長の腹づもりを聞いておきたいと思います。と申しますのは、仲裁裁定のことがひとり専売のみならず、かつて国鉄の方でも先年来あのようなことになりまして、いわば内拂いのような結果になつて、その残余についての債権が生きておるような、あるいは消えたのであろうかというような、そういう一つの結果と言つては少し早過ぎましようが、そういう傾向を見せておるわけです。そこで仲裁委員会ではやはり仲裁委員会の権威において、この仲裁裁定の金額というものは、明確に債権としてあくまで残るものである。従つて国会がかりにこれの実施を拒むような決定をしようとも、この債権は決して消滅するものではない。従つて仲裁裁定の権威というものは、これは公労法の存続する限り消滅するものではない。こういうふうな私自身見解を持つているわけですが、これについて仲裁委員長としてそういう御信念をお持ちのことと思いますが、はたしてその見解はどうか、このことを伺つておきたいと思います。
  123. 今井一男

    ○今井参考人 仲裁委員会創設以来、委員がこれで八人かわつたのでありますが、その間の論議を見ましても、協約にかわるという裁定であります以上、その前提が承認されます以上は、法律に反対の明文がない限り、この際権利関係が確定するということにつきましては、いまだかつて反対の意見を吐いた委員が一人もおりません。ただそれが国会において所定の手続がとられるまで、公社は拂つては相ならぬといつた規定だけが存続する。その範囲内においてその履行に対し、公社としては有効な抗弁権を有する、こういつた考え方に立つておるのでありまして、この点は私明確に申し上げられると思うのでありますが、ただ遺憾ながらわれわれがそう解釈いたしましても、政府解釈と現在正面から衝突いたしておるわけでありますが、これは先ほど来お話のある通り、裁判所において最終的に決定されません限りは、遺憾ながらわれわれの解釈が、公的には確認されておらないわけです。しかしながら政府解釈とわれわれの解釈とを、たびたび委員会におきましては、われわれ委員同士で討論を試みましたけれども、すべての委員が依然として自分たちの解釈が正しいと考えていることを、この機会に特に申し上げておきます。
  124. 中原健次

    ○中原委員 さらに労働組合の平林委員長に念のために聞いておきたいのですが、大体今までの質疑応答の中でうかがわれる点は、今回の一万四百円の裁定実施が可能であるし、また国会もこれが支拂いの予算措置についても承認するであろうし、また政府もこれが実行のための決意を持つている。これは大体わかるわけでありますが、しかしそれにもかかわらず労働組合の指導者の立場から、それだけでほんとうに大安心して、もうこれでわれわれの要求も通るであろう、また通るに違いないということのために、何と申しますか、中闘の皆様のお考え方の間に、もしそういうことのためにゆるみといいますか、そういうようなものが四万の組織労働者に対しての今後の責任上、相次いで予想されるいろいろな問題について、十二分に責任を果すことのできる態勢といいますか、そういうものについて大体どのようなお考えを持つておいでになるか、ちよつと話が非常に抽象的でわかりにくいかと思うのですが、私の非常に心配している点は、今後のやり方によつては、ひよつとすると、すでに一種の既得権とでも言える年末手当の問題等が、多少でもそこに動揺し、ひびが入りはしないかというような現象が起り、あるいはまた過勤手当が、すでに従来の経験からいえば完全に支拂われておらないで、むしろただ働きというような経験を今まで積み重ねられて来たという、委員長の先日の御説明もあつたのでありますが、そういうことの補償として、ここに一応過勤手当が不十分ながらも計上されておる。そういうものにまた何らかのマイナスが影響されるというような結果がもし出て来ることがあるとすれば、これは私予測いたしたくない一つの悪い現象でありまするが、そういう好ましからざる傾向がもし出て来たときに、どのような下部大衆のこれに対する考え方というものが予想されるか。しかも同時に、労働意欲の問題にも関連するわけでありまするが、例えば土曜半日の結果として、減收がすでに一億を予想されるというようなことさえわかつておる今日です。本年度の追加補正の中でも予定されるような、すなわち増産計画、あるいは今後さらに進んで大増産の計画が進められなければならぬときとして、全四万の労働者諸君の意欲というものは一体どうなるのか。こういうふうなことについて、責任のある委員長立場からどのように御観測になつておいでになるか、こういうことも一応承つておきたいと思います。
  125. 平林剛

    平林参考人 ただいまの国会におけるいろいろな取扱い、それからこの国会において審議中の経過において、われわれが承知するいろいろな意見の中で、特に年末手当の件は、組合員が今後の問題としてたいへん重大な関心を寄せておる点であります。先ほど久米監理官からも、その点について一つの試験的なということで申されましたが、この点は裁定問題がかりに変な形で実施されると、ただちに次の紛争が起きて来るようなことを心配をしておるわけです。特に調停委員会から出されたときは、一時金として四千七百円を即時支給しろということがあつたのです。それが裁定で消えてしまつた。しかも赤字補給金の要求が認められないというふうになつてしまつたのです。今井仲裁委員長もこの間の第二回目の裁定を出したときに、前回の裁定のとき、ほんとうは基準給与は八千二百円にすべきものであつた、けれどもいろいろな考えから七千九百円にした、こういうように三百円の誤差を認められておるわけです。言いかえれば、この間の裁定のときに、いろいろな情勢から、われわれは従来の給与より三百円ずつ毎月損をしていたということになるわけです。あのときの情勢が今のような情勢であれば、基準給与はあのときにすでに八千二百円になつていたはずです。ところが七千九百円で押さえられた。言いかえれば、われわれは四月から今日まで約千五百円ほど赤字が出ていたということが言い得る。今回の裁定は、赤字補給金の要求が認められないというふうにされましたけれども、ほんとうを言うと、四月以降三百円の赤字が出ていたということは明らかに言えるわけです。そういうような経緯を経たものでありますから、このときになお赤字補給金――今度の年末手当は加減をして何とかするということになれば、かりにわれわれがいろいろな情勢から見てやむなしと見ても、組合員はとても承知するものではない、私はそう思つておるわけです。ことに超過勤務手当の約一億円の今回の補正については、必要があつたから政府補正をされたものと思います。これは今まで関東地方において、あるいは全国的に、超過勤務について多少不拂いの傾向があるということで、紛争が起きておりました。現に東京地方調停委員会では、この問題でしばらくの間紛争が続いて、そのような経過から、どうしても超過勤務手当は必要だということで、約一億足らず補正された、そのように思つておる金です。これが別にまわされて予算上のやり繰りをやるようなことになると、この傾向をもつと大きくして、労働組合の側においてやはりこの面からも、あらためて紛争が出て来るおそれがあるから、政府においても、この裁定の取扱いについては十分慎重な考えで御検討願いたいと思つておるわけであります。特に私どもはこの国会において、当初申し上げましたように必ず裁定を円満に実施するように御努力をしてもらえる、こういうふうに考えておりますが、そうかといつた、われわれ自身としては万一の場合のことを考えて、いろいろ組織上の態勢はとつております。私どもはむやみやたらに紛議を好むものではありませんし、いたずらに闘争をするものではありません。けれども働けるだけ働いて来ておるのであります。働けるだけ働いて、しかも紛争公労法によつて円満に解決するために、調停、仲裁の道を求めたのであります。しかも最終的な結論として裁定をいただいて、その裁定に服従して実施してもらうという、公労上から言つてきわめて忠実な態度をとつておるのであります。これさえなおだめだというのならば、専売労働組合四万の労働者といえども、黙つているわけには行かぬと思うのであります。でありますから現在は、私ども好ましい方法ではありませんでしたけれども、ハンガー・ストライキのようなものでも、専売六十四の支部のうち、四十数支部の組合はほとんどそれをやるというぐらいに、下部の人たちはぜひこの気持を国会に伝えてもらいたいという悲壮な決意であります。これがもしかりにこの国会においてもだめだということになりますれば、私としては組合員の気持を考えた場合に、まつたく暗澹とした気持にならざるを得ないのであります。こういう意味で、仮定の問題について私ども今から申し上げることはできません。私ども組合の執行幹部としては、不測の事態にならぬように、最善を盡して参りたいと考えておるのであります。ぜひすみやかに国会における結論を出していただきまして、裁定が完全に実施されるようにお願いをいたしたいのであります。そして裁定がもし実施されるということでありますれば、現在補正予算中に四十五億円の専売益金増加の組みかえをされておりますが、この補正につきましては、われわれ四万人が結束をして、必ずその専売益金を確保するためには、十分の努力をいたしたい。私どもはそれだけの考えをもつて国会裁定の実施をお願いしておる次第であります。
  126. 中原健次

    ○中原委員 最後に、公社側のお考えを一つつておきたい。それは先ほど取上げました問題ですが、予備費のことです。予備費の中で、不時に備えるためにというその費目の用途のあれとして、葉タバコの購入費は、單価値上げに伴う購入費というようなものが、この中に一応考えられておるというようなことも仄聞しておるわけです。これはむしろ、そういうような原材料の値上り等の場合における充当費というものは、別個に予算を組み込むようにすることが、むしろ適当なのではないかというように私の方は考える。たまたま補正予算等も問題になつたやさきでありましたし、そのような原材料の單価値上げ等に対する支拂い充当費というものは、予備費へ求めるより、むしろそういう別個の費目で、ここで当該費用の増額を要求する、こういうようになさるのがほんとうなのではなかろうか。そうして予備費というのはやはりほんとうにいざというときに使うのに残しておくということの方が、取扱いとしては適切なように私は考えるのですが、これはいかがでしようか。
  127. 勝田雄次郎

    勝田説明員 ただいまの御質問でございますが、本年度タバコの耕作におきましても、品質に重点を置いたものでありますから、その品質の向上、それから天候その他によりまして非常に状況がよかつたので、そういう意味を含めまして、特に予備費におきまして葉タバコ費の増額を認めたものでありまして、本来なればこれはやはりほんとうの予算において組むべきものであろうかと思います。その後精査いたしましたところが、葉タバコの品質におきましても、なるほどよくはなつておりまするが、予想通りには行つていなかつた、收獲においても、耕作の方の変更によりまして、ふえるはずのものがそうふえていなかつたというような事実で、現在では予備費で相当余るというような状況なつた次第でございます。
  128. 中原健次

    ○中原委員 直接政府に対する質問の最後的なものを、大蔵大臣出席の場合に留保いたしまして、質問は終ります。
  129. 青野武一

    ○青野委員 私は次の労働委員会の関係で、委員長に希望しておきたいと思うのですか、この専売裁定について関係の深い労働大臣大蔵大臣の遂に御出席を得なかつた。五日から十日まで続義労働委員会を開いた中に、三回は内閣委員会その他九つの連合審査会がありした。七日に外務委員会と労働委員会が国際労働機関憲章の加盟問題でやりましたが、事実一週間連続に労働委員会が開かれております。参考人各位に非常に熱心に御多忙の中を来ていただいたが、政府側を代表する中心になつておられる責任の重い人々が、一回も顔を出さない。委員から熱心な希望がありましたが、今日まで実現いたしません。聞くところによると、倉石労働委員長は兄さんの脳溢血か、何かの関係で、お気の毒に郷里に帰りまして、明日帰つて来られるということです。それで明日というわけにはあるいは行かないかもわかりませんが、その後早く開かれる労働委員会には、ぜひ大蔵大臣と、それから労働大臣は外務委員会と労働委員会の連合審査に出て来まして、炭労の問題についてわずか一分間ぐらい簡單な報告が質問によつてありましたが、労働三法の改悪が労働組合で取上げられておるときであり、失業問題も目下非常に紛糾しておる。炭労の問題でもまだ全部片づいておりませんし、団体規正法なんかも次の国会に出て来るような気配もありますから、吉田内閣を代表してこの次の労働委員会には出て来て、委員諸君の前に腹蔵なく現在の保利労働行政の基本的な方針を発表してもらいたい。山村政務次官には御苦労にもたびたび御出席をしていただきましたが、こういうような重大問題のときには、ぜひ繰合せて労働大臣も出て来てもらうように、これは私は委員全部の希望だと思います。これは委員長において適当に御交渉を願いまして、次の労働委員会にはぜひ大蔵大臣と保利労働大臣に御出席をしていただくように、おとりはからいを願いたい。
  130. 島田末信

    島田委員長代理 青野委員の御発言に対しましては、倉石委員長が帰り次第、よくその旨をお伝えして、御趣旨に沿うよう努力したいと思います。  本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本件の審議にあたりまして、御多忙中にもかかわらず、今日まで数回にわたつて出席を願いました参考人各位に、この際委員会を代表して私からつつしんでお礼を申し上げます。  次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会