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1951-11-07 第12回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月七日(水曜日)     午後五時二十九分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 苫米地英俊君 理事 西村 久之君    理事 中曽根康弘君 理事 川島 金次君    理事 風早八十二君       淺利 三朗君    麻生太賀吉君       天野 公義君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    尾関 義一君      小野瀬忠兵衞君    小淵 光平君       角田 幸吉君    甲木  保君       川端 佳夫君    上林山榮吉君       北澤 直吉君    金原 舜二君       坂田 道太君    島村 一郎君       庄司 一郎君    鈴木 正文君       田口長治郎君    玉置  實君       内藤  隆君    永井 要造君       中村  清君    中村 幸八君       本間 俊一君    松本 一郎君       南  好雄君    宮幡  靖君       井出一太郎君    今井  耕君       川崎 秀二君    北村徳太郎君       竹山祐太郎君    早川  崇君       平川 篤雄君    藤田 義光君       岡  良一君    勝間田清一君       戸叶 里子君    水谷長三郎君       門司  亮君    成田 知巳君       横田甚太郎君    小平  忠君       石野 久男君    小林  進君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 天野 貞祐君         厚 生 大 臣 橋本 龍伍君         農 林 大 臣 根本龍太郎君         運 輸 大 臣 山崎  猛君         労 働 大 臣 保利  茂君         建 設 大 臣 野田 卯一君         国 務 大 臣 岡野 清豪君         国 務 大 臣 周東 英雄君         国 務 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十一月七日  委員麻生太賀吉君、志田義信君、田中不破三君、  坪川信三君、川崎秀二君、金子與重郎君、竹山  祐太郎君及び水谷長三郎辞任につき、その補  欠として尾関義一君、内藤隆君、庄司一郎君、  本間俊一君、藤田義光君、北村徳太郎君、平川  篤雄君及び岡良一君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員北村徳太郎辞任につき、その補欠として  川崎秀二君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予算補正(第1号)  昭和二十六年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第2  号)     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  委員長に対する不信任動議が提出せられております。すなわち、川崎秀二君外四名より、委員長に対する不信任動議が提案せられております。私の一身上のことでありまするから、理事西村久之君に本席を譲ります。     〔委員長退席西村(久)委員長代理着席
  3. 西村久之

    西村(久)委員長代理 川崎君外四名より提出の、委員長に対する不信任動議について議事を進めます。まずその趣旨弁明を許す順序でありますが、その発言時間は十分以内とすることに御異議ありませんか。     〔「話が違うじやないか」「異議なし」と呼び、その他発言する者多し〕
  4. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御異議なしと認めます。従いまして、その通り……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  5. 西村久之

    西村(久)委員長代理 静粛に願います。——静粛に願います。御着席を願います。——着席を願います。——川島金次君。
  6. 川島金次

    川島委員 私はただいま提議されました小坂委員長不信任決議案に対し、野党各派を代表いたしましてその趣旨の説明をいたしたいと思います。(「共産党も一緒か」と呼ぶ者あり)もちろん。     〔発言する者多し〕
  7. 西村久之

    西村(久)委員長代理 静粛に願います。——静粛に願います。趣旨弁明をお述べを願います。
  8. 川島金次

    川島委員 今回昭和二十六年度補正予算案は……。     〔「委員長委員外発言を封じろ」と呼び、その他発言する者多く議場騒然
  9. 西村久之

    西村(久)委員長代理 静粛に願います。     〔「委員外の者は退場させろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  10. 西村久之

    西村(久)委員長代理 静粛に願います。——静粛に願います。川島君、弁明を継続してください。
  11. 川島金次

    川島委員 今回の臨時国会に上程されました二十六年度補正予算案は、その額千数百億に上るという未曽有の巨額に達するところの重大な予算案であります。ことにこの予算は、講和後となるべきでありましよう昭和二十七年度予算にもつながりますところの、さらに重大な意味を持つた予算案であることは、きわめて明らかなことであります。従つてわれわれ国会は、ことに予算委員会は、本案の審議にあたりまして、できるだけ慎重審議を重ね、この歴史的、民族的な事態である講和並びに安保両條約の批准問題とあわせて、この予算を通じて発生いたすでありましようところの今日及び明年に連なるところの日本の財政及び経済、並びに国民生活に及びますところの重大な関連を銘記いたしながら、さらに一層の慎重審議を重ねたいとの考えを持ちまして、連日予算審議に当つて来たのであります。  ことに本委員会委員長小坂君におかれましては、たまたま昨年不信任案をこの委員会及び本会議に上程された例もあり、かつまた小坂君には去る六月中旬委員会を代表いたしまして、委員若干名とともに遠くアメリカに渡り、アメリカにおける財政経済はもちろん、国会における各種運営等にわたるところの各般の詳細なる視察を行うこと前後三月にわたりまして、その任務を果しまして最近帰朝されたのであります。従つてわれわれは、同僚議員とし、また友人立場におきましても、アメリカにおける国会運営の実情をつぶさに視察機会を与えられました小坂君が、帰朝後における最も試金石ともいうべき委員会委員長の席にすわることになつたわけであります。われわれは委員会委員の一人といたしまして、小坂君が最近における経験にかんがみ、おそらく画期的な委員長ぶり予算委員会運営ぶりを発揮してくれるであろうことをも、われわれは期待をいたしておつたのであります。  なるほど今日までの委員会経過にかんがみ、友情的な立場をもつていたしますれば、その間には若干小坂君が、單なる自由党委員長にあらずして、全予算委員会委員長であるとの立場に立つての苦心を払われた点が、まつたくなかつたとはわれわれはあえて申すものではございません。しかしながらその一面におきましては、小坂君の性格、人となり、また今日までの委員長委員会運営ぶりにかんがみましても、われわれがとうてい推測しあたわないほどの、委員長としての任務を逸脱した点があつたことを、私は心から遺憾に存ずるのであります。(「ノーノー」)ことに去る十一月二日、すなわち三日、四日にわたる休日を前にい失しまして開かれました本予算委員会理事会において、小坂委員長並びに与党の各有力なるメンバーである理事諸君はもとより、不肖われわれ野党理事もこれに参加をいたしまして、今後の委員会運営に関する打合せを行つたのでございます。その席上において各理事間の協議の結果、結論的にこれを申し上げますれば、来る十一月五、六の両日は引続き各派の所属する委員質問を続行いたす。しこうして七日以降におけるところの委員会運営については、あらためて理事会協議に諮り、できるだけ円満な議事の運行をはかろうではないかという旨が提起されまして、これが了承をされたのであります。(「うそを言うな」と呼び、その他発言する者あり)ことにその間において、民主党理事中曽根君からは、予算委員会の従来の慣例に基いて、総理大臣出席を求め、その席上において野党各派代表最終的質疑を行う旨が提議されたのでありまするが、この提議に対しましては、同席の委員長はもちろん、ことに自由党内少壮気鋭の士をもつて高鳴る有田君におきましては、(笑声)本日の理事会は五、六の両日にわたるところの質疑の継続だけにとどめておき、総理出席を求めて最終的な質疑を行うとか、あるいは他の質問を続行する等のごときは、あらためて六日の委員会終了された後において理事会を再開し、その理事会においてその後における委員会運営をきめようではないか。どうかきようのところは五、六両日質疑を続行するのだという程度お互いに了承し合い、しかも与党としては六日で委員会質疑を打切る等のごとき背信的な行為は断じて行わない。しかもそのことに対して一部野党理事から念を押す旨の発言があつたに対して、有田委員のごときは、有田政治的生命有田二郎の男にかけても、六日で質疑を打切るよう背信的行為は断じていたさない、六日以後の委員会運営は、とにもかくにも七日に開くべき理事会協議にまつて行おうではないかという確信のある発言がございましたし、これに対してわれわれ予算委員会旧来同僚であり、しかも自由党内でもきわめて人格まじめな人といわれて参りました苫米地理事もこれに参加いたされまして、有田君の言葉をそのまま了承されることによつて本日の理事会打切り、来るべき六日の質疑終了後ないし七日の午前中開かるべき理事会のあらためての協議に移そうではないかという、せつかくの御老体お話もございましたので、われわれはこの老体の切実な発言を了といたしまして、理事会を散会いたしたのでございます。  従つてお互い政党間の、あるいは委員会旧来慣例に基き、理事会決議をあくまでも尊重するという信義の上に立つてこれを実行するといたしますならば、少くとも六日までの質疑は続行され、さらに七日からの委員会運営については、あらためて理事会を招集し、その理事会においてあらためて運営に関する協議とりまとめを行うというのが、いやしくも信義を重んずる同友間のなすべき責任でなければならないのであります。
  12. 西村久之

    西村(久)委員長代理 結論をお急ぎ願います。
  13. 川島金次

    川島委員 しかるに与党諸君はこの理事会申合せにもかかわらず、——われわれは正直に従来の委員会における……。     〔「違うぞ」と呼び、その他発言する者多し〕
  14. 西村久之

    西村(久)委員長代理 静粛に願います。
  15. 川島金次

    川島委員 委員会申合せによる権威を尊重する意味において、おそらく六日中に質疑打切り動議等のごとき、いかに多数を頼む与党といえども、われわれの話合いに基く信義を裏切るよう行為は、あえていたさないであろうという紳士的な推察をいたして、六日の委員会に臨んだのであります。   この間におきまして六日の委員会が開催されるや、われわれの感じでは自由党委員諸君は、ことに午後から従来半数にも満たない出席にもかかわらず、珍しくも自由党委員諸君が全委員席を埋めたのみならず、中には党本部からは増田幹事長やあるいは廣川総務会長などまでが、この委員会督戰隊として出入するが、ごとき、きわめて奇異な情景が展開されたのであります。(拍手
  16. 西村久之

    西村(久)委員長代理 不信任要点を急いでください。
  17. 川島金次

    川島委員 この事態に対しましてわれわれは、平生ならばきわめて正直かつ愚鈍の方ではございます。(笑声従つていつもの事柄でございますならば、二日の理事会申合せを、最後まで信頼をいたして行きたいと考えたのでございますが、たまたま昨日午後のこの委員会の席上における情景を奇異といたしまして、これはおそらく予算委員会理事会における約束にそむき、あるいは時に臨んで抜打ち的な質疑打切り動議を出すのではないか、という遺憾ながら邪推をしければならない不幸な事態が、この委員会に展開されたのでございます。(「結論を急げ」と呼ぶ者あり)いや最後にやる。そこでわれわれ野党の各委員ことに理事は、急遽協議をいたしました結果、よもや与党諸君が、われわれ野党に対する背信等のごときはせないであろうとは信じたいけれども、きようの空気では、あえて多数を頼む暴力的な行為が行われるのではないかとの前提に立ちまして協議をいたしました結果、われわれはことに従来の慣例を破つて野党各派所属委員全員の署名をもちまして五項にわたる委員長に対しての申入れ行つたのであります。  その申入れの五項というのは、ここに簡單に列挙をいたしてみまするならば、第一は予算委員会旧来慣例に基き、総理大臣出席を求め、野党各派委員代表的最終総括質問を行うようにとりはからうことを初めとし、第二には、本予算定員法との関連がきわめて密接でありまするがために、予算委員会定員法が上程されておりまする内開委員会との合同審査会を開くべきであること。第三には、地方財政交付金の問題について、大蔵大臣その他の答弁においては、まだ容易にわれわれ委員の納得する程度答弁がなかつたから、地方財政委員会代表者を末席に招いて、地方財政委員会代表者責任ある意見を開くべきであること。第四には、本予算とこれまた重大な関連を持つ給与法改正案が、いまだにこの国会に上程されておらないということは、いかに野党互譲的立場に立つて行くといたしましても、この重大な給与法改正案が上程されないのでは、最後予算案に対する可否の決定をわれわれ委員会としては行うわけには参らない。すべからく政府はすみやかに給与法改正案国会に上程するように、委員長はとりはかろうべきであるのであります。
  18. 西村久之

    西村(久)委員長代理 不信任要点を急いでください。
  19. 川島金次

    川島委員 さらにこれまた本予算と重大な関連を持つ主食の統制撤廃に関するところの政府最終的態度が確定いたさない限り、本予算案討論採決は、絶対に回避せられなければならないという、この五項目にわたる申入れ行つたのであります。  従来の各種委員会慣例によりますれば、野党各派が連合して委員長に重大な申入れが行われました場合には、口頭でいたしましても、委員長からすみやかな機会において、何らかの回答がなされることをもつて慣例といたして参つたのであります。しかるにわれわれ以上の五項目にわたる具体的な、かつ書面をもつてする文書の重大申入れをいたしたにかかわらず、委員長はこれに対して、何らの回答を与えようという誠意と熱意とを、こうも示されなかつたのでございます。そこでわれわれは昨日の午後における委員会の適当な機会において、この問題に対する委員長回答を正式に求めるために、一応委員会休憩いたし、再び理事会を開いて、この野党全体の申入れに対する何らかの適当な所置をきめたい旨の発言をいたすべく、その申入書従つて議事進行による発言を求めたいための準備をいたしておつたのであります。
  20. 西村久之

    西村(久)委員長代理 不信任要点を簡潔に願います。
  21. 川島金次

    川島委員 もう結論に入ります。この経過を話さないと不信任案にならない。(「早くやれ、もう時間が過ぎた」と呼ぶ者あり)待つておれ……。
  22. 西村久之

    西村(久)委員長代理 特に川島君には時間を延べてお許ししております。不信任要点を簡潔にお願いいたします。
  23. 川島金次

    川島委員 しかるにただいま申し上げましたように、委員長からは何らの回答をわれわれに与えなかつたのみならず、よもやと思いました与党側から、竹山委員質疑終了を待つやいなや、卒然として尾崎委員から質疑打切り動議が提出されたのであります。しかしこれに先だつて不肖私からは野党各派を代表した立場において、議事進行に関する発言行つたのであります。しかるに委員長は何ゆえかことさらに野党席には顔を向けないで、初めから申し合せたがごとくに、尾崎君の方にだけ顔を向けまして、尾崎君の動議採択をはかろうといたしたのであります。われわれの常識的な見解と、委員会の慣行によりますならば、通常議事進行上において、一議員から議事進行発言がなされた場合は、これを委員長採択をいたしまして、その議事進行に関する発言を許すというのが委員会慣例であるのであります。国会議事規則によるところの明文は、われわれは、この際はとりません。かりそめにも委員会審議にあたつて、与野党を問わず、慎重審議を行い、かつその審議が円満に終了するという事柄を建前といたしまして、議事進行発言は常識的に、慣例的にほまず許されて来たということが、委員会の偽らない明白な慣例であるのであります。   しかるにこの慣例に反しまして、委員長は單なる法規をたてとし、また与党の圧倒的な委員長に対する発言に拘束荒て、遂にわれわれのこの動議の問題に対する反対、すみやかに、議事進行発言を許すべきではないかとの野党委員の熱望にもかかわらず、遂に小坂委員長はこれを一蹴し、たまたま喧々囂々のうちに、委員長はマイクを片手にしながら質疑打切り動議を一方的に採択し、これを喧騒の中に遂に多数の暴力を頼んで一方的に質疑打切りを強行いたしたのであります。
  24. 西村久之

    西村(久)委員長代理 簡潔に願います。——簡潔に願います。
  25. 川島金次

    川島委員 元来予算委員会のみならず、国会各種委員会議事進行運営を顧みてみまするに……。
  26. 西村久之

    西村(久)委員長代理 簡單にお願いいたします。
  27. 川島金次

    川島委員 私はよく……。
  28. 西村久之

    西村(久)委員長代理 お話中でありますけれども、発言をやむを得ず制止しなければならぬ時間になつております。簡單要点をお述べを願います。
  29. 川島金次

    川島委員 委員会申合せを尊重せずして、理事会の招集もなくして、一方的に質疑打切りをなすがごとき暴力的行為は、私の狭い経験に徴しましても、おそらく敗戰後における国会において、ことに民主国家——われわれが目ざして参りましたこの民主国会において、実に未曽有事態であります。実にまた小坂委員長の昨夕とりました最後態度のごときにいたしましては、まつたくわれわれ国会審議をば、根本から蹂躙いたした暴挙であると私は断ぜざるを得ないのであります。(拍手
  30. 西村久之

    西村(久)委員長代理 簡單結論をくくつてください。
  31. 川島金次

    川島委員 われわれは友人として、また同僚として小坂委員長ははるばる海外を視察せられ、ことに民主的な政治運営を行つておるというかのアメリカの議会並びに委員会をつぶさに視察せられて帰られた小坂委員長が、逆に従来に倍するところの一方的、独善的、独断的——多数を頼んでの暴力的な委員長ぶりを発揮いたしましたことは、実に言語道断であるとわれわれは信ずるのであります。(拍手)われわれはかくのごとき委員長をもつていたしましては、来るべき通常国会においても、おそらく小坂君がこのまま重任するのではないかという推察をいたしますけれども……。
  32. 西村久之

    西村(久)委員長代理 結論を急いでください。
  33. 川島金次

    川島委員 かくのごとく一方的な、非民主的な、暴力的な委員会運営を強行せんとするがごとき委員長重任を見ることは、わが国会、ことにこの重大な予算審議いたします予算委員会の民主的な運営の上においても、あるいはまた民主的な慎重審議権威の上におきましても、かくのごとき委員長重任を見ることは、われわれとしては断じて許されないとの見解に立ちまして、以上述べました諸点に基きまして、委員長はすみやかに本委員会委員長を辞職し、その責任をとり、天下に謝すべきであると考えまして、ここに委員長不信任趣旨弁明をいたした次第であります。(拍手
  34. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいまの動議討論を省略し、議決せられんことを望みます。
  35. 西村久之

    西村(久)委員長代理 ただいまの有田君の動議通りに……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  36. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御着席を願います。——着席を願います。(発言する者、離席する者多く、議場騒然)御着席を願います——。静粛に願います。  ——着席を願つておきます。——着席なければとりはからいません。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  37. 西村久之

    西村(久)委員長代理 御着席を願います。——着席を願つておきます。——静粛に願います。——これより有田君の動議を採決いたします。賛成の方は御起立願います。     〔賛成者起立〕     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  38. 西村久之

    西村(久)委員長代理 起立多数。よつて動議は成立いたしました。(拍手)     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  39. 西村久之

    西村(久)委員長代理 これより委員長にかわりまして不信任動議を採決いたします。不信任動議賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  40. 西村久之

    西村(久)委員長代理 起立少数不信任動議は否決せられました。(拍手)     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  41. 西村久之

    西村(久)委員長代理 下つてください。——静粛にお願いします。——静粛に願います。     〔西村(久)委員長代理退席委員長着席〕     〔発言する者多し〕
  42. 小坂善太郎

    小坂委員長 静粛に願います。——静粛に願います。  これより補正予算各案を議題として討論に入る順序でありますが、まず民主党中曽根康弘君より、補正予算の組みかえを政府に求めるべしという動議が提出されておりますから、この組みかえ要求動議について趣旨弁明を許します。中曽根康弘君。——中曽根康弘君、発言を願います。(発言する者多し)中曽根討論に入つてください。趣旨弁明を許します。
  43. 中曽根康弘

    中曽根委員 これを先にやつてください。委員長代理不信任案が出ている。これをさばかなければ、また同じことを繰返すのみだ。さばかなければだめだ。
  44. 小坂善太郎

    小坂委員長 すでに委員長不信任動議が否決されて、私が着席しましたる以上、委員長代理というものは存しないのでありますから、西村委員長代理不信任動議審議を要しないものと思います。(拍手)     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  45. 小坂善太郎

    小坂委員長 中曽根君、組みかえ要求動議について趣旨弁明をしてください。——資根君、動議はないのですか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根委員 あります。あります。
  47. 小坂善太郎

    小坂委員長 動議があるなら、趣旨弁明を願います。
  48. 中曽根康弘

    中曽根委員 その前にルールをつけてもらいたい。
  49. 小坂善太郎

    小坂委員長 委員長議場秩序を保ちたいと思いますから、中曽根君は議席着席を願います。
  50. 中曽根康弘

    中曽根委員 先ほどのルールをつけてもらいたい。とにかく先ほどのけりをつけてもらいたい。
  51. 小坂善太郎

    小坂委員長 繰返して言いますが、すでに委員長不信任動議が否決されて、私が着席しておるのでありますから、委員長代理というものは存在しないのであります。従つて委員長代理に対する不信任も、これは動議として審議を要しないのであります。(「その通り拍手)どうぞ中曽根君、発言を願います。
  52. 中曽根康弘

    中曽根委員 発言いたしますが、先ほどの問題を片づけてもらいたい。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  53. 小坂善太郎

    小坂委員長 中曽根君、議席着席願いたい。  この際諸君に申し上げます。ただいま非常に議場秩序が乱れましたので、これを元に返しまするためにこの際休憩いたしまして、十分間に限つてその間に理事会を開会したいと思います。(拍手理事諸君の御集合を願います。     午後六時三十一分休憩      ————◇—————     午後六時四十七分開議
  54. 小坂善太郎

    小坂委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  中曽根君。……中曽根発言を願います。
  55. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は国民民主党を代表いたしまして、補正予算の組みかえを政府に求むるの動議を提出いたします。以下その内容を説明いたします。  昭和二十六年度補正予算修正、歳入の項におきまして、外為特別会計の繰入れ中止三百億円、食糧管理特別会計の繰入れ中止百億円、平和回復善後処理費より五十億円、行政整理中食糧関係の中止による二億円、以上四百五十二億円の財源を浮かし、その財源をもつて、まず第一に地方財政平衡交付金増額百億円、戰争犠牲者補償費増額百億円、土地改良補助増額二十億円、肥料需要調整経費二十三億円、繭価安定十億円、電源開発、これは開銀出資増として百億円、給与改訂、人事院勧告の水準によつて六十一億円、国民健康保険補助費二十五億円、人口調節指導費九億円、法人税引上げ反対による減、  二億円、以上の組みかえを要求いたすものであります。以下趣旨弁明いたします。  昭和二十六年度補正予算は、池田大蔵大臣はこれをみずから自主性回復予算あるいは黎明予算と名を打つて出して来たのでありますが、その内容を検討いたしますると、それは完全なる隷属予算であり、たそがれ予算という反対の内容であるのであります。まずわれわれの注目したところは、歳入におきまして外為特別会計への繰入れ三百億円、及び食糧管理特別会計への繰入れ百億円というものは、わが党代表委員質疑にもあつたように、依然たるインヴエソトリー・フアイナンスの継続であつて、それは現在以上のデフレを招くおそれがある要項であるために、われわれは削除を要求するのであります。そのほか平和回復善後処理費、この経費は百億円出ておりまするが使途未確定であり、来年度への繰越しが相当あると認められるので、そのうち五十億円をわれわれは財産として流用しようとするのであります。  歳出の項を見ますと、現在地方財政は今や破綻に瀕せんとしております。ある県においてはすでに財政破綻の宣言すら出すという状況であつて、先般行われた全国市町村会議員あるいは市町村長の大会におきましては、その痛切なる要望を訴えたのであります。そのために現在国会におきましては、与党自由党を入れてすら地方財政平衡交付金増額の決議案が今や提出されようとしておるのであります。そのような動きが院内にあるのに加えまして、かつ外部におきましては、市町村側あるいは府県側の痛烈なる要望には政府もうろたえまして、与党といえどもそのような措置に出かかつたのであります。しかし政府はこの補正予算の組みかえをやらないというところを見ると、財源難を理由としてその要望を聞かないというのであつて、これは民論を無視することはなはだしいのであります。そこでわれわれはまず第一に、現在の地方財政の窮乏を救うため、特に中央公務員のベース・アツプが地方公務員に均衡がとれない、地方公務員に対する財源措置がない、教職員あるいはその他の吏員の待遇改善の意味もあつて百億円の増額をここに計上したのであります。  第二に戰争犠牲者補償費。この点については、八月の国会において、池田大蔵大臣は若干の経費を見積ると公約いたしたのであります。また新聞記者会見におきましての新聞の報道によれば、三十億円ないし四十億円の経費の計上を約束したのでありまするが、今度出て来たのはわずかに一億円である。これはいわゆるお茶を濁すという程度のものであつて、調査に名をかりて、戰争犠牲者の援護を怠る措置といわねばならない。この重大なる公約違反をわれわれは追究いたしまして、わが党といたしましては百億円を計上したのであります。その内訳は、二十六年の十一月から来年の三月まで、戰傷病者に対する傷病恩給十三億四千二百余万円、遺族扶助料八十一億八千六百余万円、計九十五億二千九百余万円、そのほか予備費として四億円余を、調査その他の経費に計上してあるのであります。これによりまして十八万の全国の傷病者、それからすでに調査済みでありまして、ただちに世話課を通じて支給し得る四十七万戸の戰死者遺家族に対して恩給を実施せんとするものであります。  第三番目の土地改良の補助費二十億円。従来芦田内閣あるいは片山内閣におきましては、小規模の土地改良については政府が補助金を出しておつたのでありまするが、昭和二十四年以来、いわゆるドツジ・ラインの名目のもとにこれが打切られております。この小規模の土地改良というのは、たとえば参畑の水田化であるとか、あるいはその他の面において相当の効果を上げて来たのでありまするが、これらの点を考慮してわれわれは二十億円を計上いたしました。  さらに現在農民が重大関心を持つているのは肥料の値段であります。吉田内閣の失政によりまして、電力飢饉は日に日にその度を加えておるのでありまするが、そのために、硫安に至つては今や一かます九百円を越え、千円になんなんとしておる声すらあるのであります。このようにして、一方においては米価を低米価にすえつけておいて、肥料を自由販売としたために、農民の来年度の営農というものは、非常な苦境に立ち至つたのでありまして、年間を通じて、季節によつて、肥料の値段の、一定の幅の内部における安定をはかるために、われわれは二十五億円を計上したのであります。次に、政府は今般絲価安定法を提出したのでありますが、三十億円では繭の方まで及ぶことができないのであります。なるほど條文の中には、繭の値段の異常な暴落を阻止するために、政府は措置を講ずるということが書いてあるが、しかし財政的にその措置をしておりません。そこでわれわれは、金融その他の措置によつて、繭の値段の異常な暴落を防止する措置として、ここに十億円を追加したのであります。電源開発につきましては、すでにわが党委員質問によつて明らかなるがごとく、政府の措置はきわめて怠慢であります。ドイツや、あるいはイギリス、フランス、アメリカの開発の度合いに比べて、わが国の開発の度合いはきわめて遅れております。それは、そのような日本の基礎産業に対する政府の非常なる軽視から来ておると思うのでありますが、この点につきましては、わが党は、国家資金をもつて相応の電源開発に着手する、そのために、百億円を開銀に特にひもつきで出資せんとするものであります。  給与改訂につきましては、人事院勧告の線をそのままわれわれは受諾いたしました。最近の一般の物価高、特に鉄道、通信、あるいはそのほか諸般の物価高にかんがみまして、公務員の中で一万円以下の給料をとつている者は、減税の恩典に浴しないという事態を憂慮いたしまして、ここに人事院勧告を採用して六十一億円の追加を計上しました。  国民健康保険補助費二十五億は、国庫が非常なる赤字に悩んでおります。これらのものは、総合的なる社会保障制度の一環として、当然大きな視野に立つて新しい機構改革のもとに行わるべきものでありますが、とりあえず本年度の分として、赤字補填のために二十五億。  人口調節指導費というのは、年々百三十万人に及ぶ人口調節を政府が積極的に指導する必要があるのであります。特に人口がふえるのは、下層の労働者や特に農民でありますが、そのような知識やあるいは財政的に苦しい人たちのために、政府は積極的なる啓蒙と財政的補助をやる必要があるのでありまして、その経費としてわれわれは九億円を、主として保健所の指導費に充てんとするものであります。  法人税の引上げ反対につきましては、わが党はすでに声明をいたしました通り、その分の増収削減として二億円を計上いたしました。この補正予算をわれわれが組みかえ要求するのにあたつてまず取上げなければならないものは、米麦統制撤廃に関する政府の措置であります。今度の補正予算は米麦統制撤廃が前提になつておることは、これは今までの各閣僚の説明によつても明らかであります。ところがドツジ氏の来朝によりまして俄然風向きがかわつて政府は窮境に追い込まれました。そのために昨日は遂に関係方面との折衝が絶望に終るや、予算委員会の本日の論議を避けるために、小坂委員長は、不法なる行為という程度委員会運営ぶりをもつて昨日は打切つたのでありまするが、それはまさに政府及び与党の狼狽ぶりを示すものであります。(拍手)しかもこの補正予算の内容には、食糧供出関係公務員の行政整理が載つております。それらの退職金のやりくりを一体どうするのか。こういうような問題についても、政府は明確なる答弁も与えないし、方針もないように見えるのであります。こういうような非常に不安定な中に、この補正予算は通過されんとしているのであります。われわれは米麦、特に米の統制撤廃については、断固として反対しているのでございまして、かかる見地から、農林省の食糧供出関係あるいは調査関係の公務員の行政整理に明確に反対をいたしておるのであります。この米麦統制撤廃の問題は、いずれは内閣の致命傷になると思うのでありまするが、私たちはこの補正予算審議にあたつて、この内閣の米麦統制撤廃に関する不用意ぶりと、それから閣僚の無定見ぶりに対しては、国民の名前において断固として追究しなければならないと思うのであります。  さらに給与改訂に関しまして給与法が提出されるはずでありまするが、この点も政府補正予算とのバランスがとれていないために、いまだに給与法の提出がない。そういうような非常なる欠陥を内容に含めておる補正予算は、黎明予算とは断じて言えないのであります。自主性回復予算とは言えないのであります。自主性回復予算であるならば、政府が最大の公約として言つて来たところの統制撤廃はやらなければならない。しかも食糧の供出量にしても、おととい言つたことと、きよう農林大臣が言つたこととは、違つて来るというような体たらくをしているのは、完全なる隷従予算であるといわなければならない。もしこの予算が黎明予算であるならば、日本経済復興に関する根本的な施策が盛られていなければならない。しかるに電源においても、あるいは造船その他においても、鉄鋼の補給金にいたしましても、そういう基礎的な面において、特に農業政策における経費がほとんど盛られていないということは、黎明どころではない、明らかにたそがれを意味するようなものであるといわなければならないのであります。(拍手)かかる見地に立ちまして、われわれは本補正予算の組みかえを政府に要請せんとするものであります。(拍手
  56. 小坂善太郎

    小坂委員長 ただいまの動議について採決いたします。この予算の組みかえを求める動議賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  57. 小坂善太郎

    小坂委員長 起立少数であります。よつて動議は否決せられました。  これより、昭和二十六年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第1号)、同政府関係機関予算補正(機第2号)の三案を一括して討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。天野公義君。
  58. 天野公義

    天野委員 私は、ただいま議題となつておりまする昭和二十六年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第1号)、同政府関係予算補正(機第2号)の三案に対し、自由党を代表して賛成の意見を述べるものであります。  顧みますれば、終戰後まる六箇月有余、われわれ全国民が待ち待つた平和條約の調印も去る九月に終え、過日は本院においても、圧倒的多数をもつて承認を見、いよいよわが国がその主権を回復して、再び国際社会に復帰することのできる日の近くなつたことは、われわれの心から喜びするところであります。これはひとえに米国の好意と国民各位の絶えざる努力のたまものであると同時に、わが自由党吉田内閣の偉大なる巧績であると断言できるのであります。(拍手)  本補正予算の基本的性格は、さきに実施せられた昭和二十六年度予算を基礎とし、その後に起つた国際情勢の変化、特に朝鮮動乱を中心とする日本経済の活発化ということを織り込み、講和関連する諸経費及び独立達成後に予想される諸事態に対処して、いわゆる十八箇月予算として、昭和二十七年度予算と一体的構想のもとに編成せられたものでありまして、その特徴は、健全財政方針の堅持、資本の蓄積、経済規模の拡大、金融の適正化、国際収支の改善、国民生活の安定向上等を主眼としている点にあるのであります。  賛成の理由の第一点は、補正予算の出歳入政策に現われておりまする資本蓄積の方法について同感し得るからであります。資本蓄積の方法といたしましては、法人または個人の貨幣所得から生産費または生計費を控除いたしました部分について、国家が租税によつて吸い上げる強制蓄積と、これを当事者の自由にまかす自発的貯蓄とがあります。わが国は昭和二十四年度のドツジ政策以来、インフレ抑圧政策の有力な手段として、この強制蓄積政策をとつて来たことは周知の通りであります。しかも歳出を上まわる歳入増加の超均衡政策をとつて、二十四年度及び二十五年度においてインフレを収束し、二十六年度当初予算からはほとんど均衝して、黒字でもな赤字でもない均衝予算を実現し、インフレ要因とデフレ要因とを相殺するデイスインフレ政策によつて、この予算均衡を達成しようとしているのであります。従いまして、今日では超均衡予算当時に採用されたごとき高率の租税政策は、その客、観的意味と効果とを失つており、自発的貯蓄による資本蓄積政策にその比重を転換しなければならないものと考えるのであります。これすなわち、わが自由党が国民に公約し、昨年来二回にわたつて大幅な減税を断行し、今回もまた減税を行うゆえんのものであります。今回の補正予算において、まず個人所得の源泉課税においては、本年八月にさかのぼつて基礎控除を三万円から五万円に、扶養控除を三人まで一人一万五千円であつたものを二万円に引上け、税率の刻み方を緩和し、さらに不具者、老年者、寡婦及び勤労学生等の恵まれざる人々に対しては、年四千円の税額控除といたしたこと、また退職所得については、その収入金額から十五万円を控除した後の収入金額の半額までも控除する等々の減税措置をしていることは、大いに賛意を表する次第でございます。しかし他面におきまして、法人企業が最近一箇年間において未曽有の収益を上げ、証券相場もこれを反映いたしまして逐月上昇し、将来の配当維持の確信なくしては行い得ない無償交付株や増資が盛行をきわめている実情にかんがみまして、税率を二割方引上げて四二%とした措置は、今日の状況においては穏当な措置と考える次第であります。ことに価格変動準備金制度の新設や、特別償却制度の合理化、退職所得積立金の損金算入を認める等の社内保留の助成策を講じたのは、適切な資本蓄積策であると考えるのであります。しかし今後におきましては、資本金二百万円以下の中小企業に対しましては、申告納税の中小企業者との権衡を考え、大企業とは異なつた緩和方針をとられ、また勤労者の勤労控除につきましても、これを引上げる政策をとれらんことを希望する次第であります。以上のごとき減税によりまして、本年度内において四百五億円、来年度において八百億円の国民負担の軽減をはかつた政府の措置に対しては、国民生活水準の低下を防止いたし、一層の貯蓄増加の素地を育成したものとして、深く敬意を表する次第であります。  賛成の理由の第二点は、自然増収及びその他の経費節減を財源として、適切な支出政策を遂行しておる点にあるのであります。まず源泉所得及び法人税を主とする一千五百六十八億円の自然増収は、地方税の自然増収見込み四百二十三億円と相まちまして、過去一箇年の景気変動の好転によるものと考えられるのであります。御承知のごとく、本年度当初予算の歳入見積り及び歳出單価は朝鮮動乱の影響を若干考慮いたしたとはいうものの、昨年夏  シヤウプ使節の第二次来朝時に検討されたものを基礎としておるのであります。この結果、特需を中軸といたしました生産、貿易等の拡大と、商業輸出の増加及び海外物価高を反映する物価上昇等は、経済の規模を著しく拡大いたしたのであります。たとえばさきに経済安定本部より発表せられた経済自立計画による鉱工業生産指数を見ましても、昭和二十八年に至つて戰前の一三一・四%の線に達することになつておりましたのに、本年四月以降すでに毎月この一三一%の線を越す生産指数を上げておるのでありまして、賃金と企業収益の増加を反映する自然増収が起るのは当然であります。今回の自然増収は、野党諸君の言うごとき徴税強化によるものでもなく、水増し課税による架空的税収でないことは明白な事実であります。次に、かかる財源の一部によつて、公務員の給与改善が行われておる点であります。現行の公務員の給与は、民間給与に比して相当低位にあり、しかも最近における生計費の増加等を考慮し、人事院の勧告及び所得税の軽減をも考慮に入れて、十月以降一千五百円方引上げて一万六十二円ベースとし、さらに年末給与として〇・八箇月分を支給することとして一般会計八十七億円、特別会計七十一億円、政府関係機関百七億円、計二百六十六億円を計上できたことは、現下の財政事情の許す範囲内での最大の給与引上げが行われたものと考えられるのであります。一方現在の行政事務の実情に即しまして、その簡素化をはかると同時に、国民負担の経減に資するため、行政整理を行うこととなつたことは、時代の要請するところであると思うのであります。これによつて本年度四十三億円、来年度百五十七億円、平年度におきましては二百七億円の国費が節約されるわけであります。しかし整理される方方に対しましては、今後退職金の支給及び就職のあつせん等に万遺漏のないよう政府に要望する次第であります。  補正予算賛成の第三点に、上述の財源が建設的、投資的支出に充当されておることであります。まず一般会計におきましては、国民金融公庫、住宅金融公庫、農村漁業資金融通、糸価安定等の庶民、中小企業、農漁民に対して百億円、農地調整費、食糧供出関係費、食糧増産関係費、農業保険費等に六十八億円、幾多の山村関係費を含む公共事業費に四十一億円、大企業及び輸出業者のための日本輸出銀行、日本開発銀行、輸出信用保険等に百億円、合計いたしまして三百九億円の資本投下が行われております。この補正予算の増加額を当初予算と総計いたしますならば、その他の部門への投資と合せまして一千七百八十九億円になるのであります。これに本年度改定予算の見返り資金と資金運用部特別会計の民間への融資一千百二十七億円を加えますと、二千九百十六億円の建設的投資支出額と相なるのであります。また電気通信特別会計及び日本国有鉄道等の建設投資を加筆いたせば、約三千五百億円近くになるのであります。総合予算を通じてのかかる建設的支出は、日本経済の基盤を拡大いたし、都市及び農山漁村にわたつて直接間接に国民所得の増加に多大の影響を与えることを信じて疑わないのであります。しかし最近の電力事情等を考えるときに、中小企業に対する年末融資につきましては、格段の御考慮を払われたき点と、また單作振興費の土地改良の内容については、潅漑排水、耕地整理のみならず客土、暗渠排水、農道等をも認めまして、その面積は二十町歩以上とすることを政府に要望する次第であります。  次に教育関係費においては、有能にして強健な国民を育成するための学校給食費二十五億円等補正予算において約四十五億円が追加せられ、当初予算と合せて二百十七億円となつておるのであります。  さらに警察予備隊等の治安関係費が百九十億円の追加支出となつておることも指摘いたすものであります。  さらに講和に関係するものといたしまして第一にあげなければならないのは終戰処理費でございます。終戰処理費は去る七月一日以降特別調達資金令に基きまして、わが国の負担分の約半分が米国の負担となつたため、百七十五億円の減少が見込まれるのでありますが、一方特別調達資金に七十五億円を繰入れることとしてある点であります。  第二には、平和回復善後処理費として百億円を計上して諸事態の発生に備え、さらに国際経済参加のために、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資金二百億円を予定してあることであります。  第三には、遺家族等援護調査費一億円が計上されている点であります。今まで遺家族、傷痍軍人、留守家族等々、直接の戰争被害者の方々に、国家としてほとんど援護の手を伸ばすことのできなかつたことは、われわれの真に遺憾とするところでありました。今回平和回復に伴つて、来年度よりこれら戰争被害者の方々に援護の手を伸ばすべく、多額の調査費の計上されたことは、まことに適切な措置であると考える次第であります。かくのごとく、わが国の独立回復が前提とされておりまする予算審議し得ることは、われわれの国民とともに最も欣快に存ずるところであります。  最後に、本補正予算は、外国為替資金、食糧管理特別会計に四百億円のインヴエントリ・フアイナンスのための経費を計上して、輸出インフレの影響を防止いたし、食糧価格の引上げによる運転資金の増加が、通貨の増発を招かないように配慮いたしておる点であります。このことは、言うまでもなく、経済の安定的発展を期するためであります。しかし輸出増加による国内円資金の流通増加の傾向は、輸入業者のすみやかなる円資金決済が実行されねば、絶えず国家資金に依存するインヴエントリー・フアイナンスの問題を生むのであります。これを解決するためには、市中の為替銀行が輸入業者に確実な融資をいたし、輸入業者もまた信用と経済力を充実いたす必要があるのであります。このことは市中銀行のオーバー・ローンの解消の問題とも関達するところであります。要するに資金余力の不足の結果として、日銀の貸出しに依存しないような状態に銀行がなることが望ましいのであります。従つて最近報道されておりまする社債の発行抑制のごときは、行き過ぎぬように留意すべきであると考えるのであります。従いまして社債前貸金や借入金の返済に向けられるならば、むしろ発行会社に勧誘して社債発行を盛んならしめることが望ましいのではないかと考えるのであります。いずれにいたしましても、金融市場より近代的な態勢を整え、財政と金融との関係を円滑にするためにも、新しい銀行制度の立法化をすみやかに実現するよう政府当局に希望いたしまして、補正予算全般に対する私の賛成討論を終る次第であります。(拍手
  59. 小坂善太郎

  60. 藤田義光

    藤田委員 私はただいま議題になつております三予算補正に対しまして、国民民主党を代表いたしまして、反対の意を表明する次第であります。(拍手)  吉田総理は、本臨時国会の当初におきまして、その施政演説の中に、まず健全財政根本方針を堅持することを明言いたしております。また所得税負担の適正化、公務員の俸給の改善、産業の開発促進のため、必要な資金の確保を強調いたしております。特に最後の点では、食糧事情は今や安定した状態になつたのに顧み、政府はすみやかに現行の主食の管理統制制度を撤廃する方針を決定したと言明いたしております。換言すれば、この補正予算の大前提として、米穀統制撤廃ということが当然予算編成にあたり考慮されたところでございます。しかるに本問題に関しましては、関係方面の反対によりまして、遂に無期延期の現状のままに本予算の採決が行われんといたしております。この大前提からいたしましても、われわれは本予算にまつこうから反対せざるを得ないのであります。  まず歳入について見まするのに、租税の自然増収の千五百六十八億円が本予算編成の根幹になつております。池田大蔵大臣がサンフランシスコ会議に渡米前には、歳出四百五十六億円、歳入八百億円を見込みまして、補正予算の編成を内定いたしておりましたが、旬日ならずして帰朝以来編成しました今回の補正予算におきましては、実に一千五百億円の増収を見込んでおります。この増収の見込みがはたして妥当であるかいなかはさておきまして、今後の経済基盤、なかんずく朝鮮動乱の動向と電力危機の影響に関しましては、ほとんど本補正予算には何ら考慮が払われていないと私は断言したいのであります。見積りもずさんであり、使途も官僚の安易なる事務的、総花主義であるということを、私はこの際強調したいのであります。税収の調整のためには、米価、電気料金、運賃、郵便、電信電話の値上げを考慮いたしまして、四百五億円の減税をやつております。この補正予算でわれわれが奇異に感ずることは、今や日本の独立達成を目睫にしまして、国際的な視野に立つた財政計画がほとんど見受けられないことでございます。先般締結されましたる日英支払協定の中には、日本の貿易業者があげて憂慮いたしておりまするドル條項が削除されております。この協定をそのまま推移すれば、日本からの輸出はなるほどスターリング圏に参るでありましようが、輸入はほとんど見込みがございません。従いましてポンドの過剰を来すことは必至であります。敗戰国なるがために、日英支払協定の締結にあたつては、政府はイギリスの言いなりになつたのであるかどうか、この点に対するはつきりした解明は、遂に本委員会を通じてなかつたのであります。  次は、東南アジアとの経済提携の問題であります。各大臣は口を割れば東南アジアの開発を申しておりまするが、これに対する徹底した予算措置もございません。先般関係方面の、特に名前は申し上げませんが、有力なる役人が、通産省、経済安定本部を数回歴訪いたしまして、何とか独立達成前に東南アジアとの経済提携問題を具体化すべく、委員会の結成を提唱したのでありまするが、その都度大臣は面会を拒否し、官僚はかかる委員会の結成が、はたして日本のためにはつきりしたプラスであるかいなかがわからぬという理由のもとに、この総司令部当局の好意もそのままになつて今日に及んでおります。インドは、まだ新聞にも発表されておりませんが、航海通商條約の締結をすでに数箇月前に申込んで参つております。しかるにアメリカとの通商航海條約が締結されないがために、せつかくインドから率先して、独立達成前にこの條約の準備を申し込んで来ておるのにもかかわらず、わが外務省当局は、アメリカに気がねしてか、遂にこの問題もそのままになつております。かかる通商航海條約等に必要なる予算その他の考慮が全然払われておりません。  次は資本蓄積と財政投資の問題でございます。対日援助の打切りによりまして、重点産業に対する一般金融機関の有力財源がお先まつ暗であることは、池田大蔵大臣御存じの通りでござ  います。大蔵大臣、安本長官は、本委員会の席上におきまして、生産上昇と言いながら、依然超均衡予算主義を押し通し、本来金融資金によつてまかなうべき外為特別会計その他を計上いたしております。企業の自己資金は、電力不足、あるいは朝鮮動乱の影響によりまして、資本蓄積が脆弱なる今日においては、絶望でございます。企業の濫費抑制は、ほかの政治的手段によつていくらでも方法がございます。この企業の危機に瀕した今日におきまして、法人税の引上げは、時宜に逆行するものでございまして、私は法人に対しましては、税法上の特典をあくまで認めるべきではないかと思うのであります。現在市中銀行の資金もオーバー・ローンの現状でございまして、その上法人税が三五%から四二%になることによりまして、金融市場の窮境はますます深刻になつて来ると思います。外為会計、食管会計は、本格的な財政投資に用うべきであるということは、わが党の委員がしばしば本委員会で言明した通りでございます。特に日本の経済自立のための当面焦眉の急は、動力源の確保、なかんずく電源の開発でございます。長期資金と財政投資の問題は、長期資金の給源として、積極的な外資導入、一般会計よりの資金供給、見返り資金、資金運用部等の活用、これらの問題がありますし、また運用配分の問題としましては、インフレの抑制、過剰投資の防止、重要産業に対する重点的な資金の供給、中小企業への資金供与、長期運転資金の問題、これらがございまするが、これらの問題に関しましても、本席上にはつきりした結論は出ておりません。財政投資か減税かの問題に関しましては、先ほど天野君が盛んに本補正予算を宣伝いたしておりましたが、私はこの補正予算からははつきりした結論が出ておらないという見解でございます。財政投資か民間投資かに関しましても、池田財政の方向ははつきりいたしておりません。補正予算の中から簡單に拾いましても、約七百億円が一般国民経済から資金として吸い上げられておるのが本予算でございます。特に国際通貨基金への加入資金、国際開発銀行への加入資金は、おそらく昭和二十四年度補正予算における引揚援護費と同様に使い切れないことは、大蔵省の事務当局も認めておるところでございます。このリザーヴされた部分の相当額を資金運用部、見返り資金より出しまして金融調整をやらなければ、政府財政のみ豊富な資金を持ちまして、一般金融梗塞はますます深刻になり、物価の値上りコストの引上げは必至の情勢でございます。  次に物価対策でございます。池田大蔵大臣はその財政演説の中におきまして、安定と能率と発展を強調いたしております。この三原則は、物価の安定がすべての大前提でございます。国際情勢に逆行いたしました米の統制撤廃を、もし予定通り実施すれば、米価の値上り、賃金はね返り、生産コストの引上げというインフレの大きな糸口をつくるはずでございます。この政府の政策が安定とおよそ矛盾する結果を来すような今回の補正予算に関しましては、私たちは徹底的に反対でございます。特に物価高の有力な原因でありまする電力不足に対する徹底的な解決策が織り込まれておらないことは、先ほど同僚中曽根委員より説明いたした通りでございます。  次に簡單予算項目従つて、われわれの立場を申し上げたいと思います。  まず第一は、糸価安定特別会計三十億円の新設でございます。この新設に対しましては、われわれはあえて反対いたしませんが、中曽根委員が申し上げましたごとく、繭価安定に対する特別な資金の新設がなかつたことは不適当でございます。  次は農林漁業資金融通特別会計でございます。なるほどこの特別会計は六十億円の増額になつておりまして、当初予算を加えまして会計百二十億円でございまするが、大蔵大臣も御存じの通り、約五十億円の不足を今年度内に来すことは、既定の事実でございます。  第三は、積雪寒冷單作地帯対策費でございます。二十億円を政府は計上いたしまして、全部土地改良に充てるやに拝聴いたしておりまするが、この金額だけでは不足でございます。この際申し上げたいことは、積雪寒冷單作地帯を取上げるならば、政府はすみやかに豪雨災害地帯に対しましても、特別なる措置を即時談ずべきであるということを申し上げたいのであります。  次は平和回復善後処理費であります。百億円が多過ぎることは、事務当局のほとんど一致した見解でございまして、三月までに使い切れないことは既定の事実でございます。しかも本予算に関しましては、政府当局より内容の説明はほとんどございません。  次は開発銀行でございます。当初予算百億円に加えまして、今回七十億円の出資増になつておりまするが、かつて復金が二年間に七百億円を融資した実績を見まして、その復興の成績にかんがみまして、この際われわれはいま百億はどうしても追加する必要があるのではないかということを考えるのでございます。  次は警察予備隊その他講和後の治安の問題でございます。この点に関しましては、大橋法務総裁より單なる事務的報告があつたのみでございます。日本の予算編成の歴史を見まして、当初予算百六十億円に対し、これと匹敵する百五十億円という追加予算を組んだ例は、あまりないのではないかと思います。これは今年度当初予算の編成にあたり、大橋担当大臣の無定見を暴露したものではないかと思います。一部にはあちらまかせの予算であるというようなことを言う人もございまするが、国民の血税をもつて厖大なる出費をする以上は、かかる情報には私たちは信用できないのでございます。百六十億の当初予算に百五十億を追加いたしまして、三百十億円という厖大なる予算を本年度に予備隊が使うわけでございまするが、この際総理以下、この予備隊の将来、特にその性格に関しましては、はつきりした方針を明示する必要があると思います。なかんずく明年の八月をもつて、現在の警察予備隊は任期が完了いたします。この任期完了後の新たなる予備隊の構想は、いかなる立場から検討されるでありましようか。今回の補正予算審議にあたり、何ら言明されておりません。見返り資金中の経済再建費七百五十四億円、昨年の補正予算から通算しまして九百億円に達する外為への繰入金が、一朝有事の際は予備隊その他、いわゆる準軍事費になるのじやないかというデマに対しまして、この際本委員会において政府の所信をわれわれ簡きたかつたのでございます。  次は給与ベースの問題でございます。給与べースに関しまして、人事院が去る八月に勧告した線をそのままのみましても、百二十億円でございます。あと四十六億円を一般会計で増せば、ほとんど全国の国家公務員がその堵に安んじて、講和達成後の重大なる国務を遂行する元気が出て来るわけでございますが、今回これだけの予算にとどまつたことは、われわれの遺憾とするところでございます。  次は文教費でございます。本委員会に文部大臣の出席を求めまして、本問題を追究する予定でございましたが、遂に出席がなかつたのであります。六・三制、なるほど一応形骸のみはできた町村はございまするが、まだ大半の町村は形骸のみにて、その内容設備に至つては言語道断であります。二部、三部教授をやつている地方も多数に見受けるのであります。給食の持つ社会政策的な意義、貧乏人の子供でも昼御飯は金持ちの子供と一緒に食べるという、この非常に有意義なる給食制度に関しましても、今年内に打切るというようなうわさも飛んでおるのでございまして、この点に関する政府の方針も、われわれははつきり知りたかつたのでございまするが、遂にその目的は達成されなかつたのでございます。  次は遺家族援護調査費一億円の問題でございまするが、われわれは即時戰争犠牲者の救済のために、遠慮なく多額の補正予算計上を期待しておつたのでございます。関係方面に対する遠慮から、わずか一億円の調査費にとどまつたのならば、これは政府当局の取越し苦労でございます。われわれは断固として銀座街頭からかつての白衣の勇姿のこじき姿を一掃する必要に迫られておるのであります。この全国百八十万の未亡人が、幼い子供をかかえてその日の生活に困つている姿は、おそらく池田大蔵大臣もしばしば見かけておられるところであろうと思います。かかる悲痛なる現実に対しまして、講和調印の終つた直後に、おそらく日本人の同胞愛からあたたかい補正予算が編成されることを期待したことは、あながち野党たる国民民主党だけではございません。全国のこの尊い戰争犠牲者の関係一千万人は、あげて政府の好意ある措置を期待したと思うのでございます。  次は災害の問題でございます。野田建設大臣は国会の重大なる審議を中絶いたしまして、被害地の視察をやつております。国会中、しかも建設大臣は国会を放棄して現地視察をしたにもかかわらず、この台風に対する予算は遂に本国会補正予算に間に合わなかつたのでございます。災害の復旧は急を要する、特に早いほど被害の跡始末が簡單であることは常識でございますが、この点に関しましての今後の政府財政的措置に関しまして、はつきりした言明を得ておらぬのでございます。  最後に地方財政平衡交付金の問題でございます。政府機関である地方財政委員会と大蔵当局の年々歳々のこの問題に対する相剋対立は、実に地方自治の前途に暗影を投げております。民主主義の基盤としての全国一万余の自治体をいかに育成するかは、講和独立後日本の政治家として最も真剣に考慮すべき重大問題であります。先ほど中曽根委員も申し上げました通り、この問題が深刻になりまして、町村長の犠牲者その他幾多の悲惨な事例が起りつつあることは、賢明なる政府当局の御承知の通りであります。しかしながら昭和二十四年度に政府は強引に当時の配付税を半減いたしまして、地方自治体に国家財政のしわを寄せたというあの悲惨なる思い出が、全国自治体にいまなおなまなましく残つております。従いまして、よほどこの際政府は思い切つて、この地方財政のがんであります平衡交付金の一定のわくの増額に対しまして、良心的な態度を示さない限り、せつかく軌道に乗りました地方自治の前途は暗澹たるものがございます。マツカーサー元帥からリツジウエイ大将に至る間、占領政策が幾たびか時の流れとともに変転している中にありまして、地方自治に対する占領政策が終始一貫微動だもいたしていないことは、地方自治に対する関係方面の関心の深さを示すとともに、われわれ日本人といたしましても、尊い犠牲の上に打立てましたこの新しいデモクラシーの基盤である地方自治は徹底的に守るべきでございますが、この点に関しましては、遺憾ながらなお平衡交付金の増額百億と、起債の増額五十億に対しましては、何らの結論を得ないままで本委員会は終ろうといたしております。  最後に申し上げたいことは、最初にも申し上げましたが、本予算編成の一つの根幹となつておりました食糧統制撤廃で、最も気の毒に思われたのが、そこにおられます根本農林大臣であります。かつて自由党の政調会長時代には、自由党内で政策の権威者として知られました、その根本氏が、今回農林大臣として徹底的に見通しを誤り、その施策が中絶いたしましたことは、本予算が再び政府の手によつて即時組みかえる必要を示すものでございます。元来ならば、かかる重要問題で、特に補正予算編成の根幹になつた食糧統制撤廃問題で失敗したならば、中曽根委員が致命傷を受けるであろうと申し上げましたが、私は憲政の常識としては、当然総辞職いたしまして、天下にその責めをわびるべきであると信ずるのでございます。以上、いろいろな点から申し上げましたが、私は本補正予算に対しまして、徹底的に反対の意思を表明した次第でございます。(拍手
  61. 小坂善太郎

    小坂委員長 戸叶里子君。
  62. 戸叶里子

    戸叶委員 私は社会党を代表して、ただいま議題になつております昭和二十六年度三補正予算案に反対し、かつこれの組みかえを要求するものでございます、その理由を述べるに先だつて、私は一言今回の予算審議にあたつての不満を申し述べたいと思うのであります。  予算といえば国民の生活に最も深い関係を持つものであり。従つてその審議にあたつては慎重を期さなければなりません。しかるに昨日与党は多数を頼み、急遽質疑打切り動議を出し、野党質問を封じたのであります。昨日米の統制撤廃に関して、政府はいまだ関係方面と交渉中であり、それが実施せられるかどうかもわからず、また行政機構の改革と行政整理とは密接な関係にあるのに、それを無視して、首切りの方のみ実施せんとする矛盾等等、幾多の納得の行かない点があるにもかかわらず、野党発言を封じてしまつた。この非民主的な運営は、国民一般の不信を招き、さらに委員会権威を傷つけるものであります。(拍手)この点から見ただけでも、政府並びに与党は、この予算の通過を望む資格なしといわざるを得ません。さらにその内容を検討してみましたときに、大蔵大臣は、今回の補正予算経済基盤の充実と、国民生活の安定をはかることを目的として編成されたと言われておりますが、その意図せられておるところとはおよそ反対であり、少しも国民生活が安定するとは見受けられないのであります。以下その理由を述べます。  池田財政に一貫して流れております思想は、楽観的な古ぼけた自由経済の思想であり、国際的な緊迫と国内的な窮迫の経済打開に必要なる計画性が欠けている点であります。自由党の選挙公約を果さなければならないという熱意はわかるのでありますが、現下の経済は冷厳なる現実の基礎の上に立つた堅実な計画経済でなければなりません。  二十六年度補正予算においては、歳出千三百六十二億円に対して、歳入千七百六十七億円の増加となつております。そのうち法人税及び源泉所得税の千五百億円は、池田蔵相の言によれば自然増収によるものと言われております。この自然増収の内容を吟味すると、インフレーシヨンによる物価騰貴の結果でありまして、実質的に国民所得が増大したとは考えられません。池田蔵相は四百億の減税を断行すると言つておられますが、八月以降電気三割、米二割、食塩一・九割、十一月より運賃が旅客二・五割、貨物運賃が三割、郵便料金はがきあるいはガス、水道おのおの二割等の値上りによつて、国民はすでに日常生活において非常な重圧を受けております。この重圧を少しでも緩和するために、その減税を勤労階級のために振り向けるといたしましても、おそらくはその程度の減税によつては、勤労所得者の負担を軽減する結果にはならないでありましよう。しかも大蔵大臣は、来年度の減税をにおわせておられますが、現在のような不健全な経済政策が続く限り、手放しの楽観論に国民が期待を持つことはできません。   一方歳出の面を見ますと、国内自衛の軍事的強化と見られる警察予備隊費百五十億円が計上せられておりますが、この中には装備費として器材の費用に充てられている百億円は、当然国民生活の安定へ振り向けられるべきであり、また国民のとうとい税金によつて政府の輸入政策の貧困をカバーせんとする外国為替特別会計への繰入れ三百億円、あるいは慎重な検討をした上で、次の予算において考えてもよいような急を要せざる国際通貨基金、開発銀行出資二百億円、経済再建費七百五十億円を動員するといたしましたならば、ここに千三百五十億円の財源は浮いて来るのでありまして、政府は民政の安定に振り向けるべき財源難に苦しむ必要はないと思うのであります。  特に私たちがここで歳出面で強調したいことは、国民生活の安定のために必要な社会保障関係の諸経費に対する問題であります。欧州各国を先般視察して参りましたが、イギリス、フランス等は戰争の幻影におびえながらも、生活擁護のための社会保障費を捻出するために、良識ある政治家たちが苦闘を続けている姿をまのあたりに見ることができました。しかるに今回敗戰後の日本においては、税金を納めることのできないような貧しい人々が国民の三割六分、三千万人もいる状態で、国民の多数は生活にあえいでおります。これらの人々に対して社会保障費の増額により、国民生活の安定を期さなければなりません。わが国の社会保障費たるや二十六年度予算において総額の七・五%にすぎず、英国の社会保障費と比較するとその三分の一程度であります。これをもつてしても社会保障費の増額が絶対に必要とされます。しかるにこの補正予算におきましては、社会保障費と思われるものにおきましては住宅金融公庫三十億円、給与改訂七十三億円、失業保険費十四億二千万円等がおもなるもので、あと結核対策費、社会保険費等、わずかに計上されている程度で、その総額は微々たるものであります、給与改訂にいたしましても、蔵相は人事院の勧告一万一千二百六十三円ベースを無視して、わずか千五百円のべース・アツプでほおかむりしようとしておりますが、これは公務員の生活を蹂躙するものとしか思われません。現在專売公社の人たちが寒空のもとで、生きんがために死にもの狂いのハンストをやつておりますが、九月現在公務員の基準賃金八千三百四十円に対し、専売職員は七千九百円という最低の線におります。專売公社は独立採算的に見てもほとんど一千億以上の増収を上げております。事業成績の上つております專売公社の職員に対し、国鉄裁定の実施と同様、専売裁定を認めるべきであります。  今回の補正予算の中におきまして、遺家族等援護調査費として一億円の予算が計上せられております。これは單に戰没者遺家族及び戰傷病者等の援護を行うための準備調査に必要な経費でありまして、戰後六年もの間苦しんで来た人々に対する積極的な援助まで及ばないのであります。この人たちを長い間の苦しみから救い、新生活のできるようにその費用を計上しなかつたことは、政府の上すべりな手ぬるいやり方としか思われません。この人たちの中にも多くの要保護者がおるでありましようし、また物価の高騰に伴いその数は増加し、生活保護費の増額も当然必要と思われますが、今回の補正予算にその誠意の片鱗も見られないのは、了解に苦しむものであります。  また地方自治の確立という面から考えてみまして、平衡交付金百億円に加えて、少くともさらに百億円の増額は当然必要であります。平衡交付金は全国知事会議におきまして五百億円の要求があつたにもかかわらず、その五分の一の百億円に打切られており、これではそのわく内において解決されなければならない諸問題、六・三制の問題、地方公務員の待遇改善の問題等々、いずれも放任せられてしまうのであります。ことに今回計上せられた百億円の平衡交付金の中には、府県の分としては用いられても、市町村の分は計上せられていないのでありまして、大蔵大臣の言われますように、その分配は地財委にまかせてあるとの御答弁をそのまま受入れるといたしますならば、地財委の勧告通り、当然百億円より二百億円の組みかえを要するのであります。  冬の訪れとともに重要産業の能率を低下し、われわれの家庭を暗くするものの一つは電力飢饉であります。いつになつたら私どもは明るい冬を迎え、電力不足による産業能率の低下を防ぐことができましようか。これひとえに政府の電源開発に対する不誠意によるものであります。電力不足から日本の産業を全面的な麻痺状態に陥れておりますが、その根源をなす電源開発等の問題に対し、重点的に政府資金が投入されていないということは、自国産業の発展に対して政府の誠意のないことを物語るものであります。その意味においても、さきに述べたように、海外に対する出資及び急を要せざる投資をあとまわしにしても、国内産業開発の原動力たる電源開発に、これを集中的に振り向けるべきであります。以上の点を考えてみましても、当然この補正予算は組みかえられなければなりませんが、さらに私はもう一つ大切な点を最後に強調したいのであります。  補正予算審議始まつて以来、米の統制撤廃問題をめぐつて、はげしい論議が続けられましたが、政府国会の警告、輿論の反対に少しも耳をかさず、最近に至つて、ドツジ氏の警告に自信を失い、明確な態度と具体的方策を示さなくなり、しこうして今日は急に撤廃することの困難にぶつかつたのであります。何という信念のない、計画性のない、無責任態度でありましようか。生産農民も消費者も、いずれも今後の農業政策に対して、非常に不信を抱いでおります。かかる無能さをもつて講和後独立国家の自立的政治を行う担当者としての資格があるのでありましようか。食糧政策の中において、特に国民全体に不快な悪印象を与えたのは、池田大蔵大臣の言動であります。蔵相は、持てる者は米を食い、貧乏人は麦を食べよ、大臣も貧乏人も同じものを同じ量だけ食べようとするから、間違つていると、たびたび言われましたが、問題はかかる事実のあるなしよりも、かかる社会的矛盾を当然であるとして、正当化しようとするものの考え方であります。社会的矛盾や悲劇を現実の事実として、これを率直に認める場合にも、これをよしとして正当化する考え方は、反動的なものの考え方で、国民はこの冷酷な政治的態度に対して戰慄を感ずるでありましよう。(拍手)大衆に対して愛情を持たない、冷たい政治的施策に対しては、大衆はこれを納得しないでありましよう大蔵大臣は自分の言動はあたりまえのことを言つているのだと強引に押し切ろうとしておられますが、愛情を欠いた政治は、やがて大衆の怒りの前に粉砕されることは必至であります。この補正予算を見ると、池田大蔵大臣のヒユーマニズムに欠けた、冷たい政治性格がそのまま浸透しております。従つて私は補正予算の全面的組みかえを要求して、私の反対討論にかえたいと思うのであります。(拍手
  63. 小坂善太郎

  64. 横田甚太郎

    ○横田委員 われわれの期待は裏切られた。多数講和審議のために召集された国会に提出された自由党の政策の内容は、何もなかつた。従つて申訳がないので、ここでやじつて騒ぐだけが国民への申訳であつた。現に今日の予算審議の例から見たところが、それを明らかに立証しておるのであります。野党最後に申し入れましたところの、総理にもう一回来てもらつて総括的な質問をしたい、二番目は、定員法に関し、内閣委員会と合同の審査をしたい、第三に、給与法が上程れさておるのでありますが、給与法の問題を解決をつけたい、米の問題、供出の問題については答弁があいまいである、これをもつとはつきりすべきであるということを要求したのであります。米の問題は今日は解決ついておるけれども、昨夜は解決がついておらなかつた。このついておらないところをごまかすために、無理やりに暴力的に打切つた結果が、きようの混乱を招いたのであります。特に平衡交付金をたくさん出してもらわなければならないというのが、地方財委の要求であり、これがために全国の市町村の責任者がこぞつて国会要求し、自由党さえもこれを認めいれざるを得ないのであります。これをわれわれが要求した。これの審議を今日やられては困る。と打切つた。それがためにきようこんなに混乱させた。結果から見ればどうなんだ。きよう一日総理を呼んで質問させたところで、それがどうして時間的にずれがあるのだろうか。それをやれないところに自由党の貧困な政策があるのだ。ここで自由党諸君に特に申したいのは、自由党のこの貧困な政策に対しまして、野党各派が根掘り葉掘り質問し、自由党の政策の貧困な大臣諸公が答弁に困つて、そして窮地に陥つたところが、うしろにはドツジ氏がおられるし、ダレス氏がおるし、トルーマンは━━━━━━━━として待つておるのである。アメリカの考えとしては自由党政権は見放さないのだから、安心してやらせるべきだ。そうであるにもかかわらず、こんなにあわてふためいて打切るところに、自由党のあせりがあるということを、われわれははつきりと知つたのであります。  占領下の日本の国政には日本を憂うるところの何ものもない。敗戰下、きのうがあつて、あすがない日本は、非常に暗黒な形におけるところの政治の中にあえいでおります。日本の政府の政策は、━━━━━━にのみ終始し、アメリカの━━━━━━━━━日本を貧困化し、暮しに困つた日本の国民を、男女ともにアメリカの━━━━にのみしようとしておるのであります。その例として女は━━━━であり、男は警察予備隊と名づけられ、予備隊という名でありながら、警察より苛酷な━━━━を受け、━━━━━━━━━━━━━━━━━、そのための準備のみが、アメリカの今度の政策であります。特に和解と信頼と賠償のない講和だと言つたところの、その多数講和の結果はどうであつたか。そういうことを言つたダレスさんは、日本ではない、アメリカの統治しておつた比島において、おのれの肖像を焼かれてしまつた。その結果として比島から勘定書がつきつけられた。その勘定書は、東南亜全部合せまして六兆七千億ときめつけられている。これではお先まつ暗になつてしまつた。講和はまつたく講和ではなかつた。講和は世界各国との国交の回復であるにもかかわらず、事実においては回復でないということが言われるのであります。現に米の統制撤廃問題に対して、自由党の農林大臣は農林省の役人を全部集めて、りつぱに立てたところの自由党政府の政策であり、この米が日本の米でありながら、日本の政府がかつてにできないという売国性は、これを明らかに立証しておるのであります。その売国講和、これこそが一言にいうところの事実でございます。町には三百二十五号違反という罪名が多くて、これによるときには、常に人民の家は侵入され、日本人民の人権は剥奪せられるのであります、国政にはまつたく自主権がない。経済的な圧迫は実にひどいものである。それさえもごまかそうとしておる。  ここに簡單な事実があります。これは新大阪新聞に出た事実でありまして、アメリカよりタクシーがたくさん日本に入つて来る。こういう形で経済的に━━して行くのであります。近く日本で最初の外人経営タクシーが東京の町々を流すことになつた。この社はアメリカの資本会社であつて、自動車は去る二十一日北米定期航路浅香山丸がニユーヨークから三十台積込み、横浜に陸揚げした。この値段はアメリカの金にして二百六十ドルである。これは日本で修繕すれば二十万円かかる。そういたしますと、二百六十ドルは九万三千円であり、日本の修繕費二十万円を入れまして、これで二十九万三千円になる。こういうふうな中古車がどんどん入つて来る。この車はそのまま自動車の形で積む必要がない。アメリカの使い古しの古であるがために、これを縦に績んで持つて来て、日本のタクシー業者を圧迫しようとしておる。しかも最後の言いぐさが振るつてる。「車より一足先に日本に飛来した同社マツクス・ビユーゲル社長は、この次の船便では約百台送りたい、アメリカで二百六十ドルも出せばりつばな中古車があり、日本での改修も一台二十万円もあれば済む、どうせ中古車だから車を縦に積んで満載するほど送りたい、と語つている。」これはこんな形において入りて来たならば、日本の自動車産業とその経営がどうなるかということを考えていただきたいのであります。こういう形において圧迫しておる。減税々々と言つたところが一体何だ。減税は世界に逆行すると言つて池田蔵相がしかられたのだ。池田蔵相は、ドツジ氏は銀行家である。おれは政治家だと言つたところが、米の問題において銀行家のドツジ氏に一本やつつけられて、いまだに何とも言えないという事実が、大臣はいかにアメリカ・ドルの━であつたかということがはつきりわかるのであります。  それからこの現状を打破するためには、われわれは真剣な質疑をやらなければならないのです。そうしてわれわれは予算審議するところの心構えをはつきりしなければならないのであります。ところがその予算審議する心構えが、はつきりしておらない。どういうところがはつきりしておらないかといえば、われわれは戰前の盛んであつたときの日本を例にとりまして、それまでの日本の生産が上つたということが、唯一の原因であり、池田蔵相の数字は、全部そこから出ておるのであります。ところが考えていただきたいのは、負けた日本がアメリカ軍の占領下に長い間あえいでいるときにおいて、世界は大発展をしておるのであります。特に中国とソビエトの発展はものすごく、ドルの王者アメリカは、これがために原子爆弾をこしらえて、何十万人くらい人を殺すかということに汲汲としておるのであります。この世界現勢下で日本が戰前の水準に回復したところが、それさえも近代国家としては役に立たないボロ日本であります。従いまして、日本が戰争以前の生産数字を凌駕するところのものを常に論点の中心にし、それを実現するために政策を向けなくてはならないにもかかわらず、つぶれた日本が悪かつたときよりかよくなつたというような、数字をもてあそぶような池田大蔵大臣は、もう一度数学学校に入つて、数字の扱いを根本的に頭からやり直すべきであるということを言いたいのであります。(笑声)それから自由党は、特にこの予算審議に際しまして、聞くにもたえない自由ということを口にしました。その自由とま一体何だ、米を自由にするといつたところが、この間の審議からもはつきりわかつているように、ならなかつた事実から、これにけちをつけようとはしませんが、しかしながら自由党の池田蔵相は、確かに米と石油だけが自由でないということを言われたのであります。ところがわれわれがはつきりと言いたいのは、もし自由党が真に自由だということを言うのであるならば、労働者の給与ベースをどうして撤廃しないのか。日本の労働階級は最低賃金制を要求しているのであります。日本の農民も最低米価の支持制度、最低麦価の支持制度を要求しておるのであります。ところが政府は値打ちのあるものを高く売つてはいけないというところのパリテイによるところの低米価を要求し、これを強要しているのであります。賃金もこれでは食つて行けないという人々に対しては、ストライキはやつてはいけないといつて、日本の勢力で押えられなかつたときに、アメリカのタンクをもつてこれを押えさした例があるのでありますが、最低賃金を要求するところの日本の労働者に対して、真に自由ということを唱えるところの勇気があるのであるならば、どうして自由党政府は労働者を困惑に導き、日本を混乱に導くところの給与ベースのインチキ計算をやめさせないのか、労働者の争議の自由をどうして認めないのか、ここに自由党の自由でないところの不自由さがあるのであります。特に中小企業に対して金を貸す貸すといつたところが、中小企業は金を借りられないで困つておる。こういう金融引締めをうんとやつておきながらも、これをさえも忘れたかのごとくにごまかしている。米の問題で自由、そして石油さえ放せばすべて自由だというような、このような自由は実にばかげ切つたことであるということが言われるのであります。それから貿易の問題でもそうであります。日本はアメリカのおかげで東南亜からいろいろの物を買い、そうして向うに売出させるというけれども、硫安の問題は農林委員会の大問題であり、自由党の農林委員さえが、肥料問題で吉田政権を、これは蒋政権につながる売国政権だといつた記録があるのであります。その例から見ますれば、台湾に硫安を出す。石灰窒素を出す、その結果として何を入れているのだろう。これは二十六年十月十二日の新大阪新聞の記事であります。台湾からバナナ五十万ドルを買うておる、これは一・四半期のできごとであります。これを簡單に要約いたしますと、「近ごろくだもの屋の店先や高級料理店で盛んに求められているバナナは全部台湾からの輸入で、日本のドル不足が問題になつている折柄、第二・四半期中(七—九月)にバナナ買入れに約五十万ドルが使われたことがこのほど明らかになり、これはぜいたくなドルの浪費だと非難されている。五十万ドルといえば、先ごろ識和会議出席のため渡米した全権団一の費用がしめて五十万ドル、本年の冬季オリンピツク大会への選手派遣費用が三十万ドル、また近く来訪するアメリカプロ野球の招待費九万ドルに比べると、バナナのお金もばかにはできない。五十万ドルで輸入したバナナは約二千五百万本と計算されており、今後もこの程度の輸入が予定されているが、外貨節約の立場から、一部ぜいたく階級が食べるだけの不要不急の輸入はなるべく見合したい。………バナナ輸入に対する反省が高まつて来た。但しバナナの輸入は簡單に契約でき、またもうけもボロい、そこで中小の貿易業者が競つて輸入契約を取結び、それにかなりの密輸入もまじつて、一番手取早い貿易品目となつており、簡單にはとめがたい、また台湾との貿易協定正もあつてバナナにかわる品物を輸入しない限りは、バナナ輸入を押えるわけは行きそうもない。」  ここにいうところの貿易協定というものをはつきり覚えておいていただきたい。これで無理に買わせられるのだ。「大阪、神戸あたりのくだもの卸商などが、期初めにはバナナの輸入外貨を申請して為替銀行の窓口に列をなすという現状である。」バナナの事実をあげたのは自由党にはお笑いぐさかもしれませんが、硫安をなぜ出すのだ、石灰窒素をなぜ出すのだ、これを出したら日本の農村が困るではないかという論争が、衆議院の農林委員会、参議院農林委員会の中心課題であります。そうしたときに、日本では米が足りないから東南アジアから米を買うんだ、小麦を買うんだと言つてだましてこの硫安を出しているのではないか。それに対してこの日本の硫安で日本人の食う米が入らないで、バナナが入つてこれでごまかされている。この一つの形から見ても日米経済協力下のこの貿易は実にインチキであつて、こんな條件のもとに日本がゆたかになるということは、あきれ果てたことであるということが言われるのであります。  こういうふうに国内の貧困は——貿易のあり方、内政のあり方は、日本の国内を貧乏にするという━━━━━━━━であります。日本に食糧がないとか、土地が狭いとかいうけれども、日本を開発すれば十分なる土地かあり、十分なる食糧がとれるのであります。それに対する努力が少しもないのであります。ただ池田蔵相が今次の予算説明において何回も申しました、非常に生産が盛んになり、特需のために税金かふえた、こういうふうに言いますが、ふえたのは困つた殺人産業かふえたのであつて、国内の開発は━━━━━━━のための軍事生産の下請工場、殺人兵器の生産のみであつて、これを裏づけさせるための日本国民の━━━━━━経済的條件を整えただけが、政治と経済のやり方であつたということが言われるのであります。これがために日本を貧乏にしようとしているのであります。それから特にわれわれは予算審議においてもつと時間をいただいて、そうして十分に審議をしたがつたというのは、これは池田大蔵大臣自身が言われたように、日本の官庁には非常に白いありがおり、これが予算のむだ使いをしている、地方の自治体は腐敗している、こういうことをはつきり言われたのであります。これにあわてふためいて、民主主義の中に日本人をおつぱなしたなれば、これは困る、道徳の基準がなくなるというので、はやらなくなつた天皇をかつぎ出して、道徳の中心は天皇であるというようなことを言われ出した、はやらない前世紀的な哲人文相がいるのであります。この文相が給食費はどうしてもとらねばならぬと言つておりながら、その給食費を要求し、やつととれたと思つているときに、給食品目であるところの豆をごまかし、金をごまかし、量もごまかしたところの悪徳官吏が、この哲人文相の監督下にすわつておつたというところの事実があるのであります。町におきましては、公用族が徘徊し、社用族が徘徊し、衆議院の行政監察委員会は大にぎわいであつて、篠田君は大奮闘であります。これは自由党の党員であるということを特にはつきりと御記憶を願いたいのであります。自由党さえが不正を云々しなければならないところの日本のこの現状は、一体何であるかということを考えていただきたいのです。今までアメリカが世界に親交を求めるところのものは、国を売る政治家のおるところであつて、六十億ドルの金をアメリカの命ずるままに使わずに、自国を自由に、自国民を解放しようとする中共共産軍を断圧するような蒋介石、あの腐敗した名うての売国奴のいる政権、であるにもかかわらず日本においては、吉田自由党政権は綱紀の粛正まで叫んだこともあるのだから、これは少しは正しいだろうと思つてつたのてすが、以上あけましたこの事実で、蒋介石に劣らず、李承晩につながるところの腐敗ぶりには実にりつぱな日本の自由党政権が台頭したことは、アメリカの政治家も非常に御満足であろうと私は感じております。  それから最後に特に申し上げますのは、非常に矛盾した政策の一端が、この事実に現われております。大橋法務総裁が政治的に好まない連中を再び日本の政治舞台に出して来たその反面、戰後において日本民主化のためにがんばつた、日本の民主主義の最も純正なるところの共産党の指導者を追放した事実があるのであります。そして追放したにもかかわらず、政府はどうしてもつかまえられない。これで自由党さえがあわてふためいている。よく世相をえぐつたところの雑誌を見ますと、表の政権の王者は自由党内閣、ワンマン総理であるにもかかわらず、土の中には徳田球一が現われている。裏の世界に徳田球一が現われている。これは朝日新聞、毎日新聞にさえ漫画になつて出ておる世相を調刺した有力な、代表的な日本の真相であります。これをつかまえなければならないというので、あせつた政府が十万円の金を出して探したが、つかまらない。百万円に上げてみたところがつかまらない。これではいけないというので、警察予備隊をこしらえ、治安立法をこしらえて、これでもいけないというので、治安費百五十億をでつち上げ、今度こそはと騒いでいるけれども、いまだにつかまえられない。ここで政府にはつきりと警告をしておきますが、共産党の政策は人民の要求であります。徳田、野坂のつかまらないのは、金と飛行機が足りないからではなしに、政府の政策が反国民的であり、売国的であつて、国民が協力しないからつかまらないということを、はつきり御記憶を願いたいのであります。日本の政治がアメリカの政治であり、アメリカが日本をアメリカ化そうとする政治であるがために、ますます自由党は苦しい立場に追い込まれるでありましよう。このときに臨みまして、自由党は間接防衛、これは内の危険を除くためだ、また外からのややこしいやつに対する直接防衛だ、こういうことを唱えている。このために講和というものを出して来た。これで国民をだまかして、この條約を義議させるために今われわれを集めて  いる。審議の事実から見ると、アメリカの国防の中に━━━━━━━━━━━しまつただけで、決して政府自身で日本共産党弾圧ができるものではないのであります。ここでわれわれは政府に対して、この予算編成が非常に間違つているということを、この治安の一事から考えまして、最後結論したいのであります。共産党は決して人民から離れたところの政策をやつているのではない。人民の要求によつてつているものであつて、言うまでもなく、われわれは弾圧に対して屈服するものではない。それであるがために、日本共産党を弾圧し、迫害しようとしてもそれは徒労に終つておる。ただ警察予備隊で整理がつかずに、講和條約でだまして、安全保障條約のもとにアメリカ軍を長く日本にとどめて、それのみでなくアメリカから軍隊を持つて来て、原子爆弾を背負わして、日本全体を朝鮮の二の舞にさせようとするようなこの政策の破綻、それはこの補正予算自由党が多数をもつて押し切り、これを実行する過程においてはつきりと現われて来る事実であります。  この点をはつきりいたしまして、私は今度提出されました補正予算に共産党を代表いたしまして、絶対に反対するものであります。
  65. 小坂善太郎

    小坂委員長 ただいまの横田君の発言中、もし不穏当の言辞がありますれば、速記録を取調べました上、適当の措置をとります。——成田知巳君。
  66. 成田知巳

    ○成田委員 私はただいま上程になつております三補正予算案に対して、日本社会党を代表して全面的にこれの組みかえを要求し、一括反対の討論を試みるものであります。  まず第一に指摘したいことは、政府がいかに強弁いたしましても、吉田内閣の公約である米麦統制撤廃は、世論の圧力のもとに遂にたな上げとなり、不可能となりました。本補正予算作成の一つの大きな前提がくずれ去つたわけであります。吉田内閣の公約、重要政策の一つであるこの米麦の統制撤廃が不可能になりました以上、吉田内閣は議会政治の常道からいつて、当然国会を解散するか、あるいは総辞職を行うのが当然だと考えます。これを一歩譲りましても、予算編成の前提がくずれ去つた以上、当然予算の全面的組みかえを行つて国会の承認を求めるのが当然であります。にもかかわらず、依然として本予算案を通さんとする政府並びに自由党諸君態度こそは、国会予算審議権を冒涜し、ひいては国民を愚弄するもはなはだしいものであります。これが反対の第一点であります。  次に、窮迫せる地方財政を救済するために、私たち野党は地方財政平衡交付金の増額をすべしと強硬に主張して参つたのでありますが、この私たちの正論に対しまして、さすがの自由党諸君も遂に屈服し、明日地方財政平衡交付金増額決議案が自由党が参加して上程されるときになつているのでありますが、明日を控えて今日本予算案を強行通過さそうとすることは、矛盾撞着もはなはだしいのでありまして、もし自由党諸君が本予算案賛成するならば、決議案には男らしく反対すべきであります。決議案に賛成するならば、本予算案に反対し、予算の全面的組みかえを要求すべきであります。本予算案に反対せずして、決議案にのみ賛成するというのは、まつたく国民を愚弄し、国民を欺くものであります。これが反対の第二点であります。  次に、本予算案の内容を検討いたしますと、一般会計補正予算総額は一千三百六十三億円に上り、当初予算の六千五百七十四億円を合算すれば、実に八千億円になんなんとするまさに戰後最大の財政規模を示しております。しかしてこの補正予算案の規模を決定するものは、申すまでもなく租税収入、特に法人税と源泉徴収の所得税の自然増でありまして、政府は所得税五百二十五億円、法人税八百五十五億円等、計千五百六十八億円の自然増を見込んでおります。法人税の増収は大銀行とか、大紡績会社、特需関係の大軍需会社の高利潤を示すものであり、一方申告所得税の不振は、中小企業、農民の苦悩を端的に表明しておるものであります。しかるに政府は今回の法人税法の改正にあたりまして、高利潤に潤う大会社も、金詰まりと売れ行き不振に悩んでおる中小企業も十ぱ一からげにしまして、一律に七%の税率引上げを行い、特需景気を謳歌するところの大会社の超過利得に対しては、これが吸収のために何らの措置を講じていないのであります。また一般勤労者に対する減税も、まつたく微温的、申訳的なものであります。にもかかわらず政府は性懲りもなく、またまた四百五億円減税の宣伝を行つておりますが、この減税たるや一千五百六十八億円の自然増をかつてに見込んで、内四百五億円を減税するという、いわゆる税法上の減税、名目上の減税でありまして、実質的には水増し課税による増税以外の何ものでもありません。これをたとえますと、右のポケツトに四百五億円を入れてくれ、左のポケツトから千五百六十八億円を引出されたのと同じであります。しかしてこの犠牲をこうむるものは特需に潤うところの大会社ではもちろんなく、源泉徴収される勤労者あるいは中小企業、農民に負担が転嫁されることは、法人税法、所得税法の今回の改正内容を見れば明らかであります。吉田内閣の手によりまして運賃は上りました。郵便料金も電力代もガス、水道代、米代等すべて国民の生活必需物資は上るばかりであります。ただ一つ吉田内閣の手によつてつたのは何かといえば、国民の生活水準であります。このようにして一般勤労大衆は、人間らしい生活というよりは、動物的な生存の域にまで追いやられているのであります。かくのごとき政策を強行するならば、社会不安はその幅において、その深さにおいてますます拡大の一途をたどるでありましよう。これに対しまして吉田内閣は、警標予備隊、国家地方警察の増強と、ゼネスト禁止法、労働、三法の改悪、団体等規正法等の一連の反動立法の制定により、ただ弾圧の手段によつてのみ対処せんとしているのであります。このことは、ちようど火の用心を怠り、みずから火事になりやすい危険な状態をつくつておきながら、消防ポンプの用意に忙しいのと同じでありまして、問題の根本的解決は、火事の起きないような状態、すなわち国民生活の安定をはかる以外には断じてございません。この大衆負担の形でまかなわれました財政収入を政府はいかなる方向に使おうとしておるか、ここにまた問題が伏在しております。今回の補正予算案におきまして、警察予備隊費百五十億円、国家地方警察費三十六億円、海上保安隊費一億七千万円、計百八十七億円が追加計上されておりまして、これに終戰処理費を入れますならば、本年度の治安関係費は一千四百六十九億円となり、総予算額に対して実に二〇%に達するのであります。さらにまた潜在的な治安関係費とみなされる見返り資金からの経済再建費七百五十四億円、昨年度の補正予算から通算すれば九百億円に達するところの外国為替特別会計への繰入金を合算いたしますと、治安関係費と見られる額は三千億円を越え、歳出総額の四〇%に達するのであります。  一方社会保障費、教育関係費の予算総額は、総予算に対して一〇%程度にすぎない。これでは憲法の規定する文化国家云々という文字は、どこか遠い外国のこととしか思えないのでありまして、わが国の憲法においては、むしろ警察国家再現のためと規定した方が正しいと思うのであります。吉田内閣の再軍備に連なる警察国家再現の政策は、公務員の給与べースの引上げ、あるいは無謀な行政整理に端的に現われております。政府財政上の理由を口実にして、国家公務員の給与引上げは、人事院勧告一万一千二百六十三円を完全に無視して、千五百円程度のベース・アツプにとどめ、また地方公務員の給与に対しましては、地方財政平衡交付金増額要求を無視いたしまして、わずか百億円の増額にとどめております。かくして地方公務員はその既得権さえも侵害されまして、千五百円をさえはるかに下まわるところのベース・アツプを押しつけられようといたしております。さらにまた政府は行政整理の当然前提でなければならないところの行政機構の改革は、これを明年度にまわして、首切りの方だけは勇敢に一方的に断行せんとしております。  政府財政上云々といいますが、今回の予算案を見まするに、当然日銀借入金でまかなうべきところの食管特別会計への百億円、外為特別会計への三百億円、計四百億円の一般会計よりの繰入れが行われております。さらにまた本年度使う目途のないところの国際通貨基金出資二百億円、平和回復善後処理費百億円の、いわゆるリザーブ・フアンドをポケツトいたしておるのでありまして、決して財源がないのではございません。財源は十分ありますが、この金を治安関係費、再軍備費に充てるために、給与引上げをサボリ、首切りを強行せんとしているのであります。公務員に低賃金を押しつけ、公務員の首切りを強行してこれを街頭にほうり出し、生活が苦しいならば警察予備隊に行けというのが、まさに政府のねらいでありまして、労働予備軍という言葉がありますが、労働予備軍ならずして、警察予備軍、戰争予備隊をつくり、再軍備に備えんとしているのであります。  最後に私たちが見のがしてならないことは、この予算案には講和関係諸経費は、平和回復善後処理費等ごく一部が頭を出しているのでありまして、日米安全保障條約に基く米軍駐留費の負担額、あるいはまた従来米国の恩恵による贈与のごとく宣伝し、国民を欺瞞して来ました二十億ドルを越えるところの対日援助費の返済額、さらにはまた巨額の賠償金額等少くとも毎年三千億円に達するといわれている講和関係諸経費が本予算案には計上されておりません。  今回の講和を和解と信頼の講和と称し、史上まれに見る寛大な講和と宣伝し、私たちの反対を押し切つてまで承認した吉田自由党内閣は、今後この困難な問題に対して責任を持つていかに対処されんとしておるのでありましようか。自由党のみならず、講和条約に賛成した諸君は、本問題につき共同責任があることは申すまでもありません。和解と信頼の講和が、日米経済に苦難といばらの道を与えんとしていることは、まことに皮肉な現象であります。吉田内閣がこの問題解決のために妙手を持つているとはだれも考えません。吉田内閣の打つ手はただ一つ、増税とインフレ政策により、勤労大衆の負担と犠牲において解決せんとすることは明らかな事実であります。  私たちは以上の見地に立ちまして、單独講和、安全保障條約の申し子でありますところの国家警察化の本予算案、再軍備準戰時体制を志向する本予算案に対しまして、この道はいつか来た道、すなわち満州事変を契機として一度歩み来つた戰争への道に連なるものであるということを指摘して、本予算案に全面的に反対するものであります。(拍手
  67. 小坂善太郎

    小坂委員長 小平忠君。
  68. 小平忠

    ○小平(忠)委員 このたび提出されました三補正予算案は、すでに講和調印も終りましたわが国にとりまして、わが国の国民経済いな自立経済の確立といつた重要なる観点に立ちまして、私はきわめて重要なる意義を持ち、またこの方向がなるかならぬかは、この補正予算が、わが国が独立への第一歩を踏み出す際におきまして、きわめて私は重要な内容を持つておるものと思うのであります。しかるに予算案の内容をしさいに検討いたしまするのに、遺憾ながらわれわれが念願しておるその目標というものは達し得ない、従つて私は農民協同党を代表いたしましてこの三予算案に対しまして反対し、組みかえを要求し、再提出を要求いたすものであります。その理由を簡單に申し述べまして私の討論といたしたいのであります。  まず第一に、特に私は政府が考えなければならないことは、わが国がポツダム宣言を受諾して無條件降伏をした。これによつてわが国は戰争を放棄した。しかし六年前のわが国の現状と、今日すでに全面講和というわれわれの理想が達し得られなくて、いわゆる多数講和という形に調印をし、さらに日米安全保障協定にも調印をした。このことが衆議院をすでに通過して、目下参議院において審議されておるというこの事実は、やがてわが国が戰争放棄ではなくて、あるいはわが国が必然的に国防軍というものを創設する時代が参るということを、私は国民のすべてが考えておるのではなかろうかと思うのであります。その際、これはかつての軍国主義時代において、独裁的に上から天くだりによつて日本軍を編制したような考え方によつては、私は日本の再建ということは非常に危ぶまれると思うのであります。この点について一番政府が思いをいたしていただきたいと思いますことは、まず何といつても国民の民生の安定、そのことは生産力を高め、さらに農山漁民あるいは中小企業者、勤労者の生活、あるいは最も重要なる点は、今回の戰争によつて犠牲を受けた戰争犠牲者に対するところの積極的なる援助、援護の施策をとらなければならないと思うのであります。こういうことをまずやらなければ、いかに警察予備隊を強化し、あるいは国家警察を強化いたしましても、私は何ら国内治安の維持にならないどころか、この国際情勢のきわめて緊迫しておりまする段階において、わが国の前途はきわめて危ぶまれると思うのであります。そういう観点から見まするときに、今回の補正予算の内容がどうであるかといつた場合に、私は重要なる点を指摘いたしたいのであります。  まず第一点は、わが国民主化の基盤となるべき地方財政の確立であります。この点は前討論者もるる説明されておりますが、すなわち先般も全国の町村長大会があり、あるいは市長大会があつて、強く要求されております平衡交付金五百億の要求に対しまして、わずか百億の計上をもつてしては、私は今日の地方財政窮乏の極に達しておるこの地方財政を救うことは、とうてい不可能であろうと思うのであります。さらに大蔵大臣が減税と税制の改正によつて、いわゆる課税の均衡をはかるのだということを主張されておるのでありますが、私は卑近なる例を申し上げてみますれば、昨日も私はこの委員会において大蔵大臣に強く指摘したのでありますが、そのことは、国が農村といわず、漁村といわず都市といわず、各種の協同組合に対して課する税金であります。これに営利会社とまつたく同率の税金を課するがごときは、これは生活に苦しみ、あえいでいる農山漁民、中小企業者、勤労者の生活を、国は積極的に考えておるということを、私は根底からくつがえすものじやないかと思うのであります。  さらに国が農林漁業政策に対して、積極的な施策をとるとおつしやつておるのでありますが、かりにその一例を申し上げてみれば、農林漁業の長期資金の問題、あるいは特に現根本農林大臣が鳴りもの入りで宣伝をされた積雪寒冷單作地帯に対する対策費、あるいは農協再建整備費の支出の状態であります。この点について確かに大蔵大臣も農林大臣も苦労された跡は見受けらるるのでありますが、しかし現実の農村の現状あるいは漁村の現状、これを考えてみまするに、もう少し国が積極的な施策をとるならば、この苦境は打開し得るにもかかわらず、本補正予算に現われました数字は、その農村の現状を救うような数字は現われておりません。  さらに今回の主食の統制問題に関しましては、私はたびたびこの委員会において強調いたしておりますように、頭から統制撤廃に反対するものではないのであります。これについては、すなわちその統制方式そのものが問題であるのでありまして、手放しの統制撤廃ということが、いかに生産者、消費者に大きな影響を及ぼすかということは、明らかにわかるのであります。従つて私はこの委員会においても強く指摘いたしましたことは、その内容であります。すなわち資金的な裏づけ、あるいは価格の面、つまり統制撤廃後の需給操作の面であります。これに関して終始一貫具体案を検討中であると、大蔵大臣も農林大臣もおつしやられたのでありますが、すでに閣議においてはこれを撤廃するという方針をきめ、総理大臣は先般の施政方針演説において、明らかに統制の撤廃をするということを言明されている。これが先ほども前討論者が申されたように、ドツジ氏来訪によつてくつがえさせられた。私は少くとも一国の政治をつかさどる、すなわち行政府の最高責任者たる閣僚におかれては、今回のこの主食統制撤廃のごときは、私は非常に大きなミスであると思う。けれどもこの問題については、その撤廃する時期がはつきりしないが、いずれは統制を撤廃するものであるとおつしやつておるのでありますが、この点についてはどうか国民を混乱の中に陥れないような、十分なる検討を特にお願いしたいのであります。  特に最後にひとつ強く指摘いたしたいことは、今回の補正予算の特色は、すなわち講和会議が持たれて、すでに調印が終つた、そういう独立の第一歩を印しようという際におきまして、一番考えなければならぬことは、冒頭に申し上げたように、いかにして国民の生活を安定するか、その中でも大事な問題は、戰争犠牲者に対するところの問題を私は特に強く指摘したい(「やつておるじやないか」と呼ぶ者あり)やると言つたところで、予算に現われておるものはわずか一億であります。これはわれわれが特に今後の日本の行き方を考えてみた場合に、すなわち再軍備であるとか、あるいは国防軍の創設であるとかいうことを強く指摘いたしますよりも、まず私は民生を安定する、そして今回の幾百万の戰争犠牲者、すなわち父や子が、兄が弟が、あの戰地で倒れて行つたところの犠牲者、あるいは海外の引揚者、あるいは戰災によつて被害を受けた犠牲者、これらに対しましてほんとうに政府が、国はわれわれに対してこれだけの施策をとつてくれたのだ、日本の国は非常にいい国である、このような美しい国をわれわれはわれわれの力によつて守らねばならぬという愛国心が沸いて来るような政策を、今回のこの補正予算の中に私は具体的に表わす必要があると思う。こういう行き方をとつて行くならば今国際情勢が緊迫しておる、治安問題もどうだといろいろ混乱しておる国民の不安感を、一掃し得ると思うのであります。  かかる観点において、今回の三補正予算案に現われました内容を検討いたしますると、以上私が申し上げましたような点について、遺憾ながらその国民の要求を満たすことができないのであります。従つて私はこの三補正予算案に反対し、返上再提出を要求するものであります。
  69. 小坂善太郎

    小坂委員長 石野久男君。
  70. 石野久男

    ○石野委員 私は労働者農民党を代表しまして、ただいま上程されております昭和二十六年度三補正案に対して、反対の意見を申し述べるものであります。  二十六年度の補正予算は、初め明年度予算と一体のいわゆる十八箇月予算だといわれていたのであります。しかるに明年度分総額二千億を上まわるであろうといわれる講和関係費に対する見通しも、目鼻も立たぬところから、これができなくなつてしまつたのであります。それにもかかからず、今度の補止や予算は、サンフランシスコ会議を転機とする内外反動勢力の露骨化した意図を政策とやり口とが、極端にその予算の中に示されているのであります。このことは、昨日から本日に及ぶ本委員会における予算委員長も含めた自由党のあくどい多数を頼みとする暴力質疑打切りが、何よりも雄弁に物語つておるのであります。われわれはこのよう自由党の多数フアツシヨの議事運営に反対し、これを強行した小坂委員長態度を糾明せざるを得なかつたのである。  当初予算と合せて総額七千九百三十七億一千八百万円に及ぶ補正予算千三百六十二億九千七百万円は、国民経済の実態と、国民生活の破滅的な窮状を無視して、サンフランシスコ会議を転機とする日本の再軍備と戰争準備への予算として編成されているのであります。独立と平和を念願した講和会議のほんのわずかばかりの要請が、このような再軍備を戰争準備の予算となつて強行されようとしておるのであるから、明二十七年度本格予算は、どのようなものであるかを思うだにぞつとするのであります。政府並びに与党の宣伝するごとくに、講和が日本の平和と自由と独立を保障するものであるならば、その講和構想を織り込んでいるこの予算は戰後最初の主権回復の予算でなければならないのである、国民もまたそういう期待をこの予算に寄せていたのであります。しかるにこの補正予算ほど政府の自主性を欠如していることを天下に暴露した予算は、戰後六箇年間いまだかつてその例を見ないのであります。吉田総理はその施政演説において、米麦の統制撤廃を特に念入りに強調したし、自由党の公約履行を与党は宣伝したのである。しかるにドツジ氏が一たび来朝するや、この演説も閣議決定も、一片のほごになつてしまつたのであります。この事実こそ、講和後の独立と平和に対する自主性の方向を暗示するものであつて、国民はサンフランシスコ会議に対する疑義を一層深めるものであるといわなければならないのである。本委員会における根本農林大臣の答弁は、現内閣に食糧政策の何ものもないことをはつきりさせたのであるが、このことは六百万農家のあすの生活問題であり、八千万国民の死活の問題なのであります。サンフランシスコ講和会蔵の性格が、日本の独立と自主性回復の道をいかにゆがめているかということを、自由党諸君といえども、また日本人の立場から再検討すべきものであると私は信ずるのである。この予算は日本国の平和憲法の趣意を踏みにじり、町軍備と戰争に協力する予算である、そのために大衆がいかに苛酷な負担をしいられ、過重労働と低賃金が押しつけられているか、基本的人権が無視されているかということは、予算の配分がこれを実証しておるのである。  警察予備隊費百五十億のほとんどが装備施設に引当てられているが、これは明年度に予定されている予備隊の正式軍隊化の準備を示すものであつて、すでに各地の予備隊に地雷学校、あるいは工兵学校、戰車学校等、分科学校の設置が急がれておることでも明らかなところであります。国家警察費二十六億、海上保安庁一億五千万を含めて、再軍備への端的な方向を示しているものであるといわなければなりません。法務府特別審査局の明年一月以降千八百名の増員を含む十億、刑務所費の一億七千万円の増額は、吉田内閣の露骨なる弾圧の意思を示すものであつて、民主日本の進路は、旧軍人の追放解除、国家公安保障法の設定と相まつて、サンフランシスコ会議を一区切りとして、日本を軍国主義と特高警察国家への再出発とせしめようとするものであります。  外国為替特別会計三百億、糸価安定特別会計三十億、開発銀行出資の七十億、日本輸出銀行出資二十億、輸出信用保険十億、計四百三十億の出資及び投資は、産業経済費の美名に隠れて、日米経済協力に基いてもたらされた日本経済に与えられたその傷口に対する手当費であつて、危機から独占資本を守り、軍事産業を育成拡張しようとする積極的な費用である。国際通貨基金及び国際開発銀行出資の二百億、平和回復善後処理費百億、特別調達資金繰入れの七十五億等は、自主性を喪失した独立に伴う経費であつて、ほとんど本年度内には使用不可能のものでありまして、おそらく明年度においては余裕金として再軍備関係費に流用する意図に基くものと考えられるのである。再軍備と弾圧のための百九十億、日米経済協力関係費四百三十億と合せて合計千数十億に及ぶ、補正予算の約八〇%に及ぶこの経費は、軍国日本再建の道に通ずる費目として組み上げられているのであります。  これに引きかえて地方財政委員会の勧告をも踏みにじり、そうして地方自治体の要望をもまつたく無視した地方平衡交付金わずかに百億の支出は、起債を含めて二百億としても、これはいかにも少いものであります。地方公務員の給与ぺースも、六・三制の完全実施も遠い夢であつて、都道府県知事を先頭に全国町村長会議、地方公務員、中、小、高等学校の教員諸君の、いまだかつてない真剣な、国会に対する請願陳情運動と断食闘争に対して、一顧だに与えない自由党と吉田内閣のやり口は、東條、ヒトラーをしのぐところの多数横暴の独裁政治であるといわなければならないのであります。日ごろ国民多数の輿望をになつていることを自負し、かつ宣伝しておる自由党と吉田内閣の面目いずれにありやといわなければならないのであります。  公共事業費三十七億は、当初予算の補正としてはあまりにも僅少であつて、寒冷單作地帯を除いては、何一つ仕事ができないことは明らかであります。土地改良に基く食糧増産などと口はばつたいことを農林大臣は言つておりますけれども、事実はこの通りなのであります。農林漁業資金融通特別会計への六十億、国民金融公庫三十億、住宅金融公庫六十億等、労働者、農民、中小商工業者に裨益すると思われる経費は、まつたく二階から目薬程度にしか組み込まれていないのが実情であります。これが補正予算の性格であり、吉田内閣の本質であるのであります。  こうした諸経費をまかなう財源は、自然増収でありますが、朝鮮事変発生後の日本経済は、池田大蔵大臣がサンフランシスコから帰つて、驚くほど法人税の増税が見込まれた、そのように独占資本と軍需産業がボロもうけをしておるのであります。八百五十四億の法人税の増徴の蔭には、はかり知れぬ生活の窮迫が、大衆の上に襲いかかつているのであり、この犠牲なくしては、このような増徴は不可能なのであります。事変後名目賃金の若干の上昇があつたことは事実でありまするが、しかし官庁統計ですら示しているように、実質賃金は低下しているのであります。だからこそ賃上げ闘争が組まれ、炭鉱ストが闘われているのが現実なのであります。  中小商工業の場合はことにひどいものであつて、電力事情の悪化は、池田大蔵大臣の手元に数字や陳情団が届く前に、ますます中小企業を悪化し、それに拍車をかけているのが事実であります。申告所得税は政府ですら五十三億の減税を見込まなければならぬ事情でありまして、政府の言う減税という結果にはならないのであります。税の自然増収はその大半がインフレによる名目的所得の増加によるもので、実質的所得の増加は、独占軍需資本とその連繋者のもの以外は、ごくわずかのものであるといわなければなりません。大衆は名目所得の増加によつて、自然増収のからくりを巧みに背負わされているのが現実であります。日銀の貸出しか昨年五月から本年八月までの間に三倍に激増している反面、この期間の生産はわずかに五〇%増である事実が、何よりもインフレの深刻さを示しておるのであります。このような名目所得増による自然増収から、池田蔵相は税法上の減税ということをつくり上げるのでありますが、仏の顔も三度というたとえもありますように、大衆はもはや税法上の減税というものがどんなものであるか試験済みであります。ごまかしの減税が逆に勤労大衆を苦しめていることを、農民の諸君が自覚し、かつこのようなごまかしのからを打ち破つておびえる農村恐慌への対策を求めておびえる農村恐慌への対策を求めて立ち上つて来ているのであります。米麦統制撤廃、お米の自由販買が自由党と吉田内閣の予想を裏切つて、農民自身の反撃を受けているのが何よりもこのことを裏づけているのであります。大衆の犠牲と重い負担の強制の上に戰争の危機につながる講和を押しつけ、再軍備の道を強行しようとしているのがこの予算であります。  日本の経済の正しい見通しを持たないこの予算の構想は、米麦統制撤廃の問題でも平衡交付金の問題でも、行政整理の問題でも、今や四面楚歌であります。頼みの綱であつたドツジ氏が来朝するにあたつて、主食の統制撤廃は遂に雲散霧消してしまつたのであります。  国に一片の食糧政策を持たず、農漁民と労働省、中小商工業者の犠牲の上に擬装講和を押しつけ、軍国主義と警察国家につながる反動予算に対して、われわれは断固として反対するものであります。
  71. 小坂善太郎

    小坂委員長 小林進君。
  72. 小林進

    小林(進)委員 私は社会民主党を代表いたしましてただいま上程されております補正予算に対し簡單に反対討論をいたします。政府はまず歳出の面におきまして千五百六十八億円に上るところの自然増収を見込んでおるのでありますが、その政府の説明がみずから明らかにせられておりまするごとく、この自然増収は中小企業法人に対して、今後重大なる収奪を加えることは明らかであります。特に一応政府の説明が妥当であるといたしましても、少くとも二十六年度当初予算において租税及び印紙収入が四千四百四十五億円を計上いたしておりましたにもかかららず、半年を待たずして一千五百六十八億円の自然増加を見るということは、年間を通じ、収入に関し三割の見込み違いをやつたということになるのでありまして、いやしくも責任ある内閣が、責任ある大蔵大臣が、年間を通じて三割以上の収入の誤差を生ずるがごときは、まことに聞き捨てにならぬ重大なる問題であると思うのであります。そもそも大蔵大臣がサンフランシスコまで行かれるときは、先ほどもお話がありましたことく、四百億程度にとどめることを言明しておられたのであります。しかも収入の面において八百億の自然増収が見込まれておつたのであります。それが帰朝後旬日を経ずして一千三百六十二億円の増加予算を組まれるに至つたのでありまして、この間の移りかわりというものはまことに目まぐるしいのでありまして、われわれは一体どこにその信頼性を置いていいのか、恋はその日のでき心といつた浮気娘のパンパンぶりと同じで、節操も、一貫性も、責任性も全然感ぜられぬのであります。場当り予算と申し上げるほかはない、はつたり予算と申し上るほかはない。そもそもこの当初の年度予算において、従来の二十六年度予算審議の際大蔵大臣は何と言われたか、財政規模を縮小したことについて自画自讃をされた。しかも半年を経ずして、そのみずから自画自讃をせられました縮小予算を、終戰以来かつてない厖大な予算に拡張せられておるのでありまして、これなどは普通の常識を有する者ならば、この一事だけでも大蔵大臣の席にとどまり得ないはずであります。常識人と精神分裂症との相違は、言葉や行動に継続した一貫性があるかどうかによつて定まるのでありますが、大蔵大臣財政方針は、二十五年度も、その補正予算、あるいは二十六年度の当初予算も、このたびの補正予算におきましても、その間にはいささかも一貫性がない。矛盾撞着きわまりないのでありまして、これまことに精神分裂症の予算といわざるを得ないのであります。こうした精神分裂症的症状を呈し、この被害を受けて一般国民はちようど木の葉のようにあやつられて、まことにわれわれ国民の不幸限りなきものといわなければならぬのであります。  たとえば法人税のごときものであります。この引下げをされるときも——この委員会においてすべてがあげて反対いたしたにもかかわらず、断固責任を持つてみずから下げられて、また今日たちまちこれを引上げられて、あえてこれを恥とせられない。あるいはまた貯金の利上げの問題につきましても、この三月この席上において、不肖小林進が、これは金利の引上げが必要なり、ぜひおやりなさいということを申し上げた。大蔵大臣は神に誓つてその必要はないということを言明せられました。うそと思うならば速記録を見ていただきたい。にもかかわらず半年足らずして、大蔵大臣は金利の引上げをやろうとしておる。かくのごとき例証をあげればきりがないのでありまして、まことにそこには一貫性がないことを、われわれははなはだ残念に思わざるを得ないのであります。  特に歳出の面でありまするが、この歳出の面を拝見いたしますると、場当り主義が最も極端に現われておるのであります。今まさに講和條約も承認せられんとして、遺憾ながら屈辱的この講和條約によりまして、わが国はまさに未曽有経済的負担を課せられんとしているのであります。これに対しては当然この補正予算の中に、もはやすでにこの講和條約に対する準備が明らかに現われていなければならないと思うのであります。しかるに連合国に介在する日本の財産、取上げられる日本の財産が一体どれだけあるかということに対しても、まだ何らお調べになつておらない。あるいはまた東南アジア諸国に対する賠償が、一体どれくらい、どういうものを予定せられておるのか、これに対する説明もつかない。あるいは在日外国財産の補償の限度がどれくらいであるか、これに対しても説明がつかない。あるいは外債の支払い問題等、今後の日本の財政に最も重大なる影響を及ぼすこれらの問題は、いささかも政府によつて明らかにせられておらないのでありまして、こうした多くの対外の講和関係の不生産的なるインフレ要素の問題に対する構想と、国内におけるあるいは生産あるいは国土開発等に必要なる経費、両者相反撥するこの二つの重大なる要素を調整して、まず大きな財政的構想ができ上つて、その構想の一環として、このたび補正予算が提出されるということでなければならぬのでありますが、大蔵大臣にその構想も着想もあるいは準備もなく、ただ盲やみで手にさわつたものだけをつかみとつて補正予算に投げ込んで提出するというような場当り式な盲の予算が組まれているということは、まことに残念でありまして、とうていわれわれは賛成することができないのであります。特にこの問題につきましては、大蔵大臣の師匠でありまするドツジ氏まで驚かれて、上陸第一歩、長期にして相当なきびしい賠償となるであろう、気をつけろという御注意をいただいた。まさにおれは不肖小林の言わんとするところをドツジ氏をして池田蔵相に忠告せしめた、こういうことになるのであります。以後十分御注意をいただきたいと思うのであります。  第二の問題といたしましては、この予算を見て、われわれがただちに判断せられることは、この予算はインフレ予算であるということであります。今まで戰後に膨張された財政を徐々に縮小して、平常予算に近づきつつあつたものを、一挙に戰後最大の規模にまで拡大せられたのでありますが、この財政を膨張するに至つたその内容は、インフレに原因いたしておることは明らかであります。大蔵大臣は国家財政の飛躍膨張のためであつて、決してインフレではないと言明せられておるのでありますが、これほど国民を愚弄するインチキな説明はないのであります。無放任財政の結果として、一切の生活物資が値上りを来し、諸物価の値上りが主食に影響して、主食の消費者価格の値上りを初めといたしまして、一切の生活物資、それから電気料金、鉄道運賃、ガス、通信料等が大幅な値上げを余議なくせられたのでありましてこれがインフレの要素にあらずして何を一体インフレということができましよう。  このたびの補正予算の中に組まれましたところの給与の改訂費、公共事業費、文教の施設費、農村対策費、あるいは年金、恩給から地方平衡交付金に至る、大体見積りまして三百有余億になりまするこれは、いずれも再生産に必要な経費ではありません。全部物価高や賃金の値上りやインフレ的要素から来たところの追加支出であります。これらは、いずれもまつたく再生産の経済とは関係のない支出なのであります。警察予備隊費の百五十億も、これが支出せられて、さらにまたインフレの要素となることは明らかなる事実であります。これら五百億に近い財政支出が、いずれも四・四半期に放出せられるのは明らかでありまして、大蔵大臣は年末には千億有余の超過があるけれども、年度末においては財政の縮小ができると言明せられておるのでありますが、これなども非常に場当り的な甘い計算で、こうしたインフレ的な財政資金がみな四・四半期に放出せられるのでありますから、少くとも日銀の発行高は、この年度末から二十七年度に至りましては、五千億円台から六千億円台に飛躍的に上昇して、いよいよインフレが高まつて、日本の経済が破綻する危険が多分にあるということ、これは私は神に誓つて言明申し上げる。これは私の方が当ります。池田大臣にまかす限り、私の言うことが当る。政府が真にこの点を考えるならば、明年度より開始される賠償関係数千億の準備もさることながら、今こそ国家資源の開発のために、大いに力を放出してもらわなければならぬのであります。ただ基礎控除の引上げや、あるいは扶養控除の引上げをもちまして、これで減税だ、国民生活が楽にたるのだというような甘い説明をされておりまするけれども、現任日本全国々歩いてみますというと、この基礎控除にも該当しない零細な所得者、しかも生活保護法までには至らない、こういう中間におる生活困窮者というものが、ちまたに満ちておる。ますます生活が苦しくなる。これはみな池田財政のインフレの犠牲者であります。こういう連中に対する救済策や、これを救い上げる予算は一つも入つていない。ただ麦飯食つて、かて飯食つて、雑炊食つて死んでしまえという説明だけに終つておる。こういう残酷な予算に対して、どうしてわれわれが賛成することができましようか。こうした生活保護法にも至らざる、あるいはインフレにあおられて基礎控除にも該当しないところの、この零細所得者に対するところの救済策を早急に打つということを、私は考えていただきたいのであります。  特にこのたび政府が上程せられました予算の中には、外為への三百億円、あるいは食管会計への百億円、あるいは国際通貨基金及び国際復興開発銀行の出資金二百億円、あるいは特別調達庁の資金繰入れの七十五億円、平和回復善後処理費の百億円、警察予備隊費の百五十億円、合計千億になんなんとするこの金を、真に日本の将来を考えるならば、賠償の重大性を考えるならば、これを今こそ国内の総合開発、あるいは電源開発、あるいは食糧の需給対策等、こういう方向に思い切つて放出して、そうして産業の開発をまずつくり上げて賠償に応ずるという態勢をつくるのが、これが担当の大蔵大臣としての準備だと思うのでありまするが、そうした国内開発や食糧需給などの方面には雀の涙、またおそばにいらつしやるところの農林大臣がいかにも力がない。雀の涙ほどの食糧需給対策の費用をもらつて、そうして感謝していられるというような、こういう形でありまするから、とうてい講和後のわが国の態勢ができ上つたということは申し上げられないのでありまして、私はこうした支出の面におきましても、この予算にとうてい賛成することができないのであります。  最後に一言申し上げて失礼いたしたいと思うのでありますが、問題は、この予算の編成をせられるに至りました大蔵大臣の基本の態度について私は申し上げたいのであります。それは言うまでもなく、今日までドツジ氏の指導のもとにこれを編成し、ドツジ氏のみに叩頭三拝いたしまして、そうして国民がこれを知らず、こういう編成の方針に来られたのでありまするが、たまたまその間において、ドツジ氏の言わるる通りにこの財政を運用して行けば、国民の生活が困る、こう大蔵大臣もお考えになつたときがございましよう。そういうときには、国民の方に向いて、中小企業者の五人や六人は死んでもよろしい。こういうふうな放言をして、もつぱらドツジ氏の施策の遂行に忠実な番頭役を勤められた、あるいはまたドツジ氏の言葉が日本の実情に合わぬときには、国民に向つて、金持ちは白米を食え、貧乏人は麦飯でよろしい、雑炊でよろしい、こういうような放言をして、もつばら忠実にこれを遂行せられて来たのであります。私はこの予算が提出せられるときも、このたびはドツジ氏はおられない。だからこのたびの議院運営委員会において与党が十八日に予算案を提出すると言われたときに、ドツジ氏がまだ見えないじやないか、二十八日に来るのだから、ドツジ氏がおいでになつてから予算を提出してもよかろうということを申し上げた。ところが与党の力でもつて議院運営委員会が押され、私の提案が一蹴せられて予算が上程せられた、その結果はどうでありますか、私が言うまでもなく、とうとうドツジ氏の上陸第一歩の第一声だけで、もうこの予算の根底からぐらぐらとしてしまつた。しかも、これに対しましては、大蔵大臣は、おれは政治家だ、ドツジ氏は一銀行家であるというような勇ましい表現をせられたのでありますが、私はこれを新聞紙上で見て、呵々大笑いたしました、大笑いをいたしました。(笑声拍手)そうして当時私のところの選挙民諸君に対しまして、この米の統制解除の問題は必ず中止になる。統制は解除にはならないと私は言明いたしました。ところが私の言明通り、遂にあれだけ強く叫ばれた米の統制撤廃の問題もうたかたのごとく消えてしまいました。そのように常に国民に対しては強いことをおつしやるけれども、そうした外国の権力や、強力なる権力者に対しては、まことに急遽ひざを屈せられておるのであります。私は大蔵大臣の過去の実績を論じようというものではないのでありましてこれからこの先、われわれ多くの外国を相手にして、一切の賠償問題やあるいは外債の問題やら在外資産の処理やら、すべての問題を遂行しなければならない。こうした国民に対して強く、外国に対して弱いよう大蔵大臣であつて、はたして国民が生きて行けるかどうかということを私は非常に心配いたしておるのであります。(拍手)  かつてフイリピンの代表がサンフランシスコみ帰りに賠償の予備交渉に来られたときに、大蔵大臣は、おれは正当なる要求ならば払う、あるいは役務賠償なら払うが、金銭賠償は支払わぬということを言明せられたと国会で強く言われましたが、私が今度確かなる情報で、相手のフイリピン代表から所見を聞いたところによりますと、大蔵大臣は実に弱かつた。処女のごとく弱い交渉であつたという情報がある。事実かどうかは知りませんけれども……。不幸にして吉田総理大臣財政に対しては非常に暗い人だ。数字を知らぬ。数字を知らぬ総理大臣のもとにこうした大蔵大臣がおられるということは、国家のためにはなはだ私の憂える点でありまして、あえて個人池田を憎むにあらず。(笑声)この公の大蔵大臣は、この講和條約の調印を契機として一応あなたの役割は済んだのだから、これでおやめになつて、今度は内に対しては強い、外に対しては弱いというような……。(笑声)いや、外に対して強い、内に対して弱い、こういうあなたと反対の大蔵大臣と交代せられたらどうかということを強く御注言いたしまして、私の反対理由といたします。(拍手
  73. 小坂善太郎

    小坂委員長 討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。三案を一括して原案に賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  74. 小坂善太郎

    小坂委員長 起立多数であります。よつて三案はいずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)  各案の委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければそのように決定いたします。  この際、諸君の連日の御奮闘に対しまして、深く謝意を表し、あわせて終始本委員会に列席せられまして、委員会の状況を正しく国民に報道せられましたるプレスの各位に対して敬意を表するものであります。  本日はこれにて散会いたします。     午後九時二十四分散会