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池田国務大臣 通貨が
お話の
通りに四千百億円台を持続いたしております。これは昨年のそれに比べまして、八、九百億円あるいは千億円の膨脹にな
つておりますが、これは
生産の増加も、大体昨年の今ごろよりも三割余りの増加にな
つておりますので、
生産の
状況、物価の
状況から申しますと、四千百億円は、そうふえ過ぎるという
程度のものではございません。私はこの通貨の増加ということは、何も心配はないと思います。この
程度で適当だと思
つております。
しこうして
お話の貸出しの増加が、昨年に比べて千二、三百億円ふえている。千二、三百億円ふえているということは、これはユーザンスの
関係でありまして、昨年の十一月ごろから今年の三月くらいまでに、ユーザンス
関係で甲種、乙種を加えまして、二千八百億円
程度に相なる。当時
日本銀行の貸出しが一千一、二百億円で、この
日本銀行の貸出し並びにユーザンスによる信用供與が四千一、二百億円であ
つたのであります。しかるところユーザンスの期限が切れて、貿手その他の取引等で貸出しがどんどんふえて参りまして、今では貸出しが二千四百四十億円になりますが、二千八百億円あつたユーザンスが、千三百億円に減りまして、信用供與はこの四、五月ごろ四千一、二百億円の信用供與があ
つて、ただいまでは三千七、八百億円の信用供與に相な
つております。五、六月よりは日銀信用供與は三、四百億円減
つておるのであります。そういう理由に基くものでありまして、このユーザンス制度で政府が
外貨予算を組んだ場合におきましては、商社がそれによ
つて金融信用状の発行を
市中銀行に求める。
市中銀行はその後の金繰りを考えずに、すぐ信用状を発行し、そして日銀に持
つて来る。こういう制度はいかにも他力本願、見通しのつかぬことであるというので、十一月一日から乙種ユーザンス制度をやめまして、そして為替手形、
貿易手形にかえようといたしております。そういたしますと、今ユーザンスの千三百億円余りの中の、大体千百億円ぐらいが乙種ユーザンスに相なる。これが行く行くは、四、五箇月のうちに貿手にかわ
つて参ります。そうすると、
日本銀行の取引、すなわち貸付額が、今の二千四百億円から三千三、四百億円にかわる。これは貸出しが大きくなりましたが、片一方ではユーザンスがなくなるので、私は今、
日本銀行が信用を供與し過ぎておるとも考えておりません。従いまして通貨の点、
日本銀行の貸出しの点は、大体今の
状態としてはやむを得ないのじやないか、そう心配する
程度のものではないと思います。
年末の通貨につきましては、九月末の三割増ということは、
お話の
通り、従来そういう傾向をたど
つておりましたが、今後の
方針といたしまして、先ほど申し上げましたように、なるべく水力、
造船、鉄鋼、石炭以外のものは、原則として設備
資金の供與は引きとめよう、こういうことにな
つておりますから、金融がある
程度設備の方から商業短期金融の方になりましようし、また先ほど申し上げました重点
産業の方に行くようになりまして、今までのように三割増加ということはいかがかと思います。また米の供出につきましても、これはまだはつきりきまりませんが、従来のように二千七八百万石あるいは三千万石の割当になるとすれば、これによる年末通貨発行もある
程度押えられるのではないか、こういう
関係もあります。また租税收入も相当やはりふえて行くつもりでおりますので、私は三割以内くらいで収まるのではないかという気持を持
つております。