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1951-10-25 第12回国会 衆議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 苫米地英俊君 理事 西村 久之君    理事 川島 金次君 理事 風早八十二君       天野 公義君    江花  靜君      岡村利右衞門君    小淵 光平君       角田 幸吉君    甲木  保君       北澤 直吉君    坂田 道太君       島村 一郎君    庄司 一郎君       鈴木 正文君    玉置  實君       中村  清君    中村 幸八君       本間 俊一君    松本 一郎君       南  好雄君    宮幡  靖君       井出一太郎君    今井  耕君       早川  崇君    平川 篤雄君       藤田 義光君    戸叶 里子君       横田甚太郎君    小平  忠君       石野 久男君    小林  進君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         国 務 大 臣 橋本 龍伍君         通商産業大臣  高橋龍太郎君         運 輸 大 臣 山崎  猛君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         国税庁長官   高橋  衛君         通商産業事務官         (大臣官房長) 永山 時雄君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局登録         課長)     増川 遼三君         会計検査院事務         総局次長    池田  直君         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十月二十五日  委員井手光治君辞任につき、その補欠として小  淵光平君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事川島金次君の補欠として川島金次君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十六年度一般会計予算補正(第1号)  昭和二十六年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第2  号)     —————————————
  2. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 これより会議を開きます。  補正予算各案を議題といたしまして、質疑に入ります。有田二郎君。
  3. 有田二郎

    有田(二)委員 この際大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  池田大蔵大臣財政演説では、将来の方針として安定、能率発展をあげておられるのでありますが、一体現状は安定しているでありましようか。能率、すなわちどれだけ合理化されているでありましようか。また発展段階に入つたのであるかどうか。池田大蔵大臣がこの基本方針を特に強調した腹は、一体どこにあるのか。また今後大蔵大臣の指針のごとく、安定し、能率化され、発展段階に入るであろうかどうか。この点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 申すまでもなく、われわれの考えております、経済を安定し、またその安定の上に能率化し、この上とも発展させて行きたいということは、従来からの考えであつたのであります。幸いに国民各位の御協力によりまして、吉田内閣成立以来、私は経済はよほど安定したと考えております。もちろん日本経済は、敗戰によりまして非常な痛手をこうむりまして、安定したとはいうものの、経済脆弱性は認めざるを得ません。しかし脆弱ながら、二、三年前に比べますると、よほど安定したと考えていいと思うのであります。  次に能率の問題につきましても、各産業につきましては合理化をやりまして、労働の生産性上つてつて来ておりますし、いろいろな点から終戰後状態から比べますると、よほど生産その他もふえて参つております。この安定と能率によりまして、日本経済もだんだん発展して参りました。国際的に見ましても、貿易はほとんど幾何級数的にふえたというくらいに行つております。国内生産も最近は戰前に比べまして、一三七、八あるいは一四〇を越えた月もあるという状態であるのであります。この安定と能率発展とは、安定が先で能率があと、そうして発展が最後という意味のものではございません。いわゆる三つどもえのように、お互いに関連し合つて行くのでございます。過去の二、三年の経歴から申しまして、私はこの安定、能率発展を今後とも推し進めて行つてほんとう意味経済が自立いたしましても、その経済規模脆弱性をなくして、ほんとうにがつちりした経済に持つて行きたい、こういう考え行つておるわけでございます。
  5. 有田二郎

    有田(二)委員 今度提出された補正予算は、当然明年度予算に連鎖していることは、大蔵大臣説明にもある通りでありますが、しからば補正及び明年度予算が実施されたあかつきは、はたして生活が楽になるであろうかどうか、むしろ苦しくなるんじやないかということも考えられるのでありますが、補正では税金が安くなつたが、明年度は講和に伴う諸経費上昇によつて、むしろ増税されるのではないか等等のことが、国民が最も聞かんとするところであると思うのであります。また補正予算原則として当初予算の実施に伴い、その年度内において予算上に大なる変化があつた場合にこれを補正するのが建前であるのであります。しかるに本年は幸い徴税によつて自然増收が見込まれて、相当の財源を得たから、物価値上げに対し補正して行く、また税金にしても当初予算より朝鮮動乱影響によつて増收なつたから、物価騰貴に対する不足を補填し、なお余剰金を生じたならばこれを取過ぎであるから国民に返してやる、すなわちそれだけ減税するのが当然だと思うのであります。しかるに提出の補正予算は、物価値上りに対する補正はきわめてわずかであつて、昨日の河野主計局長説明では、物価値上りに伴う補正は一般的に認めなかつたという説明であつたのでありまするが、この補正予算に対するかような点についての大蔵大臣所見を伺いたいと思います。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 補正予算をつくりました理由はお話通りで、最近の経済財政状況から申しまして、補正の必要を認めたからつくつたのであります。その際におきまして、もちろん来年度財政規模考えましてやつたのございます。私が来年度におきましても所得税で千億円の減税をする、法人税引上げによつて、増税する分がありまするが、差引八百億円程度減税が続けてできるという見通しをつけましたから、補正予算もできたわけであるのであります。従いまして来年度におきましては、今回御審議願つております補正予算は臨時的の措置でありますが、これを恒久化して行きたいという気持でやつております。来年度の問題で、平和に伴いまして相当出費を予想されることはお話通りでございまするが、私は相当出費がありましても、大体先ほど申し上げましたような減税を続けて行つて財政規模は八千億円台にとどめて、今年度の七千九百三十七億円と大差ない財政規模に持つて行ける見通しがついておるのであります。従いまして来年度増税するということは考えておりません。  次に補正予算において物価高を認めていないじやないかという御質問でありまするが、事業官庁におきましては物価高を認めずには事業が継続できませんので、御承知通り国鉄にいたしましても、電気、通信、郵政にいたしましても、これに即応するように料金値上げをいたしておるのであります。一般会計におきまして、特に公共事業費等については物価高を認めていない、これはお話通りでございまして、原則として認めてございません。ただ六・三制の校舎の問題については認めておるのでありまするが、その他については認めておりません。なぜ認めないかと申しますると、私は今年六月にこの情勢を見まして、物件費、旅費の節約を各省に要求いたしました。極力節約に向つて進んでおります。また公共事業費におきましては、幸いに台風が一回にとどまつた関係上、予定の八十億円が二十五億円しか出てない。それを過年度に二十億円近くまわし、今年度の分も予定よりも多くやる、こういうふうにして予算やりくりによりまして物価高による事業の縮小を、できるだけ縮小しないように努めておるのであります。ただ私の考えとしては、物価上つたから、政府予定通りの仕事をするということになりますると、やはり物の需要が加わりまして物価高に拍車をかけるようなことがあつてはならぬ。そこで予算というものは、物価上つたからすぐそれに応じて行かなければならぬということはないので、極力節約するのが本筋でありますので、物価高に伴いまして、一方では経費を捻出するようにいたしましたが、原則としては経費は新たに加えない、やりくりでやつて行こうという方針で行つたわけであります。これがやはりインフレ対策一つやり方だと私は考えております。
  7. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに税金自然増の問題でありますが、今度は当初予算が四千四百億円であつたのが、千五百億以上の自然増になつておる。自然増なつたときはいいけれども、今度逆に——これは約三割五分の自然増になつたのでありますが、逆に三割五分の自然減ということになりますると、国家財政というものはたちまち破滅に陷る、あまりにもこの狂いが多過ぎる。将来もしも逆に自然減を招来したような場合においては、大蔵大臣はどういう御処置をおとりになるか。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 将来自然減があつた場合はどうするかというお話でございますが、私は先ほど申し上げましたように、日本経済を安定、能率化し、発展さすという方向で行つております。今までその実績は現われて来ておるのであります。来年度におきましても、私は生産もふえ、この今年度補正予算後の收入見込みを上まわるとも下るとは考えておりません。
  9. 有田二郎

    有田(二)委員 今度法人税引上げがなされておるのでありますが、大蔵大臣にお聞きする前に、通産相お越しになつておられますからお尋ねいたしますが、法人税引上げということが産業界に及ぼす影響を、通産大臣としてはいかようにお考えになつておられますか、承りたいと思います。
  10. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 法人税の税率が上りますることは、私ははなはだ遺憾に存ずるのでありまするが、現在の財政上の関係でやむを得ぬと思つております。現在の産業界状態では、大した影響はありませんでしよう。私はそう思つております。
  11. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、法人税引上げに対して、別に大蔵大臣として法人税引上げになるけれども、こういう点で見てやるのだというような御意図があるかどうか、この点を承りたい。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 法人收益状況有田君御存じの通りに、飛躍的に増加しておるのであります。昭和二十六年度法人利益は、大体六千億円を越えております。そして償却で一千百億円余りを使いましてなお五千億円ございます。そのうちから税金を大体千五百億円引きます。そうすると三千五百億円残ります。その三千五百億円のうちから配当と賞與、これを八、九百億円引きまして二千五、六百億円の積立金がふえた。こうしますと、二千五、六百億円の積立金と、償却金の千百億円とを加えますると、余裕金としましては、三千六、七百億円の法人資本蓄積ができる、こういう状態日本始まつてございません。これを前年の昭和二十五年度に比べますと、三千五百億円が二十五年度には千五、六百億円、二千億円足らずでございます。昭和二十四年度に比べますと、これが七、八百億円、これも幾何級数的にふえておる。こういう状態でございまして、私は法人には相当負担力がある。ここで二百億円や三百億円を増税いたしましても、三千五、六百億円の資金蓄積ができておるのだから、何ら資本蓄積にも害がないし、そうして負担力相当ある。御承知通りに、ごく小さい国は別でございますが、英、米、独、仏等先進国と比べまして、日本のように法人税の安い国はございません。そこで私は租税負担状況を見まして、やはり所得税相当減額して、そうして非常な利益上つている法人税に、資本蓄積分の一割足らずを増税するということは、いわゆる租税負担の調整適正という意味から当然とるべき策だ、こう考えまして調整をしたのであります。しかし片一方におきましては、私はこの際法人の計算の合理化をはかる、こういう意味から申しまして、税法上退職積立金につきましては今まで課税をいたしております。その期に出した退職金損金にいたしまするが、積み立てた場合には一応益金としておる。この退職積立金益金として課税する分は、これは将来出ることがきまつている分でありますので、私はこれにつきましては一定額を預金すればその期の損金にしよう、また片方で重点産業につきましては、従来たびたび特別償却とか、あるいは固定資産償却の年数を短かくするとか措置をとつておりましたが、今回なお特別にまた償却をふやして、重点産業の経営の分理化、資本蓄積に資したい、こういう方面で負担の軽減をはかつておるのであります。なおまた私は今の法人経理状況から申しまして、物価値上り、値下りによりまして、資産内容に非常な影響を及ぼすことをできるだけ少くするために、昔やつておりました流動資産評価減と申しますか、新しい言葉でいいますれば物価平衡準備金と申しますか、そういう制度を設けたらどうかというので、今研究をいたしておるのであります。全体から見まして法人の今度の若干の引上げは、今の法人企業状態から申しまして、適正なやり方だと自分は確信いたしておるのであります。
  13. 有田二郎

    有田(二)委員 今回の所税得減税は平均三〇%であるといわれておりますが、月收一万五千円で夫婦、子供二人では七百円の減税となるということを昨日承つたのでありますが、これをその家庭の価格改訂による支出増加を調べてみますと、米は約二〇%の値上げで二百二十五円、麦類は一五%の値上げで四十五円、パンは一〇%の値上げで七十五円、電気料金が四〇%の値上げで百三十五円、これはむろん冬季でありますが百三十五円、ガスが二〇%の値上げで百二十円、電車が二五%の値上げで三十二円、郵便電話料金が一〇〇%の値上げで四十五円、水道が二〇%の値上げで二十円、塩が二〇%の値上げで六円、これを合計しますとちようど七百三円になるのでありまして、今度の減税の七百円がこれらのものに充てられることが考えられるのであります。これに伴つて、その他に家賃、地代の値上げ、あるいは間接的に物価上昇、現にクリーニング、新聞代ふろ代木炭等値上げがあつてこれらを見積りますと、約三百円内外の負担増加ということが考えられるのであります。来年四月から主食の統制が撤廃されるように聞いておりますが、米がやみ値に近いものになると、これまた非常な負担増加となつて参るのであります。さらにまた今回減税にならなかつた零細な方々が、物価騰貴によつて非常に私は多数国民が困つておられるのではないかと思うのでありますが、これらの点について大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りで、主食その他の料金引上げがございまして、生計費影響しますことを考慮して減税措置をしたのであります。お話の点では、物価上つて賃金が上らないという場合におきまして、これは苦しくなりましようが、賃金相当上つております。物価上つております。そうして減税をいたします。私は大体において、実質賃金と申しますか——実質賃金朝鮮事変のそれに比べまして下つていないという見通しを持つているのでありますが、ただ問題の今まで税金を納めてない方は、減税特典に浴さないじやないか、これはお話通りであります。しかしそれは賃金値上げがどのくらいになつておるかという問題と兼ねて考えなければならぬと思います。また相当税金を納めておる人が多いのであります。かなりの人が税金を納めておりますので、ほとんど大部分の人が減税特典に浴し得ると考えております。こまかい数字の点につきましては、いずれ事務当局から御説明いたしてもよろしゆうございます。また御要求があれば資料にして出してもいいと思います。
  15. 有田二郎

    有田(二)委員 この際国税庁長官にお聞きしたいのでありますが、千五百億円の自然増收ということになつております。聞くところによると大蔵大臣大分国税庁長官をいじめられて千五百億円になつたようなことも聞いておるのでありますが、このことについて、国税庁長官としては、最近電力事情も非常に悪いし、産業の将来というものが非常に憂慮されておるとき、われわれも千五百億円とれれば、まことにけつこうだと思うのでありますが、確信のほどをお伺いいたします。
  16. 高橋衛

    高橋政府委員 ただいま、私が大蔵大臣からいじめられたというお話がありましたが、そういうような事実は全然ございません。よくお話を承り、またわれわれとしての資料も十分差上げまして御判断願つたわけでございます。この上半期におけるところの税收入状況は、元の予算に比較いたしますと、すでに五三%收入済みであります。昨年の同期が三六%でありまして、非常に好転をいたしているわけであります。なお今回新しく千五百億円追加になりまして、さらに減税の金額に比較いたしましてもなおかつ四二・三%の收入済みになつております。もちろん、今後の経済情勢がどうなるかということによつて相当影響を受ける問題ではありまするが、大体現在の情勢から推しますれば、われわれとしても国民納税者諸君の御協力によりまして、何とかしてこの程度の歳入を確保いたしたいと考えておる次第であります。
  17. 有田二郎

    有田(二)委員 通産大臣にお伺いいたします。電力事情が非常に予想外に悪くなりましたために、産業に及ぼす影響が非常に甚大であり、従つて本年度、これから来年の税收にかけて、われわれは非常に心配をいたしておるのでありますが、通産大臣が見た電力事情、その他の事情による産業に及ぼす影響、こういう点をひとつ通産大臣から承りたいと存じます。
  18. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 電力危機産業に與えました影響は、将来の電力状態もまだはつきり見通しができませんので、今的確な、各産業別の減産の程度を御答弁できませんが、むろん非常に電力を食いまする工業は相当影響を受けております、しかし現在までのところでは、皆様が御心配になるほど、実際にはまだ悪い影響は出ていない。上半期予定計画よりも相当増産されておりますから、本年度を通じての影響は、むろん一、二の産業についての影響はありますが、非常な影響はないだろうかと思います。大体その計画をどのくらい下まわりますか、あるいは一割くらいは下まわるのじやないかと存じます。せつかく石炭の確保などに努力をいたしております。大体発電用そのほか全般の下半期の石炭、あるいは代用燃料を含めまして、その需給はバランスがとれて行くでないかと思います。むろんそれには海外から石炭を輸入しまするとか、重油を輸入いたしますとか、そういうことも計画いたしております。昨日も司令部行つてその問題をお話したのですが、司令部でも、今われわれが計画いたしおりますそういうものの輸入については、原則的には同意を得たわけであります。大体やつて行けるものと私は思つております。
  19. 有田二郎

    有田(二)委員 通産大臣の御見解はちと甘過ぎるのじやないか、こう私は考えるのですが、永山官房長お越しになつていますので、事務当局からひとつ補正を願いたいと思います。(笑声)
  20. 永山時雄

    永山政府委員 ただいま通産大臣からお答えを申し上げた通りであります。
  21. 有田二郎

    有田(二)委員 役人だからしかたがない。了承いたします。  さらに大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、財政規模膨脹の問題であります。昭和二十一年度に一千百九十億円、昭和二十二年度に二千百二億円、二十三年度に四千七百三十一億円、二十四年度に七千四百十四億円、これが二十五年度におきましては、池田大蔵大臣の御努力によつて六千六百四十五億円に下つたのでありますが、さらに二十六年度におきましては、補正予算を入れまして実に七千九百三十七億円、かようなことになつてつておるのでありまして、池田大蔵大臣のいわゆる緊縮政策の破綻ではないかということが一部にいわれておるのであります。また結局ドツジ・ラインの重大な転換というように見られておるのでありますが、この点に関する大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 数字お話通りで、昭和二十一年度千百億円、二十二年度二千百億円、二十三年度四千七百億円、こう幾何級数的にふえて参つております。それを、大臣に就任いたしまして、二十四年度、二十五年度から極力圧縮いたしまして、今度は七千九百三十七億円になつたから、今までの圧縮方針をかえたのではないか、こういうお話でございますが、一つもかえておりません。池田がかわらぬと同じように、財政はかわつておりません。数字ではふえておりまするが、これは国民所得その他から申しまして、そうふえてはいないのであります。これが私の言う安定、能率発展でございまして、これが財政上にも現われております。財政規模は、他の機会で申し上げましたように、国民所得に比べましてパーセンテージ等もふえていないのであります。精密に申しますると、あるいは減つたとも言い得るのではないか、こう考えているのであります。決して財政膨脹するというふうな気持は持つておりません。問題は、私は平和関係処理費が今後見込まれなければ、相当減税をしてもいいと思うのでありますが、平和に伴う経費が、本年度におきましても補正相当入れておりますし、また来年度におきまして相当予期しなければなりませんので、そういう非常な支出を見込んでみますると、相当圧縮した予算であるのであります。先ほど御質問にありました、物価上つても、それに応じて事業分量を維持するというふうなことは、インフレをとめるゆえんでないというので、圧縮したのはその辺にも現われておるのであります。
  23. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいま大臣からインフレというお話がありましたが、インフレについてお尋ねしたいと思います。かかる財政規模膨脹は、そうでなくても底流しておるインフレの危険をはらむ、かように私は考えるのであります。わが国民経済を、再び過去に見たような悪性インフレーシヨンに追い込むおそれがないかどうか。現に東京の某新聞特派員に対して、ドツジ氏は日本インフレーシヨンに対する警告の意味意見を述べられたのを見たのでありますが、政府はかかる財政インフレの将来について、いかなる対策を持つておられるか、御所見を伺いたいと思います。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 このインフレというものの定義の仕方でごいまするが、昨日のある新聞にも私の意見として載つてつたようであります。これはインフレという言葉悪性インフレのような場合に使う場合と、正常なと申しまするか、生産がふえ、物価が上り、経済規模の拡大という場合に、これはデフレでなしにインフレ傾向だという見方もあるのであります。従いまして、私は今の日本状態はいい意味インフレではないかと考えております。しかしいい意味インフレでも、ゆだんしておりますると悪性インフレになりますので、財政的にこれを押えるように、あらゆる手段を講じておるのであります。いつも問題になりまする外為会計あるいは食管会計へのインヴエントリー・フアイナンスをこの補正予算でやつた措置をごらんくださいましても、われわれがいかに悪性インフレを起さないように努力しているかということは、おわかりくださることと思うのでありまするが、私は政府が今回のような予算をつくつて行けば、決してインフレにはならない、またしてはいけないというので、今後もやつて行きたいと思つているのであります。
  25. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに行政整理の問題についてお伺いしたいのであります。本補正予算は公務員の定員を減少することを見込んで、一般会計四万七千余人、特別会計四万六千余人、国鉄その他政府関係機関二万七千余人、合計十二万一千余人の整理となつているのでありますが、行政事務の簡素化、人員の整理による経費の節減と、これによる国民財政負担の軽減とは、わが自由党の国民に公約した一つでありまして、それが今回大幅の実現を見たことは賛成の意を表するものでありまするが、ただこれら整理の対象になられた方々に対して、まことにお気の毒にたえないのであります。これに対し政府は適切な処置をおとりになつておられるかどうか。もしあるとするならばそれをお示し願いたいのであります。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 第三次吉田内閣ができまして二回目の人員整理でございます。やめて行かれる方はまことにお気の毒なのでございまするが、幸いに日本経済は今伸びております。二年前に整理いたしましたときの受入れ態勢よりも、今の方が態勢がいいと思います。これが一点と、そうしてもう一つは、やめて行かれる方につきましては、一昨年整理いたしましたあの整理基準による退職金に対しまして、来年の三月までにやめられる方は、この前整理した方式の退職金の八割増しをいたしている。四月から六月までの人は四割増しをやる。こういうふうに、やめて行かれる方につきましても、相当この前よりも優遇いたしているのであります。またこのやめて行かれた人の職業補導ということも考えなければなりませんので、補正予算に四千万円を組みまして、そうしてやめた方の職業補導の方にも力を進めて行きたい、こういう前回に見ない措置をとつているのであります。
  27. 有田二郎

    有田(二)委員 その問題について、橋本行政管理庁長官にお尋ねしたいのですが、最初橋本長官は相当数の整理をお考えになつておられたが、非常に腰が弱いのか、だんだん人数が減つて来たように見受けられるのです。橋本長官としてのこの整理に対する当初の信念と、今日の状態とについて御所見を承りたいと思います。
  28. 橋本龍伍

    ○橋本国務大臣 おしかりをこうむつてまことに恐縮であります。実は行政改革の問題に関しましては、総体的にいろいろ考えなければならない問題がございまして、今回の行政整理につきましては、政令諮問委員会の答申案を基礎にして検討いたしたのであります。ところが、政令諮問委員会の答申案は、主として学者が立案された関係相当無理な点がありまして、閣内で十分検討いたしました結果、今日の現状において国政を支障なく運営し、かつできるだけ節約するという観点から見ますと、これが今一番いいと信じた次第でございます。なお、ただ仕事のしぶりということも、これはものの考えようでありまして、さらに将来能率化、簡素化をはかる余地がないかということになりますと、私は率直に申し上げて、なお簡素化、能率化をはかる余地がある。ただ一度に急激な変化というものは、なかなかいたしにくいということでありまして、今後私どもといたしましても、やはりまず第一に必要なのはいたずらに人員を膨脹しないこと、なお個々の仕事が片づいて行くにつれまして、将来個々にやはり定員の節減ということは、なお考えて行くべきものじやないかと存じます。
  29. 有田二郎

    有田(二)委員 橋本長官にさらにお伺いしたいのですが、ただいまの御答弁では、将来必要があれば第三次の行政整理もあるいは断行することがあるかもしれぬ、かように解釈していいのでありますかどうか、お伺いしたいのであります。
  30. 橋本龍伍

    ○橋本国務大臣 こういつたふうな非常に大きな総体的な整理をやるかやらぬかは別問題といたしまして、今回の行政整理にあたりましても、たとえば特別調達庁というようなものを例にあげてみた場合に、先々なかなか即座にどれだけの人員を整理するかということの見通しをつけかねる。一応今回では三割の整理をいたしておりますが、こういう問題が将来順次はつきりした見きわめのもとに、どれだけの整理ができるかということは出て参るものだと思うのであります。そのほか統制事務の整理の問題にいたしましても、やはり順次仕事が片づいて行くということになると思いますので、これはこの第二次の整理に引続いて、同じような意味の大規模な整理というものが必要だとは考えておりませんし、今のところその計画もございませんけれども、今回の整理で将来の見通が不確定な部分は順次見通しをつけては個々に整理をいたして行くべきだと考えております。
  31. 有田二郎

    有田(二)委員 橋本長官にさらにお尋ねしたいのでありますが、新聞にはいろいろ報道されているようでありますが、今回の行政整理によつて行政機構の改革というものには触れてないようでありますが、行政整理には機構改革が当然伴つて来るものである、かように私は考えているのでありまして、許す範囲内において橋本長官としての御構想を承りたいと思うのであります。
  32. 橋本龍伍

    ○橋本国務大臣 行政改革の内容といたしまして、機構の改革と人員の整理とが大きな柱になつていることは、有田委員御指摘の通りでありまして、私どももその点を十分考えて、全面的に建て直すつもりでおります。ことに今回の整理にあたりましては、むしろ機構の改革というところに非常な重点を置いておりますのは、過般の講和條約の締結によりまして、昭和六年に満州事変後日本が総動員体制に入りまして以来、二十年ぶりで真に平和な民主国家としての独立の端緒をつかんだわけでありますから、振りかえつて見まして、戰時中の総動員体制から戰後の占領下の行政とからみ分せて非常に複雑になつておりますので、機構の改革はいたすつもりでございます。一昨年の本多国務大臣の手によりまする行政改革の際におきましても、機構は相当整理されましたけれども、その際において、大きな柱で取残されたものが二つございました。一つは、その当時は経済統制がまだ十分に整理されておりませんで、それが残つてつたのでございます。今回の行政改革にあたりましては、経済統制の残つている部分を、経済統制の実態が整理されるにつれまして、真に今後の経済運営にふさわしい体制に直さなければならぬと思つております。それからもう一つの問題は、終戰後連合軍の占領政策もずいぶん緩和されまして連合国自体としても、今日では修正をしてよろしいという諸般の事情があるわけであります。それにつれまして、政府の行政機構といたしましても、やはり今後見直した方がいいような部分があるのであります。一昨年の改革の際には、その点はほとんど触れられておりませんでしたが、今日では政令諮問委員会に、この案がまず諮問されたという点から見ましてもわかりますように、わが国として真に民主主義的行政機構を運営するという基本方針はかわりませんけれども、やはりこれをなるべく安上りで、しかも今日の国際情勢の中において力強く動き得るような、簡素な能率的な、しかも財政的に負担の少い行政機構にするという点で、組直しがぜひ必要であると思つております。具体的な問題といたしましては、なお内外のいろいろな状況等も見守りつつ研究を重ねている段階にございまして、構想をまとめて発表する時期をいま少しくお待ちを願いたいと思います。
  33. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、給與改訂の問題であります。行政整理の反面、公務員の給與ベースの改訂を行うことが今回の補正予算に盛られておりますが、一般民間ベースに比して公務員給與が著しく低い現状から見まして、適当な措置であると思うのでありますが、この程度の給與引上げでは、決して公務員の生活を向上さすものではない、かように考えるものであります。公務員の給與の不良なことは、将来公務員たらんとする者を減少させるのみならず、優秀な公務員の出て来るのを妨げる結果ともなるのであります。従つてこの程度にとどまらず、将来一段と給與を改善するよう御努力になるのかどうか、この点大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  34. 池田勇人

    池田国務大臣 今回の公務員給與の引上げは、民間と比べまして相当低位にあるということが一つの理由であるのであります。私はできるだけ上げたいと考えておつたのでありまするが、何分にも千五百円程度引上げにいたしましても、一般会計相当負担になるのであります。また賞與の問題につきましても、実は人事院の年末賞與〇・八というふうな勧告もありますので、財政状況と見合いまして、この程度でがまんしていただきたい。将来の問題といたしましては、お話通りに私は民間の給與より劣らないようにしたいと思つておるのであります。財政状況を見まして、また適当な時期には考えなければならぬ問題だと私は思います。
  35. 有田二郎

    有田(二)委員 大臣の御所見を承つて非常に力強く感じたのでありますが、行政整理と同時に、官吏が生活して行けるように、どうか最善の御努力を将来ともお願いしたいと思います。  さらに住宅の問題についてお伺いしたいのでありますが、政府は住宅金融公庫に、一般会計から三十億円追加支出するほか、資金運用部から三十億を融資することになつておるのであります。融資住宅は、当初計画より比して五千万増加することになつたのでありますが、朝鮮動乱後の建築資材の値上り等から見まして、はなはだこれでは不十分ではないかという感を持つものですが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りで、私は衣食住のうちで今住が最も欠乏しておると考えておるのであります。従いまして昨年度から相当住宅資金の方を出しておるのであります。昨年は多分百五十億円だつたかと思いますが、昨年度はあまり使われずに今年度にずつとずれて参りました。今年度は昨年度の分が相当出ますし、また今回の補正予算で六十億円を出すことになりますと、当初として多分一般会計から五十億円、資金運用部資金から五十億円であつたと思いますが、これを合計いたしますと、百六十億円くらいになりまして、相当緩和ができると思います。しかしいずれにいたしましても、四万戸や五万戸ではとうてい不足なんでございます。最近衣食の方が大分よくなつて来たことから考えまして、今後住宅の方には、今まで以上に力を入れたいという考えを持つておるのであります。
  37. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに地方財政について大蔵大臣の御所見を承りたいのですが、最近の地方財政は、府県、市町村とも相当窮状にあると思うのであります。今回の補正ではわずかに平衡交付金百億円、起債百億円にすぎないのであります。もとより国家財政全体から見て、この程度にとどむるのはやむを得ないでありましようけれども、地方自治確立の見地から、もつと増額する御意図はないか、この点を承りたいと思います。
  38. 池田勇人

    池田国務大臣 地方財政も歳計の膨脹がございまして、相当不足額が出るとになるのでありますが、片一方では相当自然増收があるのであります。地方財政全体といたしましては、私は大した窮乏ではないと思います。しかし個々に見ますと、たとえば東京と大阪の方はもう平衡交付金はほとんど出さなくてもいい。しかもまた自然増收が重なつて参りまして、相当楽であると思うのでありますが、その他の府県につきましては、かなり苦しい県がございます。ことに農業の県におきましては、非常な苦しさがあるのであります。全体的に申しますると、大体まかなつて行けますが、個々の府県、市町村から申しますと非常に苦しいところがある。それを補うために、今回平衡交付金の百億円と起債の百億円を追加いたしたのであります。これによりまして地方財政委員会、自治庁等が全体の府県あるいは市町村のあんばいをして行つていたただきたい。地方財政の確立の上から平衡交付金をふやすということは、実はあまりいい話ではないのであります。平衡交付金を減らして、そうして地方団体が十分自分の財源でまかなえるような方法をとることが自治の本質だと思います。何分にもまだ過渡期でございまして、十分なところへは参りませんが、今の状態からいつて、この程度でひとつがまんを願うよりほかないのではないか。来年度におきましては、国と同様に地方も機構、人員を整理し、そうしてまた税制を改正いたしまして、府県ごとに、市町村ごとにあまり過不足のないような、りつぱな制度を確立したいと今せつかく研究をいたしておるわけでございます。
  39. 有田二郎

    有田(二)委員 平衡交付金の問題について、さらにお尋ねしたいのですが、平衡交付金の百億円はさることながら、起債の百億円はもう少し大幅に認めてやることができないかどうか、もしもかりに大幅に二百億円なり三百億円の起債を許すということになると、どういう悪影響があるか、この点ひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 御承知通り、この地方の起債は、資金運用部から融通しておるのであります。今年度郵便貯金は当初四百億円の増加を四百六十億円に補正いたしました。また簡易保険につきましても、二百七、八十億円、三百億円近い増加、それから厚生年金も二百億円余りを見込んでおるのであります。この金をまず地方債の方に持つて行く、その次には農林漁業資金融通とか、住宅金融公庫とか、あるいは国民金融公庫とか、あるいは特別会計の鉄道、電気通信の方に持つて行つておるのであります。そうしてその余り——余りと申しますか、片一方では民間の産業資金にも二百七、八十億円を持つて行くようにいたしておるのであります。従いまして、郵便貯金、簡易保險、厚生年金で、今年増加いたしました分は、今申し上げましたような計画で使つておるのであります。そこでもし地方債の方をふやすといたしますと、他の鉄道、電気通信あるいは住宅等に持つて参ります金を減らすよりほかにございません。ほかの方もやはり金に困つておりますので、地方債の方も、この程度でがまんしていただかなくては、ほかの産業その他に影響することに相なるのであります。しからば資金運用部資金以外のところから、地方債をやつてはどうかという問題になりますが、これは大蔵大臣としては何とも申せません。ただ一般の市中銀行から借りてやられるのならしかたがありませんが、地方債を日銀が直接に引受けるということになりますと、通貨の膨脹ということに相なつて来るのであります。ただ地方の方は、資金運用部からの借入金ならば、長期で六分五厘だ、一般銀行からなら一割以上になるから、銀行の方には行かず、資金運用部ばかりに要求がある、今言つたように金の元がきまつておりますので、これ以上ふやすわけには行かないのでございます。ただ資金運用部にも運転資金と申しますか、ある程度の資金は持つております。この資金を短期債、短期の一時融通の方には使つておるのであります。年度内の一時融通の金がいる場合におきましては、地方起債の五百億円以外に融資する場合もあることを御了承願います。
  41. 有田二郎

    有田(二)委員 もう一点、橋本長官と大蔵大臣にお聞きしたいと思います。最近国の財政、会計上の諸制度について、相当程度の改革がなされて、形式的には一応整備されたような感を見受けるのでありますが、一歩予算執行の実際面に立ち入つてみますと、遺憾ながら寒心にたえないところがあるのであります。会計経理上の不法不当の行為は、年々累増しまして、たとえば会計検査院の批難事項件数は、昭和十五年度ないし十八年度ごろは、大体年八十件程度昭和十九年、二十年ごろは、年三十件程度にすぎなかつたのでありますが、戰後昭和二十三年には六百二十二件、二十四年には七百五十件と激増し、また小切手に関する偽造横領等の犯罪は、以前ほとんど見られなかつたものであるが、昭和二十四年百五十件、二十五年には百七十五件と増加し、さらに国の物品放出件数は、二十二年二千四百二十六件、二十三年は四千五百六十六件、二十四年は五千八百五十四件と、これまた増加しつつあるのであります。しかもこれらは表面に現われたものにすぎないので、その他にも、あるいは経常の物件費を浮かして他の費用にまわし、あるいはから出張、あるいは幽霊人夫等各種の不正手段を奔して帳簿面をごまかすようなことが、各所において隠然とあるいは半ば公然と行われているようであります。かくして国の会計経理は事実上慢性的症状を呈するといつても過言ではない状態にあるのであります。かかる事態に処する政府の根本的対策は、どういうような状態であるか、これをひとつ大蔵大臣と橋本長官から承りたいと思うのであります。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 有田委員のお説の通りでございまして、最近会計事務の不正その他が非常に多くなつたことは事実でございます。従いまして大蔵省といたしましては、予算の執行についての調査、監督権がございますので、主計局を動員いたまして、各省の予算執行状況を調査いたしまして、先般も閣議に報告いたしたのでありますが、これ以外に予算の執行状況が、各事業部門においての不正の問題と、また各省自体におきましての不正の問題とあるのであります。事業部門におきましては、一応新聞にも出ておつたよう状況でございます。また各省内部の使用の状況につきましても、ただいま検討を加えておるのであります。国民租税の使いようでありますから、大蔵省といたしましても、極力その不正防止には努めておりますが、まだ何分にも絶対になくするというところまで行つておりません。特に大蔵大臣としては、各省、各庁に強く要望いたしまして、お話のような点が絶無になることを期して監督いたす覚悟でおります。
  43. 橋本龍伍

    ○橋本国務大臣 ただいま御指摘のことは今日最も大切な問題だと考えております。日本が完全に独立いたしましてから、国内の民心を統一して行く上において、政府の信頼というものが非常に大事なことだと思いますので、行政管理の面においても、きわめて重要視して行く考えでございます。これに関する施策に関しましては、ただいま大蔵大臣からもお話がありましたが、私も実はこの問題は單なる取締りというような方法だけでは、ほんとうに効果を上げ得るものかどうかということに疑問もございますので、行政管理庁の行政監察委員会あたりを少し動かして、根本的にも考えておるような次第でございます。一例をあげてみましても、あるいは財政法規の面で、終戰後かなりこまかい経理規程が設けられておるのであります。こういうふうな経理規程によつて実際上の非常な不便がある。そうすると割合に経理規程をくぐつて使うということが平素のくせのようなものになつて、ついついルーズに流れるというようなことがかりにあるとするならば、むしろ経理規程の過度な不融通性というものをなくして行つて、しかも残つた新しい規程は嚴重に実行をしながら監督して行くというのも行き方でございますし、あるいはまた最近問題になつておりまする工事現場におけるいろいろな問題等につきましても、工事現場に課せられる諸般の負担というものの実態に無理があつたならば、その方の是正も考えて行くというようなことを考えつつ、かつ有効な監督方法を講ずる必要があると考えておるのでございます。なおこの点につきましては、会計検査のやり方の問題等もございましようが、何か有効な行政監察機関というふうなものを、ある程度自動的に動かす必要があるかどうか考えまして、今日研究中でございます。行府機構の改革の問題の中の一つのテーマとして実行の方策を考えております。
  44. 有田二郎

    有田(二)委員 この件について、会計検査院から御意見を承りたいと思います。御意見を承ると同時に、この前の決算委員会で、私が会計検査院の人が地方へ行つてごちそうになる、けしからぬということを、たしか下岡検査官とあなただつたかと思うのですが、御質問申し上げたのです。しかもそのときの御答弁では、確かにいなかに行つてごちそうになる、なぜごちそうになるかという御質問をいたしましたら、地方に行つて、地方の民情を聞かしてもらうためにごちそうになる。教えてもらうのにごちそうになるというようなことは、ふらち千万である。なぜ予算を請求して、しかも会計検査院は国会、最高裁判所と並んで特別に見られておる官庁であるにもかかわらず、会計検査院の方が地方へ行つてごちそうになるということを申し上げました。爾今そういうことのないように努力する。間もなく各官庁に通達が行つたのでありまするが、最近においても依然として地方において会計検査院の方がごちそうになつておるやの情報をひんぴんと聞くのであります。先般問題になりました宇治の警察予備隊におきましても、徹夜をして会計検査院の方が散財をしておるというような情報もわれわれのところに入つておるのでありまして、会計検査院も自粛自戒をしなければならぬ。同時にかような取締りの面についての会計検査院としての御所見を承りたいと思います。
  45. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えいたします。ただいま有田さんから御意見がございました通り、昨年決算委員会におきまして、会計検査院の出張先におきまする接待の件につきまして——従来も非常に自粛自戒して参つておつた次第でありまするが、ちよいちよい今お話のような風聞を耳にいたしますることを私ども非常に遺憾に思つておる次第でございまして、このことにつきましては、昭和二十二年の何月でありましたが、七・七禁令が出ました以後、当時の社会情勢その他の関係で、私どもの職員で出張先におきまして、はなはだ国民の指彈を受けるような行為がありましたので、さつそくこれは処分いたしまして、部内に嚴に出先における接待につきましては、特別に戒愼するよう注意いたしますとともに、各官庁に対しましても、こういうふうに部内の職員には通達してあるから、出先につきましてはたださえ調書その他の関係でお手数を煩わしてもおるし、この上接待等のことについて御心配かけるようでは、はなはだ相済まぬ次第であるから、嚴にやめられたいというお願いをいたします一方、地方に出張いたしまする際に、その都度局長命等によりまして、出張の日割とかあるいは調書その他の関係を御連絡いたす次第でございまするが、その際も昭和二十二年の七月ごろだつたと思いまするが、そのときこういうふうな通牒をしてあるからという写しまで添えまして、その都度接待のことにつきましては、お互いに嚴に注意するように戒愼いたしておつた次第でございます。しかるに今有田さんのお話で、宇治でこういうような事例があつたというお話を聞きましたが、私今はなはだ不幸にしてそのことをまだ承知いたしておりませんので、そのことはさつそく取調べまして処置いたしたい、こういうふうに思つております。接待のことは私から今いろいろ陳弁いたす余地は全然ございません。国民の血税によつてまかなわれました国費あるいは地方費で、私どもが出張先で不当な接待を受けるということは、何も弁護する余地は全然ございません。御趣旨の通り一層嚴に注意いたしたい、こういうふうに思う次第であります。
  46. 有田二郎

    有田(二)委員 どうか会計検査院にお願いしたいことは、予算の面においてひとつとつていただいて、地方へ行つたときにごちそうにならぬでも、会計検査院みずからの予算で飯を食うように、むしろひとつ相手方を招待してやるというようにしてもらいたい。これから検査しようという官庁からごちそうになつて、検査ができるかどうか。この点をよくお考え願いたいのであります。ただいま申し上げましたような数字から見ましても、非行事件が非常に多い。会計検査院の責務は非常に重大である、かような点をお考えつて、将来とも十分御注意願いたいのであります。  さらに橋本長官及び大蔵大臣にお尋ねしたいのでありまするが、現在の監査機構ははなはだ複雑多岐でありまして、まず会計検査院の検査、行政管理庁による行政監査、大蔵省の会計法第四十六條による監査並びに公共事業に対する安全の認証に伴う監査、各省各庁の監査あるいはさらに経済調査庁の監査等種々さまざまであります。これでは監査機関相互の連絡が不十分で、かえつて能率的でないばかりでなく相手方の受ける苦労も一通りではないのであります。決算委員会閉会中の審査報告書を見ますると、九州地方建設局における二十五年度中の監査調査のための来訪者を調べますると、会計検査院が九回、大蔵省が二十回、経済安定本部が十六回、人事院が十八回、GHQが六回、国会が十回、その他官庁が百一回、建設省が七十四回、合計二百五十四回で、延人員七百九十人、日数四百七十日であります。検査監査機構の統一の試案としては、各省各庁の内部監査と会計検査院の検査並びに監査の二本建とし、会計検査院の機構を拡充して、出先機関を設けるということも考えられるのであります。大蔵省の会計法第四十六條による監査の廃止には異論があると思われるが、監査が比較的粗雑であることと、監査後の跡始末が不十分であり、あまり効果がないものと思われるのであります。私先般予算委員の国政調査で名古屋に参りましたが、東海財務局を調べましたときに、二十五年度中の実地監査だけで九十件ありまして、その指摘するところによると、ほとんど工事の査定が甘いとか、より以上節約し得るとかの結論を出しておるのでありまするが、本省において国庫に損失を與えるとの理由から、所管官庁に返納を通達したものがわずか二件であります。しかもそれは実際返納されておるかどうかもわからないのでありまするが、こういつた結果でありまして、こういつた監査、検査の機構を統一して、そうして地方官庁なりあるいは各官庁が迷惑をかけないように、しかもごちそうをする予算はないのでありまするが、各官庁が行つたら全部ごちそうしておる、こういうようなことから考えまして、検査、監査の統一ということについての橋本長官並びに大蔵大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
  47. 橋本龍伍

    ○橋本国務大臣 有田委員御指摘の通りでありまして、実は戰後行政面にいろいろな問題がありまして、監査が必要であるという世論が起りましたところが、監査ということが看板ならば、機構もできるし、人員もとれるし、旅費もとれるといつたふうに、非常に監査がはやりまして、監査それ自身を監査しなければならぬような結果になつてつたのであります。まことに遺憾でございます。むしろ行政組織というものは、理想はけつこうでありますけれども、この理想を現実化する場合に、よほどしつかり見なければならないというきわめて典型的な事例だと思うので、行政改革に際しては、この点を十分に考えなければならないと思います。そこで各省それ自身が自分の予算の執行について、十分な内部監督をしなければならないのは、当然のことでありますが、これはむしろ行政機構それ自身の間で上が下を監督するという形に行くのが筋でありまして、それぞれの行政組織が自分の内部監督をするための特別な監査機構を持つというふうな行き方は、私はどうも特殊の例外を除いてはやめた方がいいのではないか。従つてこれはもう当然内部で、上下の関係で監督が行われるのが筋でありまして、各省庁の内部監督のための独特の監査機構なり、人員なり、予算なりというものは、きわめて特別な場合のほか、やらない方がいいのじやないかと考えております。  そこで政府総体としての行政監査の機能といたしましては、これは会計検査院の本来の仕事がございまして、これにつきましても、今までのように各年度ごとの決算を全体一律に見渡すというような行き方だけでしか、会計検査というものは、やりようがないものであるか、もう少し特別なことに目をくれた監督というものが、できないものかどうか、会計検査院においても考えていただきたいと思いまするが、しかしおのずから会計検査院の仕事は、総体にわたらざるを得ないので、特殊な目的で特別な部分を見るということはできかねると思います。政府としましては、各省庁が内部監督を行いまするほかに、ある程度行政監察機構というものを整備する必要があると思いますので、これは総理府のどこかの機関として有功なものを何か考えて参りたい。それで監査はけつこうではあるけれども、ただいま有田委員の御指摘のような逆の弊害を起すことのないようなものにするために、いろいろ研究をいたしておる次第でございます。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 橋本行政管理庁長官の意見もあります。私といたしましても、会計検査院、行政管理庁等と十分連絡いたしまして、不正使用のないように、今後特別の処置を講じて行きたいと考えております。
  49. 有田二郎

    有田(二)委員 会計検査院に最後にお願いしたいのでありますが、今のやり方ははえを追うているやり方なんで、予算の面で十分考えて、爾今地方でごちそうになつた者を見つけたら全部首にする、かように次長のお言葉を解釈していいかどうか承りたい。
  50. 池田直

    池田会計検査院説明員 地方におきまして、不当の接待を受けた者は、そのごちそうの限度によりまして——役所で、あるいは長官官舎とか、あるいは局長の部屋等におきまして、たまたま局長も話をしたいからというので、そこで簡單な食事を出す、それまで実は私どもとしましては愼むように、やめるようにということで堅持しておりますわけですが、たまたまいろいろな事情でそういうものまで犯した場合に、これを全部首にするということまでは私お請合いいたしかねるわけでありまして、世間で非難を受けるような不当の接待を受けたら、これは処分して行きたい、こういうふうに考えている次第であります。
  51. 有田二郎

    有田(二)委員 だから私が言つておるのは、予算をとつて、ごちそうにならぬで行けるような会計検査院にしてもらいたいというので、予算をとらずにやれというのでは決してないのです。会計検査院自体において食糧費その他の予算相当つて、そうして何も局長の部屋で洋食をよばれたり、ビールをよばれたりする必要はさらにない。程度も何も必要はないわけです。みずからが食つて、みずからがやつてやることが、会計検査院みずからの権威を高めるゆえんのものである。しかも、今日の状態から考えまして、会計検査院の拡充すら考えられるときでありますから、その責任は非常に重かつ大であります。今の会計検査院の答弁でははなはだ不十分でありまして、帰つて十分御検討願つて、権威ある会計検査院になるように御希望を申し上げて、その点についての私の質問を終るのであります。  さらに大蔵大臣にお尋ね申し上げたいのは、年末金融の点でありまするが、非常に年末金融が引締められるだろうというので、国民並びに産業人全体が非常に心配しておる。これについてひとつ大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 私は金融を引締めるという気持は持つておりません。金は必要な場合にはどしどし出して行く。しかし不必要な金、不急不要な金は、これは引締めなければなりません。御承知通り、年末には相当の通貨がふえるのでございます。私は、その通貨がふえるのは、日本の取引状況からいつて当然なことでございます。年末に引締めようというような気持は持つておりません。いる金はどしどし出して参ります。
  53. 有田二郎

    有田(二)委員 この際お伺いしたいのは、日銀政策委員会を廃したらどうかという意見相当あるのでありますが、これに対する大臣の御所見を承りたいと思います。
  54. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう意見のあることは承知いたしております。従いまして、私は銀行制度、日銀制度等につきまして、ただいま検討を加えております。通常国会には御審議願えると思います。
  55. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに大蔵大臣にお尋ねしたいのでございますが、日銀監理官は、御存じの通り長い間空席であつて、その点を指摘して、この前、東京国税局長であつた坂田君を日銀監理官にした。最近安本におかわりになつて以来、銀行局長が兼務のままでありまして、私が日銀に行きましても、日銀監理官室はねこの子一匹もおらぬという状態であります。これは監督官庁であり、監督大臣であるところの大蔵大臣は十分御検討を願いたいと思います。專任の監理官を置かれて、そうして特に今日オーバー・ローンの状態でありまするから、どうしても日本銀行の力が強い、さなきだにローマ法王というあだながついているくらい日銀が横暴であるとさえ言われております。これの監督は、日本銀行法にのつとつて日銀監理官を通じて大蔵大臣が十分監督さるべきである、單に経理面だけでなく、業務面においてもタツチをして、一々報告を聞いて、詳細にわたつて、日銀監理官を通じて監督する義務が大蔵大臣にあると考えるのでありますが、これについての御所見を承りたいと思います。
  56. 池田勇人

    池田国務大臣 日銀の監理官という制度は昔からございまして、一時、政策委員と監理官が兼ねた場合もございますが、原則としてずつと従来から銀行局長が監理官の職を兼ねる場合が多いのであります。專任の監理官を置くかどうかという問題につきましては、検討を要すると思いますが、日銀の監理官は銀行局長でもやつて行けるのではないかと思つております。  次に大蔵大臣の日銀に対しまする監督でございますが、これは私は及ばずながらやつておるつもりであります。重大な政策その他につきましては、一々相談を受けておるのであります。ただ、個々の問題について、どこに金を貸すとかなんとかいう小さい問題については受けておりません。全体的には私が監督いたしておるのであります。今、日銀の力が強くて、市中銀行の力が非常に弱いということは、今の日本の金融制度、金融機構、金融の実態がそうでありまして、どこの国へ行きましても、日銀の貸出し歩合が市中の貸付金利よりも非常に低いということは、りくつにないのでございます。こういうところから、だんだん改めて行かなければならぬと思います。最近におきまする日銀の金利の引上げ、高率適用の改正等も徐々に直して行こう、正常な金融制度、金融の実態にして行こうとしている努力の現われであります。一度に貸付金利その他を一般並にかえるというわけには行きませんが、徐々にかえて行きたい。また監督につきましても、今後とも十分やつて行く考えでおるのであります。
  57. 有田二郎

    有田(二)委員 行政整理も非常にけつこうでありますが、必要な役人はぜひ置いてもらいたい。大蔵大臣は銀行局長の兼務のままでいいという見解でありますが、私は断固反対であります。先般も国税庁の直税部長が、大蔵省の主税局の税制課長を兼務しておるというような事態がありましたが、大蔵省に人間がないなら別でありますが、割合に学校で成績のよかつたのが大蔵省に入つておる、こういうように承つておるのでありまして、大蔵省には他に日銀監理官にする人材がある。しかも業務面におきまして、日銀の再割をする場合にも、事務的な問題あるいはその他の問題について、詳細にわたつて政府は監督する義務がある。しかも、ただいま大蔵大臣が申された通りに、今日の情勢では、どうしても日銀が非常な力を持つのがあたりまえだということについては、われわれも同感であります。力が強いだけに監督を十分にしていただかないと、監理官室が常に空席であつて、しかもそこにだれもいない、ねこの子一匹もいないというような状態を見て、国民代表である私は、大蔵大臣の御意見には賛成しかねるのであります。そこではつきり監理官を置くかどうか。專任監理官を置いて、そうして日本銀行の監督を十分にする。今まで非常にいばつておつた一万田総裁が、最近は一週間に一ぺんずつ大蔵大臣のところへやつて来て一時間ほど話をする、こういううわさを聞いて、私は非常に喜んでおる。当然のことである。今まで行われていなかつたということが奇々怪々であつて日本銀行の総裁が大蔵大臣と常に連絡をとつて、そうして財政並びに金融面を円滑にして行くことは当然のあり方であります。今までそれがなされていなかつた。近ごろさようになつて来たことは、大蔵大臣池田氏の努力の結果だと私は思うのでありまするけれども、しかしながら、それは大まかなところであつて、こまかい点についても監理官がいろいろと聞いて、そうしてそこに情実がないか、金融というものは今日非常に重大な問題であります。いろいろなデマも飛んでおる、金融ブローカーのデマも飛んでおるのでありまして、いろいろな日銀それ自体の監督ということについて、專任監理官を置かずに、銀行局長の兼務でいいという御見解には反対でありまして、專任監理官はどうしても置かぬという大蔵大臣の御見解であるかどうか、承りたいのであります。
  58. 池田勇人

    池田国務大臣 専任監理官を置くか置かないかということは、大蔵大臣考えできまるべき問題だと思います。しこうして今專任監理官を置いて、お話のように個々の貸付等に監理官が口出しをするということが、制度自体としていいか悪いかという問題を考えなければなりません。従いまして私は今の状態では專任監理官を置かなくとも、やつて行けるのではないかという考えでおるのであります。しかし、いつこの兼任を解くとか、あるいは兼任のままで行くかということは、将来の人事の点でございますので、今置く置かないを御返答申し上げる段階には至つていないと思います。
  59. 有田二郎

    有田(二)委員 私は個々の一つ一つを取上げて申し上げておるのではないのでありまして、一つの日銀の再割の状態を、日銀監理官が、うまく行つておるかどうか監督するのは当然のことでありまして、さなきだに忙しい銀行局長が、さなきだに忙しい日銀監理官を兼務して、それで十分にやつて行けるとは考えないのでありまして、日銀監理官を兼務するかどうかということは、大蔵大臣の権限であるけれども、日本銀行法というものは国会においてきめました法律であります。法律の運営について国会議員が意見を述べることは当然であつて、国会議員の私としては、專任の監理官を置いて十分に日銀の監督をなさしめるということが、今日のオーバーローンの状態においては必要であると考えるのでありますが、御所見を承りたい。
  60. 池田勇人

    池田国務大臣 再割の問題なんかを言われておりますが、私はその状況は十分知つております。專任監理官を置かないから監督ができないというわけのものではございませんので、今の状態では、しいて置かなくてもやつて行けるのではないか。しかし今後のことはわかりません。自分としては、ただいまのところは兼務でもやつて行けるのではないか。ただ銀行局長が直接に自分で行くということでなくても、総務課長その他を使つている場合もありますので、特に專任の者を置かなければならぬかということにつきましては、今即答しかねるのでございます。
  61. 有田二郎

    有田(二)委員 大体その程度でなかなか大蔵大臣強情だからしようがない。よく考えて、大蔵省にも人間がいないのじやないのだから、專任監理官を置いて、日銀の監督を十分にやつていただきたい、かように考えるものであります。  さらに最近英国の選挙——きよう選挙でありますが、選挙後におきまして、ポンドの切下げがうわさされておるのでありますが、もし、かりにポンドの切下げということになりました場合の大蔵大臣としての御対策があるかどうか、承りたいのであります。
  62. 池田勇人

    池田国務大臣 ポンドの切下げの問題につきましては、イギリスの総選挙の一つの大きな点になつておるようであります。御承知通り、一昨年九月ポンドの引下げをやりましたときは、いわゆるポンド圏のドルは十三億ドルであつたのであります。ただいまは三十億ドル持つております。ただ第二・四半期に急激に六億ドル減つたということから、そういうことが伝わつておるのでありまするが、これは私は責任の地位におりますから、下げるとか下げぬとかいうことは申し上げられませんが、ポンドにいかなることがありましても、あらゆる場合についての対策は、私としては考えておる次第であります。ポンドのみならず。今の状態ではフランの方が相当危機に瀕しておるということも聞いております。フランの問題は、そう大したことはございませんが、フランの問題からポンドの問題というふうなことになりました場合の対策考えております。
  63. 有田二郎

    有田(二)委員 なかなか御自信があるので、われわれも安心したのでありますが。さらにお尋ねしたいことは、三百六十円レートを御変更になります意思がないかどうか。また円についても、円の切下げというようなことについて心配する必要がないかということを承りたいと思います。
  64. 池田勇人

    池田国務大臣 先般の財政演説で申し上げた通りでございまして、為替レートの変更は全然考えておりません。
  65. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに本日の新聞に第七次造船について三十五億円というようなことが漏れておつたのでありますが、これについての大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  66. 池田勇人

    池田国務大臣 七次造船の後期につきまして、どれだけ造船するかという問題が前から話題に上つておるのでありますが、私の考えでは、ただいま資金運用部の状況あるいは見返り資金の状況から申しまして、電力に百億円追加し、船舶の方には三十五億円追加する、すなわち合計百三十五億円ということは、先般財政演説で申し上げた通りであります。三十五億円の船舶のあれでは民間の銀行と半々にいたしまして、七十億円でございます。七十億円といいますと、十万トンの建造費百四十億円の半分でございます。ここでもし二十万トンといたしますと、七十億円政府資金を出さなければなりませんが、七十億円は出す予定をいたしておりません。従いまして民間と五・五の割合で行くのならば、今の見込船がトン十四万円ならば十万トンしかできない。しかも今三十五億円出しましても、来年の五、六月ごろにはまあ三十五億円財政資金を出さなければならぬ、こういうことから考えますると、まだ結論には閣議として到達いたしておりませんが、私は三十五億円が精一ぱいである。しかし政府資金が三十五億円で民間資金をふやされるならば、これは何も十万トンに限る必要はないのでございます。金融業者が先般の大蔵大臣の通牒によりまして、発電、造船、石炭、製鉄、こういうふうな方面へ設備資金をどんどんお出しになるならば、これは十五万トンになつても、二十万トンになつてもけつこうだ。財政資金としては三十五億円、これは十万トンの半分の金でございます。
  67. 有田二郎

    有田(二)委員 話はかわるのでありますが、さつきの監査に引続いての問題でありますが、大蔵大臣にお尋ねしたいことは、接待費が予算面にはないのであります。食糧費と申しましても、会議の際のコーヒーあるいは簡單なる食事以外の予算が組まれていない。ところが実際面においてはそういうものが使われておる。もちろん今日の際でありますから、ぜいたくは嚴に愼むべきでありまするが、各官庁における最低限度のそういつた費用というものは当然見るべきである。こういうものを見ないから会計検査院が来てこれをごちそうするという結果になる。予算の立て方に無理があるからして、会計検査院が来てそれを摘発されると困るから、これをごちそうするということにもなろうかと思うのでありまして、将来接待費その他について当然私は見るべきではないか、かような所見を持つておりまするが、大臣のお考えを承りたいのであります。
  68. 池田勇人

    池田国務大臣 予算上、接待費、交際費というものは見ております。しかし、お話のように少いかもしれません。これは各省によつて違うのでございますが、大蔵省としての接待費も計上してあります。今の物価状況から申しまして、これはお話のように少な過ぎるという気持はいたしておるのであります。そこでどういうふうなやり方をするかと申しますると、一般の物件費大蔵大臣の承認を得て移用、流用ということはある程度は認めておるのであります。これは多くしたらどうかというお話でございますが、この接待費というものは、実は私はあり多くすることは好まないのでございます。実情に合わぬからとおつしやるならば、実情に合うようにうまくやつてもらう、それでもどうしても合わぬということならば、移用流用してそうして適正なところだけは大蔵大臣が認めるようにいたして行きたい。だからわくをふやしまして移用、流用を全部認めないということになりますと、それも一つの方法かもわかりません。私は今の状況から申しまして、接待費はなるべくふやさない、減らすようにして行きたい、こういうふうに考えております。しかも移用、流用につきましてもだんだん減らして行くという方針でおります。
  69. 有田二郎

    有田(二)委員 予算執行の適正化ということに若干関連するのでありますが、なおこの際見のがすことのできないのは、各官庁間の経常的経費のアンバランスであります。主計局では予算單価または基準を決定して、それに一律に人員数その他をかけるのであるから、経常的事務費、その他においては各官庁間でそう不均衡を生ずるはずはないわけでありまするが、実際はそうではないのであります。人員の多過ぎるところはもちろん減らし、人員の不足するところは増加するなりして、国の役所並びに役人としての体面待遇は、各省とも平等でなければならぬと考えるのでありまするが、この各省の経費がアンバランスである、この点をひとつ大蔵省としても十分御検討願いたいのでありまして、比較的いいものの例をとりますると、大蔵省主計局が超過勤務手当が九百十八万八千円、基本給に対する比率が二四%であります。主税局が一一%法務府の法制意見局の方は九%、それに対して悪いところは外務省の條約局が三・五%、労働省労政局が六%、建設省の住宅局が五・五%というように、超過勤務費が二四%も主計局がとつておるのに対しまして、外務省の條約局は三・五%よりない。また経済安定本部の財政金融局は五・九%である。こういう数字をずつと拾つてつてみますると、もう一ぺんよく考えてひとつやつてもらわないと、各官庁間の経費がアンバランスであるというような考え方をわれわれ持たれるのであります。また旅費につきましても大蔵省の主計局は一人当り三万二千円、それに対して外務省條約局は五千円という状態である。もちろん官庁でありまするからいたし方がないのでありますが、いろいろと仕事の関係上そういうことになるのでありますが、こういう点についても陸運局は一万二千円というのであります。それからまた物品費につきましても、主計局は一人当りが五万八千円、それに対して労働省の労政局が一万九千円、建設省の住宅局が一万二千円、さらに大蔵省の主税局は六万二千円、非常に大蔵省の主税局、主計局の一人当りの物品費が多いのに対しまして、建設省の住宅局、あたりは一万二千円というように非常に少い。さらにまた経済安定本部の財政金融局では、物品費は一人当り八千円というのであります。また役務費に例をとりましても、主計局が一人当り三万六千円、主税局が一人当り十五万六千円、それに対しまして建設省住宅局は二万八千円、さらに経済安定本部の財政金融局では一万一千円というような状態であります。何がゆえに主税局が十五万六千円で、経済安定本部の財政金融局が一万一千円であるか。こういう点も十分御検討願いたいのであります。また食糧費につきましても、主計局の一人当りは二千三百九十円であります。さらにまたそれに対して建設省の住宅局では一人当り一千百三十円、それからまた外務省の條約局では一人当り三百四十円というのが出ておるのであります。また陸運局あたりは一人当り三百七十円というのでありまして、こういうところはもちろん主計局として非常に御苦心なさつている点だと思うのでありますが、おか目八目で見ますると、少しアンバランスであるような感じを受けるのでありますが、大臣の御所見を承りたい。
  70. 池田勇人

    池田国務大臣 大蔵省に関係したことが多いので、私から申し上げるのはいかがと思いまするが、せつかくの御質問でありますからお答え申し上げます。主計局の忙しさは有田さんも御存じだと思いますが、半年以上夜業でございます。従つて超過勤務手当の多いのは当然だと思います。これは少かつたらたいへん。それからいろいろな費用が多いのは、主計局がもし変な考えを起して、各官庁の方にいろいろなことを命じたらたいへんなことになります。それなら主計局は夜業をせずにやつたらどうかと申しましても、これは予算の折衝というものは人をふやすばかりじやいけない、時間切れということもあるのであります。ごらんになりましたらわかりますように、主計局くらい働いておるところはございません。(「主観だよ」と呼ぶ者あり)主観だと言われますが、これはいつ主計局においでくださいましても、よく働いておる様子、夜業の多い状況はよくおわかりになると思います。同じ大蔵省においても、管財局、理財局と御比較になつてもいいと思う。安本の財政金融局のお話が出ましたが、あの財政金融局のものはほとんど全部大蔵省から行つておる。これは安本は総合官庁で実務的なことはあまりやつておりませんので、超過勤務も少いのであります。それから主税局の話が出ましたが、毎年毎年法案を出します。しかも国税庁ができましたから主税局は少いのであります。物件費などいいと申しましても、お配りいたしましたあの租税法規を刷つて配るだけでも、人員は少くて、書類はたくさんつくつたり、法規をつくるとか、いろいろな点で多いのであります。私は決して不公平のないようにいたしておるつものであるのであります。仕事の多いところ、重要なところには超過勤務を出すことは当然であります。もし主計局で残らなくともよいものを、電気をつけて残しておるという事例がありましたら、お聞かせ願えれば改めますが、今のところ主計局が超過勤務をたくさんとつておることは当然のことだと思つております。
  71. 有田二郎

    有田(二)委員 主計局がよく働いておることは予算委員各位の認めておる点であります。ただ私の申し上げておる点は、アンバランスの問題です。それをよくお考え願いたい。先般も名古屋へ国政調査に参りましたときにも、労働基準局を調べましたところが非常に超過勤務の支出が少い。民間へ行つて超過勤務手当の出ていないところを摘発しておつて、みずから違反しておる。しかも私は先般労働大臣に外郭団体を設けてそうしてそこから金をとつて、金を出さないところは摘発するといううわさもあるから、十分注意するようにということを申しておきました。労働大臣はそれに対する対策を講じたそうでありますが、私は主計局が高過ぎると申しておるのでは絶対にありません。主計局といえども決して高過ぎない。ただ私の心配しておる点は、アンバランスの問題、不均衡であるということでありまして、特に大蔵省に対しましては、各官庁は口に出したらしかられるから言わぬけれども、ひが目で、大蔵省はいいけれども、おれらは悪いといううわさをよく承る。(笑声)この点について大臣は強情だからどうせ言わぬだろうと思うが、(笑声)こつちの意見だけを申し上げて、大臣並びに主計局長においても、十分検討を願いたいと思うのであります。  今度は千五百億円という自然増になつたのでありますが、これについて国税庁長官にさらにお尋ねしたいのでありますが、将来これによつて無理な徴税の仕方をおやりになるかどうか、この点を承りたい。
  72. 高橋衛

    高橋政府委員 昨年来税務行政運営の方針相当変更いたしまして、できるだけ納税者の納得を得て、円満な、しかも適正な税務行政を運営いたしたいということでいたして参つたのであります。幸いにいたしまして二十五年度所得税の更正決定等の措置に関しましては、二十四年度におきましては約四百万件に近い更正決定をいたしたのでありますが、二十五年度の場合におきましては十一万七千件の更正決定をやつたというような、その面におきましては非常な改善をしたのであります。従いまして、この改善された状態をそのまま持ち続けるのみならず、さらにこれを改善して行きたいと現在考えております。ただ昨年度におきましては相当前からの、たとえば審査の請求でありますとか、再調査でありますとかいうふうな仕事が累積して参つておりまして税務官吏の手の届かない、言いかえますと、十分に調査が行き渡つていないというような面がございましたが、今年度年度当初から、そういうふうな当時からの仕事が累積しておるというような状況が、非常に改善されて参りましたので、今年度はできるだけ実額調査に十分意を用いまして、そうして租税の適正な運営をいたして行きたい。それによつて相当国民の御協力を得て、税收の確保をなし得るのではないかと期待をいたしておる次第であります。
  73. 有田二郎

    有田(二)委員 国税庁の長官は雲の上のことで、下々のことはわからぬだろうと思うのです。国税庁長官の御方針は非常にけつこうであります。特にアメリカから帰つて来てからというものは見違えるほどりつぱになられた。ところが実際に第一線においては親の心子知らずであります。税務署の第一線においては非常にいい税務吏員もおられますけれども、遺憾な税務吏員も多数目撃して参つておるのであります。特に今更正決定のことに触れられましたけれども、更正決定の数が多過ぎるということは国会で問題になつて、それで国税庁長官の通達として出ますと、今度は一ぺんにすつと減るのです。浜田税務署の例をとつても、昨年一万数千件あつたものが、一ぺんに百を切るというような更正決定の減り方です。先般私は三重県の四日市の税務署へ行きましたが、ここで千九百七十件の更正決定があつた。しかるに大阪市内のある税務署のごときは、百を切るというような更正決定のあり方です。私は今日のわずかな税務吏員で、多数の納税者の税決定をして行かなければならぬのに、この一定数の更正決定はやむを得ぬと思うのです。しかも更正決定を減らせという国税庁長官の通達によつて、第一線では説教強盗的な指導をしておる。今年はこれでかんべんしてくれ、来年何とか考えてやるから、これで判を押せというような考え方が非常に多い。高橋長官の親心を知らずして、ただ一片の通牒を忠実に守り過ぎるために、更正決定をすることによつて——正しい税決定があるのにかかわらず、それをしない談合して、何とか今年はこれでしんぼうしてくれ、来年は何とか考えようということです。先般も大蔵委員として北海道へ国政調査に参りました帰途、青森に寄りましたときでも、青森の滞納を調べましたところが、どうして滞納したか。仙台国税局の調査課の人が来られ、そうしてどうか頼むから今年はこれでがまんしてくれ、来年は何とか考えるからということであつたが、来年その係が来ぬのです、うそばかりです。こういう説教強盗的な、人権蹂躪的な税決定というものが第一線に枚挙にいとまなくある。私はこのように考えるのであります。村山所得税課長は地方をまわつて、もつと更正決定をやらぬといかぬというような御指導をしておられるやに聞いておるのでありますが、更正決定の来年度見通しを長官に承りたいと思います。
  74. 高橋衛

    高橋政府委員 二十五年度におけるところの所得税の申告の状況並びに更正決定に関しましては、私どもその後の実績を十分に検討いたしまして、反省も加え、二十六年度に対するところの方策を目下検討いたしておる次第であります。お話通り、幾分行き過ぎの点があつたかのように考えております。言いかえますと、更正決定を無理に少くするための、いわば妥協に走ると申しますか、何らかのおもしろからぬ現象も幾分存在しておつたと認めざるを得ないと考えております。もちろん私どもの指導の方針といたしましては、調査をして十分に根拠がある場合でなければ、更正決定をしてはいけないという指導をいたしたのでありますけれども、ややもすればそれが行き過ぎの点があつたというふうに考えておるのであります。今年度対策といたしましては、もちろん今後どの程度更正決定をするというふうな方針考えておりません。二十五年度の際におけると同様に、十分に調査をして、納税者の御納得を得るように説明をして、それでなおかつ御申告が得られないという場合においては、更正決定をせざるを得ないというその方針には何ら変更はないのでありますが。ただ更正決定をしないために、妥協に走るとか、いいかげんにするとか、またはただいまお話のようないわゆる説教強盗といいますか、そういうふうな感じを與える決定のないようにという注意をいたしておる次第であります。
  75. 有田二郎

    有田(二)委員 さらにお願いしたいことは、この更正決定に対して相手方と意見が合わなかつたならば、これは更正決定する権利が国税庁にあるわけですから、遠慮なく更正決定をしていただく。但し国民はそれに対して再調査を要求する権利がある、この基本的人権が第一線において多く重圧されておる。更正決定をなさることはけつこうでありますが、更正決定に対して再調査を言いに行く、それを言を左右にして受付けない、書類を出しておいても一日違つて受けて却下しておるというような例が大阪の淀川税務署にあるのであります。また他にも枚挙にいとまなくある。また協議団に書類を出す場合でも、協議団に出したらかえつて税金が高くなるぞ、今年はこれでがまんしておけというような、これまた説教強盗的なものがあるのであります。協議団といえども、国税庁の一部課でありますが、協議団の運営については私は非常に遺憾の点が多いと思うのであります。先般私は国政調査で北海道に参りまして、初めて協議団問題を取上げて検討したのでありますが、将来の問題は別としまして、今日の段階におきましては、国税庁のもとに協議団があるということはいたし方がないと思うのでありますが、その運営がうまく行つていない。たとえば大阪あたりは昨年度千六百件という協議団の事件があつたのに、東京国税局管内には二百二十六件よりない。これはどういうところに基因しているかというと、結局協議団と税務署の間に対立があるというように聞いている。先般名古屋の西税務署に参りましたときに、名古屋の西税務署では、昨年協議団に八十件の件数がまわつて、そのうち六割五分が取消しを受けたのであります。従つて署長以下集まつて、今度は協議団には絶対にまわさぬ、安くするならば税務署みずからやるというような決議らしいものをやつた。従つて私は大蔵委員会の田中調査員に調査させたのでありますが、事実その通りであつたのでありまして、協議団のあり方について私は十分御検討願いたいのであります。今日協議団は税務署の中でも成績の悪かつたような人を入れておるやに見受けられる。しかも今度の人事異動で、協議団から税務署長に返り咲きした者は、関東信越国税局でたつた一名を見ただけで、大阪局、名古屋局あるいは東京局その他の局においては見受けない。少くとも協議団にそういう人事をしましたならば、交流をすみやかにして、協議団の方々に希望を持つてやらせるような人事の方法が考えらるべきだと思うのでありますが、これに対する大臣の御所見を承つておきます。
  76. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど更正決定の問題がございましたが、帳本人は私でございまして、各局長並びに直税部長を集めまして、実額調査をせずに更正決定しては絶対に相ならぬ、こういうきつい指令をいたしたのであります。これによりまして、先ほど国税庁長官が言つておるように、四百万件の更正決定が十一万件になつたのであります。お話通りに、私の気持を下が十分わからなかつたというのは、私は帳面も何も見ずにいいかげんで更正決定をしては相ならぬ、こう言つたのであります。しかるところ、人員の不足というか、調査の困難と申しますか、それで実額調査せずに更正決定した。しかしやはり前の、調査しないものを更正決定してはいかんということは、私はかえません。できるだけたくさん調査しろ、これで行つておるわけであります。仕事の忙しさ、あるいはひまを見まして、できるだけ機動的に署員を動かして行く。そうしてたくさんの更正決定をするように指導いたしております。有田君はどうお考えになるかしらぬけれども、私は、帳面も何も見ずに確信なくして更正決定したら、もう日本の国は滅びてしまう、こういう気持であるのであります。そういう関係行つておりまして、今後はどんどん調査し、また納得が行かなければ、更正決定はふえるかもしれません。これはやむを得ないことであります。ただ今までの終戰以来のあのだらしのない決定を、私は昨年から改めさせたわけでございます。今後やはり徴税の確保につきましては、万全の措置をとるつもりでございます。  次に、人事の問題でお話になりましたが、実は税務署長の異動その他は、大蔵大臣は見ていないのであります。国税庁長官にまかしております。この税務協議団というものがどういう働きをしているかということは、私も大蔵大臣としてある程度は知つておりますが、この協議団というものがいいか、昔あつた所得調査委員制度がいいか、私はもう一ぺん検討してみたいと思います。しかし今日ある協議団というものの運営につきましては、これは創立早々でありまして、十分の事績をあげていないかもしれません。今お話のように、協議団には大体老練な人がいいというので用いておるのであります。そこで協議団の者が税務署長に一人しかならなかつたというようなことは、異動はたびたびあるのでありまして、そのときによりまして、適材適所ということが人事の根本でございます。協議団の方には老練ないい人をやつておるとすれば、そう何も好んでかえる必要はないのでございます。高橋長官はもうなれておりますから、そして全国の税務官吏をよく知つておりますから、適正にやつておる、あくまで適所適材でやつておると思います。
  77. 有田二郎

    有田(二)委員 大蔵大臣は人事を国税庁長官にまかしておられるので、今のは感想だけだと思う。どうか協議団の人たちが希望を持つてやれるような人事を十分御検討願いたいのであります。今の協議団の問題については、先般国税庁の協議団の方が京都の協議団支部へ参りまして、協議団はもう来年でなくなるのだということを言つたそうでございまするが、私はまことに遺憾であります。協議団というものはまことにけつこうである。協議団をより発展させるべきだと思うのであります。それは運営の上においてもつと注意をしていただきたいと思うのでありまするが、更正決定をする権利は国税庁にあるが、再調査並びに異議を申請する権利は国民にあるという建前を、はつきり示していただきたいのであります。ただいまでは再調査も税務署へ行く。再調査が棄却になると、今度は協議団へ出す書類も税務署に行く。ところが協議団へ出す書類を渡さない税務署がある。これは基本的人権の侵害であり、憲法違反の行為であります。憲法違反の行為が全国の税務署で白晝堂々と行われておる。しかもこの協議団の宣伝が十分に行き渡つていない。国税庁に広報課というのがあつて、一片の紙だけ出したことを記憶しておりまするが、協議団を国民が知らない。更正決定する権利は国税庁にあるけれども、異議の申請、再調査を要求する権利は国民にあるのだから、これを受付の形において一本で受付けるというように、何とか受付のところをもう少し御検討願いたい。同じ国税庁直税部のもとにおきまして、所得税課においては到達主義であるのに、法人税課においてはその日のスタンプが押されておつたらそれを採用するというわけで、長官が一人であつて直税部長が一人であるのに対して、その下の所得税課と法人税課で、同じ一月の再調査の要求に対して、到達主義とスタンプ主義の両方がとられておるということは、国税庁長官並びに直税部長の監督不行届きであるということが私は言えると思う。しかもこういう問題は、法人税課の方の、スタンプでも何でもいい、その日の日にちが押されてあつたら再調査の受付をするというのが、当然のあり方ではないかと考えるので、所得税課の村山君の方の決定を訂正すべきであると考えるのであります。従つて私は、再調査の窓口、すなわち基本的人権である再調査を要求するところの国民の権利を擁護する窓口を税務署につくるべきであると思う。また再調査が棄却になつて協議団へ出す場合は、もう今度は税務署を経ないで直接協議団へ出すことができるようにすれば、この間の改革が非常にできるのではないか。協議団へ出したからかえつて高くなるとか、あるいは協議団へ出す書類を渡さないというような、憲法違反の行為がなくなるのではないかと思うのでありまするが、国税庁長官の御所見を承りたいと思うのであります。
  78. 高橋衛

    高橋政府委員 昨年協議団ができました当時、これは行政救済の手段でありますので、十分にその行政救済の目的が達成せられることが絶対必要であるという見地からいたしまして、この人事の選考につきましても、常識円満な老練な人事をもつてやる。なおかつ民間から新しく採用いたしました相当な年配の方、一般民間において経験を積んでおられるような方も相当多数入れました。その双方のコンビネーシヨンによつて円滑適正な行政救済が得られるということを目途といたしまして発足いたしたのであります。しかしてその結果を見ますると、大体協議団に回付されました事件のうち、約四割程度が税の減額になつております。それらのことが、一方税務署側から見ますと、いかにも自分たちの権威を侵害されるというような感じを持ちましたことは、有田さん御指摘の通りでありまして、これは小さな感情にとらわれることなく、一つの行政救済の手段であるから、遠慮なくどんどん協議団に回付するという努力をすべきであると絶えず注意いたしておるのでありますが、地方によりましては、必ずしもその趣旨がまだ徹底しておらなかつたということは遺憾に考えておる点であります。しこうして、ただいま法人税課と所得税課について、発信主義と到達主義の二つにわかれておるというお話を承つたのでありますが、実は私初めて伺いまして、はなはだ不敏でありますが、十分検討をいたします。私し考えをもつていたしますれば、これは国民利益のために存在するところの制度でありますからやはりできるだけ救済の範囲を広げる、権利を主張し得る期間を十分に見るということが、妥当な解釈ではなかろうかというふうに考えておる次第でございまして、急速にこれが統一をはかりたいと考えております。
  79. 有田二郎

    有田(二)委員 国税庁長官にお尋ねしたいのでありますが、更正決定は来年度相当ふえるであろうと思う。その場合に、再調査を要求する窓口を別につくつてもらいたい。税金の更正決定に対して異議のある方はどこの窓口へお届けくださいというような——更正決定に行つて、済みませんが再調査をしていただけませんかと言うと、そんなことをしたらもつと高くなるぞというような脅迫がましい言が出ぬとも限らない。更正決定する権利は国税庁にあるが、再調査を要求する権利は国民にある。これをひとつはつきり認識していただいて、税務署のどこかに窓口をこしらえて、更正決定に御異議のある方はお届けくださいというように、やさしい言葉国民の権利を擁護することが、これまた国税庁長官の義務ではないか、同時に、ただいま私が御質問申しあげましたように、再調査で棄却になりました場合に、今度は協議団に出す、これまた国民の権利であります。これを税務署を通じて行くというようなあり方のために、今日国民の基本的人権が十分伸ばされていない。更正決定をする権利が国税庁にあれば、異議の申請をする権利が国民にあるのですから、再調査で棄却になりました場合には、直接協議団に出す、協議団といえども国税庁長官のもとにあるところの一つの機構、一つの部課であります。従つて、私はそういうようにお願いしたい。特に今日は、わずかな税務吏員で多数の納税者の税決定をやるのでありますから、大蔵大臣のまことにけつこうな御趣旨でありますけれども、万全を期した税決定というものはあり得ないと思う。従つて、協議団にまわりましてこれが取消しになりましても、決して税務署の成績でない、これをはつきり、国税庁長官として御声明願つて、全国の税務署に御通達を願いたい。取消しを受けたために、その税務署の成績が悪いということになりますから、名古屋西税務署のごとき、一切これを協議団にまわさないで、同じ安くするならば自分のところで安くするというような、間違つた親の心子知らざる決議のようなものが生ずるおそれがあるのであります。しかも今日の税制では、納税者が十分に協力されていないという点もあるのでありまして、そういう今日の納税者のあり方を考えてみますと、徴税者の方々の御苦心も私はもつともだと思います。このわずかな税務吏員によつて多数の税決定をされて行く上において、相当無理が出て来ることはいたし方ない。それを協議団というものによつて補正し、是正して、国民の権利を擁護して行くというあり方をおつくりになつたこの協議団の機構というものは、私はけつこうだと思う。この運営の上におきまして、協議団で修正、取消しを受けても、税務署の成績には一切関係しないのだという国税庁長官の御明答を承りたいと思います。
  80. 高橋衛

    高橋政府委員 再調査の要求の制度をつくりました趣旨は、税務署において一応更正決定はいたしましたが、再調査の請求をいたしました際に、さらに反省してその決定がよかつたかどうかということを考え直してもらうという趣旨で制度ができたのであります。従つて、税務署において別の人によつて、あらためて調査し直すということは、これは二十五年のように非常に更正決定が少かつた場合においては、あるいは可能であつたかもしれませんが、普通の状態においては、なかなか困難ではないかというふうに考えておるのであります。むしろその再調査の段階がすみやかに済んで、どんどん協議団にまわつて行くということを私どもは期待しておるのであります。しこうして、再調査の請求から協議団にまわつた件数が多いということが、税務署の成績に関連するというように考えることは、私ども非常に危険であると考えまして当初からその点は十分注意をいたしておる次第であります。むしろ協議団にまわる件数が少いということについて、各局長の注意を二回にわたつて喚起している状況であります。今後もこの点は十分に注意いたしたいと考えるわけであります。  なお再調査の請求が棄却された場合に、審査の請求を税務署を通じて提出するようにしておりますが、これは税務署において政府が決定した根拠について十分説明したものをつけさせる、それによつて政府の決定の趣旨もはつきりし、同時に納税者の意見も十分に聞くというふうにする一つの便宜上の手段でありまして、しこうして私どもといたしましては、協議団に到達しました審査の請求の書類が、税務署にどの程度滯留しておつたかということをただいま検査をいたしておるのでありまして、結局税務署に滯留することによつて、権利が侵害されるという條件を、最小限度に防止したいというふうに万全の措置を講じている次第であります。
  81. 有田二郎

    有田(二)委員 私が申し上げているのは、再調査をするのは税務吏員がするのでありますが、受付の件であります。つまり税務署というのは国民がいやがるところなんです。一番こわがつている税務署へ行つて、更正決定をされる係のところへ持つて行つて再調査をお願いするということは、なかなかできないことである。再調査を要求するときには、総務課のどこかの係へ再調査をやらせるような窓口の技術的な問題を十分御検討を願いたい。それから協議団に出す問題については、ここで結論はけつこうでありますけれども、どうか再調査の結果棄却になつた場合に、税務署を経ないで、直接、協議団に提出するところの方法をお考え願いたい。今日の協議団というものは、もちろん民間から入つた人もありますけれども、これは国税庁長官の下にあるものでありますから、大体において同じ穴のむじなであります。ですから税務署の不利なやり方というものはなかなか考えられない。将来これが国税庁から離れて、大蔵大臣直属の協議団本部ができるようになりましたならば、これはまたおのづから別でありますが、現段階においては、国税庁の下に協議団がある方がいい。地方において国税局と協議団本部が対立して行くことは、現段階では非常にむずかしいと思います。この点をよく御検討願いたいと思います。  最後に大蔵大臣にお願いしたいことは、税金の問題ですが今日税金をよけい納めている者は、何か悪いことをしておるような感じを受けるが、昔は多額納税者というものもあり、また多額納税議員というものもあり、かつまたあそこの家は所得税を二万五千円納めている、従つて娘をやろうかというようなことにもなつたのであります。もちろん今日は占領下でありますから別でありますが、講和條約批准後におきましては、納税者に対して表彰的な方法をお考えになつておるかどうか、特に今度勲章の方も文化勲章、あるいは瑞宝章、旭日章がまた元のようになるという話を聞いております。とにかく総理大臣が呼んで、これらの人に対して陛下と賜餐をともにするとか、あるいは国会が呼んで感謝の意を表するとか、総理大臣から記念品の贈呈を行うとか、とにかくあらゆる角度においてそういう人たちによつて納税が喜んでなされ、そうしてその人の一生を通じて幾らの税金が納められたか、終戰後から換算して税金をよけい納めているという人は、みずから誇りを感ずるというような時代にならなければならぬ。特に自由党は資本主義政党でありまするからそういう見解を持つのでありまするが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  82. 池田勇人

    池田国務大臣 多額納税者を表彰してはどうかという御意見でございますが、納税が国民の基本的義務であるということから考えますると、これは当然なことでございまして、所得のあるところにたくさん税金がかかつて行くのは当然なことであると思います。しかし私は、それよりもまず決定を受けた税金を皆が滯納しないように納めていただくということが第一だと思います。実は来月の一日には、この予算委員会があるかもわかりませんが、私はちよつとその席をかりまして——四十数年間税金を完納し続けた三箇町村がございますが、そういうものをひとつ表彰いたしまして、そうしてお話のように陛下に拜謁をお願いするようにいたしたいと思つております。まず納税の完納ということを先にやりまして、それから第二段階におきましては、努力によつて多額の税を納められた人へ向つて行くべきじやないかということを考えております。お話のようにたくさん税金を納めている人は悪いことをしているというふうな観念は、これは昔は共産党の連中が考えておつたでしようが、終戰後は、やみ屋でもうけたのをとつつかまえてやつたという例がありますが、それは一時的の観念でございまして、日本人としてはやはり努力されてもうけて、たくさん納められた人には敬意を拂うべきだという観念を持つております。
  83. 有田二郎

    有田(二)委員 大臣の御所見ごもつともであります。税金についてはできるだけひとつ無理のないように、また国民が納税に対してともに協力するような施策を施していただいて、両々相まつて納税成績が上るようにする。国税庁だけで力で税金をとるというあり方だけでなくして、納税者もみずから国民の義務であるいわゆる納税の義務を十分に果し得るような、あらゆる角度の機構をおつくり願いたいと思うのであります。私の質問はこれで終ります。
  84. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 午前の会議はこの程度にとどめます。午後は二時より委員会を再開して質疑を継続することといたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  85. 西村久之

    ○西村(久)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  この際お諮りいたすことがあります。理事川島金次君は去る十九日委員を辞任されましたので、目下理事一名の欠員があります。つきましてはこの欠員を選任いたしたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 西村久之

    ○西村(久)委員長代理 御異議なしと認めます。従いまして川島金次君に理事をお願いいたすことにいたします。     —————————————
  87. 西村久之

    ○西村(久)委員長代理 これより質疑を継続いたします。苫米地英俊君。
  88. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 先ほど有田君がいろいろ御質問になりましたので、重複しないようにごく簡單な問題を承りたいと思います。  まず第一は地方をまわつてみまして、どこへ行つてみても文教費が平均三割三分ないし三割五分もかかつておるのであります。このために地方財政が非常な困難に陷つているようであります。また地方によりましては教育委員会との関係で非常に困つておるところもあるように見受けたのでありますが、私はこの根本を是正するためには、やはり文教費は戰前のようなぐあいに、全額国庫負担ということが将来望ましいことだと考える次第であります。現在の日本財政において、急激にそういうことができるかどうかということは、これは大いに疑問がありますが、将来の計画としてそういうふうな方向に向つて行くことについて、大蔵大臣はどういうお考えを持つておられるか承りたいのであります。
  89. 池田勇人

    池田国務大臣 文教費の問題でございまするが、文教費は御承知通りに義務教育の問題とその他の義務教育以外の国立学校等の問題がございます。お話の点は義務教育の点だと考えます。苫米地さんも御承知通りに、昔から義務教育費につきましては議論がありまして、国庫負担とすべきかどうか、また義務教育費の問題につきましても、校舎の問題と教員の給與の問題はわけて論じられておるのであります。お話の点は義務教育費のうちの教員の問題だと思います。教員の問題につきましては、今の教育制度で教育委員会と府県とが必ずしもその意見が一致しない場合もあり得る、こういう点と、それから経費がだんだんかさばつて来るから、その点からいたしまして、標準教育費法というものを設けまして、平衡交付金のうちから先取りにすべきじやないかという議論もございます。これをもう一つ発展すると、平衡交付金に入れずに全額国庫負担かあるいは半額国庫負担か、平衡交付金以外の支出方法にしたらどうか、いろいろな議論があるのでありますが、私はこの問題は重大な問題でございまして、政府としても検討しなきやならぬ問題、またあなた方にも御検討を願つて妥当なる方向におちつけたいと思つております。ただいま平衡交付金でまかなつているのをそれからはずして行くということにつきましてはなお相当研究の余地があると私は考えておるのであります。
  90. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 次に固定資産税でありますが、これも固定資産税の收入が地方によつて著しく偏在しておる、多くとれるところでは、地方の町村長とかいうような人たちが、これを有利に使うだけの手腕を欠いておつて、非常にむだづかいをしておるところが見えるのであります。一方においては固定資産税が入らないで非常に固つておるところもあるのであります。この固定資産税はもう少し融通性のあるものにしたらばどうかという考えを持つておりまするが、これに対する大蔵大臣の御意見を承つておきたい。
  91. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の点もわれわれは研究いたしておるのでございます。固定資産税が市町村の財源になりました関係上、市町村間に不均衡がございます。たとえば発電所のようなものがございますると、その村は非常に裕福だ、たとい隣村にわけましてもなお相当余る、こういうことがありますので、今税制懇談会と申しますか、税制審議会と申しまするか、そこで固定資産税を市町村のみの財源にせずに、ある一定部分を府県の財源にしたらどうかということで議論せられておるようでありまするが、これは他の固定資産税、あるいは他の地方税との関連のある問題と総合的に検討しなければならない問題だと思います。今せつかく関係当局の方で御研究なすつていらつしやるようであります。     〔西村(久)委員長代理退席、委員   長着席〕
  92. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 その次に進駐軍に接收せられた家屋その他につきまして、あるものは向うの立場から見れば非常に改善されているのであるけれども、われわれの立場から見ると、非常に不便を感じたものがあると同時に、あるところではそのために個人が非常な利益を受けているところがあるようであります。そこでたとえてみれば道路が非常によくなつた、建物もよくなつた、庭もよくなつた、価値が何億というものになつているのがあるのでありますが、こういう財産が終戰後もし個人の所有に帰するということになれば、これは不当な利益を受けるわけであります。国家の費用で個人の利益になる、これは何とかしなければならないと思うのでありますが、漏れ承るところによれば、そういうものを処理する法案が準備せられているというようなお話でありますが、その点についてはつきり大臣より承りたい。
  93. 池田勇人

    池田国務大臣 進駐軍に接收されました家屋につきまして、私の聞いておるところでは、相当改悪せられたという事例をよく聞いているのであります。こういうものにつきましては、私は平和條約後ある程度の補償をいたしましてお返ししなければならぬと思います。お話のように、非常によくなつた、そのために原所有者が非常に得をしたということは、実は私あまり耳にしておりませんので、私のところで今そういうものについて特別法を設けて取上げるというところまでは考えていないのでございますが、せつかくのお話でございますので、調査いたしまして、不当な利益がある場合には、適当な措置をしなければならぬと思います。
  94. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの後段の問題につきまして、私は実例を知つているのであります。これは個人が何億というもうけをするような状態になつているのでございますが、国家の負担で個人がもうけて、一方では個人が非常に損害を受けているということは、非常に不公平な結果になると思いますので、よく御調査の上、こういうものもごく公平に処理できるようにお考え願いたいと存ずるのであります。  それからその次に連合国財産の補償の問題についてお伺いいたしたいのであります。これは二百七十億円と推定されており、年額百億円ずつ返して行くのだというようなことに了承しているのでありますが、この連合国財産の評価は二百七十億円ということで大体間違いなく向うで了承する金額でございましようか、それをまずお伺いしたいのであります。
  95. 池田勇人

    池田国務大臣 條約に基きまして、連合国財産の戰争に基く損害につきましてはそれを返還する、物がなくなつた場合におきましてはそれを補償する、こういうことに相なつておるのであります。土地、建物、鉱業権あるいは株式、いろいろな種類がございましてわれわれの方で極力調査いたしたところによりますると、大体二百四、五十億円から三百億円以内と推算をいたしているのであります。これはまあ返せるものならよろしゆうございますが、ないものにつきましては、向うが請求権を行使して来まして、その請求権に基いてこちらで調査することにして確定するわけであります。今の二百七十億円というのは私は推算の数字だと思います。
  96. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 この評価の時期によつて非常に違つて来ると思いますが、評価は現在の貨幣価値における評価でございましようか。もしくは戰争の始まつた当時もしくは終戰当時、そのいずれによつて行うものでございましよう。
  97. 池田勇人

    池田国務大臣 これは終戰とか戰争の始まつたときでなしに、平和條約が成立したときと考えております。
  98. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 そこでこの補償につきましては、戰争の結果損害を與えた連合国の財産というようになつておりますが、この戰争の結果損害を生じたという意味は、相当内容があると思いますが、その戰争の結果という中には、空襲等によつて連合国財産が損害を受けた場合にもそれを補償しなければならないというようになると、相当苛酷なものであると思うのですが、この点はどういうふうになつておりましようか。
  99. 池田勇人

    池田国務大臣 戰争行為に基きまして損害を受けた場合は、もちろん補償するのであります。
  100. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 そこで損害を受けたと連合国人が主張をするけれども、損害をはたして受けたかどうかということについて、明確でないものも相当つて来るだろうと思うのでありますが、その立証の責任はどちらにあるのでございましようか。
  101. 池田勇人

    池田国務大臣 大体補償すべき財産はわかつております。もちろん請求に基いておるのでございますから、財産の所在、価格等につきましては請求権者が一応申し出ると思います。
  102. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 申し出るものでありますが、その不確実と思われるような場合には、やはり申し出る人が証拠を出さなければいけないのでございましようか。
  103. 池田勇人

    池田国務大臣 さようでございます。不確実なものは補償いたしません。
  104. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 次に今度の補正予算を見ましても、自然増收が一千数百億円に上つているのであります。これは大臣の御説明通りに、私も自然増收が非常に多かつたことは認めているのでありますが、他方徴税の方面において相当無理が見られ、それが自然増收の形で現われて来ているものも、相当あるかに察せられるのであります。この点は十分御承知のことと思いますが、地方に参りますと、非常に徴税方法について不平の声があるのであります。この点についてしばしば過去におきましても、そういうことのないように御注意になつたことも知つているのでありますが、今にまだその跡を断たないと存ずるのであります。大臣はこれをどういうふうに見ていらつしやるでしようか。
  105. 池田勇人

    池田国務大臣 これは数多い中でございますので、しかもまた税務署の職員の数も少うございますし、十分の経験ある人ばかりではないので、これは無理な点がないとは申しません。しかし無理な点はできるだけ少くするように、徴税方法を改善しているのであります。午前中も高橋国税庁長官が申し上げましたように、一昨年度は四十万件の更正決定、昨年は十一万件で済んでおります。四分の一くらいしか更正決定をいたさない。そうして私の耳に入りますものも、一昨年と昨年と今年とよほど違う。予算委員会でもあるいは大蔵委員会でも、割当だとかいろいろな問題があつて議論が沸いたのでありますが、最近はそれが非常に少くなつたことを見ても、私はよほど無理が少くなつたのじやないか。しかし無理が少くなつたからといつて安心ができぬ。一つでも無理があつてはいけません。そこでわれわれとしては実は無理を探して、直そうというくらいな気持でいるのであります。問題の多いのは私は申告納税の所得だと思います。今回の補正におきましても法人税では八百五十何億円、源泉所得税では五百七十億円、こういう自然増收がありますにかかわらず、申告納税は予算の千百七十億円を五十億円も減らしておるのであります。この点で私が徴税について十分考えておるということを御了承願いたいのであります。これは私が今回の自然増收を適正に、どちらかというと、控え目に見るというくらいにやつておるという証拠でございまして、今後とも、問題のある申告納税につきましては、極力調査を適正、充実させまして、ただ一人の不正もないようにいたしたいというのが念願なのであります。
  106. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 御説明でよくわかりましたが、その点について、地方には国家の税務署があり、自治体のものがあり、重複しておりまして、非常に煩雑でありますが、私は多くの場合、これをもつと整理して行つた方がいい。国家の税務機関にまかせてしまつた方がいいように考えておりますが、この点はいかがでございましようか。
  107. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のようなことを聞き、私も感じておるのであります。きようは税務署が来た、きのうは府県の方から事業税の調査に来た、一昨日は遊興飲食税の調査に来た、その前は住民税の調査に来た、これでは納税者がたまりません。とにかく同じ実態を調べるのでありますから、何とかひとつ統合したらいいのじやないかという考えを持つておるのであります。最近聞くところによりますると、先ほど申し上げました税制懇談会で、そういう方向で考えられておるようでございます。私はなるべくお話のようにすべきではないかという考えを持つております。
  108. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 もう一つお伺いしたいのでありますが、外債についてであります。すでに満期になつておるものが三百六億円、利子支拂いが五百六十五億円あるというように承知しております。この満期になつたものは、講和條約後にはすぐに支拂うか、もしくは借りかえをしなければならないのでございますが、これを拂うということになると、相当財政負担が重くつて来て困ると思いますが、これに対する借りかえ等の見通しはどんなふうに持つておられますか、それを伺いたいと思います。
  109. 池田勇人

    池田国務大臣 全体の外債は四億四千八百万ドルでございまして、期限の到来したものが八千万ドル、利子の支拂い義務の発生したものが一億五千八百万ドル、あなたの数字と大体似ております。これを一ぺんに拂うということは、とうてい今の状態ではできないと私は思う。借りかえによりますか、その他の方法によりますか、これは非常な重大問題でございまして、他の機会も私はお答えを避けておるのであります。私がこういう方法でやると申しましても、これは債務者の方できめることではないので、債権者がきめることでありますから、債権者の意向も十分聞いた上で、お互いの納得の行く方法を考え、しかもまた日本の対外信用、将来のことも考え、こういうことから適正な解決点を見出したいと努力いたしております。
  110. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それでは大蔵大臣にお尋ねすることはこれだけです。  次に運輸大臣がお見えになつておるようですから、運輸大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、これもやはり簡單なことばかりであります。せんだつて運輸省の方の運賃値上げ説明を承つた際に、運賃値上げ伴つてサービスの改善を考えておる、こういうお話でありました。このサービスの改善ということについては、運輸省でも国鉄でも非常に努力せられまして、改善されておることは認めるのでありますが、このサービスというものが、案外狹く解釈されておるのではないかと考える次第であります。私はこのサービスというのは、交通が便利になり、旅行に苦痛を感じないようにするということが、サービスの第一点だと考えるのであります。しかるに東北方面に行く旅行は非常に不便にできておりまして、急行なども数が少いために非常に混雑をする、ぐずぐずしていると乗れないようなこともあるのであります。そこでサービスの第一の、交通を便利に、楽にするという意味で、東北方面の急行の増発ということは可能であるかどうか、これをお伺いしたいのでありますが、時間を節約するために、まとめて申し上げます。  次は貨物が停滯する、いわゆる滯貨を生ずるということは、サービスの改善の上で相当の重要さをもつて考えらるべき問題であると思うのでありますが、現在北海道と本土との間の貨物は非常に停滯しておるのであります。北海道から本土に送られる貨物を一〇〇とすれば、本土から北海道に行くのは三〇というくらいの率になつておるのでありますから、荷物がよほど偏在しておるという事実もあるのでありますけれども、とにかく北海道に現に非常に滯貨がある。また潜在的の滯貨も相当あるのであります。この滯貨を一掃するために、運輸省もしくは国鉄でどういうような考慮をしておられますか、またどういう計画をされておるかということについて、お伺いいたしたいのであります。  それからその次に貨物の、手荷物とか小荷物とかその他の物の紛失が非常に多いのであります。函館あたりで大きな問題を起しておりますが、これはよほど念入りなのがありまして、中身のいい物だけ抜きとつてしまつて、元通り荷づくりをして届けるというようなのも相当あるのであります。中には相当監督の地位になければならぬような人までも、疑惑の目を向けられておるというような事実もあるのでありますが、われわれが旅行するとき、もしくは物を送るときに非常な不安の念を持つておるのでありますが、こういう貨物の紛失とか損傷とかいうことについて、どういうふうな考案を持つておられるか、どういう努力をしておられるか、それを伺いたいのであります。  その次にもう一つは、運輸省は、私の見るところによりますと、きわめて地位の低い人が厖大なる権限を持つておる、金も動かしておる、そのために非常な不正なことが行われたり、また不当なことが行われて、そのために国民が非常に迷惑している実例を私は知つておるのであります。これは人件費その他のために、もしくは事業が大きいために、比較的地位の低い、責任感の薄い人に大きな責任を持たせておる結果ではないかと思うのであります。この点について、ぜひ何とか国民が迷惑をしないように、くふうをしていただきたいと思うのでありますが、この点、何か御意見ございましたならば承りたいと思います。
  111. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。総括的に私から一応お答えいたしますが、ただいま御指摘のうちには、事務当局に私にかわつてお答えさせたい点もありますので御了承を願います。  第一にサービスの改善、これはきわめて広い意味のサービスの改善ということで御指摘のように拜聽いたしました。それには一応今日の日本国有鉄道のあり方を申し上げる必要があると思うのでありますが、御承知通りに、国有鉄道の線路の延長は一万九千キロ余り、約二方キロでありますが、その六割は赤字線でありまして、四割が黒字線であり、四割の黒字線をもつて、六割の赤字線をあわせてまかなつておるよなう現状なのであります。その上に鉄道全体としては、戰争以来使いつぱなしで酷使をしたまま、十分な修繕もできずにおるような形でありますので、ごらんの通り、いまだに地方支線に参れば、窓がガラスにあらずして板、腰かけも板というような点も明らかにお目にとまると思うのでありますが、そればかりではなくして、線路のごとききわめて重大な施設が、相当の年数を経て、当然取りかえられなければならないものもあるようなわけでありますが、それらをもできるだけ危險線に到達せざる手前で、注意をしつつ、ようやくささえて来ておるような形なのであります。従いまして、国鉄全体を見ますと、サービスの向上には相違ないのでありますけれども、向上というよりも、どうやら維持をして、あるいは低下しないように努めるというのが、正直なありのままの表現であろうかと私は考えるのであります。そういう中での国鉄の運営でありまするのみならず、またばかばかしく経済を度外視した形で、今日の姿からいえば、鉄道の線路が長過ぎてしまつた。その上に独立採算制で押し切つて行かなければならないということになりますので、前に申し上げたように、六割の赤字線を四割の黒字線でささえるというようなことにも相なつておるのであります。八方に気を配つて、そして願わくは事故を起さしめないように、せめてその点を第一線として重点を置いて経営いたしておるようなわけでありますので、大きな声でサービスの向上改善に努めるとは、正直のところ申し上げかねるのであります。しかしながら、できるだけ維持、そうして低下しないように努力するという段階に現在あることを繰返して申し上げるわけであります。東北、ことに北海道、こういう方面の線に対して、もう少し便利な快適な施設に直してもらうわけに行かないかというお尋ねでありますが、国鉄の当局はもちろん、運輸省としましても、この点は全然御同感でありまして、できるだけやりくりをして、そういう東北、北海道のごとき、ややともすれば置いて行かれた形にあるような地方には、十分の考慮を拂つて行くべきであろうと考える次第であります。のみならず、四つの島に八千何百万の国民が押し込められて、人口が寄る所にばかり寄つて、片寄つたような姿にある日本の現状としては、東北、北海道のごときところにこそ、開拓的な意味において鉄道をかけて行つて、人口の疎開をし、天然資源の開発をはかつて行くということは、鉄道政策の大きな見地からは意を注がなければならないことと考えるのであります。その前提として、御指摘のような東北線、北海道等にかけて急行列車というようなものについて、できるだけ早い機会に、御希望に沿うようなサービスの向上に向けたいということは、運輸省としては国有鉄道か督励して、その方向に進めたいと考える次第であります。幸いちようどきのうきようから一番機が飛んだかと思いますが、飛行機も札幌に一応直通で通ずるようなことに相なつたわけで、地上の交通を空から補うというようなことにも相なつたわけであります。それから客車ばかりでなしに、貨物のサービス向上でありますが、この春の終りごろは二百万トンの滯貨と称せられたのであります。夏枯れどきになつて、百五十万トンぐらいに一時減つたのでありますが、さらにまた秋の季節となつて荷物の出まわりが多くなり、最近百五十トンを越えてますます上りつつあるような状態であります。滯貨の一掃は、何よりも貨車の新造あるいは列車キロの上昇をはかること、その他輸送上のいろいろな施設を伴つて整備することでありますが、貨車につきましては、本年度は五千七百両の新造の予算計画をもちまして、現在においてはすでにその半ば以上はでき上つて、活動をいたしておる現状なのであります。さらにまた列車キロは前年に比して一〇%くらい、努力によつて上昇を示しております。さらにまた、貨車をつくつたばかりでもいけないのでありまして、貨車の回転率を上げなければ、能率の増進ができないのでありますから、貨車の回転率の増進というようなことにも、相当力を入れて成績も上つております。こういうことによつて滯貨は完全無欠とまでは参らないまでも、財政の許す限りを盡して滯貨の一掃に努力をして、産業生産の向上に伴う施設を進めて行きたい、こういうふうに国有鉄道は努力しておるのであります。  北海道の滯貨が多いがどうかという御指摘でありました。どうもこれはできるだけの配車は、国鉄としてはいたしておるのであります。むろん全国の均衡をにらみ合せつつ配車をいたしておるのでありますが、私どもから——ごく大局から見て行くと、もう少し荷物の種類によつては、船便によつて出してもらいたいものだと思うのでありますけれども、これはやはり荷主の希望が汽車便による方が便利なのでありましよう、運賃関係もあろうかと考えますが、陸上の方がこれまでは非常に船便に対して割安の採算になるようであつたのであります。のみならず汽車便ならば発送地から到着地まで何の世話なしに到着するというような便宜があつて、荷主がこれを選ぶのであろうかと考えますし、待つておればそのうち貨車が、きゆうくつながらまわつて来るだろうというような考えからか、荷主も貨車の配給を一面において催促しながらも、しかも船便によらずして貨車の来るのを順番を待つというような現状であります。今度御審議を願つて御協賛を得れば、運賃の改訂もできるのでありますが、それらによつて幾分貨車の方の運賃が上つて来れば、船運賃と近寄つて来るのであります。沿岸の便利な海国のことでありますから、この沿岸の荷物を沿岸航行船に託するという方法を、うまくやつて行かなければならないのではないかということを、汽車と同時に、運輸省としては船のことをも考えて、両面の対策を考慮いたしつつあるような次第であります。  それからあとは荷物がなくなるというお話であつたのでありますが、これらの事情は、かえつて事務当局から具体的にお話を申し上げた方が、適当かと考えますので、それらの点は事務当局からお答えいたすことにいたします。
  112. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 荷物事故の問題でございますが、荷物事故は終戰後物資の不足、生活状態の悪化等に伴いまして、非常に増加いたしまして、たいへん国民の皆様に御迷惑をかけたことは事実でございます。これは昭和二十三年度まで非常にふえて参りましたが、それを機会といたしまして、やはり経済状態の改善と、並びに鉄道部内におきましても、公安官制度を確立する、その他警備状況を改善いたしましたために著しく減少いたしまして、最近特に改善の跡を示しておるのであります。特に盗難とかあるいは紛失とかいう悪性の事故は、急激に減少をいたしておりまして、これは昭和二十三年度当初と比べますと、二十五年度あたりは、四分の一程度に減つておるわけであります。本年に入りまして、なお一層この状況は顯著でございます。しかしながらまた朝鮮動乱の勃発後輸送量が増大して参りまして、いろいろ物資等の価格も高騰いたしておりますので、せつかく下つて参りました盗難事件がさらにふえる心配相当ございますので、この点につきましては、まず倉庫を整備する、あるいは電燈を整備して明るくする、あるいは貨車の悪いのを直すというような、いろいろの設備上の改善を行いますとともに、輸送中におきますところの授受の関係を正確にいたすように係員を指導いたしております。また巡察員を派遣いたしまして、随時列車、駅等を巡察して、盗難防止、職員の指導、不正排除に当つておるわけであります。また一面鉄道公安官の設置によりまして、積極的に警備いたしますと同時に、外部からの犯罪に対しても有力なる防護をいたすようにしておりまして、従来よりも一層迅速に犯人を捜査するというここも可能になりましたので、できるだけこの点も努力いたしまして不祥事故のないように、減少に邁進したい、かように存じておる次第であります。  それからいま一つ、下級職員が相当の金品等を動かす位地にあるというお話でございますが、この点につきましては、国鉄の事業の性質上、現場を中心に動いておりますために、現場におきまして相当の金銭あるいは物品の移動が行われますることは、確かに御指摘の通りでございます。しかしこれにつきましては、会計制度、特に終戰後におきまする実情にかんがみまして、物品の出納等につきましては、嚴格な規定を整備いたしまして、いわゆる命令系統と実際の現品を扱う系統とは、截然と分離いたしまして、自分でかつてに荷物を動かせる、あるいは金銭を自分で動かせるというようなことのないように、特別の制度をやや煩瑣に過ぎるまでしいておるのであります。しかしながらあるいは御指摘になるかとも思うのでありますが、中にはやはり相当いろいろ策を弄しまして、何らか不正なことを行うというような者も、たくさんの従事員の中には万ないわけではないわけで、ときどき司法当局のお世話御迷惑々煩わしておることもございます。この点も十分監督者以下嚴重に注意いたさせますが、最近におきましては、そういう傾向は著しく減少をいたしておると信じておるのであります。しかし、なお一層絶無をはかるように努力いたしたいと考えております。
  113. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大体のことはよく了承いたしました。今の下級職員の問題につきましては、これは内部だけでなしに、外郭団体との接触面において、相当民間に迷惑をかける仕事をやつておる、こういう方面を十分御注意になつておるだろうと思いますが、よく御研究になりまして、国鉄の内部で不正があつて国家に迷惑をかける、また国民にも間接に迷惑をかけるのみならず、外郭団体を通じて直接国民に非常に迷惑をかけておる部分が相当あるのでありますから、この点を十分御研究になりまして、改善していただきたいと思うのであります。  それから先ほどの滯貨一掃については、補助航路もしくは用船とかいうことによつて、何とかこれを改善するというような御計画はないのでございましようか。
  114. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 北海道の滯貨につきましては、先ほど大臣から御説明がございましたが、なお補足させていただきますると、この秋季に入りましてから日照時間が少くなりまして、従来浮遊機雷の関係で晝間運航だけしておりましたのでは、とても北海道の滯貨をさばく上において非常な障害になるということもございまするので、運輸省といたしましては、海上保安庁の協力を求めまして、九月四日から哨戒線を一段と広げまして、夜間運航をする時間を相当たくさんとれるようにいたしまして、完全に不安は一掃されてはおらないのでありますが、しかしながらかかる事情でございまするので、勇を鼓して夜間運航を実行せしめておるのでございます。その結果、目下出まわりとなつております種ばれしよあるいは蔬菜用ばれいしよにつきましても、国鉄の青函を通しまして約百六十三万俵、それから蔬菜用につきましては三十万俵の輸送をお引受けする目途がついたわけでございます。これは北海道方面の御要求の、両方合せまして二百十五万俵だつたかと思いますが、それに対しましては多少足りませんが、しかしながら爾余の二、三十万俵は、これはひとつ海運を御利用願いたい。それについては、できまするならば配船をいたしまして定期航路を開設いたしまして、両端の鉄道を通して連絡運輸いたしまする制度も、実施してさしつかえない、かように考えて、目下船会社とも相談をいたしまして、かつ運賃面におきましても特段の措置を構じて、できるだけ安くお送りできるようにということで計画中でございます。できるだけ早く御要望に沿うようにいたしたいと考えます。
  115. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 急行列車の増発という点については、何かお見通しがありましたらば伺つておきたいと思います。
  116. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 東北北海道連絡の急行列車につきましては、これは現在浮遊機雷の関係で、旅客船は現在なお晝間運航をいたしておりますので、本来ならば夜間、晝間、あるいはもう一本、三本建の運行ができますのにもかかわらず、現在はそれが非常に時間的に制約されていますために、非常にぐあいのいい連絡径路がとれないというために、相当御迷惑をおかけしておる点もあるかと思うのであります。この点につきましては、時刻改正に際しまして、できるだけ連絡のいいような時間を考えて、御便利に資するように計画いたしております。ただ列車回数の増加につきましては、現在のところ、車両並びに線路用材等の関係から、今ただちに御要望には沿い得ない状態にあるのでございまするが、先ほど大臣お話にもございましたように、北海道方面、東北方面地域の開発の重要性等にかんがみて、できるだけ早く輸送面の改善を待ちまして、御要望に沿えるように考えたいと思つております。
  117. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 次に特二と普通二等との関係についてお伺いいたしたいのであります。特二が世間で非常に歓迎され、喜ばれておることはもちろんでありまして、このたびの値上げについても、この方面については何ら問題がないと私は考えておるのでありますが、どうも近ごろこの特二にみんな殺到する結果、二等車に対する人気が落ちたとでも申しますか、二等車の方のあらゆるサービスが特二の方へ移つてしまつて、二等車というものは非常に閑却されて、不潔であり、掃除その他のサービスも非常に悪くなつておるような状態、これはお気づきであろうと思いますが、特二というようなものができたために、普通二等で旅行する人に何か不快の感を與えるというようなことがあつては、これは非常にマイナスになると思うのであります。特二の普及とともに、普通二等車に対するサービスを——サービスという点においては特二と普通二等との差別をつけないようにしていただきたいのですが、今までこういうような問題は起らなかつたのでありましようか、ちよつと伺つておきたいと思います。
  118. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 特別二等車は、非常に好評を博しております。ただいままでの料金が比較的低廉でございましたので、なおさら殺到いたしておりますが、今回の運賃改正につきましては、法律上の根拠を明確にいたしまして、ある程度妥当な額に改めるというつもりでございます。しかしながら基本的な二等運賃は、普通二等車においても、特別二等車におきましても、同じでございますので、ただいまのお説まことにごもつともでございまして、さように特別二等車のみに注意して、普通二等車の整備あるいは手入れ等を怠つておるというようなことがあつては、まことに申訳ないことと思います。さつそくひとつよく命じままして、おしかりを受けることのないように注意いたしたいと思います。
  119. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 次に無賃乗車券の件についてお伺いしたいのであります。これは先日私ちよつと述べたのでありますが、資料がないということで、資料を出していただくことになつてつたのでありますが、そのままになつております。この前の値上げの際に、この無賃乗車券を非常に整理して、それによつて運賃値上げの方を緩和するという手段をとつたことは御承知通りであります。ところがその後になりまして、この無賃乗車券が相当広範囲に出ておるやに見受けられるのでありますが、これが今度の値上げの場合にも関係のある問題でありますので、どういうふうに、どのくらい、どの方面に出ておるかということをお伺いしたいのであります。
  120. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 実は無賃乗車券の発行は、国鉄当局がやつておりまして、私ども詳細にお答えできないのでありまするが、先般昭和二十四年の六月でございましたか、無賃乗車券の整理をいたしまして以来、お話にございますように、その後緩に流れたということは、実は寡聞にして承知いたしておらないのでございます。目下発行しておりまするものは、国鉄の職員が職務上必要なために出したもの、あるいは精励に対する褒賞として精励パスを出してもらつておる、この精励パスのごときは、事故のための欠勤が一日でもあれば、ただちに発行ができないというような嚴重なものでございます。余談でございまするが、過日大宮工場などで賜暇闘争とかいうような、一齊休暇のようなことをやりましても、結局パスが発行されなくなるということが一番こわいということで、うやむやになるというほど、嚴重にやつておるようでございます。私その後多方面に広がつたということは聞いてはおらないのでございます。法律によつて御発行申し上げております国会議員のパスは別でございますが、それ以外は業務上の関係という範囲を出ないようにいたしたいと存じておる次第であります。
  121. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 この点については石井国鉄部長、御存じないかもしれませんので、ひとつ国鉄の方から、せんだつて要求しておいたのにまだ出て来ないのですが、ひとつ至急資料を出すようにお伝え願いたいと思います。
  122. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 それではさつそく出すようにいたします。
  123. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それから今度の値上げはある程度やむを得ないものと考えるのでありますが、時期が悪かつた。時期が悪いために、値上げの心理的な影響が非常に多い。運賃も上る、何も上る、だからしてわれわれもこの値段を上げなくちやならぬというように、物価に及ぼす影響が計算的に出て来るのでなくて、心理的なものから出て来る影響が非常に多いのでありますが、この時期を変更することはできないものでございましようか。
  124. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 確かに米が上る、ガスが上る、水道が上る、それに右へならえをして鉄道運賃が上つたような外形をなしておるのであります。なるほど心理的影響がこういう関連を持つ、ごもつともの御意見かと考えるのであります。ただ国鉄経営の面から申しますと、独立採算制、そして公共的な重大な使命を持つ、それにもかかわらず経済情勢から予算運営上において大きな赤字に追られるというような形に当面したわけなのであります。国鉄はもちろん、運輸省といたしましても、運賃が旅客といわず貨物といわず、国民経済生活の上に非常に大きな影響を持つことは、万々承知いたしておりますので、運賃の値上げということについては、まつたく右顧左眄、できるだけこれを緩和して、そうして国民経済生活に影響を少しでも少からしめるということに、数字的にも考慮するのみならず、時期的にもあとにあとにと延ばすというような心構えで参つたような次第なのであります。しかしながら一面において独立採算制、公共制を十分に持たなければならぬというこの使命と目的とを持つている以上におきましては、同時にまた国鉄もみずから立たなければならないせつぱ詰まつた境遇に置かれたのでありまして、ここで今申し上げたような心持を万々承知の上、考慮に考慮を重ねた上、今回の運賃値上げを提案して国会の御審議を願う、こういうことに相なつたわけなのであります。私が重ねて繰返して申し上げるまでもなく、旅客の場合においては、そいう心持から出まして、定期券の率のごときも十分に考慮を加え、あるいは遠距離逓減法を強化する、今お話のあつたような二等に対する法律的根拠を設けて、特別の料金を多く徴收するというようなことで、経済的にも社会政策的にもできるだけの考慮を拂つたつもりであるのであります。また貨物の場合を申し上げましても、ここに一例を申し上げれば、昭和二十一年における物価の中に占める運賃の比率は四%何がしであつたのでありますが、現在は物価が上りまして、運賃が足踏みをいたしておりましたから、二%何がしということになつてつたのであります。今回やむを得ずその中間の三%何がしに押えて、今度の運賃改訂を提案いたしたような次第であります。この運賃の改訂にあたりましては、運輸省といたしましては公聽会を開き、四日間にわたり約五十名の各界代表の人々の意見を徴して決定いたしたのであります。国鉄経営者からの原案としては、旅客、貨物ともに三割五分というような原案があつたのでありますが、公聴会の結果は旅客二割五分、貨物三割——運輸省としては公聽会における輿論の趨向を見、また国鉄側に対しては、できるだけ前に申し上げたような趣意によつて運賃の値上げも重大考慮を加えるということで、三割、二割五分というようなところに裁定をし、原案を改め提案いたしたような次第であります。もちろん国鉄の側としては、ぜいたくに三割五分を放漫な態度で要求したのではないのでありまして、経済界の情勢物価上昇、サービスの向上等を十分考慮して、必要なりとして三割五分の要求をしたのでありますけれども、この場合国鉄も一面においては合理化節約、しかも能率の増進を十分はかり、同時に公共性を十分保つて行き、安全確実という線は保つというねらいで、予算を極度に圧縮して、されば二割五分、三割でやつてみようという潔き決心をして、補正予算の要求もいたしたようなわけなのであります。そういうわけでありますから、予算御審議にあたつてはそれらの経緯を十分御了察を願い、御賢察を願つて、十分御批判の上で御審議、御決定を願いたいのであります。この実施の時期は前から申し上げたような差追つた状態にありまするので、十一月一日からぜひ実施し得るような特別な御配慮を願つて御審議をお進め願いたい。これは国鉄のために特に差迫つた実情を委員諸君に訴えて御了解を願いたいと考える次第でございます。
  125. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 大臣の御説明よくわかつたのでありますけれども、私は先日も申し述べたのでありますが、独立採算制ということが、結局こういう時期が悪いのにもかかわらず、これを実施しなければならない。先ほどの御説明によれば黒字線が四割、赤字線が六割、そのわずかな黒字線で赤字線をまかなつて行かなければならない。そこに独立採算制の努力というものが生れて来ることも認めると同時に、これがためにどうしても赤字線の方は虐待される。赤字線でなくてもとんとんのようなところはあまり優待されない。また線路も必要のところに——必要ではあるけれども、さしあたり赤字になるからということのために、延びて行かないというようなこともありますので、私はもう一度この独立採算制というものを、検討してみる必要があると思うのでありますが、どうかこれは今お答えを要求するのではなくて、いろいろの角度からこの独立採算制の効果について御検討を願いたいと思うのであります。  次にこれは大臣はおわかりがないと思いますので、事務当局の方に御答弁を願いたいのであります。それは外車の登録の問題でありますが、どうもこの陸運局陸運事務所というものができて以後、その出先の方の外車問題のみならず、一般行政が非常にゆがめられている事実があるのであります。私はかつてあまりひどいゆがめられた姿を見まして、陸運局長に注意したことがあるのであります。その際に私はそれ以上追究することは、部下の人に傷をつけることになるから、ぼくはこれ以上は追究はしないけれども、将来はそういうことがないようにやつてもらいたい。そうするという約束だつたのでありますが、間もなく局長はかわつてしまう。次の人が来る、そうすると相かわらず同じようなことが繰返されておつた実例を私は持つておるのでありますが、この外車の登録につきましても、相当いろいろのうわさが長い間立つてつたのであります。不正なものがある。それからまた制度がかわつたので、昨年の十二月に日付をもとして登録したとかいうふうな、いろいろな好ましからざる事実があつたのでありますが、それがこの夏になりましてから、運輸省の方から通牒が出まして、偽造、不正の登録であつても、来年の三月三十一日まではそのまま有効としておくという。しかもそのあとに念のためと書いてあつた、私は現物を見た。これを見たときは私は非常な不審な念を抱いたのであります。不正であつても、偽造であつてもそれは来年の三月末までは有効だ。そうすると来年三月末日ころになれば講和條約も成立する、司令部の指令もそのときになれば無効になる、そのときにどうにか糊塗してしまえばいいのだ、それまでは何とかして延ばしておこうじやないかというようなことを考えているじやないかという邪推までもしたのであります。ところが最近聞いてみると、十月の二十日に大阪の大会で相当大きな問題になつて、その席上でその命令を取消すということになつたそうでありますが、まだ一部の間には、そんなことを言つても、現在の方であれだけ組んで、やつた仕事であるから、現地ではもてあますであろうとぐずぐずにやつて、延び延びにしてしまうであろうというような疑いを持つているところもあるのであります。  そこで私がお尋ねいたしたいのは、一体官庁が不正であつても、偽造であつても、それは来年の三月末日まで有効だ、そのままほうつておく、念のためと書いてあるから、今までもそういうふうに指令しておつたけれども、あらためて念のために言うてやるのだというようにとれるのでありますが、そういうことは非常な国民に大きな疑惑を持たせるのであります。私はその不正車両の入手の径路もいろいろ調べてみましたが、幾つかの手があることも知つたのであります。私はそういうことよりは、一体あの司令部の命令によつて中央に帳簿があつて、そこで全国のことがわかつているのに、その方の帳簿に載らないで、地方でもつてつてにやつて行つたということがすでに事務的手落ちである、こう考えておる上に、その手落ちを直そうとしないで非常な強情を張つて来た。そうしてとうとう行き詰まつてからようやく取消したというところに、非常な不明朗なものを感ずるのであります。そこで何ゆえにその不正、偽造の登録ができたか、そのできたものを何ゆえ来年三月末日まで有効であるということを言うてやつたか、そのいきさつを明瞭にして国民の疑惑を解きたいと思うのであります。またそうすることによつてこういつたこんがらかつた陰鬱な気分、それから起きて来るところのいろいろの派生的な問題も処理し得ると考えるのであります。ありのままに、ざつくばらんにそのいきさつを明瞭にしていただきたいと思うのであります。
  126. 増川遼三

    ○増川説明員 私より申し上げます。外国自動車につきましては、昭和二十四年連合軍総司令部の最高司令官の覚書によりまして、一般的に日本人の入手を禁止せられておるのであります。同覚書によりまして運輸省令第一〇号というポツダム省令が出ておりまして、それはことしの六月九日に廃止されたのであります。爾後は物調法に基く外国自動車讓受規則に基きまして、外国自動車の入手その他の規制をいたしておるのでございます。御質問の、不正購入の起つて参りました外国自動車につきましては、以前の運輸省令一〇号に違反する自動車でありました。これらは覚書及び運輸省令一〇号によりますれば、最高司令官の特別の許可があつたもの以外は絶対に入手できないものでありますので、あたかも外国自動車の入手につきまして、最高司令官の許可があつたもののごとく装い、あるいは最高司令官の特別許可書の偽造、変造、あるいはその許可に基きまして、すでに登録せられたものが廃車せられまして、その廃車証明書によつて登録をする、かかる問題が多々生じたのであります。これらにつきましては、事後その都度摘発を受けたものもございますし、当局側で発見せられたものもありまして、不審案件として処理しておつたのでございますが、たまたま地方の事務所におきまして、これが正当のものであるかどうか不明なものにつきまして、かりに登録をするという臨時的な措置をとつてつたのであります。本年七月一日から道路運送車両法が施行せられまして、新しい登録制度に移行したわけでございますが、そのうち、道路運送車両法第五條の、登録によつて自動車の所有権の対抗力が與えられる規定は、来年の四月一日以降適用されることになつております。従いまして、それまでに旧登録は新制度の登録に切りかえをしなければならないのでございます。そこで先ほど申し上げましたような不審案件の処理につきましては、来年の三月末日までに、すみやかに処理をするように通達せられておるのでございます。なお個々の点につきましては、法的な根拠が不明な点もございましたので、一部におきましては処理が非常に遅れたものもあるのであります。中央といたしましては、不正登録等の不審案件の処理につきまして、すでに本月の十七日詳細の具体的な通達を発しております。また担当官の不正あるいは不当行為につきましては、それぞれ糾明の上、処罰すべきものは処罰する等の善処をするように措置をいたしております。  それから先ほど御質問にございました本年七月の通達——自車七三号という自動車局長通達でございますが、その中に不審案件に関する不正な登録につきましても、来年の三月末日までは有効である、右念のためと書いてございますのは、一応かかる不正なものの実際的な処理方が決定するまでは保留しておくように、こういう趣旨でございまして、その趣旨の説明といたしまして、保留中は、すなわちいつまで保留になるかわかりませんが、決定するまでは、来年の三月末日まで、旧登録を受けた者は新規登録を受けたものとみなされまして、念のために来年の三月末日までは一応有効であるということを申し添えただけでありまして、この点通達の趣旨を誤つて解釈せられるように書かれたので、種々誤解を生じたのであります。御指摘いただきましたごとく、かかる点につきましては十分に改めまして、法規に基く正当な手続によりまして処置をいたしたいと考えておるのでございます。また自車七三号通達はすでに廃止せられたものでございます。
  127. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 今の御説明は一応わかりますが、そこに到達するまでの間に、これに関係した人の話を聞くというと、今の御説明とは相当かけ離れたものがあるのであります。むしろはねつけたり、威嚇したり、ためにならぬぞと言つてずいぶんやつて来ている。そして権力で押えつけようとした形跡が非常にある。もし証拠が必要なら証拠を私は出しますが、そういう強圧的なことをやつて来ないで、今のような御説明があつたとすれば問題は起らぬ。今のような問題にしない。強圧的なこと、もしくははなはだ公表しにくいようなことを言つて、政治家や政党人を傷つけるようなことを言つて、ある政党ではこれを押えろといつたようなことまで言うたのがある。これははなはだ国民に対して政党政治の威信を傷つけるものである。私は現在一番恐れておることは、独立した後において、この日本の民主的の政党政治というものが権威を持ち、国民の信頼に沿うて行かなければ一番重大な問題だ。そういつた問題を引合いに出して自分を正当化しようとした企図がある。それでなければ私はこんな問題は取上げはしない。もし今の御説明のようなことを初めからすなおに言うておられたのならば、こんなに混乱しやしない。大阪のあのせんだつての二十日の大会の模様をお聞きになつたろうと思う。ああいう状態に全国的になつたということは、これは確かに今の御説明通りじやなかつたものと私は思います。一体こういう問題については、どういうさしつかえがあつたか知らぬけれども、牛島局長が自分で出て来て説明するのが当然だと思います。私は課長を信用しないわけじやなく、軽く見るわけでもないけれども、問題がここまで来ているものを、課長にかわりに行つて来い、おれはこつちに用事がある、これはあまりに国会を軽視した局長の態度じやないかと私は思うのです。そこで課長の御説明それ自身は了承できますけれども、その裏にあるものは、まだ私としては氷解できないのであります。しかも現地でそういう問題を起している人々は、ああいう通牒を出したといつて、はたしてそれがその通りに実行されるかどうかということに、非常な疑問を持つているらしい。そこでまず第一に、あの通牒通りに事柄が運ぶようにされることが、国民の信用を回復する第一段階だと思うのです。その次に、他を顧みて、自己の責任を隠して、あそこがどうだ、ここがどうだというようなことを、ほうり散らかすようなことを言うのは、これは官庁としては無責任きわまるものである、そういう言動がこの議会制度にいかに悪い影響を及ぼすか、これはこういうふうに事態をこんがらかせ、そういう不謹愼な言葉を用いた人間は、当然責任をとるべきだと私は思う。この点については、私は将来の成行きを見て、再び質問に立つこともあることを留保いたしておきます。
  128. 小坂善太郎

    ○小坂委員長 本日はこの程度にとどめまして、明二十六日午前十時半より委員会を開会し質疑を継続することといたします。  これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会