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1951-10-24 第12回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十四日(水曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 小坂 善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 橘  直治君    理事 苫米地英俊君 理事 西村 久之君    理事 中曽根康弘君 理事 風早八十二君       天野 公義君   岡村利右衞門君       角田 幸吉君    川端 佳夫君       北澤 直吉君    坂田 道太君       島村 一郎君    庄司 一郎君       玉置  實君    中村  清君       中村 幸八君    本間 俊一君       南  好雄君    宮幡  靖君       井出一太郎君    早川  崇君       横田甚太郎君    小平  忠君       石野 久男君    小林  進君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十月十九日  委員床次徳二君及び川島金次辞任につき、そ  の補欠として竹山祐太郎君及び山口シヅエ君が  議長の指名委員に選任された。同月二十二日  委員北村徳太郎君及び山口シヅエ辞任につき、  その補欠として藤田義光君及び川島金次君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  昭和二十六年度一般会計予算補正(第一号)  昭和二十六年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第2  号)     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  昭和二十六年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第一号)、同政府関係機関予算補正(機第2号)、右各案を一括して議題に供します。  まず政府説明を求めます。池田大蔵大臣
  3. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十六年度補正予算の大綱につきましては、本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、あらためて御説明申し上げます。  本年度補正予算は、平和條締結後の情勢に対処し、あくまで健全な経済を営みつつ、経済基盤充実と、国民生活の安定をはかることを目的として編成されたものでありまして、講和に伴う諸般の措置を講ずることといたしましたほか、当初予算において主眼といたしました財政収支均衡国民負担調整軽減産業育成合理化のための政府資金活用等の面について特に留意したのであります。  次にその内容の大体について御説明申し上げます。  まず一般会計歳出終戦処理関係経費補正について申し上げますと、終戦処理事業費は、去る七月一日以降所要経費のほぼ半ばを米国負担することとなりました結果、当初予算より百七十五億円を減少いたしましたが、一方連合国軍に提供いたします物品、役務等調達のため特別調達資金が設けられましたので、これに七十五億円を繰入れることといたしました。また連合国軍による使用解除財産補償漁場損失補償等に必要な経費十三億円を終戦処理業務費に追加することといたしました。  平和回復善後処理費として百億円を計上しておりますが、これは平和回復に伴いまして、その善後処理のため支出を必要とする事項が発生することも予想されますので、これに備えることといたしたものであります。  次に公共事業費につきましては、積雪寒冷単作地帯対策のため二十億円を追加し、経済的に遅れた積雪寒冷単作地帯における農業生産基礎條件をすみやかに整備する目的をもつて灌漑、排水事業開拓事業及び土地改良事業を積極的に行うことといたしました。また木材需給緊急性森林法改正に基く伐採制限強化に伴い、未開発森林資源活用をはかるため、奥地幹線林道を新設するに要する経費として七億五千万円を追加することといたしました。また六・三制による校舎整備につきまして九億五千万円を追加して、その整備計画確保することといたしました。  次に貿易規模拡大等による円資金不足に対処するため、外国為替資金特別会計への繰入れを三百億円増額することといたしました。食糧管理特別会計への繰入れ百億円は、食糧価格改訂等に伴う運転資金不足額を補填するためのものであります。  次に本年度当初予算において、農林漁業開発保全をはかる目的をもつて長期低利資金融通のため農林漁業資金融通特別会計を設置し、一般会計より二十億円、見返り資金より四十億円、計六十億円を出資したのでありますが、その後積雪寒冷単作地帯振興のための土地改良資金奥地林道開発資金森林法改正に伴う伐採調整資金、並びに漁業制度改革を成果あらしめるための製氷冷凍施設資金その他の共同施設資金等資金需要増加伴つて一般会計から三十億を出資するほか、資金運用部から三十億円を借り入れ、当初予算と合せて百二十億円の資金により、農林漁業資金融通拡充を行うことといたしました。  次に一般会計より三十億円を出資して糸価安定特別会計を新たに設置いたし、これにより生糸価格の異常な変動を調整し、もつて生糸輸出増大を期するとともに、蚕糸業経営の安定をはかることといたしました。また輸出貿易振興をはかるため、輸出信用保險法改正して、長期にわたつて代金決済のなされるプラント輸出を対象とする新種信用保険を実施することとし、これに必要な資金として一般会計より輸出信用保険特別会計へ十億円を追加繰入れることといたしました。  次に国民金融公庫に対して一般会計から十億円を追加出資するとともに、別途資金運用部より二十億円を融資いたしまして、最近の庶民金融需要増大に対処するほか、新たに中小企業金融の一翼としての活用をはかることといたしました。また住宅金融公庫に対しては、一般会計から三十億円を追加出資するほか、資金運用部より三十億円を融資することといたしており、この結果同公庫融資住宅は当初の計画に比して五千戸を増加し、計四万六千戸の住宅の建設を確保することとしております。  次に日本輸出銀行に対し二十億円を、また日本開発銀行に対し七十億円をさらに出資し、輸出産業資金及び経済開発資金積極的拡充をはかることといたしました。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資二百億円は、近く国際金融機構べの加入を予定されておりますので、これに対処するためのものであります。  次に、地方財政平衡交付金増額について申し上げます。昭和二十六年度地方財政は、当初の見込みに対し、職員給與改善等により歳出増加が予想される一方、法人事業税その他の税収入等相当増加が見込まれております。しかしながら、財政需要増加は各地方団体のいずれにおいてもおおむね平均的に予定されるのに対して、収入増加地方団体によつて相当な不均衡があり、この結果歳入不足を告げる団体も生ずるものと考えられます。各地方団体においては、今後経費の徹底的な節減と地方税収確保に努めることが急務であるとともに、このような歳入不足は、地方財政平衡交付金の配分を適正にすれば、相当補償し得られるものと考えますが、当面これによつて調整し得ない部分もありますので、今回地方財政平衡交付金を百億円増額することとしたのであります。なお地方債につきましては、別途その起債の限度を百億円増加いたす考えであります。  次に、郵政事業特別会計につきましては、業務量増加給與改善及び物価騰貴等のため、相当経費増加を予想されますので、人員整理物件費節約等により極力経費の圧縮に努めることといたしましたが、なお相当赤字が予想される状態であります。今回郵便料金改訂を行い、独立採算制を維持する方途を講ずることといたしましたので、本年度における赤字は当初の見込みに比して若干減少することとなり、これに伴い一般会計より同特別会計への繰入額は、当初の三十五億円を二十九億円に改めたのであります。  郵便貯金事業特別会計損失補填十四億円の増加は、業務取扱い職員給與改善及び取扱い物件費増加等によるものであります。  左外公館等借入金処理につきましては、整理準備審査会において借入金確認事務を行つて参りましたが、今回その確認に基いて、返還を実施することといたし、これに要する経費国債整理基金特別会計に繰入れることといたしました。  警察予備隊につきましては、平和回復後の国内治安確保するため、その装備強化施設充実隊員給與改善等に充てるため、百五十億円を追加計上いたしました。  国家地方警察につきましては、警察法改正に伴い、自治体警察国家地方警察への編入及び編入した警察装備保全充実を行うために必要な経費、並びに警察官及び警察職員給與改善等のために必要な経費を計上しております。  遺家族等援護調査費は、戰残者遺家族及び戰傷病者援護対策を確立するため、その準備調査を行うに必要な経費であります。  学校等給食は従来米国援助によつて行つて参つたものでありまして、対日援助の打切り後においては特に政府の補助を要しないものとも考えられましたが、本年度に限りその継続を容易ならしめるため、本年十一月から明年三月までの分として必要な経費一般会計から支出することといたしました。  以上のほか、農業保険費農業委員会費農林漁業組合再建整備費小型底びき網等減船整理費、その他当初予算成立後に生じました諸種の事案につきまして、必要な予算措置を講じているのであります。  次に公務員給與民間に比して相当低位にあり、特に米価改訂等による最近の生計費の上昇に対応して、その引上げの必要が認められますので、本年十月から平均約千五百円の増額を行いますとともに、年末手当を〇・五箇月分から〇・八箇月分に引上げることといたし、これについては別途法律案の御審議をお願いすることとしておりますが、これらのため本年度における所要額として一般会計八十七億円、特別会計七十一億円、国鉄その他の政府関係機関百七億円、合計二百六十六億円を追加計上しております。  また、政府は今回行政事務簡素合理化をはかり、定員整理を断行することといたしました。その整理定員一般会計四万七千余人特別会計四万六千余人国鉄その他政府関係機関二万七千余人合計十二万一千余人と相なつておりまして、これにより平年度におきまして二百億円以上を節約し得る見込みであります。  政府は本年度予算の実行に関し、本年六月閣議において一般事務費予算節約を行うことを決定いたしましたが、その節約に基く不用額として一般会計十三億円、特別会計二十五億円、専売国鉄四億五千万円、合計四十三億五千万円を今回の補正予算において削減いたしております。  次に先に申し上げました郵政事業のほか、電気通信事業及び日本国有鉄道におきましては、独立採算制を維持するため、極力経費節約に努めたのでありますが、反面職員給與改善物価騰貴による物件費増加等によりまして、事業運営費増大は避けられない状態にありますので、今回最小限度運賃及び料金引上げを行うことといたし、別途法律案の御審議をお願いすることとしている次第であります。  次に歳入予算補正について申し上げます。  租税及び印紙収入におきましては、主として朝鮮動乱後の法人企業の収益の増大の結果、千五百六十八億円に上る自然増収が見込まれることとなつたのでありますが、これにより、先に申し述べました歳出増加をまかなうとともに、国民租税負担調整軽減を行い得ることとなつたのであります。これに必要な法律案は別途国会に提出いたしますが、所得税においては、基礎控除額及び扶養控除額引上げ税率調整並びに退職金課税軽減を行うことといたし、法人税については、税率を若干引上げる一方、徴収猶予制度及び退職手当積立金損金算入を認めるごととするほか、重要産業近代化を一層促進するため、特定の機械設備について特別償却制度を合理化することといたしております。以上の税制調整によりまして、本年度内における減税額は四百五億円と相なります。  このほか、租税外歳入につきましては、タバコ売れ行き増加による日本専売公社益金増加四十五億円、及び雑収入において日本銀行納付金増加三十二億円、貿易特別会計整理収入増加八十五億円等の補正を計上いたしております。  以上補正予算の大要を御説明申し上げました。なお詳細は政府委員より説明いたします。何とぞ愼重に御審議の上、すみやかに可決せられるようお願いいたします。
  4. 小坂善太郎

  5. 河野一之

    河野(一)政府委員 補足して御説明申し上げます。今回の補正予算は、平和條締結に伴う関連した措置治安確保経済自立態勢整備に関連した財政方針、あるいは予算編成後における生産物価等の諸事情の変化に基く調整、さらに負担調整軽減、こういつたような点がおもな問題でありますが、個々の事項につきお話申し上げますに先だちまして、多少総合的な一般的な問題を申し上げたいと思います。  まず国際収支の問題でありますが、国際収支につきましては、外貨の受取りを今度の補正におきましては二十一億四千四百万ドルというふうに見ております。当初の予算におきましては、十四億六千万ドルであつたわけであります。約七億ドルほどふえております。その内訳は、輸出におきましては十三億四千四百万ドル、特需におきまして三億ドル、貿易外におきまして四億ドル、それからガリオアの返却といたしまして、多少技術的になりますが、前年度におきましてコマーシャルの勘定で輸入いたしましたものをガリオアの方に振りかえましたものが一億ドルございます。これはガリオアの方からドルをもらう関係に相なります。これが合計して二十一億四千四百万ドルになるわけでございます。それから外貨の支拂い勘定の方におきましては、一般輸入が十八億千六百万ドル、貿易外收入が一億五千四百万ドル、合計いたしまして十九億七千万ドルの外貨支拂いでありまして、これを差引きまして一億七千四百万ドルの受取り超過ということに相なるわけであります。もつともこの中には外貨に関連する円収支関係のない部分が四千五百万ドルありまするので、外為円収支関係といたしましては、一億二千九百万ドルということで、外為勘定をいたしておるわけであります。  その次は物価の問題でございますが、物価につきましては、予算編成後多少物価騰貴いたしたのでありますが、これにつきましては、特に一般会計におきましては、物価に伴う補正をいたしておりません。先ほど大臣説明にもございました通り、旅費及び物件費において、相当節約をいたしております。ただ鉄道通信等事業会計におきましては、この点をそのままに強行するわけに行きませんので、多少の物価騰貴補正をいたしております。たとえば石炭で申しますれば、予算編成当時におきましては、六千二百カロリーのものを三千円程度に見ておつたのでありますが、上半期の実績は三千五百円程度であります。下半期の入札は四千三百円程度なつておりますので、こういつた補正はいたしております。国鉄修繕関係におきましても、五割ないし六割五分程度騰貴なつておると思います。電通あたりにおきましても大体同様の程度であります。従つてそういつた関係を除きましては、予算単価は一切動かしておりません。  それからこれは一般的な問題でありますが、そのほかに米価の問題につきましては、すでに御承知のように九月末のパリティを二五〇と予定し、五%の特別加算をつけました七千三十円ということで計算をいたしております。消費者価格もこれに応じまして一八・五%平均で上る、そういう計算のもとに百億円の食管会計の繰入れをいたしておるわけであります。  運賃につきましては、鉄道旅客は二割五分、貨物は三割という計算であります。郵便料金につきましては、はがきが二円が四円、封書が八円が十二円、小包が二〇%アップ平均いたしまして四〇%程度値上げなつております。電通につきましては、電報は十字まで三十円というのを四十円、それから五字増すごとに十円というのを十五円といたしております。度数料につきましては一般基本料金は二〇%アップ通話料は二円を五円、それから均一制のものにつきましては三〇%アップ平均いたしまして二七%程度値上げになるわけであります。  次は給與改訂の問題でありますが、これは大体千五百円程度上げることを目途としておるのでありますが、正確に申し上げますと、本年の十月における公務員平均給與ベースと申しますか、水準は、八千五百六十九円というふうに推定いたされます。それに対しまして千四百九十三円上りまして、一万六十二円ということになる予定であります。人事院勧告は御案内の通り一万千二百五十五円であります。これに基く金額は、ベースアップの分が一般会計特別会計政府関係機関を通じまして二百三十四億円、年末手当を今回〇・八月分にいたしておりますので、この分が三十二億円ばかり、合計いたしまして二百六十六億円ということに相なります。人事院勧告でありますと、さらに百二十六億円ばかりふえることに相なります。平年度におきまして、二百九十億円ほど増額を要することに相なります。  次は行政整理の問題でありますが、今回の人員整理におきまして、十二万千三百人ほどの整理予定いたしておりまして、大体その半数程度のものが年度内整理せられるであろうという前提のもとに、予算を組んであるのであります。退職手当は三月までの分については八割、六月までの分については四割、従来の退職手当について割増しをしたということにいたしてあります。本年度におきましてはその関係におきまして、一般会計特別会計政府機関を通じまして、四十七億円の退職手当予定しております。明年度におきましては、これを今申し上げましたやり方でいいますと、三十五億円の退職手当になるのであります。平年度におきまして人件費物件費節約額が二百七億円に相なります。  次は財政投資の問題でありますが、一般会計におきまして当初七百七十八億円の投資であつたのでありますが、今回の補正において八百億円を増加いたしております。それから資金運用部関係で、当初の投資は千百二十億円でありますが、百三十億円を増加いたしております。見返り資金公企業及び私企業の投資計画は、五百六十八億円であつたのでありますが、これを百三十五億円増加いたしております。資金運用部におきましては、電通におきまして二十五億円、農林漁業金融におきまして三十億円、住宅公庫におきまして三十億円、国民金融公庫におきまして二十億円、国鉄に五十億円、さらに地方債として百億円を増加する、こういう計画であります。国有林野は、当初予算におきまして、三十億円を予定いたしておつたのでありますが、国有林野会計の現状は、相当改善いたされまして、資金運用部からの三十億円の予定借入れを必要としないように相なつておるのであります。それから見返り資金におきましては、この百三十五億円は、電力に百億円、造船に三十五億円というふうに予定しておるわけであります。  租税収入及びその負担軽減の問題については、主税局長からお願いするわけでありますが、次は個別的の問題につきまして、印刷いたしたものがお手元に行つておるのでありまして、これについて御説明申し上げたいと存じます。「予算補正概要」というものでありますが、第一ページに、「昭和二十六年度一般会計歳入歳出予算及補正予算額調」というのがあります。  まず歳入につきまして、租税及び印紙収入におきまして追加と減少とを差引まして千百六十三億円の増をいたしております。  次の官業及び官有財産収入におきましては、タバコ専売益金が四十五億円ふえておりますが、これは当初予算におきましてタバコの販売を八百二十億本見ておつたのでありますが、八百三十四億本と予定いたしております。その品種につきましても、ピースの売れ行きがよろしいので、そういつた関係収入増加に相なるわけであります。貿易会計におきまして多少持つておりました物資の値上り等によりまして八十五億円の収入予定いたしております。  それから日銀納付金において三十二億六千万円、それから公団の剰余金納付金が二十億円ほどさらにふえる貝込みであります。  減少の方におきましては、終戦処理収入が、今回終戦処理費負担区分改訂によりまして、減る関係を見ておるわけであります。  それから次は歳出でありますが、次のページで御説明した方がよいかと存じますが、「一般会計歳出予算補正額重要事項別表」、第一の終戦処理関係経費でありますが、終戦処理費につきましては、今年の七月から米国軍関係のものについて、大体半々負担をいたすことに相なつておるのであります。この半々負担米国軍関係でありまして、そのほかに、英濠軍関係経費がございます。それから戦争裁判関係経費、アライド、ミッシヨンの関係経費海洋固定点観測経費、これはいずれも平和條発効に至るまで全額日本政府負担になるのでありますが、その関係経費が五十三億円ほどございます。これを除きまして、四月から六月までの契約の分を除き、残りのものについて二分の一が減少する筋合いになるのでありますが、当初予算を編成いたしました当時に比べまして、賃金も上つておりますし、物価も多少上つておるという関係で、百七十五億円の減少なつたわけであります。  それから別途特別調達資金として七十五億円を繰入れております。  さらに接収解除に伴う各種の家屋の原状回復経費でありますとか、あるいは漁場補償等経費も計上いたしておる次第であります。  次に平和回復善後処理費として百億円を計上いたしておるのでありますが、平和條約の発効の時期は予測しがたいのでありますが、この平和條発効に関連し、またその後において善後処理のために、各種経費を必要とすることが予想せられるのであります。たとえて申しますれば、終戦処理関係におきまして支弁いたしておりますものとしては、民間及び国有賠償施設維持管理経費、あるいは連合国財産管理、あるいは中立国枢軸国財産管理経費終戦処理費でやつておるのでありますが、平和條発効後においては、終戦処理費から支出することについて多少の問題がございます。かりに平和條発効になりましても、ただちにそういつたような施設民間に返すことについては、物理的な問題として困難な点もありますので、暫定的に管理を必要とするということもあろうかと思われます。また進駐軍が接収いたしております各種施設返還を受けました場合に、これを維持管理し、あるいは中を模様がえするといつたようなこともございます。  さらに先ほど申し上げました海洋固定点観測といつたようなことを今後続けるかどうか、続けるとすればこういつた経費支出の問題になるかと思います。また安全保障條約に関する問題として日米合同委員会というようなことが、巷間よく言われておりますが、その真偽のほどは別として、もしそういつたような機関が必要であるということになりますと、こういうところの経費から出すということの必要も起つて来るかと存ぜられるのであります。  それから公共事業費でありますが、公共事業につきましては、単作地帶関係経費として二十億円、奥地林道関係として七億五千万円、六・三制の関係として九億五千万円、そのほか公共事業費の中で組みかえをやりまして、地盤沈下でありますとか、あるいは緊急砂防事業というふうに組みかえておる分があるのであります。これに修正減少額として現われておるのは、その関係であります。  その次は出資及び投資関係でありますが、外国為替資金に対する三百億円の繰入れでありますが、これは先ほど申し上げましたように、円収支関係のあるドルの受取り超過が一億二千九百万ドル、四百六十四億円に相なるのであります。これだけは外為として円が不足する、そのほかに甲種貸付の残高、つまり外為における甲種貸付の減が、当初予算よりは非常に増大いたしたのであります。当初は二十五年度末と二十六年度末と比較いたしまして、甲種貸付が百五十六億円減るという計算をいたしておつたのでありますが、最近の見込みによりますと、七百三十七億円減ることに相当なるわけであります。甲種貸付と申しますと、日銀に外貨を売りまして円を調達することになつておるのでありますが、この甲種貸付が減ることは、つまり外為における円が不足するということに相なりますので、これを一般会計から入れるという建前にいたしておるのであります。甲種残高が減りました関係は、ことし一月—三月は相当の輸入がございまして、ことさらに繰上げ輸入と申しますか、特に輸入を促進いたしておつたのでありますが、これが平常化いたしました関係が一つであります。それから当初予算の当時におきましては、いわゆる信用状開設の場合におけるマージン・マネーを一〇〇%見ておりました。これが三月十九日から五〇%というふうに改正いたされたわけであります。マージン・マネーが減りました関係で、外貨売りがそれだけ減ることに相なるわけであります。従つてその反面は、円勘定不足ということに相なるわけであります。つまり国際収支関係で、四百六十四億円減り、甲種残高の関係で七百三十七億円、合計いたしまして、千二百一億円という円をさらに要するという関係に相なるのであります。この千二百一億円の金を調達いたしますために、一般会計から八百億円、それからIMF、つまり国際通貨基金の拂込みにつきましては、外為からドルを買つて拂い込むという予定にいたしておりますので、その関係で二百億円、それから前年度繰越金が三百十七億円、これだけ合計いたしまして千三百十七億円になりまして、さき申し上げました千二百一億円を引きますと、百十六億円の予備費をとつておる。現在の外為におきましては、一日七、八十億円程度の取引をいたしておりますので、百十六億円程度の予備費は必要であろうというふうに考えております。  次は食管の問題でありますが、これは先ほど申し上げました通りであります。  次は農林漁業資金融通でありますが、これは一般会計から三十億円、資金運用部から三十億円、合計いたしまして六十億円に相なるわけであります。当初予算におきましては見返り資金から四十億円、一般会計から二十億円、六十億円であつたものが、資金として倍額に相なるわけであります。大体土地改良に二十九億円、林業関係に九億円、塩に三億円、水産、畜産等の共同施設に十九億円というふうに予定いたしておるのであります。  次は、糸価安定の三十億円でありますが、最近における糸価の状況にかんがみまして、一般会計から三十億円の資金を入れまして糸価の安定調節をはかろうとするものであります。パリティ及び対米価率というような点、それから今年の一月アメリカにおける生糸価格が一ポンド五ドル五十セントというような点を考えまして、大体一俵当り二十四万円程度というものを最高に置き、最低といたしましては平均生産費の大体七五%というようなところを考えますると、一俵が十四万五千円程度になるのであります。これを目途といたしまして、二万俵ということでさらに事務費をも考慮しまし三十億円と予定いたしたのでございます。もちろんこの価格のきめ方につきましては、今後法律案を出しまして御審議を仰ぐ予定でありますが、予算といたしましては、一応その通りに考えております。  次の輸出信用保険でありますが、十億円の資金を繰入れております。従来輸出信用保険におきましては、仕向国における戦争であるとか、あるいは輸入制限、あるいは輸出制限、為替の制限、そういつたいわゆる非常危険だけを信用保険の対象といたしておつたのでありますが、今回プラント輸出というようなことも考えまして長期にわたる代金債権の商業上の危険を担保する目的で新種保険、これを乙種保険ということに法律上は考えておりますが、そういう保険制度を考えようとしておるわけであります。  国民金融公庫でありますが、国民金融公庫は現在六十億円の資本金を持ち、そのほか更生資金として二十九億円を持つておりますが、本予算におきまして十億円を計上いたしたのでありますが、今回さらに一般会計において十億円、資金運用部におきまして二十億円の借入れを予定いたしております。八月末におきまして約五十億円の貸付をいたしております。  住宅公庫は今年度当初予算において五十億円、資金運用部で五十億円、合計百億円の資金でありましたが、今回一般会計資金運用部を通じまして六十億円ふえるわけであります。当初におきとましては、四万一千戸と考えておつたのでありますが、四万七千戸程度と相なります。年度末において十一万一千戸ほどの住宅を、従来までのものを入れまして建設する予定であります。  輸出銀行でありますが、輸出銀行は二十五年度において一般会計見返り資金おのおの二十五億円、合計五十億円で発足いたしまして、当初予算におきましては、一般会計見返り資金おのおの五十億円ずつ、つまり百五十億円の資金を持つてつたのでありますが、今回さらに二十億円を出資いたすことにいたしております。九月末でもうすでに五十億円程度は貸付をしております。  開発銀行は見返り資金の百億円をもつてスタートしたのでありますが、復金が解消いたしまする分を引継ぎ、復金の新しい回収金として八十億円を予定いたしております。今回七十億円の出資をいたしまして年度内合計百五十億円の資金を持つ予定でございます。  次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の問題でありますが、国際通貨基金につきましては、今年の八月加入の申請をいたしたのでありましてこの十一月ごろに日本を加入せしむるかどうかにつきまして理事会が開かれる。少くとも年度内には加入できるのではないか、おそくも来年度早々にはできるのじやないかという見通しを持つておる次第であります。この通貨基金に対する加入につきましては、まず出資の割当額が問題になるわけでありますが、出資割当額は貿易、国民所得その他のいろいろな関係できまるわけでありますが、現実の出資は、割当額の二五%か、あるいは国内における金ドル保有額の一〇%のいずれか低き方というのが、原加盟国における出資の金額になつておるのであります。その後における加盟国につきましては、必ずしもそういうような基準はないのでありまして、たとえば二五%というのは、スエーデンにおきましては・一七%、セーロンは三・五%、パキスタンも三・五%というような、いろいろそのときによつて、後からの加盟国についてはそのパーセンテージは違うわけでありますが、一応現加盟国の標準をとつてみました場合におきまして、大体国際通貨基金として拂い込む金額は百七、八十億円というふうに考えておるのであります。それから復興開発銀行の方でありますが、これは国際通貨基金と割当額は同額でありまして、そのうちの二%は金ドルで拂い込み、それから一八%を自国通貨で拂い込むわけでありますが、一八%のうち一%は円で拂い込み、残りは政府の無利息一覧拂い証券でいいということになつております。国際通貨基金についてもその点は同様でありまして割当額のうち金ドルで拂い込む残りの分については、割当額の一%は自国現金、残りは一覧拂いの無利息証券でいい、こういうことに相なつております。  次は平衡交付金であります。平衡交付金は当初千百億円でありましたものを、千二百億円にいたすのでありますが、今回の給與改訂あるいは物価騰貴等によりまして、地方財政全体といたしまして四百三十七億円の歳出増を見込まれるのであります。しかし一方歳入が、ことに税の自然増収がございまして、たとえば法人事業税というようなものが非常にふえました関係で、地方財政全体として七十億円の歳入超過になるのではないかというふうに考えられます。地方税は当初二千八十七億円というものが二千五百十億円つまり四百二十億円余りも自然増収があるというふうにわれわれは考えております。従つて地方財政全体としてはバランスするのでありますが、個々の団体について見ますると、平衡交付金の恩惠を——この自然増収があつても、それが平衡交付金によつて調整を受けないという団体があるのでありまして、これが金額で大体二百億円程度に相なりますので、百億円を平衡交付金の増額とし、百億円を地方債によつてまかなう、こういう計算を立てた次第であります。  次は特別会計の損失の問題であります。郵政事業は当初予算において三十五億円の赤字一般会計から入れておつたのでありますがへ値上げ関係でこの金額が六億円ほど減る、こういう関係に相なります。  郵便貯金は、これは郵政事業に対して貯金取扱いの経費を繰入れておりますので、郵政会計のベースアップ等に伴つて貯金会計から入れねばならぬ。その赤字分を一般会計から入れるわけでございます。また郵便貯金の利上げの関係もございます。  それから国債費のうち、八億五千万円は在外公館借入金でございまして、確認証を出したものについて、一定の率を定めまして、それによつて返還するものであります。最高を五万円で限る予定にいたしておりまして、この法律案は別途提出いたしておる次第であります。  その他の点は、大蔵省証券の発行がない見込みでありますので、その金額を減らしたわけであります。  警察予備隊でありますが、警察予備隊については人員増加は考えておりません。装備充実を主といたしておるのでありますが、この百五十億円のうち百億円程度装備充実、四十億円程度がキヤンプその他の建設補修その他の充実であります。それから十億円足らずが給與改訂に伴う経費であります。装備につきましては通信、車両、衛生、医療品その他の充実を主といたしております。  次は国警の経費でありますが、これは自体警察一万三千人が国警に入つて参りましたのと、それから学校に入つておる警察官を定員外にいたしました関係及び給與改善関係でこの金額かふえたのであります。  遺家族等援護調査費、これは今後における施策に関連いたしまして、本年度において徹底的な調査をいたそうとするものであります。  学校給食、これは厚生省関係の保育所におきます分も入つておりますが、見返り資金で今年度約五億円出るのでありますが、残りの分につきましては、年度内に、十一月ないし三月の分につきまして、ある程度国庫補助によつて継続をするという建前のもとに二十五億円程度の金を計上しております。  農業保険はパリテイの増加に基く掛金負担増加、麦の保険料改訂の伴う赤字の増、繭の蚕糸価格九千掛になりました関係に伴う負担金の増、それから事務職員のベースアップ等の関係であります。  年金及び恩給は今回の行政整理あるいはベースアップ等に伴うものであります。  租税拂戻金の金が相当多いのでございますが、これは青色申告をいたしました法人につきまして、過去における決算を振りもとして再計算をいたす、その関係で本年度拂いもどしが起る見込みであります。  次に雑件でありますが、雑件はいろいろなものが数百件ございまして、いずれこれは資料を提出して申し上げることにいたしたいと存じます。その資料を見ていただきましたら、大体おわかり願えるのでありますが、そのうち、金額の一番大きなものは、給與改訂であります。減少の方は主として物件費、旅費の節約に基くものであります。旅費につきましては大体二割を節約いたす。物件費については五%を節約いたすということで、一般会計において大体二十三億円程度の純節約がある見込みでありますが、その一部は新しく起つた節約いたす額としてこの予算を組む前に充当いたしたものもございます。また今後の新しい事態に備えまして留保いたしておるものもあります。もちろん予算として使わせないで持つておるのでございまして、ここに計上いたしました分だけは、はつきり予算上落しておるわけでございます。実際の節約はもう少し多くなるわけでございます。  以上が一般会計の問題でありますが、特別会計予算につきましては終りから三枚目くらいのところにございますが、数字のこまかい点は省略いたしまして、鉄道におきましては、先ほど申し上げました運賃値上げによりまして、二十六年度において百七十二億円ほどの増収を見ております。平年度において四百十四億円と相なります。輸送量につきましては、当初旅客を二十九億四千四百万人と見ておりましたが、三十二億六千三百万人というふうに考えております。約一〇%の増であります。貨物の輸送は一億三千四百万トンを一億五千七百万トンと改訂いたしております。貨車は当初予算で四千六百三十七両、これを五千七百両ほどにいたしております。電化の問題につきましては、高崎線の電化を予定通り送行するとともに、東海道線につきましても、当初の計画夕実行することにいたしております。  郵政会計におきましての本年度増収額は、三十五億円、平年度七十二億円でございます。  電通関係は本年度四十七億円、明年度百二十八億円ということに相なります。電話におきましては、七万二千個という当初の計画をそのまま実行いたすことにいたしております。特別会計のおもなるものは以上の通りでありますが、政府関係機関鉄道は先ほど申し上げましたが、開発銀行につきましては、当初の法律にありました通り復金を吸収するという建前にいたしておるのでありますが、この予算が通過次第、従来の復金を開発銀行に吸収いたしまして、その回収金は開発銀行の出資金として新しく運用して行くということに相なるわけでありまして、予算としては十一月一日というふうに一応予定いたしておる次第であります。  以上、大体御説明を申し上げました。
  6. 小坂善太郎

  7. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今回の補正予算に伴う租税及び印紙収入予算につきまして、概要を御説明申し上げます。ただいまお手元に二つ書類を配付いたしてあると思います。一つは税制改正の要綱という書類と、いま一つは補正予算説明というのをお配りしてあるかと思いますが、時間の関係もございますので、詳細はそれによつてごらんいただくことにいたしまして、要点だけ御説明申し上げたいと思います。  まず改正の点でございますが、これは大体一般的なことにつきましては説明を省略いたしたいと思いますが、所得税改正によつて負担がどういうふうになるかという点についてだけ補足して申し上げてみたいと思います。  まず給與所得について申し上げますと、独身者月額八千円の場合におきましては、現行の負担が八百六十七円となつておりますのが、五百二十六円に相なりまして、三割九分三厘の負担減少になります。それから月額一万五千円で夫婦及び子供二人の場合でございますと、現在千四百十七円の負担なつておりますのが、七百十六円になりまして、半分ほどの減少になります。これは後ほど要綱としてお配りしますので、それによつてごらん願いたいと思います。要点だけ申し上げます。  それから事業所得の場合でございますが、この場合におきましては、農業所得は本年大体十六万九千円程度平均見ておりますが、所得が十五万円で夫婦及び子供二人の場合におきましては、現在一万六千二百五十円の負担が八千円になりまして、ちようど五割の減ということになります。それから営業所得者の場合は、本年分の平均所得が二十七万円程度になるかと思いますが、現在三十万円のところでその税額が夫婦及び子供二人で六万五千円になつておりますのが、改正後は四万七千円になりまして二割七分六厘の減ということになるのでございます。所得税全体といたしまして、大体三割ないし四割程度負担減少を来す人が大部分であると考えております。但し八月からこの改正を実行いたします関係上、勤労所得につきましては八月分から今申し上げました負担になるのでございますが、事業所得につきましては、一年間を通算いたしまして、翌年度二月の確定申告の際に改正を適用するということに相なるのでございます。従いまして本年度といたしましては、経過的に基礎控除が平年度五万円が三万八千円になります。扶養擦除の三人まで一人について平年度二万円が一万七千円になるのでございます。従いまして本年度の事業所得の減少は今申し上げましたのよりも、少し少いことに相なる次第であります。  なおその他改正事項につきましては、時間の関係もございますので、多く申し上げることを省略いたしたいと思います。退職所得等につきましても相当大幅の減税をはかつております。  ただ法人税につきましては、最近の法人事業の業績からいたしまして約二割程度の増収をはかつております。来年の一月一日以後終了する事業年度分からこの改正法を適用する見込みでございます。なお改正の詳細の点は本日はこの程度にいたしまして、必要がございますれば別途の機会にいたしたいと思います。  それから第二の点は租税収入の見積りにつきまして、いろいろ検討いたしまして、全面的にこの際見積りがえをいたしたのでございます。その結果御承知の通り租税及び印紙収入全体といたしまして、減税前におきまして千五百六十八億円の自然増収を計上したのでございますが、そのおもな理由を御説明申上げたいと思います。一番大きな理由は、前回の予算をつくりました当時の経済情勢と最近の経済情勢が非常に変化したということでございます。これはもう御承知の通りかと思いますが、まず鉱工業の生産でございますが、これは朝鮮動乱の勃発しました六月を一〇〇といたしまして、この八月は一四八に上つております。それから日本銀行調査の卸売物価指数が同じく昨年の六月を一〇〇といたしまして、一五二になつております。それから消費者物価指数は昨年の六月を一〇〇にいたしまして、ことしの八月は一二八、二割八分の騰貴。それから全産業の現金給與の支給増額は昨年の六月を一〇〇といたしますと、本年の八月は一三・三二、三割三分二厘の増加なつております。このような点が全体といたしまして影響いたしまして、主として法会の所得税の増収と、勤労所得税の増収、それによりまして今回の自然増収が出て参つたのであります。若干申し上げたいと思いますが、詳細は歳入予算説明の中に相当こまかく、積算したことを説明いたしておりますので、それによつてごらん願うことにいたしまして、前回の予算とどういうわけで違いが生じたかという点につきまして、若干申し上げてみたいと思います。  まず勤労所得税でございますが、勤労所得税につきましては、今回の当初予算は大体昨年の十月ごろの経済情勢をもとにいたしまして算定いたしたのでございます。その当時大体賃金におきましては、二十五年に比べまして二十六年は五・五%の増加を見ているのでございますが、最近の水準をもとにいたしまして引延ばしますと、一九・九%の増を見ることができる。なお雇用につきましても前回は二・五%の増を見ているのでございますが、最近の情勢からいたしまして五・七%の増加を見込むことができる。両方合せまして最初は八・二%程度の増を見ておりましたのが、今回は二六・七%の増加を見込むことができることとなつたのであります。こういう情勢を織り込みまして最近の課税実績等に基いて計算いたしますと、勤労所得税におきまして約五百七十九億円程度自然増収を見込むことができることになつたのでございます。  それからその次の増収の大きな項目は法人税でございますが、法人税につきましては、これまた最近の実績をもとにして計算いたしたのでございますが、大体法人につきましては、現在二百万円以上の法人は国税局の調査課所管にいたしまして、特に調査を丁重にいたすようにいたしております。二百万円以上の法人と以下の法人とにつきまして、それぞれ相当詳細に分析いたしまして、今回の予算を見積つたのでございます。大体今回見積りました一番大きなものといたしましたのは、調査課所管の法人のうちおもなもの百四十社につきまして、昨年の下期の利益とことしの上期の利益を分析して調査してみたのでございます。そういたしましたところが、昨年の下期におきましては百四十社で利益が約二百九十七億円程度ございましたのが、本年上期におきましては実に七百一億円程度増加いたしまして、約二倍三割になつているのでございます。これは各産業にわたりまして相当代表的なものを網羅して調べておりますので、これをもとにいたしましてそれぞれ調査課所管の比較的大きな、中以上の会社の利益を推算いたしたのでございます。さらにそれをもとにしまして、二百万円以上の会社の利益を推算いたしました。二百万円以下の小法人につきましては、最近までの生産物価の増を最近の数字に訂正いたしまして見積りました結果、法人税につきましては約八百五十五億円程度の増収を計上することができたのでございます。最近の法人の業績は非常な改善がはかられつつあつたようでございまして、大体私どものところで本年の利益を推算いたしてみたのでございますが、それによりますると、会社の償却する前の利益が本年は大体六千七十九億円程度になりました。昨年は二千六百八十五億円程度でございまして、相当成績がよくなつております。それから減価償却におきましては、昨年五百五十九億円程度なつておりましたが、本年は御承知の通り各種の再評価、耐用年数の改訂、その他によりまして大分増加いたしまして、千百十五億円に増加するものと見ております。従いまして償却を差引きました残りの課税所得は、昭和二十五年度の二千百二十五億円に対しまして、本年度は四千九百六十四億円という利益を計上し得るのじやないかと推察いたしたのでございます。それに基きまして、今回の法人税収入計算いたしたわけでございますが、なお配当金、税金等を差引きましても、会社が二十六年度中に積み立てる金額は約二千四百七十億円、そのほかに今申しましたように減価償却が千百十五億円ございますので、三千五百九十億円程度会社は償却と積立金によりまして自己資金調達ができる、こういう状況に相なつておるのでございます。会社の業績はこの一年間で相当改善されたものと考えておる次第でございます。  なおその他の租税の各税目につきましては、相当詳細な積算表をお配りいたしておりますので、それによつてごらん願いますが、ただ申告所得税につきましては、当初予算の千百七十六億円に対しまして五十二億円程度の減収を見込んだのでございます。これは生産物価の増に伴いまして、法人ほどではございませんが、個人の事業所得も三十五年に比べますと、ある程度増加するものと考えておつたのでございますが、積算の基礎を今回は二十五年の最終課税額と申しますか、二十五年分の課税額をもとにいたしました結果、このようにかえつて減収を生ずることになつたのであります。最初の見込みは二十四年分の決定額をもとにいたしましてそれからいろいろ推算いたしまして二十五年分を算出し、さらにそれから所得の増加見込みまして計算いたしたのでございますが、二十五年分の課税実績が必ずしも予定通りつていないということが一番大きな原因で、ございまして、若干の減収を見込むということにいたしたのでございます。その積算の基礎は相当詳細に補正予算説明説明してございますので、本日は省略いたしたいと思います。  なおこの所得税改正によりまして、納税人員相当な変化を来すのでございまして、現行法で参りますと、大体勤労所得税の納税者が九百七十八万六千人の予定でございますが、改正法によりますと八百八十八万人になつて、大体九十万六千人程度減少する。それから申告所得税におきましては、現行法によりますと四百八十九万三千人程度でございますが、改正法によりますと三百八十万三千人程度になりまして、百九万人程度減少になるのでございます。両方合せまして、現行法によりますと納税者の総数が千四百六十七万九千人程度でありますが、これに対しまして、改正後は千二百六十八万三千人になりまして、約二百万人程度納税者の減少を来す見込みでございます。所得税の一番重かつた昭和二十四年度におきましては、納税人員の総数は約千九百十一万九千人程度でございましたが、それが今回の改正後は昭和二十六年度におきまして千二百六十八万人程度に減りますので、この改正によつて昭和二十四年に比べますと、約六百四十万人程度減少することになるのでございます。  なお各税の内容その他につきましても御説明申し上げることがございますが、お手元にお配りいたしました補正予算説明の中の最後に直接税と間接税の比率を示しておりますので、それだけを最後に御説明申し上げておきます。  昭和二十五年度におきましては、直接税が全収入の中で五五%を占めていたのでございますが、今回の補正予算後におきましては五八・七%に増加いたします。今回の改正をいたしませんと、それが六一%に増加するところでございまするが、所得税の減税をいたしましたので、このような結果に相なつたのでございます。直接税の比率が、直接税の減税にもかかわらず増加いたしましたのは、主として法人税収入増加いたしました結果でございます。大体今回の改正によりまして直接税、間接税の関係はこのように相なるのでございます。なお詳細な点につきましては後ほど必要に応じまして説明いたしたいと思います。
  8. 小坂善太郎

    小坂委員長 ただいま説明を聞きました各案につきまして学識経験者、その他より参考人として意見を聴取いたしたいと思いまするが、参考人の人選及び意見聽取の日取り等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければその通り決定いたします。  午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後は二時より委員会を再開いたしまして金融事情並びに国庫の状況につきまして、銀行局及び理財局関係説明を聽取することといたします。これにて暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十四分開議
  10. 小坂善太郎

    小坂委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  これより金融事情並びに国庫の状況等につきまして、銀行局及び理財局関係説明を求めることといたします。河野銀行局長
  11. 河野通一

    河野(通)政府委員 それでは私から最近の金融事情並びに今後の金融対策と申しますか、そういつたことにつきまして御説明を申し上げて見たいと思います。  第一に最近の通貨金融の状況でありますが、まず日銀券の発行高の推移について申し上げます。昨年六月末大体三千百億円程度の日銀券は、朝鮮動乱が勃発いたしましてから、急激な増加をたどつてつたのであります。今年六月末には、四千七十七億円というふうな、前年同時期に比べまして約三〇%、九百六十五億円の増加を示したのであります。その後は経済界、特に物価その他の横ばいの状況を示して参りました関係もありまして、発行高は大体横ばいの状態を続けて参つておるのであります。前年に比較いたしましても、逐次その差が狭まつてつておるというふうなことに相なつております。  次に日銀券の発行の増加の要因でありますが、これは現在の通貨の現状から、二つの原因しかないのでありまして、一つは政府資金の支拂い超過、一つは民間に対する日本銀行の貸出しの超過が、その要因になつておるわけであります。これをさらに詳細に申し上げますと、七月—九月におきましては、政府資金の支拂い超過が大きな原因をいたしております。それに対しまして、六月—八月は民間資金の貸出し超過がその原因になつておるということは、大体申し上げることができるかと思うのであります。今後は政府資金の支拂い超過の時期に入つて参ります。十—十二月におきましては、国庫は相当な支拂い超過を予想いたされますので、今後におきましては、日銀の信用つまり市中貸出しに対する調節の問題が、きわめて重要なる問題と相なつて来ると思うのであります。  次に日銀の貸出しの状況について申し上げてみたい思うのでありますが、この一年間の日銀信用の膨脹は、これも非常に大きな数字となつておりますが、そのうちいわゆる日銀ユーザンス——日銀の外国為替貸付と申しておりますが、この日銀のユーザンスによる信用の造出というものが、相当な金額に上つておるのであります。昨年九月この制度を実施いたしましてから、貸出しの残高は急速に増加を見まして、今年の三月末におきましては、二千八百億円に上つたのであります。その当時の通貨が約三千九百億円程度であつた点から見まして、そのうち日銀ユーザンスによつて放出されました資金が二千八百億円に上つておるということは、この通貨信用の政策上におきます日銀ユーザンスというものの役割と申しますか、影響力というものが、いかに大きいかを示しておると申さねばならぬと思います。その後は逐次ユーザンスの決済が進んで参りますに応じまして、減少を続けて参つておるのでありまして、最近の数字は、ただいま申し上げました二千八百億円に一時上りましたものが、半分以下、千三百二十五億円という数字に相なつておるのであります。これを詳しく申し上げますると、千三百二十五億円の日銀ユーザンスのうち、いわゆる甲種貸付に相当いたしますものが三百億円余り、乙種貸付に相当いたしまするものが千億円、こういうことに相なつております。近く日銀ユーザンスの制度は、乙種の貸付につきましては、これを貿易手形の制度に切りかえて参ることに相なるわけであります。そういうことに相なりますと、約千億円のものが日銀ユーザンスという形から落ちまして、ある程度は日銀の輸入貿易手形に切りかえられる、こういうことに相なるかと思うのであります。実質にはさしたる変動はないと思いますが、形の上、日銀の勘定の上には、比較的大きな変更が行われることに相なるわけであります。日本銀行の一般の貸出金は、最近の通貨金融の情勢及び日銀の外貨貸付金が変動いたして参りましたのに応じまして、相当大きな変動を示しております。本年の三月、つまり先ほど申し上げました日銀のユーザンスが二千八百億円に達しました当時におきましては、一般の日銀貸付は約千百億円から二百億円程度であつたかと思いますが、それが本年の九月におきましては、一時二千五百億円を超過いたしたのであります。最近におきましてはやや安定の傾向にありまして、大体二千三百億円を前後いたしておるような状況に相なつておる次第であります。  次に金融政策と申しますか、当面いろいろ問題になつておりまする事柄につきまして申し上げてみたいと思うのであります。金融政策の基本的な考え方は、私がここで詳しく申し上げるまでもなく、よくおわかりいただいておると思うのでありますけれども、基本の考え方は、やはり一方で資本の蓄積を極力進めて参りますとともに、それでもなお足りない資金でありますから、この資本をできるだけ有効に、効率的に使つて参る、この二つの事柄に金融政策の基調は立つておるわけであります。その点は、従来から私どもの考えておりまするところを、そのままさらに強力に推し進めて参るよりほかに、基本的には金融政策というものはないというふうに私どもは考えております。日本の経済はあるいは底が浅いとか、弾力性がないとかいうようなことがよく言われるのであります。要するに経済の基盤がまだ十分に強固でないということの表現であろうと思うのであります。いろいろな点でそういうことが言えると思いますが、何といいましても、やはり日本経済の一番致命的な問題は、資本が不足しておるということであろうと思います。この資本の不足しておる事態を解決いたしますことが、日本の経済にとつて最も必要なことである。しかもインフレーシヨンによつてこの問題を解決するということは、これは申すまでもなくやめなければならぬことでありますから、インフレーシヨンによつて問題を解決するのでなくして、つまりインフレーシヨンを押えながら、今申し上げましたような資本の蓄積を進め、さらにその資本の使用をできるだけ効率化して行くというふうな観点に立つて参らなければならぬと思うのであります。資本の蓄積が非常に不足しておるという点を、ごく端的に申し上げてみます。いろいろな指数があると思いますが、基準の年度に比較いたしまして、あるいは国民所得をとつて見ましても、あるいは生産の数字をとつて見ましても、国民所得は、実質国民所得におきまして、最近すでに基準年度に対して一〇〇%程度に上つております。人口一人当りについて計算しましても、約九〇%程度なつておるのじやないかと思います。また生産におきましては、御承知の通り、基準年度に対してすでに一〇〇%をはるかに越えております。こういうふうな状況になつております。消費水準等はまだ若干低いのでありますけれども、それにしてもやはり七〇%あるいは八〇%という数字を示しておるのであります。ひとり預貯金だけは、これを実質価値について換算いたしますと、基準年度に対してわずかに三分の一、こういうことに相なつておるのであります。この数字だけからお考えいただいても、いかに資本が不足いたしておるかということが、十分おわかり願えると思うのであります。これをさらに別の面から申し上げてみますならば、いわゆる企業が自己の資本によつて調達いたしまする資金と、他人の資本によつて、つまり借入金等によつて調達いたしまする資本との割合を比較いたしてみましても、戦前の基準年度、平常な年におきましては、自己資本による調達額が約六〇%に対して、他人資本によつて調達いたしましたものが約四〇%というふうな数字に相なつておるのであります。にもかかわらず、昭和二十四年におきましては、計算の仕方はなかなかむずかしいのでありますが、大体私どもでとりましたところでは、自己資本によるものが二三%、他人資本によりますものが七七%、こういうふうな数字に相なつておるのであります。最近の数字は、企業等が例の再評価をいたしました関係上、自己資本に属する部分が若干多くなつておりますが、それにいたしましても、基準年度に比較いたしますならば、はるかに他人資本に依存しておる度合いが強いわけであります。これらがまわりまわつて、金融機関のいわゆるオーバー・ローンということになり、それがさらに、日本銀行からの貸出しに依存する度合いが非常に多くなつて来る、こういうことに相なつておるのであります。これらの現実に即して、ものを考えて参りますならば、何といいましても、やはり資本の蓄積を増加し、これを増強して参ることが、目下のところでは最も重要なことであろうと思うのであります。それがためにはいろいろな措置、あるいは税法上の問題、あるいは金利上の問題、その他の処置を講じて参らなければならぬと思うのでありますが、他面におきまして、蓄積された資本が非常に少い、それがためにオーバー・ローンとか、いろいろな不堅実な状況を呈しておりまする現状を、できるだけすみやかなる機会に正常な方向へ持つて参りますためには、資金の効率的な活用ということを、今後も一層進めて参らなければならぬと思うのであります。当面の問題といたしまして、資金の規制という言葉がよろしいかどうか、とにかく効率的な使用をいたしますためのいろいろな方途といたしましては、一つは量的な面におけるこれが効率化、一つは質的な面における効率化、この二つがあると思うのであります。前者につきましては、先般日本銀行の公定歩合の引上げを実施いたしたのであります。またすぐ続いて、日本銀行の高率適用の制度改正を行つてつたのであります。これらは日本銀行の貸出し政策、再割引政策を通じて、資金の量的な効率化ということをはかつて参りたいという趣旨にほかならぬのであります。さらに、先ほどもちよつと申し上げましたように、近い将来におきまして、日本銀行のいわゆるユーザンス制度を、乙種の段階につきましては、これを輸入貿手の制度に切りかえて参りたいと考えておるのであります。なお先般市中銀行を初めとして、各金融機関に国庫の余裕金を預託して参つたのでありますが、これも適当な時期に、あまり急激な変動を與えないような配慮を加えながら逐次引揚げて参りたい、かように考えておるのであります。  次に質的な資金の効率化の点につきましては、第一は政府資金による長期投資、これを拡充して参る点であります。今般の補正予算案並びにこれの裏表をなしております資金運用部資金の運用計画見返り資金の運用計画等におきましても、今申し上げましたような配慮から、あるいは開発銀行につきまして、あるいは輸出銀行につきまして、また国民金融公庫住宅金融公庫農林漁業特別会計、その他今申します見返り資金についても同じでありますが、そういうふうな方面に相当多額の政府資金投資することに案をきめておるのであります。第二は、金融機関の、特に銀行でありますが、これの自主的な融資の規制を進めて参りたいということで、先般来銀行協会連合会の中に、自主的融資規制委員会というものが設置せられておるのであります。これによりましていわゆる不急不要と認められます資金につきまして、自主的な抑制を加えて参りたい、かような配慮のもとにこの委員会の活動が逐次進捗を見ておるような次第であります。先般の大蔵大臣の財政演説におきましても、特に設備資金につきまして、特別に重要と認められますもの以外は、銀行等はこの設備資金についての貸出しを抑制して参るような方針をお示しされたのでありますが、この方針に従いまして、先般私の名前で各銀行その他の金融機関に対して、電力あるいは船、石炭、鉄その他刻下最も緊急と認められまするような設備資金以外の設備資金は、特別の事情のない限りこれを抑制して行くという方針について通達をいたしたのであります。今後におきましては、いわゆる過剰投資の問題その他いろいろございますが、先ほど申し上げましたようなインフレーシヨンを回避しながら、限られた資本を最も有効に活用して参るという観点から、その方針を進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。  最近の問題といたしましては、そのほかに米麦の統制撤廃に伴いまして、民間の米麦の集荷及びこれが精算の資金について金融の問題が起つてつております。目下この点は関係当局においていろいろ打合せを進めておるのでありますが、根本的な方針といたしましては、これによつて極カインフレーシヨンを回避しながら、必要なる資金確保をはかつて参りたいという配慮のもとに、具体案を目下作成中であります。  それから中小企業に対する金融の問題でありますが、この点につきましては、いろいろ私どもといたしましても、あとう限りの中小金融に対する措置をはかつて参りたいということで努力はいたして参つておるのでありますが、見返り資金の中小金融の資金国民金融公庫の業務の拡張、商工中金法の改正、あるいは相互銀行、信用金庫等の設立による中小金融の拡充、そのほか中小企業信用保険制度充実あるいは信用保証協会制度拡充等につきまして、すでに実行に移しましたものもありますし、今後なるべくすみやかな機会に改善をはかつて参りたいというような問題が多々あるのであります。相互銀行及び信用金庫につきましては、先般の国会で御決議をいただいた法律に基きまして、目下無盡会社から相互銀行への転換、信用組合から信用金庫への転換を促進いたしております。十月二十日現在で、無蓋会社のうち相互銀行に正式に転換をいたしましたものは、無盡会社七十社のうち五十七社、新しい銀行といたしましては五十七行に相なるわけであります。というわけで、ほとんど大部分のものが相互銀行に転換を了しているようなわけであります。残余のものにつきましても、個々に十分に検討いたしました上で、できるだけすみやかな機会に、特別の事情のない限り相互銀行への転換を認めて参りたい、かように考えておる次第であります。次に信用金庫でありますが、信用協同組合が約六百五十組合ばかりあるのでありますが、このうち十月二十日現在で正式に免許を與えましたものが二百三十四金庫であります。なお十月中に二十金庫近くのものをさらに追加して免許して参りたいと思います。そのほかのものにつきましても個別的に内容を当りました上、希望のありますものはできるだけ金庫への転換を認めて参りたい、かように考えておる次第であります。以上申し上げましたようなことで、今後におきましても中小金融の充実につきましては、一層の努力を拂つて参りたいと考えております。  次に本国会に御提案を予定いたしておりまする金融関係法律案について簡単に申し上げてみたいと思います。  今度の国会は会期も短かいように承つておりまする関係上、当初は相当広汎なる金融関係の法律の御提案を申し上げたいと考えておつたのでありますが、会期の関係その他から、また準備再検討を要する点も新しく出て参りました等のこともございまして、このたびの国会に御提案を予定いたしておりまするものは、当面緊急を要するものに実は限つたわけであります。現在考えておりますものは、一つは輸出銀行法の改正でございます。これも根本的改正は次の機会に讓りまして、出資金増額だけの問題に限つて改正案をすでに国会に提案をいたしております。次は国民金融公庫でございますが、この法律の改正も出資金増額その他当面緊急を要するものだけに限つて、御提案をいたしたいつもりでおります。それから商工中金法の改正政府の提案になりますか、国会議員の御提案ということになりますか、まだ詳しくは伺つておらぬのでありますが、内容は間接構成員との直接取引、預金貸出しの取引を認めて参るというふうなことを中心にした改正案になるはずでございます。それから郵便貯金法の改正及び国民貯蓄組合法の改正の問題があります。郵便貯金法の改正は金利の引上げと預入限度引上げでございます。国民貯蓄組合法の改正も非課税の預入限度引上げ、こういうことでございます。これらの制度によりましてさらに預貯金の増強に資して参りたい、かように考えておる次第であります。なお現在検討中のものといたしましては、貯蓄債券の発行によりまして、浮動資金の吸収に役立たしめたいという配慮のもとに、現在貯蓄債券法案の起草にかかつております。ただこの問題はまだ検討を要します点が多多ありますので、内容は具体的に、十分固まつておらないのでありますが、できるだけすみやかな機会に決定をいたしまして御提案を申し上げたい、かように考えておる次第であります。今回の国会に提案を予定いたしておりまする金融関係の法案は、以上ごく緊急を要しまする問題に限つたわけでありますが、御了承をいただきたいと思います。  はなはだ雑駁な説明で恐縮でございますが、一応私の説明をこれで終りたいと思います。
  12. 小坂善太郎

    小坂委員長 次は石田理財局長にお願いいたします。
  13. 石田正

    ○石田政府委員 今回の補正予算に関連いたしまして、理財局関係一般的な事項といたしまして、国庫収支と国際収支の問題につきまして若干御説明を申し上げたいと存じます。  本年の当初予算ができました時分におきましては、大体本年度予算に伴うところの国庫収支というものは均衡いたしておるのはもちろんでございますが、その中で日本銀行に対する関係の国庫収支と、それから民間に対しまする国庫収支とをわけました場合に、民間に対しまする国庫収支は大体均衡いたしまして、二十億円程度の引揚超というふうな見通しであつたわけでございます。ところがその後租税収入法人税を中心といたしまして相当多くなる、それらの事情がございますために、本年の七月ごろの予想におきましては、あるいはこの当初予算は自然増によりまして予測がかわつて参りまして、千億円程度の引揚げ超過になるのではないかというふうに考えられたわけであります。今回の補正予算におきましては、一方そういう租税等の自然増収を織り込みますとともに、また新たに起つて参りました財政需要の充足ということも考慮して案ができておるのでございまして、これによりまして本年度補正予算が当初予算に及ぼしまするところの民間収支の数字を勘案いたして参りますると、一般会計におきましては約二百八十八億円の引揚超、それから特別会計等におきましては四百八十六億円の散布超というふうなことになります。そこで先ほども銀行局長からちよつと話があつたのでありますが、現在政府民間の金融機関に対していたしておりまするところの指定預金を百五十億円本年度内に引揚げるという予定を立てておるのでありまして、これによりますると、当初の計画に対しましては約五十億円ほどの散布超に相なるかと存ぜられるのであります。当初予算見込みによりましては、一番初めは二十億円の引揚超というふうに見ておつたわけでございまするので、補正予算を加えましての本年度予算民間収支はどういうふうに相なるかといいますると、大体三十億円程度の散布超過ということに相なるのではないかというふうに見ておる次第でございます。  次に現実の国庫の対民間収支の実績を申し上げますると、本年度の第一・四半期におきましては約六百五十億円の引揚げ超過でございました。この中には前年度分の引揚げ超過が三百七十億円ばかりあるわけでございます。それから第二・四半期の実績は四百億円ばかりの引揚げ超過となつておるのでございます。これから先の見通しはどうかということでございまして、算定が目下のところ非常にむずかしいのでありまするが、大体千億円を越えまするところの散布超があるのではないかというふうに一応考えておる次第でございます。第四・四半期につきましては、これが引揚げ超過に転じまして、約三百億円程度の引揚げ超過があるのではないかというふうに見ておるわけであります。  今申し上げましたことに関連いたしまして、先ほど銀行局長から話がありました日本銀行のユーザンスを乙種段階を貿易手形に切りかえるという問題がございます。これを実行いたします。ると、国庫といたしましては、従来日本銀行から金をとつておりましたのが、貿易手形の再割が行われますと、一応は民間からこの金をとるということに相なります。従いまして形式的には、そこに民間収支の関係で申しますると、引揚超が相当見込まれるということに相なるかと思われるのであります。ただこの点につきましては、貿易手形の再割等によりまして日本銀行が適当に操作いたしまするので、金融的に申しまして大きな影響のないように推移するものと期待いたしておる次第でございます。なお将来ドル・ユーザンスを使つた場合にはどうかというふうな問題もございます。この場合には、日本銀行ユーザンスの場合と違いまして、国庫の民間収入はそれだけ減るわけでございまするが、再割した場合には、これは政府預金がそれだけ減るという形において現われて来るかと思つております。なお食糧管理会計の関係におきまして、若干の変化も予想されるのでありますが、これらは数字的に申し上げる段階に今なつておらぬ次第でございます。  それから次に国際収支の方の関係について申し上げますると、過去のわが国の国際収支外貨面におきまするところの実際の収支をながめてみますると、昭和二十三年及び二十一年度におきましては、受取りが一億五千九百万ドルばかりあつたのでありまして、これに対して米国援助輸入につきましては、外貨を拂つておりませんから、現実に拂つた方で申しますると、大体その支拂いが一億九千七百万ドルばかりになりまして、大体六千万ドルをちよつと上まわるような受取り超過に相なつておつたのであります。なお二十二年度は同様の基礎におきまして、二億四千七百万ドルの受取りに対して、支拂いは二億六千八百万ドルでありまして、この場合におきましては、わずかでありますが二千万ドルの赤ということに相なつております。それから二十三年度におきましては四億一千五百万ドルの受取りに対しまして、支拂いの方は三億二千八百万ドルというふうな数字でありました。この場合の受取り超過は八千七百万ドルに上つたのであります。さらに昭和二十四年に参りますると、受取りは六億八千万ドル、支拂いは五億二千九百万ドルというふうな数字でありまして、受取り超過は一億五千万ドルばかりでございます。昨年度におきましては、受取りの方は十三億四千四百万ドルに対しまして、支拂いが十一億一千八百万ドルでありまして、受取り超過は二億二千五百万ドルというふうに推移して参つておるわけであります。かくのごとくでありまして、わが国の外貨収支は過去におきまして大体受取り超過でございまして、相当外貨を蓄積するということになつたのであります。しかしながらその反面におきまして、アメリカからの援助物資の輸入があつたのであります。もしこれを自前の外貨で拂つたと仮定いたしますると、どういう結果がおそらく出たろうかという数字を一応計算してみますると、昭和二十、二十一年度におきましては、一億八千六百万ドルの赤字、それから昭和二十二年度におきましては四億九千七百万ドルの赤字昭和二十三年度におきましては三億八千六百万ドルの赤字昭和二十四年度が三億四千四百万ドルの赤字、それから去年が六千七百万ドルの赤字、こういうようなことに相なります。この数字をながめてみますると、もしこの対日援助物資の輸入を外貨で拂うということになりますと、過去において常に回際収支は赤字であるということになるわけであります。ただその外貨面の受取り、支拂いの規模が大きくなる反面、赤字の方はだんだん減つて行つたということが、その数字から見られるのでありまして、これは割合にいい方向に進みつつあつたということが言えるかと思うのであります。  そこで本年度補正予算に関連いたしまして、これが本年度についてはどういうふうに予測せられるかということであります。この点については一応受取りの方を申し上げますと、輸出において十三億四千四百万ドル、それから特需関係が三億ドル、その他の貿易外におきまして四億ドル、多少これは技術的になりますが、ガリオアの立てかえ分の返却がありましてこれが一億ドルということで、大体受取りは合計いたしまして二十一億四千四百万ドル、こういうふうに一応計算いたしておる次第でございます。それから今度は支出の方でございますが、これは輸入の方につきましては大体十八億八千八百万ドルという輸入をする。この中に一般の輸入が十八億一千六百万ドル、ガリオアの輸入が七千二百万ドル、こういうふうに見込んでおるわけであります。貿易外におきましては一億五千四百万ドルの支拂い、この両者を合せまして支出の方の合計は二十億四千二百万ドル、こういうふうな数字になります。そこでこの二十億四千二百万ドルを受取りの方の二十一億四千四百万ドルから差引きまして、本年度におけるところの外貨収支は一億二百万ドルの黒字ということに相なります。これは一応ガリオアの輸入も全部外貨で拂うという建前をとつておるわけでありまして、先ほど申しました七千二百万ドルは外貨で拂う必要がないのでございまするから、従つてこの七千二百万ドルをさつきの一億二百万ドルに足しますれば、一億七千四百万ドル、こういう黒字になるわけでございます。そのような次第でございまして、本年度に関する限り国庫収支は順調に推移いたします。それからまた御承知のごとく本年度に入りましてすでにガリオアは停止されることに相なつておりますが、今申しましたような数字でございまするので、本年度ガリオアの打切り前におきましては非常に心配されておつた混乱なくして順調に推移することができたというふうに考えておる次第でございます。  非常に簡単でございまするが、一応理財局関係一般問題としての説明はこれでやめまして、もしも御質問がございましたらお答えすることにいたしたいと思います。
  14. 小坂善太郎

    小坂委員長 本日はこの程度にとどめまして、明二十五日午前十時半より委員会を開き、質疑を行うことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四分散会