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1951-10-18 第12回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十八日(木曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 苫米地英俊君    理事 西村 久之君 理事 中曽根康弘君       麻生太賀吉君    天野 公義君       江花  靜君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君       川端 佳夫君    北澤 直吉君       久野 忠治君    坂田 道太君       庄司 一郎君    中村  清君       中村 幸八君    南  好雄君       井出一太郎君    今井  耕君       早川  崇君    西村 榮一君       水谷長三郎君    横田甚太郎君       石野 久男君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道経         理局長     三木  正君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 十月十八日  委員川村善八郎君、田中啓一君、中野武雄君及  び竹山祐太郎君辞任につき、その補欠として井  手光治君、松本一郎君、川端佳夫君及び床次徳  二君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道予算実施状況に関し説明聽取の  件     ―――――――――――――
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続きまして、日本国有鉄道予算実施状況につきまして、特に運賃値上げ問題について、質疑を進めることといたします。中村清君。
  3. 中村清

    中村(清)委員 私は国鉄運賃値上げに関しまして二、三の質問をいたしたいと思うのであります。昨日は長崎総裁並びに津田営業局長より、数字に基きまして詳細の説明伺つたのでございますが、どうも私は納得が行かない点があるのでございます。数字につきましてはもう少し私も検討さしていただきたいと思のうでありまするが、とりあえず私といたしまして疑問に思いまする点は、まず赤字が出たからすぐ値上げで埋める。こういうことをやつてつては、とうてい日本経済の再建ができない、こういう点を憂えるわけでありまして、赤字が出たならば、それを克服する道を十分に考えていただかなければならぬじやないか、こう思うので、そういう点についてどういうごくふうをしておられるかということであります。  まず第一にお伺いいたしたいことは、国有鉄道は六大都市をつなげる東海道線を初めといたしまして、山陽線あるいは鹿兒島本線東北本線というようなわが国の幹線を握つておられるわけであります。しかも並行線は大体お認めになつておらない、中にはもとより、不経済線もありましようが、その大部分幹線で有用な線であることは間違いないところでございます。これを地方鉄道軌道等に比べますと、確かに有利でなければならぬはずでございますが、現実におきましては私鉄相当の償却もいたし、国税、地方税も納めておる、なお大多数の会社は利益配当をしておるのでございます。なるほど私鉄料金は幾らか国鉄よりも割合も違うと思うのでありますが、しかし大局といたしましては、それほどの相違でもないのではないか、こういうふうに考えまするので、これはどういうわけであるか、あるいは従業員に対しまする厚生施設の多いというようなこと奮るかと思いまして、いろいろ考えてみましたけれども、それも十分でないと私は思うのであります。伝え聞きまするのに、以前には購買部等の組織がありまして、相当従業員に対しましては、優遇の方法考えておつたようでありますが、そういう点も今ないようであります。全体といたしまして、どこかまずいところがあるのではないか、かように思いますので、まず総括的に総裁からこの点に関する御所見を拝聴いたしたいと思います。
  4. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまのお話、まことに、ごもつともに存ずるのであります。こまかい点について、私まだ詳細に調査研究をいたしておりません。就任早々でございまして、まつたくの私の感じでございますが、ただいまでも私そうだと思いますが、なるほどお説の通り東海道線、それから山陽線東北線というような重要な幹線をほとんど独占的に持つておる国有鉄道が、どうして一体赤字を出すのかという疑問は、まことにごもつとだと思うのであります。ただいまはどういうふうになつておるか、まだ詳細に私当つておりませんが、かつてどもが昔の国鉄におりました当時、お説の通り東京・大阪間の東海道線、これが全体の収入の四分の一を占めておりました。従いまして他の七五%の収入というものは、ほかの線から上つて来るわけでありますが、いかにこの中には損をしておると申しますか、収益の伴わない鉄道が多いかということがはつきりいたすのではないかと思うのであります。でありますから、なるほど幹線を独占的に運営しておるとはいうものの、また一方においては開発線と申しますか、山間線と申しますか、そういう収益の上らない鉄道ちよつとそこだけではそろばんのとれないというような線が相当多数あるわけであります。そういうことも手伝つておりましよう。なかなか私鉄のようなうまい運営が総体的にはできておらないということが一つでございます。それと、何と申しましても、国鉄は、別段社外に配当をしなければならぬというようなものではございません。従いまして、どうしても実費的、原価計算的な運賃ということになつて行くわけでございます。ことに最近公共企業体というようなことになりますと、利益を上げるというようなことだけが主眼ではなのでありまして、その半面におきましては公共性というものを十分に考えなければならぬ。さればこそ国会の厳重な御監督も受けなければならぬというようなことになるのであります。でありますから、われわれは主義として原価計算による実費運賃ちようだいするというふうな方向に向うのであります。従いまして今度の運賃値上げというような問題も、要するに経費というもの、原価というもの、それを償うものでなければ、われわれの経営は成り立つて行かないという観点から、当今の、ことにこの朝鮮動乱後の物価値上り、これは非常に大きいのでありまして、昨日も申し上げたかと存じますが、たとえばわれわれの方で使つおりまするレールこれを動乱前の価格当今買つておりまする価格とを比較してみますと、二倍以上になつております。まくら木もやはり二倍以上になつておる。それから鋼材のようなものも大体二倍半を越しておる。石炭が一倍半になつておるというような状態で、ございまして、いかに節約に努めましても、それだけの値上りがございましては、とうてい経営に対して見通しがつきません。原価を計算いたしてみますと、昨日来申し上げましたように、少くとも貨物は三割、旅客は二割五分、これを実際の運賃に直してみますと、百五十キロまでの今までの一円四十五銭というものを、四十銭値上げしていただいて一円八十五銭という程度の値上げをしていただかなければ経営ができない。それでも私は相当な、ここに五十億とか六十億というような経費節約合理化をやらねばならぬと思つておる次第でございます。
  5. 中村清

    中村(清)委員 ただいまの御答弁を伺いますと、開発線相当ある、つまり幹線収入が少くて、開発線が他にある関係である、こういうようなお話でございますが、戰争この方新しい線はあまりないと私は思うのであります。最近は少しやつておるようでございますが、しかしこれは微々たるものである。大部分は敷設以来すでに十年あるいは数十年を経過しておるわけでありますから、もう鉄道が敷かれてから開発ができておるはずではないか、かように考えなくてはならぬと思うのであります。私鉄国鉄終点あたりからさらにまた線を出しておるというのが多いのでありまして、これが利益を上げておつて国鉄赤字であるということはどうも納得できない。もつとも私は国鉄利益をうんと生むようにしてもらいたいということを申し上げておるのではない。もとより国鉄原価主義実費主義けつこうである。しかしながら私鉄に比べますと、私鉄利益配当までもしておる。税金も納めておる。しかるに国鉄はそれがない。だからそう値上げをしなくてもやれるわけで、まことに納得が行かないのであります。しかしながらこの問題が総裁と押し問答をいたしましても、今の場合始まらぬわけで、私はまた別の機会数字をもつて詳細にお話を承りたいと考えております。  次にお伺いいたしたいのは貨物運賃等級表の問題でございます。どなたかから質問がありまして、これを国会にかけないのは緊急の必要がまま起るからである、こういうような意味の御答弁があつたと思うのでありますが、私はこれは必ずしも緊急なことのみではないと思うのであります。むしろ国会で議員に議論させることは、非常に煩瑣であるというようなことで忌避せられておる、こういうことが若干あるのではないかということを心配するのであります。この前の運賃改正の際にも、私どもはずいぶん意見を申し上げたのでありますが、遂にお取上げにならない。結局時間がないというので当局においてばつさりやつてしまつた。こういうことがあつたのであります。一例を申してみますと、木材運賃であります。木材運賃はたしか茶などと一緒になつておるのではないか、同じ等級ではないかと思うのであります。こういうことは、まことに不合理千万で、木材にかかりますところの運賃というものは、茶などとはその経済的な意味におきまして、全然違うのであります。ある意味におきましては、木材関係者は死活問題であり、そういう種類の問題がほかにもいろいろあると思いますが、私どもの郷里の方の話を聞いてみましても、ずいぶん不合理があるように思う。たとえばひのきと杉とは等級が違うことになつておるのでありますが、私どもの紀州の木材などは、杉もひのきもあまり値段はかわらない。ひのきのいいところもありましようが、私らのところはそうではない。こういうわけでありますので、こういう点も私は非常に不合理だと思う。適当の機会に是正していただきたいと思うのでありますが、どうも、その点の御熱意が足りないように思いますので、この点ひとつお伺いしておきたいと思います。  それからいま一つ、昨日から合理化というお話が非常に出ておりまして、先ほども総裁から合理化というお言葉がありましたが、どうかひとつその点を熱意をもつてつていただきたいと考えるのであります。合理化につきましては、單なるそろばんだけの合理化ではなくて、サービス改善ということにも十分御配慮願いたい、かように思うのであります。私どもの方の問題を申しまして恐縮でありますが、私先般紀勢東線に乗りましたが、ここではいつも超満員で、いろいろ聞いてみますと、たまに超満員になるというのではない、いつも満員でありまして、立つている人が多い。中には雨が降るとじやあじやあ漏る、かさをさして乗つておらなければならぬという車を使つておる、こういうことがよそにも相当あるのではないかと心配するのであります。こういう点の改善を十分にしていただきたい、これは私のお願いであります。質問とあわせましてお願いたした次第であります。
  6. 長崎惣之助

    長崎説明員 中村委員のいろいろな御意見等級問題等につきましては、十分に御趣旨のあるところを考えまして、将来において案をつくる考えであります。ただこの等級の問題は非常にむずかしいものであるそうでありまして、私も実は専門的にはあまり深い知識を持つておりません。今日大分古いこと統計を改めていないという結果からしまして相当食い違つているよなう面があるのじやないかと思います。同時にまたいろいろ日進月歩の工業界でございますから、当時なかつた品物もできて来ております。これらのものをどういうところに納めて行くかというような問題は、ことにだんだんと講和條約もでき、世の中も安定して参りますから、物価が安定する時期、それらを勘案しまして、これをいかに処理するかという問題をあわせてとくと愼重に研究いたしてみたいと私は思つております。合理化の問題、サービス改善の問題、しごくごもつともでございます。実は私のことを申し上げて恐縮でございますが、今日私国有鉄道総裁になつてみますと、かつて戰争中に私どもがやりましたこと、それが全然修正を要することだらけであります。ただいま車両の問題などもありましたが、当時はあの戰争の最中でありまして、まあ今後五年ないし十年使えるような、ごく簡單な車両使つて、そうしてできるだけ能率を上げるということを考えておりましたものですから、だんだんと壽命の来るような車もございますので、ただいまのお話のような雨漏りのする車もずいぶんだくさん出て来ていると思います。これは急速に改造なり修理なりをやらなければならない。その壽命の来ているものも相当あると思うのであります。そんな次第でありまして、私どもがかつてつておりました経営やり方を、今度は自分でしりぬぐいをして、補正をして行かなければならぬという、まことにえらいはめに追い込まれておる。事ごとにそう感ぜられるのであります。自分のかつてつた責任という意味から申しましても、私は重大なる決心をいたしておる次第でございます。どうぞ委員の皆さんにおかれましても、私の心持のあるところをおくみとりいただいて、御協力をお願いたいと思います。
  7. 中村清

    中村(清)委員 このサービス改善の問題でありますが、今のお話によりますと、車両改善とか、そういう点がまだ足りないかということであります。私はそういう点も認めるわけであります。しかし全体としてサービスが普遍的ではない。ある線の改善が遅れて、ある線に改善の重点が注がれておる。こういうことがあるので、その点を是正いたしまして、僻陬の地といえども、わが国民でありますので、この点を普遍化せしめるようにお願いをいたしたい。おそらく総裁はまだ御就任されたばかりでありますから、よく御存じないと思いますが、どうか一度私の方にもおいで願いまして、実情をごらん願いたいと思います。かなりひどいのであります。これだけお願いいたしまして私の質問を終ります。
  8. 小坂善太郎

  9. 有田二郎

    有田(二)委員 まず総裁に一つお尋ねしたいことは、この間北海道へ参りまして感じました点は、北海道職員も、それから九州の鹿兒島職員も、同じような物資割当の配給を受けておる。軍手に例をとりましても、軍手一年間八双というのに対して、鹿兒島でも八双なら北海道でも八双である、寒冷の地もまた暖かい所も同じような物資割当がされておるのであります。これは職員組合というものがあつて、そういうようになつたのかもしれませんけれども、実際のところを見て参りまして非常に不合理な点がある。この点国鉄としてはこれに対する対策をお考えになつておられるのかどうか、これを承りたいと思います。
  10. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまのお話、私まだ就任早々でございまして、詳しいことを実は承知いたしておりません。ちようど経理局長が参つておりますから、経理局長からお答えいたさせます。
  11. 三木正

    三木説明員 私の方は作業用のそういう被服のようなものは、仕事に応じましてその必要な職種にだけ貸興することにいたしております。そうしてたとえば軍手のようなものは屋内勤務者には貸興いたしませんで、皮膚をいためるような危険のある屋外作業に直接従事する者に貸興しておるわけでありますが、その貸與の数がどれだけあるか、私どもも十分には承知いたしておらぬのでございますけれども作業の実態に応じまして、制服を要して旅客に接する者には制服を貸與する、あるいはただいまも申しました通り皮膚をいためるおそれのある職種には軍手を貸興するとか、外を歩きまわる線路工手のような者には巻脚絆を貸興する、こういうようなことをやつておるわけであります。そうしてこれは戰争前まではその所要量の全部を貸興するのではございません。被服は十分であつたと思いますが、ほかの軍手であるとか地下たびであるとか、そういうようなものは所要量の全部を貸興するまでには至つておりませんで、その一部分を貸興するようなかつこうでやつておりました。ところが戰争中纎維事情なり物資の事情が非常に悪くなりまして、なかなか個人で入手することができなくなりまして、鉄道の入手し得る資材の中から順次さき得る限りをふやして参つたのでありますけれども、大体それによつて作業ができる数量を支給するようにやつてつております。しかし最近では資金の面できゆうくつでありますので、十分に行つておるとは申し上げかねますけれども職種とその所要のバランスを考えまして支給いたしておるわけでございます。
  12. 有田二郎

    有田(二)委員 どうも三木君の勉強が足りない、私のお尋ね申し上げておるのはそういうのでなく、寒冷の地も暖かい所も貸與あるいは分讓するということは別としまして、暖かい所も寒い所も同じようにやつておる。たとえば駅を見ましても、北海道の駅は内地の駅と同じような駅をつくつておる、少くとも北海道の駅というものはやはり相当寒冷の地ですから、これに対する対策を講じての駅をつくらなければならぬ。またかりに内地でいたむ率よりは、北海道の駅のいたむ率の方が多いわけでありますから、私はこれの修繕費も十分に見てやらなければならぬ、かように現地を見て参つたわけでありまして全国一律というようなやり方でなくして、暖かいところは暖かいところに対応する方法をとり、寒いところは寒いところに対応する方法をとるべきだと思うのであります。これについて、現状経理局長よりも、国鉄総裁よりも私の方がよく知つておるらしいですから、現状の問題を今申し上げるよりも、ただいま申しましたように、暖かいところ、寒いところ、それに応じて職員の待遇はもちろんでありますが、寒冷の地に駅をつくる場合においても、駅をつくる予算なりあるいは修理予算なりについては十分考慮さるべきものである、かような見解を持つものであります。これに対する御答弁を承りたいと思います。
  13. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御意見、私はごもつともだと存じます。寒冷地寒冷でないところ、または暖かいところ、暖かくないところを同じような扱いにするということは、私は間違つておると思います。何も鹿兒島におる人に毛皮着物を着せる必要はないのでありまして、毛皮着物寒冷地に必要だと思うのであります。私もかつて北海道に参つたことがございますが、仰せの通り、駅舎ばかりでなくて、ただいまは大いに改良されておるかもしれませんが、駅の方も寒冷地らしくない、内地と同じような駅が建つておることは認めます。しかし多少手心を加えつつあると思いますけれども、一層そういう点に心がけまして、だんだん是正して参りたいと存じます。
  14. 有田二郎

    有田(二)委員 それから、きのうの私の質問のときに漏れておつた点は、函館にさん橋が四つあつて青森は三つである。しかも今機雷のために非常に御苦労なさつておられることは、われわれも現地で見て参つたのでありますが、しかも日中がだんだん短かくなつて行くというような関係上、それに就業しておられる職員はもちろんでございますが乗客も非常に御迷惑である。また荷物の滞貨も非常に多いという点から考えまして、私は小湊現地へも行つて参つたのでありますが、小湊のさん橋を整備することによつて――さん橋はもうちやんとできておりますが、レールを入れたりいろいろする設備ができますと、函館四本、それから青森四本、こういうことになるのでありますが、これに対する予算が組まれておるかどうか、経理局長の御答弁を承りたいと思います。
  15. 三木正

    三木説明員 小湊戰争中から大分工事が進んでおるのでございますが、おつしやる通り、幾分の何を入れることによつて完成し得ると思うのでありますけれども、あそこにさん橋接岸作業を開始いたしますと、それだけ作業の分散になりまして、同じ車数を扱いますにいたしましても、主として駅員でございますが、そういうものの相当数人員をふやさなければ運営がやれませんので、現在の船舶の輸送力というようなものから考えまして、ただいまのところでは青森でやつて行こうということで、予算は計上いたしておりません。
  16. 有田二郎

    有田(二)委員 予算を計上しておりませんという話でありますが、計上するようにひとつ努力をしてもらいたい。  それから私旭川へ参りましたが、旭川では昨年度約一億円の石炭節約した。それに対して百万円余り報奨金のようなものを返していただきたいという報告を受けたのでありますが、節約したものに対してもつと喜ぶような方法、たとえば物質的な報奨はもちろんでありますが、精神的にも報奨方法を講じて節約もつと奨励する。いくら節約してみてもこれに対して何らの返しがない、また報奨制度が設けられていないというようなことはどうかと思うのでありますが、こういう場合に総裁としてどういうようにお考えになるか承りたい。
  17. 長崎惣之助

    長崎説明員 まことにごもつともと存じます。私は、節約ばかりでなしに、積極的にサービ久改善というような方面にも、努力をしたものにはそれ相当喜ぶような方法を講じたい。何も物質的でなくても、精神的にでももつと希望のあるように、そういうような面でもりつぱなサービスりつぱな仕事をした場合、精神的にも物質的にも大いに喜んでもらうようにしたい、かように思つております。
  18. 有田二郎

    有田(二)委員 さつき中村委員からサービスの点が出ておりましたが、私先般予算関係電気通信省へ参りまして、事務次官以下各局長を集めて、非常に電話サービスが悪い、しかもコミツシヨンを出さなければ電話がつかないというような事態に対して厳重な抗議を申しましたが、最近国鉄は、非難さるべき点もありますけれども終戰後から今日までの状態を顧みて、サービス改善は大いに見るべきものがある、かように痛感しておる一人であります。この点電気通信省にも、国鉄見習つてもつサービスの点努力しろ、電話を架設する場合に職員が、あるいは電話屋が、相当の金をとらなければかからないというような現在のあり方を、何とかかえなければならぬということを言つたのであります。     〔委員長退席苫米地(英)委員長代理着席〕 私は、中村委員と同じように、サービスがよりよくなることが望ましいのであります。現段階において鉄道職員サービスが非常によくなつたということは私も痛感している一人であります。従いまして、このサービスの点についても報奨制度を設け、非常にサービスのよかつたものは総裁の名においてこれを報奨する、あるいは若干の報奨金も出すというような方向まで行くべきではないか、かように考えるのであります。私は、日本国有鉄道法を私が運輸委員長のときにつくつた一人として、当時ハプリツク・コーポレーシヨン、いわゆる独立採算制あり方について関係方面と折衝したのでありますけれども、現在の日本国有鉄道法を可決せざるを得ない状態になつて、今その運営について総裁が非常にお困りであるということはわれわれにも考えられるのでありますが、現行法のもとにおいても、でき得るだけ独立採算制の理想を達成するために、その運営の上において妙を発揮していただきたい。先刻申しましたように、旭川の一管理局において一億円の節約ができたという、この事実を考えてみても、その奨励の方法が適当であれば、もつ節約できるではないか。また人員を整理することもけつこうでありますが、それに要するものを考えて行かないと、單に人員を整理するというだけではいけないので、残された人たちに励んで二人前も三人前も働いていただけるような方向の政治を総裁としておやり願うことが、私は非常にけつこうだ思うのであります。まだまだ今度の運賃値上げについては、私はいろいろ意見があるのでありますが、しかしさつきも大蔵大臣と話して、われわれある程度大蔵大臣の意見も聞いたのでありますけれども、まだ節約する面は、運営の妙によつてできる点が多いのではないか、私はかように考えます。石炭その他あらゆるものの節約の面から行きましても、全職員の協力を得ましたならば、これらが十分効果が上げられるのではないか、それにはそれに対する奨励の道なり方法なり、こういつたものを十分考えておやり願つてはどうかと考えておるのでありますが、総裁の御意見を伺いたいと思います。
  19. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまサービスの面につきましておほめの言葉がございましたが、これは国会において予算委員の一人の方から、こういうおほめの言葉をちようだいしたということを、私は全職員に伝えます。どのくらい喜ぶかわからないと思います。こういうこともやはり一つの報奨であります。私つつしんでお礼を申し上げます。  ただいまのお話もつともでありまして、何といつても、どんなに設備がよくなつても、どんなに車がきれいになりましても、結局これは人が動かすのであります。でありますから従業員諸君が喜んで、しかもやめられたときでも後顧の憂いなしに、安心して去つて行けるというふうな、なごやかな、希望のある、明るい国鉄にいたしませんと、内外ともにいけないと思つております。お話通り協力一致の方向に導きまして、昨日も申し上げましたように、一日も早く国鉄が真に国民の鉄道であるという信頼を持つていただけるようにいたしたいと考えております。
  20. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員長代理 庄司一郎君。
  21. 庄司一郎

    ○庄司委員 ただいま同僚有田君より、鉄道職員サービスがだんだんとよくなつたという発言があり、それに対して総裁のたいへん感激的なお言葉がありました。まことにその通りでありまして、最近は現場の鉄道職員諸君が、終戰直後のような、ああいう荒くれた、そうして若い青年職員諸君が制帽を横つちよにかぶつて、現場において駅長さんや助役さんに、いたずらに反抗的言辞を弄するような傾向は、ほとんど影をひそめたのであります。また一般の乗降客に対するサービスも非常によくなつた。そういう現実の状態を本員もよく見て非常に喜んでおるのであります。だが鉄道職員をしてサービスをよりよくやらしめる、いわゆる奉仕的精神でやらしめるという運輸当局の職員諸君に対する指導誘掖上の基本的な御方針、対策、それはどういう対策をとつておられるか、また今後とられんとするか、念のために伺つておきたいのであります。
  22. 長崎惣之助

    長崎説明員 最もかんじんな点を御質疑になられたのでありますが、私就任いたしましてまだ日が浅いのでありまして、しかも世の中は新憲法とともにまつたく一変いたしております。従いまして、昔私どもが習い覚えました方針なり主義なりで通して行けるものとは考えておりません。よつて私は、この問題は愼重に熟慮をいたしまして、方針を立てたいと存じますが、さしあたり私の考えておりますことは、簡單に申し上げますと、昭和十年ないし十一年ごろの鉄道の姿、あのころの鉄道やり方というものに一応返して行きたい、それにはおそらくここ二、三年はかかるかと存じます。それから先はまたそれから先で、ひとつ大きな飛躍をして、国民各位の御期待にそむかないようにして行きたいと考えておりますが、それについて、さらにもう少し具体的に申しますと、まず第一にやらなければならぬ、これは絶対にやらなければならぬことは、安全と正確ということであります。あれだけの危險ないろいろな作業でございます。しかも大事な人命をお預かりいたしておるのであります。その際に、安全ということが私は最も考えなければならぬ問題であると思います。安全に行くには、やはり列車の運転を正確にする、仕事を正確にきちんとやるということがまず第一であると考えまして、就任早々、安全、正確ということを厳守するように従業員各位にお願いをし、協力もさせるようにしております。
  23. 庄司一郎

    ○庄司委員 あなたの、部下の現場職員の諸君をして細心なる注意を拂わしめ、正確にして快的なるところの運輸関係の事務を執行させるという御方針は、まことにけつこうでありまして、その通りでなければならぬ。ただサービスという点において、その基本的なものが何かなければならない。私は往年森村市左衛門に随行をして、いわゆるキリスト教鉄道青年会の名において、各駅巡回講演をやつた体験を持つておりますが、最近までにおける鉄道職員の講演会なるものは、その多くはいわゆる階級的闘争、言葉をかえて申し上げると、社会党さんとか共産党さんとか、そういう方面国会議員であるとかあるいは幹部級であるとか、そういう諸君のみを喜んで迎えて、講演、講話を聞いておる、いわゆる指導を受けておる。終戰後においては、高尚なる道徳的あるいは哲学的あるいは宗教的方面における講演、講話を喜んで聞く、あるいは聞かしむるという傾向が地を拂つて、みじんもないと極言してよろしいような傾向を、私は現場において見受ける。ことに現在の職員の中には、戰争中に臨時にかり立てた、素質が悪いといつてはなはだ失敬ですが、臨時雇い的な存在が非常に多い。そこでぜひサービスの根本も、その職務を公正に執行させる基本的な要件としても、精神的方面における指導教育といいましようか、あるいは教化的な面において、そういう公正な方面の講演なり講話なりあるいは直接の指導ぶり、こういうものを多分にとつていただいて、特にお年の若い青年職員諸君の心のかてとし、魂のかてとして、そういう方々が最も穏健中正な国民の公僕として、奉仕員として働けるような措置をとつてほしいのであります。そういう意味において私は、サービスの基本的指導原理は何であるかということをお尋ねしたかつたのであります。総裁のお答えは、大体私のお尋ねしたい点の半面には触れておられたのでございますが、むろん精神的方面においても御準備があられることと思いまして、これ以上追究は申し上げません。  そこで、この際関連して一点お伺いしたいのは、全国の鉄道路線の電化問題が大きく取上げられて、内閣に直属しておるところの国土総合開発審議会においても、全国のおもなる路線、たとえば東海道線とか東北本線とか奥羽本線であるとか、そういう本線だけでも、せめては、五箇年とは行かなくとも、将来十箇年ぐらいの計画性を持たせて電化してほしい、その電化には、あるいは石炭の経済という面もございましようし、あるいは快的な旅行ということもございましよう、いろいろな面を持つておるが、それらの電化問題に関しては、運輸当局あるいは国鉄当局として、どういうお考えあるいは御計画を持たれておるか、この際、関連問題であるが、念のために伺つておきたいのであります。
  24. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほどの私の答えは半分だと言われますが、庄司さんのおつしやる通りでありまして、何と申しても、これはやはり従業員の心の持ち方、気構えというものが非常に大事でございますから、お説の通りの教育と申しますか、しつけと申しますか、そういう面も十分な関心を持つて、十分にこれを実行に移して参りたいというふうに私考えております。  次に電化の問題でございますが、これは動力の関係、いわば電源の問題、それから石炭節約の問題、輸送の数量の問題、これらといろいろ関連しておりますが、大勢から申しまして、私は実は電化には賛成なのであります。賛成なのでありますが、ただいまここでどういうところから電化を始めるかということにつきましては仕事の面からも、政治の面からも、地方の利害関係という票らも、いろいろ考えなくちやならぬ点が多々ございますので、今どこからどういうふうに電化をやつて行くかということについて、大きな方針と申しますか、目標と申しますか、そういうものは私まだ研究中でございまして、お答えする程度にまでなつておらないことを申し上げます。
  25. 庄司一郎

    ○庄司委員 大体論として、電化には御賛成のようでございまするから、どうかせつかくこの国土開発法という法律によつて、ここにでき上りましたる総合国土開発審議会等においては、すでに十箇年計画の電化の完成勧告書を内閣総理大臣に答申されておるのであります。さような答申書を御参考とされ、もち屋のもちであるところの御当局におかれては、一層これをすみやかに具体化さるるよう、せつかく御研究、御対策お願い申し上げたいと思います。   次に、私は郷土は東北でございまするが、ひとり東北地方だけではないと思いまするが、なかんずく東北地方は、東海道線、関東、関西のもろもろの線路と比べて、鉄路はとにかく、客車というものがまことにさんたんたるところのものである。終戰後はやや改善はされましたけれども東北本線とか、あるいは常磐本線、あるいは奥羽本線、それらを縦貫するところのブランチ線になりますると、なんとこれは、支那の四川省以下の悲惨なところの客車であります。また東北の本線でありましても、東北本線の二等は、東海道線の三等よりは確かにこぎたない。何となく東北地方のような方面は、客車において、特にブランチ線において虐待されておる、非常な虐待であります。もとより一等、二等、三等とありまして、四等、五等はありませんが、実際これは点数をつければ五等である。あまりに差別待遇がはなはだしいというような感じを受けさせられております。外国の観光客も往復する東海道線はさようであらねばならぬでしようけれども、あまりにもその差異がはなはだしい、かように考えておりますが、総裁は何というても鉄道のはえぬきの大権威者である。ひとつブランチ線を御視察の上、すみやかに何とか人間の乗り得る程度の客車に、改善の御意思はございませんか。     〔苫米地(英)委員長代理退席、委   員長着席〕
  26. 長崎惣之助

    長崎説明員 まことにブランチ線はおつしやる通りであります。私も野におりました当時、たびたび支線、地方線に乗つてみましたが、これはできるだけ早い時期に何とかしなくてはならぬ、またそういうふうに努力するつもりでございます。
  27. 庄司一郎

    ○庄司委員 学生、兒童等の通学の乗車券は、現行制度において割引されておることは、本員も承知しております。だが私は同じ学生といえども、小学校、中学校等の、いわゆる低学年の義務教育の児童の通学するところの乗車券は、さらにこれを割引をするということが公正妥当であると考えておる。今当局は三割とか三割五分の値上案を出されておる場合に、当局の収入が当然減ずるであろうところの割引論を申し上げるということは、はなはだあなた方の御意に沿わぬでありましようが、政治は常に公正でなければならない。義務教育の子供がやはり汽車に乗つて通う。これは義務教育の児童は、その住まいをしておる村に義務教育の学校があるじやないかというお説もありましようが、一つの村にステーシヨンが三ないし五というような、そういう大村もあるのであります。一つの村で二十七万里くらいの村は、われわれの東北地方にはざらにある。さような村はステーシヨンが三つも五つもある。小学校の義務教育の兒童関係は、もつと高率的に割引をしていいのではないか、国家が平衡交付金を通して義務教育に対して補助を與えておるというような精神にかんがみられて、当局も、現在も割引はされておるけれどももつと御勉強なされていいのじやないか、こんなふうに考えております。その反面において、そういう点をカバーするために、今鉄道サービスが二等の特二というのがある、たいへんあれは快適なけつこうなものであるが、私はいつもあれを見てこんなことを考えております。たとえば上野から仙台まで五百キロである、それが百円だ。札幌までもその値段でしよう、あるいは大阪までもそうでしよう。札幌というと、苫米地先生ににらみつけられるかもしれませんが、五百キロ程度までは現行の百円でいいじやないか、一千キロ以上のものは二百円ぐらいとつてもいいじやないか。これは反対に増牧の面でありますが、これは二百円ぐらいにあの特二の指定券を上げても、決してあれに乗る人に不平不満はありません。絶対にないとぼくは思う。そこで今度はまた非常なサービスをもつて、あなたの方では三等の特三をおつくりになつている。その三等の特三の指定券といいましようか、それはどのくらいの――一体ああいうものはとつていいか悪いか、根本議論としては、いろいろ議論が成り立つでしようが、二等の割合からいえば、今度の特三はどんな程度の御計画であるか、一向発表が、ございませんが、もしきまつているならば、こんな機会に御発表を願いたいと思います。
  28. 長崎惣之助

    長崎説明員 定期券の問題ですが、実は定期はひよつとすると、たいへんな問題でありまして、国有鉄道のある意味では命をとるかもしれないのであります。もう採算というものを全然度外現した割引でございます。しかもこの通学といい、通勤といい、両方の定期のお客さんは、景気、不景気を問わず、ふえる一方でありまして、今日では普通のお客さんよりずつと多い、しかも乗る距離も、戰災その他の関係で、住宅ができないような面もありまして、足が非常に延びたのであります。これを今以上に割引をするということになりますと、私は相当な覚悟をしてかからなければならぬと思いますので、お説は拝聽いたしますが、これはとくと愼重な研究を要する問題でありますので、ここでただちに御賛成申し上げるわけには参らないのであります。残念ながらそういう次第でございます。なおつけ加えて申しますが、通学定期につきましては、小学生は普通の通学定期の半額になつておることは御承知だと思います。それから今度は特別三等車ができたそうだがというお話でございますが、あれは特急だけにさしあたりつくのでありまして、一般に普及するまでにはまだ至つておりません。のみならず、あの車がはたして決的で便宜なりやいなやということは今後の問題でございまして私どもはある面ではあれがいいのか悪いのかということを考えておる次第でございます。そう自信を持つてお勧めするわけにまだ参らぬのでありますから、これに対して特別の料金をとるとかなんとかいうことは今のところ考えておりません。
  29. 庄司一郎

    ○庄司委員 もう一点だけ伺つておきます。それは鉄道当局は石炭の完全燃燒に関して、かなりお働きくださつておる。たいへん鉄道の財政のためにけつこうなことであると思いますが、最近は質の悪い亜炭山はほとんど凋落して、カロリーが最低四千カロリー以上の亜炭山だけが現在残つて経営されております。従つて一トン五千円くらいの石炭を各駅の、あるいは各職場のストーブ等にたかるるよりは、亜炭百パーセントとはいいませんが、石炭と三・七くらいの割合にしてこれをたかるるような御指導をなさるるならば、鉄道の収支のバランスの上からたいへんけつこうではないか、こう考えております。ことに私の東北地方においては――これは亜炭山の宣伝じやございませんよ。相当良質の亜炭が出ておりまして、小牛田から新庄までのブランチ線をかつて亜炭だけで試運転をやつたことがございますが、定時に汽車は小牛田の駅に入りました。ただ亜炭の場合は、機関車だけはあまりにかすが多く残存する傾向はありまするが、各職場のストーブくらいは十分たける。亜炭八割、石炭二割くらいの程度までならば、越冬の際において、積雪寒冷地帶の各職場においても十分であると私は考えておりますが、御当局もひとつ経済のために、財政を助ける意味においても、本年などは相当亜炭を使用さるる方がたいへんけつこうじやないか。そして今度はなるべく乗車賃、運賃等の値上げを阻止するというような御方針をとらるるならば、私どもはこの値上げ納得ができ得るのであります。昨年実は八割の値上げにわれわれは賛成いたしました。今回また三割とか三割五分の値上げには、実は内心承服しがたいのでありまするが、なるべく当局の収入支出のバランスが合うようにするためには、ただいま申し上げましたような亜炭を活用するというような点もひとつごくふう願いたい。これは私の切なる希望でありましてしいて総裁の御答弁は求めませんが、御感想はいかがでございますか。
  30. 三木正

    三木説明員 仰せの通り経費の点からも、さらに今年は数量の点から申しましても、運転用の石炭の確保に非常な苦心をしておる次第でございますので、亜炭も十分に研究したいと思つております。以前に使いました際には、産地の付近でございますと、その土地の職員どもたき方を相当心得ておると見えまして、割合に支障なく使うのでございますが、産地から離れたところへ参りますと、たき方がなかなかむずかしいと見えまして、うまく行かぬところがありますが、なおくふうしたいと思つております。
  31. 小坂善太郎

    小坂委員長 石野久男君。
  32. 石野久男

    ○石野委員 昨日から質問者がたびたび同じような質問を繰返されておりますので、なるべく重複は避けたいと思うのでございますが、今回の運賃値上げにつきましては、さきに説明がありましたときにも、五百三十三億の赤字を埋めるために、借金をするか、あるいは国家補償を求めるか、運賃値上げか、その三つのいずれかだ。そこで当局としては、今度の運賃値上げを要求しておる、こういうお話でございました。この問題については、昨日苫米地委員の方からもお話がありましたように、国鉄の機構の改革に伴つて来ておるいろいろな問題が包蔵されておると思つております。昨日この問題については、総裁は後ほど、また次官もあとでこの問題については御答弁するということになつておりますので、あらためてここではその答弁を要求しませんけれども、この国鉄機構の問題が今日の問題に非常にからみ合つた大きな問題になつておるということだけは、やはり常にわれわれの関心を持たなければならぬ問題だ、こういうふうに思つております。  そこで今回の赤字を補填するについてまず第一番に考えますことは、この五百三十億に余る赤字運賃値上げだけで補填するということの前に、たとえばこの中にも当然国家補償に求めなくちやならぬ、あるいは自己資本でまかなうべきであると思われるものと、いろいろあると思うのであります。特に今回の場合で、おそらく滞貨処理に関係して来るであろう車両の新造の問題であるとか、あるいは連合軍に関係するいろいろな問題とか、災害関係問題等は当然国家的処置をしなくちやならぬ問題だろうと思います。他に減価償却などという問題は、これは当然自己資本でまかなうべきだろう、こういうふうに思うのであります。従つて、私がここでお尋ねいたしたいのは、当局として、この赤字のうちどのくらいの程度のものは当然自己資本でまかなわなければならぬものであるか、またこれだけのものはどうしても国家補償とか、一般会計からもらうべきものであるというような考え方についての概略の構想を、今回の赤字の額について御所見をお聞きしたいと思うのであります。
  33. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまのお話、大体から申しまして、予算が来ているかと思いますけれども、今後出ます赤字は、私の方で言つているいわゆる損益計算勘定の点でございまして、その中に多少何かあるかも存じませんけれども赤字のほとんど大部分経営費、営業費でございます。それから工事の方の関係におきましては、これは目下のところ借金でまかなつているわけであります。
  34. 石野久男

    ○石野委員 この問題はすでに予算書も配付されておりますので、これからあとまた討議される問題だろうと思うのでございますが、まだまだ相当程度いろいろの問題について運賃値上げだけに依存すべきじやないという所見を持つているものがあるのでございまして、この点はあとでこれらの問題に関する資料等の御提出もいただきたい、こういうふうに思つております。  次に問題になりますのは、今回の赤字の問題について、滞貨の問題があるわけでございます。合理化が非常に進んでおつて、さきに国鉄から出されております国鉄財政の現状などを見ますると、最近の合理化の進捗は非常に進んでいる。戰前にほぼ近いところまで来ているというときに、滞貨が非常に増大するというような普通の何では考えられないような事態が出ております。この滞貨がなぜこのように増大して来ているのかという問題について、当局の方のお考えなり、現在どういう点にこれが基因しておるかということについての御所見を承りたい。
  35. 長崎惣之助

    長崎説明員 これはこまかく申しましたら、いろいろあると存じますが、やはり何と申しましても国鉄の設備特に車両、貨車、そういう面が十分でないということも大きなフアクターであると思います。同時にこれもどうも私がかつてつた時代にやつたことのまたはね返りと申しますか、しつぺ返しを食つておるような形でありますが、実は戰争の終りに近いころに、だんだん日本の船がきゆうくつになりましたものですから、従来船で運んでおつた荷物を陸に上げた。そうしてがらにもなく国鉄が船で運ぶべき荷物を陸に上げた。一旦上つた荷物はまたなかなか船には返つてもらえない。と申しますのは、昨日もちよつとお話がありましたが、運賃が海上運賃に比較して安いということもありますと同時に、北海道でしたら、鉄道で参りますと消費地までまつすぐ、何ら積込み、積みおろしという手数なしに来ますから、荷いたみが少い。荷主さんは非常に喜ばれるわけです。九州炭にいたしましても、九州炭は従来は山元から若松、戸畑、そこまで鉄道が運んでおりまして、それから先は機帆船あるいは汽船でやつてつたのであります。しかるに今日ではこれを大阪へ、場合によると名古屋、東京というところまで貨車で運んでおります。こういうような関係で貨車の足が非常に長くなつた。従つて貨車の回転率がずつと悪くなつたというような点が、私は一つの大きなフアクターであろうと思います。そこでそういう意味もございますが、やはり海上運賃と汽車賃との運賃の是正というようなことも、十分に考えなければならぬことと思つておる次第であります。
  36. 石野久男

    ○石野委員 海陸の運賃の開きの問題が従前とは逆になつておるというような問題について、昨日もお話がありました。しかしそれはやはり海の運賃が上つているから、それに伴つて陸の運賃も上げるといつた方向よりは、海の運賃をなるべく下げる方向に持つて行くのが自然で、それが望ましい姿であろうと思うのであります。ただいま総裁からお話がありましたように、そういうふうに貨車の足が延びておつて、貨車効率というものが案外に下つておるというような実情だそうでありまするが、ただいまの貨車の平均トン数といいますか、そういうものは現在どういうふうになつておるのでございますか。
  37. 三木正

    三木説明員 荷重トン数でございますか。――十五トンを少し出た程度でございます。
  38. 石野久男

    ○石野委員 十五トン程度といいますと、戰争時の大体昭和十六、七年ごろのトン数にやや近いものでありますか、どうですか。
  39. 三木正

    三木説明員 詳しい数字は私はよく存じませんけれども、御承知の通り鉄道は以前十トン車を標準にいたしておりまして、今から二十年ほど前だと思いますが、十五トン車に切りかえたのでございます。戰争中総裁も申しましたように、石炭を陸送するために、三十トンの石炭車――三十トン貨車を相当つくつたのでございます。そういう変遷はいたしておりますが、漸次十トン貨車が廃止されるに従いまして、十五トンを上まわる大きな貨車の分だけふえるかつこうになりつつあります。
  40. 石野久男

    ○石野委員 ただいま三木局長からのお話でありますと、大体十五、六トンということなんですが、私の調査では最近の事情は案外にそれよりももう少し上まわつてつて、二十二トンぐらいになつているじやないかというふうに調べておるのであります。これはあとでよろしゆうございますから、ひとつ資料をいただきたいと思うのでございます。もし二十二トン程度でございますると、これは戰時中相当フルに鉄道が延びておつた当時の貨車の運搬状態と、ただいま総裁が言つておりましたようにほぼ匹敵するような状態になつておるのではないか、こういうように思うのであります。そのために滞貨が非常に影響を受けておるのではないかというようなこともまた一面考えられる線があるのでございますけれども、そういうことはないのかどうか。今なければあとで資料で聞けばなおいいのでありますけれども、もし御所見がいただけたら聞きたいと思います。
  41. 三木正

    三木説明員 詳しい数字を存じませんので、取調べまして御報告申し上げることにいたします。
  42. 石野久男

    ○石野委員 貨車効率の問題については、最近の貨車が相当に大型化して来たということも非常に大きな影響があると私は思つておる。それと同時に昨年の朝鮮事変以降におけるところの積載貨物の品種目が非常に違つて来ておるというようなことなどもあろうかと思うのございます。大体この一年間は昨年の六月のあと先に比較しまして、国連関係の輸送量がどういうふうに相違して来ておるかということなどについては、昨日もちよつとお話がありましたけれども、もし別に資料などがありまして、いただけるようでしたら、延キロ数等がどの程度まで国連関係の積載量として使われておるかということが、お聞きできればひとつ教えていただきたいと思います。
  43. 石井昭正

    ○石井説明員 昨日もお答えいたしましたように、具体的な数字の発表には国連軍当局の許可がいることと思いますが、大ざつぱに申し上げますと、昨年の六月朝鮮事変勃発当時はちよつと動きが活発でありまして、全貨物輸送の七・八%ぐらいにはなつたかと思います。その後しばらくいたしまして、ほぼその半分くらいの程度になつておる。概括的に申しますとそういうことです。詳しい数字ちよつと発表が聞き合せてみませんとわかりませんので、いたしかねると思います。
  44. 石野久男

    ○石野委員 貨車が大型化して来ておるということが、相当滞貨の原因をなす最大の要因であると思うのでありまして、やはり自然昭和十一、二年当時の大体十トンないし十二、三トンくらいのところで貨車が効率をよくするということが望ましいのではないかと考えておりますけれども、その点については当局としてはどういうふうにお考えでありますか。依然として十五トン以上の貨車を動かすのが、効率があるというふうにお考えでございますか。
  45. 石井昭正

    ○石井説明員 現在荷主の要望を伺いますと、大体十トン貨車を要望せられる方と、十五トン貨車を要望される方と半々くらいの様子であります。しかしながら鉄道の輸送能率の点から考えますと、十トンという小型貨車はいかにも輸送能率を上げる面の障害となつております。同じ一列車で同じ両数をひつぱつて行きますと、五割方損をするわけでありますので、これは十五トン車を標準として貨車を製作いたして行くのがよろしいのではないかと、かように考えております。
  46. 石野久男

    ○石野委員 その問題は別にいたしまして、今度の赤字が五百億以上に及んでおつて、それに対する運賃値上げがこういう形で出て来ておりますが、その間工事の繰延べ等によつていろいろ処置されるということも、昨日の説明の中にちよつと触れられておつたと思いますが、特に今回の場合、赤字対策として工事繰延べはどういうところでなされておりますか。
  47. 石井昭正

    ○石井説明員 石野さんのあるいはお考え違いではないかと思うのでありますが、今回の運賃値上げに対しまして、国鉄の申請五百三十三億に対しまして、運輸省といたしましてその百億方を減じました。説明は昨日御要求がございましたので、本日お手元に差上げたのでございまするが、それをごらん願えばわかりまするように、工事関係の費用でございませんで、普通の営業費の関係でございます。その関係で操作いたしておりまして、しいて申しますれば、大まかに申しますと、物件費を多少減じて、増収をよけいに期待して、そこで百億の差を埋めておる、こういうことになつておるのであります。工事の方の問題は、工事資金で借入金の額の多少によつてそういう操作をいたさなければならぬ実情にはなつておりますが、運賃値上げとは別問題だと思つております。
  48. 石野久男

    ○石野委員 工事関係の問題は借入金の関係等も関連を持つて来る、またこれは国鉄の機構の問題にも関連性があると思うのでありますが、それは別にしまして、増収を見込んでおるということを今申されましたが、その増収を見込んでおるということについて、今度の国鉄運賃改正によつて国民の負担能力の問題が出て来るわけであります。昨日津田局長からの説明でありますと、いずれの場合も負担能力は十分にある、こういうお話でございました。この問題については多分に疑義のあるところでございまして、ことに国鉄の外郭団体といわれております運輸調査局あたりでは、この運賃値上げについて、一般国民の負担能力というものは、貨物の方は若干まだその余力はあるかもしれませんけれども旅客の方はないのだというような見解もあるわけであります。この見解の相違はあとでまた調べてみなければなりませんが、当局としてはこの運賃改正によつて、はたして増収が、特に旅客の方などで予想されるかどうか問題なのでございますけれども、この点についてひとつ御所見を伺いたい。
  49. 石井昭正

    ○石井説明員 ちよつと同じ言葉を違う意味に使いましたので、あるいは誤解をいただいたのではないかと思います。私の先ほど申し上げた増収と申しまするのは、運輸量の増大のことでございまして、国鉄の申請いたしましたときは、国鉄は約六月までの実績しかわかつておりませんので、それに基いて本年度の輸送量を想定いたしまして、それで運輸収入を計算いたしたのでございまするが、運輸省といたしましては、国鉄申請後七月、八月の実績がわかつて参りました。その実績を見ますれば、貨物などは夏枯れといわれておりまする七月、八月につきましても相当輸送しております。また旅客は七月は少く八月になつて多くなりますが、その八月の多くなり方も非常に予想よりも多い。そういう運輸量の増大した点を勘案いたしまして、収入がふえるという意味でございます。そこで運賃値上げによります増収は、これはお話のように旅客の負担力がなければ、かえつて輸送量が減つて増収はあげられない、これはお説の通りであります。この点につきまして、私どもが今回査定いたしました二割五分程度の運賃値上率でございまするが、さしたる影響なく行くものと考えておるのでございます。しかしこの点は不幸にして石野委員と見解を異にいたすことに相なるかもしれません。
  50. 石野久男

    ○石野委員 過去の実績に徴して、運賃改正後においても二割五分くらいだつたら、増収をもたらすであろうという見解には、まつたくどもは逆な見方をします。これは後にならなければわかりませんが、特に八月から九月にかけて旅客の増収が、例年よりもかえつて多かつたということは、実際は運賃値上げを見込んで、今のうちにとにかく行つておこうと、都合をつけてあつちこつち今動いておると思うのでありまして、おそらく現地の国民生活の実情から申しますと、二割五分の運賃値上げはかえつて輸送量を減らす原因にもなつておるじやないか、こういうふうにも私たちは考えておりますので、この点は今後当局にも相当考えてもらわなければならぬのではないかと思います。そこでいろいろまだほかにお尋ねしたいことがあるのでありますが、今回の運賃値上げの構想とからみ合せまして、当然講和條約あるいは安全保障條約の問題も、当局としてはこれを考慮の中に入れておるものと考えるのであります。日米安全保障條約というものが今予想されるような状態で批准され、締結されるということがあつた場合に、鉄道にはどのような影響が来るかということについての大体の見通しがありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
  51. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいま鉄道の行つております輸送は、占領軍関係につきましては、占領という特殊な権力関係に基く輸送でございますが、安全保障條約は行政協定がどのような具体的内容を帯びるか、私ども不幸にして詳しく存じておりませんが、しかしながらわが国に米軍が駐留いたすことに相なりますれば、やはり今日と同じように、軍事輸送についてはある程度の輸送があると考えなければならぬのではないかと思うのでございます。しかしながらそれが権力関係に基くものでなくして、契約関係にいたすということにおいて、根本的な立場はかわつて参ると思うのであります。しかしながら現象形態としては、今日の輸送状態と軍事輸送に関する限りは相違はない。一般のシヴイル・サービスの方の輸送につきましては、これは国内輸送と同じ立場に相なるのではないか。ただ外人接遇のための諸施設は、当然観光客その他を対象にいたしまして考えなければならぬ。運賃関係等につきましてもただいま研究はいたしておりますが、国内運賃と平等公平に行わなければならぬじやないか、国内運賃より高くするわけにも行かず、安くするわけにも行かぬかと思つております。
  52. 石野久男

    ○石野委員 この占領軍関係の資料等については、非常にむずかしいものがあると思うのでございますけれども、やはり私どもとしては、一応占領軍関係の輸送量の問題が、国鉄の現在の輸送に大きく響いておることは、これは認めなくてはならぬ問題だと思う。従つてこれに対する資料等はできるだけ提供していただきたいということをお願いいたします。  それから次に、国鉄は当初三五%の値上げを計画しておりましたが、運輸省の査定によつて今われわれの手元に出されておるのは二五%であります。従つてこの約一〇%切り下げられたということに伴うその善後処置については、昨日も委員から新しい構想を聞かしてほしいというので、今われわれの手元に印刷物がまわつておるのでございます。実はこの印刷物については私もまだ十分勉強しておりませんけれども、先ほどの御説明では、工事関係のものじやなしに、特に経費関係の方だけでうまくつじつまを合すんだ、こういうお話でございます。そこで問題になるのは、その経費関係で賃金ベースなどの問題は、どういうふうな取扱いを考えておるかということについて、一応所見を聞かしていただきたいと思います。
  53. 石井昭正

    ○石井説明員 国鉄の賃金につきましては、過日調停委員会で一万八百二十四円でございましたか、調定案を出しております。その調定案の通り実施するという前提のもとに国鉄の申請も出ております。そのままのんでおる。ただ誤解を避けますためにもう一言申し述べますが、これは平年度計算でございますので、本年度の補正について調停案通り四月から実施するということとは別問題でございます。この点は御了承願いたいと思います。
  54. 石野久男

    ○石野委員 あと一点だけお願いいたします。賃金の問題は一応要望通り考える。しかし平年度計算であるから、四月以降の問題については別個にまたというお話でございました。しかしここにまた大きな問題がある。先ほど庄司さんから、従業員の訓練については道徳的、宗教的、哲学的方面でそういうふうな雰囲気が従業員の中にかもし出されるようにしてほしいんだというお話がありました。もちろん精神的にはそういうふうなことも必要でありましようけれども、それ以上に私どもは今日非常に合理化が進んで、長時間労働が従業員にしいられておるという事実、しかもそのために従業員諸君が非常に苦しんでおるということについての配慮をなくしますと、これはとんでもない失敗が来るだろうと思うのであります。庄司さんが先ほど言われたことも一面考えられることですが、それ以上に今日では三十七万の従業員諸君に非常に長時間にわたる強労働がしいられておる。ことに昨年の六月以降、軍事輸送が非常に頻繁になつてからの労働條件というものは、非常に違つて来ているということの認識が当局にありませんと、これは非常に大きな問題を将来に残すだろうというふうに考えるのであります。むしろそのことがかえつて国鉄機構の運行を阻害するような原因になりはせぬかということさえも予想されるのでありますが、こういう点についての総裁の御所見を聞かしていただきたいと思います。
  55. 長崎惣之助

    長崎説明員 石野委員のおつしやる通りでありまして、人間は精神だけではだめであります。精神だけでいいものならまことに簡單でございますが、やはり物的な面で生活が安定した、後顧の憂いがない、そこに初めて勤労意欲というものが沸き起つて来る。沸き起つて来たとを、そこに精神の問題が初めて現われる、かように考えております。
  56. 石野久男

    ○石野委員 総裁の御所見はよくわかりました。  先ほど申し上げましたように、連合軍関係の問題、あるいは貨車等における最近の傾向とか、それに対する当局の今後の考え方などについての資料を、次までにぜひいただきたいということを申し添えまして、私の質問は終ります。
  57. 小坂善太郎

    小坂委員長 いろいろ制約があるのでしようから、その範囲はひとつ委員長におまかせ願いたいと思います。苫米地英俊君。
  58. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 昨日御説明を伺いまして、物価値上りという原因のために運賃の引上げを必要とするということは了承できるのでありますが、これを正当化しようとした三つの御説明には、私は必ずしも全面的に賛意を表することができないのであります。そこで今度の値上げ物価値上りによつてやむを得ず上げることになつたので、これはある程度認めざるを得ないものと考えるのでありますが、物価値上りが理由となつて運賃が上げられた場合には、物価が値下りになれば当然下げていいことになるはずだと思うのであります。しかし物価値上りということで値上げなつたものは、決して元へもどらないというのが過去の例なのであります。これが一つの心配でありますが、もう一つは、運輸省の査定の資料を今日いただいて見ますと、ここにもまた値上げをしなくちやならぬということが起つて来はしないかという不安が感ぜられるのであります。これを国鉄が了承されたのでありますから、これに対する対策が必ずあることと思うので、対策を伺いたいのであります。その一つは、石炭値上りをトン当り三百円見込んであるらしいのですが、これを運輸省の方では三六・五%を四四・二%に増加した。私は運輸省の査定がしごく合理的であるかどうかわからぬが、とにかく見通しは間違つておらなかつた考えますが、石炭値上りはまだこの先もう少し見越さなければならない状態にあると思うのであります。従つてこの石炭の四四・二%という増加によつてまた不足を生じたということが、次の値上げの原因になるおそれがあると思うのであります。それから修繕費の七七%を六五%に削減された。この削減されたものに対しては、事業を繰延べるのか、削減されてもやりくりがつくのか、こういうことも問題になると思うのであります。それからその他のところで、賃金その他の値上りを見ないというのでありますが、これはでういう意味かはつきりわからないので、御説明願いたい。そのほかいろいろありますが、中で最もふしぎに思うのは利子の項であります。利子の項では百八十一億円に対するものが百二十一億円に対するように削減されておりますが、これはどういうことであるか、これも私にははつきりいたさないのであります。どうかこの点を御説明願いたいと思います。
  59. 石井昭正

    ○石井説明員 最初に懸念の点だけ御説明申し上げます。賃金その他の値上りを見ないということでありますが、これは人夫賃金でございまして、人夫賃金については單価をそのままにしておくということでございます。それからこの利子の計算でございますが、国鉄は工事資金として百八十一億円の借入金を予定しておるのでありますが、運輸省ではいろいろな諸般の情勢から、百二十一億円程度しか借入金の見込みが立たぬだろうというのでありまして、現実に拂うべき利子を切つたというわけではございませんで、増加の分でございまして、今までにある利子を拂わなければならない借入金の方は、この増加経費でない基礎となつている経費の方に入つておるわけであります。それで国鉄がやれるかどうかという御質問に対しては、経理局長からお答えいたします。
  60. 三木正

    三木説明員 修繕費で七七%の値上りと申しましたのは、本年の四月末、一部五月初めに実際に購入しました鉄道で使う品物の価格に基いて、予算に組んであつた單価との比較をいたしますと、大体七七%の値上りになつておるのであります。その現実に基いて、作業量としては修繕関係は行きつくところまで行つておりまして、それ以上減らすわけに行かないので、この値上げを認めていただきたいと考えまして、運輸省なり大蔵省等に御説明したのでありますが、当時グレー・マーケツトの物価は下降線を描いておりましたが、四月ごろを頂点といたしまして、五、六月ごろから下向きになつております。ところが私どもの買いますものは、工場建値でメーカーから直接買うものが多いのでありまして、これはその後も変動はないのでありますが、こういうグレー・マーケツトが下値を向いておれば、工場建値もこういう高値だけでは行かないだろう。また日本の経済の現状から見て、こういう高物価は非常に好ましくないので、そういう点は大体六五%程度の値上りを見るがよかろう、こういうお話でそういう額になつたのでございます。でありますから、もし現実に値が下りませんとそれだけ苦しい問題になりますし、また逆に値上りするというような場合には、ごくさ少の額でございますれば、一部の仕事をとりとめる、そういうことでもやれると思いますけれども、大幅に値上りしたような場合には、さらにまた御考慮を願わなければならぬような事態が起きて来るかもしれない。石炭につきましては、当時八百円くらいの値上りで購入できるだろうと思つて、それで下期が契約できるのではないかという考え方で値上りを見ておつたのでございますが、現実に契約いたしました結果は、なかなか折合い、話合いがつきません。千百円値上りということで契約をいたしましたので、それが入つたので、当初よりも割高な額になつた、こういうことでございます。非常に苦しいとは思いますけれども、現在のような物価で参りまするならば、何とかきりきり舞いをしながら運営がやつて行けるのじやないか、かように考えております。しかしこれはほんとうにこうなればああなるんだという確たる成算のない部分も幾分かはありますので、これからまた合理化なりそういうものに努めたらどこかに智恵が出るだろう、また出さなければならぬと、こういうつもりでおる数字であります。
  61. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 そういたしますと、今度の値上げは最終的なものではなく、また物価の動きによつては再び値上げをしなければならぬというようなものが、この今度の予算には包蔵されておる、こう了解してよろしいのでございますか。
  62. 長崎惣之助

    長崎説明員 決してそういうあいまいなものではございません。これは現在の経済情勢がこのままで、大なる変化がなければこれでどこまでも押します。  なお先ほど苫米地さんのお話で、物価が下つたら下げるのがほんとうじやないか、そういう例がないということでありますが、これは少し古いのですけれども、昭和十年ですかに国鉄貨物運賃を下げております。当時そういうものは一つもございませんが……。私のところは原価主義実費主義で参りますから、物価が下れば、それに応じてというわけでないかもしれませんが、そこに著しい大きな差異が来た場合には下げるつもりであります。
  63. 苫米地英俊

    苫米地(英)委員 そこでこの値上げに関連いたしましてお伺いしたいのは、この前の値上げの際に無賃乗車券の整理を大分やつたはずであります。ところがその後見ておるというと、相当多数出ておるらしいのでありますが、これはどういうふうになつておるか。もし御存じでしたならばお話を承りたいし、もし即座にわからなければ、後に資料をいただいてもよろしゆうございます。
  64. 小坂善太郎

    小坂委員長 それでは後ほど資料として提出していただくことにいたします。  では本日はこの程度にいたしたいと思います。次会の議事日程は公報をもつて御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十四分散会