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1951-10-17 第12回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十七日(水曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 小坂善太郎君    理事 有田 二郎君 理事 西村 久之君    理事 苫米地英俊君 理事 中曽根康弘君    理事 風早八十二君       麻生太賀吉君    天野 公義君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       角田 幸吉君    上林山榮吉君       北澤 直吉君    坂田 道太君       庄司 一郎君    田口長治郎君       玉置  實君    永井 英修君       中村  清君    松浦 東介君       宮幡  靖君    北村徳太郎君       平川 篤雄君    勝間田清一君       西村 榮一君    水谷長三郎君       小平  忠君    石野 久男君       小林  進君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         運輸政務次官  關谷 勝利君  委員外出席者         運輸事務官         (国有鉄道部         長)      石井 昭正君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道営         業局長     津田 弘孝君         專  門  員 小林幾次郎君         專  門  員 園山 芳造君         專  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 十月十七日  昭和二十六年度一般会計予算補正(第1号)  昭和二十六年度特別会計予算補正(特第1号)  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第2  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  日本国有鉄道予算実施状況に関し説明聴取の  件     —————————————
  2. 小坂善太郎

    小坂委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。過般のルース台風によりまして九州地方の被害はきわめて甚大なるものがありまするが、本委員会におきましても、公共事業費実施等に関しまして、実地調査のために委員派遣希望もありまするが、これは議長の承認を要しますし、なお他の関係委員会との振合いもありますから、その一切の取扱いを委員長に御一任を願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小坂善太郎

    小坂委員長 御異議がなければその通り決定いたします。     —————————————
  4. 小坂善太郎

    小坂委員長 本日は日本国有鉄道予算実施状況につきまして政府説明を聽取することといたしますが、日本国有鉄道当局より総裁及び営業局長が出席しておりますから、まず国鉄当局説明を求めます。なるたけ運賃値上げ問題等につきまして、理論的にも、また実際の上から見ましても、妥当なりと考えられる理由について、納得の行くように御説明を願いたいと思います。
  5. 長崎惣之助

    長崎説明員 私今回はからずも国鉄総裁に任命されました長崎惣之助であります。この機会ちよつとお願い申し上げておきたいのは、よく私が長いこと鉄道におりました関係で、私を目してエキスパート——専門家だということを申すのでございます。しかしながら、なるほど長い間私は鉄道にごやつかいになつておりましたけれども、それは戰争の終了前のことでありまして、新憲法の行われる前のことであります。従いまして私の経験というようなものは、これはもう一文の価値がない、まつたくのほご紙然のものと私は心得ておる次第でございます。でございますから、この新しい時代に対しまして、いかに鉄道を運営するかということにつきましては、これから一層勉強いたしまして、皆さんの御指導と御支援を仰ぎ、真に国有鉄道国民鉄道として、はずかしくないものに持つて参りたいものと存じております。どうか皆さん方におかれましては、私を御指導御鞭撻をくださいまして、ぜひ私の念願を達成できまするようお教えを願いたいと存じます。この機会にまずそのことをお願い申し上げたいと存じます。  今回国有鉄道におきましては、主として朝鮮動乱以来の物価の変動に伴いました経営費膨脹並びに工事費膨脹、それに対応いたしますために、この際特にお願い申し上げたいと存じまするのは、過般来新聞等においても書かれておりますから、もはやその一斑は御承知と存じますが、運賃値上げをお願いいたしたいと存じまして、運輸省の御当局にそれぞれお願いを申し上げまして、運輸省におかれましてはこれを運輸審議会に付し、公聽会を開き、その他の手続を経まして、今回われわれの希望する旅客貨物とも三割五分の値上げということでございますが、各種の事情を御考慮の上、旅客は約二割五分、これを距離で申しますれば、第一段階の百五十キロまでの分は、これは一キロにつき今日までは一円四十五銭でございますが、それを四十銭上げていただきまして一円八十五銭ということになるわけでございます。貨物の方は、これもわれわれの希望通りではないのでございますが、三割の値上げをお認めくだすつて国会にそれぞれ運賃法改正をお願いしておる次第でございぎす。これらにつきましてはいろいろ御議論もあることと存じますが、ことに物価趨勢というようなことにつきましては、いろいろの見方があると存じますが、私どもは現実にただいま値上りをいたしておりまする分、それについて考究の結果、三割五分と申し上げたのでありますが、それが今申し上げたような結果になつてて参りますので、それは一段と私どもの方で経費節約なりその他の点に勉強をいたしまして、この予算を執行いたして参りたい、かように存じておる次第でございます。詳細につきましては営業局長から申し上げたいと思います。
  6. 津田弘孝

    津田説明員 私国有鉄道営業局長津田でございます。今回国会国鉄運賃改正につきまして、御審議をお願いいたしますにつきまして、ただいま総裁から申し上げました運賃値上げを要しまする原因、これは主として物価騰貴でございますが、その他運賃値上げさしていただきたい背景につきまして、若干時間をちようだいして御説明を申し上げたいと思います。お手元に「国鉄運賃改正について」というパンフレツトを差上げてございますが、大体これに基きまして御説明申し上げたいと思います。この冊子を作成いたしました当時におきましては、国鉄として旅客貨物ともに三割五分の値上げをいたしたいというような希望に基きまして、運輸省に申請いたしますころに作成いたしたものでございます。資料といたしまして、これに基いて要点だけを御説明申し上げたいと思うのでございます。  先般来運輸大臣諮問機関である運輸審議会におきましても、この運賃改正の件がかけられまして、公聴会があつたのでございますが、その公聴会に反映されましたところの国民の輿論は、ある程度運賃値上げはやむを得ないが、その運賃値上げ前提として、国鉄はサービスの改善、それから経営徹底的合理化をはかれ、こういう非常にごもつともな御意向が支配的に多かつたのであります。そこでこの経営合理化について、あるいはサービズの改善の面についても、国鉄が数年来どのような手を打つて来たか、経営合理化のたどつて来た道はどういうものであつたかというような点につきまして、二、三例を示してお話をいたしたいと思うのであります。この点が運賃改正をお願いする前に、まず国鉄自体が打たなければならない前提の問題でございますので、多少運賃改正問題そのものではございませんけれども、これに触れてみたいと思うのでございます。  冊子の二ページ目をお開きいただきますと、国鉄経営の諸指数の表がございます。これはわれわれが経済の平年度として基準とつております昭和十一年と比較いたしまして、国鉄のいろいろな面がどういうような趨勢をたどつて来たかという点につきまして、二、三例示してあるのでございますが、まず第一には、職員の数でございます。国鉄は非常に人が多いじやないかということがよく世上いわれるのでございますが、それがどういうふうになつて来たかという点を、従事員の数についてごらんいただきますと、昭和十一年には国鉄全体で二十二万八千人でありました。それが昭和二十一年には、終戰直後でございますが、五十七万三千人、二十二年には六十一万一千人、それから二十四年に例の行政整理に伴うところの国鉄における人員縮減もございまして、このときに一挙に十万人を落しまして四十九万人になりました。それが二十五年におきましては、四十七万三千人、これを指数についてみますと、昭和十一年を一〇〇といたしますと二〇八、職員の数の絶対数におきましてこういうような経過をたどつて来ております。つまり終戰直後に六十一万あつたものが、今日におきましては四十七万まで減らして参つた。これは人間の頭数でございますが、それでは一体仕事の量に対しまして職員の数がどうなつているか、職員能率が上つているかどうかという点につきまして、その次に鉄道の列車の運転キロ一万キロ走るのにどれだけの職員が従事しているかというと、昭和十一年には八・八人でありましたものが、やはり二十一年、二十二年のころには、二十七人、二十九人というようにふえて参つて来たのであります。それが二十五年度、最近におきましては十七人まで縮減をして参つたのであります。これを指数で表わしますと、昭和十一年の一〇〇に対して、一時は三四〇というところまで上りましたものを、一九五まで減らして参つて来ております。なおさらに、国鉄では輸送量——ヴオリユームをはかります場合に、人トンキロという單位を使つておるのでございますが、百万人トンキロ当り従業員の数が、十一年には五・四人でありましたものが、二十五年におきましてはさらにそれを下まわつて四・七人、一〇〇に対して八七というところまで縮減をして参つたのでございます。特にここで御注意願いたいことは、終戰後の特異の時代といたしまして、労働関係のいろいろな法規ができまして、労働基準法に基きまするところの人員の増でございますとか、あるいは進駐軍関係職員が相当いる。そういつたような点を勘案いたしまするとその絶対数におきましても、あるいは仕事量に対する職員頭数にいたしましても、非常に合理化と申しまするか、職員能率を上げ、労働生産性を高めているということが言えるのではないかと思うのであります。  次に国鉄に使いまする石炭、これは大体一年間に、本年におきましても五百万トン以上を使つておるのでございまして、国全体の生産量のうち、国鉄の使いまする石炭というものは少からぬ量を占めております。終戰直後の非常に石炭飢饉でございました当時には、三分の一ないし四分の一を鉄道が食つていたのであります。最近におきましては五百万トンで、生産量は四千万トン以上でございますからその割合は減つて来たのでありますが、いずれにいたしましても、国鉄経営の上におきましそ、石炭というものは非常に大きな要素をなしておるのであります。それが消費量だけで見ますると、昭和十一年には三百五十二万トン、二十五年には五百二十二万トン、一〇〇に対して一四八というような状況に相なつております。これは絶対の量でございますが、これを單位当り消費量について見ますると、ここに客貨車キロ当りとございますが、客車なり貨車なりを百キロ走らせるに必要な——必要と申しますか消費する石炭の量が、昭和十一年には四十一キログラムでございましたものが、二十年から二十一年、そのころは石炭の質も悪かつたのでありますが、百キロ走るのに六十八とか六十七キログラムの石炭をたいていた。それが昭和二十五年におきましては四十三キログラムまで減らすことができた。これは石炭が良質になつて参りましたと同時に、職員石炭をくべる技術が向上して参りましたり、また節約の意識が徹底して参つた一つの現われであると思うのであります。また国鉄全体の経費の中に占める石炭費割合が次に出ておりますが、これも最近逐年減つて来ております。  次に貨車運用効率国鉄では現在十万両ほどの貨車を持つておりますが、なお輸送が非常に逼迫しておるのであります。少い貨車直できるだけ効率よく回転をするということ添必要な要請でありまするが、それも最近数年の趨勢を見ていただきますと、非常に率がよくなつて来ております。つまりこの十一年に三七%となつておりまするのは、大体一つ貨車が三日に一ぺん回転をするということであります。二四・八と申しますると、大体これは四日半と申しまするか、貨車回転率がここに数字で現われておるのであります。それが今日におきましては、いろいろと物資運送される距離が長くなつて来ているというような関係からいたしまして、貨車足を修正いたしますと、その次のところに出ておりまするように、やはり最近非常に効率がよくなつて来ている。また機関車にいたしましても、あるいは客車、電車、貨車にいたしましても、これはできるだけ稼働をよくして、休んでいる期間をできるだけ少くする。それによつて増送ができるわけであります。こういつた休車率というのが車種別に出ておりまするが、これも逐年休車の率が少くなつて来ているという状況でございます。  以上は国鉄経営合理化につきまして、われわれが及ばずながら努力をいたしておりまする二つ三つの例をここに掲げたのでございます。  ところで今回の運賃値上げをお願をいたしまする主たる原因は、物価騰貴でございますが、最近における物価趨勢がどういうような傾向をたどつて来ておるかという点につきまして、四ページの末尾に第三表といたしまして、東京の卸売物価指数小売励価指数を掲げてございまするが、二十五年の四月、つまり朝鮮動乱以前の四月を一〇〇といたしますると、ここにございまするような足取りをたどりまして、二十六年の六月には、卸売物価指数が一八三、小売が二二九というような物価指数なつておるのでございます。国鉄の使いまするところの資材は、何と申しますか、非常に時局に関係のある資材と常にかち合いまするので、その物価騰貴趨勢が非常に著しいという例をこの五ページに掲げてございます。これは国鉄で使う凡百の物資の一部分でございまするが、たとえば軌條について申しますと、予算編成当時には二万二千円であつたものが、二十六年の四月には四万九千円になつている。これが最近におきましては、たしか五万円をちよつと越えていたかと思うのでございます。またレールレールをつなぎ合せるところの継目板につきましても、ここにございまするように、二万九千五百円のものが二十五年十二月には三万七千八百円、二十六年の四月には六万二千四百円、二十六年の五月には六万五千八百円というような、非常な奔騰ぶりを示しておるのであります。  かような次第でございまして。主としてこの物価騰貴に基きまして、国鉄牧支関係がどうなるかという点を、三ページの表で見ていただきますると、こまかい数字の御説明は省きまして、この計のところで申し上げますると、二十六年度といたしまして、ちようどまん中より少し下のところに、差引不足額四百十五億というのがことしの不足の額でございます。ことしは年度の途中でございまするので、これを平年度に換算いたしますると、その次に五百三十三億の不足ということに相なつております。この五百三十三億円の不足をカバーするためには、運賃値上げをどうするかという点でございますが、大体国鉄收入が平年度におきまして、最近の増収傾向も見込みまして千五百三億ございます。従いまして、この不足の五百三十三億と収入の千五百億とを比べましてこれを割りますると、三割五分という率が出るわけでございます。従いまして先ほど来申し上げましたように、経営合理化を一方におきましては進めると同時に、この運賃收入欠陷は、運賃値上げによつてまかないたい。これは鉄道建設予定線を敷設するとか、あるいは車両を増備するとか、こういつた新しい資本の投下でありまするのと違いまして、この五百三十億円余りの收入欠陷というものは、今後毎年予想せられるものでありまするので、これはやはり借入金というような方法によらずに、鉄道利用者であるところのお客さんなりあるいは貨物負担してもらうことが、妥当であろうという結論に到達をいたしたような次第であります。ところでわれわれが運賃値上げ希望いたしまする際に、申すまでもなく、この運賃というものは国民経済生活社会生活に非常に密接な影響のあるものでありまするので、国鉄といたしましても各面から愼重に検討をいたしたのであります。まず第一には、運賃値上げがはたして運送原価から見て、妥当なものであるかどうかという点につきまして反省をいたしたのであります。その次には運賃値上げをいたしましても、それがあまりに高率に失しまするときには、結局お客さんが乗らなくなる。利用の減によりまして、収入が相対的に少くなるということがあります。貨物につきましてもまた同様なことが言えまするので、このわれわれが引上げようという運賃で、はたして旅客なりあるいは貨物なりが、その負担にたえるかどうかという負担力の面からも検討いたしたのであります。三番目には、物資が運ばれるルートが鉄道、船、機帆船、自動車というようにいろいろあるわけでありますが、こういつた各運輸機関の間の運送調整という点から見てどうであるか。なかんずく海と陸との調整の面から見てどうであるかという点につきまして検討を加えたのであります。まず第一番目の運送原価から見てどうであるかという点につきまして申し上げますると、八ページの終りの方と九ページの初めのところに原価から見た考察があります。まず第一に旅客について申しますると、そこに一人キロ当り原価、一人キロ当り収入というのがあります。われわれ輩位として考えまする場合に、一人のお客さんを一キロ運んだならば、それに要するところの経費がどれくらいいるかというのが一キロ当り原価、また一キロ距離を一人のお客さんを運んで得らるべきところの收入を一キロ当り収入、こう申しておるのであります。これを二十五年度について申し上げますると、一キロ当り原価が七十八銭かかつております。これに対しまするところの收入が九十四銭でありまして、ここに係数が八四とございまするが、これでごらんになりますと、旅客におきましては若干の利益を上げているということがいえるわけであります。もちろんこの中におきましても、定期乗車券のごときは非常に高率な割引をいたしておりますので、大いに原価を割つておるのでありますが、そういつた定期定期外お客さんとをひつくるめて見ますと、二十五年度におきましては若干の利益が出ている。それがこの二十六年度になりまして、ただいま申し上げましたように、主として物価騰貴に基きまして、非常な費用の増高を見るのであります。そういつた経費増高を考えますると、一キロ当り原価が一円十二銭かかる。それに対しまするところの収入が現在のままでほつておくならば、九十二銭ということで、二割二分欠損に相なるのであります。それから貨物につきましては、ここにトンキロ当り原価トンキロ当り収入がでございますが、これもお客さんの場合と同様に、一トンの貨物を一キロ運ぶに要するところの原価、並びにそれに見合うところの収入をいうのでありまして、それは二十五年度におきましては、トンキロ当り原価が一円九十八銭、それに見合うところの収入が一円九十四銭ということで、まあとんとん、ちよつと赤というような状況でございまするが、それが二十六年になりますると、今申し上げましたような経費増高に伴いまして、トンキロ当り原価が二円六十六銭、それに見合うところの収入が一円八十七銭、非常に採算割れで、採算割れ程度が四割二分ということに相なるわけであります。従いまして、もしこの原価の面から見まして、収支を合せるということから申しますと、旅客におきましては二割二分、貨物におきましては四割二分の値上げをお願いしなくてはならぬという次第に相なりますが、従来とも国鉄といたしましては、低物価政策に相応じて運賃の体系を立て、貨物不足旅客で補うというような方針をとつておりますので、今回もこういつた旅客貨物別々の値上率によらずに、旅客貨物両方一律に三割五分の値上げをお願いしたい、こういうことを考えたような次第でございます。  次に負担力の面から見て一、二考察をしてみたいと思うのであります。十一ページをごらんいただきますと、勤労者が毎月とるところの賃金の中で、その賃金国鉄に拂う運賃との比率がどうなつているかという点につきまして、十一ページには官公吏工業勤労者とわけて例示してあるのでございますが、たとえば工業勤労者の例につきまして申し上げますと、下の方から四行目ほどのところに、二十四年に工業勤労者平均賃金が六千九百二十一円であつたのでありますが、その当時この勤労者が一回の鉄道乗車に対して拂うところの運賃が三十七円十四銭、その比率が千分比にいたしまして、千分の五・三七ということに相なつております。この三十七円十四銭というのは、この当時の定期お客さんの普通乗られまする距離、足にその当時の賃率と申しますか、一キロ当り収入をかけたのであります。その勤労者が今日におきましては一万九百七十円の賃金にベース・アツプしている。その勤労者が一回の乗車に対しまして拂う運賃が三十七円九十七銭、ちよつと違いますのは、やはりキロ関係などのずれで違つております。そういたしますると、その比率が千分の三・四六ということに相なりまして、この二十四年の千分の五・三七と今日の三・四六とを比較いたしますると、右の方に算式が出ておりますが、これを割りまして一五五%、つまり五割五分程度定期外運賃値上げをいたしましても、昭和二十四年当時の比率をくずさないどいうことが言えるのであります。その次の十二ページ、今度はこの賃金定期旅客運賃との関係につきまして、同じような例を申し上げてみたいと思うのであります。やはりこれを官公吏工業勤労者とわけておりまするが、工業勤労者の二十四年の賃金が先ほど申し上げましたように六千九百二十一円、下から四番目ほどのところにございまするが、その当時この勤労者が一月の定期買つた場合に拂うところの運賃が四百六十円でございまして、その比率が今度は百分の六・六五ということに相なつております。その勤労者が今日におきましては一万九百七十円の賃金にベース・アツプしておりまするが、彼が拂う運賃が四百七十円、これもちよつと十円ほど違いがありますが、これも平均乗車キロちよつとの違いでございます。その比率が百分の四・二八ということになつておりまして、これまた一番下のすみをごらんいただきますと、この二つを割りますと、一五五%、つまり定期におきまして五割五分の値上げをいたしましても、二十四年当時の率をくずさないという次第でございますが、今回国鉄といたしましては、五五%ではなしに、三割五分の値上げを申請したという次第でございます。  その次に貨物について例を申し上げたいと思うのでありますが、十五ページと十四ページをごらんいただきますと、ここに「主要貨物価格に占める運賃割合」というのがございます。まずその中で一つの例といだしまして、お米について申し上げますと、昭和十一年当時にはお米の値段がいつぱい貨車に乗せましたその貨車の一トン当り価格が二百七円であつたのであります。その当時の運賃が、貨車一トン当り運賃として二円二十八銭でありまして、この貨車一トン当り価格貨車一トン当り運賃とを比較いたしますと、価格の中に占めるところの運賃割合は一・一%ということになるのであります。そのお米が今日においてはどうなつておるか、また運賃はどうなつておるかということを申し上げますと、二十六年の四月、十四ぺ一ジの上の方をごらんいただきますと、貨車一トン当り価格が今日におきましては四万三千七百四十六円、それに対する運賃が三百十七円ということでございまして、価格の中に占めるところの運賃割合が、十一年当時よりは下りまして、〇・七ということに相なつております。この一・一と〇・七とを比べますと、四割から五割程度値上げをしても、十一年当時の比率をくずさないということになるわけであります。ここにいろいろな二十六品目ほどの貨物国鉄輸送されるおもなる貨物でございますが、それにつきまして考察をいたしました結果を、この一番下の欄で見ていただきますると、この比率のところだけで結論的に見ていただきますと、昭和十一年当時に、これらの物資価格とその運賃との比率が、マルAというところがございますが、百分の四・六一であつた。それがこの二十六年の四月には、マルCのところで百分の二・六八ということで下つております。ここでちよつと御注意願いたいことは、このお米の場合のごときは運送距離がかわつておりませんが、ほかの物資につきましては非常に運送距離が長くなつているものがございますので、これらを昭和十一年当時の運送距離に引直してみるとどうなるか。そういたしますると、「十一年度平均輸送キロによる運賃の現在価格に対する割合」というところで、マルDのところに百分の二・〇九ということに相なつております。かような点から申しまして、マルA、マルC、マルDとをお比べいただきますると、この数字からだけ見ますると、運賃を倍程度にいたしましても、この十一年当時と比率は違わないということに相なるわけであります。この改正案は三割五分の値上げにいたしました場合にどうなるかというところで、現在の運送距離によりますると、百分の三・六三、もしこれを昭和十一年当時の輸送キロに換算いたしますると百分の二・八四ということで、三割五分の値上げをいたしましても、はるかにこの十一年当時の比率に及ばぬということが言えるのでございます。  その次には、ただいま負担力の点から旅客貨物について申し上げましたが、次に海陸輸送調整という点からの考察につきまして申し上げたいと思うのであります。十六ページに鉄道と船舶と自動車運賃との変遷の模様が、絶対額とそれから指数によつて出ておりまするが、鉄道の場合には、車扱い五級、二百キロとございますが、これは鉄道貨物運送いたしまする場合に、貨物分類によりまして、現在十一等級にわけております。そのまん中辺の車扱い五級の分類に当りまする品物が、二百キロ運送される場合を予想いたしてこの賃率をはじいてみますと、昭和十一年には三円十五銭であつた。それが二十六年四月には四百十二円で、指数にいたしまして、ここでごらんになりますように約百三十倍に鉄道運賃なつた。それに対して汽船はどうであるか。これを若松・横浜間の石炭の一トン当りについて申しますると、絶対額の方は省きまして、指数だけで申し上げますると、昭和十一年を一〇〇といたしますると、二十六年の四月には、四一二四六、四百十三倍になつている。それから機帆船はどうなつているか。これは若松と阪神間の石炭のトン当りについて見ますると、一〇〇に対して二三二〇〇、二百三十二倍になつている。トラつクにおいてはどうか。これは一日一車の専属制で見ますと、やはり十一年に対しましては二百六十倍になつている。かように船においては四百十三倍、機帆船においては二百三十二倍、トラツクにおいては二百六十倍に対して、鉄道貨物運賃は、百三十倍の倍率にすぎないというようなことに相なつておるのであります。これを具体的に貨物について一つ二つ申し上げますると、十九ページ、十八ページに海陸運送費の比較が出ておるのであります。最も典型的な鉄道貨物といたしまして、石炭の例を申し上げます。この石炭の三番目のところに、飯塚から大阪に行く石炭運賃と諸掛とが書いてございますが、この鉄道という欄のところに、運賃と諸掛を合せて千三十八円、それに対して海上の運賃は、これは諸掛が非常に高いのでありますが、千五百五十四円、船の運賃の方が五百十六円高い。鉄道運賃を一〇〇といたしますると、指数にいたしまして船の方は一五〇という指数に相なつております。かりに鉄道の方が三割五分の値上げをいたしまして船の方がすえ置きというような状態を考えてみますと、一番右の端の方に鉄道を一〇〇といたしまして船が一一五、まだ三割五分の値上げをいたしましても、この飯塚・大阪の例によりますると、船の方が高い、さらにもう一つの例を飯塚・東京という例について申しますと、鉄道の場合は現行が千六百六十五円、船の方が千八百三十三円、差額が百六十八円で、鉄道を一〇〇として、船の方が一一〇、これを鉄道が三割五分の値上げをいたしますと、やつと船の方が安くなる、一番右の端に船の方が八五%に下るということでありまして、その以外の木材につきましても、鉱石につきましても、いろいろな例が、また機帆船につきましても出ておるのでありますが、こういつた海陸運送調整というような面から見ましても、三割五分の値上げは高過ぎるということはない。  以上三つの点から検討いたしました結果、国鉄といたしましては、八月の末に運輸大臣に対しまして旅客貨物三割五分の値上げを申請いたしたのであります。それに対しまして、運輸大臣といたしましては、運輸審議会に諮問をせられ、いろいろ検討せられました結果、国鉄の考えておりましたところと若干——たとえば物価騰貴趨勢と申しますか、率につきまして、さらにもう少し低目にすることができるのであろう、あるいは増収等の部分につきましても、若干さらに増収が見込まれるであろう等々の観点からいたしまして、運輸大臣といたしましては、旅客につきまして値上げが平均二割五分、貨物につきましては、国鉄の三割五分の要求に対しまして三割というような査定をされまして、それに基いて先日の閣議にかけられまして、政府案を決定されまして、今回旅客二割五分、貨物平均三割というような案で国会に提出される。具体的には国有鉄道運賃法改正というような法案の形式において提出をされるということに相なつております。なお運輸省で査定をせられました結果は、先ほど五百三十三億の欠陷、収支のアンバランスということを申し上げたのでありますが、それが平年度におきまして百億ほど減らして、四百三十三億でございましたかの収支のアンバランス、従つて四百三十三億ならば旅客二割五分、貨物三割というような線、さらに若干足りないのでございますが、それは経営合理化を推進せよというようなことで、今回の運賃値上案が日本政府としては大体決定せられ、国会に提出される運びに相なつたように承つております。なおその間政府の問題になりましてから以後の問題につきましては、運輸省からも関係官が出席しておられますので、そちらからお話を願つたらいいのじやないかというように考えております。以上、たいへんごたごたいたしおりましたが、運賃改正をお願いするその背景と申しまするか、それらの点につきまして、国鉄の側といたしまして以上御説明申し上げたような次第でございます。
  7. 小坂善太郎

    小坂委員長 御説明は聞きましたけれども、その運賃値上げを査定された運輸大臣はどうしたでしようか。運輸大臣からやはり説明を聞きたいと思うわけですが……。運輸省から石井さん来ておられますから、運輸省当局から説明を補足してもらいたいと思いますが、その前に、津田さん、非常にりつぱな御説明を承つたのですが、過去の実績についていろいろお話しになつたのですけれども、今まで鉄道運賃値上げになりましてから、一般物価値上げを誘発したようなことがないかどうか。鉄道運賃はこれだけ上つたが、物価はどのくらいしかしらなかつたとか、そういつたような相互の関連性を示した何かまとまつた表のようなものでもないでしようか。
  8. 津田弘孝

    津田説明員 今具体的に数字についてちよつと申し上げかねるのでありますが……。
  9. 小坂善太郎

    小坂委員長 この次にでも、そういうものを見せていただいて、値上げはしたけれども物価にはこれだけしか響いていないというようなお話がしていただければ、たいへんけつこうだと思います。  それでは鉄道部長の石井昭正さんが来ておりますから、一応補足説明をしてもらつたらどうかと思います。
  10. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいま国鉄営業局長から、国鉄としては客貨とも三割五分の値上げの申請をした、これに対しまして、運輸大臣といたしましては、運輸審議会に諮問をいたしました結果、旅客平均二割五分、貨物平均三割という査定をいたして、これを政府案として答申いたしました。運輸省といたしましても、関係各省と協議の結果、これを妥当と認めて目下法律改正の形によつて国会の御承認を願う手続を進めておるということを申し上げたのでございまするが、それでは何ゆえに国鉄は三割五分でなければ足りないというのを、政府といたしまして査定いたしましたかと申しますると、先ほど国鉄当局から説明がございましたように、平年度計算といたしまして、国鉄収入欠陷が五百三十三億ということでございまするが、これに対しまして、しさいに検討をいたしますると、国鉄物価の値上りの見込みが、大体今年の六月を基準といたしておるのであります。本年の六月がちようど主要資材の値上りの山とも申すべきときでございまして、その後もちろん上つておる品もございます。特に国鉄といたしましては、一番経営費の大宗を占めております石炭につきましては、依然として値上りの傾向はあるのでございますが、その他の資材等につきましては、若干値下りの傾向にあるものもありまするので、その後の物価趨勢を押えますと、ここに若干でございますが、約二十億程度国鉄の申請を査定し得る余地があるのではないかと考えたわけでございます。さらに、輸送量が最近増加いたしておりますための必要な経費を九十三億程度必要だということになつておるのでありますが、これも極力節減してもらうことにいたしまして、八十八億程度でよくはないか、こう査定したわけであります。それから国鉄の申請の方といたしまして、利拂いの金額を十三億増加ということになつておりまするが、これは借入金の見通し等から見まして、十三億のうち、十億でしんぼうできるのではないか。そのほかに、国鉄といたしましては、経営合理化の中で約十八億くらいの節約をするという申請に対しまして、——これは主として石炭の消費節約によつて浮かすという考え方でございまするが、それに対しまして、それはそれといたしまして、なお人員の面におきまして、過般政府で決定いたしました行政整理の線にのつとつ人員の節減を考えてもらうことにいたしますと、約十三億程度数字が出て参るのであります。これらを総計いたしますと、増加すべき経費のうちで約四十七、八億程度は削減できる。それから今度は運輸収入の方でございますが、運輸収入の見込みは、国鉄もやはり申請のときは六月を基準に見込んでおつたのでございますが、その後七、八月、いわゆる輸送の低調期にもかかわりませず、七、八月の客貨の趨勢がきわめて好調でございますので、これを押し通して参ることを考えますると、国鉄の申請よりも約四十三億運輸収入の増加が見込まれるのであります。それと雑収入の方におきまして、なお十一、二億勉強をしてもらいますると、ここで運輸収入及び雑収入を合せて約五十五、六億という数字が出て参りますので、ほぼ百億近い節減ができるわけでございます。従いまして五百三十三億に対しまして、運輸省といたしましては四百二十三億の歳出歳入の欠陷を補填する方法を講ずるだけで足りるのではないか。これによりまして、結局通観いたしまするところが、物価騰貴その他人件費以外の費目に該当する金額だけを運賃値上げで勘案し、人件費の増加に対する部分は増収及び経営合理化をもつて対処し得るというかつこうに相なつて、国民に対しても御了承を求める上にたいへんに適当ではないか、かように考えるわけであります。
  11. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の説明をもう少し計数で、資料で出してもらいたい。
  12. 石井昭正

    ○石井説明員 承知いたしました。
  13. 小坂善太郎

    小坂委員長 今の資料はいつまでにできますか。
  14. 石井昭正

    ○石井説明員 印刷さえすればよろしゆうございますから、明日お届けいたします。
  15. 小坂善太郎

    小坂委員長 では明日この委員会に配付いたします。  一応の説明を聞いたわけでありまするが、御質問がありましたら質疑に移りたいと思います。苫米地英俊君。
  16. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 二、三お尋ねしたいと思います。この国鉄が独立採算制になつて何年かすでに経験を積まれておるはずだと思いますが、一体この独立採算制の方がいいと考えておられますか、もしくは昔の形の方がいいと考えておられますか。今これを反省して考えてみる時期ではないかと私は思うのであります。その一つの理由はどこにあるかというと、物価が多少年内に上つたり下つたりということで、すぐ運賃を動かすというようなことになると、財界の安定というものは容易に得られないと思います。この点について、独立採算制にした場合には理由があつたと思うのです。それは第一次吉田内閣のときに私が予算委員会で質問いたしました。鉄道の方は人間が多過ぎやしないか。そのときに鉄道の方から資料をいただきまして、もつと合理化する余地があるんじやないかということをお尋ねしたところが、合理化する余地がないということを強硬に主張されたのです。ところがその後容易に合理化される様子がなく、一般会計からして繰入れがだんだんふえ来る、こういうような情勢にありましたので、これはやはり合理化するためには独立採算制をとることが必要じやないか、こういうふうにその当時考えられたのであります。ところがあの当時あれだけ頑強に合理化の余地なしといつたのが、ただいま説明を聞いてみますと、非常に合理化されて来ておる。またまた三割五分旅客も上げたいのであるけれども、それも一部は合理化によつて補い得るというと、そうするとこれは合理化の余地があるんだけれども、今までやつておらなかつたのだというふうに言われたように聞える。それからして、その次には国鉄の営業キロというものはかつてにきめられる、これは議会の協賛を要しない。それから貨物のクラスフイケーシヨンというものは、これはやはりかつてにきめられる。従つてこの営業キロをひねくりまわし、また貨物のクラスフイケーシヨンをかえることによつてある程度非常に自由になる。そうして知らないうちに相当高い運賃をかけられて行くというような例がある。一例を申しますならば、青函連絡が、実地キロが百十三キロしかないものを営業キロを四百五十キロにしている。それはあそこのところはあれだけを独立採算制にしなければ赤字が出るからである。であるからして独立採算の計算をすればそうならなくちやならぬ。そうなりますと、つまりこれは国鉄をこしらえたときに、一番初めの明治三十八年でしたか、九年でしたか、国鉄をつくつたときの精神から考えてみると、これは非常に矛盾した議論になる。もしこれが正当であるならば、丹那トンネルをこしらえたとき、あの当時で何億の金がかかつた、であるから熱海から沼津の間の運賃は特定運賃でなければならぬという議論にもなる。これは陸上のトンネルだから特定運賃にしない。また下関と門司の間のトンネルも同様である。あれは地下をくぐつて行くんだから別だ。船を浮べるというのとは違うのだ、こういう議論になつて来るというと、これはわれわれとして非常に迷わざるを得ない。そこで国鉄が独立採算という立場からは、どうしてもそうしなければいかぬというならば、この国有鉄道の制度をこしらたもつと一番先の精神にもどつてみれば、全国プールでそういう不合理なことはしなくてもいいことになりはしないか。ことにそういうことのために、御承知の通りこの表を見ましても、青函の旅客は五割五分値上げしておる。これはやはり独立採算という建前からしたのであろうと思いますけれども、あの間で少くとも三等運賃を使つて青函連絡だけを利用する旅客が相当多い。それは北海道に出かせぎに行く漁夫、こういう負担力の少い漁夫に対するものを独立採算という建前から、一般は三割、あすこだけは五割五分上げるなんて、こういうことになつて行くと、これは社会的にも相当大きな反響を呼ぶと思うのでありますが、従来もあの間の営業キロ四倍強を引下げてもらいたいという陳情が絶えず来ておる。ところが今度一般の平均よりもさらに大きい値上げをしたのでありますから、この反響は非常に大きいのであります。こういうふうに考えてみると、国鉄の独立採算制というものがはたしていいのか悪いのか、ことにわれわれとして考えさせられますのは、政府は国策として北海道の開発をやつております。ところが独立採算の建前からかどうかわかりませんが、とにかくあすこに滞貨が絶えない。八月末で十七万トンの滞貨がある、その後は毎月一〇%くらいの割合で滞貨がふえて行つている。一方で開発して産物が非常にふえて行く、これが滞貨で出せない、従つて生産者は非常に困り、値段は下る。ところが津軽海峡から渡つてこちらへ来ると、物資が来ないので、それらの物価がむしろ引上げられる。こうなつて来ると何のために開発しているのかわからない。二十万トンばかりの現在の滞貨というものは、これは目に見えた滞貨で、潜在的の滞貨が非常に北海道内に多いということを考えますと、私はあすこの青函連絡というものをネツクにして独立採算制を維持して行くことがいいのか、もし現在の制度であるならば、どうしてもそうしなくちやならぬというならば、この独立採算制というものをさらに検討する必要が起つて来るじやないか、私はこう考えるのでありますが、この点はいかがですか、まずお話を承りたいと思います。
  17. 關谷勝利

    ○關谷政府委員 青函連絡の関係と独立採算制の関係とを結びつけてのお話のようでありましたが、大体国鉄は独立採算というようなことを強調はいたしておりますけれども、公共性を第一と考えているのであります。独立採算は、これは努力目標というふうに私も以前からしばしば御答弁申し上げたことがあるのでありますが、この青函だけ見ますと、今いろいろ運賃関係のお話がありましたが、国有鉄道がやつておりまする運賃が、民間のやつておりまするのと非常な差があり、鉄道の方が安い、こういうふうな場合に民間から非常に反対というか、ものすごい非難の声が、国有鉄道にあるわけであります。青函の関係は、おそらくこれはあすこの民営でやつておりまする運賃と対比いたしまして、その権衡上とりきめたものと、こういうように私考えておりまするので、あすこだけを見まして、あすこだけで独立採算というような立場からそういうふうにやつているのじやない、このように考えております。
  18. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 国鉄の答弁は従来二つ理由があつた。一つは、独立採算のためにできないということ。一つは、民間の航路を圧迫しないということ、この二つが絶えず與えられて来たところの理由であります。それはよく承知しておるのでありますが、あそこにそういう政策をとつておるために、いかなる罪悪が行われておるかは御存じのはずだと思うのです。そこで、たとい船賃が高いとしても、あそこに長い間貨物を滞貨させられるよりは、船に積んで送れるものは送つた方がいい、こういう声が相当あるのであります。そこで民業の圧迫ということは、私は大した理由にはならないと思うのであります。戰争中に海上の危険、船舶の不足から、また港湾荷役などの統制、その他のために、海上運賃が陸上運賃より高くなつたというのはきわめて不自然な現象であつて、これは世界的に見ても海上運賃の方が安いというのが原則なんです。その高い運賃、これはむしろ異例であると思う。また将来、急に海上運賃というものを安くして行かなければならない場面に直面しておるときに、船賃と比べてみて汽車賃の方が安いというさつきの御説明がありましたけれども、そういうことをやつて行けば行くほど、海上運賃を是正して行く日が先に遅らされてしまう。むしろ国鉄は、そういうことと同時に、運輸面において、海上運賃を安くするように仕向けて行く方がいいのじやないかと思います。現在海上運賃が高くて、汽車賃が高いから、またその他の運輸機関も高くなつて行く。このところで、私の考えとしては、国鉄が国策の立場に立つて、当然これを是正して行く方向に行かなければならないのを、それを理由として値上げを考えるということは、これは矛盾してはいないだろうかと思うのですが、いかがですが。
  19. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいま北海道の滞貨についてお話があり、あわせて運賃のお話がございましたが、北海道の本土向け滞貨が約二十万トンあるということはお言葉の通りでございまして、これに対しまして国鉄当局といたしましては、全能力をあげて輸送に従事いたしておるのであります。御承知のように、この五月以来津軽海峡に機雷が出没いたしまして、そのために非常に海上の運航が不安であつたのであります。その機雷は、現在に至りましてもいまだ完全に不安が一掃されておらないのでありますが、秋季に入りまして日照時間が少くなりまして、明るいうちだけ運航しておつたのでは、ますます北海道の滞貨を増すのみでなく、先ほどのお話の趣旨にも合いませんので、非常に危険を冒しまして、貨物船のみは夜間運航を実施いたさしている。もちろんこれには、海上保安庁の警備も十分がんばつてもらつて、一応不安なきを期しておるのでありますが、万全とも言いかねるのであります。それを押して北海道の滞貨の輸送のために努力を拂つて、夏の間には十三運航しかやつていなかつたものを七六運航いたしまして、目下出まわり期のばれいしよその他の輸送に努力いたしておるのであります。一方、海運の方はこれに反しまして相当の余力を持つておるのでございます。従つて運賃関係ということを多少度外視されまして、海運の便におよりになるときは、まだ北海道の荷物をさばく余地があるのでありまして、運輸省といたしましては、この海運方面を御利用するように極力努力いたしたい、実はかように考えて、農林省とも相談をいたしまして、対策を立てているのであります。その際運賃関係も相当支障になるかと思います。これをできるだけ勉強させてやりたい、かように考えておるわけであります。その根本はどうしてかと申しますと、やはり海陸運賃の不均衡なる点が相当支障をなしておるわけであります。これは戰時中のように統制機関がございまして、運賃プールというようなことができますれば、割合いいのでございますが、今日はさようなこと許されませんので、なかなかこの点で、やはり各荷主筋の方々が、鉄道によつた方が幾らかでも安い、青函の輸送力が狭まつておることは御承知ながら、何とか送れるだろうということで自然鉄道の方のお申込みが多く、鉄道の方が輻湊いたしまして海運の方が少い。そこでこの間を調整いたしまして、一トンでも多く本土の方へ送り込みたい、かように考えて目下手続を進めておる次第でございます。青函の運賃につきましていろいろお話もございましたが、貨物運賃についてはお話のように営業キロは設けてございません。これはもともとは別計算になつておつたものを、戰争中運賃計算事務を簡略にするために、当時の運賃額を基礎といたしまして、キロ程を逆算して四十五キロというキロ程をきめたわけでございまして、決して不当なキロ程を設定しているわけではございません。当時の運賃額に相応いたしますキロ程をきめてそのままやつておるわけであります。お話のようになるほど束縛はございませんが、かつてに営業キロを気ままにとりかえたり、倉敷料をかつてにとりかえたりするというようなことは、国鉄としてはやつておりませんし、またそれを監督しております運輸省といたしましても、それを許してはおらないのでございます。貨物の等級などは御承知のように日進月歩で、新しい品目が出て来ましたり、あるいはまた品目の用途がかわつて参つたりいたしますから、これに一々国会審議を煩わしていては実情に間に合わぬので、運賃法設定の際にきめられました等級についてこれを大改正する場合には、あらためて適当な手続をとるということで御了承願つてつたので、昨年の四月等級について相当の改正をいたした際にも、等級改正審議会を設置いたしまして、国会議員の方々の御参加も願いまして、公正妥当な処理をいたしておりますので、どうかその点は御了承を願いたいと思います。
  20. 有田二郎

    ○有田(二)委員 今の苫米地君の質問の途中に、了解を得て質問いたしたいと思います。  私先般国政調査で、北海道へ参りますときに、当時の営業局長のところへ国鉄関係について意見を求めに行きましたところが、青函連絡のただいま苫米地さんの質問なり鉄道部長からの答弁の件について、有田議員として研究してもらいたいという意見を聞きまして私は北海道へ参つたのでありますが、今度の国鉄運賃値上げに関して、やはり北海道の問題について、運輸省並びに国鉄当局は、十分この点は考慮すべきものである、私はかような個人的な見解を持つてつておるものであります。特に御存じの通りに、函館には四つのさん橋があつて、青森には三つしかさん橋がない。さらに小湊については、さん橋を停車場、課長などが考慮しておるのでありますが、これらの点も十分に考えなければならないのであります。北海道は、今日日本に残されたたつた一つの開発の望みを持つところの土地である。また国としても、北海道開発という事務局を設けて力を入れておるのであります。国鉄の考え方も運輸省の考え方も妥当でないとわれわれは考えるのであります。今度運賃改正を念願されるならば、この機に北海道道民全体の希望である青函連絡の運賃について、十分考慮を拂われるべきであるにかかわらず、今苫米地委員から聞きますと、今度は五割五分の値上げである、かようなことを聞いておるのでありますが、事実どの程度値上げになるものか、お聞きしたいと思います。
  21. 石井昭正

    ○石井説明員 旅客運賃につきましては、運輸審議会に対します国鉄の申請が、約五割六分程度なつております。運輸審議会の方の査定も、原価計算の上からこれをほぼ妥当と認めて申請案通りということになつております。これは一般の旅客運賃に比していささか高率になりておるようであります。貨物の方につきましては、これは先ほど申し上げた通りずつとキロ程通算しておりますので、別段ほかの鉄道の地域と差異がございません。一律に三割ということに相なつております。
  22. 有田二郎

    ○有田(二)委員 私は北海道に上陸して一番最初に、北海道だけは税金を半分にしてくれという質問を受けて非常に驚いたのであります。しかし、とにかく北海道の方々の生活は、各地をまわりましても非常に気の毒である。特に、私は大阪選出でありますから北海道には関係がないのでありますが、第三者として見まして、北海道の方々の御生活は決して楽でないということを痛感したものであります。特に国鉄のあり方から考えまして、この青函連絡については、さらに北海道選出の衆参両院議員とも十分に相談され、円満裡に運賃改正が進むのが私は妥当であると思います。ただ、今お聞きするところでは、旅客が五割五分ということでありますが、これは私が先般歩いて参りました経験から行きまして、妥当でない。しかも北海道はわれわれ日本に残されたたつた一つのホープの土地でありますから、北海道の方々に喜んでいただけるようなあり方をしなければならぬ、かように考えるのであります。さらに私は釧路にまわりましたけれども、釧路の駅並びに釧路の駅から少し離れたところの駅にやはり滞貨があつた。なぜこれを船で運ばないかという質問をしましたところが、やはり国鉄の方が運賃が安いから、何日待つて国鉄の方がいいというような意見を聞いて参つたのであります。とにかく北海道の問題については、小湊のさん橋の問題、さらに青函連絡の運賃の問題、こういうような問題は、苦米地議員が北海道の議員でありまするからして、立場上非常におつらいと思うのであります。私どもも北海道ではありませんが、十分当局において考慮さるべきものである、かような見解を持ものであります。運輸政務次官の御答弁をひとつ承りたいと思います。
  23. 關谷勝利

    ○關谷政府委員 有田委員の御説明よくわかりました。北海道選出の衆参両院の運輸委員とよく御相談をいたしまして、適当に善処いたしたいと思います。
  24. 小坂善太郎

    小坂委員長 ちよつと私からも御質問を申し上げたいと思います。さつきの政務次官の御答弁中に、独立採算制というものは一応の努力目標であるというお言葉があつたのでありますが、大体日本国有鉄道ができるときには、独立採算制をしくのであるからつくるということであつたのではないですか。
  25. 關谷勝利

    ○關谷政府委員 大体、独立採算ということを強調いたしておりまして、その線は十分守つて行きたいというのでありますが、公共性と独立採算制というものとは相反するようなことになりまするので、その両立をいたしました場合には、独立採算ということは努力目標であつて、公共性を忘れるものではない、公共第一である。こういうような意味で申し上げたのです。
  26. 小坂善太郎

    小坂委員長 公共第一ということを強調せられたということには解釈しておきますが、この問題はひつかかるとちよつととうるさいと思うから一応申し上げておくのであります。
  27. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 先ほどの御説明の中に、負担力との比較というものがございました。これは一応ごもつともに承つたのでありますが、もう一歩進んで考えてみると、官公吏でも、工業の方でも、一般だれでも同じですが、所得が消化されて行く比率を見ると、大部分が生活費にとられてしまい、戰前に受けておつた賃金運賃その他に対する負担力と、現在の負担力というものは非常に違つているのであります。たとえてみれば、東京の近郊から通勤するのに、その通うところの個人は、以前には、自分の俸給で生活し、子供の教育をし、そうして残つた金で運賃負担する能力が十分にあつた。ところが今はその余力が非常に減つているのです。それを、総所得と運賃の率とを比べて、負担力は十分増しているのだというような御説明でありますが、この点はどうも納得が行かないのであります。その点について何か御研究になつたものがございましようか。
  28. 津田弘孝

    津田説明員 ただいまの苫米地委員のお話は、戰前と今日とを比較してみると、今日は、勤労者の生活費の中で、絶対に必要な食糧費とか交通費というようなものが占める率が非常に大きくて、余力が非常に少い、従つて交通費の割合からだけ見るのはあまり妥当でないというような御趣旨だと思うのでありますが、実はその点につきましては、物価庁等で集めた資料によりましても、どうもはつきりした資料がございません。交通費と通信費というようなものを含めて、全体の生計費の中に占める割合がどうだというようなものはございますが、国鉄運賃だけを別にするとか、あるいは交通費と通信費をわけてどうだというような資料がないので、はつきりしたことは申し上げられませんが、今おつしやいましたように、昔と今とは、單なる比率だけで判断することはよろしくないということは、私もよく了承いたす次第でございます。
  29. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 今の点は非常に重要な点で脅まして、われわれの衣食住に絶対必要なものを引いてしまつた所得の残り、——衣食住、税金、子供の教育費、こういうものを抜いてしまつたあとの所得の残りに対して、交通費等の負担力が戰前よりも多いという証拠を見せてくださるならば、先ほどの御説明は納得できるのですが、総所得をつかまえてこういうふうにお話になつても納得できないのであります。この点は御考慮になつたということですが、さらにもう一度御考慮くださる余地があるんだろう、私はこう考えるのであります。それから、その次の貨物価格の中に占める運賃割合、これも同様でありまして、なるほど今運賃割合が少くなつて来ておるといいますけれども、先ほど申しましたように、運賃に対する負担力というものが非常に軽減しているとすれば、この物価の中に占めるパーセンテージが減つてつても、生活を圧迫する点においては同様だと思うのであります。そこで物価に直接響くかどうかという面と同時に、生活にどういう圧迫を加えるかという点も、もう一度反省してみる必要があると私は考えるのであります。それから、その次に鉄道と汽船、機帆船、トラツク等との比較がありますが、今のような海上運賃、これは先ほども申しました通り、非常に不自然な形であります。これを改めてもつと軌道に乗せるような何か御計画が運輸省の方にございますでしようが。先ほど申した通り、船賃が畸形的に高くなつておる。それを値上げの理由にするというのはまことにまずいので、それよりはむしろ汽船等の運賃をもつと正常にするために、運輸省としては御努力になるべきだと考えるのですが、これに対する何か施策がございますでしようか。
  30. 關谷勝利

    ○關谷政府委員 海上運賃を正常にというお話でありますが、現在外航関係等におきましては運賃同盟等ができております。とかく戰前の日本の運賃というものは、あまりにも安過ぎるということになつておりまして、運賃同盟へ入りまして、協調をしてやつて行くということになつておりまするし、内航運賃も外航運賃あたりと比較いたしておりまするので、戰前の特別に安いというのが畸形的なのでありまして、現在のはあまり畸形的というふうに私たちは考えておらないのであります。
  31. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 これは奇妙なことをお聞きするので、海上運賃が陸上運賃よりも高いのが正常だということは、世界いずれの国にもないのであります。必ず海上運賃の方が陸上運賃より安いのが原則です。これはもう少し運輸省、御研究を願います。  最後に一つお伺いしますが、函館と青森の青函連絡の営業キロ、これを四倍を二倍ぐらいに引下げることはできないものでしようか。これは北海道の道議会で決議されており、道民が非常に希望しているところでありますが、この点に対して……。
  32. 關谷勝利

    ○關谷政府委員 よく研究して御相談いたしたいと思います。
  33. 小坂善太郎

    小坂委員長 ただいま御確答はないのですが、よろしゆうございますか、御研究になるということで——それでは上林山榮吉君。
  34. 上林山榮吉

    ○上林山委員 鉄道運賃改正について国鉄の方から先ほど説明があり、運輸省の方からこれに対してさらに御説明があつたわけですが、私まず国鉄当局者に伺いたいのは、旅客貨物等に三割五分の値上げをしなければ運営ができないという立場に立つたわけでありますが、それがただいま運輸省説明によつては、合理化の線によつてそれぞれまかないができる、その金額等もお示しになつたわけでありますが、これに対して国鉄としてはどういう考えを持つておるか。さらにつけ加えて申し上げたいことは、三割五分値上げしなければ経営ができないかどうか、あるいは合理化は今後どういうふうにやつて行く方針であるか、ことにこれが運輸省が言うがように結論を得た場合、さらに合理化の線を具体的にどういう方向べ持つて行こうとする心組みを持つておるか、そういう点をまず伺つておきたいのであります。
  35. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答え申し上げます。国鉄といたしましては三割五分とし、これを具体的に申しますと五百三十億ということでありましたが、それで大体検討してみますと、その中の三百幾ら、約四百近くのものであつたと思いますが、それは物価騰貴を見込んだものであります。その物価騰貴の見方がわれわれと運輸省との間に多少の食い違いがあり、また今後の見通しの問題もあつたわけであります。お前の言うように物はそんなに上らないだろう、この程度のものであろうという一つのポイントがあつたわけであります。そこでさつき数字を申し上げたのですが、それが相当大きな問題であります。そのほか人員整理の問題、これは行政整理と並行いたしまして、われわれの方でも相当に人員整理をやろうということで、これもこまかく調査もし、これは将来どういうふうになるかわかりませんが、進駐軍などに使つております要員が今日相当あるわけですが、それらは講和になりますれば、相当程度縮小ができるかもしれないという見通し、その他治安の問題にしましても、今公安官というものをわれわれの方で使つておりますが、あれも減らすことができるかもしれないというような観点からしまして、人員整理はある程度できるであろう、それをひとつやろうというので、こまかいものを集めて来まして、百億ほどの金を平年度においては出そうという見通しをもつてつております。一方においてはさつき申しましたように増収の見方、これも相当あの予算は前につくつたものですから、その後の推移から見まして、相当ふえるだろうというので、増収の増と経費の減と両方相まつて約百億の金が出て参つておるわけであります。この収入の増にいたしましても、われわれとしては相当手がたく見ておつたのでありますが、その後の模様が今後持続するとすれば、収入はふえるというので、収入の増と経費の減と両方相まつて三割五分が、三割と二割五分でやろうということになつたのであります。
  36. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいまの基本的なお話は私もある程度わかつたのでありますが、われわれ予算委員というような立場から考えますと、あまりに抽象的な御意見かのように思うのであります。先ほど国鉄の方で「国鉄運賃改正について」というパンフレツトをもらつたわけでありますが、これは三割五分、両方ともそれを基礎にしての説明の資料でありますので、この中には生きておるのもありまするが、相当検討を加えなければならぬ部分も相当に入つておるようであります。でありますから、もし不幸にして、国鉄の立場からいえば不幸にして貨物が三割、旅客が二割五分になつたときの経営、特に合理化の線をどの程度つて行けるかという、私は具体的な資料を、あとからもらいたいのでありますが、ただいまここで物価の高低の見方が違う、あるいは人員整理等もある程度考えなければならない、それによつて百億の収支のバランスを合せることができる、こういうような御意見では私ども残念ながら納得が行きかねるのであります。もしあなたの方にして、これはもうせつぱ詰まつた問題なのでありますから、もう少しこういう方法によつて運輸省はこういうふうに言つておるけれども、自分たちはこの程度まではこれはできる、これはさらに運輸省が言う以上に合理化の線を出すことができるというような、もう少し具体的な線をぼくは説明が願いたいと思うのでありまするが、お持合せがありまするならば、この席上でそれを承つて、次の質問を少し続けて行きたいのであります。
  37. 長崎惣之助

    長崎説明員 今日はその数字を持つてつておりませんから、この次の機会に申し上げることにいたします。
  38. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今の質問に関連しての質問ですが、先ほど国有鉄道営業局長の御説明は非常に合理的な御説明であつたので、一応よく了承いたしたのでありますが、そのあとの方がただいま上林山委員の質問にありまするような運輸省の方との意見に相当の開きがある、こういうことになりますれば、この資料自体について相当論議が出て来るわけであります。非常に信用すべきものを、今度は信用すべからざるものだ、そういうふうにかわつて来るだろうと思います。であるから、今言われたような資料については、よく納得の行くような具体的なものを御用意を願うことを申し上げておきます。  それからその次に関連した問題は、絶えず運賃値上げのたびごとに将来はもう上げなくてもいいのか、こういうことを私どもはよく繰返すのであります。その都度大体これでやつて行けると思う、こういう御答弁がいつもある。ところがこれは絶えず上つてつたのでは、先ほど苫米地委員の質問にもあつたようでありましたが、いわゆる財界にいろいろ與える影響が非常に大きくなつて参つて、いつも安定を欠くような結果になりますので、さつき言つたような点に十分御説明の資料をおつけになることと、将来これは再び早い機会に——早いといつても、一年なり二年の間には値上げしなくてもやつて行けるという自信があるのかどうか、この見通しについて一応伺つておきたいと思います。  なお関連質問でありますからついでに申し上げますが、この見通しを伺うということは、運輸省の方でいわゆる操作上、最初国有鉄道が立てられた案を圧縮することができたというのを、今度は逆にあるいはある程度これを延ばして、そうして将来そう長くたたない機会に再び値上げをすることがないように、そういう納得の行くことを国民に十分知らしめるやり方をやらなければ、相当大きな波紋が描かれると思いますので、この二つにつきまして関連質問を申し上げておるのでありますが、前の点は総裁が今おつしやつたように、この次の機会に資料として願い、あとのもう値上げを当分の間しなくてもいいのかどうか、その見通しについては一応ここで伺つておきたいと思います。
  39. 長崎惣之助

    長崎説明員 これはたいへんにむずかしい問題でありますが、今度の値上げをやるにつきましても、その点たいへん皆様御心配になつておると思いますので、これもまたいつかの機会に申し上げることにいたしますが、物の値段と運賃というものは、循環で高くなつて行くという点が御心配になることと思います。私まだ詳しく戰後のことは研究しておりませんが、今度でも、物の値段が上つたために運賃を上げなければならぬというような次第でありまして、運賃を上げたから物の値段がどの程度高くなつたかという点は、非常にむずかしい問題ではないかと思うのであります。これは先ほどから御質問もございましたので、精詳に調べまして、できたら資料を差上げて御納得の行くようにいたしたいと存じます。そんなわけでございまして、物の値段によつて——ことに私どもの使つておるものは石炭、あるいは鉄、木材というような重要な物資で、しかも今日では非常に高くなつておるのであります。そのために運賃を上げるのでありまして、これらの重要な物資価格が安定いたしますれば、むろんこれでやつて行ける、またやる、こういう決心をいたしておるわけであります。
  40. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこで私の質疑の結論がそこに来るわけです。先ほど営業局長の言うことと、運輸省がいわゆる合理化的な操作のやり方によつてつて行ける、物価の変動についても見解が違つておつた、こういうことなのでありますから、そこで問題はあとに返つて来て、その後の値段の上るのが、国有鉄道で見ておられたのと、運輸省で見ておられたのと、どういうふうに違つておるのか、こういう結論になるわけでありますが、その点の二つを、今資料がなければこの次でもけつこうでありますが、今あれば伺いたい。
  41. 長崎惣之助

    長崎説明員 この次に資料を差上げます。
  42. 上林山榮吉

    ○上林山委員 あとで合理化の線を出すというので、どうもこれ以上合理化問題について聞くことのできないのを遺憾とするのでありますが、ここで私緊急な問題について、合理化の線に沿つて質問を続けて行きたいのであります。  まず先ほどから各委員諸君から御質問があつたようですが、滞貨の理由がどこにあるのか、これはいろいろ原因があるが、その大きな問題は今日石炭の問題である。ところが国鉄石炭業者との間に、価格の折合いが不十分であるとか、あるいは事前に安いときに相当入るようなことをやつていないとか、あるいは買うのは国鉄が買うのであつて、売るものは石炭業者がただ売るのである、この間には何らの有機的な援助とか連絡とかというものはあまり必要でない、こういうような半ば官僚的な経営観念というか、そういうものがまだ入つておるのじやないか、そのために滞貨が起る、その他の輸送の事故が起つて来る、こういうことになりまして、ひいて合理化の線に大きく影響して来る、こういうように私考えるのでありまするが、石炭を中心とする、あるいは私が言つたような基礎的な問題について、どういうことを考えておられるのか、これが一点。それからもう一つ国民の側に立つてわれわれぜひ発言しなければならぬと思うのは、運賃は上つた、しかしながら、国鉄に乗つておると地獄にいつ行かなければならぬかもわからない。これは国民のきわめて常識的な国鉄に対する一つの不信であります。国鉄をそれだけ信用していないということです。国鉄の幹部とされては、そういうような問題を解決するためには、精神的な訓練、あるいは技術的な訓練ももちろんでありまするが、これに伴つて改良すべきは改良するという積極的の面があると思う。そういうような問題については、運輸省がどう言おうと、あるいは運輸審議会がどういうような決裁をしようと、少くも国民の側に立つて、どうしてもやらなければならない最低の線は、国鉄総裁はそれこそ職を賭してもこれは敢然として実行すべきものである、こういうように考えるのでありまするが、なかなか込み入つた政治問題も含まれておる今日、十分な見解を披瀝されることはできないかもわからないけれども、そういうようなことをもつとお考えにならなければならぬのではないか。あとにもう一つありますけれども、この二間についてまずお答えを願つておきます。
  43. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御質問つつしんで弄聴いたしました。あとの1点を先に申し上げますが、これは最も重要な問題でございます。これにつきましては、私まだ就任いたしまして二箇月くらいにしかなりませんので、少くとも通常国会までには何らかの考え方をきめまして、その思うところをお答え申し上げ、大いに御助力を願つて、お話の通り、できるだけすみやかに国民の信頼し得る国鉄というものに持つて行きたい、かように考えております、  それから石炭の買い方等のお話につきましては、今までのやり方等において、お話のように多少官僚的というような部分もあつたかと思いますので、これも漸次改めて参りたいと思います。ただ石炭の買い方について云々というお話でございましたが、私どもの見るところでは、石炭そのものの全体が足らないのでありまして、需要に供給が追いつかないという結果であろうと思います。今日までのところ、価格の問題で石炭を売る方々と折合いがつかずに数量が足りぬということは、ごくわずかの問題であつて石炭業者の方々は非常にわれわれに協力していただいております。なお不足の分につきましては、外地炭の輸入その他万全の案を講じまして、われわれの理想通りの買付を完遂いたしたい、かように考えております。
  44. 上林山榮吉

    ○上林山委員 先ほどの、石炭の量が不足であるから、需給がうまく行かぬために、そういう結果になるんだという総裁の御答弁は、私は半ば承認しますけれども、半ば承認できません。ということは、どういう点であるかといいますと、かりに電気が危機に瀕する、あるいは輸送が危機に瀕する、こういう場合にも、山は山であり、国鉄国鉄であるというような何かそこにギヤツプがある。たとえば九州の方面の山に十何万トンかの貯蔵炭があるのに、貨車をまわしてくれないために、この緊急の輸送ができないという声を、われわれは一箇月前に聞いた。こういうような問題については、一体どういう考えを持つておるのであるか。單に需給の関係のみによつて石炭の買入れその他がうまく行かないというふうにお考えになることは、具体的事実がこれを許さない。私はそういう点について、もう一ぺん総裁の、その場限りの答弁でない、もう一歩踏み込んだ真剣な答弁を得たいと思う。  それから先ほど苫米地委員からもお話があつたようでありまするが、独立採算制に対する再検討の時期じやないか、こういうようなお話でありましたが、私はこれに対する賛否の議論は別として、すなわち合理化の線に沿つて私の申し上げたいことは、今国鉄の事業に対して二重の政治がある。あるいは場合によつては、三重の政治といつてもよかろうと思いまするが、この二重政治もしくは三重政治を合理化する。人員の面において、機構の面において、その他の面においてこれを合理化する時期に来ておる。あるいは試験済みではないか、こういうように考えるのでありまするが、これに対しまして、国鉄総裁ないしは運輸省の首脳部はどういう研究をしておるか、これについて私は質問をいたします。
  45. 長崎惣之助

    長崎説明員 私、決しておざなりの答弁はいたしておりません。まじめに答えておるつもりであります。しかし言葉の足らないためにあるいはそのようなお感じを受けられたかもしれませんが、それは私の不徳のいたすところであります。  石炭輸送の問題は、お話のように一時あるいはそういうこともあつたかと思いますが、今日では万全の策を講して、石炭輸送には遺漏のないように協力いたしております。その点御安心願いたいと思います。ただせんだつてからそういうことのありましたことは事実であります。これは特殊の輸送等の関係もあつたそうでありますが、私の就任前であります。その後はできるだけ協力してそういうことのないようにいたしたいと考えております。  それから、ただいまのお話は公共企業体のお話でございましようと思いますが、独立採算制その他につきましても、すでにいろいろのこともございます。ことに機構の上の問題、これらについてはお話の通り、もはやここらあたりでかえなければならぬかと考えますが、まず国鉄の実情についてどういう見方をしたらいいかと考えておりますが、さしあたりは内からばかり物を見ずに外から見る。国鉄がどういう姿をしているかということを外部から、国民の方々の立場から見まして、便利な、いい鉄道という方向に持つて行かなければならないのじやないか。内部だけから見ていろいろ言つても、ひとりよがりであつては、いけないわけであります。のみならず政府におかれても、行政機構の改革というようなこともお考えになつておられるようでありますから、それらともにらみ合せて、人員合理化その他すべてを勘案して、今研究をいたしております。
  46. 上林山榮吉

    ○上林山委員 政務次官いかがですか。
  47. 關谷勝利

    ○關谷政府委員 現在の国有鉄道の有り方につきましては、運輸省でも目下いろいろ研究しおります。
  48. 上林山榮吉

    ○上林山委員 どうも最もこの問題はむずかしい問題であると思いますので、即答ははなはだこれまた困難かと私も察するのでありまするが、合理化合理化といつて、小さな部分的な合理化のみに目をつけておつたのでは、根本的な合理化にならないのだ。部分的な合理化も必要であるが、それより以上に根本的な合理化を考える時期に来ておるのである。そういう点から考えると、運輸省国鉄とが二つにわかれておること自体が、当時はいざ知らず、今日から考えると非常に私は試験の結果無理であると、こう考えておるのであります。そういう意味合いにおいて、これを一つにするならば、半分の人間で済むのではないか、こういう点を私は聞かんとしておるのでありますから、お答えがあれば承りますし、これはまた大きな問題で場ありますから、後刻御研究の上、適当の機会に私答弁を求めたいと、こういう意味で、私の質問を終りたいと思います。
  49. 小坂善太郎

    小坂委員長 政府側は今の質問に対して答弁されますか——後刻答弁されるそうであります。
  50. 小林進

    小林(進)委員 今の二重機構の問題に関連いたしまして、運輸省国鉄関係の二重制のみならず、いま一つ、私は御答弁できないならば、ぜひ資料でほしいと思いますのは、国鉄と外郭団体であります。いわば俗に世間で姥捨山というふうに、おやめになつた役人並びに関係者等が中心になつて、何々団体、何々協会などというものが、どうも運輸省と民間団体その他の中に介在しておる。そうした中間的な存在の者が非常に多い。しかもそうした中に介在する人たちが、事実上総裁以上の権力を持つている者がいたり、局長以上の権力を持つている者がいるようにも伺つておるのであります。こうした外郭団体が一体どれくらいあるか、これもひとつできたら書類で私はちようだいいたしたいと思います。以上で終ります。
  51. 小坂善太郎

    小坂委員長 書類でという話ですから、書類でお出し願いたいと思います。風早八十二君。
  52. 風早八十二

    ○風早委員 きようの御説明で、大体この赤字の原因の一端が出たわけでありまして、言うまでもなく、朝鮮の事変以来、石炭の値上り、鉄鋼の値上りと、こういうものを中心にした物価の値上りに重点を置いておられるようです。それが確かに一つの赤字の原因であることは事実であると思いますが、まだそのほかに国鉄の内部に、国鉄の運営自体の中で、大きな原因が見のがされておるように思う。先般加賀山総裁が、旅客運送はあとまわしにして、軍事輸送をやる、こういうことを言つておられた。これは大いに世間に一つのシヨツクを與えておる。それから間もなく、例の桜木町の惨事も起つておるわけです。しかしながら他面、この旅客だけじやないです。関西の事業界では、自分たちのほしい貨車の一五%しかもらえない、こういうことをいつておる。でありますから、この際私は、きようこの資料の中にも見当らないし、また御説明の中にも見当らないので、この点について、すなわち軍事輸送はどの程度の、これは分量的の問題だけではありませんが、一応分量的にいつてもどの程度日本の鉄道負担をかけておるか、そのうち特に純軍事用の輸送はどれくらいであるか、またその他のこれに直接関連する輸送はどのくらいであるか、これについてまずお答えを願いたいと思います。
  53. 石井昭正

    ○石井説明員 軍事輸送の数量についてのお尋ねでございますが、これは具体的な数字は現在まだ占領政策のもとにありますので、占領軍当局の許可を得ないと発表できないことになつておりますから、御了承願いたいと思います。ただごく概略に申しますれば、貨物輸送についても五%以上という程度じやないかと思います。
  54. 風早八十二

    ○風早委員 これは責任のある御数字であるとは承れないわけでありまして、いろいろこれについてはおそらくまちまちの数字が出て来るだろうと思います。これはおさしつかえのない限り、この次でもいいですから、もう少し具体的な資料を出していただきたい。われわれが実際に国鉄関係で知らされておる資料というものによりますれば、純軍事用だけでも八%は占めておるわけです。そのほかこれに関連する有形無形の負担というものは、相当おびただしいものであるということも聞いておるわけでありまして、それらとあまりに懸隔のあるただいまの御答弁ではちよつとどちらがどうということは言えませんが、納得が行かない。もう少し納得の行くように概括的な数字でも示していただきたい。それで、結局今占領下にあるから言えないと言われるその部面が、存外この国鉄の全体の運営に対して大きな影響を與えておることは、これは間違いない。今度の値上りにしましても、旅客はまたさらに三割五分上る、貨車も三割五分上るといいます。そのうちこの占領軍関係のものはすえ置きであると聞いておるわけでありますが、もしそういうことであるとすれば、これはやはり問題だ。問題だというよりも、これはわれわれは絶対反対せざるを得ない。今日この吉田内閣は、和解と信頼の講和というふうにいつておられますが、もしそうであるとすれば、なおさらこの点については、やはりさつそく、今までそういう状態であれば、是正されなければならぬ、そういう点について、今の運輸当局で、これは公社にしろあるいは運輸省にしろ、正当な方法で平等な形でこれを向うさんと協議する、そういう余地があるのかどうか、またこれに対してはどういうお考えであるか、これについて伺いたいと思います。
  55. 石井昭正

    ○石井説明員 占領軍輸送運賃につきましては、ただいまのところは一般の運賃と別に、実際に要した費用をいただいております。この点は十分こちらも納得の行くような数字を折衝いたしてきめておるので、形は占領治下でございまするが、ほとんど対等の協議によつてきめておるわけでございます。従つて今日の運賃値上げにいたしましても、すでに要しておる実費をもらつておりまするから、もし普通運賃に引き直しますと、国内運賃と比較しますと、はるかに現在では高い運賃とつておるわけであります。従つて今度特にこれを改める必要はないという程度なつておるわけであります。
  56. 小坂善太郎

    小坂委員長 本日はこの程度で散会いたします。明日は一時半より当委員会を開会いたします。     午後四時十分散会