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1951-11-28 第12回国会 衆議院 郵政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十八日(水曜日)     午後三時二十三分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 受田 新吉君       石原  登君    江崎 真澄君       高田 弥市君    田中不破三君       坪川 信三君    降旗 徳弥君       小松 勇次君    土井 直作君       柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         郵政政務次官  山本 猛夫君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君  委員外出席者         郵政事務次官  大野 勝三君         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 十一月二十八日  委員小西寅松君、長尾達生君、三木武夫君及び  林百郎君辞任につき、その補欠として田中不破  三君、高田弥市君、小松勇次君及び柄澤登志子  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松勇次辞任につき、その補欠として三  木武夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 これより会議を開きます。  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を継続いたします。受田君。
  3. 受田新吉

    受田委員 私は一般的な質問はすでに終了いたしましたので、この際この法律改正するにあたつての、またあわせてこれと関連して提出を予想されておる法律案政府側態度について、質疑をしたいと思います。  私は昨日非常に念を入れて、この周知期間を設けることを政府当局に要望したいのであります。特にこうした大衆サービス機関である郵政業務については、国民によく納得させて、しかる後に法の執行が行われるということが、政府としては親切な態度ではないか。十二月一日の実施ということは、実際問題としてこの三十日に公布、翌日午前零時実施ということになるのでありますが、周知徹底期間を置かないということは、政治を親切にするという建前大衆政治という建前からは、非常に不当なことであるということなんです。これはちようどこの月の初めに実施されました郵便法及び為替法料金改正実施にあたつて余裕がなかつたために、非常に末端が混沌としたということを皆よく知つておるのですが、こういうことをあわせ考えて、ちようどそれと一貫した関連性を持つた法律案でありますから、できればもう少し余裕を持つて十二月五日くらいにでもしてやるか、あるいは政府としてはもう少し前に出してくれれば一番よかつたのですが、何か差迫つてはぽつと出す、差迫つてはぽつと出すということで、しかもこの法律案がわれわれの手に入つたのはきのうの午後二時です。そうしてそれを見て二時間も三時間も質問をやつたともうことは、事前によほど研究したということです。これは実際困るのです。この点について、どうか政府国会を尊重して、国会十分審議余裕を与えるということ、国権の最高機関としての面目を発揮できるように、執行部である政府がひとつ国会に親切に臨んでいただくということを、きよう大臣がここにおられるので重ねてお願い申し上げ、この実施期日について、すなわち周知期間を設けて、十二月一日というのを少しでも延長するというところへ、政府でも考え直す余裕がないかどうか、これをまずお伺い申し上げたい。  その次に、大臣もお急ぎでありましようから、あわせてお尋ねをしておきますが、この間大蔵大臣池田さんから郵便貯金利率引上げの問題が、すでに天下に公表されてしまつたのであります。十二月一日よりこれを実施する。すなわち今まで普通の貯金利子が二、三分だつたものを、今度四分に近いものにする。さらに定期の積金の分は、最高六分までこれを上げるということを談話発表されておつた。これは新聞であるから、ほんとうにそう言われたかどうか——吉田さんは新聞を信じてはいかぬということを言われたが、それを確かめておきたいことと、この郵便貯金利率引上げということは、結局郵便貯金法改正ということになるのでありますが、これは郵政大臣所管である。それを特別会計大蔵省に握られておるからというので、大蔵大臣が何もかもみなしやべくるということは越権である。むしろ廉任大臣である佐藤さんにこれを発表させるということをすべきではなかつたか。この点について佐藤さんは池田さんと終始御連絡をしておられると思いますが、こうした大事な問題の発言をするときには、まずこの法律が十一月一日から実施できるかどうかを見通される責任があると思いますし、すでに会期は、延長されない場合はあと数時間で終るわけでありますが、延長されたとしても一日か二日か三日ぐらいであろうと思う。この期間にもしこれが出されなかつたとするならば、十二月一日から利子を上げると言つて大衆を喜ばせて——国民利子の問題に敏感です。たとい一厘でも利子が上ることを非常に喜びとしておる。この喜びとしておる末端のあの零細な大衆に対して希望を与えておいて、この臨時国会に出さずにこれが先に持ち越されたとしたならば、大衆喜びを与え、同時に失望を与える、こういうことになつて国民を欺瞞するもはなはだしきものとなり、責任政治立場からも、これは非常に問題になると思うのです。つまり現在の政府が米の統制撤廃を叫び、それが実現されなかつたというその事実によつても、責任政治がこの一つでさえも国民の信用を失つて、普通だつた内閣が総辞職になるぐらいのものです。それが今日なお荏苒とその職におられるのでありますが、とにかく政府責任政治というこの線をはつきりしない限り、敗戦の窮乏の中からほんとう独立国家となろうとする日本の立場としては、政治を信頼しない国民性が起ると思う。政治家の言は非常に慎重でなければいけない。そうして政治家が一言こうやるのだと言つたら、断固としてこれを行うという信念がいるのです。この点において施政の衝に当る大臣たちがかつて放送をして、そうしてあとからうやむやにそれが葬り去られるとしたならば、国民を欺瞞するもはなはだしいということになるのであつて、この点について佐藤さんは内閣中心閣僚であり、この大臣郵政省に迎えて、郵政省皆さんも非常に意を強うしておられるこの際に、ひとつあなたがこの問題についていかに今まで関与して来られたか、同時に池田さんの発言はあなたの意に満たないところであつたのか、あるいはこれは了承してやつたことなのか、もしそれでやつたとするならば、もう会期迫つてあと審議する余裕がなくて、この国会の間においてもし通過することができなかつたとしたならば、国民を欺瞞した責任はどうしておとりになるかということ、以上二点についてお尋ねしたいと思うのであります。
  4. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 会期の終りになりまして、振替貯金法改正法案提出いたしましたことについては、昨日その経過等も詳しく申し上げ、私ども意のあるところを述べさしていただいたのであります。重ねて申し上げますが、今回のこの扱い方は、私どもといたしましてはまことに恐縮に存じておる次第であります。もともとこの法案を用意いたしましたのは、相当以前であります。その間郵政部内当局におきましては、十分の用意をいたしておるわけでありますし、また当委員会皆様におきましても、平素から多大の御検討を賜わつておりますので、昨日提案いたしましても、即座に数時間も最も骨子に触れた御質問があつたような次第であります、この点は私ども非常に喜んでおりまするが、もともとこの種の法律は、今御指摘になりましたことく、国民利用大衆本位に考えて参らなければならないのでありますので、郵政省末端機構までが十分徹底しておるというだけでは不十分だと思います。どこまでも国民利用大衆を相手にして考えて参らなければならないと存じます。かように考えますると、この会期末、しかも実施期を目前に控えて御審議を煩わしておることは、私どもまことに恐縮に存じておる次第であります。今も申し上げましたごとく、もともともつと早目にいたしまして、国民利用者皆様方にも十分御批判を賜わるようにいたしたいと思つてつたのでありますが、いろいろの都合で今日になつた次第であります。この点私ども皆様方に御了承をお願いすることは、まことに筋違いのように存じますが、そういう事情にありますし、平素から郵政事業について格段の御理解を賜わつております皆様方でありますので、この点についておわびを申し上げますと同時に、どうか予定の期日実施できますように、御審議を賜りますよう、重ねてお願いをいたしたいと思うのであります。将来の問題等につきましては、今回のこの扱い方に私ども必ずしも満足しておるわけではないのでありますので、今後においては十分御趣旨の線において善処して参る考え方でおります。  第二の問題の郵便貯金法取扱いの問題でりますが、この問題も今国会の当初におきまして、ぜひとも提案いたしたいというわけで、事務的にはいろいろ検討を進めまして、次官会議なり閣議等は相当以前に決定いたしたのであります。ところが今日なお提出いたしますについての、所要手続を終了いたしておらないような次第でありますので、私どもこの扱い方にただいま非常に苦慮いたしておるわけであります。いずれ所要手続が完了いたしますれば、国会提案をいたしまして、皆様方の御審議をいただきたいと思つておるのであります。ことに貯金法の問題は、利子引上げの問題でありますので、貯金利用者の町から見ますれば、最も利益する点だろうと思います。この種の法案は一日も早く御審議を得まして、利用大衆の利便をはかるべきだ、かように考えるわけであります。しかしまだ所要手続が完了いたしておりませんので、提案の時期等についてお話を申し上げるわけに行かない状況になつております。この点私どもも目下いろいろ関係方面折衝中のものであります。そこで、さような問題が新聞記事に出まして、その責任を云々しておられるわけでありますが、主務大臣である私といたしましては、この種の問題についてまだ発表もいたしておりませんし、また国会皆様方に対しましても、責任のあるお話をいたしておらないのであります。この点を特にはつきり申し上げておきます。ただいまいろいろ新聞記事等を取上げられまして、政治家責任追究、あるいはもつと慎重であるべきだというお話が出ておりますが、この問題については、主管大臣である私が今日まで沈黙を守つております状況からごらん願いまして、今のお説はいわゆる原則論抽象論といたしましてはしごくごもつとものように思いますが、今回これから問題になろうとする郵便貯金法といたしましては、ちよつと筋道が違うのではないか、かように存ずる次第であります。
  5. 受田新吉

    受田委員 最初の問題については、昨日も非常に政府側責任おわびになられて、この法律案提出されたわけであります。今私実施期日を何日か延長することの可否について、新しくここで提案をしたわけでありますが、その点についてお答えがなかつたのであります。  もう一つ、第二の問題で、大蔵大臣談話郵政大臣連絡があつたかないかについてお尋ねしたのでありますが、それにはお答えにならないで、私としてはまだ何ら言うていないということなんであります。同じ内閣にあつて、しかも国の重要政策である問題を、特に大蔵省に所属しておる特別会計にも関係しておるのでありますから、大蔵大臣郵政大臣がそのことについて話をしたかどうか。それから特に大蔵大臣発表したことについて、新聞における真偽は別として、郵政大臣としては関知しないことだということになるのかどうか、この点についてはまだお答えがないのであります。特に池田さんは、この前の米の統制撤廃のときもドツジさんと会つてすぐ、非常に明るい見通しだ、米の統制撤廃ができるのだと言うて、国民信念のほどを示しておつた。ところが数日を出でずして、やむなく実施期日については延長をせざるを得ない、原則としては米の統制撤廃ということにはかわりないが、しばらくそれを続けるのだということになつておるのです。私のお尋ねするのは、事前に何らかの機会に不用意に発言する、それを新聞記者が吹き立てるということになるのですが、責任の地位にある者は、事前国民に通告したことに対して、責任をとらなければならない。これは政治家信念であり、信條です。これを今お尋ねしておるのであつて大蔵大臣としてやつたのだから私は知らないということにはならないので、新聞を見て郵政大臣として、君はこういうことをしやべつておるが困るじやないかと言つて注意されたか。各大臣がかつて発言をして、新聞のことは知らないと言う。自分の所管事項だけについて、私は沈黙しておるのだから、郵政大臣としてはまことにりつばな行動だということでは、私は困ると思います。その場合にはやはり政府全体の責任で、吉田内閣閣僚として池田大臣と常に折衝しておられる佐藤さんであります。から、大蔵大臣がこういうことをしやべつた以上は、それについていかなる連絡をされたか。新聞のことについてもともとと連絡があつたと思いますから、この点について明らかにしておいてもらいたい。これは関連がないとおしやいましたが、関連のあることなんです。つまり郵便貯金利子引上げというその法案をわれわれは待つおる。政府責任のある人が発表しておる。これが間違いであるならば訂正を発表しなければならぬ。訂正しないで黙つておるから、国民が待つておる。これをほおかむりして通すということは許されないことなんだ。だからこれは非常に重大な法案で、これと関連して考えられるべき問題であるから、ひとつ佐藤さんのお考えを聞きたいのであります。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 第一の問題の取扱いの点につきましては、私ども取扱い上恐縮しておる点について、十分御理解をいただいたようにうかがうのであります。そこで御提案といたしまして、実施期日を延期したらどうかというお話でありますが、ただいま私どもといたしましては、一日も早く実施いたしたいと考えておりますので、原案のままできるだけ皆さん方の御賛成を得たい、かように存ずる次第であります。  第二の問題につきましては、もちろんこれは郵政省だけで片づく問題ではありません。ことに郵便貯金の利上げの問題になりますれば、銀行関係を所掌しております大蔵省といたしましても多大の関係を待つのでありまして、ひとり郵便貯金について資金運用部云々の点ばかりではなしに、金融を扱います上から見ましても、これは金利の問題でありますので重大な問題であります。従いまして今回この改正にあたりましては、郵政省として大蔵省と特に緊密な連繋をもつて起案をいたす筋のものであります。そういう部面において大蔵大臣と私との間におきましても、数回にわたつて折衝が繰返されておつたことは事実であります。しかしこの発表自身の問題になりますれば、どこまでも主管大臣といたしまして郵政大臣責任を負うべきものであります、従つて郵政大臣といたしましては、この問題の影響するところ多大でありますので、これの早急なる実施希望いたしますと同時に、それらの取扱い等につきましては慎重を期して参つておるような次第であります。しこうして政治家としての言動等につきまして、先ほど来いろいろ御指摘をいただいておるわけでありますが、私の扱い方について御説のような点がありますならば、十分御批判を賜わりたいと思うわけでありますが、今日の内閣制度自身から申せば、ただいま連帶責任というようなお言葉もございましたけれども、新憲法のもとにおいては、かような趣旨のものでは実はないわけであります。また池田君がどういうような方法でもつて新聞発表をしましたか、あるいは新聞記者諸君とのいろいろな折衝機会に話が出たものでありますか、それらの点については私ども自身はつきりしたものを持つておるわけではないのであります。従いまして大蔵大臣言動等についての責任に対しいろいろお尋ねになりますことは、私自身といたしましてもどうもお答えの仕方がないのであります。しかし重ねてはつきり申し上げますが、郵政大臣といたしまして、この問題の扱い方については今日も慎重を期しておるつもりでありますから、今後も相かわらず慎重を期して参るつもりでおります。従いまして御趣旨のような点については間違いのないようにいたしたい、かように存じておるわけであります。
  7. 受田新吉

    受田委員 非常に御丁重な御答弁をいただいたのでありますが、第一は了承いたしました。第二の問題の大蔵大臣発表は、結局政府の意思ということになると私は思います。そこで郵政大臣発表したのがほんとうで、大蔵大臣発表したのがうそだということが国民にわかつていない。この点においてはつきり政府部内で出たことに対して郵政大臣として、池田君困るではないか、ぼくの主管に関することを新聞に出されて、大衆はこのように納得しているではないか、十二月から利子が上るのだと言つて希望を持つておる。年末金融取締りのときでさえも、その余裕資金を少しでも貯金して、高い利子に持つて行こうとしているではないか、この希望を与えた大衆に対して、この法律ができなかつたらどうするのですか、国民を喜ばせてあとから失望させるようなことでは責任政治と言えない。従つてこの点においては大蔵大臣郵政大臣として、新聞発表に対しての責任をおただしなつたかどうか。これは郵政大臣として、大蔵大臣がかつて言つたからおれは知らないということになれば、この際大蔵大臣の言うことはかつてであつて郵政大臣の関知するとこではないということを、国民政府部内から宣伝してもらわなければならない。これは郵政省からも通達を出して、巷間池田大蔵大臣談話として利子引上げのことについて発表されているが、郵政省としては周知することではないから、迷わされないようにという通告を出さなければいけないと思います。この点佐藤国務大臣は、おれが言うたのではないから責任がないのだ、あるいは池田君がどんなことを言つたか私は知らないということは、私は許されぬと思います。この問題こそあなたが郵政最高行政長官として、大蔵大臣が言うたからというので打消されない問題だと思います。そこをあなたにお尋ねしているのであつて大蔵大臣が言うことは一切責任を持たぬということでは、現内閣を信頼することはできないのであつて、この利子に関する限りは大蔵大臣共同責任ですから、この点について大蔵大臣注意を与え、新聞発表に対して何か注意を与えたとすれば、迷える国民をして郵政大臣はいかにこれを解決するかということをお尋ねするのであります。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お説では郵便貯金法改正は、絶対できないという見通しのもとの御議論のように聞けるのでありますが、私ども最後まで努力をいたしているわけであります。今日なおかつこの手続の完了することを待つている状況であります。従いまして全然見込みがないのだ、実施することができないのだ、こういう点に対してのお尋ねには私答弁に困るのであります。ことに御指摘のように郵便貯金法改正こそは、利用大衆の利益になることでありますので、できるだけ早めに実施いたさなければならないのであります。従いましてまず改正ができ上ることについて、私どもは第一の目的を持つわけでありますので、この目的達成のためにただいまは最大の努力をいたしている次第であります。それから後の問題といたしまして、どうしてもできなかつた場合にどうするかという問題になつていると思いますけれども国民に特に迷惑を与えるような事態が起りますれば、十分私ども責任を持つて善処いたさなければならない問題であります。また今日までの扱い方といたしましては、私と大蔵大臣との間の関係について、一々ここでお話を申し上げる要はないと私は考えますので、その点についていろいろお話をいたさなかつたわけであります。しかしこれらの扱い方については、主務大臣責任においてよく処理して参るのが本筋であります。しかし主務大臣以外の関係において、本来の政策が災いされるとか、またその政策遂行にいろいろの支障が起るという事実があつてはならないことでありますので、それこそ私ども主務大臣といたしまして、十分責任を持つてそういうことのないようにいたして参ることが、私ども責任なのであります。そういう意味において私は先ほど来、主務大臣としては慎重な処置をとつているということを申し上げたわけであります。この点はおわかりであろうかと思います。
  9. 受田新吉

    受田委員 私はこれ以上質問しないつもりですが、大蔵大臣談話は私の責任でないという郵政大臣のお言葉ですが、これはどうかと思います。つまり大蔵大臣談話発表したことに対して、同じ政府部内で、しかも共同責任を持つ大蔵大臣談話であるから、これに対して責任を持たないということは、私は当らないと思います。このことを私は申し上げております。池田さんとの間においてその話合いができているので、それを池田さんが発表したならば、発表したことに対しての責任をやはりあなたから池田さんにおただしにならるべきだ。私としても、まだ会期もどうなるかわからないが、もう数時間のうちにこれを通されるということになれば、大急ぎで審議いたします。これ用意しております。しかし何とか国民の要望にこたえたいと思つているのでありますから、この点において事前に喜ばす意味発言であるならば、これをこういうふうにしたいと思うというくらいの程度ならよいのです。十二月から実施するということに、もう政府として方針がきまつているというくらいの程度で、そこまで努力するというようなところならよいけれども池田さんのあの発表によると、十二月一日から実施するということになつております。政府実施するということになつて来ると、国会政府方針に従うのですから、今は自由党が絶対多数ですから、これは国民は自由自在にできると思つているのです。従つてこういう構想を持つているというようなことで、それをやつておいていただくのがよいと思う。どうも今の政府では、各省大臣群雄割據して、おのおのの立場においてかつて放送をされて困る。郵政大臣相談なしに大蔵大臣がかつてなことを放送するのは、郵政大臣としてもお困りになつただろうと思う。今あなたのお言葉を聞いてほんとうにお気の毒に思うのです。主務大臣相談なしに、かつてなことを言う池田氏のような大臣がいるということは、今の内閣にとつて遺憾であり、特にあなたにとつて遺憾なことと思うのです。同情するのです。しかしこの際閣内における相当な中心閣僚であるあなたから、かつて放送をしないように、それに対しては共同責任をとるように、政府の内部のどの大臣発表しても、皆それに対して互いに注意合つて、こういう新聞発表はどうだ、まだ早過ぎはせぬかというようなことで注意し合うというところまでやつてもらわなければならぬ。私は国民大衆にかわつて大臣お話申し上げているのであつて、決して一個人として発言しているわけではありません。影響するところ大きいあの発表に対してどのように考えますか。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 池田君が新聞に公式に堂々と発表したというものではないようであります。しかしながら当時の経過からみますると、実現可能だという見通しのもとに、聞かれた結果話したものだと私は了解しているのであります。でありますので、今日は本来の趣旨に沿いまして、ぜひとも所要手続を完了して御審議をいただくように願いたいと思います。なお政府部内のことでありますし、私どもはお互いにいつでもひざをつき合わせて話合いのできることでありますので、そういう意味においては、それぞれの範囲におきまして十分今後、まだ注意をいたすべきことは注意をいたして参るつもりでおります。しかし今回の問題について、特に惡意に考える筋では実際ないように思いますので、先ほど来いろいろ主務大臣としての考え方なり、また当時の模様等についても、私の見方を申し上げたような次第であります。
  11. 池田正之輔

    池田委員長 柄澤委員
  12. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 きのう私の党の林委員からの資料の提出をお願いしておきましたが、それに入ります前に、ただいまのことに関連して大臣に少し御質問を申し上げておきたいと思います。  受田委員から再三御心配になつて答弁を要求している点は、国民が知らない間に、国会にもかかつていない間に、主管大臣すら何ら意思表示をなさらないうちに、大蔵大臣がこういう形で一方的に発表になつて行くという点でありまして、私どもは実に納得のできないやり方だと思うのでございます。そういう点につきまして、大蔵大臣が御発表になつたのは、あなたの方からお出しになりました郵政省の独立採算制の歳入歳出の確実な基礎に基いた資料に基いて、やつておられるのだろうと思うのでございますが、そうであるのか、それとも吉田内閣としての方針でもつて、これをやつてもらいたいというふうにあなたの方に押しつけられて来ておるのか、こういうことなのでございますが、おそらくこれはあなたの方の御方針に基いて、発表になつておられると思うのでございます。いろいろな料金の値上げ等が過日の予算の基礎になつて審議もし、すでに通過したものもございますし、また本日も、昨日の午後に出されましたものをきよう中に上げたいという御方針だというので、非常に御丁重な恐縮するというようなお言葉でもつて、私どもの賛成を求められておると思うのでございます。しかしそういうものとうらはらの利子の値上げが、全体の独立採算制という一つの方策のもとにおける方針だと思います。そういたしますならばその方針は、所要手続を完了してから云々ということではなしに、手続以前になぜ私どもに打明けて当委員会に持出されないか、これはまことに納得の行かないことなのでございます。それは当然勉強しておるべきだから、急に法案を出して審議をされても、皆さん熱心にやつてくだされてたいへんありがたいというようなお言葉もございますけれども、それでは私どもは、何か委員会は形式的であつて、ただ法案を出して通してもらえばよいのだ、その一つの機関にすぎないのだというふうに考えられるわけであります。こういう基準に基いてこういうふうな点でこうなつておるのだ、なぜオーケーが出ないのだ、なぜそれは大蔵大臣がそういうことを御発表になるような基礎があるのかというようなことを、もう少し郵政委員会郵政大臣から御発表になつてもよいのではないかと思うのであります。聞くところによりますと、郵政省が運輸省の一庁になるというような案もあるかのごとき風説も飛んでおりまして、まことに心細い状態だと思うのでございますが、大蔵大臣郵政大臣を無視してそういう御発言をなさることも、それらの方針の片鱗というふうに、これは誤解かもしれませんけれども、思うのでございます。受田委員の言われますように、この際郵政大臣が、御自分の所管、御自分の専門のことにつきましては、権威を持つて、間違つたら間違つておるというふうに、大蔵大臣に対して痛撃を加えるぐらいの態度をとつていただきたいと思うのでございます。値上げの方だけはどんどんやりますけれども利子の値上げの方はなかなか進まないということも、国民としては納得ができないと思うのでございます。その点につきましてただいまの受田氏は、非常に不満足なようなことでお引下りになつたのでございますけれども郵政大臣がもしオーケーがとれるのだということをあきらめておらないという腹でおありになるならば、どうなさいますか。きようは二十八日でございますね。あと何日ありますか。これで参議院にまわして実施するというお気持があるのだとするならば、これは審議も何もできないというやり方でなければやれないと思います。そういう腹がおありになるから、大蔵大臣をお責めになることができないのかどうか、その辺のことをひとつ伺いたいと思います。
  13. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 どうも御意見が多岐にわたつておりますので、私非常に答えにくいというか、つかみにくいのであります、どうも少し私の方がぼんやりしておりますので、真意がどこにあるのか、よくわからない。結局お話になるところは、郵政大臣としては所管の事項について権威を持つて処理しろ、こういうことだろうと思う。この点についてはしごく同様でございます。さように考えております。
  14. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 たいへん多岐にわたるというお話ですが、問題は非常に簡単なんです。非常に簡単な本質的な問題だと思いますので、お答えが願いたいと思います。
  15. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今簡單にお答えいたしましたように、本質的に郵政大臣郵政大臣として権威ある処置をしろというお話だと思いますので、さように考えております。
  16. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは大蔵大臣が、あなたの御承認を得ていない問題につきまして、責任のない御発表をなすつたことに対しましてどういう処置をおとりになるお考えでございますか。またどういう経過でああいうことが大蔵大臣の口から発表になつたのでございますか。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほども受田委員お答えいたしましたように、私は正式に発表いたしたとは了解いたしておりません。
  18. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは私ども、いたしまして、あの大蔵大臣発表は正式なものではないというふうに了承いたしまして、よろしいわけでございますか。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は解釈の問題でございます。これは新聞記者との会見等におきまして、正式に発表という場合もありましようし、あるいは会談のその当時におきまして、話が漏れる場合もありましようし、いろいろ社の方の扱い方の問題にもよりますので、かような問題は、特にこの問題を取上げて、記者会見をしたものでないと私は了解しております。
  20. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 たいへん大蔵大臣郵政関係に自信を持つていらつしやるんです。それが私どもにわかりましたのは、この前の預金部資金のときなんでございます。私は郵便局長のむすこで云々というような御発言がございまして、たいへん大みえをお切りになつたんです。池田さんが預金部資金の運用権を郵政省からとつて、かつてなことをやるようになり、金融債なんかどんどんやつたら、これがほんとう国民に徹底した場合には、国民は協力しなくなるだろう。地方の小さな郵便局長も、預金部資金が地方に還元され、公共のために使われるということで、募集がしやすいんだと言つておられる。これを大蔵大臣がまた戦時中みたいにおとりになつてしまつて、かつてになすつたならできないということで、あの当時は大分火花が散らされた。それに対して大蔵大臣は傲然とそり返りになりまして、私は郵便局長のむすこで、非常に郵政行政には明るいんだ、自信があります、こう言われたんです。ですから今度のことなんかも、郵便局長のむすこで自信があるというので、郵政大臣を無視なさつて、あんなことをかつてに言われたのかもしれないのでございますけれども、しかしこういうことを一々笑つて済ましておけないような問題が、次から次と郵便料金の値上げでもつて出て来ている。そういう点で、ここで責任を持つて大蔵大臣に抗議していただきたいという言質をいただきたいのでございます。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御希望だけは伺つておきます。
  22. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 きのうの質疑の方に続きたいと思うのでございますけれども、きのうお願いいたしました資料が、まだいただいてございませんが、できておりませんのでございましたら、御説明が願いたいと思います。
  23. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 昨日来要求せられました資料は、資料の形で要求になつたのではございません。口頭でけつこうということで、きのうは持ち合せておりませんでしたので、あすもう一度聞こうということになつております。  問題は二点ありまして、その一つは振替貯金業務でございます。振替貯金業務自体こしては、実はその計算をしておらないのでございまして、郵便為替業務と一体になりまして、定員を算出しているわけでございます。この点は最初に了承せられたわけであります。その人数がどうなつているであろうかという御質問つたのでありますが、これは今年度予算におきまして一万千二百八十名ということになつております。  それから御質問のいま一点は、今回の振替貯金料金の引上げが、どういう原因で引上げせざるを得なくなつたのだろうかという御質問であります。これは物件費と人件費の増の原因を申し上げたわけでありますが、その人件費と物件費の比率がどういうようになつているか、こういう御質問つたのであります。これは七割が人件費で、三割が物件費という状況に相なつております。昨日求められた資料は、この二点に盡きているように考えます。
  24. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私がお聞きしましたのは、もう少し詳しく、紙などがどのくらい上つたのか、つまり人件費と物件費がどのくらいふえたかという、そのふえたことの要素でございます。人件費と物件費がどのくらい上つたかということは、すでに何べんでも御説明願つたわけでございまして、この料金値上げに関連いたしましての資料なんでございます。
  25. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 私はそのようには聞かなかつたのでございます。全般的に八件費、物件費の比率を聞きたい、こういうことであつたように了承しております。ただ物件費は一体どういう原因で増を来すのであろうかというお尋ねがありましたが、これはこの事業が非常にいろいろな物品を使うわけでありまして、特に紙は非常に使うわけであります。その点の値上りが非常に要因となつておるということは申し上げたのでありますが、紙の単価の値上り等につきましては、別段御質問は受けなかつたわけでございます。
  26. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 今おわかりにならないわけでございますか。つまり物件費の値上り等につきまして、なぜ料金の値上げをしなければならないかという基礎がわからずに、きめるということになるわけでございますか。
  27. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 物件費の値上りは、二一%の増の見込んでおります。
  28. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 金額にいたしまして…。
  29. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 金額については今ここに用意しておりませんが、大体全体で二億五千六百万円、これが補正で増を来しました経費でございます。そのうちの大体三割見当が物件費と見ていただけばけつこうでございます。
  30. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、二億五千六百万円が補正予算の増額の総額で、そのうち三割が物件費ですか。
  31. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 大体そういうことでございます。
  32. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと人件費の値上りは、定員を減らしまして、つまり今度の定員法が通ることによつて、首を切る。そうしこ与給を多少上げることにしての増額になつておるのでございますか。
  33. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 その通りでございます。
  34. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 その内訳はどういうふうになりますか。
  35. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 そういつた精細な資料は持つておりませんので、いずれ必要がございましたら、調べまして、御答弁申し上げたいと思います。
  36. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうすると大臣に伺いたいのでございますが、大臣は收入の面で利子の値上げを計画なさつて歳入をふやそうとしていらつしやるわけでございます。するとただいまの計算では、歳入をふやさないという前提に立つた補正予算に基くところの料金値上げだと思うのでございます。その辺はどうなんでございますか。
  37. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 ただいま申し上げましたように、為替事業並びに振替貯金事業におきまして二億五千六百万円余の経費増を来すわけでございますが、これは最近取扱いが伸びております。その点から申しますと、自然増收でございます。そのほかに自然増收を見ましても、なお今年度三千四百四十万円ばかりの不足を来すのでございます。それはこの振替貯金料金の二割四分の研上げによりましてまかなえる、こういう計算であります。
  38. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この値上げをしても、なおかつというわけでございますね。
  39. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 この値上げによりまして、必要な経費が、自然増收と値上げによる増收によつて收支相償う、こういう計算であります。
  40. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この法案の基礎というのは、補正予算を審議する前に、歳入歳出の面ではでき上つていたわけですか。
  41. 小野吉郎

    ○小野(吉)政府委員 その通りでございます。
  42. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういう事情を知らないで予算を通してしまつたわけでございますが、その責任はどうなるのでございますか。
  43. 池田正之輔

    池田委員長 それはお答えがないようでありますから……。
  44. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは非常に問題だと思うのです。すべての法案が、料金値上げというものを実際具体的な審議をせずに、わくだけで通してしまつたあと委員会で今ようやく説明するという状態ですね。大臣、これは一体どこに責任があるのですか。やはりあなたの責任でしよう。どうなんですか。われわれ郵政委員会責任ですか。郵政大臣責任ですか。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私ども予算を御審議願います際に、どこまでも見積りと申しますか、予算といたしまして案を提出しておるわけでありまして、衆議院におきましても、各党ともそういう意味合いで御審議賜わつておることだと思います。従いまして今回の補正予算提出に際しましても、総わく程度の案はもちろんあるわけであります。これらの点において、これを実施いたします上から見まして、この法律もぜひとも通していただきたい、かように考えておるわけであります。今日この会期中に御審議を経ますれば、いわゆる責任問題云々には発展をいたさなくても済むわけでありますので、一日もすみやかに御審議のほどをお願いいたします。
  46. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 予算は衆議院はもう通してしまつたのでして、参議院から返りまして私ども修正したいという意見は十分持つておりまするが、あなた方はまた多数で押し切るという腹でいらつしやると思います。予算が通つてしまつたあとでこういう状態になつたというのは、醜態だと思うのです。やはりその責任は非常に重大だと思います。
  47. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私はさようには考えないのでございます。予算が国会で成立いたします際に、関係法案その他幾つもあるわけであります。それらのものが全部成立するという予想のもとに、予算の審議が終了いたしまして先に通りましたからとて、別に支障はないものだと私は思います。
  48. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 前国会におきましては少くとも分科会をやりまして、郵政なり、運輸なりというものは、相当専門にわたつて審議できたと思うのです。今度は、私知らなかつたとすれば非常にずさんでございますが、とにかくずさんだといたしましても、値上げの法案が出ていないのです。値上げの法案が出ていないものを、どういうふうに審議いたしますか。それは不郵合でないと言う郵政大臣の方が、ちよつと御無理だと思うのです。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 予算委員会の分科会があつたとかないとかいうこと、これはどこまでも衆議院の問題でありますので、私ども政府といたしまして、それについてとやかく申し上げる筋合いではないのであります。どこまでも衆議院部内の問題だと思います。今法案がないのでどうこうということをお話になりましたが、私どもは予算を出します際に、一応予定した法案を考えるわけであります。それが会期中に皆様方の御審議を経ますならば、それによりましてつじつまが合うのであります。幸いにいたしましてまだ会期中でございます。どうか御了承のほどを願います。
  50. 池田正之輔

    池田委員長 これにて質疑は終了いたしました。  これより郵便振替貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、討論を省略もて採決に入ります。原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  51. 池田正之輔

    池田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたしますが、衆議院規則第八十六條による報告書の作成に関しましては、委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 池田正之輔

    池田委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会