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1951-10-27 第12回国会 衆議院 郵政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十七日(土曜日)     午後零時十五分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 吉田  安君       石原  登君    今泉 貞雄君       小西 寅松君    塩田賀四郎君       高田 弥市君    玉置  實君       坪川 信三君    降旗 徳弥君       山本 久雄君    受田 新吉君       柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      佐方 信博君  委員外出席者         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     八藤 東禧君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 十月二十七日  委員高木松吉君、長尾達生君及び中野武雄君辞  任につき、その補欠として高田弥市君、塩田賀  四郎君及び今泉貞雄君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 十月二十六日  郵政省官製紙二次製品発行停止に関する請願  (田嶋好文紹介)(第三七六号)  津山村に郵便局設置請願圖司安正紹介)  (第四六九号)  宿利原郵便局設置請願前田郁紹介)(  第四七〇号)  渋民郵便局集配局昇格請願山本猛夫君  紹介)(第四七一号)  御明神郵便局集配局昇格請願山本猛夫  君紹介)(第四七二号)  鳥海郵便局集配局昇格等請願山本猛夫  君紹介)(第四七三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第八  号)  郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出  第九号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    ○池田委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案及び郵便為替法の一部を改正する法律案の両案を議題として、前会に引続き質疑を許します。受田君。
  3. 受田新吉

    受田委員 この郵便法改正法律案の中で、第二十七条に二項を起して、同一郵便区の中で発着する郵便物で、重量が百グラムを越えないものは、同一差出人から同一内容のものを同時に百通以上、省令の定めるところによつて出されたものの場合には四円とするという特例があるのであります。これは年賀はがきサービスと同じように、郵政省として原価計算の上において大した負担のないものにこうした措置をされたことに対しては敬意を払うものであります。これと関連するものに二十一条の第一種郵便物私製はがきの場合があります。この私製はがきが、同じ地域の者に大量に出されるという場合には現在の四円でもけつこうでありますが、これを二円とか三円とかいう形に切りかえる必要はないか。これは同じような立場のものだと思います。二十七条の二項と同じ条件のところに百通以上出されるという場合には、その線に沿うものだと思うのでありますが、第五種のみでなくて、同時に第一種私製はがきの場合もさよう取扱うべきじやないかと思います。
  4. 松井一郎

    松井政府委員 ただいま受田委員から、市内特別郵便という制度がせつかくありながら、第一種にはなぜこれを適用しないかといつたようなお尋ねであつたと思いますが、市内特別郵便制度を設けまして、これを比較的低料金でやりたいという問題は、御承知のごとく大体そのコストが中心になつておるのであります。その意味で申し上げれば、一応一種にも適用していいじやないかという議論も出るのでありますが、しかしこの市内特別郵便制度は、個々の通数としてのコストではなくして、相当まとまつた同一のものを多数出される方に対してこれを設けております。     〔委員長退席飯塚委員長代理着席従つて一種は御承知のごとく大体筆書した書状でございまして、筆書した書状を百通以上も出されることはほとんど今日通常あり得ないということが一点。それからもう一点は一種は御承知のごとく建前として封緘しております。封緘したものについて一体内容同一内容であるかどうかということを一々見るわけには参りません。そういうことを考え合せまして、第一種については特にこの制度を設ける必要もない。かように考えております。
  5. 受田新吉

    受田委員 今私第一種と申し上げたのは間違いでありまして、第二種の私製はがきの場合であります。私製はがきを大量に印刷して、そしてごあいさつをするというような場合に、同一町村に百通も二百通も出す場合がある。その場合に、第五種であれば四円だが、私製はがきで、同じく筆書、印刷したものが四円というのは問題だと私は思うのです。もう一つ今度はがきが五円にかりに上つたという場合に、一方は四円で置かれておるということは、かえつて不合理だと思うのですが、この点をひとつ……。
  6. 松井一郎

    松井政府委員 私ども市内特別郵便料金を、幾らに定めるがよいかということについては、いろいろな考え方もございますが、一応これをはがき並料金というふうに考えたのであります。従つてそういう意味合いで、市内特別郵便料金を四円にしたのでありまして、今度はがきが五円になりますれば、やはりバランスを合せて五円にしていただきたい、かように考えております。
  7. 受田新吉

    受田委員 次に封筒とか便箋という民間企業がやるべきものを、官営事業として郵政省がおやりになつておられます。これに対して相当民間企業関係反対の声もあるようであるし、それからこの前小包はがきをつくるときにでも、あれほどの反対陳情が起つたのをあえて断行いたしたのでありますが、この問題について、封筒とか便箋とかを今後も政府として続行する意思があるかどうか、あわせてお伺いしたいのであります。
  8. 松井一郎

    松井政府委員 私ども一般民間十分手に入るものについて、わざわざ役所の方でそれと競争的な意味において、つくつて出して行くというような考えは持つておりません。ただ従来非常に一般民間において便箋とか封筒とかが手に入りにくかつた時代において、やむなくそういうことをやつて来たのでありますが、今日の一般需給状況を見ますると、大体そういうものも一般的に出まわつておるというので、今後新しくそういうものをつくつて、積極的に売り出そうといつたような考えは持つておりません。ただ小包はがきにつきましては、たしかこの前の法律案改正のときにもお答えしてあつたと思いますが、これは初めての制度のことでもありますので、当分は官製でやつて行き、模様を見て将来私製のものを出す余地もある。かような方針で、ただいまのところすぐにこれを私製にするというのは、まだもう少し模様を見たい、かように考えております。
  9. 受田新吉

    受田委員 おとといでしたかお尋ねをして、政府よりはがき及び封書原価計算一覧表を御提出方お願いしたのでありますが、すでに用意はされておると思いますので、この原価計算をひとつこの一種、二種につきましてお尋ねしたいと思います。
  10. 松井一郎

    松井政府委員 ちようどあいにく、ここに関係の書類をお持ちいたしませんので、あるいはもしも間違つておりましたならば、後に訂正させていただきますが、郵便における原価計算というものは、これは非常に他の企業と違いまして、種類も多いしいたしますので、他の原価計算とは若干違うと思うのです。しかし私ども大体昭和二十五年度の下半期における資料をもちまして、郵便事業に要しておるコストというものを、それぞれの種別別に、分担といつた意味において振りわけてみましたところ、大体において第一種書状においては六円四十七銭、第二種のはがきにおいては五円二十七銭、第三種——新聞紙等ですが、これは大体六円三十四銭というのが、現在得られておる結論であります。その程度で御了承願います。
  11. 受田新吉

    受田委員 今ここで資料をいただいたのですが、料金の問題はこれを基礎にしなければならぬと思いますが、これによると第一種六円四十七銭で、十二円にした場合にもなおかつ莫大な、倍に近い収入がある。第二種の場合には現在の四円では一円二十七銭のマイナスがあるということになるのですが、これらについて昨日以来の参考人の御意見などを総合的に見ましても、はがき封書とはその原価において大した違いがないのだ。諸外国の例を見ましても、それが歩み寄りをしておるのだというなまなましい御意見が出たわけです。この点、今までははがきというものの大衆性考えて、なるべく大衆が使うはがき値上げはすまいという基本線があつたと思うのです。これが今回四円、十二円という原案にされたある程度の根拠ではないかと思います。同時に最もサービスしてくれているのが第三種であつて、六円三十四銭もかかるものを非常に安く取扱つてくださつておる。山間僻地で、配達なさる方々が、幾山河を越えて第三種の配達のために非常な労力過重を来しておるというような現状であることを思うときに、郵政省がこの点においても大衆サービス機関の本領を発揮していることをつくづく感ずるのです。と同時に、もう一つ、昨日かの御意見から総合的に見たものは、郵政省事業——官営事業は、民間企業とは違つた立場にあつて政府の責任においての事業であるから、よし収入が少かろうが多かろうが、とにかく国家がこれを保障するという基本線がいるのだというような御意見が圧倒的だつたと思うのですが、昨日までの大臣のいろいろなお話を総合すると、もはや一般会計から繰入れるという対策は立てていない。特別会計によつて資金運用部資金などに郵政省サービスしておるのは、特別会計だから別なんだということになるのですが、国家全体の財政の上から見たときには、郵政業務という大衆サービス事業が、特別会計一般会計という会計が違うがために差繰られておるということは非常に不合理だと思うのであります。従つて郵政業務を今後一層かたく運営するためには、この際思い切つて特別会計方面資金運用部資金運用郵政省から取上げている面を、幾分でも——たとえば五分五厘の利率を大分五厘、六分二厘とかに、率を高めるとか、何らかの方法によつて、もし一般会計から繰入れられない場合においては他の方面で、政府が政策として郵政業務を重視する対策を立てる必要はないかと考えるのであります。とる方は一応とつておく、やる方は一応押えるという形は、特にこうした民衆と直結する官営事業としては、よほど考えなければならぬ問題だと思うのであります。特に今全国局舎などがあのように荒れはてておる、非常におそまつなところがある、特定局のごときは個人の家がまだほとんど大多数であるというような現状を思うときに、せめて発達した諸外国局舎のようなところへ、漸次これを切りかえて行くような対策がいる、こういうふうに考えております。従つて今後資金運用部資金運用権や、貯金簡易保険とかいう方面の得られた利益の一部を、そういう方面へ切りかえて行くような対策が必要ではないか。その点基本線でありますが、郵政大臣としてすでに今日まで数箇月をけみしておられる佐藤さんの御所見を伺いたいのであります。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 郵政省がおあずかりしておる事業全部を総合して収支のバランスがとれるようにしろという御意見であろうと思うのでありますが、郵便事業あるいは貯金特別会計あるいは保険特別会計と、それぞれ実はわかれておるのであります。これらのように別々の独立会計を設けましたのは、国会の皆様の御審議を経まして、これらの事業特殊性から、事業がそれぞれ成り立つて行くようにしたらいいじやないかというような御注意等もありまして、それぞれの特別会計ができ上つたわけであります。従いまして保険なり貯金特別会計の方に余裕があるからといつて郵便事業特別会計に融通することはいかがかと思います。昨日も参考人からお話がありましたごとく、保険においてもし利益があるといたしますれば、それは保険加入者が受けるべき利益であつて、他の事業方面に還元すべきではないという御意見が出ておりましたが、その通りではないかと思うのであります。ただいろいろ運用権の問題につきまして、過日来御意見等も拝承いたしておるのでありますが、この事業建前から見て、総体をひつくるめての場合、あるいはさらに一般会計特別会計の区別なしの場合は、少し論理が飛躍し過ぎるのではないか。そこで御指摘になりましたように、私ども郵便事業本来の公益的な性格から見まして、これによつて特別な利益を上げるというような考え方は毛頭持つものではないのでありますが、この事業自身が一応基礎が強固になり、そうしてサービスを提供いたしまして、国民の信頼を得るようにぜひともして参りたいと実は思つておるわけであります。この点は別に誤解があるわけではないだろうと思うのでありますが、在来の特別会計としての区分がない時分でありましたら、お説のような方法も講ぜられたかもわからないと思います。他の例をとつて申しますれば、たとえば電話電報は明らかに別な仕事のようになつておりますが、これは施設その他も同一に扱つておりますので、電信の特別会計あるいは電話特別会計とはわかれておらないのであります。双方一緒にして実は運営しているわけでありまして、電報の方では赤を出しましても、電話の方からその利益を補給しておる、こういうことを電気通信省の方ではやつておる。従つてそれと同じような考え方を持つならば、郵政省が扱つておる郵便事業あるいは貯金業務あるいは保険業務、その他のものを全部一緒にして、総体事業が立つか、立たないか考えて行け、こういうことも一案には違いないと思います。しかしながらすでに先ほど来申し上げましたごとく、それぞれの事業特別会計を設けて、その間の相互の流用はかたく禁じられておりますので、この点はいかがかと思います。ただ事業性格によりまして、郵便事業一般会計からの補助なしに、どうしてもこうしてもやつて行かなければならないものか、こういう本質的な議論になれば、これはすでに本年度も三十四億の一般会計からの繰入れもいただいておりますように、必ずしも不可能なものではない。かくあつてもさしつかえない。しかしながらまず第一は利用者負担によつてその事業をまかなつて行くという考え方が先行すべきである。そうしてその利用者負担が非常に苦痛になるとかいう場合におきまして、初めて一般会計、いわゆる国民大衆税負担からその事業をもり立てて行くということに相なるのではないかと思うのであります。
  13. 受田新吉

    受田委員 私が考えておりますのは、大臣考えておられる点とやや異なるのであります。今特別会計保険貯金運用を大蔵省がやつている。これを五分五厘の安い利率郵政省へ返還している。そのあてがいぶちで今まで貯金利率は押えられておる。簡易保険にいたしましても、加入者衛生的な施設を持つていないし、全国簡易保険局を見ましても、衛生指導課のようなものがあつたり、あるいは瀬戸内海の海上における諸種の衛生にも参画するとかいうような、そうした大きな線で公共福祉衛生事業に参画するという使命が現在の立場では達せられておらない。貯金利用者も安い利率でがまんし、簡易保険加入者も、保険に入つているというだけで、直接医療施設などを利用することができない関係で今日まで来ておる。運用権で融通をされておるならば、官営事業である簡易保険利用者はもつと便益を受けておらなければならない。それもさつぱりだし、郵便貯金利用者も、貯金はしたけれども、それに対する融資はさつぱりもらえないということも考えられるので、この点は大衆零細資金でもある関係から、こういうもののあてがいぶちをもつとふやす意思はないか。     〔飯塚委員長代理退席委員長着席〕 これを五分五厘で押えて、大衆資金を集める方の骨は折るが、県債は引受けぬということで、甘い汁を吸つて保険事業貯金事業に対するサービスをさつぱりやつておらない、この問題であります。  もう一つ郵政省がそういうところでサービスをしているのに、一方では官営事業でありながら一般会計からは繰入れをしない。局舎の問題にしても、当然これは一般会計から官営事業として繰入れるべき性質のもでありまして、このたびの郵便料金値上げも、できれば独立採算制という形ではなくして、官営事業という立場から国全体の会計の中から見るべき性質のものであると思います。政府方針ができるだけ独立採算制に切りかえようということであれば、申し上げません。もしこれが公共企業体にかわつたとか、民間企業にかわつたというのなら別でありますが、官営事業として郵政事業というものが残されておる限りは、一般会計を忘れてはいかぬと思う。今後インフレの進行によつて費用が多くかかれば、そのとき一般会計から何とかするという御説明でありましたが、そうではなくて必要な場合にはいつでも一般会計からこの方へ繰入れる態勢ができているということにしてもらいたいのであります。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 話が明らかに食い違つておるようでございますが、運用権についての御高見なり、当省が考えております事柄は、いずれ別の機会にじつくり申し上げたいと思います。  ただいまのところ保険特別会計等におきましても、安い金利であるということで、御説のように、その会計自身採算がとれているという状況ではない。さらにまた従業員労働意欲の面から見ましても、それを非常に阻害しておるような状況にあるのでありますが、この赤字自身にその意味合いにおいて運用権を持つておらない現状から見まして、当然一般会計からの利子補給なりその他をいただいて、その方のつじつまは実は合つておるわけであります。ただかくのごとき利益を上げておるから、運用権の方でその利益郵便事業の方へまわせ、こう言われることは、論理的な飛躍があると申し上げるわけであります。この運用権そのものの問題は非常に本質的な問題でありますから、それぞれの特別会計の御審議をいただく際に、私どもの構想も申し上げるつもりではおるのであります。従つて今回の郵便事業特別会計の問題とこれとは別個に考えていただきたい。その特別会計相互の間の助け合いと申しますか、援助をし合うという問題は、同じ役所関係であるから楽なような気がいたしますが、これは本質的に考えれば、いわゆる一般会計から援助を受けることと何ら違いがないわけであります。これが先ほど来申し上げている点なのであります。それが一般会計だとかあるいは特別会計だとかいう名前がつくためにいろいろ議論が混同しやすいと思いますが、その点は財政上から見ますれば明確に区分すべき事柄だと思うのであります。従いましてお説の点で、ただいま申し上げるようにそれぞれの会計不足分をそれぞれの方法によつてつて行く。たとえば郵便事業自身といたしましては、足らないところは一般会計からの繰入れをいただいておる。一般会計でなしに、特別会計運用権の方で利益のあるものをすぐ郵便会計の方へ持つて行けばいいじやないかという御議論だといたしますと、それは一応一般会計の方に繰込まれて、それから入つて来るのだというように区分してお考えをいただけば、お話の筋の通りに今までもそうなつており、これからもなつて行くのではないかと思つております。
  15. 受田新吉

    受田委員 一般会計特別会計を混同するという意味ではないのです。とにかく一般会計から官営事業である郵便事業をオミツトすることに対する議論をしておるのであつて特別会計の方で利益がある分を特別会計サービスしておるのだから、一般会計からもらえという意味ではないのです。一般会計から郵便事業を締め出そうとしていることを政府としては根本的にひとつ考えてもらいたい。官営事業であり、政府事業であるならば、その郵政という一つの部門だけで何とか操作せいというような意味でなくて、国全体の財政からこの官営事業を見ようというところに基本線を持つてもらいたい。だから私の申し上げるのは、特別会計保険貯金の方で上つた利益の一部分を、今度一般会計からこつちの方へまわせという意味ではないのです。この点で、一方でそういうふうなサービスをしておる郵政省であり、また一方では一般会計からこちらの方へもらうという有無相通じた意味一般会計から融通してもらえというのではなくして、一般会計から締め出しをするということを申し上げておるのであつて、この点ひとつ締め出そうとする基本線を打破することを要望するわけです。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 それは先ほど申しましたように、本年すでに一般会計から三十四億円の補助を受けたということで、御説の点は御了承いただけるのです。しかしながら何と申しましてもまず自分たちのところで一応の基本を立てて行く。だから本年ももらつたのだから料金値上げをやめて、一般会計からもらえばいいのだという問題が残るわけですが、そういう場合に一般会計財源ともにらみ合せてみまして、私どもはこの程度利用者負担においてまかなつて行くのが筋ではないかと考えておるわけであります。
  17. 受田新吉

    受田委員 郵便料金値上率国鉄料金値上率比較したときに、国鉄の方は現行料金が以前の九十三倍ということになつておりますが、郵便料金値上げはさらにその倍数に近いものがあると思う。そうしますと国鉄料金郵便料金との比較の上からいつても、郵便料金値上げの方が相当上まわつている。こういうことを考えたときに、官営事業である以上、これを大幅に値上げして、国鉄料金に比べて倍にもなつている料金大衆サービスなどとは言えないわけである。この意味物価指数の観点から考えてみても、郵便料金値上げはある程度押えて、官営事業として国家一般会計——特に今度は千五百億も税増収が見込まれているという国家財政であるならば、三十億や五十億を一般会計から差繰ることは容易ではないかと思うのですが、この点締め出すという意味ではないのだ、必要があればいつでも出すのだという考えになつておられるのですが。それとも原則としてはもう締め出すという形ですか。そこをひとつ伺いたい。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 基本的な考え方において非常な相違があるとは私も考えておりません。従つて今回料金改正いたしますが、前回におきましてはがきのすえ置きを特にいたしましたゆえん、これから別に考え方がかわつているわけではない。ただ私ども考えますのに、総体の問題として見る場合、これを利用者負担にする方がいいのかどうか、また一般会計からの援助を受けるのがいいのかどうか、こういう問題をいろいろ便宜的な問題として考案して参るわけであります。税収入が多ければそれは減税の財源にまわしていただく。税を支払つている者にとつては安い税になる方が非常に直接的でよろしいのではないか。むしろ利用者本位考える。そこで今鉄道運賃との比較がありましたが、私ども考えとして昭和九年時分にとれば、運賃はがきは大体同じ程度ではないか。ただ封書においては鉄道運賃より少し上まわつていると申しますか、値上率が高い、かように考えます。お説のようにこの種のものにつきましては安い方がいいように思います。かつても私この席で申したかと思いますが、理論がどうあろうと、理論で納得が行くものではないので、安い料金に越したことはない。これははつきりしておりますが、同時にこの事業自身郵政省事業ではない。郵政省の職員が従事はしておりますが、自分たちがやつている事業ではない。これは国民自身事業なのであります。従つてこの事業がうまく行くか行かないかということは、国民自身利益関係するわけのものでありますので、かように考えますれば利用者負担ということがまず第一に考えられる筋である。そういう意味料金制をいろいろ考えて参つておるわけであります。
  19. 受田新吉

    受田委員 物価指数の上からの国鉄料金郵便料金の値上の率は、——委員長、私がまじめに質問しているときに、大臣と私語しては困る。郵便料金値上げについて、政府原案に対してわれわれ委員が正しい批判をし、協力をして法案の通過をはかるために努力をしているときに、その不まじめさは何です。あらゆる角度から真剣に討議する委員を侮辱する行為であると思う。もう少し真剣にすべきである。国鉄料金昭和九、十年ごろの運賃比較して現在が約九十三倍、今度それが二割五分引上げられるわけですが、はがきは当時一銭五厘が、現在四円とし、さらに五円となる場合は、その倍数は、四円といたしましても二百何倍となる。こういうことを考えますと、今のはがきにおいてはほとんど違わない、封書においてわずかに上まわるということは、どういう観点からですか。
  20. 松井一郎

    松井政府委員 今ここに正確な指数を持つて来ておりませんですが、きのうもたしか国鉄の津田局長からお話があつたと思いますが、いろいろな物価指数のとり方、また基準年度の見方によつて、その考え方が若干かわつていると思います。先ほど基準として申し上げましたのは、はがきが現行二円という場合の計算であります。それできのうの倍数計算でも、大体はがきの倍率と封書の倍率と、算術平均すれば国鉄並になるのだという御答弁がたしかあつたと思います。
  21. 受田新吉

    受田委員 もう一つ貯金局長さんにお尋ねしたいのです。為替料金の大幅引下げ——下の方は少ししか下つておりませんが、とにかく為替金額が引上げされるということになつた結果、収入の上で何ら対策を立てる必要はありませんか。収入の面における不足をどういう方面で補おうとされるのか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  22. 小野吉郎

    ○小野説明員 今回の郵便為替料金の調整におきましては、千円以下のところで例外なく値上りになつております。それ以上になりますと、ずいぶん従来の料金よりも安くなるわけであります。利用の大体の状況を申し上げますと、五百円程度のところが全体の二五%くらいを占めております。この段階に参りますと、従来の料金は十五円でありましたが、それが今回三十円になりまして、倍額になるわけであります。そういつたところの増収も相当見込み得るのであります。しかもこれは、今回のこの改正が銀行送金等との関係におきましても料金調整をせざるを得なかつたのでありますが、銀行等の送金の料金も五千円以下は五十円となつておりますので、この点については利用減は毛頭算入しない。しかも現金書留の方との比較におきましても、なおかつ五円安くなつております。現金書留は千円まで三十五円となつております。そういう関係利用減は見ない。まるまる増収になると考えております。高いところになりますと、従来といえども、五千円以上が銀行はすべて百円であります。郵便為替の料金は、それと比較いたしますと料金の高いせいもありまして、かつて昭和十五年当時六千万口くらいの利用がありましたが、年々減少を来しまして、現在のところでは三千万口程度であります。その辺のところにつきましても、料金が安くなることによりまして利用が増進されて来ると思います。もちろん今回の郵便為替料金改正は、そういつた料金の調整に主眼を置きまして、増収は何ら期待しておりません。現在得られている程度収入があれば満足するわけであります。その点からいたしますと、大体収支はトントン、ざつと小さい額でありますが、二十六年度におきまして十万円程度当初予算よりも増収を見る、こういうふうな状態になつております。
  23. 受田新吉

    受田委員 この取扱いの件数が、金額がふえ、一万から五万ということが新たに入つて来た関係上、従業員の業務取扱いの上における過重負担ということが考えられはしませんか。
  24. 小野吉郎

    ○小野説明員 その点につきましては、従来と今回の改正の異なる主眼は、料金の調整のほかに、従来為替の主軸でありました通常為替と小為替の制度を統合いたしております。小為替の制度は、御承知通り一覧払いでありまして、手数が非常に簡単なのであります。通常為替は一々局側で相手方に案内を通達しなければならないので、相当複雑な制度であります。これを統合いたしまして、基本は小為替と同様の一覧払いの制度とし、しかも通常為替の安全度に対する考慮も払いまして、相手の払渡し局あるいは受取人を証書面に指定する自由を存しております。従いまして、手数の点から申しますと相当負担が軽くなるように考えております。
  25. 受田新吉

    受田委員 いまひとつ、この為替金額を高めることによつて、銀行の送金に影響すると思いまするが、今郵政省として考えておられるこの為替の利用者程度、どのくらいまでの人が五万円までの程度のものを利用するであろうという想定でもつてこの案をお立てになつたか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  26. 小野吉郎

    ○小野説明員 従来の一万円が最高でありましたものを五万円に今回引上げてあります。一万円のときに、従来二十円を通常為替で料金を徴しておつたのであります。銀行送金では百円で行くのでありまして、二十円高いようでありますが、そうかといつて、階層が主としてどの方面であるかということは私どもはつきりつかみ得ませんけれども、かなりの利用度があるようでございます。そういう状況で、これは一万円が一枚の証書の最高限度でありましたが、郵便為替について二万、三万の送金が絶無である、かようには考えておりませんで、今日連続為替と申しまして、三万円の為替を送るには一万円の為替を三枚送るというような実情になつております。しかも為替事業政府の独占事業ではございませんで、利用者立場から見まして料金関係制度関係等を比較いたしまして最も自己の好むものを選択し得るというふうな状況になつておりますので、さほど銀行との奪い合いという点はなかろう、かように考えております。
  27. 受田新吉

    受田委員 この郵便の為替は、これは直接相手方の所まで送達してくれますので利用者に非常に便宜を供するのです。銀行の送金は、銀行から通知が行つてそこにとりに行かなければならぬという不便もありますし、また現存現金送金、現金書留という道も開けて、直接お宅まで現金が届くという道も開けておりますが、この点郵政省としては非常にサービスをやつてくれるわけで、おそらく銀行を利用しておつた向きの送金も、今後郵便局を通じてなされると思います。これは私は、郵便局が大衆サービス機関として真面目を発揮する非常によい傾向を示すものと思います。同時にこの額面が五万円まで広げられたことによつて今まで銀行を利用した面をこちらが取上げるというので、今摩擦はないとおつしやいましたが、この銀行の送金業務を侵犯するというような点で、何らか銀行との間でお話合いをされたようなことはないのでありますか。
  28. 小野吉郎

    ○小野説明員 さような打合せは全然いたしておりません。
  29. 受田新吉

    受田委員 今後郵便料金値上げに関し、さらに貯金利率の引上げ、あるいは貯金額の最高限度の引上げ、もしくは簡易保険の金額の引上げというような問題は当然起ると思うのでありますが、こういうものに対して一般の市中銀行その他との調節をする必要はないか。そういう送金については何ら打合せをする必要もなし、摩擦もないとおつしやつたのでありますが、これと関連する問題で、貯金及び保険の方のそういう問題についての摩擦、官営事業、民営事業相互の連絡というようなものについて郵政大臣として構想を持つておいでになりましようか。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これらの点につきましては、御想像のごとく相当の摩擦もあることを申し上げておきます。またそれらを今後いろいろ立てて参ります結果、その法案を整備いたして参りますれば、当然皆様の御審議をいただくことになるのであります。そういう際にとくと意見を申し上げてみたいと思います。
  31. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大臣に御質問申し上げたいと思うのであります。私ども委員会委員長に一任いたしましてお呼びいただきました参考人意見を昨日は承つたのでございますが、その参考人の方々の御意見の中で一番問題になつておりましたのは、特に自由党の方の基盤であると思われるような東京商工会議所の理事をしておられます八坂氏などは、そろばんの合わないことを郵政省はやつておるのだ、つまり独立採算制というものは今の郵政省のやり方ではできないようにできておるのだというような御意見もあつたと思うのでございます。これは官業とかいろいろな圧迫の中で自然にあきらめ切つている人じやなしに、民間の新鮮な感覚で今の郵政行政を批判し、新しく料金値上げに直面して、ことに政府がただいまの講和条約で独立した新しい出発を国民に宣伝しておられます関係から、非常に大きな変革ができるんだというような期待も含めてのお言葉だと思うのでございます。私どもきようも受田氏に対しましての御答弁を聞いておりますと、三十四億はすでに当初予算に繰入れたと思うのでありますが、私請求していただきました資料を拝見いたしますと、こちらへの繰入れは一般会計からないわけでございまして、議事進行の上から申しましても、当然——運賃の改訂などにつきましては、特に予算委員会において特別な審議をやつておるのでありますが、郵便値上げにつきましても、特に特別会計であり、また運用権の問題で種々の論議を尽しました非常に問題がある当委員会でございますから、これは予算の審議と並行して行われるのが当然じやないか。予算の審議もまだ入りましたばかりにもかかわらず、本日中にこれを上げて、本会議に緊急上程しようというようなお考えに対しましては、私どもどうしても納得できない。できるならば予算委員会国鉄運賃値上げと同じぐらいに十分討議して、一般会計からどうしても繰入れることができないかどうかということを国家予算全体の立場から検討してしかるべきだと思うのでございます。運賃値上げ国民の生活に関係が深くて、郵便料金値上げは大したことはないんだというようなものとは違うと思うのでございます。そういう点につきまして、大臣は当然予算委員会でもこの問題を審議し、郵政との連合審査ぐらいをやりまして、一般会計から繰入れるか繰入れないかということを検討した上でやるべきだと思うのでございますが、大臣はどうしてもきよう中に上げたいというお考えでございますか、その点はいかがですか。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 郵便料金改正について特に軽視しておるような考えは毛頭ありません。  それから国会審議の問題につきましては、私ども関係でないのでありますからお答えいたしません。
  33. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは当委員会大臣が簡単に、一般会計からは繰入れる余地がないのだというような御答弁ができないはずだと思うのです。これは予算審議を十分尽されてその上であるならば、ここでそういう御答弁をなさつてもしかるべきであると思うのでございますけれども委員長としても大臣としても少し軽率ではないかと思うのでございます。きのうも時事新報の有竹という方が——、これはジヤーナリストの代表として発言なさつたものと私ども拝聞しているのですが、明らかに巨額の自然増収、税をふやすというようなことが言われているが、そういう場合に一般会計から出してもらうことは、税の負担にもなるのだし、減税の建前からということは、これはりくつにならぬというようなことも暗に昨日は言われていたと思うのであります。賠償がどうなるか、外債処理がどうなるかわからぬ、だから含みの財源があつても出せないのだ、こういう御意見もあつたと思うのでございます。そうだとすれば、一体その含みの財源はどういうもので、どういうポケットになつているのか、使わないでとつている何百億という財源がなぜ一般会計からまわらないのかということも御審議の上ならば、郵便料金値上げは当委員会として審議を尽したのだといつて国民に明らかにできるかもしれないと思うのでございます。そういう点につきまして、当委員会はもう少し慎重を期して予算の審議を待つてやるべきではないか。昨日の各参考人の御意見を聞きますと、委員長がお呼びになつた方々の中からほとんどそういう意見が出ているわけでございまして、私どもといたしましては、ぜひその点についての大臣の御答弁を伺いたい。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私ども政府といたしましては、予算案を上程いたします際に、十分各種の収支の状況を検討いたしまして、予算案をつくつているものであります。従いましてその関係におきまして、他から受ける援助を期待することは非常に困難だということを申し上げた次第であります。
  35. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 委員会参考人を呼びますのは、政府側がどんなにおきめになりましても、これは重大問題であるから、本来ならば公聴会を開くべきであるのを、参考人を呼んで、ここで意見を徴するということであろうと思うのであります。そういう参考人意見を取上げました委員会としての態度、こういう立場からただいま御意見を伺つたのでございまして、閣議が初めからおきめになつ基本方針を承るのでございますならば、今御答弁願わなくてもよろしいわけでございます。新たな事態が出ているので、その事態についての御意見を承つたわけでございます。承りますと、修正案が出るというようなことも聞いております。それに対していろいろ御論議もあるということも聞いております。そういう事態でございますから、さらにあらためて御意見を伺つたわけでございます。
  36. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は私がお答えするのでなくて、当委員会の問題であると思います。
  37. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではこの問題はまた委員各位にお諮りすることにいたしまして、別の方に進みたいと思います。  大臣には大きな観点でもう一つつておきたいことがございます。提案理由の中にもございますように、今度の改訂の理由の一つとして政府が大きくクローズ・アップしておられますのは資材の値上り、給与ベースの引上げということも言つておられるようであります。またその大前提として、朝鮮動乱のためということを言つておられるように思うのです。そうすると、政府が朝鮮動乱に協力する政策が続きます限りは、常にこの状態で郵便料金の改訂が行われることになると思うのでございます。そういう点につきまして、朝鮮動乱に吉田内閣が協力するということに対して意見を持つておる多くの国民、これは賛成する人もあるかもしれません。また大部分の人は反対するかもしれないのでございますが、そういう建前から考えまするならば、この方針がとられております限りは、やはり郵便料金値上げ等は防ぎ得ないものだと思うのでございます。大臣としてはこの点についてどういうお考えをお持ちでございましようか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お答え申し上げますが、どうも明析な柄澤委員にしては、ずいぶん極端な御議論をなさると思います。私提案理由で詳しく申し上げましたように、今回の料金の改訂は、物価騰貴による物件費の増加と、給与べースの改訂による人件費の増加等、経営のために必要な経費の不足を補うことが主になつておるわけであります。
  39. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私の言いましたことのどこがあれなんでございますか。
  40. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その二つが大きな原因でありますので、朝鮮動乱云々という問題は、どうしてそういう議論なつたか私にはわからないのです。
  41. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 あなた方がお出しになりました提案理由の中に明らかに「朝鮮動乱勃発以来の物価高騰等によつて」、こういうふうにお書きになつていらつしやるのでございます。まことに私の方がこつけいしごくだと思いますが……。
  42. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いかようにお読みになりますか知りませんが、私どもが申し上げるのは物価騰貴による物件費の増加でございます。その点の時期の問題と、原因の問題は明らかに区別していただきたいと思います。
  43. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 小さいことにこだわるのではございませんけれども、書いていらつしやるのが「挑戦動乱勃発以来の」と書いてあるのでございます。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま申し上げましたように、それは時期についての問題であります。
  45. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この論議は感情的な論議になりますので、いたさないことにしたいと思いますが、一昨日商工会議所の副会頭が電通委員会で言つておられましたが、インフレ政策を押えるという政府が朝鮮動乱勃発後の物価騰貴によつて上げなければならない事態だと言いながら、やはりその大きな波に押されてインフレを助長するということになる、低物価政策に反するということを言われています。そういう点で政府としてはやはり動乱勃発後の状態に順応して、やはり物価はそれなりに政府みずからも上げて行くのだ、低物価政策ではないのだということをお示しになることになると思うのでございますが、それについてのあなたのお考え
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 物価指数その他の観点から、事業遂行上やむを得ない処置としてとつておるわけであります。
  47. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 やむを得ないということは、低物価政策はとらないのだという、——吉田内閣がそういう事態に立ち至つているということだと思うのでございますが、それにいたしましても、郵政省から出ておりますようなはがきの四百倍というような値上げのやり方、つまりはがき昭和十一年に比べますと、四百倍になるというようなやり方が、大臣の御説明でございますと。これは一昨日であつたかと思うのでありますが、一年間休んだから今度は音が下をしてもいいんじやないかというような意見もあるというふうにおつしやつておられたと思うのであります。ところがきのうの民間からの意見を聞きますと、毎年々々値上げで、去年一年しか値上げをしない年がなかつたのだというような逆なとり方でございますが、こういうふうに言つているのでございます。だからもし去年一年休んだのだから、今度は上げてもいいのだというようなことで、昭和十一年の物価を標準にして、四百倍というような値上げがここで行われますことは、先日のお話で一回休んだんだからいいんだというような意見もあるんだというような、民間の意見と逆な意見の方を重視なさいまして、むしろ朝鮮動乱に乗じて高物価政策を政府みずからが範を示すことにもなると思うのでございますけれども、それに対しまして、修正案等のことにも関連いたしまして、御意見を承りたいと思います。
  48. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 たいへんな誤解をしておられるようであります、昭和十一年のはがきは二銭でございました。二銭の四百倍ということは八円ということでございますが、さような高い値上げはいたしておりません。これはおそらく何かの間違いであろうかと思います。それはともかくといたしまして低物価政策なりやということにつきましては、あなたと私の立場の相違だということでお答えをいたしません。
  49. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先日も一番初めに郵政行政についての御説明のありましたときに、大臣は今後わが国は独立国家として出発することになつたのだと言われたことがあると思うのでございます。それに対しましての郵政行政の新しい変革は当然この郵政行政に関する今までの指示あるいは通達、指令というようなものが当然これは日本国独自の立場から全部改廃されまして、新しい出発をすることが独立の資格の一つの根拠になると思うのでございます。そういたします場合に、昨日の参考人も申しておりましたように、郵政行政の場合には、何と申しましても特別会計になつておりますものが、郵便年金とか、保険とかいうものについての、やはり郵政省の行政の責任者としての大臣方針がはつきりされていない。この郵政委員会は今国会が始まりましてから何度も開かれておりますが、どうもそれに対してのはつきりした御方針が示されていないということにあると思うのであります。その点につきまして、この法律に関連いたしましてマーケット少将の指令でございますとか、その後出ております関係の指令が今後どうなつて行くのか、それに対してどういう態度をもつて臨んでおいでになるのかということにつきまして承りたいと思うのでございます。実はそのことにつきまして、今日大蔵省関係の出席を求めていたのでございますが、残念ながらまだお見えになつていないので、ひとつ委員長の方からも督促していただきたいと思います。
  50. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 あるいは言葉の表現が不十分でありまして、誤解をいただいておるかとも思いますが、御承知のように講和条約が調印され、昨日衆議院においてはこれを承認されたのであります。いずれ国会で批准されることに相なろうと思います。そうして条約がりつばに効力を発生するようになりますれば——外国もこれを批准しましてりつぱに効力を発生するようになりますれば、われわれの自主自立の念願が達成されることになるわけであります。従いまして今日ただいま自主自立ができたというような説明であつたとすれば、そういう点は誤解のないように補足しておきますが、私どももさように考えているわけではないのであります。従いまして今日の状況のもとにおきましては、在来の扱い方から見ますれば、非常に軽い感じにはなつて参りましたが、在来のような手続をとつておるということは事実であります。おそらくこの予算が通過し、さらにまた来年度の予算等ができ上る際においては、私ども念願の自主自立の国になり得るだろうと考えます。
  51. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 来年度予算に臨みます際でなければそういう方針ははつきりできないという御答弁……。
  52. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 そういう意味ではありません。現在の気持も私どもは自主自立の国にする、またそういう事態になりましても、さしつかえのないような予算の御審議を願つておるわけであります。しかしながら厳格に申せば、ただいま申し上げましたように、全部の批准が終りまして、完全に効力が発生しなければ、今の状態は停止しないわけであります。そこに時間的なものでわれわれが目標を立てておるものはあるわけであります。
  53. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これは私どもが何といいましても、予算をきめるにいたしましても、運用権の問題にいたしましても、一々これが日本国政府だけの独自の考えではやれないということが、やはり今までの国民の独立していないのだという一番大きな根拠であつたと思います。吉田政府が言つておられますような、今後は独立した日本になるのだということであるならば、郵便料金値上げして大量の首切りをしなければならないというような、こういう重大な郵政行政の危機に立ち至つておる今日、やはりそれに対する意思を示し、行動をもつて一般会計に対しても政府みずから、郵政大臣としては、あの占領軍のもとに一々やられておりましたときですら——今もそうでございますけれども、田村郵政大臣のような、非常に小心と申しますと失礼でございますけれども、非常に党内でも力がないというふうに承つていたような大臣でも、意思表示をしていらつしやるのです。まして佐藤榮作氏というのは、非常に待望しておる、非常に党内でも有力な方だと聞いておりますし、(笑声)そういう方が郵政大臣になられたのに、何らそういうことに対する動きも見せないということは、どうも私納得ができないのでございます。自主独立の道が開かれるというのであるならば、ほんとうに言われておるような独立をしたのならば、今こそこういう行政整理とか、あるいは郵便料金値上げというような郵政行政の危機の際に、それに対する努力なり献身的な行動が伴つてしかるべきだと思うのでございます。その点について、どんなことを実際におやりになつたか。田村郵政大臣は、あんなふうなおとなしい方でございますけれども、ともかく曲りなりにでも努力を続けられたわけでございます。そのことについて、委員会では再三御報告もなすつたわけです。そういうことについて、佐藤郵政大臣から何ら誠意ある御答弁がないわけでございます。
  54. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 機会あるごとに郵政省所管事項についての私の所見は御披露申し上げたつもりでおります。しかして共産党には、私が何と御説明申し上げても、おそらく御納得が行かぬだろうと思います。
  55. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 共産党で御返事を求めておるのでなく、郵政委員会に御報告を願つたのでございます。つまり党のことをお考えにならないで、郵政行政の担当者として郵政委員会に御説明があつてしかるべきだと思います。
  56. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は、この席におきましてもたびたび私は御報告申し上げております。
  57. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 この論議は、どうもこれ以上やりましても御答弁なされないようでございますので——つておいでになるのは、受田氏同様に非常にふまじめだと思うのでございますが、先日の人事の関係に少上触れたいと思います。御答弁によりますと、今度発表になりました一万数千の行政整理をしても、ベースを上げ、待遇を改善して今の人員でやれるのだというお話でございました。ところがきのう組合の方の御意見を聞きますと、これはなかなか困難な事態があるように思うのでございます。現実にどうしても政府に私どもの要求するようなことがいれてもらえないならば、規則通りに超過勤務もやらないで、支払われないところの労働は一切拒否して、私どもの要求を貫徹するため闘うと言つておられます。そういうことになれば、中央郵便局などは郵便物が山のようにたまる。また地方の郵便局でも同様な事態が起きる。ここまで腹をきめておるというようなお話が、参考人として呼びました従業員組合の代表の委員長からあつたと思うのでございます。これは組合のハツタリや何かではなしに、私ども調査してみますと、現実に郵政事業の中では超過勤務手当というものが支払われておりませんし、休養もとつておりませんし、さらに常動的非常勤というような、基準法その他をまつたく無視しました労働者も相当ありまして今の非常に困難な状態の労務を遂行しておるようでございます。ところが予算を検討いたしますと、新しい補正予算には、この常勤的非常勤の勤労者も六千人、月によりましては八千人、一月寺は一万人にもなるそうでございます。正月を間近に控えております今日、それらの予算的措置が、いわゆる物件費の中の賃金の項目に組まれて来たということでございますけれども、むしろ減額してございます。そういたしますならば、超過勤務を拒否するというような事態に立ち至つており、何ら予算的な措置がない、常勤的非常勤をもつて補うところの措置も講じてないところの予算、その予算もこの郵便料金値上げと関連して組まれておるわけでございますが、そういうことにつきまして、大臣は一体どういう責任をおとりになるのでございますか。
  58. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 定員減の問題につきましては、数回御説明申し上げましたように、前回の整理の直後でありますので今回の整理は非常に困難な問題であります。なかなか容易な問題ではありません。しかし私は管理者といたしまして、かくすることが、国民からおあずかりしている郵政事業として最も望ましいことだ、やむなくこれだけのことはしなければならない、かように私は考えましてこの定員減に実は賛成をいたしそうして御審議をいただいておる次第であります。おそらく国民全般の御批判をいただくことだろうと思います。しかしてただいま御指摘になりました定員と賃金定員の関係の問題でありますが、この種の業種におきましては、臨時雇は相当多数いるわけであります。先ほど来議論も出ております年賀郵便の扱い等、そういう時期的な、目に見えてわかる問題があるわけであります。さらにまたそれ以外におきましても、いろいろ事業の繁閑から見まして、やはり臨時的なものを使わなければならない。そういうものが臨時定員として実は組まれておるわけであります。これら賃金用員としての予算も、皆さん方の御審議をいただいて、そうしてこれが正式に出ておるわけであります。別に違法や何かをしているわけではない。ただここに問題がありますのは、率直に申し上げますと、これらの賃金定員のうち常用の諸君も相当いるのではないか。こういうものは進んで定員化すべきもののように思います。しかしこれらのものが今日遅れているという状況にあることは、まことに遺憾でありますが、さような状況であります。しかして今回の定員減の問題は、過日来申し上げておりますごとく、長期欠勤者を定員外に置く。これは今まで定員を食つているが、実際には仕事をしておらない。これを定員外に置くということは、ただちに整理するということではない。過去におきましては長期欠勤者をただちに整理の対象にいたしたわけでありますが、今回はそういうことをするわけではない。しかしながら実際に働かない人を定員として計上すること自身が間違いなのでありますから、これを定員の外に置くということにいたすわけであります。これは現実には定員を食つているが、仕事はしておらないのでありますから、さような処置をとり得るわけであります。同時にまた、せんだつてもここで意見がありすしたが、一般的に見ますれば、いかにも官吏は人が多いのじやないかという肝判を受けておる際でありまするので、行政整理近しというような感じから、年度当初から組合員の協力も得まして、特に欠員も補充して参つていないような状況で、そこにも幾分かの余裕があるわけであります。さらにまた厚い間積極的な新陳代謝をいたしておりませんので、こういう機会に希望退職等も募り、事業の定員の合理化をはかつて参るという考え方でおるのであります。いろいろのお話も部分的に見ますれば、確かに超過勤務についてなかなか思うように勤務手当が出ておらないというような問題もあるでありましよう、あるいはまた休暇の付与が十分できておらないというようなこともあるだろうと思います。しかし今日までのところ、こういう問題につきましては一面業務の簡素化もはかつて参りますし、同時にまた勤務時間中の勤労の充実もはかつていただきまして、超過勤務をできるだけ減らして参るとか、いろいろのくふうをいたして参るつもりであります。かように考えて参りますれば、管理者といたしましてはこの程度のことはぜひともなさなければ、国民に対して相済まない感じがする次第であります。
  59. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 国民に対して相済まないのは結局政府みずからが、労働者に対して払うべき金も払わないで使つて長欠者が出て肺結核で倒れるというようなことをしておられることが相済まないのじやないかと思うのでありますが、そういうことについての大臣の御見解はどうでしようか。
  60. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これは遺憾ながら柄澤さんと意見が違うのであります。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではあなたはそういうふうな不払いから労働者が倒れてもそれは相済まないことじやないのだ、そのことによつて仕事が堆積しても相済まないことじやないのだというふうに仰せられるのでありますか。
  62. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 さようなことを申し上げておる考えは毛頭ありません。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 まつたくふまじめだと思います。国民に対して不謹慎だと思います。実は具体的な例がございます。募集は、一箇月一万二千円であつたものが百十五万円に割当がふえまして、これは局の方から強制的な命令だつたそうでございます。そのために、遂行いたしますことに全力をあげまして、病気になつて倒れた者が二日目に首になつた、その人たちが警察署に涙の出るような、一家心中もできないしという訴願をしておる。これはあなたが郵政省大臣でなかつたときでございますけれども、そういう例はあげようと思うとたくさんございます。それは非常勤、いわゆる常勤的非常勤として本雇いになりたさの一心で、募集ができさえすれば本雇いになれるのだというような、今の実にみじめな郵政従業員の状態というものが、そういう結果を生んで、しかもそのためにそういう状態にある。それに対して先日あなたの部下の御答弁では、そういう事実がございましたら遺憾なことで、ないとは思いますけれども当然そういうことはやめさせなければならないし、今後やらないようにするということを言われたのでございます。しかし今のように超過勤務を払わなくても国民に済まなくないのだというようなお考えで行政整理がやられますと、今後またこういうことが繰返されるおそれは十分ございます。そういう点につきまして、大臣が今まで払わなかつた超過勤務というものは全部正当に払うべきだ。そうでないと郵便料金コストというものは正確に出て参りません。募集いたしました金は全部大蔵省にとられております。あなたは大蔵省からちやんとコストはもらつていると言われました。しかしそのコストは合わないコストで、しかも払われていない超過勤務の労働者の賃金というようなものはコストに入つておりません。私は組合の人たちは、超過勤務の料金をもらわないなどと言わずに、保険募集のコストもやはりもつとかかつているのだということを示して、この分は正当にもらうべきだ、銀行を太らしたり軍需会社にまわされたりしている運用権の問題なども当然これは返してもらうべきだ、これは預金者に対する義務だけでなしに、これを取扱つている従業員に対する郵政大臣としての、最もやらなければならないことではないかと思うのでございます。ですから非常に甘くお考えになつて、今まで超過勤務を払わなくてもやつていたのだからやれるのだ、そのために病気になつた者は定員からはずして二年たつたら大体見通しがつくのだからというようなことで行政整理をおやりになりましたら、非常に無理があると思うのであります。だから今まで払われなかつた超過勤務を新しい予算にどう組むか、今後も超過勤務にはほおかむりしておやりになるつもりか、常勤的非常勤をこのままお使いになるつもりか、それならば今度組んでおります補正予算になぜ計上していないか、この点に関しまして御答弁がいただきたいのでございます。
  64. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろお答えしたい点があるわけでありますが、一番わかりやすい方の問題から片づけて参ります。運用権云々の問題、あるいは今の募集の問題、これはおそらく簡易保険の方の問題だろうと思います。従つて関連的な御意見として私拝聴いたしますが、この点については先ほど受田委員にもお答えいたしましたように、貯金会計の方の際にその実情等についてお話申し上げ、運用権の問題だけは別途にしていただきたいと思います。運用権の問題自身については、この前にも申し上げましたごとく、私どもも当委員会の決議を十分尊重いたして善処する考え方でおりますので、これは別途にお願いいたしたいのであります。そこで郵便事業といわず貯金会計の面といわず、それぞれの部門におきまして超勤の問題が今強く叫ばれております。先ほど申し上げましたように、超過勤務手当につきましては、私どもも法の建前から申しまして予算の範囲内においてこれを支給しておるわけであります。従いましてそこに全部が全部というところにはなかなか行きかねるものがあろうかと存じます。しかし同時にこれらの問題については、本筋から申せば超過勤務をしなくて済むようにするのが本筋なんで、これはおそらく柄澤さんもそう言いたいのだろうと思いますが、そこに私どもの苦心があるわけであります。そのためには業務の簡素化とか、あるいは同時に勤労の充実をはかつていただく、勤務時間中の勤労の強化はぜひともお願いしなければならないように思うのであります。正当の勤務時間中の働きの問題に全然触れないで、そうして超過勤務だけを言うことは非常な片手落ちだと思います。今日のわが国の労働状況から見ますれば、新しい労働法規が整備されましたものの、長い間の悪習慣がなお抜け切らない状況でありますから、これらの点については従業員自身においてもいろいろ主張しにくい点があるのではないかと思うのであります。一例をとつて申しますれば、定時退庁というようなことが今日しばしば争議の一形態として叫ばれておる。これあたりはよほどおかしな話であります。定時に退庁するのが本筋であります。超過勤務をやらなければどうしても仕事がはけないかどうかという問題になつて来れば、これは意見の相違が多分にあるわけであります。そこで私ども従業員並びに管理者が一体となりまして、勤労者自身にも負担を加重せず勤務時間中に仕事が終えるような仕組みにぜひともして参りたい。しかしこれはそう簡単に申しましてもすぐできる問題でもなく、なかなかなかふうを要することです。またいろいろ苦心も要することだと思います。また場所等によれば現在員ではどうしてもまかなえないものもあるだろうと思います。今日の意見の対立から申せば、現在の状況、たとえば超過勤務手当を支給しておる割合あるいは休暇が付與されていない状況から見れば、ただちに定員増加の要ありということが主張されておりますが、ここが私ども管理者として特に考えなければならない点であります。そのよつて来たるところの仕事の量ということも十分検討して、正常の労働状況にこれをかえて行くというのが実は私どもの念願なのであります。従いまして私どもは、今日管理者といたしましてただいま申し上げるような方向においてりつぱな事業をやつて行く、同時に従業員の積極的な協力をお願いするという考え方でおるわけであります。
  65. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 業務の簡素化、企業の充実ということでございますが、貯金局などを機械化するというようなことを承つておりますが、そういうことも実施なさるような御方針でございますか。
  66. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 郵政事業の機械化ということはなかなか容易なことではないのであります。大部分が人力によるというような現状であります。従いまして機械化はいろいろの面では言われておりますが、なかなかこれをただちに採用するということは困難ではないかと思います。最近外国等へも参つていろいろ実情を調べておりますので、くふうはいたしておりますが、今ただちにそれが大きな効果を発揮することは期待できない状況であります。
  67. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 貯金局で現実にそういうことが試みられておるということを承つたのでありますが、それの実績はいかがでありますか。
  68. 小野吉郎

    ○小野説明員 現在どういうものかまだ試験中であります。
  69. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 充実するということをおつしやられたのでありますが、これは結局勤務時間中まだ十分に能力が発揮されておらないという御意見でありますか。
  70. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 総体として云々申し上げるわけには行かないと思いますが、場所的におきましてそういう感じのするところもあるわけであります。
  71. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほどの質問の中の常勤的非常勤の予算的措置がないという点、これが数千名に上つておるという問題であります。全官公庁職員八十数万の今の定員のほかに四十数万という非常勤があるのでございます。郵政省の場合はそれほどの比率ではございませんが、しかしこれにつきましてはどういうふうになさるおつもりですか、予算がないからやめるというようなことじやないと思います。
  72. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお話たいへん意外なことでありまして、賃金用員に予算がないというお話は私実は初めて聞くのであります。予算がないところにさような人間がおるわけは絶対にございません。何かの間違いじやないかと思います。
  73. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私の言葉が言い足りないのでありますが、減額になつておるのでございます。それにつきまして係の方の御説明が願いたいのであります。これは資料も要求してあるはずでございます。
  74. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 普通公務員と賃金で雇われます職員との間に差等のあるのは当然であります。従いまして給与が違つておるということは当然であります。賃金定員の場合の単価と普通定員の場合の單価との相違は当然であります。
  75. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 やはり実情がおわかりにならないのだと思います。私はその点を存じております。職種別賃金で労働省の告示できまるということも承つておりますが、しかし予算的に組まれて保障されていないということでございます。これは人事院からもらいました数で、保障されておるのでございますか。郵政省関係が減額になつておるのでございますが……。
  76. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今申しましたように、一般公務員の定員に組まれております予算単価と、賃金用員の単価とは違うわけであります。従つて賃金で支拂われる人はその予算に縛られて参るわけでありますので、予算がなければそういう人を使うわけには行かないということははつきりしておるということでございます。特に単価を引き上げて使いますれば、その予算でまかなえなくなりますから、数は減るということになります。
  77. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 常勤的非常勤の問題について福井の裁判所で裁判にかかり、たしか鶴見という人事院の方が証人においでになつたと思いますが、常勤的非常勤の首切りの場合は、当局側が裁判に負けている事実がございます。そういう事実がございますように、やはりこれは当然身分保障があつてしかるべきだ、簡単に首が切られるものではないと私ども承知いたしているのでございます。今度ベース・アップになりまして、一般が上り、常動的非常勤が上らないということは妥当でないという御意見は、せんだつて委員会で承つたのでございます。ところがそれの予算的裏づけがないようです。そうするとこれはどうなつて行くかということでございますが、大臣の御見解を伺います。
  78. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回の措置は、定員減をいたすのであります。その賃金で支拂われる予算上の問題には触れておらないのであります。これだけははつきり申し上げておきます。今回は定員自身を減らして行く、だからいわゆる賃金用員といわれておりますものの予算はそのままになつているということであります。
  79. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 実情にうといというと失礼でございますが、常勤的非常勤について郵政省の担当者の方から御答弁をいただきたい。つまり常勤的非常勤というのは人事院の規則の中にも入つておりまして、ただ単なる非常勤とは区別するわけであります。超過勤務すら抑えないという郵政省の実態でありますが、仕事を遂行する上には常勤的非常勤で補つていることは明らかな事実なのでございます。今度のベース・アップの場合には、それらがどういうふうに考慮されているかということでございます。
  80. 佐藤榮作

    佐藤説明員 しばしば大臣からも御答弁がございましたので、柄澤委員も御存じだと思いますが、郵政省におきましては非常に事務に波がある。たとえば年末においては急激に物数は増加する。あるいは中元等におきまして夏に非常に増加する。さように季節的な変動があつたりいたしますので、臨時に人手を借りて処理するのが長い間の業務の実態になつている。それがいわば常勤的職員の大半を占めるものであります。この予算につきましては、毎年私どもといたしましては、本年度において大体どのくらいの物数が出るか、それについてどのくらいのいわゆる常勤にあらざる人間を雇い上げる必要があるかということで予算をとつているわけであります。本年度におきましては大体七千万円ほどとつてあります。今お話の中にありました常勤的非常勤という言葉は、私らの通俗語でございます。要するに単に季節的に使うというのではなしに、ある程度民間でいいます常雇いであります。それに近いようなものになつている。これがいわば私どもの通称している常勤的非常勤であります。これが大体におきまして予算の数からいつて年間延べ三百二十万人くらいでございます。その中で延べ百七、八十万人が常勤的に一月のうち相当数多く雇う必要があるだろうと考えている次第でございます。それが今常勤的とおつしやいました非常勤の人員の実情でございまして、このべース・アップ等に関しましては、これはまだ予算等についてはつきりいたしておりませんが、予算の許す限りにおいてできるだけその方々の救助をはかりたいということを念願しておる次第でございます。
  81. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうしますと、今度の予算には組んでいないわけでございますね。
  82. 佐藤榮作

    佐藤説明員 御存じのように、非常勤の中で常勤にまわるものと申しますのは、電話等におきまして委託業務というものを私どもつておる。それが電通省に直轄になつたり何かいたしますと、電通省に移されまして、郵政省からいなくなる。そういうものについて、現在おりまする非常勤職員に対する賃金額の、私どもの必要といたしまするものは計上してございます。
  83. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 非常勤というのは、ペース・アップになりますのに比例してあげてあるという意味でございますか。
  84. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その通りです。
  85. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 その部分に該当しますものは、大体百七十万でございますか。
  86. 佐藤榮作

    佐藤説明員 先生のおつしやいますのは、常勤的非常勤の年間の延人員でございますね。それは大体百七十万と押えていただけばよろしいと思います。先生の御要求によりまして、資料は別途つくつております。
  87. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 月割にして六千七百から八千四百……。
  88. 佐藤榮作

    佐藤説明員 そうでございます。御承知のように大体一月に何日くらいするか、それを年間大体三百日前後に割振りをすると、おつしやいましたような数字になるわけでございます。
  89. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 十年も非常勤的常勤という人がいるということを聞いておりますが、一体それはどういうわけなんでございますか。何年くらいたちましたら、常勤として定員に繰入れるというようなことがございますか。そういう原則はないのでございますか。
  90. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私、非常に意外なお話を聞くのであります。おそらく何か間違いじやないかと思いますが、大体今申し上げます準臨時的な人は、その場限りになる人もありますが、郵政省と因縁を持ちまして、将来学校を卒業すれば郵政省に入りたいとか、年賀のお手伝いをして、それで非常な関心を持ち、郵政省に入りたいというような人もあります。あるいはまた地方の局等におきまして、ほかに出て行くところもないし、郵便局へ出て参りましていろいろと手伝をしておる。その中には、お話申し上げました電話の仕事をしておる、いわゆる委託業務に携わつておるというような者もあるだろうと思います。これらの者で、常時勤務するような人たちは、できるだけ早い機会に定員化するのが当然であります。これを反対する理由は毛頭ない。しかしそれが特別な理由で遅れましても、まず十年ということはないだろうと思います。  もう一つ申し上げておきたいことは、今は別に見習定員というようなことはないわけで、一定の期間日雇いにしておる。そうしてその期間を経過してどうこうということはないと思いますが、しかし電話のような仕事になりますと、やはりその人の適、不適があるわけでございまして、その養成的な考え方のもとに、臨時に採用しておる者もある。そういうような者が本定員になるのは一応の見通しがついたときであります。こういう制度は、事業性格から来る当然の一つの措置なので、その性格自身が悪いとはなかなか言いにくいと思いますが、その中身の運用につきましては、管理者として特に注意をしまして、そしてそれを定員化して行くようにくふうしなければならないものであることには間違いはございません。
  91. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 大臣は御存じだろうと思いますが、これは健康保険法も適用されなければ、共済組合法も適用されなければ、あらゆる諸手当の恩恵もないということでございます。大体これのコストは、一般の従業員に比べてどのくらいになつておるかということを伺いたいと思います。
  92. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お話のように、一般公務員ではないのですから、その扱い方が違うのは当然なんであります。ただそこで問題があります。私もしばしば組合の諸君から要求を受け、非常に同情をしておりますが、いわゆる常勤的非常勤という部門についての問題がいつもあるわけであります。それについての基本的な考え方は、先ほどお話し申し上げた通りであります。だがしかしこれは全然この種の制度がなくなるわけのものではない、これだけは一面において御承知をいただかなければならぬと思います。
  93. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 コストを伺つておるのです。
  94. 佐方信博

    ○佐方政府委員 現在の定員の日額に、石炭手当、扶養手当、勤務地手当あるいは割増しの場合には、超過勤務手当の金額も算出して加えて出しております。
  95. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 その額を具体的に伺つておるのです。
  96. 佐方信博

    ○佐方政府委員 そういうこまかい資料はあとでつくつて差上げます。
  97. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 お願いしてあつたのは、まだ出ていないわけですね。
  98. 佐方信博

    ○佐方政府委員 それはまだございません。そのことはお聞きしてなかつたと思いますが……。
  99. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そうでしたか。大体半分くらいだと承つておるのでございますが……。
  100. 佐方信博

    ○佐方政府委員 そんなことはありません。
  101. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そんなことはないと言うのは、もう少し率がよいのですか。どのくらいのベースになつているか、大体でよろしゆうございます。
  102. 佐方信博

    ○佐方政府委員 その資料は持つて来ておりませんので、……。
  103. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私責任を持つてお答えしてよいと思いますが、常勤的非常勤についての給与は、いろいろな法規の適用は先ほど来申し上げるように別でありますが、給与そのものの面におきましては、いろいろくふうをいたしまして、差等を設けないように扱つているということを事務当局も申しているわけであります。先ほど来申し上げましたように、総体の予算はきまつておりますから、その中味は、給与がだんだん高くなつて今回のように給与を引上げる際には、これも増加というか、単価を上げて参りますが、特に高い賃金を支給するとすれば、人員は減らざるを得ないということになるわけであります。この点では、いろいろの災害給付その他の規定の適用上は何かと問題はありますけれども、扱い方として特別の差等を設けるわけには行かないのです。だから実際上いろいろくふうをしておる。さような状態でありますから、なぜそれを定員に移さないかという問題が起るわけでありますが、そういう者は時期を見て繰入れる、かように申しているわけであります。
  104. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 もう一点だけで終ります。大体定員に繰入れるべきものだという御方針のように拝承したのですが、今問題になつております長欠の基準は、どのくらいのところに置くのですか。
  105. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大体三箇月を長欠と申しているわけでありますが、今度は特別な診断書等を必要とすることになると思います。  それから今の定員化の問題でありますが、これは誤解のないように願いたいと思います。と申しますのは、いわゆる常勤的非常勤については特に考慮が払われるということでありまして、全部の非常勤に対してということではありませんから、この点は、誤解のないよう願にいます。
  106. 池田正之輔

    ○池田委員長 これにて質疑は終了いたしました。  暫時休憩いたします。     午後二時休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  107. 池田正之輔

    ○池田委員長 休憩前に引続きこれより会議を開きます。  ただいま委員長の手元に風間君より郵便法の一部を改正する法律案に対し、修正案が提出されておりますので、その提出理由の説明を求めます。風間君。     —————————————
  108. 風間啓吉

    ○風間委員 お許しを得まして、修正案を提出さしていただき、その説明をさせていただきます。  本案は、本委員会に付託されまして、ここに三日間にわたりまして、各委員のまことに御熱心なる御意見の開陳があり、また当局者のこれまた御熱心なる御説明がありました、原案もまことに理想的にでき上つておると感心をいたしたのでありますが、各御意見を参考といたしまして、私は政府原案に対しまして、次のごとく修正をいたしたいと思うのであります。    郵便法の一部を改正する法律案に対する修正案   郵便法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二十一条の改正規定中「十二円」を「十円」に改める。   第二十二条第二項の改正規定中「四円」を「五円」に、「八円」を「十円」に、「五円」を「六円」に、「三円」を「四円」に改める。   第二十七条の改正規定中「十円」を「八円」に改める。   第二十七条の二中「四円」を「五円」に改める。  以上のごとくでありますが、その理由といたしましては、昨日も参考人各位の公述にもありましたが、今回提出の政府原案中、書状はがき料金として、書状十二円、はがき四円は、各国の例を見ましてもあまりに開きが大きく、公衆の利用上から考えましても不便が多いと思われます。また郵便事業における原価から考えましても、従業員の取扱う面から見ましても、はなはだ不合理のように思われますので、この際修正案のごとく書状十円、はがき五円といたしたいと思うのであります。以上のごとく修正案を提出いたします。
  109. 池田正之輔

    ○池田委員長 それでは郵便法の一部を改正する法律案を議題とし、討論を省略して採決いたします。まず風間君提出の修正案について採決し、次に原案について採決いたします。  それでは風間君提出の修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  110. 池田正之輔

    ○池田委員長 起立多数。よつて風間君提出の修正案の通り決しました。  次にただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いた原案について賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  111. 池田正之輔

    ○池田委員長 起立多数。よつて本案は修正議決されました。     —————————————
  112. 池田正之輔

    ○池田委員長 これより郵便為替法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する討論は省略し、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 池田正之輔

    ○池田委員長 御異議なきものと認めまして、討論は省略されました。  これより郵便為替法の一部を改正する法律案を議題として採決いたします。本案の原案に賛成の諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  114. 池田正之輔

    ○池田委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決しました。  この際お諮りいたしますが、衆議院規則第八十六条による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 池田正之輔

    ○池田委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。  次会は公報をもつてこれをお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後二時十三分散会