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1951-10-26 第12回国会 衆議院 郵政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十六日(金曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 白井 佐吉君 理事 吉田  安君    理事 石原  登君       玉置  實君    坪川 信三君       中野 武雄君    降旗 徳弥君       山本 久雄君    受田 新吉君       柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (経理局長)  中村 俊一君  委員外出席者         参  考  人         (日本国有鉄道         営業局長)   津田 弘孝君         参  考  人         (時事新報社編         集局長)    有竹 修二君         参  考  人         (東京商工会議         所理事)    八坂 雅二君         参  考  人 進藤 誠一君         参  考  人         (全逓信従業員         組合中央執行委         員長)     永岡 光治君         専  門  員 稲田  穣君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 十月二十五日  大正町に無集配特定郵便局設置請願荒木萬  壽夫君紹介)(第二四四号)  郵便切手に蜜ばちの図案採用に関する請願(水  野彦治郎紹介)(第三三五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第八  号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 これより会議を開きます。  前会に引続きまして郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は一般的関心及び目的を有するきわめて重要な法案でありまして、本委員会といたしましては慎重なる審査をいたし、去る二十四日の本委員会において、郵便法の一部を改正する法律案について各界より参考人として御意見を承ることに決定いたしまして、本日ここにおいで願つた次第であります。本日参考人各位から、多年の経験と研究に基く貴重なる御意見を拝聴いたしますことは、本委員会における審査に一層の権威を加えるとともに、多大の参考になることを確信いたすものであります。私はここに委員会を代表いたしまして、本日御出席くださいました参考人各位に対しまして深甚なる謝意を表しますとともに、忌憚なき御意見を述べられんことをお願いいたす次第であります。  それでは会議を進めるにあたりまして、その順序を申し上げますと、まず参考人全部の方々から御意見を承つた後におきまして、時間がありましたら委員諸君から参考人方々への質疑を許すことにいたしたいと思います。参考人発言時間は、大体一人当り十五分間くらいでお願いいたしたいと思います。なお発言発言席でお願いいたします。発言のときは御職名と氏名をお述べになつていただきます。本日おいでになりました参考人氏名を念のため申し上げます。有竹修二君、進藤誠一君、津田弘孝君、永岡光治君、八坂雅二君、右の五君でございます。  それではまず津田君より御意見を述べていただきます。
  3. 津田弘孝

    津田参考人 私は日本国有鉄道営業局長をいたしております津田弘孝でございます。本日今回の郵便料金値上げにつきまして参考人としてお呼出しを受けましたので、これにつきまして私の国鉄側としての意見を簡単に申し上げたいと思います。  実は今回の郵便料金値上げと同時に、本国会における国鉄運賃値上げの御審議を目下お願いいたしておるのでございます。国鉄運賃値上げ理由といたしましては、最近、なかんずく朝鮮事変以後における物価の非常な高騰と、従業員の賃金のベース・アツプの二つを主たる要因といたしまして、運賃値上げをお願いいたしたいということに相なつておるのでございますが、運賃値上げについて、やはりこのような公聴会聴聞会審議会等々がございました際に、皆様方の御意見は、運賃のある程度値上げはやむを得ないけれども、その前提として、またその条件として経営合理化とサービスの改善が必要であるというような強い御要請があつたのであります。今回の郵便料金値上げにつきましても、おそらく同じような要望が各方面からなされておるのではないか、またそれに対しましては郵政省当局とされてもいろいろと計画をなすつておられることと思うのでございます。それはさておきまして、郵便料金、なかんずくはがき料金国鉄旅客運賃というものは明治のころからお互いに似たような歩みを続けて参つておりまして、はがきが一銭五厘のときには鉄道運賃も一キロ一銭五厘であつた。そういうお互い関係を数十年続けて来ております。これを私ども経済平時年次として基準にとつております昭和十一年のころと比較してみますと、お手元に半きれの紙を差上げてございますが、それでごらんになりましても、昭和十一年においては鉄道旅客運賃は三等一人一キロ一銭五厘五毛であつたのであります。これは一人のお客さんを一キロ運ぶ際にちようだいする運賃の額であります。現在においてはそれが一円四十五銭で、昭和十一年に比べて九十三倍になつている。ところで今回改正を御審議願つている一キロ一円八十五銭ということになりますと、その倍率は昭和十一年に対して百二十九倍になるわけであります。一方郵便料金の方はどうかと申しますと、はがきについて申し上げますと、昭和十一年には一銭五厘でございました。それが二十六年現在においては二円でありまして、十一年に対して百三十四倍ということになつております。今回政府から出されております値上げの案が、はがきについては四円ということなので、一銭五厘に対しまして二百六十八倍になるわけであります。次に封書について見ますと、十一年当時は三銭でございました。それが現在は八円で二百十九倍、改正される封書料金十二円というのは四百倍ということになるわけであります。これで見ますと、はがきの二百六十八倍といい、封書の四百倍といい、鉄道旅客運賃の今回値上げされても百二十九倍であるというのに対しましては、ある程度高率のようにも思われますが、一般物価指数をとつてみますと、お手元の半きれの紙にもありますように、昭和十一年を百といたしますと、卸売価格においては、二十六年の八月において三万三千六百、つまり三百三十六倍になつている。小売価格については、昭和十一年を百とすると、二十六年の八月は二万九千五百、やはり三百倍近いところに行つているという点から考えますと、はがきが二百六十八倍、あるいは封書が四百倍というのも一般物価に比べては必ずしも高くはないのではないか。これは子供の算術みたいになりますが、この二百六十八と四百とを足して二で割ると、ちようど三百三十倍くらいになりまして、卸売物価値上り率と同じくらいになるということで、一般物価の面から見ますれば、今回の郵便料金値上げは、一つの例をはがき封書にとつても、この程度値上げはやむを得ないということが言えるのではないかと考えるのでございます。郵便料金値上げについての私の意見は以上でございますが、この際この問題とちよつと離れるかとも思ますけれども国鉄として郵政省なり本委員会にお願いをし、御協力を仰ぎたい問題が一つあるのでございます。それは御承知のように、郵便はその多くは国鉄の線路の上を特別の貸切りの郵便車運般をされておるのでありますが、現在この郵便車を走らして、郵政省からどのくらいいただいているかと申しますと、郵便物を一車一キロ走らせるごとに三十六円を郵政省から頂戴しておるのであります。ところが二十五年度のコスト計算を私の方でいたしますと、一車一キロについて五十三円二十銭というコストに相なつております。これを本二十六年度においてはいろいろな人件費物件費も上つておりますので、一車一キロ大体七十円程度コストがかかるという計算になります。従いまして、七十円のコストがかかるものを、現在は一車一キロ三十六円で運んでいるという次第でありまして、はなはだしく運送原価割つているということに相なつております。この郵便物運送料金の決定は、郵便物運送委託法というのがございまして、その第五条の規定によつてコスト基準として、運輸審議会の答申をまつて運輸大臣が決定するということに法律において定められておるのであります。かような次第でありまして、現在国鉄が莫大な損失をこうむつて郵便物運送を委託されておるような状況でございますので、少くとも原価を償う程度にこの運賃を直していただきたいということを郵政省の方にお願いしているわけでございますが、それについてもやはり郵便料金値上げを願わないと、国鉄の方でいただく運賃も上らないということになりますので、かような意味においても、両々相まつて今回の値上げは妥当ではないか、かように存ずる次第でございます。(拍手)
  4. 池田正之輔

    池田委員長 次に有竹君。
  5. 有竹修二

    ○有竹参考人 私は時事新報の有竹修二でございます。結論を先に申し上げますと、いろいろな事情から考えまして、この原案はまあしようがないじやないかということであります。別な案で、四円、十二円でなくて、五円、十円にしろという案がおありのようですが、これでもよろしい。どちらにしても大差はない。これは技術的な話になるわけで、大体上るということそのものにはまず賛成していいのじやないかと思います。これが結論であります。  郵政当局のこの値上げに関する説明を聞きますと、朝鮮特需以来の物価の騰貴、その他経費がかさむため八十三億の赤字が出る、それを補填するためにこれだけの値上げをするのだということで、一応納得するわけでありますが、それはあくまでも通信事業特別会計というわくの中でものを考えた場合の話であります。私はもつと広く、国の財政全体の視野に立つた大きな政治の面から見て、一つ条件を付して、今の原案はやむを得ないという結論になるのであります。その条件は、戦災をこうむりまして、全国にまたがる郵便局舎がたくさん焼けたので、その修理復旧に巨額の金を要した、その経費独立採算制通信事業特別会計の中からまかなつて行く、それやこれやいろいろなことがかさんで、なかなか独立採算制でバランスが合わない。そうして昭和十九年か、二十年からほとんど毎年のごとく料金値上げがあつた。昨年一年休んだぐらいで、ほとんど毎年のごとく国会郵便料金改正案が出ている。一体こんなことでいいのか。非常に不安定な、変態的な国家財政状態の中に置かれての話でありますが、毎年また上げなければならぬということがずつと続くのじやないかということを私は憂えるのです。  そこでどうして一般会計から繰入れをしてもらえないのか、またそれがどうしても出せないというのならば、通信事業公債というのを出して、局舎修理修復、営繕の方の金に充てる、そうして値上げをしないで行くというようなことができないものかということがあるのであります。すなわち今日この席で郵政当局を責めるよりも、むしろ大蔵大臣総理大臣に聞きたいということになる。聞くところによりますと、今年は巨額な税の自然増収があるにもかかわらず、財政は非常に苦しいということであります。一般会計は苦しい、郵便事業特別会計に繰入れることはできない、お前たちだけでかつてにまかなつて行け、こういうことですが、これはどういうわけかと、まず大蔵大臣に聞きたいのであります。  またもう一つの問題は、今昨常に大きな問題で未確定な要素がたくさんあります。すなわち賠償の問題が今後どうなるか、どういう金額のものが各国から要求されて来るのか、これがわからない。それから過去の外債の処理がどうなるか、こういつた大きな未確定な問題が残されておるのであります。それゆえに、含みの財源があつてもこれを表に出さずに押えておるのだというように理解されるのでありますが、そこいらをもう少しはつきりしていただきたい、そういうことが一つ。それからこういう変態的な事態、大きな不確定な問題が残されておるという今日に処するためには、できるだけ仕事を簡素にやつて行かなければならぬと私は考える。それを考えますと、やはり電気通信省郵政省を元の逓信省の形にもどす、電信電話郵便事業、貯金、保険、これはみな一省でやつて行くという、こういう簡素な形において、どこかで損をしてもどこかでもうける、そうして独立採算制でやつて行く、こういう形にいち早く還元すべきではないかということ。それでどの程度が浮くかわかりませんが、ただいまお話になりましたように、昔の三銭、一銭五厘というときと、物価指数から見て、今物価指数が二百三十倍くらいになつておるから、この程度料金は妥当だ、こういう議論が一般にあるわけですが、私は通信事業というものを国家経営しているという本来の立場から考えますと、物価指数的に、他の物価がこれだけ上つておるから郵便料金もこれだけ上げていいという考え方は少し疑問があるのではないかと考えるのです。つまり通信料金というものは物価かどうか、物価ではない。国家経営している以上は手数料だ。余つた金一般会計に繰入れた分は税金になる。一ぱい一ぱいでやつているなら手数料、これを普通の物価考えるところに多少の疑問があるのではないか。物価的に考えないでやつて行けるような形に通信事業をもどすのが、国家の手において通信事業をやつて行くという本来の趣旨に沿うゆえんじやないか。そういう意見を付しまして、大体値上げは今日はまずやむを得ないという結論を申し上げて、私の意見をこれで終ります。
  6. 池田正之輔

    池田委員長 次に八坂さん。
  7. 八坂雅二

    八坂参考人 私は東京商工会議所理事八坂雅二でございます。  商工業者立場から申しますと、この通信費は相当重要な経費であります。そういう関係で、現在郵便料金値上げはやむを得ぬのでありますが、なるべく少くしていただきたいと考えます。この原稿を拝見しますと、本年度は一般会計からの繰入れができないものとして、この値上げ案ができておるようであります。諸外国の例を見ましても、電信は民営にされておりましても、郵便は大体どこの国も官営になつておるようであります。その官営になつております理由は、最も重要な事業であるからでもありましようが、国民負担を安くするというような点も一つ理由になつておると考えます。それから諸外国郵便事業は、大体独立採算ができていないように私は承つております。どこの国でも一般財政上ら繰入れをしておる。もう一つは、先刻お話がありましたように、政治的に見て、あまり上ることはよくないじやないか。御承知通りに、世界の平均物価に比べまして、日本物価は大体一五%ぐらい高くなつておる。そこで東南アジアの開発とか、あるいは朝鮮の復興とかあるいは日米経済協力に対するところの遂行ということについては、日本物価を下げなくてはならぬという御見地で、政府としては一般に低物価政策をおとりになつてインフレを押えなくてはならぬというように見受けておりますが、政府に最も関係のある郵便あるいは電信その他鉄道というようなものが値上げになるということは、国民一般に心理的にインフレを助長するというように考えます。どうもその低物価政策とこういうふうな財政政策とが矛盾しておるように考えます。そういう点からも、あまり多くの値上げはよほどお考えを願いたいと考える次第であります。  先刻ほかの物価との比較も出たようでありますが、大体昭和十一年ごろまでは、封書に対してはがきは半分ぐらいで、この懸隔が非常にはげしくなつておるようであります。封書は四百倍というのは、われわれとしては十円ぐらいが最も適当ではないかと考えます。これは切手の売りさばきについてのお手数からも十円が最も取扱いいいのではないか。それからはがきの四円、これは元に比べれば倍数は少し安くなつておりますけれども、急激に上げるという点においてお考えを願いたいと思いますので、大体三円ぐらいが至当ではないかと思います。しかしこれは封書違つて紙というものが政府負担になつておりますから、やむを得なければ四円でもいたし方ありません。しかし封書の方はぜひとも十円ぐらいにお願いしたいと思います。それから年賀郵便が特に安くなつておるといいますが、年賀郵便を特に安くする必要はないように考えます。もちろん年賀郵便といえども必ずしも虚礼的のものではありませんが、普通の郵便と比べて年賀郵便が非常に重要であるかというと、われわれはどうもこれはあまり重要には考えられない。だからこれは普通の郵便と同じでいいと思う。年賀郵便のみを特に安くするということはどこに根拠があるのか、われわれには見出しにくい。むしろこれを安くすることは虚礼を増長することにもなりはしないかと考える次第であります。今日の日本として、あまり虚礼とかそういうことでなくて、最も多く働いて、最も節約をするというのが今後講和後の日本国民のとらなくてはならぬことであつて、いささかでも虚礼にわたるような冗費を使うということは、むしろ政府としては押えられる方がほんとうではないか。これを特に安くされたことにはわれわれは賛成できない。むしろこれは普通のはがきと同じにしていただきたいと思います。はなはだ雑駁でございますが、これで終ります。
  8. 池田正之輔

    池田委員長 次に進藤さん。
  9. 進藤誠一

    進藤参考人 私は前に官吏をいたし、また会社員をいたしておりまして、当時郵便とかあるいは電信電話あるいは保険あるいはラジオ等経営に当つたのでありますが、ただいまはよほど長く何もしていないで、無職で、一般のいわゆる庶民の一人としてここへ伺つたわけであります。そういうわけでございまして、今日では私の立場としては、ほんとう国民大衆、いわゆる公衆の一人として、またふだんも一般の民衆と常に接近していろいろな意見を聞いておりますので、私が今日申し上げるのは私だけの意見ではなくて、私どもが接しておる国民多数の考えていることを代表的に申し上げるにほかならないのであります。その点どうぞ御了解を願いたいと思います。  今度の郵便法改正でありますが、いろいろありますが一番根本の点は、料金改訂の問題であると思います。この料金改訂の可否の問題につきましては、私は概括的には異議はございません。むろんこういう公益的な事業料金は安い方がよいのでありますが、今日電燈料が上り、水道料が上り、ガスが上り、また電車汽車も上るようになつておるのでありますが、これは国民といたしまして日常毎日の生計費に緊切な関係があり、大きな問題になるのでありますが、それと比較いたしますと、このはがきあるいは封書値上げということは、その値上げ率は五割とか十割とか非常に大きいのでありますが、実際に上る金額は二円とか四円とかいうようなものでありまして、今日の日常生活においてそういうものには国民は大した関心を持つておりません。そういうわけで大体論として国民は、電燈とか汽車電車が上るのと比べてあまりこれは一般には問題にしておらぬのであります。ことにまた郵政事業はこの改訂によつて収支の均衡がとれ、いわゆる独立採算制が今度実施されたようでありまして、この点におきまして今までのように郵便財政不足一般会計から、補填する、言いかえれば国民の税でもつてこれを補うということがなくなつたことは、これはむしろ非常に喜んでよいことだと私は思います。そういう意味からしても、今度のような料金改訂に伴う予算改訂には国民はむしろ賛成してよいのであると思つております。ただその値上げの内容につきまして、一つたいへん不可解なことがあるのであります。それははがき封書の問題であります。これは先ほどもお話が出ましたが、今度の改訂におきまして当初私ども新聞知つたのは、はがきが五円、封書が十円というのでありまして、これを見たものはみなそこらが妥当なところだろうというようには言つておりますが、これはよくないとか困るとかいうことはあまり言つておらぬのであります。ところが今度提案されたものはそうでなくて、四円と十二円ということになつております。これはまだ国民はあまり知らぬのでありますが、ときどき問題になつて聞くのでありますが、その聞く人すべて異口同音におかしな料金制度ではないか、これはおかしいのみならずみなが迷惑する、こんな端数のついたのは困るというのが一般の声であります。それでこれは何かわけがあるのじやないかと思いまして、私は当局一体封書はこのごろコストが高いのか、はがきがそんなに安いのか、それでそういうふうになつておるのかというようなことを聞いてみたところが、封書コストが六円何ぼ、はがきは五円何ぼだ、こういうことでありまして、それならばむしろコストのみから言えば封書は七円、はがきは六円でさしつかえないのではないか。現に諸外国におきましても、そういうふうにはがき封書との間に開きがないというのが多々ありまして、たとえば英国、フランスなどにおきましては、はがき封書はちよつと違つておるだけであります。これは経費からいえばそれがほんとうなのであります。そこで今度の郵政省原案において、はがきを三分の一というふうに安くしたのは、これはおそらく郵便公共性というか社会政策というようなことがその理由になつておるのじやないかと思います。それでこの点につきまして、先ほど申し上げた一般国民大衆立場から、もしそうであるならばたいへんな認識不足である、認識相違であるということを痛感するのであります。なぜかと申しますと、はがき貧乏人が出すのだから、コストをうんと割つても安くしなければならない、封書は金持が出すのだから少々高くてもいい、こういうことならば、それは事実とまつたく違うのでありまして、一般の下属階級はがきにしても封書にしても、ほとんど出す数は知れたものであります。これは数字でわかるのでありまして、ここに参考に出ているのを見ましても、日本国民の、はがきも込めて郵便を出す数は何ぼかといえば、一月に三通くらいのものであります。平均が三通でありますから、貧乏人は一月に一通も出さぬのであります。出しても一通もしくは二通であります。われわれもその庶民階級でありますが、一月に十通か、そんなものであります。そこでこれを一円安くしてもらつたつて、それが社会政策といつて国民は何もありがたくはないのであります。五円を四円に、一円安くする、特に貧乏人のために社会政策公共性のために安くしたと言われても、何の感じも持ちません。先ほど国鉄などからお話がありましたが、同じ政府事業一円安くするならば汽車賃で安くしてもらいたい。それならば非常に国民は喜びます。なぜかと申しますと、先ほど汽車賃キロ当りが出ましたが、それは計算の基礎でありまして、そういう値段を実際とつているのではありませんが、汽車電車も実際の運賃は五円以上でありまして、五円、十円にはしたなく切り上げしているのであります。東京から一番近い神田有楽町へ行くのでも五円とられます。ところがもしほんとうコスト行つたならば、東京神田東京有楽町のごとき三円でいいのだ、あるいは四円でもいい。はがき五円を四円にして、政府がこのコスト割つて、それを社会政策と言われるならば、汽車賃ほんとうコスト通り五円を四円、三円、二円に、キロ程に応じてやつていただけば国民も喜ぶのでありますが、その点が同じ政府事業であるにかかわらず、はなはだちぐはぐではないかと思うのであります。これがもし鉄道は運輸省、郵便郵政省、個々にその省令か何かで料金をきめるならばそういうふうなことがあつてもかまいませんが、今日は国会があらゆる政府料金についてはきめるのであります。その場合におきまして、はなはだ区々な考え方、と申しますのは、一方におきましては五円、十円というラウンド・ナンバーでその他は切上げ切捨てる。郵便は五円、十円というラウンド・ナンバーには一向おかまいもなく四円、十二円というような半端な数をとることは、政策としておかしいではないかと思うのであります。これは単におかしいだけでなく、国民がたいへん迷惑するのであります。また各郵便局の手数にも能率上大きな影響があるし、おそらく定員にも関係するくらい大きな問題だと思います。それはさておきまして、かりに郵便局がおつりを出して小さいお金を扱うといたしましても、一般公衆は事実上非常に困つております。昔一銭五厘というはがきがあつたころ、私どもその当時役人をしておりましたが、一銭五厘では困る、なぜ二銭に上げぬかという声が出たのは公衆の方からであります。今度も四円という端数が出たり十二円という端数が出て困るのは公衆でありまして、今日一般の民衆がふところにしている金は何であるかというと、十円の紙幣と五円玉であつて一円というものは持つておりません。そこで五円ではがきを一枚買うと一円つり、切手を買うためには十二円だから十円と二円を持つて行かなければならない。おつりがないならば、一円を四枚、あるいは十円と二円を持つて行かなければならない。今はどうしておるかというと、二円を五枚買うとか十枚買うとかいうことにしてラウンド・ナンバーにしておるのでありますが、今度は四円、十二円を二枚買つても三枚買つてもラウンド・ナンバーにならないで、半端が出まして、このために窓口でおつりがあるのだ、ないのだ、つりが出ぬように持つて来てくださいと言われたり、あるいは用もない一円切手を買つて来るということになります。多数の郵便を出す人はそれでもよいのかもしれませんが、一般民衆は、はがきを一枚、二枚と買うのであります。封書でも一通出すのでありまして、このつり銭にははなはだ困つております。それならば三種にも一円とか二円が出るではないかと言うかもしれませんが、三種を一通出す人はないのでありまして、たくさん出すのでありますから、さしつかえないのでありますが、普通は一通出すので、切手はがきを一枚ずつ買う、二枚ずつ買うという人の便利からいつて、これははなはだ困るのでありまして、おそらくこれが実行されたならば、非難ごうごうであると思います。そこはさすがに国鉄は賢明でありまして、電車料金は三円のところも四円のところも五円にする。そのかわり十二円のところは十円に切下げておるのであります。そういうふうにして五円と十円に持つて行くのが至当ではないか、これが国民の要望ではないかと思うのであります。今日のこの一円というのは、昔の一銭もしくは五厘だと思います。一円の百分の一なら一銭ですが、実際は二百分の一で五厘であるから、今日の一円は五厘だと考えて、かかる半端なものを残されることは、非常に迷惑することをお考えくださるように願いたいと思います。それから料金につきまして、はがき封書の半分というのは、封書が二銭、はがきが一銭という、郵便ができたときからの、数十年来の日本の伝統であつて日本国民の常識なのであります。戦争の末期になつてインフレ物価が非常に混乱したときから、はがき封書の半分というのが破れて、三分の一になつたりあるいは妙な中途半端なものになつたりしました。これは端数をとるためにそうなつたのでありまして、封書が五円のときにはがきを半分にしたら二円五十銭になつて端数がつくから二円にした。その次はまた三円とか四円とかいうことにしておるのであります。そういう改正ならば今のバランスが多少違つてもさしつかえないと思うのでありますが、今度のははがきにも端数がつき、封書にもついておる。しかもバランスは三分の一になつておるということは、率直に言えば今度の改正は今までの改正の中では一番悪い改正じやないかと思うのでありまして、これはどうしても今の国民の常識である一対二に、またはそれに少し接近させて端数をとるというようにしてもらいたい。これは実際の上において国民が迷惑するから、ひとつこの点は再検討していただきたいと思います。  それから料金についてでありますが、私は封書の十二円は少し高いじやないかと思います。今日八円でも高過ぎるので、出す通数が非常に減つております。これは数字を見てもわかりますが、年々減つております。これは上げるにしても十円が限度で、十二円などにしたら非常に減ると思います。もし封書が減れば、せつかく四円上げても、予定の収入は得られぬのじやないか、そういうことになれば料金改正のねらつた収入増加ということに破綻を来すのじやないかということをおそれるのであります。今日国民の常識から考えて、どうしても封書は十円が限度じやないかと思います。  大体私の申し上げたいことは以上でございます。
  10. 池田正之輔

    池田委員長 次は永岡君。
  11. 永岡光治

    永岡参考人 御紹介をいただきました全逓信従業員組合中央執行委員長永岡光治でございます。郵便料金値上げに伴う郵便法改正につきまして、直接に郵便事業に携わつておる従業員立場から、この問題について意見を申し述べたいと考えます。  まず料金の問題であります。私ども郵便事業公共性はあらゆる面から痛感しておりますし、またその使命の重要性も感じておりますので、料金は低料金であつてしかるべきだし、もし赤字が出れば一般会計から補填するというのが最も理想的な形態であるし、望ましい形であると思つておるのであります。ただ残念ながら、それがはたして現在やられておるかどうかということに問題があるわけであります。一般会計からの繰入れの問題については、なるほどりくつとしては成り立つのであります。また私どもそのことを願つて当局の方にも要望しておるのでありますが、容易にそれがいれられない。これは一つの折衝の形を考えて見ても理解できる問題であろうと思うのでありますが、このために従業員にとりまして幾つかの不利な事態ができておるということが私どもの問題にしたいところであります。それはたとえば、同じ局舎の中に電通、郵政という二つの職場があるのでありますが、一方は黒字だということで手当が比較的多く出る。それは現在の生活状態から考えれば、とても及びもつかないわずかな金額でありますが、それにしても郵政に比較すれば、莫大な率に及ぶものであります。そういうものが同じ職場の中にありますので、従業員として、また組合の責任者として私どもは悩み続けて来ておる問題であります。なぜこれが解決できないのか、両者の間において仕事の量を比較し、労働条件を見た場合に、郵便事業に携わる者がなまけて楽をしておる、こういうことは絶対にあり得ないのであります。むしろ地方におきましては、特に降雪期、雨季における、あるいは山間僻地における郵便配達従業員の労働条件を見た場合には、むしろそれ以上に苦しい労働条件をしいられておるのではないか。にもかかわらず、郵政事業が赤字であるという理由で、いろいろな手当が葬り去られておるのが現在の状況であります。そこでこれを一般会計から繰入れてくれということが私どもの強い念願であります。現在までにそれがいれられていないというところに問題があるわけであります。この問題については、私は実は郵政事業の将来というものを考えた場合に、非常に恐ろしい感じがするのであります。郵便事業公共性の強い事業であるし、文化国家としてこれを伸ばさなければならぬ。だから山間僻地といえども、損をしてもこの事業政府の方でやつて行かなければならぬ。そういう意味で新聞その他につきましても安い料金で、政策料金としてやるんだということが、口ではしきりに言われており、その事業の発展強化は盛んに主張されておりますけれども、今までの政府や、これは失礼に当るかもしれませんが、現在の国民の代表の方々が、どこまでこの郵政事業というものを真剣に考えておるのかということについて、多分の疑問を抱かざるを得ないのであります。たとえば同じ公共事業の中でも、電気事業にいたしましても、国鉄事業にいたしましても、専売事業にいたしましても、あるいはガス事業等にいたしましても、これは国民の生活には非常に重要な産業であります。しかし、その面はどんどんと料金が引上げられて行く。国会の承認なしにどんどん引上げられて行く事業があるにもかかわらず、重要だと口に言う郵政事業については、その点が何ら慎重に考慮されていないのではないか。むしろ恐れることは、閣議の中で、いろいろ料金が上げられるけれども、世の中には何か一つ安い料金があつてもいいのではないかというような意味で、この事業料金値上げを適用されない、犠牲をしわ寄せられるおそれがありはしないかということであります。もしそうであるとすれば、この事業にとつて将来大きな危機を感ずるのでありまして、いわば郵政事業を軽んずる傾向が、郵便料金値上げ反対ということになつて現われるのではないかということを非常におそれておるのであります。こういう面から、私どもとしては郵政事業を重視するという方向に持つて行くように、国会の議員の方々も御努力を願いたいと思うわけであります。  もう一つは、先ほども触れましたけれども従業員の間に、この料金値上げの問題について最近どういう空気が出ておるかということであります。先ほど申しましたように、生活費の中でわずかの分野を占める郵便料金については、法律によつて国会の議決によつてそれぞれきめられるのでありますが、生活費に大きな分野を占める電気料金であるとか、ガス料金であるとか、あるいは新聞料金等のごときが、かつて値上げされ、それに携わる従業員は、郵便事業に携わる従業員よりは非常に恵まれた生活条件である、高い賃金をもらつておる。こういうことで、実は最近従業員の中から大きな不満の声が出ておるということであります。私は郵便事業の尊い使命、その持つところの公共性からして、特に戦後における破壊された郵政事業の立て直しということにつきまして、真剣に従業員に訴えて参りました。従業員も、組合もその気持になつて、何とかして郵政事業を立て直したいということで、日夜奮闘されております。現在では、超過勤務手当をもらわぬでも、とにかく事業を守つて行こうではないかというところまでの決意も固めてもらつて事業の復旧に努めて参つておるのであります。待遇条件の改善について私ども当局と交渉する際、当局の答弁は、郵政事業の赤字からそれができないというようなことを言われて、それが組合員に普及して参り、遂に従業員としては、もはや適正なる料金改訂については、やむを得ないではないかというような空気が出て参りました。私は押えに押えて参りましたけれども、もはやその勇気を失うような段階にまで現在来ておるわけであります。従つてこの面からして、私どもは適正料金設定という意味で、料金改訂を認めざるを得ないのであります。しかしながら、従業員立場として認めるには、赤字下あるから待遇の改善ができないのだというようなことでなしに、この料金改訂をしたならば、ぜひ待遇の改善の方向に持つてつていただきたいことを切にお願いする次第であります。  もう一つは、この改訂につきましての金額の開きでありますが、第一種が十二円、第二種が四円、第三種が一円になつております。これは直接事務をあずかる者といたしまして、労働条件と非常に関連がある問題でありますので、皆さんにお聞き願いたいのであります。先ほども進藤先生からちよつとお話がありましたが、四円という金額、十二円という金額は、窓口関係の取扱者にとりまして非常に不便なのであります。これは余分な仕事をさせられるのであります。しかも、この端数のために夜おそくまで居残りして締めなければならぬり端数のために計算が合いにくいのであります、しかも先ほど申したように、手当のもらえない超勤を夜おそくまでしなければならないという運命にあります。これは原価計算の上から申しましても、やはり区切りのよいものが望ましいし、現実に私どもが毎日窓口で聞く公衆の声からいたしましても、端数はなるべくつけてもらいたくないというのが、公衆の偽らざる声だと私ども受取つております。そういう点で、これはぜひ五円にしてもらいたい。それから第一種の料金でありますが、これは実は先生方からお聞きしたのでありますが、事務当局の資料を見ましても、原価計算によりますと、第二種は五円をオーバーしておりますし、第一種が約七円近くになつておるのでありますが、第一種をその約倍の十二円にいたしまして、第二種の方を四円にして、その欠損をこれで補おうとしておる。もう一つは第三種について、原価は六円三十四銭と出ておりますが、これを一円にしかしないというと、わずかに二十銭の値上げであります。いろいろ輿論機関等の関係で考慮された点はわかるのでありますが、直接事務に当る郵便配達の声を聞いて見ますと、山の奥まで行く。最近は特に配達料が高くなつておりますので、ほとんどの新聞というものは郵便によつて参ります。毎日のように山奥まで郵便をかついで行かなければなりません。私は実はせんだつて四国に参りましたが、四国の高い山に雪がたくさんあります。ここへ、普通ならば郵便がないところを、新聞があるために行かなければならぬという状態になつておりますし、北海道や九州の状態を見ても、この第三種、新聞のためにどれだけ人が苦労しておるか、そしてその荷物がどれだけかさんでおるかは言語に絶する程度でありますが、そういう意味からして、それをわずか一円にするということはどうも了解に苦しむのであります。そしてそういう欠損を第一種で全部補つて行こう、そのために第一種料金が約二倍になる、これはおそらく了解しない金額であろうと私は思うのであります。のみならず、これは利用の状況がらいたしまして、事務当局考えられておる収入の予定が、このままで行けばおそらく第二種がより一層ふえて、第一種が減つて欠損の分が、より数がふえることによつてますます欠損になつて、結局は収支が償わないということになる。これは私ども実際に事務を担当しておる者の見解で、間違いないということが断言できるのであります。そういう意味からして、私どもは第一種を十円として、能率も上げてもらうし、一般公衆の気持もこれでくんでやる、こうしなければならぬと思うのであります。先ほど申し上げましたように、第三種についてはもう少し検討の余地があると私ども考えております。  いろいろ申し上げましたが、最近私は国際郵便電信電話労働組合連合の国際会議に参りまして、ヨーロッパ各国の郵便事業の状況を視察して来る機会を得たのでありますが、先生方に参考になればと思いますので、今提案されている問題と多少関連もありますから御報告申し上げたいと考えておるのであります。  まず向うへ行つて感じますことは、日本国民郵便というものに対する感じ方と、ヨーロッパ国民郵便というものに対する考え方とには大きな開きがある。非常に郵便事業というものを権威づけておりますし、従つてその従業員に対する待遇も、一般公務員よりは一グレード必ず高い、これは欧州各国共通した問題であります。そういうふうに高く認めておるということが第一点であります。それから郵政事業というものは、日本の場合はたまたま飛脚という制度から発達した歴史のために、一般国民から軽んぜられるという結果を来しておるのではないかと思うのでありますが、ヨーロツパ諸国でぽ、大体がメイル・コーチから発達しております。郵便局というもの中心主義をとつておる。たとえばスエーデンのごときにおきましても、郵政省があらゆる仕事をやつている。各官庁の物品調達、それから印刷——通訳の聞き違いがないとするならば、造幣もたしか郵政省でやつておるわけであります。それほど事業をやつております。スイスの例を見ましても、郵便局がバスの経営をしておる。それから小包等においてもなべが出る、かまが出る、自転車が出る等で、聞いてみると目方の制限が五十キロばかりあるのだそうでありますが、形は全然制限がないということになつておる。しかも駅の隣のホーム続きに必ず郵便局がある。そのためにお客は小包を駅に出さずに郵便局に行く。郵便局員が配達する。なるほど家まで配達してくれるのでありますから、別段苦労はないのであります。そういう意味で、郵便局というものの持つ使命というものは非常に大きく、また広い分野があるわけであります。それで私、考えるわけでありますが、全国一万三千に及ぶところの局数を持つており、しかも山の奥まである郵便局を考えるときに、もう少し国家としてこれを活用する方途はないものかどうか。これは私ども考えさせられるのであります。たとえば、もし日本の方向として社会主義政策、社会保障制度の方向に行くということをだれもが了解できるとするならば、その福利厚生関係のセンターとしてこれを十分活用できる分野もあるでありましようし、その他考えればいろいろ知恵も出て来ると思うのでありますが、この際事業の縮小ということではなしに、郵便局というものはもう少し広い分野において、国民生活の中に入り込むような政策をぜひ講じてもらいたいと思うわけであります。  それから料金関係でありますが、ヨーロツパ各国では、法律でその都度きめられるというものはほとんどありません。全部が全部といつていいぐらい委任命令になつております。従つてスエーデンのごときにおきましても、いまだかつて赤字を見たことがないという話でありますが、実はそれほど郵便料金というものが、国民の生活の中に占める分野はごく微々たるものであるという証明にもなるのであります。そういう事態を見て参りました。  それからもう一つはがき封書の開きでありますが、どこの国といつてもいいぐらい、大体せいぜい二割から三割程度の開きであります。日本みたいに二倍というような開きは絶対ありませんし、今度の三倍のごときは、世界の笑いものになるのではないかと私は考えておるのであります。そういう意味から非常に参考になる分野がたくさんあることを申し添えておきたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、私どもとしては、料金改訂というものは適正料金の設定という意味であります。しかもそれが、痛めつけられた現在の従業員立場において、やむなく改訂を認めざるを得ないという段階に立至つておりますので、その気持を十分くんで御審議を願うとともに、さらにこうしたことにいたしましても、おそらく郵便事業というものについては、まだまだ赤字が出るであろう。このことだけは言えるのでありまして、その際にはぜひ一般会計から繰入れというものを——はつきり償うだけのものは必ず補償する、赤字が出る分は必ず補償するという制度をこの際ぜひ私は確立してもらいたいことを重ねて要望いたしまして、私の参考意見を終る次第であります。
  12. 池田正之輔

    池田委員長 これにて一応参考人各位の御意見を承りました。  これらの意見に対しまして、委員諸君から御質問がありましたらこの際お願いいたします。
  13. 石原登

    ○石原(登)委員 私は進藤さんにちよつとお尋ねいたします。今度の国会郵便料金が相当大幅に上げられるわけですが、これにはいろいろ議論があるといたしましても、今日の郵便料金を決定しているその基礎、あるいはどういうような趣旨によつてこのような料金のきめられ方がとられているかということについて、これはむしろ今日の段階よりも、かつて郵務局長をしておられました進藤さんに、当然この郵便料金がきまつて来た、これを決定して来たいきさつ、あるいはきめるについていろいろ御考察になつた重大なポイント、そういう問題に対して、事実についてのことをちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  14. 進藤誠一

    進藤参考人 適正な料金をきめる資料については、やはりこれは一般物価ということも考えられるのであります。それから公共性から見て、郵便料金はなるべく高くしないようにするということで、事業合理化して、そうしてなお足らないところは料金値上げにまつというようなことで、今までやつて来たのであります。それから今の郵便料金につきましては、さつき申しましたような封書はがきの二倍で端数をつけないとか、いろいろ当時から考えておりました。
  15. 石原登

    ○石原(登)委員 今の進藤さんのお答えと関連いたしまして、八坂さんにお尋ねしたいと思いますが、八坂さんの立場は、商工業ですから、当然商行為の立場経済を営む立場において郵便料を考える場合に、今日御承知通り郵政事業独立採算ということを強く要望されまして、しかもこれは一つの企業というような立場でこの事業を運営しよう、極端に言えばそういうことを要望されて事実予算等については、そういう面が非常に制約を受けているわけでございます。今の進藤さんのお話なつ公共性ということになりますると、いわゆる独立採算制公共性とは相矛盾するのではないか、この矛盾する行為をしいられるというのが、実は郵政事業である、かように考えるわけですが、こういうことは純然たる経済企業の場合、これとマッチさせることができるかどうか、そういうような方法が考えられるかどうかという、とについて、一応お聞かせ願いたいと思います。
  16. 八坂雅二

    八坂参考人 私が申し上げましたのは、今度の案によりますと、一般会計から繰入れないで独立採算制で行きたいということになつておりますけれども、各国の例から見ても、一般会計から繰入れて郵便料金値上げをなるべく少くしてもらいたいという主張でございます。だから矛盾しないと存じます。
  17. 石原登

    ○石原(登)委員 実は私他に用事がありまして、進藤さん、八坂さんの御意見を十分承ることができなかつたのでありますが、私は八坂さんの御意見は非常に正しい、かように考えておるわけでございます。しかし、戦後実は郵政事業については、国民的に独立採算制を非常に強要しております。事実今日そういうふうになつております。ところで一方では、これは公共性があるから、そういうつもりで仕事をやつて行かなくてはいけない。すなわちただいま永岡君から意見の陳述がありました通り、新聞にしましても、普通の郵便より当然重いものが安い料金で運ばれている。これはとりもなおさず、すなわち公共性の反映として行つているということである。こういうことになりますと、事業立場から見ますと、重いから、それに充当されるような、それにかかるような原価計算をした料金を当然徴しようとするのがあたりまえであります。ところがそういうことを許さないということにおいて、ただいま八坂さんのお述べになつたいわゆる公共的な立場を十分理解して、これには一般会計から当然助成すべきだというような御議論は、私も正しいと考えるわけでございます。実はそういう議論を聞いて私も非常に同感に思つたのであります。  それからこれは進藤さんにお尋ねいたしたいと思うのでありますが、郵便の利用率が戦前に比べましてぐつと減つております。これを何とかして増加させることが今日当面の問題でございまするし、これに対しては現幹部諸君も相当いろいろ知恵をしぼつておるということは十分承知いたしておりますか、この事業の先輩として多年御研究しなりましたあなたが、たとえばこういうようなことも考えなくてはいけないのではないかというような、これはむしろ事業から離れて、わきから見るといろいろな貴重なる御意見があるのではないかと思いますが、そういう面について何か御構想でもありましたならばこの際お聞かせ願えれば、非常に幸いである、かように考えるものであります。
  18. 進藤誠一

    進藤参考人 別段名案もございませんが、大体こういうふうに考えております。私の私見は郵便事業の種類につきまして、そのねらいはどうしても郵便の増加ということによつて正しい料金を得るということに全力を注ぐべきである。今までちよちよい広告料をとるとか、何か罰金をとるとか、いろいろなことで収入増加を考えられてやつておりましたが、これは非常に間違いであり、またおもしろくないことであると考えているわけであります。最近何かポストへ妙な広告をつけるというようなことがありますが、どこまでも収入は堂々と本業でやつて行くのがいい。それにつきまして郵便の増加ということは、文化の向上というものかち考えまして、どうしても郵便をお出しなさいといつてちようど貯金や保険を勧めるようには行きません。ただ先ほど申しましたように、料金があまり高くなると、出そうとするものも出きなくなるきらいがあります。そこで私の考えますのは、封書が今日十円以上になれば出すものも出さなくなる。うつかりすると郵便で出すものを使いでやるというようなおそれがある。それであまり高い料金郵便をふやすことに反する結果を招くのではないかと思いますので、料金の面で考えるべきではないか。その他いろいろ郵便友の会というようなものがありますが、これは国際的にも国内的にもいろいろ連絡もあり、たいへんけつこうであります。  それから先ほど出ましたが、私どものおりますときには、実は年賀郵便虚礼だからやめようとわれわれから宣伝したものであります。それはなぜかといいますと、当時年賀郵便をふやすことによつて取扱従業員、局の設備にかえつて悪影響を及ぼして迷惑するのでありまして、しかもこれは虚礼だからやめようではないかということになつたのでありまして、これは私の意見でありますが、年賀郵便を奨励することは虚礼を奨励するという意味からではおもしろくない。そうではなく、これは取扱い上コストが安いから値下げしたのではないか。そういうことなら意味があると思います。  それからちよとついででありますが、先ほどこういうことを申し上げましたが、誤解があるといけませんから、つけ加えて申し上げますが、公共性とか何とかいうことではがきを特に安くするということに反対をいたしましたのは、三種とか、五種について特に安くされているのは、公共性という点からある程度コスト割つてもけつこうだと思います。しかしはがき貧乏人が使うのだから安くするということは、こういうことに公共性とか、社会性というものを使うことが間違つている。それならはがきはどう考えたらいいかといいますと、はがき値上げということは、はがきを一時に多数出す人にはこれは少し高過ぎはせぬか、そこで今度市内郵便とかいう制度を設けられますが、はがきも同じ市内へ印刷して一人で何千、何万と出すというような場合に、これは汽車に乗せて向うに持つて行つたりするのではありませんからコストは安いです。そういうものは年賀郵便と同じように三円とかにしたらいいじやないか、そうすればそういう一時にたくさん使われるような地位にある人とか、あるいは商売で広告宣伝にはがきを使うという人には割引いた安い料金をもつてやる。それは同じ市内で近い所へ配達するのだから安いというふうな観念で、特別な割引制度をつくれば、一般貧乏人は、はがきは一月に何遍出すかわからぬのでありますから、これは五円でもいい、こういうことを申し上げておきたい。
  19. 石原登

    ○石原(登)委員 ただいまの進藤さんの御意見に関連いたしまして、もう一度八坂さんにお伺いしたいと思います。今労働組合の永岡委員からも非常に希望の強い陳述がありました通りはがきを五円にしたらどうだろうか、これは仕事の取扱いの上からも非常に便益があるし、原価計算からいつても五円にするのが適当である、また進藤さんの御意見の中にも第三種とか第四種とか、いわゆる社会公共的なものとは、これはおのずから性質が違うのであるから、はがきについては原価計算通りやるべきだ、しかもその通信の性質がはがきであつても、あるいは封書であつても同じだからというような議論がございました。それで重ねて多数を出す人については、あるいは同市内に発着するものについては、当然コストが安くなるのであるから、それには十分またそれに適応するような方策を考えていいじやないか、こういう御意見がありました。私ども一応これは非常に貴重な意見ではないかと考えますが、これは商業をなさる方、一般使用者の立場からこういう考えがあり、またこういうものになつた場合の影響、そういうものをどのように御認識になつておりますか。それをもう一回お聞かせ願いたいと思います。
  20. 八坂雅二

    八坂参考人 私先刻申し上げましたのは、商工業者が第一種、第二種を利用する例が非常に多いものでありますから、そういう見地からなるべく郵便料金値上げは全体としては少くしていただきたい。それから第一種はどうも十二円は高過ぎる、今度はがきは一〇〇%上つておるわけですから、これももう少し下の方がいいと考えますけれども、第一種と第二種の比較から行きますと、先刻からお話があつたように、戦前は大体封書の半分というのが常識になつております。外国では半分でもないけれども、私は四円から下げていただかなくても、封書の方を下げていただきたいと考えます。  それから今のお話の官製はがきでなくて、私製はがきでたくさんの数量を出すというのも商工業者がおもにやることだと思いますが、今日はがきの紙代がどのくらいかかりますか、専門家でないからわかりませんけれども、自分でつくつたもの、そうして切手も張らないで何百通、何千通とスタンプだけで行くというものに区別をつけて、幾らか安くしていただくということは商工業の発達のために非常にいい結果をもたらすように思います。
  21. 石原登

    ○石原(登)委員 私はただいまの後段の御意見、非常に貴重な御意見として傾聴をしたわけでございます。こういう問題についてもわれわれは十分研究する価値があると思います。どうもたいへんありがとうございました。
  22. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 進藤さんにお伺いしたいのであります。前保険長官、前郵務局長というように、長い間の郵政行政の深い経験の立場から御説明にあずかつたわけでございますが、値上げについてはやむを得ないという御賛成の一番の理由に、一般会計から入れるというのは、やはり国民の税金の負担になるからだというようなお話があつたと思います。進藤さんが郵政行政の担当者として、指導者としておいでになりましたころは何年ごろでございましたか。そのころは電通なども一緒であつたのか、あるいは資金運用部のただいま問題になつております運用権の問題などがどういうふうになつていたのかというようなことも参考ちよつと説明していただきたいと思います。
  23. 進藤誠一

    進藤参考人 お答え申し上げます。私の郵政に関係しましたのは古いのでありまして、三十年前、大正四年からでありますけれども、そのうちで責任の地位にあつた郵務局長をしていたのは昭和十二、三年ごろであり、保険長官は十五年ごろであります。  それからただいまお話になりました、当時の状況でございますが、その当時はちようど私が局長をしていたこうと思いますが、それまでは郵便電信もすべて一般会計で特別会計ではなかつた電信も電話も郵便も、もうかつておるにもかかわらず、従業員の待遇が非常に悪い。局舎はボロだ。これではいかん。特別会計にしてくれればそれでもつてりつぱにやつて行けるということで努力して、ようやく実現したのです。これが昭和九年であります。ところがそのとき、これだけは譲歩をやむなくしたのであります。当時は大きな金で、八千二百万円だけは大蔵省へ納付してくれ、これは一般会計へ献上するのであります。向うから繰入れるどころではなくて、こつちから一般会計へ繰入れて、八千二百万円を繰入れたあとはもうけ次第ということでやりまして、それでも相当の効果を当時上げたのでありますが、私が去つてから、戦争に突入した以後インフレで非常に変則な状態になつて今日に至つた。最近は郵政と電通がわかれ、おのおの別に独立採算でやるというようになつたのであります。そこで電話の方は非常にもうかる。電信は少し赤字だけれども両方合せてこれはりつぱにやつて行ける。ところが郵便の方はなかなか独立では行かぬ。それからさつきお話になりましたごとく、保険の運用も私らの当時は逓信省でやつておりまして、社会的の貢献を続けて来たのでありますが、これまた戦後全然権威がなく、従つて一定の利回りだけをもらうので、それ以上に利回りを上げて加入者ヘサービスすることは全然できなくなつたような状況であります。大体そんなことであります。
  24. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 永岡さんにお聞きしたいのでございますけれども、組合としての立場から、現在一般会計から繰入れられないという方針の上に立つて、その条件のもとに賛成するのだというような御意見だと思うのでございます。今賃金の問題や何かで苦労して闘つており、その要求をどうしたら通せるかという建前からも、相当大きく今度の問題に対して今のような意見が出て来たと思うのでございます。先ほどそれについて、郵政行政に明るかつた進藤さんなんかの御意見でも、今の国民経済状態では、むしろこの料金値上げすることによつて黒字になると思われぬ、郵便の数量が減るのではないかというくらいの逼迫した状態だ、そうであるとするならば、予定の収入がなくなるのじやないかというふうなことを言つておられるのでございます。そういうようなことについて、組合としてはどういうふうに考えおいでになりますか。また皆さんの賃金の要求なり、行政整理なんというものは、これは一般の支持があつて初めて政府の方に承認され、闘いとられるものだと思うのでございますが、そういう点からもひとつ意見を開かしていただきたいと思うのでございます。
  25. 永岡光治

    永岡参考人 お答え申し上げます。第一点の方でありますが、これは多少先生の方に誤解があつたのじやないかと思います。私ども一般会計からの繰入れは、これは建前にしておるわけでございまして、これを捨てておるわけでありませんが、今の状況から見ますと、どうもそれは十分に入れられていないということで、少くとも適正料金という意味において賛成と認めざるを得ない。しかもその認めざるを得ないことは、赤字だからということで、いろいろと待遇が他に比べて低く落されるので、それを排除する意味において認めるのだ。しかし今後といえども赤字は出るに相違ない、しかしそれは必ず補填してもらう、だからこの独立採算制を認めておるのではないのでありまして、これだけはひとつ明確にしていただきたいと思います。ですから、おそらくことしあたりでも、大蔵省あたりからの折衝によつて大幅な繰入れを認めてもらわなければならぬと思いますが、そういうことは一応認めておるわけであります。その点誤解のないように一応はつきりしておきたいと思います。それで実は私ども、待遇の問題が重点になつてこの問題が取上げられたというのは先ほど申し上げた通りでありまして、もはやこのままでは事業の再建の意欲も、働く意欲もないし、せめて今まで抑えておつた私の勇気もこれ以上、保てないので、こうでもして待遇の改善をしてもらおうじやないかというところに、これを認めるところの理由があります。これだけ特につけ加えておきたいと思います。  それから数量については、これは確かに料金値上げすれば、数量には影響するであろうということは一応考えられます。特に第一種の方ですが、大幅な料金値上げをした場合には、問題にならぬほど利用が減るのじやないか、結局欠損の数量がますますふえて赤字がふえるという結果が起るのではないかということをおそれております。
  26. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 進藤さんにお尋ねしたいと思います。皆さんが前にそこにおいでなつたときの事情と今日の事情とが大分違つていることは御承知のことと思います。国鉄の問題なんかも、ただいまでは国がやつているのではなて、公社というようなものがやつていいように、当時の運輸省がやつているときとは事態が異なつておりまして、大分事情が違うと思います。  これは、衆議院だけでなく参議院まで含めまして、予算委員会等でもずいぶん問題になつたのでございますし、当委員会でも、あげて決議したことがあつたのでございますが、運用権が郵政省に返つて参りまして、保険勧誘の場合などにも、地方の局長などの希望を聞きますと、そういう点で、むしろ郵政事業を発展的に拡大して行く上にも非常に役に立つようなことが今阻まれている。そういう状態のもとでは、相当大蔵当局にも郵政省事業が役に立つているものと思う。発足の当初は八千数百万円というお話がございましたが、そういう程度のものではなく、莫大な利益を提供しておつたわけでございます。その具体的な数字なども、予算委員会などで多少わかつた程度でも、銀行などが相当利益をあげているというようなこともあるのでございまして、そういう諸条件から見ますと、むしろ当時よりも今の方が一般会計から当然繰入れてもよろしい条件が、郵政省の場合にはある、かように考えているわけでございます。国民の税金の負担になつているというような今までの常識的なお考え方が、比較的国民の輿論に大きく反映しているわけでございまして、ただいまの郵政行政の特殊的な資金運用部の問題等が一般化しておらない建前から、これは八坂さんもたいへん御心配になつておられたことだと思いますが、政府みずからが低物価政策をとりながら、その底に流れているいろいろな諸政策がはつきりしないために、一般会計から繰入れるので、国民の税金の負担になるというような表面的な理由から、これが値上げ合理化されているのでは非常に困るわけでございます。その点につきまして、当時の郵政行政に明るかつたあなたから、ただいまの事情と違つているというようなことも御考慮いただいて、いろいろ御意見を承りたかつたのでございまして、きようの御意見は、そういうことも御考慮の上だつたかどうだつたかということをちよつとお尋ねしたかつたのです。運用権の問題についてだけでよろしゆうございます。
  27. 進藤誠一

    進藤参考人 私どものやつておりましたときは、郵便電信、電話を一体としてやつておりましたから、非常にやりよくて、一方が悪いと一方が補うというふうにしてよくやつておりまして、八千二百万円を大蔵省にやつてなおかつこちらで相当なものが出た。今日それが郵政だけ一つなつたということが相当やりにくくなつた原因であります。そこで私としては、郵政事業は、世界各国どこを見ても、独立採算でやつているというのはないのであつて一般会計から繰入れておるが、それが至当だということにかわりはない。ただ今日の郵便料金でやつてつている場合において、郵便料金は安いほどよいということで、よいままにほつておくと、赤字の分はみな一般会計から出すということになる。そうすると郵便料金は安くてありがたいが、租税の方で出すということになると、郵便を出す人はきわめて特殊の人で、租税を出すのは一般のものでありまして、郵便を安くしてその欠損が租税から出るということは庶民階級からいえばこれは実際おかしなことである。なぜかと申しますと、貧乏人郵便を出すのに、安かろうが高かろうが、その金額はこの資料にもありますが年額わずかに八円かそこらです。それくらいのものが八円になろうが九円になろうがたかが知れておるのでありますが、租税となれば貧乏人でも何百円も来るのであります。むしろ料金一円や二円の値上げによつて租税の苦労が少くなればこれはけつこうではないか、こういうことを申し上げておるのでありまして、料金としての限度を越えてコストよりも何ぼ高くてもよいというわけではないのでございまして、この案の程度独立採算ができて行くということはたいへん喜ばしいということを申し上げておるのであります。  それからもう一つ、現状において私の意見はこうなのでありまして、郵政事業郵便料による収入と、それから支出とがとんとんで行く、これが私のいう独立採算です。そこで私は郵便事業における設備、局舎というようなものを料金から出すということは穏当ではないと思います。これについてはアメリカのように局舎だけは一般会計で持つとか、あるいはそれがいけなければ一歩譲つて公債でもつてやるということがよいと思うのであります。どなたかも申されましたが、今日局舎の改善は急務でありますが、これは料金からやれというのではない。これはなるべく公債もしくは一般会計でやつて行く。ただ普通の平常的の収入支出を料金でもつてバランスをとる、それを独立採算という、こういう意味でありまして一般会計から若干の金を出すということについては私は異議はない、その通りという意見を持つておるのであります。  それからもう一つ保険のことでありますが、保険はまた別に会計を持つてつておりまして、運用がないために保険が非常に損をしておる、これは大きなものであります。これができれば非常に利益になりますが、これは直接的に言えば保険加入者の利益になり、あるいはその運用貸付によつて地方の方々の利益も大きいのでありますが、従業員には直接影響はございません。ただその結果保険財政が潤沢になれば保険の募集手当とか維持費というものが郵便局に行きましてそれによつて郵便局員も給与の増加になるという点においては関係はあると思いますが、直接的には運用問題と従業員の待遇とに関係はない、かように考えております。
  28. 八坂雅二

    八坂参考人 今のお話のついでですが、私は独立採算制はよくないという建前ですが、結局一般会計から繰入れた方がよい。しかし無制限に繰入れるというのではなくて、郵便料金が安いということが前提です。独立採算制がよくないというもう一つの根拠といたしましては、郵政に関する経費の中には、貯金の勧誘に必要な費用が出ておると思います。銀行でいう、つまり預金勧誘費というようなものが出ておる。銀行の方としたら預金で取入れたものを貸付によつて利益が出て来ますが、郵政省の方はその貸出によつて利益は一つもとつておらない。これは御承知通り財政資金となつて政府がとつておられるので、この面からも一般会計から経費をお出しになる当然な理由があると思います。この貸付についてはアメリカの占領軍が一般貸付を非常に警戒しております。ところがアメリカと日本との事情はその点について非常に違います。アメリカは大体全預金の五%くらいしか郵便貯金はない、日本は大体二〇%くらいありまして、郵便貯金の財政に対し占めるウエートは非常に大きなものでありますが、利益の面は一つも郵政の方に現われていない。つまり費用だけをお出しになつて、商売人から言うと、もうけのある預金は大蔵省がお使いになつている、これは非常に矛盾するように思う。だから極端なことで申し上げるならば、大蔵省が一般会計からお出しにならぬならば、ひとつ郵政省に貸付をする機関をお設けになつて——その郵便貯金は大体中小企業の小さいものが出している、大きなものは出しておらないが、中小企業もしくは農民等の微細な事業に対して郵便局が貸し付けされたならば、一般会計から繰入れをするどころではなくて、大蔵省の方によほど利益が出るのではないかと私は考える。そういう根拠から私は一般会計からある程度繰入れるのは当然ではないかと考えております。ちようどその話が出ましたから申し上げました。
  29. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私は今の御意見はりつぱな御意見だと思います。実際東京商工会議所理事として純粋な立場からおつしやつた意見であります。議会の中におりますと、いろいろなものに押えられたり、官僚的なあれがあつたりいたしまして、とかくすなおな行動が国民の利益の立場からやれない。今のような御意見は、私どもも取入れるようにして行かなければいけないと思います。商売からいいましても、全然合わないことを郵政省はしているし、望んでないと知りながら上からの圧迫でやつておられるわけなのであります。ですからそういう御意見を民間の方からも、特に自由党の基盤であられます商工会議所の方々から強力に持込んでいただきたいと思います。それができれば郵便料金値上げもやらずに済みますし、従業員の給与だつて上げられるし、いろいろうまくやれるわけなのです。これはたいへんりつぱな御意見だということを委員長も認めていただきたい。  それから永岡さんに伺いたいのでありますが、先ほどのやむにやまれずこの意見を支持するのだということがありましたが、電通と同じ局舎にありながら、非常に待遇が違うということでございましたが、いろいろな手当や何かについて具体的な状態などを聞かせていただきたいし、それから今八坂さんから民間の御意見も出たわけでございますけれども、そういうことにつきましても組合としての御意見を聞かせていただきたいと思います。
  30. 永岡光治

    永岡参考人 違うというのは、こういうことが一番大きな問題になつておるわけです。御承知のように電通関係では増収対策ということで、報奨費がございまして、四半期ごとに増収の結果を見まして、その黒字に応じて、たしか二割だつたろうと記憶しておりますが出されておるわけです。そういうような形で郵政に比べていろいろな問題が非常に有利になつておるわけです。これはもちろん電通が高いというのではありません。むしろ当然であるし、私どもは低いぐらいに考えております。従業員立場としてそれが今度の料金値上げはやむを得ないというしころまで来たのは、郵便局の方では郵便配達というのは熟練者でなければ実はできないのです。道順組立てというものがあります。ところが電報配達はほとんどそういうことがない。つまり熟練者のおじいさんの方が待遇が悪くて、若い青年で、あまり局にも勤めていない人が非常に高い待遇になつておる。しかも局舎は同じであるが服装などを見てもなかなかいい、自転車を見ても非常に恵まれておるというようなことから、電通が黒字だからわしのところも黒字まで持つて行かなければならないのじやないか。そういう素朴な、その本質はまことに涙ぐましい、やむにやまれぬ気持があるわけでありますが、そういうところから実はこういう問題が出ておりますので、待遇の違いというものはそういうふうにいろいろと出て来る。今一つの例を申し上げましたがまだまだたくさんあります。これは今度みたいな台風がありますと、またこれについての復旧ということで工事費がある。御承知のように郵政の場合は人件費が大部分を占めておる。約六割ぐらいになつております。ところが電通関係物件費が非常にたくさんありますから、そういう点で何かと都合がいいようにできております。その点で郵政省の待遇が悪いというところに追い詰められる原因があるわけであります。  それから八坂先生に対する御意見についてですが、今言われた保険の積立金運用権返還の問題は、私ども多年の念願でありまして、汗水たらして働いて集めた貯金や保険の積立金が、貯金部資金の方に繰入れられる。それがどこに出ておるかというと、金融関係に主として利用される。しかも金融機関は利潤を得ておる。それによつていろいろな建物が建つ、あるいは地方の公共団体あるいは会社等はりつぱなコンクリートの建物が建つておる。ところが郵便局はどうか、町はずれのみすばらしいバラツクがいまだに建つておる。これは郵政省立場から、自分たちが集めた金だ——これは何もほかに使うというのではありません。大事な通信を扱い、いろいろな為替や貯金を扱つておるのです。こういう事業の建物を焼いたらたいへんなことになるのだから、ぜひ郵便局舎もコンクリートで目抜きの所に建ててもらいたい。そのためにはこの資金を郵政省で利用するようにしなければならぬし、また一般加入者の立場から考えてみましても、郵政省で運用できることが金融度を増すことであり、いろいろな面において地方公共団体の公共事業に直接投資し得る分野が、その地方地方に応じてよく出て来るわけであります。それが中央で一本になりますと、なかなかそういうこまかいところまでできないということで、私どもとしてはばかを見ておるし、損をしております。先ほど料金の例をとられましたが、社会正義の観点からいつても、これほどばかを見ている事業もなければ従業員もない。これは多年問題となつていた点でありまして、料金改正もやむを得ないということの現われとなつて出て来ておるのであります。
  31. 受田新吉

    ○受田委員 永岡さんに一言だけお尋ねしておきたいと思います。先ほどの参考意見の中に、はがき封書原価計算の比較をされたのですが、四円、十二円にした場合には、その取扱いにおけるコストが非常に高くなるので、結局原価計算が非常に高くなるということでしたが、五円、十円にした場合と四円、十二円にした場合の原価計算の比較を数字の上で何か研究しておられるところはないですか。なければ明日までに資料を出していただいてもけつこうです。
  32. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ちよつとそれに関連して……。先ほどのお話でございますと、超過勤務手当の予算がない場合にはただ働きしてもやるというところまで追い結められて来たというお話でございましたが、そういうことでございますと、当局の方ではコストに入らないわけです。コストには正当な労働が計算されていなければいけないと思うのでございます。そういう点で組合がもう少し本腰を入れて、とるべきものはとり、もどしてもらうべき運用権はもどしてもらうということをやつていただきたいと思うのでございますが、それに対する御意見をひとつお伺いしたいと思います。
  33. 永岡光治

    永岡参考人 第一点の受田議員からの質問でございますが、端数が出た場合にどの程度負担がかかつて来るか、そういう資料があるかということですが、これは今のところむずかしいと思います。窓口関係について見ますと、現在でも二時間ないし二時間半は局に残つて整理をしておりますが、超過勤務手当は、全然といつていいくらいもらつていない、もらつているのは現在せいぜい三割程度でしよう。それでありますから、十二円に対する八円のつりということになると、ずいぶん手数がかかるし、こまかい金であるため、あとで精算して帳面に合わすのがたいへんなのです。何かにつけて不便ですが、これはできるだけ研究してみたいと思います。
  34. 受田新吉

    ○受田委員 今まで八円という半端な数字で売りさばかれておつたのですが、その端数の取扱いにおいては、四円、十二円になつてもやはり同じことだと思うのです。そうすると五円、十円に切りかえられた場合には、労働力の節約という点で今までよりは有利になり、四円、十二円になつたらば、今までの二円、八円のときと大体において同じだということになりますか。
  35. 永岡光治

    永岡参考人 実は今でも端数はあるのです。これは窓口に来てごらんになるとわかりますが、私どもの経験では一枚くれというのはないのです。たいがい十円で五枚くれというのですから、これは問題ないわけです。切手の八円はどうかというと、二円のつりを出すことが大分多いのです。これが四円、十二円になつた場合と、二円のつりがある場合と、どの程度相殺できるかということについては、まだ多少議論があろうかと思いますが、四円の場合と十二円の場合とを計算すると、現在より倍ないし三倍くらいの手数がかかると見ているわけです。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 はがきが二円の場合には五枚買いますが、今度四円になれば二枚半なんということはない。たいてい五枚くらいでまとめて買うだろうと思うので、はがきの場合は支障ないが、切手の場合は一枚の人もあるし、五枚の場合もあるし、十二円にすると多少その間に過重負担があると思います。その点の比較検討を、ひとつできれば明日までに……。
  37. 永岡光治

    永岡参考人 それはできるだけやつてみたいと思いますが、今申しますように、四円だから五枚で二十円というような人はまずありません。たいがい十円札を持つていて、おつりがめんどうだから五枚くれというのが普通なので、端数が出るから二十円で五枚というような丁寧な人はまずないのであります。しかし御要望でありますので、資料はひとつ考えてみたいと思います。  それから柄澤先生の労働組合はどう考えているかというお尋ね、これはその通りで、組合も一生懸命やつておりますが、国会の方でもぜひやつてもらわなければならぬと思います。問題は国会にかかつておると思います。一般国民からも相当はがきも来ておるくらいでありますが、組合自身はその上に立つて、現場の状況からしても、ぜひ下げてもらわなければ困るということを申し出でたのでありますが、私どもが騒いでみたところで、一にかかつて郵政委員会ないしは国会にかかつておるので、ぜひ国会でこの問題を早急に——皆さんがここできめればもうできるのですから、ぜひひとつ議員の方で、この問題を早急に実現してもらうようにしてもらいたい。これは二十六万の従業員の要望でもあるし、また国民の要望でもあると断言してさしつかえないと私は思います。
  38. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 超勤をもらわないで働くということはコストに入らないわけで、その点について佐藤郵政大臣がもつと首切つてもやれるとおつしやつているのです。そうすると、超勤の分の三割程度しかもらつていないで、毎日二時間残業しているような実情は政府には思い知られないわけです。それをどうしたら思い知らせることができるかということも御考慮いただきまして、院内はもちろんやりますけれども、組合も進んでやつていただきたいと思うのでございます。
  39. 永岡光治

    永岡参考人 それはその通りで、今この席におられます佐藤大臣にも十分このことは申し上げておるのでありますが、どうも当局は、先ほど申し上げましたように、赤字だ、金がないということで、だめだということであります。しかもその上に行政整理までやろうとおつしやる、そういうことになりますと、組合ではたいへんなことになるわけで、一体どれほど苦しい仕事をしているのか現実に見てもらおうということで、組合も今度は相当重大な決意をしたわけです。定時に退庁したらはたしてどのくらいの仕事がたまるかひとつ見てもらおう、国会議員の代表にもその現場を見てもらつて、なるほどこれは困難だ、政府の言うのが無謀だということにぜひしていただきたいという考えでおります。
  40. 池田正之輔

    池田委員長 それではこの程度にとどめまして、一言参考人の方にごあいさつ申し上げます。本日はお忙しいところをおいでくださいまして、長時間にわたり、あらゆる角度からいろいろと貴重な御意見を御披露いただきまして、われわれの審査の上に大分参考なつたことについて、厚く御礼を申し上げます。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時十四分散会