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1951-10-24 第12回国会 衆議院 郵政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十四日(水曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 池田正之輔君    理事 飯塚 定輔君 理事 風間 啓吉君    理事 吉田  安君       石原  登君    高木 松吉君       玉置  實君    坪川 信三君       降旗 徳弥君    山本 久雄君       受田 新吉君    土井 直作君       柄澤登志子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         郵政政務次官  山本 猛夫君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (経理局長)  中村 俊一君  委員外出席者         郵政事務次官  大野 勝三君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         專  門  員 稻田  穰君         專  門  員 山戸 利生君     ————————————— 十月二十三日  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第八  号)  郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出  第九号) 同月二十二日  多賀町に郵便局設置請願山崎猛紹介)(  第二〇八号)  綾部郵便局移転促進に関する請願大石ヨシエ  君紹介)(第二〇九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第八  号)  郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出  第九号)     —————————————
  2. 池田正之輔

    池田委員長 これより会議を開きます。  昨二十三日本委員会に付託になりました郵便法の一部を改正する法律案、及び郵便為替法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、まず政府よりその趣旨の説明を求めます。佐藤郵政大臣
  3. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案及び郵便為替法の一部を改正する法律案、この二法案について提案の理由出を御説明申し上げます。まず郵便法の一部改正でありますが、この法律案郵便法に規定されていますところの郵便に関する料金の全般にわたつて改正しますとともに、通常郵便物種類体系等につきまして、一般利用実情に沿うようこれが改正をしようとするものであります。まず、郵便に関する料金改正案について申し上げます。昭和二十六年度予算編成にあたりましては、支出額二百七億円に対し、料金等収入見込額が百七十三億円でありましたため、収入不足額三十四億円は、一般会計からの繰入金によつてまかなうことにして予算の成立を見たのでありましたが、朝鮮動乱勃発以来の物価高騰等によつて、前記の予算は早くも年度開始当初すでに実情に沿わなくなつていたような状況であります。しこうしてさらに近く実施されます職員給與ペース引上げ、諸物価高騰による郵便事業用品値上り陸上運賃値上りによる郵便物運送費増加等を見込みますると、極度の経費の節減をはかりましても、どうしても年度内五十一億円の支出増加となるのであります。一方収入面におきましては、本年度当初の算定額を越える自然増収額等が、およそ十七億円程度見込まれるのでありますが、それにしましても、差引本年度内三十四億円、平年度約五十四億円の赤字を来すこととなります。しかもこの平年度五十四億円の不足額は、本年度予算に計しされております一般会計からの繰入金三十四億円の繰入れを受けた上での不足額でありますから、郵便収入不足額は両者の合計、すなわち約八十八億円の巨額に上るのでありまして、これは現行料金に上る收入見込額の約五割に相当するのであります。  ところが先日の当委員会におきまして申上げました通り、来年度以降は諸般の事情から、一般会計からの繰入を期待することがきわめて困難な事情にありますので、ここに収支の均衡をはかるため、郵便に関する各種料金引上げをなさざるを得なくなつたのであります。従つて郵便料金改正については、全体として料金収入の五割程度増収を見込んだのでありますが、個個の改正料金額の決定については、料金相互均衡郵便の持つ、公共性点等をも十分に考慮に入れて、それぞれ引上げ割合を定めた次第であります。  今改正料金案のおもなものを申し上げますと、通常郵便物料金におきましては、第一種書状現行の八円から十二円に、第二種通常はがき現行の二円から四円に、第三種のうち発行人の差出す新聞現行の八十銭から一円に、雑誌現行の三円から四円に、第五極の印刷物業務用書類等現行の六円から十円に引上げることにしました。そのうち、はがき料金が十割の引上率とたつていますのは、はがき料金が前回の改正の際すえ置きとされたため、このままでは第一種書状料金との権衡があまりに大きく開きますのと、はがき取扱いに、要する経費の点をも考慮いたしたためであります。  なお右のほか通常郵便物料金につきまして特に申し上げる点は、市内特別郵便制度であります。これは同一市正町村内のみにおいて発着する第五種郵便物を同時に百通以上差し出す場合には、その料金現行の六円から逆に四円に引下げましたことであります。  次は年賀郵便に関する特別料金でありまして、年賀状とした通常はがきについては、その特殊性にかんがみまして、一般料金よりも低料の三円としました。但し本年度はたまたま料金値上げ直後のことであり、その影響の大きいことを考慮いたしまして、特にその料金を二円にすえ置くことといたしました。  小包郵便物料金につきましては、小包と同種の鉄道小荷物運賃が三割引上げの予定でありますので、それとの関係考慮しまして、おおむね三割程度引上げをしました。なお容積の大きいものは、目方が少くてもその、取扱いに要する経費は、目方が重いものと同様にかかりますので、この点を考慮に入れて、適当な換算料金額を設けることにいたしました。  特殊取扱い料金につきましては、現行料金が相当高額となつており、引上げの余地がきわめて少いので、おおむね五円程度引上げることとしました。  次に通常郵便物種類体系改正であります。現行種類は、第四種の印刷物業務用書類商品見本等のように、認定の非常に困難なものがあつて利用上及び取扱い上支障が少くないので、利用者にとつてもまた取扱う上においても、これらの認定の容易なように種別を整理することにしました。その他郵便取扱い方法につきまして、郵便利用の実際に合うようにいたしますため、現金等郵便で送る場合に、これを書留として差出すかどうかは、差出人任意として、差出人が特に亡夫、毀損等の場合に損害の補償を必要としないと考えるときは、必ずしも書留として差出さなくてもよいように改めましたほか、特殊取扱郵便物の転送または還付の際の取扱い方や、料金不足速達郵便物取扱い方、損害賠償免責範囲等について、実情に沿うように改正することとしました。  次に郵便為替法の一部を改正する法律案についてであります。この法律案は、通常為替及び小為替制度の統合、郵便為替証書金額制限額引上げ並びに料金の不均衡是正等によりまして、事務簡素化をはかろうとするものでありまして、その内容は次の通りであります。第一は通常為替及び小為替制度を統合して、普通為替則度を設けることであります。現在郵便為替種類は、小為替通常為替及び電信為替の三種類でありますが、このうち通常為替案内式であり、小為替に比し複雑な手数を要し、その利用も少いので、事業経営簡素化をはかるため、通常為替小為替制度を統合して、小為替制度に類似する普通為替制度を設けることにいたしたのであります。  なお小為替は、差出人為替証書受取人宿所氏名を記載して、為替金受取人を指定することになつているのでありますが、利用者受取人を指定しないで為替証書讓渡を認めるよう希望している現状でありますので、郵便局における払渡事務簡素化をも考慮して、普通為替受取人の指定を事件とせず、差出人任意事項とすることにいたしたのであります。  第二は郵便為替証書金額引上げであります。現在郵便為替証書一枚の金額制限は、通常為替証書及び電信為替証書は一万円であり、小為替証書は三千円でありますが、この制限額が低いため、一口の請求に対して数枚の郵便為替証書を発行することが多く、利用者にも郵便局事務上にも不便がありますので、現下の経済事情に適応するよう制限額引上げ普通為替証書及び電信為替証書とも五万円に改めることにいたしたのであります。  第三は郵便為替料金段階変更と新料金の設定であります。郵便為替料金は、郵便為替証書金額制限引上げに伴い、料金段階変更を加え、その段階ごとに新料金を設定する必要があるのでありますが、これにつきましては他の送金機関における送金料をも考慮し、かつ高額送金に不当の料金を課していた不合理をも是正し、しかも現行収入を確保することを目途として設定することにいたしたのであります。  また郵便為替証書の再交付の料金及び払いもどしの料金引上げることにいたしたのであります。  以上がただいま議題となりました郵便法及び郵便為替法のそれぞれ一部を改正する法律案内容でありますが、何とぞ十分御審議の上すみやかに可決せられますようお願いする次第であります。
  4. 池田正之輔

    池田委員長 これより審査に入ります。質疑は通告順によりましてこれを許します。  その前にお諮りいたしますが、大臣電通委員会もやつておりますし、その方にまわらなければならぬので、時間があまりありませんから、大臣に御質問の方は、特にその分だけを先にやつていただきたいと思います。受田君
  5. 受田新吉

    受田委員 この二つの法律改正案で、実施時期を十一月一日と予定しておられます。ところが現実の問題として、これが今から審議を進めて行く衆参両院審査経過を、少くともこの月一ぱいかかるものと見て、施行期日についての政府の対策はどういうふうに考えられておるか。国会との調節の上から、御答弁願いたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように、今回の料金改正は、現在の事業遂行のための必要な経費をまかなう、それを主眼といたしておりますので、予算的観点から見まして、これを十一月一日より実施いたしたい、かように思つて案を整備して参つたものであります。しかしいろいろ国会に上程いたしますまでの間におきまして、手続上時日を算しまして、審議期間がまことに短かくなつておりまして、皆様にたいへん御迷惑をおかけいたしておるような次第であります。私どもといたしましては、ぜひとも皆様方の御協力、御支援を得まして、所期の期日にこれを実施するようにいたしたい、かように念願ないたしておるような次第であります。  本法案改正は、その内容から見ましても、部外参考人意見を徴するというような手続の要もあろうかと思いまするし、また参議院の方に対しましては、明日にでも事前に予備審査を開始していただく、かようなお願いをいたしまして、できますことならば、私どもが計画しておりまする、所定の十一月一日より、これが実施できまするようにいたしたいものだ、かように思つておる次第であります。
  7. 受田新吉

    受田委員 これが事務的に、一般国民郵便料金改正通告して、実施に移る間の期間がどの程度いるものか。それを考えて、衆議院において二十七日までに審議を終るものとして、参議院へこれをまわして、参議院で月末まで審議するものとして、そして法律なつた場合に、それから何日して実施ができるものか、こういうことのにらみ合せが必要だと思うのであります。この実施期日までは、つまり民衆に通告する方途を講じて何日あればいいものか、これをちよつと伺いたい。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今までの建一別を申しますると、別にその公示期間を必要とするわけのものでないやに聞いておるのであります。法案審議が終り、皆様方の御賛成を得ますれば—事務的な処理といたしましては、議決を経、そして法案が成立いたしますれば、事務的にはすでに一応の準備ができておりますので、通告さえすれば、窓口においてその処理ができるということになるわけであります。
  9. 受田新吉

    受田委員 それはまた事務当局の方へ、重ねて事務的な処理をお尋ねしたいと思いますが、大臣に特にこの郵便料金値上げという、郵政省所管の問題としては、非常に大きな事柄でありまするが、これを取上げるにあたつて郵政行政予算関係で、今まで非常な苦労の中から、とにかくこの安い料金大衆サービスをして来た。しかしもはや独立採算立場からも、これを看過すべき時でないという重大な決意のもとに、これを出されたことは了承いたします。と同時に、一般会計からの繰入金を—三十四億まかなうようになつておりますが、この一般会計からの繰入れというものに対して、今後料金値上げとタイ・アツプして、どういうふうに考えられるものか、これをお伺いしたいのであります。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 本年度は、御承知のごとく三十四億円の一般会計からの繰入れをしてもらつたのでありますが、来年度以降においては、一般会計からの繰入れは期待できない状況にありますので、私ども扱います料金改正をいたしまして、事業運営をいたして参るつもりでおります。
  11. 受田新吉

    受田委員 一般会計からの繰入れの見通しがつかないという御意見でありますが、これは郵政行政のような、特に大衆サービスに基礎を置いている行政において、その独立採算立場からの運営ということと同時に、もう一つは、大衆一に対してのサービスに重点を置く場合には、国の一般会計の中からも、こうした犠牲を払つてサービスをする官庁の会計の中へ、国の大きな線からの予算の割当をするということは、これは国政全体をにらみました上においては、非常に重大な問題だと思うのです。わけて郵便貯金やそれから簡易保険積立金並びに郵便年金積立金運用権大蔵省が持つて資金運用部資金として流用をしておる、今日郵政省の持つている一番大きな、大衆の零細な資金を取上げて、そしてこれを国家の資金統一の美名のもとに運用をしておるという現実でありまして、こういうところからも、少くともあのような二千億に近い大きな大衆資金を吸収しておる大蔵省に対して一般会計からはもう繰入れはしない、その方のことは郵便料金値上げくらいでまかなわせて、そして大衆のほんとうに零細な、わずかな収入のある人が、血涙をしぼつて貯蓄したものは大蔵省が持つて行つて、五分五厘の安いあてがいぶちをして、そしてあとのいいしるを大蔵省が吸うというようなこの形に対しては、われわれは非常に納得が行かない向きがあるのですが、この点現在の政府において、特に與党最高幹部として、手腕と力量を持ち、多大の期待をされている佐藤大臣郵政省に迎えたこの機会に、郵政大臣としては従来の圧迫された郵政省に対して、その偉大な政治力を発揮して、断固として明るい希望を持たせるような決意を持つておられるか、これをちよつとお伺いしたいのであります。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 受田委員は十分御承知のことと思いますが、一品に郵政省所管事業と申しましても、郵政省の中は御承知のようにそれぞれの会計が別になつております。ただいま料金値上げしてまかなおうといたしますものは、郵便特別会計に属する部分であります。従いまして貯金その他の面は、実は別箇の会計になつておる。その点は混同されないようにひとつ願いたいと思います。  それで私ども郵便料金値上げいたしまして、利用者大衆負担を加重するということにつきましては、実は私ども先ほど申しましたごとく、今回の値上げはやむを得ない仕儀のように存じておるのであります。今回この料金改訂をいたします理由は、物価騰貴が主であります。また人員の整理等をも断行いたしまして、人件費節約も大いにはかつて参りますものの、人件費が七〇%もその事業費のうちで占めているというような事業でありますために、なかなか人件費を極端に切り詰めるわけにも参りません。かように考えますると、節約を第一にいたしましても、それでまかない得る範囲というものは、非常に小さいものになるのであります。そこでやむを得ず料金改訂を計画いたしたわけであります。その際にお説のような一般会計から繰入れをするということも、あるいは議論としてはもちろん成り立つものであります。従いまして本年度はさような方法をとつて参りまして、現に三十四億円を一般会計から補給していただいたわけであります。しかしこの一般会計から補給をいたしましたために、事業料金体系そのものが実は非常にこわれて参つておる。ことに今日の状態は、講和條約締結後の自主、自立の国ができようとする際であります。経済的な諸計画等にいたしましても、新しい観点に立つて今後樹立して、これを推進して参るという考えに立つわけであります。この機会におきまして、私どもといたしましては事業独立採算という建前を大きく表面化いたしまして、その線において事業が一人立ちできるような方向へ料金収入の道を計画いたしたわけであります。あながち一般会計からの補助を全面的に断るというわけではなく、これは一時の便宜的な措置である。今日新しい経済情勢が生れて来る、それに対処して一つの基本的のものを考えて行く。この意味において独立採算建前を大きく取上げまして、料金改訂をいたして参るつもりであります。この改正の結果によりますれば、私どもといたしましては、郵便事業も一本立ちができる。かような考え方を持つておるのであります。一言お答えをいたします。
  13. 受田新吉

    受田委員 今私は郵便法改正の問題について、料金中心一般会計からの繰入れの問題と関連して申し上げたのでありますが、私のお尋ね申し上げた点は、従来郵政省所管事務に対して、とかく他の省が、特に大蔵省がこれに干渉する形があつた。つまりこの法律と関連する簡易生命保險法の六十九條の問題とか、あるいは郵便年金法の問題とかいうものの例の運用権にまでもくちばしをいれ過ぎて、そうして郵政省をまま子扱いにする傾向があつた。そこを私が申し上げたのであつて、これと関連いたしまして、あなたの政治的な御手腕によつて大衆サービス機関としての郵政省業務の上に円滑を期せられるように、郵政職員の待遇の面においても、また経済的な経費の面においても、円滑を期せられるように、大臣として御努力を願いたい。すなわち私が申し上げることは、簡易保険郵便年金運用権を取上げた問題をこれと関連せしめて、大臣は将来なかなか出席がむずかしいと思うので、ここへ出席しておられるこの機会に、大臣決意をお伺いしたいのです。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御質問の点を取違えまして、たいへん御迷惑をおかけいたしたように思います。ただいまお話の問題は、いずれ用意いたしております郵便貯金法なり、さらにまた簡易保険法なりの改正案を上程いたして御審議をお願いすることになるだろうと思いますので、そういう機会にゆつくりとお話を申し上げるつもりでいたのであります。これらの点については、当委員会並び参議院等におきましても、強い御議決をいただいておるのであります。今日の状態のもとにおきまして、国会の決議の線、これを十分尊重いたしまして、私善処する考えであることだけ申し上げてお答えといたします。
  15. 石原登

    石原(登)委員 実は大臣にお尋ねする前提として、ちよつと郵務局長にお尋ねしたいのですが、その一つの問題として、今郵便演題料をきある場合に、特に鉄道その他ですが、これは何を基準にきめられておるか。たとえば重量ですか、あるいは容積ですか、それについてちよつとお伺いしたいと思います。
  16. 松井一郎

    松井政府委員 これは郵便物運送委託法という法律が別にございます。それに基きまして、大体において原価計算必要な利潤を含んだ意味原価計算ですが、大体それに近いもので運輸審議会できめてもらう、こういう建前になつております。運賃の場合には重量によることが中心になつておると思います。
  17. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの受田君質問に対して大臣は、独立採算制を堅持して、将来もその方針で行きたい、こういうような御説明がありました。なるほど終戦以来事業独立採算制でなければいけない、こういうことが盛んに言われておりました。またわれわれもその線に沿つて今日まで協力して来たのでありまするが、実は私はこの郵政事業独立採算制ということについて、最近は特に大きな疑義身持つようなつた。これは実は事業の本質から考えてみましても、また実際運用されておる事実にのつとつて考えてみても、相当無理があるのではないか。これは郵務局長お答えになりましたように、また今度の料金改正提安理由でも言われた通り、この料金改訂の大きな原因がベース・アツプと、それからもう一つはこの時局に支配されたところの運送料改訂が大きな原因になつております。このことは今回に限らず、いつも郵便事業特別会計の中で占める割合は、運送料が非常に大きい。その運送料が今はつきりと説明されましたように、重量容積によつてきめられるのですが、さようにいたしますと、これは非常な不合理があるわけであります。たとえばはがきとか第二種の書状にいたしますと、おそらく一原価計算通りのものはほぼ今度の改訂によつてとられると思いますが、たとえば新聞とか雑誌あるいは農産物、印刷物、こういうものには特別な道が開かれて、非常に安い料金で扱われておる。さらに、また一歩広げて考えてみますと、小包なんかは郵便料金重量立場あるいは、取扱い立場から考えてみますと、相当の倍量で計算さるべきものが、非常に安い料金で扱われている事業自体の面から行きますとこれは不合理なのだ。その不合理のことを、あえてそういうような特例を認めているということ自体が、その扱つているということ自体が、社会公共の利益になる新聞を安い料金で送つてやるということは、これは国民の文化に重大なる影響がある。こういうことでありまするから、政府事業としてそういうような便法が開かれたに相違ないわけであります。もしこの郵便事業政府事業でなくて、そういうような精神の考え方でないならば、小包料金あるいは印刷物料金なんというものは、おそらく現行料金より飛躍的な倍数で高くならざるを得ない、かように考えるわけであります。さようになりますと、今日のこの郵便独立採算制、いわゆる郵便事業というものは、純然たる企業的な事業として考える場合は、これはまるで理論が成り立たない。根本が違つているわけであります。それをしいているところに郵政事業根本の困難さがあるのじやないかと思う。そこで私は、先ほど受田君が言つておりましたが、この郵政事業一般会計から補給金が出ることは当然であるし、またそういう制度のない限りは、この問題についてのみ—この面について郵政省だけがひとり責任を負うというのは、非常に過大な負担だと思う、こういうふうに考えるのですか、大臣はいかようにお考えでありますか。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお話郵便事業のうちで扱つております各種の—第一種から第五種までの、扱い種別のものによりましてそれぞれ原価を計算して、その原価でまかなつて行つて、初め独立採算が可能なのではないか、ものによつて特別な政策的な考慮を払つておるにするならば、総体として政策的な考慮が払われてしかみべきじやないか、こういう御意見だろうかと拝聴いたしたわけであります。私ども事業をいたしております場合に、それぞれの原価計算はもちろんいたして参つております。従いまして先ほどから申し上げます通り、あるものについては原価を割るものがあり、あるものは原価以上のものがあるということをちよつと触れた次第であります。と申しますのは、一口郵便物と申しましても、それぞれの持ちます使命、あるいは性格等から、そこに政治的な考慮を払うことは当然だろうと思うのであります。それらのものを考慮に入れました上で、しかもその事業全体が立つて行くか行かないかということを考案するわけであります。言いかえて申しますならば、特別な負担軽減を他の方にした。特殊な面において負担増加をしている。それがはたして利用大衆ががまんできるかできないか、この問題になるのではないかと思うのであります。そこは先ほど来一応申し上げました技術上の料金の分配の問題に実はなつて来るわけであります。私どもの今回の改正におきましては、それらの点を考慮に入れまして、一応均衡がとれたと考え料金をただいまお示しいたしておるようなわけでありまして、従いましてお説の筋から参りましても、ただちに一般会計からの補助を受けるという結論にはなかなかなりかねるのではないかと思うのであります。ただ私はかつてこの委員会で申し上げましたごとく、この種の料金はいくら合理的でありましても、安いに越したことはないのであります。場合によりましては原価を割つても安くしてほしいというのが、おそらく利用大衆の気持だろうと思うのであります。この気持に沿えば、ただいまのお説のごとく総体として一般会計からの繰入金によつてまななつて行くということも成り立つわけでありますが、一般会計それ自身、国民の租税によるものであります。問題は租税から得ました収入で特殊な利用者が利益を受けるような制度をとることがいいか悪いか、これまた議論が存するところではないかと思うのであります。要は事業独立採算がとれまして、その料金自身が非常に苛酷なものであるかどうか、要点はその利用度がこれによつて非常に制限をこうむるかということを、特に考えなければならないじやないかと思うのであります。できるだけ利用者立場におきまして、そして大いにこの利用度が拡張されるという方向において、料金は決定して参らなければならない、かように考えて、はたして今回のこの改正は、その趣旨から考えても支障のないものだ、かようにして私ども提案し、皆様の御審議をいただいておるような次第であります。
  19. 石原登

    石原(登)委員 私の言つておることと大臣の答弁がちよつと食い違いがあるのですが、私が言つておるのは、その郵便が持つ国家的な性格、それからもう一つ国民に與える影響、これは別なのです。これは政府事業でやつている以上、またこの郵便物の持つところの性格から考えて、非常に重大である。ですから料金をこれ以上上げるということは、われわれは絶対に好むものではありませんが、これを言うわれるところの、特別会計でやる、独女採算制を断固として堅持しようとする、その主張の根拠が私は非常におかしい。この郵便事業がもし単なる事業であつたとすれば、軍に郵便を送達する、あるいは小包を送達する、これだけの目的であるとするならば、これは当然原価計算で行われまして、公正な料金の配分をもつて行われるはずだ。ところがただいま郵政省行つておりますところのこの郵便事業は、それ以外に、いわゆる一つの国家の方針として、文化に寄與し、あるいは社会施設に、社会公共の福利に寄與する、この面があるわけなのであります。事実これは多くあつていいわけなのであります。さようにいたしますると、その性格の分の補填は一体だれがやつているか、こうなりますと、これは利用者がやつているわけでありまして、その中には、これは非常にささいな金額ではありまするけれども、その利用者負担の度合いが非常に不均衡であるということは、これは理論的には指摘できるわけであります。  それで私が端的に申し上げようと思つているのは、郵政省の諸君が非常に努力されている、私はこれは非常に多としております。しかしながら独立採算制でやつて行けないものを、無理に独立採算制をしいているところにこの仕事の困難性があるんじやないかということを、実は私は指摘したいわけであります。たとえば小包一つの例をとつてみますと、山の中の一軒家に一つ小包を配達するわけでありますが、こういうようなことは、これは普通の事業会社だつたらとうてい引受けはしませんし、現に同じような事業行つているところの鉄道にいたしましてもやつておりません。駅からある程度の距離にあつて、しかも成り立つような料金の基準でやつている。ところが郵便事業は、たとい十里でありましようとも、二十里でありましようとも、一つ小包を持てば、一枚のはがきを持てば送達せねばならないように義務づけられている。ここのところに郵便事業の大きな特異性があるわけでございます。その特異性を私は指摘せざるを得ないわけでありまするが、戦後特に強調されて、特に連合軍の示唆を受けるようになつてから、この独立採算制が強く要望されているわけですから、国家のなすべき役柄を郵政省がやることはけつこうですが、郵政省という国家の機関じやなくて、郵便事業郵便特別会会計というその事業がこれを負担していることに、私は大変無理があるのじやないか、この問題については今すぐどうこうというわけではありませんが、無理を従業員にしいることはなりません。これはひとつ十分御研究いただいて、当然国家としてこれに協力する義務がある、私はさように考えますから、十分の御研究を願いたいと思います。  大臣に対する質問は以上でありますが、はなはだ恐縮でございますが、私もう一つ委員会出席しなければなりませんので、二、五質問をお許し願いたいと思いますが……。
  20. 池田正之輔

    池田委員長 簡単に願います。
  21. 石原登

    石原(登)委員 今度の為替の改正関係で、ちよつと貯金局長にお伺いいたしたいと思います。従来電信為替は、同じ逓信省でやつておりますが、電信料金が幾らになろうとも、あるいは電報為替を取扱う上において、その実際の電信がどうなるかということは、一向さしつかえなかつた、こういうような立場によつて、電報為替料がきめられておつたのですが、今日ではそういうわけには参らぬと思います。大体電信為替に対する電信料、これは電気通信省とどういうようなとりきめがあつて行われているか、この点ちよつと承ります。
  22. 小野吉郎

    ○小野説明員 電信為替料金につきましては、従来の建前で行きますと、為替の料金プラス電報料金、これを電信為替料金としまして、一斉金額段階ごとに、具体的に何ぼ何ぼときめておつた。今度の改正におきましても、その基本の線の為替料金プラス電報料金、こういう点はかわりません。電通省との関係におきましては、電報に所要な経費は、そのまま電通省に支払う、こういうような建前になつております。ただ今回の場合におきましては、規定の関係は従場来のようにそれをちやんとプラスしましたものを、金額段階ごとに何円々々としませんで、抽象的に基準を規定いたしたいと思います。すなわち普通為替料金に、電報に所要な料金をプラスしたものを基準にして定める、こういうふうにとりはからいたいと思います。
  23. 石原登

    石原(登)委員 それでよくわかりました。実はこの取扱いも、よほど考えなければならぬと私は思いますが、これは電通省と特殊な契約を結ばれまして、たとえば電報為替に対する電信料は、字数が五十字になつてもあるいは百字になつても、たいていこれは基準がつくと思うのですが、一通幾らというようなとりきめはできないものかどうか。おそらくこれは電通省にとつては相当大きなものだと思います。鉄道にパスがある通り、そういうとりきめをされると、一般の人たちは非常に便利だ。こういうことは、ちようど昔の電信為替の観念ですぐ行けるので、そういうことは非常に便利ではないか。この電信料金が幾らになるかわからないならば、これはいろいろ支障もあるのではないか思いますが、そういう面のとりきめの可能性はどうですか。あるいはそういうような御意思があるかどうか、その点をちよつと伺います。
  24. 小野吉郎

    ○小野説明員 電通省との関係におきまして、今お説の通りのそういつた協定ができれば、それに越したことはないと思いますが、従来そういつた話合いもしたことはあるようですが、電通省におきましても、電報事業自体が相当赤字を出しておる状況でありますので、電信為替料金、電報為替の料金につきましても、字数によらず一通計算によつて料金協定をするということは、今日のところでは望み薄のような状況でございます。
  25. 石原登

    石原(登)委員 この問題は、公衆に非常に便益を與えるものでありますから、ぜひそういう方向にお進み願いたいと思います。  もう一つお尋ねいたしますが、電信為替は、皆さん御存じの通り、電報によつてその金額をきめるわけでありますが、その間の取扱いの誤謬によつては、たいへんな金額的な損害をこうむる場合があり得るわけです。もしそういうような事故が電信の送達の上において起きた場合は、これはどういうふうになつておるか。その損害の弁償、そういうものについては、電通省とのとりきめはどういうふうになつておるか、その点お伺いいたします。
  26. 小野吉郎

    ○小野説明員 そういう点につきましては、その都度申出によりまして、電報関係の調査をいたしております。それによりまして、訂正をいたすというようなとりはからいをいたしておるわけであります。
  27. 池田正之輔

    池田委員長 飯塚定輔君。
  28. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 料金値上げに関してでありますけれども、この間の二十二日の委員会で御説明を願つた今度の予算の面からお伺いしたいと田川いますが、この面で、自然増収が十六億八千九百万円ある、そのうちの自然増が十四億三千八百万円あるように伺つておりますが、これはどういう種類の、たとえば第一種か第二種か、それをひとつお伺いいたします。
  29. 松井一郎

    松井政府委員 今年の自然増をどういうふうに見るかという問題でありますが、現在までの経過を見ますると、第一種というものは大体において従来の線をそう上まわつているとまでは言えない、いわば一つの横ばい状態であります。第二種、つまりはがきですが、はがき類は非常にふえております。それから印刷物、原稿の第四種、これがふえております。おそらく増収としてふえておる大きなものは、大体二種と印刷物、こういうものが中心になつておる、かように考えております。
  30. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 これはまたいずれ後ほど、料金の問題について、その面からお伺いしたいと思つておりますので、きようはそれだけでやめます。  それから歳出の方でございますが、十三億二千七百万円というのは、これは物価騰貴その他によつて、たとえばベース・アツプしない場合にもそれだけは不足するということになるのですか。
  31. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 「政府職員の給與改善に必要な経費」のところに十三億二千万円とある、このことでございますか。
  32. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 二十二日の委員会のときに配られた二十六年度の補正予算の、一枚目の「事業費」というところのすぐ下にあると思いますが……。
  33. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 お答えいたします。これは十月一日から予定されておりますベース改訂は全然別にいたしまして、従来の、現行の給與の不足でございます。
  34. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 それからその下の方にあります「切手類売捌手数料の不足」のところに一億一千三百万円、これは現在手数料としてどういう割合になつておるか、この不足はどうして出るのか、おわかりでしたらひとつ……。
  35. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 この不足の出ておる原因は、今年度実際に支払いました実績から、これだけはいるという算定をいたしたものでございます。それでどういうぐあいに手数料を支払つているかということは、ひとつ郵務局長の方から御説明いたします。
  36. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 それはよろしゆうございます。しかし最初に予算を組んでおるとすれば、手数料の不足というものは生れて来ないと思いますが、その不足の原因……。
  37. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 最初組んでおりました予算は、本予算に載つておりますが、それをもつていたしましては、現在、今年の四月から支払つております実績を年間に直してみますと、どうしても不足になる、そういう意味の不足でございます。
  38. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 そうしますと、取扱い数量がふえておるということになるのでしようか。
  39. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 そういうことになろうかと思います。
  40. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 その下の「共済組合交付金の不足」でございますが、これもひとつ説明していただきたいと思います。
  41. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 共済組合交付金の不足、一億五千三百万円でございますが、これは実は二十四年度にやめる人がございまして、短期給付金というものを支払うわけでございますが、これが実は二十四年度の分の不足をまだ支払つておらないのです。一般会計におきましては、すでに同じようなものもございますが、これは二十五年度ですでに支払い済みでございます。従つて支払い未済のものをこの補正予算で組んであるわけであります。
  42. 受田新吉

    受田委員 郵務局長さんにお尋ねを申し上げます。  この二つの法律改正案実施される時期の問題を、今大臣ちよつと確かめたのですが、いつでもきまつたら即座にできるというようなお話でしたが、大臣はそれ以上つつ込んでもわからないと思いますので、遠慮しておきましたが、あらためてお尋ねします。  この法案審査を二十七日までこちらでやつて参議院三十一日までに審議が終つたといたしますれば、そうした場合に即時に実施ということになれば、いつということになるでしようか。このことについてまず末端においては、郵便的にすでにちやんとした料金改訂の準備ができておるかもしれませんが、はがき郵便料金をわれわれがどういうふうに承認するかわからないのですから、そのところがあけるようにしてあるかどうか、そういうところの実際の問題までもちよつとお伺いしたいことが一つと、それから郵便局へ行く人はわかるけれども、山奥のちよつとした部落またはほんとうにひなに住む人々というものは、そういう法律がいつ出たかわからないのですから、そういう人に最も早く知らせるにはポストに張るとかいろいろなことをやりますが、そういうものをポストへ張つてから認識をするまでに余裕がいるのです。持つて行つたけれども、そこへ行つて切手を張りかえなければならぬということも起るので、少くともある最収小限の日数だけは—この料金改正されたことを周知せしめる期間がいると思うのです。こういうものが技術的に過去の経験に徴して、法律国会を通過してそして実施期日をいつとした場合に、余裕をどう持つたらよいかという点で局長の御意見を伺いたいのであります。
  43. 松井一郎

    松井政府委員 ただいまお尋ねの点は、法律郵便法関係、ことに料金関係の問題がある関係で、法律がいよいよ通過してから実施までの周知の問題た関連するのだろうと思いますが、これはもちろん何日くらいあればいいというようなことをはつきりと申し上げるほどの、実は私どもの方にも確信はありません。そのときどきによつて過去の例によつても必ずしも一致しておりません。もちろん通過した翌日といつたような例は今まではないと思います。なるほど郵便料金と申しましても、いろいろありますが、普通一般大衆の方になじみの深い料金というものはそうたくさんありません。大体通常の場合は一種、二種それからあるいは書留、速達程度のものが普通一般の方方の知つている利用対象になつておる関係であります。この程度のものでありますれば、大体原案のままでもしもこれが御承認をいただければ、もちろんすぐ事前に手配してあります関係上、それは私どもの方から、正式にこうなつたからああしろということを、もちろんすみずみまで指令を流すというかつこうを考えますれば、これはどうしたつて一週間くらいはかかるかと思いますが、事前に準備してある通りやるということでありますれば、これは新聞とかラジオとかによつて大体やれという、もしそういう方法が許されるならば、別に何日となつても、そこの特別な必要はないと思います。
  44. 受田新吉

    受田委員 今佐藤郵政相は、これは十一月一日から実施するように御審議を願いたいと、私が期間の問題をお尋ねしたときにもそういうお答えがあつたわけなのですが、事実調子よく行つて衆議院で二十七日までかかる、そうして参議院で月末までかかるという場合に、十一月一日実施ということはできない相談だと言つておつたわけですから、その点をいつにするかの大よその目途をつけて、この法案審査をしないと、われわれとしても非常に不安なんですが、最小限私たちの目から見て、十一月十日くらいの期日でこれを予定して審査を進める必要はないか。そうなれば予算の面にも相当影響すると思いますが、それに対して大体はつきりした見通しをつけておかなければならぬと思います。今の期日の問題ですが、施行期日を十一月十日とすることについていかがですか。
  45. 松井一郎

    松井政府委員 私どもの方は、先ほど大臣の申し上げましたように、予算関係が大体十一月一日値上げということで組んであります関係上、施行の期日が遅れますと、遅れるだけ予算の上で苦しくなるわけでありますから、一体いつまでそれががまんできるかということは実はここではちよつと申し上げにくい問題があるわけでありますが、すぐ一日でも早くお願いしたいということより、私としては特に何日まではよいというようなかつこうの御説明ちよつと申し上げにくいと思います。
  46. 受田新吉

    受田委員 われわれとしてはこの法案審査をするのに、施行期日を拔キにしては審査はできないわけですから、これはいいかげんでいいんだというので、十一月一日より施行するという、この日にちを、当然われわれが責任を持つてやらなければならぬけれども、いつからできるかというような目通しがないようなことでは、提出者の政府としては無責任だと思うのです。政府としては、この施行期日はいつまでしかがまんできぬという用意がな分れば—これは政府提出法案ですから、ここまでならばがまんできるが、これからはできないという案がなけ必ばならぬ。これを何とかできるようにしてくださいというのでは、どうも提出者として責任のがれだと思うのですが、この点はすぐ必要な問題ですから……。
  47. 松井一郎

    松井政府委員 それじや私どもの方といたしましては、これをいつまでという形では現政府、提出者としては申し上げにくい形になりますが、もちろん国会の方の審議をいいかげんにしてくれというような考えは毛頭持つておりません。十分御審議いただける範囲内において、一日も早くというお願いをいたしたいと思います。
  48. 受田新吉

    受田委員 問題は一日も早くという時日、この日ときめ得る可能性はいつですか。たとえば三十一日に参議院が終る場合、降則の施行期日があるのですから、これだけは直しておかなければならぬ。それを修正するのに、われわれが十日とした場合に、それでよろしいということになれば、それでいいのですし、五日でも技術的にできるかということなんです。つまり三十一日まで参議院がかかるとして、何日とすればいいかというのです。さつきからお尋ねしているのはそこなのですが、これをわれわれがどこへ施行期日を置くかは政府立場を聞かなければならぬ。われわれがきめた通りにやるとおつしやるのは、少しこれは提出者として責任転嫁だと思うのです。やはり今のところの目途は、衆議院は二十七日までわれわれは党派を越えて協力して審査をする、そして参議院で月末までに審査を終るという想定のもとにかかつておるのですから、もう施行期日はちやんときめてかかつていいと思うのです。政府としては三十一日までに国会審議を終つて、そうして施行期日をいつにするかということは附則にあるのですから、よそ事じやないのですから、これをひとつまずわれわれは考えて行きたいと思うのですが、原案提出者として、政府の意図はこの点いつまでは譲歩できるか、これはやはり提出者の責任なんです。これは国会できめた通りということでなくて、ここまでは譲歩できるということをお聞きしたいのです。
  49. 大野勝三

    ○大野説明員 この問題につきましては、先ほど大臣から一応お答えがあり、またただいま松井政府委員からもお答えを申し上げたのでございまして、いささか蛇足のようになるのでございますが、御承知通り予算とのにらみ合いで、今回の郵便法改正では、その内容料金が最も重点でこれが提案されておるようなわけでございます。何さま料金の問題になりますと、種々事務的に検討もを要する点が多くございましたし、御提案を申し上げるまでに手続的に意外に時間を要しまして、たいへん提案が遅れましたため、自然審議期間が十分ないということになりそうなことは、たいへんこれは私どもとして申訳なく存じておるのでありますが、ただいま申し上げました通り予算とのにらみ合いでは、やはり十一月一日という施行期日を一応原案としては書きまして、そうしてできるだけ早く御審議をお願いするというほかはないのでございます。その施行期日をかようにきめて、そうして審議の都合で若干それが狂うことは、結局責任転嫁になるのではないかというようなお話でございますが、責任転嫁などということは毛頭考えておりませんので、なるべくひとつすみやかに御審議をいただきますように切にお願いを申し上げる次第でございます。
  50. 受田新吉

    受田委員 私のお尋ねしているのは、十月三十一日までこちらはかかりますから、それが公布されて、即日公布実施ということで、十一月一日から実施するということは、三十一日にできた場合に、これは事実上不可能なことです。その場合に三十一日にできる想定のもとに、何日余裕を持つてやればいいかということを私はお尋ねしておるのであります。一日が不可能なのはわかつている。今の場合でしたら三十一日とこちらが想定した場合には、その法律の通過の何日後が政府の施行が技術的に間に合う最短距離であるか、これを今お尋ねしておるのです。だから三十丁目ときまつた場合には、何日とすれば技術的に可能であるかということを御答弁願いたい。
  51. 大野勝三

    ○大野説明員 これも先ほど松井政府委員から申し上げたかと思うのでございますが、相当急なことになりますので、事前に十分に全国の各郵便局の方には十分連絡をとつておきまして、それで国会で御決定をいただきますれば、即時に実施できるような手配をいたしつつありますので、特に何日という期日を置かなければ実施できないというようなことのないように手配をいたすつもりでおるわけでございます。
  52. 受田新吉

    受田委員 そうしたら次官は即日実施が可能であるということになりますか。
  53. 大野勝三

    ○大野説明員 さようでございます。
  54. 受田新吉

    受田委員 次に郵務局長さんにお尋ね申し上げたいことは、郵便はがき及び封書の値上げについて関連する問題ですが、はがきと封書の原価計算はどのような立場でとつておられるか、ちよつと御発表願いたいと思います。
  55. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 実は原価計算は普通の原価計算と違いますので、ちよつと蛇足でありましようが虚し上げますと、実際使用されましたところの経費を、各郵便種別、ことにどういうふうに使われておるか、一口に申し上げれば、そういう調査をいたしておるのであります。従つて正確に申し上げますと、原価計算でなくして、原価調査と申しておりますが、それによりますと、各本省経費、それから郵政局経費、それから現業経費、すべての経費をこまかい調査をいたしまて、そうして振り割つておるのでございます。第一種と第二種には、そういうようにしてやりますというと、結果的に申し上げますと、第一種は黒でございまして、それから第二種は赤である、こういう結果になつております。
  56. 受田新吉

    受田委員 金額について何かプリントでもあれば……。
  57. 中村俊一

    ○中村(俊)政府委員 プリントはありませんが……。
  58. 受田新吉

    受田委員 あさつてでもひとつお願いします。  次にこれは大臣の御答弁にも関連するのですが、次官のお答えをいただいてもけつこうだと思います。この郵便料金の、はがきを四円とし、最状を十二円とした、この根拠ですが、はがきを今までの倍にし、四円を書状に加えたというこの増加部分、つまり増額部分と、そして最近におけるこの売りさばき、つまりはがき及び封書の助手の八円の料金収入の比較をちよつと示していただきたいのであります。
  59. 松井一郎

    松井政府委員 第一種と第二種との大体の数量の関係でございますが、こまかな数字はそのときどきで違いますが、割合を申し上げれば、第一種が一に対して、第二種がその倍、一対一、はがきの方が数量としては第一種の倍であります。金額はもちろん片方は二円で、片方は八円かけるという勘定になります。大体そんなような状況になつております。     〔委員長退席、飯塚委員長代理着席〕  趨勢としましては、最近におきましても、先ほど申し上げましたような二種の方はさらにふえている傾向がありそこで今度は料金の問題になるわけでありますが、四円、十三円にわけるのがいいのか、あるいは五円、十円にわけるのがいいかといつた問題については、いろいろの見方があるだろうと思います。取扱い手続といつたような点、取扱い者の便宜、能率をよくするといつたような点から申し上げれば、もとより五円、十円という案が非常に便利であることは申し上げるまでもありません。しかし過去において、御承知のように郵便料金というものは、その料金負担が直接一般物価にどうこうという問題よりも、そうした問題が心理的に與逸るインフレヘの影響といつたものが非常に考慮せられるという点で、二円のはがきを五円にいたしますれば、これで非常に大幅な値上げになる。そこでいろいろな従来のいきさつもありましたが、せいぜいこの際一〇〇%程度にとどめたいというので、一応これを四円にとどめた。その結果やはりどうしても封書の方は十二円にしなければ、全般としての収支のバランスがとれない、大体こういう見通しであります。従つて数量の比較から申しましても大体一対二になつておりますので、收入面から見ますると、四円、十二円と五円、十円は大体マツチする問題であります。
  60. 受田新吉

    受田委員 この料金値上げ、つまり一種とはがきとの値上げによつて、一年間にどれだけの増収になりますか。
  61. 松井一郎

    松井政府委員 一種、二種だけでございましようか。
  62. 受田新吉

    受田委員 それだけで今計算したいと思います。
  63. 松井一郎

    松井政府委員 増収額は、予想として年額第一種で大体二十五億、第二種でも、官製、私製はがき小包はがき、往復はがきというものをまぜ合せて大体二十五億、両方で大体五十億です。
  64. 受田新吉

    受田委員 郵便料金値上げをした場合に、一般会計からの繰入金がなくても、独立採算建前から行つて手一ぱいというところですか。多少余裕がありますか。
  65. 松井一郎

    松井政府委員 手一ぱいというところであります。
  66. 受田新吉

    受田委員 大臣が来られたから即座にお尋ねいたしたいのですが、それは今郵便料金を四円と十二円にした場合に、郵政事務当局としては、独立採算立場から、新しい予算体系で手一ぱいだというお説なんです。そうすると、これをもし五円と十円にしてもいいし、四円と十二円にしてもいいという政府のお考えですが、かりに四円と十二円にした場合には、ここに不足ができる。私ははがき公共性というものを考えた場合、はがきが一ぺんに五円になるということは、今までの行きがかりからちよつと無理だと思うのです。また一方八円を一挙に十二円にすることもちよつと無理だと思う。結局四円と十円という場合が一つの案として考えられると思うのですが、かりにそうなつた場合に、郵政省は、郵政会計がやつて行けないのだからというので、一般会計からの繰入れに努力する見通しがあるかないかということをお尋ねしたいのです。
  67. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 十二円と四円で一応予算上赤字を克服し得るという見当をつけておるのであります。従いまして、これは今お説のごとく、これを改訂いたしまして、十円、四円ということになりますれば、そこに約二十億近い赤字が出て参るのであります。二十億に近い赤字ということになりますと、私どもの郵政の特別事業といたしましては大きな負担になるわけでありますので、事業の将来のことを考えますと、当局といたしましては、実は遺憾ながら賛成しかねるのであります。しからばその場合に一般会計からの繰入れをもらつたらどうか、今年も三十四億もらつているのだから、それよりも減つた二十億程度ならばどうかというお話になるわけでありますが、この点は一般会計におきましては、税による収入でありますので、一般会計に余裕があれば減税の財減にまわすということを本来の建前といたすわけであります。ことに郵便のごとく利用者がはつきりいたしておりまして、その利用者負担において事業をまかなつて行こうという場合に、一般の税金をまわすということは、必ずしも理論的なものでもないのでありますので、さように考えますと、やはり経費利用者負担して行くという建前が、実は本筋ではないだろうかというように考えるのであります。最近のアメリカ等の郵便料金値上げも、今川上院を通過しておるようでありますが、為替換算をいたしますれば、封書が十四円以上になるように見受けるの一であります。かよう考えますと、今回の十二円の料金必ずしも高いというわけではない。ただお説のように、この種の事業といたしましては、私どもも、理論が合おうが合うまいが、とにかく安い方がいいに違いない。そういうことがくふうできますれば、ぜひとも考えたいと思うのでありますが、先ほども申しますように、気持は理論抜きで安い方がいいわけでありますが、実施に移す場合には、やはり理論的な合理的なものを考えざるを得ない。ここに一つの問題が、あるわけであります。事務当局が何ら余裕がないということを申し上げたことを、私重ねて申し上げるような次第で恐縮でございますが、この種の料金は、すでに御承知と思いますが、ただいま申し上げるように、安いほどいいというので、実はほとんど余裕のない収入計画を立てておるのであります。この点は一般の民間事業等とは、よほど格段の相違がある。従つて予算上相当の余裕がありますれば、必ず料金を下げて行くという方向をとつて行く。この点では御指摘の通り事業の性質から見てかくあるべきであります。従いまして、過去においてわずかな物騰価貴等に際してもただちに料金改正考えざるを得なかつたのも、ここらにあるわけであります。その意味においては御指摘のように事業の性格に沿つてこの料金制度考えて行く。この点では事務当局も十分御趣旨のことは了承しておるわけでありまするが、一般会計からの援助は、この機会においては、私どもは避けざるを得ないという状況にあるのでございます。
  68. 受田新吉

    受田委員 政府の御意図は十分了承をいたしましたが、昨年も郵便料金値上げをしてはどうかという議が七、八月ごろから起りまして、これを一般会計からの繰入れでまかなうか、あるいは料金値上げをするかということは、当時田村大臣が非常に頭を悩ました問題だつたのですが、幸いにして一般会計から二十数億の繰入れを仰ぐことを得て、ここに料金値上げを押えることができた。私の意見としては、はがきが今二円のものが五円になると、一躍十五割の値上げですから、政府の官営事業として十五劉も一挙に上るということは、ちよつと当を失していはしないか。特に郵便公共性というものを考えた場合に、これが強く考えられる問題だと思うのです。これを私は非常に憂慮しているので、郵便公共性に重点を置くか、あるいは独立採算立場からの收入に重点を置くか、あるいは少額の一般会計からの繰入れも多少考えるすきを残しておくかということは、政策として政府で十分御検討いただくと思いますので、この点を課題としてひとつ御検討いただきたいと思います。
  69. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 実は今回の改正にあたりましても、御指摘のごとくにはがき料金を幾らにきめるか、これが実は最も頭を悩ました問題であります。同時にまた、封書との関係においてこれを幾らにきめるかという問題にもなるわけであります。御指摘のごとく、昨年封書を八円にいたします際に、はがきももう少し高くしたらどうかという問題があつたのでありますが、当時の情勢といたしましては、一般会計からの繰入れをしても、とにかくはがきを上げないでおこうということで経過をいたしたわけであります。その当時におきましては、これはあるいは善政であつたかとも思いまするが、今日になつてみますると、この事柄が同時に郵便特別会計といたしましては、相当の負担とも実はなつておるわけであります。理論的に考えますれば、自分の販売した收入によつてまかなうのと、一般会計からの繰入れによつて事業をまかなつて行くのと、いずれにしても、金額さえ十分であるならばここには甲乙はないわけであります。でありまするが、一般会計から繰入れをいただくといたしますれば、そこに要求上においても相当差控えざるを得ないものがあるわけであります。この点は、情に通じておられる受田代議士はおそらく御承知のことだと思います。かように考えますると、一つ事業をやつておる限り、その事業收入によつて事業運営をやつて行くという建前考えざるを得ない。そこで今回の改正にあたりましても、前回ははがき料金引上げをしなかつたのだから、すえ置かれたのだから、今回十五割の値上げになればいかにも非常に強い感じがするけれども、一回休んだのだからそれはさしつかえないではないか、ことに、はがきが五円になり、封書が十円になるならば、取扱いも非常に簡便になるではないか。事務簡素化し、また利用者の方から見ても、非常に扱いいい金額にすることも適当ではないか、かような議論も実は一部にあつたわけであります。しかし政府があえて四円と十二円とにいたし雷したゆえんは、はがきの方は、はがき利用状況にかんがみまして、やはりはがきはできるだけ安くすべきじやないかということで四円にし、そこでやむを得ず、封書の方におきましては十二円というような金額にならざるを得なくなつたのであります。御高説は、あるいはもつと安くできないかというようなお気持ではないかと思うのでありまするが、ものの考え方といたしましては、受田委員と同じような構想のもとに今回の料金を決定いたしたわけであります。この点では、取扱い上その他におきまして相当の不便を実は覚悟しておるような次第であります。
  70. 受田新吉

    受田委員 政府の苦労した原案であることを了承いたしますとともに、今の四円、五円の問題と、十円、十二円の問題は、今回の法案審査にあたつてわれわれとしても十分検討を加えて、実情に即した対策にこれを持つて行きたいと思います。  もう一つ、この原案を見て私がたいへん愉快に思つたのは、今度の二十七一年のお正月の年賀はがきをすえ置いたということです。これは非常に憲政である。特に二十三條の但書の申で、今後省令で定めるところの年賀はがきに一対しては、通常はがき料金は三円とするという低料金の規定を設けたことは非常にいいことだと思う。こういうことは、政府としては大できであると私は喜びます。この問題は、今後都合によつてはなお適当な—たとえば、われわれ国会議員が地方へはがきを出すようなときの料金を負ける必要はないけれども、非常に、公共的な性格を持つたたくさんの通信物のような場合に、低料金のようなものを認めるとかいうようなこともあわせて考える必要はないかと思つたのです。この点、原則として四円、五円ということになつた場合に、低料金の面を残しておくことは必要なことだと思います。  次に、郵便為替法改正案に移りたいのでありますが、料金改訂で私が非常に愉快に感じたのは、普通為替並びに現金書留、それから電信為替などが、高額になるほど低料金なつたことです。これは銀行送金とのバランスを考えられたとも思うのですが、今までは電信為替で一万円組むのに二百五十円かかつた。しかも、朝打つたものが向うべは夕方三時ごろに着いて、配達はあくる日になる。受取る方は、山道を越えてお金をもらいに行つたら、きようはもう締切つておりますというわけで、便宜もようはかれない。これでは電信為替の価値は実にだいなしであつたのであります。私も何回か経験しておるのでありますが、電信為替は実に悪規定であつたと思うのであります。しかも料金の高いこと、一万円を組むのに三百五十円という高額であつた。この悪法を今度改正されて、五万円の場合日に二百八十五円で送れることになつたということは非常にいいことだと思うのであります。幸い大臣は両相を兼撮しておられるので、電通省との交渉で、送達が早く行くように、電信為替の任務が完全に全うされるように、この点の敏活を期するような措置を今後とつていただいて、末端の国民が仕合せになるように、特に電信為替の問題で御努力をいただきたいと思います。
  71. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 第一点の、年賀郵便に関連して、その他の特殊郵便についても特に割引しないかというお話でございますが、今日の段階においては、ようやく年賀郵便について特殊料金考え得た程度であります。と申しまするのは、郵便事業自身が、独立採算がとれるように、基礎が十分に確立されたあかつきにおきましては、事業上いろいろの創意も実現し得るかと思いまするが、現段階におきましては、そこまで手を伸ばすことはいかがかと思うのであります。ことに今回の年賀郵便一等の扱い方につきましては、特に御賛成の意をいただいたわけでありますが、理論的に考えてみますると、今町は料金値上げする際でありますので、これらのものもあわせて一つの適正料金考えられれば、それに越したことはないわけでありまして、これが最も理論的だろうと思うのであります。しかし御承知のごとく、封書一つ一つ、あるいははがき一つ一つ経費等は、ごくわずかな黒子が累積して初めてまとまつた金額になるのでありますから、一通々々についてごくわずかな黒字を消して行く方法は実は考えられないのであります。ことに年賀郵便の特殊的な扱いから見ますると、本年はもうすでに準備もよほど進んでおりますので、適正な料金を決定するといたしましても、本年に限つて、特に附則にありますような料金制度にすることが適当であろうというわけで附則を設けたわけであります。それから本法自身にありまするごとく、年賀郵便料金として三円をとりましたことは、御趣旨のような線から取上げられた制度なのであります。しかし現状におきましては、遺憾ながらこれを拡張し得る余裕はないのであります。今後さらに一般利用度等が高まりまして、郵便自身も独立採算がとれるような時期になりますれば、大いに創意くふういたしまして、一般サービスを徹底させるようにいたして参りたいと思います。  それから次に郵便為替の問題で、電報為替につきまして、この料金改訂したことは、非常に郵政省の英断であるというお話がありました。この点は今までも事務当局といたしましていろいろ研究し、苦心し、この利用を十分に達したいというところにあつたわけでありまして、今回ようやく改正法案を提出するような運びになつたわけであります。しかしながらただいま御指摘のごとく、この取扱い自身が別の電気通信省の方の所管になつておる。そのためにそこに非常な不徹底さを生じますれば、せつかくのこの制度の改善も十分の効用を発揮することができなくなるのでありますから、ただいまのお話の点につきましては、十分電気通信省においても留意いたしますように、御意見を間違いなく伝える考えでおります。同時にまた私、電気通信大臣といたしましては、御趣旨の通りに沿うつもりで最善の努力をいたします。
  72. 石原登

    石原(登)委員 今の受田君の後段の問題ですが、電報為替の送達を手取り早くやる。そこでこれは電報が御承知のように輻湊し、相当時間がかかりますと、この送達順位が非常に問題になて来る。昔は逓信省時代から局報というような扱いがあつたのですが、今度のこの電報為替の扱い方で、送達順位は、大体どういうような順位で送られるようになつておるのか。このとりきめはどういうふうになつておるか。別にとりきめはありませんか。
  73. 小野吉郎

    ○小野説明員 電通とのとりきめはそうはつきりしたものはございませんが、普通電報については普通、至急電報は至急によつて取扱うということに相なつております。
  74. 石原登

    石原(登)委員 そうすると、至急電報為替という制度があるわけですか。
  75. 小野吉郎

    ○小野説明員 ございます。
  76. 石原登

    石原(登)委員 それから同じ普通の場合でも、電報は局報、官報、私報というような順位で扱われたと思うのですが、この電報為替の場合は、普通の場合はどういうような順位で扱われますか。
  77. 小野吉郎

    ○小野説明員 通常の至急、報の扱いになるわけであります。
  78. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ここは電通大臣として一言御参考に申し上げます。今回電報、電話の方の料金改訂することにいたしまして、ただいま国会で御審議をいただいておりますが、その際にサービスの問題といたしまして、簡単な諾否の返事をとる制度を設けたわけであります。従いまして、たとえば何州の会議に行くか行かぬかというような場合、だと、料金を四十円払うことによつて、その行く、あるいは行かぬという返事をとる電報制度を実は設けたのです。従いまして、ただいまのお話のような電報為替をお送りになるような場合に、この諾否電報をお使いになることがおそらくできるのではないかと思うのであります。そうすると、はつきり相手方に送達されたかいなか、そういうことの返事もとり得ることになりますので、料金は四十円でありますから、普通伝報なら五十円になるわけでありますが、諾否電報に限り四十円という安い制度を設けておりますので、あわせてそれを御利用なされば、速達、あるいは必ずつくかつかないかというような点についても、二層確証を得られることになるのではないかと思います。その点をもあわせて事務当局にはよく伝えておきたいと思います。
  79. 石原登

    石原(登)委員 これはちよつと変な問ですけれども郵便物を一種から五種までわけてありますが、こういうようにわけた理由ももちろんそうですが、特に第四種郵便を一項目つくつた。何がゆえにこの第四種郵便というような制度を新たにつくつたか。しかもそれが非常に低額な料金で扱つているその理由を伺いたい。
  80. 松井一郎

    松井政府委員 前の第四極と今度の第四種両方含めて申し上げます。従来のは印刷物とか、業務川書類とかいつたようなものは、通常非常に大重に差出されるという点が主たる考慮の中に入つたんだろうと思われます。それからこの新しい意味の農産種子とか、盲人用点字、通信教育のための郵使物、この中でたとえば農産物種子といつたようなものについては、よい品種の種が地方へ普及するようにという非常に強い公共的な立場、それから盲人用点字に対して特別に低額にした、通信教育もまた同じ、それでこういう形のものができたのだろうと思います。
  81. 石原登

    石原(登)委員 私はただいまの郵務局長の答弁はまつたくその通りだろうと思います。  そこで一つ郵政大臣にお聞きしなければならぬ点があるわけであります。こういうようなぐあいに今日の郵便というものは、郵便事業本来の趣旨以外に、国家目的に向つて相当協力している面がある。このことはぜひともひとつ御認識願いたいと思います。  そこでもう一点お尋ねいたしますが、今度の改正案の同じ第四種の中でも、三、四、五の中は量的にも相当かさばるじやないか、重量的にも相当なものになるじやないかということが当然予想されるのです。ところがこれについて市童の制限が全然してないのはどういうわけですか。
  82. 松井一郎

    松井政府委員 郵便物の重さの制限は、現在の郵便法第十七條に「郵使物の容積及び重量は、左の制限を超えることができない。」といつて、第一種郵便物にあつては六キログラム、第三種ないし第五種については千二百グラムというふうに各種別ごとに最高制限がついております。
  83. 石原登

    石原(登)委員 そうしますと、結局第四種郵便物の三、四、五の部分は小包郵便取扱いにむしろ含まるべきものであつて、どう小包郵便物取扱いの分町に属するのではないかと思いますが、この点はどうなんですか。
  84. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘のごとく小包は最低幾ら以上という制限がありませんですから、最高の方はもちろん制限がありますが、ものによりますれば、本来四とか五種とかで出すものを一括して小包で出す場合もありまして、その辺は若干競合しておる問題があります。
  85. 石原登

    石原(登)委員 私はこういうことは取扱いの便宜の上からも、特に農産物の種なんかを簡単に袋の中にちよつと入れて、それを配達するために行嚢の中が一ぱいになつて破れてばらまかれておる。行嚢をあけたとたんにそれが出で来て取扱いに非常に不便を来すだけでなしに、当の差出人もあるいは受取人も迷惑するというような事例があるのでありますから、これは近い将来はある重量の限度からは小包郵便一本で扱わるべきものじやないか、こういうことも考えますから、これはひとつ希望として申し上げておきます。その点御考慮願いたいと思います。次にお尋ねいたしますが、先ほど受田委員からも触れた問題でありましたが、年賀状、特に三円としたが、今回そのうち特に昭和二十六年度のものに限つては二円にした、この理由はよくわかります。年賀状を三円にした理由については、郵政省は同じ郵便を扱うのだつたら一段と努力しようという従業員の熱意と、もう一つは戦別に比べて郵便利用度が非常に減つている、そのために郵便利用をもつと勧奨するという意味からと、年来のこの日本に残された年末、年始のあいさつの美風をさらに助長さしたい、こういうような意味も含まれて、特にこういうような制度を設けられたものだと思いますが、そのほかにまだ理由がありますかどうか。
  86. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お説の通りであります。別にそれ以外に著しい理由はありません。
  87. 石原登

    石原(登)委員 そこで年賀状についてそういうような便法を考えられ、またそのような熱意を郵政当局が示されたのにかかわらず、今度は年賀状と同じように国民が常にこれまで美一風として扱つて参りました暑中見舞を扱われなかつたのはどういう理由であるか。せつかく郵政省がさらに一段と郵便利用度を上げるために進んでこれだけの努力をしようという熱意を示された以上は、暑中見舞についても同様の扱いをされることが当然だ、かように考えますが、この一面についての御見解はいかがですか。
  88. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど受田委員お答えした通りでございますので、基礎が十分確立されまして、事業がよく安定し発展して参るようになりますれば、大いに創意工夫をこらしまして、サービスを拡張いたすつもりでおります。
  89. 石原登

    石原(登)委員 受田委員の趣旨は、将来多数に一度にまとめて出すのにも便法を考えたらどうかというようなことであつて、この暑中見舞とは若干意味違う。暑中見舞はまつたく年賀郵便と同等に考えらるべきであうて、この年賀状だけをそういうふうに扱つて、暑中見舞を扱わないということはちよつとおかしいと思います。経済的な立場から行きますと、年の暮れとお盆のときとではよほど家庭の経済的な事情も違いますから、その面もよほどお考えになつて、やられたものであると考えますが、これも国民が大いに待望し期待する問題でもありますから、この点について将来十分御研究が願いたい。これは私希望として申し上げておきます。それからもう一点お尊ねいたしますが、航空郵便の問題であります。航空郵便料金は、これによりますと、料金は定められてありますが、その定め方についての根本は大体どういうふうか見込みによつてお定めになつているかどうか。これは簡単でけつこうであります。
  90. 松井一郎

    松井政府委員 航空郵便及び料金の立て方でありますが、御承知のように、これは混合料金と申しますか、速達のような特殊料金扱いせずして本料金と一括してやつておりますことと、それからもう一つ、本料金以外にしからば何を考慮しているかという点でございますが、これはほとんど大部分が飛行機会社に対するこちらの逓送料という形で支出しなければならぬ部分であろう、それを大体考慮に入れてやつております。
  91. 石原登

    石原(登)委員 そうしますと、この二十六年度の飛行会社との契約の全額並びに本年度中に扱われると思われる見込みの収入額はどのくらいになつておりますか。
  92. 松井一郎

    松井政府委員 実はその飛行機会社との契約でございますが、これもやつとこの一両日前に具体的に飛行機が来たようなわけでありまして、一体その原価が幾らにたるかというようなそうはつきりデータも実はまだあるわけではありません。私どももそれがきまつてから後払いたいと思つております。そこで今ここで大体何ぼ払うという形については、契約内容がまだできておりませんから申し上げるわけに行きませんが、大体想定として、一日に三万通くらいの速達が、乗つて行くというふうな想定をいたしますれば、年間を通じて約一価程度のものが航空料として支払えばじやないかと思います。
  93. 石原登

    石原(登)委員 実は私速記録録を確かめなくてはならぬわけですが、前の委員会のとき前の局長が航空料金のきめ方について、普通料金に実際航空会社に支払われる料金を加算してあるのだ、こういうような意味のことを言われたと漠然と考えております。そこで考えたくてはからぬことは、私は何も郵政省がうんともうけるというわけじやないですが、少くともそういう新しい分野に一つの道を開かれた以上、独立換算制をとつている以上は、その面から当然幾らかの利益が生み出されなければいけない。従いまして、今徴収しようとしておる料金の中で、普通郵便料金として差引いた残りの範囲の中から若干の利益が考えられて、そのあとの金額範囲で航空料金金額は契約されなければいけない。これはどういうような内容によつて契約されるのであるか、私つまびらかにいたしませんけれども、そういうよう立場で、ぜひ御考慮願いたい。それからもう一点大臣にお尊ねいたしたいと思います。最近この郵便本来の扱いの趣旨が著しく曲げられまして、非常におかしな現象が出ておる。その一例を申し上げますと、たとえば郵政大臣が兼務しておる電通省によつて料金の告知書といいますか、あれを自分たちでみずから配達して行つておる。それから大きな会社、銀行あるいは役所あたりでも、多数の郵便によるべき性質のものであると思われるものが、やはり人夫を雇つて送達をやつておる。なるほど現在の郵便法建前から行きますと、これはちつとも違法ではありませんけれども、今郵便が引受けておる分野というものは、先ほどから一言いました通り、山の十里、二十里の中までも配達しなければならないように義務づけられております。そういうように非常に困難な事態があり、一方では独立採算を強く要望されている郵便に対して、割合採算が合うようなところはみんな自分で配達し、送達しておるということがずつと続けられるということになると、いくら大臣が従業員を激励いたされましても、郵便独立採算はとうてい不可能だ、私はこういうように考えているわけでおります。現在少くとも法律に触れないとはいつても、これは、郵便に課せられた使命というもの、しかも独立採算制が強要されているその精神というものとは、著しく反するものではないかということを私は非常に痛感するわけであります。こういう見地から、将来郵政省としては、郵便法の第一條に、何らかこういうものに対するところの対処規定を御考慮される意思はないか、それに対して御研究はできていないか、このことをちよつとお尋ねいたしたいと思います。
  94. 松井一郎

    松井政府委員 ただいま石原委員がおつしやいましたところの、本来郵便の軌道に乗るべき性質のものが、郵便外の形において流れておるということは、これから郵便事業を軌道に飛せて行く上に非常に大きな問題ではないかという点は、まつたく同感であります。昨年の国会郵便法改正がありました際、郵便法の独占の規定の範囲というものを、若干字句存修正いたしまして、以前よりもかなり広げたはずであります。     〔飯塚委員長代理退席、委員長着席〕 そうすることによつて、いろいろな脱法的ないわゆる私設郵便というものの発生をできるだけ防ぐという一応の建前はできたのでありますが、しかし他面において、やはりわれわれとして考えなければなりませんことは、現実郵便でやるよりも、人を雇つてやつた方が安く上るというような事実があるといたしますると、これはなかなか取締りということだけのみをもつては根絶いたしかねる点があると思います。私たちは、その点については非常に大きな悩みを持つております。もちろん無想として均一料金ということを考えておる建前上、どうしてもごく近接した部分については相当高い料金というものも起りやすい。しかもそれが量としてまとまつたような場合には、確かにそういう危険性がある。今回の改正案におきまして、特に市内特別郵便というものを増えたのも、料金の均一性の理想から言うとむしろ逆行するものでおりますが、ただいま石原委員が御指摘になつたような問題が、なるべく郵便の軌道に経済的に乗りやすいようにということを実は考慮してつくつたわけであります。一方において、取締るということは、今後われわれの監察の機能を通じてやつて行かなければなりませんが、同時にやはりその方々が現をにおいても利用しやすいという料金体系をもあわせて考慮して行きたい、かように考えておる次第であります。
  95. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの郵務局長の御説明は、まつたく立場には御同情申し上げるのですが、事態は逆の結果になつていると私は思う。これは現在起つておる現象であり、また将来この傾向はさらに一段と強くなると思います。比較的有利に取扱われるべき郵便がそういうふうにどんどん逃げて行きますと、すべてが国によつて負担されて行かなければなりませんから、将来いなかに住んでいる人は、ますます高い郵便料金を払わなければなりません。そしてさらに私設郵便利用率は高いものになつて来るという形になりまして、これはものの考え方の岐路なんですが、私は大きな問題だと考えるわけであります。かといつて、今の立場で、そういうように向うが経済的に有利に立ちまわるというのを押えるという点も確かにお説の通りでございますが、そういうことになりますと、郵便事業に対するところの独立採算の強要というこの性格が、理論的にも、実質的にも、私は非常にあいまいになると思うのであります。これはもうすでに事例をたくさん述べましたしどれだけ言つたら大臣も十分御納得が行けると思いますが、要は、私はそういう点を強く指摘したいわけであります。この点についいては、大臣は特に十分御研究せられんことを、重ねてお願い申し上げたいと思います。
  96. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の石原委員お話につきましては、松井君からお答えさしたのでありますが、あるいは問題は大臣お答えするのが本筋であつたろうかと思いますので、おそまきながら立ち上り、同時にまた今の御高見に対しましての私の所信も披瀝してみたいと思います。今日郵便類似の行為が行われておる、これについての取締りをいかにするやといとうお話でありますが、この問題については、もしこれを業とするものでありますならば、御指摘のごとく郵便法に抵触するものでありますし、もちろんこれは取締り得るものだと思います。かような事柄がとり行われるようになりました原因を探求してみる要があるのではないかと思うのであります。大阪付近の特殊的な状況は別といたしまして、戦後のあの混乱の状況のもとにおいて、なかなか郵便が着かないというような問題があつた。あるいは着いても非常におそいというようなことが歩つた。かような状態のもとにおきまして、緊急やむを得ないと申しますか、非常な要務については、郵便を信用しないでみずからの手によつてそれを送達さすということが行われた。これは当時の状況のもとにおきましては、やむを得なかつたことだろうと思うのであります。かような送達をみずからの手によつてするものそれ自身が不都合だと申しますよりも、私どもこの事業をあずかつておる者といたしましては、われわれの仕事がかくも信用をなくしたということに非常な責任を痛感いたすのであります。従いましてただいま松井君からもお話を申し上げましたが、現在の郵便制度自身が、ただ軍なる経済的次行為というばかりではなく、過去の経険から国民の間に非常な信頼をつないでいた、それを今日とりもどすことが非常に大事な責務なのであります。郵政省における監察局等の調べ等によりましても、一部の郵便物が不着為るいは時期遅れというような事例が起きて来るとか、あるいは転送の途中において、それらの郵便物が事故その他によりましで紛失するとか、こういうような事柄が、終戦直後から見ますと、漸次非常加減少々来しては参りましたものの、今なお相当あるのであります。この事業内容を充実いたしまして、国民の信頼を回復いたしますならば、現在の状況とはよほどかわつたものが生れるのではないか、御指摘のように、特殊の方面におきましては、利益するところのものは自分の方で行うが、非常に低率であるところのものは郵便によるというようなものがおそらく残るだろうと思うのであります。これの最もよい例が、本日も御審議をいただきました新聞の配達であります。新聞の配達百グラムは、山間僻地といえどもわずか一円で送れるが、市内の配達はみずからの手によつてやられるというのが現状でありまして、おそらくかような経済的な問題は最後に残るだろうと思います。これはやはり私どもといたしましては、適正料金なり、事業の経営の基礎を強固にいたしまして、合理化をはかつて国民一般が信頼し、同時にまた利益を感じてこれを利用するような制度にいたさなければならないのであつて郵便事業の理想はそこにあるだろうと思うのであります。従いまして、今日、取締りをするということは、場所によりましてはもちろん必要でありまして、大阪の実情等については、監察官からの報告等もあり、それぞれ適当な取締り方策を立てて参りましたが、やはり根本といたしましては、失われた郵便信用を回復する、そうして普通郵便は予定されるときに必ず到達するし、速達は普通郵便よりももつと早く着くものだ、簡単なことでありますが、これが行われるようになりますれば、先ほどお話のような点は、よほど是正されて参るのではないかと思います。私どもの仕事といたしましては、取締りももちろん必要だと思いますが、重点をその点に置きまして、りつぱな仕事をする、社会の信用を得るように、またその、要望に沿うように努力を払う、これがただいま郵政省の最も努力をいたしている点であります。一言所見を申し述べた次第であります。
  97. 石原登

    石原(登)委員 くどいようですが、問題は、民間にしろ、個人にしろ、自分でやつた方が利益となるものは自分でやり、不利益となるものは郵政省利用したらよかろう、簡單に言えば、そういうような建前になつておるのが、今日のこの郵便事業なのであります。私は、それでけつこうだ、しかしそういうような性格を持つている郵便事業に対して、独立採算制を強要すること自体がすでに間違つておるのだ、それが誤りだということを強く指摘いたしたわけであります。  それからもう一点は、今度の郵便為替法改正法案の十二條一項は、どういうことか意味がわかりませんが、どういう意味ですか。
  98. 小野吉郎

    ○小野説明員 これは譲渡の関係の問題であります。譲渡いたします場合に、差出人受取人を指定しないことが大体普通の状況になるわけであります。この点は、今度の改正任意事項になりまして、特に指定して安全を期したいという人は、受取人あるいは払渡人を指定する。その場合に、受取人を指定しない普通為替に関するものを除いては、指定いたしましたものについては、銀行以外の者に譲り渡すことができない、こういうことであります。
  99. 石原登

    石原(登)委員 わかりました。これで私の質問は終ります。
  100. 池田正之輔

    池田委員長 次は柄澤委員
  101. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 郵政行政について、三点ばかりその骨になる点が先日の委員会大臣から述べられたと思いますが、私の質問は、本日提案になつております法案に関連して、その点に触れると思いますので、御了解を願いたいと思います。  きようもたびたび懇切な御答弁があつたのでありまして、郵政行政の信用を回復することだというようなことが非常に強調されましたが、それにはサービスを強化して行くことがその基礎になつていることは、郵政大臣も十分御承知だと思うのでございます。それにつきまして、先日述べられました三つの方針、第一は、政令諮問委員会の要請によつて、閣議によつて決定したという、いわゆる行政整理の問題が……。
  102. 池田正之輔

    池田委員長 柄澤君、ちよつと申しますが、大臣は、四時から閣僚懇談会の方に出なければならぬそうでありますから、質問の大事なところだけを願います。
  103. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 やはり国民に対する郵政行政サービスという点からいいますと、一番問題になつて来るのではないかと思います。これは現業が五%、非現業が二五%というような数字を示されておられたようでございますけれども、実際には各省の現業の状態から見ますと、現業の面で切られている面が多いようでございます。これは今までの例でもあり、現実に運輸省などでは、青函連絡などの一つの例を見ましても、すでに八月一日現在で気罐のかまに所属しておつた労働者が十名も切られて、職制の油さしが四名ふえて来たというような例がございまして、私どもといたしましては、実際のサービスの点でいかがかと思うような点があるのであります。前の行政整煙のときは、非現業を切つて非現業の数が減りましても、その非現業が現業に繰下げられまして一番末端の現業の者が実質的にはところてんを押し出されるように切られて行つたというようなことがあるわけでございます。熟練しないところの非現業の人が、現業に下げられて来たということがございましたが、それと同じようなことが、今度行われるかどうかという点、さらに職場においては、行政機構改革が行われての上の整理であるならば、まだ妥当である点もあるだろうが、それがなされない際に行われるこの整理は、実際不当なものではないかという声があるわけでありますが、その点につきまして承りたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回の行政整理についてのお尋ねでありますが、行政整理を実施いたすに際しまして、基本の問題として、数が減るとサービスが低下するのではないかという御心配であります。今回の行政整理にあたりまして、私どもの特に意を用いました点は、人員の縮小によりまして、サービスの低下を来さないように、事業遂行に支障を来さずに、より円滑な事業の遂行をいたすようにと念願している点であります。と申しますのは、この計画を実施いたすに際しましては、同時に事務簡素化等もいろいろ考案して参りますので、これらがどの程度役立つか、この点は今後の実施の結果にまつていただきたいと思うのであります。ただ数が多ければサービスがよくなるという、数だけの形式では、サービスの問題は解決をいたさないのであります。量の問題ももちろんありますが、同時に質も非常に大事なことであります。かような意味におきまして、従業員全般の一層の協力を願つておるような次第であります。整理といえば現業を痛めつけて、非現業が楽をするのではないかというような非難をとかく受けやすいのであります。今回の人員の整理にあたりましては、私どものかねての主張であります通り、現業についてはその実情から見まして、これを減らすことは非常に困難ではないか、実はかように考えておりますので、現業と非現業とは明確に区分をいたしまして、整理と申しますか定員減の計画を樹立いたしたわけであります。少し話が長くなりますが、誤解を解くために申し上げますと、在来の予算を一編成いたします際には、総従業員のうち、大体その一側程度が非現業であり、その他九割が現業だというのが普通の考え方であります。しかし今回私ども考えました現業、非現業の区分は、この予算査定の際に採用されるような基準をとらなかつたのであります。さらにまた勤務場所、たとえば本省であるとか、地方局、これは管理機構であるから、ここに勤務する者は余部非現業かと申しますとさにあらず、かような場所におきましても現業と考えられる部門は、全部現業の方の人員にこれを考えて行つた。同時に現業におきましても、たとえば局長というようなものは管理職員だと考えられやすいのでありますが、これは局長だけを抜いては現業機関というものは考えられないという考え方で、これらも全部合せまして現業員として一括してこれを考えたわけであります。従いまして予算編成の際の人員の管理部門に三五%をかけ、その他に五%をかけたのとは、今回の数字は非常な相違があるのであります。かような管理部門なり、非現業部門と、それから現業員とを区別いたしまして、それぞれ別な率を一応の目標といたしましたゆえんのものは、現業について特別な考慮をいたすという考え方なのであります。数そのものについてはいろいろの御批判があろうかと存じますが、趣旨といたしましては柄澤委員と同じような考え方考えております。
  105. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 事務簡素化というお話でございますが、これは具体的にお示し願えなければ、納得ができないと思うのでございます。現実に現業の郵便局もそうでございますが、至るところの郵政省関係の職場では、ほとんど年次休暇などもとれないような状態で、三十五日もとつていない人があるというような状態があたりまえになつており、あす。週休とか、そういうものももちろんとれないということは常識になつておるわけでございます。さらにこの間のお話でございますと、二十五万九十八百七十四名というようなことでございますが、人事院の調査によりますと三十五万六千芸百六十六名というのが現在の定員というふうに、そこでもう三千人ほど食い違つております。さらに非常勤の調査というものが、人事院で出ておりますが、これを舞見いたしますと、郵政省関係は大体毎月八千名以上八千四百二名ぐらいの、定員に加えられておらない人だちを、二コ四と同じ値段でもつてお使いになつておられるわけであります。さらに超過勤務手当も支払われない。完全に無償の超過勤務というものが相当あるわけであります。そういうものは、いかに事務簡素化するというようなことでも、もうすでに今までに準備ができていなければ、今の労働強化は救うことはできない。他省に比べても郵政省は一番結核が多いところだといわれるくらいでありまして、全逓の二十数万の労働者が、組合をあげて、この状態では行政整理には協力できないというのでありましたならば、大臣がどんなにサービスを強化するとおつしやいましても、大臣郵便の配達をなさるわけではありません。書留の伝票をお書きになるわけではないので、労働者がやるわけでありますから、やはりその人たちの態勢が整わない限り、党内でいくらよい地位と力をお持ちになつておられる佐藤さんが大胆になられましても、これはむずかしいことではないかと思うのでございます。そういう点について、一万四千五百七十二名の減員というものが、空理、空論に終つてしまうのではないか。むしろ郵政省の場合は、定員をふやしてもらいたいということが、現場の切実な声だと私どもは思うのでございます。むしろ定員をふやすところを、事務簡素化して今の定員で間に合わせてもらうのが、せきの山ぐらいではないかと思うのでございますが、一体そういう点については何を根拠に、すなわち一万四千五百七十二名というものが出ておるのかという点々御説明願いたいと思います。
  106. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 非常に通俗的な話をして相済まないのでありますが、今日の状況におきまして、一般的に申しますと、国民一般の輿論といたしまして、どの省でももつと従業員は減らしてよいのではないか、—共産党は別でありますが、これは私どもしよつちゆう聞くことであります。これがまず一つ国民の常識になつておる。その立場に立ちまして事業の能率化をはかつて行く。できるだけのくふうをしてみる。事務の能率化など何ができるかという今のお話でありますが、会計事務とか、人事院関係事務が非常にふえております。この種の統計なり、あるいは報告が簡素化されれば、事業上の非常なプラスに相なると思います。これらはいずれ会計法の改正なり、その他いろいろの問題がありますが、大蔵当局においても積極的にその処置をとつて行くということになつております。それから現在の状態のもとにおきまして超過勤務手当なり、あるいは休暇がとれないというような問題を御指摘になりましたが、そういうようなところもしばしばあります。同時にまた現在長期欠勤をいたしております者は、それぞれみな定員を食つておるという状態にもございます。この事態は、十分知識を持つておられる方でありますから御承知だろうと思います。今回の定員整理にあたりましては、これらの長期欠勤者を、定員外に置くということにいたしまして、適正の定員をそこに考えて参るわけであります。同時にまた賃金要員の話に触れられました。今風郵政省におきましても相当多数の賃金要員を持つておる。これはしかし工事その他の関係で臨時人夫を使つておるもの、これが最もテイピカルな問題でありますが、それ以外におきましても、あるいは養成その他の関係である程度の賃金要員は必要なのであります。従つてこの賃金要員につきましては、予算上すでに国会審議も経まして、皆様方の御了承を得て今日実施しておるものであります。従つて賃金要員の問題とこれを関連させての御議論は当らないものではないかと思うのであります。ただ私どもは賃金要員をそのままにしておく考え方は実はありません。これは労働の問題から見ましても、また組合員相互の関係等から見ましても、定員化すべきものは、これは進んで定員化すべきだと思います。しかしこれにはそれぞれの時期があるわけでありますので、今回はこの賃金要員には触れないでおるわけであります。それからもう一つ申し上げておきたいと思いますのは、この種の事業をやつております官庁におきましては、今日おりますところの数によつて、一応の定員の査定をいたしまするが、事業内容といたしましては、年々発展拡張いたして行くのでありますので、それらの所要要員につきまして、これを要求することは当然であります。あるいは一旦定員を減じた場合におきましては、その定員制度を確保して、次年度においても定員を増加しないということが、一応の建前かと思いますが、専業官庁におきましては、さようなきゆうくつなことも考えるわけのものではない。これらのことを考え事業内容等を見事すると、管理者として、責任者として考えまして、私どもがいろいろくふうして参りますれば、今回の一万四千数百名は一応可能であり、またこれだけはぜひともやらなければならない、かような強い信念を持つておる次第であります。
  107. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 いろいろ御説明があつたのでございますが、統計に上つております二十五万六千三百六十六名と、昨日ですか一昨日ですか御報告のありました二十五万九千八百七十四名と、三千人ばかり開きがあるのでありますが、その多い方を基準になさいまして二五%、五%首切るということになりますと、首切られる方は、基準になる方は三千人でもたいへんな違いなのでございます。大根と違いますからひとつその点をはつきりさせていただきたい。
  108. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 数の多いのがおそらく定員だと思いますし、少い方は現在員ではないかと思います。従つて数の多い方で率を出して少い方にそれを適用して参りますから、逆にたいへん有利なことになります。
  109. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 数の点では労働者に有利なようだというお話があつたのでございますが、その中でなお一つ二つ確かめて伺つておきたいのでございます。宜吏が多いということを一般国民考えているというのは、政府の宣伝が非常に行き渡つておいでになるからと思うのでございます。これはまつたく七人に一人だというような宣伝が、選挙のたびに自由党の各宣伝の方から宣伝され、新聞にも書かれますので、国民は本気にそう思い込んでおります。その点を訂正していただきたいと思います。決してそうじやないので、もつともつと悪い率で官吏が働いている。そういう点で公正妥当でないことがむしろ国民をして誤まらせるということがあると思うのでございます。おつしやいましたところのいわゆる大蔵省関係の認証制度というものは、もちろんこれはむだなもので、当然改革すべきだと思います。それからまた人事院規則でお出しになりました労働者にとりますとやはり弾圧になつておりますところの勤務評定表、これなどもやはり首切りなんかの一つの材料になつて来ておるというようなことで、実質賃金の低下に役立つており、廃止なさることには私どももまつたく大賛成なのでございます。そういう職制とか労働者弾圧の方のものがふえまして、実際の配達とか窓口とか保険の勧誘とかいうような国民へのサービスをする、一番苦難な、しかも職制の下の安い人たちの方が非常に困つておるわけでございます。またそういう方面から切られて行つておるわけでございます。今度の賃金ペースの改訂なんか見ましても、最高は一万二千円から上ります。ところが三、四級の、そろばんをはじいたり、伝票を書いたり、超勤をやつたりする女の子はせいぜい上りまして五百円、一万三千円と五百円の開きというようなことがまた行われようとしております。そういう政策を見ましてもどうも今までのようなやり方では、いくら大臣が弁明なさいましても、現場の実情を、まゆにつばをつけて見て行かなければなりません。サービスの点がどうなるか、現業の労働者がどうなるかというような点で、具体的な事実をあけて伺いたいと思うのでございます。それではほんとうに郵便物をとり集める回数を減らさないか。郵便物を配達する回数を減らさないか。そういうような点で、これが現実には確かに減つて行つております。また減るような方針と承つております。自主的な日本の独立をかち得たということをおつしやつたのでございますが、政策の面で、大臣が御自身で力をお持ちになられるとするならば、そういう点がやはりここで御確約願えますと、私どもとしてもたいへん納得が行くのでございますが、いかがでございますか。
  110. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど私は輿論を申し上げたので、これは自由党の宣伝の効果とは思いません。共産党の宣伝が自由党より弱いとは、実は私も考えておらないのであります。がしかしこれは世間の輿論でありますので、それをそのまま披瀝いたしたわけであります。  それからただいまのお話によりますと、サービスを低下さすのではないかという御懸念のように思いますが、私どもとしましては、先ほどから申し上げましたように、現業についての負担はできるだけ軽くしたいという考え方で進んでおりますし、また利用大衆に不便を與えるようなことがあつては相済まないと思いますので、できるだけさような措置はとらないように努めて参るつもりでおります。
  111. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ちよつと申し忘れましたが、先ほど長欠のことをおつしやつておられたと思います。長欠が現在どのくらいあるかということと、さらにそれらの人はやはり払つてらえない時間外をやりましたり、それから年次休暇がとれなかつたりした、非常に賃金の安い、労働時間の長い全逓の中の犠牲者だと思うのですが、そういう人々が長期欠勤をしているということで今度定員からはずされますと、病気が直りました場合に復職できるかどうか。それから二年で打切られてしまいますが、そうした場合の保障はどうなるかという点について伺いたいと思います。
  112. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今総数をはつき覚りえておりませんが、三千名内外というのではないかと思います。別に職業疾患と申すものではありませんが、デスクワークをしております者のうちには罹病者も相当ありますし、また若い者を多数擁しておる関係等から、罹病率も割合高いのではないかと、実は心配いたしております。これらの病気になられた方々につきましては、心から御同情申し上げ、それぞれの方法によりまして、これが対策を講じて参るわけであります。結核に対する特殊な補助も、国として行われておるものもありましようし、あるいはまた病院制度等におきましても、厚生施設として十分考えて参りたい。かように考えます。ただ問題はこれらの方々だけが犠牲者というわけのものではなく、これらの人の仕事をも負担しておる全従業者も、これまた犠牲者のうちに考うべき筋のものなのでありまして、私ども事業としては個々ばらばらには、実は考えかねるのでありまして、全体が一体となつて初めて事業ができて行く。ここに運営上のむずかしさがある。従つて不幸病気になられた方に対しましても、仲間としての同情は十分あるわけである。そこでお互いに助け合つて今日仕事をしておるという状況なのであります。これを今回もう少し理論的に移して参る。そしてそういう方々を今回は定員外に置きまして、二年間生活を保障して参る。この建前をとつて行く。もちろん定員外に置きます方も、給與を払つて参るのでありますので、病気が回復いたしますれば、もちろん定員の中に繰込んで、従前通り仕事をしていただく。二年たちましてなお不幸にして病気が治らない場合には、初めて郵政省の手から離れ、一般的な対策を受けるということになるわけであります。
  113. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 長欠の中には結核が非常に多いということは、これは常識的なわけでありまして、特に郵政省の場合には長欠の結核が多いということは、いろいろな数字が示しておるわけであります。そういたしますと、二年という数字をお切りになりますと、結核患者というものは精神的にも非常に感情が鋭敏でございますから、二年たつても治らない場合には、もうほうり出されてしまうのだ、しかも定員からはずされたのだという、精神的な影響も非常に多うございますので、そういうことはちよつと大臣には想像ができないかと思いますけれども、やはり二年というふうに切らずにおやりになるということは、ごくささいなことでもありますから、大臣の御決意いかんだと思うのでございますけれども制限をせずに、必ず治つたら復職できるのだという身分保障ができたらと思うのでございます。
  114. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これは考え方の問題であります。実は私も長い官吏生活を、して参つたのでありますが、行政整理に際会いたしますと、病気の人はそういう機会に大体整理の対象になる、これが普通の状況であります。しかし今日のわが吉田内閣におきましては、かようなる措置は心ずしも適当でないのじやないか、これについて相当の期間政府がめんどうを見るという制度を新しく立てることが望ましいのではないかというわけで、今回この種の制度を立てたわけであります。過去の例とその点が非常に違いますので、おそらく行政整理のたびに不安な気持を持つた方々も、これによつてはつきりと安心が與えられるのじやないか。それからもう一つこれは大きな福音だと思いますのは、最近の医薬の進歩から見ますと、大体半年ないし一年くらいのうちにその病気についての見通しが立つようであります。そこにさらに余裕を設けての二年という期間がありますれば、十分おちついて療養ができるというふうに私ども考える次第であります。
  115. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 吉田内閣が特に労働者のために考えてというお話でございますが、そうでございますならば、半年、一年で見通しがつくというのは結核の常識ではないのでございまして、たとえば日通などの労働組合では、健康保険の適用を三年に延ばしております。これは組合が強くて、組合の力で延ばしたのでございますが、そういう実例がありますから、特に郵政省の場合には長欠に結核が多いので、そういうことをやつていただきたいということを申し上げたまでのことでございます。  さらにこの点につきましても、非常勤というものは—大体常動的な非常勤ということを人事院でおつしやつたことがございますが、常勤的非常勤という非常に複雑な言葉が常識になつておりますように、年中いる普通の業務が、定員の関係上、もう一つはコストの関係だろうと思うのでございますが、普通の労働者の約半分の賃金の労働者を使いまして、それが必ずしも人夫というようなものでございませんでも、やはりこれが保障されずに使用されているわけでございます。この現実を無視しまして、定員をおきめにならずに、これを定員に繰入れるということが、日本の労働者全体が真に喜んで吉田内閣に協力するという建前—今の吉田内閣は非常に労働者のことを縣つていられるということに私はひつかかつているわけではございませんけれども、もしそういうことを大言壯語なさるのでございましたならば、そのくらいの考慮は払われてもいいのじやないかと思うのでございます。さらにもう一つ、全労働組合がこの行政整理に対して、やつて行けない、これでは郵政行政の発展が望めないというのであつても、大臣はこれを断行左さるおつもりかどうか。さらにその根拠になつておりますのは、これは地方へ参つて驚いたのでございますけれども郵便局長はこう言うのです。柄澤さん、今度は講和が結ばれましたので、預金部費命は私どもの方に運用権が返つて来るのでございますね、どうぞよろしくお願いします、郵政委員会では各委員が一致して、衆参両院も一致してこれが運用できるように何回もやつてくだすつたのだ、私ども地方で保険の勧誘をいたします者も、これが返つて来れば郵政行政の財政的か基礎の確立ということも可能だ、ということで非常に切望しているのです。吉田政府のいうように講和が結ばれて自主的な国家になつたというのであるならば、先ほど政令諮問委員会の要請というようなお話が出て参りましたけれども、あの覚書その他のいろいろなあれがなくなるというのであれば、この運用権は当然返つて来るというように地方の郵便局長なんかが期待を持つているわけでございます。そういう純真なと申しますか、末端で局長みずからが時間外をやつたり保険の募集に出歩いたりしております。それは割当が非常にきびしくて、それをやらなければしやうがないというような上の圧力もあるものでございますから、局長みずからがやつているというようなことをその局長が言つております。その点につきまして一般会計から繰入れることができないなどということは私どもはまつたく案文だと思うのでございますが、ひとつ大臣のお考えを承りたい。
  116. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 常勤的非常勤という言葉、これは私初めて教えていただいたのですが、常勤的非常勤はちよつとわかりかねますが、郵政省の賃金要員の中に常時いる者も相当いるのであります。しかしただいま言われましたごとく、賃金要員が特に安い賃金で半額だというお話でありますが、これは事実に相違しております。なるほど建前予算上から見ていろいろの批判はあろうかと思いますが、実際の運用といたしましてはさようなことは現実にはできるものではないのであります。ただ私どもが非常に遺憾に思いますことは、この種のものを定員化することが今回できないということであります。もともと、常勤的非常勤も含めてでありますが、賃金要員というものは一体どうして生れたかといえば、これはほんとうに臨時的な雇いのために、最もはつきりした例を申ぜば、年末年始の非常な繁忙時に多数の学生その他にアルバイトに来てもらう、こういうのははつきりと賃金要員の中に入るわけであります。こういう人たちをただちに定員化する考え方はもちろんないわけでありますが、ある程度見習的な性格を持つもの、ことに委託業務をしております関係上、その種のものも多数いるわけであります。これらのものは適当な時期に当然定員化して行かなければならない、こういうことをも実はいろいろ計画はして参つておるのであります。しかして今回の行政整理といいますか、定員減の場合におきましては、賃金要員は定員の中でないので宝貝減の対象になつておらないのであります。従つてここには言われるような問題は実はただいま起きておらない。定員自身について定員減を行うということになつておる。この制度自身についていろいろ御批判があると思いますが、事業をやる官庁といたしましては、必ずこの種のものは残る。その数は幾らかということは別でありますが、必ず残るということを考えなければならない。それから組合が反対をしても行政整理をやるかというお話でありますが、それは仮定のお話のように伺うのであります。私は、先ほど来はつきり申しましたごとく、管理者の責任としてこの整理を行うという考え方を持つておるということを申し上げます。それから最後の運営権の問題につきましては、国会の決議、当委員会の決議等もありますので、これについては十分私どもも了承しております。ただ今日詳細についてお話を申し上げる時期でない。これは先ほど受田委員お答えした通りであります。御了承願います。
  117. 石原登

    石原(登)委員 この際資料を要求したいのですが、二つあります。一つは逓信省が創始されたころの官制、それから今日までの沿革、これはごく概略でけつこうです。     〔委員長退席、飯塚委員長代理着席〕 それからもう一つ料金問題の審議関係がありますから、原価計算の資料を御提出願いたい。
  118. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それから資金運用部資金運用状態の資料をいただきたい。これは郵政省の方でなくて、大蔵省の方かもしれませんが、お願いします。
  119. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 この際お諮りいたします。郵便法の一部を改正する法律案につきましては公聴会を開いて、広く一般から意見を聞くことが妥当であると考えますが、公聴会を開く時間的余裕もございませんので、参考人においでを願つて意見を聞くことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 御異議なしと認めます。次に参考人の選定及び日時等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 御異議なしと認めます。それでは本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。     午後四時三十二分散会